平成11年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号1998年度岩手県一般会計歳入歳出決算について反対の討論を行います。
 反対する第1の理由は、財政健全化の方針を投げ捨て、国の経済対策に追随して従来型の公共事業大盤振る舞い、大型開発優先の県政を推進し、県財政の危機的状況を一層深刻にしたことであります。
 増田知事は昨年の予算編成のときには、財政の健全化が最重要課題として中期財政見通しを出し、当初予算ではマイナス3.8%となる8、435億円余の予算編成を行いました。ところが、国の経済対策が示されるや、すぐさま国に追随し、公共事業の拡大に次ぐ拡大の補正予算を乱発し、歳出決算では9、231億円余となり795億円も上積みとなる浪費型決算となったのであります。その結果、県債発行額は1、613億円余となり、県債残高は1兆1、050億円となったのであります。これは、中期見通しと比べ、県債発行額で401億円、県債残高で1、023億円もオーバーするもので、わずか1年で、みずから立てた財政健全化の方針は挫折、破綻したのであります。
 1兆1、050億円の借金は、県民1人当たり約79万円、4人家族なら315万円の借金となる深刻なものであります。また、大盤振る舞いされた公共事業の中身が、優先度、緊急度を厳選したどころか、むだと浪費というべき事業が少なくないことであります。
 港湾整備事業には、新たに48億6、000万円余が投入されましたが、取り扱い貨物量はその計画に対して、久慈港で5.9%、宮古港で21.4%、釜石港で54.5%、大船渡港で60.5%、八木港では16.6%にとどまっています。
 大規模林道川井住田線の横沢荒川区間では、この間の猛禽類調査で、三つの地域で、3つがいのクマタカが生息し繁殖していることが確認されたにもかかわらず、工事を凍結せず続行しています。環境首都を標榜する県の事業では、考えられないやり方であります。
 農政部関係の決算は1、187億円余でありますが、その65.5%、778億円余が公共事業となっています。
 林業水産部の決算は519億円余でありますが、その69.4%、約7割、363億円余が公共事業で占められています。生産を守り振興するどころか、土建業者を潤す内容となっているのであります。
 反対する第2の理由は、深刻な不況と雇用危機、失業の増大のもとで、十分な対策がとられなかったことであります。
 昨年の予算議会のときには、当時の商工労働観光部長は、県内には貸し渋りはないと述べていましたが、昨年7月から実施されたいわて緊急経済対策資金は3、007件、388億円余活用され、政府の特別保証による貸し付けは約1、000億円余活用されました。これは、それまでの貸し渋りが、いかに深刻なものだったかを示すものであります。同時に、これで貸し渋りが解決されたわけでもありません。今だに続く貸し渋りによって、少なくない中小業者が商工ローンのあくどい貸し付けの被害を受けていることは重大であります。県はその解決と改善のために、信用保証協会と関係金融機関に働きかけるべきであります。特に、事業所の99%、従業員の79.5%を占める中小企業は、県が言うように、本県経済を牽引する原動力として重要な役割を果たしていますが、中小企業対策費は740億円余で、歳出全体の8%、金融対策を除けば約77億円余で、わずか0.8%であります。中小企業対策の抜本的強化が必要であります。また、県の官公需の中小企業向け発注比率は76.9%にとどまっています。あと10%引き上げるだけで、約280億円の仕事を地元中小企業にふやすことが可能であります。
 雇用・失業問題も深刻であります。昨年の新規求職申し込み件数は8万6、109人で、前年比8.8%増、ことしは10月までで5万1、015人で、さらに前年比0.7%増となっています。高校の就職内定率は10月末現在で57.4%、大学では45.8%と深刻であります。雇用危機打開のためには、何よりも大企業によるリストラを規制することが必要であります。大企業430社は、この1年間で内部留保を3兆7、000億円も新たに積み増しし、総額98兆円もため込んでいます。リストラを強行する理由は全くありません。ヨーロッパでは、賃下げなしの労働時間の短縮、いわゆるワークシェアリングで労働者の雇用を守っています。財界のシンクタンクである社会経済生産性本部でさえ、サービス残業をなくせば90万人、残業をなくせば170万人、合計260万人の雇用が創出できると報告しています。岩手県内の労働者の場合は、平均残業時間が124時間で、これをなくせば2万8、000人分の雇用に相当します。特に、自治体として今できることは、防災では、消防職員の基準人員までの増員で870人、教育では30人学級の実現で小・中学校で1、310人、高校で770人、計2、080人の雇用をふやすことができます。福祉分野では、在宅養護老人ホームなどでの特養ホームの待機者788人分の特養ホームを建設するとすれば、16カ所で400人以上の福祉職員を新たにふやすことができます。深刻な不況、雇用危機の中だからこそ、県民が切実に求める雇用拡大策を実行すべきではないでしょうか。
 反対する第3の理由は、介護保険の実施を目前に控え、保険あって介護なしの深刻な問題が解決されていないことであります。
 特養ホームへの入所待機者は昨年末で1、145人となり、1年間で157人以上も増加しました。高齢者の増大に特養ホームの整備が追いつかない状態であります。介護保険事業計画の中間報告では、盛岡市も盛岡北部地区の場合も、5年後には介護施設入所者はふえるどころか減らされる、追い出される計画となっているのであります。また、保険料の試算も県平均で2、908円、御夫婦なら5、800円、年間約7万円となります。高齢者の場合、さらに利用料も払わなければなりません。月4万2、000円程度の年金で生活している高齢者にとっては、とても払えるものではありません。政府の一時しのぎの対策ではなく、非課税世帯を無料にするなどの恒久的な減免の対策が必要であります。介護基盤整備の抜本的強化と低所得者への減免対策なしに、すべての高齢者が安心して受けられる介護保険制度は成り立たないと言わなければなりません。
 福祉の問題では、難病患者に対する医療費の有料化は福祉切り捨ての象徴でありました。昨年の難病患者の89%、4、161人の方が、5、977万円余の負担を強いられました。今年度は4、700人、9、000万円の負担が見込まれています。財政構造改革、行政改革の名のものに、むだと浪費の公共事業がそのままに、福祉、とりわけ弱者切り捨てのやり方を進めることは許されないものであります。
 反対する第4の理由は、県民の教育要求に背を向けていることであります。
 昨年度の不登校は小中高で790人、高校中退は737人に及んでいます。生徒が減少する中で、県民と子供たちは30人学級の実現を強く望んでいますが、県は逆に小・中学校で116人、高校で45人の教員を減らしています。また、地域住民の強い見直しの声が広がる中で、高校の統廃合、新整備計画案を進めようとしていることも問題であります。県民の理解が得られる計画に、抜本的に見直すべきであります。
 次に、認定第11号と第12号は港湾整備事業と県民ゴルフ場事業特別会計歳入歳出決算でありますが、それぞれ一般会計から23億5、900万円、1億8、600万円を繰り入れるなど、赤字体質で県民に負担を強いるものであり反対するものであります。
 最後に、本県議会は、陳謝に始まり陳謝に終わった議会となりました。県単独事業、国庫補助事業の執行にかかわる不正処理、警察官による泥酔暴行事件もありました。公務意識の徹底はもとより、県民に奉仕する、県民が主人公の立場で仕事に責任を持つことが必要であります。同時に、管理監督者の責任も、また、チェック体制も問われなければなりません。
 以上、申し上げまして私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(山内隆文君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、認定第1号、認定第11号及び認定第12号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立多数であります。よって、認定第1号、認定第11号及び認定第12号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号から認定第10号までを一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立全員であります。よって、認定第2号から認定第10号までは、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   
日程第53 議案第39号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第53、議案第39号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。千葉副知事。
   〔副知事千葉浩一君登壇〕
〇副知事(千葉浩一君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第39号は、収用委員会の委員であります小野寺金彦氏、金野熙氏及び坂本富雄氏の任期が12月24日で満了となりますので、各氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(山内隆文君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(山内隆文君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第39号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第39号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立全員であります。よって、議案第39号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   
日程第54 発議案第1号岩手県議会情報公開条例から日程第60 発議案第7号介護保険制度の円滑な実施についてまで
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第54、発議案第1号から日程第60、発議案第7号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(山内隆文君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより発議案第1号から発議案第7号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立全員であります。よって、発議案第1号から発議案第7号までは、原案のとおり可決されました。
   
  閉 会
〇議長(山内隆文君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
これをもって本日の会議を閉じ、第4回県議会定例会を閉会いたします。
   午後2時18分 閉 会

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