平成11年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇33番(黄川田徹君) 自由党の黄川田でございます。
 まずもって、先般の県北部の大雨洪水災害にあっては、自由党県連としても11月15日に現地調査を行い、その被害の甚大さを改めて認識してきたところであります。被害に遭われた方々に対し心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧と生活安定に、さらには被災者の方々の生産活動などに対する意欲が失われることのないよう、県当局の手厚い支援、指導を強く要望するものであります。
 また、去る6月、9月の県議会定例会にあっては、新しい総合計画の実施に向けての各部局の決意に、力強さがやや欠けているのではないかと私は感じておりますので、通告に従い県政全般に関して地域課題も含め順次質問いたしますが、誠意ある答弁をお願い申し上げます。
 私の質問の最初は、地方分権一括法への対応についてであります。
 御案内のとおり、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律、いわゆる地方分権一括法が去る7月16日に公布され、来年の4月1日より施行されることになりました。この法律は機関委任事務制度の廃止、国と地方公共団体の新たな関係のための調整ルールの確立、必置規制の廃止、緩和など、広範な範囲にわたるものであり、まさに地方分権の新たなスタートを象徴する法律と言っても過言ではありません。ところで、この法律の施行に対応して、地方公共団体においては、本年度中に関連する条例や規則等の制定、改廃を行う必要があり、これに際しては、精密かつ膨大な作業が生じることと思われます。しかるに、地方公共団体の条例等の改正作業に当たって不可欠な国の政省令の改正が遅々として進まず、それがために今般の議会においても、一部の条例案しか提出されていないと聞いております。そこで、お伺いしますが、県における地方分権一括法に対応した条例改正作業はどのようになっているのでしょうか。その取り組み体制と進捗状況、今後の見通しについてお示し願います。
 また、国の政省令の改正のおくれによるしわ寄せを受けるのは市町村であります。市町村におけるこの種の要員体制は県ほど整っているわけではなく、迅速な対応ができかねる状況にあると考えられます。国の作業のおくれやそれに伴う県の作業のおくれが市町村にどのような影響を与えているのか、市町村の現状や県の支援策も含めてお伺いします。
 次に、市町村の広域行政の推進についてお伺いします。
 平成12年4月から開始される介護保険事務やごみ処理の広域化の問題、さらには地方分権の推進に対応した自治事務の拡大など、基礎的な地方公共団体である市町村には新たな行政課題が山積しております。一方、市町村の財政状況は、地方債残高の総額が標準財政規模の総額の約2倍に達する状況となっているなど、極めて厳しい財政運営を将来にわたって強いられるものと予想されます。このように、厳しい行財政状況のもとで地域住民のサービスを維持していくためには、県としても市町村の広域行政を推進するとともに、市町村の行政運営を効率的なものとしていくことが必要になってくるものと考えております。国においては、地方分権推進計画あるいは地方制度調査会の答申において、都道府県が合併パターンを含む要綱を策定するよう要請しており、県もこれを受けて広域行政を推進するための指針の策定作業中と思います。そこで、お尋ねしますが、県はこの指針を今年度末を目途に策定するため、4月以降、県立大学と共同で県内の59の市町村の首長や議会、さらには地域住民の方々などから、広域行政の推進についての考え方をお聞きしたものと承知しておりますが、その調査の際、示された考え方や意見などはおおむねどのようなものであったのか、差し支えない範囲で総括的にお答えいただきたいと思います。
 また、広域行政については、市町村合併以外にもさまざまな選択肢が考えられますが、策定が予定されている県の指針においては、国が要請している市町村合併のパターンのみ提示されることとなるのか、現在作業中とは存じますがお尋ねいたします。
 加えて、指針は、市町村や地域住民にとってどのような性格と位置づけになるのか、あわせてお伺いします。
 次に、北東北3県の広域連携構想についてお伺いします。
 少子・高齢化や高度情報化の急激な進展、県境を越えた地域間競争の一層の激化など、経済社会情勢の変化に伴い、一つの地域だけでは解決できない課題が増大しております。こうした中、それぞれの地域が質の高い地域社会を形成していくためには、各地域が特色を生かしながら、従来の行政の枠を越え、さまざまな分野、レベルで交流・連携し、役割や機能を分担しながら、その可能性を最大限に引き出していく必要があります。本県においてはこれまでも、県内はもとより、青森県や秋田県、宮城県との隣接県交流など、日常生活面を初め、行政、産業、学術、文化などさまざまな分野で、市町村や県の境を越えた交流・連携が繰り広げられてまいりました。しかしながら、地方分権一括法の成立など分権型社会への移行を契機に、今後は、より広範な地域課題の解決やさらなる地域の振興に向け、広域連携の推進、いろいろな地域とのネットワークの形成など、これまで以上に多様な交流・連携を積極的に推進していくことが重要になると考えるものであります。
 先ごろ秋田県田沢湖町で開催された第3回北東北知事サミットの場で、第1回知事サミットの合意を踏まえて、広域的な交流・連携の促進を図るため、これまで3県で検討が進められてきた北東北広域連携構想が発表されたと聞いております。そこで、お伺いしますが、この北東北広域連携構想の目的、内容及び今後3県においてこの構想をどのように具体化していくのか、お聞かせ願います。
 次に、社会福祉法人の適正な運営についてお伺いします。
 急速な少子・高齢化の進展など、我が国の福祉を取り巻く環境は大きく変化しております。国においては、こうした環境の変化を背景に、今後増大、多様化する福祉需要に適切に対応するため、社会福祉事業、特に社会福祉法人など社会福祉全般を支える基礎構造について見直しを行うため、社会福祉事業法等の法律の一部改正のための作業が進められているところであります。社会福祉法人が行う事業には、第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業とがありますが、社会福祉法人は、いずれも援護の必要性の高い者の入所施設及び利用施設を経営するなど、福祉サービスの提供に極めて重要な役割を担っているところであります。また、サービスの利用者が、尊厳を持って、その人らしい生活を送れるよう支援するという社会福祉の理念に対応し、サービスの利用者と社会福祉法人という提供者との間に、上下関係のない、すなわち対等な関係を確立することが今後求められるところであります。県は、社会福祉法人がサービスの利用者のニーズに十分にこたえるなど、適正な運営を行うよう指導監督する立場にあるわけですが、過日報道された一部の社会福祉法人において、県民の信頼を損なうような不祥事が発生したことは、まことに残念であります。そこで、お伺いしますが、まず県内の社会福祉法人の数は年々ふえていると思うところでありますが、現在は何法人あるのでしょうか。
 次に、これらの社会福祉法人に対する県の指導体制、また指導監督の状況はどのようになっているのでしょうかお聞かせ願います。
 また、これらの社会福祉法人に対する県の指導監査の結果として、どのような問題が指摘されているのでしょうか。
 さらに、これらの社会福祉法人の適正な運営を確保するために、県は今後どのような指導を行っていくお考えなのか、あわせてお聞かせ願います。
 次に、修学旅行の誘致強化についてお伺いします。
 本県の観光客入り込み数は、近年横ばい傾向が続いており、特に昨年は岩手山の火山活動や天候不順の影響などもあり、大幅に落ち込んでおります。本県においては、外部経済効果の高い県外からの観光客を誘致することが、観光施設の経営にとっても喫緊の課題であると考えるものであります。観光客の志向が団体旅行から個人旅行へとシフトする中にあって、修学旅行客は貴重な団体客であり、シーズンオフの施設稼働率を高める上でも重要であると考えます。加えて、修学旅行は今でも学生時代の楽しい思い出であり、生徒たちが旅先に抱く好印象や親近感が、将来に観光客として再び岩手県を来訪することを初めとして、さまざまな交流を生むことが期待されるものであります。しかしながら、本県への修学旅行の入り込みは年々減少傾向にあり、平成10年度は、延べでありますが2、030校と、平成元年に比較して約7割程度と落ち込んでいる現状にあります。農漁村体験や自然との触れ合いなど、都会では味わえない本県のよさを幅広くPRするなど、修学旅行の本県誘致に積極的に取り組むべきと考えますが、県当局のお考えはいかがでありましょうか。
 また、本年9月に、県観光連盟が札幌において中学校への修学旅行説明会を開いたと聞いております。長い間、本県から北海道への修学旅行はあっても、北海道から本県への修学旅行は数々の制約から少ない状況にあったものが、運動が実り誘致に成功し、拡大をねらい開催されたものと伺っております。関係者の方々の努力のたまものと敬意を表するものでありますが、これらの努力をさらに実のあるものにするため、説明会での意見等を踏まえ、さらなる素材発掘と体制づくりが必要と考えます。そこで、お伺いしますが、北海道からの修学旅行誘致のため、今後どのような取り組みを考えておられるのか、あわせてお聞かせ願います。
 次に、農業問題に関してお伺いいたします。
 農業をめぐっては、4月の米の関税措置への切りかえに始まり、38年ぶりとなる新しい農業基本法の制定、米の次期生産調整対策の決定、さらには我が国農政始まって以来と言われる中山間地域等への直接支払制度が打ち出されるなど、21世紀の農業・農村の構築を目指した政策が次々と示されております。このような中にあって県は、これからの本県農業・農村の進むべき方向とその具体的方策を明らかにした岩手県農業・農村基本計画を9月に策定されたところであります。この基本計画の施策の基本方向に、意欲ある担い手の育成、個性あるいわて農業の形成、活力と潤いにあふれ開かれた農村社会の形成が置かれており、具体的な施策の視点として農業と環境との共生、生産者と消費者との連携、農村と都市との交流が掲げられております。このどれもが本県、いや我が国農業の今日的課題ということができると思います。今後は、この計画の実現に向けての各般にわたる施策の展開を期待するものでありますが、この計画の実現に向け、どのような具体的施策を展開されようとしているのか、県当局のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、先般、県は農業・農村振興大会を開催し、総合食料供給基地宣言を行ったと報じられておりますが、この宣言はどのような考えのもとに行われたのか、あわせてお示し願います。
 次に、新しい水産業基本計画についてお伺いします。
 近年の本県水産業をめぐる情勢は、漁業生産量と魚価の低迷、漁業就業者の減少と高齢化の進行など暗い話ばかり続いていますが、水産業は古来、国民生活に不可欠なたんぱく源を供給し続け、国民の食生活を豊かにしてきた重要な産業であり、もっと覇気を持ってその社会的使命を全うしなければなりません。そのためには、県等の行政が漁業者に対して確かなビジョンを示すことが大切であり、漁協の系統組織を挙げた取り組みが大きな力となり、初めて本来の水産業の持つ活力がよみがえるものと私は感じております。今般、県が新しい計画を策定し、21世紀初頭のビジョンを示されたことは、まことに時宜を得たものであり、計画の達成に向けて、漁業者を初め、漁業関係団体、県民が一丸となって取り組んでいかなければならないと考えるものであります。今回の計画では、将来にわたる国民への安全で良質な水産食料の安定供給、若い担い手が意欲を持って就業できる夢のある水産業の実現と活力ある漁村の創造という二つの基本目標を定め、この実現に向けて、生産者だけでなく、消費者の視点にも立った施策の展開方法を明らかにしたと聞いております。生産者と消費者とが一体となった、まさに県民のための計画となったところであります。私は、これらの目標の実現により、必ずや元気な水産業が復活すると確信するものであります。しかしながら、今後、具体的に事業を実施する際には、これまでの三次の計画を踏まえつつ、基本方向に肉づけをしていかなければならないと思います。そこで、伺いますが、第四次岩手県水産業基本計画は前の計画と比べてどのようなことが特徴的なのか、また計画達成に向けた施策展開の具体的な内容は何か、あわせてお聞かせ願いたいと思います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、土木部所管のダム事業についてお伺いします。
 国や県の予算編成の基本的な考え方の一つとして、事業の重点化が示され、そのためダム事業の総点検や岩手県公共事業評価委員会による審議も行われるようになり、その結果、事業そのものが中止あるいは休止等になったものがあり、本県のダム事業においても、これまで日野沢ダムや明戸ダムの中止や北本内ダムが休止されたことは御承知のとおりであります。ダムの建設は、計画から完成まで長い年月と多額の事業費を要することから、国、地方を通じた厳しい財政状況の中では、その事業の推進は困難なものがあると認識しており、今後はさらに事業の重点化が進められるのではないかと考えております。また、公共事業の執行に当たっては、真に地域が必要としている事業について重点配分していくという考え方は、国や県を問わず当然なことであります。このような観点から、財政状況等が厳しい時代にあったとしても長期的な計画に基づいたインフラストラクチャー整備、例えば、長年、道路や河川やダム等を整備してもらいたいという地元の熱意にもかかわらず、事業の優先度から後発となっている事業にも、積極的に取り組んでいくことが必要不可欠ではないかと考えているところであります。そこで、お伺いしますが、長期的な計画に基づいた事業の代表と考えられますダム事業の推進について、どのような基本的考えで取り組む所存かお聞かせ願います。
 また、現在進めているダム事業の今後の見通しについてもお聞かせ願います。
 さらに、現在調査が進められている津付ダムについてでありますが、気仙地区では鷹生ダム、綾里川ダム、津付ダムと三つのダム事業が進められています。鷹生ダムは、大船渡市を貫流する盛川沿川の洪水対策と大船渡市の水道用水の確保、また綾里川ダムは綾里川沿川の洪水対策と三陸町の水道用水の確保等を目的に建設促進が図られていることは御案内のとおりであります。そして、鷹生ダムは先ごろ仮排水路への転流を行い本体掘削に着工することとなっています。綾里川ダムはことし9月に本体コンクリートの打設を完了し、来年度の完成を目前にしております。しかれども、津付ダムは過去において地権者のダム事業への理解が得られず事実上事業がストップした時期がありましたが、平成元年に住田町の努力もあって、地権者会が設立されて以来、町はもちろんのこと地権者会長が建設省に事業推進を陳情するなど、現在はもろ手を挙げて事業推進を待望している状況にあります。国の財政構造改革や公共事業の重点化の中で、先行きがはっきりしないわけでありますが、津付ダムの新規建設採択の今後の見通しについて、あわせてお聞かせ願います。
 次に、高校再編問題についてお伺いします。
 教育委員会から提示されている県立高等学校新整備計画案では、少子化の影響とともに高校教育を取り巻く環境の変化、青少年の意識や生き方の変容に加え、子供が希望する学科数と設置数の乖離、不登校や中途退学者の増加などを計画策定に至る背景とし、多様な能力、適性、興味、関心を持つ生徒の個性や能力を最大限に伸ばすために、高校教育をさらに多様で柔軟性に富んだものに改めることを目指し、その具体策として、学校の統廃合や学科再編、総合学科の設置などを掲げております。私は、さきの9月議会の一般質問に関連して申し上げましたとおり、生徒の希望がかなえられないような高校の教育体制を見直していくのは、社会や行政の責任であると考えており、本計画案を頭から否定するものではありません。しかしながら、計画の中で農林水産関係の高校・学科が再編統合されることによって、農林水産業を志す生徒の教育の場が狭められることに危惧を感じているものであります。現実には農林水産学科の設置比率とこれを希望する生徒の割合にそごが生じている以上、見直すことも必要になる場合もあると思いますが、次代を担う後継者を育成し、岩手の大切な産業を守っていくために、どうしたら志望者をふやせるのか、どうしたら志望者がふえるような魅力ある専門教育をできるのかなど、農林水産学科を初めとする実業高校を生かす議論も必要ではないでしょうか。
 県民の中には、これらの議論に対する理解が少ないがため、教育委員会の立場からの教育効率が先行した計画であるとか、唐突に提示された計画であるとかなど、批判を持つ方々も多くおります。教育委員会においても、県議会の決議や質問等を踏まえ、より説明が必要であるとの観点から、9月議会以降、それぞれの地域に出向いての説明会を開催し、広く県民の意見を聞かれたところであります。私の知る限り、高校再編の説明会では、ほとんどの会場で計画の見直しが強く要求され、これに対し、県教委は判で押したように、理解を得たいの繰り返しではなかったかと思います。また、会場では建設的な議論には発展せず、両者の立場の違いが鮮明となっただけではないかと思いますが、まずもって、これらの説明会においてどのような意見が出されたのか、そしてこれらの意見や、各地区から提出されている対案等を、本計画案にどのように反映されるお考えなのかお聞かせ願いたいと思います。
 また、聞くところによれば、この計画を年内に成案とするお考えとのことでありますが、これら説明会の意見や要望を計画に反映させるとすれば、あと1カ月程度では困難ではないかと私は考えます。私は、岩手の教育は、県の教育委員会のための教育であってはならないと思います。結論を急ぐべきではないと考え、計画の決定に慎重な対応を求めるものでありますが、本計画の決定時期をいつごろとお考えなのか、あわせてお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、治安対策についてお伺いします。
 県が現在進めている魅力あふれる夢県土いわてづくりの基盤をなすものとして、県民の安全と平穏な生活を確保することが大変重要であると思います。最近の治安情勢を見ますと、全国的には、保険金目的の殺人や強盗などの凶悪事件を含む刑法犯が昨年200万件を超え、コンピューター犯罪や来日外国人犯罪が増加しております。また、県内では、子供や女性を対象とした凶悪事件、自動販売機荒らし事件や郵便局対象の強盗未遂事件の発生など、厳しい治安情勢にあると考えております。こうした中で、より安全で平穏な生活を確保するため、市町村では生活安全条例の制定のほか、警察と連携しながら、多発している万引き、自転車の盗難、車上ねらいなど身近な犯罪を抑止するための対策としてスリークライム、すなわち三つの犯罪作戦などに取り組んでいるところであり、関係機関、団体の皆さんには敬意と感謝を申し上げる次第であります。
 一方、最近多発している嫌がらせ電話やいわゆるストーカーなど、悪質な迷惑行為に対する取り締まり要望なども寄せられていると聞いております。さきに警察本部が実施したアンケート調査結果によりますと、いわゆるストーカーの被害を受けた女性が13.4%、無言電話など、嫌がらせ電話の被害を受けた女性が51.8%、痴漢など、卑わいな行為の被害を受けた女性が23.7%という実態が明らかになり、改めて地域安全の基盤整備を図らなければならないと強く感じているところであります。
 私は、このような状況を踏まえ、さきの9月県議会の総務委員会で、迷惑行為を規制する条例の制定について要望したところですが、今回の県議会に公衆に著しく迷惑をかける行為の防止に関する条例、いわゆる迷惑行為防止条例を提案されたことは、県民の要望に迅速におこたえいただいたものと思います。そこで、警察本部長にお伺いいたします。
 第1に、本条例案の目的はどこにあるのか。
 第2に、この種の条例の全国の制定状況はどうなっているのか。
 第3に、本県の条例は、全国の条例と比較してどのような特徴があるのか。
 加えて、この条例が施行された場合の効果と運用に当たっての基本姿勢についてお聞かせ願います。
 以上をもちまして私の質問を終わりますが、答弁によっては再質問いたします。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 黄川田徹議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、北東北3県の広域連携構想についてでございますが、この構想は、広域連携の必要性として、県境などが障壁とならないような環境づくり、一つの自治体がすべての機能や施設を整備しようとする、いわゆるフルセット主義からの脱却、そして円滑な交流を促進するための新しい仕組みづくりを示しますとともに、相互の信頼と尊敬を基調とする交流と連携を目指して、何を求めるかということではなくて、我々の方で何を与えることができるかという、ギブ・アンド・ギブの精神を基本姿勢に据えて、それぞれがパートナーシップとネットワークを持ってお互いに連携して進んでいこうと、広域連携のあり方としてこうしたことを提示したところでございます。よくギブ・アンド・テークというふうなことで相互にメリットを生み出すということですが、ここはさらに一歩進んで、ギブ・アンド・ギブの精神を基本姿勢に据えてこの北東北3県がお互いに連携し合おうと、こういう考え方に成り立っております。
 こうした基本的な考え方を踏まえて、広域連携の基本目標を、めぐみめぐる北東北~人と自然との共生を目指して~とするとともに、人と自然とが共生する北東北、それから、持続的な発展が可能な北東北、さらには、生活の美を共に創る北東北と、この三つを達成すべき社会像としてこの構想の中で掲げております。
 さらに、この三つの社会像の実現に向けた方策として、これは施策の具体例をいっぱい挙げているわけですが、例として、今福岡が合同事務所になっていますが、北海道、首都圏、関西圏などへの合同事務所の開設、あるいは北東北産学官ネットワークの形成、それから北東北学の構築に向けた仕組みの検討など、全体で186項目の施策の例というものをこの中で示して、さまざまな主体が具体の交流・連携活動に取り組んでいく際のよりどころとして取りまとめたものでございます。
 今後は、こうした構想の着実な促進を図るために、青森、秋田、岩手3県、これは行政の方ですが、県レベルではこの3県のほかに、市町村、民間、NPOなどの参画を求めながら、推進母体となる組織を年度内に設立して──年内はちょっと難しいので年度内になると思いますが──構想の具体化に取り組むこととしております。
 次に、岩手県農業・農村基本計画の実現に向けての具体的施策についてお尋ねがございました。
 農業者の減少や高齢化が進行する中にあって、いわての大地に個性きらめく農業・農村の創造、これが基本目標でございますが、この目標の実現に向けて、意欲ある担い手の育成を最も重要な課題と位置づけて、この計画の計画期間内において1万1、000戸の主業型農家を確保していくということを考えております。このため、地域農業の中心的な役割を担う主業型農家への農地の利用集積を促進する、農地流動化ステップア ップ運動というものを関係団体と──この関係団体といいますのは、岩手県農業会議、岩手県農業協同組合中央会、ここと連携しながら立ち上げたところでございます。
 また、先般策定した岩手県の水田農業推進基本方針に基づき、適地適品種の作付による高品質で、かつ良食味米の安定生産や水田を有効に活用した野菜や花卉などの園芸作物、また、麦・大豆などの土地利用型の作物の導入と拡大を図ることとしております。これを着実に推進するために、農業生産基盤を計画的に整備し、団地化による産地づくりを早急に進めるととともに、家畜の排せつ物を活用して環境に配慮した持続的な農業の推進にも努めていきたいと考えております。
 さらに、活力ある農村社会の形成、農業環境の整備ということで、農業集落排水施設の加速度的な整備を進めるほか、中山間地域などへの直接支払制度を初めとした総合的な中山間地域対策を講ずる考えでございます。
 次に、新しい水産業基本計画の特徴と施策展開の具体的内容についてお尋ねがございました。
 今回の新しい計画の特徴としては、まず、水産物の生産について、これまでの量的拡大という方針に加えて、消費者の視点に立った質的な向上に取り組むこととしてございました。具体的には、新しい食品衛生管理方式であるハセップ方式を導入して、新鮮で、かつ安全な水産物を提供する。それとともに、アワビ、ウニの生産量の拡大など、消費者ニーズに沿ったつくり育てる漁業の積極的な展開を図ることとしております。
 また、水産業は環境及び生態系に大きく依存する産業でございますので、環境の保全に対する県民の関心も近年非常に高まっておりますことから、環境との調和をより一層進めることということで今回の計画に入れております。具体的には、漁場環境保全活動や漁業系の廃棄物の適切な処理に対する積極的な取り組みを展開する。そして、漁業集落排水施設の重点的な整備を推進するということにしております。
 さらに、若い担い手が生き生きと働く活力ある漁村づくりを進めることとして、具体的には、経営感覚にたけた中核漁業者の育成や若年就業者の参入と定着の促進など、あすを担う人づくりを行うとともに、生産と生活の場であります漁港については、それぞれの漁港の機能分担による効率的な整備を推進することとしております。
 本県の水産業は、我が国における水産物供給基地として重要な役割を果たしておりますので、本県における基幹産業の一つというふうに位置づけられると認識しております。そこで、漁業者を初め、関係の諸団体、市町村との一体的な取り組みのもとに、この新しい計画の推進を図っていく考えでございます。
 それから最後に、ダム事業の推進についての基本的な考え方についてお尋ねがございました。
 このダムは、新しい総合計画の重要施策でございます五つの社会をそこで明示していますが、その中の一つである快適に安心して暮らせる社会を実現するために、流域における洪水被害の軽減を初めとして、安全で快適な暮らしを支えていく上で必要不可欠な生活用水や、長期展望に立った都市用水の確保、そしてクリーンエネルギーである水力発電など、県民生活の向上に重要な役割を果たすものと、このように考えております。
 また、いざ渇水時においては、既得用水の安定化や水生動植物の生息に必要な水量をこのダムによって確保するということから、良好な河川環境を保全する上でも大いに役立つものでありまして、自然と共生し循環を基調とする社会というものがこの五つの社会にございますが、この社会の実現にも大きく寄与するものと、このように考えております。
 一方で、このダムの建設には長い年月と莫大な事業費を要するわけでありまして、社会経済情勢を的確に見きわめて、必要性や緊急性、費用対効果の分析などによる総合的な事業評価を行って、より一層のコスト縮減に努めながら、計画的に進めるべきものと考えているところでございます。
 また、ダムの建設は大規模工事である上に、新たに創出される広大なダム湖によって、周辺の環境やさらには景観に与える影響が非常に大きいということがございますので、事前に自然環境や社会環境を十分に調査しておきまして、地域住民や有識者による懇談会などの場を通じてさまざまな意見を伺いながら、自然景観や地域の歴史・文化と調和した、いわゆる地域に親しまれるダムの建設に努めていく必要があると思っておりまして、そのような方向でこのダム建設に取り組んでいきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 県における、いわゆる地方分権一括法に対応した条例改正作業への取り組み体制と進捗状況についてでありますが、去る7月15日に設置した地方分権推進プロジェクトチームにおきまして、現在ある296本の条例と382本の規則の一つ一つにつきまして見直しを行い、関連する条例、規則などの制定、改廃などの具体的な方法を取りまとめました地方分権推進計画及び地方分権一括法に関係する岩手県条例、規則等の改正指針を10月7日に策定したところであります。
 県といたしましては、市町村の今後における諸準備に要する期間等を考慮した場合、可能な限り12月県議会定例会に条例を提案することが望ましいとの考えのもとに、各部局などで条例の制定・改廃作業を進めてまいったところでございますが、地方分権一括法に関係する国の政省令の改正作業が当初の予定よりおくれていることから、制定・改廃が見込まれる条例の約3分の1に当たる24本の条例を9本の条例案にまとめまして、12月県議会定例会に提出したところであります。
 今後の見通しについてでありますが、地方分権一括法の関連で、今後改正等が予定されている条例の中には、これまで国の政令、すなわち地方公共団体手数料令というものがございまして、こういった国の政令で規定されておりました、これまた県の場合はそれに基づきまして県の規則というものを定めておったわけでございますが、約100種類に及びます手数料をすべて条例化するという、こういった作業量の大きなものも残されているところでございます。条例につきましては一応の洗い出し作業を終えておりまして、国が作業を進めております関係政省令の内容が判明し次第、速やかに2月県議会定例会に提案できるよう諸準備を進め、平成12年4月以降の事務の円滑な執行に向けて万全を期してまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) まず、地方分権一括法に対応した国の政省令の改正のおくれ等が市町村に与える影響についてでございますが、市町村における条例の改正等につきましては、県と同様に、その多くは国の政省令の改正を踏まえて行うこととなりますことから、その改正のおくれによりまして、大半の市町村においては必要とする条例改正等を3月議会に持ち越すなど、市町村の作業にもおくれが生じているところでございます。こうしたことから、県におきましては、関係機関を通じ改正予定の政省令の内容についての情報の入手に努め、その内容や県の条例改正等の情報その他を市町村に提供するなど、市町村における作業のおくれが最小限のものにとどまるよう配慮しているほか、条例等整備に必要な技術的助言などを行っているところであります。
 今後におきましても、早期の情報提供や法制面での助言などを行うことにより、市町村の作業を支援してまいりたいと考えております。
 次に、広域行政の推進についてでありますが、県立大学と共同で実施した現地調査につきましては、各市町村の協力のもと、各市町村長や議会の代表者、さらには地域の住民の方々からさまざまな御意見、御提言をいただいたところでございます。その内容について御紹介しますと、現下の厳しい財政状況などを反映し、大半の市町村が広域行政推進の必要性を認識しているものの、その具体的な推進方策や時期については、例えば、圏域全体の発展のためには市町村合併を推進すべきであるとか、現在のように少子・高齢化が進展すると町村単独では施策に限界があるなどの意見がある一方におきまして、圏域の中心市が圏域の将来ビジョンを提示することがまずもって必要であるとか、現在の区域、規模が既に定着しており、現況が適正であると考えているなどの合併に関する意見や、さらには、長期的視点に立って十分検討し、当面は現在の広域連携をさらに充実させていくべきであるとか、現行の一部事務組合や広域連合の機能を強化すべきであるなど、合併以外の広域行政に関する意見など、さまざまな意見があったところでございます。
 今後策定を予定している広域行政推進の指針におきましては、これまでにお聞きした地域の実情を踏まえながら、市町村合併のパターンのみならず、新たな広域連合の設立や既存の一部事務組合の複合化など、さまざまな内容の選択肢を提示し、市町村や地域住民の方々の間で幅広く議論される内容としたいと考えております。
 このように、この指針は市町村や地域住民が主体的かつ積極的に広域行政を議論するためのたたき台として県が策定するものでございまして、これをもとにして広域行政推進の機運の醸成が、今後なお一層図られることを期待しているものでございます。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 社会福祉法人の適正な運営についてでありますが、県内の社会福祉法人は平成10年度末現在で282法人となっており、老人福祉施設を運営する法人を中心に年々増加の傾向にあります。社会福祉法人に対する県の指導監査体制につきましては、平成11年度からは、県全域を活動対象とする社会福祉法人については本庁が、その他の法人につきましては法人の事務所の所在地を所管する地方振興局が指導監査を行っており、すべての社会福祉法人に対して年1回指導監査を実施しております。
 平成10年度における指導監査結果の文書による指導事項の件数は延べ527件で、その主なものとしては、定款の規定不備、就業規則等規程の不備、会計事務処理の不適切等となっております。これらについては、是正改善するよう文書による指導を行うとともに、必要に応じ随時指導を行っております。
 なお、次年度の指導監査においてその確認を行っております。
 また、今年度におきまして、先般社会福祉法人理事長の独断専行による金銭の不正流用等の不祥事が発生しました。この事件の重大性を踏まえ、本県で初めて社会福祉事業法に基づく立入検査を実施し、必要な是正措置を求めており、当該法人が速やかに改善を行わない場合は、社会福祉事業法に基づく改善命令を発するなど、厳正な処分を行うこととしております。
 また、介護保険制度の施行を間近に控え、社会福祉法人の役割の重要性がますます増しておることから、部内に社会福祉法人等指導監督方策検討委員会を設置し、指導監査の見直しを行うとともに、利用者が安心して福祉サービスを利用できるよう、社会福祉法人の運営の透明性を確保できる方策等について検討しているところであり、その結果につきましては、介護保険制度の施行される前に速やかに取りまとめ、順次必要な施策を講じてまいります。
   〔商工労働観光部長合田武君登壇〕
〇商工労働観光部長(合田武君) 修学旅行の誘致強化についてでありますが、修学旅行生はシーズンオフの観光施設の利用者としてのみならず、将来の観光客としても期待され、本県の観光振興に大きな意味を持つものとして誘致に取り組んできたところであります。最近は、少子化による生徒数の減少とともに修学旅行生も減少してきており、観光地間の競争も厳しさを増してきているところであります。また、修学旅行の傾向は、名所旧跡をめぐる旅行から、農林水産業や地場産業及び自然との触れ合いを通じた体験学習、さらには小グループで地域の歴史、文化などを視察し、体験する自主研修などのウエートが高まってきております。
 このため、本年6月に県観光連盟の中に教育旅行誘致宣伝部会を設置し、民間の中堅社員等を中心に、受け入れ態勢のあり方、情報提供の仕方などについて検討するとともに、大都市圏を中心に誘致説明会を開催するなどの取り組みを行っているほか、民間の受け入れ態勢においても、例えば、体験学習の受け入れや自主研修の際に体調を崩した生徒に対するホテル施設の無料提供などの取り組みを始めたところであります。
 県といたしましては、今後とも関係団体などと連携を図りながら、体験メニューの充実や観光ボランティアガイドの養成、盛岡市内の循環バスの充実、歴史、文化に着目した街並みの整備など、受け入れ態勢を充実させるとともに、本県の持つ豊かな自然、地域固有の歴史、文化をPRするなど、修学旅行誘致に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 特に、北海道からの修学旅行の誘致につきましては、本県の長年の働きかけが実って、札幌市立中学校の修学旅行実施基準が緩和され、花巻市付近までの旅行が可能となったところであり、本年度は8校、約1、600人の生徒が新たに本県を訪れたところであります。
 また、この機会をとらえ、札幌市内中学校の修学旅行の誘致に積極的に取り組むため、県観光連盟が中心となって、札幌市内の学校関係者や旅行代理店の担当者に対し、受け入れ態勢などについての説明会を開催するとともに、11月には担当教諭17人を本県に招き、現地研修会や本県の観光関係者との意見交換会を開催したところであります。
 県といたしましては、これら参加者からの意見を踏まえ、地元自治体や関係団体と連携を図りながら、体験可能な施設の充実、体験メニューガイドブックの作成、修学旅行生に配慮したバスの利便性の向上などに取り組むとともに、今後ともさまざまな機会をとらえ、岩手に何を求め、何を期待するのかを的確に把握し、それに応じた受け入れ態勢のあり方について検討を加えるなど、札幌市を初め北海道地域を修学旅行の有望な市場としてとらえ、その誘致に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) いわて総合食料供給基地宣言を行った考え方についてであります。
 御案内のように、我が国の食料自給率が年々低下し、担い手の確保も危惧される中にあって、新しい農業基本法がスタートしたことを契機に、米、園芸、畜産の基幹3部門をバランスよく備えている本県が、全国に先駆けて総合食料供給基地宣言をしたことは、国民の暮らしと命を守る農業の果たすべき使命を再認識し、農業者はもとより、広く県民が一丸となって21世紀に向けて元気を出して頑張ろうと決意を表明することにねらいを置いたものであります。
   〔土木部長中山隆君登壇〕
〇土木部長(中山隆君) 現在進めているダム事業の見通しについてでございますが、来年度完成予定の早池峰ダムと綾里川ダムにつきましては、平成12年1月から試験湛水によりまして、ダム及び貯水池の安 全を確認した上で運用を開始する予定でございます。
 また、簗川ダムにつきましては、これまでに水没地権者の集団移転を完了してございます。今後は国道106号のつけかえ工事の促進を図るとともに、ダム本体の実施設計に必要な諸調査を進めることとしております。
 鷹生ダムにつきましては、ことしの11月から現河川から仮排水路への切りかえを終えたところでございます。今年度内にはダム本体の基礎掘削に着手することとしております。また、ダム湖周辺の環境整備についてでございますが、有識者による検討委員会や住民が参加するワークショップ等により、さまざまな意見を伺いながら計画の策定を行ったところでございます。
 議員御指摘のとおり、ダム事業は、その地域にとりまして治水や利水面において重要な役割を果たすことから、今後とも各ダムの早期完成に向け事業の促進に努力してまいりたいと考えております。
 次に、津付ダムの新規建設採択の見通しについてでございますが、建設省から大蔵省に対する平成12年度の概算要求の中では、津付ダムを含めて全国で3ダムが盛り込まれたところでございます。しかしながら、平成10年度及び11年度は、全国の新規建設ダムの採択が予算面、それからダム事業の重点化を進める観点から一つも認められなかったことから、依然として厳しい状況が続いていると聞いております。
 県といたしましては、これまでも平成12年度の新規採択に向けまして津付ダムの必要性、緊急性、地元の熱意、さらには地権者の状況などを説明しながら国に対し強く働きかけてきたところでございますが、今後とも地元市町や関係機関と連携を密にして、より一層の努力をしてまいりたいと考えております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) 県立高等学校新整備計画案についてでありますが、県教育委員会といたしましては、本年5月の計画案公表以来、県内各地域において、関係市町村、議会、教育委員会関係者あるいはPTA、同窓会関係者等を初め、広く県民の皆様を対象として延べ50数回に及ぶ説明会を行い、計画案策定の背景、趣旨、内容等について、県民の皆様の御理解が得られるよう、最大限の努力をしてきたところでございます。説明会におきましては、地域の学校の存続、特に専門高校単独での存続、総合学科高校や総合的な専門高校等の新しいタイプの学校への転換についての不安などに多くの御意見が寄せられたところであります。また、一方では、計画案についての御賛同や、新整備計画そのものの必要性については理解できる旨の御意見も寄せられているところであり、これからの岩手を担う子供たちが、さまざまな可能性に挑戦し、新しい時代を切り開いていくために、高等学校の教育条件整備を図る必要があることについて、県民の皆様の認識が深まってきたものと考えております。
 今後における本県の高等学校教育においては、豊かな人間関係に恵まれ活力のある環境の中で、生徒一人一人がその個性や能力を最大限に伸ばし、みずからの進路の実現を図るため、普通科と専門学科等の適正な配置や適正な学校規模を維持するとともに、教科・科目、学習内容等について、みずからの主体的な選択を保障することが必要であると考えております。
 こうした基本的な考えを踏まえ、県民の皆様からいただいた御意見をも参考とし、十分に検討を加え、県民の皆様のさらなる御理解をいただくよう努めながら、年内を目標に成案を得てまいりたいと考えております。
   〔警察本部長篠宮隆君登壇〕
〇警察本部長(篠宮隆君) 公衆に著しく迷惑をかける行為の防止に関する条例案についてお答えをいたします。
 まず、本条例案の目的とするところは、公衆に著しく迷惑をかける行為を規制し、もって県民の平穏な生活を確保しようとするものであります。そこで、迷惑行為を規制する必要性についてでありますが、例えばストーカー行為や嫌がらせ電話などの迷惑行為について、警察への相談は、平成8年の11件から、本年は11月末現在で既に232件と、約20倍に激増しております。しかしながら、これらの迷惑行為は、現行法令のもとでは必ずしも十分な取り締まりができないのが現状であります。しかも、これらの迷惑行為は、被害者に大きな不安感を抱かせるのみならず、放置いたしますと次第にエスカレートし重大な事案に発展する危険性もあるのであります。アンケート調査からも、多くの県民の皆さんが実際にこのような迷惑行為の被害に遭い、その防止対策を強く望んでおり、本条例案はこれにこたえようとするものであります。
 次に、いわゆる迷惑防止条例の全国での制定状況についてでありますが、現在39都道府県で制定されており、その多くは昭和40年代前後に制定されたものであります。各県の条例の主な規制内容は、粗暴行為、たかり行為、ダフ屋行為の禁止、用心棒料などの要求行為や不当な客引き行為などの禁止、スキー、登山、海水浴などに際しての危険行為などの禁止などであります。本条例案においても、このような迷惑行為に対しましても同様の規制を行っていこうとするものであります。
 次に、他県の条例と比較した場合の本条例案の特徴点でありますが、その一つは、いわゆるストーカー行為を規制する規定を設けたことであり、本年7月に迷惑防止条例を制定した鹿児島県に次いで全国で2番目となります。その二つは、いわゆる嫌がらせ電話を規制するものであり、特に嫌がらせファクスなど、文書による嫌がらせ行為の規定も同様に全国で2番目となります。その三つは、いわゆる痴漢行為や下着をのぞき見したり、カメラで撮影する行為などを卑わいな行為として全国で初めて具体的に規定をし、規制対象としたことであります。
 次に、本条例施行後の効果についてでありますが、現行法令では取り締まりが困難であったこれらの迷惑行為を規制することにより、警告または検挙が可能となるとともに、迷惑行為を行おうとする者に対する心理的な抑止効果も期待されるのであります。さらに、条例が制定されることにより、潜在的な被害者から多くの相談が寄せられることも期待され、被害の拡大防止と早期解決が図られるものと考えております。
 最後に、条例の運用に当たっての基本姿勢について申し上げます。
 迷惑行為について県民から相談を受ける第一線の警察職員に対し、条例本来の目的を逸脱して県民の権利を不当に侵害することのないよう、指導教養を徹底するとともに、被害者や相談者へのきめ細かな配慮にも努めさせ、本条例の適正、妥当な運用を図り、もって安全かつ平穏な県民生活の確保に寄与してまいる所存であります。
   
〇議長(山内隆文君) 本日の会議時間は、議事の都合により延長いたします。
   
〇33番(黄川田徹君) それでは、再質問いたします。
 まず、地方分権一括法についてであります。
 県においては、プロジェクトチームを設置し、そして万全を期するとともに、県そして市町村とも来年の4月の施行に対応できるよう全力を尽くすというわけでありますので安心するわけなんでありますが、県民にとっては、その行政事務というものは、国であろうと県であろうと、あるいはまた市町村であろうと、受け皿は問題ではなく、地方分権によって、よりよいサービスが受けられるかどうか、これに関心があります。県民は、国から権限が委譲されても滞りなくサービスを受けられるというだけではなく、さらに積極的なサービスを求めてくるわけでありますが、この点について県の基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。
 次に、農業問題についてであります。
 ただいまお話を承りましたが、新しい農業基本法は、農業者のためから、国民や農業関連産業の要請にこたえるためにと転換したと言われる方もあります。本県農業生産の中心を担ってきた昭和1けた世代から、これにかわる意欲に満ちた担い手を育成しなければ先行き農業の展望は開けないと考えます。私は、スムーズな世代交代と新規学卒者が夢を抱ける農業、農政の再構築を望むものであります。そこで、お尋ねいたしますが、過日、農業生産の主役である認定農業者の全国サミットが北上市で開催されましたが、どのような内容のサミットであったのでしょうか。
 また、県は開催に当たってどのようなかかわり方をしたのでしょうか、あわせてお伺いいたしたいと思います。
 終わりに、高校再編についてであります。
 七つの会場等々、いずれ説明会においての県教委に対する関係市町村の方々の意見は、職業教育では1次産業への理解が不足しているとか、また生徒の多様なニーズにこたえられるという総合学科高校でも、県民にとっては不安材料がある、あるいはまた懸念されるところがあるという認識であり、見直しを求める声が大勢であったと思います。ただいまの教育長の答弁には、さまざまな意見が出たんですが、その意見の反映の部分がどうも見えないような気がするわけであります。そこで、お伺いいたしますが、水産高校の再編については、水産団体からの存続を求める陳情や署名簿が提出されているはずでありますが、これの取り扱いをどのようにされたのでしょうか。具体的に改めてお尋ねいたします。
 また、過日、文部省において、30人学級体制を採用することを決定したとのニュースが流れ、後に正式決定ではない旨、文部省が否定した騒ぎがありました。しかし、火のないところに煙は立たないの例えにあるように、文部省内や審議会等においては検討が加えられているのではないでしょうか、県教委には情報は入っているのでしょうかまずお伺いします。
 また、現行法の範囲内でしか検討できないとして、県教委は40人学級を前提とした計画案に固執しておりますが、30人以下学級への見通しも持つべきものではないかと私は考えるものであります。
 高校再編においても、農林水産学科を初めとする実業高校の生徒を少数精鋭で教育し、岩手の大切な産業の後継者を残す必要があると思います。もちろん30人学級にすれば、それに伴い経費が増大することも予想されるわけでありますが、私は今回の計画には、小規模校でも地域の期待にこたえられるような条件整備をするという努力の姿が見られないような気がいたします。当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、今回の再編計画は、前期5カ年と後期5カ年に分けて考えられておりますが、具体の整備計画は前期5カ年のみ示されております。この前期5カ年の計画でさえも地域から多くの異論が出ておりますことから、岩手県の教育の百年の大計を図る上からも、10年間の計画を一括して示し議論すべきではなかったでしょうか。県教委は、5年後において今回と同様の方法で後期計画の議論を行おうとしているのでありましょうか、お伺いいたします。
 最後ですけれども、成案の時期を年内を目標と私の耳には入ったわけでございますが、年内に成案とするということでしょうか、改めてお聞きいたします。
 以上です。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 地方分権推進に係る行政サービスの提供の基本的考え方についてお尋ねがございました。
 地方分権一括法による機関委任事務の廃止でありますとか、国から県への権限の委譲、さらには国の関与の縮小や法定化、こういったものによりまして今後は行政運営における県の自主性あるいは自立性がより一層高まり、県民のニーズや地域の実情に応じたきめ細かな施策の展開が可能になるものと考えております。したがいまして、この制度改正の趣旨を踏まえますと、基本的考え方として幾つかあろうかと思いますが、第1点目は、国と県あるいは県と市町村の間におきます事務や権限の移動後におきましても、それぞれの事務の継続性でありますとか提供するサービスの同一性などが確保される、そのような要請にこたえていくことが必要になってまいります。
 また、2点目は、例えば許認可等の申請書の添付書類の簡素化でありますとか、あるいはファクシミリによる申請書の提出を認めるなど、県民の利便性を高めることでありますとか、あるいは市町村への権限の委譲を一層推進しまして、住民に最も身近な行政主体である市町村が、住民に直結した行政を総合的に展開することにより、住民が身近なところで必要なサービスを受けられるようにしていくことも検討していく必要が出てまいるものと考えております。
 さらに、第3点目といたしまして、事務の性格によりましてはこれをさらに一歩進めまして、将来的にはより地域の実情を反映したものに変えていってしまうと、こういったことも必要になってくるのではないかというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても県民一人一人が地方分権の成果を実感できるような施策を展開できるように、そういった方向に向けて努力してまいる考えであります。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) 全国認定農業者サミットのことでございますけれども、本年の全国サミットは第2回ということで、第1回は昨年の11月に山形県で開催されました。参考までに第1回のテーマは、21世紀の農業を語り合い認定農業者の交流の輪をひろげようというテーマで開かれたものでございます。本年11月11日、北上市で開催されました第2回のテーマは、農業改革を踏まえた21世紀農業へのチャレンジというテーマで、1、500名の参加をいただいて活発な論議が行われましたけれども、その主な内容を申し上げますと、低コスト生産方策についてどうあるべきか。また、経営の多角化、消費者との交流、あるいは環境保全型農業をどう展開をしていくべきか、あるいは地域における担い手としての認定農業者にまつわる課題として、女性の参画、後継者の育成、それから家族経営協定のあり方、それから農業経営の法人化といったような担い手像、あるいは21世紀の中心となる認定農業者の方々のネットワークのつくり方といったような、大変今日的な課題について活発な論議が交わされまして、それで地域農業の中心的役割を担う認定農業者の果たすべき役割というものについての再確認、再認識が行われ、また農家民宿を通じてネットワークの強化も図られた大変意義深い大会ではなかったかと思っております。
 県のかかわりでありますけれども、これは実行委員会を組織いたしまして、県もその実行委員の一員として幅広く参画し、開催の運営にお手伝いしたところでございまして、ちなみに県以外では地元市、もちろん北上市のほか農業会議でありますとか中央会でありますとか、全国組織では全国農業会議所、あるいは全国農業経営者改善支援センター等も実行委員会のメンバーで参画したところであります。ちなみに、来年の第3回は熊本県が予定されているところであります。
 以上であります。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) まず、県立高等学校新整備計画に対する水産団体からの御要望の取り扱い等についてでありますけれども、この御要望の中におきまして貴重な御提言をいただいておるわけでございますので、計画案に検討を加える上で参考にさせていただく考えでございます。
 次に、30人学級など少人数編制の導入に係る国の動向につきましては、現在、文部省が設置する教職員配置のあり方などに関する調査研究協力者会議においてさまざまな検討がなされているものの、いまだ結論を得るに至っていないと聞き及んでいるところでございます。
 次に、高等学校の学級編制につきましては、現在、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律により40人とされており、現行制度のもとでは30人学級の導入は困難であると考えております。なお、現在でも、専門学科におけるコース制や実習等における班単位の学習など、少人数指導が進められているところでありまして、また総合学科においても、少人数での学習の機会が多く得られるものであります。今後とも、学科や教科・科目の実態に即した少人数指導を工夫してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、新整備計画の計画期間についてでありますが、御案内のとおり、当面の具体的計画は、平成12年度から16年度までの5カ年としたところでありますが、平成17年度からの後期計画につきましては、今後生徒の進路志望の動向や国の教育施策等を見ながら、また県民の皆様の御意見を伺い、最善の高等学校教育の環境整備が図られるよう十分に検討を行い、策定してまいりたいと考えております。
 次に、成案の時期についてのお尋ねがございましたが、本年の年内ということを申し上げたわけでありますが、期間もそうございませんので容易ではないというふうには思っておりますが、全力を傾けてまいりたいと、こう考えているところでございます。
〇33番(黄川田徹君) 県の教育委員会では学校教育を通じまして、例えばテストがあれば生徒に100点満点を要求するわけであります。そうしますと、例えばこの高校再編計画につきましても、県教委とすれば100点満点のものを提示して、これは100点満点のものだから県民は当然理解して当たり前だと、どうもこういうふうな感じの出し方に思えるんですよね。社会に出ますと、むしろ70点の答案を出して残り30点はみんなに埋めてもらうという、こういう一つの流れもあるわけなんですが、どうもそのところが見えないので私の気持ちとしておさまらないところがあるわけなんですが、それからもう一つ、後段の部分で、前期5カ年、後期5カ年は世の中がどのように動いていくかわからないので、またの機会だということなんですが、議場内の議員諸氏の皆さんにもお話し申し上げるわけなんですけれども、前期5カ年の該当する議員は何人ということですが、後期5カ年を含めますとそれぞれの議員共通の課題であるということを強く喚起しておきたいと思います。
 最後に、もう一度質問であります。県議会は15日まで、そして15日から後の15日で年末に入るということで、この期間1カ月という大変短い時間であります。さまざまの県民の意見は聞いたわけなので、あとは成案づくりは教育委員会に任しておけという意味なのか、その辺がちょっと見えないところがあるわけなんですが、まず一つは、もう一度再度確認します。年内という──1カ月なんですけれども──ことでそのまま強行して成案をつくるのか、これを教育長からお伺いします。
 それから、県当局の方にですけれども、知事に伺いますけれども、この高校再編計画につきましては、もちろん教育委員会がつくるものでありまして、これに対して初めから知事部局が物を申すことは、これは全くないわけでありますが、しかしながら議論の過程の中で、やっぱり県教委だけの計画ではないというところが、県民の皆さん一人一人から声が出ているわけなんです。その辺、知事の今時点における所感を伺いたいと思います。
 以上であります。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 今、高校再編の関係について議員の方からお尋ねがございましたが、これはこれからの岩手の人づくりを進めていく上で県民の皆さんにも非常に多く関係をする部分でありますので、それだけ議論がやはり多方面に及ぶ上からも、いろいろな面で関心が深い、そしてそれだけにまたいろいろな対立が生じ得るものだと、こういうふうに思っています。しかし、同じこの岩手の県の中に暮らしていく我々ですから、それぞれの主張は主張として認め合いながら、やはり次の方向に向かって、特に大事な少子化時代の子供たちに対しての何を残すかという話ですから、やはりここは冷静に大人が本当に子供たちの将来を考えて、そしてやはり議論をしていくと。先ほど御質問をお聞きしておりましたが、例えばそうした専門高校、農林水なら農林水を大前提にとらえたとしても、そうしたところに子供たちが今非常に希望が少なくなっているという現実の姿もやはりございます。それをふやしていくためには地域全体でやっぱり考えていく必要があると思いますし、それから大人の方でも、やはり各地域を見ておりますと根強い普通科志向といいましょうか、そういった問題もこれがあって、単に子供たちだけというよりも、むしろそうした部分での意識をやはりしっかりと持つという、そういうことも必要であると思います。
 これは、最後は教育委員会が教育委員会の責任において決めなければならない話で、知事部局の方で云々するのは越権行為になるわけですが、そこはそれとして踏まえた上で、もちろんこの成案を得ていく上で、私あるいは知事部局の方が側面から、そうした案を得る上でいろいろと全体的に考えていくのはこれは必要なことだろうと私は思っております。
 ぜひ地域の皆さん方にも、今までの議論を見ておりますと、次の子供たちにどういうことが必要なのかという部分の、その先を見据えた議論がちょっとまだ足りないというか、そういう提案がまだ不足をしているように思っておりまして、そのあたりをどういうふうにいたしていったらいいのか、これは大変難しい問題でありますし、少子化時代に物がなくなるというのも大変寂しい話でありますが、やはりそういった提案が次のいい教育環境につながっていくんだと思いますので、説明会等の様子は教育委員会から少しずつ私の方でも聞いている状況ですが、私自身も、最後には教育委員会に決めてもらうつもりにしておりますが、よく教育長と相談しながら、次の岩手の人づくりをどうしていったらいいのかという視点で知恵を出していきたいというふうに思っております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) 成案に向けての対応についてのお尋ねでございますけれども、現在、議会開会中でございますが、例えば本日もある地域の方とのお話し合いが持たれているというふうな状況もございます。このようにいずれ日数が大変少ないということもございますし、あらゆる努力をしまして進めてまいりたいというふうに思いますが、いずれ高校に進む子供たちのためにも、なるたけ早くその将来像を示す必要があるという考え方に基づいて、年内を目標にというふうに考えているものでございます。確かに日数が限られておるということもございますが、懸命の努力をしてまいりたいというふうに存じております。
   
〇議長(山内隆文君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時20分 散 会

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