平成10年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇42番(山内隆文君) 山内隆文であります。一般質問という形をかりて、同世代に生まれ、同時代を駆け抜けるであろう増田知事と意見を交えることができたこの4年間に思いをめぐらし、一定の感慨を覚えつつ、順次質問してまいります。
 先ほど村田議員は、清新な哲学こそが必要であると訴えられました。同感であります。新しい総合計画は、策定後12年間にわたって県政運営の指針となるだけではなく、その後においても影響を及ぼし続けるわけでありまして、だからこそ、間違いのない時代認識に基づき、間違いのない施策を選択するための最大限の努力が今なされなければならないと思います。
 人類の営みすべてを網羅したいわゆる社会形態は、形成・展開という第1象限、発展・反省という第2象限、そして変質・考査という第3象限をらせん状に移行するとの論があります。平成6年4月に策定されたほくとう銀河プランは、第2章において、知識とは情報をシーズとして生み出される知的価値の総体であり、これからの時代において富の源泉になるものと定義した上で、21世紀は、交流と連携を通じて経済社会面での豊かさや発展力を生み出す知識が創造され、伝達されるとともに、地球環境との共生や多様な知識の共存が図られ、自律性に富んだ地域づくりが行われる社会、即ち知識社会であるとしております。
 ほくとう銀河プランは、工業社会という形態の変遷に触れ、科学的合理主義と産業革命の進展の中で、社会形態の主流は工業社会へと移行し、この社会において人類は多くの点で進歩を遂げたと記述しており、これは形成・展開という第1象限にあることを伺わせます。
 また、20世紀に入り、工業社会が全盛期を迎え、だれもが人類の進歩と繁栄の永続性を確信したが、21世紀を迎えようとしている今、資源・エネルギーの制約や自然環境への影響をほとんど考慮してこなかった工業社会は、地球規模での問題に直面し行き詰まりを見せているとの記述は、発展・反省という第2象限にあることを伺わせるものであります。
 さらにまた、地球規模での大きな転機を背景に、今知識が重視され、知識が新しい価値観を生み出す社会が到来しようとしているとの記述は、今日が変質・考査の第3象限への移行期にあると指摘しているように思われてなりません。
 翻って、県が来年8月の策定を目指す新しい総合計画の中間報告は、自然と共生し、循環を基調とする社会、創造性あふれ、活力みなぎる産業が展開する社会、ネットワークが広がり、交流・連携が活発に行われる社会、個性が生かされ、共に歩む社会の構築を目指し、これを実現するキーワードは、環境・ひと・情報であるとしており、用語や表現方法に多少の違いはあるものの、ほくとう銀河プランがとらえている時代認識と目指す方向は大変近いものがあるように思われます。社会形態そのものが変質していく時代であると現在をとらえるならば、同時に、考査という作業が常に行われることが重要であるということになろうかと思いますが、知事は、これまでの時代をどうとらえ、これからの時代はどうであるべきと考えておられるのか、その認識についてお尋ねするものであります。
 次に、新しい総合計画について数点伺ってまいります。最初は、エリア設定についてであります。
 昨日、及川議員も触れましたように、本編たる新しい総合計画の策定にあわせて、地域編たる地域計画が、振興局を中心として策定作業の中にあります。この地域計画のほかに、各種の広域ゾーンとして、緑と水の回廊、広域産業経済圏、隣接県との交流圏などが示されており、既存の広域的計画と相まって、多軸・多層型のネットワーク設定がなされようとしております。私は、交流の拡大や多様化するニーズにこたえる一手法として、重層的エリア設定の必要性が高まるものと考えてはおりますが、一方では、重層的エリア設定が引き起こす弊害の有無についても思いをいたすべきであろうと考えます。広大な県土を有する本県は、すぐれて個性的な地域を包摂しておりますが、この地域の形成は人為的になされたものではなく、そこに住む人々の交流の中から自然に形成されてきたものであります。先ほど触れた広域的なエリア設定は人為的要素を内包するものでありますことから、エリア設定に際しては、その理念を明確にすることが重要であり、地域住民に対しその説明を怠れば混乱は免れ得ないと思うのであります。この点について知事の御所見を伺います。
 次に、部門別計画との関連についてお伺いいたします。
 各部局が策定する部門別計画は、農・林・水、商工・労働・観光、保健・医療・福祉、環境、教育の各分野ごとに総合計画の方向性に沿って、より詳細にその目指すべき方向や施策の方向等について分析が加えられ策定されるものであります。この部門別計画と重層的エリア設定とは、その関連性をどう理解すればよいのかについてお示しください。例えば、緑と水の回廊は、農・林・水、商工・観光、それぞれの部門別計画とどうリンクしてくるのか、環境に係る計画との関連性はどのようなものになるのか。部門別計画にはとらわれない緑と水の回廊独自の構想と独自の事業展開はあり得るものとしてとらえてよいのかどうか、御認識をお聞かせください。
 次に、基準年次、目標年次について伺います。
 本編たる新しい総合計画とそれぞれの部門別計画は、内容についてはもちろんのことでありますが、基準年次や目標年次といったタイムスケジュール上の整合性を図ることが大切であります。この点についてお示し願います。
 なお、関連してでありますけれども、三県総の計画期間内である平成8年3月に策定され、その目標年次を平成22年としている総合交通基本計画の位置づけはどのようになるものなのでしょうか。
 また、三県総における21世紀を展望し計画期間を超えて展開すべき構想、即ち21世紀を開く主要構想は、時間と空間を超えたみんなが責任を持ち推進するものであるとしている新しい総合計画にとっても等閑視し得ない課題であると思うのでありますが、90分構想など主要構想は、新しい総合計画にどのように位置づけられ、そしてどのように推進されるのか、あわせてお伺いするものであります。
 次に、新しい総合計画は、自然との共生、環境との調和をうたう一方、環境・ひと・情報をキーワードと位置づけ、これをもって先導的プロジェクトを展開し、新たな可能性の扉を開くとしているところでありまして、自然・環境という言葉が随所に見受けられるのが特徴の一つであると受けとめております。私は、本県の将来を思うとき、確かに重要な視点であると考えるものではありますが、もう一つのキーワードであるひとという視点との調和がなければ、真の意味での共生はあり得ず、したがって、例えば自然との共生については、奥産道の例に見るように、県民の共通理解を得るために相当の努力が求められるだろうと思うのであります。自然との共生といっても、そこに住む人々がいなければ共生という言葉は意味を持たないものであります。共生を可能ならしめるためにも、人々がそこに生活の基盤を確保し、生き生きと活動できる条件を整えることが重要な課題であります。この視点に立ち、生活・生産両面にわたる基盤の整備、社会資本の一層の充実が図られなければ、本県の現状から判断し、真の意味での共生はあり得ないと思うものでありますが、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、機構改革に関する諸問題について伺ってまいります。
 第1点は、振興局にかかわっての質問であります。この点についても既に一定の答弁をいただいているところでありますが、なお理解が進まないところもございましたので、あえて触れさせていただきます。
 過日、県の12振興局統廃合案浮上との見出しで、地方振興局について県が長期構想の検討を開始した旨の記事が掲載されたところであります。記事の指摘にもあるとおり、現在の9広域生活圏そのものが県民の生活実態に合致しなくなっていることへの疑問や、あるいは現在の中2階的な振興局のあり方に疑問を呈する声などがある一方、現地重視の地域経営を進め県民サービスの向上を図るためには、本庁からの権限委譲などにより振興局の機能を一層強化することが必要と考えられるところであります。
 知事は、これまで地域活性化事業調整費の増額など、振興局の強化を図ってこられましたが、今後さらに、振興局長への予算要求権の付与や人事など執行体制の調整権限を強化する旨、答弁で明らかにされたように、なお一層の強化を図られようとしております。しかし、一口に振興局と言っても、盛岡のように1市10町村を所管し、管内人口も50万人近い大規模なものから、遠野振興局のように1市1村、管内人口3万人余りの小規模なものもあり、アンバランスに過ぎるとも指摘されているところであります。県は、振興局の再編整備について、当面は現行体制を基本としつつ、振興局間の役割分担を検討する旨答弁される一方、広域生活圏など広域ゾーンの見直し状況等を踏まえ、振興局の望ましいあり方について検討する必要があるとの認識を明らかにしたところであります。
 そこで伺いますが、振興局の役割分担に対して具体的にどのような内容を考えておられるのか。また、広域生活圏などの見直し状況等を踏まえて、振興局のあり方を検討するとのことでありますが、しからば、9広域生活圏とその基本となっている広域市町村圏の検討、見直しについてはどのように進めるおつもりか、知事の御所見をお示しください。
 振興局にかかわっての第2点目は、振興局長の権限強化に伴い、その行政責任をどう提示していくのかという点であります。振興局の機能を強化すればするほど、振興局長は、みずからが所管する地域の県行政について大きな権限と責任を有することになり、いつの時点にか、本庁の部局長と同様に、振興局長も第一義的・直接的責任を負わなければならない事態が想定されます。そうなった場合、振興局と本庁各部とのかかわり、振興局間のかかわりにおいて、指揮・命令系統のあり方はどのように考えられるのか、行政責任の一元化をどう担保していくのかが問題となりましょう。以上の点についてお知らせください。
 次に、機構改革にかかわって試験研究機関のあり方についてお尋ねいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 平成5年以降、工業技術センターや農業研究センターなど、県の試験研究機関の整備が進んでおりまして、この結果、産業振興に関する県立の試験研究機関の整備はひとまず終了しましたが、現在のところ、その整備や規模、研究の水準はトップレベルにあると承知するものであります。翻って、近年急速に進展している技術革新への適切な対応や社会経済情勢の変化を見きわめた研究内容の刷新、高度化が求められておりまして、これにおくれることなく対応するためには、ハード面の不断の更新と試験研究体制や研究者の資質の向上といったソフト面の充実が不可欠であると考えるものであります。
 殊にも、現在のように日本経済全体が低迷状況にあり、既存商品の需要が停滞する中、地域から新たな売れ筋商品といったものを開発し全国に発信していくことが極めて重要であると考えておりますことから、地域や住民のニーズをきちんととらえ、それを踏まえた新製品の開発を本県の重要なテーマとして設定し、それに向けて各試験研究機関が横断的なプロジェクトチームを組むなど、それぞれの試験研究機関が持つ多様な研究資源を結集していくことが肝要であると考えるものであります。それぞれの研究機関の成果がたまたま結びついて、偶然にヒット商品が誕生したといったようなイメージではなくて、しっかりとしたマーケティングリサーチに基づき、製品のイメージを決める、イメージされた製品を完成させるために各機関が動くという姿勢が前面に出てこなければならないと考えます。
 そこで伺いますが、戦略的な研究開発を進めるためのコーディネート機能の必要性、あり方等についてお考えをお示し願います。また、試験研究機関の人事交流に工夫を凝らすとともに、処遇面についても改善される必要があると考えておりますが、いかがでしょうか、お示しください。
 ところで、県の試験研究機関の枠を越えて、国の試験研究機関や他県、特に、さきの3県サミットでの合意事項にもありますように、気候風土の似通った北東北3県の試験研究機関や大学等による連携・交流を強化し、効果的な共同研究を積極的に推進すべきであると考えますが、これまでの取り組みをお示しいただくとともに、今後の戦略的共同研究開発に対する考えをお知らせください。
 次に、教育行政について伺います。
 前登壇者の村田議員は、県立高校長期構想検討委員会の最終報告の内容にも触れ、教育委員会の基本姿勢を問うたところであります。私もその報告書を拝見したところでありますが、そのメルクマールというべきものは、第1に、総合学科設置校を広域生活圏ごとに設置すべきとしていること。第2には、入学者が2学級に満たない状態を3年続けた本校や入学者数が定員の3分の1に満たない分校については統廃合を促していること。加えて、私が注目したのは、定時制課程の存続を図ることの必要性が述べられていることにあわせて、通信制課程との併修による修業年限3年制の導入や単位制の導入により、昼間も学ぶことのできる定時制課程の導入を図ることでありました。思うに、定時制・通信制課程は、勤労者の就学意欲にこたえるという本来の意義に加え、中途退学者など、進路を変更しようとする生徒の受け入れや生涯学習意欲にこたえる教育現場として新たな意義を持ち始めていると考えておりましただけに、高く評価したいと思います。
 県は、この報告を受けて、定時制・通信制課程の充実をどう図っていこうとしているのか、まず伺います。
 次に、人口統計から推測すれば、どの地域のどの高校及び分校が統廃合の対象となるのか、ある程度予測がつくのでありますが、教育委員会は、検討委員会が提言した統廃合基準をそのまま実施しようとしているのか、その方針について改めて明らかにしていただきたいと存じます。
 さらに、総合学科を各ブロックに配置すべきことを提言している検討委員会の報告をどう評価しているのかを伺うとともに、全県を学区として総合学科を施行している岩谷堂高校での実践例を踏まえ、カリキュラム編成に伴う教員配置数の問題や教室の確保など施設面の充実といった諸問題をどう克服し、報告書に沿った総合学科設置校の拡大をどのように進めようとしておられるのかお伺いするものであります。
 あわせて、普通・専門・総合学科の高校について、学区の設定についての基本認識をお聞かせください。
 次に、これまた村田議員の質問にもありました私学振興についてであります。
 私学振興の重要性については、私も村田議員の認識と同一であり、さらなる充実が必要と考えるものであります。およそ教育は、その主体となる機関が公であれ私であれ、区別され得ないものであり、教育はすべて公教育であるとの考えが基本になければなりません。ちなみに、文部省では本年8月、私立学校に通う学生・生徒等の保護者の負担軽減のため、従前の助成制度に加え、新たに私学教育費減税制度の創設を大蔵省に要望したと聞いておりますが、これは、公・私間の父兄負担の差が公教育の観点から無視できないほどにまで拡大していることを文部省が認めたものと言えましょう。翻って、本県の私学助成は、村田議員の質問でも明らかにされたように、過疎加算分を除けば、東北各県に比較して優位を保っている状況にはありません。私立幼稚園、小・中・高はもちろんでありますが、大学の存在が地域に果たしている役割の重さに思いをいたし、包含して私学助成の充実を図るべきと考えるのでありますが、御見解を賜りたいと存じます。
 質問の最後のテーマであります末期医療について伺います。
 量の変化は質の変容を促す、量の変化は質の変容を促すとの言葉のとおり、少子・高齢化は社会システムそのものを変容させつつあります。この波は、社会のあらゆる面に及んでおり、医療現場においても、これまでの価値観のみでは解決し得ない課題、例えば、臓器移植、クローン技術の実用化等、既存の倫理観では律しきれない状態にあります。思えば、末期医療も医療分野にとり新たな課題でありました。医療イコール延命という考え方が支配的である中で、末期医療への理解は進みにくく、クオリティー・オブ・ライフという概念が認知され始めた今日であっても、末期医療への取り組みは総体として十分とは言えない状況にあると見ております。
 私は、たびたびこの末期医療を取り上げておりますが、それは、スパゲッティ症候群とやゆされた治療方法、患者の人格を否定するような延命のための延命ではなく、患者もしくはその家族の意向に沿った治療が行われて初めて、患者あるいは家族の人間としての尊厳が保たれるのであり、だからこそ末期医療のあり方や取り組み姿勢が問われるのだとの思いから指摘し続けてまいりました。県はこれまで、シンポジウムの開催や県民意向把握のためのアンケート調査を行うなど、幾つかの事業を展開しているようでありますが、地域での先進的取り組みに対する支援を含めて、私の判断では、積極的な県の取り組みと評するには遠い状況にあると思っております。県のこれまでの取り組み状況と今後の推進方針をお示しください。
 また、侵襲性の低い治療、いわゆる緩和ケアについて、県内医療現場ではどのような状況にあると把握しておられるのか、あわせてお知らせ願うとともに、緩和ケアへの理解を医療現場及び県民にどう浸透させていかれるのかお示しいただきたいと存じます。
 次に、末期医療を進める上で阻害要因の一つになるであろう入院期間と診療報酬点数との関係についてお伺いいたします。
 末期状態の患者が入院した場合、概して長期にわたる治療が必要になると思われます。一方、医療保険制度では、入院期間が長期になりますと、医療機関が請求できる診療報酬の点数が、3週間目以降は入院期間に応じて逓減するシステムになっております。こうしたシステムのため、長期にわたり入院治療を必要とする患者が、医療機関の指導で転院または退院するという実態が一部にあると聞いておりまして、末期状態の患者が希望する医療機関で安心して治療を受けることが阻害され、静かに末期生活を送ることができない状況があるのではないかと懸念しております。末期医療と診療報酬との関連でこのような状況が生じることはないのでしょうか。もしあるとするならば改善を求めたいと思うのですが、国への働きかけ、県独自の対応策等について御所見を伺いたいと存じます。
 次に、県立病院の末期医療への取り組みについて伺います。
 現在、がん末期患者への治療のために、緩和ケア病棟を設置して専門スタッフによる患者や家族への精神的な援助を含めた治療を行う病院が、都市部を中心として全国的に増加していると聞いております。一方、医療局においては、平成10年3月に移転新築した久慈病院に緩和病室を整備するなど取り組みを始めており、今後の医療局に大きな期待を寄せるものであります。緩和ケア施設の整備に対する考え方、専門スタッフ等人材の確保について、知事部局とどう連携しどう配置していくのか、今後の方針をお聞かせください。
 また私は、県立病院のうち広域中核病院と位置づけられている病院を中心に、専門的ながんの診断・治療が行える機能を充実・整備すべきとの願いを持つものでありますが、これらへの取り組みについてもお知らせ願いたいと存じます。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 山内隆文議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、時代認識とこれからの時代のあるべき姿についてでございますが、我が国は戦後、工業化を推進することによりまして急速な発展を遂げてまいりました。しかしながら、近年、少子化による需要と労働力の減少やボーダーレス化による国際的ないわゆる大競争時代の到来、ソフトウエアそのものが主要な商品となるソフト化への移行などの社会環境の変化が進む中で、大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会構造の転換を迫られているところでございます。私は、来る21世紀は脱工業化社会が本格的に到来する時代になるものと、このように考えておりますが、このような社会におきましては、知識・情報・技術などの知的資本が、創造、蓄積、流通し、それが富の源泉になると同時に、環境に負荷のかからない情報系による自律的な地域発展システムの構築や、そのようなシステムを活用した多様な個性の創造が求められていくものと、このように考えております。また、地域や組織などの関係もこれまでの階層型からネットワーク型へと変遷していくなど、人々の生活から社会の構造までが今日とは一変してしまうものと、このように考えております。私は、このような時代の大きな変革とこれからの社会のありようをしっかりと認識した上で、新しい時代に向けまして、もう一度岩手と私たちのかかわりについて足元から見詰め直していくことが必要であると、このように考えております。
 次に、新しい総合計画におけるエリアの設定についてでございますが、中間報告では、新しい岩手づくりを進める上でのさまざまな視点に立った広域ゾーンを提案しているところでございます。これは、従来以上に多様な視点から地域の構造をとらえまして、それぞれの目的に応じた一体的な取り組みを進めることが求められており、どのような視点に着目するのかを明確にした上で、これに対応した圏域を意識することが重要であると考えるからでございます。例えば、広域生活圏というものがございますが、これは県民の日常的な生活が営まれる行動範囲に着目したものでございまして、緑と水の回廊は自然や風土に流れる連続性や一体性に、また広域産業経済圏は産業構造の類似性や連続性に、そして隣接県との交流は県境を越えた交流や連携にそれぞれ着目したものでございます。そして、これらの圏域がお互いに重なり合って県全体を形成していることを意識しながら、広域ゾーンと県土軸やいわて情報ハイウェイなどの新しいネットワークをつなぐことによりまして、それぞれに個性的に輝き、元気で魅力ある地域が形成され、県土の均衡ある発展を進めることができるものと考えております。今後、このような考え方につきまして、多くの機会をとらえ、さまざまの手段により地域住民に対しまして説明をしてまいりたいと考えております。
 次に、自然との共生と生活・生産基盤のこの整備についてでございます。
 新しい総合計画の基本目標に掲げる夢県土いわてを実現するために、地域や県民の視点を大切にしながら、県民一人一人が快適な生活を実現し、またそれぞれの地域がその実情に即した地域経営を行っていくための基礎的な条件として、必要な社会資本整備についてはこれを着実に進めていく必要があるものと考えております。
 一方、21世紀は、いわば環境の世紀でありまして、人々の暮らしから産業の仕組みまで、社会経済のシステムのあり方そのものが環境を価値観の中心に据える方向に転換しつつございまして、新しい時代に向けて、本県のすぐれた財産である環境の積極的な保全はもとより、産業経済や地域の活性化などの面でも環境が大きな力を発揮する可能性を持つものと考えております。したがいまして、今後の社会資本整備のあり方についても、このような観点を踏まえて取り組むことが必要であると考えております。特にこれからは、高度情報通信基盤や科学技術振興、試験研究基盤の整備を促進することによって、環境に負荷を与えない情報ネットワークや新しい技術を活用した生活、生産環境の向上を図りますほか、資源としての廃棄物の徹底的な利用、エネルギーの有効活用などを進め、持続的発展を可能とする循環型地域社会を形成しますとともに、地域の豊かな自然環境や環境保全への取り組みを生かして、環境を重視した新たな価値観に対応したライフスタイルや産業を展開し、それを地域の活性化に結びつけていくことが重要であると考えておりまして、今回の中間報告において提案をいたしました、環境、ひと、情報の視点に対応した三つの先導的プロジェクトを初め、さまざまな施策について、こうした観点も踏まえて検討を進めてまいることとしているところでございます。
 次に、広域生活圏、広域市町村圏の見直しについてのお尋ねでございますが、この広域市町村圏につきましては、昭和44年の国の広域市町村圏振興整備措置要綱に基づき、圏域の一体的な整備を図るため、関係市町村及び自治大臣と協議し、本県におきましては九つの広域市町村圏を設定し、今日に至っているところでございます。
 一方、広域生活圏につきましては、今回の新しい総合計画も含め、これまでの総合計画において、一定の日常的な生活を営むことができる圏域としてとらえ、広域市町村圏と同様の九つの圏域を設定してきたところでございます。しかしながら、今後を展望したとき、地方分権が一層推進され、地方行政においても、県、市町村の役割及び相互の関係が大きく変わり、また実際の人の行動や物の動き、情報のやりとりなどは、これまで以上にこの圏域を越えて自由に展開されていくものと、このように考えられます。したがいまして、時代の流れや環境の変化などに対応し、広域生活圏、広域市町村圏につきましては、将来的に見直しを検討することも必要と考えております。
 次に、地方振興局長の権限強化に伴う責任についてのお尋ねでございます。
 私は、生活者や地域が重視される分権型の地域社会の到来を迎えるに当たり、地方振興局はこれまで以上に地域経営の主体としての役割を発揮できるよう、さらにその機能を強化してまいりたいと考えておりまして、地方振興局の機能が今後さらに充実をし、自己決定の度合いが高まるに従って、地方振興局長の責任も御指摘のとおりますます大きくなるものと、このように考えております。その際の本庁と地方振興局、また地方振興局相互の関係につきましては、知事の最終的な責任のもとに、地方振興局は相互に連携し合いながら、事業実施に伴う権限と責任を第一義的に担い、本庁は県全体の政策の企画立案、調整と地方振興局の行います事業の評価を担うことなどを基本とすべきと考えております。
 もう少し具体的に申し上げますと、例えば、地域性の強い施策や事務事業、現地での迅速な対応が必要なものについては、まず第一義的には地方振興局が、県下全域に影響があるものや国や他の都道府県などとの総合的な調整が必要な事項については本庁が、それぞれ責任を有すべきものと、このように考えております。また、個別の施策や事務事業の実施に当たりましても適切な指示、連絡、報告、情報交換などのほか、必要に応じた庁議や政策会議への地方振興局長の出席や、総合計画の策定などの政策決定、予算、人事組織の調整への参画の機会を拡充するなどによりまして、情報ネットワークも活用しながら、組織間の有機的な連携、調整を図り、指揮命令系統や行政責任の一元性が十分に確保されるよう留意すべきと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) まず、新しい総合計画におけるエリアの設定と部門別計画との関連についてでありますが、新しい総合計画では、これから特に重要と考えられる幾つかの視点を明確にし、その視点に対応した広域ゾーンを提案しております。このような広域ゾーン設定に当たりましては、目的に応じ、どのような視点に着目するかによって多様な圏域の設定があり得るものと考えております。したがって、それぞれの部門別計画についても、各分野でどのような視点から地域や人々の暮らしをとらえ、施策を講じていくかにより、圏域の設定等に違いが出てくるものと思われます。
 一方、総合計画とそれぞれの部門別計画については、議員御指摘のとおり、その整合を図る必要があるため、部門別計画において、今回の広域ゾーンの設定と同様の視点に立った施策展開等を定める場合には、この広域ゾーンの考え方を十分に踏まえたものとしていく必要がございます。例えば、緑と水の回廊は、それぞれの地域に住む人々によって代々受け継がれ、培われてきた暮らしや営みの基盤である岩手の自然や風土に流れる連続性や一体性に着目した圏域でありますが、環境基本計画のみならず、農業地域を定める新しい農業計画や流域圏を定める新しい林業基本計画などのように、緑や水を強く意識した各部門別計画についても、同様の視点から施策を行う場合には緑と水の回廊の考え方を意識しながらそれぞれの計画が定められるものと考えており、今後、各部局間で十分に調整を図ってまいりたいと考えております。
 次に、新しい総合計画と部門別計画の目標年次等の整合性についてでありますが、現在、各部局等が策定作業を進めている新しい保健医療計画、新しい商工労働観光振興計画、新しい農業計画などの部門別計画につきましては、それらすべての計画の目標年次及び計画期間が総合計画と同じ平成22年度までの12カ年計画となっており、これらの部門別計画の策定が予定される平成11年度にかけて、相互の整合性に配慮しながら策定作業を進めることとしております。
 次に、岩手県総合交通体系基本計画の位置づけについてでありますが、この計画は御案内のように平成8年3月に、新しい総合計画と同じ平成22年を目標年次として策定されたものであり、新しい総合計画策定後も交通に関する部門別計画としての性格をあわせ持たせてまいりたいと考えております。
 また、3県総における広域交通ネットワーク・交流拠点構想などの21世紀を開く主要構想につきましては、新しい総合計画における夢県土創造プロジェクトなどの具体化の中で、例えば、議員御指摘のございました90分構想については時間距離の短縮プロジェクトに位置づけるなど、前計画との継続性にも留意しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、試験研究機関の今後の研究のあり方についてでありますが、県では、これまで総合的・効率的な研究を推進するため、各産業分野ごとに試験研究機関の再編整備を推進してきたところでありますが、新商品の開発や新産業の創出といった地域課題を解決していくためには、各試験研究機関や大学等の持つ研究ポテンシャルを結集し、本県発展のための横断的・戦略的な共同研究を行っていくことが重要であると考えております。また、研究機関や大学の持つ技術の民間企業への移転、さらには開発された製品のマーケティングというような、基礎研究から製品化、販売までの各段階におけるきめ細かなコーディネート機能を充実させることが必要と考えております。このような観点から、これまで国や県の研究員の交流を目的とするフォーラムの開催や、大学等の研究シーズの産業化をコーディネートする事業を実施してきたところであります。さらに、東北インテリジェント・コスモス構想の積極的な推進や、筑波研究学園都市と本県の研究者等との交流を図るとともに、本年度は、国連大学、東大海洋研究所と連携して海洋環境をテーマとする国際シンポジウムを開催するなど、地方、国の枠を越えた交流を図ってきたところであります。
 また、本県から生み出された研究シーズの産業化への取り組みの事例といたしましては、例えば、宇宙開発事業団と共同で行うリモートセンシング技術を活用した新しい水産情報システム開発プロジェクトの実施や、自動車エンジンの軽量化を可能とする新しい鋳鉄の技術開発が科学技術庁の地域先導研究事業に採択されるなど、国のプロジェクトを積極的に導入した産業化への取り組みがなされているところであります。今後におきましては、本県の持つ地域資源や技術シーズをベースとして、北東北3県の研究交流はもとより、県内外の試験研究機関や大学等の特徴を十分に生かした共同研究開発への取り組みを推進するとともに、製品化やマーケティングに係るコーディネーションも含めた総合的な支援体制を構築してまいりたいと考えております。
   〔総務部長吉田敏彦君登壇〕
〇総務部長(吉田敏彦君) まず、地方振興局の役割分担についてでありますが、地方振興局が地域の特性を生かし、個性ある振興施策を総合的に推進する拠点として期待される役割を効率的に発揮できるようにするためには、個別の地方振興局の機能強化を図り、総合性と自己完結性を高めていく一方で、より広域的な観点で組織体制の整備を図ることが求められるものと認識いたしております。このため、今後、広域生活圏など広域ゾーンの見直しが進んでいく状況も踏まえながら、改めて地方振興局の再編整備について検討する必要があると考えますが、それまでの間、地方振興局間の役割分担を明確化するなど、より効率的な執行体制を整備してまいりたいと考えております。
 地方振興局間の役割分担の具体的な内容につきましては、例えば、広域生活圏を同じくする地方振興局間での企画振興部門の統合などを行い、広域生活圏を単位とする一体的な地域施策の推進を図ったり、地域振興の指針策定や市町村行財政支援、広域的または大規模な事業の執行などの高度専門的な機能を有する地方振興局と、地域に密着したサービスや事業の迅速な実施を主体とする地方振興局等を分けた機能づけを行うなど、さまざまな態様が考えられるところでありまして、今後詳細な検討を行いながら、具体化に向けた調整を図ってまいりたいと考えております。
 次に、試験研究機関の職員の人事交流と処遇についてでありますが、試験研究機関に勤務する職員については、従来から各種の専門研修等を通じて、より高度、専門的な知識、技能の習得に努めるとともに、一方においては、さまざまな職場における幅広い経験を通しまして視野の拡大を図り、もって、よりすぐれた試験研究への取り組みを進める観点から、本庁や地方振興局などとの人事交流を行ってきているところであります。
 また、その処遇につきましては、他の機関の職員と同様に、県政推進に対する意欲や能力、実績をもとにいたしまして管理職への登用も図るなど、適材適所を基本とした人事配置に努めてきているところであります。御指摘のとおり、近年の技術革新の進展や本県産業を取り巻く環境の変化に伴い、高度化、多様化する技術ニーズに的確に対応した研究シーズの育成を図っていくためには、試験研究機関の職員においても、これまで以上に幅広い視野や先見性が求められているところでありまして、今後におきましても、施策の企画立案部門や普及指導部門などとの人事交流を進めるとともに、職員の資質や能力に応じた幅広い登用に努めてまいりたいと考えております。
 次に、私学助成の充実についてでありますが、本県の私立学校は、創設以来、それぞれの建学の精神に基づき個性豊かで特色のある教育を行ってきており、本県学校教育の充実発展に大きな役割を果たしてきていると考えております。県といたしましては、私立学校の自主性を尊重しながら、教育条件の維持向上や修学上の経済的負担の軽減を図るとともに、私立学校の経営の健全性を高める観点から、これまでも各般にわたり幼稚園、小学校、中学校、高等学校等に対し積極的な助成措置を講じてきたところでありますが、今後におきましても、私立学校が公教育の一翼を担っているという観点から、私立学校の一層の振興発展のため、鋭意努力してまいる考えであります。
 なお、私立大学・短期大学につきましては、基本的には国の所管となっていることから、私立大学・短期大学の経常費に対しては国が助成措置を行うこととなっておりますが、県といたしましては、私立大学・短期大学が学術研究の著しい進展や社会経済の変化に対応できる幅広い視野と高度な専門性を備えた人材を育成・輩出し、本県の高等教育の振興発展に大きく寄与していることにかんがみ、私立大学等の施設整備について県単独で行っている助成措置等を通じまして、今後とも私立大学等の教育の振興に努めてまいる考えであります。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、末期医療への取り組みについてでありますが、末期医療については、単なる延命医療はやめ、患者の状況や希望を踏まえ、患者の苦痛等の症状の緩和に重点を置いた治療ケアにより、残された人生が個々人にふさわしい人生となるよう支援していく医療、すなわち緩和ケアが重要であると考えております。このため県といたしましては、平成5年度から平成7年度にかけて、延べ2、000人を超える県民及び医療関係者に対し、末期医療に関する普及、啓発を行ったところでございます。さらに、平成8年度から医師、看護婦等の医療従事者、延べ300人を対象に緩和ケアの理念や疼痛コントロールの知識等の研修を実施し、人材の養成に努めております。また、療養環境の整備、すなわち患者のクオリティーオブライフの観点から、できる限り住みなれた地域、在宅での療養が望ましいと考えられるところから、本年度、国の補助を受け、北上市をモデルに在宅終末期医療に関する調査を行うこととしているところであります。なお、緩和ケアに関しては、北上市のほか一部の県立病院においてその取り組みが見られるところでありますが、その他の医療機関におきましても一定の緩和ケアがなされているものと考えられるところであり、県といたしましては、本年度の調査事業の成果を踏まえ、かつ新しい保健医療計画の策定に向けた議論を深めながら、さらに一層適切な緩和ケアの推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、入院患者の診療報酬点数と入院期間との関係についてでありますが、入院当初の急性期については、患者の医学管理が大変なことから入院時医学管理料が高く評価され、症状が軽快して落ちつくことにより手のかかりぐあいが減少してくることから、3週間目以降逓減していくことになっております。県におきましては、診療報酬点数のみに着目して入院患者の転・退院を求める事例が著しく見受けられる医療機関に対しては、今後とも適切な保険診療が確保されるよう必要に応じ当該保険医療機関に対して指導してまいりたいと考えております。また、適切な末期医療が提供できるよう、緩和ケアが提供できる入院体制の普及に努めてまいりたいと考えております。
 なお、北上市における在宅終末期医療モデル事業において、緩和ケアの実施上の課題を調査することとしており、これら調査結果を取りまとめ国へ報告し、緩和ケアの推進に寄与してまいりたいと考えております。
   〔医療局長佐藤文昭君登壇〕
〇医療局長(佐藤文昭君) 県立病院における末期医療への取り組みについてでありますが、まず厚生省が定める緩和ケア病棟は、患者1人当たりの病棟及び病室に一定の面積基準があること、さらに家族の控室、台所、談話室の設置などのほか、当該病院の医師数が医療法上の標準を満たしていることなどがその要件となっております。さらに、病名の告知の問題やプライバシーの面などクリアすべき課題も多いことから、直ちに緩和病棟を設置することについては困難な状況にあります。しかしながら、現実的対応といたしまして、比較的ゆとりのある個室の有効活用のほか在宅医療の利点などを最大限に活用しながら、心のこもった緩和ケアに努めているところであります。今後におきましても、知事部局と連携を密にし、久慈病院の例を十分に生かしながら、緩和ケアの機能を有する病室の整備を進めるとともに、専門スタッフの養成に努めてまいりたいと考えております。
 また、専門的ながんの診断・治療につきましては、長期経営計画に基づき、広域中核病院に順次、新築、大規模改修の時期をとらえまして、放射線科の医師の配置、リニアック等高度医療器械の整備に努めているところであります。さらに、中央病院と国立がんセンターを結ぶがん診療施設情報ネットワークによる医療情報の利用を初め、画像伝送によります遠隔病理診断等の推進を通じ、がん診断治療などの医療水準の向上に努めているところであります。今後におきましても、地域の実情、経営面を十分に勘案しながら、これらの機能の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) 県立高等学校の再編成計画についてでありますが、定時制・通信制課程の充実につきましては、現在、定時制課程では勤労青少年が減り、全日制高校からの転入や高校中退者の編入がふえていることから、定時制課程につきましては今後とも、基本的には各ブロックで存続を図るとともに、生徒の多様化に対応して教育内容の改善・充実並びに通信制との併修等による修業年限3年制の推進を図ってまいりたいと考えております。
 また、通信制につきましては、生涯学習としての観点からも十分配慮してまいりたいと考えておるところであります。
 次に、高等学校の統廃合基準につきましては、検討委員会の報告では、本校においては、学校の活力や教員の配置数などから、1学年4から8学級が望ましいが、最小限度必要な募集学級数を2学級とし、3年続いて2学級に満たない状況が続いた場合は再編成を考える、また入学者数が定員の3分の1を満たさない分校は統合を検討すべきといった内容であり、本県の地理的条件も考慮されており、また、生徒の主体的な科目選択を可能とすることや学校の活力の維持などの点からも適切なものであるととらえております。
 また、総合学科につきましては、生徒が自己の興味・関心に基づいて主体的に履修する科目を選択できるようにしており、将来の職業選択を視野に入れた自己の進路への自覚を深められることから、総合学科を各ブロックに設置するとの提言は望ましいことであると考えております。
 なお、総合学科の趣旨を生かした教育活動が効果的に行われるよう、教員や専門的な知識等を有する外部講師の配置に努めてまいりたいと考えております。
 施設設備面につきましても、多様な学習活動が展開できるよう、その充実に努めてまいりたいと考えております。
 学区につきましては、受験競争の緩和と学校選択の自由という二つの要請を同時に考えるとき、学区を定めつつ、学区外入学を一定の割合で認めるという現行の制度は、今後においても有効であると考えております。しかし、現行の学区制に定めてから、交通の利便性の向上などの社会状況が変化していることや、今後総合学科等の新しい高校がふえていくことなどから、見直しも必要であると考えているところであります。
 なお、先ごろ発足した学識経験者、学校関係者などで組織する岩手県公立高等学校入学者選抜の在り方に関する調査研究委員会において、学区のあり方についても協議をいただくことになっているところです。
〇42番(山内隆文君) 大分時間が迫っておりまして、お疲れのところ恐縮ですが、若干お時間をいただきたいと思います。
 ただいま、知事を初め、各部局長、教育長から、含みのあるお答えあるいは明確なお答えそれぞれいただいたわけであります。私が質問した思いというのは、これからの時代をどう県が進む方向を決めるのか、こういった非常に重要な時期にある。そのために、知事を初めとする県執行部の幹部の皆さんがその認識を一つにして進んでいただきたい、こういった思いからさまざまな面についてお話をお伺いしました。圏域の設定でありますとか、細かいことのようでありますけれども、こういったことの積み重ねが21世紀の岩手というものの方向を決めてしまうんだろう、こう思っておりますので、今真剣に御努力をいただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。
 それで、若干お伺いしますのは、一つには、末期医療についてであります。
 このアンケートの内容について、私も見させていただいております。大変関心を持っている県民が、このアンケートが行われた地域においては高く出ております。ただ、残念なことに、これが久慈保健所管内と一関保健所管内の2地域でのみアンケート調査が行われております。また、このアンケート調査と同時並行的に、フォーラムというんでしょうか、要するに県民、医療従事者を対象として、末期医療に関するパネルディスカッションあるいは基調講演等々を行っているわけでありますが、これも平成5年から、6年、7年度、3カ年にかけて、久慈市、一関市を含む計5カ所で行っているにすぎないと、私はあえて申し上げたいわけであります。
 それから、ターミナルケア従事研修という事業、これは8年度、9年度2カ年、本年度はまだ行われていないんでしょうか、いずれお答えにもありましたとおり300余名の方々がこの研修を受けておられます。もう少しく、この講習、研修といった事業というものに力を入れていいのではないのかなと思います。と申し上げますのは、フォーラムに参加した方々からお話を聞きますと、最初は何のことかわからなかったけれども、基調講演あるいはパネルディスカッションを通じてよく理解できたと、こういった方が大変多いんです。ですから、これは拡大してやればやるほどに、県民の皆さんの理解というものが進む分野だろう、このように思っておりますので、そういったところのお考えについて今一度お尋ねしたいと思います。
 それから、北上市のモデル事業については、これはぜひ取り組んでいただきたい、真剣にお取り組みをいただきたい。これは要望としておきます。
 それから、新しい総合計画の地域計画についてお伺いいたします。
 この地域計画には、個別的により具体性を帯びた事業というものが記されるんだろうと思うんです。これまでの地域編といいますか、地域計画といったものを振り返ってみますと、ともすれば計画期間内に事業が終了する、もしくは着手の可能性が高いと、こういった事業が地域編にはよく盛り込まれるわけでありまして、他方、その地域にとっては重要な事業になるだろうと思われる、そういった事業が、長期にわたる、計画期間を超えて展開されるような事業、こういったものはなかなかに取り上げられない、こういった傾向があるように思われてなりません。県は、一般的なことでございますけれども、この計画というものは不断の見直しが行われるから、重要な事業についてはその都度その都度対応できるんだと、こういった基本的な考え方というのは常にお示しはいただいているんですけれども、現場に参りますと、計画に定めなき事業というのがなかなかに行い得ないと、こういった心理的な要素があるようでございまして、そういった計画期間を超えるような事業といったものをその地域計画にどのように位置づけられるのかと、こういった心配をしております。この点についてお答えいただければ大変ありがたいと、このように思っております。
 もう一つ、これは知事にお伺いすることになろうかと思います。
 新しい総合計画は、本質問で触れましたように、自然と共生し、循環を基調とする社会の実現等を含めて五つの岩手の将来像というものを示しておられますね。この一つの具体的事業といったものを想定していただきたいんですが、一つの具体的事業を実際に展開しようとするときに、五つの将来像といった柱があるわけでありますが、それぞれから導き出される結論というものが異なる場面もあるだろうと私は思うんです。そういったときに、どのようにして結論を出していくかという大変困難な作業というものがそこに待ち受けているだろうと思います。
 また同時に、一方では価値観の多様化、そういうことでございまして、当然に多様な価値観に基づく多様な意見も県民の中にはあるわけであります。そういった中で、みんなで創る夢県土いわてと知事は標榜されているわけです。みんなというのは、以前の説明によれば、今に生きるみんなだけではなくて、未来に生きるみんなでもあるし、ここに住む人々のみんなではなくて、ほかの人たちも含めてという、みんなで創る夢県土いわてと、こういうふうに伺っておりますけれども、そのみんなで創るということであれば、いろいろな価値観に基づくいろいろな意見というものを統合する作業というものがなければならないんだろうと、こう思います。
 そこで、これは奥産道の問題を例にしてお話しするのは恐縮だと存じますけれども、あえて触れさせていただきますが、奥産道の工事再開断念という知事の決断、これに賛同する県民の方々も当然おられます。また一方では、今なお釈然としない雰囲気があるということも確かでありましょう。
 こういった状況はなぜ生まれているのかなと、私はいろいろと思いをめぐらしてみました。奥産道は、代替的道路が建設されたために建設意義を失った他の例とは異なり、当初の建設意義をいまだ失ってはいなかったのではないか。これは私の思いですから、そのままお聞き取りをいただきたいんですが。それから、調査段階での原生林破壊事件に端を発した問題であって、本体工事から発生したものではなく、したがって、言いかえれば副次的問題から原初的問題へと議論の中心が移されてしまった。このことによる認識上のそごというものがあったのではないか。あるいは、さらにいろいろ考えたんですが、県民の意向確認は行ったようではあるけれども、不十分だったのではないのかなという思いも持ちます。多様な価値観が認められる社会にあって、これをインテグレートというか統合していく、そういう努力に県は少しく欠けておったのではないのかなという思いも持ちます。例えば、自然保護を願う人々と地域振興のために工事再開を願う人たち、この両者が相互に理解し合えるための場の設定、時間的な問題、そういったことに県はもう少しく意を用いるべきではなかったのかな、こういうふうに思います。自然保護という価値を得ることのできる人たちは、地域振興という価値を手にできなかった人たちに何をもってこたえようとしているのか、こういった視点というものもあるいは欠けておったのかな、こういう気がしてなりません。それと同じように、県は自然を保護することによって、どういう価値をそこに住む人たちに見出させようとするのか、自然保護をすることによって、そこに住む人たちがどういう価値を見出せるのか、こういったことについての御説明も少しく欠けておったのかな、こういうような思いもいたします。
〇議長(那須川健一君) 山内議員の発言中でありますが、本日の会議時間は、議事の都合により延長いたします。
〇42番(山内隆文君) 知事はお答えの中で、自然環境に対する社会の意識の変化は大きい、こう述べられております。私も、何となくそうは思うんでありますけれども、ただ、それが意識変化というものを、これ定量的にという言葉は不適切かもしれませんが、客観的に説明が伝わっていない、あるいは伝える努力が少なかったのではないか、こういったことも考えました。決断と実行の政治姿勢、これを標榜される増田知事は、一方では市町村重視の姿勢もお示しでございます。であれば、第一義的にはそこに住む人たちの意思を判断の基本に置くべきではなかったのかな、こういう思いもまた持ちます。総じて決断の時期は早急に過ぎたのではないかと私は思います。
 そこで伺うわけですが、知事は、少なくない人々が釈然としないままにあることの原因をどのようにお考えでしょうか。
 また、相互理解が深まっていない段階の決断は早急に過ぎるのではないか、こう申し上げたわけでありますが、そのことについてお考えをお聞かせいただきたい。
 さらに、多様な価値観に基づく多様な意見を集約することの重要性、これはこの質問の冒頭に申し上げたことでありますが、その集約することの重要性をどう認識し、どのような考え方に基づいて多様な意見を統合していかれるのか、このことについて知事のお考えをお知らせいただきたいと思います。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 今、山内議員の方から非常に重要な、また難しい問題でございますが、問題提起があったわけでございます。まず、総合計画の中でも幾つかの柱を入れております。目標とするこの岩手の姿というものも掲げておりますが、前提となっておりますのが、今議員もお話がございましたとおり、県民の間に非常に多様な価値観があるということが前提になっておりますので、その実現、目標達成するに至る道程でもいろいろな議論があると思いますし、それから、具体的なプロジェクトを進めていく上でも、そのことがもたらす成果についていろいろな評価があり得るだろうと。特にこれからの時代は、そうした意味ではプロジェクトを進めていくことが大変また難しい要素も抱えているだろうと、こういうふうにも思っております。
 しかし、そうした中で、やはり私どもが具体的な事業を進めていく上では、この中間報告でお示しをしております第2部の第1章のところに、行政が行うべき点として、やはり、まず第一に情報公開をすべきだということを掲げているわけでございます。我々が持っておりますような情報をできるだけ県民の皆様方にお知らせして、その中で十分な情報を県民の皆様に持っていただいた上で、それに沿った形で十分な議論をしていただくということ、そこがまず第一に重要かと思っておりまして、今回のこの県の総合計画を策定する際にも、そうした意味で、この総合計画のたたき台をつくる際に県民の皆様方の参画ということを非常に重要視したところでございます。
 そうした中で総合計画をまとめてきたわけでございまして、その中で、今の御指摘があったものとしては、特に環境ですとか、そういった記述が非常に多いわけでございまして、そうしたことと、それから我々の人、暮らしというものをどのように考えていくかということが、今の議員の問題提起の底流にある問題ではないかと、こんなふうに私も理解したところでございます。
 私ども人が生きていく上で、とにかく環境に負荷を与えないということは絶対あり得ないわけでございまして、もちろん、私ども負荷を与えながらも生きていっているということでございます。私も、二者択一で、人の暮らしと環境とどちらを取るかと言えば、もちろん人の暮らしが大事でありますから、それは、まず我々が暮らしていく上での環境ですよというふうに申し上げるわけでございますが、今議員も御指摘いただいたように、そのときの、私どもがと言った私たちというのは、今の我々だけではなくて、将来の子供たちも含んだ我々全体ということでございますので、できるだけそうした負荷を少なくしながらの生活ということを考えていかなければならない、そこに問題の難しさがあると思います。
 奥産道の問題についてお話ございましたが、昨日も本会議で答弁させていただいたような理由でございます。申し上げたところでございますが、私自身も非常に難しい判断でございます。この結論の出し方、出した時期についてもいろいろと御意見があるということを十分に踏まえた上で、しかし、私自身としては、いつまでもこれを中途半端な形で長引かせておくことはできないという、そのことが優先したというふうに申し上げたいというふうに思うんです。しかし、これを地域の皆様方に十分に御理解いただき、あるいは先ほど御指摘あったように、あの地域にどういうことが行政として、あるいは県民の皆さん全体として可能なのかということを議論するのはこれからが非常に大事だと思います。まだ結論を出した時期でございます。中央省庁とのいろいろな関係もございますが、それ以上に、やはり地域の中での結論を出した理由ですとか、あるいは、これからそれではどういうことをあの地域に考えていくべきかという議論がちょうどスタート地点に立ったわけで、これからが非常に重要だと思っておりますので、そこは、ただいま議員が御指摘いただいた点も十分踏まえて、これからの議論に私は県の総力を上げていきたいと、こんなふうに思っております。
 それから、もう一度先ほどの総合計画との関係での議論に戻らせていただきますが、私自身も、この総合計画はたたき台ということで御提示しておりますので、これについていろいろな県民の皆様方の受け取り方、それから議論が出てくるものというふうに考えておりますが、私は、多様な価値観をお互いがある程度心の余裕を持って認め合うということに、岩手県人のよさですとか、それから、これからの行き方がかかっているのではないかというふうに思っております。環境と我々の人の暮らしというのは、決して対立概念ではない。奥産道についても、環境を大事にするか、人の重みを大事にするかということに、もちろんあそこに深く財政論などもかかわっているわけでございまして、いろいろな要素がかかわっているわけでございますが、それを我々は冷静に議論して、次の暮らし方を積み重ねていかなければならない。多様な価値観をあそこで提示していますが、最終的には一つ一つその中で地域に合った解決策を選んでいかなければならない個別の議論になると思いますが、その中で、最後に私が申し上げたいのは、私も行政の責任者でありますので、最終的には、県民の皆様方が英知を絞って議論を展開しても、なかなか価値観の対立というのが融和しないというものがあろうかと思います。これは私も、行政の責任者として決して逃げることなくある一つの判断を下さなければならないと思いますが、そうした場合にも、必ずやその後その地域に、例えばどうするのかと、そこの部分をしっかりと考えることによって、やはり県全体の暮らし向きが向上するように最善の努力を尽くしていきたいと、このように考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 末期医療に関する地域フォーラム及び医療従事者研修についてでありますが、地域フォーラムにつきましては、平成5年度から7年度において、末期医療に対する県民及び医療従事者の認識を高めるため、県内5カ所で開催したものであります。また、医療従事者に対し、末期医療に関する専門的な研修は、末期医療についての教育研修の機会の確保を図っているものであり、本年度も研修会を開催することとしております。今後とも、適切な末期医療が提供できるよう、その開催の仕方に工夫を加えるなど、効果的な実施に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) ただいま地域計画に関係しまして、計画期間を超えるものについてどのように位置づけていくのかという、今後の取りまとめに関するお尋ねがございました。
 私自身、計画の事務担当者としまして、これまで1年ちょっとこういった問題に携わってきましたが、大変重要なポイントだというふうに考えております。実は、この問題は計画本体の本編におきましても同じでございます。地域計画につきましては、現在、現状と課題、それから将来の将来像、そして施策の方向ですか、ここまでが逐次中間報告としまして各振興局において公表されているわけでございますけれども、これは本編でも同じでございますが、これから特に重要になってまいりますのは、地域の課題、これは県の課題でも同じなんですが、自分たちの地域の課題がどういったものがあるのかということをしっかりと見据える、これに目をそらさないで、しっかりとそういったものをとらえていくということが重要になってこようかというふうに思います。
 そうした場合に、その課題にこたえる施策の展開方向というのは、2010年までに解決できない問題というものもこれから多々出てこようかと思います。大変難しい課題がこれから多いというふうにも想定されますので、そういったものも出てこようかと思います。そういった場合には、これは2010年を超えて次の世代に引き継いでいく施策としてつないでいくということが大事になってくるわけなんですけれども、これは、新しい総合計画の本編の基本目標のところにも、地域をつなぐとか世代をつなぐということで、空間軸とあわせて時間軸という概念を入れましたけれども、こういった問題も取り上げておりまして、これらはいずれも、今後、来年までにいろいろ詰めを行っていく際に、本庁の内部でも十分に相談したいと思いますし、振興局との間でも意見交換をしたいというふうに考えておりますが、こういったものについても、私自身としまして、可能であればそういった課題に対する解決の方向性、これは具体的に、ひょっとしたら事業そのものをきっちりと2010年の中で書ききれないかもしれませんけれども、そういった問題についても何らかの形で取り上げられないかどうか、十分に研究してまいりたいというふうに考えております。
〇42番(山内隆文君) 両部長並びに知事にお答えをいただきました。大変ありがとうございます。
 さて知事、本当に真剣にお答えをいただきました。その知事のお答えの中で一番共鳴したのは、自然環境か人かと問われれば、最終的には人の暮らしをとります、こういったことについては、私、そのことを実は心配しておったわけであります。確かに、我々自然に対して負荷をかけないままに暮らすことは不可能なわけでありまして、そのことに思いをいたしながら、そこに住む人々にこそ十分な意を用いてほしいということであります。その考えをぜひとも今後とも貫かれますように、心から願うものでございます。
 そこで1点だけお伺いしますが、デカップリングという考え方が近年あり、これが現実のものになろうとしております。そこで、私が先ほど申し上げた、例えばの話でありますけれども、自然保護という価値を得ることのできた人たちは、地域振興という価値を得られなかった人たちに対して何をなし得るのか、こういったテーマについて県で十分に御検討、御論議をいただきたいわけです。これは、国の制度がなければできないということでは決してないと思うんです。県として、そういった考え方を進めていく、このことをぜひ検討していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。再度の答弁をお願いいたしまして私の質問を終わります。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 今、デカップリングの御質問がございました。直接補償というふうに言いましょうか、農業などでとられている政策だろうと思います。その農業、非常に公益性の高い、そして国土全体の単なる食料政策としてだけではなくて、国土全体を保全するという意味でも大きな意味のある事業でございまして、私どもは、そうしたものについて国全体として、国全体、国民一人一人がそういうところに思いをいたして、そして、このデカップリングという問題を考えていくべきではないかというのが、私なり、あるいは県の考え方でございます。したがいまして、こうした公益性の非常に強いものはほかにもいろいろあると思いますけれども、林業もそうでありましょうし、いろいろなものがあるわけでございますが、そうしたものを国全体として、国民一人一人が自分の問題としてぜひ考えるように私どもも問題提起をしていかなければならないと思いますし、また、県でもこうした問題については十分に研究、調査をしていかなければ ならない、こういうふうに認識いたしております。
〇議長(那須川健一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時16分 散 会

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