平成10年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(久保田晴弘君) 社会民主党の久保田晴弘でございます。今任期中の登壇5回目でございますが、どうぞよろしくお願いをいたします。
 通告に従い順次質問をしてまいります。
 まず、平成11年度の国の概算要求と本県の予算編成方針についてお伺いをします。
 政府は、本年8月、財政構造改革法の凍結を前提に、当面の景気回復に向け全力を尽くすことが肝要であるとの観点から、4兆円の景気対策臨時緊急特別枠を設定し、平成11年1月から15カ月予算を編成することとし、平成10年度第3次補正予算と平成11年度予算を一体のものとして編成するとの方針を打ち出しました。これによって一般歳出は、前年度比約11%増と見込まれています。これを省庁ごとの概算要求前年比で見ますと、文部省1・6%増、厚生省3・6%増、農水省1・7%減、通産省0・8%増、労働省3%増などと報じられております。そこで、質問いたします。
 第1に、国の概算要求をどう評価いたしますか。財政構造改革法を凍結することは、同法の基本的理念が薄れ、事実上の破綻になりかねません。このことによって本県の財政運営に与える影響はいかなるものになると考えますか、本県の予算編成に対する基本的な視点について、知事の御所見をまずお伺いをいたします。
 第2に、本県の予算編成は、国の方針や地方財政計画に沿って編成されるのでありますが、歳入における地方交付税、県税収入、地方債発行の見通しについて、また歳出における景気回復、雇用確保等に資する基本的な予算編成方針についてお伺いをいたします。
 第3に、去る11月12日に平成11年度政府予算統一要望が行われましたが、本県の要望に対する政府側の反応と感触をどのように受けとめておりますか、今後、本県が行うべき国への要請行動についても、この際お伺いをいたします。
 次に、特別交付税の配分に関して質問をいたします。
 自治省は平成10年度特別交付税の配分に当たって、国土保全対策を進める観点から、水源涵養に必要な経費として、上流、下流の自治体が協議した上で、上流自治体が耕作放棄地を再整備する場合に下流自治体が負担金を支出するなどに必要な経費を新たに算定項目に加える方針であると、9月18日付官報速報が報じています。自治省は、都道府県を通じて市町村がどのような水源涵養対策を検討しているかについて調査し、この調査結果をもとに特別交付税で財源手当てをする事業の詳細を決めるとされております。本県でも8月に調査が行われておりますが、該当する市町村はないとの結果であったと伺っております。しかしながら、この措置は中山間地域対策の一環でもあり、本県として水源涵養を積極的に行う必要があると思いますが、このことに関し本県はいかなる見解をお持ちか、御所見をお伺いします。
 平成10年度の特別交付税では、金融機関の貸し渋り対策として中小企業向けに地方単独で融資枠を拡大する場合の信用保証協会に預ける預託金の借入金利に対し、また8月の豪雨災害で被害を受けた地域の災害復旧費と自治体が単独で支出する被災者支援金について、コンピューター2000年問題に対応するためのプログラム修正経費などを算定対象としていますが、本県の場合の対象はどのような措置になっておりますか。
 また、岩手山火山活動に係る対策費は特別交付税の対象になっているのでしょうか、その結果についてお尋ねをいたします。
 次に、新総合計画の中間報告についてお伺いをいたします。
 先般、新しい総合計画の中間報告書をいただきました。あなたの夢、希望、行動を書き込んでくださいとの見出しの添え書きがあり、意見・要望を待っているとしてあります。142ページに及ぶ力作であり、審議された委員の御苦労と起草された方々の意欲、情熱がにじみ出ていると感じました。そして、率直に思いましたことは、この中間報告書を一体どんな人たちがいつ、どこで読んでくれるだろうか、多くの県民が読んでみてほしいものだと思いながら、実は活字と比較的に触れる機会があり、読書を趣味としている私でも、これを読破するにはかなりの努力が必要だったということであります。
 そこで、まず伺いますが、中間報告書は県民のどのような人たちに配布されているのでしょうか。知事との懇談やアンケートに参加した人たち、意見提言を述べられてこられた人たち、およそ1万7、000人の人たちへの配慮はどうなっておりますか。さらなる意見、提言はいつ、どのような方法で集約するものですか伺います。英知を結集した総合計画として完成させ、県民がこれを理解し県民運動の指針になるものでありますから、あえて問うものであります
 第2点は、総合計画の確定のあり方についてであります。
 市町村の場合、議会の議決を経て基本構想を定めることになっていますが、県の総合計画策定の場合は県議会の議決を必要としていません。地方自治法の規定からその必要がないため、県議会では審議の場にのらないのであります。したがって、公式の議論の場としては、この一般質問でしかできないということであります。県政の基本問題にかかわる事項に議会が関与できないことは釈然としません。議会の審議権との関連についてどう考えますか、見解を求めます。
 また、市町村が策定する基本構想との関連でその整合性を図るための協議は行われることになっているのかどうかについても、あわせてお伺いをします。
 第3点は、新しい岩手づくりの理念、21世紀に岩手が誇りを持って輝くためにとしてうたっている自立・参画・創造による持続的な地域づくりの概念についてお伺いをします。
 中間報告で示された新しい岩手づくりの理念に私は同感し賛同いたします。地方分権を視点にした基礎的概念が貫かれているものと考えるからであります。そして、この理念に裏打ちされるべき条件は、知る権利を保障することが不可欠だと考えておりましたので、今議会で公文書公開条例を改正し情報公開条例を制定しようとすることは、実に時宜を得たものであり評価いたします。
 そこで、伺いますが、新しい岩手づくりに向けた自立・参画・創造の理念は、県内市町村が共通のテーマとして、共通の理念を持って地域づくりを展開することが必要と思います。そのためのメッセージを市町村に送り意思の確認をすべきと考えますが、計画策定の手順をお示し願います。
 同時に、その理念の定着には、市町村の地方分権への意欲と主体的に取り組む姿勢と情報公開の必然性について共通の認識が共有されることが必要であります。市町村に対する啓蒙とあわせ、積極的な指導が求められるのでありますが、いかがお考えかお尋ねいたします。
 次に、下水道の整備促進と費用効果の分析マニュアル策定に関して質問をいたします。
 本県の社会資本の整備において最も立ちおくれているのが下水道整備であります。豊かな自然と恵まれた自然環境の中にあって、快適な暮らしの基盤となる下水道普及が立ちおくれてきた背景には、住民の意識と負担能力、自治体行政の姿勢と財政事情等があるのでありますが、21世紀における本県の社会資本充実の観点は、下水道整備の促進を図ることにあると考えます。そこで、新しい総合計画策定において、下水道整備促進に関する問題認識と視点をどのようにとらえ、計画に反映されようとしておられるのか、まずお伺いします。
 第2点は、先般公表された総合発展計画目標達成状況について質問をいたします。
 これによりますと、下水道普及率を平成12年度目標で35%とし、平成10年度実績見込みが29・5%となっています。目標年次の35%が果たして達成可能と見込まれるのでしょうか、現状における課題と問題点は何かについて御所見をお伺いします。
 第3点は、費用効果分析マニュアルについてであります。
 建設省は本年4月、平成11年度から新規に事業採択を決める判断材料にするため、費用効果マニュアルを策定し、自治体に説明したと聞いています。費用対効果の客観的指標を確立することによって、透明性と効率性をアップすることが目的と言われておりますが、策定作業の状況、結果はどのようになっているのでしょうか。分析の結果、本県の下水道整備促進に与える影響はどのように出てくるものと思われますか、お伺いをします。
 次に、地球温暖化対策に係る森林・林業の再生について質問をいたします。
 昨年12月、京都で開催された第3回締約国会議において京都議定書が採択され、21世紀に向けた地球温暖化防止のための国際的な取り組み方向が定められました。京都議定書においては、森林・林業、木材産業に関し、持続可能な森林経営の推進やバイオマス・エネルギーの活用等、再生可能エネルギーの利用増進が温室効果ガス排出抑制、削減のためにとるべき政策措置の一環として位置づけられました。改めて地球温暖化を防止する上で、森林及び木材が果たす重要な役割が明らかにされたのであります。これを受け林野庁は、温暖化対策の基本方向を示し、森林整備の推進、木材利用の推進、研究開発、新たな循環型社会システムなど7項目の指針を打ち出しています。
 そこで、お伺いします。林野庁が示した内容に対し、本県はどういう対応を考えていますか。また、岩手の多彩な森林立地条件、広大で豊かな森林資源を生かしながら、地球温暖化防止や公益的機能の発揮を重視した多様な森林の整備、多面的に木材を活用するための研究開発を推進すべきものと考えますがいかがでしょうか、お伺いをいたします。
 他県に例のない先進的な取り組みを行う姿勢を大いに期待するものであります。さらに、今日の雇用情勢にかんがみ、森林整備に資する雇用の場を創出することを検討すべきと思います。耕作放棄地や荒廃地への植林、健全な森林を維持するための保育と間伐は緊急を要するのであります。地球温暖化対策、緊急経済対策の一環としても効果が上がるものと思います。御所見をお伺いします。
 地球温暖化に関連して、知事にお伺いをします。知事は、豊かな暮らしを創出する環境共生・循環型社会の実現に向け、本年を環境創造元年と位置づけました。現在、地球規模でオゾン層の破壊や地球の温暖化、酸性雨の問題など、次世代まで影響を及ぼす環境問題が論議されているとき、この発想をさらに発展させ、2000年開催の世界地熱会議を目途に地球環境立県岩手を宣言してはどうでしょうか、御所見をお伺いします。
 次に、食料・農業・農村の基本方向について質問をいたします。
 政府の食料・農業・農村基本問題調査会は、1年5カ月にわたる論議を経て、21世紀を展望した食料・農業・農村政策の基本方向について9月17日に答申を行いました。政府は答申を受け、新たな基本法と、3年から5年の政策プログラムについて検討・準備を進め、来年の通常国会に提出するとしています。新たな基本法の制定を求めることについて、本県など80%の自治体が意見書・決議を上げていることからもわかるように、法案の内容に重大な関心を持って成案を待っています。
 私は、先般、ヨーロッパの農業事情について研修する機会がありました。この場からスイスの農業に対する基本的な考えや所得補償制度について調査してきたことを紹介したいと思います。スイスの農業は、国民の合意によって平時における国民食料の確保、有事の際の食料安全保障、環境の保全、農業の全国分散を役割とし、国民経済を支えています。1951年に制定された農業法は、1998年4月に改定され、1999年1月の施行を目指しています。既に1992年に従来の価格支持政策を直接支払い制に転換するため、農業政策2002と銘打った農業改革を進め、農家に対する5種類の支払い補償制度が定められています。そこで、紹介をいたしますが、一つには、支持価格の引き下げに対応した所得補償に加え、環境と調和する生産活動を誘導する補完的直接支払制度。二つには、立地条件、労働条件、生産条件によって生ずる所得格差を改善するための条件不利地域に対する直接所得補償制度。三つには、環境保全の推進を目的に生産活動を行う農家に対する環境保全農業直接支払制度。四つとして、経営限界地や辺境の農地維持のための生産の方向付けを図るための直接支払制度。五つとして、児童手当・家事手当として社会的な政策としての直接支払制度があります。国情の違いがありますが、スイスでの制度が確立されている事例を紹介しつつ、以下、具体的質問に入ります。
 私は、法案制定に対する課題を提起し、次の諸点についての御所見をお伺いします。
 第1に、新たな基本法の骨格には、安全な食料の安定的な供給、農業・農村の公益的機能の発揮、環境に優しい持続的な農業の確立の3本柱が盛り込まれる必要があること。第2に、食料自給と主要な農畜産物の生産量の明記と、これに必要な農地面積の目標値を明示すること。第3に、食料の安全性を確立し、認証制度、検査体制、品質表示を義務化させること。第4に、中山間地域、条件不利地域、環境保全型農業、国土保全・景観維持に寄与する農家に対する直接所得補償を明文化させ保証させること。以上4点を法案に明記すべきと考えます。御所見をお伺いします。
 あわせて、本県として特に国に対して要望すべき点があれば御教示願いたいと思います。
 次に、中央教育審議会の答申と新学習指導要領について質問をいたします。
 中央教育審議会は、9月21日答申をまとめ文部大臣に提出しました。答申は、地方教育行政のあり方を基本的に検討した結果をまとめ、教育の地方分権を推進するため、市町村や学校の裁量権限を拡大し、学校の自主性・自律性を確立する必要を強調し、少人数学級を可能とする学級編制、教職員の弾力的運用を図るなど、画期的事項を提言している点が特徴づけられます。文部省は答申を受け、来年の通常国会に関連の改正案を提出する方針と伺っております。
 質問の第1は、具体な学級編制のあり方についてであります。
 答申では、可能な限り学校みずからの判断で特色のある教育活動に取り組めるよう、国や県の関与を減らし、地域の実情を踏まえた組織的、機動的な学校運営を求めています。本県として弾力的に学級編制する場合、当面、1学級30人以下が好ましいのではと考えますが、御所見をお伺いします。
 仮に、30人学級とした場合、学級数がどれだけ増加し、教職員増がどの程度必要なのか、あわせてお伺いをします。
 質問の第2は、関係法改正案策定に際して、県・市町村の必要な財源確保と教育委員会の財政権の確立、国の財政措置の義務責任、法律施行期日等について県教育委員会としての要望・意見があるものと思われますが、どのように検討されておりますか、お伺いをします。
 この項の質問の第2として、新学習指導要領案についてお尋ねをします。
 文部省は去る11月18日、2002年度から始まる完全学校週5日制に当たって、小中学校で使われる学習指導要領案を発表しました。中教審答申に基づく教育改革であります。学校教育が変わるという印象を率直に感じます。学級崩壊、不登校、いじめ、落ちこぼれ、受験戦争といった教育現場を表現した言葉が公然化するほどに事態は深刻であります。それだけに学習指導要領の改訂が注目されています。教育長の率直な感想と、何が課題であり、解決される必要があるのか、そして岩手の教育がどのように改革され、変化しなければならないと考えられますか、御所見をお伺いします。
 質問の終わりに、緊急経済対策にかかわる雇用、金融対策についてお伺いします。
 政府は、11月16日、経済対策閣僚会議を開き、24兆円の緊急経済対策を発表しました。これについて、産業再生・雇用対策の視点からの質問を行うものであります。緊急経済対策の基本的な考えとして100万人規模の雇用創出と安定を唱え、雇用対策としては、緊急雇用創出特別基金の創設など、雇用活性化プランの実施などにより1兆円程度の施策を実施するとしています。まず、本県の雇用情勢を承知したいのであります。昨日の質問でも御答弁がありましたが、重複いたします。失業率、雇用保険受給数、求人倍率、新規学卒者の就職状況はどうなっていますか。その状況を踏まえて、緊急対策として何を考えておりますか。求職希望の新規学卒者・若年労働者に対する緊急雇用対策事業を創設する必要があると考えますが、御所見をお伺いします。
 第2は、倒産及び連鎖倒産の防止についてであります。
 ことし1月から10月までの倒産件数は1万6、642件と、昨年の1万6、365件を既に上回っています。民間の信用調査機関では、倒産は資金需要期の年末に向け一段とふえていくだろうと予想し、ことし1年間の倒産は2万件を超えるのではないかというそういう見通しを立てております。さて、本県の実態はどうでしょう、負債額も含めその状況についてお示し願いたいと思います。
 倒産の場合、いわゆる連鎖倒産が問題であります。連鎖倒産の場合、倒産企業から債権回収ができず、資金調達ができないために連鎖するのでありますが、本県の場合の連鎖倒産のケースはどうであったのか、これを防止する対策は具体としてどうであったのか、お伺いをします。
 特に、今般、国の緊急対策に盛り込まれた貸し渋り対策は功を奏するのか懸念されます。貸し渋りの理由には二つあるとされています。一つには、不良債権の大量処理で自己資本が目減りし、自己資本比率が低下したため、貸出資産を圧縮する必要に迫られていること。第2として、バブル経済のもとで膨らませ過ぎた貸出先を選別しようとしていることが挙げられます。貸出資金の回収のめどと景気回復の見通しがなければ、貸し出しの態度は変わらないと思います。ここに信用保証協会の存在と柔軟な対応が求められるのであります。現在の保証協会の保証枠と保証申し込み件数、保証金額、そして年末の資金需要期における県の金融対策をお伺いいたしたいと存じます。
 以上で私の一般質問を終わるのでありますが、適切な御答弁をいただきたいと思います。必要により再質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 久保田晴弘議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、国の概算要求についてでございますが、国におきましては、平成11年度の概算要求に当たって、通常の要求分とは別に総額4兆円の景気対策臨時緊急特別枠を設定するとともに、今月の16日には財政構造改革法の凍結を前提として、過去最大規模の緊急経済対策を決定し、そのうちの相当部分の前倒しとあわせまして金融対策、そして雇用対策などを内容とする本年度の第3次補正予算を編成することとしたところでございまして、これら補正予算とあわせ、本年末に決定する当初予算は、当面の景気回復に重点が置かれたものになると、このように考えております。
 また、本県の予算編成についてでございますが、本県としても、現下の厳しい経済状況への対応は何よりも喫緊の課題でございますことから、国の政策とも呼応しながら、景気対策に積極かつ機動的に対応し、県内経済の回復に全力を尽くして取り組んでまいるほか、事務事業の一層の見直しにより歳出の縮減と合理化を図る一方で、重点的に取り組む新しいプロジェクトの創出と地域産業の活性化という二つの課題に対応した施策につきましては、優先的・重点的な推進を図るなど、でき得る限りの創意と工夫を凝らし、限られた財源の効果的な活用に努めてまいりたいと考えております。
 なお、あわせて国に対しましては、地方財源不足としての地方債の発行はできるだけ避けて、地方税や地方交付税などの地方一般財源の充実・確保が図られるよう強く要望していく必要があると、このように考えております。
 次に、新しい総合計画の理念などの市町村への啓蒙、指導についてでございますが、今回の計画は、新しい岩手づくりの理念として、自立・参画・創造による持続的な地域づくりを掲げまして、この理念のもと、21世紀の岩手を創造するための基本目標をみんなで創る夢県土いわてとして、これを実現するため、今までの社会の仕組みを見つめ直し、新たな発想で生活者や地域から始まる岩手づくりの仕組みをつくる必要があることを強調しているところでございます。
 今回の計画は、従来にはなかった県行政を進める上での方針といたしまして、情報公開の徹底などによる県民とともにつくる開かれた県政の推進、生活者、地域の視点に立った県政の推進など四つの方針を掲げ、計画に盛り込まれた施策を着実に推進していくこととしているわけでございますが、さらに、市町村に対しては、しっかりとしたパートナーシップのもと、新しい岩手づくりにおいてその役割を積極的に担っていくことを期待いたしますとともに、また、国に対しては、地域主権時代の到来に向けて、制度や仕組みの改正などを積極的に働きかけていくものでございます。
 今後、県内九つのブロックごとに市町村長との連絡会議を開催して、私自身も直接、中間報告の内容を説明いたしますとともに、各市町村長の皆さんからも率直な御意見をお聞かせいただくなど、あらゆる機会をとらえて市町村との共通認識の醸成に努めながら、計画の理念の普及、啓発を図ってまいりたいと考えております。
 次に、地球環境問題についてでございますが、地球温暖化を初めとするこの地球規模の環境問題は、人類の生存に深刻な影響を及ぼす恐れのある重大な問題として、国際社会全体が協力して取り組むべき課題でありますとともに、それぞれの地域においても、みずからの問題として積極的に行動することが求められているところでございます。このため、本年4月に施行した岩手県環境の保全及び創造に関する基本条例において、地球環境問題を環境施策の重点課題の一つとして位置づけまして、温室効果ガスの排出抑制などの地球環境の保全に向けた地域からの取り組みを推進いたしますとともに、資源やエネルギーの効率的な利用などによる循環型地域社会の形成に向けた取り組みを進めることとしているところでございます。
 また、21世紀は環境が人々の暮らしから産業の仕組みに至るまで、あらゆる価値観の中心となる、いわば環境の世紀と言われておりまして、私は、本県のすぐれた財産である豊かな環境の維持・活用を図ることこそが、岩手の21世紀の可能性の扉を開く重要なかぎの一つであると考えております。
 このようなことから、先般公表した新しい総合計画の中間報告におきまして、澄みきった空気や水、豊かな森林や美しい田園などを守り育て、環境日本一を目指すとともに、地熱や風力、太陽光などの活用に取り組むことで、全国有数の新エネルギー供給基地を目指すなど、地球環境問題を初めとするさまざまな環境問題について先進的な取り組みを進め、日本の環境首都を目指すこととしたところであり、このような取り組みの中で御提言の趣旨を生かしてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長吉田敏彦君登壇〕
〇総務部長(吉田敏彦君) まず、平成11年度の予算編成方針についてでありますが、歳入面では、現下の経済動向や国の財政状況を勘案しますと、県税につきましては、法人2税の伸びが期待できないなど厳しい見通しにございまして、また、地方交付税・地方債につきましては、地方財政計画が固まっていない現段階で明確なことは申し上げかねるのでありますが、地方交付税もその伸びは期待し得ない状況にございます。
 また、景気回復等に資する基本的な予算編成方針についてでありますが、現下の深刻な状況への対応は喫緊の課題でありますことから、本県としても、厳しい財政状況にはありますが、国の施策に呼応し、国庫補助事業を効果的に導入することなどにより、本県経済の活性化が図られるよう、機を逸することなく、可能な限り取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、特別交付税についてでありますが、特別交付税は、普通交付税の算定の対象となります基準財政需要額では捕捉されない災害等の特別の財政需要などがある場合などに、自治省令で定めるところにより、当該事情を考慮して交付されるものでありまして、平成9年度におきましては44億1、700万円余が本県に交付されたところであります。お尋ねの平成10年度の特別交付税の配分についてでありますが、特別交付税の具体的な算定方法を定めております自治省令が、交付の時期に合わせ、例年12月と3月に改正されており、本年度の算定方法及び新規対象項目などの詳細につきましては現時点では明らかにされていないところであります。
 また、活動火山対策経費につきましては、その財政需要が特別のものであることから、岩手山の場合もこれに該当するものと考えております。県では、これまでも北上川の清流化確保対策や林野火災発生などに伴う特別の財政需要につきまして、毎年、国に対し特別交付税による財政措置を要望してきたところであり、今年度におきましても、岩手山の火山活動対策や8月の集中豪雨災害などに伴う財政需要につきまして、特別交付税の配分を国に対し強く要望し、その確保に努めてまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) まず、平成11年度政府予算統一要望についてであります。
 去る11月12日に関係省庁などに対しまして、県議会と一体となって統一要望を実施したところであります。要望活動を通じた感触につきまして私どもの方で集約しましたところでは、本県の実情及び要望の趣旨につきましては、関係省庁に十分御理解いただけたものと考えておりますが、現在の極めて厳しい財政状況を反映いたしまして、来年度予算につきましては、本年度の要望項目が盛り込まれるかどうか、決して予断を許さない状況にあるものと感じているところであります。しかしながら、一方で各省庁の要望の際に幹部の方々と私どもとのやりとりの中で、いわゆる15カ月予算の今年度への前倒し方針に伴いまして、今後の補正予算を十分に注視する必要があるものと感じたところでもございます。したがいまして、今後におきましては、さらに国の予算編成作業等の情報収集に努め、県議会を初めとする関係者の方々の御支援もいただきながら、関係大臣への要望を行うなど、要望内容の実現に向けて積極的な要望活動を展開してまいりたいと考えております。
 次に、新しい総合計画の中間報告書の配布などについてでありますが、中間報告書につきましては、報告書の冊子を各市町村を初めとする関係行政機関や経済団体などに対して広く配布するとともに、地方振興局においても自由に閲覧できるように配慮していくこととしております。
 また、計画の内容を県民の立場に立ってわかりやすく解説した要約版を12月中には県下47万の全世帯にお配りするとともに、その要約版同封の無料郵便により、幅広く県民の皆さんから意見・提言をお受けしたいと考えております。中間報告とあわせて、審議会の議事録や県民意向調査の結果など、すべての資料を既に県のホームページでも紹介しており、インターネットを通じまして、いつでも、どなたでも手軽にごらんいただけるようにしているところであります。
 また、地域づくり団体等からの説明会の要請に応じて、職員が直接地域に出向き説明するなど、さまざまな機会をとらえて、できるだけ多くの県民の方々への周知に努めてまいりたいと考えており、このような形でいただいた意見・提言は、その内容を2月ごろまでに集約し、その後の審議会の審議に活用してまいりたいと考えております。
 次に、総合計画の策定のあり方に関し、法律上の位置づけがどうなっているかなどについてのお尋ねでありますが、市町村につきましては、将来を見通した長期にわたる経営の基本を確立することの必要性のほか、将来のビジョンを描く際に、当該市町村の土地利用規制にかかわる、例えば都市計画法や農振法を初めとする関連個別法制に基づく計画の上位に位置づけられるものとして基本構想が必要であることから、地方自治法に基づく制度化がなされているものでありまして、この点に関しましては、県と必ずしも事情が同じでないため、それぞれの計画の法律上の取り扱いが異なるものでありますが、将来を見通した長期ビジョンを策定することの重要性は、県においても同様であります。したがいまして、新しい総合計画におきましては、その基本的方向性について、県議会からも御参加いただいている総合計画審議会に諮問し、答申をいただくこととしており、また、去る10月30日に審議会からいただいた中間答申を最大限尊重して定めました中間報告につきましても、今後、県議会を初めとして、県民各界各層から幅広く御意見などをいただきながら、計画をよりよいものにしてまいりたいと考えております。
 また、市町村が策定する基本構想との整合性を図るための協議についてでありますが、新しい総合計画の推進に当たりましては、市町村の役割が極めて重要になることから、今後におきましても、知事と市町村長との意見交換の場を設けるなどとしているほか、各振興局において、地域の市町村とのより一層密接な連携と情報交換を行いながら、市町村の策定する基本構想と整合性が図られるよう努めてまいる所存であります。
   〔林業水産部長渡辺勲君登壇〕
〇林業水産部長(渡辺勲君) まず、特別交付税措置に係る水源かん養対策についてでございます。
 森林の有する水源涵養機能の高度発揮のためには、造林・保育などの適正な森林整備が必要でございまして、全国的に従来から渇水が頻繁に生ずる地域などにおきましては、上・下流の自治体が協力して水源林基金を設け、これを財源とした分収や費用負担などの方式により水源林の整備をしている例が見られるところでございます。
 近年、都市部を初めとして良質な水道原水の安定的供給に対する要請などがさらに高まる一方、山村におきましては、林業生産活動の低迷などにより森林整備が停滞してきていることなどから、今後、森林所有者の自助努力に加え、水についての受益者である下流域住民の広範な支援をも得ながら森林整備を進めることが重要になってきているものと認識してございます。このため県におきましては、さきに策定した岩手県間伐推進行動計画のもとで、県民参加の間伐活動を展開するほか、緑化推進事業の一層の充実などにより、森林整備に対する上・下流協力の重要性などの普及・理解の醸成を図りながら、この特別交付税措置の活用などによる多様な協力体制の形成に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、地球温暖化対策と森林・林業の再生についてであります。
 昨年12月の京都会議を受け、国の地球温暖化対策推進本部におきましては、環境と調和した循環型の持続可能な経済社会を構築していくため、地球温暖化防止に向けた取り組みが必要不可欠であるとした地球温暖化対策推進大綱を決定し、さらに、林野庁におきましては、森林・林業・木材産業分野において、二酸化炭素の吸収・固定機能を高度に発揮させるため、保育・間伐などの森林整備、木材の有効利用などを推進することとした基本方向を決定したところでございます。
 本県におきましても、これらを受け、地球温暖化防止対策とあわせ、林業・木材産業の振興が重要課題でありますことから、本年9月に行政機関と県民が一体となって間伐を推進するための岩手県間伐推進行動計画を、また10月には、学校など公共施設の木造化や河川、道路施設など公共事業への間伐材を含めた県産材の利用を推進するため、もっと・WOOD・県産材ををサブタイトルといたします岩手県木材利用推進方針を策定し、その推進に鋭意努めているところでございます。
 また、研究・開発につきましても、本県の広大で豊富な森林資源を最大限に生かしていくため、複層林施業など多様な森林整備の体系の確立、品質の安定した集成材の製造、木質材料の難燃化の技術開発、さらには、木炭の水質浄化・調湿効果など多面的な木材の利用拡大などの観点から、今後とも一層推進してまいる考えでございます。
 さらに、雇用の場の創出についてでございますが、森林整備の推進は、就労機会の少ない山村住民の雇用の場の提供につながるという点でも重要でありますことから、国で予定されております緊急経済対策にも積極的に対応しつつ、引き続き適切な森林整備を推進してまいりたいと考えております。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 下水道関係についてでございますが、御指摘のとおり、本県の公共下水道を初めとする汚水処理施設の整備状況は、平成9年度末で全国平均64%に対し、本県は39%と立ちおくれている状況にございます。このため、新しい総合計画策定に当たっては、自然と共生し、循環を基調とする社会及び快適に安心して暮らせる社会の実現に向けて、汚水処理施設の整備推進が不可欠であることから、市町村と調整を図るとともに、庁内関係部と連携して本年5月に策定いたしました新・全県域汚水適正処理構想に基づき、2010年度末には県民の80%の方々が汚水処理施設を利用できるよう計画に反映してまいりたいと考えております。
 次に、公共下水道普及率の平成12年度末の目標率35%の達成についてでありますが、現状では、その達成は非常に厳しい状況にあると考えております。目標達成の課題といたしましては、現在着手済みの市町村の整備促進が極めて重要と考えておりますが、一方、その問題点としては、市町村の財政力と技術力の確保であり、多くの市町村等から、県による支援の拡大を要請されているところでございます。県といたしましては、このようなことから、国の経済対策の三次補正等に積極的に取り組むよう指導していくとともに、財政支援と技術支援を引き続き行ってまいる考えであります。
 次に、費用効果分析についてでありますが、国では、国庫補助下水道事業の平成11年度新規採択に当たっては、事業の費用効果分析を初めとする幾つかの指標についての評価に基づいて行うこととされており、本年5月に費用効果分析マニュアルの説明を受けたところでございます。しかしながら、その他の評価指標につきましては、現在国において検討中でありますことから、全体の作業スケジュールがおくれている状況にございます。県といたしましては、新規要望予定町村が、国から示されている費用効果分析マニュアルに従って現在作業中でありますことから、費用効果の分析ができ次第、その結果を踏まえ、事業の促進に向け適正に指導してまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) 新たな農業基本法に盛り込むべき諸項目に対する所見等についてでありますが、議員御指摘のとおり、いずれも各項目とも本県農業の振興にとって極めて重大な事柄であると存じておりますし、その明確化が望まれているところであります。現在、国におきましては、年明けの通常国会に法案を提案すべくその準備を進め、あわせて政策を具体化するためのプログラムの策定作業も行っていると聞いております。
 県といたしましては、農業は、食料を安定的に供給する基本的役割に加え、その生産活動を通じて、国土保全や水資源涵養など、多面的な機能を果たしながら国民生活をさまざまな形で支えている重要な産業であり、将来にわたって安定的に発展していく必要があるとの認識のもとに、過般の政府要望において新たな基本法についても要望いたしたところであります。即ち、具体的には、農業者が将来展望を持って農業に取り組めるよう、国内農業を基本とした食料供給力の向上、意欲ある多様な担い手の確保、農業者の経営安定のための措置、中山間地域等への所得補償制度の創設、農業・農村の持つ多面的機能の十分な発揮について明確化すること、また、これらの政策を総合的に推進するための財源を確保するよう要望しているところでございます。
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) まず、本県の雇用情勢についてでありますが、完全失業率につきましては総務庁で調査を実施しており、県ごとの数値は発表されておりませんので、3カ月ごとにブロック別で発表されております数値で申し上げますが、最近の本年7月から9月までの東北6県の数値は3・4%となっておりまして、全国の4・2%より0・8ポイント低い水準となっているものでございます。また、雇用保険受給者数は、本年4月から10月末までの累計で7万8、766人となっており、前年同期と比較しますと22・8%増となっております。有効求人倍率につきましては、9月は0・51倍と全国平均の0・49倍よりも0・02ポイント上回ってはおりますが、16カ月連続で低下いたしておるところでございます。また、来年3月卒業予定者の就職内定状況でございますが、10月末現在、4年制大学では前年同期に比べほぼ同じの55%、短期大学では5・5ポイント減の22・5%、高卒者では8・4ポイント減の61・7%と、こういうふうになっております。
 このような状況を踏まえまして、県といたしましては、これまで雇用対策として実施してきました緊急雇用開発プログラムに加えまして、このたび、国の緊急経済対策の中で新たに打ち出されました雇用活性化総合プランの積極的な推進を図ってまいりますほか、このプランにおきまして、若年者の雇用対策として位置づけられております平成11年3月新卒者就職支援事業というのがあるわけでありますが、この実施によりまして、厳しい就職環境にある新卒者が安心して適職を選択できるための求人情報の提供、職場見学、就職面接会などを実施する予定であります。新規学卒者、若年労働者に対する緊急雇用対策事業の創設についての御提言に対しましては、当面、この対策による就職支援を積極的に推進してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、倒産及び連鎖倒産の防止についてでありますが、民間信用調査機関の調査によりますと、ことし1月から10月までの県内の企業倒産は113件、負債総額で196億2、200万円となっております。中小企業の倒産につきましては、その原因や規模によりましてその対応も異なるわけでありますが、対策が講じられる一つのケースとして申し上げますと、50万円以上の売り掛け債権を持つ中小企業が20社以上に及ぶ倒産の場合につきましては、倒産関連防止保証制度がございます。この制度によりまして連鎖的な倒産を防ぐ仕組みとなっております。民間信用調査機関では、連鎖倒産を他社倒産の余波ということで整理をしているのでありますが、つまりこういう他社倒産の余波を受け、しかも前段申し上げましたものに該当しない規模の倒産の場合で、その影響によって経営が不安定になるような中小企業の場合では、通常の融資によって倒産を回避することになります。ちなみに、平成10年はこの他社倒産の余波というのが12件発生しておりますが、これらのものについては、今申し上げましたようなケースには該当しなかったものでございます。
 県におきましては、経済情勢の悪化からそのような状況も勘案をいたしまして、去る7月にいわて緊急経済対策資金を創設したところであり、また、このたびの国の中小企業金融安定化特別保証も同趣旨の対応ができますことから、当面はこれらの制度が倒産防止策として役立つものと考えているところでございます。
 さらに、信用保証協会の現在の保証枠等についてでありますが、保証枠は定款上、基本財産の46・6倍と規定されております。これを掛けますと額は約5、600億円ということになります。同協会の本年10月末までの保証承諾は約9、200件、額にして1、088億9、000万円であります。保証債務残高は約2、762億円でございますので、保証余力は十分にあるものというふうに考えております。
 また、年末の金融対策でありますが、金融対策としましては、先ほど申し上げましたいわて緊急経済対策資金の増枠に加えまして、国が創設した特別保証制度、その二つの積極的な利用推進をまず図ってまいりたいというふうに思っております。対策としては、関係機関の協力が必要でございますので、去る11月19日には商工指導団体及び各金融機関に対しまして、中小企業に対する年末の資金供給の円滑化について協力を要請しました。また、同じように年末商工金融110番を設置いたしまして、関係者の協力によりましてこの制度資金の利用促進、それから経営相談、こういうものを講じまして、きめ細かな対応を図ってまいりたいと考えております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) まず、中央教育審議会の答申にかかわって、学級編制を1学級30人以下の児童生徒で行うことについてでありますが、一般的には学級規模が小さければ小さいほど児童生徒一人一人の特性等に応じた指導を行うことが可能になると考えられておりますが、学級規模と教育効果の相関関係は必ずしも明確ではないことから、国が学級規模等について検討を行うために設置した調査研究協力者会議の研究結果等を見ながら、県として慎重に対応したいと考えているところであります。
 仮に、本年5月1日現在の児童生徒数の状況で学級編制の基準を30人とした場合、小中学校では1、021学級増加し、それに伴って約1、300人の教員増が必要になると見込まれ、高等学校では370学級増加し、約740人の教員増が必要になると見込まれるところであります。
 また、関係法改正案策定に際しての要望・意見につきましては、現時点では、関係する改正法案等の詳細が不明でありますが、教育行政における地方分権の推進と学校運営の自主性・自律性を促進するという観点から、国において、財政措置も含めた教育条件の整備充実についての十分な配慮がなされることが必要であると考えております。今後、都道府県教育長協議会などを通じて、必要かつ適切な措置が行われるよう、国に働きかけてまいりたいと存じております。
 次に、新学習指導要領案についてでありますが、このたびの改訂案は、国際社会に生きる日本人としての自覚、自ら学び、自ら考える力の育成、基礎・基本の定着及び特色ある教育の推進を基本方針とし、ゆとりのある教育活動の中で、生きる力をはぐくむことを目指しております。心の教育の充実や個性、創造性の一層の伸長、社会の変化への対応などが求められている今日、この改訂案の示す基本方向が時宜にかなったものと考えております。
 また、この改訂案は、完全学校週5日制に対応した教育内容を示すとともに、総合的な学習の時間の新設、選択教科の拡充、学校裁量の拡大、地域に開かれた学校運営等、各学校の自主性・自律性の確立、教員の指導力・資質の向上などを強く求めております。したがいまして、これらの新しい動きに各学校が主体的かつ的確に対応し、魅力ある学校づくりに努め、児童生徒一人一人の学びを充実させていくことが大きな課題であります。本県では、既に多くの学校でボランティア活動や環境教育など地域と連携した教育活動を展開しておりますが、今回の改訂案では教育内容や時間等の面で学校裁量が大幅にふえることから、こうした裁量幅やこれまでの本県の教育成果の積み重ねを生かしつつ、各学校の創意工夫が十分発揮されることが強く望まれるところであり、県教育委員会といたしましても、これを積極的に支援してまいりたいと考えております。
〇24番(久保田晴弘君) 御丁寧な御答弁をいただきました。いずれ前向きな姿勢については積極的にそれを推進していただきたいことをこの際にお願いをしておきますが、一つだけ、今日的状況を踏まえて商工労働観光部長にだけ再質問をさせていただきたいと思います。
 いわゆるこの貸し渋りの実態については、きのうの質問でも交わされたところでありますが、その対応はいろいろあると思いますが、私はこの場からお尋ねしたいのは連鎖倒産についてであります。倒産した企業からの債権回収ができないことをもって倒産するケースがあるわけでありますが、こうした場合は一般的な場合と違った救いの手が必要ではないかと思うわけであります。したがって、信用保証協会の対応というものが特に求められるわけでありますので、こうした連鎖倒産、言うなれば、健全経営をずっとやってきたものが回収ができないために倒産するということについては、特別な手だてがあってしかるべきではないのかと思うのでありますので、こうしたケースの場合に対するあり方論と具体的な御指導について、この際、改めてお伺いをしたいのであります。
 第2点目は、県が誘致した企業がたくさんございますが、そこの企業における現状での雇用状況はどうなっておるでしょうか。例えば、リストラや配置転換や本社への従業員の引き揚げなどが考えられます。こうした状況をどのように把握されておるでしょうか。
 第3点は、きのうの答弁でもございましたが、融資にかかわる問題で391件とのことのお話をいただきましたが、業種別に見た場合に、どういう状況になっており、どういう傾向が見られるのかについて、この際お伺いをしたいのであります。
 4点は、きのう久慈地区の雇用機会増大促進地域として指定された状況のお話がありましたが、久慈地区における平成7年と本年との出稼者の状況にどういう変化が生じておるのかということについて、お伺いをしたいのであります。
 最後の質問になりますが、本県においていろいろ研究開発をされておる結果があるわけであります。その成果が企業化されているのかどうかということであります。当然、本県で研究開発された内容がその成果が企業化されることに大きな期待がかけられるわけであり、そのもとでの雇用に結びついた企業化が特に必要と思うのでありますが、雇用に結びついた本県の開発研究の結果というものがどういう状況になっておるのか、その事例があればこの際お伺いをしたいのであります。
 以上が私の再質問であります。お答えをいただきます。
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) 再質問にお答えをいたします。
 まず、連鎖倒産の防止に係る信用保証協会の対応についてでありますが、企業倒産が発生することによりまして多数の取引先が連鎖をして倒産し、地域経済や雇用に重大な影響を及ぼすおそれがある大型倒産につきましては、倒産に至った企業を中小企業信用保険法の規定によりまして国が指定をすることによって、売り掛け債権を有する企業に対して保証協会の保証限度額を増枠する制度がございます。これが一般的という場合と違った保証協会の弾力的と申しますか、そのための対応でございます。しかしながら、小規模な倒産の場合にはこういった制度はございません。したがいまして、繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げたいわて緊急経済対策資金とか中小企業経営安定資金、それからこの特別保証制度のいずれもが、取引先の倒産によりまして連鎖倒産を防止するといったようなことを目的としておりますので、これらの制度の積極的な活用を促進いたしまして連鎖倒産を防止しておるわけでありますが、わけても今回の特別保証制度は、そういった意味ではこれまでと違って、信用保証協会としては特別の対処をしたことになるのではないかというふうに思います。
 なお、念のために申し上げますと、信用保証協会の定款等は全国統一のものでございまして、なかなか県単独で措置をするということは今までもやってきておらなかったわけでありますが、そういう特別の債務保証とかそういうものをしない限り、やはり保証協会の保証の特別といったようなことは難しいというふうに考えておるところでございます。
 それから、県が誘致した企業において、雇用調整や閉鎖等、企業の合理化によりまして離職した従業員ということでありますが、当部が把握している範囲でございます。これは1事業所当たり5人以上の離職者が発生した場合でございますけれども、これから申し上げますと、平成10年4月から10月末までの間に、希望退職者を含めまして、合わせて9件、198人というふうになっているところでございます。
 それから次に、中小企業金融安定化特別保証制度によります391件の保証実績の業種別の状況と傾向についてでございますが、業種別では建設業が143件と最も多く、全体の37%を占めております。次いで小売業が94件、製造業が72件、サービス業が31件、卸売業が28件となっております。また、この制度は、長引く景気低迷下で全業種にわたって利用されておりますし、かつ県内すべての地域で利用されているところでございまして、特に11月に入り利用が増加する傾向を示しているところでございます。
 次に、久慈地域における出稼労働者の状況についてでありますが、当地域の平成9年度の出稼労働者の総数は5、201名となっておりまして、これを平成5年度と比較いたしますと、率で11・9%、実人員で702名減少している状況でございます。また、県全体の平成9年度の出稼労働者は1万4、261名でありますので、久慈地域の出稼労働者の割合は36・5%を占めておりまして、県内で最も多い地域となっております。なお、10年度と御質問がございましたが、10年度はまだ出稼労働者の数が動いている関係もございまして、5年度と9年度を比較させていただきました。御了解をお願いいたします。
 最後に、研究開発をされた成果が雇用に結びついた事例があるかということでございますが、当部が研究開発補助事業等を通じまして把握している代表的な事例といたしましては、医療機関における事務効率化のための新たなコンピューターシステムの開発や金型の超精密加工技術の開発などによりまして、合わせて126名の新たな雇用の増加が見られているところであります。県といたしましては、こうした事例は雇用の拡大に着実に結びついておる状況から、今後におきましても、引き続き中小企業の研究開発を積極的に支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇議長(那須川健一君) 次に、村田柴太君。
   〔31番村田柴太君登壇〕(拍手)

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