平成12年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(佐藤力男君) 自由党の佐藤力男でございます。本定例会に当たり質問の機会を与えていただきましたことに感謝し、通告に従い、順次質問してまいりますので、よろしくお願いいたします。
 初めに、本県の基幹産業たる農業の振興についてお伺いいたします。
 我が国の農業は、日本が敗戦からの復興に向けて、工業分野をメーンに経済成長路線をひたすらに突き進む中にあって、ひとり取り残される形でありましたが、その近代化と所得の向上を目指し、昭和36年に農業基本法が制定されました。以来、需要の伸びが見込まれる作物の生産拡大や産地指定制度などの導入により、特定の作物を大量に生産し、大消費地へ供給するという近代農業の形をつくり上げ、その結果、農村に経済的な豊かさをもたらしました。一方、時期を同じくして、我が国ではさまざまな公害問題が発生し、農薬や化学肥料に依存した近代農法により生産される農作物についても、消費者から疑問や不安を感じる議論が出始めました。以来、幾多の試みを繰り返しながら、今日のような有機農産物流通の拡大、さらには生産者の顔が見える、いわゆる産直方式での販売など、消費者が安心できる安全な農作物を求める時代へと至り、農業を取り巻く環境は急激に変化をしております。こうしたことから、昨年7月、38年ぶりに農業基本法が見直されたのでありますが、本県では、こうした情勢の変化を踏まえ、多様化する消費者ニーズあるいは流通チャネルへの対応を、農政部の重点課題ととらえ取り組んでいただいていると認識いたしております。しかるに、急速に進むこうした傾向に対処するため、私は、これまでの大量生産、大量流通を指向する取り組みに加え、今後は食料自給率で自国の自給率を論じるように、県民の食料需要に本県農業がどれだけ供給しているかといった、いわば地域自給率の向上の視点で取り組むことも重要であると考えております。こうした観点に立ち、以下2点についてお伺いをいたします。
 第1に、昨年11月に農水省で発表した都道府県別食料自給率によれば、本県は111%で全国第5位となっておりますが、このデータはあくまでもカロリーベースの試算値であります。県は独自に本県農業が持つ県内外への農産物供給力を算定しておられますが、この際、農産物の地域流通や消費の実態を調査し、作目別の生産目標と同様に、県独自の自給目標数値を定め、県民に示すべきと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 第2に、今年度花巻地方振興局で取り組んだオール地場産品学校給食の日は、地場産品を通じ地元農業のすばらしさや農業の大切さを実感し理解する教育の一環として、さらには地元産品の消費拡大に資する先進的な取り組みと高く評価するものであります。私は、こうした取り組みを県内すべての地域でぜひ実施すべきと考えますがいかがでしょうか。
 また、こうした取り組みに関連してお伺いをいたしますが、県は、米の字にちなんで8月18日を米の日として消費拡大キャンペーンを実施しているところでありますが、幼少のころから米中心の食生活に見直し、消費拡大につなげようとするならば、学校の夏休みのシーズンであるこの時期の実施は再考すべきと思われますがいかがでしょうか。
 次に、人づくり、特にも次代の農業を担う人材の育成策についてお伺いをいたします。
 この問題は、本県の重要課題としてこれまでもたびたび先輩議員も取り上げてこられました。一方、県におきましても、就農条件の整備を初め、担い手育成対策、新規就農支援対策など、関係機関、団体と連携をとりながら鋭意努力されてきたと認識いたしております。しかるに、今、農業は、これまでの所得と経済優先の生活から、自然と人、仲間や歴史、風土を友としながら、心豊かで安心感のある生き方を実現でき、その生涯をかける魅力ある職業として多くの人々から見直されてきておりますし、農業こそが21世紀の環境ビジネスであるとする有識者もおり、私はこれまで苦慮してきた農業後継者対策に今こそ本腰を入れて取り組む絶好の時期を迎えていると考えます。こうした中で、最近の情勢を見ますと、ここ10数年、全国、東北、ともに農家数は減少する一方で、後継ぎのいない農家が、いるとする農家に匹敵するような割合になっております。また、本県における後継ぎのいる農家数は、東北平均よりも5.6ポイントも低い数字になっている現状は、総合食料供給基地を標榜する本県といたしましては、まことに憂慮すべき事態であり、従来にも増して緊急に、有効かつ抜本的な対策が必要となっております。わけても学卒者の新規就農者が減少を続ける中で、本県農業の担い手育成に果たす農業大学校の役割は極めて重要であります。農業大学校はその前身が大正6年に創設されましたが、その後の施設統合を経て今日まで、本県農業を支える自営農業者や指導者を数多く輩出した輝かしい歴史を持ち、農業振興に欠くことのできない貴重な人材育成のための教育施設であります。
 そこでお伺いいたしますが、第1に、県の総合計画では、農業大学校については、本県農業者育成の中核施設として、担い手育成にふさわしい教育内容、施設の整備を図るとしておりますが、この計画の実施に当たり、今後の農業大学校のあり方をどのようにお考えでありましょうか。
 また、現在の施設・設備は、旧営農大学校時代からの引き継ぎが多く、老朽化が目立ち、あすの岩手の農業を担う意欲ある人材を育てる施設としては、甚だ貧弱と言わざるを得ません。今まさに農業が見直されている社会情勢でもあり、こうした時代の趨勢を先取りし、農業大学校の再編整備を可能な限り早期に実施する必要があると考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 第2に、同校では学卒者に対する農業経営のための養成や、農業者研修とあわせ、農業への新規参入希望者のための研修に取り組んでおられます。しかしながら、学ぶ目的や受講時間の異なる受講者を、同じ施設、職員体制で指導していくことは、基本的に無理があると思われますことから、私はこの際、増加する新規就農希望者のニーズに柔軟に対応できる専門的な体制を整備すべきと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 次に、県産材の需要拡大も含めた地域住宅産業の振興策についてお伺いをいたします。
 ここ数年、低迷を続ける日本経済を支えてきたのは、国の追加補正予算等による公共事業であり、税対策などを講じられながらの住宅関連事業でありますが、残念ながらその公共事業も御承知のような情勢下にあって、今後の伸びは全く期待できないと言われております。申し上げるまでもなく、住宅関連事業には極めて多様な業種がかかわり、地域経済への波及効果の高い、まさに地域活性化の優等生であります。特にも地域住宅産業は、地域の伝統的な工法の継承を通じ、地域文化の維持や地域経済の発展、地域コミュニティー活動などにも大きな役割を果たし、また住宅に使用される木材の供給を担う林業、林産業との密接な連携を通じ、森林の適切な維持管理にも貢献してきたところであります。しかるに、戦後の旺盛な住宅需要を背景とした業界の順調な発展に、国内の木材供給サイドが十分に対応できず、加えてさまざまな工法が外国からも導入され、それに伴い国産木材が競争力を失い輸入材が増加の一途をたどり、今日の危機的な林業の状況に陥ったのであります。本県におきましても、大手ハウスメーカーやフランチャイズにシェアをとられ、ツーバイフォー、木造プレハブといった工法の増加により、木造の在来工法による住宅建設シェアが年々低下し、99年には67.3%まで下がってきており、地域住宅産業は深刻な事態に陥っております。住宅関連事業が地域経済へ及ぼす影響にかんがみるとき、単に県産材の需要先としてとらえるのみならず、地域経済全般にわたる問題ととらえ、県としても緊急に地域住宅産業の振興に本腰を入れるべき時期を迎えていると考えます。本県の豊かな森林資源の活用に新たな活路を求めている、いわば川上側と大手メーカーの攻勢にあって、地域特性を生かした差別化による活路を模索する川下側とが連携を強化し、県民のニーズに合った岩手ならではの地域住宅産業の振興策を講じることが喫緊の課題となっております。
 そこでお伺いいたしますが、第1に、本県の地域住宅産業の現状をどのように認識しておられますか。また、今後地域住宅産業の育成にどのように取り組まれる所存か、お尋ねをいたします。
 第2に、これまで実施してきた県産材の需要拡大対策の成果とその問題点をどのようにとらえておられますか。また、県は今年度から県産材活用住宅開発促進事業に取り組んでいると認識しておりますが、今後の県内林業と地域住宅産業との連携、さらには地域特性を生かした住宅開発に向けてどのように取り組もうとしておられるのか、御所見をお尋ねいたします。
 次に、県の本庁機構の組織再編と退職勧奨制度についてお伺いをいたします。
 来年1月からの中央省庁再編にも絡み、県においても行政システム改革大綱に沿って、来年4月の本庁機構の再編に向け現在検討中であると伺っております。この大綱では、地方振興局については、県民から地方振興局の活動などがわかりにくいとか、自己決定、責任の権限や機能がまだ十分でないと課題を認識し、今後の方向として、県民との対話機能の強化や自己決定、責任機能の強化などを行うとしております。新しい組織機構は、当然ながら県民にわかりやすく、しかも効率的に事務事業が執行されるものとなることが望まれます。さらには、増田県政の特徴の一つである、県民に目を向けた行政執行組織として、地方振興局の充実強化が実現される機構にすべきと考えます。しかるに、たび重なる県職員の不祥事は、こうした知事の思いをよそに、改めて権限委譲の難しさと、職員管理と教育徹底の必要性を浮き彫りにいたしました。昨日来の質問でも、今回の不祥事を初め、これまで毎年といっていいほどの事案に対し、さまざまな議論が展開され、その対策が示されましたが、私はこの不祥事のほとんどが地方振興局で起こっていることを考えますと、事は単に偶然とは思えないのであります。すなわち、原因はいわゆる縦割り行政の弊害であり、組織機構にあると考えます。このため、こうした不祥事の再発防止のためには、小手先の場当たり的な対応ではなく、抜本的な対策が必要であると考えております。
 そこで、まず第1に、地方振興局の充実強化といった観点からお伺いいたしますが、縦割りの弊害をなくし、特にも地方振興局の強化を図るためには、知事がみずから地方振興局に出向き地域の要望を受けている現状からいたしましても、地方振興局の各部が、局長を中心に、より独立性を持つことが極めて重要であると考えます。そこで、本庁に地方振興局を総合的に支援し、本庁各部との調整機能を持つ、いわば地方振興局部のような組織が必要と考えますがいかがでしょうか。
   〔議長退席、副議長着席〕
 また、第2に、退職勧奨制度についてお伺いをいたします。
 県では一定年齢以上の職員を対象に、人事管理の適正化を促進するため退職勧奨を実施しており、毎年幹部職員が定年を待たずに退職し、昨年度も14人が県出資法人等の役職員に就任いたしております。こうした退職勧奨による、いわゆる天下りについては、出資法人の独立性の確保といった観点からも批判があり、また豊富な経験を有する部局長等の幹部職員が就任1年程度で退職されるのは、県行政の充実や人材の有効活用といった観点からも問題なしとはしません。今後の高齢化社会に向けて、国においても退職勧奨制度の見直しを進めるやに聞いておりますが、私は天下りを抑制し人材の有効活用を図るためにも、この制度を見直すべきと考えますがいかがでしょうか。お考えをお示しいただきたいと存じます。
 次に、県における社会貢献活動の推進についてお尋ねをいたします。
 先般、県政調査会での課題研究の折、フィランスロピーというテーマで岩手県立大学の渡辺一雄教授のお話をお聞きし、強い感動を覚えるとともに共鳴するところがあり、今、私たちに欠けているものは、やはりこれだという思いを強くしたところであります。渡辺教授のお話の内容は議員各位御承知でありますし、県におきましては既に御案内のことでありましょうから割愛をいたしますが、実は私はこうした考え方に以前から強い関心を持っていたところであります。身近なところを見ましても、我がふるさとでは、道路の空き缶拾いに始まり、水路清掃や部落の共同施設の清掃など、年間を通じ共同作業として計画的に行われておりますし、このほかにも河川や道路の草刈りなどは個人的に日常行われております。県におきましても、昨年度に策定した行政システム改革大綱や人材育成ビジョンに、職員の社会貢献活動や地域活動に対する参加意識の高揚を図ることが盛り込まれ、地方振興局単位に職員が地域行事や社会活動に積極的に参加していると承知をいたしております。今、我が国が年少者の凶悪犯罪が多発し、戦後教育の見直しが多方面で論じられる中で、先日公表されました首相の諮問機関である教育改革国民会議の中間報告におきましても、小・中学校や高校で一定期間の奉仕活動を行うことが検討されるなど、勤労体験やボランティア活動などの必要性が叫ばれておりますことを考えますと、このようなときにこそこのボランティア活動やフィランスロピー活動を、県行政の推進上も本格的に取り入れてはいかがかと考えるものであります。ぜひ県民だれにでもできる運動として、また、郷土を愛し、夢県土を県民の総意でつくり上げようとする精神の核として、全県的な社会貢献活動を促進し、全国一の社会貢献活動先進県をつくり上げたいものと考えるものであります。以下、このような観点に立って具体的な提言を含め質問をいたします。
 第1に、知事は、日ごろから県庁株式会社を目指すとして、県職員の意識改革を求めておられますが、県庁を一つの企業として位置づけるならば、まず率先垂範する形で県職員みずからがフィランスロピー活動に取り組まれてはいかがでしょうか。御所見をお尋ねいたします。
 第2に、県は昨年3月、社会貢献活動の支援に関する指針を策定し、こうした活動の支援の方向をまとめられました。私は、ボランティアやフィランスロピー活動の輪を民間企業や市町村にも広げ全県的な運動に発展させるべきと考えますが、今後こうした社会貢献活動を促進するため、具体的にどのような支援や取り組みを考えておられるのか、御所見をお尋ねいたします。
 次に、市町村合併についてお尋ねをいたします。
 今、県民の大きな関心事の一つに市町村合併が挙げられます。地域により温度差はあるようでありますが、確実に県民の関心は高まっていると思われます。過日、全国世論調査の結果として、賛成が56%で、反対の30%を大きく上回り、地方の再編成を前向きにとらえていることが明らかになったとする新聞報道がありました。同時に、各地の地方振興局においても、さまざまな取り組みが持たれ、合併特例法の期限である平成16年度末をにらみ、広域行政推進上の問題点など、さまざまな議論が活発化してきております。こうした議論の一つに、長い歴史を通じた地域間の結びつきがあります。本県には、旧南部藩、伊達藩の歴史、さらには1、000年もの歴史をさかのぼると平泉文化やアテルイなど、まさに岩手が誇る輝かしい時代があります。この際、この輝かしい歴史と、全国ブランドになっている地名を生かし、本県はもとより、北東北3県の玄関口にふさわしい観光地に位置づけたいとする議論もあります。
 そこで、お伺いいたしますが、第1に、合併問題は地域住民がみずから議論していくことが基本とされておりますが、県はこうした本県の歴史をどのようにとらえながら合併が議論されるべきと考えているのか、お尋ねをいたします。
 第2に、地域の連携を強化し認識の統一を図る一つの重要な要素として、社会資本の整備が挙げられます。わけても、北上川のような大河を挟む地域にあっては、そのことが長い間の人的、物的交流の実質的、精神的障害として存在してきたことは否定できない事実であります。こうした現在の市町村間の壁を取り除くインフラの整備は、極めて重要なことと考えます。そこで、市町村合併を推進していく上で、例えば北上川への架橋、あるいはかけかえなどの橋梁整備や、地域間を結ぶ幹線道路などのインフラ整備といった取り組みはできないものか、お伺いをいたします。このことは実際に合併議論を重ねていく上で大変重要なことの一つとなりますので、御所見をお尋ねいたすものであります。
 次に、新エネルギーとして期待される地熱ヒートポンプについてお伺いをいたします。
 世紀の変わり目を目前にした今、私たちには、次の世紀に生きる世代に対し、豊かで快適な生活が可能となる環境を残すという任務が課せられております。わけても、我が国はエネルギーの大部分を海外に依存し、1997年度の自給率は21%にとどまっております。特にも石油はその全量を輸入しており、供給構造は極めて脆弱であり、エネルギー消費の削減と、エネルギーの種類や供給源の多様化が重要な課題であります。私は、こうしたエネルギー事情を理解した上で、国や自治体、産業界はもちろん、私たち一人一人がそれぞれの立場でできることを着実に実行することが極めて重要と考えております。そのような観点で、環境首都を目指す本県にあっては、この新エネルギー問題に積極的に取り組んでおられますことに敬意を表するとともに、ぜひ新エネルギー先進県と言われるような一層の積極的な取り組みを期待するものであります。知事におかれましては、世界地熱会議に先駆けてスイスの地熱利用の調査をなさいました。そして、今後の地熱利用拡大の方法として、欧米で利用が始まっている地熱ヒートポンプに着目され、世界地熱会議のために民間企業と共同で滝沢村のアピオにデモンストレーション施設をつくられ、抽熱試験を実施しデータ採取をいたしておりますが、私もこの施設を常任委員会で見させていただきました。この地熱ヒートポンプの冷暖房などへの利用は、地熱を利用することで効率が年間を通じて安定し、騒音や公害の心配が少なく、給湯や北国の融雪にも利用可能なことなど、環境に優しいすぐれたエネルギーシステムとして以前から注目されております。しかしながら、地下に配管するためのボーリングに要する費用が、我が国の地質の問題もあり、現状では余りにも高いことや、さらに環境問題が今日ほどの認識に至らなかったこともあって、普及が進まなかったと理解しております。
 そこで、知事にお伺いをいたしますが、第1に、これまでの取り組みと情報の中で、この方法が本県で活用できる見込みはどの程度あるとお考えなのか、現在の御所見をお伺いいたします。
 第2に、このシステムの啓発普及を目的に、これから建設する公共施設への導入や公開展示などを計画していると聞いております。システムの信頼性は問題ないと考えておりますので、県民の皆様の御理解は十分得られると考えますが、問題は、ランニングコストで回収年数を計算してみても、現状の初期投資が高額なため採算がとれないことであります。このシステムの普及のためには、ボーリングのコスト削減と県全域の地質マップは必要不可欠でありますが、県ではどのような技術的支援をお考えなのか、また具体的導入の段階では、県及び国にも補助を仰ぐべきと考えますが、そこまで踏み込んだお取り組みをお考えなのか、お伺いをいたします。
 最後に、競技スポーツの振興についてお伺いいたします。
 第27回東北総合体育大会が去る8月27まで秋田県を会場に開催され、その結果が新聞に掲載されました。結果は、少年の不振目立つ、インターハイ効果消滅という新聞見出しにもあるとおり、総合優勝数でも、また37競技の平均順位も昨年を下回り、一昨年の水準に逆戻りし、岩手インターハイの好成績からわずか1年後の大会で大きく後退し、改めて競技力の維持の難しさを感じるわけであります。その背景には、平成13年に秋期国体を開催する宮城県の順調な強化の成果や、秋田県でも平成19年度の国体開催を控え強化に乗り出したことが挙げられております。あのみちのく国体として開催された1970年の岩手国体から、はや30年、本県でもそろそろ2巡目国体が話題となってまいりましたので、競技スポーツの振興についてお伺いをいたします。
 まず第1は、知事には昨年度から県体育協会会長に御就任なされましたが、その任につかれ、本県の競技スポーツの現状と課題をどのように認識されましたか、お尋ねをいたします。
 第2に、県では教育振興基本計画の中で国際的、全国的レベルで活躍する選手の育成という言葉を使われ、競技力の向上に向けた取り組みとして、ジュニアから一貫した指導体制の充実を図るとともに、企業や一般スポーツクラブの強化や組織化を含めた体制の整備に努めるとしておりますが、具体的にはどのような構想をお持ちなのかお尋ねをいたします。
 第3に、本県出身の優秀選手の卒業後の指導者としての確保についてお伺いをいたします。本県には、競技スポーツを牽引していただいた多くの企業がありましたが、近年の経済情勢下でその取り組みから撤退する企業が増加し、本県における高校生や大学生の代表的な選手の卒業後の進路は、競技によって多少の違いはあれ、首都圏を中心とした県外になっているのが現状であります。
 こうした状況から、競技関係者の間では、中央にいる本県出身の優秀な選手を指導者として受け入れる方策がないものかという声があります。県としては、優秀選手や指導者の確保について、どのように取り組もうとしているのか、御所見をお尋ねいたします。
 以上で私の登壇しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐藤力男議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県職員のフィランスロピー活動についてお尋ねございましたが、この点について今までの経緯を御説明申し上げますと、私は、新しい岩手づくりを進めるためには、やはり県民、そして住民一人一人の意欲と行動が大変重要であるというふうに考えまして、社会貢献活動の支援に関する条例、これを議会の方にお諮りをして定めるなど、ボランティア、そしてNPOなどが行政とのパートナーシップのもとに、社会サービスの提供や地域づくりに主体的に参画していけるよう、そうした環境の整備を行ってきているところでございます。
 また、県職員にありましても、地域の方々とともに地域づくりを進めるパートナーとして、また地域社会の一員として、地域におけるさまざまな行事や社会貢献活動などの、広い意味での地域づくりに、職員の自発的意思に基づき積極的に参加していくことが重要であると考えております。
 このため、これまで県職員を対象としていわゆるボランティア休暇制度というものを整備するなど、職員の参加意識の醸成や参加しやすい環境づくりということを行ってきたわけでございますが、ちょうど昨年、県北大雨洪水がございまして、特に軽米町で大変な災害が発生したわけでございますが、そのときには延べ300人を超える職員が自発的に参加をしてくれました。大変よかったというふうに思っておりますし、多くの職場で、地域のイベントへの協力、それから、社会福祉や環境保全などの活動に取り組んでいる例が多く見られているところでございます。
 今後とも、職員広報誌やさまざまな研修の場がございますので、そうしたところで職員が地域の一員として地域社会との連帯感を自覚できる、社会貢献活動、そして地域活動に対する意識の啓発を図って、今、議員の方からいろいろ御指摘がございました職員のフィランスロピー活動を一層促進していきたいと考えております。
 次に、地熱ヒートポンプについてでございますが、現在、滝沢村のアピオの敷地内で実証中のデモンストレーション施設がございますが、これまでのところ、冷暖房能力を十分に発揮しております。ことしの夏は大変暑かったのでございますが、冷房の能力もよく効いてございました。来月の初めには、またアピオでスーパーハウジングフェアというものが開催されますが、そこでも多くの県民の皆様方にごらんいただくべく、今準備をしているところでございます。
 また、このほか、実際の県施設に導入したいと考えておりまして、今、盛岡に、仮称でございますが、環境保健センターをちょうど建設中でございますが、この中に体験展示コーナーを設ける予定にしており、そこに地熱ヒートポンプシステムの設置を計画し、このための事前準備といたしまして、先日、センターの敷地内で実際に試掘を行いました。穴を掘ったわけでございますが、そこで収集した地中データの評価を行いましたところ、実用に向けて良好な結果を得たところでございます。
 地中の熱エネルギーを熱エネルギーのまま利用するというのがこの地熱ヒートポンプシステムでございまして、いわゆる地熱発電と違って、電気エネルギーに変換をしないで、ロスが少なく、熱エネルギーをそのまま、熱エネルギーのまま利用するというこの地熱ヒートポンプシステムは、環境に優しい、そしてこれからの新エネルギーシステムとして大いに期待されているわけです。
 今後の課題としては、今、議員の方から御指摘ございましたとおり、地中の熱交換器の設置コストが今のところ非常に高くて、この設置コストをどこまで削減できるか、とにかく大幅に削減しないことには、やはり実用化には向かないということでございます。
 このために、ことしの6月に本県で、大分県と共催でしたが、世界地熱会議というものを開催したわけでございますが、この世界地熱会議で培った人脈を生かしながら、環境首都を目指しておりますこの岩手県が、全国に先駆けて民間企業との共同研究を行いまして、特に先進国スイスのすぐれた低廉化の技術や装備の早期導入を図るとともに、熟練技術者の養成と掘削工事の標準化などのノウハウの集積を高めていきたい。掘削工事の標準化などによれば、そのことによってかなりコストが安くなるとも言われておりますし、技術者の養成ということも大事でございます。こうしたノウハウの集積を高めていきたいと考えております。
 これと並行して、当然、財政的な面の問題がございますので、このシステムの共同研究段階での支援を国に求めていきたいと思っておりますし、それから、さらに進んで導入普及段階での補助制度のあり方についても、県として検討を行って、国の方に提案してまいりたいと考えております。
 次に、本県の競技スポーツの現状と課題についてお尋ねございましたが、競技スポーツにおける本県選手の活躍というものは、何よりもまず、県民に夢と感動を与える、そして、県民のスポーツに対する関心と意欲を喚起して、さらにはスポーツ・レクリエーション活動の普及、生涯スポーツの振興を図る上で大変大きな意義を持つものと考えております。
 プロとアマとの違いはございますけれども、先日も大相撲で栃乃花が大変活躍をしたわけでございまして、こうしたことは、まさに県民に大いなる明るさを与えてくれたものと思っております。
 ただいまお尋ねの本県の競技力の現状でございますが、ホッケー、スキー、山岳、それからボクシングなど、一部の競技では全国レベルにあると考えておりますが、ただ、国民体育大会の総合成績で言いますと、近年はおおむね30位台にとどまっているところでございます。先般行われましたことしの富山の夏季国体の成績も大変厳しい結果──47位ということでございました──であったということでございます。
 そこで、本県競技スポーツの課題についてでございますが、個人の特性や発達段階それぞれあるわけでございますけれども、やはりジュニア期から競技者を計画的に育成していくということと、それから、指導する側として、優秀な指導者を養成・確保するということが特に強く求められているわけでございます。
 さらに、そうしたことに加えまして、科学的トレーニングの研修・実践ができる拠点施設の整備、それから、民間企業・団体などのスポーツ活動への参画、これも今、経済状況がこういう状況なので少し後退しているわけですが、こうした民間企業・団体などのスポーツ活動への参画を促進することなどが、主な課題であると考えております。
 したがいまして、今後におきまして、選手強化や指導者養成など、競技力向上対策をより効果的に実施するために、もちろん、県体育協会が中心になり、そのほか、学校体育団体、そして企業と連携を図っていくこととしておりますが、やはりジュニア期からの一貫した指導体制の充実、指導者の海外への派遣、これも最近から始めているわけでございますが、この海外への派遣、それからまた、海外からの招致──外国人であっても、海外から招致をして、特に指導してもらうということでの事業を計画的に進めるとともに、やはり施設の充実・整備といったことが必要でございますし、一番中心となる母体の県体育協会がございますが、この事務局を初めとする組織体制の充実・強化を図りたいということで今検討しております。
 こうしたことによって、今申し上げましたことすべてを総合的に進めるということに尽きるわけですが、こうしたことを鋭意行いまして、競技スポーツの振興に努めていきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) まず、県独自の食料自給の目標数値についてでありますが、御指摘のありました国が試算した都道府県別の食料自給率は、都道府県間における農産物の取引や、あるいは都道府県における食習慣、あるいは年齢別構成等の要素を算定に含めないなど、一定の想定のもとに計算したものと伺っております。その考え方は、本県の農業・農村基本計画におきまして、県民の食料消費に対し、本県農業がどれだけ供給できるかを示した県産農産物供給力目標、この算出方法の考え方とほぼ同じであると認識をしているところでございます。
 厳密な意味での自給率の算定、そしてその目標設定に当たりましては、都道府県間における農産物取引の実態等を的確に把握する必要がありますが、例えば、本県から他県に供給された農産物が加工され、再びどの程度戻ってくるかなど、こうしたことを正確に把握することが困難な面もございますので、こうした点を含めて、今後の研究課題とさせていただきたいと存じます。
 県といたしましては、県産農産物供給力目標の達成に向けて鋭意取り組むとともに、県産農産物の県内消費を一層進めるため、産直などに対する支援に努めてまいりたいと考えております。
 次に、オール地場産品学校給食の日の普及についてでありますが、県におきましては、県産米や県産牛乳を全県的に学校給食に供給するとともに、花巻地域をモデルとして、県産農産物をふんだんに使った丸ごと学校給食などにも取り組んでいるところでございます。しかしながら、学校給食への地場農産物の利用は、食材の品ぞろえや、あるいはまた、当日配送などの課題もありますことから、地場利用に取り組んでいる事例は数市町村に限られている現状にございます。
 食習慣の形成に重要な学童期に地場農産物等を学校給食に提供することは、子供たちが地域の新鮮でおいしい農産物を味わうとともに、地域のよさや農業・農村の役割について理解を深めるよい機会でありますので、市町村教育委員会など関係機関と連携しながら、今後とも地場産品が学校給食へ一層利用されるよう、その普及に努力してまいる考えであります。
 また、米の日のイベントにつきましては、帰省客や観光客が多い時期であることから、県外へのPR効果も期待して開催しているものでありまして、親子連れなど、子供たちの参加もいただいているところでありますが、御指摘ございましたように、幼少のころから米中心の食生活になれることが大変大事でありますので、米にちなむさまざまなイベントには、できるだけ多くの子供たちを参加させるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、今後の農業大学校のあり方についてでありますが、農業を取り巻く環境が大きく変化する中で、これからの農業の担い手には、最新の技術を駆使し、状況の変化にも的確に対応できる、柔軟かつ先導的な経営管理能力が求められてきております。
 農業大学校は、本県農業を担う農業者育成の中核的な教育施設として、開校以来、実学実践を重視した教育により、多くの人材を養成してまいったところでありますが、今後はこうした時代の要請に対応するため、経営管理技術の習得に重点を置いた学科の再編及び先端技術や情報処理、マーケティング等を重視したカリキュラムの見直しなどにつきまして、鋭意検討してまいる考えであります。
 また、施設整備についてでありますが、昭和56年の開校以来、これまで図書館、総合科学実験棟、女子学生寮等を整備し、現在は男子学生寮の建設を進めているところでありますが、今後とも、計画的に教育施設の整備を進めるよう検討してまいりたいと考えております。
 次に、新規就農希望者等のニーズに対応した体制整備についてでありますが、これまでも新規参入希望者等を対象とした入門的な研修や就農間もない新規就農者への実践力を養成する研修などを実施してきたところでありますが、近年、就農希望者は、就農の動機や年代、職歴などがさまざまで、その営農の志向も多様になってきております。
 今後は、こうした状況に的確に対応していくため、農業大学校の実習圃場を活用した研修はもとより、農業研究センターや花きセンターの施設等も生かし、多様な就農希望者が実践的な技術を習得できるよう、研修プログラムの充実を図るとともに、現在の農業大学校教職員に加えて、農業指導の実践者や外部の専門家を講師に迎えるなど、新規就農希望者等のニーズに対応できる研修体制の充実に努めてまいる考えであります。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) 地域住宅産業の現状認識と育成についてでありますが、近年の年間住宅着工戸数は、本県におきましては1万2、000から1万3、000戸程度の横ばい状況で推移しておりまして、このうち、主として地域住宅産業が担う低層住宅につきましては、御指摘のとおり、在来工法の木造住宅の占めるシェアが、ここ数年緩やかな減少傾向となっております。
 しかしながら、一戸建て住宅を建てる場合、在来木造住宅への県民の志向は依然として根強く、このため県としては、地域の風土に根差した良質な木を活用した団地づくりを行うウッドタウンプロジェクトなどへの支援を行いますとともに、市町村におきましては、木造公営住宅の建設等に取り組むなど、地域住宅産業の振興と優良な木造住宅の普及促進に努めてきたところであります。
 また、今年度は、岩手の気候・風土を反映した環境共生住宅の基準を策定いたしまして、環境に優しい木造住宅の普及を図ることとしております。
 さらに、来月、10月6日から8日まで岩手産業文化センターで開催を予定しておりますスーパーハウジングフェアin岩手におきましても、優良な木造住宅の普及促進のため、県産材の各種住宅資材の展示など、岩手の住まいづくりに関する情報を広く県内外に発信することといたしております。
 今後は、多様化、高度化する消費者ニーズに対応した住宅供給や技術職人の後継者育成など、地域住宅産業における課題に対応するため、県といたしましても、きめ細かい情報提供や講習会を開催するなど、一層の支援を行ってまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) 県産材の需要拡大対策についてでありますが、これまで木のよさを普及するため、展示効果の高い公共施設の木造化の推進とともに、県産材を使用した住宅建築を促進するため、その資金に対して利子補給補助を行うなどにより、建築業界において県産材利用に対する理解が深まり、施主に対し県産材の利用を勧める動きも生ずるなど、一定の成果を上げつつあるものと考えております。
 しかしながら、需要面での大きな役割が期待されている在来軸組工法の住宅は、その建築に用いられる県産製材品が、品質保証につながる乾燥処理対応が十分でないこと、外材と比べて高価格であることなどから、外材を使用するツーバイフォー工法等による住宅にシェアを奪われ、減少傾向にあります。
 このため、今年度から本県の多様な森林資源を活用し、地域の気候・風土に合った住宅を開発することとし、木材業者、工務店及び設計者を構成員とするいわて夢住宅推進協議会を組織したところであります。
 この事業において、今年度は消費者ニーズにこたえ得る住宅の基本概念や住宅部材供給システムの形成に取り組み、来年度以降において住宅のデザインコンペなどを実施しながら、普及に向けた取り組みを展開することとしており、木材業界と建築業界との連携を一層深めながら、住宅への県産材利用を総合的に促進してまいりたいと考えております。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、本庁機構の組織再編についてでありますが、今回の組織再編に当たりましては、従来の組織につきまして、岩手県総合計画の県行政の基本姿勢にありますとおり、行政の仕組みを生活者や地域の視点から見つめ直すこととし、県政の展開の方向が県民にわかりやすく、かつ、開かれた県政を推進できる組織の再構築を目指して検討を進めております。
 特にも、地方分権が進展していく中で地域の視点に立った県政を推進するためには、現場重視の地域経営、市町村を重視する行政、広域行政の推進が肝要であり、地域においてその推進の役割を担う地方振興局の存在は、ますます重要になってくるものと考えております。
 現在検討を進めております本庁の組織再編におきましては、市町村とともに個性豊かな地域づくりを推進する拠点として、地方振興局がその機能を一層発揮できるよう、これを支援する地域振興部門を充実することとしておりますが、その際には、本庁と地方振興局との間の相互の連携や各部局間の調整機能を強化することにより、各部局横断的・共通的な地域課題や特定地域に係る重要課題等につきまして、地方振興局とともにその解決に向かって対応できるよう、総合的に支援する体制の整備を考えているところであります。
 次に、退職勧奨制度についてでありますが、現在、人事の刷新、新陳代謝の促進など、人事管理上の観点から、必要に応じまして、本庁次長級以上の職員について退職勧奨を実施しているところであります。しかしながら、年金の支給開始年齢の段階的引き上げへの対応や高齢者の能力活用、雇用の確保といった官民共通の課題が新たに生じてきており、県職員の人事管理におきましても、こうした諸情勢の変化に適切に対処していく必要があるものと考えております。
 本県の退職勧奨制度につきましては、こういった事情を十分に参酌し、組織活力の維持にも配慮しながら、議員御指摘の点も踏まえまして、そのあり方について今後検討してまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) 民間企業等のボランティアやフィランスロピー活動の促進についてでありますが、これまでも環境、福祉、スポーツ、生涯学習、さらには災害時における救援活動など、さまざまな分野でボランティア活動が行われております。また、企業等におきましても、社会福祉施設等への支援、あるいは環境美化活動、地域活動に対する参加、あるいは社会施設の開放など、地域に根差した社会貢献活動が行われていることから、着実に活動の輪が広がってきているものと認識いたしております。
 このような活動を支援するために、人材養成のための研修会、あるいはボランティアフェスティバルの開催、ボランティアマニュアルの配布、ボランティア保険の加入費の助成などを実施してまいりました。
 今後は、県民や民間企業の活動がさらに広く展開されていくために、盛岡駅西口複合施設に中核的な支援拠点を整備するとともに、どこでも、だれでも情報が得られ、発信できるボランティア情報ネットワークの充実、それから、活動が効率的に行われるようにするためのコーディネーターの養成などに努めてまいります。
 なお、来年はボランティア国際年に当たりますが、全国10カ所で開催するボランティア国際年記念シンポジウムを2月に盛岡市で開催する予定でありますので、このような機会を通じ、県民、市町村、企業への啓発活動を行うなど、全県的な運動に発展するよう取り組んでまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) 市町村合併についてでありますが、広域行政推進指針をたたき台に、各地域での議論に当たっては、指針でお示しした住民の日常生活の広域化の状況や、地方行財政を取り巻く現在の厳しい情勢等を十分に御認識いただくとともに、お話のありました平泉文化のように、それぞれの地域における歴史的な結びつきや、多様な文化的背景をも十分に踏まえた検討が行われることが大事な視点であると考えております。この機会に、地域全体の将来ビジョンを描きながら、さまざまな組み合わせをも念頭に置き、これからの行政体制のあり方について、大いに議論していただくことを期待しております。
 また、地域の連携を強化し、認識の統一を図るための重要な要素である社会資本の整備についてでありますが、新しい総合計画における時間距離の短縮プロジェクトを初めとする地域間の連携・交流を深めるためのさまざまな取り組みを進めることを通じて、市町村間の壁を取り除き、市町村合併をも含む広域行政の推進に向けた環境の整備に努めてまいる考えであります。今後、市町村合併に向けた議論が深められ、その取り組みが具体化するに至った場合においては、関係市町村がそれぞれの地域の特性を生かした合併後のまちづくりを進めていくためのマスタープランとなる市町村建設計画の作成段階において、県としても新たなまちづくりの支援に努めるなど、地域全体としての均衡ある発展が図られるよう、積極的に対応してまいる考えであります。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) 競技力向上に向けた取り組みについてでありますが、まず選手強化を図る上で、ジュニア期からの一貫した指導体制の充実が重要でありますことから、これまでも研修会や講習会の開催などにより指導者の資質向上を図るほか、中学生、高校生合同による強化練習会や合宿などを実施してまいったところであります。今後におきましても、学校体育団体等との連携を密にし、全日本クラスの優秀な指導者を招いて、指導方法を学ぶアドバイザリーコーチ招聘事業や、指導者を国内優秀チームに派遣するトップアスリート指導者研修事業を実施するなど、ジュニア期からの計画的な選手の育成に努めてまいりたいと考えております。
 また、本県の地理的条件を最大限生かしたスポーツ、例えばスキーやスケートなどの振興を図るほか、ホッケーやボクシングなど、これまで国体で得点源として活用してきた競技のより一層の強化を図ってまいりたいと考えております。
 さらに、企業スポーツクラブなどの体制づくりにつきましては、県外交流や強化合宿等を支援する企業・スポーツクラブ育成強化事業を継続して実施し、クラブの育成強化を図るとともに、民間企業、団体等のスポーツ活動への参画を促進し、地域に根差したスポーツクラブの育成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、優秀選手や指導者の確保につきましては、議員御指摘のとおりでありますが、近年の厳しい経済情勢下においても、一部の企業の理解を得て選手の採用やクラブの育成強化などに御協力をいただいているところでありますが、選手を受け入れる職場の開拓は重要な課題でありますことから、今後におきましては、民間企業や関係機関及び競技団体等で構成する懇談会を設け、優秀選手の本県定着などについてさまざまな角度から検討するとともに、県教育委員会といたしましても、現在成果を上げている教員のスポーツ特別選考試験制度を活用し、選手や指導者の確保について鋭意努めてまいりたいと考えております。
〇11番(佐藤力男君) 各質問事項に対しまして御答弁ありがとうございました。私は精いっぱい元気に発言をしているつもりでありますが、元気がない答弁者もおられまして夢を感じない部分もあるのでありますが、またどうもどういう答弁なのかわからない部分もありますが、これは後に譲ることにさせていただきまして、私が特に力を入れてお聞きをいたしたいことについて再度質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、地場産品の利用拡大についてでありますが、先ほど御答弁をいただきましたように、オール地場産品学校給食の日の県内普及の取り組みにつきましては、あらゆる困難を克服されまして今後一層の取り組みを期待するものでありますが、私が、地場産品を地域でもっと利用することが、これからの地域の農業のより一層の振興につながるというふうに考えておりますのは、すなわち食料は人類の命の糧でありますから、あたかも工業製品のごとく、一つの商品として生産されるのではなくして、まさに生産する人の心とそれを食する人の心が、安全で安心な食材を介してお互いの心が通い合う認識こそが、今時代が求めている姿だと、私はそのように思っているためであります。このためには、学校給食での地場産品の利用拡大をさらに発展させていく。さらには、これをもっと発展的に県全体でオール地場産品の日というようなものを制定して、全県的に地域農産物の利用拡大を図ってはどうかと考えるものであります。さらに、その取り組みに地域の食の達人と言われる人や流通の達人など、そういう方とも連携をして、地域が一体となった仕組みが行えるならば、地域農業者にとって、みずから生産するその食料がまさに命の糧として、みずからの職業に誇りを持ち、生きがいを与え、地域農業の活性化に必ずつながるものと確信をいたしております。本県は全国屈指の農産物供給県でありますけれども、農家数は世帯数で申せば全世帯の約20%、人口比率でも約26%でありますから、非農家の県民はまさに一つの大きな重要なマーケットと位置づけられる、そのように認識をいたします。このようなことから、広く県民に地場産品の消費を拡大する意識を持っていただくこと、これは大消費地での消費拡大とあわせて極めて重要なことと考えるものでありまして、農政部長のこうした考え方に対する再度御答弁をお願い申し上げるものであります。
 次に、農業大学校の整備についてであります。
 私は、本県の農業を取り巻く環境があらゆる面で一層厳しさを増していく中で、農業が将来に向けて存立し得るためには、今こそ次代の岩手の農業を担う人材育成にこれまで以上に積極的に力を注ぐ必要がある、そのように申し上げたところでございます。農業大学校は、まさにこの役割を担うべき教育施設でありまして、農業高校の卒業者の中に、この農業大学校の施設・設備内容が他県の施設に比べて老朽化している、そうした理由から他県の農業後継者育成施設に進学している実態もあると、こういうこともお聞きをいたしているところでございまして、本県の農業を目指す若者が地元で岩手の農業を勉強できない、こうした状況にあるとすれば大変重要な問題であります。確かに県行政には優先順位もあり、財政上の問題もあることは十分承知をいたしております。しかしながら、本県の基幹産業であるという農業の将来に思いをいたすとき、この農業大学校の一層の早期整備をぜひ早期に検討すべきであると考えるものであります。この件につきましては、さまざまの問題も含んでいると認識をいたしておりますので要望にとどめますが、ぜひ県当局の深い御理解のもとに、若者に魅力のある農業大学校に一日も早く生まれ変わるように心から念願するものであります。
 次に、地域住宅産業の育成に関連してお伺いをいたします。
 先ほど地域住宅産業の育成に向けて、環境と共生した木造住宅の基準を策定しながら、木造住宅の供給を促進していくという御答弁がありました。私は、こうした考えには賛成をいたすものでありますし、ぜひお願いをいたしたいと思いますが、この基準を広く周知するとともに、地域住宅産業のこうした取り組みを促進していくためには、例えば四国4県に匹敵するこの本県でありますから、地域ごとに分けてもこの住宅等を対象とした環境共生住宅コンクールなどを実施しながら、地域住宅産業の支援を図っていくべきである、そのようにも考えておりますが、この件についてはぜひ御答弁をお願い申し上げます。
 最後に、競技スポーツの振興についてであります。
 ただいま知事の御答弁もございましたが、本県にはさまざまな競技スポーツの施設がございます。わけてもこの競技スポーツ力の向上、振興はこれからの2巡目国体に向けて着々と整備を進めていかなければならない、そのように思ってございます。そうした中で平成10年に開学をいたしました県立大学には、全天候の陸上競技場など大変すばらしいスポーツ環境が整備されております。競技スポーツの指導者の中には、この県立大学の体育施設を大変すばらしいのでぜひ生かしていただけないものか、そういう声も上がっております。競技スポーツの振興の目的で県立大学が開学されているわけではないことは十分承知をいたしておりますし、また競技施設でないことも承知をいたしますが、所管する役所の違いあるいは予算の問題など、この行政が抱える困難は十分理解はいたしますけれども、しかし県民の目から見れば、これは明らかに県の施設でありますから、せっかくこうした立派な施設をぜひ施設、人材を生かしていく、そういう観点で優秀な選手の育成あるいは指導者の確保に結びつけていただきたい、そういう競技者の声もございます。これも答弁は大変難しいというふうに承知をいたしますので、ぜひ検討して早期にこの生かす方策を考えていただきたい。
 以上申し上げて、再質問にさせていただきます。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) 全県的な地域農産物の利用拡大についてのお尋ねでございますが、県内における県産農産物の消費拡大につきましては、県産農産物を紹介したホームページの開設でありますとか、あるいは情報誌いわて純情通信、そういったものの発行、さらにはいわて純情ファンクラブの設立、さらには、いわてめぐみフェアなどによりまして積極的なPR活動を展開しておるわけでございます。また、量販店での地場農産物コーナーの設置でありますとか、ホテル、レストラン等の外食産業との連携強化など、さまざまな機会をつくりまして、地場農産物を利用する、いわゆる地産地消の促進に取り組んでいるところでございますが、御指摘ございましたように、いわゆる大消費地とともに、やはり地場でのその消費拡大というものを進めることもこれは大変重要でございますので、御指摘の趣旨を踏まえまして、生産者と消費者、お互いの顔が見えるような関係、そういったものもつくりながら、今後これらの取り組みをさらに強化いたしまして、地場農産物に対する一層の理解と利用拡大に努めてまいりたいと考えております。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) 環境と共生した木造住宅の普及促進についてでございますが、今年度、環境共生住宅の基準の策定を予定しております。この基準を策定した後は、マニュアルを策定いたしまして、県民及び住宅産業関係者への周知、情報提供を行うことといたしております。また、この基準に適合する住宅に対する住宅金融公庫の特別加算制度の導入、これに取り組みますとともに、御提言のございましたコンクール、これにつきましても、ちょっと難しい点もございますけれども、検討を進めるなど、環境共生住宅の普及促進と地域住宅産業の振興に配慮した施策の推進に、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。 
〇副議長(吉田洋治君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時20分 休 憩
出席議員(47名)
2  番  飯 沢   匡  君
3  番  樋 下 正 信  君
4  番  照 井 昭 二  君
5  番  柳 村 岩 見  君
6  番  小野寺 研 一  君
7  番  吉 田 昭 彦  君
8  番  工 藤 大 輔  君
9  番  川 村 農 夫  君
10  番  佐々木 順 一  君
11  番  佐 藤 力 男  君
12  番  阿 部 静 子  君
13  番  阿 部 富 雄  君
14  番  田 村   誠  君
15  番  岩 城   明  君
16  番  中屋敷   十  君
17  番  千 葉   伝  君
18  番  佐々木 大 和  君
19  番  及 川 幸 子  君
20  番  阿 部 敏 雄  君
21  番  川 口 民 一  君
22  番  小野寺   好  君
23  番  斉 藤   信  君
24  番  伊 沢 昌 弘  君
26  番  上 澤 義 主  君
27  番  瀬 川   滋  君
28  番  水 上 信 宏  君
29  番  藤 原 泰次郎  君
30  番  船 越 賢太郎  君
31  番  谷 藤 裕 明  君
32  番  菊 池   勲  君
33  番  佐々木 一 榮  君
34  番  伊 藤 勢 至  君
35  番  高 橋 賢 輔  君
36  番  小 原 宣 良  君
37  番  長谷川 忠 久  君
38  番  千 葉   浩  君
39  番  吉 田 洋 治  君
40  番  工 藤   篤  君
41  番  菅 原 温 士  君
43  番  山 内 隆 文  君
44  番  折 居 明 広  君
45  番  村 上 惠 三  君
46  番  藤 原 良 信  君
47  番  及 川 幸 郎  君
48  番  菊 池 雄 光  君
49  番  佐々木 俊 夫  君
51  番  吉 田   秀  君
欠席議員(4名)
1  番  及 川   敦  君
25  番  田 村 正 彦  君
42  番  佐 藤 正 春  君
50  番  那須川 健 一  君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時40分 再 開
〇副議長(吉田洋治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。藤原泰次郎君。
   〔29番藤原泰次郎君登壇〕(拍手)

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