平成12年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇25番(田村正彦君) 政和会の田村正彦です。
 今世紀最後の12月定例会において一般質問の機会を与えていただいた皆様に感謝申し上げ、質問をいたします。
 まず最初に、今定例会に議案として提出されております岩手県部設置条例について質問いたします。
 国においては、長年の懸案であった省庁再編も、いよいよ来年1月6日から、現在の1府22省庁から1府12省庁に衣がえしてスタートすることになっておりますが、本県においても、今定例会に本庁組織の再編を図るためとして条例案が提出されているところであります。
 増田県政発足後、平成8年1月に新しい行政改革大綱を策定し、この大綱に基づき、平成9年度から保健医療と福祉の連携強化などを目的とした本庁の再編、地方振興局の機能強化を目的とした土木事務所の地方振興局への統合、農業関係の四つの試験場を統合した農業研究センターの設置による試験研究機関の再編整備が行われましたが、3年を経た現在、この再編についてどのように評価しておられるのか、まずお伺いいたします。
 21世紀をあと1カ月余りで迎えようとしている今日、少子・高齢化の進行、地方分権の進展、個人の価値観が多様化する中での行政需要の増大等を受け、県では、昨年2月に策定した岩手県行政システム改革大綱に基づき、より機動的で効率的な仕組みへの組織の再構築を目指しております。また、昨年8月に策定した岩手県総合計画において、機動性と柔軟性を重視した県政の推進を、県政を進める上での大きな柱の一つに掲げております。
 私も、県の行政組織はこのままでよいとは思っておりません。しかしながら、今回の組織再編は、示された資料を拝見した範囲では、まさにそのとおりであると納得できるものもありますが、反面、理解しがたいものもあります。例えば、生活環境部が環境生活部になっており、字句を逆にしただけではないのかなどであります。
 そこでお伺いしますが、今回の組織再編は何を目的とした再編なのか、可能であれば具体例を挙げて御答弁願います。
 また、知事は、知事に就任当初から現場重視という発言をされておりますが、その考え方が今回の再編にどう生かされているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、税制等についてお伺いいたします。
 本年4月、475件の法改正による地方分権一括法が施行されましたが、同法により、法定外普通税を許可制から協議の範囲を縮減した協議制とし、法定外目的税の創設がなされたところです。また、政府の諮問機関である地方財政審議会は、昨年12月、同法を円滑に施行し進展を図るためには、地方公共団体がより自主的、自立的な行財政運営ができるよう、財政基盤を充実強化していくことが極めて重要であるとし、法人事業税の課税標準に外形基準を導入することは、税収の安定化を通じて地方分権の推進に資すること、応益課税としての税の性格の明確化や税負担の公平性が図られること等の重要な意義を有する改革であり、できるだけ早期に導入を図るべきであると、政府に対し意見具申しているところであります。
 本年7月の政府税調中期答申においても、外形標準課税の導入は、実質的な意味でも都道府県独自の基幹税を持つことにつながり、地方自治のあり方として望ましいものであると答申しているところであります。それを受ける形で、自治省は、2002年度以降の実施を目指し、全業種を対象とした全国一律の事業活動価値を課税基準とする外形標準課税導入を目指す方針であることが報道され、具体的な税率も示されておりました。
 安定的な財源確保は重要な県政課題の一つであり、県においても検討を重ねておられるものと思いますが、このような新たな税制や外形標準課税の導入について、どのように考えておられるのかお伺いいたします。
 また、仮に法人事業税に外形標準課税を導入し、報道されているような税率を適用した場合、平成11年度と比べ、税額の増減はどのようになると考えておられるのかお示し願います。
 次に、農業問題についてお伺いいたします。
 まず、米と野菜の価格対策、支援対策についてお伺いいたします。
 米については、御承知のとおり、豊作予測による市場価格の低落により、生産者に対する経済連の仮渡し単価で、私どもの地域では、ひとめぼれが前年に比べ6.6%減の1万4、000円、あきたこまちは7%減の1万3、800円、県のオリジナル品種であるかけはしは7.4%減の1万2、500円、モチ米に至っては実に16.3%も引き下げられ1万3、700円となっております。農協独自にこの単価に若干の上乗せがある地域はあるものの、米生産農家、特に国、県、市町村の今日までの施策によって貸借あるいは買い取りにより水田の集約を図り、地域の稲作農業を支えている専業的稲作農家にとっては、まことに厳しい現状であると言わざるを得ません。
 食糧管理法の改正により、市場価格によって米価が決定するシステムに移行し現在に至っておりますが、当時において、市場性導入による歯どめのない下落を懸念する指摘に対し、当時の政府はもちろんのこと、農業団体の指導的立場にある人でさえも、生産調整を確実に行うことにより、稲作経営安定対策の創設と相まって、懸念がないと説明があったと記憶しております。
 この対策そのものも、過去3カ年の平均米価を下回った際、その8割を補償する制度であり、とても価格維持には結びつかず、本年産の状況を見てもおわかりのように、生産調整も価格維持を確立するものとは言えないことがまさに証明されております。
 かつて、米価審議会の答申を得て、政府米買い入れ価格を決定していた時期がありました。そのときの価格決定の重要な要素は生産費でしたが、最後の米審となった平成6年の米価審議会に提出された農業団体による米1俵60キログラム当たりの生産費は1万7、700円となっておりました。それと比べると、本年産米は4、000円から5、000円下落していることになり、その後の生産の合理化があったにしても、現在の価格では稲作による農家経営は非常に厳しいと言わざるを得ません。
 私は、このような事態が想定されたことから、平成9年12月の定例会において、現在の価格補償制度ではなく再生産価格、いわゆる翌年度、米を生産するために必要な生産費価格を補償する制度を、国に求めるべきであると御提言申し上げました。その当時と比べ、事態はより深刻になってきており、改めて新たな補償制度を国に要望すべきであると考えますが、県当局の御見解をお伺いいたします。
 同時に、当時の私の質問に対する答弁に、国においては収入保険制度の創設も含め検討されている旨の答弁がありました。その件に関して、その後の国の状況はどうなのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、野菜の生産、価格対策についてお伺いいたします。
 本年産野菜の状況は、出荷量、販売額とも低落傾向にあり、平成12年10月末で、ピーク時に比べ、生産量で22.1%、販売額に至っては24%も低くなっております。景気の影響、輸入の増加等その要因はさまざまであろうと思いますが、県はどのような野菜の価格対策をお考えなのかお伺いいたします。
 また、国、県を問わず、セーフガードの発動を求める動きがあるようですが、その見通しについてもお示し願います。
 さらに、県、農業団体、生産者一体となって積極的に取り組み、現在、耕作面積が1、000ヘクタールに達しようとしているキャベツについてお伺いいたします。
 県は、かつての南部カンランの復活を願い、キャベツを本県における野菜の基幹作物と位置づけ、平成9年度から4カ年事業として先導産地育成基金制度を創設し、生産量、面積の拡大を図ってきたところでありますが、その努力の結果、京浜地区の野菜流通の中心である東京都中央野菜卸売市場におけるシェアは、制度創設前の平成8年は8%弱であったものが、昨年は14%弱と飛躍的な伸びを見せ、群馬県に次ぐシェアとなっております。特に、7月は23%に達するシェアであり、このことは県による基金制度創設とそれにこたえた生産者、団体の努力の結果であり、県の取り組みに感謝申し上げるものであります。しかし、残念ながらキャベツも例外ではなく、ことしは採算ラインと言われる10キログラム当たり830円を大きく下回る670円となっております。生産者は、基金の発動によって経営を維持しているのが現状であります。
 このような中、4カ年事業で実施された先導産地育成基金制度が、今年度をもって終了することとなっております。このままでは、ようやく立ち上がろうとしている本県キャベツの産地復活も危ぶまれる状況です。そこで、今後のキャベツの振興策をどのようにお考えであるかお伺いいたします。
 次に、米、野菜の価格の低落とも密接な関連があろうかと思いますが、平成5年に制定された農業経営基盤強化促進法に基づく農業経営基盤の強化と促進に関する岩手県基本方針についてお伺いいたします。
 同法により、県では、認定農業者の数や認定農業者に集約すべき農地の目標面積、営農形態ごとに所得目標も定めた岩手県基本方針を策定し、それを推進してきております。現状では、認定農業者数、集約目標面積は達成可能と思いますが、先ほど述べたとおり、主要農産物の価格の低落傾向を考えると、所得目標の達成は難しいと考えられます。県基本方針の見直しも必要と思われますが、どのようにお考えになるかお伺いいたします。
 さらに、昨年策定した岩手県農業・農村基本計画における畜産の目標についても、同様に達成が困難ではないかと考えられます。特に、肉用牛の飼育頭数が減少する傾向にある中で、目標年次の平成22年には、現状より26%もふえる計画になっており、計画そのものを疑問視する関係者もおられます。中間見直しは行われると思いますが、どのような観点から計画を策定されたのかお伺いいたします。
 次に、岩手山入山規制についてお伺いいたします。
 去る11月7日、県と岩手山周辺の雫石町、西根町、滝沢村等の6市町村長との協議において、入山規制の緩和の方針が決定されました。一日千秋の思いで規制緩和を願っていた周辺地域住民にとっては、まさにことし一番の朗報ではなかったでしょうか。
 私自身、岩手山のすそ野に住む者として、同様の思いを持っておるものであります。岩手山火山対策そして入山規制の問題については、これまで何度となく一般質問、特別委員会における質疑等で取り上げてまいりました。またかと思われるようで心苦しいのですが、周辺地域住民の生活、そして本県の観光振興のためと御理解いただきたいと思います。
 去る11月9日、災害対策特別委員会が岩手県商工会連合会、ペンション経営者、観光業界それぞれの代表者3名を参考人として招致して開催され、岩手山入山規制による地域経済に及ぼす影響の実態、今回の緩和に伴って今後どのような対策が必要なのか等、活発な意見交換がなされました。商工会連合会から提出された個人のコメントを入れた影響調査結果では、細かいことは述べませんが、入山規制の地域経済に及ぼす深刻な状況をあらわしておりました。交通、宿泊を含めた観光産業もまた同様であります。今回の入山規制緩和の決定を受け、地域、行政が一体となった岩手山周辺地域の取り組みが望まれるところですが、県においては、今後の観光振興策についてどのように取り組んでいくお考えなのかお伺いいたします。
 次に、私は平成10年11月からの火山性地震回数の急激な減少、火山活動の安定化等から、早期の入山規制緩和を求めてきておりましたが、今回、なぜこの時期に入山禁止を緩和したのか、その理由と根拠をお示し願います。
 報道によりますと、さきの県、6市町村長の協議に当たっては、岩手山火山災害対策検討委員会が承認した入山規制緩和の具体案をもとに検討したとされておりましたが、その具体案の内容についてお示しいただきたいと思います。
 また、入山規制緩和の最終的な決定は、来年6月に火山活動等の状況を見きわめ判断するとしておりますが、最終決定は火山災害対策検討委員会の承認を得て決定されるものであるのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、林業振興策についてお伺いいたします。
 本県は、北海道に次いで118万ヘクタールの森林を有する言うなれば林業県であります。我が国の森林面積上位15道県の中で、素材・丸太生産量では2番目、木材生産額では3番目、面積当たりの粗生産額では8番目となっております。このことから、本県の林業は他県に比べ収益性の低い広葉樹、すなわちパルプの原料であるチップ材の生産が多く、収益性の高い針葉樹生産が少ないことをあらわしているものと考えられます。これは、他県に比べ民有林への針葉樹の植林がおくれた結果とも言えますし、そのことが本県の厳しい林業状況の一つの要因となっていると思われます。
 しかしながら、県行造林事業もおおむね目標の面積を達成し、民間の造林地とあわせ、順次、伐期を迎えようとしており、生産の面から見ると、今後、本県も針葉樹へのシフトがえが進むものと思われます。
 そこで、針葉樹製品にどう付加価値をつけるかが大きな課題と思われますが、県はどのようにお考えであるのか、御見解をお伺いいたします。
 また、平成11年6月23日付で公布されました住宅品質確保促進法により、木材の品質が重視されるようになり、木材の品質向上に欠かすことのできない木材の乾燥施設の拡充が、本県林業振興にとって大きな課題の一つとなっております。県では、この木材乾燥施設の拡充についてどのような取り組みをなされるのかお伺いいたします。
 本県木材産業を一方で支えているのは、零細な製材加工業者であります。今、このような製材加工業者は、ダイオキシン類対策特別措置法による焼却炉への規制強化の中で、製材加工工程で大量に発生する樹皮や端材等の処理という大きな課題を抱え、そのことが経営を圧迫しかねない状況となっております。これに対し、県はどのような指導、支援を考えておられるのかお伺いいたします。
 次に、周産期医療対策についてお伺いいたします。
 少子・高齢化時代を迎え、本県においても合計特殊出生率が平成11年には1.52となっており、人口の維持が可能とされておる2.08を大幅に下回り、国そして本県の将来に不安を持たざるを得ない状況にあります。
 県では、平成10年、少子化に関する意識調査を実施されましたが、この調査によりますと、理想とする子供の数は2人以上と答えた割合は90%以上となっておりますが、2人以上の子供を予定しているという割合となると約65%となっており、その差の25%は、それぞれの事情で、子供が欲しくても産めないものと推測されます。同じ調査で、少子化に対し行政の取り組みを希望する割合が8割を超えており、行政に対する期待は大なるものがあります。しかし、結婚や出産はプライベートな問題であり、行政の関与する余地はほとんどないと言っても過言ではありません。それゆえ、行政としてもこれといった有効な手段がないというのが現状だと思います。
 私は、産婦人科医師のいない町村が59市町村のうち38もある本県において、次善の策として、妊産婦医療の充実は行政が行える有効な少子化対策の一つだと考えるものであります。県が実施している周産期医療対策事業の充実強化が望まれるところですが、現在の状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 また、母子健康手帳交付から周産期前までの間に、死産が昨年約400件もあります。この期間の妊婦の健康管理もまた重要な課題であると思いますが、県ではとのように考えておられるのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、廃棄物対策についてお伺いいたします。
 日々の暮らしの中では余り感じることはないわけですが、高い山に登ったときとか飛行機に乗った際にいつも感じるのは、我々人間は、たった10キロメートル程度の極めて薄い膜に守られて生きているんだという思いであります。その薄い膜の下で、国を初めさまざまな争いが繰り広げられており、むなしい思いを感じているのは私ばかりではないと思います。その地球上の大事なすべての命をはぐくんでいる大気が汚染されている現実を見ますと、背筋が寒くなる思いがいたします。
 地球規模の汚染を防止するためには、まず一人一人が現実を認識し、環境汚染に対する知識を深める必要があると思いますが、子供たちへの教育も含めて、県ではこれまでどのような取り組みをし、今後、どのような取り組みをしていこうとしているのか、まずお伺いいたします。
 本県においても、雫石町内に埋められた農薬の問題、一関市や二戸市の産業廃棄物の不法投棄問題、表面化していないが潜在的な環境汚染は確実に進んでおり、廃棄物処理問題は県政の重要な課題となっております。国においてもその重要性が認識され、矢継ぎ早に環境保全、廃棄物処理等の立法、法改正がなされ、それに伴う要綱、要領の改正等、県においてもその対応に忙殺されておられるものと思います。そのような中で、県は資源循環型廃棄物処理構想素案を示されましたが、今後、どのような取り組みをなされるのかお伺いいたします。
 最後に、森の駅構想と東八幡平地域の振興対策についてお伺いいたします。
 八幡平頂上から松川温泉、そして岩手山ろくに広がる東八幡平、焼走地域の振興策については、私が県議会に初当選した平成7年の今回と同じ12月定例会において質問を申し上げた記憶がございます。今、当時のことが鮮明によみがえってまいりますが、その後、通称奥産道の工事中止という、地域にとっては大きな出来事があり、続いて平成10年7月1日から、岩手山の火山活動の活発化に伴う入山禁止という思いもよらぬ事態となり、スキー客、観光客の減少により、当地域は一層活力を失っております。奥産道工事の中止決定に伴って、知事はみずから現地に足を運ばれ、現地地域住民との対話を通じて当地域の振興策をつくられ、いよいよ来年度から本格的にそれぞれの事業が動き始めることとなっており、その間の知事を初めとする関係部局の御努力には敬意を表するものであります。この計画が、5年前、この場で要望申し上げた当地域の抜本的な見直しにつながることを大いに期待しております。
 そこで、まず、最近新聞紙上をにぎわしています建設済みの奥産道をどのように利用しようとしておられるのか、また、奥産道につながるアクセス道路の整備計画をどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 次に、八幡平頂上のレストハウスにつきましては、老朽化により全面改築に向けた検討がなされているとお聞きしておりますが、改築に当たっては、自然景観とマッチした木造建築としてはどうかと考えているものでありますが、改築に向けた県のお考えをお伺いいたします。
 また、当八幡平の入り口である御在所温泉周辺の整備も検討すべきであると考えますが、どのようにお考えなのか、あわせてお伺いいたします。
 さらに、地元松尾村が強く要望しております柏台地区へのビジターセンターの建設については、県は基本的にどのように考えておられるのかお伺いいたします。
 最後に、今月8日、現地松尾村及び9日に雫石町において、県による森の駅整備計画策定に向けての意見交換会が持たれたとお聞きしております。地域の方々のこの計画案に対する反応、期待はどのようなものであったのか、地域の皆さんの意見を、今後、計画にどのように反映されていかれるのかお伺いいたしまして、演壇からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 田村正彦議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、平成8年の行政改革大綱に基づく組織再編の評価についてでございますが、この組織再編は、保健医療と福祉の連携、それから、地方振興局の一層の機能強化などの当時の行政課題に適切に対応するために進めたものでございます。このうち、保健医療部門と福祉部門の連携につきましては、介護保険導入段階における連携やケースワークと保健指導の同時実施など、保健医療、福祉が一体となった総合的かつ効率的な施策の展開やサービスの提供がなされているところでございます。
 また、土木事務所の地方振興局への統合によりまして、土木部門と農林水産部門など、他の行政部門との一体的な連携が深まりまして、例えば道路、河川、そして圃場整備など、地域における基盤整備の調整が図られまして、地方振興局の総合的な機能が一層強化されたものと考えております。
 さらに、農業技術開発の拠点となっております農業研究センターにつきましても、施設の整備などと相まって、研究環境の一層の充実が図られまして、バイオテクノロジーを活用した花卉などの商品性の高い品種が開発されるなど、平成8年の行政改革大綱で掲げました組織再編の際に目指した効果は、その後着実に発揮されてきているものと、このように考えております。
 次に、組織再編の目的と現場重視ということについてでございますが、今回の組織再編は、従来の組織を生活者、地域の視点から見つめ直して、とりわけこれからの地方分権時代を見据えた行政体制を整備するために、政策立案機能の強化や地域振興機能の充実を図るとともに、県総合計画を着実に推進できる体制に再編しようとするものでございます。
 このため、政策の企画立案、調整機能に加えまして、政策・施策の適切な評価を行って、その結果をさらなる政策・施策に反映できるように、このような趣旨で総合政策室というものを設置いたします。それから、地方振興局や市町村が個性豊かな地域づくりを推進する上で、その機能を十分発揮できるよう、これらを総合的に支援する地域振興部というものを新たに整備するものでございます。
 また、夢県土いわての創造に向けた具体的な目標である環境共生などの総合計画に掲げる五つの社会を実現するための施策を着実に推進できるように、環境生活部、農林水産部などへの再編を図るものでございます。
 なお、今、議員御指摘のございました環境生活部でございますが、エネルギー関係業務や休廃止鉱山対策など、他の部からの移管も含めて、環境に関する業務を広く集約して、総合計画においても特に重視しております環境施策の推進体制を一層強化するものでございます。
 もとより、今回の組織再編におきましては、新しく設ける地域振興部が、総合政策部門や農林水産部などの基幹業務部門との協調・連携を図りながら、地域づくりの現場である地方振興局や市町村を支援していくこととするなど、現場における業務が円滑に実施されるよう配意をしたところでございまして、今後、各部の事業推進体制も地域課題に的確に対応できるものとすることとしておりまして、全体として、より現場重視の体制が実現されていくものと考えております。
 次に、新たな税制についてでございますが、地方分権の時代における地方税制は、住民の受益と負担の対応関係が明確で、地方団体の財政面での自立性・自主性の基盤として必要な税収が確保されるだけではなくて、公共サービスを安定的に提供する必要があるため、できる限り安定的で税収変動の少ないものであることが望まれるわけでございます。
 このような観点から現在の地方税制を見ますと、市町村税につきましては、これは最大税目が固定資産税ということになってございますが、この固定資産税は、安定性にすぐれた独自税源として存在しているわけでございます。都道府県税におきましては、最大税目が法人事業税ということになってございますが、この法人事業税は所得を課税標準としておりますので、その税収は景気変動の影響を受けやすく、極めて不安定な状況となってございまして、都道府県の財政運営に少なからぬ影響を与えているところでございます。
 このことから、法人事業税に外形標準課税を導入して税収の安定化を図るということは、地方分権を推進する上で極めて重要な課題であると考えておりまして、このたびの自治省の改革案は、全国知事会要望や、一方で経済団体などからの懸念をも十分に踏まえて、中小法人・雇用・ベンチャー企業などに対してきめ細かに配慮するとともに、改革に伴う税負担変動を緩和するため段階的に導入することとされておりまして、私ども地方団体としては、早期に制度化を図るべきものと考えております。
 また、法定外普通税・法定外目的税についてでございますが、地方団体が地域住民の意向を踏まえて、みずからの判断と責任において課税自主権を活用することにより財源確保を図ったり、あるいは環境税制のように政策実現を図ることは、地方分権時代においてますます重要になってくるものでございまして、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、地球環境汚染防止への取り組みについてでございますが、地球環境への負荷の少ない循環型の社会を築いていくためには、私たち一人一人が人間と環境とのかかわりについて理解を深めて、環境に配慮した行動をとっていくことが極めて重要であると考えております。
 このため、11月3日から5日間にわたりまして、循環型地域社会の創造をテーマとして、環境ミレニアムフォーラムを県で開催したところでございますが、その中で、県民運動として一人一人が岩手の環境を守るために取り組むべきことを、環境首都創造いわて県民宣言として決議したところでございます。
 また、環境家計簿を活用したエコライフ実践活動を試験的に実施し、ただいまその成果を全家庭に普及していくこととしておりますほか、地域での実践活動家を育成するためのエコスクールいわての開催や、環境アドバイザーの派遣などを行っているところでございます。
 特に、子供の時代から自然との触れ合いを通じて環境を大切にする心を育てるため、北東北子ども環境サミットを開催いたしておりますほか、環境副読本を作成してすべての小学校に配布するなど、環境教育の充実に努めているところでございます。
 今後におきましても、来年度できるだけ早く全世帯に環境家計簿配布をいたしますほか、最新の環境情報を県内各地で容易に得ることができるよう、環境保健センターに環境情報提供の中核的な機能を整備して、各地方振興局の環境情報センターとネットワーク化を図るとともに、県内での環境学習を進める上で中心的な役割を担う施設として、盛岡駅西口複合施設に環境コミュニティプラザを整備するなど、環境に関する普及啓発活動に積極的に取り組んでいく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、外形標準課税を導入した場合の税額の増減についてでありますが、自治省の改革案にはさまざまな配慮や経過措置が盛り込まれておりまして、これらのすべての条件を考慮して税収を見込むことは現時点では困難でありますが、自治省が平成12年度地方財政計画をもとにしまして、制度が将来定着し平準化したときの法人事業税全体の税収額を約4兆円と推計しておりますので、全国と本県の税収構造が同じであると仮定し、この4兆円に本県のシェアを勘案しますと約250兆円(後刻「約250億円」と訂正)と見込まれまして、平成11年度の本県の法人事業税の税収額252億円とほぼ同程度になるものと考えております。
 次に、岩手山の入山規制についてでありますが、本年6月に関係6市町村長と県との間で、本年度の入山規制の取り扱いにつきまして協議を行い、この結果、岩手山の西側は火山活動の状況から見て緩和は難しいこと、また、東側は火山活動が切迫した状況にはないものの、情報伝達等の安全対策が未整備であることから、本年度も入山規制を継続すること、本年度は規制緩和のための準備期間と位置づけ、ハード・ソフト両面にわたる安全対策を着実に進めていくことなどの合意を得たところでありまして、これまで、関係市町村などと一体となりまして、岩手山の現地調査や会議を鋭意開催し、規制緩和に必要となる安全対策などの検討を進めてきたところであります。
 今回、この検討結果がまとまりましたことから、11月7日に関係6市町村長と県との間で入山規制について協議を行い、規制緩和方針を決定したところでありまして、その際には、岩手山火山災害対策検討委員会におきまして、専門的な立場から情報伝達設備等の安全対策などにつきまして御意見をいただいたところであります。
 関係6市町村長と県との協議におきましては、大きく、第1に、切迫した状況にないとされる東側の4ルートにつきまして、情報伝達設備などの安全対策を講じた上で来年7月1日に規制緩和を行うこと、第2に、今後においては関係6市町村長、県、国、防災関係機関、学識者、観光事業者、山岳関係者等が相互に連携を図りつつ、それぞれの立場で果たすべき安全対策を講じていくこと、それから第3に、登山者に対しまして啓発をしっかりしていくことなどの合意が得られたところであります。
 この規制緩和の最終的な判断は、来年6月に開催予定の関係6市町村長と県との協議の場において、火山活動の状況等を確認の上行うこととしておりますが、いずれにいたしましても、現時点においては、来年7月1日の一部規制緩和に向けまして、必要となる予算措置、情報伝達設備の製作、許認可事務及び関係機関との協議等、火山との共生に向けた取り組みを関係市町村とともに着実に進めてまいる考えであります。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) まず、米の価格対策、支援対策についてでありますが、今回の平成12年度緊急総合米対策では、食料援助用備蓄や生産調整の拡大などにより、在庫を縮減し価格の早期回復を図るとともに、稲作経営安定対策については、特別支払いの要件緩和や補てん基準価格の据え置きなどの特例的な措置が講じられたところであります。
 国におきましては、米の価格が需給事情及び品質評価を適切に反映して形成されるよう、適宜、稲作経営安定対策の見直しを行うこととしているところでありますので、県といたしましては、今後とも稲作農家が将来にわたって安心して営農にいそしめるよう、稲作経営安定対策の一層の充実・強化について国に要望してまいりたいと考えております。
 また、収入保険制度についてでありますが、国においては、今後の農政の展開方向に即しつつその必要性を検討することとしており、直ちにこの制度を導入することは困難であると伺っておるところでございます。
 次に、野菜の生産、価格対策についてでありますが、野菜価格の著しい低落による野菜経営の影響を緩和するため、国の野菜価格安定制度に基づく生産者補給金の交付を行うとともに、国の制度の対象とならない産地や野菜品目につきましては、県独自の制度を創設し、生産者の支援を行ってきたところであります。
 近年、野菜価格が低迷しておりますことから、全国知事会等を通じて、国に野菜の価格安定対策の充実につきまして要望してきたところでありますが、国においては、生産補給金の早期交付を検討していると伺っており、県といたしましても同様の対応をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 また、セーフガードの発動の見通しについてでありますが、農林水産省では、ネギ、ピーマン等6品目を対象に、セーフガードの発動に向け、産地の損害状況等の把握を行うとともに、関係省庁による調査の要請を行ったところであります。セーフガードの発動には、正式な政府調査、さらには関係国との協議等を経る必要がありますことから、今後の動向を注視してまいりたいと考えております。
 次に、今後のキャベツの振興策についてでありますが、農家が引き続き意欲を持ってキャベツの生産に取り組んでいくためには、経営の安定を図ることが重要であります。したがいまして、これまで実施してまいりました先導産地育成基金制度につきましては、出荷団体と生産者が再造成を行い、引き続き出荷団体によって主体的に運営がされるよう誘導してまいりたいと考えております。
 一方、春系キャベツの責任産地といたしまして定着しつつある地位を一層高めていくことが必要でありますので、キャベツの機械化一貫体制を導入するなどにより、省力・低コスト化を進めるとともに、グリーンヘルパー制度の定着、連作障害の防止に向けた技術指導の徹底を図るほか、有利販売の期待できる夏さやかにシフトした作付拡大を進め、長期安定出荷を促進してまいる考えであります。
 次に、農業経営基盤の強化に関する基本方針についてでありますが、この基本方針は、農業経営基盤強化促進法に基づきまして、10年間を見通して農業経営の目標等を明らかにしたものであり、策定後、おおむね5年ごとに見直すこととされておりますことから、昨年12月にその見直しを行ったところであります。
 この見直しの中で、年間農業所得目標につきましては、農業を職業として選択し、魅力とやりがいのあるものとするため、他産業従事者と遜色のない水準となるよう、860万円程度として設定したものであります。
 今後におきましては、高収益作目の組み合わせや施設化による長期安定生産、農地の利用集積による経営規模の拡大、さらには高性能農業機械・施設の導入による低コスト・省力化など、総合的な対策を講じて所得目標の達成に努めてまいる考えであります。
 次に、岩手県農業・農村基本計画における肉用牛の飼養頭数の目標についてでありますが、国が本年3月に策定いたしました食料・農業・農村基本計画における牛肉の生産努力目標値との整合性を図りつつ、本県の広大な草資源等立地特性を生かして、我が国の肉用牛主産地としての役割を担う頭数の確保を基本に据えまして、本県農業の所得目標の実現を図る観点から目標頭数を設定したものであります。
 この目標を達成するため、今後ともその中核となる繁殖・肥育農家での飼養規模拡大や肥育経営体の育成による地域一貫生産体制の確立、さらには、品種の特性を生かした低コストで高品質な生産を推進するとともに、肉用牛経営支援組織の育成等を図り、効率が高く、ゆとりある肉用牛経営の実現を期してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、岩手山の入山規制緩和に伴う観光振興策についてでありますが、県では、これまで地元市町村、観光事業者などと一体となりまして、スキーモニターツアーなど、各種のキャンペーンを展開し、岩手山周辺地域の観光客誘致に努めてまいりました。
 この地域の観光客の入り込み客数は、平成12年上半期で若干、2万人程度ですが増加に転じまして、全体としては回復傾向にありますが、地元の観光事業者などの経営環境は、依然厳しい状況にあるものと認識しております。
 このため、地元市町村、八幡平国立公園協会、県、そして県観光連盟におきましては、今後の入山規制緩和に向けまして、目下、観光客誘致のための協議を行っているところであります。その方策としては、岩手山周辺地域の安全性周知のためのパンフレット作成、岩手山の山開きを視野に入れての各種イベントやキャンペーンの実施、それから、マスコミや旅行代理店などに対する観光PRの実施などを確認しているところでありますが、今後、さらに具体的に内容を詰めてまいりたいと考えております。
 次に、八幡平レストハウスの改築に当たっては木造建築でとの御提言ですが、ことし4月に八幡平山頂展望休憩等施設整備計画検討委員会を設置いたしまして、その整備のあり方を検討してまいりました。この検討委員会の提言として、岩手、秋田両県が協力の上、既存施設の機能を一体化して新しい山頂施設の整備を行うこと、バリアフリーや環境保全に配慮すること、また、施設の構造については、周辺の自然環境や景観にマッチする木造がふさわしいという提言をいただいております。その趣旨を尊重いたしまして進めてまいりたいと考えております。
 また、御在所地区の整備についてでありますが、この周辺は御在所園地や温泉が存在する観光スポットとなっておりますことから、バスや自家用車が十分に駐車できるスペースと公衆トイレを平成13年度をめどに整備することとし、既に今年度、用地測量と実施設計に着手しておりまして、八幡平の中継基地にふさわしい環境整備に取り組んでいるところであります。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) 林業振興策についてでありますが、木材産業においては、経済環境や関連諸制度の変化を踏まえつつ、消費者に受け入れられる製品の加工・流通体制を不断に整備していくことが重要であることから、県におきましては、関係業界団体とも密接に連絡調整を図りつつ、施策を推進しているところであります。
 このような中で、まず、針葉樹製品の高付加価値化につきましては、県内で育成されている針葉樹の特性を生かし、杉を利用した集成材の柱、カラマツを利用した中・大断面集成材など、加工度の高い製品の生産体制の整備を推進してきているところであります。
 また、本県を代表するアカマツの用途の拡大が重要な課題であることから、林業技術センターと民間企業との共同研究により、木材の表面にかたい塗装を施したいわゆる表面硬化材等の開発を進めてきたところであり、今後、住宅部材の商品化に積極的に取り組むなど、高付加価値製品の安定供給に向けて、体制整備を一層促進することとしております。
 次に、木材乾燥施設の拡充につきましては、現状では乾燥コストを製品価格に転嫁できないこと等のため、既存施設が十分には稼働していない実態にあり、また、乾燥材のシェアは製材品出荷量の1割程度にとどまっております。
 このため、まずもって既存施設の有効利用が肝要であることから、木材乾燥技術者の養成研修など、ソフト面の支援や業界団体の乾燥材の需要拡大に向けた取り組みとともに、今後、関係者の意向を踏まえつつ、効率的で低コストな乾燥拠点施設の整備を促進する等により、乾燥材の供給体制の確立を図ってまいりたいと考えております。
 さらに、製材加工工程で発生する樹皮や端材等の処理につきましては、樹皮や端材を畜産における敷料など、木質資源としての有効利用への取り組みを強化するとともに、木質バイオマスエネルギーとしての利活用についても調査検討を進めることとしており、以上申し上げました課題につきましては、いずれも林業・木材産業関係者、また団体における合意形成を基本としながら、各種助成をも導入いたしまして、引き続き積極的に対処してまいりたいと考えております。
 次に、森の駅整備計画(案)についてでありますが、これは、昨年盛岡地方振興局が策定いたしました岩手山周辺地域振興ビジョンに掲げられている三つの振興方向のうち、環境学習・教育の推進に関する事業の具体化を目的とするものであり、本年2月に県が松尾村及び雫石町の参加を得て検討委員会を設置し、この圏域における豊かな自然環境資源等を自然博物館、いわゆるエコミュージアムとして整備することを方針として検討してきたものであります。
 先日開催いたしました両町村の意見交換会におきましては、地域の方々から、多くの人々が来訪するよう案内施設に特徴を持たせること、森林散策のための歩道やシャトルバスを整備すべきことなどの広範かつ具体的な御意見が出されたところでありますが、この計画の構成や整備方針につきましては、おおむね御理解をいただいたものと考えております。
 これらの御意見の反映につきましては、振興ビジョンにおいて、観光を初めとする産業振興及び新しい交流回廊の創造が環境学習・教育の推進とともに振興方向として定められていることも踏まえ、それぞれの担当部局において適切な位置づけについて検討しているところでありますが、森の駅整備計画については、所要の調整を行い、年内に決定する予定としております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 妊娠満22週以後生後7日未満のいわゆる周産期医療対策についてでありますが、平成11年に、医療関係団体や市町村の代表者等から構成される岩手県周産期医療協議会を設置し、本県における総合的な周産期医療体制のあり方や施設設備について協議を行ってきたところであります。この周産期医療体制の構築に当たっては、周産期医療が適切かつ効率的に提供されるよう、産科と小児科を標榜する周産期医療機関の機能分担やそれに基づく医療機関相互の連携体制を強化することが重要であります。このため、3次医療を担う総合周産期母子医療センターとして岩手医科大学附属病院に既存の新生児集中治療管理室18床に加え、新たに母体・胎児集中治療管理室9床を整備するとともに、2次医療を担う地域周産期母子医療センター3施設、及びこの機能を補完する周産期母子医療センター協力病院10施設からなる医療体制を構築しているところであります。また、適切な周産期医療が提供されるよう、現在、周産期医療関係者に対する研修を実施しており、平成13年4月から東北、北海道では初めてとなる周産期医療体制の運用を開始することとしております。
 一方、母子健康手帳交付から周産期前までの妊婦の方々の健康管理につきましては、市町村における妊産婦健康審査や訪問指導等の母子保健事業の実施に対して必要な支援を行っているほか、一定の要件を満たす妊娠5カ月以上の妊産婦の方々が疾病に罹患した場合においては、県単独の医療費助成事業が実施されることとなっており、これらの事業などを通じて妊婦の心身の健康を保持してまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) まず、資源循環型廃棄物処理構想の取り組みについてでありますが、この構想は、本県で発生するごみは原則的に本県内で処理することなどを基本とし、これまでの焼却、埋め立て中心の廃棄物処理から、できるだけ再利用、熱回収を進め、その上で適正に処分するなど、本県の実情に即した廃棄物の資源化や適正処理を推進いたしまして、今後の循環型地域社会の進むべき方向を示すものであります。
 御指摘のありました不法投棄問題につきましては、その防止対策のよりどころとなるものというふうに考えてございます。この素案では、排出者責任を明確にしながら、一般廃棄物と産業廃棄物の共同処理を進めるという考え方を持ってございまして、この考え方のもとにごみ処理広域化計画、これは一般廃棄物の計画でございますが、この6ブロックと整合をとりながら、産業廃棄物の地域特性を踏まえた、例えば県北地域では農林水産業型、県南・沿岸地区では工業型のエコタウン構想を進めるなど、各ブロックごとに方向性を示しております。あわせて、県内の地域バランス等を考慮いたしまして、これらのモデルとなる施設を公共関与により盛岡以北に整備する方向で検討することなどを提案してございます。これらにつきましては、現在、実施いたしておりますパブリックコメントの結果も踏まえて検討してまいりたいと考えております。
 次に、柏台地区に建設予定のビジターセンターについてでありますが、このビジターセンターは環境庁の緑のダイヤモンド計画におきまして、八幡平・岩手山北側の玄関口から適正な情報を発信する拠点といたしまして、県が整備することとしているものでございます。また、森の駅整備計画におきましても、その中核施設であります北駅として位置づけようと考えているところであります。
 具体的には、雄大な岩手山あるいは八幡平の大自然が満喫できる映像設備、展示施設及び貴重な動植物等の自然環境情報を提供できるよう検討しているところであります。また、施設規模や整備内容等につきましては、地元の松尾村を初め、関係自治体等と十分協議して整備してまいりたいというふうに考えております。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) まず、一般県道雫石東八幡平線、通称奥産道の利用についてでありますが、現在、検討が進められております森の駅整備計画との整合を図りながら、活用計画を検討することといたしております。その検討に当たりましては、自然環境や景観に関する学識経験者、それから地元町村長などの行政機関、観光団体、自然保護団体、山岳団体などの関係者及び雫石町、松尾村、盛岡市在住の公募によった委員で構成される一般県道雫石東八幡平線活用計画検討委員会を、本年8月末に設置したところであります。
 整備済みの車道の活用方法につきましては、この委員会において、マイカーの乗り入れ制限位置などが異なる三つの案を基本に検討をいただいているところでありまして、今後、年度内を目標に提言をまとめていただく予定といたしております。
 県といたしましては、委員会からの提言を踏まえ、関係機関との調整を経て、早期に活用計画を策定したいと考えております。
 次に、網張地区及び松川地区へのアクセス道路の整備についてでありますが、今年度、岩手山周辺地域振興ビジョン関連道路整備事業を創設いたしまして、網張側につきましては、玄武地区において落石危険箇所の切りかえ工事を、松川側につきましては、森の大橋付近から松川温泉側の急勾配、急カーブが連続している箇所の局部改良工事を行うこととしておりまして、現在、それぞれ実施に向けた調査を行っているところであります。
 今後とも、これらの整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇25番(田村正彦君) 何件か再質問をさせていただきます。
 まず、農業問題でございますけれども、部長からは御答弁いただきましたが、ただ、その答弁をお聞きいたしておりますと、何ら具体的な、こうやるんだというような県の方針というのが見えてこないわけでございます。例えば、今現実に厳しい価格低落傾向にある米の問題にしましても、従来の生産調整あるいは経営安定対策、こういったもので対応していくんだというような御答弁だったわけでございますけれども、私は一般質問、演壇から申し上げましたとおり、その施策の限界というのがもう来ていますよと、これに対してどうするんですかというような質問を申し上げたつもりなわけです。
 前回も私申し上げたんですけれども、WTOの問題も確かにあるわけですけれども、ただ、我が国の食料の根幹である米については、やはりどうしても再生産につながるような価格の補償という言葉はどうなんですか、いずれ、そういった価格を補てんする抜本的な仕組みをつくらないと、せっかく今まで進めてきた基盤整備にしても法律に基づく集約化にしましても、崩壊の危機に瀕しているというのが、現実、我々地域で暮らしている者にとってはそう感じております。
 私、改めてお願いするわけでございますけれども、前回も申し上げましたが、やはり岩手県だけで云々ではなく、これは国家政策ですので、県だけで云々ではなくて、やはりこういった米の主生産県、こういった各県と連絡を取り合って、どうあるべきか、どう地方は要望しているのかと、こういったことをやはり連携をとる場面というんですか、そういった場所をやはりつくっていく必要があるのではないかというふうに私は感じております。そういったことから始めていかなければ、なかなか、今ある制度の手直しでは、これはもう、繰り返しになりますから抜本的なものにはなっていないと、そう思うので、前回も申し上げましたけれども、各県との協調にはどういうお考えを持っておられるのか、お尋ね申し上げたいと思います。
 各種の目標設定の件でございますけれども、いみじくも部長答弁にありました。国の基本計画との整合性を図った上での目標だと。下からの積み上げの目標ではないと。逆を返せばそう解釈されるわけですけれども、先ほども演壇から申し上げましたとおり、現実とは大分かけ離れた目標設定に、これは国との整合を図った上での結果だろうというふうには思いますが、特に肉用牛のような場合に、今、毎年毎年5%の単位で飼養頭数が落ちてきているわけです。そういった現実の中で、果たして平成22年までに26%もアップできるのか。しようとするのであれば、どういった増頭に向けての具体策があるのか。
 例えば、これも私は常日ごろ申し上げておりますけれども、公共牧場の利用増進、整備、百数十カ所が県内にあると思いますけれども、こういった公共牧場の整備を図りながら増頭を図っていく、そういった具体的なものがなければ、ただ目標数字ではなかなか地域の人たちには受け入れられないのではないのかというふうに考えますので、どういった具体的な施策をとってこの目標達成を図っていくのだという一つの答弁が私は欲しいわけです。
 次に、順番がずれるかもわかりませんけれども、環境問題についてお尋ねしますが、答弁に各ブロックを想定してこれからは進めていくのだと、処理問題を進めていくのだと、そしてまた、県北地域には公共的な処理施設を考えていくというような答弁だったというふうに私は思うんですが、この際、県北地域につくろうとしている公共的な処理施設、これにどうでしょうか、今、盛んに注目を浴びております溶融炉、こういったものも視野に入れた取り組みというのは可能なものかどうか、こういったものも考えながら私はやっていくべきだというふうに思うわけなんですが、どういう見解をお持ちなのかお伺いします。
 次に、岩手山の入山禁止緩和に伴っての施策の件ですけれども、緩和の周知徹底を図るというような、今後はそれを図っていくのだという答弁がありました。御案内のとおり、緩和についてはマスコミ等でも大変取り上げられました。ただ、いかんせん、地元紙あるいは全国紙においても地方版だけで取り上げられているというのが現状なわけです。これをぜひ早いうちに、全国的なキャンペーンに乗り出してもらいたい。来年の6月、7月に決定してからでは、私は遅いと思うんです。今のうちからこういった事態には緩和になりますよと、その際にはぜひ岩手の展望を楽しみくださいというような早期の対応というのが私は望まれると思いますし、演壇から申し上げましたとおり、地域の観光あるいは商工連合会の代表の方々も、やはりそういった観点から要望が出されておるわけです。そういった件についてどのようにお考えになっておるのか、お伺いいたします。
 次に森の駅構想、これは奥産道中止に絡んでの地域対策の一環として打ち出されたわけでございますけれども、答弁でおわかりのとおり、この森の駅構想に絡んであるいは地域対策に絡んでは各部局にまたがっております。土木部、林業水産部、生活環境部、地方振興局、商工労働観光部、ありとあらゆる部局にまたがった地域政策です。これを今仄聞するところによりますと、林業水産部が主体性を持っておやりになっているというふうに聞いております。こういった総合的な地域課題に取り組むあるいは地域振興策、こういったものはやはり企画振興部が総合的に指揮をしていくというんですか、そういった方が私はよりスムーズにこの仕事が進むのではないかというふうに思うわけです。各部局ごとに、それぞれの地域でそれぞれの課題について取り組むというより、それを企画の方で調整しながら振興局とともにこの事業を進めていくというのが私は理想的だと思うし、その方がスムーズにいくのではないのかというふうに感じておるわけですが、その辺についての御当局の御見解をお伺いしたいと思います。
 最後に、土木部の奥産道の今後の利用計画なんですけれども、私はあの道路の今後の維持管理というのは大変な県にとっては課題であろうというふうに思います。御案内のとおり、もう既に現地視察をしておわかりのとおり、既につくった道路が地割れ、路肩崩壊が起きているわけです。そういったものを今後どうやって維持管理していくのか。そのためには、どうあの道路の活用策を考えるのか。
 私が御提言申し上げたいのは、網張側からと松川側からの終点を私はぜひ歩道で結んでほしいと。そのことによって、あの奥産道の既存のルートの維持管理というのがスムーズにできるのではないのかなというふうに思っております。その辺のことについて、土木部長の御見解をお願いいたします。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) 米の価格対策ということで、再生産につながるような仕組みが必要ではないかということ。主産県と協調、連携して運動を展開してはどうかといった御質問でございますが、今回の国の緊急総合米対策におきましては、先ほども申し上げたように、在庫の縮減でありますとかあるいは補てん基準価格の据え置きなどの特例措置というものが講じられたわけでございます。と同時にまた、今回の緊急対策におきましては、新しい経営所得安定対策について速やかに検討に入ることとするというふうにうたわれておりますし、また、食料・農業・農村基本計画実施プログラム、これにおきましては、農業経営全体の安定を図る観点から、農産物の価格の変動に伴う農業所得の変動を緩和する仕組みについて検討するというふうになっております。県といたしましては、県独自はもちろんのこと、東北自治協議会の場など広域的な観点に立ちまして、これまでも米の需給と価格の安定対策について働きかけてきたわけでございますが、今お話しございましたように、稲作農家の方々が将来にわたって安定経営ができるような、先ほど国の対策として今後詰めていくという対策も出ておりますので、それが具体的に早期に実施されるように米主産県として関係機関、団体、一丸となって要請してまいりたいというふうに考えております。
 次に、肉用牛の飼養頭数について、具体的に計画達成のため、どう取り組むのかという御質問でございます。これにつきましては、肉用牛振興対策事業等によりまして、優良雌牛及び肥育素牛の県内保留、これを積極的に促進するほか、また、肉用牛の生産の効率化さらには肉用牛の生産基盤の強化を図るということで、優良牛の改良増殖を進めるということにしております。また、あわせて公共牧場を積極的に活用した黒毛和種の放牧促進でありますとか、あるいは繁殖肥育の生産団地いわゆるキャトルセンター、そういったものを整備し増頭を図ることといたしております。
 また、これらのキャトルセンターの整備に当たりましては、ことし7月に策定いたしました岩手県肉用牛振興方針、これに基づきまして、農協が主体となって地域の実情でありますとかあるいはそれぞれの地域の特徴を踏まえたアクションプランをつくりまして、地域に根差した取り組みを行うということにいたしております。したがいまして、こうした取り組みを進めながら計画の達成ができるよう、最善の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) ただいまの御質問は、整備する施設などにつきましての御質問でございました。この施設整備は、処理の対象となる廃棄物の種類とかあるいは量とか、それから再生されたものが実効性ある利用になるかとか、それからエネルギーの回収が効率的であるとか、それから環境に対する影響、例えば化石燃料を使わないようにもっていきたいわけでございますけれども、そういう点、それからコストの問題とか、こういうさまざまな観点から、今後、検討していく必要があるというふうに考えてございます。
 御提言のありました溶融炉につきましても、例えば焼却施設ですとストーカ方式とか流動床型とかあるわけでございますけれども、これ以外にも例えば溶融炉につきましても高温ガス化とか低温とか、まだ私も十分勉強していないんですが、まだ溶融炉の中でも種類があるそうでございまして、こういうものを、今後、専門家の意見等もお伺いしながら研究してまいりたいというふうに考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) 入山緩和の周知徹底についてでございますが、岩手山山開きを見据えての各種イベントあるいは周辺安全性の周知、これにつきましては入山規制緩和が確実、最終判断、そういう時点を見据えながら、そのタイミングを見計らいながら準備を進めてまいりたいと考えております。
 それから、入山とは直接関係ないいわゆる周辺地域での、安全な地域での観光につきましてはこれからも順次PRしてまいりますし、今年度上半期で増加傾向に転じましたので、さらにこれを全国に向けてこういった岩手山周辺、安全な地域での周辺については今も進めておりますし、これからも着実にPRを進めてまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) 岩手山周辺地域の振興施策での窓口の問題で、いろいろ多部にまたがっているので林業水産部よりも企画振興部がその窓口であった方がいいのではないかという御提言でございました。
 先ほど振興ビジョンの策定の手順、それから森の駅の計画のつくり方の御報告、それからまた、一般県道雫石八幡平線の活用計画の今の取組状況、各関係部長から答弁があったとおり、いわゆるビジョン段階から具体の実行段階に入っているわけでございまして、今後とも関係部局一体となった連携のもとに、着実に実行していただきたいものだと考えておるところであります。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) 奥産道の利用計画に関するお尋ねでございますが、整備済みの部分は、当然道路法の適用を受ける道路でございますので、供用する区間は健全な管理をする必要があるということは当然でございます。そのためには、それぞれの終点間を何らかの形で連絡できることが必要と考えておりまして、現在、活用計画検討委員会で検討いただいております案はそれぞれ、お話のございましたように、歩道で連絡することを基本に考えておるところでございます。
 今後とも、ただいまの御意見を重く受けとめまして、検討を進めてまいりたいと考えております。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 大変失礼しました。先ほどの私の答弁の中で、外形標準課税を導入した場合の税額の見込み額につきまして、約250億円と申し上げますところを約250兆円と申し上げまして、正しい数字は250億円でございます。大変失礼いたしました。ここに訂正させていただきます。
〇議長(山内隆文君) 総務部長の訂正の発言がございました。当職において議事録を整理いたします。
 次に、佐々木俊夫君。
   〔49番佐々木俊夫君登壇〕(拍手)

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