平成11年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成11年3月3日(水)
   

1開会  午前10時4分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長 佐藤嘉成
議事課長 藤沢重一
議事課長補佐 駿河 勉
主任議事管理主査 千田正和
議事管理主査 南 敏幸
議事管理主査 筒井則裕
議事管理主査 森 達也
議事管理主査 熊谷正則

1説明員
副知事 千葉浩一
 
総務部長 吉田敏彦
総務部次長兼県立大学室長 和美宏幸
総務部次長兼行政システム改革室長 盛 合 桂三郎
総務学事課長 小野寺 禎 夫
人事課長 照井 崇
財政課長 千葉 弘
施設管理課長 佐藤国洋
税務課長 山口一彦
消防防災課長 篠谷 隆
 
企画振興部長 武居丈二
企画振興部次長 竹内重徳
企画振興部次長 佐藤 勝
企画調整課長 上 野 賢一郎
地域政策課長 中村世紀
特定地域振興室長 菊池秀一
市町村課長 久保隆男
情報科学課長 黒 田 淳一郎
交通政策課長 河原畑徹
資源エネルギー課長 名須川 定 男
広聴広報課長 小原公平
   

〇佐藤議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっておる。出席委員中、藤原哲夫委員が年長の委員であるので、御紹介申し上げる。藤原哲夫委員、どうぞ委員長席に御着席を願う。
   〔年長委員藤原哲夫君委員長席に着く〕

〇藤原年長委員 ただいま紹介のあった藤原哲夫である。よろしく御協力をお願い申し上げる。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開く。
 これより委員長の互選を行う。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行う。
 お諮りする。委員長互選の方法については、指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることに決定した。
 お諮りする。指名推選の方法については、当職において指名することにしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。
 予算特別委員長に、三河喜美男君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した三河喜美男君を、予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した三河喜美男君が予算特別委員長に当選された。
 ただいま当選された三河喜美男君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。
 三河委員長、委員長席にお着き願う。
   〔予算特別委員長三河喜美男君委員長席に着く〕
   (拍手)

〇三河委員長 一言ごあいさつを申し上げる。
 平成11年度の予算審査に当たり、予算特別委員長に御指名をいただいたことは大変光栄である。心から感謝を申し上げる。
 任期最後の予算委員会であるにもかかわらず、3・1%の大型予算である。委員の慎重審議を御期待申し上げる次第である。
 なお、任期最後であるので、何かと委員方もお忙しいことと存ずるが、会議が成立するように御協力をお願い申し上げたいと思う。
 審査に当たっては、慎重な中にも円滑な委員会運営が図られるよう、皆様方の御指導と御協力をお願い申し上げ、ごあいさつとする。よろしくお願い申し上げる。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇三河委員長 御異議なしと認め、さよう決定する。
 これより副委員長の互選を行う。
 お諮りする。副委員長互選の方法については、指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇三河委員長 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることに決定した。
 お諮りする。指名推選の方法については、当職において指名することにしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇三河委員長 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。
 予算特別副委員長に、菊池雄光君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した菊池雄光君を、予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇三河委員長 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した菊池雄光君が予算特別副委員長に当選された。
 ただいま当選された菊池雄光君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。
 菊池副委員長、ごあいさつをお願い申し上げる。

〇菊池副委員長 菊池雄光である。
 委員長を補佐して一生懸命頑張るので、よろしくお願いする。(拍手)

〇三河委員長 お諮りする。当予算特別委員会に付託された議案52件についての審査の方法であるが、お手元に配布してある日程案のとおり、本日から5日まで、及び8日から11日までの7日間は、関係部局長の説明を求め質疑を行うこととし、議案52件に対する意見の取りまとめと採決については、11日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を終えた上で行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇三河委員長 御異議なしと認め、さよう決定する。
 これより議事に入る。議案第1号から議案第21号まで、議案第26号から議案第37号まで、議案第40号、議案第43号、議案第45号から議案第47号まで、議案第49号、議案第50号、議案第52号及び議案第54号から議案第64号まで、以上、52件を一括議題とする。
 これより平成11年度予算の総括説明を求める。

〇吉田総務部長 総括について御説明申し上げる。
 特に資料は配布いたしておらないが、まず、国の予算と地方財政計画についてである。
 国においては、いわゆる15カ月予算の考え方のもとに、平成10年度の第3次補正予算と一体的にとらえて、当面の景気回復に向け、全力を尽くすとの観点に立って編成するとともに、財政構造改革の基本的な考え方は維持しながらも、限られた財源の中で経費の一層の合理化、効率化及び重点化を図ることを基本方針として編成が行われた。この結果、平成11年度の国の一般会計予算規模は81兆8、601億円余となっており、前年度に比較して5・4%の伸びとなり、国債費、地方交付税交付金等を除いた一般歳出でも5・3%の伸びとなっているところである。
 地方財政については、現下の厳しい経済情勢等を踏まえ、景気に最大限配慮して実施される恒久的な減税に伴う影響額2兆5、995億円については、地方交付税の増額や減税補てん債の発行に加え、国税の一部委譲や地方特例交付金の創設によって、また、引き続き生じることとなった財源不足額の10兆3、694億円については、地方交付税8兆1、194億円の増額と財源対策債2兆2、500億円の増発により補てんし、当面の財政運営に支障が生ずることのないよう配慮されたところである。この結果、地方財政計画は1・6%の伸びとなり、公債費等を除く一般歳出は1・8%の伸びとなっておる。
 地方財政計画の主な内容であるが、まず歳入については、地方税は8・3%の減、そのうち県税は15%の減と見込まれておる。地方譲与税は2・0%の増、地方交付税は19・1%の増、また、国庫支出金は2・0%の増と見込まれているところである。地方債は、地方財政の健全性の確保に留意しつつ、活力ある豊かな地域社会づくりを目指して、安心して生活できる地域社会づくりや個性豊かで魅力ある地域づくりなどに重点的・効率的に対応できるよう、全体で2・3%の増となっておる。また、使用料・手数料については、1・8%の伸びが見込まれておる。
 歳出においては、徹底した行政経費の抑制を基本とする一方、当面の緊急課題である経済再生への対応、少子・高齢化社会に向けた地域福祉施策の充実等に対処することとしているところである。
 次に、本県の予算についてである。
 平成11年度の当初予算は、統一地方選挙を控えていることから、新規、政策的な経費は原則として計上しない、いわゆる骨格的な予算として編成したところであるが、依然として厳しい経済情勢を踏まえ、県内経済の活性化を図るため、国のいわゆる15カ月予算に呼応して、公共事業や老人福祉施設の整備などの投資的経費を積極的に計上するとともに、中小企業向けの融資枠を拡大するなど、景気対策に最大限の配慮をいたしたところである。また、平成12年度から開始される介護保険制度の円滑な導入やハセップ関連予算等、次期、早期に取り組むべきものについては、当初予算段階で措置いたしたところである。
 予算の概要について申し上げると、歳入面では、低迷している景気の動向や恒久的減税により県税が大幅に減収となるなど、これまで以上に厳しいものがあったが、財政の健全化に配意し、県債の発行をできるだけ抑制しながら、使用料・手数料の見直しや未利用地の処分を進め、基金の取り崩しなど、あらゆる手だてを講じることにより財源を確保したところである。
 一方、歳出面では、事務事業評価システムによる事務事業の廃止・縮減等、徹底した歳出の合理化と縮減を図るとともに、優先度と緊急度の高い施策をこれまで以上に厳選するなど、歳出の重点化に努めたところである。この結果、当初予算の規模は8、697億1、100万円余であり、前年度当初予算対比で3・1%の増となったものである。
 次に、歳入歳出予算の概要について申し上げる。
 便宜、お手元の予算に関する資料の1ページをお開き願う。
 平成11年度一般会計歳入歳出予算総括表の第1表、歳入のうち、自主財源は、県税、地方消費税清算金、分担金及び負担金、使用料及び手数料、さらに財産収入から諸収入までであり、その総額は3、118億2、200万円余で、前年度の当初予算に比べると4・4%の増となるが、歳入に占める割合は35・9%と、前年度よりも0・5ポイント上昇しておる。これは、県税や基金繰入金が減少したものの、諸収入や分担金及び負担金が増加したことなどによるものである。また、依存財源は、地方譲与税、地方特例交付税、地方交付税、交通安全対策特別交付金、国庫支出金、県債であるが、総額5、578億8、900万円余で、前年度に比べると2・4%の増となり、その構成比は64・1%となるものである。これは、国庫支出金や県債が減少する一方で、地方交付税が増加したことによるものである。
 なお、地方特例交付金は、前に申し上げたとおり、恒久的減税に伴う地方税の減収の一部を補てんするために創設されたものである。
 次に、歳出であるが、主要事業についてはそれぞれの所管部局の審議の際、関係部局長から詳細に御説明をするので、款別歳出については説明を省略し、私からは性質別の主なものについて説明申し上げる。ただいまごらんいただいておる予算に関する資料の3ページをお開きを願う。
 平成11年度一般会計歳出性質別内訳表のうち、まず人件費は、表の右端の増減率欄をごらんいただくと0・5%の増となっておる。同様に、物件費は3・0%の減、維持補修費は0・6%の増となっておる。4ページの扶助費であるが、これは1・9%の増である。補助費等は4・4%の増であるが、これは、地方消費税清算金や全国高校総体実行委員会負担金が増加したことなどによるものである。普通建設事業費は5・9%の減となっており、そのうち単独は9・2%の減となっておるが、これは、国の15カ月予算に呼応して、本来平成11年度の当初予算で措置するべき分の一部について、平成10年度の12月補正、2月補正予算に前倒しで措置したことによるものである。次に、5ページの災害復旧費であるが、平成10年度の大雨災害にかかわる復旧費等の増により24・8%の増と見込んでおる。
 なお、普通建設事業と災害復旧費をあわせた投資的経費については、12月補正予算、2月補正予算及び平成11年度当初予算案を一体のものとして、平成10年度当初予算と比較すると12・8%の増となっておる。
 公債費は11・0%の増となっておるが、これは、平成4年度以降の国の経済対策に伴う地方負担額の財源とされた補正予算債等の元金償還額が増加していることなどによるものである。積立金は、県債管理基金、公共施設等整備基金の果実収入の積み立てを見込んだものであるが、金利の低下に伴い44%の減である。出資金は93・7%の大幅な減となっておるが、これは、病院事業会計に対する出資が減少したことなどによるものである。貸付金は、いわて緊急経済対策資金貸付金や中小企業経営安定資金貸付金の増等に伴い、46・3%の増である。繰出金は43・5%の減となっておるが、これは、自治振興基金について、インターハイ関係施設の整備完了などに伴って、貸付金の需要が減少したことにより繰り出しが皆減したことや、県有林造成基金の活用による県有林事業特別会計への繰り出しの大幅な減などが主なものである。
 一般会計歳入歳出予算の概要は、以上のとおりである。
 特別会計については、所管部局において御説明申し上げるので私からは省略させていただく。
 なお、歳入、その他については、盛合総務部次長から御説明申し上げる。
 以上で、総括説明を終わらせていただく。

〇盛合総務部次長 それでは、歳入、その他について御説明申し上げる。
 お手元の議案その1の1ページをお開き願う。
 議案第1号平成11年度岩手県一般会計予算であるが、第1条は、歳入歳出の総額を8、697億1、157万9、000円と定めるものである。第2条は、債務負担行為の限度額等を、第3条は、地方債の限度額等を定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円と定めるものである。第5条は、職員の給与についての流用を定めたものである。
 次に、歳入について御説明する。
 便宜、予算に関する説明書、厚い冊子であるが、この4ページをお開き願う。
 まず、1款県税1項県民税は258億1、500万円余で7・3%の減、次の2項事業税は222億7、900万円余で22・9%の減となっておるが、これらは、いずれも恒久的減税の実施や企業の業績見通し等により、減収が見込まれるものである。
 次に、6ページの3項地方消費税は140億1、800万円余、11・4%の増となっておるが、これは、本県の消費の構成割合等を勘案したものである。
 4項不動産取得税は36億7、100万円余で20・8%の減となっておるが、これは、建築分の大口の取得が減少する見込みであることなどによるものである。
 次に、8ページの5項県たばこ税は27億4、000万円余、6項ゴルフ場利用税は6億7、900万円余、10ページの7項特別地方消費税は7億7、500万円余となっておる。
 次の8項自動車税は209億3、000万円余で2・3%の増となっておるが、定期賦課台数の増加が見込まれることによるものである。
 次に、12ページの9項鉱区税、10項狩猟者登録税は、最近の課税実績等を勘案し、それぞれの収入見込み額を計上したものである。
 次に、14ページの11項自動車取得税は47億6、900万円余で18・4%の減となっておるが、これは、消費の低迷による新車の登録台数の減を見込んだものである。
 次に、12項軽油引取税は225億7、200万円余で0・8%の減となっておるが、これは、景気動向による物流への影響等を見込んだことによるものである。
 次に、16ページの13項入猟税は、狩猟者登録税と同様、課税実績等を勘案して計上したものである。
 次の14項は、平成元年度に実施された税制改革に伴う旧法による税である。
 以上、県税の合計額は1、183億6、000万円余で、前年度当初予算額に比べ87億500万円余、6・9%の減となるものである。
 次に、18ページの2款地方消費税清算金は237億8、400万円余、10・5%の減となっておる。これは、全国の消費の落ち込みによる減を見込んだものである。
 次に、3款地方譲与税であるが、1項地方道路譲与税は28億3、000万円余、20ページの2項石油ガス譲与税は3億3、800万円余、3項航空機燃料譲与税は1、500万円余と見込んでおる。
 次に、22ページに参って、4款地方特例交付金であるが、恒久的な減税に伴う地方税の減収の一部を補てんするため、地方税の代替的性格を有する財源として創設されたものであるが、9億6、400万円を計上しておる。
 次に、5款地方交付税であるが2、621億5、800万円余、8・1%の増を計上しておる。
 次に、24ページの6款交通安全対策特別交付金は6億9、800万円である。
 次に、7款分担金及び負担金であるが、1項分担金は土地改良のほ場整備事業等に係る分担金であり、26ページの2項負担金は、総務、民主、衛生、農林水産、土木及び教育に係る受益者負担金を計上したものである。
 次に、29ページの8款使用料及び手数料であるが、1項使用料の主なものを申し上げると、2目民生使用料ではし体不自由児施設使用料、30ページの5目農林水産業使用料では漁港施設使用料、7目土木使用料では空港施設使用料、道路占用料、河川占用料、県営住宅使用料、9目教育使用料では高等学校授業料、32ページの県立大学授業料が主なものである。これら使用料の総額は、32ページのとおり84億7、900万円余で、1、800万円余の減となっておるが、これは、県立大学授業料の学年進行による増が見込まれるものの、空港使用料の減などが影響したものである。
 次に、33ページの2項手数料であるが、1目総務手数料から9目教育手数料まで、あわせて37ページに記載のとおり総額31億6、800万円余で3億5、900万円余の増となっておるが、これは、36ページの警察手数料の運転免許手数料の増などによるものである。
 次に、38ページに参って、9款国庫支出金であるが、1項国庫負担金の主なものを申し上げると、1目民生費負担金では、7節の児童扶養手当24億6、200万円余、9節の生活保護30億9、800万円余であり、39ページの3目農林水産業費負担金では、1節の農業共済団体等事務18億800万円余、4目土木費負担金では基幹河川改修事業、砂防事業などがその主なものである。5目教育費負担金では、義務教育人件費に係る国庫負担金がその主なもので、災害復旧費負担金を含め、国庫負担金の総額は、40ページのとおり676億9、100万円余となっており、2・5%の増となっておる。
 次に、41ページの2項国庫補助金であるが、その総額は、59ページまで飛んでいただき、1、042億9、600万円余で4・3%の減となるものである。
 次に、60ページの3項委託金であるが、前年度参議院選挙の委託金の減等により、総額は63ページに記載してあるとおり、17億5、700万円余の28・9%の減となっておる。
 次に、64ページの10款財産収入1項財産運用収入は、2目利子及び配当金の基金運用収入などにより15億9、400万円余を見込んでおり、2項財産売払収入は、土地の売り払いなどにより8億1、900万円余を見込んでおる。
 次に66ページ、11款寄附金は1、000万円余を計上し、12款繰入金1項特別会計繰入金は5億3、600万円余となっておる。
 次に68ページ、2項基金繰入金は269億9、700万円余となっておる。これは、県債の償還に充てるため、県債管理基金から170億円、東北新幹線盛岡以北の整備などの建設事業に充てるため、公共施設等整備基金から80億円繰り入れることといたしておる。
 なお、平成10年度末の基金残高は、財政調整基金は50億5、700万円余、県債管理基金は800億2、700万円余、公共施設等整備基金は276億1、300万円余、3基金の合計では1、126億9、800万円余と見込んでおるところである。
 次に69ページ、13款繰越金は整理科目である。
 70ページに参って、14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料は3億円余を計上しており、2項預金利子は、金利動向等から6、900万円余としておる。
 72ページ、3項公営企業貸付金元利収入は103億円で、県立病院等事業会計からの収入であり、4項貸付金元利収入は、総務、民生、衛生などの各行政部門における貸付金元利収入であり、合計額は76ページに記載しておるとおり898億8、100万円余となっておる。
 77ページ、5項受託事業収入の総額は、78ページのとおり39億8、800万円余となっておる。
 次に、6項収益事業収入は宝くじ収入及び競馬収入であるが、30億4、300万円余を見込んでおる。
 80ページ、7項利子割精算金収入は1、300万円余、次のページの8項雑入の総額は85ページまで飛んでいただき、77億7、000万円余を見込んでおる。
 次に86ページ、15款県債であるが、その総額は、88ページに記載してあるとおり1、171億3、800万円であり、前年比で40億4、600万円余、3・3%の減となるものであるが、これは、県債の発行を抑制したことなどによるものである。
 次に、大きく312ページまで飛んでいただく。県債の現在高見込みであるが、平成10年度末では、前年度末現在高見込み額の計で1兆540億7、200万円余、平成11年度末では、同じく計の欄の右端になるが1兆1、070億300万円余と見込んでおる。
 以上で、歳入についての説明を終わらせていただく。

〇三河委員長 ただいまから総括質疑に入るわけであるが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、代表質疑、自由質疑の順に行うことになっておる。代表質疑は各会派1人ずつとし、発言時間は答弁を除き、各会派ともそれぞれ30分となっておるが、会派の発言時間に残時間のあるときは、その範囲内で当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっておる。自由質疑は、答弁を除き1人10分を限度とし、交渉団体に属さない委員を優先して質疑を認めることになっておる。また、世話人会の申し合わせにより、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力を願う。
 これより代表質疑に入る。

〇黄川田委員 自由公明県民会議の黄川田徹である。
 任期最後の予算特別委員会となったが、この4年間は、県議会はもとより、国政も本当に目まぐるしく変化し、改めて次の21世紀に向けて、県民のために我々は何をなすべきかと強く感じさせられたところである。
 それでは、会派を代表いたして、平成11年度予算について総括的に質疑を取り行うので、積極的な御答弁をよろしくお願いする。
 御承知のとおり、我が国経済は、一部に変化の兆しが見られ始めたものの、依然として厳しい状況を脱却するに至っておらず、国においては、昨年末より金融システムの早期再生に取り組むとともに、公共投資の大幅な拡大や恒久的減税等、経済対策を強力に推進してきておる。本県としても、県内経済の活性化を喫緊の課題として、国に呼応し、公共事業の実施など、景気の回復に鋭意取り組んできておる。このため、本県財政は、長引く景気の低迷や恒久的減税による税収の減に加えて、累次の景気対策としての諸事業の実施に伴う公債費の累増等により、未曾有の危機的な状況にある。
 このような中にあって、当初予算編成も大変な苦労をされたと思うが、まず、県財政の現状と見通しについてお伺いする。

〇千葉副知事 県財政の現状と今後の見通しであるけれども、本県の財政は、歳入面では、県が自主的に収入し得る県税等の自主財源の割合は依然として低い状態にある。したがって、財源の多くを地方交付税、国庫支出金あるいは県債に依存せざるを得ないような状況に置かれておる。
 一方において、東北新幹線盛岡以北の整備の本格化や県立大学の集中的な整備に取り組んだほか、平成4年度以降の数次にわたる国の経済対策に呼応した積極的な対応を行い、加えて、地方財源不足に対応した財源対策債の発行を余儀なくされたところである。これらによって公債費が増嵩し、極めて厳しい状況にある。
 平成11年度の予算編成であるけれども、骨格的予算ではあるけれども、県内経済の活性化を図るために、国のいわゆる15カ月予算に呼応して、公共事業や老人福祉施設などの投資的経費を10年度の補正予算と一体のものとして重点的に計上するとともに、中小企業の資金調達の円滑化を図るため、中小企業向けの融資枠を大幅に拡大するなど、景気対策に最大限の配慮をいたしたところである。
 今後の見通しであるけれども、今後も、国、地方を通じて、厳しい財政状況が見込まれるところである。本県の財政も県税等の自主財源の伸びに期待できず、公債費等の義務的経費が増嵩し、このまま推移すれば、近い将来、経常収支比率は90%、公債費比率は20%程度まで上昇が見込まれるわけであり、これまで以上に厳しい財政運営が強いられる状況下にある。したがって、行政システム改革大綱に基づき、徹底した行政改革に取り組み、歳出の見直しによる施策の重点化と効率化などを進めることといたしておる。特に、財政健全化の三つの目標である歳出規模の抑制、県債依存度の引き下げ、主要3基金の残高の確保の達成に努め、今後の多様な行政需要に弾力的に対応できるよう、健全財政の確保に向け、最善の努力をしてまいりたいと考えておる。
 また、国に対しては、地方財源不足対策として地方債の発行はできるだけ避け、地方一般財源の充実確保が図られるよう、引き続き強く要望してまいりたいと考えておる。

〇黄川田委員 以下、財政の諸問題についてお伺いする。
 まず、自主財源の大宗をなす県税についてである。
 地方財政計画の伸び率は、恒久的減税や景気の低迷を反映し、対前年度比15・0%の大幅な落ち込みを見込んでおるが、本県では6・9%減の1、183億円余を見込んでおり、地方財政計画の伸び率を8・1ポイント上回る見通しである。平成11年においても、御案内のとおり極めて厳しい経済情勢が続くものと見込まれるが、見込みどおりの税収が果たして確保できるのかお伺いする。
 また、税収の見積もりに当たっては、全国と比較して本県特有の税収構造があるのか、また、それがどのように影響しているのかについてもあわせてお伺いする。
 さらに、先般策定した行政システム改革実施計画では、県税滞納額の縮減に努め収入率のアップを図るとしておるが、今後の取り組み方針についてもお聞かせ願う。

〇吉田総務部長 県税収入の11年度の見通しであるけれども、見積もりに当たっては、10年度の決算見込みなどをベースにして、国の経済見通しとかあるいは地方財政計画の伸び率、あるいは各種統計資料等を勘案し、主な企業については個別に業績見通しを照会するなどして、本県の実態に即した積算を行ったところである。
 地財計画の税収の伸び率は15%の減であるが、本県はこれを8・1ポイント上回る6・9%の減ということであるけれども、これは地方消費税及び軽油引取税が地財計画ほど落ち込まないと見込まれることなどによるものである。
 本県の税収構造についてであるが、税収に占める割合の高い法人2税の伸び率であるが、景気の低迷などにより、地財計画が23・4%の減と同程度の22・8%の減と見ておるところである。
 法人2税のウエートであるが、全国では31・2%ということで、9・5ポイント下回る本県では21・7%になっており、全国に比べると法人2税の占める割合が低いということになっておる。そこで、県税全体に与える影響が法人2税については小さいということである。この点に本県の経済構造の実情が反映されているものと思っているところである。
 それから、県税の滞納額の縮減であるが、県民の皆さんの高い納税意識に支えられ、平成9年度は収入歩合であるが98・7%ということであり、全国第2位の収入歩合となっておる。
 ちなみに申し上げると、平成8年度以前は数年間第1位を続けてきたところであるが、残念ながらと申そうか、9年度は第2位になったということであり、それに関連して滞納整理であるが、これについてはやっぱり負担の公平を図るという見地から、いろんな調査あるいは情報収集などを行って、滞納者個々の実態に即しながら、場合によっては市町村と協力しながら滞納処分も含めて取り組んでいかなければならないと考えているところである。
 なお、滞納額の6割を占める個人県民税であるが、市町村が賦課徴収しているものであり、先ほど申し上げたように、市町村と連携しながら取り組んでいかなければならないと思っておるところである。

〇黄川田委員 収納率の向上には、引き続き意を用いていただきたいと思う。
 次に、地方交付税についてお伺いする。
 地方交付税は、本県のように財政基盤が脆弱の団体にとって貴重な財源であるが、近年は交付税の基礎となる国税の減収、低迷によって、その総額の確保に苦慮していると伺っておる。このような中で、平成11年度の地方財政計画では、交付税総額は、資金運用部資金からの大幅な借り入れや特例を駆使して、19・1%の大幅な伸びを確保したところである。
 そこで伺うが、本県における交付税の伸びはどのように見積もっておられるのか、現時点でわかる範囲で結構であるのでお示し願いたいと思う。

〇吉田総務部長 地方交付税の見込みであるが、御案内のとおり、基準財政需要額と収入額との差ということになるわけであるが、恒久的減税とか景気の低迷を受けて12%程度の減少が見込まれるということであり、需要額の方にあっては、県債元利基金の償還に対する交付税算入が増加することなどで2%ほどの増加が見込まれるということで、これらのことから、交付税の額がおおむね2、700億円から2、800億円程度と見込んでいるところである。
 本県の交付税の伸びは8・6%、地財計画は19・1%ということで、地財計画より下回っているところであるが、全国的に恒久的減税の実施とか景気の影響などによって、先ほど申し上げた法人関係税とか地方消費税の落ち込みが大きいというものの、本県ではもともとそれらへの依存度の割合が低いということで、他県に比べ落ち込み幅が小さいということなど、伸び率のベースとなる交付税額が全国平均を上回っていることなどによって交付税の確保はできるものと思っておるところである。

〇黄川田委員 最近、都市部の地方団体の財政危機を背景に、地方交付税の配分の見直しについての意見が聞かれるが、地方交付税は本来、税源の偏在による財源を調整するという役割を持った地方公共団体の固有の財源である。そこで、その充実確保が図られるよう、今後とも国に強く要望していただきたいと思う。
 次に、県債の発行についてお伺いする。
 県債発行は極めて多額になってきておるが、この問題については実態を正しく認識した上でその方針を決めるべきものである。本県の場合、交付税措置されるものが多くあり、公債費の増嵩が直ちに財政への硬直化をもたらすか否かは、まさに実額負担ベースをもって評価すべきである。また、世代間の負担の公平の見地からは、本来起債によるべきものまでも抑制の対象から除外すべきかという考え方もあろうかと存ずる。
 そこでお伺いするが、県債の発行方針についてお示しをいただきたいと思う。

〇吉田総務部長 県債の発行についての方針であるが、平成4年度以降、数次にわたる経済対策に呼応した公共事業の導入あるいは東北新幹線盛岡以北の整備とか県立大学の集中整備とか、そういったことを行ってきたが、基本的には後年度に償還を生ずるということであるので、世代間の負担の公平あるいは将来の交付税算入などを勘案しながら、可能な限り優良な県債の活用に努めてきたところであるし、ただ、過度に県債に依存するということは公債費の増嵩を招き、将来の財政構造の問題あるいは財政運営に支障を来すということになるので、11年度当初予算に当たっては、県債を充当する事業については、緊急性とか重要性を十分に見きわめて健全財政の維持に留意したところであり、後年度に交付税措置のある県債のより効果的な活用を図ったところである。発行額を対前年度当初予算に比べて3・3%の減、県債依存度は0・9ポイントの減ということに引き下げたところである。
 今後においても、先般策定した行政システム改革大綱に基づいてその依存度を引き下げながら、県債の効果的な活用に配慮してまいりたいと考えているところであるし、平成6年度以降の地方財源不足とか特別減税による減収の補てん措置として確保された財源対策債が、県債残高増加の主な要因となっているということである。したがって、地方財源不足対策としての地方債の発行はできるだけ避け、地方の一般財源の充実確保が図られるように、国の方に強く要望してまいりたいと考えているところである。

〇黄川田委員 次に、景気対策に関連して、公共事業の早期発注についてお伺いする。
 平成11年度当初予算は、骨格的予算ながら県内経済の活性化を図るべく、国のいわゆる15カ月予算に呼応し、平成10年度の12月補正予算及び2月補正予算と一体的にとらえ、事業の切れ目のない推進を図ろうとするものと伺っておるが、公共事業を中心とするその投資的経費の総額はおよそ3、350億円、前年当初予算と比較して380億円余、12・8%の伸びを確保するなど、厳しい財政状況下とはいえ、景気対策に最大限の配慮をしたもので評価するものである。とりわけ、公共事業については、景気回復への即効性があることや民間投資の誘発効果に資すること、さらには地域雇用の安定的確保の面でも大きな効果をもたらすものと大いに期待されておるところであるので、この上は速やかなる発注の促進による早急なる効果の実現が待たれるのであるが、県としての早期発注に向けた取り組み方針はいかがであろうか、お尋ねする。

〇武居企画振興部長 県内の景気は低迷状態が長引き、引き続き厳しい状況にあると認識しており、これに適切に対処し、経済の活性化を図るためには、切れ目のない予算執行を図るとともに、平成11年度においても公共事業の早期発注を推進し、県内経済の活性化が図られるよう努めていく必要があると考えておる。
 御案内のように、さきに議決いただいた2月補正予算において、国の緊急経済対策等に伴う第3次の補正対応分として投資的経費の補正追加額が94億円余、こういったものについての追加措置を行ったところであるが、こういったものとあわせて発注時期の平準化を図り、切れ目のない予算執行を図るいわゆるゼロ国債、ゼロ県債、これは108億円余設定しているところである。こういったものについて、新年度、平成11年度についても、こういったものから引き続き公共事業が円滑に執行されていくよう、留意していく必要があろうかと思う。
 平成11年度についても、早期の発注の目標設定、こういったものを定めてまいりたいと考えておるが、今後手続を進めることになるが、本県の景気の動向であるとか国の動き、関係部局の事業の内容等を十分に見きわめつつ、4月のできるだけ早い時期に目標を決定し、庁内へ周知徹底を図ることにより、早期の発注に努めてまいりたいと考えておる。

〇黄川田委員 次に、地場産業の振興等についてお伺いする。
 本県財政の健全化は重要な課題であり、起債の借入金等への依存体質を改めていく必要があり、そのためには、自主財源の確保につながる、すなわち税源の涵養をもたらす各種方策を推進していくことが不可欠である。このことのためには、このほど決定した岩手県行政システム改革大綱にも掲げられておるように、第1に、地場産業の振興を図ることであり、第2には、幅広い企業誘致の展開を推進することであり、第3には、ベンチャー企業の育成等が必要である。私は、これらに意欲的に取り組んでいただきたいと考えるものであるが、本県としてのこれまでの取り組み状況と今後の方針についてお伺いする。
 特にも、企業誘致については、景気の低迷に加え、国土庁では、最近、都市部における空洞化防止のため、大都市への集中を抑制する工業・工場等の制限制度を大幅に緩和する方針を固めるなど、今後ますます困難な見通しもある中で、県はどう対応されるのであろうか。
 なお、企業誘致については、国内企業にとどまらず、外資系企業にもアタックしていると聞いておるが、その取り組み状況についてもあわせてお伺いする。

〇千葉副知事 まず、地場産業の振興の関係であるけれども、現在の取り組み状況は企業の経営資源、人材とかあるいは技術、資金のこれらの強化や産学官連携による新製品、新技術開発力の強化を図ってきたところである。また、伝統的工芸品や食品などを中心に、新しい製品やデザイン開発の支援、あるいは物産展、商談会の開催によって販路の拡大等の支援を行ってきたところである。
 今後の方針であるけれども、企画開発力あるいは市場形成力の強化など、企業経営の高度化を一層促進することといたしておる。
 また、本県の技術や人材等を活用して、独創的な研究開発を促進することといたしておる。また、木工や工芸、食品加工産業などの分野においても、本県の豊かな地域資源を活用したすぐれた新商品の開発を支援して、岩手のブランドの確立を推進していくことにいたしておる。
 次に、企業誘致の関係であるが、取り組み状況としては、久慈、二戸に拠点工業団地や盛岡西リサーチパークなどの産業立地基盤の整備を図るとともに、北上川流域地域を中心として企業の誘致に努めてきたところである。
 今後の方針としては、首都圏等における企業誘致活動のより一層の活発な展開とともに、既に立地しておる企業の県内への2次展開を促進してまいりたいと考えておる。
 また、11年度の早い時期に、知事をトップにした新たな部局横断的な企業誘致推進体制の整備を図りたいと考えておる。これによって、製造業はもとより、情報関連サービス業など、幅広い分野の企業誘致に取り組んでいくことといたしておる。
 また、工場用地の分譲に当たっては、新たにリース方式の導入や貸し工場を検討するなど、受け入れ態勢の整備を図っていくことといたしておる。
 外資系企業誘致の取り組みの状況であるけれども、平成9年度初の試みとして、外資系企業を対象とした立地説明会を開催した。また、10年度は、本県の立地環境を紹介する現地視察会を実施したところである。
 今後とも、日本貿易振興会など関係機関との連携を深めながら、国内での事業展開の動向の把握に努めるとともに、本県のすぐれた立地環境を広く情報提供してまいりたいと考えておる。
 また、ベンチャー企業の育成の関係であるけれども、新しい産業を創出するため、インキュベートルームを備えたいわて新産業創造センターの整備など、ベンチャー企業の育成を図ってきたところである。
 今後の方針としては、新たな地域産業の創出に挑むベンチャー企業やソフトウェア情報産業の育成・集積を図ってまいりたいと考えておる。

〇黄川田委員 それでは、次にいわて新産業創造プラットホームについてお伺いする。
 長引く景気の低迷下、失業率が高まるなど雇用情勢が悪化し、また、事業の開業率が廃業率を下回る逆転現象が続くなど、経済活力の低下が懸念される中にあって、これら事態を打開するため、国は新事業創出促進法を制定したところである。この法律は、地域における新事業創出のため総合的な支援体制を整備するというものであるが、雇用創出や経済活力の活性化に大きい期待が寄せられるところであり、本県としても、早速、基本構想策定費が計上されていることは御承知のとおりである。
 そこで伺うが、このたびの新事業創出促進法に基づく基本構想策定に当たっての取り組み方針についてお尋ねする。

〇千葉副知事 いわて新産業創造プラットホームの関係であるけれども、基本構想策定に当たっての基本的な考え方としては、これまで県内各地域に蓄積されておった技術、人材などの産業資源を有効に活用して新しい事業の創業や新製品の開発、新たな事業の創出を促進していくことが極めて重要であると、こういう考え方に立っているわけである。
 総合的な支援体制の構築であるけれども、県内全域を対象に、財団法人岩手県高度技術振興協会を中核として、花巻市起業化支援センターや釜石・大槌地域産業育成センターなど、各地域の産業支援機関を有機的にネットワークして、意欲的な創業者や中小企業者に対し、研究開発から事業化までの一貫したサービス提供をする総合的な支援体制を構築してまいりたいと考えておる。
 また、テクノポリス法や頭脳立地法は、新しい事業創出促進法に発展的に移行するところから、テクノポリス地域等については、基本構想の中で高度技術産業集積地域として位置づけ、本県工業の発展を先導する地域としてさらに振興を図るとともに、その集積の効果を県北・沿岸地域も含め、県内全域に波及させたいものと考えておる。

〇黄川田委員 今、副知事からお話あったとおり、かつて地域産業の支援策のためのいわゆるテクノポリス法(高度技術工業集積地域開発促進法)に基づくテクノポリス計画や、頭脳立地法に基づく頭脳立地計画があったが、いずれも内陸部の北上川流域が指定されており、相応の成果があったと存ずる。新事業創出促進法の運用に当たっては、できるだけ県北・沿岸地域にその効果が及ぶよう、重ねてお願いしたいと思う。
 次に、高齢者雇用についてお伺いする。
 本年は国際高齢者年である。高齢者の方々が安心して生き生きと働けるかどうかは、21世紀の本県にとっても極めて大きな課題であり、少子・高齢化社会の進展の中にあって、高齢者の雇用の機会の確保を図ることは重要な課題の一つである。特にも、平成13年からは、厚生年金の全額支給の開始年齢が、現行の60歳から65歳へと順次引き上げられ、60歳定年後の年金支給までの間のブランクをどうするかが切実な問題となってまいる。県雇用開発協会がこのたび実施した継続雇用に関する従業員意識調査によれば、県内で働く会社員の約6割が、定年後も働きたいとの意向を示し、その理由として、働かなければ生活できないと答えておる。また、少子社会における労働力の不足が見込まれる中にあって、経済社会の活力を維持していくためにも、高齢者の豊かな知識や経験、技能をもっともっと積極的に生かしていくべきものと考える。
 そこでお伺いするが、県としての今後の高齢者雇用に向けた取り組みについてお聞かせ願いたいと思う。

〇千葉副知事 高齢者の就業機会の確保については、国が定めた高齢者等職業安定対策基本方針に基づき実施しているところである。本年度から60歳定年が法律により義務化されたところであるけれども、65歳までの継続雇用は努力義務とされているところである。昨年6月の企業からの報告、これは従業員50人以上の企業であるけれども、これによると、希望者全員が65歳まで雇用される企業は21・1%と低い状況にある。したがって、現在企業に対して、継続雇用安定促進助成金等の各種助成金措置の活用により、65歳までの継続雇用の普及に取り組んでいるところである。
 また、在職中の中高年齢者に対しては、定年後の職業生活設計に関する相談・援助を行う盛岡高齢期雇用就業支援コーナーを昨年10月設置し、相談援助、情報提供等を実施しているところである。また、60歳代後半の高齢者対策であるけれども、県内16市町村に設置運営しておるシルバー人材センターにおいて、臨時、短期的な就業の場の提供を行っており、さらに、県内全域でシルバー人材センター事業が実施されるよう、昨年10月に岩手県シルバー人材センター連合会を設立したところである。今後とも、組織の強化に努めてまいりたいと考えておる。

〇黄川田委員 次に、新しい総合計画についてお伺いする。
 昨年11月、新しい岩手づくりのシナリオとして新しい総合計画中間報告を策定されたが、そのあらましについては、全戸配布もなされ、評判も上々のようであり、関係者の御労苦に感謝する次第であるが、若干の質問をさせていただく。
 まず、この計画では、基本目標としてみんなで創る夢県土いわてを提示しておるが、今後、具体的な目標提示が求められる一方で、地域の特性を重視すればするほど、新しい計画は多様性をはらんでいることを考えると、なかなか一つの方向にはまとまりがたいのではないかと考えておる。特にも、個々人の生活様式や価値観が多様化している中にあって、そこを一つの公約数的なものでくくることには限界があるのではないかと考えるが、いかがであろうか。
 第2に、2010年を目標年次としているが、12カ年という計画期間はいかがであろうか。不透明かつ混迷の、あすのことすら不確実な時代にあって、長期の見通しを持つことはどのような意味を持つのかと思われるが、いかがであろうか。
 第3に、計画はあらゆる分野にわたるものと思うが、厳しい財政運営面を考慮し、具体的な施策の展開に当たっては、市町村や民間とのすみ分けを明確にしていく必要があると考えるがいかがであろうか、あわせてお尋ねする。

〇武居企画振興部長 ただいま新しい総合計画に関連して3点の御質問があった。まず、計画の目標に関連してのお尋ねであるが、委員御指摘のように、人々の価値観が多様化し、かつ社会が複雑化することに伴い、県全体で一つの方向に向かうということは大変難しくなってきているように感じているところであり、公約数的な目標設定というよりは、むしろ、これからは県民お一人お一人、あるいは各地域地域の持っている夢であるとか目標の多様化を意識しながら、いかにそれぞれの地域なり県民の皆さんの個性が伸ばされ、選択の幅が広げられていくのかという観点が大変重要になってくるように考えているところである。したがって、今回の基本目標のみんなで創る夢県土いわてについても、このような点を最も意識し、また留意し、総体としてふるさと岩手が大きく輝くことを目指しているものである。
 今後の具体的な目標や将来像の設定に当たっては、各地域の持つさまざまな個性や特性、あるいは人々の暮らしの多様な側面に着目していくことが必要であると考えるところである。このため、基本構想であるとか基本目標のほかにも、各地方振興局が中心になり、地域の視点に立って、多様な地域の個性や特色を生かした今後の発展方向を明らかにするものとして、各広域生活圏ごとにそれぞれの将来像を掲げた地域計画を現在策定中である。今後は、現在の中間報告にも五つの将来像というものを示しているが、こういったものの具体化に当たっては、さらに具体的な数値目標の設定等を行うなどして、例えば、こういったものを2010年の私たちの暮らし、こういった形でお示しし、県民の皆さんお一人お一人が自分たちの目標として受けとめられるようなさまざまな切り口を考えていきたいと考えておる。
 それから、目標年次については、不透明、混迷の時代という御指摘があった。まさに、現在は大きな時代の転換期と考えているが、この時代の転換期というのは、過去の不透明、混迷の時代と大きく違うのは、これは大きく見ると、明治とか戦後とか、そういったものの改革に続く第3の大きな波の時期であるという見方をされる識者もおられるし、これまでの数十年間を見通し、これからの数十年を見通したときに、この国の形、我が国の構造そのものが変わっていく時代に入っていくのではないかというようなことが言われておる。したがって、今回の計画では、単に1990年から2000年までの10年間がたったので、これから10年なり12年延ばしていこうということではなく、より長期の視点を持って明確な将来ビジョンをしっかりと提示し、それに向けた着実な取り組みをみんなで進めていくことが特に必要になるのではないかと考えている。したがって、今回の計画では、見極めるのは大変難しいのであるが、将来にもなお変わることのない本県の大切にしなければならない本質的なものをしっかりととらえ、なおかつ、それに時代の風を重ね合わせていくということにより、21世紀初頭の岩手のビジョンを描いていくよう努めたいと考えている。
 これらの計画は、国の計画等とも関連してくるので、そういったものの目標期間も参考にする必要があるわけであるが、国の全国総合開発計画であるとか、あるいは東北開発促進計画などの計画期間、これも21世紀初頭、2010年、あるいは2015年まで若干延びているものもあるが、そういったところになっているところであり、私どもも、そういうものを参考にしながら定めているところである。しかし、大変長期にわたるものであるから、前期は2005年までの7カ年、それ以降は後期5カ年という形にしてまいりたいと思うし、また、この期間に状況の変化、環境の変化というものも出てこようかと思うので、こういったものも含めて、柔軟かつ迅速に対応できるよう、必要に応じて計画期間内であっても計画の見直しも行ってまいりたいと考えている。
 それから、3点目に市町村や民間とのすみ分け、役割分担等の御質問があったが、これも委員御指摘のように、これから県、市町村、さらには住民、それぞれの役割をどのように意識しながら総合計画をつくり、さらにそれを実践していくかということが大変重要になるのではないかと考えている。現在、国においては地方分権というものが推進されているところであるが、今後私どもは、こういった時代の中で新しい岩手づくりを進めていくためには、いわゆる、私ども水平・パートナーシップ型と申しておるが、新しい仕組みとして行政と民間、あるいは県と市町村の間でそういった新しい仕組みづくりをどうしていくかということが大変重要であると考えている。特にこれからは、私ども県も大変重要であるが、住民に最も身近な行政主体である市町村が大変重要な役割を果たしてくるのではないかと考えているし、そうした場合に、県の組織で言うと、本庁もそうであるが、地方振興局というものが大変重要になってまいろうかと思うので、これらの間のパートナーシップというものをきっちりと確立し、一体となって地域づくりを進められるように、お互いに機能分担と支援協力体制をとりながら頑張れるような体制をつくっていきたいと考えている。
 それから、住民の参加というものも大変重要になってまいる。そういった場合に、これから行政と住民の間の情報の共有化も大変重要であるので、こういった点にも留意しながら、住民の方々が行政とのパートナーシップのもとに地域づくりに参画できるような支援体制も確立してまいりたいと考えている。

〇黄川田委員 次に、新しい総合計画と北東北知事サミットとの関連である。
 当該サミットでは、北東北3県の共通の政策課題について話し合い、環境教育・自然との触れ合いの推進、中山間地域の維持と環境の世紀にふさわしい産業の確立、北東北の恵まれた自然環境の保全・創造等、3県が共同して取り組んでいくテーマが設定されたところである。これらについて、今後広域的な共同プロジェクトを構想することとなると思うが、その場合は、新しい総合計画に盛り込むこととなるのかどうか、今後の取り組み方針についてお尋ねしたい。

〇武居企画振興部長 新しい総合計画と北東北知事サミットとの関連についての御質問であったが、北東北知事サミット、御案内のように現在まで2回開催しており、第1回目は観光をテーマにし、第2回は環境ということで、3県が共同して取り組んでまいる合意事項について定めているところであるけれども、去る2月5日には、御案内のように九州・福岡にみちのく夢プラザを開設し、また、先般は北東北環境フォーラムというものを設置して、環境関連の具体的な施策展開についてその取り組みをスタートしたところである。
 新しい総合計画については、今回特に、岩手という県内だけを意識するのではなく、隣接県との県境を越えた交流・連携というものを強く意識しており、これは地域デザインという中にも重要な視点として位置づけているわけであるけれども、一体的な交流圏の形成などにより、北東北3県がさまざまな分野でそれぞれの地域の特性とか資源を生かしながら交流・連携を進め、調和のとれた発展を目指そうとしているところである。サミットの合意事項に基づくさまざまな取り組みについては、新しい総合計画の中にも、こういった観点を踏まえてぜひ取り入れてまいりたいと思うし、さらに、環境基本計画等の部門別の計画が総合計画のもとにあるので、こういった中にも盛り込みながら、積極的に推進してまいりたいと考えている。

〇黄川田委員 それでは次に、市町村における行政改革等についてお伺いする。
 地方分権の進展に伴って、地方公共団体は、みずからの責任において社会経済情勢の変化に柔軟かつ弾力的に対応できるよう体質を強化し、住民福祉の向上と個性的で活力ある地域社会の構築を図っていくことが求められておる。とりわけ、市町村は住民に最も身近な行政主体として、地域における行政を自主的・総合的に広く担うことが期待されておるが、21世紀への展望を切り開き、その機能を適切に発揮していくためには、市町村が積極的に行政改革に取り組み、簡素で効率的な行政執行体制の整備を図ることが極めて重要である。
 そこでお伺いするが、県内市町村の行政改革の取り組み状況はどうなっているのであろうか。また、市町村が鋭意行政改革に取り組む一方で、地方分権の進展に伴う事務量の増大、また、本県行政システム改革大綱によれば、県からも権限委譲とともに仕事の委譲が見込まれるところであるが、県・地方振興局の支援で対応することとしても、今後ますます増大するであろう行政課題への対応も考え合わせれば、将来的には広域行政をも視野に入れた取り組みも必要になってくると考えられるが、県の御所見はいかがであろうか、お尋ねする。

〇武居企画振興部長 まず、行政改革に対する市町村の取り組み状況である。
 市町村の行政改革への取り組みについては、県内の全市町村が現在行政改革大綱を策定しているところであり、行政改革に積極的に取り組んでおる。新たな行政課題等が出てきているわけであるけれども、現在、そういったことを踏まえ、それぞれの市町村が行政改革大綱の見直しを行っており、これまで見直しを終了した市町村が11団体あり、平成10年度内を目途に見直しを進めている市町村が15団体、それから、平成11年度内に見直しを予定している市町村が33団体ある。特に、新たな行政課題と申し上げたが、これからの見直しに当たっては、厳しい財政状況を踏まえながら、特に少子・高齢化であるとか、あるいは環境問題、行政の情報化などの課題にも留意して取り組んでいく必要があるし、また、地方分権を視野に入れながら、施策の重点化であるとか、民間委託の推進、スクラップ・アンド・ビルドを基本とした組織・機構の再編など、簡素で効率的な行政システムの確立に努めてまいる必要があると考えている。
 それから、広域行政の推進に関連したお尋ねであったが、これは、特にこれから地方分権が一層進展していく中で、一市町村だけで対応することが難しい時代に入ってくる。市町村の区域を越えたさまざまな行政課題に対応するためには、広域行政の推進というものが大変重要な課題になってくると認識しているところである。特に、広域行政についてはいろいろな形態があるわけであるが、例えば、公共施設を相互に利用し合う、こういった内容もあれば、あるいは、広域的な事業をお互いに共同で実施しようと。従来から行われているものであるとか--ごみとかし尿とか消防とかあるが、こういったものから、機関を共同で設置しようといったもの、さらには、最近の動きとしては、県内でも委員の地元の方で第1号が設立されたけれども、広域連合であるとか、あるいは合併に至るまで、市町村間の連携とか選択により効率的な広域行政への取り組みはさまざま考えられるところであり、これからは、特に分権時代に対応した行政体制の整備が大変重要になってくると認識しておる。
 このため、平成11年度においては、市町村が合併や広域連合などを含む広域行政を検討する際の目安となる指針の策定に取り組みたいと考えていて、今後とも、地方振興局を中心として、地域の実情であるとか、個別の具体の行政課題に対応した広域行政のあり方について、積極的に情報の提供であるとか助言を行い、先ほど申し上げた、市町村におけるさまざまな広域行政の取り組みを支援してまいりたいと考えている。

〇黄川田委員 それでは次に、海洋開発についてお伺いする。
 三陸沿岸地域は、豊富な水産資源に恵まれているほか、魚介類、藻類、プランクトン類など、海洋生物の多様性にすぐれた海域とされており、こうした地域特性に着目し、当沿岸地域には、東京大学や北里大学等の海洋関係の試験研究機関が数多く立地し、最先端の研究活動が行われており、海洋関係研究の世界的な集積地となり得るポテンシャルを有していると言っても過言ではないのである。このような中にあって、県としても海洋関係の研究開発機能の推進に鋭意取り組んで来られておるが、その一環として、昨秋、世界各国の研究者を招く国際会議人間と海を開催したところである。このような会議を本県で開催することは、三陸地域の海洋関係の研究開発機能充実のため非常に意義深いものと考えておるが、その成果はどうであったのであろうか。
 また、県としてはこれまで、三陸沿岸地域の一層の振興を図る観点から、岩手県海洋開発推進指針を策定し、各般にわたる施策を推進してこられたが、今後の取り組みについては会議の成果を積極的に生かしていく必要があると考えるが、いかがであろうか、あわせてお伺いする。

〇武居企画振興部長 国際会議人間と海の成果と今後の取り組みである。会議については、委員御指摘のように、海洋環境の保全利用が大変国際的な課題になっているということで、平成10年が国連の定めた国際海洋年にも当たったことから、ゼロエミッション構想の推進などで連携を図ってきた国際連合大学と、海洋環境の分野でも連携を図ってまいりたいと考え、大槌町の臨海研究センターにある東大の海洋研究所の協力も得て会議を持ったところでもある。会議は、国内外のトップクラスの研究者57名の参加を得て、昨年の10月29日から4日間、東京、盛岡、釜石と3カ所で開催したところであり、世界各地の海洋汚染の現状であるとか、海洋生物の多様性等に関する研究発表や熱心な討議、意見交換が行われたところである。
 会議の成果については、参加研究者にとっては、今後の研究につながる有意義な情報交換、研究交流の場となり、また主催者にとっては、海洋環境の分野の国際会議の開催がこれまで余り例がなかったことから、参加者の評価を得るとともに、直面するさまざまな課題や今後の研究推進の必要性が明らかにされたことが挙げられると考えておる。また、本県にとっては、これも委員御指摘あったが、貴重な海洋研究のフィールドとされる三陸域、内陸部に比べてなかなか研究者の方々が足を運んでもらいにくいところであるが、三陸域の海域を国内外の研究者にアピールすることができたことや、国内外の研究者や国連大学、東大海洋研究所などとの間に、研究交流に向けた環境づくりが行われたことが挙げられるところである。
 今後の取り組みについては、三陸域の海域を研究フィールドとしてこれを一層活用してまいりたいと考えており、県内の大学や試験・研究機関と内外の研究者等との国際的なネットワークの構築であるとか、海洋環境に関する共同研究の推進などにつき、今後関係者間で協議、検討を進め、三陸沿岸地域の研究開発機能の拡充や水産業などの産業振興につなげてまいりたいと考えている。

〇黄川田委員 次に、介護対策についてお伺いする。
 核家族化と急速に進行する高齢化社会において、介護対策は最も重要な課題の一つである。いよいよ来年4月開始する介護保険制度については、重い介護の負担を社会全体で支えようというのがその趣旨であるが、まず、この10月からは要介護認定の作業が始まり、実質的に制度が始動することとなる。しかしながら、当該認定については、その精度や取り扱いの公平さを確保し得るかとの声が聞かれるところである。介護保険制度が信頼をかち取れるか否かは、ひとえにこの認定作業にかかっていると私は考えるが、そのためには、何よりも公平な認定が可能となる審査体制の整備が必要である。
 そこでお伺いするが、本県における整備に向けた取り組み実態と県の支援状況についてお示し願う。また、介護サービスの供給システムの構築と相まって、県民一人一人においても介護に対する基本的な認識や知識、技術等の習得も不可欠であると考えておる。このような中にあって、県民向けの体験を重視した各種の介護研修や情報の提供、啓発等の事業の推進の普及を図ることが急務と思うが、県の取り組みはいかがであろうか、あわせてお伺いする。

〇千葉副知事 まず、介護認定の審査体制の関係であるが、取り組みの実態は、介護認定の実施上の問題点や課題を明らかにし、その対応策を検討するため、今年度全市町村で約4、900人を対象に介護認定を試行的に実施したところである。試行した結果、何点か指摘された事項がある。一つは、審査会委員の確保や審査の客観性・効率性を高める必要があること。また、コンピューターによる1次判定の介護度と現場において必要と思われる介護の程度の間に一部差異が見られる場合があったこと。また、訪問調査する際の判断基準や認定審査会で審査・判定する際の認定基準にわかりにくいところがあったこと。また、かかりつけのお医者さんの意見書の入手に時間がかかること。こういった事柄が指摘された事項である。これらに対応するため、認定体制の広域化を促進しておる。また、認定基準などの改善を国に要望しているところである。また、訪問調査員や認定審査会委員への研修を実施しておる。また、医師会等と連携しながら、かかりつけのお医者さんの意見書の作成について協力要請していくこととしているところである。
 次に、介護に関する普及啓発の関係であるけれども、県民に広く介護に関する知識や技術の普及啓発を図ることは、介護に関する不安の解消や家族の介護負担を軽減するためにも極めて重要であると認識しているところである。一般県民向けの主な取り組みとしては、県民への介護知識・介護技術の普及を図るとともに、福祉用具の展示、あるいは住宅改造に関する相談・指導など、介護を中心とした高齢者の介護ニーズに応じたさまざまな研修や情報の提供を行うため、平成7年に盛岡市に岩手県介護実習・普及センターを開設した。さらに、広大な県土をきめ細かくカバーするため、平成10年に大船渡に地域介護実習・普及センターを新たに開設したところである。また、市町村レベルでの取り組みであるけれども、在宅介護に関する相談・助言を実施しておる在宅介護支援センターや、まちかど相談所、家族介護者教室を開催しているデイサービスセンター、ふれあいのまちづくり事業、ホームケア促進事業などの整備や運営について、市町村を支援しているところである。今後においても、これら介護に関する普及啓発に努めてまいりたいと考えておる。

〇黄川田委員 次に、環境保健センターについてお伺いする。
 県においては、衛生研究所と公害センターを統合し、平成13年度から環境保健センターとして発足させることとしておるが、その中においては、従来なかった自然環境に関する調査研究部門を新たに設置する構想を検討中と伺っておる。広大な県土を有する本県にとって、豊かな自然環境は、県民のみならず人類共通の財産であり、これを次代に引き継ぐことは我々の責務なわけであるが、一口に良好な自然環境を保全すると申しても、その正確なる実態把握と評価、さらに、よりよい保全のあり方や、あるいは産業活動との調和をどう図っていくのかなど、非常に重要かつ難しい問題を抱えていると考えておる。21世紀を目前として、環境、とりわけ自然環境の保全にかつてないほど県民の関心が高まっている現在、県において新たに自然環境についての専門的な調査研究機関を整備することは、時代の要請にかなったものと考えておる。
 そこでお伺いするが、当センターでは、自然環境についていかなる構想やテーマを持って取り組むこととしているのかお尋ねする。

〇千葉副知事 衛生研究所と公害センターを統合して本県の環境保健行政の科学的・技術的中核機関として、平成13年度に、これは仮称であるけれども、環境保健センターを整備することとしておる。そのセンターに、本県の自然環境の調査研究の中核部門として、次のような構想のもとに新たに自然環境に関する調査研究部門を加えることとしておる。一つは、本県のすぐれた自然環境を良好に保全するための施策立案に役立つような、本県の実情に即した調査研究を行うこと。二つ目として、動植物、地形地質などの自然環境情報の集積、解析を行う総合的情報センターとしての機能を持たせることにしておる。
 調査研究のテーマであるけれども、次のようなものを予定しておる。一つは、地形、地質、植生、土地利用状況と野生生物の生息状況との関係解析により生息条件を研究する。あるいは、イヌワシ、クマタカ、オオタカなどの絶滅の恐れのある希少野生動植物の保護に関する研究。3番目として、ツキノワグマやシカなどの大型獣類の保護管理に関する研究。それから、四つ目として、高山植物などの再生・復元の手法に関する研究である。調査研究に当たっては、国、県の他の研究機関や大学との共同研究の推進にも努めていくことにしておる。

〇黄川田委員 次に、農業施策の推進に関連して幾つかの課題についてお伺いする。
 食料を将来にわたり安定的に供給していくことは国の基本的責務であるが、そのための国内農業生産を基本に位置づけ、その維持拡大を図っていくことは極めて重要であり、このような観点に立って、まず国に対して、食料政策のうちの食料自給率について、農業者の生産意欲を確保するため、その目標を明示することが必要であると考えておるが、国に対してどのような働きかけを行っているのかお伺いする。
 第2に、地域農業を振興するには、主業型農家、あるいは農業法人、任意組織等、多様な担い手を育成することが重要であるので、これら担い手の確保・育成に向けた強化が必要であるが、県としての取り組みについてお伺いする。
 第3に、新しい農業基本法に関連し、株式会社の農地取得について、一定の条件のもとにこれを認めるような示唆がなされておるが、投機的な農地の取得や集落の機能が低下することのないよう、株式会社の農地取得については実効ある措置が必要であると考えるが、いかがであろうか、県当局の御所見をあわせて伺う。

〇千葉副知事 まず、食料自給率の関係であるけれども、自給率の目標を明示することは、国内農業生産を基本とした食料の安定供給の確保を図る上で極めて重要であると考えておる。国の新農業基本法の制定に向けた取り組みに対応し、この食料自給率の明示について平成10年3月に国に要望したほか、平成10年度の政府要望の都度、同様の要請を行ってきたところである。国においては、先般公表した農政改革大綱において、関係者の努力喚起及び政策推進の指針として食料自給率の目標を設定し、その達成に向け、関係者と一体となった取り組みを行うとしたところである。主要な農産物ごとに国内生産水準を定めることとしたと聞いておる。
 次に、担い手の確保の関係であるけれども、今後、農業従事者が急速に減少し、高齢化が一層進むと見込まれる中で、地域の実情に応じた多様な担い手を確保育成していくことが重要である。具体的な取り組みとして、一つには、主業型農家の育成に努めているところである。具体的には、最新の生産技術の習得や経営管理能力の向上のための指導、機械・施設の整備に対する支援、農地の利用集積に対する支援、あるいは低利な制度融資の融通等に努めておる。また、生産組織の育成の関係については、一つには、高齢農家や兼業農家などの農作業を専門的に請け負う組織化の指導、そしてまた、地域条件に即した主業型農家を中心とする集落営農組織の育成に取り組んでいるところである。また、農業法人化の指導も行っておる。特に意欲的な主業型農家や生産組織に対して、法人形態の持つ利点を踏まえた上で法人化の指導を行っているところである。
 それから、株式会社の農地取得の関係であるけれども、株式会社の農地の権利取得については、委員御指摘のとおり、農地の投機的取得が懸念されるため、こうした懸念を払拭するため、一つには、農地法上の許可時における厳正な審査、あるいは株式譲渡制限など、農外者に法人が支配されないようにするための措置、地域社会と調和した農業生産・農業経営の確保等について十分検討されることが必要であり、国に対してあらゆる機会を通じて要望しておるところである。
 国における検討状況であるけれども、平成10年12月に公表された農政改革大綱を受け、本年1月、専門家から成る農業生産法人制度検討会を設立したところであり、本年夏ごろまでには結論を得るとしておるところである。

〇黄川田委員 次に、中山間地域対策についてお伺いする。
 県においては、中山間地域を県民生活や経済活動の面から重要な地域として位置づけ、その活性化対策について部局横断的に取り組んでいるところであるが、平成11年度の事業の内容及び特に重視した点についてお示し願いたいと思う。
 また、国においては昨年9月の食料・農業・農村基本問題調査会の最終答申を受け、食料生産や国土保全などの多面的な機能を十分発揮できるよう、耕作条件が不利な中山間地域における農家への直接所得補償制度、いわゆる直接支払い制度を平成12年度から実施する方針と承知しておるが、どのようにこれらの検討が進められているのか、また、県としてどう考えているのか、これまでの対策との兼ね合い、今後の対応も含めてお伺いする。

〇千葉副知事 中山間地域対策の関係であるけれども、平成11年度における関連事業の内容としては、中山間地域の活性化対策は、産業振興から生活環境の分野まで広範にわたるところから、大きく三つの体系で実施することとしておる。一つは、個性豊かなふるさとづくりとして、それぞれの地域の活動を支援する地域づくり交流ネットワーク推進事業など42事業、283億円である。それから、活気に満ちた地域産業づくりとして、地域特性に即した産業振興を支援する新いわて農業再編総合対策事業や、特用林産振興総合対策事業など88事業、235億円。豊かな暮らしの基礎づくりとして、道路改築事業や合併処理浄化槽整備費補助など61事業、911億円となっておる。
 特に留意した点としては、各地方振興局において、平成10年度に地方中山間地域活性化対策推進プランを策定したところであり、この推進プランが着実に推進されるよう、関連事業の重点的な配置に努めたところである。
 次に、国における直接払いの検討状況であるけれども、現在明らかにされている制度の枠組みとしては、対象地域、対象とする行為、対象者、交付単価、これらを中心とした枠組みで構成されると伺っているところである。また、国の検討体制とスケジュールの関係であるけれども、国では、1月29日、地方公共団体の長や学識経験者等から成る中山間地域等直接払制度検討会を設置し、現在、具体的な交付条件の検討を進めていると伺っておる。今後、現地調査も踏まえ、7月までに取りまとめを行い、平成12年度の概算要求までに結論を出すとされておる。
 県の対応であるけれども、直接払いは我が国の農政史上例のないものである。これまでの対策と相まって実施することにより、中山間地域の活性化にとり大きな効果をもたらすものと期待しているところである。このため、本県の実情が十分反映されるよう、国の検討状況を踏まえ、今後ともあらゆる機会をとらえて国に要望してまいりたいと考えておる。

〇黄川田委員 中山間地域対策については、振興局の役割、大いに期待するものである。
 次に、間伐の推進についてお伺いする。
 本県の森林は、県民のたゆまぬ努力により、これまでに約34万ヘクタールの人工林が造成されてきたところであるが、これらの多くは、昭和20年代以降に造成されたものである。このため、現在なお手入れを要する育成途上の森林が多く、下刈り、除伐、間伐等、保育が必要な35年生以下の森林が大部分を占め、特に、間伐は健全で優良森林をつくるため不可欠な森林施業であるが、最近は間伐が行われないで放置されている森林が県内随所に見受けられるが、このように手入れの行き届かない森林が増加すると、これまでの先人の連綿とした努力がむだになるほか、森林の持つ公益的機能が低下し、水資源の確保等において県民生活にも重大な影響を及ぼすことが憂慮されるところである。県では、これまでも間伐対策として各般の施策を実施してきているところであるが、私は、間伐の推進は引き続き重要な課題であると考えておる。ついては、間伐の推進について今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いする。

〇千葉副知事 本県の間伐対象林の関係であるけれども、民有林においては、34万ヘクタールの人工林のうち約6割の19万ヘクタールが間伐対象森林で、計画的な間伐の実施が重要であると考えておる。間伐の実施の状況であるけれども、過去5年間の間伐実施率、間伐材の利用率は、ともに約6割となっているところである。
 間伐推進上の課題であるけれども、間伐が進まない要因として、価格の低迷あるいは間伐材の安定供給体制の未整備、林道・作業道等の生産基盤の未整備、あるいは林業従事者の高齢化などが挙げられているところである。
 今後の間伐の推進であるけれども、昨年策定した岩手県間伐推進行動計画に基づき、計画的に推進してまいりたいと考えておる。具体的には、県、市町村、関係団体等で組織した岩手県間伐推進協議会と一体となり、間伐推進月間の設定、ボランティア間伐の実施などによる県民への働きかけ、あるいは間伐100メートル運動など、森林所有者に対して普及啓発を行うとともに、新たに間伐材の搬出経費への助成など国の新規施策の導入や、森林監視員の設置など地方財政措置を積極的に活用してまいりたいと考えておる。最近、土木資材として間伐材の利用が大幅に増加してきておるけれども、なお一層利用拡大を図るため、昨年策定した岩手県木材利用推進方針に基づく公共事業等への積極的な利用促進を図ってまいりたいと考えておる。

〇黄川田委員 次に、漁業系廃棄物処理対策についてお伺いする。
 本県沿岸は、三陸漁場に面し、その恵まれた環境を生かしさまざまな増・養殖業が盛んに行われ、本県の沿岸漁場の振興に大きく寄与してきているところである。しかしながら、これら増・養殖の生産が活発化すればするほど、海藻残滓や貝殻、あるいは貝殻の付着物などの廃棄物、いわゆる漁業系廃棄物が大量に発生し、これらの処理をどうするかが問題となってまいる。漁業系廃棄物は、漁業者みずからの責任において処理しなければならないものとなっておるが、漁業者の方々は、自分の所有する土地などへの埋め立てや産廃業者への委託等により処分しておるが、環境問題に対する世の中の関心の高まりや廃棄物処理に対する規制の強化などから、これまでのような処理は難しいものがあり、本県沿岸の各漁村に共通する大きな問題となっておる。私は、この問題は個々の地区ごとに対応するよりも、より広域的な視点に立って、かつ環境に優しい漁業という面から、リサイクル、すなわち資源としての再利用という観点に立った対策を講じることが必要であると考えるのであるが、いかがであろうか、県の御所見を求める。

〇千葉副知事 漁業系一般廃棄物を適正に処理していくことは、環境を保全し、あるいは、つくり育てる漁業を推進する上で重要であると考えておる。県では、広域的視点に立ち、資源の再利用という観点から、本県の実態に見合った漁業系一般廃棄物の有効な処理システムの開発が必要と考えているところから、平成10年度に漁業系廃棄物再資源化システム開発促進事業により、漁業団体が実施する処理システム開発を支援しているところである。特に、大量に発生するワカメや昆布などの海藻残滓については、これまで廃棄物として扱われていたために海洋投機ができなかったわけであるけれども、アワビ・ウニの有用なえさとなるというところから、えさとして海洋投機ができるよう国に要望してきたところ、ことしの1月7日にこれが認められた。したがって、海藻残滓については、アワビ・ウニの増産のためのえさとして再利用を中心とした処理を進めてまいる考えである。それから、カキ・ウニの殻などについては、漁業系廃棄物再資源化システム開発促進事業により、土壤改良剤、肥料などへの再資源化を検討しているところである。

〇黄川田委員 沿岸地域における漁業系の廃棄物問題については、本当に漁業者から多くの課題であるということで言われておるので、ぜひ御検討をよろしくお願いする。
 それでは次に、いわゆる災害弱者施設についてお伺いする。
 昨年8月末、集中豪雨による突然の土石流により、福島県西郷村の救護施設の入所者5名の方々が死亡した痛ましい災害があったことは記憶に新しいところである。土砂災害の危険性をいち早く認識し、早急に危険箇所に応急工事を施すことはもちろんであるが、避難場所や避難誘導の際の近隣居住者との協力体制など、防災体制についての万全の整備が求められるところである。国においては、このほど、全国にある老人福祉施設や身体障害者施設、幼稚園等のいわゆる災害弱者施設13万9、000施設のうち14%に当たる約1万9、000施設が、土砂災害を受けやすい土砂災害危険箇所や山地災害危険地区等に建設されているという調査結果をまとめたと聞いておる。
 そこでお伺いするが、本県における実態はどうなっているのであろうか、また、その対策はどのようになっているのか、あわせてお伺いする。

〇千葉副知事 本県における災害弱者関連施設は総数で2、221である。そのうち314施設が、土砂災害を受けやすい土砂災害危険箇所あるいは山地災害危険地区に設置されておる。
 今後の対策であるけれども、平成11年1月29日付で文部省、厚生省、林野庁、建設省、自治省連名の災害弱者関連施設に係る総合的な土砂災害対策の実施についての通知に基づき、次のような対策を図ることとしておる。一つは、土砂災害防止事業の推進である。災害弱者に係る土砂災害対策は、これまでも重点的に実施してきたところであるが、土木部、林業水産部と合わせて47カ所の危険箇所で事業を実施しておる。災害弱者関連施設が存在する危険箇所のうち、緊急的に対応するべき箇所について新たに5カ年計画を策定し、災害弱者関連施設を有する危険箇所の整備を計画的に推進していくこととしておる。
 次に、災害弱者関連施設に係る情報提供であるけれども、関係部局との調整を図った上で、当該施設が土砂災害を受ける恐れのあることを当該施設が所在する市町村に通知し、周知徹底を図ることとする。また、当該市町村と連携・協力し、当該施設の管理者に対してその旨を通知、周知を図ることとしている。また、災害弱者関連施設の管理者、施設の防災に関する責任者等に対し、通知に関する説明会等を市町村と協力開催し、土砂災害に関する知識の向上と防災意識の高揚を図るなど、対策の実施について指導することとしておる。
 また、関連施設における防災体制の確立であるけれども、施設や避難場所を明示した土砂災害危険区の地図を作成し、防災関係機関あるいは施設の管理者に提供し、警戒避難体制の確立などの防災体制の整備に努めるよう指導してまいりたいと考えておる。

〇三河委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午前11時59分 休 憩
 
   午後1時4分 再 開

〇菊池副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 午前中の説明に対する質疑を続行する。

〇黄川田委員 次に、新しい行政システム改革大綱についてお伺いする。
 このたびの大綱は、基本計画である行政システム改革大綱と実施計画である岩手県行政システム改革実施計画から構成され、その内容も詳細かつ具体的なものになっておる。したがって、その内容を端的に取り上げることは難しいわけであるが、大綱の中で私なりにポイントと考えられる事項についてお伺いする。
 まず第1点目は、生活者や地域の視点に立った新たな行政の仕組みの提案についてである。
 この言葉は、新しい総合計画の中間報告にもよく出てきておるが、具体的にどのような改革を実施することによりこれを実現しようとしているのか、あるいは実現できると考えておられるのか、お示しいただきたい。
 次に、第2点目は県行政への参加についてであるが、大綱においては、県民が行政に積極的に参画できるようにシステムを構築するとあるが、そのためにどのような方策が考えられるのか、また、県民の方々にどのような方策により参画していただこうと考えておられるのか、あわせてお伺いする。

〇吉田総務部長 行政システム改革大綱の生活者や地域の視点に立った新たな取り組みについてであるが、県と県民との関係を行政サービスの提供という観点から、一方的なものということではなくて、双方の合意と申そうか、理解、協力のもとに進めるということが必要だと考えておる。そういったことで、県民の皆様一人一人が主体的に地域づくりに参画できるようにする必要があると考えておる。したがって、これまでの行政運営の仕組みの見直しをした上で、行政の主体である県と県民が一緒になってこれからの岩手を考えていく必要があると思っておる。このためには、まず、県民の皆様一人一人が主体的に地域づくりなどの行動に参加できるよう、あるいは行動できるよう情報公開の徹底を図るということ、それから、情報の共有のシステムを2点目に考えなければならないのではないか。
 それから、特にも、政策立案をする際に情報提供などを充実したことで、検討案というか試案と申そうか、そういったものを提示申し上げて、どういうわけでこういう試案あるいは検討案ということになったのかをお示しいたすなどして、広く県民の皆さんから意見をいただいて方向性を定めるというパブリック・コメント制度、こういったものなどをやっていったり、それから、こういった県民の県政への参画システムを構築すると、そういったことの環境を整備していくことが必要だと考えておる。
 それから、地域が主体性を持って魅力的な地域づくりを進めることができるように、それから県と市町村との対等、協力の関係と、こういったことがやはり大事だろうと思う。そうした上で、市町村の参画のもとで地域発での政策立案を行うなど、市町村との連携をより重視していかなければならないと考えている。その場合において、地方振興局が果たす役割は大事なものであるので、地方振興局の企画調整機能とかあるいは独立性とか、あるいは局長の権限の強化とかといったものが大事である。そうした上で、総合行政を進めるということで、振興局の役割はますます大事になってくると考えておる。考え方としてはそんなことで、新たな仕組みをつくっていかなければならないと考えておるところである。

〇黄川田委員 最後に、県土の均衡ある発展について要望させていただく。
 県においては、現在の3県総に至るまでの県の総合計画において、常に県土の均衡ある発展を県政の基本的な課題として、地理的、地形的に厳しい条件にある県北沿岸地域の振興を図るため、これまでさまざまな施策を講じてこられてきたことは私も認めるところである。しかしながら、県のこうした努力にもかかわらず、市町村民所得や人口動態を見ると、残念なことに依然として県内における格差が解消されていないのが実情である。これは、それぞれの地域が持つ自然的な条件や社会的、経済的な条件によるさまざまな要因の積み重ねから生じてきたものであり、一朝一夕には解決しがたいと承知しておる。
 そこで要望とさせていただくが、県においては、現在策定作業中の新しい総合計画の中でも、県土の均衡ある発展を基本的な課題とし、その実現のための新たな視点に立った施策を検討されるようよろしくお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただく。

〇菅原委員 自由民主党・県民クラブの菅原温士である。
 会派を代表して、平成11年度予算について総括的に質問をするので、よろしく御答弁をお願いする。
 なお、黄川田委員の質問と重複する点が実はたくさん出てきたわけである。御了承をお願いする。
 平成11年度の政府予算案は、現下の厳しい経済・金融情勢を踏まえ、いわゆる15カ月予算の考えのもとに、平成10年度第3次補正予算と一体にとらえ、当面の景気回復に向け全力を尽くすとの観点に立ち編成されたところである。また、財政構造改革法は凍結するものの、財政構造改革の基本的考え方を維持し、限られた財源の中で経費の合理化、効率化、重点化を図る方針で編成された。このような中で、本県の当初予算は、統一地方選挙を控え、義務的経費を中心とした骨格的予算としたものの、景気対策への配慮や早期に対処すべき諸経費については、当初予算において措置することとした一方、昨年度策定した行財政システム改革指針については、行財政改革に取り組む基本的な考えは変わらないとして、引き続き行財政の改革を行う姿勢を示した。このことは、11年度当初予算編成が景気回復と財政の健全化という、いわば相反する課題に対応するため、財源の確保に苦労と工夫をした予算だと思うのである。このような当初予算の状況を踏まえ、幾つかの財政問題についてお伺いをする。
 まず、11年度当初予算編成に当たっての基本的な考え方の中で、国の15カ月予算に呼応し景気対策に配慮したとしているが、具体的にどのような対応をされたのかお示しを願いたいと思う。

〇千葉副知事 平成11年度の予算編成の基本的な考え方であるけれども、一つには、統一地方選挙を控えている関係から、骨格的予算とする方針のもとに編成したものである。また、税収の減少など、財政環境が厳しいため、事務事業の見直しや施策の重点化を図るなど、健全財政の確保に努めたところである。また、景気回復に向け、全力を尽くすとの観点で編成された国のいわゆる15カ月予算に呼応した景気対策に最大限の配慮をしたところである。
 具体的には、県内経済の活性化を図るため、公共事業や老人福祉施設の整備などの投資的経費を10年度の補正予算と一体のものとして重点的に計上いたした。また、中小企業の資金調達の円滑化を図るため、中小企業向けの融資枠を大幅に拡大したところである。
 景気対策の具体的な対応であるけれども、一つは投資的経費であるが、10年度3次補正予算額と11年度当初予算額の合計、いわゆる15カ月予算の関係であるけれども、補助事業で2、205億円余、単独事業で1、144億円余となり、合計で3、349億円余措置しているところである。
 次に、中小企業金融対策であるが、これは11年度当初予算額であるが、商工観光振興資金貸付金は176億円余、中小企業経営安定資金貸付金については285億円余、小規模企業振興貸付金については12億円余で、合計で473億円余の金融対策の資金を用意したところである。
 また、雇用対策の関係であるけれども、11年度当初予算額で、国の雇用活性化総合プランの広報経費として400万円を措置いたしておる。
 また、債務負担行為の関係であるけれども、工事の発注時期の平準化を図るものとしてやったわけであるが、ゼロ国庫債務負担行為については48億円余、また、ゼロ県債務負担行為については60億円余ということで、合計で108億円余の債務負担行為を組んだところである。

〇菅原委員 次に、自主財源の確保対策についてお伺いする。
 本県の歳入構造は、県税などの自主財源が少ないことから、財源の多くを地方交付税や国庫支出金、県債といった国等の財源に多くを頼らざるを得ない状況となっておる。11年度当初予算において、その比率は依存財源が64%、自主財源が36%である。この数値は昨年とほぼ同じような割合であるが、税収が大幅に減少する状況のもとで、自主的な財政運営を確立するためには、自主財源をこれまで以上に安定的に確保する工夫が必要であると思うわけである。
 そこでお伺いするが、11年度当初予算における自主財源の状況とその確保に向けてどのような方策をお考えか、お示しを願いたいと思う。

〇吉田総務部長 御案内のとおり、本県の財政構造は、財源の多くを交付税あるいは国庫支出金、県債、そういったものに依存しているところであるが、平成11年度当初予算においては、自主財源の大宗をなす県税が前年度比6・9%減少したところであるけれども、その振りかわりと申そうかその減の部分を賄うために、使用料・手数料の見直しを行って98件、2億1、300万円を生み出しておる。それから、県有未利用地の処分6件で3億1、300万円、それから県有林造成基金の活用によって、これは20億円を活用しているといったことなどによって自主財源の割合は35・9%となり、前年度と対比した場合には0・5ポイントの増となったところである。
 今後においては、地場産業の振興を図ることはもちろん大事であるし、加えてベンチャー企業の育成などによって税源の涵養を図るなど、そういったことにより自主財源の確保を図る。そしてさらには、県税の収納率の向上、こういったことも負担の公平の原則などからやっていかなければならないと考えておる。加えて、あるいは使用料・手数料の適時適切な見直しを進めるということのほかに、基金の適時適切な活用を図って、自主財源の確保に努力してまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 次に、公債費の今後の見通しについてお伺いをする。
 平成11年度の当初予算における県債は1、171億円余が計上され、県債依存度は13・5%と、前年度に比較して3・3%減に抑制してはいるものの、11年度末県債残高見込みは、前年度末と比較し530億円増加し1兆1、070億円となり、次世代への負担が一段と増すこととなる。このような状況において危惧されることは、今後の公債費の増嵩である。公債費は、11年度当初予算では約980億円と前年度に比較し11%増加し、財政の硬直化の大きな要因となっており、今後の財政運営に支障を生ずることになるのではないかと懸念されるところである。
 そこでお伺いするが、本県の公債費の今後の見通しについてお示しを願いたいと思う。

〇吉田総務部長 御案内のとおり、平成11年度の公債費は980億円と見込んでおるわけであるが、11年度のこの発行額を加えた額を加味して今後の償還額を大まかに試算すると、償還のピークは平成15年度であり、約1、400億円程度になるものと見込んでいるところである。このうち、交付税に算入される額を差し引いた一般財源の純県負担額は、平成11年度で約417億円、平成15年度で約580億円と見込んでいるところである。
 今後においては、先般策定した行政システム改革大綱に基づいて、行財政運営の簡素効率化に努めるということのほか県債管理基金の活用、さらには借換予定債の発行、こういったものを進め、あらゆる手だてを講じて、公債費の増嵩が県行政の運営に支障を来すことのないように努めてまいりたいと考えておるところである。

〇菅原委員 次に、県債の繰り上げ償還についてお伺いをする。
 ただいまは、公債費の負担が今後増加していく傾向にあるとのことであるが、この公債費の負担を軽減する方法はないのであろうか。
 過去において発行した県債で、高い利率の県債を繰り上げ償還することも一つの方法であるが、自治省の指導や金融機関との関係もあると思うが、他県でも動き出しているやに伺っておるが、その対応についてお伺いをする。

〇吉田総務部長 県債の繰り上げ償還であるが、平成9年度末残高で見た場合に、これは縁故資金が中心であるが、4、245億円の残高になっておる。この繰り上げ償還は、県にとっては将来の財政負担の軽減になるものであるので、それを進める必要があると考えておるが、貸し手側の金融機関にとっては、予定していた利息収入を失うということにもなるわけであり、双方相入れないものがある。しかしながら、県としては、今後の厳しい財政状況にかんがみ、財政の健全化に資するべく、鋭意、貸し手先金融機関と協議を重ねた結果、繰り上げ償還の了解をいただき、2月補正でその所要額12億5、000万円を計上し、議決をいただいたところである。
 なお、この繰り上げ償還による後年度の利払い軽減額は約1億8、300万円になると、こういったことなどから、今後もそういうふうに努めてまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 次に、部局横断的課題の推進体制についてお伺いをする。
 平成11年度の予算編成に当たっては、行政の総合的な推進と予算の重点的、効率的な配分を図るという観点から、幾つか創意と工夫を講じられたと伺った。その中で、あらかじめ九つの部局横断的な課題について、関係する部局が協議、調整を行いながら、総合的、横断的な予算編成が行えるよう取り組んだとのことである。従前からの各部局縦割りの予算編成から、共通する課題について、部局の枠を越えて効率的な予算編成を行う仕組みは注目すべき取り組みと思うのであるが、実際の予算要求に至る過程はどうだったのであろうか。具体的にはどのような協議、調整が行われ、また、今後の事業執行についてどのような体制で臨もうとしているのか。九つの課題のうち、中心市街地の活性化及び中山間地域の活性化の二つの課題についてお聞かせ願う。

〇千葉副知事 部局横断的な課題の推進体制のうち、まず、中心市街地の活性化についてであるけれども、中心市街地の活性化を推進するため、昨年5月に商工労働観光部や土木部など、関係5部8課による中心市街地活性化連絡会議を設置したところである。この会議が主体となって、事業実施予定の市町村や商工団体、商店街組合との協議を重ねた上で、各部の事業の実効性や相互連携について検討、調整を行ったところである。また、各部の事業を、中心商店街の振興や都市環境の高度化などの観点から体系化したところである。このような協議、調整を踏まえて、魅力ある商店街整備事業や街路事業など15事業、70億1、500万円を平成11年度の予算案として盛り込んだところである。
 具体的な予算案の取りまとめであるけれども、総体については商工労働観光部の商政課が中心となって取りまとめ、財政課に説明をいたして、それぞれの事業の要求は各部で行ったものである。
 また、今後の事業執行の体制であるけれども、これらの事業の相乗効果の発揮に向けて、中心市街地活性化連絡会議を中心に、各部や地方振興局の連携をより一層強化してまいりたいと考えておる。
 次に、中山間地域の活性化の関係であるけれども、中山間地域活性化対策を部局横断的に推進するため、昨年4月に、全部局長で構成する岩手県中山間地域活性化推進会議を設置したところである。この会議において、関連対策の推進指針の検討と体系立てを行ったところである。
 平成11年度の予算編成に当たっては、この体系に基づいて、地方振興局からの事業要望も含めて、関係部局との協議、調整を行ったところである。具体的には、地域づくり交流ネットワーク事業や新いわて農業再編総合対策事業、道路改築事業など191事業、1、430億円を予算案として盛り込んだところである。
 この総括的な取りまとめは、農政部の地域農業振興課が中心として取りまとめ財政課に持ち込んだ後、それぞれの事業の要求は各部で行ったところである。
 今後の事業の執行体制であるけれども、地方振興局段階においても、各部長等で構成する地方中山間地域活性化推進会議を設置いたし、それぞれの地域の実情を踏まえて地方推進プランを策定したところである。この地方推進プランが着実に実施されるよう、関連事業を適切に配置するなど、県段階と地方段階の推進会議との緊密な連携のもとに、効果的な事業の執行に努めてまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 次に、行政改革についてお伺いをする。
 新しい行政システム改革大綱は、詳細かつ具体的に今後の本県の行政運営の方向について記述がなされ、しかも大変わかりやすい内容となっており、これだけの力作をまとめられた県当局に敬意を表するものである。
 私は、全体としてこの大綱の内容を評価するものであるが、気がついた点を2点ほどお伺いする。
 まず1点目は、職員の育成についてである。
 地方分権の進展や右肩上がりでない経済社会の到来など、時代は今変革のときである。このような中で、新しい時代に向けた行政システムを構築していくためには、知事演述に言う、県庁株式会社の職員として県民の期待にこたえられる、そしてまた、企業的意識を持った人材の育成を図ることが極めて重要であると考えておる。新しい大綱においては、人材の確保、能力開発、人事システムの構築、職場活性化などを柱とした人材育成プログラムを策定するとしておるが、人材育成に当たっての基本的な考えをお示しいただきたいと思う。
 また、平成11年度においては、人材育成プログラムの具体策としてどのような取り組みを行う考えなのか、あわせてお示しを願いたいと思う。
 2点目は、各種審議会等の見直しについてである。
 昨年5月に閣議決定された地方分権推進計画では、法令による審議会の必置規制の見直しが掲げられておる。また、最近の報道によると、国では中央省庁等改革大綱を決定し、その中で各種審議会等について現在の211のうち131を廃止し、統合する方針を固めたところである。県の場合、法律や条例の規定による審議会のほかに、類似の機能を持った協議会等をあわせると、その総数は180を超えると伺っておる。こうした審議会等では、同一人の兼務や年配の委員が多くなりがちであり、若手の登用が十分でなかったり、女性委員の登用についての数値目標を、いまだ達成していない審議会が少なからずあると伺っておる。新しい大綱では、審議会の統廃合の推進や委員数の削減及び選任方法の見直しなどを掲げておるが、こうした各種審議会等の現状をどのように認識し、今後、具体的にどのような改善を図っていこうとしているのかお伺いをする。

〇吉田総務部長 まず、職員の育成についてであるが、新しい行政システムの確立を求めている中で人材育成が一番大事だと考えており、時代の変化に常に対応していくということのためには、住民のニーズに的確にこたえることが必要だと思っているわけである。したがって、地域経営を担うにふさわしいすぐれた創造性と経営感覚を有する職員の育成が急務だと、まず考えておるところである。
 具体的には、時代の変化に的確に対応できる人材として、社会情勢に対する幅広い視野と深い洞察力あるいは先見性、そういったものを備える職員の育成が必要である。あるいは、失敗を必ずしも恐れずにチャレンジする精神と、自立心にあふれた行動に富む職員の育成が必要だと考えておるし、それから、効率的な業務の推進ができる職員の育成が必要である。この中身とすれば、コスト意識の経営感覚にすぐれて、みずからの判断と責任において物事をやり遂げるという使命感を持った職員の育成が必要だと考えておる。それにまた、より質の高い行政サービスの提供ができる人材の育成ということで、常に現状に満足することなく、チャレンジしながら県民サービスの向上に主体的に取り組むことができる職員が必要だと考えておる。
 これらの条件を備えた人材に求められる能力としては、いわゆる独創的な政策形成能力を持った職員、それから効果的・効率的な業務遂行能力を持った職員、それから経営能力を持った職員で、的確な判断力とか実行力を持った職員の育成が必要だと考えている。
 人材育成プログラムとしては、4本柱として、今年度内の策定を予定しているものとしては、一つには、高度な専門性や民間経験等を有する多様な人材の確保、それから研修の抜本的見直しをいたし、職員一人一人に着目した能力開発、それから加点主義的人事管理など、職員の意欲と能力を引き出す人事システムということ、4点目は、管理職の意識改革など職場活性化の推進、こういった4本柱を内容といたし、人材育成のプログラムを今年度内に策定したいと考えておる。
 それから、11年度の具体的な取り組みの一例として挙げると、例えば流通や金融などの特定分野でのスペシャリストの養成、このためには大手百貨店とか都市銀行への新規の派遣とか、あるいは市町村とのパートナーシップの構築のために県と市町村との職員の相互交流、あるいは地方振興局と管内市町村間の職員の相互交流といったものを考える必要がある。それから、先駆的な取り組みを行っている都道府県との相互交流、これも必要だと。新たに宮城県とか石川県とか、県際交流、観光振興について交流を行いたいと考えておる。
 それから、庁内公募制による派遣研修等、政策科学系の大学院への派遣とか、ジェトロへの派遣とか、それを行う場合に公募制を取り入れてみたいということなどを考えているところである。
 次に、行政改革の関係で審議会の見直しであるが、御案内のとおり、現時点、10年度当初の時点では181の審議会がある。御指摘のとおり、同一人の方が多くの審議会の委員を兼ねているというケースもあるし、重複した委員の審議会もあり得るということがあるので、これはやはり整理統合する必要があるものと考えておる。そういった認識を持っておる。
 女性委員の登用についても、平成12年度までは25%まで高めることを目標としておるが、平成10年度当初の時点では17・9%である。この17・9%という数字であるが、これは法令とか条例だけではなくて、要綱等による委員会等も含められたものが17・9%である。法律とか条例に基づいたものでいわて女性さわやかプランに掲げたものは22・8%となっており、これだけから見ると25%にかなり近づいていると思われる。いずれにしても、今後、これを高める必要があると考えておる。
 それから、今後の改善方策としては、審議会の統廃合は地方分権推進計画の審議会の必置規制の見直し状況を見てまいりたいと思っておるし、それから委員の選任の見直しについては、法令の関係もあるが、1審議会当たりの委員の数を20人以内、原則として20人以内とするということ、そういったことで委員の削減を図るとか、あるいは50歳未満のできるだけ若手の委員も多く登用するとか、あるいは女性委員を今の目標は25%であるがさらに高めて30%近くに、あるいはそれを超えるということなども考える必要があるのかと思っている。それから専門的知識を必要とする方を除いて、場合によっては、公募制も導入することも必要かと思っているところである。
 また、委員の選任に当たっては、地域性ということ、1地域に偏らない地域の配分ということも考えていかなければならないと考えておる。

〇菅原委員 次に、広域連合を初めとした広域行政の誘導策についてお伺いをする。
 地方分権の推進については、昨年5月に地方分権推進計画が閣議決定され、具体的な実行段階に移ってきたところであるが、この計画については、その実施を通じて地方公共団体の自主性及び自立性を高め、総合的かつ弾力的な行財政運営を可能としていく第一歩として高く評価しているところである。私は、今後、新たな行政需要の増大が見込まれる一方、本格的な少子・高齢化社会の到来を迎え、厳しい財政状況が見込まれる中で、住民に一番身近な市町村が効率的、効果的な行政を展開していくためには、市町村みずからがその行財政基盤を強化し、行政体制の整備を図っていくことが必要であると考えておる。そのためには、介護保険などの新たな事務や複数市町村での共通の行政課題については、広域連合等の活用による広域行政の推進がまずもって重要である。その結果が、来るべき市町村合併の起爆剤になっていくのではないかと考えておる。
 そこでお伺いするが、昨年3月に設立した気仙広域連合の状況を踏まえて、分権時代に対応した広域行政の推進について、県は、今後どのような対応をなされるのかお伺いをする。

〇武居企画振興部長 昨年3月に御案内のように気仙広域連合が設立され、また、本年3月には、西磐井地域において1市2町を初めとする関係者の御努力によって、本県で2番目の広域連合が設立される予定であり、広域行政の取り組みの機運が確実に高まってきているものと感じているところである。
 厳しい財政状況の中で、今後とも増大する行政需要や地方分権の動向に的確に対応していくためには、市町村みずからが行財政基盤を強化し、効率的な行政体制の整備・確立を図る必要があるところであり、広域行政の推進は、今後、ますます時代の要請になってきていると感じているところである。
 県としては、平成11年度においては、市町村が広域連合や合併などの広域行政を検討する際の目安となる指針の策定について、岩手県立大学の協力を得て取り組んでまいることとしており、また、地方振興局を中心に地域の実情に即した情報提供や助言などを行うほか、国においても、平成7年に改正した市町村の合併の特例に関する法律を国の地方制度調査会の答申も踏まえてさらに充実しようとする、そういった動きも見られるところであるので、こういった動向も踏まえながら、市町村における広域行政の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えているところである。

〇菅原委員 次に、外部監査制度の導入についてお伺いする。
 平成9年の地方自治法の一部改正により、新たに外部監査制度が創設され、本年4月以降は、各都道府県や政令指定都市等に包括外部監査の導入が義務づけられ、これを受けて、県では、今議会に関係条例並びに契約案件を付議しているところである。この外部監査制度は、毎会計年度実施する包括外部監査と住民や議会等の請求に応じて実施する個別外部監査制度からなっており、会計制度等を熟知している者が、その専門的見地から、県の会計事務等について監査を行うものと伺っておる。このことは、従来の監査委員制度を補完するものとして、両制度が相まって、県の監査機能がさらに充実強化されることが期待されるものである。
 そこでお伺いするが、他の都道府県の導入の状況はどうなっているであろうか。また、本県では、外部監査人を公認会計士から選任するとのことであるが、その理由をお示し願いたいと思う。

〇吉田総務部長 外部監査制度に係る他の都道府県の導入の状況であるが、いわゆる導入が義務づけられている包括外部監査制度については、北海道、山梨県、広島県で既に導入しており、その他はすべて11年度からの導入と聞いているところである。
 それから、地方公共団体の自主的な判断にゆだねられておる財政的援助団体等を包括外部監査の対象とすること、それから個別外部監査制度、これについては北海道と山梨県が既に制度化していると聞いておる。その他は、すべて11年度に制度化すると聞いているところである。
 それから、公認会計士から選任する理由であるが、外部監査人としての資格は法律に規定があるけれども、弁護士、公認会計士あるいは行政経験を有する国とか自治体のOB職員、さらには税理士の中から選任するということになっておるわけである。このうち、行政経験者については、行政の外部からのより客観的な監査を期待したいということ、また、税理士については、弁護士とか公認会計士が地域的に偏在しているという実態にかんがみ、あくまで例外的に相手方--契約の相手方ということであるが--とすることができるということであるので、弁護士又は公認会計士を選任の対象として検討したところである。その検討の結果、監査業務の効率性を確保するという観点から、県内に事務所を有する弁護士、公認会計士について監査チーム編成への対応可能性といったことなどを総合的に検討した結果、今回は地方自治法で予定しておる複数の方によるチームでの監査の実績を有する公認会計士を契約の相手方としたいと考えたものである。
 なお、北海道及び東北各県も公認会計士を契約の相手方とすることとしていると聞いておるところである。

〇菅原委員 次に、県外事務所のあり方と体制整備についてお伺いをする。
 本県の県外事務所は、従前からの北海道、東京、名古屋、大阪の4事務所に加え、去る2月5日には新たに九州に、青森、秋田の両県と合同の福岡事務所が開設され、ほぼ全国を網羅するものとなったわけである。
 マスコミ報道によると、東京のいわて銀河プラザや九州のみちのく夢プラザには多くの来客があり、また、県産品の売り上げも上々とのことであり、まことに御同慶にたえないところである。しかしながら、県外事務所については、今後の課題も数多くあるように感じておる。県外事務所の所管部局にしても、現在、東京事務所が総務部になっているほか、北海道、名古屋、大阪、福岡の各事務所は商工労働観光部であると伺っておる。
 私は、こうした県外事務所は、当該事務所が設置されている各地域における本県の総合的な窓口であり、また、各種情報収集、イベント、その他の業務遂行についても、特定の部門に偏らず幅広い活動を行う必要があるものと考えておる。したがって、県外事務所を活用した情報収集は、系統立ててスムーズかつストレートに行われる必要があるし、また、県外事務所の活動内容も、行政情報の収集や企業誘致活動に特定したものでは、非効率かつ宝の持ちぐされになりかねない。私は、今後、県外事務所の活動は、広く民間情報を集めることを目的としたものに、組織も職員の意識も改めるべきであると考えておる。
 県外事務所の活動のあり方について、県当局はどのように考え、その体制整備を行っていこうとしておられるのか、お伺いをする。

〇吉田総務部長 県外事務所の活動のあり方についてであるが、県外事務所はその設置されている各地域の本県の総合的な窓口であり、御指摘のとおり、業務遂行に当たっては、幅広く、かつ、総合的な取り組みが必要だと考えておる。
 今後の対応であるが、来年度の東京事務所においては組織再編を行って総務行政課、企業立地観光課、この2課体制に持っていきたいと考えているところであり、観光振興を専担する職を設けたいと考えて検討を進めているところである。また、福岡事務所については、御指摘、御案内のような北東北3県の共同運営の事務所として、3県で観光とか物産・文化情報の発信や情報収集に努めてまいりたいと考えておる。
 県外事務所の職員は、これまでもさまざまな分野の民間情報の収集や人的ネットワークの構築に取り組んでまいったところであるが、改めて県を代表していくということを意識した総合的な活動が可能となるような環境づくりを取り進めてまいりたいと考えているところである。そのため、来年度からは、県外事務所はすべて総務部の総務学事課の所管として、県行政の幅広い分野において総合的な活動を行えるような方向で検討しているところである。

〇菅原委員 次に、銀河系いわて大使についてであるが、御案内のとおり、他県においても大都市と地域との仲介役として、口コミで地元をアピールしてもらおうと、鹿児島県の薩摩大使を初め、福島県のしゃくなげ大使、青森県の青い森の特派員など制度を設けているところであり、全国約100の自治体でふるさと大使が委嘱されていると聞いておる。本県においても、県外に居住している本県にゆかりのある方々を銀河系いわて大使に委嘱し、県政に対するさまざまな提言を受けているところであるが、この大使の人選基準はどのようになっているのであろうか。現大使が委嘱されてから3年余り経過しているわけであるが、これまでの提言の状況と県政への反映はどのようになっているのであろうか、あわせてお伺いをする。
 また、この大使制度は、県外から見た岩手について、広範な意見を聞くという趣旨であるとすれば、その人選も肩書や県との直接的なかかわりにとらわれず、思い切って若い事業者や現役で活動している人など、県の施策に参加してもらうことが可能な人材に切りかえていく必要があると思うが、県としてのお考えをお示し願いたいと思う。

〇武居企画振興部長 銀河系いわて大使の制度については、大使の方々に本県に関する情報発信とイメージアップをお願いする、それから県政に対するさまざまな御提言をいただくことを目的として、平成7年度から実施しており、本年度で任期の4年目に--任期が4年間ということであるが--当たるところであるが、その委嘱に当たっては首都圏、関西それから北海道、中京の各地区に在住する本県の出身者など、本県にゆかりのある方の中から、産業・経済、マスコミ、文化・スポーツなど、各界で活躍されている方々の中から人選を行っているところであり、現在196名の方に大使になっていただいているところである。
 これまで、東京、大阪、名古屋、札幌で大使との懇談会を計7回開催したほか、随時手紙などによる提言あるいは県政に参考となる各種資料等も熱心にいただいているところであり、これらの提言の中では、例えば他県との比較における岩手のイメージアップの仕方であるとか、本県農林水産物等の魅力を踏まえた市場をもっと拡大するためのアドバイスであるとか、あるいは本県への観光客誘致拡大のためのPR活動の仕方であるとか、昨年開学した県立大学を中心にした人的交流や人材育成に関する提言など、さまざまなものをいただいており、各部局にもこういった提言についてはすべて投げかけ、積極的な取り組みを行うようにいたしているところであり、約7割について県政に反映しているところである。
 現在の大使の任期が本年3月ということであることから、現行の制度については委員御指摘の点も含めて、年齢的に大分御高齢の方等もいらっしゃって、今後いろいろ任期等を考えていった場合に、もう少し実践の場で活躍されている方々をという、そういった検討事項もあるので、委員御指摘の点も含めて検討を進め、県政への提言や本県のPR、情報発信などのために積極的に御協力いただける方々を委嘱してまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 次に、農業問題についてお伺いをする。
 まず、農地の利用集積についてであるが、私は、農業従事者の高齢化が急テンポで進む中にあって、やる気のある農業者を育てることが、農政に課せられた大きな課題であろうと思うのである。このことは、さきに公表された農政改革大綱あるいは県の新しい農業計画の中間答申においても、重要な柱立ての一つとして位置づけられていることは御案内のとおりである。
 さて、我が県では、ウルグアイ・ラウンド関連対策事業等を導入し、積極的に農業生産基盤の整備を進めており、生産費用、労働時間の大幅な低減など、事業効果も顕著であると聞いているところである。このように、きちんと整備された圃場で効率的な営農ができるのであれば、おれもひとつ頑張ってみるかという意欲もわき、こうした方々に農地を集積することにより、地域の農業を中心となって担う農業者が育っていくのではないかと思うのである。農地の出し手、受け手の当事者だけの交渉では思うように進まないことを耳にいたしておる。県では、どのように農地の利用集積を進めていこうとしているのか、お聞かせを願いたいと思う。

〇千葉副知事 農地の利用集積は、ただいま御指摘があったとおり、農地の出し手、受け手の当事者間だけでは進みにくい面があるので、仲介・あっせんの体制を強化していく必要がある。
 強化の具体的な取り組みであるけれども、農地の情報を多く持っている農業委員や農地流動化推進員による利用調整活動を促進しているところである。また、農地の売買や貸借を行う岩手県農地管理開発公社の仲介・あっせん体制を強化したところである。
 具体的には、川崎村ほか8市町村に、稲作地帯の大区画圃場整備地区に対する地方駐在員の配置を行ったところである。また、大東町ほか9市町村に対して、畑作や畜産を中心とする中山間地域に対する現地駐在員の配置を行ったところである。これらの駐在員は、地域に深く入って取りまとめの調整役として活動し、農地の利用集積に大きな成果を上げているところである。
 今後の対策であるけれども、農地流動化推進員や駐在員への支援の強化、あるいは集積促進費の交付、農機具のリースに対する助成、低利資金の融通などによって担い手に対する農地の利用集積を一層促進し、体質の強い農業構造を確立してまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 次に、女性農業者の育成方策についてお伺いをする。
 先ほども申し上げたように、農業・農村の振興には、意欲ある担い手の育成確保が重要な課題である。担い手には、新規学卒者や他産業からのUターン者、参入者などいろいろな対象者がいるわけであるが、私は、今日の農業就業人口の約6割を占めていると言われる女性が、夢と希望を持って農業に取り組める環境づくりをすることが、新たな担い手の育成確保に極めて有効であると思うのである。
 農業・農村の未来に明るいイメージを醸し出すには、女性が地域において、生き生きと農業生産活動や村づくり活動などに励んでいる姿であり、地域の活性化にも大きく貢献するものである。現実に、最近、各地でふえてきている産直や農産加工などに意欲的に取り組んでいる女性のいる地域は活気があり、住んでみたくなるような雰囲気がある。しかしながら、こうした意欲的に農業に取り組んでいる女性はまだまだ少ない状況であり、また、農村において女性の果たしている重要な役割についても、まだまだ社会的に認識評価されているとは言いがたいと思うのである。
 そこでお伺いするが、今後の女性農業者の育成方策についてどのようにお考えをお持ちであろうか、お伺いをする。

〇千葉副知事 女性農業者の育成のためには、女性農業者が意欲と能力を一層発揮して、農業経営や地域活動に積極的に参加できるような、そういった施策を講ずることが必要である。
 具体の取り組みとしては、これまで農業者として能力の向上と働きやすい環境づくりを促進するため、農業技術・経営管理研修や講座の開設、あるいは女性の労力を軽減する農作業器具の改善や施設の整備等を進めてきたところである。また、近年、農村女性グループを中心に増加しておる農産物の加工販売や産直、農家レストラン等の経済活動に対して、施設整備資金の貸し付け、マーケティング情報の提供や先進地研修等を実施してきているところである。また、女性農業者の農業経営の参画を促進するため、労働報酬や休日等の就業条件の整備、あるいは役割分担等を家族間で取り決める家族経営協定の締結、あるいは、農業者年金制度への加入の促進を図るといったような施策を講じてきているところである。
 今後の推進方策であるが、これまでの取り組みをさらに充実強化しながら、関係機関、団体と一体となり農業者の育成に取り組むとともに、農業に関する方針の決定の場合の女性の登用促進などにも積極的に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 次に、公共事業への間伐材利用の取り組みについてお伺いする。
 近年、公共工事の整備内容は、所得水準の向上や自由時間の増大等に伴う住民ニーズの多様化などにより、これまでのような量的充足追求から、生活の質と豊かさを実感できる施設整備が強く求められるなど、大きく変化をいたしているところである。
 このような背景のもと、今後の公共施設の整備に当たり、自然環境に優しく安らぎを与える木材の利用促進を図っていくことは、変化に対応する有効な取り組みの一つであると認識をいたしているところである。
 一方、森林は、木材を生産するほか、水源の涵養、山地災害の防止、環境の保全とさまざまな機能を有し、国民が豊かな生活を営む上で極めて重要な役割を果たしておる。これら森林の多様な機能を十分に発揮させるためには、適切に間伐を実施し、森林を健全な状態に保つことが必要であると思っておる。県産間伐材の利用促進は、県内林業の発展に寄与するものと考えておる。こうした観点からも、県産間伐材の積極的な利用促進を図っていくことは、重要な取り組みであると思っているところである。
 そこでお伺いするが、県土木部においては、公共事業の推進を図っていく上で、この間伐材についてどのような考えで取り組み、さらにその取り組み状況はどのようになっているのかお伺いをする。

〇千葉副知事 間伐は森林の持つ保水あるいは土壤維持など、多様な機能を確保するため欠かせないものである。また、間伐材は自然環境や景観に優しく、生活の豊かさを実感できる施設整備として利用価値が高いものとの観点から、公共事業に努めて利用しているところである。
 取り組みの経緯であるけれども、平成8年度に間伐材活用方針を制定いたした。これ以前は、公共事業に間伐材の利用というものはほとんどなかったような実態である。そして平成9年度に道路附属施設・間伐材実証事業を実施、あるいは県産・間伐材利用川づくり推進事業を実施したところである。
 具体の活用状況であるけれども、護岸工の中心である木工沈床工あるいは柵工類、丸太積み土どめ工や階段工などにこういった間伐材を利用しておる。また、道路附属施設であるスノーポールやデリネーターの製作活用にも間伐材を利用しているところである。
 9年度の活用実績であるけれども、護岸の中心的な工事である木工沈床工などに素材として375立米、太さで12センチメートル、長さ3メートルの丸太換算でいたすと8、800本のものになる。そのほかにスノーポール約1、000本、デリネーター約100本、こういった活用実績があるわけである。
 今後の取り組みであるけれども、土木あるいは林業水産部の関係部局の連携を強化して、間伐材の積極的な活用に努めてまいりたいと考える。
 また、間伐材の活用の可能なものへの開発にも取り組んでまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 次に、山地災害の防止についてお伺いをする。
 本年度は、4月の軽米町における山火事に始まり、7月に入っての大雨災害や9月の台風など、例年になく自然災害が多発した年であった。特に本県は、県土の面積においても森林面積においても本州一を誇り、広い山間地に多くの集落が点在し、一たび台風や大雨の災害に見舞われると、土石流や山崩れなどの山地災害が後を絶たず、本年度も8月末の大雨災害や台風5号による災害、あるいは雫石町における地震災害などが相次ぎ、各地で土砂崩れが発生し、道路施設等に甚大な被害を及ぼしたことは御案内のとおりである。相次ぐ自然災害を目の当たりにして、改めて自然に対する脅威を感じると同時に、県民の皆様も、安全で安心できる暮らしに対して一層認識を新たにしたのではないかと思う。このような中で、山間地における災害の防止に向けて森林の持つ防災機能を高める必要があると思うが、どのような治山対策を考えているのかお伺いする。

〇千葉副知事 本県は県土のほぼ8割が森林で占められているわけであるけれども、そういった中で、人命、財産に直接被害を与える恐れのある山腹崩壊や土石流等の山地災害がたびたび発生しておる。その未然防止や荒廃森林の復旧のため、治山事業を積極的に実施してきているところである。平成11年度においては、山間地域における安全な生活を確保するため、国庫補助事業や県単独事業により、183カ所、58億7、400万円余の治山事業を実施することにしておる。その内容であるけれども、一つは、岩手山火山対策である。今後、火山活動が一層活発化して噴火等が生じた場合、土石流などによる被害が予想されるため、昨年公表されたハザードマップで指摘された土石流の危険性が高い溪流等を対象に、治山ダム等の治山施設を設置することとしておる。
 次に、山地災害対策であるけれども、森林や溪流の荒廃が進み下流の集落等に災害を与える恐れのある山地災害危険地区等を対象に、復旧治山事業や予防治山事業等を引き続き積極的に推進することとしておる。特に、人家が密集して公共施設等が集中しておる地区については、防災対策総合治山事業等を積極的に導入するなど、総合的な山地防災対策を講ずることとしておる。また、災害弱者関連施設に隣接する山地災害危険地区についても、荒廃状況に応じ、緊急に対応すべき箇所について今後5カ年間で計画的に治山事業を導入することとしておる。
 このほか、水源地域整備事業、保安林整備事業等、各般にわたる治山事業を引き続き実施し、水源涵養機能や土石流防止機能の高い森林の整備に努めることにしておる。

〇菅原委員 最後であるが、水道施設の災害対応についてお伺いする。
 県民が豊かでゆとりのある生活を実現し、安心して快適に暮らすためには、生活の基本である水道が常に安心して使用できるものでなければならない。本県の水道普及率は88%に高まり、水道は県民の日常生活に欠くことのできないものとなっておる。ここで水道が求められていることは、安全な水質、においのしないおいしい水、災害時や渇水にも供給できる安全性である。災害時においては、まずもって住民を避難させるという安全確保が大事であるが、それとともに、ライフラインをいかに確保するかということも非常に重要であり、特に、命の糧である水の確保が非常に大切であると思うのである。
 そこでお伺いするが、県内で災害が発生した場合における水道施設の対応についてはどうなっているであろうか。
 さらに、1月26日付の地元紙で、水沢市が周辺市町村と相互応援給水協定を結ぶ旨報道されておるが、このように各市町村が地震や渇水、油流出事故などで給水できなくなった場合、市町村間の水道管を連結することで、相互に水道事業者が応援給水できる施設整備の取り組みを促進する必要があると考えておるが、県の基本的な考えをお示しいただきたいと思う。

〇千葉副知事 水道は、ライフラインの一つとして重要な役割を持っておる。特に、災害時には迅速、適切な応急給水と復旧対策が必要である。このため、県内の水道事業者等と協議し、ことしの1月であるけれども、全県を対象とした水道施設の災害対応マニュアルを策定したところである。その内容は、一つには、緊急連絡網の整備、二つ目として、市町村間の応援体制の整備、三つ目として、応急給水の手順、こういったものを内容とした災害対応マニュアルを策定したところである。さらに、水道施設の復旧対策に係る民間からの協力を得るため、ことしの2月には、社団法人岩手県管工業協会と災害時の応援協定を締結したところである。今後、給水車等の応急給水設備の充実を一層促進するとともに、このマニュアルに基づいて、災害時の応急給水や水道施設の復旧対策が円滑に実施できるよう、水道事業者と協調を図り万全を期してまいりたいと考えておる。
 また、隣接市町村間の水道水の相互融通のための連絡管の整備であるけれども、隣接する市町村間に連絡管を整備し、渇水や災害などの緊急時に水道水の相互融通を行うことは、危機管理上極めて重要なことである。本県においては、平成5年度から平成7年度にかけて、国庫補助事業により、一関市と平泉町、一関市と花泉町、千厩町と藤沢町で、それぞれ緊急時連絡管を整備しているところである。今後、全県にわたり、各市町村間における水道水の相互融通の施設整備を促進する必要があると考えておる。このため県としては、広域的な観点から、水源の状況や地理的条件などを見ながら緊急時連絡管の整備に取り組むよう、市町村水道事業者に働きかけてまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 私の質問は終わったわけであるけれども、改めてお伺いするけれども、先ほど総務部長から人材育成についてのお話があったわけである。今、大企業から中小企業まで、この半世紀の間に経験したことのないような不況に陥っているわけであり、毎日の新聞、テレビ等において、リストラによる人員削減、1、000名とか2、000名とか大きな数字の報道が実はなされているわけであり、そういう企業で働く社員も非常に危機感を持っているということである。あしたの我が身が保障されないような状況なのである。それに比べて県庁の職員の方々は、そのような危機感はないわけである。県庁はつぶれるわけではないと、そんな感じがする。企業で働く人の行動、県庁で働く職員の行動は非常に差があるような感じ--一生懸命やっている方もあるけれども、そのような認識の甘いような行動もあると、そのように私は見ておるわけである。今度、県庁株式会社であるから、職員は社員であるから、もっともっと企業意識に徹した人材育成が急務である。どうも、職員が廊下を歩いている状況を見ても、スピード感がないと。企業はそんなスピード感ではだめなのである。もっともっと速いスピード感で駆け足で行動しているわけであるが、そういうような体制づくりもひとつ進めていただきたい、そのように思うわけである。所感をお伺いする。

〇千葉副知事 県庁の職員は危機感がないのではないかという厳しい御指摘があったわけであるけれども、私自身は、外で見るよりは、県庁の職場というのはハードな職場であるという認識を持っておる。ただ、この県庁自身にも2、000人を超す職員がいるわけであり、全体の中には、今委員が御指摘のような職員もままあるかと思う。ただ、総体的には厳しい感覚で職務に励んでいると考えておる。ただ、こういう行革が叫ばれている時代でもある。そういったものに十分配意しながら、今後人材の育成に努めてまいりたいと考えておる。特に、県庁に入った途端、ぴりっとした感じがしないというのは、委員だけではなく、多くの方々からもそういった感想を述べられている事例があるので、今度機会があったら、そういう点にも注意を喚起してまいりたいと考えておる。

〇佐々木(博)委員 政和会の佐々木博である。予算審議に当たり、会派を代表して総括的にお伺いするので、積極的な御答弁をお願いする。
 なお、代表質問あるいは一般質問、あるいはまた、前段の質疑と若干重複する点もあるので、その点についてはあらかじめ御了承賜りたいと思う。
 それでは初めに、行政改革に関連して、今後の行政機構の整備についてお伺いする。
 さきに示された新しい大綱では、本庁機構については、全県的な政策立案機能と評価機能をより重視した体制を、そして地方振興局については、地域経営を担うにふさわしい地域振興の拠点をそれぞれ目指すこととし、時代の変化に即した行政需要に機動的に対応できるよう、簡素で効率的な執行体制を整備するとしておる。また、推進事項としては、本庁については、総合政策部門の再編、新しい総合計画を基本とした部局の再編、部局横断的に関連する部門の一元化などを掲げておる。一方、地方振興局については、総合調整機能の充実や地域政策の自己決定・自己責任領域の拡大、地方振興局相互の役割分担の明確化などを掲げておる。いずれももっともなことであると思うのであるが、問題は、こうした改革事項についていかにして実現していくかであろうと思うのである。地方振興局の取り組み状況等については、さきの本会議において答弁されているようであるので、私からは本庁部門に限定してお伺いするが、本庁機構の再編について、どのような考え方で進めようとしているのであろうか。また、その具体的な再編のスケジュールはどのようにお考えなのであろうか、あわせてお伺いする。

〇千葉副知事 まず、本庁機構の再編の必要性であるけれども、現行の本庁の部局は、中央省庁に対応した編成が中心であり、部局横断的課題への対応などで縦割りの弊害が見られる場合がある。したがって、総合的な政策を推進する体制が必ずしも十分に整備されていないと考えておる。また、合理的かつ的確に政策・施策を評価し、その結果を適切にその後の施策に反映させていくための行政評価システムを確立し推進する部門が明確になっていない弱みがある。また、政策部門、事業実施部門の強化のためには、全庁的な支援、調整機能の充実が必要である。また、県政のビジョンである新しい総合計画を着実に推進するための体制を整備する必要があるわけである。
 こういった情勢を背景として、政策の企画立案、調整、評価などを所掌する総合政策部門への再編、さらには、現在の総務部門を支援、調整機能に純化する形での再編、新しい総合計画の中で示されておる岩手の将来像を構成する五つの社会を実現するための施策を、より一層効果的に展開できるような行政機構の再編を中心に検討を進めてまいりたいと考えておる。
 具体的なスケジュールは、今月国会に提出される予定になっておる、地方分権推進に伴う500の関連法律を整理する地方分権推進一括法案による国の権限等の委譲の状況を見きわめながら検討する必要があることなどから、地方振興局の内部組織の再編などとともに、平成13年度の実施に向けて検討を進めていきたいと考えておる。

〇佐々木(博)委員 いずれ、大変財政の状況も厳しくなっておるし、一方では、行政サービスに求められるものが非常にふえてきておるわけである。こういった中にあって、本当に簡素で即断・即応できる行政機構というものが求められていると思うので、よろしくお願いしたいと思う。
 次に、財源対策債の交付税算入の保障についてお伺いする。
 平成11年度の地方財政は、恒久的な減税に伴う影響額として約2兆6、000億円、また、通常収支においても約10兆3、700億という巨額の財源不足を生じる見込みとなっておる。この財源不足を補てんするため、交付税の特別会計の借り入れ等による地方交付税の増額等が9兆7、000億円、財源対策債の発行が2兆2、500億円等の措置が講じられるとされておる。このうち財源対策債は、その償還に当たって地方交付税措置されるようであるが、このように大変巨額の起債発行がなされると、将来、償還に対する交付税の算入率の引き下げであるとか、あるいは交付税措置の停止とかの措置がとられるのではないかという恐れはないのであろうか。言うまでもなく、地方交付税の原資は法人税、所得税などである。不況が長引く現状を考えると一抹の不安を覚えるものである。これらの償還財源については、将来とも確実に保障されるものなのか、その見通しについてお尋ねする。

〇吉田総務部長 ここ数年、地方の財源不足に対応するため、財源対策として一般公共事業債への充当率の臨時的な引き上げとか、あるいは対象事業の臨時的拡大などによる建設地方債の増発など、いわゆる財源対策債などによる措置が講じられてきているところであり、いろいろな施策を講じているわけである。これら元利償還の国税への算入については、地方交付税法とか、あるいは普通交付税に関する自治省令等により算定方法が具体的に定められており、地方交付税の基準財政需要額に算入されてきているところである。毎年度の地方財政対策において、財源対策債の発行が決定される際には、後年度の元利償還についての交付税算入も含めて決定されているところであり、これは、いわば国と地方との約束事項ということであり、後年度に変更されることはないと確信しているところである。

〇佐々木(博)委員 先ほど黄川田委員からも質問があったが、最近、地方交付税に対する、特に都市部の意見、あるいは若い政治学者、経済学者等の論調等を見ていると、地方交付税に対して非常に厳しい意見を持っておられる方もおられるようであり、本当に岩手県民としては大変心配な点があるわけである。ひとつしっかりと取り組んでいただきたいと思う。
 次に、地域戦略プランについてお伺いする。
 国は、長引く景気の停滞や経済再生のための構造変化に伴って生じている国民の将来に対する不安感を払拭し、国民の生活の質の向上を図り、国民が将来にわたり夢と希望を持てるようにするため、生活空間倍増戦略プランを決定したとのことである。このプランは、国民が多様化した価値観をそれぞれに生かし、ゆとりと潤いのある活動ができるよう、今後5年間を視野に置いて、田園空間、高齢者に優しい空間、交流空間などを拡大するための投資を積極的に推進するものであり、国が行う全国的な施策とあわせ、地方が行う施策として地域戦略プランを策定・推進することとされておる。
 そこでお伺いするが、地域戦略プランは、複数の市町村等が広域的な連携のもとに策定し、県がそれを取りまとめるとのことであるが、県内の地域戦略プランの策定状況はどのようになっているのかお尋ねする。また、あわせて、作成されたプランについて国の認定の見通しについてもお伺いする。

〇武居企画振興部長 本県における地域戦略プランの策定状況についてであるが、現在、15のプランが骨子として策定されており、これは59の全市町村が関係しているところである。また、特色的なこととしては、県境を越えるプラン、宮城県との間、それから秋田県との間で、こういったプランが二つ含まれているところである。プランについては、快適環境の創造であるとか定住促進など、地域ごとに独自のテーマを関係する市町村の方で自主的に決定していただいており、プランに盛り込まれる具体の事業については、例えば道路、街路等の事業であるとか、農業・農村の整備事業であるとか、上下水道、住宅事業、あるいは保健医療、福祉の関係の施設整備事業、こういった事業を効果的に組み合わせ、テーマに沿った形で進行しようというものである。
 次に、国の認定の見通しであるが、国においては、地域戦略プランの全国の規模をおおむね400プラン、総事業規模を5年間で4兆円、1プラン当たり100億円と想定していたところであるが、全国的にかなりこの事業に対する関心が高いことから、この1月、2月で仮に集計した国土庁の全国の状況では、国の当初予定していた事業の規模を相当程度大きく上回ったことから、国では全国的に事業規模の調整が必要であろうということで、国の方で、人口であるとか過去の行政投資実績に基づいて、言ってみれば機械的な配分を行ったわけであるが、本県には、先週であるが、520億円の配分があったところである。これは、配分があったからといって、すぐそのまま認定にならないものであるから、そういったものを目途として、これから事業認定を受けるように努力しなければいけないのであるが、今後のスケジュールとしては、プラン骨子について4月末の国への提出を目指し、地方振興局を通じて関係市町村との間で調整を図り、その後、5月末の本プランの提出を経て、国の速やかな認定を得、早期に事業実施に移れるように頑張ってまいりたいと思う。

〇佐々木(博)委員 ただいまの御答弁で、520億円の予算があるけれども、まだ認定を受けていないということであるので、どうか国の認定が受けられるように御努力いただきたいと思う。
 それでは次に、中心市街地の活性化についてお尋ねする。
 県内においては、中心市街地の空洞化が進んでおり、各地域における大きな社会問題になっておる。例えば、商店街の空き店舗率については、平成8年の県商工会連合会の調査では約10%となっており、平成6年から平成9年における県内7商工会議所の調査では約11%となっておる。このような中で、昨年7月に中心市街地活性化法が施行され、関係省庁や都道府県等の連携により、中心市街地活性化に向けた各地域の取り組みを総合的に支援することとなったところである。県内では、この法律の活用に向け、昨年遠野市が先陣を切って中心市街地活性化基本計画を策定したと伺っており、他の市町村においても積極的な取り組みがなされることを期待しているところである。しかしながら、郊外型の大型店が増加し続ける現状にあっては、商店街の再生のための処方箋を見出すことが難しくなっているようにも感じられる。知事は本会議において、中心市街地の活性化のためには、何よりも市町村の創意工夫が大切であると答弁されておるが、県として、各市町村の基本計画策定について具体的にどのように指導・助言していくお考えか、お示しいただきたいと思う。

〇千葉副知事 中心市街地の活性化についての市町村に対する指導助言であるけれども、国の中心市街地活性化のための基本的な方針を踏まえ、次の2点を中心に助言しているところである。その第1は、目標の明確化である。市町村のまちづくりの将来像を描いた上で、それぞれの中心市街地の歴史や文化など、地域特性を生かしてほしい、そういう助言をしておる。これは、遠野の民話とか、あるいは江刺の蔵が代表的な事例であるけれども、こういったものを生かしてほしい。また、高齢化や情報化等の進展、環境との共生等の対応も視野に入れ、中心市街地の活性化のための具体的で明確な目標を設定してほしい、こういう助言をしているところである。その第2は、各種の事業の連携と集中実施である。土地区画整理事業を初め、駐車場や公園、街路等の公共施設の整備、商店街の景観の整備など、ハード・ソフト両面にわたる広範な事業が相互に連携して相乗効果を生み出すように、事業の実施地域や実施方法等を調整しつつ、集中的に実施することを助言しておる。
 今後の対応であるけれども、このような方針のもとに、今後とも市町村ごとの基本計画策定委員会への参画や市町村商工団体等を対象にした研究会の開催などに取り組んでいきたいと考えておる。

〇佐々木(博)委員 次に、本県中小企業の人材育成についてお伺いする。
 御承知のとおり、戦後の日本を支えてきた経済社会システムは、金融機関の再編成を初めとする大きな変革の渦中にあり、日本経済全体がこれまでのような右肩上がりの成長が見込めなくなってきているところである。また、国際化、情報化の急速な進展や社会生活のさまざまな分野での規制緩和の動きなど、中小企業の経営を取り巻く環境は、まさに激変してきているのが実態であろうかと思う。こういう状況の中で、本県の中小企業がその存在基盤を確立し、地域経済の中核として今後ともこの活力を維持していくためには、研究開発の強化、あるいは新分野進出等に取り組むとともに、人材の育成に積極的に取り組むことが重要な経営課題であると私は考えておる。
 そこでお伺いするが、専門スタッフや資金面などで経営基盤が脆弱であると言われている県内中小企業の人材育成のために、県ではどのような施策を講じておられるのか、また、これまでの実績とあわせてお示しいただければと思う。また、今後の人材育成のあり方についてどのようにお考えになっているのか、あわせてお伺いする。

〇千葉副知事 中小企業の人材の育成は、岩手県工業技術センター、あるいは岩手県中小企業振興公社、岩手県高度技術振興協会、岩手ソフトウェアセンターなどを通じて実施しているところである。その具体的な内容であるけれども、経営管理面では、中小企業の経営力の強化を図るため、経営者大学、トップマネジメントセミナー等の研修を開催している。これは、中小企業振興公社が主として実施しているわけであるけれども、平成10年度実績で32コース、受講者809人となっておる。それから、技術面では、先端技術の研修や研究開発能力の向上を図るための研修を行っておる。これは、工業技術センターが中心となってやっておるわけであるけれども、平成10年度の実績としては、15コース、受講者109人となっておる。それから、情報面では、高度情報処理技術者育成等の研修を行っておる。これは、ソフトウェアセンターが実施しているわけであるけれども、22コース、受講者210人となっている。これは平成10年度実績見込みであるけれども、合計で69コース、受講者1、128人となっておる。
 今後の人材育成のあり方等であるけれども、新規創業の促進を図るため、いわて起業家大学を開催したり、産業の高度情報化への対応を図るため、システムエンジニア養成研修の実施を予定しておる。今後とも、経営管理、技術、情報に重点を置いて、次代の産業を担う人材の育成に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇佐々木(博)委員 次に、今後の障害保健福祉施策の推進方向についてお伺いする。
 御案内のとおり、国においては平成9年12月に、障害者プランを強力に推進していくという前提のもと、障害関係3審議会合同企画分科会が、中間報告ではあるけれども、今後の障害者保健施策のあり方についてを取りまとめ、21世紀を迎えるに当たっての我が国の障害者保健福祉施策の推進方向を示したところである。中でも、これまで身体、知的、精神の3障害の種別ごとに障害特性に応じて講じられてきた施策を見直し、施策間の整合性の確保や障害の共通性に着目した施策を導入する視点が新たに示されたところである。
 そこでお伺いするが、国におけるこのような施策転換の視点を踏まえ、県の施策においてどのような方向性を持って3障害に関する施策の統合化を進めるお考えなのであろうか。また、平成11年度においては、具体的にどのような取り組みを考えておられるのか、あわせてお伺いする。

〇千葉副知事 ノーマライゼーションとリハビリテーションの理念に基づき、障害者の自立と社会参加を促進するために、三つの障害を統合して総合的な施策を展開していくことが重要であるという観点に立っているところである。
 平成10年度における主な取り組みの経過であるけれども、3障害の関係団体が共同して社会参加の推進に取り組むため、岩手県障害者社会参加推進センターを開設したところである。また、知的障害者のために設けられておった電話相談を障害者110番として3障害に拡大したところである。
 平成11年度における具体的な取り組みであるけれども、身体障害、知的障害、それぞれで行われてきておったスポーツ大会を統合し、精神障害者の参加も得て、3障害共同の岩手県障害者スポーツ大会として開催することにしておる。それから、障害の種別を問わない県単独のグループホーム制度や、障害者の家族を一時的に休息させるためのサービス、いわゆるレスピットサービス制度の創設を検討しているところである。
 今後の方向性であるけれども、平成11年度に三つの障害を統合した新しい障害者プランを策定することにしておる。そのことにより、さらに総合的な施策の推進を図りたいと考えておる。

〇佐々木(博)委員 次に、少子化対策についてお伺いする。
 我が国の出生数は昭和48年をピークに年々減少してきておるが、このような少子化傾向は、子供の健やかな成長に大きな影響を及ぼすばかりではなく、労働力不足による経済社会の活力の低下、高齢者扶養の負担の増大など、さまざまな問題を投げかけてきておる。少子化の大きな原因の一つとして、仕事と子育てを両立させる社会的仕組みが十分ではないという指摘もあるようである。核家族化の進行、女性の職場進出等の状況に的確に対応し、安心して仕事と子育てができる環境を整えていかなければ、少子化の傾向に歯どめがかからないのではないであろうか。
 そこでお伺いするが、仕事と子育ての両立を支援するため、県は、保育対策の充実にどのように取り組んできているのか。また、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、あわせてお伺いする。

〇千葉副知事 近年の核家族化の進行あるいは女性の社会進出の増大などにより、児童と家庭を取り巻く環境は大きく変化してきておる。仕事と子育ての両立を支援する保育対策の推進はますます重要になってきていると考えているところである。本年度は、保育所の入所制度が改正され、あわせて入所定員の弾力化等の運用改善が行われた。その関係での円滑な実施に努めたところであるけれども、その結果、10年10月時点で入所児童数は2万1、536人と前年より821人増加した。一方、待機率は0・7%と0・3ポイント減少しておる。保育所運営の弾力化の効果がこの数値にあらわれておる。また、保護者の就労形態の変化などに伴い、保育ニーズも多様化してきておる。したがって、保育対策の充実策として、特別保育事業を実施しているところである。乳児保育は、本年度設備整備が進んだことなどから、乳児の受け入れ保育所が増加しておる。また、一時保育、延長保育は、国の補助制度に加え、県単事業により小規模事業への補助や保護者負担の軽減を行っており、これらについても実施箇所数が増加しておる。また、休日保育については、県単独で助成を行ってきておるが、実施箇所数は前年並みと推移しているところである。
 今後も、特別保育事業の実施拡大に取り組むとともに、保育内容、保育料などについての利用者への情報提供をさらに進め、地域における子育ての拠点としての保育所の機能が一層発揮されるよう、市町村を指導してまいりたいと考えておる。

〇佐々木(博)委員 保育施策についてはいろいろ要望もあり、また、特に保育料等についても、高いというような、いろいろそういった御意見もよく聞くわけであるが、ひとつよろしくお願いしたいと思う。
 次に、児童虐待についてお伺いする。
 最近、マスコミで連日のように報道されているように、子供の虐待が全国的に増加傾向にあり、全国の児童相談所に寄せられた相談件数は、平成9年度には5、352件と、厚生省が統計をとり始めた平成2年度の5倍近くになっておる。また、最近の新聞報道では、本県でも平成9年度に37件と急増し、平成10年度も12月までに40件と、既に昨年を上回る相談が児童相談所に寄せられているとのことである。虐待の原因や背景には、夫婦間の問題や経済的な問題、社会的ストレス、育児疲れ、相談相手がいないなどが複雑に絡んでいる例が多いと指摘されておる。私は、児童虐待は子供の心身にはかり知れない傷跡を残し、また、親の虐待によって幼い命が奪われるといった悲しい事件も発生しておることから、看過できない問題であると考えておる。しかしながら、子供の虐待は、そのほとんどが家庭という密室で起こっているため、外部から発見しにくいことや、行政が何らかの措置をとろうとしても親の同意が得られにくいことなど、対応が難しいとの指摘もされておる。
 このような状況の中で、県では本年度、児童養育支援ネットワーク事業により、児童虐待防止対策に本腰を入れていくとのことであるが、この事業の実施状況、今後の取り組み方策をどのように考えているのかお示しいただきたいと思う。

〇千葉副知事 児童の虐待対策においては、早期発見と予防的な対策が極めて重要である。そのためには、地域の方々を初め、子供にかかわる多くの方々が虐待に対して関心を持ってもらうことが大事であろうと考えておる。
 そのために、関係機関の間でネットワークを構築していくことが重要と考え、平成10年度に児童養育支援ネットワーク事業を創設したところである。その具体的な内容であるけれども、各児童相談所ごとに、保育所、幼稚園、小中学校、小児科医院など、子供にかかわる機関から成る地域連絡会議を組織し、この中で具体的な事例に係る対応策の協議や児童虐待防止のための意識啓発など、連携の強化を図っているところである。また、児童相談所に児童福祉士10人を配置しており、電話相談(子供家庭テレフォン)を毎日開設し、相談体制の強化を図っているところである。また、病院、学校、保育所、福祉事務所等を対象に、県内の児童虐待の実態把握を目的とした調査を実施した。結果は3月末に取りまとめる予定であるけれども、こういった内容の事業を実施しているところである。
 今後の取り組みであるけれども、実態調査の分析結果を生かし、虐待対応マニュアルの作成や具体的な虐待事例への対応をより適切なものとしていくとともに、県民への啓発を続けながら、虐待の早期発見・早期対応、未然防止に努めてまいりたいと考えておる。

〇佐々木(博)委員 次に、長寿社会における住宅対策についてお尋ねする。
 本県の高齢者人口は年々増加する傾向にあり、人口の高齢化率も全国平均を上回る速さで進行しておる。21世紀の初頭には、県民の4人に1人が65歳以上の高齢者になると予測されておる。このような先進国にも例を見ない急激な高齢化の進行に対応するためには、早いうちから対策を講じる必要がある。特にも、高齢者が日常生活を安全かつ快適に、しかも生きがいを持って暮らすためには、生活の基盤であり、かつ生活時間の大部分を過ごす住宅に対する高齢化対策が重要であると考える。高齢者は、運動能力の低下などから、段差につまずいたり足を滑らせたりというちょっとしたことでけがをし、それが寝たきり生活のきっかけになったり、死亡に至ることがある。また、そうならなくとも、住宅の物理的条件が整っていないため、活動が消極的になったり、自立生活に支障が出る恐れがあるのである。このため、将来的には、すべての住宅が高齢化に対応できるようにするための住宅施策の展開が必要であると考えるものである。公営住宅においては、こうした社会の変化や県民のニーズなどを踏まえ、床面積の拡大などの質的向上を図っていると伺っておるが、高齢者等に対する対策にどのように取り組まれているかお伺いする。
 また、年間1万4、000戸ほど建てられている住宅のほとんどが民間住宅であることを考えると、民間住宅に対する高齢化対策は、非常に重要な課題であると考えるものである。県は、民間住宅における高齢化対策について、現在どのような取り組みを行い、今後、どのような施策の展開を図っていくお考えなのか、あわせてお尋ねする。

〇千葉副知事 まず、本県の高齢者に対する住宅対策の関係であるけれども、平成8年度に策定した岩手県住宅マスタープラン、あるいは岩手県第7期住宅建設五箇年計画において、高齢者住宅対策を重点的課題と位置づけておる。これにより、公的住宅と民間住宅の高齢化対策を総合的に推進することとしておる。まず、公的住宅の高齢化対策であるけれども、60歳以上の高齢者を対象とした公営住宅への優先入居措置を講じておる。これは、優先枠をつくってこういった措置を講じておるところである。次に、県営住宅の建てかえの際には、段差解消や手すりの設置など、高齢者に配慮した仕様、設備で建設することにしておる。また、既存の県営住宅は、高齢者に配慮した仕様、設備に改善措置をとっておるところである。また、市町村営住宅や住宅供給公社住宅へは、高齢化仕様の導入を推進しているところである。それから、高齢者仕様と緊急通報システムを備えた高齢者向け優良賃貸住宅の建設促進を行っておる。また、民間住宅への高齢化対策であるけれども、毎年、県内各地で開催しておる住宅祭やけんみん住宅プラザにおいて、高齢者住宅相談コーナーの設置あるいは相談会を開催してPRしているところである。
 今後の高齢者に対する住宅対策であるけれども、高齢化仕様の促進、あるいは普及、啓蒙を積極的に推進してまいりたいと考えておる。また、福祉施策との連携のもとに、高齢者向けの住宅の整備やまちづくりをあわせて推進してまいりたいと考えておる。

〇佐々木(博)委員 最近、よくお宅にお邪魔して、住宅の中で車いすを使っている、そしてそのために段差をなくしてスロープを設ける、あるいは廊下に手すりを設ける、階段に手すりを設ける、そういった住宅が非常にふえてきているような気がしており、高齢化住宅というのは本当に喫緊の課題ではないかと思っておる。ひとつよろしくお願いする。
 次に、新エネルギーの利用の促進についてお伺いする。
 平成9年12月、京都で開催されたいわゆる地球温暖化防止京都会議において、温室効果ガス排出の削減目標についての国際合意が成立したところである。我が国の削減目標は、90年対比で6%の削減ということになっておるが、一定の経済成長を維持しつつ、地球温暖化への対応とエネルギーセキュリティーの確保を同時に達成することは決して容易ではないと考えるものである。このためには、省エネルギー対策の強化とともに、新エネルギーの導入を積極果敢に推進していくことが極めて重要である。新エネルギーは、環境負荷の少ないクリーンなエネルギーであり、地球に密着した分散型エネルギーとして、従来から地球環境問題の解決とエネルギーセキュリティーの確保に有効であるとされ、その開発と普及に大きな期待が寄せられてきたところである。しかしながら、これまでのところは、既存のエネルギーに比べてコストが割高であることが阻害要因となり、その導入が必ずしも期待どおりには進んでいないと思うのである。県においては、これらの困難を克服しつつ、新エネルギーの積極的導入を目指すべく、昨年度末に岩手県新エネルギービジョンを策定したところである。
 そこでお伺いするが、スタートである本年度の取り組み内容はどのようなものであったであろうか。そして、その成果としてどのようなものが出てきているのか、あわせてお示しいただきたいと思う。特に、風力発電については、新聞等で葛巻町での着工が報じられるなど活発な動きが見られるようである。商用運転の動きが北海道で始まっているようであるし、本県においても適切な対応が求められると思うので、今後の取り組み方向についても御所見をお伺いしたいと思う。

〇武居企画振興部長 新エネルギーの利用促進についてであるけれども、本年度が新エネルギービジョンを策定した1年目ということであり、まずは、施設において先導的な導入を図っていこうとしている。それから、特に風力等であるが、有力な調査地について調査し、その中から事業化ができるものについては拾い上げていこうとしておる。さらに、これは市町村なり民間なり県民多くの方々の御協力のもとに達成されるものであるので、普及啓発事業を積極的にやっていこうという方針のもとに、現在鋭意取り組んでいるところである。
 まず、太陽光の発電分野については、この4月に工業技術センターの横に開所する先端科学技術研究センターに20キロワットの発電設備を設けたところであるし、また、北上の企業局の北上中部工業用水道事務所に30キロワットの発電施設を設けたところであり、この4月から本格的に発電することとしておる。それから、風力発電については、今御指摘もあったけれども、県においてもこのエネルギービジョンづくりには積極的に参加させていただいておるが、葛巻町の第三セクターが1、200キロワットの発電設備を建設中であり、これについては、将来的には風車公園的な施設として整備し、観光にも資するようにしようという構想があるようにも聞いているところである。県では風況概査というものを行っており、現在、釜石の和山地区、それから安代町の安比高原地区、それから浄法寺町の稲庭地区で実施しており、大変良好な結果が得られているところである。このほかにも、県の企業局が独自で、あるいは県内市町村、さらには県外の民間事業者が合わせて3カ所で実施調査をしており、この中にも相当に有力な候補地があるように聞いているところである。また、クリーンエネルギー自動車については、ハイブリッド車を企業局なり保健所等で導入しているところである。
 特に、最近市町村でも大変関心が高まっており、東山町なり種市町のビジョンづくりに加え、本年度も三つの市町、計五つの市なり町で新エネルギービジョンの策定を進めているところであり、今後これらの地方団体との連携をとりながら、地域特性に合った新エネルギーの導入を図ってまいりたいと考えておる。
 特に、風力発電の今後の取り組みについては、先ほど申し上げた活発な調査がいろいろと始まっておる。そういったことで、むしろ導入に向けた取り組みを強化していくべきであろうということで、先月の中旬に開催した岩手県風力発電導入促進研究会においても、企業局を含む県の関係部局、市町村、民間事業者で熱心な検討が行われており、事業化に向けて幾つか大きな期待ができるような方向性も出されつつある。今後、県などが実施した調査地区をいろいろな方面にお示しし、早期事業化の方向に向けて積極的に働きかけてまいりたいと考えておる。

〇菊池副委員長 佐々木委員の質疑中であるけれども、この際、世話人会の申し合わせにより10分程度休憩する。御了承願う。
   午後3時1分 休 憩
 
   午後3時15分 再 開

〇三河委員長 休憩前に引き続き会議を開く。

〇佐々木(博)委員 次に、花巻空港の利用促進についてお伺いする。
 花巻空港からは、札幌、名古屋、大阪、福岡線、さらには季節運航の沖繩線とコミューター路線の新潟線を含め、現在6路線が運航されておる。花巻空港の2、500メートル滑走路延長整備は緒についたばかりであるが、完成まで300億円近い巨額の投資を要する大事業と伺っておる。この空港整備の効果を最大限発揮させるためには、路線の拡充やダイヤの改善など、花巻空港の利便性を向上させ、より使い勝手のよい空港にしていく必要があると考えるものである。空港を取り巻く環境は、航空業界の規制緩和や国際競争の激化、航空会社の合理化、空港間競争の激化など、今後、一段と厳しくなっていくものと思われる。このような状況下で、新規路線の開設やダイヤの改善などの利便性の向上を図り、花巻空港の利用を促進していくことは大変な努力が必要である。
 そこでお伺いするが、最近の花巻空港の利用状況はどのようになっているであろうか。また、これまで花巻空港の利用促進にどのように取り組まれ、今後、どのように取り組んでいこうとしているのか、お示しをいただきたいと思う。

〇武居企画振興部長 花巻空港の利用促進に関連しての御質問である。
 最近の花巻空港の利用状況については、平成9年度の利用者数は、御案内のように、沖繩線それから新潟のコミューター路線が相次いで開設されたことなどから、対前年度比で3・6%増、1万9、000人増の54万9、000人となったところである。本年度については、現在までのところ1月末の状況が最新であるが、対前年度同期比で5・9%の減の43万2、000人となっており、これは関西空港便の休止であるとか伊丹便における使用機材の小型化などのダイヤ改正、それから、特にこれは本県のみではなくて、地方空港どこも置かれた状況は同じわけであるが、景気の低迷によって、これは観光客あるいはビジネス客両方に関係してこようかと思うが、県外客の減少などが影響しているところである。
 次に、利用促進の取り組みについてであるが、岩手県空港利用促進協議会と一体となって、これまで花巻空港の滑走路延長整備の早期実現を図る目的として大変熱心に活動してきており、新規路線の開設それから国際チャーター便の拡充など、利用者拡大のための各種の利用促進運動に取り組んできたところである。
 空港を取り巻く状況というのは、規制緩和の動き等大変厳しいものがあり、そういった中でこの4月からは、これは国管理の空港の動きに合わせて、本県でもこの4月から花巻空港の着陸料を3分の1引き下げることとしており、これは今回の予算にもそういった内容が現在上げられているわけであるが、これによって4月以降、航空運賃も引き下げられることが予定されておる。こういったことも活用しながら、積極的に利用促進につながるよう努力してまいりたいと思うし、利用が促進されることを期待しているところである。
 今後においては、国内航空分野における規制緩和の動向にも対処しながら、花巻空港が県民の貴重な財産であるとの視点に立って、空港機能が県下全域に波及していくようにしてまいりたいと考えており、そのためには、ダイヤの改善を初めとする利用者の利便性の向上であるとか、空港までのアクセス時間の一層の短縮に向けた交通基盤の整備など、利用者や航空会社にとって魅力ある空港づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えておる。
 また、現在、臨空都市構想というものも策定中であるが、こういったものの構想の成果も生かしてまいりたいと考えておる。

〇佐々木(博)委員 次に、農協合併の進捗状況についてお伺いする。
 大手銀行の破綻が相次ぐなど、激動する我が国の金融システムに目を向けてみると、昨年12月の金融システム改革法の施行により、日本版ビックバンが本格化したところであり、金融、証券、保険の垣根が取り払われることに伴う競争の激化が避けられない状況となっておる。金融機関にとって、経営基盤の強化が喫緊の課題となっていることから、銀行や証券会社などでは生き残りをかけた合併や再編の動きが見受けられ、既に合併が具体化した例もあることは、新聞紙上等で御承知のところである。
 翻って、本県の農協系統は、県下12農協体制の早期実現に向けて取り組んでいるところであるが、これまでに昨年7月に合併した岩手ふるさと農協など七つの広域合併農協が設立され、さらには、去る3月1日に岩手中央農協といわてくじ農協が誕生したことは、合併実現に向けた関係各位の御尽力のたまものであり、敬意を表するものである。しかしながら、一部の地区において取り組みにおくれが見られるとも伺っておる。
 そこでお伺いするが、農協合併の進捗状況はどのようになっているであろうか。また、県は合併をどのように指導しているのであろうか、あわせてお伺いしたいと思う。

〇千葉副知事 農協合併は、農協経営の基盤の強化を図り、自己責任経営が可能な農協の実現を目指すため、県農協中央会が中心となって設立した県農協合併推進本部が平成2年に策定した平成12年度を目途に県内農協12農協体制にする21世紀を展望する岩手県農協合併構想に基づき、推進されているものである。
 進捗状況であるけれども、合併農協は平成6年に1農協、平成9年に3農協、平成10年に3農協の計7農協が設立され、さらにこの3月1日に岩手中央農協といわてくじ農協が新たに誕生し、構想の12農協に対して9農協の合併が実現したところである。合併が実現した農協のうち、一部においては主として財務面の調整が不調に終わり、合併に参加しなかった農協が2農協あるので、引き続き合併推進協議会は存置されているものである。
 現在、合併に向けて取り組んでいる地区は3地区であり、このうち特にも気仙及び二戸地区においては、平成12年度末の合併を目途に、一部の農協の債務超過問題の解消に取り組んでいるところである。
 県の支援・指導の関係であるけれども、農協合併は農協系統の主体的な取り組みであり、県としては側面的な支援を行っているものである。このため、各地域に設立されておる合併推進協議会に地方振興局が構成員として参画するなど、各地区において必要な助言・指導を行っているところである。
 また、合併時に繰越欠損金を有することとなった合併農協に対しては、その解消のために行う借入金の利子の一部に対し助成しているものである。
 なお、現在合併を検討中の地区にあっては、特にも債務超過問題が大きな課題となっているところであるが、昨年農政部に設置した農協運営強化指導本部によって、財務の健全化に向けて経営改善指導も行っているところである。

〇佐々木(博)委員 次に、男女共同参画社会の実現に向けた取り組みについてお伺いする。
 1975年に国連が提唱した国際婦人年を契機に、国の内外において女性の地位向上に向けた積極的な取り組みが行われてきており、昨年11月には、政府の男女共同参画審議会が、男女共同参画基本法の制定を求める答申をいたしておる。
 答申は、男女の家族的責任を基本理念として、男女共同参画社会を実現することの意義を、男女がみずからの選択により、性別にかかわらず、おのおのの特性を生かしつつ、社会のさまざまな分野に対等なパートナーとして参画することを通じて、未来に向けて豊かで活力のある社会を築くことであるとしておる。
 この基本法の制定は、男女共同参画社会の実現を促進する取り組みの大きな推進力になるものと期待されているところである。県では、いわて女性さわやかプラン--男女共同参画型社会の形成を目指してを平成4年3月に策定し、各種事業を実施しているところであり、平成8年3月に策定した後期具体的施策に掲げた審議会等における女性委員の割合を、平成12年度末までに25%までに高める目標についても、平成10年3月31日現在22・8%となっており、着実にその成果があらわれているところであるが、来るべき21世紀に向けて、少子・高齢化の進展等、社会経済情勢の変化が見込まれ、それらが人々の意識や生活、社会のあり方にさまざまな影響を及ぼすものと考えられるところである。
 そこでお伺いをするが、このような変化に対応して、豊かで活力あふれた21世紀の岩手を築いていくためにも、男女共同参画社会の実現に向け、今後どのように取り組んでいかれるのかお尋ねいたしたいと思う。

〇千葉副知事 男女共同参画社会の実現に向けての取り組みであるけれども、平成4年3月に策定したいわて女性さわやかプランに基づいて、男女共同参画社会の実現に向けて総合的な施策を推進しているところである。
 主な事業としては、女性リーダーの育成を目的とした女(ひと)と男(ひと)との参画セミナー、女性海外研修、それから意識啓発を目的としたいわてさわやかフォーラム、また、雇用における男女の平等を促進するためのいわて女性雇用管理セミナー等の事業を行っているところである。この結果、男女共同参画についての啓発あるいは人材育成が図られるとともに、女性の社会参加が進んできていると受けとめているところである。しかし、依然として性別による役割分担意識が見られ、また、女性の就労が増加する中で、働き続けるための環境が十分とは言いがたい状況もあるなど、多くの課題もあるわけであり、今後とも息の長い取り組みが必要であると考えておる。
 今後の取り組みであるけれども、国においては、平成8年に男女共同参画2000年プランが策定され、さらに本年2月26日には、男女共同参画社会基本法案が国会に提出されたところである。また、県においても、新しい総合計画の中で、男女共同参画の実現のため、各種条件の整備を進めることといたしておる。
 こうしたことを受けて、平成11年度に、平成22年度までの男女共同参画推進の指針となる新しいプランを策定することといたしておる。策定に当たっては、男女の人権が尊重される社会の構築、子育て、家族の介護、家事等への男女の家族的責任等、ともに責任を担うべき社会の実現に向けたプランとすることといたしておる。
 なお、審議会等における女性委員の割合については、現在目標としておる平成12年度までの25%を上回る目標値に改めることを検討することといたしておる。
 今後においても、男女を問わず、個人がその能力と個性を発揮して、社会のさまざまな分野にともに参画する社会の実現に向けて、諸施策を一層推進してまいりたいと考えておる。

〇佐々木(博)委員 最後に、広聴広報活動におけるインターネットの活用についてお伺いをする。
 実は昨晩のニュースステーションを見ておったところ、ドナーカードについて岩手県のホームページが紹介され、広聴広報課長が御紹介をされておった。岩手県はなかなかインターネット、県のホームページも非常に充実していると、改めて感服をさせられたところである。
 そこで質問するが、最近、情報化の進展は目を見張るものがあるが、特にも、インターネットの活用については、国や都道府県はもとより、市町村においてもホームページを開設し運営しているところがふえてきているところである。その内容を見ると、自治体の概要や施策、食糧費・旅費等の情報開示、観光関係の案内など多岐にわたっておる。
 このようなインターネットのホームページの開設は、自治体の新しい広報戦略と言えるのではないかと考えるものであるが、本県におけるインターネットによる広聴広報活動の取り組みはどのようになっているのであろうか、今後の取り組みも含めてお伺いする。

〇武居企画振興部長 インターネットによる広聴広報活動についてである。
 インターネットの県のホームページは、平成8年の7月26日に開設して以来、これまで定例記者会見の内容、それから県政懇談会での意見・提言の要旨と県政への反映状況、それから各地方振興局が地域情報を発信するページなどを追加し、順次拡充を図るとともに、県内外の皆様に最新のデータを提供することができるよう努めてまいったところである。特にも、インターネットというのは双方向性というものが特色であるので、平成9年の7月からは、広聴のページで県民の意見・提言を受けメールで回答をする、そういった方法に取り組んでまいったほか、昨年の9月3日には、雫石町を中心とした県内陸北部の地震があったが、地震発生の1時間後には関連情報を掲載したところ、全国から大変多数のアクセスがあり、緊急時の情報発信に威力を発揮したところである。
 それから、ただいま委員からも御指摘があったが、昨日のテレビにも取り上げられたところである。昨年10月に、ホームページに臓器提供意思表示カードを紹介し、その画像を印刷してそのままドナーカードにできる方法を実施したところであるけれども、こういった新たな活用にも取り組んでいるところである。
 なお、本年1月のアクセス件数を見ると3万4、870件ということで、1日当たり千数百件のアクセスがあり、大変多くの方に御利用いただいているところである。
 今後は、既存のページの見やすさや使いやすさなどの創意工夫と内容の充実に加え、新たに県がホームページに掲載する情報を希望者にメールで配信するなど、県民と県との新たなコミュニケーション手段として積極的に活用してまいりたいと考えておる。
 それから、昨日のテレビの関係で特に私が感じたのは、幾らいい内容のものを載せても、それが積極的にPRされないとなかなか見てもらえないということがあるので、昨日の場合は、テレビ放映されてから、その直後からアクセスが始まって、すぐに千数百件のアクセスがあって、多分ドナーカード、ちょうど臓器移植の関係があり、関心が高まっていたのではないかと思うけれども、大変多くのアクセスが数時間のうちにあったということであるので、これからは内容を充実するのと同時に、例えばテレビとか出版物とか新聞広告とか、あるいは私どもの持ち歩く名刺等で、ホームページのPRを積極的にしていくことが大事になってくるのではないかと考えているところである。

〇久保田委員 社会民主党の久保田晴弘である。
 あらかじめ通告をしておる内容に基づいて順次質問をする。多少、早口でやるから御了承いただきたい。
 まず、財政問題を中心にお伺いする。
 第1は、硬直した財政維持に対する対応策についてである。
 平成11年度岩手県当初予算8、697億円の特徴は、景気対策積極予算と言われるが、反面、借金残高1兆円超・硬直予算とも言えるものである。新年度予算においては、国のいわゆる15カ月予算に対応した予算編成を行っておる。その結果、投資的経費の総額は、平成10年度12月追加補正予算及び2月補正予算における国の第3次補正予算対応分もあわせると約3、349億円、10年度当初予算より12・8%増となる。私は、このような投資的経費の大幅な増額により次年度にその反動が来ないのか、果たして行財政システム改革指針が堅持できるのかという点に懸念を持つものである。これらの投資的経費の大幅な増額に伴う硬直した財政を健全化させる今後の展望について、まずお伺いをする。

〇千葉副知事 平成11年度の当初予算は、骨格的予算として編成したところである。しかし、依然として厳しい経済情勢を踏まえ、骨格的予算であるものの、県内経済の活性化を図るため、国のいわゆる15カ月予算に呼応して、公共事業や老人福祉施設の整備などの投資的経費も、10年度の補正予算と一体のものとして重点的に計上したものである。
 今後の展望であるけれども、今後も、国、地方を通じて厳しい財政状況にあるわけである。本県財政も、県税等の自主的財源の伸びに期待できず、一方において、公債費等の義務的経費の増嵩が見込まれるなど、これまで以上に一層厳しい財政状況に追い込まれると見ておる。したがって、今後、行政システム改革大綱に基づき徹底した行政改革に取り組み、歳出の見直しによる施策の重点化と効率化を進めることが必要である。特にも、財政健全化の三つの目標である歳出規模の抑制、県債依存度の引き下げ、主要3基金の残高の確保の達成に努めるなどして、新しい総合計画に掲げる諸施策の推進などに支障が生じることのないよう、財政運営の健全化に向けて最善の努力を傾注してまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 新年度予算は継続的な経費を中心とした骨格的な予算とは言うものの、昨年度の当初予算対比3・1%の増であり、地方財政計画の伸び率を1・5%上回るものとなっておる。今後、6月補正予算で新規、政策的な経費を中心に肉づけし予算が完成することとなるものと思うが、6月補正予算においてはどれほどの増額が見込まれるものであろうか。新たな事業として何が期待できるであろうか。また、これ以上の県債の発行はあり得るのであろうか。公債費のピークは何年であろうか、これらの点についてお伺いする。

〇吉田総務部長 6月補正予算については、新規、政策的な事業を中心に編成されることになるが、その規模や内容については、今後、検討してまいらなければならないと考えておる。
 なお、現時点における6月以降の補正予算の財源としての一般財源の留保額は、地方交付税など130億円程度を見込んでいるところである。
 それから、県債の発行については、抑制の方針を基本としながらも、導入する場合にあっては、地域総合整備事業債等の元利償還金について交付税措置があるものを優先的に導入するなど、後年度の財政負担の縮減も図りながら、効果的な活用を図ってまいりたいと考えておる。
 公債費のピークであるが、平成11年度の県債発行額を加えてみた場合、今後の県債の償還を大まかに試算すると、償還のピークは平成15年度で約1、400億円程度となる見込みである。

〇久保田委員 次は、景気対策の公共事業による経済波及効果についてである。
 新年度予算における投資的経費は2、800億円余となっておる。平成不況の出口がまだ見えない現在、これらの投資は本県経済の活性化、県民生活の向上に資するよう期待するものであるが、これらの経費の投資効果の見通し、いわゆる経済波及効果について、産業分類別にどういう状況になっていると予測しておるか、お示しをいただきたいと思う。

〇武居企画振興部長 今回提案しておる平成11年度当初予算案の一般会計総額のうち、投資的経費が2、848億円あるわけであるが、この中の工事請負費等1、837億5、500万円と私ども承知しているわけであるが、これについて岩手県産業連関表によって試算すると、建設業に対する直接効果及び建設資材等の生産を通じて、他産業の生産を誘発する間接効果をあわせた第1次波及効果が2、650億円程度、また、雇用の新たな創出や所得の増大に伴う生産誘発効果である第2次波及効果が399億円程度になっており、これらをあわせると、対象となる投資的経費の約1・66倍に当たる3、050億円程度の経済波及効果が見込まれるところである。
 これを同様の方法により主な産業分野別に見ると、農林水産関連分野では1、070億円程度、それから建設・土木関連分野では1、740億円程度、その他の分野では220億円程度の生産誘発額があるものと推計されるところである。
 なお、12月補正予算、それからさきに議決いただいた2月補正予算の投資的経費、これについて同様の計算をすると、対象となる投資的経費の約1・65倍に当たる690億円程度の経済波及効果が見込まれるところであり、県としては投資的経費が有するこのような効果を十分に踏まえ、平成10年度から平成11年度にかけて切れ目のない円滑な予算執行を図り、公的需要を高めることにより、本県経済の活性化が図られるよう努めてまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 次は、今まで行ってきた経済対策の効果についてである。
 本県においては、これまで国の経済対策に呼応し、積極的に経済対策予算を編成してきたところである。平成10年度においても、6月、9月、12月と、数次にわたり経済対策に伴う補正予算を組んできたところであるが、その経済対策の効果は出ているであろうか。
 雇用情勢は好転してきているであろうか。企業倒産による労働者の再雇用はどうなっているであろうか。公共事業により、雇用安定が確保されてきているという調査結果は出ているのであろうか。
 貸し渋り対策の実効性はどうであろうか。融資を受けた企業の反応はどうであろうか。これら経済対策の評価を示していただきたいと思う。

〇千葉副知事 経済対策の効果であるけれども、まず、雇用情勢であるが、有効求人倍率で見た場合、平成10年12月は0・47倍と、前年同月に比較して0・33ポイント減となっておる。したがって、依然として厳しい情勢下にある。
 それから、企業倒産による労働者の再雇用であるけれども、平成11年1月末現在で、5人以上の労働者を解雇した138企業において2、112人が離職し、そのうち1、650人が公共職業安定所に求職を申し込み、753人が再就職いたしておる。
 それから、公共事業による再雇用安定の確保についての調査結果ということであるが、これについての調査は実施しておらないが、例えば県内建設業における雇用保険の被保険者数の動向で見ると、前年度と比較して6月から8月までの間は減少傾向にあったわけであるけれども、9月以降はその傾向に歯どめがかかり小さなものになってきておる。したがって、雇用関係に、公共事業による効果がわずかではあるけれども出てきているのではないかと推測しているところである。
 それから、貸し渋り対策の実効の関係であるけれども、県としては、中小企業者が資金調達に支障を来さないようにということでいわて緊急経済対策資金を創設し、420億円の融資枠を設定したところである。また、緊急経済対策として、国では貸し渋り対策大綱に基づき、昨年10月から中小企業金融安定化特別保証制度の取り扱いを開始いたした。県、国の緊急経済対策資金の利用実績では、合計で1月末現在8、034件、約1、193億円となっているところである。これらの資金は、厳しい融資環境にある中小企業への円滑な資金供給に寄与したと考えておる。
 融資を受けた企業の反応であるけれども、いわて緊急経済対策資金を利用した400社を対象に県が行ったアンケート調査の結果によると、もし借金ができなかった場合に経営に支障が生じたと回答した企業が50・3%、借り入れによって資金繰りが緩和できたと回答した企業が46・8%であった。あわせて97・1%の企業が、支援策として有効であったと評価しているところである。
 経済対策に対する評価であるけれども、県内雇用環境は依然として厳しい情勢下にあるけれども、平成10年の企業倒産件数は、東北6県の中で最も少ないところから、中小企業経営の安定、倒産の防止による雇用の維持などに相当の効果があったのではなかろうかと考えておる。

〇久保田委員 次は、地域振興券の発行による景気対策の効果についてである。
 地域振興券は、本県においては県民の4分の1に当たる37万人が交付対象になり、約74億円が交付されると言われており、田野畑村を皮切りに地域振興券が発行されているところである。これがすべての消費、購買に回された場合、経済波及効果はどの程度と予測しているであろうか。また、地元の商店等では、この地域振興券に対しどれほどの期待感を持っていると思うであろうか。地域振興券は15歳以下の子供の場合、その親に交付されるものであるが、対象37万人のうち子供の割合はどうであろうか。これらの点についてお伺いする。

〇武居企画振興部長 地域振興券についてのお尋ねであるが、まず、県内各市町村で交付される総額74億円の地域振興券が本県経済に与える波及効果についてであるが、この事業については初めて実施されるということであり、こういった場合に採用する試算モデルというものが確立されていないところであるが、これについては国においても正式な試算というものは行われていないわけであり、堺屋経済企画庁長官が国会において答弁しているものと同様のモデル、これは減税と同じような可処分所得の増加というものを一応考え、それに1年目の乗数効果というものを一応考えながら試算しているわけであるが、こういったモデルを一定の仮定のもとに本県に当てはめて試算すると、若干ラフな試算にはなるが、国において試算した押し上げ効果と同じ0・1%程度県内総生産、これは名目であるが、これを押し上げる効果があるのではないかと推定されるところである。
 それから、地元商店などの期待感についてであるが、地域振興券が使用できる地域が原則として発行される市町村内であることや、発行から6カ月以内の限られた短期間で使用されるというようなことを考え合わせると、また、私どもの方で市町村等を通じて得た感触では、地元の商店などでは相当の期待感を持っているのではないかと考えているところである。また、県内の一部商店街や商店では、この地域振興券を商業活性化の起爆剤にしたいということで、例えばスタンプ倍増セールや抽選会などの販売促進の企画をしているところもあるように承知しているところである。
 それから、地域振興券の15歳以下の児童が属する世帯についてどの程度なのかということであったが、15歳以下の児童が属する世帯に、その場合は世帯主に交付されることになるわけであるが、交付対象者約37万人のうち約65%、3分の2に当たる約24万人が15歳以下の児童数、こう私どもの方で考えているところである。

〇久保田委員 次は、財政運営の健全化についてである。
 新年度予算においては、景気対策に配慮し積極型の予算を編成しておるが、後年度には借金返済と財政構造改革の理念による各分野での歳出の抑制は必至である。安定した財政構造の確立をいかに図っていくかが課題であると思う。財政運営の健全化については、今般策定された岩手県行政システム改革実施計画において具体的な方策が示されておるが、歳出規模を抑制する観点から、特に重視している課題は何であろうか、お伺いする。

〇吉田総務部長 財政運営に当たっては、行政システム改革大綱に基づき、歳出の徹底した見直しによる施策の重点化と効率化を図っていく考えであるが、具体的には、事務事業評価、公共事業評価のシステムを活用して、重要性や緊急性に留意しながら、優先度に応じた重点的、効率的な事務事業の実施に向けて、施策や事業の選択、事務の見直しを行うこととした。
 それから2点目であるが、新たな事務事業の予算化については、既存類似事務事業の整理統合、廃止を原則とするということにしたいと考えておる。
 それから3点目は、シーリングの対象外経費を厳選してスクラップ・アンド・ビルドの原則を徹底し、効果的な事務事業の創出に努めることとしている。
 4点目であるが、大規模施設の整備については、必要性や緊急性を十分検討しながら、新たな着工に当たっては、既存施設の有効活用の可能性についても検討するなどによって、行政システム改革実施計画に掲げられている事項を中心にして歳出規模の抑制に努め、財政の健全化の三つの目標を達成するなど、財政運営の健全化に努力していきたいと考えておる。

〇久保田委員 次は、財政構造改革の観点と本県の財政運営の目標についてである。
 国は近く、財政構造改革の凍結を解除し、財政再建に本格的に取り組まざるを得ない状況にある。当然、本県もこれに呼応した対策が要求されるが、財源調整手段の確保及び県債の適正管理方針に変更はないのかどうか、今後の見通しについてお伺いする。

〇吉田総務部長 国においては、我が国の厳しい経済情勢を踏まえて財政構造改革を推進するという基本的な考えは守りながら、我が国経済の回復を図るため、財政構造改革の推進に関する特別措置法の施行を停止する必要があるとして、昨年の12月18日にその施行を停止したということである。本県においては、国の財政構造改革の流れを受けて、一昨年に行財政システム改革指針を策定し、さらに先般策定した行政システム改革大綱においても財政の健全化目標を定めるなど、財政改革に積極的に取り組むことといたしているところである。
 今後においては、歳出規模の抑制や県債依存度の引き下げ、各種基金の効果的な活用などにも十分配慮しながら、地方分権の時代を見据え、活力に満ち、個性豊かな地域づくりや地域経済の活性化を図るなど、内外のさまざまな変動にも柔軟に対応できるような財政構造の健全化に一層努めてまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 次は、景気の動向と県税収入についてである。
 最近の新聞によると、各都道府県とも、長引く景気の低迷により、税収不足は極めて深刻な状況にあると報じられておる。本県においても、平成11年度の県税について、平成10年度当初予算に比較して個人県民税で11億4、600万円余、法人県民税で11億6、068万円余、法人事業税で64億1、200万円余と、それぞれ大幅な減収となっているところであるが、これらの税目について減収と見込んだ特徴的な点を、地域的あるいは業種別に見た場合にどのように把握しているのかについてお伺いをする。
 また、長引く景気の低迷は、県税の滞納にも大きく影響すると考えられるが、平成10年度末の県税の滞納額はどの程度になると見込んでいるのか、それに対してどのように対応するのかについてあわせてお伺いをする。

〇吉田総務部長 平成11年度の個人県民税、法人2税について減収と見込んだ特徴的な点についてであるが、個人県民税については、平成11年度は定率減税等が予定されているところであり、その減税見込額が、本年度における当初の特別減税の影響額より大きいこと、それから、景気の低迷などにより所得の伸びが見込まれないことによるものである。
 法人2税については、主な企業について個別に業績見通しを照会したほか、民間経済研究機関の予測資料を活用するなどして見積もったところである。回答があった企業の収益の見通しは、景気の低迷によって製造業で13・2%減、また、非製造業で9・7%減、全体では11・5%減となっていること、その他基本税率が12%から11%に引き下げられたことなどを勘案して、法人2税全体としては大幅な減収になるものと見込んだところである。
 減収の影響については、県内を地域的に分けて見込んではいないが、景気の動向に大きく左右される法人事業税について東北6県と比較して申し上げると、本県は、東北6県の平均26%減を2・4ポイント上回る23・6%減となっているところである。
 次に、10年度末の県税の滞納についてであるが、12月末、1月末の収入歩合の状況を見ると、前年度同期を1ポイント程度上回っている状況にあるところである。しかし、景気の低迷の影響などもあり、最終的には平成9年度末実績、1億円程度であるが、これを上回るのではないかと考えているところである。
 滞納額の縮減については、県税事務運営方針を各地方振興局に示して滞納整理の促進に努めているところであるが、さらにこれを徹底し、滞納額の縮減に努めてまいりたいと考えているところである。

〇久保田委員 次は、地方振興局の予算要求及び査定結果とその評価についてである。
 新年度予算において、本県は全国に先駆けて地方振興局からの予算要求システムを導入したところである。予算編成上初めての手法であり、注目したところである。資料によると、地方振興局の要求額にはばらつきが見られるが、要求する際の基準があって、それによって要求額が絞られたものであろうか。この要求に関係市町村からの要望は反映されているものであろうか。要求に対する査定の結果はどうであったであろうか。また、どの点が評価されるのか。今後、定着した要求システムになると思うが、改善・検討する点があるのかどうか、この点についてお伺いする。

〇吉田総務部長 今年度初めて、11年度予算から、地方振興局にそれぞれの地域課題を踏まえた予算要求権を付与したところである。
 その内容は、例えば新しい総合計画の広域圏別地域計画案、まだ案の段階であるが、その案に盛り込まれた重点事業など地域要望を踏まえた横断的事業とし、要求上限枠の設定は行わなかったところである。その結果、各地方振興局から32事業、289億9、400万円余の要求があり、そのうち当初予算においては25事業、250億8、000万円余を計上したところである。
 評価としては、地方振興局が地域課題に対して振興局内で各部を越えた、いわゆる組織横断的に創意と工夫を凝らして、プロジェクトの創出に主体的に取り組むことができたことなどが挙げられる。
 一方、今後の課題としては、地域課題に対応した振興局の要求と全県的な視点に立った財源の効率的な配分とか、あるいは地域バランスなどとの調整が挙げられると考えており、今後、こういった地域振興の拠点としての地位を確立するような改善を重ねてまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 次に、地域活性化事業調整費についてお伺いする。
 地域活性化事業調整費は、制度創設以来13年が経過しようとしているが、この間、3、400を超える事業に総額62億5、000万円余を活用し、市町村と地方振興局が一体となって、個性豊かな地域振興に取り組んできたところである。
 そこでお伺いするが、地域活性化事業調整費の事業効果及び今後の課題についてどのように認識されておるか、お示しをいただきたいと思う。

〇武居企画振興部長 地域活性化事業調整費の事業効果についてであるが、この事業の特色は、地域の実情に応じて機動的、弾力的に執行できる予算であるという点であり、こういったことから、大きく事業効果としては2点あろうかと思うが、一つは、仕組みから来る効果であり、市町村と地方振興局のパートナーシップの強化であるとか、地域住民の自発的な地域づくり活動への参画の促進など、地域の活性化に大きな役割を果たしてきたものと考えているところである。
 また、もう一点は、具体の事業から出てくる成果であるが、事業の中には先導的・モデル的な事業としての取り組みが行われているものや、地域づくり関係の全国的な表彰を受けた事業、さらには県の本庁であるとか市町村の事業にその後引き継がれていった事業、あるいは全国的な規模のイベントに発展した事業など、さまざまな成果があらわれているところである。
 地域活性化事業調整費の今後の課題については、これは新しい総合計画の中間報告の中にも随所にそういった点が書かれているわけであるが、生活者の視点や地域の視点に立った県政を推進していく、こういったことが大変県ではこれから重要になってくるわけであるが、そういった際に、調整費が一層活用されていくことが重要であると考えておる。
 平成11年度の予算編成から実施された地方振興局長の予算要求の制度新年度においてもこういったものとどう連動させていくのか、さらには今後策定されてまいる総合計画、特に地域計画にこういった調整費が果たす役割、大変大きいものがあろうかと思うが、こういったものとも関連させながら、市町村や地方振興局の意見も聴取しながら、調整費のより効率的、効果的な運用が図られるよう、制度の充実について検討していきたいと考えているところである。
 また、事業の内容のより一層の充実を図るため、地方振興局とともに事業の企画立案のための検討会、これは既に実施された事業についてどのような評価があったのか、どういう効果があったのかということを、内部でお互いに勉強し合うということも大変重要だと思うので、こういった検討会を通じて、よりよい効果が上がるようにしていきたいと考えておる。

〇久保田委員 次に、環境施策についてお伺いする。
 知事は、昨年の2月県議会における知事演述で、平成10年を環境創造元年と位置づけられた。環境保全及び創造に関する基本条例の制定を初め、環境影響評価の制度化や北東北知事サミットにおける北東北環境宣言、さらにはいわゆる奥地産業開発道路の工事再開中止の決断など、環境創造元年と言うにふさわしい取り組みが行われた1年でもあったと考えるが、今後とも環境問題について引き続き積極的な対応をされるよう期待するものである。
 そこでお伺いするが、私は、環境創造元年に続く平成11年はいわば具体的行動の年、環境行動年であると考えておるが、県は、平成11年度においてどのような環境施策を進められるのか、その考え方とあわせてお示しをいただきたいと思う。

〇千葉副知事 まず、環境施策の推進の考え方であるけれども、平成11年度は、平成10年の成果を生かしながら11年度を初年度として動き出す、新しい総合計画の環境の視点を踏まえ、豊かな環境と共生する地域社会の構築に向けて、環境施策を積極的に展開してまいりたいと考えておる。
 まず、体制整備の関係であるけれども、広範かつ多様な分野にわたる環境施策に、より総合的かつ効果的に対応できる組織として、次長級を室長とし、生活環境部の部内室として環境政策室を設置することといたしておる。
 施策の展開であるけれども、環境の保全と創造に関する長期的な目標や施策の方向を示す環境基本計画を平成11年8月を目途に策定することといたしておる。また、本年6月に全面施行される環境影響評価条例の適切かつ円滑な運用により、環境保全と開発事業との調整を図ることといたしておる。
 また、風力発電導入可能性調査や廃棄物発電事業化基本調査を実施するなど、新しいエネルギーの活用を初めとする地球温暖化対策を進めることとしておる。また、ダイオキシン類や環境ホルモンなどの科学物質の実態把握に努めることとしておる。また、産業廃棄物適正処理指導員の配置などによる産業廃棄物の不適正処理の防止を図るとともに、廃棄物の減量化、再利用を進めることといたしておる。
 また、ISO14001の認証の取得の関係であるけれども、国際規格であるISO14001の認証取得に向けた作業を進め、県みずからが環境に配慮した行動の実行に率先して取り組みたいと考えておる。
 今後とも、県民、事業者、市町村のパートナーシップのもとに、多様な環境施策を総合的に推進して、豊かな環境と共生する地域社会の構築に努めてまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 次に、産業廃棄物対策についてお伺いする。
 全国各地で産業廃棄物の不法投棄や不適正な処理による環境汚染の問題が発生していると報じられておるが、本県の恵まれた環境を維持していくためには、こうした廃棄物の不適正な処理を未然に防止することが肝要と考えておる。
 先般、秋田県では、倒産した処理業者が放置した廃油などによる環境汚染防止対策として、産業廃棄物を代執行で撤去していると報道されたところであるが、本県において、排出事業者や処理業者の監視指導の現状はどうなっておるであろうか。かかる事件が発生した場合、どのように対応するのかお伺いをする。
 また、平成11年度から新たに産業廃棄物適正処理指導員を保健所に配置すると先日報道されておったが、この指導員の職務の内容やその効果についてどのように考えておられるのか、あわせてお伺いをする。

〇千葉副知事 産業廃棄物の適正処理の確保に当たっては、保健所の職員による産業廃棄物の排出事業者等に対する立入検査や市町村、県警、産業廃棄物協会等との合同パトロールあるいは講習会の実施などによって、指導の徹底に努めてきているところである。
 本県においては、現在のところ、秋田県のような事例は見られないわけであるけれども、今後とも、廃棄物の不法投棄等による環境汚染を未然に防止するため、きめ細かな巡回指導を行うとともに、悪質な事例に対しては、早期に法による改善等の命令を行うなど、厳正に対処してまいりたいと考えておる。
 産業廃棄物の不法投棄については、基本的に投棄者等の原因者が原状回復を行うものであるけれども、投棄者が不明または資金がなかった場合については、平成10年6月から新たに設けられた産業廃棄物処理法に基づく原状回復基金制度を活用するなどしながら、適正に対処してまいる考えである。
 それから、産業廃棄物適正処理指導員の職務内容等であるけれども、これまで保健所職員によって監視、指導を行ってきたわけであるけれども、これに加えて、不法投棄等の一層の未然防止を図るため、平成11年度から専任の指導員を4保健所に配置して、県下全域を監視することとしたところである。
 指導員の業務としては、いわゆる野焼きや不法投棄等の廃棄物の不適正な処理の巡回監視、それから産業廃棄物の排出事業所、あるいは処理施設等への立入検査、産業廃棄物の不適正処理事案の調査指導、あるいは産業廃棄物の適正処理の啓発などを予定しているものである。
 効果としては、指導員は環境衛生、公害防止、自然保護など、多様な業務を担当する保健所職員を補助して専任で指導、監視を行うところから、苦情などへの迅速な対応や初動調査から改善事後指導までの徹底や、事業者の適正処理意識の向上等が図られるものと期待しているところである。

〇久保田委員 次に、介護保険制度についてお伺いする。2点にわたる。
 この制度の課題や問題点については、本会議においてもさまざまな角度から取り上げられておるが、私からはまず、この制度の成否を左右するとも言われている要介護認定についてお伺いする。
 この制度では、要介護認定によって毎月受けられる在宅サービスの量が決定され、特別養護老人ホームなどの入所者は、この判定結果によって入所できるかどうかが決定されるとのことである。したがって、今、介護を受けておられる方々の心配は、介護認定がどのようになされるかという点である。
 県では、昨年、すべての市町村を対象に、この認定を試行的に行ったとのことであるが、その結果、さまざまな課題も浮き彫りになったと聞いておる。この要介護認定は、平成11年10月から開始されるとのことであり、その体制づくりが急がれるわけであるが、県では、その課題をどのようにとらえ、どのように対処していかれるのであろうか。また、市町村の要介護認定事務の広域化を促進してきておるところであるが、そのメリットはどこにあると御判断なされておるであろうか、お伺いする。

〇千葉副知事 要介護認定の課題であるけれども、小規模町村などでは、医師などの介護認定審査会委員の確保が困難ということがあった。それから、審査会委員の日程を確保するため、審査会を夜間に開催しなければならないなど、市町村の事務負担が予想以上に大きかったことである。また、コンピューターによる1次判定の中に、現場で実際に必要と思われる介護度を反映しないものが一部見られたことや、認定審査基準等がわかりにくかったことも課題として挙げられているところである。
 対応としては、医師などの審査会委員の確保や市町村事務の効率化を図るため、介護認定事務の広域化を促進したところである。その結果、盛岡市など3市町を除き、認定事務を広域化する予定である。また、1次判定に用いられるコンピューターソフトや認定基準の改善などを国に要請したところであり、現在、国で検討がなされているところである。
 広域化のメリットであるけれども、介護認定審査会における医師などの委員の確保が容易になったことである。また、認定事務の共同化により、認定審査会の開催回数が少なくて済むことになる。また、個々の市町村の認定のばらつきを解消し、より客観的な審査が可能になるといったメリットがあったところである。

〇久保田委員 次に、介護保険制度の実施に伴う雇用の創出効果についてであるが、昨年行われた介護支援専門員実務研修受講試験において、県当局の予想をはるかに上回る方々がこの試験を受験したことが報道されたことからも、介護保険への期待と関心の大きさがうかがわれるところである。このようなことから、高齢者の増大とも相まって、サービスの利用も格段とふえることが見込まれるのであるが、こうした動きは、景気が低迷している中で、高齢者の介護対策の分野においては雇用が拡大していく可能性をも含んでいるものと感じられるのである。
 そこでお伺いするが、平成12年4月からの介護保険制度の実施による本県の雇用創出に向け、いかなる指導をなされているのかお伺いする。

〇千葉副知事 介護保険制度が創設されることにより、サービスの利用方法がこれまでの措置から契約に変わる。したがって、利用者は自分に合った多様なサービスの選択が可能となるところから、多様な介護サービスの需要の増大が見込まれるものである。県としては、これらのサービスの需要の増大に対応し、新たに認められる民間事業者の在宅サービスへの参入を促進するなど、介護サービス基盤の整備を進めることとしておるし、また、これらのサービスを支えるホームヘルパーなどの介護マンパワーの養成を図ることとしておる。また、この制度で新たに必要とされる介護支援専門員の養成・確保などを図ることとしておる。
 ただいま委員の方から、雇用創出に向けていかなる指導をするのかという御質問があったわけであるけれども、具体的に雇用創出に向けての直接的な指導は何も予定しておらない。ただ、介護保険制度が導入されることにより、マンパワーの確保は欠かすことができないわけであり、この制度導入により、相当程度の雇用の創出が見込まれるということは言えると思う。

〇久保田委員 次に、本県の中小企業対策についてお伺いする。
 県内中小企業の育成による商工業の振興は、県勢発展に不可欠であり、中小企業に対して経営基盤を高めるための支援を強化していくことが重要であると考えるものであるが、県内景気を見ると、個人消費や住宅建設、企業の設備投資などが依然として低迷しており、売り上げの減少や収益の悪化に苦しむ企業が多く、雇用情勢も一段と悪化しているところである。このように厳しい環境下において、県では、11年度当初予算において中小企業のための融資制度の資金を大幅に拡大しておるが、どのような対策を講じていくお考えなのであろうか、お示しいただきたいと思う。あわせて、回収不能の場合の対応についてもお伺いする。
 また、先月23日のNHKクローズアップ現代において、事業継続しているのに、経営が行き詰まったことを背景にし--これらの問題について本県の場合にどのような問題が想定されるか疑義があるが、雇用保険の問題について、平成12年4月から介護保険制度の実施により、この関連をどうとらえるかという問題もあるのであるが、この、事業継続をしているのに社会保険の厚生年金を脱会している事業者が全国で260件ほどあると報道されておるが、このような傾向が続くとすれば、働く者の老後が保障できなくなり、大きな問題であると考えるが、本県においてこのような事例があるのであろうか、あわせてお伺いする。

〇千葉副知事 平成11年度当初予算の中小企業向け県単融資制度の融資枠は、景気対策に配慮して、前年度当初予算に比べ51億4、000万円、10・7%増枠して全体で533億円余となっているところである。その内容であるけれども、厳しい経営環境にある中小企業の経営の安定を図るための中小企業安定資金貸付金融資枠50億円増の250億円、従業員20人以下の中小企業を対象とした小規模企業振興資金6億円増の36億5、000万円、中小企業の設備や規模の拡大を図るための商工観光振興資金10億円増の160億円、新たに事業を始める場合を対象としたいわて起業家育成資金3億円増の5億円などとなっているものである。
 また、回収不能となった場合の対応であるけれども、県の融資制度は、原則として信用保証協会の保証付きであるため、その場合は、金融機関からの請求に基づき、信用保証協会が代位弁済を実行することとなっておる。また、代位弁済した額の7割または8割が、中小企業信用保険公庫から保険金で補てんされることとなっており、残りは信用保証協会の負担となるものである。
 また、中小企業における企業年金の脱退の関係であるけれども、法人事業所のほか、従業員が5人以上の個人経営の事業所は厚生年金保険に加入しなければならないところである。事業所が厚生年金保険の適用事業所でなくなるケースは、解散、休業、合併などによる場合であり、保険料の給付困難になったため脱退するということは、制度上認められておらないところである。各種届け出書が提出されたときは、法令に基づき的確に審査を行うこととしており、今回報道されたような事実は、本県においてはないものと考えておる。

〇久保田委員 次に、環境首都・環境日本一を目指す本県の観光施策についてお伺いする。
 先般公表された本県の新しい総合計画中間報告においては、夢県土いわてを実現するためのプロジェクトの一つとして美しいくにづくりを掲げており、本県が日本の環境首都となり、環境日本一になることを目指しておる。来る21世紀には、環境の時代を迎えると言われており、日常生活から産業活動までをも含めて、環境が価値判断基準の中心になることが予想されているのであるが、このことは、今後人々にとってますます大切なものになる観光行動についても同様のことが言えるものと考えるところである。幸いにも、本県には山、川、海、高原など、すぐれた自然環境が豊富に残されており、環境を重視する時代の潮流の中で、新たな観光施設の開発を図りつつ、全国にも誇り得るこれらの自然環境をどのように活用し観光施策を推進していくのかについてお伺いする。

〇千葉副知事 観光施策推進の基本的な考え方であるけれども、本県には、二つの国立公園、二つの国定公園、そして七つの県立自然公園があり、四季折々のすばらしい景観とともに、特色ある温泉等を数多く有しており、これらの多彩な自然環境を大切な資源として、自然環境との調和と共生を理念とする観光施策を推進することとしておる。特にも、環境に対する意識の高まりに対応し、恵まれた自然環境の中で、豊かな季節感を味わうキャンプ、トレッキング、スキーなどのアウトドア型観光の推進を図ることが重要であると考えているところである。個性あふれる農山漁村の魅力を満喫するグリーン・ツーリズムやブルー・ツーリズムの推進を図るとともに、自然の生態系に配慮した野外観察などの体験を通じて、その保全について理解を深め、環境教育にも役割を果たすようなエコ・ツーリズムの推進を図ることとしておる。

〇久保田委員 次に、私立学校の振興についてお伺いする。
 本県の私立学校は、幼稚園及び高等学校について言えば、学校数で全体の約4割、園児数及び生徒数で全体の約3割を占めるなど、まさに本県の公教育の一翼を担っていると言っても過言ではない。しかしながら、現下の社会経済情勢を見ると、出生率の低下に伴う児童生徒数の減少や諸経費の上昇など、私立学校を取り巻く経営環境にはまことに厳しいものがあると言わざるを得ないのである。もとより、私立学校の経営基盤の安定化のためには、学校みずからが長期的な見通しのもとに自主的に財政運営の見直しを図るなどの経営努力が必要とされるものと考えるが、これに対する取り組みの状況についてお伺いする。また、このような経営環境を踏まえて、今後の私学振興について、県はどのように取り組まれるのかお伺いする。

〇吉田総務部長 私立学校の振興についてであるが、御指摘のとおり、教育対象人口の減少とか教育管理経費の上昇など、私学を取り巻く経営環境はまことに厳しいものがあると考えておる。今後もこのような状況が続いていくものと予想しているところである。このような状況にかんがみ、各私立学校が、建学の精神をもとにし、真剣に、より一層経営努力とか、あるいは教育内容の向上とかが望まれるけれども、各私学団体においては、各学校と一体となって少子化時代に対応した学校運営に取り組むため、各私立高等学校中長期計画をつくっておるし、私立幼稚園については、第2次岩手県私立幼稚園振興方策を平成8年度に策定したところであり、このような長期的な見通しのもとに、自主的な振興策を推進しながら、自助努力による学校経営の安定化に努めておるところである。県としても、各私立学校が、特色ある教育の充実であるとか、あるいは個性化・多様化を目指した教育の推進により、魅力ある学校づくりをなお一層推進していくことを期待しているところである。
 県の取り組みであるが、本県の私立学校は、それぞれの建学の精神があるわけであるから、個性豊かで特色のある学校教育を行うなど、本県学校教育の充実発展に大きな役割を果たしてきたところである。県としても、社会経済情勢の変化を踏まえ、私学の自主性を尊重しながら、教育条件の維持向上とか、あるいは修学上の経済的負担の軽減を図るという観点から、運営費補助を初め、施設整備に対する補助など各般にわたる助成措置を講じてきたところである。
 今後においては、厳しい財政状況をも勘案しながら、可能な限りの助成措置を講じながら、私立学校の一層の発展に努めてまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 次に、岩手県公会堂についてお伺いする。
 県公会堂は、昭和2年6月の竣工以来現在に至るまで、広く県民に利用されてきたところであるが、建築から71年が過ぎ、老朽化のため、たび重なる補修や一般県民の利用率の低下など、さまざまな問題が生じてきているのではないであろうか。
 そこでお伺いするが、県公会堂の補修を含めた維持管理費に年間どの程度の経費を必要としているのであろうか。
 また、県民がどの程度利用しているのかお示しいただきたいと思う。また、盛岡市内には、県民会館、盛岡劇場やマリオスなど、大規模集会施設が建設されてきているところであり、老朽化が著しく、冷房設備が設置されていないなど設備面でも問題のあるところであり、県公会堂の今後のあり方について、県としてどのように考えているのか、建築学的に見て文化遺産の価値があるものなのかどうか、あわせてお伺いする。

〇吉田総務部長 岩手県公会堂についてであるが、その維持管理費について見ると、平成10年度の管理運営費は約3、700万円となっている。補修工事費は、昭和49年以降平成10年までを見ると1億8、000万円を超える補修工事を行っているということであり、平均補修工事費は700万円を超えているという状況にある。それから、合計すると年間で維持管理費が4、400万円程度必要であるという状況である。
 それから、県民の利用の状況であるが、平成9年度における、いわゆる開館時間中の実際に使用されている時間について申し上げると、大ホールは利用率が9・8%、会議室が41・8%、そのうち一般県民の利用は、大ホールが9・0%、それから、会議室は一般県民の利用は9・7%という状況である。
 それから、文化的価値というか、そういったことであるが、国とか県とか市の文化財の指定は受けておらないところである。
 それから、今後のあり方であるが、昨年10月に庁内関係課から成る岩手県公会堂検討委員会を設置し、公会堂の今後のあり方の課題の検討を行っているという状況である。公会堂が必要な耐震性を保有しているか否かを判断するため、この2月から3月にかけて耐震診断調査を行っているところである。こういったことの結果を踏まえ、今後の取り扱いについて鋭意検討してまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 次に、情報公開条例の改正と広報活動との関係についてお伺いする。
 過般、県は、情報公開の一層の推進を図るという観点から、現行条例の全部を改正し、新たに情報公開条例としたところであるが、その中に、県の保有する情報の提供に関する施策の推進に努めるというくだりがある。これは、県民の関心の高い情報などを積極的に県民に提供していくことを意味しているのであろうと考えておるが、既に県がさまざまな形で取り組んでおられる行政の広報活動との関係をどのように考えたらよいのかをお示し願いたいと思う。

〇吉田総務部長 情報公開条例に基づく情報開示も、それから行政の行う広報活動も、行政の保有する情報を県民の皆さんに対して公開して行政への参加を促すという意味では、ともに共通しているところである。しかし、情報公開条例に基づく情報開示は、県民の皆さんの開示請求があって初めて特定の情報が公開されるというものであるのに対し、行政広報は、行政の方から提供する情報の内容とか、提供の時期、方法など、行政の判断に委ねられているということであり、その両者は性格を若干異にするものと受けとめているところである。
 去る12月定例会において議決いただいた情報公開条例においては、開示請求対象文書とか開示請求権者の範囲の拡大など、いろいろな改正を踏まえて全文改正をしたところである。特に、情報公開条例には、県の諸活動を説明する責務、いわゆるアカウンタビリティを全うするという観点から、県民の開示請求がなくても、行政がいかに行われているか、あるいは行政が何を目指しているかなどを明らかにするための行政の広報活動等を通じ、積極的な行政情報の提供とか公表の推進に努めるということを盛り込んだところである。その具体的な内容としては、重要な基本計画中間報告の案を公表したり、あるいは主要事業の進捗状況を定期的に公表するということなど、計画策定過程とか、あるいは事業実施過程情報の公表とか、そういったことに取り組もうとしているものであり、今後そういった方向によりこの条例を運用してまいらなければならないと思うものである。
 県民に提供する情報については、その内容を充実してわかりやすいものとするように努めるとともに、県民がより身近なところで、しかも迅速かつ容易に情報を入手できるようにするなど、情報提供施策の推進についての基本的考え方とか内容等を明記した情報提供施策等の総合的な推進に関する指針を定め、情報提供施策の積極的な展開を図ってまいりたいと考えているところである。

〇久保田委員 次に、環境に配慮した持続的農業生産の展開と土づくりについてお伺いする。
 農業はもともと自然を相手にした産業であり、どちらかと言えば人に好ましい環境を守る働きをしていると考えておるが、生産効率を過度に追い求める余り、土づくりがおろそかになり地力の低下を招いている例や、一部では、肥料や農薬などの化学資材の多用により環境に悪影響を及ぼしている例も聞こえてきている。これでは、消費者が求める健康で安全な農作物の生産は期待すべくもなく、今後は、農業分野においても環境に配慮した生産のあり方が問われていくものと考えておる。こうした中にあって、本県においては、第3次新いわて農業確立計画等の中で、環境に優しい持続的な農業を展開するとしてきたが、土づくりの観点から、これまでどのような取り組みをしてきたのか、その成果と今後の取り組みについてお伺いする。

〇千葉副知事 県においてはこれまで、豊富な有機物資源や多様な気候条件等の立地特性を高度に活用した産地づくりを推進するため、耕種と畜産の連携による土づくりや化学肥料・農薬の使用量を減らす技術の開発とその普及を目的に、いわて純情産地を守り・育てる運動を展開してきたところである。こうした運動により、稲作においては堆肥の適正利用が進められ、全国的に利用量が低下する中で、本県では10アール当たり1トン以上が確保され、県産米の安定生産と品質向上につながっているところである。また、畑作においては、緑肥を組み入れた大根やキャベツの輪作技術の開発・普及や、良質な有機質肥料を利用した土づくりによるホウレンソウの安定生産を図るなど、純情野菜の生産拡大に努めてきたところである。
 今後の取り組みであるけれども、県産農産物の評価を高める上でも、環境に配慮した安全な農産物の生産はますます重要になってくるものである。したがって、農業研究センターにおける技術開発を進めるとともに、現場においては、きめ細かな土壤診断に基づく土づくりを推進してまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 次に、森林組合の合併促進についてお伺いする。
 長期的な不況の中で、森林組合の経営も非常に厳しい状況にある。この組合の経営が行き詰まるようでは、地域の林業が立ち行かなくなるばかりか、森林県として本県の森林の適正な維持・管理が危ぶまれる。このような中で、足腰の強い森林組合を育成していくためには、経営基盤の強化に向けた広域合併等が非常に効果的な方法と考えられるが、森林組合の合併の状況はどうなっているのであろうか。また、県として森林組合の広域合併を今後どのように促進し支援しようとしているのか、あわせてお伺いする。

〇千葉副知事 森林組合の広域合併の関係であるけれども、森林組合は、組織や財務など経営基盤が脆弱であるところから、組合の経営基盤の強化対策として広域合併の促進は重要な課題であると受けとめているところである。森林組合の合併は、昭和38年に国が定めた森林組合合併助成法に基づき進められてきたところである。本県では、さらに強力に合併を推進するため、岩手県森林組合連合会が中心となって、平成元年度に策定した岩手県森林組合合併基本指針に基づき、当面12の地方振興局を基本に森林組合の広域合併を推進しているところである。
 進捗状況であるけれども、合併助成法が制定された昭和38年時点の86組合から、平成元年には44組合となり、さらに、平成9年には28組合まで合併が進んだところである。この中で、組織、財務、事業内容の格差など、組合の抱える固有の課題等から合併に参加しなかった組合があるところであるけれども、これまでに12地区のうち9地区で、地域の中核となる広域合併森林組合が誕生しているところである。残り3地区のうち、大船渡地区では、合併推進協議会の決定を踏まえ、平成12年1月の合併を目標に、組合間調整など合併の準備を進めているところである。花巻、北上の2地区については、合併への理解を深め、広域的な組合事業の展開を図るため、合併検討協議会を開催するなど、合併への取り組みを強化しているところである。
 合併促進の対策であるけれども、財務格差など合併の障害となっておる問題を解消するため、合併予定組合に対して、経営診断や財務改善のための森林組合経営体質強化資金の貸し付けなどを実施しておる。また、合併後の組合経営のあり方や事業規模などについて、県として一定の方向性を示すため、新しい林業基本計画の策定と並行し、森林組合合併の推進計画を取りまとめているところである。
 広域合併組合に対しては、合併の効果を早期に発揮させるため、役職員の経営力の向上や組合経営の初動体制の確立に向けた各種支援措置を実施してまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 次に、水質保全の関係についてである。特に、ここでは海の水質保全と漁村の生活環境の改善についてお伺いしたいと思う。
 近年、沿岸海域、特に湾内の環境汚染が徐々に進行しており、本県のつくり育てる漁業などへの悪影響が憂慮される状況になってきておる。本県沿岸の水質保全対策を積極的かつ早急に進める必要があると考えておる。本県では、漁村の生活環境の改善を図るため、既に数地区において汚水処理施設を整備しておるが、いまだ整備率は低位にあることから、良好な海の水質保全と快適で潤いのある漁村社会の形成をするために、今後、汚水処理施設の整備を早急に全県的に促進すべきものと考えておるが、県は、これらの課題や現状をどのように認識し、どう取り組むおつもりなのかお伺いする。

〇千葉副知事 海の水質保全対策は、健全な漁場を維持するとともに、本県の水産物のイメージづくりのためにも重要な課題であると考えておる。
 現状と課題であるけれども、まず、漁村における生活雑排水等は、汚水処理施設の整備状況が著しく低いこともあり、集落からの排水がそのまま海に流出し、水質を汚染し、漁場への悪影響が憂慮されている状況である。平成9年度末における漁業集落排水施設の整備率は5・3%と、岩手県全体の汚水処理施設の整備率39%に比較し極めて低い状況にある。
 今後の取り組みであるけれども、平成10年5月に策定された新・全県域汚水適正処理構想では、目標年次の平成22年度までに漁業集落排水施設の整備率を64%まで引き上げることとしておる。平成10年度までに汚水処理施設の整備が終わる地区は7地区となり、整備率は7%となる見込みであるけれども、11年度の国への要望は、新規2地区を含む14地区で要望することにしておる。漁業集落排水施設の整備は、漁港漁村整備の最重要施策の一つと位置づけ、目標達成のため、市町村と緊密な連携をとりながら、整備を促進してまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 次に、資源循環型社会の構築と公共工事の実施についてお伺いする。
 地球規模で発生している環境問題に対応し、廃棄物の発生抑制やリサイクルの促進などにより、環境への負荷の少ない資源循環型社会の構築に向けた取り組みが求められておる。とりわけ本県における建設投資の過半を占める公共工事の実施においては、資源循環型社会の実現に向け、建設に使用する資材への配慮や工事に伴い発生する廃棄物の抑制、建設副産物の活用の促進などに積極的に取り組まれなければならないものと考えておるところであるが、県が実施している公共工事においては、どのような取り組みを進めているのかの具体についてお示し願う。

〇千葉副知事 森林の健全育成、自然環境や景観に優しく生活の豊かさを実感できる視点から、間伐材の活用は必要であるという認識に立っておる。現在、護岸の基礎のうちで中心的な木工沈床工や丸太積土止工などへの活用を図っておるし、道路附属施設であるスノーポールやデリニエーターの製作活用を図っているところである。また、現場で発生した自然石や植生を生かした多自然型川づくりにも取り組んでいるところである。
 工事に伴って発生する廃棄物の抑制の関係であるけれども、建設残土の発生を抑えた計画を推進することとしておる。また、コンクリート殻など、建設副産物の処理方法等を設計図書に条件明示させることとしておる。また、国、県、市町村、業界で構成する建設副産物対策会議や、インターネットによる残土情報システムによる建設残土の情報交換を進めることとしておる。
 建設副産物の活用促進であるけれども、ヒューム管等を側溝や護岸に有効活用するような方法や、あるいはアスファルトやコンクリート殻を再生アスファルト合材、再生路盤材に再利用するなどの利用促進をしているところである。
 今後の展開であるけれども、すぐれた自然環境や景観の保全、あるいは限りある自然の有効活用に努めるとともに、建設副産物対策などの取り組みを通じた資源循環型社会の構築をしてまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 質問の終わりに、住宅減税と個人住宅の建築の動向についてお伺いする。
 我が国の経済は未曾有の危機に直面しておるが、中でも住宅投資は大きく落ち込み、平成8年度には約163万戸の着工戸数であったものが、平成9年度には約134万戸となり、平成10年度に入ってからは一層の低迷状況が続いておる。住宅建設は内需拡大の柱であり、その波及効果も大きく、住宅投資の拡大は経済の立て直しに不可欠であり、このことは本県においても同様であると思う。国では、この厳しい経済情勢を踏まえ、現在の住宅着工戸数の著しい落ち込みに対して、住宅投資を促進するとともに、居住水準の向上を図るため、平成11年度の税制改正において住宅税制の抜本的な見直しを行い、新たな減税措置が講ぜられると聞いておる。ついては、住宅減税と本県における個人住宅の建築の動向及び住宅用地の確保と現状についてお伺いする。

〇千葉副知事 国では、低迷しておる住宅投資を回復させ、さらには、昨年10月に、ゆとりある居住空間の実現を図るため住宅投資拡大緊急対策を決定したところである。その一環として、住宅ローン控除制度創設などの思い切った減税措置を講じ、平成11年度から導入する予定になっておるところである。
 本県の住宅着工の状況であるけれども、平成8、9年度の状況であるけれども、平成8年度は1万6、344戸、平成9年度は1万3、404戸と、我が国全体の着工状況と同様に推移しているところである。また、平成10年度の状況であるけれども、平成10年12月現在、対前年比15%減で、全国と同様に低迷しておる。持ち家のみの着工状況の推移は、平成10年11月、12月とも、対前年比約2%減とわずかな減少にとどまっており、 県民の根強い持ち家志向がうかがえるところである。
 今後の住宅着工の見通しであるけれども、昨年11月以降、住宅金融公庫の融資制度の拡充や金利の引き下げの影響により、住宅金融公庫の利用者が増加の傾向にある。さらに、住宅減税措置の効果が徐々にあらわれ、住宅着工も回復傾向に推移するのではないかと期待しているところである。
 それから、住宅用地の確保についてであるけれども、全県の調査はしておらず、資料はない。公的な宅地として、岩手県住宅供給公社の関係であるけれども、平成9年度まで約251ヘクタールの宅地を供給しているところである。今後も需要動向を見きわめながら、関係市町村の協力を得て優良な宅地供給を促進してまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 千葉副知事には、大変熱意のある御答弁をいただいた。大変御苦労さまであった。感謝を申し上げて私の質問を終わる。

〇三河委員長 以上で総括説明に対する代表質疑を終わる。
 これより自由質疑に入る。日本共産党の委員から申し出があるので、発言を許す。斉藤信委員。

〇斉藤委員 それでは、まず第1に、増田県政の予算編成基本姿勢にかかわってお聞きする。
 昨年10月27日に行われた知事講話の内容はどういうものであろうか。副知事はどう受けとめておられるのであろうか。県職員にも全員に配られておるが、どのように県職員は受けとめているのであろうか。

〇千葉副知事 知事講話の内容であるけれども、右肩上がりでない社会の中で、限られた財源を有効に活用し地域が自立していくためには投資の重点化が不可欠であると、こういう観点から、国の公共投資が固定化されている中にあって、本県としても、国庫補助事業とはいえ、地域の実情に即し、緊急度、優先度を考慮しながら重点的に取り組んでまいると、こういう内容のものであった。私自身は、そのとおりであると考えておる。また、多分県職員も同様ではないかと考えておる。

〇斉藤委員 知事講話は、私も興味深く、何度も読んだ。それで矛盾を感じるわけである。知事講話では、国、地方の公共事業のばらまき、押しつけが極めて深刻な弊害をもたらしてきたと述べている。具体的にはどういうことであろうか。国の箇所づけの押しつけに対し、不要なものは断固として断るようなしっかりとした目が必要とも述べていたが、来年度予算編成でしっかりと断った事業、事例はあるのであろうか。補助事業であるとか公共事業などでは、何度も何度も頼み込んで国から金を取ってくるとか、この無責任さが、とどのつまりは国も地方も含めて500兆円にもなんなんとする累積の借金をこしらえてきてしまった、このようにも述べている。増田県政自身のことではないかと私は思うが、どうであろうか。

〇千葉副知事 公共事業のあり方等についてであるけれども、国の公共投資の配分が硬直化する中にあって、本県が主体的・自主的な地域づくりを進めるためには、国庫補助事業といえども、より重点的、効率的導入を図るべきという趣旨の発言であると受けとめておる。
 それから、箇所づけを断った事例がないかということであるけれども、そもそも国からの箇所づけの押しつけは承知していないところである。

〇斉藤委員 増田知事は、建設省出身の知事らしく、極めて具体的に国のやり方の問題点を指摘しているのである。そして、それに追随していては岩手はますます悪くなると言っている。私は何度も紹介しているけれども、最後の結論はこう言っているのである。私は、きょう1点だけ皆様方に申し上げたかったわけである。極論すれば、今、国の事業のやり方を見ると、あれは参考に値しない。国を参考にすると岩手県を悪くするというぐらいにまず思っていただいて、みずから一つ一つの事業を厳密に検証していかなければならない、これが全編を通じた増田知事演述の基調であった。そして、国の公共事業のシェアは数十年来一つも変わっていないと、これに唯々諾々としていていいのであろうかというのである。私は、この論調は、そのとおりであると思っている。事実であると思っている。しかし、今の県政の進め方はそうなっていない。増田知事が指摘したとおりの県政をみずからやっているのではないか、違うであろうか。

〇千葉副知事 知事はそのとおり発言しているわけであり、私どももそのとおりであると考えておる。それから、それにしたがって、一つ一つの事業を点検し、事業予算を組んでいるところである。

〇斉藤委員 かみ合わないので前に進む。
 第2点に、私は、事務事業の見直しと経常経費25%削減についてお聞きする。
 10年度は、事務事業の見直しで、公共事業も土木で12件、林水で17件、計31件、57億4、900万円見直しがあった。これは、その後大幅補正でこのとおりになったのであろうか、復活したのであろうか。来年度予算では、公共事業の見直しは各部局ごとに具体的にどうなっているのであろうか。福祉関係の事務事業見直しの具体的内容、件数、額はどうなっているのであろうか。障害者対策の事業が今年度、来年度とねらい撃ちされているという印象を受けるが、いかがであろうか。経常経費の25%削減で、福祉分野、福祉関係施設の影響はどうであろうか。

〇千葉副知事 公共事業の見直しの関係であるけれども、平成10年度当初予算で廃止、縮減した公共事業の補正予算の状況であるけれども、土木部関係では、廃止、縮減した12件のうち、廃止した事業7件については補正がなかった。また、縮減した事業5件のうち、地方特定河川等環境整備事業など3件については、総額5億1、800万円の減額補正を行ったところである。これは、事業費の確定に伴う減額である。それから、林業水産部関係では、事業の緊急度、重要度及び財源の見通しなどを勘案し、縮減した17件のうち治山事業など10件については、国の総合経済対策と緊急経済対策に関連する国庫補助金を導入し、大雨災害や火山対策の新たな行政需要への対応や事業効果の早期発現を図る観点から、事業の前倒し執行を行うため、67億9、900万円を増額補正したところである。なお、漁港局部改良事業など4件については、総額3、900万円の減額補正を行っておる。
 平成11年度の当初予算の公共事業の廃止、縮減の状況であるけれども、土木関係では、北本内ダムの建設事業の廃止1件、地方特定河川等環境整備事業、ダム調査の縮減の2件の計3件、3億3、000万円である。農政部関係では、小規模農業農村整備事業の類似事業への統合による廃止1件、2億円である。公共事業全体として4件で5億3、000万円となっておる。
 次に、事務事業の見直し等であるけれども、まず、福祉事業の見直しである。事務事業の見直しについては、県の行財政改革システム指針に基づき、限られた財源の効率的・効果的な活用を図るため事業の見直しを行った結果、廃止、縮減は37事業、1億8、200万円である。このうち主なものは、少子化に関する意識調査事業が単年度で終了したことや、保育所地域活動事業など、3カ年事業を実施した所期の目的を達成したことによるものである。
 それから、障害者対策の関係であるけれども、廃止、縮減した事業と額の関係であるけれども、障害保健福祉関係では、障害者文化芸術祭、障害者社会参加促進事業及び県立施設管理運営費について見直しを行ったところである。これによる縮減額は2、300万円であるが、このうち障害者文化芸術祭と障害者社会参加促進事業に係る額は700万円であり、保健福祉部の縮減額1億8、200万円に対し4%である。
 廃止、縮減の考え方であるけれども、障害者の社会参加促進事業については、これまで身体、知的、精神の3障害それぞれで独立して実施してきたものを、類似事業を統括して総合的・効率的な実施を図ろうとしたことである。
 なお、障害者文化芸術祭は、新たに社会参加促進事業の中で、障害者の日記念事業として引き続き行っていくものである。
 それから、経常経費25%の削減の関係であるけれども、経常経費25%の関係は、生活保護費や老人保護費等の社会福祉費、あるいは県単独の医療助成などの県民生活に密着した経費については、削減対象外経費としているものである。平成11年度の保健福祉部の経常経費は、増額した事業もあるところから、平成10年度当初と比較して29億2、000万円余、率で3・6%の増となっているものである。

〇斉藤委員 今の答弁を聞くと、せっかく平成10年度で公共事業を見直して、その後はかなりの部分が復活している、増額もしているということである。私は、結局増田県政というのは、公共事業はどんどん大盤振る舞い、そして1兆円の財政赤字をつくって、それを福祉、教育、医療で切り捨てると、こういう構図が明らかになったと思う。特に、私が本当に残念に思うのは、今の話にもあったけれども、障害者関係が2、300万円余りも減額されていると。例えば、一般質問で取り上げたのであるけれども、障害者文化芸術祭開催事業、これは年2回やられていたものを年1回に統合すると。これは経済効率性なのである。しかし、障害者の方々は、いろいろなハンディキャップを持って、本当に年何回もそういう活動に参加できない。これを一つにするということがどういう問題なのか。私はそういうところに、本当に増田県政の冷たさを感じる。詳しくはまた部局でやるので、次に進む。
 3番目は、大規模林道川井・住田線横沢-荒川区間について、平成10年度の猛禽類モニタリング調査の結果が出たようであるが、どういう内容であろうか。調査結果についてはどういうレベルで検討されているのであろうか。トンネルを通す案も出ているようであるが、事実であろうか。ルートの見直しも検討されているのであろうか。林業振興にとって具体的経済効果、費用対効果はどうなっているのであろうか。

〇千葉副知事 大規模林道川井・住田線の関係であるけれども、平成10年4月から12月にかけて実施した調査結果の概要は次のとおりである。調査地域内に繁殖が確認されたタイマグラペアと大洞ペア、それから、繁殖は確認されていないわけであるけれども、飛翔しておる横沢上流個体の三つのペアを確認しているところである。
 タイマグラペアについては、林道開設計画路線と営巣地とは1・7キロメートル以上離れており、直接的な影響は想定されていないわけであるけれども、今後の開発計画路線の一部が高利用域内に含まれるものと考えられ、その付近の工事に当たっては、実施時期等への配慮が必要であると考えておる。それから、大洞ペアについては、林道開設計画路線と営巣地とは3キロメートル以上離れているところから、林道開設に伴う著しい影響はないものと考えておる。それから、横沢上流個体については、飛翔が集中しており、営巣地として推定される箇所がなかったことなどから、巣を構えない非繁殖ペアの可能性が高いと見ておる。
 調査結果の検討であるけれども、森林開発公団が平成11年1月に現地調査に基づく検討会を複数の専門家の参画を得て実施したと聞いているところである。
 次に、大規模林道川井・住田線のルートの見直しの関係であるけれども、横沢-荒沢区間の今後の実施ルートについては、昨年8月の川井村における地元説明会において、森林開発公団により、野生生物の保護対策や自然環境の保全のため、現存植生の改変を少なくするようなルートの選定ができないか、一部トンネル化も含め検討しているという発言があったわけである。森林開発公団では、現在詳細なルートや具体的な内容について検討を進めている段階にあると聞いておる。
 それから、具体的な効果等についてであるが、大規模林業圏開発林道は、当該関係地域における林業振興、山村生活の利便性の確保など、必要な本県の実情に照らすと、基幹となる必要不可欠な林道である。工事の進捗状況は、9年度末において開設延長で83%になっており、林業生産活動の促進などの面で著しい効果を上げているほか、山村における通勤・通学など、生活の利便性向上に大きく寄与していると認識しておる。
 なお、林野庁は昨年、大規模林道の再評価制度を発足させたわけであるけれども、費用対効果については、この林道が経済効果のみならず、森林の公益的機能の維持増進や地域振興に寄与する面があるので、現段階では、これらの多様な因子を的確に反映することが困難であり、指標化されなかったところである。

〇斉藤委員 調査結果報告書によると、今後の課題として、大規模林道の建設が進むに当たって、クマタカの保護・保全の観点から、今後解明することが望ましい課題として以下のものが挙げられるとしている。タイマグラ地区、横沢地区の行動圏内の内部構造の把握とか、横沢上流個体の飛翔状況確認、利用状況、こういうものが指摘されている。私は、引き続きこれは環境調査がされると思うけれども、営巣期、非営巣期の今後の工事はどうなるのであろうか。

〇千葉副知事 実際の営巣期の関係については、できるだけ工事をしないというのが原則である。したがって、実際の工期の区間というのは、8月から11月ごろまでの本当の短い期間に限って工事をすると聞いているところである。

〇斉藤委員 細目はまた審査でやりたいと思う。
 次に、4番目であるが、米関税化と米飯学校給食の問題についてお聞きする。
 私の一般質問に対して農政部長は、米の関税化による農家への影響について、高い関税率が設定されることから、県内稲作農家に与える影響はないと、驚くべき答弁があった。高い関税率の根拠はどこにあるのであろうか。牛肉の輸入自由化の二の舞とならない保証はどこにあるのであろうか、具体的に示していただきたい。

〇千葉副知事 今回の米の関税措置への切りかえに当たっては、WTO農業協定の規定に基づき、関係国との交渉なしに国内価格と国際価格との差額を関税相当量として徴収することができることとされており、次期農業交渉が合意されるまでは影響がないと考えておるところである。米のような基礎的食糧は、可能な限り自給していくことが基本であると認識しており、WTO次期農業交渉に当たっては、国内生産に影響を及ぼすことのないような措置が講じられるよう、国に対して要望していくことにしておる。

〇斉藤委員 この関税率の設定は、関税率の状況表を出して、3カ月以内に各国の同意を得て正式に決まるのである。日本政府が一方的に出して決まるわけではないのである。だから、高い関税率が設定されるという根拠は何もない。国会でもそう答えている。そして、今の従量税換算の関税率は、アメリカ産の米と比べて何パーセントであろうか。

〇千葉副知事 その具体的な内容については承知しておらない。

〇斉藤委員 米の関税化というのは、国会で3回も反対決議を上げて、そして、今までも日本政府はWTO協定に対して、非貿易的な品目ということでWTO協定見直しを求めるというスタンスであったのである。それが、国民にも農民にも消費者にも相談しないで、一方的に決めた。ところが、その高い関税率というのは何の根拠もない。2000年からWTO交渉が始まり--WTOというのは、関税率を引き下げるということが原則なのである。牛肉の自由化がそうであったであろう。私はこの米の関税化について、高い関税率が設定されるから大丈夫というのは、二重、三重に根拠はない。当面の根拠もないし、2001年以降の根拠も全くない。副知事、そう思わないであろうか。

〇千葉副知事 米の関税化の詳しい状況については残念ながら私は承知しておらないので、関係部局の際に詳しくお聞き願いたいと思う。

〇斉藤委員 いや、通告していた。私、一般質問でも聞いて、一般質問の答弁が余りにもひどいからここで聞いた。部長答弁を変えるのは、副知事しかいないと思って私は聞いた。
 それで、約350円の重量税というのは、アメリカ産米と比べると300%程度である。これが今設定しようとしている関税率であろう。これ交渉でもっと下がる。だとしたら、本当にどんどん外国の米が入ってくるという歯どめが全くなくなるということである。そういう点で、これは重大な問題だ。詳しくは農政部審査でやるけれども、岩手の農業を守るという点では大変大事だと思う。
 それでもう一つ、私、減反を拡大して農業生産が縮小している中で、農政予算の約7割を公共事業が占めているというこのゆがみを私は正すべきだと思うけれども、一方で、価格補償対策がわずか0・3%しか実際にはこの間組まれていなかった。このゆがみを正すべきだと思うが、いかがであろうか。

〇千葉副知事 農政予算における公共事業については、市町村やあるいは地域からの要望を踏まえて、事業の重点化、効率化を図りながら実施しているところである。基盤整備がおくれておる本県においては、農畜産物の生産振興にとって、また、農地の利用集積を図る上で重要であると考えておる。
 また、価格補償対策についてであるけれども、農畜産物の価格安定対策については一定の保証基準額が定められており、実際の販売価格が基準額を下回った場合に一定の補てんがされるものであり、それに必要な財源について予算措置を行ったところである。

〇斉藤委員 農政予算のゆがみ、ヨーロッパでは、もう7割、8割が価格補償である。農業生産を守る、それが当たり前。日本になると反対になってくる。
 時間がないからこれで終わるが、私は昨年の総括質問で、米飯学校給食問題を取り上げ、吉永副知事が、米飯学校給食については今まで以上にその維持拡大に積極的に努めてまいりたいと答弁したが、これはどうなっているであろうか。

〇千葉副知事 米飯学校給食は、児童生徒の地域農業や食べ物に対する理解を深める上で重要であると考えておる。したがって、今後も県産米による米飯学校給食の維持拡大に努めてまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 それで、なぜ私はこれを取り上げるかというと、農水省が2億円の米の値引き率を廃止すると、段階的に。それで、23市町村が今年度一斉に給食費を値上げしたり、そして米飯給食回数を減らしたりと深刻な事態が生まれている。ある学校では、弁当を持参させると。米を出すと給食費を値上げしなければならないから、そういう事態まで起きている。米消費拡大として米飯給食のこの推進を県としてどうするのかと、このことを聞いている。どうであろうか。

〇千葉副知事 先ほど答弁したとおり、米飯学校給食は、児童生徒に対する理解を深める上でも重要だと考えておる。したがって、継続拡大してまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 それでは、県立病院の建設計画と着手についてお伺いする。
 細かくは9日の医療局でやるわけであるが、ぜひ、尊敬する千葉副知事から聞きたいと思ってお伺いするわけである。
 県の医療局では、県民のための病院の建設計画を立て、逐次建設を進めてきている。この計画は、だれが立て、いつ変更し、いかなる手順を経て県民に明らかにしているのか。もちろん最終責任者は知事であるが、お示しを願いたい。
 一例を挙げると、立地については、県立磐井病院は平成3年の当初計画では現在地、同じく南光病院も現在地となっており、その後8年に、磐井病院は一関市前堀地区に内定、その後10年に南光病院が併設となるなど、目まぐるしく変わっている。予算的には、平成9年に前堀地区に磐井病院の用地費が計上され、平成10年には南光病院の用地費が計上され、私たち地元の県議会議員、前におられた浅井議員も含めてこれに賛成し、10年度に設計、11年度、12年度に建設、13年度に完成となっておる。また、建設に当たっては、県立病院なのに土地買収から医師会との折衝、一切の手続を地元市町村に下請させるのはいかなる法規によるものか、まずお伺いをする。

〇千葉副知事 公営企業の業務に関しては特に長の権限とされているものを除いて、管理者の権限と責任において行われるものである。県立病院の施設整備計画についても、事業管理者である医療局長の責任において、平成3年6月、県立病院等長期経営計画の中で定めたものである。その後見直しを行って、県立病院等事業計画として平成8年6月に策定したものである。
 計画策定に当たっては、関係部局の意見を聞きながら取りまとめ、県医療審議会あるいは庁議報告を経て確定して公表したものである。
 また、県立病院の整備に係る用地の取得については、法令上規定はないわけであるけれども、地域の事情によく精通している地元の方がより効果的に取得事務を進めることができる、あるいは病院に合わせて市町村が整備する道路、下水等の公共基盤整備のための用地取得と一体で進めることができると、こういった利点があるわけであり、病院に限らず、他の公共施設等についても従来から地元市町村と十分協議し、委託の方法をとって進めてきているところである。
 また、地元医師会との協議については市においても行っていただいておるが、医療局において折衝しているところである。

〇佐藤(正)委員 副知事、今、御答弁の中で、医療審議会というのがあったが、医療審議会は私もいたことがあるが、立地やなんかについては審議の対象にならない、審議会は。経過については報告があるけれども、そこをひとつお間違えではないであろうか。
 それから、地元と折衝するということはこれは当然であるが、法規上では問題がないということになると、いろいろトラブったりいろんな問題があった場合には、県独自で進めていいということになるであろう。

〇千葉副知事 その地域の病院は地域の住民の方々が主として使うわけである。したがって、使う方々の利用を大事にするためには、やはり地元の方々の意見を聞きながら事業を進めるということが大事であり、県が一方的にその事業を進めるということは適当でないと考えておる。

〇佐藤(正)委員 これは当然であり、地元の地権者の了解も得た、その他いわゆる自治体で行うところの都市計画、あるいは上下水道というものは整った場合に、これ法規上は問題ないということになるわけであるから、その点は副知事も承知の上だと思う。
 さて、一関市では県医療局の無策とは言わないが、無策、決断のまずさから、直接関係のない地元市長選の政争の具とされ責任をとらされたと、こういう経過がある。この責任の一端は、医療局に問題がなかったかどうか。
 2番目、建設計画は、用地買収、その他の事情でおくれることがあるが、何年を限度とするのか。磐井病院の場合は、11年度に用地費が計上されていないが、これで3年おくれるということになる。
 浅井市長は、場所が決まれば予算がつくと、こう言っておるが、前堀地区以外でもつくのであろうか。
 3番目、医療局長と前一関市長のさきの発表では、前堀地区以外にこれ以上よいところがあれば11年1月までに提出してもらいたいと。3月までに決定することになっていたが、新しい市長は、もう少し待ってくれということであるが、いつまで待つのであろうか。
 浅井一関市長は、県の内定した前堀地区に反対ではなかった。昨年8月の大雨で、これでは大変だということで白紙に戻すべきだと思い、白紙撤回ということでこれが当選した。このことは、前堀地区内定を決めた知事、医療局の調査、決定が信用できない、いいかげんだということになり、市民もこれに賛成したことにならないであろうか。実際に、ずさんな調査であったのであろうか。このことに対して、内定の理由とした県としての科学的なデータ、浅井市長が反対する科学的なデータを対比し、市民に公開するべきだと思うが、どうであろうか。
 浅井市長は、この白紙撤回の科学的な根拠のデータを県に示されたであろうか。この点についてお伺いする。

〇千葉副知事 県としては、病院の建設は地元の理解と協力が前提であるという考え方に立っておる。したがって、地元市との協議を重ねながら今まで進めてきたわけであり、前市長の意向を最大限尊重し進めてきたものである。いろいろな意見があることから、残念ながら開設のおくれを来しているところである。
 また、現市長から、場所の推薦があった時点で、内定している前堀地区と比較検討の上候補地を絞り込み、それに応じて予算を措置いたし、早急に着手したいと考えておる。
 それから、新しい市長からもう少し待ってくれということであるけれども、現市長からは、一関の病院問題は極めて重要な課題であり、最優先課題であると、こう言われておる。市議会と調整を図りながら早期に結論を出したいと、こういう申し出があったわけであり、期限については特に明示していないという報告を受けておる。
 それから、現時点では、浅井市長から特にデータは示されておらないところである。いずれ、新たな場所が提示された場合には、比較検討いたして明らかにしたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 一つは、期限が両方とも、当の一関市も早くやりたい、県でも早くやりたいと。早くやりたいというのはどうなのであろうか。1カ月であろうか、半年なのであろうか、浅井市長の任期の4年間なのであろうか、どうなのであろうか。

〇千葉副知事 磐井病院の建設の関係については、県立病院等の長期経営計画の中に盛られた計画である。これの開設をいたずらに延ばすということは、県行政に対する信頼を失墜するということにもなりかねないし、かつまた、一関地方の福祉の後退ということにもつながっていくわけである。
 期限ということであるけれども、私自身としては9月議会の補正予算に計上したいと、そういう方向で措置してまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 9月、わかった。
 そこで委員長、お願いしたいが、今、副知事のおっしゃった県と一関市の科学的なデータ、これをひとつ委員長の責任において御提出願いたいと思う。
 次に、浅井一関市長は、先般、一関市臨時議会において前堀地区の白紙撤回を言明し、前堀地区を除いてできるだけ急ぎ建設すると言っておるが、知事、医療局が前堀地区の建設を内定し建設を進めることとし、双方の合意が100%不可能であるということになり、3年もおくれるわけである。この磐井病院の現状を見るときにこれでいいのかと、患者の人権問題にかかわってくると、こう思うが、県としての駆け引きの問題ではないと思う。やはり一番大事なことは、常に利用する患者、市民を第一、県民を第一に考えるべきだと思うが、今、9月議会ということでそれまで待ちたいと思うが、その際、あくまでも一関市長は前堀白紙撤回ということは臨時議会で申しているわけであるから、これは絶対に県の内定した前堀地区と合わないわけであるが、その場合、前堀地区の地権者は知事と取り交わしたところの確約書というのがある。この取り扱いはどうなるのであろうか、この点についてひとつお伺いをする。

〇千葉副知事 土地譲渡の確約書は売買契約以前のものである。これは地権者の土地の譲渡の意思を確認している段階のものであり、そういう内容のものであると考えておる。

〇佐藤(正)委員 そうすると、これは拘束力がないからほかに、例えば今大口のスーパーとかみんな来ているわけであるが、そこに売ってもいいわけであろう。そういうことになるであろう。

〇千葉副知事 先ほど申し上げたとおり、契約以前の内容のものであり、地権者の譲渡の意思を確認したそういう書類である。したがって、これによってそれをほごにしたからといって保償等の問題等は生じてこないと考えておる。

〇佐藤(正)委員 それでは、私の方であしたから一関市の議会があるわけである。ぜひ、きょうはそのことをお伺いしたいと思って聞いているわけであり、そこで、知事は演述の中でこう申している。
 県民の健康で安心できる暮らしを支える質の高い保健医療サービスの提供、そして県内どこに住んでいても、安心できる保健医療体制の整備を進めていく必要があると考えていると。そして最後に、県政を進めるに当たっては、決断と実行の政治姿勢のもとに進めていきたいと、こう申しておる、知事は。しかも、この医療局の最高責任者というのは知事である。その次は副知事、あなたであるから、あなたもしっかりせんといかんのだ。
 今、磐井病院が一番困っているのは何かというと、行ってごらんになったであろうか。まず駐車場は狭い。病室は狭い、汚い、臭い、わからない。一番大事なのは、磐井病院の事務局長というのは、げた箱を直して部屋にして入っているのだけれども、ほとんど私毎日行ってくるのだけれども、そういうところに入っている。院長室なんかない、応接間を使っている、今。そして管がぼろぼろになってきて、聞いたら15年ぐらいしかもたないので、あと二、三年しかもたない。これ取りかえると幾らかかると言ったら、10億円かかるという。これは大変な税金のむだ遣いになる。一番困っている、医者、看護婦、みんな困っているわけである。
 そういう実情の中で、やはりすぐにやらなければいけないというのが--場所は私どもはいいところにこしたことはないが、場所は我々はどこでもいい。とにかく早くつくってもらわないと、13年の完成ということでもう3年おくれている。であるから、ぜひぜひお願いしたいことは、知事がおっしゃるように、決断と実行、あるときが来たら県は大いなる決断をして進めていただかないと、いつまでたってもこれは進まないという現状をひとつ踏まえ、ぜひお願いしたいと思っている次第である。

〇三河委員長 佐藤正春委員に申し上げる。
 先ほど当職に要請があった件については、執行部にお伝えするということで御了承を願いたいと思う。

〇佐藤(正)委員 お伝えするのではなくて、委員長の責任において--我々県民は知りたい。いわゆる一関の前堀地区は科学的にどういう根拠のもとで、知事、医療局があそこを決めたのか、内定したのか。また、一関の浅井市長はあそこはだめだと言っている。知事と医療局が勝手に決めたのでいいかげんなものだと、だめだとおっしゃっているのであるから、そういう科学的な根拠、データを出してほしいと思う。ぜひ両方のデータを見て県民として判断したいと、こういうことであるから、委員長の責任において両者からそれを出していただきたい、こういうことである。

〇三河委員長 わかった。そのように……。
 なお、医療局の審査があるので、その際もデータが出ないようであれば、責任を持ってお取り計らいをする。

〇佐藤(正)委員 医療局の審査のときに必要だから出してもらいたいと、こういうことである。

〇三河委員長 医療局にお伝えしておくので、責任を持ってお伝えしておく。
 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇三河委員長 質疑がないようなので、これで総括説明に対する質疑を終わる。
 副知事ほか、執行部の方々大変御苦労さまであった。 なお、明日以降は毎日午前10時から開会するので、よろしく御協力を願う。
 以上で本日の日程は全部終了した。
 本日はこれをもって散会とする。
   午後5時36分 散 会


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