平成11年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇17番(伊藤勢至君) 自由公明県民会議の伊藤勢至でございます。
 今任期最後の定例会におきまして質問の機会を与えていただいたことに感謝し、順次質問をいたしますので、積極的な答弁を期待いたします。
 まず初めに、県議会の招集に関連してお尋ねをいたします。
 私は、これからの県政推進に当たって一番求められることは、各種施策の選択や決定などにおけるスピード、迅速さだと思うのであります。現行の地方自治制度における知事と議会とは、対等の住民代表機関の立場から、県政推進に当たって往々にして車の両輪に例えられるところであり、知事が率先垂範し行動を起こすとき、県議会もまた同様でなければならないと思うのであります。
 昨年の6月定例会は、厳しさを増している県内景気の動向を踏まえ、国の総合経済対策の効果を速やかに地域経済に反映させるという観点から、前例にとらわれず早期に招集され、補正予算などの関連議案を成立させたところであります。このことにより、経済対策の効果が、速やかに地域経済に反映されていったことの意義は大きいと考えるところでありますし、また、私自身にとっても、改めて議会の果たすべき役割、そして責任の大きさを再認識する契機になったと受けとめております。
 地方分権の推進に伴う自己決定権と自己責任の拡大等に対応し、市町村を包括する広域の地方公共団体として県に期待される役割は今後も大きいものがあり、同時に、県議会の役割もますます大きくなってくるものと考えられ、議会の招集に当たっては、一層先例にとらわれない柔軟な対応が必要になると思うのでありますが、議会の招集権者としての知事はどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
 次に、観光立県の推進に関連してお尋ねいたします。
 私は、雄大な自然環境を有する本県にとって、観光の振興が極めて重要なものと考えているところであります。そもそも、観光という言葉をひもときますと、中国の古典である易経にあるように、その国の威光を視察するということでありますが、これから転じて、よその土地の風景、風俗、文化などを見物するという現在の意味となったもののようであり、時代の変遷とともに、最近では、体験する、触れるといった、より幅広い意味に変化していると感じております。観光の振興のためには、岩手の風光明媚な自然、歴史、文化等を生かし、魅力ある観光地の形成や、地域の産業とも連携した体験型の観光などを促進する必要があることから、交通通信網や宿泊施設等、ハード面の整備はもちろん、広域観光ルートや新たな観光資源の開発等、ソフト面の整備もあわせて総合的に進める必要があるものと考えております。
 昨年末の日本経済新聞のコラムでは、大学等での専門的な人材育成が観光発展には必要ではないかとの意見が取り上げられておりました。人材育成には、専門学校や短大、大学など、さまざまなレベルでの取り組みが必要と考えますが、観光を専門的に学べる大学はまだまだ少ない状況のようであります。
 そこでお尋ねしますが、県立大学や併設の宮古短期大学部に、国公立大学では全国初となる観光系の学部、学科を設置し、観光振興を担う専門的な人材の育成を行うことは考えられないのかお伺いいたします。
 次に、民間活力の活用、特に岩手県型の民活導入についてお伺いいたします。
 御案内のとおり、PFIとは、従来、公共部門によって建設・運営されていた社会資本整備の分野に、民間企業の資金や運営のノウハウを活用する手法であり、イギリスにおいて数多く実施され、効果を上げていることがよく知られております。我が国においても、このような民間活力の活用方策に関する研究が各分野で活発に行われていますが、昨年6月、通商産業省の民間主導型インフラ研究会が、日本版PFIの実現のためにと題する提言を行っております。その中で、PFI事業の導入が期待される分野として、廃棄物発電、風力発電等の新エネルギー施設も取り上げられております。私は、これらにPFI方式を導入して、本県の恵まれた環境と地域資源を有効に生かした、岩手ならではの新たな事業展開を図るとともに、現在低迷しております民間の投資意欲を喚起し、本県経済の活性化を図るべきであると考えているところであります。しかし、民間企業としても、事業化に伴うリスクがどれほどのものなのか、長期的な観点から慎重な経営分析が必要となり、早期の着手が困難な事情を抱えていることも考えられます。
 そこで私は、公共の福祉の増進と企業の経済性の発揮を、その経営原則とする企業局が、これまで培ってきた技術と経営ノウハウを最大限に発揮し、率先してこの県政課題ともいうべき風力発電と廃棄物発電に取り組み、民間資本導入の道筋をつけていくべきと考えますが、企業局の御所見を伺います。
 次に、中山間地域における風力発電の導入対策についてお伺いいたします。
 私ども新エネルギー利用促進議員懇談会では、昨年11月、葛巻町の風力発電建設予定地を視察したところであります。第三セクターのエコ・ワールドくずまき風力発電株式会社が、出力400キロワットの風力発電機3基の設置工事を開始したところであり、平成11年度から稼働し、17年間の平均売電価格、1キロワット時当たり11円50銭の売電収入により、中長期的には利益が出る見込みとのことでありました。場所は、標高1、000メートル近い眺望のよいところで、また、観光客にも立ち寄ってもらえるような整備を考えているとの町当局の説明もいただきました。
 北上高地には、そのほかにも宮古・下閉伊地域を含めて風の強いところが結構あります。ちなみに、宮古周辺では、標高は少し下がりますが、亀ヶ森、南・北の川目地区、東金沢山、十二神山など、適地と思われるところがいろいろあります。北海道や日本海側、そして沖繩等においては平地に適地があるようでありますが、本県の場合は、高標高地の開けた牧野等が適地と聞いております。中山間地域の振興のためにも、県はこれらの地域の適地と思われるところの風況調査を積極的に行い、疲弊感の強い中山間地域に夢を与える施策として、風力発電の導入促進を図るべきと思いますがいかがでしょうか、お考えを伺います。
 次に、沿岸地域におけるリハビリテーション中核施設の整備についてお伺いいたします。
 現在、本県においては、高度なリハビリテーション医療の提供のため、雫石町にいわてリハビリテーションセンターが設置され、脳血管疾患、骨関節疾患等の患者の機能回復や在宅療養への円滑な移行、さらには地域におけるリハビリテーションの充実などに多大の成果を上げております。しかしながら、同センターを利用している患者の多くは盛岡圏内の患者であり、遠隔地域からの利用がなかなか困難であるというのが現状であります。そのような中にあって、利用患者のおおむね2割程度を宮古圏内の患者が占めており、このような施設への期待の大きさを感じるものであります。このようなことから、私は、同センターが、そもそも県下全域をカバーする施設として整備された経緯があることなどを承知の上で、あえて沿岸の中心地の宮古地区に、リハビリテーションの中核的な施設を整備することを検討してはどうかと考えるものであります。
 そこでお伺いしますが、県としては、本県のリハビリテーション医療の体制を、今後、どのように整備充実させていこうとしているのでしょうか。特に、いわてリハビリテーションセンターから遠隔の地域におけるリハビリテーションの支援体制をどのように強化していこうと考えているのか、リハビリテーション施設の整備を含め、その基本的な方向をお示し願いたいと存じます。
 次に、生活保護法に基づく救護施設、県立松山荘の改築整備についてお伺いをいたします。
 救護施設は、身体や精神に著しい障害を持ち、1人では日常生活を維持することが困難な要保護者を入所させ、日常生活全般にわたって援助を行う施設であり、県内には、宮古市と石鳥谷町にそれぞれ1カ所、県立施設が設置されております。このうち、宮古市にある松山荘は昭和48年に建てられ、既に25年が経過していることから老朽化が著しく、また、居室が狭隘であるなど、入所者のニーズに必ずしもこたえたものとはなっていないと聞いております。入所されている方の多くは、身体に障害を有する方、知的障害を有する方のようですが、この施設は、地域交流ニュースポーツ大会や松山祭などの実施により、地域との交流を従前から積極的に図っているところであります。地域の方々から聞くと、改築する場合は現在地に整備されるようにとの強い要望があり、また、入所されている方々の住みなれたところで生活したいという心情を考えても、改築に当たっては現在地での整備が望ましいと思うものであります。
 そこでお伺いしますが、県立松山荘の改築整備について今後どのように進めていくお考えか、御所見をお伺いいたします。
 次に、交通対策についてお伺いいたします。
 県都盛岡市について、周辺町村との合併問題を視野に入れながら、50万都市への将来の発展の姿を展望すると、北東北の拠点に相ふさわしい都市基盤の整備を図っていくことが今後必要であり、とりわけ、交通網の整備は大変重要であると考えるところであります。こうした中、現在、盛岡市の中心部及び周辺においては慢性的な交通渋滞が生じており、特に朝夕の通勤通学客にとって利用しやすい交通手段の確保等についてその課題解決が急がれるところであり、マイカーやバスに過度に依存する交通体系では、いかがなものかと危惧するものであります。
 そこで、市内の交通渋滞を緩和し、地球環境に優しい鉄道の利用を促進するとともに、盛岡のイメージアップにもつながると思います盛岡環状線構想を提言したいと思います。
 例えば、JR山田線を、山岸・上米内あたりから手代森・矢巾、そして花巻空港からJR東北本線までの環状線として整備することについて、JRに提案してみてはいかがでしょうか。採算性がどうのこうのと言われるでしょうが、このくらい大胆な発想や気構えで、この鉄道ネットワークの整備に取り組んでいくことが大切だと思います。この構想は簡単に実現できるものではないと思いますが、少なくとも通勤通学時間帯には、区界・上米内周辺から盛岡まで往復ダイヤを編成し、盛岡-宮古間のJR山田線のダイヤについても、これまで以上に通勤、通学、通院に便利なものに改善するべきと考えますが、いかがでしょうか。盛岡環状線構想についての御所見とあわせてお伺いをいたします。
 次に、三陸鉄道についてお伺いいたします。
 三陸鉄道は、全国初の第三セクター鉄道として開業以来、15年目を迎えようとしております。沿岸地域の生活及び観光路線としての重要性については、今さら申し上げるまでもないことですが、開業以来、9年間黒字経営を続けてきたものの、年々利用客の減少が続き、平成6年度から経常損益は4年連続赤字となっております。しかしながら、平成9年度の決算では、利用者の減少にもかかわらず、経常損失額を平成8年度の約3分の1まで減少させております。これは、運賃改定による収入増があっただけではなく、会社の徹底した業務の合理化及び経費節減による収支改善に向けた積極的な取り組みによるものと伺っており、その努力に敬意を表するものであります。本年度においても、依然として厳しい経営環境に置かれている中で、収支均衡に向けた会社の経営努力はもちろんのこと、沿岸地域住民のマイレール意識に基づく利用促進が不可欠であると思いますが、三陸鉄道の平成10年度における収支見込みと今後の経営見通し、並びに沿線市町村及び県の支援策についてお伺いをいたします。
 また、昨年10月22日に、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律が施行されたことに伴い、現在借り受けている鉄道資産の無償貸付は平成11年度末までに限られ、それ以降は有償貸付または有償譲渡になると伺っていますが、この問題に対する取組状況についてお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、北上川の清流化対策についてお伺いをいたします。
 北上川の清流化が昭和57年4月、新中和処理施設の本格稼働により実現し、以来17年、今もなお、県民の母なる川として悠然と流れているさまを見るとき、当時の経緯を知る1人としては、まさに感無量の思いに浸るものであります。この陰には、中和処理施設の建設や発生源対策工事、さらには毎年7億円とも言われる維持管理費を含めて、約300億円もの血税が投入され清流化が確保されているという、いわば人工清流であることを我々は忘れてはならないと思います。この問題につきましては、委員会で何回か取り上げてまいりましたが、このたび通商産業省では、松尾の新中和処理施設において、省エネルギー化の実証試験を行うと伺っております。
 そこで、それらを含めて、最近の情勢や県の取組状況についてお伺いをいたします。
 また、北上川汚染の源と言われる旧松尾鉱山には、その原因となる硫黄鉱床がまだ9割も残っていると伺っており、今後も半永久的に現在の処理を続けなければならず、県民の負担も非常に大きなものとなります。しかし、かねてから御提言申し上げておりましたが、この事業をいつまでも負の遺産としてマイナスイメージのまま取り組むよりも、ここで発想の転換が必要ではないでしょうか。
 かつて、公害まみれの修羅の海と空と言われ、我が国でも5指に入る公害都市と言われた北九州市が、これを逆手にとり、産・学・官・民が一体となって環境技術の開発に取り組んだ結果、国連環境賞を受賞するまでになったと聞いております。折しも、本県は昨年を環境創造元年と位置づけ、全国にそして世界にアピールしようとしております。
 そこでお伺いしますが、本県におきましても、世界に誇ると言われておりますこの技術や成果を、プラス思考でもっと広く全国や世界にアピールし、清流化対策の情報発信地を目指してはいかがでしょうか。そうすれば、国の関係省庁の認識も新たになり、補助金削減の不安も払拭されるのではないかと思われますが、県当局の決意のほどをお伺いいたします。
 次に、河川の管理についてお伺いいたします。
 昨年は、本県も豪雨が続き、各地で浸水被害等が多く発生した年でありました。特に8月末の洪水は、県下全域にわたり、河岸決壊や多くの家屋等が浸水するなどの被害をもたらしたところであります。私の住む宮古地区では、閉伊川を初め各河川で増水し、津軽石川等においても浸水被害が発生したところであります。昔と比較しますと、治水事業は着実に推進されており、長沢川の田鎖地区では既に河川整備が完了し、近内川では区画整理事業と一体となった整備が進められ、さらに津軽石川においては、高潮対策としての水門整備も順調に進められるなど、洪水や高潮に対する備えは着実に進展しているところであります。しかしながら、出水後の河道に目を向けますと、一部では土砂の堆積や繁茂する樹木の影響により、流水の支障となっている区間も見受けられるところであります。
 そこでお尋ねしますが、治水事業とともに治水対策の両輪とも言える維持管理について、県はどのように取り組んでいるのかお聞かせ願います。
 また、県では、昨年を環境創造元年と位置づけ、環境基本計画の策定の準備を進めるなど、積極的に環境重視の姿勢をとられております。中でも、河川においてはその流れを先取りする形で、既に景観や生態系に配慮した多自然型川づくりを推進していると伺っておりますが、その取り組みの内容や成果につきましてもあわせてお聞かせ願いたいと思います。
 次に、本県における公共事業の推進についてお尋ねします。
 社会経済情勢が大きく変化する中にあって、近年、公共事業のあり方について効率性や効果など、さまざまな観点から幅広い議論が行われているところであります。公共事業は、申し上げるまでもなく、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、公共の福祉の増進を目的として実施されているものであり、この趣旨は、建築基準法、道路法、河川法等の第1条に明記してあり、県民の暮らしや産業活動を支える基礎を形づくるという大きな役割を担っております。広大な県土を有する本県においては、県民が生き生きと暮らし、また、活力ある経済活動の展開を確保していくためには、こうした社会資本の整備が極めて重要であり、また、21世紀に向けて、県勢をさらに発展させる基礎となるこうした社会資本の整備が行われて初めて、知事が目指しておられる夢県土いわてが実現されるものと考えるものであります。
 そこでお尋ねしますが、広大な県土を有する本県において、今後さらに公共の福祉の増進を図り、県民の暮らしの向上と産業振興を図る上で公共事業の積極的な推進が重要と考えるものでありますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、宮古-盛岡間の横断道についてお伺いいたします。
 東北地方、とりわけ北東北について、国土の骨格をなす縦横の道路ネットワークという視点で考えますと、縦軸の道路整備が進んできている今、一般国道106号は一般国道46号と一体となり、太平洋と日本海を結ぶ21世紀に向けた交流・連携を支える横軸の骨格路線として、より一層重要であり、かねてより私は、このように県境を越え、横軸を形成する広域的交通を支える根幹的路線については、本来、国の直轄管理とし、しかるべき整備を行うべきであると強く主張しているところであります。宮古地方生活圏にとっても、県都盛岡と連携し、活力ある地域づくりを行うためには、早急にこの路線整備が必要であると考え、昨年8月2日には、川井村区界において、地域が一体となり、宮古・下閉伊、盛岡地区の住民1、000余名の参加のもと、国道106号高規格化整備促進総決起大会を開催し、路線全体の整備促進について決議を行ってきたところであります。このような中、昨年12月には、宮古沿岸地域にとって待望であった三陸縦貫自動車道の宮古道路が新規着工準備箇所に採択され、さらには、宮古盛岡横断道の宮古市街地からの約9キロメートル区間が、地域高規格道路の調査区間として指定されたところであり、これら一連の朗報は、宮古沿岸地域の住民としてまことに喜びにたえないものであり、改めて関係各位に対し深く感謝申し上げます。
 そこで、この地域高規格道路について、現在事業が進められている川井村達曽部道路や盛岡市簗川道路の県事業、盛岡市都南川目道路の直轄事業、また、今回指定を受けたこの宮古の調査区間を含め、今後どのように整備していくお考えなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、水産物の安全性の確保についてお伺いをいたします。
 最近、四季を問わず食中毒が発生し、食品の安全性の確保が強く求められているところであります。水産物につきましても、まさか出るとは思ってもいなかった病原性大腸菌O-157が昨年6月、北海道産しょうゆイクラで発生して以来、腸炎ビブリオ等による食中毒事件が多発し、安全性に対し国民の厳しい目が向けられております。本県は三陸の豊かな漁場環境を生かし、つくり育てる漁業の先進県として、アワビ、ウニ、ワカメ、カキ、ホタテガイ等の魚介類を育て消費者に提供してきたところであり、また、サケは本州一の生産を誇り、その卵でつくったイクラは鮮度管理の徹底がなされ、中央市場でも高い評価を受けております。本県の水産物は、三陸のきれいな海で生産され新鮮さが特徴であり、私はこれを前面に出していくことが大事なことであると考えております。しかし、消費者は安心して食べられる食品を求めてきております。水産物を供給する側は、新鮮さに加えて、安全性の確保が重要であると考えるものであります。県は、水産物の流通加工の振興を図るため、食品として安全性を確保することが重要であるとの考えから、いち早く新しい食品衛生管理方式、いわゆるハセップ方式の導入促進に努めているようでありますが、その取組状況、今後の展開方向についてお伺いをいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 伊藤勢至議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県議会の招集についてのお尋ねでございますが、御承知のとおり、県議会の招集は地方公共団体の長である知事の権限とされており、また、定例会の回数は、県条例により毎年4回と定められております。
 昨年6月の県議会定例会でございますが、これは、本県におきましても極めて厳しい経済情勢を踏まえて、国の総合経済対策に係る関連予算などを速やかに議決いただく必要がありますことから、議会の御協力をいただきまして、前例にとらわれず、早期に招集し、関連議案などを議決していただいたところでございます。
 現在、国におきまして、地方分権推進計画を具体化するための関連法案が今国会に提出される予定であるなど、地方分権の動きが加速してきているわけでございます。地方公共団体の役割がますます重要になっていく中で、本県が地域主権時代の到来に的確に対応し、21世紀に向けて輝きのある岩手づくりを進めていくためには、これまで以上に県と市町村とが密接な連携を図っていく必要がございますし、また、議事機関としてのそれぞれの地方議会の果たす役割もますます大きく、かつ重要になっていくものと、考えております。
 したがいまして、今後におきましても、こうした県議会の招集については、その時々の社会・経済情勢などを踏まえながら、行政課題に迅速かつ的確に対応できるよう、議会の御理解をいただきながら対応してまいりたいと考えております。
 次に、公共事業の推進についてでございますが、議員御指摘のとおり、これまで公共事業が果たしてきた役割には極めて大きなものがございまして、蓄積された社会資本は、県民の暮らしと、そして、活力ある産業活動を支える基盤として貢献してきたものと認識しております。
 私は、21世紀を展望し、多軸型国土構造の形成と地方分権型行政システムへの転換が求められております今日、それぞれの地方が自立的に発展していくための基礎的・社会的条件を整備する上で、社会資本の充実が極めて重要な課題であり、社会資本の整備がおくれている本県においては特に重要な課題であると、このように考えております。
 また、人々の価値観が環境との共生や持続可能な発展を重視する方向へと大きく転換してきており、豊かな環境を持つ本県がその資源を十分に生かしていく上で社会資本の整備が大変重要になってくるものと、このように考えています。
 したがいまして、引き続き、東北新幹線の盛岡以北の部分、花巻空港、高規格幹線道路、地域高規格道路などのいわゆる道路交通網、物流拠点としての港湾の整備、また、高度情報化の急速な進展に対応した情報通信網の整備などを積極的に進めるとともに、森林の公益的機能の確保や治山・治水、さらには農地の整備などを進めまして、地域の個性や特性を生かして、本県の潜在的な価値がより多く引き出せるような社会資本整備を行っていくことが重要であると考えております。
 本県におきましては、目下、厳しい財政環境下にあるわけでございますが、限られた財源の効率的、効果的な活用のため、事業の重点化と事業評価を徹底しながら、ただいま申し上げたような考え方に基づきまして、21世紀の新たな岩手づくりにつながっていく社会資本の整備について、今後とも積極的に推進していくことが必要であると考えております。
 次に、宮古-盛岡間の横断道路についてのお尋ねでございますが、宮古盛岡横断道路でございます一般国道106号は、国道の46号と連結して北東北の骨格道路網を形成し、県境を越えて太平洋側と日本海側を結ぶ地域連携軸の基盤となる極めて重要な路線でございまして、地域高規格道路として、これまでその整備に鋭意努めてきたところでございます。
 現在事業中の達曽部道路につきましては、平成11年度内の完成供用を目指しておりまして、また、簗川道路につきましても、平成11年度からは本線の本格工事に着手したいと考えているところでございます。
 また、直轄権限代行事業としての都南川目道路につきましては、県として都市計画決定等の所定の事務手続を進め、国に対して早期工事着手がなされるよう働きかけをしていく考えでございます。
 また、今回調査区間として指定を受けました宮古市内の約9キロメートル区間につきましては、国施工の三陸縦貫自動車道宮古道路と計画調整を図って、ルートの選定や環境影響評価、都市計画決定などの手続を進めることにより、早期に整備区間の指定を受けて、事業着手ができるように努めていく考えでございます。
 さらに、本路線の残る未整備区間につきましても、今後とも緊急性の高いところから順次整備を進めることとしておりますが、本路線の果たす役割の重要性にかんがみまして、より一層の機能強化を図ることが緊要であると考えておりまして、引き続き国の直轄管理区間となるように国に強く要望をしていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長吉田敏彦君登壇〕
〇総務部長(吉田敏彦君) 県立大学における観光振興を担う人材の育成についてでありますが、県立大学の学部設置に当たりましては、大学に対する社会的要請や進学・就職動向、文部省の認可方針等を総合的に検討した結果、現在の4学部の設置を決定したものであります。
 このうち、総合政策学部におきましては、観光を含む地域産業の振興や環境など広く地域の諸課題に対して、行政、民間を問わず、問題解決に向けた政策形成、企画立案、管理運営ができる人材の育成を目指しており、また、宮古短期大学部の経営情報学科におきましても、同様に観光を含む地域産業の振興に貢献し得る実務型の人材を育成することを目的としておりますことから、観光振興にも対応し得る人材の育成にもつながるものと考えております。
 御提案のありました観光振興を担う人材の育成につきましては、本県の産業振興を考えた場合、極めて重要なものがあると考えておりますが、御案内のとおり、県立大学は開学間もないこともあり、現在、学部の充実に努めるとともに、大学院の設置に全力を挙げて取り組んでいるところであります。
 したがいまして、観光振興を担う人材の育成のための学部、学科の設置等につきましては、今後の社会経済の動向や大学に対する社会的要請などをも踏まえながら、中長期的な課題としてとらえてまいりたいと考えておるところでございます。
   〔企業局長佐藤克郎君登壇〕
〇企業局長(佐藤克郎君) 風力発電及び廃棄物発電の取り組みについてでありますが、風力発電につきましては、従来、売電単価の面で事業化が困難な状況にありましたが、平成10年4月、商業目的で実施する風力発電について、キロワットアワー当たり11円50銭の購入メニューが電力会社から示されたことから、発電事業としての可能性が広がってきたところであります。
 このため、企業局におきましては、現在、風況マップなどをもとに県下全域を対象として開発が可能と思われる地点の選定を進めており、平成11年度には、この中から2ないし3カ所で風況調査を行うことといたしております。今後は、これらの観測地点の調査結果などを踏まえまして、早期に事業化ができるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 また、廃棄物発電につきましては、未利用エネルギーの有効活用を図る観点から、一般廃棄物のRDF化による発電事業の可能性について調査を進めているところであります。その事業化に当たりましては、RDFの安定的な確保や採算性などの課題がありますことから、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 風力などの新エネルギーは、議員から御指摘ございましたように、いわゆるPFI方式による民間事業者の参入が期待できる分野とされておりますが、企業局といたしましては、岩手県新エネルギービジョンの趣旨を踏まえ、自然条件など地域特性を生かした発電の事業化に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) まず、中山間地域への風力発電の導入対策についてでありますが、県では、地球環境問題への対応や、本県の豊かな自然を生かし、人と自然との望ましい共生を図っていく観点から、昨年度、岩手県新エネルギービジョンを策定し、太陽光や風力など環境に優しい新エネルギーの導入促進に努めているところであります。
 風力発電につきましては、平成10年度から新規事業として風況概査事業に着手し、発電適地の選定を進めておりますが、この調査事業においては、過去に作成した風況マップで適地とされた議員御指摘の北上高地や奥羽山脈等の山地地域を中心に調査を行っており、今年度は、釜石市和山地区、安代町安比高原地区、浄法寺町稲庭地区を対象に、発電に重要な時期である秋から真冬にかけての調査を実施し、良好なデータを得たところであります。
 今月中旬には、企業局を含む県関係部局、地方振興局、そして、風力発電に関心のある市町村及び民間事業者の参加による岩手県風力発電導入促進研究会を開催し、この調査データの公表並びに検討を行うとともに、国の支援内容等の情報交換を行ったところでありますが、今後、これらの参加者の中から将来の事業化を目指した動きが出てくるものと期待しているところであります。
 県といたしましては、今後とも風況概査事業を積極的に実施し、発電適地の掘り起こしに努めるとともに、市町村との連携を図りながら、さまざまな機会を利用して発電事業主体の発掘とその事業化を促進するなど、中山間地域などへの風力発電の導入促進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、JR山田線のダイヤ強化についてでありますが、盛岡-上米内間の往復ダイヤにつきましては、これまでの要望が実り、昨年末のダイヤ改正において朝の通勤時間帯に1往復の増発が実現したところであり、また、盛岡-宮古間のダイヤにつきましても、通勤・通学等の利便性の向上に加え、新幹線の時間短縮効果の沿岸部への波及や内陸部との交流の促進が期待されることから、快速列車の増発やスピードアップ等を引き続きJRに要望してまいりたいと考えております。
 次に、盛岡環状線構想についてでありますが、議員御指摘のように、盛岡市及びその近郊の交通渋滞の緩和や自動車に過度に依存しない環境に優しい交通体系の構築は今後の交通政策を進める上での重要な課題の一つと認識しており、鉄道やバス及びマイカー等の各交通手段が相互に連携を確保しつつ、適正な役割分担のもとにその機能が十分に発揮できるような交通マネジメント及び交通ネットワークのあり方を研究してまいりたいと考えております。
 次に、三陸鉄道の経営見通しと支援策についてでありますが、まず、平成10年度の収支見込みと今後の経営見通しにつきましては、本年1月までの乗車人員の減少傾向がこのまま推移しますと、本年度の利用者数は昨年度から約13万人減少し、開業初年度の約6割に当たる156万人程度になると見込まれております。また、経常損益につきましては、徹底した業務見直し等の経費節減と昨年度の運賃改定により、本年度は利用者数の大幅な減少見込みにもかかわらず、昨年度比で約800万円減の2、080万円余の経常損失額を計上する見込みであります。
 三陸鉄道の会社経営は、沿線人口の減少やマイカー利用の増大等により依然として厳しい状況にあることから、今後、鉄道輸送サービスの利便性と経営の健全性を確保していくためには、地域住民の鉄道離れに歯どめをかけるとともに、沿線地域の振興と一体となった特色ある運行を促進していくことが必要不可欠と考えております。
 また、会社に対する沿線市町村及び県の支援につきましては、平成11年度におきましても引き続き三陸鉄道運営助成基金の制度を活用し必要な支援を行うとともに、三陸鉄道強化促進協議会により利用者補助制度を実施するほか、沿線市町村のイベント等と連携し、山田線及び大船渡線を活用して内陸部との交流を促進する企画列車の運行や久慈-仙台間直通のリアス・シーライナーを八戸まで延長して運行するなど、市町村と県の適切な役割分担のもとに経営改善に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、三陸鉄道の資産譲渡問題についてでありますが、昨年12月3日には、運輸省、国鉄清算事業団解散後の鉄道公団清算事業本部、三陸鉄道及び県の4者間で、結論のいかんにかかわらず実施しなければならない事務的な作業についての情報交換を行い、これを受けて、1月中旬から沿線市町村の協力を得て、鉄道公団清算事業本部により、鉄道施設に係る土地の調査確認、確定作業が進められているところであります。
 また、先行して受け入れを表明した他の第三セクター鉄道の取組状況などを参考にしながら、現在、譲渡を受け入れたと仮定した場合の諸課題、特に固定資産税や災害発生時の復旧費用の負担に関し、会社に対する支援のあり方及びそれに伴う財政負担への影響について試算を進めているところであります。
 いずれ、この問題につきましては、大変大きな問題であると認識しているところでありまして、会社を中心に、県、沿線市町村との間で議論を尽くしてまいることとしており、無償貸付を受けられる期限が平成11年度いっぱいとされていることから、この問題は、最終的には会社としての判断及び意思決定になるわけですが、今後の手続に支障が生じることがないよう、遅くとも本年夏までには結論を出していく必要があるものと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、リハビリテーション医療体制についてでありますが、リハビリテーションは、患者、障害者の方々の社会復帰の促進や障害の悪化の防止等にとって重要なものと考えております。このため、リハビリテーション医療の体制整備の基本的な方向としては、急性期、病状回復期、慢性期といった患者の方々の状態に合ったリハビリテーション医療が提供できるよう、体制整備を図っていくことが必要であると考えております。
 いわてリハビリテーションセンターは、県下全域を対象とした中核施設として急性期病院等との連携をとりつつ、主として病状回復期の患者の方々に対してリハビリテーション医療を実施するとともに、県内のリハビリテーション体制の強化を図るため、同センターの専門スタッフの地域への派遣や、市町村や医療施設等の職員の方々に対する研修などを実施しているところであります。
 さらに、地域支援を推進するため、本年度、いわてリハビリテーションセンターと沿岸地域の宮古市及び久慈市の地域リハビリテーション実施機関との間を動画像のネットワークで結ぶ遠隔リハビリテーションモデル事業を開始することとしております。
 今後とも、地域のリハビリテーション医療の体制整備の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県立松山荘の改築整備についてでありますが、救護施設県立松山荘は、御案内のとおり昭和48年に設置され、25年を経過し、建物が老朽化していることからこれまでも適時、必要な修繕等を行ってきたところでありますが、さらに、入所者の安全を確保する観点から、平成9年度に建物の老朽度調査を実施したところであります。調査結果は、地盤沈下等により建物全体に亀裂が見られる等劣化が進んでおり、近い将来には改築が必要であると判断されたところであります。
 また、当施設では、地域の高齢者の方々へお弁当の宅配事業や施設開放等を行い、また、地域の方々がスポーツ大会や松山祭に参加されるなど、温かい御協力や御支援のもとにさまざまな事業を展開しております。このように、地域の方々と施設との良好な関係や施設の円滑な運営などを考慮すれば、現在地で施設を改築することが適当ではないかと考えているところであります。
 いずれにしましても、整備検討委員会を設置し、入所者の自立化や高齢化、障害の重度化に適切に対応することができるよう、施設の機能の充実を含め、そのあり方を検討してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) まず、北上川清流化対策に係る最近の情勢と県の取組状況についてでありますが、旧松尾鉱山に係る坑廃水中和処理事業は、昭和57年4月以降、国の補助事業により、現在の新中和処理施設を県が事業主体として金属鉱業事業団に委託し施設の維持管理に当たっておりまして、現在に至るまでの間、大きな事故もなく推移しているところであります。
 しかしながら、この対策を開始して以来20年以上経過しておりまして、また、半永久的に事業の継続が見込まれるという状況から、関係者間に意識の風化が進まないよう、昨年5月、庁内に関係部の次長で構成する北上川清流化確保対策連絡会議を設置いたしまして、改めて現状課題等について検討、協議を行ったところでございます。
 また、この会議における協議結果を踏まえまして、昨年11月には、国の関係5省庁の担当者に対しまして現地報告会という形で対策の現状を説明し、改めて県が抱える課題等について認識を深めていただいたところであります。
 また、処理施設は昭和57年の運転開始から既に17年を経過しておりますことから、現在、配管設備の更新を行い、安全性の確保と処理能力の向上を図っているところでございます。
 さらに、通商産業省においては、平成11年度から3年間をめどといたしまして、坑廃水処理に係る省エネルギーによる技術開発を目的とした総合実証実験を行うこととしておりますが、このことは当施設の改善にもつながると見込まれますことから、県としても積極的に協力してまいりたいと考えているところであります。
 また、清流化対策の技術や成果を広くアピールし、情報発信地を目指すべきとの御提言についてでありますが、事業の委託先であります金属鉱業事業団におきましては、平成5年度から、これまでに蓄積されました鉄酸化バクテリアによる鉱山廃水処理技術を中国において普及するための研究協力事業を進めておりまして、さらには、地球環境保全の観点から、開発途上国を初めとして広く海外に普及啓発をするということを伺っております。
 また、平成9年10月にはAPECの第1回環境協力ワークショップが松尾村で開催されましたが、その際にも、中和処理技術や本県の取り組みがアメリカ、中国を初め、15カ国の参加者に紹介されたところでございます。
 県としましても、こうした取り組みは御提言の趣旨に沿うものと考えられますことから、今後におきましても、金属鉱業事業団と連携をとりながら、あらゆる機会をとらえて国の内外へ積極的な情報発信に努めてまいりたいと考えております。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 河川の管理についてでありますが、河川の適正な維持管理は、河川整備と同様に治水対策の重要な課題であると考えているところであります。
 河川においては、常に土砂の浸食と運搬・堆積が繰り返されているもので、これは自然の営みであり、河川の景観や貴重な生態系をはぐくんでいるものと理解しております。このため、河道への人為的な関与につきましては、生態系などを考慮して、慎重に対応することが必要と考えております。
 しかしながら、洪水などにより河道断面を狭める異常な堆積が発生し、かつ越水の危険がある箇所につきましては、緊急性などを考慮して、出水に備えて河川維持修繕事業等により河道掘削や支障木の伐採を行っており、平成10年度におきましても、宮古地区では閉伊川、長沢川等で河道掘削を行ったところであります。
 なお、河道掘削に当たりましては汚濁の発生を伴うものでありますので、施工に際しましては、生態系への影響をできるだけ少なくするよう努力しているところであります。
 今後とも、河川の維持管理につきましては、関係する地域住民の御意見をお聞きしながら、地域と一体となった河川管理に努めてまいりたいと考えております。
 一方、河川が本来持つ豊かな自然環境を保全するため、河川環境管理基本計画を定め、それぞれの地域の特性を生かした河川の整備や保全に取り組んできているところであります。具体的には、河道の瀬やふちを生かすなど、景観や魚類、水生動植物の生態系に配慮した川づくりに努めているとともに、水質の悪化が進んでいる河川においては、河床のヘドロのしゅんせつを行い水質改善を図り、シジミ貝の生息できる水環境を再生するなど積極的に取り組んでおり、その成果も着実に上がってきているところであります。
 県といたしましても、地域の特性を十分に把握し、なお一層、岩手の風土に調和した多自然型川づくりの推進に努めてまいる考えであります。
   〔林業水産部長渡辺勲君登壇〕
〇林業水産部長(渡辺勲君) 水産物の安全性確保についてでございます。
 議員お話しのとおり、本県はイクラや一粒カキなどの生食用の水産物を多く生産しておりますことから、新鮮さに加えて安全な水産物の提供に努めていくことが、本県水産物の消費拡大ひいては本県水産業の振興を図る上で、極めて重要であると認識してございます。このため、県におきましては、これまでの製品の抜き取り検査だけではなく、食品の生産、加工、流通など、各工程においてチェックする食品衛生管理方式、いわゆるハセップ方式が食品の安全性を確保する上でよりすぐれた方式とされておりますことから、その導入促進を積極的に進めてきているところでございます。本年度は、漁業者、魚市場、加工業者等、水産関係者からなるハセップ推進のための委員会を設置し、ハセップの基本となる一般的衛生管理対策から取り組むこととして、関係者に対し理解を求めてまいったところでございます。その結果、既に一部の産地魚市場や水産加工場におきまして作業工程の改善がなされるなど、ハセップ方式を目指した衛生対策が進んできております。
 今後におきましては、食品の安全衛生に関する全国的な専門機関による個々の産地魚市場や水産加工場の衛生診断の実施、青年水産加工協議会が主催する現場従事者に対する専門研修の充実強化などを図ることにより、ハセップ方式の普及・啓発に取り組むとともに、国や県の補助融資制度の活用により、ハセップ方式導入に向けた施設の改善等を積極的に促進してまいりたいと考えております。
〇17番(伊藤勢至君) ただいまは、知事を初め関係部長からの御答弁ありがとうございました。2点について再質問をさせていただきます。
 まず、観光という部分についてでありますが、観光学部の設置は中長期的な課題と、こうおっしゃいました。中長期的とは何年なんだろうという思いがありますが、いずれそれには触れませんが、この観光という部分につきまして、私は県外からの、お金を導入する大事な事業ととらえたいと思っております。つまり、外貨を働き出す大きな事業部門と思いますと、この部分に専門家を配置して、ある程度長く対応していただかなければいけないのではないかと考えます。四国4県よりも広いこの県土をすべて知るまでに、1年、2年はかかってしまう。そういう中で2年ぐらいの間隔で担当部署の方がすぐ異動、転勤をされるというのは、大変もったいないことだと思っております。したがいまして、ぜひそういった観点からも、あるいは市町村と連携して外貨導入を図ろうという観点から、専門職をある程度の期間配置をして外貨導入に努めるべきと、これが本来の観光のあり方であっていいのではないかと思うわけであります。また、観光といいましても、歴史、文化、風土、習慣、あるいは新しいレジャー産業まで本当に多岐にわたるわけでございまして、一部門のプロパーだけでは相済まない部分があります。そういう点からいきますと、県立大学の中に総合的な研究部門を設ける、あるいはそのような教育を受けたまたは受けている人を、今後もその部署に長く置いて、ぜひとも県内外からの外貨導入に努めていただきたいと思うのでありますが、商工労働観光部長のお考えをお示しいただきたいと思います。
 それからもう一つ、ハセップの問題であります。このハセップというのは、大変今までになかった水産業界にとっては革命的になり得る大きな衝撃だと思います。つまり、そもそもアメリカのNASAの航空宇宙局で始まったようでありますけれども、宇宙に宇宙飛行士を出してやった場合、宇宙食の中に病原菌等がもし万一あったとすれば、宇宙には病院も救急車もないので、絶対に安全なものをということで始まったんだと思います。そういう中で、収穫から食品に加工するまでの全工程を安全にというのは、大変厳しい難しい部分がございます。収穫をしたときの入れる倉庫、水、氷あるいは市場にべた置きをする部分、あるいは市場そのものがオープンスペースになっておりますから、いろんな鳥類が入ってきてふん尿をするかもしれない。あるいは市場の職員があるいは車が、直にべた置きをした地面を走ってしまう、あるいは長靴からいろんな菌が入るかもしれないということを追求していくことになりますので、えらい大きなお金のかかる部分だと思います。ただ、一方では、そういう制度に対応した製品なり商品なりをつくっていきませんと、市場の方で選別をされてしまうのかもしれない。ただ、大きなギャップに今悩んでおるのが水産業界の皆さんだと思うのであります。つまるところは、確かにそういう制度を採用したいし対応を積極的にやっていきたいんだけれども、今の経済状況ではなかなか大変であり、必ず設備投資等あるいはお金の問題になってまいります。これはまた、大きな面では国策として取り組んでいただかなければならない部分かもしれませんが、県としても普及啓発運動はもちろん大事なことでありますが、あわせて、積極的に導入をしようという方たちに対する昨年の6月の経済対策にも似たような、県版の対応策といいますか、資金の貸し付け等の制度を支援策としてつくっていただくのが必要だと思うのですが、この2点についてお伺いをいたします。
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) 観光行政担当職員の在任期間といったような問題でありますが、職員の配置については、原則といたしまして、同一の職場で一定年数の経過職員を対象といたしまして、配置がえが行われているということでございます。観光担当の部門におきましても、施策の立案そして事業企画、また、関係団体の指導監督など、観光部以外の部門と同様な行政事務も所掌しているということもありますし、それから、何分にも、変化する観光情勢に的確に対応していくということになりますと、適時に新たな人材を投入いたしまして、そして斬新な発想で取り組むということも必要でございます。そういう考え方から、配置がえが行われているということでございます。
 今後におきましても、議員お話しのありましたように、観光産業は大変すそ野が広く幅広い知識も求められるという職務でございますので、研修や先進事例の調査研究、こういうことを通じまして、観光担当職員として必要な能力の養成に努め、そして民間との協調によりまして、民間活力も活用しながら、全体として効果的な観光振興が図られるような人員配置を配意してまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長渡辺勲君登壇〕
〇林業水産部長(渡辺勲君) ハセップ方式導入のための国及び県の支援策についてでありますが、国におきましては、これまでの水産加工資金、水産加工経営改善促進資金などの融資や施設整備などの補助金等々に加えまして、昨年7月に制定されました食品の製造工程の管理の高度化に関する臨時措置法、いわゆるハセップ手法支援法でございますが、これによりまして新たに長期の低利融資措置がなされるなど、その補助・融資制度の充実強化が逐年図られてきているところでございますし、また、県といたしましても、県の単独事業として、水産加工機械類貸与事業等による支援も指摘してきているところでございます。
 今後、ただいま議員お話しのとおり、このハセップ方式導入の重要性にかんがみまして、この方式導入のために、県といたしましても国の働きかけを強めることも含め、一層の支援策の強化に向けて努力をしてまいりたいと考えてございます。
〇議長(那須川健一君) 次に、伊沢昌弘君。
   〔12番伊沢昌弘君登壇〕(拍手)

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