平成12年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇7番(吉田昭彦君) 私は、陸前高田選挙区選出の吉田昭彦でございます。初めての登壇であり、正・副議長を初め、先輩議員各位の御指導と知事を初めとする当局の皆様の御支援、御協力のほどお願い申し上げます。
 平成12月12月定例県議会に当たり、自由党会派の一員として質問をさせていただきます。先輩議員各位の御高配により質問の機会をいただきましたことに感謝しつつ、順次質問してまいりますので、当局の積極的な御答弁を期待いたします。
 まず最初に、政策評価制度の運用状況と来年度の重点施策への反映の考え方について伺います。
 県においては、昨年8月、21世紀の新しい岩手づくりに向けた岩手県総合計画を策定され、この中で17の施策、78の分野、343の主要事業を掲げ、207の主要な指標を定めたところであります。県においては、この着実な推進を図る一環として、政策評価システムを導入し、県民の視点に立って事業推進の成果重視の考え方のもと、予算や人員などの効果的、効率的配分に努めながら、行政運営の改善と行政サービスの向上を期することとしております。今年度実施している政策評価の結果、総合計画の進捗状況はおおむね順調と伺っておりますが、政策評価の実施結果や今後の課題などについてどのように認識されているのかお伺いいたします。
 また、今年度の政策評価は、試験的な試みとも聞いておりますが、この評価結果を来年度の重点施策にどのように反映させ、また、県内の各地域が個性を生かしながら特色ある地域づくりを進めていくため、この評価制度をどのように活用されていくお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。
 さらには、これまで取り組んでこられた事務事業評価制度と公共事業評価制度をどのように関連づけて総合的な評価制度として確立されるお考えか、あわせて知事にお伺いいたします。
 次に、県の行政組織の再編について伺います。
 21世紀を一月余に控え、少子・高齢化の進行、地方分権時代の到来など、時代はまさに大きな転換期にあり、地方自治体においては、個人の価値観が多様化し、さまざまな行政需要が増加する中で、地域や県民のニーズに迅速かつ的確に対応しながら、より質の高い行政サービスを効率的に提供する必要に一層迫られております。県においては、来年度から本庁を中心とする行政組織の大幅な再編整備を行う予定であり、この整備においては、機動的、効率的で質の高い施策の推進に向けて全庁的な政策立案機能の強化を図るべく、政策の企画立案、調整、評価等を所管する総合政策部門の新たな整備や各部局の政策形成機能の強化を図ることなどを目指すとのことであります。この取り組みの主眼も、県を取り巻く複雑でさまざまな今日的な要請に的確にこたえ得る確固たる行政組織を整備することにあるのではないかと存じております。
 そこで、私は、今回の組織再編と国の行政組織との関係についてお伺いいたします。
 国は、平成13年1月から省庁の大幅な再編を行うこととしております。県行政は、いかに地方分権時代といえども、なお国の行政との密接な連携のもとに事務事業を進めていく必要があると思うのでありますが、県の組織再編に当たりまして、国の新しい省庁の再編をどのようにとらえた上で地方分権の時代の要請にもこたえ得る組織にしようとしているのか、お考えをお聞かせ願います。
 また、今回の組織の見直しにおいては、本庁のみならず、地方振興局の組織見直しも一部行われるようであります。地方振興局は、市町村とともに地域に密着した住民に身近な行政を担っていることに特に配慮が必要と考えます。地方振興局については、本庁組織の整備を踏まえて本格的に組織の見直しを行う時期も来るかと思いますが、その際はぜひとも地域の視点に立って進めていただくよう強く要望するものであります。
 次に、防災対策について伺います。
 南米チリ沖の震源地から1万8、000キロも離れた遠地津波が本県の沿岸部を襲ったチリ地震津波の来襲から、ことしで40年が経過します。この津波は明治29年、昭和8年の三陸沖を震源地とする三陸沿岸津波の常識を破って、三陸沿岸では地震の発生がないのに来襲した津波でありました。この津波を契機として三陸沿岸部においては、津波防災対策として防波堤、防潮堤の整備が行われてきたところであります。現在、県におきましては、岩手山火山防災について種々対策を講じているところでありますが、三陸沿岸地域の津波もいつ来るかわからず、その防災対策は決して気を抜けない重要な課題であると存じます。現在、防波堤等の建設や防災無線の設置による情報伝達体制の整備など、予防対策が順次進められておりますが、津波観測体制の整備、津波情報や災害情報の連絡体制、被災者の救済対策、生活再建対策など、沿岸市町村との密接な連携を図った防災対策が必要と思うのであります。
 そこで2点についてお伺いします。
 第1点でありますが、私は、検潮儀や計測震度計の設置等による地震・津波の観測体制の整備が極めて重要と考えるものであります。現在、沿岸市町村においては、それぞれの市町村が独自で潮位観測の装置を整備し、それぞれ運用を行っている状況にあります。これらの装置をより有効に活用するためには、これらをネットワークで結び、さらには装置の不十分な市町村には整備を促進することによって、この装置の活用による津波観測情報を各沿岸市町村が相互に交換し、迅速かつ的確に情報伝達し合う体制を早急に構築することが重要であると考えております。
 また、あわせて遠地津波に対応できる防災情報体制、すなわち津波情報の収集体制と沿岸市町村間での情報伝達体制の整備も極めて重要であると考えますが、これらの点について県御当局の見解をお伺いいたします。
 2点目でありますが、災害時における県域を越えた市町村間の広域応援協定が本年7月13日に、岩手県南13市町村、宮城県北24市町村により締結されたところであります。これらの市町村は、三陸沿岸の津波災害、北上川の水害、栗駒山南部の群発地震などの災害発生可能性を抱えていることから、これらの事態が発生した場合は相互に広域的に対応しようとするものであり、まことに時宜を得た対応であると考えるものであります。つきましては、このように広域的に連携をして災害対策に当たる場合においては、自衛隊との連携が極めて重要になると存じますが、自衛隊との連携がどのようになっておられるのかお聞かせ願います。
 次に、市町村の情報化に対する県の取り組みについて伺います。
 インターネットが急速に普及する中、行政の効率化や住民サービスの向上、地域振興などの課題を解決する手段として、情報技術(IT)の活用が非常に有効であることから、その導入を積極的に進める市町村が県内でも着実に増加していると聞いております。まさに、ITの波が本県の市町村にも押し寄せてきているといった感を強く抱くものであります。しかし、高度な情報技術を最大限に活用し、事務の効率化等に先進的に取り組む市町村がある一方で、基本的な条件整備のおくれている市町村もあると伺っております。県においては、情報の森構想の実現に積極的に取り組まれております。この着実な推進のためには、県内全市町村が県と歩調を合わせた情報化の推進を図る必要があると思われますが、県として県内市町村の情報化の実態をどう把握され、また、今後の市町村の情報化にどのような考えで臨まれようとされているのでしょうか。市町村間の情報の格差は、県土の均衡ある発展にとって阻害要因となると思われますが、おくれている市町村の情報化に対してどのような支援を行おうとされているのかお伺いいたします。
 次に、環境行政の推進について伺います。
 国においては、循環型社会形成推進基本法など一連の6法が成立し、平成12年度を循環型社会元年と位置づけ、循環型社会の構築に向けた基本計画の策定によって具体的施策の展開を図ろうとしております。このことによって、国、地方自治体と商品生産者の企業、消費者が一丸となって、ライフスタイルや経済活動を見直すこととなり、今後は天然資源が抑制され、環境への負荷が抑制される社会を目指して、廃棄物等についての発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)を優先した上での適正な処分が必要となるものであります。県においては、国の動向を受けて、この循環型社会形成に向けて市町村とともに取り組みを行っていることと思いますが、現実には資源の循環やリサイクルが強調され急がれる余りに、費用、効果を無視した施策になってしまうような可能性もないとも言えません。ぜひ現場の実情や県民の意識の現状等を十分に踏まえた上での取り組みが大切であると存じるものであります。知事は、本県を資源循環型社会に導くに当たって、現状での本県社会の実態をどのように認識をされ、今後どう具体的に実現を図っていくおつもりか、基本的な御見解をお伺いいたします。
 また、環境保全のためのコストとその活動により得られた効果を定量的に把握、分析、公表する仕組みである環境会計は、21世紀の目標である循環型社会の実現を推進する上で、非常に有効な手段であると理解をいたしております。
 そこで、本県における環境会計への取り組みの現状と今後の方向についてお聞かせを願います。あわせて、環境関連税制の導入が極めて有効な手段であるとの意見が多くあると認識をいたしているところであり、この制度についても積極的に検討されるよう要望を申し上げるものであります。
 さらに、生ごみを発酵させて発電する事業が環境庁の事業で神戸市において試験的に行われると聞いております。この事業は、ごみの減量に資するとともに、自然エネルギーによる地球温暖化防止にも極めて有効なものと思うものであります。今後、期待される事業であると考えますが、この事業に対する県の評価と今後の具体的取り組みの可能性についてお伺いします。
 次に、医師確保対策について伺います。
 都市部においては、医師過剰時代とも言われ、医科大学生の定員の削減などが言われているのでありますが、一方で、全国的に中小都市を初め、医師不足は深刻なものがあります。このような中で、県としても医師確保については大変な御努力、御苦労をいただいていると存じており、敬意を表する次第でありますが、最近の県立病院並びに市町村立の病院、診療所の医師の充足率はどのような状況にあるのか、まずお伺いします。
 また、医師確保対策として、自治医科大学、市町村養成事業補助、医療局職員奨学資金貸付制度に加えて、平成9年度から地域医療を担う医師の確保、派遣等に関する関係者の協議の場として協議会を設けるなどの医師確保対策を講じていると承知しておりますが、これらの対策の結果をどのように評価されているのかお伺いいたします。
 また、現実問題として、地域への十分な医師確保が難しいとすれば、私は、医師の確保に当たっては、医師個々の地域医療への熱意、そして医療技術の水準の高さ等に着目して人材を確保し、必要な地域地域に配置するというような対策のあり方、確保戦略もまた考えあわせなければならないのではないかと深刻に考えるものでありますが、県内の医療の充実、医師確保の観点からこの点をどうお考えになるかお伺いいたします。
 次に、林業の間伐対策の推進について伺います。
 昨今、森林の持つ多様な機能と役割が重要視されておりますが、これらの機能を高度に発揮するためには、間伐等の保育を適時適切に行い、健全で優良な森林を造成していくことが極めて重要であります。しかしながら、木材価格の低迷や生産コストの増嵩など、林業の採算性の悪化から間伐が行われていない森林も見受けられるところであります。私の気仙地域は、県内で最も人工林化が進んでおり、木材高次加工施設の整備等により、気仙杉の高付加価値化、ブランド化が進められておりますが、やはり担い手の問題を初め、林業経営を取り巻く環境は御多分に漏れず大変厳しいものがあり、間伐への取り組みもままならない事情にあります。森林所有者が将来とも継続して林業経営を行っていくためには、間伐の推進と間伐材の搬出、そして有効活用は大変重要な課題でありますが、県においては去る8月に、岩手県緊急間伐5カ年計画を策定したと承知しており、この計画の実現に大いに期待をいたすものであります。
 そこで伺いますが、県ではこの計画達成に向けて、特に経費のかかる間伐材の搬出対策を含めた間伐対策を具体的にどう推進していくのかお伺いをいたします。
 次に、津付ダム整備事業の推進について伺います。
 津付ダムは、洪水対策を主目的に、工業用水の確保にもあわせて対処する多目的ダムとして、昭和56年から実施調査を行って今年度に新規建設ダムとして採択されたところであり、知事を初め関係各位の御努力に敬意と感謝を申し上げるものであります。今年度は、環境影響評価調査を行うこととし、これまで専門家の指導により猛禽類の調査を主体として進められ、その他の動植物や環境への影響についても岩手県環境影響評価条例に基づいた調査が行われる予定と伺っており、事業の積極的な推進をお願いするものであります。
 津付ダムの採択に当たりましては、平成元年に住田町の御努力もあって地権者会が設立されて以来、町当局はもちろんのこと、地権者会長が建設省に事業推進を直接陳情するなど、地元がもろ手を挙げて事業推進を図ってきたことも効果的に作用したものと思料をするものであります。今後は、水没する移転予定者の生活再建対策が最も重要な課題であると思われます。県御当局においては、地権者の生活再建対策をも含めて、建設事業をどのように進めていかれるお考えか、御見解をお伺いいたします。
 次に、学校教育における課題について伺います。
 教育は国家百年の計と言われますが、教育改革にどう取り組むかが政治の重要な課題であり、総理大臣の私的諮問機関として教育改革国民会議も設置され、戦後教育の総点検が進められているところであり、その中間報告においては、コミュニティースクールの設置とか、奉仕活動の義務化、教育基本法の見直しなどが提起されております。21世紀という新しい時代を担う子供たちに求められるものは、豊かな個性と創造力、自分で判断し行動する力、相手の立場を重んじ思いやれる心、つまり豊かな人間性であると言われております。今、子供たちにはぐくんでもらいたいことは、人の役に立つということを学校だけではなく、いろんな社会体験などを通じて学ぶことではないかと考えられ、家庭、地域の教育の役割を再認識することが重要になっていると考えております。学校は知識を教える場所であって、家庭や地域でやるべきことを学校にまで背負わせているのではないかと疑問を提起する意見もありますが、教育長は最近の状況等にかんがみて、教育についての学校や家庭、地域の役割分担についてどのようにお考えか、まずお伺いいたします。
 最近、特に教育相談の実際の内容を伺うと、不登校の問題が大きくクローズアップされているようであります。その理由や形態は一様ではなく、当事者本人に起因するものと、学校の魅力、教師との信頼関係に起因するものなど、その対策には関係者は心を痛めていると推察するものであります。ついては、きめ細かく検討し対応していくことが大切であると思うのでありますが、実態と傾向についてどのように分析され、相談窓口の対応などどのような体制で対処され、今後はどう進められようとしているのか、教育長の御見解をお伺いいたします。
 次に、県立高校再編計画について伺います。
 今般の県立高校再編計画においては、社会経済情勢の変化を踏まえて生徒の多様な個性や能力を最大限に伸ばすために、高校教育をさらに多様で柔軟性に富んだものに改めることを目指し、その具体策として学校統廃合や学科再編、総合学科の設置等が掲げられております。一方では、本県の農林水産部門では、就業者の高齢化や兼業化が進む中で後継者対策に頭を痛めており、学校教育の各段階においても、農林水産業に対する理解を深めてもらうための努力が求められております。その中で、気仙地域の大船渡工業、大船渡農業と広田水産の各高校の統合が提案されております。県教育委員会は、生徒数の減少と生徒の志望への対応が最優先としておりますが、地元のコンセンサスはなお得られていない現状にあります。県教育委員会においては、産業振興上、地域政策上、さらには学校設置の歴史的経緯に目を向けるようにとの地元の意見に耳を傾けて、お互いの事情を考慮して接点を見出すべきではないかと思うものであります。統廃合に当たっては、段階的に再編整備を行うという姿勢を持って地元協議を行うことが大切ではないでしょうか。四国4県に匹敵し、また三陸漁場を抱える本県において、沿岸部中央に1校設置し、他はコース制で対処するとの理屈は成り立たないと思うのであります。
 例えば、増養殖漁場として利用が盛んな県南部では、海洋環境と漁場との関連を調査研究するなど、地域の漁業者との連携を強化するとか、気象、海象の調査の充実、津波防災への取り組みとか、地域に密着した実業教育にあわせて地域課題解決に取り組む教育も担うことで、地域の中での高校の位置づけをより明確にする視点も重要ではないでしょうか。ついては、気仙地域の高校再編に当たっては、地元の意向、産業界の意向をどのように受けとめて、その意向をどう加味していくおつもりか、教育長の御見解をお伺いいたします。
 次に、気仙地域における振興上の課題について伺います。
 御案内のとおり、気仙地域は内陸部と比較して人口減少率が高く、所得の伸び率、経済活動、生活環境面の下水道普及率等が低位の現状にあります。さきに実施された県の施策に関する県民意識調査の結果によりますと、岩手県総合計画で掲げておる岩手の将来像として実現したい五つの社会についての設問に対する回答では、地場産業や中小企業の事業活動を活発にすることと、道路や鉄道、空港等の交通網を整備することを求める回答が最も多く、他の圏域に比べて特徴的な結果であります。このことは、この地域では雇用の場の確保としての産業の振興と高速交通網の早期の整備が強く期待されているあらわれであると考えております。
 そこで、県土の均衡ある発展を願う者として、県南・沿岸地域の格差是正を図り、地域特性を生かした発展方向を期待して4点お伺いいたします。
 第1点は、高速交通網でありますが、内陸部の東北縦貫自動車道等の高速交通体系の整備による開発効果から見て、沿岸南部の発展は三陸縦貫自動車道の整備にかかっていると言って決して過言ではありません。県においては、三陸沿岸南部におけるこの道路の位置づけと役割を改めて御認識賜りたいのでありますが、当局の御見解をお伺いいたします。
 また、早期整備を図るためには、宮城県側との連携が極めて重要でありますが、その連携状況を初め、早期完成の手だてをどのように考えておられるのか、あわせてお示しを願います。
 第2点は、農業関係であります。
 気仙地域には、農業研究センター南部園芸研究室が設置されております。この研究室は沿岸園芸試験場南部分場として設置以来、圏域内の14市町村の施設園芸を中心とした農業振興に特筆すべき役割を果たしてまいりました。この施設が、今般移転新築されますが、陸前高田市が設置する総合営農指導センターとの機能分担による相乗効果も期待され、研究指導、研修の一貫した体制整備に地域の期待が高まっております。南部園芸研究室は、今回の新築移転を契機として、施設運営や研究体制など、さらに一層新たな視点、発想により地域の期待にこたえていただきたいと思いますが、研究室の今後のあり方について御見解をお伺いいたします。
 3点目は、水産関係でありますが、気仙地域はつくり育てる漁業に積極的に取り組んできたことにより、養殖生産物のブランド化が進み、安定的な経営がなされている一方、漁業就業者の減少、後継者不足という深刻な問題を抱えております。特にも、ワカメ養殖業者は価額の低迷等から転業が進んでおり、この状態が進むと三陸ワカメのブランドにも影響することが懸念されます。県においては、このような課題の現状と方策をどのように考えているのかお伺いいたします。
 4点目ですが、沿岸南部の所得格差是正はこの地域の悲願であり、この実現には産業振興による雇用の場の確保が喫緊の課題となっております。私は、気仙人の1人として、常々この地域では、海、山、川の多彩な自然環境や豊富な農林水産物に恵まれた地域特性、県内随一の温暖な気候等を生かした観光振興と企業誘致、特にも既存工業団地への早期誘致が極めて重要と考えておるのであります。県御当局のこの地域の観光振興と企業誘致についての力強い御見解をお伺いするものでございます。
 以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 吉田昭彦議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、政策評価制度の運用状況と来年度重点化施策への反映についてお尋ねございましたが、この政策評価でございますけれども、これは、自己決定・自己責任がより強く求められる現在の地方分権の時代にございまして、成果重視の行政運営、効率的・効果的な施策の選択などによりまして、昨年つくりました総合計画を着実に推進する観点から導入するものでございます。
 この政策評価の実施結果につきましては、本年度は試行の段階ではございますが、各部局が、例えば環境関連施策や産業連携施策など、部局を越えて横断的な取り組みをするものも含めて、計画に体系化されております施策について自己評価することによりまして、担当する施策の位置づけやその方向性をより明確化できたこと、また、施策を担当する部局とは異なるセクションで、いわば県民の視点から総合評価を行うことによりまして、成果重視や質の高い行政の実現に向けた取り組みへの意識改革が進んできたことなど、来年度からの本格実施に向けて一定の成果が上がったものと考えております。
 一方、今後の課題につきましては、今回の試行を通じまして、評価項目や分析手法、また県民意識調査の活用方策などに幾つかの改善すべき点が明らかになったことから、来年度に向けて検討を進めますとともに、総合計画との関連で、県民の視点に立って、より正確に施策の成果をあらわす新たな指標の開発も今後必要になるものと考えられますので、その検討に着手することとしております。
 次に、来年度の重点化施策への評価結果の反映についてでございますが、本年度の政策評価は、主要な指標の動向を基本として、今申し上げました県民意識調査の結果や経済社会の状況を加味して総合評価を行ったものでございまして、その結果に基づき、この岩手の特性を生かし、当面する課題に対応するという観点から、環境首都実現に向けた取組み、快適な暮らしを目指す生活基盤整備の推進など、七つの重点化施策を決定したものでございます。
 来年度の本格実施に当たりましては、それぞれの地域の特性・個性を生かした地域づくりに反映させたいと考えておりますので、評価結果をまず広く県民に公表するとともに、特に地域と関連が深い指標については、各地方振興局から実態などを聴取するなどして評価分析を行いまして、その結果をまた地方振興局等を通じて地域にフィードバックしてまいりたいと考えております。
 また、個々の事業の効率性などを判断いたします事務事業評価──これは既に以前から行っているわけでございますが──や公共事業の効率化、重点化などを──図る公共事業評価──これも既に実施いたしております──の二つにつきましては、政策評価の全体の体系の中に位置づけいたしまして、すべてを一体的な運用を図る、このような考え方でおります。
 次に、資源循環型社会についてでございますが、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会システムによりまして、廃棄物の量の増大や質の多様化が進んでおりまして、その処理過程でのダイオキシン類の発生、最終処分場の確保難など、さまざまな問題が現実的には各地域で起きているわけでございます。
 本県におきましても、近年、ダイオキシン問題を起因とした自家処理の自粛などによりまして、家庭用ごみ焼却炉など、今使用中止しているわけでございますが、こうしたことなどによりまして、ごみの発生量が全体としては増加傾向にございます。これが、ひいては市町村の財政負担を大きくしておりまして、さらに、リサイクルの分野におきましても、分別、収集、運搬、保管、処理などに新たな負担が生じてきておりますので、特に、容器包装リサイクルなどについては負担が多いと考えられます。
 こうしたことから、市町村の負担を軽減するための制度の改善について、国に今要望しているところでございます。財政負担の軽減などが中心になってございますが、特にそうした制度全般の改善について国に要望しております。
 また、環境の世紀と言われる21世紀にふさわしい新たな地域社会を構築するために、アンケートやパブリックコメントの実施による県民、事業者、市町村などの具体的な現場の意見・要望を踏まえまして、各地域の特性に応じた岩手県独自の資源循環型廃棄物処理構想の策定を進めているところでございます。この構想は、一般廃棄物と産業廃棄物の共同処理ですとか、廃棄物の原則自県(圏)内処理など、従来にはない新たな廃棄物処理システムの構築を目指した構想でございまして、環境保全型産業の創出・育成と、ひいては地域経済の発展にもつながるものと考えております。
 今後は、この構想に基づいて、県民はもとより、事業者、そして市町村、関係団体などの積極的な参画を得ながら、循環型地域社会の構築を目指して全力を挙げて取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、国の省庁再編と県の組織再編についてでありますが、今回の県の組織再編に当たりましては、地方分権の進展により、これまで以上に地域の主体性や創造性が求められていることから、総合政策室を設置し、政策の企画立案、調整、評価等の政策立案機能を強化するほか、地域振興部を設置し、地域の視点に立って、地域づくりの第一線である地方振興局や市町村を総合的に支援するとともに、各部にまたがる地域課題の効果的な解決に取り組むなど、地域振興機能の充実を図ることとしております。
 一方、今回の国の中央省庁再編につきましては、内外の社会経済情勢の変化を踏まえ、主要な行政課題に的確かつ柔軟に対応するための行政機関の再編成等を基本方針としており、内閣府や総務省を新設するなど、政策の総合調整機能や評価機能の強化を目指すことがその目的の一つであると認識しております。
 県における組織再編の趣旨については、必ずしも中央省庁の再編を意識したものではございませんが、変化する時代の潮流の中で、結果として相通ずるものがあると考えております。
 また、県総合計画に掲げた岩手の将来像を構成する五つの社会の実現に向けた施策を積極的に推進するため、環境、保健福祉、産業振興、県土整備など、県民生活とかかわりが深い部門についても整備することとしておりますが、これらの施策を効果的に実施する上では、国の施策との連携・調整も必要であることから、中央省庁の再編の動向も踏まえ、その構成に配意するなど、分権型社会のもとで効率的かつ円滑な県政運営ができるよう努めたところでございます。
 次に、津波防災対策についてでありますが、まず、遠地津波も含めましたところの津波への対応につきましては、気象庁からの津波警報や注意報について、気象衛星ひまわりを通じまして、県防災行政情報通信ネットワークにより、市町村、消防本部等にリアルタイムで送信する体制を整えているところでございますが、県が整備を進めておりますいわて情報ハイウェイの一環といたしまして、盛岡地方気象台からのさらに詳細な地震・津波情報について、いつでも市町村が情報を共有化できる伝達システムを今月12日からスタートさせることとしております。
 さらに、来年度は、これらのシステムを消防本部とも接続することを予定しておりまして、これによりまして、陸前高田市消防本部を含めまして、すべての沿岸消防本部と24時間体制でつながることとなりますことから、情報の迅速化と初動体制の強化が一層図られるものと考えております。
 また、御指摘のありました津波観測装置につきましては、現在、沿岸14市町村のうち9市町村が津波観測装置を設置し、津波情報収集に努めているところでございますが、県といたしましては、未設置の市町村に対しまして、防災まちづくり事業や県が本年度創設いたしました市町村総合補助金の積極的な活用等により、整備の促進が図られるよう働きかけてまいりたいと考えております。
 これらの津波観測装置につきましては、現在、機種等の違いからネットワーク化が図られておりませんが、将来的には、先ほど申し上げました、県が今年度から一部運用開始を予定しておりますところのいわて情報ハイウェイを活用いたしましてネットワーク化が可能となりますことから、沿岸市町村とともに、今後に向けて研究・検討してまいりたいと考えております。
 次に、災害時における自衛隊との連携についてでありますが、本県におきましては、過去にチリ地震津波や大規模林野火災、大雨洪水災害等で幾度となく自衛隊の災害派遣をいただいているところでございまして、災害派遣をより迅速・効果的に行うためには、常日ごろから自衛隊との緊密な連携が重要と考えているところであります。
 こうしたことから、県におきましては、総合防災訓練や岩手山噴火対策防災訓練等に際し、自衛隊からも参加いただいておりますことから、このための協議・連絡を通じまして連携を深めているところでありますが、今後におきましては、今議会に提案しております部設置条例の改正の中で、防災体制の一層の充実、具体的には、総合防災室といったものを想定しているわけでございますが、こういったものを予定しておりますことから、これを契機として、自衛隊との定期的な協議の場を設けるなど、さらに密接な連携に努めてまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) 市町村の情報化に対する県の取り組みについてでありますが、国におきましては、平成11年12月のミレニアムプロジェクトに関する閣議決定に基づき、平成15年度までに電子政府を構築することとしております。これに対応した県、市町村の情報化への取り組みは喫緊の課題となってきております。特にも、地域住民と直接接する市町村の情報化は、極めて重要な課題であると認識しております。
 本年7月に行った調査によりますと、役場内のパソコンのネットワーク化を行っているのは37市町村でありまして、全市町村の63%となっておりますが、全国平均よりも10%ほど少ない状況でございます。また、職員1人1台パソコン環境を整備し、かつ、全庁的にインターネットの利用が可能な市町村は、水沢、金ヶ崎、大野、安代の4市町村にとどまっております。
 こうしたことから、今後、早期に導入される住民基本台帳ネットワークやワンストップサービスなどの利便性の高い高度情報システムのための環境の整備が必要と考えております。
 今後の取り組みに当たりましては、市町村の財政負担も考慮し、国庫補助事業を活用したインターネットの導入や、いわゆる地域イントラネットの構築を促進するとともに、情報化への対応がおくれている市町村に対しては、平成15年度を目途とした、国、県、市町村を結ぶ総合行政ネットワークの構築に備えて実施する電子自治体緊急整備事業の導入、さらには、地域情報化人材育成塾セミナーの開催など、ハード、ソフト両面にわたって積極的に支援してまいる考えであります。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) まず、環境会計の取り組みについてでありますが、本年5月に環境庁が公表いたしました製造業を中心とする企業を対象としたガイドラインを参考としながら、本県が導入する場合の課題等について、学識経験者を交えながら検討を進めているところであります。
 環境会計の導入に当たっては、環境を保全するための費用に対する効果を金額であらわすための手法が確立されていないことなど、なお検討を要する課題が残されておりますが、本年度、平成11年度決算に基づく生活環境部の事業について試算を行い、来年度は他部局の事業にも広げ、問題点を抽出し、さらに検討を加えながら、平成14年度には本格的な導入を図ってまいりたいと考えております。
 次に、生ごみ発電についてでありますが、御指摘のこのシステムにつきましては、生ごみを発酵させてできるメタンガスから水素を取り出し、酸素と反応させて電気をつくり出すという燃料電池によりまして発電を行うわけでして、いわゆるバイオマス発電の一つでございます。これは、生ごみを一度も燃やすことなく、ダイオキシン類を発生させずにエネルギーを回収できる点が評価できるもので、生ごみだけによる発電といたしましては、世界に先駆けた開発システムと言われております。
 このようなシステムは、本県が今後、生ごみと家畜ふん尿などの有機性廃棄物の再利用やクリーンエネルギー利用を進めていく上で有効なシステムの一つと考えておりますが、一方、容器包装物などの不純物の混入を防ぐ分別収集の徹底や汚水処理施設を整備することに伴うコスト増などの課題もあるとされておりますから、引き続きこれらを研究しながら、技術開発や実証試験の動向把握など、情報収集や研究に努めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、県内の公立医療機関における医師の充足状況についてでありますが、平成11年度において、医療法上の医師標準数に対する充足率は、県立病院89.5%、市町村立病院72.9%であります。
 なお、診療所においては、医師標準数は定められておりません。
 次に、県の医師対策の評価についてでありますが、県では、市町村医師養成制度を初めとした各種奨学制度を実施しており、その実施に当たっては、県内の医師需給の動向や社会情勢の変化等に対応して修学資金を増額するなど、所要の見直しを行うとともに、養成された人材の効率的な活用を図るため、関係市町村等と協議しながら、その適正な配置や派遣に努めているところであります。
 さらに、平成9年度からは医師確保対策をより円滑に図るため、岩手医科大学や岩手県町村会を初め、関係機関、団体の代表者で構成する地域医療支援協議会を設置し、本県における医師の養成、派遣のあり方等について協議を行っており、例えば、市町村医師養成制度により養成された医師が、養成市町村で診療に従事する、いわゆる義務履行の実施率の向上や修学資金の貸付学生数の増加等の成果を見ております。しかしながら、これらの施策等を講じているものの、依然として本県においては、単に医師数の不足ということだけではなく、医師の地域間の偏在や小児科等、特定の診療科の医師数の不足等が大きな課題となっております。
 また、医師確保対策に当たっては、単に医師の数的充足のみを目指すだけではなく、地域医療を担う情熱と診療現場で求められる知識、技術、さらには医師としての倫理観等も十分に兼ね備えた心身ともに健全な人材を育成していくことが大切であります。このため、県といたしましては、このような点にも留意しながら、また、他の県の医学部に入学する県内出身者のUターンも促すよう、より実効性の高い医師養成確保対策が講じられるように、現在鋭意検討しているところであります。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) まず、間伐対策の推進についてでありますが、間伐材の有効利用を図る上で、搬出対策は極めて重要であることから、国の造林補助事業においては、平成11年度から最寄りの作業道、または林道までの材を搬出する経費についても新たに補助対象とされたところであり、現在、間伐においては伐倒、造材──これは一定の長さに丸太を切ることでございますが──及び搬出に要する労賃等の経費について補助がなされております。
 造林補助事業における補助額の決定につきましては、現場条件が極めて多様であり、事務の合理化を図るため、県が1ヘクタール当たりの標準的な事業費を定め、これに一定の率を乗じて算出する方式がとられており、現在、搬出を伴う場合、広く適用されている補助額は、事業費の約22万円を基礎として約15万円、特に森林の公益的機能を確保するための特定間伐では、約23万円を基礎として約16万5、000円となっており、補助額は事業費に対しておおむね7割の水準となっております。
 さらに、県内の過半の市町村においては、森林・山村に係る地方財政措置を財源として、1割から2割程度のかさ上げ補助を行っております。しかしながら、この搬出経費に対する補助については、措置されて間もないことなどから、森林所有者等には十分には周知されていない面もあり、今後、間伐収支を補助金を含めて試算した間伐診断等により、森林所有者への普及啓発を図るとともに、林内路網の整備や高性能林業機械の活用などによる生産コストの低減化を促進し、間伐材が搬出、利用されるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、気仙地域のワカメ養殖の現状と振興方策についてでありますが、本県は、養殖ワカメについて国内生産量の4割を占める全国一の生産県であり、中でも気仙地域は、県内生産量の3割強を占める主産地となっておりますが、近年、ワカメ養殖を営む漁業者が減少しており、今後、生産量の減少が引き続く場合には、三陸ワカメのブランド維持が難しくなることも懸念されます。
 漁業者のワカメ養殖離れの要因としては、価格の低迷はもとより、漁業者が高齢化する中で、収穫から加工、出荷まで、重量のある生ワカメを短期間で処理しなければならないことや、夜明け前からの刈り取りのため時間的に制約されることなど、労働環境が極めて厳しいことが挙げられます。
 県におきましては、ワカメ養殖は引き続き気仙地域にとって恵まれた海洋環境を活用し得る重要な漁業であることを踏まえ、労働環境の改善のため、気仙地域の漁協において、モデル的に経営の協業化による生産体制の効率化や共同作業船の導入による作業の省力化・機械化などの促進に取り組んでおり、今後これらの成果を踏まえつつ、消費拡大やブランド化の取り組みとも相まって、引き続きワカメ養殖の振興に努めてまいりたいと考えております。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) まず、津付ダム建設に係る地権者の生活再建対策と事業の推進についてでありますが、現在は、ダム事業に伴う環境影響評価を実施しておりまして、今後は、設計及び事業区域の確定を行い、さらに、地権者の方々の生活再建対策に取り組みながら用地交渉を行うことといたしております。
 また、事業を進める上では、御指摘のとおり、移転を余儀なくされる方々の生活再建対策が最重要課題であると認識しておりまして、本年8月に第1回の生活再建意向調査を実施したところであります。
 今後は、この調査結果を踏まえまして、地元住田町と連携を図りながら、代替地や農地のあっせん、移転先の土地造成、生活相談窓口の充実など、地権者の方々の生活再建対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、三陸縦貫自動車道の整備についてでありますが、この道路は、昭和62年に全国の高規格幹線道路網1万4、000キロメートル構想に組み込まれました自動車専用道路でありまして、宮城県を含む三陸沿岸地域の連携を強化しますとともに、豊富な資源の開発・活用を促進し、地域の活性化及び県勢の発展を期する上で、極めて重要な役割を担うものと考えております。
 その整備状況につきましては、県内全体延長約102キロメートルのうち、市街地部の円滑な交通確保など、整備効果の大きい区間を優先して、約半分に当たる56キロメートルが事業化されておりまして、このうち、既に工事に着手している区間は、山田道路及び大船渡三陸道路の2区間、延長25.4キロメートルとなっております。三陸縦貫自動車道の早期整備につきましては、これまでも国への働きかけのほか、総決起大会や宮城県との連携イベントを数多く開催いたしておりまして、これを通じたアピールなど、官民一体となって県境を越えた取り組みを行ってきたところであります。この自動車道は、宮城県側とのネットワークの形成によりまして、一層大きな効果が期待されるものでありますので、さらに、宮城県との連携を強化し、この道路の整備の必要性につきまして、国に情報発信しながら早期整備に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) 農業研究センター南部園芸研究室の今後のあり方についてでありますが、南部園芸研究室は施設の老朽化が進んだことなどから、このたび移転新築することとし、現在、その整備を進めているところであります。新しい研究室におきましては、これまで取り組んできた夏期冷涼、冬期温暖な地域の気象条件を生かした花や野菜の周年生産技術などの開発、実証に加えまして、高級切り花や鉢花、野菜などの施設園芸や養液土耕栽培など、先端的技術の開発等による低コスト、省力、安定生産技術の確立に取り組んでいくこととしております。
 また、こうした取り組みを進めるに当たりましては、地元の陸前高田市が設置する総合営農指導センターや農業改良普及センターなどの研修・指導機関と密接に連携し、農家への技術移転を進めながら産地づくりを一層支援してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) 気仙地域における観光振興と企業誘致についてですが、気仙地域は、陸中海岸の南の玄関口として、高田松原やオートキャンプ場モビリアなど、本県を代表する観光地の一つであり、また、現在内陸部へのアクセス道路などの整備が着実に進められております。観光振興につきましては、これら道路整備などにより、広域的な連携や人的交流の促進が期待されますことから、気仙地域の特性を生かした観光を推進してまいりたいと考えております。
 この地域では、黄金王国の各種取り組みを初め、ホタテむきや網おこし体験、それから三陸鉄道を利用したイベント列車の運行など、三陸ならではの旅行商品販売などに取り組んでいるところであり、これからもこのような地域の主体的な取り組みを支援してまいりますし、それから三陸沿岸全体を視野に入れて漁業体験などを活用した県外からの修学旅行の誘致、そして仙台空港を利用する観光客の誘致にも今後取り組んでまいりたいと考えております。
 また、企業誘致につきましては、道路網や港湾の整備が進められるなど、立地環境も次第に高まりつつありますことから、これらを含めた地域固有の産業資源等について情報発信に取り組んでおります。
 企業の誘致の促進に当たりましては、ハードの整備はもとより、地元の熱意ある取り組みが立地の成否を決定することが多いので、今後とも地元市町村と連携して、北上川流域地域に集積している企業の二次展開、それから、これら北上川流域地域の企業と関連の深い企業をも視野に入れまして、首都圏における誘致活動の促進に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) まず、教育における家庭、学校、地域社会の三者の役割分担についてでありますが、近年、核家族化や都市化の急激な社会状況の変化により、地域や家庭の教育力の低下や多様化する生徒に対応しきれない学校の状況が指摘されております。本来、家庭は親のしつけを通して基本的生活習慣や善悪の判断力をはぐくみ、学校は計画的な教育活動を通じて年齢に応じた知識や倫理観、規範意識を身につけさせ、また、地域社会は郷土芸能の伝承やボランティア活動等の世代を越えた触れ合いによって、社会性や豊かな人間性を身につけさせるところと認識しております。簡潔に申し上げますと、家庭ではぐくみ、学校で学び、地域社会で鍛えるということであり、それぞれが役割を明確にするとともに、三者が連携し、一体となって子供たちをはぐくんでいくことが大切であると考えております。
 次に、不登校についてでありますが、その実態については、小・中・高等学校全体で2、000名を超えており、依然としてふえる傾向にあります。小・中学校とも高学年になるに従って増加しております。その原因や背景は、家庭に問題のあるケース、友人関係や教員との関係など学校のあり方にかかわっているケース、本人の意識に問題のあるケースなどさまざまであります。その対応については、実態に応じてプロジェクトチームを編成するなど、全職員の協力体制での取り組みを進めるとともに、個別的な対応を必要とする児童生徒に対しては、スクールカウンセラーや心の教室相談員等の活用を進めております。
 今後におきましても、ふだんからわかる授業を行い、児童生徒に自己実現を図り、達成感を感じることができるような機会を数多く持たせるとともに、悩みを抱える児童生徒に対しては、スクールカウンセラーの効果的な活用を図るほか、不登校の子供たちの学校復帰を支援する適応指導教室の整備を推進するなどの施策を充実させてまいりたいと考えております。
 次に、県立高等学校新整備計画についてでありますが、お尋ねの気仙地域の3校につきましては、総合的な専門高校として複数の専門学校を併設することにより、他の学校の学科の専門領域も学ぶことが可能になり、産業構造の変化に適切に対応できるとともに、それぞれの専門教育にも資するものに整備してまいることとしているものであります。当該地域の水産教育につきましては、栽培漁業に関する学習や小型船舶に係る資格取得など、地域の産業の実態に即し、地域の要請にこたえるため、水産コースとしての設置を予定しているところであります。こうしたことにつきましては、これまでも説明会等を通じて御理解をいただくよう努めてまいったものでありますが、地域からは海洋スポーツ、海洋資源や環境の学習の必要性等につきまして強い御意見もいただいており、これからの生徒にとって望ましい水産教育や教育環境の整備について、今後とも地域の皆様との相互理解が深められるよう引き続き努力してまいりたいと考えております。
〇7番(吉田昭彦君) 各質問事項に対しまして御丁寧な御答弁をいただきました。ありがとうございます。それぞれの分野におきまして、積極的な施策の推進を要望いたすものでございます。何点か再質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 まずもって、防災関係についてでございます。
 私は、津波災害に対する住民意識を一層強化するためには、いわゆるハザードマップ、津波浸水予測図の作成と、これの沿岸住民への周知徹底が極めて重要な対策であると考えるものであります。昭和35年のチリ地震津波後に、御案内のように、津波防潮堤が三陸沿岸部に整備をされておりますが、そのことを前提とした津波浸水予測図を作成して、事前に沿岸地域の住民に周知を図り、防災意識を高めるということが極めて重要ではないかとそのように考えるものでありますが、幸いと申しますか、先般、国土庁で全国の津波浸水予測図を作成したと聞いておりますが、県としてはこれを調整・補完の上、沿岸市町村に周知をする考えはないかどうかお伺いをいたします。
 次に、災害が起きた場合の自衛隊の出動要請に関連してでありますが、先ほどの御答弁で、災害等において自衛隊との連携強化については力強い御答弁をいただきましたが、阪神淡路大震災のときの対応、最近の東京都での対応など、いろいろ話題になったことは御案内のとおりであります。来年度、県の総合防災訓練が沿岸部の陸前高田市で実施されると伺っておりますが、津波災害を想定し、自衛隊との連携強化によりまして、より実践的な合同訓練が必要ではないかと考えますが、現時点での御当局の考えはいかがかお伺いいたします。
 次に、農業研究センター南部園芸研究室の整備と今後のあり方に関連してでございますが、南部園芸研究室は御案内のとおり、宮古以南、東磐井地区の14市町村を所管するものでありますが、先ほどの御答弁のように、現在、新築移転整備が行われております。それとあわせまして、市の方で営農指導センターを整備中でございます。この両施設が相乗効果を発揮するのではというふうに地域では期待をいたしておるわけでございますが、まさに研究、指導、研修、その拠点となり、沿岸南部の農業振興拠点となることが大いに期待をされておるところでございます。
 そこで農政部長から関係機関、団体との連携によって体制整備をというお答えをいただきましたが、重ねて農業改良普及センターの普及員との連携を図り、人的体制の強化を図られるよう強く要望しておきたいと思いますので、これは地域の方々の強い要望でもあることを申し上げて、強く要望させていただきたいと、そのように思います。
 次に、廃棄物の再利用に関連しまして、漁業系廃棄物の処理対策についてお伺いするわけでございますが、カキの生産漁家がカキ殻の処理に大変困っております。何か堆肥やセメント原料などの再資源化の可能性もあるというふうに伺っておるところでございますが、漁業関係団体とタイアップいたしまして再資源化の方途について検討するなど、県としての積極的な取り組みを行っていただきたいと考えるものでありますが、このことについてお考えを聞かせていただきたいと、そのように思います。
 最後に、医師確保対策に関連してでございますが、医師の確保対策につきましては、ただいま保健福祉部長お答えのとおり、大変御苦労なさっておることはよくわかりましたが、しかし、医師の充足がされていない地域にとっては大変な問題であることも改めて認識をしていただきたいと、そのように思う次第でございます。したがいまして、地域医療の確保という大局的見地と県土の均衡ある医療体制の充実という観点で、県と市町村が共同して本県医療を担う医師を計画的に養成する必要があるのではないかと考えるものでありますが、このことを強く要望させていただきたいと、そのように思います。
 それと関連いたしまして、本県医療の中核をなす県立病院の医師確保についても、医療局長大変な御苦労があるかと思いますが、地域医療の果たす役割と関連しまして、県医療局においては県立病院の医師確保についてどのように対処され、今後の対策についてどのように進められようとしておられるのか、医療局長のお考えを聞かせていただきたいと、そのように思います。よろしくお願いを申し上げます。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、国土庁の津波浸水予測図に関連してのお尋ねでございますが、この予想図は、全国の海岸を対象にいたしまして、気象庁の津波予報と連動して津波による浸水予想区域を図示することを目的に、平成11年度に作成されたものでございます。しかしながら、この予測図は、議員御指摘ございましたが、防波堤、防潮堤等の港湾構造物などが考慮されていないため、現状と合わない部分もあるものというふうに私どもも認識しているところでございます。このようなことから、県といたしましては、この津波浸水予測図のデータベースを参考にいたしまして、これはデータを国が持っておりますことから、これを利活用させていただくということが前提になるわけでございますけれども、こういったものを参考にいたしまして、新たに本県沿岸の海岸の現状に即したきめ細かな津波浸水予測図を作成する必要があると、こういうふうに考えているところでございます。これは、時間的にどのくらいかかるかとか予算的にどのくらいかと、こういった点につきましては、専門家サイドの話も聞いてみる必要があろうかと思いますが、いずれにしましても、そういった必要性がございますので、今後その作成について沿岸市町村の意向を踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、来年度、陸前高田市で開催を予定しておりますところの総合防災訓練についてでございます。
 その内容につきましては、現在、陸前高田市とともに関係機関と協議を行っているところでございまして、実施に当たりましては基本的な考え方として、現時点では大きく4点を持っているわけなんでございますが、第1点は、開催地での既往最大規模の災害を想定した、例えば御指摘ございましたけれども、津波災害を想定した訓練というものを考えていきたいと。
 それから第2点目は、自衛隊を初め、消防・警察、さらにはライフライン事業者等との連携による実践的な合同訓練にしてまいりたいというように考えております。
 第3点は、地理的な特徴からくる部分もございますので、ぜひ宮城県北地域も含めた広域的な応援訓練を実施したいというように考えてございます。
 さらに、第4点目としまして、可能な限り多くの住民の参加を想定した訓練としたいというふうに考えてございまして、これらの訓練の詳細につきましては今後詰めていくことになりますけれども、今後の検討に当たりましては、議員御提言の御趣旨も含めまして特色ある訓練になるよう、自衛隊を初め訓練参加機関と十分な検討をしてまいりたいというように考えております。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) 漁業系廃棄物処理の対応策についてでございますが、県におきましては、カキ殻など漁業系一般廃棄物の処理につきまして、平成10年度から3カ年計画で漁業系廃棄物再資源化システム開発促進事業を実施してきたところでございまして、堆肥での使用ですとか、また、セメント原料としての使用について一定の見込みがあるということが確認されつつあるところでございます。しかしながら、実際の活用に当たりましては、一時期に大量に発生するカキ殻を、塩分を除去して処理に回されるまで仮置きする場所を確保することや、収集・運搬経費の負担等につきまして、漁業者側の合意をいただかなければいけないというようなことの条件整備が不可欠となるものと考えております。このため、県といたしましては、必要な体制整備につきまして、現在、策定中のいわて資源循環型廃棄物処理構想に基づく総合的な廃棄物対策の一環として検討していくこととしておりまして、水産関係団体、市町村等との連携を密にいたしまして、積極的に対応してまいりたいと考えております。
   〔医療局長佐藤文昭君登壇〕
〇医療局長(佐藤文昭君) 県立病院の医師確保対策についてでございますが、これまで県が講じてきました自治医科大生の養成などに加えまして、医療局独自で奨学資金制度などのほか、ホームページによる全国公募など、あらゆるつてをたどりまして医師確保に努めてきたところであり、結果としてはここ10年間で常勤の医師数は165人、約4割ほど増加したものの、外来患者さんの増加もございまして医師の充足率は約9割にとどまっているということでございます。特にも、眼科、耳鼻咽喉科医師の増加数は10人にも満たず、小児科、産婦人科に至りましては、わずか数人の増ということでございまして、懸命の努力にもかかわりませず途中退職などもあり、これら診療科の医師確保は厳しいものとなっております。なお、県内出身の医学生は、毎年60人前後の入学と把握しておりますが、そのうち約8割につきましては、さまざまな理由から県外の医科大学に籍を置いているものと推測をしております。しかしながら、そのほとんどは卒業後も出身大学を身近に介しまして、医学医術を習得し、医師として熟達していくという状況にございまして、本県へのUターンに多くを望めない状況にございます。このため医療局としては、こうした課題に対応しました医師確保のあり方につきまして、現在検討を進めているところでございます。

前へ 次へ