平成11年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇10番(佐藤力男君) 自由党の佐藤力男でございます。新人でありますが、このたび、先輩そして同僚議員の皆様の御高配により一般質問の機会を与えていただき、感謝申し上げる次第でございます。
 増田知事には、知事選史上、最大の得票数で再選され、新しい岩手県総合計画を公表され、いよいよ21世紀の扉を開く県政がスタートいたしました。その増田県政のもとで、大変重要な時期にその任を担うことに、身の引き締まる大きな緊張感を覚えるとともに、県民の期待にこたえられるよう、微力ながらしっかり努める決意でいっぱいでありますので、皆様の御指導をいただきますようによろしくお願いを申し上げ、以下、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。
 増田知事には、この1期4年間、県民の大きな期待にこたえる見事な御活躍で、郷土岩手のイメージを一新させ、県民に明るさと希望を与えていただきました。さらには、県民の方々と直接お会いした結果を行政に反映させるとする県政推進姿勢をもって、この広い県土を精力的に回られ、本県のすばらしさ、可能性を再認識なされたのではないかと思います。さらに、常にわかりやすい理念を示され、真摯に県政への取組姿勢を持つことが県民からの大きな信頼となり、さらに新たな期待が寄せられたものと理解するところであります。
 そこで、まず、知事の県政推進姿勢についてお尋ねをいたします。
 第1に、増田知事御自身が目指す知事像についてであります。
 知事が、この2期目の県政を担当するに当たり、特に力を入れて取り組んでいこうとされる点は何なのか、目指しておられるお考え、県民に示すみずからの知事像をお示しいただきたいと存じます。
 第2は、県行政における県庁株式会社、分社化についてであります。
 知事は就任以来、先例や流れにとらわれない、時代の変革に沿った取り組みを求められ、みずからも率先垂範してこられたと認識しておりますが、2期目に当たって、課題解決や行政サービスを提供する組織のありようを県庁株式会社という言葉で表現されましたが、これは単に意識改革の必要性を表現したのでしょうか。違うとすれば、その意図するところ、具体的に改革しようとする点は何なのでしょうか。そして、それをどのように進められる方針なのでしょうか。
 また、地方分権の流れの中で、県と市町村との新たな時代の到来を見込まれ、地方振興局への権限委譲と機能強化を図られる考えを示され、県行政の分社化を推進されると表明しておりますが、その目指すところと具体的な取り組みについてあわせてお示しいただきたいと存じます。
 第3に、地域間交流の成果についてであります。
 知事には、これまで著しく進展する国際化や地域間交流の活性化に対応し、岩手の知名度アップやいわてブランドの普及を図ることなどを視野に入れ、北東北3県のほかにも、三重、高知県との連携、そして世界の国々においてもさまざまな交流を積極的に図ってこられたと認識しております。知事御自身は、それらの取り組みの成果を、今後、どのように県勢の発展方向に生かされるのでしょうか。
 以上、3点についてお尋ねをいたします。
 次に、環境問題についてお伺いいたします。
 県は新しい総合計画を公表し、県民みんなでつくる岩手づくりの指針を示されました。新しい計画は、多岐にわたって項目が羅列され、このたぐいの計画からイメージされる行政用語の羅列ではなく、現代風に片仮名が多いものの、全体的にわかりやすい言葉で表現されひとしく評価が高いようであり、策定に当たられました県御当局の御努力に敬意を表するところであります。
 このたびの新しい総合計画の策定に当たっては、2万5、000人を超える県民の参画をいただき、そのうち、県民に対するアンケートには9、547人から回答が寄せられており、その結果を見ますと、アンケートに答えた県民の約65%近くの方が、きれいで豊かな自然環境の21世紀の岩手県に住みたいと答えておられます。この計画に示される21世紀は、環境の世紀と位置づけられておりますが、今、まさに環境こそが、時代が求め、また、あらゆる点で最も注目をし、まず本県が取り組まなければならない点と私も考えております。
 地球的規模の環境問題に思いを寄せることは極めて重要なことと考えますが、生活者という立場に立ってこの環境問題を考えますときに、まず、私たちが、生活現場において、どのような認識に基づいて、どのような行動をとっているかという実践的な課題としてとらえ、具体的な日常生活に根をおろした取り組みが必要となります。まさに、地球的視野に立って考え、岩手の大地から行動するとする精神こそが最も大切と考えます。
 そのような観点から、以下、環境首都岩手の実現に向けた取り組みについてお尋ねをいたします。
 まず第1には、道路や河川、海、公共施設などの管理についてであります。
 21世紀に向けての社会は、心の充足の時代と言われております。高度経済成長期のような所得の向上、耐久消費財の充足にかわり、静けさ、潤い、豊かな自然、そして安心や安全など、精神的な面での充足を強く求めるようになってきております。そこで求められるのは、徹底した道路や河川などの適正管理により、至るところで目につく空き罐やごみをなくし、きれいで美しい環境整備へ取り組み、信号機の設置などによる交通事故絶滅への取り組み、公共事業における環境に配慮した設計と施工など、枚挙すれば切りがありませんが、県政においては、そうした身近な環境問題に率先して取り組み、あらゆる点で不快さを取り除き、美しい都市景観をつくり、安全で安心、便利で快適な生活環境を実現していこうとする県政の推進こそが、環境首都岩手の実現へと結びつくと考えます。この際、その目指す姿勢として、そうした取り組みへの予算配分や県民への啓発型の条例を設けるなど、積極的な対応を持って市町村と一体となった取り組みの中から、県民が望むきれいで豊かな自然環境をみずからつくる、そんな姿勢を望むものですが、知事の御所見をお伺いいたします。
 第2は、10月19日付の新聞報道で、世界初の生ごみ発電という見出しで、大手建設会社が開発した生ごみ発電システムの紹介がされております。環境問題に対する取り組みとしてはもちろんのこと、生ごみ処理は各自治体ともに多額の費用を要し頭を痛めている現状にもあり、さらに次世代の新しいエネルギーシステムとしても画期的な開発と、大変興味を持って読んだところであります。県では、この新しい技術にどのように着目され、どのような可能性を持つと認識されておられますか。また、採用などの取り組みについて検討するお考えがありますか、御所見をお伺いいたします。
 次に、スポーツ振興についてお尋ねをいたします。
 本年は、本県でインターハイが開催され、全国から精鋭を迎えて、県内20市町村で28競技にわたる熱戦が繰り広げられました。本県代表選手も見事な活躍を見せ、過去最高の入賞者数を記録し、県民に多くの感動を与え、大成功で終了しましたことは記憶に新しいところであります。また、このインターハイ開催により、県民のスポーツに対する関心が高まり、本県での次期国体開催にも関心が寄せられるようになってまいりました。さらには、我が国は今、世界有数の長寿国となり、自分の健康は自分で守るとする健康指向の一層の高まりとともに、スポーツに寄せる関心も年々大きくなってきており、多くの人々がスポーツに親しむ国民皆スポーツ時代とも言われるようになってまいりました。折しも、増田知事には、本年度から県体育協会の会長に御就任され、先ほど申し上げました観点からも、増田会長には県民からの大変大きな期待が寄せられておりますので、今後のスポーツ振興についてお尋ねをいたすものであります。
 まず第1に、ことしの熊本国体の成績は、目標とする天皇杯順位の20位には遠く及ばず、昨年の順位をも下回る30位、そして東北最下位の結果に終わりました。会長就任直後のスタートとしては大変厳しい結果となりましたが、知事は会長就任に当たって、本県のスポーツの現状をどのように認識され、その上でこのたびの国体成績をも踏まえ、振興策についてどのようにお考えなのかお伺いをいたします。
 第2に、県はさきに高校スポーツの強化策として、バスケットボールに韓国から、バレーボールにも外国人コーチを招くとしております。海外からの指導者を長期間招くことは県としては初の試みであり、知事初め関係者の強い意気込みを感じ、賛意を表するものでありますが、本県には、これまでお家芸とも言われる成果を残している種目、例えばラグビー、ボクシング、ホッケー、自転車などがあります。競技力の底上げもさることながら、全国レベルで戦える種目へも、継続的な強化策をもって次期国体開催に向けての競技力の向上とあわせて、指導者育成への取り組みが大切と考えますがいかがでしょうか、教育長の御所見をお伺いいたします。
 第3に、本格的な長寿社会を迎える中、高齢化率の高い本県にあっては、県民のあらゆる階層がスポーツに親しむ環境整備や生涯スポーツの拡充、拡大、振興こそがスポーツの裾野を広げ、ピラミッド型のスポーツ人口を構成し、競技スポーツの強化にもつながっていくと考えます。これは、介護保険が話題になっている今日、介護を要しない人口の増加を図ることが最たる行政効果と考えれば、福祉の観点からも極めて重要なことであります。しかし、健康への自己意識の高まる熟年層には、目標となる大会の設定が少なく、なかなか競技者の拡大が図られていないのが現状であります。ぜひ、県体育協会が中心となり、行政も後押しする形で各種目に新たな取り組み体系をもって、生涯を通じてスポーツに生き生きと取り組める環境を整備していただくよう御提言するものでありますがいかがでしょうか、教育長の御所見をお伺いいたします。
 次に、高校再編整備計画に関連して、高校教育のあり方についてお尋ねをいたします。
 この問題は、昨日も黄川田議員の御質問で取り上げられ、県教育委員会では、高等学校新整備計画案を新年度に向けてこの12月にも成案を示したいと強調されました。
 再編整備計画では、きのうの議論にもありましたように、県民の皆様からは趣旨に対する一定の理解が示されながらも、具体の中身につきましては複数の地域からのさまざまな意見が出され、十分な理解が得られていないと認識をいたしております。
 高校進学率はここ数年97%を超えており、今や高校教育はほぼ義務教育化され、このことが、将来、子供たちが社会的に一人前になるための最低限の力をつけることを目的とする義務教育の役割年齢を結果として引き上げることとなっております。その結果、真に高度な教育を求める場として、大学や短大、各種の専門学校への進学を希望せざるを得ないこととなり、さらに、家庭にあっても、そうすることが子供のためだという状況が生まれ、結果として今日の高校の普通科志望、さらに、大学などへの進学率の増加へとつながっていることは否定できない事実ではないでしょうか。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 第1に、本県の高校教育の義務教育化の実情をどのように認識されておられますか、まず御所見をお伺いいたします。
 また、今や全国の大学等進学率は44%を超えております。全国から取り残されるような教育を考えるのでは毛頭ございませんが、ただ、いたずらにこの傾向に追従をし、現在31.7%に達している本県の大学等進学率を全国平均まで高めることを目指すとするならば、これはもう、どこまで行っても堂々めぐりであり、その考え方や環境のもとで集約されたアンケート結果を示し、単に子供たちや親の希望に沿ったとする論理で、本県の高校教育の道を進めることが果たして真の姿であろうかと危惧するものであります。
 そこで、第2に、私はこうした観点に立ち、文部省の示す教育指導の範疇を越えてでも、高校教育の義務教育化への対応として、さらに全国の総合食料供給基地を標榜する本県にあっては、そのことを目指す姿勢として確固たる教育方針のもとに、真に生徒のため、地域のためとなる、将来を見据えた本県独自の特色ある教育を行う必要があると考えるものでありますが、それについて教育長の忌憚のない御所見をお伺いしたいと存じます。
 第3に、総合学科についてお尋ねをいたします。
 平成3年4月、中央教育審議会答申を受け、高校教育の改革方向として、多様な生徒への対応、一人一人の個性の伸長、人間性豊かな教育の実現などを目指して総合学科が創設され、平成6年4月に、本県の岩谷堂高等学校に全国7県7校の一つとして初めて設置されました。新整備計画では、複数の新しい学校において総合学科の設置が示されておりますが、これも昨日の議論にありましたように、設置が計画される地域では一様に不安を訴えているようであり、県が目指してきた総合学科の設置理念と実際の県民の皆様の受け取り方には、大きな隔たりがあると認識しております。さきの岩谷堂高校が総合学科高校になってから既に3回の卒業生を送り出しており、結果があらわれていると思われます。
 最初に、目標に掲げたこととそれについての取り組みとその成果、さらに問題点についてお伺いをいたします。
 さらに、それらを踏まえて、私は総合学科の理念はすばらしいと認識しておりますが、県が目指している総合学科についてのお考えを、この際、県民にわかりやすく理解されるような御説明をあわせてお示しいただきたいと存じます。
 また、いかに仕組みを変え環境を整えたとしても、教育の現場を預かり、実際に生徒を指導するのは現場の教員の方々であります。そうした観点から、第4に、高校再編整備計画に伴う教員の指導のあり方とすぐれた教員の確保の問題についてどのように取り組まれるのでしょうか。
 以上、4点についてお伺いいたします。
 次に、郷土芸能の伝承についてお尋ねをいたします。
 本県は、歴史的には北方文化と南から押し寄せる文化が交差し、地域に根差した数多くの祭りや芸能などの民俗文化、郷土芸能が生まれ、全国でも有数の民俗芸能の宝庫と言われております。現在、調査により確認されている団体の数は1、064団体と言われ、まずその数の多さに驚かされます。その郷土芸能には、成人のみならず、実に幅広い年代の県民が取り組んでおり、県文化財愛護協会の調査結果によりますと、小学校では60%に当たる297校、中学校では42%に当たる94校が取り組んでおります。今、この郷土芸能が少しずつ見直されてきており、地域に住む若い人たちが、その伝承に大きな情熱を持って取り組んでいる団体も見られます。さらには、あのインターハイ総合開会式での5校、175名の高校生によるすばらしい郷土芸能の集団演技は、訪れた多くの人々に、本県の郷土芸能のすばらしさをアピールするとともに、県民にも大きな感動を与えてくれました。このように、本県はまさに郷土芸能の宝庫であり、本県の誇るべき文化的財産と考えます。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 私は、この郷土芸能は豊かな郷土愛をはぐくむとともに、県が目指しているいわて地元学にもつながる極めて貴重な本県の地域特性と考えますが、郷土芸能に対し県はどのように認識され、その伝承にどのように取り組んでいかれるのか、お考えをお示しいただきたいと存じます。
 また、多くの人々にそのすばらしい芸能を発表し、さらに、観光へも結びつく場として郷土芸能伝承館を設置し、内外に民俗芸能の宝庫をアピールしてはどうかと考えるものであります。ぜひ、積極的な取り組みを望むものでありますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、市町村合併並びに県政と市町村の連携強化についてお尋ねいたします。
 この問題は、既に6月議会及び昨日の先輩議員からの御質問に対する御答弁で、知事の基本的なお考えは承知をいたしております。しかるに、現在、交通・通信網の発達とモータリゼーションの急速な普及で、日常の生活圏や経済圏が拡大する一方で、行財政運営の行き詰まり、少子・高齢化社会の到来などによる医療と福祉の問題など、合併や統合を真剣に考えなければならない時期にあると認識いたしております。
 地方制度調査会の調査報告では、全国の市町村の首長、議長の65.8%が合併推進は必要と答えており、複数の政党において合併推進を公約として掲げるなど、市町村は自立と競争の時代を迎え、もはや合併は避けて通れない非常に難しい時期に来ていると認識しております。しかし、市町村合併あるいは再編は、関係する方々が一様にその必要性を認識していながらも、総論賛成、各論反対、あるいは地域特性、昭和の大合併などの経験から難しい問題に発展する要素を抱えており、その議論に触れることはタブー視する風潮にあると認識しております。
 こうした中で政府は、本年7月に市町村合併特例法を改正し、財政支援を初めとする多くの特例措置を講じました。また、知事にも推進に向けた役割を求め、都道府県の指導にも大きな期待をかけているように思われます。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 このたびの特例法では、その必要性に目覚める住民みずからが、住民発議として合併協議会設置を求め、推進する方途を拡充しておりますが、これを実効あらしめるためには、あらゆる情報をタイムリーに提供しながら、県政が強い指導力を発揮し、転換期にあるとする政治の認識を地域住民に広く浸透させ、誤りなき判断を喚起することが極めて重要であります。県では、将来の人口減少を推計しており、今後、市町村によっては自治体運営そのものがますます困難をきわめていくことは必至と考えます。そこで、どうせ時代の趨勢でいつか来る道ならば、さまざまな特例が用意される今のうちの決断も一つの選択肢と考えるものであります。市町村合併に知事の大きなリーダーシップを期待するものでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 第2に、県はいわて情報ハイウェイの構築により、県と市町村が情報を共有し、連携を深めながらこれからの県政を推進していこうとされております。大変結構なことと考えますが、一方で、この取り組みに対し、各市町村間に温度差があると伺っております。それでは、せっかくのすばらしい構想も期待どおりの成果に結びつかないのではと危惧いたしております。
 そこで御提案をいたしますが、この県と市町村が情報の共有を図り一体となった行政を進めるためには、各市町村がすべて同じスタンスに立てることが極めて重要であります。
 そこでこの際、県独自の補助制度を創設してでも推し進めることが肝要ではないかと考えますがいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 次に、過疎地域活性化法にかわる新法についてお尋ねをいたします。
 現行の過疎法が来年3月に期限切れとなり、現在、新法の制定に向けた与党間の協議が進み、来年の法案提出に向けての取り組みが始まっていると承知をいたしております。過疎地域緊急対策措置法、過疎地域振興法、そして過疎地域活性化法と30年続いたこの法律によって、過疎対策事業債は5兆5、000億円が投入され、わけても過疎地域活性化法ではこの10年間で3兆円が措置されております。しかるに、昨今の国における税財源の不足から、都市部を中心としてこの法律の存続に反対あるいは財政規模の縮小を求めており、かわって都市政策に財源の確保をしてほしいとの声が高まっていると言われております。このことは、24の過疎市町村を抱える本県にありましては、その動向が大変気になるところであります。現在検討されている新法は、去る11月11日の県内新聞の報道によれば、過疎地域自立促進特別措置法などの名称とし、これまで、とかく財政援助中心と見られたこの法律の性格を、過疎地域が真に自立するために役立つ法律にしたいとの方向のようであります。さらに、去る11月26日の新聞報道に、新しい指定要件を当てはめると、全国で現在指定を受けている市町村1、230のうち101市町村が指定から外れる可能性があるとされ、本県でも4市町村の実名が取り上げられたところであります。
 そこでお尋ねをいたします。
 まず第1に、県ではこの新しい法律制定に向けてどのように対応され、どのようにとらえて国への働きかけをされているのかお聞かせをいただきたいと存じます。
 第2に、新しい指定要件はまだ議論の余地を残していると思われますが、具体的にどのように認識されどのように取り組みをされておられますか。さらに、本県で現在指定を受けている24市町村のうち、報道された4市町村を卒業市町村と見込んでおられますか。また、新たに指定を受けられる市町村は見込まれるでしょうか、お伺いをいたします。
 第3に、いわゆる卒業生とされる市町村にあっては、過疎債が平成9年度で約100億円と、県内市町村の起債総額の1割を占めており、関係市町村の円滑な財政運営に極めて重要な役割を果たしてきたと認識しており、財政的な影響が大きいと思われます。
 そこで、卒業生を単に基準以下として切り捨てられるのではなく、何らかの配慮や救済策が不可欠と思われます。過日の報道にも緩和措置を講ずるとありましたが、この法律への国の施策動向をどのように見込んでおられますか。また、これに対し県の方策はどのようにお考えなのでしょうか、お伺いをいたします。
 以上で私の質問を終わりますが、答弁いかんによっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐藤力男議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、2期目の県政を担当するに当たって、特に力を入れる点についてお尋ねがございました。私は、本年8月に策定いたしました岩手県総合計画、21世紀に向けての新しい岩手づくりのシナリオとなります総合計画の着実な推進に全力で取り組んでいきたい、このように考えております。
 特に、岩手の未来を開く重要な視点として位置づけました環境、ひと、情報という三つの視点に対応した美しいくにづくり、学びの里づくり、情報の森づくり、この三つの先導的なプロジェクト、そしてまた、一人一人の生活者の意欲や地域の元気を阻む物理的、社会的な制約、いわば壁を乗り越えていく取り組みを七つの課題対応プロジェクトとして位置づけたわけですが、この三つの先導的プロジェクト、七つの課題対応プロジェクトに重点的、優先的に取り組み、これを推進していきたいと、このように考えております。
 また、これらの施策を実行に移していくため、情報公開の徹底や県民の立場に立った行政サービスの向上、また、市町村との連携強化や地方振興局の機能強化、重点的な投資や政策評価の徹底など、これまで私どもが行ってまいりました行財政運営の仕組みを抜本的に見直し、生活者や地域から始まる新しい行財政システムの確立に取り組んでいきたいと、このように考えております。
 私は、これまでの県政運営を通じ、県民の多くの皆様の地域づくりに向けた熱意や県政に対する期待の大きさを身をもって感じてきたところでありますが、これからの岩手新時代を切り開くためには、県内にはいろいろな地域の特性がありますので、そうした地域の特性に応じ、地域の人々が主体的に活動していくことが極めて重要だと思っておりまして、私自身先頭に立って、それぞれの地域の実情をしっかりとくまなく把握し、地域の抱えるさまざまな課題について、その地域の皆さん方とともに考え、行動し、解決に全力を傾注していきたいと考えております。
 次に、県庁株式会社、県行政の分社化という言葉を私も再三使っておりますが、この言葉が目指すものについてお尋ねがございました。
 これまでのような右肩上がりの経済成長がこれからは期待できず、一方において、地方の自己決定、自己責任が強く求められる時代におきましては、行政として何を行ったかということではなく、その行った結果として、住民の豊かさや暮らしやすさが総体としてどのように向上したかという施策の成果、効果や質がこれまで以上に重要になってくるものと考えております。そして、県民の皆様方の理解が得られ、県民の満足度が向上されるような施策の成果や結果をいかに出せるかが県民の負託を受けた私ども行政の最重要課題と考えております。
 そのために、今後におきましては、職員の意識改革はもとよりでございますが、民間企業と同じような発想、方法で、納税者でございます県民の皆さんをいわば民間企業で言う顧客という形でとらえ、顧客重視、それからスピード経営、顧客の皆さんへのアカウンタビリティーの徹底、そして、成果主義、結果主義などの考え方を本県の行政運営にも取り入れ、そして生活者や地域から始まる行政システムというものを具体的な形として確立する必要があると、このように考えております。私は、今、述べた考え方、理念を県庁株式会社という言葉に込めたものでございます。
 このような考え方から、現在、予算編成過程の段階で内容公開をしたり、審議会の公開など情報公開を徹底しようということで行政の透明性の向上に努めておりますし、パブリックコメント制度の導入によります県民の県政への参画、それから政策評価や発生主義会計方式の導入、これは、今後、県の財産も貸借対照表あるいは損益計算書のようなものをつくってその内容を事細かに明らかにしていこうということでありますが、こうした方式の導入などにより、結果重視の行政の推進、また、縦割り行政を排した機動的、効率的な行政運営、県民がどこでも必要な行政サービスを受けることができるいわて情報ハイウェイの構築などに取り組んでおりまして、これらもすべて県民の視点を行政に取り入れ、県民の満足度の高い行政運営を目指すという新しい岩手の行政システムづくりの一環でございまして、今後も力を入れて継続して取り組んでいきたいと考えております。
 また、県行政の分社化につきましては、このような理念を地域において実践していくための手段であると同時に、地域のことは地域で責任を持って実践していくということ、いわゆる自己責任、自己決定の行政システムが分権時代の地域の望ましい姿である、こうした認識のもとに進めているものでございます。
 今後、現場重視の地域経営を推進する観点から、地方振興局の自己決定権というものを一層高めまして、そして、地方振興局と市町村との連携を図りながら、真に豊かさを実感できる地域社会を目指して、積極的に施策を展開する考えでございます。
 次に、地域間交流の成果についてお尋ねがございましたが、まず、北東北3県の地域連携については、3回にわたります北東北知事サミットにおける合意事項に基づいて、九州の福岡地区における3県合同の情報発信拠点としてのみちのく夢プラザの開設、文化観光施策の推進を図る北東北文化観光振興アクションプランの策定、また、豊かな環境づくりを進める仕組みとしての北東北環境フォーラムの設置、広域的な交流・連携を進めていく上での指針となります北東北広域連携構想の策定など、こうした成果を今まで見ているところでございます。
 また、地域的には必ずしも隣接していない地域、県との交流も進めておりまして、同じ問題意識を持つ他県との交流・連携に取り組んで、先ほど申し上げましたような地方自治体の会計方式に関する研究や、また、職員の人事交流、他流試合をしてより職員の意識を高め、行政にその成果を移すということで、そうしたことにも取り組んでいるところでございます。
 さらに、海外の国や地域との間におきましても幾つか取り組みしておりますが、例えばドイツ連邦共和国のラインラントプファルツ州と、ついせんだって10月28日に、文化、学術、教育、経済の各分野において協力と交流の目的に関する基本合意書というものを締結いたしました。また、ハンガリーとの間では物産交流としてハンガリーフェアを開催しておりますし、岩手県立大学、三重県立大学、アメリカのノースキャロライナ大学との間での遠隔授業、また、南米のペルーとの鋳物技術交流などに、今、取り組んでいるところでございます。
 このような取り組みや成果を踏まえ、共通の問題意識を持つ国内外のそれぞれの地域との間にさまざまなネットワークづくりを進めながら、お互いに切磋琢磨し、試行を重ね、時には協力し、時にはライバルとして、さまざまな課題に対応し、地域の新たな魅力や可能性を引き出し、前例が通用しない時代の新しい岩手づくりにこうした面や成果を役立てていきたいと考えております。
 次に、環境首都を目指す県政の姿勢についてお尋ねがございました。
 地球環境問題などの今日の環境問題には、通常の事業活動や私たちの日常生活が深くかかわっておりますので、事業活動や県民一人一人のライフスタイルをより環境負荷の少ないものへと変革していくことが求められておりますし、県民、事業者、行政がパートナーシップを築きながら施策を展開していくことが必要不可欠であると考えております。先般、策定した環境基本計画においても、重点施策の第一番に環境パートナーシップ形成プロジェクトというものを掲げておりますが、これは、このような認識からそうしたものでございます。
 このプロジェクトでは、まず、環境学習や環境教育の推進、県民による環境配慮行動の促進、環境情報の提供、環境NPOの育成などを積極的に進めるとともに、ISO14001の認証取得を初めとする環境負荷の低減に向けた県の率先実行によりまして、みんなで環境首都を目指すこととしたところでございます。
 具体的には、愛ランドいわてなどのいわゆる県民運動がございますが、こうした県民運動を通じて、県民による省資源、省エネルギー、そして廃棄物の減量化、リサイクルや環境に優しい商品の購入、環境家計簿の普及など身近なところからの取り組みを進めていく。先ほど議員のお話の中にございましたとおり、大変示唆のある御提言だと思って聞いておりましたが、こうした身近なところからの取り組みを進めていくとともに、市町村の協力も得ながら、道路や河川、海などにおいて生物の生息環境に配慮した公共工事を実施する、そういうところに十分注意しながらやはり私どもも公共工事は実施していかなければならないと思っておりますし、また、産業としても、環境共生型の農林水産業の振興などに取り組んでいきたいと、このように考えております。
 特にも、県民、事業者、行政が一体となった地域の環境保全への取り組み、これはいわゆるグラウンドワークということで最近よく使われておりますが、こうしたグラウンドワークなどを活発化することによって、総合計画の中に将来像として五つの社会を掲げておりますが、その一つでございます恵み豊かな環境と共生する地域社会の構築に向けて、いろいろ施策はございますが、そうした施策を積極的に組み合わせて推進していきたいと考えております。
 次に、本県スポーツの現状と振興策についてのお尋ねでございます。
 私は、スポーツは県民の生活に活力と潤いを与え、一人一人の健康の保持増進のために大きく寄与するものと考えております。このため、これまでスポーツ・レクリエーション活動につきましては、その普及を図るため、広く県民が参加できる県民スポーツ・レクリエーション祭やニュースポーツを取り入れた交流会を開催してまいりましたほか、学校の体育施設の体育館などの開放なども行ってきたところでございます。
 県教育委員会が行いました運動・スポーツに関する県民の意識調査というものがございます。これを見てみますと、週1回以上スポーツを行った県民というのは、平成2年においてはその割合が40.1%でございましたが、8年後の平成10年には45.0%となり、約5ポイント増加しております。その普及が、少しずつではありますが図られてきているのではないかと、このように考えております。
 また、競技スポーツにつきましては、従前から指導者の養成や選手強化事業などを実施して競技力向上に努めてきたわけですけれども、今、議員からお話ございましたとおり、先般の国体での成績は、昨年24位だったものがことしは30位という大変残念な結果に終わりました。大変これは反省して、今後のことをよく考えなければいけないわけですが、ちょうどその前に行われました'99岩手総体におきましては、アドバイザリーコーチ招聘事業や県外の交流事業など、ジュニア期からの継続的な強化策が実って、成績は、20競技、75種目の入賞と過去の中では最高の成績を残したところでありまして、こうしたことから、今後においても早い段階からの計画的な強化策が必要であると考えております。
 特に、本県の置かれております地理的特性を生かしたスポーツ、例えば、これからのスポーツでございますが、スキーとかスケートなどの冬季競技、それから、ホッケーや山岳、ラグビーなど、ほかにもあるとは思いますけれども、こうした地域に根差した種目を中心に強化を図って、本県の競技力のレベルアップにつなげていきたいと、このように考えております。
 スポーツの振興につきましては、県の総合計画におきましても、県民だれもが生涯にわたって生きがいや健康づくりのためにスポーツを楽しめる環境の整備に努めるとともに、県民のスポーツへの意識を高め、夢と感動を与える競技スポーツの推進を図るなど、豊かなスポーツライフの実現に向けて積極的に取り組むこととしております。今後も、一人一人がスポーツを生活に欠かせない文化として定着させ、健康で潤いのある生活を営むことができるよう、各種のスポーツ関係団体が多くございますが、私も県の体協の会長という立場もフルに生かして、十分に連携を図りながら生涯スポーツ社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
 最後に、市町村合併についてのお尋ねがございました。
 私は、市町村合併を含む広域行政の推進は、まさに時代の要請であると、このように考えております。なぜならば、地方分権の進展や本格的な少子・高齢化社会を迎え、市町村が増大する行政需要に適切に対応し、地域における総合的な行政主体として分権型社会における役割を担い、また、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図っていくためには、市町村みずからがその境界を越えて効率的な行政体制の整備、確立を図る必要があると、このように考えているからでございます。
 こうした広域行政の中でも、とりわけ市町村合併につきましては地域における自主的な取り組みが前提となるものでございまして、市町村が自治の担い手である地域住民とともに地域の現状や課題を考え、将来にわたる地域の望ましい姿を描きながら、自主的に判断することが極めて重要であると考えております。
 県では、市町村の自主的な合併に関する助言や情報提供などの役割が求められておりますことから、現在、策定を進めております広域行政推進指針におきましては、地域の実情などを十分に踏まえながら、市町村合併のパターンのみならず、その中にはさまざまな内容の選択肢を提示することとしておりますけれども、これによってそれぞれの地域において多様な議論がなされることを期待しているところでございますし、特に合併についても、そうした多様な議論の中で地域住民の皆さんに真剣に考えてもらたいと、このように考えております。
 今後も、関係市町村、とりわけ地域住民が必要とする的確な情報の提供や助言などを通じ、積極的に県としての役割を果たしてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) 去る10月に新聞報道されました生ごみ発電システムについてであります。
 これは、生ごみなどの有機質を発酵させまして、メタンガスを回収して発電を行う、いわゆるバイオマスの一つでありますが、家畜ふん尿などとの混合での実用化の例はありますけれども、生ごみだけによります発電の事例は初めてのものと言われております。今回の発電システムは、生ごみから発生するメタンガスから水素を取り出しまして酸素と反応させる、そして電気を取り出す燃料電池システムと組み合わせたものでありまして、生ごみを一度も燃やすことなく、ダイオキシン類も当然発生させずにエネルギーを回収できるという点が評価されております。
 このシステムは、御指摘のように、大規模な飲食店、それから商業施設での自家処理施設として有望な資源循環型の技術と聞いております。しかしながら、現時点で市町村にこのシステムを導入する場合には、ごみ焼却量を減量し、かつエネルギーを回収するという利点はございますが、容器包装などの不純物を排除する分別収集の徹底、それから収集運搬体制、汚水処理施設等を新たに整備することによりますコスト増が課題となるものと考えてございます。
 今後の市町村のごみ処理につきましては、焼却時の発電、あるいは生ごみと汚泥をコンポスト処理してメタンガスを回収利用するなど、廃棄物の再利用や廃棄物処理に伴う未利用エネルギーを有効に活用する施設の整備が求められておりますので、今回の生ごみ発電も含めまして、引き続き新しい技術開発の情報収集、それから研究に努めてまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) まず、いわて情報ハイウェイの県と市町村が一体となった取り組みについてでございます。
 県といたしましては、地域における情報化推進の中心的な担い手でございます市町村との連携を図りながら、適切な役割分担のもとに、県内各地域の情報化を促進してまいりたいと考えてございます。このため、今年度から県土全域の情報通信基盤となるいわて情報ハイウェイの整備に着手するとともに、県と市町村との情報共有に必要な各市町村とのネットワークにつきましても、今般の国の第2次補正予算に計上されております広域的地域情報通信ネットワーク整備促進モデル構築事業を活用した県内全市町村とのネットワークの構築や市町村へのインターネット導入促進のための有利な補助事業の採択を国に要望し、まずもって市町村の負担ができるだけ軽減されるよう努めているところでございます。
 県といたしましては、先般、市町村情報担当主管課長会議を開催して、県と市町村とのネットワークの必要性を説明し、理解を求めたところでございまして、今後とも、市町村との連携を強化しながら、国の有利な補助事業の導入等により市町村の情報通信環境の整備を促進するとともに、地域情報化のための市町村の主体的、個性的な取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
 次に、過疎地域活性化特別措置法にかわる新法についてでございます。
 これまでの3次にわたる過疎対策により、本県の過疎地域におきましては、公共施設の整備水準が向上するとともに、特色ある地域づくりが促進されるなど着実にその成果が上がってきておりますものの、依然として高齢化の進行であるとか若年層の流出が続くなど、解決すべき多くの課題を抱えているところでございます。
 このため、県といたしましては、これらの過疎市町村は財政力が脆弱でありまして、その振興を図るためには、現行過疎法の失効後も新たな法律の制定による総合的な振興策が必要であるとの考えから、これまで政府予算統一要望を初めとして、あらゆる機会を通じて関係省庁や県選出国会議員等々に対しまして新法の制定を強く働きかけてまいったところでございます。
 新しい指定要件につきましては、現在検討されている段階でございますが、全国過疎地域活性化連盟から入手した情報によりますと、その内容といたしましては、人口要件では、昭和45年から25年間の人口減少率が19%以上であること、昭和35年からの35年間の人口減少率が30%以上であること、昭和35年からの人口減少率が25%以上で、かつ高齢者比率が24%以上であること、または若年者比率が15%以下であることの要件のいずれかを満たすこととなっておりますし、さらには、財政力指数が0.42以下であるとすることなど、現行の要件よりも厳しくなってきております。この要件を県内市町村に当てはめて試算いたしますと、新たに該当する市町村はないものの、現在の24の過疎市町村はすべて該当することとなりまして、この結果から見ると、現時点では本県への影響はないものと見込まれているところでございます。
 なお、新しい過疎法は次期通常国会に法案が提出されるものと伺ってございますが、過疎地域の指定要件につきましても今後の検討によって変わることもあり得るものと考えておりますが、仮に現在指定を受けている過疎市町村が指定から外れた場合には、その影響は大きいものと認識いたしております。
 こうしたことから、県といたしましては、関係都道府県や全国過疎地域活性化連盟と連携して、できる限り現行過疎市町村は引き続き対象とするとともに、現行過疎市町村から外れた団体に対しては、現行過疎法と同等以上の手厚い経過措置を講ずるよう引き続き要望してまいるとともに、県独自の施策であります準過疎対策につきましても、新過疎法における国の施策を見きわめながら、必要な見直しを検討してまいります。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) まず、本県スポーツの競技力の向上と指導者養成についてでありますが、各種競技大会における本県選手の活躍は、多くの県民に感動や活力を与えるとともに、スポーツに対する関心や意欲を高めるものであり、本県競技スポーツの充実発展のため、選手の競技力向上と指導者の養成は極めて大切なものと考えております。
 選手の競技力向上につきましては、地域の特色を生かしたスポーツの拠点づくり、あるいはジュニア期からの一貫指導や強化事業などにより、これまですぐれた適性と能力を有する選手の育成、確保に努めてきたところでありますが、今後におきましても、体育関係団体や民間等と密接な連携を図り、次期国体開催をも視野に入れながら、当面は、平成13年の宮城国体、さらには平成19年の秋田国体に向けた選手強化を図ってまいりたいと考えております。
 また、指導者の養成についてでありますが、競技力の維持、向上を図るためには、'99岩手総体でも示されたとおり指導者に負うところが大変大きいことから、今後ともスポーツ医科学に基づくトレーニング方法の講習会の開催あるいは指導者の海外派遣などにより、優秀な指導者の養成に努めてまいりたいと存じております。
 次に、生涯を通じてスポーツに親しめる環境の整備についてでありますが、近年、都市化や生活の利便化などの影響を受けて運動不足に陥りやすい生活環境となっていることや、高齢社会を迎え、高齢者が生きがいを持ち、老後を豊かに過ごすためにも、日常的にスポーツに親しむことが大切であると考えており、本県では10月を生涯スポーツ推進月間と定め、県民だれもが参加できる年齢別テニスやターゲット・バードゴルフなどのニュースポーツを取り入れた県民スポーツ・レクリエーション祭を開催するなど、県民一人一人が生涯スポーツに対する理解を深め、健康と体力の増進に取り組むよう努めているところであります。平成17年には、全国スポーツ・レクリエーション祭の本県開催を招致していることでもあり、今後とも、子供から高齢者まで、だれでも加入できるスポーツクラブの結成を促進するなど、広く県民がスポーツに親しみ活動できるよう、県体育協会や県レクリエーション協会等との連携を図りつつ、生涯スポーツ推進に努めてまいりたいと存じております。
 次に、高校再編に関連した高校教育のあり方についてでありますが、本県の高校進学率は平成7年度には97%を超え、中学校卒業者の大部分が高等学校で学んでいる状況となっております。こうした中で、高校生は大学等の上級学校に進学を目指す生徒、また、専門の領域を学んでそれを生かして職業につくことを目指す生徒など、それぞれの進路希望や個性、特性に応じた高校生活を送っておりますが、不登校や中途退学などの生徒も少なからず見られ、憂慮される状況もあるというふうに認識しております。
 次に、本県におきましては、これまで地域の特性を生かした産業教育の振興・充実に努めてきたところでありますが、今後においては、それぞれの専門領域のほかに、他の分野も学ぶことのできる総合的な専門高校や、他産業にかかわる学習も可能となる総合学科の設置などにより、その充実を図っていく考えであります。
 次に、岩谷堂高校の成果と課題についてでありますが、同校は平成6年、生徒の個性や社会の変化に柔軟に対応し、生徒の個性の伸長や学習の選択の幅を拡大するなどの観点から、総合学科として人文科学、福祉サービス、情報サービス等の系列を設けるとともに、多くの選択科目を開設するなど、教育課程や指導内容の工夫に努めてきたところであります。こうしたことにより、生徒の主体的な学習が促進され、進路意識や学習意欲が高まり、不登校や中途退学者が減少するとともに、大学等への進学者が増加し、また、卒業後の職場においては総じて高い評価を受けるなど、進学、就職とも成果が上がってきているところでございます。
 今後は、教育課程編成等の効率化のためのコンピューターシステムの導入など設備を整えるとともに、進路指導や生徒指導の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
 総合学科には、普通科目だけでなく専門科目も含めた多様な教科・科目を準備し、その中から生徒が自己の興味、関心に基づいて主体的に履修科目を選択して、将来の職業選択を視野に入れた学習も行うことができるという特徴があることから、必要に応じてブロック単位で設置してまいりたいと考えているところでございます。
 また、教科・科目の幅広い選択、学年の枠を超えて履修できる単位制、あるいは体験的・実践的学習を通して職業観を育成する教科の設置など、総合学科ならではの特色を生かし、地域の理解と協力をいただきながら、一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、教員の指導のあり方とすぐれた教員の確保につきましては、新しいタイプの高等学校を初め、これからの高等学校においては、今後ますます生徒の多様な進路志望や興味、関心に対応した指導が要求されますことから、生徒の履修科目や進路の選択を支援できる資質、選択科目等の教材開発能力、生徒個々の学習状況等を的確に把握する能力の向上などを図るための研修を充実するとともに、あわせて教員の適切な配置に努めてまいりたいと考えております。
 次に、郷土芸能の伝承についてでありますが、県内の郷土芸能の保存団体は、御案内のとおり1、064団体に上っているところであり、内容面においても国指定の早池峰神楽、毛越寺延年の舞、鬼剣舞、田植躍りなど、多種多様のすぐれた芸能が数多く伝承されております。これら貴重な郷土芸能を将来にわたり保存、伝承していくことは極めて重要であり、県においては、文化振興基金を通じ、衣装や用具等に対する助成を行うとともに、後継者の育成を図るため、郷土芸能に取り組む子供たちに発表の機会を設けているところであります。またさらに、郷土芸能に取り組む学校に対する指導者の派遣等について支援を行うなど、学校と地域社会との連携の促進を図っているところであります。
 今後とも、これらの取り組みを一層充実させ、郷土芸能の伝承に努めてまいりたいと考えております。
 次に、お尋ねの郷土芸能伝承館についてでありますが、近年、各市町村において、地域における特色ある郷土芸能の伝承を目的として、練習や発表の場である伝承館等の施設が既に20余り整備されてきているところであります。
 県といたしましては、これらの施設における活動を支援していくとともに、全県的な発表の場を確保することなどにより、特色ある岩手の郷土芸能をアピールしてまいりたいと存じております。
〇10番(佐藤力男君) どの項目に対しましても御丁寧に御答弁をいただきまして大変ありがとうございました。数点、再度お聞かせをいただきたいと思います。
 まず、スポーツ振興につきましては、申し上げましたように熟年の大会が非常に少なくて、そうした取り組みができないというふうに思っておりますし、私の調査では、県内市町村でそうした取り組みをしている市町村はないというふうに理解をしていますので、どうぞ何らかの手だてをお考えいただくことを御要望申し上げる次第でございますが、その体協の運営につきまして関連をいたしまして1点お伺いをいたします。
 体協の運営につきましては、御案内のとおり、経常経費を除く活動費のほとんどが県の補助金で賄われているというふうに認識をいたしております。そして、その中身はいわゆる強化費でありますが、この強化費につきましては、例えば、過般、北海道でその一部を個人流用したとしての疑惑が持ち上がって事故が起きたというような例もあるわけでありまして、このたぐいの財源はとかく一部の関係者によって取り扱われることがあったりいたしまして、この種の問題の発生が起きやすい土壤にもあるというふうに思っております。直接県政とは関係ございませんが、補助金の適正な執行という立場から、この補助金執行の中身についてどのように把握をされ、また、報告やチェック体制はどのようにとられておられますか、おわかりでしたらお示しをいただきたいと存じます。
 次に、高校再編整備計画についてでございます。
 専門の立場でいろいろお考えのことでございまして、素人の私がいろいろ申し上げることではないというふうに思っておりますが、しかしながら、私が申し上げましたように、今、高校教育はまさに義務教育化というふうになっておりまして、中学生がただ高等学校の生徒になったというような形の実態もあるわけでありますから、そうした認識のもとで高校教育に取り組んでいくということも私は必要だというふうに思っております。そうした意味では、家庭、地域、そして学校、小中学校で普通に行われていることが、高等学校の現場でも残念ながら行わなければならない、そうした実態にもあると認識をいたしているところでございます。さらに、最近の子供たちの教育を取り巻く状況が、子供たちの人権、自由だ、平等だと、個性尊重だというような教育方針のもとで、生徒も先生も対等だとするような風潮、あるいは校則もそれから学校のいろんな決まりもだんだん薄れていくと、そうした状況下の中で、大変言い方は悪いんでありますが、家庭は学校に行っていれば安心をしていると、学校では生徒が来ていれば安心をしていると、そういうふうな状況すら私はあると認識しております。そうした中では、もう少し現実を踏まえて、地域との連携をとった高校教育が行われてしかるべきだと。
 さらに、申し上げましたように、本県は農林水産業が基幹産業であります。果たして今の高校教育の現場の中で、農林水産業の持つそうしたすばらしさやあるいは経済性、そしてまたそれをもって生きがいとしている人たちの心というものが教育の場から伝わっているんであろうかと、そんなふうにも思っているところでございまして、ぜひ地域連携の中から、詳しく言えば実践者との触れ合い、実習の場というようなものをもっと活用しながら、農林水産業の持つすばらしさや経済性というものを直接子供たちに体得をさせながら、そして農林水産業の後継者をきっちりとつくっていく。幾ら食料供給基地岩手県だといいましても、元気の出る話といいましても、後継者がいないと元気が出てこないわけでありますから、ぜひそうした点ではひとづくりという観点に立って、ひとり教育委員会のみならず、本県にあってこの大きな行政課題としてとらえてぜひ取り組んでいただきたいと、そのようにも思っているところでございまして、改めて教育長の強い御決意をお示しいただきたいと存じます。
 それから、市町村合併につきまして1点だけ部長にお伺いいたします。
 この特例法というものにさまざまの改正を与えて、時限立法あと5年しかないわけでありますが、この改正によって岩手県には市町村のすべてのと言いませんが、多くの自治体の中には非常に地方財政が脆弱である、そうした地域にあっては、この特例法を活用するという視点も大きな私は千載一遇のチャンスではなかろうかと。それをお示しいただいて指導していくのは、ほかならぬ県しかないと私は思っているところでございまして、そうした特例法に触れての市町村合併に対するお気持ちをぜひお示しいただきたいというふうに思っております。
 以上、まず第1点だけ。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) まず、体育協会の経費なり運営ということに関してでありますけれども、ちょっと詳細、資料を持ち合わせておりませんけれども、八、九割方、県費で成り立っておる団体でございます。役員等も県教委の方からも、知事が会長でありますけれども副会長等に入っておりますが、そうした日常の教育委員会におけるチェック機能がありますほか、教育委員会の他の部署における内部監査等も行っておりますし、さらにまた県の監査委員の監査、これも適用されております。したがいまして、十分そうした面でのチェック体制はできておりますことと、御懸念のありますような、北海道における事例のような、そうしたことは全くないものというふうに考えておるところでございます。
 次に、高校の新整備計画に関してでありますけれども、議員からお話しもありましたように、これからの時代、しかも97%台の子供たちが高校に進学しているという状況、実態がございます。そうした中では、やはり多様な選択なりあるいはそれぞれの子供たちの個性が十分伸長できるような、そういう環境を整えるということはやはりどうしても必要なものであるというふうに思っております。そうした反面、さまざまな問題行動等も見られるわけでありますが、そうしたことはやはり学校の自治のもとに一定の秩序をそれぞれ学校において経営として確立していくことが一つ、それから今一つは、お話しのような地域との連携、これを十分図りまして、地域ぐるみでそうした子供たちの育成の環境がなされていくということが望ましいというふうに思っております。今般の教育改革の中におきましても、地域との連携、これを制度的に保証していくという方向にございますので、今後、ますますそうしたことの充実が図られるものというふうに思っております。
 なお、また、この地域の特徴を生かした体験学習のようなもの、これは今回例えば総合的学習の時間等も活用いたしまして、さらにまた、その他の学科におきましても小学校から高校まで地域の職場、会社等あるいは農家の体験あるいは福祉施設の体験、そうしたものが充実されていく方向にございます。これはさまざまな地域を理解する、あるいは地域における産業に立脚したみずからの進路を選んでいくということのほかに、やはり一つは心の教育、そうした体験を通じての人間性を高めていくということ、そういう目的も加味したものとしてございます。そうした意味で、これらにつきましても今後力を入れてまいりたいと思っておりますし、間違いなくそうしたことが充実される方向にあるというふうに考えているところでございます。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) 合併特例法、時限立法であるわけでございますが、この有効期間中に財政支援策などの優遇措置を活用して市町村合併を促進すべきではないか、そしてその促進策というお尋ねでございますが、この法律の有効期間中に合併した市町村につきましては、手厚い財政支援を初めさまざまな特例措置、支援措置が講じられることとなっておりますので、合併しようとする市町村にあってはこのことを念頭に置きながら、市町村、とりわけ地域住民が自主的に取り組んでいただくことが望ましいことと考えております。県といたしましても、現在、策定を進めております指針において、仮に合併した場合にはそうした支援措置を活用して、どのようなメリットがあるのかというようなことについて、具体的に市町村や地域の皆様方にお示ししたいと考えてございます。このことによって、市町村やとりわけ地域住民の皆さんの間において、合併を契機とした新たな地域づくりへの議論が高まってくること、そういったことを期待して、ただいま申し上げたような対応をしてまいりたいと考えてございます。
〇議長(山内隆文君) 次に、小野寺研一君。
   〔6番小野寺研一君登壇〕(拍手)

前へ 次へ