平成11年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇10番(佐々木大和君) 自由民主党・県民クラブの佐々木大和でございます。
 当面する県政課題について順次質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 増田知事は、21世紀は環境の世紀、恵み豊かな環境と共生し未来につなぐイーハトーブの大地を基本目標に、世界的な課題となった環境問題に真っ向から取り組み、平成10年を環境創造元年と位置づけ、真に豊かな暮らしを創造する環境共生循環型地域社会の実現に向けた取り組みをスタートさせました。その中で、本年はISO14001環境マネジメントシステムの認証取得を宣言されたことは評価されることと思いますが、環境問題は、森林を抜きにしては語れません。
 森林は、単に木材生産の場というだけではありません。温室効果ガスの貯蔵庫とも言われ、地球温暖化防止にも大きな役割を果たすものでありますし、水を蓄え、田畑を潤し、海に流れ込んだ水は、豊饒の海を養います。また、多くの動植物をはぐくみ、美しい自然景観を形成するなど、多様な公益的機能を有しております。
 本県は、このような森林が総面積の77%を占めており、面積、蓄積ともに北海道に次いで第2位に位置し、まさに森林の活用が岩手県発展の一つのかなめであることは論をまたないところであります。県が先ごろ公表した新しい総合計画の中間報告では、公益的機能を重視した多様な森林づくりを進めるとしておりますが、そのためには適正な森林施業が欠かせません。
 そこでお伺いしますが、県では、この山を支える林業を今後どのように位置づけ、林業振興を図っていかれるおつもりなのか、知事の御所見をお示し願いたいと存じます。
 次に、森林整備への取り組みについてお伺いします。
 イーハトーブ岩手、我が県の県木アカマツは、今、どうなっているでしょうか。県の森林面積の21%を占めるアカマツは、松くい虫と戦いながら、日本列島の最後のとりでとして頑張っております。現在、県南部18市町村が松くい虫に侵略されている中、水際作戦とも言える監視帯を設け、これ以上進行させないとの意気込みで取り組んでおられる県関係者に敬意を払うものであり、これからもさらなる努力を重ねられて県木アカマツを守っていただきたいと思うのであります。
 昨年9月、岩泉町で開催されたまつたけ生産振興全国交流岩手大会には、九州大分県や生産量日本一の広島、歴史のある京都、そして、新興著しい長野などから参加され、盛会裏に終了いたしました。その際、先進的な産地の京都や広島、岡山の方々が言われた言葉は、日本にこんなアカマツ山がまだあったのか、我が方の山の30年前、40年前と同じ山がここにあったと感動されました。3日間滞在して交流を重ね、帰るころになると、こんな山を持っている皆さんがうらやましい、あげくには憎らしいと思うほどになったと言っておられました。マツノザイセンチュウに侵された松林の復元可能性が確かなものとなっていない今、本当に大切な資源であると思います。
 中世に起こったたたら製鉄による砂鉄は、京の都で日本刀などの製作に使われ、また、農機具としてもなくてはならないものでした。本県でも各地で行われ、3トンのケラをつくるのに10トンの砂鉄と10数トンの木炭が必要であり、ケラから鉄として利用するにはさらに相当量の木炭が必要となり、年間60回操業の江戸時代の記録では約800トンの木炭を使ったと記録されており、これだけで約60ヘクタールの山林が必要となる。まさに山の木がたたら製鉄時代の中心的資材であり、鉄を運ぶために牛を利用したのが南部牛追唄を生み、明治初期、新しい方式の溶鉱炉が釜石の橋野にできるまでたたら時代が続いたわけであります。山を皆伐しますと、峰には水分が少ないことからアカマツになるそうで、京都、出雲はもちろん、たたら製鉄の盛んなところはアカマツ山となり、マツタケの産地となっていきました。牛の産地とマツタケの産地が共通するのも、やはりたたらがもとになっているのかもしれません。
 今、山に大きな変化が起きております。こうした中で、先般、新しい林業基本計画の中間答申がなされましたが、この中で、人々の暮らしと自然の営みをはぐくみ続ける恵み豊かな森林の形成、木の香に満ちた生活空間の創造と消費者ニーズにこたえる木材供給システムの形成の二つを基本目標に、施策の基本方向を示されております。ぜひ実現し、岩手の豊かな21世紀を築いていかなければなりません。
 本県では、これまでに関係者のたゆまぬ努力により緑豊かな森林が造成されてきましたが、この森林整備は、主に山村地域の労働力が担ってきたものであります。過疎化、高齢化が進行する中、林業労働力を確保するためには、山村での仕事をふやし、就労の場を安定的に確保することが最も重要であり、そのための対策が必要であります。
 県においては、これまでに造林補助事業、間伐対策事業、県有林事業及び公社事業等により計画的に森林整備を推進してきておりますが、これらの事業は、山村地域の就労の場の確保と安定的な雇用の面からも大きな役割を果たしてきております。本県の林業の振興と山村地域の活性化を図るためには、今後とも積極的に森林の整備を推進し、計画的、安定的に事業量を確保していくことが林業労働力対策の観点からも重要と考えますが、県では、今後の森林整備について、伐採跡地の再造林を含めてどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。
 加えて、間伐促進対策についてお伺いいたします。
 本県の林業振興を図る上での喫緊の課題の一つは間伐促進対策でありますが、間伐の実施率は、木材価格の低迷等により伸び悩みの傾向にあります。
 このような中で、国においては、地方財政措置として従来の森林・山村対策に加え、新たに国土保全対策を講じたところであります。この措置は、市町村がこれまで予算上の制約から十分に取り組めなかった間伐を推進する上で大いに期待されているところでありますが、これら地方財政措置の活用状況をお聞かせ願います。
 さらに、間伐材の活用状況についてお伺いいたします。
 間伐を計画的に進めていくためには、間伐材の利用促進を図ることが極めて重要であると考えております。林業を取り巻く情勢は、住宅着工戸数の低迷による木材需要の大幅な落ち込みに加え、ここにきて、これまで好調に推移してきた国内製紙業界にも陰りが見えるなど、特に中小径材である間伐材の利用促進を図る上で、これまでにない厳しい状況となっております。
 そこでお伺いしますが、県では、平成9年から県産中小径材の利用促進ネットワークをつくり、間伐材の利用促進に積極的に取り組んでおられますが、本県における間伐材の活用状況はどうなっているでしょうか、実情をお示し願います。
 次に、間伐材を利用した木質エネルギー開発への取り組みについてお伺いいたします。
 木材は、再生産可能で燃焼しても有害物質を出さないなど環境に優しい資源であり、間伐によって生産される木材のバイオマスエネルギーへの利用がなされれば、間伐の促進にも大きく結びつくのではないかと考えております。
 このような中で、国においては、木質エネルギーの実用化に向けて、平成11年度を新規事業でバイオマスエネルギー利用技術の開発に取り組むとお聞きしております。また、去る1月下旬には、学識経験者等で構成する木質バイオマス利用研究会主催による木質バイオマスのエネルギー利用を考えるシンポジウムが東京で開催されたとの情報もあります。
 本県では、平成9年から庁内の関係課で木質燃料利用に関する意見交換を行ってきていると伺っておりますが、間伐材を利用した木質エネルギー開発への取り組み状況はどうなっているのかお伺いいたします。
 次に、道路整備についてお伺いいたします。
 御存じのとおり、県北・沿岸地域については、県民所得を初め、いろいろな点において格差が生じていることは明らかであります。先日公表された県の新しい総合計画の中間報告においては、県北沿岸の宮古広域生活圏についても交流・連携をもとに地域振興を図ることとされております。しかしながら、特に岩泉、田野畑地域については、その基盤となる道路整備がおくれている現状では、地域連携や地域振興を県総に位置づけても、これらの計画に対応することは極めて厳しいものと考えております。
 そこでお伺いいたしますが、国道455号早坂トンネルにつきましては、これまで県と地元関係者が一体となり積極的な運動を展開した結果、平成10年度の国道補助事業に新規採択され、沿岸北部住民の長年の悲願である早坂トンネルの実現が図られることになったところであり、早期完成に対する地元の期待はまことに大きいものがあります。県では、トンネルの早期着工に向けて、現在、積極的に準備を進めていると聞いておりますが、これまでの進捗状況をお示し願います。
 また、延長は、県では最大級の約3、000メートルであることから、施工上も高度な技術を要するものになると伺っておりますが、技術の結集により早期完成を図るとともに、完成後の照明や安全対策等の維持管理も考慮した計画とすることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、トンネル施工に伴い、わき水が多量に発生することが予想されますが、その有効な活用策や自然環境と調和した施設整備が考えられないか、あわせてお伺いいたします。
 次に、農用地整備公団が実施する下閉伊北地区農用地総合整備事業についてお伺いいたします。
 本地区は、平成9年度から岩泉町、田野畑村、普代村を区域として国が農用地総合整備事業の調査を実施し、地元関係機関で構成する事業促進協議会が中心となって事業化に向けて鋭意推進してきたところでありますが、私もまた、中山間地帯の農業振興のためには本事業の早期着工が必要であると確信し、ともに活動してまいりました。その結果、平成11年度政府予算原案では公共事業が厳しく審査される中にあって、農林水産省から全体実施設計地区の新規採択が得られたところであり、関係者としてまことに喜ばしい限りであります。
 さて、この4月から開始する下閉伊北地区全体実施設計は、3町村に及ぶ基幹農道を初め、農地の基盤整備工事の本格的な着工に結びつく第一歩であり、本地区の推進が着実に図られてきているものと考えておりますが、その成果は事業実施に係る今後の成否を方向づけるものであり、促進協議会等にとっても大きな関心事であります。
 県では、新たに下閉伊北地区全体実施設計に着手するに当たり、今後どのように取り組まれ、推進していかれるのかお伺いいたします。
 また、3町村間を結ぶ基幹農道についてでありますが、普代、田野畑方面から岩泉までの既存の道路事情は、北上山地の急峻な地形に阻まれ、多くの制約を受けてまいりました。しかし、現在計画中の基幹農道は、長年にわたり地元が構想してきたルートを視野に入れて検討されていると承知しており、将来、農道が完成した暁には、県の新交流ネットワーク道路整備事業による国道455号早坂峠のトンネル化と相まって、普代村、田野畑村が県都盛岡までの90分構想の実現にさらに近づくことになると思われ、地元ともども基幹農道の早期完成に大きな期待を寄せております。
 そこでお伺いしますが、県は、基幹農道の着工から完成までをどのように見込んでおられるのか、現在の考え方をお示し願います。
 さらに、この広域的な基幹農道の実施とあわせて、現在おくれている農地の基盤整備が進むことにより、当地域の農業の取り組みにより一層の弾みがつくものと期待するものでありますが、県は、本事業を契機として、今後どのように農業の活性化を図ろうとしているのか、地域農業の振興方策について御所見をお聞かせ願います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、広域的な圏域のあり方等についてお伺いいたします。
 県では、これまで市町村を越えた圏域として九つの広域生活圏を設定し、各般にわたる施策を展開してきており、そうした中で各広域の特性も形づくられ、比較され、語られてきているように思います。しかしながら、各広域生活圏の特性も、ちょっと視点を変えて、例えばエリア面積ではなく可住地面積あるいは可住地面積当たりの人口密度で比較すればまた違った姿が見えてきますし、地域間のつながりも違って見えてくることも考えられます。新しい総合計画の中間報告で言うところの五つの社会の実現に当たっても、そうした切り口がぜひとも必要ではないかと考えます。
 また、県では、県内各都市と県都盛岡市を90分で結ぶということを目標として道路整備に取り組んでおりますが、このことと、県民に身近な行政は身近なところでということで県民が管轄の地方振興局に足を運ぶということとの間には多少ニュアンスの違いがあるのではないか。地域によっては、管轄の地方振興局より隣接する地方振興局の方が近いとか、買い物や通院、その他実生活の面で他の地域との交流の方が多いという実態もあるのではないかと思うわけであります。広域生活圏自体昭和44年に定められたものであり、県行政もこの30年前の線引きを前提に進められてきたわけであり、先ごろ中間報告が公表された新しい総合計画の地域計画のくくりもまた同様であります。したがって、広域生活圏線引き後の交通網や情報手段の発達等を考慮すると、日常生活での実感とずれが生ずることもあるのではないかと思われます。
 そこでお伺いしますが、こうした広域生活圏の線引きが行われた当時と現在の経済社会情勢の違いを踏まえて、新しい岩手づくりを進めていく上で望ましい広域的な圏域のあり方についてどう考えておられるのか、知事の御所見をお示し願いたいのであります。
 その上で、新しい総合計画の目指す夢県土いわてあるいは五つの社会を実現するに当たっては、さまざまな視点から広域生活圏の姿を御検討いただき、その特性に応じた施策展開を図りながら、それぞれの地域の発展が県土全体の発展につながるような方途を示す必要があるものと考えるものでありますので、重ねて知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、交通対策についてお伺いいたします。
 平成8年3月に県が策定した岩手県総合交通体系基本計画においては、基本目標として、高速交通空白地域の解消や県内90分交通の実現など5項目が掲げられており、これらの目標のもとに高速道路や主要道路の整備が進められております。この県内90分交通は、自動車、マイカーの利用を前提とすれば近い将来実現されるだろうと思われますが、地球環境問題が大きくクローズアップされている昨今、地球環境にも優しいということもあり、鉄道やバスといった公共交通機関の役割、重要性が高まってきております。また、マイカーが普及してきたとはいえ、学生や高齢者など、公共交通機関に依存している人たちも少なからずおります。
 県都盛岡と沿岸の主要都市間の公共交通機関の所要時間を調べてみますと、一番近いところでも宮古がバス、鉄道とも約2時間となっており、久慈、釜石、大船渡はバスで2時間40分から3時間、鉄道では3時間以上を要し、新幹線で盛岡-東京間が2時間30分で結ばれている時代に、雲泥の差を感じるわけであります。沿岸地域の振興のためにも、人的な交流を支え、地球環境にも優しい公共交通機関の利用促進を図ることが重要であると思いますが、そのためには時間距離を短縮するなど、利便性を向上させることが不可欠であると存じます。
 そこでお伺いしますが、県都盛岡と沿岸地域を結ぶ公共交通機関の利便性向上のための今後の方策をお示し願います。
 また、過疎地域の道路整備が着々と進む中で、採算性の問題もあってか、過疎地域のバスが逆に不便になる一方ではないかと感じている次第ですが、過疎地域における生活バス路線の維持方策についてもあわせてお伺いいたします。
 次に、観光振興についてお伺いします。
 昨今の新聞報道によれば、長引く景気の低迷により、全国的に観光客が減少しているとのことであります。また、県内の観光関連業界の方々に聞きましても、夏場の天候不順や岩手山の火山活動の影響により、岩手山周辺地域のみならず、全県的に観光客の減少などの影響が出ているようであります。
 県においては、観光客の入り込み数やその動向などについてどのように把握され、現状をどう認識しておられるのか、まずもってお伺いいたします。
 また、県では、このような状況に対応するため、9月、12月と立て続けに予算補正を行い、10月以降、元気な岩手キャンペーンと銘打って観光客誘致のための各般にわたる事業を展開しておられますが、その成果はどうだったのでしょうか。
 また、県内を四つの王国に区分し、旅行商品の企画開発、グリーンツーリズムの推進、特産品の開発、広域連携事業の推進など多彩な観光客誘致活動に取り組んでおり、その努力は多とするところでありますが、他県の状況を見聞しますと、通称イチキュッパーと呼ばれる格安の旅行商品や豪華な特産品つきの旅行商品などインパクトの強い展開がなされております。もちろん、交通機関の競合状況など地域により事情の異なる面があり、一概には当否を断定できませんが、本県も素材には事欠かないわけでありますので、消費者に訴える魅力ある商品開発を推し進めることが必要な時期ではないかと考えているところであります。
 そこでお伺いしますが、本県の豊かな素材を活用した新たな観光施設及び旅行商品の開発促進など、観光振興策を今後どのように推進されるのか、お考えをお伺いいたします。
 次に、県立高等学校新整備計画に関連してお伺いいたします。
 県は、昨年9月の県立高等学校長期構想検討委員会の報告を受けて、平成12年度から向こう10年間を計画期間とする中での、当面5年間の県立高等学校新整備計画について、先ごろその中間まとめを公表しております。それによりますと、今後の高等学校の整備計画の基本的な考え方として、生徒一人一人の個性や能力を最大限に伸ばせるような学習環境を構築する観点から学校や学科の適正な配置が必要であるとし、そのために規模の小さな学校を統合して、総合学科などの新しいタイプの高等学校を設置していくという内容であります。
 子供たちの意識や価値観が大きく変化している今日、学校教育は一人一人の生徒に応じた多様な教育が求められておりますし、高校は、互いに切磋琢磨しながら社会性を培う場でもあり、そのためにはある程度の規模が必要ということは理解できないわけではありません。しかしながら、高校の設置や統合は、子供たちや親のみならず、地域のありようにもかかわる問題であり、それゆえに、統合により地元の高校がなくなるというのは、いつの時代もそうですが、地域の学校に思いを寄せる住民感情からすればまことに残念なことであります。
 そこでお伺いしますが、中間まとめを見ますと、統合する高校は既に決まっているようにも思われますが、計画策定に当たって該当する市町村とはどの程度協議されたのか、具体的な学校名の公表はいつ行われるのか、あわせてお示し願います。
 また、統合が万やむを得ないとしても、統合後は、今まで以上に地域と一体となった運営により、地域参加型のより開かれた学校づくりが求められるのではないかと考えます。このことにより、地域の方々が地元の高校にこれまで以上に関心を寄せる機会になり、地元の学校は地元が育てるといった機運が醸成されるのではないかと思うわけであります。教育長の御所見をお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐々木大和議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、今後の県政における林業の位置づけと林業振興についてのお尋ねでございますが、県土の約8割を占める森林を基盤としております本県の林業は、先人のたゆまぬ努力によって、これまでにも木材やその加工製品の供給のみならず、森林の保全・整備を通じて山地災害の防止や水源の涵養、保健休養の場の提供など多面的な役割を発揮し、県民生活の安定、向上に大きく貢献してきたところでございまして、この大切な森林を次の世代に引き継ぐことは、現代に生きております私たちの重要な責務であると考えております。
 さらに、このような林業の役割は、環境の世紀とも言われております21世紀に向けて、良好な地球環境の保全や資源循環利用型社会の構築等の面で一層重要になるものと、このようにも認識しているところでございます。
 このようなことから、今般、新しい総合計画の中間報告において、みんなで創る夢県土いわてを基本目標に掲げております中で、21世紀の岩手の可能性の扉を開くキーワードの一つに環境を位置づけまして、豊かな環境と調和した農林水産業の振興を基本として、森林の持つ公益的機能と調和した林業の振興を図ることとしているところでございます。そのための施策として、県土を守る緑豊かな森林の整備、地域資源を生かした林産物の生産・加工・流通体制の整備などを一体的に展開することとしておりまして、今後とも、自然環境と共生できる豊かで潤いのある生活空間を創造して、豊富で多様な森林資源を最大限に生かしながら、積極的に林業の振興と山村地域の活性化を図っていきたいと考えております。
 次に、広域的な圏域のあり方についてのお尋ねでございますが、広域生活圏はその圏域の中で、一定の日常的な生活を営むことができる圏域でございまして、自然的、社会的、経済的な結びつきなどを考慮して設定されているものでございます。確かに当初の圏域設定から長年月がたちますけれども、今後、生活者の視点、地域の視点に立って、住民へのさまざまなサービスを総合的、一体的に提供していくためには、圏域の設定の意義は引き続き大きいものがあると考えております。
 今回の新しい総合計画の策定に当たりましては、広域生活圏そのものが一定の定着を見ていることや、従来から広域生活圏と範囲を同じくする広域市町村圏というものがございます。この広域市町村圏というのは、関係をいたします市町村と県が話し合いながら定めているものでございまして、市町村が共同で例えばごみ処理、消防、福祉などを行う広域的な単位として位置づけられるものでございますけれども、この広域市町村圏がまだ現時点において見直される状況に至っていないことから、当面、これまでの圏域を採用することとしたものでございます。今回の新しい総合計画の策定でも、広域生活圏には手をつけていないというのはこうした理由でございます。しかしながら、議員御指摘のとおり、人・モノ・情報の動きは、絶えずそれぞれの市町村や広域生活圏あるいは県といった圏域を越えた広がりを見せておりまして、お互いに影響を及ぼし合いながら展開をしてきております。近年の高速交通網の整備や情報通信技術の急速な進展などを背景に、その速度も一段と増しておりまして、そうした時代の流れや環境の変化によって、それぞれの地域やそこに暮らす住民の圏域内外の結びつきも同じく変化をしていくものと考えられます。したがいまして、新しい総合計画の計画期間内におきましても、広域的な圏域のあり方が現状のままでよいのか、あるいは変更すべきか、実施計画期間の終了時など、節目節目で検討していく必要があるものと考えております。
 さらに、今後は広域的な圏域が相互に補完し合って、あるいは相乗効果を発揮して圏域を構成するそれぞれの地域が自立的・主体的に個性や特性を生かして、魅力的な地域づくりを進めていくことが重要であると、考えており、各地方振興局が中心となって策定をする地域計画に基づきまして、それぞれの地域の特性を生かしたきめ細かな施策の推進を図りながら、これらの圏域をつなぐ県土軸やいわて情報ハイウェイなどの新しいネットワークの構築についても積極的に取り組んでいく必要があるものと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いいたします。
   〔林業水産部長渡辺勲君登壇〕
〇林業水産部長(渡辺勲君) まず、今後の森林整備の取り組みについてでございます。本県におきましては、アカマツを初めとする多様な森林資源の循環的利用が、議員お話しのとおり、木材の供給はもとより、木炭やマツタケなどの生産を通じて山村地域の振興に貢献し、とりわけ、就労の場の確保や安定的な雇用の面でも大きな役割を果たしてきているところでございます。また、このような森林資源の持続的経営は、近年、水土保全を初めとする公益的機能の高度発揮や、地球温暖化防止対策などの要請の高まりにこたえていく上でも重要となってございまして、これら森林・林業の役割を今後とも十分に発揮させていくためには、継続的な森林整備がその基盤になるものと認識しております。しかしながら、近時における木材価格の低迷、経営コストの増加等によりまして、森林整備や林業生産の活動が停滞しておりますことから就労の場が減じ、林業労働力の脆弱化を招いておりますし、一方、今後、人工林が順次伐期を迎えることに伴い、伐採面積の増加が見込まれる中で、伐採跡地の再造林がなされなくなることが予想される状況にもありますので、今後とも、持続的な森林の整備を確保していくことが重要となっております。このため、県におきましては、流域管理システムの活用等により、森林資源の循環的な利用・整備に対する関係者の合意を促進しつつ、森林所有者のみならず、公的機関などの多様な主体により、伐採跡地の再造林も含め、造林や除間伐などの事業を計画的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、地方財政措置による間伐促進対策についてでありますが、国におきましては、森林・山村地域の活性化を図るため、平成5年度に創設された森林・山村対策の中で、また、農山漁村地域が果たす国土保全上の役割を高めるため、平成10年度に創設された国土保全対策の中でそれぞれ地方財政措置が講じられたところであります。県内の各市町村におきましてはこれらを活用し、これまで間伐の実施はもちろんのこと、間伐材の搬出・運搬、簡易な作業路開設、さらには間伐促進の普及等、間伐などの森林管理の充実のためにさまざまな取り組みが展開されております。しかしながら、この措置の活用実態を見ますと、市町村における森林整備等に必ずしも十分に活用されていない面も見受けられるところでございますし、また、平成10年11月に、国土保全対策において、間伐が必要な森林を調査する等の活動を行う森林管理巡視員の設置が具体化されたことなどを踏まえまして、これら対策の創設の趣旨に沿って、この措置の積極的な活用を促す必要があるものと考えております。このため、今後とも、これら対策措置の説明会の開催、事業実施事例の収集、紹介等により、各市町村においてそれぞれの地域の特色を生かし、創意と工夫を凝らしてこの措置を生かした間伐等森林整備が進められ、これら対策措置創設の趣旨が生かされるよう、関係部局と連携を図りつつ理解を求めてまいりたいと考えております。
 次に、間伐材の活用状況についてでありますが、平成9年度におきましては15万4、000立方メートルの間伐材が生産され、このうち約6割に当たる8万5、000立方メートルが活用されております。その内容は、建築材に約8割、パルプ・チップ等の原材料に約1割、その他農業・土木等の資材用丸太などとなっております。間伐材の活用は、適正な森林整備の推進等につながるものでありますことから、今後とも、昨年10月に策定いたしました岩手県木材利用推進方針の取り組みの推進に努め、内装材や木製トレーなどとして有効に利用する新用途の開発、さらにはその安定供給体制の整備等を推進し、間伐材の一層の活用に努めてまいりたいと考えております。
 次に、木質エネルギー開発への取り組みについてでありますが、間伐材を発電や熱供給のエネルギー源として活用することは、森林の適正な整備や育成を通じて、新たな環境保全型の資源活用システムの形成につながるものであると考えてございます。このため、県におきましては、平成9年度から、庁内で間伐材等未利用資源をバイオマスエネルギーとして活用するための可能性等について情報交換を行うこととし、木質燃料利用に関する意見情報交換会を設置し、これまで他県の事例調査や講演会等を実施したほか、平成10年度におきましては、これらに加えて、間伐材の燃焼特性に関する基礎的な調査検討などの活動を行ってきたところでございます。さらに、全国レベルの動きといたしましては、昨年7月に、社団法人国土緑化推進機構の助成を受けて、学識経験者による木質バイオマス利用研究会が発足し、スウェーデンなど先進国の事例調査やバイオマス発電の技術的問題点の分析等について取り組むこととしておりますほか、林野庁におきましては、木質エネルギー利用の実用化に向けた技術開発に取り組むべき平成11年度予算案に盛り込んでいると伺っております。
 今後におきましては、こうした各方面の動きを踏まえながら、木くずやお話しの未利用間伐材など、木質エネルギーの活用に向けて、引き続き多面的に研究を進めてまいりたいと存じております。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 国道455号早坂トンネルの整備についてでありますが、御案内のとおり、本年度国庫補助事業として採択されたところであり、国の総合経済対策による補正予算の積極的な導入を図ってトンネルなどの詳細設計を現在実施しているところでございます。平成11年度には、地元等関係者の御協力をいただきまして用地の取得に着手するとともに、岩泉側のトンネル坑口へ接続する橋梁工事等に着手したいと考えております。このトンネルは、本県ではこれまで経験したことのない約3、000メートル余の大規模なものであることから、工事に当たりましては綿密な施行計画を策定するとともに、掘削工事には新技術の導入によって建設コストの縮減を図るなど、極力、早期にトンネル工事が完成できるように努めてまいる考えであります。
 このほか、維持管理費の縮減やトンネル管理の一元化等の課題に対しましても、今後、対応策を検討していくこととしております。また、湧水が発生した場合は、その水量や水温など、所定の条件を満たせば、トンネル坑口部における無散水消雪工への活用が検討対象になるものと考えております。
 さらに、トンネル前後の各種施設は県立自然公園内であることも踏まえ、自然環境に配慮しながら、今後、地元町村や関係部局と一体となって検討してまいる考えであります。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) 下閉伊北地区農用地総合整備事業についてでありますが、当地区は平成9年度に国の地区調査の採択を受け、2カ年にわたり調査が実施されてまいりました。その結果、当地域の農業振興にとって、農産物の輸送条件の改善と生産基盤整備を実施することが重要であるとの取りまとめがなされたところであります。この間、県としては、地区調査に引き続き、全体実施設計の採択に向けて国に強く要望してきたところ、平成11年度の新規地区に盛り込まれ、この4月から設計に着手する予定となっております。
 今後においては、地区調査結果を踏まえ、本事業のかなめとなる基幹農道、生産基盤整備にかかわる設計のほか、事業上の権利関係の調整、事業参加者の確定などが行われることになりますので、県といたしましては、これまで以上に地元の意向が十分反映されるよう、農用地整備公団に対し要請してまいりたいと考えております。
 次に、基幹農道の工事期間についてでありますが、工事は全体実施設計完了後速やかに着工されるものと考えており、標準工期は9年間とされているところでありますが、県といたしましては、早期着工、早期完了に向けて、関係町村と一体となって国に対し要望してまいりたいと考えております。
 次に、地域農業の振興方策についてでありますけれども、当地域は地形的制約から、土地基盤整備や農業生産資材、農畜産物流通体系の整備がおくれており、これらが地域農業振興上の課題となっております。したがいまして、本事業を契機に乳用牛や肉用牛などの畜産はもとより、冬期温暖・夏期冷涼な気象条件を生かした野菜、花卉などの高収益作目の導入とその生産拡大を図るなど、地域特性を生かした付加価値の高い農業生産と活力のある農村づくりを進めてまいりたいと考えております。
   〔企画調整部長武居丈二君登壇〕
〇企画調整部長(武居丈二君) まず、盛岡と沿岸地域を結ぶ公共交通機関の利便性の向上のための今後の方策についてでありますが、交通の使命はさまざまな交通機関の利用を通じて、あらゆる人々のニーズに的確に対応して、安全で使いやすく、快適な移動を提供することにあると考えており、とりわけ、鉄道、バスといった公共交通機関は、学生やお年寄りなど、交通弱者の日常生活に不可欠の足としての役割を担っており、また、環境と共生していく観点からも、環境に優しい交通機関であることから、これらの利便性を向上させることが大切であると考えております。
 盛岡市を初め、県内陸部と沿岸地域間の時間距離の短縮を図ることは県政の重要課題の一つと認識しておりまして、これまでバスのスピードアップを支える道路整備に取り組むとともに、鉄道については、市町村の要望を踏まえてダイヤ改善等についてJRに要望するなど、利便性の向上に努めてきたところであります。
 現在策定中の新しい総合計画の中間報告においても、さまざまな壁を乗り越える課題対応プロジェクトの一つとして、時間距離の短縮プロジェクトの推進を掲げているところでありますが、今後におきましては、これの実現に向けて、盛岡-宮古間の地域高規格道路の整備を初め、内陸と沿岸を結ぶ道路整備などによるバスの走行環境の改善を図るとともに、JRやバス会社などとの連携を密にしながら、スピードアップ、運行本数の増加、各交通ネットワークの連携など、利便性の向上が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、過疎地域における生活バス路線の維持方策についてでありますが、近年のマイカーの普及や少子・高齢化の進行などにより、路線バスの利用者が年々減少しているため、バス事業者の経営は依然として厳しく、各地域の路線維持が困難になってきているのが現状であります。そのような状況の中、県といたしましては、地域住民、特に学生やお年寄りなどのいわゆる交通弱者にとって、必要不可欠な足である地方バス路線の運行を維持することを重要な課題ととらえ、地域の生活路線を運行するバス事業者に対しまして、国の補助制度を活用して、経営改善の自助努力を求めながら当該路線の運行欠損に対し補助を行っておりまして、平成10年度は、県内209路線を対象に、4億400万円余を地方バス路線維持費補助金としてバス事業者に交付することとしております。
 県内各地域においては、それぞれの地域特性や利用者のニーズに応じたきめ細かなバスの運行を行うなど、地域住民の足の確保に積極的に取り組んでいる市町村も見受けられるところでありますが、県といたしましても、バスの利用促進を図りながら、今後とも生活路線の維持確保に努めてまいりたいと考えております。
   
〇議長(那須川健一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) まず、観光客の入り込み数の動向と現状についてでありますが、平成10年1月から12月までの観光客の入り込み数は、延べ人員で申し上げますと3、761万人というふうになっておりまして、これは前年比6%の減少となっているところであります。また、近年の傾向は平成8年が賢治・啄木祭を実施した年で、約4、600万人という過去最高でありましたが、平成9年は4、000万人でございまして、ここ3年ほど下降の減少になっているところでございます。これはお話がありましたとおり、景気の低迷により国内旅行に対する観光消費額が減少し、観光行動が控えられているという全国的な傾向に加えまして、平成10年は天候の不順により、スキー、海水浴、それから紅葉時期の行楽等への影響、それから岩手山の火山活動の活発化によりますところの温泉等への影響等が重なり合って減少したものと認識をいたしておるところであります。
 特にも、火山活動の影響につきましては、周辺のみならず、県内の主要観光地にも影響が及んだことであり、そのため、この正確な情報と観光客の誘致拡大を図るために、元気な岩手キャンペーンと題しまして、スキーモニターツアーあるいは岩手山麓スノーフェスティバルなどを開催したところであります。まだ一部について継続実施をしている状況でございますが、この成果といたしましては、現時点で申し上げますと、一つは、何といっても首都圏で大規模な観光宣伝ができたということも成果でありますし、また、1月末までの県内のスキー客の入り込み数を見ますと、減少傾向に歯どめをかけて前年並みに維持できているということ、あるいはスノーフェスティバルでは3万2、000人ほど集客がございましたし、小岩井の岩手雪まつりの状況を見ましても、来場者が前年に比べて1万3、000人ほど増加をしているというようなことに一定の成果があらわれているものというふうに考えているところでございます。
 また、今後の観光推進施策の推進についてでございますが、本年4月に開業予定のオートキャンプ場等を活用いたしましたアウトドア型観光の推進、それから地域の代表的な伝統芸能等を活用した拠点型観光の推進を図ってまいりたいと思いますし、北東北3県の連携による冬の祭り、新緑シーズンの魅力ある旅行商品の開発の促進、それから福岡合同事務所の設置によりまして、これを活用した九州地区からの観光客の誘致、また、3県合同でありますが、外国人観光客の受け入れ態勢の整備を行うなど、国内外の観光客の誘致拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。
 さらに、観光客の入り込みの減少が続いております三陸地域につきましては、現在策定を進めております新しい観光振興計画におきまして、長期的な視点に立った振興策を検討の上、観光関連産業との連携を特に強化しながら積極的な施策の推進に努めていく考えであります。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) 県立高等学校新整備計画についてでありますが、過般、中間まとめでお示ししましたように、現在、県教育委員会においては、県立高等学校長期構想検討委員会の報告に基づいて、当面、平成12年度から16年度までの5年間の計画を策定中であります。昨年、同検討委員会が報告書をまとめる段階でブロック別懇談会を開催いたしまして、各市町村長を初め、地域の方々の御意見を伺ったところでありますが、今後、新整備計画の策定に当たりましては、具体的な整備案をお示しして関係市町村などの御理解をいただき、平成11年の年内には成案を得たいというふうに考えております。現段階においては、中学生の学科志望状況を勘案して、普通科、専門学科、総合学科の設置割合を見込むとともに、各年度における中学校卒業者数などをもとに学級数を算出し、適正な学校規模となるよう学校数の目安を定めたところであり、今後、生徒が活力ある環境の中で一人一人の個性・能力を最大限に伸ばせるような学習環境を構築するため、統合を含め、具体的な学校・学科の配置について各地域の実情等をも踏まえ、総合的に検討してまいることといたしております。
 また、地域に開かれた学校づくりにつきましては、これまでも努力してまいったところではありますが、今後一層、地域の方々やPTAの支援、参加をいただきながら、地域性を生かした学習の充実や地域と密接に連携した学校づくりを行ってまいりたいと考えております。
〇10番(佐々木大和君) 前向きに御答弁をいただきましてありがとうございました。
 知事は、21世紀に向けまして環境を一つのテーマに研究や産業化を進め、環境首都を目指すと申されております。スウェーデンのヴェックショー市のように、石油使用ゼロを目指すような目標を示し、早期に具体的な取り組みをなされるように努力をいただきたいと思います。
 バイオマス発電は、水力、地熱、風力、太陽光などと並びまして、21世紀の岩手にふさわしい産業として期待される分野と思います。間伐材等がチップやペレットとして利用できれば、まさに県土の77%の森林に活力を与えることができると思いますので、今後、新しい技術開発によって、木材が燃料として利用される方途を研究されるように御期待申し上げます。
 さて、間もなく春を迎える時期になりますと、移動性高気圧による太平洋岸の大雪が心配されます。沿岸地域では、春先の湿った雪によりまして毎年立木被害が発生しておりますが、被害の実態とその対応はどうなっているでしょうか。
 また、この雪害は毎年のように発生しておりまして、これを放置すれば林業経営への意欲をなくすということが懸念されます。このために何らかの行政的な支援が必要と考えておりますが、林業水産部長のお考えをお伺いいたします。
   〔林業水産部長渡辺勲君登壇〕
〇林業水産部長(渡辺勲君) まず、沿岸地域における雪害状況とその対応についてでございますが、過去5カ年間における雪害は、合計で申しますと、面積で364ヘクタール、金額で3億8、700万円となってございます。その中で、最も被害の多かった平成9年にはこの被害金額の6割を超え、特に間伐を必要とする林齢のアカマツを中心に多くの被害が見受けられたところでございます。
 また、雪害の復旧につきましては、集団的に大量に幹が折れるなどの大きな被害を受けた場合には改めて復旧のための造林を行いますし、一方、比較的被害の軽い場合には雪起こしや除間伐等を実施することが一般的となっているところでございます。
 それから、雪害に対する支援についてでございますが、雪害はもとより、災害の復旧につきましては、災害の規模により、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律による対応、いわゆる激甚災による対応をすることとなる場合もあります。この程度に至らない雪害の場合におきましては、一般の造林補助事業等により対応しているところでございます。
 今後とも、雪害に対しては、日ごろから適正に除間伐等の森林施業を実施し、雪害等の被害に強い健全な森林の育成の推進に一層努めることはもとより、被害が発生した場合には、必要に応じて関係機関との連携を図りつつ、補助事業の積極的な導入等により、早期復旧に向け適切な対応をしてまいる考えでございます。
   
〇議長(那須川健一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時9分 散 会

前へ 次へ