平成10年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第4号、第20号、第23号から29号について、反対の討論を行います。
 議案第20号は、1998年度岩手県一般会計補正予算(第4号)であります。この内容は、小渕自民党政府による緊急経済対策に呼応、追随して、406億9、300万円の補正を行おうとするものであります。このほとんどは、従来型公共事業の積み増し、ばらまきであります。そもそも小渕内閣の緊急経済対策なるものは、不況打開のために、国民、県民が一番望んでいる消費税の減税には背を向ける一方で、やってはならないゼネコン奉仕の公共事業のばらまきを進めるものであります。減税なるものも、ほんの一部の大金持ちと大企業の減税で、国民の八、九割は増税となるものであります。あげくの果てに、世紀の愚策と言われる商品券、地域振興券を党利党略でばらまこうとするものであります。こんな内容では、不況打開どころか、一層不況が悪化することは明らかではないでしょうか。
 最近の朝日新聞の世論調査によると、緊急経済対策に期待が持てないと答えたのが76%に達しています。読売新聞の世論調査でも、7割から8割が、景気対策に効果なしと答えているのであります。景気対策に効果がないどころか、国の財政も、県、市町村の財政も破綻させるものが、ゼネコン奉仕の公共事業の浪費であります。
 増田知事自身が、10月27日の部課長研修の知事講話で、極論すれば、今、国の事業のやり方を見ると、あれは参考に値しない、国を参考にすると岩手県を悪くするというぐらいにまず思っていただいて、そして、みずからの一つ一つの事業を厳密に検証していかなければならないと述べていました。さらに知事は、従来は国の指導に忠実に従っていたわけですが、右肩上がりの発想を変えられないような国の考え方からは、できるだけ早く脱却していかなければならないとも述べていたのであります。最近の増田知事の格調高い発言から見るなら、小渕内閣にまじめにつき合って、406億円もの公共事業を積み増しするやり方は矛盾しているのではないでしょうか。言行不一致とも言うべきではないでしょうか。
 補正予算の中身を具体的に見るなら、重大な問題点が含まれています。第1に、農林水産業費が224億円余、土木費が181億円余の補正となっていますが、このことによって土木費の予算総額は1、940億円となり、予算に占める構成比が20・1%、ついに教育費の19・2%を超えてしまったのであります。こうした事態は、1975年以降初めてであります。公共事業優先の県政が教育、福祉を押しつぶす転換点となるものであります。
 第2に、今回の補正は今年度で既に4度目となりますが、6月県議会での約600億円の補正を含め、1、233億2、400万円にも及ぶものだということであります。当初予算は、中期財政見通しに基づいて前年度比マイナス3・8%の8、436億円でありましたが、12月補正では9、670億円となり、公共事業の大盤振る舞いだった昨年度同期と比べても798億円、9%増となるものであります。その結果、県債残高はついに1兆427億円となり、昨年度末からは1、107億円も借金をふやすことになるのであります。この借金は、県民1人当たり73万4、000円であり、4人家族なら293万円、約300万円ともなるものであります。県財政の破綻は、国の経済対策にまじめにつき合ってきた結果そのものであります。
 第3に、進められる公共事業の中には、むだと浪費とも言うべき公共事業も少なくないことであります。例えば、農政分野を見ると、米の暴落による61億円の減収、減反拡大による18億円の減収が強いられる、また、米価がまた引き下げられる中で、政府は今、関税化による全面自由化を目指しています。関税化による全面自由化は、絶対に許すわけにはいきません。農業生産の発展ではなく縮小の方向を強める一方で、農道整備、圃場整備など、土地改良費に113億円余も補正をして公共土木事業だけは拡大するやり方は、ゼネコン、土木業者優先の農政、逆立ちした県政そのものではないでしょうか。土木部を見ましても、岩手山の火山活動対策や大雨・洪水対策、危険地域にある災害弱者福祉施設の対策など、緊急性のある対策は見られず、181億円余のほとんどが、従来型公共事業の積み増し、ばらまきとなっています。
 第4に、財政破綻の犠牲を福祉、教育切り捨てに転嫁していることであります。既に今年度の当初予算で10%削減予算が組まれ、高齢者の住宅改造への助成に所得制限が強化されるとか、献血者へのわずかばかりのお礼の記念品も100万円削減するなど、血も涙もないやり方が進められているのであります。さらに、来年度予算編成では、公共事業を別枠にして経常経費の4分の1、25%マイナスシーリングが課せられています。今学校では、冬場でもこれまでどおりの暖房がつけられなくなるという深刻な声も出されています。むだと浪費の公共事業による財政破綻のつけを決して福祉や教育に回してはなりません。今こそ、公共事業のやり方を全面的、抜本的に見直すべきであります。奥産道雫石東八幡平線の工事継続断念の教訓は、勇気を持ってこれまでの従来型公共事業を見直すことだったのではないでしょうか。
 最後に、不況対策というなら、国民の8割、圧倒的多数が望んでいる消費税を今すぐ3%に戻すことであります。岩手県議会は9月議会で、全国に先駆けて消費税を3%に戻すことを求める意見書を採択しました。増田知事も、議会の総意と県民の声を受けて、政府に消費税の減税を強く求めるべきであります。県としてやるべき不況対策は、3、000億円近い官公需の中小企業向け発注率を高めることであります。現状の70%から90%に高めるだけで、新たに540億円の仕事を地元中小企業に回すことができます。千葉副知事は私の質問に答えて、最大限努力すると答弁しましたので、必ずやっていただきたいと思います。
 雇用確保でも、県庁のサービス残業、400時間を超えるような異常な超過勤務を是正するだけで、新たな人員雇用が必要となります。県自身がみずから雇用拡大の対策をとってこそ、民間企業にもお願いできるのではないでしょうか。不況打開、雇用確保にとっても、福祉・教育の充実にもつながるものが、特養ホームの緊急増設など福祉施設の整備であり、30人学級の実現であります。特養ホームの入所待機者は、9月末現在で1、145人もいます。毎年100人以上増加しています。介護保険実施を目前にして、当面20カ所以上の緊急増設が求められています。これを実現するなら、中小企業への仕事をふやし、福祉関係の雇用も大幅に拡大して、地域経済を活性化させる力になることは明らかであります。子供たちや父母、教師が切実に求めている30人学級を実現すれば、小中学校で1、020学級ふえ、1、330人の教員をふやすことができます。高校でも370学級、740人の教員をふやすことになります。県民の要求、願いにこたえ、さらに雇用も拡大し不況打開の力にもなるこうした対策こそ、進めるべきではないでしょうか。
 議案第4号、第23号から29号は、県単独公共事業にかかわる関係市町村に対し負担を求めるものであり、反対するものであります。
 以上申し述べまして、1998年度岩手県一般会計補正予算(第4号)等に対する反対討論といたします。
〇議長(那須川健一君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより議案第4号、議案第20号及び議案第23号から議案第29号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(那須川健一君) 起立多数であります。よって、議案第4号、議案第20号及び議案第23号から議案第29号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号から議案第3号まで、議案第5号から議案第19号まで、議案第21号、議案第22号及び請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(那須川健一君) 起立全員であります。よって、議案第1号から議案第3号まで、議案第5号から議案第19号まで、議案第21号、議案第22号及び請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたします。
   
日程第31 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
〇議長(那須川健一君) 次に、日程第31、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
   
〔参照〕
総務委員会
 新しい総合計画について
環境福祉委員会
受理番号  件名    
 12   30人学級、教職員定数改善、子どもの放課後をたのしく、私学助成の大幅増額などのゆきとどいた教育の実現を求めることについて請願
 16   聴覚障害者の社会参加を制限する欠格条項の早期改正を求めることについて請願
 17   学童保育制度の充実と岩手県すこやか保育等プランを実効あるものにすることを求めることについて請願
 19   介護保険実施に向けての意見書提出について請願
商工文教委員会
受理番号  件名    
 25   岩手県新総合運動公園建設について請願
 4   財団法人新渡戸基金に対する支援について請願
 11   私立小中高養護学校に対する助成について請願
 13   30人学級、教職員定数改善、子どもの放課後をたのしく、私学助成の大幅増額などのゆきとどいた教育の実現を求めることについて請願
 14   30人以下学級を柱とする次期定数改善計画の策定を求めることについて請願
 18   増田知事の私学振興公約の早期実施を要望することについて請願
農林水産委員会
 農業用廃プラスチックの適正処理について
土木委員会
 中心市街地活性化支援方策について
   
〇議長(那須川健一君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、先ほど各委員長から報告のとおり申し出がありましたが、委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(那須川健一君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたします。
   
日程第32 認定第1号平成9年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第43 認定第12号平成9年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計歳入歳出決算まで
〇議長(那須川健一君) 次に、日程第32、認定第1号から日程第43、認定第12号までを一括議題といたします。
 各案件に関し委員長の報告を求めます。高橋決算特別委員長。
   〔決算特別委員長高橋賢輔君登壇〕(拍手)

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