平成10年12月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

平成10年12月決算特別委員会会議記録(第4号)
   平成10年12月3日(木)
   

1開会  午前10時2分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長 佐藤嘉成
議事課長 藤沢重一
議事課長補佐 駿河 勉
主任議事管理主査 千田正和
議事管理主査 南 敏幸
議事管理主査 筒井則裕
議事管理主査 森 達也
議事管理主査 熊谷正則

1説明員
林業水産部長 渡辺 勲
林業水産部次長 本山芳裕
林業水産部次長 木實谷 浩 史
参事兼林政課長 小野寺 文治郎
木材振興課長 溝上 優
緑化推進課長 玉川公喜
松くい虫対策監 澤田定勝
森林土木課長 近藤勝人
漁政課長 武市正明
漁業振興課長 上村俊一
漁港課長 船越 穣
 
農政部長 佐 藤 徳兵衛
農政部次長 鈴木一夫
農政部次長 渕沢光雄
農政部次長 佐々木 正 勝
農政企画課長 仙石 隆夫
地域農業振興課長 千田 勉
農業普及技術課長 山内吉朗
農村計画課長 永嶋善隆
総合国営対策監 高橋重安
農村建設課長 高橋民和
農業経済課長 橋本裕治
農産園芸課長 石川格司
生産調整対策監 河村茂幹
畜産課長 菊地清彦
農産物流通課長 菅原誠郎
 
出納長 高橋洋介
副出納長兼出納局次長 石川 誠
 
監査委員 一戸克夫
監査委員 佐藤文子
監査委員事務局長 飛澤重嘉
総務課長 青木 拓
監査課長 小田中 善治郎
 
財政課長 千葉 弘
   

〇高橋委員長 これより本日の会議を開く。
 これより議事に入る。
 認定第1号から認定第12号まで決算12件を一括議題とする。
 本日は、林業水産部及び農政部を終わるよう進行したいと思うので、御協力をお願いする。
 なお、世話人会の申し合わせにより、平成9年度決算の審査であるので、当該年度に関する質疑とされたいこと、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いする。
 最初に、渡辺林業水産部長に林業水産部関係の説明を求める。

〇渡辺林業水産部長 平成9年度の林業水産部関係の決算について御説明申し上げる。
 決算の内容に入る前に、平成9年度の林業・水産業施策の推進状況について御説明申し上げる。
 近年の林業及び水産業を取り巻く環境は、輸入の増加などにより価格が低迷し、収益性が低下するとともに、労働力が減少、高齢化するなど厳しい状況が続いておる。これらの諸課題を克服し、充実しつつある森林資源や豊かな沿岸漁場を活用して、本県が我が国の木材及び水産物の供給基地としての役割を十分果たせるよう、平成9年度においても、林業及び水産業それぞれの基本計画に基づき、各般の事業展開に努めてまいったところである。
 まず、林業であるが、基本計画に掲げる施策の基本方向に沿って申し上げる。
 まず、第1に、県産材の安定供給体制の確立については、林業経営構造の改善、素材の安定的供給の推進、林道網の整備に取り組むとともに、新たに木材生産団地の林内路網の整備、乾燥材の安定供給促進資金の貸し付けを行うなど、特色ある産地形成に努めたところである。
 第2に、林業の担い手対策の推進については、森林組合の広域合併の促進、林業後継者の育成、林業事業体の経営基盤の強化に取り組むとともに、林業労働対策基金への追加出捐により林業労働者の新規参入及び就労条件の改善を図るなど、林業生産活動の担い手の育成・確保に努めたところである。
 第3に、多様な森林の整備については、計画的な造林、広葉樹林の育成、樹高や樹齢の異なる樹木で構成される複層林の造成などに取り組むとともに、森林病虫害の防除、除間伐、山腹崩壊地の復旧など、森林の適正な管理に努めたところである。
 第4に、森林の総合的利用の促進については、シイタケ生産施設の整備、シイタケ原木の安定供給の確保、木炭生産環境の改善などに取り組み、特用林産物の主産地化を図るとともに、県民の森などの整備を行い、森林の保健、文化、教育的利用の促進に努めたところである。
 第5に、林業新技術の開発促進については、アカマツの松くい虫抵抗性品種の育種や住宅用構造材向けの乾燥技術等の開発のほか、林業技術情報の整備に取り組むなど、森林の健全化、林業生産の低コスト化、林産物の高付加価値化などに対応できる林業技術の開発・普及に努めたところである。
 次に、水産業であるが、まず第1に、漁業生産の安定向上については、沿岸漁業の振興を図るため、増殖場や魚礁漁場の整備開発を実施し、漁場の高度利用と資源の積極的な維持培養や増養殖生産の拡大に努めるとともに、アワビ、ウニ、サケ等に加え、新たにつくり育てる漁業としてのマツカワやヒラメを対象とした魚類栽培漁業の推進を図ったところである。
 また、昨年10月には、水産資源の維持培養と海の環境保全により、水産業の一層の振興を図ることを目的に、天皇・皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、第17回全国豊かな海づくり大会を大槌漁港において開催したところである。
 第2に、資源の管理については、漁獲可能量、いわゆるTAC制度の円滑な運用を図るため、県内14カ所の魚市場とのコンピューターネットワークにより漁獲量の的確な把握に努めたほか、漁業秩序の確立を図るため、漁業取締船1隻を更新し、違反取り締まりを計画的に行うなど、資源の適切な保護と利用管理の推進に努めたところである。
 第3に、漁港等の整備については、第9次漁港整備長期計画のもと、つくり育てる漁業や加工流通の振興に対応した安全で機能的な漁港の整備を総合的に推進したところである。
 第4に、加工流通体制の整備については、本県の重要な水産資源である秋サケを中心に、県産水産物の消費と販路の拡大に積極的に取り組むとともに、高鮮度水産物の安定供給体制の確立及び消費者ニーズに対応した新製品の開発等に努めたところである。
 第5に、水産経営の安定充実については、水産業を取り巻く厳しい環境に対応するため、漁業協同組合等の経営指導を実施し、経営基盤の強化を図ったほか、漁業近代化資金及び沿岸漁業改善資金の貸し付けにより漁業生産施設等の近代化に努めるとともに、漁業後継者の育成や確保等を目的として漁村青壮年育成対策の推進を図ったところである。
 第6に、水産技術の開発については、高成長低コストアワビの育成試験及びバイオテクノロジーによる種苗生産など、先端技術の進展に即応した試験研究課題等に取り組んだところである。
 第7に、住みよい漁村の形成については、活力ある豊かで住みよい漁港漁村の形成を図るため、集落道や漁港関連道、集落排水施設等の生活環境の整備や、津波や高潮などの災害から人命や財産を守るため海岸保全施設の整備に努めたところである。
 以上が平成9年度における林業水産部の施策の概要である。
 次に、決算の内容について御説明申し上げる。
 まず、一般会計歳出についてであるが、平成9年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願う。
 林業水産部関係の歳出の予算現額は、6款農林水産業費の4項林業費、5項水産業費及び16ページをお開き願って、11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の一部をあわせたもので、総額546億2、821万9、250円である。
 これに対し、支出済額は533億4、003万3、850円、翌年度繰越額は12億7、626万8、775円、不用額は1、191万6、625円である。
 以上、一般会計の総括について申し上げたが、個々の内容については、お手元の平成9年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明させていただく。
 210ページをお開き願う。歳出第6款農林水産業費の4項林業費であるが、予算現額339億573万円余に対し、支出済額は328億877万円余、繰越明許費が10億8、992万円余である。
 以下、その主なものについて御説明申し上げるが、目ごとの金額の読み上げは省略させていただくので、御了承願う。
 212ページをお開き願う。2目林業構造改善対策費の主なものは林業構造改善事業費であるが、これは、31地区において市町村等が実施した林道、木材加工施設などの整備に対する助成などに要した経費である。次に、繰越明許費4億8、420万円余についてであるが、これは、用地交渉の難航などにより、年度内完成が見込まれないため、森林体験交流施設の整備など7件について繰り越したものである。なお、同様の事情による繰越明許費が他の目にもあるが、その説明については省略させていただくので、御了承願う。次に、3目林業振興指導費の主なものであるが、備考欄3行目の木材産業振興対策事業費は、製材業協同組合等に対する経営安定資金の貸し付けなどに要した経費である。次に、3行飛んで、県産材流通促進対策事業費は、県産材を利用した住宅の取得者に対する助成及び岩手県木材協同組合連合会に対する乾燥材の安定供給促進資金の貸し付けなどに要した経費である。次に、3行飛んで、森林組合経営体質強化資金貸付金と2行下の林業振興資金貸付金は、岩手県森林組合連合会に対し、森林組合の財務改善に必要な資金と森林組合が行う林産事業等に必要な資金をそれぞれ貸し付けたものである。次に、2行飛んで、財団法人岩手県林業労働対策基金出捐金は、同基金が行う林業労働力確保支援センター事業を拡充強化するため追加出捐したものである。次に、一番下の岩手県林業公社事業資金貸付金は、同公社に対し、分収造林事業に必要な資金を貸し付けたものである。次に、215ページをお開き願う。流域総合間伐対策事業費は、北上川中流流域及び大槌・気仙川流域での間伐の実施、間伐作業道の整備等に対する助成などに要した経費である。次に、8行飛んで、森林計画樹立事業費は、北上川中流森林計画区の地域森林計画の樹立などに要した経費である。次に、6行飛んで、乾しいたけ等主産地形成促進対策事業費は、シイタケの生産施設等の整備に対する助成及び岩手乾しいたけ特別入札会への出品者に対する前渡金として必要な資金の貸し付けなどに要した経費である。次のしいたけ等原木安定供給促進資金貸付金は、岩手県森林組合連合会に対し、森林組合のシイタケ原木の生産に必要な資金を貸し付けたものである。次に、4目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除や五葉山周辺のシカ被害の防止に対する助成などに要した経費である。次に、216ページをお開き願う。5目造林費の主なものであるが、造林事業費は、人工造林や保育等に対する助成などに要した経費である。次に、林野火災復旧対策事業費補助は、平成9年5月2日に紫波町及び石鳥谷町で発生した林野火災の復旧対策として、被害木搬出作業路の開設、被害木等の整理に対し助成を行ったものである。次に、6目林道費の主なものであるが、林道開設事業費は、県営34路線、市町村営15路線の整備に、農免林道事業費は、県営3路線、市町村営6路線の整備に、林業地域総合整備事業費は、県営6路線、市町村営8路線の林道整備に、ふるさと林道緊急整備事業費は、県営23路線の整備にそれぞれ要した経費である。木材生産団地路網整備事業費は、大規模な県行造林地等を中核とする木材生産団地内の基幹作業道3路線の開設に要した経費である。森林開発公団林道事業費は、森林開発公団が実施する大規模林道事業などに対する県負担金等である。次に、218ページをお開き願う。7目治山費の主なものであるが、治山事業費は、172カ所の山地治山、保安林整備などに、地すべり防止事業費は、8カ所の地すべり防止に、県単独治山事業費は、28カ所の崩壊地などの復旧にそれぞれ要した経費である。
 以上で林業費関係を終わって、次に、水産業費関係について御説明申し上げる。
 220ページをお開き願う。5項水産業費であるが、予算規模204億9、226万円余に対し、支出済額は203億5、203万円余、繰越明許費が1億3、539万円余である。
 以下、その主なものについて御説明申し上げる。
 222ページをお開き願う。2目漁業構造改善対策費の主なものであるが、備考欄1行目の沿岸漁場整備開発事業費は、沿岸漁業の安定的な発展と水産物の供給の増大を図るため、地先型増殖場9カ所、広域型増殖場4カ所、大型魚礁9カ所、人工礁漁場2カ所など、沿岸漁場の整備開発に要した経費である。次に、下から3行目の沿岸漁業活性化構造改善事業費は、沿岸漁業の振興と経営の近代化を図るため、漁労等作業管理休養施設等の漁業近代化施設の整備に要した経費に対し助成を行ったものである。次に、3目水産業振興費の主なものであるが、備考欄3行目のさけ、ます増殖費は、サケ・マス資源の増大を図るため、各河川に放流する稚魚の買い上げ及び増殖施設の整備やサケが遡上する河川の環境整備に要した経費に対して助成を行ったものである。次に、2行飛んで、特定海域栽培漁業定着強化事業費は、アワビ資源の増大を図るため、放流効果調査や種苗の入手、生産及び中間育成に要した経費に対し助成を行ったものである。次に、3行飛んで、魚類栽培推進事業費は、今後建設を予定しておるヒラメ、マツカワ等の新たな魚類栽培施設の整備計画等の検討と種苗生産施設の基本設計を行ったものである。次に、1行飛んで、内水面漁業振興対策費であるが、これは、アユなどの稚魚放流経費に対する助成と魚道の整備を行ったものである。次に、225ページをお開き願う。11行目の事業、秋さけ等利用拡大推進事業費補助は、本県の重要な水産資源である秋サケを中心とした県産水産物の消費拡大を行うため、販路開拓、消費宣伝、学校給食への利用促進を図ったものである。次に、11行飛んで、社団法人岩手県栽培漁業協会育成事業費は、本県栽培漁業の推進を目的に設立された社団法人岩手県栽培漁業協会の事業の円滑な運営を確保するため、年度当初の運転資金の貸し付けなどを行い、協会の育成を図ったものである。次に、一番下の全国豊かな海づくり大会開催事業費は、昨年10月に開催された第17回全国豊かな海づくり大会に係る大会実行委員会運営費負担金等である。次に、4目水産業協同組合指導費の主なものであるが、備考欄5行目の漁業協同組合経営強化総合対策事業費は、漁業協同組合の基盤強化を図るため、合併や事業統合などの推進、指導に要した経費である。次の漁業近代化資金金融対策費は、漁業者に対し、長期・低利の施設整備資金を融資した金融機関に対し利子補給を行ったものである。次に、226ページをお開き願う。7目漁業取締費の主なものであるが、漁業取締船代船建造事業費は、昨年竣工した岩鷲の建造に要した経費である。次に、少し飛んで230ページをお開き願う。10目漁港管理費は、県管理の漁港施設の管理運営に要した経費である。次に、11目漁港建設費の主なものであるが、備考欄1行目の漁港修築事業費は、県営17港、市町村営3港の修築に、次の漁港改修事業費は、県営7港、市町村営17港の改修に、次の漁港局部改良事業費は、市町村営17港の改良に、次に、2行飛んで、海岸保全施設整備事業費は、県営7港、市町村営6港の整備に、次の海岸環境整備事業費は、県営2港の整備に、次の漁港漁村総合整備事業費は、市町村営5港の整備に、次の漁業集落環境整備事業費は、市町村営12地区の整備に、次に、1行飛んで、漁港環境整備事業費は、県営5港、市町村営1港の整備にそれぞれ要した経費である。
 以上で水産業費関係を終わる。
 次に、大きく飛んで、304ぺージをお開き願う。災害復旧関係について御説明申し上げる。
 11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費についてであるが、次の306ページをお開き願う。2目林道災害復旧費は、現年災害に係る9路線10カ所の復旧事業などに要した経費である。次に、5目漁港災害復旧費は、県営1港の復旧事業に要した経費である。
 以上で一般会計の歳出決算を終わるが、引き続き特別会計の決算について御説明申し上げる。
 338ページをお開き願う。平成9年度岩手県県有林事業特別会計の決算について御説明申し上げる。
 まず、歳入であるが、341ページをお開き願って、収入済額の合計は51億8、076万円余で、その主なものは、一般会計繰入金及び県債である。
 次に、歳出であるが、347ページをお開き願って、支出済額の合計は51億6、009万円余で、その主なものは、公有林造成資金の元利償還金及び394ヘクタールの新植、1万1、839ヘクタールの保育などに要した経費である。
 次に、348ページをお開き願う。平成9年度岩手県林業改善資金特別会計の決算について御説明申し上げる。
 まず、歳入であるが、351ページをお開き願って、収入済額の合計は19億3、825万円余で、その主なものは、貸付金元利収入及び繰越金である。
 次に、歳出であるが、353ページをお開き願って、支出済額の合計は12億5、382万円余で、その主なものは、林業改善資金貸付金及び木材産業等高度化推進資金貸付金である。
 次に、354ページをお開き願う。平成9年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計の決算について御説明申し上げる。
 まず、歳入であるが、収入済額の合計は4億3、928万円余で、その主なものは、貸付金収入及び繰越金である。
 次に、歳出であるが、357ページをお開き願って、支出済額の合計は2億718万円余で、その主なものは、経営等改善資金貸付金などである。
 以上で林業水産部関係の決算について説明を終わる。よろしく御審議のほどお願い申し上げる。

〇高橋委員長 ただいまの説明に対し質疑はないか。

〇村田委員 3点ほどお聞きしたいと思うが、第1に、間伐の促進と活用の対策である。
 林業振興費の決算によると、間伐促進関係については2、400万円という計上であるが、間伐総合特別促進対策事業、本年に入ってから特に間伐促進について国の政令等における強化作戦がなされるやに承っておるけれども、県もそれらの対応について相当の心構えで対処しようとしておられると思っておるが、現在、間伐の必要な石数あるいは現状、人手不足によって間伐が促進せられるべくしてできないという阻害要因等々の分析もあろうかと思うけれども、現状と将来に向かっての見通しをまずお聞きしたいと思う。
 次に、石鳥谷、紫波における山林火災、さらに本年に至っての軽米地方の林野火災、それらの災害復旧には治山の関係もあろうし、また、緑化の復旧の問題等についても積極的に対応されておると思っておるが、それの状況についてもお聞かせいただきたいと思う。
 県有林特別会計については後ほど改めてお聞きするけれども、この2点についてとりあえずお聞きしたい。

〇玉川緑化推進課長 間伐の推進であるが、戦後積極的に造林されて、今現在、人工林は34万ヘクタールほどある。そのうち、間伐をしなければならない林はおおよそ6割の19万ヘクタールとなっており、さらに、過去に1回も間伐をされない等、特に緊急を要する間伐は7万数千ヘクタールとなっておる。
 この7万数千ヘクタールを緊急にしなければならないということで、1年当たり大体1万4、000ヘクタールほどすればそれが実施されるわけであるが、いろいろな事情があって、現在、大体1万から1万1、000ヘクタールほどの間伐の実施状況となっており、それを1万4、000ヘクタールに上げるために、平成10年度においては岩手県間伐行動推進計画をつくってそれのかさ上げを図ったところであり、ぜひ11年度以降についてはそれを目指してまいりたいと考えておる。
 なお、国庫補助事業等で足りない分は、先ほど委員おっしゃった県単の総合間伐対策事業等で進めておるところである。
 それから、山林火災の復旧の実施状況であるけれども、紫波、石鳥谷町については、平成10年度においては2次災害防止として予防治山等の治山事業、さらに、林野火災の方の復旧対策として被害木整理、被害跡地造林等を進めており、現在、治山事業を除いておおむね80%ほどの進捗率となっておる。

〇村田委員 間伐の促進については、森林組合の事業主体によってなお拍車をかけなければならないと。当大迫地元の森林組合においても大変な課題であると思っておるが、どうぞひとつよろしく強力な御指導を賜りたいと思っているわけである。
 間伐の素材が生産された。これを加工して付加価値を高めて流通に乗せるということも一連の大きな課題であるが、先般、9月の議会であったか、久慈の方で個人的な立場でウッドトレーという無公害な素材、これは発泡スチロールにかわるべき有力なる製品ではないのかということで三河委員から見せられたことがあるけれども、これなどは間伐材の将来の利用促進についての有力な素材ではないかと思っておるが、この点についてはどの程度まで取り組もうとしておられるのか、御承知であれば承りたいと思う。

〇溝上木材振興課長 ウッドトレーの状況について御説明申し上げたいと思う。
 今、委員言われるとおり、久慈地方振興局管内において、森林組合、製材業者等が新たな事業協同組合を設立して、生鮮食料品の包装等に使っておる発泡スチロール製のトレー、これの代替製品として、間伐材等の地域の森林資源を活用した木製のトレーについて生産するということで、現在、検討を進めていると聞いておる。
 このトレーの生産については、地域の間伐の推進や木材の需要の拡大に対して大変大きな効果があるのではないかと考えておる。そういう意味において、林業、林産業の活性化のために、この事業化については大変進めるべきものと考えられるわけであるが、そのためには生産施設の整備にかなりの投資が必要である。また、販路についても新たな開拓を進める必要があると考えておる。
 このために、この事業協同組合の関係者みずからの適切な生産規模や販路拡大のための努力が必要なわけであるが、県としても、生産施設の整備に対する助成事業の導入や各種イベントにおける製品の展示、それから、普及等に通じた支援の可能性について、現在、検討しているところである。

〇村田委員 大変設備費もかかるし、また、コストも普通の発泡スチロール製品よりは割高になっておる。これが一つの隘路になるわけであるから、これのロットを高めて大きくしていくということが必要ではないかと。そのためには、パテントの問題もあろうし、そういう権益はちゃんと守っていただかなければならないが、それをさらに、久慈のみならず、ある程度のレールが敷かれたならば、岩手県の各地にそういう拠点ができて、ロットが少し膨れていく、市場に対するイニシアチブもとれるというようなことになれば万々歳と、こう思うわけである。これは要望である。
 次に、県有林事業特別会計について承りたいのであるけれども、戦後の荒廃した林地の保全、緑化のために県有林事業が果たしてきた役割というものは大変高くして重しと言えると思うわけであるが、聞くと、6万ヘクタールになんなんとする分収契約の実績である。そのうち、林地として育成されておる面積はどの程度の割合になっておるか、これが一つである。
 それから、全体の会計については51億円余であるけれども、51億円の総事業費の管理費21億円、それから、県行造林費25億円というそれらの経費を賄うためには、この51億円はどこに財源を依存しておるかといえば、財産運用収入2億7、000万円、財産売り払い収入2億2、000万円、一般会計からの繰入金22億円、受託事業収入はわずか4、200万円である。雑入が2億5、600万円、そして、大きいのは県債による22億円と、こういうことで、51億円の総事業費はそれらによって賄われているということである。もとより県有林事業を行っておる中身については、本来期待されるべき財産売り払い収入が高まっていかなければならないであろう。しかし、2億2、000万円にとどまっておるということは、将来どのような見通しでこの会計が成り立っていくのかどうか、この辺の見通しについて承りたいと思うわけであるが、まず、その点についてお願いする。

〇渡辺林業水産部長 県行造林であるが、県行造林造成基金条例に基づいて、ただいまお話しのとおり6万ヘクタールを目標にこの事業を推進してきたところで、実績は5万7、000ヘクタールに達しており、進捗率は95%ということで、造成目標をおおむね達成したものではないかととらえておる。
 しかしながら、今後の県行造林地は、分収契約の期限の到来に伴って、ただいまお話しいただいたように、今後、伐採収穫がどんどん進んでまいる。あるいは、一般の民有林についても人工林が順次伐期を迎えるので、将来、県内全域において伐採面積が増大していくということが予想される状況にある。
 一方、森林の多面的な機能、公益的機能の高度発揮に対する要請は、御案内のとおり、一層高度化、多様化しておる。こういった状況を考えて、森林の育成が改めて重要視されなければならず、また、森林についての持続的な森林経営を推進してまいらなければならないと認識しておる。
 ただ、こういう中にあって、木価の低迷、そういう状況もある。あるいはまた、山村地域の過疎化、林業労働力の減少、高齢化等々によって、森林所有者みずからによる造林は困難になっておる。今後、多様な主体による森林整備の必要性が高まることが予想されることから、現在、策定作業を進めておるが、新たな林業基本計画とも調整を図りながら、将来の森林整備のあり方について、財政環境は大変厳しいわけであるが、ただいまお話ししたような観点から的確に計画的に進めていかなければならないもの、公的な関与の方法を含めて広く検討しなければならないと、かように存じておる。

〇村田委員 木価の低迷という構造的な不況の変化のしわ寄せということもあろうし、今、お話しのように、過疎化現象、高齢化に伴っての労働力の大変な問題等によって、県有林事業というものはむしろ公益的な機能の重要性ということも加味されて、ますます時代の要請としてはこたえるべき使命が高くなってきているのではないだろうか、こう思われる。
 そこで、県行造林、県有林と称して、林家にとっては大変なじみの深い施業なわけであるけれども、将来、これはさらに拡大造林に向かっていくのか、それともまた、伐期が来て徐々に切られていった後の再造林などはしないで縮小していこうとしておるのか。その辺の見通し、今後の県有林造成、分収契約というものを新たに拡大して林家の要請にこたえていこうとしているのか、それとももうちょっと足踏みをして考えようという時代に来ておるのか、その辺の部長のお考えを聞きたいと思う。

〇渡辺林業水産部長 委員お話しのとおり、森林の造成等についての公益的機能の高度発揮の観点からの必要性は一層増しているわけであるし、一方、木価の低迷等々によって、森林所有者の自主的な造林等が難しい状況にある。そういう状況をかんがみるときに、公的な機関を含めた、公的な関与を含めた多様な主体による森林整備の必要性ということは依然としてあるのではないか。むしろ公的関与ということがより一層重要になっていくのではないかという見通しを持っておる。

〇村田委員 ここで承りたいことがあるわけであるが、特殊材備蓄林、それから水源分収という科目があるわけであるが、特殊材備蓄林というのはどういう内容であろうか。

〇玉川緑化推進課長 特殊材備蓄林というのは県行造林の形態の一つであるけれども、財源を特定の会社なり団体の方からいただいて、その財源を出していただいた会社の考え方に沿った材を出す。それで特殊材という名前を使っておる。具体的に言うと、現在、製紙会社の方からいただいておるので、パルプを称しておる。いわゆるパルプ造成を目的に県行造林をしたということで、財源を出した関係上、分収は、費用負担である団体が50、土地所有者が50ということで、県は人件費なり費用負担の額を毎年いただいて、いわゆる二面契約になるが、所有者と県、それから団体と県という格好の二面契約に基づく県行造林である。
 そのほかに、少ない面積であるが、日本赤十字社、いわゆる日赤とも若干同じような形態の特殊材備蓄林の契約をしておる。

〇村田委員 この備蓄林がパルプ用材としてぼつぼつ切られて、そしてそれが供給された。そして、その経費を払った後の残部の2分の1をお互い分収すると、こういうことであろう。今現実にそういう伐採とかお金の動きというのはあるのであろうか。それはどうなっているのか。

〇玉川緑化推進課長 現在も、間伐、それから、一部主伐を通じて現実に分収しておる。また、土地所有者が公共団体等の場合は、お金ではなく立木でそのまま、いわゆる公益的機能保持のために地方公共団体が立木のまま得たいということで、会社の持ち分を公共団体が支払って山を所有するというケースも最近出ておる。

〇田村委員 村田委員に関連して御質問申し上げる。
 県行造林の話が出たわけであるけれども、平成12年度をめどに90数%達成するところだという答弁があった。それ以後のことについては、今後、計画策定をしていくという話であるが、質疑の中で、木価の低迷とか、そういった話があったけれども、私、一般質問でも申し上げたとおり、林業の振興というのは、中山間地域の振興のためにはどうしても欠くべからざることだと認識しておる。そういった意味で、平成12年度以降の県行造林事業というものの重要性をぜひ当局におかれては認識していただきたいと思っておるが、木価の低迷の最大の要因というのは、私は道路網の不整備にあるのではないのかと常々感じておる。例えば、我々住んでおる地帯においては、道路事情がいいこともあるが、かなりの高単価で材が搬出されているという事情もある。あくまでも木価というのは、道路が近くにあるかないか、これで左右されると私は思っておる。そういった意味で、県行造林もそうであるが、それとあわせて道路網の整備というのは絶対必要不可欠なものだと思うが、道路網の整備について、今後どういうふうに取り組んでいくかお伺いしたいと思う。

〇渡辺林業水産部長 ただいまお話をいただいたように、林業の振興、中山間地域の振興といった観点からも極めて重要なものであると、私どももさように認識しておる。
 それから、木材価格の問題は、結局、横持ちというか、木材の運搬距離の短縮にかかるというお話であるが、私どももまさにそういう認識のもとで、林業基本計画に定めておる林道計画にのっとって計画的に積極的にその推進を進めてまいる。そして、そのことが適正な森林の整備につながるものと、かように存じておる。

〇藤原(良)委員 今の県行造林について私も関連質問を申し上げる。簡単にお答えいただきたい。
 まず、県行造林の伐採期の最盛期が近々出てくると思うが、何年後ごろからだと思っているのかお示しいただきたい。

〇渡辺林業水産部長 およそ10数年後から始まってまいると理解しておる。

〇藤原(良)委員 早いのは五、六年後から出てくるのではないかと思うが、価格の問題だと思うけれども、最盛期は十五、六年後であろうけれども、県行造林の契約年数が40年あるいは45年。これは延ばすこともできるわけであろうけれども、その中で、森林、山が持つ意味というものは木だけではない状況が今、問われておる。地球的環境対策の問題とか治山の問題とか、さまざまなことで山そのものの持つ意味というのが改めて見直されている時期だと思う。その中で、今、お話があったけれども、県行造林事業は12年度以降については今のところ計画はないわけである。そこで、私はここで申し上げておきたいと思うけれども、伐採が始まっていったところは、最低限災害対策とか治山対策とか、さまざまな理由で制度そのものを考えていかなければならないのではないかと思う。その点についてお考えをひとつお披瀝いただきたいと思うが、いかがであろうか。

〇渡辺林業水産部長 委員お話しのとおり、伐採がこれからどんどん始まってくる。ピークになってくる。そうすると、そこの更新というか、そういうことが森林の公益的機能の高度発揮等の視点から進めなければならないものと考えておる。ただ、森林所有者みずからによる造林等がなかなか進みにくい状況にもあるので、厳しい財政環境の中であるが、それをにらみ合わせながら、県の公的な機関による造林、あるいはそれを含めた多様な主体による造林というものを進めてまいらなければならないと考えておる。

〇藤原(良)委員 これは岩手県の林業水産部だけの問題ではなくて、岩手県の一つの政策の分野に入ってくると思うので、幹部の1人である高橋出納長からお考えをお示しいただきたい。

〇高橋出納長 今の県行造林の議論であるが、委員御指摘のように、環境の世紀と言われる21世紀を控えて、林業水産部だけの問題というようなことではなく、県政の横断的な重要な課題であるので、林業水産部からの意見も重々承りながら、県全体として検討してまいりたいと、そのように思っておる。

〇藤原(良)委員 これは言っておきたいと思うけれども、今、大船渡地域あるいは宮古地域でいわゆるベニヤ、合板産業等々あるけれども、その中の輸入材、いわゆる外材は世界の中で3地域と言われており、1点は南洋材、1点はシベリヤ材、1点は北米材である。その中で、南洋材の原木はもうほとんど入ってこない時代になった。シベリヤ材は輸送路の問題でまず不可能だろうと、近々では難しいだろうと言われている。その中で残されているのは北米材と言われておる。北米材の地域は、環境対策あるいは後始末について極めて厳しい見方をする地域で、多分、木にその分を転嫁されるだろうと。いずれにしろ国産材に目を向けられる時代が来るだろうと言われておる。その中で岩手県は、今のお話のごとく、分収林では日本一の面積を持っている。大変な財産である。6対4で分けるわけであろうから、6割は岩手県の財源に入ってくる。4割も関連して岩手県の所得体系に入ってくるということになるので、いかにその財産価値を高めていくかということは極めて大変な政策になってくるだろうと。岩手県にとって大変大事なことだろうと思う。3割自治と言われておるけれども、そういう財産を岩手県は持っておる。いかに財産価値を高めるかということだろうと思うので、その中で、今、田村委員も触れたけれども、やはり価値を高める一つの方策として路網の整備等々があるだろうと思う。山そのものは私もずっと思っておるけれども、自然の倉庫だと。市場が欲しいときに倉庫から出してやるという、そういう体制を整えることが政策として必要だろうと思う。
 最後にお聞きするけれども、そういう観点からいって、そのことについて部長のお考えをお示しいただきたい。

〇渡辺林業水産部長 外材の状況については委員お話しのとおりで、近時、北米材等のシェアが非常に多くなっている状況にある。しかし、これもなかなか将来的には難しかろうと思う。本県はこれまで着々として材積が増加してきておるので、これはまさに、県民のというよりも国民的な財産になってまいるものであろうと理解しており、その価値を生み出すための森林の整備、そういった事柄に一生懸命頑張ってまいらなければならない、かように存じておる。

〇工藤(篤)委員 事項別明細書の222ページから223ページにかけて、第6款農林水産業費第5項水産業費3目水産業振興費のうちの内水面漁業振興対策費に関連して1点だけお尋ねしたいと思う。
 まず、健康なアユ種苗の確保についてのお尋ねである。
 御承知のように、アユは本県の内水面漁業にとって最も重要な魚種であるとともに、遊漁を通じて県内外の多くの釣り人に親しまれるなど、地域振興にも大きな役割を果たしておる。本県では、天然の稚アユが極めて少ないことから毎年大量の種苗放流が行われているが、ここ数年不漁が続いており、多くの釣り人が他県へと離れている状況にもある。
 そこで、私は、内水面漁業の振興、特にアユ漁業の振興という立場から、昨年の12月議会で、アユの不漁原因として種苗性に問題があるのではないか、さらに、天然に近い形質を持った健康な種苗の生産技術開発に取り組む必要があるのではないかと質問したところである。これに対して、県からは、健康な種苗の確保と自県産アユの生産体制の整備を進めていきたいとの前向きな答弁があったが、その後どのように取り組んでいるのかお聞かせ願いたいと思う。

〇渡辺林業水産部長 健康なアユ種苗確保の取り組みについてであるが、委員お話しのとおり、アユというものが本県の内水面漁業の振興あるいは遊漁の振興、そして地域振興にとって極めて重要であると認識しておるが、県内の関係内水面漁業協同組合で資源維持のために毎年約25トンもの種苗を放流している。しかしながら、その種苗は、県内に自給体制がないので、県が岩手県栽培漁業協会に委託し、卵を他県から購入した上で種苗生産して放流するもの、それから、各漁協が直接他県から購入したものを放流したものもあるところである。このうち、栽培漁業協会の卵の購入先では、卵をとる親の魚、親魚であるが、20代以上繰り返して生産してきたものを使用されておることから、ただいま委員お話しのとおり、野性味がなくなる、追いかけなくなるということ、あるいはまた、近時病気に弱いということも指摘されておる。こういうことから、私ども、昨年から、より天然に近い海産系の卵の購入に重点を切りかえて、健康な種苗の供給に努めている。今年度においても、より健康な種苗の供給の割合を高めるように努力している。その結果、放流されたアユ種苗に占める海産系種苗の割合、それは増加しており、今年度は50%にまで達しておるし、来年度は、さらにその割合が高まると見込んでいる。種苗の自給について、本県としては、内水面漁業協同組合の協力を得ながらも研究に取り組んでまいっており、今後とも、お話の自県産種苗を供給できる体制の整備に一層努力してまいりたいと考えている。

〇工藤委員 大変積極的なお取り組みをするという答弁をいただき、大変ありがたかった。
 そこで、特にアユを愛好する遊漁者からは、緊急にいわゆる健康な種苗を放流して釣り人を喜ばせてもらいたいと、こういう非常に切羽詰まった要求が実はあるわけであり、将来的に積極的にやられるということであるが、将来といってもなかなか、来年なのか、10年後なのかということになると、期待度も若干薄れたりもするので、おおむねどれぐらいのスパンでこの事業に取り組んでいこうという考えなのかお示しいただければと思う。

〇上村漁業振興課長 スパンと申されてもなかなか明確にお答えはできないけれども、いずれ民間の、特に内水面漁業協同組合の技術などもあるので、そういったことを大いに活用しながら、早急に自県産アユの供給体制をつくってまいりたいと思っている。委員おっしゃるとおり、切羽詰まった要望であると思っておるので、そのように取り組んでまいりたいと思っておる。

〇佐藤(啓)委員 まだ私も勉強不十分でよくわからないのであるけれども、主要施策の成果に関する説明書、その中で、林業の振興という項目の中で、林業事業体の体質強化に資するための研修の実施や流域管理システム確立の促進により、素材の安定供給が図られたと、こういう記述がある。考えてみると、現在の渡辺部長の前2人の部長、当時、流域林業という政策を中心に林政が展開されてきた、こういう経緯があるわけである。お2人の林業水産部長は、林野庁の出身であった。3代目の地元の部長により流域管理システムの確立というこのことが明らかになってくるというのは、私は大変大きな意義を持っていると、こう思うわけである。そこで、新しい、言ってみれば地域林業という考え方から流域林業という政策の理念が導入される、具体的に申し上げると、六つの地域林業圏が五つの流域林業にということを中心に施策が展開されるという流れの中にあるわけである。そのことから、改めて流域管理システムの確立という、言葉はわかるのであるけれども、中身がもっともっと具体的に明らかにされる必要があるのではないか、こう考えるわけである。
 質問の第1点は、改めて渡辺部長から、あなたがおっしゃる流域管理システムの確立、これはどういうことなのであるということを明らかにしていただきたいと思うわけである。
 なぜ、こういう質問を申し上げるのかというと、実は、私も林業議員クラブの一員として、先日、県内の林業団体からの陳情を受けたわけである。確かに私も、国産材時代というのはいつ来るのであろうかということを繰り返しお伺いした経緯があるのであるが、国産材時代の到来ということを展望しながら、林家も林業関係者も、本当に今日まで努力してきたと、こう思うわけである。ただ、地域林業時代というのは、たくさんな補助金をいただきながら、必死になって国産材時代に向けて林業団体が努力をしてきた、そのこと自体は敬意を表しなければならないわけであるが、私の感想というか、率直な感じから申し上げると、やはり、地域林業時代の補助金に頼って事業を展開してきた、そういう中で当面する外材の輸入、そういう圧力の中で何とかして苦境を乗り越えたい、そういう思いから毎年のように陳情が出されているのであると、こう思うのである。この際私は、流域管理システムの確立ということと関連して、そういう林業団体に対しても、県林政の方向はこうであるということをやっぱり理解してもらう必要があるのではないか、そう感じるわけである。
 改めてお伺いするが、部長が考える流域管理システムの確立というのはどういうことなのであろうか、それから、今後、本当に苦労なさっている林業団体に対しても、流域林業というその概念を共通に理解する、そういう努力も必要ではないのであろうか、こう思うので、この点に触れてお伺いしたいと思う。

〇渡辺林業水産部長 まず、流域管理システム、本県においては五つの流域があるわけであるが、その流域管理システムについての私自身の考え方と申すか、これは、森林を管理する上で極めて合理的な広がりである流域を基本単位として、流域内の市町村、森林林業関係者等の合意のもとに、森林資源を育成するとともに、木材の生産・加工・流通、それにわたってその体制を整備し、川上から川下まで一体となって森林整備と国産材の供給、これを総合的に実施しようとするものであり、今後力を入れて進めなければならないもの、これを基本として進めなければならないものと考えている。ただ、その取り組みであるが、それは、各流域ごとにそれぞれ、あるいはその地域ごとにさまざまな多様な立地条件のもとで展開されておるので、その対応は一律ではなくさまざまである。
 ただ、この流域活性化センター、実は私ども、この流域活性化センター、これは流域内の森林組合とか製材業者等、森林林業関係者で構成するものであるが、そこを中心としながら、中核としながら、その組織強化を図りながら、ただいまお話のとおり、これから木材需要を拡大しなければならないと思うが、その場合も、外材等に伍しながら、その厳しい状況の中でこの活性化センターをさらに組織強化を図りながら、森林林業関係者が一層密接な連携によって、計画的な木材生産による低コスト化であるとか、あるいはまた、林業労働力の安定的な確保等を実現していくことが必要であると思う。そのために、その活性化のための業界等との団体との指導であるが、これについては、その流域活性化センターの中で大いに意見交換をし、積極的にそれぞれの対応を考えるというようなことをしながら、実は、流域活性化センターでそれぞれ、流域林業活性化実施計画というものをつくっておるが、その確実な実施に向けて一体となって対応してまいること、これが一番重要であろうと考えている。

〇佐藤(啓)委員 大変力強い御答弁をいただいた。私も、流域林業というのは、今後の林政のあるべき姿ではないのかと考えて、これまでも賛意を表してきたところである。困難の伴う問題であると思うが、ぜひひとつ活性化センターを中心に、本当に充実した活動が展開されるように一層の御努力をお願いしたい。
 ただ、大変残念なことに、そういう流域林業という方向が明示されながら、現実、今、林野事業の赤字をめぐって営林署の再編が行われているわけであるが、どうも、せっかく国もそういう方向を打ち出しながら、現実、組織再編という課題もまた当面している難しい段階であると思うが、ぜひ部長のそういう方向が実現されるように、国に対しても積極的な理解というか、現実に即した林政が展開されるような、そのためにもひとつ意を払っていただきたい、こう考えるわけである。
 もう一つの問題は、今、木材需要の拡大というお話があった。私、そのことと関連して、県産材のブランド化の問題について希望を込めてお伺いしたいと思うわけである。せっかく県産材のブランド化ということで、事業団体も一生懸命取り組んでいるわけであるが、実は、ブランド化というそのこと自体がなかなか消費者の段階に浸透していないのではないかと、そういう指摘を申し上げたいと思うわけである。
 3日ほど前であったか、岩手日報の夕刊でカラー刷りで、林業体験学習とか、県の林業技術センターで学習をなさっている、そういう報道等があったわけである。確かに森林に対する公益的機能、あるいは先ほど来問題になっている自然との関係ということで、林業体験、そういうことは大変重視されて、各地、各場においてそういう体験学習等は展開されているわけであるが、やっぱり、そういう一般の方々が林業に対して体験を通じて理解していく、そういう中に私は、県としても今、事業団体と一緒になってブランドを展開しているのであるという加工・流通・消費に至る場の中で、そのブランド化という県の目指す方向を理解してもらうことが大事なのではないのか、こう考えるわけである。もっと、消費者に対してもブランド化ということの意味を理解してもらうような、そういう努力が必要ではないのか、こう思うのであるが、所見をお伺いしたいと思う。

〇溝上木材振興課長 ブランド化に対する体験林業等の活動について御説明申し上げたいと思う。
 森林資源を有効に活用しながら木材産業の振興を図る必要があるわけであるが、その中で、国産材の産地間競争、外材との競合、これらに打ち勝つためにはブランド化の推進が必要と考えておる。このために、本県においても製材品を生産する方々により、岩手県産材ブランド化推進協議会を平成8年に設置しておる。この中でいろいろ活動してきているわけであるが、特に平成8年以来、いわてブランド材フェア、こういう名称のもとに、千葉県の製品市場において県のブランド材のPRを進めてきておる。また、県内においては、いわて林業祭、そしていわて住宅祭、これらのものにブランド材を出展しながら、一般の消費者に対して県産材のよさの普及啓発を図ってきておる。そういう中において、特に、矢巾町の岩手木材市場において、いわてブランド材特別市を昨年度から開催し、本年度も開催しておる。また、本年度は、県民を対象としていわての木と住宅を学ぶツアーということで、いわてブランド材特別市と並催しながら、県民に対するPR活動も実施したところである。
 さらに、先ほども説明あったわけであるが、地球の温暖化防止対策の推進、そのためには森林の公益的な機能の高度発揮が必要なわけであるが、それらを通しながら、木材産業の振興や山村の活性化を図るという視点から、本県の木材の需要拡大を一層図るということで、本年の10月に、もっと・WOOD・県産材をを標語とする岩手県木材利用推進方針を策定して、広く県民の方々に県産材の利用促進方について啓発活動を全県的に取り組むことにしておる。
 この方針によりいろいろPRするわけであるが、今後とも、先ほど申し上げた林業祭や住宅祭、それから各種イベントを通して啓発活動するわけであるが、委員お話のとおり、ボランティア間伐、サンデー林業等の林業体験も実施しているわけであるので、これらとともに、マスメディアや県、市町村の広報紙を活用し広報活動を積極的に展開してまいりたいと考えている。
 ブランド材の県民に対するPRにより、県産材の需要拡大が一層推進することにより、本県の林業、林産業の振興につなげられれば幸いであると考えている次第である。

〇菅原委員 9月3日、岩泉町において全国マツタケ振興交流大会が開催されたわけである。佐々木大和議員が実行委員長になり、県内外から300人ぐらい集まったわけである。そこでシンポジウムを開催し、そして、その後交流会を開催したわけで、私、それに出席をしたわけである。その交流会の中で、広島、岡山、京都の方面の方々がたくさんおいでになったわけであるが、まず、岩手県の山はすばらしい立派である、青々とした山林、実にうらやましい、生き生きしている、どういう行政を進めているのであろうかと。最後には、にくらしいほどうらやましい、こういう発言であったわけである。これは私は、やっぱり先人が血と汗を流して山を守り山林を育ててきた証左であると、そのように思っておるわけで、感謝しておるわけである。
 その森林県である岩手県の林業関係が、今の経済情勢のもとで非常に困難を来している、こういうことなわけである。そういう中で、県はこの10月に、今お話あったように、岩手県木材利用推進方針、もっと・WOOD・県産材をという、これ、いいキャッチフレーズである。まさにこれはグッドアイデアである。これは評価したいのである。そして、もっともっと県産材を利用してもらうということなのである。
 ところが、建築物によってはコストが高いという面も実はあるのである。やっぱりこれらを関係者が研究機関をつくり、もっともっとコストを安くするような方法で工事ができる、建築ができるということを開発していかなければ、このいいアイデアが生きていかないのではないかと、そんな感じをするわけである。この要綱の中にたくさんそういうことも書いてあるようであるが、まず、そういうことをどのように進めていくお考えか、お聞かせ願いたいと思うわけである。

〇渡辺林業水産部長 大変ありがたい。私ども、先人が築き上げてまいった貴重な財産であるこの森林資源、これを守り、一層育ててまいるという観点、そして広域的指導を高度発揮し、森林林産業の振興につながるように、そういう願いを込めて、木材をもっと使ってほしいという意味で、ただいまお話のもっと・WOOD・県産材をという計画を策定し、県、市町村はもとより、関係者一体となって県産材の利用促進を進めてまいろうということにしたところである。
 そういうことの中で、委員お話の木造建築物のコストであるが、木造製品は、樹種や品質等に応じて相当の相応の価格を選択できる、あるいは、効率的に調達することによってコストを抑えることもまた可能であろうというようなことを考えておるし、それから、林業技術センターを初めとし、あるいは国の各研究機関等においても、あるいは県内の民間のそれぞれの団体においても、いろいろな研究開発が進んでいる。そういうものを生かしながら、コストの低減、そういうことに努力をしてまいらなければならないと考えているし、また、ロットを大きくすることによって一つ当たりのコストを安くするというような努力も続けてまいらなければならないと考えておる。

〇菅原委員 コストを下げるということは、いろいろな設計上の問題等もあるので、極力コストを下げて公共建築物が建つように、業界関係者挙げてひとつ努力をしていただきたい、そんな感じがする。
 先般、うちの方の室根村のある地域に参り、今小学校の建てかえ運動が始まっているわけであり、村も検討を加えているようであるが、今度建てるときは木で建てた方がいいのであると。室根村は森林の非常な生産地で大きな製材工場が三つもあるから、あなたたちは役場に行って、今度は木で建ててもらいたいと要望しろと、こう言ったのである。そういうことはできるであろうかと言うから、あなたたちの力でやれと、そう言ったのであるが、ある人が、何かコストが高いそうである、役場でも二の足を踏んでいるようであると、そういう話も実はあったわけである。そこで、そういう話を今申し上げたわけであるが、今の土木部の港湾課であろうか、ポートセールスをやっている。どうであろうか、こういう情報があったら、木材振興課、室根村に行って、今度学校を建てるそうであるが、木造で建ててもらえないかと、それぐらいの意気込みがないと、もっと・WOOD・県産材をは成果が上がらないのではないかと、そんな感じがする。御見解を賜りたい。

〇渡辺林業水産部長 まず、県庁関係部局、これはもちろんであるが、県、市町村、そして関係者一体となって県産材の利用促進を続けてまいる、そのためのいろいろな体制の整備として、岩手県木材利用推進連絡会議、あるいは各振興局ごとには、地域木材利用推進連絡会議等を設置して、その取り組みの体制を強化しながら、公共建築物を初めとする木材の需要拡大に努めてまいることにしておる。
 それから、ただいまお話の、学校、幼稚園等における木材利用であるが、ちょっと考え方を申し述べさせていただくと、日ごろから児童生徒等が木材に接することにより、情緒の安定やけがの防止等の直接的な効果とともに、将来に向けて、木材のよさを理解し、一層の木材需要の拡大に対する寄与も期待されることから、私ども、市町村等の理解も得ながらその推進に努めなければならない、今後も一層努力してまいろうと考えている。
 それから、当然需要の拡大のためには、そのための情報を始終把握しなければならない。そのためのネットワーク等々も構築しながら、そういった情報があれば、早速お伺いし、ぜひ使っていただくように、そういう形で、今県木連等との連携を密にしながらそういう対応をしようと、こう考えている。

〇菅原委員 いい御答弁をいただいたが、やっぱり木の温もりの中で育った子供は非行少年が出ないのである。そういう感じである。木材振興課長、セールス活動を少し頑張っていただけるであろうか。

〇溝上木材振興課長 ただいま部長から答弁したとおり、本庁、それから地方振興局、一体となってPR活動について進めていくということにしておる。地方の情報については地方で積極的に集めるということで、先ほど部長言われた、庁の組織を強化するということにしておる。この中で、当年度だけではなく、長期にわたる建築計画、そういうものの把握に努めながら、積極的な木造化、木質化に向けた取り組みをお願いしていくということにしておる。

〇菅原委員 ぜひ頑張ってもらいたい。

〇佐藤(正)委員 今、なかなかいい御答弁をいただき、部長以下、皆積極的に木材振興、木材をいかに売り込むかということであった。特に部長、そういう情報を得たら、すぐにでも行ってこれを積極的に進めたいと、こういうことであるが、では、あなたの身の回り、あなた自身が家を建てているかどうかわからないが、親類あるいは県庁の職員にそういうことを勧めたことがあるのであろうか。また、そういう事例があるのであろうか。今後やるつもりがあるのであろうか。県庁の職員でも家を建てる人は相当いる。その決意をひとつ聞いておきたい。

〇渡辺林業水産部長 委員お話のとおり、まず身近から攻めるということで、今まで実は、申しわけないが、組織的な対応ということでは、先ほどの推進会議、連絡会議、そういった対応だけであったが、今後、うちの部で挙げて、建てるときは木造住宅ということで進めてまいりたいと考えておる。

〇高橋委員長 佐藤啓二委員に伺うけれども、関連に入ったものであるから、よろしいであろうか。

〇佐藤(啓)委員 はい。

〇谷藤委員 森林公園の部分についてお伺いしたいのであるが、県で管理している部分が、県民の森とか岩手県の森林公園とか、これらは地域環境林保全整備事業という中でいろいろやられておるようであるけれども、この森林公園の果たしている役割というのはいろいろあると思うが、この意義とその管理、それから運営状況、これらをお聞かせいただきたいと思う。これは県単事業で行われているのであろうか。

〇玉川緑化推進課長 森林公園についてであるが、森林公園と申すのは、県民が自然、特に森林に接することができる環境を整備し、森林とか野外体験を通じて、保健、休養はもちろんであるが、学習、レクリエーション等、そういうことに資するためということで設置している。松尾村にある県民の森、さらに、滝沢村にある森林公園等をあわせて現在7カ所、面積で約2、400ヘクタールほど整備してある。これらの森林 公園については、森の学園整備事業--これは国庫である--それから、地域環境保全林整備事業--これは県単--その他、県民の森に特定した県民の森整備事業等でいろいろ整備を進めているところである。
 管理運営については、県民の森と滝沢村の森林公園、さらに、江刺市の緑化センター、これらは、それぞれの公園の内容からして、県の緑化推進委員会に委託している。それから、金ヶ崎、三陸、二戸市にある森林、これは、もと県有林の模範林であり、森林が主体であるので、これについては林業公社の方に管理運営を委託している。
 今後とも、県民の要請にこたえるため、まだまだ整備が足りないと緑化推進課では考えておるので、受け入れ体制の整備についてはさらに詰めてまいりたいと考えておる。

〇谷藤委員 2、400ヘクタールで7カ所ということで、いろいろ整備が進んでおるようであるが、まだまだこれからも取り組んでいかなければならない部分もあるというようなお話であった。これらの保全とか手入れというのはいろいろ大変かとは思うけれども、先ほど、一部国庫補助を受けている部分のお話もあったけれども、これは、県民はもちろんであるけれども、先ほどの意義の中にもお話あったけれども、さらに公益性というか、県民だけではなくて、国民というと話が大きくなるが、多くのそういう方々にも森林の持っているよさというものを岩手県に来て味わっていただいている部分もかなりあるのではないかと思っているのである。そういうことで、これの整備等を進めていくのに、もっと交付税措置をされるような形で、これからも積極的に展開していくような方向に持っていくおつもりはないのであろうか。

〇玉川緑化推進課長 委員のお話のとおり、特に八幡平にある県民の森、これについては、県民だけではなく、いわゆる八幡平国立公園の東側にあるので、ある意味では観光の面、いわゆる岩手県の観光行政に役立つ面もあるので、積極的に観光客等もある程度受け入れることができることも必要かとは考えておる。
 ただ、これはいわゆる国庫補助で整備するとすればある程度限られておるので、本当は県の一般財源が望ましいわけであり、ただ、一般財源も県民の森だけの整備ということになるといろいろ面倒な面もあるようであり、現実にはなかなか、すぐには整備は進まないとは考えておるが、計画的に整備を進めてまいりたいと考えておる。

〇船越委員 水産問題について3点ほどお伺いしたいと思う。
 先般、信用統合に関しては、多額の無利子の資金を賜り大変ありがたかった。おかげさまで何とかやっておる。
 3点の第1点であるが、私、禁止されている捕鯨を再開したらどうであろうかというのを提案してみる。
 最近本県沖に、いろいろな漁師たちの話によると、クジラやイルカが禁止になったものであるから、大変多くなって困っているという声が非常に多いわけである。ということは、アメリカのグリーンピースとか何とかといったようなこと、哺乳類に近いとか、イルカが人間のような声を出すといったようなことで、これを保護するといったようなことで、大型のものが保護されると、生態系が壊れて、肝心の、みんなに非常に大切なサンマとか--今度、サンマが非常に不漁である、半分漁である、イワシは丸きり影を見せないといったような生態系のバランスの変化が出ているのではないかと、こう素人目に考えるわけである。そういうことであるので、この辺をよく、何でもかんでもアメリカの言うことばかり聞いていないで、日本的に、少し専門家が頑張って、岩手県から発信をして、水産庁を動かして世界に持っていかれないかということで、部長でなくてもいいが、だれか専門家が御答弁を--部長はちょっと無理かもしれない。

〇渡辺林業水産部長 まず一つ、クジラ類が増加しているのではないかということ、そういう情報、私どもも接する場合があるのであるが、明確に、科学的にこうである、確かに増加しているということ、調査不十分であり明確ではない。ただ、IWC(国際捕鯨委員会)の決議により、昭和63年から商業捕鯨は行われていないところであり、いろいろあるわけであるが、国がミンククジラについて実施した調査捕鯨によると、平成8年現在でミンククジラは、南氷洋で76万頭、北西太平洋では2万5、000頭生息しているということが確認されている。それから、平成6年から5カ年の計画で実施されておる北西太平洋のミンククジラ捕獲調査によると、この海域に生息しているミンククジラにとって、サンマが主要なえさになっているということが明らかになったところである。もっとも、季節によりオキアミとかイワシ類等も幅広く食べているようである。
 それで、国に対して捕鯨再開を働きかけないかと、こういうお話であるが、国は、このミンククジラを持続的に利用可能な資源としており、捕鯨再開の科学的な根拠を得るために、主な生息海域である南氷洋あるいは北西太平洋において、調査捕鯨と言われる捕獲調査を実施している。私ども県としては、この調査結果に基づく科学的根拠の蓄積とIWCでの論議についての情報を収集しながら、的確な対応に努めてまいらなければならない、かように考えておる。

〇船越委員 そう答弁書に書いてあるであろうと思うけれども、クジラの調査は、実際に1匹ずつつかまえて調べるわけにいかないから、視認、黙視、目で見て幾らぐらいいるということで調査するしかないそうであるので、そうは書いているであろうけれども、実際はもっとあるのではないかといったようなのが、実際の漁師たちの、現場に行っている連中の声であるので、いずれ、これは論争であるから、そのぐらいにして了解する。
 2番目であるが、漁協合併問題についても、先ほど部長から、漁協経営指導に云々という立派なお話があったけれども、何しろ海は深いわけであるから、問題も深いわけであるので、新任の部長がわからないあたりを申し上げたいのである。
 10月20日付の水産新聞に大きな見出しで、伸び悩む漁協合併、促進法施行7カ月、効果なお出ずと、こういうのが出ているのである。そして、何とかしなければならないということまではわかるのであるが、もう法制化して、水産庁から県漁連を通じてやれということで、3月に法文化して出発した。ところが、7カ月たっても1・6%とかといったようなことでさっぱりはかどらないということなものであるから、水産庁の協同組合課では、今後進展が余りない場合には何らかの対策をとらなければならないという、見直しのような話が早くも出ているわけである。
 それを岩手県では、急に北風から南風に変わったように、やらなければならない、やらなければならないということで拙速に過ぎたのであるが、全国でさえもはかどらないものを、岩手県ではこの間まで反対、反対と言っていたのが、ちょうど2年ぐらい前から、私、12月5日と覚えているのであるが、5日から急に風が変わったのである。そんなことをしゃべっていても時間がかかるから省くが、そういったようなことで、なかなかはかどらないということについて、あなた方は漁連会長の号令で動いているような面があるのであるが、その辺をこれからどう指導していくか見解を申し述べていただきたいと思う。二つ目である。

〇渡辺林業水産部長 漁業協同組合、漁業の振興はもちろん、漁民の生活安定のために極めて重要な働きをなしているものであると理解している。それで、その漁協の合併あるいは体質強化、自立可能な漁協の構築に向けた漁協の合併というものは、今、本県の実情にかんがみるときに重要なものと考えておる。ただ、漁協の合併は、何よりもまず各漁協、そしてその系統の中で十分な議論がなされ、漁民の理解と協力のもとに進められるべきものと基本的に認識しておる。そしてその上で、私どもできる限りの支援、指導してまいらなければならないと存じている。

〇船越委員 そこのところ、よく指摘しておる、組織内で十分な検討をしてというところなのであるが、あなた方、十分な検討がなされておると思っておるかどうか--ということは聞かないことにして、その辺が、私が先ほど、一昨年の12月5日からようやく、だめである、だめであるというのが、いや、やらなければならないということになったのは、ちょうど2年前であるということを申し上げているのであるが、全く時間がない、水産庁で何月何日に出たから、こうやらなければならないと、これだけで、委員の中にあなたのところのだれかも加わっていて、それで進めているのである。日にちはこうである、水産庁はこうである、全漁連はこうであると、あわただしくやっているものであるから、今どきになってから、私はついていけないというのがぽろぽろ出始めて、私は困っているのである。だからその辺も、あなた方、少し拙速に過ぎるよと言いながら指導しながら行かなければ、系統、そんなのはわけがわからないということで投げてばかりいたのではだめであるから、系統よりあなた方、大体漁連会長から辞令をもらっているわけでもないし、月給をもらっているわけでもない。県知事からもらっているのであるから、威張って堂々と指導してほしい。まあ、その程度にしておく。
 3点目であるが、その自立漁協を築くためには、岩手県の場合は、やはりサケが一番の特効薬である。だから、今までサケさえとっていればということで、西郷隆盛ではないが、児孫のために美田を買わずという言葉があるが、サケに頼ってきたために合併が非常におくれたと、私はこう思っているのである。ところが、ウルグァイ・ラウンドでサケが安くなったら、全く困ったということで、泡食って今騒いでいる。そのときは10億も20億も赤字が出た、どうしようもないというのが現状なのである。
 それにかんがみて、来年、11年度を期して大型定置、サケをとる定置の漁業権の改定年次に当たっている。5年ごとであるが、そうした場合に、今、県の魚政課では現状維持であると。ほんの一部は手直しするとしても、大体が99%現状維持の方針であると私は聞いておるが、現在の定着している部分は、かつて--かつてといって、今もであるが--海区委員長であり漁連会長である、権力が非常に集中しておったものであるから、今でも集中しているわけであるが、連日、単協の役員たちが、手に山海の珍味をぶら下げて、大型温泉地に本当に我も我もと押しかけて、陳情申し上げて、ひれ伏して--私も行ったのであるから、これは人から聞いた話ではない。私も、副組合長とか理事あたりのときはくっついて行ったのである。そうして決まったのが、現在の漁業権である。だから、非常に大漁で、毎年税務署に奉じて喜ばれている組合員もあるし、先行きのないままに経営に非常に困っている組合もある。これは、水産庁が指導した漁業権の第1、第2、第3、第4、第5といったような優先順位が決められているはずである。そういったようなものが是正されないで、優劣がますますつくままに定着しているわけである。そのものを現状維持でいく、それで漁協合併の中にも、今度出た素案などには、私、本会議でも申し上げたけれども、このままで行くと。個人的経営のものは、もう全然漁業権開放もしないでそのままでいくと、こういったようなことであるから、私から考えれば全然進歩がない、指導性がない、こういうようなことで、現状維持でこれからの漁業組合の自立漁協の経営も、あるいはいろいろなものが進歩するかどうかと思うので、これは、現状維持ということは大変な退歩である、これから大変な漁業組合を維持して持っていくためには、この漁業権のすっきりした指導からいかなければならないと私は思うのであるが、その辺、指導的立場にあるあなた方はどういうお考えかお聞かせ願いたいと思う。

〇竹内漁政課長 定置漁業権は現在95件あり、平成11年2月28日に存続期間が満了して、3月1日に一斉切りかえになるわけであるが、優劣がつくままに定着しているということであるけれども、現在の魚価の低落など、各定置とも非常に厳しい経営を余儀なくされておるわけである。そういった定置漁業の維持・安定を図るためには、それから、各組合にもやはり重要な自衛事業になっておるわけであり、現在の状態から余り変えて大きな変動が起きるというのはまた、それぞれの漁協等にとっても大変なことである。そこで、定置を動かせば、また経費の増大にもつながるわけであるので、それから、ほかの漁場も経営的に圧迫するわけである。そういうことを勘案し、現在の漁獲強度の増大を認めない、そういうことで、経営努力で何とか現在の苦境を乗り切っていただきたい。一つの定置を優遇すると、例えばそこが経営の苦しい漁協であっても、ほかの定置に大きな影響を及ぼすということから、漁協系統全体で痛みを分かち合って現在の苦境を脱出していただきたい、そういう願いであり、原則、現行どおりで、一部本当にやむを得ない漁場以外は、現状原則どおりということで御理解を得ているものである。

〇船越委員 私1人だけ騒いでも、現状維持で認めざるを得ないのであろうけれども、竹内課長の説明は全く消極的で、非常に岩手県の漁業の先は開けないと私は思うのである。だから、理屈文言はあなた方みんなわかっているのである。ただ、ないのが勇気だけである。やるのであるという勇気。ところがそれを、私が元気がいいからといってあなたに言ってもしようがない話なのであきらめるけれども、これでは、漁協合併も漁業権の開放も、これからの大変な組合の、経営努力で頑張ってもらいたいと。定置などというのは--いつか、一番ばかな人を書けと言ったところが、定置を書いたのであるが、何でかといったら、口を開けて待っていると。巻き上げとかほかのものみたいに、船がどんどん前に行って、どこに行ったら余計とれるかではなく、定置をやって口を開けて待っているとなると、一番考えの悪いということなのである。世の中で一番ばかなものを書けと言ったら、定置漁業権、何でかといったら、口を開けて待っているのであると。そういったようなことで、経営努力といっても、定置は場所で決まるのであるから、沖出し間数で決まるのであるから、それは十分わかっているのである。それを、あなたとれ過ぎるからこっちの方に少し、150メートルか200メートル……。

〇高橋委員長 船越賢太郎委員に申し上げる。簡潔明瞭にお願いする。

〇船越委員 すぐ終わる。
 だから、少し勇気づけようと思って話しているのである。ということで、勇気を出してもらいたい。

〇菊池(勲)委員 この問題はずうっと昔から聞いているのである、一向変わっていない。私は百姓であるから海のことは全然わからない。専門家から聞けば、網を移動すれば何とかと言っているが、それはわかるのであるけれども、何でいつもこんなことばかり議論するのか。予算、決算、ずうっとである。本会議でも。課長、勇気を出せと、あなた勇気はあるのであろうか。答弁、部長。

〇渡辺林業水産部長 あるいは、同じ議論がずうっとなされたということで、今、菊池委員お話のようなことがあるかと思うが、この定置漁業権の問題、一方において漁獲強度を高めると、片方に対する問題が出てまいる、こういうようなことで、その調整を基本としながら、了解を基本としながら対応しているものであるから、お話のような状況になっているものと思うので、御了解をいただきたいと存ずる。

〇高橋委員長 この際、昼食のため、午後1時まで休憩する。
   午前12時 休 憩
   午後1時3分 再 開

〇藤原副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。

〇水上委員 歳入歳出決算事項別明細書の8目林業技術センター費にかかわることについてお伺いする。
 本県は、第1次産業に特に力を入れなければならないことは御案内のとおりであるし、当局も努力され、産業界にも大変な貢献をされていることに感謝申し上げ、二、三点についてお伺いしたいと思う。
 第1点目は、林業技術センターの今までの成果についてお伺いする。
 また、続けて2点目も聞いておく。県立試験研究機関の人材の育成確保についてお伺いする。
 県の試験研究機関は、生物工学研究所、林業技術センター、工業技術センター、水産技術センター、内水面水産技術センター、農業研究センターが発足し、環境保健センターも整備が予定されており、再編整備も終わりに近づいていると伺っておる。近年、これらの試験研究機関の研究成果を活用した新製品、新品種の開発、特許権の取得、新技術の確立などの様子がマスコミに報じられており、大変心強く思っているところである。県の試験研究機関は、大学や国立試験場の基礎研究と産業界など現場のニーズを結ぶ重要な任を負っており、研究員には、基礎的な科学技術と産業現場に関する技術と知識、実用化のための技術、及びこれらをコーディネートできる資質が要求されているわけであるが、このような研究員が育ってきていることは大変喜ばしいことである。これも県で進めてきた国内外の国や大学への機関への派遣研修、学位取得の奨励、援助などの研究員の資質の向上に向けた施策が功を奏してきたもので、高く評価するところである。
 しかし、科学技術は速いテンポで進んでおり、工業関係を中心とする岩手ネットワークシステム、農林業関係の岩手県農林研究協議会など岩手大学等との共同研究活動も活発化しており、これに参加する県の試験研究機関の研究員も高度な科学技術の能力が要求されてきているわけであるが、このような情勢に対応するためにも、今後とも研究員の資質の向上のための施策を継続していくべきと思う。
 県の試験研究機関の研究員は、地域の活性化を目指した独創的な技術開発に加え、大学、国と産業の現場、行政機関、県のほかの分野の試験研究機関との連携などの中心的役割を担っていただく必要があり、新しい科学技術による産業の活性化を図るためには、研究員の資質の向上とともにその有効な活用が不可欠であると思う。
 産業界としては、開発された新技術の現場への活用、あるいは新商品の開発に大きな期待をしていると聞いておるが、このためには、新商品開発のための共同研究や技術指導などの支援が不可欠であると思う。例えば、林業関係では大規模な木材加工施設の設置が相次いでおり、加工技術、新商品開発のための技術支援が高く望まれているわけであるが、森林の公益機能の評価、維持管理、人手不足対策としての機械化、山ブドウなどの新しい特産物の生産、加工等の技術開発は支援が急務と言われておる。
 試験研究機関の再編整備も始まって五、六年が経過していると聞いておるが、当初配属された研究員も人事異動の対象となっている実例もあるようで、研究成果による新技術を活用した共同研究、技術指導を期待している産業界では、せっかく育った研究員を失うことは大きな痛手となると言われておる。技術立県を目指している本県として、待遇面においても適切な処遇をし、研究員が腰を据えて蓄積した技術と知識を十分に生かして産業界に貢献できるよう願うものである。
 本県ではないと思うが、試験研究機関に長期間滞在していると将来の待遇が不利になる実績があるとも言われており、これが若い研究員がじっくりと腰を据えて研究や技術指導に取り組めない原因になっているとも伺っているところであるので、このことについての部長のお考えをお聞きしたいと思う。

〇渡辺林業水産部長 2点ほどのお話と承ったが、まず、研究の成果については担当の課長から答えさせたいと思うが、私からは、委員がお話しの腰を据えた職員の養成と申すか、そういった観点についてお話をさせていただく。
 科学技術の進歩はまさに日進月歩であるし、それに的確に対応しながら地域に密着した研究を推進する、これが県の試験研究機関の使命であろうと存じておる。そういう意味で研究員の資質の向上は重要であるし、各種の研修等を充実させながらその点に力を入れてまいらなければならないと考えておる。
 それから、研究機関の職員の異動等については、基本的には、センターの職員についてもさまざまな職場における幅広い経験を通じながら視野の拡大を図ること、例えば分野横断的にさらにすぐれた試験研究への取り組みを進めること等がそれによって期待されるものであると考えておるし、他部門への配置等についてもしたがって実施してまいらなければならないと考える。ただ、委員お話しのとおり、研究資料となる、例えば林業技術センターで申し上げると、木材や特用林産物の育成には一定の期間が必要であるし、また、試験研究の内容が高度かつ専門的であるために、研究成果が出るまでに相当期間がかかるものが多いということ等もある。こういった観点から、これまでも他の部門の職員と比較すると、その在職期間はかなり長い実情にあるところである。
 今後においても、試験研究の内容やその実用化における進捗状況等々を勘案しながら適切な職員の配置に努めてまいりたいと存じておる。

〇小野寺参事兼林政課長 林業技術センターの研究成果についての御質問であるが、林業技術センターにおいては、森林資源部、木材部、特用林産部、それから育種緑化部の4部門で研究開発を実施しておるが、これまでの研究成果として若干申し上げると、県産広葉樹を利用した難燃内装材の開発、それから、県産材を利用した集成材の製造方法の開発、さらには、間伐材の土木用資材への利用の実証あるいは新製品の開発、それから、先ほど委員からちょっとお話があった山ブドウの優良品種の開発等、実用化のめどが立ったもの、あるいは技術指導の支援等が得られるものが多数出ておる。
 今後とも実用化等に向けた研究開発に鋭意取り組んでまいりたいと存じておる。

〇水上委員 業界、団体のお願いを少し読み上げさせていただきたいと思うので、よろしくお願いする。
 共同研究担当の方に機会あるごとに製品開発にはあなた方が頼りである、ずっとセンターにいて指導をお願いすると頼んでおるが、必ずしもよい返事が返ってこないと言っておるそうである。役人であるから、いつかは異動することになる。長いこと研究機関にいると将来の待遇に心配があると、そのような事情のようである。しかし、私たち産業界の立場から見れば、このようなことでは大変困るのである。ようやく頼りになるまでになった研究員が5年や10年でいなくなられてしまうのは大きな損失である。県でも40億円のお金を使い、産業界でも全面的に応援し、大きな期待を寄せてきて、やっと待ち望んだ技術と人材が育ち、さあこれからその成果を私たちの仕事に活用しようというときに、肝心の指導者がいついなくなるのかわからないというのでは何のためのセンター整備だったのかと心配しているようである。特に木材加工分野の技術は、化学、物理、木材生理から建築までの総合的な技術で、異動によっては後任者に簡単に引き継がれるものではない。担当者にいなくなられれば、新商品開発、共同研究のために準備した資材、機械、それまでに費やした時間すべてがむだになってしまう。厳しい経済環境の中、必死になって新商品を開発している企業にとっては存亡にかかわることだと言っておる。
 技術者を大切にする県では、実力のある研究者は腰を据えて落ち着けて研究機関に在職し、企業の技術指導に携わっており、待遇面でも不利にならないところもあると伺っておるそうである。北海道、福島県、兵庫、長野県等だそうである。
 広大な森林を有する岩手県は、木材加工のみならず、自然環境、炭酸ガス、キノコ産業、後継者の育成など、森林開発の技術はますます大切になってきている。どうか私たちの期待にこたえて、順調に開発されている新技術と、これを支える研究員を本県の産業に十分活用できるように、真に技術センターを私たちの頼りになる技術のセンターにしていただくように願っておる。
 午前中も森林は倉庫という明言、すばらしい発想、考えでお話があったわけであるが、倉庫であり、また、水、酸素の供給源、太陽の次に大事な森林なようである。動かないで人間を生かしてくださっているので、そのことを十分踏まえて、このことについてこれからも意を尽くして頑張っていただきたいと思う。
 要望で終わる。

〇藤原副委員長 この際、進行に御協力を願うため、質疑、答弁は簡潔に願う。
 なおまた、要望のみに終わることのないように委員の皆さんの御協力をお願いする。

〇佐々木(大)委員 厳しい経済環境の中で、林業、森林業の活性化のために緊急課題として積極的に取り組んでいただいておる渡辺部長を初め、林業水産部の皆様に敬意と感謝を申し上げたいと思う。
 さて、今から七、八年前だったであろうか、11月ごろになってから台風が来たことがある。普通、岩手県の場合は9月、10月になるとほとんど台風というのは来ないわけであるけれども、要するに山の木が、広葉樹の葉っぱが落ちた後に台風が来たことがあって、県内に大変な被害が出たことがある。そのときに、山の道路が流れたり、山そのものが流れたりしたわけであるけれども、そのときに助けたのは植林してある針葉樹であったわけである。また、そういう中で、岩泉町の若い林業者が提言した酸素1万宣言の試算の根拠にも、これは森林総研が出しておる数値から追っていくわけであるけれども、森林の正常な活動が行われているということが酸素発生の条件の中に入っておって、まさにそういう中で考えていくと、この人工林が今34万ヘクタール造成されてまいったけれども、そこの間伐が大変重要なものになっていると、そのように考えるわけである。
 そこで、民有林の人工林の中の樹種別の植栽面積と、そこにある蓄積状況はどうなっているであろうか。それとあわせて、間伐の生産量と利用量の推移をお知らせいただきたいと思う。

〇玉川緑化推進課長 まず、樹種別面積であるが、針葉樹、杉が14万9、000ヘクタール、アカマツが16万6、000ヘクタール、カラマツが6万5、000ヘクタール、その他をあわせて針葉樹の計が38万3、000ヘクタールとなっておる。
 蓄積であるが、針葉樹の杉が3、637万2、000立方メートル、アカマツ3、555万立方メートル、カラマツ1、336万8、000立方メートル、その他針葉樹を含めて、針葉樹の計が8、589万立方メートルとなっておる。
 なお、これの人工林に対しての間伐生産量と利用量の推移であるが、平成5年から9年までの5カ年の推移を申し上げると、生産量は15万立方メートルからおおむね18万立方メートルの間で、それに対しての利用量が8万から9万8、000立方メートルとなっておる。利用率が54%から61%、5カ年の平均で利用率が56%となっている。

〇佐々木(大)委員 間伐が1万ヘクタール以上行われておって、大変努力をされていることはわかるけれども、これをさらに充実するには、この利用量を上げなければならないと思う。そこで、この利用量を上げる方策としては、当然のことながら間伐材の建築材等としての利用、あわせてその他の端材のチップ等での利用ということが量的には考えられる。
 そこで、間伐材の製品化に向けてはいろいろ進めてきておられるし、先ほども御質問があって、これからの対策の中でもその他の建築材としての木材活用とともに進められると思うけれども、特に製品をつくっている人からの希望というのを聞いてみると、木材製品のJIS登録を積極的に進めていかなければならないのではないかと。それとあわせて、建設省が載せておる設計部材として登録されなければ設計段階でなかなか入ってこない、そういう懸念がされておる。岩手県でもたくさんいい製品が出ておるので、その辺についての取り組みを積極的にお願いしたいと思う。
 また、もう一方のチップの生産量であるけれども、県産チップの生産量の動向、これは両方あると思うけれども、針葉樹に関して聞きたいと思うが、県産チップの生産量の動向と、そして、現在までの価格の推移はどうなっているのであろうか、その辺についてお伺いする。

〇溝上木材振興課長 県産チップの生産量と価格の推移ということであるが、まず、チップの生産量について申し上げたいと思う。
 木材チップ全体では減少傾向にあるわけであるが、針葉樹のチップについては、平成5年で14万7、000立方メートル程度である。これが9年度においては18万4、000立方メートルということで、4万立方メートルほど針葉樹については若干伸びておる。反面、広葉樹のチップについては、外国製品との競合ということで大幅に減少している状況にある。
 それから、価格の推移であるが、平成元年から平成5年まで8、000円前後で推移してきたわけであるが、その後、平成6年から価格は若干減少傾向にある。その後、平成9年になってからまた若干持ち直して、現在、針葉樹チップで6、900円前後ということで、平成元年並みの価格になっている状況である。

〇佐々木(大)委員 今は6、900円ぐらいの価格に落ちているということであるけれども、広葉樹の方も輸入に押されているようであるが、針葉樹もやはりかなり厳しい環境になって、現在のチップ工場はほとんど沿岸に張りついているという状況であるし、県内に今持っていないので八戸と石巻だと思うけれども、そういう状況になっておるが、実際に間伐を促進していく場合に、量的に処理できる大きな需要先はやっぱりチップではないかと。そのように考えると、ここに対する対応というのは必要ではないかと思う。
 今、輸入チップが全体の70%ぐらいということで、この輸入チップの方に価格は誘導されていくわけであるから、ここに対応しなければならない。ところが、海外でのチップ生産でいったときには、労働賃金は今の為替レート等で勘案していっても、また、所得水準で見ていけば間違いなく50分の1とか、そういうところで生産しているのが多いわけで、これが日本に入ってくるということである。
 もう一つの問題点は、やはり輸送だと思う。沿岸に張りついている工場の場合、船で運んでくるが、10万トンクラスの船で持ってくると、10トントラックの1万倍を一遍に運ぶ。トン当たりの輸送単価等々でいっても全然これは問題にならない。国内での移動の場合に、こういうキロ単価の安いものの量を運ぶには、輸送コストというのがやはり大きな課題であろうと思う。そういう意味で、現在のチップについて輸送コスト対策というのを取り上げていただきたいと思うわけであるが、この辺の御所見をいただきたいと思う。

〇溝上木材振興課長 輸送コスト対策であるが、現在のところ、国、県においても輸送に対する対策というのは実質的に講じられていない状況にある。
 ただ、林野庁においては、来年度、いわゆる搬出コスト対策ということで、林内から搬出できる、いわゆる中間土場ということになるであろうが、そこまでの搬出経費に対する助成制度を検討していると聞いている。それができればコストの面においてもかなり有力な支援になるのではないかと考えている。

〇佐々木(大)委員 直接の輸送ではなくても、今のお話のような分野でもこなせると思うけれども、実際に単価が6、000円台になっていると、石でいけば2、000円ぐらいか。そういうことになっていると、山元から運ぶだけでもう終わってしまうような商品であるから、その辺はぜひ検討していただいて、今後どちらかの部分で対応していくように要望しておきたいと思う。
 また、もう一つの木材の量的な利用ということになった場合には、前にも1度申し上げたけれども、木質エネルギーとしてこういう間伐材等を活用する方法はないかということである。木質エネルギーの活用については、もう海外ではスウェーデン等を中心にいろいろやられているし、アメリカでもどこでもやっているわけであるけれども、発電等にまでも利用されている。国内でも工場では結構発電まで利用しておるし、チップ工場は特に黒液等で利用されておるが、私が見てきたところの中に、徳島の方で、病院--老健施設400ベッド以上あったところであるけれども--、そこの冷暖房、給湯すべてをペレットで行っているところがある。昭和48年、49年、あの石油危機以来取り組んできてこのような状況を続けているということであったけれども、特にペレットの値段がキロ当たり18円ぐらいで、石油価格と対等にやっていけるという説明を受けているわけである。本県でもペレットの生産もその時代から同じようにやっているけれども、余り日の目を見ないでここまできておるが、25円ぐらいのように聞いておるけれども、量的な拡大によってこの単価は今後下がる可能性は持つものだと思うわけである。特にそういう中で、ペレットというのはやっぱりなかなか難しい工程があるけれども、チップで燃焼させるということが随分研究されているようである。チップのまま燃焼させるということになれば、木材の持っているガス化の段階で、質量の多いガスの方で燃焼させ、さらに炭素で燃焼させると。非常に効率のいい燃焼方法も開発されてきているようであるので、近い将来これが実用化になれば、特に病院等24時間利用されるところは非常に有利なわけであるけれども、今後の利用方法が考えられるのではないかと、そう思っているところである。この燃料としての利用、コージェネを含め、発電としての利用、これらについての取り組みの状況をお伺いしたいと思う。

〇溝上木材振興課長 木質エネルギーに対する取り組みであるが、平成9年度から庁内各部局の関係課によって意見情報交換会を設置しながらさまざま検討しておる。昨年度、検討の中で、今、委員言われるような内容になっているわけである。電力の買電単価で試算する場合、かなりコスト的に合わないわけであるが、そういう意味で、本年度、企業局においてミリオンエネルギー開発調査事業、これは県単の事業であるが、この事業によって、ガス化炉で入れられたガス成分、熱量、それから燃焼ガスの水分分析、これらのものを調査するということにしておる。これを受けてさらなる検討ということで、この検討会の中で、総合的な熱電供給施設ということでコージェネレーション化の可能性についていろいろ今年度検討するということにしておる。
 さらに、国においては、平成11年度の新規事業としてバイオマス資源の利用手法に関する調査等、それから、バイオマスエネルギー利用技術の開発、この二つの新たな事業を展開すると聞いておる。本県としても、これらの事業導入に当たって優先採択されるようにいろいろ現在働きかけ等をしているところである。

〇佐々木(大)委員 環境元年という岩手県の新しいテーマも出てまいったので、環境の新しい産業の一分野として積極的に取り組んでいっていただきたいと思う。
 それから、先ほど佐藤委員から話があったけれども、これからの林業の中で、単純に補助事業だけで持っていくようなスタンスということではなくて、もう少し積極的にという意味だったろうと思うけれども、私もそういう面で、今の段階ではどちらかといえば技術指導が中心で林業というのは進んできているのではないかと思う。ところが、経営に関して余り物を言わないというのが今までのスタンスだったような気がする。この林業経営というのをやはり前面に出していく時期ではないかと思うわけであるが、とりわけ、例えば基幹造林においても50年のサイトをもって植林をしていくので、言うなれば貸借対照表はあるけれども、損益計算書は一般の会計事務と違って1年ではできない。50年で損益が初めて出るのが林業の基本ではないかと思う。特に、植林の場合は最初の5年間で全体の8割ぐらいの経費がかかっているが、今の会計システムからいくと、その8割ぐらいの投資は赤字として繰り越すことは不可能である。林業にマッチした会計システムをつくっていくこともこれからの林業振興のためには必要ではないか、そういうことを考えておるので、要望して終わる。(「聞いた方がいい。」と呼ぶ者あり)何かあったらお願いする。

〇渡辺林業水産部長 さっきお話しのとおり、林業というものは非常に長期にわたるものである。例えば、お話しのとおり一般的に言われることは、針葉樹について言うならば、その人が生きている間には物にならない。子供、孫のころにようやく回収してくるのだというお話になっておる。したがって、短期的に損益計算を云々するということにはなかなかなじみにくいものであろうと存ずる。現在、それについて、こういうやり方だという確立されたものということはないわけであるが、今のお話の趣旨を生かしながら、私ども一生懸命勉強してまいらなければならないと考えておるので、御了解いただく。

〇藤原(良)委員 私は、漁業集落環境整備事業の進捗を進めるということが結論であるが、そのことについて、第6款の11目の漁港建設費の中の分野について御質問したいと存ずる。
 まずもって8億6、007万1、000円の決算額、9年度のこの決算額で対象地域の進捗率はどのくらいになっておるのか、漁港課長。

〇船越漁港課長 漁業集落環境整備事業で委員お話しのとおり下水道の整備を進めておるわけであるが、現在のところ、この整備率と申すのは供用開始した地区を持って整備率をカウントしておって、ただいままでのところ平成8年度までの進捗率は5・3%となっておる。

〇藤原(良)委員 8億6、000万円そこそこではそのくらいだと思うが、これについては以前から取り上げてきておるけれども、岩手県としては、今回計画をつくって、2010年までで142万の人口の80%を生活排水等を含めた処理対策をやるという方向づけをしておる。大変すばらしいことだと思う。その中身は、流域下水、公共下水、特定下水、それから合併浄化槽あるいは農業集落排水、漁業集落排水等々ということになるのだと思う。その中の一翼を漁業集落排水が占めていくということである。
 そこで、沿岸地域、これは対象地域としては漁業集落排水が合うところが非常に多いわけである。今、あの地域の生産向上、環境整備、文化的なことを含めてであるけれども、その向上のためには、イの一番の課題はこの生活排水対策である。これから恐らく系統組織では一番の、あるいは地域での要望はこの集落排水の整備の要望が一番多くなるだろうと思う。そういう意味で、私は、今、その地域の考え方ということで示したけれども、部長はどのように考えているのか、部長の見解をお示しいただきたい。

〇渡辺林業水産部長 ただいま担当の船越課長の方からお話し申し上げたとおり、下水道整備率の中で漁村の整備は5・3%ということで、県下39%に比すると極めて低いという状況がある。
 それからもう一つ、ただいま委員お話しのとおり、生活排水対策として、豊かな、そしてきれいな海というイメージがある。そういう点から、私どもこの点について重点的な対応をしてまいらなければならないと存じておる。

〇藤原(良)委員 漁業集落排水、これは農業集落排水もそうなのであるけれども、県代行制度がないのである。ただいま申し上げた公共下水、特定下水並びに農業・漁業集落排水、合併浄化槽はすべて事業主体は市町村なのである。市町村の財政的な裏づけがないと国庫補助がついてもやれないという状況が出てまいる。そういうところ等々で、例えば建設省のもととなっておる公共下水あるいは特定下水については県代行の制度がある。宮守村、大迫町がやっておる。この漁業集落排水については県代行がないのである。これらについて、県当局として、市町村の脆弱な財政事情のところ等、裏負担のとれるところという基準が一つあると思うけれども、例えば山振地域とか過疎地域とか、そういうところの対象地域で代行を進めていく上の考え方を内部で御検討されておるかされておらないか。漁港課長と、それから、財政課長にもお聞きしたいが、ひとつその考え方についてお尋ねする。

〇船越漁港課長 漁業集落環境整備事業で行っておる下水道整備であるが、委員お話しのとおり、現在のところ事業主体は市町村でやっておる。制度としては、漁業集落環境整備事業の中でも県でできる規定にはなっておるが、委員お話しのとおり、代行してないのには大きく二つぐらいの理由があろうかと思う。1点については、市町村でやる場合、起債を受けて、それに対する交付税がある。県で実施すると、その交付税の対象に現在のところなっていないという一つの制度面がある。もう1点は、やはり下水道整備については、最終的には市町村で維持管理すべきものと考えておるけれども、この漁業集落環境整備事業でやった場合、県でやると、事業主体が管理をする規定になっておる。
 こういったことで、この制度を改正をして、代行ができるような形にすべきものと考えるけれども、私どもとしても、やはり脆弱な市町村財政あるいは技術力の中では、委員から先ほどお話があったように2010年までに県下の整備率を80%にするという目標であるので、これを達成するためには、こういった代行制度等を含めて、市町村の技術的あるいは財政的な支援が必要であろうと考えておって、このことについては、国への要望等を含めて部内で検討を進めている段階である。

〇千葉財政課長 漁業集落排水事業の県代行ができないかということであるが、ただいま漁港課長からお話があったとおりだと存じておる。公共下水との比較での、規模の違いもあると思うが、現在の地方財政措置の中ではそういった制度がないということである。
 いずれ、所管部の話を十分に聞きながら、必要に応じて、ともども国に対する要望が必要な場合にはしてまいりたいと考えておる。

〇藤原(良)委員 前向きな、非常に進んでいるという状況下のお答えをいただいたので、改めてその進みぐあいに敬意を表したいと思う。
 沿岸沿いは、前も話してまいったけれども、今、1軒4人家族だとすると1日1トンの生活排水が流れておる。これは何の法の規制もない。洗濯の直後の水はBODで40ないし50ppmあるのもあると言われておる。合併浄化槽で、し尿を入れてそれをクリーンな水に変えて排出すると10ppmである。四、五倍の生活排水が無秩序に流れている。海の生産力が落ちてくるのは必然の理であるけれども、そういう意味で、生産性向上にも大きくつながるだろうと思う。あわせて、県土の均衡ある発展、県土の均衡ある発展とずっと言ってきたけれども、なかなか所得格差が内陸と縮まらないという現状は、そういうこと等で環境整備が立ちおくれているのが大きな原因だろうと。その環境整備の一翼がこの生活排水対策であるという御認識を改めて持っていただきたいと思う。
 そういう意味で、例えば土木部では新交流ネットワークと、今、言うけれども、そこでは約400億円の県単を持っておる。制度的に代行をつくっていく上で、いろいろなことを考えてひとつ県代行制度をつくっていただくよう、この際お願いを申し上げて終わる。

〇斉藤委員 第1に、大規模林道川井住田線について、森林開発公団、林道事業費に関連してお聞きする。
 私は、決算特別委員会の総括質問で千葉副知事にお聞きしたが、こういう答弁であった。今後の工事予定路線は環境庁マニュアルにおいて採餌等の高利用域に該当すると考えられるが、同マニュアルで、高利用域は非営巣期の工事が可能な地域であるとされていると、こういう答弁であった。しかし、4月から8月の猛禽類のモニタリング調査については報告書も出されていない。クマタカの行動圏の内部構造の調査と解析もなされていないのではないであろうか。専門家の意見と検討はどうなされたのか。調査に基づくクマタカの保護策は検討されたのかどうか、まず最初にここをお聞きする。

〇近藤森林土木課長 今の3点についてお答えする。
 まず、クマタカの行動圏の内部構造の調査と解析がされていないのではないかという御質問であるが、まず、この大規模林道の川井住田線の工事は、森林開発公団が事業主体となって実施するものであるし、その森林開発公団は、平成9年--去年--11月から12月までの調査を行って、報告を取りまとめておる。また、ことし--平成10年--は、4月から7月までの調査について中間的な取りまとめをしたと承知しておる。
 また、これら調査においては、現地調査の結果と専門家の意見を踏まえて、クマタカの行動圏の内部構造、いわゆる高利用域、営巣中心域の調査と解析についてもなされていると私は聞いておる。
 それから、専門家の意見と検討はどうなっているのかということであるが、森林開発公団では、その専門家に対して調査結果に基づく対応等について意見を求めておる。一つは、非営巣期も含め、今後もモニタリング調査を継続すべきである。一つ、営巣地が確認されていない横沢上流部については、営巣木調査を実施すべきである。一つ、タイマグラ側の工事予定路線に高利用域があり、営巣期における工事は当面影響があると思われるという指導がなされたと了知しておる。このため、本年度は9月から12月の調査をさらに追加するとともに、来年度以降も調査を継続すると聞いておるし、工事については、今言ったとおり営巣期を避けて、非営巣期の9月中旬から12月中旬に行うこととしておる。
 それからもう一つ、クマタカの保護策は検討されているのかということであるが、森林開発公団においては、クマタカを保護するため、本年度の工事については、環境庁のマニュアルを踏まえ、自然環境の保全にも十分配慮し、検討したものと了知しておる。
 具体的には、横沢上流については、営巣地が確認されない2固体が飛翔していたことから、新規の開設工事は実施せずに、今まで実施してきたところの工事部分の緑化工事と舗装工事の実施にとどめておる。また、もう一つは、タイマグラ側については、工事箇所は営巣中心域から2キロ以上離れているとともに、カラマツ人工林で、天然林に比べて保全の必要性が低いこと、また、高利用域については、工事等は営巣期を避けるべきであるとされていることに従って、非営巣期である9月中旬から12月中旬までの短期間に工事を実施することとしたところである。

〇斉藤委員 今の中間取りまとめがあるなら示していただきたい。私が求めても、あなた方は中間取りまとめなんか一つも出していないではないか。
 私言うけれども、専門家の意見を聞いたと言ったが、私も複数の専門家から意見を聞いた。工事を再開していいという意見はだれも言っていない。それどころか、常識的には工事は凍結すべきだと、そういう意見である。今のあなたの答弁でもそうであろう。工事がいいなどという意見はなかった。
 そもそも、去年の調査は、このようにことし1月に立派に報告書を出された。そして、ことし工事を凍結して4月以降の調査をやってきたのである。4月以降の調査というのは、今、まとまっていないのである。要するに継続されている。いわば調査中にもかかわらず、9月から突然工事を再開した。これは本当に異常なことである。
 環境庁マニュアルはどういうことを言っているか紹介する。営巣期高利用域については、諸工事は採餌物の確保に支障のない範囲で非営巣期に行うとされ、非営巣期高利用域については、長期にわたる大規模な環境改変については営巣期高利用域と同様の扱いとする。その他の留意事項で、行動圏内の自然植生の改変をできるだけ避けるように努める。いいか、非営巣期だから工事ができるとは書いていないのである。それどころか、高利用域は、それより広い行動圏も自然植生の改変は避けるべきだと言っているのである。全体の調査がまとまって、その結果どういう保護策が必要なのか、それが出されて初めてタイマグラ沢の工事だって再開できるかどうか聞くべきなのである。あなた方がというか、公団が聞いた専門家は、工事再開がいいなどとだれも言っていない。それどころか危惧をしている。高利用域については避けるべきだという意見である。違うか。

〇近藤森林土木課長 今、委員の言われたことに基づいて、工事については配慮しながら公団の方では実施していくと。このぐらい考慮してやっているのであるから、私どもについては、それはそのとおりの了知の仕方をしておるということである。

〇斉藤委員 今、夏油湯田線が問題になっている。これは中止という方向で公共事業評価委員会が出した。これはあなた方もそういう報告を出した。いいか、夏油湯田線については、こういう自然環境調査、立派なものをまとめて、この調査に基づいてあなた方は判断をした。クマタカもイヌワシの調査もしたであろう。本来、環境調査というものはこういうものである。奥産道の安ケ沢線だって今そういう調査をされている。大規模林道、公団は、4月以降の調査書なんかまだまとめていないであろう。調査中にもかかわらず、部分的に工事を再開するなどというやり方はあるか。岩手県だったらこんなことはやらないであろう。いわばあなた方が夏油湯田線でやったように、きちんと調査させるべきではないか。そして、専門家の集団的な検討を踏まえるべきである。これは岩手県の手法である。大体これは公団の一方的な独断で評価できる問題ではないと思う。違うであろうか。県がやっているように公団に求めていただきたい。

〇近藤森林土木課長 委員の言われることもわかるけれども、夏油湯田線等については県の工事であるから、当然県が自分たちの思うところで何とか頑張ってできるわけである。公団については、我々も、過去、委員が何回も質問したとおり、申し入れ等々をしながら連絡は密にとってやっておる。その中で、彼らは、調査結果は一応専門家の方々にも聞きながら、丸きりできないということではないので、適切なやり方をしたいということで、こういうことを聞きながらやっておる。私どもは、その辺のことについては今後もいろいろ調査結果の検討等を踏まえながら、必要な連絡調整をやりながらやっていただくように求めてまいりたいと思う。

〇斉藤委員 今、大変大事な答弁をしたと思う。岩手県だったらやると。やってきたと。しかし、公団の工事には物が言えないと。今、問われているのは、岩手県の自然環境の保全なのである。工事は公団がやるのだけれども、今、問われているのは、増田県政が一番重視している岩手県の自然環境の保全なのである。だから、部長、生え抜きの部長、岩手県なら当然専門家による検討委員会をつくって環境調査をやる。その環境調査を踏まえて今まで対処してきた。今もやっている。いいか、公団についてもそういうことを求めるべきではないのか。
 今の段階でわかっているのは、今、工事を再開した部分はタイマグラ沢のクマタカの高利用域と言われているところである。あと数百メートルである。この事態をもっと専門的に解明したら、路線を変更すべきだという意見が出てもおかしくないところである。峰越えのところにも生息、繁殖の可能性があるのである。だとすれば、林道の予定路線が今のままでいいのかということが根本的に問われている。今までのモニタリング調査はそういうことを示しているのである。非営巣期でないから工事を再開したなどというとんでもない暴論は通じないし、専門家は、そういうことについては、厳しく工事を再開したいがと公団から問われたが、それはまずいのではないかと、こういうニュアンスで回答しているのである。部長、知っているか。

〇渡辺林業水産部長 森林土木課長からお話し申し上げたとおり、この調査については、我が国有数の専門家の方の御指導のもとに先ほどお話ししたような御指導がなされ、そして、それのもとにそれぞれの対応をなされた。なお、新設部分については、十分な検討をしながら、場合によってはルートの変更等も考えながら対応するというような話を承っておるところであるし、それらについては、8月下旬に公団の方から関係者に対して説明がなされたところである。
 私ども、公団においては、自然保護等の問題について十分な対応をしながらなされているもの、そして、科学的ないろいろな調査等もなされていると了知しているところである。

〇斉藤委員 生え抜きも天下りもこの点では同じで、私は残念だと思う。
 私も日本有数の専門家から聞いたのである。あなた方の聞いたのと違うのである。公団に対して問われて、工事を再開してもいいなどということを言っているどころか、検討すべきだと、調査すべきだと、こういう答弁である。公団は専門家に個別に聞くのである。だから、専門家が何を言ったか記録に残らない。これを集団的に検討すると、その結論もオープンになる。公団はこういう姑息なやり方をしているのである。個別に自分勝手に聞いて、工事の再開を決断したというのが真相である。部長、調べていただきたい。こういうものは公明正大にやらなければだめなのである。このことを私は強く求める。夏油湯田線のように、本当に県民に説明できるような調査を、工事を進めるかどうかの前にそういう科学的な環境を重視する調査を公団にきちっと求めるべきである。求めるかどうかを改めて聞く。

〇藤原副委員長 答弁を求める前に、一言委員長から申し上げさせていただく。
 まだ相当の質問数があるので、この際、進行に御協力願うため、質疑応答は簡潔に願う。

〇渡辺林業水産部長 先ほどお話し申し上げたとおり、私どもそういう理解をしておるが、受け取り方において違いがあるのではないかというような感じもしておるので、確認したいと存ずる。

〇斉藤委員 これは重大なことなので、ぜひ県としても事実を確かめてやっていただきたい。
 2番目に、公共事業評価委員会の検討について、これは、この間、5年間、10年間、長く工事を続けたものの5年ごとの評価が最近された。私は、この点について、広域基幹林道宮古市新里線を通る芋野線、これは昭和58年から着手されているが、イヌワシの繁殖、飛来の情報があった。11月20日から3月10日まで日本林業技術協会に調査依頼されておるが、事業再評価調書には、施工地区において、自然や生活環境保全の観点で特記すべき事項は特になしと記述されている。これでいいのか。こんなことで公共事業の再評価になるのか。
 もう一つ言う。四ノ宗山線、大迫町を通る平成5年から平成20年までの工事である。イヌワシ、クマタカの繁殖、飛来が確認され、平成9年12月27日から平成10年2月28日まで日本林業技術協会によって猛禽類の調査が行われた。平成10年も継続調査になっているが、同じように、自然や生活環境保全の観点で特記すべき事項は特になしである。これで公共事業評価委員会はまともに審査できたのであろうか。環境重視、情報公開の精神にも反するものではないであろうか。これは、公共事業の評価をやり直すべきではないであろうか。

〇近藤森林土木課長 今の芋野線と四ノ宗山線については、いずれも事業採択後5年以上たっているので公共事業評価委員会の検討に付されたものである。芋野線については、平成10年にイヌワシの営巣地がある旨の情報を得たことから、その確認のため現在調査中であるが、本路線に与える影響については明確でなかったために、この調書においては特に記載しなかったのである。また、四ノ宗山線についても、平成9年にイヌワシの営巣地がある旨の情報があって、同年にもその調査を実施したところであるが、引き続きことしも調査しているところである。この林道の与える影響についてやはり明確でなかったことから、この調書には特に記載しなかったところである。
 であるから、これらの路線について、その調査が一定の成果に取りまとめられた段階で、その結果によっては調書における記載事項等の検討をすることも考えておる。

〇斉藤委員 これは極めて重大である。5年に1回しか再評価されないシステムなのであるから。この調書の中に自然や生活環境保全の観点で特記すべき事項とちゃんとあるのである。これだけ調査をして報告書まで出ている路線まで特記事項なしである。これで第三者の公共事業評価委員会の方々に出せる調書であろうか。
 部長、私は土木の調査も見た。調査中できちんと書いているものがある。書いてないのはあなた方だけである。私は、これは本当に再評価に当たらないと思うけれども、林業水産部長、これでよかったのであろうか。

〇渡辺林業水産部長 私ども、明確にそうであるという状況、程度の問題があるが、そういう状況になったときに記載すべきものという判断をしたものであり、そしてその結果、調査等を厳重にした結果、工事の執行に影響があるものという判断がなされた場合においては、改めて調書を作成し直し、再評価にかけるべきもの、現段階においては明確でないものであるからそういう対応をしたところであるので、御了解いただきたいと思う。

〇斉藤委員 部長も知っていてやったということが明らかになった。私は、5年に1回の工事であるから、いわばそういう調査がされていると記述したらいいではないか。いいか、これは評価をする上では本当に極めて重要なところなのである。四ノ宗山線は、報告書ではどう報告されているのであろうか。

〇近藤森林土木課長 9年度にイヌワシの営巣地があるということは、まずわかった。では、なぜことしもというのであるが、結局、繁殖期については2シーズンした方がベターであると、斉藤委員が一生懸命読んでおられるマニュアルにあるとおりであるので、2年続けてやっている状態である。

〇斉藤委員 続けるけれども、今の情報は重大な特記事項なのである。部長、そういうものを隠すということが--増田県政の手法は、意思形成過程を公表するのであろう。これは意思形成過程の重大な情報である。こんなものを隠したら、隠したことにしかならない。私は、厳しくこれを指摘する。今の報告書の中身というのは重大な特記事項である。全体がまとまったらまとまったで、それは情報なのである。そのことを私は指摘する。これは再評価が必要である。
 最後、秋サケの消費拡大について。これは私……。
   〔「委員長」と呼ぶ者あり〕

〇斉藤委員 質問をやっているときに。答えたければ後から答えてもらいたい。
 秋サケの消費拡大について。これは最後の質問である。
 平成8年以降、秋サケの消費拡大、これは実績、成果が上がっておるので、私はこれ、最後に評価をして、この間の実績を簡潔に示していただきたい。事業費は、平成8年、平成9年は6、700万、平成10年度は7、527万に伸びた。一方で、県費は3、350万から2、596万に減少している。県費が減少した理由は何であろうか、そして、どこの負担がふえたのであろうか。平成11年以降もさらに拡充し、学校給食はもとより、病院、福祉施設などへも広げる必要があると思うが、どうであろうか。来年度予算は25%マイナスシーリングという形になっているけれども、この影響は受けないのであろうか、枠外となって進められるのかどうか。

〇上村漁業振興課長 秋サケについては、本県漁業の基幹であるので、各般、いろいろと消費拡大に取り組んできたわけである。
 実績であるけれども、いろいろあるけれども、2点ほど紹介しておきたいと思う。一つは、イクラのブランド化である。御存じのように、秋サケは年間に百数十億とれるけれども、その90%はイクラを持っている雌である。したがって、イクラのブランド化、価値を高めることによって魚価を上げるということで、関係者一体となって取り組んできたと。その結果、数年前までは、築地で北海道産と岩手産、700円から800円の差があったのであるが、最近は、O-157のせいもあるのであるが、差がなくなってきているということが挙げられる。
 それから、もう1点紹介させていただくと、学校給食であるが、これは平成8年度から始めておる。8年度、9年度は年間を通して62万食の秋サケメニューを学校給食に提供した。給食実施校の88%が実施したけれども、平成10年度はサケの日、いわゆる11月11日だけ全校実施していただき、実施率100%となっており、本年度は80万食提供したいと考えておる。
 それから、事業費であるけれども、この事業については、本来民間が主体となってやるべき事業であるから、何とか秋サケ消費拡大のきっかけをつくってやろうということから、当初から、事業進行に伴って負担割合は事業主体--漁協等であるけれども--にシフトしようということでなっておるので、御了解願いたいと思う。
 それから、11年度以降についても、予算の事情は大変厳しいのであるけれども、頑張ってやっていきたいと思うので、よろしくお願いする。

〇藤原副委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原副委員長 質疑がないようなので、林業水産部関係の質疑をこれで終わる。
 次に、佐藤農政部長に農政部関係の説明を求める。

〇佐藤農政部長 平成9年度の農政部の決算について御説明申し上げる。
 決算の内容に入る前に、平成9年度の農業の概要と農政の推進状況について申し上げる。
 平成9年度は、春先から6月上旬まではやや低温、日照不足で経過し、作柄への影響も心配されたけれども、その後の好天と農家の方々の適切な管理により、農作物の生育も回復し、水稲の作況指数は105のやや良となったところである。また、農業粗生産額については、米と畜産がわずかに減少したものの、野菜や花卉など園芸作物の増加によって前年並みとなり、東北6県の中では第1位となったところである。
 一方、平成9年度は、全国規模のイベントである第7回全国和牛能力共進会が本県で開催され、本県出品牛が最高賞である内閣総理大臣賞に輝くなど、大きな成果をおさめ、畜産岩手の名を確固たるものとして全国に発信することができたものと考えておる。また、従来個別に実施してまいった岩手県農業祭を農業、林業、水産が一体となり、いわてめぐみフェア-いわて農林水産祭として開催し、農林水産物を総合的に消費者に紹介できる機会をスタートさせた年でもあった。さらに、平成9年4月には試験研究機関の再編整備を行い、岩手県農業研究センターを開所したところである。
 今日の農業は、農業労働力の減少や高齢化の進行、輸入農産物の増大による需給の緩和など、多くの課題を抱えておるが、県においては、県農業の発展と農業所得の向上を図るため、第3次新いわて農業確立計画の基本方向に即し、全域的な農業再編の推進と総合生産性の向上や主業型農家の育成等を大きな柱として、米・園芸・畜産を3本柱とした総合産地化の推進や農村地域の活性化などに積極的に取り組んでまいったところである。
 それでは、決算の内容について御説明申し上げる。
 まず、一般会計についてであるが、平成9年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願う。
 農政部関係は、6款農林水産業費のうち、1項農業費、2項畜産業費、3項農地費であるが、このうち、農政部の予算現額は1、368億8、135万円余、16ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費のうち、5億2、554万円余を合わせた、予算現額では総額1、374億690万円余である。これに対する支出済額は1、196億4、011万315円となっておる。
 また、平成10年度への繰越額は、1項農業費から3項農地費までの28事業で、177億3、435万7、000円である。繰越の主なものは、国のウルグァイ・ラウンド農業合意関連予算の補正措置に対応したものであり、工事の施工期間等の関係から繰り越しを余儀なくされたものである。この結果、予算現額に対する支出済額の割合は87・1%となるものであり、また、県の一般会計決算額に占める農政部の割合は13・5%となるものである。
 以下、個々の内容については、便宜、平成9年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げる。なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げるので、御了承お願いする。
 歳入歳出決算事項別明細書の178ページ以降である。6款1項1目農業総務費から入る。農業総務費中、管理運営費は、農政部職員に係る人件費等に要した経費であり、国土調査事業費は、宮古市ほか26市町村が実施した158平方キロメートル余の地籍調査に要した経費について助成したものである。180ページをお開き願う。2目農業金融対策費の主なものであるが、農業近代化資金融通対策費、地域農業担い手育成資金利子補給、農家負担軽減支援特別資金利子補給等は、農業者等の資本装備の高度化による農業経営の近代化等を図るため、農協等融資機関が貸し付けした制度資金に対する利子補給費について助成したもの等である。次に、3目農業構造改善対策費の主なものであるが、農業構造改善事業費は、葛巻町葛巻地区ほか1地区、地域農業基盤確立農業構造改善事業費は、前沢町前沢地区ほか17地区で、いずれも農業・農村の活性化及び望ましい農業経営体を育成するため、土地基盤整備、近代化施設整備、集落の環境条件の改善等に要した経費について助成したものである。次に、地域農業経営確立総合対策事業費は、西根町ほか2町で土地基盤整備、農業近代化施設整備等の条件整備に要した経費について助成したものである。なお、繰越明許費の15億2、500万円余は、地域農業基盤確立農業構造改善事業等のUR関連予算の補正措置のうち、年度内の完成が困難となり、翌年度に繰り越したものである。以下、同様の事情による事業繰越が関係する目にあるが、その説明は省略させていただくので御了承願う。182ページをお開き願う。4目農業改良普及費の主なものであるが、地域農業改良普及センター管理運営費は、県内17の地域農業改良普及センターの管理運営に要した経費である。次に、いわて農業新規参入支援総合対策事業費は、就農促進や定着を図るため、農業以外からの新規参入者等を含めた若い農業者に対し、研修等各種の支援事業に要した経費について助成したもの等である。次に、5目農業振興費の主なものであるが、基礎的バイオテクノロジー技術開発促進事業費は、財団法人岩手生物工学研究センターに、遺伝子組みかえ等の基礎的研究を委託し、農作物の新品種の作出及び有用微生物利用技術の開発研究等に要した経費である。次のページに参って、山村等振興対策事業費は、種市町ほか29市町村等が実施した定住環境の整備、都市との交流促進対策等に要した経費について助成したものである。次に、高度土づくり技術確立推進事業費は、微生物資材の利用などによる高度な土づくりを推進するため、技術実証圃の設置等に要した経費である。次に、新いわて農業再編総合対策事業費は、収益性が高く、地域ごとに特色のある農業への再編を促進するため、北上市ほか57市町村において実施した土地基盤、共同利用施設等、生産から流通に至る各種の条件整備に要した経費について助成したものである。次に、6目農作物対策費の主なものであるが、農業生産体制強化総合推進対策事業費は、水稲種子需要の増大に対応し、優良種子を安定的に確保するため、新岩手農協ほか3農協が実施した施設整備、機械導入に要した経費について助成したものであり、いわて純情米いきいき生産体制確立事業費は、低コスト、高品質の生産体制の確立を図るため、推進指導、共同利用施設整備など、ソフト、ハード両面の各種事業に要した経費について助成したものである。地域調整推進事業費補助は、米の生産調整の実効性を確保するため、農協等がとも補償を行うために、農業者等の拠出により造成した基金に対して助成したものであり、次のとも補償定着化推進事業費補助は、稲作・畑作それぞれの経営志向に応じて営農の展開が図られるよう、特にガイドライン配分を超えて転作を引き受ける農家、いわゆる受け手農家対策として農協等が造成した基金に対して助成したものである。186ページをお開き願う。7目畑作振興費の主なものであるが、農業生産体制強化総合推進対策事業費のうち、大豆主産地形成特別事業費は、高品質の大豆を安定生産できる主産地を形成するため、生産流通研修会の開催、実証圃の設置、加工施設整備等、ハード・ソフト両面の整備に要した経費について助成したものであり、高付加価値型農業等育成事業費は、大迫町ほか5市町村等が、葉たばこ、ホップ、ソバなど、地域の条件を生かした栽培、流通体系の導入による産地育成、産地加工等に要した経費について助成したものである。次に、フードシステム高度化対策事業費は、地域食品産業の活性化及び県産食材の利用促進と高付加価値化を図るため、農産物加工品の開発、販路開拓の促進、加工流通新技術開発等に要した経費である。次に、花き産地整備促進事業費は、中山間地域の立地条件を生かし、消費者ニーズに対応した花卉新品目の産地化を図るため、集出荷施設や育苗施設の整備等に要した経費について助成したものである。188ページをお開き願う。8目北上奥羽山系開発費の主なものであるが、広域農業開発事業償還金は、農用地整備公団が事業主体となって実施した北上山系8区域、奥羽山系2区域の県及び地元負担金を同公団に償還した経費である。北上山系入植農家経営安定緊急対策費補助は、広域農業開発事業で北上山系に入植し、経営不振に陥っている負債農家に対し、経営改善を図るための支援に要した経費について助成したものである。次に、9目植物防疫費の主なものであるが、病害虫防除所管理運営費は、病害虫の発生予察、防除指導、農薬安全使用指導等に要した経費であり、革新的防除システム確立実証事業費は、地域の防除指導体制の整備、育成強化を図るため、先進的防除機器による防除の実施、その後の環境影響のチェックを一貫して行うシステムの実証に要した経費である。190ページをお開き願う。10目農業協同組合指導費の主なものは、農業経営体質強化特別指導事業費補助は、県農協中央会が農協の営農指導員を対象とした研修等に要した経費について助成したものであり、農協系統組織再編促進事業費は、組織再編の促進に要した経費について助成したものである。次に、11目農業共済団体指導費は、共済連等の農業共済に係る事務に要した経費について助成したものである。次に、12目食糧管理費の主なものであるが、地域米消費拡大対策事業費は、米の消費拡大等を推進するため、県米消費拡大推進協議会及び盛岡市ほか13市町が、米消費拡大キャンペーン、米料理教室等の広報・普及活動に要した経費について助成したものである。192ページをお開き願う。13目農業研究センター費は、平成9年4月に開所した岩手県農業研究センターの管理運営、試験研究、並びに附属棟の建築整備等に要した経費である。次に、14目農業大学校費は、農業の中核的担い手となる農業従事者等を養成するための農業大学校の管理運営、施設整備に要した経費である。194ページをお開き願う。15目蚕業費の主なものであるが、養蚕ブランド産地活性化対策事業費は、繭の高品質化・差別化により、農家経営の安定と地域の活性化等を図るため、岩手南農協ほか3農協が生産技術の実証、生産指導に要した経費について助成したもの等である。次に、16目繭検定所費は、管理運営費である。
 196ページをお開き願う。2項畜産業費1目畜産総務費の主なものであるが、管理運営費のほか、岩手県肉牛生産公社経営改善対策費は、同公社に対し無利子資金の貸し付け及び長期借入金への利子補給を行ったものである。次に、2目畜産振興費の主なものであるが、畜産再編総合対策事業費のうち、地域畜産再編対策推進事業費は、石鳥谷町ほか28町村が地域ぐるみで取り組んだ生産コストの低減、生産条件の整備等に要した経費について助成したものである。次のページに参って、家畜改良増殖対策事業費のうち、日本短角種集団育種推進事業費、黒毛和種牛群育種改良推進事業費は、県産優良種雄牛の作出と産肉能力検定に要した経費等である。次に、家畜畜産物価格安定対策事業費は、肉用子牛等の価格低落時に生産者補給金を交付するため、畜産物価格安定基金協会が行う生産者積立金に対し助成したものである。次のページに参って、第7回全国和牛能力共進会岩手県実行委員会負担金は、平成9年9月11日から15日までの5日間、岩手県産業文化センター、岩手畜産流通センターを会場に開催した、第7回全国和牛能力共進会の開催に要した経費について負担したものである。次に、3目草地対策費は、畜産関係の公共事業がその主なものであるが、公共牧場機能強化事業費は遠野市荒川高原地区ほか1地区、畜産再編総合整備事業費は岩手中部地区ほか4地区、県営畜産環境整備事業費は三陸沿岸北部地区ほか4地区で、草地の造成及び家畜排せつ物処理施設等の生産基盤、経営基盤の整備に要した経費について助成したもの等である。次に、4目家畜保健衛生費は、家畜の衛生対策、伝染病予防対策に要した経費等である。202ページをお開き願う。5目農業研究センター費、6目牧野費は、それぞれ岩手県農業研究センター畜産研究所、種山牧野事務所の管理運営並びに整備と畜産研究所の試験研究等に要した経費である。
 204ページをお開き願う。3項農地費は、農業農村整備に係る公共事業がその主なものであるが、支出済額は、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策予算の平成8年度からの繰越額を含めて、県営団体合わせて777億5、500万円余である。これにより、本県の平成9年度までの整備率は、水田で52%、畑地で50%と進捗が図られたところである。また、翌年度への繰越額は131億2、600万円余であるが、これは、先ほど申し上げたとおり、国の補正予算措置等に対応したものであるが、年度内に執行ができなかったものである。この繰越事業の現在における執行状況であるが、おおむね契約済みとなっておる。1目農地総務費は、農地関係職員の管理運営に要した経費等であり、2目土地改良費の主なものについては、かんがい排水事業費は、岩手町一方井地区ほか8地区、農道整備事業費は、広域農道では東磐井地区ほか7地区、一般農道では東和町の毒沢地区ほか29地区、農免農道整備事業費は紫波町紫波地区ほか30地区、ほ場整備事業費は花巻市豊沢川地区ほか42地区、中山間地域総合整備事業費は宮守村鱒沢地区ほか29地区、農村総合整備事業費は二戸市二戸地区ほか50地区、次のページに参って、農業集落排水事業費は矢巾町の間野々地区ほか31地区、ふるさと農道緊急整備事業費は金ヶ崎町六原地区ほか37地区の、それぞれの整備及び助成に要した経費である。次に、国営土地改良事業費負担金は、国営の胆沢平野かんがい排水事業ほか15地区の県及び地元負担金である。次に、3目農地防災事業費の主なものであるが、防災ダム事業費は安代町根石ほか2地区、ため池等整備事業費は雫石町の御所地区ほか32地区の整備に要した経費である。208ページをお開き願う。4目開墾建設事業費の主なものであるが、農地開発事業費は普代村普代地区ほか1地区、開拓地整備事業費は大野村帯島地区ほか27地区の整備に要した経費である。次に、5目農地調整費の主なものであるが、農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化など、農地保有の合理化を促進するため、岩手県農地管理開発公社等が農地の売買、貸借等に要した経費について助成したものである。
 次に、ページを飛んで304ページをお開き願う。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費は、災害を受けた229地区の農地及び農業用施設の復旧に要した経費について助成したもの等である。
 以上が一般会計の歳出決算である。
 次に、農業改良資金特別会計の決算の内容について御説明申し上げる。332ページをお開き願う。
 岩手県農業改良資金特別会計の予算現額であるが、歳入歳出それぞれ19億2、132万2、000円である。
 まず、歳入についてであるが、収入済額は19億4、585万7、572円で、その主なものは、一般会計からの繰入金、前年度からの繰越金、諸収入については、貸付金に係る償還金等である。
 次に、歳出についてであるが、336ページになる。支出済額は16億5、862万8、964円で、その主なものは、農業改良資金の貸し付けが202件、就農支援資金の貸し付けが46件のほか、この事務推進に要した経費等である。この結果、歳入決算額から歳出決算額を差し引いた2億8、722万8、608円は翌年度に繰り越しているものである。
 以上をもって農政部所管に係る平成9年度決算についての説明を終わらせていただく。よろしく御審議くださるようお願い申し上げる。

〇藤原副委員長 ただいまの説明に対し質疑ないか。

〇村田委員 冒頭で御指名ありがたい。
 農政部長に伺いたいのであるけれども、農林水産業費全体でまいるとおよそ1、700余億円である。農政部門については1、200億である。さらに、その大宗を占める予算は農地費であると。その中でも、土地改良費というものが大変な農村基盤の整備事業の推進に当たって、いわば農政部農政の大宗を占める、重きをなす、岩手の農業の中心的な施策であると言っても過言ではないと思うわけであるが、この決算を見ると、490億円の工事請負費額を計上された土地改良費を取り上げてみると、107億円余が10年度に繰り越されておるわけである。この状況は、平成9年度の特殊な事情によるものであるのか、それともまた、予想せられる平成10年度決算の中身においても、それがある程度予想される繰越明許費として計上される恐れのある内容を含んでおるものか、これをまず伺いたいと思うわけである。
 最近、目まぐるしい国庫予算の編成方針の変化などに対応すると、いつ何どき追加補正が緊急対策事業でまた追加せられるかわからんというようなことで、しかも平成11年3月までにはこれは完成するという説明書きがついておるけれども、しからば平成10年度当初の予算、これは、恐らくこの当初予算で計上しているのは約502億という計上であるが、その平年度の平成10年度予算の執行にこの繰越明許の取り組みということによって何らかの影響があるのではないかと思われるわけであるが、その辺のお見通しについて承りたいと思うわけである。

〇佐藤農政部長 9年度の繰り越しが特殊事情であるかということ、また、10年度との関連ということであるが、あらかじめ御理解いただきたいと思うのは、土地改良事業、昔からやっておるわけであるが、近年の土地改良事業は、いわゆるガット・ウルグァイ・ラウンド農業合意、これと前後して、いわゆる関連対策として打ち出されたわけであり、最初から補正予算で対応すると、こういうルールになって以来進んでおるわけである。そういうことで、平成9年度のUR関連土地改良事業も、国の補正予算の成立を待って2月補正で計上せざるを得なかった、そういうことで繰越明許費が非常に多くなったわけである。
 本県としては、御案内のように、圃場整備が東北各県と比較しても大変おくれているということで、URの農業合意に関連したこの対策事業を好機として、これを積極的に受け入れていくというスタンスで予算化をしておるところであり、ちなみに平成9年度の本県の農業、農村整備事業費は、平成3年度と比較して2・1倍に増加しておる。2・1倍になっておる。先ほど御指摘あったように、9年度の繰越額113億円となったわけであるけれども、このうち35%に当たる40億円については9年度中に契約済みとなっており、引き続き平成10年度においては、これは県の基本姿勢として、上半期の契約率を最大限高める、こういう方針のもとに、私どもも土地改良事業についても、繰越事業も含め早期発注ということに心がけてまいった。その結果、繰り越し分も含め、上半期の発注率は過去最高の85・5%を達成したということで、景気対策にも資するよう、切れ目のない発注に努めたところである。

〇村田委員 それでは、繰越明許の生じた原因の説明にある用地問題の不調によるもの、あるいはまた、計画調整の作業が滞っておるためにということは、実際はそういうことはないと、11月の予定されたとおりにそれらは解決しつつ、大体予定どおりいくのであると、こういう解釈でいいのであろうか。

〇高橋農村建設課長 ただいまの御指摘のとおり、繰越明許の中には、そうしたいろいろな用地問題とか、地域の各種関係するところの協議、そうしたものも相当含まれている。

〇村田委員 そういうものも含まれている、それなるがゆえに執行率が85%であると。この85%の執行率は非常に成績がいい、甲であるか乙であるかというランクはわからないけれども、この種の事業ということに伴う問題としては、やはり用地の問題、それから計画調整をする場合の作業、それらということがこの予算を消化する場合の執行率を高めるための隘路になっているのではないのであろうか。あるいはまた、急な予算計上、予想せられざる事業費の導入により、それの対応に追われているための作業の、あるいは用地の対応がネックになっておると、そういうことはあるのであろうか。

〇高橋農村建設課長 ただいま部長の方から、平成3年度に比較して2・1倍にふくれ上がったという回答を申し上げたわけであるが、従来であると、用地問題とかそうした協議は事前に、前年度ぐらいに全部終わり、前年度あるいは前々年度までにやっておるわけであるが、こうした急激な事業費のふくらみもあり、それがなかなか後手後手に回るということもある。しかしながら、そうしたことも、今度の景気対策ということもあり、職員一丸となって、そうしたことを解決しながら85・5%というような契約率に持ち込んだということである。

〇村田委員 この問題については、せっかくの大宗を占める大きな事業、それがまた、就労人口の吸収を図るための大きな活性化事業でもある、景気の浮揚対策の受け皿でもある、こういうことを考えると、執行率の問題、それが用地の問題であるとか、いろいろな計画調整の作業の問題であるとかということの原因であるとすると、それらの問題を全力を挙げてまた再検討、いろいろと検討されて、円滑な執行こそ望ましいことではないかと思うので、当局の御努力を一層お願いする次第である。

〇藤原副委員長 この際申し上げるが、質疑答弁は簡潔明瞭に行い、申し合わせにより午後5時ということではあるが、それを目途に審査が終了するよう、議事進行に御協力をお願いする。

〇菊池(勲)委員 農政部長以下、農政部の方々に大変お世話になっているから、本当は質問がいっぱいあるのであるけれども、1点だけ聞きたい。あとは、振興局の出先の部課から一々聞きながら仕事をして まいりたいと思うので、1点だけ教えてもらいたい。
 特にお礼をしたいのであるけれども、私ども和賀川土地改良区が使っている和賀中部の施設が大変古くなり、農政部長以下、先頭に立って御支援いただき、大変いいめどにつけそうな方向であると聞いているので、もう少しの御努力をお願い申し上げておく。
 実は、何を聞こうかと考えたのであるけれども、どうもずうっと気になっていることがあって、私も62歳になり、改良区の理事長に就任したところが、農業者年金のことが全然わからなかったのである。私の地域は農村であるから、農協の役員、改良区の役員、共済組合の役員、農業者年金をもらう時期になるとみんなやめてしまうのである。そうすると、農業・農村を全然知らない形態の悪いのが役員に入ってくるのである。そして組織を運営するものであるから、全然前に行かないのである。幾ら部長以下、優秀な人たちがそこにおっても、先に立つ者がだめであるから指導がうまくいかないと私は思っておった。去年の平成9年度の土地改良事業団体の総会で、こんな話があった。私もそう思ったから追加で質問したのであるけれども、これを一つ、私ばかりでなく、農民に教えてほしいのである。現職でやっておっても、農業者年金をもらう時期になるとみんなやめてしまう。それをやると年金はもらえないという判断なわけである。であるから、それがどうなのか、これをひとつ教えていただきたいと思う。

〇橋本農業経済課長 農業者年金基金事業についてであるが、基本的に、農業者年金事業の指導事務を行っている農業会議から確認したところによるものであるが、年金は原則として65歳から支給されるということになっておる。委員御指摘のように、従前においては、年金の支給開始年齢である65歳を過ぎても団体の常勤役員を続けているという場合には、役員の就任期間の合算が行われないために年金が受給できないということであったが、平成7年度の制度改正により、退職の有無にかかわらず65歳の時点で役員就任期間を年金の加入期間に合算できるということになったものである。したがって、現在は、農業団体の役員であっても、過去の農業者年金加入期間と65歳までの団体役員就任期間を合算して20年以上の期間がある方については、退職することなく年金の受給が可能となっておる。

〇菊池(勲)委員 これ、本当はもっと前に教えてもらえばよかったのである。それがずうっとそう思ってないのである。私も、きのうまでそう思っていなかった。今、課長の答弁でわかったのであるけれども、勉強不足は甚だ恥ずかしい話であるけれども、私どもの地域は、だれも全然そう思っていない。だから、年金受給前になると、改良区は4年の任期であるから、あと2年で私は年金をもらえる時期となると、すぐやめてしまう。見事に、改良区なら改良区、農協なら農協、内容がわかって、これから本当に仕事ができる段階になったときにちょうど65に達するのである。改良区とか農協の役員というのは、残念ながら報酬が安いから、兼務をしての仕事は難しいのである。どうしてもこっちの仕事を休まなければならない。どうしても定年退職の方々に近い者が入ってくるのである。残念ながら、学校の先生が入ってくるのである。どうも、そういうのが組織におるものであるから、申しわけないけれども、ものが前進しないのである。私が入ってみて、1年と半年でわかったのである。本当は大変なところに入ったと思ったのである。だけれども、入った限りは任期を全うしなければならないから、今、農政部の佐藤部長以下、大変温かい御支援を得ながら頑張っているのであるけれども、これをどんな形でか、今はそちらが担当かもしれないけれども、農政部として、我々住民に教える方法を検討して、要約した形で披瀝する方法があれば御指導してほしいと思うのであるけれども、その所感をひとつお願いしたいと思う。

〇永嶋農村計画課長 委員御指摘の農業年金受給と土地改良区の役員資格の関係については、先ほど経済課長が言われたとおりである。基本的には、農業委員会が個別の事情を勘案して資格交代の承認を受けるということになっておる。この宣伝については、土地改良区の全体の総会、それから、いろいろな研修があるので、そこで広めていきたいと考えておるので、よろしくお願いしたいと思う。

〇千葉(浩)委員 私からは、米問題ということで2点に絞り質問させていただく。
 先般、国では米政策大綱の平成11年度の取り組みに当たって、政府米の買い入れ数量の大幅な縮減と売却不振の銘柄の一層の買い入れの制限を打ち出したということである。既に御案内のとおりであるが、政府米の買い入れ数量は全国枠で、9年度は120万トン、10年度はその4分の1の30万トンということになり、本県を見ると、9年度は5万5、000トン政府米に買い取っていただいたわけであるが、そういうことになると、そういう割合でいくと、10年度になると1万5、000トンしか買い入れてもらえないというようなことになり、私は大変な事態であると思っておる。この差、3万数千トンになると思うのであるが、流通米として売らざるを得なくなるということにもなるが、自主流通米で売り切ることができるであろうかということ、そして、売れなければ古米、そして古古米、そういう形になると思うのであるが、そうなると、生産というものができるであろうかというような心配が出てくるわけである。こういうことを考えると、これまでの政府米のように、つくれば買ってもらえるのである、そういう時代というものはもうなくなったと私は思っておる。
 こうした米行政の中で、本県が米生産地として残っていくためには、これまでのような中途半端な--と申すか、言い方は悪いのであるが--取り組みではなく、もう根本から基本的な考えを変えていかないと対応し切れないのではないか。私は、岩手県の農政の一大転換期に来ているのではないかというような気も持っておる。この問題は減反と関係してくると私は思っておるが、地域間で、行政あるいは農協でとも補償ということで制度をやっているわけであるが、この制度を今後は真剣に考えて、県でもこういう問題は真剣に助成していくというような対策をとっていかないといけないと私は思う。そこで、まずこの政府米の買い入れ問題について、農政部長の御所見を伺っておく。

〇佐藤農政部長 御案内のことかと存ずるが、念のためもう一度お話しさせていただくと、米余りの話であるけれども、戦後であるけれども、日本人が一番食べたピークは昭和37年で、この当時は1人118キロであったそうである。この118キロが、平成8年度には67キロまで激減しておる。それから、家庭食としての消費量を3年-8年で申し上げると、3年が590万トン、これが40万トン減り550万トン、一方において、外食である。外食は130万トンから140万トンに増加しておるということで、自主流通米をひっくるめて、まさに今は、米は売らなければならない、何とか売り切るということが至上命題になっているわけである。
 政府米のお話があったけれども、要するに政府米にしても、政府は売り切るということであるから、消費者ニーズにマッチした形の米づくりということが不可欠なわけである。それで、例えばかけはしについては、今申し上げた外食の伸びという背景があるわけであるけれども、そういう実情もある。一方、銘柄米といっても、今や外食産業にとって一番必要なものは、無洗米がこれからは常識の世界になってまいる。そういったことで、同じ産地、銘柄であっても、ニーズにマッチした供給体制というものに対応していかないとこの競争に負けてしまうというようなことであるので、いわゆる米どころ、それから政府米地帯もそれぞれ、どこにニーズを、ターゲットを絞った形で栽培し流通対策を講じていくかという総合的な取り組みが、これからますます問われてくるものと存じている。

〇千葉(浩)委員 部長、今までは政府米で5万5、000トン買っていただいたわけであるから、それが4分の1に減ってしまう、流通米に回すということになってくると思うのである。結局、そういう形をとらざるを得ない。そうすると、今まで5万5、000トン政府米に買っていただいた地域はどういう地域か、私もはっきりわからない。わからないが、そういうところが今後どうしていくのか、今までどおりつくっていくのか。結局、自主流通米になれば、最低価格ということで、恐らく最低価格の値段でしか売れていかないであろう。そうすると大変な所得の低下を来すことは目に見えているわけであるから、そういうことで根本的に、これは減反とかかわってくるのであるが、そういうものも組み合わせて、そういう地域地域の、岩手県内の農家がどう立ち上がっていけるか、そういう問題をお互いに--とも補償をやっているところを私も聞こうと思っていたのである。地域間でやっているところが結構あると私は思っているのである。そういう状況もあると思うのであるが、その辺も教えていただきながら、やはりこのまま、ただ成り行きに任せてつくって、そういうことになって、あと、これは地域で農協なり経済連なりが買っていただければいいが、そこでも買わないというような事態とかいろいろなことで混乱が起こる可能性もあるし、それから、生産ができないというような事態にまで、深刻に考えていけばそういう--それは、安く売ればいいと思うのであるが、やっぱり所得を上げていくということがあるから、そういうことを県は真剣になって考えて、どういう米政策の対策を立てていくのであろうか。減反との、とも補償との兼ね合い、そういうものを今岩手県であるなら実例も教えていただきたいと思うし、これからどうやっていこうとするのであろうか、その辺をひとつお願いする。

〇佐藤農政部長 作柄や品質が不安定な地域のこれからの取り組みとしては、いわゆる値ごろ感のある米づくりが大事であろうと思っておる。また、大変根強い人気のある有機低農薬栽培、こういった取り組みも大事である。そういったニーズというものにこたえていくことも一つの道であるし、全体としては、大幅な需給アンバランスを早期に回復するための生産調整を円滑に進めるということも、これまた避けられないというか、緊急な取り組み課題であるということで、この生産調整の具体的な展開については、河村生産調整監から答弁させる。

〇河村生産調整対策監 加工用米による地域間調整というか、とも補償のことであるが、いずれ具体的な例で申し上げると、例えば、自主流通米地帯では、本当は1俵1万8、000円で販売できる米をつくっているのである。ところが、生産調整対応のために、8、000円でしか売れない加工用米をつくらざるを得ない部分があるということが一つある。それで、その加工用米を生産調整面積とセットで、例えば政府米地帯に引き受けてもらう。そのかわり、1万8、000円で売れる米、それから8、000円、その差額の1万円分を、差額を折半するような格好で、委託補助金として例えば5、000円を政府米地帯に支払うという形で、どちらも痛み分けという格好で例えば1万3、000円ずつになるという仕組みである。いずれ、米の生産を望ましい方向に誘導する観点から一つの有効な手段であると思っておるが、ただ、その受け手となる、例えば政府米地帯では、やっぱり米に対して根強い愛着感もあるということ、加工用米地帯として評価されることに抵抗感があるということであるので、ここは生産者の方々の十分な理解と御協力をいただきながら進めていく必要があるのではないかと思っておる。

〇藤原副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間休憩する。
   午後3時1分 休 憩
   午後3時18分 再 開

〇高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 この際申し上げるが、質疑、答弁は簡潔明瞭に行い、申し合わせによる午後5時を目途に審査が終了するよう、議事進行に御協力をお願いする。

〇千葉(浩)委員 休憩前に引き続いてもう1点だけ申し上げたいと思う。
 早ければ来年4月から関税化が受け入れられるといろいろ報道されているわけであるが、農水省あるいは全中などで検討に入っていると聞いておる。米の関税化を受け入れるということは、一体どのようなことになるのか、その基本的なことをひとつ伺いたいと思う。
 この問題は、私は唐突に出てきたと思っておって、これは国の問題であるから県段階でどうのこうの言える立場ではないような気もするが、今後の岩手県の稲作にかかわる重大な問題であろうと思うので、いろいろ県として国に要望する事項等があったら積極的にやっていただかなければならないと思っておるし、米の関税化について部長の御所見をひとつお聞きしたいと思う。

〇佐藤農政部長 米に関するWTO協定の取り扱いは、御案内のとおり、協定の最終年度に当たる2000年から交渉を開始するということが決まっておるところである。新聞で報ぜられておる来年4月に関税化を導入したらどうかということは、12月までに理事会に申し出をするという事前手続があって、それでオーケーになればそういう道もあるということなそうである。
 要するに、関税化というのは、御案内のとおりであるけれども、輸出入の市場取引にかかわる国境措置、これをすべて関税に置きかえるということで、輸入量の制限はなくなるわけである。ただし、国内価格と国際価格の差額分を関税化すると。ただし、これも相手国--輸出国--との協議のもとに関税率を設定するわけである。したがって、新聞で報ぜられておる1、000%であるとか、1、200%であるとか、これは相手と交渉の上で決まる話なわけである。委員おっしゃるとおり、まさにこれは国内生産に及ぼす影響ということが危惧されるところで、今のルールで申し上げると、2000年までにミニマムアクセスは8%まで義務づけられておる。数量的に申し上げると75万8、000トンである。これを1年前倒しで関税化をすれば7・2%で、0・8%低くなる。数量でいうと68万2、000トンで抑えられるということなそうで、要するに、全国農協中央会等にしても、いかにして外国農産物とのすみ分けというか影響をできるだけ排除するか、その方法論として、今、検討が盛んとなされておるということで、委員おっしゃられるとおり、まさに外交問題であって、私どもが特例措置を継続すべきだとか関税化を受け入れるべきだということを申し上げる立場にはないけれども、基本的には、やはり米の需給というものは、今、大幅な生産調整を余儀なくされておるけれども、極力国内生産で賄っていく、自給していくべきだという見地から、過般の政府予算要望において、WTOの次期交渉に当たっては、今後とも農業者が中長期的な見通しが立つような営農を展開できるような交渉になるように特段の配慮をお願いしたいと、大変抽象的な言い方で恐縮であるけれども、そういう要望をしているところである。

〇佐々木(大)委員 岩手畜産物販売拡大促進事業に関係してお伺いさせていただく。
 この畜産物の販売に関して、その中で牛乳の流通についてお伺いしたいと思う。県内で9年度生産の生乳の生産量、そして、飲用牛乳の生産量、さらに、県内の消費量はどうなっているのであろうか。
 これとあわせて、短角牛の生産頭数、そしてさらに出荷頭数、これらについて、まず、お伺いさせていただく。

〇菅原農産物流通課長 牛乳の県内生産のうち県内消費はどうなっているのかというお尋ねである。
 本県における平成9年の牛乳生産量は29万8、000トンで、そのうち、飲料向けや加工向けとして46%が県内工場用に出荷されているところである。県内の乳業工場で生産された飲用牛乳は11万4、000トンで、その約半分が県内消費向けに出荷されており、県内における牛乳の消費量の92%を占めているところである。
 もう1点、短角牛の出荷頭数についてであるけれども、平成9年度における短角牛の肥育牛の出荷頭数は2、934頭で、肉質や価格が類似している輸入牛肉や、あるいは乳用種との競合により、減少傾向にある。そのうち約8割が全農を通じて県外への産直形態であり、県内消費向けの出荷頭数は2割程度と、少ない状況になっておるところである。

〇佐々木(大)委員 牛乳に関しては、県内の生産量の半分が飲用に加工されて、さらにその半分が県内で消費されると、そのようなことであるが、そこの中で、その他については加工向け、さらに県外への販売ということになっているようであるけれども、今、短角牛は2割程度の県内消費という説明があったけれども、昨年の短角の生産頭数等々からいって、特に9年度で実績のある東京の方の大手のスーパーが短角の販売を中止されたと。そういうことで、10年度にはそれにかわるべきものを探さなければならない、そういう現状があったけれども、それらについて、10年度の計画についてどのような方向で取り組まれているかお伺いする。

〇菅原農産物流課長 いわて短角牛の10年度の販売計画についてであるけれども、委員からただいまお話があったように、売り先の大手のところが中止になったということもあって、今後についてもいろいろと検討をしてきたところである。その中で、やはり新しい産直先なども求めながら、例えば10年度では新しくコープ九州等を開拓して、そういうところにも販売するように努力しているところであるけれども、なおいろいろな方策を考えながらいわて短角和牛の販売に努めてまいりたいと、このように考えておる。

〇佐々木(大)委員 九州のコープ開発は大変成果を上げたものと敬意を表したいと思う。
 短角牛のスーパーでの販売のときの問題点として聞いているのは、やはりスライスして販売するときの問題があるようである。肉の消費の仕方にもいろいろあるが、現在、スーパー方式が多いわけであるが、そういう形になると、ブロックで販売ではなくて、まさにスライスにして直ちに加工するような商品にして、今、販売されておる。魚もそうであるけれども、そういうのにたえられないのが短角の特徴の中の一つにある。逆に言えばそのことが商品としての価値なのかもしれないけれども、そこが受け入れられていないということが問題のようである。いろいろ聞いてみると、肉の場合、本来ブロックでもって家庭に届けて、そして調理するときにそれに向けてスライスにするとか、いろいろな包丁が入っていくというのが適当な、一番理想的な方法のようであるけれども、そういう販売についての考え方。要するに地場でその辺の消費をきっちり進めていかなければ、これは今、コープでいっているが、将来に対して不安を持つのではないかと、そんな気がするけれども、その辺についてはどのようなお考えであろうか。

〇菅原農産物流通課長 今、委員おっしゃったように、今までのところは、どちらかと申すとやはり大消費地向けに販売していたところがある。しかしながら、やはり県内消費というか、県内の消費者にもよさを知っていただきながら消費を拡大していかなければならない、このような観点に立って、本年度、県産牛の普及定着とその消費拡大を総合的に推進するということで、いわて牛普及推進協議会というものと岩手短角牛生産流通協議会というものを一本化して、そして、いわて牛の売り込み方について強力な体制を整えながら県内消費を強化しているところである。
 例えば、新たに本年度事業として、県内のレストラン等との連携によっていわゆるランチメニューを開発して、そして、その中で値段のよさ、そしていわて短角牛が持つ、いわゆる健康にいいというところのすばらしさというものをパンフレット等で紹介しながら、あるいは県内企業への宅配、生産の農協と一緒に歩きながら、大きな企業のところにも宅配活動なども行いながら県内の消費を拡大していきたいと、このように考えておる。

〇佐々木(大)委員 その一つの方法として宅配をとられているということは、現在、私どもの方でもやっておるし、成果のあるものだと私も思っておる。直接宅配することになればスライスで持っていっても維持できるのであろうけれども、店頭に並べる商品にはふさわしくないということは認識すべきではないか、そんな気がする。
 あわせて、地元で消化できるような商品だということを認識してから販売していくというぐらいの気持ちが必要なのではないか。そうなると、県内の宅配とあわせて、給食に対する取り組みということも必要なのではないか。現在、給食における短角牛の実態はどうなっているのか、その辺をお伺いする。

〇菅原農産物流通課長 短角和牛の学校給食への提供であるけれども、平成9年であるが、産地を中心として、約1、000キロぐらいいろいろな学校でもって供給しているところである。今後もいろいろと機会を見つけながら、学校給食にいわて短角和牛のよさを宣伝とあわせていろいろと提供するようにしていきたいと、このように考えておる。

〇佐々木(大)委員 先ほど林業水産部の方で秋サケの給食のことが出ておったけれども、県内の学校88%を対象に80万食ほどをことしは予定していると。80万食というと、多分年間5回ぐらいの給食なのかなという感じであるが、逆に80万食に100グラムを掛けていけば8万キロぐらいになる。そうすると、多分300頭ぐらいを一遍に消費できるのではないか。そういう販路が見えてくるし、消費の成果というか、商品としての前段での評価の結果を得られるのではないか。秋サケでそこまでやっているので、これは明治の初期に入ってきた短角牛であるが、放牧することで生産できる非常に特徴のある地域の牛だと思っておる。この短角牛振興のために、秋サケで進めているような方法をも考えながら今後の振興策に取り組んでいただきたいと思う。

〇斉藤委員 できるだけ簡潔にお聞きするので、答弁も簡潔明瞭にお願いする。
 第1点は、昨年の自主流通米の米の暴落、そして、ことしの大幅な減反拡大の影響がどうなっているかということについて最初にお聞きする。
 去年の自主流通米の暴落は80億円の減収と試算されたが、農家経営にどういう影響が出ているであろうか。
 6、300ヘクタールの新たな減反拡大はどのような転作の形で活用されているであろうか。
 ことしの野菜の不作の実態はどうなっているであろうか。
 政府米の生産者米価について、また引き下げられた。60キロ当たり1万5、528円、これは何年前の水準となったであろうか。岩手県の米の生産費はどうであろうか。これと比較してどういう水準なのか示していただきたい。
 2つ目、米の関税化の問題について、千葉浩委員もこの問題で鋭い質問をしたけれども、私も関連してお聞きしたいと思う。
 全中農協グループは、みずからの大会決定でも地球的規模での食糧安全保障、環境保護などの実現のため、国内農業の持続的発展が可能な新たな農産物貿易ルールの確立を追求すると、こう決めて国民的な運動に取り組んできた。関税化は、米の完全自由化になるのではないか。私は、これは全中、農協グループの大会決定に全く反する動きだと思う。その背景には農水省のシナリオがあると思うけれども、完全自由化では本当に日本と岩手の農業が生き残れないのではないか。
 具体的に聞くけれども、世界の食糧情勢はどうなっているか。WTO協定というのは、自由貿易を最優先して、農業輸出国、このためのルールである。1996年の世界食糧サミットではどういう方向が提起されているか。11月21日にはFAOがこの問題に関連して見解も出しているが、承知しているであろうか。
 私は、岩手県の要望は、ちょっと抽象的であるが、2000年からのWTO協定の再交渉はWTO協定から米を外すと、こういう新たな公正なルールを確立する交渉にすべきだと思う。日本は食糧自給率42%、穀物の自給率では160カ国中110番目である。先進国では全く最低である。これを関税化したらもっと落ち込むのは目に見えているから、私は、こういう情勢に当たって、岩手県の農政部は、国内農業を守る、こういう立場でWTO協定の公正なルールづくりを求めるべきだと思うが、いかがであろうか。

〇河村生産調整対策監 米の暴落と減反拡大の状況についてお答えする。
 まず、9年産米の販売額については、6年産に比べて80億円の減収と試算されておるが、これを県内の標準的な米販売農家1戸当たりで見ると11万7、700円の減収である。米販売額が耕種農家は87万7、000円ぐらいあるので、それの13%ということになっておる。ただ、これに対して、国の新たな米政策確立円滑化対策費ということで、1戸当たり2万7、400円が本年9月に入ってきておる。したがって、その結果、減収額はおよそ9万円程度と考えておる。
 それから、生産調整の強化による減収についてであるが、米の減収額で、所得額ベースでは58億円と見ておる。生産額ベースでは97億円。それに対して、転作あるいは各種助成を入れると、大体39億円が補てんというか、カバーされているということで、差し引き18億円の減収と見込んでおる。
 それから、10年度に拡大された6、300ヘクタール分がどうなっているかという話であるが、転作作物の増加面積の多い順から申し上げると、飼料作物が2、400ヘクタール、大豆が370ヘクタールそれぞれふえておる。それから、野菜は200ヘクタール、花卉は120ヘクタール、ソバ等の雑穀は100ヘクタールなどの転作となっておる。

〇石川農産園芸課長 ことしの野菜の作柄についてお答えするが、本年は非常に不順な天候が続いて、野菜生産農家は非常に苦労の多かった年である。特にも7月中旬以降、長雨あるいは日照不足といった影響から、露地野菜を中心に湿害あるいは生育不良、腐敗などが発生して、8月、9月を中心にした野菜の系統出荷量は減少しておる。
 品目別に見ると、10月末現在であるが、系統出荷額が前年に比較してキュウリあるいはピーマンが4%から5%、レタスが14%、大根が8%、ネギが5%それぞれ減少したところである。

〇菅原農産物流通課長 ただいま委員の御質問にあった政府米の生産者米価についてであるけれども、何年前の水準となったかということであるが、平成11年米の政府米買い入れ価格は60キロ当たり1万5、528円と決定されたところで、これは、24年前の昭和50年産買い入れ価格の1万5、570円とほぼ同じ水準となっておる。
 それから、岩手県の米生産費はどうなっているかというお尋ねであるけれども、本県の米生産費は、平成9年度で家族労働費も含めて60キロ当たり1万5、243円となっておる。

〇仙石農政企画課長 世界の食糧情勢とWTO協定のことであるが、世界的な食糧情勢については、中長期的には逼迫することも懸念されるという見方もあるところで、可能な限り国内生産の維持あるいは拡大に努めていくことが重要であると存じているところである。
 なお、WTO協定については国際的な問題であり、国レベルにおいて論議され、あるいは外交交渉がなされるべきものと考えておるが、先ほど部長の方から申し上げたとおり、県としては政府予算要望等を通じて国の方へ要望しているところである。

〇斉藤委員 これは深追いしない。生産者米価が下がる中で、米を関税化しようとする動きは絶対許せない、今でさえ生産費を償えないわけだから。今の生産費は、資本利子、地代を全額入れると1万9、000円になるのである。そして政府米で買い入れない自主流通米は千葉委員が言われるようにもっと買いたたかれるわけだから、本当に生産費を償えない。こういう中で全面関税自由化をやったら、岩手の農業だけではない、本当に日本の農業は大変になるので、これはぜひ農政部長、本当に岩手県の米と農業を守るという点で、踏み込んでひとつ今後運動をやっていただきたい。
 次に、県産米を活用した学校給食の問題についてお聞きする。
 農水省はこれをカットするというので、私、3月の予算特別委員会でこれを取り上げたときに、吉永副知事はこういう答弁をした。最近米の消費が年々落ち込んでいる中で、米飯を中心とした日本型食生活の一層の普及を図っていくことが必要だと。私は、米を食わなければ日本人ではないと思っていると。米飯学校給食については、今まで以上にその維持拡大に積極的に努めてまいりたいと。私は、この意気込みでやっていただきたいとお願いしたが、千葉副知事に聞いたら、全然その気はないと。驚いた。
 それで改めて私は聞きたいと思う。先ほど林業水産部の審議で、林業水産部は1、330万円かけて学校給食に秋サケを活用している。そういうときに、天下の農政部が県産米を活用させる学校給食をやめるなどということは、本当に農政を考える、米の消費拡大を考える施策なのかと。私は、もう林業水産部以上に、米の消費拡大、とりわけ将来の消費拡大を考えるなら、学校給食でのおいしい県産米の活用は決定的要件である。私は、ぜひこれを農政部で事業化してもらいたいけれども、これは農政部長に聞きたい、いかがであろうか。

〇佐藤農政部長 学校給食用の米穀の値引き措置、これは11年度で終わりと、こういう措置であるが、これの国の振りかえとして県がやる、こういうことについての考え方はないということであるけれども、米飯学校給食が実質的に継続されるように、国に過般、要請もしておる。
 米飯の学校給食については、児童生徒、父兄を含めて、地域農業に対する理解、食べ物に対する関心、これをやはり深めていく必要があろうかと思っておる。新たな農業計画を、今、検討中であるけれども、例えば地域住民の農家の御協力のもとに1学校1体験農園を設置して、体験稲作、体験稲刈り、そういうような体験農業を通じて、米に対する大切さ、そういったことも取り入れていく必要があるのではないか。あるいは各地におられる食の匠、この方々の郷土食の提供、こういったことを通じて地域農業とのかかわり、これを実感していただく。地場でとれたものを地場の人たちと一緒になって収穫する喜び、栽培する苦労、こういったことを通じて農業に対する理解というものを深めていく必要があろうというふうにも考えておる。
 佐々木大和委員からもお話があったとおり、短角地域にあっては短角を学校給食を通じて消費するとか、具体的にやろうとすれば、岩手畜産流通センターでハンバーグを6万食つくれる。冷凍も可能である。そういったような形でぜひ取り組んでまいりたいと思っておる。
 また、当面、具体的な米飯の拡大については、国庫補助事業もあるし、それから県の農業担い手基金の助成事業あるいは米消費拡大推進の協議会の事業、こういったいろいろな手立てを通じて、新たな視点に立った消費拡大のための環境づくり、あるいは具体的な取り組みを手がけてまいりたいと思っておる。

〇斉藤委員 この問題の答弁はどうも歯切れが悪い。結局、今の国の値引き措置の削減、廃止によってどうなったかというと、23市町村で学校給食費が値上げである。回数を減らしたところもある。こういうふうに深刻になっているわけである。だから、振りかえということではなくて、米の消費拡大で林業水産部のように新たに事業化したらいいではないか。私は、林業水産部以上にこれはやってほしい。そして、本当に米の消費拡大をこの岩手で、特に子供たちにやっていただきたい。
 国の国庫補助事業というのはどういうものかというと、古米を活用させるという事業である。私はこれで確認してみた。そうしたら、岩手県の食糧事務所にはそういう動きは一つもなかった。当たり前である。こんな古米を食わせるような国の国庫補助事業ではだめなのである。岩手県産米のおいしいお米を活用して、すくすくと岩手の子供たちが育つと。ひとつそれを農政部長……。そういうことで頑張っていただくなら私は要望にとどめるが、そういうことでないというのであれば答弁を求める。

〇佐藤農政部長 一言だけ付言させていただくと、給食費の父兄負担の問題と米の消費拡大問題とは、私どもの立場としては切り離して考えさせていただきたいと思う。

〇斉藤委員 私が言っているのは林業水産部のようにやれということだから、そういうことで再度の要望になる。
 最後である。こういうものに本当に真剣に取り組む姿勢が弱い一方で、1、000億円を超える農政部の決算のうち、公共事業はどのぐらいの比率を占めているであろうか。
 そして、公共事業の重点化、効率化というのは農政部でどういうふうに取り組まれてきたのか。
 具体的な問題でお聞きする。これも簡潔でいい。
 国営馬淵川沿岸農業水利事業、これは私は以前も取り上げ、7割の農家が水を必要としていないというものであった。500億円規模の国営かん排事業であるが、その後見直したであろうか。どういうふうに見直されているかされていないのか。
 公共事業評価委員会にかけられた大野村と普代村にかかわる県営農地開発事業について、普代村の場合は大根連作障害で、また、大野村の場合も野菜の営農計画は立たないという声を聞くけれども、この事業の実態はどうなっているのであろうか。

〇仙石農政企画課長 公共事業の比率についてお答えしたいと思う。
 平成9年度の農政部の決算額において、公共事業の占める割合は66・9%となっておる。その額は797億7、796万円余りである。

〇永嶋農村計画課長 次に、公共事業の重点化についてお答えする。
 本県については、全国に比べて生産基盤、生活環境の整備が立ちおくれていることに加えて、農業従事者の減少、高齢化、さらに米価の低落、生産調整面積の拡大等の状況にあって、効率の高い農業生産の条件と魅力のある定住条件の整備のため、農業農村整備事業の果たす役割は大きくなっているのではないかと考えているところである。このことから、限られた予算を効果的に活用するため、担い手の育成や転作の集団化などに大きな役割を果たす圃場整備事業、それから、農村部の生活環境の基礎的条件である集落排水施設の整備、それから、県土の大部分を占める中山間地域の総合整備に重点的に取り組んでいるところである。
 引き続いて、馬淵川沿岸水利事業の御質問である。
 当事業の推進に当たっては、国は、集落懇談会等における農家の要望にこたえながら、今後着工されるパイプライン、揚水機場等の路線、位置について検討を行っているところで、弾力的な対応を行っているところである。今後とも県として、附帯県営事業である畑地帯総合整備事業等の実施と関連させながら、引き続き国に対して柔軟な事業の実施を要請していきたいと考えているところである。

〇高橋農村建設課長 普代村と大野村の農地開発事業の営農計画についてであるが、御指摘のとおり、普代村については、一時大根の単一栽培によってそうした連作障害という現象があったが、現在ではニンジンとかキャベツを中心とした輪作体系に切りかえて土地利用型の営農を実施しているところである。
 また、大野地区についても、当初の計画からいろいろ農業情勢も変化しておって、消費動向あるいは生産者の方々の意向を踏まえて、ホウレンソウ、コマツナ、シュンギクなどを主体とした野菜づくりに取り組んでいるところである。

〇斉藤委員 本当に最後の最後である。
 決算の66・9%が農業土木事業と、私は、ここに本当に今の農政のゆがみがあると思う。農家1人当たりの農業予算というのは、日本の場合、欧米の何分の1である。そして、その中で、さらに7割近くが農業土木事業になっている。欧米の場合は、何倍もの農家予算のうち8割以上は価格補償なのである。農業を守る予算なのである。私は二重のゆがみだと思う。その点で、先ほど米の消費拡大を取り上げたけれども、これだけの予算を効果的に使えば、農業の多面的な発展、価格補償、消費拡大、もっとどんどんやれると、このことを指摘して終わる。

〇高橋委員長 ほかに質疑はないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇高橋委員長 質疑がないようなので、農政部関係の質疑をこれで終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。
 本日はこれをもって散会する。
   午後3時56分 散 会


前へ 次へ