平成12年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇3番(樋下正信君) 自由民主クラブの樋下正信でございます。
 このたびの定例会におきまして、先輩、同僚議員の御配慮をいただき、登壇の機会を得ましたことに感謝申し上げます。今議会におきましては、大船渡地方振興局の県道工事発注に絡む談合疑惑に関連して、先輩議員方から質疑がなされましたが、今回の事件が県民の間に大きな不信感を与えたことはまことに遺憾であり、建設業にかかわる者の1人として、微力ながら業界の健全な発展のために尽くしてまいりたいと考えている次第でございます。
 なお、県当局におきましては、今回の事件の影響が他の地方振興局に及び、県営工事の発注におくれなどが生ずることがないよう、特段の御配慮を要望するものであります。
 さて、ことし4月にいわゆる地方分権一括法が施行され、地方分権に向けた動きが大きく加速されました。我が岩手においては、知事の強いリーダーシップのもとに、社会資本の整備を初め、地域の視点に立った施策がより一層推進され、県民福祉の向上が図られますことを強く念願しつつ、通告に従い順次質問をさせていただきます。
 まず、個人情報の保護についてお伺いします。
 近年のインターネットや携帯電話など情報通信機器の目覚ましい発達、普及により、県民生活は格段に便利になってきております。しかしながら、高度情報化が進展する一方では、知らない会社からダイレクトメールが送られてきたり、個人名簿が売買されるなど、個人情報が本人の知らないうちに収集されたり、利用されたりすることにより、個人のプライバシーが侵害されるケースもふえてきております。県では、このような個人情報をめぐる情勢に適切に対処するため、個人情報保護制度懇話会を設置し、来年の2月定例会に個人情報の保護に関する条例を提案すべく検討を進めていると聞いておりますが、現時点で想定される制度の骨子についてお示し願います。
 次に、情報公開についてでありますが、知事は、さきの記者会見において、個人情報の保護に関する条例の制定とあわせて、情報公開条例の実施機関に公安委員会を加えるための条例改正を行うことを表明いたしました。知事は、情報公開の徹底により行政運営の透明性を確保し、県民との信頼関係に立った行政運営に努めているところであり、行政情報の公開に向けたこれまでの先進的な取り組みは高く評価されるものであります。
 そこでお伺いしますが、公安委員会や警察本部の情報公開について、知事はどのようにお考えになっているのかお伺いします。
 次に、県都盛岡市の拠点機能強化についてお伺いします。
 南部藩代々の城下町として栄えた盛岡市は、近年における高速交通体系の整備とともに、高次都市機能の集積が進み、北東北の拠点都市として発展してまいりました。また、ことし11月に特例市に指定されることが決まるなど、21世紀に向けてその発展がますます期待されているところであります。しかしながら、平成14年に予定されている東北新幹線八戸開業により、盛岡市の持つ拠点性が薄れていくのではないかと危惧する声も一方では聞かれるところであります。盛岡以北を視野に入れたまちづくりを進めることが、今急がれているのではないかと思うものであります。
 そのような観点から、3点ほど質問させていただきます。
 まず、都市型観光の振興についてであります。
 盛岡市は、八幡平や陸中海岸観光の中継点でありますが、一方では、400年の歴史を誇り、中心部を流れる清流中津川にはサケが遡上するなど、県庁所在地には珍しい水と緑にあふれた自然環境豊かな観光都市であります。壮大な石垣の不来方城跡、赤レンガで有名な岩手銀行中の橋支店、昭和天皇の御成婚を記念して建築された県公会堂、擬宝珠で知られる上の橋など、歴史的建造物が数多く残されており、また宮澤賢治、石川啄木の青春時代をしのばせる石碑なども数多くあります。最近、盛岡の街中で、地図を片手に散策する修学旅行生の姿や観光客を見かけることが多くなりましたが、盛岡市の拠点性をさらに高めるには、豊かな自然環境に加えて貴重な歴史的・地域的資源の保存と活用を図りながら、都市型観光を積極的にPRしていくことが重要であると考えます。ことしの春には、市の新しい都市型観光拠点として、プラザおでってが中の橋際にオープンしましたが、県では盛岡市の都市型観光の振興について、どのように取り組んでおられるのかお示し願います。
 次に、盛岡市の中心商店街の活性化についてであります。
 市の中心商店街においては、モータリゼーションの進展や郊外型の大型店との競合の激化などにより、調べてみますと、商店の数が平成3年の723店から平成9年には611店と6年間の間に112店減少するとともに、年間販売額も平成6年には1、059億円であったものが、平成9年には1、022億円となり、37億円減少しております。この結果、長期にわたる景気低迷の影響もあり、中心商店街の盛岡市の中でのシェアは、商店数では平成3年の20%から平成9年には19%に、販売額では平成3年の33%から平成9年には25%までに低下したほか、中心市街地の人口も昭和60年から平成7年までの10年間で約1、100人減少するなど、中心商店街の空洞化傾向が顕著になってきているところであります。若者を引きつけ、活気ある中心市街地の活性化を図る上で、ショッピングはもとより、多様な娯楽や文化などを提供できる商店街の魅力の向上と振興を図ることが重要であると考えております。盛岡商工会議所では、市や県、商業者の意見を聞きながら、昨年3月に盛岡市中心市街地活性化ビジョンを作成しました。また、盛岡市においても本年3月に盛岡市中心市街地活性化基本計画を策定し、それぞれの立場で中心商店街の活性化に取り組んでいるところであります。中心商店街の活性化に当たっては、地域の主体的な取り組みがまずもって重要でありますが、あわせて県の積極的な支援が望まれるところであります。県として、近年どのような支援策を講じ、また、今後どのように対応していくお考えなのかお示し願います。
 次に、盛岡都市圏の道路整備についてであります。
 私は、盛岡市を核とした広域行政の推進が重要であり、そのためにも盛岡都市圏における交通網の一体的な整備が大きな課題であると考えております。交通渋滞が特に目立つ国道4号の茨島以北については、現在、鉄道跨線橋工事が鋭意進められ、ことしじゅうに2車線で暫定供用の予定と伺っており、着実に進捗しているようであります。しかしながら、問題は跨線橋から分レまでの区間であります。松並木など自然環境保全などの課題もあり、種々検討が進められていると聞いておりますが、その状況についてお示し願います。
 また、主要地方道盛岡和賀線についてでありますが、路線の起点側については盛岡市の都心環状道路を構成するとともに、放射道路としての機能も有しておりますことから、盛岡都市圏の交通渋滞緩和のため、その整備は緊急を要する重要な課題であると考えております。本路線の盛岡周辺地域における整備状況、及び完成の見通しはどうなっているのかお示し願います。
 なお、要望になりますが、国道455号北山地区において、工事を中断している国道4号までの1キロメートルのトンネル区間の整備については、盛岡都市圏の交通渋滞緩和の上で極めて重要性が高く、市民はもとより近隣町村住民からもその早期整備を願う声が高まっているところであります。このため、県においては、用地問題などの解決に向け鋭意努力しているわけでありますが、1日も早い解決に向け引き続き積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、南米岩手県人会等訪問に関する知事の所感についてお伺いいたします。
 先般、増田知事は、山内県議会議長とともに、パラグアイ・ピラポ岩手県人会の創立40周年記念式典に出席するほか、アスンシオンなどの岩手県人会を訪問されたところであります。40年前、まさに戦後の組織的な移住が最盛期を迎えていた時代に、本県からも多くの方々が希望を胸に抱き、新天地を求めて移住されたところであります。新天地と申しましても、気候、風土、言語、風習などの全く異なる異国の環境のもとでは、移住された方々の御苦労ははかり知れないものがあったことと思います。戦後移住は、国策により強力に推進されましたが、移住された県人の方々の人知れない御苦労を思うとき、今後とも県として無関心ではいられない問題であります。パラグアイ・ピラポ県人会創立40周年の節目に当たる時期に、そのほかの県人会をも訪問なされ、知事みずから実情を見聞されましたことは、現地の方々の大きな励みであり、非常に意義深いことと思います。今回の南米訪問に対する知事の率直な所感と、今後の南米との交流についての基本的なお考えをお聞かせ願います。
 次に、介護保険施設の整備状況についてであります。
 来るべき21世紀の本格的な高齢社会の到来を踏まえ、この4月から介護保険制度が期待を担ってスタートしたわけでありますが、一部では特別養護老人ホームへの入所希望者がなかなか入所できなくて困っている、すなわち、施設での介護を受けようとしても受け入れられないという指摘もなされております。無論、高齢者の福祉という観点からは、自分が生まれ育ち、なれ親しんだ地域や家庭で、子や孫たちとともに暮らしたいというのがお年寄りの偽らざる気持ちであり、そういった意味では在宅介護が望ましいものと考えます。また、要介護の認定を受けずに済むような元気なお年寄りを育てていくことも重要であります。しかしながら、さまざまな事情により、在宅での介護が困難なお年寄りがいることも事実であり、本県においては、これまで特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設整備を積極的に進めてまいりましたが、それでもなお、冒頭に申し上げましたとおり、希望してもなかなか施設に入所できないという実態があるわけです。
 そこでお伺いしますが、本県の施設整備状況は、東北各県と比べてどのような状況になっているのでしょうか。また、入所できないでいる方々の実態と今後の対応についてあわせてお示し願います。
 次に、農業問題に関連して3点ほどお伺いしたいと思いますが、質問に入る前に農業被害に関連して要望を申し上げます。
 ことしの夏は、全国的に記録的な猛暑となり、本県でも梅雨明け後は高温が続き、農作物の生育はおおむね順調に推移しているところでありますが、一方では、降ひょうによる葉たばこ、リンゴへの被害や、猛暑によるブロイラーを初めとする牛、豚などの家畜への大きな被害が発生したところであります。被害を受けられた農家の方々には心からお見舞いを申し上げますとともに、県御当局の適切な対策をお願いする次第であります。
 まず、キャベツの主産地形成についてであります。 最近の農業情勢は、米余り、米価の下落、生産調整の拡大という厳しい環境の中で稲作部門の低迷が続いており、稲作を補い、農家所得の向上につながる収益性の高い作物の振興を図ることが極めて重要だと考えます。県においては、このような観点から、かつて南部甘藍として全国一の生産量を誇り、いまだに市場関係者の間では知名度の高いキャベツに着目し、1、000ヘクタールの作付を目標に掲げ、知事を先頭に主産地形成に向けて鋭意取り組んでいるところであります。
 そこでお伺いしますが、ここ数年にわたるキャベツ振興への取り組みの成果をどのようにとらえているのでしょうか。本県のキャベツ産地としての位置づけや市場での評価、また、農家の生産意欲の向上にどのようにつながったのかという観点から、その成果をお聞かせ願います。
 次に、本県の酪農及び肉用牛振興の基本的な考えについてであります。
 本県の酪農及び肉用牛は、広大な県土を生かし、全国有数の畜産県としての地位を築き上げてきたところであります。しかしながら、近年の関税引き下げ、輸入制限の緩和などにより、厳しい経営環境に追い込まれ、小規模経営農家や高齢の農家を中心として経営の縮小や中止を余儀なくされ、飼育農家が減少するなど、本県畜産業の将来が心配されているところであります。酪農及び肉用牛の生産は、健康で豊かな食生活の実現や農村地域の活性化、国土・自然環境の保全、良好な景観の形成などに大きな役割を果たしており、本県のすぐれた立地特性を最大限に生かした酪農及び肉用牛経営の確立が望まれるものでありますが、現在、県が検討を進めている酪農及び肉用牛生産に係る岩手県計画において、生産の展開方向及び具体的な取り組み方策についてどのようにお考えなのでしょうか。策定時期とあわせて県のお考えをお示し願います。
 次に、自然環境と調和した農業生産基盤の整備についてであります。
 私は、本県の農業生産基盤の整備は全国に比べておくれている状況にありますことから、生産性の向上を図るためにも農業生産基盤の整備を積極的に推進するべきと考えております。しかしながら、一方におきましては、農村が有する多面的な機能に対する評価が高まり、特に自然環境の保全に対する関心が高まってきており、これからの農業生産基盤の整備は、自然環境との調和という点がますます重要になってくるものと考えております。農家の要望と地域住民や県民意向との調整など、さまざまな課題があるのではないかと思いますが、日本の環境首都を目指している本県にとって、今後、自然環境と調和のとれた農業生産基盤の整備をどのような方法で進めていくのか、具体的手法についてお示し願います。
 次に、公共下水道の整備についてであります。
 河川や湖沼などの水質を良好に保全し、県民の住みよい生活環境の確保を図る上で、下水道は欠くことのできない重要な社会資本であります。公共事業の見直しを求める世論が高まっておりますが、むしろ県民生活に最も密着した社会資本の一つとして、重点的整備が急がれるべき分野であります。県においては、平成10年5月に新・全県域汚水適正処理構想を策定し、公共下水道を初めとする汚水処理施設の積極的な整備に取り組んでいるところでありますが、本県の整備状況を見ますと、全国水準を下回っているのが現状であり、今後相当の努力が必要と考えます。一方、下水道の整備主体である県内市町村の状況を見ますと、大変厳しい財政状況が続いており、また組織体制も十分とはいえない現状であり、このままでは構想が掲げる2010年度末における整備率80%の目標達成が可能なのかどうか心配しております。身近な水系の水質を保全し、県民がひとしく生活の質を高め、衛生的な生活を実現するため、県及び市町村のなお一層の努力に期待しているところであります。
 そこでお伺いしますが、80%という整備目標達成のため、県として今後どのように取り組んでいくのか、公共下水道の整備主体である市町村との連携の強化という点を含めてお示し願います。
 次に、生涯スポーツの振興についてであります。
 シドニーオリンピックが開催中で、日本選手の活躍を期待しながらテレビにくぎづけになっている県民も多いかと存じます。本県からも千厩町出身の女子柔道楢崎選手が参加し、前回アトランタオリンピックの銅メダルを上回る銀メダルを獲得する大活躍をしました。県民の1人として拍手を送るものであります。
 さて、スポーツと一口に申し上げましても、種目も千差万別であり、また競技を目的とするものから、健康の維持や体力の向上を目的とするものまで非常に幅が広く、老若男女にかかわらず、多くの県民がいつでもスポーツに親しみ、健康な汗をかくことができるような環境の整備が重要であると考えております。
 そこでお伺いしますが、県教育委員会では、本年1月に岩手県スポーツ振興計画を策定しましたが、県民が気軽にスポーツに親しみ、生涯にわたって健康づくりを行うため、どのような取り組みをなさるのかお示し願います。
 最後に、交通安全の確保について県警本部長にお尋ねいたします。
 今日の車社会においては、交通事故のニュースが新聞やテレビに出ない日がないというほど、どこかで交通事故が発生しており、県民が安心して生活することができるよう交通安全対策を総合的に推進することが重要な課題であると考えます。交通安全の確保については、ハンドルを握るドライバー一人一人の自覚を高めることがまずもって重要でありますが、あわせて信号機の設置などにより、交通安全確保に向けた道路交通環境の整備を図ることが重要であると考えております。
 そこでお伺いしますが、交差点における交通事故の状況はどのようになっているのでしょうか。また、交差点における安全対策として、ドットライン表示が非常に効果的であると聞いておりますが、その効果と整備状況についてお聞かせ願います。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 樋下正信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、個人情報の保護についてでございますが、ことしの3月に県内の有識者の皆さん方に集まっていただいて設置をいたしました岩手県の個人情報保護制度懇話会というものがございます。この懇話会におきまして、いろいろ御審議をいただいておりましたが、先般、その懇話会で中間報告を取りまとめいたしまして、現在これが公表されておりまして、県の方でいわゆるパブリックコメント制度というのを持っておりますが、この懇話会の方でこの制度に準じて、今広く県民や各種団体から意見、そして要望を求めているところというふうに伺っております。
 その中間報告の内容を大要を順次申し上げますと、個人情報保護制度の目的と基本原則といたしましては、プライバシーに代表される個人の権利利益を保護するために、個人情報の収集、利用、提供など個人情報の取り扱い全般にわたりまして、自己に関する情報の流れをコントロールできるよう必要な措置を講じるものとしております。
 また、県が保有をいたします個人情報の保護対策につきましては、その保有状況や取扱状況を県民にわかりやすく公表いたしますとともに、本人からの収集の原則や目的外の利用、提供の禁止など、県における個人情報の取り扱いに関して適正なルールを確立するほか、個人情報の保護にとって最も重要な措置といたしまして、自己に関する情報について開示を求めることや、自己に関する情報に誤りがある場合にその訂正を求めることを権利として設定することとしております。一方で、民間事業者が保有する個人情報につきましては、営業の自由というものや表現の自由などを考慮して、条例によります直接的な規制は行わず、事業者の自主規制を基本とすることを考えているところでございます。これが中間報告の大要でございます。
 今後、こうした中間報告を踏まえて、懇話会の方では11月末に最終報告を取りまとめると聞いておりますが、その際には、近々取りまとめられる予定の個人情報保護基本法制に関する大綱、これは、国の方で実は次期通常国会での個人情報保護の関係の法制化を目指して、今、こうした個人情報保護基本法制に関する大綱というものを取りまとめ、そして近々に発表するということのようで、それとの整合性も最終報告においては図りたいとの懇話会の意向のようでございます。いずれにしても、11月末には懇話会でそうした最終報告がまとめられるということでございますので、県としては、その最終報告を受けて、県としての考えを取りまとめて、来年2月の県議会の定例会に条例案を提出したいと考えております。
 次に、公安委員会や警察本部の情報公開についてのお尋ねがございましたが、情報公開そのものは、基本的には、県の保有する情報は県民の皆さんとの共有財産であるとの認識のもとで、情報公開を推進することによって、行政の説明責任を全うするためには、県のすべての機関において広く公開する必要があると考えております。
 公安委員会及び警察本部につきましては、平成10年度におきまして公文書公開条例を現在の情報公開条例に全面改正した際に、警察業務の特殊性というものから、国や他の都道府県公安委員会との関係もございまして、本県のみ先行してこうした機関を実施機関に追加することは実態上無理があるとの判断をいたしまして、当面、改正の中に盛り込むことを見送ってきたところでございます。その後、状況がいろいろございまして、来年4月1日からは国家公安委員会及び警察庁も対象に含めた行政機関の保有する情報の公開に関する法律が施行されることになっております。また、この間、13都県で条例改正が行われていると。これは、平成12年6月議会までで都道府県レベルで13都県で条例改正が行われているといったようなことから、県におきましても、公安委員会、そして警察本部を実施機関に加えるための条例改正を来年2月の定例会に提出したいと、このように考えているところでございます。
 なお、公安委員会及び警察本部を実施機関に加えるに当たりましては、先ほど申し上げました警察業務の特殊性というのを十分考慮しながら適切な情報公開の推進が図られることが必要でございまして、こうしたことを十分検討してまいりたいと考えております。
 次に、南米岩手県人会など先般訪問してきました。その所感について、今、お尋ねがございましたが、パラグアイ国のピラポの県人会を初めとして南米の各地の県人会を訪問したわけでございますが、まず、感じましたことは、戦前、戦後を通じて移住された皆さん方は、今、議員御案内のとおり、厳しい生活条件のもとで、幾多の困難を乗り越えて現在の立場を築かれ、移住先の国の発展や、また、母県、母国──日本──との友好親善にも大いに寄与しているということでございます。中でも、ことし県人会の創立40周年を迎えましたピラポ移住地は、今日では大豆、小麦の一大生産地といたしまして、パラグアイ国の農業振興、農業発展に大きく貢献していることに感銘を受けたところでございます。県の新しい総合計画の基本理念、自立、参画、創造ということでございますが、特に自立という点では、こうした県人の皆さんのそれぞれの地域における生きざまというものに大いに学ぶべきものがあると、このように感じてまいったところでございます。また、岩手の郷土芸能や食文化が各地域で脈々として受け継がれ、ふるさとの文化が移住者の精神的なよりどころとなっていることを改めて実感したところでございます。
 このように、我が岩手を母県として頑張っておられる海外の県人会との交流は、地域間の草の根国際交流のまさしく一つでございまして、本県にとっても貴重な海外とのネットワークを形づくっていることから、こうした基盤を今後も大切にして、国際交流、国際協力の推進に生かしてまいりたいと考えております。
 特に南米の県人会では、今、二世、三世へと世代交代がどんどん進んできている状況でございます。したがいまして、今後は、そうした交流もそういった若い世代の層を中心に移していく必要があると思っておりまして、南米の青年の皆さん方には、日本の進んだ農業や情報処理などの技術の習得や、そして、岩手の文化に触れてもらうということを行いたいと思いますし、逆に、岩手の青年には、南米の農業経営の実情などを学んでもらう機会を通じて、こうした若い世代の相互の交流を一層盛んにして、岩手と南米各地との新しい関係をつくっていきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、盛岡市の都市型観光の振興についてですが、盛岡市の魅力を高めていくためには、文化的、歴史的要素に加えまして、恵まれた自然環境を活用することが大切であると考えております。そのため、全国で初めて運輸省の快適観光空間整備事業の指定を受けまして、平成11年度から5年間、魅力ある観光地づくりの一環として、観光客が盛岡の文化や歴史に親しみながら市内を歩いて楽しむことのできる散策ルートなどの整備の促進に努めているところであります。
 具体的には、旧九十銀行の建物を活用した盛岡・文化のテーマ館、それから、啄木新婚の家の改修、北上川、中津川を中心とした散策ルート沿いのあずま屋やベンチ、観光案内板、街路灯などの整備、これら盛岡市の事業に対しまして、県としても積極的に支援しているところであります。
 また、観光客が盛岡の歴史や地域文化を理解し、その魅力を感じることができる観光地づくりを推進するため、今年度から県がモデル事業として盛岡観光協会に観光ボランティアガイドの養成を委託いたしまして、受け入れ態勢の整備に着手しているところでございます。
 さらに、県、市、観光事業者が一体となりまして、修学旅行生誘致拡大のため、北海道を初めとする現地の学校関係者や旅行代理店の担当者に対する誘致説明会などを実施いたしておりますし、体験メニューの拡充や盛岡市内の循環バスの充実、待機場所の確保、それから、市内ホテルのトイレの開放など受け入れ態勢の整備に取り組んでいるところでありまして、今後とも都市型の観光の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、盛岡市の中心商店街の活性化対策についてでありますが、ことし3月に策定いたしました盛岡市中心市街地活性化基本計画では、にぎわいある商店街が連続するまちなどを基本方針として中心商店街の活性化を図ることとしております。県では、計画策定段階からこれに参画いたしまして、地域の特色を生かした実効性のある計画となるよう指導助言してきたところであります。
 商店街活性化のための具体的な施策といたしましては、魅力ある商店街整備事業や商店街活性化等モデル事業の導入を図りまして、材木町商店街や大通商店街の立体駐車場の整備を促進いたしましたほか、肴町商店街と大通商店街の空き店舗対策として、県内各地の地場産品の販売を行いますアンテナショップを支援してきたところであります。さらに、地域活性化事業調整費による市内循環バスでんでんむしの運行助成も行ってまいりました。また、中心市街地商店街施設整備事業を導入いたしまして、大通商店街のイベントホールの活用によります各地の物産販売、それから、フリーマーケットなどの商店街のにぎわい創出のためのソフト事業に対する支援も行っているところであります。
 今後におきましても、盛岡市中心市街地活性化基本計画と盛岡商工会議所タウンマネジメント機関構想に基づきまして、肴町商店街のアーケードのリニューアル整備など大規模な施設整備などが見込まれますことから、盛岡市、それから盛岡商工会議所などの意向を十分に把握しながら、適切な事業の導入や促進に努めるなど、引き続き盛岡市の中心商店街の活性化を支援してまいりたいと考えております。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) まず、盛岡都市圏の道路整備についてでありますが、国道4号茨島以北の取り組みにつきましては、現在、建設省において、分レまでの区間約4キロの4車線化を検討いたしております。この区間は、旧鹿角街道としての歴史的景観や貴重な自然に恵まれていることから、計画に当たりましてはこれらに十分配慮する必要があり、地域の代表者や学識経験者で構成する国道4号盛岡滝沢道路懇話会を設置し、広く意見をいただきながら、複数の計画案について検討を重ねているところであります。これらを踏まえ、最も望ましい案をまとめた後、都市計画決定などの所要の手続等を進める予定と聞いております。その事業化については、これらの手続にまだ時間を要すると予想されますが、できるだけ早期に着手されるよう、県としても強く働きかけてまいる考えであります。
 次に、主要地方道盛岡和賀線の盛岡周辺地域における整備状況等につきましては、現在、アイスアリーナから流通センター付近までの区間約4.6キロについて4車線化の事業を進めております。このうち、アイスアリーナ側の区間約600メートルにつきましては、地域振興整備公団による土地区画整理事業として整備が進められており、平成15年度ころの完成を目指していると聞いております。また、流通センター側の区間約4キロにつきましては県が整備を進めており、これまで約600メートルを完成供用しておりますが、残りの区間につきましても引き続き工事を進めており、逐次供用を図ってまいる考えであります。
 なお、これらの区間については、県の道路整備の方針として、昨年8月に策定し公表しております道路の整備に関するプログラムにおいて平成15年度から平成19年度までの後期完成と位置づけをしており、今後とも重点的な整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、公共下水道の整備についてでありますが、県におきましては、昨年8月に策定した岩手県総合計画に掲げる、快適に安心して暮らせる社会の実現を目指して、2010年度末に県民の80%の方々が汚水処理施設を利用できるよう、県の重点施策として新・全県域汚水適正処理構想により鋭意取り組んでいるところであります。また、市町村においても、公共下水道事業のほか、農業集落排水事業、漁業集落排水事業、コミュニティープラント、合併処理浄化槽などの汚水処理施設の整備を総合的かつ効率的に進めるため、現在、汚水処理実施計画を策定中であります。
 市町村が行う公共下水道事業に対する県の支援策としては、過疎法適用市町村のうち、特に財政事情の厳しい町村においては県代行事業を行っているほか、平成12年度から市町村の起債償還基金費補助のかさ上げを行い、市町村に対する財政支援の強化拡大を図ったところであり、本年4月以降、さらに公共下水道事業を推進するため、未着手市町村に直接出向き、県の支援策などを説明してきたところであります。また、財団法人岩手県下水道公社においては、市町村に対する技術支援を行っているところであります。
 今後、地方振興局単位に、県と市町村による汚水処理施設整備のための推進協議会を新たに設けるなど、市町村との連携をさらに緊密にし、目標整備率80%の達成に向けて一層の整備促進に努める考えであります。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 介護保険施設の整備状況についてでありますが、本県の介護保険施設は、平成12年4月1日現在で、いわゆる特別養護老人ホームであります介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び介護療養型医療施設の3施設をあわせて176施設、1万47床という整備状況になっており、65歳以上の高齢者人口1、000人当たりでは34.3床の整備率となっております。この整備率を東北各県の状況と比べてみますと、本県は、秋田県の40.7床、青森県の36.2床に次ぐ整備率となっております。
 また、介護保険施設への入所を御希望しながら、入所できないため在宅で介護を受けられている方々は、本年8月末現在で、介護老人福祉施設510人、介護老人保健施設175人、介護療養型医療施設2人のあわせて687人となっております。
 一方、本年度、施設整備に着手する介護老人福祉施設及び介護老人保健施設の増床計画が404床あるほか、介護老人保健施設では、まだ利用されていないベッドが本年9月1日現在で280床あることから、県におきましては、ケアマネジャーの方々に対しまして、在宅で介護を受け、入所を御希望する方々が円滑に施設入所できるよう、その調整を要請してきたところであります。
 今後におきましても、本県の介護サービス基盤の充実に向け、市町村介護保険事業計画が適切に遂行されるよう市町村に対し働きかけるとともに、入所希望者の調査を実施しながら、介護老人福祉施設及び介護老人保健施設の平成14年度整備目標値の前倒し整備を図るなど所要の措置を講じ、岩手県介護保険事業支援計画に基づき、市町村等に対して必要な支援を積極的に行ってまいります。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) まず、キャベツの主産地形成についてでありますが、本県では、平成9年度からキャベツを日本一の野菜産地づくりの牽引役として位置づけ、価格低落時においても継続出荷できるよう、先導産地育成基金を創設して、独自ブランドいわて春みどりの作付拡大と販売促進に取り組んできたところであります。その結果、全国の主要産地においては作付面積が減少もしくは横ばい傾向にあります中、本県は約1、000ヘクタールと大幅に拡大してきております。
 また、東京都中央卸売市場において7月から9月までの本県のシェアが平成8年の8.3%から平成11年には13.8%と大幅に向上し、群馬県に次ぐ第2位の位置を占めるようになり、市場評価が向上するとともに、責任産地としての地位が一層高まってきているものと考えているところであります。
 さらに、産地段階におきましても、主産地の新いわて農協管内におけるキャベツを基幹とした組織づくりや和賀町キャベツ生産組合に見られるような水田での団地的な生産が進むなど、各地で意欲的な取り組みが展開されております。
 今後におきましては、こうした成果に加え、暑い時期の栽培となります8月以降の生産拡大に努めるとともに、機械化一貫体系による省力・低コスト生産の推進や農業研究センターで開発した越冬作型などの新しい技術の普及によりまして、日本一の春系キャベツ産地の確立に努めてまいる考えであります。
 次に、酪農及び肉用牛振興の基本的な考え方についてでありますが、現在、酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律に基づきまして、平成22年度を目標とする岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画の策定作業を進めておりまして、年内には公表したいと考えております。
 酪農及び肉用牛生産は、本県農業の基軸であるとともに、中山間地域の重要な作目となっていることから、今後とも、体質の強い産地の確立に向けた一層の生産振興を図っていく必要があると考えております。このため、今回の計画におきましては、すぐれた担い手の育成確保を図るとともに、草地や畜舎等生産基盤の整備、そして、優良牛の改良増殖を進めるなど、総合的な施策を展開することにより飼養規模の拡大を図り、高品質で生産性が高く、ゆとりある経営の実現を目標といたしております。
 具体的には、低コスト牛舎の整備や共同利用機械の導入促進及び公共牧場の機能強化による放牧促進や採草牧場の整備、さらには、飼料生産請負組織でありますコントラクターの育成等による粗飼料供給体制の確立など経営規模拡大のための条件整備を推進するとともに、また、乳量や乳質の産乳能力あるいは肉質や肉量等の産肉能力の向上のための優良な種畜の造成など育種改良にも積極的に取り組んでまいることといたしております。
 また、農協など関係団体とともに地域ごとにアクションプランを作成し、よりきめ細かな施策の展開により計画の実現を期してまいりたいと考えております。
 次に、自然環境と調和のとれた農業生産基盤の整備についてでありますが、農村地域には、農業生産活動を通じて人々に安らぎを与える美しい景観や、さまざまな動植物の生息空間となっている自然環境が残されており、農業生産基盤の整備に当たりましては、こうした農村の自然や生態系等の農村環境に配慮いたしまして事業の推進に努めているところであります。
 具体的には、地域住民などの参画によりまして、自然生態系や景観等地域の環境特性を調査し、保全すべき自然環境に配慮した工法の採用、そしてまた、維持管理の方法につきまして、地域の合意形成を図りながら事業を推進しております。
 こうした手法によりまして、例えば花巻市の圃場整備におきましては、ハナショウブ群落の湿原を保全するとともに周辺を公園として整備したところであり、また、胆沢町の用水路工事におきましては、地元の児童生徒の協力を得ながら、絶滅が危惧されている──本県ではギンギョと呼ばれておるようですけれども──ナマズの仲間であるギバチや、あるいはまた、野生のランを別の場所に移すなど、自然環境に配慮した整備を行っております。
 こうした取り組みのほか、ふるさと水と土保全基金等を活用いたしまして、住民参加による水路の清掃等、農村環境の保全活動も支援しているところであります。
 今後とも、このような取り組みを一層展開し、自然環境との調和を図りながら農業生産基盤の整備を積極的に推進してまいりたいと考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) 生涯スポーツの振興についてでありますが、県民が生涯にわたって健康で生きがいのある豊かな暮らしを送るために、スポーツの果たす役割はますます大きくなると考えているところであります。
 スポーツを通じた健康づくりへの取り組みにつきましては、子供から高齢者まで、県民一人一人がみずからスポーツに楽しむことのできる環境の整備が必要でありますことから、県民だれでもが気軽に参加できる機会として、県民スポーツ・レクリエーション祭を初め、トランポリンやスポーツチャンバラなどの新しい競技の普及を図るためのニュースポーツ交流会等を開催しているところであります。また、平成17年度には本県において全国スポーツ・レクリエーション祭の開催が予定されていることから、これらを契機といたしまして、県民のスポーツ活動への参加に対する意欲を高めてまいりたいと考えております。
 さらに、スポーツやレクリエーション活動の場としての学校体育施設を積極的に開放するほか、県民の要請に応じたスポーツ指導者の派遣や巡回指導ができるようスポーツリーダーバンク登録者の充実を図り、その情報の提供と活用を図るための指導者の活用システムの構築を図るとともに、地域のスポーツコーディネーターでもある体育指導委員等の研修会や講習会を行い、資質向上に努めてまいりたいと考えております。
 今後におきましても、岩手県スポーツ振興計画に掲げる豊かなスポーツライフの実現を目指し、市町村や学校、地域社会などとの連携を密にし、積極的に生涯スポーツの振興に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔警察本部長出原健三君登壇〕
〇警察本部長(出原健三君) 交通安全の確保についてお答えいたします。
 初めに、交差点における交通事故の発生状況についてでありますが、本年8月末現在、県内の交差点における人身事故の発生件数は1、671件で、全人身事故の約44%を占めております。特に、信号機のない交差点における人身事故の発生件数は1、153件で、交差点における人身事故全体の約70%にも上っております。このように交通事故抑止上、交差点対策は極めて重要な課題であると考えております。御質問のドットライン表示につきましても、交差点における安全対策の一つとして取り入れたものであります。
 次に、ドットライン表示の整備状況と効果についてお答えいたします。
 ドットライン表示は、本年8月末現在、1、677カ所の交差点に整備されております。ドットライン表示は、信号機のない交差点において道路の優先関係と交差点の存在を明確にするため、従たる道路側に白色のラインを点線状に表示する、いわゆる法定外表示であり、ドライバーの一時停止や徐行を促すことにより、交差点事故の抑止が図られるという効果があります。
 昨年整備したドットライン表示の交差点約700カ所について効果を測定した結果、整備の前後6カ月間の比較では、物損事故を含めた交差点における事故が約34%も減少するなど、事故抑止効果が顕著にあらわれているところであります。ドットライン表示については、ドライバーからも停止位置が明確であるなど好評であり、今後とも交差点事故抑止対策として効果が期待できますことから、道路管理者と連携を密にしながら積極的に推進していきたいと考えております。
 なお、県内の最近の交通事故の発生状況について付言させていただきますと、県内の交通事故による死者数は、昨日現在99人で、前年に比べますと14人、16.5%の増加であります。これは、昨年より1カ月余りも早いペースとなっております。また、人身事故の発生件数や負傷者数とも前年に比べ大幅に増加しているところであり、極めて憂慮すべき状況にあります。警察といたしましては、県民の安全確保のため、今後とも県、市町村を初め、交通関係機関、団体と緊密な連携を図りながら、交通事故抑止活動を強力に推進してまいりたいと考えておりますので、一層の御支援をお願いいたします。

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