平成11年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成11年12月6日(月)

1開会 午前10時4分

1出席委員 別紙出席簿のとおり

1事務局職員
  事務局長  和美宏幸
  議事課長  藤沢重一
  議事課長補佐  千田正和
  主任議事管理主査  浅田和夫
  議事管理主査  筒井則裕
  議事管理主査  森達也
  議事管理主査  熊谷正則
  議事管理主査  下山義彦

1説明員
  副知事  千葉浩一
 
  出納長  高橋洋介
 
  総務部長  武居丈二
  総務部次長兼行政システム改革室長  盛合桂三郎
  総務部次長兼県立大学室長  大槌典男
  総務学事課長  千葉俊明
  人事課長  邨野喜義
  財政課長  池田克典
  税務課長  菅原晴輝
  消防防災課長  篠谷隆
 
  企画振興部長  渡辺勲
  企画振興部次長  佐藤勝
  企画振興部次長  相原正明
  企画調整課長  本田敏秋
  地域政策課長  中村世紀
  市町村課長  瀬脇一
  情報科学課長  古澤真作
  交通政策課長  河原畑 徹
  資源エネルギー課長  名須川定男
 
  副出納長兼出納局長  三浦雅雄
  総務課長  鈴木慶三
  出納課長  山火隆三
 
  監査委員  一戸克夫
  監査委員  佐藤文子
  監査委員事務局長  小野寺 彰
  総務課長  青木拓
  監査課長  小田中善治郎
   

〇和美議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が、委員長の職務を行うことになっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。出席委員中、船越賢太郎委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 船越賢太郎委員、どうぞ委員長席に御着席願います。
   〔年長委員船越賢太郎君委員長席に着く〕

〇船越年長委員 ただいま紹介いただきました船越賢太郎でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇船越年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は、指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇船越年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に折居明広君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した折居明広君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇船越年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました折居明広君が、決算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました折居明広君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 折居委員長、委員長席にお着きを願います。
   〔決算特別委員長折居明広君委員長席に着く〕

〇折居委員長 ただいま委員各位の御推挙により、決算特別委員会委員長に御指名いただき大変光栄に存じております。委員各位の御協力によって責務を全ういたしたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は、指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に上澤義主君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した上澤義主君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました上澤義主君が、決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました上澤義主君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 上澤副委員長、ごあいさつをお願いします。

〇上澤副委員長 全くのふなれな者でございますが、よろしくどうぞ御協力のほどお願いいたします。(拍手)

〇折居委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算12件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から12月10日までの5日間は、出納長及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算12件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、12月10日の警察本部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 それでは、これより議事に入ります。認定第1号平成10年度岩手県一般会計歳入歳出決算から認定第12号平成10年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計歳入歳出決算までの12件を一括議題といたします。
 これより出納長に決算の総括説明を求めます。

〇高橋出納長 平成10年度歳入歳出決算の概要につきまして御説明申し上げます。
 平成10年度の予算は、第三次岩手県総合発展計画後期実施計画の基本方向に基づいて編成され、一般会計の当初予算は8、435億9、591万円余で、前年度の当初予算と比べまして、328億6、894万円余、3.8%の減となりましたが、この当初予算に、公共事業及び県単独事業の追加など1、236億9、184万円余の追加補正が行われ、さらに前年度からの繰越事業費407億9、959万円余を加えた結果、予算現額は1兆80億8、735万円余となりまして、前年度に比べますと782億7、548万円余、8.4%の増となったものであります。
 それでは、お手元に配付いたしております歳入歳出決算事項別明細書・実質収支に関する調書の383ページをお開き願います。
 ただいま申し上げました予算現額に対する決算額は、お手元の調書に記載のとおり、一般会計の歳入総額は9、470億3、197万円余、歳出総額は9、231億1、900万円余であり、歳入歳出差し引き額は239億1、297万円余となったものであります。また、歳入歳出差し引き額から、翌年度へ繰り越すべき財源225億2、818万円余を差し引いた実質収支額は13億8、478万円余の黒字となりました。
 次に、歳入歳出決算書の2ページと3ページをお開き願いたいと存じます。
 まず、歳入についてでございますが、収入済額は9、470億3、197万円余で、前年度に比べますと422億217万円余、4.7%増加し、収入済額の割合は、予算現額に対しまして93.9%、調定額に対しましては99.8%となりました。
 なお、収入未済額は、18億2、653万円余で、前年度に比べまして1億4、303万円余増加いたしましたが、この収入未済額の主なものは県税でございます。
 次に、4ページ、5ページ、歳出についてでございますが、支出済額は9、231億1、900万円余で、前年度に比べますと347億9、753万円余、3.9%増加し、予算現額に対する支出済額の割合は91.6%となりました。
 また、翌年度繰越額は837億5、023万円余で、前年度に比べまして429億5、063万円余増加いたしましたが、この繰越額の主なものは、土木費及び農林水産業費であります。
 なお、不用額は、12億1、812万円余で、前年度に比べまして5億2、731万円余増加いたしました。
 以上、一般会計の決算の内容について御説明申し上げましたが、その特色といたしましては、第1には、決算の規模が拡大したことでございます。中小企業向けの新たな貸付金の創設や東北新幹線の建設等の公共事業を中心とする経済対策の実施などによりまして、決算の規模は、前年度に比べ歳入で422億217万円余、4.7%、歳出で347億9、753万円余、3.9%増加し、歳入、歳出とも初めて9、000億円を超える規模に拡大したものであります。
 第2には、実質収支、単年度収支とも引き続き黒字となったことであります。依然として厳しい財政環境のもと、歳入の確保、歳出の効率的な執行に努めました結果、実質収支では13億8、478万円余、単年度収支では4億2、785万円余と、前年度に引き続き、ともに黒字となったものであります。
 第3には、自主財源が増加し、その構成割合が高まったことであります。貸付金元利収入等の増加によりまして、諸収入が前年度に比べ213億3、047万円余、25.8%増加したほか、地方消費税清算金が203億8、549万円余、342.9%増加したことなどによりまして、自主財源が、前年度に比べ351億8、568万円余、12.2%増加いたしましたが、これにより自主財源の構成割合は34.1%となりまして、前年度を2.3ポイント上回ったものであります。
 第4には、義務的経費が増加し、投資的経費が減少したことであります。義務的経費は、県債の償還に係る公債費が増加したことなどによりまして、前年度に比べ160億739万円余、5.1%増加し、投資的経費は、県立大学の整備が終了したことなどに伴い普通建設事業費が減少したことによりまして、前年度に比べ208億6、803万円余、5.6%減少したものであります。
 第5には、繰越額が多額となったことであります。翌年度に繰り越した金額は、前年度に比べ429億5、063万円、105.3%増加して、過去最高の837億5、023万円余となりましたが、これは、国の経済対策に対応して追加補正されました公共事業などが、計画調整、用地交渉に不測の日数を要したことなどによりまして繰り越しとなったことによるものであります。
 以上、一般会計決算の特色を申し上げましたが、次に、母子寡婦福祉資金特別会計ほか10会計の決算内容について御説明申し上げます。
 特別会計歳入歳出決算総括表により御説明申し上げますので、歳入歳出決算書の20ページ以下をごらんいただきたいと存じます。母子寡婦福祉資金特別会計ほか10会計の歳入合計額は、25ページに記載されておりますとおり434億631万円余であり、収入未済額は14億1、639万円余となりましたが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計における中小企業高度化資金の償還金などでございます。
 また、歳出総額は、28ページに記載されておりますとおり、393億2、153万円余であり、各会計とも実質収支は黒字となりました。
 以上で決算の概要説明を終わりますが、お手元に歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書・実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、説明資料といたしまして歳入歳出決算説明書をお配りいたしておりますので、御参照いただきたいと存じます。
 なお、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から説明申し上げることとなっております。
 また、監査委員から御意見のありました事項のうち、措置を要するとされたものにつきましては、関係部局におきまして、所要の措置を講じたところでありますが、会計事務の適正な執行につきましては、今後とも、各部局への指導、適切な出納審査等を行うなど、その万全を期してまいりたいと存じております。
 よろしく御審議の上、御認定くださいますようお願いを申し上げまして、説明を終わらせていただきます。

〇折居委員長 この際、千葉副知事から、大迫町における県単独補助事業及び国庫補助事業に係る補助金問題について発言を求められておりますので、これを許します。

〇千葉副知事 このたびの花巻地方振興局が所管いたします大迫町における事件についておわびを申し上げます。
 このたび、花巻地方振興局農林部におきまして、大迫町が実施しました林業水産部所管の県単独事業であります木の肌・木の味・木の香推進事業及び農政部所管の国庫補助事業であります山村振興等農林漁業特別対策事業につきまして、不適正な補助金の支出や不適切な事務処理が行われたところであります。
 今回の事件につきましては、大迫町の虚偽の申請などがありましたけれども、県におきましても不適正な事務執行が行われたところであります。この点につきまして、県民の皆様方の信頼を著しく損ないましたことを、おわび申し上げるものでございます。
 今後におきましては、原因の徹底究明を図り、かかる事件が再び引き起こされることのないよう、職員の公務意識の向上を初めとして、事務処理規程に従った適正な事務の執行などの再発防止策を講じるとともに、市町村に対しましても、厳正な事業執行などを強く要請し、今回の事件によって損なわれた県民の皆様方の信頼の回復に向けて、全力を尽くしてまいります。
 なお、事件の概要などにつきましては、総務部長から説明させますので、御了承願います。

〇武居総務部長 大迫町における林業水産部に係る県単独補助事業、及び農政部に係る国庫補助事業における事件の現時点での概要について御説明申し上げます。
 まず、林業水産部所管の県単独補助事業である木の肌・木の味・木の香推進事業につきましては、大迫町が平成9年度に実施した向山森林公園展望台工事について、平成10年3月27日に大迫町から事業完了届が提出され、同年4月27日に県補助金が支出されましたが、実際は、翌年の平成11年6月10日に事業が完了したものであります。事業完了届の提出を受けた検査担当者は、県単独事業の対象である展望台の工事内容等から見て、間もなく工事が完了するものと判断し、現地確認調査を行わず、事業完了確認調書を作成したものであります。
 さらに、この展望台及びモニュメントの建設に当たりましては必要な保安林内における作業許可について、大迫町は許可を受けておりましたが、許可条件として義務づけられていた工事の着手届及び完了届が提出されておらず、かつ完了確認を受けておらない。また、展望台及びモニュメントとも許可期間後に完成しているという状況にございました。また、展望台及びモニュメントの東側斜面の県有備蓄林内に整備されました遊歩道につきましては、県への土地使用許可手続が、平成10年度以降は手続されておらず、県有備蓄林の一部が無断伐採されている状況もございました。
 次に、農政部所管の国庫補助事業である山村振興等農林漁業特別対策事業についてでございますが、大迫町が平成9年度及び10年度に実施いたしました共同入浴施設やコテージを整備する大迫ぶどうの丘事業のうちコテージ整備について、定められた平成11年3月25日までに事業が完了しなかったにもかかわらず、期限内に工事が完了した趣旨の工事完了確認書を作成し、同年5月17日に県から補助金を支出したものでありまして、実際は平成11年6月11日に事業が完了したものであります。
 なお、この事業につきましては、正規の手続を経まして、平成10年度に事業を繰り越したものでありますが、向山森林公園のモニュメントの設置に伴い、共同入浴施設からこれを眺望できるよう、その建設場所を移動したため、コテージの建設場所の変更も余儀なくされ、そのための用地取得が遅延したものであります。県の担当者は、大迫町に用地取得の早期決着と工事の完了を指導しておりましたが、若干のおくれはあっても事業は完了するとの大迫町の見解をもとに補助金を支出したところでありまして、用地取得のさらなる遅延により、このような結果になったものであります。
 これらの県単独補助事業及び国庫補助事業、さらには、大迫町の単独事業である同公園内のモニュメント設置につきましても、その財源として地方債が充当されており、大迫町から事情を聴取したところ、起債につきましても年度内に完了したものとして許可申請が行われていたことが判明いたしました。
 今回の大迫町の二つの事件につきましては、大迫町の虚偽の報告がありましたけれども、県が事業の完了確認調査を怠り、補助事業が完了していないにもかかわらず補助金を支出し、あるいは県において事業が完了していないことを把握していたにもかかわらず、間もなく工事が完了するとの大迫町の見解をもとに補助金を支出するなど、県の不適正な事務執行が行われた点につきまして、県民の皆様方の信頼を著しく損ない、職員の事務管理全般を所管する私からも、重ねておわび申し上げる次第でございます。
 なお、林業水産部では、11月30日、地方振興局林務担当部長等会議を開催し、年度末に向けました業務の総点検を指示し、また農政部におきましても、12月2日に地方振興局農政・農林部農政調整主幹会議を開催し、補助事業事務の適正な執行について徹底を図ったところでございますし、さらに総務部におきましても同じく12月2日でございましたが、知事部局などの予算担当課長会議を開催し、予算の繰り越し使用の手続を含めた、補助金に係る適正な手続執行について徹底を図ったところでございます。
 また、この件につきましては、林業水産部、農政部の決算特別委員会の審査の際に、事件の詳細や対応策などについて御説明をする予定でございますので、御了承願いたいと存ずるところでございます。
 以上でございます。

〇折居委員長 これより総括質疑に入ります。
 最初に代表質疑を行います。発言時間は、答弁を除き1人30分以内となっておりますが、会派の発言時間に残時間があるときは、その範囲内で、当該会派に属する委員に限り、関連質疑を認めることになっております。
 なお、世話人会の申し合わせにより、平成10年度決算の審査であるので、当該年度に関する質疑とされたいこと、質疑項目が複数ある場合、関連する事項については、できるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については、簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力されるようお願いいたします。
 これより代表質疑に入ります。

〇中屋敷委員 自由民主クラブの中屋敷十でございます。会派を代表いたしまして、平成10年度決算について総括的に質問させていただきますので、御当局の誠意ある回答をお願いします。とは言っても、今冒頭、花巻地方振興局の補助金の不適正補助金事務があったということで、ことし新しい総合計画を策定し、県民総参加のもとに、この21世紀に向けた岩手県の夢県土づくりを進めるといったときに、これは大きな障害、本当に県は大丈夫なのかということになろうかと思いますので、早い時期の県民信頼の回復のための措置をぜひ要望しておきたいと、かように思います。
 それでは、順次質問させてもらいますけれども、まず平成10年度は増田県政1期目の総仕上げの年度であったわけであります。知事は就任以来、岩手の新時代を担う主役は県民であると、この考えのもとにあらゆる機会をとらえて県民との直接対話を図るとともに、工藤前知事から引き継いだ第三次岩手県総合発展計画、いわゆる三県総に基づき、大きな時代の変革期に対応して地域連携と交流の促進、安全で安心感のある県民生活の確保、人と自然との望ましい共生など七つの視点に留意した三県総後期実施計画を策定し、積極的な施策の展開を図ってこられたところであります。その間、地方分権時代に対応した行政機構の見直しや、行財政システム改革指針の策定など、行政推進体制の確立にも積極的に取り組まれたことは高く評価しているところであります。
 そこで、まずお伺いいたしますが、このような流れの中の第1期増田県政であったわけでありますが、1期目の総仕上げとも言える平成10年度の県政全般を顧みて、千葉副知事はどのような所感をお持ちか、まずお聞かせ願いたいと思います。

〇千葉副知事 平成10年度の県政の状況でございますけれども、平成10年度の我が国経済は、金融機関への信頼の低下や雇用不安などを背景に極めて厳しい状況で推移したところでございます。また、県内の景気動向も、住宅建設の不振や有効求人倍率の大幅な悪化など、低迷状態が続いたところでございます。このような厳しい状況のもと、新しい総合計画の策定に取り組むとともに、行政システム改革大綱を策定したほか、県立大学の開学を初めとして、三県総後期実施計画の重点事業を中心に施策の積極的な展開に努めたところでございます。
 施策の展開状況でございますけれども、まず県土の整備の関係につきましては、広域的な交流を促進する交通体系の整備や上・下水道の整備など、生産、生活両面にわたる基盤整備に努めたところでございます。特に、高速交通網については、新交流ネットワーク道路の整備や東北新幹線盛岡・八戸間の岩手トンネルの建設促進、花巻空港の滑走路2、500メートル延長整備に向けた事業への着手など、その整備が一段と促進されたところでございます。また、全国マルチメディア祭を開催したほか、オゾン層保護のため県内におけるフロン回収システムを整備するなど、情報化の推進や本県のすぐれた環境の保全にも積極的に取り組んだところでございます。
 次に、産業の振興でございますけれども、農業につきましては、大規模、大区画圃場等の農業生産基盤や農業研究センター畜産研究所の整備を進めるとともに、大規模稲作農家に対しまして米価の低落による経営への影響を低減するための措置を講じたところでございます。
 林業、水産業の関係でございますけれども、林業につきましては、担い手の育成や労働力の確保、県産材の安定供給体制の整備やその需要拡大に努めたところでございます。水産業につきましては、沿岸漁場の整備開発や種苗量産体制の整備を図るとともに、漁業系一般廃棄物の処理方法と再資源化システムの開発構想の策定を行ったところでございます。
 商工業の関係につきましては、北上川流域基盤的技術産業集積活性化計画の推進によります産業基盤の整備に努めるとともに、いわて銀河プラザや九州・福岡に北東北3県合同でみちのく夢プラザを設置するなど、市場形成力の強化に取り組んだところでございます。また、全国菓子大博覧会を開催したほか、観光につきましては、岩手山火山活動の活発化による影響を低減するため、首都圏等でキャンペーン等を実施するなど、観光客の誘致拡大に努めたところでございます。
 次に、福祉の関係でございますけれども、保健医療につきましては、循環器病診療施設情報ネットワークを整備するとともに、県立伊保内病院の新築移転工事、大船渡病院の救命救急センターの新築工事を完了したところでございます。社会福祉につきましては、ひとにやさしいまちづくりの一層の促進やボランティア活動への支援のほか、保健医療福祉情報ネットワーク化システムの整備等による総合的な介護支援サービスの提供体制の充実を図ったところでございます。
 人づくりにつきましては、児童生徒の学力向上や、個性を生かす教育の充実を図るとともに、情報教育、国際理解教育、さらには生涯学習の推進に努めたところでございます。また、インターハイ開催に向けたスポーツ施設の整備を進めるとともに、県立美術館の整備を進めたところでございます。
 以上、平成10年度における成果の一端について申し上げましたけれども、平成10年度は三県総後期実施計画の実質的な最終年度でありまして、11年度からスタートする新しい総合計画へ確実にその成果を引き継ぐため、各分野において積極的な施策の展開を図ったところでございまして、県勢は着実に発展しているものととらえているところでございます。

〇中屋敷委員 三県総の評価ということでありましたけれども、その達成状況について私は伺いたいと思います。先ほど副知事がお話ししたとおり、平成10年度は実質的には三県総──第三次岩手県総合発展計画の終了年度と言えるとともに、ある意味では本年8月に策定されました岩手県総合計画への移行が色濃く打ち出された年度とも言えると思っております。三県総、平成3年度を初年次として平成12年度を目標年次とした、今は亡き工藤前知事の熱き思いで策定されたものでございますけれども、この第三次岩手県総合発展計画はどのように総括されまして、また計画の達成状況をどのように認識されているのかお示し願いたいと、かように思います。
 あわせて、三県総の積み残し部分というものがあるわけですけれども、これを今度の新しい岩手県総合計画にどのような形で引き継がれたものか、あわせてお聞かせ願いたいと、かように思います。

〇渡辺企画振興部長 第三次岩手県総合発展計画──三県総は、岩手県総合計画の策定に伴いまして、ただいまお話のとおり平成10年度が事実上、計画の最終年度となったところでございます。
 まず、その三県総の目標の達成状況についてでありますが、人口は、中間年次──平成7年には140万4、000人、目標年次である平成12年には141万5、000人と、その見通しを設定したところでございましたが、これに対しまして、本県人口の実績値の推移を見ますと、平成4年を谷として増加に転じてございます。そして、中間年次である平成7年には、計画を1万6、000人上回る142万人となりました。その後、平成10年には141万8、000人となってございますが、引き続き計画を上回って推移しているところでございます。
 それから、経済についてでございますが、県内総生産は、中間年次には4兆2、600億円、目標年次には5兆2、400億円程度になると見込んだところでございますが、平成7年度の実績は、名目で申しますと4兆5、300億円、同じく平成9年度では4兆7、000億円となってございます。
 次に、さまざまな県民の生活指標についてでございます。居住環境や保健医療など、県民生活に密接に関連する代表的な44の指標を用いて県民の生活水準を示した県民生活指標について申し述べますと、平成10年度末現在で取りまとめた達成状況は、県道改良率、がん検診受診率、歩道設置率、地方文化施設数の四つの指標で、目標年次である平成12年度のその目標数値を上回ったのを初め、26の指標で目標とする数値の90%以上に達しているところでございます。
 次に、重点事業につきまして申し述べますと、三県総後期実施計画で、後期5カ年で重点的に取り組むべき事業として掲げております330の事業のうち、平成10年度末現在で319事業に着手し、着手率は96.7%、事業費ベースの進捗率は62.4%となっており、これまでに県立大学整備事業、農業研究センター整備事業、地域交流センター整備事業、岩手医科大学附属循環器医療センター整備事業等々23事業が完了となってございます。
 以上につきまして総括的なお話をさせていただきますと、計画期間内におきましては、いわゆるバブルの崩壊に伴う景気の後退、あるいは急激な円高の進行等による輸出関連業種や雇用への影響、さらには平成5年の大冷害による被害など、県内外の経済社会情勢は厳しいものがあったところでございますが、計画を鋭意推進した結果、高速交通幹線を初めとする総合的な交通網の整備や下水道の基盤整備など、21世紀に向けた県土の基盤づくりが進み、県勢は着実に進展し、県民生活の向上が図られたものと認識をいたしてございます。
 次に、積み残し部分の新計画への引き継ぎについてでございます。岩手県総合計画におきましては、少子・高齢化の進行、ボーダーレス化の進展、地球環境問題の顕在化など、三県総策定後の急激な社会経済情勢の変化に適切かつ迅速に対応するために、いわば計画期間を前倒しする形でスタートしたところでございますが、この計画の考え方や、各般の施策の方向性、事業構成等につきましては、三県総との継続性に配慮しているところでございます。
 こうしたことから、三県総において平成11年度以降に実施を予定していた事業等につきましては、新規事業との調整を図りながら、できる限り新計画の中で位置づけるよう努めたところでございまして、重点事業で未着手となっている11の事業のうち、六つの事業につきましては、新計画の主要な事業に位置づけられたほか、その他の事業につきましても、平成11年度以降の事業展開に向け、事業内容、実施時期等について、引き続き検討を進めていくというふうにしたところでございます。

〇中屋敷委員 ただ、本当にその継続性というか、やはり三県総で認めたものを新しい総合計画の中でも、確かに時代の変遷はあろうかと思いますけれども、ぜひその達成に向けてさらに努力していただくとともに、まだまだ指標的にも下水道なんかも普及率の低いもの、ただ指標を達成すればいいんだというんじゃなくて、さらに全国的に見れば高めなければならないものといったものをぜひ積極的に取り組んでいただきたいと、かように思います。
 それでは次に、財政問題についてお伺いいたします。
 前置きは省略いたしますが、長引く景気の低迷により、国、地方を通じて極めて厳しい財政状況下にあり、本県にとってもその例外ではない。平成10年度普通会計決算における県債残高は実に1兆1、050億円余であり、年間決算を大幅に上回り、後年度における財政負担が標準財政規模の3倍近くにもなる。その健全なる財政運営に大きな危惧を抱かざるを得ない状況にあります。先ほど出納長からも説明があったわけですけれども、数値的に見れば平成9年度決算よりも改善はされていると私自身は感じておりますが、平成10年度決算をどのように分析され、どのような所感をお持ちなのか、これは総務部長からまずお聞かせ願いたいと思います。
 また次に、財政健全化目標への取り組みについてお伺いしたいと思います。
 基本的には県税収入の確保を図って歳出総額を抑制し、できるだけ県債の発行も抑制するということが、技術的には財政健全化に向けた取り組み方途ではあるわけでありますが、現実の対応となれば国の景気対策に呼応した施策、さらには岩手県総合計画に基づく施策の展開など、当局の英知を結集しなければなかなか乗り越えられないという厳しい状況になると私は考えておりますけれども、平成10年度の当初予算編成におきまして、財政健全化を目標にした三つの取り組みを県は示されております。一つは歳出規模の抑制、二つ目は平成10年度までに県債依存度を10%未満に縮減、そして三つ目が財政調整基金等3基金の合計残高の700億円以上の確保ということであります。岩手県総合計画や地方分権に対応した施策の展開という中に十分配意しつつ、この三つの目標を達成する。これは並々ならぬ決意と努力が必要と思いますが、具体的なこの取り組み状況についてお示し願いたいと、かように思います。

〇武居総務部長 まず、平成10年度決算の分析についてでございますけれども、歳入面では、厳しい財政環境の中ではございましたが歳入の確保に努めてまいりましたし、また税制改正というものも行われた結果、自主財源比率は1.7ポイント、一般財源比率は0.9ポイント、それぞれ前年度を上回っております。県税収入につきましては、景気低迷によりまして法人二税が減少しましたほか、特別減税等により個人の県民税も減少しましたが、地方消費税の平年度化によりまして県税全体では増加しております。また、地方交付税も前年度を上回っているところでございます。それから、県債につきましては、先ほどの出納長からの御説明にもございましたが、県立大学などの大規模施設の整備が終了したということや建設抑制によりまして減少しているところでございます。
 それから、歳出面でございますが、前年度に比べ179億1、100万円、2.0%の増加でございましたが、こちらの方も先ほどと同様でございますが、県立大学の関係もございまして普通建設事業が減少しております。一方、公債費が大きく伸びておりまして、これは12.7%の増ということでございまして102億円の増加。それから、経済対策に伴う貸付金が、特に平成10年度の特殊事情として26.8%、197億円の増加となってございます。
 財政構造の分析でございますけれども、前年度の財政構造と比較しますと、特に経常収支比率という財政の弾力性についての指標がございますが、これは県税とか地方交付税などの経常一般財源がやはり伸び悩んでいるということで、これが分母になるんですけれども、分母の方のこういった経常一般財源が伸び悩んでいまして、一方で分子の方になってきます中に、特に公債費の関係なんですけれども、これはこれまでの経済対策とか地方財源不足に対応するために発行した財源対策債でございますとか、過去の経済対策のために発行しました県債、こういったものの償還が増加してきているということもございまして、これで分子の方がふえているということで、分母が余り伸びないで分子の方がふえているということもございまして、経常収支比率が2.6ポイント増加してございます。また、公債費比率も1.3ポイント増加しているということもございます。
 これを東北各県と比較しますと、経常収支比率につきましては、そうは申しましても東北各県の中ではいい方からまだ2番目ということではございますが、全体としては財政構造が厳しい方向、硬直化していく方向に来ているということはございます。
 これまでの状況あるいは現在の状況を踏まえますと、一つは、平成10年度ないし9年度までの地方財政対策全般にわたる、地方財源がふえていないという中で財源対策債等を発行しながら、何とか地方財政全体でやり繰りしてきたということが、本県だけではなくて全国の地方公共団体における、例えば経常収支比率が増加する、あるいは公債費比率が上昇するという状況になっているように考えているところでございます。
 平成11年度につきましては、厳しい財政環境が続いているところでございますけれども、10年度までのそのような状況を踏まえまして、行政システム改革大綱に沿って、行財政運営の簡素合理化を進めながら、今後とも健全な財政運営に努めてまいることといたしております。
 それから、行財政システム改革指針を平成9年10月に定めたわけでございますが、これに関連した財政健全化目標への取り組みという御質問がございました。目標は先ほど御指摘ございましたように三つございました。それぞれに対する取り組みでございますが、まず歳出規模の抑制につきましては、平成10年当初予算におきまして対前年比でマイナス3.8%の予算を組みました。その後、経済対策等の流れがありまして、年度途中に平成11年度と連動する形で15カ月予算という形で、実際はこれは11年度への繰り越しということも前提にした15カ月予算を組んだわけでございますけれども、10年決算対比で前年度比3.9%の増になったところでございます。県債依存度の縮減につきましては、平成10年度当初で10.9%、決算段階で10.7%ということで、おおむね10%に近づいているところでございます。それから、3基金の残高でございますが、12年度末に700億円以上を確保するということでございましたが、当初では平成10年度末見込みが902億円ということでございましたが、10年度末残高が1、170億円ということで、こちらは若干順調に推移している状況にございます。
 具体的には、事務事業評価の見直しで255件、69億1、000万円一般財源ベースで確保したとか、県単補助金の整理、合理化を行ったとか、あるいは大規模県立施設につきまして、必要性とか緊急性を考慮しながら建設時期を調整するとか、あるいは財源確保策として、例えば共済施設の償還金の繰り上げ償還ということで、金利が高いものについて繰り上げ償還を行いましたし、事務補助員の縮減を図るとか、使用料等の改定を行うなどを行いまして、全般にわたりながらさまざまな健全化への取り組みを行ったところでございます。
 先ほども御説明申しましたように、本県独自で取り組める部分もございますし、むしろ地方分権が進展していく中では、全般として地方税財源の充実確保ということを国に要望していかなくてはいけない事項もございますが、いずれにしましても本県といたしましては、行政システム改革大綱というものを11年2月に定めましたけれども、こういったものに沿いまして、県総合計画の着実な展開にも配慮しながら、財政健全化の目標が達成されるよう努力してまいる考えであります。

〇中屋敷委員 ぜひその方針にのっとって、健全なる財政ですばらしい岩手県総合計画の新しい計画の中の進展というものをぜひ望むわけでございます。ただ、若干、私が危惧しているのは、後年度財政負担の絡みの中で、現在の県債残高プラス債務負担行為に基づく次年度繰り越すべき一般財源の額等で、東北6県平均を見ても1、000億円以上まだ上回っているという形の中では、適切な対応がますます求められるのかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、次に個別課題に入ってまいります。まず地元の課題でもあって大変恐縮ですけれども、岩手山周辺地域振興ビジョンについてお伺いしたいと思います。
 ちょうど1年前でございます。知事は一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道の工事再開の断念を決定されたわけでございます。私は早期の工事再開、完成を願う一人としていろんな角度から県当局と議論してきたところでありますが、最終的に知事の判断ということでありますので、いまだ納得はしたわけではありませんが、さりとてこの場でこの問題をもう一度議論するという考えはありません。その後、知事も直接地元においでになっていろんな話し合いをして、この工事再開断念という結果を踏まえて、新たにさまざまな視点からの岩手山周辺地域の振興策を示した岩手山周辺地域振興ビジョンが本年8月に策定されたところであります。この内容を見ますと、環境学習・教育の推進、観光を初めとする産業振興、新しい交流回廊の創造という三つの柱の振興策を図って、心温まる交流と、ゆったり憩いの圏域を創造するということなようで、そのことによりまして、個性を発揮しながら、新たな活力を生み出し、発信する地域の実現を目指すものであると、こういう形で理解いたしておりますけれども、その積極的な事業展開に私も大きな期待を持っておりますが、その各種事業の中でも最も目玉になる事業というのが森の駅の整備ということだろうと思います。今は大変駅ばやりで、道の駅だ、川の駅だといった形の中で整備されてきておりますけれども、このビジョンで示しておられる森の駅というのは、具体的にはどのような機能を有するものか、まずお聞かせ願いたいと思います。
 また、この駅は雫石側と松尾側両方に設置されるようでありますけれども、機能的には双方ともいずれも同じ機能を有するものなのかもお伺いしたいと思います。
 さらに、これは土木部関係で大変苦労していると思いますけれども、ビジョンでは一般県道雫石東八幡平線の整備区間の扱いについて、県道として引き続き供用することとし、道路の維持保全のための必要な措置を講じた上で、その管理のあり方についてさらに検討を行うということにしておりますけれども、現在におけるこの検討状況というのはどうなのか。一時、知事はUターンする場所をつくるとか何かという話もありましたけれども、また県道としての管理のあり方という意味で、今現在どのような検討状況になっているのか、お聞かせ願いたいと思います。

〇千葉副知事 岩手山周辺地域振興ビジョンにおきましては、森林と人間生活のかかわりなどについて学習したり、あるいは体験する拠点施設といたしまして、複合的な機能を備えた森の駅を整備することといたしております。
 具体的な機能でございますけれども、岩手山周辺地域の特色ある自然環境や森林・林業について学習できる施設。さらには、岩手山周辺地域の自然環境、森林あるいはイベント等に関する情報の提供。国内外の環境、森林に関する情報の提供。あるいは講習会、観察会、登山、キャンプ等を体験できるそういった学習、野外活動の支援。それから、自然環境、森林・林業の体験学習、野外活動の場。こういったものを機能として持たせようとしているものでございます。
 この施設は、雫石側と松尾側にそれぞれ設置することを予定しておりますけれども、全く同一のものを両地域に設置するということではなくて、それぞれ地域の特性を生かしたそういった施設にして、それぞれ雫石、松尾側に設置しようということにしております。ただ、目的がいろいろあるわけですけれども、機能的には両方有機的な連携を図りながら、効果的な活用ができるような形に持っていきたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、一般県道雫石東八幡平線の管理の関係でございますけれども、ただいま委員の方からも御指摘あったわけでございますけれども、この道路は行きどまりの道路でございます。したがって、管理の方法といたしまして、ただいまお話がありました網張側と松川側の終点部の転回場の設置や、道路沿いに駐車場の設置、こういったものの施設整備を考えておるところでございます。そのほかに、この県道を利用するに当たりましては、国立公園内の環境を保全するためのオーバーユース等の問題も抱えているわけでございます。これらの課題を解決するために、国立公園内におけるこの県道の利用の仕方、例えば既設登山道と県道との接続の可否等について、その配置、規模、利用方向などについてその仕方について適切に定めることが必要であるというふうに考えております。このため、今後、関係機関とこれらについて調整する中で、いろいろな方の御意見を聞きながら、その管理のあり方について定めていきたいと考えております。

〇中屋敷委員 地域特性を生かした森の駅整備ということで、私は、基本的にはなかなか表現はいいんですけれども、緑のダイヤモンド計画に基づく環境学習機能が中心になってやるんだろうと思うんですけれども、ぜひその辺はそれぞれ似通った機能じゃなくて、一番その地域特性を生かしてやるのには全部奥産道が通っていれば一番理想的なわけですけれども、その交流回廊といった中でぜひそういう機能が発揮されるよう御要望申し上げておきたいと思います。
 それでは次に、地域結集型共同研究事業についてお伺いいたします。
 私もかねてから、ボーダーレスな経済の大競争時代の中で、今日、国全体のみならず本県においても産業の強化、集積を進めるためには、既存の産業の強化はもとより、新しい技術の創出や、そうした技術を活用した産業興しというのが重要であると考えているところでございますけれども、こうした中にありまして、このたび科学技術庁の大規模な研究プロジェクトである地域結集型共同研究事業の実施地域として、本県が全国4カ所の一つとして指定されたと、そして研究開発がスタートしたところでございます。しかも、この研究は平成9年度、平成10年度の2カ年で整備し、本年4月にスタートし、私もちょっと見せてもらいましたけれども、先端科学技術研究センターを中心にして行われるということでございますけれども、本県の先端的な研究活動によって弾みがついて、ひいては新しい技術の創出や本県産業の底上げにも結びつくということですけれども、具体的な取り組みとして期待しているところでございます。つきましては、まず今回の指定に向けこれまでどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。
 また、今回の研究プロジェクトの研究目標、研究体制などはどうなっているのか、現在の状況や今後の計画を踏まえてお伺いいたします。
 さらに、この研究は、さまざまな研究機関、多くの研究者のポテンシャルを結集して産学官の連携の実を上げて立派な成果に結びつける必要があると思われますけれども、この点についてどのように取り組んでいくのか、あわせてお伺いいたします。

〇渡辺企画振興部長 まず、この事業の導入に向けたこれまでの取り組みについてでございます。
 地域結集型共同研究事業は、地域における国際的研究開発拠点の形成と、新技術・新産業の創出を目指す科学技術庁の大型研究開発プロジェクトでございます。本県といたしましても、科学技術の振興を積極的に図る観点から、岩手大学、県工業技術センター、超電導工学研究所などの研究ポテンシャルを活用して、地域資源に密着した超電導・磁気科学分野の研究開発を行うこととして、この制度が創出されましたのが平成9年度でございますが、平成9年度からこれの導入に向けて積極的な取り組みを行ってまいりました。
 まず、平成9年度には、財団法人岩手県高度技術振興協会、いわゆるテクノ財団でございますが、ここに委託してその可能性についての調査を行いました。平成10年度には、地域結集型共同研究事業の調査検討地域の指定を科学技術庁から受けまして、9年度に引き続き、まず、調査検討を行ってきました。そして、平成9年度、10年度には、予算の統一要望で国に地域の指定の要望も行ったところでございます。そして、これらを踏まえまして、本年4月に科学技術庁に対して申し込みをしまして、7月2日に本年度実施地域として指定を受けたところでございます。
 次に、今回のプロジェクトの研究目標、研究体制等についてでございますが、今回の研究目標を生活・地域への磁気活用技術の開発といたしてございます。その研究内容でございますが、まず、磁場の活用技術の開発でございます。超電導によって得られます極めて強い磁場を活用して、廃棄物からの有用金属の回収であるとか、リサイクル型素材開発のための有機物集合体の制御など環境に優しい素材の開発などを行うというものでございますし、また、磁気計測技術開発としまして、サケの雌雄判別などの磁気による計測技術の開発を行うほか、極めて弱い磁気を計測できる超電導の特徴を生かしまして、医療診断用の装置、心磁計の開発を行う等々してございます。
 次に、その研究体制でございますが、本年10月1日付で科学技術振興財団、いわてテクノ財団、岩手県の三者で基本契約を締結しまして、共同研究におけるそれぞれの役割分担を定めるとともに、事業の中核機関、これはテクノ財団でございますが、それと研究シーズを持っております岩手大学工学部、そして県等が一体となった推進組織を整備いたしまして、新たに5名の専任研究員を採用する等々、研究推進体制を整備したところでございます。
 次に、産学官連携の実を上げるために、そして、それを成果に結びつけるための方策についてでございますが、持続的かつ独創的な新産業創出等に資する科学技術基盤の形成、そして強化を図るため、県としても新産業創出や新技術開発支援の施策の実施を通じて強力に支援してまいりたいと考えてございますし、また、研究成果を企業のニーズに結びつける新技術エージェントの活動とも連携を図り、研究成果発表会などを通じて研究開発への企業の参画や研究成果の企業等への移転を促進してまいりたいと考えております。

〇中屋敷委員 私も実際に先端科学技術センターを見せてもらって、説明を受ければ受けるほど実は難しくてわからない部分があるんですけれども、研究だけではなくて実際に生かされるという形の中で物すごく効果の上がる事業かなと。汎用的にもいろいろな形で事業展開ができるということで、ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、新エネルギーについてお伺いいたします。
 平成9年12月、京都で開催されたいわゆる地球温暖化防止京都会議におきまして、温室効果ガス排出の削減目標についての国際合意が成立いたしました。我が国の削減目標は90年対比で6%の削減ということになっておりますけれども、一定の経済成長を維持しつつ、さらに地球温暖化への対応とエネルギーの安定確保を同時に達成するということは決して容易なことではないと思っております。このことについては、県は、国の削減目標を上回る目標に挑戦することとしておりますけれども、また、その柱の一つでありますクリーンなエネルギーの利用拡大については、新エネルギービジョンに基づき積極的に取り組み、本年策定の岩手県総合計画や岩手県環境基本計画の目標項目や主要事業にも取り上げられているところでございます。
 平成10年度の決算においては、クリーンエネルギー21推進事業費として3、577万円余が支出されておりますが、この予算で本県の新エネルギーについてあまねく取り組めるものであるのかどうか、県の取組状況、取組体制と県内での導入実績についてお伺いしたいと思います。
 また、新エネルギーの種類によってはいろいろな困難な問題があると思いますけれども、今後の課題についてどのように把握され、どう取り組んでいく方針なのか、あわせてお示し願いたいと思います。

〇渡辺企画振興部長 新エネルギーへの取り組みにつきましては、お話のとおり、地球温暖化防止等の観点から積極的に進めなければならないものという基本的な認識をしてございまして、そうした観点から、平成9年3月に岩手県新エネルギービジョンを策定し、さらに、平成10年3月に県の行動計画を定めまして、全部局連携のもとに、市町村、民間企業あるいは県民の皆様方と一体となってこの導入に努めることとしているところでございます。
 クリーンエネルギー21推進事業費3、577万円余でございますが、これは導入費用の一部を担ったものでございまして、そのほかに、さらに企業局であるとか、あるいは市町村、民間企業、県民等の資金投入が行われているわけでございます。
 平成10年度の実績でございますが、太陽光発電の先導的導入といたしましては、先ほどお話のございました岩手県先端科学技術センターのほかに、企業局の北上中部工業用水道事業所であるとか花巻北中学校における導入がございますし、そのほかに、県民の皆様が新たに63の住宅でこれを導入しているところでございます。それから、クリーンエネルギー自動車につきましても、県で申しますと企業局あるいは保健福祉部、市町村でいいますと宮古市、三陸町でハイブリッド車5台の先導的導入をしたところでございますし、これを含めまして県内に166台の導入が図られております。さらに、風力発電についてでございますが、葛巻町内におきまして本格的な商用発電県内第一号の着工がなされたほか、さらに民間事業者による調査も進められたところでございます。
 今後の課題につきましては、まず、太陽光発電を初めとした新エネルギーの技術革新や普及拡大により、コストが今は高いものですから、より一層のコスト削減を行って採算性の向上を図ること、それと、本県に豊富に賦存する畜産廃棄物などのバイオマスのエネルギー利用技術や河川水、そして地中の熱を利用する技術の開発に取り組むことなど、こういったことが課題だと認識しています。
 今後とも、ビジョンで示しました導入目標の達成を目指しまして、全部局がそれぞれの行政分野で取り組むべき事業内容を毎年度見直しながら、市町村、企業、そして県民の皆様方一体となってこの推進に努めていかなければならないと考えてございます。

〇中屋敷委員 まさしくそのとおりで、縦割りではなくて、各部局横断的に積極的に取り組んでいただきたいと、かように思います。
 次に、東北新幹線盛岡・八戸間の工事進捗状況と開業見通しについてお伺いいたします。
 10年度決算書においても、東北新幹線建設促進対策事業費194億円余が計上されておりまして、伺いますと、盛岡・八戸間の事業費は平成9年度が551億円、平成10年度が673億円、そして本年度は当初配分が632億円、公共事業予備費からの配分が182億円、さらに国の第2次補正予算で135億円が配分される見込みで、本年度の合計は949億円と、事業費は大幅にふえてきているところであります。御案内のとおり、本年9月、自由民主党と自由党の整備新幹線協議会において、東北新幹線盛岡・八戸間については、平成15年1月に青森県で開催予定のアジア冬季大会に間に合う開業という目標が示されたところであります。盛岡・八戸間の早期開業については、これまでも統一要望等を通じて国に対し強く働きかけてきたところであり、15年1月までに開業することを目標として事業費が増加してきている最近の動向はまことに喜ばしいことだと思っております。しかしながら、この開業目標が現実のものになるかどうかは12年度以降の新幹線関係予算の確保いかんであると。予断を許さない、決して楽観はできない状況にあろうと思います。
 そこでお伺いいたしますけれども、東北新幹線盛岡・八戸間の工事進捗状況はいかがでしょうか。また、具体的な開業時期について、県としてはどのような見通しを持っておられるのかお示し願いたいと思います。

〇渡辺企画振興部長 まず、工事の進捗状況につきまして申し上げますと、東北新幹線盛岡・八戸間の事業費は、平成3年度の着工以来、10年度末までで累計で1、950億円でございます。そして、今年度は、国の公共事業等予備費や第2次補正予算分も含めまして、お話のとおり949億円の事業費になる見込みでございます。この結果、盛岡・八戸間の工事進捗率は、平成9年の4月見込み価格で申しますと総事業費が4、840億円でございます。これに対し、本年度末では、事業費ベースで申しますと59.9%になる見込みでございます。
 それから、開業時期についてでございますが、県といたしましては、自由民主党・自由党整備新幹線協議会において目標とされた盛岡・八戸間の平成15年1月までの開業を実現したいと考えてございますが、そのためには課題もございます。お話のとおり、来年度以降の事業費の確保が重要であると同時に、もう一つは、建設工事の円滑な推進が大きなポイントであるととらえてございます。事業費の面で申しますと、今年度は国の公共事業等予備費や第2次補正予算による配分もありまして大幅に増加したわけでございますが、今後の事業費につきましても、青森県とも連携を図りながら、盛岡・八戸間への重点配分が行われるように、国に対して、まず、この点積極的に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 それから、建設工事の面で申しますと、平成11年1月現在で、用地取得率は面積ベースで申しますと94.1%、地権者ベースで97.0%に達してございますが、今後、地権者の皆様方の御理解と御協力をいただきながら、早期に用地取得が完了するように、県といたしましても万全の支援、協力体制で今後とも臨む方針でございます。

〇中屋敷委員 一方では並行在来線という問題とあわせて、これはかなり頑張っていかなければだめだと、かように思っておりますので、ぜひ県議会ともども頑張らなければならない課題だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、環境ホルモンについてお伺いいたします。
 最近の環境問題の中で、県民の関心が高いものの一つに環境ホルモン、ダイオキシンなどの化学物質による環境汚染問題があり、我々の身近な河川水や土壤中などからもこれらの化学物質の検出例が報告されているところでございます。
 このような中にあって、ダイオキシンにつきましては本年7月に特別措置法が公布され、来年1月から施行される予定と聞いており、その対策が着々と進められているように私は考えております。
 一方、環境ホルモン問題につきましては、昨年5月に国においてその疑いがある約70物質がリストアップされ、昨年度初めて本格的な環境調査が行われたほか、その毒性に関する調査研究などが開始されたばかりであり、現在のところは環境に関する基準なども設定されていないと私は承知いたしております。しかし、環境ホルモンに関しては、食器や食品の包装資材からの溶出事例、水生生物の汚染も含め、さまざまな調査研究事例が頻繁に報道されているほか、各種市民団体による取り組みも活発化するなど、県民の関心を集めているところでございます。
 県も、国と同様に昨年度から県内の環境調査を開始されているところでありますが、県の昨年度の調査結果、また、国の調査結果、特にアトラジンという物質が県内の土壤から高いレベルで検出されているということを踏まえて、今年度以降、この環境ホルモン問題にどのように対応していこうとするのか、まず、お伺いしたいと思います。

〇千葉副知事 環境ホルモンにつきましては、国の調査のほか、県内の実態把握のため、県単独でもビスフェノールAなど主要な14物質について昨年度から調査を実施しているところでございます。その調査によれば、県内の状況は、総体的に全国と同程度か、または低いレベルで検出されているものでございます。ただし、アトラジンにつきましては、国の調査結果で、県内の土壤2カ所のうち1カ所から比較的高いレベルで検出されたことが判明したところでございます。
 県といたしましては、この結果を踏まえまして、今年度の県の独自調査項目にアトラジンを追加し、土壤のほかに河川水も含めて実施することとしたところでございます。その結果につきましては、来年度できるだけ早い時期に公表したいと考えております。
 今後の対応でございますけれども、環境ホルモン問題は重要な環境問題の一つであるという認識の上に立っているわけですけれども、今後とも、国等の新たな知見を踏まえながら、県内の実態把握に継続的に努めてまいりたいと考えております。
 また、これらの環境ホルモンによる汚染問題につきましては、引き続きインターネットやパンフレットあるいは県で作成しております環境ホルモン等についてのQ&Aなども活用しまして、県民の皆さんによりわかりやすい情報を提供してまいりたいと考えております。

〇中屋敷委員 ぜひ積極的な対応をお願いしたいと思います。
 次に、環境影響評価制度の運用についてお伺いいたします。
 21世紀を目前にいたしまして、身の回りから地球全体に至るまで、さまざまなレベルで環境破壊や自然環境の問題が話題になっております。このような中で、私は、豊かな自然を守り、はぐくんでいくことが私たちに課された使命であり、私たちの世代で自然や環境を破壊したり貴重な動植物を絶滅させてしまったりしてはならないと、これは私のみならず、だれしもが考えることだと思います。このため、私はいろいろな地域開発の絡みの中でも、これまでも国見開発とかいろいろな形の中で提言してまいりましたけれども、昨年の6月議会で環境影響評価条例が制定されまして環境影響評価制度が確立されたところであり、これに基づきまして、大規模な開発事業を行う場合には、県民、事業者、行政がそれぞれの立場で有益な意見を出しながら適切な環境調査、予測、そして評価を行うことになったところでございます。
 この環境影響評価制度を適切かつ円滑に運用するためには、県民、事業者、行政がひとしく環境の情報を共有し、活発な意見交換をすることが重要であり、そのためには、環境影響評価に関連する環境情報を県民、事業者等に提供することが必要であると考えておりますが、現在の状況はどうなっているのかお伺いします。
 また、条例施行後の手続の状況と、その件数についてもあわせてお示し願いたいと思います。

〇千葉副知事 環境情報の現在の状況でございますけれども、毎年の環境白書の公表や随時のパンフレット等によりまして、環境影響評価に関する環境情報といたしまして、大気、水質、騒音等の測定結果、動植物の生息、生育や植生の状況、すぐれた自然の評価保全区分図、環境関連法令の規制の状況など、こういったものを情報として提供しているところでございます。さらに、今年度からは、事業者の環境影響評価の作業を円滑に行うとともに、意見を述べようとする県民の情報入手に役立てるため、各地方振興局に環境情報を検索できるCD-ROMを備えつけたほか、インターネットにも掲載しまして情報提供に努めているところでございます。これは、環境情報が一目でわかるように、全国で初めて地図情報として掲載したもので、運用後約4カ月を経過しているところでございますけれども、アクセス件数は延べ3、000件に上っているところでございます。
 それから、条例の施行後6カ月が経過したところでございますけれども、環境影響評価の手続を行っている件数は、ごみ処理施設や都市計画道路の整備など全体で5件となっているところでございます。その他、これから手続を行うための相談はおよそ10件となっております。したがいまして、環境影響評価の手続はいずれも順調に進められていると受けとめております。
 今後とも、環境影響評価の適切かつ円滑な推進を図るため、環境影響評価に係る環境情報や技術情報を収集、整理するとともに、県民、事業者、市町村等に関係情報を適宜提供してまいりたいと考えております。

〇中屋敷委員 本当に環境アセス制度が県条例でもっと早くできていれば、私はまたぶり返すようですけれども、県民総意のもとに理解になっていれば、奥産道問題なんかも、確かに事務事業評価の部分であるかもしれませんけれども、こういう大きな問題にはならなかったと。行政も県民も事業者側もひとしく理解していればこういうことにならなかったと思っておりますので、ぜひこの制度についてはさらなる適切な運用をお願いしたいと、かように思います。
 次に、社会福祉協議会のあり方についてお伺いいたします。
 急速な少子・高齢化の進展など、我が国の福祉を取り巻く環境は大きく変化しており、国においては、昨年、児童福祉法が一部改正されるとともに、介護保険法が可決成立されました。また、福祉を取り巻く環境の変化に対応して、社会福祉事業、社会福祉法人などの社会福祉全般を支える基礎構造の改革についての検討が行われているところでもあります。今後は、21世紀の参加型福祉社会の形成を目指し、住民がお互いに助け合い、支え合いながら、高齢者や障害者など、だれもが住みなれた地域において自立した生活を送ることができるような環境づくりを進めていくことが必要でございます。
 こうした課題に対応するため、公的施策の充実とともに、地域住民等の参加によるさまざまな民間福祉活動が各地において活発に展開されることが重要であると考えております。
 こうした中で、社会福祉協議会は、民生・児童委員や社会福祉施設を経営する者のよりどころであるとともに、福祉サービスの提供や福祉ボランティアの推進役を担うなど、地域福祉活動の中核として、その果たすべき役割は今後とも一層大きなものになると考えております。
 ついては、県及び市町村の社会福祉協議会が民間による地域福祉の推進のために現在どのような事業を展開しているのかお伺いいたします。
 また、県として、今後の社会福祉協議会のあり方をどのようにとらえ、指導、支援していく考えか、あわせてお伺いいたします。

〇千葉副知事 社会福祉協議会は、現在、社会福祉事業を経営する方々の協議会として、その事業の発展を図るために必要な調査企画、連絡調整、広報宣伝などを行っているわけでございます。また、住民に対する直接サービスといたしまして、ホームヘルプサービスあるいはデイサービス等在宅福祉サービスの受託や、自主的な事業といたしまして、食事のサービスや住民参加によります小地域での助け合い活動や高齢者や障害者とのさまざまな交流活動などを実施しているところでございます。
 今後の協議会のあり方でございますけれども、社会福祉協議会は、現在進められております社会福祉の基礎構造改革によりまして、社会福祉事業を経営する者以外にも地域福祉活動を行う民間団体等を新たに加えまして、地域の公益的かつ自立的な組織として位置づけられております。今後、より一層地域福祉推進の中核的な担い手としての役割が定着するものではないかと考えているところでございます。これによりまして、一般の事業者が行わないような社会福祉事業や福祉ニーズの多様化あるいは高度化に対応したサービスの質の確保、向上に係る事業への展開が期待されているところでございます。
 このため、県といたしましては、社会福祉協議会におきまして、職員の資質向上を図る研修事業といたしましての市町村社協総合支援事業あるいは小地域における助け合い・支え合い活動を担うリーダーを養成するゆいづくり事業、地域福祉権利擁護事業や利用者の苦情解決のための事業などが展開できるよう支援してまいりたいと考えております。
 また、その実施に当たりましては、複数の市町村社会福祉協議会が共同して事業を行うなど、広域的な取り組みもあわせて進めてまいりたいと考えております。

〇中屋敷委員 次に、マルチメディア関連産業についてお伺いします。
 我が国経済は戦後最悪と言われる景気低迷の中にあり、雇用情勢も依然として厳しい状況にあります。こうした中で、技術や人材など地域に蓄積された産業資源を有効に活用しながら、地域における新事業の創出に積極的に取り組むことにより、地域経済の自立的発展を目指すことが必要になっております。
 マルチメディア関連産業は、ベンチャー性に富み、あらゆる産業分野での活用が見込まれるとともに、今後発展が期待されるリーディング産業と言われておりますが、マルチメディアソフトの開発や研究、さらには関連産業の従事者の養成あるいは資質の向上を図っていくことは重要な課題ではないかと考えております。
 そこでお伺いいたしますが、21世紀に向けて有望な産業と考えられるマルチメディア関連産業の育成について、本県におけるこれまでの取組状況と、今後どのように施策を展開しようとしているのかお示し願います。
 次に、中小企業向けの制度資金についてお伺いいたします。
 中小企業向けの制度資金は、平成10年度においては利用実績が大幅に増加いたしました。これは、景気の低迷が長引き、中小企業の経営者が資金繰りに困っている平成10年6月に、県はいわて緊急経済対策資金を県単で創出し、また、国は10月から中小企業金融安定化特別保証制度の取り扱いを開始したことから大幅な利用の増加という結果になったものと承知いたしております。そして、これは、長引く経済情勢の低迷もさることながら、県内の中小企業者に対する金融面でのてこ入れは岩手県信用保証協会を抜きにしては考えられないということを如実に反映した結果であると、かように思っております。担保力の乏しい中小企業にとって、公的保証人としての信用保証協会の役割はまことに大きいものがあります。しかし、平成11年度においては岩手県信用保証協会の取扱実績が大幅に落ち込んでおり、特に県単の中小企業向け制度融資の利用が低調であると聞いております。
 そこでお伺いいたしますけれども、県単独の中小企業向け制度融資の利用状況と、利用が低調な要因をどう分析しておられるのかお伺いいたします。
 また、中小企業向けの県や国の制度資金は、基本的に信用保証協会が利用する企業を保証する仕組みとなっておりますが、県内中小企業の信用保証協会の利用状況について、東北各県と比較してどうなっているのかお示し願いたいと思います。

〇千葉副知事 最初に、マルチメディアの関連でございますけれども、マルチメディア関連産業の育成に当たりましては、大学等に蓄積するすぐれた産業化シーズの活用や県内企業の技術、製品開発力の向上あるいは人材養成が重要であると考えまして、一つには、マルチメディアソフトなどを開発するための開放型拠点施設といたしまして、高度な機器を整備いたしましたいわてマルチメディアセンターを平成10年6月にオープンさせたところでございます。利用件数はオープン以来1、000件を超えまして、着実に増加しているところでございます。
 それから、もう一つは、産学共同によるソフト開発の支援でございます。平成10年度からマルチメディアセンターを活用したモデル事業を通じまして、産学共同の研究開発を支援してまいりました。この事業によって開発した技術を用いた自然景観映像作成ツールなどのマルチメディアソフトが商品化されたケースも出るなど、具体的な成果も上がってきているところでございます。
 その他の取り組みといたしまして、関係機関との連携によりますマルチメディア総合コンテストの開催あるいは株式会社岩手ソフトウェアセンターでは、情報系技術者を対象とした専門的研修の実施によります人材育成事業を実施しているところでございます。
 今後の施策展開でございますけれども、引き続き、産学連携によるソフト開発の支援、マルチメディアセンターの機能強化、ソフト制作等に関する実践的教育を行う人材育成機能の整備を図りまして、関連産業の振興を強力に推進してまいりたいと考えております。
 次に、中小企業向け制度資金の関係でございますけれども、平成10年度におきます県単独中小企業向け制度資金の合計は、保証承諾ベースで6、101件、877億9、000万円余でございます。平成11年度の10月末までの利用状況は1、065件、145億9、600万円でございまして、前年同期比で件数で22.3%、金額で21.3%となっております。
 利用が低調な原因でございますけれども、平成10年度はいわて緊急経済対策資金を創設いたしまして大幅な利用があったわけでございます。また、国の中小企業金融安定化特別保証制度の利用が一巡いたしまして、企業は当面の運転資金として多額の経済対策資金の融資を受けておりまして、総じて中小企業の資金繰りに一服感があらわれているのではないかと考えております。また、長引く景気の低迷のもとにありまして、景気の先行き不透明感から企業が借り入れを抑制しておりまして、特に設備投資など前向き資金の利用に慎重であることなどが考えられます。
 信用保証協会の利用状況でございますけれども、県内の中小企業のうち、信用保証協会を利用しております企業の割合は企業浸透率としてあらわされるものでございますけれども、直近の事業所・企業統計調査によります本県の中小企業数をもとに算出いたしました企業浸透率は、平成8年度19.6%、9年度21.4%、10年度25.1%でございます。東北平均に比較いたしまして、8年度は0.9ポイント下回っておりましたけれども、10年度には逆に1.4ポイント上回ったところでございます。
 また、年々信用保証協会の利用率は高まっておりまして、県内中小企業者に対する重要な支援機関として、一層の利用の促進を図ってまいりたいと考えております。

〇中屋敷委員 中小企業向けの信用保証協会というのは本当に大きな役割を果たす協会でございますので、さらなる積極的な中小企業の理解への取り組みということをお願いしたいと思います。
 次に、県都盛岡が北東北の拠点都市を目指して都市基盤整備を進める中で、その円滑な交通の確保に重要な役割を果たすこととなる、仮称でございますけれども中央大橋についてお伺いいたします。
 私は、かねてから盛岡市街地から駅西地区を経て盛南地区に至る、いわゆる軸状都市構想の実現が拠点都市形成において大きな必要欠くべからざる重要な課題であり、一刻も早くなされなければならないと考えているものでございます。
 そこでお伺いいたしますが、軸状都市構想の中で、交通の要衝として、また、盛南地区への玄関口として整備される中央大橋の事業の進捗状況はどのようになっているのでしょうか。また、橋の建設予定地区は雫石川の河川敷の緑豊かな自然形態が残されている地域であるわけでございますけれども、工事に当たって、自然環境の保全や景観対策にはどのように配慮されるか、あわせてお示し願いたいと思います。

〇千葉副知事 事業の進捗状況でございますけれども、用地買収につきましては、昨年度から事業の説明会や用地測量を行いまして、鋭意交渉中であり、一部の用地につきましては買収済みとなっております。また、工事につきましては、自然環境保全対策に係る提言を踏まえました設計や施工方法がまとまったことから、下部工の一部について12月中にも発注する予定でございます。
 それから、自然環境保全対策でございますけれども、建設予定地の雫石川河川敷一帯は自然度の高い貴重な空間となっております。盛岡市の都市景観ガイドプランにおきましても、雫石川河川地区として、景観形成を図る区域に位置づけられているところでございます。したがって、橋の計画に当たりましては、雫石川の自然環境との調和を図るため、自然保護団体等の代表者や河川工学等の専門家によって構成される中央大橋環境調査委員会や景観検討委員会を設置しまして、自然と景観に配慮した橋の整備を目指し、検討を進めているところでございます。
 事業の実施に当たりましては、これらの提言を踏まえまして、鳥類等につきましては、工事期間中にモニタリングを行いまして、影響が予測される場合は必要な措置を講ずることとしております。また、照明装置は、昆虫をできるだけ誘引しないように、波長の長い灯具を使用することといたしております。また、建設機械は騒音振動の少ない機種を選定するなど、自然環境への影響を十分に配慮しながら事業を進めたいと考えております。

〇中屋敷委員 実は私も県庁時代は盛南開発を担当させてもらいまして、当時、地域振興整備公団との協議では、中央大橋の整備は県ではなくて盛岡市がやるんだと。それが増田知事になってから、これはぜひ県がやらなければだめだという話の中で進めた、本当に旧市街地と新都市を結ぶ重要なルートでもございます。ただ、場所が場所で、雫石川ということもありますので、そういう環境問題への配慮にぜひ積極的に取り組んでもらいたいと思います。
 予定では園芸振興策についても聞く予定でございましたが、時間の関係から1点だけ最後に。今、高校再編問題が大きな話題になっております。きょうは教育委員会の審査ではないわけでございますけれども、我が岩手県議会としても9月に地域の事情をよく聞いた形で十分に検討してくださいという決議を出したわけでございますけれども、副知事、岩手県議会が出す決議というものを当局側はどう受けとめられているのかということをまず1点お伺いしたいと思いますし、また、今の高校再編整備、最終的には県教委だという話でございましょうけれども、副知事の所感とすれば、今このような形で毎回のように、多分部審査でも教育委員会ではかなり意見が出ると思うんですけれども、今、現状として、議会とのやりとり、また、県民のいろいろな集会等も開かれておりますけれども、その点をどのように受けとめられるかお伺いして、私の総括的な質問を終わらせていただきます。

〇千葉副知事 議会は住民の方々の代表者で構成されているわけでございますので、そこで決議されたものは最大限尊重されるべき筋のものだろうと考えます。
 それから、今回の高校再編の考え方でございますけれども、私は、基本的には、今回の県教委の高校再編計画というのは非常にしっかりした考え方に基づいて策定しているものと受けとめております。ただ、いろいろ議論が出ておりますけれども、本来、この問題につきましては子供を中心に議論されるべきものが、どこかの時点で若干ずれている感じがしないわけでもございません。それが地域振興にいったり、あるいは自分が学んだ校舎がなくなるとか、そういう視点が色濃く出ている面もありますけれども、本来は、やはり子供の教育に視点を置いて議論されるべき事項だろうと思います。したがって、今後、いろいろ県教委と、また、地域の方々と議論されるだろうと思いますけれども、その点に重点を置きながら、これは地域の課題ということではなくて、岩手県としてどうあるべきかということを中心に議論していただきたいということをひそかに願っているものでございます。

〇伊藤委員 自由党の伊藤勢至でございます。党を代表いたしまして質問させていただきます。
 ただいまは自由民主クラブの中屋敷委員の質問でございました。そして、私の後には政和会の田村委員の御質問と伺っております。お2人とも内陸出身の委員でありますから、もちろん県政全般にわたって質問をするのが基本ではございますが、三陸沿岸あるいは県北に偏った質問にもなろうかと思いますけれども、三陸沿岸、そして県北が振興することは岩手県が総体よくなること、このように思っての質問でありますので、あらかじめひとつよろしくお願いいたします。
 まず最初に、平成10年度は、当初、停滞している景気動向や国、地方を通じる財政の健全化が現下の最重要課題の一つとなっている中で、国の財政構造改革の推進による歳出の削減等から厳しい財政環境下に置かれるものとの予想のもとに、歳出全般について徹底した歳出合理化を推進する観点に立って県議会として附帯意見を決議しているが、その後においては、財政構造改革を一時凍結し、景気対策に取り組んできたところでもあります。県として、決算の評価に関連して、当該意見にどのように対応されたのか、まず、お伺いいたします。
 関連いたしまして、市町村に対する財政運営指導等について伺います。
 地方分権の推進に伴い、地域における行政を自主的かつ総合的に広く担うことが求められているところでありますが、高齢化社会に向けた介護保険等の総合的な地域福祉施策など重要な政策課題が山積しております。これらを担う県内個々の市町村の財政力、財政体質は千差万別でありますけれども、その決算状況はどうなっておりましょうか。また、財政課題は何か、さらに、これまでの市町村の財政運営に対する指導の考え方はどうあったのか、あわせてお伺いいたします。
 なお、地方分権型の社会到来の中にあって、市町村と県のあり方も対等・協力の関係へと移ってくるのでありましょうが、今後の市町村への財政運営の指導はどうなっていくのか、財務事務視察等従来からあったやり方はどう変えていくのかお伺いしたいと思います。
 また、最近、大迫町の補助金受給にかかわる事件などがありましたが、補助金受給等の適正な手続を確保するための指導をどう考えているのかお伺いいたします。あわせて、市町村に対する研修のあり方などは今後どう展開されていくのでありましょうか、お伺いいたします。

〇武居総務部長 平成10年度の一般会計予算に対します県議会の附帯意見に対しましてどういうふうに対応したかというお尋ねでございましたが、何点かございましたが、まず、経費の節減合理化についてでございます。この点に関しましては、県単独補助金の整理合理化によりまして、48件、1億3、100万円の節減をいたしましたし、また、事務事業評価システムの導入によりまして事務を見直しました結果、255件、69億1、000万円の見直しを行っております。さらに、年度途中でございますが、現下の経済動向から見まして県税収入や地方交付税などの伸びを多く期待し得ないということが判明いたしまして、厳しい状況が続くものと見込まれましたことから、一般事務費の中から光熱水費を除いた額の10%を節減いたしまして、2億4、000万円を節減するなどの節減努力をしたところでございます。
 次に、2点目でございますが、財源の効率的活用という御指摘がございました。これにつきましては、使用料、手数料の見直し、これは27件で4億500万円でございましたが、こういった見直しを行いましたし、法人県民税の税率の特例の継続によりまして6億2、100万円、県債管理基金あるいは財政調整基金、さらには公共施設等整備基金の取り崩しを合計177億7、900万円行うなどしまして、財源の効率的活用に努めたところでございます。
 なお、基金の取り崩しにつきましては、年度内に他の財源、例えば交付税措置のある優良な県債等の確保に努めました結果、主要3基金の当初取り崩し予定額は360億円でございましたけれども、これが177億8、000万円にとどまったところでございます。
 また、行政システム改革指針の具体化につきましての御指摘もございましたが、経費の節減合理化のところで触れました内容と同じでございますが、特に事務事業評価制度を平成9年度に導入したわけでございますけれども、10年度の当初予算編成作業とあわせまして平成9年度の初年度は12月に行っていたものを、10年度におきましては、所要の改善を加えまして予算調整前の7月に行うなどの努力をしたところでございます。
 結論といたしまして、平成10年度におきましては、景気の低迷等による厳しい財政環境にはございましたけれども、このような取り組みを行いまして、財政運営の健全化にも配慮しながら、三県総に掲げる諸施策を推進してきた結果、下水道等の生活基盤の整備や高速交通幹線等交通網の整備など21世紀に向けた基盤づくりが進みまして、県勢の発展にも貢献したものと考えているところでございます。

〇渡辺企画振興部長 まず、県内市町村の決算状況についてでございます。
 平成10年度の岩手県市町村普通会計決算の見込みにつきましては、平成9年度に比較して申し上げますと、決算規模は歳入で7、035億3、500万円でございまして、対前年度で3.1%の増、歳出で6、821億3、500万円で、同じく対前年度2.0%の増ということでございます。そして、歳入から歳出を差し引いた形式収支及び形式収支から翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支におきましても、いずれも全市町村とも黒字となってございます。
 しかし、財政の弾力性を示す経常収支比率は80.4%、公債費比率は15.5%でございまして、前年度に比べてそれぞれ1.2ポイント及び0.6ポイント上昇いたしてございます。また、地方債現在高も7.3%の増と、年々増加傾向にあります。こういったことから、全体として財政の硬直化の傾向が見られ、本県市町村の財政状況は一段と厳しくなっていると認識いたしてございます。
 次に、その抱える財政課題でございますが、市町村におきましても、全国的な動向と同じく財政構造の硬直化が進む中で、財政運営の健全化への取り組みが求められる一方で、地方分権の推進あるいは少子・高齢社会への対応などの重要課題に係る財政需要の増大が見込まれ、これらへの適切な対応と積極的な施策の展開が求められているわけでございます。これら両面からの課題に対応しなければならないと認識いたしてございます。
 次に、財政指導の考え方でございますが、県といたしましては、市町村に対して、このような厳しい財政状況、そして、ただいまお話し申し上げました財政課題を十分に踏まえて、一つは、行政改革の一層の推進による行政経費の節減合理化を図るとともに、税収入の確保、受益者負担の適正化等財源の確保に努め、そして、各種施策の優先順位についても厳しい選択を行いながら、財源の計画的、重点的な配分に徹して財政の健全化を図るよう助言し、勧告をしているところでございます。
 次に、分権型社会における今後の市町村への財政運営の指導等のあり方ということでございますが、その考え方でございます。
 地方分権一括法による改正後の地方自治法におきましても、県は、引き続き市町村の組織、運営について総合的見地からの助言、指導を行い、市町村行政の円滑な運営に資するとされているところでございます。
 地方分権の実を上げるためには、市町村が今後ますます行政体制の整備充実や行政運営の合理化等を図ることが期待されているところでございまして、県といたしましては、このような体制整備等が着実に図られるよう、市町村の自主性、自立性を最大限尊重しながらも、厳しい財政状況の中で、健全な財政運営の一助となるように、適時適切にそのための助言あるいは勧告に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、いわゆる財務視察の実施方法についてでございます。
 これにつきましても、地方自治法の関係条文等が、出納検閲を初めとする財務監視のいわば権力的性格を弱めることとして改正されましたことを踏まえまして、市町村と県の対等・協力の関係のもとで、財政状況が悪化しているなど財政運営上さまざまな問題を抱えている市町村等を重点的に行うなど、その内容や方法の見直しを図りながら、問題の解決に向けて適切な助言、指導をしていきたいと考えてございます。
 次に、大迫町の補助金受給に係る事件に関連して、補助金受給等の適正手続を確保するための指導ということでございますが、まずもって、県としては、このような事件が二度と起こらないように、関係部局とも協力しながら、事実関係はもちろん、なぜこのような問題が発生したのかという点について解明し、事実関係の解明等々につきましては現在既にそういった対応をいたしてございますが、その上で、市町村に対して関係法令や事務処理規程等の遵守などを初めとする服務規律の確保や職員の公務意識の徹底、それから厳正な事業執行と市町村内部の管理監督者による業務のチェック機能の強化、補助事業の執行に係る県と市町村の緊密な連携のもとでの進行管理などにつきまして、市町村財政主管課長会議や市町村の職員研修あるいは各種ヒアリング等々、あらゆる場をとらえながら周知徹底を図るとともに、先ほどお話し申し上げました財務視察の調査内容の見直し等も含めまして、再発防止に向けて全力で取り組んでまいりたい、かように存じてございます。
 それから、市町村に対する研修のあり方でございますが、市町村職員の研修は、各市町村や広域行政機構のほか、市長会、町村会においても実施しているところでございます。県といたしましても、市町村に対する支援の一環としてこの研修の一部を実施してるところでございます。
 県が実施しているものといたしましては、今年度で申しますと、自治研修所において新任の課長や課長補佐を対象とした研修を実施しているほか、当部の市町村課におきましては、人事、法規、財政、税務等の専門研修を実施いたしてございます。
 地方分権が実行段階に入る中で、今後、研修の内容やあり方も見直していく必要があると考えてございまして、法令の遵守、服務規律の徹底はもとより、県と市町村が相互に連携しながら分権時代を担う人材を育成していくため、その効果的なあり方について、各市町村あるいは広域行政機構とも協議してその実効性の確保に努めてまいりたい、かように存じてございます。

〇折居委員長 伊藤委員の質疑中でありますが、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時2分 休 憩
 
   午後1時4分 再 開

〇折居委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

〇伊藤委員 質問を継続いたします。地域振興にかかわりまして3点まとめてお伺いをいたしたいと思います。
 特定地域の振興方策についてでありますが、県北・沿岸部地域における過疎などを解消するとともに、県央部などとの格差を是正し、ひいては県土の均衡ある発展を進めることは、従前より県政の最重要課題であり、これまでもさまざまな施策を講じてきているところであります。改めて現在における格差をどのように認識しているのか。
 また、平成10年度における施策の実績と、それに対する評価を伺いたいと思います。
 また、このような取り組みを進めるに当たって、県の諸施策の推進にどのように配意してこられたのかお伺いをいたしたいと思います。
 今後においては、引き続き一部地域への経済機能、行政機能の過度の集中を排除していくことはもちろんでありますが、地方分権型社会の到来の中にあっては、地域が主体的に地域特性を生かすという考え方に立って、すなわち特色ある機能や地域の優位性を尊重し、地域相互が補完、触発し合う県土づくりを目指していくことも重要であると考えておりますが、いかがか御所見をお伺いいたします。
 関連をいたしまして、地域活性化事業調整費について伺います。
 当該制度発足以来14年目で、現在は11億円規模で各地方振興局に配分され、事業が実施されていると承知をいたしております。しかしながら、その配分・実施をめぐっては、この財政難の中にあって見直すべき時期に来ているのではないかと思います。まず、事業の内容が議会においてチェックできないことはどうか。そして、このことは3月の予算特別委員会においても取り上げられましたが、配分が決まったものを事後的に説明を受けてもどうにもならないのではないかという点があります。また、調整費以外のその他の事業が個々に事務事業評価で厳しく評価を受けている現状にあって、適正な評価を受けていないことは問題なしとは言えないのではないでしょうか。この活性化調整費にあっては、地方振興局が地域課題に主体的に取り組むことができるという意義がありますが、10年度からは地方振興局長に予算要求権限が付与され、今後拡充される中にあって、おのずと改革されるべきものではないかと考えておりますけれどもいかがでしょうか、所見をお伺いいたします。
 関連して、特定地域の振興策の一つ、県北・沿岸地域への企業誘致について伺います。
 県北・沿岸地域は地理的な条件や生産基盤、高速交通基盤のおくれなどから企業の立地件数が少なく、北上川流域を中心とした内陸部に比べると、若者が安心して働ける就労の場が少ないという現状となっております。このため、依然として若年層を中心に人口の流出に歯どめがきかないという古くて新しい課題を抱えているわけであります。地域の活性化を図るためには若者の地元定着が何よりも重要であると考えておりますが、これら地域に雇用の場が創出され若者が生き生きとして仕事をし、地域活動にも取り組むという社会の姿が地元の願いであり、私はこのための核となる企業がぜひとも必要と考えております。県はこれまでも企業誘致に努力をしてまいりましたが、県北・沿岸部に企業誘致を促進することは、地域の活性化を促し、県内格差を解消し、県勢の発展に大いに寄与するものと考えておりますが、今こそ県北・沿岸地域に企業誘致活動が必要であると思います。そこで、お伺いをいたしますが、県北・沿岸地域への企業のこれまでの立地状況と、今後の取り組み活動の状況についてお伺いをいたします。

〇千葉副知事 まず、特定地域の振興方策でございますけれども、特定地域は他の地域と比較いたしまして、自然的、社会的な面で厳しい状況に置かれております。したがいまして、依然として他の地域と比較いたしまして格差があるというのが実態でございます。例えば、人口の動態でございますけれども、県平均に比較いたしまして人口減少度合いが非常に強くなっております。また、所得の関係でございますけれども、県平均に比較いたしまして特定地域の所得の伸びの割合というものは低くなっております。また、工業出荷額の関係でございますけれども、県平均を大幅に下回っておりまして経済活動が停滞しているということも見られるわけでございます。また、生活環境面でございますけれども、下水道普及率が県平均に比べてかなり低位にあるという実態にございます。したがいまして、特定地域につきましては他の地域と比較いたしましてかなりの格差があるというのが、こういった数値から見てもわかるということでございます。
 平成10年度の事業の実績等でございますけれども、特定地域の市町村の大半が、過疎・準過疎地域に該当しております。したがいまして、事業の導入に当たりましては、基幹道路の県代行による整備等の国の行政措置に加えまして、県道に係る市町村負担金の免除や自治振興基金の有利な貸付条件など県単独の助成措置を講じてきたところでございます。また、特定地域につきましては、地域活性化事業調整費を手厚く配分するとともに、特定地域振興室におきまして、庁内各部局と連携しながら重点的、計画的な事業の導入を図ってきているところでございます。平成10年度におきましては、東北新幹線盛岡以北の工事の促進など基盤の整備や港湾機能の高度化など地域振興のためのそういった整備を行ってきております。また、地域資源を生かした野菜、花卉等の高収益作物の導入拡大やヒラメ、マツカワなどのつくり育てる漁業を推進しているところでございます。また、県立病院の移転新築、大船渡救命救急センターの整備や、過疎地域等における下水道整備などの生活環境の整備にも力を入れたところでございます。部局横断事業といたしましてグリーン・ツーリズムの推進や、地域活性化事業調整費等による特色ある地域づくりなど、各般の施策を積極的に推進してきたところでございまして、特定地域の振興は着実に進展しているものと考えております。
 特定地域の振興方策の基本的な考え方でございますけれども、まずもって、やはり地域が主体となって、それぞれの持つ発展可能性を最大限に引き出しまして、個性や特色を生かした活力に満ちた地域づくりを進めることが肝要であると考えます。加えて、人、モノ、情報の流れを生み出すネットワークの形成など、地域の自立的発展を可能とする産業基盤や、地域が必要とするサービスを提供するための生活基盤を計画的に整備するとともに、地域間の交流と連携を進めまして、広域的、一体的な発展につなげていくことが重要であると考えております。
 このような考え方に立ちまして、新しい総合計画に位置づけた時間距離の短縮プロジェクトなど、地域の自立的発展を阻んできた距離や地形などを克服する課題対応プロジェクトのほか、各広域生活圏ごとの地域計画に盛られた各種振興施策などを着実に推進してまいりたいと考えております。
 次に、県北・沿岸地域への企業誘致の関係でございますけれども、昭和30年度から平成10年度までの立地件数は県全体で622件でございます。このうち県北・沿岸地域への立地は143件、23%が県北・沿岸部に立地しているものでございます。また、本年度これまでの立地件数は県全体で6件でございますけれども、このうち沿岸地域への立地は、宮古1件、釜石2件、計3件でございまして、全体の50%を占めているところでございます。なお、県北地域につきましては、久慈地区拠点工業団地にいわて森のトレー生産協同組合、二戸地区拠点工業団地には二戸時計工業などが進出しているところでございます。県といたしましては、これまで久慈と二戸地区拠点工業団地の整備、県北・沿岸地域の市町村を対象とした助成制度の創設など、ハード、ソフトの両面にわたりまして立地環境の整備に努めてきたところでございます。
 また、企業の誘致に当たりましては、県はもとより、地元市町村の熱意ある取り組みが何よりも重要な決め手であるとの認識に立ちまして、県、市町村と関係団体で構成します岩手県企業誘致推進委員会に、県北部会と沿岸部会を設置するなど、地元市町村等と一体となった誘致活動に取り組んでいるところでございます。また、本年4月、新たに知事を本部長とする岩手県企業誘致推進本部を設置しまして、全庁挙げて誘致活動を展開しているところでございます。今後におきましても、地元市町村との密接な連携のもとに、在京岩手産業人会等の人的ネットワークや、企業誘致のための企業ネットワークいわてなど、あらゆる機会を活用いたしまして、各地域の特性などセールスポイントをより明確にした効果的な誘致活動に積極的に取り組みまして、県北・沿岸地域への企業導入に取り組んでいきたいと考えております。

〇渡辺企画振興部長 地域活性化事業調整費についてのお尋ねでございます。
 まず、この調整費事業の内容が議会でチェックできないのは問題ではないのかということ等についてでございますが、地域活性化事業調整費は、各分野にわたる事業の調整補完等を目的とし、また緊急的な事業についても運用の対象としていることなどから、特に弾力的、そして機動的な運用が求められているところでございます。そうしたことから、県議会におきましては、予算の総額について包括的に議決をいただき、個々の事業の採択につきましては、県、市町村、民間が一体となった地域の振興を図る観点からも、地方振興局長の権限と責任において行っているものでございますので、御了解を賜りたいと思います。
 なお、調整費事業の採択は、ただいまお話ししましたとおり地方振興局長の権限と責任において行っているものでございますが、その内容については、県議会議員の先生方にもちろん御理解いただくことが重要と考えてございますので、その配分の事前に、各地方振興局において十分御説明するように徹底しているところでございます。
 次に、他の事業が個々に事務事業評価で厳しく評価されている中にあって、個々の調整費事業は適正な評価をしていないのではないのかというお話でございますが、平成9年度に事務事業評価要綱が制定されて以来、地域活性化事業調整費につきましても、この要綱等に基づいて評価を行っているところでございます。ただ、具体的な評価方法として、調整費を活用してさまざまな事業が数多く実施されていることから、各地方振興局が、当該評価要綱等に準じて、その事務事業を個別に評価した上で、さらに地域政策課において調整費制度全体の評価を行う、こういう形で実施いたしてございます。
 さらに、今後における一層の事務事業評価向上への取り組みといたしまして、平成10年度から県庁の担当課と地方振興局が合同で、各局間の評価水準の均衡化や評価精度の向上を図るために事業評価検討会を開催しているほか、調整費事業の企画力向上を図るために企画立案検討会を開催しているところでございます。そして、事業評価の結果が事業内容の向上に十分に生かされますように、今後ともさまざまな視点から創意工夫を凝らしながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
 それから、地方振興局長への予算要求権の付与、拡充等に伴う地域活性化事業調整費の見直しについてでございますが、地方振興局の予算要求制度の変更等に関連いたしまして、現在検討を進めているところでございます。この見直しの内容でございますが、来年度から広域的に取り組む事業が、新たに地方振興局長からの予算要求の対象事業として追加されることになったところでございまして、このことに伴って、調整費のうち複数市町村により実施されるいわゆる広域連携分でございますが、これについては、現在、地方振興局長からの予算要求により対応することを検討しているところでございます。また、調整費の一般分でございますが、それにつきましては平成10年度から地方振興局と一体となって検討を進めてまいったところでございますが、地方振興局の予算要求制度との役割分担がなされていること、あるいはまた、地域づくりに果たす調整費の役割が依然として大きいと考えられますことから、基本的に現行制度を維持すべきものと考えているところでございます。

〇伊藤委員 ただいまの副知事の答弁の中に、企業誘致につきまして宮古に1件というお話がございました。これは私の推測するところ多分、ある合板会社のことを指しておられるのではないかなと思いますが、いずれ1件ということは1件で評価をいたしますが、実はこれに対してのいろんな地元の意見があります。つまりこれは、ある会社が会社名を変えていわゆる既存企業が拡大をしたことだけじゃないのか。そして、そのことによっていわゆる誘致企業としての恩恵だけを受けているんじゃないか。つまりは設備投資の利子補給とか、固定資産税の減免とか、あるいはもう一つ大きなことは、今まで藤原埠頭用地を販売してきたこの単価が今回に限り随分とがたっと値段を下げてしまったと、こういうことがありまして、以前に取得をしている人たちからは、不公平ではないか、こういう意見があることも事実であります。しかし、大変厳しいこの現下の状況の中にありまして企業がふえて雇用がふえる、このことにつきましては何ら文句を言うものではないんですけれども、不公平感のないように、同時に既存企業もいろんな努力をしているわけでありますので、そういった部分にも目を向けていただきたい。これは指摘、お願いをしておきたいと思います。
 次に、中小企業に対する金融対策についてお伺いをいたします。
 県内企業は、北上川流域の一部企業においてはフル操業に至っているところがあると聞いておりますが、押しなべてみると中小企業者の多くは景気が低迷し、経営状態に好転の兆しが見えない先行き不透明なまま、企業経営に奮闘しているのが実態と思います。特に沿岸部では、例年ならば秋口から活気を呼ぶサケ漁がかつてないほど不漁であることもあり、全国の景況とは大分隔たっている感じがあります。このような中で、昨年は資金繰りに困窮する中小企業者の現状のタイミングをよくとらえて、県単独のいわて緊急経済対策資金制度を創設し、その後、国では中小企業金融安定化特別保証制度を実施するなど、資金調達の円滑化にまさにクリーンヒットの効果を上げ得たものと評価をいたしているところであります。県単制度は3月で終了いたしましたが、銀行からの潤沢な資金をもとに、中小企業の窮状につけ込み社会的な問題まで引き起こした商工ローンを利用せざるを得ない中小企業もあり、このことは実質的には資金を提供する側、減収とはいえ増益決算の銀行の形を変えた貸し渋りではないかとの指摘もあったわけであります。今後商工ローンに対する規制強化がなされようとする中にあって、引き続き中小企業金融円滑化のための窓口を広げておくことは必要と考えます。幸い、国の特別保証制度は全国的に倒産防止等に大きな成果を上げていることもあり、来年度も引き続き実施される予定と聞いております。そこで、お伺いをいたしますが、これまでの特別保証制度の利用を申し込んだ企業のうち融資を受けられた企業はどの程度か。
 また、新たな投資を控えている企業が多いと聞きますが、この制度の設備資金の利用状況をどう把握しているか。そして、最後にまた重ねて、この窓口は常に広げておいていただきたいと思うわけでありますが、あわせてお伺いをいたします。

〇千葉副知事 中小企業金融安定化特別保証制度の関係でございますけれども、この保証制度の取り扱いを開始いたしました昨年10月から本年10月までの岩手県信用保証協会への利用申し込みは、件数で8、728件、金額で1、261億8、400万円でございます。このうち保証承諾に結びついた件数は8、567件、金額で1、239億3、700万円余となっているところでございます。利用申し込みのうち、件数、金額とも98.2%が保証承諾されまして、県内中小企業の経営の安定化と資金繰り改善に結びついているものと考えております。
 それから、保証制度の設備資金としての利用の状況でございますけれども、件数で全体の12.2%に当たる1、045件、金額で全体の10%に当たります124億5、000万円余となっているところでございます。いずれにしましても今後ともこれらの資金の利用が図られるように指導してまいりたいと考えております。

〇伊藤委員 今まさに20世紀最後の師走を迎えておりますが、私は前期4年間のうちの2年間、保健商工委員会に所属をいたしておりまして、この年末資金を県が用意した場合にほとんど手つかずで返ってくる。これは保証人制度ということをずっととっていたからなわけでありますけれども、私はこの点につきまして、これは見せ金ではないか、そういう指摘を再三してきたわけであります。今回の10年度のこの融資につきましては保証人を外していただいた。そういうことから大変利用が多かったものと思っておりまして、これは今も状況は変わらないんだろうと思っておりますので、今世紀最後の師走を県内の中小企業者が安心して暮らせるような部分としての窓口といいますか、これをぜひあけておいていただきたい、創設をしていただきたい、強くこれは要望しておきたいと思います。
 次に、県が出資をしている基金に係る事業についてお伺いをいたします。
 三陸・海の博覧会記念基金のほかにも県が出資している財団などがあると承知をしております。これらの基本財産や特別会計等でさまざまな事業を実施している例があると思いますが、当該事業において県の施策意思が反映され、手続的にも適正な執行が確保されているものと存じますが、県の一般会計予算の事業との重複はないのか、さらには事務事業の評価がなされるべきと考えておりますが、いかがでしょうか。
 また、県民に対する情報の開示は十分と言えないのではないかなどの問題が予想されますが、指導監督は具体的にどう行われているのか伺いたいと思います。
 関連をして三陸・海の博覧会記念基金についてお伺いをいたします。
 この基金は三陸・海の博覧会開催の趣旨を受け継ぎ、県土の均衡ある発展に配慮しながら、地域の特性を生かした市町村等の主体的取り組みによる個性ある地域振興を図る事業を支援する目的で設置されたものでありまして、相応の成果を上げてきたものと存じますが、その事業報告は6月議会で既になされているところでもあります。資産合計は15億7、000万円余、財政事情が厳しい中にあって、より効率的な使われ方が望まれるのでありますが、やはりイベントなどのソフト支援が中心で、議会にも事後的な報告のみであるが、事業そのものの評価はどうであろうか、お伺いをするものであります。
 私は、この基金の一部を三陸沿岸地域で今、県がまさに進めております海洋環境国際共同研究事業の財源として活用することも有意義と考えておりますがいかがでしょうか、お伺いをいたします。

〇武居総務部長 県が出資している基金についての指導監督についてでございますが、県が出資しております基金に係る指導監督、この基金という場合に、財団法人が一般的に多く、一部社団法人の形態をとるものもあるわけでございますが、これらにつきましては、これまでも各部におきまして事業実施状況を把握し、事業目的、内容等につきまして総合的に勘案し、指導監督を行ってきているところでございます。このたび、行政システム改革大綱の策定をこの春にしたんですけれども、こういった趣旨も踏まえまして、県出資等法人の指導監督のあり方を見直しすることとしておりまして、その中で県出資等法人指導監督事務要綱、これは既に改正を終えたところでございますけれども、この改正を行いまして、運営状況の評価を行う制度を設け、県施策との整合性や事業内容の妥当性などにつきまして、44項目について評価を行うこととしております。またさらに、県の指導監督事務につきましては、先ほど申しましたように各部局において指導監督しているところでございますが、統一性をとる必要があるだろうということもございまして、私どもの総務部、基本的には総務部長の総合調整権というものを新たに盛り込みまして、指導監督が一層適切に行われるようにしたところであります。今後につきましては、委員御指摘の点も含めまして、この要綱に基づき、一層の適切な指導監督に当たってまいりたいと考えているところでございます。
 また、情報公開のお話がございましたが、出資法人の情報公開につきましては、本年4月から施行しました情報公開条例の規定に基づきまして、出資法人の財務関係資料等の積極的な公表を進めているほか、特に県と一体性が強い出資法人につきましては、県の情報公開制度に準じてその保有する文書などの開示や、適時適切な情報提供を行うこととしているところでございます。

〇渡辺企画振興部長 財団法人三陸・海の博覧会記念基金が助成したイベント事業の評価についてでございますが、財団法人が設立された平成5年度から昨年度まで助成した事業、31のイベント事業がございますが、これについて地方振興局を通じて評価した結果でございますが、イベントの開催によって、イベントの企画、運営に携わった人々の意識が高まって、そしてその後の地域づくり活動につながったということ、あるいはイベントが定着してまいったということ、特産品の開発や売り上げが増加したということ、まちのにぎわいが得られたということ、あるいは地域の知名度が高まった等々の効果が得られたということでございまして、地域振興に大きな役割を果たしてきているものと認識してございます。
 次に、この基金の一部について海洋環境国際共同研究事業への活用はどうかということでございますが、三陸・海の博覧会記念基金が行う事業は、その設置の趣旨等々にかんがみまして、沿岸・県北地域の市町村が主体となって実施する大規模なイベントを中心として助成してきたところでございますし、また今後の助成要望事業の調査結果におきましても、イベントに対する助成の要望、沿岸地域の市町村等を中心にしまして予定事業が多くございますので、当面はこの財団法人の設立趣旨等に沿いまして沿岸地域の市町村等を中心とした大規模イベントに助成を行っていくこととしながらも、その他地域振興につながる調査研究事業への活用につきましても検討することが必要であろうと存じてございます。

〇伊藤委員 前向きな答弁をいただきありがとうございました。今、世界の海が狭まってきているという状況があるんだろうと思っております。例えば、200海里の問題、これはいわゆる排他的漁業水域と、こういうことでありますし、あるいはTACの問題──総量規制の問題であります。イワシ、サバ、サンマ、アジ、ズワイ、スケトウ、こういった部分の総量が規制をされてきた。あるいは今度はハセップという部分がありまして品質管理という部分が大変厳しくなってきております。海が狭まってきている、こういうことだと思っております。そういう中にありまして、今回、県が国連大学、そして東大海洋研究所と一緒に進めます海洋についての研究というのは、今が三陸沿岸にとって大変大きな光をもたらすものではないか、こういうふうに期待をするわけであります。特に今回の生態系食物連鎖、そして海洋汚染の研究の上にあるものは、新しいいわゆる産業としましての深層水の活用、あるいは波力温度差発電、あるいは揚水発電、あるいはまたリチウムの採取、マグネシウムの採取、あるいはメタンハイドレートの活用、今までになかった新しい分野が開けるものと思っておりまして、こういうことを三陸沿岸に投入をするといいますか、開いていくということが必ずや今後の岩手のルネッサンスにつながるもの、こう思いまして、この際この三陸博の基金というものは運用益といいますか、利子だけを使ってちょぼちょぼやるのではなくて、15億円そのものの取り崩しをしながら、こういう新しい部分に投入をしていくんだというくらいの骨太の議論がなければ、中央と沿岸の格差は狭まっていかない、こんなふうに思うわけでありますので、企画振興部長の御所見がありましたらもう一度お伺いをしたいと思います。

〇渡辺企画振興部長 ただいま委員お話しの揚水発電、波力発電、あるいは深層水等々の活用など、海洋資源の効率的な前向きの開発というような問題、非常に大きな問題だと考えてございます。そういった視点から、これらの研究はこれからもさまざまに進めてまいらなければならないものと考えてございますが、ただいまのいわゆる三博基金のそれへの活用という点につきましては、先ほどお話ししたとおりでございますが、なお検討させていただきたいと存じます。

〇伊藤委員 後でまた、さしでゆっくりやりましょう。
 次に、岩手の魅力を県外に向けてPRする情報発信についてお伺いをいたします。
 本県としてはこれまで、豊かな自然環境やすばらしい農村風景、食文化、人情など多様な魅力について各種の広報媒体に多大な費用をかけ情報発信をしてきていると思います。しかしながら、このほど岩手の魅力をPRするための有効な情報発信についてというテーマで開かれた県政懇談会、知事と岩手の未来を語る会において、発信下手とか、受け取った情報に対する反応もよくないなどの指摘があったと聞いております。そこで、お伺いをいたしますが、これまでの県としての情報発信への取り組みはどれだけの費用をかけ、どのように取り組んできたのか、またその課題は何か。懇談会で指摘のあったことに対して今後どのように対応されるのかもあわせてお伺いをいたします。
 また、関連をいたしまして、自動車の三陸ナンバーについてお伺いをいたします。
 私は平成7年6月議会での一般質問の際、一つの提言をいたしました。北は種市町から南は陸前高田市まで700キロメートルを超える海岸線を有する三陸沿岸の各地域、住民がこれまでまとまって連帯した行動をしたことがなかったのではないか。したがって、何をやるにもまず気持ちを一つにすることが大事ではないか。そのような思いから自動車の三陸ナンバーを提唱したところであります。沿岸14市町村が保有する車両の台数は、11年3月現在17万6、726台で、県全体の19.3%、約20%であります。沿岸部に自動車検査登録事務所を設置するのは、行政改革等で厳しい状況にあると承知してはおりますが、四国4県に相当する本県なら車両ナンバーが四つあっていいのではないか。ましてや連携の機運を高め、沿岸地域の活性化をもたらし、さらには世界に誇れる三陸海岸の走る広告塔としてPRにもなりますし、三陸ナンバーは何とか実現できないものかと思います。ちなみに、東北6県を見ますと、青森県には八戸ナンバー、そして青森ナンバー二つあるわけであります。山形県には山形と庄内ナンバー、特に庄内ナンバーについては車両台数は13万7、000台、福島県は福島ナンバーといわきナンバー、あるいは神奈川県には湘南ナンバーが誕生したのは周知の事実であります。こういうことが大きな三陸沿岸、ひいては岩手を発信することにつながるもの、このように思っておりますので、御所見をお伺いいたしたい。

〇渡辺企画振興部長 まず、岩手の魅力を県外に向けて発信するための有効な情報発信、この関係でございますが、まずこれに要した費用でございます。県外向けの各種広報活動、情報発信に要した費用は、予算科目の2款総務費2項の企画費の決算額ベースで申し上げますと、平成10年度が1億6、000万円余、平成6年度から平成11年度までの計で申しますと7億8、000万円余となっているところでございます。
 次に、本県のPR及びイメージアップを図るための県外に向けた情報発信の取り組みでございますが、一つは、宮澤賢治をモチーフとする本県のイメージアップ広告を掲載する全国地域情報発信共同事業、あるいはインターネット上に県のホームページを開設して、県内外の方々に本県の最新情報を提供する銀河系いわて情報スクエア運営事業、あるいは県外向けの広報誌イパングの発行、あるいは県外ラジオ放送事業等々に取り組んでいるわけでございまして、これに要した費用が先ほどお話し申し上げた費用でございます。
 その他、岩手のイベントや観光地等を紹介するいわて王国の発行であるとか、企業誘致のための全国地域情報発信共同事業であるとか、さらには東京銀座のいわて銀河プラザや、九州福岡のみちのく夢プラザの開設、さらには銀河系いわてフェスティバル等々の開催など、各部局においてもさまざまな展開をしているところでございます。
 次に、こういった県外向けの情報発信についての課題をどうとらえているかということでございますが、まず一つは、全県的な運動として、県内外に埋もれている岩手の魅力、個性などを再発見し再認識する必要があろう。それから、情報を受信する側、受け取り手の視点に立って、それが必要としている情報をきめ細かく発信していく必要がある。それから、イメージの定着化のためには、一定のモチーフを継続することなどによりまして、より効果的な、かつ戦略的に行う必要があるというふうに存じてございます。それから、お話の、さきに開催されました県政懇談会、知事と岩手の未来を語る会でいただいた御意見等につきましては、ただいまお話し申し上げました課題と共通する部分が多々あるわけでございますが、これらを真摯に受けとめて、これを糧とし、さらに効果的な情報発信を目指してまいりたいと考えてございます。
 それから、自動車の三陸ナンバー、つまり自動車検査登録事務所の設置についてでございますが、本県における自動車の登録及び検査につきましては、現在は矢巾町にある運輸省東北運輸局岩手陸運支局が、県内全域を管轄区域として業務を行ってございますし、また遠隔地の住民の要望にこたえるために、そのほかに釜石、宮古、大船渡、胆江の県内4カ所の出張所において、いわゆる車検を実施しているところでございます。本県への新たな自動車検査登録事務所の設置につきましては、県内で二つの団体がこの誘致運動を展開しているところでございますが、自動車検査登録業務を所管しております運輸省によりますと、本県の自動車保有台数、岩手陸運支局の業務量、県外他地域の状況、さらには現今の国の厳しい財政状況、そして行政改革の状況等々から判断しまして、この検査登録事務所の設置は、つまり三陸ナンバーの実現は、当分の間、困難であると伺ってございます。県といたしまして、新たな自動車検査登録事務所の設置によって、委員お話しのとおり住民の利便性の向上はもちろんのこと、地域の振興、住民意識の高揚、さらには全国的な知名度の向上等につながるものと考えておりますから、今後一層情報の収集等に努めながら、国の動向や本県における自動車保有台数の推移等を見きわめながら、中長期的な課題として対応してまいりたいと考えてございます。

〇伊藤委員 登録事務所がどこにあろうと、台数が何ぼあろうと地域の住民の盛り上がりというものに水をかけるようなことのないように、ひとつお願いをしたいということだけを要望しておきたいと思います。これは大きな意味で岩手県を、三陸をアピールする大きな運動になるものと、このように思っておりますので、支援こそすれ決して水をかけることのないようにお願いをしておきたいと思います。
 次に、青少年の健全育成についてお伺いをいたします。関連して3点お伺いをいたします。
 申し上げるまでなく、青少年は人格を形成していく過程で、家庭や学校、地域社会などの生活空間における環境の影響や、異なる世代や同世代の人たちとの交流を通じて、社会のルールや規範意識を確立して成長していくものであると考えます。しかしながら、最近の青少年を取り巻く環境は、不健全な図書やビデオがはんらんするなど、青少年がみずからの理性でこれら影響を排除して社会のルールを体得しながら成長していくためには極めて厳しい環境にあると存じます。そして、特に自動販売機やコンビニで不健全な図書が手に入るという環境が問題ではないかと思います。そこで、お尋ねをいたしますが、最近の不健全な図書、そしてビデオ類を販売する自動販売機の設置状況はどうか。
 また、出版の自由が認められている以上、不健全図書の排除にも限界があることは承知しておりますが、これまでの県の環境浄化対策の結果として、不健全な図書類を販売する書店、コンビニ等の対応は改善されているのかお伺いをいたします。
 関連をして、児童の健全育成対策と児童虐待に対する取り組みについてお伺いをいたします。
 近年、少子化の進行、家庭や地域の子育て機能の低下など、子供を取り巻く状況は大きく変化してきております。特にも少子化が進む中、子供たちが兄弟姉妹や近隣の子供たちと遊ぶ中で切磋琢磨する機会や、我慢することを学ぶ機会が減少し社会性が育ちにくくなることが懸念されるなど、子供の健やかな成長にとって大きな問題が生じていると思っております。また、今日、身近に子育てを支える身内や近隣の者がいない中で、はんらんする育児情報に翻弄され子育てに過度な不安や負担を感じる結果、母親が我が子を虐待してしまう事例の急増が新聞等において盛んに報道されております。私は、次代を担う児童が個性豊かでたくましく生きていくことができるよう、一人一人の児童の健全な成長を支援することは極めて重要であると考えます。そこで、お伺いをいたしますが、児童を取り巻く現状を踏まえ、すべての子供たちの健全な育成を支援するため、県としていかなる取り組みを行っているのか。また、児童に対する虐待が本県でも激増している現状に対し、県としてどのような対策を講じているのかをお尋ねいたします。
 関連して、青少年の交通事故防止対策についてでありますが、宮古市では過去10年間に青少年の踏切での死亡事故が4件あり、そのうちの2人はウオークマンといいますか──携帯用の音響を聞く道具でありますが──、それを聞きながらの事故と言われております。青少年が社会のルールを守りながら健やかに育つことを願うものでありますが、この踏切事故に見られるように、いわば常識では考えられないルールを無視した事故が最近の青少年の交通事故全般に言えるのではないかと考えております。ルールを守ることを教え、1件でも交通事故を減少させることが急務と考えておりますが、青少年の交通事故防止対策をどのように展開しているのかお尋ねをいたします。

〇千葉副知事 図書・ビデオ等の自動販売機の11月末現在での県内の設置数は258台となっております。環境浄化条例を施行しました昭和55年の334台に比較いたしますと76台、それから10年度末の275台に比較いたしますと17台の減少となっているところでございます。
 販売規制の結果でございますけれども、有害な図書類として指定したものにつきましては、販売規制の実効性を確保するために、県職員65名を調査員に任命いたしまして、毎月、自動販売機や書店等の立入調査を実施しているところでございます。平成10年度の調査結果では、指定図書類を区分して陳列していない店が2店、成人向けのコーナー表示をしていない店が7店あったところから、速やかに改善方を要請したところでございます。また、本年度は毎月の立入調査に加えまして、県内すべての図書やビデオ取扱店824店を対象とした調査も実施しましたが、前回調査の平成9年度と比較いたしますと、有害図書を扱っていない店が増加するとともに、区分陳列、成人コーナー表示についてもそれぞれ改善しておりまして、条例による規制が浸透してきているものと考えております。県といたしましては、今後とも、市町村や岩手県青少年育成県民会議と連携しながら、販売業者や店舗への働きかけや、住民によります自動販売機の撤去運動などの盛り上がりを促すなど、官民一体となった取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、児童の健全育成の関係でございますけれども、近年の都市化あるいは核家族化の進展に伴いまして、家庭や地域における子育て機能が弱体化してきているところから、児童の健全育成への取り組みがますます重要になってきているところでございます。県の取り組みといたしましては、児童の健全育成の中核的な施設といたしまして、すこやか子どもランド──これは仮称でございますけれども──の整備を進めるとともに、各地域における健全育成の拠点となります児童館の整備を促進しているところでございます。また、保護者が共働きなどによりまして昼間家庭にいない小学校就学児童の健全な育成を目的とした放課後児童クラブ、県内76カ所ありますけれども、この育成に努めているところでございます。また、保護者がいないなど家庭環境に恵まれない児童につきましては、児童養護施設への入所や里親への委託などによりまして、適切に保護するとともに自立の支援に努めているところでございます。
 児童虐待の関係でございますけれども、県内の児童相談所に報告されました児童虐待相談の件数は、平成8年度が11件、平成9年度が37件、平成10年度が67件と、増加傾向にございます。この相談件数とは別に、平成9年11月から平成10年10月までを対象としまして、本県独自に実施しました岩手県児童虐待実態意識調査によりますと、150事例が確認されているところでございます。実態調査の結果を見ますと、児童相談所に通告されていない虐待事例が相当数あると思われるところから、児童虐待についての通告義務の周知と、関係機関相互の連携による総合的な対応が必要と考えております。
 このことから、本県では、児童虐待の未然防止あるいは早期発見、迅速な対応を図るために、児童福祉行政機関、保育機関、学校、医師、弁護士、警察等を構成メンバーとした児童虐待防止地域連絡会議を地方振興局単位に設置いたしまして支援体制を整備しているところでございます。また、県民に対しまして、児童虐待の未然防止、早期発見、通告義務の周知のためのリーフレットを作成いたしまして、本年4月に配布しているほか、子育てに悩む親等のために、児童相談所に子ども・家庭テレフォンを設置いたしまして、電話により児童虐待を含めた各相談に応じているところでございます。
 また、平成11年度におきましては、これらの事業に加えまして、地域で活動する主任児童委員、家庭相談員、保健婦等の児童福祉関係者に対しまして、児童虐待に関する専門研修を実施するとともに、研修修了者を地域協力員として人材登録することといたしております。また、関係者、関係機関向けの児童虐待防止手引書を作成、配布することといたしております。今後とも児童虐待の未然防止に努めるとともに、虐待事例の早期発見と、迅速かつ適切な対応に努めたいと考えております。
 次に、青少年の交通事故防止の関係でございますけれども、青少年ドライバーによります交通事故の発生状況でございますけれども、発生件数、死者数、負傷者数とも平成9年度まで増加傾向にあったわけでございますが、平成10年度は減少傾向にございます。青少年の交通安全意識の高揚のために、家庭、地域、学校はもとより関係機関、団体が一体となった取り組みが大切であると考えているわけでございますが、県や県の交通安全対策協議会では、正しい交通ルールを守る県民運動の重点項目といたしまして、青年ドライバーの交通事故防止を掲げまして、家庭、地域、学校、職場のほか関係機関、団体が青少年の交通事故防止運動を展開することといたしております。季節運動として8月1日から15日まで青少年の交通事故防止県民運動を実施いたしております。また、民放テレビ4社による青少年の交通事故防止キャンペーンの実施を行っているところでございます。また、学校では、小学校、中学校におきましては、自転車の交通安全教室を開催しているところでございます。また、高等学校におきましては、二輪車の実技講習会の開催をいたしまして、高校生の交通のマナーアップモデル校の指定等も行っているところでございます。
 県といたしましては、今後とも、市町村、教育機関、鉄道事業者を初めとする交通安全関係機関、団体等と連携を図りながら、より効果的な啓発普及活動を展開いたしまして、青少年の交通マナーの向上、安全意識の高揚に努めまして、悲惨な踏切事故を含む青少年の交通事故の防止に取り組んでまいりたいと考えております。

〇伊藤委員 ただいまの踏切事故についてでありますけれども、交通戦争と言われる現場に飛び出していく防御策は、人間の恐らく視覚、聴覚の二つに頼るんだろうと思っておりますが、そのうちの聴覚にふたをした形で交通戦争の現場に飛び出すというのは、まさに自殺行為だ、このように思っておりまして、ぜひとも県、警察あるいは教育委員会等を通じまして、そういった部分のないように今後ひとつ啓発をしていただきまして、21世紀を背負って立つ子供たちを若いうちに失うことのないように要望しておきたいと思います。
 次に、冬期における工事現場での交通事故防止対策についてお伺いをいたします。
 特に県発注の工事でありますが、峠道、まさにこれからが冬に向かうわけでありまして、冬期における道路の交通規制箇所では路面凍結などのため、走行中、赤色回転灯を見てからでは急にとまれず大きな交通事故を引き起こすおそれがあります。交通事故防止の上で安全な冬道走行のため万全の対策を尽くしてほしいと考えるのでありますが、県ではどのように対処しているかお伺いをいたします。
 防災に関連して河川の防災対策についてお伺いいたします。
 昨年の8月末、そして本年の7月と10月末の豪雨によって、県内各地で河川がはんらんし甚大な被害を受けましたが、特にもこの10月27日から28日にかけては、年間の降水量の少ない県北地方としては非常に多くの雨を記録し、特に軽米町では観測開始以来の大雨ということで、軽米町を貫流している雪谷川やその支川がはんらんし、全壊家屋25戸、半壊家屋5戸、また600戸を超える住宅が軒下まで、あるいは床上、床下浸水するというまことに痛ましい被害を受けました。今回のような未曾有の豪雨の際、最悪のケースではまず自分で自分の命を守る、また行政と住民が連携して住民の生命を守るための対策を推し進める必要があることも痛感いたしました。そこで、お伺いをいたしますが、河川管理者としての防災対策の現状と今後の取り組みについてはどう考えているかお尋ねをいたします。
 また、雪谷川は改良復旧事業を導入し基本改修を行うと聞きましたが、他の河川も、県内には一級河川81、そして県が管理する河川、二級河川が104あるわけでありますが、他の河川も同様に抜本改修をすべきと存じますが、御意見をお伺いいたします。
 さらには、河川の防災対策に関連して、地元宮古市の例でありますが、平成6年には閉伊川水系河川環境管理基本計画、平成9年には津軽石川の同計画などが策定され、これら計画が災害に強い川づくりにどう生かされているか、あわせてお伺いをいたします。

〇千葉副知事 本県の道路工事は、地形的な制約や積雪寒冷のため厳しい自然条件の箇所もありまして、道路利用者の安全な通行確保に十分注意しながら工事を進めているところでございます。その内容といたしましては、工事場所の予告看板、警戒標識、規制標識や視線誘導標を配置し、さらに赤色回転灯の設置を行っているところでございます。また、凍結防止策といたしまして早期除雪や効果的な凍結防止剤の散布なども行っております。
 今後の対応といたしましては、工事標識や看板等を容易に確認できるよう、より一層適切な位置に設置するとともに、重点的な凍結防止剤の散布などについて施工業者との協力体制のもとに対処してまいりたいと考えております。
 次に、河川防災対策の関係でございますけれども、河川の改修の必要なところには、堤防、ダム、遊水地などをこれまで計画的、効率的、重点的に整備を進めているところでございます。また、水防計画書によりまして有事の際には迅速かつ適切な水防活動を行っているところでございます。また、洪水が起きた場合に被害を最小限とするため、県は、国、市町村と連携いたしまして洪水ハザードマップを策定いたしまして、浸水区域や避難場所など住民への情報提供を進めているところでございます。また、河川の水位、雨量情報を的確に把握いたしまして、迅速に水防活動が行えるよう県内全域において観測施設の整備を進めているところでございます。
 今後の取り組みでございますけれども、河川の適切な管理とともに、河川整備を重点的かつ効率的に継続実施していくことが必要であると考えております。また、市町村、建設省とタイアップいたしまして、水防演習の継続実施、洪水ハザードマップの未整備の市町村と連携いたしまして順次これを策定していく、あるいは河川の水位、雨量情報を把握できるように河川情報基盤整備事業をさらに進めていきたいと考えております。
 雪谷川以外の河川の改良事業についてでございますけれども、改良復旧事業につきましては、川幅が広がりまして地域に影響を与えるところが大きいところから、地元自治体、地域住民の意見をお聞きしながら進めることといたしております。県といたしましてもこれまで積極的に取り組んでいるところでございますけれども、今回の災害でも、雪谷川のほかに、二戸、久慈地方振興局管内で計五つの河川において導入する考えで建設省と協議しております。また、本年の他の災害における改良復旧事業につきましては、五つの事業の採択が決定しているところでございます。
 閉伊川の河川環境管理基本計画と災害に強い川づくりの関係でございますけれども、閉伊川の河川環境管理基本計画は、河川の治水、利用機能を確保しながら、あわせて河川環境の管理に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な方針を定めたものでございます。災害に強い川づくりを進める際には、河川環境管理基本計画の基本理念でございます、それぞれの河川の自然特性に配慮しつつ、河川空間が歴史、文化を伝え、はぐくむ空間としてふさわしいような工法の選定、施工時期などを検討するように努めているところでございます。

〇伊藤委員 雪谷川の改修の件につきましては報道がありました。その県の計画では、一つとして、川幅を現在の30メートルから2倍の60メートルに広げる。そして、2として、川の両岸に高さ1メートルの堤防を設置する。3として、川底を堤防の上から4.5メートル掘り下げる。こういうことでありました。この雪谷川を私ども視察をした際に思ったんでありますが、橋脚の幅が狭かったのではないか。これが恐らく流木がひっかかってダムになる原因の一つになったのでないか、こんなふうにも思ってまいりました。そうしましたらば、県としてはすぐやはり県内の104の県が管理する二級河川にかかる橋脚の部分ぐらいは既に調査に取り組むべきではないか。災害はいつ、どこに起こるかわかりませんので、そういったことからぜひこの取り組みをしていただきたい。これは要望しておきたいと思います。
 また、これは平成6年に閉伊川の水系の河川環境管理基本計画をまとめていただきました。これはさらには平成9年には津軽石川の河川環境管理基本計画、まとめていただきました。そして、その間には、平成8年1月には「いわての川づくりプラン」懇談会が、いわての川へ三つの提言ということでこういう冊子をまとめておるわけであります。その中の第1章の1番目のところには、常に命をはぐくむ私たちの川ということで、災害に強い川というのがうたってあるわけであります。しかし、こういう環境管理基本計画あるいは「いわての川づくりプラン」懇談会が提言をする、こういうものがまとまっても、岩手県の河川行政の中にどのように生きてきたのかという部分について大変疑問があります。閉伊川の河川環境管理基本計画においては、芝生のグラウンド等をつくっていただきまして大変地域住民は喜んでおるわけでありますが、今回の一般質問にもありましたように、天井川という部分が県内各地大変多くなってきているんだろうと思います。やはり川というのは、いざ鎌倉の大水が出たとき、水をのむというのが基本にあろうと思いますし、そういう懇談会の取りまとめにも、環境管理基本計画の第1番目にもそういった部分がありますので、ぜひとも雪谷川の災害復旧対策、これはこれで了といたしますし大いに進めていただきたいわけでありますが、同時に、県内にある104の河川についてもひとしく見直しをしていただきたい、これを強く要望しておきたいと思いますが、御所見があればお伺いいたします。

〇千葉副知事 今回の雪谷川の河川はんらんその他、現実に私も見て、水の恐ろしさというものを十分感知してきたわけでございます。ただいま委員の方からいろいろ御指摘がありましたけれども、それらにつきましては、その要望に沿った線で対処してまいりたいと考えております。

〇伊藤委員 県にありましては、岩手山がぐらぐらしている、山を向く。今度は雪谷川がはんらんをした、川を向く。もう一つの、今度は海の部分が空き家になっていはしないか。いつ津波、地震が来るかわからないと、こういうこともありまして、災害にはローテーションがないわけでありますので、三つを平均に見るような目をお持ちいただきますようにお願いをしておきたいと思います。
 次に、災害対策についてお伺いいたします。
 まず、大規模災害が発生した場合の初動体制についてであります。対策本部長である知事が出張などで不在時において大規模災害が発生した場合、災害対策本部が設置された場合の初動体制は大丈夫でありますか。迅速かつ機敏な対応は可能でありましょうか。指揮はだれがとるのでありましょうか、明らかにしていただきたいと思います。
 次に、災害対策に関連して、大雨などの異常気象時における道路管理についてお伺いいたします。
 本年7月12日から16日にかけての大雨では、当宮古地方でも道路の決壊やのり面崩落、また、冠水によって重要路線である一般国道45号や一般国道106号が全面通行どめとなるなど、さらに県道などの主要道路が至るところで寸断され、宮古市が一時孤立状態となり、市民生活や社会経済活動に影響を及ぼし、市民の皆様に大きな不安をもたらしたところであります。自然災害はいつ来るかわかりません。人の想像を超えた形で起きることから、県は、このような異常気象時における道路の安全と通行の確保のためにどのように対処しているのかお伺いいたします。

〇武居総務部長 大規模災害が発生した場合の初動体制についてでございますが、委員御指摘の点は大変重要な問題だと私どもも認識しているところでございます。大規模災害が発生した場合の初動体制につきましては、県の地域防災計画に基づきまして、知事を本部長といたしまして、それから副知事、出納長、私の3名を副本部長として災害対策本部を速やかに立ち上げることといたしております。
 昨年来の経験といたしまして、知事の不在時の災害も何回か発生してございまして、私どももことしに入りましてから、特に知事が不在であっても複数のルートから確実に災害対策本部長である知事に連絡がとれるような体制を整備しているところでございまして、衛星携帯電話もその一つでございますが、そういったことで迅速な初動体制を確立しているところでございます。
 何よりも、知事が不在の場合であっても、いるときと同じように初動の体制が動くことが大変重要ではないかということで、これにつきましては、知事が不在時には副本部長である副知事が指揮をとり、知事がいるときと同じように災害対策本部として機能が発揮できるような万全な体制を敷いているところでございます。
 特にウイークデーは問題がないんですけれども、土曜日とか日曜日の体制というものが、閉庁時でございますので若干手薄になります。そういった際には、迅速に対応できるようにということで、この春から土曜日、日曜日につきましては、知事以下、副知事、出納長、私、それから防災課の職員まで、どういったところに所在しているかということをきちんと関係者が把握できるようなシステムを確立したところでございますし、また、今までは各種訓練というものは事前にお知らせをして、何月何日に防災訓練がありますよという準備万端整った段階でやっている状況でございましたが、これでは初動時の体制はだめだということで、抜き打ち的な訓練を実施しようということで、この4月には抜き打ちの職員の非常連絡召集訓練を1週間の範囲でやるということでやりました。この11月には1週間の範囲を数週間に広げまして、その中で早朝抜き打ち訓練を実施するということで、なるべく臨戦体制で本番に近い形での訓練というものを実施してきてございますし、10月24日の岩手山の噴火対策防災訓練は、ちょうど知事は熊本国体がありましてあちらの方に行っておりましたけれども、テレビ電話システムを使いまして、そことの連絡をとりながら実際に指揮をしていただくということもやっておりまして、これは自衛隊なんかでよくやられていますが、机上訓練で、なるべく本番に近いような形で、どういった対応もできるようにしていくということがこれから大事になってまいりますので、委員御指摘の御懸念が生じないように、万全の体制で臨んでまいりたいと考えております。

〇千葉副知事 異常気象時におけるところの道路管理の関係でございますけれども、異常気象時には、道路パトロール等によりまして迅速な情報を収集しまして道路情報の提供を行うとともに、緊急時の体制をとり、道路の安全確保に努めているところでございます。また、警察や建設省、日本道路公団を初め、県内各市町村との通行規制情報の共有を図りまして、代替となる経路を選定し、交通路を確保しているところでございます。
 また、大雨などによる道路災害が発生する場合を想定いたしまして、災害時における応急対策業務に関する協定を県と岩手県建設業協会との間で締結いたしまして、被災情報の収集あるいは連絡、障害物除去等の重機・資機材等の調達、応急復旧工事の実施についての協力体制を整えているところでございます。
 県といたしましても、災害発生時は安全な交通確保を行うため、速やかに応急対策と災害復旧に努める体制で取り組んでいるところでございます。
 今年度のこれまでの対応でございますけれども、今般の二戸地方振興局管内及び7月に沿岸地方を襲いました災害時においても、この協定に基づきまして建設業協会への協力要請を行いまして、直ちに障害物の除去、土のう積み、危険箇所へのバリケードの設置など、応急対策の協力を得たところでございます。
 今後におきましても、早期の情報提供と情報の共有化による道路の安全確保、関係機関との連携による復旧体制の早期確立など、適時適切な現場対応を行うことによりまして、安心できる道路の維持管理に努めてまいりたいと考えております。

〇伊藤委員 災害対策本部の初動につきましては、知事が来なければ、あるいは三役が来なければ動き出さないということであってはいけないと思っておりますので、駆けつけた中のトップが命令を発して例えば自衛隊の出動要請をする、そういうことをちゃんと決めておかなければならないと思いますので、要望しておきたいと思います。
 最後に、消防団員の装備についてお伺いいたします。
 消防団員は、災害現場の最前線で身命を賭して活動しているところであり、敬意を表したいと思います。しかしながら、特に大雨洪水や津波災害対応時の現場にあっては、その装備が必ずしも十分とは言えないと感じております。例えば、身の安全を守るライフジャケット等の装備が不可欠と考えます。
 そこでお伺いいたしますが、その装備の状況はいかがか、また、整備する場合にあっては助成等の支援措置があるものなのか、あわせてお伺いいたします。10年前に雲仙普賢岳の噴火の際には、赤ばんてんが5人殉職しております。そういうことがあっては犬死にだと思っておりまして、消防団員もかけがえのない県民でありますので、それを守るという観点からお伺いするものであります。

〇武居総務部長 大雨洪水や津波災害の対応時における消防団員の装備についてですが、現在、ライフジャケットの整備を行っている県内市町村でございますけれども、12の市町村で保有しておりまして、583着と承知しております。なお、消防団と実際は兼ねている場合が多いんですけれども、水防団というものを組織している市町村がございます。こういった市町村におきまして──5市町村でございますが──、これに加えて106着の整備がなされているところで、あわせまして17の市町村で689着ということになりますけれども、こういった整備がなされていると承知しております。
 市町村がライフジャケット等を整備する場合の助成ということでございますが、これは単独の補助制度というよりも、むしろ国の消防庁の補助なり、あるいは消防団員等公務災害補償等共済基金の助成制度というものが一般的に利用されるわけでございますが、消防団員の活動装備品等を整備する場合の助成につきましては、国の補助制度の場合は、市町村消防設備整備費補助という中に事業メニューとして消防団活性化総合整備事業というのがございまして、こういったものの活用が可能ではないかと考えられますし、また、消防団員の関連の共済基金の助成金を活用した安全装備品等の給付事業というものがございまして、こういったものの活用によりまして整備がなされていくことになるわけでございますけれども、いずれにしましても、それぞれの市町村の置かれた状況というものがございますので、市町村の要望に応じてこういったものの対応ができるかどうか検討してまいりたいと思いますし、いずれにしましても、市町村の実態をよく聞いてみたいと思っております。

〇田村(正)委員 政和会の田村正彦でございます。会派を代表いたしまして、平成10年度の決算を踏まえながら、総括して質問してまいります。
 一般質問、そして本日の総括質疑、いろいろ質疑が交わされたわけでございますけれども、重複する質問もあろうかと思います。簡潔な御答弁をお願いするものでございます。
 くしくも今決算特別委員会の代表質疑者中屋敷委員、そして伊藤委員、私と、1期目の当選の際には旧新進党に所属しておった者で、それが各会派を代表してこの総括質疑に当たる、感慨深いものを感ずるわけでございます。
 答弁によりましては細部にわたる場面もあるかと思いますが、御了解をいただきたいと思います。
 まず、増田県政は平成7年に誕生したわけでございますが、早いもので4年を経過し、4年目の平成10年度決算を迎えたわけでございますが、その1期4年を振り返りまして、政策あるいは財政面についての総括と評価について千葉副知事にお伺いいたします。

〇千葉副知事 増田県政1期目の4年間は、国際化や少子・高齢化の進行、環境への関心の高まりや高度情報化の進展など、我が国を取り巻く環境が大きく変化している中にあったものでございます。このような経済社会情勢の変化を踏まえまして、第三次岩手県総合発展計画後期実施計画を策定したところでございます。
 この計画に基づきまして、東北横断自動車道釜石秋田線の北上・秋田間の全線開通や秋田新幹線の開業など高速交通網の整備、農業研究センターの開設やマルチメディアセンターなどの産業支援施設の拡充、少子・高齢化に対応した保健医療・福祉体制の充実など、各般にわたる施策を積極的に推進してきたところでございます。また、全国豊かな海づくり大会や全国菓子大博覧会などの全国的な大会に県民を挙げて取り組み、成功裏に終わることができたところでございます。
 さらに、新しい時代に対応したこれからの地域社会を再構築していくため、環境、ひと、情報の三つの視点に立った施策の展開が特に重要であると考えまして、環境の保全及び創造に関する基本条例の制定や省エネルギー・新エネルギー対策への取り組み、県立大学、産業技術短期大学校の開学等による次代を担う人材の養成、イーハトーブ情報の森構想の策定や教育、医療の分野における情報ネットワーク化の推進などの取り組みを進めてきたところでございます。
 この結果、生産、生活両面にわたりましての整備が図られまして、県勢は着実に発展し、県民生活も向上してきたものと考えております。
 次に、財政面での評価でございますけれども、停滞しております景気の動向などから県税等の一般財源が伸び悩む中にありまして、公債費等の義務的経費が増嵩するなど厳しい財政環境にあったわけでございますけれども、使用料、手数料の見直しなどにより財源の確保に努めるとともに、事務事業評価に基づく歳出の節減合理化を図る一方で、経済対策時にのみ認められます交付税措置のある起債を活用いたしまして社会資本整備を重点的に推進するなど、限られた財源の重点的かつ効率的な配分に努めてきたところでございます。
 この結果、財政構造は、経常収支比率、公債費比率とも上昇しつつあり厳しい状況となっているほか、財政構造が依然として脆弱ではあるものの、東北各県と比較すればおおむね良好な財政運営を維持し得たものと考えております。

〇田村(正)委員 次に、監査委員による決算審査意見書によりますと、経常収支比率あるいは公債費比率の増加から財政の硬直化が指摘されておるわけでございますが、それに対し、どうこたえていかれるのか。
 また、将来の新しい岩手づくりを進める上での指針となる総合計画が去る8月に策定され、それに伴って中期財政見通しの見直しも行われてきたところであります。それを見ますと、平成12年度から17年度までの6年間のトータルでは、歳入、歳出のギャップ、いわゆる不足分を2、500億円と見込んでおられます。これは、当会派の長谷川委員からも本会議で指摘されたわけでございますが、これをどのような手段で埋めていこうとしているのかお伺いいたします。

〇武居総務部長 まず、財政硬直化への対応でございますけれども、財政構造の弾力性の度合いを示す指標の一つとして経常収支比率がございますけれども、平成10年度の場合、前年度と比較しまして2.6ポイント上昇ということで87.0%になっておりまして、これは東北各県と比較しますと低い方から2番目ということで、いい方から2番目でありますけれども、7年連続の上昇となっております。
 これにはさまざまな要因がございますけれども、一つは、財政構造全体が地方財源不足になってまいりまして、地方財政全体の中で財源対策債も発行しなければいけないということで、そういったもので地方団体の財源として一般財源から起債に振りかえられた分がございまして、そういったもので高まっている部分がございます。したがいまして、財源対策債分を除きますと、経常収支比率も83.5%ということで4.5ポイントほど下がるわけなんですけれども、いずれそういったものはあるにしても、公債費の増嵩によりましてかなり財政の弾力性が失われてきているという部分がございます。
 これからの財政運営を考えていく際には、そういった地方財政全体の問題、それから個々の地方公共団体における起債なり、そういったものをどういうふうに管理していくかという問題、両面から対応しなくてはいけないと考えてございますが、先般策定いたしました行政システム改革大綱の中で徹底した行政改革を行うということをうたっておりますし、行財政運営の簡素効率化を進めるなどして今後の健全な財政運営に向けて努力してまいりたいと考えてございます。
 これとの関連でございますが、中期財政見通しの御指摘がございました。これは前回の中期財政見通しをリニューアルしたものでございますけれども、特に環境変化といたしましては、新しい総合計画が策定されたということもございまして、財政の健全化努力を行う一方、総合計画に掲げる主要施策を着実に推進していくという両方の要請にこたえていかなければいけないという大変難しいかじ取りを強いられるわけでございますが、そういった中で中期の財政見通しを立てさせていただいているものでございます。
 これは、平成12年度から17年度までの6カ年間で、御案内のように約2、500億円の歳入、歳出のギャップが生じるわけでございますが、私どもが現時点において財政運営でこういうふうにしていったらいいのではないかと運営上立てておりますのが、一つは、このうちの1、300億円程度は財源調整により解消していこうと。これは、後年度の負担にも配慮した適切な財源の確保を考えていく必要があるんですが、主要3基金を活用していく。今、基金を平成12年度までの目標で700億円以上としていますが、こういったものを当面確保しながら、それを将来活用していこうと。それから、国庫補助金の有効活用を行っていこうと。それから、交付税措置のある優良起債の活用を行っていこうと、こういうことを考えているわけでございます。本議会にも国の第2次補正予算に伴う県の補正予算を追加させていただきましたけれども、これは補正予算債という起債を使いますことから、当面、県債はふえるわけですけれども、これは実は100%交付税措置がある起債ですから、当初の予算で計上して県債を打つよりも大変有利になるわけです。したがいまして、こういった面で見ますと、これからは単年度で財政運営を考えていくのではなくて、一定の期間、今回の場合6年間の中でどのように財政運営をすれば、場合によっては前倒して措置するとさらに有利な起債が受けられるのではないかということを考えていく必要があるということで、こういったことによりまして1、300億円程度確保していきたいと考えてございます。
 それから、残りの1、200億円程度につきましては、これは財政健全化努力ということでございますが、平成11年2月に策定しました県の行政システム改革実施計画に掲げる財政運営の健全化のための具体的な諸方策でございますけれども、例えば事務事業評価でありますとか公共事業評価による事業の見直し、スクラップ・アンド・ビルドの原則の徹底、公共事業の重点化、コストの縮減、税源の涵養、さらに、今後を考えますと、県有未利用地の計画的処分でありますとか、それから、これから特に考えなくてはいけないのは、既存の施設がいろいろあるんですけれども、耐用年数が来たら順次建てかえという観点ばかりではなくて、本来建てかえの時期に来ているものも、何らかの形で改修等を丁寧にやっていけば耐用年数がさらに長くなるのではないかということを従来以上に考えていかなくてはいけないのではないかと考えているところでございます。
 こういったことにあわせまして、本年7月に地方分権一括法、いわゆる一括法が施行されたわけでございますけれども、こういったものに伴いまして、地方税財政制度全般を改正していただきまして、地方税財源の充実、確保を図っていくということも含めまして、17年度までの財政運営をきっちりとできるように運営していきたいと考えているところでございます。

〇田村(正)委員 大変厳しい面があろうかと思います。表現が悪いんですが、他力本願的な面もなきにしもあらずで、これを達成するには本当に血のにじむような努力が必要だと思うので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、10年度の県税収入についてお尋ね申し上げますが、県税については、調定額に対しての収入済額の割合、いわゆる徴収率は99.8%、非常に高いパーセンテージであります。他県に比べても例年押しなべて高くなっており、このことについては高く評価するものであります。
 この中で、不納欠損額は10年度決算において一般会計で1億400万円弱、これもまた低い水準にありますが、低いながらも、9年度に比べてみた場合35.3%、大幅な増加を見ておるわけでございます。不納欠損額の大半を占める県税において、その理由をどのようにとらえておられるのでしょうか。
 また、厳しい経済環境の中、不納欠損を生じさせるおそれのあるいわゆる収入未済額が増加傾向であり、今後、不納欠損の増加が懸念されるわけでございますが、その対策をお示し願いたい。

〇武居総務部長 平成10年度の県税の欠損額につきまして、今、御指摘ございまして、平成9年度に比べましてふえているわけでございますが、内訳としまして、個人県民税が8、748万9、000円の欠損額のうちの6、387万円ということで大宗を占めているわけでございますが、ここの部分につきましては、前年に比べまして6.9%の増となっております。これは市町村長の欠損処分によるものでございまして、具体的には市町村において処理されているものでございますが、この人数が増加しております。過去を見ていきますと不納欠損処分の人数が増加してきておりますので、これは景気の低迷による影響があるものと私ども分析しているところでございます。
 それから、特に9年度との関係でございますと、個人県民税以外の部分につきまして2、361万9、000円ということで、前年度に比べまして1、460万円の増加になっておりまして2.6倍になっているわけでございますが、これはいろいろと理由はありますが、過去をずっと見てみますと、平成9年度の個人県民税以外のここの部分がかなり額として少なくなっていまして、それでまた10年度でふえているという状況もありまして、必ずしも年度年度で上昇傾向にあるというふうでもないわけでございますが、一応単年度で分析しますと、個人とか法人の倒産に絡むところの個人事業税とか法人事業税あるいは不動産取得税の増加が見られるところでございます。
 それから、平成8年度まで額が大きかったのが、例えば平成8年度はここの部分が3、000万円超える、平成7年度も3、000万円超えているのが平成9年度に900万円になって、今回平成10年度で2、300万円を超える形になっているんですが、平成9年度が少なくなっているのは、私どもの分析によりますと、かつて料理飲食等消費税というのがあったんですけれども、こういった飲食店等の廃業による旧法による税の部分の不納欠損が多かったものが欠損処分等の扱いになりましてなくなっていった。こういった部分が平成8年度以前と比べると平成9年の状況のようでございまして、いずれにしましても、そのような中で景気の低迷の影響というものが大きく反映しているのではないかと感じているところでございます。
 収入未済の増加傾向につきましては、不納欠損は滞納者個々の状況に応じて行うものでございまして、収入未済の増加が直接不納欠損の増加と結びつくものではございませんけれども、大いに関連してくるものですから、滞納の整理に当たりましては、各種情報収集に努めまして早期に滞納整理に着手し、特に長期・大口滞納者に対しましては、より一層滞納処分を強化して収入未済の縮減に努めてまいりたいと考えております。

〇田村(正)委員 次に、北東北広域連携構想についてお尋ねいたします。
 平成9年10月の第1回北東北知事サミットにおいて広域的な交流・連携の推進が合意され、翌10年度においては広域連携構想調査委員会が設置され、5回にわたっての調査、検討がなされたと聞いております。去る10月13日、第3回知事サミットにおいて構想の公表がなされました。その中で、めぐみめぐる北東北──人と自然との共生を目指してというキャッチフレーズが打ち出されたわけでございますが、具体的にはどのようなことを実施しようとしているのか。また、構想の推進のために県が中心となって推進組織を11年度中に設立するとあるわけでございますが、その組織の中身と現状についてお尋ねいたします。

〇渡辺企画振興部長 北東北広域連携構想についてでございますが、この構想、北東北3県の広域的な交流・連携を進める指針として、県だけでなく、市町村や民間、NPOなどさまざまな主体が、今後、交流・連携を進める際、そのよりどころとして活用が図られるよう取りまとめられたものでございます。
 この構想におきましては、北海道、首都圏、関西圏などへの合同事務所の開設であるとか、北東北産学官ネットワークの形成であるとか、北東北学の構築に向けた仕組みの検討であるとか、健康農産物に関する統一ブランドづくりの検討等々、今後さまざまな主体が交流・連携活動を展開していく上での参考となるように、186の具体的な施策の例を示しているところでございます。
 また、この構想の着実な促進を図るために、推進母体となる北東北地域連携推進協議会──これは仮称でございますが──、この組織を年度内に立ち上げ、設立することとしてございまして、青森、秋田、岩手の3県が中心になって、さらには市町村、民間、NPO等の参画も求めながら、この構想の具体化に取り組んでいくこととしているものでございます。

〇田村(正)委員 次に、この問題も一般質問等でもう十分に議論されておる問題なんですが、市町村合併についての県の考え方を改めてお尋ねいたします。
 10年度の歳入歳出決算事項別明細書からは県の市町村合併に対する積極的な取り組みというのが感じられないわけでございますが、この問題に対しての県の姿勢についてお伺いいたします。
 去る8月6日、自治省から市町村合併推進についての要綱の策定が県に求められております。そしてまた、その自治省の指示というんですか、その中には、この特例法は平成16年度までであって、それ以降はないものだと思いなさいという表現が使われておるわけでございますが、そうしますと、今、平成11年度、そして指針の策定が今現在行われているということでございますが、どうしても時期的に非常に狭まった期間での合併推進ということにならざるを得ないと思うんです。そういうものを考えた場合に、県として、これから時期的な面も時間的な面も考えて、いかにしてこの指針をつくって、そしてその指針を各町村に示してそれぞれの住民の意識の高揚といったものを図っていかれようとしているのかお尋ね申し上げたいと思います。

〇渡辺企画振興部長 まず、市町村合併についての県の姿勢と申しますか、そういう意見でございますが、私ども、自主的な市町村合併を含む広域行政の推進はまさに時代の要請であり、必要なものであると考えてございます。そういうことで、平成9年度に広域行政推進啓発事業を創設しまして、広域行政に関する普及啓発を進めてございます。
 平成10年度における主な事業を簡単に申し述べさせていただきますが、広域行政シンポジウムの開催ということで、これは地方振興局を中心に、管内市町村や市町村議会議員、さらには地域住民の方々を対象として、大船渡、花巻、久慈の3カ所でこれを開催したところでございます。また、昨年4月には、市町村課に広域行政を担当する職員の配置をいたしました。また、地域の実情に応じた情報提供等を行うために、各地方振興局と本庁に広域行政相談コーナーを設置いたしました。その他、研修会への講師の派遣等を通じて、その機運の醸成に努めたところでございます。
 さらに、昨年度は、自治振興基金の中に新たに広域行政の推進を支援する目的で広域行政推進事業を創設しまして、最大で2億円の貸付枠を確保したところでございます。
 それから、平成11年度──今年度でございますが──におきましては、これらの取り組みを継続しながら、広域行政推進に係る調査・研究事業、これは県立大学との共同研究事業でございますが、これも進めてございまして、引き続き市町村合併を含む広域行政の機運の醸成に鋭意努めてまいります。
 それから、現在、合併特例法の関係で、これは時限法でございますのでその間の取り組みはどうかということでございますが、この法律、平成16年までの時限法でございますが、この期間が延長されるかどうか現時点では明らかでないわけでございますが、この法律の有効期間中に合併した市町村には手厚い財政支援を初め、さまざまな特例措置が講じられるものでございますので、市町村にあってはこのことを念頭に置きながら、合併について、その市町村、とりわけ地域の住民の皆様方に自主的に取り組んでいただくことが望ましいと考えてございます。
 県といたしましても、現在、策定を進めている指針におきまして、仮にこの期間内に合併した場合は、このような措置、つまり有利なさまざまな支援制度を活用してどのようなメリットがあるのかということを市町村や地域の皆様方にお示ししてまいりたいと考えてございます。こうしたことによって、市町村や地域住民の皆様方において合併についてのさまざまな議論が高まることを期待しているものでございます。

〇田村(正)委員 好むと好まざるとにかかわらず地方分権が進み、あるいはその分権が進む中での地方財源といったもの、そしてまた、地方自治体の活力といいますか力といいますか、そういったものを生むためには、どうしても私はこれから広域合併というのは避けて通れないと思っているので、鋭意御努力をお願いしたいわけでございます。
 今の質問と関連するわけでございますが、戦後50年たって、本県においても地域住民を取り巻く環境というのが非常に変わってきております。経済面あるいは交通網といったもので、行政区分も場所によっては実態にそぐわない面も多々見られておるわけでございます。私の経験ですが、県主催によります新しい総合計画の地区ごとの説明会の会場で、町村議員の方あるいは地域住民の方から実態に合った郡の見直しをすべきだという御意見が出ました。このような御意見に対して県はどうおこたえになっていくのか。郡の見直しというのは法的に可能なものかどうか、それをお尋ねいたしたいと思います。

〇渡辺企画振興部長 郡の見直しということでございますが、郡は、現行法上は市の区域以外の地理的名称ということになっているわけですが、その区域は歴史的な沿革によって定まったところでございまして、現在でもさまざまな面で郡内町村間の結びつきが強いと認識いたしてございます。
 郡の区域の変更などは、日常生活の実態や住民意識の変化に基づきまして、県議会の議決を経た上で行うことができるとされているわけでございますが、郡は、公職選挙法の関係であるとか、あるいは住居表示の関係などに一定の役割を担っているところでございまして、その変更は住民生活にも影響を与えますことから、関係市町村、そして地域住民の皆様方の間で議論が深められ、その合意のもとにこれがなされることが必要であると考えてございます。
 したがって、県といたしましては、郡の区域の変更などについては、地域において、今後、関係市町村や住民の皆様方の間で広域行政の推進に関連していろいろな議論が行われるような場合には、その議論の推移を見守りながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。

〇田村(正)委員 次に、これもまた一般質問の事項にあったわけでございますが、東北新幹線盛岡・八戸間の開業に伴う並行在来線の問題であります。
 今この時期、まさに検討、交渉の正念場であろうと思います。JR貨物の利用料の問題が一番のネックだと私も承知しておりますが、この点についてどのように認識しておられるのか。
 それとともに、JR貨物が在来線を通るということは、北海道と本州をつなぐ大動脈であるという認識に立った場合、在来線の利用、使用というのは国全体の経済的な面から見ても非常にメリットの多いものだと思っておりますし、そういった観点に立った場合、今後つくられるであろう第三セクターに対して、そういった重要性にかんがみながら、私は、国にこの第三セクターに対する大幅な出資を求めていくべきだと感ずるわけでございます。
 あわせて、この第三セクターの運営問題につきましては、三陸鉄道を見るまでもなく、利用客の確保あるいは利用客の増大策が経営の一番の条件だと感じております。利用客の確保もありますし、また、一般道路の渋滞問題あるいは環境問題といったものを考えた場合、駅周辺の無料駐車場の設置というのがぜひ必要な事項ではないのか。これは次元が違うかもわかりませんが、花巻空港におきましても無料化をしたがゆえにかなりの利用客の増加というのが見込めましたし、また、先駆的に雫石町でも町営の無料駐車場というのを設置しておられます。そういったことが利用客の増大にもつながると私は確信しておりますし、市町村で無料駐車場をつくる場合、県単独でそういった事業を支援する措置をとるお考えがあるのか、あわせてお伺いいたします。

〇渡辺企画振興部長 まず、JR貨物との交渉でございますが、委員お話しのとおり、まさに正念場を迎えていると認識いたしてございます。
 JR貨物につきましては、県は、JR貨物に対して貨物走行に伴う一切の経費を負担するよう求めてございますが、交渉は難航しておりまして、現在のところ、JR貨物からの負担の見通しは立っていないところであります。
 鉄道貨物輸送の現行機能の確保は、まさにお話のとおり国の運輸政策の観点から検討されるべき課題でありますことから、鉄道貨物輸送を維持するために必要となる経費が旅客輸送に転嫁され、結果的に県民の負担になることがあってはならないと認識いたしてございます。そうした意味で、粘り強くJR貨物との交渉を続けていく一方で、国の主体的なかかわりについても働きかけを今後ともしてまいります。
 それから、並行在来線経営主体の第三セクターへ国の出資を求めるべきではないかというお尋ねでございますが、まず、第三セクターへの出資の基本的考え方について説明させていただきますが、並行在来線につきましては、新幹線開業時、JR東日本からの経営分離に同意した際、代替輸送機関により経営が行われる場合は、その設立、運営等に関し、県が中心となって対処するという旨、運輸省の方に回答をいたしてございます。ここに至る経緯はまさに苦渋の選択だったと認識しておりますが、しかしながら、経営分離に同意した以上、並行在来線の存続が地域交通の利便性の確保、向上に資するものであり、また、地域の住民の福祉向上に直結するものでもありますことから、その経営には地元が主体的に取り組むべき性格のものと考えてございます。こうしたことから、去る10月28日に決定しました並行在来線に関する基本方針におきましては、第三セクターの設立に当たって、岩手県及び沿線市町村等が出資することとしたところでございます。
 そこで、お尋ねの第三セクターへの国の出資についてですが、経営分離の経緯を踏まえ、並行在来線の経営分離後において、県を初めとする地元が責任を持つのはまさに地域の旅客輸送の確保でございまして、一方、鉄道貨物輸送の現行機能の確保は、まさに国の運輸政策の観点から検討されるべき課題であると認識をしてございます。こうした観点に立って、県といたしましては、国に対し、鉄道貨物問題への主体的な取り組みを求めているところでございますが、先ほどもお話ししましたが、その趣旨は、運輸政策上の観点から、仮にJR貨物への支援の必要があれば国からJR貨物に直接支援していただき、並行在来線の経営主体である第三セクターは同社から貨物走行に伴う一切の経費をいただくという趣旨のものでございます。したがって、第三セクターの設立に当たって、国に対し出資を求めることは考えていないところであります。
 次に、駅周辺の無料駐車場の確保等についてどう考えるか等々でございますが、お話のとおり、並行在来線の利用促進や環境保全への貢献の側面等からしまして、駐車場や駐輪場の確保は重要なものであると考えております。駐車場や駐輪場を初めとする駅周辺整備につきましては、住民に身近で直接受益の及ぶものでありますことから、沿線市町村が主体的な役割を果たすべきものと認識をいたしてございます。
 御提案のありました県単事業の創設につきましては、現下の厳しい財政状況の中にあってはなかなか難しいと考えられるわけでございますが、例えば、都市計画関係の国の補助事業の導入であるとか、さまざまな制度、補助事業を活用するなどして、県としての対応を検討しながら市町村の主体的な取り組みを促してまいりたい、かように考えてございます。

〇田村(正)委員 くどいようでございますけれども、第三セクターの経営というのは旅客の確保が最重点でございますので、そういった観点に立ってひとつ今後考えていただきたいと思います。
 次に、平成12年度に開催されます世界地熱会議についてでありますが、現在までの準備状況はどうなっているのかお尋ね申し上げますし、また、予定はしていないようでございますけれども、例えば、地熱会議でございますから、中には松川の地熱を視察したい、葛根田の地熱を視察したいという方もおられるかと思います。そういった際のことも考えて、葛根田地区へのアクセスの整備というのはどういうスケジュールで進むのか、どういうふうに考えておられるのかお尋ねいたします。

〇渡辺企画振興部長 世界地熱会議の準備状況でございます。
 主催者であります国際地熱協会と国内組織委員会におきましては、現在、着々とその準備が進められてございまして、本県も開催自治体としてその協力に万全を期しているところでございます。世界地熱会議は世界各国の研究者によって論文発表が行われる場でございますが、これについては600件の論文を計画しておったわけですが、それをはるかに超える論文が応募されているとのことでございまして、これからの課題は、参加者の確保と円滑な会議運営に向けた体制の整備の2点であろうと存じます。
 主催者におきましては、世界地熱会議の参加者を前半の九州、後半の東北をあわせまして、全体で1、500人と予想してございます。このうち海外からの参加者は70カ国1、000人でございまして、世界地熱会議は、本県で開催される国際会議としては最大規模のものであると存じてございます。
 会議の成功のためには、お話のとおり参加者の確保が極めて重要であります。このために、10月にアメリカのネバダ州で開催されましたアメリカの地熱資源会議の年次総会に知事が出席して、直接世界の地熱関係者に世界地熱会議への参加を呼びかけたところでございます。
 それからもう一つ、世界地熱会議の運営のためには、地元から多数の応援が必要でございます。このために、県や関係市町村、関係団体で構成する西暦2000年世界地熱会議国内組織委員会岩手支部を設立しまして、会議開催時における運営要員の確保に取り組んでいる状況でございます。
 以上がその準備の関係でございます。
 それから、世界地熱会議におきましては、滝沢村のアピオにおける主要会議の終了後に地熱発電所等を視察するツアーが予定されてございまして、本県の松川、葛根田両地熱発電所がその重要な視察先となっているところでございます。そこで、この葛根田地区へのアクセスでございますが、葛根田地熱発電所に通ずる一般県道西山生保内線は、現在、災害復旧事業を実施中でありまして、世界地熱会議開催時までの全線復旧は不可能という状況にございます。このため、通行の安全を確保した上で工事用道路を利用するなどの方策を講ずることによって視察できるよう対処していくことになってございます。万全を期してまいりたいと考えております。
 いずれ、環境に優しい再生可能なエネルギーでございます地熱の利用促進をテーマに開催されるこの世界地熱会議を成功に導くことは、本県の地熱資源開発の促進、さらには、環境と共生し、循環を基調とする社会の実現に資するものでございますので、全力を尽くしてまいりたいと考えております。

〇折居委員長 田村正彦委員の質疑中でありますが、この際、世話人会の申し合わせにより、10分間休憩いたします。
   午後3時 休 憩
   午後3時15分 再 開

〇上澤副委員長 委員長を交代しましたので、よろしくどうぞお願いします。
 休憩前に引き続き会議を開きます。

〇田村(正)委員 次に、岩手山の火山活動活発化に関して何点かお尋ね申し上げてまいります。
 岩手山の火山活動活発化に対応してその防災対策あるいは予知対策等、県を含め関係機関挙げて御努力いただいておりますことに対しましては、心から敬意を表するものであります。ただ、しかしながら、このままの活動状況が続いた場合、今とっている入山規制措置というのは未来永劫これは続くものなのかどうか。そして、現在鋭意取り組んでいただいておるわけでございますが、周辺防災施設、こういったものがある程度整った場合、この入山規制の解除というのはあり得るのかどうか、まずこの点をお尋ねいたします。

〇武居総務部長 入山規制の考え方についてでございますけれども、入山規制は、登山口を持ち、入山規制の権限を持つ4町村長が、岩手山の火山活動の活発化に伴いまして、広域的に入山規制を行う必要があるとの意見の一致を見まして、御案内のように平成10年7月1日以降実施されてきているものでございます。この規制の緩和なり解除の関係につきましては、本年の5月に委員御指摘のようなこともございまして会議を開催し、平成11年度の方針というものを話し合ったところでございます。この中で、これは広域的ということで、関係の4町村長だけではなくて県も同じように入った方がいいだろうということで、県も入りまして話し合いを行い、その後もさまざまな機会を通じて協議してきておりますけれども、その中で私どもの意見の一致を見ている点は、岩手山の火山活動が沈静化の傾向を示しているということと、それから緊急対策ガイドラインに基づく火山防災対策への取り組みによりまして、安全対策が整っていることが最低限必要ではないかということでございます。したがいまして、入山規制の解除につきましては、現時点におきまして、その時期がいつになるかということは確たることは申し上げられないわけでございますけれども、関係の町村長なり私どもも一日も早く火山活動が沈静化することを念願しているわけでございますが、私ども火山活動の検討会等で毎月毎月議論しているんですが、火山性地震や火山性微動などの火山活動のレベルが低下しまして、一方、防災施設等の安全対策が整備された場合は、登山口を有しまする4町村長、それから県が認識を一致させるということになるわけでございますけれども、そういった話し合いの中で入山規制を緩和し、あるいは入山規制を解除することはあり得るんではないかということで考えているところでございまして、今そういった方向で毎月の検討会を開催し、一方で防災施設等の安全対策につきましても、関係市町村で話し合いを続けているところでございます。

〇田村(正)委員 その安全対策でございますけれども、その安全対策が整った時点、その安全対策を整えるスケジュールというのはどの辺に置いておられるのか。

〇武居総務部長 安全対策という場合に大きく2点あろうかと思いますが、第1の安全対策と申しますると、水蒸気爆発等の実際に火山活動の活発化に伴いまして、避難等の必要性が出てくるような場合の安全対策というものがございます。もう1点は、先ほどの委員の御指摘にもございましたように、ある程度火山活動のレベルが下がっていく中で、規制の緩和をしていっても構わないんじゃないかと、その場合の登山者等に対する安全対策という2点があろうかと思いますが、私どもが今精力的に行っておりますのは、第1点目の安全対策につきましては、これはかなりきっちりやっていかなくてはいけないんじゃないかということで全力を挙げております。これは建設省の砂防事業を使いまして、岩手山周辺に光ファイバーケーブルをめぐらせるというこういう大きな整備も入っているわけでございますけれども、そういったものはこれは単年度で整備できるものではございませんものですから、これから何年かかかるというふうに承知しているところでございます。
 一方、後者の部分の安全対策につきましては、いつ沈静化に向かうかという方向は見えないんですけれども、そういったものの兆し、ちょっと不測の事態ですのでこれはこの冬にもそういった状況、何かの活動が活発化して何らかの形の岩手山の水蒸気の活動等が活発化して何かが起きるということもあり得るわけなので、その後沈静化するということもなきにしもあらず、いろいろのケースを想定しなくてはいけないんですが、もし仮にそういったものが沈静化していった場合には、次のステップに進んでいく必要があるだろうという話し合いは関係の町村との間で持っております。そのためには、本年度はいずれにしましても冬場を中心に準備期間だろうと、来年につきましては、来年はいずれ仮に沈静化するとしましてもいろいろのチェックする体制を整えていく時期ではないかと、そうしますと本年度と来年度というものはかなり安全対策に力を入れていく期間になるのではないかという感じは持っておりますが、これはまだ担当課のレベルの話でございますので、いずれしかるべき時期にまた、本年の春5月に会議を持ちましたような会議を持ちまして、一義的に責任を持っております登山口を有している町村長との間で十分に話し合いをしていきたいと考えているところでございます。

〇田村(正)委員 例えば、地震活動がこれ以上活発化したり何かしてはこれはもうしょうがない──しょうがないというか、当然のことだと思うんですが、このレベルでずっと推移していって、そしてその安全対策、いわゆるハード面、ソフト面での安全対策が整った時点での入山禁止措置の規制解除、そういったものは私はぜひしていただかなければならないし、その目安、これぐらいまでは努力して頑張るんだぞと、あと3年か4年では何とかめどの立つようにハード面、ソフト面で頑張ると、そういった目安がなければあの辺の周辺に住んでいる人たちというのは、本当にやり切れない思いでずっとこれから先、生きていかなければならない。そういったものも一つ心の中に入れていただいて、今後の対策というものを練っていただきたいと思います。
 この岩手山に詳しい地元の人の話なんですけれども、入山規制がなされてからまさに岩手山及びその周辺というのは無法地帯になってしまった。高山植物等の盗掘なんかは特に横行している。こういった嘆いておられる自然保護団体の方もおられます。入山規制は規制でいいとしても、環境保護というんですか、そういった面に立った場合の県の対応というのは今後どのように考えていかれようとしているのか。

〇千葉副知事 高山植物の保護対策でございますけれども、県が設置しております自然公園保護管理員、岩手山地区は8人でございますけれども、主要な登山口に配置しまして、入山禁止の指導と高山植物の盗掘防止のための監視活動を実施したところでございます。また、馬返しなどの登山口で、県警と地元市町村などの協力を得まして、盗掘防止のための取り締まりを行ったところでございます。
 今後の保護対策でございますけれども、来年も入山規制が継続される場合には、引き続き自然公園保護管理員の登山口における指導、監視活動を行うとともに、県警などとも相談しながら取り締まりの回数をふやすなど、環境庁とも連携しながら対策を強化してまいりたいと考えております。また、高山植物の盗掘防止のための広報活動も強化したいと考えております。平成11年度は、テレビ2回、ラジオ3回、PR誌1回、こういう広報活動を行ったわけですけれども、今後はポスターの作成なども検討していきたいと考えております。また、今後、県版レッドデータブックのめどのついた時点で、種の保存条例の制定について検討していきたいと考えております。

〇田村(正)委員 その管理員あるいは警察の協力を得て登山口においてこれをチェックしていくんだという話と理解したわけでございますけれども、盗掘する人は登山口を通って歩く人は現実の問題としてないんです。そこで、私はぜひこれは考えていただかなければならないと思っているんですけれども、そういった自然保護管理員の人たちを月に2回なり、ある程度の範囲まで身分を保障した上で監視体制というのは、こういう長く続くような事態になった場合にはこれは考えざるを得ないんじゃないのかな、私はそう思うので、その辺のところもお考えになって、ひとつ頑張っていただきたいと思います。
 次に、先ほど前段で申し上げました北東北3県の連携構想に関連するわけでございますけれども、観光は我が県にとって重要な産業の一つですし、その北東北3県の連携を考えた場合、どうしても十和田八幡平国立公園のエリアでもあるこの岩手山周辺の観光の振興というのは非常に大事であるし、そしてまた、国立公園指定を受けてからもう既に40年を経ていろんな観光施設あるいはアクセス道路、すべての面で老朽化が進んでいる。それが観光客の入り込み減にもつながっておると私は感じておるわけでございます。先ほど中屋敷委員の質疑の中にもありましたけれども、奥産道工事中止に伴うこの地域振興策とあわせて、この辺の周辺一帯の観光、そして振興策というのをどう考えておられるかお尋ねいたします。

〇千葉副知事 岩手山周辺地域は、本県を代表する観光地でございます。地域資源を活用した魅力ある観光地づくりの一環として、これまでも岩手県観光開発公社によります八幡平温泉郷開発事業や焼走りの湯など市町村による温泉施設等の整備が進められてきたところでございます。県におきましても、観光客の利便性を高めるため、今年度、総合観光案内板10カ所、観光誘導標識30カ所などの整備を行ったところでございます。また、先般策定されました岩手山周辺地域振興ビジョンに、八幡平の山頂レストハウス整備、これは観光案内板、展望休憩施設、飲食物販施設等の整備でございますけれども、これを整備することといたしております。また、八幡平御在所地区中継基地の整備、大型駐車場、展望デッキ等、こういったものを整備する予定にしておるところでございます。今後は、これらの事業の着実な推進を図りながら、観光地としての魅力を高めてまいりたいと考えております。
 また、観光客の誘致については、これまで岩手山麓サマーフェステバルの開催や湯雪王国への支援を行ってきたところでございますけれども、今後におきましては、地方振興局や関係市町村との連携を図りながら、観光インストラクターの養成やスキーモニターツアーの実施、あるいは修学旅行の誘致などに努めてまいりたいと考えております。

〇田村(正)委員 次に、医師の確保対策費として平成10年度決算において1億3、425万円の支出をなされておるわけでございますけれども、中身についてまずお尋ねいたします。
 引き続いて質問してまいります。地方自治体病院においては医師の確保が重要な課題となっておるのはもう御承知のとおりでございますが、特に医師の充足率によりまして入院時医学管理料が大幅にカットされるという実態にもあります。医師不足が即経営の悪化につながっており、県立病院も含めてその医師の確保策というのが重要な課題だと思っております。県一本の奨学制度の創設あるいは岩手医大に対する県内枠の確保の働きかけ等、具体的な対策をお持ちなのかどうかお尋ね申し上げます。

〇千葉副知事 医師確保対策の中身についてでございますけれども、一つは自治医科大学の医師養成制度でございます。地域医療に従事します医師の養成を行うことを目的として設立されました自治医科大学に、毎年2人から3人の本県出身の医学生を入学させているわけでございます。現在、在学生14名でございますけれども、これに伴う所要の県負担金等として、平成10年度は年間1億2、700万円余を自治医科大学に対して支出しているところでございます。二つ目は、市町村医師養成事業費補助制度でございます。県内の市町村が、将来、当該市町村内の医療機関に勤務する医師を養成するために一定の基準で奨学金を貸し付ける場合、その経費の2分の1を補助しており、平成10年度は、6市町村7名分、700万円余を支出しているところでございます。
 次に、県一本の奨学制度の創設でございますけれども、県におきましては、先ほど申し述べたとおり、自治医科大学の医師養成制度、市町村医師養成事業費補助制度のほかに、医療局職員奨学資金貸付制度の3本立てで、それぞれの目的に沿って医師の養成に努めているところでございまして、これはそれぞれ一定の成果を上げているところでございますけれども、委員が指摘いたしました奨学制度の一本化につきましては、貴重な御意見として今後の参考とさせていただきたいと思います。
 それから、岩手医大に対する県内枠の確保の関係でございますけれども、岩手医大医学部入学者における県内高校の出身者は、ここ数年10%から20%台で推移してきているところでございますが、医大の卒業生のうち、おおむね半分程度の医師が卒業後県内の医療機関において、診療、研究等に従事している状況でございます。しかしながら、医師が地域的に偏在している状況にあることから、県と岩手医大の間で定期的にこうした問題に関する協議を行う場や、随時の意見交換の場を設けているほか、平成9年度から、岩手医大、市町村、国保連等の代表者で構成します地域医療支援協議会を設置いたしまして、岩手医大から医師不足地域への医師派遣等について協議をしているところでございます。今後ともこのような機会を通じまして、あるいは各種奨学金制度の積極的な活用促進を図るなど、県内出身者の入学者をふやしていくよう働きかけてまいりたいと考えております。

〇田村(正)委員 市町村の奨学制度、それぞれ個々ばらばらに行っているんですが、その奨学制度はそれとしていいんですけれども、例えばせっかく奨学制度を利用して卒業なさっても、これがエックス線科だとか、その自治体病院に合わない科を卒業されますとこれはどうしても大変なことになるんです。これからいろいろ懸案はあると思うんですけれども、そういった奨学制度をやっている自治体を連携する一つの組織というのをつくられておくのが、私は自治体病院にとって非常に助かることだと思っているので、その辺のところもぜひお考えになって進めていただきたい。
 次に、本県の基幹産業でもある農業問題についてお伺いいたします。
 御案内のとおり、農林水産業費は土木、教育に次いで3番目の支出額に対する比率を持っておりますし、また本県の基幹産業ということでこの農林水産業の振興というのは重要な政策課題だと認識しております。農業関係あるいは森林組合を含めた団体の指導について方針等をお尋ねしてまいりたいと思っております。農業関係事業は決算事項別明細書備考欄を拝見しますと、本当に多種多様にわたっておりまして、そういった中で県単独の事業の件数及び決算規模についてお示しいただきたいと思います。

〇千葉副知事 平成10年度における県単独事業の件数は127件でございまして、決算額では258億円余となっているものでございます。県単独事業の主なものは、簡易ビニールハウスや省力機械・施設の導入に補助する新いわて農業再編総合対策事業、それから中山間地域の野菜等の価格安定対策を支援する山間地域農業活性化特別対策費補助、優良雌牛の確保を目的とするいわて牛県内保留対策推進事業費補助などでございます。本県農業の一層の発展と活力ある農村社会の形成を図るため、国の補助事業を活用するとともに、本県の実情に即しきめ細かに対応するためにも、県単独事業を実施することが重要であると考えております。

〇田村(正)委員 国の政策あるいは事業においてその趣旨、目的とするところはすばらしいものがたくさんございます。しかしながら、全国一律の要領、要綱、そしてまた重箱の隅をようじでかき回すくらいの指導の行き届いた事業でございまして、なかなか実態から導入が不可能だという事業ももちろんあるわけで、そういった面からもそういった穴の部分というんですか、こぼれた部分、そういったものもやはり私は県単独で補充してやる必要というのは常日ごろ強く感じているものですが、その辺のところはどうお考えになっておりますか。

〇千葉副知事 国庫補助事業もかなり制度が完備しているわけでございますけれども、農業の場合におきましても地域によってそれぞれの内容が異なっているわけでございます。したがって、全国一律を補完するようなそういう制度をさらにきめ細かく補完していくためには、県の単独事業でもって措置するということが必要なわけでございまして、その辺につきましては今後とも十分配慮しながら、予算措置について検討してまいりたいと考えます。

〇田村(正)委員 次に、昨年度、農業協同組合経営改善特別対策資金貸付金として、詳しい説明がないままというんですか、受ける側の説明あるいは情報公開がないままに53億円という県費支出がなされたわけでございますが、その支出に当たってはいろいろと条件が課されておったわけでございますけれども、改めてその条件をお示し願いたいと思います。

〇千葉副知事 この貸付金の支出条件といたしましては、一つには支援対象農協の徹底した自己努力を条件といたしております。これは役員の拠出金や役員退任等の経営責任の明確化、あるいは債務不履行者に対する厳正な債権回収、こういった内容の自己努力を求めているところでございます。また、農協連合会グループによる最大限の支援も条件としております。また、支援対象農協の合併への確実な参加、そして、当該事業への関係市町村の参画と、こういったものが支出の条件となっておるものでございます。

〇田村(正)委員 県への支援要請のもととなる条件、系統みずからが最大限拠出しても不足する分をお願いしますと、表現はよくないんですけれども、そういうことであろうと思っておるんですけれども、ここに平成9年、10年の信連、共済連の決算がありますけれども、信連においては平成9年度、18億円の剰余金、そして平成10年にはそれを10億円上回る28億円の剰余金、非常に身を削ってというんですか、最大限拠出するということはそういうふうなことだろうと思うんですけれども、そういった面では若干疑問があるわけでございますが、いずれこの農協の合併につきましては、農業共済組合は平成2年でしたか、策定した計画に基づいて県内7組合、もう実現しているわけです。農協もやはり平成2年でしたか、12農協構想が策定され、今鋭意努力しておられるわけでございますが、その農協合併の進捗状況、これは先ほどの53億円にも密接に絡む問題ですので、進捗状況はどうなっているのかお尋ねします。

〇千葉副知事 県内の農協合併につきましては、農協系統が21世紀を展望する岩手県農協合併構想を策定いたしまして、地域経済圏を基本といたしました12広域農協体制の確立に向けて取り組んでいるところでございます。現在9地区において広域合併が実現し、残っているのは気仙地区、二戸、和賀地区の3地区でございます。現在、系統におきましては、気仙、二戸地区で平成13年3月までの合併に向けての合併推進協議会等を設置して取り組んでいるところでございます。和賀地区につきましては、合併に関しては具体的な取り組みがなされてない状況でございまして、農協中央会、地元自治体との連携を図りながら、合併機運の醸成に努めているところでございます。

〇田村(正)委員 9農協が先行して合併しておられるわけでございますけれども、ばらつきはあると思うんですけれども、その経営状況はどうなのか。そしてまた、合併当初の計画どおりその経営というのはいっているのかどうか、お示しいただきたいと思います。

〇千葉副知事 既に広域合併が実現しております農協の経営状況につきましては、天候不順によります販売高等の減少あるいは有価証券の損失処理などによりまして、岩手ふるさとなど3農協で平成10年度決算において当期欠損金を計上しているところでございます。他の農協につきましては、経営基盤の強化に加えまして、広域的営農指導あるいは販売体制の確立によるスケールメリットなどから、当期剰余金を計上しているという状況にございます。
 平成9年、10年に合併いたしました農協の経営状況につきましては、合併時点で策定いたしました経営についての計画と対比すると、平成10年度の決算において、3農協で当期剰余金が計画を大きく下回っておりますけれども、これは昨年の長雨などの天候不順等による販売高等の減少や有価証券の損失処理などによるものであると考えております。他の農協ではおおむね計画どおり、あるいは計画を大きく上回る剰余金を計上している、そういう実態にございます。

〇田村(正)委員 農業開発研修センターというところがございまして、そこの藤谷会長という方がこうおっしゃってます。広域合併農協の経営不振が全国的に広がっていることに対し苦言を呈したい。改善が必要なこととして、役員、総代の選び方が問題があるんじゃないか。そしてまた、組合員組織統合のあり方、これは農協婦人部とか青年部とか、いろんな生産部会があるわけですけれどもそういったもの、あるいは経営組織、そして小さな本所が事業拡大のコツであると、こういう考え方に対して、合併を指導している県としてどうお考えになっているのか、お尋ね申し上げたいと思います。

〇千葉副知事 広域合併によりまして、農協の事業あるいは組織等も拡大します。また、組合員ニーズも多様化しているところから、これに対応するため、新たな管理運営体制が求められているところでございます。県といたしましては、広域合併農協の運営に当たりましては、組合員へのサービスの向上を基本に置きながら、運営組織の効率化、広域営農体制の整備や農産物の加工・流通体制の合理化などに、従来の慣行にとらわれない新たな経営感覚を持って取り組む必要があると考えているところでございます。広域農協合併の組織運営のあり方につきましては、さまざまな意見があるわけでございます。ただいま委員が御紹介いたしましたそういった考え方についても、効果的な業務執行体制の確立のため、傾聴に値するものと受けとめたわけでございますけれども、こうした識者の意見を踏まえまして、地域の実情に合わせて適切な農協運営が図られるよう農協系統の取り組みを支援してまいりたいと考えております。

〇田村(正)委員 次に、森林組合についてお伺いします。
 まず、現在の県内の森林組合の組合員数というのは何名でしょうか。
 また、その経営の状況、そして赤字組合の赤字の要因の主なものは何でしょうか。
 森林組合は国土保全、そして豊かな海の確保、地球環境の保全などあらゆる面から森林の育成管理に当たっておられるわけでございまして、その経営というのは非常にこれから先、重要な課題だと思っております。そこで、森林組合のこの合併問題についてもあわせてお尋ね申し上げたいと思います。

〇千葉副知事 森林組合の組合員数は、現在約4万7、000人でございまして、森林所有者の約6割が加入しているものでございます。
 平成10年度の組合決算は、28組合のうち当期剰余金を計上した組合が22組合でございます。平成9年度に比べまして欠損金を計上した組合が1組合増加しております。繰越金で見ますと、約半数の13組合が累積欠損金を持っておりまして、欠損金の総額が6億8、500万円で、前年度に比べ約700万円減少しているところでございます。
 赤字の原因でございますけれども、木材価格の長期低迷によりまして、森林造成事業や林産事業が減少していること。また、木材加工事業等に取り組んでいる組合にあっては、コスト管理やマーケティング等が十分になされなかったことが要因となっているものでございます。
 それから、合併の関係でございますけれども、森林組合合併助成法が制定されました昭和38年時点の86組合から、平成元年には44組合、現在28組合となっているものでございます。なお、これまでに12地区のうち9地区で地域の中核となる広域合併組合が誕生いたしまして、来年1月には大船渡地区の3組合が広域合併組合として発足する予定となっているところでございます。組合の合併につきましては、森林組合が森林造成や素材生産、木材加工などを地域に密着して事業展開することが重要でございまして、特に、広大な県土を有する岩手県といたしましては、川上、川下が一体となった流域林業の展開が必要であると考えております。このような観点から、平成11年10月に岩手県森林組合合併基本構想を策定いたしまして、平成22年までに5流域単位に広域合併を目指すことといたしておりまして、組合みずからが行う組合合併に対し引き続き指導、支援をすることとしております。
 合併を阻害する要因といたしましては、累積欠損金、組合の組織や財務の格差、組合員に対するサービスの低下への懸念等が合併の大きな障害となっているというふうに受けとめているところでございます。合併の障害となっております財務改善を図るため、経営指導や低利融資の実施、あるいは森林整備の緊急課題となっております間伐を推進するため、組合員等に対する間伐実施への普及啓発、あるいは公有林や森林公園等の施業受託の促進、新たな事業領域の拡大や役職員の能力向上に向けた研修等を指導、支援することにいたしております。

〇田村(正)委員 未合併組合の組合長さん、あるいはもう既に合併したところの組合長さんの、これは一部の意見かと思いますけれども、県下一本の森林組合になったらもろ手を挙げて我々は賛成だと、こう言っている御意見の方もいらっしゃるわけですけれども、そういったものに対してはどうお考えになりますか。

〇千葉副知事 今初めてそういう意見があるということを聞いたわけでございますけれども、いろいろ組合によって事情があるわけでございまして、必ずしもパイを大きくしたからといってそれが是というわけにもいかないだろうと思います。それぞれ地域事情があるだろうと思いますので、当面は先ほど申し上げました5流域単位の広域合併を推進してまいりたいと考えておるところでございます。

〇田村(正)委員 次に、県が発注する公共工事の県内業者の受注率を高めよというふうな要望がございますが、その実態はどうなっているのか。そして、私は常に疑問を持っているんですけれども、バブル全盛期の平成元年、県の建設事業費780億円でありました。10年後、10年度の決算ベースで建設事業費3、498億円、まさに莫大な増加を見ているわけですが、なかなかこれが地域経済の発展につながってこない。まさに構造的な欠陥がここにあるんじゃないのか、私はそう思っておるものでございますけれども、まずその受注率を高めるような要望に対してどうこたえていこうとしているのかお尋ねします。

〇千葉副知事 県公共工事の発注の状況でございますけれども、平成5年度以降、おおむね80%を超える率で県内受注率が推移してきております。平成10年度におきましては、鷹生ダムとかあるいは県立美術館建築工事がありまして、専門技術を必要とする特殊で規模の大きい工事の発注が相次いだ結果、80%を下回る結果となっておりましたけれども、平成11年度においては、10月末現在で85.7%になっております。県営建設工事につきましては、これまでも県内業者への優先発注に努めてきたところでございますけれども、県内業者のみによる施工が困難な特殊で大規模な工事につきましても、県内業者の育成を図る観点から、県内業者を含む特定企業体への発注と、可能な限り県内業者が参入できる機会を確保するとともに、県内業者への技術移転と技術レベルの向上が図られるよう努めてきたところでございます。県営建設工事の発注に当たりましては、県内業者の育成と県内経済の振興を図るため、今後とも、県内業者で施工が可能と認められる工事につきましては、県内業者を優先して選定することとし、県内受注率の向上に努めてまいりたいと考えております。

〇田村(正)委員 10年度決算の繰越明許費を見ますと835億円強となっております。これは国の経済対策によりますいわゆる15カ月予算となる大型の補正予算に伴いやむを得ない事態だと理解はしておりますけれども、その中で用地交渉とかあるいは補償処理問題での繰越額が320億円と多額になっておりますが、用地あるいは補償交渉に当たって県はどのようなスタンスをとっておられるのかお尋ねいたします。

〇千葉副知事 用地関係で非常に繰越額が多くなっております。用地関係の理由による繰越明許費は約362億円でございまして、そのうち実際に繰り越した額は320億円でございます。繰り越し全体額の約4割に該当しております。これはいろいろな事由があるわけでございますけれども、用地交渉の着手が遅かったとか、あるいは物件の補償交渉が難航したと、こういうことによって繰り越しているわけでございますけれども、こういった用地交渉に当たっての県のスタンスでございますけれども、用地交渉に当たりましては、地元市町村と連携しながら、常に誠意を持ってかつ粘り強く地権者の方々と折衝し、できるだけ早く御承諾を得て円滑な用地取得が図られるよう努力しているところでございます。しかし、家屋移転者の生活再建を伴うものや代替地要望等について、なかなか地権者の方々の十分な理解を得られないというそういった事情もございます。したがって、用地取得に長時間要する場合があるわけでございますけれども、こういったものに対応するため用地取得業務の前提となる事業実施計画を早期に策定することによりまして、用地交渉にできるだけ早く着手しまして、適期に用地を取得するとともに、用地の先行取得に努め、適度な用地のストックを図っていきたいと考えております。

〇田村(正)委員 せっかくの事業が用地取得難というんですか、交渉の不調から大分おくれているというのも現実としてあるわけで、何とかひとつ御努力をお願いしたいと思います。
 通告どおりの質問にならなくて大変恐縮したわけですが、最後に代表監査委員にお尋ねいたします。
 まずもって10年度の決算に対する審査、本当に御苦労さまでございました。約1兆円の予算で構成する膨大な事業、そして各種補助金、そして不祥事の発生等、大変だったと思いますが、この事務局体制の見直しが私は増員も含めて必要だと認識しておるわけなんですが、御意見がございましたら賜りたいと思います。

〇一戸監査委員 田村委員の質問にお答えいたします。
 地方分権の推進に伴いまして、地方公共団体みずからのチェック機能の充実強化が求められております。また、先ほどから質疑の中にありましたように、県財政の硬直が進行している中で、事務事業が合理的、効率的に行われているかの検証等が重要になってきております。これらのことから、監査委員の責務は重大であると認識しております。
 このたび、県民から税金としていただきました公費の不適正支出が判明したことは、法令等に違背することはもちろんのこと、県民の信頼を著しく損なうものであり、まことに残念であります。このような不適正支出が行われるということは、監査以前の問題であり、職員個々の公費の執行に対するモラルの再認識が最も重要であると考えるものであります。監査委員といたしましても、このような一連の不祥事を重大に受けとめ、より効果的な監査手法等について検討してまいる所存でございます。
 県職員の皆さんは、管理監督者を初め全職員が一丸となって、適正かつ効率的な事務事業の執行に邁進され、県民の信頼確保に努めるとともに、その負託にこたえるよう切に念願する次第であります。
 お尋ねのありました事務局体制の見直しにつきましては、現在、県において行政システム改革大綱を策定して、簡素で効率的な執行体制の整備に取り組んでいることなどを勘案し、事務局に対しましては、重点項目の見直し、予備監査手法の再検討など現在の体制で、より効率的な業務の執行に努めるよう指示しているところでございます。

〇上澤副委員長 以上で代表質疑を終わります。 次に、自由質疑を行います。自由質疑は、議会運営委員会の申し合わせにより、発言時間は、答弁を除き1人10分を限度とし、交渉団体会派以外の委員を優先することになっております。

〇伊沢委員 社民党の伊沢でございます。平成10年度の決算審査に当たりまして、自由質疑とはいえ会派を代表して総括的にお伺いをしてまいりたいと思います。
 まず、経済対策、そして財政問題について伺ってまいりたいと思います。
 バブル経済崩壊後、国は多くの経済対策を打ち出し、平成4年度以降、平成10年度まで約90兆円を超える種々の対策がとられてまいりました。しかし、低迷を続ける日本経済は立ち直りの兆しを見ることができず、平成9年度の日本経済も本県経済も23年ぶりのマイナス成長となっていることが、企画振興部の取りまとめた県民所得の9年度における概要の中にも示されており、経済対策の効果が見えない状況となっていると言えると思います。そこでまず、本県に対して平成10年度までに交付された種々の国の経済対策費の総額と、これに呼応した県の予算総額についてお示し願いたいと思います。
 また、これらの経済対策事業が本県経済に対してどのような効果を果たしてきたとお考えでしょうか。総括的な御所見をお伺いいたします。

〇渡辺企画振興部長 これまでの経済対策事業の予算総額ということでございますが、平成4年度から10年度までに、本県の公共事業、中小企業対策事業等の経済対策事業に対して交付された国庫支出金、これは1、402億7、000万円で、これに対応する一般会計歳出予算総額は3、259億4、000万円でございます。このうち、公共事業歳出予算総額は2、596億4、800万円でございまして、これから用地費を除いた2、406億9、300万円、これの本県経済に与える波及効果について、岩手県産業連関表を用いて試算いたしますと、全体としてただいま申し上げました試算対象経費の約1.53倍に当たる3、670億円程度の経済波及効果があったものと推計いたしてございます。
 平成9年度の本県経済は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動による減などを背景にしまして、建設業や卸売・小売業が低迷し、経済成長率は23年ぶりのマイナスとなったところでございますが、その後、各般にわたる経済対策の効果の浸透によりまして、本年11月の県内景気、これは先般発表いたしました最近の景況によるものでございますが、住宅建設が前年水準を上回り、鉱工業生産が持ち直すなど、改善の兆しが見られるところであり、総合経済対策を初め、これまで実施してきた経済対策が成果を上げつつあるものと認識をしてございます。しかしながら、本県経済は、民間需要に支えられた自律的回復というまでにはいまだ至っていないところでございまして、なお厳しい状況にあります。引き続き景気の動向を注意深く見守りながら、機動的な対策を講じていく必要があるものと存じてございます。

〇伊沢委員 3、500億円程度の効果があったと、年間に直せば500億円程度かと思われますが、倒産も含めて底支えをやってきたのかなという感じがするわけでありますけれども、なお経済対策を含めて後段でも質問してまいりますけれども、さらなる御努力をお願いしたいと思います。
 次に、県税収入について伺います。
 10年度の県税収入は、地方消費税が大きく伸びたこともあり、前年比1.2%増、14億円余の増加をしておりますけれども、県民税及び事業税が前年と比較して大きく減少しております。このことはただいま総括的に御説明いただいたように、県内の経済活動が低迷していることを証明しているものと考えられますが、今後の県民税及び事業税収入の見通しと収納率の向上策を含めた税収確保対策についてお示し願いたいと思います。
 また、過日、都道府県の財政状況調査がマスコミでも報道されました。22都道府県が財政危機、危機的状況となっていますが、本県はさきに策定した中期財政見通しの中で、平成17年度の県債残額を1兆3、400億円と見込み、事務事業の見直しや行政改革の徹底、さらには財政調整基金の取り崩しなどで対応し財政危機を克服できるとしておりますが、大変心配をしているところでございます。そこでお伺いをしてまいりますが、新しい総合計画の実現に向けた財政運営についての基本姿勢についてもお示しをいただきたいと思います。

〇武居総務部長 県税収入の今後の見通し等についてのお尋ねでございますが、平成11年度の県税収入の見通しにつきましては、10月末の調定状況を見ますと、個人県民税につきましては、定額による特別減税から定率による恒久的な減税に改められたことによりまして前年度を上回っております。一方、法人事業税につきましては、税率引き下げ等の影響で前年度を下回っていることから、県税全体では1.7%の減と前年度を下回って推移しているところでございます。平成11年度の当初予算との比較で見ますと、10月末現在の調定実績の先ほど申し上げましたところの伸び率1.7%減は、当初の予算段階で7%減と見込んでいたところでございまして、それから見ますと5.3ポイント上回っている形にはなっておりますが、今後、法人事業税の落ち込みが予想されるなど、現時点におきましては的確に見通すことが困難な面もございますが、最終的には当初予算額は確保できる見通しでいるところでございます。
 それから、税収確保対策についてでございますが、収入未済額が平成10年度末におきまして15億4、000万円余あったわけでございまして、こういったものの縮減と新たな滞納の防止というものが収納率の向上につながると考えているところでございまして、個人県民税それから自動車税、それから長期・大口滞納を重点といたしまして、滞納整理特別対策要綱を策定し、地方振興局に示して滞納整理に努めているところであります。
 それから続きまして、新しい総合計画実現に向けました財政運営の基本姿勢ということでございますが、これは従来ありました中期財政見通しをこの10月に改めて見直しまして新しい中期財政見通しを策定したところでございまして、この中では、極めて厳しい財政事情ではございますが、基金の活用でありますとか交付税措置のある優良起債の導入等の財源調整を図ることと、それからもう一点でございますが、行政改革の一層の推進などの財政健全化努力によりまして、新しい総合計画に掲げる諸施策の着実な推進を可能とする財政運営を道筋として示したものでございます。今後は中期財政見通しを踏まえまして、財政健全化目標の達成を図りながら、新しい総合計画の実現に努めていくこととなるわけでございますが、この見通しは現行の制度をもとにつくったものでございますことから、今後の経済情勢でありますとか国の財政構造改革への取り組み動向、さらには地方財政対策の動向を見きわめながら、随時見直しを行っていく必要があるものと考えております。
 したがいまして、今後、新しい総合計画の推進に当たりましては、平成17年度までの間にあって、その時々の経済情勢でございますとか、あるいは地方財政対策の動向等、県財政を取り巻く環境を踏まえながら、適時適切に財政見通しの見直しを行っていく必要があると考えてございますし、一方で、新しい総合計画におきましても、このような国のさまざまな動向を踏まえて、必要な見直しを加えるというふうな規定が新しい総合計画の側にも盛り込まさせていただいておるところでございまして、このような両面から必要な調整を加えて計画の目標の実現に向けて努力してまいりたいと考えてございます。
 当面これからの私ども財政サイドからの作業といたしましては、これから県債残高のことがいろいろと議論されているところでございますので、現在ある県債残高に見合って獲得されてまいりました社会資本等のストックでありますとか、これから整備されていきますストック、そういったものをバランスシートの形で作成いたしましてそれの適切な管理を行う中で、また財政対策などで有利な財政措置が活用できる場合は、そういったストックを当面平成17年度の中で全体としてどういうふうに整備するかと、前倒し可能なものは前倒し可能で行ってまいりますし、若干それによりましてむしろ年度間調整を図った方がいいものは年度間調整を図るということで適切な対応をしてまいりたいと考えております。

〇伊沢委員 財政の部分で大変御努力をしているのはわかるわけです。何度も私取り上げてきましたが、今回のこの中期見通しも含めて将来的に残高が下がるよという部分があればいいんですが、右肩上がりでどんどん上がっている。知事は、右肩上がりの経済は期待できないという部分があるわけですので、これは予算委員会も含めて続けてまいりたいと思いますので、問題があるなということだけ御指摘をさせていただきたいと思います。
 次に、中小企業の振興策についてお伺いしてまいります。
 平成10年度は年度途中にいわて緊急経済対策資金を創設するなどして、厳しい金融環境にある中小企業に対する支援を行い、多くの中小企業の経営支援に寄与してきたものと考えられますけれども、国及び県が行ってきた種々の支援策の実績と、融資を受けた企業の経営状況についてどのように把握しているのかお伺いいたします。
 また、今年度も引き続き支援策を行っていると存じますが、県に対する最近の経営相談の内容はどういうものになっているんでしょうか。それらについてもお示しをいただきたいと思います。

〇千葉副知事 平成10年7月から取り扱いを開始いたしました県単のいわて緊急経済対策資金の利用実績は、件数で3、041件、金額にして392億9、100万円余でございます。また、10月から取り扱いを開始いたしました国の中小企業金融安定化特別保証制度の利用実績は、平成10年度は、件数で7、086件、金額にして1、065億2、100万円余でございます。平成11年度、これは10月末でございますけれども、件数で1、481件、金額にして174億1、500万円余となっております。
 企業の経営状況でございますけれども、県と商工団体が、本年11月上旬に県内中小企業216社を対象に経営の実態調査をいたしました。国、県の制度資金・特別保証を利用していると回答した企業は103社でございました。このうち、売り上げが増加している企業は23社で22%、減少企業は47社で45%、売上減少企業が売上増加企業の2倍もあったわけでございます。制度資金を利用したものの、依然として厳しい経営状況が続いているものと認識しているものでございます。
 県に対する最近の経営相談の内容でございますけれども、長引く不況と経営環境の大きな変化の中で、売上高の減少への歯どめ対策や不採算店舗や商品構成の見直し対策、コストダウン対策等の相談が多くなっております。また、先行き不透明な経済状況を反映して、中長期的経営のあり方についての相談も目立っているところでございます。こういった経営不振企業の相談が多い中にありまして、ISOの認証取得の相談や工場拡張計画の相談等、経営革新についての積極的な相談もあるわけでございまして、引き続ききめ細かな相談に対応していきたいと考えております。

〇伊沢委員 大変な状況の中で皆さん苦労されているという部分で、経営相談も含めて御努力を傾注していただきたいと思っております。
 次に、雇用対策について伺います。
 国内経済の低迷が続く中、企業は、競争力の増強を図るため、リストラの名のもとに希望退職や新規採用の見送りなどによって完全失業者が全国で300万人を超えており、超えてから久しい状況が続いてきております。このことは県内においても例外ではなくて、平成10年度の有効求人倍率は0.53倍でありましたが、本年10月現在では0.50倍と落ち込んできているところであります。現時点における来年度の新規学卒者の厳しい就職状況にもこれらのことがあらわれていると思います。この結果、生活の先行きに不安を感じるために消費全体が冷え込み、さらに経済状況の悪化をもたらす悪循環となってあらわれているものではないかと考えられるところであります。
 このような中にあって、県は、昨年度どのような雇用対策を実施したのか、また、今後の対応策についてもお示しいただきたいと思います。

〇千葉副知事 昨年度の雇用対策の関係でございますけれども、まず、雇用の維持、安定対策といたしまして、雇用調整助成金制度の活用をしたところでございます。これは、事業活動の縮小を余儀なくされ、休業あるいは出向等を行った事業主に対してこの制度活用を指導したところでございます。それから、各職業安定所に職業アドバイザー等を配置いたしまして、求人の開拓を図ったところでございます。また、採用枠の拡大要請を主要経済団体や個別企業3、000社に実施いたしまして、再就職の促進を図ったところでございます。
 雇用機会の増大策といたしましては、久慈地域を雇用増大促進地域としての指定を受け、地域雇用開発助成金の活用による雇用拡大に努めたところでございます。なお、国への要望活動が実りまして、釜石・宮古地域も指定を受けることができたところでございます。
 また、創業、異業種進出など新分野進出等に伴い労働者を雇い入れた個別中小企業者に、中小企業雇用創出人材確保助成金制度の活用をしていただくなどの施策を講じたところでございます。
 今後の雇用対策といたしましては、今までの雇用対策に加えまして、求人の確保を重点に取り組むこととしておりますが、特に、現下の雇用環境が厳しい新規学卒者や中高年の再就職を促進するため、県内約2万4、000社を対象としての採用意向調査を実施するほか、新規学卒者に対しましては、各職業安定所に特別相談窓口を設置いたしまして、生徒、担当教師、保護者との個別職業相談の実施、生徒の希望に応じた個別求人開拓の実施、就職面接会の開催の拡充、平成10年度は1回でございましたけれども、平成11年度は4回実施しております。こういったことを実施いたしまして、就職機会の確保に努めているところでございます。
 また、中高年者に対しましては、緊急地域就職促進プロジェクトや緊急中高年再就職促進訓練の実施によりまして、職業能力の開発に努めまして再就職の促進を図っているところでございます。

〇伊沢委員 雇用調整助成金は国の施策だったと思います。私は、前にも県としていろいろなことがないのかということで指摘したことがあったので、ぜひ御検討をお願い申し上げたいと思います。
 次に、企業立地に向けた施策の展開状況について伺います。
 自主財源の確保と雇用対策に向けて、企業立地に向けた諸施策の推進は不可欠であります。工業団地等の工業立地基盤の整備を進め、企業誘致においても積極的に進めてきており、その努力を多とするものでございますが、昨年度における工業基盤整備事業の推進状況と、県内への企業誘致の状況についてお示しいただきたいと思います。
 また、地域企業の育成策として進めてきている産学官による共同研究について、今後も積極的に進める必要があると考えますが、これまでの取り組みの状況と成果について改めてお示しいただきたいと思います。

〇千葉副知事 昨年度におきます工業立地基盤の整備の状況でございますけれども、二戸地区拠点工業団地につきましては、県土地開発公社が事業主体となりまして平成7年度に整備着手いたしまして、平成10年度に総面積15.6ヘクタールすべての整備が完了しております。また、ここには既に2社が立地済みでございます。
 盛岡西リサーチパークにつきましては、地域振興整備公団によりまして平成6年度に整備着手いたしまして、平成10年度に総面積14.6ヘクタールすべて整備が完了しております。ここには既に1社立地済みでございます。
 北上産業業務団地につきましては、同じく地域振興整備公団によりまして平成5年度に整備着手いたしまして、平成10年度に総面積37.4ヘクタールすべての整備を完了したところでございます。ここには3社が立地済みとなっております。
 昨年度における県内への企業誘致の状況でございますけれども、経済の長期低迷を反映いたしまして全国的に厳しい状況にあるわけでございますけれども、平成10年度における立地件数は3件となっているところでございます。厳しい経済環境ではございますけれども、今後とも引き続き優良企業の誘致に努めてまいりたいと考えております。
 次に、産学官による共同研究の状況でございますけれども、共同研究の取り組み事例といたしましては、岩手大学や工業技術センターが中心となりまして共同開発を進めております次世代の金型製造プロセスの開発というものが1件ございます。それから、産業化を目的とした、軽量でかつ強靭な鋳鉄の実用化の開発、それから、県内中小企業の共同研究の促進を目的とした産学官共同研究促進事業による73テーマの共同研究、こういった事柄が取り上げられているわけでございますけれども、いずれにしましても、基礎から産業化に至る多様な共同研究を推進しているところでございます。
 共同研究の成果でございますけれども、コストの低減を図ります金型の製造システムの開発など、実用化に向けた研究が着実に進んでおります。また、樹脂を成形する金型の寿命を20倍にも延ばした技術や自動車用ミラーの曇りどめ技術など、研究成果が企業に利用され、事業化されているところでございます。
 今後とも、産学官連携による共同研究を積極的に推進するとともに、研究成果の技術移転を図るなど、技術開発力を持った企業の育成に努めてまいりたいと考えております。

〇伊沢委員 厳しい経済状況の中、いわば冬に種をまいたと思います。温室なり、いろいろなことを含めて芽が出せるような、そういう施策の展開をお願いしたいと思います。
 次に、機構改革について、農政部の例を挙げてお伺いしてまいりたいと思います。
 岩手県の基幹産業として、農業、その後継者を育てていくことは重要なことであり、そのためにも農業で生計が立つ諸条件の整備が必要となります。特に農業改良普及センターや家畜保健衛生所を中心に、農業従事者に対して技術指導や経営指導を含め、これまで大きな成果を上げてきていると思われます。
 昨年度、農政部の機構改革で普及センター並びに家畜保健衛生所の再編整備が進められました。再編整備に当たっては、この事前の段階で、普及センターの駐在の廃止や家畜保健衛生所の担当区域が広範囲になるために、農業関係者の中からも指導回数減少などに伴う不満が出てくるのではないかと心配する声もあったわけであります。地方振興局との連携強化も視野に入れた機構改革であったと承知しておりますが、再編整備後、当初懸念されたこのような問題について指摘はなかったのでしょうか。また、この間の事業遂行に当たっての問題点とか成果について御所見をお伺いしたいと思います。

〇千葉副知事 まず、農業改良普及センターの関係でございますけれども、普及指導活動の専門性、総合性の機能を充実させ、地域農政の一体的推進を図るため、17カ所から12カ所に再編いたしまして、地方振興局関係部署と連携しながら業務執行している状況にございます。専門担当職員を複数配置したことによりまして、技術の多様化、高度化あるいは広域的な普及活動に対応できることになっております。その反面、広域化に伴う現地指導の低下の声も聞かれているところでございまして、連絡拠点を設けたり、巡回活動の充実を図るなど、農業者の利便性を損なわないよう、引き続き適時適切な情報提供や、農協、市町村との日常的な連絡調整に努めているところでございます。
 いずれにしましても、地域農政を総合的に推進するためには、今後とも地域の農業者の声を十分に聞きながら機動的に対応していくとともに、農協、市町村と一層の連携を図り、農業課題への適切な対応と農業者へのきめ細かい指導に努めてまいりたいと考えております。
 また、家畜保健衛生所の関係でございますけれども、これは、8カ所を4カ所に統合して体制強化をしたことによりまして、専門性が高まるとともに、総合的、効率的に業務執行ができることになりました。また、緊急防疫時に、集中的に職員を動員するなどして、短期間での防疫活動ができるようになったところでございます。
 統合に伴いまして、管轄区域が広範囲になったことによりサービスが低下することのないよう、地方振興局の初動体制を整えるとともに、計画的な巡回衛生指導を実施しながら、地域に密着した家畜保健衛生業務の執行に努めているところでございます。

〇伊沢委員 若干問題があったという部分もあるわけですが、そのほかの機構改革もあったわけであります。ぜひ精査をしながら、振り返ってみて今後の対策を進めていただきたいと思います。
 次に、三陸鉄道の運営と並行在来線に関連してお伺いいたします。
 三陸鉄道の経営安定化に向けて、平成10年度は運営費補助金等が支出されております。開業以来15年を経て、当初は経常利益を上げていたものの、ここ数年は赤字経営が続き、大変厳しい状況であると伺っております。
 そこで、県として三陸鉄道開業以来の運営をどのように分析し、この教訓を現在検討している東北本線盛岡以北の並行在来線にどのように生かしていくつもりなのかお伺いしたいと思います。
 また、並行在来線については各地で住民説明会を開催し、具体的に経営分離の対応に入ったものと認識しております。貨物輸送の輸送費用負担問題等未解決な部分もあります。岩手と青森県の相互乗り入れの問題も含めた連携強化が重要と思われます。この際、両県のこれまでの協議の状況、今後の連携強化に向けた基本姿勢についてお示し願いたいと思います。

〇渡辺企画振興部長 まず、三陸鉄道の開業以来の運営をどのように分析しているかということでございますが、三陸鉄道は、御案内のとおり、昭和59年4月に全国初の第三セクター鉄道として開業したところでございますが、その後、運行本数を大幅に増便したほか、宮古・釜石間のJR線への相互乗り入れによる南北リアス線直通運行の実現、レトロ調列車の運行、仙台直通列車リアス・シーライナーの運行など、利用者の利便性の向上、魅力のある列車の運行に努めてまいったところでございます。
 一方、三陸鉄道は、鉄道資産の無償借り受けあるいは特定地方交通線に係る転換交付金を原資とした三陸鉄道運営助成基金の設置など、比較的恵まれた条件でございました。しかしながら、徹底した経費の節減とあわせて、運賃の改定も行う等々、健全経営の確保に努めてまいったところでございます。それにもかかわらず、開業年度に268万人余りあった利用者は、その後、マイカーの普及、沿線人口の減少、少子化等によりまして平成10年度には155万人余と大幅に減少し、平成6年度以降5年連続で経常赤字を計上するなど、その経営は厳しい状況にあるところでございます。この傾向は今後なお続くものという見込みをしてございます。
 それから、これまで運行してきた三陸鉄道の教訓を、今、いろいろと対応をしてございますが、これからの並行在来線の対策にどのように生かしていくのかということでございます。
 並行在来線対策を推進するに当たって、地元の力を結集して鉄道会社を設立し、今日まで運営してきた三陸鉄道の事例は多くの示唆に富み、そして、貴重な教訓を与えてくれるものと認識してございます。
 三陸鉄道から学ぶべきもの、これは教訓として多くあるわけでございますが、主要なものについて申し上げますと、まず第1に、マイレール意識の重要性が挙げられます。三陸鉄道は沿線住民の強いマイレール意識に支えられて開業したところでございますが、それでも近年ではマイカーの利用が増加し、沿線人口の減少率を上回って鉄道利用者数が減少する傾向が見られ、三陸鉄道においてもマイレール意識の再喚起が求められてございます。並行在来線は、現行の東北線が経営分離され、それを地元が引き受ける形でスタートすることから、より厳しい経営が見込まれます。より一層のマイレール意識の喚起、高揚を図る必要があると考えてございます。このため、並行在来線の基本方針を策定する過程においては、当初から県と沿線市町村が一体となりまして議論を積み重ねてきたほか、その内容を広く公表して住民の皆様方の関心を高めてきたところでございます。また、鉄道を住民にとってより身近で魅力のあるものとするために、列車本数の増発や快速列車の導入等により輸送サービスの向上を目指してまいりたい。ここも三鉄の教訓に学んだものでございます。
 2点目に、運営経費の節減が挙げられます。三陸鉄道は徹底した経費の節減に努めてまいりました。その結果、経費の水準は、全国の第三セクター鉄道の中で最も低いランクに位置づけられてございます。三陸鉄道と並行在来線は、鉄道資産の状況であるとか線路形態等に違いはございますが、並行在来線の経営を維持するためには経費の大幅な削減が至上命題となっているところでございまして、こうしたことから、三陸鉄道を一つのモデルとしながら、今後の経営計画の策定にこれを反映させていきたいと考えてございます。
 3点目は、県、市町村による沿線開発への取り組みについてでございます。三陸鉄道は、沿線の開発等によって利用促進を図るため、開業以来二つの駅を設置したところでございますし、そのほかに、駅及び駅周辺への公共施設の建設を促進し、利用者の増加に一定の成果を上げてまいったところでございます。並行在来線の運営に当たりましては、こうした経験を生かし、県と市町村が連携をとりながら、新駅の設置であるとか既存駅舎の改良であるとか駅周辺への公共施設の配置であるとか、さらには、駐車場、駐輪場の整備によるパーク・アンド・ライドの推進等を積極的に行ってまいりたいと考えてございます。
 このほか、企画列車の運行による新たな需要創出に向けた取り組みなど、今後の並行在来線の運営に参考となる事例は多くございますので、身近な先例として、三陸鉄道の経緯、経験を十分に生かしてまいりたいと考えてございます。
 それから、並行在来線につきまして、これまでの青森県との協議状況と今後の連携強化に向けた基本姿勢ということでございますが、東北本線盛岡・八戸間の経営分離後の鉄道輸送のあり方を検討するに当たりましては、青森県との連携協調が必要不可欠であると認識いたしてございます。こうしたことから、基本方針の策定を初め、国、JR東日本、あるいは問題のJR貨物への対応等を話し合うため、青森県とは本年4月以降、頻繁に両県での協議を重ねてきたところでございます。とりわけ本年7月には両県の知事による会談を開催し、基本的な考え方の調整を図ったほか、節目節目には、私も含め責任ある職員同士で協議を行うなど、十分な意見交換を図って意思統一に努めてきたところでございます。
 今後の対応につきましては、経営区間を分け、両県がそれぞれの県内分を責任を持って運営するとしたことから、基本的には、それぞれの経営理念のもとで地域に根差した経営計画の策定を進めていくことになりますが、一方におきまして、例えば鉄道貨物問題であるとかJRからの資産譲渡問題など、早急に解決しなければならない両県共通の課題も山積しておりますので、青森県との連携協調は一層重要になるものと認識いたしてございます。
 これら共通の課題につきましては、去る7月の両県知事会談での合意に基づいて、両県が共同して国への要望やJRとの折衝を行うこととしているほか、相互乗り入れや線路保守の共同実施に向けた検討など、相互に支援、協力を行いながら開業準備を進めることとしてございます。
 今後とも、鉄路の一体性あるいは両県民の利便性の確保、向上に向け、この連携を強化してまいりたいと考えてございます。

〇上澤副委員長 この際、進行に御協力を願うため、答弁は要点を絞って簡潔に願います。

〇伊沢委員 最後に、県政に対する県民の信頼回復について伺います。
 この際、奥産道問題とか公金の不適正処理問題、そして、このたびの大迫町の補助事業に係る補助金執行の不適正処理など県民の信頼を損ねる事案が生じています。それぞれの事案、事件の中には職員個人の資質にかかわる問題もありますけれども、業務量に見合った十分な職員配置がなされないことから、担当職員が業務全般に対応できないために生じた事例もあるように私は見てまいりました。職員一人一人は県勢発展のために奮闘しており、今後の県政推進に当たって、自信を持って県民に対応できるよう、単に管理体制の強化や研修のみではこれらの問題は解決できないと思います。組織が一丸となった対策を講じる必要があると考えますが、いかがでしょうか。副知事の御所見をお願い申し上げます。

〇千葉副知事 御指摘のありましたそれぞれの事件につきましては、これまでの調査によりますと、共通した問題点といたしまして、関係法令や事務処理規程等の遵守など基本的事項が徹底されていなかったこと、あるいは管理監督者による業務のチェック機能が働かなかったこと、県と市町村間での進行管理に厳正さを欠いたことなどが挙げられております。また、事務処理に問題点を見出した際の迅速かつ適切な処理がなされなかったことも挙げられているところでございます。
 今後、それぞれの事件に関する調査結果も踏まえまして、職員の公務意識の向上を初め、事務処理規程にのっとった厳正な事務の執行、管理監督者の日ごろからの適切な進行管理の実施などについて、本庁、地方振興局等すべての組織にその徹底を図ることは無論のこと、本庁と地方振興局あるいは職員相互の情報の共有化の一層の推進、事務処理について組織内で十分に相談、協議ができる職場環境の整備、業務の繁閑に応じた係、課、部などの組織を超えた柔軟な人員配置の実施など、職員一人一人が業務遂行に当たって持てる力を十分に発揮できるよう、組織を挙げて取り組んでまいりたいと考えます。
 また、市町村に対しましても厳正な事業執行と内部のチェック体制の強化を要請するとともに、情報の共有などによる信頼関係の醸成に努めまして、地域づくりのパートナーとしての使命を果たしていくことができるよう取り組んでまいりたいと考えます。

〇伊沢委員 9年度から10年度に407億円もの繰越明許があり、これを10年度で2件を除いて全部処理しております。10年度の繰越明許費も大変多いものがあります。年度末まで頑張るという部分があるわけであります。知事が言っているチームを含めた所内での、組織の中での連携を強化しながら職員との連携プレーをぜひお願い申し上げまして10分間の質疑を終わらせていただきます。

〇斉藤委員 日本共産党の斉藤信です。簡潔に聞きますので、よろしくお願いします。
 雇用危機の打開について、98年度における県内の雇用・失業状況は具体的にどうなっているでしょうか。99年度の状況を含めて具体的に示していただきたい。
 二つ目、県内における企業リストラの状況はどうなっているでしょうか。全国的には大企業による異常なリストラが横行しています。県内への影響をどう把握しているでしょうか。主要100社、これで25万人のリストラ、日産が2万1、000人、NTT2万人、三菱自動車1万人、大銀行の統合など、この影響を示していただきたい。異常なリストラ解雇を規制すべきだと考えますが、いかがでしょうか。奥田トヨタ会長は、経営者よ、首を切るなら切腹をせよと、これが大きな話題になっていますが、どう受けとめているでしょうか。
 新たな雇用の拡大について、社会経済生産性本部、これは財界のシンクタンクでありますけれども、この試算によると、サービス残業をなくせば90万人、残業をなくせば170万人、あわせて260万人の雇用効果があると指摘しています。岩手県内の労働者のサービス残業と残業の実態はどうなっているでしょうか。このサービス残業、残業をなくせば県内でどれだけの雇用効果が見込まれるでしょうか。

〇千葉副知事 平成10年度の新規求職申し込み件数は8万6、109人で、前年度比8.8%増、また、有効求職者数は33万3、297人で、前年度比15.3%増でございます。本年度10月までの状況は、新規求職申し込み件数が5万1、015人で、前年同期比0.7%の増、有効求職者数は20万3、204人で、前年同期比4.3%の増となっております。平成10年度新規常用求職者のうち、在職者と無業者で24.3%、被雇用者が75.7%で、うち事業主都合による離職者が33.7%でございます。本年度は、在職者と無業者で25.0%、被雇用者が75.0%で、うち事業主都合による離職者が34.2%でございます。昨年度の新規学卒者の状況は、高校は、求職者5、702人、求人数が1万1、284人、就職者が5、669人で、大学は、求職者が1、168人、求人数が8、965人、就職者が952人となっております。また、本年度は、10月末現在で、高校は、求職者が4、925人、求人数が6、780人、就職内定者が2、829人で、大学は、求職者が1、188人、求人数が9、322人、就職内定者が545人でございます。
 県内における企業リストラの状況についてでございますけれども、一時に5人以上の従業員を解雇した企業は、平成11年10月末現在で78社、離職者数は1、480人で、前年同期と比べてそれぞれ19.6%、4.0%の減となっているものでございます。
 全国的な大企業によるリストラの県内への影響でございますけれども、日産自動車やNTT等において人員整理を含む経営合理化案等を発表したと聞いております。しかし、現段階でその詳細が明らかになっていないところから、本県の関連企業に対する影響については把握できない状況でございます。なおこれらの企業の動向について十分注視しているところでございます。
 企業のリストラ等の規制につきましては、企業経営の根幹にかかわる問題でもございますので、自由経済体制の中にあっては困難であると考えます。
 次に、雇用危機の打開についてでございますけれども、県内労働者の残業の実態と残業をなくした場合の雇用効果についてでございますが、平成10年における県内労働者の総労働時間は、労働省が調査しました毎月勤労統計調査によれば1、931時間で、その内訳は、所定内労働時間は1、807時間、所定外労働時間は124時間となっております。なお、この調査においては、サービス残業がどの程度になっているかは調査されていないところでございます。
 毎月勤労統計調査において、所定外労働時間は所定内労働時間の6.9%弱になっておりまして、平成10年度における県内の平均常用労働者数が約41万3、000人であるところから、所定外労働をなくしたとして単純計算すれば、約2万8、000人相当となるところでございます。

〇斉藤委員 今の不況の矛盾の集中点は、雇用危機、失業です。これはどういう形になっているかというと、大企業が黒字でもどんどんリストラする、政府がそれを応援する、ここに一番の問題があるわけです。例えば、これは全労連が調査したわけですけれども、大企業430社、1年間で内部留保を3兆7、000億円ふやして8万738人、人を減らしているんです。赤字で減らしているんじゃないんです。減収増益という体制をつくっているんですね。これを規制しなかったら、私は本当の雇用対策にならないと思います。例えば日産の場合でも、盛岡市内だけで事業所が12事業所、704人働いています。これを放置したら、どんなに行政が手を打ってもざるで水をくむようなものです。そういう点で、この大企業のリストラについて、事前に報告を聞くとか対応するとか、そういうことをひとつ考えていただきたい。
 私は、自治体がやれる雇用拡大策について次に取り上げます。
 県庁職員の場合、1人当たり約10時間のサービス残業で、残業時間は1人平均約22時間となっていますが、残業をやめて新規職員で対応するとすれば、どれだけの人員増となるでしょうか。
 防災対策の強化充実が求められています。消防職員の基準人員を確保するとすれば、あと何人の増員が必要でしょうか。私は、計画的に基準人員を確保増員すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 教育も大変深刻です。30人学級を実現するとすれば、小・中・高それぞれでどれだけの教員が必要でしょうか。98年度から99年度の教員の減少、その状況はどうなっているでしょうか。
 岩手大学教育学部の教員採用状況は、受験希望者に対して採用数はどうなっているでしょうか。

〇武居総務部長 県職員の新規職員の残業に関連した対応につきましての御質問がございましたが、超勤をやめて新規職員で対応することについてでございますが、この場合、採用に伴い、給与でありますとか共済費さらには退職手当などの経費が増加しますし、業務の繁閑に応じました弾力的、効率的な事務処理体制の確保上問題があること、さらには、業務を細分化することによりまして一貫した事務執行に支障が生ずるおそれがあること、また、公務への習熟度や専門技術性の水準が全体的に低下することなど、行政の効率性、継続性、専門性の確保などの観点から問題がありまして、超過勤務による業務について、超過勤務という部分だけとってそれを直ちに人員増に結びつけるということは適当ではございませんし、そのような計算をすることはなじまないものと考えているところでございます。
 それから、消防士の基準人員確保による人員増についてでございますが、県内における消防士の数は平成11年4月1日現在で1、907名となっておりまして、これは、消防庁が示している消防力の基準の消防吏員数2、777名に対しまして870名の不足、充足率が68.7%となっております。それから、消防力の整備につきましては、市町村におきまして、地域の実情に即して適正な人員配置が行われることが望ましいものと考えております。

〇千葉副知事 30人学級の実現による教員の必要数でございますけれども、仮に、本年5月1日現在の児童生徒数の状況で学級編制の基準を30人とした場合、小中学校では1、009学級増加いたしまして、それに伴って教員は1、310人の増加が見込まれます。また、高等学校では385学級増加いたしまして、教員は770人の増加が見込まれるものでございます。
 教員の減少の数でございますけれども、平成10年度から平成11年度にかけましては、小中学校において7、405人から7、289人と116人の減少、高等学校におきましては2、868人から2、823人と45人の減少でございます。
 岩手大学教育学部の採用状況でございますけれども、これは、社会的影響や大学への評価など懸念されるところから、答弁は差し控えさせていただきます。

〇斉藤委員 私の質問に総務部長は答えてないんですね。私は、是非を聞いたんじゃないんですよ。サービス残業を放置していていいんですか。サービス残業をなくしたらどれだけの人員が必要ですか。残業をなくしたらどれだけの新規の求人ができるかと、私はこのことを聞いているので、そのことを答えてください。
 それと、消防職員の人員増ですけれども、これは大変重要な問題です。私は実態を聞きましたけれども、これまでは週休2日制の対応でふえてきた。それも大体めどがついて、今、ぎりぎりの体制で、どこでもふやしてほしい。例えば救急車の出動は3人体制、隊長、隊員、運転手の体制なんだけれども、実際にはこの体制では出動できない。私は、基準人員まで、今、災害やいろいろな問題が多い中で、この消防職員の増員というのは緊急課題だと思いますけれども、改めてこの二つの点を総務部長に伺います。
 あわせて質問します。
 次は中小企業対策について、整備新幹線建設事業の県内企業発注比率については先日聞いてびっくりしました。平成11年度はわずか1.3%、平成10年度は17%だった。これまで500数十億円岩手県は負担金を出しているわけですが、これまで全体ではどの程度の県内発注比率になっているか示していただきたい。
 県の官公需の県内中小企業への発注額、発注比率はどうなっているでしょうか。ここ5年間の推移も示していただきたい。
 もう一つは、県内福祉作業所の連絡協議会が最近発足しました。官公需の発注状況はどうなっているでしょうか。私は、県が市町村を含めて強力に支援すべきと思いますが、今後の対策はどうなっているでしょうか。

〇武居総務部長 先ほどのお尋ねでございますが、委員の御質問の中に、自治体でやれる雇用対策という御質問がございましたので、前提をつけまして先ほどのような答えをさせていただいた次第でございます。
 単純にサービス残業を減らす問題につきましては、これは当然のことながら超勤の縮減策ともかかわってくる問題でございますので、何とも申し上げられない。鋭意私どもでは努力させていただきますが、単純に計算すれば、計算上は数百人のカウントができるということになるわけでございます。
 それから、消防士の基準人員の確保についてでございますが、これは、当然のことながら、消防組織法におきまして、市町村における責任と負担におきまして消防力の強化について行われるという規定になっているところでございますので、今後におきましても、地域の実情に即しながら、適正な人員措置の確保に向けまして努力がされることを期待しているところでございます。

〇渡辺企画振興部長 整備新幹線建設事業の県内企業への発注比率についてでございます。
 事業主体でございます日本鉄道建設公団によりますと、盛岡・八戸間の土木工事はすべて複数社による特定企業共同体への発注となってございますが、そのうち、県内企業が参画している特定企業共同体への発注状況は、98年度、99年度も含めたこれまでの合計発注件数109件のうち16件、金額ベースでは約1、631億円のうち11.5%の約187億円となっていると伺っているところでございます。

〇千葉副知事 県の官公需の平成10年度の中小企業向けの発注額は2、132億9、000万円余でございまして、発注比率は76.9%でございます。5年間の発注比率の推移でございますけれども、平成6年度が74.4%、平成7年度が77.4%、平成8年度が73.2%、平成9年度が70.7%、平成10年度は、先ほど申し上げましたとおり76.9%でございます。
 次に、福祉作業所への県官公需の発注でございますけれども、障害者の作業所は、今のところ官公需に対応した製品を製造しているところが少なく、県の競争入札参加資格者として登録している作業所はないということで、実績はないということでございます。

〇斉藤委員 官公需の場合、10%県内中小企業発注比率を高めるだけで280億円、県内中小企業に仕事をふやせるんですね。これまでどういう努力をしてきたのか。私が予算のときに聞いたとき、最大限努力するという答弁でしたよ。どういう努力をしたのか。全国的には90%を超えてやっているところが数県ありますよ。それと、60%以下の低い部局の原因は何でしょうか。
 今、大企業がリストラで人を減らす、公務員も人をふやさないでどんどん人員削減したら、雇用問題なんか絶対解決できませんよ。私は、本当に必要な人員はどんどん確保していくという対策をとらなければだめだということを指摘しておきます。
 次に、介護保険制度の現状と改善について、政府の特別対策について、これは、介護保険制度に問題ありと首相が言っているように、保険あって介護なしの深刻な状況を認めたものと考えますが、どうとらえているでしょうか。
 保険料徴収凍結期間中に介護基盤整備を抜本的に強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 具体的にお聞きします。特養ホームの入所待機者を含め、介護保険施設サービスの必要数はどうなっているでしょうか。希望する高齢者がすべて入所できるでしょうか。政府は、市町村の要望があれば対応すると我々の政府交渉に答えていますが、県内の特養ホーム設置の要望は何市町村、何施設となっているでしょうか。
 要介護度別の利用率はどうなっているでしょうか。在宅サービスの利用率はそれぞれどうなっているか、利用率の設定の根拠はどこでしょうか。
 居宅サービス事業者の申請は、新聞報道によると、11月15日現在14件にとどまっているとなっていますが、民間任せで本当に対応できるんでしょうか。現状を示していただきたい。
 ホームヘルパーや他の介護職員の増員はどう見込まれているでしょうか。

〇千葉副知事 介護保険制度の政府の特別対策の関係でございますけれども、今回の特別対策につきましては、国民が新しい制度のもとで、要介護認定などの手続や介護サービスの利用方法、新たな保険料の負担などになれるために配慮された措置と認識しております。県といたしましては、県民の方々に対しまして、制度の趣旨や仕組み等を十分に御理解いただけるよう、市町村と一体となって、より一層の取り組みをしてまいりたいと考えます。
 介護保険施設サービスの関係でございますけれども、介護保険施設サービスの必要数は、在宅で特別養護老人ホームに入所を希望している要介護の方々も含めまして、平成12年度1万1、777人と見込んでいるところでございます。特別養護老人ホームにつきましては、平成11年9月末現在の在宅での待機者が287人でございまして、それを上回る施設整備をしております。緊急に入所が必要な方の入所は確保されていると考えて なお、介護保険施設につきましては、計画に基づきまして、引き続き必要な整備を進めてまいります。
 県内の特養ホームの設置要望につきまして、施設整備要望は、国の2次補正に対応する分も含めまして、市町村に対しまして前倒しで整備するよう指導しながら、12月中にも取りまとめることといたしております。なお、現在把握しているものは、3市町、4施設でございます。
 要介護度別の平均利用希望率の関係でございますけれども、平成12年度において、訪問介護で要支援が66%、要介護1と要介護2がそれぞれ29%、要介護3が27%、要介護4が21%、要介護5が18%となっているところでございます。
 申請状況でございますけれども、既に指定したものも含めまして、現時点で居宅介護支援事業が164件、訪問介護事業が4件、訪問入浴介護事業、通所介護事業、通所リハビリテーション事業がそれぞれ2件、短期入所生活介護事業が4件、福祉用具貸与事業が5件となっております。
 なお、県と市町村が共同で行いました居宅介護サービス事業者参入意向調査によれば、おおむね必要量は確保される見通しとなっておりますけれども、地域によっては訪問看護、訪問リハビリテーションなど一部のサービスに不足が見込まれるところから、引き続き市町村の体制が整備されるよう指導してまいりたいと考えております。

〇斉藤委員 特養ホームの入所待機者、策定委員会のまとめた中間まとめでは、788人が在宅もしくは病院で待機していると、こういう数ですよ。そして、あれを見ると自立要支援が837人で、これを除いた数が必要人員と算定されているんですね。そうすると、本来5年間入れるのに、それを外した数で1万1、000人と出しているんじゃないですか。暫定期間中には入れないということになるんじゃないんですか。そのことを改めて示していただきたい。
 もう一つは、要介護度別の利用率を聞きました。要介護度が高くなるたびに利用率が減るわけです。例えば、要介護度が5の最重度の方々は18%しかサービスを利用しない。36万円の18%といったら、本当にこれではまともに自立できない水準じゃないですか。これは何を根拠にこうなっているんでしょうか。

〇千葉副知事 特養ホームの待機者の関係につきましては、先ほど申し上げましたとおり、平成11年9月末現在の状況で280人となっているところでございます。
 それから、先ほど申しましたとおり、利用希望率の関係でございますけれども、要介護5が18%となっているものでございます。これにつきましてはいろいろな事情があると思いますけれども、これは詳しく後から精査してみなければわかりませんけれども、従前から在宅介護の関係につきまして、家の中をのぞかれたくないという、そういう個人的な希望等もありまして、なかなか思うように進まない点もございます。いずれこの点については、機会がありましたら、また別の機会にお話し申し上げたいと思います。

〇斉藤委員 詳しくは部局でやらせていただいて、介護保険の最後に、保険料、利用料の減免について、保険料を払えない高齢者をどう見込んでいるでしょうか。私は、低所得者への恒久的減免措置が必要と考えますが、いかがでしょうか。市町村独自に減免条例を制定することは可能だと思いますが、いかがでしょうか。
 国保税世帯の場合、どれだけの介護保険料が上乗せされるんでしょうか。
 現在の滞納者、比率、滞納額、これを示していただきたい。
 滞納者への対応はどうなるんでしょうか。

〇千葉副知事 保険料を払えないかどうかにつきましては、高齢者の家族の状況や生活レベルなども関係してくるところから一概に言えないところでございまして、その把握は困難でございます。
 低所得者の保険料につきましては、保険料を所得段階別に設定することにより、配慮する措置が講じられることになっております。また、利用者負担につきましては、低所得者の毎月の負担上限額をより低く設定いたしまして、これを超える部分につきましては高額介護サービス費を支給する仕組みが講じられるという形になっております。
 介護保険導入に伴いますところの国保税の引き上げ額につきましては、国の試算では、月額1人当たり900円相当ふえるということになっているところでございます。
 また、平成10年度の滞納世帯数で申し上げますと、2万5、315世帯でございまして、国保加入世帯数22万2、690世帯に占める割合は11.37%でございます。
 滞納者への対応でございますけれども、本制度が相互扶助の理念に基づいた住民のための制度であることや、その必要性を十分に御理解いただき、御負担願うことが必要だと考えています。国保税が滞納となる方につきましては、法に基づきまして厳正な措置を講ずることになります。

〇斉藤委員 私は、本当に保険料、利用料を払えない方々への対応というのは極めて重要だと思います。こういう方々に対して法に基づいて厳正に措置するなどというのは、金がなければサービスも受けられない、命の保障がないということでしょう。
 具体的に聞きます。例えば特養ホーム、今、入っている人たちの所得水準、ゼロから年間12万円、これが183人います。12万1円から14万円まで、月2万円以下は11人います。こういう方々が、半額になったとしても保険料は払えるでしょうか。扶養義務者、市町村民税非課税の方々は、今、月額費用負担ゼロですが、898人います。国保税滞納者は2万5、315世帯います。今、軽減策は半分でしょう。こういう方々が新たに介護保険料を払えるんでしょうか、そのことを改めてお聞きしたい。

〇千葉副知事 ただいま御質問になった事項につきましての詳しい資料を私は現在持ち合わせておりませんので、部局審査の際に御質問願いたいと思います。

〇小野寺委員 公明党の小野寺好でございます。
 平成10年度一般会計決算の繰越額837億円及び不用額12億円について内容をお伺いいたします。
 土木費のように、計画調整に不測の日数を要したとか工法の変更などを理由に毎年繰越額を出すようでは予算計上の段階で無理をしていると思われますが、実情をお伺いいたします。
 また、県民からの要望の多い民生費にしても不用額が多額になっていますが、有効な予算執行という観点から、なぜこのようになっているのかお伺いいたします。財政硬直化の中で大いに反省すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、地域振興券の実施状況と効果についてお伺いいたします。
 冷え切った個人消費を回復させ、それぞれの地域経済を振興させるため、国の減税措置として、特定扶養控除の対象となっていない子、すなわち15歳以下の子を持つ家庭の世帯主及び一部の高齢者に対する地域振興券交付事業がありましたが、本県において、対象者のうち交付された率、使用された率、そして消費喚起としてのその直接的及び間接的効果についてお伺いいたします。

〇千葉副知事 決算額のうち繰越額と不用額について御答弁申し上げます。
 平成10年度決算の翌年度繰越額837億円余のうち、土木費と土木施設災害復旧費の翌年度への繰越額が413億円余となっております。前年度に比較いたしまして256億円余増加したところでございます。
 翌年度へ繰り越した主な理由でございますけれども、事業計画の地元調整あるいは他の事業との調整、新たな用地取得、補償処理等の困難、家屋移転に伴う移転先用地の選定などに不測の日数を要し、繰り越したものでございます。特にも平成10年度は、国の緊急経済対策に伴う本県への事業費の配分が12月中旬となったことから、事業計画の地元調整や地質調査結果等による工法の選択、検討などに不測の日数を要しまして、年度内の完成が困難となったため、緊急経済対策に係る補正分について大半が繰り越すことになったものでございます。
 今後とも、事業執行に当たりましては、事業の計画的な執行に配慮するとともに、早期に公共事業に対する地権者等の理解と協力を得るなど、極力年度内執行を図りながら、繰越額が減少するよう努力してまいりたいと考えます。
 それから、平成10年度決算における民生費の不用額は4億3、600万円ばかりでございます。その主なものは、身体障害者福祉費で、重度心身障害者の関係の医療助成費の1件当たりの給付額や身体障害者に対する日常生活用具給付とホームヘルプサービスなど各種サービスの利用実績の減で3、200万円余が不用額として出たわけでございます。それから、老人福祉費でございますけれども、老人ホーム入所者に係る措置費について9年度に不足が生じたため、10年度は不足しないように十分に配慮したところでございますが、実績がこれを下回ったものや、在宅高齢者に対する配食あるいは入浴サービスや老人ホームヘルプサービスなど各種サービスの利用実績の減で2億6、100万円余不用額を出したものでございます。児童措置費で、児童福祉施設の入所児童に係る医療費、就職支度費、一般生活費等の措置費が見込みを下回ったもので4、700万円余が不用額となったものでございます。民生費の場合、利用者の動向に左右されることもありまして、また福祉サービスの利用に不都合が生じないよう見込んでいることなどによって不用額が出たものでございますけれども、委員の御指摘のように有効な予算執行の観点に立ちまして、今後、適正な見通しのもとに予算計上をしてまいりたいと考えます。

〇渡辺企画振興部長 地域振興券についてでございますが、まずその実施状況でございます。県内の交付対象者は38万343人でございまして、このうち実際に交付を受けましたのは37万9、940人、交付率が99.9%でございました。交付金額が75億9、800万円でございました。それで、9月24日時点での調査でございますが、交付済み額の97%に当たります73億6、464万円が市町村に換金請求されているところでございます。
 次に、この地域振興券交付事業の効果についてでございますが、これはこの事業によってもたらされた効果につきまして、その時々の景気の動向であるとか、消費の動向であるとか、そういったさまざまな要因がありますことから数量的な把握は困難でございます。ただ、経済企画庁におきまして全国約9、000人の交付対象世帯に行ったアンケート調査、これをもとに試算して経済企画庁において去る8月6日に公表したところによりますと、地域振興券の交付によって年ベースでは2、025億円程度、GDPの個人消費で0.1%程度の消費の押し上げ効果があったものと推定されているところでございます。また、本県におきましても地元のそれぞれの商店街で、地域振興券交付事業を契機として、スタンプ倍増セールであるとか、抽選会などのイベントを行うなど、工夫を凝らした取り組みが見られるところでございまして、商店街の振興に対しても一定の効果はあったものと認識をいたしてございます。

〇小野寺(好)委員 定住外国人の基本的人権でありますが、地方参政権については国会で審議されるわけでありますが、地方公務員の採用に関して岩手県ではどのような扱いになっているのかお尋ねいたします。特に永住外国人の場合、人数の多寡ではない歴史的背景を持つ重要な問題ですので、現状と今後の課題をお伺いいたします。
 次に、北上川に係る問題についてお伺いいたします。
 旧松尾鉱山鉱廃水処理の国の費用負担が危ぶまれていますが、今後の見通しはいかがでしょうか。
 また、建設省の北上川水辺プラザ事業は地元自治体の意欲次第であると聞いていますが、県内11カ所はどのような状況になっていますか。
 もう一点ですが、一関遊水地事業の予定地内の農地には完成時に地役権が設定されると聞いておりますが、昨年8月末の水害では冠水した農作物はどのような扱いがされましたか。
 また、このとき隣接市での内水による個人被災者宅に対する救済はどうであったかお伺いいたします。

〇武居総務部長 御質問のありました定住外国人と職員採用の関係についてのお尋ねでございますが、いわゆる採用試験における国籍条項に係る問題につきましては、人事委員会とも深くかかわる問題でございまして、任命権者である知事部局としての考えを申し述べたいと思います。
 職員採用における国籍条項問題につきましては、従来から、公権力の行使または公の意思形成への参画に携わる公務員については、日本国籍が必要であるとの基本的考え方に基づいておりまして、このため、各職種ごとに、それぞれの職が公権力の行使または公の意思形成への参画に携わる職に該当するか否かについて、個別に判断しながら対応していく必要があるものと考えております。これまでも、このような観点に立ちまして検討を加え、職種により国籍条項を撤廃してきたところでありまして、最近では、平成9年度におきまして、保健婦と職業訓練指導員の国籍条項を撤廃したところであります。現在、知事部局におきましては、選考採用に係る13職種があるわけですが、このうち獣医師及び薬剤師を除く、医師、職業訓練指導員などの11職種について、国籍条項を撤廃しているところであります。
 また、現在、日本国籍を持たない職員は、知事部局におきましては県立大学教員が14名、そのほか医療局及び教育委員会において、医師などの専門的、技術的職種について7名、合計21名が在職しております。御質問のありました特別永住外国人につきましても、ただいま申し上げたとおり、他の定住外国人の方と同様に、職種により国籍条項が撤廃されている状況になっております。
 今後の対応につきましては、本年3月に策定しました人材育成ビジョンにおきまして、必ずしも日本国籍を有することを必要としない専門的、技術的な職種について、外国人に対し受験の機会を拡大するため、国籍要件の緩和を積極的に推進することとしているところでございまして、選考だけでなく試験職種のうち、心理、機械、栄養などの専門的、技術的な職種につきまして、国籍条項の撤廃が可能かどうか、ただいま申し上げましたような観点から検討しつつ、所管である人事委員会と協議を進めてまいりたいと考えております。

〇千葉副知事 松尾鉱山の補助金の関係でございますけれども、平成9年度の国の財政構造改革における補助金の一律削減問題が生じた際にも、重要な補助金として削減対象から除外された経緯がございます。こういった観点から言っても、来年度につきましても、本年度並みの予算措置が講じられるものと見ております。ただ、この中和処理の維持管理は半永久的に続くわけでございます。不安定な予算措置ということではなくて、恒久的な安定した制度の確立が図られるよう、今後とも国に強く要望してまいりたいと考えております。
 それから、水辺プラザ事業についてでございますけれども、当初11カ所でございましたけれども、その後石鳥谷がふえまして岩手県では12カ所整備予定になっております。それで、現在の整備状況でございますけれども、川崎、水沢、北上、花巻、石鳥谷、この5地区について整備あるいは整備中でございます。残りの箇所はまだ未定でございます。今後につきましては、川を軸とした交流の輪が広がるよう、未整備箇所の整備も含めて、水辺プラザ事業の促進を国に働きかけていきたいと考えます。
 それから、一関遊水地事業地域内の農作物の被害についてでございますけれども、現時点では、共済事業などにおいて他の地域の農作物と同じ取り扱いをなされるものでございまして、昨年の8月の水害についても、共済契約に基づきまして3割以上の減収被害があった組合員に対して共済組合から共済金が支払われたところでございます。
 それから、昨年の8月の水害による救済措置でございますけれども、住家の床上浸水は、一関が10世帯、平泉が2世帯、床下浸水が、一関が56世帯、平泉が2世帯という状況でございました。一関におきましては、避難所を設置し炊き出しを行ったほか、見舞金を支給したわけでございますけれども、平泉町においてはこのような措置は行わなかったというふうに承知いたしております。いずれにしましても災害救助法による救助については、法適用基準に該当しない規模であったため、適用しなかったものでございます。

〇小野寺(好)委員 次に、新しいエネルギー源の開発に関しては、さきの臨界事故をきっかけに自然エネルギーの普及が緊急性を求められております。風力発電についてはこのたびの一般質問でも質問がされましたが、現時点での発電コストに偏った県の姿勢には多少疑義を感じた次第であります。本県のように環境問題を重視する立場からは、風力発電、太陽光発電をもっと積極的になってしかりと思いますがいかがでしょうか。
 個人の太陽光発電に対する国の補助が2分の1から3分の1に引き下げられた際に県からの支援を提案いたしましたが、個人の資産形成を支援する結果となり好ましくない旨の御答弁をいただいたように記憶しております。国策との絡みもあり難しいと思いますが、県の今後の方針をお伺いいたします。

〇渡辺企画振興部長 本県における風力発電、太陽光発電への取り組み状況についてでございますが、本県におきましては、新エネルギービジョン、あるいは環境基本計画等々におきまして、豊かな地球環境を守るために新エネルギーの導入に積極的に取り組むこととしており、鋭意対応に努力しているところでございます。これまでの取り組みということでございますが、風力発電につきましては、本年6月に葛巻町袖山高原におきまして、第三セクター方式により1、200キロワットの売電目的の県内第1号プラントが運転を開始したほか、企業局では浄法寺町稲庭高原において2、000キロワット近い発電所の平成12年度着工を目指しまして今努めているところでございます。また、葛巻町の上外川牧場や釜石市の和山牧場では、県、地元関係者、民間事業者が協力し、さらに大きな風力発電プロジェクトに取り組んでいるところでございます。太陽光発電についてでございますが、県は平成10年度の2件、50キロワットの導入に続きまして、本年度から4カ年計画で40施設以上、総計450キロワット以上ということで、県内一円を対象とした先導的な事業に取り組んでいるところでございます。今後とも、県、市町村、事業者、そして県民が一体となりまして風力発電、太陽光発電の積極的導入に努めてまいります。
 それから、住宅用太陽光発電についてでございますが、国の2分の1補助が始まりましたのが平成6年度でございますが、その当時の設置コスト、これは世帯向け標準と言われる3キロワットのもので約600万円でございましたが、それが平成9年度におきましては300万円程度と、約半減したわけでございます。そして、このときに国の補助も3分の1補助に切りかえられるとともに、一方、予算枠の大幅な拡大が図られたところでございます。このことによりまして県内の導入実績は、これまで年間数件でございましたが、それが年間60件以上と飛躍的に増大してございまして、現在では設置コストがさらに270万円程度に低くなってございますので、年間100件に近づく情勢にあるところでございます。国におきましては、より安い素材で高品質を目指して量産技術の進展によるコスト低下をさらに進め、市場の自立化を急ぐこととしてございますので、県といたしましては、その動向をいち早く県民の皆様にお知らせし、かつ国の補助制度を十分活用できるよう、県営施設における先導的導入を初めとする普及啓発を一層進めてまいりたい、かように考えてございます。

〇小野寺(好)委員 個人住宅への太陽光発電装置設置、これについては県は支援する考えがないのかどうか、もう一度確認しておきたいと思います。
 次に、交通渋滞対策でありますが、あかずの踏切とか右折車で常に渋滞するのは県内およそどの程度あるのか、今後どのような計画がなされているのかお伺いいたします。
 建設省、運輸省は全国約1、000カ所をリストアップして解消に乗り出すと伺っていますが、本県の場合、これに該当する箇所はあるかどうかお伺いいたします。
 また、国道4号でありますが、今回も一般質問でお話がありましたけれども、盛岡の茨島跨線橋以北でありますが、これはもう議論に上って久しくなりますが、全然はっきりした見通しが立たない、一体これは議論されるようになってどのくらいの年数がたつものかお伺いしておきたいと思います。
 次に、県営住宅の入居率であります。平成10年3月末で90.4%と報道されておりますが、その後の入居率、収納率に変化があればお知らせいただきたいと思います。今議会で滞納者に対する提訴が提案されましたが、これは今後の県営住宅政策に影響するものなのかどうか。
 また、国は既存の公営住宅にエレベーターを設置する考えを発表しておりますが、本県の場合はどうなっていくのかあわせてお伺いいたします。

〇渡辺企画振興部長 住宅用太陽光発電につきましての対応についてでございますが、ただいま設置コスト等が次第に安くなってきております。そしてまた、国におきましては、より安い素材で高品質を目指し、そして量産技術の進展によるコスト低下に一層努めるということでございますので、県としてはその動向を県民の皆様方にできるだけ早く丁寧にお知らせし、そして国の補助制度を十分に活用できるように、その点に努めるとともに、県営施設における先導的導入等を初めとする普及啓発にまずもって力を入れてまいりたい、かように考えてございます。

〇千葉副知事 渋滞対策につきましては、道路管理者と公安委員会等が連携いたしまして、岩手県第3次渋滞対策プログラムを策定いたしまして、主要渋滞ポイント22カ所について、短期、長期の目標を定めまして、それぞれ分担しながら、バイパス整備、交差点改良などのハード、それから時差出勤、公共交通機関の利用促進のソフト面の両面で整備等に努めているところでございます。このプログラムの中には、お尋ねの1、000カ所に該当する箇所といたしまして、明治橋ふもと交差点等8カ所がリストアップされておりまして、既に国道45号宮古市神林交差点につきましては対策済みでございます。その他の箇所につきましても、引き続き積極的に取り組んでいるところでございます。
 茨島跨線橋以北の渋滞解消についてでございますけれども、茨島跨線橋以北の渋滞につきましては、巣子地区の人家連檐部におきまして、朝夕等の渋滞を引き起こしており、対策が必要な渋滞ポイントでございます。このため、抜本的な整備の方向性についての提言をいただく目的で、懇話会を設置し、具体的な道路構造等について議論をしております。地元の意見を踏まえまして、今後さらに検討することといたしております。県としても、自然環境との共生に十分配慮しながら関係機関との調整などを進めるなど、国などとともに早期整備が図られるよう努力しているところでございます。
 次に、県営住宅の入居の関係でございますけれども、県営住宅の入居率は、平成11年7月末現在で96.3%でございまして、平成10年4月末の90.4%と比較いたしまして5.9ポイント上昇しております。また、家賃の徴収率につきましては、平成10年度は94.7%でございまして、前年度と比べ0.4ポイント低下しております。今回、滞納者に対する訴訟を提起するのは、県営住宅制度の適正かつ公平な運用の確保を目的とするものでございまして、今後も著しく不適正な入居者に対しましては厳正な措置を講ずることとしております。
 それから、建設省では高齢社会に対応した既存公営住宅へのエレベーター設置を促進すべく、改修工事に合った低コストのエレベーターを開発中と聞いております。県といたしましてもその開発状況を踏まえまして、今後、導入について検討いたしたいと考えております。

〇小野寺(好)委員  何回も済みません。太陽光発電ですけれども、小規模で、しかもほとんどメンテナンスフリーと、こういうことを考えれば、将来的には自分の家の電力は自分の家の屋根でつくると、こういったのが望ましいかと思います。その上でぜひともやっぱり県の支援とかが必要になるかと思うんですが、ちょっと回りくどいように聞こえたんですが、結局やらないというふうな理解でよろしいんでしょうか。確認しておきたいと思います。
 茨島跨線橋以北なんですけれども、具体的に農水省とかと交渉しても全然らちが明かないんじゃないかと思うんですが、結局いわゆる政治決着みたいな、県の最高責任者が政治家を、そっちの方を動かすような形じゃないと見通しが立たないんじゃないかなと思いますが、こういった部分で副知事、もし御所見があればお伺いしたいと思います。
 次に、情報関係でありますけれども、高度情報化は県政課題でもありますが、県内のケーブルテレビ局の活用についてお考えがあればお伺いいたします。電話回線に比べ大容量、高速、双方向、こういったすぐれた特性があるわけですが、現在利用者が少なく三セクあるいは民間会社の経営ということで非常に難しいかとは思いますが、県のお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

〇千葉副知事 茨島以北の渋滞を解消するための道路改良の関係でございますけれども、政治力を使って解消するかということにつきましては、私自身も判断いたしかねます。なお、先ほど申し上げましたとおり、いずれにしましても懇話会を設置しまして今努力しているわけでございますので、それの懇話会のあれに任せたいと考えているところでございます。

〇渡辺企画振興部長 太陽光発電の問題につきましては、いずれ当面は普及啓発に努めながら、そしてその推移を見ながら対応してまいりたいと考えてございます。
 それから、ケーブルテレビの利用につきましてでございますが、どう考えるかと、ケーブルテレビ、近年の光ファイバー化やデジタル化の技術革新によって、大容量、高速、双方向といった機能を持つことが可能となってございますので、これからはさまざまな面で使われていくだろう、そう考えております。例えば、高速インターネット接続やデータの伝送などの通信サービス、あるいは遠隔医療や介護支援サービス、災害情報の提供サービス等々、新しい可能性が一層広がってくるものと認識をいたしてございます。そうしたことで現在どういうふうな対応をしていくかということにつきましては、このケーブルテレビのネットワークが大容量の情報を双方向で高速かつ安い値段で伝送する情報通信基盤として重要なものでございますので、今後その特徴を生かして、高度情報化社会にふさわしい質の高いサービスを、加入者に経済的な価格で提供することが期待されているところでございます。そうした観点から、これまでも実施してまいりましたが、今後とも、関係市町村やケーブルテレビ局等とも連携を図りながら、国の補助事業等の導入によりまして、新しい地域の情報発信発展基盤となりますケーブルテレビのネットワークの整備、こういったものに取り組んでまいりたいと考えてございます。

〇小野寺(好)委員 次に、福祉施策の関係でありますけれども、保育園の保育料、県内、市町村によって随分格差が広がっております。県はこれを今後とも是認していくのかどうかお伺いいたします。むしろ町村の方が非常に手厚くなっている、こういった現状にあるように思われます。こういった現状を見るとむしろ広域合併にとってこのような現状は合併にマイナスのように見えますけれどもいかがでしょうか。
 また、乳幼児医療費、こっちの無料化についても非常に格差が生じておりますが、これなんかも同じようなことが言えるんじゃないかと思いますが、県のお考えをお聞きしたいと思います。

〇千葉副知事 保育料は、国が定める保育料徴収基準額表に基づきまして、各市町村が独自に定めることになっております。したがって、市町村ごとに保育料が異なっているのが現状でございます。県といたしましては、保育料は各市町村がそれぞれの地域の実情を踏まえまして定めるものであるところから、保育料の格差の問題についても、各市町村が相互に意見交換、情報交換を行う中で、自主的に判断していくべきものでございます。県といたしましては、市町村の保育料の決定に資するため、市町村ごとの保育料徴収基準額に係る資料を作成、配布するなど、各種の情報提供に努めているところでございます。また、国に対しましては、保護者の負担が増大することのないよう、保育料徴収基準額表の改善について要望しているところでございます。
 また、乳幼児の医療費助成事業の関係でございますけれども、この格差は保育料と同じように地域の実情を踏まえた市町村の自主的な取り組みの結果のあらわれと考えております。県といたしましては、市町村において、乳幼児医療費助成事業が適切な事業として定着できるよう、各市町村の取り組み状況について情報の提供に努めていくこととしております。
 なお、これらの関係が合併に影響するかどうかということでございますけれども、今までの合併の事例を見ましても、国保税の問題あるいは水道料金の問題、いろいろ合併する町村で格差があった場合でも、それを克服して町村合併となっております。したがって、この保育料の格差等がありましても合併そのものに支障が生ずるという問題ではないと考えております。

〇小野寺(好)委員 最後に、農業政策について1点お伺いいたします。
 最先端の技術でありますが、クローン技術とか遺伝子組みかえ技術、こういったものに県は非常に胸を張って最先端を行っているというようなそういった姿勢をお聞きしたことがありますけれども、危険性が立証されていないから大丈夫と考えるのか、あるいは安全性が保障されていないからいけないと、こういうふうに考えるのか。全く結論が逆になりますけれども、県はこういった技術に対してどのようにお考えなのか、基本的なお考えをお聞きいたします。

〇千葉副知事 遺伝子組みかえ技術とクローン技術の基本的な考え方でございますけれども、これらの技術は、現在アメリカやヨーロッパを初めといたしまして、日本でも民間、国、県の試験研究機関が競い合いながら技術開発に取り組んでいる状況にございます。県といたしましては、産地間競争に打ち勝つためにも、世界に通ずる新しい技術の開発が重要であると考えているところから、生物工学研究センターや農業研究センターを中心として、これらの技術を駆使した新品種の開発や優良牛の造成などに積極的に取り組むこととしております。遺伝子組みかえ体の環境や健康に対する影響についてでございますけれども、各国では安全性の検討が行われているところでございます。我が国でも、食品の安全性確認の審査体制の見直しなどの動きもありますので、県といたしましては、国の動向を見きわめながら適切に対応するとともに、技術開発状況や安全性評価の情報について、今後とも、積極的に県民に提供してまいりたいと考えます。県が取り組んでおります受精卵クローン牛につきましては、国が安全性に問題がないとして一般牛と同様の出荷を認めているところでございますけれども、国公立試験研究機関が出荷する場合には、消費者が選択できるよう表示販売を指導しているところでございまして、県としてもこの指導に基づき適切に対応してまいりたいと考えております。

〇小野寺(好)委員 こういったクローン技術とか遺伝子組みかえ作物、こういったものは生工研とか農研センターの中だけにとどまっているものでしょうか、それとも出荷されているものなのかお伺いいたします。

〇千葉副知事 詳しいことは承知いたしておりませんけれども、基本的には生工研や農業研究センターでその研究に取り組んでいるということでございます。そこで生産されたものが出荷されているかどうかについては、残念ながら承知いたしておりません。

〇阿部(富)委員 県出資法人について、県は県出資等指導監督事務要綱の見直しなど各種見直しを図ることにしております。今日まで整理合理化が強調される余り出資法人の情報公開がおろそかにされたり、公共的な事務の外部委託の受け皿となり得る出資法人の活用が真剣に検討されてこなかったこと、また従来から指摘されてきた出資法人の役員に県幹部や職員、さらには退職県幹部が就任している法人については、その縮小、廃止についても十分対応されてこなかったと思います。必要に応じ出資法人の機能強化を図り、生え抜き職員が責任のある責務を果たせるよう推進することも必要ですが、県出資等法人の見直しをどのように行うのかお伺いします。

〇武居総務部長 県では、これまでも行政改革大綱に基づきまして、県出資等法人の統廃合や県からの派遣役員の引き揚げなどの整理合理化を行ってきているところでございますが、行財政改革をさらに推進するためということで、今回、聖域を設けることなく県出資等法人の見直しを行うこととしているところでございます。このため、これは既に行っておりますけれども、県出資等法人指導監督事務要綱を改正いたしまして、運営評価制度を新たに設けまして、県内に主な事務所を有する70法人の運営評価を行っているところでございます。この評価結果に基づきまして、統廃合や出資の引き揚げなどの整理合理化を推進していくわけでございますが、委員御指摘ございましたように、存続意義の認められる法人にあっては、やはりその目的や役割に即して機能が十分に発揮できるよう、そのようにしていくことも当然必要になってまいりますので、そのような方向でさまざまな見直しを図ってまいりたいと考えてございます。今後は外部有識者からなる専門調査員の評価も踏まえた上で見直しを行い、平成13年度までを集中推進期間として重点的に取り組むこととしております。
 なお、先ほど情報公開の話もございましたけれども、出資法人の運営状況の一層の透明性の確保を図るためには、情報公開条例に基づきまして、出資法人の保有する情報の積極的な公表などにも進めてまいるようにしているところでございます。

〇阿部(富)委員 ただいまの答弁の中で、要するに県派遣のいわゆる幹部職員あるいは職員、さらには退職職員の就任の問題については触れられなかったわけでありますけれども、この部分は温存していくという考え方なんでしょうか。

〇武居総務部長 この部分につきましては、当然現在、各部局から運営評価にかかわるさまざまな問題についてヒアリングをしている状況でございますので、これはでき得れば年度内というふうに考えておりますが、今後の出資法人のあり方につきまして見直しの方針を定める中で、御指摘の点も含めて検討してまいりたいと考えております。

〇阿部(富)委員 次に、審議会の活性化についてお伺いをします。
 審議会の現状を見るとき、同一人の兼務が多いなど委員の構成が偏ったり、登用された女性委員に限らず委員の発言が少なく、発言があっても質問の域を越えないことが多く見受けられるわけであります。審議会等における委員の構成、発言状況をどのように把握されているのかお伺いします。
 審議会の活性化を図るという立場からすれば、委員の登用に当たっては、当面、委員数の半数程度を公募して、専門的な知識を有する人ややる気のある人材を積極的に選出するということ、特にも女性については構成割合を飛躍的に引き上げ公募枠を広げるべきだと考えるところであります。また、同じ委員が長期にわたって登用されることに伴う弊害を防ぐために、同一委員については2期を限度とする、委員数は必要最小限にとどめる、若い人材の登用の拡大を図る、こういうことが必要であります。あわせて委員会の公開をするなど県民に見える形での審議会運営を行うべきでありますが、どのように対応されていくのか、実施時期も含めてお伺いいたします。

〇武居総務部長 まず、委員の構成と発言状況の把握でございますが、平成11年3月末における審議会等の構成は、女性委員の割合が24.3%、50歳以下の若手委員の割合が13.5%となってございます。それから、委員の兼任の状況でございますが、9機関の委員を兼ねている例がございまして、それに続きまして8機関となっておりますが、これは市長会長とか町村会長などの充て職の場合が多いようでございます。それから、委員の発言状況についてでございますが、おおむね活発な審議が行われていると承知してございますが、総合計画審議会のようにそういった活発な審議が行われていると承知しておりますけれども、一部の審議会におきましては御指摘のような状況も見られるというふうに考えております。
 委員の登用についての対応でございますけれども、本年の2月に策定しました行政システム改革大綱に基づきまして、効率的な会議運営や活性化を目指しまして審議会の運営の見直しを行っておりますが、具体的には大きく6点ほどございますが、委員御指摘もございましたような公募制の導入、それから女性委員の登用、それから在任期間を、これは若干無理な充て職等で必ずしも難しいものもございますけれども、原則8年とする委員の長期就任の回避、それからこれは国でも行っているところでございますけれども、原則として1審議会20人以内としまして、組織の簡素効率化なり委員発言の活発化を図るための委員数の制限、それから先ほど御指摘もございましたが50歳未満の若手委員の登用、それから審議会等の活性化とかあるいは情報公開への対応というものが出てまいります。これらにつきましては各審議会の委員の次期の改選期に向けまして、それぞれの審議会で改選期が違っておりますので、可能なものから順次推進してまいりたいと考えております。

〇阿部(富)委員 新しい総合計画の策定や国の経済対策など状況が大きく変化したとして、本年10月に中期財政見通しの見直しを行っています。見直し前と見直し後の県債発行額を比較すると、平成11年度から14年度までの累計で1、500億円の増、県債依存度も年度によって0.3%から5.6%も増加しています。また、県債発行残高も2、000億円余の増加となっていますし、基金残高も14年度約700億円を確保するとしていましたけれども、550億円まで減少した内容となっております。わずか1年半で大幅な見直しをせざるを得なかった内容に見通しの甘さがあったことは否めないと思います。岩手県行政システム改革大綱では、県債発行額の抑制と県債依存度の縮減に努めることとしており、無原則な見直しは財政破綻を招くことにもなりかねません。県債発行は後年度の負担をもたらすものでありますから、借入期間の延長化を図って平準化をしたとしても、時代のニーズが変化して、20年後あるいは30年後にその事業が必要なものとして評価されるものかというこういう疑問も残るわけであります。投資的経費については過去の実績にこだわることなく、総合計画の掲げる大規模プロジェクト事業についても、必要により見直しを図るなど歳出規模の抑制に努めるべきであります。この際、財政計画を策定して財政の健全化を図るべきですが、財政運営についてお伺いいたします。
 また、財政運営に当たっては企業会計方式を導入するとしており、その実施に当たっては考えを同じくする三重県や高知県と共同で基準づくりを検討することとしていますが、早晩、全国的に導入されるものと思われます。したがって、全国知事会に呼びかけ全国統一の基準づくりを目指すべきですが、あわせてお伺いをいたします。

〇武居総務部長 中期財政見通しとの関連におきましてのお尋ねがございました。今回作成いたしました中期財政見通しは、単に将来の歳入歳出の計数なり数値の見込みというだけではなくて、見通しの結果、歳入歳出ギャップが生じるという厳しい財政状況が見込まれる中で、新たに策定いたしました総合計画の着実な推進を確実なものにするための道筋を明らかにしたものと考えております。具体的には、基金の活用等による財源調整でございますとか、これは私どももこれから精力的に取り組まなくてはいけないんですが、行政システム改革大綱に基づく行政改革の一層の推進でございますとか、地方税財政制度改革などによる税財源の充実確保などの財政健全化努力により歳入歳出ギャップを解消するとともに、歳出の抑制などの財政健全化目標を掲げたものでございます。これは見直し前の中期財政見通しというのが平成12年度の、いわゆる瞬間的な時点をとらえた財政運営というものでございましたけれども、今回の見直し後の中期財政見通しにつきましては、県の新しい総合計画の前期計画の期間を見通しながら、その期間を通じてのストックとしての財政運営をどうしていくかというところに意を用いたところでありまして、そういった意味では財政計画的な意味合いが従来の中期財政見通しよりも強くなってきておりまして、この見通しに基づきましてさまざまな健全な財政運営に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 それから、企業会計方式につきましてでございますが、これは御案内のようにバランスシートづくりを統一した基準で行うことにつきまして、本年の7月に三重県と高知県と3県で共同研究をスタートさせたわけですけれども、御案内のように各県とも非常に関心が高うございまして、その後、秋田県、宮城県、岐阜県など6県が加わりまして、現在9県で統一的な基準づくりのための調査、研究を共同で行っております。この中でバランスシートの作成方法につきましては、これは大きく2点があるんですけれども、一つは決算統計等の数値から社会資本の評価額を推定する方法と、もう一つは自治体が保有するさまざまな資産につきまして、その台帳を根拠として評価額を決定する方法でございまして、いわゆる決算統計方式というのと台帳方式という2点があるんですが、それぞれについて長所短所がありまして、また自治体間におきましても、台帳の整備の実態に差異がありますことから、現在この9県の研究会の中でいろいろとそういった問題につきまして検討を重ねているところでございます。私ども最終的な目標といたしましては、これを単にバランスシートを作成したというだけではなくて、そのバランスシートの作成の中でつくられてくるバックデータをさまざまな分野に活用できるようなシステムをつくっていきたいと考えておりまして、現在、事務事業評価とかああいうのをやっておるんですが、最終的には政策評価のようなものまで結びつけていけるようなシステムを考えていきたいと、そういうような考え方で現在検討を行っているところでございます。
 したがいまして、御提言がありましたように、全国統一の基準づくりというものにつきましては全国知事会に呼びかけて、統一の基準をつくっていくというのが一つの方法でございますし、現在、自治省におきまして地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会というのを設けておりまして、そこでも検討が行われておりますので、そういったものを当面は見ていきたいと考えておりますが、私ども全国的に統一的な基準づくりだけができればそれで済むかという話を考えた場合に、先ほど言いましたようにバックデータを使えるようなシステムを理想としては組みたいと考えておりますので、理想といたしますと全国的にも比較できますし、仮に全国的にやるとした場合に全国は3、300団体ありますので、むしろバックデータを余り使えなくても、当面簡便法で財政負担が少ないシステムをつくったらどうかという意見が出てくる可能性もありますので、そことの調整を図りながら、当面9県の共同研究会の中でさらに議論を深めてまいりたいと考えております。

〇阿部(富)委員 財政運営の関係でありますけれども、今議会ほどいわゆる起債の残高が多い、どうするんだというこういう議論、議員の方々も非常に私は心配したり危機感を持ってお話しされていたと思うんです。前の財政見通し計画はその単年度のことを予想してつくったのだという、こういう言い方を今、部長されましたけれども、少なくとも新しい総合計画をつくる際に、これまた議会の議論では財政はどうなるんだ、このことを十分に議論したわけですよね。そのとき皆さんの答弁は、大まかに言えば厳しい状況にあるけれども大丈夫だと、こういう言い方で来ているわけです。こういう全く財政見通しも何も踏まえないで、私は踏まえていれば、いや、財政的には難しいというこういう話になるんだろうと思うんですよね。ですから、その辺の甘さがあるんじゃないですか。少なくとも1年半でこの財政見通しを見直さなければならない。しかも、行政改革システムはつくったのはことしの3月です。わずか10カ月で起債の縮減をする、それから公債に依存する割合を少なくするんだということを決めているにもかかわらず、10カ月でこれを変更せざるを得ないという、このこと自体私は議会の意向も踏まえてもう少し当局は真剣に考えていかなければならないと思うんです。国では御案内のとおり構造改革法案ができまして、法律できちっと財政をどうするかということをやっている。
 ですから、少なくとも県の段階では財政計画をつくってもらえないか。それができないとすれば、やっぱり議会として健全財政のための決議を上げるとか、あるいは財政運営に関する条例をつくるとか、そういう形をしないと皆さん方の一方的な判断だけで財政運営が行われていって、まさに危機的な財政破綻を招くという状況にもなりかねないと思うんですが、この辺についての状況はどのように理解しているのかお尋ねしたいと思います。

〇武居総務部長 ただいまお尋ねがありましたが、前回の財政見通しというものは、当然のことながら構造改革の凍結を前提にしていたものですから、前提条件が変わっているわけだというふうに考えております。それから、今回の中期財政見通しにつきましては、前回の財政見通しにおきましては、まだ新しい総合計画が最終的に本年の8月に策定したわけで、そのすべての事業内容について盛り込んでいたわけではないんです。今回の中期財政見通しにつきましては、本年の8月に策定されました新しい総合計画に盛り込まれるプロジェクト等を十分に参酌しながら、その内容を盛り込みつつ、なおかつ今後の財政運営に資するための計画として中期財政見通しを策定したものでありますので、そこの点につきましては前回の計画内容が今回のものによって朝令暮改的に変わったんではないかという形の御指摘があったかに思いますけれども、それは前回の前提条件と今回の前提条件が時点修正で変わっているものですからそのような形になったわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
 それから、財政計画的なものという御指摘がございましたけれども、これは地方財政の場合は国家財政のように財政自主権というものが必ずしも確立されていない中での財政運営を強いられるわけでございまして、そういう意味では地方税財源の課税自主権の問題でありますとか、さらには地方交付税の総額をどういうふうに確保していくか、そういったものと、地方の責任において借金をする地方債をどういうふうにやっていくか。さまざまな運営の状況が現時点の国、地方を通ずる財政運営の中では必ずしも自主独立の形になっていないものですから、財政計画のようなものをきっちりとつくることは大変難しいわけでございます。しかし、そういった中でも財政運営をきっちりしていかなくてはいけないということで、可能なものは可能な限り盛り込んだ中で中期財政見通しというものを立てたわけでございますので、こういったものを今後国の状況あるいは県の状況がその時点時点で変わっていく中で、適切な財政運営ができるように今後とも適時見直しを行いながら取り組んでまいりたいと考えております。

〇阿部(富)委員 このことはもう少し触れたいんですけれども、まず中期財政見通しが当時の状況の中でつくったからそれは当てにならないのだというような言い方にしか聞こえないわけですけれども、それではことし3月につくった行政システム改革大綱、これではどういうふうな言い方をしてますか。県債発行額の抑制と県債依存度の縮減に努めるということにしてますよね。これとのかかわりだって私は出てくると思うんです。無原則な財政運営をしない。やっぱり原則は何だかということはきちっとしておかないと、少なくとも今原則的なものとしてとらえておかなければならないのは中期財政見通し計画であり、この行政システム改革大綱じゃないんですか。これらをもとにして進めていかないことには、どこにその原則を求めてやっていくという考え方なんでしょうか。

〇武居総務部長 若干言葉の行き違いがあって誤解を招いた面があったかもしれませんので追加して申し上げますと、平成12年度の目標につきましては私どももクリアすべく最大限努力してまいりたいと考えております。これは3点あったかと思いますが、一つは歳出規模の抑制、それから県債依存度の問題、それから基金残高の問題、これは平成12年度以降将来的に健全な財政運営ができるように、その途中の平成12年度におきましても、当初のそういった目標が達成できるように最大限努力する私どもは義務があるわけでございますので、それはこれから平成12年度の予算編成に向かうわけでございますが、精いっぱい努力させていただきたいと考えております。

〇阿部(富)委員 この問題はまた別の機会にもう少し触れさせていただきたいと思いますので、次に進めさせていただきます。
 次に、工業立地基盤の整備と企業誘致の状況についてお伺いします。
 まず最初に、近年の企業立地の傾向はどういう状況にあるのかお伺いをいたします。
 企業誘致に当たっては、県としてはリース方式あるいは貸し工場など新たな方法を導入して促進を図るということにしておりましたけれども、それらの成果についてはどうなっているのかもあわせてお伺いをいたします。
 それから、県内の市町村が造成した工業団地を含めて、既存の工業団地数と充足率というのはどういう状況にあるのか。
 また、新たに工業団地の整備を検討しているのはどの程度あるのかお伺いします。
 それから、一関市には研究開発型工業団地の整備を第三次県総合発展計画で取り上げておりましたが、いまだ整備のめどが立っていないわけでありますけれども、整備の年次、その手法はどのようにお考えかお伺いいたします。

〇千葉副知事 近年の企業立地の傾向でございますけれども、経済の長期低迷を反映いたしまして、全国的に工場立地傾向は依然として低い水準にございます。本県におきましては、本年度は昨年度を上回る立地件数となっています。10年度3件でございましたけれども、11年度は既に6件が立地しているところでございます。立地の傾向でございますけれども、本年度に入りまして、各業界の大手企業の立地が目立っております。例えば、フタバ産業とか北星とか、これらはいずれも県内最大手の企業でございますけれども、こういった大手の企業が張りついていると、こういう傾向でございます。
 それから、進出の理由といたしましては、これまでの工場用地や労働力の確保に加えまして、本県の産学官連携への取り組みや、操業後における共同研究開発への期待を挙げる企業が見られます。本年度立地いたしました中央精工、それから同じく本年度立地いたしました日本電炉におきましても、岩手大学との連携あるいは共同研究というものに期待を持っているところでございます。それから、既に立地している企業におきましても、本県の工場への事業の集約化や、新たに生産ラインを設置いたしまして増産体制に備える企業が相次いでおります。一つは関東自工がそうでございますし、それから東京製鋼、三菱製紙、岩手東芝エレクトロニクス等、これらは岩手工場の生産台数の拡大とか、新規事業を岩手工場に集約するとか、そういう形になってあらわれてきております。そういう傾向が最近出ているところでございます。これは岩手県の立地環境が一定の評価を受けているということではないかと考えているところでございます。
 それから、基盤整備の関係でございますけれども、工場用地のリース方式や貸し工場の導入は、立地企業にとって初期投資の軽減が図られるところから、企業誘致の促進にとって相応の効果が期待されるものでございます。ただ、実施に当たりましては、関係諸法令との整合性や企業のニーズなども十分踏まえる必要がありまして、今しばらく検討を要するものと考えております。県におきましては、ソフトウエア関連企業やベンチャー企業などに対しまして、地域交流センター内に貸し研究所を整備いたしまして、低廉な価格で研究開発の場を提供しているところでございます。既存の工業団地の関係でございますけれども、県の土地開発公社、市町村などが先行的に整備している団地は80カ所でございます。工場用地面積は1、513ヘクタールで、うち分譲済み面積は1、064ヘクタール、分譲率にいたしますと70.3%となっております。
 工場団地の整備状況でございますけれども、今後、研究開発工業団地を1カ所、これは一関を予定しております。それから、産業集積活性化事業用地を1カ所、これは江刺を予定しているわけでございますけれども、そういう整備計画を予定しております。また、拠点工業団地5カ所を調査検討することといたしております。
 一関の研究開発工業団地の関係でございますけれども、昨年度、一関研究開発工業団地整備等調査委員会を設置いたしまして、産業支援機能のあり方などについて調査検討を行ったところでございます。本年度におきましては、当委員会からの報告や岩手県高度技術振興協会を中核として、企業の立地誘導を進める仕組みのあり方について検討を行っているところでございます。いずれ一関の研究開発工業団地を具体化するためには、整備基本計画を策定いたしまして、その計画の中で整備の手法あるいは整備の年次等についてもあわせて検討していくということになろうかと思います。

〇阿部(富)委員 最後に、改正労働者派遣法のかかわりについてお伺いをいたします。
 これまで26種類に限定されていた労働者派遣が原則自由化されたということになったわけでありますが、今日まで派遣労働にかかわる相談や援助要請というのは県に対してどういう形であったのかお伺いをいたします。
 派遣という雇用形態で働く側の権利の実効性が果たして確保できるか、あるいは努力義務が多い法律の内容でありますけれども、この法の規制が十分に行き渡るかというこういう心配もされているところであります。この相談窓口は公共職業安定所というふうになっているわけでありますけれども、派遣労働者が安心して働けるよう相談や援助というのはやっぱり必要だと考えているわけでありますが、県としてはどのような対応をされていくというふうにお考えなのかお伺いいたします。

〇千葉副知事 県内労働者派遣事業所は、11月末で56事業所となっております。公共職業安定所を苦情処理窓口といたしまして、派遣労働者からの相談や援助要請に応じまして事業所訪問を行うなど、違法事案について是正指導を行っております。平成10年度におきまして、就業条件の明示1件、賃金2件の相談がありまして、前者は是正済み、後者は労働基準監督署と連携し、それぞれ解決したところでございます。平成11年度の苦情の受け付けは現在のところございません。また、このほかに、相談援助等を行う労働者派遣事業適正運営協力員を16名委嘱いたしまして、ふだんから指導に努めているところでございます。
 改正派遣法におきましては、公共職業安定所が派遣労働者の苦情や相談に応ずるとともに、派遣労働者から違法行為について申告がなされた場合、事実関係を調査した上で、是正指導のほか、改善命令、事業停止命令、許可の取り消し等を含めた厳正な対応を行うこととされたところでございます。
 この申告制度の周知徹底を図ることとしているところでございますが、個別の労働条件等の紛争事案につきましては、労働基準監督機関との連携を一層強化いたしまして、その解決に当たりたいと考えております。

〇上澤副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇上澤副委員長 質疑がないようでありますので、総括に対する質疑はこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。あす以降は毎日午前10時に開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時17分 散 会


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