平成11年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇20番(折居明広君) 自由公明県民会議の折居明広でございます。
 今任期最後の定例会において、会派を代表し、質問する機会をいただきましたことはまことに光栄であり、まずもって心から感謝を申し上げる次第であります。
 さて、増田知事には、平成7年4月に就任以来、県民に開かれたわかりやすい県政の推進を基本姿勢として、戦後まれに見る厳しい財政状況下においても、持ち前の行動力で力強く県政を推進しておられますことに対し敬意を表し、エールをおくる次第であります。今後とも御健康に留意され、英知と勇気と情熱を持って頑張っていただきますよう期待するものであります。
 以下、順次質問いたします。
 最初に、平成11年度当初予算についてお伺いいたします。
 景気回復のために、国が財政構造改革を凍結する中で、県は行財政システム改革指針に基づく財政健全化の方針を堅持するために歳出を抑制しつつ、しかも当面の最重要課題である経済対策にも力を入れるなど、厳しい中で予算編成に取り組まれた当局の皆様方の御努力を多とするものであります。平成11年度の当初予算は、昨年度当初に比べて3・1%の増、また地方財政計画の1・6%を上回るものとなっておりますが、時宜を得た積極的な予算編成と私は評価するものであります。我が国の経済動向は、個人消費や住宅建設が依然として低調であり、景気は低迷状態が続き、極めて厳しい状況にありながらも、最近は幾分改善の動きもあると言われております。一方、県内の景気動向を見ますと、大型小売店販売と住宅建設が前年を上回っているものの、乗用車の販売台数は依然として低水準にあり、鉱工業生産も前年水準を下回っております。雇用情勢は、有効求人倍率が依然として低下傾向にあり、県内景気は引き続き厳しい状況にあると言えましょう。
 県は、平成11年度の予算編成に当たり、特に景気対策等に積極的に取り組まれておりますが、景気の影響を直接に受ける雇用、あるいは中小企業への対策についてどのような観点から措置されたのか、具体的対策も含めてお聞かせ願います。
 次に、北東北知事サミットについてお伺いいたします。
 質の高い自立的な地域社会を形成していくためには、行政単位の枠を越えて県内外でいろいろな地域連携を推進し、各地域がそれぞれの特性に応じた役割を担い、総体として地域の発展を図っていくことが重要であります。現在、県ではさまざまな連携・交流を展開しておりますが、特に本県と青森、秋田両県との共通の歴史的、文化的背景や地理的条件、あるいは連携・交流を支える基盤整備の進展などを考えるとき、この北東北3県の連携を強化していくことは極めて重要であると思います。北東北3県では、昨年度から北東北知事サミットを開催し、共通の政策課題について意見交換をしておりますが、その成果が着実に上がっていくことを大いに期待するものであります。
 そこでお伺いいたします。
 知事は、北東北知事サミットの意義をどのように認識しておられるのか、また、これまでの成果と今後の取り組み方向等についてどのように考えておられるのかお聞かせ願います。
 次に、県立大学の大学院整備についてお伺いいたします。
 待望久しかった県立大学が、昨年4月に開学いたしました。以来、大学では西澤学長のもとに全学一丸となって、全国マルチメディア祭やノーベル賞受賞者とのフォーラムなどの開学記念イベントを初め、全国規模の本格的なイベントを数多く開催しており、県内外より高い評価を得ていることは御同慶にたえません。また、大学施設の地域開放や大学内外での公開講座の開催など、学長を初め、県立大学スタッフの活動には目をみはるものがあります。まさに、実学・実践、地域貢献という建学の理念にふさわしい県民の期待にたがわぬ大学運営を目の当たりにし、力強く感ずるものであります。
 さらに、県立大学では、大学院基本構想を策定し、知事も先般これを了承したと伺いました。構想によれば、県立大学の教育研究機能の一層の充実強化を目指して、4学部すべてに大学院研究科を整備するほか、特に緊急性の高いソフトウェア情報と総合政策の2学部については前倒しの方向で、本年6月には文部省への申請を行い、12年4月、開学の予定とのことであります。私は、県立大学が開学して間もないこの時期に、さらに高度な教育研究を目指して、大学院の整備に取り組まれていることに敬意を表するものであります。さきに策定された岩手県立大学大学院基本構想に対する知事の御所見と、今後の大学院整備への取り組みについて御説明を願います。
 次に、環境政策についてお伺いいたします。
 山紫水明という言葉には、豊かな自然、澄み切った空気と清らかな水をイメージさせる響きがあります。環境を論じるとき、まさしくすべてが澄んだ空気と水に集約されていくように思われます。私は、市内を貫流する中津川の流れのほど近くに住まいしておりますが、この川がいつまでも美しく清らかな流れを保ち、未来の子供たちも感動にふるえながらサケの遡上に出会える川であること、これこそがより具体的な環境の保全と創造の好例ではないかと考えるものであります。
 さて、環境をめぐる昨今の課題は、地球規模の温暖化問題から毎日のごみ問題、そして環境ホルモンの問題まで、今やマスコミに取り上げられない日はありません。岩手県環境の保全及び創造に関する基本条例には、環境が人間のみならず、すべての生命の母体であることを深く認識し、環境の保全と創造に向かって地域からの一歩をとうたってありますが、岩手の自然環境こそ、全国に向けて発信できる魅力と可能性があると私は信じております。例えば、県土の約80%が森林、原野、河川、湖沼であり、どこに行ってもおいしく冷たいわき水が飲めますが、これほどすばらしいことはありません。県の環境白書によれば、全般的には良好な状況で推移しているとしながらも、懸念されるさまざまな問題も併記しております。さきの演述でも知事は、平成10年を環境創造元年と位置づけておりますが、環境政策を積極的に展開していこうとする知事の政策姿勢に共鳴するものであります。県議会でも環境福祉常任委員会、あるいは環境・エネルギー対策特別委員会等を設置しており、2,4,5-T系除草剤の恒久対策の請願を採択するなど、環境に重点を置いた取り組みを真剣に進めておりますが、知事は、環境創造元年をどのように総括し、今後環境の保全と創造に向けてどう取り組んでいくおつもりなのか、基本的考えをお示し願います。
 次に、少子化への取り組みについてお伺いいたします。
 先般、県が公表した岩手県少子化に関する意識調査によれば、県民の多くが子供の数を理想としては3人、現実には2人が限度で、回答者の半数以上が予定の子供数を2人以下にすると答えております。その理由として、子育てにかかる経済的負担や育児の体力的・精神的負担、仕事に差し支えるなどを挙げております。原因として、子育てや教育費の負担、仕事と子育て両立のための就労条件や保育所など社会的仕組みが未整備、晩婚化、非婚化等々を指摘しております。また、子供を安心して生み、健やかに育てることのできる環境整備についての行政に対する要望では、子育てに伴う経済的負担の軽減を求めている人が約7割と圧倒的に多く、具体的には子育て費用全般、教育費、保育料などを挙げております。次いで、育児休業制度など就労条件の整備、ゆとりある教育の推進、多様な保育サービスの充実などが続いております。
 今回の調査結果は、深刻な少子化の実態を浮き彫りにしたものであり、少子化のみならず、結婚観、子育て観、女性の子育てと仕事等子育て環境に関する県民の意識が広く包含されており、近未来の子供たちを取り巻く社会や家庭の断面を予測させ、多くの示唆を与えております。私は、この際、個人の望む結婚や出産を妨げている要因を取り除くべきであり、行政にも総合的、積極的な少子化対策を強く求めるものであります。21世紀は、子供を生み育てることに夢を持てる社会を構築していくことが肝要であります。知事は、この調査結果をどうとらえ、どのように取り組んでいこうとしているのかお伺いいたします。
 次に、高齢者保健福祉対策についてお伺いいたします。
 平成12年4月の介護保険制度の施行を控え、現在介護サービスの基盤の整備などが急がれております。もとより、介護保険制度の円滑な施行は極めて重要でありますが、介護保険制度のみですべての高齢者保健福祉問題が解決するというわけではありません。要介護状態にできる限りならないようにするための予防対策や、ひとり暮らしの高齢者に対する生活支援といった、介護保険では給付されない社会サービス等を地域で総合的に展開していくことも、今後の高齢者保健福祉行政の大きな課題であると思います。
 今、ひとり暮らしや高齢者のみの世帯が年々増加しております。県の平成10年度の調査によれば、援護を要しない一般高齢者で40%、在宅要援護高齢者で31%、施設の要援護高齢者においては約半数となっております。今後は、介護保険施設やサービスの充実にあわせ、常時の介護は必要としないが在宅でのひとり暮らしが困難な高齢者や、要介護状態の改善等により特別養護老人ホーム等から退所する高齢者等が、できる限り住みなれた家庭や地域の中で安心して生活できるようにする共同住居の整備を進めることが重要ではないでしょうか。積雪寒冷地や過疎地を抱える本県においては、高齢者の年間を通じた生活支援体制を確立することが特に必要であると考えます。
 県は、このような生活支援機能を有し、在宅生活を支える施設の整備についてどのように考えておられるのか御説明願います。
 次に、西暦2000年を迎えるとコンピューターが誤作動するという、いわゆる2000年問題についてお伺いいたします。
 最近の報道によれば、中小企業を中心に産業界や地方自治体などのプログラムの修正作業がおくれており、不完全のまま2000年を迎えるだろうと言われております。また、電子機器などに使われている日付管理のソフトウェアを組み込んだ半導体チップの対策も進んでおらず、そのためにコンピューターの誤作動が全国規模で同時に多発し、大混乱が発生する恐れもあるとのことから、国では昨年9月、行動計画を策定し、各省庁や地方自治体、民間企業に対しその対応を求めております。現時点においては、2000年問題による混乱の程度までは予測できないものの、その時期は確実に到来いたします。特に、電気、水道、交通機関などのライフラインや病院、自治体など、生命、財産や社会生活に密着した部門においては、みんなが安心して2000年を迎えられるような対策の徹底が望ましく、またコンピューターや各種電子装置を使う自治体や公共機関などは、みずから2000年問題への対策の進展状況を随時公表し、また危機管理策はどうかなど、早急に県民に知らせることが大切であると思います。県ではこの問題をどのように認識し、どのように対応しようとしているのか、市町村の取り組み状況もあわせてお伺いいたします。
 また、昨年末における中小企業庁の調査では、日本の中小企業のうち、約3割がまだ対策を講じていないとのことであります。県においては、本県の中小企業や一般の商店等の2000年問題の取り組みをどのように把握し、どのように指導、支援しているのかお尋ねいたします。
 また、中小企業向けの2000年対策用としての融資制度はあるものの、予算枠が限られているためか、審査が厳しすぎるという声も報じられておりますが、県内における実情はどうでありましょうか、その点もあわせてお伺いいたしたいと思います。
 次に、盛岡広域圏に係る諸問題について大きく2点お伺いいたします。
 まず第1に、東北新幹線盛岡以北開通後の盛岡市発展の方向性についてお伺いいたします。
 平成11年度は、盛岡以北に建設事業費が対前年度比で2・6%の増の632億円が配分されました。早期開通に向けて着々と環境整備が進められており、それはそれとして喜ばしいことでありますが、一方、4年後に盛岡以北が開通すれば、県都の盛岡市が北東北における拠点性を高めつつも、一方、これまでの北のターミナル駅から単なる通過駅の一つになってしまうことに、私はいささか不安を覚えるのであります。私は、このような事態に対処するためにも、早急に県都盛岡市の都市機能を強化充実させ、自然景観や歴史や伝統と、近代的町並みが渾然一体となった魅力のあるまちづくりこそ緊要であると思うのであります。
 具体的には、現在開発を進めている駅西口地区や盛南地区及び中心市街地などと連続する軸状都心の面的整備をより大胆に、かつ積極的に進めることが重要であると考えますが、県の基本的なお考えと西口開発及び盛南開発に係る今後の具体の取り組みについてお聞かせ願いたいと思います。
 第2に、盛岡都市圏の広域行政の推進についてお伺いいたします。
 去る1月、桑島盛岡市長が高橋矢巾町長及び柳村滝沢村長と相次いで会談したことは御案内のとおりであります。合併には特に触れられなかったようでありますが、広域的連携を深めるということで認識の一致を見たというこの会談は、盛岡都市圏が21世紀において北東北発展の先導的役割を果たす上で、また県勢発展の牽引的役割を担う上からも極めて意義深い大きな一歩であったと私は思います。盛岡都市圏では、最近、盛岡市の周辺部に各種ショッピングセンターが出店したり、県立大学を初めとする公共的施設等の建設が進められるなど、都市化の進展により住民の日常生活圏や経済活動の一体化が加速度的に進んでいるように見受けられます。一方、少子・高齢化対策やごみ処理問題等の環境対策、下水道等の生活基盤の整備など、行政需要はますます多様化し、増大しており、厳しい経済環境のもとで市町村財政は逼迫の度を深めております。一体的生活圏域を広域的視点に立って、均衡ある都市の形成を図るためには、広域的連携はもとより、合併を含む広域行政の推進が必要であると私は考えますが、今回の市町村三者会談を踏まえた県の基本的考え方をお伺いいたします。
 また、第25次地方制度調査会の答申及び地方分権推進計画では、都道府県に対して、市町村が合併を検討する際の目安となる、合併のモデル等を内容とした市町村合併推進の要綱の策定を求めておりますが、県ではどのように対応しておられるのか、特にも圏域の一体性の熟度の高いと見られる盛岡都市圏において、今後どのように対応されるおつもりなのか具体的にお聞かせ願います。
 終わりに、中心市街地の活性化についてお伺いいたします。
 モータリゼーションの進展、住宅の郊外化や郊外への大型ショッピングセンターの出店等都市機能の変化に伴う中心市街地の空洞化問題は、地方都市が抱える共通の問題であります。中心地の商店では閉店したり、あるいは平日でも休店したり、昼でもシャッターを閉めている、いわゆるシャッター街化と言われる状況も見受けられるなど、歴史と伝統を持った町並みが無残にも衰退、崩壊していく話を聞くたびに、何とかそれを食いとめられないものだろうかという思いでいっぱいであります。国では、このような状況を踏まえ、昨年7月、いわゆる中心市街地活性化法を施行しており、国や自治体レベルでもさまざまな取り組みが始まりました。東北では、平成10年度において青森県が青森市など3団体、宮城県では気仙沼市など8団体、秋田県は秋田市など5団体、山形県は天童市など4団体、福島県では福島市など10団体において、中心市街地活性化の基本計画を策定済みあるいは策定予定とのことでありますが、本県では遠野市など2団体のみと聞いております。福島県や宮城県の市町村での取り組みが非常に進んでいるようでありますが、県内の市町村の今後の取り組み予定はどうなっているのでしょうか。また、県として、今後盛岡市を初め、県内市町村の取り組みをどのように支援していくおつもりなのか、具体的に御説明願います。
 以上で私の質問は終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 折居明広議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県の平成11年度の予算編成における雇用、中小企業対策についてでございますが、県内の雇用及び中小企業を取り巻く状況は、長引く景気の低迷を反映して、企業倒産や合理化による離職者の増加、受注の減少、販売不振による収益の悪化など、依然厳しい経済情勢にあると、このように考えております。県といたしましては、県民が安心して生活していく上で基盤となる雇用の確保と中小企業の経営の安定を図るという観点から、国の不況対策としての、いわゆる15カ月予算に呼応して、県内景気の回復のため、骨格的予算ながら景気対策に十分配意した予算編成を行ったものでございます。特に、深刻な不況下にある県内中小企業が、資金を円滑に調達できるよう長期、低利である中小企業経営安定資金貸付金を50億円増枠するほか、商工観光振興資金貸付金を10億円、小規模企業振興資金貸付金を6億円それぞれ増枠するなど、中小企業向け県単融資制度資金全体で533億円の融資枠を措置したところでございます。
 また、雇用対策につきましては、国の緊急経済対策の一環として打ち出されました雇用活性化総合プランや、緊急雇用開発プログラムなどによる各種助成金制度の周知とその積極的な活用を図るとともに、中小企業雇用創出助成金や地域雇用開発助成金などの導入による新規産業の創出を促進するなど、県内雇用の場の拡大に努めてまいる考えでございます。
 次に、北東北知事サミットについてでございますが、北東北3県は、雄大で緑豊かな自然の中で、真に豊かな生活を実現できる可能性を持つ地域でございまして、今後21世紀のフロンティアとして発展していくためには、さまざまな分野での交流・連携を促進し、それぞれの役割、機能を分担しながら、その可能性を最大限に引き出していくことが必要であると認識をしておりまして、3県の知事が共通の認識のもとに、その方向性について話し合う北東北知事サミットの意義は極めて大きなものと考えております。
 サミットの成果を幾つか申し上げますと、観光をテーマにした第1回サミットの合意に基づきまして、広域観光キャンペーンの積極的な展開や観光案内板の設置、関連道路の整備などを進めておりまして、また去る2月5日に、3県合同の情報発信拠点として九州地区に開設いたしましたみちのく夢プラザは、予想を上回る反響を得ているところでございます。環境をテーマにした第2回サミットでは、北東北環境宣言を行いまして、先般設置をいたしました北東北環境フォーラムを中心として、子ども環境サミットの開催や緑のグランドデザインの策定、ISO14001の認証取得など、3県の合意事項の具体化に取り組んでいるところでございます。また、このサミットを契機として、市町村や民間レベルでの交流・連携の取り組みが、それぞれの地域で一層活発に展開されておりますことも大きな成果の一つであると考えております。
 次に、県立大学の大学院整備についてでございますが、岩手県立大学大学院基本構想におきましては、未来を切り開く、英知に満ちたひとづくりを行うため、困難に真摯に立ち向かうひたむきな行動力とそれを可能にする知的創造力や、広い視野のもとに深い学識に裏づけられ、時代の転換期にも対応できる高度で専門的な知識、技術を有する人材を養成するものとなっておりまして、私の考えと軌を一にするものであると考えております。また、西澤学長が常々申しております素心知困、すなわちこの意味は、純粋な心を知り、何かをやろうとしたときに自分の力のなさに気づいて学問の大切さを知ると、こういう意味だとお聞きしておりますが、こういう教学の精神の実現に向けても大きく前進するものと確信をいたしております。
 今後におきましては、この基本構想の方向に沿って、特に社会的要請が強く、緊急度の高いソフトウェア情報学部につきましては、当面、博士課程のうち前期2年の課程で20人、後期3年の課程5人で、また総合政策学部につきましては、修士課程10人の定員で平成12年度に、また看護学部及び社会福祉学部につきましては、それぞれ修士課程15人の定員で、平成14年度の大学院設置を目指しているところでございます。現在、夢県土いわて実現への道しるべとなる新しい総合計画の策定を進めておりますが、岩手の未来を担うひとづくりには、県内における高等教育の水準の高度化が極めて重要でありますことから、県立大学が21世紀の岩手の創造に先導的かつ主導的な役割を果たし、我が国はもとより、世界にも開かれた教育・研究の拠点となることを目指して、その整備に全力を尽くしてまいる考えであります。
 次に、環境問題についてでありますが、森や林、清流、海岸など、多様で美しい自然に恵まれた岩手の環境は、過去から現在につながる私たちの暮らしや文化そのものでありました。ふるさとを形づくり、美しい心をはぐくんできた貴重な財産でございます。この先人から受け継がれてきた環境を守り育て、次の世代に引き継いでいくことは、環境の世紀と言われる21世紀において、私たちに課せられた重大な責務であると考えております。このようなことから、私は、平成10年を環境創造元年と位置づけて、環境の保全及び創造に関する基本条例や環境影響評価条例を制定いたしますとともに、ダイオキシン類やいわゆる環境ホルモンの実態調査、自然環境保全指針の策定などを進めてきたところでございます。また、昨年秋には、国際連合大学高等研究所などと連携して環境ネットワーク共同プロジェクトを開始するとともに、環境をテーマとした北東北知事サミットを開催し、北東北3県が連携・協力して環境問題に取り組むことを宣言するなど、広範な環境施策を積極的に推進してきたところでございます。
 このような取り組みをも踏まえまして、先般公表した新しい総合計画の中間報告におきましては、環境を岩手の21世紀の可能性の扉を開く重要なかぎの一つとして位置づけたところでありまして、今後、本県のすぐれた財産である環境の維持、活用を図ることはもとより、環境分野の研究、産業化などにおいても先進的な取り組みを進めることによって、環境に関するさまざまな情報が集まり、また逆に発信する日本の環境首都を目指し、安らぎと潤いのある美しいくにづくりを進めてまいりたいと考えております。
 次に、少子化への取り組みについてでございますが、昨年実施した岩手県少子化に関する意識調査によりますと、本県の出生率が低下を続けている現状について、6割以上の方が問題であると考えております。また、行政が何らかの形で少子化に取り組むことを望む方は8割に上っておりまして、その中でも、個人が望む結婚や出産を妨げている要因を取り除くことを行政に求めている方が多数となっております。このような意識調査の結果から、本県における少子化の現状は大変深刻なものがあると認識しておりまして、行政に対する県民の期待にこたえていくため、今後一層積極的に少子化の問題に対応していく必要があると考えております。
 県といたしましては、これまでも、平成7年3月に策定した岩手県子育てにやさしい環境づくり対策指針に基づいて、子供を安心して生み、健やかに育てることのできる環境づくりに努めてまいりましたが、今回の調査結果を踏まえ、国における最近の少子化対策の状況も参考としながら、来年度は、県民の意見を取り入れながらこの対策指針の見直しを行いまして、多様な保育サービスの提供による子育てと就労の両立支援の充実、生涯を通じた女性の健康支援事業などによる母子保健サービスの充実、いわて女性さわやかプラン推進事業などによる男女共同参画意識の醸成など、結婚や子育てを妨げているさまざまな要因を取り除く施策を展開して、官民一体となった少子化への取り組みを総合的・計画的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、高齢者の保健福祉対策についてでございますが、高齢者が住みなれた地域において生きがいを持って自立した生活を送ることができるようにするためには、高齢者の居住環境を重視し、介護サービスを初め幅広い日常生活支援サービスや介護予防対策、高齢者が住みやすいまちづくりなどを総合的に展開していくことが必要でございます。こうした観点から、独立して生活することに不安のある高齢者や心身機能の改善により介護保険施設を退所する高齢者が、地域で安心して生活できるよう、生活支援機能を重視した施設などの整備は極めて重要であると考えております。このため、県におきましては、これまでも、高齢者が車いす生活となっても、介護サービスなどを利用しながら自立した生活が送れるよう配慮したケアハウスや、過疎地域などにおいて高齢者に対し介護支援や居住、交流などの機能を総合的に提供する高齢者生活福祉センターなどの整備促進に努めてきたところでございます。
 今後におきましては、地域の実情に応じて、介護サービスなどを利用しながら高齢者が年間を通して安定した生活を営めるよう、高齢者生活福祉センターの整備を過疎地域に限定せずに進めるほか、ケアハウスや痴呆性老人グループホーム、さらには、気の合った高齢者同士が共同生活を送るいわゆるグループリビングなど、生活支援機能を有した施設などの一層の整備を図ってまいりたいと考えております。
 次に、コンピューター西暦2000年問題についてでございますが、高度情報化の進展に伴いまして、コンピューターを使ったさまざまな情報処理が生活の身近なところに及んでおりまして、この問題への対応のおくれは、広く県民生活に影響を及ぼすことが懸念されております。このため県では、昨年9月に策定された国の行動計画を受けまして、昨年12月に岩手県対応指針を策定したところでございます。この指針に基づき、県では、各部局ごとに統括責任者を定めて管理体制を明確にするとともに、必要に応じてプログラムの修正などを行いまして、四半期ごとにその進捗状況を把握することとしているところでございます。また、税の総合オンラインシステムや医療の処方オーダリングシステムなどの特に重要なシステムにつきましては、模擬テストを実施するとともに、不測の事態に備えた危機管理計画も策定することとしております。
 現時点におきましては、県が保有する138のシステムがございますが、このうち今年度中、すなわち、ことしの3月末までに約9割のシステムのプログラムの修正作業を終えまして、また、本年9月末までには残りのすべてのシステムの対応を完了する見込みとなっております。こうした対応状況や本県の対応方針の内容につきましては、昨年の12月から県のホームページ上で公開して、県民への周知に努めているところでございます。また、市町村につきましては、本年2月1日現在で対応済みの市町村が24市町村でありまして、残りの35市町村につきましては、現在鋭意対応を進めているところでございます。
 県といたしましては、今後とも対応指針に基づく対策を着実に推進するとともに、県内市町村への指導、助言などによりまして、西暦2000年問題への適切な対応を図り、県民生活に支障が生じないよう万全を期してまいりたいと考えております。
 また、本県中小企業の取り組みについてでございますが、県といたしましては、国の行動計画を受けて、直ちに県内の商工会議所など、商工指導団体を対象とした2000年問題についての講習会を開催し、この問題への迅速な対応に取り組むように指導するとともに、財団法人岩手県中小企業振興公社内に、この問題に対応するためのフリーダイヤルの専用相談窓口を設置して専門相談員を配置したほか、専門家による現地指導の実施など、中小企業に対する所要の支援体制の整備を図っているところでございます。
 一方、県内中小企業の2000年問題への対応状況について、同公社が本年1月から2月にかけて、従業員40人以上の340社を対象として調査したところによりますと、業務用コンピューターについては約7%、そして半導体チップについては約38%の企業が、まだ具体的な対策を講じていないという状況になっております。これらの状況を踏まえまして、さらに調査を継続するとともに、本年の2月10日には、県及び商工指導団体で構成する岩手県中小企業コンピュータ西暦2000年問題対策連絡会議を開催して、広報活動や巡回指導など、中小企業の支援についてなお一層の強化を図ることとしたところでございます。
 なお、コンピューターシステムの更新を図るための融資につきましては、同公社の設備貸与制度、政府系金融機関の融資制度及び県単融資制度などにおいて多様な融資資金が確保されており、県内中小企業の資金需要に十分に対応できるものと考えておりますが、あわせて、各制度の適正な運用が図られるよう努めてまいります。
 次に、県都盛岡の軸状都心の整備についてでございますが、盛岡都市圏は、北東北の主要交通網の結節点にあることなどから、この圏域の特色を踏まえ、県都として、また北東北の拠点都市としてふさわしい都市機能の充実と質の高い都市環境の創造が重要でございます。このため、現在進められている新市街地と既存市街地とを連担させる軸状都心構想については、その早期実現を図ることが緊急の課題と認識しております。
 具体的取り組みとして、県ではこれまで、盛岡駅西口地区におきましては、盛岡市が進めている都市基盤整備を積極的に支援するため、地区開発の先導的役割を担うインテリジェントビル・マリオスなどの整備に参画したほか、特定優良賃貸住宅などの建築を進めてきたところでございます。また、県有地の活用につきましても、立地特性を生かし、広く県民が集うことのできる施設整備を目指し、平成11年度の早期における基本計画の策定に向けて、今、鋭意取り組んでいるところでございます。さらに、盛岡南地区におきましても、都市基盤の整備を進めている地域振興整備公団や盛岡市と連携を図りながら、高次都市機能の集積に努めておりまして、県立美術館などの整備を進めているほか、当地区と盛岡駅西口地区を結び、軸状都心形成の要となる、仮称でありますが、中央大橋についても、早期の供用を目指し、本年の秋には本体工事に着手することとしているところでございます。
 昨今の公共事業の抑制という厳しい環境ではございますが、今後とも盛岡市等関係機関と一層緊密な連携を図りながら、北東北の拠点都市にふさわしい都市整備に努めていく考えでございます。
 次に、中心市街地の活性化についてでございますが、本県における市町村の取り組み状況につきましては、平成10年度において、遠野市が、民話のふるさとにふさわしい賑わいのあるまちづくりを目指す中心市街地活性化基本計画を策定いたしましたほか、北上市が、市街地再開発事業を核とした基本計画の策定に取り組んでおります。また、平成11年度においては、盛岡市など11の市と町が基本計画の策定に取り組むこととしておりまして、現在、そのための基本的な構想などについて鋭意検討が行われている状況にございます。
 このような中で、県では、21世紀を展望した中心市街地の活性化のためには、何よりも市町村の創意工夫による、歴史や文化など地域の特色を踏まえた主体的な基本計画づくりが大切であるとの観点から、この基本計画づくりを支援するため、市町村、商工団体を対象とした中心市街地活性化研究会の開催や、市町村ごとの取り組みに対する助言、さらには、基本計画づくりのための国庫補助の導入などに努めているところでございます。
 また、この基本計画の実現に当たっては、今後、土地区画整理事業を初め、駐車場や公園、街路などの公共施設の整備、商店街の景観の整備など、ハード、ソフト両面にわたる広範な取り組みが必要になってくるものと思われますので、国の幅広い支援制度の導入を図りながら、庁内各部や地方振興局の連携を強化し、積極的な支援策を講じていく考えでございます。
 次に、盛岡都市圏の広域行政の推進についてでございますが、まず、盛岡市長の呼びかけで実現した矢巾町長及び滝沢村長との会談につきましては、盛岡市と両町村とが広域行政の必要性について確認し合うなど、今後につながる意義深い会談になったものと評価しているところでありまして、今後は、関係市町村はもとより、広く圏域住民の方々に論議を深めていただく必要があるものと考えております。特にも、盛岡都市圏の将来を考えるときには、都市化の進展、交通網の整備に伴い、住民の日常生活や経済活動の範囲が一層拡大し、一体的な生活圏が形成されていくことや、21世紀の北東北発展の先導的かつ中核的役割を担うことが期待されていることを踏まえ、関係市町村が連携して今後のあるべき将来像をしっかりと描き、このビジョンに基づいて高次都市機能の集積を促進するほか、住民に身近なさまざまな課題に共同して取り組んでいくことが必要と考えております。
 県といたしましては、盛岡地方振興局を中心に、このようなビジョンづくりへの参画や地域課題への対応など、県としての役割を積極的に果たしてまいりたいと考えております。また、市町村が合併などの広域行政を検討する際の目安となる指針の策定につきましては、国の動向などを踏まえながら、県立大学の協力を得て、平成11年度に取り組んでまいることとしております。
〇議長(那須川健一君) 次に、工藤篤君。
   〔34番工藤篤君登壇〕(拍手)

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