平成19年2月定例会 第23回岩手県議会定例会会議録 |
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〇出資法人等改革調査特別委員長(佐々木博君) 出資法人等改革調査特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
本委員会は、平成17年6月定例会において設置されて以来、13回にわたり委員会を開催し、出資法人等の経営健全化に関する調査及び出資法人等の整理合理化に関する調査について、県当局からの説明を受けるとともに、関係人からの参考意見の聴取を積極的に行ったほか、県内の現地調査を1回、県外の現地調査を2回実施してまいりました。また、本委員会においては、県出資法人等を取り巻く厳しい状況を踏まえ、平成15年12月に策定された岩手県出資等法人改革推進プランの進捗状況についてあらかじめ県当局から説明を受け、その後、各出資法人等について順次調査を行ってきたところであります。 調査結果についてでありますが、まず、出資法人等の整理合理化に関する調査については、これまで県の施策上一定の役割を果たしてきた岩手県住宅供給公社、社団法人岩手県肉牛生産公社及び岩手県林業公社の廃止、並びに出資法人からの出資の引き揚げについて調査を行ったところであります。 このうち、岩手県住宅供給公社については、平成20年度までに廃止される予定となっているところでありますが、資産売却に際しては、公的機関として売却手法に県民の不信を招かないよう留意しつつ、最終的に県民の負担を招かないことが必要であるとされたところであります。 また、社団法人岩手県肉牛生産公社については、今定例会に関係議案が提出され、結論を見たところでありますが、調査時点においては、その清算に当たって出資者間で協議を行うなどし、県民負担が最も少なくなるようさらに努めることが必要であるとされたところであります。 さらに、社団法人岩手県林業公社についても、平成19年度内に県有林事業に一元化される予定であり、今定例会に関係議案が提出され、結論を見たところでありますが、調査時点においては、この一元化に当たり、原契約者に対し十分な説明を行うこと、材木の評価については、会計上、減損措置など適切な資産評価の仕組みを設ける必要があること、造林事業は、国の林業政策の一環であることから、長期融資制度などの面においても十分な国の支援を求めていく必要があるとされたところであり、また、この事業は、超長期的な性格を有していることから、我々議会としても、その経営状況を将来にわたって注視し、審議を尽くしていくことが必要であるとされたところであります。 次に、出資の引き揚げについては、安易に財源確保対策に用いることなく、真の県民利益という観点で慎重に対応することが必要であるとされたところであります。 次に、法人等の経営健全化に関する調査についてでありますが、社団法人岩手県農業公社、岩手県土地開発公社、三陸鉄道株式会社及び岩手県競馬組合について個別に調査を行ってまいりましたが、このうち、社団法人岩手県農業公社については、特に南畑事業用地について、事業継続や追加投資の是非も含めて抜本的な対策を講ずること、また、岩手県土地開発公社については、県施策推進上の公社のあり方、方向性を早急に検討し、将来的に県の財政負担を招くことのないよう経営改善に取り組むこと、さらに、三陸鉄道株式会社については、経営改善努力は認められるものの、それ以上に経営環境は厳しさを増していることから、鉄道本業について、より一層の利用促進策及び利便性の向上に取り組むことがそれぞれ必要であるとされたところであります。 なお、以上申し上げました調査対象法人のうち、廃止対象となっている岩手県住宅供給公社及び社団法人岩手県肉牛生産公社と、経営改善が求められている社団法人岩手県農業公社及び岩手県土地開発公社、並びに出資の引き揚げにつきましては、時機を失しないよう、平成18年5月に、それまでの調査結果をもとに知事に提言を行ったところであります。 最後に、岩手県競馬組合についてでありますが、今定例会に関係議案が提出され、結論を見たところでありますが、調査の過程においては、その経営改善の取り組みに関しさまざま意見のあったところであり、その主なところを改めて申し上げますと、一つには、平成18年2月定例会において、県競馬組合に対する貸付金に関して付した附帯意見、すなわち、新年度当初から実態に合わせた売り上げ計画の見直しや徹底的な経費削減を前提とした改訂実行計画の見直しを開始し、平成18年度第1四半期を目途に新たな計画を策定するとともに、その確実な実行を通じ、競馬組合の今後について、これまで以上に真剣に取り組まれたいとの意見を付したところでありますが、見直し計画案が示されたのは7月末であり、これを遺憾とする意見、また、見直し計画案そのものにつきましても、平成18年9月の臨時会で中間報告いたしましたとおり、商圏内の購買力の見通しの認識を誤り、競馬事業での経常損益も均衡を欠くなど、さらに見直すべきとの意見があったところであります。 また、昨年11月下旬に示された新しい岩手県競馬組合改革計画についても、本年1月に調査をいたしましたが、今までの関係事業者との経緯から将来の経費負担増を懸念する意見、競走馬の確保や売り上げの見通しなどの説明に具体性を欠き、その実効性は乏しいのではないかなどといった意見、平成11年度に経常赤字に転落して以来、本年度までに150億円を超える累積赤字を生じさせ、かつ、この間数度にわたって策定された経営改善のための計画が一向に実現されないまま今日に至り、その経営責任は極めて重いといった意見、1場体制についてもっと真剣に検討すべきであるという意見、さらに、この2年間を検証し、県民、議会への説明を行うことが必要であるとの意見もあったところであります。 本件については、当委員会における調査においてのみならず、今任期中、本会議、予算・決算特別委員会等、議会のさまざまな局面の中で繰り返し大きな議論となってきたところでありますが、これらを通じて浮かび上がってきたことは、ひとり競馬組合のみならず、県出資法人等の監視やあり方の見直しは、まさに県政の重要課題そのものであり、県当局はもちろんのこと、我々議会も一層の監視機能の発揮が求められていることであります。 このことも含め、終わりに当たり、本委員会といたしましては、岩手県出資等法人改革推進プランは本年度が最終年度でありますが、県当局におかれましては、引き続き新たな出資法人改革プランなどの策定に取り組まれるとともに、本委員会の意見や提言に十分配慮されまして、厳しい社会経済状況の中、県民の負担を最小限とするため、なお一層の努力を傾注されるよう強く指摘するものであります。 以上をもちまして出資法人等改革調査特別委員会の報告といたします。(拍手) 〇議長(伊藤勢至君) 次に、柳村防災対策特別委員長。 〔防災対策特別委員長柳村岩見君登壇〕 〇防災対策特別委員長(柳村岩見君) 防災対策特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。 本委員会は、平成17年6月定例会において設置されて以来、8回にわたり委員会を開催し、震災対策に関する調査及び津波対策に関する調査について、その都度課題を設定し、その現状と課題、対策などについて、関係人から参考意見を聴取し、質疑、意見交換を行うとともに、県内、県外の現地調査をそれぞれ2回実施してまいりました。 本県においては、宮城県沖地震が近い将来発生する可能性が高いとされているほか、過去に甚大な津波被害をこうむった海溝周辺で発生する地震による津波などについてもその発生が危惧されているところであり、平成17年9月には、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が施行され、翌年2月には、県内14市町村がその推進地域に指定されたところであります。 これらの災害によって想定される被害を軽減するためには、災害リスクの明確化や地域の防災力の適切な評価に基づいた、事前の予防策としての災害に強いまちづくりや、発災時の対応策としての避難の確保など、ハード、ソフトをそれぞれ組み合わせた複合的な防災対策を実施することが重要であります。 これらのうち、まず、災害に強いまちづくりについてでありますが、本県が置かれている財政環境等を考慮すれば、膨大な費用と時間を要するハード対策については一層の選択と集中が求められるわけでありますが、まずもって災害時の避難所ともなる学校、病院等の耐震化の促進や、公共施設等の災害時の活用に配慮した整備、住宅の耐震化への支援や意識啓発などに取り組み、将来的には土地利用規制の検討なども考慮するなど、長期的視点に立った取り組みが必要であります。 また、本県沿岸にあっては、過去の津波災害を教訓として防潮堤、防波堤の建設が進んでおり、これまでの県当局の努力を評価するところでありますが、一方、防潮堤内からの排水対策や既存堤防の老朽化への対応、門扉等の遠隔操作への切りかえや消防団員等の退避対策、逃げおくれた住民等の緊急避難場所としての津波避難ビルの指定、石油タンクの安全確保対策等のほか、津波により打ち上げられた漁船などによる被害の拡大や道路の閉塞も危惧されるなど、解決すべき課題は多く、一層の努力が求められております。 次に、避難の確保等についてでありますが、防災施設の整備など予防策が進められたとしても、一たび地震津波災害が発生した場合には、すべての被害を食いとめることは困難であり、特にも津波災害においては、被害軽減の観点から、最も重要であるのは地域住民や観光客等の迅速な避難行動であることは論をまたないところであります。しかしながら、現状においては津波避難訓練への参加率は必ずしも高くなく、地域における防災意識の一層の高揚のためには、正しい防災知識の普及と経験の伝承が求められており、わけても小中学校における防災教育は、教育現場において積極的に取り組むべき最も重要な課題であります。 また、本県においては、地震・津波シミュレーションや被害想定調査のほか、研究機関や教育現場の協力を得た防災教育のための各種教材の作成や、それらを活用した地域住民の防災意識の啓発が行われるなど、先進的な取り組みが行われており、中でも宮古市鍬ヶ崎での取り組みに代表されるように、住民が参画し、住民の手により策定された避難計画は、住民の防災意識の向上が図られ、実際の避難行動に結びつく可能性が高いほか、住民みずからが動くことで地域の防災上の問題解決や共助の精神の醸成も図られるなど、今後、地域における防災力を高める上で大きな効果が期待できるものであります。 このため、県においては、地域における人材育成の支援などを通じて、これらの防災意識の高揚や住民参画の取り組みをさらに一層進め、正しい理解のもと、それぞれの地域で避難の確保等の対策が講じられていくよう、また、あわせて、地域の共助のかなめとなる自主防災組織についても、市町村への積極的な働きかけにより、結成促進や強化策等の充実に努められるよう強く求めるものであります。 また、迅速な住民等の避難行動のためには、早期に情報をとらえ、素早く伝えることが肝要であり、現在、各市町村、近隣県等に置かれている津波観測機器のネットワーク化の有効性の検討や、市町村における防災行政通信ネットワークの整備等も重要となります。国においても、特別措置法により観測体制等の整備を図るとのことではありますが、県においても、GPS津波計等、本県として必要な観測体制や通信体制の強化を、国に対し、積極的に要望していくことが必要であります。 さらに、いわゆる災害弱者の方々の避難対策についても重要な課題となっており、県においても、先進的な取り組み事例の紹介などのほか、国に対し、災害時要援護者支援と個人情報保護との法的な整理を行うことなどを要望し、市町村の取り組みを後押しすることも必要であります。 以上の災害に強いまちづくりの推進や避難の確保等に加え、大規模・広域的な災害が発生した際の県の対応、体制についても改めて検討する必要があります。 当委員会では、新潟県中越地震の被災地を訪れ、災害発生時の対応状況やその課題について調査を行いました。応援スタッフの知識不足による防災担当職員の負担の増大、市町村の被災による情報の遅延と混乱、ボランティアなど社会資源の活用の重要性など、実際の災害に直面した職員の方々の生の声をお聞きいたしましたが、中でも、県、市町村、消防、警察、自衛隊、医療機関等、関係機関が顔の見える関係、協力体制を築いておくことの重要性を実感したところであります。また、今日の災害は、報道機関による報道がその後の支援などへ大きく影響を与える場合があり、速やかな情報の提供のためには、報道機関との連携も重要であると感じたところであります。 また、危機管理体制・機能の充実の必要性についても痛感したところであります。本県の現状を顧みた場合、本県の災害対策本部は県庁の4階特別会議室に設営されるわけでありますが、その設備やバックアップ体制については十分とは言えず、また、発災時にその機能を十全に果たし得るか疑問な点もあり、根本的な対策を検討する必要があるものと考えます。 このため、県においては、これまで以上に平時から関係機関との連携を緊密にするとともに、大災害時にも即応可能な危機管理機能の充実を検討するよう強く要望いたします。 また、調査においては、積雪の期間が長い地域において、国の基準による短期間での復旧工事や災害査定を行う困難さなどについてもお聞きしたところでありますが、本県において災害が発生した場合にも、同様の状況に直面することが懸念されます。 このため、県においては、大災害時には、国に対し、災害復旧制度への地域事情の考慮を求めることを検討すべきであります。 終わりに、県当局におかれましては、本委員会の意見や要望に十分配慮されまして、なお一層の努力を傾注され、地域防災力の向上が図られますことを切望いたしまして、防災対策特別委員会の報告といたします。(拍手) 〇議長(伊藤勢至君) 次に、小野寺産業振興対策特別委員長。 〔産業振興対策特別委員長小野寺研一君登壇〕 〇産業振興対策特別委員長(小野寺研一君) 産業振興対策特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。 本委員会は、平成17年6月定例会において設置されて以来、8回にわたり委員会を開催し、ものづくり産業の集積促進に関する調査、食糧供給基地の形成に関する調査及び産業担い手育成・雇用対策に関する調査について、その都度課題を設定し、その現状と課題、対策等について、関係人から参考意見を聴取し、質疑、意見交換を行うとともに、県内、県外の現地調査をそれぞれ2回実施してまいりました。 まず、ものづくり産業の集積促進に関する調査についてでありますが、本県の産業を形成するものづくりの基盤である電気、電子、機械、精密の従来型産業につきましては、北上川流域を中心に集積が進んでおりますが、自動車関連産業につきましては、関東自動車工業岩手工場の大幅な生産拡大を契機に集積が進み始めているものの、県内企業の参入は十分進んでいるとは言えない現状にあります。これは、地場企業の基盤技術力が不十分であるとの調査結果もあることから、今後、県内企業が部品供給メーカーとして参入できるよう、技術力のある企業に育成することが重要であります。 県においては、今年度から県南広域振興局を設置し、自動車関連産業などの振興を軸とした組織強化を進めるとともに、自動車関連産業創出推進事業、自動車関連産業集積促進奨励事業など、さまざまな事業を展開し、自動車関連産業に参入を希望する企業に対する支援を実施しているところでありますが、自動車関連産業の集積の推進に向け、なお一層努力する必要があります。 また、産業集積の状況を地域別に見ますと、県北・沿岸圏域には、地域の発展の中核となり得る幾つかの有力な企業が立地しているものの、交通インフラの整備の不足等により、集積には至っていない状況にあります。 県においては、昨年、県北・沿岸振興を図るため、県北・沿岸振興本部を設置し、産業振興のための新たな組織体制を整備するとともに、県北・沿岸地域中小企業振興特別資金貸付金、特定区域産業活性化奨励事業費補助など多くの支援事業を実施しているところでありますが、県土の均衡ある発展のため、さらに地域との連携を密にし、特色を生かした産業を構築・育成していくための取り組みが必要であります。 幸い、本県の誘致企業が世界で初めて開発に成功した酸化亜鉛単結晶の技術を核に、岩手大学、県工業技術センターとの産学官連携による酸化亜鉛プロジェクトが進められており、来年度には第1号の製品化が期待されているところであります。今後、県においては、酸化亜鉛産業クラスターの形成に発展する取り組みをさらに推進されるよう強く望むものであります。 次に、食糧供給基地の形成に関する調査についてでありますが、事例調査のため、北海道を訪れ、ホクレン農業協同組合連合会を調査いたしました。北海道は、農畜産物生産量の全国シェアでは多くの品目で高い数値を誇っていますが、農業を取り巻く環境が大きく変化している今日、新たな付加価値を持ったブランドの展開を行い、さらなる発展に取り組んでおられました。 本県においても、主要農産物の生産量は全国上位に位置しておりますが、さらに付加価値を高めるなどの政策を進め、我が国の総合食糧供給基地としての地位の確立を目指すとともに、試験研究機関等を活用した新商品の開発、地元の加工業者などを核としたクラスター形成を図るなど、食産業の構築を推進することが必要であります。 次に、産業担い手育成・雇用対策に関する調査のうち、ものづくり人材の育成についてでありますが、製造業を取り巻く現状は、国内のみならず、国際競争の激化、人口減少社会の到来による労働力人口の減少、団塊世代の大量退職による技術・技能の承継の危機といった問題を抱えています。このような中で、製造業の生産性の基盤となるものづくり人材の育成は今まで以上に重要となっており、企業のニーズに即した人材を育成することが喫緊の課題となっております。 県においては、産業成長戦略において、ものづくり人材の育成を最も重視する政策の一つとして取り組んでおり、いわて産業人材育成会議から提言もございましたが、本年4月には、黒沢尻工業高等学校及び産業技術短期大学校に専攻科を、水沢工業高等学校に自動車工学コースを、さらには、宮古高等技術専門校に金型技術科を設置することとしており、また、既に今年度から岩手大学大学院工学研究科に金型・鋳造工学専攻が開設されており、ものづくり人材の育成が期待されているところであります。 しかしながら、問題は、育てた人材が県内に残らず、県外に流出することが懸念されることであり、県としては、人材が県内に定着できるよう、県内企業との連携を図り、この課題に取り組む必要があります。 次に、雇用対策についてでありますが、近年、フリーター、ニートの増加が社会問題となっておりますが、加えて現在は、若者の離職が大きな問題となっております。一たんフリーターになってしまうと正社員として採用されることが難しくなり、不安定な就労が続くという悪循環につながります。この対策としては、若年者本人の意識改革が重要でありますが、企業と教育機関との連携による早期からの職業意識の醸成、職業体験機会の提供を行うなどの取り組みが必要となっております。 県においては、これまでも雇用対策を最重要課題として、ジョブカフェの設置など真摯な取り組みを進められてきたところでありますが、今後も関係機関と緊密に連携を図り、雇用創出に向けた取り組みになお一層努力する必要があります。 終わりに、県当局におかれましては、本委員会の意見や要望に十分配慮され、産業の振興になお一層の努力を傾注されますことを強く切望いたしまして、産業振興対策特別委員会の報告といたします。(拍手) 〇議長(伊藤勢至君) 次に、工藤子育て支援・少子化対策特別委員長。 〔子育て支援・少子化対策特別委員長工藤大輔君登壇〕 〇子育て支援・少子化対策特別委員長(工藤大輔君) 子育て支援・少子化対策特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。 本委員会は、平成17年6月定例会において設置されて以来、8回にわたり委員会を開催し、子育て支援に関する調査及び少子化対策に関する調査について、その都度課題を設定し、その現状と課題、対策等について、関係人からの参考意見を聴取し、質疑、意見交換を行うとともに、県内、県外の現地調査をそれぞれ2回実施してまいりました。 少子化社会白書によると、平成17年の我が国の出生数は初めて110万人を割り込み、106万2、530人と過去最低を記録し、合計特殊出生率も前年の1.29をさらに0.03ポイント下回る過去最低の1.26となり、3年続けて1.3を割り込む超少子化国となっております。本県においても少子化は年々進行し、平成17年の合計特殊出生率は前年の1.43を0.02ポイント下回る1.41となり、少子化傾向に歯どめがかからない状況となっております。 少子化の原因としては、未婚化や晩婚化、さらには、結婚しても夫婦の持つ子供の数自体の減少という直接的な原因がありますが、その背景には、子育てに係る経済的負担や子育てと就労の両立の困難性、若年者の雇用環境の不安定化等々、世代や親、子供の年齢などに応じてさまざまな要因があり、子育て支援及び少子化対策としては、どれか一つの政策を講ずれば効果があらわれるというものではなく、子育て世代のニーズを踏まえつつ、総合的な政策を、家庭、企業、学校、地域、行政などすべての県民、社会全体で取り組んでいくことが今まさに必要であると言えます。 急速な少子化の進行と人口の減少は、経済産業や社会保障の問題にとどまらず、国や社会の存立基盤にかかわる問題であり、こうした状況の中で、国においては、昨年6月に少子化対策に関する社会全体の意識改革と、子供と家庭を大切にする観点からの施策の充実という2点を重視し、40項目にわたる具体的な施策を掲げる新しい少子化対策についてが少子化社会対策会議において決定され、2007年度予算案に反映し、少子化対策を推進することとしているところでございます。新しい少子化対策においては、子育て支援策、働き方の改革の推進を大きな柱とするほか、子育てを支援する税制についても検討を行うこととしておりますが、こうした総合的な取り組みが着実に推進されることが極めて重要であり、国はもとより、県におきましても、この新しい少子化対策の趣旨に沿った積極的な取り組み及び国に対する必要な働きかけ等を強く求めるものであります。 また、本委員会の調査では、子育てを行う家庭の視点、子育て支援に取り組む企業の視点、医療関係者からの視点、そのほか児童虐待等に関する学識経験者、及び今回の新しい少子化対策の策定に直接携わった内閣府参事官等との意見交換など、さまざまな視点から調査を実施したところでありますが、その中で、先進事例調査の対象といたしました子育て優待カード事業は、県、市町村及び地域が連携し、協賛店舗及び施設からの割引やポイント加算等の得点を付与するものであり、子育て家庭を地域、企業、行政が一体となって支援する機運の醸成、子育ての孤立感をなくし、子育て家庭の安心感の醸成及び子供と保護者との触れ合いを深める機会の提供など、厳しい財政状況の中でも創意工夫により効果的な事業展開が図られていたところであり、本県においても参考になる事例と考えます。 本県においては、少子化の進行や平成15年7月の次世代育成支援対策推進法の公布を受け、いわて子どもプランを見直し、同法で定める行動計画として平成17年3月に新たなプランを策定して、男女がともに子育てや家庭に夢を持ち、次代を担う子供たちが健やかに育つ環境づくりを基本方針とした各種の具体的施策の推進を図っているところであり、その取り組みに対しては高く評価するところでありますが、本委員会としては、これまでの調査結果を踏まえ、この際、県当局に対して、今後の子育て支援・少子化対策の推進に当たり、特に次の事項に配慮し、取り組まれることを要請いたします。 一つ、学校教育を初めとし、特に家庭の教育力の低下に対する適切なアプローチにも配慮した教育の推進。二つ、子育て優待カード事業を初めとする市町村、商店街等との連携による子育て家族への支援策の検討・導入。三つ、福祉、教育、産業振興等関係部局横断的な連携の強化による施策の推進。四つ、市町村との連携及び創意工夫の子育て支援、少子化対策の推進支援。五つ、子育て支援、児童虐待防止等の観点からの家庭、行政、関係機関及び地域の連携強化、ネットワークの構築による見守り体制の整備促進。六つ、出産、育児と仕事の両立支援のための施策の推進。七つ、地域における産科・小児科医療提供体制の確保。八つ、以上の点を踏まえ、いわて子どもプランの着実な推進。以上の8項目は、必要な諸対策と考え、ここに提言するものであります。 終わりに、県当局におかれましては、本委員会の意見や要請に十分配慮されまして、なお一層の努力を傾注され、本県の未来を託す子供たちが健やかに生まれ育つ環境が整備されますことを強く切望いたしまして、子育て支援・少子化対策特別委員会の報告といたします。(拍手) 〇議長(伊藤勢至君) お諮りいたします。各調査事件については、これをもって調査を終了したいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、各調査事件については、これをもって調査を終了することに決定いたしました。 日程第69 発議案第2号岩手県議会会議規則の一部を改正する規則から日程第75 発議案第8号放課後児童健全育成事業の充実を求める意見書まで 〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第69、発議案第2号から日程第75、発議案第8号までを一括議題といたします。 ただいま議題となっております各案件は、各会派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 これより、発議案第2号から発議案第8号までを一括して採決いたします。 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 〇議長(伊藤勢至君) 起立全員であります。よって、発議案第2号から発議案第8号までは、原案のとおり可決されました。 日程第76 発議案第9号公共サービスの安易な民間開放に反対し、国民の安心・安全の確立を求める意見書 〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第76、発議案第9号公共サービスの安易な民間開放に反対し、国民の安心・安全の確立を求める意見書を議題といたします。 提出者の説明を求めます。佐々木順一君。 〔30番佐々木順一君登壇〕 〇30番(佐々木順一君) 発議案第9号公共サービスの安易な民間開放に反対し、国民の安心・安全の確立を求める意見書につきまして、総務委員長であります私から、提案理由の説明を行います。 本発議案は、今期定例会において、請願陳情受理番号第93号公共サービスの安易な民間開放に反対し、国民の安心・安全の確立を求める請願が総務委員会に付託され、採択と決定したことに伴い、提案するものであります。 この請願の願意とするところは、公共サービス改革法等の成立によって、本年4月から国や地方公共団体の一部事務事業が官民競争入札等の対象とされることとなるが、国等の業務には、国民の権利保障を具体化し、安心・安全の確保に不可欠なものが多く存在することから、これら業務を安易に民間委託することは、地域住民に対するサービスの質を低下させ、国民の権利保障を後退させることにつながりかねないため、このような業務については公務・公共サービスの民営化や市場化テストの安易な導入を行わないことなどについて、国に対し、意見書の提出を求めるものであります。 去る3月14日の委員会におきましては、慎重審査を行いましたが、採決の結果、可否同数となりましたので、当職において本請願を採択することに決定いたし、趣旨に賛同する議員の賛同を得て、お手元に配付のとおりの意見書の発議を提案することとなったものであります。 議員各位の御理解と御賛同を賜りますようお願いを申し上げ、提案理由の説明といたします。 〇議長(伊藤勢至君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。 これより討論に入るのでありますが、通告がありませんので、討論なしと認め、討論を終結いたします。 これより、発議案第9号公共サービスの安易な民間開放に反対し、国民の安心・安全の確立を求める意見書を採決いたします。 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、発議案第9号公共サービスの安易な民間開放に反対し、国民の安心・安全の確立を求める意見書は、原案のとおり可決されました。 〔「議長、議事進行について」と呼ぶ者あり〕 |
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