平成11年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成11年10月5日(火曜日)

1開会  午前10時4分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長 和美宏幸
議事課長 藤沢重一
議事課長補佐 千田正和
主任議事管理主査 浅田和夫
議事管理主査 筒井則裕
議事管理主査 熊谷正則
議事管理主査 下山義彦

1説明員
企業局長 小笠原佑一
企業局次長 仙石隆夫
企業局技師長 及川二千朗
総務課長 伊東隆臣
経営管理課長 滝田勇夫
業務課長 壽忠彌
 
監査委員 一戸克夫
監査委員 佐藤文子
監査委員事務局長 小野寺彰
総務課長 青木拓
監査課長 小田中善治郎
 
財政課長 池田克典

〇佐々木副委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成10年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第3号平成10年度岩手県工業用水道事業会計決算までの3件を一括議題といたします。
 認定第2号平成10年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成10年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件について、企業局長から説明を求めます。

〇小笠原企業局長 企業局が所管する認定第2号平成10年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成10年度岩手県工業用水道事業会計決算につきまして御説明を申し上げます。
 お手元の決算書の説明に入ります前に、電気事業と工業用水道事業の平成10年の経営の概況について御説明を申し上げたいと存じます。
 まず、最初に電気事業についてでございますが、電気事業につきましては、昭和32年に胆沢第二発電所の運転を開始して以来、県内の適地に発電施設の整備を進めてまいりました結果、現在11カ所の発電所を運転いたしているところでございます。これらの最大出力はあわせて13万8、750キロワットと、公営電気事業といたしましては全国でも4番目の規模となっているところでございます。この水力発電につきましては規模は小さいわけですけれども、二酸化炭素などの有害物質を発生しないクリーンで再生可能な純国産のエネルギーでありまして、国におきましてもその開発を促進する方向にあるということで、当企業局といたしましても、今後とも計画的かつ積極的に開発を進めてまいりたいと存じております。
 こうしたことから、平成10年度におきましても、平成12年度の運転開始に向けまして早池峰発電所の建設工事を鋭意推進いたしますとともに、新たに柏台発電所の建設事務所を開設いたしまして、本体工事の着工に向けまして水管橋詳細設計等を実施したほか、今後の開発に向けまして数カ所の可能地点の調査を実施したところでございます。
 また、平成10年度における県営11発電所の総供給電力量は、出水が好調であった、雨が多かったということでございますが、そういうことから過去最高の6億5、000万キロワットアワー余となり、目標に対する達成率は117.9%となっております。
 事業収支につきましては、供給電力量がこのように前年度を上回ったということでございまして、電力料金が増加をしたところでありますが、事業費用の増加が事業収益を上回ったということもございまして、純利益におきましては、前年度を若干下回る12億3、500万円余となってございます。
 次に、工業用水道事業の経営の概況についてでございますが、工業用水道事業は昭和53年度に北上中部工業用水道の給水を開始して以来、その後、第二、第三の北上中部工業用水道並びに2カ所のろ過施設を整備いたしまして、平成10年度は誘致企業19社に給水をいたしております。また、平成10年度における年間総給水量は、平成9年度の年度途中からの増量契約などございまして1、528万立方メートル余と、前年度を1.7%上回ったところでございます。
 事業収支におきましては、給水収益の増加や営業費用の節減、それから高利率の企業債の繰り上げ償還に伴う支払い利息の減少などによりまして、純利益は前年度を上回る1億600万円余を計上することとなりました。
 なお、この工業用水道事業につきましては、御承知のとおり、平成3年の12月に、自治省から経営健全化対策実施団体の指定を受けまして平成10年度を最終年度とする経営健全化計画を策定し、この計画の達成に向け、鋭意、経営の改善に努めました結果、平成10年度においては、前年度の平成9年度に引き続きまして計画どおりの黒字決算となったところでございます。しかしながら、累積欠損額は11億4、000万円余ございます。したがいまして、今後におきましても、一層、関係部局との連携を密にいたしまして、水需要の拡大それから経費の節減などに努めまして、安定した経営の確立に努力をしてまいりたいと存じております。
 以上、電気事業及び工業用水道事業の経営概況について御説明申し上げましたが、企業局といたしましては、今後とも事業の健全経営に一層努力してまいりたいと考えておりますので、県議会並びに関係の皆様の一層の御指導をお願い申し上げる次第でございます。
 それでは、お手元に配布をいたしております決算書に基づきましてその概要を御説明申し上げます。
 なお、決算報告書、これは1ページでございますが、予算に対する決算という性格上、消費税及び地方消費税を含めた金額で作成をいたしておりまして、2ページの損益計算書及びその他の財務諸表につきましては、消費税及び地方消費税抜きの金額で作成をすることとなっておりまして、金額に若干相違がございますのであらかじめ御承知を願います。
 それでは、認定第2号平成10年度岩手県電気事業会計決算でございますが、電気事業会計決算書の1ページをお開き願います。
 1ページの収益的収入及び支出でございますが、収入の決算総額は56億6、400万円余、支出の決算総額は43億8、900万円余でございます。
 その収入の内訳でございますが、第1項営業収益52億9、200万円余は、電力料がその主なものでございます。また、第2項財務収益2億5、400万円余は、株式配当金及び預金利息などでございまして、第3項事業外収益1億1、700万円余は、松川発電所建設に係る利子補給金及び固定資産の売却に伴う雑収益でございます。
 次に、支出の内訳でございますが、第1項営業費用36億7、600万円余は、発電所11カ所の運転及び管理運営に要した費用でございます。第2項財務費用5億4、900万円余は企業債の支払い利息で、第3項事業外費用1億6、300万円余は、消費税及び地方消費税納付額及び固定資産の売却等に伴う雑損失でございます。
 次に、2ページをお開き願います。2ページの資本的収入及び支出でございますが、収入の決算総額は2億3、200万円余で、支出の決算総額は13億700万円余でございます。
 その収入の内訳でございますが、第1項企業債1億400万円は、早池峰発電所建設事業に係る起債でございます。第2項補助金1、300万円余は、柏台発電所建設事業に係る国庫補助金でございまして、第3項負担金1、900万円余は、新エネルギー・産業技術総合開発機構との共同研究事業として、北上中部工業用水道事業所内に設置いたしました太陽光発電設備等の負担金でございます。第4項雑収入400万円余は、岩洞ダムの水利権更新手続に必要な流況調査等に係る東北農政局からの業務受託収入金でございます。第5項長期貸付金償還金8、900万円余は工業用水道事業会計からの償還金、それから第6項固定資産売却代金61万円余は、不要となった固定資産を売却した収入でございます。
 次に、支出の内訳でございますが、第1項建設費1億9、500万円余は、早池峰発電所及び柏台発電所の建設費でございます。第2項改良費6億3、100万円余は、各発電所の発電施設の改良、更新などに要した経費でございます。第3項電源開発費7、800万円余は、新規の水力発電開発のための調査等に要した経費でございます。第4項企業債償還金4億100万円余は、発電所の建設のために借り入れをした企業債の償還金でございます。第6項国庫補助金返還金24万円余は、柏台発電所建設事業の平成9年度事業費の確定に伴う返還金でございます。
 なお、資本的収入が資本的支出額に不足する額10億7、400万円余は、2ページの下段欄外に記載してありますとおり、当年度消費税及び地方消費税資本的収支調整額、それから減債積立金などをもって補てんをいたしてございます。
 次に、3ページ、2の損益計算書でございます。営業利益は14億1、500万円余となっております。この営業利益から財務収支及び事業外収支の合計の損失になりますが、1億7、900万円余を差し引いた当年度純利益は12億3、500万円余となってございます。
 次に、4ページをお開き願います。4ページ、3の剰余金計算書の利益剰余金の部についてでございますが、減債積立金から5ページの中小水力発電開発改良積立金までの年度末の積立金合計額は59億8、700万円余となっており、また、当年度の未処分利益剰余金は12億3、600万円余となってございます。
 次に、6ページをお開き願います。6ページの資本剰余金の部でございますが、国庫補助金以下3科目の合計額、これは翌年度繰越資本剰余金のところでございますが、この合計額は6億1、800万円余となってございます。
 次に、7ページでございますが、4の剰余金処分計算書(案)でございますが、当年度の未処分利益剰余金12億3、600万円余のうち、翌年度の企業債償還金に充当するための減債積立金として4億3、100万円、発電所の改良工事などに充当するための建設改良積立金として4億2、300万円、中小水力発電開発改良積立金として3億8、200万円をそれぞれ積み立て、残額の66万円余を翌年度に繰り越しをしようとするものでございます。
 次に、8ページをお開き願います。8ページから11ページまでの貸借対照表でございますが、9ページの方の資産合計と負債・資本の合計はそれぞれ353億5、100万円余となっております。
 以上で、電気事業会計の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、次に認定第3号平成10年度岩手県工業用水道事業会計決算につきまして御説明を申し上げます。
 工業用水道事業会計決算書の1ページをお開き願います。1ページの収益的収入及び支出についてでございますが、収入の決算総額は11億8、400万円余、支出の決算総額は10億5、700万円余であります。
 その収入の内訳でございますが、第1項営業収益11億8、200万円余は、一般水及びろ過水の給水料金が主なものであります。第2項の財務収益100万円余は預金利息で、第3項事業外収益31万円余は、過年度の返還金などの雑収益でございます。
 次に、支出の内訳でございますが、第1項営業費用7億7、200万円余は、各工業用水の給水業務及び管理運営に要した経費でございます。第2項財務費用2億6、000万円余は、企業債と電気事業会計からの借入金の支払い利息でございます。第3項事業外費用2、100万円余は、消費税及び地方消費税納付額でございます。第5項特別損失300万円余は、ろ過施設ポンプ設備に係る減価償却の過年度修正損でございます。
 次に、2ページをお開き願います。2ページの資本的収入及び支出でございますが、収入の決算総額は6億8、500万円余、支出の決算総額は10億9、500万円余でございます。
 収入の内訳でございますが、第1項企業債3億5、200万円は、第三北上中部工業用水道建設事業に係る起債でございまして、第2項出資金1億8、200万円余は、経営健全化対策に基づく一般会計からの出資金であります。また、第3項補助金1億5、000万円余は、第三北上中部工業用水道建設事業に対する国庫補助金でございます。
 次に、支出の内訳でございますが、第1項建設費5億9、900万円余の主なものは、早池峰ダムの工事に係る負担金などの第三北上中部工業用水道の建設事業に要した経費であります。第2項改良費6、300万円余は、建物や機械装置などの改良に要した経費でございます。また、第3項企業債償還金3億2、500万円余は、工業用水道施設建設のため借り入れした企業債の償還金でございます。第4項の他会計からの長期借入金償還金1億700万円余は、一般会計及び電気事業会計から借り入れした資金の償還金でございます。
 なお、資本的収入額が資本的支出額に不足する額4億1、700万円余につきましては、2ページの下段欄外に記載いたしておりますとおり、繰越工事資金、当年度消費税及び地方消費税資本的収支調整額及び損益勘定留保資金で補てんをいたしております。
 次に、3ページの2の損益計算書でありますが、営業利益は3億6、800万円余となっておりますが、この営業利益から財務収支及び事業外収支の合計の損失になりますけれども2億5、900万円余、それから特別損失の300万円余を差し引いた当年度純利益は1億600万円余となってございます。
 次に、4ページをお開き願います。4ページ、3の剰余金計算書でございますが、当年度の未処理欠損金は、前年度の未処理欠損金12億5、500万円余から当年度純利益1億600万円余を差し引きまして11億4、900万円余となっております。また、資本剰余金40億1、000万円余は、国庫補助金が主たるものでございます。
 次に、5ページの欠損金処理計算書でございますが、当年度の未処理欠損金11億4、900万円余は、翌年度へ繰り越しをするものでございます。
 次、6ページでございます。6ページから8ページまで貸借対照表となっておりますが、資産合計と負債・資本の合計はそれぞれ142億5、900万円余となっております。
 以上で、企業局関係2会計の平成10年度決算の説明を終わらせていただきます。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

〇佐々木副委員長 ただいまの小笠原企業局長の説明に対し、質疑ありませんか。

〇千葉(伝)委員 自由民主クラブの千葉伝です。会派を代表し御質問申し上げたいと思います。
 企業局におきましては、現在、電気事業と工業用水道事業の二つの事業を経営しておりますが、これらの事業は、県民の日常生活に欠くことのできない電力の供給と、企業の生産活動に必要な工業用水の供給を通じて、県勢の発展に寄与しているものと感謝申し上げます。
 それでは、最初に平成10年度の電気事業会計及び工業用水道事業会計決算の評価と平成11年度の見通しについてお伺いします。
 まず、電気事業会計でありますが、平成10年度の発電状況は、気候的に前年度に比較し雨の多い年であったようで、事業決算報告書によりますと、年間供給電力量は6億5、000万キロワットアワー余りとなっており、目標電力量に対し117.9%の達成率となっております。このように発電電力量が増加した結果、事業収益は前年度より増加しております。しかしながら、平成10年度決算における純利益は、前年度より1億1、000万円余り少ない12億3、500万円余となっておりますが、どうしてこのような結果になったのか、その要因をお伺いします。
 また、この平成10年度の電気事業決算を局長はどのように評価しているのか、あわせてお伺いします。

〇小笠原企業局長 まず最初に、純利益が前年度を下回った要因ということでございます。今お話しありましたとおり、営業収益は伸びを示したわけでございますが、収益が、純利益が下回ったということでございます。これは営業収益を上回って営業費用が多かったということで、その内容は実は退職者が非常に多うございまして、この分で退職手当等が余計かかったということ。それから、松川発電所が平成8年の10月に完成をいたして運転をしているわけでございますが、発電所の設置市町村に対して市町村交付金、これは固定資産税相当額でございますが、この分がかなりございまして、この二つが大きな要因で、前年度の純利益を1億1、200万円下回ったということになってございます。
 それから、評価ということでございますが、昨年度は、ちょっと言いにくいんですが、雨が多かったということで、私どもは水商売でございまして雨に左右される部分があるものですから、そういうおかげで営業収入は大分ふえたわけでございます。特段の事故もなく運営ができたということで、そういう面ではよかったと思っておりますが、それに加えまして先ほどもちょっとお話を申し上げましたが、発電所の新たな建設を進めておるわけでございます。早池峰発電所も計画どおり基礎工事も実施をできましたし、それから、柏台発電所も14年度の実質的な建設に向けてのスタートを切ったと、将来に向けて前進が見られたということもございます。
 それから、今後、私ども水力発電所をさらに建設していきたいと考えておりまして、雫石の有根沢など6地点で諸調査を実施しております。それから、新たに風力とか太陽光など、新エネルギーの発電事業化もできれば取り組んでいきたいというふうに考えてございまして、こういった可能性調査も実施をいたしまして、風力等はある程度見通しが出てきたような感じもいたしておりまして、今後の事業拡充に向けまして一定の前進を見たということで、一応評価できるものと思っているところでございます。

〇千葉(伝)委員 純利益が少なかったということは、その要因が、ただいまの説明では退職手当あるいは市町村交付ということで、特に問題があってということではないというふうにお聞きしました。
 それから、評価につきましては水商売ということで、雨が多ければもうかるというのか利益が上がると、そういうことなんで、雨よ降れ降れと本当は言えばいいんですが、これもまた地域にとっては問題もあろうかと思います。その年その年で、経営に対しまして今後とも御努力願いたいというふうに思います。
 次に、工業用の水道事業会計でありますが、平成10年度においても厳しい経済環境の中にあって、前年度に引き続き黒字決算となっております。しかも、その黒字幅が前年度を大きく上回る1億600万円余りの純利益を計上しておりますことは、企業局職員の努力の結果であると思い評価するものであります。このように、大幅な黒字を計上した要因についてお伺いします。また、この工業用水道事業会計の決算をどのように評価しておるのか、あわせてお伺いいたします。
 さらに、平成11年度も半年を経過したところでありますが、電気事業会計及び工業用水道事業会計のそれぞれについて、平成11年度の経営見通しをどうお考えかお伺いいたします。

〇小笠原企業局長 工業用水道事業の黒字の要因ということでございますが、営業収益につきましては9年度の年度途中に増量契約がございまして、これが平年度化したということ、1年分はちょうだいできるということが一つありますし、それから、正式に契約していないんですが、いわゆる超過水量ということで若干高く料金をもらっている部分がございまして、これが前年度実績を上回ったということで、これに伴う料金の増収、それで事業収益が前年度より1、500万円ほど増加となってございます。
 それから、営業費用面では、一番大きいのは過去に一般会計等から御支援をいただきまして企業債、高い利息の企業債、繰り上げ償還をしてございまして、これは経営健全化対策に従って措置したものでございますが、これで大変大幅に費用が縮減されたということでございまして、この結果、収益的収支が改善をされて何とか1億600万円余の純利益、まだまだ繰り越し欠損が多いわけでございますが、平成10年度はそういう結果になったということでございます。
 そういうことで、いずれ、こういうことも評価と申しますか、私どもはホッとしているところでございまして、いずれ、生産に欠かせない水でございますので、安定的に供給できたということもございまして、順調に運営されたというふうに考えているところでございます。ただ、いずれにいたしましても、企業債もいっぱいありますし累積欠損も多いということで、これからさらに努力が必要であるということには変わりないということで、さらに心を引き締めて頑張ってまいりたいと考えております。
 それから、11年度の見通しでございます。
 まず電気事業でございまして、料金収入は49億8、100万円ほど見込んでおります。8月末までは何とか前年並みで推移をいたしておりまして、去年は9月に雨が多かったんですけれども、ことしちょっと、まだ実績出しておりませんが、今後の気象条件などにもよりますが、いずれ、おおむね順調に平年度並みには推移しているものと考えておりまして、いずれ、予算には9億6、700万円ほどの黒字を計上しておりますが、これは少なくとも確保できるのではないかというふうに考えております。
 それから、工業用水道については収入10億5、500万円を見込んでございまして、8月末ではおかげさまで前年度をちょっと上回っておりまして、また、9月に増量契約500立米ほどありまして、そういうことで11年度におきましても黒字1億円になるか、9、300万円ほど見込んでおりますけれども、黒字は特段の事故がない限り確保できるものと考えております。

〇千葉(伝)委員 それぞれ理由はあるということなわけですけれども、今、局長おっしゃいましたけれども、毎年、10年度も黒字、それからことしについても黒字の計上が見込まれるという話であります。ただ、ちょっと気になるのが累積分の解消というか、それについて一層の努力が必要だというふうに思うわけですが、そこの分について、今後の取り組みはどういうところに重点を置いて進められるのか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。

〇小笠原企業局長 欠損金の要因というのは、未売水を多く抱えているということでございまして、何としても水を計画いたしておりますとおり売るようにすることが一番でございます。ただ、かなり厳しい状況にございまして、いずれ、今現在、北本内ダムの見直しに伴いまして、水需給の関係をいろいろ企画振興部の方が中心になって調整に入っておりまして、それとあわせて工業用水の需要見込みにつきましても商工労働観光部の方にもお願いいたしまして、これらすべて利水調整委員会というのを設けておりますが、ここの中で検討されることになります。これらの結果によりましていろいろまだちょっと変わってまいりますけれども、これらを踏まえて今後さらに水、余っている水をどういうふうに売り込んでいくか、それから経費節減をどうもっていくか、いろいろ抜本的に検討してある程度計画を立ててこれから取り組んでまいりたいと、長期的にはそう考えておりますが、とりあえず、当面はきめ細かに水の売り込みに歩く、それから、とにかく日常的な経費の節減に一生懸命努力して、1円でも2円でも経費が浮くように、経営の健全に資するように毎日努力をしてまいりたいと考えております。

〇千葉(伝)委員 今後とも、事業の健全経営に向けての一層の御努力をお願いいたします。
 次に、電力の部分自由化の動向と企業局の取り組みについてお伺いいたします。
 平成7年の電気事業法の改正により各種の規制緩和が実施されてきており、その内容として、競争原理の導入や自己責任の確立を主眼として、卸供給入札制度の導入や保安規制の合理化、電気料金制度の見直し等が行われております。こうした状況の中、来年3月からはいよいよ電力の部分自由化が実施されることとなっておりますが、その内容はどのようなものなのでしょうか。また、これが実施された場合、企業局はどのような影響を受けるのかお伺いいたします。

〇小笠原企業局長 電力の小売部分の自由化ということでございまして、これはことしの5月に電気事業法が改正をされまして、来年の3月から施行されるということになってございます。部分自由化と申しますのは、電力会社以外の発電事業者、その中に私どもも入るわけでございますし、それから民間のと申しますか、いろいろ発電をして、新日鉄なんかもそうなると思いますが、そういった発電事業者が供給電力2万ボルト、契約電力量2、000キロワット、かなり大口でございますけれども、特別高圧需要家と申すんだそうでございますが、こういったところに、例えば東北管内であれば東北電力の送電線を利用して、直接需要家に売電することが可能になるということでございます。
 私どもへのかかわりという部分でございます。考えられるのは、じゃ、企業局が発電したのを直接その需要家に売ったらいいのではないかと、こういうことが一つ考えられるわけでございますが、これはちょっと水力の場合料金的に高いということで、それから水の量によって大分変わると、安定的に供給することにネックがあるというようなことを考えますと、なかなか直接売ることに余りメリットが、ちょっと制度の中身がまだはっきりいたしておりませんので採算がとれる状況にはならない、やっぱり電力会社に総括原価ということで売った方がまだ得ではないかというふうに思っておりますが、詳細については制度がはっきりし次第、検討はしてまいりたいと考えております。
 それから、自由化そのものが料金を欧米並みに引き下げるという一つのねらいのもとに実施をされるわけでございます。したがって、市場原理を導入するということで、電力会社にも競争相手ができるということになります。そうすると、電力料金そのものが高料金も当然引き下がる方向に働くと。そうしますと、私ども卸供給料金も当然引き下げられる影響の方に力が働くのではないかというようなことが考えられます。
 いずれ、そうしたことから、十分動向を注視してさらに経営体質の強化等をして、できるだけ影響がないように経営に取り組まなければならないというふうに考えております。

〇千葉(伝)委員 さまざまこういった規制緩和というものがいろんなところに出てくるわけですが、今、局長、メリット、デメリットがそれぞれあると。そういったことも今後考慮していただいて、鋭意、検討願いたいというふうに思います。
 次に、柏台発電所建設事業についてお伺いいたします。
 県においては、県営最初の胆沢第二発電所から平成8年に完成した松川発電所まで、現在あわせて11の発電所において営業運転をしており、さらに早池峰、柏台の発電所を建設中であると承知しております。電力需要は、生活水準の向上や経済活動の拡大等により、ますます増大しておりますが、県内電力の大半が県外から供給されている状況を考えますとき、現在建設中の二つの発電所の完成が待たれるところであります。
 そこでお伺いしますが、建設中の柏台発電所は、河川の流水を取水して発電するいわゆる水路式発電所と聞いておりますが、どのような特徴を持った発電所なのか、また、現在までの進捗状況についてお伺いします。
 次もあわせてお伺いします。
 発電所の建設地域は東八幡平の環境緑地保全地域に隣接し、水源涵養保安林として豊かな森林が形成され、さらに近くには県民の森があるわけですが、工事に当たって貴重な環境との調和をどのように図っていかれるのか、あわせてお伺いいたします。

〇壽業務課長 柏台発電所の特徴についてでございますが、柏台発電所は松川及び北ノ又川から取水し、最大出力2、600キロワットの発電を行う水路式発電所でございまして、その主な特徴といたしましては、取水に当たっては、松川の方からは土木部でつくりました既設の砂防堰堤を利用し、また、北ノ又川においては既設の北ノ又発電所の放流口と直結することにより、どちらも河川に横断するいわゆる取水堰堤をつくらずに取水すると、そういう方法を採用いたしました。また、水圧管路につきましては、従来の水圧鉄管にかわりましてFRPM管を採用し、工期の短縮と安価な材料を使用することにより工事費の低減を図ったわけでございます。
 それから、進捗状況でございますが、発電所建設に際しましてのいろんな許認可手続が本年7月末に終えまして、7月30日には導水路及び水圧管路の工事を3工区に分割して発注したところでございます。さらに、8月10日には水車発電機製作据付工事を発注いたしまして、平成14年秋の完成に向けまして主な施設の工事を発注したところでございます。本年度末では、全体工事の15%の執行を目指して取り組んでいるところでありまして、現在おおむね順調に進んでおると考えております。
 それから、環境との調和についてでございますが、法とか条例の対象とはなっておりませんが、通産省の行政指導によりまして環境影響調査を実施しております。その結果を踏まえて、樹木の伐採を最小限にとどめるとか、工事完了後の伐採跡地に周辺樹木を植栽するなどして、自然の形に近づけた整備をやりたいということで考えております。
 また、施設の構造や施工方法に新たな技術を導入いたしまして、自然環境に与える影響をできるだけ少なくするように工夫しております。
 柏台地区は、御存じのとおり岩手山ろく、八幡平周辺景観形成重点地域にも指定されておりまして、発電所の建屋等については、自然景観の保全と調和及び眺望景観の保安を図りながら工事を進めてまいりたいと考えております。

〇千葉(伝)委員 この水路式発電所という部分の特徴というのは、堰堤に工夫されているということ、それからFRPM管等を使って工期短縮あるいは結果的にコストの縮減というようなことが特徴だというお答えです。そういったことでのさまざまな工夫を凝らした発電所であります。それから、現在の状況についても順調に推移しているということなわけです。
 それで、最後の方に環境との調和といった部分が、この地域が私、大変重要な地域だろうというふうに思います。先ほどのお答えの部分もありますけれども、十和田八幡平国立公園の玄関口である、それからそういった意味で多くの観光客が訪れて大変にぎわいを呈しているというところであります。しかしながら、最近の経済状況とか岩手山の火山活動の影響等、地域経済はますます低迷している状況にあります。地元では、地域の振興対策をいろんな面に要望している最中なわけです。そういった折に、この柏台発電所というものが現在建設されているわけですけれども、地域にとりましては、いろんなそういった時宜を得た事業実施だろうというふうに思います。地域の人たちあるいは私どもも、大変喜ばしい限りだというふうに思っております。それで、工事に当たっては、地域の住民あるいは観光客、多くの人が訪れることに対しまして、先ほどのお答えもありますけれども十分な火山等の防災対策をおとり願い、無事故で計画どおり発電所を完成していただくことを御要望申し上げたいと思います。
 最後に、現在、柏台発電所が建設されているんですが、それ以降の計画というか水力開発計画についてお伺いします。
 柏台発電所は早池峰発電所に続き、先ほど局長の話にありました県営13番目の発電所として工事着手したところと承知しております。水力開発は適地が少なくなってきており、次第に開発地点が奥地化してきております。また、開発するための調査にも相当な年月を要すると聞いております。
 一方、我が国ではエネルギー供給の大半を外国に依存しており、しかも地球温暖化対策として、二酸化炭素を排出しないエネルギーの導入が大きな課題となっております。昔からある国産品でクリーンなエネルギーとしての水力は、その重要性が再認識されているところであります。県としても、水力開発は県民のエネルギー確保の観点から重要な施策と思うわけですが、そこで柏台発電所以降の水力開発についてどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

〇壽業務課長 委員御指摘のとおり、最近は経済的に有利な開発地点が減少しているわけでございまして、だんだん奥地化されております。そういう観点から、新規開発が非常に厳しい状況となっておるわけでございます。企業局といたしましては、現在、雫石町の有根沢地点など6地点で継続的に流量観測を実施しているわけでございまして、本年度といたしましては、国の補助を受け一関の槻木平地点で地質調査等を行い、また、北本内地点では地形測量等を行って開発の可能性を検討している状況でございます。

〇千葉(伝)委員 新規開発ということで先ほど私も申し上げたんですが、なかなか場所というかかなり厳しい状況にあると、そういった中で、現在、企業局では新たに6カ所を調査中ということであります。その調査の中で一番調査が進んでいるところはどの地域でしょうか、もしお答えできるのであれば。

〇壽業務課長 今、柏台の次に調査の精度が上がっている地点としましては先ほど申し上げました有根沢地点、それから一関の槻木平地点等がございますが、このほかにも何点か我々調査を進めていこうと、これからやっていこうと考えておるわけでございまして、その際にはさらに自然環境との調和を図りながら、地元住民の理解を得て、経済性のすぐれた地点から順次開発に向けて積極的に取り組んでいきたいと、そういうふうに考えております。

〇千葉(伝)委員 そこの最後の言葉を聞きたかった部分もあります。今後、そういった視点を持って調査等鋭意進めていただいて、県民のエネルギー確保に御努力願いたいということを御要望申し上げまして、私の質問を終わります。

〇高橋委員 自由党の高橋賢輔であります。
 自由党を代表いたしまして、私から4点についてただしたいと思います。
 まず最初に、工業用水道事業経営健全化対策の総括と今後の対応についてお伺いいたします。
 御案内のとおり、工業用水道は工業集積の促進を図る重要な産業基盤の一つであり、本県の工業振興に大きな役割を果たしてきたところでありますが、その事業経営は多額の累積欠損金を抱える厳しい財政状況にあったところ、平成3年度に国の経営健全化団体の指定を受け、各種の経営健全化対策に取り組んできたところであります。その結果、平成9年度から単年度収支で黒字に転じたところであります。全国的な景気の低迷から、企業の水需要の拡大が期待できない厳しい経営環境の中で、着実に経営改善を図ってきた企業局の御努力に敬意を表したいと思います。
 そこで伺いますが、この8年間にわたる経営健全化対策の取り組み結果をどう総括しているのか、また、経営健全化計画終了を受けて、今後、経営健全化に向けどのように対応していこうとしているのかお伺いいたします。

〇小笠原企業局長 まず、経営健全化対策の取り組み結果をどういうふうに総括をしているかというお尋ねでございます。
 経営健全化計画、まず一つの内容といたしましては、水需要の拡大ということがございました。これの実績はちょっと当初の目標を若干下回りまして75.4%ということで、ちょっとありましたが、計画対比では75.4%が実績というふうになっております。それから料金もある程度改定をするということで、36円から45円に改定を一度いたしておりますが、実は50円に上げる計画であったわけですが、いろんな補助制度の要件それからこういう景気動向に対する企業への配慮等もありまして、45円に据え置いております。いずれ、一度上げておりまして、この結果、10年度までに21億7、600万円ほどの増収ということになってございます。それから、やはり大きいのは一般会計からの繰り入れと、補助金、出資金でございます。これ、自治省からの起債、交付税での支援を受けてということでございまして、これがございますし、それから当時大変高い利息の起債をして、7%を超えるような利息でございまして、これが大分経営を圧迫しておりましたので、一般会計から借りまして繰り上げ償還を行ったということで、当初から黒字を計上したいと考えておりましたが、9年度から達成をいたしまして今年度も黒字ということで、累積欠損、計画を上回る4億4、000万円圧縮をしたということでございます。経営健全化対策は、この経営の改善に大変効果があったというふうに考えております。
 ただ、大変経営環境は厳しゅうございます。今のところ水需要、大きな伸びというのはちょっと見通せない状況に実はございまして、それから一方では、施設そのものも一番古いのは20年を経過しております。老朽化も進んでいると。それから質も、当初を上回った質を供給しなければならないということでかなり負担が大きくなっておりまして、こういったものへの改築等の投資ということで、あと累積欠損、企業債の償還残額を抱えると、大変大きな課題を持っておりまして、いずれ経営健全化、これからさらに力を入れなければならないと思っております。
 先ほどもちょっと申し上げましたが、いずれ私どもこの経営を考える、前提と考えておりますけれども、水需要をどう全体として、我々企業局だけじゃなくて考えていくかということを、今、北本内の問題に端を発していろいろ検討されておりまして、水道の需要だとか工業用水の需要、その他もろもろのものを県全体として把握しようということで今作業が進められております。これらを踏まえまして、企業局といたしましてもこれからいろいろ、さらに未売水というのは多分出るだろうと思います。こういったことの解消。それから、いろいろ人員の合理的な配置による経費の節減等も考えていきたいと思っておりますし、それから、料金そのものもちょっとさらに再検討する必要があると。それから、どうしてもできなければ一般会計の支援というのをいただかなければならないというようなこと。
 いずれ、経営の前提となります水需要の見通しができましたならばこういったことを検討して、中長期的に経営健全化対策に取り組んで何とか安定した経営に持っていきたいと、このように考えております。

〇高橋委員 いずれ、企業ですから相手もあることなわけです。したがいまして、ただ机の上でだけ努力するということじゃなくて、やはりそれぞれの企業の方々に足を運びながらニーズに合うような努力はやっぱり必要だろうと、こう思っているわけでございます。いずれ、それぞれの企業も大変厳しいわけですけれども、いろいろ足を運ぶことによってあるいは理解を得る面もあろうかと思いますので、ひとつ御努力を願いたいと、こう思います。
 次に、新エネルギーへの取り組みについてお伺いいたします。
 近年、地球規模での温暖化現象など、エネルギー消費に起因する環境問題が顕在化し、国はもとより、各自治体においても環境負荷の小さいクリーンエネルギーの開発への取り組みが求められているところであります。
 一方、公営企業を取り巻く環境は規制緩和、電力自由化の流れに見られるように年々厳しいものとなりつつあり、新たに採算性が確保できる事業を見出すことはなかなか難しい時期になってきていることも理解できるところであります。しかしながら、このような状況の中にあっても、本県の場合には公営企業の果たすべき役割には大きいものがあり、環境問題やエネルギー問題などの時代のニーズに対応し、県民福祉の向上や地域振興につながる新たな事業の導入に向けて積極的に取り組むことこそが必要であると考えるところであります。
 そこでお伺いしますが、企業局はこれまでも風力発電や廃棄物発電など、種々の新エネルギー分野の事業の導入検討に努めてきたと伺っておりますが、その取り組みの状況はどのようになっているのかお伺いします。また、今後どのように対応していくのか、あわせてお伺いいたします。

〇小笠原企業局長 新エネルギーへの取り組みということでございまして、国でも新エネルギー導入大綱、県では昨年度ですか新エネルギービジョンというのを策定いたしまして、積極的に取り組んでいこうということになっておりまして、企業局もそういった方向に努めまして種々検討を重ねてまいりました。その一つに風力発電があるわけでございます。これは従来からいろいろ風況観測等を実施してきたんですが、なかなかいいところがないということでございまして、ただ、昨年から資源エネルギー課でも風況観測を実施しております。それから、これらの結果、大分有望な地点も出てきたということがございまして、それを引き継ぐ形でやっているものもございます。
 それから一方、いろいろ制度上も電力の方で少し高い価格で買っていただけるという制度ができまして、それから風車等もかなり性能が進んでいるということで、事業化できるのではないかというようなところが出てきております。早ければ来年度にもしたいと思っているんですが、今ちょっと詰めの調査をしておりまして、早期に事業化を図ってまいりたいと考えております。
 それから、いわゆるRDF発電、これは従来からかなり議論されてきた経緯がございます。ただ、結論から申し上げますと、発電事業としては全く採算が合わないということでございます。ごみ処理の一環として発電を組み込んでいくということで、トータルのコストを削減するという効果はあるようでございます。したがって、ごみ処理担当部局である環境担当部局それから市町村等と、そういったところを詰めて今後作業をしていきたいと考えております。
 それからあと、バイオマスということの一つとして間伐材を燃やして発電をするというようなことがございますが、これも去年いろいろ調査をいたしましたが、発電はできるんですがコストがどうしても高いということで、事業化はちょっと困難ということであります。いずれその他もございます。私ども、これで今難しいというので決してあきらめたわけではございませんで、技術開発もいろいろ進むだろうと考えておりますので、今後とも、そういったことを注視しながら種々検討してまいりたいと思っておりますし、売電事業にはならなくても地域エネルギーとか家庭とか、そういったところで活用できるというようなことも考えられるわけですから、私ども直接というのは無理ですが、ある程度の技術を持っておりますから、いろいろそういったところでも協力をしていきたいと考えております。
 それから太陽光発電、これも正直申し上げましてかなりコストが高いということで売電は困難でありますが、先ほどもちょっと説明の中で申し上げましたが、北上中部工業水道事業所に30キロワットの発電設備をNEDOと共同事業で設置をしております。これを4年間いろいろな調査をすることにしておりまして、こういった中でさらに可能性を探ってみたいと思っております。
 いずれにしても重要な課題でございます。単に事業化をするということだけではない部分もございますから、幅広く私どももいろいろ調査検討を進めて、社会に貢献できるように取り組んでまいりたいと考えております。

〇高橋委員 大変企業局には御苦労されておるわけですけれども、さらに一層前向きな姿勢で取り組んでいただきたいと思います。
 次に、発電所集中管理についてお伺いいたします。
 企業局では、昭和63年に盛岡市内に施設総合管理所を開設し、県営11発電所のうち県北部を中心とした9発電所を集中的に管理し、大きな成果を上げていると理解をしているところであります。県南部の発電所、工業用水道施設についても、平成12年度から集中管理が行われると聞いておりますが、これらの施設の運転管理はどのようになるのかお伺いいたします。

〇壽業務課長 平成12年度に開設されます、仮称でございますが、県南施設管理所は、胆沢第二、仙人、入畑及び来年度運転開始を予定しております早池峰発電所の維持管理を行おうということで考えております。また、工業用水道施設についても一元管理することにより、維持管理体制の強化と経営の効率化を図るものであります。
 それから、運転監視につきましては、盛岡市の施設総合管理所で行うために、岩手県全体の発電所はすべて施設総合管理所から集中監視制御がなされるものと、そういうふうになるわけでございます。

〇高橋委員 それでは、次に電気料金更改についてお伺いいたします。
 先ほど千葉委員からもお話があったわけでございますけれども、改めて私からもお伺いしたいと思います。
 企業局が電力会社に卸供給している電気料金は総括原価主義、いわゆる能率的な経営のもとにおける適正な原価に適正な利潤を加えたものによって算定されていますが、電気事業法の改正による来年3月からの電力の部分自由化と関連して、電気料金制度の改正の動きがあるやに聞いております。その動向と企業局への影響についてお伺いいたします。
 先ほど千葉委員からもありましたけれども、今からきちっとした取り組みが必要だと思いますが、その辺についてもあわせてお願いしたいと思います。

〇小笠原企業局長 電気料金についてでございますが、先ほどもちょっとお話し申し上げましたが、日本の電気料金は欧米に比べて高いということなそうでございまして、このたび国では、経済構造の変革と創造のための行動計画というものを閣議で決定いたしておりまして、電気について、2001年までに国際的に遜色のないコスト水準を目指すという方針が示されております。これを達成するために、現在、電力会社、東北電力さん等、地域が独占されているわけでございまして、これに競争原理を導入すると。先ほど申し上げました電気の部分自由化、小売自由化についてもその一環なわけでございます。
 こういう状況の中で、公営電気料金の算定の仕方も見直す必要があるということでございまして、今、通産省の資源エネルギー庁の方でいろいろ検討されております。まだはっきりはいたしておりませんが、今お話ありましたとおり、総括原価ということで、かかる費用を見て、一定の利潤を加えて料金を決めるという制度になっているわけで、基本的にはこの枠組みは崩さない方向で検討中ということで聞いております。いわゆる事業報酬は、起債の償還金に充てる部分とか新たな開発に充てる部分になるわけですが、ここが、電力会社とか、他の公営企業がいろいろあるわけですが、それに比べるとちょっと高い、もうけ幅が大きいということがありまして、ここの検討がなされていると聞いております。まだちょっとわかりませんが、この報酬部分が削減されると、通常の運営については支障ないと思いますが、新規投資等に若干影響があるのではないかということでございまして、私ども、全国の組織であります公営電気事業経営者会議等を通じまして、自治省とも連携して、余りそういうことにならないように種々要望しているところでございます。いずれ、動向を注意しながらやらなければならないと思っています。いずれにしても、地域開発等については、コスト削減等にさらに工夫を重ねて、事業が発展できるように対応してまいりたいと考えております。

〇伊藤委員 関連して1点お伺いしたいと思います。
 まず、維持管理という部分についてでありますが、ダムをこしらえるのは多分、土木部の河川開発課等の計画によって土木部がおつくりになる、その後、水力発電機能を企業局が管理しながら発電していく、こういうことだろうと思うんですが、発電するための水の水位調整といいますか、水の管理といいますか、水量の管理といいますか、そういった部分も当然企業局の管理の範疇に入ってくるものと思うわけでありますが、その点についてまずお伺いいたします。

〇壽業務課長 基本的には、最近つくられるダム、例えば今建設中の早池峰ダム等については、水の管理そのものは、全部ダム側で操作するような仕組みとなっております。それから、いわゆる四十四田とか御所、ああいう発電所については、企業局もそういう水の流し方について一緒にやっておるわけでございますが、それらについては、御案内のとおりいろいろな警報装置等がダムの下流に整備されているということだと思います。

〇伊藤委員 今、水量といいますか、水利管理も企業局にもあるということであります。今般の台風の際に、神奈川県の玄倉川というところで13人のアウトドアのキャンプをしていた人たちが、最終的には流されてしまって、13名でしたか、尊い命が失われてしまったということがあるわけでありますが、ダムを管理するということでありますから、当然、岩手県にもこういうことがあり得るのではないかと危惧するわけであります。こういった点について、過去にそのような放流にかかわる事故といいますか、そういうことがあったのか、あるいはなかったのか、そういったところからひとつお知らせいただきたいと思います。

〇壽業務課長 過去において、神奈川県の玄倉川のような状況があったかどうか、今資料を手元に持っておりませんので、ちょっとお答えできません──ないそうでございます。

〇伊藤委員 ないということで、結構なことでありますけれども、いずれ、今後これはあり得ることだと思うわけであります。そうした場合の対策という部分について、今回の神奈川県の玄倉川等を参考とした対応といいますか、いわゆる満水になっては困るので放流するといった場合の連絡といった部分の防災対策としてのお取り組みをどのように考えておられますかお伺いいたします。

〇小笠原企業局長 玄倉ダムは本当に悲惨な結果になったわけでございまして、私ども、人ごとではないと思っております。幸い、中州に取り残されるというような状況のところは、私どもが管理している部分ではないと思います。しかし、例えば岩洞にしても、胆沢の取水堰にしても、放流することが絶対ないとは言えないと思っております。一部、警報装置等で対応している部分もございますが、一応、もしそういうことになった場合には、まず人が歩いて見るという体制で、どうしてもそういう大きな影響が出るような状態の放流をする場合には、基本的には職員が点検して注意を喚起するというようなことで対応することが一番だろうと思って、そういう方向で取り組みたいと考えております。

〇伊藤委員 神奈川県の場合は、ずうっと下流のよどみの中から最終的な2人、3人が発見された。水中からです。これは、まさに浮かばれないわけであります。したがいまして、今後岩手県内にもこのようなことがないように、あらかじめ放流という部分の作業を管理しているという観点から、土木部等と連携をとりながら、そういう対応も考えておきべくだろうと思いますので、ぜひ御検討いただいて、あのようなことのないように対処願いたいと思いますので、お願いいたします。

〇佐々木副委員長 要望でよろしいですね。

〇伊藤委員 はい。

〇上澤委員 政和会を代表して質問いたします。
 まず最初に、電気事業、工業用水事業それぞれの企業債の現在高と今後の償還見通しについてお伺いいたします。
 次は、電気事業についてお伺いいたします。
 当年度の剰余金で、内部留保資金すべてを入れて88億9、000万余の内部留保資金を電気事業では持っているということなわけですが、先ほど、何か次の事業があるかということを聞かれて、あるという話をしておられましたから、この金はまたそういうものに使われるんだという認識はいたしました。そういうことで、次の事業については大体わかりましたから、それでいいだろうと思っています。ただ、今回の収益的収支を見ますと、総収益が54億1、300万、総費用が41億7、700万、そして利益ですが12億3、600万、実に22.8%を超えているんです。23%近い利益を上げているわけです。今の日本の社会の中で、23%の利益を上げている企業というとそうざらにあるわけじゃないだろうと思うんです。それは、岩手県民のために利益をどう還元し、貢献しているのか、こういうことをまず一つお伺いします。
 それから、東北電力への売電単価というのは2年ごとに見直しされております。現在8円59銭となっておりますが、ほかの県が東北電力に売電している契約単価はどのぐらい差があったり、岩手県は高いのか安いのか、こういう比較もちょっと話の中に入れていただければいいです。ただ、今までの経過を見ますと、岩手県の売電単価は安く売っている方に部類していると認識しております。安く売っているけれども、岩手県民の家庭用の電力などにその効果が、そういうサービスが必ずしも反映されているという状況ではないだろうと思うんです。安く売った部分というのは、岩手県のほかの部分でどんなところにその効果が行っているのかということも、ひとつ聞いておきたいと思います。
 先ほど、電力の自由化については千葉委員がお聞きしましたから、これは削除します。
 もう一つは、電力の自給率ということでお伺いいたします。
 本県の自給率はどのぐらいになっているのかをまず伺います。電力の自給率というのは、21世紀の県民生活の安定ということで最大の県政課題だと考えております。人類が生きていく上で、水、空気、食料と加えて電力が最大の要因になることは容易に考えられることでございます。ほかの県の電力を頼りにすることなく本県としての電力の自給率を高めていくならば100%、これは官民含めてだろうと思うんですが、そういうことを実践する、そして21世紀の重要課題としてこの課題に取り組んでいく姿勢が必要なのではないかと考えるわけですが、その考えに対する展望などをお聞きしたいと思います。
 それから、先ほど新エネルギーの話も出ておりました。中で、いろいろなものがあるんですね。産業廃棄物、バイオマス発電、風力、火力、太陽光発電、地熱、揚水発電と、いろいろなものがあります。いずれ、どれもエネルギーとして利用することができるんだろうと思いますけれども、最も岩手県に合ったエネルギーは何か、そしてコスト的にも環境的にも最もいいエネルギーは何かということで、企業局の皆さん方、これは企画の方も検討する事項だと思うんですが、そういう中で特に企業局が力を入れている風力発電、これは私の住んでいる貞任、釜石地区の和山地区だとか、寺沢高原というところにもうわさが上った経緯もありました。そういうことで、企業局で力を入れている風力発電開発について、もう少し詳しい状況をお知らせ願いたいと思います。
 1回終わります。

〇小笠原企業局長 質問事項が多岐にわたりますが、私の方からは、売電単価の関係と料金の差額の還元という話、自給率の話、風力発電の具体的な話についてお答えして、そのほかについては総務課長と経営管理課長から答弁させますので、御了承願います。
 まず、電力料金のお話でございますが、お話ありましたとおり、本県は安い方ということで、具体的に申し上げますと、東北で行けば、高い順に申し上げますと福島が一番高くて、2番目が秋田、青森が3番目、4番目が岩手県となっておりまして、その下に新潟と山形がございます。全国的に見ますと28番目ぐらい。34県で電力事業をやっているわけですが、28番目ですから低い方になっております。この電力料金、先ほど来お話が出ておりましたが、総括原価主義ということで、かかった分を見る、それに適正な利潤を加えるという制度になっております。したがって、費用がかかっているものは高く買ってもらっているということになっております。直接申し上げますと、例えば私どもの方は古い発電所が多うございまして、これについては時代も古いものですから、現在の貨幣価値にしますとかなり安いということがございます。それに起因して、減価償却でありますとかもろもろの経費が安く済む。それから、そういった点では起債も少ない額で済んだわけですから、それに対する利息の支払いも少ない。それから、起債の償還等がかなり進んでいるということになりますと、かかる費用が安くなるということになります。その結果、安い高いの差が出るということになります。ちなみに申し上げますと、福島県が一番高いんですが、これは最近つくった発電所が多いということで高くなっております。したがって、何かの犠牲を払って岩手県が安くということではない仕組みになっているということで御理解いただきたいと思います。
 それから、東北電力が我々の家庭に電力を供給しているわけで、その価格と、私ども企業局が東北電力に売る価格の差があるのではないかということでございます。実は、電力会社の料金につきましても総括原価主義という方式だと聞いておりまして、電源がもろもろあり、東北電力自身が発電しておりますし、その他に、私どものような公営企業の水力、それから一般企業が行う火力でありますとか、電源開発等が行う水力、火力、原子力とかあるわけです。そういった仕入れ原価をもとにいたしまして、さらに、それに電力会社の送配電線、営業費用、もろもろの費用がかかるわけです。それに一定の利潤を加えるということで算出しております。しかも、電力会社が区域全体でプールして計算されているということでございまして、必要な原価が料金に反映されていること、それからプールされているということで、差額の還元ということはちょっと出てこないのではないかと思っております。
 ちなみに、実は水力というのは高い方の部類に入りまして、引き下げているのは火力とか原子力とかで、量も圧倒的に多いですし、料金も安いということでございます。
 それから、自給率のお話がございまして、これはこれまでもいろいろ議論された経緯があると承知しております。現在の状況でございますが、10年度で見ますと、本県全体の電力消費量に対して、企業局その他も含めて発電された電力量というのは、これが自給率ということになると思うんですが、23.2%、2割強しか県内では発電されていないということになります。これは、水力だけでは当然無理ですし、100%となれば火力とか原子力とかという話になると思うんですが、これは知事部局の話になりますけれども、県といたしましては、今のところ100%を達成するという目標とか手だては特に定めていないと承知しております。いろいろ大きな問題があるということだと思います。
 ただ、先ほどもちょっと申し上げましたが、いずれ環境エネルギーが非常に大きな問題になっておりまして、昨年、新エネルギービジョンをつくりまして、新たなエネルギー、クリーンなエネルギーを活用して発電することに積極的に取り組んでいこうということになっております。私ども、これに対応して可能な範囲で努力してまいりたいと考えております。
 それから、風力発電の関係でございますが、先ほどちょっと申し上げましたが、採算性としては、毎秒平均して5.7メートル吹いていないとなかなか難しいということであります。私ども何カ所かやってきたんですが、今一番可能性があると考えているのは、浄法寺の稲庭岳の中腹になりますが、ここで6.9メートルぐらいの風況を得ております。まだ1年たっておりませんので、もう少し成果が必要です。それから、ただ風が吹けばいいということにはなりませんで、道路を新たにつくるとなると大変な金がかかりますし、電線も行っていないと、それまで含むと全然コストが合いませんので、そういったところがないと開発が不可能でございます。一応、稲庭地区はそういうところがあるということで、今ここを考えて進めております。
 それから、さらに調査を進めたいと考えております。ことしは遠野の荒川地区、高清水地区──この辺は道路沿線もいいですから──安代町の田代平地区ということで、この辺の調査を実施して、可能であれば開発に取り組んでいきたいと考えております。
 実は、今のところ、本県でもほかの県でもそうだと思うんですが、新エネルギー関係については風力が一番可能性が高いとなっておりまして、当面はこれに力を入れてまいりたいと思っております。
 その他のお尋ねについては、先ほど申し上げましたが、関係課長から答弁させますので、よろしくお願いします。

〇伊東総務課長 私の方からは、企業債の関係と剰余金の関係についてお話し申し上げます。
 企業債の現在高の関係でございますが、まず、電気事業会計におきましては、平成10年度末の企業債現在高は約98億6、100万円余となってございます。償還期限は平成41年度までかかる見込みでございます。これは11年度借り入れするもの、あるいは償還するもの等ございます関係でございます。なお、平成11年度末の残高としては98億4、600万円と見込んでおるところでございます。
 次に、工業用水道の方でございますが、平成10年度末の企業債の現在高は約67億5、100万円余、11年度末の額といたしましては約67億4、000万円と見込んでおるところでございます。工業用水道会計の償還期限は、本年度の出し入れがございます関係上、平成39年度までかかる予定でございます。
 次に、利益の剰余金処分の関係でございます。確かに平成10年度決算におきましての純利益12億3、600万円余あるわけでございますが、これは、今回それぞれ積立処分をお願いしておるものでございます。その内容といたしましては、減債積み立て、あるいは建設改良、中小水力開発積み立て、こういったような形でのお願いをしておるわけでございます。
 企業局といたしまして、地元還元といいますか地域還元という形におきましては、今までも収益的支出の中で、営業費用で現金の支出を伴わない費用があるわけで、減価償却とか固定資産の除却損とかございますが、そういうものの損益勘定留保資金の一部を活用しているところでございます。具体的に申し上げますと、一般会計への自治振興基金等々、環境保全基金とかございますが、そういった基金への貸し付け、それから林業公社への資金貸し付け等行っておりまして、間接的ではございますが、地域振興に役立っているものと考えておるところでございます。

〇滝田経営管理課長 新エネルギー関係の取り組みと今後の見通しでございますけれども、先ほど局長からも申し上げましたけれども、風力発電につきましては、大型風車の開発ということで、建設コストが低減しております。そういうことで発電単価が下がってきておりますことと、電力会社の購入単価でございますが、昨年4月に11円50銭という設定をした関係もございまして、開発条件の整っている好風況の地区については、売電事業として採算がとれるということで、現在取り組んでいるということでございます。
 また、廃棄物を活用したRDF発電、さらには木質燃料発電につきましては、これも先ほど局長が申し上げましたけれども、10年度に調査いたしました。発電単価が高くて事業化は厳しい結果ということになったところでございます。今後の技術開発の動向に着目いたしまして、関係部局と緊密な連携をとりながら、引き続きその導入について調査検討してまいりたいと思っております。
 新エネルギーにつきましては、一般的に発電単価が火力等の既存電源に比べまして高い傾向にあると考えております。今後におきましても、さらなる技術開発や財政支援の拡充等によりまして、発電単価が低減していくものと期待しているところでございます。

〇上澤委員 ありがとうございます。
 それでは、工業用水について最後にお聞きしておきます。
 工業用水の部分では、単年度では黒字でも累積欠損金は11億4、900万余と多額でございます。経営の健全化に向けて、今後多くの努力を図っていかなければならないということは明らかなことでありますが、私は、今後どの程度の一般財源をこの事業に入れていこうとしているのかということをお伺いします。また、一般会計から繰り入れるための基本的な考え方、根拠を伺います。安易な一般会計からの繰り入れは経営努力と相関関係があるのですから、それをまずお伺いします。9年度には1億3、200余万円、10年度には1億8、200余万円と5、000万の一般財源を繰り入れた額の差がございます。ここについてもお伺いしておきます。
 それから、工業用水を使用している企業は、現在何社あるかということをまずお伺いします。団地に誘致する側の企業の魅力というのは、もちろん自治体の固定資産税等の減免措置とか工業用地のあっせん、労働力の供給、こういうものがあるんですけれども、長期間その場所に立地するということで、一番欲しいのは安い電力と流通の整備であるということは容易にわかるところでございます。工業用水についても同じことが言えるわけでございます。そこで、売り値は幾らになっているのかということをまず聞きます。そして、売っている価格が東北6県のほかの地域の工業用水を売っているものと比較した場合に、どういうようなランクにあるのか。また、誘致企業に対して何らかの特別な配慮をしているものがあるのかどうかということもお伺いしておきます。
 計画当初と大きく差が出た水需要については、景気の低迷などは今考えられることでございます。でも、日本全国どこも同じだから、うちもそれでいいのだというような考え方であれば、この計画を遂行していく力にはなかなかならないだろうと思います。やっぱり所期の目的を完遂していくという気持ちをまず、これは企業局だけでなくて、企業を張りつけるという努力をしなければなりませんから、企画振興部もあるでしょう、商工労働観光部もあるでしょう、それから地元の自治体の係の者もあるでしょう。それらの連携プレーが大きな要素になって、そこへ立派な企業が張りつく。今までの企業を張りつけたものを研究してみますと、そこに張りつけるために、東京に何カ月も泊まっていて、企業を連れてきて、団地をものにしたとか、やっぱり将来、立志伝中の人として語られるぐらいの意気込みを持ってやっていった人たちが成功しているという部分もございます。そういう意味で、それらの担当部局との連絡調整が常にどのように行われているかということもお伺いしておきます。そして終わります。

〇滝田経営管理課長 まず、建設化に向けての一般会計からの支援についてでございますが、中長期的な経営見通しを見た場合、資金不足の発生が予測されてございます。今後、資金不足の補てん策の一つとして、一般会計からの支援の要請も必要になってくると考えております。その不足額といいましょうか、今後の水需要量または料金の改定によって変わってまいります。そういうことで財政当局との協議の中で決まってくるものでございますので、現時点でその額というのは申し上げることはできません。
 次に、一般会計からの支援の根拠でございますが、地方公営企業法上、あくまでも公営企業の経営は独立採算を原則としているわけでございますが、この例外規定といたしまして、特別な理由がある場合は、補助、出資、長期貸し付けについても認められているものでございます。
 出資金の9年度と10年度の差は何かということでございますが、10年度は、北上中部工業用水道のろ過施設の老朽化に伴う更新工事が必要となりました。そういうことで、改良工事費用が9年度と比較して増額しまして、企業債の元金償還金に係る資金の不足が多く発生いたしまして、出資金が増額になっているということでございます。
 それから、工業用水を使用している企業ということでございますが、11年度現在で、北上工業団地12社になります。それから、岩手中部の金ヶ崎工業団地7社ということで、19社に供給しているところであります。
 それから、工業用水の料金と東北6県との比較についてでございますけれども、工業用水道料金は、御承知のとおり水源費の負担、水処理方式の違い、さらに建設時期の相違によりますコストの違いによりまして、各県、各事業の形態によって大きな格差が生じておるところでございます。本県の料金は、基本料金が1立方メートル当たり45円で供給しておりますが、東北6県と比較してみますと、東北では15の事業体で28事業実施しているところでございますけれども、福島県の小名浜工業用水道が2円70銭ということで最低でございます。それから、山形県の東根市と福島県の白河市が60円で最高料金となっている状況でございます。この料金の開きというものは、水源費の負担がなくて、かつ原水をそのまま供給しているような建設費用の少ない事業だとか、本県のようにダムに水源を求めまして水を浄化処理して供給している場合のように、事業形態によって料金が違ってくるところでございます。
 また、誘致企業に対する配慮ということでございますが、企業局といたしましては、健全化計画では4年度の料金改定に続きまして、局長も申し上げましたが、9年度料金改定を予定したところでございますけれども、企業誘致施策等、諸般の事情で9年度の料金改定を見送ったということで、45円のまま据え置きということでございます。
 もう1点、担当部局との連携でございます。御承知のとおり、工業用水の需要拡大には用水型企業の立地が必要でございます。こういうことで、県や北上市が行います企業誘致活動に共同参加いたしまして、工業用水のPRを行いまして、関係者と一体となって誘致活動を実施しているということでございます。県下で構成します工業用水道事業関係連絡協議会というものを持っておりまして、この協議会の中で工業用水の課題、経営環境などについて意見交換を行いながら、事業推進に努めているということでございます。

〇小原委員 社会民主党の小原宣良でございます。
 初めに、電気事業についてお伺いいたします。
 平成10年度電気事業会計決算は12億3、500万円余の当年度純利益を計上するなど、順調な経営がなされていることに敬意を表します。今後とも、本県の電力自給率向上と、良質でクリーンなエネルギーの安定的供給に御努力いただきたいと思います。
 さて、この電力自給率でございますが、このことが問題視される要因の一つに、電力の質があるように思います。遠隔地から送られる電力は、波形に乱れが生じやすく、高性能の機器材に影響があるのではないかというものでございます。もし、遠距離から送られる電力の質と近距離で発電される電力の質に差がないとすれば、本県は風力や水力、あるいは太陽光発電などのクリーンエネルギー供給に専念してもよいのではないかとも考えるわけでありますが、技術陣のそろっております企業局としての御意見をお伺いしたいと思います。

〇及川企業局技師長 電気の質の確保については、電力会社さんは電圧、周波数を電気事業法に定められた一定の範囲内に保つように努力して、良質な電気を各家庭に供給している。それで、電力会社さんは、東北電力の場合は東北7県を範囲にしているわけでございますが、送電網で全部結んで、新潟の発電所も、青森も福島も岩手県も、そういう送電網で結ばれ、変電所を通じ、配電線を通じ各家庭に送られているところで、質的違いはなく、基準をクリアしているものと承知しているものでございます。

〇小原委員 質的相違はないという見解でございました。そういうことで、自給率は、先ほどの説明でも23.2%ということでございまして、電力の移入県ということが言えると思います。しかしながら、電力の質に差がないとするならば、やはりクリーンなエネルギーの供給体制の整備ということも、これからの電力事業の方向性としては定めていっていいのではないかと感じた次第でございます。
 なお、また議論してまいりたいと思います。
 次に、損益計算書によりますと、総収益対総費用比率は129.6%と、対前年比で4.3ポイント減となっております。これは営業費用の増嵩によるものと思われますが、具体的にその内容をお知らせいただきたいと思います。
 また、ダム負担金の支払状況はどうなっているでしょうか。法的根拠によるものとは思いますが、ダム建設及び管理負担ごとにお知らせいただきたいと思います。
 なお、先ほど上澤委員からも質問がございました売電単価に含まれる経費でございますけれども、私からもお伺いいたしますが、この売電単価に含まれる経費の主なものについてはどのようなものか、あわせてお伺いいたします。

〇滝田経営管理課長 総収益対総費用比率についてでございますけれども、この比率が前年度より低下したのはどういう要因なのかということでございます。これは、総費用に占める割合が高い営業費用におきまして、局長も先ほど申し上げましたけれども、10年度は退職者が多くて、前年度より人件費が1億1、600万円余増加したことも一つでございますし、松川発電所に係る市町村交付金、これも10年度から交付対象になりまして、約6、100万円余増加いたしました。そういうことで、営業費用全体で2億2、700万円増加したことによって、比率が4.3ポイント低下したということでございます。

〇壽業務課長 ダムの負担金の支払状況でございますが、現在建設されております早池峰発電所ほか3発電所の負担金は2億6、000万円でございます。それから、仙人発電所等、運転しております既設の4発電所につきましては、10年度の支払い分は7、700万円余でございます。

〇小笠原企業局長 一つ漏れている、売電単価に含まれる経費の主なものということでございました。内容的には、まず人件費が一番多うございまして、私どもの割合で見ますと、約28%が人件費ということになっております。次が減価償却費が20%弱、支払利息が11%ちょっと、そのほかに修繕費でありますとか交付金──これは市町村交付金でございますが、これが4.2%、そのほかに消耗品とか、水利使用料とかが10%ほど含まれております。これが本当の原価でございまして、このほかに、先ほど来申し上げております事業報酬、これは減債積立金、特別積立金等に充てられるものでありますが、これが19%ちょっとということになってございます。

〇小原委員 わかりました。これらの関連の中で売電単価が決まっていくということでありますが、ぜひ適正な、あるいは経営全体を反映できるような単価にしていくように、ひとつ御努力いただきたいと思います。
 次に、北本内ダム建設の事業休止についてお伺いいたします。
 この北本内ダム建設事業は、中止を前提とした事業休止とも聞いているのでありますが、休止の判断に至った根拠について、改めてお示しいただきたいと思います。
 また、この事業を休止することに伴って対処すべき課題もあろうかと思われますので、以下2点お伺いいたします。第1点は、ダム負担金等、これまでの経費はどのように処理されるのでしょうか。第2点は、発電事業を含めて中止するのか、それともダム式発電にかわる方式によって発電事業を継続して検討していくものかどうかお伺いいたします。先ほど、千葉委員の質問に対しましては、北本内については開発可能性を探っていくという御答弁があったわけでありますが、それらについてお伺いいたします。

〇小笠原企業局長 北本内ダムの事業休止に至った根拠ということで、これは知事部局の方の判断でございますが、私どもが示されているのは、治水、利水対策の両面についてよりすぐれた代替案を検討するため休止すると聞いているところでございます。
 それから、ダム負担金等のこれまでの経費は、私どもは2、036万4、000円ほど負担しております。ことしの負担はないわけでございますけれども、この取り扱いについては、まだ中止ということがはっきり決まっておりませんので、もしそうなるとすればですが、その段階で、基本協定を土木と結んでいるわけでございますので、いずれその辺と十分協議して対処してまいりたいと考えております。
 それから、北本内ダムは、ダムを利用して発電を考えていたわけでございます。実は、その前に私ども、ここの地点を水路式で調査した経緯がございまして、可能性があるのではないかということがございました。それで、休止ということになりましたので、もしだめになった場合、再度できないものかということで今検討しておりまして、可能性はあるのではないかと思って、さらに調査を進めてまいりたいと考えております。ただ、いずれコスト削減ということで余り金をかけられませんので、それに対応できるかどうか精査を進めたいと考えております。

〇小原委員 ダムの休止という部分については、直接的には企業局の範囲でないということになるんですかね。いずれ、今局長のお話では、よりすぐれた代替案云々ということがありましたけれども、これではちょっと理解できないですね。よりすぐれた代替案ということを前提として休止とするならば、さらにまた代案がそこに何らかの形で提示されてしかるべきであるし、そのことを企業局としても承知しておいて当然のことではないでしょうか。これは、よりすぐれた代替案というのは、ちょっと私は理解できませんので、局長、再度御答弁いただきたい。

〇小笠原企業局長 よりすぐれた代替案については、ただいま検討されているものと承知しておりますが、水源の問題でありますとか、治水の問題でありますとか、そういったところを別な方法でできないものかどうか検討されているのではないかと考えております。その上で、中止するか、あるいはどうするかという判断が出されるものと考えております。

〇小原委員 これはちょっと、企業局長ですから、直接のダム建設担当でないという点でそのようにおっしゃっておられるのではないかということで、理解はしませんが、ここでとどめておきます。理解できないですね。いずれにしても、次の発電事業については水路式ということも検討の中にあるということですから、そういう点では、ダム建設という部分と水路式というのは、ある意味でどちらかが整理──どちらかというよりも、ダムの部分を整理していかないと、この水路式に転換できないわけです。ここのところは、直接の担当でないということで引きますけれども、ぜひそこのところを整理してかかっていかないと水路式も前に進まないんじゃないですか。そのことを指摘しておきたいと思います。
 次に、現在建設中の早池峰発電所などの操業開始と収支見通しについてお伺いいたします。これらは多額の資本を投資して建設されているものでありますが、収支バランスがとれるまでにはどれほどの年限を要するものなのかお伺いいたします。
 また、胆沢第三発電所については、完成まで相当の年限を要するようでございますが、その原因をどのように把握しておられるのかお伺いいたします。

〇壽業務課長 最初に、早池峰発電所の運転開始とその収支見通しということでございますが、運転開始につきましては、ただいまダム建設事業は工程どおり順調に進んでおりまして、早池峰発電所も予定どおり平成12年6月に運転開始できるものであると考えております。
 それから、早池峰発電所の収支バランスということでございますが、電気料金は、総括原価主義により必要な経費と事業報酬を計上する仕組みになっておりますことから、収支については、初年度から黒字を計上することとなっておるわけでございます。
 それから、胆沢第三発電所の完成まで相当の期間を要するようだ、その原因は何なんだということでございますが、胆沢第三発電所は、胆沢ダムの建設工程に合わせて建設するものでございますから、ダム建設に要する期間と同様に相当の期間を要するものであると考えております。ダム完成工期の延長理由ということでございますが、水没移転及び工事用地の増加等に伴う用地測量・交渉に相当期間を要したため、施工計画の精査に相当の期間を要したため、それから事業費の増嵩によるものもあると聞いております。

〇佐々木副委員長 小原宣良委員の質疑中でありますが、この際、午後1時まで休憩いたします。
   午前11時57分 休 憩
   午後1時4分 再 開

〇佐々木副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 企業局関係の説明に対する質疑を続行いたします。

〇小原委員 午前に引き続きまして、工業用水道事業についてお伺いをいたします。
 工業用水道事業は県南部の企業集積を促し、そのことによって雇用機会の拡大を図り、ひいては全県にその波及効果を及ぼすことを目的として、昭和53年度から給水を開始したものであります。これまでに果たしてきた当事業の役割は極めて大きく、この事業なしには北上の工業団地、金ヶ崎町の岩手中部工業団地の発展はなかったものであり、その間の企業局の御努力に感謝を申し上げます。
 さて、企業局は経営困難の折、平成3年度に自治省の経営健全化団体の指定を受け、平成10年度までの8年間、各種の健全化策に取り組んできたところであります。そこで、この経営健全化計画についてお伺いをいたします。
 企業局の努力の結果、平成9年度から黒字に転換したのでありますが、この間、一般会計からの補助金や出資金の繰り入れなどの多額の財政支援のもとに健全化計画が実施されてきたところでありますが、これらの支援状況、また、企業債の返済残高、他会計借入金返済残高の現状とその返済計画はどうなっているのかお伺いをいたします。

〇滝田経営管理課長 一般会計からの支援状況でございますが、一般会計からの支援につきましては、企業局の経営努力では経営の健全化ができない部分について、一般会計から補助金、出資金として繰り入れをしているものでございます。繰り入れ額でありますが、企業債利息の返済に要する経費といたしまして7億5、600万円の補助金と企業債の元利償還金、それから建設利息の返済に要する経費といたしまして16億3、700万円の出資金、あわせまして23億9、300万円の支援を受けたものでございます。
 なお、一般会計がこの工業用水道事業会計に対して繰り入れをした場合は、その額の2分の1が特別交付税として一般会計に財政措置されているものでございます。

〇伊東総務課長 工業用水道事業の企業債の返済残高あるいは他会計からの借入金の状況でございますが、企業債の返済残高につきましては、先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、平成10年度末では約67億5、100万円、償還期限は平成39年度までとなってございます。11年度中に償還する額が3億2、200万円、借入が3億1、100万円というふうに考えておるところでございます。
 なお、借入する3億1、100万円といたしましては、これは第三北上中部工業用水道の建設、いわゆる早池峰の建設負担分でございます。
 それから、他会計からの借入金の関係でございますが、電気事業会計の方から平成10年度末で約1億6、700万円を借りておるところでございます。11年度の償還につきましては繰り延べをする予定でおりまして、また、11年度につきましては借入の予定はないものでございます。
 それから、一般会計の方からでございますが、一般会計からの借入金の現在高につきましては平成10年度末で約26億600万円、それから11年度中につきましては借入の予定はございませんで、11年度末借入金の現在高は約26億600万円で、償還期限につきましては平成28年度までかかって償還する予定としておるところでございます。

〇小原委員 かなり長期にわたる返済という中で、今後の経営努力がまた一層求められるということであろうかと思います。ぜひ御努力をいただきたいと思います。
 次に、健全化計画中における契約水量の増加分と給水収益が健全化計画達成にどのような成果があったというふうにお考えかお伺いをいたします。
 なお、工業用水道が安定的に経営できるためには、単年度の契約水量はどのような形で推移すればよいというふうにお考えでしょうか。現在給水能力量とのかかわりでお知らせをいただきたいと思います。
 最後の質問でございますが、ただいまの御答弁にもございましたとおり、今後の経営健全化対策、極めて重要でございます。経営健全化のためには引き続く経費の節減と水需要の新たな開拓が求められるのでございますが、第一工業用水道、第二、第三、それぞれ工業用水道ごとに今後の対策、そして見通しをお示しいただきたいと思います。

〇小笠原企業局長 まず、健全化計画期間中における契約水量の増加ということでございまして、この8年間ですが、日量1万718立米でございます。そういった需要の拡大でございまして、これの増量分、それから平成4年度には料金も改定しております。これをあわせますと、10年度末までに21億7、600万円の効果があったということでございます。
 それから水需要、安定的に経営できる水をどの程度売ればいいかということでございますが、これはいろんな料金等の設定の関係もございますが、仮定の話として、現在の料金で、その他の条件も今の状況と仮定した場合、単年度収支だけ考えますと、あと日量9、000立米ほど増量すれば単年度の黒字基調は維持できるということです。去年はもう既に黒字は維持できるわけですから増量がなくてもいいんですが、今後、若干支払い利息等の増加が予想されるものですから、それも考えると9、000立米ほどふえないとちょっと収支が均衡しないということでございます。ただ、単年度収支だけ黒字でも企業債償還金などがあるわけで、資金不足が発生すると予想されます。これを見込みますと、約2万5、000立米ほど増量しないと健全経営ができないというふうに見込んでおるところでございます。これは仮定の話ですけれども。
 それから、各三つあるわけですが、それぞれの健全化の現状と取り組みということでございます。現在、三つあわせまして日量4万1、718立米ほど供給しているわけでございまして、一方、計画量は8万6、960立米ということになって5万立米ちょっと、半分以上が未売水という形になっております。これを各水道別に見ますと、一番最初に実施をいたしました北上中部工業用水道は契約水量はほぼ満杯でございまして、例えばことしの9月から増量契約500立米ほどやっておりますが、これらは中部では賄い切れず、第三の方に回している状況にございます。
 それから、第二北上中部工業用水道は、計画水量に対しましては33.4%の契約率ということでございます。大きいのは北上南部工業団地に期待をしていたわけでございますが、これが用水型企業というのは1社も張りついていないということで、非常に難儀をしているわけでございます。いずれ、今までも企業誘致には関係部局と、あるいは地元北上市と連携をして取り組んでまいったわけでございますが、今後とも引き続き努力をしていかなければならないと考えているところでございます。
 それから、第三につきましては、計画給水量に対しまして35.4%の契約率ということでございます。これは既に立地をしております半導体関連企業で設備投資をするということがありまして、それらも含めて計画をしたものでございます。若干この計画、建物は建っておりますが操業がおくれておりますが、いずれ私どもとしては早期に、景気動向にも大分左右される部分がありますけれども、企業と接触を図りながら、早期に操業し、水を使っていただくように要請をしております。
 いずれ、大変景気低迷などで、それから環境も変わりまして厳しいという状況であります。いずれ、経費の節減を徹底するということでございますが、先ほど申し上げましたとおり、中長期的な健全策を立てたいということでございまして、そのための前提となる水需給の見通し、これ全体でいろいろ推計をし直すということです。これらを年内ぐらいには出るのではないかと思いますが、こういったことを踏まえて、中長期的な健全化の対策を考えていきたいと思っております。

〇斉藤委員 私は3点ですから、まとめて聞きますのでよろしくお願いします。
 第1点は、北本内ダムの建設負担金についてでありますが、先ほど局長はこの休止の理由について、別の発電、洪水調整その他の対策のためという話でありましたが、休止の理由はそうではなくて、これは去年の決算でも審議されたことでありますけれども、400数十億円のあの北本内ダムの建設が、地質その他で600億円を超えるだろうと。ことし委員会で視察したときには地元では1、000億円を超える、こういう話までありました。ですから、北本内ダムの建設計画がそういう点で見れば大変ずさんだったと、そういうことで休止に追い込まれたというのが私は真実ではないかと思いますが、その点、局長の先ほどの答弁と私は実態はかなり違っているんではないかということでお聞きしたい。
 それで、2、000万円余のこれまでのダム建設負担金、これはどのように処理されるのか。結局、休止、中止になってこれ投げ捨てと。これは決算上は、会計上というかこれは不用額という形になるのか。これまでの建設負担金ですか、これは、どういうふうに処理されるのか示していただきたい。
 同時に、ダム建設中止の責任というのがあると思うんですね。これはどこにあるのかと。企業局がこの事業に参加した段階で共同事業者ということになりますから、そういう点で企業局にもそういう一端の責任があるのかないのか、この点を第1点に示していただきたい。
 第2点は、北本内ダム建設の中止とかかわって岩手第二中部の工業用水道なんですけれども、飲用水への転用というのが検討課題になっていると思うんですね。この点について、去年の決算でもこれは審議をされ検討対象になり得るという答弁でありましたが、この間どういう検討がされているのか。利水計画もかかわりますが、どういうレベルでどういう検討がされているのか。今もお話しあったように、第二北上中部は33%、3分の1しか使われていないと。ですから、これをどういうふうに解決するかというのは大変経営収支状態に重大な問題だと思いますので、私はこの1年間、どういう検討が今されているのかを示していただきたい。
 3点目ですけれども、論議をされている健全化計画について。
 私は、去年ことしと──去年ことしといいますか、昨年度、一昨年度、黒字に転換したということは評価をいたします。しかし実態を見ますと、給水量に対する実際の給水量は53.5%です。5割程度しか実際には使われていない。健全化計画に対してもその達成率は75.4%ということで、なぜ黒字になったかと言えば、一言で言えば、高い利率の借金を繰り上げ償還したと。この負担軽減が12億4、700万円ありまして、私はこれが決定的に大きかったと思うんですね。今の小原委員の質問に対しても、私は聞くと、実際の利用給水量をかなり引き上げないと実際にはもう黒字基調にならないんじゃないか。例えば10年度黒字と言っても、企業債返済のための出資金が1億8、200万円。ですから、これを除いたら実質赤字なんですね。そういう点でも私は、この健全化計画の表向き黒字というのは評価するわけですが、やはり供給可能水量と比べればもう半分程度しか使われていないと。これはやはり計画が実態と比べて大きく乖離をしていたと。わかりやすく言いますと、過大投資だったと言わざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。

〇小笠原企業局長 まず、北本内ダムの休止の理由ということで先ほどお答え申し上げたわけですが、よりすぐれた代替案というのは、経費等も含めてよりすぐれた代替案を検討されているものと考えております。
 それから、責任ということでございますが、私どもは参加をしているわけでございますが、あくまでもこれはダムの維持流量、通常流す流量を活用して発電をするということでございまして、ダムができればそれに乗っかってやった方がダムの関係でも私どももいいということでございまして、主体的にはちょっと判断しかねる部分がありまして、治水とかその他の部分が大きいと思いますので、それがどうしてもやむを得ない事情で中止をされるということであれば、私どももやむを得ないものと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係課長から答弁させますので御理解をいただきたいと思います。

〇壽業務課長 北本内ダムが中止となった場合の負担してきましたダムの負担金はどうなるかということでございますが、これにつきましては土木部と北本内ダム建設事業に関する基本協定というものを締結しておりまして、今後、土木部と協議をしながらいろいろ検討してまいりたいと思っております。

〇滝田経営管理課長 まず、北本内ダムの中止に関連した水源転用の検討状況でございますが、ダム建設の取り扱いの変化に対応する利水調整につきましては、ことしの6月に設置されました企画振興部の次長を委員長とする利水調整委員会において検討されているところでございます。委員会の中で、工業用水の上水道への水源転用についても代替案の選択肢の一つとして検討されており、現在、岩手中部広域水道企業団が今後必要とする水量、また、工業振興上確保する必要のある水量、それぞれ関係機関で調査をしている状況でございます。
 それから、工業用水道施設の規模といいましょうか、計画給水量についてでございますが、御承知のとおり、工業用水道事業は地域開発のための基盤整備の一環としまして、将来の企業誘致をある程度予測して建設するものでありまして、現在の規模は、県の工業団地計画の施策の中で工業振興担当部局が団地ごとに立地企業業種を予測して、その上で工業用水の使用量を推計したものでございます。この計画水量は、計画地点では考えられる最善の策として計画したものでございますが、現時点での実態としまして計画どおりの用水型企業が立地しなかった、特に北上南部工業団地がまだ分譲中ということでございまして、結果的に多量の未売水が生じているものでございます。

〇斉藤委員 これで終わりますけれども、北本内ダムの休止の理由というのは私が指摘したとおりで、いわば当初の計画と比べると600億円を超えざるを得ないと。現地に行ったらそうではなくて1、000億円だという話があったので、私はそういう計画が破綻をしたと。そのために、代替計画というのが検討されたと思うんですよ。代替のためにやめたということではないんで、その点はきちっとしておく必要があると思うんです。
 それで第二北上中部の問題で、4万8、000トンのうち今契約水量が1万6、000トンで、3万2、000トン未売水ですね。去年はこういう答弁があったんです。北上南部工業団地、ここに約1万8、000トンほどの供給を見込んでいると。これ見込んでもかなり残るということになるけれども、この1万8、000トンの見込みというのがどうなっているか、根拠があるのかどうか、このことをお聞きします。
 それと、私は過大投資ではないかと言ったのは、東北各県と比べますと岩手県の規模というのは決して大きくないんですね。大きくなくて、例えば計画配水能力に対する契約水量というのは半分以下でしょう。8万6、000トンに対して4万1、000トンですから。東北各県は規模が大きいけれどももっと接近していますよ。計画水量と現在がほぼ一致しているし、そして実際の契約水量も5割を割っているところはどこもありません。私はそういう点で、岩手県はなぜこういう乖離が大きくなったのかと。バブルの時代に借金を大きくし、バブルが破綻をして健全化計画を立てて黒字に転換するということになっているんですよ。私はだから、これは経済が理由じゃないと。やっぱり水需給計画というのは企業局が立てた計画じゃないと思うけれども、その点では私は岩手県の場合、東北各県と比べたら本当に異常な事態になっていたのではないかと、これを聞いて終わります。

〇小笠原企業局長 第二北上中部工業用水道の北上南部工業団地分の1万8、000トン何がしの未売水でございます。これも先ほど経営管理課長が答弁した計画の中で算定されたものと承知をしております。現時点では、ちょっと具体的な北上南部工業団地の用水型企業の新たな立地というのはめどはついていない状況にございます。いずれ、今後とも関係部局と一緒になって努力をしてまいるということでございます。
 それから、結果として大量の未売水が発生しているということは事実でございまして、東北6県その他それぞれ事情があるだろうと思うんですが、いずれ責任どうのこうのとかというよりも、とにかく今後とも、ある程度中長期的に考えなければならない部分もあると思いますが、企業誘致等を通じて何とか解消できるように一生懸命努力をしたいと考えております。

〇阿部(富)委員 企業局は平成6年3月に電気事業10カ年計画というものを策定しているわけでありますけれども、この進捗状況について最初にお伺いいたします。

〇壽業務課長 開発計画についてでございますが、平成6年に策定しました電気事業10カ年計画に基づく開発計画について、これは9件の開発を予定しておりまして、平成11年度現在、計画どおり進んでおりますものは9件中6件となっております。この計画が策定されました以降に、当初の計画に入っていなかった柏台が建設され運転開始しております。
 今、柏台と申し上げましたが松川でございます。失礼しました。平成8年度運転しました松川でございます。

〇阿部(富)委員 この電気事業10カ年計画というのは開発計画だったわけじゃなくて、事業全般にわたっての私は計画だというふうに理解をしておりましたけれども、それ以外のことについての進捗状況というのはどうなっているんでしょうか。

〇壽業務課長 そのとおりでございまして、修繕・改良計画等もあるわけでございまして、この中で主な修繕工事が計画では50件ございましたが34件実施し、実施率は約7割となっております。改良工事は計画38件中31件の実施で、約8割の実施となっております。

〇阿部(富)委員 それでは個別にお伺いをしていきますけれども、昭和61年の第5次発電水力調査、これ資源エネルギー庁がやった調査結果でありますけれども、これによりますと、県内の包蔵水力というのは約23億キロワットアワーあるという調査結果が出ておりますが、そのうち開発が済んだものは12億5、000キロワットアワーと、こういうことで54%の開発が進んでいる状況でありますが、まだ未開発地点が102地区あるという調査結果があるわけです。この102の中には、今お話しいただいたように10カ年計画の中で既に手がけて完成したもの、あるいは調査を行っているものがあるわけでありますけれども、先ほどからいろいろ議論が出ているように、本県の電力自給をどうするんだと、このことも大きな課題の一つでもあろうかと思うわけですが、未開発の102の地点についてもう少し長期構想を立てて、具体的にこれらの構想が終了した段階で本県の自給率はこの程度になるという、そういう大まかなものも示していくことが私は必要だと感じますけれども、その点についての考え方はどのようにお考えかお伺いしたいと思います。
 それから、地域振興と料金織り込みについてでございます。
 これは従来からずっと指摘をされておりまして、これが法的な根拠がないということでなかなか電力会社には応じてもらえないという、こういうことで来ているわけでありますが、こうした中にあっても利益剰余金などを取り崩して、例えば一般会計に28億円だとかあるいは森林公社さらには工業水道事業会計などに投資という形で29億8、000万円余ぐらい10年度でもやっているわけですけれども、もう少し地域振興ということについて交渉する余地は私はあるのではないかなというふうに感じているわけでありますけれども、この辺の取組状況はどのようになっていらっしゃるのかお伺いします。
 それから、新エネルギーの関係ですが、これは平成10年に新エネルギービジョンをつくったということで、私まだこれを拝見していませんので詳しいことはお話しできませんが、今までの企業局の考えでは、新エネルギーについては風力あるいは太陽光、それから未利用エネルギーではごみ発電と、こういう形でずっと進めてきたわけですね。そこで、新エネルギーのごみ発電の部分については10年度に委託調査を出しているわけです。先ほど来の答弁を聞いていますと、採算性がとれないような話で具体の話が全く出されていないんですけれども、具体的にはどういうところが採算がとれないのかということをはっきり調査しているわけですから示していただきたいと思います。特にも、どこの市町村もそうですけれども、お金をかけてごみ処理はしているわけですから、その分も含めて検討すべき中身でもあろうかと私は思っているわけですので、具体の中身についてお示しをいただきたいと思います。
 それから、風力についてでありますけれども、この風力も平成6年からずっと調査を続けてきているわけですよね。今までやってきた調査は一体どういう形で生かされてきているのかと、こういう疑問も感じるわけです。先ほど来の質疑の中では、来年度早ければ事業化できるかもしれないというような答弁があったわけですけれども、具体的にどの程度の規模の事業化が見込めるのか、あるいはそれにかかる費用というのはどの程度かかるというふうに現在検討されているのか、お伺いしたいと思います。

〇壽業務課長 それではまず、第5次水力開発調査について、これは通産省が行ったものでございますが、これについて答弁いたします。
 昭和61年にまとめられた第5次発電水力調査においては、岩手県における包蔵水力は一般水力の合計で約23億キロワットアワーとなっております。それに対応するいわゆる設備容量というんですか、発電出力、出力でいきますと51万3、800キロワット、こういうことになっております。また、その時点における開発済み及び工事中の発電出力の合計は25万6、675キロワットでございまして、未開発水力は25万7、125キロワットとなっております。
 企業局といたしましては、平成8年度に松川発電所4、600キロワットを運転開始しました。また、現在早池峰発電所、これ1、400キロワットでございますが、これは平成12年度の6月に完成予定でございます。また、柏台発電所2、600キロワットでございますが、これは平成14年度の秋に運転開始を目指してただいま工事中でございます。さらに、胆沢第二発電所等東北電力からの同意を得た地点が着々と今準備を進めておるところでございますし、先ほど来申し上げておりますように、有根沢地点において発電の基礎となるいわゆる流量観測を継続して実施しておる状況でございます。

〇伊東総務課長 売電料金の方に何とか地域振興策に使えるような経費を盛り込めないかというようなお話でございますが、電気料金の関係につきましては適正な営業経費、それから先ほど来話題になっております事業報酬で構成されておりまして、国の考え方といたしましては、事業の性格からいたしまして新たな発電所の建設あるいは既設の発電所の改良等、そういったようなものに使うべきもので、電気事業以外には資金を流出すべきではないというような考え方が今までの考え方でございます。附帯事業等、今いろいろ話題になっておるわけですが、これにつきましては特別会計事業のいわゆる関連する相当の因果関係があればいいのではないかというようなことは言われておるところでございます。ただ、電事法の改正等今いろいろ論議があるわけでございますが、こうした料金の中でもある程度自由に使える金を認めてほしいというような、自由度を高めてほしいというようなことで、公営電気経営者会議等を通じて国にも要望してございまして、現在、国の方でも真剣に取り組んで考えておるというふうな状況にあると聞いておるところでございます。

〇滝田経営管理課長 企業局が取り組みました調査関係の概況をちょっと申し上げますと、一つは木質燃焼発電の関係でございますが、間伐材を4種類の燃料特徴というものについて調査をしたわけでございますが、その関係は前に局長が答弁しておりますが、試算の結果でございますけれども、国の補助制度もございますので、そういう導入のもとに試算を行ったわけでございますけれども、最終的に売電単価というものが、規模にもよりますけれども大体日量350トンぐらいの間伐材をやった場合には34円程度の単価になるという状況になってございます。その理由とするところは、間伐材の運搬費というものがトン当たり1万4、000円という高い経費でございまして、こういうものが売電単価の方にはね返っているというものでございます。
 それから、RDF発電の関係でございますけれども、これも昨年度調査をしたわけでございますけれども、その経緯としましては、県のごみ処理広域計画というものがブロック割りが方向づけされたわけでございまして、そういうものを踏まえて事業化する場合の可能性というものを調査したわけでございますが、いろいろとごみの処理の取り組みというのは各広域によって異なっておりまして、そういうことで、同じ時期に集約するそういうブロックというものを一応想定いたしまして試算したわけでございますが、結果的には売電収入だけでは賄い切れないと、そういうことで採算性が確保できないというようなことになりまして、現時点で企業局として取り組む事業というのは難しいなというとらえ方をしているわけでございます。

〇小笠原企業局長 風力発電の調査の状況ということでございますが、御指摘のように、これまで平成6年度から昨年度までに玉山村天峰山それから同じような近いところですが日戸、それから湯田町の峠山の3地区で風況観測を実施しております。一番いいのが天峰山でありましたが、それでも毎秒4.9ということでございまして、先ほど申し上げましたとおり、採算ラインは5.7ぐらいというふうになっておりますので、ちょっとここはなかなか難しいというふうに判断をしたところでありまして、その後昨年度から一戸町の小繋地区、これ西岳の山ろくでございますが、ここと浄法寺の稲庭地区で調査をしております。小繋地区につきましては、ここも4.2メートルほどで事業としてはなかなか成り立たないと考えておりまして、たまたますこやか子どもランドも予定されておりますので、そういったところに自家用として供給できるようなことは考えられないかということで今、検討しているところであります。
 それから、浄法寺の稲庭地区につきましては先ほどもお話ししましたが、6.9の風速を得ておりますので、その他の条件も整っているのではないかと考えております。現在、詰めの調査を行っているところであります。

〇阿部(富)委員 まず新しい電力開発の部分、未開発が102地点あるということで、そのうち3カ所はもう既に完成、3カ所は着手していますし、6カ所は調査ということですが、102すべてが発電所をつくるというような考え方じゃなくて、これが三つか四つまとまっていろんな水系をつくったりしてやるという方法だろうというふうに思うんですけれども、そういう調査といいますか計画はつくられないんですかということを聞いているんです。
 それから、地域振興のかかわりについては、因果関係がないとなかなか難しいということですけれども、例えば水の考え方をぜひ改めていただきたいのは、やっぱり森林がないと水というのは私は難しいだろうというふうに思うんです。よく川上、川下という話も言うわけですけれども、発電所のある周辺市町村というのはもうすべて山を抱えてそこに山、森林を守るということをやっているわけですから、別の意味で私は電力を発電するための森林を守るということだって大きな課題の一つだというふうに思うんです。そういう働きかけの仕方もあるだろうというふうに思うんですけれども、そういうふうな考え方には立てないものなのかどうかお伺いをしたいというふうに思います。
 それから、新エネルギーの関係では風力発電、先ほど局長の答弁は来年度にももしかすると着手できるかもしれないという答弁していますよね。具体的にどの程度の容量といいますか発電量なりあるいは資金といいますか、かかるというふうに試算されているのか、その辺をお尋ねしたいと思います。

〇小笠原企業局長 まず、未開発地点の開発についてでございますが、108カ所という数字も出ているようでありますが、これらが奥地にあるということ、それから一方ではコスト削減ということもありまして、相当低コストでないと実際の開発が難しいという時代になってきておりまして、101カ所等を参考にいたしまして、可能なところを絞り込みながら調査を実施しているということでございまして、先ほど申し上げましたように現在開発しているところもございますが、6カ所ほど今ちょっとさらに調査を継続したいと、その他の候補につきましても可能なところから順次実施をしていきたいと、いろんな環境動向を見ながら実施をしていきたいと考えております。
 それから、稲庭地区の発電の内容でございますが、ここは風というよりは電線の容量がございまして、それを見ますと2、000キロが限度と考えております。2、000キロ以内で、できるだけ2、000キロに近づけるような形で実施できればと考えておりまして、総事業費は今のところまだちょっと概算でございますが5億円ほどかかるのかなと試算をしているところでございます。
 水源涵養に絡めて森林の話がございました。私どももっともな話であると考えておりまして、これまでもそういった面での協力というか取り組みができないかということで、私ども11発電所の水源になっているところをいろいろ検討した経緯がございます。その中では一番取り組みができそうだなと考えたのは岩洞のあたりだったんですが、ただこの辺は国有地になってございまして、営林局の方に申し入れた経緯がございます。なかなか施業計画との関連で調整がとれないということで引き延ばしになっておりまして、私もどの程度できるかわかりませんが、取り組みができるところがあれば考えてみたいというふうに思っております。

〇佐々木(大)委員 当該委員ですけれども、以前この特別委員会で取り上げた形だったものですから、この場で発言させていただきたいと思います。御了承いただきたいと思います。
 岩洞ダムの取水地13水系の中の一つを小本川の方に戻していただきまして、昨年だったでしょうか、10月から流しているわけでございますけれども、ちょうど維持流量ということで1水系、大曲沢というのが出たわけですが、おかげさまでこの小本川水系も以前に返って徐々にもとに戻りつつあるということで、地元では大変喜んでおります。特にも、農政部、土木部との連携も大変だったと思うんですが、企業局の努力でそのような成果を上げておられました。私も最初2回ぐらい見ているんですけれども、その後の状況を見ながら今後の対応はどうなさっていくのか、その点をお伺いしたいと思います。
 それから先ほど答弁がございましたけれども、その際に申し上げたのが、水源地の造林等の水源対策ということで、たしか琵琶湖造林公社等の例をとりながら申し上げたわけですけれども、先ほどのお話しございましたが、岩洞湖の場合は5、000町歩ぐらいがあの上にあって、13水系からあそこに流れてくるということでございますが、国有林であっても民有林等も一部ありますので、そういう面でそちらの方もこれからもまた取り組んでいただきたいと思っておりますが、実際にはこの造林事業を企業局が取り組むということになるとかなり難しい課題だと思うんですが、他部局、林業水産部等との連携はとっておられるかどうか、その辺を含めてもう一度お願いしたいと思います。

〇壽業務課長 平成9年10月24日から放流しました大川の放流状況でございますけれども、地元の御要望等もありまして、岩洞ダムの水源となっている大川取水堰堤から約200メートル下流のところにあります大曲沢というところから、その取水堰を全開いたしまして最大流量にいたしまして最大毎秒0.28立方メートルを放流しておるわけでございます。これは維持流量を我々表現するときに、100平方メートル当たり毎秒何立方メートルということで表現するわけでございますが、既設の発電所の場合は一般的に100平方キロメートル当り毎秒0.1立方メートルから毎秒0.3立方メートルと、こういうふうな建設省から示されたものがあるわけでございまして、その辺を目安に維持放流を考えておるわけでございますが、大曲沢の場合、大体年間平均しますと毎秒0.1立方メートルという数値になります。大川取水堰堤の集水面積は約50平方キロメートルございます。したがいまして、100平方キロメートル当たりに直しますと毎秒0.1立方メートルというのは毎秒0.2立方メートルになるわけでございまして、大体十分とは言えないんですがそこそこの流量ではないかということで、今委員おっしゃったとおり、十分まではいかないんですが、それなりの流量を流しているつもりでございます。
 そこで、ただいま建設省の指導もございまして、岩洞ダムに関する維持流量を検討しなさいということになっておりまして、当然大川も入るわけでございまして、それでこれを今年度中にできるだけ決めようと考えております。そうしますと、今の流量とどういうふうになるか、国の指導、マニュアルがございますので、それに従って作業を進めている段階でございます。
 水源涵養のお話でございますが、水力発電の安定的な経営を行うためには水源の確保が非常に重要なわけでございまして、水の供給源となる取水口の上流部の山林を活用して、水源の安定を図るということは望ましいことだということで、我々先ほど局長が申し上げました場所等を平成9年度から調査をやっておるわけでございます。これは委員、御存じのとおりでございます。その結果、当局が運転しております11発電所の中で森林の効果が良好と思われる岩洞、その部分について調査いたしましたところ山林の大部分が国有林となっておりまして、青森営林局との協議を平成10年8月に行ったわけでございますが、それによりますと、いわゆる林野庁の森林の施業方法の基本的な考え方を現在検討中だという回答がございまして、当局といたしましては営林署の今後の動向を見ながら進めていきたいと、そういうふうに考えております。

〇佐々木(大)委員 先ほど0.1トンですか、そういうことで流していただきまして、実はどれくらい影響があるのか、なかなか専門家の話なものですから私はわからなかったんですが、もしかすれば5、000万円ぐらい電気の売り上げが減るかもしれないということで脅かされておりましたけれども、皆さんの努力でかなりことしは伸びていましたのでもっと流してもいいんじゃないかと、そんな感じをしてさっきの決算報告を見ておりましたけれども、当初はそういうことで、あそこの水が流れるということになると相当影響が出るということでございました。この岩洞ダムが農業ダムでスタートしたのはたしか昭和35年ですから、あのときに出まして、きょう岩手山ろくの開田2、000ヘクタールを目標にそこに取水すると、そういう方向でいってその間に発電をしているわけですけれども、いずれにしましても、あの岩洞の取水地13水系の上の部分が5、000ヘクタール分の山の分がこっちに向いてきたと。小本川に流れていった水を昭和35年以降北上川の水源に切りかえたと、そういう経緯がありまして、37年ぶりに一部先ほど言った0.1トンが戻ってきたということでございます。そういう中でやはり川の──電力はあの関係にはもう3段階ぐらい発電所がありますので、岩泉の方の電気はすごく多いんですけれども、早くからあるんですけれども、そういう意味でやはり何かをそこの中で産業分野、発電の部分をもっと成果あるものに地域に還元しなきゃならないと。先ほど出ている中で、そういう意味で、水源涵養とともに林業としての仕事も考える必要があるんじゃないかということから、この水源林造林等々をお願いした経緯がございます。この国有林が国だけでやるわけではありませんので、方法論はたくさんありますから、もっともっと前向きに積極的に進めてもらえればこれはどんどん進むと思います。ひとつその辺は要望しておきたいと思います。
 それでもう一つ、費用の部分で市町村交付金、こういうのが出ておりますけれども、これはどういう対象でどんな内容なのかちょっと教えていただきたいと思います。

〇伊東総務課長 市町村交付金でございますが、これの客体でございますが、我々が所有しているいわゆる発電所、施設等でございますが、これの固定資産税相当分を交付税として市町村に交付しているということでございます。

〇佐々木(大)委員 多分、交付税のかわりかなと思ったわけですけれども、そういう形で、ところがここには柳村委員や千葉委員がいますが、玉山村の方にそれ全部行っていますので、水源の方から余り入っていないです。そういうことが、さっき言った山の方に関係してくるということだろうと思います。その辺をこの総体的なバランスをとりながらこれは施行していただかなければならない分野ではないかと、そう思っております。
 先ほど出ましたけれども、8円ちょっとの値段で今東北電力に販売しているようでございますけれども、これが家庭、工場、その他で電気を使われるとなりますと、その先に送電の部分がありますね。この送電の事業の部分というのが、戦後9電力になってからその部分が電力会社が一つになってやっているわけですけれども、これ企業局でこれからやっていくときに、送電部分に対して、もう自分の部分は発電だけですよと。そうすると値段は云われるままです。ほかのところを聞いてたしか木材で見ていったときに、新エネルギーのときは1円で売っているところもありますね、中国地方に行きますと。そういうところまで攻められています。海外の方でも、当然、電気というのは販売価格が日本が一番高いということでいろいろ下げる工夫をしているようですけれども、これも電気の国際化、ボーダーレス化もいずれは考えられるような気がするんですけれども、来るかもしれません。この送電線を持ってやってきて、確かに電力会社の方で全部やっていますから電柱等々の維持費が相当かかっていますし、各戸、それこそ山の奥まで電気を運びますから送電の費用というのが大きいわけですけれども、そういう中の改革というのがこれから出るんじゃないかと。特に一つの例で言えば、電話の場合に送電線を持っていた電電公社がNTTになったならば無線電話になってきていますね。そういうことで、なかなか考えられない方向がどんどん出てまいります。やはりこれからの電気事業というのは需要は伸びますけれども、その部分で必ずしも送電を前提とした売電だけではないんじゃないかと。そういう意味で、先ほど来出ております新しいエネルギーへの取り組みというのが課題になっているのではないかと、そう思っているわけですけれども、先ほどの話では木材関係の発電はなかなか企業に乗りにくいと。これは計算上は小規模のものだとさっき言った35円でしょうが、規模拡大で20円ぐらいまではできると。今のチップ価格からいけば、そこまでは可能だろうというところは以前試算した経緯があるわけですが、そういう中で、送電をしない、要するにもう固定した工場とかそういう分野は国内でももう既に何カ所もやっていますので、岩手県のモデルをやはり企業局も入って積極的にやっていただきたいと。工場の中で使用するとかあるいは一定の団地内で使うとか、その一定量を確実に消費しているところではできるわけですし、そういう意味では24時間使うところは特にいいわけですから、そういうところに対しての取り組みというのも、これから新エネルギーの開発の中でやっていただきたいと。
 風力を前面に今出したようですけれども、前に聞いたとき、たしか風力は40円ぐらいかかっているように聞いているんですけれども、35円のさっき発表でしたが、20円を切れば試験料としてはOKだというようなことを聞いたことがあるんですけれども、いずれにしましても、この新しいエネルギーを出すときには売電しようとすると大変ですけれども、要するに送電の省略化によってエリアを決めた発電ということを考えればこれから出てくると思うんですが、その辺についてこれからの企業局の取り組み方をお伺いしたいと思います。

〇小笠原企業局長 企業局が独自に発電だけではなくて送電線等も使って直接供給したらどうかというお話かと思いますが、送電線等の設備はかなり経費がかかるという状況でございまして、これから考えられているのは今の東北電力の送電線を使わせてもらう、託送と言っていますけれども、そういう形で託送料を何がしか払って、ある特定の需要家に供給するということは選択肢の一つとして考えられるのではないかと思っております。今、託送料が幾らになるかとか何とかというのは電気事業審議会等で検討されておりまして、これいかんによりますが、今、自己託送なんかでやっているのは3円ちょっととなっております。これを考えますとなかなか難しい、自分で送電線を持つというのはかなりロスもあるし経費も高いということで多分困難だと思うんですが、託送についてもなかなか難しさがあると思っておりますが、いずれ、いろんな可能性を私どもも追求していかなければならないと思っておりますので関心を持って見ておりますし、いろいろ検討してまいりたいと考えております。相当厳しさはあると。水力の場合、特に不安定な電源なものですから、水が出なければ電力、その場合のバックアップ電源も今度東北電力にお願いしなければならないという話になると二重にコストがかかるというような部分もございますし、あと、複数の発電所をバックアップのためにやったらいいんじゃないかということになりますと、その特定の需要先が使えない部分は東北電力に売ることになるんですが、これは別な電力料金になって極めて安い電力になると、余剰発電と、そういったような隘路がございましてなかなか難しい部分があると承知しておりますが、いずれ、私どももいろんな制度の改革の動きの中でいろいろ情報収集し、研究しながら取り組んでいきたいというふうに思っております。

〇菅原委員 佐々木大和委員に関連をいたしますが、御承知のとおり、国内の大きな企業が電力事業に参入すると、そういう形になっておりますね。そして電力会社の入札に参加して売電すると、そういう形になっておるんですが、この売電の単価というのは企業局で販売する単価と。そういう入札制度の単価がおわかりになれば概略でいいですから参考までに教えていただきたいと、そのように思うわけであります。
 それから、今、局長の答弁もあったわけでありますが、先般、私、日本を代表する企業の燃料関係の役員の方々と話をしたんですが、今度うちの会社とどこそこが組んで大型の発電所をつくると、そう言うんですよ。売電すると。いや、だって送電線はどうするんですかと言ったら、電気事業法の改正によりまして、既存の電力会社の送電線を借りるのだそうですね。そして、直接需要家に売電するという構想を持って事業を開始するという話を聞いたんです。素人考えですからわかりませんが、今答弁ありましたように、企業局で発電した電気を需要家に直接売電すると高く売れるのではないかというような感じがしたものですから、参考までにその点の御見解をお聞かせ願いたいと思うわけであります。

〇小笠原企業局長 私どもが売っている料金と入札での料金がいかほどかということでございます。私どもは、御承知のとおり8円59銭で売っているわけですが、入札になりますと6円前後ということのようでございます。したがって、火力とか原子力でないとちょっと入札には参加できないということでございます。ですから、8円幾らというのは、先ほど来申し上げて、前回、前々回の議会でもお話し申し上げておりますが、原価を見るという形になりますから、そういう形になっているということでございます。風力につきましては、環境への配慮ということもございまして、昨年11円50銭で17年間購入するという方針で、それがあるために採算がとれるということになっております。
 それから、いわゆるIPP・独立電気事業者という、いろいろな民間会社が発電して大口需要家に売る部分小売事業化ということで、来年3月から施行されます。お話ありましたように、既存の電力会社の送電線を使ってそこの需要家に送るということになっております。大口で、大体3万ボルトの2、000キロワットでしたか。その託送料金と言っております東北電力に払う料金が、まだはっきりはしていないんですが、今まで一部託送を受けているものが3円50何銭ということになっており、この辺が大体の目安になるのではないかと思っております。そこを前提にして考えると、今、東北電力が大口のところに売っているのは10円前後と聞いております。家庭用というのは手間暇かかるのでちょっと高くなっておりまして、大口は安くなっているということです。私どもが考えると、10円前後、それより安くなければならないということになりますと、3円ちょっと払うと7円を切る単価でないと太刀打ちできないことになりますので、むしろ、今の8円59銭で売っていた方が得だということになりますので、なかなか厳しさがある。ただ、託送料金がどの程度になるか、水力でもできるのかということ。いわゆるそういった電気事業所というのはほとんど火力でございまして、火力の場合は、先ほど申し上げましたように五、六円ということでありますからできるのでありますが、水力の場合はなかなか難しさはあると思いますが、私どももいろいろ制度の改正に対応した研究は続けてまいりたいと考えております。

〇佐々木副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇佐々木副委員長 質疑がないようでありますので、企業局関係の質疑をこれで終わります。
 お諮りいたします。認定第1号平成10年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第3号平成10年度岩手県工業用水道事業会計決算まで、以上3件についての意見の取りまとめの方法でありますが、この後、直ちに議会運営委員会室において各会派の代表の方々で御協議を願い、その結果を待って、委員会を開き結論を出すことにしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇佐々木副委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 この際、意見の取りまとめのため30分間ほど休憩いたします。
   午後2時8分 休 憩
   午後2時43分 再 開

〇中屋敷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 決算3件に対する各会派の意見の取りまとめについて協議した結果について御報告申し上げます。
 認定第1号平成10年度岩手県立病院等事業会計決算については、厳しい医療環境にありながらも、医療の近代化、高度化を積極的に推進し、公的病院及び地域医療の中核医療機関として、その使命を果たしてきた努力は評価するところである。
 しかしながら、県立病院の経営は、施設の整備充実などによる諸経費の増加が見込まれるとともに、医療保険及び医療提供体制の抜本改革が予定されていることから、今後、経営環境が大きく変化し、さらに厳しい環境に置かれることが予想される。
 今後の経営にあたっては、引き続き国に対し、財政措置の強化などを積極的に要望するほか、効率化・合理化により、経営の健全化に努めるとともに、医師の確保をはじめ、高度医療設備の整備充実等、県立病院等事業経営計画の着実な推進を図り、もって県民医療サービスの充実、向上に努力をせられたい。
 認定第2号平成10年度岩手県電気事業会計決算については、今後とも引き続き健全な経営の推進に努めるとともに、新規電源の開発についても、なお一層の努力をせられたい。
 認定第3号平成10年度岩手県工業用水道事業会計決算については、関係機関と密接な連携をとり、積極的に需要の拡大に努めるとともに、経営の健全化にさらに一層の努力をせられたいとの意見を付し、認定することにいたした次第であります。
 これより採決いたします。
 認定第1号平成10年度岩手県立病院等事業会計決算及び認定第3号平成10年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件について、ただいまの意見を付して、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇中屋敷委員長 起立多数であります。よって、認定第1号平成10年度岩手県立病院等事業会計決算及び認定第3号平成10年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件については、ただいまの意見を付し、認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号平成10年度岩手県電気事業会計決算について、ただいまの意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇中屋敷委員長 起立全員であります。よって、認定第2号平成10年度岩手県電気事業会計決算については、ただいまの意見を付し、認定することに決定いたしました。
 以上をもって、当特別委員会に付託された案件の審査は全部終了いたしました。委員各位の御協力に対し深く感謝申し上げます。
 これをもって決算特別委員会を閉会いたします。
   午後2時47分 閉 会


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