平成11年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇19番(水上信宏君) 自由民主クラブの水上でございます。
 ただいま、議長のお許しをいただきましたので、去る10月27日から28日にかけての大雨洪水災害の被災者への対応とその復旧対策についてと、今もってその実施に不安のあると言われております介護保険制度についてを中心に、県政全般について順次伺ってまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 まず、県北地方を襲った大雨洪水災害によって尊い生命を失われた方々へのお悔やみと、大きな被害を受けた地域の皆さんに対して、心からお見舞いを申し上げる次第であります。この災害からの一日も早い復旧を願うものであります。
 さて、増田知事は知事就任以来今日まで、各分野にわたって精力的に御活躍されておりますことは、ひとり私だけの見方ではなく、県民の多くの方々も同じ思いであり、高く評価されているものと確信するものであります。こうした知事の姿勢の根本は、さきに県下全家庭に配布された県の広報紙いわての行政改革に掲載されております地域重視の行政に努めるの一言にあるのではないかと思うのであります。と申しますのは、あの大雨洪水の際に、私は28、29日と山形村に、また30日には軽米町に出向いたところ、増田知事はいち早く被災地に赴き、泥まみれの中を一生懸命被災者の方々に優しく声をかけながら見舞われておりました。こうした知事の行動やお言葉に、地域の方々は大変ありがたく、また、心強く勇気づけられたものと存じますし、このことは広く県民の知るところでもあります。
 私は、県議会に議席を得た最初の一般質問において知事の政治姿勢をただしたのでありますが、その際知事から、清新で公正な県政を実現すること、困難があっても情熱と信念を持って立ち向かうとの御答弁をいただきました。おごることのない今の知事に、県民も2期目の県政をと期待しているものと思うのでありますが、2期目の県政推進の基本姿勢と抱負についてお伺いしたいと存じます。
 次に、大規模な大雨洪水災害の対応等についてお伺いします。
 今度の災害による被害は日を追うごとにふえ、道路、河川、家屋、田畑や水路、林道、漁船、最も痛ましい人的被害と、県内45市町村にも及ぶまさに深刻な事態であり、一日も早い復旧を願っているものであります。私も何度となく被災市町村を回ってみました。被害を受けた方々には大変失礼な言葉かもしれませんが、被害の状況を見たとき、予想をはるかに上回る目を覆いたくなるような悲惨な状況でありました。道路の寸断、家屋には水というより泥の流入、崩壊等々、大変なものでありました。まだ自分の家に戻ることのできない方々もいると聞いております。災害復旧への県や市町村の取り組みはもとより、ボランティアの方々の温かい応援に対し感謝の気持ちでいっぱいであります。
 また、地元振興局の職員の車を早朝も夜間も被災地で見かけました。振興局の職員の御苦労に対しても心からお礼を申し上げます。
 私が見て回り、感じましたことは、大きな被災への対応は当然のことでありますが、小河川、あるいは沢伝いにおける民家から民家へ、民家から田畑、山林へと渡る橋や道路の決壊等もあり、多くの住民が日常生活に難儀しておられることであります。日常生活全般にわたるきめ細かな対策が必要であると痛感したところであります。被害は土木、農林、漁業等、広範囲にわたっており、しかも被害状況もまた複雑で、大変御苦労のことと思いますが、被害、災害復旧対策はもとより、その後の復興対策についても万全を期するようお願い申し上げたいと存じますが、知事の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
 また、被害の大きい土木施設や農林業関係、そして何よりも緊急を要する生活関連の具体的な対策について、それぞれの立場からお答えいただきたいと存じます。
 先日、自治大臣が来県し、県北の大雨災害復旧費について特別地方交付税で支援することを約束していただき、心強く感じておりますが、県がさきに国に対して要望されました激甚災害法の適用について、その見込みはいかがでしょうか、あわせてお伺いします。
 次に、介護保険制度についてお伺いします。
 ここ毎日のように、介護保険制度について報道されております。私は過去2回にわたって、この介護保険制度について伺ってまいりました。その都度、なるほどと思われるような御答弁をいただいておりますが、どうでしょうか、まだ国のはっきりした指示がないのではないかと思うのであります。新聞報道にもありますように、以前答弁いただいております保険料一つを見ても、当初全くなかったこと等が最近報道されております。このことについては知事のコメントもありましたが、いずれにしても実施するところは各自治体ということであり、これが今日の状況を見るに、全県同じ足並みで実施可能なものかと懸念するものであります。こうした制度の基本は、県民だれしもがその恩恵を受けることのできるものでなければならないと思うことから、あえて次の3点についてお伺いしたいと存じます。
 1点目として、端的にこれが来年度実施において、県下全市町村が支障なく実施が可能であると見ておられるのかどうか。
 2点目として、時間と経費を相当必要とするのでありましょう来年3月策定予定の市町村の介護保険事業計画は、現在策定作業がどの程度進んでいるのか、また、政府案決定となった場合、国の見直しの内容と現在策定中の計画との整合性はどうなのか。
 3点目として、全市町村すべてが介護認定審査会の設置を完了したと聞いておりますが、認定手続事務の進捗状況はどうなのかお伺いします。
 次に、ひとり暮らし老人の緊急連絡体制についてお伺いします。
 このことについては、私も常に考えておりますし、よく住民のお年寄り、特にもひとり暮らしの方からも言われることを申し上げてみたいと思います。これを提言として何らかの施策の中に取り入れていただきたいと願うものであります。
 年をとってもできる限り他人に迷惑をかけたくないとの思いから、1人で生活をしておられる老人の話されたことに、今はこうして生活しているが、ときどき思うことに、急に体調を崩した場合、恐らく電話もかけることができないと思う。ボタンスイッチ一つで役所とか隣近所に通ずるような設備があれば、安心して暮らすことができるのだがとの話であります。この老人の方から言われるまでもなく、私もひとり暮らしの方々への思いは常にありましたことから、あえて申し上げたところであります。もちろん、県や市町村の施策の中にも老人、ひとり暮らしの方々への手当ては相当なものがあることは承知しております。しかし、今申し上げましたように、急なことでもあり、しかも体調が悪くなってのこととなれば、電話もできないでしょうし、隣に行くこともできないことと思うのであります。多くの老人、特にもひとり暮らしの老人の方々の切なる願いと思うのでありますが、このことについての御所見をお伺いしたいと存じます。
 次に、企業誘致と雇用対策、中小企業への支援策についてお伺いします。
 最近、企業誘致という活字を余り目にしなくなってきましたが、恐らくは県内市町村の中には、総合計画の中に企業誘致を重要施策として掲げているところが相当数あるものと存じます。日本経済が高度成長の時代には、新聞等で企業誘致が頻繁に報道されていたことを思うに、一抹の寂しさを感じております。こうした状況は、岩手県のみならず全国的な傾向と思われますが、ここ最近5年間の企業誘致動向はいかがでしょうか。
 また、せっかく立地されたものの、景気の低迷等によってやむなく工場等を閉鎖された企業は何件あるのかお伺いします。
 本県にとって、若い労働力の県内定着を図るためにも、企業誘致は最も重要な課題であろうかと思うのであります。さきに発表された高校生の就職内定率を見ても、就職希望者のうち全体の約70%の生徒は県内就職を希望しておりますが、就職が内定したものは55.3%と低く、県内就職希望者の約半数が就職できないとか、あるいは職を求めて県外に出ていくおそれがあります。企業誘致には、これが絶対という決め手となる対策もないのが現状かと思うのでありますが、県がこれまで企業誘致に努力されてきた中で、立地条件等で本県が他県と比べて不利となっているのはどのような点なのか、また、それに対してどのような戦略をもって企業誘致に取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。
 次に、中小企業への支援策についてお伺いします。
 政府がさきに決定した経済新生対策は、中小企業の支援に重点を置いたものと言われており、県内中小企業者は、これに大きな期待を持っていると伺っているところであります。この経済新生対策は、決定されてまだ日が浅く、県としての対応も大変なものがあると思いますが、この対策が県内中小企業者にとってどのような効果が期待できるのかお伺いいたします。
 次に、既存中小企業者への支援策についてお伺いします。
 景気の低迷が続く中で多くの経営者が日夜努力され、会社の経営を維持されておりますことに対し、頭の下がる思いであります。企業誘致については誘致するためには当然のことでありますが、既存の中小企業への支援もあってしかるべきと思うのであります。企業者の中には努力に努力を重ね、地元から1人でも多く働く仲間を雇用し、町にもそうした面で貢献したいと頑張っている方々も多くおります。こうした経営者を育成することによって雇用の促進をと期待してお伺いしたいのでありますが、既存企業者が例えば10人から20人ぐらい新しく雇用したい場合、それがためには施設の拡張等も必要になるとのことでありますが、このような事業者に対する指導助言あるいは支援にどのように取り組んでおられるのかお伺いします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、テレビ難視聴対策と携帯電話のサービス地域の拡大についてお伺いします。
 私は、これまでも県議会におきましても、地域の住民生活に密着した問題として、テレビ難視聴地域の解消と携帯電話のサービス地域の拡大について数次にわたり質問させていただいたところでありますが、テレビ放送や携帯電話等の情報通信は、住民生活に密着した情報の入手、発信手段として今や県民の日常生活に不可欠なものとなっております。しかしながら、本県におきましては電波の届きにくい山間部が多く、かつ集落が点在しているという地理的特性から、テレビや携帯電話等の電波が届きがたい地域が多く散在し、依然として県北や沿岸部を初め、県内各地でテレビ難視聴地域や携帯電話のサービスを受けられない地域が存在し、その解消が重要な課題となっております。申し上げるまでもなく、テレビ放送は県民文化の向上はもとより、災害時における有効な情報伝達手段として重要な情報媒体となっております。また、携帯電話等の移動通信サービスにつきましても、今や手軽な通信手段として近年その利用者が飛躍的に増加しており、今や携帯電話は県民生活になくてはならないサービスの一つとなっており、災害時の緊急連絡手段としても重要な意味を持っております。そこで、伺いますが、最近のテレビ難視聴地域の実態及び携帯電話サービスの提供地域の実態はどうなっているのでしょうか。
 また、県ではこれらの課題について今後どのように対処しようとしているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、酪農の振興方策についてお伺いします。
 本県の畜産は広大な県土を背景に、生産者はもとより、県農政の積極的な推進等により本県農業の基幹部門として発展し、全国的にも屈指の畜産県としての地位を築き上げてきております。中でも酪農につきましては、飼養戸数、頭数ともに全国第2位の地位を占めるまでに発展し、肉用牛と並んで特に中山間地域の振興に欠かすことのできない作目となっております。しかしながら、近年の本県の酪農の動向を見ますと、飼養戸数、頭数とも減少を続けており、また1戸当たりの飼養規模や個体産乳量は全国平均を下回っているなど、生産基盤はまだまだ弱体ではないかと考えております。
 一方、知事は、第2期県政の柱の一つに環境問題を取り上げておりますが、折しもこの7月には家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律が成立し、環境保全対策など新たな情勢への対応が求められております。今、酪農をめぐる情勢は次期世界貿易機関交渉を控え大きな変革の時代を迎えており、酪農家が先行きに不安を感じているときに、このまま手をこまねいていては本県の酪農の安定的発展、ひいては米、畜産そして園芸を基幹とした総合産地化の推進、いわゆるトライアングル構想の実現が難しくなるのではないかと懸念されます。そこで、伺いますが、知事は、本県の酪農の現状と課題をどのようにとらえ、今後酪農振興にどのように取り組んでいくお考えなのかお尋ねします。
 次に、岩手県林業基本計画の推進についてお伺いいたします。
 本県においては、森林の育成や林道網の整備など関係者の長年の努力により、森林資源が着実に充実してきており、県産材の安定供給体制の基盤ができつつあります。しかしながら、本県の林業をめぐる情勢は、木材価格の長期低迷や林業労働力の減少、高齢化など依然として厳しく、総じて山村地域の活力が低下してきており、この結果、林業生産活動は低調となり、手入れの行き届かない森林が増加するなど、国土保全の観点からも憂慮される状況となっております。
 一方、近年、二酸化炭素の吸収・固定など、森林の持つ公益的機能の高度発揮に対する県民の期待が高まってきております。こういった中で森林に対する県民の多様な要請に的確にこたえ、山村の活性化を図っていくためには、県産材の積極的な利用による木材の需要拡大を図るとともに、森林を適切に整備していくことが最も重要であると考えるものであります。折しも、先般、岩手県林業基本計画が策定されたところでありますが、この計画では五つのいわての森林・林業の望まれる姿を描きつつ、基本目標を人々の暮らしと自然の営みをはぐくみ続ける恵み豊かな森林の形成、木の香りに満ちた生活空間の創造と消費者ニーズにこたえる木材供給システムの形成とし、この基本目標を達成するための五つの施策の基本方向が取り上げられております。まさしく今、本県の林業が抱える問題解決に向けての必要な取り組みが的確に取り上げられていると思うのでありますが、今後本県の林業を確立していくため、この計画を具体的にどう推進していかれようとしているのかお伺いします。
 次に、漁業を担う人材の育成、確保についてお伺いします。
 後継者の育成、確保は、漁業を問わず1次産業の共通した課題であります。漁業センサス等によりますと、本県の漁業就業者は年々減少し、しかも高齢化が着実に進んでいる状況にあります。漁業就業者数の減少、中でも漁業の将来を担う若い年齢層の減少は、漁業はもとより沿岸地域の活力低下につながるものとして大変憂慮すべきものであります。漁業は、海という厳しい環境と重労働を伴う仕事であり、高齢化に伴う体力の衰えは、いずれ漁業から撤退を余儀なくされますが、その一方で、こうした厳しい環境や労働のために、漁業に従事する若い人が育たないとなれば、漁業は一体どうなるのでしょうか。漁業は国民のたんぱく源を支える重要な食料産業であり、また沿岸地域にあっては、地域経済を支え、海を守り、浜の伝統文化、魚食文化を継承する重要な役割を担っております。折しも県は、この11月に策定した新しい水産業基本計画の基本目標に、若い担い手が意欲を持って就業できる夢のある水産業の実現と活力ある漁村の創造を掲げておりますが、若い担い手の育成、確保をどのように進めようとしているのかお伺いします。
 次に、地域課題を2点ほどお伺いします
 まず、県道八戸大野線の整備についてお伺いします。
 平成9年度に開催されました第1回の北東北知事サミット、いわゆる観光サミットにおいて3県の観光振興を共同で図ることが合意され、岩手と青森を結ぶ主要地方道八戸大野線は、観光ネットワーク道路としてその必要性について確認されているところであります。しかしながら、本路線の岩手県側の整備状況を見ますと、ほぼ2車線整備は完了したとしておりますが、大野村中心部の人家連檐部には歩道がない区間もあるなど、観光ネットワーク道路としての大型バスなどの通行に支障を来している区間があり、隘路区間の解消が必要であると感じております。本路線が北東北3県の連携や観光振興上重要な路線であること、また県北地方の振興を図る観点からもこの道路を早急に整備をする必要があると考えるものでありますが、県としてこの路線の整備をどのように進めるおつもりなのかお伺いします。
 最後に、木炭の新用途利用の促進についてお伺いします。
 久慈地域においては、九戸高原域において豊富に蓄積している森林資源を活用し、木炭を核としたさまざまな試みにより、新たな木炭文化の発信基地を創造するという基本目標のもとに、日本一の炭の里構想が平成5年3月に策定され、その構想のもとに林道の新設、整備等林業基盤の整備を初めとして製炭技術の開発等、さまざまな取り組みがなされているところであります。私は、久慈地域において産業の振興を図り、地域の継続的発展を期すためには、地域資源を活用し、従来型の生産、流通、加工にとらわれず事業展開を図る必要があり、付加価値の高い作物の導入や新たな商品開発、既存の市場流通を越えた流通販売経路の開拓などを進めていくことが必要であると考えております。木炭についても、近年その有用性が再認識され、住宅の調湿材等の多種多様な商品開発がなされており、その新用途利用化を進めることにより産業の振興を図ることが緊要な課題となってきているところであります。そこで、お伺いしますが、日本一の炭の里構想の実現のためにも、木炭に係る新用途利用開発についてどのように取り組み、支援していくお考えなのかお伺いいたします。
 災害復旧について再度お願いします。私も地元の一人として今回の災害の状況を見るに、軽米町の平町長さんが申し上げております心情、助けてくださいの一言に尽きます。県を挙げてのバックアップをお願いして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 水上信宏議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、2期目の県政推進の基本姿勢と抱負についてお尋ねがございました。
 私は、知事に就任して以来、一貫して、清新で公正を旨として、県民にわかりやすい開かれた県政の実現を基本姿勢に掲げまして、その実践に努めてきたところでございます。また、これまでの4年間の県政運営を通じまして、県民の皆様の思いや期待をしっかりと受けとめて、これにこたえていくためには、常に県民や地域の視点からともに考えるということ、そしてともに汗を流し、ともに歩んでいくことが重要であるとの思いを一層強くいたしておりまして、これからの2期目の県政運営に際しても、引き続き県民一人一人と県行政の距離を縮める顔の見える県政を進めながら、新しい岩手づくりのため全力を尽くしていく考えでございます。
 このような考え方から、私は、20世紀から21世紀へのかけ橋となるこれからの4年間を、まず変革と創造の4年と、このように位置づけまして、本年8月に策定をした岩手県総合計画を今後の県政を推進する上での基本に据えまして、情報公開の徹底などによる行政運営の透明性の確保や住民の地域づくりへの参画の促進、市町村との連携強化や地方振興局の機能強化など、いわゆる現場重視の地域経営の実践、政策評価システムの確立や事業の重点化などによる機動的で柔軟な行政運営の推進、そして生活者、地域の視点に立った行財政システムの改革を実行に移しながら、新しい岩手づくりに向けたさまざまな施策を、県民とともに手を携えて、まずみずからがその先頭に立って積極的に推し進めてまいります。
 次に、大雨洪水被害の復旧・復興対策についてのお尋ねでございますが、今回の災害は、軽米町を初め県北部を中心に500億円を超える大災害となりました。被災をされた皆様方に対しては、衷心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。私自身、被災直後の現地の惨状を目の当たりにいたしまして、全力を傾注して対策に当たる必要があるものと強く感じたところでございます。県では、被災市町村の災害復旧対策を積極的に支援するため、直ちに二戸と久慈の地方振興局にそれぞれ大雨洪水災害復旧対策本部を設置して、被災をした市町村と一丸となって、道路、河川などのまず応急復旧対策や応急の仮設住宅の提供などに取り組んできたところでございます。また、この間、県議会から、現地視察を踏まえ、さまざまな課題について御要望もいただいたところでもございます。
 県では、被災市町村の抱える課題や要望について、二戸と久慈の両方の地方振興局、そして本庁も一体となってその把握に努めてきたところでございますが、被災者の皆さんの生活再建や膨大な災害廃棄物処理の問題、それから商店街の復興対策など、こうしたものについては全庁的な取り組みが不可欠でありまして、災害復旧・生活再建対策庁内連絡会議というものを開催いたしております。この中で国の対策や従来の県の制度では対応できない課題、これが非常に深刻な問題でございますし、身の回りに近いところでこういうものが多くございます。こうした国の対策や従来の県の制度では対応できない課題について、これまでの先例にとらわれることなく検討を進めまして、県として踏み込んで行うべき対策を取りまとめたところでございます。今議会にこの中から今年度の分として総額134億円余の関係予算を追加提案し、御審議をいただくこととしております。また詳細は後ほど生活環境部長の方からも説明をさせます。
 今後は、国の災害復旧対策予算や特別交付税などの確保に全力を挙げますとともに、今回追加提案を予定しているさまざまな関連事業を通じて、被災市町村を最大限に支援してまいりたいと、このように考えております。
 次に、本県における酪農の振興方策についてお尋ねがございました。
 本県の酪農は、担い手の高齢化や乳価の低迷などにより、飼養戸数、そして頭数ともに減少しております。また、1戸当たりの頭数は増加をしているわけですが、いまだ全国平均の半分を少し超えた程度というところにとどまっておりまして、議員御指摘のような課題を抱えているところでございます。このような状況のもとで、本県が酪農の主産県として維持発展していくためには、まずもって意欲ある酪農家を重点的に支援をすると、そして頭数規模の拡大と、そうした農家の経営の効率化を進めていく必要があります。このため、北海道レベルの産乳能力を有する優良な乳用牛の県内保留を進めながら、飼料給与方式の改善、ミルキングパーラー、搾乳ロボットなどの導入といった、生産性の高い省力的な飼養管理システムの普及拡大を今後さらに図っていく考えでございます。また、平成16年10月までと義務づけられている新しい法律に基づきます家畜ふん尿の適正な処理施設の整備はもとより、耕種農家との連携による堆肥の利活用、さらにはメタンガス由来のバイオマスエネルギーシステムの研究にも取り組んでいくこととしております。
 これらを実行するために、先般策定した岩手県酪農振興方針というものがございまして、この方針に基づいて、各地域ごとに地域の実情に合った酪農振興アクションプランというものを定めて、目下、具体的に取り組みを開始しているところでございますが、2010年までには1戸当たりの頭数を現在の2倍の50頭程度までに拡大をしたいと、このように考えてます。私自身、ことし8月に県北の酪農地帯に行きまして体験酪農をしてきましたけれども、緑豊かな牧草地を背景に力強い酪農が展開されているわけです。こうした皆さんの期待にこたえるべく本県ならではの酪農振興にさらに努めていきたいと考えております。
 次に、林業基本計画の具体的推進についてお尋ねがございました。
 新しい県の林業基本計画は、森林の持つ公益的機能の発揮と木材資源の活用促進を基本的な理念といたしておりまして、森林の整備については持続可能な森林経営を目指した質的な充実を図る方向にその中では転換をしております。さらに、木材の需要拡大や県民の参加による森林づくりを推進することとしております。このため、この基本計画においては四つのプロジェクトをその中に掲げております。まず1番目に、一定区域の森林を定めて、その地域に集中的に効率的な間伐や伐採跡地での造林などを総合的に推進する持続的な森林管理プロジェクト、それから二つ目は、三陸沿岸地域の水源ともなっておりますこの北上高地において、上・下流住民の連携により森林を整備する北上高地グリーナリープロジェクト、3番目は、町の工務店などとの連携によるいわて夢住宅の開発やいわてブランド材の推進などに組織的に取り組む木づかいの文化総合推進プロジェクト、そして4番目としては、身近な県内各地にございます里山、この身近な里山の整備を行う美しい里山づくりプロジェクト、こうした四つを設定して、これを先導的かつ重点的に実施することにより、全体の計画の効果的な推進を図っていきたいと考えてます。
 さらに、地域の特性を踏まえたきめ細かな施策を展開するために、この基本計画に基づいて各地方振興局ごとに、またその地域の林業振興計画を策定したところでございまして、こうした計画の推進に当たっては、地域住民はもちろん当然なんですが、さらには広くボランティアなどの協力も得ながら森林所有者、林業に関係する団体、市町村と密接な連携を図って、そしてこの推進に取り組んでいく考えでございます
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承願います。
   〔土木部長中山隆君登壇〕
〇土木部長(中山隆君) まず、公共土木施設被害の具体的な対策でございますが、被害が甚大なことから急遽、建設省に災害査定官の派遣を要請し、11月3日から5日にかけまして、応急工事を必要とされる箇所につきまして現地指導をいただいたところでございます。その結果、全面交通どめとなりました久慈市内における国道281号の岩井橋等24路線、31カ所については直ちに応急工事を行い、11月5日までに交通の確保を図ったものでございます。
 また、軽米町の中心部に大きな被害をもたらしました雪谷川など、被害の大きい河川におきましては、改良復旧事業等の導入に向けました協議を建設省と進めているところでございます。軽米町におきましては、雪谷川で想定される復旧事業区域内に存在する建物等のうち、危険なため速やかに撤去を必要とする補償物件については先行して調査を実施するとともに、仮設住宅の建設を初め、仮設建築物に対する制限の緩和や建築確認申請手数料の免除を行うなど、生活再建を支援しているところでございます。
 公共土木施設の本格復旧につきましては、来月早々に予定しております災害査定が終了し次第、可能な箇所から年度内に着手してまいります。
 次に、県道八戸大野線の整備についてでございますが、本路線は、広域幹線道路である国道45号の機能を補完し、地域の経済活動や観光の振興を図るとともに、八戸市との歴史的な県際交流のさらなる進展を図る上で重要な役割を担っております。県といたしましては、路線の重要性を踏まえまして、これまでも順次、整備を進めてきたところでございます。本路線の大野村泥濘地区から村の中心部を経まして、国道395号までの6.8キロメートルの区間は、幅員が狭いなど、今後一層の整備が必要であると認識しているところでございます。このため、平成9年度よりこの隘路区間につきまして各種基礎調査を実施しておりますが、特に大野村中心部は、幅員が狭小で歩道がなく、急カーブであり、観光バスなどの大型車の通行に支障を来していることなどから、早期の改良整備が求められているところでございます。しかしながら、この地域は人家連檐部でございまして、現道に沿って大規模な拡幅改良を行うことは難しい状況にございます。こういったことを総合的に勘案いたしまして、バイパスで村の中心部を迂回することを検討する必要があると考えております。
 また、この道路は大野村における一人一芸などの特色ある村づくりの推進を支援する道路でもありますことから、県といたしましては、この道路計画を立案するに当たり、これら地域づくりにも配慮していくことが必要と考えております。このため、今後地域の方々とも十分話し合って、立案する道路計画にその御意見、御提言を反映させるとともに、整備の時期等についても検討してまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) 農業関係の災害復旧対策でありますけれども、年内に農地・農業用施設の災害査定を終了する必要がございますので、災害発生時から被害調査、査定設計書の作成支援に、軽米町を中心としてこれまで延べ310人の県職員を派遣しております。
 さらに、国の災害査定が今週の月曜日から4週間にわたり行われることとなっておりますので、これに対応して220人の職員を派遣、応援することとしております。
 なお、災害査定後には一日も早く農家の方々が耕作できるよう、市町村の復旧計画にあわせ復旧工事が円滑に進められるように、また、営農相談にもJA、市町村と連携しながら、できるだけの支援・応援をしてまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長佐藤克郎君登壇〕
〇林業水産部長(佐藤克郎君) まず、林業関係の復旧対策についてでありますが、林地の崩壊や林道、森林、林産施設などの被害額は43億9、600万円余となっております。これらの復旧対策といたしまして、崩壊林地のうち緊急に対策が必要な箇所につきましては、災害関連緊急治山事業で実施することで国と協議済みでございます。そのほかの箇所につきましては、復旧治山事業などにより計画的に復旧を図りたいと考えております。
 また、林道被害につきましては、今月中旬に災害査定が予定されておりまして、速やかに復旧事業を進めてまいりたいと考えております。
 なお、森林被害につきましては、復旧造林事業で復旧を図るほか、林産施設や林産物の被害につきましても、必要に応じまして林業改善資金の借り入れ、あるいは低利の融資制度の活用を図るなど、適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、漁業を担う人材の育成・確保についてでありますが、漁業に従事する若い方々が減少している背景には、厳しい就労環境にある割には、それに見合うだけの安定した収入が得られないことが挙げられております。このため、漁業の若い担い手を育成・確保していくためには、まずもって漁業者の所得向上を図ることが重要でありますことから、漁業の中でも比較的に収入が安定しているカキやホタテガイなどの養殖、アワビ、ウニなどの増殖等、いわゆるつくり育てる漁業を積極的に推進していくとともに、収穫した生産物の一層の付加価値向上を図り、漁業所得の向上に努めてまいりたいと考えております。
 また、若い漁業者の就労環境の改善を図るために、これまでも漁業担い手育成基金や漁村青壮年育成対策事業等によりまして、漁業情報の提供あるいは漁業技術取得のための研修会の実施などを行ってきているところでこざいますが、今後、特に生産物の収穫作業の省力化や地域ごとの一斉休漁日の設定などに重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、将来の漁業の担い手と期待される沿岸地域の小中学生を対象といたしました体験学習や海づくり少年団の全県的な交流を促進するほか、新たに漁業に従事しようとする方々に対しましては、漁業近代化資金などの制度資金により、経営に必要な資金の貸し付けを行うなど、漁村における担い手の育成・確保の環境づくりに積極的に取り組んでまいる考えであります。
 次に、木炭の新用途利用の促進についてでありますが、近年、木炭は燃料としての利用が後退する一方で、その多面的な機能が注目され、土壤の改良や水質の浄化、さらには床下の湿度の調整等への利用が増加しております。しかしながら、木炭のすぐれた性質を客観的に示すデータが必ずしも十分でなく、木炭の新用途製品に対する消費者の理解が十分得られていないということもございますことから、木炭の新用途への利用をさらに進めるためには、さまざまな調査や研究を通じまして、データを蓄積し具体的な使用方法や効果を明らかにしていくことが重要となっております。このため県におきましては、これまでにも土壤改良効果の実証調査を初めといたしまして、岩手大学と連携して木炭の吸着特性の調査などを行ってきたところでありますが、本年度におきましても、県林業技術センターにおける木炭の水質浄化機能の調査や、地域活性化事業調整費を活用した床下調湿機能の調査を鋭意進めているところであります。
 日本一の木炭の生産量を誇る本県、とりわけその生産量のほとんどを占める九戸高原地域を初めとする県北地域におきましては、木炭を活用した付加価値の高い製品の開発や普及が、地域の振興を図っていく上で極めて重要でありますことから、今後におきましても、これらの成果を踏まえながら、関係機関と一体となりまして新製品の開発や新たな需要の開拓に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、大規模な大雨洪水災害への対応についてでありますが、保健福祉部においては、軽米町に対して災害救助法を適用し、避難所の設置、食品、被服等の生活必需品の供与を行うとともに、寒冷地仕様による応急仮設住宅を設置供与しているほか、被災者の方々に生活再建支援金の速やかな支給が行われるよう、所要の手続をとっているところであります。
 また、今回の予算案において、被災者が生活の立て直しに必要な災害援護資金や生活福祉資金を無利子で利用できるよう、県単独事業により3%の利子補給補助を行うとともに、被災者生活再建支援制度が適用されない地域の住宅滅失世帯に対する県単独の支援金制度の創設を提案しているほか、引き続き二戸保健所が中心となって被災された方々の心理的ケアを含む健康相談等にも応じるなど、被災者の生活再建を支援してまいりたいと考えております。
 次に、介護保険制度についてでありますが、本年11月5日に決定された政府の介護保険法の円滑な実施のための特別対策につきましては、実施準備の最終段階において、保険者である市町村を初め、地方自治体の意向を十分聞くことなく決定されたことや、制度の根幹である負担と給付の関係をあいまいにする面があるなど、制度の円滑な導入に支障が生じるとの指摘が各方面からなされております。このため、県といたしましては、特別対策の実施に当たっては国民の理解が十分得られるよう、また、地方自治体の意向を十分反映するとともに、速やかにその内容を明らかにし、準備に混乱が生じないように万全の対策を講じるよう、統一要望の際にも国に強く要請したところであります。
 また、県としては、このような状況においては国の動向をいち早く把握し、市町村に対して情報を伝えることが重要であることから、11月29日に国の打ち合わせ会で示された現時点における特別対策の内容について、昨日開催した市町村等介護保険担当課長会議において、市町村へその説明を行ったところであります。
 いずれにいたしましても、このような状況においては、とりわけ県民の方々に対し制度の趣旨や仕組み等を十分に御理解いただけるようその周知徹底に努めなければ、介護保険制度の導入に支障が生じる恐れがあると考えており、このため、県といたしましては制度の円滑な実施に向け、より一層市町村と一体となって準備を進めてまいります。
 市町村等における介護保険事業計画の策定状況についてでありますが、11月末現在、保険者である県内48の市町村、広域連合等のうち、47保険者において中間報告を公表したところであり、残り1保険者についても、年内に中間報告を公表する予定となっております。市町村等におきましては、今後説明会等を通じて、より一層住民の意見などを計画に反映させるとともに、地域の実情を踏まえて、国の特別対策などを盛り込みながら、平成12年3月の計画決定に向けて策定作業を進めていくこととしております。
 市町村等における要介護認定の進捗状況についてでありますが、要介護認定申請の申込件数見込みでございますが、約3万3、000件のうち、11月22日現在においてその14%の審査判定がなされております。県といたしましては、今後とも定期的に進捗状況を点検するとともに、公正かつ客観的な要介護認定が確保されるよう、年内にも介護認定審査会会長会議を開催するなど、市町村等に対してきめ細やかな支援をしてまいります。
 次に、ひとり暮らし老人の緊急連絡体制についてでありますが、ひとり暮らしの高齢者等が在宅で安心して生活を送るためには、急病や災害等の緊急時に迅速かつ適切に対応できる体制や日ごろからの見守り体制を整えることが大切であると考えております。このため、利用者がペンダント式の緊急通報装置を身につけ、ボタンを押すだけで消防署や在宅介護支援センター等に通報され、協力員が出向いて必要な措置をとるなどの緊急通報体制等整備事業を実施しております。平成10年度におきましては、37市町村でこの事業を実施しているほか、防災のまちづくり事業などによる整備を合わせますと、54市町村で緊急通報体制が整備されております。
 今後におきましては、これらの事業のほか、元気な高齢者がひとり暮らし高齢者の見守りや日常生活上の支援活動を行ういきいきシルバー活動総合支援事業、老人クラブによる訪問活動、配食サービス等による安否の確認などのサービスを適切に組み合わせながら、ひとり暮らしの高齢者を地域で支える緊急連絡や見守り体制の整備を積極的に促進してまいります。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) さきの大雨洪水災害にかかる激甚災害法の適用の見通しについてでありますが、災害査定に伴う被害額の変動や他県の被害額の状況にもよりますが、現時点での被害額によりますと、まず、農地、農業用施設及び林道に係る災害につきましては、全国的規模の本激甚災害に指定される可能性があると考えております。
 また、仮に本激甚災害に指定されない場合にありましても、軽米町、二戸市、九戸村など5市町村においては、農業所得額の1割を超える災害となっておりますことから、局地激甚災害に指定される可能性があるものと考えております。
 次に、道路、河川などの公共土木施設などに係る災害につきましては、軽米町、山形村など4市町村におきまして、標準税収入額を超える災害となっていることから、局地激甚災害に指定される可能性があると考えております。
 今後の予定といたしましては、本激甚災害につきましては、早ければ年内にも指定され、また、局地激甚災害につきましては、年度内の3月までには指定されるものと見込まれております。いずれにいたしましても、それまでの間も含めまして、今後の災害復旧対策事業に支障が生じることのないよう、万全を期してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長合田武君登壇〕
〇商工労働観光部長(合田武君) まず、最近5年間の企業誘致の動向についてでありますが、我が国経済の長期低迷を反映して、全国的に厳しい状況下にありますが、本県の平成7年度以降における立地件数は32件、工場閉鎖等は30件となっております。
 また、本県が他県と比べ不利となっている点とそれに対する取り組みについてのお尋ねでございますが、通産省の工場立地動向調査によりますと、企業が上位に挙げている立地地域選定理由の中には、用地や労働力の確保など、本県にとって有利な要因がある反面、消費地や関連企業・本社までの距離、あるいは県内の交通アクセス、下請企業立地など、首都圏周辺の地域と比較すると有利とは言えない要因もあるのは事実であります。したがいまして、県といたしましては交通アクセスや工業団地などハード面の整備はもちろん、各種助成措置の創設や誘致のための推進体制の整備に努めているところでありますが、今後さらに、産学官共同研究や情報化への取り組み、既に整備済みのいわてクリーンセンターなどを新たな誘因として位置づけるとともに、知事と企業との意見交換を定期的に行うなど、企業の立地後におけるフォローについても力を入れ、市町村を初め関係機関と連携して誘致活動に取り組んでまいる考えであります。
 また、本年度も企業誘致のための企業ネットワークいわてを東京、大阪、名古屋において開催し、知事みずからが本県の立地環境の有利性をアピールするなど、本県への立地を強く働きかけていくことにしており、知事のトップセールスによる企業誘致活動についても積極的に展開してまいりたいと考えております。
 次に、経済新生対策の県内中小企業への効果についてでありますが、政府が策定した経済新生対策については、中小企業を日本経済の活力の源であるとともに、地域経済の基盤となる存在として位置づけております。このため、新しい時代の経済活動の担い手となる創造的な中小企業やベンチャー企業を振興することとし、その資金供給の円滑化や多様化、企業の発展・成長段階に応じた多様な組織形態の選択を可能とするための法整備、人材、技術、知識、情報等の経営資源を円滑に確保できるようにする一元的な支援体制の整備など、さまざまな施策を講ずることとしております。これらに呼応して、総額10兆円の特別融資枠の追加措置や中小企業の私募債発行に対する信用保証の付与のほか、本県におきましても、中小企業の創業や経営革新を総合的に支援するワン・ストップ・サービスの可能な拠点を整備するなど、各般の施策が講じられる見込みであり、本県における新規創業の促進や地域の特色を生かした多様で活力ある中小企業の育成が図られ、地域の雇用創出や経済の活性化に効果があるものと考えているところであります。
 次に、既存の中小企業への支援策についてでありますが、県といたしましては、本県経済の中核的存在である中小企業が、雇用確保の牽引車としての役割を果たせるよう、施設の拡張等に関して各種の支援策を講じているところであります。具体的には、まず商工会や商工会議所などにおける経営指導員などの設置を支援し、金融や労働など各般にわたるきめ細かい指導助言をしております。資金面では、主として県内の中小企業者に対し、設備整備や労働福祉施設整備などのための資金を低利融資する商工観光振興資金や、小規模企業に対し無担保の小口資金を融資する小規模企業振興資金により支援しております。
 さらに、工場の増設については、10人以上の雇用増加が確実なものについて低利融資する工業立地促進資金貸し付けを行うとともに、工場等の機械設備の導入について無利子で融資する中小企業設備近代化資金貸し付けのほか、組合が行う共同店舗建設や増築などについて無利子融資する高度化資金貸し付けを行っております。また、久慈地域など雇用機会の増大が必要な地域に事業所を設置・整備し求職者を雇用した事業主に対し、その賃金や事業所の設置・整備費の一部を地域雇用開発助成金として支給することとしております。
 今後におきましても、引き続き中小企業への指導助言体制を充実させながら、総合的な支援展開を図ってまいります。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) テレビ難視聴対策と携帯電話のサービス地域の拡大についてでございます。
 まず、テレビ難視聴につきましては、これまでも国庫補助事業の活用のほか、昭和46年に県単補助制度を創設し、以来、平成10年度末までの累計で約17万世帯の難視聴の解消を図ってきたところでございます。この結果、平成10年度末現在で、県内テレビ放送局5局のうち、1局でも視聴できないいわゆるテレビ難視聴世帯は、県内全世帯の約8%、約3万8、000世帯となっております。
 このため県といたしましては、今後におきましても放送事業者に受信状況の改善を要請していくとともに、補助制度を積極的に活用し、地元市町村との連携を図りながら難視聴の解消に努めてまいりたいと考えております。
 また、携帯電話のサービス地域についてでございますが、現在、県内市町村で携帯電話の使えない市町村は、沢内村、普代村、そして田野畑村の3村となっておりますが、これらの地域におきましても、今年度中には国庫補助制度の導入等により、役場周辺での携帯電話のサービスが開始される見込みとなっております。
 今後は、産業、経済上においても、また災害時における緊急連絡手段としても携帯電話のサービス地域の拡大が重要でございますので、現在、国においてもそういったことで補助対象地域の拡大が検討されておりますことから、県といたしましても、今後とも国や市町村との連携を強化しながら、通信事業者に対して中継施設の整備促進を要請するとともに、国庫補助制度の活用等も含め、積極的に対応してまいります。
   
〇副議長(吉田洋治君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時31分 休 憩
   
出席議員(48名)
1 番 及川敦 君
2 番 飯沢匡 君
3 番 樋下正信 君
4 番 照井昭二 君
5 番 柳村岩見 君
6 番 小野寺研一 君
7 番 工藤大輔 君
8 番 川村農夫 君
9 番 佐々木順一 君
10 番 佐藤力男 君
11 番 及川幸子 君
12 番 阿部静子 君
13 番 阿部富雄 君
14 番 田村誠 君
15 番 岩城明 君
16 番 中 屋 敷十 君
17 番 千葉伝 君
18 番 佐々木大和 君
19 番 水上信宏 君
20 番 阿部敏雄 君
21 番 川口民一 君
22 番 小野寺好 君
23 番 斉藤信 君
24 番 伊沢昌弘 君
27 番 瀬川滋 君
28 番 藤原泰次郎 君
29 番 船越賢太郎 君
30 番 谷藤裕明 君
31 番 菊池勲 君
33 番 黄川田徹 君
34 番 伊藤勢至 君
35 番 高橋賢輔 君
36 番 小原宣良 君
37 番 長谷川忠久 君
38 番 千葉浩 君
39 番 吉田洋治 君
40 番 工藤篤 君
41 番 菅原温士 君
42 番 佐藤正春 君
43 番 山内隆文 君
44 番 折居明広 君
45 番 村上惠三 君
46 番 藤原良信 君
47 番 及川幸郎 君
48 番 菊池雄光 君
49 番 佐々木俊夫 君
50 番 那須川健一 君
51 番 吉田秀 君
欠席議員(3名)
25 番 田村正彦 君
26 番 上澤義主 君
32 番 佐々木一榮 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後3時49分 再 開
〇副議長(吉田洋治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。黄川田徹君。
   〔33番黄川田徹君登壇〕(拍手)

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