平成10年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成10年12月決算特別委員会会議記録(第1号)
   平成10年11月30日(月)
   

1開会  午前10時5分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長 佐藤嘉成
議事課長 藤沢重一
議事課長補佐 駿河 勉
主任議事管理主査 千田正和
議事管理主査 南 敏幸
議事管理主査 筒井則裕
議事管理主査 森 達也
議事管理主査 熊谷正則

1説明員
副知事 千葉浩一
 
出納長 高橋洋介
 
総務部長 吉田敏彦
総務部次長兼県立大学室長 和美宏幸
総務部次長兼行政システム改革室長 盛 合 桂三郎
総務学事課長 小野寺 禎 夫
人事課長 照井 崇
財政課長 千葉 弘
税務課長 山口一彦
消防防災課長 篠谷 隆
 
企画振興部長 武居丈二
企画振興部次長 竹内重徳
企画振興部次長 佐藤 勝
企画調整課長 上 野 賢一郎
地域政策課長 中村世紀
市町村課長 久保隆男
情報科学課長 黒 田 淳一郎
交通政策課長 河原畑 徹
資源エネルギー課長 名須川 定 男
 
副出納長兼出納局次長 石川 誠
総務課長 砂子沢 勝 男
出納課長 山火隆三
 
調査課長 吉岡朋子
 
監査委員 一戸克夫
監査委員 佐藤文子
監査委員 事務局長飛澤重嘉
総務課長 青木 拓
監査課長 小田中 善治郎
   

〇佐藤議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっておるので、年長の委員を御紹介申し上げる。出席委員中、藤原哲夫委員が年長の委員であるので、御紹介申し上げる。藤原哲夫委員、委員長席に御着席をお願いする。
   〔年長委員藤原哲夫君委員長席に着く〕

〇藤原年長委員 ただいま紹介された藤原哲夫である。何とぞよろしくお願いをする。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開く。
 これより委員長の互選を行う。委員会条例第7条第2項の規定により委員長互選の職務を行う。
 お諮りする。委員長の互選の方法については、指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、互選の方法は、指名推選によることと決定した。
 お諮りする。指名の方法については、当職において指名することにいたしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。
 決算特別委員長に高橋賢輔君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した高橋賢輔君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した高橋賢輔君が決算特別委員長に当選された。
 ただいま当選された高橋賢輔君が委員会室におられるので、当席から当選の告知をする。
 高橋委員長、委員長席にお着き願う。
   〔決算特別委員長高橋賢輔君委員長席に着く〕

〇高橋委員長 ただいま委員各位の御推挙により、決算特別委員長に御指名いただいて大変光栄に存じている次第である。委員各位の御協力によって責務を全うしたいと考えておるので、よろしくお願い申し上げたいと思う。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決定した。
 これより副委員長の互選を行う。
 お諮りする。副委員長の互選の方法については、指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇高橋委員長 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることと決定した。
 お諮りする。指名の方法については、当職において指名することにいたしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇高橋委員長 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。
 決算特別副委員長に藤原泰次郎君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した藤原泰次郎君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇高橋委員長 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した藤原泰次郎君が決算特別副委員長に当選された。
 ただいま当選された藤原泰次郎君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。
 藤原副委員長、ごあいさつを願う。

〇藤原副委員長 ただいま委員各位の御推挙により、決算特別委員会副委員長に御指名をいただき、大変光栄に存じておるところである。委員長を補佐し、委員各位の御協力をいただきながら、委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと存ずるので、よろしくお願い申し上げる。(拍手)

〇高橋委員長 お諮りする。当決算特別委員会に付託された決算12件についての審査方法であるが、お手元に配付してある日程案のとおり、本日から12月4日までの5日間は、出納長及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算12件に対する意見の取りまとめと採決については、12月4日の警察本部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決定した。
 これより議事に入る。認定第1号平成9年度岩手県一般会計歳入歳出決算から認定第12号平成9年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計歳入歳出決算までの12件を一括議題とする。
 これより高橋出納長に決算の総括説明を求める。

〇高橋出納長 平成9年度歳入歳出決算について御説明を申し上げるが、御説明に入る前に、まことに恐縮ではあるが、平成9年度歳入歳出決算説明書の中に誤りがあったので、御訂正をお願いいたしたいと思う。訂正箇所については、お配りをした正誤表のとおりであって、63ページの繰越額の状況の表中、工事の進捗状況に一部脱漏があったものである。おわびを申し上げ、訂正をお願いする。
 それでは、決算の概要について御説明を申し上げる。
 平成9年度の予算は、第三次岩手県総合発展計画後期実施計画の基本方向に基づいて編成され、一般会計の当初予算は8、764億6、486万円余で、前年度の当初予算と比べて693億2、747万円余、8・6%の増となったところである。この当初予算に公共事業及び県単独事業の追加など74億5、119万円の追加補正が行われ、さらに前年度からの繰越事業費458億9、582万円余を加えた結果、予算現額は9、298億1、187万円余となって、前年度に比べると202億8、912万円余、率にして2・2%の増となったものである。
 お手元に配付しておる歳入歳出決算事項別明細書・実質収支に関する調書の387ページをお開き願いたいと存ずる。ただいま申し上げた予算現額に対する決算額は、一般会計の歳入総額は9、048億2、980万円余、歳出総額は8、883億2、147万円余であって、歳入歳出差し引き額は165億833万円余となったものである。また、歳入歳出差し引き額から翌年度へ繰り越すべき財源155億5、140万円余を差し引いた実質収支額は9億5、693万円余の黒字となったところである。
 次に、歳入歳出決算書の2ページと3ページをお開き願いたいと思う。まず、歳入についてであるが、収入済額は9、048億2、980万円余で、前年度に比べると221億8、569万円余、2・5%増加して、収入済額の割合は予算現額に対して97・3%、調定額に対しては99・8%となっておる。
 なお、収入未済額は16億8、349万円余で、前年度に比べて3億1、431万円余増加したが、この収入未済額の主なものは県税である。
 次に、4ページ、5ページの歳出についてであるが、支出済額は8、883億2、147万円余で、前年度に比べると252億3、722万円余、2・9%増加し、予算現額に対する支出済額の割合は95・5%となった。
 また、翌年度繰越額は407億9、959万円余で、前年度に比べて50億9、622万円余減少したが、この繰越額の主なものは農林水産業費及び土木費である。
 なお、不用額は6億9、081万円余で、前年度に比べて1億4、812万円余増加した。
 以上、一般会計の決算の内容について御説明を申し上げたが、その特色としては、第1には、決算の規模は拡大したが、伸び率は低下をしたということである。決算規模は、県立大学の整備等、県単独事業に積極的に取り組んだ結果、前年度に比べて歳入で221億8、569万円余、歳出で252億3、722万円余増加したが、伸び率は、歳入が2・5%、歳出が2・9%と、いずれも前年度を下回ったものである。
 第2には、実質収支、単年度収支とも引き続き黒字となったことである。依然として厳しい財政環境のもと、歳入の確保、歳出の効率的な執行に努めた結果、実質収支では9億5、693万円余、単年度収支では1億2、676万円余と、前年度に引き続き、ともに黒字となったものである。
 第3には、自主財源が増加し、その構成割合が高まったことである。県税は前年度に比べて1・3%の増と伸び率が減少したが、繰入金が前年度に比べて126億6、649万円余、91・7%と大幅に増加したほか、地方消費税の導入に伴って、地方消費税清算金が59億4、468万円余皆増したこと等によって、自主財源が前年度に比べて151億495万円余、5・5%増加した。これにより歳入総額に占める自主財源の構成割合は31・8%となって、前年度の30・9%を0・9ポイント上回ったものである。
 特色の第4には、県単独事業費が大幅に増加したことである。普通建設事業費などの投資的経費は、前年度に比べ211億8、232万円余、6・0%増加したが、中でも県単独事業費は前年度に比べて322億1、383万円余、23・5%と大幅に増加して1、694億9、140万円余と、過去最高額となったものである。
 第5には、繰越額が多額となったことである。翌年度に繰り越した金額は407億9、959万円余で、前年度に引き続き多額となったが、これは、国の補正予算に対応して追加補正された公共事業などが、設計及び工法の検討に不測の日数を要したこと等により繰り越しとなったことによるものである。
 以上、一般会計決算の特色を申し上げたが、次に、母子寡婦福祉資金特別会計ほか10会計の決算内容について御説明を申し上げたいと思う。
 特別会計歳入歳出決算総括表により御説明を申し上げるので、歳入歳出決算書の20ページ以下をお開き願いたいと思う。母子寡婦福祉資金特別会計ほか10会計の歳入合計額は、25ページに記載のとおり470億3、320万円余であり、収入未済額は14億5、241万円余となったが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計における中小企業高度化資金の償還金などである。
 歳出合計額は、28ページに記載のとおり440億8、755万円余であって、各会計とも実質収支は黒字となったものである。
 以上で決算の概要説明を終わるが、お手元に歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、説明資料として歳入歳出決算説明書をお配りしておるので、御参照いただきたいと存ずる。
 なお、決算内容の詳細については、審査日程に従って、それぞれ担当の部局長から説明申し上げることとなっておる。
 また、監査委員から御意見のあった事項のうち、措置を要するとされたものについては、既に関係部局において所要の措置を講じているところである。会計事務の適正な執行については、今後とも各部局への指導、適切な出納審査等を行うなど、その万全を期してまいりたいと存じておる。
 よろしく御審議の上、御認定くださるようお願いを申し上げ、説明を終わらせていただく。

〇高橋委員長 これより総括質疑に入る。
 最初に代表質疑を行う。代表質疑は、議会運営委員会の申し合わせにより、自由公明県民会議、自由民主党・県民クラブ、政和会、社会民主党の順に行う。発言時間は、答弁を除き1人30分以内となっておるが、会派の発言時間に残時間があるときは、その範囲内で当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっておる。
 なお、世話人会の申し合わせにより、平成9年度決算の審査であるので、当該年度に関する質疑とされたいこと、質疑項目が複数ある場合は、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については、簡潔、明瞭に行い、議事進行に御協力されるようお願いする。
 これより代表質疑に入る。

〇佐々木(一)委員 自由公明県民会議の佐々木一榮である。会派を代表して、平成9年度の決算について総括的に質問をさせていただくので、よろしく御答弁をお願いする。
 さて、我が国経済は、バブル崩壊後長引く不況から脱却することができず、今もって長いトンネルから抜け出せない状況にあり、本県においても非常に厳しい経済状況、そして財政状況下での増田県政3年目の平成9年度予算であったと認識をしておる。少子・高齢化、産業構造や就労環境の変化、人々の価値観の多様化など戦後50年を経過し、成長、発展から成熟社会に入ったと言われ、地方分権が議論される中、平成9年度の県政の置かれた状況をどのように位置づけられ、施策の展開に当たられてこられたのかお伺いするとともに、3県総後期実施計画策定後の2年を振り返って、どのように評価されているのであろうか、あわせてお伺いする。

〇千葉副知事 平成9年度の県政の状況についてであるけれども、国においては各種の構造改革に着手する一方、秋には金融機関の経営破綻が明らかとなり、景気の減速がさらに進むなど、本県を取り巻く状況は大変厳しいものがあったところである。21世紀を展望し、このような状況に的確に対応するため、行政機構の大幅な再編整備や新しい総合計画の策定などに取り組んだほか、3県総後期実施計画の重点事業を中心に、施策の積極的な展開に努めたところである。
 以下、その主な施策の状況であるけれども、まず、県土の整備についてであるけれども、広域的な交流を促進する交通体系の整備や上・下水道の整備など、生産、生活両面にわたる基盤整備に努めたところである。特に高速交通網については、新交流ネットワーク道路の整備を推進するとともに、東北横断自動車道北上-秋田間の開通、花巻-那覇、花巻-新潟間の航空路線の新規開設など、その整備が一層促進されたところである。また、北東北知事サミットの開催など、他県との広域的な交流、連携を深めたほか、地域活性化事業調整費の拡充などを通じて、市町村を初めとする各主体が多様な連携を進める環境づくりに努めたところである。さらに、イーハトーブ情報の森構想や新エネルギービジョンを策定したほか、環境の保全と創造に関する基本条例を制定するなど、情報化の推進や本県のすぐれた環境と景観の保全、創造にも積極的に取り組んだところである。
 次に、産業の振興についてであるけれども、農業については、全国和牛能力共進会を開催したほか、大区画圃場等の生産基盤の整備、農業研究センターの整備拡充を図るとともに、グリーン・ツーリズムなどの地域の特性を生かした取り組みを促進したところである。林業については、担い手の育成や労働力の確保、県産材の安定供給体制の整備や需要拡大などに努めたほか、水産業については、全国豊かな海づくり大会を開催するとともに、ヒラメ、マツカワなどの魚類栽培を推進したところである。商工業については、県立産業技術短期大学校を開校したほか、特定地域産業集積活性化計画の推進など産業基盤の整備に努めるとともに、ベンチャー企業等の育成に向けた環境整備を図るなど、地域経済の活性化に努めたところである。また、観光については、魚彩王国を初めとする四つの王国など、各種キャンペーンの展開によって観光客の誘致拡大に取り組んだところである。
 次に、福祉の充実についてであるけれども、保健医療については、国立がんセンターと県立中央病院との情報ネットワーク化、沿岸地域への救命救急センターの整備を推進するとともに、県立久慈病院の新築移転、高田病院の増築を完了したところである。社会福祉については、人にやさしいまちづくりの一層の推進、地域におけるボランティア活動への支援などに取り組んだところである。
 次に、人づくりについてであるけれども、岩手県立大学の開学に向けてその整備に万全を期したほか、生涯学習、情報教育の推進に努めたところである。また、いわて銀河国体を開催するとともに、インターハイに向けたスポーツ施設の整備を進めたほか、県立美術館の整備に向けて取り組んだところである。なお、平成9年度においては、全国豊かな海づくり大会、日本文化デザイン会議など多くのイベントが開催され、これらを通じて本県の魅力を内外に発信することにより、イメージアップが図られたものと考えているところである。
 以上、平成9年度における成果の一端について申し上げたところであるが、このほかにも各分野において積極的な施策の展開を図ったところであって、県勢は着実に発展しているものと考えているところである。
 なお、3県総後期実施計画においては、330の重点事業を掲げたところであるけれども、平成9年度末までに既に316事業に着手しておって、その着手率は95・8%となっておって、おおむね順調に進捗しているものと考えているところである。

〇佐々木(一)委員 次に、本県の経済状況の認識と施策についてお伺いする。
 平成9年度の本県経済は、前年度には回復基調にあると言われたものの、その兆しは一向に見えず、逆に景気は後退局面に置かれた。金融、証券会社の整理統合や倒産など国民不安が高まり、設備投資の減少やリストラ、企業倒産なども増加し、現在なお戦後最悪と言われる経済状況下にある。そこで、お尋ねするが、本県の経済状況をどのように把握され、また施策として対応されてこられたのかお伺いする。 
 また、公共事業のあり方について、国、地方においても議論されておるが、平成9年度における県内公共事業は本県経済にどのような効果をもたらしたと分析されておられるのかもお尋ねする。

〇武居企画振興部長 平成9年度末の我が国の経済については、消費税引き上げによる駆け込み需要の反動減、あるいは消費税率の引き上げ、特別減税の終了等の影響、さらには企業のバランスシートの調整のおくれ、それから秋以降の金融機関破綻による金融システムへの信頼低下、あるいはアジア各国経済の混乱等が要因となって、景気は足踏み状態になっておる。
 本県の景気動向について見ると、大型小売店販売額及び鉱工業生産指数は12月までは前年水準を上回って推移したものの、その後、前年水準を下回ったほか、乗用車新車登録台数及び新設住宅着工戸数はほぼ年度を通じて前年水準を下回ったところである。さらに、有効求人倍率は6月以降連続して低下するなど、本県経済は年度前半までは回復過程への復帰の動きが見られたものの、後半に徐々に減速し停滞に向かったものと認識しておる。平成9年度においては、こうした経済動向を踏まえ、現下の県内景気に留意し、地域経済、県民生活の安定に努めるとともに、将来を見据え、県勢発展を図るための施策推進に努めたところである。
 具体的には、まず中長期的な視点については、国境を越えた地域間競争の激化が進む中で地域経済を活性化していくために、まず高度情報化の推進と情報発信機能の充実強化、それから2点目としては、地域の連携、交流の促進、それから3点目として国際的視野に立った地域経済の振興を予算編成の三つの重点課題として、情報通信網や交通網などの社会資本や産業基盤の充実に努めながら、各種試験研究機関の機能の一層の充実や、産学官の連携強化などを通して各産業の高度化を促進するとともに、創造的な事業活動を行う意欲的な人材の育成、支援に努めるなど各種施策の推進に努めてきたところである。
 本県の景気動向への対応については、平成9年度を振り返ると、まず平成9年度に入る前の平成8年度の2月補正予算において、公共事業の補正追加--これは271億900万円であったが--を行って、発注時期の平準化を行い切れ目のない予算執行を図る、いわゆるゼロ国債、ゼロ県債を設定したところである。また、公共事業の予算を可能な限り早急に本県経済に注入するため、平成9年度における公共事業の上半期の契約目標率を80・0%、目標額にして1、920億8、000万円ということで、過去最高であったが、これを設定し、公共事業の早期発注に取り組んだところであって、上半期の契約率80・0%の目標を達成したところである。
 さらに、本県の経済状況に対処し景気の回復を図るため、国の景気対策に呼応して平成9年度の2月補正予算を編成して、公共事業の補正追加--額にして124億5、300万円であったが--を行うとともに、ゼロ国債、ゼロ県債の設定、さらには中小企業の資金提供を円滑にするための中小企業対策等の対策を講じたところである。
 それから、公共事業の経済効果についてであるが、ただいま申し上げたようなさまざまな施策を実施した結果、平成9年度末の県公共事業の契約実績を見ると、本工事費額ベースで過去最大の2、426億7、200万円が契約済みとなっているところである。これを産業連関表により試算すると、建設業に対する直接効果及び建設資材等の生産流通を通じての他産業に対する間接的生産誘発効果を合わせた第1次波及効果が約3、455億円、また雇用の新たな創出や所得の拡大に伴う生産誘発効果である第2次波及効果が約500億円となっておって、これらを合わせると本工事費の1・63倍、本県の県内総生産、これは手元にあるのが平成8年度の実績になるけれども、これが4兆7、300億円であったので、ちょっとベースは若干違うが、これと比較すると約8・3%に当たる3、955億円の経済波及効果があったものと見込まれるところである。

〇佐々木(一)委員 次に、財政関係についてお尋ねする。
 平成9年度の一般会計歳入歳出決算を拝見すると、前年度比、歳入で2・5%、歳出で2・9%増と、歳入歳出とも前年を上回る決算規模であり、ここ5年間を対比すると、平成7年度を除き年々その決算規模は拡大し、あわせて県債の決算額は1、633億7、700万円と、昨年度より9%増加し、歳入総額に占める割合は18%と、地方交付税の27・4%、国庫支出金の22・1%に次ぐ比率である。そこでお伺いするが、国、地方とも厳しい財政環境状況の中、平成9年度決算全体をどう分析され、また本年度も国の経済対策に対応した補正予算を編成したことに伴い、前年より厳しい決算を強いられると考えるが、分析結果をどのように現在展開されているのであろうかお尋ねする。

〇吉田総務部長 平成9年度の決算の分析についてであるが、平成9年度の決算の状況を見ると、県税収入は、地方消費税の創設あるいは個人県民税に係る特別減税が終了したということに伴って46億円、3・7%の増になっておる。また、地方交付税も前年度を上回って35億円、1・4%の増になっておると。また、県債が大幅に増加して、これは179億円、11・8%の増ということであって、こういった状況から依然として厳しい財政環境にあったと認識しておる。歳出面を見ると、県立大学の整備とか、あるいは東北新幹線建設の事業負担金など普通建設事業が増加したということであって、前年度に比べ241億8、400万円、2・8%の増加となったということである。
 財源確保対策としては、歳入の面では使用料、手数料の見直しを行って、58件、約1億200万円の増収である。それから、法人県民税の超過課税は従来どおり100分の5・8で継続しておる。それから、歳出面ではマイナスシーリングを行って、経常経費を7・5%カットして13億2、800万円の歳出カットをしておる。このうち県単独補助金の整理合理化であるが、79件の整理合理化をしておる。額にして55億7、500万円ということであるし、それから県単独事業の見直しは42件であって、額にすると43億3、600万円ということである。
 そういったことによって財源確保に努めたところであるが、一方、新規施策としては、高度情報化推進事業を行ったり、あるいは地域農業経営確立総合対策事業、これは2億7、300万円と、それから岩手県防災情報システムの整備事業、これは3億円など、こういった43件の主要施策の重点事業を新規に予算化したし、そういったことなどによって県勢の着実な発展のために鋭意努力したということである。
 それから、財政構造について若干申し上げたいと存ずるが、東北6県などと比較して本県の状況を見ると、自主財源比率であるが、これは東北6県中、残念ながら31・9%ということで第5位と。東北平均が35・9%である。それから、一般財源比率、これは第6位であって、41・8%。東北平均が44・5%ということである。それから、経常収支比率、これはいい指数であるが、東北第1位、84・4%ということであって、東北平均の86・9%を下回っているということである。それから、義務的経費比率、これもいい数値になるわけであるが、第1位ということであって、35・5%ということで、東北平均の38・5%を3ポイントほど下回っているということである。それから、公債費比率であるが、これも東北の真ん中くらいということであって、公債費比率は16・4%ということである。東北平均が16・6%であるので、若干下回っていると。それから、普通建設事業費の割合、これは高い方でいい数値であるが、42・1%ということである。東北平均が38・3%であるから、これも4ポイント弱上回っているということである。それから、県単独普通建設事業費の割合、これも高い方のいい数値になっておって19・7%、東北平均が15・9%であるので、相当程度上回っているということである。これらの結果は、本県の財政構造が依然として脆弱ではあるが、財政運営に当たっては、財源の確保に努めて経常経費を可能な限り節減して、社会資本の整備を積極的に推進して、限られた財源を重点的かつ効率的に配分するということに努めた結果であって、東北各県と比較してもおおむね良好な状態にあると考えておる。
 なお、県財政は、平成10年度においても続いて厳しい財政環境にあるけれども、行財政システム改革指針などに沿って行政運営の簡素合理化を進めながら、今後とも健全な財政運営に努めてまいりたいと、このように考えておるところである。

〇佐々木(一)委員 次に、一般会計の繰越額についてお尋ねする。
 平成8年度から平成9年度への繰越額は、124事業、459億円であって、平成9年度から本年度へは102事業、408億円であり、若干繰越額は減少しているものの、理由を見ると、先ほど御説明あったとおり、計画調整に不測の日数を要したためが多く見られるが、この点については今年度はどういう状況にあり、過去2カ年の経験をどう生かされていくのかお伺いする。

〇千葉副知事 一般会計の繰り越しについてであるけれども、過去2カ年の一般会計の繰越事業226事業のうち、計画調整に不測の日数を要したことによって翌年度へ繰り越した事業数は127事業で、その額は527億円余となっているものである。その主な事例であるけれども、事業計画の関係機関や地元との調整、農業振興地域や保安林解除などの手続、あるいは圃場整備事業や河川事業など他の事業との調整に不測の日数を要したものである。今年度の事業の執行に当たっては、過去の経緯を踏まえて関係機関や地元との調整、保安林解除などの許認可手続を早期に行うなど、事業の計画的な執行に配意して、極力年度内完成に努めてまいりたいと考えておる。

〇佐々木(一)委員 次に、県債についてお尋ねする。
 県民1人当たり約70万円の借金を抱えていると言われる県債残高は、平成10年度末で予算規模を上回る1兆円超の状況にあることは周知のとおりであるが、税収の減収が予測され、財政非常事態を宣言せざるを得ない自治体もある昨今の状況の中で、今後どう対応されていかれるのかお伺いする。
 また、本年度からの公共事業コスト10%削減や外部委託、OA化推進による総人件費の抑制、事務事業の見直しを行うための新たな評価基準などを柱とした行財政システム改革指針は、今後、決算にどう効果があらわれてくるとお考えかお伺いする。

〇吉田総務部長 県債のお尋ねであるが、地方財政は、近年、地方税とか地方交付税の低迷によって極めて厳しい状況にあることも先ほども申し上げたが、本県においては、活力に満ちた地域社会の形成のため、生活、生産両面にわたる基盤の整備を積極的に推進してきたところであって、特に平成4年度以降の数次にわたる国の経済対策に呼応して公共事業等を積極的に実施してきたこととか、あるいは東北新幹線盛岡以北の整備とか県立大学の開設など、県民の福祉の向上のための単独事業などを積極的に行ってきたということであって、その場合には県債を活用しながら実施してまいったという結果、県債残高は平成10年度末で1兆円を超えるものと見込んでいるところである。地方財政は引き続き大幅な財源不足が見込まれておる。本県においても、自主財源の大宗をなす県税とか地方交付税の伸びに余り期待できないということで、引き続き厳しい財政運営が見込まれるということであって、事務事業の見直しを一層進めて歳出の縮減と合理化を図る一方、優先度あるいは緊急度を考慮しながら、今後においても、財政健全化の目標としている財源対策債以外の県債の抑制を図りながら、一方で県債の導入に当たっては、可能な限り後年度に交付税措置のある優良な県債を選択的に活用して、健全財政の維持に努めてまいりたいと考えているところである。
 行財政システムの改革指針の効果である。行財政システム改革指針は、本県の行財政を取り巻く環境が今後とも一層厳しさを増すということであるので、県の行財政システムを、変化の極めて厳しい現下の経済社会情勢とか新たな行政課題にも的確に対応するため、機動的で効率的なものに改革するため平成9年10月に策定したところである。特に財政運営面の改革においては、6項目の基本的な考え方、それから改革のための具体的な方策を定めて、平成10年度当初予算から指針を踏まえた予算編成を行ったところである。基本的な考え方としては、歳出予算総額の抑制、それから県債発行額の抑制、行政、民間の役割分担の明確化、それから行政分野ごとの施策の重点化、部局横断的な課題への全庁的取り組み、スクラップ・アンド・ビルドの原則の徹底といったことなどを原則として編成したものである。その結果、平成10年度当初予算の対前年度伸び率をマイナス3・8%とするとともに、県債依存度の縮減、財政調整基金等3基金の残高の確保に努めたところである。また、事務事業評価システムの導入に当たっては、廃止・縮減事業255件、事業費92億8、400万円を縮減したし、それから県単補助金についても零細補助金、継ぎ足し補助金等の整理合理化を行って、48件、1億3、100万円を縮減した。それから、大規模県立施設の建設抑制などによる歳出抑制、使用料、手数料等の設定、改定などによる財源の確保に努めたところである。
 一方においては、医療費助成とか保育施設の拡充、あるいは県民福祉の充実を図るべき分野や、住宅とか下水道等の県民の身近な基盤の整備など優先度、緊急度の高い施策については重点的な予算の配分を行ったところである。
 今後においても財政環境には厳しいものがあるので、当該指針に沿いながら、不断に事務事業の見直しを行って、事業の重点化、効率化等を進めて健全財政に配慮しながら、県民福祉の一層の向上に努めてまいりたいということである。

〇佐々木(一)委員 関連して県内59市町村の地方債についてお尋ねをする。
 県内市町村の地方債残高は、平成9年度末合計で約6、875億円の見込みであり、先ほど申し上げた県債と合計すると県民1人当たり約100万円以上の借金となるわけである。公債費比率が15%になると財政硬直化を示すと言われ、全国の31%の市町村がこれを超えているとのことであるけれども、本県における市町村のその実態はどうであろうか。
 また、このことに関し市町村の指導、と言っても最終的には市町村の決定にゆだねるわけであるけれども、市町村へはどういう具体的指導をされているのであろうかお尋ねする。

〇武居企画振興部長 県内市町村の地方債の状況についてである。
 県内市町村の地方債残高については、地方財政全体の財源不足や数次にわたる国の経済対策等を背景にして、地方単独事業などの実施のための地方債を増発してきたことで増加してきておって、一方では景気の低迷などによって地方税や地方交付税などの一般財源が伸び悩んできた結果、財政構造の弾力性を分析する公債費比率は、国の経済対策が始まった平成4年度以降徐々に上昇し、平成9年度では14・9%となっておって、財政運営上注意を要するとされる15%に近づいている状況である。市町村を個々に見ると、既に15%を超える市町村が33団体となっておって、また20%を超えた団体はないが、これに近い団体も見受けられる状況にあって、今後の推移には十分注意を要するものと考えておる。
 県としては、市町村財政の健全性を中長期的に確保するために、公債費比率を適正な水準に維持することも重要であることから、市町村が事業の厳選と重点化や公共事業のコスト縮減などに厳しく取り組むとともに、地方債の導入に当たっては、交付税措置のある優良な起債の活用に努め、自主的、自律的に財政健全化を一層進めるよう指導してきておって、今後も財務事務視察、あるいは財政事情調査などを通じて、きめ細かく指導助言してまいりたいと考えておる。

〇佐々木(一)委員 15%以上、33団体ということで、20%に近い団体もあるということであるので、ぜひ今後とも十分な連携をとって、市町村の指導をお願い申し上げたいというように存ずる。
 次に、福祉行政についてお尋ねする。
 まず初めに、第3の国民保険制度として2000年4月にスタートする介護保険制度に対する準備状況についてお尋ねする。
 保険者たる市町村による介護保険の説明会や広域での推進協議会の発足など、来年10月の介護給付申請の受け付けを控えて各地でその対策に懸命であるが、地元の首長方から多くの不安が聞かれ、自信を持ってやれる方はないのではという声も聞かれる。恐らく保険あってサービスなしという苦情がもろに市町村にはね返ってくることも予想されるし、財源問題による市町村格差の心配もある。そこで、お伺いするが、県として現在の介護保険制度の施行準備状況を保険医療圏域ごとにどう認識され、準備状況がおくれていると思われる市町村とは今後どう連携を図っていかれるのかについてお尋ねする。

〇千葉副知事 介護保険の準備状況であるけれども、平成12年4月の制度の施行に向けて、介護保険事業計画の策定に必要な実態調査の実施、あるいは介護認定審査体制の整備、介護支援専門員の養成、事務処理システムの整備等の準備を進めているところである。市町村によっては、認定審査に当たる学識経験者の確保や安定的な保険財政の運営などの面で個々に対応することが困難なところもあって、複数の市町村による広域的な取り組みを進めているところである。また、高齢者保健福祉圏域ごとの制度の施行準備状況については、現段階では大きな差異はなく、ほぼ順調に進捗していると受けとめているところである。いずれにしても、今後とも市町村の準備が円滑に行われるように、地方振興局を窓口としてきめ細かな支援を行ってまいりたいと考えておる。

〇佐々木(一)委員 圏域ごとによってさまざまな課題があるようである。広域連携と言っても、中には独自でという声も聞かれておるし、ぜひこれは--いいか悪いか別にして--地方振興局と市町村と十分な連携を取り合って、最後は住民に返ってくる問題であるので、その辺を御要望しておきたいと思う。
 次に、関連して新ゴールドプランの施設整備目標に対する施設整備達成率が全県でどうなっているか、状況についてお伺いする。
 また、県内の保健医療圏ごとには、どのくらいの達成状況になるのかお尋ねする。
 あわせて、ホームヘルパーの現状についてもお知らせいただきたいと思う。

〇千葉副知事 新ゴールドプランの達成率等であるけれども、県の高齢者保健福祉計画における施設の整備の達成状況については、平成9年度末現在、特別養護老人ホームは、整備目標4、230人定員に対して72施設、4、250人の定員で100・5%となっておる。また、老人保健施設は、整備目標4、400人定員に対して38施設、3、324人の定員、75・5%。デイサービスセンターは、整備目標200カ所に対して119カ所、59・5%。ショートステイ専用居室は、整備目標720床に対して699床、97・1%となっておる。
 また、高齢者保健福祉圏域ごとに見ると、特別養護老人ホームは、岩手中部、両磐、宮古、久慈、二戸の各圏域で整備目標を達成しておる。盛岡、胆江、気仙、釜石の圏域でも90%以上の達成状況となっているところである。老人保健施設は、盛岡、久慈、両磐の圏域で順調に整備が進んでおるけれども、胆江、気仙、宮古、釜石の圏域では整備のおくれが見られるところである。なお、老人保健施設については、平成10年度の着工ベースでは、整備が著しくおくれていた圏域もなくなるものと受けとめているところである。
 次に、ホームヘルパーについてであるけれども、県の高齢者保健福祉計画の目標値1、200人に対して、平成9年度末で848人、進捗率で70・7%となっておる。また、圏域別では、気仙、二戸、両磐圏域等が比較的順調に整備が進んでいるものの、盛岡、岩手中部で進捗におくれが見られる。今後においては、ホームヘルパー資格者の不足が見込まれる地域において、重点的にその養成に努めるほか、平成12年度からの介護保険制度への移行を踏まえて、JA等地域に密着した各種団体や民間事業者の参入等についても積極的に働きかけてまいりたいと考えておる。

〇佐々木(一)委員 次に、在宅介護についてお尋ねする。
 高齢者保健福祉実態調査によると、県内の在宅要援護老人数は約1万5、000人であり、65歳以上のひとり暮らし老人は約2万1、000人と伺っておる。厚生省の国立社会保障・人口問題研究所の日本の世帯数の将来推計では、2020年--平成32年度には9世帯に1世帯の割合で65歳以上の高齢者がひとり暮らしをしているとの推計をまとめたところである。現在、本県の世帯数は47万世帯であるから、高齢化率から考えても最低5万5、000世帯がひとり暮らしとなり、現在の盛岡市の全世帯数の半分がそれに匹敵する世帯数である。
 質問がちょっと飛んだけれども、本題に入る。在宅看護の拠点となる県内の訪問看護ステーションの整備状況は、目標に対して現在どういう状況であろうか。また、達成率が低いとされる場合には、何が原因とお考えであろうか。
 あわせて、訪問看護ステーションの看護婦数、保健婦数はどういう現状であろうかお伺いする。

〇千葉副知事 訪問看護ステーションの整備の状況であるけれども、平成9年度末で17カ所となっておる。平成11年度までの整備目標数70カ所に対して24・3%の達成率となっているところである。目標に対する達成率が低い原因として、利用者が広域に点在していることなどから、採算面で医療法人等事業予定者が経営に不安を抱いていることが考えられるところである。
 県内の訪問看護ステーションの看護婦と保健婦の数であるけれども、看護婦84人、保健婦10人、このほかに理学療法士、作業療法士合わせて10人が配置されており、1施設当たり平均4・5人の配置となっているものである。訪問看護ステーションは在宅サービスの重要な柱であるから、医師会や看護協会等の関係機関と連携を図りながら、一層の整備を促進してまいりたいと考えておる。

〇佐々木(一)委員 積極的な支援をお願いしたいと思う。
 次に、環境問題についての取り組みについてお尋ねする。
 まず、ペットボトルやガラス瓶、罐、紙パックなど7品目を対象として市町村に分別収集を義務づけ、一部は企業に再商品化を義務づけたリサイクル法が施行されて1年が経過したが、本県における取り組み状況をお伺いする。
 また、都市部では回収率が高く、地方では低い傾向と言われているが、どういう状況であろうかお尋ねする。
 あわせて、県内の建設事業によって発生するコンクリートやアスファルト、木材、プラスチック等の建設廃材の再利用の状況はいかがであろうか。再利用率が低いとすればその要因をどう認識され、どういう対策が必要とお考えであろうかお尋ねする。

〇千葉副知事 まず、容器包装の関係であるけれども、分別収集の取り組み状況は、本県では全市町村が9年度を初年度とする5カ年の市町村分別収集計画を平成8年度に策定しているところである。平成9年度は、ガラス瓶3種類、ペットボトル、スチール罐、アルミ罐、紙パックの7品目すべての分別収集を実施したのは12市町村である。それから、2から6品目の分別収集に取り組んだのは、36市町村と計画した48市町村すべてで計画どおりの分別収集が行われたところであり、平成11年度までには県内59市町村が全部または一部の品目の分別収集を実施する計画となっておるところである。
 次に、都市部と地方との回収率の傾向についてであるが、都市部を市、地方を町村として、平成9年度の計画収集量に対する収集達成率は、品目別にばらつきが見られるけれども、全体的に町村が高いという結果になっておる。しかし、市町村によって分別収集の開始時期が異なったことから、この実績だけで正確な比較や傾向を読み取ることは困難な状況である。
 いずれにしても、容器包装廃棄物を円滑にリサイクルするため、県内状況を把握分析するとともに、効果的な事例を収集し、市町村に情報提供するなどしながら、より一層の分別収集実績の向上に努めてまいりたいと考える。
 次に、建設廃材の再利用の関係であるけれども、民間工事を含む県内建設事業から発生する建設廃棄物の再利用の状況は、最新の資料である平成7年度の建設副産物実態調査によれば、コンクリート塊が21%、アスファルト塊が48%、そして建設発生木材・プラスチック等建設廃棄物の再利用率は10%未満となっておる。
 なお、平成9年度の建設省所管建設工事から発生する建設廃棄物の再利用率は、コンクリート塊が80・9%、アスファルト塊が86・8%となっておる。
 建設廃棄物の再利用の推進については、公共工事コスト縮減対策の重点施策の取り組みのみならず、すぐれた自然環境や景観の保全、そして、限りある資源の有効活用による資源循環型社会の構築という観点から、建設副産物対策の3本柱である発生の抑制、再利用の促進、適正処理の推進を基本方針として、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えておる。
 また、再利用率の低い建設発生木材等については、関係機関との連携を深めながら、チップ化の可能性など、再利用化などについて検討してまいりたいと考えておる。

〇佐々木(一)委員 次に、農業用廃プラスチックについてであるけれども、県全体の排出量が2、670トンで、その約半分が焼却されていると伺っておる。ダイオキシンの発生が懸念されているが、処理費用については、排出者責任の原則に基づき農家負担となっており、市町村によっては処理費用の助成を行っているところもあるが、県ではこうした処理の現状をどう把握されておられるのであろうか。
 長野県などではトウモロコシのでん粉を原料とした自然分解する資材も既に利用されていると聞いているが、県として、今後、適正処理に向け、どう進めていかれるのかお尋ねする。

〇千葉副知事 農業用廃プラスチックについては、これまで焼却、埋め立てなどによって処理されており、特に個人での焼却割合が多い実態にあったけれども、昨年のダイオキシンの削減を中心とした廃棄物処理法の一部改正に伴って、処理基準をクリアする焼却炉の設置には多額の投資が必要なところから、農業者個々が焼却処理をすることは事実上困難となってきておるところである。このため、県では、農業者に対する意識啓発、各地域の条件に即した回収・処理体制の確立、産業廃棄物処分業者への処理委託を行うことなどを柱とした県農業用廃プラスチック適正処理方針を本年10月に策定して、現在、この方針に基づいて、農業者等に対し、野焼きや不法投棄などの不適切な処理が行われることのないよう、適正処理の徹底を図っているところである。
 こうした中で、紫波町、矢巾町、花巻市、北上市、江刺市などにおいて、効率的かつ円滑な回収、処理を進めるため、市町村や農協が運搬経費や処理経費の一部を助成した組織的な回収事例が出ているところである。
 県としては、関係機関や団体、フィルム商業会などで構成する県農業用廃プラスチック適正処理協議会と連携して、こうした取り組みが他の市町村にも波及し、できるだけ早く全県的に回収・処理体制が構築されるよう、支援、指導を行っていく考えである。
 なお、御指摘のあった自然分解する各種資材については、県北農業研究所や浄法寺町などが栽培試験や現地実証に取り組んでおり、これらの結果を踏まえて、実用可能なものについては早期に普及を図るなど、廃プラスチックの排出量をできるだけ抑制するように努めてまいる考えである。

〇佐々木(一)委員 積極的な取り組みをお願いしたいと思う。
 次に、県内の地方分権推進事業についてお伺いする。
 県では、地方分権フォーラムの開催などを通じ、広く一般県民を初め、多くの方々を対象に地方分権についての意識啓発を図っておるが、その成果をどう判断され、今後、この事業をどう継続させていくお考えかお尋ねする。
 また、市町村の広域行政推進啓発事業の効果と見通しについてもあわせてお伺いする。

〇吉田総務部長 県内の地方分権推進事業についてであるが、地方分権の推進によって自治体の自主性とか自立性が高まることが今後ますます予想されるところである。これに応じた県や市町村の行政体制の整備、確立が必要であるので、このためには、市町村関係者を初め、県民一般の理解と御協力が不可欠だと考えておる。
 このため、平成7年度から地方分権セミナーを開催して広くその意識啓発を図っておる。これまで約2、300人の市町村の職員、議員を初め、一般県民等の積極的な参加をいただいているところである。また、新聞紙上でこのセミナーの紹介とか分権に関する広報を行ったり、さらにまたパンフレットを配布して、広く県民に対して分権の意義とか概要の周知を図っているところである。こうしたことから地方分権の啓発については相当の効果を上げていると考えており、本年度も--来年2月であるが--地方分権セミナーいわてを開催したいということで準備を進めているところである。
 地方分権は、本年5月にその推進計画が閣議決定され、関係法律の改正案が平成11年の通常国会に提出されると聞いており、意識啓発の段階から実行の段階に移りつつあると考えており、今後においても、市町村や県民の理解と協力がさらに得られるよう、引き続き各種広報媒体を活用して広報を行うとともに、行政改革大綱の見直し、あるいは条例等の制度面の整備、広域行政の推進、市町村等への権限委譲など具体的な事務の実施に重点を移しながら、地方分権が円滑に行われるよう努めてまいりたいと考えているところである。

〇武居企画振興部長 広域行政推進啓発事業についてであるが、今後とも増大する行政需要や地方分権の動向に的確に対応するためには市町村みずからが行財政基盤の強化を図る必要があり、自主的な合併を含む広域行政の推進が時代の要請であるとの考え方から、広域行政に関する普及啓発を行うために平成9年度に創設した事業である。広く行政、民間の方々を対象にして地域の実情に応じた啓発を行うため、地方振興局の所管区域を単位として、本年の1月には一関と千厩両地方振興局の主催によって一関で、また、2月には盛岡市において広域行政シンポジウムを開催したところである。また、合併や広域連合制度に関するパンフレットを作成して市町村あるいは市町村議会などに提供し、広域連合制度の説明会の開催であるとか研修会への講師の派遣などを通じて機運の醸成に努めてきたところである。
 その結果、気仙地区においては、2市2町を初め、関係者の御努力によって、本年3月18日に気仙広域連合が設立を見たところである。
 平成10年度においては、これらの取り組みを継続するとともに、広域行政相談コーナーを本庁及び各地方振興局に設置したところで、今後とも地域の実情に即した情報提供や助言等を行い、引き続き広域行政の機運の醸成に努めてまいりたいと考えておる。

〇佐々木(一)委員 次に、地方振興局の機能強化についてお尋ねする。
 昭和61年度に12の地方振興局が設置されてから10数年経過し、昨年は福祉、生活環境部門の再編とあわせ、地方振興局への保健所や土木事務所の統合も行われたところである。県では、地方振興局の機能強化を、将来の地方分権をにらみ、住民に一番近い自治体である市町村との連携を図り、住民サービスの向上を図ることを目的として進めてきているが、平成9年度は、具体的に前年度と比してどういう効果が上がったとお考えであろうか。
 また、関連して、地方振興局の総合拠点化、市町村との連携重視の観点から、9年度とは仕組みを変え、市町村の幹部、議会による統一要望を各地方振興局で受ける方針にしたが、具体的に要望の受け方の違いがどうあらわれたとお考えであろうか。
 知事が地元に足を運んでくれるということで新しい改革の波を感じたとした首長も、ほかの市町村では直接部局長に改めて要望をしているとのことから、おくればせながら本庁に出向いたとのお話も聞いている。私ども議員もその都度同行するわけである。知事が地元で受けるのは、従来知事室で受けていた市町村の最重点要望のみで、ほかはやはり本庁に行かなければとのことである。二度手間との指摘もあるが、今後どう対応されるのかを振興局への権限委譲の観点からお尋ねする。
 次に、市町村合併と広域連携についてお尋ねする。
 先ほども触れさせていただいたが、市町村の広域合併を含む行政の広域連携のあり方については、介護保険法の施行やごみ処理の広域化計画など、広域で検討、対応しなければならない課題も多くなりつつあり、県民の関心も高まってきているところであるが、いち早く発足した気仙広域連合の実態も含め、県として市町村の広域連携、合併についてどうお考えであろうか。
 山梨県では、市町村の自主的な合併を推進するため、合併を含む広域行政のパターンやモデル地域での組織イメージの検討などを地域のシンクタンクに委託して調査研究を始め、平成11年3月までに最終調査結果をまとめる予定と伺っておる。自主的な合併は大原則と考えるが、これが隠れみのになってしまっては合併への動きを先に進めることはできないと思う。上からのトップダウン的合併を望まないとするなら、県レベルでも合併、広域行政の実際のシナリオづくりを積極的に進めるべきと考えるが、いかがであろうか。
 3点にわたってお尋ねした。よろしくお願いする。

〇吉田総務部長 地方振興局の機能強化であるが、平成9年度においては、地方振興局の強化を図るために、土木事務所の振興局への統合、それから、保健医療部門と福祉部門の組織的連携の強化、それから、本庁からの大幅な権限委譲、それから、企画部門の職員の増加などを行ったところである。
 これらに係る具体的効果としては、まず、土木事務所の統合によって、土木部門と産業振興など他の行政部門との一体的な業務運営の推進がこれまで以上に図られたこと。それから、権限委譲の推進によって、現地決定権の拡大が図られた。具体的に申すと、工事執行権限について、従来4、500万円であったものを1億円に引き上げたことなどで、現地における迅速な事業執行体制ができたということである。
 それから、保健医療部門と福祉部門の組織的連携の強化によって、福祉施設の運営指導とか、あるいは障害者の自立支援活動において、両部門の密接な連携のもとでのきめ細かな指導体制が整いつつあるということであるし、保健福祉サービス調整会議等を通じた各地域における人的ネットワークづくりによって、保健医療、福祉分野におけるサービスの総合的かつ効率的な提供の面でその成果があらわれてきていると考えておる。
 さらに、新しい総合計画の地域計画策定作業などを通じ、企画機能の充実強化、局内各部間の業務推進上のさらなる連携強化が図られるなど、地域経営を担うにふさわしい体制づくりが進み、名実ともに地域振興の拠点としての位置づけが確立しつつあるものと考えているところである。

〇武居企画振興部長 まず、地方振興局の機能強化との関連で、市町村の統一要望についてである。
 市町村の統一要望への対応についてであるが、地方分権が実施段階を迎えている今日、地方振興局の機能強化とともに、県と市町村との一層の意思疎通や連携が必要であるとの観点から、現地に出向いて要望をお受けすることとしたところである。
 従前の要望の受け方との違いについては、知事と企画振興部長--私--、それから、現地では地方振興局長、それから、地方振興局の関係部長がすべて同席して、地域課題と政策について県と市町村がともに考える機会と位置づけ、相互に情報の共有を図る場としたところであるし、また、要望の対応の窓口についても、従来は秘書課が対応しておったが、地方振興局の方で対応し、できるだけ市町村の希望の日に合わせるなど、日程に配慮しながら現地できめ細かな対応ができるようにしたところである。なお、対応時間についても従来の2倍程度として、若干タイトなスケジュールの中ではあったが、意見交換の時間を設定したところである。
 今後の対応については、これまでの実施に当たっても、市長会であるとか町村会あるいは各地方振興局等の意見も聞きながら工夫してきたところであるが、本年度の実施結果を踏まえて、各市町村なり地方振興局に対する意向調査を行い、個別には単発的にいろいろ御意見もお伺いしておるけれども、この調査結果を踏まえて、今後、例えば対応時間をもう少し長くできないかとか、あるいは知事への要望項目数をもう少し多くできないかとか、実際に改善できる点については改善し、御指摘の点に対しても検討を加えてまいりたいと思う。
 それから、市町村の合併と広域連携についてであるけれども、気仙広域連合については、先ほど若干申し上げたが、本年の3月に設立を見て、実質的には平成10年度がスタートの年ということで、まずは事務局等の体制を整える。それから、具体的な事業としては、広域連合の制度の説明を住民に行う等の周知徹底を図る事業を行っておるし、さらに、具体の事業として、各関係の市町一体となって中学生を海外に派遣する事業、こういったものも行っておって、今後、広域的な事業が順次積み重ねられていくことを期待しているところである。
 それから、先ほど来介護保険等の御質問が出ておったが、市町村では、介護保険であるとか廃棄物の処理などで広域的な検討が必要になってくる、こういった課題もあるし、さらに、高度かつ多様な行政サービスがいろいろな面で必要になってこようかと思う。さらに、市町村の側から見ると、分権時代の限られた財源の中で効率的な行政体制の整備、確立というものが喫緊の課題にもなっており、合併を含む広域行政の推進が必要と考えておる。現在、介護保険を中心にして、県内各地で機関の共同設置であるとか一部事務組合での対応など新たな広域行政の動きがあるし、地方振興局が積極的にこういったものに対応しながら、さらに廃棄物の処理であるとか下水道の管理など、事務事業の観点からの広域行政の調査検討を進めているところである。
 今後の進め方については、先ほど山梨の例もあったけれども、各地域の課題というものを的確にとらえて、これに対応した広域行政のあり方を提案していくことが必要だということもあって、私どもも、県立大学などとも連携をとりながら積極的に調査研究を進めて、その成果を関係者を中心に広く提示したいと思うし、また、全県域でも広域行政の機運が盛り上がるよう、引き続き県としての役割を果たしていきたいと考えておる。

〇佐々木(一)委員 先ほどの要望の件で私からもお願いしておきたいのは、県では、これから情報公開を進めるという中で、さまざまな県事業もこれからはオープンにされていくということを伺っておる。そういった意味では、市町村からの要望と、県の方のそういった事業をオープンにするというあたりの整合性をうまく持っていかないと、非常に今度は問題が大きくなるのではないかという懸念もあるので、ぜひ密な連携をとられて進めていただきたいと要望しておく。
 次に、商工労働関係についてお伺いする。
 物産観光東京サービスセンターの平成9年度の主な事業とその効果について、まず、お尋ねする。
 県は、岩手ビジネスプラザ、Uターンセンター、物産観光東京サービスセンター、東京事務所企業立地課の4施設を統合していわて銀河プラザを銀座に設置し、本県の情報発信拠点を目指し、先月開場したところであるが、今後の展開と課題をどう認識しておられるのであろうか。
 平成9年度のビジネスプラザ、物産観光東京サービスセンターのそれぞれの売り上げは約3、600万円と2、000万円あわせて約5、600万円に対し、双方の家賃合計は約6、200万円とお聞きしているが、銀座への移転により月額790万円、年間約1億円の家賃に上昇である。ついては、県は、今後の経費の増加分に対応した県産品の販路拡大や観光宣伝の効果等についてどうお考えかお尋ねする。
 また、県内約100社1、300種類の県産品を販売されるようであるが、その流通と販売目標等、需要と供給のバランスをどう検討なさっているのかあわせてお伺いする。

〇千葉副知事 物産観光東京サービスセンターの平成9年度の主な事業とその効果であるけれども、首都圏において岩手県の観光PRや個別の観光相談業務に当たったほか、県産品の展示紹介やあっせんを行ったところである。観光相談件数延べ5万5、087件、県産品の展示即売の売り上げは2、063万6、000円となっているものである。
 それから、銀河プラザは、これまで都内3カ所の本県のそれぞれの施設が行ってきた物産・観光情報等の発信機能を1カ所に集中し、本県のすべての情報を総合的に発信する趣旨で開設したものである。開設以来、交通の利便性もよく、品ぞろえなども従来以上に充実したところから、1日平均約1、000人の来場者がある。また、1日の売り上げも70万円から80万円に上っており、大変にぎわっているところである。
 取り扱い商品の需給バランス等の検討についてであるが、物産観光東京サービスセンターでは、これまで都内百貨店の県産品の取り扱い状況等を調査しており、この調査結果を品ぞろえに生かして販売しているところである。一方、銀河プラザは、県内中小企業のアンテナショップとしての機能もあるところから、さまざまな商品について、消費者の嗜好の把握や値段の設定、商品についてのモニタリングなどを行っているところである。
 今後においても、関係機関、団体、企業が一体となって、利用者の要望を踏まえ、1次産品から郷土料理なども含めた幅広い取り組みをしながら、本県の総合的な情報発信拠点として一層機能の充実を図ってまいりたいと考えておる。

〇佐々木(一)委員 バブル崩壊後、逆に撤退している県もあるとお聞きする。そこで、こういう前向きな投資を行ったわけであるので、ぜひ今後とも積極的に岩手県をPRできるような施策にもっと取り組んでいただきたいということを期待する。
 次に、企業倒産と再雇用対策について伺う。
 平成9年度、県内における企業倒産あるいは縮小の状況と、それに伴う失業者の就職状況についてお尋ねする。また、あわせて、圏域ごとにその特徴があればお知らせいただきたいと思う。
 既にことし7月時点で負債1、000万円以上の企業倒産は84件で、昨年1年間の72件を上回り、現在更新中である。平成9年度の失業者が受ける雇用保険金額と受給者はどの程度上昇しているのであろうか。6月には総額で14億円、約1万1、000人と、過去10年間で最高と伺っておるが、今後の推移をどう予測しておられるのかお尋ねする。
 また、離職者の再雇用対策はどのように行われ、その効果をどう認識しておられるのかあわせてお尋ねする。

〇千葉副知事 平成9年度における倒産と縮小による合理化を行った企業は88社である。地域別に見ると盛岡地域と沿岸地域で多くなっており、全体の75%を占めておる。業種別に見ると、製造業と卸・小売業で全体の67%を占めている状況である。
 これによる離職者の数であるけれども、これは1、604人と、前年度に比較して33・7%増加しておる。また、このうち求職の申し込みをした方は1、347人で、再就職をした方は924人となっておる。
 また、平成9年度の雇用保険の受給者数は延べ11万81人で、支給総額は137億5、645万6、000円となっており、それぞれ前年度に比較して7・2%、10・1%増加しているところである。
 今後の推移についてであるけれども、現時点での予測は困難であるが、景気が回復軌道に乗り、雇用失業情勢が好転すれば受給者数の増加に歯どめがかかるものと思われる。
 また、離職者と雇用保険受給者の再雇用対策についてであるけれども、求人開拓や合同就職面接会の開催等により早期再就職の促進に努めており、雇用失業情勢の改善に結びついているものと考えておる。

〇佐々木(一)委員 次に、平成9年度の県内高校卒業生の就職状況についてお尋ねする。
 若者の定住対策は本県の重要施策と考えるが、卒業生の進路は、県内外、東北地方の傾向はどうなっているのであろうか。最近の傾向についてどう分析されているのであろうか。
 来春卒業予定者の10月末現在の内定率は、男子62・8%、女子60・4%と、昨年より求人数も5、000人減少しているそうであるが、今後の取り組みについてお尋ねする。

〇千葉副知事 平成9年度の高校卒業生の就職状況であるけれども、求職者は6、539人であったけれども、就職率は100%となっておる。これら卒業生の進路は県内就職が4、577人で70%を占めており、県外就職は1、962人で30%となっておる。
 東北地方の傾向としては、県内就職の割合は青森県が約60%、秋田県が約70%であり、高い県としては、宮城県が87%、山形県が79%、福島県が75%となっておる。
 最近の傾向として県内就職率が逐年上がってきており、平成4年3月卒業者が60・2%と初めて60%を超えたわけであるが、さらに平成7年3月卒業者が70・1%となり、以降70%台で推移しているものである。
 来春卒業予定者の就職に係る今後の取り組みについては大変厳しい状況にあるが、なお一層求人開拓に努めるとともに、このたびの国の緊急経済対策による求人情報の提供あるいは就職面接会などを実施するなどして、早期に内定が得られるよう努めてまいりたいと考えておる。

〇佐々木(一)委員 次に、県内の破産申し立ての傾向についてお伺いする。
 景気低迷の長期化から経済破綻者の課題も深刻になりつつある。盛岡地裁のまとめによると、平成5年度から毎年破産申し立て件数は増加の一途をたどり、過去最高だった平成9年の667件を今年度は8月時点で同水準に達したと報道されておる。今後も増加傾向とも言われ、特にも個人の自己破産がこのほとんどであり、大半が消費者金融への返済不能とのことであるが、県民生活センターの対応と今後の取り組みについてお尋ねする。

〇千葉副知事 個人の自己破産件数は、最近、増加傾向にあると伺っておる。県民生活センター等に寄せられる相談でも多重債務に関する相談が増加しており、平成10年度においても、8月末で前年同期の25%増の479件となっているところである。
 県民生活センターや地方振興局の消費生活相談室では、相談者の負債内容に応じ、償還期限の延長などの交渉や長期かつ低利の融資への借りかえなどの任意整理、これが困難な場合には、裁判所の調停や破産申し立ての制度などについて助言を行っているところである。
 今後とも相談者の債務の状況に応じた適切な対応に努めるとともに、クレジットやローンなどに関する知識、情報をきめ細かに提供するため、高等学校等と連携した金銭教育の実施を初めとして、企業の新入社員あるいは管理監督者等の研修への講師派遣、一般県民を対象とした暮らしの講座などを地域、地域で開催するなどして啓発講座を充実するほか、各種広報媒体を活用した啓発に努めてまいりたいと考えておる。

〇佐々木(一)委員 次に、最近の経済状況の中で、民間設備投資、住宅着工数も減少傾向に歯どめがかからない状況であるが、県内において、県土地開発公社の販売用工業用地の現状と今後の計画についてお尋ねする。
 また、県住宅供給公社の販売状況と傾向についてもお伺いする。
 あわせて、研究開発型企業を導入するため、3県総後期実施計画において整備するとされている一関地区の研究開発工業団地の取り組み状況についてもお伺いする。

〇武居企画振興部長 まず、土地開発公社についてである。
 県土地開発公社においては、昭和47年以降6工業団地の造成を行い、そのうち1団地を完売したところである。現在販売中の5団地に係る平成9年度末現在における造成済み分譲予定面積は146・5ヘクタールで、うち処分面積は100・8ヘクタール、分譲率は68・8%となっているところである。
 次に、今後の計画については、県土地開発公社においては、現在販売中の5団地の工業用地を早期に完売することが最も重要な課題であるとの認識から、県や関係市町村と一体となって企業誘致活動を展開し、販売の促進を図ることとしているところである。
 なお、現在、公社の自主事業による新たな工業団地の造成計画はないところである。

〇千葉副知事 住宅供給公社の販売状況であるけれども、平成9年度までの販売状況は、全体計画戸数9、003戸に対し分譲済み戸数は8、456戸となっており、その分譲率は93・9%となっておる。
 また、平成7年度から平成9年度までの3年間の平均では約60%の分譲率となっており、最近の厳しい経済情勢を反映して、分譲率は近年低下傾向にある。
 県としては、県民の持ち家志向は依然強いところから、10月末に出された国の住宅投資拡大緊急対策の柱である住宅金融公庫融資の拡充等を消費者に周知するとともに、公社団地周辺の整備等、関係市町村の協力を得ながら公社分譲住宅の販売促進を支援してまいりたいと考えておる。
 次に、一関研究開発工業団地についてであるけれども、昨年度県が設置した基本構想検討委員会からの報告を踏まえ、本年6月、一関研究開発工業団地整備等調査委員会を新たに設置し、団地機能として求められている産業支援施設あるいは研究開発支援施設などについて具体的な調査検討を進めているところである。これまで委員会やワーキンググループによる検討を重ねてきたほか、去る10月に開催した第2回の委員会においては、外部の専門的な知識を有する講師を招いて産業支援施設等の整備手法等についてさまざまな提言をいただいているところである。今年度中には、こうした有識者からの提言や先進地の事例も参考にしながら、委員会としての基本計画を取りまとめるところとしているところである。

〇佐々木(一)委員 次に、本県の農業と農政についてお伺いする。
 まず、初めに、新規就農者についてであるが、次代の農業の担い手育成は重要施策の一つと認識しておるが、平成9年度の新規就農者は目標に対してどういう状況か、また、ここ最近の傾向と問題点をどう分析され、対策を講じられているのかお伺いする。
 あわせて、農家の総所得に占める農業所得の割合は年々減少傾向にあるが、平成9年の農業所得の状況と傾向についてもお伺いする。

〇千葉副知事 農業の担い手育成と農業所得の状況であるけれども、40歳未満の新規就農者数は、ここ数年は70人前後で推移してきたところであるけれども、平成9年度は80名となっており、近年、Uターン就農や他産業からの新規参入が増加する傾向にある。本県農業を安定的に維持していくためには、毎年200人程度の新規就農者を確保する必要があるところから、農業担い手育成基金、市町村、農業団体等と連携しながら、新規就農に必要な技術研修、農地のあっせん、無利子の資金の貸し付け、住宅の確保など各種支援策を講じているところである。
 このような取り組みを全県的なものとするため、本年3月に担い手育成の指針として策定した岩手県農業担い手育成中長期ビジョンに基づき、関係団体、関係機関が役割分担しながら総合的な対策を講ずることとしておる。
 また、平成9年度の販売農家1戸当たりの農業所得は114万4、000円となっており、総農家所得に占める農業所得の割合は18・6%で、前年と比較して1・8%低下しているところである。

〇佐々木(一)委員 次に、減反問題についてお尋ねする。
 昨年の東和町の自主減反提言が国の減反政策に全国的に問題提起したことは記憶に新しいところである。食管法時代までは減反未達成の自治体は全国で1けたにとどまっていたそうであるが、新食糧法に変わってつくる自由の機運が広がり、平成8年度には未達成の自治体が300にも膨れ上がった。そして、平成10年度は緊急生産調整対策ということで一挙に減反面積が拡大し、本県では減反率33・7%、3万1、954ヘクタールとなったわけであり、来年度も同面積と伺っておるが、今年度は、この大きな面積の生産調整に対してどのような作目がどれぐらい導入されたのか、また、転作物をつくらずに低利用されている水田はどれぐらいあるのかお尋ねする。

〇千葉副知事 平成10年度の生産調整については、目標面積が大幅に拡大されたので、米の減収額を補てんできる転作作物の導入を推進してきたところである。県内においては、大豆や野菜、花卉等による新たな転作営農の取り組みが出てきているところである。
 この転作作物の今年度の導入状況であるけれども、導入率の高い順から申し上げると、大豆が前年対比142%の1、260ヘクタール、飼料作物が前年対比122%の1万3、600ヘクタール、花卉が前年対比116%の900ヘクタール、さらに、野菜が前年対比107%の2、800ヘクタールとなっておるが、今後もこうした作物の導入拡大を積極的に進めてまいりたいと考えておる。
 また、調整水田や自己保全管理といった、いわゆる低利用水田は5、800ヘクタールで、全体に占める割合は2割にも及ぶ状況となっておる。したがって、今年度から実施しておる岩手県水田営農確立運動を通じて、こうした水田を団地的にまとめながら主業型農家への利用集積を進めるとともに、転作作物の導入を図るなど、その高度利用に向けた取り組みに対してなお一層支援を強化してまいりたいと考えておる。

〇佐々木(一)委員 次に、債務超過に陥っている県内6農協への支援についてお尋ねする。
 4月に導入された早期是正措置により、債務超過で自己資本比率が0%未満の農協は信用事業の停止命令が発動されることになったことを受け、県内6農協は、県に対し債務超過解消を目指す3カ年経営改善計画を提出した。これを受け、6月議会定例会で52億6、000万円の県農協中央会への無利子貸し付けを可決したところであるが、地元5市町村の1億8、000万円の補助金の進捗状況と、自助努力とされる13億3、000万円の解消、役員の経営責任、組合員の増資、人員削減などのリストラの状況はどういう現況にあるのかお尋ねする。

〇千葉副知事 まず、債務超過農協の地元市町村の補助金の進捗状況についてであるけれども、関係5市町村のうち、一戸町が平成10年度の当初予算で既に措置しておる。残る4市町村については、目下、議会において審議中もしくは年度内の議会に提案される見込みと承知しているところである。
 次に、債務超過農協の自助努力の状況であるけれども、10月末現在の実績は、計画の約33%に当たる約4億4、000万円となっているところである。このうち、役員拠出金と役員報酬のカットをあわせた額は、計画の約61%の約1億9、000万円となっているものである。また、組合員による増資についてであるけれども、計画の約29%の約1億1、000万円となっており、職員の削減を含めた事業管理費の節減や遊休資産の処分等については、計画の約23%の1億4、000万円となっているものである。

〇佐々木(一)委員 各市町村も今年度中というお話であったので、理解できた。
 次に、一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道問題についてお伺いする。この問題については一般質問でも取り上げられて大分議論をされているところであるが、私からも何点か絞ってお伺いする。
 県民世論が賛成と反対真っ向から対立した継続か中止の判断において、県の今回の苦悩した上での問題を先送りせず下した英断には一応の理解を私は示したいと思う。いろいろと先週も議論されてきたところであるが、まず、道路検討委員会でも指摘があったようであるが、費用対効果をどう分析されたのであろうか。
 次に、昭和40年以降46億円の事業費を投入したわけであるが、うち23億円の国の補助金については返還の必要はないとの見解もあるようであるが、この点については建設省とどういう協議をなされているのであろうか。
 また、これも質問があったが、雫石町側と松尾村側に1カ所ずつ自然環境を体験できるビジターセンターを設置するということで環境庁との協議も進めるということであるけれども、地元町村、また、地元住民を含めて、どういう形で今後進められていくのであろうか。
 私は、21世紀は間違いなく環境重視の時代になっていくと考えるが、今度のこの奥産道問題は、県民にとっても今までになかった教訓だったとも理解できる。今後、県として、公共事業評価委員会や今回のような検討委員会などの公共事業に係る諮問機関の情報公開は県民に開かれた行政の推進につながると私は考えるが、お尋ねしたいと思う。
 以上で私からの質問を終わる。

〇千葉副知事 まず、一般県道雫石東八幡平線の関係であるけれども、本路線の費用対効果は、建設省が策定したマニュアル案に基づき、公表した比較ケースのそれぞれについて算出しているところである。これによると、長大トンネルとなる第3案において、残る約3キロメートルについての費用便益比は1・1となっておる。一般的に、この数値が1・0以上あれば投資効果があるとされているものである。しかし、この費用対効果の算出方法は、主に交通量をもととしているものである。したがって、観光を初めとする地域振興については評価の対象外とされ、その効果を数値化して反映する手法とはなっておらないものである。
 次に、国庫補助金の返還の関係であるけれども、これまで整備してまいった区間については既に県道として供用されているものである。今回、工事再開を断念したところであるけれども、この区間については引き続き県道として管理する方向で考えておる。現在、国に工事再開を断念する旨報告をした段階であり、今後、この道路管理や補助金の問題については、県の意向が十分理解されるよう、国などの関係機関と協議調整を進めてまいりたいと考えておる。
 次に、ビジターセンターの設置であるけれども、野生生物の観察や自然学習あるいは自然体験の場を整備しようとする自然公園核心地域総合整備事業、いわゆる緑のダイヤモンド計画事業の十和田八幡平国立公園八幡平地域への導入を環境庁に強く要望してきたところであり、その中核的な施設として網張地区と松尾地区へのビジターセンターの設置を要望しているところである。
 今後、この施設の具体的な内容が検討される際には、地元の町村と連携をとりながら環境庁に要望するなど、この地域にふさわしいビジターセンターの建設がなされるよう努力してまいりたいと考えておる。
 次に、公共事業評価委員会等の情報公開であるけれども、平成10年11月19日に開催した公共事業評価委員会は公開で開催しているものである。また、委員会の資料あるいは会議録についても公表することとしておる。
 また、公共事業に係る諮問機関の情報公開は、透明性を図るため、審議会等の会議の公開に関する指針に基づいて、原則として公開するとしているところである。

〇高橋委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午前11時59分 休 憩
   午後1時4分 再 開

〇高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開く。

〇伊藤委員 佐々木委員が時間を4分ほど残してくれたので、2点関連で質問をさせていただきたいと思う。
 一つは、防災ヘリについてである。
 防災ヘリを導入以来、大変大活躍であって、石鳥谷町、そして紫波町に係る山林火災、あるいは軽米町の大きな山林火災、さらには本年の1月17日であったが、阪神・淡路大震災から3年目ということで1・17防災訓練を宮古市を中心に行っていただいた。このときもヘリコプターの活躍が最も目覚ましかったと思っておる。海難救助あるいはビルの火災で屋上に逃げていった人を救出すると。あるいはまた、3月26日であるが、宮古地方においても山林火災が発生をして、素早く対応していただいて、このときは7ヘクタールぐらいの焼失で済んだ。これもまた防災ヘリの活躍が大であったと思っておる。伺うとこの防災ヘリは法定点検整備等のためにトータルで年間3カ月ほど飛べない時期があると伺ったが、その辺はどのようになっているのかまずお伺いをする。
 それから、もう一つは、三陸鉄道の運営という部分にかかわって、今国とのやりとりの中で大変大事な時期を今迎えているのではなかろうか、このように思っておって、その交渉の推移--推移というか、経過というか、その部分についてお知らせをいただきたいと思う。

〇高橋委員長 この際、進行に御協力願うために、答弁は簡潔にお願いする。

〇吉田総務部長 防災ヘリの整備の関係であるが、現在、法定点検ということで定まっておるのが、三つあって、180日を経過すれば点検しなければならないという法の規定があって、この場合には平成9年度の実績から申すと19日間の点検を要しておる。それから、耐空検査、これは1年点検であるが、この場合には31日間の点検日数を要しておる。それから、100時間点検というものがあって、飛行時間が100時間、その場合には2日間ということであって、9年度の場合においては計52日間の点検に要する日数があったということである。

〇武居企画振興部長 三陸鉄道の、特に借受資産の譲渡問題についてであるが、御案内のように、去る10月22日に関連法案が成立して、これによって11年度末までは現在と同じような状況で鉄道資産の無償貸し付けが行われると、それ以降は有償貸し付けに転換されるという法律の手続が成立したわけであって、私どもも大変重要な問題なものであるから、今回は11月12日に国への統一要望を実施したわけであるけれども、それとは分けて、三陸鉄道強化促進協議会、これは沿線10の市町村長さんと、それから県も入っているわけであるけれども、この促進協議会で11月17日に運輸省と自治省の方に、その法案が成立したその状況であるとか、その法律の法案が施行された以降の手続面での状況がどうなっていくのか、そういった情報収集を行うとともに、また支援措置についてもさまざまな要請を行ったところである。御案内のように、特に固定資産税の問題であるとか、災害復旧費用の問題であるとか、ちょうど大きな課題を抱えているものであるから、ちょっと私ども率直に申し上げて、早急に結論を出すというのは大変難しい状況にあって、これはいずれ結論を出すとしても、沿線市町村と相当程度いろいろ議論を積み重ねなくてはいけないかと考えておるので、今後も国へのそういった支援措置の要請等を行うとともに、沿線市町村でも課題の洗い出しを行って、先行してこういった受け入れを表明している、最近であると秋田とかあるいは宮城、福島あたりの三つの鉄道がこういった受け入れを先に表明しているところであるので、そういったところの状況も聞きながら、今後の取り扱い、あるいは手続に支障が生じないように結論を得てまいりたいと考えておる。

〇伊藤委員 三鉄の存続にもかかわる大変大きな問題かと思うので、我々沿線の住民としては、この利活用という部分で頑張ってまいりたいと思うが、ぜひとも当局におかれても、いい形で決着をしていただくようにこれは要望しておく。
 それから、防災ヘリについてであるが、年間50日間飛べないときがある。この広い県土であるから、50日間飛べないときに山林火災等が発生した場合はどうなのだという心配もある。また、海難救助という部分でも大変これは威力を発揮する部分でもあるし、あるいはまた山岳の遭難等の救助、あるいはまた医療の面から言っても、仮に脳卒中で倒れた人があった場合、1時間20分以内ぐらいで医大の循環器医療センターに運んでさえもらえば蘇生率というか、延命率が相当高くなる。こういう医療の部分まであるいは活用ができる部分もあるかと考えると、県においてはやはり2機目の防災ヘリの導入を検討していくべきではないかと思うのである。いずれこの広い県土であるから、複数の山林火災が仮に発生したという場合にどうするのか、こういう部分も含めて検討をぜひやっていただきながら、これを前向きに取り組んでいただきたいと思うのであるが、感想を伺って終わる。

〇吉田総務部長 感想ということであるが、北海道・東北8道県で防災ヘリの運航について相互応援協定が平成7年10月に締結されておって、各道県の防災ヘリが循環してかち合わないようにその点検整備を行うという形になっておる。点検している間に災害が起きた場合には、8道県の防災ヘリがそれぞれ相互応援をするという協定になっておって、要請に応ずるという形になっておる。委員おっしゃるように、本県は広い県土であるので、そういった今お話しのあった医療とか、あるいは山林火災、海難とか、いろんなことも考えられるが、そういったことで当面対応していかなければならないと思っている。ただ、2機の問題については、今後の課題として調査、研究してまいりたいと思っておる。

〇佐藤(正)委員 副知事、1人で今回大変であるが、私の質問は自家製であるから少し辛いかもしれないが、ひとつ御了承願いたい。
 平成9年度の審査に当たり、まずこの審査が私から提言し実現した外部導入された厳正なる監査委員をもって審査されたことに敬意を表するものである。飛澤監査委員事務局長にはまず、今までとどういうふうに違うのか、ひとつ御所見を伺いたい。
 報告書によると、おおむね適正に処理されているものと認められるとあるが、決算であるからむだ遣いがあるかどうか、またそのむだ遣いがそのまま見過ごされているかを監査することは当然であるが、当局が財政運営の健全化に向けてどう努力してきたのか評価することも重要である。例えば、自主財源の確保に向けていかに努力されているか。自主財源の大宗をなす県税の収入については、景気の低迷で法人二税の伸びがないため、2月補正で12億5、800万円余の減額をしておるが、4月から導入した地方消費税の増収が大きな要因となり、過去最高の1、258億円の収入があったことは事実であり、このようなことで本県財政に欠かすことのできない財源となったことを認識すべきであり、消費税の論議は論議として、去る9月議会における突然の3%引き下げ決議については、議員として首をかしげたのであるが、今後、消費税にかわる自主財源を生み出すことの見通しはあるか。
 次に、県政史上最大の事件であった食糧費不正支出問題である。これは一応の決着を見、是は是、非は非として、平成10年度の予算に対して、私は反省を含め賛成討論をしたが、次の点についてお伺いをする。
 1、知事は、この処分に関して、上司の暗黙の了解と発表しておるが、財政課長は調査は個人あてと答弁しておる。組織としての処分なのか、個人の処分なのか。
 2、食糧費返還会では、1億8、632万1、000円を県に返還しておるが、管理職のうち何人が返還しなかったのか。それはなぜなのか。食い逃げをしたと言われるOBは何人おるか。何人が任意で返還したか。
 3、今後、返還を拒否しているOBを含めて督促をする御意思はあるか。
 まず、その点。

〇飛澤監査委員事務局長 私ども監査委員事務局職員は、監査委員4人いらっしゃるけれども、いずれ監査が公正、的確になされるように予備調査なり資料収集ということで鋭意努めておるので、特に委員の意図によって我々の職務が変わるとかそういうことではないので、一生懸命やるということである。

〇吉田総務部長 自主財源の確保に向けた努力であるが、県の財政構造は、自主的に収入し得る県税等の自主財源の割合は少ないということは御案内のとおりであるが、財源の多くを交付税とかあるいは国庫支出金、県債に依存する状況になっておる。9年度の本県の自主財源の割合というものは、地方消費税の導入とか特別減税の終了などに伴って県税収入が伸びたことなどから前年を0・9ポイント上回る31・8%である。これは一般会計ベースである。
 それから、自主財源の確保対策としては、地場産業の振興とか優良企業の導入、あるいは誘致などによって税源の涵養を行うことが必要だと思っておるし、県税の収入歩合率、これは全国で1位もしくは2位を常に占めておって、9年度の場合は98・8%と全国で第2位である。それから、使用料、手数料の適時適切な見直しを図っておって、平成9年度においてはいろんな使用料、手数料の見直しなどを続けているところである。それから、県債管理基金から256億円余の取り崩しを行うなど、自主財源の活用を図っておるということである。
 それから次に、消費税にかわる財源の問題であるが、地方税は自主財源の大宗をなすものということであって、地方自治の確立、分権の推進を図るということで重要な役割を担っているということであって、地方消費税は、地方分権の推進とか地域福祉の充実のため地方税源の充実を図る観点から、消費譲与税にかえて創設された地方税である。平成9年4月から施行されたものであるが、9年度の決算における本県の地方消費税の収入は、まだ平年度化されていないということもあって、34億円余りということであって、県税全体の2・7%にとどまっておるが、10年度においては--まだ確定しておらないのであるが--125億円余ということで、県税全体の約1割を占める本県の貴重な税目になろうかと思っているところである。本県の自主財源の割合は約30%であって、このような状況の中で地方消費税に匹敵する自主財源のことであるけれども、これは地方公共団体が独自の判断で新たな税目を設定することができないということで限界があるなど、極めて難しいものがあると考えているところである。
 それから、3点目であるが、食糧費の支出にかかわっての処分の問題であるが、職員が法令等の規定に違反した場合、これは職務上の義務に違反したという、あるいは職務を怠った場合とか、あるいは全体の奉仕者にふさわしくない行為があった場合といった場合が対象になるわけであるが、この食糧費に係る処分は、いわゆる不適正な事務処理が行われていたという事実と、それから当時の管理監督者を初めとする職員に対して、その職責の度合いに応じて職員個人に対して行ったものだということである。
 それから、4点目の返還の状況であるが、食糧費返還会の会員は、いわゆる県職員であってその返済に協力する者が会員ということになっていて、現在、会員は給料の特別調整額を受けている者が会員となっておって、具体的には管理職である。合計533名ということである。大半の管理職は入会をしておるが、未加入の人が若干というか、少しあって……(佐藤(正)委員「若干というのは何人だ。」と呼ぶ)1人である。99・8%の加入ということで、この入会をお願いしたけれども、結果として入会に至らなかったということであって、その理由は明らかになっておらないということである。
 それから、不適正支出の返還は、部下職員に対する指導監督と、みずからの監督責任の両面からとらえて、給料の特別調整額の受給者である管理職の協力のもとに返還を行うということで、平成4年度から8年度まで在職していた県職員OB、それから国から本県に出向していた職員で特別調整額を受給していた方々、こういった方々に協力を要請したということであって、11月25日現在であるが、318人のうち66%の209人の協力をいただいたところである。
 それから次に、督促をする考えはあるかということであるが、返還会から協力依頼を行ったのは10年5月29日である。半年たった最近においても、11月になってもOBの方から協力が入ってきているというか、協力をいただいた方もおるので、まだ協力をいただいていない方々への再度の協力については、新たにやってきている方もおるので、当初の協力要請で返還の趣旨は今の時点では十分に理解いただいているものと考えておる。そういったことで、まだ依頼をしてから半年を経過したところであるので、状況の推移を見て今後考えたいということである。

〇佐藤(正)委員 自主財源であるが、これは毎度申し上げているのであるが、例えば議会では副知事1名、政務秘書1名に御協力いただいて--やめたのだかどうかわからないけれども--1期で約1億3、000万何がしも自主財源をつくっているのである。だから、あなたの方も少し努力しなければだめだ。
 次に、出資法人についてお伺いするが、県では来年4月を目途に全額出資法人の情報公開をすると発表した。大変よいことである。公社等運営協議会対象法人である25%以上の出資法人を調査したところ、9年度末で累積欠損の出ている法人は9法人あり、その中で将来ともその解消の見込みのないもの、あるいはその任務が終了したと思われる法人がある。これらについては廃止するか、休止するかをするべきと考えるが、どうであるか。ちなみに、岩手県肉牛生産公社、岩手県国民年金福祉協会、クリーンいわて事業団、岩手県出稼ぎ互助会、岩手県勤労者福祉協会、三陸鉄道、岩手県オイルターミナル、盛岡ステーションビル、岩手ソフトウェアセンターである。このうちただいまも三陸鉄道については伊藤勢至委員からも質問があったわけであるが、この三陸鉄道は沿岸住民の悲願であり、中村知事が全国に先駆けて生み出した第3セクター、マイレールである。県の三陸鉄道に対する支援は、三陸鉄道近代化施設整備費補助、同運営費補助、その他に安全対策教育指導費補助となっておる。これらとは別に利用者補助制度というものがある。これは毎年2万人ずつ利用者をふやし、その目標を達成しないときには翌年関係市町村がその分の切符を買えということである。平成10年は、9年の目標176万人に対して利用者は170万人であるから、6万人に1人当たりの平均乗車運賃314円を掛けた分1、800万円について市町村が負担しろということである。今、三陸鉄道が10万人ずつ減少しているが、来年度は178万人の目標の中で160万人だとすると、18万人分、6、000万円を買えということになるが、これは寄附強制を禁じたところの地財法に触れるのではないであろうか。また、根拠となるのは何であるかを示していただきたい。こんな経営は経営ではない。市町村への押しつけ、肩がわりであって、健全な経営とは言えないと思うが、御見解はどうであるか。

〇千葉副知事 県は出資法人に対して、法人をめぐる環境の変化やその活動の実態を踏まえて、累積欠損を計上している法人に限らず、法人の解散あるいは出資の引き揚げ等について当該法人と協議を進めることとしているところである。累積欠損計上法人の状況であるけれども、まず岩手県肉牛生産公社、クリーンいわて事業団、三陸鉄道、岩手ソフトウェアセンターについては、それぞれ環境対策や地域振興、あるいは産業振興など、行政施策の推進を図ることを目的として設立されたものである。その設立目的に合致した事業の推進を図るとともに、累積欠損解消に向けて抜本的な経営改善策の検討など、その健全経営の確保に取り組んでいるところである。次に、岩手県出稼ぎ互助会であるけれども、これは会員数の減少に伴う会費収入の減が主な要因であって、現在、定住対策の一元化と経費の節減を図るため、関係機関とも協議しながら、財団法人ふるさといわて定住財団との統合について検討しているところである。それから、保養センターはなまきなどの経営を行っておる岩手県国民年金福祉協会、いこいの村岩手の経営を行っておる岩手県勤労者福祉協会であるけれども、これは国の施策に基づいて公共施設の管理運営を行っているものであって、国との連携のもとに利用客の増加や経費の節減などによる経営改善に取り組んでいるところである。また、岩手県オイルターミナルと盛岡ステーションビルであるけれども、これは設備投資による借入金の支払い利息や減価償却費の増加が主な要因であるけれども、ともに事業収益が増加基調にあるところから、早期の累積欠損解消に向けて一層の経営改善に取り組んでいるところであるが、今後経営改善の状況を踏まえて抜本的な見直しについて検討してまいりたいと考えておる。

〇武居企画振興部長 三陸鉄道にかかわる利用者補助制度についてである。
 この制度は、沿線15市町村及び県で構成する岩手県三陸鉄道強化促進協議会が三陸鉄道から乗車券を購入し、生徒児童の教育、老人等の福祉、各種団体の利用、市町村民号の運行等に活用しているものであって、実施主体は岩手県三陸鉄道強化促進協議会であって、国または地方公共団体に対する寄附とは性格が異なるものであり、地方財政法第4条の5が直接の関連規定にはなるが、同法上の問題は生じないものである。また、この利用者補助制度は、平成8年度に岩手県三陸鉄道強化促進協議会において取りまとめた経営安定化のためのさまざまな方策の一環として盛り込まれたものであって、三陸鉄道の利用者がマイレール意識の低下を背景に、沿線人口の減少率を大きく上回るペースで続いている一方で、従来行われてきた利用促進策が十分な効果を上げていなかったという反省のもとに、市町村及び県が約1年間にわたって協議を行った末に今年度より実施しているものである。こうした取り組みは、三陸鉄道を活用した地域振興策の一つとして進められているものであるけれども、これを通じて沿線市町村におけるマイレール意識の涵養が図られ、利用促進につながることを期待しているものである。今後とも沿線地域における三陸鉄道の必要性や役割の大きさにかんがみて、会社、市町村と一体となって三陸鉄道の経営改善に努めてまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 副知事、この出資法人の抜本的改正というのは、あなた今言われたのはそれはいつまでであるか。
 次に、7月26日から8月10日まで仙台-久慈間の観光列車を運行したが、その乗客の実態を調査したか。ほとんどが通勤客ではないか。通勤客と観光客の割合はどうなっておるかお伺いする。
 そうすると、三陸振興を図り、観光イベント三陸・海の博覧会は何だったのであるか。単なる一過性のものだったのであろうか。三陸鉄道が利用され黒字に転換するためには、三陸の豊富な観光資源とタイアップした対策が必要と考えるが、その対策についてお示し願いたい。

〇千葉副知事 ただいま抜本的な見直しと申し上げたけれども、岩手県オイルターミナル、あるいは盛岡ステーションビルは現在赤字を有しているわけである。現在のように赤字を有したままの他社への売却というのはちょっと考えられないわけであって、経営改善努力をして黒字転換になった時点で他社に売却すると、そういうことになろうかと思う。したがって、黒字になる時期がいつかということは今の段階でわからないので、時期については明確に御回答することはできないわけである。

〇武居企画振興部長 三陸鉄道に関して平成9年度の仙台直通乗り入れ列車試験運行事業についてのお尋ねであったが、7月25日から8月10日までの16日間、仙台-久慈間の直通の臨時列車として1日1往復の試験運行を実施して、期間中、毎日、乗降客数調査及び利用者アンケート調査を実施したところである。乗降客数調査の結果については、仙台-久慈間の延べ乗車人数は6、596人であって、このうち三陸鉄道区間内の延べ乗車人員は5、907名であった。また、乗客の利用目的については、利用者アンケート調査に協力いただいた2、558名のうち、観光で乗車した方は81・3%の2、078人、仕事で来られた方が5・1%の132名、それからその他の通院あるいは帰省等の内容となっているところである。なお、乗車の感想では、68%の乗客の方々から満足しているという評価をいただいているところである。
 それから、黒字転換に向けての観光とのタイアップについての御質問があった。御案内のように、三陸鉄道の利用客というのは、開業以来大きく減ってきておるが、これはマイカー利用の普及であるとか、少子化等に伴う沿線住民人口の減少等もあるし、それ以外にさまざまな要因もあるわけなのであるけれども、定期利用客の確保と、それから委員御指摘のあった定期外利用客の確保、両面からの対策が必要になってこようかと考えておる。まず、定期利用客の確保については、例えば駅舎の有効利用であるとか、公的な施設への駅からのアクセスの改善であるとか、さらには今後は新駅の設置とか、沿線住宅団地の開発との連携等、こういった面的な取り組みというものが必要になってこようかと思っておるし、また他地域からの観光客誘致ということについても、商工労働観光部の方で魚彩王国等の事業を行っているわけであるが、こういった旅行商品の企画開発などと観光施策との連携を図る、こういったことも必要になってこようかと考えておる。三陸地域の観光振興については、先ほど申し上げた直通列車の運行、こういったものを行うとともに、これにあわせて、例えばそれぞれの駅からの周遊観光バスを走らせるなどして、やはり沿線が一体となって観光客誘致、こういったものにつなげていくような取り組み、こういったものが一緒になって効果を発揮すると考えているところであるので、平成11年度以降についてはこういった点にも留意しながら、観光資源を活用した事業拡大に積極的に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 いずれにしても、先ほど伊藤勢至委員に対する答弁もあったとおり、促進協議会をつくってこれから国へ陳情をやるということなのであるが、これは岩手県が本当に誇りにしているマイレールであるから、やはり沿線の市町村にみんな押しつけるということではなくて、県が主体になってやっていかなければいけないと、こう思っておるから。あなたはまだ当分岩手県にいるであろう、少し頑張ってもらいたい。
 次に、私は、さきに岩手県公共建築設計監理協会と県との随意契約について、独禁法に抵触しないかと問いただしたところ、増田知事は即刻記者会見をし、取りやめを表明したところである。その後、私の調査によると、総務部8法人、企画振興部1法人、生活環境部5法人、保健福祉部18法人、商工労働観光部7法人、農政部9法人、林業水産部6法人、土木部7法人、教育委員会5法人となっておる。この中には、当然法人としての役目を果たし、1年に1回の会合か年会報を出しているのにすぎない団体があるようである。行財政の合理化の中で整理する考えはあるか。
 また、特定グループのみで運営する法人の、例えば岩手県猟友会などの随意契約は見直すべきだと思うが、どうであろうか。
 岩手県貸金業協会、岩手県農政経済研究所、岩手県農業機械協会、岩手県馬事振興会とは随意契約となっておるが、今後ともこれを必要と認め契約する考えであるか。
 また、岩手県林業公社について伺うが、林業が不振のとき大変であるが、随意契約の内容についてひとつ詳しくお伺いする。
 食糧費不正に見られるように、あしき前例、慣習は直せというのが増田知事の決意である。今後の対応について、どうあるかもあわせてお伺いをする。

〇千葉副知事 11月1日現在で知事の所管に係る公益法人の数は285、教育委員会所管に係るもの79で、合計で364となっておる。県が出資しておる公益法人については、先ほどの出資法人について答弁したとおりであるけれども、いずれにしても環境の変化や活動の実態を踏まえて、出資の継続性について見直しを行って、出資の引き揚げや、あるいは類似事業を行う他の法人との統廃合を推進することとしておる。それから、県出資以外の公益法人のうち、引き続き3年以上活動を停止しておるいわゆる休眠法人については、これまでも15法人について、解散あるいは設立許可の取り消しにより整理を行ったところである。さらに、設立後の社会経済状況の変化等によって、既に公益法人としての役割を果たし終えて活動が不活発となっていると認められる法人については、解散することが適当と考えられることから、法人の意向を確認の上、解散に向けた手続等について指導を行ってまいりたいと考えておる。
 次に、岩手県猟友会との随意契約の関係であるけれども、岩手県猟友会に対しては、有害鳥獣駆除業務、シカ捕獲個体調査業務、県外者狩猟者登録事務を委託しておって、これは毎年度随意契約により契約を締結しているところである。有害鳥獣駆除業務は、例えばクマなどの被害が生じたときには、県内のどこであっても速やかに実施する必要が出てくるわけであって、狩猟免状を持つ者で構成され、かつ県下一円に構成員がいる団体でなければ、その確実かつ速やかな遂行ができないものである。また、シカの捕獲個体調査業務は、狩猟により捕獲したシカの個体調査を実施するものであるけれども、一定の必要な捕獲頭数を確保して、捕獲後外部計測や妊娠の状況の確認、腎臓等の試料提供を確実に行う必要がある。したがって、狩猟免状を持つ者で構成されて、かつ五葉山地域一円に構成員がいる団体でなければ、その確実な遂行ができないものである。また、県外者狩猟者登録事務は、本県において狩猟をしようとする県外狩猟者の登録事務のうち補助的業務を行うものであるけれども、狩猟に関する法令知識が必要であり、また、各県猟友会との連携なしには照会や確認等の円滑な業務遂行ができないものである。以上のことから、岩手県猟友会がこれらの業務を効果的、効率的に実施できる唯一の団体であるので、随意契約は適当であると考えているところである。
 次に、貸金業協会との随意契約であるけれども、県は、岩手県貸金業協会に対して、貸金業に係る登録申請の受け付け、研修の実施事務について委託しておるが、これは貸金業協会が貸金業の規制に関する法律の規定により設立された県内唯一の公益法人であることから、随意契約を行っているものである。今後の取り扱いについては、貸金業協会以外に同様の団体がないところから、引き続き契約を行うことが必要であると考えているところである。
 次に、岩手県農政経済研究所、岩手県農業機械協会、岩手県馬事振興会に対して本県農業・農村の振興に必要な調査等の事業を県は委託しているわけであるけれども、これらの事業の実施に当たっては、本県農業・農村の実情に精通し、調査に対するノウハウを有していることや、農業機械に関する専門知識を有すること、県内の馬の飼養動向に精通していることなどが必要なところから、随意契約を行っているところである。今後においても、同様の調査の事業が行われる場合にあっては、その事業を円滑かつ効果的に実施する上で、専門性や経験、ノウハウの蓄積等からして、これらの団体に委託することが必要であろうと考えておる。
 次に、林業公社の随契であるけれども、随意契約で委託している内容は、県有林造成事業の現場業務と森林公園内の森林整備業務である。県有林造成事業の現場業務の委託は、県行造林と公社造林との現場業務を一体的に実施することによって、その効率化と経費の節減を図ることを目的としているものである。また、森林公園内の森林整備業務の委託は、森林公社が県内唯一の森林整備法人であるところから、森林の管理に多くの実績を有しており、この委託をしているところである。いずれにしても、県有林造成事業、森林公園内の森林整備事業の円滑な業務の推進と効率化を図るため、今後とも林業公社に業務の委託をする必要があると考えておる。

〇佐藤(正)委員 副知事、細々と説明しなくてもわかっているのである。問題は、特定グループだとなあなあだから随契で問題がないかということを聞いているのだから。
 監査委員、今、副知事から申し上げたようなところ、9年度やったかどうか。あるいはそういうようなことを、1回でも監査した経過があるかどうか、ちょっと。--まあいい、急だからいい。余り副知事が立派だ立派だと言うから、本当に立派かどうかと思って聞いたのだから、うちの方で資料があるから、これは後でばっと出すから。
 次、第23回全国菓子博覧会は大成功に終わり、余剰金は4、675万円を三陸博記念基金に寄附したと聞いておる。大変結構であり敬意を表するが、おいしい菓子博の陰でおいしいことをした人があるかないのか。施設の中で一番大きいのは会場用のテントである。このテントは小川テント株式会社なるところが5億6、100万円余で随契で請け負ったとのことである。かつて私は藤本土木部長にこの問題を問いかけたところ、これは土木部ではなく商工労働観光部と菓子博覧会実行委員会が決定したのであるが、土木部であれば当然指名業者の入札ということになる、こうはっきり断言しておる。小川テントは資本金6、000万円、同業のティーエスピー太陽株式会社は3億円である。ティーエスピー太陽のある関係者は、もっと安くできるが、あの有名な商工労働観光部長との関係があるのであろう、こう示唆しておったが、何かおいしいことがあったのであるか。

〇千葉副知事 菓子博のテントの関係については、これまでの実績等に基づいて小川テント株式会社と随意契約を結んだと伺っているところである。おいしいことがあったかどうかということについては承知しておらない。

〇佐藤(正)委員 念のために言っておかないと、これからイベントもたくさんあることだから。
 次に、磐井、南光病院についてお伺いする。県医療局の決算審査は9月議会で終了したわけであるが、この際、行政問題であるので磐井、南光病院の改築についてお尋ねをする。
 まず、磐井病院の用地費は9年度に計上されておるが、1年繰り越されて10年度となる。10年度も来年3月で終わりであるが、現在1坪も買収されておらない。買収不能のときは未執行となり新年度に新たに予算を提出するのであるか。医療局からは2年サイクルと伺っておる。なお、南光病院の用地費は10年度の計上であるが大丈夫であるか。
 去る10月23日、一関市において県病の合同運営協議会が開かれ、佐藤医療局長は、内定している磐井病院建設予定地、前堀地区以外に代案があれば平成11年1月まで受け付け、3月までに決定したいと答弁し、南光病院の併設は計画どおり変更はないとつけ加えておる。そこで伺うが、県の計画は、常にそのときの情勢に応じて変更も中止も休止もあることは前例のとおりである。代案があった場合、内定地よりも条件がよくても、3月までにまとまらない場合には、前堀地区に決定ということになるのであろうか。
 磐井、南光病院の建設は計画どおり変更ないということは、当初計画は現在地改築ということである、当初一番最初は、今のところに改築ということ、そのことなのであろうか。それとも平成10年1月26日、県病合同委員会で併設方針を発表した日、この日なのであろうか。それとも平成9年2月20日提出の用地買収費を予算化した日であろうか。知事は、併設について万難を排してやれ、医療局長やれ、やらないと首だと言ったのであろうか。
 タイムリミットである平成11年3月までに、併設する南光病院用地についての地元医師会との了解はどうなっているのであろうか。
 現南光病院の問題、地元住民の反対などすべて条件が整わないときは断念するのであろうか。その場合の南光病院の建設場所はどうなるのであろうか。医療局長の責任はどうなるのであろう。知事は、地域の問題はよくその地域の事情を調査して、意見を十分に取り入れてやるようにと演述で述べておられる。市民の代表である一関市議会は、磐井病院を早くつくってもらいたい。満場一致で決議をしているのである。南光病院の併設には一言も触れておらない。このことは、知事の言っていることと、医療局長の言っていることとまさに正反対であるが、医療局長はごり押ししているのであろうか、御見解を伺う。

〇千葉副知事 予算の関係であるけれども、制度的には2年の繰り越しはできないとなっているところである。
 それから、具体の予算の関係であるけれども、これは医療局から要求があれば、その段階で検討したいと考えておる。
 それから、前堀地区よりすぐれたところがあれば話し合いに応じたい旨の意向が示されたところから、11年1月末日までに推薦するよう期限を付したと伺っておるけれども、いずれも11年3月31日までには候補地を絞り込みたいというのが医療局の意向である。ただ、実際、建設中もそうであるけれども、建設後も当該市町村、設置市町村の協力なしで病院の運営はできないわけである。したがって、本当に前堀地区以上にいい箇所があるのであれば、3月31日以降についても協議に応じていきたいと考えているところである。
 それから、磐井、南光の併設の関係についてであるけれども、医療局としては平成7年11月に方針を固め、12月以降一関と協議を進めてきたと聞いておる。平成8年7月に市から、併設については地元関係者の理解を得るために時間がかかるとの考え方が示されて、その後も進展が見られなかったところである。しかし、このままでは一層おくれを来すということから、平成10年1月、ことしの1月であるけれども、病院運営協議会の席上、併設について理解を求めたところである。また、こうした一連の事項については、知事に説明の上、了解を得て進めているものである。南光病院の用地については、地権者との交渉はしておらないところであるけれども、いずれ一関市の協力を得て進めてまいりたいと考えておる。
 また、地元医師会に対しては、本年10月14日の臨時理事会において説明して、理解と協力を求めたところである。今後、引き続き新しい病院等の機能について協議してまいりたいと考えておる。
 いずれにしても、今後の高齢化への対応など診療上のメリットが大きいこと、あるいは整備に伴う将来の負担を軽減していくためには併設が最善であるとの考え方に変わりないので、引き続き関係者の理解を得ながら、両病院の併設による早期整備に努めてまいりたいと考えておる。一関市議会から磐井病院の早期着工を求める意見書が平成10年7月8日に医療局長に提出された際に、来庁した市議会議長等から併設に反対する者はいないとの話があり、併設について市議会の基本的な理解は得られているものという報告を受けているところである。

〇佐藤(正)委員 これはこれからもあるし、また県内各地でもあるのであるが、県のやり方というのは手際が悪いというか、下手というか、だからこういう問題は必ず起きるわけである。だから、これはやっぱり十分に事前によく練ってやっていかなければこれからも起こると思うのである。
 さて、奥産道問題である。
 奥産道について、知事はさきの記者会見でその工事中止を表明した。その後、一般質問でも取り上げられ多くの疑問が出された。この決定は、この道路の開通を心待ちにしてきた地元住民を初めとする多くの県民の期待を裏切った。木を見て住民を見ないものとして到底容認しがたいものである。
 先般、私は議員として一貫性を県民に示すために、道路にならなければ、これまで投じた46億円以上の費用がむだになり、結果的に不当な公費の支出に当たるのではないかということで住民監査請求を提出した。そうであろう、局長。知事は、迂回所を設けて県道として有効利用する、ビジターセンターをつくるなどと述べておられる。今もこれ質問あったけれども。当初の計画と全く目的の異なる道路となっても国は--国と言っても、建設省、環境庁、林野庁である--計画変更を認めるものであろうか。
 知事は、記者会見において、行政上の取り扱いとしては、非常に長期にわたってこれを中断するという取り扱いをとる可能性もある、こう言っているのである。要するに、国の補助金は返せないし、岩手県で負担したくないから、このようなちょっとわかりにくい言い方をする一方、さきの一般質問では、中屋敷議員の質問であろうか、その中では、私の在任中はやらないと、こう答弁した。この補助金の返還については見通しに自信がないから先送りしようということなのであろうか。
 また、現行の県道認定の基準からして、県道として認定できるというならば、その該当理由をひとつお示し願いたい。
 さらに、ビジターセンターを設けるといってもかなりの駐車場などを必要とするが、そのためにまた付近の土地を買収し森林を破壊するのであろうか。ビジターセンターは多数の観光客があって初めて生きるものと考えるが、道路が地域と地域を結ぶ道路でなくなった以上、ビジターセンターを整備しても利用客は望めず、建設費や維持費、管理費、人件費等の運営費を考えた場合は、中止したことによる県費のむだ遣いの上に、さらにむだ遣いを重ねるだけのものになるのであろうがどうであろうか。
 私は、自然を楽しみに来た人にビジターセンターを見に行くなどというちゃちなことを考えず、ここに反省の立て札を立てる。この道路は46億円をむだにした結果、自然保護を優先した21世紀の道路である、と記したらいかがであろうか。必ず後世に残ると思うがどうであろうか。

〇千葉副知事 奥産道の問題であるけれども、まず国が計画変更を認めるかということであるが、現在、方針を固めたばかりである。県道の管理のあり方などについて、建設省を初め環境庁や林野庁と相互に関連するところから、今後県の考え方を関係機関に対して十分説明して、協議調整を行ってまいりたいと考えておる。
 それから、補助金の返還の関係であるけれども、これまで整備してきた区間については、既に供用されておる。引き続き県道として管理することで補助金の返還等の問題に対応してまいりたいと思う。しかし、工事の再開を断念したことを国に報告した直後でもある。具体の協議調整はこれからであるけれども、県の意向を十分に伝えて、返還等の問題が生じないよう早期に解決に努めてまいりたいと考える。
 それから、知事の発言は問題の先送りではないかという御質問であるけれども、県道路線の廃止や認定等については関係機関との協議が必要である。その過程でいろいろな選択肢が予想されるところである。このため、ケースによっては、現在の1路線のまま存続させて、補助金や路線認定の問題等を段階的に解決する方策も考えていかなければならないところから、長期にわたって中断するという取り扱いもあり得るということを知事が申し上げたものである。
 それから、県道の認定についてであるけれども、県道の関係、行きどまり道路として新たな路線の認定を行う場合には、その理由を主要地と主要な観光地とを連絡する道路として取り扱うことが考えられるところである。しかしながら、その処理については、路線の廃止や認定の問題等があるところから、今後、国とも十分な協議調整を行い、慎重に対応してまいりたいと考えておる。
 それから、ビジターセンターの関係であるけれども、これは先ほども答弁したけれども、平成9年度の統計によれば、十和田八幡平国立公園八幡平地域の自然公園利用者は244万人となっておる。ビジターセンターの設置は、これらの利用実績を踏まえて、自然との触れ合いを求めて参る利用者に対して、岩手山や八幡平などのあの地域のすぐれた自然への理解を深めてもらうことや、登山や散策ルートの紹介などを行う施設として計画しているものである。設置に際しては、自然環境に十分配慮しながら、その地域にふさわしいセンターとなるよう、また十分な活用が図られるよう努力してまいりたいと考えておる。
 それから、立て札についてであるけれども、非常にユニークな御提案だと考えるが、それだけに実現は困難だろうと考える。

〇佐藤(正)委員 副知事、さっき補助金の返還については佐々木一榮委員からも質問あったのだけれども、県の意向を理解してもらえるように国に説明すると言うけれども、私も建設省に問い合わせてみた。全国の知事が、災害なら別だけれども、知事の御意向によってやめたとなったらあなた大変であろう、これは。こんなこと幾ら説明したって、それが納得される、国では受けれるわけないではないか、そんなこと。だからこそ、先ほど申し上げたとおり知事は、自分の任期中はやれないと、これは知事は政策の最高決定者だし、予算の執行権持っているのだから、それはいい。知事は自分のみずからの信念でやるのだから。だけど補助金は返さなければならないからこういうことになったわけである。結論から言うと、知事は在任中やらないと、ほかの知事にかわったときその人にやってもらいたい。ならばずっと継続していけば補助金は返さなくてもいい。どうなのであるか、それは。どっちなのであるか。

〇千葉副知事 先ほど来再三申し上げておるとおり、補助金の返還の問題等も含めて、これから本格的に国と協議することになっておる。こういう結果になったわけであるけれども、この間の事情を十分説明して、補助金等の返還等の問題が起こらないよう処置してまいりたい。(佐藤(正)委員「委員長、答弁になっていない。私も時間がない、まだ質問があるから。暫時休憩だ、議事進行だ、もっとはっきり聞きたい。大事なことだ。」と呼ぶ)

〇高橋委員長  暫時休憩する。
   午後2時1分 休 憩
   午後2時3分 再 開

〇高橋委員長 再開する。
 それでは、千葉副知事に答弁させる。
   〔「議事進行。」と呼ぶ者あり〕

〇菊池(勲)委員 今の世話人会の結果の話、千葉副知事答弁というのはどういうことか。今の世話人会の結果は何をそこで協議したのか、これを説明してもらわないと。

〇高橋委員長 ただいまの世話人会では、即再開してよろしいと、そこで千葉副知事に答弁をいただくようにと、こういうことである。

〇千葉副知事 先ほど質問があった、現在の知事以外であればやるかもしれないという、そういう前提の御質問あったわけであるけれども、私はその点まで踏み込んでの確認はしておらないので、御了解願いたいと思う。

〇佐藤(正)委員 知事は何と言っているかというと、記者会見において、行政上の取り扱いとしては、非常に長期にわたってこれを中断するという取り扱いをとる可能性もあると、こう言っているのである。本会議では、私の在任中はやらないと、こう言っている。ちょっと微妙に食い違っているのである。なぜかというと、これは返還金の問題なのである。知事の記者会見は、こういうことを言えば返還しなくてもいい。建設省では怒っているのである。全く岩手県には困ったものだと、こう言っていた。全国でこんなことをしたら大変である。実際には返還できないのである。だから、知事はこういうふうにしている。知事は建設省出身だから、わかっているのである。こう申し上げて、しかしながら、知事としての政策上はやめるべきだと。自分の任期中はやらないと言っているのだから。そうなれば、知事がかわったらどうぞやっていただきたいということであろう。どなたがやってもいいと、こういう可能性があるわけである。だから、知事はどっちなのだということを聞いているのである。後でいい、委員長、任せるから、時間がないから。

〇高橋委員長 佐藤正春委員の今の意思を酌んで、そのことを知事に伝えると、こういうことで御了解いただきたいと思う。

〇佐藤(正)委員 任せる。
 次に、農村地域工業導入促進法に基づき、地域雇用を目指して農工団地を導入したところは県内で何カ所あるか。そのうち何カ所が誘致企業も決まらず行き詰まっておるか。
 ここに平泉瀬原工業用地がある。用地買収から6年経ても誘致企業は1カ所も決まらず、ペンペン草が生えておる。今さら変更となると優遇措置の解除や地権者の了解などが必要であるし、町では今後の償還分も含めて3億6、213万円が要るとのことである--これは私の調査である。誘致企業が決まっても給排水設備や団地造成費などさらに3億6、000万円程度かかる見込みとのことである。これらは、県の見通しの甘さ、指導の結果ではないのか。このことについて、その責任所在と今後の対応についてお示し願いたい。

〇千葉副知事 農工団地の状況であるけれども、県内の農工団地数は、53市町村で85団地となっておる。工業用地面積は1、320ヘクタールで、分譲済み面積は903ヘクタール、分譲率は68・4%となっておる。農工団地85団地のうち、立地企業がまだ決まっていない団地は14団地となっておる。
 平泉町の瀬原工業団地であるけれども、同団地は、平成元年に情報関連企業の進出表明を受けて、町が平成2年3月に農村地域工業等導入実施計画を策定の上、農工団地として指定し、3年度に用地を取得、あわせて5年度までの3年間で取りつけ道路等の整備を行ったところである。しかしながら、立地の意向を表明していた企業が、その後の業績不振によって、平成8年10月、立地を断念せざるを得ない状況になり、現在に至っているものである。
 したがって、依然として企業を取り巻く経済環境がかなり厳しい状況にある。県としても、これまでの経緯と農工計画策定の趣旨を踏まえて、当団地への新たな企業導入を図るため、町ともども最善の努力をしてまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 やっぱりバブルの影響があるだろうけれども、県の指導もある、これは。今から誘致企業といったって、誘致などなかなかうまくいかないではないか。
 そこで、この問題だが、計画変更のあった場合、一つ、用地取得時に軽減された所得税についてはどうなるのか。
 2、租税特別措置法の適用はどうなるのであろうか。
 3、地権者から目的外変更のために原形に戻した上での返還要求があった場合、どう対処されるのか。

〇千葉副知事 用地取得時に軽減された所得税についてであるけれども、これは、平成3年度の一関税務署との事前協議に基づいて租税特別措置法が適用され、譲渡所得金額から特別控除されているところである。この租特法の適用は住宅の建設や宅地を造成する場合の特例措置であり、工業用団地についても適用されるものである。したがって、当該工業用地を他の目的に利用するとした場合、例えば町が住宅団地として造成する場合、あるいは学校や病院用地として利用する場合などについては、一般的には従来どおりの特例措置が適用されるものと考えておる。しかし、そのような事態が生じた場合には、具体的な事例に即して、改めて所管の税務署と協議を行う必要があると考えている。
 また、地元地権者から原形に戻した上での返還請求があった場合には、まずもって土地利用について当事者同士が誠意を持って協議することが望ましいものと考えておる。

〇佐藤(正)委員 それは担当者から当該地域の窓口に通達してあるのか。

〇千葉副知事 これらの事項については、平泉町役場等に通知してあるものと考えておる。

〇佐藤(正)委員 それでは、いよいよ時間がないが、知事が管理者であるので、競馬組合についてお伺いする。
 地方競馬が赤字で馬も参ったと、こう言っておる。全国には25の自治体が主催する競馬場があるが、そのうち黒字は数カ所だけと聞いておる。本県競馬組合の場合はどうであろうか。
 岩手県の競馬組合はミニJRAと言われているそうであるが、県内外に6カ所場外馬券売り場を持つなりふり構わない状況は、一部ではばくち組合ではないかと言っている。本県の歴史と伝統を誇る馬産地岩手のイメージとはほど遠いのではないであろうか。そこまでして馬券を売りつけなければならないのは、以前から警告してまいった盛岡競馬場の莫大な建設費用の問題にあるのではないであろうか。
 そこで、知事の言う本県の馬の振興策と場外馬券売り場の見解についてお伺いする。
 また、売り上げの1%を来場料としてG1レースの発売に踏み切ったことは本県の競馬にいかなる意味を持つのであろうか。これが健全と言えるのであろうか、あわせてひとつお伺いする。

〇千葉副知事 本県の競馬の収支の状況についてであるけれども、岩手県競馬組合の平成9年度の決算によると、歳入面において、入場人員が増加したことによって発売金額が前年度を4・3%上回った。一方、歳出面においては、施設の管理運営費や業務委託費等の見直しを行って経費の縮減に努めたところなどから、単年度収支で約1億8、000万円の黒字となったところである。
 次に、本県の馬の振興策と場外馬券売り場についてであるけれども、競馬組合においては、県内外のファンの利便性の確保や収益の安定向上を図るため勝ち馬投票券の場外発売所を設置してきておるけれども、売上金のうちから構成団体に収益配分を行い、畜産の振興、社会福祉の増進、教育文化の発展、医療の普及など、こういった施策を行うために活用されてきておる。
 また、売上金の一部は地方競馬全国協会を通じて畜産関係団体や農協などに助成され、馬の改良増殖、その他畜産の振興のために活用されてきているところである。特に、本県では、馬産振興を図るため、地域特産としての農用馬や余暇ニーズに対応した乗用馬の生産を推進することとしておるが、先ほどの県への配分金や地方競馬全国協会の畜産振興補助事業、さらには競馬組合の単独助成事業などが活用されているところである。
 次に、中央競馬会のG1レースを発売することについてであるけれども、中央競馬と相協調し、本県競馬の発展を図るための一環として、また、岩手競馬のファンへのサービス向上対策として実施しているものである。

〇佐藤(正)委員 次に、今、問題になっておる情報公開についてお伺いする。
 県では、今議会に条例改正案を提案するようである。大いに賛成である。我々議会の改善提言への資料ともなり、議会もますます活発化するものと期待しておる。
 私は、さきに、警察の公文書公開については、捜査能力の低下、加害者、被害者のプライバシー保護の問題があるので慎重にと申し上げてまいった。国が怠慢と知事が非難した本件について、ひとつ御見解を伺っておく。
 次に、カルテの公開についてお伺いする。
 病院といえども今までのように聖域ではないし、タブーにしてはいけない。最近、県病の医師の評判のよいところと悪いところが患者によって評定されておる。患者にとって医師との信頼関係が一番であり、それは、歴史と伝統のある岩手県県病と県民の信頼にかかわるドクターと患者の信頼関係を保証するカルテである。本県県病では、カルテ等の診療情報の公開はあるのであろうか。医師はなかなかカルテの公開に消極的だと聞いておる。埼玉県がんセンターの武田総長は、5年前から診療記録、看護記録、検査結果などをとじ込んだカルテを手提げ袋に入れて患者に渡し、院内を移動する際に運んでもらい、運ぶ途中に読ませるというグッドアイデアを実施している。これは職員の発想だそうであるが、まさにグッドアイデアである。日本一の本県の県立病院は、全国に先駆けてカルテの公開をやるお考えがあるかどうか、この点について伺っておく。

〇吉田総務部長 国の情報の公開に関する法律案、これは本年の3月27日に政府提案として国会に提案されたものである。国の保有する情報の一層の公開ということから、国民のニーズにこたえるということでその早期成立が望まれているということであるが、国会でまだ成立しておらないということで、このことから、知事は、法律案が成立していないのはまことに残念だという趣旨を述べたものと理解しておる。
 なお、公安委員会については、今回の本県の条例改正案において公文書公開審査会から実施機関に加えることとされながらも、警察業務の全国的な統一性とか一体性という観点から国の制度との整合性に配慮することが適当だと、そういう趣旨のもとに、今回の条例改正案では実施機関の中には入れなかったということで、国の法律案が成立した場合においては、必要な時期に必要な措置を講じるという考えである。

〇千葉副知事 県立病院のカルテの公開の関係についてであるけれども、全国的に診療情報の提供や診療記録の開示が論議されているところであるけれども、開示は進んでいないのが実態である。開示が進まない理由として、がんや精神病などの病名の告知に伴う診療上の問題、あるいは記載方法における日本語と外国語の混合、略語の多用等、病名などの標準化が不十分などの課題があるところからきていると言われておる。
 カルテの開示については、国や日本医師会において、全面開示に向けて診療記録の作成、管理のガイドラインづくりが検討されておるので、これらの動向を見きわめながら開示に向けての体制づくりをしてまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 今の副知事の答弁はなかなか大したものである。知事の乗り移りみたいな答弁であった。
 やはりカルテの開示というのはよほど踏み切らないとできない。私たちの増田知事は、そういう意味では何でも非常に勇気がある、奥産道などでもそうだけれども。やっぱり岩手県の県病というのは日本一なのだから、やるのなら一番先にやらなければならない。今、副知事はかなり前進しているから、知事はやるであろう、これは。そういう方向で進めていいであろうか、もう一回答弁していただきたい。

〇千葉副知事 県立病院の組織等は全国一位の状況である。カルテの開示の関係についても、そういう県民の期待等にこたえていくのが筋ではなかろうかと考える。

〇佐藤(正)委員 それでは、割合スムーズに進んだので、もう一つで終わる。
 次に、県議会だよりについてお伺いする。
 いわて県議会だよりなるものが議会ごとに発行されておる。中身を見る限り、県議会だよりではなくて県庁にこにこだよりである。これは何部発行され、どの方面に出ているのであろうか。議会だよりならば、議会で問題になった案件、非公開と問題になっている委員会の重要問題、こういうものも含めてなぜ載せないのであろうか。例えば、6月議会で私は岩手県公共建築設計監理協会のあり方を取り上げ、本会議では議長預かりとなり、知事は早々に誤りを認め、今後、県としては契約を中止すると、こう発表しておる。このようなことは県民に知らしめる義務、必要があろうかと思うが、全然出ていない。逆に東京の日経あたりとか、ほかのマスコミが取材に来る。一番県民が知りたい県議会だよりには全然出てこない。出てくるのは、県庁は立派なこと、いいことばかりやっているというにこにこだよりである。この点はどうであろうか。

〇吉岡議会事務局調査課長 いわて県議会だよりについてお答えする。
 発行部数は、年4回、各定例会ごとそれぞれ4、500部となっておる。配布先は、市町村や公共施設を中心として、具体的には市町村が約1、000部、県立病院等の医療機関が約1、200部、その他金融機関、郵便局等である。
 いわて県議会だよりの編集に当たっては、昭和51年の議会運営委員会で決定されておる議会広報紙のあり方についてなどを基本方針として、議会審議の中心である本会議での質問、答弁に重点を置いた構成としておる。紙面の許す限り多くの議員からの質問を取り上げることとしておるが、特に県民生活にかかわりの深い課題や施策の状況をわかりやすく掲載することとしているところである。
 また、常任委員会などについては、今までのところ、こうした基本方針からその審査の状況までは掲載してないが、委員会で審議された条例の概要や請願、陳情の審査結果等は掲載しておる。
 現在、情報公開等検討協議会において今後の広報のあり方についても協議しているところである。中でもいわて県議会だよりについては、さらに県民の目に触れる機会がふえるよう発行部数をふやすとともに、掲載内容についても、各議員の発言や委員会の状況などもきめ細かく掲載していきたいと考えておる。
 今後とも、議員や各会派の意向に沿って、必要な議会だよりの見直しが進められるよう検討してまいりたいと存ずる。

〇佐藤(正)委員 委員長、御協力ありがたかった。以上で終わる。

〇中屋敷委員 政和会を代表して、総括的にお伺いしたいと思う。
 まず初めに、平成9年度の県税決算の状況についてお伺いする。
 先ほど佐藤正春委員からも質問があったけれども、まず、平成9年度の県税決算については、収入済額は1、258億453万円余で、補正後の予算額を1億2、900万円ほど上回る結果となっており、予算確保の努力にまずもって敬意を表したいと思う。
 そこでまずお伺いするが、平成9年度の調定額に対する収入済額の状況は、前年度の状況あるいは他県と比較した場合どのようになっているであろうか。
 また、収入未済額は14億7、882万円となっておるが、これを前年度と比較した場合、どのような状況になっているのであろうか。
 先ほども議論があったけれども、自主財源比率の低い本県にとって、県税は貴重な財源である。自主財源確保の観点から収入未済額の縮減が大変重要と考えるが、収入未済額に対する今後の対応についてもこの際お聞かせ願いたいと思う。

〇吉田総務部長 平成9年度の県税決算の状況であるが、県税の調定額に対する収入済額の割合は98・78%で、前年度を0・22ポイント、若干下回っておる。ただ、他県と比較した場合は、全国都道府県の平均が95・75%であるので3・03ポイント上回っておるし、東北6県の平均98・09%を0・69ポイントそれぞれ上回っている状況にある。
 それから、収入未済額であるが、残念ながら前年度に比較して3億591万円余、26・1%の増になっておる。これは、大口倒産の影響とか、あるいは景気低迷による営業不振、あるいは資金繰り困難などによる滞納が増加したものと理解しておる。
 今後の対応であるが、収入未済額の57・8%を占めているのは個人県民税である。この個人県民税については、御案内のとおり、市町村において個人の市町村民税とあわせて賦課徴収させていただいておるので、市町村と一体となって連携協調を図らなければならないということである。それとともに、滞納整理の方策であるが、市町村等と一緒に勉強したり、あるいは指導したりしながら収入確保に努めてまいりたいと考えておるところである。
 その他の税目については、滞納者の実態把握とか情報の収集に努めたいと思っておるし、あるいは差し押さえとか分納とか、そういったことについて個々の実情に即した措置を取り入れて収入確保に努めてまいりたいと考えておる。

〇中屋敷委員 いずれ収納率は高いわけであるけれども、実際、内訳は、県税を見ると、県民税は確かにあれであるけれども、景気の低迷等で事業税等は一番大きく減少しているわけであるので、この辺の確保というのは、やはり大きな自主財源の部分であるので、ぜひさらに努力していただきたいと、かように思う。
 次に、公共土木施設の災害状況と今後の復旧対策についてお伺いしたいと思う。
 御承知のとおり、ことしの前半は早春から非常に暖かい日が続いて、桜の花もまれに見る早さで開花した。6月にはもう梅雨入りしたが、連日のように雨や曇りの日が続き、8月に入っても天候が回復しなかったため、ついに仙台管区気象台では梅雨明け宣言を行わなかったところである。本年は6月の梅雨による災害を初めとし、今日まで非常に多くの災害が発生し、特にも8月26日から31日にかけての豪雨は県内各地に多くの被害をもたらし、北上川水系の一関地方振興局、千厩地方振興局においては、住宅の損壊、河岸の決壊、道路の損壊、農作物の冠水など甚大な被害をこうむったところである。また、9月3日、岩手県内陸北部にマグニチュード6・1の地震が発生し、私の地元である雫石町長山で、震度6弱というこれまで経験したことのない大きな地震により、県道西山生保内線を初めとする土木施設や宿泊施設に多大な被害が発生したところである。さらに、9月13日の江刺市における地すべり、9月15日から16日にかけての台風5号による災害など、近来まれに見る大きな被害が次々に発生したが、まず、被災された方々には心からお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧を強く願うものである。
 そこでお伺いするが、平成10年度に発生した公共土木施設の災害状況はどのようになっているのであろうか。また、この災害について、いつごろをめどに復旧を図ろうとしているのか、その見通しをお聞かせ願いたいと思う。

〇千葉副知事 平成10年の災害状況であるけれども、被害報告は、県工事542カ所約154億9、000万円、市町村工事で1、267カ所129億600万円余となっておる。県、市町村あわせて、箇所数で1、809カ所283億9、600万円余となっておる。このうち、河川は758カ所で93億4、200万円余りである。また、道路、橋梁は1、047カ所で189億1、100万円余となっておる。
 次に、今後の復旧見通しであるけれども、ことし災害を受けた箇所については、8月に行った第1次災害査定を皮切りに、12月18日まで7回31班にわたって災害査定を受けることで建設省、大蔵省から了解をいただき、これまで5回の査定を受けたところである。査定が終了次第、早急に災害復旧事業に着手することとしておるが、査定が12月まで、及び本年度中の工事期間が少ないこと、被災箇所として積雪の多い山間部を抱えていること、災害復旧工法の検討に時間を要すること、あるいは林野庁など他の省庁との調整に時間を要すること等により、災害規模の大きい箇所の本格的な復旧は平成11年度以降になるわけであるけれども、その他のものについては可能な限り平成10年度に着手するよう努力していきたいと考えておる。

〇中屋敷委員 了解した。いずれ生活関連に直接かかわるような部分については可能な限り早く災害復旧に対応されたい。また、時間がかかるものについては、次の災害に対応したような形の、ぜひ万全を期した、時間をかけてもやれるところは万全を期されたいと、かように思う。
 次に、一関遊水地建設事業についてお伺いする。
 一関遊水地建設事業は、北上川の治水対策の根幹をなす一大プロジェクトとして昭和47年度に着工以来、建設省等の御努力もあり、着実に進展しているところである。特に、最近では柳之御所を保全するために河川の堤防計画が変更されることとなり、また、今年度からは太田川にかかるJR東北線の橋梁改築にも着手したと伺っておる。しかしながら、着工以来26年を経過しても、いまだ進捗率56%程度にとどまっていると承知しておるものであり、このペースでいくと完成までにはさらに年月を要すると考えられるものである。遊水地の早期完成というのは、当該地域住民の悲願であると思う。一日も早い完成が待たれているところである。このような状況の中、財政状況等も非常に厳しいものがあるけれども、事業の大幅な進捗を図るため、県としては、今後、どのように取り組まれていかれるのかお聞かせ願いたい。
 また、先ほどの質問とも関連するけれども、本年8月の出水時には前堀地区において内水による浸水被害も発生するなど、新たな問題が表面化してきていることから、この問題の取り組みについてもあわせてお伺いしたいと存ずる。

〇千葉副知事 一関遊水地建設事業は、平成10年度においては、2次補正も含めて約54億円の予算をもって滝沢水門の完成、JR太田川橋梁の改築事業着手や、第2及び第3遊水地内の圃場整備関連施設の整備等を進めているところである。
 また、今後予定されておる年度内補正の要望についても、さきの8月末の豪雨による内水被害の発生を重大に受けとめ、既に着工しておる前堀地区排水機場の平成11年度内完成や平泉堤防のかさ上げなど、新たな課題への対応や事業促進を図るため最大限の努力をしていると聞いておる。
 県としても、柳之御所の保全に係る用地の取得や交換を完了し、高舘橋の施工についても重点配分を行うなど、事業進捗を図っているところである。
 さらに、今回の内水被害の発生や平成11年度のインターハイの開催を契機に大幅な事業促進が図られるよう、関係機関の御支援をいただきながら、一日も早い完成に向けて積極的な要望活動を展開してまいりたいと考えておる。

〇中屋敷委員 災害が起きるたびにいつも大雨が話題になるものであるから、ぜひ御努力願いたいと思う。
 次に、農業関係についてお伺いしたいと思う。
 まず、農作物品種改良の取り組み状況についてお伺いする。
 厳しい農業情勢の中、本県が産地間競争を勝ち抜き、強固な産地を形成していくためには、革新的農業技術の開発、とりわけ他の産地にはないすぐれたオリジナル品種の開発が極めて重要であると考えておる。県では、農産物についての新たな需要を創造する農業展開の先導的な役割を担うため、研究機関を集中化し、平成9年4月に農業研究センターを発足させたところである。品種改良には長い年月がかかるということは十分承知しておるけれども、最近は研究施設や実験装置も充実し、バイオテクノロジーなどの研究手法も進歩していると聞いておる。農業者が夢を持って取り組める農業の構築のためにも一日も早い成果が待たれるところであるが、ついては、この農業研究センターでは現在どのように品種改良に取り組んでおられるのか、その状況についてお知らせいただきたいと思う。
 続けてお伺いする。
 花卉の生産振興についてお伺いしたいと思う。
 近年、ガーデニングブームの高まりに見られるように、家庭においては、単に花を飾ることに加えて、鉢物や花壇等に実際に水をやり、上手に育てるという喜びが浸透してきており、花の楽しみ方が多様化していると伺っておる。県内においても、ホームセンターや園芸店などでは花壇苗や鉢花などを求める消費者で年間を通じて大変にぎわっておる。こうした背景には、私は、国民の求める生活の豊かさが物質的な豊かさから精神的な豊かさへという大きな流れがあると、そう感じておるけれども、花の需要は今後ますます膨らんでいくものと考えているところである。
 そういった意味で、本県の花卉生産はリンドウを中心として推進されてきて、日本一のリンドウ産地が形成されてきているところであるが、私は、今後、本県が花卉産地としての地位を確保していくためには、需要動向を見きわめながら、リンドウに次ぐ品目を早期に育成するなど、花卉生産の多様化を進めていく必要があると考えるものであるが、県の基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思う。
 また、先般、平成11年度に本県で開催される第46回日本花き生産者大会の実行委員会が設立されたという新聞報道があったが、この大会の趣旨及び内容はどうなっているものかあわせてお伺いしたいと思う。

〇千葉副知事 農業センターの品種改良の取り組みについてであるけれども、まず、水稲については、食味にすぐれた食用米を初め、多様な需要に対応するモチ米や酒米の品種育成を行っているところである。酒造好適米については、これまで3系統を選抜して平成10年度から現地栽培試験に移しており、本年度の成績を見て、有望な系統については品種登録を検討してまいりたいと考えておる。
 果樹では、ジョナゴールドやふじよりも商品性の高いリンゴや耐寒性にすぐれた大粒ブドウの品種育成に取り組んでおる。
 花については、リンドウに次ぐ品目として、ユリ、小菊、スターチスなどの新しい品種の育成に努めており、中でもスターチスは、岩手生物工学研究センターと連携して、花の色が均一で収量性の高い5系統を選抜し品種登録を検討するとともに、実用化に向けて苗増殖技術の開発を行っているところである。
 また、肉牛や豚については、受精卵移植等の先端技術を活用しながら、第5夏藤を越える黒毛和種種雄牛の作出や繁殖能力等にすぐれたランドレースの新しい系統造成に努めているところである。
 一方、岩手生物工学研究センターにおいては、遺伝子組みかえ等の最先端技術により、冷害や病気に強い水稲や白色系の鉢物用リンドウなどの新品種を育成するため母本開発に取り組んでおり、今後、これらの基礎的研究の成果を生かして、農業研究センターにおいて県独自の新品種を育成してまいりたいと考えておる。
 次に、花卉の生産振興であるけれども、委員御指摘のとおり、近年、花に対する消費者の需要が多様化してきておる。県としては、こういった需要に的確に対応していくことが花卉産地としての評価を高める上で重要だと考えておる。そのため、本県の花卉の中心であるリンドウの産地体制を一層強化していくとともに、リンドウに次ぐ品目として、露地切り花の小菊を初め、施設型品目であるユリやトルコギキョウ、ストックやスターチス、さらには鉢物リンドウや花壇苗などを組み合わせた花卉の複合型産地化を推進しており、その結果、こうした品目が徐々に定着し、生産額も順調に伸びてきておる。
 今後においても、農業研究センターが開発した鉢物リンドウのあおこりん、ももこりんやスターチスの新品種など県オリジナル品種の普及と評価向上に努めるとともに、育苗施設や高規格ハウス等の整備、さらには、予冷・保冷施設の導入など、生産から流通に至る種々の対策を講じ、本県花卉の産地化を一層推進していく考えである。
 なお、平成11年9月に本県で開催される第46回日本花き生産者大会についてであるけれども、この大会は、全国の花卉生産者の交流によって生産及び流通技術の研さんを深め、また、生産意欲の高揚と花卉農業の振興発展を図ることを目的として、全国から約1、200名の参加を見込んで開催されるものである。本県が花卉産地としての飛躍の機会となるよう、準備に万全を期してまいりたいと考えておる。

〇中屋敷委員 農業研究センターとか生工研、すばらしいことをやっているのであろうけれども、なかなか我々の目に見えてこないというところもあるし、そういう成果、そういうブランドもの、種苗についても花卉についても、いろいろな形で振興策を全国に先駆けてやるというような取り組みをぜひお願いしたいと思う。
 次に、中山間地域の活性化と地域情報の発信という点についてお伺いする。
 本県の農山村、いわゆる中山間地域では、近年、若者を中心とした人口の流出に伴い農林業労働者の減少や高齢化が進行し、このまま推移すれば、農林業の停滞はもとより、地域全体の活力の低下が心配されるという状況にある。これらの地域は食糧生産の場であるばかりでなく、平場地域にはない豊かな自然環境、美しい景観、伝統文化の継承など、国民共有の財産とも言える多様な資源と機能を有していることは御承知のとおりである。
 今後、中山間地域の振興と地域が果たしている役割の維持増進を図るためには、地域住民の主体的な活動と都市住民を含めた国民全体の中山間地域に対する理解を求めていくことが重要であると思う。県内各地には地域活性化に向けたさまざまな取り組みが活性化してきておるので、こうした特色のある活動の掘り起こしとモデル事業を県内に波及拡大していくこと、また、中山間地域の特徴である資源や産物、自然景観などの地域情報を発信していくことがすごく重要なことだと思う。これは議会でも再三にわたって質問されておるけれども、現在行われている取り組み状況といった点についてお伺いしたいと思う。

〇千葉副知事 中山間地域には地域固有の多彩な資源がある。これらの資源を生かしたさまざまな取り組みを掘り起こすとともに、中山間地域の情報を広く県内外にPRしていくことは極めて重要なことであると認識しているところである。
 このため、地域の方々の創意工夫を凝らした生き生きとした取り組みに対していきいき中山間賞を交付し、活動の一層の促進と他地域への波及を図っているところである。また、県内各地に芽生えつつある地域づくりの活動を掘り起こし、その活動を盛り上げていくため、各分野の専門家を地域興しマイスターとして登録し、現地へ派遣するなど、さまざまな面からのアドバイスを行っておる。
 さらに、中山間地域からの情報発信については、農林水産省が中山間地域と都市との交流拠点として東京と大阪に設置しておるふるさとプラザにおいて、市町村等が行う特産品の普及宣伝や地域のPR活動に対して支援を行っているところである。また、県内各地で行われておる中山間地域と都市との交流やグリーン・ツーリズム、民間の旅行雑誌も活用したPR活動などを通じて多彩な情報発信活動が行われてきているところである。
 県としては、今後ともこうした活動に対して積極的に支援することにより、中山間地域の活性化を図ってまいりたいと考えておる。

〇中屋敷委員 そのとおりだと思う。ただ、グリーン・ツーリズムや交流でも、モデル事業の普及をもっともっと図らなければ、そしてまた、県当局においても、例えばグリーン・ツーリズムの所管は農政部だと。商工観光労働部との連携とか、もっともっと私は結びつけて、こういう中山間地域のための振興策をもっと図るべきだと考えるが、ぜひそういう積極的な、地元も取り組んでおるけれども、これはなかなか県の協力がなければできないといった面もあるので、ぜひお願いしたいと思う。
 次に、特用林産物の振興対策についてお伺いする。
 本県では、シイタケを初めとするキノコ類や木炭、ワサビなどの特用林産物は、就業機会の少ない農山村地域にあって複合経営の大きな柱として定着し、農山村地域の基盤を支える重要な作目となっておる。しかしながら、特用林産物を取り巻く環境は、農山村の高齢化の進行などに伴う担い手の減少や安価な輸入品の増大によって非常に厳しい状況になっておるというのが現状だろうと思う。農山村地域においては、多彩な地域資源を活用した産業を振興し、生産の基盤となる所得を確保することが何よりも重要であると、かように思う。中でも特用林産物は、農林家の経営の安定や地域振興を図る上で重要な役割を果たしていかなければならないと思うが、今後、県は、特用林産物の生産振興に向けてどのように取り組んでいかれるのか、まず、御所見をお伺いしたいと思う。

〇千葉副知事 特用林産物の振興であるけれども、特用林産物の生産については、森林内を生産場所とすることが多くて天候に左右されやすいため安定的な収量の確保が困難であること、あるいは国内における産地間競争の激化とともに、安い輸入品の増加に伴う価格の低下あるいは生産者の高齢化などの課題を抱えておるけれども、将来にわたって農山村地域の重要な産業としてその振興を図っていくためには、長期的な展望に立った継続的な施策の展開が極めて重要となってきておる。
 このため、本年4月に特用林産振興基本計画を策定し、生産施設の整備や消費者ニーズに対応した効率的な流通販売体制の整備を積極的に進めるなど、特用林産物の総合的な振興を推進することとしたところである。
 今後ともこの計画に基づき、これまで主として振興を図ってきているシイタケや木炭などに加えて、先ごろ県林業技術センターで選抜を重ね栽培に成功した良質で収量の高い品種の山ブドウや、近年、岩泉町を中心に急速に生産量を伸ばしつつある林間栽培ワサビなども対象として、国、県の補助事業による基盤整備を一層進めるなど、地域の特性を生かした多様な特用林産物の生産振興に努めてまいりたいと考えておる。

〇中屋敷委員 ぜひ積極的な対応をお願いしたいと思う。
 次に、私、余り得意ではないけれども、魚類栽培の推進についてお伺いしたいと思う。
 私は内陸の人間で、海のことはちょっとあれであるが、本県は豊かな三陸漁場に恵まれ、サケ、アワビ、ウニの栽培漁業やワカメ、カキ、ホタテガイ等の養殖漁業の、いわゆるつくり育てる漁業への依存度が極めて高く、漁業の振興にとって今後とも積極的な推進が必要であると考えるものである。とりわけ、県が現在進めておるヒラメ、マツカワの魚類栽培については、一日も早い種苗生産施設整備と、これら種苗の放流が待たれているということを認識しておるけれども、今、種苗生産施設については、大槌町の大槌漁港と大船渡の門之浜漁港に今年度から整備中と伺っておるけれども、その進捗状況はどうなっているか、まず、お伺いしたいと思う。
 また、施設が完成した後、種苗を生産するために必要とされる経費をどのようにして賄う計画であるのか、その点をお伺いしたいと思う。
 さらに、近年は、レジャーの多様化に伴い、海釣りが盛んになっておる。伊藤勢至委員からは従来からサケの一本釣りという話も出ておるけれども、ヒラメ、マツカワは海釣りの対象になるものと思うけれども、これら遊漁対策をどのように考えておられるのか、その点もあわせてお聞かせ願いたいと思う。

〇千葉副知事 本県におけるつくり育てる漁業の生産額は漁業生産額全体の6割を占めているところで、漁業者の所得向上に大きく寄与しているところである。したがって、今後とも、恵まれた漁場環境を生かしたつくり育てる漁業の充実強化を図っていく必要があると考えておる。このため、県としては、新たにヒラメ、マツカワを対象とした魚類栽培を積極的に進めるため、岩手県魚類栽培事業化推進計画によりその推進を図っているところである。
 種苗生産施設については、平成10年度から12年度までの3カ年で、委員から先ほど御発言があったとおり、大槌町の大槌漁港及び大船渡市門之浜漁港において整備することとしておるけれども、工事の進捗率は47%で、現在、計画どおり進んでいる状況にある。これによって、平成13年度からはヒラメ110万尾、マツカワ10万尾の種苗放流を予定しておる。
 それから、種苗生産経費については、県のほか、市町村、漁業者に負担を求めていくこととしており、その具体的な内容については、県、市町村、漁業者等で構成される岩手県魚類栽培事業化推進協議会において検討中である。
 遊漁対策については、ヒラメ、マツカワの放流種苗の保護について遊漁者に協力を求めるとともに、種苗生産経費についても、遊漁者から一部負担を求めることについて検討をしているところである。

〇中屋敷委員 平成13年度に施設が完成し、計画的にやられるということで、ぜひ事業推進のために頑張って、ヒラメ、マツカワの振興策、いわてものというブランドを確立していただきたいと、かように思っておる。
 次に、太陽光発電のコスト低減化対策についてお伺いしたいと思う。
 エネルギーの8割以上を輸入に依存し、さらに大半を石油に依存している我が国のエネルギー需給構造は、他の主要先進国に比べてまことに脆弱な状況にあると言えると思う。さらに、二酸化炭素排出量増加等に伴う地球温暖化対策について世界的な取り組みが進められている中、我が国で排出されている二酸化炭素の9割はエネルギー起源であり、そのもとは、使用エネルギーの8割を占める化石燃料であると、こう認識しておる。そのため、地球温暖化防止と安定的な経済成長を両立させるためには、化石燃料の消費をできるだけ節減すると同時に、それにかわるエネルギー源を見つけていくことが必要であり、今申し上げた課題に対処する一つの有効な手段は、あくまでも国内に賦存し、環境の負荷の小さい、いわゆる新エネルギー等の導入を促進することであり、これは各議会等でも盛んに話題になるところであるけれども、これらの新エネルギーの中でも特に太陽光発電は、日射が得られる場所であればどこでも稼働し、発電に伴う騒音や排出物が少ないなど、立地上の制約が非常に少ないため、住宅や公共施設等、県民にとって身近な施設への導入が可能で、今後、県民各層への広範囲の普及が期待されているものと思う。
 新エネルギー全般に導入コストが非常に高く、国内普及がエネルギー総供給の1%にとどまっている中、太陽光発電については、国の支援措置もあって全国で平成9年度は前年比50%増の導入量となっておるが、機器の購入から発電に至るトータルの経済性では依然として家庭用電気料金の約3倍に相当すると伺っておる。期待される太陽光発電であるけれども、そのためにもコストの低減化というのが急務ではなかろうかと思う。
 ついては、現在のコスト低減対策の状況、それから、今後の見通しについてお聞かせ願いたいと思う。
 また、本県の長期的な普及見通しといった面で、当面の普及促進方策についてもあわせてお聞かせ願えれば幸いだと思う。

〇武居企画振興部長 太陽光発電についてである。
 太陽光発電は無尽蔵でクリーンなエネルギーであるし、設置規模に柔軟性がある。さらに、システムが単純でメンテナンスが容易であるというさまざまな長所がある反面、現状ではコストが高いという課題も抱えておる。これまで太陽光発電については、公共及び産業施設や住宅用を中心として導入が進んできており、現在、設置コストは、住宅用でキロワット当たり100万円程度、公共施設等ではキロワット当たり130万円程度と、平成4年当時と比べて現在では3分の1程度になっているところであるが、さらに採算ベースを考えていくと、現状の4分の1程度までに設置コストを低減していく必要があるものと考えておる。
 今後においても、先ほど申したように、近年、急速に設置のコストの低減化が図られているところであるので、公共施設等や住宅用での需要拡大による量産化であるとか、建材一体化システムの開発や光エネルギーから電気エネルギーへの変換効率の向上などによって、長期的に着実に設置コストの低下が進んでいくものと考えているところである。
 本県における長期的な普及見通しについてであるが、現在は公共施設、産業施設への先導的導入と、それから、住宅設備としての県民による先導的な取り組みが中心であり、平成6年度から平成9年度末までは公共施設及び産業施設に3件、住宅用については69件であるが、今年度は公共施設3件、住宅は上半期分だけで32件ということで、これまでのペースからすると相当程度導入に積極的な取り組みが見られるところである。今後の設備の低コスト化の進展にあわせて、最も利用を期待している住宅での導入、こういったものの件数を加速化させていく必要があるものと考えておるし、そういった点での期待もしているところである。
 当面の普及促進策としては、国や地方公共団体による先導的導入による啓発であるとか、住宅用の高コスト分に対応する公的補助等による支援措置とともに、環境問題に対する県民の協力を促進するための普及啓発活動が重要であると考えているところであるが、いろいろ大学の先生等に聞くと、本県は北国でありながら全国的に見ても大変日照時間の長いところで、太陽光のエネルギーというものは非常に将来期待が持てるという話もあるので、例えば技術開発面で北国仕様のもう少し地域特性に合わせた技術開発をするとか、そういったことも今後の課題になってくるのではないかと考えているところである。

〇高橋委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間休憩する。
   午後3時1分 休 憩
   午後3時20分 再 開

〇高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開く。

〇中屋敷委員 それでは次に、リモートセンシング技術の利用についてお伺いしたいと思う。
 リモートセンシング技術は、人工衛星から電磁波を使って地上の形状、環境、資源などを調査するものであり、我が国のみならず国際的にも広く取り組まれているところである。私どもの身近なところでも広く活用されており、例えば、去る9月に発生したあの雫石町を震源とするマグニチュード6・1の地震及び岩手山の火山活動に伴い発生したと思われる地殻変動が、地球資源衛星ふよう1号により鮮明に明確に確認された様子が報道されて、その精度の高さに改めて驚いたわけであるが、このようにリモートセンシング技術は、いわば地球を宇宙の目から判断してくれるといえるものでもあり、今後ますます重要な技術として利用範囲が広がっていくと考えられるところである。また、先般、国においては、大規模災害への対応も含めた情報収集能力の強化を目的とした日本独自の情報収集衛星の早期導入の方針が閣議決定されるなど、その重要性は一層増してきていると思う。本県では、昭和61年に岩手大学にリモートセンシングデータ解析センターが設置され、環境、産業、災害などに関連した研究が進められており、全国的にも高い評価を受けていると聞いておるが、私常々、広い県土を有する本県にとって、このリモートセンシング技術は極めて有効なものであり、とりわけ本県の重要産業である農林水産業に活用を図るべきものと考えておるが、県においてリモートセンシング技術の活用にこれまでどのように取り組んでこられたのか、また今後の具体的な活用方法等についてもお尋ねしたいと思う。

〇武居企画振興部長 リモートセンシング技術の利用についての御質問であるが、県ではこれまでリモートセンシング技術を県の施策に活用するために、産学官による研究会を設けるなどして、その活用について検討をしてきておって、平成8年度からは水産分野への実利用を目指したプロジェクトを宇宙開発事業団と共同して実施しているところである。平成9年度については、システム開発に必要なデジタル水深情報データなどの基本データベースの整備などを進めたところである。このプロジェクトは、三陸沿岸海域を対象に、従来の定点ブイによる海水温の観測情報や水産市況情報等に加えて、人工衛星により海表面温度及びプランクトンの発生状況などの面的データを融合させ、そのデータを提供しようとするもので、漁業者の計画的、効率的な操業の支援を目的とし、現在、宇宙開発事業団を中心とした関係機関においてシステム開発が行われておって、平成14年度からの実利用を目指しているところである。
 今後は、水産分野への活用をきっかけとして、農業、林業、環境など広範な分野へのリモートセンシング技術のさらなる活用について、関係部局や産学官からなる研究会において十分に協議しながら検討してまいりたいと考えておる。

〇中屋敷委員 このリモートセンシング、いわゆるリモセンの活用というのは広範囲にわたると思う。産業面のみならず、例えば地理情報システムと連携した都市計画等々、これはやはり、私など持論なのであるけれども、今度環境保健センター等もつくるものであるから、そういったものと何かセンター機能的なものまで将来を見据えて、ぜひこのリモセンの取り組みについては積極的に取り組んでいただきたいと、かように思う。
 次に、ソフト面で県外に向けての広報といった面からお伺いしたいと思う。
 先ほど申したとおり、本県は、美しい県土、多彩な歴史、文化、伝統など、これからの時代に誇り得る大きな財産がしっかりと形成されており、増田知事も自然保護とか頑張ると、こういうことであるから、未来を切り開く大きな美しいものを秘めていると、かように思っておる。このことを県民に対して説明し、岩手のよさや魅力を見直すような働きかけの必要があるということは、もう論をまたないと思う。さらに、これらのことを全国に向けて常に情報発信することが極めて重要であると考えておる。県では、平成9年度から新聞の全国紙などを利用して本県のこういうすばらしいものを県外に向けて積極的に情報発信を行ってきたわけであるが、その実績、それから全国からの反響などについてお知らせいただきたいと思う。

〇武居企画振興部長 県外向け広報についてであるが、平成9年度は、まず新聞については全国紙など計18紙に宮沢賢治をモチーフとする本県のイメージアップ広告を掲載したほか、日本の代表的な経済新聞に企業誘致と、それから観光関係のPRを9月と12月にそれぞれ掲載したところである。また、12月には全国紙等に、本年4月に開学したわけであるけれども、その開学に向け岩手県立大学の広告をタイミングをとらえて掲載したところである。また、昨年度は県外広報誌IPANGUを季刊誌として発行して、首都圏のジャーナリスト、あるいはマスメディア、企業などに配布して本県の自然、産業、文化等のさまざまな情報を丸ごと情報発信しようということで、そういった発行を行い、またこれらの方々は特に人的ネットワークというのは多彩であるので、そういった方々から2次発信的な効果というものも得られるような目的で、こういった広報誌の発行に努めたところである。さらに、ラジオを利用して首都圏の住民に本県に関するさまざまな情報を提供しようということで、毎週土曜日の番組、これは首都圏でベストファイブに入るような人気番組であるが、こういった中に一つの時間枠を設定してコマーシャルを流させていただいておって、このような形は全国のほかの県では例がないのであるけれども、大変パーソナリティーの影響力もあって非常に反響がよいように聞いているところである。また、インターネットを平成8年7月から開設したわけであるが、現在までに26万2、000件のアクセスがあって、これは1日に直すと311件、1カ月で大体1万件弱の件数になっておるが、これはこれからインターネットも家庭にどんどん普及してくるので、ますますこういったものによるアクセスというものはふえてくるのではないかと思う。それから、これまでも銀河系いわて大使による人的ネットワークによるPRであるとか、昨年度は全国豊かな海づくり大会であるとか、東京の代々木公園で実施した銀河系いわてフェスティバルなどによっても本県のPRが効果的にできたものと考えているところである。
 これらの反響については、イメージアップ広告のアンケートを新聞から取り寄せたところ、全国から2万5、000通にも及ぶ応募があったけれども、これを分析すると、これまでの、岩手が遠いとか印象が薄いといったイメージが払拭されて、4分の3の方が本県に親しみを感じていると答えておるし、広告会社の共同企業体の調査結果によっても、広告デザイン自体の--若干手前みそになるけれども--センスのよさとか、美しさとか、ユニークさに高い評価を受けておって、実際、あるそういった調査結果によって表彰も受けているところであって、これは関係者の努力もあるけれども、むしろ岩手が環境とか、宮沢賢治の100年祭以降であるけれども、いろいろのよさを積極的にPRしてきた結果ではないかと考えておる。また、県外広報誌についても、あるいはラジオについても反響が大変よく私どもも聞いておるが、ぜひ岩手に来てみたいという方が大変多くなっているというのが実情であって、これからいろいろの面で私どももさらにイメージアップ、あるいはPRを図るため、さまざまなメディアや人的ネットワークなどを活用しながら、積極的に情報を発信してまいりたいと考えておる。

〇中屋敷委員 ただ、来てみたいではなく、来たとか、行ってみたいとか、実際訪れたという形とか、実際に定住したという形にならなければ。PR効果がいいとか何かでは余り効果が上がらないと思うけれども、それからさらには、ラジオばかりではなく他県ではもうテレビ等も利用してやっている実態もあるわけであるので、すばらしいものがあるといえばそういう積極的な取り組みをぜひお願いしたいと、かように思う。
 それでは次に、県立大学の運営の状況についてお伺いする。
 県立大学は、今春4月にこの岩手の地に産声高らかに誕生したというところで、新聞やテレビ等の報道を通じて、その活発な活動の状況についてはさまざま聞いているところであるけれども、県民ともども今後の活躍に大いに期待を高めているものである。大学本来の教育研究活動については、今後一定の期間が経過すれば、その成果はおのずと明らかになるべきものと存じておるが、地域社会への貢献等については具体的にどういうぐあいに取り組まれているのか、県民の立場からすると大いに関心があるところではないかと考えておる。そこで、お伺いしたいと思うけれども、地域に開かれた大学としての実践の状況、特に一般県民が対象となる施設の地域開放や公開講座等についての状況はどのようになっているのであろうか。
 また、県内の受験生や家族の皆さんにとっては、本年もこれから本格的な大学受験の季節を迎えることになるわけであるが、そこで第1期生に係る昨年度の入学者選抜の結果について、さらに来年度の入学者選抜の実施方法について、あわせてお聞かせ願いたいと思う。

〇吉田総務部長 県立大学の施設の地域開放とか公開講座の状況についてであるが、4月に開学以来、地域社会への貢献、地域社会との共生、これを建学の精神の一つとして掲げて、施設の開放とか県民の多様な学習ニーズにこたえる場としてその公開講座を開催することなどを行ってまいった。さらにはまた、産学共同研究の推進にも取り組んでいるところである。施設開放について具体的に申すと、図書館機能を有するメディアセンターとか、あるいは体育館、あるいはテニスコート、こういった体育施設を開放しておって、10月末現在で延べ7、000人を超える方々の利用をいただいているということである。さらに、公開講座については、高齢化とかあるいは情報化、あるいはボランティア活動など、そういった社会の変化に対応するようなこういったテーマを取り上げて、県立大学を会場に学内講座を設けて9講座開催したところである。地域の方々から要望のある地区講座も開催しておって、花巻市とか二戸市内など県内4カ所で地区講座を開催しておるし、各講座の受講者の総数は約1、000人に上っておって、大変好評であったということである。なお、12月4日、これからであるが、盛岡市民文化ホールにおいて、西澤学長とかあるいは塚本副学長を講師に特別講座を開催する予定となっているところである。また、共同研究については、郵政省の通信総合研究所との間で福祉、医療や防災といった地域生活と密接にかかわる地域総合情報ネットワークシステムについての研究を始めておるし、県内はもとより県外、海外の大学とか、研究所の研究者との間でもさまざまな分野について共同研究を行っているという状況である。さらに、最近であるが、県民の皆さんの関心の高い岩手山の火山防災についても、全学としての取り組みをしておって、11月15日の大学祭で防災フォーラムも開催したし、それから4学部から21人の教員が参加して、防災体制とかあるいは災害時の情報システム、医療、看護体制とかボランティアとか、そういったことにも調査研究に取り組み始めたという状況である。
 それから、入学者の選抜の関係であるが、昨年実施した1期生の入学者選抜は、一般選抜と特別選抜の2区分により実施したが、その結果について特徴的な点を申し上げると、募集定員は御存じのとおり440人であるが、全国の45都道府県から6、040人という志願者があって、倍率は、社会福祉学部の福祉臨床学科が20・4倍ということでこれが最高であるし、平均すると12・5倍と非常に高い倍率であった。本県の人材の育成という点からいくと、入学定員の3割をめどにした推薦入学を実施したが、県内の専門高校を含む61の高校から138人が合格したし、それから一般選抜などを含めた全入学者479人あるが、県内高校卒業生が273人であって、そのパーセントは57%である。それから、県立大学への進学の機会を広く提供するということで、県内はもとより全国から多様な個性あふれる意欲的な人材を確保できたものと考えているところである。
 次に、来年度の入学者の選抜の主な改正点を申し上げたいと存ずるが、一般選抜のうちソフトウェア情報学部については全受験生について、それからまた社会福祉学部については専門高校とか、あるいは総合学科を卒業した受験生について、学部の教育内容を踏まえて、受験生個々の能力とか思考力を総合的に判断するという観点から、入試センター試験、いわゆるそういったセンター試験を利用しないということであるし、そのかわりに総合思考能力とか、あるいは面接等によって選抜を行うこととしているところである。入試センター試験を利用する看護学部等ほかの学部についても、センター試験に加えて独自に総合問題とか小論文とか、そういったもので個別の学力検査を行って、受験者の資質等を見きわめた合否の判断をすることにしているところである。また、特別選抜という制度を新たに設けて、外国からの帰国子女、あるいは中国の引揚者子女……。

〇高橋委員長 答弁の途中であるけれども、この際、進行に御協力を願うため、答弁は簡潔にお願いする。

〇吉田総務部長(続) 私費外国人留学生の選抜を実施することにしておって、多面的な選抜方法を実施しようということにしておる。

〇中屋敷委員 御丁寧に答弁ありがたい。いずれこれからいろいろな形で関心のあるところであるので、開かれた大学という形の中でいろんな形でやっていかなければならないし、また、1期生が今度卒業するときにどういう成果があるかと、これも大きな課題になろうかと思う。地域に開かれた大学として頑張っているわけであるので、ぜひその成果が上がるような取り組みをお願いしたいと思う。
 それでは次に、公共工事コスト縮減対策についてお伺いしたいと思う。
 公共工事については、その投資費用に見合った効果が得られていない、建設コストが高いなどとする、さまざまな批判や厳しい財政事情等から、平成9年4月に政府の公共工事コスト縮減対策行動計画が結成されて以来、国、都道府県など国全体の重要な課題として全国的に取り組まれてきているところであるけれども、この公共工事コスト縮減対策については、限られた資源を有効に活用し、効率的な公共事業の執行を通じて社会資本整備を着実に進め、本格的な高齢化社会に備えるのが真の目的であろうと、こう認識しているところである。一方、これら社会資本整備を担う建設業界は、景気低迷の中、その経営は厳しい状況に置かれており、コスト縮減対策により建設業にしわ寄せがあってはならないものと、このように認識しておる。そこで、お伺いするけれども、県においては、先般、平成9年度の公共工事コスト縮減対策の結果を取りまとめて、約32億2、000万円のコスト縮減を図ったとしておられるが、どのような取り組み内容でコスト縮減を図ったのであろうか。
 また、今年度においては、公共工事コスト縮減についてどのように取り組んでおられるのであろうか、あわせてお伺いしたいと思う。

〇千葉副知事 平成9年度に県全体で32億2、000万円のコスト縮減を図ったわけであるけれども、その内容は、計画方法の見直しとして、漁港工事の埋め立て等で発生した消波ブロックを再利用したこと。それから、設計方法の見直しとして、コンクリート構造物に2次製品の活用を図ったこと。護岸工において、現場発生材の活用ができる巨石張り工やかごマット工法の採用を図ったこと。それから、建設副産物対策として、発生残土の現場内及び他の工事現場への再利用、そして間伐材や再生アスファルト合材、再生路盤材の積極的な利用を図ったことなどによるものである。
 今年度は2年目の取り組みであるけれども、関係部局との連携等を図るとともに、1現場1工夫によるコスト縮減に努めるなど、担当職員一人一人がコスト意識を強く持って、環境に配慮したより一層のコスト縮減に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇中屋敷委員 いずれそういう努力によって、ただ、本当に先ほど言ったとおり、そういうことによって建設業者にしわ寄せがあってはならないと私は基本的に考えるものであるから、そういった内面的なもののコスト縮減意識を高めていただいて、ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思う。
 次に、行政の情報化についてお伺いする。
 行政事務の効率化を図り、県民サービスの向上を進める一環として、コンピューターの導入を進めて結構時間になるわけであるが、最近は小型のいわゆるパソコンが高性能かつ廉価になっておって、パソコンを積極的に導入する地方公共団体がふえてきておる。国においては、既に職員1人に1台のパソコン時代ということで聞いておるけれども、そこでお伺いしたいのであるけれども、本県では今後どのような計画でパソコンを配置していくお考えなのかお尋ねしたいと思う。
 なお、私ももともと県職員であって、行政事務の効率化を図り県民へのサービスを向上するためには、県民にいわゆる身近に接する地方振興局の職員にこそ優先的にパソコンを配置すべきであると考えておるのであるが、これはいかがであろうか。
 また、パソコンの導入と並んで重要なのが職員の情報のリテラシーというか、操作技術の向上にかかっていると思うのであるけれども、パソコンを有効に使いこなしていくためには、職員に対するパソコンの操作研修、適切な研修が必要であると考えるが、県においてはこういう情報化に対応した職員研修というものをどのように実施しているのかお伺いしたいと思う。

〇武居企画振興部長 行政の情報化についてであるが、平成9年度にイーハトーブ情報の森構想を策定して、この構想に基づき、いろいろの分野の行政の情報化に加えて、特に行政分野の情報についても積極的に推進しているところである。行政の情報化を推進するためには、さまざまなアプリケーションソフトの開発と相まって、委員御指摘あったパソコンの導入の促進というものが大変重要だと考えておって、特にこういったことによって行政情報ネットワークをつくり上げていくと、ネットワークとして機能することによって情報の共有化であるとか、行政事務の高度化であるとか、あるいは効率化が図られていくと考えているところである。したがって、県としては平成9年度までに約900台のパソコンを導入したところであるけれども、今後さらにパソコンの計画的な導入を図って、平成12年度を目途に職員1人1台パソコン環境を実現したいと考えておるところである。
 なお、パソコンの配置に当たっては、委員御指摘のあった地域重視の視点、あるいは特に地理的、時間的に遠い、そういったことによる行政のいろいろの面でのハンディキャップが出てくる、そういった地方振興局を優先するということは大変重要だと考えておるし、また県民に対する行政サービスという面からすると、県民生活に直結する保健、福祉であるとか、環境部門などに優先的に順次パソコンを配置していくことが必要であると考えているところである。
 それから、職員に対する研修についてであるが、情報化の進展に対応して職員一人一人の意識の高揚を図り、情報リテラシーの向上を図る、こういった必要性から、大きく二つあるが、1点は職員の職制とかレベルに応じた、体系的かつきめ細かい研修の実施ということである。それから、2点目は、地方自治情報センター等が主催する、より高度な各種研修への職員の派遣ということであって、これらあわせて平成9年度で延べ1、500人を超える職員の研修を実施したところである。今後とも行政情報化の進展に対応した、より効果的な研修の実施に向けて研修内容を一層充実させてまいりたいと考えているところである。

〇中屋敷委員 ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思う。
 もう時間も迫ってまいったので、それでは特別会計に絡んで県民ゴルフ場の利用状況等についてお伺いしたいと思う。
 県民ゴルフ場、平成3年7月にオープンして以来7年経過したわけであるけれども、地元の方々だけでなく多くの県民に喜ばれていると聞いておる。しかし、収支の面から見た場合、入場者数が減少傾向にあると聞いているところであり、その健全な経営を求められるところであるが、特に最近は民間ゴルフ場でも、この不況によって利用者が相当減っているわけであるけれども、県民ゴルフ場の利用者数はどのような状況になっているであろうか。
 また、このコースは当初から9ホール、パー33と変則的なコース設定なわけであるけれども、初心者にとっては手ごろなコースと思うが、ある程度のレベルの利用者にとってはやや利用しにくい面もあり、利用者の減る要因の一つにもなっているのではないかと考えられる。そこで、お伺いしたいのであるが、県は今後このコースの拡張等を含め、利用者の利便性を向上させるためにどのような対策を考えられているのかお伺いしたいと思う。

〇千葉副知事 県民ゴルフ場の利用状況であるけれども、平成5年度の1万4、539人をピークとして、以降減少傾向にある。平成9年度1万1、725人となり、今年度は天候不順もあって1万人程度と予測されているところである。
 利用の拡大については、これまで電動カートを導入するなどサービスの向上に努めてきたところであるけれども、さらに今般、利用者からのアンケート調査で要望の強かったパー33から36への改修を行うこととしておる。シーズン終了後、工事に着手することとしたところである。県としては、このコースの改修とあわせて、今後とも利用期間の拡大や電動カートの台数確保などのサービス向上によって、一層の利用者拡大を図ってまいりたいと考えておる。

〇中屋敷委員 通告している質問は以上であったけれども、ちょっと1分20何秒あるので1点だけ。
 奥産道に絡んで記者会見でビジターセンターのお話があった。一般質問でも田村議員が質問して、平成11年度からの事業執行が着実だというように私伺ったのであるけれども、それはそのように認識してよろしいのであろうか。私の理解であると、これは環境庁の直轄事業であって、これから国の理解を得なければならないと思っているのであるけれども、さきの一般質問では、11年度からもうやれるのだというような答弁に理解したのであるけれども、その点1点だけお伺いして私の質疑を終わりたいと思う。

〇千葉副知事 緑のダイヤモンド事業の関係については、国の直轄事業と補助事業と二通りある。それで、この事業の採択の関係であるけれども、11年度に採択されるよう要望しているわけであるけれども、その実現性は極めて高いと考えておる。

〇小原委員 社会民主党の小原宣良である。決算審議に当たり会派を代表して総括的にお伺いをする。
 初めに、財政問題についてお伺いをする。
 質問の第1は、地方交付税率の引き上げを国に対しどのように求めてきたのかについてである。
 平成9年度における国の地方財政計画の最大のポイントは、4年連続して多額の財源不足に陥っている現状をどのように打開するかという点にあったかと思う。私は、昨年度の決算総括質疑でも触れたところであるが、平成9年度においても引き続き大幅な財源不足の状況にあり、これは地方交付税法第6条の3第2項に該当する事態であり、速やかに地方交付税の税率引き上げにより、国の責任において地方財源を確保すべきものである。すなわち、この条項は、毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が、引き続き第10条第2項本文の規定によって、各地方団体において算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、地方財政もしくは地方行政に係る制度の改正、または第6条第1項に定める率の変更を行うものとするとの定めによるものである。明らかに国は、地方交付税率の引き上げをもって対処すべき局面にあるが、この点について県は国に対しどのように対応されてきたのかお伺いをする。
 質問の第2は、ただいま申し上げた地方交付税率の引き上げと関連するが、地方債の元利償還金を交付税に算入することで、地方財源不足額が意図的に圧縮されているのではないかという点である。例えば、一般公共事業債の充当率の引き上げや、対象事業の臨時的拡大などによる地方債への振替は、当該年度分事業費として的確に算入しているかどうか。結果として基準財政需要額を低く抑えることによって、地方交付税法で言う地方財源不足額を圧縮する効果を国は意図的に求めているのではないかとの疑問を持つものである。したがって、地方債の元利償還金を後年度に交付税に算入することは、いわば交付税の先送りとも言えるものであって、地方財政の健全化にはならないと思うが、県はこのことについて平成9年度決算を踏まえどのような認識をお持ちかお伺いをする。

〇吉田総務部長 地方交付税は私ども地方公共団体にとっては、自主的で、あるいは主体的な判断と責任のもとに、その地域の特性に応じた施策を展開するという点で、極めて重要な財源保障機能を持っているものであって、安定的な確保が必要だという認識を抱いているわけであるが、そういうことであるので本県として適切な財政運営を行っていくためには、交付税の安定的な確保を図るため、機会あるごとに交付税率の引き上げを含めた総額の確保について要望していきたいと思う。統一要望あるいは全国知事会等、あるいは北海道東北知事会等において要望などを続けているということである。
 それから、先送りということであるが、いわゆる一般公共事業債の充当率の臨時的引き上げとか、対象事業の臨時的拡大、こういったことの地方債への振替が行われて360億円余りの財源対策債を発行した。9年度であるが。それで、この財源対策債の発行は、県債の残高をふやすということで、将来の公債費の増嵩につながるということであるので、今後の財政圧迫要因となる。県としては、借入金の依存体質を避けるということから、交付税等の一般財源充実、強化を図るということが大事だということを考えておるので、先ほど申し上げたように、引き続きこの強化について要望してまいりたいと考えているところである。

〇小原委員 ただいまの答弁では認識がちょっと弱いのではないかと思う。国に対する遠慮ということもあるかもしれないけれども、地方団体としてはこれは明らかにそれぞれ財政関係は逼迫をしておるし、そして特にも緊急の経済対策というものが国の補正を受けて出てきているということ。しかし、本県においては、これは恒常的に予算として必要なもの、あるいは基準財政需要として当然見込まれるという内容、特にも社会資本の整備がおくれている本県にあっては、こうした部分がしっかりと国の制度上確保されなければならないと思うのである。したがって、この地方財政法が言っている率の引き上げということに該当しているのだということを、全国の知事会等については明確にそのことを要望として出しているかどうか。これは今の答弁ではちょっと不十分であるので、再度補強していただきたい。
 同時にまた、地方分権という形が具体的に進んでまいるから、そういう点で今後の権限委譲等財源の確保、こういった部分を考えていくと、地方のスタンスとしては明確にこのことを国に対しては打ち出していく必要があるということで、再度御答弁をいただく。

〇吉田総務部長 ちょっと答弁不足だったと思うが、御指摘のあったとおり、交付税率の引き上げというものは私どもも大事なことだと思っておって、県財政需要額とかあるいは地方債に振りかえて、今年度の償還ということはやっぱり今年度の負担になるということである。その先送り的な意味合いもあると考えるもので、ただ、当面の経済対策等を行うという面においてはこれは必要なことだと認識しておる。そういうことで、知事会等にこういった明確な文言としては書いておらないが、その趣旨を込めた意味で要望している部分ということである。
 それから、分権等に伴って国に対して改めてそういった考え方のもとにやるべきだと、要望すべきではないだろうかというお尋ねであるが、全く同感であって、今後そういったことに留意しながら要望してまいりたいと存じておる。

〇小原委員 質問の第3は、地方単独事業についてである。
 この事業は、自主的、主体的な地域づくりを積極的に推進し、住民生活の質の向上に資する社会資本の整備を進めるとともに、景気対策を下支えする効果を持つものと認識をしておる。本県においては、県立大学の整備などから、対前年比23・5%増と、かつてない伸びを示したところであるが、県内市町村においてはどのような傾向にあったであろうか。厳しい財政状況のもとで、財政負担に限界感の漂う昨今であるが、平成9年度の状況と今後の見通しについてあわせてお伺いをする。

〇武居企画振興部長 県内市町村の地方単独事業についてであるが、これは平成4年度から国の経済対策に呼応して、生活関連施設などの地方単独事業を積極的に実施してきたことや、特に本県の場合は平成11年度に開催予定のインターハイ関連の施設整備に集中的に取り組んできたこと等によって年々増加しているところであって、平成9年度においては国の経済対策がなかったことなどの影響から、単独事業については前年度よりも2%減という状況になっておるが、1、397億円という額が9年度で実施されたところである。
 それから、その後の見通しということであるが、平成10年度については当初予算において、厳しい財政状況等を踏まえて事業の厳選と重点化を進めた結果、単独事業は1、187億円ということで、前年度当初予算対比で13・0%の減となっているところであるが、その後、国の総合経済対策により要請を受け、市町村が特に住民生活に密着した事業の実施や、将来計画的に事業を実施していこうとした事業の前倒し実施等によって、現時点で地方単独事業は1、378億円になるまで事業を積み上げているところである。今後、市町村においては、財政が一段と厳しさを増す中にあって、より専門的できめ細かい財政分析に一層努めながら、個々の実情に応じて、少子・高齢化に備えた事業や地域振興に資する事業等に適切に取り組んでいくことが重要であると考えているところである。

〇小原委員 次に、平成9年度における本県経済の動向と今後の見通しについて、一括してお伺いをする。
 質問の第1は、県税収入の面から見た経済動向についてである。
 長引く不況に加え、昨年4月からの消費税率2%アップは、個人消費の冷え込みを一層加速させたことは疑う余地もないところである。こうした中にあって、県税収入の伸びを見ると、対前年比で、平成8年度は2・4%に対し、昨年度は1・3%と1ポイントほど減少しておる。これは事業税の落ち込みが影響していると思われるが、どのように把握しておられるであろうか。
 質問の第2は、地価の動向についてである。
 土地の評価に当たっては、公示地価、基準地価、路線価などがあるが、どの数値でも結構であるが、本県地価の動向をどのように把握しておられるであろうか。
 また、固定資産評価額は3年ごとに見直されるが、平成9年度は評価がえの年に当たっておるので、この固定資産評価額の動向、また、土地に係る固定資産税の収納状況をどのように把握しておられるであろうか。こうした地価の動向をどのように分析しておられるか、あわせてお伺いをする。
 質問の第3は、個人消費の動向についてである。
 前段申し述べたとおり、昨年4月からの消費税率2%引き上げによる影響は極めて大きかったと思う。これは昨年3月までのいわゆる駆け込み需要と、その後の消費減退傾向にはっきりあらわれたことでも明らかである。この個人消費に関連する指標としては、大型小売店売上高、乗用車新車登録台数、あるいは新設住宅着工件数などが用いられるようであるが、これらの動向はいかがだったであろうか。できれば最近の指標とあわせてお示しをいただきたいと思う。

〇吉田総務部長 答弁申し上げる前に、先ほど交付税の引き上げについて申し上げたことについて若干補足させていただきたいと思うが、現在の地方公共団体の財政状態が、地方交付税法の6条の3第2項の規定に該当するということについての認識は持っておって、国に対して該当するというような要望はしておる。ただ、先送り云々ということは明記しておらないということであって、これは同じ考え方ということである。
 お尋ねのあった県税収入であるが、9年度の県税の決算であるが、前年度と比べると個人県民税が特別減税の廃止によって10・9%増加したということ、それから消費税が新たに導入されたことということで、増収が67億7、000万円余となったということである。一方また、県のたばこ税であるが、これは市町村へ税源の移譲があったということで35%の減となったことがある。そしてまた、景気の低迷によって法人事業税は、電気機械等の一部業種が好調であったものの、その他のほとんどの業種が落ち込んだということで3・1%の減となったほか、それからまた、自動車取得税が17%の減、それから軽油引取税で3・9%の減、これらを合わせた減収の額が51億3、493万円余となっておって、県税全体では1・3%の増と伸び悩んだところの原因になっているところである。この主な原因というものは、景気の問題が一番大きいということであって、回復基調から停滞に転換したということによるものと考えているところである。

〇武居企画振興部長 まず、地価動向についてである。
 平成10年の国土庁の地価公示結果によると、平成9年1月1日から平成10年1月1日までの1年間における本県の地価は、継続標準地197地点のうち、住宅地125地点については、平均変動率が0・5%の増、その前の1年間は0・8%の増であって、昭和59年以降横ばいとなっているところである。また、商業地53地点については、平均変動率が1・7%の減で、その前の1年間は1・5%の減ということであって、これは平成6年以降5年連続してわずかな下落となっているところである。このうち盛岡市では中心部で下落幅が縮小したが、全県では8地点の変動率がゼロであって、これは前回52地点中13地点でゼロであったけれども、44地点で変動率がマイナス--これは前回39地点であったが--となるなど、全体的には下落傾向が認められるところである。これに対して平成9年度の固定資産税に係る土地の評価がえについては、県内市町村の総地積の平均価格を見ると、宅地は2・1%の増、田が0・5%増、畑が0・6%増、山林が0・1%増となっているところである。なお、平成9年度の土地に係る固定資産税の収納額は205億1、400万円であって、対前年度比3・1%増となっておるところであるが、評価がえの平均価格、総地積の平均価格に比べて若干収納額の伸び率が高くなっておるのは、平成6年度に地価公示価格の7割程度を目途として実施された宅地の評価がえによる税負担をなだらかにするため、現在まで負担調整措置がとられてきている関係で若干増になっているところである。
 なお、地価公示価格と固定資産評価額の平均価格の動向に違いが見られるのは、地価公示価格は調査地点が限定され、また下落傾向にある市町村の中心部が比較的多いのに対して、固定資産税の平均価格は全地積を対象として、全体としては横ばい、または上昇している宅地が多いことなどによるものである。
 それから、本県経済の動向と見通しについてであるが、平成9年度の個人消費の動向についてであるけれども、大型小売店販売額のうち、百貨店は12月までは前年水準を上回って推移したものの、10年1月以降は前年水準を下回っているところである。また、スーパーについては、おおむね前年水準を下回って推移したことから、全体では前年度比1・1%の微増にとどまっているところである。また、乗用車新車登録台数は12カ月連続して前年割れで推移し、前年度比16・5%となっているところである。さらに、新設住宅着工戸数の動向については、おおむね前年水準を下回って推移し、前年度比18・0%減となっているところである。このことから平成9年度の個人消費、住宅建設とも低調に推移したものと見ているところである。
 最近の動向についてであるが、大型小売店販売額は、9月は前年同月比4・2%減で、8月に引き続き前年水準を下回っておって、乗用車の新車登録台数については、10月は軽四輪車が前年を上回ったこと、これは安全性の関係で車幅とか長さが広げられた新規格車が出されたということもあって、売れ行きがよかったこともあって前年同月比0・5%増と19カ月ぶりに前年水準を上回ったものの、依然として低調である。また、新設住宅着工戸数は、9月は前年同月比36%減となり、8月に引き続き前年水準を下回っているところである。
 今後の見通しについては、さきに総合経済対策が発表されたし、これから恒久減税の実施、あるいは社会資本の整備等を内容とする今般の緊急経済対策、これが国会でもいろいろ論議されているところであるが、こういったことによって個人消費を含む景気への効果というものが期待されているところであって、引き続き今後の動向を注意深く見守っていく必要があるものと考えているところである。

〇小原委員 本県経済も大変厳しい状況にあるという認識であったけれども、これからの有効な対策を期待するわけである。
 次に、地方拠点都市地域の振興策と整備状況についてお伺いをする。
 最初に、平成5年2月に国の地域指定を受け、同年6月に基本計画が承認をされている北上中部地方拠点都市地域であるが、この地域は、国においても、東北新幹線、東北縦貫自動車道が南北に縦貫し、東西に東北横断自動車道の整備が進む新たな国土軸上の結節点としての地域特性を生かし、北上コア21拠点地区の整備、花巻レインボープロジェクト拠点地区における花巻駅周辺土地区画整理事業及び街並み・まちづくり総合支援事業など、水沢東サイエンスランド拠点地域における総合支援事業等により、新技術文化交流中枢都市圏の形成を目指すと位置づけられているところである。また、三陸地方拠点都市地域にあっては、平成6年9月に地域指定を受け、平成7年6月に基本計画が承認されているものであって、三陸縦貫自動車道沿線の各地域において適切な機能分担と相互補完関係のもとに、陸前高田海浜文化拠点地域における土地区画整理事業、釜石駅周辺地区における街並み・まちづくり総合支援事業等により、地域内外にわたる多様な交流を生み出していくさんりくサンライズ交流都市圏の形成を目指すとしているものである。両地域とも地域内の市町村の垣根を低くしながら、お互いに補完、協力し合って事業推進に当たることが肝要かと存ずるが、平成9年度における整備状況と今後の見通しについてお伺いをする。
 また、この二つの地方拠点地域は、それぞれの地域内での事業推進として完結するのかもしれないが、両拠点地域間の交流も、宮古-盛岡間を含めて積極的に行われるべきものと思うので、ぜひ沿岸と内陸の交流活発化に向けて県の積極的な指導を期待するものである。御見解を承りたいと思う。

〇武居企画振興部長 平成9年度における地方拠点都市地域の整備状況については、まず北上中部地方拠点都市地域においては、平成9年度末における拠点地区内の主要事業の着手率は78%となっておって、主な事業としては、北上市のオフィスアルカディア構想に基づく産業業務団地整備事業が平成10年3月に終了し、また水沢市では平成11年度に開催される全国高等学校総合体育大会の会場となる体育館が平成9年10月に竣工したところである。それから、三陸地方拠点都市地域においては、9年度末の拠点地区内の主要事業の着手率は61%となっており、宮古市の街並み・まちづくり総合支援事業の総合計画の策定が進められたほか、大船渡市の市民交流プラザの基本調査が実施され、今年度中に工事着工、完成の予定となっているほか、釜石市においては国道283号の道路改良事業が9年度に完了しているところである。
 この計画はおおむね10年間程度を目標としていることから、この期間内の計画達成を目指して、より付加価値の高い産業集積や質の高い居住環境の形成、さまざまな都市機能の充実強化など、地域内の市町村が相互に連携しながら、拠点地域として総合的な整備の促進が図られるよう支援してまいりたいと考えておる。
 それから、地方拠点都市に関連して相互の交流活発化、連携の話があった。地方拠点都市地域制度については、これは御案内のように、地方の発展の拠点となる地域の形成を目的とするものであるけれども、地域内の整備を基礎としながらも、さらに地域の枠を越えた連携、交流を展開していくことが必要と考えているところである。これまで沿岸部と内陸部の交流としては、幾つかあるが、港湾を利用した内陸部で生産された完成車の積み出しや内陸部の製造業の原料の陸揚げ、こういった事項であるとか、あるいは共同テーマによる技術開発のための異業種交流、さらには内陸部の誘致企業の沿岸部への2次展開、こういったものがあるし、それから平成9年3月には物流促進支援のための人的事業として、これは大船渡港物流強化促進協議会というものが、内陸の北上市とか水沢市も参加いただいて、沿岸部の運送業者だけではなくて内陸部の製造業者も広く会員になって発足をみたところであるが、さらに民間においても物産展や各種イベントを通じた地域間交流など、官民を通じて交流の活発化が行われてきているところである。先般、新しい総合計画の中間報告を私どもの方で公表させていただいたわけであるけれども、この中にも県土軸を盛り込んで、この中に横の横断軸を設定して内陸部と沿岸部との交流、連携を促進し、内陸部の産業集積の効果を沿岸部に波及させるとともに、沿岸部の持つ水産資源や観光資源の内陸部との一体的な活用を一層進めるなど、互いの持つ資源や特徴を生かし、それぞれ補完し合いながら地域の振興を図っていくこととしておって、今後ともこのような観点から両地域の連携、交流がさらに進むよう努めてまいりたいと考えておる。

〇小原委員 新しい県の総合計画策定作業中であるので、ぜひこうした観点を積極的な取り組みとして位置づけていただきたいと思う。
 次に、自然環境の保護、保全対策についてお伺いをする。
 自然は未来からの預かり物とも言われておる。辞典を引くと、この預かるというのは、引き受けて保管をすると、こういう意味と、勝負などを決めずに保留しておくことと、こういうふうにある。まさに自然と人間との共生では勝ち負けを決めることではなくて、むしろ人間側が自然に配慮することによって自然との共生は成り立つものと私は思っておる。そうした思いを込めてお伺いをするが、質問の第1は、早池峰山一帯の保護、保全対策についてである。申し上げるまでなく、早池峰高山植物帯が国の天然記念物に指定されたのは昭和3年である。昭和32年には特別天然記念物に昇格指定され、以後、各種国の指定を受け、平成5年には、早池峰・薬師岳一帯が森林生態系保護地域に指定されたところである。県は、これまで自然環境保全地域等の保全、自然環境保全地域調査としての種の多様性調査、さらには特定植物群落調査を実施してきたが、この際、早池峰一帯の地域に限定してお伺いするが、これら調査結果等を踏まえ、早池峰山一帯がどのような状況にあるとお考えであろうか。私は、多くの登山客が訪れることによる踏み荒らし、そして盗掘などによって近年の劣化現象は極めて深刻な状況にあると思うからお伺いをする次第である。

〇千葉副知事 早池峰山一帯の保護、保全の関係であるけれども、自然環境保全基礎調査の一環として昭和60年度に実施した特定植物群落調査においては、昭和53年度の調査に比較して登山道が著しく広がり、群落だけでなく個体数にも影響していること、あるいは盗採が著しく群落を荒らしてきていることが報告されてきているところである。なお、平成10年度特定植物群落調査については、現在、結果の取りまとめ中である。また、種の多様性調査では、植物は平成5年度から調査対象になっているところであるが、調査結果はまだ国から公表されていないところである。過去の調査結果などからすれば、近年、早池峰山においては山頂への登山道が広がってきており、また、高山植物の盗採が後を絶っていない状況にあると認識しているところである。したがって、県としては、自然公園としての早池峰山の保護と利用を図る上で、登山道を現在以上に広げないこと、あるいは盗採防止を図ることが必要であると考えておって、そのためには高山植物群落への侵入を防ぐためのロープの設置、あるいは高山植物の盗採防止や植生保護を図るための自然公園保護管理員、自然保護指導員の設置、高山植物盗採パトロールの実施などに努めているところである。また、早池峰地域の登山のための交通混雑の解消などのため、今年度、マイカー規制などの対策を講じたところである。県としては、さらに早池峰山一帯の状況把握に努めながら、早池峰山の自然環境の保全を図ってまいりたいと考えておる。

〇小原委員 厳しい認識が示されたので、有効な対策についてはぜひ今後ともよろしくお願いしたいと思う。
 質問の第2は、早池峰山山頂避難小屋のトイレについてである。
 私は、このトイレ対策について、ヘリコプターによる汚物の回収を図ってはどうかと前に伺ったことがあるが、経費が多額に上り、恒常的に実施することは困難との説明を受けたことがある。しかし、今日、何らかの対策を打たなければならない状況にあるのではないであろうか。登山客数を規制することも対策の一つかと考えるが、この早池峰山山頂のトイレ対策について、これまでの取り組みと今後の対策等についてお伺いする。

〇千葉副知事 早池峰山山頂避難小屋トイレは昭和61年に建設したものであるが、浸透式のため、環境の上からも問題があるとされてきており、県としては、トイレの改築を検討してきておる。しかし、早池峰山頂は水も電気もないという条件の中で、どのような処理方式が可能かという点が検討の中心となってきたところである。その中では、ヘリコプターによるし尿の回収についても検討したところであるが、地形条件などからして技術的にも困難が多いという状況にある。現在、他の処理方式について検討しているところであるが、近年は新しい技術による処理方式も出てきておるので、ここの立地条件においても可能な処理方式を見きわめ、来年度には工事を実施できるよう進めてまいりたいと考えておる。

〇小原委員 対策について具体的に検討なさっておられるということである。現状を見ると、御承知のとおり、地域の皆さんのボランティア、今、背負っておろしているのである。こういう状況にある。今、副知事から来年度に向かってというお話があった。この点についてもう少し詳しくお伺いしたいと思うが、よろしいであろうか。

〇千葉副知事 具体的な技術的な内容についてはよく承知しておらない。多分新しい技術でもって処理するということになろうかと思うけれども、いずれ対策は来年度してまいりたいということである。

〇小原委員 次に、社会福祉施策の推進について幾つかお伺いする。
 県は、地域福祉の充実に当たって、県民の福祉意識の定着やボランティア活動の助長などにより、地域に根差したきめ細かな福祉活動の活発化を促すとともに、高齢者、障害者を初めとするすべての人が住みよいまちづくりを進めるとして各般の施策を推進してきたところであり、その労を多とするものである。
 質問の第1は、介護保険制度の導入に向けた高齢者介護対策の充実についてである。
 平成12年度の制度導入に向けて、特にも実施主体となる市町村にあってはこれまで諸準備に当たってきたところであるが、実質的には平成11年度がスタートの年度になろうかと存ずる。そこで、平成9年度における整備状況をお伺いする。
 国においては、平成9年度計画として、新ゴールドプランを受け、在宅サービスとしてのホームヘルパーの増員、ショートステイの拡充、デイサービスの増設、在宅介護支援センターの増設など、また、介護保険制度の導入を展望した保健福祉基盤の整備における高齢者ケアサービス体制整備支援事業の充実、過疎地域等在宅保健福祉サービスモデル事業の創設などが示されてきたところであるが、本県における平成9年度の実績について、特徴的な点についてお示しいただきたいと思う。また、目標数値に対する達成率はどのようであったかあわせてお伺いする。
 次に、障害児(者)に対する保健福祉施策についてであるが、住まいや働く場ないし活動の場の確保としてのグループホーム、福祉ホームの増設、授産施設、福祉工場の増設、小規模作業所に対する助成あるいは障害児(者)地域療育等支援事業などについて、平成9年度実績の特徴と目標に対する達成率についてお示しいただきたい。

〇千葉副知事 平成9年度における高齢者介護対策の関係についてであるけれども、介護保険制度の導入に向けた各種サービス提供基盤の整備充実に努めたほか、本県独自の取り組みとしては、国庫補助基準に満たない24時間対応ホームヘルプサービス事業への新たな県単補助や、住民の身近なところで相談活動を展開するまちかど相談所を県内529カ所に設置したところである。このほか、9年度に国で新たに制度化された、既存の施設を活用したサテライト型デイサービスや痴呆性老人向けグループホームが実施されたところである。また、介護保険制度の導入に向けては、要介護認定のモデル事業や介護サービス計画作成のモデル事業等が行われたところである。
 県の高齢者保健福祉計画の進捗状況であるけれども、平成9年度末で施設サービスが特別養護老人ホームで100・5%、老人保健施設で75・5%と順調に進んでいる一方、在宅サービスがホームヘルパー70・7%、デイサービスセンター59・5%、ショートステイ専用居室97・1%、在宅介護支援センター35・5%、老人訪問看護ステーション24・3%と、その一部について進捗のおくれが見られるところから、今後一層の整備促進に努めてまいりたいと考えておる。
 次に、障害児(者)に対する施策についてである。
 障害児(者)に対する保健福祉施策は、平成8年度に策定した岩手県障害者福祉行動計画後期計画に基づき推進しているところであるが、平成9年度までに計画事業数266のうち261事業に着手したところである。着手率は98・1%である。
 平成9年度においては、東北初の知的障害者福祉工場の整備や通所授産施設の拡充など、身近な地域において働く場の確保を図り、自立と社会参加の支援に取り組んできたところである。
 グループホームは、目標数61に対して43カ所の設置数で70・5%である。これは、東北で最も多い設置数となっておる。
 それから、福祉ホームは目標数6カ所に対し3カ所の設置数であるが、これは、施設の整備を必要とする福祉ホームに対し地域の貸し家等の利用が可能で、世話人による生活援助も行えるグループホームの設置を希望する社会福祉法人が多いことによるものである。
 授産施設は通所型を中心に整備を進めておるが、身体障害者の通所授産施設は8カ所の目標に対して7カ所、知的障害者の通所授産施設は12カ所に対し8カ所である。なお、10年度においては、新たに身障1カ所、知的3カ所が既に開設されており、ほぼ目標数に近い状況となっておるところである。
 知的障害者福祉工場は、目標数1カ所に対して平成10年6月に1カ所が開設した。さらに現在1カ所の整備を進めておるところである。
 また、福祉作業所については、身体障害者分は8カ所の目標数に対して10カ所、知的障害者分は36カ所の目標数に対して36カ所と、いずれも目標を達成し、順調に進捗いたしておる。
 障害児(者)地域療育等支援事業は、平成14年度までに19カ所の支援施設を指定する計画で、現在6カ所を指定しているところである。
 今後においても、障害者が住みなれた地域や家庭で自立し、地域の人々とともに生活していけるよう、地域生活支援施策の充実に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇小原委員 大変御努力をいただいている状況はわかった。なお平成12年に向けて体制整備をよろしくお願いしたいと思う。
 次に、工業の振興策についてお伺いする。
 質問の第1は、研究開発についてである。
 本県工業が魅力ある産業として発展していくためには、新製品の開発や新技術の導入は欠くことのできないものである。このため、県は、工業技術センターの機能を高めるなど、スタッフの強化を含めて取り組んできたものと思う。この間、異業種中小企業者間の交流などを通じて新事業の開発を支援してきたと思うので、これらの成果と問題点をお知らせいただきたいと思う。

〇千葉副知事 研究開発についてであるけれども、企業の創造的事業活動を支援する中小企業創造活動促進法が制定された平成7年度から9年度までの3カ年間では、81の企業、12の異業種組合の新製品や新技術の開発を支援してきたところである。
 これらの研究開発による成果の代表的な事例としては、岩手大学や工業技術センターが中心となり、産学官の共同研究によるプラスチックを成形する金型の寿命を20倍にも延ばした技術や、自動車用ミラーの曇りどめなどの技術、テレホンカード等の印刷に用いられる高性能プリンター、発泡酒タイプの新しいワインなど、新たに事業化、商品化されているところである。
 しかしながら、これまで支援した企業の中には、製品化に至ったものの、市場調査や販路の開拓などが必ずしも十分でなかったために市場に商品が流通しないケースも見られるところから、今後においては、市場化、商品化に向けた施策をさらに充実して、引き続き新しい事業の創出を積極的に支援してまいりたいと考えておる。

〇小原委員 あと2点について一括してお伺いする。
 工業集積促進の観点から、企業誘致の取り組みについてお伺いする。
 本県の誘致企業は、昭和30年度から平成8年度までの累計が608件と聞いておるが、近年、景気低迷の中にあって、企業誘致の環境はかつてなく厳しいものがあると思われる。しかし、雇用の場の確保、あるいは地場産品の活用などをも含め、本県にとって企業誘致活動は極めて重要である。同時にまた、企業側にとっての魅力、メリットなどについても積極的に条件整備に当たることも必要である。
 その条件整備としては、工業団地の整備、あるいは輸出入関係企業にとってはインランドデポ、内陸貿易港とも言うわけであるが、これらの本県設置などがあろうかと存ずる。平成9年度における誘致企業件数と、誘致に当たっての環境整備にどのような取り組みがなされたのか、今後の見通しを含めてお示しいただきたいと思う。
 次に、工業振興に関連し、北上川流域テクノポリス開発計画についてお伺いする。
 このテクノポリス地域の整備については、工業集積の程度が著しく高い地域及びその周辺地域以外の地域において、高度技術に立脚した工業開発を促進することにより、地域の発展を図ることを目的に関係法律が施行され、岩手県においては昭和62年の計画承認以来逐次整備が進められてきたと承知しておる。また、同計画における母都市は盛岡であり、研究開発機能の強化を図る地域とされているところである。これら北上川流域テクノポリス開発計画が、まさにこのテーマである21世紀に向けて世界にはばたく北東北の高度技術の匠の里づくりにふさわしいものとなるよう積極的な推進策を期待するものであるが、平成9年度の事業の成果と今後の取り組みについてお知らせいただきたいと思う。

〇千葉副知事 企業誘致への取り組みについてであるけれども、平成9年度における誘致企業件数は、ソフトウエア関連企業を含めて7件となっているところである。
 企業誘致に係る立地環境整備の主なものとしては、昨年9月、東北地域では最も早く北上川流域基盤的技術産業集積の活性化に関する計画の承認を受け、北上基盤技術支援センター等の整備促進を図ってきたほか、産業業務団地としての盛岡西リサーチパークやオフィスアルカディア・北上の分譲開始、さらには、本年4月、久慈、二戸地区の両拠点工業団地の分譲を開始したところである。また、産業支援機能としては、岩手県立大学や産業技術短期大学校、いわてマルチメディアセンターなどを整備したところであるが、今後においては、インランドデポの設置促進など、企業活動の国際化をも視野に入れた立地環境の整備に努めてまいりたいと考えておる。
 企業誘致の見通しであるけれども、長引く景気低迷の中にあって企業は新たな設備投資を抑制する傾向にあるが、現在、折衝を進めておる企業の中には、立地が有力と思われる企業も数社ある。これらの誘致の実現に向けて全力を挙げるとともに、企業訪問活動の一層の強化を図りながら、粘り強い誘致活動を展開してまいりたいと考えておる。
 次に、北上川流域のテクノポリス開発計画であるけれども、テクノポリス開発計画に基づく平成9年度の事業の成果についてであるが、まず、ハード事業については、花巻市起業化支援センターの貸し工場の増設や北上基盤技術支援センターと北上オフィスプラザの合築整備に対し支援するとともに、母都市の盛岡においては先端科学技術研究施設の整備に着手したほか、インキュベートルーム等を備えたいわて新産業創造センターやいわてマルチメディアセンターなどを整備したところである。また、ソフト事業としては、テクノポリス財団を中心として、いわて起業家大学の開設やベンチャー企業への投資等によって起業家の育成に努めたところである。また、岩手大学や地域企業等の産学官共同研究や新技術、新製品の開発に対して支援するなど、多様なソフト事業を展開したところである。
 今後においては、圏域内の企業誘致はもとより、新しい産業の創出を促進するため、これまでテクノポリス地域を中心に蓄積されてまいった技術や人材を最大限に生かしながら、県内の産業支援機関のネットワーク化による研究開発から事業化までの総合的な支援体制を構築してまいりたいと考えておるところである。

〇小原委員 本県の雇用の状況も大変厳しい中にあるわけで、ただいま御答弁のとおり、ぜひ積極的な取り組みを期待する。
 次に、交通問題についてお伺いする。
 質問の第1は、並行在来線対策についてである。
 並行在来線となる東北本線盛岡以北については盛岡-八戸間の新幹線開業時にJRから経営分離されることとなっておるが、盛岡以北の地域住民にとっては欠くことのできない重要な交通手段となっていることから、今後とも鉄道輸送サービスが維持確保されることが必要である。このため、県当局においては、本年3月の予算特別委員会において、経営見通しの把握に向けた試算や鉄道貨物輸送の取り扱い、青森県などとの協議等、状況が出そろうのを待ちつつ、一方で試算作業を進める考えであると伺っておる。
 経営分離後の輸送と経営に関する基本方針については、経営主体をどうするか、鉄道貨物輸送の取り扱い等がどうなるか、さらに、青森県との協議や国、JR等に対する支援の要請など、関係者間で十分に議論を尽くし、本県の考えを明確にした上で早急に取りまとめ、積極的な展開を図っていくべきものと考える。
 そこでお伺いするが、その後、県として並行在来線対策にどのように取り組んでこられたのか、また、今後どう取り組んでいかれるのかお示しいただきたいと思う。

〇武居企画振興部長 並行在来線については、鉄道による輸送の継続を基本的な前提にして、将来にわたり健全な経営のもとで現在の鉄道輸送サービスの利便性を確保することを最大の目標として、輸送と経営のあり方などに関する検討を行ってきたところである。特に本年度は、昨年度末に取りまとめた並行在来線輸送確保調査の結果について沿線市町村に対し情報提供を行うとともに、本調査をもとにして、今後検討すべき課題の整理、分析に努めてまいったほか、昨年10月に開業したしなの鉄道に私自身も含めて訪問し、国とJRとの交渉経緯や開業に至るまでの諸手続、さらには開業後の経営状況等の調査を行ったところである。
 また、本年3月の東北新幹線八戸-新青森間の新規着工を契機に、これまで並行在来線に対する取り組みがおくれていた青森県の検討体制が整ってきたことから、青森県との間で基本方針の策定に向けて協議を開始したほか、並行在来線の経営に大きな影響を及ぼすことが懸念される鉄道貨物の取り扱いについて、運輸省に対し、全国一元的な鉄道貨物輸送の確保の観点から、その取り扱い方針を示すよう働きかけを行うとともに、並行在来線の経営安定のための支援措置の要望を行ってきたところである。
 今後においても、これまでの調査結果や鉄道貨物輸送のあり方に関する国の検討動向を踏まえつつ、将来にわたる地域の旅客輸送を確保するという立場から、最も効率的な輸送形態のあり方などについてさらに調査検討を進め、青森県や沿線市町村との意見調整を十分に図った上で、平成11年の秋を目途にして輸送と経営に関する基本方針を取りまとめていく考えである。

〇小原委員 関係それぞれの皆さんとの協議ということが大事であるけれども、同時にまた、その内容についても逐次公開されることが必要であろうと思うので、御要望申し上げておく。
 質問の第2は、三陸鉄道についてである。
 このことについては、伊藤勢至委員、佐藤正春委員からも質問のあったところである。三陸鉄道は、昭和59年4月、県民悲願の開業以来、沿線地域の生活及び観光路線として重要な役割を果たしてきていると認識しておる。近年、沿岸地域の人口の減少やマイカーの普及等により利用者数は減少し続けていると伺っておる。このような状況の中で、去る10月、国においては日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律が成立、施行された。この法律は、三陸鉄道等の第三セクターへの貸付資産について、無償貸し付け及び無償譲渡ができる期間が平成11年度末までに限られる内容となっておる。
 そこでお伺いする。三陸鉄道の経営状況と今後の経営見通し及び資産譲渡問題に対する取り組みについて、その方策をどうお考えかお伺いする。

〇武居企画振興部長 三陸鉄道の平成9年度の経営状況については、年間利用者数が168万8、000人で、これは平成8年度の176万人から8万人強減少しており、開業当初と比較すると約100万人の減少になっているところである。その結果、経常損益については平成6年度から連続して赤字決算となっておるが、徹底した業務見直し等の経費節減と、昨年の12月に運賃改定を行ったことなどによって、平成9年度の経常損失額は平成8年度の約3分の1に当たる2、800万円余りに減少しているところである。
 しかしながら、いずれにしても会社の経営が依然厳しい状況にあることは当然のことで、引き続き経費の節減に努めるとともに、会社側としても、サービスの改善や積極的な営業を展開しながら収益力の向上に努めているところである。
 それから、三陸鉄道の借り受け資産の譲渡問題についてであるが、これは、先ほど御質問にもあったように、関連法案が平成10年10月22日に法律として施行されて、現在、借り受けている鉄道資産の無償貸し付けは平成11年度末、すなわち平成12年3月までに限られることになって、それ以降は有償貸し付けに転換されることになる。また、この資産の譲渡については、平成11年度末までは無償で受けることができ、その際には不動産取得税の非課税、登録免許税の2分の1減免というものが法律で規定されておるが、それ以降になるとこういった減免、非課税等の適用も受けられないことになる。また、譲渡を受け入れると、いずれにしても固定資産税であるとか災害発生時の復旧費用の負担が新たに発生し、経営に深刻な影響を与えかねないと考えられるところである。この問題に関しては、鉄道が県と沿線市町村が中心となって設立され、運営してきた経緯にかんがみて、無償譲渡を受けた場合、または有償貸し付けを受けた場合の諸課題の対応を検討する、こういったことがまず何よりも重要であろうということで、岩手県三陸鉄道強化促進協議会では、沿線10の市町村の市町村長などと一緒になって、去る17日に運輸省及び自治省に対して支援措置の要望や情報収集などを行ったところである。
 こういった状況を踏まえて、今後、会社、市町村、それから県の間で話し合いを進めていくこととしておるが、この問題に関しては、先ほど申したように大変多くの課題を抱えており、早急に結論を出すのは難しい状況にある。最近受け入れ表明した他の三つの第三セクター鉄道については、例えば固定資産税の額についても私どもと比べて数分の1ということで大変少なくなっており、そういった点でも私どもの第三セクターの三陸鉄道については課題がいろいろあるので、まずは受け入れの表明等の結論を出してからその後いろいろの善後策を考えるということではなくて、そういったものについて、いずれ将来のあり方も含めて十分に議論を尽くした上で結論を出す必要があるのではないかと考えておる。
 しかし、先ほど申したように、いずれ平成12年3月という期限が決まっているものなので、今後いずれの結論を出すにしても、その後の手続に支障が生じない時期までに会社、関係市町村、それから県が一緒になってこれからの方向性を出してまいりたいと考えておる。

〇小原委員 大変厳しい状況と困難な局面ということが言えようかと思うけれども、県の役割と判断が非常に大きいと思うので、今後の議論の中で誤りなきよう期していくという形の中でなお議論をしていきたいと思う。
 次に、農業問題についてお伺いする。
 質問の第1は、農業の担い手問題についてである。
 我が国の農業農村は、今まさに構造的変革の局面に差しかかっている。ウルグァイ・ラウンド農業合意の受け入れに伴う国内関連対策は実施5年度目に入っておる。平成12年を見据えたより強力かつ実効ある推進が求められるとともに、現在、国では、食料・農業・農村基本問題調査会の答申を受けて農業の基本法制定に向けた検討を始めるなど、新たな環境変化への対応が迫られているところである。このような状況の中にあって、日本の食糧供給基地を標榜する本県にあっては、農業農村を食糧生産の場であると同時に、多様な食文化、心豊かな伝統、地域文化の中に生活する場として位置づけ、守り、育てていかなければならないものと思う。そのためには、若い農業者を中心とする担い手の育成、生産性を高め、安全でおいしい農産物を安定的に供給できるような営農体制や農業構造を確立していくことが必要であると思う。
 そこでお伺いするが、認定農業者を初めとする農業経営体への支援をどのように考えておられるのかお伺いする。

〇千葉副知事 担い手問題についてであるけれども、今後、農業労働力の大幅な減少が見込まれる中にあって、地域農業の中心となって活躍する経営感覚にすぐれた農業者を広く育成していくことが緊要の課題となっているところである。
 このため、稲作など土地利用型の農業を志向する農業者については農地の利用集積による経営基盤の拡大を図る必要があるので、圃場整備を一層推進するとともに、先導的利用集積事業や農地保有合理化事業を活用して、分散しておる農地の面的な集積や農地の貸借、農作業受委託等を促進することとしているところである。また、新いわて農業再編総合対策事業や各種のリース制度を活用した農業機械や施設の整備による経営の効率化を推進してまいりたいと考えておる。
 一方、園芸や酪農を主業とする農業者の経営規模を拡大するためには労働力の支援対策を講ずる必要があるので、収穫期等の補完労働力を確保するグリーンヘルパー制度や周年労働の負担を軽減する酪農ヘルパー制度の普及を図るとともに、飼料生産などを受託する組織を育成強化するなど、各種の施策を重点的に配置することによって認定農業者等の担い手を支援してまいりたいと考えておる。

〇小原委員 第2に、園芸の産地づくりについてである。
 米の需給が大幅な緩和基調にある中で、全国的に園芸部門の生産が拡大されてきており、産地間の競争がますます激化してきておる。こうした中で、各県とも生き残りをかけて産地づくりに取り組んでおり、例えば嬬恋のキャベツ、博多のネギ、渥美半島の菊などは、消費地の高い評価を得て有利に取引されていると伺っておる。
 したがって、私は、農家所得を安定的に確保していくためには、こうした高い評価を受ける園芸の産地づくりが極めて重要であると考えるものである。県では、園芸を戦略部門として位置づけ、その生産振興に鋭意取り組んできているところであるが、これまでの産地づくりの取り組み状況と今後の推進方策についてお聞かせいただきたいと思う。
 続いて、第3の質問であるが、農産物の販売対策についてである。
 本県にはジョナゴールドやリンドウ、レタス、肉用牛などのすぐれた産地が育ってきておるが、まだまだ全国銘柄が少なく、全国の消費者に認知されているとは言いがたい状況にあることはまことに残念である。本県が農業県としてさらに発展していくためには、米、園芸、畜産の品ぞろえが可能な総合食糧供給基地であることを本県の特徴としてPRし、消費者の認知度を高めていくことが重要である。このため、作目ごとの販売対策の強化はもちろんのこと、すべての農産物に本県産品であることを表示するなど、産地全体のイメージアップのための総合的な取り組みの充実を図るべきであると考えるが、いかがであろうか。
 また、産地間競争が激化する中で、県産農産物の有利販売を実現していくためには、販路を拡大し、首都圏はもとより、関西地区など全国の消費者を視野に入れた販売戦略を展開しなければならないと考えるものであるが、県産農産物の販路拡大への取り組み状況と今後の推進方策についてあわせてお伺いする。

〇千葉副知事 まず、園芸の産地づくりについてであるけれども、本県においては園芸を戦略部門として位置づけ、全県的にその生産振興に努めているところである。その結果、既に雨よけホウレンソウを初め、夏秋ピーマン、高冷地レタスなどの野菜や矮化リンゴ、花卉ではリンドウなど、全国的にも有数な産地が形成されてきており、市場でも高い価格で取引されているところである。
 また、最近においては、野菜ではキャベツやネギ、果樹では県オリジナルリンゴ品種のきおう、花ではユリなど、各地域において新たな産地化の動きが出てきているところである。
 さらに、昨年からはキャベツのいわて春みどりの産地化を全県的に推進して、本県野菜の顔となるようそのブランド確立に努めているほか、他の品目についてもそれぞれの地域ごとに産地拡大ビジョンを策定し、具体的に産地づくりを推進するいわて純情園芸産地確立運動を展開しているところである。
 こうした産地づくりに当たっては、生産の拡大や省力化、効率化を図ることが重要であるところから、キャベツ、レタスなどの土地利用型野菜の機械化一貫体系の確立やリンゴ矮化栽培の促進、野菜及び花卉の種苗供給施設や集出荷施設の整備等生産体制を強化するとともに、グリーンヘルパーによる労働力支援システムの構築などの各種施策を積極的に展開してまいりたいと考えておる。
 次に、農産物の販売対策であるけれども、本県で生産された農産物の品質、食味のよさや安全性など純情産地いわてならではの特徴を広く卸売業者や消費者に宣伝し、県産農作物トータルとしての評価向上を図ることが重要であると考えておる。
 また、農産物流通は品目ごとに独自のルートを形成してきたところであるけれども、近年、小売段階での総合化が進んで、量販店のシェアが非常に高くなってきておる。したがって、本県がこうした販売環境に柔軟に対応できる多様な品ぞろえが可能な産地としての評価を高めていくことが重要と考えておる。このため、農業団体と一体となって、銀河系いわてフェスティバルなど各種フェア、キャンペーン等の普及宣伝活動に取り組むなど、消費者等の視点に立ったマーケティング活動を展開しているところである。
 ただいま御指摘のとおり、今後さらに本県の農産物の全国的な販売展開を図っていくことが重要であるので、名古屋、大阪等の物産展や、本年10月に東京の銀座に開設したいわて銀河プラザ、年明け1月に開設予定の九州福岡地区での情報発信拠点を核として、県産農作物の一層の販路拡大に努めてまいりたいと考えておる。

〇小原委員 これからの大きな課題にもなってくる中山間地域の振興ということもあろうかと思う。そういう点では、魅力あるそうした産品、品ぞろえをしっかりしていくということと、やはり何といってもイメージ、今、副知事がおっしゃられたように、イメージをしっかりしたものにしていくということが大変これから大事になってこようかと思うので、どうかひとつ東京方面のみならず、関西あるいは九州、こういった部分も見据えながら、販路の大きな拡大と、そして高い評価を得られるような御努力をぜひお願いしたいと思う。
 次に、道路の整備についてお伺いする。
 質問の第1は、国道4号の4車線化の進捗状況についてである。
 県土の均衡ある発展を図り、活力ある県土づくりを推進するためには、その基盤となる道路整備が必要不可欠なものと考えておるが、中でも国道4号は、言うまでもなく本県中央を南北に縦断し、産業、経済活動を支える主要幹線道路である。しかし、国道4号の現状を見ると、都市部を中心として慢性的な交通渋滞が発生しており、安全で円滑な交通の流れが阻害されている状況にある。渋滞を解消し、主要幹線道路としての機能を確保するためには、現在進められている4車線での整備を促進することが必要であると考えるものである。
 そこでお伺いするが、本県における国道4号の現時点での4車線化の状況と、現在、事業を実施している箇所及びその整備見通しについてお伺いする。
 第2は、平成9年度から10年度に繰り越した道路事業の進捗状況についてである。
 平成9年度の土木費に係る繰越明許費は145億円余で、そのうち道路関係の繰越額が108億円余となっており、土木費の大部分を占めておる。その主な理由は、工事施工に必要な詳細測量や設計及び関係機関との手続に不測の日数を要し、工事施工に要する日数が不足したことなどとなっておるが、年度も後半となったが、その執行の状況がどのようになっているのかお伺いする。

〇千葉副知事 国道4号の4車線の整備状況であるけれども、平成9年4月1日現在、県内延長約188キロメートルのうち、25%に当たる約48キロメートルについて整備が完了しているところである。
 現在の整備箇所であるけれども、交通量の増加など課題となっている箇所を重点的に整備することとしており、平泉、水沢東、花巻東、渋民、小鳥谷の5地区約30キロメートル区間でバイパス整備が進められているところである。これらの工事はいずれも将来4車線とする計画であるけれども、事業効果の早期発現を図るため暫定2車線で施工しておる。また、北上と盛岡の2カ所約14キロメートルでは4車線化への拡幅整備が行われているところである。
 国においては、新たな道路整備5カ年計画の中で高規格幹線道路等の重点的な整備をすることとしておるが、一方、一般国道の整備については非常に厳しい環境下にあると聞いておる。本路線の重要性にかんがみて、事業促進が図られるよう、引き続き国に対して強く要望してまいりたいと考えておる。
 次に、9年度分の繰越分の状況であるが、平成9年度道路関係予算額961億4、636万円のうち、平成10年度への繰越額は108億3、027万円余であった。
 これら繰り越した事業の執行状況であるけれども、平成10年10月末現在で契約済額80億4、867万円余で、契約率は74・3%である。今後、未契約分の事業箇所についても速やかに契約を締結し、年度内完成に向けて努力してまいりたいと考えておる。

〇高橋委員長 以上で代表質疑を終わる。
 次に、自由質疑を行う。自由質疑は、議会運営委員会の申し合わせにより、発言時間は答弁を除き1人10分を限度とし、交渉団体会派に属していない委員を優先することになっておる。

〇斉藤委員 最初に、不況対策についてお聞きする。
 昨年の4月からの消費税の増税以来不況が深刻化している。家計の消費支出、住宅着工数、企業の設備投資、失業率など、どれをとっても最悪の水準、状況となっている。ところが、政府が11月16日決めた24兆円規模の緊急経済対策は、規模ばかりが大きくて、中身は従来型の公共事業の積み増しや高額所得者向けの減税、世紀の愚策とも言われる商品券のばらまきなど、景気をよくするどころか一層悪化させるのではないかと危惧されるものである。
 具体的にお聞きする。
 これまで政府は7回80兆円に及ぶ経済対策を行ってきたが、景気回復にはつながらなかった。財政赤字が拡大してきたのではないであろうか。県は政府の経済対策に呼応してこれまでどれだけの公共事業を積み増しし、その結果、県債残高はどれだけ膨らんだのか。
 海外の不況対策を調査した政府の財政制度審議会報告では、不況期においていわゆるケインズ的な拡張的財政政策を行っている国はなかった。不況期にこれまでのような財政に頼った景気刺激策を見直すべきだとしているが、県はどう受けとめているのか。政府の経済対策に追随していれば、増田知事の言うように事業の重点化はできないのではないであろうか。

〇吉田総務部長 平成4年から平成10年4月までの国の7次にわたる経済対策に呼応して県が予算措置した経済対策予算は2、708億円余で、その財源として発行した県債は1、075億円余である。
 財政制度審議会の報告及び事業の重点化であるが、これについては、財政の景気調整に果たすべき役割について慎重にすべきではないかという論議があったということであるが、雇用不安とか家計とか企業のマインドが冷え込んでいる。現在のように経済状況が悪化しているということで、内需創出への即効性とか民間投資の誘発効果、そういった公共投資の財政出動が必要ではないかと考えているところである。
 なお、国においては、その後、当該報告での議論を踏まえ、平成9年度財政構造改革法を制定し財政の健全化に取り組んできたところであるが、昨今の厳しい経済状況ということを前提として、その凍結を前提とした思い切った経済対策を打ち出したところである。
 県としては、これまで国の経済対策に呼応し、県内経済の活性化を図るという観点から社会資本の整備等を推進したところであるが、その整備に当たっては、活力ある地域社会づくりに向けて、生産、生活両面にわたる基盤整備を着実に推進するということで、県民の健康な生活を支える社会資本の整備に重点的に取り組んでおる。

〇斉藤委員 はっきり答えていただきたい。
 既に最悪の不況に陥っているということがこれまでの破綻を示している。
 それで、私は具体的にお聞きしたい。
 第2に、政府の減税なるものは金持ち減税である。4人家族の標準世帯で年収2、302万1、000円以上の高額所得者が対象となる最高税率の引き下げは、県内では対象世帯、減税額はどれぐらいであろうか。
 今回の減税策では、ことしの定額減税と比べて七、八割は増額となると思われるが、どうであろうか。
 第2に、愚策中の愚策と言われる商品券、いわゆる地域振興券は、対象者、額はそれぞれどのぐらいになるであろうか。県、市町村は具体的にどの課が担当し、どのように印刷し、配付、活用することになっているのであろうか。

〇吉田総務部長 最高税率の引き下げによる影響であるが、このたび政府の決定した所得税、住民税の最高税率引き下げによる減税の影響についてであるけれども、所得税については国税であり、資料がないことから申し上げかねるけれども、住民税で、標準世帯--夫婦と子供2人であるけれども--、年収1、147万3、000円以上が対象となる見込みである。現時点では県民税と市町村民税の税率区分が示されておらないので、住民税全体の平成9年度ベースで試算した結果を申し上げると、納税義務者数で約1万人程度、税額では約13億円程度と見込まれているところである。
 減税の影響についてであるが、今回の減税案であるが、定率減税の具体的な実施方法については、今後、中低所得者層への影響を考慮しながら検討されると聞いており、現段階では本年度と比較することは困難であると考えているところである。

〇武居企画振興部長 地域振興券の本県における交付対象者の数であるが、これは、平成11年1月1日が基準日であることから、今後、各市町村において対象者の把握をすることになるが、私どもの手元の資料等で概数を推計すると約37万人程度になるものと思われる。しかし、一部にダブり等も生じてくる関係で、正確な数字は今後にまたれるところだと考えておる。
 商品券の額は1人当たり2万円ということであるので、現時点の数字をもとにして計算すると、総額としては74億円程度ではないかと思われる。
 それから、県と市町村の担当課であるが、県は企画振興部市町村課、市町村については、交付対象者の把握や地域振興券の取引を行う民間事業者の募集等の事務があることから、保健福祉や商工関係等の関係部門が連携して取り組むことになるものと思われる。
 それから、地域振興券の印刷は市町村が行うこととなるものであるが、これは、大蔵省印刷局に依頼することも可能であると聞いているところである。
 それから、交付は、15歳以下の児童がいる世帯主にあっては、市町村から送付される地域振興券引きかえ申請券を持参し地域振興券を受け取ることになっており、それ以外の老齢福祉年金等の受給者や所得が低い高齢者等の交付対象者にあっては、原則として本人が直接市町村に申請し、受け取る仕組みになっていると承知しておる。
 また、活用については、商店街の活性化や地域の振興を図るという観点から原則として当該市町村の区域内となるが、当該区域内の店舗数が少ない等の特別の事情がある場合には、他の市町村に所在する店舗等を有する民間事業者を特定事業者として登録することができるものとしておる。ただし、この場合にあっても、発行市町村を包括する広域行政圏内に所在する店舗等となるものであると承知しているところである。
 今後は、この事業が円滑に進むよう、各市町村に助言、指導を行いながら的確に対応してまいりたいと考えておる。

〇高橋委員長 斉藤委員に申し上げる。本決算委員会は、平成9年度の一般会計及び特別会計に係る決算を審査するための委員会であるので、その趣旨を踏まえ、質疑をされるようお願いする。

〇斉藤委員 消費税増税で深刻な不況になっているということを私は問題にしているのである。私にだけそんなことを言わないでいただきたい。
 私は、具体的な不況策についてこれから取り上げたい。
 今、必要な不況対策は、不況を打開する最も効果のある消費税減税、これを実現することである。県議会でも意見書を採択したが、私は、県としても政府に強く求めるべきではないかと思う。
 もう一つ、県内中小企業の仕事を確保する上で必要なことは、県の官公需の中小企業向け発注比率を高めることである。現状はどうなっているであろうか。5年間の推移を示していただきたい。
 また、具体的にどう発注比率を高めるように努力してきたのであろうか。沖繩県は今まで革新であったが、ここは96%まで県内中小企業向け発注比率を高めている。私は、当面90%にまで高める必要があると、このように思うが、いかがであろうか。
 県営建設工事について、公共事業はふえ続けているのに中小業者には仕事が回っていない。なぜであろうか。等級別発注件数、金額の推移、平成10年度実績を示していただきたい。

〇吉田総務部長 消費税の税率の問題であるが、この取り扱いについては、税制に係る国政の問題として、現在、種々論議がなされていると聞いておるが、今後、国会等の場で十分な論議がなされて、国民の皆さんの理解が得られるようなものになるということを期待しているところである。

〇千葉副知事 県が発注する物件、工事あるいは役務に関する中小企業向け発注比率の5年間の推移についてであるけれども、金額ベースで平成5年度は74・5%、平成6年度は74・4%、平成7年度は77・4%、平成8年度は73・2%、平成9年度は70・7%となっており、年度間のばらつきはあるものの70%以上の発注比率で推移してきているところである。
 県としては、中小企業向け発注比率を高めるために庁内各部局が分離・分割発注の推進などに取り組んでいるとともに、岩手県中小企業団体中央会を通じて中小企業向けの発注情報の提供などを行っているところである。また、市町村に対しても、中小企業向け発注比率を高めるよう文書で要請を行ってきているところである。
 過去5年間の本県の中小企業向け発注比率の平均は74・0%と、全国の地方公共団体平均の69・1%を約5ポイント上回っている状況にあるけれども、今後とも分離・分割発注の推進や発注情報の提供などによって中小企業向けの発注比率を最大限高めるように努力してまいりたいと考えておる。
 それから、県営建設工事の関係であるけれども、土木工事の発注状況は、中小建設業者であるC、D級については、8年度、9年度を比較すると発注金額は増加しており、また、平成10年度10月末現在での発注状況は、9年度の10月末と比較すると、各等級において件数、金額とも前年度を上回っているところから、C、D級の受注は確保されているところである。
 次に、等級別の発注金額の推移についてであるけれども、発注標準額の改正によってA級は9年度は発注額が若干減少したもののB級の発注金額は増加しており、C、D級の発注金額は大幅に増加しているところである。
 また、工事の発注については、今後とも可能な限り等級間の均衡を図るように努めてまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 官公需の問題、平成9年と平成7年を比べるとマイナス6・7%、328億円減少している。70%に落ち込んでいる。沖繩県は96%だけれども、90%まで高めたら同じ枠で540億円中小企業に仕事をふやすことができるのである。そういうことを不況のときにこそすべきだと、そのことを私は聞いているので、70%そこそこで推移しているから満足という答弁ではだめなのである。
 等級別の発注件数、私がもらった資料と答弁がちょっとずれているのだけれども、例えば平成9年度、土木工事でいうとC級は11%、D級は5・1%だった。平成10年度--途中経過であるけれども--、C級は5・1%、D級は1・9%落ち込んでいる。激減である。これは建築工事もそうである。建築一式工事を見ると、平成9年度は12%だった。10年度は現在5・2%、C級8・3%が3%に落ち込んでいる。私は、不況のときに公共事業総額がふえているのに、地元中小業者への発注が減っているということは重大だと思う。官公需にしても、そして、この県営建設工事にしても、こういうときこそ地元を潤すような、中小を潤すようなやり方は必要なのではないか、もう1回お聞きする。

〇千葉副知事 等級別の発注状況は、私の手元にある資料では先ほど答弁したとおりである。詳細については部局審査の際に御質問願いたいと思う。

〇斉藤委員 部局でやってくれというのは僕は失礼だと思う。これは指摘にとどめておく。
 次に、公共事業の見直しについて。
 奥産道工事断念について、私はこの断念の決断を評価する。今回の教訓を今後に生かす上で幾つかお聞きする。知事は各部局とどのように協議して決断したのか。土木部は知事に土木部の工事継続案を報告、承認を受け県民に公表したが、なぜその時点で知事はみずからのイニシアチブを発揮しなかったのか。断念する理由の一つに、観光を主体とした地域振興上の波及効果が必ずしも明確にならないことを挙げているが、今までの開発はこのことを最大の理由にしてきた。具体的にどういう根拠でこういう理由を述べたのであろうか。奥産道・雫石東八幡平線と同じようなケース、問題として奥産道・沢内村道安ケ沢線、大規模林道川井住田線がある。増田知事の決断からも県の新総合計画中間報告でも、環境、ひと、情報で岩手の未来を拓くとして、水と緑のネットワーク、緑の回廊を提起している。奥羽山脈フィールド、北上高地フィールドが示されているが、この趣旨からすれば奥産道・安ケ沢線も大規模林道川井住田線も見直されるべきと考えるが、いかがであろうか。

〇千葉副知事 まず、各部局とどのように協議してきたかということであるけれども、奥産道の今後の整備のあり方については、事業を所掌する土木部が主体となって取り組んできたところである。検討委員会の運営には関係部局も参画して取り進めてきたところであるが、提言を受けてからは各部と関連する問題について連携のもとに対応してきたところである。
 それから、県の判断に至る経緯についてであるけれども、土木部は道路検討委員会の提言を受けて、仮に本路線を推進する場合の検討すべき八つの課題について技術的な検討を行い、三つの代替案を作成してそれぞれについて評価を行い、県民に公表したところである。知事は、県民に情報を提示するとともに、県民の意向の把握に努め、最終判断に至るぎりぎりの段階まで、工事を継続する案と断念する両案について並行して検討を重ねた上で総合的に判断したものと考えておる。
 次に、奥産道・沢内村道安ケ沢線の見直しについてであるけれども、沢内村道安ケ沢線は、自然と共生する道路整備のあり方を検討するため、平成9年度に沢内村道安ケ沢線環境影響調査委員会を設置して、現在調査を進めているところである。今後の工事のあり方等については、この委員会からの意見、提言などを踏まえて慎重に検討してまいりたいと考える。
 次に、大規模林道川井住田線の関係であるけれども、森林・林業を取り巻く環境は、引き続く外材主導による木材価格の低迷や、林業労働力の減少等によって厳しい条件のもとにある。これらに対処し林業経営を安定的に維持していくためには、森林資源の適切な利用と整備、保全を推進し、林業を中心とする総合的な地域振興を図る必要があると考えておる。大規模林道川井住田線はこれらを実現するため基幹となる林道である。ぜひとも必要な施設と言えると思う。森林公団としても環境保全に十分配慮しつつ、工事を進めているところと考えているところである。

〇斉藤委員 大規模林道川井住田線について、この間、猛禽類の環境調査が平成9年度からことしの8月まで行われた。その結果、内容について示していただきたい。
 9月からなぜタイマグラ側からの工事が再開されたのであろうか。調査結果を私はいただいて専門家に分析していただいた。その内容は、工事区間の中にクマタカの三つの個体群が生息していること。しかし、その内部構造が明らかになっていない。環境庁の猛禽類保護のマニュアルによれば、営巣中心域、高利用域、生活圏、行動圏を明らかにする調査が必要とされているが、こういう調査をしないでなぜ9月から工事を続行したのか。
 環境庁マニュアルに基づく科学的な調査と専門家による検討委員会の設置が必要と考えるが、どうであろうか。

〇千葉副知事 平成10年度の猛禽類の環境調査については、森林開発公団において4月から7月の営巣期の調査を終了し、さらに現在、9月から12月の非営巣期の調査を実施しているところである。この営巣期における調査では、クマタカについては林道の工事予定箇所から約2キロメートル以上離れたところに2カ所の営巣地が確認されるとともに、ペアを組んで飛翔している2個体を確認したところである。このため、今後の工事予定路線は、環境庁マニュアルにおいて採餌等の高利用域に該当すると考えられるところであるけれども、同マニュアルで高利用域は非営巣期の工事が可能な地域であるとされているところである。また、現在実施しておる非営巣期の調査において営巣地等の確認を進めているところであり、さらに次年度以降もモニタリング調査を継続実施して、猛禽類の生息環境の保全に万全を期すように対処すると聞いておる。
 次に、タイマグラ側の工事の再開についてであるけれども、環境庁マニュアルによれば、工事予定箇所は高利用域に該当すると考えられるが、非営巣期の工事は支障がないとされているので、工事時期に配慮して、営巣期の1月から8月を避けて工事を実施することとしたところである。先ほど申し上げたとおり、当該箇所は営巣地から2キロメートル以上離れているところである。
 次に、森林開発公団は、これまでも専門家の指導のもとに本モニタリング調査を実施してきておる。今後とも引き続きモニタリング調査を実施して、クマタカ等の生息動向を的確に把握するとともに、その調査結果に基づいて生息環境の保全に十分配慮して、適切に事業を進めることとしているところである。したがって、公団では改めて検討委員会の設置を考えていないと聞いておるが、県としては、公団、林野庁等の関係機関と連携を密にして、必要な連絡調整を進めてまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 公団は完全に環境庁マニュアルを無視している。詳しくは私、部局でやる。
 次に、介護保険への対応について。
 一番の問題は、保険料、利用料を払えない低所得者が介護サービスを受けられなくなるという問題である。県内の国民年金保険料の免除者、滞納者、未加入者の実態はどうであろうか。
 国保税滞納者の実態はどうであろうか。平成8年度高齢者保健福祉実態調査報告書によると、要援護高齢者の年収は60万円未満が51・0%、120万円以下が79・6%となっている。保険料の減免、免除、利用料の減免、免除がどうしても必要と考えるが、いかがであろうか。
 第2に、保険あって介護なしというべき介護サービスの基盤整備がおくれていることが問題である。高齢者保健福祉計画の9年度実績は報告されているから、私は今年度末見込み、計画年度である来年度達成見通しはどうなっているかお聞きする。
 在宅福祉のかなめであるホームヘルパーの確保策はどうであろうか。昨年から事業費補助方式となっている補助額が減額となっていると思うが、平成9年の実態、平成10年度の見通しはどうか。これで身分の安定したホームヘルパーを確保できると考えるであろうか。
 特養ホーム入所待機者の過去5年間の推移と最近の実態を示していただきたい。
 特養ホームは緊急に1、000名以上待機者がいるから20カ所以上増設すべきではないであろうか。そうすれば介護サービス基盤の拡充はもとより、仕事の確保にも不況の対策にも大きな効果を発揮すると思うが、いかがであろうか。
 要介護認定基準について。
 これまでの試行では第1次、第2次判定でどれだけの差異が出ているであろうか。ADL中心の介護認定基準を見直すべきと考えるが、いかがであろうか。

〇千葉副知事 国民年金保険料の免除者は、平成9年度で納付対象者全体の20・1%となっておる。未納者については、同じく9年度で見ると12・4%が未納となっているものである。未加入者については、本県ではあらゆる対策を講じた結果、ほぼ解消したものと考えておる。
 また、国保税滞納者の状況であるけれども、平成9年度で加入世帯の10・8%で、累積滞納額は約65億円となっているものである。
 次に、介護保険の対応についてであるけれども、老齢福祉年金受給者、市町村民税非課税世帯の高齢者など、低所得者については保険料率を低く設定する配慮がなされているところである。低所得者の利用者負担については、高額介護サービス費や食費の標準負担を低く設定することとしておる。また、生活保護受給者については、生活扶助費に保険料が加算されるほか、1割の自己負担については、介護扶助として給付されるものである。
 次に、高齢者保健福祉計画の達成見込みについてであるけれども、本年度末の高齢者保健福祉計画の進捗については、特別養護老人ホーム101・7%、老人保健施設88・8%、ホームヘルパー76・1%、デイサービスセンター67・5%、在宅介護支援センター41・5%、ケアハウス40・9%、老人訪問看護ステーション41・4%と見込んでいるところである。計画の最終年度である来年度の目標達成見通しについては、各市町村と現在協議を行っている段階であり、市町村の実施計画を積極的に支援しながら、目標達成に努めてまいりたいと考えておる。
 次に、ホームヘルパーの確保についてであるけれども、養成研修事業の充実を図るとともに、JA等地域に密着した各種団体や民間事業者の参入等についても積極的に働きかけてまいりたいと考えておる。ホームヘルプサービス補助金については、平成9年度から事業費補助方式を選択導入した町村で平均25%程度の補助金の減額となっており、全面移行となった平成10年度においても、おおむね同程度の補助金の減額が見込まれるものである。今後は、事業単価の高い身体介護業務や24時間サービスの積極的な展開、並びにサービスの効率化等による健全な運営の確保によって、ホームヘルパーの安定的な就業が図られるものと考えておる。
 特養ホームの待機者の関係であるけれども、過去5年間の特別養護老人ホームの待機者の推移については、平成6年9月末現在で618人であったものが、平成10年9月末現在で1、145人に増加しているところである。平成10年9月末現在の待機者は、在宅328人、入院中300人、老人保健施設入所中が494人、その他の施設に入所中の方が23人となっておる。
 次に、特別養護老人ホームの整備についてであるけれども、平成9年度末現在で72施設、4、250人定員が整備されて、平成10年度は既に4カ所、200人定員の増床に着手しているところである。これによって在宅での待機者である328人のうち緊急に入所を必要とする待機者はある程度解消されるものと考えておる。
 次に、要介護認定基準についてであるけれども、平成8年度ではモデル介護認定審査会の第2次判定において、第1次判定の22・1%を変更したところである。平成9年度は21・9%が変更となっておる。なお、要介護認定基準は国において全国一律に定めることとなっているところである。

〇斉藤委員 県産米を活用した学校給食について。
 国の補助金がカットされて、ことし23市町村で給食費の値上げ、2町村では給食回数を減らされた。私は、岩手県独自においしい県産米を活用した学校給食を推進すべきと思うが、いかがであろうか。
 最後に、30人学級の実現について。
 宮城県知事は我が党の申し入れに対して、30人学級は、党派、思想信条を越えて実現しなければならない課題だと述べたが、増田県政として30人学級をこの岩手でこそ真っ先に実現すべきではないであろうか。

〇千葉副知事 学校給食においては県産米を100%使用しておる。今後においても県産米を使用するようにしていきたいと思う。
 それから、30人学級の関係であるけれども、中央教育審議会の答申では、教育条件の向上を図る観点から特に必要がある場合には、都道府県が標準法で定める学級編制の標準を下回る人数の学級編制基準を定めることができるなど、弾力的な運用ができるよう必要な措置を図るよう提言されているところである。現在では、しかし財政的な裏づけや学級規模と教育効果との関連など、十分に検討しなければならない課題を抱えているところである。県としては、こういった国における検討状況等を十分に研究しながら、今後十分な配慮がなされるよう国に働きかけてまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 学校給食、私の質問に答えていない。国の補助金カットに対応して県独自にそういう事業を進めてもらいたいと、こう述べたのだからそれに答えてもらいたい。

〇千葉副知事 学校給食の関係については、給食費の関係で値下げがされたということになっておるが、これは国の補助金とも絡む問題であるので、県単独でこれらについて措置するということについては、現在は考えておらないところである。

〇高橋委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇高橋委員長 質疑はないようなので、総括に対する質疑はこれで終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。明日以降は毎日午前10時に開会するので、よろしくお願いする。
 本日はこれをもって散会する。
   午後5時38分 散 会


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