平成10年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇36番(小原宣良君) 社会民主党の小原宣良でございます。
 ただいま総務委員長から報告のありました請願陳情のうち、受理番号第5号、第8号及び第10号について討論を行います。
 まず初めに、受理番号第8号消費税を3%に戻し、食料品非課税を求めることについて請願のうち、第2項食料品は非課税にすることを求めることについてであります。
 このことについての我が党の見解は、消費税が所得のいかんにかかわらず一律課税となっており、消費税の飲食料費相当分については、逆進性の緩和を求める観点から、所得に応じて払い戻しを行う方式を求めているものであります。これは、全世帯の平均消費支出約395万円に占める飲食料品の平均支出額約92万円との総理府統計に基づき、この92万円に消費税5%を乗じた額5万円を限度に、所得に応じて払い戻しをしようとするものであります。食料品を非課税とする場合においては、生産、加工、流通、小売の各段階において、例えば家畜のえさである飼料となるケースなど、原材料がそのまま人間の食料とならないことなど、食料品を特定することの困難性を考慮し、実質的に食料品非課税とする方式として、その実現を図ろうとしているものであります。しかし、食料品を非課税とすることの思いは相共通するものであり、請願採択は妥当であると考えるものであります。
 また、受理番号第5号消費税の減税を求めることについて請願及び受理番号第8号の第1項消費税の税率を当面3%に戻すことを求めることについてでありますが、この点については私どもはいささか疑問なしとはいたしません。御案内のとおり、現行5%の消費税は国税分4%、地方消費税1%からなっているものであり、それぞれ個別の税目をなしているものであります。このことは、地方消費税の徴収を国に委託し、徴収取扱費用を国に支払っていることからも明らかであります。この地方消費税は国の平成10年度地方財政計画の当初予算ベースで2兆9、887億円と見込まれているものであり、本県においては、岩手県分約135億円、県内市町村分約133億円、合わせて約268億円と見込まれているものであります。
 一方、地方交付税においては、先ほども討論がございましたが、国税分である消費税4%、約10兆円の29・5%、約3兆円が組み込まれるなど、合わせて消費税の44%が地方自治体に交付されているものであります。
 さて、消費税を3%とする場合、地方消費税を除く国税分を2%引き下げることとするのかどうか、請願者の願意は必ずしも明確ではありません。私は、消費税を3%にすることを求めるに際しては、現下の厳しい地方財政の現状にかんがみ、地方消費税を残し国税分から2%を引き下げることを求めるべきが至当と考えるものであります。いずれ地方財政の緊迫した現状を打開するためには、地方分権の推進と相まって、国の抜本的行財政改革を断行すべきことは論をまたないところであります。
 我が党が総務委員会の審議の過程において継続審査を求めたのは、こうした地方財政の現状認識と同時に、請願者の願意をより明確にする必要があるとの認識に立ったものであります。
 また、採決に当たって態度を保留したことも同様の認識によるものであります。
 また、国に対する意見書の提出についても、本県並びに県内市町村の厳しい財政事情をも考慮し、国からあらぬ誤解を招くことは避けるべきとの思いもありまして、慎重を期するべき旨を申し述べたところであります。国と地方との関係を正すためには、地方分権の推進とともに、国の抜本的行・財・税制の改革を行うことであることは、先ほど申し述べたところであります。しかし、現下の厳しい経済状況と消費不況のもとにあっては、当面の措置として消費税率の軽減を求めることについては、前段申し述べましたとおり、地方消費税を除く国税に係る部分についてにとどめるべきということを、見解を付して総務委員長報告を了とするものであります。
 次に、受理番号第10号岩手山火山活動活発化のもとで予定されている日米合同演習の中止、もしくは延期を求めることについて請願についてでありますが、今まさに岩手山南西地震の発生とその災害復旧に当たっているさなか、岩手山火山活動が依然活発化しており、最新機器材の配置による観測体制強化を行っているなど、まさに岩手県民の神経は岩手山に集中している、このように言っても過言ではない状況下にある中で、自衛隊とアメリカ陸軍による迫撃砲、対戦車火器などの射撃訓練の実施は到底容認しがたいものでございます。この際、県議会は、県民の声を代弁し、毅然として国に対し岩手山演習場における日米共同訓練の中止を申し入れるべきであります。よって、受理番号第10号の不採択に反対をするものでございます。追って、我が党会派から日米共同訓練の中止を求める意見書を提出いたしますので、議員各位の御理解を賜りたいと存じます。
 以上で私の討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(那須川健一君) 次に、斉藤信君。
   〔1番斉藤信君登壇〕(拍手)

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