平成12年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇36番(小原宣良君) 社会民主党の小原宣良でございます。
 通告の順に、以下、お伺いいたします。
 質問の第1は、地方分権の推進についてであります。
 昨年7月に地方分権一括法が成立し、本年4月から施行されたところであります。地方分権は、今や構想の段階から実行の段階に入ったと言うことができます。特にも、機関委任事務制度が廃止され、自治体の事務が自治事務と法定受託事務に区分されるとともに、両事務とも自治体が条例を制定することができるようになったことは、住民自治の観点から大きな前進であります。ともすれば、これまでの地方自治体の多くは、国が制定した法律や施策の執行者か代行者の立場にみずからを置いてきたのではなかったかと思われてなりません。これからは、地方自治体みずからが企画を立て、計画をつくり、施策を実行する主体として責任を有するものであり、その過程にあっては、常に市民、県民の合意を得る方法を含め、工夫、努力しなければならないものと考えます。また、今後の行政サービスは、量から質へ、さらに画一から任意的、選択的なものへと変化していくものと思います。こうした変化に対応するためには、県民が生活を営む上での最低限度の生活環境基準の確保と公共部門の適切な管理を基本に、行政と民間との適切な役割分担や県民の自主的な社会活動やボランティアを拡大する取り組みなど新しい社会システムの創造がこれからの地域づくりには強く求められてくるものと考えます。こうした認識のもとに、これからの分権自治に対応した行財政改革についてお伺いいたします。
 質問の第1は、条例制定権の拡大についてであります。
 県はこれまで、機関委任制度の廃止に伴い、従来規則で定められていた多くの事項を条例化する作業を行ってきました。また、市町村に対する指導も大変な作業があったものと思います。問題は、法律とのかかわりについてでありますが、憲法第94条の規定を改めて指摘するまでもなく、法律との関係で条例制定権には一定の制限がつきまとうこととなります。しかし、具体的な条例の規定が法律に違反するかどうかは個別の法律の明示の規定によるほか、地方自治の本旨や国と地方公共団体との適切な役割分担の趣旨を踏まえることや、法律の規定の趣旨、目的などの解釈によって判断することになろうかと存じます。
 このように、条例の制定対象が拡大することに伴って、国の法律と条例との関係が問題となるケースがふえてくることが予想されます。県は、これまでの条例化の作業に当たって、本県の実情を踏まえた上でその作業に当たってこられたと存じますが、どのような問題意識を持たれたのか、具体例を挙げてお示しいただきたいと存じます。
 質問の第2は、財政分権の推進についてであります。
 地方財政の危機が大きな課題としてクローズアップされておりますが、財政自主権の拡大による財政分権システムこそその危機を乗り越える基本的な改革課題であります。財政自主権を確立し、財政分権システムを構築するためには、中央集権的な行政システムを支えてきた国と地方自治体との税源配分の不均衡是正、補助金制度の改革、地方交付税の改革が実現されなければなりません。さらに、財政分権システムの構築のためには、自治体財政について、市民、県民に対する情報の提供などによって説明責任を負えるシステムを築く必要があります。自治体みずからがそうしたシステムを備えてこそ、市民、県民が自己決定と連帯に基づく地域づくりが可能となるものと考えます。
 もとより、こうした財政分権の課題は、国の制度の改革にかかっていることは十分承知の上でのことではありますが、地方分権一括法が施行されて間もない今だからこそ、地方団体の側から具体的な提言と可能な実践を通じて財政分権の確立を図るべきものと考えます。
 そこでお伺いいたします。
 1、税源配分を現行の国6割、地方4割から、当面、国5割、地方5割となるよう、国から地方への税源移転を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 2、法定外目的税の新設など、現在、県が検討している自主財源確保策についてお考えをお示しください。
 3、市町村が要望している財源確保策はどのようなものがあるのでしょうか。県は、それをどのように認識し、対応しようとしているかお伺いいたします。
 次に、広域行政の推進についてお伺いいたします。
 県は、さきに広域行政推進指針を策定し、おおむね地方振興局を単位とする市町村合併をも含む広域行政の方向を示しました。このことは、昨年7月の市町村合併特例法の改正、同8月に自治省から出された市町村の合併の推進についての指針等を踏まえて策定されたものと思います。
 さて、この市町村合併を含む広域行政推進議論の背景についてでありますが、思うところ、その一つとしては、国、地方の財政問題があろうかと存じます。今年度末の国、地方をあわせた債務残高は約645兆円の見込みであるなど、極めて厳しい状況にあることは御案内のとおりであります。このため、財政再建は避けられない課題となっており、これまで国が地方に配分してきた国庫支出金や地方交付税等の水準の見直し、第2は、少子・高齢化の進展に伴う地域の医療、福祉、保健等の施策推進に当たっての財源対策があり、この課題もまた国による地方への転嫁、第3は、地方分権の推進や広域的行政需要にこたえるための自治体職員の資質の向上の面から広域合併を目指そうとしていることなどを論拠として、国は、都道府県に対し、より積極的な市町村合併の成果を求めているものと思われてなりません。
 確かに、これからの市町村は、基礎自治体としての新たな分権時代の行政ニーズや今後の課題にどう対応していくのかという点で広域行政のあり方を検討することは重要な課題であります。しかし、これらの課題検討を直ちに市町村合併に結びつけたり、期限を区切って誘導することはすべきではありません。
 そこでお伺いいたします。
 質問の第1は、先ほど申し述べました合併を含む広域行政推進議論の背景をどう認識されているかお伺いいたします。
 質問の第2は、県が策定した広域行政推進指針についてでありますが、指針とはいえかなり具体的事例を含んだ内容であることから、具体的成果をある程度の年限の範囲内で期待しているようにも思われますが、いかがでしょうか。
 なお、同指針によれば、市町村広域行政推進・支援連絡会議(仮称)、市町村合併推進本部(仮称)の設置とありますが、これらはいつの段階で設置し、どういう役割を持つのかあわせてお伺いいたします。
 第3に、広域行政の方向性とも関連があると思われますので、地方振興局のあり方についてお伺いいたします。
 現在、県が定める広域圏の中に地方振興局が二つある広域圏は、岩手中部、釜石、両磐の3広域圏であります。今後、地方振興局の内部組織のあり方や地方振興局相互の役割分担等が検討されるものと思われますが、今後における地方振興局のあり方についてどうお考えかお伺いいたします。
 次に、地域づくりにおけるNPO活動への支援策についてお伺いいたします。
 特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法は平成10年3月25日に公布され、同年12月1日に施行されたものであります。また、県においては、このような民間の活動を側面的に支援するため、社会貢献活動の支援に関する条例を制定して取り組みを進めてきているところであります。このNPO法制定の直接の契機となったのは、平成7年1月に起きた阪神・淡路大震災であったと言われております。確かに、当時神戸には本県を含め多くのボランティアが駆けつけ、震災被害者の救援、物資の補給などさまざまな場面でボランティアの活動が注目されました。
 さて、地域づくりにおけるNPOの役割についてであります。申し上げるまでもなく、自治体政策にあっては、さまざまな課題を明らかにすると同時に、自治体が対応すべき方針や対応策の枠組みを明確に示すことが求められるものと思います。一般論ではありますが、自治体における課題の分析力は比較的高いと言われております。これまでの計画技術や分析手法の積み上げ、場合によっては各分野ごとの専門シンクタンクやコンサルタントの協力を得ることも比較的容易であるからでありましょう。一方、実効性のある対応策を立案することは、かなりの困難を伴う作業であります。それは関係者に対する説得や調整を必要としますし、限られた権限や資源の中で、だれが、どのような手法で、どのタイミングで対応策を実現していくのか、そのプログラムを示すことが求められるからであります。そういう意味で、このような地域政策の基礎をなす具体のプログラムの作成等については、単に中央のコンサルを活用するだけでなく、地域のNPOなどと連携をとりながら、可能なら業務の一部をNPOに委託するなどして、一緒に作業を進めることにより実効性のあるものをつくり上げることができるのではないでしょうか。そういう意味では、特定の分野だけではなく、あらゆる分野でNPOが持っている特色やノウハウを活用しながら、行政と連携して事業を進めていくことが可能になると思われます。
 そこで、NPO活動への支援策についてお伺いいたします。さきに述べたとおり、県では、既に社会活動の支援に関する条例や社会貢献活動の支援に関する指針に基づき、活動の促進や支援策を進めているようでありますが、今後、県民への啓発活動などを含め、より積極的な取り組みが必要と思われますが、いかがお考えでしょうか。
 次に、職業能力開発施設の再編整備についてお伺いいたします。
 本県経済は、バブル経済崩壊を受けて厳しい状況下にあり、とりわけ雇用対策は、地域経済活性化対策とあわせて極めて重要な課題であります。また、今日、産業構造の変化に伴って、岩手における雇用の構造も変化してきているものと思います。特にも、近年における技術革新の著しい進展や急激な情報化、国際化の進展で、企業間競争の激化により、リストラや職種のミスマッチが原因となり多くの失業者が出ている一方、企業は、在職者に対しても新採用者に対しても職業能力の高度化や多様化を求めており、こうした傾向への対応もまた重要な課題であります。
 こうした中にあって、県は先ごろ、向こう5年間の県立職業能力開発施設再編整備計画を取りまとめ、職業能力開発審議会の了承を得たとの報道がありました。それによりますと、水沢にある高度技術専門学院を産業技術短期大学校水沢校として短大化するのを初め、二戸校、千厩校の充実強化が図られたようであります。このことは、雇用の場の創設とあわせ重要な施策展開であり、一層の充実を期待いたします。
 問題は、沿岸地域における公共の職業能力開発施設の充実であります。さきにも述べましたが、厳しい経済、雇用環境の中にあって、在職者や求職者が生涯にわたり新しい知識や技術、技能の習得を必要とする場合、県内どの地域においてもひとしく学ぶことのできる職業能力開発施設の整備を図ることは、県の施策の展開上極めて重要であります。仄聞するところ、これまで中心的役割を果たしてきた雇用・能力開発機構のポリテクセンター釜石の廃止が予定されているとのことであります。
 そこでお伺いいたします。この際、改めて沿岸地域の職業能力開発のあり方を重点的に見直し、県立の職業能力開発施設の一層の充実を図るべきと考えますが、県は、沿岸地域の職業能力開発をどう考え、大船渡、宮古、久慈の各県立校をどのように再編強化しようとしているのかお伺いいたします。
 次に、林業、木材産業の活性化と森林の保全についてお伺いいたします。
 我が国には約1、000万ヘクタールに及ぶ人工林を含む豊富な森林資源がありますが、木材の自給率ではわずかに20%程度になっているのが現状であります。要因は、申し上げるまでもなく、外材が流通市場や住宅産業の主流をなしているからであります。森林は、木材資源としての価値を有しているだけではなく、国土や自然生態系の保全、水源の涵養、景観形成など多面的機能を有しており、こうした機能の発揮がますます期待されているところであります。
 こうした環境下にあって、県は、昨年11月に第6次林業基本計画を策定いたしました。計画の推進に当たっては、本県の森林の持つ限りない可能性を生かし、公益的機能を高度に発揮させるとともに、木材など林産物の積極的な利用による森林、林業、木材産業の確立を目指すものであること。このためには、地域が一体となってそれぞれの役割を担い、その振興に取り組むことが不可欠であるとともに、国有林との連携を密にしながら、県民からの支援をもとに計画を推進し、持続可能な森林経営を実現していくことが必要であるとしており、ぜひそうした方向で施策の推進に当たっていただきたいと存じます。
 質問の第1は、こうした施策の推進にとって重要と思われる森林、林業の流域管理システムについてであります。
 本県における流域設定は、馬淵川上流流域など五つの流域となっておりますが、これまでの流域森林・林業活性化協議会や活性化センターの運営面で、関係自治体や団体、そして地域住民の意見反映に基づく役割分担が、地域の中にあってよく見えてこないというのが私の率直な印象であります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 これら流域管理システムは、それぞれ地域の要望等を積み上げていくいわゆるボトムアップ方式の制度であろうと思われますので、より地域住民の関心が高まるような運営が必要と思われますが、県の役割を含め、流域管理システムのあり方をどうお考えかお伺いいたします。
 第2は、国有林野事業の組織の再編についてであります。
 林野庁は、平成10年10月に国有林野事業改革2法に基づき、国有林野事業の管理経営を木材生産重視から公益的機能重視に転換するとともに、独立採算性を前提とした特別会計から一般会計繰り入れを前提とした特別会計への移行、情報開示の推進や累積債務の処理などを骨子とする国有林野事業の抜本的改革の推進が急務であるとして組織の再編計画を発表し、この間、名称変更を含め、営林署の統廃合が進められてきました。
 この再編計画によりますと、平成15年度までに現在ある事務所、センター等は廃止するとしており、結果として、本県においては5管理署、2支所しか残らないことになるようであります。先ほどもお伺いいたしましたが、これでは国有林との連携における本県の流域一体での林業の推進や公益的機能の発揮の面でも著しい支障が出てくるのではないかと危惧するのでありますが、これら国有林野事業の組織の再編について国の動向をどう把握し、県は、国に対しどのような意見、要望等を行っているでしょうか。いわばこの組織の再編計画は、事実上、国有林野事業の地域からの撤退を意味しているように私には思えてならないのでありますが、森林県岩手としてこの事態をどう受けとめ、対処していくお考えかお伺いいたします。
 次に、高校再編問題についてお伺いいたします。
 この問題については、既に各地区において個別具体の検討段階にあると思われますので、私からは、岩手中部地区における農業高校の統合再編問題についてお伺いいたします。
 中部地区農業高等学校(仮称)整備検討委員会は、2回の検討委員会の議論を経て、8月24日付で県教育委員会に中間報告を提出いたしました。報告事項は3点であり、おおむね次のようになっております。
 第1点は設置場所でありますが、多様な角度から検討を重ね、次の2カ所を候補地とした。1、岩手県立花巻農業高等学校現在地、2、岩手県農業研究センター隣接地とし、いわゆる両論併記としたものであります。第2点の学科の内容については、生産科学科など3学科について一層検討することとしたこと。第3点の今後の日程等については、学科については、県教育委員会から指導、助言を得つつ確定するものとする。並行して、教育課程開発、附帯施設検討に着手する。このような観点から第3回整備検討委員会を12月中旬を目途に開催することを考えているとしております。
 なお、設置場所にかかわる両論の論旨でありますが、花巻農高論では、生徒の出身地やJR利用者等を考えると花農が適している。現在、紫波、盛岡方面の北側からの生徒も多く、新しい魅力的な学校をつくることにより一層入学者が増加することも予想され、中間地を考えると現在の花農を妥当と考える。一方、農業研究センター論は、中部地区に農業高校をという熱意から整備案が修正された。先を見通して客観的な発想が必要であり、新しい受け皿、新しい教育内容で中部地区農業高等学校を創設すべきであるといった意見が出されたようであります。このように、検討委員会ではそれぞれ真剣な議論が行われたことに敬意を表するものであります。
 さて、こうした報告書を受けた県教育委員会は、中部地区はもとより、本県の農業を担う人材の育成という観点から、農業高校として理想とすべき将来像を本気になって示すべきであります。
 先ほど紹介した以外に次のような意見があります。本来、新しい場所で新しい施設を使用することが最も理想とするところだが、現有地を限りなく使用する。新用地取得は県財政上極めて困難という県の方針から実現可能な条件からの選択であり、苦渋の選択であるとあり、何とも悲しい現実を言いあらわしているものと思います。
 この際、県教育委員会は、現在抱えている問題を明らかにし、今後の対応策を明確に示すべきであります。
 質問の第1は、現在の花農の場所は花巻空港に隣接しており、加えて空港整備ともかかわり、最適な教育環境とは言いがたいと考えますが、どう認識されているでしょうか。
 第2は、当面、花農校舎を活用するとした場合にあっては、農業専門高校にふさわしい将来像を校舎建設年度を含め、具体的に示す必要があります。そのことによって、在学の生徒はもちろん、教育関係者も地域も両校の卒業者もすべてを含め一丸となってその実現に力を合わせることができるものと考えるからであります。御所見を賜りたいと存じます。
 次に、不正入札事件についてお伺いいたします。
 この事件は、大船渡地方振興局における県発注工事をめぐり、建設業者の談合と、そのことに県職員が関係し、双方から逮捕者が出たものであり、まことに遺憾な事態と言わなければなりません。この件については、さきの本会議で知事から報告と陳謝がなされましたが、余りにも特異な事件であり、私からもお伺いする次第です。
 事の発端はもちろん談合にあるわけでありますが、事前に談合によって落札業者と落札価格を決め、何が何でもその談合どおりに押し込んでいくとする業者、業界の姿は実に特異で、異常な体質を持つものと思います。決して許されてはなりません。一方、担当した県職員は、入札で落札した業者を当日の入札に参加していなかったこととし、落札していない業者を落札業者とする虚偽の調書を作成したとするものであります。事実であるなら全く信じがたい行為であります。
 さて、事の基本は、本県の社会資本の整備充実にとって重要な役割を担っている建設産業の健全な育成と、模範たるべき県工事における入札等を含む適正執行にあると私は考えます。
 そこでお伺いいたします。
 質問の第1は、入札制度の改善についてであります。談合防止の観点は当然でありますが、一方、まじめに業務を行っている建設業者を育成する観点もあわせ持つべきと考えますが、入札制度改善に向けた県の基本方針をお伺いいたします。
 第2は、入札を担当した県職員の対応であります。落札業者が決まり、入札が終了した後から当該業者から辞退の申し出のあった場合の対処の仕方は本来どのようなものでしょうか。また、どのような場合、落札した業者は辞退できるのでしょうか。
 第3は、工事発注者である県の入札のあり方についてであります。県工事の早期発注と完成をとの強い要望などから短期の期日の中に入札が集中するのかもしれませんが、関係者がもっと余裕を持って入札が行われるよう工夫すべきと思われますが、いかがでしょうか。また、念のため、ことし6月15日の大船渡地方振興局土木部にかかわる入札件数をお知らせ願います。
 この項の最後に、総務部長にお伺いいたします。
 残念ながら職員による不祥事が続いておりますが、それぞれの部局に携わる職員研修のあり方は万全でしょうか。特にも、全く経験のない職務に就く場合は、周囲のフォローアップは不可欠であります。職員間の連携はとれているでしょうか。
 また、業者等からのさまざまな働きかけのあった場合の対処のあり方について、今回のケースなどから、今後どのように職員を指導しようとお考えでしょうかお伺いいたします。
 以上で本席からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 小原宣良議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、国と地方の税源配分についてでございますけれども、地方分権を実効あるものとし、自主的、自立的な行財政運営を推進していくためには、やはり現在あるような地方における歳出規模と地方税収入の乖離、これが非常に大きく出ているわけですが、こうした歳出規模と地方税収入の乖離を極力縮小する方向で地方税源を拡充強化していくことが必要であると。この際には、国と地方公共団体の役割分担というものをよく踏まえて、それに合った税源配分の見直しを行って、それに基づき、税源の国から地方への移譲などによりまして、地方税源を拡充強化していくということが必要になるというふうに思っております。
 今、議員御提案のように、仮に、国と地方の税源配分を当面1対1とした場合には、平成12年度の国税予算額と地方財政計画ベースでの地方税収入額で見ますと、ちょうど国から地方への税源移譲が約7兆5、000億円ほど必要になってまいります。当面、経過措置として、このように国に求めていくというのも一つの方法かというふうに思っておりますし、そうしますと税源移譲が約7兆5、000億円ほど移すということでございますので、これを具体にどの税目の税源移譲で確保していくかということが大きな課題になるというふうに思っております。
 こうした場合には、本県のような財政基盤の脆弱な地方も含めて移譲可能な税目を挙げますと、私は、やはりまず浮かびますのが所得税の基礎部分、それからもう一つは、消費税であろうというふうに思っておりまして、こうした所得税の基礎部分や消費税の一部が比較的移譲可能ではないかと考えているわけですけれども、この場合にありましても、これらの税目は地方交付税の原資とも一方でなっておりますので、一方で、そうしたものを移すと、今度は地方交付税総額が減少するということにもつながってまいります。さらに、個々の地方公共団体を見た場合、移譲される税源に依然として偏り、偏在が生じているのも事実でございますので、本県のような地方公共団体におきましては、やはりこうした地方交付税制度のような財源調整のための措置というのは、今後も不可欠であるというふうに思っておりまして、税源の移譲などによる地方税財源の拡充強化とともに、地方交付税総額の安定的確保ということを引き続き全国知事会などを通じて国に働きかけていきたいと考えております。
 次に、広域行政の推進についてでございますが、国、地方を通ずる厳しい財政状況、4月からの介護保険制度を初めとする少子・高齢化社会への対応や地方分権に伴う自治事務の拡大など、今、議員の方から御指摘のございましたさまざまな要因が背景にあって、そして市町村合併を含む広域行政推進の議論が、やはり近年にない大きなうねりとなっているということでございます。県では、住民の日常生活の広域化の状況や、ますます多様化、高度化する住民ニーズに市町村が的確に対応していくためには、それにふさわしい行政体制の整備が喫緊の課題となっていると考えまして、平成10年の9月に岩手県立大学の総合政策学部の有志教員によって設置をされました広域行政研究会というものがございますけれども、この研究会とともに地方分権社会における市町村のあり方についての自主的な調査・研究をスタートさせたわけでございまして、その調査結果などを踏まえて、本年5月に岩手県としての広域行政推進指針を策定したところでございます。この指針を初め、さまざまな具体的判断材料を今後提供することを通じて、地域住民、それから市町村が今後における地域の将来像について、この機会に真摯な議論を重ねて、そして住民のニーズにマッチしたより効果的・効率的な行政体制のあり方を選択し、そして具体に決定していただくということを期待しておりまして、これが今回の市町村合併を含む広域行政推進議論というものがあるわけですが、この議論の背景でございまして、私どももねらいとするものであると考えております。
 次に、入札制度の改善に向けた県の基本方針についてお尋ねがあったわけですが、このたびの事件の重大性というものにかんがみまして、また、これまでの制度上の課題も踏まえて、入札制度の改善に全庁挙げて取り組むということとしまして、去る8月29日に入札制度改善等検討委員会を設置して検討を重ねたわけでございます。この中では、公正性、透明性、そして競争性をより高める方向での入札方式の改善や、談合などの違法・不正行為を行う不良、そして不適格な業者を排除するための、いわゆるペナルティーの強化などについて検討を行ってきております。
 また、一方では、議員の御提言のありましたような技術開発力、技術開発や着実な経営努力をしているという業者さんも多くいるわけでございまして、こうしたいわゆる意欲ある企業が伸びていけるように技術提案を評価する入札方式の導入や、業者の格付評価基準の見直しと──来年6月に、また新しい格付をしなくちゃいけないということになっておりますので──この格付評価基準の見直しなどについても今検討を加えているところでございます。これまで入札制度改善等検討委員会を今月2回開催して、可能なものから順次、改善策を実施してきたところでありますが、もちろん今後もこの検討委員会を開催して改善を図っていきたいと。そして、ちょうど今国会に提出される予定というふうに聞いておりますが、国の方で公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(案)というものがございまして、やはり同じような背景から、より公正性とか競争性を国全体の制度として高めるということで、今、法律が検討されております。そうしたものの内容も踏まえて、さらに鋭意検討を重ねて入札制度の改善を図ってまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承お願いいたします。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、地方分権一括法の施行に伴う条例改正作業を通じての問題意識についてでございます。
 地方分権一括法に対応するため、76本の条例の制定・改廃を行いましたけれども、この作業を通じましての率直な感想といたしまして、県みずからが条例をつくることの責任と県議会で御審議いただくことの重みを強く実感したところでございます。
 作業を通じての問題意識としましては、例えば義務を課し、または権利を制限するものにつきましては、その条例化を図ったところでございますが、条例の制定に当たりまして、例えば一例としまして理容師法施行条例をつくったわけでございますが、ここにおきましては、施設基準の緩和というものを行ったわけでございますが、本県の実情にあわせどのように基準を定めるかについて、みずからの判断が必要になってくる、こういったことを感じたところでございます。また、他の例といたしましては、自治事務となりました協同組合の検査や各種資格試験の実施などの事務につきまして、事務の簡素化の観点から共通の条例により統一的な処理ができるよう、県の機関が行う試験の実施に関する条例あるいは協同組合等の監督に関する条例というように、それぞれ一本の条例に整理したわけでございますが、今後このような視点が既存の条例分野においても必要になってくるのではないかというふうに感じております。
 このように、今回の条例の制定・改廃作業を通じまして、地方分権一括法の施行に伴う国と県との間における事務や権限の移動後の事務の継続性でございますとか、提供するサービスの同一性の確保、こういったことはいずれも大事なわけでございますが、こういった視点というのは国の法令等と密接に関係してくる部分があろうかというふうに思いますが、こういったことだけではなく、関連する法律との関係に留意しながらも、地域の実情に即したものにするということでありますとか、できるだけ県民の利便性を高めるものにするということ、あるいは事務の簡素化を可能な限り図る、こういったさまざまな視点が重要になってくるというふうに考えております。
 今後、新たな条例の制定・改廃に際しましては、地方分権の一層の推進の方向に沿って、地方公共団体の自主性、自立性が高まり、県民ニーズや地域の実情に応じたきめ細かな施策の展開がさらに可能となるよう、今回の経験や問題意識を生かしながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、自主財源確保策についてでございますが、法定外目的税につきましては、私どもも強く関心を持っておりまして、事務レベルで研究をしているところでございます。現時点におきましては、本県では適当な税源が見当たらないのが現状でございますけれども、他県の状況等も見ながら引き続き検討を続けていきたいというふうに考えております。また、これに関連しまして、財源の確保を直接の目的としたものではございませんが、環境分野における政策目的を達成するため、他の環境施策とあわせまして総合的な環境政策の中で、独自税制として法定外目的税の導入の可能性を検討しているところでございます。なお、昭和52年から法人県民税法人税割の超過課税を実施してきておりますが、平成13年1月31日で期限切れになりますことから、今議会に5年間の期間延長を提案しているところでございます。
 次に、今後における地方振興局のあり方についてでありますが、地方振興局は、地域経営の戦略的拠点としての機能や地域における行政サービスの総合センターとしての機能、市町村間の連携を調整するコーディネート役としての調整機能など、多様な役割を担っているところであり、今後におきましても、そうした機能を効率的、効果的に発揮していくことがますます求められるようになってくるものと認識いたしております。
 したがいまして、地方振興局の今後のあり方につきましては、このような地方振興局の役割を十分に踏まえ、設置した際の経緯でございますとか、その後の状況の変化、広域行政の進展動向などを十分に考慮し、同一の広域生活圏内に複数の地方振興局が設置されている地域等につきましては、地域の実情に即した効率的な県行政を推進できる体制を整備するための重要な検討課題の一つとして、これを取り上げてまいりたいというように考えております。
 次に、職員研修のあり方についてでございますが、これまでの一連の不祥事を顧みますと、その発生要因として、公務意識の欠如や業務の習熟度の不足などがあったものと考えております。公務意識の高揚につきましては、今回の不祥事を踏まえ、早速、自治研修所の研修内容に可能な限り公務員倫理に関する研修を導入するとともに、今後年度内において、全職場で公務員倫理に関する研修を開催するなどその徹底に努め、また、業務の習熟度の向上につきましては、各部局や地方振興局単位での専門研修の充実に取り組んでまいる考えでございます。職員間の連携につきましては、業務知識を速やかに習得させるため、新任担当者などに対する事務引き継ぎの一層の徹底でございますとか、異動後の職場研修の早期開催、さらに担当者会議を集合研修の形で充実を図っていくと、こういうことによって当該業務の関係者によるフォローアップが十分なされるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、業者等への対処に係る職員への指導についてでございますが、例えば窓口事務のような県民サービス分野における県民の方々からの要望でございますとか苦情につきましては、県民サービスの充実という観点から、迅速かつ適切に対応するよう指導しているところでございますし、また、議員御指摘の今回のようなケース、これにつきましては、法令に基づく厳正な事務執行という観点に立って対応することが必要になってくるものと考えております。いずれにしましても、このような場合、県職員一人一人の個人という形ではなく組織として受けとめ、組織として適切に対応すべきものでございます。こういった点から、管理監督者が日ごろからこのことを率先して模範となる行動を示し、また部下職員に対しましても浸透させるよう、さまざまな機会を通じまして十分に指導してまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) まず、市町村が要望している財源確保策及びそれへの対応についてでありますが、本県市町村の財政基盤を見ますと、歳入総額に占める地方税の割合が2割程度にとどまっているなど、自主財源のウエートが低い状況にあり、地方分権の推進や少子高齢社会への対応などの財政需要が今後ますます増大していく中で、安定した財源の確保が大きな課題となっているところであります。このような現状を踏まえ、市町村においては、税収入の確保や歳出全般にわたる見直しなどによる財源の確保に積極的に取り組む一方で、一般財源として大きな比重を占めている地方交付税について、過疎市町村等への傾斜配分など、地域の実情に即した交付税措置がなされるよう要望が出されているところであります。
 県といたしましては、市町村が分権型社会に対応し、地域の特性を生かしつつ、自主的、自立的な行財政運営を行うためには、地方税財源の拡充強化が極めて重要であると認識しているところであり、市町村の要望内容を踏まえ、交付税率の引き上げ等による地方交付税の安定的確保や、年々増加傾向にある公債費の負担軽減を図るための財政支援措置の拡充、さらには国から地方への税源移譲等による地方税財源の拡充強化について、引き続き政府予算要望や全国知事会等を通じて強く働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、広域行政の推進についてでありますが、県が策定した指針におきましては、市町村やとりわけ地域住民が広域行政の推進に向けた議論を行う際の材料となるよう、現時点で想定される行財政上の具体的な効果の試算や、関係する市町村の行政サービスの状況等のデータを盛り込んだところであり、この指針をいわばたたき台として活用していただき、合併特例法の期限である平成17年3月をもにらみながら、これからの行政体制のあり方等について活発な論議が行われることを期待しているものであります。
 また、指針において設置することとしている市町村広域行政推進・支援連絡会議につきましては、指針公表後の5月26日に本庁の部局横断的な組織として、岩手県広域行政支援連絡会議を設置したところであり、その後、全地方振興局においても同様な連絡会議組織を設置しているところであります。この連絡会議では、市町村の広域行政の推進に関し、部局間の連絡調整や情報の交換、支援措置の検討などを行うこととしております。
 なお、市町村合併推進本部につきましては、指針において示しておりますとおり、市町村の自主的な取り組みにより、任意もしくは法定の合併協議会を設置するなど、合併に向けた取り組みが具体化するに至った場合において、市町村建設計画の策定に関する助言を行うなど、合併が円滑に推進できるよう総合的な支援を行うための組織として整えてまいる考えであります。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) 地域づくりにおけるNPO活動への支援策についてでありますが、議員御指摘のとおり、これまでの行政や企業が提供するサービスに加え、地域社会における諸課題の解決や新しい多様な社会サービスの提供に当たって、行政や企業のパートナーとして、第三セクターであるNPOがその一翼を担うことが期待されております。本県におきましては、平成11年3月に策定いたしました社会貢献活動の支援に関する指針に基づきまして、NPOについては、情報提供や人材育成など側面的に支援していくこととしており、これまでフォーラムや研修会等を開催して、NPO法人制度の普及啓発に努めてまいったところでございます。また、NPOが自主的、自立的に活動できるよう、寄附金の控除や法人税の優遇措置の拡充について国に働きかけるなど、その活動環境の整備に努めてきたところであります。
 一方、県内のNPOの現状を見ますと、現時点で法人化した団体が22ございますが、人的、財政的な面で課題が多いことから、今後一層の活動の活性化や活発化を図り、良好なパートナーシップ構築に向け、安定的な基盤を整備していく必要があると考えております。このため、NPOの法人化やネットワークづくりの促進に当たり、民間の立場でNPOを支援する、いわゆる中間団体の組織化に向け、NPO関係者による調査研究グループを設置いたしまして、本県におけるNPO中間支援システムのあり方について御提言をいただくことといたしております。さらに、NPOの活動の自主性を損なわず、より透明性、公平性を確保しながら、NPOの安定的な基盤の整備を図るための支援策につきましても検討してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) 県立職業能力開発施設の再編整備についてですが、職業能力開発につきましては、職業能力開発促進法などに基づきまして、基本的に国が離転職者や在職者を、県が新規学卒者を、事業主団体が会員企業の従業員を対象として、それぞれが役割を分担し、かつ相互に補完し合いながら実施しているところであります。このたびの再編整備計画案では、平成13年度を初年度とする5カ年計画とし、近年の情報技術の進展や技術・技能の高度化に伴いまして、産業界が求める人材育成に対応して、訓練内容の高度化や多様化を図りますとともに、施設の全県的な地域バランスにも配慮しているところであります。
 お尋ねの沿岸地域の再編整備につきましては、この地域の新規学卒者を対象に、宮古高等技術専門校では高校卒1年課程の自動車サービス科を、高校卒2年課程の2級自動車整備士養成として充実しますほか、大船渡職業能力開発センター及び久慈職業能力開発センターでは、認定職業訓練法人の協力を得ながら、引き続き中学卒業者を含めた建築の能力開発を行うこととしております。一方、沿岸地域には雇用機会増大促進地域が含まれており、厳しい雇用情勢にありますことから、県立施設においても宮古校を中心に、久慈、大船渡の各施設とともに、地域の認定職業訓練法人との連携を図りながら、国の施策を補完する形で離転職者や在職者等の能力開発をも実施したいと考えております。
 なお、雇用・能力開発機構──これは、昔は雇用促進事業団と言っておりましたが──この雇用・能力開発機構の施設でありますポリテクセンター釜石の取り扱いにつきましては、地元と話し合いの上、地元職業訓練法人が雇用・能力開発機構から施設を借り受けて、地元で必要な技能訓練を行います地域職業訓練センターとして活用する方向で、国に対し要望し、協議をしているところであります。この再編整備計画案につきましては、現在、パブリックコメントにより県民の方々の意見を伺っているところであり、また、今後、県内4地区で県内の職業訓練法人などを対象とする説明会を開催し、意見交換を行い、その結果などを踏まえまして年内をめどに計画を決定したいと考えております。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) まず、流域管理システムについてでありますが、本県では平成3年度から9年度までに県内5流域において、このシステムの推進母体として、流域内の地方振興局、市町村、森林組合、林業経営者等で構成する流域森林・林業活性化センターが設置され、また、流域林業の活性化のための取り組み方向、活動計画など具体的な内容を協議するため、センター構成員に森林管理署の職員等を加えた流域森林・林業活性化協議会が設置されているところであります。このように、地方振興局は活性化センターの構成員として参画するとともに、流域管理システムをより実効性のあるものとするため、行政の立場から指導を行う役割も担っております。
 このため、県としては、これまで流域の特性に応じて、木材生産技術の向上のための間伐や高性能林業機械に係る研修、地域材の円滑な流通のための木材需給等の情報提供、森林環境教育への取り組みなどの指導を行ってきているところであります。この中で、加工流通体制整備のための意見交換会や懇談会のように、地域の実情にあわせて住民の意見等をシステムに反映させる運営も行われているところであります。今後とも、森林管理署、市町村、関係団体と緊密な連携を図りつつ、地域の実情に根差した流域管理システムの確立に向けて努力してまいりたいと考えております。
 次に、国有林野事業の組織の再編についてでありますが、昨年3月の営林署の再編や15年度末までに予定されている事務所等の廃止は、平成10年のいわゆる国有林野事業改革2法に基づく抜本的改革の流れを踏まえたものと考えております。しかしながら、国有林野事業が地域経済等に与える影響を考慮し、県としてはその動向に関心を払っているところであり、既にこの6月には、林野庁や東北森林管理局青森分局に対し、規模の大きい国有林野事業を担っている事務所等の先行的な廃止をしないよう、最大限の配慮を要望したところであります。
 今後とも、森林管理局等と連携を密にし、動向を把握しつつ対応してまいりたいと考えております。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) 入札問題に関するお尋ねでございますが、まず、入札終了後、辞退の申し出があった場合の対処についてでございます。その場合は契約辞退として取り扱うことになり、落札者からその理由を明記した契約の辞退に関する書面を提出させた上で、地方自治法等の関係法令に基づき、落札金額の制限内での随意契約へ移行するか、あるいは再入札を実施するか、いずれかの処理を選択することにより契約の相手方を決定することとなっております。
 また、落札者がどのようなときに契約を辞退することができるかということにつきましては、例えば、落札後の市場価格の急激な高騰等によって当初の落札価格では工事の完全な履行ができないなどのやむを得ないと判断されるに足る正当な理由がある場合において該当すると考えております。
 次に、入札のあり方についてでありますが、入札手続の進行に伴い、その都度必要となる入札書や予定価格等の書類の確認、入札調書の作成などに要する時間を確保しながら行うことが基本であり、少なくとも1件当たり10分程度の時間設定が妥当でありますことから、限られた日程の中で適正な執行を確保するためには、あらかじめ年間の執行計画を立て、無理のない入札執行を行う必要があります。しかしながら、6月15日に大船渡地方振興局土木部が執行した入札件数は、およそ2時間の間に25件が行われておりまして、適切な時間を確保しているとは言えない状況にあったと考えているところであります。
 したがいまして、県といたしましては、入札制度改善等検討委員会における検討なども踏まえ、時間的に余裕を持った入札を執行することについて改めて各地方振興局等の関係機関に指示するとともに、入札事務の巡回指導などにおいてもその徹底を図っているところでございます。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) 岩手中部地区における農業高校の統合再編問題についてでありますが、花巻農業高校については、これまでも時代の要請に応じた学科の改編や施設設備の充実など環境整備に努めてきたところであります。特に、花巻空港に隣接していることから、航空機騒音対策として、防音設備、冷房施設など、教育活動に支障を来さないよう配慮してきたところでもあります。
 一方、校舎と農場が離れていること、校舎が空港に隣接していること、また、今後のその整備状況との関連など、課題も有するものと認識しております。
 岩手中部地区に予定している新しい農業高校の将来像についてでありますが、当地区は、総合食料供給基地の形成を目指す本県にとって重要な地域であり、地域の特性を生かした収益性の高い農業の展開を図るため、生産と地域を支える後継者の育成が重要であり、新しい農業高校は、農業の専門高校として必要な情報、バイオテクノロジー、環境などの教育内容を充実し、21世紀に向けて活躍できる人材を育成する必要があると考えております。
 統合後の新農業高校の立地場所につきましては、花巻農業高校及び北上農業高校の関係者などで組織する検討委員会から候補地として2カ所の意見をいただいたところでありますが、現花巻農業高校は、生徒の通学の利便性、入学を希望する生徒が多く見込まれること、農業教育に要する現有の施設設備の有効利用ができることから、当面、当校を活用することで検討しているところであります。
 しかしながら、将来的には、今後の生徒の志望動向、校舎等施設や周辺地域の状況等を総合的に勘案しながら、さらに検討してまいりたいと考えております。
〇議長(山内隆文君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇36番(小原宣良君) 再質問させていただきます。
 土木部長にお伺いいたしますが、先ほど御答弁もいただきましたが、大船渡地方振興局土木部が6月15日に行った入札件数は2時間で25件ということでありますが、これは普通ではないと、件数が多いと、こういう認識であったようでございますが、もう一度この25件の件数についてお考えをお示しください。
 それから、この件、これは一般県道碁石海岸線細浦地区道路工事、正式に言うとこういうことなわけですが、これの入札は何番目で、何時ごろに行われたのでしょうか。
 それから、入札業者から辞退の申し出があった時刻はいつごろだったでしょうか。
 入札業者以外の別の業者を落札業者とすることを、双方でその場で確認したのでしょうか。したとすれば、その理由はどういうものでしょうか。先ほど落札者が辞退を申し入れる場合の考え方あるいは辞退する場合の考え方、これが出されました。いずれにしろ、双方がその場で確認をしたのかどうか。したとすれば、その理由はどういうものかということをお伺いいたします。
 それから、教育長、私は、新しい農業高校の建設年度について、これを示していく必要があると。そのことによって、それぞれ関係者、地域一緒になって新しい農学校を地域でつくっていこうと、こういう機運の中に目標を持って進んでいくことができるということを申し上げました。
 もう一つは、やはりそれぞれにすばらしい伝統があるわけです。もちろん花農には宮澤賢治さんの精神が流れておりますし、北農には初代校長の松本平助さんという方がおいでになりまして、この方が雑穀一升運動というものをみずから起こしまして、そして北上農業高校を立ち上げたと。地域に立派な農学校をつくって将来の人材を育てようということから、米一升・雑穀一升運動を提唱して情熱あふれる運動を展開したわけです。この松本校長さんは、当時、毎朝自転車に乗って、まさに雨にも負けず、こういう形で江刺、胆沢郡まで出かけて、約1万5、000戸の皆さん方から協力をいただいたとも言われているわけでして、そうした情熱が地域一体となって北上農業高校を立ち上げていったということになります。それぞれにそうした精神を含んで今の両校があるわけですから、県の教育委員会もこうしたすばらしい両校の伝統をしっかりと継承して新しい学校づくりに当たっていただきたいと思います。
 そういうためにも、先ほどお伺いしたように、新しい農業高校について、その年度、先ほど教育長は、当面、活用すると、こういうことですね。当面というのは、本来のところに行き着く間、中間点だと思うんですけれども、これは何年ぐらいを予定しているんですか。私は、さっき建設年度とお聞きしましたが、なかなかそれに触れていただけませんでした。教育長は、先ほど当面と御説明されましたからお伺いいたしますが、当面とはおおむね何年を意味するかという部分についてお伺いしておきたいと思います。これは、先ほど申しましたように、一緒になって地域が、各関係者がそれぞれ目標を持って新しい学校を立ち上げていこうと。今の子供たちもですよ。計画では平成15年度から統合の高校として発足していくんだと、こういうことですから、今の教育長の話では、当面、花巻農業高校を活用するんだと。あそこで北農も花農も一緒になった形で活用していきますよと、こういうことですね。校名をどうするか、いろいろあると思うんですが、それはそれとして、いずれそういうことです。しかし、この花農の校舎についても、先ほど話があったように、花巻空港とのかかわり等々で将来検討しなければならない課題があるのだと、検討すると。要するに移転新築をしなければならぬと、こういう意味合いですよね。そういうことになれば、当面、活用するというその期間は、どれぐらいを教育長はお考えか。その考えに基づいて、地域はしっかりと県の教育委員会と一緒になって頑張っていこうじゃないかと。先ほど両校の伝統を紹介しましたけれども、やはり学校の立ち上げという部分では地域の情熱ある協力というものが何より大事なわけでして、その部分をしっかりとお示しいただきたいと思っております。
 それから、県産材の需要拡大について、流域森林・林業活性化センター、その役割については先ほど御説明がありましたが、県産材の需要拡大について具体的にどうかかわっているでしょうか。そして、今後の対応策はどうお考えか。この県産材の需要拡大について具体的にどう対応なさるお考えかということです。
 それから、国有林野事業の組織の再編については、平成15年度までに再編するということになっていることは先ほど申しましたし、部長からも御答弁がありました。この計画は、前倒しをして実施されるのではないかと思われてならないんです。国から近々発表があるんじゃないですか。部長、国の動向をどう把握して対応するお考えか、改めてお尋ねしておきます。
 それから、職業能力開発施設の活用についてでありますが、障害者も対象とした施設活用に当たっていただきたいとの要望が大変強うございます。したがって、この対応策についてどうお考えでしょうか、お伺いいたします。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) 今回の事件におきましては2時間の間に25件の入札執行をしておりまして、遺憾ではございますが、適切な時間を確保したとは言えない状況であったと考えております。
 次に、当該入札は2件目で、10時5分ごろから開始されたものであります。
 また、落札業者から辞退の申し出があったのは12時30分ごろであります。
 次に、別の業者にすることをその場で確認したのかというお尋ねでございましたが、これにつきましては、12時30分ごろ、落札者を含めた4者が地方振興局土木部事務室に来室して、総務課長に対して落札者が誤った札を入れたので辞退したい旨の申し出があり、総務課長は一たん断りましたが、再度の依頼がありまして、結局、安易にやむを得ないと考え、前日付の入札辞退届により処理したものと把握いたしております。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) まず、県産材の需要拡大につきましては、平成10年度に定めた岩手県木材利用推進方針に基づき、県民一体の取り組みとして全県的に推進しているところでございます。
 また、流域森林・林業活性化センターにおいても流域内で生産される地域材の需給の安定に努めており、その中での需要拡大を目的として、公共土木工事への地域材利用の推進、地域材のブランド化を目指した取り組みあるいは需要を喚起するためのイベントの開催など、地域の特色に応じた活動を展開しております。
 今後とも、県におきましては、それぞれの流域ごとに地域材の利用促進が積極的に推進されるよう指導してまいりたいと考えております。
 次に、国有林野事業の組織再編に係る事務所等の廃止につきましては、先ほどからのお話のとおり逐次実施されるということになっておりますが、平成13年度農林水産予算概算要求におきまして、暫定組織を相当程度廃止するとの記載があることは承知しておりますが、その具体的な内容については説明を受けておりません。いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、私どもといたしましては、6月の早い段階から国に対して配慮を要望しているところでございまして、今後とも連絡を密にしながら対応してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) 障害者の職業能力開発等につきましては、国の特殊法人である日本障害者雇用促進協会が各都道府県に地域障害者職業センターを設置いたしまして職業評価や職業準備訓練などを行っており、本県では盛岡市青山町にこのセンターがあります。また、各都道府県障害者雇用促進協会、岩手県は岩手県障害者雇用促進協会ですが、この協会が障害者の雇用促進や職域拡大に向けまして事業主などへの啓発活動を行っているところでございます。
 県といたしましても、障害者団体等から就業確保等の要望が多く寄せられておりますことから、このような国の施策を補完し、地域の実情に応じて、障害者の方々の能力と適性に応じた職業訓練の機会が必要であると考えております。障害者の方々への職業能力開発の対応は、障害者の雇用対策とも関連して検討を行うべきとの考えから、このたびの再編計画とは切り離して取り組むことといたしまして、現在、その具体化に向けた検討に入っており、今後、障害者の方々からも御意見をいただきながら、既存の県立職業能力開発施設の活用も含めまして、障害者の方々の能力開発と雇用対策について県としての施策を煮詰めてまいりたいと考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) お尋ねの当面の期間でございますが、一概に何年というお話ではございませんで、おおむねここでお話ししますと、次の移転時につく時期かと考えております。その建設時期につきましては、今後の生徒の志望状況とか空港の整備状況あるいは中部地域全体の状況あるいは校舎等施設の耐用年数、財政状況などを総合的に勘案しまして検討してまいりたいと考えておりますので、現段階では、具体的に幾らと明示いたしますことは難しい状況であります。
 次に、両校の伝統を継承する新たな学校づくりでありますが、同窓会、PTA、農業関係団体、行政の代表者などで構成しております検討委員会で、現在、両校の伝統を生かしながら、学科などの教育内容、校名などを検討していただいているところでありますので、この検討結果を踏まえ、議員先ほどお話しのとおり、すばらしい両校の伝統を継承しながら、さらに新しい伝統を築き上げる新たな学校づくりを進めてまいりたいと考えております。
〇36番(小原宣良君) 最後の質問の機会になりますけれども、先ほど教育長は、検討すべき要素をお話しなされました。その部分はわかりますけれども、私が申し上げた、それぞれ地域が一体となって新しい学校をつくっていこうとする機運というものには、その目標とすべき年次というものもあわせて重要な要素として必要なのだと、ここは教育長、おわかりをいただけると思うんです。ですから、これからの課題になるとは思いますけれども、ぜひ早期に、みんなでつくっていける、そういう環境を教育委員会みずからがしっかりと築き上げていくということに努力をいただきたい。これは、これからも再三お伺いしていくテーマになろうかと思いますので、どうかひとつ早期の御検討を賜りたいと申し上げておきます。
 それから、土木部長、この入札を担当した職員、先ほどお話もいただきましたが、余りにもかわいそうじゃないですか。私はそう思う。この職員のせめてもの名誉のために、そして第一線で懸命の努力をしている職員のために部長に申し上げたいと思います。
 落札した業者から辞退の申し出が6月15日12時30分ころにあったとのことであります。まさに2時間で25件、多忙をきわめた時間帯であったと思います。この辞退は、工事請負契約を辞退することだったのではないかと思うんです、その中身は。それは業者側の事の事情は別にしてでありますけれども。いずれ入札が終わった後ですから、しっかりと契約辞退と受けとめておれば、再入札するか、事情によっては次の順位の業者と契約するか、先ほども部長からお話がありましたけれども、正規の方法は幾つかあったと思うんです。
 知事は、これまでの答弁でこう述べておられます。これはあくまでも全部局を対象としたものと思いますけれども、従来の職場の慣行として行われてきたことを見直し、新しく生まれ変わることが必要だ。また、従来見直しすべき問題が処理されてこなかった。この機会に見直しすべきはするという趣旨の答弁でありました。敢然として談合を防止し、県民のための健全な公共工事の執行を私は心から願うものでございます。反省としては余りにも大きな代償と思われますが、担当部長としての所見をお伺いして私の質問を終わります。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) このたびの大船渡地方振興局の道路改良に係る入札・発注事務につきましては、厳正を期すべき事務が不正に執行され、関係する職員が逮捕、送検されるに至ったことはまことに残念であり、県民の皆様方の県政に対する信頼を著しく損なう結果となったことに対し、大変申しわけなく存じております。
 今後におきましては、今回の事件の教訓を十分に生かし、入札事務や入札制度の改善に努めるとともに、職員の倫理意識の高揚に努め、県民の皆様方の信頼の回復に向け、土木部職員が一丸となって全力を尽くしてまいる考えでございます。
〇議長(山内隆文君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
日程第2 認定第1号平成11年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第41 議案第37号所有権移転登記手続等に係る訴えの提起に関し議決を求めることについてまで
〇議長(山内隆文君) この際、日程第2、認定第1号から日程第41、議案第37号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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