平成11年9月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号、第11号から第15号、第29号、第30号について反対の討論を行います。
 議案第1号と第29号は、1999年度岩手県一般会計補正予算であります。この中には、緊急地域雇用特別基金事業や老人福祉施設整備、保育所整備など、県民の要求にこたえたものがありますが、全体の特徴は、土木費、農林水産業費などの公共事業がその大半を占めるものであります。本日提案された補正予算を含め、補正予算総額は258億円余でありますが、公共事業費は186億円余でその72%を占めています。
 これまで、政府は8回にわたって、経済対策の名のもとに64兆円もの公共事業を継ぎ足ししてきましたが、景気はよくなるどころか、一層深刻な事態となりました。一方で、国と地方自治体の借金は600兆円となり、深刻な財政破綻に陥っているのであります。
 増田県政は昨年、県財政の再建を目指す中期財政見通しを示しましたが、その直後から、国の経済対策に追随し、公共事業大盤振る舞いの従来型の県政を進めてきました。その結果、今年度の県債発行額は繰り越しを含めれば1、523億円、当初だけでも1、325億円余となり、県債残高は1兆1、260億円余となったのであります。県の中期財政見通しでは、今年度の県債発行額は1、089億円までであり、年度末残高は1兆465億円に抑える計画でありました。既に県債発行額では、当初だけで比べても236億円上回り、県債残高では795億円も上回っているのであります。増田県政の中期財政見通しと県財政の行き詰まりは明白ではないでしょうか。県民の要求実現と県財政の再建のためには、従来型の公共事業優先の県政を改め、福祉、暮らしと教育、防災を最優先とする県政への転換が必要であります。
 今回の補正予算の内容では、東北新幹線建設事業費負担金が36億8、700万円計上される一方で、東北本線の経営分離に伴う第三セクター鉄道設立準備協議会負担金が計上されています。東北新幹線の建設負担金は今年度で180億円となり、これまでの累積負担額は565億7、000万円であります。政府・自民党による財源見通しのない整備新幹線の建設推進によって、結局、新幹線の建設でも、経営分離される在来線でも、地方  に負担を押しつけるものとなっているのであります。
 増田知事はこれまで、JRからの経営分離後も沿線地域住民の利便性を損なうことが決してないように万全の対策を講ずると公約してきました。JR東日本の鉄道資産の譲渡問題でも、JR貨物の輸送と負担の問題でも、国の責任を明確にして県民に負担を押しつけないよう、知事は政治生命をかけて国と交渉すべきであります。
 福祉の問題では、来年の4月からの介護保険の実施を前にして、高過ぎる保険料、利用料の減免、1、163人に及ぶ入所待機者のいる特別養護老人ホームの建設など、介護基盤整備のおくれ、介護認定で対象外となる高齢者への対策が求められていますが、これらの対策は具体的には示されていません。
 緊急地域雇用対策として公的就労事業が実施されますが、その事業の内容は、作業日数が30日前後になるなど極めて不十分であります。真に失業者の雇用に結びつくように改善を図るよう強く求めるものであります。
 特に教育の分野では、深刻な不登校や高校中退、学級崩壊などの解決に結びつくよう、35人以上の学級には臨時教員の配置を進めるよう求めるものであります。
 また、小中学校の51%が20年以上経過した老朽校舎となっており、早急の改築・改修のためにも、耐震診断と老朽度調査を実施するよう求めるものであります。
 本県議会で、県立高等学校の整備に関する決議が採択されようとしていますが、県立高校の再編整備問題は、当面する重要な教育問題であるとともに県政課題でもあります。県教委の計画案に対し、県内多くの地域、各団体から見直しを求める声、要望が出されていますが、これはかつてないことであります。県民の理解と地域と結びついた計画となるよう抜本的な見通しを求めるものであります。
 農政の問題では、今回の補正で農林水産業費として37億6、000万円余の公共事業費が継続されましたが、農民が強く求めている価格補償など、農業生産を守る対策が欠落しています。政府・自民党は先月下旬、今年産米の豊作による米価暴落を防ぐためとする緊急需給安定対策を決めました。その中心は、99年産米の豊作分30万から40万トンを政府が買い入れ、かわりに同量の政府古米を全農に売り、その責任でえさ用に処分させるというものであります。えさ用に売った場合、米の価格は1俵当たり1、000円前後、主食用の10数分の1にすぎません。これに対し政府が全農に売り渡す価格は1万3、000円であります。えさとして処分すれば1俵約1万2、000円、30万トンで約600億円の売買差益が発生します。政府はその一部を助成するとしていますが、事実上、捨て値同然の米価を農家に押しつけ大幅な収入減を強いるものであります。
 今日の米価を下落させている最大の原因は、大量のミニマムアクセス米の輸入です。今や年間70万トンを超えて、その少なくない部分が主食、加工用向けに回り国内産を圧迫しているのであります。こうした事態の根本にあるのは、米輸入を制度化し米価を市場に委ねる新食糧法の導入です。こうした農業つぶしに追随するのではなく、公共事業優先の農政を改め、価格補償と農業生産を守る対策をその柱とするよう強く求めるものであります。
 議案第11号から第15号、議案第30号は、県が進める公共事業の経費を市町村に一部負担させるものであり、反対するものであります。
 以上で私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(山内隆文君) 以上で通告による討論は終わりました。これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第1号、議案第11号から議案第15号まで、議案第29号及び議案第30号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立多数であります。よって、議案第1号、議案第11号から議案第15号まで、議案第29号及び議案第30号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第2号から議案第10号まで、議案第16号から議案第28号まで及び請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立全員であります。よって、議案第2号から議案第10号まで、議案第16号から議案第28号まで及び請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
日程第32 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第32、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
   
〔参照〕
 総務委員会
 いわて情報ハイウェイの構築について
環境福祉委員会
受理
番号
件 名
介護保険の緊急改善を求めることについて請願
12県立磐井・南光病院移転用地の早期決定を求める請願

     
商工文教委員会
 学校教育の現況について
      
受理
番号
件 名
能楽堂を核とした文化施設の整備について請願

     
農林水産委員会
      
受理
番号
件 名
16 米の過剰分を主食用以外に処理するなどの検討をやめ、食料自給率引上げを求めることについて請願

 
 土木委員会
 新しい総合計画における土木部の主要施策について
   
〇議長(山内隆文君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、先ほど各委員長から報告のとおり申し出がありましたが、委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(山内隆文君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
日程第33 認定第1号平成10年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第35 認定第3号平成10年度岩手県工業用水道事業会計決算まで
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第33、認定第1号から日程第35、認定第3号までを一括議題といたします。
 各案件に関し委員長の報告を求めます。中屋敷決算特別委員長。
   〔決算特別委員長中屋敷十君登壇〕(拍手)

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