平成11年9月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇15番(岩城明君) この4月の統一地方選挙で、県議会に初めての議席をいただきました政和会の新人の岩城明でございます。議員の皆様の御配慮によりまして一般質問の機会をいただき、心から感謝を申し上げる次第であります。
 それでは、通告に従いまして順次質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、県土の均衡ある発展についてお伺いをいたします。
 県では、去る8月23日に岩手県総合計画、新しい岩手・21世紀へのシナリオを策定いたしたところであります。新しい計画は、岩手県民のさまざまな願いや夢を乗せたドリームランド号であります。知事には、県民の夢を現実のものとするため、強いリーダーシップを発揮されることを期待するものであります。
 新しい総合計画においては、基本目標として、岩手という県土を舞台にして、一人一人の生活者、それぞれの地域が個性的に光り輝き、これが世代や地域をつなぎハーモニーを奏でることにより一つの大きな輝きとなり、総体として夢県土いわてを実現することを目指しております。新しい総合計画は、まさに総合指揮者増田知事以下、夢県土いわて創造シンフォニーを、各市町村や県民などのオーケストラの団員がそれぞれの与えられた役割にベストを尽くし、演ずることによって初めて達成をされるものであります。そういう意味では、演奏する各市町村や県民のすべてが、曲の意味や作曲者の心を十二分に理解し、かつまた、自分自身の技術や個性を磨き、自立できる演奏家であることを求められることは言うまでもありません。しかしながら、このシンフォニーを演ずる演奏者の中には技術レベルに高低差があり、また、立派な楽器を持つ者もあり、あるいは十分な楽器を持てない者、事情がさまざまであります。それは、それぞれの演奏者の置かれてきた自然環境や生活環境の違いによるところが大なるものがあると思います。シンフォニーを演奏するには、可能性を持ち、努力し、まず楽器を持つことであります。十分な楽器を持てない演奏者がいては、立派なシンフォニーも十分なハーモニーも奏でることはできません。
 私の生活する久慈地域を含めた県北・沿岸地域に住まいする人々は、厳しい生活環境の中にあって、地域の個性を生かしながら、地域全体として輝いていこうと一生懸命に努力をしているのであります。作曲者兼総合指揮者増田知事には、オール岩手のオーケストラ団員の声に耳を傾け、個々の団員のそのような事情を十分に把握され、夢県土いわてシンフォニー、つまり、新しい岩手・21世紀のシナリオを策定されたと聞いているところでありますが、シナリオ策定に当たりまして、県北・沿岸地域をどのように御認識され、また、県北・沿岸の発展のシナリオをどのようにお考えなのかお伺いをいたします。
 また、岩手県総合計画においては、これからの新しい岩手づくりの理念として、自立・参画・創造を位置づけているところであり、また、今後の県行政の基本姿勢として、生活者の視点に立った県政の推進、地域の視点に立った県政の推進が掲げられております。こうした考え方の上に立って、環境、ひと、情報を今後の施策推進上の重要な視点としているところでありますが、とりわけ、環境については、美しい国づくりプロジェクトの中で、日本の環境首都を目指すこととしているところであります。
 一方、新しい国土づくりの指針として、平成10年3月に策定された21世紀の国土のグランドデザインにおいては、豊かな自然環境に恵まれた地域を、21世紀の新たな生活様式を可能とする国土のフロンティアとして位置づけるとし、多自然居住地域の創造という考え方が明確に打ち出されたところであり、また、我が国の目指すべき理想の姿として庭園の島が掲げられております。
 思い起こしますと昭和55年、大平内閣当時、田園都市構想が提案をされましたが、この構想は、イギリスのハワードが提唱したガーデン・シティーの考え方を取り入れたものであり、また、新しい国土の望ましい姿として掲げられた庭園の島も、ガーデン・シティーに通じるものではないかと思われます。この庭園の島の姿に最も近いのが東北地方であり、とりわけ北東北ではなかろうかという思いがいたしております。
 そこでお伺いをいたしますが、豊かな自然環境に恵まれた県北地域は、21世紀の新しい国土づくりにおいて重要な役割が期待されている一方、人口の減少と高齢化の急速な進行あるいは働く場の確保など、依然として大きな課題を抱えているところであります。
 こうした喫緊の課題に対応しながら、知事には、県土の均衡ある発展を図るため、具体的にどのような施策の展開を図り、新たな県北地域の振興を図ろうとしているのか、お示しを願います。
 次に、雇用の確保対策及び新産業創出についてお伺いをいたします。
 経済企画庁の月例経済報告によれば、我が国の最近の経済状況は、民間需要の回復力が弱く厳しい状況にあるが、各種の政策効果が浸透し、このところ、やや改善しているとされているところでありますが、一方、雇用情勢を見ると、失業率は4.9%と過去のワースト記録を更新しており、金融を初めとして各分野でのリストラが進み、勤め先や事業の都合といった非自発的理由により、この失業率はさらに悪化の道を進むと予測をされております。私は、景気回復について懸念されている民間の需要を回復させるためには、総合的な雇用施策をさらに積極的に進め、民間需要を喚起していく必要があると考えております。
 このような状況のもとで、政府は、雇用機会の創出を最大の柱とし、規制改革等による新たな事業の創出、成長分野における雇用の創出を図るとともに、臨時応急の措置として、国及び地方団体においても、雇用・就業機会の創出を図る緊急雇用対策及び新規・成長産業の振興、未来産業の創造に向けた新規技術開発の活性化、創造的な中小企業・ベンチャー企業の振興など、我が国経済をリードする生産性の高い産業分野の創出を目指す産業競争力強化対策を打ち出し、景気を着実に回復軌道に乗せるための施策の推進をすることとしております。
 私は、このたび、政府が打ち出したこの施策を早期に具体化し地域雇用を促進していくことが、地域経済の発展ひいては定住の促進につながり、21世紀の地域の基礎になるものと考えております。
 そこでお伺いをいたしますが、緊急雇用対策の具体化をどう進めていくお考えなのか、とりわけ、雇用機会増大促進地域に指定されている久慈地域においてどのように進めていくお考えなのか、お伺いをいたします。
 また、県においては、6月補正予算において、いわて新産業創造プラットホーム整備推進事業を創設し、新産業創設支援のためネットワークを構築するとされておりますが、工業集積の進んでいる北上川流域のみならず、工業基盤の脆弱な県北・沿岸地域においては、どのようにこの事業を推進していかれるのかお伺いをいたします。
 幸いにも、久慈地域の産業界の結束が実を結び、このたびベンチャー企業として、久慈地域において森のトレーの生産が緒に着きました。このように、資本力の脆弱な地場の企業が一丸となって多額の投資を行い、新規産業を立ち上げるには、リスクを背負いながら並々ならぬ決意と努力が必要であると考えられますが、このような地場企業の新産業創出事業に対し、今後どのように支援していくお考えなのかお伺いをいたします。
 次に、海域の細菌発生と水産物のハセップ対策についてお伺いをいたします。
 久慈地区における夏の水産の主産物であり漁家の収入として期待されているウニが、食中毒によってイメージが損なわれ、また、三陸海岸の夏の水産物が食中毒を起こしやすいというイメージが定着することにより、今後の漁家の経営に影響が出ないか危惧をしております。
 仄聞するに、腸炎ビブリオ菌は、その特性として、海水の温度が高まるにつれ固体数をふやすと言われており、海域に腸炎ビブリオ菌が多いと言われている青森、宮城の両県では、腸炎ビブリオ菌と海水温の相互関係を調査し、その結果について情報提供もしているやに聞いております。地球温暖化現象が進む中で、海水の温度の状況も従来とは違った状況となることが予想され、海水の温度と腸炎ビブリオ菌等の関係が避けて通れないものと考えられるとき、水産物の安定的生産を果たすためにも、その洗浄には滅菌海水を使用するなど、従来にも増して細菌に対する衛生対策を講ずる必要があると思います。
 県においては、水産物の衛生管理対策として、平成11年度から沿岸各域でハセップ対策を進めているところでありますが、このハセップ対策に先立ちまして、海水と細菌対策をどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
 次に、食中毒予防対策についてお伺いをいたします。
 腸炎ビブリオは、海水中で魚介類に付着し、食事後8時間ないし24時間程度で下痢や腹痛、あるいは吐き気などの病状があらわれると言われておりますが、ことしはこの猛暑続きで、海水の温度が平年に比べ2度から3度高いと言われ、菌にとって繁殖しやすい環境となっております。本年7月25日、久慈市などで自家消費用生ウニを食べた約100数十人が腸炎ビブリオに感染したのを皮切りに、その後、山田町や陸前高田市、大船渡市、花巻市などで次々に発生し、8月27日現在で14件、患者数は県外客を含め321人に及び、昨年をかなり上回るペースで発生したことは新聞報道でも明らかになっているところであります。幸いにも、関係機関、団体の御努力により、岩手インターハイ関係での食中毒の発生はなく、同大会は大成功のうちに終了し、関係者同様、私も胸をなでおろしているところでありますが、これからもこの食中毒が頻繁に発生し全国へニュースとして流れることは、岩手の誇りである豊かな三陸の海の幸のイメージダウンになることは間違いないところであります。
 そこでお伺いをいたしますが、本来、食中毒の予防は営業者等がみずからの責任において行うべきことと考えますが、県として腸炎ビブリオ、サルモネラ等による食中毒の防止について、旅館、ホテル、学校等の集団給食施設などの食品関係施設に対し、今までどのような対策をとり、また、今後どのように対策を考えておられるのかお示しを願います。
 次に、東北新幹線盛岡以北開業に伴う広域観光・物産・情報発信についてお伺いをいたします。
 県北・沿岸地域は、急峻な北上山地が地域交流の障壁となっております。高速交通関連道路整備事業あるいは交流ネットワーク道路整備事業によって、内陸部との道路交通が改善されてきているというものの、公共交通機関を利用した場合には県都盛岡まで3時間を要するなど、交流基盤としての道路整備をより一層推進する必要があると考えております。
 このような状況のもとで、高速交通網の大きな柱であり、また、地域交流の活発化や大きな経済効果をもたらすことが期待される東北新幹線盛岡以北の工事が順調に進み、平成14年度中には開業の運びとなると予定されているところであり、県北に住む1人として、大きな期待感を持ちながらその開業を心待ちにしているところであります。
 私は、県北地方において、この新幹線の開業による波及効果を高めるためにも、開業を控えた今、千載一遇の機会として、なにゃどやらや雑穀文化を初めとする地域として共通の生活文化が息づく、久慈・二戸・八戸地域を一つの地域としてとらえ、過去、東北新幹線の盛岡開業や東京駅乗り入れに際し実施された、詩情豊かな岩手路キャンペーン、北東北大型キャンペーン等、種々のキャンペーンと同様な事業を実施し、観光・物産・情報発信を進めていくことが必要であると思っております。
 二戸・久慈・八戸地域は、農林水産業を通じ、食料や木材の安定供給などの役割を担うとともに、価値観や生活様式の変化に応じ、都市的なサービスとゆとりある居住環境や、豊かな自然とあわせて享受できる生活を実現できる地域であり、近年、体験型観光の拠点の整備が進み、また、それに携わる人々も育成をされてきております。今こそ、これらのポイントをネットワーク化し、広域での総合力を持って都市間交流を進め、地域産業の振興を図っていく必要があります。
 そこでお伺いをいたしますが、新幹線盛岡以北の開業を控え、この地域の観光・物産について、その発信をどのように進めていくお考えなのかお伺いをいたします。
 次に、県産材の需要拡大についてお伺いをいたします。
 本県の森林資源は、戦後、積極的に造成された人工林を主体に成熟期を迎えつつあり、これら森林に対する間伐などの森林整備や間伐材等木材の有効利用を適切に進めることが、森林の公益的機能の高度発揮や地球温暖化対策の上からも、大いに注目を集めるようになってきております。また、森林の適切な整備や木材の利用を推進することは、本県の基幹産業である林業・木材産業の振興、さらには、山村の活性化にもつながるものであると考えるところであります。しかしながら、本県の林業・木材産業は、非木質系建築資材の進出、製材品を中心とした輸入木材の増加、長期的な立木価格の低迷、労賃等の林業経営コストの上昇など、極めて厳しい状況に置かれております。
 私は、このような状況のもと、林業・木材産業の活性化を図るためには、林業生産活動を通じて、森林を循環的に利用することの重要性を積極的にPRするとともに、県が率先して公共施設の木造化や公共土木工事への木材利用に取り組むなど、木材の需要拡大活動を積極的に展開する必要があるものと考えるものであります。
 そこでお伺いをいたしますが、県では木材産業の振興等を図る観点から、昨年の10月に岩手県木材利用推進方針、「もっと・WOOD・県産材を」を策定し県産材の需要拡大に取り組んでおりますが、これまでの取組状況はどのようになっておられるのか、また、今後の取組む方向などについてどうお考えになっているのか、お伺いをいたします。
 次に、県立高等学校新整備計画案、いわゆる高校再編についてお伺いをいたします。
 県教育委員会では、去る5月20日に、これからの高校再編案を示したところでありますが、多くの地域において、存続やあるいは対案を示しての反対の動きが報道されております。県教委では、平成9年3月に、県立高等学校に係る長期構想検討委員会を立ち上げ、種々検討を重ね、その報告を受けて、県教委としてさらに検討した上で具体的な再編案を策定したことは承知をしております。その背景としては、近年の高校教育を取り巻く環境が大きく変化していることや、本格的な少子化に伴って、急激な生徒の減少期を迎えようとしているところであります。
 そこでお伺いをいたしますが、高校教育を取り巻く環境の変化を具体的にどのようにとらえ、再編成案にどのように反映しておられるのでしょうか。
 また、急激な生徒数の減少についてでありますが、過去の生徒数から将来の推計値まで含めて、実態がどのようになっておられるのか。一部には、単なる数合わせの統合との厳しい批判もあるようでもありますし、私自身もまだ十分に納得できかねておりますので、その点明らかにしていただきたいものと考えております。
 また、地元の話で大変恐縮でありますが、平成16年度には久慈農林・久慈商業・久慈水産高校の3校を統合して総合学科とする案も含まれております。地元では、3校が単独で存続されるようにとの要望を県教育委員会に対し示したところでありますが、この中には私の母校も含まれており、心中穏やかではありません。県教育委員会としては、これまでの検討過程や生徒数の見通しから、地元の要望を聞き入れる余地が全くないのかどうか、教育長の忌憚のない所見をお伺いいたします。
 終わりに、県道侍浜夏井線についてお伺いをいたします。
 この路線は陸中海岸国立公園の北部に位置し、リアス式海岸特有の切り立った海岸線に沿って点在する集落と、国道45号を結ぶ約13キロメートルの地域生活に密着した路線であります。この侍浜地区の沿岸部を南北に縦貫する道路は、県道侍浜夏井線だけであります。当該地域の生活はもちろんのこと、医療や産業を支えるとともに、国家石油備蓄基地の防災上の重要な路線であります。この路線は、国家石油備蓄基地の建設に合わせ市道から県道に昇格し、国道45号の取りつけ部や備蓄基地の取りつけ部の整備は先に終了しております。しかしながら、各集落を結ぶその他の区間については、大型車のすれ違いに支障のある狭隘な道路状況にあります。県におきましては、石油備蓄交付金や交付金事業等により2車線化の工事を進められておりますが、一番地形的に厳しい条件にある本波地区周辺の整備が特に要望されているところであります。
 そこでお尋ねいたしますが、県としては、本路線を今後どのように整備する予定なのか、お見通しについてお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 岩城明議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県北・沿岸地域の認識とその発展シナリオについてのお尋ねでございますが、県北・沿岸地域は、豊かな自然、豊富な海や山の幸など多彩な資源に恵まれている一方で、気象条件が厳しく、また、北上高地が内陸部との壁となっているなど、地理的、そして社会的条件が不利な状況にございまして、その克服を本県の基本的課題の一つとして、長年にわたり取り組んできたところでございます。しかしながら、これらの地域では、依然として若者の流出や県平均を上回る高齢化の進行によりまして、地域の活力が低下するなど、今なお厳しい状況にあるものと認識しております。
 これからの県北・沿岸地域の振興を考えますときに、地域の発展を妨げてまいりましたさまざまな要因を克服するとともに、これらの地域の持つ発展可能性を最大限に引き出しながら、魅力ある地域づくりを進めることによって各地域の自立的な発展が図られるものと考えております。
 このような考え方のもとで、このたび策定いたしました岩手県総合計画においては、この県北・沿岸地域の発展を阻んでまいりました距離、地形、気候などの要因を壁としてとらえまして、これを克服するための施策をさまざまな壁を乗り越える課題対応プロジェクトとして明確に位置づけをするなど、県北・沿岸地域の発展に向けた施策を重点的かつ効率的に展開していくこととしております。
 また、それぞれの地域が有している特性を生かした地域の主導による発展方向を明らかにするために、各広域生活圏ごとに地域計画を策定したところでございます。
 次に、その具体的な施策といたしましては、移動時間を制約している距離の壁や中山間地域の不利な条件のもとになっております地形の壁、沿岸地方のやませに代表される雪、寒さ、やませの壁などさまざまな壁を克服するものといたしまして、県土軸の形成に向けた新幹線の盛岡以北の整備、高規格幹線道路網による高速交通ネットワークの構築、沿岸部と内陸部の交通アクセスの改善に向けた早坂峠、平庭峠などの大規模トンネルの整備などを進めるほかに、遠隔地における遠隔医療支援事業を初めとする医療、保健、福祉、教育、防災など多分野にわたるバリアフリーな情報化社会の構築を目指しておりますいわて情報ハイウェイの整備、さらには、多彩な地域資源を生かした特産品の開発、ハセップ方式に対応した生産・加工・流通体制の整備、農林水産物の高付加価値化などによる産業の振興、多様な地域の素材を活用したグリーン・ツーリズムによる新たな交流の拡大など、さまざまな施策を展開することとしております。
 今後、地域の元気や一人一人の生活者の意欲を大切にしながら、県北・沿岸地域の自立的な発展が図られるよう、これらの施策を着実に推進してまいりたいと考えております。
 次に、東北新幹線盛岡以北の開業に伴います広域観光、物産の情報発信についてのお尋ねでございます。
 私は、盛岡以北の新幹線の開業は、首都圏などとの交流の拡大を通じて、久慈・二戸地域を中心とする県北地方の活性化に大きく貢献するものと考えておりまして、これからが情報発信にとって極めて重要な時期であると認識しております。
 観光、物産の情報発信に当たりましては、広域的な視点から取り組むことが重要でございまして、県北地方におきましては、多彩な農林水産資源や雑穀文化を初めとする特色ある歴史、文化を生かした穀彩王国として、久慈・二戸地域が一体となって観光・物産振興に取り組んでいるところでございます。
 また、隣接しております八戸地域とは歴史的、文化的な共通性を有しておりまして、一体的に発展してきたというこれまでの経緯を踏まえまして、三陸鉄道のリアス・シーライナーの運行や観光・物産交流などを通じて連携の強化を図っているところでございます。
 今後とも、八戸地域との連携をさらに深めて、関係団体などとの協議を進めながら、盛岡以北の開業に向けて、グリーン・ツーリズムの推進や新たな広域観光ルートの設定、さらには、マスメディアの活用などによりまして、首都圏などを中心とした新たな観光キャンペーンを実施いたしますとともに、東京の銀座にありますいわて銀河プラザ、あるいは福岡、博多のみちのく夢プラザなど、こうしたところを活用した物産情報の発信や新幹線開業に合わせた観光物産展の開催などによりまして、県北地方のすぐれた観光資源や食文化、特産品などを積極的に情報発信してまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔商工労働観光部長合田武君登壇〕
〇商工労働観光部長(合田武君) まず、雇用の確保対策についてでありますが、このたび国におきましては、従来からの雇用の維持、安定を中心とした対策に加え、雇用機会の創出を最大の柱とし、民間の機能を最大限活用して、ミスマッチの解消、円滑な労働移動の支援を行うほか、地方公共団体における臨時応急の雇用・就業機会の創出を積極的に進めることとした緊急雇用対策を打ち出したところであります。
 こうした国の対策に呼応し、県といたしましては、新事業創出促進基本計画構想に基づき、新分野への進出支援などにより雇用機会の増大に努めているところであり、また、国の緊急地域雇用特別交付金を活用して雇用・就業機会を創出することとしております。
 さらに、医療・福祉、情報通信等の新規成長15分野における雇用創出の推進を図るため、新たに創設された新規・成長分野雇用奨励金制度の導入による県内雇用の場の拡大に努めてまいる考えであります。
 なお、国から雇用機会増大促進地域に指定されている久慈地域においては、緊急地域雇用特別交付金の活用や企業立地の推進により雇用の場の確保に努めているほか、地域雇用開発助成金制度の積極的な周知徹底を図り、8月末現在、事業所設置・整備及び雇い入れ計画書の提出事業所数は12事業所、助成金の申請額は6億5、000万円余で、採用計画数は85名となっており、雇用の充実が見込まれるところであります。
 今後におきましても、関係機関及び市町村と密接な連携を図りながら、雇用・就業機会の増大に向けた取り組みを進めてまいる考えであります。
 次に、新産業の創出についてでありますが、御案内のとおり、県におきましては、先般策定した新事業創出促進基本計画に基づき、財団法人岩手県高度技術振興協会を中核として、各産業支援機関等とのネットワークを図ることにより、地域企業に対する総合的な支援体制、いわゆる地域プラットフォームを構築することとしております。この地域プラットフォームは、高度技術産業の集積が進んでいる北上川流域のみならず、県内全域を対象として、地場企業、誘致企業を問わず、幅広く、いわゆる1.5次産業から3次産業までをカバーしながら、地域の特性を生かした新製品の開発などを促進しようとするものであります。
 特に、県北・沿岸地域におきましては、新事業の創出にとって、地域に根差した活動を展開している商工会や商工会議所の果たす役割が極めて重要であることから、これら商工関係団体や工業技術センター、水産技術センター等の公設試験研究機関との緊密なネットワークを構築することにより、地域プラットフォームの円滑かつ効率的な活動を促進してまいりたいと考えております。
 また、すぐれたアイデアを有しながらも資本力に乏しい地場企業等に対する支援策の展開に当たりましては、県、市町村はもとより、各産業支援機関の密接な連携のもと、意欲的な企業への投資や無担保、長期低利の融資、さらには新たな技術開発への助成、商品化や販路開拓のための調査など、各種支援策の効果的な活用に十分配慮しながら、研究開発から市場化に至るまで一貫して総合的かつきめ細かな支援を行ってまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長佐藤克郎君登壇〕
〇林業水産部長(佐藤克郎君) まず、海域の細菌発生と水産物のハセップ対策についてでありますが、本県は、ウニを初めとして、カキ、ホタテ、イクラなど生食用の水産物の生産が多いことから、新鮮さに加え、食品としての安全性の確保に努めていくことが本県の水産物の消費拡大を図る上で極めて重要であると認識しております。
 この夏、久慈地域において腸炎ビブリオによるウニの食中毒事件が発生しましたが、腸炎ビブリオは沿岸の海水などに生息し、海水温の上昇する夏に増殖しやすいことから、夏場に漁獲されるウニはこの細菌に汚染されやすい環境にあります。このため、ウニのむき身作業に従事する漁業者に対しましては、これまでも県漁連などの関係団体と連携し、衛生管理のためのパンフレットの配布や研修会などを実施し、注意を喚起してきたところであります。また、本年度からは、沿岸漁業生産環境整備事業を起こし、ハセップ対策として、ウニのむき身作業で使用する海水の殺菌装置の整備につきましても助成措置を講じているところであります。
 ハセップ方式は、殺菌対策などを含め、生産から流通・出荷までの各工程においてチェックするすぐれた食品衛生管理方式であることから、今後とも、新鮮で安全な水産物を消費者に提供していくという観点に立ってこの方式を積極的に導入するなど、関係者一体となって水産物の衛生管理に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、県産材の需要拡大についてでありますが、森林資源の適切な利用と育成は、地球温暖化対策の推進や森林の公益的機能の高度発揮とあわせて、林業、木材産業の振興、さらには山村地域の活性化に資するものであることから、県産材の一層の需要拡大を図るため、昨年10月、岩手県木材利用推進方針を策定し、県民一体の運動として取り組んでいるところであります。
 具体的な対策として、昨年度は、広く県民に対する木材利用に関するPR活動を展開するとともに、市町村における公共施設などの木材利用に対する助成や道路、河川などの公共土木事業での木材利用に取り組んできたところであり、その結果、特に公共土木事業におきましては、林道、道路ののり面における土どめ工、川底を保全するための沈床工などに積極的に利用されたことから着実に成果があらわれてきており、平成10年度は前年度比1.7倍の約6、400立方メートルの利用実績となっております。
 また、今年度は、新たに公共施設における乾燥材の利用や学校における木製の机、いすの導入に対する助成、さらには、一般住宅への木材利用を促進するための住宅建設資金への利子補給制度を創設し、県産材の利用促進に努めているところであります。
 今後ともこうした対策を一層推進するとともに、引き続き関係機関、団体との密接な連携のもとに、高品質木材製品の開発や県産ブランド材の普及、定着化に努めながら、積極的に県産材の需要拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 食中毒予防対策についてでありますが、食中毒の予防は、一義的に食品を取り扱う営業者等みずからによる衛生管理が最も求められるものでありますが、県におきましては、腸炎ビブリオを初めとする食中毒の発生防止等を図るため、県内各保健所に70名の食品衛生監視員を配置して、食品関係営業施設等の監視、指導を行うとともに、県内流通食品の細菌検査等を実施しているところであります。特に、旅館、ホテル等の大量調理施設や学校、社会福祉施設等の集団給食施設に対しては、重点的な監視、指導を実施しております。
 また、食品関係営業者等を対象とした食品衛生講習会を開催するとともに、御家庭に対しても、食品衛生週間行事等を通じて広く食品衛生思想の普及、啓発に努めているところであります。
 これらの対策を講じてきたことにより、ここ最近は、東北6県の中において食中毒の発生件数が少ない県となっておりました。本年は例年になく食中毒が発生したことを踏まえ、今後におきましては、消費者が安心して安全な食品を食べられるよう、まず、食品衛生関係営業施設等において自主衛生管理の徹底がより一層図られるよう指導及び支援を充実するとともに、これら施設においてハセップ方式の科学的な衛生管理体制の普及、定着を積極的に進めるなど、食中毒の発生予防に万全を期してまいる所存であります。
 特に、本県の貴重な資源でもある豊かな三陸の海の幸の衛生確保につきましては、林業水産部とも連携を図りながら、その効果的な対策に努めてまいります。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 県道侍浜夏井線の整備の見通しについてでありますが、本路線は、地域の方々の生活や産業を支えるとともに、国家石油備蓄基地の防災道路としての役割のほか、国道45号の迂回機能、さらに、北部陸中海岸の観光ネットワークを形成するなど多様な機能を有する道路として整備することが必要と考えております。このため、県といたしましては、これまでも半崎、麦生地区の2車線改良工事など重点的に整備を進めてきたところであります。
 お尋ねの本波地区の約2.6キロメートルの未改良区間につきましては、急勾配、急カーブであることに加え、幅員が狭く、大型車の通行が困難な状況などから、地元より隘路区間の解消が強く要望されてきたところであります。このため、さきに公表いたしました県の道路整備プログラムの中におきましても、平成15年度から始まる後期5カ年内での完成供用を目指して整備することとしております。
 このうち、バイパスとなる約2.3キロメートル区間につきましては、地域の方々とも十分御相談しながら、年度内にルートを決定するなどして、早い時期に工事に着手したいと考えております。
 また、残りの300メートル区間につきましても、通産省の石油貯蔵施設立地対策等交付金事業により、引き続き道路の整備促進に努力してまいりたいと考えております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) 県立高等学校新整備計画案についてでありますが、今日、我が国は、国際化、情報化、少子・高齢化社会への移行、科学技術の発展など、社会のさまざまな分野に大きな、しかも急速な変化が進行しております。こうした中にあって、本県においては高校進学率が97%を超え、中学校卒業者のほとんどが高等学校に進学する状況にあり、生徒の能力、適性、興味、関心等が多様になってきております。
 一方、本県の高校生の進路につきましては、平成11年度の学校基本調査によりますと上級学校への進学者は53.1%となっており、年々増加してきております。また、就職者の状況を主な職種別に見ますと、技能・製造・建設等が40.8%と一番多く、次いでサービス業が19.8%、販売業が14.6%、事務従事者が10.1%となっており、年度により若干の増減が見られます。
 各高等学校では、学校や学科の特色づくりを進め、多様なニーズにこたえるよう努めてきたところでありますが、従来の普通科や専門学科あるいは学年制のもとで教科、科目を学習する教育課程では必ずしも十分に対応できなくなっているところでもあります。さらに、本県における中学校卒業者数は、平成元年度の2万2、800人余をピークに、以後減少に転じておりますが、特に平成12年度以降は急速に減少し、平成16年度見込みの中学校卒業者数は1万5、500人余、これが平成21年度には1万3、600人余となり、今後10年間で4、700人余の減少が見込まれます。
 このような状況下で、現在の高校配置のままでは学校の小規模化が進み、生徒にとって活力と魅力ある教育環境を確保することが難しくなってまいります。
 こうしたことから、県教育委員会といたしましては、生徒が切磋琢磨し、活力ある環境の中で一人一人の個性や能力を最大限に伸ばし、主体的な学習を行い、充実した高校生活を送ることができるよう、進路志望の動向、地域の実情等を考慮し、総合学科高校、総合的な専門高校、総合選択制高校など新しいタイプの高等学校の設置等について、全県的な視野から計画案を策定したものであります。
 現在、それぞれの地域との話し合いを深め、御理解をいただくよう努めているところでありますが、今後は、いただいた御意見をも参考としながら、お示しした計画案に検証を加え、成案を得たいと考えているところでございます。
〇議長(山内隆文君) 次に、樋下正信君。
   〔3番樋下正信君登壇〕(拍手)

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