平成10年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(吉田洋治君) 政和会の吉田洋治でございます。
 増田知事が23日、県政2期目に挑戦するとの力強い出馬表明がなされ、我々も従来以上に全面的に支えてまいる決意でおります。どうぞ、増田知事におかれましては、残り任期の政務をしっかりと執行していただき、21世紀のみんなで創る夢県土いわてづくりに向けまして堂々と歩いてくださいますように念願し、以下、質問に移らせていただきますので、県当局では、知事の言う適時適切の議会答弁から、即断即決の答弁に切り替えていただきますように期待いたします。
 まず、増田知事のこれまでの総括と、2期目出馬への基本姿勢と決意並びに新しい総合計画についてお伺いいたします。
 平成7年4月の岩手県知事選挙で、増田寛也氏が初当選してから3年7カ月が経過いたしました。思えば、建設省を退官し、ふるさと岩手に帰り、知事選出馬を決断したのもちょうど4年前の11月下旬でございました。43歳という全国最年少知事の誕生は、県民のさわやかな感動を呼び、そして大きな期待感に満ちあふれていました。これまでの間、増田寛也は大胆に挑戦しますとしたファイトとチャレンジの意欲を前面に打ち出し、実践した4年間だったと思うのであります。
 増田候補の選挙スローガンは、みんなで創ろう夢県土いわてでありました。そして、五つの基本姿勢を掲げたのでありますが、それは、1、21世紀の岩手づくりに向けてあらゆることに大胆に挑戦します。2、すべての県民の英知と想像力を結集し、21世紀の夢を語ります。3、清新で公正、県民にわかりやすい県政を実現します。4、岩手のかけがえのない美しい自然、美しい心を大切にし、次世代の若者に伝えます。5、情熱と信念を持って、あらゆる困難に立ち向かいやり遂げます、というものでありました。また、活力ある農林水産業の振興、地方分権の推進とその受け皿づくり、少子・高齢化対策の充実による豊かな長寿福祉社会づくりなど、八つの政策の重点を挙げ、私、増田寛也は県民に開かれた透明性の高い県政による、潤いと活力あるふるさと岩手づくりを推進します。この若い力をもって、これからの人生を、先人が築き上げたこの県土のさらなる発展にささげる決意ですと力強く決意を表明し、その公約の一つ一つを誠実かつ大胆に実践してきたものと、私は高く評価するものであります。
 そこでお伺いいたします。
 政治家増田知事自身のこれまでの総括と、2期目出馬への基本姿勢と決意についてお聞かせ願いたいと存じます。
 また、さきに新しい総合計画の計画原案といたしまして中間報告が公表され、来年夏には最終答申そして計画策定と、今後のスケジュールが予定されております。自立、参画、創造による持続的な地域づくりを、21世紀を通じて私たちが大切にしなければならない考え方として位置づけ、みんなで創る夢県土いわてを計画の基本目標として掲げました。私は、まさに夢県土いわての創造は、初出馬から2期目に向けた増田知事の公約として受けとめ、そして増田カラーを前面に打ち出し、同時に、230回を数えた各種各階層との県政懇談会を通じた民意の総結集と思うのであります。
 新しい総合計画策定に当たり、知事の思いをどう反映していこうとしているのか、基本的な考え方についてお伺いいたします。
 次に、平成11年度の予算編成方針についてお伺いいたします。
 県は10月、8年度の県民所得の概要を公表いたしました。県内総生産は、名目で対前年度比4・3%増の4兆7、300億円、物価上昇分を除いた実質で5・9%増の4兆6、029億円となり、名目、実質とも前年度を上回りました。これは、国の成長率である名目2・8%、実質の3・2%を上回り、県民1人当たりの所得は、対前年度比4%増の269万9、000円で過去最高となり、全国の所得水準と比較すると86・5%で、前年度より1ポイント上昇、格差は6年連続して縮小し過去最小となり、県民挙げてたゆまざる日々の努力が着実な県勢の進展に連動しているものと、同慶の念を持つものであります。
 しかし、その後、景気の落ち込みは顕著で、国は9年度のGDP国内総生産見通しをマイナス0・7%としており、本県も同様にマイナス成長が避けられない情勢となって、今はさらなる最悪の状況に至っているのであります。今日、神奈川県、大阪府など、財政非常事態宣言を発し、全国的に自治体財政は長引く景気低迷などにより危機的状況にありますが、こうした時代にこそ英知を結集し、無駄を排し、合理化を徹底し、事業の的確な選別や重点投資による効率的な財政運営が不可欠であります。
 そこでお伺いしますが、第1に、今次予算は21世紀につなげる極めて重要な1年という位置づけと、今、中間答申が出され、来年8月に計画策定する新しい総合計画に連動する予算という観点から、知事選を控えての骨格予算とはいえ重大な意義を持つと思いますが、不況を背景とした税収の見通しを含めた基本的視点と予算編成の基本方針についてお伺いいたします。
 第2は、今次当初予算編成から地方振興局に予算要求権を与える方針と報じられておりますが、予算要求権のねらいについて説明願いたい。
 第3は、知事は10月19日の定例記者会見で、予算編成の過程を透明にしたいとし、各部局の予算要求段階から公表する考えを明らかにしました。その基本的な考え方についてお伺いします。
 次に、行財政改革についてお伺いいたします。
 さきに述べましたように、全国的に都道府県財政は不況による法人関係税を中心とした税収の落ち込みが目立ち、一方で、大きく膨らんだ地方債償還に充てる公債費負担が重くのしかかり、財源不足など厳しい財政運営を強いられております。本県では、今年度より3年間で集中的に改革に取り組むための行財政システム改革指針を策定いたしました。それは、公共事業コストの10%削減や外部委託、OA化の推進による総人件費の抑制、事務事業の見直しに新たな評価基準の導入など、知事が言っているコスト意識の徹底や民間並みの経営努力が強く求められていると思います。過去の先例や古い慣習にとらわれることなく、フレッシュで切れ味のよい発想転換が重要であると考えます。
 そこでお伺いいたします。
 第1に、県債残高は予算規模を上回る約1兆円、県民1人当たり約70万円の借金を抱えている現状であります。県民1、600人を対象とした行革アンケートによると、財政の健全化を求める声が最も多かったと伺っており、県民に対し、財政健全化への確かな道筋を示すことが急務と思われますが、来年1月をめどに進めている行政改革大綱への反映を含め、その基本的考え方についてお示し願いたい。
 第2に、地方振興局に関連してお伺いいたします。
 平成12年度からスタートする介護保険制度、ごみ処理など、各種事業の効率化など、市町村合併を含む広域行政の必要性が高まっております。過日、県の長期構想として、現在12ある地方振興局の統廃合案が浮上し、その目的は、人や経済交流が盛んな地域にある地方振興局同士の企画立案部門の一元化や効率的運営を図るためと報じられております。私は、現在の地方振興局体制の抜本的な見直し検討が必要と思いますが、統廃合を含む再編整備につきまして御所見をお伺いいたします。
 また、地方振興局長に人事権を付与するとの検討もあるとのことでございますが、その具体についてお伺いをいたしたい。
 第3に、各種審議会等の整理合理化についてお伺いいたします。
 国における中央省庁改革推進本部では、審議会の整理合理化内容案を取りまとめ、全審議会211のうち149について存廃を検討、1、活動実績や必要性が乏しいものは廃止、2、政策の立案や基準作成を行う機関は原則廃止、3、不服審査を行うものは必要最小限にとどめるとの基本方針を盛り込んだと報じております。
 本県における各種審議会、協議会等は本年度当初で181、委員数で2、847名を数え、県議会議員も3ないし5くらい分担し委員に名を連ねております。こうした審議会等の中には、既に目的を達成したものもあり抜本的な整理合理化を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、審議会等への女性委員は511名、割合にして17・9%となっておりますが、さらに拡大すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、平成12年5月末から6月初めにかけて、大分県と本県で共同開催される世界地熱会議についてお伺いいたします。
 10月の議会運営委員会視察で、大分県別府の財団法人別府コンベンションビューローを視察したところ、西暦2000年に開催する世界地熱会議の前半を受け持つ側として、後半の岩手に対しエールを送られたところでございます。別府コンベンションビューローの運営するビーコンプラザは、平成7年に県が約230億円、別府市が50億円、合計280億円の巨費を投入しまして建設したもので、国際会議室を有し市の中心部の施設であるのに対し、盛岡の主会場アピオは郊外にあることから、交通、移動条件でちょっと落ちるかもしれませんが、人情と中身で勝負といきたいところであります。
 我が県議会におきましても、新エネルギー利用促進議員懇談会の堀口会長を団長に、アイスランド、ドイツなど新エネルギー事情の海外調査を進めてきたところであり、その際、当時、国際地熱協会の会長フリードリフソン氏とも会談の機会を持ち、世界地熱会議成功を期すこととしたところであります。
 環境との共生を目指した21世紀の地熱エネルギー開発への発信を、この岩手の地から行うことは極めて大きな意義があります。県当局のこれまでの対応と岩手開催の後半プログラムの概要につきましてお示し願いたい。
 次に、心身障害児者の短期入所事業についてお伺いいたします。
 県央地区重症児者問題連絡協議会の会報たんぽぽの会には、重度の障害児を介護する親御さんたちの悲鳴が手記として多く掲載されております。生後間もなく障害があると宣告され、あるいは中途で重度の障害を持つことになって、何ひとつ自立できない子とわかったときの親たちのショックは、大変大きなものがあります。ましてや、体重と身長だけは確実に伸び続ける子供に比べ、老いと心労で次第に体力が弱まり、在宅介護が思うに任せず困り果てている家庭がふえており、問題が深刻化いたしております。そうした実情から、障害児者を持つ親、家族を一時的に一定の期間、介護から解放することによって、リフレッシュしてもらう事業を導入することが重要と考えております。現在、類似の事業として入所施設に原則1週間を限度として障害者を入所させる心身障害児者短期入所事業が制度化されておりますが、私は、障害者を介護する家族が、必要なときにいつでも気軽に障害者を預けて休息をとれるような、家族支援の施策が求められていると思います。
 そこでお伺いいたしますが、第1点として、臨時的休息介護--休息一時ケアとも訳されておりますが、レスピットケアについて当局の対応をお伺いいたします。
 第2は、グループホーム制度についてであります。
 同制度は、平成8年度から新たに重度加算が創設されるとともに、公営住宅を利用することが可能になるなど、制度の拡充が図られております。本県における知的障害者のグループホームの現状となお一層の拡充を図る必要があると思いますが、その対応等についてお伺いいたします。
 第3は、土木部長にお伺いをいたします。
 平成8年の法律改正により、公営住宅を知的障害者グループホーム事業に使用することが認められることになりました。まさに、地域におけるノーマライゼーション理念の拡充と実践に大いに期待するものであります。本県では、県営アパートへのグループホームの実践例はまだありませんが、法の趣旨や現状を考慮し、保健福祉部との連携を強化し積極的な対応を求めるものでありますが、いかがでしょうか。
 次に、深刻さを増す雇用情勢についてお伺いします。
 県内景気が著しく冷え込んでいます。日銀盛岡事務所は10月30日、県内景気は引き続き後退し、雇用環境も悪化傾向をたどっているとする月例金融経済概況を発表いたしました。9月の個人消費は、百貨店、量販店の売上高は前年比4・8%減の70億円、乗用車の新車登録台数も前年比10・6%と、18カ月連続の前年割れであります。新設住宅着工戸数は、貸家、分譲の大幅な落ち込みで、前年比36・5%減の836戸にとどまっております。また、9月の企業倒産は11件で、ことしに入ってからの累計は昨年の2倍を超える105件にも達しております。一方で、雇用情勢は、有効求人倍率で0・51倍、求職者2人に対して1人分の求人しかないという一層深刻な厳しい状況に陥っており、雇用に全力を尽くすことが喫緊の重要課題と思うのでありますが、以下、お伺いをいたします。
 第1は、雇用機会増大促進地域についてであります。
 10月30日の閣議で、久慈地域の1市1町4村がその指定を受けました。久慈地区の有効求人倍率は0・35倍と最も厳しく、次いで宮古地区0・4倍、釜石地区0・43倍と続いているものの、本県の指定は県内10安定所のうち久慈管内だけであります。北海道、青森は全域指定となっており、指定地域の拡大を強力に求めるべきですが、経過と今後の対応についてお伺いいたします。
 第2は、国の100万人雇用創出についてであります。
 政府は、経済対策閣僚会議で24兆円超の緊急経済対策を決定し、その中で、雇用対策に1兆円投入し、中高年失業者対策などを盛り込んでおります。仮称緊急雇用創出特別基金の創出が打ち出されておりますが、基金の内容、骨子についてお知らせいただきたい。
 また、雇用促進の奨励金創設は当面打つべき手ではありますが、継続的雇用に結びつくかは極めて疑問であり、私は、新規に事業を創設した者が新たに雇用する者に賃金助成支援を行う手法が必要と考えるが、これが含まれているかどうか。含まれていないとすれば、県単で実施する考えはないかお伺いします。
 第3は、新規学卒者、特に卒業予定者の就職状況についてお伺いいたします。
 長引く不況が就職戦線を直撃し、県内高校生の就職活動が深刻な状況に陥っています。苦戦と言われた昨年よりもさらに厳しく、内定率、求人倍率とも過去最低レベルだと認識しておりますが、今日の現況をどう把握し、さらにどのような対応をしようとしておりますか。また、県単事業として、新卒者雇用奨励のための補助事業を起こすべきと考えますが、あわせてお伺いします。
 次に、道路問題についてお伺いします。
 第1点は、一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道についてお伺いいたします。
 県営工事による原生林破壊で、工事継続中の奥産道工事について、知事は11月18日の定例記者会見で、今後の奥産道整備について工事の再開は断念すると決定されました。工事再開断念は、知事にとって苦渋の決断だったと思い察するに余りあります。
 私は、知事が選挙公約の基本姿勢の一つに、岩手のかけがえのない美しい自然、美しい心を大切にし、次世代の若者に伝えていきますとの公約があり、みずからの信念と環境創造元年の決意の英断だったと思うのであります。
 しかし、一方で、地元感情は極めて複雑であります。雫石町、松尾村での県民から意見を聞く会では工事再開が圧倒数を占め、土木部における検討結果の公表資料において懸念したような中止した場合の問題、課題に挙げられた地域振興の問題や交通処理、事業執行上のさまざまな問題が今後発生するものと予想されますが、環境創造元年を宣言した知事として、どのような考え方に基づき、この道路整備を断念することとしたのでしょうか。また、懸念されたいろんな問題、課題に対し、どのように取り組むつもりなのか、お考えを示していただきたいと存じます。
 第2は、国道45号盛岡市北山地区の道路整備についてお伺いします。
 県においては、昭和59年から道路改良事業として国道4号バイパスから上米内地区まで事業着手し、現在までに三ツ割地区から松園入り口までの4車線化と現道部分の拡幅整備を進め、従前と見違えるような道路となっております。しかし、残り4号交差点から三ツ割地区までのトンネル部分の工事が進んでいないことから、これまで完成した部分の効果が十分発揮できない状況にあり、同地区の交通問題の解消のため、一日も早いトンネルの完成が待望されております。これまでの盛岡選出県議団の話し合いや、あらゆる努力を重ね、用地の影響を小さくすることや調査委員会の設置について勧告を行い、問題の前向きな解決に全力を尽くしてまいったところであります。現在、用地問題が未解決となっている箇所について、ことし3月には大きな前進があったとのことでございますが、現在までの進捗状況と今後の取り組みについてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 第3は、一般県道西山生保内線の災害復旧の見通し等についてお伺いいたします。
 9月3日、岩手県内陸北部で発生したマグニチュード6・1の地震により、雫石町長山では震度6弱が観測され、公共土木施設に大きな被害が発生したところであります。特に、一般県道西山生保内線においては、道路のり面の崩落、山腹斜面の崩壊などにより、至るところで道路が寸断されて通行不能になったところであります。その後、県の応急工事により、緊急輸送路として1車線の交通は確保されているところでありますが、当路線は、エネルギー開発や観光振興にとって極めて重要な路線であり、一日も早い復旧が望まれます。本路線の被害状況及び災害復旧の見通しについてお伺いをいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 吉田洋治議員の御質問にお答え申し上げます。。
 まず、私のこれまでの総括と2期目出馬への基本姿勢及び決意についてのお尋ねでございます。
 私は、平成7年の4月に知事に就任以来、今日まですべての県民に開かれたわかりやすい県政の実現を目指しまして、県民の皆様が県政を真に身近なものとしてとらえていただくために、現場重視の考え方から県内各地を回り、県政に対する御意見、御提言をお聞きし、県政のあらゆる分野に反映させるよう努めてまいりました。また、住民に身近な行政は、地方が担い、地方のことは地方で責任を持ちながら考える、いわゆる地域主権社会の創造に向けて、県政の主役は県民であるとの認識に立って、公正、公平を旨として県政を推進してきたところでございます。
 さらに、私は、これからの4年間を岩手が新しい時代に羽ばたくための変革と創造の4年間と位置づけ、これまで私が推進をしてまいりました施策の継続性に配慮をしながら、新しい総合計画に盛り込まれる施策を踏まえて、情報の公開と共有化、県民への説明責任、政策形成過程への県民参加などを進め、県民とともに喜びを分かち合える信頼と住民参画の行政や生活者の視点に立った県政を推進して、県民一人一人がふるさと岩手に誇りを持ち、それぞれの地域を舞台に活躍できる夢県土いわての創造に努めてまいります。加えて、現下の厳しい経済状況への対応は何よりも喫緊の課題でございますので、国の政策とも呼応しながら景気対策に積極かつ機動的に対応し、県内経済の回復に全力を尽くすことを基本姿勢といたしまして、2期目の知事選挙に立候補することを決意したところでございます。21世紀を目前に控え、大きな変革の社会を迎えようとしている今、私は、県政を取り巻く諸課題を的確にとらえ、決断と実行の政治姿勢を貫いていく考えでございます。
 次に、新しい総合計画の策定に当たっての基本的考え方についてでございますが、中間報告において計画の基本目標として、みんなで創る夢県土いわてを掲げているところでございますが、これは一人一人の生活者、それぞれの地域が個性的に光り輝き、これが世代や地域をつなぎ、一つの大きな輝きとなり、夢県土いわてを実現することを目指すものでございます。このことは、生活者や地域の視点で私たちの暮らしや地域をもう一度見つめ直し、他のどの地域でもないこの岩手という大地から確かな足取りで歩み始めることを意味するものでございまして、今回の計画をその出発点にしたいと考えております。そのため、みんなでつくり、みんなで進める計画を基本に、これまで地域21デザイン会議や県民アンケート調査などを通じ、約1万7、000人を超える県民の皆さんの声を直接お聞きしながら、計画に反映させるよう努めるとともに、県民の皆さん一人一人のよりどころとしての性格を持たせることに、特に意を用いてきたところでございます。
 私は、基本目標を実現するために、今岩手に住む私たちばかりでなく、将来岩手に生まれ、次代を担う子供たちなどを含めた、より広い意味での県民がみんなで力を合わせて暮らしや地域を見つめ直し、地域の個性を大切に育て、地域らしさを追求するいわて地元学の実践や、岩手を舞台にしながらも世界に通ずる価値観や基準を確立していく岩手スタンダードづくり、そして地域や世代、性別などさまざまな垣根を越えて、お互いの協力でより大きな力を発揮していく新しい結づくりに取り組んでいくことを提唱したところでございます。
 さらに、環境、人、情報を、未来を開く重要な視点と位置づけるとともに、これらの視点に対応した美しいくにづくりプロジェクトなどの三つの先導的プロジェクトや、距離、産業、人の意識などのさまざまな壁を乗り越える七つの課題対応プロジェクトを推進したいと考えております。
 今回公表した中間報告におきましては、審議会からの中間答申を最大限に尊重しながら、このような私の考えを盛り込んだものでありますが、今後これをたたき台として、私自身、各地に出かけるなどして県民から広く御意見を伺いながら、さらに具体のプロジェクトや施策などについて検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、平成11年度の予算編成方針についてでございますが、歳入面では、現下の経済動向や国の財政状況を勘案しますと、自主財源の大宗をなす県税については、法人二税の伸びが期待できないなど厳しい見通しにあり、地方交付税などにつきましてもその伸びが期待できない状況にございます。一方、歳出面にありましては、公債費の増嵩を初め、少子・高齢化対応などの取り組むべき課題が数多くございまして、さらに平成11年度を初年度とする新しい総合計画に盛り込まれる事業を計画的に推進する必要があるなど、本県の予算編成を取り巻く環境は、これまでになく厳しいものが見込まれております。
 したがいまして、来年度の予算編成におきましては、スクラップ・アンド・ビルドの原則のもとに、事務事業の一層の見直しによりまして、歳出の縮減と合理化を図る一方で、重点的に取り組む新しいプロジェクトの創出と地域産業の活性化という二つの課題に対応した施策につきましては、優先的、重点的な推進を図るとともに、総合的な対応が求められる中山間地域の活性化や環境との調和と保全などの施策については、部局横断的に取り組むことといたしまして、でき得る限りの創意と工夫を凝らし、限られた財源の効果的な活用に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地方振興局の予算要求権についてでございますが、地方振興局がそれぞれの課題に対してこれまで以上に主体的にかかわり、名実ともに地域経営を行うにふさわしい地域振興の拠点としての地位を確立し得るよう、明年度当初予算から予算要求権を付与することとしたものでございます。
 また、予算要求の公表についてでございますが、県民の皆様と、ともにつくる開かれた県政の推進の一環として、積極的に情報提供を進めるため、県民生活に密接なかかわりのある県予算の編成につきまして、各部局などの要求の段階から公表することとしたものでございます。
 次に、一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道についてでございますが、去る8月に道路検討委員会より提言をいただきまして、工事継続の可否について種々検討を行ってまいりましたが、最終的にトンネル部を含む残り区間約3キロメートルにつきましては、工事の再開を断念することといたしました。このような判断に至った主な理由といたしましては、工事を行う場合には、当該地域の自然環境などに対する重要性から、アオモリトドマツ群落への影響を最小限とするために、トンネルの最も長い案を選択せざるを得ないと考えたところでございます。しかし、この案によりますと、県内でも有数の規模のトンネルとなり、莫大な費用を要することから、現在のような厳しい経済情勢下では県民の御理解をいただくことが難しいと考えたところでございます。また、観光を主体とした地域振興上の波及効果が必ずしも明確にならないことや、さらに自然と共生する新しいライフスタイルや21世紀を展望した新たな価値観に対応するためにも、このような選択をしたところでございます。
 なお、このことによりまして、これまで投入をいたしました国庫補助金の取扱いや県道としての管理などの問題、さらには地域振興策のあり方などが課題となるところでございますが、関係機関や関係団体などに対し県の考えについて御理解をいただきながら、その解決に努めてまいりたいと考えております。県といたしましては、今回の問題を教訓といたしまして、県行政全体への信頼感をより高めるよう全力を尽くす所存でございまして、県議会を初め、県民の皆様方の御理解をいただきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長吉田敏彦君登壇〕
〇総務部長(吉田敏彦君) まず、財政健全化についての基本的な考え方についてでありますが、行政改革と財政健全化が国、地方を問わず喫緊の課題とされている中にありまして、本県の財政も県税や地方交付税等に従来のような伸びを期待できない状況にあり、一方におきまして、県債残高が増加し、公債費等の義務的経費が年々増嵩してきておりますことから、今後の内外のさまざまな変動に機動的かつ効率的に対応していくためには、弾力性のある財政構造を確立していくことが極めて重要であると考えております。
 このため、昨年10月に策定した行財政システム改革指針に基づき、中期財政見通しを策定し、将来の県財政を見据えた上で、財政の健全化目標として、歳出規模の抑制や歳入に占める県債依存度の縮減等を掲げるとともに、事務事業の一層の見直しに基づく歳出の縮減と合理化や、優先度と緊急度の高い施策の重点的な推進に努めていくことといたしております。また、新たに策定する行政改革大綱におきましては、行政改革懇談会等での御提言も踏まえ、当該指針の基本方向に沿って具体的な取り組み方策を盛り込んだものとしたいと考えております。
 今後におきましても、限られた財源を重点的、効果的に活用しながら、財政の一層の健全化に努め、県民の福祉の向上を図ってまいりたいと考えております。 次に、地方振興局の再編整備についてでありますが、地方分権の進展等に伴い、地方振興局の総合性、自己完結性を一層高めることが求められていると認識いたしております。このため、地方振興局につきましては、これまでもその機能強化を図り、県民の利便性の向上に努めてきたところでありますが、来年度も本庁の一層のスリム化を進め、地方振興局への権限の委譲と職員の重点的配置を行うことにより、現地における県民サービスの一層の向上や事業の円滑な推進を図る一方、予算、人事、組織など執行体制の調整機能の強化についても取り組むことといたしております。
 また、現在12ある地方振興局につきましては、今後の市町村の広域行政の進展、経済活動や県民生活の広域化、交通・情報ネットワークの整備の状況など、時代の流れや環境の変化等に対応して、広域生活圏など広域ゾーンの見直しが進んでいく状況も踏まえながら、その望ましいあり方について検討することが必要と考えております。したがいまして、当面は現行の体制を基本としつつも、さらに広域的な課題への適切な対応や市町村との支援協力関係の強化が効率的に図られるよう、広域生活圏を同じくする地方振興局間の役割分担や内部組織の見直しについて検討するなど、順次その整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地方振興局長への人事権の付与についてでありますが、地方振興局が名実ともに地域振興の拠点として期待される機能を十分に発揮していくためには、総合的事業推進機能の強化とあわせて、地方振興局長の責任において効率的、機動的な行政運営が可能となるように、職員の配置についてもその調整機能を充実強化していく必要があるものと考えております。このため、地方振興局の役付以外の職員については、今後地方振興局長の判断において配置することができるよう、検討を進めているところでございますが、当面、来年度の人事異動に当たりましては、地方振興局長の意見をこれまで以上に十分聴取いたしまして、その意向を考慮してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、審議会等の整理合理化についてでございますが、審議会等は県行政に対する県民の幅広い意見の反映と、専門的な知識の導入を図るために設置しているものであり、従来からその運営の適正化に努めてきたところでありますが、平成8年には審議会等の運営に関するガイドラインを定め、経済社会情勢の変化等によりその必要性が低下したもの、過去5年間において開催実績のないもの、目的、分掌事務が類似しているものなど、あわせて27の審議会等を統廃合するとともに、充て職、代理出席、在任期間、委員の兼任の見直しを進めるなど、その活性化を図るため、さまざまな改善措置を講じているところであります。また、女性委員の登用についても、いわて女性さわやかプランに基づき、審議会等の女性委員の割合を、平成12年度までに25%まで高めるよう努めているところであります。
 今後におきましても、このガイドラインに基づき、審議会等の整理合理化を進めるとともに、委員の公募制の導入の検討や女性委員のさらなる積極的な登用に努めてまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) 世界地熱会議についてであります。
 2000年の会議の準備を担当する国内組織委員会には、知事が顧問に、私が委員に就任しまして、開催県として会議内容の企画立案に参画しており、現在、国内組織委員会のプログラム案が世界組織委員会で検討されているところでありますが、基本的な構成についてはおおむね了解を得ているところであります。
 現時点のプログラム案といたしましては、本会議がアジアで初めて開催されることから、大分の会議においては、主に東南アジアや中南米諸国の地熱エネルギーの利活用について討議を行うこととし、後半の岩手での会議においては、エネルギーを大量に消費する欧米諸国及び日本などの先進国の、地球環境を守るクリーンで再生可能なエネルギーである地熱エネルギーの高度利用技術について討議を深めることとしております。会議の最終日には、両地域の会議の全体の取りまとめとして総括を行うことになっており、また、これにあわせて、これまでの会議史上初めて大会宣言を行うことが検討されているところであります。このことは、豊かな自然環境の中で地熱資源の開発利用に取り組む、そして環境先進県を目指す岩手の姿を世界に広くアピールする絶好の機会でもありますし、本県が21世紀に向けて環境やエネルギー問題に対応していく上でも大変意義深いものと考えており、県としても会議の成功に向けて万全を期してまいる所存であります。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、心身障害児者の短期入所事業についてでありますが、障害保健福祉施策の推進に当たっては、障害者が住みなれた家庭や地域の中で、可能な限り生活を続けることができるよう必要な在宅サービスを提供し、障害者の自立を支え、社会参加を進めていくことが重要であります。また、障害者本人に対する施策の充実はもとより、障害者を介護、養育する家族等の負担を軽減する家庭支援施策の充実があわせて重要であるため、現在、短期入所やホームヘルプ、デイサービスなどの事業を実施しているところであります。
 御指摘のように、障害者を介護する家族が、必要なときに、いつでも気軽に障害者を預け、休息をとれるような家庭支援の施策を求める声が保護者等から寄せられ、その必要性については認識しているところであります。こうした要望にこたえる新しいサービスの形態として、一時的な介護サービスをより弾力的に提供するレスピットケアの重要性が議論されてきており、国においては、昨年12月に公表された障害関係三審議会による、今後の障害保健福祉施策のあり方についての中間報告に、制度創設の必要性が盛り込まれているところであります。県といたしましては、保護者のニーズ等を踏まえ、本県におけるレスピットケアのあり方について十分に検討してまいりたいと考えております。
 次に、グループホームの現状等についてでありますが、グループホームは、就労し、地域で共同生活を営んでいる知的障害者に対し、必要な援助を行い、自立生活を助長することを目的としております。現在、本県の知的障害者のグループホームは、東北で最も多く46カ所が設置されており、190人を超える方々がここを生活の拠点としております。この事業は、障害の重い方であっても地域で普通の生活を営み、積極的に社会参加を果たしていくために極めて重要な政策であることから、県といたしましては、今後におきましてもグループホームの設置数の拡大及びその設置の弾力化の検討等を運営内容の充実を図り、知的障害者の自立の支援と社会参加の促進に一層努力してまいりたいと考えております。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) まず、県営住宅のグループホーム事業に係る使用についてでありますが、従来、公営住宅をグループホーム事業に活用することは、旧公営住宅法の枠内ではできなかったわけですが、平成8年の同法の改正により、公営住宅の適正かつ合理的な管理に著しい支障のない範囲内で同事業を行う社会福祉法人等に公営住宅を使用させることができることとなりました。県におきましては、県営住宅のグループホーム事業への活用は、知的障害者等の地域社会における自立生活の援助に資することと考えており、これまでその活用について新聞、テレビ等で広報を行うほか、市町村に説明するなど周知に努めているところであります。
 しかしながら、新しい制度でもありますので、これまでのところ本県では、県営住宅をグループホームに活用した例はありませんが、今後におきましても福祉部局との連携を一層緊密にして、積極的に対応してまいりたいと考えております。
 次に、国道455号の北山地区の道路整備についてでありますが、本道路の未整備区間は、国道4号からトンネル出口までの約1・5キロメートルであり、その一部用地については長年にわたり同意が得られず、いまだ着工がなされていない状況であります。これまで地元の県議会の皆様など多くの方々の御協力を得ながら、県としても地権者と積極的な交渉を重ねてまいったところであります。その結果、ようやく昨年からは前向きな話し合いとなり、本年3月には測量調査の実施について承諾をいただいたところであります。現在は現地の測量調査を終え、その成果を取りまとめているところでありますが、本地域が風致地区で、また北山寺院群の環境保護地区とも隣接していることから、自然と歴史的環境に十分配慮するなど、関係機関とも連携を密にして取り組んでまいりたいと考えております。県としては、同地区の交通上の隘路区間の解消が喫緊の課題であることから、地権者の御理解をいただけるよう引き続き精力的な話し合いを行い、事業の早期着手がなされるよう努めてまいる考えであります。
 次に、一般県道西山生保内線の被害状況及び災害復旧の見通しについてでございますが、御案内のとおり、一般県道西山生保内線は9月3日の地震により、大規模な山腹斜面の崩壊、落石及び舗装のクラックなどが発生し、10カ所で48億5、900万円の被害を受けたところであります。本路線の被害箇所は、道路区域を含めた全域が国有林であり、さらに国立公園となっており、また道路のり面上部の山腹の崩壊も多いことから、青森営林局との所要の調整を図り、12月上旬に災害査定を受けることとしております。災害査定が終了し次第、林野庁及び環境庁に所要の法的手続を行うとともに、実施に当たっては建設省と工法の詳細について協議を行い、平成11年度中ごろには工事に着手することとしております。災害復旧事業は、被災した年も含め、3カ年での復旧が原則でありますことから、当該期間内での復旧が図られるよう鋭意努力してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) まず、地域雇用開発促進法に基づく雇用機会増大促進地域の指定についてでありますが、この地域指定の要件につきましては、国が定める基準に基づいて指定を受けるものであります。基本的には、その地域に多数の求職者が居住し、かつ、雇用機会が相当程度不足している地域が前提となっておるものであります。具体的には、本年7月以前の最近5カ年の常用有効求人倍率の月平均値が全国以下である地域、及び最近6カ月間の常用有効求人倍率の月平均値が全国平均以下である地域というふうになっております。この二つの要件双方に該当しますのは、県内10あります公共職業安定所中、久慈公共職業安定所管内のみでございましたので、県が国に対して申請をし、去る5日指定されたものであります。この地域に指定をされますと、指定後5年間は地域雇用開発助成金の交付など、管内の雇用開発にとりまして有利な施策が講じられますので、当制度の積極的な活用を図ってまいりますが、久慈以外の地域につきましても、指定基準に該当することとなった場合につきましては、速やかに地域指定の申請を行ってまいりたいと考えております。
 次に、国の100万人雇用創出に係る緊急経済対策として、去る16日、経済対策閣僚会議において創設することが発表されました緊急雇用創出特別基金--これは仮称でありますが、この御質問の基金の内容、骨子につきましては、国において詳細についてまだ明らかにされていない状況でございます。
 仄聞するところによりますと、失業率が3カ月続けて国が定める一定の率、現在5・2%程度を考えておるようでありますが、これを上回った場合の臨時措置といたしまして、中高年齢者を新たに雇い入れた事業主に直接数十万円の奨励金を支給する方向で検討していると伺っております。したがいまして、御提言がありました新規に事業を行った者に対しての賃金助成につきましても、今後明らかにされる施策の内容を見きわめた上で、その対応を検討してまいりたいと考えております。
 次に、高校卒業予定者の就職状況についてでありますが、10月末現在、就職希望者6、006人に対して求人は1万286人で、求人倍率は1・71倍となっているところでございます。これを県内就職だけについて見ますと、就職希望者4、168人に対して求人は3、982人でありまして倍率は0・96倍と、昨年同期の1・42倍と比較しても厳しい状況になっております。また、10月末現在の就職内定者は3、705人で、前年同期に比べ率にして19・3%、実員で888人の減少となっております。さらに、就職内定率で申し上げますと全体で61・7%となっておりまして、これも前年同期70・1%を8・4ポイント下回っている状況にございます。このような中におきまして、新規学卒者も含めまして国の総合経済対策の一環として緊急雇用開発プログラムが実施されておりますが、この着実な実施による求人開拓に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 今後、緊急経済対策として講じられる予定の若年者に対する積極的な就職支援策も導入可能と考えておりますので、さらに早期の就職内定について努力をしてまいる考えでございます。
 また、県単事業としての新卒者雇用奨励の補助事業の創設についてでございますが、現在の景気低迷による労働力需要不足は高校卒業者のみに限らず、一般求職者、高齢者、障害者等を含む一般の有効求人倍率は、御案内のとおり0・51倍と大変厳しい状況になっております。したがいまして、求人倍率0・96倍と申し上げましたが、比較的就職に優位な高卒者に助成措置を講じることにつきましては、一般求職者の求人状況との均衡に十分な配慮をする必要があると考えておりますので、当面は財団法人ふるさといわて定住財団が全県を対象として実施する雇用環境整備等の企業相談などの事業を通じまして、新規学卒者、若年層を含めた雇用の拡大に努めてまいる考えであります。
〇37番(吉田洋治君) ただいまは増田知事以下、各部長からの積極的な御答弁をいただきましてありがとうございました。
 増田知事におかれましては、これまで3年数カ月の総括、あるいはまた次期知事選への出馬、その基本姿勢と決意、あるいは七つの基本政策をお示ししたわけでございまして、どうかひとつ、これからもそうした基本的な考え方に基づきまして、ぜひ全力で頑張っていただきたいと、こういうことでエールを送りたいと思います。
 私、雇用関係について若干再質問をさせていただきますが、景気回復と雇用問題は、今、政治が直面している緊急課題という認識を持つべきだと、このように思っております。景気というよりも、不況下の中で中小企業対策として実施いたしましたいわて緊急経済対策資金、これは国に先駆けての県単独事業として、中小企業を多く抱える本県にとりましては非常にタイムリーな事業だったと、このように思っておりまして、今次12月の補正を加えまして融資枠が450億円というふうになりまして、非常に高く評価すると同時に、反面、深刻な不況を浮き彫りにしていると、このようにも思うわけでございます。
 一方、国では、中小企業金融安定化特別保証制度、これを創設いたしまして、この10月1日から取扱いが開始されておるわけでございますが、取扱状況はどうなっているでしょうか。この制度は、中小企業貸し渋り対策大綱、これを閣議の決定を受けまして、金融機関から貸し渋りを受けるなど、資金繰りに支障を来している中小企業者に対しまして積極的な保証を実行するための制度でございますが、いわゆる貸し渋りの実態をどのように把握して、どのように対応を進めてこられたのか、あわせてお伺いをいたします。
 県の中小企業振興公社県産業情報センターの調査を見ますと、9月末現在の632社の回答では、来春の採用計画で、採用しないという回答が全業種で48・5%、まだ未定だと、私は未定というのは採用しないという部分に含まれると思うんですが26・7%、採用計画があるという回答がわずか28・4%と報じておりまして、サービス業は、採用計画ありがわずか13・3%ということでございまして、これは、この種の調査を始めた昭和50年の調査開始以来、最悪の状況というふうに認識をしておるわけでございます。
 ただいまお伺いしましたように、新規学卒者の極めて深刻な苦しい就職戦線状況でございます。ただいま部長の御答弁にあったようなことでございますが、私はあえて何度も申し上げるんですけれども、本当に深刻なんですね。まさに病気で言えば重症だというふうに思います。だから対策として、公的支援とその対策が重要だというふうに思うわけでございますが、雇用機会増大促進地域の指定では、今、部長から答弁がございましたように、5年間公的機関によるさまざまな支援が受けられるわけでございまして、国の定めた条件があるのでございますけれども、さらに拡大を図っていかなければならないのではないかと、こう思うんです。青森県は全域が指定になっておりますし、秋田県でも能代、大館、鹿角の3安定所管内が含まれておりまして、岩手では今、御答弁ありましたように久慈管内だけでございます。八戸市は、緊急雇用安定地域としてさらに手厚い支援策が用意をされている状況とも承っております。
 かつて昭和50年代に、特定不況地域中小企業対策特別法が施行されまして、昭和58年の6月までの時限立法でございましたけれども、それが改正、延長されまして昭和63年6月までの時限立法となり、本県でも釜石市や大船渡市、あるいは遠野市が対象となりまして、中小企業の経営安定対策、あるいはさらなる企業立地対策、こういうのが講じられる大きな要因にもなったと、新たな振興対策が加えられることになったというふうに過去を振り返りまして、私、そういう認識をしているわけでございます。したがって、もっと突っ込んだ諸対策を講ずるべきではないかと、このように思うわけでございます。
 そこで、国では、労相、通産相、官房長官など、雇用問題に関連する政府関係機関と、日経連あるいは連合のトップらで構成します政労使雇用対策会議が設置されまして、深刻な状況にある雇用問題の解決策を探っている状況にもございます。本県でも、地域雇用開発促進法に基づきまして、具体的な雇用創出に向けて行政あるいは有識者、労使の代表によります協議会の設置、こういうものを図りまして今、厳しい深刻な雇用問題に対応すべきではないかというふうに思うのでございますが、いかがでしょうか。
 それから、障害者雇用についても若干触れたいわけでございますが、平成10年の障害者雇用率は1・63%、法定雇用率の1・6%を上回ったのでございますが、雇用率を未達企業の割合も46%、約半数の企業を抱えている状況にあります。一方で、平成10年7月1日から、法定雇用率がただいま申し上げました1・6%から1・8%にアップしたところでございまして、障害者が生きがいを持って社会活動に参加するためさらに積極的な対策を講じていかなければならないと、各職業安定所管内でもさまざまな努力を試みておると認識をしておりますが、部長の御答弁をお願い申し上げたいと、このように思います。
 先ほど総務部長から、各種審議会等の今後の対応につきましてお話がございまして、さらに積極的に進めていただきたいと、こう思うわけでございますが、あわせて行財政改革の一環と認識をしますが、県出資法人の情報公開と公社等運営協議会のあり方についてお伺いいたします。
 私も公社等運営協議会の一員にさせていただいておるわけでございますが、県が出資している71法人のうち、出資割合が25%以上の53法人につきまして、財務諸表や決算書などの財務関係資料を来年度から公開する方針を固めたところでございます。これは、今、知事が言う、透明という分野につながると思うわけでございますが、本県には公社等運営協議会が設置されまして、53の法人について公社等の運営に関する諸問題を協議しておりまして、これは今申し上げましたように、そのほとんどが公開の対象となります。
 そこでお伺いするわけでございますが、今後、県出資法人の情報公開、これについてどのように推進をしようとしているのか、その基本的な考え方をお伺いしたいし、また、平成8年度に設置規程の見直しをいたしました。そして現在に至っておるわけでございますが、これが年1回のペースなんです。そして1回の開催の中で、対象法人が3ないし4ということでございますから、なかなか年間を通じましても十分な特殊法人のさまざまな協議ができないと思っていろいろと反省をしているところでございますが、これはやはりこうした公開の制度が出てきますと、さらに協議会の回数をふやしていくべきではないかというふうに思うんです。今は年1回以上ということにしておりまして、大体年1回今までやってきたわけでございますが、これは複数回にしていきながら、公社等法人の行財政改革への提言を含めてさらに充実強化を図っていくべきだと、私今までやって参りまして、このように思うのでございますが、いかがでしょうか。
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) まず、去る10月1日から発足いたしました中小企業金融安定化特別保証制度の取扱状況についてでありますが、11月20日現在における信用保証協会の保証承諾を見ますと、件数で391件、金額で82億7、680万円というふうになっておる状況でございます。
 また、貸し渋りの実態とその対応についてでございますが、8月28日に閣議決定されました中小企業等貸し渋り対策大綱に基づきますこの保証制度の取扱いにおきましては、適正かつ健全に事業を営んでいるにもかかわらず、金融環境の変化等に伴い、必要な事業資金の調達に支障を来しているものを貸し渋りを受けている中小企業というふうにしております。この新しい制度は、市町村長の認定を要件としておりまして、その中で九つの要件が定められておりますが、借入金利の引上げ、担保の積み増しなど、いわゆる貸し渋りに相当すると思われる要件が見られる一方で、単に金融機関から保証協会の保証を求められた場合も含むなど、保証制度の運用に当たり最大限の配慮がなされているものであります。したがいまして、当該制度の認定状況から見ました場合は、先ほど申し上げました本県の391件の企業は、その要件に該当しているものというふうに考えているところでございます。
 県といたしましては、この保証制度が県内中小企業の資金繰りの緩和に相当役立つと認められますことから、今後とも、市町村、金融機関等との緊密な連携を進めながら、積極的な活用が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、地域雇用開発促進法に基づく協議会の設置によりますところの雇用問題の対応についてでございますけれども、本県におきましては、平成元年でありますが、学識経験者、労使団体、地方自治体を構成員とする岩手県地域雇用開発協議会を設置しておりまして、本県にふさわしい雇用開発の方向やあり方、産業構造変化に対応した雇用対策等についての検討・提言をいただいているところでございます。
 また、今回、久慈公共職業安定所管内が地域指定されたことに伴いまして、当地域におきましても、市町村、労使団体等、地域関係者を構成員とする久慈地域雇用開発会議を新たに設置し、関係者の意思の疎通を図るとともに、地域の実情に即した雇用開発の方向、それから具体的な方向について検討をいただくことにいたしております。しかしながら、現下の厳しい雇用情勢といったことにかんがみますと、これまでの協議会のあり方についてはさらに新しいテーマ等をつけ加えまして、そして雇用問題に関するさまざまな協議をしてまいりたいというふうに考えておりますので、この適切な運用を図ってまいりたいというふうに考えております。
 それから、障害者雇用についてでありますが、御案内のとおり、障害者の雇用の促進と職業の安定を図るためには、社会全体の理解と協力を得るよう啓発に努め、いわゆるノーマライゼーションの理念を一層浸透させるとともに、この理念に沿って障害者が可能な限り、一般雇用につくことができるようにすることが基本であるというふうに考えております。このことから、例年9月を障害者雇用促進月間と定めまして、事業主に対し集中的に障害者雇用の理解と促進を図っているところでありますが、御案内のとおり、本年6月1日現在で、県全体としては国の法定雇用率であります1・6%、これを達成してはおりますものの、まだ46%の企業が法定雇用率を達成していないという状況でございます。このため、県及び公共職業安定所におきましては、職場適応指導、きめ細かな相談援助を行っておりまして、また、各種助成措置を講ずることとして、訪問等による個別指導も重ねて実施しているところでございます。
 最近の景気低迷によりまして、健常者も含めて雇用維持・確保が難しい状況にありますことから、現在雇用されている障害者の雇用の維持を最優先としながらも、本年7月1日には法定雇用率が1・8%となりましたので、これをクリアすることができますように、各種助成金の活用による雇用の確保、障害者と企業との情報交換会あるいは面接会、こういうものを実施しながら、法定雇用率を達成してまいりたいというふうに思います。
 残念ではありますけれども、法定雇用率を達成できない企業に対しましては、今般、国の方でも雇い入れ計画作成命令、それから同計画の適正実施勧告、こういうものを厳正に行うというような指導がございますので、県におきましても、これらの雇用率の維持改善についての厳正な運用に努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
   〔総務部長吉田敏彦君登壇〕
〇総務部長(吉田敏彦君) まず、出資法人の情報公開の推進に関する基本的な考え方についてでありますが、県の情報公開制度に準じまして、県民の皆様から要望がありましたときは、その求めに応じまして出資法人の保有する文書の開示を行う制度を設けたいと考えておりまして、当面は県の全額出資法人など、県行政との一体性が特に強い法人を対象としつつ、順次、出資比率が2分の1以上の法人に拡大していきたいと考えているところでございます。また、この制度とは別に、出資法人の情報提供等を促進するという観点から、県の出資比率が4分の1以上の法人などについては、定款あるいは寄附行為、役員名簿、事業報告書、貸借対照表など、一定の書類を該当する出資法人の協力を得ながら県の行政情報センター等に備えまして、県民の皆様の閲覧に供するようにしたいと考えております。
 次に、公社等運営協議会の充実強化についてでありますが、本協議会は、出資法人運営の基本的事項及び行政指導上特に必要な事項につきまして、有識者からの幅広い御意見をいただくことを目的として設置したものでございますが、平成8年5月には、協議会にお諮りいたしまして、お話がありましたように、対象法人の拡大とか年1回以上開催することを明文化したところでございます。したがいまして、今後、その趣旨を十分反映させるためにも、御指摘のとおり、法人運営などにつきまして協議会の御意見や御提言をお聞きすることは、適正な運営を図る上で極めて有意義なものと考えますので、開催回数や協議法人数の増加を図るなど、協議会のさらなる充実強化に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇37番(吉田洋治君) 最後に商工労働観光部長、要望でございますが、私の承知する情報では、平成8年に約1、500人、平成9年が約2、900人、それから平成10年が約4、000人、これ大体9月末現在なんですが、全国で障害者が解雇されている実態というものがございます。10年はもっと数がふえて1万人に達する可能性もあるということで、非常に障害者団体も憂慮しているという実態もありまして、障害者雇用について、今、部長から決意あるいは勧告等を含めてお話がございました。どうか今後とも、ひとつよろしく強化をしていただきたいというように思います。終わります。

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