平成12年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇33番(佐々木一榮君) 自由党の佐々木一榮でございます。
 本定例会一般質問初日に登壇の機会をいただき、先輩・同僚議員に感謝申し上げます。
 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきますが、本日3人目の登壇でもあり、再質問がないよう、誠意ある御答弁をお願い申し上げます。
 まず初めに、夢県土いわての具現化に対する知事の政策決定過程の取り組みと今後の政策展開に対する課題についてお尋ねいたします。
 昨年8月、新しい総合計画を策定し、現在、その推進に当たっておりますが、知事の2期目の環境・ひと・情報のキーワードは、残念ながら初年度から大きくつまずいたと多くの県民が感じているのではないでしょうか。県北・県南地区での産業廃棄物の問題、相次ぐ職員の不祥事の問題など、どうしてと思われることが余りにも多過ぎる気がいたします。
 増田知事は、1期目には、全国との格差是正や県土の均衡ある発展、市町村との連携強化や地方振興局の強化、情報公開などを公約し、ドリームランドいわてをキャッチフレーズに県政の運営に当たってまいりました。2期目には、先ほど申し上げた三つのキーワードを中心にその施策を展開されておりますが、来年4月には2期目の任期も折り返しに入るわけであり、今日までの現状をどう認識され、あわせて実質的に総合計画2年目に当たる平成13年度予算編成に向け、具体的にどのような特色を盛り込んでいこうとお考えか、お尋ねいたします。
 中村県政においては下水や道路など基盤整備、工藤県政では教育立県を掲げ、県立大学の設置など、それぞれカラーが具体的に打ち出されてまいりました。21世紀を目前に控え、国、地方を問わず財政状況が非常に厳しいことは、国民だれもが認めているところでありますが、かじ取りの難しい現在、知事は政策を進める上で一番何を重要視し、どのような具体的プロジェクトを持って21世紀の岩手県政を牽引していこうとお考えか、お尋ねいたします。
 長野県においては、田中知事のしなやかなという言葉が非常に流行しているようでありますが、あわせて本県の自立、参画、創造による夢県土いわてとは具体的にどのような県土なのでしょうか。
 知事は、これまでも積極的に情報公開に取り組んでまいりましたが、その一つに、県財政の状況を明らかにするバランスシートなど財務諸表の作成があろうかと思いますが、今後どのようなスケジュールで展開されていかれるお考えでしょうか。また、一般会計以外の特別会計、さらには公益法人や第三セクターまで含めた連結財務諸表の作成について、どのように検討されていくお考えでしょうか。
 ことしの4月からのパブリックコメント制度は、11月20日までに意見募集が終了した16件中、全く意見のなかったものも5件あると伺っておりますが、問題点はどこにあると認識され、変えていくとすればどのように変えていかれるのか、お尋ねいたします。
 国においては、国家公務員倫理法がことしの4月から施行されていますが、県においては昨年2月、行政システム改革大綱を策定され、県として独自の条例なり規則を検討されていると伺っておりますが、現在の検討状況と今後のスケジュールについてお尋ねいたします。
 次に、本県の基盤産業であります農業問題についてお尋ねいたします。
 御案内のとおり、ことしの米の作況指数は平年を上回り、ここ数年、豊作続きで米余りの状況下であります。米の作況指数が75まで落ち込んだのは1993年でありました。同年末、ウルグアイ・ラウンドでは米は例外なき関税化を免れましたが、ミニマムアクセスの義務化により毎年一定量の米が輸入され、米余りに拍車をかけてきました。しかしながら、昨年春に食糧法が改正され米も例外ではなく関税化の対象となり、関税を払えばだれでも自由に米を輸入販売することが可能となりました。米をめぐる環境は大きく変わり、我が国の農業・農村を取り巻く環境は一段と厳しくなっております。
 そうした中、38年ぶりに昨年11月に新しい食料・農業・農村基本法が公布、施行され、ほぼ1年が経過しようとしております。旧基本法は、農業の生産性の向上、農業総生産の増大、自立経営の育成を柱とする食料供給を中心とするものであり、これに対して新法は四つの柱から構成されており、第1は、食料の安定供給の確保、食料の自給率がカロリーベースで4割強という低い現状に照らせば、自給率の向上を目指した食料の安定確保は幾ら強調しても足りないものがあると考えます。第2に、農業・農村の多面的機能をうたい、第3に、農業の持続的発展、第4に、農村の振興とあります。本県においても、豊かな自然環境や農業資源をフルに生かして、岩手ならではの個性あふれる新たな農業・農村の創造を目指すとした共生・連携・交流をキーワードに、新いわて農業・農村創造活動がスタートいたしましたが、具体に21世紀の本県農業はどう変わっていくとお考えでしょうか。
 農業就業人口は昭和40年には1、200万人でありましたが、今はその3分の1の400万人を切っております。専業農家は昭和30年に200万戸を超えていたのに、現在ではその5分の1であります。兼業農家も400万戸あったものが、今はその半分でしかありません。特にも、本県も同様の傾向であります。農業所得が非農業所得より多い第1種兼業農家も、230万戸から40万戸まで激減しております。一方、非農業所得の方が農業所得より多い第2種兼業農家は、兼業農家の80%を占めている状況であります。
 そこでお尋ねいたしますが、新しい農業・農村創造運動は何といっても人づくりが重要なポイントとなってくると考えますが、県では、どのような観点からこの運動を具体に展開されようとしているのかお伺いいたします。
 博報堂生活総合研究所が発表した首都圏で昨年実施の食と農業に関する意識調査によりますと、90年の同じ調査に比べ、農業のイメージが格段に向上したとされております。農業は創造的だと言う人は48%から73%へ、将来性があると言う人も31%から50%に伸び、物をつくる喜びを味わえる職業だと思う人は88%から99%へ、自分自身、農業を体験したい人は46%から63%、もっと気楽に農村と行き来がしたいと思う人は54%から69%に増加し、バブル経済のピーク時に比べ、土に触れたいという気持ちが強くなってきていることがわかります。
 また、世界の食料事情への悲観的見通しも強まり、食の安全性についても意識の変化があらわれてきております。しかしながら、残念なことに、農業は縁遠いものであると思う人が59%から76%に増加しております。私自身、農業者ではありませんので的外れになるかとも思いますが、考えられることは、農業者がサラリーマンに転業することは簡単でありますが、逆にサラリーマンが農業者に転業することは、まことに困難であるということであります。それは、今もなお、農業は専業農業者がするという概念で制度がつくられているからと考えます。国土の保全、水の涵養、自然環境の保全、美しい景観、文化伝承といったことは、農家を含む国民全体の願いでもあります。
 そこでお尋ねいたしますが、21世紀は自作農創設という戦後の農政を改革し、食料の安定供給に向けて、国民、県民が挙げて農業に関心を持つには、簡単に借地ができて農を楽しめるサラリーマン農園の道を、農業県である本県が提唱していってはと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、地域間デジタルデバイドについてお尋ねいたします。
 森総理大臣の、すべての国民がパソコンやインターネットを使えるようにというIT国民運動は、既に多くの方々が、総理自身、パソコンに向かいマウスを操作しキーボードを打っている様子が、テレビ等を通じ多くの方々、御存じかと思います。しかしながら、今後の展開を考えたとき、現状からは大変大きな課題があることがわかります。
 パソコンの普及率やインターネットの利用率には、都市圏と地方で大きな格差があります。インターネットの仕事をしている人の多くは、友人、知人のほとんどがメールアドレスを持っているのが当たり前という環境におり、逆にインターネットと言えば、新聞、テレビ報道がネット企業の株価かネット犯罪の話が多く、縁のないもの、怖いものという見方をする人も多いことは事実であろうと思います。
 三菱総合研究所が、四半期ごとに発表しているインターネット利用者基礎データの最新号は、都道府県別の普及率格差ということに焦点を当てております。インターネット世帯普及率が高い上位は、1位の神奈川県を筆頭に、東京都、滋賀県、奈良県、大阪府の順で、最下位は沖縄県、46位に青森県、ちなみに本県は全国41位であります。このデータを取り上げた日本経済新聞の記事では、都道府県のGDPランキングと相関があること、さらに第1次産業比率ランキングや65歳以上の高齢者人口比率ランキングとは、逆相関になっていることが指摘されております。
 私の個人的見解でありますが、本県の銀河系情報スクウェアのホームページや県議会のホームページも、決して他県に引けをとらないと思っております。本定例会から特別委員会もネット中継されることになりましたが、幾ら情報公開の観点から、また、県民に身近な県議会をと発信しても、受ける側の体制がなければ一方通行に終わってしまい、幾ら情報の公開、共有化を声高に叫んでもむなしい感じさえ覚えます。広い県土を持つ本県において、21世紀はこのITに対する取り組み姿勢で大きく変わってくるものと思います。
 県においては、職員1人に1台のパソコンを配備し、本年度は情報ハイウェイもスタートいたしますが、県民が本当に必要としている情報、そして簡単に情報を受け入れられる体制こそ重要と考えます。デジタルデバイドにより、高齢者や生活弱者がますますそのハンディを負うようではいけません。高齢者や生活弱者の方々こそ、その利用により福祉、生活の向上が図られる施策が必要ではないでしょうか。
 そこでお尋ねいたしますが、現在の普及率の現状をどう認識され、デジタルデバイドには県としてどのような施策の展開をお考えでしょうか。あわせて、本県の21世紀IT戦略をどのようにお持ちでしょうか、お伺いいたします。
 次に、現在、立法化が検討されていると伺っておりますが、ドメスティック・バイオレンスの対応についてお尋ねいたします。
 夫や恋人など、親密な関係にある男性から女性への暴力、いわゆるドメスティック・バイオレンスは、昨今、大きな社会問題となっております。総理府の男女共同参画室が昨年秋に実施した全国調査によりますと、夫から命の危険を感じるくらいの暴行を受けたことがあると答えた妻は21人に1人の割合で、被害者のうち家族や警察などに相談したのは約55%と報告されています。本県においても、平成11年度の実態を見てみますと、夫の暴力、酒乱の相談件数は202件にも上っています。暴力では、殴る、けるではおさまらず、刃物を振り回す、髪を切る例もあると言われております。まことに心配されることは、身体的暴力、言葉による精神的暴力が、21世紀を担う子供たちにどういう影響を与えることになるかということであります。子供が人間関係のさまざまな問題を解決する手段を、暴力が当たり前などと考えたら恐ろしくもなり、まさに重大な問題であります。
 厚生省の99年度のまとめによりますと、全国の児童虐待に関する相談や通報は、前期比4、700件増加し、1.7倍の1万1、631件に上ったと発表されております。本県では、前年比9件減の58件と報告されておりますが、この傾向に歯どめをかけることは非常に難しいことと考えます。
 そこでお尋ねいたしますが、ドメスティック・バイオレンスについて、本県の現状をどう分析され、その課題をどうとらえているのか。さらに、今後の取り組みをどう考えておられるのか、生活環境部長にお伺いいたします。また、県警における現状認識はいかがでしょうか。この種の事案の課題と対応について、警察本部長にお尋ねいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、環境問題についてお尋ねいたします。
 先月16日開催の北東北3県知事サミットにおいて、広域産業廃棄物対策を3県で推進を決定されたことはまことに時宜を得たものと、まずもって評価したいと存じます。特にも、本県の増田知事がリーダーシップをとって広域環境税やリサイクル促進税についての議論に踏み込まれたことは、青森・秋田両県にとってもいいチャンスだったように思います。
 私は、3月定例会の予算特別委員会の総括質疑の場でも三重県の例を挙げ、当局の考えをお聞きしたところでありますが、二戸市と青森県田子町の不法投棄問題や私の地元での医療廃棄物の不適正処分など、最近の状況を見ますと、3県が協力し情報を交換し、不法投棄を水際で防止することが大変重要であろうと考えます。特にも、県単独で環境税を導入した場合、産業廃棄物を隣県に追い出すこともあり得ることからも、今後の連携と協力がますます重要になってくるものと考えます。
 そこでお尋ねいたしますが、知事は今後どのようなスケジュールでの検討を考えておられるのかお尋ねいたします。
 また、本県の産業廃棄物協会は比較的容認ムードのようでありますが、一方、高いリサイクル技術を持つ優良業者への税負担軽減や行政手続の簡素化、処理施設の県境を越えた広域利用、産業廃棄物業者への自治体による金融支援など、産業育成策の創設等の要望がありますが、これも各県若干の考え方に隔たりがあるようでありますが、どのような方法で進めていくとお考えでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、特定非営利活動法人についてお尋ねいたします。
 平成10年12月に、ボランティア団体など非営利組織の法人格取得を容易にする特定非営利活動促進法が施行されたことに伴い、本県においても、同法に基づく特定非営利活動法人の認証を受け、法人格を取得する動きが見られます。全国ではこの9月まで2、666法人が認証を受けており、本県では23法人が認証を受けています。御案内のとおり、特定非営利活動促進法はNPO法とも呼ばれ、特定非営利活動法人はNPOと呼ばれることが多く、福祉や環境保護など市民活動の担い手として期待が高まっています。
 NPOの定義を見てみますと、政府・行政から独立した自主的な集まりで、社会貢献や慈善のために活動する非営利組織とあり、特定非営利活動法人にとどまらず、法人格を持たないボランティア団体なども包括する幅広い概念であります。
 経済企画庁が平成8年に行った調査では、全国でボランティア団体など市民活動団体が約8万6、000団体あるとされており、本県の平成10年度実施の調査では876団体となっております。しかしながら、このような調査結果と比較すると、特定非営利活動法人の認証数は極端に少ないと言っても過言ではないと思います。つまり、NPOとは、特定非営利活動法人のみを指すと理解すると、NPOの全体像を見誤ることにつながります。
 県内の活動法人を分野別に見ますと、保健、医療、福祉が11団体でトップ、以下、まちづくり、環境保全と続きますが、県としては、今後、各団体の自主性は当然のことでありますが、法人化のメリットはあると考えることから、ボランティア団体や公益的な活動を行う市民団体に対する特定非営利活動法人の認証についてどのようなスタンスで進めていかれるのでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、柳之御所遺跡の復元整備についてお尋ねいたします。
 県教育委員会は、平泉町の国指定遺跡・柳之御所を暫定的ながら見学施設として整備し、建設省岩手工事事務所では柳之御所資料館を開館し、町の歴史遺産を活用した新たな憩いの場、歴史学習の場として、観光業界はもとより、地域住民に大きく期待されております。同遺跡は、これまで長引く発掘調査などでほとんど原野のまま放置されておりましたが、町内には観光客らにアピールする施設に整備してほしいとの要望があったことから、今回の整備は本格的整備に向け、一歩前進したと高く評価されております。
 さて、常任委員会調査で現地訪問の機会をいただきましたが、佐賀県の吉野ケ里遺跡は、建設省と佐賀県の共同プロジェクトとして大規模な史跡整備が行われておりますが、平泉町の柳之御所遺跡も建設省が実施していた国道4号のバイパス工事に伴って発見されたということからも、同バイパスとの一体的工事として建設省による国営歴史公園の整備をお願いしてはいかがでしょうか。
 ちなみに、吉野ケ里歴史公園は都市公園法の規定に基づき、我が国固有のすぐれた文化的資産の保存及び活用を図るため、国が設置する都市公園としてその設置が閣議決定されたものと伺っており、全国的にはこの法律によって16カ所の国営公園が設置されております。私も家族で何度か参りましたが、東北では唯一、宮城県に国営みちのく杜の湖畔公園が設置されているのみで、我が国固有のすぐれた文化的資産の保存及び活用を図るものとして設置されたものではないようであります。
 また、この柳之御所遺跡整備に当たって忘れてならないのは、隣接の無量光院跡の復元整備であります。無量光院は平泉藤原3代秀衡公が建立した寺院であり、宇治の平等院を模したものと伝えられておりますが、その規模をはるかに超え、単なる京都文化の模倣にとどまらない平泉藤原氏が営んだ、または形づくった独自の文化が如実にあらわれているものとして高く評価されております。この無量光院を柳之御所と一体的に復元整備してこそ、往時の平泉文化の全盛期をしのぶシンボルとなり得るのではないかと考えます。
 公共事業の見直しが盛んに議論されておりますが、このように歴史的にも学術的にも評価の高い両遺跡の一体的復元整備は教育的見地からも、県民はもとより、全国的にも容認されるのではないでしょうか。あわせて、本県の観光客の入り込みの減少は平泉といえども例外ではなく、いまだに歯どめがかからない状況でありますが、この両遺跡の本格的復元整備は、本県の観光客誘致の切り札として大きなインパクトを与えるものと確信しております。
 そこで知事にお伺いいたしますが、この柳之御所遺跡の復元整備について、昨年策定した新しい総合計画で、計画的な発掘調査、保存、整備、活用計画を策定し、史跡公園として整備することとしているようでありますが、どのような基本計画を策定しようとなさっているのかお尋ねいたします。
 また、無量光院跡とあわせた史跡公園としての整備に、佐賀県の吉野ケ里遺跡と同様に、国営公園建設事業を導入されるお考えはあるのでしょうか、その基本姿勢についてお示し願いたいと思います。
 結びに、平泉の文化遺産の世界遺産への登録についてお尋ねをいたします。
 このたび、平泉の文化遺産が、平安末期に奥州平泉で藤原氏4代にわたる約100年の間に、藤原氏一族が都の文化を受容しつつ、独自に発展させた仏教寺院、浄土庭園などの華麗な黄金文化の遺産群であり、我が国の古代から中世への過渡期における地方文化の中で傑出した事例として、ユネスコの世界遺産暫定リストに追加記載されることになりましたことは、地元のみならず、本県そして東北にとってまことに喜ばしいことであり、関係者の御尽力と御協力に衷心より感謝と敬意を表します。御案内のとおり、暫定リストに記載されるだけでは世界遺産に推薦、登録されるものではなく、今後、日本政府から正式に推薦されることが重要であります。
 言うまでもなく、世界遺産とは、世界的に価値の高い文化遺産や自然遺産は人類共有の財産であるとの認識に立って、各国が協力してその保存を図ろうとする目的で、1972年にユネスコ総会で採択された世界遺産条約の締結国の代表21カ国からなる世界遺産委員会によって認定され、世界遺産一覧表に記載されたものであります。現在、我が国で登録されている世界遺産は、法隆寺地域の仏教建造物、姫路城、古都京都の文化財、広島平和記念碑・原爆ドーム、厳島神社などがありますが、東北では自然遺産として白神山地のみで、文化遺産の登録はありません。平泉町では、暫定リストに記載されることとなったことを受け、町民一体となって本登録に向け熱心な活動を展開しておりますが、知事は本登録に向けその課題をどのようにお考えでしょうか。
 あわせて、世界遺産委員会は登録基準に基づき、また、国際専門機関による現地調査等の報告を踏まえ、遺産の学術的な価値や保存管理の措置などの厳格な審査を行うこととしていますが、今後の県としての対応をどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐々木一榮議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、夢県土いわての具現化についてでございますが、昨年、県で総合計画を策定いたしまして、今、その第一歩を踏み出しているわけでございますけれども、一方におきまして、県民の信頼を損なうような事件が発生したことは、大変残念に思っているところでございます。
 私は、本年4月の地方分権一括法の施行に見られますように、中央集権型の行政システムが地方分権型へと大きく変化をしつつある中で、行政運営の仕組みというものを見直しをして、たびたび申し上げてございますけれども、生活者の視点、そして地域の視点に立った新しい行政システムを確立することが重要であると、このように考えております。
 こうしたことから、平成13年度の予算編成におきましては、従来とは異なりまして、本年度既に実施いたしました県民意識調査、そして政策評価というものの結果などを踏まえた上で、環境首都の実現や情報の森づくりの推進など七つの項目をピックアップいたしまして、平成13年度における施策の重点化方針と位置づけております。これを各部局の方にも知らせているところでございますので、こうした重点化の方針として位置づけたものを来年度予算に反映させていきたいと考えております。
 政策を進める上で一番何を重要視するかということでございますが、この岩手の新しい時代、そして21世紀に向けてのこの岩手を切り拓く視点としては、やはり環境、ひと、情報が極めて重要であると認識しているわけでございまして、それらの政策を進めるに当たっては、成果主義と、そして、あくまでも県民の満足度が向上したかどうかという満足度の向上を基本にして、結果として県民の豊かさや暮らしやすさがどのように向上したかということを重視していきたいと考えております。
 具体的なプロジェクトにつきましては、我が国の環境首都を目指す美しいくにづくりプロジェクトや、県民一人一人がそれぞれの夢の実現に向けてチャレンジできるような環境をつくる学びの里づくりプロジェクト、さらに、いわて情報ハイウェイの構築などによりまして、情報ネットワークを整備するという情報の森づくりプロジェクト、これら三つを岩手の未来を拓く先導的なプロジェクトとして位置づけておりまして、このプロジェクトを強力に推進していきたいと考えております。
 夢県土いわての具体像というお尋ねございましたけれども、私は、一人一人の県民やそれぞれの地域というものが、それぞれの地域の持っております、あるいはそれぞれの人が持っております夢に積極的に挑戦していって、それを実現することによって、一人一人生きる喜びを実感することのできる充実感のある社会というものをこの岩手につくり上げたいと考えているわけでございまして、自立、参画、創造による持続的な地域づくり、これが基本理念でございますけれども、こういう理念のもとに、県民ですとか、民間企業、さらには、新たな地域社会づくりの主体として期待されておりますNPOなどがございますが、こうしたものと相互に連携・分担し合いながら、夢県土いわての実現を目指していく考えでございます。
 次に、環境問題についてでございますが、昨今、本県の県北地域、そしてもう一つは県南地域で明らかになりました、首都圏からの産業廃棄物による大規模な不適正処理事件というものを教訓といたしまして、県境を越えての不法投棄などを水際でまず食いとめる必要がある。また、実際に事件が起きた際に、それはもう早急に原状回復をしなければいけないわけですが、そうした原状回復に県民の税金の投入をできるだけ回避する必要があるといったことなどから、私は、同様な課題を持っております北東北の3県が連携して、広域的に対策を講じていくことが有効であると、このように考えたものでございます。
 この考え方から、去る10月16日の北東北3県知事サミットで、広域的な産業廃棄物対策を共同で進めることについて提案いたしたわけでございますが、3県での合意が得られたところでございます。この合意に基づく広域的な産業廃棄物対策の具体的な検討につきましては、去る11月27日に3県の担当部長による北東北環境フォーラムというものを開催いたしました。そこで具体的な検討組織としてのワーキンググループを来月中にも立ち上げて、実務的な協議を細かに進めることとしてございます。
 お尋ねの具体的なスケジュールといたしましては、県境地域におけるパトロールの相互実施や災害廃棄物への対応などについては平成12年度中に、また、不法投棄など情報ネットワークの構築や隣接県の業者への立入調査などにつきましては平成13年度開催される北東北知事サミットでの合意を目途に協議を行うこととしてございますし、廃棄物事業者の保証金や優良事業者の育成など、その他の対応施策についても、3県で直ちに検討を進めまして、定期的に北東北環境フォーラムにおいて進行管理をすることとしておりまして、岩手県で開催を予定してございます来年度の知事サミットまでに、一定の成果を報告することができるように期待しているところでございます。
 次に、柳之御所遺跡の復元整備と平泉文化の世界遺産登録についてでございますが、柳之御所遺跡の復元整備につきましては、平成10年度から復元整備を目的とした発掘調査を実施しておりまして、本年7月には、これまでの調査成果を踏まえ、見学施設等の仮整備を行ったところでございます。本格的な整備につきましては、地域住民の理解を得ながら、平成13年度より、この遺跡内に残っております民有地の公有化を図ってまいりまして、平成15年ごろをめどといたしまして基本計画の策定に入りたいと考えております。今、発掘調査などをやっておりますので、埋蔵文化財の発掘が終了した後、かなり全体像が明らかになると思いますので、そのめどを平成15年ごろと見通しておりまして、そうした全体像が明らかになってから、基本計画の策定に入りたいと考えております。
 整備に当たりましては、やはり往時の姿をしのばせるような建物、それから園池の復元──園池というのは中にある池でございます──や来られた皆さん方へのガイダンス施設の設置など、来訪者が平泉の歴史・文化を体験できる場、そしてまた、人々の憩いの場として活用でき、地域の活性化にも資するような整備を進めていきたいと考えております。
 なお、今、議員から御提案がございましたが、国営公園事業の導入につきましては、今後とも引き続き私も情報収集に努めることといたしたいと思っておりますが、御案内のように、この国営公園は大きく二つに、イ号国営公園とロ号の国営公園と分かれております。この場合該当するのは、ロ号の国営公園の中で歴史的な、あるいは文化的な公園と位置づけられるものだと思っておりますけれども、議員御承知のとおり、飛鳥と、それからお話のございました吉野ケ里と、この二つだけが今これに該当しているわけでございます。この二つの例の指定に至るいろいろな経緯などから総合的に判断すると、こうした事業の導入について、現時点では難しいものと考えているわけでございますが、引き続き情報収集には努めていきたいと思っております。
 無量光院跡と柳之御所遺跡は、歴史的に密接な関連を有する遺跡でございますので、今後、平泉町と協力しながら、両者一体的な整備が図られるよう努めていきたいと思っております。まずは、先ほど申し上げましたように、来年度、文部省の予算を入れて、公有地化を図るということから早く始めていきたいと、このように考えております。
 また、平泉の文化遺産は、岩手の地に花開いた世界に誇り得る文化遺産でございまして、世界遺産暫定リストに登載されることとなったところでございまして、これは本県にとりましてまことに名誉なことであり、喜ばしく思っているところでございます。
 今後、この暫定リストの中から、国がユネスコ本部に推薦することになるわけでございますが、この平泉の文化遺産が世界遺産に登録されるためには、この平泉の文化財の保存・整備を推進するとともに、平泉文化の調査研究をさらに進めて、その学術上の価値を明らかにしていく必要がありますほか、文化財周辺の歴史的な環境を整備することなどが主な課題であると、このように考えております。このため、町と連携しながら、柳之御所遺跡や無量光院跡の公有化を進めますとともに、柳之御所遺跡の発掘調査を推進するほか、今年度から実施しております平泉文化の共同研究を充実させていきたいと考えております。
 さらに、歴史的環境の整備といたしましては、県の条例で岩手の景観の保全と創造に関する条例というものがございまして、この条例に基づいて、平泉周辺地域を景観形成重点地域に指定しているわけでございますが、お聞きいたしますと、町におきましても景観保全に向けた取り組みがなされるものと、このようにも伺っているところでございます。
 今後、平泉町となお一層密接に連携をとりながら、住民の理解と協力のもとにこれらの施策を進めますとともに、国に積極的に働きかけを行いまして、平泉の文化遺産が早期に世界遺産に登録されるように努めていく所存でございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   
〇議長(山内隆文君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、バランスシート等財務諸表の作成についてでございますが、公共施設などの資産と県債などの将来にわたる負債とのバランスや、行政サービスとそれに対する県民の負担についての関係を明らかにするため、本年4月に、平成10年度の普通会計決算に基づくバランスシートと企業会計の損益計算書に当たる行政コスト計算書を作成し、公表したところでございます。
 現在、バランスシートの第1段階の取り組みを続けているところでございますが、バランスシート等の財務諸表は、その作成自体が目的ではなく、道路、河川等のデータが全庁的に活用されましたり、県の施策ごとのコストに関する情報が、最終的には政策評価システム、これは本年度試行実施しておりまして、来年度から本格導入を目指しているものでございますが、こういったシステムの中で活用できるようなものでなければならないと考えているところでございます。
 全国的にブームになりまして、バランスシートをつくるという動きがございますが、単にバランスシートをつくってみたというだけではだめではないかと考えておりまして、このような観点から、他県に先駆けまして道路等の社会資産の棚卸し作業とそのデータベース化を進める一方で、行政コスト計算書につきましても、行政コストと施策の成果をどのように結びつけていくのかといった検討を進めているところでございます。
 本年度は、これらの作業と並行いたしまして、これはバランスシートの第2段階とも言える取り組みにもなるわけでございますが、一般会計に八つの特別会計及び病院事業、電気事業等を初めとする公営事業会計を加えました、平成11年度決算ベースに基づく連結財務諸表の作成に取り組んでいるところでございまして、年度内にはその試算結果を公表したいと考えております。
 さらに、平成13年度中には、これらの作業の成果を踏まえました本格的な財務諸表を作成したいと考えております。
 なお、土地開発公社等の法定地方開発公社や県が50%以上出資している財政援助団体の連結決算につきましては、これらの成果を踏まえまして、言ってみれば第3段階に当たるわけでございますけれども、平成14年度以降、順次段階的に整備をしてまいりたいと考えております。
 次に、パブリックコメント制度についてでありますが、県民の意思を政策決定過程に反映させる仕組みを確立するため、パブリックコメント制度を本年4月1日から導入したところでございますが、これまでの各部局別の実施状況を見ますと、企画振興部と商工労働観光部とがそれぞれ4件、農政部が3件などの計16件が実施されているところでございます。この中には提出された意見の件数が、いわて子どもプランでございますとか、新しい岩手県障害者プランのように200件あるいは400件といったものがある一方で、計画案に対しまして意見が提出されなかったものが5件あったところでございます。
 これらの5件の計画案について見ますと、その内容が、関係者以外の一般の県民にとっては比較的関心が薄いものであったり、専門的であったりしたことなどから、結果として意見の提出がなかったものと認識いたしておりますが、パブリックコメントを実施していることの周知方法だけでなく、計画案につきましても、説明会を開催し、直接その内容を説明するなど、きめ細かな対応を行った案件に対しましては比較的多くの意見が提出されているところでございまして、周知あるいは公表の方法による違いもあったものではないかと認識しているところでございます。
 今後、パブリックコメントを実施しようとする計画等の内容にもよりますが、周知方法や計画案の公表方法などに一層の工夫を凝らすことも含めまして、各部局とともに、制度の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
 次に、職員の倫理に関する条例等についてでありますが、国におきましては、国家公務員倫理法及び国家公務員倫理規程が制定され、贈与等の報告など、各種の報告義務、利害関係者との間で禁止される行為などが定められ、今年の4月から施行されているところであります。
 本県におきましては、国における措置や他県の例を参考にしつつ、職員の公務員倫理の確立や県民に信頼される規律ある職場づくりを目的とした職員の倫理に関する条例及び規則の制定に向けて検討しているところでございますが、制定に当たりましては、県の場合、国に比べ市町村や地域とのかかわりが深く、日々の行政運営において、現場の声に耳を傾けながら県政を推進することも極めて重要であることから、広く外部の方々の意見を聞く懇談会を設置したいと考えておりまして、この懇談会で出された意見を踏まえ、具体的な検討を行い、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
 今後のスケジュールといたしましては、懇談会の進みぐあいにもよりますが、平成13年2月定例会での条例提案を目指して準備を進め、さらには、具体的な禁止行為等を定める規則の制定に向けた作業を本年度から来年度にかけて行いまして、13年度のできるだけ早い時期に制度全体を施行させてまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) まず、本県農業の方向と新いわて農業・農村創造運動の展開についてでありますが、21世紀の本県農業については、意欲ある担い手を中心とする地域ぐるみ農業の一層の推進を図り、米、園芸、畜産が巧みに組み合わされた総合産地化を進め、販売流通面においても、本県のすぐれた生産環境を生かしながら、消費者の求める安全・安心な農産物を安定的に供給してまいることとし、我が国有数の食料供給基地としての地位の向上を図っていくべきものと考えております。
 こうした考え方を県民全体で共有していただくため、本年度から、新いわて農業・農村創造運動を展開しているところであります。この運動においては、ひとづくり、地域力の発揮、産地力の向上、そして、農村と都市との多様な交流の四つを基本目標としております。
 具体的には、ひとづくりに関しましては、意欲ある担い手や集落リーダー等を対象とした研修会やフォーラムの開催、そして、地域力の発揮及び産地力の向上に関しましては、有機質資源等を活用しながら、環境に配慮した農業を実践している方や産直施設を核とした農産物加工やコミュニティー活動など、創意と工夫を凝らして取り組んでおられる集落等を表彰し、優良事例として広く紹介するなどの事業を行っているところであります。
 さらに、農村と都市との交流の場の一つとしての、いわてめぐみフェアの開催にも取り組んでおります。こうした取り組みを通じて、本県の農業・農村を県民共有の財産として大切に育てていくべきものと考えております。
 次に、サラリーマン農園についてでありますが、御指摘ございましたように、より多くの県民が農業に関心を持っていただくためには、農作業の体験を希望する方々が、身近な場所で手軽に借りることができる農地や施設の整備を図ることが重要であると認識しております。
 本県では、都市住民のレクリエーションなどの用に供するための市民農園の整備等を目的とした市民農園整備促進法に基づきまして、基本法を定めるとともに、市町村と連携し、補助事業の導入による市民農園の整備・促進に努めているところであります。現在、県内では東山町など19市町村において28カ所、延べ面積で8万4、000平方メートル、約1、000区画の市民農園が整備され、広く活用されております。
 今後とも、サラリーマンなど都市住民の方々が、農作業に親しみ、農業を理解していただく有効な方法として、市民農園の整備に一層努めてまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) 地域間デジタルデバイドと21世紀に向けた情報化戦略についてでありますけれども、三菱総合研究所の調査結果によりますと、インターネット接続パソコンの所有率は全国平均19.5%に対し、岩手県は9.7%でございまして、御指摘のとおり、全国の順位が41番目になっております。このことは、間近に迫った本格的な情報化社会の到来を考えますと、深刻な状況にあると受けとめております。
 このような状況から、岩手県における情報化の推進につきましては、高齢者や生活弱者も含めて、すべての県民がインターネットに触れることができるような環境づくり、すべての小中高等学校でパソコンを使った授業が実施できる環境づくりを進めてまいりたいと考えております。具体的には、インターネットの普及率向上のために、国の施策と呼応して、市町村やNPOなどと提携しながら、高齢者や主婦など、ふだんインターネットに触れる機会の少ない方々を対象としたパソコン講習会を全県で開催し、基本的な操作を習得していただくことなどを考えております。
 また、情報インフラの整備として、学校におけるインターネット環境の整備や公共施設、文化施設など、県民に身近な場所への公共情報端末の設置などを検討してまいりたいと考えております。
 21世紀に向けた高度情報化戦略は、県民だれでも、気軽にインターネットに触れる環境づくりを行うとともに、医療や防災など、緊急かつ重要な分野における情報化を重点的に進める必要があると考えており、現在、岩手県高度情報化戦略の策定に向けて作業を進めているところであります。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) まず、ドメスティックバイオレンスの対応についてでありますが、本県の現状と課題につきましては、県立婦人相談所における相談件数等はここ数年増加傾向にありまして、また、県が平成10年度に行った意識調査では、11.6%の人が、これは男女でございますが、夫婦間の暴力について身近な人から相談を受けたり、直接暴力を受けた当事者がいると答えております。
 夫やパートナーからの暴力は、家庭内という密室の中で行われることから潜在化する傾向があるということ、また、夫婦間の暴力は刑罰の対象にならないという間違った認識があることなど、社会の理解が不十分であることが問題の解決を難しくしているものと考えております。
 県といたしましては、本年3月に策定いたしましたいわて男女共同参画プランにおきまして三つの柱を立てておりまして、女性に対する暴力を防ぐ環境づくり、それから、女性に対する暴力への厳正な対処、被害女性に対する救済策の充実という3点を基本といたしまして、取り組むことといたしております。
 まず、暴力を防ぐ環境づくりにつきましては、いわて男女共同参画フェスティバルの開催や男女共同参画サポーターの養成などを通じまして啓発運動を行いますとともに、女性110番の家を設置し、犯罪被害を未然に防止することとしております。
 暴力への厳正な対処につきましては、その潜在化を防ぐため、関係機関の協力を得て、今後実態調査に努めるとともに、関係規定の厳正な運用を図ってまいりたいと思っております。
 また、被害女性に対する救済策の充実につきましては、犯罪被害相談電話の設置を初め、保護や援助を必要としている女性が緊急避難できるよう、婦人相談所において一時保護を実施してございます。
 今後におきましても、女性に対する暴力は男女の基本的人権の尊重を前提とした男女共同参画社会の実現を阻害する重大な問題であるという観点から、県民の皆さんの御理解をいただくよう努力してまいりますし、婦人相談所、警察、法務局などの関係機関との連携を緊密にしながら、女性に対する暴力のない社会を目指してまいりたいと考えております。
 次に、環境問題についてでありますが、青森県境や県南地域で発生いたしましたような不法投棄やあるいは不適正搬入事例を未然に防止し、今後、望まれる循環型地域社会の形成を促進するためには、生活環境の保全に対する高い倫理観と使命感を持ち、そして安心して廃棄物の処理、リサイクルを任せられるような高度な技術力を有する、健全な業者を数多く育成していくことが重要であると認識いたしております。このような認識に立ちまして、これまでも廃棄物処理法の事業者説明会の実施、毎年平均2回以上の処理施設の立入検査の際の業務指導、さらには廃棄物処理業に関する厚生大臣認定講習会等の各種研修への協力などを通じまして、産業廃棄物業者の育成に努めてきたところであります。
 今後は、優良事業者の登録制や、産業廃棄物事業者への環境ISOの認証取得、商工部門とも連携した経営改善の支援などの諸施策を充実してまいりまして、さきに行われました北東北知事サミットでの合意事項に基づく検討内容も加味しながら積極的に取り組んでまいる一方で、悪質な業者に対しては、厳正なペナルティーを持って臨むことによりまして廃棄物の適正処理に対する意識を高め、来るべき循環型地域社会の重要な担い手として社会的にも高い評価を得ることができるような優良な事業者の育成に、関係団体などとも連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、特定非営利活動を行う団体の法人化に対する県の姿勢についてでありますが、11月24日現在、本県では特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法に基づく認証を受けた団体は25団体──これは知事認証と経済企画庁長官認証1件でございますが、あわせて25団体でございます。──と、着実にふえてきております。御案内のとおり、ボランティア団体、市民活動団体などのNPOは、行政、企業だけでは担い切れない多様な社会サービスを自発的、継続的に提供する事業体としまして、社会的に役割が期待されているところであります。
 また、NPO法人は、法人格の取得による社会的な信用力の高まりや活動の継続性の基盤整備などのメリットが得られますことから、今後とも、県内においてNPO法人や法人化を志向する団体が増加していくものと考えております。
 県といたしましては、これまでNPO活動を行う団体に対しフォーラムや研修会等を通じ、NPO法人制度の普及啓発を行うとともに、情報提供や人材育成に努めるとともに、NPO法人に対する県民税、市町村民税均等割の免除措置を講ずるなどの支援を行ってきたところであります。
 今後におきましても、NPOの自主性を尊重しながら、法人化を目指す団体への支援活動などを行う中間団体の組織化や育成、NPOのネットワークづくり、安定的な活動基盤の整備を図る支援策の検討など、NPO法人の活動環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
    〔警察本部長出原健三君登壇〕
〇警察本部長(出原健三君) ドメスティック・バイオレンスへの対応についてお答えいたします。
 内縁関係を含みます夫から妻への暴力事案は、全国的には本年10月末現在で1、040件検挙しており、前年対比で約2倍となっております。また、本県について見ますと、同じく内縁関係を含む夫から妻への暴力事案に関する10月末現在の検挙件数は10件であり、既に昨年1年間の検挙件数を超えております。このほか、いわゆる元夫婦、元交際相手等に対する事件を含めますと、検挙件数は25件になっております。このように、現状はまことに憂慮すべき状況にあると認識しているところであります。
 いわゆるドメスティック・バイオレンスは、家庭というプライベートな環境の中で発生する場合が多いこと、また、心情的に表ざたにしたくないという潜在意識が働くことなどから、警察に届けることを躊躇したり、届け出が遅くなり、警察の早期把握が困難な事案が多いのであります。
 このようなことから、対応がおくれまして重大事案に発展するおそれもありますので、自治体を初めとする関係機関、団体等や地域と緊密な連携のもとに、初期的段階から対応していくことが重要であると考えております。
 被害に遭った女性、子供等への支援活動につきましては、警察といたしましては、女性・子供を守る相談日の設定や相談に応じる女性・子供セーフティアドバイザーの指名、女性の性犯罪捜査補助官制度や指定被害者対策要員制度の導入など、きめ細かな対策を講じているところであります。
 今後とも、夫婦間、家庭内の問題でありましても、プライバシーに配慮しながら、被害者の意思を十分尊重しつつ、被害者保護と厳正な事件捜査の推進に努めてまいりたいと考えております。
〇33番(佐々木一榮君) 簡潔に2点だけちょっとお尋ねいたします。
 先にデジタルデバイドについてでありますけれども、御答弁いただきましたが、県内市町村で当然プロバイダーのない市町村があろうかと思います。盛岡ですとか都市部はいいんでありますが、例えば郡部の方に行きますと、当然アクセスまでの通話料金が高かったりしておりまして、やっぱりその辺も今後の課題であろうかなというふうに思います。そういった意味で、県内の都市部はともかく、逆にそういう格差のある郡部に行きますと、ネットの接続料金だけで物すごい金額になってしまうということでありますから、今後、幾ら情報提供側がやっても、受ける側がそういう体制では難しいと思いますので、その辺の検討状況についてお尋ねをいたしたいと思います。
 それから、広域環境税とリサイクル促進税について、これから3県で検討されて、来年、本県で開催される知事サミットまでにはある程度の方向性ということでありますが、広域環境税については北東北3県で検討される。そしてリサイクル促進税、これについては新聞報道でありますが、日本経済新聞の知事のコメントによりますと、これについては意外に県単独でも容易に検討できるのではないかというコメントが出ておりましたが、この辺について再度質問をさせていただきます。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) プロバイダー等々、今後のITに対応する上でどういうふうにしていったらいいかということ、先ほど高度情報化戦略を今策定中であるということを申し上げました。先発の岡山とか岐阜とか、そういうところではいろんな方々の、大学の先生とか民間事業者であるとか、そういう方々のお知恵を借りながらいかにして普及拡大をしていくか、料金の問題とかの格差の問題とかいろいろあるわけでございます。それで岩手県の場合に、今度は次世代型の携帯モバイルの問題もありまして、トータルとしてのIT対応をどういうふうにしていくかということを今一生懸命研究中でございますので、もうしばらくお時間をいただきたいと思います。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 広域環境税とそれからリサイクル促進税について今お尋ねがございましたが、広域環境税の方につきましては、やはり廃棄物が不法投棄されるものが他県に行くことが大変懸念されますので、広域でやはり対応した方がいいという意味で、この間の北東北3県知事サミットでもその旨の御了解をいただいたわけでございますが、リサイクルを促進するにつきましては、各省で個別に随分法律が今回できまして、やはりそれぞれの業種ごとそれから地域ごとにいろいろな工夫ができるのではないかと、こういうふうに思ってございます。全般的なリサイクルの促進をする上では、国税、地方税の中で、国がやはり国税の中でいろいろ考えるべきものであると思いますし、それから地方税としての対応とすれば、それぞれの県で必要な対応が考えられると思います。そういう知恵を出し得る余地が十分あるのではないかと思います。
 必ずしもリサイクルを行うときに広域で県をまたがって対応するというものではございませんで、性質的には、それぞれの各県ごとにリサイクルを業種ごとにいろいろ促進することが考えられると思います。ただ、北東北では、家電のリサイクルなど、秋田の方で北東北3県をにらんでやるとか、物によっても少し性格が違うと思うんですけれども、いいリサイクルを促進する、リユースですとかリサイクルを促進するいい考えがあればうちの方でも考えて、もちろん北東北3県の環境フォーラムがございますので、そういったところでほかの県の方にも御紹介をして、できるだけほかの県の方からもいいお知恵をいただくということをしていきたいと思ってございますけれども、不法投棄の方とは若干性格が違いますので、本県としても、県として採用できるようなリサイクルを促進するような方策、税制上のいいものが見つかれば積極的に取り入れて実施することにはやぶさかでないと、こういう考えでおります。
   
〇議長(山内隆文君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時27分 散 会

前へ 次へ