平成11年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇33番(菊池勲君) 自由民主党・県民クラブの菊池勲でございます。
 まずもって、今任期、最後の議会において登壇の機会を与えていただきましたことに対し感謝申し上げますとともに、順次質問をさせていただきます。
 まず、岩手県行政システム改革についてお伺いを申し上げます。
 県は、去る2月1日、岩手県行政システム改革大綱を決定され、あわせて実施計画も決定されたところであります。本大綱の作成に当たって、これまで御尽力された行政改革推進懇談会の船越会長さんを初め、各委員の皆様に対し、深甚から感謝申し上げる次第であります。県内各地で開催されました行政改革のつどいで多くの御意見、御要望を発表いただいた県民の皆様に対しても心から感謝を申し上げます。
 私は、昨年の2月議会において、平成10年度に県が実施するとしていた県の行政運営に関する外部診断に期待する効果について質問させていただいたところでありますが、この診断結果についても本大綱の中に十分反映されているものと思っておるところであります。本大綱は、今回の行政システム改革の基本理念を生活者や地域から始まる新しい行政システムの確立とし、この基本理念のもと、本県の行政運営の課題を明らかにしつつ、これに対応するため、今後目標とすべき改革の方向を明確にし、その実施に向けた147項目の推進事項を定めたところであります。
 さらに、これらの推進事項を具体化し308項目に及ぶ具体的な取組方策等を実施計画として示し、これらを平成11年度から13年度までの間に集中的に推進するとしているところであります。まさに、この大綱、実施計画に示されたことが実現されれば、自治省認定の行政改革先進県と県が自負しているにふさわしい行政運営になるものと思うところであり、ぜひとも実現に向けて最大限の取り組みをお願いする次第でありますが、一方、私は、308項目もの多岐にわたる大改革が、しかも3年間という極めて短期間で実行できるのか、県の本来業務の実施に支障が生ずるような改革になるようなことにならないかという点で、少なからず心配するところであります。
 今、行政システム改革の中で最も基本となるものと考えられる行政評価システムの導入一つをとってみても、我が国での行政評価の歴史は極めて浅く、その評価手法も確立されていない、しかも行政評価の作業は3年から5年かけてジグソーパズルを完成させていくようなものという評があるなど、大変な労力と時間を要すると思うのであります。308項目にもわたる大改革のための具体的な取り組みを行うに当たっては、大綱や実施計画の策定とは全く比較にならないほどの膨大な事務作業が、行政改革所管部はもちろん、県庁内すべての部局に生ずるものと思うのであります。大改革実施に向けて強力なリーダーシップを発揮されると思われる増田知事の御決意とともに、行政システム改革の具体化に当たって、どのような組織、体制のもとに進められるものか、特に事務レベルでの全庁的な推進組織、体制についてどのようにお考えか、お示しを願いたいと存じます。
 次に、環境対策の推進についてお伺いをいたします。
 増田知事は、平成10年度を岩手県における環境創造元年と宣言し、本県の環境対策の基本となる岩手県環境の保全と創造に関する基本条例を制定し、さらにこの条例に基づく環境評価条例の制定や、環境基本計画の策定のための作業に取り組まれております。地球規模での環境問題が発生している今日、こうした環境問題への対応を国のみにゆだねることなく、地方自治体レベルでもみずからの力ででき得る対策については積極的に実施していくことが、大きな宇宙船に例えられる、かけがえのない地球を守るための重要な役割と考えるところであり、県の積極的な取り組みについて高く評価するところであります。
 今、地球規模で発生している環境問題は、二酸化炭素の排出による地球温暖化、ディーゼルエンジン等が排出する窒素酸化物による大気汚染、フロンガス等によるオゾン層の破壊のほか、地域開発等による自然環境の破壊などがありますが、近年、特に内分泌系攪乱物質、いわゆる環境ホルモンと称されている合成化学物質による環境問題が注目されていることは、御案内のとおりであります。これらの物質の代表的なものとしてダイオキシンやPCBなどがありますが、これ以外にも数限りない合成化学物質が環境ホルモンとして疑われているところであります。現在、世界の市場に出回っている合成化学物質は約10万種類、さらに毎年1、000種類もの新製品が、大半がその環境への影響についての評価や検査もなされないまま世界の市場に投入されているのが実情であると言われております。こうした合成化学物質は、それを製造した地域や使用した地域にとどまらず、動植物の食物連鎖や大気、海洋を通じて地球規模で蔓延し、その影響は人間を含めた動植物のホルモン分泌系の繊細な作用を攪乱し、いわゆる雌化を代表とするような性の発達や知性、行動にも重大な障害を世界各地の動植物にもたらしているとの報告も数多く挙げられているところであります。
 本県においては、環境問題が議論されるとき、往々にして、地域開発による森林破壊や動植物生息域の破壊などに偏りがちでありますが、貴重種の動植物の個体の減少などの原因は、むしろこうした目に見えない形での合成化学物質の影響によるところが多いのではないかと疑問を持たざるを得ないところであります。同時に、我々人間への影響が大変危惧されるところであります。
 したがいまして、こうした観点から、これからの環境対策は自然保護や生活空間での環境美化・保全のみに偏ることなく、多様な環境汚染に関する実例の県民への紹介や食品等日常生活で使用する商品に関する情報の提供、あるいは薬剤や殺虫剤等合成化学物質の使用方法など県民の日常生活に視点を置いた、きめ細かい環境対策を展開していくことが特に重要になっていると思うのでありますが、いかがでしょうか。環境ホルモンについてこの御認識を含め、知事の御所見をお伺いいたしたいと存じます。
 次に、(仮称)環境保健センターの整備についてお伺いをいたします。
 現在、高齢化の進展や生活習慣病の増加に伴う疾病構造の変化などにより、県民の健康に対する関心が高まっており、またO-157などの病原性微生物による食中毒や感染症に対する不安も高まってきております。さらに、さきにも述べたとおり、いわゆる環境ホルモンに対する不安も大きくなってきております。このような健康あるいは環境に対する県民の関心と不安が高まっている中で、県民の健康を保持する上で必要な試験・検査を効果的に行うため、現在、別個に設置されている衛生研究所と公害センターを統合し、最新の試験検査技術に対応した施設設備に更新し、新しい環境保健の試験研究施設を早急に整備することは、県民のひとしく熱望しているところであります。環境保健センターの整備については、本県における環境保健行政の科学的、技術的中核機関として整備するものと伺っているところでありますが、健康や環境についての県民ニーズにどのように対応していくか、また現在、センターの整備に向けてどのような検討が進められているのか、今後の予定も含めてお伺いをいたします。
 次に、有機農産物等認証制度についてお伺いをいたします。
 最近のニュースで極めて残念なことがあります。それは、東京のテレビ局の報道に端を発した野菜類のダイオキシン汚染に関する騒動であります。野菜類という報道は後日修正されましたが、こうしたことは、本県の岩手山の火山活動に関する誤った風評により観光産業への悪影響があったと同様、風評被害となり、埼玉県所沢市の農家の方々には、一番の被害者としてまことにお気の毒と思う次第であります。一農民として強い憤りを感じているとともに、マスコミ関係者に対しては、こうした問題の報道に当たっては慎重な対応を求めたいと思うのであります。
 反面、所沢市の農家の方々には大変お気の毒ではありましたが、今回の報道によって、消費者が食料の安全性に極めて大きな関心を持っていること、産地に対するイメージがその地域の農産物全体の売れ行きや価格形成に大きな影響を及ぼすことなどが具体的な事実として明らかになったわけであります。国においては、安全な農産物に対する消費者ニーズの高まりの中で、環境に優しい準有機農業を推進するため、持続性の高い農業生産方式の導入促進法案を今国会に提出することになっております。こうした安全な農産物に対する消費者の動向や国の取り組みの中で、このたび本県の有機農産物等の認証制度が新たに創設されたことは、まことに時宜を得たものと高く評価するものであり、このことが純情産地いわてのイメージアップに大きく貢献することを期待するものであります。この認証制度の基本的な考え方とあわせて、県はどのように指導・支援を行おうとしているのか、お伺いをいたします。
 次に、債務超過農協等に対する支援についてお伺いをいたします。
 先般、二戸市議会では経営悪化で債務超過に至っている二戸市農協の支援のための補助金についての補正予算を可決し、また軽米町議会においても同様に、軽米町農協に対する支援に係る補正予算を可決されたと伺っております。私は、債務超過農協の経営の再建に当たっては、役員責任に基づく負担金の拠出はもとより、資産処分、コスト縮減などの自助努力がまずもって重要であり、加えて系統団体による支援のあり方も重要と考えるところであります。さらに、農協経営の改善のためには、組合員農家自体の経営の安定が必要であり、特にも生産面での振興が重要と考えるところであります。
 県においては、平成11年度から債務超過の6農協を含む14の特別指導農協に対する指導の強化を図るとともに、農業改良普及センターの職員による営農指導の強化を図ることとしていると伺っているところであります。そこで、お伺いをいたしますが、県では、債務超過にある農協及びその組合員農家に対して今後どのように指導を行っていくのか、あわせて、系統団体においてはどのような支援、指導を行っているのか、具体的にお示しを願います。
 次に、平成11年度から始まる和賀中部地区国営調査事業についてお伺いをいたします。
 和賀中部地区は、平成11年度政府予算原案において、国営かんがい排水事業の調査地として新規採択をいただいたところであります。地元の議員として、そしてまた、和賀川土地改良区理事長として、農林水産省はもとより、特に採択に向けて御尽力を賜った増田知事を初めとする県御当局、関係市町の皆様に対し心から御礼を申し上げる次第であります。
 さて、このたびの国営調査事業は、北上川特定総合開発の一環で建設した湯田ダム等に水源を求め、和賀川左右岸の北上市、花巻市、金ヶ崎町に展開する水田地帯にかんがい用水を供給する目的で昭和38年度から45年度にかけて実施した国営和賀中部開拓建設事業をその前身とする事業であります。当地区は、国営事業とあわせて県内でも早くから県営大規模ほ場整備事業を初めとする各種の農業基盤整備を行い、圃場の大型化や末端水利施設などの整備を積極的に進めながら、生産調整面積の強化や新食糧法の施行による米の新流通システムの導入、産地間競争の激化など年々厳しさが増す農業情勢の中で、今日までの地域農業の拠点として頑張ってまいったところであります。しかしながら、湯田ダム等からかんがい用水を引く幹線水路や河川に建設した頭首工などの国営造成施設は、既に供用後30有余年が経過し、さらに寒冷な気象作用の影響を受けて施設全体に老朽化が進み、施設機能の低下に伴う用水不足に加え、年々増加する施設の維持管理費が土地改良区の運営を圧迫するとともに、農家に多大の負担を与えているところであります。
 こうした中で、抜本的な対策等を検討する国の直轄調査がこの4月から開始されますことは、新たな和賀中部地域を目指す第一歩として、我々土地改良区の組合員にとって大変喜ばしい限りであり、今後の地区調査の結果に大きな期待を寄せているところであります。そこで、お伺いをいたしますが、本調査事業について、県が了知している今後の調査スケジュールと、その後の国営かんがい排水事業に関する見通しについて、お示しを願いたいと思います。
 次に、介護保険制度への対応についてお伺いをいたします。
 本県の高齢化は、全国を上回る速度で急速に進展し、これに伴って介護が必要な寝たきりや痴呆の方々も大幅に増加しております。一方、ひとり暮らしや高齢者のみの世帯がふえることによって、いわゆる老老介護の問題が大変深刻となっており、家族だけでは十分に対応し切れない状況となっております。平成12年4月から導入される介護保険制度は、このような問題に対処し、社会全体で支えることを目的としておりますが、制度の発足に伴い、新たに保険料などの負担が生じてくることやサービスを利用するためには、介護が必要な程度を認定してもらう必要があるなど、これまでの仕組みが大きく変わるものと聞いております。しかしながら、この制度の内容については、まだ県民に十分に浸透していない状況にあり、したがって、現在懸命に家族の介護に当たっている方々を初め、多くの県民は、この新しい制度に大きな期待を寄せる一方、不安を持って見守っているのが現状ではないかと考えるものであります。
 また、介護保険制度の運営に当たる市町村からは、介護基盤の確保、介護認定体制の整備、安定的な保険財政運営の確保など、住民の負託にこたえられるような体制を整備できるかどうか心配する声も聞こえております。私は、この制度が県民の期待に十分にこたえられるよう、制度発足まで限られた時間の中ではありますが、万全の準備を整えていただきたいと考えるところであります。県におかれましては、今後どのような方針で準備を進めてまいるお考えなのか、御所見をお伺いいたしたいと存じます。
 次に、オフィスアルカディア・北上についてお伺いをいたします。
 本県の北上川流域地域は、先人のたゆまぬ努力により、工業集積が進み、今後も本県工業を先導する地域として成長が期待されている地域であります。このような中にあってオフィスアルカディア・北上は、いわゆる地方拠点都市法に基づく、北上中部地方拠点都市地域基本計画において、業務管理機能や研究開発機能の立地を誘導するオフィスパークとして位置づけられ、地域振興整備公団により整備がなされ、平成9年10月に、一部分譲開始されたところであり、現在、地元北上市を中心に県や同公団が一体となって誘致活動を行っているところと伺っております。また、同団地に立地する企業などを支援する中核施設である北上オフィスプラザについては、北上市が国、県の支援を得ながら整備を進めている北上市基盤技術支援センターとの合築により建設工事が進められており、本年4月にはオープンする予定と伺っているところであります。これらの中核施設は、今後、北上市の工業振興のみならず、本県産業の高度化という観点からも重要な役割を担うものと存じており、これまでにも増して県御当局の指導、御支援が望まれるところであります。そこで、お伺いをいたしますが、県においては、北上オフィスプラザや北上市基盤技術支援センターについて、今後、本県の産業振興上どのように位置づけ、支援していこうとしておられるのか、お考えをお示し願います。
 また、現在の厳しい経済情勢の中で、オフィスアルカディア・北上への企業の立地状況、さらには北上オフィスプラザへの入居内定企業の状況はどうなっているのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、沢内村道安ケ沢線の整備についてお伺いをいたします。
 沢内村道安ケ沢線は、昭和50年度から沢内村が事業を着手し、昭和55年度から県代行事業として事業を進め、平成9年度末で54・1%の整備率となっております。残りの未着手区間は、岩手県側が約3キロメートル、秋田県側が約1・1キロメートルであり、完成まで20年以上の歳月を要すると伺っております。沢内村においては、平成10年6月の集中豪雨により、村道の新山橋が落橋し、新山地区の住民は迂回を余儀なくされている現状であります。沢内村では、集落と集落をつなぐ生活道路の整備充実が急務であるということから安ケ沢線の整備の必要性を認めつつも、災害に強い村づくりのため、一時休止もやむを得ないと判断し、関係市町村等との協議が調い次第、県に対して正式に一時休止の申し入れを行うと伺っております。県においては、県代行として施工している沢内村道安ケ沢線の今後の整備についてどのようにお考えか、お伺いをいたします。
 最後に、公共土木施設の維持管理のあり方についてお伺いをいたします。
 地方自治法第180条第1項の規定に基づき、道路の管理に関する事故の損害賠償事件に関し、知事が専決処分した場合、議会に報告いただいておりますが、近年、その報告件数が大変増加しております。この原因としてはいろいろ考えられるとは思いますが、一つの大きな原因として、戦後50有余年にわたる公共土木施設整備の成果として、本県でも管理施設数が大きく増加してきたこと、その一方で、老朽化してきた施設も増加していることなどが指摘できるのではないかと思うのであります。建設白書によれば、我が国の社会資本の場合、21世紀に入ると高度成長期に建設されてきたストックが更新時期を迎えることとなるとしており、更新需要に適切に対応することが求められると述べておりますが、こうしたことは本県においても同様に当てはまるものと考えるところであります。
 一方、内陸部と沿岸部など各地域を結ぶ道路交通網や下水道など生活環境の改善のための社会資本の充実が一層求められている本県にあっては、新たな公共土木施設の整備に対する県民のニーズは、まだまだ高いものがあります。こうした新たな建設ニーズに的確に対応しつつ、他方ではこれまでのストックの更新需要にも適切に対応しながら県民の期待に十分こたえていくためには、財源の確保を含め計画的な維持管理を進めることが極めて重要になってきているものと考えるところであります。本県における主な公共土木施設のストックの状況・推移についてお示しを願うとともに、今後の公共土木施設の維持管理に関するお考えと、具体的な取り組みについてお伺いをいたします。
 以上をもって私の質問がすべて終わりますが、再質問の通告はいたしておりませんが、御答弁次第では再質問させていただくことをつけ加えて質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 菊池勲議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、行政システム改革実施に向けての決意についてでございますが、新たに策定をいたしました行政システム改革大綱は、従来のこの種の大綱と異なりまして、諸情勢の変化に積極的に対応し、先見性を持った県政が運営されるよう、現在の行政運営の仕組みを総点検をして、その課題を明らかにするとともに、今後の方向性や推進事項を明確に定めたものでございます。また、改革を早期に効果的に実施していくために、平成11年度から3年間を集中的な推進期間として定めますとともに、具体的な取組方策とそのスケジュールなどを掲げた実施計画をあわせて策定をいたしまして、県民の皆様には、県が何をどのように行うのかを明らかにしたところでもございます。
 御指摘のとおり、これらの取組内容は、大変広範多岐にわたっておりまして、かつ推進期間も短期でございまして、その実施は必ずしも容易ではございませんが、厳しい財政環境が続く中で、分権型の地域社会の到来という新しい時代を迎えようとする県政にありまして、ぜひとも成し遂げなければならない重要な課題であると認識をいたしておりまして、その推進に当たりましては、毎年度実施状況を公表して、県民の皆さんの御理解と御協力をいただきながら、全力を挙げて取り組んでいく考えでございます。
 また、全庁的な推進組織・体制につきましては、総務部の部内室として行政システム改革室を存続させますとともに、改革の推進は、職員一人一人が意識を新たにし、みずからの問題として取り組むことが最も重要であると、このように考えておりますことから、私が本部長となっております全庁的な推進体制でございます行政改革推進本部がリーダーシップを発揮して、各部局ごとの行政改革推進委員会や各地方振興局ごとの地方支部において、各職員にその趣旨を徹底しながら、主体的な取り組みがなされるよう努めてまいる考えでございます。
 次に、環境ホルモンなどの化学物質に係る環境問題についてでございますが、化学物質は現代社会に必要なさまざまな製品などの原材料として、現在、多方面に利用されておりますけれども、一方で、環境を通じて、生態系や人の健康に何らかの影響を及ぼす可能性があるということが懸念をされておりまして、特にいわゆる環境ホルモン問題は、御指摘のとおり、県民の日常生活にも深くかかわる環境保全上の新たな重要課題であると、このように認識をしているところでございます。
 環境ホルモンなどの科学物質に関しては、いまだ十分な知見が得られていない現状にあるわけでございますが、まず、環境ホルモンによる汚染実態を把握するため、今年度から県単独の事業としての環境調査や、事業場における化学物質使用状況調査を開始したところでございまして、その結果につきましては、取りまとめ次第公表することとしてございます。
 また、日常生活で使用される各種製品や商品につきましては、現在のところ、食品衛生法や農薬取締法などの関係法に基づき、それぞれ規格や成分などに関する基準が定められておりますほか、使用に関する規制や指導などが行われているところでございますが、今後は、ごく微量での内分泌攪乱作用という新たな観点にも着目した取り組みが求められているところでございます。
 県では、環境保健行政の科学的・技術的中核機関として、仮称ではございますが、環境保健センターの整備を現在進めているわけでございまして、この中で環境ホルモンを含む化学物質の検査体制の充実に努めますとともに、化学的な知見の集積を図り、県民の皆様に化学物質に関する情報をよりわかりやすく提供しながら、今後とも、安全で安心できる環境の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、オフィスアルカディア・北上についてでございますが、本県におきましては、いわゆるテクノポリス計画や頭脳立地計画などに基づく施策の展開によりまして、北上川流域を中心として、先端技術産業や基盤的な技術産業などの集積が着実に進み、これに伴い、技術、人材などの産業資源が蓄積されてきているところでございます。こうした状況の中で、今後一層、活力ある経済社会を構築していくためには、これらの産業資源を有効に活用して、新規創業や新製品の開発など、新たな事業の創出を促進することが極めて重要であると考えております。
 こうした観点から、昨年の政府予算統一要望に当たりましては、地域企業の研究開発から事業化までの一貫した活動を総合的に支援する制度の創設を国に強く要望してきたところでございますが、さきの臨時国会において、要望の趣旨に合致した新事業創出促進法が制定されたところでございます。県では、この新しい法律に基づきまして、平成11年度の早期に基本構想を策定して、その中で財団法人岩手県高度技術振興協会を中核に、北上オフィスプラザや北上市基盤技術支援センターなどを新事業支援機関として明確に位置づけ、それらの有機的なネットワーク化による総合的な支援体制を構築することとしてございます。したがいまして、両施設は、その一体的な運営によりまして、地域企業の技術の高度化や新しい製品の開発を支援する重要な役割を担うことになりますことから、その機能が十分に発揮されるよう、県としても積極的に支援してまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長より答弁をさせますので御了承をお願いいたします。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、仮称環境保健センターの整備についてでありますが、身の回りの化学物質のはんらんや新たな感染症の発生などにより、県民の環境や健康に対する関心が高まっている現在、県民の健康の保持増進を図るとともに、環境の保全及び創造に関する基本条例に掲げる基本方針に対応できる環境保健行政の中核的研究機関として、センターの整備を進めているところであります。
 センターの運営に当たっては、県民に開かれた施設となるよう、県民向けに環境保健に関する研修会などを開催するほか、環境情報を提供できる体制の整備を行うこととしております。また、県内外の大学や試験研究機関との連携・協力を進めながら、環境保健に関する調査研究にも取り組んでまいりたいと考えております。さらに、ダイオキシン類の分析や感染症、食中毒原因菌の検査に迅速かつ的確に対応できるよう、試験検査体制の整備に努めることとしております。
 現在、環境保健問題に的確に対応できるセンターの整備、その運営を図るために、有識者などで構成する整備運営検討懇談会での御意見を踏まえながら、センターの整備、その運営について検討を行い、建物の実施設計を進めているところであります。
 今後の予定といたしましては、来年度に着工し、平成13年度中の開所を目指して整備を進めたいと考えており、開所以降の運営におきましても、県民の方々の意向を適切に反映できる方式を検討してまいりたいと考えております。
 次に、介護保険制度への対応についてでありますが、この制度が県民の期待にこたえ円滑に実施されるためには、まず、この制度の内容を県民の方々に十分理解していただくことが大切と考えておりますことから、テレビ、ラジオなどを活用しながら、制度の内容について引き続き積極的にPR等を行ってまいりたいと考えております。
 また、高齢者が、だれもが必要なサービスを身近に受けられるよう、現在の岩手県高齢者保健福祉計画の整備目標の達成に全力を傾けてまいりますとともに、新たに介護サービスを提供する民間事業者等の参入を促進しながら、過疎地域においてもサービスの確保ができるよう努めてまいります。
 さらに、平成11年10月から開始される要介護認定については、市町村において客観的で公正な審査ができるよう、介護認定審査会委員等の研修などを通じ、審査体制の整備を支援してまいりたいと考えております。
 また、市町村の保険財政については、保険料の未納などによって生じた財政不足に対して、資金の交付、貸し付けを行う財政安定化基金を設けるなど、その健全な運営が図られるよう支援を行うこととしております。さらに、高齢者がその状況に応じて適切なサービスを受けることができるよう、介護支援専門員の養成や利用者の苦情・相談に応じる機関の設置など、高齢者の方々が安心して介護サービスを利用できる体制を整備し、平成12年4月の制度の施行に向け、積極的かつ細心の注意を払いながら、市町村と一体となって準備を進めてまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) まず、有機農産物等認証制度についてでありますが、近年、消費者の食料に対する安全・安心志向が高まってきており、こうした消費者ニーズに対応した農産物の生産・供給が極めて重要な課題となっております。また、農業と環境との共生を進める上から、堆厩肥の施用による土づくりや農薬、化学肥料の使用を極力低減した持続的な農業を展開する必要があります。こうした見地から、国が定めた有機農産物及び特別栽培農産物に係る表示ガイドラインをもとにして、先般、有機農産物等認証制度を創設し、県産農産物に対する消費者の信頼性を高める方途を講じたところであります。この制度においては、化学合成農薬や化学肥料を全く使用しない有機農産物のほか、農薬の使用をこれまでの慣行の半分以下に抑える減農薬栽培農産物など、それぞれの栽培方法に応じた認証を行うとともに、その認証機関については市町村のほか、認証能力を保有する民間団体も含めることとしたところであります。
 県といたしましては、この制度が円滑かつ適切に運用されるよう、認証業務に携わる人材の育成のための研修会を開催するほか、有機物や天敵を活用した生産技術の研究開発、栽培技術の普及指導などにより、産地づくりを支援してまいりたいと考えております。
 次に、債務超過農協等に対する支援についてでありますが、まず、債務超過農協の経営改善計画の早期達成に向けての指導・監督体制については、昨年、農政部に設置いたしました農協運営強化指導本部において財務の健全化の促進などを柱とする指導方針を策定し、本庁・振興局の連携のもと指導を強化してきているところでありますが、さらに指導・監督体制の一層の充実を図るため、平成11年度から、本庁において農協指導検査監の新設、検査職員の増員を、また、二戸地方振興局において、農協指導を専門に行う農協指導主査の配置を検討しているところであります。
 また、これら債務超過農協の合併に向けて、経営基盤を強化する上から、地域農業の振興は極めて喫緊の重要課題であります。このため、来年度、二戸地方の4市町村と農協とで、新たに設置することとしている園芸振興支援センターに改良普及員を重点的に配置し、農協や市町村職員等と一体となって生産農家の掘り起こしや技術指導を行うこととしており、農政部として総力を挙げて支援してまいります。
 次に、系統団体による支援・指導についてでありますが、県農協中央会、県信連、共済連から、二戸市に設置した経営改善対策室に職員5名を常駐させているほか、農協にも職員を出向させるなど、債務超過農協の経営改善指導の徹底を図っているところであり、さらに経済連においても、新設される園芸振興支援センターへの職員配置や北いわて園芸協議会による共販体制の強化を図るなど、系統団体においても組織を挙げて、支援・指導を行っているところであります。
 次に、和賀中部地区国営調査事業についてでありますが、当地域は、早くから国営土地改良事業など土地基盤整備に取り組まれ、現在、大規模低コスト稲作を推進するとともに、麦、大豆や土地利用型野菜などとの組み合わせによる低コスト水田営農が展開されており、本県にとって極めて重要な農業地帯であります。しかしながら、水利施設は30年も経過し、部分的な補修・補強等の対応をしてきたものの、施設全体の機能の低下と老朽化が憂慮されているところであります。また、当地区は河川流量が乏しいことから、番水など不安定な水利用を余儀なくされており、施設の改修に対する地元の期待は大きなものがあると認識しております。このため、県といたしましては、老朽化した施設について緊急に改修を行うとともに、用水の安定供給と維持管理の合理化を図るため、かねてより国に対し要望してまいりましたところ、平成11年度新規調査地区として採択されるに至ったところであります。
 今後、国においては、国営かんがい排水事業としての計画を樹立するため、数年をかけて和賀川土地改良区を初め関係機関と協議しながら、広範な調査・調整を行うこととなっております。
 県といたしましては、この地区調査結果を踏まえ、事業の早期実現に向けて、引き続き国に強く要望してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) オフィスアルカディア・北上への企業の立地状況などについてでありますが、企業の事務所部門や研究所などの集積を目指しますこの北上産業業務団地につきましては、平成9年10月から、その一部の分譲を開始したところでございます。当団地の立地促進に当たりましては、平成7年度に、県、北上市、地域振興整備公団の3者によりまして、当団地の企業誘致を目的としました促進協議会を設立いたしまして、そして企業訪問それから首都圏等での分譲地の説明会、さらには現地視察会などを開催いたしまして、活発な企業誘致活動を展開してきたところでございます。この結果、現時点におきましては、3社の立地決定を見ているところでございます。
 また、当団地の中核施設であります北上オフィスプラザの入居状況でございますが、企業などの品質や環境管理に関する国際規格ISOなどの日本を代表する審査登録機関であります財団法人日本品質保証機構が東北の拠点事務所として入居を決定するなど、これまでに12社が内定しておりまして、その入居率は約68%となっておりまして、おおむね順調に推移しているところでございます。
 県といたしましては、当団地の中核施設でありますこの両施設もこの4月にオープンすることになりましたので、これを大きな弾みといたしまして、今後とも、地元北上市などとの緊密な連携のもとに積極的な誘致活動を展開いたしまして、企業の立地促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 沢内村道安ケ沢線の整備についてでありますが、本路線は事業規模が大きく、秋田県太田町と接する県際道路であることから、沢内村の強い要請を受け、県代行事業として実施してきているものでありますが、平成9年度から暫定施工区間ののり面の緑化工事を実施してきたところであります。しかし、本計画路線が原生林や湿原等の自然豊かな特定植物群落和賀岳のブナ林を通過することから、自然と共生するための道路整備の課題を抽出し、その対策について提言をいただくため、沢内村道安ケ沢線環境影響調査委員会を設け、調査検討を行っているところであります。
 一方、御指摘のように、沢内村では昨年の集中豪雨により甚大な被害を受けたことから、災害に強い村づくりのため生活道路の整備が急務であり、安ケ沢線の整備を一時中止することもやむを得ないと判断したと伺っております。県といたしましては、沢内村から正式な申し出が行われた時点でその意向を尊重しながら、秋田県及び建設省等関係機関と協議を進めるとともに、現在行われている調査の結果も踏まえ総合的に検討し、今後の本路線の整備について判断したいと考えているところであります。
 次に、公共土木施設の維持管理についてでありますが、長年にわたって整備を進めてきた成果として、県管理公共土木施設は年々増加してきており、主要な施設の現況は、県管理道路約4、200キロメートル、河川堤防や護岸の整備延長約590キロメートル、砂防ダム約510基、県営住宅約5、100戸等となっております。このうち、県民生活に直接かかわりのある道路関係施設を例に見ますと、管理延長約4、200キロメートルには橋梁約2、700橋、トンネル約110カ所が含まれており、その推移を20年前と比較してみますと、道路管理延長で1・1倍、橋梁で1・2倍、トンネルにおいては2・3倍と増加しております。このような中にあって、交通量の増加や車両の大型化などにより、一部の路線では橋梁や舗装路面の穴ぼこなどの損傷が発生しております。
 一方、公共土木施設の維持管理に係る予算は、ここ数年、ほぼ横ばいにとどまっておりますが、道路のパトロール等の日常の点検活動の強化や創意工夫のもとに、良好な維持管理に努めているところであります。しかしながら、限られた財源の中で、年々増加していく公共土木施設の機能を十分に発揮させていくためには、より計画的な維持管理の推進を図っていくことが、今後、ますます重要となってくるものと考えております。このため、土木部におきましては、今年2月に、適正な施設の補修サイクル等の具体的な施設の維持管理方針を定めた公共土木施設維持管理計画を策定したところであります。
 今後は、本計画に沿って、維持管理上のコスト縮減対策や道路情報モニター等の活用を図りながら、県民の皆様がより安全で快適な生活ができるよう、適正な維持管理に努めてまいりたいと考えております。
〇33番(菊池勲君) 大変温かい御答弁、まことにありがとうございますけれども、佐藤農政部長に一つだけお伺いしたいと思っております。
 実は1月の末だと思っていますけれども、岩手県の土地改良区連合会という組織がありまして、私も和賀川土地改良区の理事長をさせてもらっていますから、県下の理事長、事務局長合同会議がありまして、その席上で、一関の地域の改良区の理事長さんの発言が、見事に気に入らないというかみすぼらしい発言だったんですね。
 ことしは、改良区は今御案内のとおり、30%以上の減反を強いられた農業政策の中で水を供給しているわけです。本来であれば、全部つくってもらえば効率的に水は配分できるわけだけれども、ところどころで休耕田があるものだから、10トン流して、支流にはそのまま10トン行かないような状態の水系を今維持しながら改良区の仕事をさせてもらっているんですけれども、その方の発言では、休耕田に野菜をつくったんだそうです。もちろん休耕田ですから、何ヘクタールとか何十アールというような状態ではなかったと思う。あの発言だと1畝歩か2畝歩の野菜ではなかったかと思うんだけれども、農家の方々がそれを収穫して売る手だてがないために、中小商店街に持っていったそうです、洗って、きれいに。そうしたところが、こんなのはお金にならんという言葉に近い返事をもらいましたけれども、せっかく持っていったから置いてきたんだそうですよ、値段にはならないということだった。ところが、改良区の方でなく、農家の方々が恐らくこぼしたと思うんだけれども、本来の仕事は改良区ではないんだね、この仕事は。農業団体がこれを高めて、付加価値を高めて、1銭でも取る努力をしてくれるのが農協の組織だと私は思っておった。残念ながら、そのようになっていない、農協は。今では殿様商法みたくこうなって、そしてこういうふうに赤字が出ると、県、国、市町村の財政を一般財源、公的にきちっと保証したやつを導入して救おうとされているその気持ちはありがたい。残念ながら、食糧供給県岩手のイメージとすれば、当然一番大事なのは、私も農業者だけれども、農業者が一生懸命努力していても浮かび上がれない状態なのがどこなのか。県の農政部が精いっぱいやってくれているというのは知っておりますが、残念ながらどこかで歯車が狂っているのではないかと私は思っておったんだけれども、去年の1月に農政審議会の委員を外されましたから、言うチャンスがありませんので、この機会に農政部長に再度御答弁をもらい、この債務超過農協の支援体制だけでは岩手県の農業はまともにはいかないだろうと私は思っている。
 恐らく、サッカーで言えば、1回のイエローカードだとまだ選手でおれるけれども、2本のイエローカードでは退場を命ぜられる農協が、岩手県では全部ではないかと私は思っている。債務超過のところに普及センターの職員を配置し、農業所得を上げるための努力はすると増田知事は決意を述べて配置されているようだけれども、私は全県の農協もそれに等しい状態にはなっておるのではないかと、そんな感じがしますから、できれば全県の農業団体、当然、公的な形では指導をしておると思うんだけれども、イエローカードを2枚もらってからでは遅いのではないかというような感じを持っているんだけれども、再度御答弁をひとつお願いしたいと思います。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) 転作田を使った野菜の販売対策なわけでありますけれども、私どもの方といたしましては、転作作物の導入に当たりましては、できるだけ農家所得に結びつくように、野菜等高収益作物の作付を指導申し上げているわけでありますけれども、ケースによってその生産された農産物にはいわゆる市場出荷規格に合わないもの、それからロット的に少ないものといったようなケースも間々あるわけでありまして、こういうものにつきましては、JA系列の産直施設でありますとかあるいはスーパーでありますとか、そういうところで販売を誘導するような、そういう手だてをしまして、農家の生産意欲を高めるような取り組みをするように団体に要請してまいりたいと思っております。
 それから、債務超過農協以外の農協の経営指導でありますけれども、債務超過ではないけれども極めて懸念される農協につきましては、先ほど申し上げました農協運営強化指導本部、このもとに重点的な指導を行うこととしております。
〇33番(菊池勲君) 大変済みません。農政審議会を外されたからやきもちをやいているというんだけれども、そうではないんで、知事にひとつお尋ねをしたいと思います。
 私も農家で、農業をしながら皆さんにお世話になって政治活動をさせてもらっているんですけれども、残念ながら、今まで議員生活を通算で28年やったんだけれども、農協の役員は一度もやったことがなかった、こんな状態だから。いつ見ても、今、金利政策が一番最低の金利で金融機関は仕事をしておりますね。農業団体の金利は、借りた時点の金利はそのまま移行してまだ生きているわけですね。そういう農家が県下で大勢いるはずなんですよ。これはほとんど変わってないのね、どういうわけか。農家は借金しているくらいだから心が弱いからだかなかなか、銀行と協議しながら、それじゃ借りて安い利子つけて繰上償還するというのは、農家にすれば全く不可能な状態。これも以前と変わらずに低金利政策はずっと続いているけれども変わっていない状態。恐らく農政部長は指導していると言ったけれども、それは話はしているのかもしらぬ。ほとんど実施をしていない状態なんです、現状はね。知事の御所見をひとつ伺いたい。こういう状態が長く続いていくと、農協が生きても農民は先に死んじゃうんですよ。もう農協の本体を、先にできる基本がすっかり逆になっちゃているんだものね。私はこれに見事に憤りを感じるんだけれども、残念ながらほとんど前には進まぬというのが現状でありますので、増田知事の、岩手県の農業を将来守るための御所見をひとつお聞かせいただければありがたいと思います。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 今、菊池議員の方から本県の農政、そして農業団体の持っております、いわゆる課題といいましょうか、そういう点についての御指摘がございました。私はやはり第1次産業、農業を含めた農・林・水というのは本県のやはり一番守るべき特色ある産業、やはりここが中心だというふうに思ってます。日本の中であまた食料自給県を標榜している県はございますけれども、それには自他ともにやはり岩手県が最もふさわしいんではないかと、そういうふうに考えておりまして、これには行政、そして各農業団体、まして個々の農業者、そうした各産業の従事者がそうした気概と誇りを持って、やはりそれぞれの役割を果たしていくということが重要だろうと、特に農業団体におかれては、そのやはり組織された本来の目的は何かという原点に立ち返って、そのありようを考えていただくことが必要だろうと思います。今、曲がり角にいろいろ来ていると言ってますが、これはもうそれぞれがとにかく努力を、前を向いて努力をしていくしかないんで、我々も、今、農政部長が言いましたとおり必要な点はしっかりと指導していかなければならないと思いますし、なお一層農業団体にはその点の自覚も促しながら、これからしっかりとした産業としての育成を図っていきたいと、このように思っております。
〇議長(那須川健一君) 次に、小野寺好君。
   〔7番小野寺好君登壇〕(拍手)

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