平成11年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇2番(飯沢匡君) 私は、東磐井選挙区選出、政和会の飯沢匡でございます。
 冒頭に、去る10月27日、28日に県北地域を襲った豪雨災害において被災された住民の方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。一日も早く通常の生活に戻られるよう、県当局に対し、できる限りの支援策をお願い申し上げます。
 さて、今次議会において初めての一般質問の機会をいただき、先輩議員各位の御高配に対し、感謝を申し上げます。新人らしくはつらつと質問いたしますので、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。
 私は、21世紀への橋渡しとなる増田県政2期目に当たり、この4年間を知事みずから変革と創造の4年間と位置づけられたこの重要な時期に際し、議員の立場として県政に参画できることに大きな喜びと責任を感じているところであります。
 私は、選挙戦を通じ、地域の問題は、そこに住む地域の住民が決定し、その責任をも自分たちが負って自治をする地域主権の実現を強く訴えてまいりました。このたび、自立、参画、創造の理念のもと、生活者主権、地域主権を明確に打ち出したことに大いに賛同するものであります。
 私は、夢県土いわて実現に向けて、ソフト面の政策の中で、夢を実現する原動力となる21世紀を担う若年層の県勢発展に向けた建設的な声をいかにして吸収し、反映させるかが重要なポイントになるかと思います。その意味において、増田知事の現場主義、県民との対話を重視する姿勢には共感を得るものであり、今後とも県民と一体となった県政の推進と増田知事の信念に基づくリーダーシップに大きな期待を寄せるものであります。夢県土いわてのその形をどのように輪郭づくっていくのか、その具体的施策の達成度を十分に注視したいと存じます。
 それでは、順次、通告に従い質問いたします。
 最初に、岩手県総合計画の基本計画にある新しい時代に対応した県行政の基本姿勢について、地方分権を見据えた県と市町村との連携に焦点を絞って知事にお伺いいたします。
 県は、住民の意思や地域の主体性を尊重する生活者主権、地域主権の社会を創造するためには、縦割り・階層型行政を改め、地方分権の推進を徹底し、国、県、市町村、さらには、住民が水平・パートナーシップを基調とした新しい関係を築く必要があるとしております。私は、縦割りから水平・パートナーシップに移行するには、かなりのエネルギーが必要と考えます。御案内のように、地方分権推進の波が、さざ波程度ではありますが、その機運がようやく実現に向かって胎動し始めました。知事が申している、県を初め、地方自治体の、施しから権利取得への道のりは決して平たんなものでないことは厳然とした事実であります。市町村自治体の首長を初めとする意識改革も必要でありましょう。
 そこで、知事は、この地方分権をどのようにとらえ、みずから県庁株式会社と申す県の意識の改革をどのような手順で実施していくのか、また、どのような形態を県と市町村との連携の理想とするのか、基本的な考え方をお示し願います。
 2点目は、市町村合併問題であります。
 御案内のように、県は、県立大学の広域行政研究会が策定予定の調査研究報告書に基づき、今後、合併パターンを含む広域行政推進指針の策定作業に取りかかるものと存じます。6月定例議会において、知事は、地域の実情に応じた合併を含む広域行政の連携は時代の要請であるとし、市町村合併に関して的確な情報や助言をするとの発言がありましたが、私は、最も懸念される問題として、その県のはじき出したたたき台がさも決定事項のようにみなされ、発表になった事実がひとり歩きすることであります。地域のアイデンティティーを高めることと合併問題の整合性をいかに保ちながら、県ではどのように対処なされるのかお伺いいたします。
 その際、地方振興局の役回りが大変重要かと思いますが、おのおのの地方振興局に対し、どのような役割を担わせようとしているのかあわせてお聞きいたします。
 以上2点は佐藤力男議員の質問に重複する部分がありますので、簡潔で結構であります。
 次に、いわて情報ハイウェイの構築と運用についてお尋ねいたします。
 世界的な情報化の波は、引き潮の時期を待たず爆発的に膨張しているインターネットを初め、距離と時間を超越して国境を不要としております。世界各国においても次世代通信網の構築を始めており、特にシンガポールはアジアの情報ハブをねらってIT2000の計画を掲げ、2000年にはアジア有数の次世代通信網を整備しようとしていると報道されております。
 さて、県は、先月9日に平成13年度の本格運用が予定されている電話回線やパソコンを活用した全県規模の公共情報ネットワークいわて情報ハイウェイ構想の概要を発表いたしました。その専用回線は、保健医療福祉情報、教育情報、総合防災情報、行政情報などの各ネットワークを一元化し、県内どこからでも質の高い公共情報や公共サービスを受けられるとし、特にも、県立病院対象の遠隔治療や災害現場の映像受信による防災対策などに大きな効果が上がることに期待を寄せられているところであります。
 そこでお伺いいたしますが、1点目は、情報ハイウェイの運用と管理についてお尋ねいたします。
 最近、我が国におきましても、NTTのISDNの23倍もの通信速度で、音声電話が使用していない高周波帯を活用したADSLによる低料金の情報サービスが開始されたと報道されております。このADSLは、既に米国においてケーブルテレビ網と並ぶ新アクセス網として普及段階に入っているそうであります。さらに、ADSLは、企業向け専用線サービスの需要にも食い込む可能性があると指摘しております。なぜなら、NTTが提供する毎秒1.5メガビットの専用線は月額最低15万2、000円で、米国の5倍以上の水準にあることが原因となっているようであります。このADSLは、最近の情報通信分野の技術革新のほんの一例であり、加入者系無線アクセス技術など、この分野の技術革新の速度は加速度を増しております。いわて情報ハイウェイは、年間4億円の運用・保守経費を見込んでいるそうでありますが、管理運用面でこうした新技術に対応できる柔軟性が必要であり、また、コストパフォーマンスが求められるわけでありますが、その裏づけは十分でありましょうか。
 また、都市部では、通信災害回避の方策として、回線布設に下水道管渠を利用するプランを推進する方向にありますが、広大な面積を有する岩手県において、通信災害を回避する手段として8の字ループ状ネットワークの構築以外にどのような方策を講じていくのかあわせてお伺いいたします。
 2点目は、将来的な部分になると思いますが、一般県民からのアクセスの手段と方法であります。
 米国の情報ハイウェイ構想は当初エンターテインメント志向でしたが、最近は情報化における行政の役割が強調されているとしており、情報化は特別の人たちが独占的に利用するものではなく、だれでもどこでも利用できるユニバーサルサービス的な性格が必要との認識が広まっていると伺っております。県の目指す水平型ネットワークが県民にひとしく利用できるその手段と方法をお示し願います。
 3点目は、情報化の陰の部分、いわゆる情報格差の問題であります。
 情報化が進展するにつれ、情報機器を扱う能力に格差が生ずること、ネットワークのオープン化により持つ者と持たざる者の出現をいかにして防ぐかが情報政策の課題とされてきております。また、情報の健全な発展のためにはセキュリティーの問題なども存在しておりますが、これらの問題にどのように対処していくのかあわせてお伺いいたします。
 次に、中山間地域の農業について伺います。
 全国において、耕地面積、農家数、農業就業人口とも中山間地域の占める割合は40%以上であり、農業粗生産額においても、代表的なものとして、畜産で45.8%、果実で44.2%、米においても35.6%と多くの粗生産額を上げております。しかしながら、中山間地域は、傾斜地が多い上に農地も狭小で分散しているなど、自然的条件が不利であり、規模拡大等による生産性の向上には制約を負っております。このため、従来からさまざまな施策が講じられてきたものの、市場経済が進展していく中で、農業生産活動や地域社会の維持がますます困難な状況下にあります。本県におきましても中山間地域は県土の80%を占め、約半数の県民が生活をし、県全体の40%弱の純生産を産出しており、県民生活や経済活動にとって重要な地域であります。
 また、一方でこんなデータもあります。耕地の荒廃が原因で過去5年間に被害が発生した旧市区町村数は、全国を100とした場合、中山間地域では61%を占めていること。また、耕作放棄前と耕作放棄後の土壤浸食量の比較で、中山間地域は耕作放棄前で年1ヘクタール当たり6.0トンに対し放棄後21.6トンであり、中山間以外のその他の地域の放棄前2.6トン、放棄後8.5トンに比較し、かなりの値であります。このようなデータが示すように、環境保全の側面からも中山間地域の農業への公的支援が急がれております。
 そこで、国の示した農政改革大綱に沿って、今後の中山間地域対策の方向、1、農業生産振興と農業経営の体質強化、2、定住の促進、3、公益的機能維持発揮の3本の柱を受けて、県は本年8月の中山間地域活性化対策推進方針の策定に至ったと存じております。従来の振興策と比較し、中山間地域の特性を多面的に分析し、生活環境の改善や活性化案をより具体化するなどの工夫がなされたものと一定の評価をいたします。
 私は、21世紀の中山間農業を考える場合、チャレンジ精神豊かな人材を育成する自由で開放的な地域づくりが大きな柱になると考えます。担い手の確保、育成には、経営の安定はもとより、魅力とともに、農村で暮らすことの楽しさ、誇りがなければなりません。そのための地域づくりの実践が必要であります。一農家のチャレンジが出発点となって、新規作物の取り組み、有機農業の実践、独自の農産物の販売チャンネル拡大などが図られ成功した事例から学び、農業経営の形態に多様性を持たせ、また、場合によっては個別農業の支援策も必要と考えます。
 それでは、具体的にお伺いいたします。
 1点目は、地域づくりの活動の支援として、最も重要な点をどこに置いておられるのか、まず、お尋ねいたします。
 2点目は、高齢者農業の育成策であります。中山間地域の特性を生かした農業の振興を目指すためには、収益性の高い多彩な農業生産を促進することが重要なポイントであります。しかしながら、高齢化が進んだ農業従事者に、収益性の高い作物を、しかも高品質を維持しながら生産するにはかなりの手間とノウハウが必要となります。生産意欲をいかに持続させるべく、どのような施策を展開させ、指導、支援していくのか伺います。
 3点目は、畜産県としての施策展開であります。私は、従来のような一律の施策ではなく、例えば規模によってモデル化し、経営規模に応じた施策を展開するような、具体的なきめ細かい施策が殊さら必要と考えます。それは、とりもなおさず零細な農家の離農を防ぐ有効な手段と考えます。また、広い草地を基盤にした中山間地域での畜産は、ここでこそ環境保全の面から支援策が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 4点目は、就業機会に恵まれない経済的な条件の不利性をどう払拭していくかについてであります。中山間地域農業は兼業型が主であり、雇用対策と密接にリンクしております。幅広く就業・所得機会の増大を図っていくことが重要でありますが、その対策をお示し願います。
 5点目として、中山間地域等への直接支払いについてお伺いいたします。米国において、小麦、飼料用作物に対して、また、旧EC諸国では、山岳等で不利な地域に対する所得補償制度として行われていた制度がようやく我が国においても導入されます。上流の環境保全や資源の管理をも加味した中山間地域の振興に貢献するものと期待しております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 この助成方法については、既存のさまざまな農業政策上の助成との関係、施策の費用対効果等を県においても独自に明確化する必要があると考えますが、それらの点に関し、県ではいかがな考えかお聞かせ願います。
 また、交付単価は、平場地域との生産費格差の範囲内という設定が緑の政策との整合性から設定されたものであって、生産振興を考えるならば、劣悪な生産条件等の地域については平場との格差以上の補てんも考慮に入れるべきとの議論がありますが、県ではどうお考えでしょうか。
 また、私が伺っているところで、現時点での該当町村の反応を聞いてみますと、面積調査するにも正確な地図情報が手元にないので把握できない、持ち出し分の財源確保が困難である等の意見であります。県と市町村との連携は密接に行うべきと考えますが、具体的にどのようにコーディネーションするのかお尋ねいたします。
 派生した問題として、森林交付税についてお伺いいたします。
 これは、森林の持つ公益的機能を積極的に評価し、現在の地方交付税交付金の枠外に森林面積を算定基礎とする新たな交付税制度を設けようとしているものであり、森林は幅広い公益性を備えているにもかかわらず、森林を多く所有する市町村ほど過疎化や高齢化、林業の衰退に悩んでいるという現状から、こうした地域ほど社会の理解ある協力を得て、福祉の整った住みよい里であるべきという理念を根拠としております。本年の2月4日には森林交付税フォーラムinいわてが開催され、その機運は毎年高まってきております。この機運が反映されたかどうか定かではありませんが、平成10年度から地方自治体に国土保全対策を総合的に推進する経費に対し地方財政措置がなされたとは伺っておりますが、森林交付税の創設は、厳しい財政状況にあえぐ市町村にとって貴重な財源になるばかりでなく、この運動の展開により、年間39兆円とも試算される森林の公益的機能を一般県民に認識させることと二重の効果が期待されることから、県でも積極的にこの運動を支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、地元の問題で恐縮でございますが、県立大東病院の将来像を中心にお尋ねいたします。
 おかげさまをもちまして、県の英断により、リハビリ施設の増設を地域病院では県下に先駆けて採用賜ることにより、現在では県内外の方々からその施設利用を目的として多数来院いただくなど、院長を初め、スタッフの皆様方には、所期の目的達成のため日夜努力されていることに対し感謝と敬意を表するものであります。
 ところで、このたび発表された岩手県医療審議会の新しい保健医療計画について(答申案)によりますと、どうも両磐地域保健医療計画の概要において、圏域内のリハビリ施設付設病院の位置づけ、つまり県立大東病院の姿がなかなか見えてこないのであります。そこで、まず最初に、医療局として、現在置かれているこの大東病院の位置づけの御認識をお聞きしたいと存じます。
 また、現在も地元に一般開放されて好評を得ている温水プールや体力補強施設、自然遊歩道施設を、さらに施設利用度を高め、予防医学的見地からも有効活用させるには、現在の体制では限界があろうと感ずるのであります。私は、この際、県南地区のリハビリ付設病院の中核として位置づけ、既存施設の有効活用をハード面から、また、患者の入り口から出口までのフローをしっかりするためのケースワーカーの人員を配置するなどのソフト面までの機能拡充を要望し、実現を期待するものでありますが、大東病院の将来像をどのように考えているのかお聞きいたします。
 関連して、地域リハビリテーションの推進についてお伺いいたします。
 本県におけるリハビリテーションの現状は、関係機関と十分連携がとれていないように思うわけであります。このリハビリテーション事業は、医療、老人保健、障害者福祉等の分野でそれぞれ実施されているわけですが、特にも、高齢者や障害を持った人々は、住みなれた地域で生き生きとした生活を送りながらリハビリを受けることを希望しているのであります。ついては、保健・医療・福祉分野が連絡、調整の上、地域リハビリテーションを推進すべきと思うものでありますが、この課題について、今後、どのように取り進めようとしているのか部長のお考えをお聞きいたします。
 最後に、学校教育問題についてお尋ねいたします。
 最初に、教員の資質の向上についてお聞きいたします。
 現代社会の多様化、複雑化は逆に専門化、分極化を進行させる傾向にあり、教員の資質においても、時代背景からそのような懸念がございます。私は、学生時代を振り返りみましても、学校で何を学んだよりも、先生の人間性がまず先に思い浮かびます。学校教育において、教員の生徒の将来に与える影響は極めて大であります。さきに、文部省の諮問機関教育職員養成審議会は、公立小・中・高などの全教員が夏休みの一定期間、民間企業で働く社会体験研修を受けるよう提言する方向を固めたとの報道がありましたが、私は、大いに県教委でも推し進めていただきたいと思います。夏休み期間と言わず、1年ぐらいの期間、民間企業の市場原理を肌で感じ、体験することはまことに大きな意義があると思うのであります。教育長の御見解はどうでありましょうか。
 次に、高校再編問題についてお伺いいたします。
 今回の高等学校再編案作成に当たっては、中学生からアンケートをとり、希望と合致しているか、詳細にデータをはじき出しております。生徒の希望に添った学校を配置することも効率上有効なことであります。しかしながら、今、将来岩手でどのような教育を施すのか、理念と申しますか、筋と申しますか、それを先に県民に示す必要があろうかと考えます。
 地域の実情に応じた教育内容を明確にし、岩手には岩手らしい独自の教育があっていいのではないか。それこそが中央や東京の既成の価値観や物差しにとらわれない、岩手を舞台としながらも、世界に通じる価値観や基準を確立する岩手スタンダードづくりの基本であろうと強く思うわけであります。実際、21世紀を託すたくましい岩手の人材を育て上げるには、思い切って30人学級を導入する、教員の質を改革する、産業と直結する実業高校の姿は具体的にこうだなど、理念をぶつけていかないとなかなか県民も納得しないのではないでしょうか。今回提示した再編案に県民が同意をするにはまだまだ時間が必要と思うわけでありますが、教育長の御見解はいかがでしょうか。
 中国の古典史記の中に、桃李もの言わざれども下自ずから蹊を成すのことわざがございます。桃やスモモは何も言わないが、その花は美しく、実もうまいので、自然に人々が集まり、いつしかその下に小道ができてしまう。つまり、立派な人物には、何も言わなくてもその徳を慕って自然と人々が集まってくるとの意であります。その立派な徳のある人物を学校に置きかえれば同じことが言えようと思います。地域の個性が発揮された中身の充実した学校であれば、県境を越えてでも生徒は集まってくると思うのであります。桃、スモモの実が幾ら大きくても、味が大味では台なしであります。実は小粒でも、果実のみずみずしさを実感できる、引き締まった味の実を食したいものでございます。今は大地にしっかりと根をおろし、大地の恵みを枝先までしっかりと伝える幹の太い樹木をいかにつくるかが大事と思う次第であります。
 まことに陳腐な表現でありますが、私は、すばらしい学校教育を通じてすばらしい人材が養成され、社会に貢献できることを切に願うものであります。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 飯沢匡議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方分権をどのようにとらえ、県の意識改革をどのように進めるのかというお尋ねがございました。
 私は、地方分権が目指しておりますものは、私ども行政側にとりましては、生活者や地域の視点に立った総合行政が可能となるような行政システムに変革していくことであって、そのためには、県行政においても、自己決定、自己責任の原則のもとに、何かあるとすぐ国に駆け込んで相談に行くということではなくて、やはり自分たちの責任のもとにおいて自分たちで決めていく、そういう原則のもとに、県民の立場に立って、地域の実情に応じた地域経営を行っていくことが必要である、そのように考えております。県職員にありましても、一人一人が常にこのような意識を持って職務を遂行することが求められるわけですが、私は、新しい総合計画において示した、県行政を進める上での四つの方針というものがございます。県民とともにつくる開かれた県政、生活者の視点に立った県政など四つの方針がございますが、この四つの方針に掲げておりますそれぞれの施策を職員が一つ一つ着実に実行して成果を上げていく、そのことこそが県民満足度の向上につながっていく。そのことと同時に、職員みずからも真に県民のための行政を行っているということをみずから強く実感をすると、このような成果の積み重ねと繰り返しが職員の意識を一層高めていくものと、このように確信をしております。
 次に、県と市町村の連携についてでございますが、分権時代におきましては、県民に最も身近であるいわゆる先端行政を担う市町村と、そして広域的な事務を担っております県との連携はこれはもう不可欠のことでございまして、また、生活者や地域の視点に立った総合行政を展開していくためには、今、県と言いましたが、その中でもとりわけ地方振興局と市町村のそれぞれの果たすべき役割というのを十分に認識をしながら、お互いに相協力して、新しい時代に対応した個性豊かな地域づくりのお互いをパートナーとして、そのパートナーとしての使命を果たしていくということがこれからの姿ではないかと、県と市町村の連携のこれからの姿であると、このように考えているところでございます。
 次に、市町村の合併問題についてのお尋ねでございます。
 現在の地域のアイデンティティーというものは、いわゆる昭和の大合併により新たな市町村の区域が確定をしたわけですが、それ以来ちょうど40有余年たつわけですが、そのそれぞれの市町村や地域住民の活動、その間の活動などを通じてはぐくまれ形づくられてきたものと、このように考えております。ですから、現実の姿として一体感が十分に生じている地域もありますし、いまだそうしたことが十分でない地域も県内にあると。地域によっていろいろ差があって、また、住民のとらえ方にもそれは地域のいろいろな差があるだろうと思います。
 一方では、時代とともに交通網や通信網の整備に伴って、住民の日常生活や経済活動の範囲が著しく最近拡大しております。昭和の大合併があった30年ごろに比べると、もう、その範囲というのは雲泥の差がございまして、市町村の区域を越えた広域的な生活圏域が形成されてきて、現実にも形成されてくるなど、広域行政の必要性というのもより高まってきていると、このように見ております。もとより、市町村におけるこうした広域行政を推進する場合には、市町村やとりわけそこに住んでおられる地域住民が、その地域の実情を踏まえながらみずからその推進方法を選択すべきと、このように考えております。
 そこで、県でつくります指針の策定に当たりましては、基礎的な地方公共団体としての市町村が持っているさまざまな地域の個性というものがあるわけですが、その個性を尊重して、市町村や地域住民がみずからの課題としてともに地域の将来を考え、さまざまな広域連携の手段を選択できるようなものにこの指針というものを仕上げてまいりたいと。それから、当然、昭和の大合併のときのいろいろな教訓もあるわけですから、そうした教訓も踏まえたいと、このように考えております。
 また、広域行政を推進していく上では、各市町村の歴史的、文化的な背景や考え方も大変多様でございますので、必要な情報の提供や市町村間の調整など、地域を熟知しているこれは地方振興局の果たす役割がやはり大変重要であると思っておりまして、これはもう議員の御指摘のとおりでございます。そこで、関係市町村の意向も踏まえながら、そうした地方振興局にも十分に役割を果たしていただきたいと。県と市町村との十分な信頼関係ということがこうした広域行政の推進にはもう絶対不可欠でありますので、そうした中で地方振興局にその役割を適切に十分に果たしていただくことが必要であると、このように考えております。
 それから、最後に中山間地域の地域づくり活動支援に対する視点ということについてお尋ねがございました。
 私は、中山間地域における地域づくりに当たりましても、先般の総合計画に言う環境、ひと、情報が重要な視点であると、このように考えております。中山間地域は、豊かな自然、食文化、伝統芸能はもとより、特色ある農産物など多彩な資源に恵まれている、そういう地域でございます。こうした環境は、将来にわたる国民あるいは我々岩手県民の財産でございまして、こうしたものを適切に維持、保全しながら、また、近年とみに活発化している産直市場やグリーン・ツーリズムなど──これは海岸に行くとブルー・ツーリズムということになると思いますが、こうしたものなどを通じて新鮮それから安全、また、本物ということを求める消費者ニーズにも歓迎され、これを提供する地域住民が誇りと自信を実感できる地域づくりのモデルとして活発に展開されているケースも続出をしているところでございます。また、地域づくりにとって、多彩な資源を活用できる人材の育成ということも重要な視点の一つだと思っております。こうしたリーダーを核として、住民が主体的に参画した地域づくりというのは、さらに人と人とのネットワークによって無限に広がっていく可能性を有していると思います。さらには、24時間全世界にアクセスできる情報化のシステムを活用することによって、本県が抱えている、ウイークポイントと言われておりましたが、地形や距離の壁を克服することができると。それで、岩手ならではのオンリーワンの生活空間を提供できる時代になってきております。そういう時代を迎えていると。
 今、三つの視点から申し上げましたが、こうした環境の視点やひとの視点、情報の視点というこの三つの視点を念頭に置いて、地域の特性を最大限に発揮できる知恵と技術を持った実践的なリーダーの育成と、地域住民の主体的な取り組みを基本として、来年度から開始されるこうした中山間地域の直接支払いの制度がございますが、こうした制度の導入を初めとした総合的な中山間地域の活性化対策を講じていく考えであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) いわて情報ハイウェイの運営と管理についてでございます。
 いわて情報ハイウェイにつきましては、急速に進歩する情報通信技術に柔軟に対応できるよう、光ファイバーケーブルを通信事業者から借り上げることといたしてございます。また、このような通信回線の借り上げによるネットワークの構築によって、初期投資額の圧縮を図るほか、運営経費につきましても、低コストでしかも高速かつ効率的に、大容量の情報を伝送する最先端の技術であり、今後の高速通信の中核となるATM技術を採用し、現在は医療や行政などの各分野ごとに構築されておりますネットワークを一元化することにより、その節減を図ることといたしてございます。さらに、このハイウェイの運営により、医療や教育、防災など、県民生活に密着した分野で、県内どこでも、だれでも、質の高いサービスが受けられる環境が整備され、県民サービスの向上が図られるとともに、行政情報化の推進により行政経費の節減を目指していくことといたしてございます。
 次に、通信災害回避の方策についてでございますが、通信回線の断線事故や地震等の災害に備えて、いわて情報ハイウェイの基幹網のみならず、ハイウェイに接続する利用施設とのアクセス網につきましても、ループ状のネットワークにするとともに、通信事業者との連携を図りながら、通信回線の地中化、伝送施設の耐震性の向上など、災害に強いネットワークづくりを促進することとしております。また、保守の面でも、万が一、通信施設等に障害が発生した場合、直ちに復旧できる体制を確保することとしてございます。
 次に、一般県民からのアクセスの手段と方法についてでございますが、いわて情報ハイウェイは、市町村、病院、教育等の公的機関などでの利用が基本となるものでございますが、だれでも、いつでも、どこでも、行政情報や生涯学習情報など、公共的な情報にアクセスできるよう、市内電話料金区域ごとに県民が接続できるアクセスポイントを設置してまいります。
 また、いわて情報ハイウェイの整備にあわせまして、インターネットを活用したコミュニティー・ネットワークの構築を促進することにより、県民生活に密着した情報やボランティア活動情報などが容易に入手できる環境が整備されるものと考えてございます。
 次に、情報格差の問題等についてでございますが、今後は、情報機器の利用が日常生活にとっても不可欠になると考えられますことから、市町村との連携を図りながら、県民が身近な公共施設等でわかりやすい情報教育を受けられる機会の増加に努めるとともに、情報機器を持たない県民が各種の情報を入手したり、インターネットの利用ができるよう、公共施設等への公共情報端末の整備を促進し、だれでも利用できる環境づくりを進めてまいります。
 また、セキュリティーの問題についてでございます。
 いわて情報ハイウェイにつきましては、通信回線に専用線を用いるほか、ネットワークへの不正侵入を防止できる最新の技術の採用など、ネットワークのセキュリティーの確保に万全を期してまいります。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) まず、高年齢層の農業者に対する支援対策についてであります。
 昭和一桁世代を中心とした農業者は、戦後の食料増産の時代から今日まで、本県の自然条件を前提にした営農のノウハウを熟知した先達として、これからも中山間地域の産地づくりに当たって、主業型農家をバックアップする上でかけがえのない重要な担い手であり、また、食文化や伝統芸能の貴重な伝承者でもあります。こうしたことから、高齢者の方々には、地域農業を存続させるための顔役として、後継者の確保や育成のために、今後とも尽力していただきたいと期待しているところでありますので、産地づくりのサポート役としてのベンチアップ栽培施設の整備やミニハウスの導入などを支援しながら、生涯現役の気概をバックアップする対策を講じてまいる考えであります。
 次に、中山間地域における畜産施策の展開についてでありますが、経営規模に応じた施策の展開が重要であることは議員御指摘のとおりであります。このため、意欲ある担い手に対しては、今後とも飼養規模の拡大による経営基盤の強化や経営の効率化を図るため、草地、畜舎など、生産基盤や家畜ふん尿処理施設の整備などに対する支援を積極的に行ってまいりたいと考えております。
 また、畜産を複合経営の主要な作目としている農家に対しても、低コスト牛舎の整備や優良牛の保留などに対する支援策を講じるとともに、公共牧場や家畜市場への家畜運搬に係るヘルパーの活用など、兼業農家や高齢者に対する支援体制づくりを推進してまいりたいと考えております。
 これらの施策を通じ、本県特有の中山間地域に賦存する豊富な草資源を最大限に活用し、緑豊かな自然環境の保全にも寄与してまいりたいと考えております。
 次に、就業・所得機会の増大対策でありますが、中山間地域においては、企業誘致はもとより、農業経営規模の脆弱性などから、人口減少や地域社会の活力の低下が危惧されて今日に至っているところであります。こうした厳しい状況にありながらも、例えば岩手町南山形地区においては、地域の話し合いのもとに大規模養豚団地を造成して雇用機会を創出した事例や、雨よけホウレンソウの産地づくりにチャレンジして農業所得の確保に成功した事例など、県下各地において地域ぐるみの主体的な活動により、地域活性化のモデルとなる取り組みが展開されているところであります。したがいまして、こうした事例を参考としながら、立地特性を生かした新たな営農活動や地域の多彩な資源を最大限に活用して、加工、販売や農村レストランの展開など、食品関連産業との連携を強化したアグリビジネスやグリーン・ツーリズムなど、多様な取り組みにも積極的に支援しながら、就労・所得機会の創出に努めてまいる考えであります。
 それから、次に中山間地域への直接支払いについてでありますが、直接支払制度の検討過程におきましては、既存施策との整合性や費用対効果の評価方法など、広範な論議を経た上で、最終的には耕作放棄地の未然防止により、農地の多面的機能を保持するために、継続的な実践活動を前提として支援する仕組みとしたところであります。さらには、広く国民一般の理解を得るために、公正中立な立場での第三者機関を国及び県段階に設置して、制度の必要性と効果のチェック機能を担保しながら制度を創設することとされたところであります。
 次に、交付金の単価でありますけれども、平場との格差以上の補てんを考慮に入れるべきとの御提言につきましては、WTO農業協定との整合性上、困難ではないかと認識いたしております。県といたしましては、現在、直接支払制度の導入に向けて、基準に該当する対象農地の調査を進めているところでありますが、今後、市町村におきましては、対象区域と非対象区域との公平性の確保や制度上クリアすべき諸条件の確実性など、総合的な観点から慎重に検討の上決定する必要があると考えており、財源問題はもとより、市町村と十分協議しながら円滑な導入に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長佐藤克郎君登壇〕
〇林業水産部長(佐藤克郎君) 森林交付税の創設についてでありますけれども、森林の持つ公益的機能を高度に発揮させていくためには、適切に森林を整備していくということが重要でございます。しかしながら、近年、森林・林業をめぐる情勢は、木材価格の低迷に加えまして林業労働力の減少や急激な高齢化、また、山村における過疎化の進行など、まことに厳しいものがございます。こうした状況の中で、議員の御指摘もございましたように、国におきましては、農山漁村地域が果たしておる国土保全のための多面的な役割を維持し高める見地から、平成10年度に国土保全対策を創設いたしまして、交付税措置あるいは起債措置を講じているところでございます。本県の市町村においても、この対策に基づきまして諸施策を導入いたし、間伐の促進あるいは林業後継者の育成確保、さらには水源涵養機能の維持増進のための森林の取得、巡視員の設置などに取り組んでいるところでございます。
 御提言のございました新たな交付税制度の創設につきましては、現行制度との調整なども必要になってくるものと認識をいたしておりますが、広大な森林面積を有する本県にとりましては、森林の整備は重要な課題でございますことから、今後とも、さらなる地方財政措置の拡充につきまして、市町村、関係団体と一体となって国に要請してまいりたいと、このように考えております。
   〔医療局長佐藤文昭君登壇〕
〇医療局長(佐藤文昭君) 県立大東病院の位置づけと将来像についてお答えします。
 まず、県立の中央病院及び2次保健医療圏ごとに配置をいたしております広域中核病院では、主に急性期・回復期のリハビリテーションに対応し、その他の比較的小規模な病院では、主に維持期のリハビリテーションに対応しているところでございます。その中で、大東病院は、県南地域における県立病院のリハビリテーションの中核的施設として位置づけておりまして、主に広域中核病院などからの紹介患者さんに対し回復期・維持期のリハビリテーションを提供するため理学療法専用施設、作業療法専用施設、それから運動療法用のプールなどの施設設備の整備を図りまして、リハビリテーションの専門スタッフにつきましても今年度から新たに作業療法士を1名増員し、理学療法士3名、作業療法士2名、言語聴覚士1名の6名とし、施設、人員ともに広域中核病院をしのぐ体制を整えているところであります。
 ちなみに、平成10年度1日当たりのリハビリテーション実施件数は74件でございますが、中央病院は1日当たり86件でございますので、これは中央病院に次いで多いという状況になっております。それから、今年度の上半期までの入院患者さんの約5割がリハビリテーション目的の患者さんでございまして、また、その9割近くが他の病院からの紹介患者となっております。こうしたことから、この実績を見ますと、大東病院のリハビリテーションにつきましては、着実にその成果を上げているものと理解をしております。
 なお、大東病院の将来像についてでございますけれども、今後とも保有をしております施設設備や人的資源を最大限に活用し、いわてリハビリテーションセンターとの連携も図りながら、専門スタッフの資質向上に努めまして、患者さんの動向なども十分考慮しながら、必要な人員等の配置につきましてもこの体制の充実に努め、県南地域におきますリハビリテーションの中核施設としての機能を果たしていけるよう、今後とも努力をしてまいりたい、以上です。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 地域リハビリテーションの推進についてでありますが、地域におけるリハビリテーションを効果的かつ効率的に実施するためには、リハビリテーションを受ける必要のある高齢者や障害を持った方などが地域で保健・医療・福祉の連携のもと、その人の状態に応じ、急性期、回復期、維持期の各ステージにおいて適切なリハビリテーションを受けることができる体制を整備することが必要であると考えております。このため、本年11月、本県における地域リハビリテーションの基本的な方向性を検討するため、医療・福祉分野や市町村関係者等からなる岩手県リハビリテーション協議会を設置、開催したところであります。
 今後におきましては、この協議会において、まず保健・医療・福祉の連携のもと、県内における地域リハビリテーションを推進するための地域リハビリテーション連携指針を策定することとしております。実施に当たっては、県全体を統括する推進機関として、いわてリハビリテーションセンターを位置づけることとしており、その後各圏域においてリハビリテーション実施機関への支援や、関係機関との連絡調整を行う中核的機関の指定を行うことなど、リハビリテーション実施体制のあり方を検討するとともに、家庭復帰後、できる限り再入院、再入所とならないような住環境づくりについても検討することとしております。これにより、利用者にとってふさわしいリハビリテーション及び関連サービスが適切に提供できる体制の確保を図ってまいりたいと考えております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) まず、教員の社会体験研修についてでありますが、県教育委員会では、平成10年度から教職経験10年を経過した教員全員に対し、学校以外の社会にも視野を広げ、社会との連携を図ることを目的とし、福祉施設におけるボランティア体験等を内容とする社会貢献活動体験研修を実施しており、教員の資質向上に資する上で大きな成果をおさめております。民間企業などにおける教員の社会体験研修は、顧客の対応等、社会の幅広い人々との接触を通じ、対人関係能力を向上させ社会的視野を広げるものであり、今後、ますます重要になるものと考えております。
 本年9月に策定いたしました第8次教育振興基本計画におきましても、社会体験研修の充実を図ることとしているところであり、今年度中にもデパートでありますとかホテルなどの民間企業への長期派遣研修を実施してまいりたいと考えております。
 次に、県立高等学校新整備計画案についてでありますが、高等学校において生徒一人一人が個性や能力を存分に伸ばし、充実した学校生活を送るためには、多様な教科・科目が用意され、生徒みずからが主体的に選択して学ぶことのできる環境が整備されることや、活発な学校行事や部活動などが成立し、仲間とともに学び、切磋琢磨する中で豊かな社会性をはぐくみ、互いに高め合うような生活集団が形成されることが大切であり、豊かな人間関係に恵まれた活力ある学習環境を構築する観点から、新整備計画案を策定したものであります。
 本県の高等学校教育は、生徒の進路志望の動向、地域の実情に配慮しながら学校・学科の配置に努めてきたところであり、特にも専門学科については産業教育の充実の観点から環境工学、生物工学、情報デザイン科など、社会の変化や産業構造の変化に対応した学科の改編を進めてきたところであります。
 今回の計画案におきましても、従来の学科の枠を超えた多様な専門分野の幅広い知識・技術を身につけることのできる総合的な専門高校や人文科学、自然科学などのほか、農業、商業などの専門教育に関する系列も設け、多くの生徒が本県の産業について理解を深めることのできる総合学科高校を整備することといたしております。この計画案につきましては、これまで鋭意各地域において説明を行い、また、話し合いを重ねてきたところでありますが、今後、さらなる努力を傾注してまいりたいと存じております。
   
〇議長(山内隆文君) 本日の会議時間は議事の都合により、延長いたします。
   
〇2番(飯沢匡君) せっかくの機会でございますので、時間を余してしまったんですけれども、再質問をさせていただきます。
 実は、昨日、水上議員の酪農振興の質問によりまして、酪農振興アクションプランという話がありまして、私、勉強不足で、昨日、至急資料を取り寄せましてその内容を見させていただきました。これは岩手県とこれは農業団体ですね、岩手経済連の合作でこれからの酪農振興のための指針を示したものと、このように理解しております。それで、昨日、知事も酪農振興のために田野畑村に赴いて、また、牛乳の普及に努めるためにポスターにも出て、岩手県の顔として、主産物として大いにアピールして大きな評価をするものでございますが、今、こういう農業団体と県と一緒になって製品の品質の安定のために、また、岩手県のブランドを推進しながら牛乳を消費地に持っていくということから、非常に連携度が強く非常に良好な関係だと思うわけですが、私はちょっと耳にしたところによると、県の方で団体に委任をしている、そのような話をお聞きしました。これは、私も質問の中で触れたところでありますが、これは岩手県のブランドとして非常に各牛乳メーカーからも評価を得ているところであり、これから積極的にやはり県も品質保持に努めるべきであろうと思うわけであります。農業団体もこれから広域化が図られていきまして、岩手独自の戦略と申しますか、そういうのもだんだん薄れていく可能性がございますので、岩手県としても、品質保持について、牛乳検査について継続的にかかわっていっていただきたいと思うわけであります。その点について農政部長の御見解をお伺いしたい。この1点だけでございます。よろしくお願いします。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) 牛乳検査についてのお尋ねでございましたけれども、現在の牛乳検査は、岩手県牛乳検査条例に基づいて、昭和31年から県が実施してきております。民間への委任というお話でございましたけれども、県が実施主体で検査いたしておりますけれども、成分の分析業務については社団法人の岩手県家畜畜産物衛生指導協会に業務を委託いたしているところであります。
 なぜこの検査制度をつくるかということにつきましては、牛乳について適正かつ公正な検査を行い、もって取引の公正化と品質の改善を図って酪農業の健全な発展に資することを目的とするというのが条例にうたっている条文でございまして、まさにこの条文どおりなわけですけれども、おかげさまで本県の生乳の品質レベルが相当上がってまいりました。
 ちなみに、他県の検査の取組状況、主要な酪農県でお話ししますと、北海道におきましては、社団法人の北海道酪農検定検査協会という独自の組織で一括、一元的な検査を行っております。また、関東、東京近辺も非常に酪農が盛んでございますけれども、千葉県にありましては酪農業協同組合連合会が実施いたしております。栃木は、これまた別な形で、それぞれの地域の各酪農業協同組合、10カ所あるようですけれども、それぞれ独自の検査を行っております。そういうような形で、群馬県はうちと同じスタイルでございます。
 申し上げたいことは、先ほど品質の改善が大分図られてきたということでありますので、いずれ所期の目的の品質のレベルをきちっと上げる、そして、取引に不安感がない、安心感があるというところに至りますと、他県のような自主検査体制でも十分産地間競争にも耐え得るということにもなろうかと思っております。ただ、きょう議員からお話しございましたので、岩手県における品質改善の達成状況とか、ほかの仕組みでやった場合のメリット、デメリット、むしろ産地間競争の刺激になるのかもしれません。民間の企業におきましては、品質管理は当然のQCという形で、民間だと常識的な話のことでございます。ともかく、多面的、総合的に検討の上、また新しい見方、考え方があればお伝え申し上げたいと思います。
   
〇議長(山内隆文君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時2分 散 会

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