平成12年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(藤原泰次郎君) 自由民主クラブの藤原泰次郎でございます。
 最近、県職員によるたび重なる不祥事については、昨日来の本会議においてそれぞれの議員が取り上げたところでありますが、この際、徹底的にうみを出すと言われた増田知事の積極的な姿勢を信じて、失墜した信用の回復に全力を挙げて取り組まれることを大いに期待するものであります。
 さて、かかる不幸な事態はございましたものの、県政を停滞させることなく、私どもはこれを乗り越え、間近に控えた21世紀という新たな時代に踏み込んでいかなければなりません。
 そこで、21世紀の岩手のあるべき姿を具現化するものとして、平成13年度の県予算編成の基本的な考え方についてお伺いします。
 平成13年度政府予算の概算要求、いわゆるシーリングにおきましては、景気を本格回復軌道に乗せるよう引き続き全力を挙げる一方で、財政の効率化、質的改善にも取り組むこととしております。
 具体的には、21世紀の社会新生に向けた重要な4分野、すなわち、情報技術革命推進、環境、高齢化対策、都市基盤整備を中心に、日本新生特別枠を公共事業で4、000億円、非公共事業で3、000億円設定するとともに、その他に生活・衛生環境の向上、地域振興、安全な地域づくりなどを図るため、生活関連等公共事業重点化枠が3、000億円設定されております。このシーリングに従って、8月31日に締め切られた概算要求の総額は、前年度に比べて0.2%減の約84兆8、300億円となっており、今後、政府原案の決定までさまざまな議論がなされていくものと思われます。
 平成13年度予算は、21世紀に第一歩を踏み出す重要な予算であり、その内容は、次の時代を担う子供たちの世代にまで大きな影響を持つものとなるやも知れません。
 そこでお聞きいたしますが、国の予算編成の動向を見た上で、現時点における本県の平成13年度予算編成についていかがお考えでしょうか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、公共事業の認識についてお伺いします。
 経済企画庁が今月11日に発表した2000年4月から6月期の国内総生産は、実質で前期比1%、年率換算では4.2%増加し、2四半期連続のプラス成長になったと伝えられております。このうち、民間需要の減速を補う公共投資は、前期比13.6%の増加であり、景気回復を支える公共投資の割合が大きく報じられているところであります。公共投資は、短期的にはこうした景気動向に大きな役割を果たすものでありますが、本来的には社会資本を整備するためのものであり、安全で豊かな国民生活の実現や均衡ある国土づくり・地域づくりを推進し、人・もの・情報の流れを円滑にするなど、効果的な経済活動や快適な生活を営むためのものとして、これまで大きな役割を果たしてきたのであります。
 しかしながら、公共事業の配分比率の硬直化や事業の長期化などにより、経済社会の変化や時代のニーズに必ずしも適応したものとなってはいないという批判があることも事実であります。現在の公共事業のあり方を効率化・透明化し、さらには事業の重点化を進めるなど、根本的な見直しも求められているのであります。
 反面、本県のように、広大な県土の上、過疎地域が多く、また民間の経済力が弱い地域においては、地域の発展を図るため、今後とも引き続いて基盤的な社会資本の整備を積極的に推進する必要があるものと考えるのであります。
 そこでお伺いしますが、県としては公共事業についてどのように認識しておられるのでしょうか、お示し願いたいと思います。
 次に、地方分権推進計画の財源についてお伺いします。
 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律、いわゆる地方分権推進一括法が本年4月に施行され、地方分権がいよいよ実施段階に入ったことは御案内のとおりであります。
 また、平成7年7月に施行された地方分権推進法は、本来5年を経過した本年7月に失効する予定でありましたが、引き続き検討を要する課題もあることなどを理由に、その有効期限が1年間延長されたところであります。
 そのような状況の中で、地方分権推進委員会は、地方分権推進計画に基づく施策の実施状況の監視活動の結果を踏まえ、特に政府に要望したい点について、8月8日に内閣総理大臣に意見書を提出したところであります。その意見の中には、国庫補助負担金の整理合理化と当面の地方税財源の充実確保策の項目において、国庫補助負担金の整理・合理化を積極的に進め、国庫補助金の廃止・縮減を図るべきであるというものが含まれております。
 私はこの意見に述べられている国庫補助負担金の区分の明確化と整理合理化は、地方財政基盤の充実の前提となる国と地方の財源負担のあり方を整理する上で重要な課題であると考えるものでありますが、この地方分権推進委員会の意見について、県のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、水田農業経営確立対策の推進についてお伺いします。
 9月11日の岩手統計情報事務所の発表によりますと、9月1日現在の本県の米の作況はやや良の作況指数105ということであります。全国段階でも103と、昨年に続く豊作ということではありますが、御案内のとおり、残念ながら率直に喜べない状況にあるわけでございます。
 新聞報道によりますと、米の本年10月末の持ち越し在庫が計画を60万トンもオーバーする見込みとなり、12年産米の政府買い入れがゼロになるのではないかなどという、稲作農家にとりましてはまことにショッキングな記事をたびたび目にいたします。
 そこで、まだ確定したわけではありませんが、全国段階の作況指数103を踏まえ、今後の米の需給見通しをお聞かせ願いたいと思います。
 今年度から新たに始まった水田農業経営確立対策におきましては、平成11年度までの緊急生産調整対策に引き続き、過去最大規模の生産調整が3カ年行われておりますが、非常に気がかりなことは、最近のこうした需給情勢を背景に、12年産米の入札においても、自主流通米価格の低落傾向に歯どめがかかっていない状況に思われることであります。このような状況の中で、平成13年度における生産調整面積はどうなるのでしょうか。農林水産省は現段階でどのように考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
 また、現在の対策におきましては、穀物自給率の向上も目指し、対策の中心を麦・大豆の生産拡大に大きくシフトしており、その結果、先般公表された平成12年度の見込みにつきましても、全国的に麦・大豆が大きく伸びておるのであります。こうした状況を目にいたしますと、需要面が気になってまいりますが、県産麦・大豆の需給動向や販売の見通しはどうでしょうか、お示し願いたいと思います。
 次に、葉たばこの生産振興についてお伺いします。
 ことしは春先に雨が続いたこともあって、定植などの畑仕事が思うように進まず気をもんだ農家が多かったのでありますが、その後、一部にひょうの被害を受けるといった災害も発生したものの、全体としては天候に恵まれて、葉たばこの収量、品質とも期待できるのではないかとまずは胸をなでおろしているものであります。
 栽培管理者にとっては、この汗した農家の努力には頭の下がる思いでありますが、葉たばこの作付面積の状況を振り返ってみますと、昭和60年に4、000ヘクタールを超えていたものが、平成11年には2、100ヘクタールと、ここ15年でほぼ半分になっております。確かに昭和57年から8年間の長期にわたって生産調整が実施されたこともありますが、予想以上の減少はまことに残念でなりません。
 葉たばこは、御案内のように、平成5年の冷害に遭っても平年並みの反収が確保され、改めて冷害に強い作目として見直されていると聞いております。本県のような寒冷気象のもとでしっかりした農業を構築していくためにも、不可欠な作物であると確信しているものであります。
 そこでお伺いしますが、県では、こうした葉たばこの生産振興対策についてどのような考えをお持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、企業誘致の現状と今後の対策についてお伺いします。
 企業誘致につきましては、先ほど田村議員からも質問がありましたが、別な視点から申し上げさせていただきます。
 政府発表の8月の月例経済報告によりますと、景気は厳しい状況を脱していないが、緩やかな改善が続いており、企業部門を中心に自立的回復に向けた動きが続いております。
 また、県内の経済動向についても、岩手経済研究所の分析によりますと、一部で前年割れが見られるものの、一般機械や精密機械が好調を維持しており、さらには、本県の主力業種とされる電気機械が回復傾向にあることから、力強さが出てきているのではないかと推察されるところであります。
 しかしながら、一方では企業活動のグローバル化とともに、生産拠点を海外にシフトする傾向も見られ、現に本県の工場の中には、やむなく閉鎖に追い込まれるというニュースも耳にするところであります。
 私は、景気に左右されない優良企業の導入を図ることにより、雇用の場をつくり出すことが、地域の活性化に大きく貢献するものと認識しているところであります。
 我が国経済が回復基調に転じたと言われる昨今、企業の地方進出の意欲も少しずつ上向いてきているのではないかと期待するものでありますが、最近の企業誘致の現状はどうなっているのでしょうか。全国的な傾向とあわせてお伺いします。
 また、誘致活動の方もかつてのような右肩上がりの時代における活動とは状況が異なると思うのでありますが、今後の企業誘致の対策につきましてもあわせてお伺いいたします。
 次に、大規模林業圏開発林道八戸・川内-川井・住田線の整備促進についてお伺いいたします。
 広大な森林面積を有する本県にあっては、国道、県道、市町村道と一体的な交通網として林道の整備は不可欠であります。しかしながら、本県のバックボーンをなす北上山系にあって、大規模林業圏開発林道八戸・川内線で昭和48年から、川井・住田線が昭和51年から着工されたことは、県民の大いなる期待にこたえるものでありましたが、当局の今日までのたゆまぬ御努力によって、その進捗率は、川井・住田線にあっては計画71.8キロメートル中90.4%が開設され、残りは6.9キロメートル余り、また、八戸・川内線にあっては74.1キロメートル中87.3%が開設され、残りは9.4キロメートルとなり、これを合わせると未開通距離が16.3キロメートルとなりますが、そのうちの76%が川井村地内にあります。
 申すまでもなく、この林道開発は、豊富な森林資源の活用により、林業振興のみならず、流通網整備による山地農業と畜産振興、観光開発による過疎化防止、森林レクリエーション等を通じた都市と山村との文化交流など、山間地域に夢と希望を大いに与える事業であります。しかるに、計画当初に予知、予見できなかったクマゲラの生息情報、クマタカの飛来視認などにより、環境保護を名乗る団体から、川井・住田線の建設中止がターゲットにされたのであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 早速、森林開発公団はクマゲラの生息調査を平成7年から3年間実施しましたが、調査区域内ではクマゲラの生息の可能性を示す痕跡は発見されたものの、営巣は確認されていないのであります。もちろん、公共工事と環境保全の関係は重要な課題であり、希少動物の保護の重要性は十分認識しております。しかしながら、いたずらに工事が遅延し、関係住民、ひいては均衡ある県勢発展に支障を来すことは、県政推進の本来の姿ではないと思われますし、このことによりもし工事が中止に追い込まれることがあるとしたならば、本県の山間地の将来に重大な禍根を残すことになります。
 そこでお伺いしますが、先般川井村で開催された整備促進住民大会においても、地元の熱い期待が示されたように、地域住民永年の悲願であり、このように重大な役割を担っているこの大規模林業圏開発林道の完成に向けて、どのような手だてを講じて努力され、またどのような見通しを持っておられるのか、見解をお示し願いたいと思います。
 次に、間伐対策についてお伺いします。
 本県の森林資源は、戦後に積極的に造成された人工林を主体に成熟しつつあり、これら人工林の約5割は間伐を必要とする時期に差しかかっております。間伐などの林業生産活動を展開し、森林を適切に管理することは、森林の公益的機能の高度発揮の面で重要であるばかりでなく、林業・木材業の振興、さらには山村の活性化にもつながるものであり、近年の木材価格の低迷や林業経営コストの高騰による採算性の悪化などにより、林業生産活動が停滞している状況の中にあって、積極的に間伐を推進することは非常に重要なことであると考えております。
 県においては、本年8月に県土と県民を守る緑豊かな森林づくりの実現に向けて積極的に間伐を進めるとして、岩手県緊急間伐5カ年計画を策定されたところでありますが、まことに時宜を得たものと評価いたしております。
 そこでお伺いしますが、この岩手県緊急間伐5カ年計画を受け、どういう取り組みで間伐を進め、県民の期待にこたえ得る健全な森林づくりを進めようとしているのか、お考えをお示し願いたいと思います。
 次に、公的機関による森林整備についてお伺いします。
 森林は、木材の供給のみならず、県土の保全や水資源の涵養、特に近年は二酸化炭素の吸収・固定による地球温暖化防止への働きなど、公益的機能の発揮が期待されておりますが、近年の木材価格の長期低迷による林業収支の悪化は、林業生産活動の停滞をもたらし、林業経営は極めて困難な状況となっており、このまま推移すれば、木材の供給はもとより、公益的機能の発揮さえ危ぶまれる状況にあります。
 私は、本県の貴重な資源である森林を適正に整備し、木材供給と森林の公益的機能を持続的に確保するためには、公的機関による森林整備の役割がますます大きくなるものと考えているところでありますが、この一翼を担う岩手県林業公社等の機関造林もまた厳しい経営環境にあります。
 このような中で、県では今後の公的機関による森林整備のあり方について、公益保全森林整備検討委員会を設けて検討し、先般、中間報告がなされたと伺っております。つきましては、その報告はどのような内容であるのか、また、県としてはどのように受けとめておられるのかお伺いします。
 次に、口腔保健対策の推進についてお伺いします。
 申すまでもなく、健康づくりの根幹をなすものは健康的な食生活にあると言われているところであり、健康的な食生活を営むためには、歯と口の健康が重要であることは周知のところであります。
 このことから考えますと、県民の口腔保健の推進方策は、単に虫歯や歯周病の予防に向けた取り組みと位置づけるだけではなく、総合的な健康づくりの視点から実施していくことが必要ではないかと考えているところであります。
 そのため、県民に対しては、口腔保健医療についての情報の発信や啓発などをこれまで以上に積極的に推進していただきたいと思うのでありますが、気がかりなのは、口腔保健についての情報発信の拠点施設がないという点であります。
 そこでお伺いいたしますが、この情報発信の拠点施設、仮称口腔保健センターとでも言うべき施設の設置を含み、総合的な健康づくりの視点に立った県民の口腔保健対策の推進についての考えをお示し願いたいと思います。
 次に、産業廃棄物の現状と対策についてお伺いします。
 香川県豊島問題を初め、東北では秋田県の能代産廃や福島県いわき市の例など、大規模な不法投棄、不適正処理が社会問題となっております。
 さらに、本県においても、連日報道されているとおり県北、県南に首都圏から大量の産業廃棄物が不法投棄、不正搬入された事件が明らかになり、地域の住民にとっては暮らしの安全に不安を抱かせる事態となっております。
 このように首都圏の産業廃棄物が地方に不正に搬入されるのは、処理施設の確保が極めて困難な状況で、適正に処理されない廃棄物が地方に流れているためだとも言われております。このような中で、国は廃棄物処理法を改正し、産業廃棄物を大量に排出する事業者に対して、産業廃棄物の減量化や処理に関する計画を策定することを義務づけ、その実施状況を都道府県知事に報告させることにより、その報告をもとに不足する処分場の数を都道府県に把握してもらい、必要な処分場整備を促進していく考えと聞いております。
 そこでお伺いしますが、今回の廃棄物処理法改正を受けて、本県の産業廃棄物対策を具体的に進める必要があると考えますが、現在の状況と今後、産業廃棄物減量と適正処理について、どのような計画のもとに進められようとしているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 最後に、東北新幹線の八戸までの開業による盛岡都市圏への影響と対策についてお伺いします。
 東北新幹線盛岡以北につきましては、御案内のとおり、平成3年9月に盛岡-八戸間が、また10年3月には八戸-青森間が着工され、全線フル規格による整備が順調に進められ、今年度の国の公共事業等予備費の配分により、3年度以降の事業費総額が約3、870億円となり、12年度末の進捗率は、総事業費4、840億円の約80%に達する見込みと聞いております。
 新聞報道によりますと、工事を実施している日本鉄道建設公団盛岡支社では、青森県で15年2月に開催される冬季アジア大会に間に合うよう、14年12月の開業を目指して努力していると伝えられております。また、9月9日には、陸上トンネルとして世界最長となる岩手一戸トンネル、25.8キロメートルが貫通したことにより、盛岡-八戸間の21トンネルすべてが貫通しております。
 このように、東北新幹線盛岡-八戸間の整備が順調に進められますことは大変喜ばしいことではありますが、一方では、古くは昭和50年の山陽新幹線岡山-博多間の開業により、岡山駅が通過駅と化したことを思い出しますと、東北新幹線の八戸までの開業が盛岡都市圏にどのような影響を及ぼすのか、一抹の不安を感じざるを得ません。
 そこでお伺いしますが、東北新幹線の八戸までの開業が、北東北の交流拠点である盛岡都市圏にどのような影響を及ぼすとお考えでしょうか。また、それに対する対応策をどのようにお考えかお伺いします。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 藤原泰次郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、平成13年度予算編成の現時点における基本的な考え方についてお尋ねがございましたが、来年度予算は、今年度に引き続きまして、昨年策定をいたしました岩手県総合計画に掲げておりますさまざまな施策がございますが、この着実な推進を基本として重点的に配分をしていきたいと、いろいろ優先度を考慮しながらめり張りをつけて配分をしていきたいと、このように今考えております。
 また、そのことによりまして13年度の国の予算編成において特に重点分野として位置づけられることが見込まれております、いわゆるIT革命の推進、そして環境問題への対応、それから高齢化対応などとも軌を一にして、21世紀の本県の新たな発展基盤の構築に資するものと、このように考えております。
 一方で、本県の県財政を取り巻く環境についてでございますが、引き続き厳しい経済情勢のもとにございまして、県財政の歳入面では、県税や地方交付税などに従来のような伸びが期待できないと思います。また、歳出面におきましても、県債の残高が増加をしてきておりまして、特に公債費などの義務的経費がここしばらくの間年々増嵩すると、こういう状況でございます。県財政は一層厳しさが増していくものと、このように認識をしております。
 したがいまして、このような財政環境を踏まえて、特に来年度予算につきましては、今後の国の予算編成作業や地方財政対策の動向などを見きわめることが必要になりますが、中期的な財政見通しのもとに編成することとしております。実際の予算の編成に当たりましては、本年度から設置をいたします、私を初めとする三役、それから各部局長などを構成メンバーとする政策評価・推進会議というもの、これを本年度から新たに設置する予定でございまして、この政策評価・推進会議における政策評価の検討結果を来年度の予算編成に反映させていきたいと、このように考えております。
 具体の予算編成作業に当たりましては、費用対効果分析に基づいて事業を一層厳選したいと、そして限られた財源の効果的な活用を図るための創意工夫に努めていきたいと考えておりますが、またさらに、特に来年度は県庁の組織の大規模な再編が予定をされておりますので、その効果が十分発現できるよう配意しながら、予算編成を行ってまいりたいと考えております。
 次に、公共事業についてお尋ねございましたんですが、多軸型国土構想の形成と地方分権型の地域社会の構築が求められている中にありまして、それぞれの地域が自立的に発展していくための基礎的、そして社会的条件を整備するためには、公共事業というものが今後とも重要な役割を担っていくものと認識をしております。今後とも本県の交通体系の骨格となる東北新幹線の盛岡以北や花巻空港、そして高規格幹線道路などの高速交通ネットワークの着実な整備や、地域間の交流・連携を進めるための交通網の整備を積極的に進めますとともに、下水道などの生活基盤の整備、それから情報通信技術革命、いわゆるIT革命に対応した情報通信網の整備、それから総合食料供給基地の形成などを重点的に進めて、地域の個性や特性を生かして、本県の潜在的な価値がより多く引き出せるような、そうした社会資本の整備にこれからも鋭意取り組んでいきたいと考えておりますが、今申し上げましたようなもののその多くは、公共事業方式によって実施をされるものでございまして、そういった意味からも公共事業の果たす役割は非常に大きいものと、このように考えております。
 なお、こうした公共事業の実施に当たりましては、当然のことながら、厳しい財政環境のもとで、限られた財源の効率的、効果的な活用を図るために、積極的な情報公開を行いまして、地域住民のニーズを把握するとともに、事業の重点化と事業評価を徹底して、21世紀の新たな岩手づくりにつながる社会資本の整備に努めていく考えでございます。
 次に、地方分権推進計画の財源問題についてのお尋ねでございますが、今回出ました地方分権推進委員会の意見といいますのは、国庫補助負担金の整理合理化や法人事業税の外形標準課税の導入などについて政府に分権推進委員会から要請したと、こういうものでございまして、とりわけ国が義務的に負担をしております国庫負担金と、奨励的に補助する国庫補助金、それぞれの区分の明確化と整理合理化というものは、今、議員の方から御指摘ございましたとおり、今後事務の実施主体がその費用を負担するという、こうした原則に立って国と地方の財政関係のあり方を議論していく場合の最も基本的な課題でございますし、今回の分権委員会の意見につきましては、私自身も全国知事会等を通じてかねてから要望してきたものであり、大いに評価すべきものでございますし、その速やかな実現を期待しているものでございます。
 なお、国庫補助負担金につきまして廃止、縮減が行われた場合においては、引き続き地方公共団体において当該事務事業の実施が必要なときには、当然所要財源を明確にした上で必要な地方一般財源が確保されることが前提となるわけでございます。これはもう当然そうした地方一般財源が確保されるということが前提となるわけで、この点も含めて、国が地方分権推進委員会の意見を受けて適切な措置を講ずるよう、今後とも全国知事会などを通じて強く国に要望していきたいと考えております。
 また、この地方分権推進委員会そのものにつきましては、今後とも地方の意見を十分反映されて、地方税財源の充実強化などの残された課題もございますので、こうした課題に向けた取り組みを着実に進められることを期待しているところでございますが、一方で、やはり私どもといたしましても、自己決定、自己責任の原則のもとに、分権の担い手の主役としての活動が求められているわけでありますから、こうした先ほど申し上げましたような財源などの残された課題の実現に向けて、最大限努力をしてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) まず、今後の米の需給見通しについてでありますが、国においては、主食である米の需給と価格の安定を図るため、毎年3月に食糧法に基づき基本計画を策定し、需給見通しを行っているところであり、本年10月末の自主流通米と政府米の在庫数量の合計は219万トンと見込んでいたものであります。この需給見通しにつきまして、9月に見直しを行ったところ、在庫数量の大宗を占める政府米の販売が不振であることから、政府米在庫は適正な備蓄水準の上限であります200万トンを大きく超える260万トン程度になると予想しており、さらにことしの米の作況を考慮しますと、今後の需給は大幅に緩和するものと見込まれているところでございます。
 次に、平成13年度の生産調整面積についてでありますが、昨年10月に決定されました水田を中心とした土地利用型農業活性化対策大綱におきましては、国産米の需給均衡により米の価格が安定するよう、生産調整規模を毎年適切な水準に設定することとされております。このため、国におきましては、本年10月末の国産米在庫が基本計画を大幅に上回る見通しになったことや、今年産米の豊作が見込まれることなどから、自主流通米価格の低落が懸念されるため、需給改善対策につきまして、現在、生産者団体等との協議、検討が行われているところであります。現段階におきましては、今年産米の豊作による生産オーバー分の主食用以外への処理、それから政府持ち越し在庫の海外への食糧支援と販売凍結による市場隔離、そして平成13年度の生産調整の拡大などがその主な検討内容と伺っております。また、これら対策とあわせまして、最近における自主流通米の低落を踏まえまして、稲作経営安定対策の拡充措置につきましても検討されていると伺っており、今後、早急に内容が固められ、その対策が決定されるものと考えております。
 次に、平成12年産の県産小麦・大豆の需給動向や販売の見通しについてでありますが、まず県産小麦につきましては、前年対比34%増の3、300トン程度の供給が見込まれておりますが、主力品種のナンブコムギはたんぱく質の含量が高く、クリーミーな色合いで差別化が可能であることから、県内の製粉業者から高く評価され、約4、000トンの需要がありますので県内を中心に全量取引されるものと見込んでおるところでございます。
 また、県産大豆につきましては、作付面積は前年対比13%増ということで、収穫前ではございますが、作柄も良と予想されております。全国的にも作付面積が増加している中で、県産大豆の利用拡大を図るためには、品質や規格をそろえて、県内の加工業者等に安定供給していくとともに、地場利用の拡大を促進することが重要であります。このため、先般、県及び生産者から加工、消費に至る県内関係業者で構成する岩手県産大豆流通懇談会を設置したところでございます。今後とも、生産と実需の緊密な連携による販路確保や生産者の加工促進など、県産大豆の一層の需要を喚起してまいりたいと考えております。
 次に、葉たばこの生産振興についてでありますが、本県の葉たばこは、平成11年度の生産額がおよそ104億円と、全国の主要な産地になっており、特に作付の多い県北の畑作地帯や中山間地域にとりましては、今後とも他にかえがたい重要な品目であると認識をしているところでございます。また、昨年度には、本県で栽培しているバーレー種と南日本の主要品種であります黄色種との労力格差問題につきまして、バーレー種に対し一定の助成措置が講じられるなど、懸案であった問題が解決し、本県の葉たばこ経営を取り巻く状況は、大きく改善されたものと考えております。しかし、本県の生産状況を見ますと、圃場整備や省力機械の導入がおくれていることから、1戸当たりの平均耕作面積が全国の半分程度であるなど、規模、生産効率の面で課題が残っております。このようなことから、県といたしましては、岩手県たばこ耕作組合が主体的に取り組んでおります、アタックヨイハ構想を支援するため、特にも労力を要する収穫、乾燥の作業改善に向けた幹刈り収穫機、コンパクト乾燥機などの省力機械の導入を進めるとともに、経営規模を拡大するための圃場条件の整備を促進するなど、生産拡大とコスト低減に向けた施策を推進してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) 企業誘致の現状と今後の対策についてですが、我が国産業の最近の業況は、IT関連産業など製造業を中心に全体的に緩やかに改善してきてはいるものの、企業等の立地動向につきましては、全国的な傾向として、平成元年をピークにその後減少傾向が続きまして、依然として厳しい状況にあります。このような中で、本県への企業立地件数も同じように減少傾向にありましたが、昨年度は3年ぶりに2けたの立地件数となりました。本年度においても、IT産業関連でありますTDK-MCC株式会社の後藤野工業団地への立地が実現するなど、現在、前年同期を上回る件数、6件の立地で推移しておりまして、また本県の工業用地に関する照会件数もふえてきている状況にございます。今後とも、北上川流域に集積している先端的技術を有する企業群と関連の深い業種に重点を置きながら、本県の圏域全体への立地を視野に入れた企業誘致活動を展開してまいりますし、また今後成長が見込まれる情報関連産業や、環境関連企業などへの働きかけを強めてまいりたいと考えております。
 また、企業誘致戦略の一つとして、県や市町村などの担当職員を対象といたしまして、民間企業のノウハウを取り入れた接遇研修やセールス研修を実施し、企業誘致に携わる人材養成にも努めているところでございます。さらに、既に進出いただいております企業につきましても、地元市町村や地方振興局と十分な連携をとりながら、立地後のフォローアップの充実をも図ってまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) まず、大規模林業圏開発林道の整備促進についてでありますが、現在県内で事業が実施されている八戸・川内線及び川井・住田線の2路線の計画延長に対する進捗率は、平成11年度末において89%と、全国平均の52%を大きく上回っており、これは地域住民の要望に基づく関係市町村等の努力が反映したものと考えております。その中で、最近、川井・住田線横沢-荒川区間において、猛禽類の生息が確認されたことから、事業主体である緑資源公団──旧森林開発公団でございます──は、環境庁が定めたマニュアルに基づくモニタリング調査を実施し、専門家の意見を聞きながら営巣期間の工事を避けるなど、自然環境の保全に十分配慮しつつ事業を実施しているところであります。このため、県といたしましても、関係者の理解を醸成し事業の促進に資するよう、地元住民や自然保護団体に対して、本事業の必要性や環境保全対策の動向について説明するなど、鋭意努力をしてきているところであります。今後におきましても、引き続き緑資源公団、関係市町村等と密接に連絡調整を図りつつ、平成13年度に国が行う横沢-荒川区間の再評価について必要な資料を提供するなどにより、本事業が円滑に進展するよう、さきの住民大会で示された地元の熱意にもかんがみ、所要の努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、間伐対策についてでありますが、健全で多面的な機能を高度に発揮する森林を育成するため、間伐を緊急かつ計画的に推進することを目的として岩手県緊急間伐5カ年計画を8月に策定し、平成12年度から5カ年間で8万2、000ヘクタールについて実施することを目標としたところであります。この計画では、従来の対象森林に加え、新たに林齢が36年から45年までの森林を対象として、主として公益的機能の発揮を目的とした間伐とともに、間伐材がこれまで以上に大量に生産されることから、その利用促進ともあわせ、総合的な対策を推進することとしております。しかしながら、この対策では、市町村が間伐の必要なまとまった森林を緊急間伐団地として設定し、当該森林の所有者と間伐推進に係る協定を結ぶこととされているなど、その役割が従来になく重要となってきていることを踏まえ、対象森林の選定、事業計画の策定等が円滑になされるよう、県が市町村と連係を密にし、積極的に取り組むこととしております。
 また、利用面では、もっと・ウッド・県産材推進連絡会議などを通じ、円柱材加工施設の整備と相まって公共土木工事での利用を推進するほか、防音壁などの新製品の開発、インターネットのホームページによる間伐関連情報の提供などの対策に総合的に取り組み、健全な森林づくりを進めてまいりたいと考えております。
 次に、公的機関による森林整備についてでありますが、県有林及び林業公社は、借入金等を財源とする分収造林事業を実施してきており、今後、分収契約の期限の到来により広大な伐採対象森林の発生が見込まれます。しかしながら、これらが伐採された場合、厳しい林業の経営環境のもとで土地所有者による再造林が進まず、森林の公益的機能の確保が危惧されること、また、一方で県有林及び公社においても、償還財源の確保などの課題を抱えております。このため、県では学識経験者等で構成する公益保全森林整備検討委員会を設置し、これら公的機関による森林整備のあり方等について検討いただいており、広範な論議の契機とするなどのため、先月末に中間報告が取りまとめられたところであります。この報告では、合わせて8万ヘクタールに及ぶ分収林を整備してきた機関造林の成果を評価しつつ、今後は、森林の働きや価値を次代に引き継ぐため、経営改善を推進しつつ、大面積皆伐の見直し、伐採の抑制と長伐期、非皆伐施業への転換とともに、公益的機能の高度発揮が求められる箇所の森林整備等が必要であると提言されております。林業水産部といたしましては、この報告を真摯に受けとめ、関係部局とも調整を図りつつ県の対応案を検討し、パブリックコメントを実施するなど、具体的な方策を策定してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 口腔保健対策の推進についてでありますが、イー歯トーブ8020運動を関係機関の協力を得ながら積極的に展開し、県民の口腔保健の向上を図ってきたところであります。県といたしましては、歯と口を通じての全身の総合的な健康づくりの推進が重要であることから、現在策定を進めている健康いわて21プラン──仮称でございますが──において、重要かつ優先的に取り組むべき保健、医療上の課題である11領域の一つとして口腔保健を選定し、県民の総合的な健康づくりを積極的に目指すこととしているところであります。
 口腔保健センターにつきましては、他県の設置例では、その主な機能は休日・夜間診療、障害者歯科診療、情報発信などでありますが、本県におきましては、休日歯科診療は県の補助等により、地区歯科医師会が地域の実情に合わせて実施しているほか、障害者歯科診療は県が岩手医科大学に委託し、その機能を果たしております。また、情報発信につきましては、これまで県や市町村、岩手県歯科医師会、岩手医科大学等がそれぞれの立場で口腔保健の啓発のための情報を発信してきたところでありますが、県民がみずから進んで健康づくりを行うためには、健康づくりについて新しい情報を的確かつ一括して得られることが大切であることから、現在整備を進めております県環境保健センター──仮称でありますが──において、関係機関と連携して、口腔保健に関する情報提供を積極的に進めるなど、保健行政の科学的、技術的中核機関として、口腔保健対策をより一層推進してまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) まず、現在の産業廃棄物の状況についてでありますが、県内で1年間に発生する産業廃棄物の量は、家畜ふん尿を除いて約355万トンと推計されており、これらの処理につきましては、有害物質を含む廃棄物のような特殊な処理技術を必要とするものは県外に依存しているものの、その他の廃棄物はおおむね既存の施設で処理されております。しかしながら、今後、資源循環型の地域社会の構築が求められていることやダイオキシン規制の強化に対応できる施設が少なくなることなどから、リサイクルを基盤とした関連施設の計画的な整備が求められている状況にあります。
 次に、今後の産業廃棄物の減量と適正処理についての計画についてでありますが、本年6月の廃棄物処理法改正によって、産業廃棄物を多量に排出する事業者等に対する排出抑制、リサイクルなどによる減量化を進め、その上で適正に処理するために必要な施設の整備を促進するため、一般廃棄物とあわせた総合的な廃棄物処理計画を県として新たに定めることとされました。したがいまして、当初、本年度中に平成12年度を目標とした第3次岩手県産業廃棄物処理計画の見直しを予定していたところでありますが、今後示される国の基本方針や本年度に策定するいわて資源循環型廃棄物処理構想──仮称でございます──を踏まえまして、改めて岩手県廃棄物処理計画、これは産業は入っておりません。一廃と産廃が一緒の廃棄物処理計画として平成13年度の早期に策定できるよう、作業を進めているところであります。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) 東北新幹線の八戸までの開業による盛岡都市圏への影響と対応策についてでありますが、東北新幹線は、昭和57年の盛岡-大宮間の暫定開業以来、本県の振興にとって大きな役割を果たしてきたところであり、この間、盛岡都市圏においては、民間事業所の立地や駅西口開発を初めとするさまざまな都市機能の整備が順次進んできているところであります。平成9年の秋田新幹線の開業においては、盛岡都市圏の交流拠点としての機能が高まった面も見られており、平成14年中と見込まれる盛岡-八戸間の開業においても、青森、秋田を商圏とした経済活動がより活発化することが十分期待されるところであります。したがいまして、今後、北東北における人・物・情報の交流拠点としての盛岡都市圏の優位性をさらに高めていくため、これまで整備されてきた県立大学、工業技術センター、情報関連産業の拠点でありますマリオスあるいは来年度開設予定の県立美術館などの高次都市機能の集積効果が十分発揮されるよう、行政、民間それぞれにおいて魅力を高めるような努力、あるいは官民一体となった魅力ある都市圏づくりに努めてまいる必要があると考えております。
〇議長(山内隆文君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時42分 散 会

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