平成12年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(上澤義主君) 政和会の上澤義主であります。
 それでは、順次、通告に従い質問いたしますので、簡潔明瞭かつ内容の濃い御答弁をお願いいたします。
 まず、一連の職員不祥事についてお伺いいたします。
 知事は、これまで地方分権の流れを受けて、岩手県総合計画においても自立、参画、創造による持続的な地域づくりを標榜し、地域を主体とした政策の推進を図っておりますが、その政策推進において地方振興局が中心的役割を担うよう強化されてきております。この方針に沿って、各地方振興局においては、岩手県総合計画においても県内12の地方振興局が中心になって地域の声を十分に酌み取ったすばらしい地域計画が作成されたところでありますし、県の事務についても大幅に地方振興局に委譲されたことにより地域住民の利便性も向上するなど、私は、知事の政策推進が着実に実を結んできているものと評価しております。
 しかしながら、昨年、久慈地方振興局における母子寡婦福祉資金の不正な貸し付け並びに償還金及び返還金の不正流用、花巻地方振興局における不適切な補助金の支出や不適切な事務処理が明らかになり、県として再発防止に取り組んでいたやさきに、先ごろ大船渡地方振興局において県営建設工事の入札・発注事務に関係した職員が逮捕されるという事態が発生いたしました。また、企業局においても初歩的な公務員倫理の欠如とも思える事件が発生し、これまでの地方分権の流れに水を差すことはもとより、県行政に対する県民の信頼を損ねる事態となっております。世紀末とでも言いましょうか、職員の不始末が続きます。
 第二次世界大戦後、日本は敗戦、そして貧困の中から世界が驚くほどの経済復興や生活の向上をなし遂げました。その陰には、水俣病を初めとする多くの健康被害や環境破壊、また、政治家による贈収賄事件、経済界の政治に裏付けされた無節操さが倒産を助長するなど、事は日常茶飯事に行われてきました。そんな中から、発展のためならば清濁あわせ飲むという風潮が国民の中に蔓延していることも確かであります。多少の挫折はあったにしろ、限りなく発展を続けるであろうと思っていた者にとっては、古い慣習を乗り越えて時代の変革を受けとめていくことは大変な勇気の要ることだと思います。
 私は、多くの職員は、日々県勢の発展のために一生懸命職務を遂行しているものと認識しておりますが、今回の事件は、日々の業務に紛れて、公務員としての基本的認識を忘却したり、不適正な事務処理を行ってしまう例があるということを明らかにしたものであると考えております。私は、このような不祥事を見るにつけ、知事が掲げる、地域のことは地域で考え、地域で決めていくという理念を推し進めるに当たって、それを具体化する職員一人一人の資質がいまだ追いついていないのが現状ではないかと思うのであります。
 そこでお伺いいたしますが、地方分権を推し進めていく上で、その理念を理解し、不正を排する職員の育成が何よりも重要であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、情報化戦略についてお伺いいたします。
 1997年の金融危機後しばらく低迷していたアジア経済も、ここに来て、電気・電子機器を中心とした輸出の増加、在庫調整の終了、個人消費の増加などにより、そのテンポは各国、地域ごとに一様ではないものの、全般的に急回復を見せています。その背景に、世界的な情報技術──IT──革命の進展による関連機器の需要の急増があります。去る7月、経団連で開催されたアジア主要10カ国・地域の経済人によるアジア隣人会議での報告でも、21世紀のアジア経済発展にとって、IT革命は、今後、アジア経済の新たなフロンティアとして大きく期待されるとする論議が多かったと聞いております。国の予算要望もIT、ITの一色であります。また、政府のIT戦略会議の議論の中で、日本の情報化を5年でアメリカと遜色ない程度にするということで、今年度中に日本のIT戦略を定めるとのことであります。
 国においては規制緩和による競争原理の導入を図っているため、岩手は投資に見合う需要がないということで、置いていかれるおそれがあります。県では、職員1人1台のパソコン導入を進めていますが、多くの市町村はおくれており、かなりの温度差があります。これらのことに伴い、IT利用における地域間、階層間の格差が拡大し、機会損失から所得格差、地域格差へとつながっていくのを避けるため、イーハトーブ情報の森構想の実現に向けた具体的な情報化戦略を策定する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 また、積極的な情報インフラの整備を進めること、地域情報化を推進すること、県民のIT意識の向上支援と専門技術、人材の育成を進めることなどについて、どのように進めるお考えなのか知事にお伺いいたします。
 次に、市町村の合併についてお伺いいたします。
 私は、ここ1年から半年で市町村合併に関する雰囲気が大きく変わってきているのではないかと感じております。どうやら多くの市町村の首長や議員が、近い将来に合併に踏み切らざるを得ないと腹をくくっているのではと感じております。その理由の一つは、自治省が合併特例法を改正し、合併指針をまとめ、合併の区割りを含めた要綱を都道府県につくるよう要請しているという一連の流れの中で、自治省が本気らしいと感じ始めていること。もう一つは、国と地方をあわせて600兆円を超える長期負債があり、近年の景気対策で最後の大盤振る舞いをやり、地方交付税の特別会計でとんでもない額の借入金が積み上がっていることなどから、国から財政支援がもはや望まれないと直感していることであります。
 地方分権推進委員会の勧告を受けて自治省に設けられた市町村合併研究会が平成11年5月に提出した報告書の中の合併の必要性によると、一つには、交通手段が発達するなどの理由で生活圏が拡大し、個別の市町村におさまり切れなくなったために生活行政が個別の市町村でうまくやれなくなったこと。もう一つは、分権にたえられる行政能力や政策立案能力を備えるためには、役所の規模を大きくせざるを得ないということであります。市町村合併は、地域のつまらない利害の壁ごときで挫折させてはならない課題であると考えるものであります。
 そこで伺いますが、県内の市町村が合併特例法の期限である平成17年3月までにどの程度の市町村の合併が可能と把握されているのか。また、県は、合併が進んで市町村の規模が拡大した場合の県と市町村の関係のあり方や道州制などにどのように取り組んでいくお考えなのかあわせてお伺いいたします。
 次に、今年度制度が創設されました市町村総合補助金についてお伺いいたします。
 地方分権の時代と言われて久しいのですが、本年4月からいわゆる地方分権一括法が施行され、機関委任事務が廃止されるなど、権限の再配分、再構成等がなされたところであり、その中で、基礎的な地方公共団体である市町村と広域の都道府県との間の新しい関係も一歩進められたところであります。しかしながら、そのような中で、国と地方公共団体との関係を財政面で見ますと、残念なことに地方の財政自主権が特に強化されたわけではありません。地方分権とは言いながらも、補助制度や起債制度をいかに上手に活用していくかが地方公共団体の知恵の出しどころであり、権限の委譲はなされても、地方がみずから考えて地方がみずから行動するだけの財源が拡充されていないのが実態であると考えるのであります。
 このような中にあって、県では、今年度、市町村総合補助金を創設したところであります。この制度は、県のこれまでの比較的零細な補助金を統合し、それに原資を追加して今年度13億円でスタートしたところであり、市町村等の自主的な地域づくりを支援するため、制約はあるものの、岩手県総合計画に掲げる環境、ひと、情報の三つの視点を踏まえた事業であれば、市町村等の創意工夫によりいろいろな事業に活用できるという制度であります。まさに時宜にかなった真の地方分権を先取りしたとも言える制度であり、厳しい財政事情の中、自主財源の確保に悩んでいる市町村にとっては大変有意義な制度が創設されたと評価するものであります。
 そこでお伺いいたしますが、今年度が初年度であったことから、今後検討すべき課題や問題点がなかったのでしょうか。あったとすれば、それらの課題に対してどのように対応していくお考えなのでしょうか、その基本的な考えについてお伺いいたします。
 次に、介護保険についてお伺いいたします。
 介護を家族の問題から解放し、地域社会で国民みんなで支え合う介護の社会化を目指す介護保険制度がスタートして、間もなく半年になろうとしています。さらに、この10月からは65歳以上の高齢者の方々からの介護保険料の半額徴収が始まるところですが、新聞報道によりますと、他県では、どうしても払わないといけないのか、介護サービスを利用する予定がないのになぜ保険料を取るのか、若い世代にふえているフリーターなどの職業や未就職者などは本当に払っていけるのか、国保税の滞納額がふえているという現状、さらに、これらはNHKの放送の受信料のように、国民の皆さんの放送料金で運営されていますというのと同様に収納率が悪くなるのではないかなど、基礎的な問い合わせや苦情、心配が殺到していると指摘されております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 思っていたより不安材料が多く、国が示した理念と国民生活との乖離が大きいのではと感じられるところであります。制度の周知、浸透がなお不十分なためと考えますが、県においては、保険料徴収に向けてどのような対応をされているのでしょうか、まず、お伺いいたします。
 8月31日の新聞報道で、10月から徴収が始まる65歳以上の高齢者の介護保険料について、愛知県碧南市と知立市は、低所得者は免除、税金で負担することを決め、両市とも条例改正案と補正予算案を9月5日開会の9月市議会に提出することとしております。保険料の減免は介護保険法にも規定がありますが、世帯の中心者が死亡したり、災害を受けたり、一時的な所得の減少を想定しているもので、低所得者の全額減免は異例のことであります。碧南市の高齢介護課では、制度の趣旨に相反することもあるかもしれないが、低所得者に援助が必要だ、保険料滞納の問題も念頭に置いて実施を決めたと説明しており、知立市の高齢化対策室では、議会で低所得者の問題がさんざん論議された結果だと言っております。厚生省の担当者は、低所得者も所得に応じて保険料を払い、支え合うのが基本だ。県を通じて情報収集をしている最中で詳しくはわからないが、保険料免除は聞いたことがなく、制度を骨抜きにしかねないと苦り切っていると報道されております。
 その後、山田町と岩泉町においては、老齢福祉年金を受給している低所得者を対象に、申請に基づき保険料を全額免除する予定であるとのことであります。これに対し、国においては、介護保険の制度の趣旨に反するということで指導に乗り出す考えのようですが、県内にこのような減免措置を設けている市町村はほかにあるのでしょうか。また、県として、この保険料全額免除に対してどう対応される予定でしょうか、県の御所見をお伺いいたします。
 なお、県民からは、利用料が高くなった、負担がふえ従来どおりのサービスを利用できないなどの声が私の耳にも聞こえてきておりますが、サービスの利用状況をどう把握されているのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、介護保険施設の設置についてお伺いいたします。
 現在、介護老人保健施設の設置を希望する市町村があると聞いております。しかし、圏域ごとに施設種別の必要数が決められており、介護老人保健施設の設置が希望どおりできない。そのことによって遠くの施設に入所せざるを得なくなり、家族の近くで安心して生活させてやることができないなど施設の充実策がいま一つと思いますが、県の考えをお伺いいたします。
 次に、子育てについてお伺いいたします。
 共働き等の理由により保護者が昼間家庭にいない小学校就学児童の放課後と学校休業日の生活を守ることを目的に、市町村が設置主体となって放課後児童クラブが各地域で運営されております。児童には、親が働いて家庭にいない間、自分のことを受けとめ、一緒に生活する大人の援助と毎日安心して生活できる居場所が必要であります。特に小学校低学年の児童については、学校終了後の時間を自分たちだけで生活するには、事故やけが、病気、友人とのトラブル等多様な困難さがあり、このため、地域にあるさまざまな遊び場や活動の場を利用しながら豊かな放課後生活を過ごすことができるような放課後児童クラブは、児童の健全育成を図る意味からもぜひとも必要であると考えるものであります。御案内のとおり、この放課後児童クラブについては、平成10年4月から児童福祉法の一部改正により放課後児童健全育成事業として法制化されるなど、より一層重要な事業として位置づけられたものと認識しております。
 そこでお尋ねいたします。この放課後児童健全育成事業について、県内の放課後児童クラブの設置状況はどうなっているのでしょうか。また、県として、これまでどのように放課後児童健全育成事業に取り組んでこられたのか。さらに今後、これをどのように普及拡大を図っていくお考えなのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、最近の少年非行についてお伺いいたします。
 ことしに入ってから、新聞紙上では少年による重大な犯罪や悲惨な事件が数多く報道されております。特筆されるものだけでも、5月に発生した佐賀県のバス乗っ取り事件、6月に発生した岡山県の母親殴殺事件、そして、8月には大分県で一家6人殺傷事件と、枚挙にいとまがありません。余りに不可解な理由で悲惨な事件を引き起こす少年たちの行動に慄然とする思いであります。マスコミは、心の闇、キレる少年といった表現で事件を表現しておりますが、解決の困難な、根の深い問題であることを感じさせます。文部大臣も緊急の通知を発し、命の大切さを各学校に直接訴えておりますし、その一方では少年法の改正論議が熱を帯びてきております。また、文部省の平成11年度問題行動調査の結果によれば、小・中・高生の暴力が過去最悪となっており、いわゆるキレる現象や事例が数多く報告されているところであります。
 岩手県におきましても、ことし1月の盛岡での高校生による高額な恐喝事件は全国的にも大きく報じられたところであり、全国的な少年の問題行動の悪化の傾向は、岩手県の状況とも決して無縁ではないように思われます。このまま放置しては、少年をめぐる問題状況は今後さらに悪化することも十分に予想されるところであります。
 そこで、教育長にお伺いいたします。まず、第1に、こうした少年事件の原因や背景について、どのように認識しておられるのかお尋ねいたします。
 また、こうした問題については、家庭や地域など各方面からの対応が必要と思われますが、主として学校教育の面からどのような対応を行うお考えか伺います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 上澤義主議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方分権の理念を理解して、不正を排する職員の育成についてということでお尋ねございましたけれども、地方分権の時代における県行政を進めていく上での基本姿勢といたしまして、生活者や地域の視点に立った県政の推進というものを私は掲げておりまして、地方振興局の権限を強化するなど、現場重視の地域経営に今まで努めてきたところでございます。地域づくりの中心的な役割を担っております地方振興局の職員が、地域の視点でともに地域づくりを考え、施策を推進するに当たりましては、当然のことながら、公務員というものは、一部の者に対してではなくて全体の奉仕者である、このような自覚を持ちながら、さらに、これだけではなくて、地方主権時代にふさわしいチャレンジ精神や自立心、そして責任感などをあわせ持つことが重要であると改めて認識しているところでございます。
 このため、職員研修、それから職場での管理監督者の指導などを通じまして、全職員に全体の奉仕者であるという公務員としての基本的な心構えの徹底を図ることはもとよりでございますけれども、県行政を進める上での基本姿勢について職員一人一人の理解を深め、個々の職員が具体的にどのように行動していくべきか、こういうことにつきまして私自身職員一人一人に語りかけていきたい、これからもあらゆる場で語りかけていきたいと考えております。
 また、よりよい行政サービスの提供を目指して、業務の改革に主体的に取り組んでいくことのできる職場環境づくりというものを進めてまいりますし、事件・事故の際のその事後措置、適正な処理や不測の事態への的確な対応ができる職員の育成と、いずれも、事件・事故ということは、当然、こちらが予想していない展開をすることが大変多いわけでございまして、そうした不測の事態への的確な対応ができる職員の育成に努めていく考えでございます。
 次に、情報化戦略について御質問がございましたが、高度情報通信技術、いわゆるIT技術といいますものは、21世紀における県民生活や産業活動など、あらゆる分野において革命的とも言えるような変革をもたらすと、このように予測をされております。
 今の国の考え方を見ておりますと、2003年までに、国そして全国自治体を結ぶ総合行政ネットワーク、それから住民基本台帳ネットワークを構築すると。それから、5年後の2005年までには全国津々浦々に光ファイバー網を整備して、すべての小・中・高等学校の、なおかつ全学級でコンピューターを活用するなど、日本新生の切り札としてこうした情報化戦略を展開しようとしているところでございます。本県でも、このような状況を踏まえて、21世紀の県土づくりにおいてグローバルな視点に立ちながら、新しいネットワーク社会としての情報の森づくりを進めるということで考えております。この情報の森づくりプロジェクトの一環として、いわて情報ハイウェイというものを構築中であるわけでございますが、今その整備を進めておりまして、ことしの10月、もう間もなくでございますが、本年10月までに岩手山周辺のネットワークというものを立ち上げると、そして岩手山の火山防災体制の強化を図ると。それから、11月、再来月には全地方振興局との基幹部分のネットワークを完成させて、明年の4月からは、県、市町村、それから中核的な病院、そして大学などと接続をした情報ネットワークによりまして、防災、それから医療、保健、福祉、教育などの主要な行政分野において、高度情報化技術を活用した行政情報サービスを展開したいと、今このような考えでおります。
 また、県民サービスの向上を目的とした県における職員1人1台パソコンの整備というものを今進めているところでございまして、ちょうど国の方で、平成15年度を目途とするいわゆる国の電子政府というものを構築することにしてございますが、この電子政府に対応するため、私どもも県庁の電子化ということを目指し、そのことによって県民サービスの向上を一層図りたいというふうに考えております。
 情報化戦略のキーワードとして御指摘のありました情報インフラの整備についてでございますけれども、地域間でばらつき、格差を生じさせないということが最も基本的なことでございまして、県内の家庭や事業所など、すべての末端の利用者に至るまで十分な環境整備をするいわゆるラスト・ワン・マイル、この一番最後の末端のところですが、いわゆるラスト・ワン・マイルの整備を進めることが大切でございまして、通信事業者はもとより、国や市町村とタイアップして多様なネットワークを形成していく考えでございます。特に、本県の特色を見てみますと、広大な面積を有しているということ、そこに県民の皆さん方が多く散在をしているということでございますので、県民の皆さん方へのサービスをあまねく行き渡らせるためには、ケーブルとしての光ファイバー網の整備ということが基幹部分では重要だと思いますが、それ以外に急速に進展をしております携帯電話などのモバイルの活用方策も、極めて重要な取組課題というふうに考えております。
 そこで、地域情報化の推進につきましては情報弱者、いわゆるデジタルデバイドをなくして、情報化の恩恵をすべての県民が受けることができる社会を築くということも重要でございまして、公共施設や文化施設など、県民に身近な場所に公共情報端末をできるだけ多く設置をして、だれでも自由に使うことができるシステムというものの整備を進めて、環境、福祉、教育やボランティアの皆さんなど、県民生活に関するさまざまな情報提供やいわて情報ハイウェイのネットワークを利用して、県民の皆さん同士がそこを通じて情報交換を行えるようにするなど、人と人との交流や触れ合いを促進する、いわゆる情報環境づくりに努めていく考えでございます。
 また、県民のIT意識の向上とそれから専門技術、人材の育成についてでございますが、市町村やNPOの皆さんなどと提携をしてインターネット習得のためのパソコン教室を開く地域住民の自発的な活動、こういうものに支援をしていくということを考えておりますし、産業分野それから教育分野などと連携を図りながらやはり人材の育成ということ、専門技術を有する人材の育成に取り組むこととしてございます。
 このような中で、県では先ほど申し上げましたイーハトーブ情報の森構想を具体化しそして実現を図るということで、アクションプランとしての具体的な高度情報化戦略を早急に策定する必要があるというふうに考えておりまして、今そのアクションプランの作成を進めている、その作業を進めているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) まず、市町村の合併についてでありますが、県においては、地方分権の推進、少子・高齢化への対応、国、地方を通じる財政の著しい悪化などの状況を踏まえ、市町村が住民とともに、今後の広域行政のあり方や広域行政の推進について議論していく際の資料として活用されることを目的として、先般、16の市町村合併のパターンを含む広域行政推進指針を策定し公表したところであり、これを契機として、それぞれの地域で広域行政の推進に向けた研修会の開催や広域行政に関する研究会の新たな設置など、指針の内容を踏まえた議論がスタートしつつあるものと認識しているところであります。しかしながら、このような取り組みはまだ緒についたばかりであるほか、市町村合併を含む広域行政の推進や選択については、あくまでも市町村や自治の担い手である住民の自主的な判断にゆだねられるものであることから、現時点において幾つかの地域で機運の醸成が図られつつあるものの、その方向を見極めることは困難であると考えております。
 県といたしましては、それぞれの地域において合併特例法の期限である平成17年3月をにらみながら、今日における日常生活圏の広域化や地方行財政を取り巻く現在の厳しい情勢等を十分に御認識いただいて、真摯な検討がなされることを期待するものであり、引き続きこうした自主的な取り組みを積極的に支援してまいる考えであります。
 次に、市町村総合補助金についてでありますが、この制度は地方分権の時代に対応し、市町村の自主的な判断に基づく地域づくりを支援するため、市町村の幅広い裁量のもとに活用できる補助金として創設したものであります。
 この活用状況について現段階での特徴を申し上げますと、ほとんどの市町村で活用されているとともに、この制度の創設に当たって統合した旧県単補助制度への充当額が全体の3割程度にとどまっており、また、個性ある地域づくりに向けた創意と工夫を凝らした事業が見受けられるなど、制度創設の趣旨に沿って活用いただいているものと受けとめております。しかしながら、一方では、予算編成作業の時間的な制約などから、既存事業への財源充当としての活用の例が見られたほか、創設に当たって統合したテレビ難視聴地域解消事業について、別枠での取り扱いの要望もあったところであります。
 県といたしましては、このような課題はあるものの、制度創設の検討段階から市町村の意向の把握と反映に努めてきたものであり、また、全体としてはおおむね好意的に受けとめられているところから、当面は現行制度の維持を基本としながら、制度の趣旨の一層の周知を図るとともに、地方振興局ともども、制度運用のあり方について検討してまいりたいと考えております。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 市町村の合併が進んだ場合の県と市町村の関係についてでありますが、地方分権一括法におきましては、市町村は基礎的な地方公共団体として、住民に最も身近な行政を自律的、自主的に担い、県は市町村を包括する地方公共団体として広域的な事務、市町村間の連絡調整を担うものとされたところでございまして、お互いにそれぞれの事務の違いや役割を十分に認識しながら、分権時代に対応した新しい関係を構築していく必要があると考えております。
 市町村合併が進み、より広域化して行財政能力が一層向上した市町村ができ上がってまいりますと、県の役割は市町村に対する財政、情報、人材などのいわゆる支援的なものから、市町村間をコーディネイトする言ってみれば調整的な役割でございますとか、さらに高度医療サービスの提供、産業廃棄物処理、水資源管理のように市町村段階ではできない、まさに県の責任において取り組むべき高度で先導的な事務の対応へとますますシフトしていくものと考えております。しかしながら、その場合にあっても、市町村と県とが地域の中で果たすべきそれぞれの役割を十分に認識しながら、相互に分担、補完し合い、住民本位の立場に立って地域づくりを進めていくという関係は、分権時代における県、市町村のあり方といたしましては、一面において一層強いものになっていく必要があるものと考えております。
 今後におきましても、こうした県の役割を十分に踏まえながら市町村の自立を促進し、主体的な特色ある地域づくりを行えるよう支援してまいる考えであります。
 また、道州制についてでありますが、昭和28年の第1次地方制度調査会におきまして、府県制度の改革が答申されて以来、道州制論や連邦制論など種々議論がなされてまいりましたが、どのような制度を確立すべきかという手法の違いはあるものの、いずれにも共通することは、地方自治の本来の姿に少しでも近づけるためには何をなすべきかという議論があったものと理解しております。
 この道州制の問題は、今後、市町村合併が進み市町村が力をつけていく過程で、都道府県の役割のあり方とも関連して、将来的には大きなテーマになってくるものと考えられますし、また一方で、都道府県の枠を越えたより広域的な交流・連携がますます活発化していくものと考えられますことから、県としましては、本年4月から新たな一歩を踏み出しました分権改革を着実に進めていくことが、結果としてこれからの地方の形をみずからつくり上げていくことにつながっていくものと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、保険料の徴収に向けた県の対応についてでありますが、県といたしましては、高齢者が応分の負担をし国民の共同連帯の理念に基づき、社会全体で介護を必要とする方の介護を支える新たな仕組みであるという介護保険制度の趣旨をこの機会に改めて県民の方々に御理解いただくことが、制度の安定的な運営のために極めて大切であると考えております。
 このため、65歳以上の高齢者の方々等に対し、制度施行後においても再度説明会や広報紙等を通じて、あらゆる機会を利用し、制度の周知徹底を行うよう市町村に強く要請する一方、県におきましても、県の広報紙やポスターの活用等によってその周知徹底を図っているところであります。こうしたことから、全市町村において説明会または広報の実施などがなされてきております。
 今後とも、市町村と一体となって、県民の方々に対して制度の周知を図ってまいりたいと考えております。
 次に、老齢福祉年金受給者など、低所得者を対象に保険料の減免措置を講じることとしている市町村につきましては、山田町と岩泉町のみであります。
 保険料の徴収につきましては、制度上、所得状況に応じた保険料負担軽減の方法としては、保険料区分を5段階をより細分化することや、低所得者の保険料を基準額に対して2分の1からさらに低く設定することにより、高額所得者により一定の負担に応じていただきながら、低所得者に対してさらに保険料の軽減を図ることができる措置が講じられており、その際、65歳以上の被保険者の所得分布状況で、全国水準よりも低所得者の割合が高い市町村に対しては一定の調整交付金が交付されることとなっておりますことから、このような方法により対応すべきと考えております。
 また、本事例は全く保険料を徴収しないことから、国民の共同連帯の理念に基づく介護保険制度の趣旨から見て、適当ではないものと考えられます。
 いずれにいたしましても、本事例の取り扱いにつきましては、現在、国に意見を求めているところであります。
 なお、低所得者の保険料については、国に対し、被保険者が保険料納付義務を果たしていただくためにも、適切な軽減措置が講じられるよう要請してきているところであります。
 次に、サービスの利用状況につきましては、市町村を対象に今月上旬に実施いたしました介護保険サービス利用状況調査によりますと、在宅サービスのうち、訪問介護、通所介護及び通所リハビリについて、制度発足前からサービスを利用していた方で、サービスの利用が増加している方は約35%、変わらない方は約52%、減少している方は約13%であり、自己負担の増加を理由にサービスの利用が減少している方は全体の約4%となっております。
 なお、今後とも、既に講じられている利用料の軽減措置の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
 次に、介護保険施設の設置についてでありますが、高齢者がたとえ介護が必要な状態となっても、住みなれた地域の中で、生きがいを持って自立した生活が送れるよう社会全体で支援し、積極的な生きがい・健康づくりとお互いを支え合う健康安心・福祉社会の実現を目指し、県は介護保険法に基づく介護保険事業支援計画、及び老人福祉法に基づく高齢者保健福祉計画として、本年3月に、いわていきいきプラン2005を策定したところであります。この県介護保険事業支援計画において、介護保険施設については、入所施設の広域利用の観点から九つの高齢者保健福祉圏域ごとに、平成12年度から平成16年度までの介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び介護療養型医療施設の施設種別ごとの今後整備すべき目標値について定められたものであります。
 なお、整備すべき目標数の設定に当たっては、市町村が今後の施設利用需要の動向を推計し、策定した各市町村の介護保険事業計画に基づき、圏域内の関係市町村間の調整を経て行われたものであります。
 今後におきましても、介護老人福祉施設及び介護老人保健施設の平成14年度整備目標値の前倒し整備を図るなど、介護保険施設の整備目標値を達成できるよう、また、圏域における施設需要の動向を適切に把握しながら、平成14年度の見直し時期において、再度市町村介護保険事業計画の見直しを行うこととしており、このようなことなどにより、介護保険施設の適切な確保を図ってまいりたいと考えております。
 次に、放課後児童健全育成事業についてでありますが、子育てと就労の両立支援や放課後児童の健全育成を図ることを目的として、平成11年度には県内20市町村に76の放課後児童クラブが設置され、約3、300人の児童が利用しております。県におきましては、平成11年度から国庫補助対象とならない登録児童が10人以上20人未満の放課後児童クラブに対し県単独助成制度を創設するとともに、本年度から障害のある児童もない児童も、ともに放課後児童クラブを利用できるよう、障害児を受け入れる放課後児童クラブに対し県単独で運営費の障害児加算制度も設けるなど、本事業の普及、拡大に努めているところであります。
 平成10年の児童福祉法改正により、市町村に対し放課後児童健全育成事業の利用促進についての責務が規定され、地域の実情に応じた多様かつ柔軟な取り組みが期待されているところであります。
 県といたしましては、平成12年度から毎年、保育所に入所している年長児の保護者を対象に、放課後児童健全育成事業に関する利用意向調査等を実施しており、今後ともこの利用意向調査等に基づき、地域に合った適切な放課後児童健全育成事業の展開が図られるよう、市町村に対し個別・具体的に支援を行ってまいりたいと考えております
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) 最近の少年非行についてでありますが、その全体の件数としては減少傾向にあるものの、議員御指摘のとおり、全国的にもまた岩手県内においても、依然として粗暴な少年事件の発生も見られるところであります。
 これらの事件の背景としては、少子化の中で家庭での養育のあり方や家族関係が変化したこと、地域社会の人間相互の連帯感が希薄化したことなどにより、家庭や地域社会の教育力が低下していることが挙げられます。また、テレビや雑誌など、マスメディアによる刺激的な情報の影響を受けていること、ファミコンやテレビゲームへの熱中に見られるような体験的活動が不足していることも指摘されております。総じて申し上げれば、このようなことを背景として、青少年の基本的倫理観や規範意識が低下し、その結果、他人への思いやりや命を大切にする心などが十分に育たなかったことが主な要因であると認識しております。
 これまで、本県の学校においては、各教科の学習はもとより、道徳、特別活動などの教育活動全体を通じて基本的な倫理感をはぐくむ教育を推進することを基本として、道徳的実践活動推進事業や豊かな心をはぐくむ教育推進事業などを展開しております。また、児童生徒の心の問題に対応するために、スクールカウンセラーや心の教室相談員の配置など、教育相談体制の充実も図っているところであります。さらには、青少年の健全育成と問題行動の防止のために、本県独自に在学青少年指導員を配置するなど、地域や関係機関と連携した取り組みも進めております。
 県教育委員会といたしましては、生徒指導体制の見直しやスクールカウンセラーの大幅な拡充など、国の施策の動向を踏まえながら、総合的な学習の時間などにおいてボランティア体験や自然体験等を学校の教育活動に積極的に取り入れ、道徳観や正義感を養うとともに、家庭教育子育て支援推進事業などにより、家庭や地域との連携にも配慮し、少年非行の問題に対応してまいりたいと考えております。
〇議長(山内隆文君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時47分 散 会

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