平成12年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成12年3月13日(月)
   

1開会 午前10時4分

1出席委員 別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長     和 美 宏 幸
議事課長     藤 沢 重 一
議事課長補佐   千 田 正 和
主任議事管理主査 浅 田 和 夫
議事管理主査   筒 井 則 裕
議事管理主査   森   達 也
議事管理主査   熊 谷 正 則
議事管理主査   下 山 義 彦

1説明員
副知事              千 葉 浩 一
 
総務部長             武 居 丈 二
総務部次長兼行政システム改革室長 盛 合 桂三郎
総務部次長兼県立大学室長     大 槌 典 男
総務学事課長           千 葉 俊 明
人事課長             邨 野 善 義
財政課長             池 田 克 典
税務課長             菅 原 晴 輝
 
企画振興部長           渡 辺   勲
企画振興部次長          佐 藤   勝
企画振興部次長          相 原 正 明
企画調整課長           本 田 敏 秋
地域政策課長           中 村 世 紀
市町村課長            瀬 脇   一
情報科学課長           古 澤 真 作
   

〇和美議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。出席委員中、船越賢太郎委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。船越賢太郎委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いします。
   〔年長委員船越賢太郎君委員長席に着く〕

〇船越賢太郎年長委員 船越賢太郎でございます。よろしく御協力をお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇船越賢太郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇船越賢太郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に、工藤篤君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました工藤篤君を、予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇船越賢太郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました工藤篤君が予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました工藤篤君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 工藤委員長、委員長席にお着き願います。
   〔予算特別委員長工藤篤君委員長席に着く〕
   (拍手)

〇工藤篤委員長 一言ごあいさつを申し上げます。
 平成12年度の予算審査に当たり、予算特別委員長に御指名をいただきましたことは大変光栄であり、心から感謝を申し上げる次第であります。
 予算の審査に当たりましては、慎重な中にも円滑な委員会運営が図られますよう、皆様方の御指導と御協力をお願い申し上げましてごあいさつといたします。
 よろしくお願いします。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇工藤篤委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇工藤篤委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇工藤篤委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に、伊藤勢至君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました伊藤勢至君を、予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇工藤篤委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました伊藤勢至君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました伊藤勢至君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 伊藤副委員長、ごあいさつを願います。

〇伊藤勢至副委員長 ただいま予算特別委員会の副委員長に御推挙をいただきました伊藤勢至でございます。
 活発な論戦が展開されますように相務めながら、もって、委員長を補佐してまいりたいと思っておりますので、どうぞ御指導を賜りますようによろしくお願いを申し上げます。(拍手)

〇工藤篤委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案49件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から17日まで、及び21日から23日までの8日間は、関係部局長の説明を求め質疑を行うこととし、議案49件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、23日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇工藤篤委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。議案第1号から議案第21号まで、議案第29号から議案第37号まで、議案第39号、議案第41号から議案第46号まで、議案第48号から議案第51号まで、議案第54号、議案第55号、議案第57号、議案第58号、議案第60号、議案第62号、議案第65号及び議案第100号、以上49件を一括議題といたします。
 これより、平成12年度予算の総括説明を求めます。

〇武居総務部長 それでは、総括について御説明申し上げます。
 本県の財政は、現下の経済動向等から県税収入が伸び悩み、また、国庫支出金等に多くを期待できない一方で、公債費などの義務的経費が累増するなどにより、極めて厳しい状況にあります。このような中にあって、平成12年度の予算編成は、中期財政見通しを踏まえ、歳出の抑制等の財政健全化目標を達成するなど、財政運営の健全化に最善の努力を傾注するとともに、岩手県総合計画の着実な展開を図ることを基本として、景気対策や地方分権の推進、介護保険制度の円滑な導入等、現下の最重要課題にも積極的に対応することとして編成したところであります。
 予算の概要について申し上げますと、歳入面では、財政の健全化に配意し、県債の発行を極力抑制するとともに、使用料・手数料の見直しや未利用地の処分を進め、基金の取り崩し等、積極的な財源確保策を講じたところであります。
 一方、歳出面では、事務事業評価等の評価手法に基づき、事務事業の廃止・縮減等、徹底した歳出の合理化と縮減を図るとともに、優先度と緊急度の高い施策を厳選し、施策の一層の重点化、効率化を図るなど、限られた財源の効果的な活用に努めることとして編成したものであります。
 この結果、当初予算の規模は8、963億3、400万円余で、前年度当初予算対比で3.1%の増、実質的な当初予算とも言える6月現計予算との対比では0.7%の増となるものであります。
 次に、歳入歳出予算の概要について申し上げます。
 便宜、お手元の予算に関する資料の1ページをお開き願いたいと思います。
 平成12年度一般会計歳入歳出予算総括表の第1表、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から13の諸収入まででありまして、その総額は3、065億7、000万円余で、前年度の6月現計予算、これは3、149億1、400万円でございますが、これに比べますと2.6%の減で、歳入に占める割合は34.2%と、前年度よりも1.2ポイント低下しております。これは、県税や地方消費税清算金が増加したものの、諸収入や基金繰入金が減少したことなどによるものであります。また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、14県債でございますが、総額は5、897億6、400万円余で、前年度6月現計予算と比べますと2.6%の増となり、その構成比は65.8%となりますが、これは、主に地方交付税が増加したものであります。
 次に、歳出でありますが、主要事業につきましてはそれぞれの所管部局の審議の際、関係部局長から詳細に御説明をいたしますので、款別歳出につきましては説明を省略し、私からは性質別の主なものについて申し上げます。
 ただいまごらんの予算に関する資料の3ページをお開き願います。
 平成12年度一般会計歳出性質別内訳表のうち、まず人件費は、表の右端の増減率欄をごらんいただきますと0.8%の減となっておりますが、これは、人事委員会勧告に沿った給与改定による減額などによるものであります。物件費は、新たに衆議院選挙費などの措置により5.6%の増、また、維持補修費は、道路維持費の増などにより6.4%の増となっております。4ページの扶助費は、2.8%の増であります。補助費等は8.9%の増でありますが、これは、利子割交付金や介護給付費等負担金が増加したことなどによるものであります。普通建設事業費は4.1%の増となっており、そのうち単独は11.4%の増となっておりますが、これは、6月現計対比で見ると5.8%の増でございまして、美術館や環境保健センター、花巻空港等の整備の進捗を図ることとしたことによるものであります。次に、5ページの災害復旧費につきましては、平成11年度の大雨災害に係る復旧費等の増により、7.0%の増と見込んでおります。
 なお、普通建設事業費と災害復旧費をあわせた投資的経費につきましては、国の15カ月予算の考え方に倣い、12月補正予算、2月補正予算及び当初予算を一体のものとしてとらえた場合は、平成11年度と比較しますと8.0%の増となっております。
 公債費は11.1%の増となっておりますが、これは、県立大学整備や東北新幹線建設に係る県債や、地方財源不足対策としての財源対策債等に係る償還額が増加していることなどによるものであります。積立金は、県債管理基金、公共施設等整備基金の果実収入が金利の低下により減となったものの、新たに介護保険財政安定化基金を造成するための積立金を措置したことにより、47.3%の増であります。出資金は69.9%の増となっておりますが、これは、工業用水道事業会計に対する出資によるものであります。貸付金は、いわて緊急経済対策資金貸付金や中小企業経営安定資金貸付金の確定等に伴い、7.6%の減であります。繰出金は10.8%の増となっておりますが、これは、県有林事業特別会計において、県有林造成基金の取り崩し額に応じた所要の繰出額が確定したことなどによるものであります。
 一般会計歳入歳出予算の概要は、以上のとおりであります。
 特別会計につきましては所管部局において御説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。
 なお、歳入、その他につきましては、後ほど盛合総務部次長から御説明申し上げます。
 次に、当予算特別委員会に付託されております予算関連の条例議案のうち、14条例議案が地方分権一括法の成立に伴うものでありますが、このうち、内容が複数の部にわたるものにつきまして私の方から説明させていただきます。
 議案その2をお開きいただきたいと思います。議案その2の29ページでございます。
 議案第35号岩手県手数料条例であります。これまで地方公共団体の手数料につきましては、個別の法令や地方公共団体手数料令の定めに基づきまして、規則に定めて徴収しておりましたが、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律、いわゆる地方分権一括法の成立に伴い、地方自治法が改正されたことにより機関委任事務が廃止され、地方公共団体の事務として位置づけられたこと及び地方公共団体の手数料についてはすべて条例で定めることとされたことから、新たに手数料の徴収に関する条例を制定しようとするものであります。また、手数料の額につきましても全面的に検証を行い、当該事務に係る経費計算に基づき、地方公共団体の手数料の標準に関する政令をも勘案して、改定の必要のあるものについて今回あわせて改定しようとするものであります。
 次に、議案その2の280ページをお開き願います。
 280ページは、議案第65号地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例案でございます。この条例の制定の趣旨でありますが、いわゆる地方分権一括法に伴う改正後の地方自治法第14条第2項の規定により、義務を課し、権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならないとされたことにより、現在、規則等により権利制限をしているものなどの見直しを行い必要なものについて条例化を図るものであり、この整備条例におきまして、地方分権一括法に関係する公衆浴場法施行条例や興行場条例等あわせまして20本の条例の一部改正を行おうとするものであります。
 以上で、総括説明を終わります。

〇盛合総務部次長 それでは、歳入、その他について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の1ページをお開き願います。
 議案第1号平成12年度岩手県一般会計予算でありますが、第1条は、歳入歳出の総額を8、963億3、485万8、000円と定めるものであります。第2条は、債務負担行為の限度額等を、第3条は、地方債の限度額等を定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員の給与についての流用を定めたものであります。
 次に、歳入について御説明をいたします。
 便宜、お手元の予算に関する説明書で御説明いたしますので、4ページをお開き願います。
 まず、1款県税1項県民税は、300億900万円余で16.2%の増となっておりますが、これは、1目個人が減となるものの、2目法人は企業の業績見通しにより、3目利子割は定額預金の受け取り利子等によりまして、それぞれ増収が見込まれることによるものであります。
 5ページの2項事業税は、238億8、800万円余で7.2%の増となっておりますが、これは、企業の業績見通しから前年度を上回るものと見込まれることによるものであります。
 次に、6ページの3項地方消費税は、地方財政計画等をもとにいたしまして144億9、900万円余、3.4%の増を見込んでおります。
 4項不動産取得税は、35億8、500万円余で2.4%の減となっておりますが、これは、建築家屋の大口取得分が減少することなどを見込んだものであります。
 次に、8ページの5項県たばこ税は27億6、300万円余、9ページの6項ゴルフ場利用税は6億2、300万円余となっております。
 次に、10ページの7項自動車税は、208億7、700万円余で0.3%の減となっておりますが、これは、随時課税台数の減が見込まれることによるものであります。
 8項鉱区税、12ページの9項狩猟者登録税は、最近の課税実績等を勘案いたしまして、それぞれの収入見込み額を計上したものであります。
 10項自動車取得税は、46億300万円余で3.5%の減となっておりますが、これは、消費の低迷によります新車の登録台数の減を見込んだものであります。
 次に、14ページの11項軽油引取税は、223億6、900万円余で0.9%の減となっておりますが、これは、景気動向による物流への影響等を見込んだことによるものであります。
 12項入猟税は、狩猟者登録税と同様、課税実績等を勘案いたしまして計上したものであります。
 次に、16ページに参ります。13項旧法による税は、税制改革に伴う旧法による税の滞納繰越分等であります。
 17ページに参りまして、特別地方消費税は、平成11年度をもって廃止されたことから、前年度の額を掲げたものであります。
 以上、県税の合計額は1、233億9、700万円余で、前年度当初予算額に比べ50億3、600万円余、4.3%の増となるものであります。
 次に、18ページの2款地方消費税清算金は252億2、300万円余、6.1%の増となっており、3款地方譲与税は、1項地方道路譲与税は28億8、200万円余、次ページの2項石油ガス譲与税は3億2、800万円余、3項航空機燃料譲与税は1、500万円余と見込んでおります。
 22ページ、4款地方特例交付金でありますが10億1、000万円余、4.8%の増、5款地方交付税は2、828億9、500万円余、7.9%増を計上いたしております。
 次に、24ページの6款交通安全対策特別交付金は、6億8、200万円であります。
 次に、7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、土地改良の圃場整備事業等に係る分担金であり、次ページから28ページまでの2項負担金は、総務、民主、衛生、農林水産、土木及び教育に係る受益者負担金を計上したものであります。
 次に29ページは、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、2目民生使用料では肢体不自由児施設使用料、5目農林水産業使用料では漁港施設使用料、31ページの7目土木使用料では空港施設使用料、道路占用料、河川占用料、そして県営住宅使用料、9目教育使用料では高等学校の授業料や、32ページの下段にありますように県立大学の授業料などが主なものであります。これら使用料の総額は88億3、200万円余で、3億5、300万円余の増となっておりますが、これは、県立大学授業料の学年進行などによるものであります。
 次に、2項手数料でありますが、1目総務手数料から9目教育手数料まで、あわせて36ページに記載しておりますとおり総額31億7、600万円余で、800万円余の増となっております。これは、36ページの一番下、9目教育手数料の県立大学入学検定料、入学料の増などによるものであります。
 次に37ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では、8節の児童扶養手当26億円余、10節の生活保護31億4、400万円余であり、次ページの3目農林水産業費負担金では、1節の農業共済団体等事務18億3、800万円余、4目土木費負担金では、基幹河川改修事業、砂防事業などがその主なものであります。5目教育費負担金では、義務教育人件費に係る国庫負担金がその主なもので、災害復旧費負担金を含め、国庫負担金の総額は、39ページのとおり687億500万円余となっており、1.5%の増となっております。
 次に、40ページの国庫補助金でありますが、その総額は58ページまで飛んでいただきまして、1、078億9、700万円余で3.5%の増となっております。
 次に、59ページの3項委託金でありますが、1目総務費委託金の6節衆議院議員選挙の増などによりまして、総額は62ページに記載しておりますとおり、33億2、700万円余で89.3%の増となっております。
 次に、63ページの10款財産収入1項財産運用収入は、10億6、500万円余を見込んでおり、次ページの2項財産売払収入は、土地の売り払いなどにより10億1、300万円余を見込んでおります。
 次に65ページ、11款繰入金1項特別会計繰入金は5億200万円余となっております。
 次に66ページ、2項基金繰入金は212億2、500万円余となっております。これは、県債の償還に充てるため、県債管理基金から150億円、東北新幹線盛岡以北の整備などの建設事業に充てるため、公共施設等整備基金から40億円を繰り入れることといたしておりますが、対前年比では57億7、100万円余、21.4%の減となるものであります。
 なお、平成11年度末の基金残高は、財政調整基金は47億6、700万円余、県債管理基金は776億9、300万円余、公共施設等整備基金は280億3、700万円余で、3基金の合計額は1、104億9、800万円余と見込んでおります。
 次に67ページ、12款繰越金は整理科目であります。
 次ページの13款諸収入1項延滞金、加算金及び過料は3億200万円余を計上しており、2項預金利子は、金利動向等から2、000万円余としております。
 70ページに参りまして、3項公営企業貸付金元利収入は89億1、800万円余で、県立病院等事業会計からの収入が主なものであり、4項貸付金元利収入は、総務、民生、衛生などの各行政部門における貸付金元利収入でありまして、合計額は74ページに記載しておりますとおり、853億5、300万円余となっております。
 75ページ、5項受託事業収入の総額は、76ページのとおり42億4、200万円余となっております。
 次に77ページ、6項収益事業収入は、宝くじ収入31億2、500万円余を見込んでおります。
 なお、競馬収入につきましては、競馬組合におきまして発売収入の低迷に伴いまして、収益配分金が見込めないことから計上しないこととしたものであります。
 次ページの7項利子割精算金収入は1、400万円余、8項雑入の総額は、83ページまで飛んでいただきまして、86億5、000万円余を見込んでおります。
 次に、14款県債でありますが、その総額は、86ページに記載しておりますとおり1、220億1、800万円余であり、48億8、000万円の増でありますが、前年度6月現計予算と比較いたしますと2億4、800万円、0.2%の減で、これは、県債の発行を抑制したことなどによるものであります。
 次に、大きく315ページまで飛んでいただきます。県債の現在高見込みでありますが、平成11年度末では、前年度末現在高見込み額の計で、次ページになりますが1兆1、540億7、000万円余、平成12年度末では同じく計の欄の右端になりますが、1兆2、017億3、600万円余と見込んでおります。
 以上で、歳入、その他についての説明を終わらせていただきます。

〇工藤篤委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、代表質疑、自由質疑の順に行うことになっております。代表質疑は各会派1人ずつとし、発言時間は答弁を除き、各会派ともそれぞれ30分となっておりますが、会派の発言時間に残時間があるときは、その範囲内で当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっております。自由質疑は、答弁を除き1人10分を限度とし、交渉団体に属していない委員を優先して質疑を認めることになっております。
 なお、総括質疑は、明日午後2時までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いします。
 これより代表質疑に入ります。

〇佐々木一榮委員 平成12年度予算審議に当たり、自由党会派を代表いたしまして総括的にお伺いいたしますので、簡潔明瞭、なおかつ、積極的な御答弁をお願い申し上げる次第であります。
 なお、本定例会におきましては、既に代表質問、一般質問が行われており、質問事項の中には若干重複する点もあろうかと存じますが、よろしくお願い申し上げます。
 それではまず初めに、2000年という新しい千年紀を迎えた今日の国及び地方の置かれている経済状況をどのように認識されて、今後の展望をいかにお持ちかお尋ねいたします。
 増田知事は、本定例会招集日の演述において、21世紀を見通したとき、これまでの世紀に比較し加速度的に進む技術革新により、時代の変化が一層早くなることが予想され、これからの社会がどう変わっていくのか予想が難しく、まさに海図なき新たな航海に旅立ったとの思いを強くしていると述べられております。私もまさに同じ思いを持つ者の1人であります。
 昨年の企業倒産の状況を見ますと、件数が減少して一服状態となり、負債は増加基調で、戦後最悪のベースとなるねじれ現象が特徴でありました。また、1999年──平成11年の総務庁発表の年平均完全失業率は4.7%と、過去最悪を記録いたしました。昨年の完全失業者は317万人で、前年より38万人ふえ、その中でも非自発的失業者が17万人ふえて102万人に達しました。いかにリストラの嵐が強いか考えさせられます。失業者が増加すれば社会は不安定になり、国民生活はもちろん、社会制度などさまざまな形での影響は避けられないと考えます。こういった実態をどう認識されているでしょうか、県内の状況も踏まえお尋ねいたします。

〇千葉副知事 最近の国の経済状況についてでございますけれども、経済企画庁が去る2月15日に公表しました月例経済報告によりますと、民間需要の回復力が弱く、厳しい状況をなお脱していないと、このように言っております。しかし、各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響に加えまして、企業行動に前向きの動きも見られ、景気は緩やかな改善が続いていると、こう報告いたしております。
 一方、本県の経済状況でございますけれども、去る2月24日に公表いたしました最近の景況におきましては、なお厳しい状況にある中で、足踏み状態から脱する動きも見られるとしたところでございます。したがいまして、本県の景気は国内景気より幾分緩やかながら、回復基調にあるものと見ているところでございます。
 なお、本県の雇用情勢でございますけれども、1月の有効求人倍率は0.54倍と依然として低水準でございまして、また、2月の企業倒産件数は8件で、前年同月比60%増となっておりまして、依然、厳しい状況が続いております。
 本県におきましては、平成12年度当初予算におきまして、国の15カ月予算に呼応いたしまして、県内経済の活性化を図るため、生活関連社会資本の整備、中小企業金融の円滑化対策、雇用対策などに積極的な対応を行うこととしているところでございます。このような国や県の経済対策の実施によりまして、個人消費、生産活動を含む本県の景気への効果を期待しているものでございます。

〇佐々木一榮委員 次に、財政問題についてお尋ねいたします。
 平成12年度は実質的に新しい総合計画の初年度に当たり、計画の柱である環境、ひと、情報を積極的に前面に打ち出す中で、一方、予算編成の基本姿勢である中期財政見通しに掲げる財政健全化目標の達成を掲げている本県の状況としては、平成12年度予算編成も厳しいものがあったと拝察いたします。まず、県財政の現状と今後の見通しについてお伺いいたします。
 関連いたしまして、行政システム改革計画に掲げる財政健全化目標をクリアした予算となりましたが、財政健全化の具体的効果とその評価についてお尋ねいたします。
 また、今後の財政見通しによると、現在の状況で推移した場合、6年間で約2、500億円の財源不足が生じ、県債残高は12年度末見込みの1兆2、043億円から1兆3、400億円と、厳しい財政運営を強いられると考えますが、今後の財政運営の基本的進め方についてお伺いいたします。

〇武居総務部長 3点御質問がございまして、財政運営に関する御質問につきましてお答えさせていただきたいと思います。
 まず、本県の財政の現状と今後の見通しにつきましての御質問でございました。本県財政につきましては、歳入面では、県が自主的に収入し得る県税等の自主財源の割合が依然として低く、財源の多くを地方交付税、国庫支出金及び県債に依存せざるを得ない状況にある一方におきまして、立ちおくれている社会資本の整備を図るため、東北新幹線盛岡以北の整備でございますとか県立大学の集中的な整備に取り組んできたほか、特に平成4年度以降の数次にわたる国の経済対策に呼応した取り組み等を行ってきたこと、さらに、地方財政全体としましての地方財源不足、こういったものに対応するための財源対策債の発行によりまして公債費が増嵩するということで、現状といたしまして、極めて厳しい状況にあると認識しているところでございます。
 そのような中で、平成12年度の予算編成を行ったわけでございますが、今後の見通しにつきましては、今後とも国、地方を通じ、厳しい財政状況が見込まれるところでございまして、本県の財政につきましては、御案内のように昨年の秋、中期財政見通しを作成したところでございますけれども、これによりますと、県税等の自主財源の伸びに期待し得ず、公債費等の義務的経費が増嵩し、このまま推移しますと、近い将来経常収支比率は87%、それから公債費比率は25%程度まで上昇すると。この公債費比率につきましては、交付税等によりその財源が保証されている部分もありますので、起債制限比率というものを一方で見なくてはいけないと思うのですけれども、こちらにつきましては、15%程度にとどまるのではないかと考えてございますが、こういった状況になりまして、財政運営が圧迫されることが懸念されるところでございます。したがいまして、行政システム改革大綱に基づきまして徹底した行政改革に取り組み、歳出の見直しによる歳出の重点化、効率化に努めるとともに、国に対しましては地方財源不足としての地方債はできるだけ避け、地方一般財源の充実確保が図られるよう、引き続き努力してまいりたいと考えております。
 それから、財政健全化の効果と評価につきましての御質問でございますが、3点ございまして、これは歳出規模の抑制でございますとか県債依存度の縮減でございますとか、基金残高の確保とかございまして、これはいずれも平成12年度予算においてクリアしたわけでございますが、これにつきましては、私ども特に県財政が先ほど申し上げましたように今後の内外の厳しい財政環境の中で、さまざまな変動に機動的、効率的に対応し得る弾力性のあるものにするために大変必要であると考え、この三つの目標の達成に全力を尽くしたところでございます。特に、歳出規模の抑制につきましては、事務事業評価等によりまして優先度、緊急度により事業を厳選したということでございまして、限られた財源のより効果的な活用が図られたのではないかと考えているところでございますし、また、県債発行の抑制ということで、その依存度の縮減ということで、将来負担の抑制ということに資することになったのではないかと考えているところでございます。
 それから、財政調整基金等の適正水準の確保ということで、これは新しい総合計画への対応ということもございますが、今後の財政需要に計画的に対応していくことが可能になったのではないかと考えているところでございます。特に、私どもが留意しておりますのは、これらの目標がいずれも到達点ということではなくて、一通過点であるということで、これは一里塚でありまして、今後引き続き中期財政見通しに掲げる新しい目標、これは5点掲げてございますが、こういったものを達成していくための一つの過程であると認識しているところでございます。
 それから最後に、今後の財政運営の基本的進め方についての御質問がございました。今後の財政運営につきましては、基本的には中期財政見通しを踏まえ、中長期的な見通しのもとに適切な財政運営に努めていくということに尽きるわけでございますが、特に具体的には、歳入歳出のギャップを解消するためには、行政システム改革大綱に基づく徹底した行政改革等の財政健全化に最善の努力をする一方で、特に優良の起債の適切な活用でございますとか、国庫支出金の有効活用等の財源調整を図っていくことが必要であります。その一方で、特に私ども今13年度中にはそういったものを本格的に導入したいと考えておりますが、特に県債残高につきましていろいろと御議論のあるところでございますが、これに関しましては、資産と負債の関係を明らかにするために、バランスシート等の発生主義会計方式の考え方によりまして、投資されたお金がどういったものに使われて、どういった資産として活用されているかということをきっちりと分析しまして、そういったものの中から今後の投資に対する適正な水準を確保していきたいと考えているところでございます。
 それから、特に私どもこれからの財政運営で留意しなくてはいけないのではないかと感じておりますのは、中長期的な財政動向というのは確実に見通すことが大変難しい時代に入ってきていると思います。その時々の経済情勢というものが多分に大きな幅を持ってくると思いますので、そういったものに柔軟に対応できるようなシステムを組んでいかなければならないと感じておりまして、具体的に申し上げますと、将来の方向性を一つに絞ってしまうのではなくて、常に幾つかの選択肢というものを準備しまして、将来のシミュレーションとして、こういった方向になった場合はこちらの選択肢の方がいいのではないか、こちらの方に来た場合は、むしろ当初何年か前に想定していたこういう選択肢よりもこちらの選択肢をとるべきではないかということを常にフィードバックしながら、適切な財政運営を図っていく必要があるのではないかと感じております。
 それから、最後に分権時代ということでございますので、当然のことながら地方一般財源の充実確保、これは地方税、地方交付税あわせてでございますが、こういったことを積極的に強く要望してまいりたいと考えております。

〇佐々木一榮委員 厳しい財政状況、私ども十分に理解しているつもりでございます。柔軟のある発想を持って御対応、今後の努力をお願いしたいと思います。
 次に、全国を巻き込んで話題となっております石原東京都知事の大手金融機関を対象とした外形標準課税導入論についてでありますが、これは地方自治体の長年の宿願であった全国一律方式での外形標準課税の導入論議を加速させた点については評価をしております。東京都の抜け駆けに不満を抱くところも多いと言われますが、今回のこの一連の政府、そして金融業界と東京都、都民の世論を味方につけた石原知事の行動、賛同するであろう都議会の状況を副知事はどのように評価されているでしょうか、お尋ねいたします。
 また、昨年の一般質問においても取り上げさせていただきましたが、地方分権一括法の施行に伴い、都道府県が独自に法定外目的税を導入することが可能となることから、各自治体それぞれ検討を進めていると言われ、北海道の堀知事そしてお隣の浅野宮城県知事も新たな地方税の導入を検討すると既に表明をしております。三重県では、全国でも初めての産業廃棄物埋立税の条例提出を9月県議会に行い、12年度中には導入の方向で準備しているという状況を伺っております。このような他県の動向をどう認識され、本県はどういうスタンスで臨んでいかれるのかお尋ねいたします。

〇千葉副知事 地方の税財源問題は、大体は国から地方へ働きかけがあるわけでございますけれども、今回は全く逆でございまして、地方が国に対して揺さぶりをかけるといいますか、そういう図式になったわけでございまして、そういう意味では、私は非常に意義深いと考えております。加えて、地方の課税自主権といいますか、それを鮮明にしたということが、私は評価できるのではないかと考えております。ただ、外形標準課税の問題につきましては、これは単に東京都の問題に終わらせることなく、全国的なレベルでこれは検討しなければならないだろうと考えます。したがって、今後は、全国知事会を含めまして、全国レベルでこの問題について論議をいたしまして、地方分権時代にふさわしい安定した税を確保するようにやっていきたいと考えております。
 それから、法定外目的税の関係でございますけれども、財政状況が非常に厳しいわけでして、新しい財源は何でも欲しいわけです、正直申し上げまして。したがって、これまでも法定外目的税について関心を持って研究してきた経緯がございますけれども、残念ながら、今の段階では適当な税源が見つからないというのが現状でございます。これからも、いろいろ他県の状況等も見ながら検討はしてまいりますけれども、いずれ導入する場合にありましても、幾ら税が取れるかということと徴税コスト、こういったものをあわせて検討していく必要があるのではないかと考えております。

〇佐々木一榮委員 今、副知事から全国知事会のお話がありましたが、過日、岐阜県からお声がかかった9県での、これ会計方式を研究している、恐らく県に声がかかったと思いますが、その動きについてはいかがお考えでしょうか。

〇武居総務部長 今10数県に声がかかっているようでございますけれども、来週、準備のための下のレベルでの会合がありますので、その中でまた具体的な検討をした上で、準備会というのを立ち上げていきたいというふうに感じておりますが、各県の知事さん方でメンバーに入っている県、どちらかというと大都市圏ではない県が多いようでございますので、多分に地方税財源を切実にこれから充実強化していただきたいということを考えていらっしゃる県が多いかというふうに感じております。したがいまして、私ども地方税財源の充実確保、それから単に外形標準課税の導入に向けての応援団ということではなくて、さらに広げて地方交付税も含めました地方全体の財源確保がいかに図られるかという部分まで議論が広がっていくことを期待したいと思いますが、いずれ、そういったことにつきまして、今後、各県の知事同士が忌憚のない御意見を闘わせていただきまして、言ってみれば、全国知事会の応援団のような形で、これから強力な国への働きかけになっていただければうれしく感じるところでございます。

〇佐々木一榮委員 次に、県債と公債費についてお尋ねいたします。
 まず、県債の繰り上げ償還については、予算特別委員会、決算特別委員会のたびに取り上げている問題でありますが、高い利率の県債を繰り上げ償還することは、県にとっては将来の財政負担の軽減になり、貸し手の金融機関にとっては予定利息を失うことであり、なかなか難しい問題と認識しております。現在、金融機関とのこの問題についての協議状況を、昨年に引き続きどう検討されているのかお尋ねいたします。
 また、自治省では来年度、地方債の利子補給を拡大し、現行の適用条件の起債制限比率が14%を超える団体としていたものを、12年度実施予定の来年度分は、対象自治体を起債制限比率が全国平均以上の自治体に広げるとされております。都道府県の平均は10.6%となることから、11.7%の本県も対象となりますが、どのような試算をされているでしょうか。あわせて、市町村ではどの程度が該当し、県全体ではどのくらいの利子補給額になるでしょうか、お尋ねいたします。
 また、県内市町村の地方債残高は11年度末見込みで総額7、544億円、県民1人当たり52万8、300円であり、県債の1人当たり85万円を加えますと140万円弱になります。1人当たりの残高の多い普代村の133万8、100円と最も少ない滝沢村では28万3、200円と、100万円以上の開きがあります。それぞれの地域での政策的設備投資環境には違いがあるかと存じますが、県内市町村の平均公債費比率が15.5%と、63年以来の現状をどう認識され指導されていくのかお尋ねいたします。

〇武居総務部長 県債の繰り上げ償還につきましてでございますが、今御質問にもございましたように、高金利時代に発行した銀行等の縁故債の繰り上げ償還につきましては、県にとりましては将来の財政負担の軽減になるというものの、一方で、貸し手側の金融機関にとりましては、資金繰りの予定が狂うなどの不利益や予定しておりました利息収入を失うこととなるということで、双方相入れないものがあるわけでございますが、そういった中で昨年も御理解いただきまして、ちょうど1年前になりますが、昨年の3月に12億5、000万円の繰り上げ償還を行ったところでございます。それで、この点に関しましては実はここ一、二年、国においても地方債に関する研究会等でいろいろと提言等が出されておりまして、国債、地方債の大量発行時代に入ってくるということで、特に証券発行の分につきましては、市場流通性という問題が出てきております。それで、結局証券発行したものについては、それが商品として投資家の中でお互いに売り買いできなくてはいけないということが出てきまして、そうしますと、国の研究会でも出ておるんですが、繰り上げ償還というものを特に証券発行後についてやりますと、投資家の間で予定利回りが確保できないという問題が出てきておりまして、今後につきましては、むしろこういった対応ではなくてということで、先ほど委員の御指摘もございましたように、国の制度として何らかの形を組んでいこうということで、今回につきましては公債費負担対策としまして、高利の地方債に関する特別交付税措置制度というものをつくったところでございます。また、私どもの一般会計とは違うんですけれども、公営企業金融公庫でありますとか、そういったところの資金につきましては、これは証書借り入れの方式をとっておるものですから、これにつきましては制度的に繰り上げ償還とか借換債の制度とかそういうものがございまして、こちらにつきましてはまた鋭意、そういったものの活用について最大限努力していきたいと考えております。したがいまして、今後も姿勢としましては、そういったものについて可能性を追求していきたいとは考えておりますが、平成12年度につきましては、当面、新しい国における制度を活用しながら、金利負担の軽減に努めていきたいと考えております。
 先ほど御指摘がございましたように、起債制限比率が全国平均10.6%ということでございますので、私どもの岩手県11.7%でございますので、適用対象となります。それで、交付税措置の対象となるのが7%以上の普通会計の公的資金に係る地方債利子のうちの利率5%を超える部分の負担ということでございますので、措置対象分の利息につきましては4億9、700万円余り──これは計算上ですけれども──になります。この特別交付税措置のいろいろな新しい制度の詳細というのは例年秋ごろに固まりますので、そういったものを待って適切に対応していきたいと感じておりますが、多分、この措置対象分の利息負担のうち、何分の幾つかという形で措置されてくるのではないかと考えているところでございます。

〇渡辺企画振興部長 市町村財政につきまして2点のお尋ねがございました。
 まず、公債費負担対策ということで、高利の地方債に係る利子補給の対象団体はどうかということでございますが、全国の市町村の起債制限比率3カ年平均でございますが、それは平成10年度決算で10.8%となってございます。本県の対象団体、この平均以上の団体30でございますので、この30団体が対象になってまいると存じてございます。
 次に、本県市町村の利子補給に係る特別交付税の措置見込みはどうかということでございますが、本県市町村の措置対象利子額、これは平成10年度決算等から推計いたしますと、11年度末で約5億9、000万円ほどと、計算上でございますが見込まれるところでございまして、特別交付税措置の見込み額につきましては、ただいま総務部の方からお話がございました県の場合と同様ということでございまして、現時点での試算というものは難しいものと考えてございます。
 それから、次に市町村の公債費比率の現状の認識とそして今後の指導というか対応についてでございますが、本県市町村の昭和63年度以降の平均の公債費比率の推移を見ますと、昭和63年度には15.4%であったものが、平成4年度は12.6%まで減少いたしました。しかし、平成5年度から上昇に転じまして、平成10年度では15.5%となっているものでございます。この公債費比率の上昇の要因でございますが、数次にわたる国の経済対策に呼応した各種事業の実施やインターハイ関連施設の整備などによりまして、過去に発行した地方債の元利償還金の増加によるものでございまして、今後、公債費も増加していくものと見込まれますので、厳しい財政状況が今後も続くものと認識をいたしてございます。
 公債費の負担が著しい市町村につきましては、公債費負担適正化計画を策定いたしまして、一定額以上の歳入の確保、または歳出の合理化等を行う一方で、交付税等による財政支援を行うことにより、公債費負担の適正化を進める措置が講じられてございます。
 県といたしましては、最近の公債費の増嵩にかんがみまして、高利の地方債の借りかえであるとか、あるいは公債費負担適正化計画の策定を促すほかに、財務に関する実地調査等を通じまして、中長期的な観点に立った適切な財政運営の確保に努めるよう、市町村の自主性、自立性を十分尊重しながら、財政構造の改善等につきまして、的確な助言等を行ってまいりたいと考えてございます。

〇佐々木一榮委員 広域連合ですか、広域行政ですか、これから地方分権に向けてさまざま市町村の役割が大きくなってきますので、その辺の御指導をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、県の企業会計方式についてお伺いいたします。
 本県を含む三重、高知など9県による地方自治体の発生主義会計方式に関する研究会の発表によりますと、会計年度末の資産と負債の残高を対照表示したバランスシートと企業会計の損益計算書に該当する行政コスト計算書を財務諸表の両輪に位置づけ、バランスシートは、会計年度末時点で、後世の住民の財産である資産と負担である負債を明らかにし、その差額を正味財産として表示し、一方の行政コスト計算書は、会計年度1年間で各分野ごとにかかった費用と租税、料金の収入の収益を比較表示し、行政サービスが住民負担の範囲でおさまっているかなど把握できるとしています。また、この計算書をもとに成果報告書を作成し、事務事業の根拠、成果を指標を用いて説明し、収支報告書や道路、河川など、個々の資産について記す附属明細書もつくるとしています。既にバランスシートを作成し、発表あるいは作成を検討している自治体も100を超えると言われております。しかしながら、今回の発表のように、財務諸表を活用して個々の事業や事務を適切に評価することの方が、行財政改革に直結すると評価したいと思います。
 そこでお尋ねいたしますが、民間企業の複式簿記と違ってさまざまな面で困難が予想されますが、一番懸念される要素には何があると研究会では問題になってきたでしょうか。12年度は財産台帳の整備や個々の資産の把握に取り組むとしていますが、取り組むに当たっての課題があればお知らせいただきたいと思います。
 あわせてお尋ねいたしますが、北海道大学の宮脇教授は、これまでの予算制度ではフローの概念が中心を占めてきたため、政策決定においてもフローを中心とした判断にとどまることが多かったように思う。しかしながら、将来の財政状況を考えた場合、過去の財政活動で堆積したストックが、今後もたらす財政需要の波をとらえておく必要があると考える。そこで今後、国、地方自治体が直面するストックサイクルの三つの波をどう認識するかであろうと考えている。一つ目は、国債・地方債償還、借りかえの波は金融市場を巻き込む波であり、二つ目は、職員構成による波である。自治体によっては40歳以上の職員が半数を占め、10年から20年にわたり退職給与等の支払いが拡大する。そして、三つ目の波として、社会資本の更新期の到来、すなわち新規投資の時代は過去のものとなり、今後は、これまでつくり上げてきた社会資本のつくりかえの負担が拡大し、いかなる資金でそれを行うかが重要なテーマとならざるを得ないとしており、社会資本の更新も、多くの自治体が今後10年前後でピークを迎える状況と話されております。
 この借金、人、モノの3大ストック要素において、財政は今後10年前後で大きな波に直面し、この波と新規の需要となる高齢化・少子化政策をいかに両立させるか。3大ストックへの波の対応は行政、財政の領域を絞り込む小さな政府への努力であるとも話されており、将来、地方自治体の職員数が大きく減少したとき、行政を肥大化したまま支えていくとすれば、行政サービスの劣化は避けられまいと明言されておりますが、副知事は、この考えについてどのような御所見をお持ちでしょうか、お尋ねいたします。
 また、三重県が約3、300にわたる事務事業を個別に評価する作業を同時に試みたことは大きな意義があると注目を集めていること、御案内のとおりであります。しかし、改革派の北川三重県知事は今、経営改革が社内の守旧派の反発をかっている企業トップと似たような状況にあるとも言われております。本県の基本目標は、みんなで創る夢県土いわて、三重県は、みんなで自ら見直す三重づくり、どこか似通った印象を受けるのは私だけでしょうか。以前は北川知事も、生活者優先、県民は顧客と言っておられたようでありますが、しかし、県民を顧客にとらえると、県政を動かす主体としての印象が薄い。企業に例えれば、県民は顧客であると同時に経営を動かす株主である、この点を強調し、生活者起点としたそうであります。企業で言う株主起点を標榜することから、県民へのディスクロージャーに力を入れ、アカウンタビリティーを問い、事務事業評価結果はインターネットで公開し、職員には情報公開されても恥ずかしくないよう、事業目的に対する達成度、成果を求めているという、まさに株主起点哲学が北川三重県株式会社をつき動かしていると言われております。岩手県株式会社は三重県の子会社ではありません。しかし、なぜかそっくりと思わざるを得ないものがあります。
 前段が長くなりましたが、そこでお尋ねいたします。この先進的な行政改革を実行してきたにもかかわらず、県職員労働組合のアンケート調査では、事務事業の増加を挙げて、北川行革に反発する職員が60%を超えたとしています。また、事業を格付し、県民に公開する事務事業評価システムは、先進的で全国でも評判になったところでありますが、アンケートでは、評価結果が予算編成にほとんど反映されず、事務量がふえただけ、事務量の割に効果が見えないなど、システムになれていない点を理由に否定的な声が40%強あったそうであります。物事を改革していくには大変なエネルギーを必要とすることは今さら申し上げるまでもありませんが、職員も県民であり、一致団結して改革に取り組むことが理想ではありますが、現在、本県の状況はどうなっているでしょうか。もし、三重県のような調査結果があった場合、その阻害要因克服に何が必要とお考えでしょうか。

〇千葉副知事 将来にわたりまして財政を見通した場合、今後、少子・高齢化などの進展に伴いまして、医療や福祉等の財政需要がふえてまいります。また、過去の財政活動により堆積したストックに係る維持と更新に要する費用と新たな財政需要も、これから発生するわけでございます。そういう意味で、今指摘があったのは、全く今後直面する問題であろうと考えております。
 国も地方も、人口減少や高齢化が進みまして、右肩上がりの経済成長が望めず、財政負担能力の減少が確実に見込まれる中で、行政内容が、最終的な負担者であります住民の福祉のために、適切な水準を確保しながら、将来の財政需要にも適切に対応していくためには、個々の地方公共団体において、柔軟で機動的な取り組みが必要だろうと考えております。
 同時に、中長期的には、国も地方もこれらに適切に対応し得る行財政全般にわたるシステム改革が不可避でございまして、特にも地方公共団体の場合は、地方分権の推進に向けた行政システム改革の取り組みが今後とも必要であろうと考えております。具体的には、民間との役割分担の明確化、時代に即応した組織・機構の見直し、人事管理制度の見直し、行政サービスの向上に至る幅広い行政改革の推進、新たな行政ニーズに即応し得る財政構造への改革など、こういった問題について取り組んでいく必要があろうと考えております。

〇武居総務部長 まず、企業会計方式への取り組みについての課題等でございますが、大きく、一つは基準づくりの問題がございます。これにつきましては研究会の中で、大きく申し上げますと、決算統計方式にするか、台帳方式にするかという問題がございましたが、台帳方式がより適当ではないかと。これは、御案内のように、個々の資産を把握し、財政状況を具体的に説明できるということがございまして、こういう方向で意見が固まりつつあります。
 したがいまして、12年度に向けましては、この統一基準づくりというものが必要になってまいりますので、バランスシートに計上する資産の範囲をどこまでにするかとか、あるいは、評価の基礎をどういった価格、取得価格とするか、現在の時価とするかとか、減価償却をどうしていくかという問題でありますとか、仮にするとした場合の償却の期間とか方法をどうするかという問題につきまして、引き続き研究会で検討してまいりたいと考えております。
 2点目の課題は、もし台帳方式を採用するとした場合に、具体的には台帳整備の問題がございます。これが、実は道路台帳、河川台帳、さまざまな台帳をつくらなくてはいけないのですが、膨大な作業が生じてまいります。それから、特に用地の場合ですと、昭和30年代とか、昔のものにつきましては、所有権の問題も含めまして、わからなくなっているもの等もございまして、非常に多くの人手と時間を要する問題がございます。これにつきましても、一定程度、全くそういったわからないものについては、ある仮定計算を置かなければいけないものもあろうかと思いますが、そういったものを整備していきたいと考えているところでございます。
 それから、3点目は、これはほかの県というよりも、本県独自のこれからの課題になってくるんですが、この台帳方式の企業会計方式におけるバランスシートを作成するということで、個々のデータが共有化され、それぞれの部局のいろいろの施策にシステムとして反映されていくということが大変重要になってまいります。資産の管理でありますとか、あるいは事務事業の評価にリンクさせていくとか、単にこれがバランスシートづくりのための作業ということではなくて、具体的な日々の施策に反映されていくことが大事になってまいります。これも行政情報化とも関連してまいりますが、これにつきましても今後の課題として取り組んでまいりたいと考えております。
 こういった問題につきまして、12年度から取り組み、13年度中に本格的な導入を目指してまいりたいと考えておりますが、これは諸外国の例を見るまでもなく、こういった制度を導入してから5年、10年という積み重ねの中で、フローとストックが過去と比較してどうなったのかということがわかるようになってまいりますので、単にこれを一過性のブームに終わらせるのではなくて、これからの地道な取り組みとして行ってまいりたいと考えております。
 事務事業評価制度についての御質問でございましたが、これにつきましては9年度から実施しているものでございますが、これまですべての事業を対象にしまして、毎年度約2、400の事業について実施を行っているところでございます。これまでに695の事業につきまして廃止・縮減をしておりまして、事業費ベースで144億円余りを見直して縮減等を行っております。それ以外の事業につきましても、評価結果に基づきまして事務の改善等を図っているところでございますが、特に平成9年度から実施した以降の、当初はかなりばたばたとつくったんですけれども、これにつきましても、単に事務事業評価ということではなくて、それが次の政策の企画立案、それから予算要求、予算編成、次の年の予算づけになって事業実施というふうに、一連のものとしてつながっていかなくてはいけないと考えていますので、現在は、繁忙期を避けまして、サマーレビューの時期に行いまして、予算編成に生かすようにしているところでございます。
 いろいろその中で指標の選定でありますとか、指標選定が困難な場合にはコメントという形で評価できないのかとか、今申し上げた実施時期の問題でございますとか、さまざま改善をしてきているところでございますけれども、やはり、これが予算編成に活用され、なおかつ実施された後、その評価に結びついていくことが大変大事でございますので、これからもそういった観点から、よりよいものになるように取り組んでまいりたいと考えております。
 先ほどの御質問に、三重県との関連にもお触れになりながら行政改革への取り組みと職員の意識改革についてのお話がございました。これにつきましては、御指摘の部分も多々ございます。本県におきましては、そのような調査というものは行っていないんですけれども、阻害要因の克服という観点からいたしますと、これは極めて端的な言い方になりますが、職員一人一人が、県民のためにという地方自治の本旨に基づいた住民福祉の向上という意識を持って仕事をしていくことではないかと感じております。
 これは、実は直接三重県のようなアンケートではないんですが、昨年の8月に職員のアンケート調査を行っておりまして、これは県民満足度なり職員満足度ということに関するアンケート調査ですが、その中で、現在の仕事に関しまして、直接、間接を問わず県民、住民のためになっていると思いますかという質問を職員に投げかけているんですが、80%の職員が、県民、住民のためになっていると極めて高い割合を示しているんですが、実は、いろいろ分析していきますと、役職ごとに傾向値が違いまして、課長級とか、上になればなるほど、ためになっているという回答が高くて、課長級以上ではほぼ全員なんです。これが、課長補佐、係長、一般職となると少しずつ下がっていく傾向になっております。多分にこれは、県がどういう政策をやろうとしているかとか、これからやろうとしている政策は県民のためにどういうふうに役立っているかという、大所からの県が向かっている方向というのを上の立場に立つ人はそれなりに理解しているんですが、下の職員まで十分に浸透していないことがあるのではないかと感じているところであります。
 したがいまして、これからの政策推進に当たりましては、むしろ現場をあずかる地方振興局の直接県民に接する職員の方々にもそういった意識、本来、その職員のやっている仕事が県の施策のどこに結びついているかということがしっかりとわかりながら、県民と一体感が醸成される中で、県民に対するよりよいサービスを提供することが本人の満足度にもつながっていくような仕組みをぜひつくっていきたいと考えております。これにつきましても、今後、最大限努力させていただきたいと考えております。

〇佐々木一榮委員 今後も幹部の方々の強いリーダーシップを期待するものであります。
 次に、平成12年度導入のパブリック・コメント制度についてお尋ねします。
 増田知事は、これまでの取り組みとして、演述の中で、私は県政推進に当たって、県民に開かれたわかりやすい県政を基本姿勢として掲げ、新しい総合計画の説明会や県政懇談会など、あらゆる機会をとらえて県内各地に足を運び、県民との直接対話に努めるとともに、地域の視点でともに地域づくりを考え、施策を推進する現場重視の地域経営を進め、地域の個性を最大限に生かす方向で施策の展開を図ってまいりましたと総括されたのは、5年前の知事就任以来、みずからの行動に肌で感じる実感を得たからだと考えておりますが、夢県土いわて実現のため、生活者や地域から始まる新しい行財政システムの確立を唱えております。今回提唱された政策立案に当たってのパブリック・コメント制度の導入は、今まで以上に県民参加を促すという面からも評価したいと思います。
 そこでお尋ねいたしますが、この制度を具体的にどのような形で県民に周知されていかれるのか、また、本庁、地方振興局など、県事業は膨大であり、どの規模の事業を対象とするかは判断の難しさもあると考えますが、現在どのように進めていかれるのか、お考えをお尋ねいたします。

〇武居総務部長 パブリック・コメント制度の導入についてでございますが、これにつきましては、政策立案過程において県民から広く意見を求めるということでございまして、これにつきまして、今御質問ございましたように、県民から幅広く意見を聞く仕組みというものをどのようにつくっていくかということが大変重要になってくると感じております。したがいまして、具体的に公表の方法といたしましては、県庁の、これは地方振興局もそうなんですが、行政情報センターとか、行政情報サブセンターでございますとか、そういったところで周知をする。あるいは、県の広報誌とか、報道機関への公表とか、あるいは県のホームページとか、こういったもので行う方法でございますとか、具体的な施策によりましては、地域に出向きまして直接説明会を開催する等の方法を考えてまいりたいと考えております。
 特に、これから重要になってまいりますのは、そういったことをやりましても、どこに行けば今パブリック・コメント中であるかというのを一覧性をもって見れるものがあれば、大変県民に資するのではないかと感じておりますので、手続中の案件につきましては、一覧表のようなものを作成いたしまして、それを、例えば地方振興局で閲覧できるようにして、今、各部局のどういったものがパブリック・コメント中であるかということがわかるようにしますとか、あるいは、こういったものをインターネット等を通じまして県民だれでも入手できるようにする等の方法で、手続について遺漏がないようにしてまいりたいと考えております。
 それから、この制度の対象でございますが、大きく3点ございます。1点目は、県の施策に関する基本的な計画に係るものでございまして、既に終わりましたが、これまで行ったものの例でまいりますと、例えば、県の総合計画でございますとか、それにかかわる部門別の計画でありますとか、こういったものがイメージとしては対象になってまいります。
 2点目は、県民の権利義務や県民生活に影響を与える制度でございまして、これも、既に今まで取り込まれてきている中で、例を申し上げれば、警察本部等を中心に行われました、公衆に著しく迷惑をかける行為の防止に関する条例といったものがございます。このたぐいの条例をこれからつくっていく際には、パブリック・コメントにのってくるのではないかと感じております。
 最後に、3点目でございますが、一定規模以上の事業等の基本計画でございまして、例えば、これは今後こういった手続にも関連してきますが、盛岡駅の西口地区の県有地の活用基本計画とかいったものは、一つの事業ではございますが、県民全体にかかわってくるようなものでございまして、こういったものも上がってくると思います。
 こういった大きく3点ございますが、各部局によって事業等の性格が大変異なりますので、当面は、具体的な事例につきまして、個々具体に判断しまして、その事例を積み上げていくことが必要だと考えておりますので、これは総務部も相談に乗っていきたいと考えておりますが、そういった事例の積み重ねの中で、この制度の趣旨がむしろ損なわれることがないように、気持ちとしては、各部局においてできるだけ広く活用してもらえるように努めてまいりたいと考えております。

〇佐々木一榮委員 次に、環境会計と費用便益比分析についてお伺いいたします。
 環境会計は、もともと企業の環境対策が評価される欧米で生まれたと言われておりますが、最近では、国内においても電気・自動車産業などのメーカーを中心に、国際的に活動している業界を中心にこの会計システムを取り入れ、公表する動きが広がっております。この環境対策にかかる費用とその効果を金額に換算して把握する環境会計を、県では12年度に導入のための基礎調査に入り、平成14年導入としていますが、投資と効果金額の換算は民間と違い非常に難しい点もあろうかと思いますが、今後の方針についてお尋ねいたします。
 また、12年度から費用便益比分析を本格導入すると伺っておりますが、対象となる公共事業とはどの範囲あるいは金額となるのでしょうか。将来、環境会計と費用便益比分析を連動させるとのことでありますが、今質問いたしましたパブリック・コメント制度や現行行われている市町村要望との整合性あるいは重要性は、どのような段階で調整されていくお考えでしょうか、お伺いいたします。

〇千葉副知事 自治体が環境会計を導入することは、環境保全に対する経費を的確にとらえまして、効率的な事業の執行を図ること、さらには、県民に対しましてわかりやすい数値をもってその情報を伝えるといったところに意義があるわけでございます。しかしながら、昨年3月、環境庁から公表されました環境会計についてのガイドラインの中間取りまとめは、民間企業を対象としておりまして、企業会計方式をとっていない自治体にそのまま当てはめることができない状況になっております。また、効果の把握方法、金額の換算などにつきまして算定基準が確立されていないといった課題がございます。
 今後の方針でございますけれども、今後は、効果の算定方法が示されることとなります本年3月の環境庁の最終報告の内容を考慮しながら、本県が導入する場合の環境会計の基本的なコンセプトや枠組みの検討、モデル部局等での試算等を積み重ねながら、14年度の導入に向けた取り組みをしてまいりたいと考えております。
 次に、費用便益比の関係でございますけれども、現在の厳しい財政状況のもとにありましては、限られた財源を最大限に有効活用していくために、公共事業の一層の重点化、効率化を図ることを目的に導入するものでございます。このため、12年度の導入に向けて、すべての公共事業を対象に費用便益分析の手法について検討してまいりたいと考えております。
 なお、社会基盤の整備がおくれているなど、さまざまな事情を考慮する必要もあるところから、そういう地域もあるわけでございますので、県独自の手法を確立していきたいと考えております。
 環境会計、費用便益比分析とパブリック・コメント制度や市町村要望との調整につきましては、施策の必要性や効果を検証するととにも、県民の声を施策に反映するための行政評価システムの調査研究を進める過程で検討したいと考えております。
 なお、公共事業の計画や実施に当たりましては、県民の意見や市町村の要望を尊重するとともに、多くの県民の参画によって策定されました岩手県総合計画を基本としながら、費用便益比を導入することにより、県民や地域にとって真に必要で優先度の高い公共事業は何かということを明確にしてまいりたいと考えております。

〇佐々木一榮委員 円滑な運用を期待するものであります。
 次に、審議会の統廃合についてお尋ねいたします。
 県では、行政運営の簡素・効率化や県民の参画を推進するため、現在、184機関、委員総数2、849人の審議会を大幅に見直し、15年度までに39機関を統廃合し145機関に、また15機関については12年度から委員数の削減を、また総合計画審議会、県女性施策懇談会など7機関では委員の公募制の検討を行うこととしております。特にも注目したいのは、活発な審議が行われるよう、団体のトップなど、いわゆる充て職については再検討することであります。私も短い議員経験でありますが、この間幾つかの審議会や協議会の委員に委嘱され、参加してまいりましたが、年1回や、忘れたころに案内が来たり、参加するとお会いする方々の顔ぶれが似ていたりと、考えさせられました。
 そこでお尋ねいたしますが、審議会の数からいくともっと改革できるのではという考えもありますが、今回の見直しについてどのような評価をされておられるでしょうか。
 また、同僚の佐々木順一委員も昨年の一般質問でお尋ねしておりますが、審議会委員への議員の就任についてであります。知事の12月定例会の答弁は、今は幅広い見識や経験に基づく、そうした議員の皆さんの御意見を伺うということで、この議会からも御参加をいただいております。今後、この問題については、やはり議会の御意見というものがまず大事だろうというふうに思いまして、議会での御意見も参考にさせていただきながら、そのあり方について検討していきたいと考えておりますと答弁されておりますが、議会への意見の聴取はその後行われているのでしょうか。
 私が、元副知事で、現在は参議院議員であられる方とこのお話をいたしましたところ、ある時期、県政が混乱してなかなか物事がうまく進まないという執行部と議会との関係があったとき、この審議会への議員の就任が始まったと聞いておりますが、この歴史的背景が事実とすれば、現在に全くなじむものではないと思いますが、千葉副知事にも、この経過について御存じであればお聞かせいただきたいと思います。

〇武居総務部長 審議会の見直しに関してでございますが、審議会等につきましては、県行政に対する県民の幅広い御意見の反映や専門的知識の導入等によりまして、県政の推進に寄与しておるところでございますけれども、今回、組織や運営の簡素・効率化、審議の活性化及び審議への県民の参画をより一層推進するため、見直しを行っているところでございます。
 見直しにつきましては、先ほど御質問にもございましたように、15年度までに39の機関の統廃合を行おうということで現在予定してございますが、先ほどもございました審議会等の設置・運営に関する指針というものも定めておりますので、こういったものに限らず、今後も個別具体に改善できるもの、あるいは統廃合できるものにつきましては、そういった指針に基づいた方向で行いながら、審議会等の活性化が図られるようにしてまいりたいと考えております。
 県議会の関係でございますが、これまでの経過等については私の方から答弁させていただきたいと思いますが、審議会等につきましては、これまで県議会の側からも、先ほど12月議会の答弁がございましたけれども、県議会の議員の方々の幅広い御見識でありますとか御経験に基づく意見をいただくために、委員をお願いしてきたという経緯はございます。今回、この指針には委員数の制限というものが入ってまいっておりますので、いずれ、例えば原則20人以内としますと、仮に今後県議会の側から参画いただくにしても、委員数の問題で、どういうふうにしていくかという取り扱いが出てまいります。
 それから、国では国会議員の委員就任の排除が閣議決定されているところでもございますし、あと、各県でいろいろ最近動きがございまして、議会の側から委員就任縮小の動きが出ている県も幾つかあると聞いております。そういった経緯も踏まえまして、先週、議会事務局の側には、指針の考え方については説明させていただいたところでございます。事務局サイドには説明させていただいておりますが、これはひとえに私どもだけで方針を決められる問題ではございませんので、今後さらに議会の側とも十分協議しまして、御意見をいただきながら、今後のあり方について検討してまいりたいと考えております。

〇千葉副知事 審議会等への議員の就任の歴史的な背景でございますけれども、詳細はよく承知いたしておりません。例えば、昭和45年に設置しました公社等運営協議会におきましては、公社等に対する県の指導監督が不十分だという点から、この体制を強化するため、内部の組織でなく審議会に切りかえまして、その際に、議員に委員としての就任をお願いしたといったような経緯はあるようでございます。

〇佐々木一榮委員 ありがとうございました。
 次に、県出資法人についてお尋ねいたします。
 県は、行財政改革の一環として出資法人の見直しを行い、県出資等法人指導監督事務要綱など、関係規定を見直し、運営評価の実施、整理・合理化基準を整備し、外部有識者の方々の参画により客観性を高め、13年度までを集中整理期間とし、今後、現在の2割近くを整理・合理化するとしています。そこで、このことに関し何点かお伺いいたします。
 自治省から求められている第三セクターの運営改善や統廃合の内容はどの程度のものでしょうか。また、出資法人の経営状況をどう分析されておられるでしょうか。赤字法人の数、その総額及びそれらの法人を連結で見た場合、全体ではどのような状況でしょうか。
 あわせて、県からの職員派遣数は、現職で61法人に延べ約120人、OBが45法人に延べ70数人と伺っておりますが、この見直しにより退職者や異動が発生すると思いますが、対応はいかがお考えでしょうか。また、退職者の退職金総額はいかほどになり、引当金の準備状況については十分な状況でしょうか、お尋ねいたします。
 さらに、副知事が委員長であられる出資等適正化調査委員会の機能を強化するとのことであり、専門調査員に公認会計士、大学教授を招き、指導監督の透明性、客観性を高めるとしていますが、その具体についてお知らせいただきたいと思います。
 また、今後、出資法人株の売却についても検討され、今回の第一勧銀株を初め、処分を県内外の目的を達成した他の法人についても、順次株券を処分し、一般会計に充てるとしていますが、売却益の出るもの、逆に額面も割っているものもあるかと存じますが、現状はいかがでしょうか。売却時点の基準はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

〇武居総務部長 何点かございましたが、まず、自治省から示された第三セクターに関する指針についてでございますけれども、この中では、運営改善や統廃合につきましては、第三セクターの経営状況の点検評価を定期的に行い、経営が深刻化していると判断される場合など、問題を先送りすることなく経営の改善策を検討すべきであるということや、行財政改革への取り組みの一環としまして、類似業務を行うもの、既に目的を達成したと思われるもの、事業の存続が困難と思われるものなどの統廃合を積極的に進めることなどの要請がされているところでございます。
 県出資等法人の平成10年度の経営状況についてでございますが、県出資等法人指導監督事務要綱の対象法人は53法人あるわけでございますが、10年度決算でございますが、この中で黒字を計上しているのが32法人、赤字を計上しているのが21法人となっております。また、累積赤字を計上したものは9法人でございまして、累積赤字の総額は27億8、000万円余となっております。
 また、上場企業が行っている連結決算対象法人の範囲及び手法──連結決算というお話がありましたので、これは公経済の方でございますので一定の仮定を置かなければいけないのですが、仮に同様の手法をとりますと、県の出資比率が50%を超えている法人の累積赤字はそのまますべてカウントするということになりますし、県出資比率が20%以上50%以下の法人の累積赤字は、その出資比率を乗じた額を合算するという形になります。そういたしますと、累積赤字額の総額は12億円余になります。
 それから、見直しによる退職者等への対応でございますけれども、現在、県出資等法人の見直しを進めているところでございまして、見直しの対象となる法人の範囲や見直し後の組織、人的体制、あるいは機能強化の方向等につきましては、現在、鋭意、整理・合理化の内部的な作業を進めているところでございまして、具体的枠組みがまだ決まっていないところでございますので、現時点では今後の取り扱いについては未定であります。
 それから、専門調査員の具体的内容についてでございますが、経済団体、行政、公認会計士、大学教授から、計5名の有識者を専門調査員に委嘱いたしまして、1月中旬から法人の統廃合や出資の引き揚げに関しまして、県と民間の役割分担でございますとか、県行政との関連でございますとか、経営上の観点等から、合同の会議を開催したり、あるいは各委員から個別に意見を伺っているところでございます。今後、これらの意見も踏まえながら、整理・合理化方針を取りまとめてまいりたいと考えております。
 最後に、県出資等法人の株価の現状についてでございますが、県が保有する株式は県内外合わせまして33社ございまして、このうち公開株は4社で、これにつきましては、いずれも額面を上回っている状況にございます。特にこれから問題になりますのは、いわゆる未公開株になるわけですが、世間で使われている未公開株とちょっと意味は違うんですが、株式が上場されていないものですから、これにつきましては、処分の時点におきまして、取引事例等を参考にしまして適正な時価を算定することになりますので、今の時点で幾らという計算はしておりません。その時点で適正な算定を行ってまいりたいと考えております。
 株式の売却時点についてでございますが、公開株は株価の趨勢を見ながら有利なタイミングを見て行うということになりますが、特に未公開の株につきましては、一番課題になりますのは、引受け手が果たしているのかどうかということとの兼ね合いがございます。したがいまして、条件が整った段階での売却ということになります。
 それから、多くの場合は取締役会とか、そういったものの承認が必要になってまいりますので、これから鋭意、県出資等法人の見直しを精力的にやってまいりたいと感じておりますけれども、特に、赤字法人の場合の株の処分等につきましては、課題が残されてくると感じております。

〇佐々木一榮委員 ありがとうございました。
 関連いたしまして、市町村の第三セクターについてお尋ねいたします。
 藤沢町は、設立以来赤字が続いている青果物流通の第三セクターいわて藤沢の債務約6億4、000万円を町が肩がわりして、事実、事業活動を停止、いわて藤沢の業務は町農業公社を改組する新たな社団法人に引き継ぐとされ、事実上の破綻処理であり、既に町が債務負担している金融機関からの借入金を合わせますと13億円余の税金が投入されると伺っております。藤沢町の平成10年度決算を見ますと、歳入総額は74億4、440万円余であり、また、自主財源比率は20.7%、公債費負担比率は20.2%、期末の基金残高は約2億7、400万円であり、地方債の現在高も81億4、200万円余と、非常に厳しい財政運営を強いられております。
 この件について、現在、定款変更を含め県と協議中とのことでありますが、ここまで至った経緯について、また、今までの県としての指導状況、あわせて今回の処理についての認識をお尋ねいたします。
 また、県内市町村が出資する第三セクターで、経営の実態を把握されておられればお示し願います。

〇渡辺企画振興部長 市町村の第三セクターについて、2点のお尋ねがございました。
 まず、いわて藤沢についてでございますが、藤沢町では、この第三セクターの経営状況が依然として厳しい状況にありますことから、学識経験者や住民の方々も含めた検討委員会を設置して、今後における第三セクターのあり方について検討を進め、その結果、今後とも第三セクターを核とした農業振興を推進していくための機能強化を図っていくために、生産業務、流通業務を一本化するとともに、他の第三セクターとの密接な連携を図ることとして、このたび藤沢町農業開発公社といわて藤沢を統合再編する方針に至ったと伺ってございます。
 第三セクターに対する町の財政支援等のあり方につきましては、基本的には、当該町議会や町当局の判断に委ねられるべきものと考えてございますが、第三セクターの経営悪化は、その当該市町村の財政に重大な支障を来すことが懸念されるところでございます。私どもといたしましては、藤沢町に対しましても、財政運営の健全化等の観点から、この法人の所管部局あるいは千厩地方振興局等と連携を図りながら、必要な助言を行ってきたところでございます。
 今回の処理は、さらに新たな財政負担を伴うものでございまして、町財政に与える影響は大きいものと考えられますが、町としては、事態の重大性を認識した上で、行財政改革の推進と財政運営の健全化を図るための措置として選択した結果であろうと受けとめているところでございます。
 次に、市町村の第三セクターの二つ目でございます、県内市町村の出資する第三セクターの経営実態ということでございますが、平成11年7月1日現在で調査した結果によりますと、市町村が出資している法人は全体で139法人でございまして、うち、市町村が25%以上出資している法人が117法人でございます。このうち、累積の収支が赤字となっている法人は67法人でございまして、全体の約半数を占めてございます。業務分類別で申し上げますと、観光・レジャー関係で24法人、農林水産関係が23法人、商工関係が7法人となってございます。

〇佐々木一榮委員 いずれ、市町村の第三セクターは非常に厳しい環境のようでありますので、確かに決めるのは、責任も市町村にあるわけでありますが、県としての積極的な支援といいますか、協力をお願い申し上げる次第であります。
 次に、東北新幹線盛岡-八戸間の2002年度開業目標に伴う並行在来線の経営問題についてお尋ねします。これは、本会議で千葉伝議員も質問されておりますが、若干観点を変えて御質問させていただきます。
 この問題については、ことしの秋をめどとする経営計画概要策定に向け、残すところあと半年となり、その解決に向け御努力いただいているところでありますが、本県と青森県のJR貨物への認識は一致はしていますが、JR東日本、JR貨物との条件整備にはかなりの幅があり、現状ではその解決の糸口も見えない状況であろうと認識をしております。県北地方の鉄路を守ることは県政の重要課題と、だれもが一致を見ているところと思います。
 そこで、まずお尋ねいたしますが、JR貨物の言う、大家がJR東日本から第三セクターに変わっても、貨物輸送を安定的に行うという国鉄改革当時からの役割は変わらない。岩手、青森両県が新幹線建設の条件であった東北本線の経営分離に同意した以上、大家としてのルールを守ってほしいとの認識は、依然変わりはないのでしょうか。現在、JR東日本に年間6億円の使用料を支払っているが、本県試算の経費26億円とはかなりの開きがありますが、これについては全く妥協点を見出す余地はないのでしょうか。
 また、JR東日本からの鉄道資産譲渡問題についてはいかがでしょうか。先を見据えることなく流されてしまえば、将来の県民に重い負担がかかってくることは、今からでも十分に予測はつきます。
 岩手、青森、JR東日本、JR貨物の一致しているところは、国策として進める整備新幹線の影響を直接受ける地域輸送については、政府はもっと明確に位置づけるべきだというのが、この四者の一致点であります。私はこの点について、今後は政治的にもこの支援策についての動きを政府に対して強く求めるべきと考えますがいかがでしょうか、御所見を伺います。

〇渡辺企画振興部長 並行在来線対策について4点のお尋ねがございました。
 まず一つは、JR貨物の認識でございます。依然変わらないのかということでございますが、JR貨物は、現在、JR貨物とJR旅客会社との間で適用されておりますアボイダブルコストルール、つまり、貨物走行に伴って追加的に発生する経費だけを負担するという方式が線路使用料の基本であるということを主張しておりまして、大筋においてこれまでの考え方と変わりがないものと認識いたしてございます。
 それから、JR貨物が支払っている現行の使用料について、いろいろと交渉しているわけですが、妥協点を見出す余地はないのかということでございますが、現在、経営分離後の経費を私ども改めて積算している段階でございまして、線路等の保守経費については、JR並みの保守水準を想定した平成9年度の輸送貨物調査による試算値よりは低めになるのではないかと見込んでございますが、それでもなお、JR貨物が現在支払っている使用料の額とは大きな差が出るものと認識いたしてございます。
 県といたしましては、並行在来線の経営の健全性を確保する上で、適正な施設使用料の確保は必要不可欠であると認識いたしてございますので、一層粘り強く交渉を行ってまいらなければならないと考えてございます。
 JR東日本からの鉄道資産譲渡問題についてでございます。県はこれまで、JR東日本に対しましては無償譲渡を要望して種々折衝を重ねてまいったところでございます。県の無償譲渡の要望に対しましてJR東日本は、国鉄分割民営化の際に、旧国鉄から譲り受けた資産の価格に相当する債務を一方において引き継いでおりまして、無償譲渡ということになれば、債務だけが残って会社に著しい損失が発生する、あるいは、先発事例でございます長野県のしなの鉄道に対しては、簿価で有償譲渡していることなどから、無償譲渡には応じられないという考え方を依然として示してございます。
 JR東日本としては、容易に無償譲渡を認める状況にはないところでございまして、私ども、その実現は難しいものと認識をいたしてございます。
 並行在来線の関連で、地域輸送の位置づけを明確にするよう、その支援策について、政治的な動きを政府に対しても強く働きかけるべきだというお話でございますが、経営分離後において、地元が責任を負いますのは旅客輸送の確保についてだけでございます。鉄道貨物輸送の確保は、単に一地域の問題ではなくて、国の運輸政策上の課題でありますことから、県といたしましては、これまでも統一要望等の機会を通じまして、鉄道貨物問題の解決に向けた国の主体的な取り組みを強く要請してまいったところでございます。
 残された時間も少なくなってきております。同じ問題を抱える青森県を初め、関係の道県とも連携をとりながら、これまで以上に国への働きかけを粘り強く行ってまいりたいと存じてございます。

〇佐々木一榮委員 ありがとうございました。この問題もクリアしていかれる大事な問題でありますので、いずれ、最終的には正式な決着が成るのかなという気がしますが、今後ますますの御努力をお願いしたいと思います。
 時間がありませんので、環境問題は、当該委員でもありますので飛ばさせていただきます。
 少子化対策に対する本県の取り組みについてお尋ねいたします。
 昨年施行された男女共同参画社会基本法を受け、12年度の政府予算を見ますと、女性の地位向上に向けた施策や少子化を踏まえた仕事と育児の両立支援策の拡充が目立ちます。特にも12年度は、子育て支援の五カ年計画、新エンゼルプランの1年目となり、少子化対策でも大事な年と位置づけております。厚生省は、保育対策関係の中でも、ゼロから2歳児の低年齢児保育の受け入れを1万4、000人分拡大し59万8、000人分の予算を確保し、最終目標の68万人への足がかりとするとしていますが、本県の対応はどうなっているでしょうか。
 また、労働省では、育児休業取得者に支給する雇用保険からの給付金を現行の休職前賃金の25%から40%に引き上げるとしていますし、代替要員を確保して、育児休業取得者を現職復帰させた企業に対し助成金を支給する育児休業代替要員確保助成金事業も創設されました。本県の昨年の育児・介護休業者生活資金貸付制度事業費については、利用率が低調であったようであり、12年度は減額しておりますが、新たな施策も検討すべき段階に入ったと思いますが、いかがでしょうか。
 あわせて、農林水産省では、農村社会で就業人口の6割を占める女性農業者の負担を軽減するとのことから、農産物の加工場などをつくるとき、託児所を併設するなど、女性農業者への支援施策を併設する際に整備費を助成する施策を盛り込んだとしていますが、農業県である本県にとってはまことに時宜を得た施策と考えますが、これまでの取り組みと12年度の状況についてお伺いします。

〇工藤委員長 佐々木一榮委員の質疑中でありますが、この際、昼食のため、午後1時まで休憩いたします。
   午前11時58分 休 憩
 
   午後1時3分 再 開

〇工藤篤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前中の説明に対する質疑を続行いたします。

〇千葉副知事 低年齢児保育に対しての具体的な対応でございますけれども、平成10年度に国庫補助事業を導入いたしまして、県下の全保育所において乳児の受け入れが可能となるよう、受け入れのための施設整備が既に整っている保育所や、当面、受け入れ予定のない保育所を除く220保育所に、乳児保育の実施に必要な調乳設備や沐浴設備、その他必要な用具の設備を図ったところでございます。平成11年度には、少子化対策臨時特例交付金等を活用いたしまして、32保育所で必要な施設整備などを行ったところでございます。その結果、平成9年4月に低年齢児の保育所入所児が約5、000人であったわけでございます。また、待機児童が169人あったものが、平成11年4月には入所児が約5、800人に増加いたしました。また一方、待機児童は69人に減少したところでございます。平成12年度におきましては、入所定員の弾力化や5保育所における施設整備を行うなど、引き続き低年齢児の入所拡大と待機児童の解消に努めてまいりたいと考えております。
 次に、仕事と育児を両立するための労働環境の整備の関係でございますけれども、県では育児休業取得者の生活の安定を図るため、育児・介護休業者生活資金貸付制度を設けております。ただ、この制度は先ほど委員が御指摘したとおり、利用者が減少傾向にございます。したがいまして、制度の活用に向けた啓発活動などを行う必要があると考えておりますし、より利用しやすい方法がないかなどを検討してまいりたいと考えております。
 また、共働きの子育てを支援するためのファミリー・サポートセンターを設置するということにしております。これは、急な残業や子供の急病等、変動的、変則的な保育ニーズに対応するためのものでございますけれども、このファミリー・サポートセンターを設置するよう、市町村に働きかけてまいりたいと考えております。
 また、来年度におきましては、働く女性が仕事と育児を両立しながら、その持てる能力を生かして働くことができるような職場環境のあり方について、現在働いている女性の皆さん方から、意見、提言を聞く女性ワーキングアシスト研究会を設置いたしまして、新たな施策の展開について検討することにいたしております。
 次に、女性農業者の労働負担の関係でございますけれども、女性農業者が安心して働ける環境整備を行うため、国では平成10年度に、農村女性のための農家労働軽減支援施設整備事業を創設したところでございます。本県では、紫波町、江刺市、胆沢町の3市町、11地区において、既存の野菜集出荷施設や乾燥調製施設、農産物加工施設に附帯する施設として、託児施設や高年齢者健康管理施設を整備したところでございます。この事業が平成10年度だけの単年度事業であったわけでございますけれども、平成12年度からは新たな経営構造対策事業といたしまして、乳幼児等の一時的な預かり施設の整備についてもメニュー化がされているところから、今後、事業の周知を図りながら、女性農業者の労働軽減支援施設として整備をしていきたいと考えております。

〇佐々木一榮委員 次に、高齢者雇用についてお尋ねいたします。
 ことしの春闘の大きなテーマとして、60歳定年から65歳までの雇用延長が挙げられます。労働省も、定年の引き上げと継続雇用制度の導入による65歳までの雇用確保に助成措置を盛り込んだ、いわゆる高齢者雇用安定法の改正案を国会に提出いたしております。
 県内事業所の状況についてお尋ねいたします。あわせて、高齢者雇用の実態についてもお知らせいただきたいと思います。また、現在の県の58歳の退職勧奨制度については今後どうあるべきとお考えでしょうか、お尋ねいたします。

〇千葉副知事 65歳までの雇用確保の状況でございますけれども、昨年6月の県内企業からの報告、これは従業員50名以上でございますけれども、これによりますと、希望者全員が65歳まで雇用されている企業は21.5%となっておりまして、全国平均を3.4ポイント上回っております。
 それから、高齢者雇用の実態でございますけれども、同じく昨年6月1日現在の報告によりますと、常用労働者15万5、446人のうち、55歳以上の高年齢者は2万1、238人、13.7%となっておりまして、60歳定年の義務化あるいは急速な高齢化社会を反映いたしまして、増加の傾向にあるところでございます。
 それから、県の退職勧奨制度でございますけれども、平成13年度以降、退職共済年金等の支給開始年齢が引き上げられることになっております。したがいまして、幹部級の現在の勧奨制度につきましては、これは見直しを図っていかなければならないと考えております。ただ、今の勧奨制度は、早目に勧奨退職いたしまして、人事の刷新を図るということによって職場の活性化につなげているわけでございますけれども、その職場の活性化との関係においてどうなるか、どういう影響が出てくるか、この辺について十分検討していきたいと考えております。

〇佐々木一榮委員 次に、失業手当についてお尋ねいたします。
 本県の昨年4月から12月の平均受給者数は1万1、800人となっていますが、今後の見込みはどうなっているでしょうか。また、1人当たりの受給額も増加傾向にあると思いますが、どのように分析され、12年度はどのように予測されているでしょうか。不正受給などはないと存じますが、実態についてお伺いいたします。

〇千葉副知事 失業手当の関係でございますけれども、10年度におきましては、前年度比20%台の大幅な増加で推移したところでございます。11年度に入りましてからは、4月の13.2%増をピークにいたしまして増加率は低下いたしまして、12月は2.8%減となっているところでございます。したがいまして、前年並みに落ち着いてくるのではないかと考えております。
 それから、1人当たりの受給額の関係でございますけれども、11年度、4月から12月までの1人当たりの受給額は、本県の場合は前年並みに推移しておりまして、今後の受給者の数も前年並みと予想され、12年度はそれほどの増加はないものと考えております。
 それから、不正受給の関係でございますけれども、各職業安定所では、受給者に対しまして失業給付制度の内容を説明しまして、遵法意識の高揚に努めまして、失業給付を正しく受給するよう徹底を図っているところでございます。
 不正受給の発生件数は、9年度101件、10年度102件、11年度、4月から12月までは75件発生いたしております。11年度における不正受給の内容は、就職日の虚偽申告が37件、就職未届けが36件、アルバイトの就労未届けが1件、内職収入未届けが1件となっているところでございます。

〇佐々木一榮委員 次に、貸し渋り対策の特別信用保証について端的にお尋ねいたします。
 保証協会が返済を肩がわりした代位弁済額はどの程度になっているでしょうか。あわせて、県として県内企業の資金需要についてどのように分析されているでしょうか、お尋ねいたします。

〇千葉副知事 本年2月までの岩手県信用保証協会の代位弁済額は34件、5億1、267万円でございまして、保証承諾に占める代位弁済の割合は件数で0.35%、金額で0.37%となっておりまして、現在のところ、東北あるいは全国の平均を下回っている、そういう状況にございます。
 資金需要の関係でございますけれども、いわて緊急経済対策資金あるいは中小企業金融安定化特別保証の利用が集中しました平成10年度の反動からか、今年度は資金需要が低調に推移いたしております。県内金融機関の貸出残高は、この1月末で2兆3、180億円、前年同月比でマイナス2.6%でございます。
 岩手県信用保証協会の今年度2月末の保証承諾は、全体で1万914件、1、127億円余と、前年度の約50%となっているところでございます。
 この低調な理由でございますけれども、県内景気は一部に明るさが見られるものの、依然、先行きが不透明でございまして、企業が運転資金あるいは設備資金ともに借り入れを抑制していることが主な要因ではないかと考えております。

〇佐々木一榮委員 次に、多重債務者の救済についてお尋ねいたします。
 県信用生協は、消費者救済資金貸付制度を実施していると伺っていますが、この制度の内容と利用状況はどうなっているでしょうか。相談体制の強化充実と相談窓口の存在をもっと広く認識してもらうことも必要と考えますが、県としての支援体制についてお尋ねいたします。
 一関地方においては、消費者金融の借り入れに名義を貸したため多額債務を背負わされたという事案も発生しており、特に20代の会社員の男女が多いということもあり、県内企業を通じての周知など対策を講ずるべきと考えますが、いかがでしょうか。

〇千葉副知事 信用生活協同組合が行っております貸付制度でございますけれども、これは市町村が岩手労働金庫に資金を預託いたしまして、信用生活協同組合が4倍協調で借り受けて、多重債務者に貸し付けをする制度でございます。
 この制度の内容でございますけれども、貸付限度額は500万円以内となっております。それから、利率は年9.27%以内。期間と償還の関係でございますけれども、10年以内、元利均等償還となっているものでございます。
 なお、平成11年4月から12月までの貸し付けの状況でございますけれども、224件、5億8、200万円と伺っておるところでございます。
 次に、相談体制の関係でございますけれども、相談体制は、現在、県民生活センターと地方振興局に生活相談員28名を配置いたしまして、県民からの多重債務を含めました消費生活相談に乗っているところでございます。
 なお、本年度は県民生活センターの組織を改編いたしまして、新たに相談指導課を設置いたしまして相談業務の充実強化に努めたところでございます。
 県民に対する啓発につきましては、新成人や若者向けの各種パンフレットの配布、あるいは高校生講座、勤労者講座など、各種講座へ講師派遣をするなど、啓発を行っているところでございます。12年度からは、インターネットによる情報提供を行うとともに、毎月2万2、000部発行しておりますくらしのひろばの充実、あるいは地方振興局、市町村、商工会議所等との連携を密にいたしまして、各種広報媒体などを活用しながら、広く県民に対し周知に努めていきたいと考えております。

〇佐々木一榮委員 次に、米の生産・流通対策推進指針についてお尋ねいたします。
 このほど県では、平成12年から5年間の米生産・流通の具体的方策を示した米の生産・流通対策推進指針をまとめられましたが、これは、国の減反方式の変更に伴い、農家に売れる米づくりを意識させ、今後の米産地としての地位を確固たるものにしていくガイドラインとして注目されるところであります。
 そこでお伺いいたしますが、この運動を通じて、本県産米の評価を全国的にどのようなレベルまで高めようとしているのか、現状も含めお尋ねいたします。

〇千葉副知事 平成12年度から新たに展開しようとしておりますいわて純情米レベルアップ運動は、これまでの成果を踏まえまして、1等米比率などについてさらに高い目標値を設定するとともに、新たに食味値などの項目を加えまして、関係者が一丸となって食味や品質の向上を図ろうとするものでございます。
 県産米の現状につきまして全国と比較してみますと、本県の主力品種であります県南ひとめぼれが、日本穀物検定協会の食味ランキングにおいて5年連続特Aに評価されるなど、食味については全国上位にあるわけでございますけれども、品質につきましては、1等米比率で見ますと年次によりまして変動がございまして、安定的に上位を確保できない、そういう状況にあるわけでございます。したがいまして、この運動を通じまして、食味、品質とも全国トップクラスを目指してまいりたいと考えております。

〇佐々木一榮委員 次に、県内産品の知名度アップと流通についてお尋ねいたします。
 本県は食料供給県を標榜しているわけでありますが、実際には本県の農産物、水産物に対する認知度が低いように感じます。昨年10月、中村孝明氏監修のいわて丸ごと弁当を発表し話題となったところであります。中村氏は、岩手にこんなにすばらしい食材があるとは、料理人の世界でもなかなか知られていないと述べ、岩手の食材のすばらしさのPRは足りないとの認識のようでありましたが、県として今後、食材としての県産品のPR、流通についてどのように展開されていく予定でしょうか、お伺いいたします。

〇千葉副知事 県産食材のPR活動につきましては、これまでは主に大口需要者であります卸売業者等を対象として展開してきたところでございますけれども、産地間競争が激化する中で、有利販売を図っていくためには、消費者に密着している小売店や外食事業者、こういった方々の支持が不可欠でありますので、これまでの活動に加えまして、消費者の視点を重視した活動の充実を図る必要があると考えております。
 首都圏でのいわて丸ごと弁当は、このような取り組みの一つでありますし、また、関西圏の主婦を対象といたしましたいわてを丸ごと食べようイベントなどを開催しているところでございます。このほかにも、ホテルなどで岩手県産フェアを実施しておるところでございます。
 今後におきましては、いわて銀河プラザ、みちのく夢プラザ、ブランドi等を核としたPR活動に加えまして、県内各産地の食材や郷土料理の紹介を通じまして、岩手の食文化を総合的に発信しますいわて純情通信の発行など、一般消費者や実際の需要者に対する普及宣伝活動の充実を図ってまいりたいと考えております。

〇佐々木一榮委員 次に、森の駅についてお尋ねいたします。
 13年度当初予算計上を目指し、先ごろ設置された整備検討委員会の位置づけ、そして委員会のもとにワーキンググループを置くとのことでありますが、その構成と役割、最終決定までの流れについてお知らせいただきたいと思います。

〇千葉副知事 森の駅は、森林体験、登山等を通じまして、自然の成り立ちや森林と人間生活のかかわりなどについて学習し、かつ、体験する複合的機能を備えた施設として構想しているものでございます。このため、施設整備やその利用につきまして、密接な関連が見込まれる県の関係部、盛岡地方振興局と地元町村の課長クラスによる検討委員会を設置しまして、地元の意見も取り入れながら具体的な整備計画を策定することとしたものでございます。
 また、ワーキンググループは、事業計画や施設の機能分担など、具体的な策定作業を円滑に推進するため整備計画策定検討委員会の下部組織として設置するものでありまして、それぞれの担当係長等で構成することになっております。
 今後は、ワーキンググループにより整備計画案の作成を進め、検討委員会、地元説明会、パブリック・コメントを経ながら、平成12年秋ごろをめどに整備計画を取りまとめてまいりたいと考えております。

〇佐々木一榮委員 岩手県競馬組合についてお尋ねします。
 県競馬組合の経営状況について、県はどう把握、分析されているでしょうか。今後はどういう見通しと対応をとっていかれるのでしょうか。設備投資資金の252億円の起債償還の予定はどうなっており、今後の課題として何が問題となってくるでしょうか。
 盛岡市では、12年度土地取得事業費特別会計予算案に14億1、000万円を旧盛岡競馬場跡地の問題で計上いたしました。これを契機に、県も含めた具体的対応に入ると思いますが、今後の見込みと課題についてお尋ねします。

〇千葉副知事 岩手県競馬組合の現状でございますけれども、平成11年度実績で入場者数は204万7、000人で、前年に比べまして2%増加したところでございます。また、1人当たりの勝馬投票券、馬券でございますけれども、この購入金額は、景気の低迷によりまして1人当たり2万1、944円ということで、前年比89.4%と大幅に落ち込んだところでございます。その結果、馬券の発売金額は、前年を8%下回る482億円余にとどまったところでございます。
 今後の見通しでございますけれども、発売収入は現在の経済情勢からは大幅な増加は見込めないと見ております。また、発売収入の減少を補うため、一般会計に繰り入れていた財政調整基金は、平成11年度末残高で1、100万円余まで大幅に減少する見込みでございます。したがって、財政運営は今後さらに厳しい状況が予想されるものでございます。
 今後の対応でございますけれども、まず平成12年度の予算編成に当たりましては、勝馬投票券の種類をふやすことにいたしております。また、他の競馬場との連携の強化による馬券の発売委託あるいは発売受託などで増収をしてまいりたいと考えております。
 また、歳出の関係では、開催経費や特別職、一般職員の人件費を含めた運営経費などの抜本的な見直しを行うことといたしております。
 また、こういう現状でございますので、中長期的な見通しというものも持たなければならないということで、昨年11月に競馬関係あるいはマスコミ関係、経済関係の各界の専門家8名を委員とする岩手競馬運営改善委員会を設置したところでございます。今後、この委員会を中心に、どういう事業運営をしていったらいいかということについて検討されることになっております。組合では、この委員会での検討内容を見た上で、今後の経営改善策を立てるということになっております。
 それから、起債の償還の関係でございますけれども、盛岡競馬場建設に係る公営企業金融公庫等からの借入金は、これは総額252億円でございますけれども、平成2年度から平成27年度まで26年間で償還する計画でございます。平成11年度末の残高は、188億円余となっております。この借入金の償還は平成10年度、11年度が償還のピークでございますので、組合の財政上、最も現在苦しい時期にあるということでございます。
 今後の課題といたしましては、起債の償還を計画的に行っていくためには、基本的には馬券の発売収入を増加することにかかってくるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、運営経費の縮減や償還財源を含めた収支の均衡を図る努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 それから、旧競馬場跡地の関係でございますけれども、旧競馬場跡地内の県有地2.96ヘクタールの処分の方法でございますけれども、県が盛南地区に建設いたします環境保健センターの用地の市有地と等価交換をすることにいたしております。等価交換するための不足分につきましては、県におきまして競馬組合の所有地を買い増しして充当するよう、盛岡市から要請されているところでございます。また、現状は、現在、盛岡市が民間地権者と用地交渉を行っているところでございます。
 県が競馬組合の所有地を取得するに当たりましては、盛岡市と組合の価格合意が必要でございまして、そのためには、盛岡市と民間地権者との用地交渉がまとまる必要があるわけでございます。
 今後の対応でございますけれども、盛岡市と民間地権者との用地交渉の状況を把握しながら、盛岡市と組合の合意形成が進むよう支援してまいりたいと考えております。合意が形成された場合は、競馬組合の所有地の取得に向け、所要の手続をしてまいりたいと考えております。

〇佐々木一榮委員 いわて情報ハイウェイの医療・保健関係についてお尋ねいたします。
 12年度予算案では、環境保健総合情報システム整備費に1億110万円、医療情報センター構想推進費に2、223万円を計上されておりますが、具体的にはどのようなシステムを検討されているのでしょうか。
 12年度からは県立病院との接続に6億9、600万円計上されておりますが、今回のネットワーク構築に県民にはどの程度の利便性の向上が図られるでしょうか。あわせて、現在問題となっておりますオウムのソフト会社の問題では国が大きく揺れ動いておりますが、本県とオウムのソフト会社の関係はありませんでしょうか、お尋ねいたします。

〇千葉副知事 いわて情報ハイウェイの関係でございますけれども、環境保健総合情報システムの関係、これ仮称でございますけれども、新たに整備する環境保健センター、これも仮称でございますが、これと各保健所等を結びまして、平成12年度から3カ年で整備することといたしております。
 具体的には、疾病等に対する膨大な統計情報を多面的に分析するシステム、あるいは各種統計や試験研究、監視測定成果等を県民にわかりやすく情報提供を行うシステム、こういったものを順次整備していくことにしております。
 また、仮称でございますけれども、医療情報センター構想につきましては、本年度、有識者からなる懇談会におきまして、基本計画を検討いただいているところでございまして、このセンター機能を岩手医科大学に持たせまして、センターと県内各施設の医療機関とのネットワークを構築することといたしております。これによって、県北・沿岸地域から順次、開発に着手していくことを検討しております。
 また、具体的には、テレビ会議システムによりまして、複数の医療機関が患者の診断・治療方針について検討を行う地域医療情報システム、盛岡、大船渡、久慈の救命救急センターが診断・治療の相互支援を行う高度救急医療支援システム、また、国立がんセンター及び国立循環器病センターと県内医療機関を結んでおりますがんネット等の機能を、地域医療機関へ拡張するシステムなどを検討しております。平成12年度には具体的なシステム設計を、平成13年度には主なシステムの開発整備を行いまして、平成14年度から順次、運用開始を目指したいと考えております。
 それから、県立病院としてのいわて情報ハイウェイの活用は、病院など相互の病理画像あるいはエックス線画像診断やテレビ会議システムを活用した遠隔診療支援など、これらを想定しているところでございます。
 お尋ねの診療や薬局での待ち時間の短縮につきましては、病院内で完結しなければならない課題でございます。そのため医療局では、診察予約制、処方オーダリシステム、口座振替制度、こういったものを地域の実情に応じて、その対応に努めているところでございます。
 それから、オウムの関係の御質問がありましたけれども、実態は承知いたしておりません。

〇佐々木一榮委員 最後になります。県立磐井・南光病院問題についてお尋ねします。
 両病院の建設予定地問題については、委員の方々も御案内のとおり、5年の迷走をやっと抜け出し、2月4日、一関市の大平地区に移転候補地として決定いたしました。ここでは、今までの経緯や県の対応、問題については総括質疑でありますので控えたいと存じます。
 お伺いいたしたいのは、平成8年9月に、一度病院予定地として内定した前堀地区の振興策に対する県としての地元市への協力・支援体制についての見解をお伺いしたいと思います。
 以上で、私の質疑を終わります。

〇千葉副知事 前堀地区の振興策につきましては、現在、一関市が誠意を持って取り組んでいるところでございます。県といたしましては、今までの経緯もございますので、市の方から相談があればこれは積極的に支援をしてまいりたいと考えております。

〇水上信宏委員 自由民主クラブの水上信宏でございます。
 伝統ある会派の代表ということで大変緊張しておりますが、心を込めて平成12年度予算につきまして総括的に質問させていただきますが、これまでの一般質問等と一部重複する部分もあろうかと思いますが、よろしくお願いを申し上げます。
 県の平成12年度当初予算は、厳しい財政運営を余儀なくされている中にあって、中期財政見通しを踏まえながら、昨年策定した総合計画に掲げる事業の推進、地方分権時代に対応した地域づくりを推進するための市町村総合補助金の創設、重点的な公共事業の実施、さらには景気回復や介護保険制度の円滑な実施への配慮等、限られた財源の中で経費の合理化、効率化、重点化が図られた予算であることは、これまでの代表質問、一般質問で明らかになってまいりました。県当局におかれては、さまざまな課題に対応するため、大変な努力を積み重ねた結果として編成した予算だと思うものでありますが、このような当初予算の状況を踏まえ、まず、岩手県総合計画の推進についてお伺いします。
 平成12年度当初予算の編成に当たっては、昨年策定した岩手県総合計画の実質的スタートの年となることから、計画に掲げる環境、ひと、情報を中心に、本県が目指す将来像である五つの社会の実現に向けた施策の着実な推進を図ることとしています。
 そこで伺いますが、今回編成した予算により、総合計画がどのように推進されていると評価しているのか、副知事の所感をお伺いします。

〇千葉副知事 平成12年度の当初予算は、12年度が岩手県総合計画に基づく新しい岩手づくりの実質的な初年度であるところから、計画の着実な達成に向けまして、厳しい財政環境ではございましたけれども、中期財政見通しを踏まえ、さらには財政健全化にも最善の経営努力を傾注しながら、岩手県総合計画に盛り込まれた施策の着実な推進を図ることとして編成したものでございます。特に計画に掲げております環境、ひと、情報の三つの視点に基づく施策を中心に、本県が目指します将来像である五つの社会の実現に向けた施策の着実な推進を図るため、各般にわたり重点的な配分を行ったところでございます。
 五つの社会ごとに主な施策を申し上げますと、自然と共生し循環を基調とする社会の実現に向けては、環境保全に対する投資とその効果を評価する環境会計の導入を目指した調査を実施するとともに、環境についての普及・啓発関連の各種事業を、環境ミレニアム事業として実施してまいることにいたしております。
 次に、快適に安心して暮らせる社会の実現に向けましては、少子化対策の推進のため、就労と育児の両立支援や地域ぐるみでの子育てを支援していくほか、4月からの介護保険が円滑に実施されるよう、必要な支援を行ってまいることにいたしております。
 また、創造性あふれ、活力みなぎる産業が展開する社会の実現に向けては、新たな中山間地域等直接支払制度の円滑な導入に努めるほか、平成12年度を夢県土いわて科学技術年として、第22回宇宙技術及び科学の国際シンポジウムを初めとする一連の内外の行事を開催するなど、21世紀に向けた本県科学技術の振興を図ってまいることにしております。
 それから、ネットワークが広がり、交流・連携が活発に行われる社会の実現に向けましては、新たに創設した市町村総合補助金により、市町村等の自主的な地域づくりを積極的に支援するとともに、平成13年度の運用開始を目指して、いわて情報ハイウェイの構築を図ってまいることにいたしております。
 それから、個性が生かされ、共に歩む社会の実現に向けましては、環境、福祉などをテーマとした特色ある教育の実践を進める総合的な学習の時間などによる個性を尊重し、創造性をはぐくむ教育の推進や、いわて男女共同参画プランに基づく諸施策を総合的に推進してまいることにしております。
 このように、平成12年度予算は、限られた財源を重点的かつ効果的に活用いたしまして、政策評価の考え方によって緊急度と優先度の高い施策を厳選しながら、県民満足度が向上するよう編成したところでございまして、これにより計画は着実に推進されるものと考えております。

〇水上信宏委員 次に、平成12年度の県税収入の見込みについてお伺いします。
 最近の我が国の経済は、民間需要の回復力が弱く、いまだ厳しい状況を脱していないものの、景気は緩やかな改善が続いているとの見通しが示されているところであり、また、本年1月28日に閣議決定された平成12年度の経済見通しによると、不確定要因が多いものの、経済新生対策等の諸施策により、平成12年度後半には民需中心の本格的回復軌道に乗るとの見通しも示されているところであります。
 このような状況の中にあって、平成12年度の県税収入は1、233億9、700万円余、平成11年度最終予算額に対して0.5%減の予算を計上しているところでありますが、この税収見込みに当たり、主な税目についてどのように見積もったのか、また、11年度最終予算額に比較した場合の主な増減理由などはどのようなものかお伺いします。

〇武居総務部長 平成12年度の県税収入の見積もりについてでございますけれども、県税収入の見積もりに当たりましては、まず、平成11年度の県税決算見込み額をベースにいたしまして、国の経済見通しによる経済指標、それから地方財政計画における税収見込み額、さらには各種統計指標や県内の景気動向を勘案して積算を行ったところでございます。特に法人2税、法人県民税と法人事業税につきましては、主な企業の業績見通しを個別に照会するということで、照会法人は486社行ったわけでございますけれども、こういった照会を行うなどしまして、本県の実情に即した積算を行ったところでございます。
 主な税目の平成11年度決算見込み額と比較した場合の増減理由でございますが、まず、県民税の利子割でございますが、これにつきましては、高金利時代に預けられました定額郵便貯金が本年度におきまして集中的に満期を迎えるということで、37億円余りの大幅な増となる見込みでございます。
 一方、法人2税でございますが、法人県民税、法人事業税、いずれも平成11年度の税制改正によりまして税率の引き下げが行われます。こういった影響等もございまして、28億円余の減収となる見込みでございます。それから、特別地方消費税が、今月ですけれども、12年の3月31日をもって廃止されることから、7億円余りの減収となります。こういったこともございまして、県税全体では、5億7、000万円減の1、233億9、700万円余を予算に計上したものであります。

〇水上信宏委員 次に、県が所有する未利用地の処分についてお伺いします。
 昨年2月に策定した行政システム改革大綱によれば、自主財源を確保し財政運営の健全化を図るため、県が所有する未利用地を計画的に処分する等、有効活用を進めることとされており、12年度当初予算においては、財政健全化の一環として未利用地の売り払い収入が計上されております。民間企業においては、通常、遊休の土地が生ずれば、効率的に活用するか、さもなければ処分するかのいずれかであります。県ではこのたび、県有未利用地等の処分・活用に係る指針を策定され、積極的な取り組みを示されました。
 そこで伺いますが、このたび県で取り組もうとしている未利用地の処分や有効活用について、その基本的な考え方はどのようなものか、また、具体的にどのように行っていこうとしているのかお示し願います。

〇武居総務部長 県有未利用地の処分についての基本的な考え方でございますが、県が所有する未利用地等の有効利用の推進、それから財政運営の健全化に基づく財源確保という両面の要請から、平成12年度の予算編成に合わせまして、新たに県有未利用地等の処分・活用に関する指針を策定しまして、今後13年度までを集中推進期間と位置づけてございますが、計画的に処分等を進めることとしたところであります。
 具体的な進め方としましては3点ございますが、未利用地のうち、県におきまして将来とも公用あるいは公共用として利用する見込みのない土地につきましては、市町村あるいは民間等に積極的に処分を推進することといたしております。
 それから2点目は、貸し付け中の土地につきまして、将来において県が利用することが適当と認められるものを除きまして、まずは優先的に借受者に対しまして処分を進めることにしたいと考えております。
 それから3点目でございますが、これら以外の県において利用することが適当と認められる土地等につきましては、今後、適正に維持管理を行って保有していくということが大変重要になってまいります。その際に、特に利用するまでの期間が長期にわたるものにつきましては、他の用途への暫定的な利用も含めまして積極的に活用を図ってまいりたいと考えております。
 なお、民間に処分するものにありましては、新聞広告、インターネット等の広報媒体でPRを行うなど、今後におきましても、未利用地の積極的な処分と有効活用に努めてまいりたいと考えております。

〇水上信宏委員 次に、地方振興局の予算要求についてでありますが、地方振興局が地域経営を行う拠点として総合行政を推進するためには、権限や機能を強化し、総合調整機能の充実を図る必要があることから、その一環として、地方振興局の予算要求が位置づけられているものと認識しております。県においては、平成11年度当初予算より地方振興局の予算要求を認め、平成12年度にあっては、要求範囲を拡大するなどの改善を加えたとお聞きしておりますが、地方振興局の予算要求はどのように行っているのでしょうか。
 平成11年度の地方振興局の予算要求についての評価及び平成12年度当初予算においてはどのような改善策を加えたのか、具体的にお示し願いたいと思います。

〇武居総務部長 地方振興局の予算要求についてでございますが、まず、11年度の評価についてでございますが、地方振興局はさまざまな地域課題を抱えております。特に新しい総合計画を策定するに際しまして、地域計画というものを振興局が中心になって策定しましたが、これからそういったものに積極的に対応していく、主体的に対応していくということの必要も出てまいります。
 そういったことで、まず1点目は、これから部局横断的に創意工夫を凝らしながらプロジェクトを創出していかなければならない、そういったことに対しまして対応ができたのではないかというふうに感じているところでございます。
 それから、2点目の評価としましては、地方振興局の中にも各部がございますが、今回特に総務部を中心に、どちらかというと本庁との縦割りということではなくて、地方振興局の中で横断的に調整を加えながら予算要求を行うというふうにしたということ。
 それから3点目は、特にこれからの地域課題等に対応したプロジェクトの創出に当たりましては、管内の市町村との連携、調整を図ることができたのではないかと考えているところでございます。
 しかし一方で、反省点といたしましては、地域課題の解決のため、それぞれの事業、事業がいろいろあるんですけれども、その事業相互間のもっと有機的な連携を図ることが必要になってくるのではないかという課題でございますとか、あるいは本庁で要求する事業との連携、調整が必ずしも十分にできなかったという問題もございます。さらに、振興局の中での議論が一部未消化に終わったという反省もございました。
 こういったこともございまして、平成12年度の要求に当たって主に改善した点でございますが、広域行政を推進する観点から、複数の地方振興局が連携して広域的に取り組む事業を追加したということでございまして、今までは一振興局内での連携事業ということでございましたけれども、平成12年度の要求に際しては、複数の地方振興局がお互いに連携をとりながら広域的に取り組む事業というものを特に意識したところでございます。
 それから2点目は、地域要望の多い社会資本整備に地域の事情を反映させる観点から、地域で執行する公共事業というものを追加いたしました。これは、本庁での優先度と地方振興局での優先度というものは必ずしも常に一致しているということがない場合もございまして、そういったことで、地域事情を反映させるということで、地域で執行する公共事業を追加いたしました。
 それから3点目でございますが、地方振興局の予算要求要領を7月末に策定いたしました。これは平成11年度の場合は10月ということで、これを2カ月前倒しいたしまして、事業の創出あるいは事業内容の検討の期間を十分確保したところでございます。当然のことながら、要求に当たりましては関係部局との事前調整を十分に行うこととし、連携、調整の強化を図ったところでございます。
 今後につきましては、特に地方振興局が地域経営の先端的な戦略拠点として、総合性、完結性を一層高めて現場重視の県行政を行っていくということが大変重要になってまいりますので、また、平成12年度における要求段階の内容を踏まえまして、さらに改善を加えてまいりたいと考えております。

〇水上信宏委員 一言でいいわけですが、地方振興局から、各部で調整しないで直接財政課に要求ということをやってみた経緯があるか。それから、これからやる予定があるか。一言でいいです、余り長くなくて。

〇武居総務部長 これはケース・バイ・ケースによると思うんですが、平成12年度の場合は、各部との調整はした上で要求してほしいということで、手続をとったところでございます。
 今後につきましては、地方振興局の要望等を聞きつつ改善してまいりたいと考えておりますが、とりあえず平成12年度要求でそういう制度を設けましたので、13年度に向けましては現在の制度を運用する中で、もし改善すべき点があれば、それ以降の問題として考えてまいりたいと思います。

〇水上信宏委員 知事も地方振興局を強化するという話をしておりますので、そのことも十分踏まえて12年度はやっていただきたいと思います。
 次に、大雨洪水災害に係る雪谷川の河川改良復旧事業についてお伺いします。
 昨年の10月下旬の豪雨による洪水被害は、軽米町の雪谷川筋だけでも600棟を超える多くの人家や農地などをのみ込み、総額が約256億円にも達する甚大な被害となったところであり、被災者の方々の一日も早い復興を願っているところであります。
 このような洪水被害を繰り返さないため、県では雪谷川の災害復旧計画を策定し、先般、国から事業の採択決定を受けたことは、地元軽米町民だけでなく、早期の復興を願っているすべての県民の喜びでもあります。河川は、一たびはんらんし、洪水が起これば大きな被害を与えるわけでありますが、その一方では、自然を構成する重要な要素の一つであり、自然環境にも配慮した整備が必要であると考えております。また、昔、川で遊んで育った1人として、次世代の子供たちに、川遊びができる場も必要ではないかと考えております。
 そこでお聞きしたいと思いますが、今回の雪谷川の改良復旧事業の概要と、県としてどのような認識で取り組むのか、また、河川整備に当たって移転を余儀なくされる方々への対応など、どのように取り組んでいくのかお示し願います。

〇千葉副知事 雪谷川の改良復旧事業は、災害復旧助成事業と河川災害復旧等関連緊急事業で進めることが、2月16日付で国から採択通知を受けたところでございます。災害復旧助成事業は、総事業費105億円で延長が14.6キロメートル、実施期間が今年度を含めて5年間となっております。また、住家の移転は20戸を超えるものと見込んでいるところでございます。また、河川災害復旧等関連緊急事業は、総事業費約110億円で延長が約3.7キロメートル、実施期間が今年度を含め4年間となっているところでございます。また、住家、店舗等の移転は95戸を超えると見込んでいるところでございます。この改良復旧事業は、軽米町の復興にとりまして新たな町づくりに大きくかかわるものであると認識しておりまして、県としても、最大限の努力を行いながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、移転者等への対応でございますが、改良復旧事業の成否は、115戸を超えると見込んでおります住家の方々の御理解と御協力が必要不可欠でございまして、補償交渉の窓口となる地権者会の設立を、地権者並びに軽米町へこれまでお願いしてきているところでございます。この結果、町中の向川原地区で先月末に設立されているところでございますけれども、他の地区でもできるだけ早く設立していただくよう働きかけていきたいと考えております。
 また、地域の声を取り入れた河川整備を進めるために、学識経験者、地域の有識者、住民の代表、河川利用者などから構成される雪谷川河川整備懇談会、これは仮称でございますけれども、これを今月の19日に開催する予定でございます。
 今後とも、地域住民や地権者会、懇談会の要望や意見を聞きながら、子供たちが川遊びできる場所や、水辺に緩やかにおりられるようなスロープを設けるとともに、間伐材や自然石を利用して水辺の生態系の復元など、自然環境に配慮しながら積極的に推進してまいりたいと考えております。

〇水上信宏委員 ありがとうございます。本当によろしくお願いします。
 もう少し災害について質問させていただきます。
 次に、大雨洪水災害に係る復興対策についてお伺いします。
 未曾有の被害をこうむった県北地域の大雨洪水災害については、現在、当面の応急、復旧対策を市町村が中心となり、関係機関を挙げて強力に推進しているところでありますが、今後におきましては、長期的な展望に立った生活の再建、商店街等地域経済の復興、安全な地域づくり等の復興対策が必要であります。被害発生後、県においてはいち早く当面の復旧対策を調整し、推進するための庁内連絡会議を設置し復旧対策に対応するとともに、2月補正予算においても、軽米町に対する特定被災地域復旧緊急支援交付金5億6、300万円を予算措置するなど、その対応には大変心強く思っているところでありますが、今後においては、地元の軽米町や山形村、二戸市などの要望も踏まえ復興対策に適切に対応し、財政面を含めた総合的な支援が不可欠であり、そのための支援体制を整備する必要があるのではないでしょうか。その場合、地元の地方振興局が中心になると思うのでありますが、市町村の財政状況を把握し指導する立場にあり、また、地域振興の面でも多様な企画力や調整能力を有する企画振興部としてはどのようにお考えになっているのでしょうか、所管部長の御所見をお聞かせ願います。

〇渡辺企画振興部長 大雨洪水災害に係る復興対策でございます。
 今回の災害、軽米町を初め県北部を中心に500億円を超える大災害となりまして、被災市町村の財政に極めて大きな影響を及ぼすことが予想されたところでございます。こうしたことから、当部といたしましても、被災直後に直ちに関係市町村や関係部局と連絡をとり、災害救助活動あるいは復旧対策の実施に伴う緊急の財政負担の的確な把握に努め、それによって国に対し、特別交付税あるいは災害復旧事業債の配分を強く働きかけてまいったところでございます。また、既存制度による財政措置だけでは、財源の確保が困難な市町村に対しましては、臨時特例の措置として新たに特定被災地域復旧緊急支援交付金、これを創設するなど、被災市町村の財政支援のために全力を挙げて取り組んできたところでございまして、被災市町村からの財政的な要望に対しては、おおむね対応できたものと認識してございます。
 今後、軽米町における雪谷川河川改良復旧事業による集団移転、あるいは商店街の復旧を中心とする本格的な復興対策が重要となってくるところでございまして、当部といたしましても、軽米町等における復興事業が円滑かつ早期に図られますよう、全庁的な取り組み組織でございます災害復旧・生活再建対策庁内連絡会議、こういった組織を通じまして、関係部局あるいは地元の地方振興局と密接な連携をとりながら、被災市町村からの財政面やあるいは地域振興面でのさまざまな相談に応ずるなど、復興対策の支援に努めてまいります。

〇水上信宏委員 大変心強い御答弁ありがとうございました。
 お礼ついでにもう一つ、お聞きするとともに要望を申し上げておきたいと思いますが、工事に当たって、その地域によって、そこの土地の理解を得られない地域、そして得られる地域、それを得られるような地域からどんどん進めていってもらいたいと思いますが、県の方ではどういう考えか。大きくすっかり並んだ地域でなく、例えば大分違う部落同士の場合、同じ河川でも、同じ道路でも、そういうのをやっていってもらいたいと思いますが、副知事の考えはどういう考えか。

〇千葉副知事 事業を早く進めるというのも、これは事業効果を上げるために非常に大事な要素でございます。ただ、技術的にどういう問題があるかという、これも一方で検討しなければならない問題だろうと思います。いずれ、御要望の趣旨につきまして、現場の方に申し上げておきたいと思います。

〇水上信宏委員 副知事は、技術的なことを心配されているようですが、全然違う部落ですから、技術的には関係ないと思います。それは要望にさせていただきます。
 次に、大雨災害に関連し、林野火災跡地の復旧状況と林野火災防止対策についてお伺いいたします。
 本県では、これまでにたびたび大規模な林野火災が発生し、大きな被害をこうむってきたところであります。最近では、平成9年に紫波町・石鳥谷町、10年には軽米町と、2年連続で大規模な林野火災が発生し、被害森林面積及び被害額はそれぞれ304ヘクタール、7億6、000万円、142ヘクタール、2億2、000万円にも上ったところであります。
 これら林野火災により被災した森林所有者の経済的損失は大きく、また、林業が長期にわたり低迷している中で、経営意欲の減退や水源涵養機能、山地災害防止機能等、森林の持つ公益的機能の低下が懸念されたところですが、県を初め町、森林組合等関係者が鋭意復旧に取り組まれ、被災直後には黒々としていた火災跡地が徐々に緑の山によみがえりつつあります。
 ことしも林野火災が多発する危険な期間に入ったところでありますが、特に、ことしは暖冬のため積雪量が少なく、森林内の枯れ草、落ち葉等が例年に比べ乾燥している状況にあることから、例年にも増して十分な警戒が必要であると考えているところであります。
 そこでお伺いしますが、紫波町、石鳥谷町、軽米町の林野火災の復旧状況と林野火災防止対策の取り組みについてお聞きしたいと思います。

〇千葉副知事 林野火災の復旧状況でございますけれども、紫波町、石鳥谷町につきましては、平成9年度から平成12年度までの復旧計画で進めておるところでございます。平成11年度末の進捗状況は、被害木の搬出作業路の開設、被害木等の整理については終了いたしております。また、被害跡地の造林は98%の進捗となっておりまして、予定どおり12年度には完了する予定でございます。
 軽米町につきましては、平成10年度から平成13年度までの復旧計画で進めておりまして、平成11年度末の進捗は、被害木搬出作業路の開設につきましては既に終了いたしております。また、被害木等の整理は97%の進捗となっております。被害跡地の造林は、平成11年度から着手いたしまして、39%の進捗となっておりまして、計画どおり順調に進んでいると考えております。
 次に、防止対策の取り組みについてでございますけれども、岩手県山火事防止対策推進協議会で、山火事防止対策実施計画を決定いたしまして、これに基づきまして、各地方振興局において、地域の実情に即しながら、地域住民や入山者等に対する防火意識の普及啓発、初期消火機材の配備と迅速な供給体制の整備、初期消火を中心とした消防訓練等の対策を推進しているところでございます。

〇水上信宏委員 次に、ボランティア及びNPO活動への支援についてお伺いします。
 ボランティア活動については、平成7年1月の阪神・淡路大震災や平成9年1月のナホトカ号重油流出事故の際、多くのボランティアによる救助活動や復旧活動が展開され、一躍注目を浴びたところであり、本県においても、昨年10月末、県北地域を襲った集中豪雨による洪水被害の発生の際、特に被害の大きかった軽米町において、県内外各地から2、000人を超えるボランティアの方々が駆けつけ、土砂の撤去や家財道具の運搬、清掃など、被害に遭った住民の方々と協力し、さまざまな救援活動、復旧活動に当たったことは記憶に新しいところであります。
 このような災害救援活動を初め、地域づくりや少子・高齢化社会の到来に向けた各種ボランティア活動など、社会貢献活動の重要性がますます高まる中で、県においては、全国に先駆け、平成10年に社会貢献活動の支援に関する条例、いわゆるボランティア条例を制定し、ボランティア活動の支援に積極的に取り組む姿勢を示しているところであります
 そこでお伺いしますが、県ではこれまでどのような支援を実施してきたのか、また、今後はどのような支援を実施していこうとしているのか、具体的にお示し願います。
 また、NPOについては、平成10年12月の特定非営利活動促進法施行以来、全国的に特定非営利活動法人の法人認証申請が増加していると聞いておりますが、本県の状況はいかがでしょうか。申請があった団体の活動ぶりや認証状況及び今後の本県の支援策はどのようになっているのか、法人に対する監督や検査についての取り組みも含め、お考えをお聞きしたいと思います。

〇千葉副知事 まず、ボランティア活動への支援についてでございますけれども、支援拠点機能の整備といたしまして、各種情報の提供や県民からの相談に応ずるため、ボランティア活動振興センターにアドバイザー2名を配置しております。また、人材養成のためのリーダー研修会の開催や安心して活動できるためのボランティア活動保険について、これまで6万人のボランティアに対しまして保険料の一部助成を行っているところでございます。
 また、ボランティア情報提供機能を整備するため、ボランティア団体の活動状況を調査いたしまして、その資料データの入力等を進めているところでございます。特に、災害時におけるボランティア活動の支援といたしまして、一般県民を対象としたシンポジウムの開催、あるいは市町村職員等を対象としたコーディネーター研修会を開催したほか、今年度内に災害ボランティアマニュアルを作成することといたしております。
 今後の取り組みでございますけれども、2001年のボランティア国際年を記念いたしまして、国が行いますボランティア国際年シンポジウムを本県で開催することが内定したところから、これに対応して、ボランティアに対する一層の関心と理解を高める事業等をこれから検討してまいりたいと考えております。
 また、盛岡駅西口複合施設にボランティア活動等の中核的な支援拠点となる、仮称でございますけれども、県民活動支援総合センターの導入に向けた検討を進めるなど、ボランティア活動を支援する効果的な施策の展開に努めてまいりたいと考えております。
 次に、NPO法人の認証状況等についてでございます。
 これまで18団体から申請がございまして、このうち13団体が認証を受けております。また、現在法人化について相談を受けている団体は10数団体ございます。主な活動分野は、保健、医療または福祉の増進、まちづくりの推進、環境の保全等になっております。
 NPOに対する支援でございますけれども、NPOを運営していくための必要な情報の提供や相談への対応を行うため、ボランティア活動振興センターの機能の拡充や情報システムの整備などを行うほか、NPO同士の交流・連携を生み出していくようなネットワークづくりに対する支援、さらには、税制上の優遇措置の拡充等について国への働きかけを行いまして、NPOが活動しやすい環境づくりを積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、NPO法人に対する監督でございますけれども、この法人制度におきましては、情報公開に関する広範な制度が設けられております。これは、法人に関する情報を広く公開することによりまして、法人の活動を住民の監視のもとに置こうとする目的があるからでございます。このため、県が行います監督は、これらの情報公開によって対処できない事態が生じた場合に行うものでございまして、具体的には、法令等に違反する疑いがあると認められる相当な理由がある場合に、法人に対しまして報告を求め、あるいは立入検査を行うものとされているものでございます。こうした立法の趣旨に沿って、適切に対応してまいりたいと考えております。

〇水上信宏委員 次に、介護保険制度の実施についてお伺いします。
 これまでも各議員から大変示唆に富んだ素晴らしい質問、そしてまた、先ほどの佐々木一榮委員からも質問があり、また、それに対してもわかりやすい答弁があったわけですが、私の場合、福祉関係を除いては水上が廃るので、ちょっと質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 国の方向が二転三転しながらも、ようやくその方向性も決まり、いよいよ4月から実施されることとなる介護保険制度は、言うまでもなく県民等しくこの制度を受けられるものでなければならないと思うのであります。
 県では、さきに発表した本年2月末現在でのまとめでは、要介護度の審査を受けた県内の在宅申請者のうち11.9%が非該当と判定され、全国平均の3.2%を大きく上回っているとあります。このことは、すなわち保険適用外となるお年寄りが、岩手県には多くおられることになります。このことはまた、即、お年寄りの不安につながって、この制度ができたことによって、現在受けている介護サービスが受けられなくなることを心配している多くのお年寄り、家族がいると聞いています。極端に言えば、従来、保険料を納めなくても受けていた介護サービスが、制度ができたことにより、しかも保険料を納めても介護サービスが受けられなくなることになります。
 そこでお伺いしたいのは、実際このようなケースがあるのかどうか、あるとすれば要因は何なのか。また、仮に本当にこういった保険適用外の方が出た場合、これを救済する道があるのか。よく、法定サービスとか法定外サービスと言われておりますが、具体的にお伺いしたいと存じます。
 さらに、非該当者が全国を大きく上回っている審査結果の要因は何なのでしょうか。
 そして、もう1点、私はさきの一般質問でもお伺いしたところでありますが、この種の制度は、他県、ましてや近隣市町村との格差があってはならないと思うのであります。国の告示が遅かったとはいえ、介護サービス計画の作成が県内3分の1ぐらいの作成と報道されましたが、県内市町村はすべて年度内作成となるのかどうか、あわせてお聞きしたいと思います。

〇千葉副知事 お話がありましたとおり、在宅でホームヘルプやデイサービス・デイケアなど、保健福祉サービスを受けていた方でありましても、要介護認定の結果、いわゆる非該当と判定された方は、介護保険給付として介護サービスは受けられないということになるわけでございます。
 要介護認定は、2月末現在で申請見込み者の約7割の判定が終了いたしております。その結果、非該当と判定された在宅の申請者は約2、000人となっておりまして、これらの方のうち約9割が、これまでホームヘルプまたはデイケアを利用しているところでございます。
 非該当と認定された方が多い主な要因でございますけれども、これまで積極的にデイサービス等を活用してきた比較的自立度の高い方々が、要介護認定を申請しているためと考えております。また、これが、本県において非該当と判定された方の割合が全国平均を上回っている要因であると考えております。
 県といたしましては、これら非該当と判定された方が、引き続き自立して在宅で生活できるよう、在宅介護支援センターを中心とした相談支援や生きがい対応型デイサービス、買い物や外出時の援助などの生活支援を行う軽度生活援助事業など、市町村が実施する介護予防、生活支援事業を積極的に支援してまいりたいと考えております。
 また、ケアプランの作成につきましては、国の介護報酬の決定が約1カ月おくれたことなどから、おくれぎみの状況にございます。利用者が4月から現物給付でサービスを利用するためには、年度内にケアプランを作成していくことが必要であります。このため、ケアプランの作成を急ぐとともに、場合によりましては、暫定的なケアプランの作成によりまして対応するよう、市町村を指導しているところでございます。

〇水上信宏委員 今、例を一つ挙げて、お願いと県の方向をお聞きしたいと思いますので、お許し願います。部局の審査より少し大きな問題ですから、よろしくお願いします。
 特別養護老人ホームに現在入っている人には5年間猶予があるわけですが、ショートステイは28日に1回、1日か2日出て、また入って、それを事務的に県や職員やいろいろな係の人は、一応28日で決まっているから、その後のことは今度の法律に簡単に移行できると思うんです。でも、いろいろな地域で28日をめどに1日か2日出て、特養等が込んでいますから、またその後、どうしても入りたい人が、今度投げ出されるような感じがしているんです。6カ月のうち何日、1カ月のうち何日という規定があるんですけれども、それでよかったら、今までもそれで来ていると思うんです。そういうことで、県としては、そういうような救済措置を県の予算か何かで何とか暫定的にできないものかどうかお伺いします。

〇千葉副知事 今の具体的な内容についてはさらに検討してみますけれども、市町村によっていろいろ実態が異なるだろうと思いますし、その辺は詳細に内容を検討して、本当に県でやれるような内容のものかどうかも含めまして、検討させていただきたいと思います。

〇水上信宏委員 市町村ではちょっと無理だと思います。県で、そのことを踏まえて、そういう対象者があるのに補充するか何かの対策がなかったら無理だと思います。そのことは一応、指摘かお願いかわかりませんが、そのことにして、次に進ませていただきます。
 地方振興局における情報発信の強化についてお伺いします。
 各地方振興局では、インターネットのホームページによる情報提供を初めとして、管内全世帯向け広報紙の発行や岩手県総合計画の地域計画のPR、地方振興局独自の観光PRのためのテレビ番組の制作・放送など、各地域の実情に応じて、それぞれ創意工夫しながら地域のカラーを出した情報発信に努力されているところであります。
 これまで県は、どちらかというと県民全体に向けた情報発信が主流であったと思いますが、今後は、地方振興局と地域住民との情報の共有化を図り、地域の将来像などをともに考え、地域づくりを推進していくために、地域振興の拠点であり、各地域の特性、実情をよく把握している地方振興局がみずから情報発信を展開していくことが、より重要になるものと考えるものであります。
 このことについては、県としてどのように考えるのか、そのための施策も含め、御所見をお伺いします。

〇渡辺企画振興部長 地方振興局における情報発信の強化ということでございますが、開かれた県政、あるいは顔の見える県政の推進という基本方針のもとで、県政に対する県民の意向を把握し、できるだけこれを施策に反映させるとともに、県政の現状や施策について広く県民の皆さんに周知を図ってきているところでございます。
 また、地方振興局は、お話のとおり、地域振興の拠点として、また、現場重視の県行政推進の観点から、内部組織や権限の拡大などによりまして、その総合性・完結性を高めるよう充実を図ってきているところでございますが、そこでの施策の立案、推進に当たりましては、その地域住民の皆さんとの情報の共有や相互の理解が不可欠であると認識してございます。
 こうしたことから、これまでも地方振興局におきましては、管内向け広報紙の発行やインターネット上のホームページの開設、さらには、新聞、ラジオなどを活用しての県政情報の提供、発信をしてまいっているところでございます。
 平成12年度におきましては、地域の諸課題や各種施策について、地域住民の関心と理解を深めていただくために、地方振興局の管内全世帯への広報紙の配布を中心としまして、地方振興局独自の創意工夫を凝らした情報発信ができるように、このたびの予算案に必要な経費を計上し、地方振興局の情報発信機能をより一層充実強化することにいたしてございます。

〇水上信宏委員 あと10枚ぐらいありますので、ずうずう弁で聞きづらいと思いますが、早めに読みますので、よろしくお願いします。
 次に、中小企業近代化資金等助成法の改正による影響とその対応についてお伺いします。
 県では、この法律に基づく事業として、30数年間にわたり設備近代化資金貸付制度及び設備貸与制度を実施し、例えば、過去10年の利用実績では、延べ利用企業数で1、778社、利用金額で159億円に及ぶ、まさに機械設備投資の重要な支援施策の一つとして、県内中小企業の振興に大いに寄与してきた制度と認識しているわけであります。昨年12月に法律が改正され、平成12年4月1日から、小規模企業者等設備導入資金助成法として施行されるに伴い、これらの制度が平成12年度から新たな制度に改められて実施されると聞いております。
 現行の制度に比べ、創業者支援を明確に規定していることや、対象業種・設備の指定の原則廃止、償還期間の延長など、制度の改善が図られている一方で、制度を利用できる企業の規模が従業員数20人以下に限定されております。この点では、現行の制度を利用できた企業が、新しい制度を利用できない場合も想定されるわけですが、県は、法改正による本県中小企業への影響及び今後の対応をどのように考えておられるのか、お伺いします。

〇千葉副知事 助成法の改正によりまして、平成12年度から実施されます設備資金貸付事業と設備貸与事業は、対象業種・設備の指定が原則的に廃止されるところから、幅広く企業の設備投資を支援できることになりました。ただ、その一方で、対象が小規模企業者に限定されることによる影響については、これまで実施してきたところの設備近代化資金貸付制度と設備貸与制度の過去5年間の利用実績から推計しますと、23%程度の企業が新制度を利用できないという結果になります。
 そこで、利用できない企業への対応でございますけれども、本年度創設しました県単制度でございます地域産業活性化企業設備貸与制度があるわけでございますが、これへの利用代替を図ることで対応したいと考えております。

〇水上信宏委員 次に、農業問題についてお伺いします。
 まず、米の生産振興対策についてでありますが、昨年の水稲の作柄は、本県では105のやや良となり、2年ぶりの豊作となりましたが、夏場の高温気象の影響により、心白乳白粒やカメムシ着色粒が多く発生し、一等米比率は77.5%と昨年より10ポイント以上も低下するなど、品質面で苦戦を強いられました。
 さらに、11年産ひとめぼれの自主流通米入札価格は、10年産に比べて2、000円以上も低下するなど、米の販売環境は厳しい状況にあります。
 また、国は昨年10月に、水田を中心とした土地利用型農業活性化対策大綱を決定し、産地ごとに価格、販売動向等を踏まえて、需要に応じた米の計画的生産を確実に推進することとしたところでありますが、今日の米の需給情勢の中で、米の生産拡大を期待することが困難な状況にあることを考えますときに、産地間競争は一段と加速していくのではないかと懸念している一人であります。
 そこで伺いますが、今後とも全国トップクラスの米主産県としての地位を確固たるものとしていくために、県では、売れる米づくりをどのように進めていこうとされているのか、お伺いいたします。

〇千葉副知事 最近の米をめぐる情勢を踏まえまして、産地間競争に打ち勝つ米主産地を確立するために、本年1月に米の生産・流通対策推進指針を策定いたしまして、売れる米づくりを推進することとしたところでございます。
 具体的には、適地適品種の作付指導を強化するほか、品質・食味データに基づく生産指導などを徹底いたしまして、県産米の品質、食味の向上を図ることとしているところでございます。
 また、あわせまして、オリジナル品種かけはしの品種特性を生かした早場米生産や安全・安心などの消費者ニーズに対応した減農薬栽培、あるいは酒造好適米吟ぎんがの生産拡大など、地域の特徴ある米づくりを推進してまいりたいと考えております。
 このため、生産者はもとより、関係機関が一丸となった全県的な取り組みが何よりも重要でございますので、12年度から新たに、いわて純情米レベルアップ運動を展開することといたしまして、去る2月に開催しました明日のいわて純情米を考える生産者の集いにおいて、取り組み意欲の結集を図ったところでございます。

〇水上信宏委員 次に、農業経営の法人化についてお伺いします。
 本県の農業は、家族農業経営を中心に展開されてきており、今後においても、家族農業経営が本県農業の主流を占めるものと考えられます。しかしながら、農業従事者が減少し、高齢化が急速に進行する中で、これからの本県農業を担っていく経営を発展させるためには、地域の実情に応じて多様な人材を確保し、法人経営など、さまざまな形態の経営を育成する必要があると思うのであります。
 一方、今後農業経営を発展的に継続していく上では、これまで以上に効果的な投資やさまざまな分野の関連情報の収集管理などが必要となり、さらには、生産や販売管理を初めとする経営・管理能力の向上が求められており、このような積極的な経営展開を図っていくための選択肢の一つとして、農業経営を法人化することがますます重要であると認識しております。つきましては、こうした農業経営の法人化をどのように進めていくのか、お伺いします。

〇千葉副知事 労働力の減少や高齢化が進行しているわけでございますけれども、今後とも、農業経営を継続していく上で、さまざまな分野のノウハウが必要となってきております。したがいまして、生産からマーケティングに至る経営管理能力の向上が求められているところでございます。
 こうした経営の質的向上を図る手段といたしまして、農業経営の法人化を一層推進することが重要であると受けとめているところでございます。
 このような見地から、県におきましては、岩手県農業会議、あるいは岩手県農協中央会と連携しながら、法人化のための支援指導を行っておりますけれども、経営規模の拡大や多角化・効率化に取り組んでいる熟度の高い主業型農家や生産組織を重点的に法人化へ誘導しているところでございます。
 また、岩手県農業会議が行いますこうした経営体を対象とした研修会の開催、あるいは税理士、中小企業診断士などの経営コンサルタントによる個別の相談活動に対し助成するなど、農業経営の法人化を推進してまいりたいと考えております。

〇水上信宏委員 次に、いわゆる債務超過農協の現在の状況についてお伺いします。
 さきの新聞紙上で、県内農協の平成10年度の決算概要が報じられておりましたが、その記事によりますと、長引く景気低迷や金融自由化などの影響により、調査対象34農協の事業利益を合計すると約15億5、000万円の赤字となり、3年連続のマイナスを計上したと報道されております。また、当該農協のうち、当期剰余金を計上した組合が28組合、当期損失金を計上したのは6組合とされております。
 こうした厳しい経営環境の中にあって、経営基盤が脆弱な農業協同組合、特にも経営改善計画の達成期限まであと1年余りとなっている債務超過農協の経営状況はどうなっているのか、危惧されるところであります。
 そこで伺いますが、債務超過農協の経営改善計画の進捗状況はどうなっているのでしょうか。また、去る3月1日には、姉帯農協が、債務超過農協である一戸町農協に吸収合併されたと伺っておりますが、姉帯農協は経営改善計画を達成したのでしょうか、あわせてお伺いします。

〇千葉副知事 債務超過農協の状況でございますけれども、本年1月末で経営改善計画期間3カ年のうち1年10カ月が経過したことになります。この間の債務超過農協の計画の進捗状況でございますが、債務超過額のうち、自己努力により解消する13億3、000万円の計画額に対しまして、67%の約8億9、000万円となっているところでございます。このうち、役員拠出金等の役員責任分につきましては、3億2、000万円の計画額に対しまして85%の2億7、000万円、組合員による増資につきましては、計画額3億9、000万円の69%の2億7、000万円、また、職員の削減を含めた事業管理費の節減や遊休資産の処分等につきましては、計画額6億円の83%の4億9、000万円に達しておりまして、おおむね計画どおり進捗しているものと認識しております。
 なお、姉帯農協につきましては、役員の拠出や事業管理費の節減等によりまして、本年2月末で経営改善計画を達成したものでございます。

〇水上信宏委員 次に、漁協経営改善の進捗状況についてお伺いします。
 漁業協同組合は、漁業者の協同組織として、経済事業や信用事業の活動を通じて、地域の漁業振興や農村の活性化に大きな役割を果たしているところであります。しかし、近年の漁協経営の現状を見ますと、主力のサケが魚価安等によって、かつては200億円を超える生産高であったものが、平成6年度以降100億円前後へと大幅に減少し、本年度においても、漁獲量の減少によって105億円にとどまるなど厳しい状況にあります。
 また、漁業生産を支える就業者数におきましても、平成10年に約1万2、400人とここ10年間で約6、000人も減少するなど、一段とその経営環境が厳しくなってきており、県内の漁協においては、赤字を抱える漁協も多く見られるところであります。
 このことから、将来の安定した漁業の構築を図っていくため、漁業協同組合の経営基盤の強化等を図り、経済的に自立し、指導的役割を十分に発揮していけるよう、その体制の確立が急がれるところであります。
 そこでお伺いしますが、県においては、経営不振の漁協に対し、財務改善の支援、指導を実施しているところでありますが、その進捗状況はどのようになっているのかお示し願います。

〇千葉副知事 県では、欠損金等を抱えます漁業協同組合の経営の改善を図るため、国の補助事業であります漁協経営強化総合対策事業を導入いたしまして、これまでに、平成6年度に1漁協、平成10年度に7漁協の計8漁協を同事業の特定改善漁協に指定いたしまして、融資機関を通じて利子補給を行うとともに、関係市町村、県漁連等系統団体と連携して現地指導を行うなど、財務改善に努めているところでございます。
 改善状況を見ますと、平成6年度に指定いたしました1漁協につきましては、財務改善の計画期間は平成21年度までとなっているところでございますが、平成11年度末まで欠損金の35%が補てんされる見通しにあり、順調に改善が図られているところでございます。
 また、平成10年度に指定いたしました7漁協につきましては、計画期間は平成20年度と25年度までの期間となっているところでございますが、実質的に改善計画の初年度に当たります平成11年度は、サケ、アワビ等が不漁であったところから、単年度の欠損金補てん計画に対する達成率は45%にとどまる見通しとなっております。
 平成12年度においても、これら8漁協につきましては、不要な土地などの売却や事業管理費などの削減など、財務改善計画書に沿って着実に改善に取り組み、その成果が上げられるよう指導していくことにいたしております。

〇水上信宏委員 いろいろな部局の質問をしたのにもかかわらず、丁寧な御答弁、大変ありがとうございました。

〇工藤委員長 それでは次に、瀬川滋委員。

〇瀬川滋委員 政和会の瀬川滋であります。予算審議に当たり、会派を代表して質問いたします。
 平成12年度予算案は、昨年8月に策定した岩手県総合計画の実質的初年度として、県民の多くが注目しているところであります。岩手県総合計画が岩手の未来を開く三つの視点として、環境、ひと、情報を21世紀の可能性の扉を開くかぎと位置づけており、その具体的な事業がどのように示されるかということであります。また、実行段階を迎えた地方分権の推進や介護保険制度の円滑な施行に向けた施策に対し、どれだけの予算が盛り込まれるかであります。
 申すまでもなく、平成12年度は、地域福祉施策等に対処するほかに、景気対策への取り組み、生活関連社会資本の整備、食料供給県岩手の基盤整備が必要とされるところであります。しかし、県税収入や地方交付税の原資となる国税収入が依然として低迷する一方で、公債費の累増が見込まれています。昨年10月に発表された中期財政見通しによれば、平成12年度の歳入歳出ギャップは411億円であります。大変厳しい予算編成と言わざるを得ません。
 そこでお伺いいたします。予算編成に当たり、どのような心配りをし苦労されたか、お聞かせ願います。
 また、環境、ひと、情報の三つの視点に留意したプロジェクトの芽だしのところを具体的に教えていただきたいと思います。
 地方分権の推進や介護保険制度の円滑な施行に向けた取り組みについて、あわせてお伺いいたします。

〇千葉副知事 平成12年度当初予算編成において配慮した点でございますけれども、第1には、中期財政見通しを踏まえた中長期的な財政運営や健全性の確保に配意したところでございます。第2には、岩手県総合計画に掲げた施策を初め、重要な政策課題、例えば実行段階を迎えた地方分権への積極的な対応、費用対効果の分析等による優先度を踏まえた公共事業の重点化、こういった政策課題の着実な推進にも配意したところでございます。
 また、予算編成に当たりましては、歳入面では、県債発行を極力抑制したところでございます。また、未利用地の売却など、より積極的な財源確保策、あるいは財政調整基金や県債管理基金の適切な残高確保とその有効活用に配意したところでございます。
 また、歳出面では、事務事業評価等の評価手法に基づきまして、徹底した歳出の合理化、効率化、緊急度、優先度により事業を厳選、公共事業については、投資効果の早期発現、あるいは継続事業の大幅な進捗を図るなど、こういったものの重点化について努めたところでございます。
 次に、環境、ひと、情報の視点に留意したプロジェクト等の芽だしについてでございますけれども、まず、芽だしとしての主な新規事業でございますが、環境の関係につきましては、いわてゼロ・エミッション推進事業、あるいは地熱ヒートポンプ実証調査費、環境会計導入基礎調査事業など、地球温暖化防止等、自然と共生し循環を基調とする社会の構築を目指しまして、130事業、約289億円を措置しているところでございます。
 次に、ひとの関係でございますけれども、少子化対策事業、岩手県立大学大学院整備費、ボランティア活動等支援事業、いわて地元学推進事業など、少子化・高齢化等に対応した環境づくりや個性を尊重し創造性をはぐくむ教育の推進に91事業、22億円を充てております。
 また、情報につきましては、いわて情報ハイウェイ推進費、情報産業活性化産学共同研究事業、地域間連携情報化推進費など、ネットワークの広がりや交流・連携活発化を目指した情報通信基盤の整備等に52事業、50億円を計上しているところでございます。
 次に、地方分権等の関係でございますけれども、実行段階を迎えました地方分権の推進のため、本県独自の自立的な地域づくりの手段の拡充策といたしまして、市町村総合補助金の創設、地域活性化事業調整費の継続により、総額21億円の事業費で県内市町村や広域連合の取り組みを支援することにいたしております。
 また、介護保険制度の関係でございますが、介護保険サービス基盤等を整備するとともに、家族介護支援対策、介護予防・生活支援事業などを実施するため、介護保険財政安定化基金積立金、介護保険サービス利用者負担助成事業費補助、ホームヘルパー養成研修事業など、28事業に対しまして125億円を措置しているところでございます。

〇瀬川滋委員 次に、県債残高に関連してお伺いします。
 県債残高は年々累増しております。これは、県民生活に不安を与えるものでありますが、国の経済対策に呼応したやむを得ないものでもあります。起債は利息を支払って将来に有益なものを引き継ぐものであります。問題は、時宜を得た投資であるのか、県民の評価に耐えることのできる資産であるかどうかであります。
 県では、県債残高がそれによって形成した社会資本に見合わず、将来の世代に過大な負担をもたらしていないかどうかをはかる尺度として、企業会計方式を取り入れた財務諸表を作成し、その結果を公表するとしています。行政の場合、資産の中には道路等の基盤整備に係るものが多く、単に借金に見合った資産があるということでは足りず、どのような資産があり、どう活用されているかの視点が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 また、公営企業会計等との連結財務諸表作成のスケジュールはどうなっているのでしょうか、公表の時期とあわせてお伺いします。

〇武居総務部長 企業会計方式に関する御質問でございますが、バランスシートの導入につきましては、今、御質問にもございましたように、長期的な財政運営でありますとか、あるいは資産のより有効な活用策の検討に役立てることができるということで、今後の行政運営に対しまして大変有効な手段であるのではないかと考えているところでございます。現在、各県と一緒になりまして研究会を行いながら統一的な基準を定めているのですが、台帳方式における検討ということを中心に、そういった方向で12年度は作業を進めていきたいと考えております。
 具体的に企業会計方式を取り入れた財務諸表という形になりますと、3点ございますが、一つはバランスシートでございます。これは、これまでに蓄積されてきました道路、建物などの社会資本や、一方で、将来の負担となる県債残高などをストックの情報として一覧できる形にしたいと考えてございますが、こういったバランスシートでございます。2点目は、行政コスト計算書というものでございますが、これは、企業会計で申しますと損益計算書に当たるものでございます。行政サービスとそれに対する県民負担についての関係を明らかにするための行政コスト計算書というものをつくりたいと考えております。3点目は、それぞれのこういった資料がより詳細に追っていけるような、主な社会資本の内訳を明らかにする附属明細表というものをあわせて作成したいと考えております。
 これらは、先ほど申し上げましたように、いずれも台帳方式でいろいろと資産の洗い出しを進める中で整備していきたいと考えておりまして、こういったことを行う中で、どのような資産があり、それがどのように活用されているかを含めまして、県の財政状況をより総合的な形で把握し、県民に明らかにしてまいりたいと考えております
 御指摘のございました連結の財務諸表の作成につきましては、このように、当面台帳整備という問題がございますので、まずは、普通会計を対象にしまして、財務諸表の整備のための台帳整備ということを行ってまいりたいと考えておりまして、これを平成12年度に行っていきたいと考えております。13年度は、こういったデータに基づきまして、実際のバランスシート等をつくってまいりたいと考えてございますが、具体的には、これは平成12年度の予算編成に間に合うような形で反映させてまいりたいと考えてございます。
 その次の段階としまして、公営企業会計が連結として出てまいりますので、この普通会計の中でこういったものがうまく示せるような形になりますれば、その後の段階として、公営企業会計における連結を考えていきたいと思っております。いずれ、どういった連結の仕方ができるかについては、平成12年度に普通会計との間で試算を行いながら、実際にそれが行えるかどうかを検討してまいりたいと考えております。
 それから、そういったことで13年度以降、普通会計の財務諸表が完成した以降に、正式には公営企業会計にまいりたいと思いますが、さらに、その次の段階といたしまして、土地開発公社等の地方公社、第三セクター、これは50%以上の出資のものを考えてございますが、こういったものにつきまして、順次準備が整った段階で、特に、公社なり第三セクターの関係につきましては、一方で出資法人等の見直しも行っておりますものですから、そういった状況も踏まえながら、決算の連結を進めてまいりたいと考えております。

〇瀬川滋委員 4月1日から福祉事業の経理基準も改定されるようでございます。やはり、介護保険等の導入もございまして、どうしても費用対効果という視点も取り入れていこうという考え方のようです。ですから、公営企業会計とか一般会計、バランスシート、こういう考え方が、やはり福祉の分野、福祉事業にも当てはめていくべきとお考えなのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。

〇武居総務部長 福祉の分野につきましては、先ほど3点、バランスシート、行政コスト計算書、附属明細書というお話をさせていただきましたけれども、福祉の場合でございますと、例えば施設面ですと、これはストック情報としてバランスシートに上がってくるんですが、多分に、福祉の場合は行政サービスの提供という部分がかかわってまいりますので、損益計算書に当たる部分も多々関係してくると思います。したがいまして、サービスの提供とそれに伴う県民の負担と申しましょうか、福祉関連に対しまして、県民の負担と申しましても、実際には税金でどう賄われているか、あるいは利用者の料金がどう賄われているのかといった点につきましても、そのような新しい見直しが行われますれば、そういったものも反映させながら、行政コスト計算書等作成の際には、検討の中に盛り込んでまいりたいと考えております。

〇瀬川滋委員 次に、年度末基金残高についてお伺いします。
 中期財政見通しによると、平成12年度末の主要3基金の残高は700億円程度であり、平成17年度末では300億円程度の見通しであります。この6年間の歳入歳出のギャップは400億円前後で推移するようでありますが、財政健全化努力による解消分は、おおむね歳出規模の2%が限界のようであります。その結果、基金取り崩し等の財源調整による解消分は、毎年度200億円前後必要になります。このままですと、総合計画が終了するころには基金が底をつくと思いますが、どうなのでしょうか。
 また、事務事業評価システムによる廃止・縮減の件数、事業費はどの程度と見込まれるのでしょうか。基金取り崩し以外の財源調整を教えていただきたいと思います。そして、ここに無理が生じることはないでしょうか、あわせてお伺いいたします。

〇武居総務部長 中期財政見通しとの関係で基金残高のお尋ねでございましたが、中期財政見通しにおける基金につきましては、毎年度の歳入歳出ギャップの解消に要する財源の一部として活用するとともに、新たな財政健全化目標として、総合計画、特に18年度以降の後期計画の円滑な推進のために、必要な額を確保するということも考慮に入れながら対応しているところでございます。
 当然のことながら、これは見通しでございますので、その年度年度で財源に余剰が生じた場合は基金に積み増しをする、それから、若干予定よりも基金を必要とする場合は取り崩しをするということでございますが、当面、平成17年度末の段階では、約300億円を確保したいと考えているところでございます。
 特に、平成22年度との関係で底をつくのではないかというお尋ねでございましたけれども、私ども、平成17年度末で300億円程度の確保という試算をした背景といたしましては、財政調整基金というのが、現在の水準で50億円ほどございます。それで、平均しますと50億円という形になるんです。それから、県債の管理基金というのは、交付税措置等がずっとありまして、事前に、過去交付税措置されたもの等、あるいは財源の余剰の出たもの等を積み増ししてきているんですが、現在の理論計算でまいりますと、これは交付税措置分でございますけれども、平成18年度以降にほぼ50億円ほどあれば、計算上は対応できるのではないかという部分がございます。
 それから、公共施設等整備基金につきましては、これは東北6県の平均等も考慮に入れながら、合わせまして300億円という予定を立てたわけでございますが、当然のことながら、これは毎年度の財政状況でございますとか、後年度の財政需要を勘案しまして、その年度年度で適切に対応していくということもございますので、これにつきましては、平成18年度以降のことも見通しながら、健全な財政運営に資するように心がけてまいりたいと考えてございます。
 それから、事務事業評価システムによる廃止・縮減の関係でございますけれども、平成9年度から実施してきております事務事業評価でございますが、平成11年度は3年目ということでございまして、その11年度の結果といたしましては、廃止が65件で、事業費といたしましては9億3、200万円、縮減が128件で15億3、600万円ということで、合わせまして193件、24億6、800万円となっているところでございます。
 基金残高等との関連で、基金の取り崩し以外の財源調整につきまして御質問ございましたが、財源調整につきましては、主要3基金の活用のほかに、国庫補助金の有効活用、交付税措置のある起債の有効活用などで確保する見込みでございます。
 それから、これにあわせまして、県が保有している財産の有効活用でございますとか、今後、各種建設事業がございますが、こういったものの建設時期の調整というものも広い意味での財源調整としてとらえまして、適切に対応してまいりたいと考えております。
 さらに、財政健全化努力とも関連するわけで、これが財源調整に入るのか、健全化に入るのか、若干グレーの部分もございますが、地方分権が実行段階を迎えている中で、特に国から地方への税財源の委譲でございますとか、地方交付税率の引き上げ等による地方一般財源の充実強化はぜひとも必要になると考えておりますので、これにつきましては、国に強力に働きかけていきたいと考えております。

〇工藤委員長 瀬川委員の質疑中でありますが、この際、世話人会の申し合わせにより、10分間程度休憩いたします。
 瀬川委員、御了承願います。
   午後3時1分 休 憩
 
   午後3時19分 再 開

〇工藤篤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

〇瀬川滋委員 2点ほどお伺いいたします。
 3基金についてでございますけれども、歳入歳出にギャップがあると、そういう中期財政見通しなわけでございます。そういう中で、確実に措置されるというのは、交付税措置される財政調整基金50億円というお話でございました。それで、余剰金が出なければ当然ほかの基金に回すことはできないと思います。そういう中で一生懸命努力して余力を持たせる、そして貯金もしていくという、そうすることによって健全な財政運営を期することができると。そういう中で、こういう歳入歳出のギャップがはっきりしているときに、無理に財政基金ですか、ほかの、県債管理基金とかそれから公共の、そういうものをできないわけですけれども、財政運営上、それはできなければできない状態でやっていくものなのか、それがまず1点。
 それから、財源調整の中で交付税措置のある起債という話がございました。当然、財政運営をしていくときに優良な起債という話がいつも話題になるわけでございますけれども、その優良な起債というのはどういうものか、どう考えておられるのか、その2点についてお伺いいたします。

〇武居総務部長 まず、健全な財政運営に向けてのギャップに関連した御質問でございますけれども、これは当然のことながら、中長期的な目標の中で、毎年度毎年度の予算編成の中でやりくりしながらということになってまいりますので、ギャップが生じてなおかつそれが埋められないような状況というものは、そういうことがないように毎年度毎年度の財政運営をきっちり行っていきたいと考えております。その際に、先ほどございましたように基金の活用というものなんですが、これは当然のことながら、一般質問等でもお答えした部分と若干ダブるんですけれども、全国的に見まして、今、標準財政規模に占める主要3基金の残高というのは、全国的にも大変上位に位置する形で残させていただいているんですけれども、これは当然のことながら残すためにためているわけではなくて、必要なときにきっちりと使っていくためにためているという部分がございますので、これは先ほど申しましたように、その年度年度の財政状況を見る中で、ほかの財源調整の仕組みと一緒になって適切に活用してまいりたいと考えております。
 それから、今、優良な県債というお尋ねがございましたが、これは一つには、交付税措置がいろいろ制度としてある起債というのはさまざまございまして、道路関係ですと地方特定道路でございますとか、ふるさと農道とか林道でありますとか、そういった国の補助事業の道路と一緒になって地方単独事業でやる道路みたいなものもございますし、あるいは福祉なりそのほかのものについては地域総合整備事業債を活用できるさまざまな事業がございます。そういったものの活用もございますし、ここ一、二年、積極的に活用させていただいているのは公共事業の前倒しということで、特に補正段階で前倒しして積まさせていただいておりますけれども、これは公共事業としての国庫補助事業の裏に補正予算債というものが活用できるんですが、この補正予算債というのは、当初段階では交付税措置がない国庫補助事業の裏に交付税措置が8割とかされると、それで単位費用でも入りますので、基本的には、理論的には全部見られるという形になっているんですけれども、こういったものをここ一、二年は積極的に活用して事業の前倒しを行ってきております。
 今後につきましては、交付税措置がどのようにされていくのかということとも関連してまいりますが、このようなさまざまな県債を積極的に活用してまいりたいと考えております。
 それから、これと関連する形なんですが、これは本来県債で措置される分ではないんですが、減税に対応するところの減税補てん債とかそういったものがあるわけなんですが、これは実は本来は税率の引き下げに伴う分でございますので、他の財源を探してくるとか交付税率を引き上げるとか、そういったことで対応すべき部分を当面は起債で対応して、将来、交付税なり税率の引き上げで対応するという部分のものがございます。これも相当部分、実は県債残高の中に入っておりますものですから、これにつきましては優良な県債の活用というよりも、どちらかというと財源補てん対策の意味合いはございますけれども、そういったものもあわせまして、適正な県債の管理をする中で適切な財政運営に努めてまいりたいと考えております。

〇瀬川滋委員 次に、地方分権と外形標準課税の導入についてお伺いいたします。
 東京都の石原知事が打ち出した大手銀行への外形標準課税の導入は、さまざまな波紋を広げているようであります。石原知事は施政方針演述で、我が国が果たすべき大きな改革の一つは、地方自治体が自立し、みずからの責任と財源で主体的に施策を展開する仕組みを確立することだ。そのためには、それぞれの自治体が地域の実情に応じて、みずからの財源確保に知恵を絞るのは当然と述べております。導入が単なる財源確保ではなく、課税自主権に風穴をあけ、地方自治の確立に向けた一歩と位置づけております。一方、事業税の外形標準課税で地方財政問題が根本的に解決できるのかとの意見もあります。政府は、本格的な分権的税制改革を回避しており、外形標準課税が実施できたとしても、大都市を抱える都府県は一息つくが、多くの道府県は現状維持か少々のマイナスとのことであります。問題の解決を図るためには、効果のない大規模公共事業をやめ、国の基幹税を移譲することであります。具体的には、国の所得税の基礎税率部分を住民税に移しかえ、それに見合う補助金を削ることが、本当の地方分権をつくり出すとの意見もあります。地方分権の実現のためには、外形標準課税のみならず、地方税の一層の拡充が必要と考えますが、どのように考えておられるのかお伺いいたします。

〇武居総務部長 外形標準課税に関連しまして地方税の拡充についての御質問でございますが、これも御案内でございますが、現在、国と地方の歳出規模に対しまして税収の割合というのが、国が歳出の規模では1で地方が2に対しまして、税収につきましてはその逆になっているということで、大変大きな乖離があるわけでございます。そういった現状にかんがみますと、当然のことながら、まずは地方全体の地方税財源の総量をいかにふやしていくかということが最も重要な課題になってくるわけでございまして、その際には、当然のことながら、外形標準課税以外の他の税目の一層の充実というのが必要になってくるわけでございます。特に法人事業税の外形標準課税の問題につきましては、むしろこれのみをもって税収をふやすということよりも、むしろ将来にわたり地方分権時代に、年度年度で不安定な税収になるような形を防ぐ、安定的な税源の確保という意味合いが強うございます。したがいまして、それ以外の税目につきまして、所得消費それから資産の間で国、地方を通じまして、バランスのとれた税制を確保するということが大変重要になってこようかと思います。
 それから、特に私どものような県、財政基盤の弱い県にとりましては、これは税そのものからは若干離れますが、税源の偏在性をある意味では補完する機能としての地方交付税というものが大変重要になってまいりますので、これにつきましても引き続き充実強化につきまして、これは地方税源の一層の拡充とセットで国に対してはお願いしていきたいと考えております。

〇瀬川滋委員 次に、国の財政赤字に対する認識についてお伺いいたします。
 県が幾ら国庫補助制度や交付税措置のある起債等を導入して予算編成をし堅実な行財政運営をしても、国の財政が行き詰まったらどうにもなりません。国際比較には、国と地方の赤字の合計額の国内総生産──GDPに対する比率という物差しが使われるそうであります。日本は1999年度が10.7%、2000年度が9.4%であります。積み重なった債務の残高は今年度末でGDPの1.23倍、来年度末には1.33倍になります。巨額の赤字を克服したとしてよく引き合いに出される米国の場合、最悪だった1992年が6.7であり、残高は一番高いときで0.70倍でした。歴史をさかのぼるには、国債に借入金を加えた国の債務残高で比較いたします。その残高は、今年度末にGDPの1.01倍、来年度末には1.09倍になります。戦前、太平洋戦争が始まって2年目の1942年度が1.05倍でありましたから、それに匹敵する水準になります。単純に比較はできません。しかし、最悪のケースを想定すると、2005年には国と自治体の借金は、隠れ借金と補正予算まで入れると1、000兆円に迫る可能性があるとの意見もあります。これでは、景気が回復しても年々の国債発行高はほとんど減らず、残高はふえるばかりであります。GDP、1999年度が496兆3、000億円なそうです。その2倍以上にもなる借金を処理するには、大幅な増税か超インフレしかないとの見方が専らであります。国の財政赤字に対して、どのように考えておられるのかお伺いいたします。

〇武居総務部長 国の財政赤字に対する認識でございますが、これにつきましては、政府の財政構造改革を進めるに当たっての基本的な考え方、これは閣議報告されてございますし、また、その少し前ですが、1月28日には大蔵大臣の財政演説というものが国会で行われておりますけれども、こういった中でも、我が国財政につきましては危機的な状況になっているという表現が使われておりまして、非常に財政に関しては厳しい認識というのを私どもも持っているところでございます。
 特に国と地方につきましては、公経済の車の両輪ということでございますので、国の財政運営というものが地方財政にも深くかかわってくるということでございますので、こういった中で、これからの我が国のかじ取りをどうしていくかということになるわけでございますが、これは国の方の財政運営の中でのいろいろな方針でも触れられておりますけれども、当面、景気回復に向けてどのような最善の策を打つのかということが当面の最大の課題であるということで、昨年の秋以降、経済新生対策等に基づきまして、さまざまな補正の対策、それから平成12年度の当初の予算に向けての対策等が打たれてきているところでございますので、我々地方としても精いっぱい、そういう中で財政環境を明るいものにするために国と一緒になりながら頑張っていく、そういう中での岩手県としての対策を講じてまいりたいと考えております。

〇瀬川滋委員 一つだけ総務部長にお伺いいたします。
 1、000兆円に近い可能性のある借金、この裏づけ、例えば個人の金融資産が1、200兆円あるとか、そういうものがこういう借金を膨張させるような裏づけになっているとお考えですか、その辺をお伺いいたします。

〇武居総務部長 これは専ら国の財政運営に係ることなものですから、私自身どのようなことでそういった国の財政が運営されているのかというのははかり知れない部分がございますが、ここ数年の財政運営の状況というものを私なりに地方の立場から見ておりますと、まずは景気回復を最優先させるために何をやらなければならないのかということで、このような対策になってきたように感じておりますが、景気回復が図られていく中で、いかに我が国の姿がその後に続いてくるかということは、私ども自身の課題でもあるというふうに感じているところでございます。しかし、いろいろの解説なり経済対策に関する記事等を見ますと、やはり財政構造改革なり21世紀の我が国のあるべき姿に向けてのさまざまな改革が一緒になされて、初めてこういったものが効果を上げてくるという論調が非常に多ございますので、単にお金をつぎ込んで景気刺激策を打つということだけで経済再生が生まれてくるということにはならないのではないかと私自身はちょっと感じているところでございますので、そういった中で、これからのいわゆる財政赤字に対する推進力というのをどうつけていくかということは、十分に国においても国政の場においても御議論いただきたいと考えております。

〇瀬川滋委員 次に、容器包装リサイクル法の施行についてお伺いいたします。
 本県において、ゼロ・エミッションを推進するため、セミナーの開催、ごみ減量化、リサイクルマニュアルの作成等を行う、いわてゼロ・エミッション推進事業費として2、300万円余が計上されております。限られた資源を有効に使い、循環型社会を築くために積極的な取り組みをお願いいたします。
 私たちが子供のころは、ビール、飲料水等大部分が瓶でありました。空瓶はすべてメーカーに回収されたものです。経済の高度成長とともに、商品はファッション性や利便性を求められるようになり、その結果、廃棄物の処理に頭を悩ますことになりました。家庭ごみの容量比で6割弱、重量比で2、3割を占めるのが瓶、缶、箱、袋、包装紙といった容器包装廃棄物です。
 平成7年に制定された容器包装リサイクル法が、平成9年度からガラス瓶やペットボトル等を対象に実施されてきましたが、ことし4月からは完全実施されます。この法律は、今後ますます消費者、事業者の身近に関係するわけであります。私たちは、ガラス瓶やペットボトル等の分別にはなれてまいりましたが、完全実施に戸惑いを禁じ得ません。その内容を教えていただきます。
 県として、完全実施への準備は万全なのでしょうか。また、このリサイクルの仕組みにどうかかわるのでしょうか、お伺いいたします。あわせて、市町村の分別収集の実施状況と、今後5年間の収集計画の取り組みはどのようになっているのかお伺いします。

〇千葉副知事 この4月から分別収集の対象が7品目から10品目に拡大されるわけですけれども、これについての準備を県としても進めているところでございます。ただ、準備を進めるに当たりまして、いろいろな課題があるわけでございます。
 一つは、日常生活で使用します容器包装が多様化して量も増大してきております。したがって、分別収集に設備や要員を必要とするなど、市町村の財政負担がかなり重くなってきているということでございます。それから、容器包装の機能性を高めるために、容器包装の中にプラスチックやアルミニウムなどの素材が複合されていることや、識別表示がなく分別が困難だというような、こういった課題を抱えているところでございます。したがいまして、県といたしましては、国に対し、容器包装廃棄物の分別収集を促進するための支援制度の拡充強化を要望していくことにしております。また、県におきましては、分別収集をより一層促進するために、紙製容器の包装、プラスチック製容器包装など、容器包装廃棄物のモデル事業を実施するなどして準備を促進しているところでございます。
 また、リサイクルへの仕組みのかかわりでございますけれども、全世帯へごみの減量化・再生利用マニュアルで識別表示マークなどを紹介することにしております。また、リサイクル推進モデル事業や花巻市の集団回収システムの紹介などを通じまして市町村の分別収集を促進するほか、愛ランドいわてなどの関係団体と連携をいたしまして、実践活動や普及啓発に取り組むことにいたしております。
 市町村の実施状況でございますけれども、現在、全市町村が分別収集計画を策定しておりまして、平成10年度の取り組み市町村の実施率は、紙パックを除く6品目で全国平均を上回っているところでございます。平成16年度には、10品目を分別収集する市町村は15市町村でございまして、9品目は同じく15市町村、8品目は13市町村、7品目は6市町村となっているところでございます。

〇瀬川滋委員 次に、保健福祉行政についてお伺いします。
 県民が健やかに安心して暮らすことができる環境整備に御尽力いただき、感謝を申し上げます。
 少子・高齢社会は、経済成長一辺倒の時代から、人と人とのつながりの大切さを教えてくれました。違いを認め、それぞれの個性を尊重し、お互いが助け合う姿であります。ひとにやさしいまちづくり、男女共同参画社会等が具体的な施策として取り上げられ、重要な課題になり、各部局が横断的に対応することが必要になりました。時代の要請に県は、行政改革の一環として、平成9年度に当時の生活福祉部と環境保健部の機構を、生活環境部、保健福祉部に再編いたしました。保健・医療・福祉が一体となり、より充実した行政サービスを県民に提供できたと理解いたしております。再編以来3年を経過したわけでありますが、新しい行政組織をどのように総括しておられるのかお伺いいたします。
 また、保健・医療・福祉は、県民に最も身近な行政サービスだと思います。介護保険制度も始まり、地方振興局の一層の充実が求められると思いますがいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。

〇千葉副知事 保健と福祉部門の組織再編を行いまして3年経過したわけでございます。これによりまして、知的障害、身体障害、精神障害の3障害を統合した事業の展開のほかに、老人福祉と老人保健サービス、児童福祉と母子保健サービスの連携が密になるなど、組織の再編によりまして保健医療・福祉施策の総合的な推進が図られていると認識しているところでございます。また、地方振興局におきましては、必要に応じまして生活保護世帯の訪問調査に、ケースワーカーだけではなくて保健婦が同行しているほか、社会福祉施設の指導監査に、栄養士や食品衛生監視員が同行いたしまして、給食業務を含めた運営全般の指導を実施しているなど、保健医療・福祉の連携による一体的かつ適切な指導がなされていると受けとめております。
 このように、再編後の組織は保健医療と福祉の連携が図られ、おおむね再編の効果があらわれてきているものと考えているところでございますが、新たな課題等への対応も視野に入れながら、随時、組織等の検証を行い、改善すべきは改善しながら、県民サービスの向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地方振興局の関係でございますけれども、地方振興局の保健福祉環境部と保健所につきましては、社会福祉法人の指導、介護サービスの広域対応、健康危機管理等、地域における保健医療・福祉施策推進の拠点として、より一層、その機能の充実を図っていく必要があると考えております。このため、地方振興局が市町村との連携協力のもとに、自主的に地域にかかわる施策を企画、推進できるよう、その自己完結性を高め機能強化を図るという考えから、平成11年度においては大幅な権限委譲、44件でございますけれども、これを行うとともに、これに伴い振興局の職員の配置定数を17人増加したところでございます。
 今後におきましても、組織等の充実を図るとともに、新進気鋭の職員を重点的に配置するなど、一層の機能強化に努めてまいりたいと考えます。

〇瀬川滋委員 地方振興局の充実、本当にそういう御努力をしていただきましてありがとうございます。
 私、感想なんですけれども、実は花巻でも社会福祉法人の不祥事がございました。そういう中で、振興局に監査の権限も委譲されて、去年でしたか、初めて社会福祉法人の監査を地方振興局の方が来て行ったわけです。そのときに、まだなれないなという感じを持ちました。それまで、県庁のスペシャリストの方が来て監査をしてくれたわけでございますけれども、その辺、資質の向上と、資質の向上のためにも人的余裕、そういうものも与えてやらなければ職員がかわいそうだと思いますので、ひとつ一層の充実をよろしくお願いする次第でございます。
 次に、花巻空港に関連してお伺いします。
 平成12年度は、花巻空港滑走路の2、500メートル延長整備のための用地取得及びターミナル地域等の用地造成工事を実施する予定であり、空港整備費44億600万円余が計上されております。平成16年度の完成を目指し、御努力をしていることに心より感謝を申し上げます。
 空港利用につきましては、岩手県、地元花巻の空港利用促進協議会が中心となり、御尽力をいただいております。
 このような折、平成12年4月19日から5月13日の間に、花巻空港を利用した台湾からの国際チャーター便が計7便運航されるとのことであります。海外からの国際チャーター便が花巻空港に乗り入れるのは今回が初めてのケースとなり、空港利用に弾みがつくものと御同慶にたえません。
 そこでお伺いいたします。海外からの国際チャーター便を拡大していくためには、CIQ体制の充実強化が不可欠であります。しかしながら、今のターミナルビルでは、CIQ体制を充実するには狭隘であると聞いております。新ターミナルビル整備基本構想にCIQ施設の整備が盛り込まれるのでしょうか、お伺いします。
 台湾からのチャーター便が花巻空港に直接乗り入れたことは、大変意義のあることだと思います。台湾で今でも尊敬されている後藤新平、新渡戸稲造先生を生んだ岩手県との交流と相互理解が進むと思います。アジア地域との交流、とりわけ隣国との友好を御期待申し上げます。
 商工労働観光部では、韓国へ観光ミッションを派遣して誘客に御努力されているようですが、その感触と今後の取り組みについてお伺いいたします。

〇千葉副知事 まず、CIQ体制についてでございますけれども、花巻空港の拡張整備におきましては、ターミナル地域を東側に移転いたしまして、あわせてターミナルビルを新築することといたしております。整備に当たりましては、昨年6月に策定いたしました花巻空港臨空都市構想に基づきまして、空港として導入すべき機能、施設計画、経営の基本的方向等について有識者からなる懇話会で検討するとともに、インターネット等を利用して広く県民から意見を聞き、平成12年10月ごろを目途に、新ターミナルビル整備基本構想を策定するということにいたしております。
 CIQ施設でございますけれども、現在のCIQ施設の面積は、国内線との供用部分も含めて1、300平米程度でございまして、非常に手狭な状況にございます。したがって、今回の空港拡張整備は、大型機に対応した国際チャーター便の運航拡充を目的の一つとしておりますので、CIQ施設につきましても待合室や審査スペースを十分に確保するなど、旅客の利便性を考慮し、整備基本構想を策定してまいりたいと考えております。
 それから、韓国への観光ミッションでございますけれども、韓国への観光ミッションの派遣は、1月23日から26日までの4日間にわたりまして、北東北3県のホテル、旅館、交通運輸などの観光産業関係者と行政関係者、総勢24名が参加いたしまして、観光説明会や韓国側旅行代理店との商談会を行ったほか、韓国の観光関係団体や大手旅行代理店を訪問いたしまして、北東北の魅力をアピールしてきたところでございます。
 韓国の旅行代理店や観光関係団体の話を総合しますと、首都圏や九州圏と比較しますと、北東北、特に岩手、秋田の知名度は韓国ではまだまだ低い状況にあり、今後、息の長い地道なPR活動が必要だと受けとめたところでございます。しかし、現地で開催しました北東北観光説明会には、韓国の旅行代理店関係者が130名以上も出席いたしまして、地元観光関係者からは、この種のミッションとしてはかつてないほどの参加者が集まったという評価を得たところでございます。北東北の知名度は低いものの、逆に新しい市場として注目されている証拠ではないかと受けとめているところでございます。
 韓国経済は、一時期の危機を完全に乗り越えまして、旅行業界も以前の活況を取り戻しつつあるという状況のようでございます。韓国は、今後、外国人観光客誘致の主要なターゲットになるものと期待しているところでございます。今後も、韓国語併記の観光案内板等の設置や観光従事者の接遇研修など、受け入れ体制の整備に努めるとともに、韓国の旅行代理店やマスコミ関係者の招待、さらには韓国語のホームページの開設による情報発信など、積極的な誘客活動をしてまいりたいと考えております。

〇瀬川滋委員 次に、いわて情報ハイウェイ基本計画についてお伺いします。
 医療、教育、防災など、県内どこでも質の高い公共サービスが受けられる通信環境基盤としてのいわて情報ハイウェイの整備に、いわて情報ハイウェイ推進費6億9、600万円余が計上されております。この基本計画は、平成10年3月に策定したイーハトーブ情報の森構想の一部を構成するものと理解しております。県行政は、県土の均衡ある発展を願い、日夜御努力いたしていると思います。私は、産業基盤の整備、社会資本の整備には、県内90分構想に代表される道路網の整備がありますが、県内くまなく光ファイバーを活用し、情報ハイウェイを構築することが、均衡ある発展の有力な手段になると思っております。県は、科学技術の振興にも力を入れ、地域の活性化を模索いたしております。コンピューターとネットワークを中心とした情報科学技術は高度情報通信社会を実現し、県民が安心して暮らすことのできる社会をつくる原動力として期待されております。県が情報基盤の整備に着手されたことは、県土の均衡ある発展と分権型社会実現への貴重な社会資本になると思います。
 そこでお伺いいたします。いわて情報ハイウェイ基本計画の骨子と特徴をお伺いいたします。また、今後のスケジュールはどうなりますか、お伺いいたします。

〇渡辺企画振興部長 いわて情報ハイウェイ基本計画の骨子と特徴等についてでございますが、いわて情報ハイウェイは、新しい岩手県総合計画で、岩手の未来を拓く先導的プロジェクトとして位置づけられております情報の森づくりを推進していくための基幹的情報通信基盤として構築しようとするものでございまして、その特徴といたしましては数点ございますが、まず一つは、光ファイバー専用回線を利用することによって、通信の安全性や個人情報の保護に配慮するとともに、保健、医療、福祉や教育、防災など、分野別のネットワークの一元化によって、効率性の高いネットワークを形成しようとするものであること。
 二つ目に、音声やデータに加えまして、動画像などいわゆるマルチメディアの通信に対応できる高速で大容量の情報通信ネットワークであること。
 三つ目でございますが、県土をあまねくカバーする総延長約700キロメートルの基幹ネットワークを構築しまして、市内電話料金区域ごとの14カ所にアクセスポイントを設置、県内どこからでも格差なく公共情報あるいは公共サービスが受けられるネットワークであること。
 四つ目でございますが、災害等で通信回線に障害が発生した場合に、代替可能な通信経路を確保できる、いわゆる8の字ループ状のネットワークであること等々が特徴となってございます。
 次に、これの今後のスケジュールでございますが、県内の各地方振興局ごとに設置するアクセスポイントを結ぶいわて情報ハイウェイの基幹ネットワーク部分、これにつきましては既に今年度から整備に着手したところでございまして、また、来年度におきましては、地域の中核的病院や大学、県内59市町村などとの接続を行うことといたしてございます。これの運用につきましては、平成12年度中には基幹ネットワークと県、市町村間のネットワークの利用を開始し、県、市町村間の災害情報システムや行政分野での利用を始めたいと考えてございます。
 また、平成13年度からはその本格的な運用を開始することといたしておりまして、遠隔病理診断支援システムなど医療分野の利用、あるいは県内学校間の交流ネットワークなど、教育分野での利用等々予定してございます。
 今後とも、地域や県民の視点に立って、いわて情報ハイウェイの利用システムの開発を促進しながら、県民生活の利便性の向上あるいは産業の活性化、こういったものを促進してまいりたいと考えてございます。

〇瀬川滋委員 次に、農協問題についてお伺いいたします。
 この件につきましては、決算特別委員会で同僚の田村委員が詳しく質問いたしております。
 農協の合併につきましては、平成2年に県下12農協構想が策定され、現在9地区において広域合併が実現し、残っているのは気仙、二戸、和賀の3地区となっていると伺っております。これらの3地区における農協の合併に向けた取組状況はどうなっているのでしょうか。
 平成10年4月に導入された金融機関に対する早期是正措置により、経営改善計画を提出し、その実行命令を受けている債務超過農協は、みずからの改善に向けた努力はもとより、系統、県、市町村の支援を受けることとされておりますが、これら支援対象農協は債務超過の解消に向けて、経営改善に取り組んでいるのかお伺いいたします。

〇千葉副知事 広域合併が実現しておらない気仙、二戸、和賀の3地区の合併の取組状況でございますけれども、気仙地区の合併取組状況は、債務超過農協であります住田農協と隣接する農協との間で合併に向けた話し合いが始まったところでございます。それから、二戸地区の合併の関係でございますが、二戸地区につきましては農協間の財務状況に差があるところから、とりあえず北部と南部に分かれて合併することといたしまして、両地区においてそれぞれ合併に向けた協議が進められております。
 ちなみに、北部の方は二戸市、九戸村、軽米町の3農協で、平成13年3月の合併を目標にしております。平成11年7月に合併推進協議会が設立されております。それから、南部の方でございますが、これは一戸町、小鳥谷、奥中山、岩手新浄の4農協でございまして、平成13年4月の合併が目標でございます。平成12年3月31日に、合併推進協議会設立の予定でございます。
 なお、ことしの3月1日には、二戸南部地区の一戸農協と姉帯農協の合併が実現しているところでございます。
 それから、和賀地区の合併の状況でございますが、和賀地区につきましては、現在のところ、合併に向けた具体的な取り組みがございません。北上市、地方振興局あるいは農協中央会が連携を図りながら、合併機運の醸成に努めているところでございます。
 それから、債務超過農協の関係でございますけれども、債務超過農協におきましては、債務超過状態からの脱却を目指しまして、平成10年度から12年度までの3カ年を期間といたしまして、拠出金、報酬カット等の役員責任あるいは組合員からの出資造成、人件費の削減も含めた事業管理費の削減や遊休資産等の処分による自助努力、事業利益の確保、この四つを柱とする経営改善計画を策定いたしまして、これまで組合員あるいは役職員が一体となって計画の達成に向けて取り組んでいるところでございます。
 本年1月末現在では、債務超過額のうち、自己努力により解消する13億3、000万円の計画額に対しまして67%の約8億9、000万円の実績となっておりまして、おおむね計画どおりの経営改善が進んでいると考えております。

〇瀬川滋委員 次に、生涯スポーツの振興についてお伺いいたします。
 ことしはシドニーオリンピックが開催されます。オリンピックへの出場権をかけて、各種目で熱い戦いが繰り広げられております。選手の皆さんの健闘をお祈りいたします。
 スポーツは、競技スポーツはもちろんのこと、健康志向から、生涯楽しんで続けたいという人々にとっても魅力的なものであります。現在、学校に在学している間は、クラブ活動でスポーツに参加する機会が多くあります。スポーツは、学校教育の中に依存していると思います。しかしながら、少子化の影響で生徒が減少し、学校の中で参加できる種目が限られてまいりました。また、平成14年度からは学校の完全週5日制が始まります。学校体育・スポーツだけでは、競技力を向上させるのには限界があるように思います。まして、社会人になると、親しんだスポーツから離れてしまう場合が多く、残念なことだと思います。学校週5日制の完全実施は、今以上に地域の教育力が求められてくると思います。生涯スポーツの推進と地域の活性化を考えたとき、私は地域スポーツクラブの普及推進が重要になってくると思います。これからのスポーツ振興にどのように取り組んでいくのか、地域スポーツクラブ普及推進事業費の内容とあわせてお伺いいたします。

〇千葉副知事 スポーツの振興についての取り組みでございますけれども、まず、学校におきましては、近年、少子化の傾向によりましてチーム編成ができないという、そういう状況が出てきております。そのため、当面、中学校においては、近隣の学校と合同でチーム編成をいたしまして大会出場ができるようにするなど、その対策の検討を行っているところでございます。
 また、競技スポーツの面からでございますけれども、競技力の向上は、高校生などの運動部の活動が重要でございます。また、引き続きスポーツに親しむようにするためには、やはり競技団体あるいは地域等の協力が必要であるという観点に立っております。
 それから、地域における教育力の向上や地域活性化を図るためには、子供から高齢者まで世代を越えて楽しむことができる多種目型スポーツクラブを育成しまして、世代間交流による地域の人間関係や連帯感、教育力を高めることが必要でございまして、地域スポーツクラブ普及推進事業を計画しているところでございます。
 この地域スポーツクラブ普及推進事業の目的でございますけれども、地域住民の主体的、継続的スポーツ活動を実現いたしまして、コミュニティーの形成を図る多種目、多世代型の地域スポーツクラブを県内各地に普及することによりまして、県民のスポーツの生活化を図り、あるいは地域の教育力を高めるとともに、地域の活性化を図ることを目的とするものでございます。
 事業内容でございますけれども、市町村が地域スポーツセンターなどの体育施設を中心に、複数種目のスポーツができる地域スポーツクラブを育成するために、有資格指導者の養成、配置等の事業を実施した場合に、その一部を補助することにしております。おおむね、広域生活圏ごとに1市町村程度といたしまして、1市町村当たりの補助期間を3年とするという内容になっているものでございます。

〇瀬川滋委員 次に、病院の統合についてお伺いいたします。
 厳しい財政状況が続く中で、自治体病院といえども、効率的で高度かつ良質な医療を提供していかなければならない時代になりました。昨年の9月議会医療局決算審査でも質問いたしましたが、県立釜石病院と釜石市民病院の統合でございます。医療局長の御答弁では、釜石市とも協議を重ね前向きに検討したいとのことでございました。国としても、病院事業については広域的な機能分担と連携をさらに推進するため、経営主体の異なる自治体病院において、病院の再編を伴う広域的連携等により、新たに必要となる設備の整備について一般会計出資債による措置を講じることとしております。国も積極的に後押しをしているように思えるのですが、統合への取り組みと進捗状況をお伺いいたします。

〇千葉副知事 昨年12月に策定いたしました岩手県保健福祉計画の中の釜石地域保健医療計画におきましては、釜石地域においては既存病床数が必要病床数を大きく上回っているほか、人口が引き続き減少することが見込まれます。したがって、圏域内の効率的な医療供給体制のあり方を見直すことといたしまして、釜石市内における公的病院の機能のあり方につきましては、まず釜石地区における検討が必要であるとの方向を示したところでございます。これを受けまして、昨年の12月でございますけれども、釜石市長と県の医療局長、釜石地方振興局長が話し合いを行った結果、釜石振興局が仲立ちとなって、事務レベルでの情報交換の場を持つことといたしまして、3月3日に釜石市民病院、県立釜石病院の事務局長と釜石地方振興局の職員による意見交換を行いまして、引き続き情報交換を重ねていくことにしているところでございます。
 今後とも、釜石地区の医療供給体制の望ましい方向につきまして幅広く論議いたしまして、地域の合意形成を図っていくべきものと考えております。

〇瀬川滋委員 次に、交通安全対策についてお伺いいたします。
 このところ、交通死亡事故のニュースが頻繁に報道されております。ことし1月、2月に、交通事故で亡くなられた方は既に22名になるそうです。この数字は、昨年同月の倍以上という最悪の状況にあるようです。ことしは雪が少なく、比較的温暖であるため、スピードの出し過ぎと、たまたま凍結したところに気づかずに走行したのが事故原因の大部分とのことであります。交通事故は一瞬のうちに発生し、余りにも痛ましい事態を引き起こします。交通事故防止には、警察官初め交通指導員の皆様に御尽力をいただき、感謝をいたしております。
 交通安全対策で県民の要望が強いのは、信号機の設置であります。平成12年度歳入の交通安全対策特別交付金は、残念ながら2.3%の減少となっております。まず、この理由をお伺いいたします。
 交通安全施設整備費16億7、900万円余のうち、交通信号機の設置に4億1、700万円余が計上されておりますが、これは、今年度何基設置できるのか教えていただきます。また、交通信号機設置の予算は、交通安全対策特別交付金と連動するのでしょうか。設置の要望をどのように積み上げて予算化するのでしょうか。県単独で予算にこたえることができないでしょうか、お伺いいたします。また、交通死亡事故の多発にどのように対処されるのかお伺いいたします。

〇武居総務部長 まず、交通安全対策特別交付金の減少の理由でございますが、これは御案内のように交通反則金収入を原資といたしまして、地方公共団体が単独事業として行う道路交通安全施設の設置及び管理に要する費用に充てるため、都道府県、市町村に交付されるものでございますが、交付金の額の算定につきましては三つの指標がございますけれども、一つは、それぞれの地方公共団体の区域内における過去2カ年間の交通事故発生件数の平均値、これ人身事故でございますが、その平均値、これが一つの要件でございまして、2点目は、最近の国勢調査による人口集中地区の人口、3点目は、建設省道路施設現況調査による改良済み道路延長の三つの基準で行うこととされているところでございます。
 12年度の交付金の額につきましては、大きく二つの要因があって減少になっているわけでございますが、一つは、全国全体の額についてでございますが、全国枠がマイナスの0.9%ということで、全体として減ったということが一つの要因としてございます。
 それから2点目は、算定の一つの指標になっております過去2カ年間の交通事故の発生件数が、全国では10年度が2.9%、11年度5.7%とそれぞれ増加しておりますが、本県の場合は10年度がマイナスの0.5%、11年度がマイナスの0.8%とそれぞれ減少しておりまして、そういった結果、前年度に比較しまして2.3%の減少となっているものでございます。

〇千葉副知事 交通信号機設置の予算の関係でございますけれども、設置予算は4億1、700万円余措置しているわけでございますが、これは交通信号機の新設のほかに、老朽化が著しく耐用年数が経過している灯器の取りかえ等も入っております。したがいまして、交通信号機の新設は40基となっているところでございます。
 それから、交通信号機の設置予算と特別交付金の関係でございますけれども、これは特に連動しているものではございません。
 それから、要望の積み上げ等の関係でございますけれども、この交通信号機の設置事業は県単独事業でございまして、いろいろ交通規制対策協議会というものを設置いたしまして、住民あるいは市町村関係者、運輸関係者、学校関係者等でこの協議会を組織しているわけでございますけれども、この対策協議会で内容を検討しているものでございます。交通信号機を設置する場合は、道路構造や交通の流れや量の実態、学校、病院等の周辺環境、あるいは交通事故発生の危険性等の諸条件を総合的に検討いたしまして、全県的観点から設置の必要性や緊急性等を判断して計画的に整備を進めているものでございまして、必ずしも要求どおり設置されるものではないということでございます。
 それから、交通事故が多発いたしております。これに対する抑止策でございますけれども、県警では交通死亡事故抑制の重点目標として次の対策を講じております。
 一つは、主要幹線道路の対策でございまして、国道など主要幹線道路における交通事故発生の実態に応じた交通指導取り締まり、あるいは街頭監視活動などをやっております。それから、高齢者の死亡事故が多いわけでございますけれども、シルバー交通安全モデル地区の指定、あるいは高齢者宅の家庭を訪問したり、夜光反射材の貼付など、高齢者に対する交通事故防止活動を行っております。また、薄暮時から夜間にかけての交通事故発生件数が多いわけでございまして、この時間にかけてのパトカー、ミニパトによる顕示活動を行っております。また、自治体の交通安全活動に対する支援、提言、これは市町村が実施する交通安全コンクールなどに対して支援、あるいは提言を行っているところでございます。

〇瀬川滋委員 1点だけお伺いしたいと思いますけれども、今、信号機の設置について県単独というお話がございました。それで、いろんな道路状況とかそういうものを勘案して設置されると。ですから、私はそういう基準というのはもちろんあってしかるべきものだと思いますけれども、それ以上に県民の要望というんですか、そういうのが強いように思えてならないんですね、地区等でお話し合いをしますと。そういうものにはやはり県単の事業ということで、県民の税金がもう少し上乗せして要望をかなえてやるということはできないものなのでしょうか、その点をお伺いします。

〇千葉副知事 先ほど申し上げましたとおり、信号機を設置する場合には、さっき挙げました事例は、信号機の設置基準ということで示されているわけでございますけれども、今委員がおっしゃいましたとおり、交通信号機の設置の関係は交通事故を縮小するといいますか、少なくするための基本的な事項でもあるわけでございます。ですから、私も交通規制対策協議会の中で、どういう議論がなされて決められているかということについてはよく承知しておりませんけれども、そういった交通事故が多発していると、そういう背景事情もあるわけでございますので、もうちょっとこれらの設置の基準の関係については、なお検討させていただきたいと思います。

〇瀬川滋委員 よろしくお願いいたします。
 最後になります。児童手当についてお伺いいたします。
 この件につきましては、ただいま国会で児童手当法の一部を改正する法律案が審議中でありますが、平成12年度予算にかかわってきそうなので質問いたします。
 平成12年度地方財政の見通しと予算編成上、留意すべき事柄に次のように書いてあります。
 平成12年6月から支給対象年齢を3歳未満から6歳到達後最初の年度末まで延長見直しが行われる予定であります。
 なお、所得税の年少扶養控除の見直し──現在48万円でございますのが38万円になる──が行われる予定であるということです。この支給対象年齢の延長分にかかる費用負担については云々と書いてあります。少子化対策として児童手当は必要であります。しかし、問題は財源にあります。今の児童手当は、第1子、第2子が5、000円、第3子が1万円であります。このままの金額で6歳まで延長することになります。しかし、所得税の年少扶養控除の見直しが行われることにより、所得によっては負担増になる層が出てくると思いますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
 当初予算では、児童手当支給費2億5、500万円余が計上されております。実施されますと、この金額が幾らふえることになりますか、お伺いいたします。

〇千葉副知事 児童手当の関係でございますけれども、支給対象児童の年齢をこれまでの3歳未満から義務教育就学前まで延長されたものでございます。
 児童手当と年少扶養控除の関係でございますけれども、この関係はそれぞれ目的と役割を持っていまして、一概に比較できない面がございますが、児童を養育する家庭の負担軽減という観点から見た場合、扶養控除は高所得者に対してより効果を有しまして、非課税世帯には適用がないということになります。また、一方児童手当は定額で、高所得者に所得制限があるといった違いがございます。このことから、子供の年齢や所得の高低等によりまして、負担がふえる世帯と減る世帯の両方の場合があるということが考えられるわけでございますけれども、全体として今回の見直しは、少子化対策としての経済支援の重点化を図るものであると理解しております。
 それから、当初予算に計上しております2億5、000万円余のうち1億円余が現行制度分でございまして、残り1億5、000万円余は、制度改正を見込んで計上したものでございます。
 なお、制度改正のうち一部未確定部分につきましては計上していないこともあるわけでございまして、確定され次第、所要の措置を講ずることになります。

〇工藤篤委員長 以上で総括説明に対する代表質疑を終わります。
 これより自由質疑に入ります。自由質疑は、答弁を除き1人10分を限度とし、交渉団体に属していない委員を優先して質疑を認めることになっております。

〇小原宣良委員 社会民主党の小原宣良です。
 初めに、財政問題についてお伺いいたします。
 平成12年度の国の地方財政計画によりますと、地方団体の通常収支不足額は9兆8、700億円となっております。地方財政は平成6年度以降多額の財源不足が続き、特に平成8年度以降は、連続して地方交付税法第6条の3第2項の規定に該当する事態となっております。すなわち、同条は、3年以上連続して地方交付税総額の1割以上の財源不足を生じた場合は、地方財政の制度の改正か交付税率の引き上げをしなければならないとされているものであります。しかし、国は依然として交付税特別会計からの借り入れや財源対策債の発行などによって措置されており、地方公共団体の財源は依然として不安定な状態にあります。
 質問の第1は、県はこうした地方財源不足の現況を踏まえ、国に対して地方交付税率の引き上げなど、財源確保についてどのような要望を行っているでしょうか。地方分権とあわせた税財源のあり方は、今後、議論を深めなければならない課題でありますが、地方交付税法の趣旨から見ても、当然、地方交付税率の引き上げを国に対し強く求めるべきと考えますがいかがでしょうか。
 第2は、地方単独事業についてであります。国では、地方単独事業として約18兆円を見込んでいるようでありますが、本県においてはどのような事業を予定しているでしょうか。
 なお、財源内訳についてもお知らせ願います。
 第3は、県債残高約1兆2、000億円の今後の返済見込みについてであります。県はよく、優良起債、すなわち後年度に地方交付税として国が措置する起債を活用している旨の説明をするのでありますが、県債現在高のうち、国が措置する分はいかほどかお伺いいたします。

〇武居総務部長 まず、財源確保に係る国への要望についてでございますが、交付税につきましては、個々の地方団体が、その財政力に違いがあっても計画的に一定水準の行政運営を行うことを可能にする財源調整の機能、財源保証の機能という二つの目的を持っております。そういった意味で、特にこれから分権時代に入ってまいりますので、その役割というのは大変大きなものがあると考えておりまして、県といたしましても、機会あるごとに関係機関に要望しているところでございます。
 具体的には、これは全国知事会とか北海道東北知事会というものを通じて要望しているところでございますし、また、本県独自にも、毎年度の政府予算要望におきまして、地方分権の着実な推進を図るための地方税財源の充実等の中で交付税につきましても要望を行っているところでございます。
 今後につきましては、実施段階を迎えました地方分権の推進にとって、大変重要な役割を果たす地方交付税率の引き上げ等につきまして、特にこれからは各方面とより一層連携を図りながら、強く要望してまいりたいと考えております。
 それから、続きまして地方単独事業につきましての御質問でございますが、平成12年度の当初予算におきましては、御案内のように、平成11年6月現計予算に比べまして5.8%増の1、168億円余の予算措置をしてございます。この内訳でございますが、その主なものは、金額の大きな方からまいりますと、これは継続事業でございますが、一番大きなものは、現下の最重要課題の一つでございますが、東北新幹線建設事業費の負担金でございまして、これが152億円ございます。これが最も大きなものでございます。続きまして、美術館整備事業が60億円、仮称でございますが、環境保健センターの整備事業費が38億円、花巻空港整備が29億円、こういったものがございます。あと、高等学校の整備、これはもろもろ、大規模改造とか老朽化しているものの改築等ございますが、42億円等ございます。それから、新規のものとしましては、分権に対応した市町村総合補助金13億円、こういったものもございまして、合わせまして先ほどの金額になるわけでございます。
 財源内訳としましては、一般財源が450億円、県債が701億円、分担金・負担金が12億円、その他が5億円という内訳になっております。
 県債につきましての、国が交付税で措置する分は幾らかという御質問がございました。これにつきましては、従前から可能な限り元利償還金に交付税措置のある県債を活用することとしているところでございますが、そういった中で、特に最近につきましては、一つは、減税補てん債のように国の税制改正等の制度が変わったことに伴うもの──これは交付税の算入率が100%になります──ですとか、経済対策による補正予算債、あるいは地方の財源不足のための財源対策債、こういったものも、措置の仕方は、例えば公債費方式で8割入れて、残りを単位費用で2割入れて、合わせて10割を見るとか、仕組みは違いますけれども、こういったものも全額国で見られているところでございます。
 こういったもの以外に、ふるさとづくり事業でございますとか、ふるさと農道・林道の整備事業でございますとか、防災関係の緊急防災基盤整備事業といったいろいろなメニューに基づきまして──こういったものは交付税算入率が20%台から50%台のものがございまして、こういったもろもろの積み重ねにつきまして、平成12年度末の県債残高1兆2、000億円につきまして算定いたしますと、約6、000億円が交付税算入されるものと計算しているところでございます。

〇小原宣良委員 後年度で地方交付税で措置されるとは言いながらも、やはり効率的な運用が求められるわけでありますし、特に総務部長は自治省の出身でございますから、ぜひひとつ、地方の実情、状況については折に触れて出身のところにお伝え願えればありがたいと思います。
 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 かつてない厳しい雇用情勢の中、国では、昨年7月の第1次補正予算などにおいて緊急雇用対策がとられてきました。その内容は、民間企業による雇用の創出と迅速な再雇用の推進、国、地方公共団体による臨時応急の雇用、就業機会の創出、人材資源の活性化、雇用保険の改革となっているようであります。
 そこでお伺いいたしますが、これら国の緊急雇用対策を受けて、本県の雇用対策の現状と今後の対応をどうお考えかお伺いいたします。
 なお、緊急地域雇用特別交付金の創設による地方公共団体における臨時応急の雇用、就業機会の創出については、県内市町村の取り組み状況を含めてお知らせを願います。

〇千葉副知事 雇用対策の現状等でございますけれども、雇用対策につきましては、県としてもこれまで経済団体や個別企業に対する求人要請を行ってきたわけでございますけれども、今年度は特に新規高卒者就職面接会の回数をふやしたところでございます。従前は年1回でございましたけれども、ことしは7回行っております。
 また、臨時求人開拓推進員を増員いたしております。平成10年は12名でございましたけれども、平成11年は19名に増加しております。
 また、求人確保に向けたそういった施策を展開しているほかに、雇用の維持・安定対策といたしまして、事業活動の縮小を余儀なくされ、休業、出向等を行った事業主に対しましては、雇用調整助成金制度の活用によりまして失業の予防を図っているところでございます。
 また、国が昨年6月に決定いたしました緊急雇用対策を受けまして、本県では、労働者の出向や再就職あっせんにより受け入れた事業主に対しまして、賃金等の一部を助成いたします人材移動特別助成金の活用による失業なき労働移動の推進や、特に再就職の厳しい中高年離職者のうち、非自発的な離職者に対する緊急中高年離職者再就職促進訓練事業を実施して、職業訓練に努めております。
 また、臨時応急の措置でございます緊急地域雇用特別基金事業などの施策を講じまして、さらなる雇用の確保に努力しているところでございます。
 今後の対策でございますけれども、今後とも、国の施策と相まってきめ細かな事業を展開するほか、中長期的には、新規事業の創出や企業誘致にも取り組みまして、雇用の機会の拡大に努めてまいりたいと考えております。
 それから、緊急地域雇用特別交付金の関係でございますけれども、県事業では、24事業で実雇用予定者を1、000人強見込んでおります。また、市町村事業では169事業で実雇用予定者を1、700人強見込んでいるところでございます。
 なお、主な県事業といたしましては、西暦2000年問題対応相談員の配置、県内事業所の採用意向調査、学校への非常勤講師の配置などでありまして、市町村の事業の主なものは、地域情報システムのデータベース化、あるいは公有林の除伐、枝打ち、下刈り等が入っております。

〇小原宣良委員 ぜひ、有効なものになるようにお願いいたします。
 次に、環境問題について一括してお伺いいたします。
 県は、昨年9月に環境首都いわてを目指すとした環境基本計画を策定いたしました。この基本計画は、すべての県民の参加、連携と協力による環境との共生、環境への負荷の少ない循環型地域社会の形成、そして、地球環境の保全に貢献する地域からの行動を施策の基本として策定したと、巻頭言において知事は述べております。まさに21世紀は地域の世紀と環境の世紀と言われており、先見性に富んだ基本計画であり、高く評価いたします。
 さて、問題は具体的な行動計画に基づく実践であります。以下、お伺いをいたします。
 質問の第1は、この基本計画推進に当たっての部局間の連携についてであります。この計画は県行政のすべての分野にかかわりますし、各部局の一体的な取り組みなしにその効果を期待することはできません。各部局間の連携はとれているでしょうか。あわせて、市町村との連携についてどうお考えかお伺いいたします。
 質問の第2は、環境に係る監視・観測体制の強化についてであります。県が設置を予定している環境保健センターのダイオキシンなどの有害化学物質等の検査、分析機能はどのようなレベルのものでしょうか。人材養成、確保とあわせてお知らせ願います。
 質問の第3は、廃棄物のリサイクル事業のあり方についてであります。これまでは環境負荷が重視されてこなかったため、健全な廃棄物産業が育成されてこなかったのではないでしょうか。とりわけ、90年代に入り深刻化した廃棄物処理に当たって、資源循環・環境保全型のリサイクル事業が注目されてきましたが、これらリサイクル業者の現況をどう把握し、支援しているのか、お伺いいたします。

〇千葉副知事 まず、計画の推進に当たっての部局間の連携でございますけれども、環境重視の施策を部局の枠を超えて推進する組織といたしまして、昨年4月に生活環境部内に環境政策室を設置したところでございます。また、総合的な環境施策を推進するために、岩手県環境対策推進連絡会議を設置いたしまして、部局横断的な施策、新規事業等について協議を行っておりまして、環境基本計画の策定に際しましても、全庁的に協議しながら策定したところでございます。
 このようなところから、各部門別計画におきましても、環境基本計画の理念や視点が反映されておりまして、具体的事業の実施に当たりましても、環境マネジメントシステムに基づきまして、環境に配慮した施策が展開されてきているところでございます。
 なお、ゼロ・エミッションや環境会計など、横断的に取り組むべき課題については、個別に研究会を設置して検討することといたしております。
 また、市町村との連携についてでございますけれども、環境基本計画の策定におきまして、2度にわたって県民や市町村の意見を募集したところでございます。また、策定後も県内を6ブロックに分けて説明会を実施してきたところでございます。
 今後とも、市町村とのパートナーシップに基づく環境施策の推進を図るため、市町村の環境基本計画や地球温暖化防止に係る実行計画の策定に対して助言をするほか、県が実施しますいわて環境地元学推進事業などについても、市町村の協力を得ながら推進するなど、市町村との連携強化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、仮称でございますけれども、環境保健センターにダイオキシン類の検査に必要な機器を整備することとしておりまして、現在の公害センターにある機器の分析レベルより100万倍の検出能力を有します高性能のガスクロマトグラフ質量分析計等を整備することといたしております。このことによりまして、ピコグラム単位(1兆分の1)の精度が要求されるダイオキシン類の分析が可能になるものでございます。
 また、人材養成でございますけれども、同センターの完成にあわせまして、ダイオキシンの分析ができる人員を養成するため、来年度から、国の環境研修センターで行われる専門研修に計画的に職員を派遣することといたしているところでございます。
 次に、廃棄物のリサイクルの関係でございますけれども、廃棄物処理法では、再生利用が確実であると都道府県知事が認めた産業廃棄物のみを取り扱う者を産業廃棄物再生利用業者として指定できるわけでございますけれども、本県では、鶏ふんなどから肥料を製造する、あるいは廃油を燃料や石けんの製造原料化などをする11業者を指定しているところでございます。このほかに、産業廃棄物処分の一環といたしまして、およそ100社が産業廃棄物処分業の許可を受けまして、瓦れき類を破砕し、再生路盤材を製造したり、汚泥を堆肥化したり、廃タイヤや鉱滓などをセメントの原料・燃料化にしたり、ガラスや廃プラスチック類を破砕・固定化して再生原料化する、こういった多様なリサイクルが行われているところでございます。
 また、これに対する支援の関係でございますけれども、施設的整備につきましては、県の環境創造資金の融資、あるいは既存の設備資金等の活用を図っているところでございます。
 また、リサイクル事業の促進を目的とするモデル事業に対しましては、例えば、木くずのリサイクル推進事業につきましては、財団法人クリーンいわて事業団に委託しております。あるいは、インターネットの建設副産物情報交換システムにつきましては、財団法人岩手県土木技術振興協会に委託するなど、こういったことで支援をしているところでございます。

〇小原宣良委員 わかりました。ぜひひとつ、また充実強化をお願いしたいと思います。
 次に、介護保険制度についてお伺いいたします。この問題については、これまで多くの議論のあったところでありますが、私からも2点についてお伺いいたします。
 第1点は、介護保険指定事業者についてであります。この介護保険事業者の指定は、県が行うこととなっておりますので、どのような事業者、例えば市町村、社会福祉協議会、農業協同組合、福祉法人などでありますが、どれくらい指定されているでしょうか。まさに、介護保険制度の成否は、これら指定事業者の良質なサービスにかかっていると思いますので、お伺いする次第であります。市町村間で著しく格差が生じることがあってはならないものでありますが、県は、現状をどう見ているでしょうか。
 第2点は、市町村の役割と責任についてであります。市町村は大きく二つの責任を負っていると思います。一つは、保険者として制度運営とケアの質を管理する責任であり、もう一つは、障害者福祉やまちづくりをも含めた地域のケアシステムを整備していく市町村行政としての責任であります。したがって、第1の保険者としての責任にあっては、要介護認定やサービス提供、サービス内容にかかわる利用者からの相談や苦情処理に関する市町村の窓口の設置や相談者の配置なども必要になってくるものと思います。こうした市町村の体制の整備に対して、県はどのように対応しているでしょうか、お伺いいたします。

〇千葉副知事 指定事業者の状況でございますけれども、3月10日現在におきまして、居宅介護支援事業者と居宅サービス事業者として指定した事業者は、医療機関における居宅療養管理指導など指定されたものと見なされたものを除きまして579事業者となっておりまして、申請見込みに対する割合は、申請中のものも含め9割となっているものでございます。
 また、指定事業者の内訳でございますけれども、市町村の社会福祉協議会を含む社会福祉法人が約62%でございます。また、株式会社等の営利法人が約12%、医療法人が約11%、市町村等の地方公共団体が約9%となっております。
 介護サービス基盤につきましては、訪問介護や通所介護など主要なサービスにつきましては、市町村の介護保険事業計画で見込んでいる必要量をおおむね確保できる見通しとなっているところでございますが、不足が見込まれる訪問看護等につきましては、引き続き地域の実情を踏まえながら、関係団体に協力を要請するなど、サービスの空白地域が生じないように努めてまいりたいと考えます。
 次に、市町村の体制整備の関係でございますけれども、要介護認定や介護保険事業計画の策定など、保険者としての市町村における制度の施行に向けた準備体制につきましては、作業項目や作業スケジュールなどを盛り込んだ進行点検表によりまして、定期的に進捗状況を点検いたしまして、準備がおくれている市町村に対しましては、地方振興局を窓口に、個別に支援をしているところでございます。
 また、市町村などにおきまして、介護サービスの利用者からの相談や苦情に対し迅速に対応できる体制を整備するために、本年1月に、県におきまして介護保険相談・苦情解決システム指針を策定いたしまして、その普及に努めているところでございます。
 市町村における高齢者のケアシステムの整備につきましては、これまで県におきまして、県高齢者保健福祉計画に基づきまして、市町村が地域の実情に応じた体制を整備できるよう支援してきたところでございます。
 今後におきましても、市町村が現在介護保険事業計画と一体的な計画として策定を進めております市町村老人保健福祉計画に基づきまして、高齢者の社会参加の促進や介護予防・生活支援、介護サービスなど、地域における総合的な保健福祉サービスの提供体制が整備されるよう、県として積極的に市町村を支援してまいりたいと考えております。

〇小原宣良委員 ただいまの説明ですと、市町村の社会福祉協議会が62%ということで一番多くを占めているわけですね。営利法人あるいは医療法人もございますが、市町村が9%という部分は、私は実に少ないのではないかと思うんです。この介護保険制度、やはり公的に介護保険というものが実施されていくということでございますので、そういう点で再度お伺いいたしますが、指定された事業者の事業形態別の数は今お伺いいたしましたけれども、どうも受けているサービスについていろいろ問題があるという指摘など、サービスに不足があるなどの苦情があった場合、指定した県の指導面における責任というものはどうなっていくでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

〇千葉副知事 いずれにしましても、市町村が介護保険事業計画に基づきまして必要なサービスを確保できるよう、県といたしましては、山村僻地などでの訪問介護養成事業の実施や、訪問介護のサテライトの設置促進のほか、事業者団体を育成し、さらには介護サービスの不足が生じたときに、市町村が相談できるような仕組みづくり、広域的な利用の促進などによりまして、市町村を支援し、介護サービスの確保を図ってまいりたいと考えております。

〇小原宣良委員 次に、本県物流の活発化と施設の整備、機能の強化についてお伺いいたします。
 国内流通あるいは海外流通に対応した流通拠点の整備は、本県経済の活性化にとって極めて重要な課題であります。同時に、県内においても、内陸部と沿岸部との連携強化という点からも重要であります。県内内陸部にあっては、企業群の活発な経済活動に伴う流通拠点の整備が求められておりますが、これら流通拠点整備の現状をどうとらえているでしょうか。海外貿易をも展望した今後の対策を含めお伺いいたします。
 最後に、本県4大港湾を中心とした物流対策についてでありますが、港湾整備とあわせた物流の活発化をどう図ろうとしているのか、お伺いいたします。

〇千葉副知事 流通拠点整備の現状と今後の対策の方針でございますけれども、県内の主な流通団地は、現在、盛岡地域での岩手流通センターを初めとする6カ所でございまして、総面積の合計は約304ヘクタールとなっております。今後、北上川流域を中心に本県の工業集積が一層高まるものと見込まれているわけでございますけれども、そのうち、花巻・北上地域は東北横断自動車道の延伸、花巻空港の拡張など、広域交通体系の整備が図られるところから、県内外はもとより、将来的には海外との経済交流の活発化による物流の増加が期待されるものでございます。
 このような観点から、新たな流通拠点整備を促進する必要があるものと考えておりまして、流通業務市街地整備法に基づきまして、今後、花巻市と北上市において約110ヘクタールの流通拠点を整備する方針を平成8年2月に定めまして、取り組みを進めているところでございます。
 具体的な対応でございますけれども、花巻市の流通業務地区につきましては約40ヘクタールでございまして、地域振興整備公団が事業主体となって進めているところでございます。これまで用地買収をほぼ完了いたしまして、平成12年度着工の予定でありまして、県といたしましても、関連道路あるいは下水道等の基盤整備を支援するほか、公団や市と一体となりまして企業誘致活動を行うことといたしまして、関連の予算を本定例会に提案いたしまして、御審議をお願いしているところでございます。
 また、北上の流通業務地区につきましては、約70ヘクタールでございまして、市が事業主体となって平成9年度に基本計画調査を実施いたしております。平成11年度は実施計画の策定に取り組んでおりまして、今後、農業振興地域の指定解除など、土地利用調整に取り組む予定であると伺っております。
 県といたしましては、計画の内容及び地元の意向等を聞きながら、今後とも適時適切な対応をしてまいりたいと考えます。
 それから、港湾物流の活発化についてでございますけれども、港湾を利用した物流の振興を図るためには、港湾背後地はもとより、工業が集積しております内陸部の企業に対する働きかけが重要と考えております。そのために、内陸部においてポートセミナーを開催するほか、企業訪問等を積極的に展開しているところでございます。また、海上輸送が大量かつ長距離輸送にすぐれ、物流コストの低減につながる等の理解を得ながら、なお一層、県、市、港湾関係者が一体となってポートセールスに努めまして、岩手の貨物は岩手の港からといった機運を高めていく必要があると考えております。
 なお、輸送手段の決定は、本社や取引商社等の意向によることが多いところから、平成12年度は、新たに首都圏においてもポートセミナーを開催するなど、一層の港湾利用の促進に努めていくこととしております。
 なお、内陸部との連携を強めるための施設整備の関係でございますけれども、物流の活発化を図るためには、沿岸部と内陸部との時間距離の短縮が課題でございます。港湾物流を支える東北横断自動車道や国道106号等の整備を進めるとともに、港湾整備に当たりましては、船舶の大型化や輸送の形態、あるいは貨物量を十分に考慮いたしまして、重点的に進めることといたしております。

〇工藤篤委員長 お諮りいたします。
 時間もおおむね5時になりますので、続く自由質疑は、あす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇工藤篤委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 明日以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしく御協力をお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時54分 散 会


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