平成12年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号1999年度岩手県立病院等事業会計決算について反対の討論を行います。
 4億5、100万円余の黒字決算となったことは、消費税の5%増税、診療報酬の改悪など、政府・自民党の悪政に抗して、医師、看護婦など、県立病院に働く職員の心血を注いだ努力によるものであり、評価すべきものであります。同時に、戦後初めてのマイナスの給与改定による4億4、800万円余の給与費の削減、年休や生理休暇もとれず、2人夜勤などで苦しむ労働強化によってもたらされたものであることも事実であります。
 反対する第1の理由は、医療局自身が決めたマンパワー計画、1996年から2000年までの人員増員計画が、273名の計画に対し昨年度までで106名の増員、今年を含めて111名の増員にとどまっており、達成率40.6%、計画残が162人となったことであります。
 決算審議でも紹介し取り上げたように、医療局労働組合による1、350名の看護婦の医療ミス・ニアミスアンケートによると、医療事故はだれにでも起こり得るとの回答が89.7%、ここ1年間で医療ミス・ニアミスを起こしたことがあるの回答は、69.7%に達しました。ミスの内容は、注射、内服に関してが56.4%、転倒、転落事故などが27.2%であります。
 重大なことは、どんなときにミスを起こしたかの問いに、たくさんの仕事を並行して進めていたときが一番で38.5%、夜勤のとき22.7%となっていることであります。毎日の業務量が多いとの回答は、85.9%に達しています。その結果、ナースコールが鳴っても、ナースステーションにはだれもいないときがある77.3%、2人以上で行うことになっているストレッチャーの移送もできない79.6%、他の用事で作業が中断する89.2%と、深刻な状況となっているのであります。これは、業務量の増加に対して、安全な医療に必要な人員が配置をされていなかったことによるものであります。
 東北大学大学院の濃沼信夫教授は、医療事故の間接的な原因として、深刻な人手不足があると指摘しています。他の先進諸国は、医学の進歩に合わせてベッド当たりの職員数をふやしましたが日本の場合は放置され、その結果、日本の1ベッド当たりの看護婦は、アメリカ、イギリスの2分の1以下となっているのであります。私は改めて、医療局自身が決めた人員増の計画残の162名の増員を早期に実現すること、新計画の不十分な増員計画目標は前倒しで実現することを強く求めるものであります。
 医療事故対策では、個人の責任追及ではなく、ミス・ニアミスの原因解明とその対策が重要であります。ヒヤリとした事例の報告、インシデント報告を徹底して、事態の解決に各病院がさらに真剣に取り組むよう求めるものであります。
 反対する第2の理由は、看護婦さんの一番切実な課題である2人夜勤の解消が進むどころか、1病棟増加して、100病棟中52病棟が2人夜勤となったことであります。そのため、看護婦の年休取得の日数は平均でわずか10.6日、東和病院では5日、宮古病院では7日となっています。生理休暇の取得はわずか11病院だけで、とっている看護婦の平均も年間わずか1.1日であります。年休も生理休暇もとれず、ナースステーションが空になる2人夜勤の状況は、一刻も早く解決すべき問題であります。これは、患者の安全にとっても重要であります。
 反対する第3の理由は、昨年、戦後初めてマイナスの給与改定4億4、800万円の減収を強いられたことであります。今年度も人事院はベースアップゼロ、ボーナス0.2カ月減の勧告を出していますが、年休もとれず2人夜勤などで頑張っている黒字も計上した中で、マイナスの給与改定はやってはならないことであります。
 第4の理由は、医薬分業の進め方の問題であります。医薬分業は、国、県の方針でも、患者の薬局選択自由の確保等のため、患者を含む関係者の合意の中で医薬分業を推進するとなっています。しかし、半強制的に進められているのが実態であります。中央病院、磐井病院を除けば、これから本格的に導入ということになりますが、あくまでも患者の薬局選択の自由と合意を大前提に強制的にならないよう強く指摘し、改善を求めるものであります。
 最後に私は、先日、県立大船渡病院を視察し、院長先生から詳しい話を聞いてまいりました。受付待ちの問題等がありましたが、大船渡、高田、住田の県立3病院の連携ネットワークは、うまく図られていることに大変感心をいたしました。
 今後とも、すべての地域で、県民が安心して医療が受けられる、医療の前進のために、県立病院がさらに充実、改善されることを願って、私の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。
〇議長(山内隆文君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、認定第1号平成11年度岩手県立病院等事業会計決算を採決いたします。
 本決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立多数であります。よって、認定第1号平成11年度岩手県立病院等事業会計決算は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号及び認定第3号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立全員であります。よって、認定第2号及び認定第3号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
日程第44 発議案第1号地方バス生活路線の確保についてから日程第48 発議案第5号綱紀粛正と県職員の資質向上に関する決議まで
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第44、発議案第1号から日程第48、発議案第5号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(山内隆文君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第1号から発議案第5号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立全員であります。よって、発議案第1号から発議案第5号までは、原案のとおり可決されました。
   閉 会
〇議長(山内隆文君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第7回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後2時11分 閉 会

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