平成12年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇40番(工藤篤君) 自由民主クラブの工藤篤でございます。
 今後の県政運営に当たっての提言あるいは地域課題について順次質問させていただきますので、前向きの答弁をお願いいたします。
 初めに、並行在来線対策の主要課題についてお伺いいたします。
 去る10月27日に、県と沿線市町村等で構成する岩手県並行在来線経営準備協議会において、並行在来線の経営計画概要が策定されました。私も拝見させていただきましたが、8月に公表された原案に比べ、全体として大幅な経費削減や工夫の跡が見られ、一定の評価ができるものと考えております。しかし一方で、莫大な初期投資や運賃水準の設定、さらには鉄道貨物問題など数多くの懸案があるものと存じております。
 そこで、まず、開業までに要する経費への対応についてお伺いいたします。
 計画概要ではこの初期投資を134億円としておりますが、これは、JR東日本から譲渡を受けるJR譲渡資産の取得に要する費用94億円と、それ以外の車両購入、施設整備、その他の開業準備経費40億円に大別されます。このうちJR譲渡資産については、原案では資産を取得する第三セクターへの無利子貸し付けとなっております。去る9月議会において同僚の小野寺研一議員がこの点についてただしており、増田知事にも前向きに答弁していただき、今般、答弁の趣旨に沿って県から第三セクターへの無償資金提供という方向が打ち出され、私自身県北に居を置く者としてこの措置に大変感謝申し上げます。しかしながら、県政の立場から見た場合、94億円という莫大な県費を投入するには、県民に対しきちんとその考え方なり理由を明らかにする必要があるものと考えます。この点に関し、知事の見解をお示し願います。
 また、JR譲渡資産以外の初期投資40億円についても、考え方なり理由を明らかにする必要があるものと存じます。40億円の初期投資のうち、県が20億円を措置する考え方、並びに20億円とされている第三セクターの資本金のうち、県が50%、10億円を出資する考え方につきましても同様に所見をお伺いいたします。
 次に、運賃水準についてお伺いいたします。
 原案の段階では、全国第三セクター鉄道平均並みの運賃水準、すなわち現在のJRの1.75倍でないと経営が成り立たないとされていたところですが、今回の概要では、JRの1.59倍の三陸鉄道並みでも経営が成り立つとの試算がなされておりますが、こうした試算が成り立つこととなった理由、要因をお示し願います。
 運賃水準につきましては、今後、三陸鉄道並みを上限とした具体的な運賃設定を検討していくとのことでありますが、その基本的な考え方をお示し願います。
 次に、鉄道貨物問題についてお伺いします。
 この問題については、本県は昨年来、当事者であるJR貨物並びに運輸省と交渉、協議を重ねておられると伺っております。また、去る11月7日には、増田知事がみずから自由民主党の交通部会など4部会合同会議に出席し、青森県の木村知事とともに、この問題について適正な対価の支払いを求める主張を行ったと伺っております。自由民主党の交通合同部会は、運輸省に対し、この問題について早期に抜本的な対策を講ずるよう指示しております。また、運輸大臣は、参議院の委員会において、JR貨物が線路使用料の増加に耐えられるよう、何らかの支援を行う旨明言したと伺っております。つきましては、大きく動き出した感のある鉄道貨物問題の交渉、協議の状況と今後の見通しについて知事の御所見をお示し願います。
 次に、岩手県総合計画についてであります。
 計画では、本県の人口は、平成11年10月1日現在で約141万5、600人が平成22年には137万人から140万人程度に減少すると予測しており、一方、地域計画では、盛岡や岩手中部の広域生活圏は現状では増加する傾向にあるとされております。県全体の人口が減っているのでありますから、盛岡や岩手中部以外の地域の人口は激減することとなるわけであります。また、県内総生産についても、第1次産業が目標年次では2%から23%も伸びると見込んでおりますが、第1次産業の従事者が38%も減少すると見込んでいるのに、こんなに総生産が伸びるにはよほどの振興策をとらなければ難しいのではないかと思われます。県は、こうした基礎データをもっとはっきり公表して、このまま推移すればこのぐらい減少するがこういう地域振興施策に取り組んでここまで減少をとめたいとか、もう少し県民に正しい、わかりやすい情報を示すべきであると思いますが、どうお考えですか。
 また、試算したと伺っておりますが、二戸地域の人口の推移や高齢人口はどのようになると見ておられるのかお尋ねいたします。
 次に、総合計画に掲げるそれぞれの目標を達成するため、施策を取り巻く現状やその成果を的確に分析した上で、施策を効果的に推進するため、今年度において政策評価をしているということであります。昨今の我が国を取り巻く経済環境や社会情勢の変化はIT革命に代表されるように目まぐるしいものがありまして、現状の変化を的確に読み取り、施策の成果を分析していくことは県政運営を効果的に進めていく上で重要であると考えます。そういった点で、計画を策定した翌年から政策評価をしていくという知事の前向きな姿勢を高く評価するものであります。今年度は試行で来年度から本格実施していくとの方針のようでありますが、ぜひ迅速かつ正確な評価を期待するものであります。
 そこでお伺いしますが、今回、政策評価をされて、どのような岩手像が見えてきたのでありましょうか。また、指標としての指定に無理があると思われるものや、指標と事業が一致していないのではないかと思われるものなども散見しているような気がいたしますが、それらも見直しの対象になったのでしょうか、お尋ねいたします。
 また、今年度の評価の結果に基づいて平成13年度の施策の重点化方針を取りまとめたとのことでありますが、総合計画が目指す五つの社会を実現していくために、来年度は七つの施策を集中的に取り組んでいくんだということであります。
 そこでお尋ねしますが、まず第1点は、環境首都実現に向けての取り組みについてであります。
 ここでは、資源循環型社会の構築に向け、廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用などを促進するとともに、省エネルギーの定着や環境への負荷の少ない新エネルギーの導入を進めるとなっております。私は、廃棄物の発生抑制や再利用は当然必要であり、積極的に取り組むべきであると考えております。しかし一方、二戸地域や一関地域などでは産業廃棄物の不法投棄が行われ、その他の地域でも産業廃棄物の処理をめぐっては苦慮していると伺っております。この問題が全く記述されていないことに驚いているのでありまして、県は、この程度の認識で今回の岩手、青森県境で起きた事件をとらえているのかと残念でなりません。二戸地方には相当量のごみが投棄されているのであります。これをこのまま放置しておいてよいのですか。発がん性の有害物であるテトラクロロエチレンなども含まれているようでありますから、今後の処理方針について御説明いただくとともに、いっときも早い解決に向けて全力で取り組んでいただきたいと思います。
 また、産業廃棄物の処理については、北東北知事サミットでも議論されたほどの重要な課題であると認識しております。各地で発生する産業廃棄物の不法投棄事件発生の原因は、国内の廃棄物最終処分場の処理能力が満杯になってきているからではないかと思うのでありますが、産業廃棄物についての具体的、広域的な対策をどのようにして進めていこうとお考えなのかお尋ねいたします。
 第2点は、産業と雇用の確保の部分についてであります。
 経済企画庁が発表した11月の月例経済報告によれば、景気は自律的な回復に向けた動きが継続し、緩やか改善が続いているとなっております。そして、雇用情勢も改善の動きが続いているとしている一方、消費や雇用に回復のおくれが目立っているとの懸念も強調されております。また、日本全体の経済成長率は若干上向いているようでありますが、地方においてはそのような感じが全くないわけでありまして、失業率についても過去最悪の水準で推移するなど、極めて厳しい状況が変わらないことは御案内のとおりであります。雇用不安を解消することが重要な課題であろうと思うのでありますが、この点についても触れられていないように見受けられます。例えば、新規卒業者の雇用や高齢者、障害者の雇用、さらにはリストラによって離職を余儀なくされた一家の柱としての中高年齢者の再就職をどうするのかというような雇用の確保なども重要であります。これらが記述されなかった理由や産業と雇用の確保の部分などの考え方についてお伺いいたします。
 一方、企業誘致は前年を上回る勢いで推移しているとのことでありますが、それよりも、以前誘致した企業が撤退する数や倒産する企業の方が多いのであります。残念ながら、二戸地区ではことし1月に時計部品製造の工場が閉鎖し、11月にはパソコン関連機器製造の工場が来年3月での工場閉鎖を発表したり、女性用下着メーカーの縫製工場が12月で閉鎖するなどの意向が伝えられております。企業誘致はするが後のフォローが薄いというような話は誘致企業の方々から時々伺いますが、撤退のシグナルというか、未然に防ぐ方法はなかったのかと悔やまれるのであります。今後は、県北地域の置かれている状況の厳しさを御賢察いただきまして、より充実した企業誘致施策を考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 二戸拠点工業団地についても、せっかく整備していただきましたが、関係者の努力にもかかわらず、いまだに空き地が多く残っている状況にあります。二戸拠点工業団地への新たな企業の誘致と空き工場への進出などお願いすることは多いのでありますが、今後の見通しはいかがでしょうか、お伺いいたします。
 また、来年度からは、企業誘致のための課を新設するというか復活させると言った方が適切かもしれませんが、設けるとのことであり、企業誘致が一層進むことを期待しております。また、関連して東京事務所の企業誘致部門を県庁に集約されるそうですが、それにより首都圏における企業誘致が後退するようなことがあってはなりません。せっかく銀河プラザに商工部門を集約して、これからという時期ではないかと思っております。これからはホームページの充実やiモードでPRしていくことなども当然必要と思いますが、やはり知事のトップセールスにまさるものはないのでありまして、足を運んだ地元の熱意が進出先を決めた理由であるという話はよく聞きます。それは特定の企業に対するものばかりではなく、あの県はよくやってくれるという評判になってくるのではないかと思うのであります。何年か前に、東京で企業訪問に数百社歩いたという話を聞いたことがありましたが、企業誘致はそういう地道な積み重ねが実を結んでいるのではありませんか。今後の企業誘致の基本的な進め方についてもあわせてお伺いいたします。
 次に、観光についてでありますが、総合計画には、産業間の連携として高付加価値型の複合産業へということで、観光産業が県内経済に及ぼす波及効果が示されております。本県を訪れる観光客がもたらす消費が、宿泊施設や運送業、飲食業などのいわゆる観光産業だけではなく、地域の食材の提供などを通じて農林水産業や製造業にまで幅広く波及効果を及ぼすというものでありますが、1次産業を含めた地域産業の総合的かつ持続的な発展を図るためには、本県の主要産業である農林水産業はもとより、長い歴史に培われた伝統工芸、さらには地域に伝わる食文化、伝統芸能などを丸ごと観光に生かしていくという視点が重要と思われます。例えば、県北地域においては、そばかっけ、豆しとぎ、みそもちなどの古くからの食文化を活用した観光の振興に取り組んでおりますし、農業や酪農体験、陶芸、木工なども観光資源となります。県内各地に根づいている特色ある地域産業や祭り、文化などを積極的に活用した観光振興に取り組むことが観光の地域への波及効果の拡大、ひいては真の副業産業化へとつながるものと考えますが、県の取り組みについてお伺いいたします。
 また、平成14年度には東北新幹線の盛岡以北が開業する予定でありますが、二戸市は、東北新幹線の盛岡以北が開通しますと、本県における北東北3県のまさに観光、交流の結節点となる地域となりまして、県北地域振興の核となることが期待されております。さきの議会においても、私の質問に対し、増田知事から十和田・八幡平地区を視野に入れた広域的な観光の推進を図っていくとの力強い御答弁をいただきました。感謝申し上げますとともに、今後の施策の推進に御期待を申し上げます。
 地元といたしましても、この機会を千載一遇のチャンスととらえておりまして、二戸地方振興局の御指導を得ながら観光振興に努力しているところであります。この一環として、東北新幹線二戸駅に北東北地域の連携・交流と観光などの情報発信機能を備えた、仮称ではありますが、二戸広域センターを整備しようとしております。駅周辺の基盤整備とあわせて県北地域の広域的な交流活動の総合的な拠点施設を整備しようとするものでありますが、県では、盛岡駅にはたしか新幹線開業に合わせて北東北3県の観光センター機能を整備したと伺っております。新幹線が県内を縦貫する今、新幹線二戸駅にこそ北東北3県の新しい観光情報発信機能をも備えた広域的拠点施設を設けるべきであると思いますが、この建設事業について県はどのように支援していく考えなのかお伺いいたします。
 また、新幹線二戸駅開業を見据えて、14年では遅過ぎますので、そろそろ県北地域を売り込むための大型の観光キャンペーンを企画すべき時期と思いますが、いかがでしょうか。
 また、新幹線開業に合わせて新幹線関連道路の整備が前倒しで進められていることに対し、心から感謝申し上げます。さきにも申し上げましたが、新幹線二戸駅には、本県県北沿岸地域、青森県南部や秋田県東部など、広域での利用が見込まれております。開業まであと2年しかありませんが、アクセス道路である主要地方道戸呂町軽米線宮沢工区や二戸九戸線折爪工区など、進捗はどうなっているのでしょうか。沿岸地域の産業経済の発展と観光振興のためさらなる整備促進をお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。
 次に、中山間地域の活性化対策についてでありますが、県土の8割を占める中山間地域の振興は、県土保全の意味からも大変重要なことであると認識しております。県においても、個性ある中山間地域農業を展開するため、多彩な立地条件を生かした生産振興やグリーン・ツーリズムの推進、生活環境基盤などの整備など、農業や農村の有する多面的な機能を維持、増進するためにこれまで努力をしていただいておりますが、その一つに中山間地域等直接支払制度があります。これは、農業生産を通じて果たしている中山間地域の多面的機能を確保する観点から、新たな基本法に基づく対象として創設されたものでありまして、県の方でも最重点課題の一つとして位置づけ、市町村と連携をとりながら取り組んでいると伺っております。
 県内には当該制度の対象農用地は約2万ヘクタールが見込まれ、そのための県予算が19億円措置されているとのことであります。交付金でありますから交付状況の点検や効果の評価などを行うとともに、制度運営の透明性を確保することが重要であると考えますが、平成12年度末の交付に向け、これまでの取り組み状況と制度の効果についてどのようにとらえておられるのかについてお伺いいたします。
 また、県北中山間地域振興の切り札として、地域園芸振興緊急支援事業により、二戸地域の園芸振興を目的として二戸市ほかに園芸推進センターを設置し、野菜等の重点品目の作付拡大や園芸農家の掘り起こしに大きな成果を上げていると伺っており、地元からも大変喜ばれておりまして、県当局の御配慮に感謝を申し上げます。
 一方、二戸地域では、畑地かんがいを目的とした国営事業による馬淵川沿岸地区農業水利事業が進行中であります。また、平成13年3月には北部の三つの農協の合併が予定されておりまして、営農指導体制の再編が予想されるところであります。
 このようなことから、今後ますます園芸振興のための支援体制の充実を図る必要があると考えますので、地域園芸振興緊急支援事業の継続実施について特段の御配慮をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、いわゆる第三セクターの運営についてお尋ねします。
 県では、昨年策定した岩手県行政システム改革大綱に基づき、県出資法人の運営評価を行い、統廃合や出資の引き揚げを推進していると伺っております。県出資法人は、それぞれが独立して運営されている余り、とかく悪い風評が多いわけでありますが、その運営評価を行っていると伺って一言申し上げますと、管理運営をある程度統一する必要があるのではないかということがあります。私が聞いている範囲でも、県で言う課長補佐クラスの課長にさえ管理職手当を払っているかと思えば、事務局長にさえ管理職手当を払っていない団体もあるようで、また、人事交流がないため、生え抜きの常務あたりが親戚の人間を職員に縁故採用しているとのうわさも聞いております。このような実態はきちんと掌握しているのですか、お伺いいたします。
 県では派遣人事を縮小していく方針のようでありますが、一概に派遣人事が悪いということばかりではなく、こういう部分に公平な立場で見ることができるのではありませんか。給与、人事を統一し、明朗な運営を期待するものでありますが、県のお考えをお伺いします。
 また、県北地域の県の入所施設に子供さんを預けている親御さんから、施設を運営している県の社会福祉事業団が民間に30億円とか50億円とかで払い下げになるそうだ、県だから安心して預けていたのに、子供の行く末が心配で死に切れないというような相談がありました。事業団はみんなのために必要だから県が設立しているのであり、統廃合の対象にはなっていないし、民間に払い下げられるようなことはないからと、私が承知している範囲で話しておきました。事実ではないと思いますが、こういう風評が出ること自体が問題でありますので、伺います。県では、このようなさきに示した県出資等法人の整理合理化の基本方針以外にも、ひそかに統廃合を進めているような団体があるのでしょうか。
 また、以前、障害者の人権問題に関し質問し、県当局の御指導で大分よくなったかと思っておりましたが、いまだに北上市にある知的障害者施設のような事件が報道され、残念でなりません。それらに県はその後どのように対応されたかお伺いします。
 障害者の財産を守る権利擁護センターが県社会福祉協議会に置かれているようでありますが、施設入所者の人権擁護がきちんとなされているかを調査、改善するための新たな制度を創設する必要があるのではありませんか。幸い県には事業団があるのですから、このような機能を持たせるなど機能強化を図ってはどうかと思いますが、いかがですか。
 最後に、地域課題についてであります。
 まず、市道矢沢線については、沿線に誘致企業や住宅団地があり、また、福祉の里の整備が進められているほか、来年度からは岩手県立福岡病院の移転新築工事が予定されている路線であります。しかしながら、幅員が狭隘のため、交通量の増加に伴い交通渋滞が多く発生している状態でありますので、早期の改良が待たれております。また、新幹線関連道路にアクセスする一般県道野々上斗内線野境地区や上斗米金田一線金田一川地区と川口地区、金田一温泉線の湯田地区、さらには二戸軽米線の陣場地区などが狭隘のため早期の改良整備が必要となっておりますが、見通しはいかがでしょうか、お伺いいたします。
 また、二戸警察署についても、古いばかりでなく、駐車場が狭く、利用者が不便している状況にありますので移転改築が待たれるところでありますが、いかがでしょうか。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 工藤篤議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、並行在来線の開業までに要する経費への対応についてお尋ねございましたが、平成3年に盛岡以北の東北新幹線の建設着工に当たりまして、並行在来線の経営分離に同意する際に、国に対しまして、並行在来線を経営する会社を設立する場合には、県が中心となって対処する旨を表明しているところでございます。
 平成14年末には新幹線盛岡以北の開業が確実視され、並行在来線の経営が分離されることに伴いまして、明年5月には会社を設立すべく、現在、諸準備を急いでいるところでございます。これまでに、並行在来線の経営のあり方につきましては種々検討を重ねてまいりましたが、私は、厳しい経営が予想される第三セクター鉄道会社が、将来にわたりまして独立採算による健全経営を維持していくためには、鉄道事業の開始に当たって必要となる多額の初期投資経費を、極力会社の負担とならないように措置することが極めて重要であると認識しているところでございます。
 本県における第三セクター鉄道会社の先例でございます三陸鉄道の開業に当たりましては、その当時は鉄道事業用資産の無償貸与や車両購入等の、いわゆる開業準備に係る転換交付金などの国の支援措置がございましたが、今回の並行在来線につきましては、こうした国の支援措置が用意されておりません。
 一方で、並行在来線の運営は単に県北地域だけの問題ではなくて、東北新幹線の全線開通という、本県が長年にわたって要望してまいりました県政課題と表裏一体をなすものでありますので、国からの支援措置がないこうした初期投資経費については、県が最大限の対応を行うことにより、会社としての初期投資への負担がほとんどない状態で営業を開始できるようにするため、今回、鉄道事業資産の取得費及び開業準備経費の一部を県の交付金により措置することが必要と考えております。ということは、とりもなおさず県が負担するということでございますので、県民全体で負担を分かち合うという考え方でございます。
 また、会社の資本金につきましては、三陸鉄道への出資割合を考慮いたしまして、県の出資比率をそれとほぼ同じ50%とすることが適当と考えているところでございますが、会社の設立に当たりましては、県民鉄道として県民が一丸となって支援していく見地から、沿線市町村のみならず、県南の市町村、そしてまた民間団体などにも広く出資をお願いすることといたしております。
 次に、鉄道貨物問題についてでございますが、今月の7日に、青森県知事ともども自由民主党の交通関係合同会議に出席いたしまして、地域旅客輸送と全国的な幹線貨物輸送がともに共存できるように抜本的な対策が必要である、こうした意見を申し述べてきたところでございます。
 また、今月の15日には、県と沿線市町村などが合同で、国や関係しております国会議員の先生方に、貨物問題に関しての本県の主張を強く訴えてまいりまして、御理解をいただくようにしてきたところでございます。今後、政府・与党間でこの問題の取り扱い方が示されるものと期待しているところでございます。
 地域の旅客輸送を将来にわたって維持するためには、長期的に会社が自立できるような経営環境を整えることが必要でございまして、そのためには、適切な鉄道貨物使用量が安定的に確保される仕組みを築くことが重要であると認識しておりますので、これを基本的な考え方として、今後とも青森県と協調しながら、国の対応を見きわめて判断をしていきたいと考えております。
 次に、環境首都実現に向けての取り組みについてお尋ねがございましたが、私は、本県のかけがえのない環境を守ることは、岩手県民のためだけではなくて、全国規模、さらには地球規模の視点で見ても意義深いことでございまして、この意味において、環境首都への取り組みを本県の重点施策の中でも第一に掲げているものでございます。
 環境首都を実現させる取り組みの一つとして、現在、資源循環型廃棄物処理構想の策定を進めているところでございますが、この構想では廃棄物の原則自県(圏)内処理──この自県(圏)というのは、岩手県という意味と、さらには、ものによりましては北東北圏、あるいは東北圏という、圏域という意味もございますが──また、一般廃棄物と産業廃棄物の共同処理など、従来にはない新たな廃棄物処理システムの構築を目指した理念を取り入れているところでございます。
 具体的には、リサイクルやごみ発電などの機能を持った新しいタイプの廃棄物処理施設を軸としながら、例えば、県北地域では農林水産業型、また県南地域では工業型のエコタウン構想など、地区ごとの望ましい資源循環の方向性をこの中で提案してございます。このことは同時に、新たな環境保全型産業の創出・育成の促進、そして地域経済の発展にもつながるものでございまして、ごみが資源としていろいろな形に姿を変えながら、隣接県も視野に入れた地域内で、できるだけ自己完結的に循環利用されることを目指すものでございます。
 また、構想策定後は、県民の皆様はもとより、市町村、関係団体、企業などの積極的な参画を得ながら、各地区ごとのエコタウン構想の実現に向け、実施プランや施設計画の策定を誘導するなど、総合的な廃棄物対策として推進してまいりたいと考えております。
 なお、今般二戸地区で発覚したような事件でございますけれども、背景としては、全国的な処分場不足が考えられるわけでございますが、本県を首都圏のごみ捨て場にしようとするものでございまして、このような行為を断じて許すことはできないと考えております。このことから、隣接県と連携いたしました広域的な共同監視体制の整備や、さらには産業廃棄物業者への保証金なども含めた広域的な適正処理推進制度の検討などにも取り組んでまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) まず、並行在来線の運賃水準についてでありますが、三陸鉄道並みの水準で経営収支が成り立つ見通しとなりました理由は、当初、JR東日本の譲渡資産購入経費94億円について県からの無利子貸付資金を想定しておりましたけれども、現在の計画では、県からの無償資金を充てることにより、減価償却費を大幅に圧縮することができることなどによるものであります。
 また、運賃設定に当たっての考え方ですけれども、並行在来線を安定的に維持していくためには、ある程度の運賃値上げはやむを得ないものと考えております。今回、沿線の住民の方々にお示ししました三陸鉄道並みの運賃水準は、あくまでも上限にしたいと考えておりまして、さらなるコスト削減と運賃以外の収入の確保に努めるとともに、特にも定期運賃については、利用者の方々の急激な負担増を緩和するための対策が必要であると考えております。
 次に、総合計画の人口の見通しについてでありますが、県といたしましては、今まで普及版の作成や県のホームページへの掲載などを通じ公表に努めてまいりましたが、今後におきましては、人口を含め計画に掲げた数値と実績値との乖離に係る説明など、よりわかりやすい情報の提供に努めてまいりたいと考えております。
 なお、地域ごとの人口見通しにつきましては、計画策定の段階で人口に関する専門委員会の検討の際に、人口が少ない町村になるほど出生数等の見通しにぶれを生ずる可能性が高いといった考え方のもとに、総合計画には掲載いたしませんでしたけれども、そのときの試算によれば、二戸地域の人口は今後、平成22年度に向けて2割程度減少していく一方、平成22年度には65歳以上の人口割合は3割程度になると推定したところであります。
 次に、仮称でありますが、二戸広域センターの整備に対する支援についてでありますけれども、この広域センターは、近隣4町村が建設費の一部を負担し、また、青森県南部や秋田県東部を含む22市町村が連携、協力して広域的な観光、物産などの情報発信を行う予定であると伺っており、二戸市が中心となって進めているこれらの取り組みを高く評価しているものであります。
 県といたしましては、このセンターに広域的な交流拠点としての役割を期待しているところであり、施設機能の広域性に着目しながら、必要な支援について検討してまいりたいと考えております。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、政策評価についてでありますが、今回の政策評価は、総合計画の初年度となる平成11年度の実績に基づき評価を行ったものであり、まずは、各施策の取り組みの実態を把握し、評価制度の確立に向けた土台づくりに全庁を挙げて取り組んだところであり、平成13年度の本格実施につながる作業になったものと考えております。
 今回の政策評価を通じて、例えば、施策の実施主体と政策評価とのかかわりで申し上げますれば、廃棄物の抑制やリサイクルなど資源循環型社会の構築や、下水道等の生活基盤整備など行政が先導的に取り組む必要がある分野がある一方で、子育て支援、教育、産業間の連携など、県民、地域ぐるみ、さらには産業界による取り組みが一層求められる分野等、今後の取り組みに当たっては、それぞれの施策に応じて多様な視点から、よりきめ細かな対応が必要になることが明らかになったところであります。
 次に、指標の見直しについてでありますが、総合計画策定時において可能な限り施策内容を分析できる指標の設定に努めたところであり、結果として207指標を指定したわけでございますけれども、県民の視点から、より正確に施策の成果をあらわすためには、計画策定時には設定することのできなかった新たな指標の開発も今後検討する必要があると考えております。
 これらの新たな指標の開発に当たっては、国や県の既存の統計資料とは別の視点からのデータを収集する必要があることや、得られたデータの動きについて、将来にわたり継続的に分析していく必要があることから、それらの妥当性を検証しながら、本県の実情に合った指標を開発してまいりたいと考えております。
 なお、今議会に提案しております部設置条例の改正の中で、政策の評価を担当する組織の設置を予定しておりまして、新年度の本格実施に向けて、よりよい政策評価システムの確立に向けて取り組んでまいる考えであります。
 次に、産業と雇用の確保に関する考え方についてでありますが、今年度試行した政策評価結果を踏まえ、今後、地域経済の振興を図っていく上で、既存の産業分野の枠を越えた新たな視点での産業間連携や雇用の確保が重要であるとの観点から、平成13年度の施策重点化項目の一つとして、産業連携と新産業の創出、雇用の確保を設定したところであります。この重点化項目におきましては、雇用の確保を図り、安定的で安心できる県民生活を実現するため、県内企業の育成・強化や県外からの企業導入を進めることとしており、今後、関係部局間で十分な連携を図りながら、県内雇用の確保に向けて取り組んでまいる考えでございます。
 次に、県出資等法人の管理運営に関する指導についてでありますが、県出資等法人の自主性を尊重しながらも、社会経済情勢の変化に対応してその目的や役割に即した機能が十分に発揮できるようにするため、昨年度、県出資等法人指導監督事務要綱を全面改正し、それぞれの所管部局において事業内容の妥当性、財務の健全性及び組織体制のあり方など、44項目に及ぶ運営評価を毎年度行うこととし、昨年度の運営評価結果に基づき、本年5月には、県出資等法人の整理合理化の基本方針を取りまとめたところであります。
 今後におきましても、引き続き毎年度の運営評価を通じて、法人の組織及び人事管理、事業管理、財務管理に関する事項などについて十分に把握し、県の出資目的等に照らした県行政とのかかわりの中で厳正かつ効率的な業務の執行が図られるよう、所管部局とともに適切に指導してまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) 二戸地域に不法投棄された廃棄物の処理方針についてでありますが、掘り出した廃油入りドラム缶218本の処分及びその他の廃棄物の撤去に関しましては、現在、関係機関とも調整を図りながら、県として具体の処分先を紹介しますとともに、廃棄物が適正に処分されるよう必要な成分の分析を業者に行わせるなど、最終的な詰めの作業に入っている段階であります。
 周辺環境への影響につきましては、これまでの調査では生活環境への支障は確認されませんが、今後とも定期的に調査を継続し、その結果につきましては、積極的に二戸市民初め県民の皆様に情報を提供してまいりたいと考えております。
 また、先ごろの土壌ガス調査で新たに確認された高濃度汚染区域につきましては、専門家の意見も聞きながら、業者に指示して、現在、ボーリング調査や掘削調査を進めているところであります。
 県といたしましては、掘削調査や廃棄物の撤去ができるだけ早期に行われるよう、強く指導してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、企業誘致についてでありますが、企業誘致が地域に定着し、発展していくためには、操業後における地域とのつながりが大切であると考えております。このため、知事と誘致企業との懇談会、これまで130社ほど参加していただいております。この知事との懇談会のほかにも、市町村や地方振興局との連携による企業訪問などを通じまして、企業から相談や要望をお聞きしております。
 企業の要望としては、研究開発資金の相談や、地場取引企業の紹介、地元大学研究者の紹介など多々ありますが、これら要望等にできる限り対応するなど、立地後のフォローアップにも努力しているところであります。
 県北地域についても、最近、県外企業からの工場用地や空き工場に関する照会が増加傾向にありますことから、東北新幹線八戸開業や関連道路の整備などを視野に入れた立地環境について情報発信に努めますとともに、誘致の対象につきましても、製造業のほか、情報、環境関連など、成長分野を重点として幅広い誘致活動を展開してまいります。
 また、今後の企業誘致の進め方につきましては、情報化の進展により、企業がインターネットなど多様な情報媒体を通じて、みずから情報を収集し立地検討しているという例が多く見られますことから、県においても、ホームページによる情報発信やiモード・電子メールなどの情報ツールを有効に活用しますとともに、情報化の中で企業誘致活動を戦略的に展開するため、指示・調整機能を本庁に一元化することとしたところであります。
 さらには、本県への進出に意欲を示す企業に対しましては、迅速な対応はもちろんのこと、知事のトップセールスについても積極的に行い、優良企業の導入に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、地域産業などを活用した観光振興についてでありますが、近年、家族や小グループ型の旅行需要が高まり、本物との出会いや体験が求められるようになっております。このような中で、穀彩王国など岩手4王国では、そば打ちや炭焼き体験などを取り入れた体験型旅行商品を提案しており、また、修学旅行誘致に当たりましては、郷土芸能体験や民芸品創作など、歴史・文化等を体験するメニューをそろえまして、首都圏や札幌市などでの誘致活動を進めているところであります。
 さらに、農山漁村の豊かな自然、人情と触れ合う滞在型観光推進ということで、グリーン・ツーリズムにも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、東北新幹線二戸開業を見据えた大型観光キャンペーンにつきましては、その開業が近づいてきていますことから、本年度は、首都圏において二戸、久慈地方振興局が、八戸地域と連携して雑穀料理や伝統食、郷土芸能など、県北・沿岸地域の観光物産情報を発信する南部展などを実施することとしております。
 さらに、開業に向けましてプレキャンペーンとして、岩手の観光と物産を丸ごと紹介する銀河系いわてフェスティバルなどにあわせまして、ラジオ・テレビなど各種広報媒体を活用した首都圏での観光宣伝を効果的に展開したいと考えております。開業直後におきましても、JR6社と連携して北東北大型観光キャンペーンを計画しておりまして、その具体化に向けて鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) まず、新幹線アクセス道路の整備の進捗状況についてでありますが、宮沢工区と折爪工区につきましては、新幹線関連道路整備事業の久慈ルートに位置づけ重点的整備に取り組んでいるところでありまして、宮沢トンネルが本年4月に、折爪トンネルにつきましては、地質状況から難工事を余儀なくされておりましたが、本年10月に貫通を見たところであります。
 これ以外の新幹線関連道路のそれぞれの整備区間におきましても工事が順調に進捗しておりまして、平成14年末が確実視されております新幹線盛岡以北の開業にあわせて供用できるよう、引き続き整備に努めてまいる考えであります。
 次に、市道矢沢線の整備の見通しについてでありますが、この道路は全体延長約2キロメートルのうち、平成11年に二戸市が都市計画道路馬場矢沢線として延長0.7キロメートルの整備に着手したところであります。また、残りの1.3キロメートルにつきましても、同じく平成11年度から市道矢沢線の道路改良事業として着手されております。これらにつきましては、現在鋭意用地取得を行っている状況でありまして、県立福岡病院や福祉の里の完成にあわせた事業工程で進められております。
 また、新幹線関連道路にアクセスする県道の整備についてでありますが、まず、野々上斗米線の野境地区につきましては、一部1車線区間が残っておりますことから、交通量の推移や沿道利用状況などを勘案しながら調査を行うことについて検討してまいりたいと考えております。
 次に、上斗米金田一線の金田一川地区や金田一温泉の湯田地区、二戸軽米線の陣場地区についてでありますが、平成10年度からそれぞれ県単道路改良事業や雪国生活支援道路整備事業により、用地買収や工事に着手しているところでありまして、引き続き地域の御理解と御協力をいただきながら、整備の推進に努めてまいる考えであります。
 また、上斗米金田一線の川口地区につきましては、今年度から整備に向けた調査に着手したところでありまして、今後、調査の熟度を高め、地域の意見を聞きながらルート決定に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) まず、中山間地域等直接支払制度への取り組み状況についてでありますが、本県では、法指定地域のほか、第三者機関である運営協議会において審査検討をいただいた特認基準該当地域を含めて1万9、910ヘクタールがこの制度の対象となっており、各地方振興局に指導班を設置し、制度の円滑な導入に取り組んでまいりましたが、10月末までに締結された集落協定等は、55市町村において1、326件、3、452団地、対象農用地面積で1万6、915ヘクタールとなっております。
 また、この制度の効果についてでありますが、それぞれの地域で、集落協定等に基づいて農作業の受委託や農業機械の共同利用、水路の保全等の農業生産活動が行われており、こうした取り組みを通じて耕作放棄地の発生を防止し、県土の保全や水源の涵養等多面的機能の確保が図られるものと存じております。
 次に、地域園芸振興緊急支援事業についてでありますが、二戸地域は、平たん地から高標高地に至るまで農地が開け、本県有数の園芸産地となり得る条件を有していることから、園芸振興を加速的に進めるために、園芸振興支援センターを設置し、事業の推進に取り組んでいるところであります。この結果、各種実証圃を活用した野菜の作付拡大に向けた取り組みや、JAの営農指導に対する協力体制がこれまで以上に強化され、キュウリやホウレンソウ、スプレー菊の生産が拡大するなど、新たな産地化の動きが出てきているところであります。
 今後におきましても、こうした地域の動きを十分に踏まえながら、産地づくりに向けてできるだけの支援をしてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、県社会福祉事業団の民間への払い下げ等についてでありますが、同事業団は、国が示した社会福祉事業団等の設立及び運営の基準に基づき、県立社会福祉施設を管理委託するために設立された社会福祉法人であり、この法人の設立目的に沿って運営を継続していく必要があると考えております。
 なお、事業団の運営につきましては、国において、社会福祉基礎構造改革の一環として事業団の運営の弾力化等について検討中であり、このような動向を見きわめながら対応してまいりたいと考えております。
 また、出資等法人の整理合理化についてでありますが、議員御指摘のとおり、本年5月に庁議決定した県出資等法人の整理合理化の基本方針には、保健福祉部所管の法人は今回の見直しの対象には含まれておらず、この方針に沿って対処しているところであります。
 次に、知的障害者施設において発生した事件への対応についてでありますが、障害の特性から特にも人権への十分な配慮が求められる知的障害者施設において入所者の人権を侵害する事件が発生したことはまことに遺憾であります。県といたしましては、本年7月、当該法人及び施設に対し特別監査を実施し、当該入所者への法人としての責任の明確化や人権に配慮した入所者処遇の確保などについて是正改善の指示を行い、その後の監査において、これに沿った改善の取り組みがなされていることを確認しております。
 また、本年10月には県内の障害関係施設に対し通知を発出し、このような事件が二度と発生しないよう、施設の適正な管理運営と適切な処遇の確保について強く求めたところであります。さらに、知的障害関係施設の団体である岩手県知的障害者福祉協会に対し再発防止に向けての組織的な対応を強く求めたところであり、同協会及び所属する各施設に倫理委員会を設けるなど、人権擁護のための取り組みを進めていると承知しております。
 次に、県社会福祉事業団に人権擁護の機能を持たせることについてでありますが、同事業団においては、本年6月からすべての入所施設においてサービス評価・改善委員会を設置し、事業者として施設利用者の人権擁護と施設サービスの質の向上等に取り組んでおり、他の社会福祉法人の模範となるような活動が行われることを期待しているところであります。
 また、御提言のありました施設入所者の人権擁護につきましては、社会福祉法第83条の規定により、事業者から中立である都道府県の社会福祉協議会に運営適正化委員会を設置して対応することとされており、本県においても、県社会福祉協議会に岩手県福祉サービス運営適正化委員会が設置され、来月11日から運用が開始される予定となっております。
   〔警察本部長出原健三君登壇〕
〇警察本部長(出原健三君) 二戸警察署の移転改築についてお答えいたします。
 二戸警察署は昭和46年3月に竣工した建物であり、庁舎が老朽化し、駐車場も狭いため、来庁の方々にも御不便をおかけしていることは承知しておりますので、移転建てかえをする方向で検討しているところであります。
 なお、同署の庁舎移転計画につきましては、現在、移転候補地の選定を含め検討段階でありまして、具体的に何年度着工、何年度完成と申し上げる段階ではございませんが、できるだけ早く候補地を決定したいと考えておりますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。
〇40番(工藤篤君) ただいまは、知事初め各部長から大変積極的な答弁をいただきまして大変ありがとうございました。いずれ、質問申し上げました件は県政の課題でも重要な課題でありますので、御答弁のように、事業の推進には積極的に取り組んでいただきますように改めてお願い申し上げるところであります。
 さて、最後に、答弁漏れがあったように思いましたので、再度お聞きしたいと思います。
 県出資法人に対する私の質問では、実態をきちんと掌握しているか、こういうことをお尋ね申し上げたわけでありますが、これは調査しなかったのか、そういうことで答えが出なかったのか、あるいは調査してもなかったのか、そのために答弁ができなかったのかどうか、このことについて改めて答弁をお願いしたいと思います。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 県出資法人に関するお尋ねでございましたが、先ほどの答弁の中でも私の方から運営評価というお話をさせていただきましたけれども、昨年度、出資等法人指導監督事務要綱を全面改正して、昨年度からこの運営評価に基づきまして、全面的に所管部局長の責務において所管の法人等につきまして運営評価を行い、その結果につきまして、総務部長の方に報告するような手続になっております。
 先ほどお尋ねのあった件につきましては、直接まだ私の方は報告を受けておりません。本年度の運営評価につきましては、現在、鋭意所管部局において行っているところでございまして、いずれその運営評価の報告につきましては総務部においてヒアリングをすることになっておりますので、そういった事例があるのかないのかも含めまして私の方でもヒアリングを行い、適切に今後対応してまいりたいと考えております。
〇40番(工藤篤君) 何か答弁がかみ合わないように思うわけでありますが、私は、実態を掌握しているか、こういうことを聞いているわけであります。調査しているのかしていないのかということもお尋ねしているわけでありますが、今後、調査するのかどうか、そこも含めて答弁をもう一度お願いしたいと思います。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 先ほど申しましたように、運営評価というものの中で、人事面も含めまして調査項目がございますので、御指摘がありましたような点も含めましてヒアリングを実施したいと考えております。
 本年度の運営評価につきましては、現在、鋭意関係部局でやっているところでございますけれども、早ければ12月にも各部局でさまざまな法人についての評価調書が上がってまいりますので、御指摘のような点も含めましてヒアリングを実施したいと考えております。
〇議長(山内隆文君) 次に、阿部敏雄君。
   〔20番阿部敏雄君登壇〕(拍手)

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