平成13年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成13年3月12日(月)
   

1開会    午前10時5分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長      和美宏幸
議事課長      熊谷素紀
議事課長補佐    千田正和
主任議事管理主査  浅田和夫
議事管理主査    浅沼 聡
議事管理主査    森 達也
議事管理主査    熊谷正則
議事管理主査    下山義彦

1説明員
副知事       千葉浩一
総務部長      武居丈二
総務部次長兼行政システム改革室長 佐藤 勝
総務部次長兼県立大学室長 保坂貢一
首席政策推進調査監 小原富彦
参事兼人事課長   邨野善義
総務学事課長    宮舘壽喜
財政課長      池田克典
税務課長      菅原晴輝
消防防災課長    小野寺 博
企画振興部長    佐藤 徳兵衛
企画振興部次長   赤津征男
企画振興部次長   相原正明
並行在来線対策室長 中村世紀
企画調整課長    阿部 健
地域政策課長    菊池秀一
市町村課長     福田 毅
情報科学課長    古沢真作
   

〇和美議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。
 出席委員中、船越賢太郎委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 船越賢太郎委員、どうぞ委員長席に御着席願います。
   〔年長委員船越賢太郎君委員長席に着く〕

〇船越賢太郎年長委員 余人をもってかえがたい、だれも侵すことのできない年長委員の船越賢太郎でございます。よろしく御協力をお願いします。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇船越賢太郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇船越賢太郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に中屋敷十君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました中屋敷十君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇船越賢太郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました中屋敷十君が予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました中屋敷十君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 中屋敷委員長、委員長席にお着き願います。
   〔予算特別委員長中屋敷十君委員長席に着く〕

〇中屋敷十委員長 ただいま予算特別委員長に御推挙いただきました。本当に光栄でございますとともに、その責任の重さを感じております。
 21世紀最初の平成13年度予算の審議でございます。活発な質疑の展開を御期待申し上げますとともに、円滑な議事運営を図りたいと思いますので、委員各位の御指導、御協力をよろしくお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇中屋敷十委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇中屋敷十委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇中屋敷十委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に佐々木一榮君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました佐々木一榮君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇中屋敷十委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました佐々木一榮君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました佐々木一榮君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 佐々木副委員長、ごあいさつをお願いします。

〇佐々木一榮副委員長 ただいま平成13年度予算審議に当たりまして予算特別委員会の副委員長に御推挙をいただきまして本当にありがとうございます。
 中屋敷委員長を補佐し、円滑な議事運営に努めてまいりますので、委員各位の御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

〇中屋敷十委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案35件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から16日まで、19日、21日及び22日の8日間は、関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、議案35件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、22日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇中屋敷十委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。議案第1号から議案第21号まで、議案第31号から議案第38号まで、議案第40号、議案第42号、議案第46号、議案第48号、議案第50号及び議案第51号の以上35件を一括議題といたします。
 これより平成13年度予算の総括説明を求めます。

〇武居総務部長 予算の総括について御説明申し上げます。
 本県の財政を取り巻く環境は、経済情勢がなお厳しい状況を脱していない中にあって、県税収入や地方交付税等に多くを期待し得ない一方、公債費が累増するなど、一層の厳しさを増している状況にあります。このような中にあって、平成13年度の予算編成は、21世紀の新たな発展基盤を構築するため、総合計画に掲げる施策の着実な推進を図るとともに、一層の推進が求められる地方分権や広域連携の重点的な取り組みに向け、中期的な財政見通しのもとに、政策評価結果による施策重点化方針に配意しながら、限られた財源を重点的かつ効果的に配分することを基本として編成したところであります。
 予算の概要について申し上げますと、歳入においては、財政の健全化に配意し、県債の発行を極力抑制するとともに、使用料、手数料の見直しや未利用県有地の処分を進め、基金の取り崩し等の財源確保策を講じたところであります。
 一方、歳出面では、事務事業評価等の評価手法に基づき、事務事業の廃止、縮減等徹底した歳出の合理化と縮減を図るとともに、優先度と緊急度の高い施策を厳選し、施策の一層の重点化、効率化を図ったところであります。
 この結果、当初予算の規模は9、027億8、200万円余で、前年度当初予算対比で0.7%の増となるものであります。
 次に、歳入歳出予算の概要について申し上げます。
 便宜、お手元の予算に関する資料の1ページをお開き願います。
 平成13年度一般会計歳入歳出予算総括表の第1表歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から13諸収入までであり、その総額は3、171億5、900万円余で、前年度当初予算に比べると3.5%の増で、歳入に占める割合は35.1%と、前年度よりも0.9ポイント上昇しております。これは、諸収入が減少したものの、県税や地方消費税清算金が増加したことなどによるものであります。
 また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、14県債でありますが、その総額は5、856億2、200万円余で、前年度当初予算に比べると0.7%の減で、歳入に占める割合は64.9%と、前年度よりも0.9ポイント下降しております。これは、主に地方交付税の減によるものであります。
 次に、歳出でありますが、主要事業につきましては、それぞれの所管部局の審議の際、関係部局長から詳細に御説明いたしますので、款別歳出については説明を省略し、私からは性質別の主なものについて申し上げます。
 ただいまごらんの予算に関する資料の3ページをお開き願います。
 平成13年度一般会計歳出性質別内訳表のうち、まず、人件費は、表の右端の増減率欄をごらんいただきますとマイナス0.0%となっておりますが、これは、人事委員会勧告に沿った給与改定による減額、退職手当の増額などによるものであります。物件費は、新たに美術館の管理運営費などの措置により7.6%の増、また、維持補修費は、道路維持費の増などにより5.0%の増となっております。4ページの扶助費は3.0%の増であります。補助費等は3.4%の増でありますが、これは、利子割交付金や地方消費税交付金が増加したことなどによるものであります。普通建設事業費は4.4%の減となっており、そのうち単独は10.1%の減となっておりますが、これは、美術館や環境保健研究センターなどの整備の終了や東北新幹線建設事業費負担金の減などによるものであります。
 次に、5ページの災害復旧事業費は、平成11年度の大雨災害に係る復旧費等の減により、21.9%の減となっております。公債費は12.1%の増となっておりますが、これは、地方財源不足対策としての財源対策債や東北新幹線建設に係る県債等に係る償還額が増加していることなどによるものであります。積立金は、昨年度は当初予算に計上しておりませんでした中山間地域等直接支払交付金基金への積立金を措置したことなどにより、119.2%の増となっております。出資金は368.8%の増となっておりますが、これは、並行在来線運営会社に対する出資によるものであります。貸付金は、中心市街地活性化基金貸付金やいわて緊急経済対策資金貸付金の確定等に伴い、0.8%の増であります。繰出金は、中小企業振興資金特別会計への繰出額の減などにより、5.5%の減となっております。
 一般会計歳入歳出予算の概要は以上のとおりであります。
 特別会計につきましては、所管部局において御説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。
 なお、歳入、その他につきましては、後ほど佐藤総務部次長から御説明申し上げます。
 以上で総括説明を終わります。

〇佐藤総務部次長 それでは、歳入、その他について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の1ページをお開き願います。
 議案第1号平成13年度岩手県一般会計予算についてでありますが、第1条は、平成13年度岩手県一般会計予算歳入歳出の予算総額を9、027億8、238万円と定めるものであります。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員の給与についての歳出予算の流用を定めたものであります。
 次に、歳入について御説明いたします。
 便宜、予算に関する説明書の3ページをお開き願います。
 まず、1款県税1項県民税は328億5、500万円余で9.5%の増となっておりますが、これは、1目個人県民税が減となるものの、2目法人県民税は企業の業績見通しにより、また、3目の利子割は定額貯金の受取利子等により、それぞれ増収が見込まれることによるものであります。
 次に、4ページをお開き願います。2項事業税は258億1、500万円余、8.1%の増となっておりますが、これは、企業の業績見通しから前年度を上回るものと見込まれることによるものであります。
 3項地方消費税は、地方財政計画などをもとに132億9、300万円余、8.3%の減を見込んだものであります。
 次に、6ページでありますが、4項不動産取得税は36億1、800万円余で0.9%の増となっております。
 5項県たばこ税は27億800万円余、8ページの6項ゴルフ場利用税は5億5、800万円余となっております。
 次に、9ページに参りまして、7項自動車税は210億1、600万円余で0.7%の増となっております。
 10ページの8項鉱区税、11ページの9項狩猟者登録税は、最近の課税実績等を勘案しまして、それぞれの収入見込み額を計上したものであります。
 12ページの10項自動車取得税は46億4、100万円余で0.8%の増となっております。
 次に、13ページ、11項の軽油引取税は220億4、900万円余で1.4%の減となっておりますが、これは、景気動向による物流への影響などを見込んだことによるものであります。
 次に、14ページですが、12項入猟税は、狩猟者登録税と同様に、課税実績等を勘案し、計上したものであります。
 次に、13項は旧法による税で、1目料理飲食等消費税、2目特別地方消費税の滞納繰越分等であります。
 以上で県税が終わるわけですが、県税の合計額は1、266億6、800万円余となり、前年度当初予算額に比べまして32億7、100万円余、2.7%の増となるものであります。
 次に、16ページをお開き願います。16ページの2款地方消費税清算金でありますが、276億5、900万円余、9.7%の増となっております。
 3款地方譲与税は、1項地方道路譲与税は29億3、500万円余、次のページの2項石油ガス譲与税は3億1、500万円余、3項航空機燃料譲与税は1、700万円余とそれぞれ見込んでおります。
 20ページに参りまして、4款地方特例交付金でありますが、3.6%増の10億4、600万円を計上いたしております。
 5款地方交付税は2、695億3、200万円余、4.7%減で計上しております。これは、13年度の地方財政対策で、その一部が地方財政法第5条の特例として新たに発行される臨時財政対策債に振りかえられることになったことによるものであります。
 次に、22ページでありますが、6款交通安全対策特別交付金は6億5、800万円であります。
 次に、7款分担金及び負担金でありますが、まず、1項分担金は、ほ場整備事業など農業農村整備事業等に係る分担金であります。
 次の24ページから26ページまでの2項負担金でありますが、これは、総務、民生、衛生、農林水産、土木及び教育に係る受益者負担金、市町村負担金を計上したものであります。
 27ページは、8款使用料及び手数料で、1項使用料の主なものを申し上げますと、2目民生使用料では、し体不自由児施設使用料、5目農林水産業使用料では漁港施設使用料、29ページに参りまして、7目土木使用料では空港施設使用料、道路、河川の占用料、そして県営住宅使用料、9目教育使用料では、高等学校の授業料や、30ページの下段に書いてありますが、県立大学の授業料などが主なものであります。これらの使用料の総額は、そのページの下欄の計にありますとおり90億2、100万円余で、1億8、900万円余、2.1%の増となっておりますが、これは、県立大学授業料の学年進行などによるものであります。
 次に、2項手数料でありますが、1目総務手数料から34ページの9目教育手数料まであわせて、そのページの計の欄に記載のとおり、総額で30億9、400万円余で、8、100万円余の減となっておりますが、これは、牛乳検査手数料の廃止などによるものであります。
 次に、35ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では、9節母子福祉の児童扶養手当27億5、200万円余、11節扶助の生活保護32億1、900万円余であります。次の36ページの農林水産業費負担金では、1節農業共済団体等事務18億3、400万円余、4目土木費負担金では、1節河川改良の基幹河川改修事業、2節砂防事業などがその主なものであります。5目教育費負担金では、義務教育人件費に係る国庫負担金がその主なものであります。6目災害復旧費負担金まで国庫負担金の総額は、37ページの末尾に書いてありますとおり654億2、378万6、000円となっており、4.8%の減となっております。
 次に、38ページ、2項国庫補助金でありますが、総務費補助金、民生費補助金など、その総額は、56ページまで飛んでいただきまして、そのページの下欄にありますとおり、1、079億6、900万円余で0.1%の増となっております。
 次に、57ページの3項委託金でありますが、総額は59ページの下欄に記載してありますとおり、24億900万円余で27.6%の減となっております。これは、ちょっと戻りますが、57ページの1目総務費委託金の7節委託統計調査における国勢調査の終了などによるものであります。
 次に、60ページの10款財産収入1項財産運用収入は11億8、100万円余を見込んでおり、次のページの2項財産売払収入は、土地等不動産の売り払いなどによる6億9、600万円余を見込んでおります。
 次に、62ページ、11款繰入金1項特別会計繰入金は4億8、900万円余となっております。
 次に、63ページ、2項基金繰入金でありますが、277億9、000万円余となっております。これは、県債の償還に充てるため、県債管理基金から200億円、東北新幹線盛岡以北の整備などの建設事業に充てるため、公共施設等整備基金から40億円繰り入れることにしたことなどによりまして、対前年比では65億6、400万円余、30.9%の増となるものであります。
 なお、平成13年度末の基金残高についてでありますが、財政調整基金は55億1、100万円余、県債管理基金は585億2、900万円余、公共施設等整備基金は202億5、200万円余、3基金の合計で842億9、300万円余と見込んでおります。
 次に、64ページでありますが、12款繰越金、これは整理科目であります。
 65ページの13款諸収入1項延滞金、加算金及び過料は3億2、000万円余を計上しております。
 次の66ページ、2項預金利子は、金利動向等から3、600万円余としております。
 67ページの3項公営企業貸付金元利収入は87億円余で、県立病院等事業会計からの収入が主なものであります。
 次の68ページ、4項貸付金元利収入は、総務、民生、衛生などの各行政部門における貸付金元利収入であり、合計額は、71ページの計の欄に記載してありますとおり、844億6、400万円余となっております。
 72ページに参りまして、5項受託事業収入の総額は、73ページの下欄にありますとおり、40億6、700万円余となっております。
 次に、74ページ、6項収益事業収入は、宝くじ収入33億2、300万円余と見込んでおります。
 75ページ、7項利子割精算金収入は1、500万円余、次の76ページ、8項雑入の総額は、80ページのしまいのところまで飛んでいただきまして、そこに記載してありますとおり、80億7、367万5、000円を見込んでおります。
 次に、81ページの14款県債でありますが、その総額は、83ページに記載してありますとおり、1、353億1、600万円であります。132億9、800万円、10.9%の増となっておりますが、これは、財源対策債等を除く県債の発行を極力抑制いたしましたが、新たに地方交付税の振替措置であります11目に掲げてあります臨時財政対策債136億円を計上したことなどによるものであります。
 次に、316ページに飛んでいただきます。県債の現在高の見込み額でございますが、平成12年度末では、右から数えまして4列目に前年度末現在高見込額という欄がありますが、317ページになりますけれども、その計の欄で1兆2、262億2、655万3、000円となっております。平成13年度末では、同じく計の欄の右端になりますが、1兆2、733億3、400万円余と見込んでおります。
 以上で歳入についての説明を終わらせていただきます。

〇中屋敷十委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、代表質疑、自由質疑の順に行うことになっております。代表質疑は、交渉団体である各会派1人ずつとし、発言時間は、答弁を除き、各会派ともそれぞれ30分となっておりますが、会派の発言時間に残時間があるときは、その範囲内で当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっております。また、自由質疑は、答弁を除き1人10分を限度とし、その指名順は、交渉団体である会派に属していない委員を優先することになっております。
 なお、総括質疑は、あす午後2時までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いします。
 これより代表質疑に入ります。

〇藤原泰次郎委員 平成13年度予算審議に当たりまして、自由民主クラブを代表し、総括的にお伺いいたしますので、県民にわかりやすい積極的な御答弁をお願い申し上げる次第でございます。
 まず、当初予算による総合計画の推進についてお尋ねいたします。
 県の平成13年度当初予算は、厳しい財政運営を強いられている中にあって、中期財政見通しを踏まえながら、総合計画に掲げる主要事業の推進など、限られた財源の中で重点化、効率化に努めた予算であることはこれまでの本会議での答弁で承知しております。県当局としても、さまざまな行政課題に対応するため、工夫し、努力された結果として編成された予算であると私は認識しておりますが、平成13年度当初予算との関連で、総合計画の推進について、以下、お伺いします。
 総合計画では、環境、ひと、情報という三つの視点を柱に据え、本県の将来像である夢県土いわての創造に向け五つの社会の実現に取り組むこととしていますが、今回の予算により、総合計画がどのように推進されると評価しているのか、千葉副知事の御所感をお伺いします。

〇千葉副知事 平成13年度の当初予算は、厳しい財政環境であったわけでございますが、財政運営の健全化に最善の努力を傾注しながら、21世紀の発展基盤を構築するため、岩手県総合計画に掲げます主要な施策を着実に推進するよう編成したところでございます。特に、本県が目指すべき将来像である五つの社会の実現に向けまして、環境、ひと、情報の三つの重点課題への取り組みや、政策評価結果に基づく七つの施策重点化方針を踏まえた事業について重点的に配分したところでございます。
 五つの社会ごとに、主な施策について御説明申し上げます。
 まず、自然と共生し、循環を基調とする社会の実現に向けてでございますけれども、県民、企業、環境団体等の共同によるいわて環境展21──これは仮称でございますけれども──を本年10月に開催するとともに、いわて資源循環型廃棄物処理構想に基づきまして、廃棄物処理計画の策定や循環型のモデルとなる廃棄物処理施設の検討を進めるほか、風力、太陽光などの新エネルギーの利用促進を図ることといたしております。
 次に、快適に安心して暮らせる社会の実現に向けてでございますけれども、下水道などの汚水処理の施設の整備を効率的に推進するとともに、県立病院における医師確保のため、医師養成制度を創設するほか、認定外保育施設に対して新たに支援を行うなど、少子化対策の充実を図ることといたしております。
 次に、創造性あふれ、活力みなぎる産業が展開する社会の実現に向けてでございますけれども、安全な農林水産物の生産拡大や地元の産物を地元で消費する地産地消の取り組みを進めるとともに、大学、試験研究機関等の独創的研究開発を推進することといたしております。また、産学官連携による新技術の研究開発やいわて情報ハイウェイを活用した地域プラットフォームの充実強化等を図りまして、新産業の創出に努めることとしております。
 次に、ネットワークが広がり、交流・連携が活発に行われる社会の実現に向けてでございますけれども、来年末に開業予定の東北新幹線盛岡以北の建設促進に努めるとともに、並行在来線につきまして、第三セクターを設立しまして、開業に向けた準備を進めることといたしております。また、情報化に対応いたしまして、モバイルの端末を利用した地域情報化の実証実験を実施するほか、電子県庁の構築を図ることといたしております。
 次に、個性が生かされ、共に歩む社会の実現に向けてでございますけれども、総合的な学習の時間における体験学習等を通じ、みずから学び、考える力をはぐくむとともに、児童生徒の国際理解教育を進めるなど、岩手らしさを生かした特色ある教育を推進することにいたしております。また、NPOの安定した財政基盤の整備を支援することといたしております。
 以上、平成13年度予算は、事業の重点化、厳選化を図りながら、県民満足度が向上するよう、限られた財源の効果的、効率的活用に努めたところでございまして、これによりまして総合計画は着実に推進されるものと考えているところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、本県における公共事業の推進方策についてお尋ねいたします。
 新年度予算を拝見しますと、一般公共事業については、補助及び直轄事業がプラス1.1%の伸び、単独事業が新幹線建設事業負担金の減などでマイナス10.7%の伸びとなっておりますが、私は、厳しい財政環境の中で、補助事業についてプラスの伸びを確保したことは高く評価するところであります。私は、県北・沿岸地域を初めとする本県の社会資本整備の状況から判断して、公共事業により基盤の整備を進めることが地域経済を牽引する原動力であり、地域の自立的な発展のために不可欠であると認識しているところでありますが、近年、公共事業を取り巻く状況が一層厳しくなってきていることについては深く憂慮するところであります。
 そこでお尋ねしますが、総合計画にありますさまざまな壁を乗り越える課題対応プロジェクト、特に時間距離の短縮プロジェクトや中山間地域活性化プロジェクトなどにおきましては、距離の壁や地形の壁を乗り越えるための観点から、公共事業をどう位置づけ、今後どのように推進していくのかお伺いします。
 また、私は、新年度予算から公共事業の新規地区について費用対効果分析を基本に総合評価を行い、採択基準等を示して公開したことは、予算情報の公開の点から見て特筆すべきものであると評価しております。しかしながら、その評価方法、評点基準等についてはいまだ確立したものではなく、いろいろな観点から検討を行い、今後、成熟させていく必要があると思います。
 そこでお尋ねしますが、県では、公共事業評価の客観性、透明性を高めるため、専門的知識を有する第三者で構成する岩手県公共事業評価委員会を設置しておりますが、当該委員会において、評価方法の検討などを今後どのように進めていくのかお伺いします。

〇佐藤企画振興部長 本県の発展を阻んできました地形の壁、距離の壁は、新幹線、高速道路の縦軸、高速関連道路の整備といったことでかなり大きく改善されたものの、全体として道半ばであると認識いたしております。特にも、近年、少子・高齢化が進行していることを考えますと、地域の豊かな資源を生かして、次代を担う人たち、とりわけ若者が活発に活動できる条件整備として、主要な交通ネットワークの整備はもとより、下水道や医療、福祉、教育等の環境整備、そしてIT革命を戦略手法として、これを最大限に活用するための情報基盤の整備と人材の育成、ノウハウを手に入れることが極めて急がれていると存じております。
 こうした基盤の整備に当たって、公共事業の役割はこれからも大変重要なものと考えておりますが、今後の展開に当たりましては、委員お話しのとおり厳しい財政事情も踏まえ、県民の皆様から見て納得のいく満足の高いものとなるように、外部の委員の方々のお知恵もかりながら、今後の整備の進め方に一層の工夫、努力を重ねてまいらなければならないと考えております。

〇千葉副知事 公共事業評価の関係でございますけれども、平成13年度予算の編成に当たりましては、費用対効果分析手法の一つでございます費用便益比を基本に、事業箇所ごとに必要性、緊急性、熟度などを加味しながら、地域の実情も反映されるよう、それぞれの事業の特性に応じた総合評価を行いまして、重点化、効率化を図ったところでございます。
 委員御指摘のとおり、この評価方法につきましてはまだ改善の余地がございます。必要性、緊急性、熟度などの現在の評価方法の精度を高めること、さらには、環境保全の観点からの評価や、あるいは観光振興など地域経済に対する効果をどのように公共事業評価に反映させるかなどの課題がございます。
 このため、今後の公共事業評価委員会におきましては、これらの課題について御議論をいただき、公共事業評価の公平性、客観性をより高めるようにしてまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、時間の関係もありますので、景気動向、税収見込み、外形標準課税の3点を一括してお伺いします。
 まず、本県の景気動向とその見通しについてであります。
 内閣府が去る2月16日に発表いたしました月例経済報告によりますと、アメリカ経済の減速から輸出が弱含みであり、それに伴い生産の増加テンポも緩やかになっていることや、企業収益のペースにやや減速が見られることなどから、我が国の景気の改善は、そのテンポがより緩やかになっているとして、3カ月ぶりに景気判断を下方修正しております。また、月例経済報告に先立ちまして内閣府が発表いたしました2000年7月から9月期の国内総生産の改定値によりましても、前期比でマイナス0.6%、年率換算でマイナス2.4%となり、速報値での年率換算プラス1.0%から大幅に下方修正され、改めて景気回復の足取りの重さが確認されております。さらに、このところは株価や物価の下落が続き、景気の状況は一層冷え込んでおります。そして、何よりも雇用環境は、本年1月の完全失業率が4.9%と依然として高水準にあるなど厳しく、個人消費は、冬のボーナスの伸び悩みなどにより横ばい状態が続いているのであります。
 このような景気の状況は、景気回復のシナリオに狂いが生じていることを示しているものと考えられるところであり、果たして平成13年度には自律的回復軌道をたどるという政府見通しを達成することができるのか、先行きは全く不透明であります。
 一方、本県の景気動向につきましても依然として厳しい状況が続いており、一刻も早い景気の本格的回復が望まれるところであります。
 そこでお伺いしますが、本県の景気動向をどのように見通しているのか、現状認識とその御所見をお伺いします。
 また、このような状況下にあって、平成13年度の県税収入は1、266億6、853万円余であり、平成12年度最終予算額に対して2.0%の減として予算計上しているところでありますが、この税収見込みに当たり、主な税目はどのように見積もられたのか、また、12年度最終予算額に比較した場合の主な増減理由はどのようなものであったかお伺いします。
 なお、昨年11月下旬、当時の自治省は、政府税制調査会における検討等を踏まえ、法人事業税の外形標準課税の具体案を公表し、政府税調を含め各方面において論議がなされましたが、さまざまな意見があり、結論を得るに至りませんでした。国に対して制度導入の要望を行っていた県としては、この事態をどのように受けとめておられるのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのかあわせてお尋ねいたします。

〇佐藤企画振興部長 本県の景気動向についてお答え申し上げます。
 最近の主要経済指標の動きを見ますと、大型小売店販売額は、昨年12月は前年同月比4.9%減となり、14カ月連続して前年水準を下回り、低迷いたしております。乗用車新車登録台数を見ますと、本年1月は前年同月比6.6%減となり、9月以降弱含みの動きを示し、また、新設住宅着工戸数は、12月は前年同月比31.3%減と大幅に減少し、5カ月ぶりに前年水準を下回ったところであります。また、有効求人倍率は依然として0.6倍台の低水準が続いております。一方、鉱工業生産指数は、12月は前年同月比12.4%増となり、8カ月連続して前年水準を上回り、堅調に推移しております。
 以上のことから、本県の経済は、弱いながら改善の動きが続いているものの、やや足踏み状態も見られ、国と同様に、ひところより回復の動きは減速しつつあるものと認識しております。
 なお、財団法人いわて産業振興センターの調査によりますと、県内中小企業の業況判断指数──これは、業況が好転したとする企業割合から悪化したとする企業割合を差し引いた指数でございますけれども──は依然としてマイナス40前後で推移しており、県内中小企業の経営環境の厳しさがうかがわれるところであります。
 なお、最近の景気減速ムードの高まりを受けまして、この9日に与党3党は、金融・産業再生、土地流動化、証券市場活性化などを柱とする緊急経済対策を取りまとめたと報じられており、景気減速に歯どめがかかることが期待されております。
 本県の経済は、これまでの傾向として、若干のずれはございますけれども国内経済に対応して推移いたしておりますことから、引き続き今後の動向を注意深く見守っていく必要があると考えております。

〇武居総務部長 平成13年度の税収見積もりについてのお尋ねでございますが、県税収入の見積もりにつきましては、平成12年度の県税決算見込み額をベースにしまして、経済指標、地方財政計画の税収見込み額でございますとか、先ほど企画振興部長の方から御説明がありました県内の景気動向等を勘案して積算したものでございます。
 主な税目ごとということでございましたので、若干説明が細かくなるかもしれませんが、まず、見積もりの仕方につきましては、個人県民税や個人事業税につきましては、前年の所得を課税対象としておりますので、賃金や鉱工業生産指数の伸びなどの経済指標により所得の伸びを見込み、それによって税収額を算出しております。それから、自動車税のように登録台数が把握できるものは、その台数に今後の見込み台数を加算し、そのトータルの台数に1台当たりの税額を乗じる方法により積算しております。それから、法人2税──法人県民税とか法人事業税──でございますとか軽油引取税は、景気の変動に左右されることから、国の経済見通しでございますとか地方財政計画、民間の経済研究機関の予測等を参考としながら、さらに、主な企業の業績見通しにつきまして個別に照会をしておりまして、そういった照会の結果などにより、本県の実情も十分に考慮し積算を行っているところでございます。
 主な税目ごとの平成12年度決算見込み額と比較した場合の増減とその増減理由でございますが、個人県民税は、鉱工業生産指数や賃金指数などの経済指標から判断すると所得の伸びが期待できず、普通徴収分、特別徴収分とも減収となり、あわせて約4億円、2.3%の減収となる見込みです。県民税利子割は、今年度は定額郵便貯金の満期が集中的に到来したため大幅に伸びておるわけですけれども、平成13年度はその反動で約8億円、8.4%の減収となる見込みです。それから、法人2税は、民間の経済研究機関の予測や照会に対する企業の回答では収益が減収する見通しでありまして、約6億円、2.0%の減収となる見込みです。
 一方、自動車税は、登録台数の若干の増が見込まれ、約2億6、000万円、1.3%の増収となる見込みでございまして、県税全体では、当初予算のそれぞれの対比では2.7%の増ということで冒頭私どもの総務部次長の方から御説明ありましたけれども、対決算見込みベースでいきますと、約26億円、2.0%減の見込みの1、266億6、853万円という形で予算計上しているところでございます。
 それから、先ほど外形標準課税の御質問がございました。これにつきましては、御案内のように、既に一昨年、政府税制調査会の地方法人課税小委員会報告が平成11年7月に出されまして、それから、11年12月に全国知事会におきましても外形標準課税の導入に向けての検討会が設置され、昨年、その中でずっと検討を行ってきていると。そういった状況を踏まえまして、昨年7月8日に知事会として外形標準課税の早期導入の緊急要望を行っているわけでございます。それから、旧自治省の法人事業税の改革案というものが昨年の税制改正時──昨年11月20日に発表されたわけですけれども──に出されまして、この中で、法人事業税のうち所得が課税標準とされているものについて、所得基準と外形基準を2分の1ずつに併用して課税しようと。それから、いろいろと経済団体の方で反対の動きがあるということにも配慮しまして、中小法人に対する軽減税率でございますとか、簡易事業規模額の制度──年間4万8、000円──でございますとか、雇用安定控除でございますとか、徴収猶予でありますとか、さまざまな配慮規定を設けたわけでございますけれども、結果として実現を見なかったということがございます。
 12年12月13日に取りまとめられました政府税制調査会の答申におきましては、大法人を含め約3分の2にも及ぶ赤字法人が地方公共団体の行政サービスを受けながら法人事業税を支払っていないという不公平を放置することはできず、抜本的改革への国民の理解を得るためにも、外形標準課税の導入は早期に対処すべき課題であると取りまとめてございますし、与党3党の税制改正大綱の中にも早期導入について盛り込まれたわけですけれども、13年度は導入が見送られたと。
 私どもも、一昨年以来、全国知事会等と連携しながら国に対する要望を行ってきたわけですけれども、結局、率直な感想といたしまして、どうも地方からの全国的な盛り上がりに欠けていたのではないかということが一つあろうかと思います。それと、経済団体に対しまして旧自治省の方で改革案を最後に出したわけですけれども、十分に説明できなかったのではないかということがあろうかと思います。特に賃金課税であるとか景気に悪影響を及ぼすとか、そういった悪いイメージが先行して全国的に浸透しまして、改革案の中でそういうことはないんだという説明を十分にする時間がなかったということで、どうも一部誤解を与えたものが、誤解を払拭できないという形で現在に至っているという状況が率直な感想としてございます。
 これにつきましては、いずれ早期の実現を図ることが地方にとっては緊急の課題でございます。特に、地方分権を一層進めていくためには望ましい改革であると全国知事会でも全都道府県そういったことで一致を見ているところでございまして、平成14年度の税制改革に向けまして、引き続き国あるいは国会に働きかけていくことが大事になりますし、さらに、実際の納税者である法人各位、関係団体、県民の皆様の御理解、御協力を得るよう努めてまいりたいと考えております。

〇中屋敷十委員長 当局の方、答弁はなるべく簡潔にお願いしたいと思います。

〇藤原泰次郎委員 次に、危機管理についてお尋ねいたします。
 いわゆる危機管理についてでありますが、最近、平成12年だけを見ても、日本各地において、有珠山や三宅島における火山活動、伊豆諸島の群発地震、東海地方における集中豪雨、さらには鳥取県西部地震など、地域住民の生命、財産を脅かす大規模な災害が相次いで発生し、また、ことしに入っては、ハワイ沖での愛媛県の水産実習船の衝突事故で多数の行方不明者が出るなど、突発的で予測が困難な重大事件・事故なども発生しており、いわゆる危機管理の重要性が改めて問いかけられているのではないかと感じているところであります。
 平成12年は、幸いなことに、本県においては大きな自然災害や重大な事件、事故のたぐいは発生していないものの、過去の災害履歴を見ますと、これからも発生する可能性が高く、対応に万全を期さなければならないものと考えておりますが、本県では、既にこのような危機管理の重要性を認識し、この4月には危機管理を総合所管する組織として総合防災室を設置され、いざというときに備えることとなると聞いているところであります。
 こうした中で、私がちょっと気にかかっておりますのは、余り発生する可能性が高いとは思いませんが、万が一起きた場合に大変なことになるのではないか。それは、複数の危機事案が同時に発生したときの対応、一例を挙げますと、岩手山の噴火と大規模な林野火災が同時に発生した場合や、大地震と別な重大な事故等が同時に発生した場合にはどのように対応されるのか、どのように検討されているのかお聞かせ願いたいと思います。

〇武居総務部長 危機管理につきましては、今、御指摘ございましたように、現時点で想定される地震、津波等の自然災害や航空機事故等につきましては、現在総数で22の危機事案につきまして取りまとめているんですが、昨年11月に対応マニュアルを策定しまして、迅速、確実な初動体制の整備を図っているところでございます。平成13年度は、総合防災室に危機管理監を配置するとともに、特に管理職による夜間、休日の新たな当直体制を構築しまして、勤務時間外の初動体制の強化を図ることとしております。
 大規模な災害への対応につきましては、災害対策基本法に基づきまして、知事を本部長としまして、それから副知事、出納長、そして総務部長の3名を副本部長とする災害対策本部を設置しているところでございますけれども、御指摘のございました同時に複数の災害が発生した場合には、これらの指揮命令系統を明確にしたいと考えてございますし、場合によっては知事以下4名が本部長、副本部長でおりますので、この4名の役割分担を行いまして、それから必要に応じまして現地の災害対策本部を設置するなどして、災害の態様に応じた適切な対応をしてまいりたいと考えております。
 それから、特に関連いたしまして市町村とか自衛隊とか警察、消防機関、こういったところが実際、現地でどういうふうに活動していくかということが大変重要になるわけでございますけれども、その機能を最大限に発揮できるよう、総合防災訓練でございますとか1.17合同防災訓練等を通じまして、連携、強化を図り、情報の伝達の迅速化でありますとか、情報の共有化などの対策に万全を期してまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、北東北3県の広域産業廃棄物対策についてお尋ねいたします。
 昨年10月の第4回北東北知事サミットにおきまして、北東北3県が連携した産業廃棄物対策の推進について、知事が各県に呼びかけ、同意事項となったと聞いております。私は、これは観光振興施策の連携や福岡事務所の共同開設、北東北3県の共同ホームページ開設などに見られる県レベルでの広域的な施策連携の一環であり、最近、知事が提唱されている地方自治制度の新たな枠組み、すなわち、将来的な道州制を展望した新たな試みとして評価するものであります。
 そこでお伺いしますが、今回の広域的な産業廃棄物対策について、提案するに至った基本的な考え方及び現時点での具体的な検討状況についてお聞かせ願いたいと思います。

〇千葉副知事 本県の県北あるいは県南で明らかになりました首都圏からの産業廃棄物による大規模な不適正処理事件を教訓といたしまして、県境を超えての不法投棄等を水際で食いとめる必要があること、また、原状回復に県民の税金の投入をできる限り回避する必要があるところから、同様な課題を持ちます北東北の3県が連携して広域的に対策を講じていくことが有効であると考えまして、昨年の10月の北東北三県知事サミットで提案したところ、3県での合意が得られたところでございます。
 昨年の11月27日に3県の担当部長によります北東北環境フォーラムを開催いたしまして、具体的な検討組織としてのワーキンググループを12月中に立ち上げて、毎月1回のペースで実務的協議を進めているところでございます。この中で、県境地域におけるパトロールの相互実施や災害廃棄物への対応、不法投棄等、情報ネットワークの構築、隣接県の業者への立入検査等については、事務的におおむね合意の方向にあるところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、産業廃棄物を中心としたいわゆる環境関連税についてお伺いします。
 地方分権一括法が施行されて以来、各県、各市町村において、法定外税の検討が盛んに行われていると聞いておりますが、知事は昨年、初めに税ありきではないとしながらも環境関連税制、中でも産業廃棄物に関する税の可能性について示唆されております。また、県では、さきの北東北三県知事サミットでの合意を受けた事務レベルでのワーキンググループや県内外の学識経験者等による研究会を設置し、環境税も含めた検討を始めたとも報道されております。このワーキンググループや研究会の検討状況はどうでしょうか、その内容についてお尋ねいたします。

〇千葉副知事 北東北3県の実務者のワーキンググループでは、先月開催された第3回目の会議から、廃棄物事業者の保証金や悪質業者への課徴金等も含めた経済的手法の検討の一つといたしまして、産業廃棄物税制についても3県共同で研究を始めたところでございます。いずれも、悪質業者へのペナルティー、不法投棄等の際の原状回復のための財源確保として、検討に値するものと考えているところでございます。
 今後、定期的に北東北環境フォーラムにおいて進行管理することとしておりますが、来年度の知事サミットまでには、一定の成果が報告できるのではないかと期待しているところでございます。
 また、研究会での検討状況でございますけれども、循環型地域社会の形成に向けた制度的な検討をするため、去る2月20日に県内外の学識経験者、市町村、事業者からなる循環型地域社会の形成に向けた制度的研究会を設置いたしまして、第1回の研究会を開催したところでございます。
 今後、不適正処理を未然に防止するために、県外廃棄物搬入に際しての事前協議制の見直しや課徴金、保証金などとともに、産業廃棄物に着目した税制度についても、毎月1回程度の頻度で検討していきたいと考えております。
 研究の成果は、北東北3県の広域産業廃棄物対策の協議にも反映させながら、効果が期待できるものにつきましては、具体的に制度化を検討してまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、県民の健康づくりの推進と農業振興との調整についてお伺いします。
 本県の葉たばこ生産は、平成11年では作付面積が2、168ヘクタールと全国第3位、粗生産額では100億円を超え、全国有数の産地となっております。特にも、県北の畑作地帯や中山間地域においては重要な作物であり、県においては、栽培規模の拡大やコスト低減に向けた施策の推進に御努力されていることについては、大いに評価するところであります。
 ところで、県においては、壮年期における死亡の減少や健康寿命の延伸を図るため、21世紀における県民の健康づくりの指針として健康いわて21プランの策定を進めており、昨年11月にその中間報告を行っております。このプランの策定に当たっては、本県の葉たばこ生産への配慮も必要と感ずるところでありますが、総合的な観点に立って、県民の健康づくりのために、今後どのように進めていかれるのかお伺いします。

〇千葉副知事 健康いわて21プランは、県民の壮年期における死亡の減少や健康寿命の延伸を目的に、1次予防を重視いたしまして優先的に取り組むべき領域として、喫煙を含む11領域を設定したところでございます。
 プランの設定に当たりましては、庁内各部局間で連携を図り、綿密な調整を行いまして、各界の代表者で構成されます健康いわて21プランデザイン委員会に諮って中間報告を策定し、平成12年の11月9日に県民に公表したところでございます。その後、この中間報告に基づきまして、パブリックコメントを実施いたしております。各保健医療圏ごとに意見を聞く会を開催するなど、広く県民の意見を募集したところでございます。また、たばこ関係団体からは、成人喫煙率の減少に関する目標値の削除などの要望があったところから、平成13年の2月14日に開催した健康いわて21プラン策定専門委員会に、たばこ関係団体を招致いたしまして意見を聴取したところでございます。
 また、昨日でございますけれども、県民の健康と喫煙を考える会を開催いたしまして、県民相互の議論を深めるとともに、その意見を聴取したところでございます。
 県民の健康づくりのためには、このプランに沿った形で進めることが望ましいと考えているところから、いろんな方々の意見を参考としながら、健康いわて21プランデザイン委員会に諮り、県民にとってよりよい健康づくりのためのプランになるよう、努めてまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、介護保険制度についてお尋ねします。
 介護保険制度については、昨年4月の制度実施以来さまざまな課題が出てきており、ショートステイの利用枠の拡大など、取り扱いが少しずつ修正されてきているとも伺っております。新しい制度でもあり、発生する課題に対応して迅速な対応がなされ、利用者にとって利用しやすいように改善されることは結構なことであり、今後とも、国による制度の改善を期待するとともに、県にあっては、介護保険制度の定着に向け十分取り組むよう、まず要望しておきます。
 そこでお伺いしますが、知事の演述につきましては、この点に関し、介護保険の円滑な実施、質の高いサービスのための支援を行うと述べられておりますが、制度施行当初は、介護サービスが確保できるかどうかに関心が集まっていたように思いますが、これからは量とともに質の高い介護サービスを目指した取り組みが求められてくると存じます。事業者に対しては、利用者にとって望ましい質の高い介護サービスが提供できるよう努力をお願いする必要はありますが、県としては、今後、介護サービスの質の向上に向けて、どう取り組むのかお伺いします。

〇千葉副知事 介護保険の事業者は、みずから提供するサービスの質の評価を行いまして、常にその改善を図り、主体的にサービスの質の向上に努めることとされているところでございます。サービスの質の向上には、まず事業者に寄せられるサービスの内容や制度上の手続、利用料などの相談や苦情に対して親身になって対応することが基本であるところから、昨年作成いたしました相談・苦情解決システム指針に沿って、迅速かつ適切に対応するよう、事業者に対して指導しているところでございます。
 また、介護保険制度は、高齢者の自立支援を理念としまして、施設等における身体拘束が原則として禁止されているところでございますが、昨年、県が実施いたしました調査では、8割以上の施設において何らかの身体拘束が行われていたことを踏まえまして、サービス向上のための重点的な取り組みとして、来年度新たに、介護保険施設等身体拘束適正化推進事業を実施することといたしております。この事業では、推進会議を設置いたしまして、身体拘束廃止に向け幅広く意見を交換し意識を醸成するとともに、現場における取り組みを支援するために、身体拘束を行わない介護方法について、具体的なアドバイスを行う相談員の養成や専門の相談窓口の設置を行うこととしております。
 本年2月に設立されました介護サービス事業者連絡会や設立準備を進めております介護支援専門員の組織を通じまして、事業者団体としてのサービスの質の向上に向けた取り組みを支援するほか、介護支援専門員に対する現任研修や社会福祉研修所が行う福祉施設職員研修等によって、介護サービス担当者の資質の向上を図っているところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、地域雇用対策についてお尋ねします。
 最近の雇用失業状況は、1月の完全失業率が2カ月連続で過去最悪となったと報じられ、さらに有効求人倍率も全国では20カ月ぶりに悪化し、本県では5カ月連続で全国平均を下回っていると伺っております。
 そこで、以下、順次お尋ねします。
 まず、昨年末からの企業倒産や工場撤退、閉鎖が相次いでいる中で、本県の求人、求職状況はどうなっているのでしょうか。また、このような厳しい雇用失業情勢のもとで、新規学卒者の就職内定状況はどうなっていますか。この2点について御答弁願います。
 また、私は、県としても地方分権の流れに沿いつつ、地域の実情に応じた雇用対策の推進に積極的に取り組むことが期待されているのではないかと考えますが、新しい年度に向けた具体的な取り組み方向について、あわせてお尋ねいたします。

〇千葉副知事 最初に、求人、求職状況でございますけれども、岩手労働局の調査によりますと、平成13年1月の月間有効求人数は1万3、160人でございます。月間有効求職者数は2万8、358人となっておりまして、有効求人倍率は0.62倍となっているところでございます。
 次に、新規学卒者の内定状況でございますけれども、岩手労働局の調査によりますと、今春の新規学卒者の平成13年1月末現在における就職内定率は、おおむね大学では70%、短大では44%、高校では82%となっておりまして、前年同期に比べて大学と短大は前年を上回っております。また、高校はほぼ前年並みという状況でございます。
 次に、新年度に向けての取り組みでございますけれども、現在、各公共職業安定所に県単独で配置しております職業アドバイザーにつきましてその業務の見直しを行いまして、新年度から新たに地域雇用相談員として各地方振興局に配置することといたしております。その業務といたしましては、国や市町村と連携しながら、求人情報やUターン者向け生活関連情報の提供を初め、県民からの労働相談への対応、さらには岩手労働局や労働関係機関への取り次ぎを行うなど、地域の課題に対応した雇用対策の推進に取り組んでいきたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、仕事と家庭の両立支援についてお尋ねいたします。
 少子・高齢化や核家族化が進む中にあって、育児や家族の介護の問題は、勤労者が仕事を継続する上で大きな問題であり、このような状況のもとで、平成7年にいわゆる育児・介護休業法が施行され、法制上、育児や家族の介護を行う勤労者の職業生活と家庭生活との両立を支援する体制が整い、さらに平成11年4月から、事業主は育児・介護休業についての申し出を拒むことができないこととされたところであります。しかしながら、このような育児・介護休業制度については、官公庁や大手企業はさて置き、事業規模が小さくなるほど、いまだ整備されていないところも見受けられるのが現状であります。
 そこで、仕事と家庭の両立が可能となるような環境の整備に対して、県はどのように取り組んでいるのかお伺いします。

〇千葉副知事 勤労者が生涯を通じまして充実した職業生活を送るためには、仕事と育児や家族の介護が両立できるような環境の整備を図ることが重要であると考えております。県の対応の一つといたしまして、会員で組織する地域での相互援助活動でありますファミリー・サポートセンターを平成13年度に水沢市と花巻市が国庫補助を導入して設立することといたしております。このセンターのよりよい運営の確保に向けた支援と、他都市への普及に努めてまいりたいと考えております。
 それから、平成13年度の新規事業といたしまして、同センターの設立が困難な市町村を対象といたしまして、県単独で地域子育て相互支援事業を創設することといたしております。結と呼ばれる共助の精神を子育てや介護にも活用いたしまして、地域で子育てを支援する仕組みづくりに努めてまいりたいと考えております。
 また、育児・介護休業取得者に対する生活資金融資制度を平成7年度に創設いたしまして、その利用促進に努めているわけでございますが、そのほかに岩手労働局の連携によりまして、育児・介護休業制度の普及、定着を図っているところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、中小企業向け融資制度についてお尋ねします。
 中小企業は、御案内のとおり、好況時においても資金面などで経営基盤が弱いわけでありますが、中小企業を取り巻く金融状況は、長引く景気低迷からの売り上げや受注等の減少が続いており、一部に緩やかな回復状況と言われているものの、資金調達の面でも、依然、厳しい状況が続いております。県では、このような状況を踏まえ、中小企業の経営基盤の強化を図るため、県単独融資制度を中心に金融施策を展開しているわけですが、最近の当該制度の利用状況から、中小企業の資金需要の状況をどのように認識しているのか。あわせて、13年度予算の編成に当たり、県単独融資制度についてはどのような観点に配慮したのかお尋ねいたします。

〇千葉副知事 今年度の県単融資制度の取り扱い実績は、平成13年1月末現在2、861件、259億円でございます。前年同期と比較いたしまして15億円、5.5%減少いたしております。一方、県信用保証協会の信用保証承諾額は、平成13年1月末現在、同年同期比で175億円、17%増加しております。このことは、いわゆる国の貸し渋り対策としての中小企業金融安定化特別保証制度の利用にシフトしていることによるものと考えております。長引く景気の低迷下にあって、売り上げや受注の減少など、厳しい経営環境にあるところから、この特別保証制度などの運転資金の利用が伸びている反面、設備投資資金などの利用に慎重になっているものと認識しているものでございます。
 平成13年度の関係でございますけれども、国におきましては、中小企業金融安定化特別保証制度終了後の緩和措置といたしまして、無担保保証限度額の引き上げ、これは5、000万円から8、000万円でございますけれども、これや第三者保証人の緩和などの措置を講じているところでございます。県としての特別保証制度終了に伴う影響を考慮いたしまして、既存債務の借りかえにも利用できます中小企業経営安定化資金の限度額を5、000万円から8、000万円に引き上げるとともに、十分な融資枠を確保しているところでございます。さらに、創業ベンチャー企業を育成、創業期の資金供給を円滑にするため、いわて起業家育成資金の融資枠を15億円から17億円に増額しております。このようにして、平成13年度の県単融資制度は全体として540億円の枠を確保いたしまして、中小企業の資金需要に十分対応できるよう配慮したところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、信用保証協会の代位弁済の状況についてお尋ねします。
 県単独融資制度が信用保証協会の保証つきを原則としていることや、担保力の減少、保証人になる人がいないという中小企業の資金繰りの現状において、信用保証協会の役割はますます大きくなっているとともに、中小企業の実情に即した、より柔軟な対応が求められております。そのような状況の中で、返済が滞ったときの金融機関に対する信用保証協会の代位弁済が全国的に急増していると報じられておりますが、本県の信用保証協会はどのような状況でしょうか。また、信用保証協会が積極的な保証を推進するためには、協会の円滑な業務運営と経営基盤の強化が重要であると認識しておりますが、経営基盤の強化を図るため、県ではどのような支援を行っているのかお尋ねいたします。

〇千葉副知事 平成12年度の代位弁済は、平成13年1月末現在251件、32億9、500万円となっております。その代位弁済率でございますけれども、前年同期比で0.24ポイント増加いたしまして、0.89%となっております。これは、全国平均2.1%に比べますと比較的低い水準となっているわけでございますけれども、中小企業金融安定化特別保証制度の利用がふえているところから、今後の代位弁済率の上昇が懸念されるところでございます。
 また、長引く景気の低迷下にあって、厳しい経営環境にある中小企業に対する金融の円滑化を図るためには、中小企業の信用を補完いたします信用保証協会の基本財産の充実強化を推進する必要がございます。このため、市町村や関係機関とともに、信用保証協会の計画的な基本財産の造成に対しまして県としても出捐を行うなど、信用保証協会の経営基盤の強化を図っているところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、稲作農家の経営安定対策についてお伺いします。
 私は、常々、稲作が農家経営を支え、それが基礎となって野菜や花卉などの生産拡大が図られ、今日のような米、園芸、畜産を3本柱としたバランスがとれた本県農業が展開されているものと考えております。それだけに、稲作農家のさらなる経営発展を願っているところでありますが、平成12年産米の販売環境は、豊作に加え、景気低迷による先安感からの卸や小売店での在庫控えなどにより、供給過剰に拍車がかかり、12年産米は大幅な価格低落のあった11年産米をさらに下回る価格で取引されている状況にあります。このような急激な米価低落は、稲作農家の経営努力の限界を超えるものであり、また、農家経営のみならず、地域農業全体の活力の低下にもつながることが懸念され、大変憂慮されているところであります。
 そこでお伺いしますが、国では、自主流通米の価格変動が農家に与える影響を緩和するため、稲作経営安定対策が実施されているところでありますが、平成12年産米が置かれている厳しい状況にかんがみ、どのような補てんがなされる見込みなのか、その内容と交付予定時期についてお尋ねいたします。

〇千葉副知事 12年産米の稲作経営安定対策は、米価の急激な下落が農家経営に及ぼす影響を緩和するため、臨時応急的な措置として拡充が図られたところでございます。
 その主な内容でございますけれども、一つは、12年産米の補てん基準価格の算出に当たりまして、11年産米価格に補てん金を加えることにより、補てん基準価格を引き上げました。さらに、補てん基準価格の1%の特別支払いを行うことになったところでございます。これをひとめぼれを例に申し上げますと、今回の措置がない場合は、60キロ当たり1万5、683円でございますけれども、今回の拡充措置によりまして2、110円が交付され1万7、793円となり、ほぼ前年並みの価格水準となったところでございます。
 なお、農家への補てん金の交付でございますけれども、6月末までに経済連、農協を通じて支払われる見込みとなっているところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、水稲新品種の生産振興についてお伺いします。
 先日、県では水稲の新しいオリジナル品種岩南16号を奨励品種に採用するということを新聞報道で知りました。うるち米としては平成5年の大冷害のときに、沖縄県石垣島において種子の緊急増殖を行った本県初のオリジナル品種かけはしなどに次ぐものであり、待望の新品種の誕生に喜んでいるところであります。先ほど申し上げたとおり、昨年の水稲の作柄が全国的に豊作となったこともあり、米の需給は大幅に緩和し、12年産米価は11年に比べて低落している状況にあります。このため、国では、昨年の9月末に緊急食料支援事業による援助用米としての市場隔離や、13年産の米の生産調整の緊急拡大等を内容とした平成12年緊急総合米対策を決定したところであり、米の産地間競争はますます厳しいものとなっております。
 このような中、県では、本年度からいわて純情米レベルアップ運動を展開し売れる米づくりを推進しておりますが、私はその大きな柱が、適地、適品種の配置であり、関係者が一丸となって品質、食味の向上に努めていくことが重要であると思うのであります。本県のうるち米は、ひとめぼれ、あきたこまち、かけはしの3品種が中心ではありますが、地域の特色ある米づくりを支援していくためには、このたびの奨励品種岩南16号が非常にタイムリーであり、今後の生産拡大が大いに期待される品種ではないかと思うものであります。
 そこでお伺いしますが、岩南16号をどのような地域に普及させようとしているのか、また、生産量はどの程度が見込まれるのか、県の生産振興の考え方についてお聞かせ願いたいと思います。

〇千葉副知事 岩南16号は、中山間地向けのわせ品種として開発したものでございます。あきたこまちに匹敵する品質、食味を持ち、寒さに極めて強い特性を持っております。品種の特性から、高標高地に作付されておりますあきたこまちなどにかわる有力品種として位置づけておりまして、主な普及対象地域は遠野地域と岩手地域を中心とした県北部と考えております。
 平成13年度の作付面積は、種子の制限から20ヘクタール程度でございますけれども、平成14年度には約1、000ヘクタール、平成15年度以降は約4、000ヘクタールまで順次拡大いたしまして、自主流通米市場への上場を目指していきたいと考えております。
 普及に当たりましては、この品種に対する農家の理解が重要でございますので、16市町村に普及拡大モデル圃場を設置いたしまして、現地研修会を開催するなど、栽培技術の徹底を図ってまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、農業協同組合のゾーニング規制の廃止についてお尋ねいたします。
 いわゆるゾーニング規制とは、農林水産省の局長通達に基づき、信用事業について事業区域が重複しないよう、信用事業を行っている農業協同組合の地区内に信用事業を行う別の農業協同組合を設立したり、定款を変更して隣接する農業協同組合の地区内まで事業区域を拡大するといった行為は認めないというものであります。新聞報道などによりますと、農林水産省においては、この信用事業を行っている農業協同組合のゾーニング規制を廃止する方向で検討されており、今国会に関係する規定を盛り込んだ農業協同組合法の改正案を提出することとしていると聞いております。
 そこでお伺いしますが、この農林水産省の方針はどのような背景のもとで出されたものなのか、また、どのような内容で法改正がなされる予定なのかお伺いいたします。

〇千葉副知事 農林水産省におきましては、食料・農業・農村基本法の制定、あるいは金融ビッグバンの進展など、農協系統を取り巻く社会経済情勢が変化しているところから、情勢の変化に対応した農協系統の事業システム、組織のあり方等について検討を行い、その検討結果を昨年11月に取りまとめたところでございます。
 その報告書におきましては、農協が農業者の協同組織としての原点に立ち返って、組合員に対するメリットを最大限に発揮するため、いわゆるゾーニング規制については農協のサービス改善努力を促し、また、農協間の役割分担、連携を可能とする観点から、これまでの通達に基づく全国一律の規制は廃止していく必要があるとされたところでございます。このような背景のもとで、農林水産省において、ゾーニング規制の廃止について検討されていると理解をしているところでございます。この報告書におきましては、ゾーニング規制について全国一律の規制を廃止する一方で、地区の重複が地域によって農協合併の推進あるいは地域農業の振興、農協系統の健全な発展に支障が生ずるおそれがあるところから、そのような場合には都道府県知事が都道府県農協中央会長及び市町村長と協議して、地区の重複を認めないこととするよう、法制度の中に位置づける必要があると提言しているところでございます。農林水産省では、このような提言の趣旨を盛り込んだ農協法等の改正案を、現在、開会中の国会に提出する予定と伺っているところでございますけれども、法案の詳細についてはいまだ明らかにされていないところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、荒廃森林への公的支援についてお尋ねします。
 昨年12月に、国では新たな森林・林業・木材生産業基本政策をまとめた林政改革大綱を策定し、その中で森林の多様な機能の持続的な発揮を政策目標に掲げ、森林の保全と利用を両立させる持続可能な森林経営の推進を施策展開の基本に位置づけたところであります。
 今回の大綱で際立った特色として、森林の保全を重要視した点でありますが、本県においても北上山系などの森林が荒廃し、手入れが行き届かない森林がふえておりますことは、まことに憂慮すべき点であります。
 去る1月4日の知事の年頭の記者会見で、知事はこの点に触れられ、県民の理解を得た上で荒廃した森林を整備するためには、林業公社などの公的機関が植林などを行っていきたい旨の発言をされております。県では、森林所有者の不在村などにより、荒廃した森林を今後林業公社等がどのように整備していこうとしているのか、お考えをお示し願いたいと思います。

〇千葉副知事 標高の高い農林地の管理が粗放化してきていることなどによりまして、県内に約1万3、000ヘクタールの立木がまばらにしかない林地が存在しております。その中には、急激な大雨による土砂崩壊や裸地化による水源涵養機能の低下を招くおそれのあるものが見られます。また、既往の分収林においても急傾斜地で林地を保全するため、大面積の皆伐を避ける必要があるものと見られております。このため、平成13年度予算におきまして、公益保全森林総合対策事業を創設いたしまして、災害の防止、水資源の涵養など公益的機能の発揮が高度に求められ、真に森林整備が必要な荒廃林地につきましては、林業公社を事業主体として、将来、債務を少なくするような措置を講じた上で、整備を促進してまいりたいと考えております。
 また、既往の分収林につきましては、立地条件を踏まえまして林地保全に配慮した非皆伐施業や長伐期施業に転換するものについて、当該分収契約の期間延長などを図りながら進めてまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、間伐対策についてお伺いします。
 森林の持つ多様な機能と役割が重要視されておりますが、これら森林の持ついろいろな働きを高め、健全な森林として整備していくためには、間伐の推進が極めて重要となっております。県においては、昨年8月に岩手県緊急間伐5カ年計画を策定し、間伐の推進に積極的に取り組むこととしたところでありますが、林業の振興あるいは環境対策の面から、この計画の推進に大いに期待をしているところであります。
 そこでお伺いしますが、この計画においては、計画的な間伐を図るため、緊急に間伐が必要な森林がまとまっている区域を緊急間伐団地として、本年度各市町村に1団地ずつ設定する計画と伺っておりますが、その設定状況はどうなっているのでしょうか、お伺いします。
 また、運搬経費がかさむなど間伐収入が見込めない場合は、間伐にかかる森林所有者の負担が重くなり、なかなか間伐に踏み切れないなど、この5カ年計画が計画どおり達成できるのか気になるところでもあります。
 そこでお伺いしますが、計画初年である本年度の計画達成見込みはどうなっているのでしょうか。また、計画達成に向けた今後の取り組みについてもあわせてお伺いします。

〇千葉副知事 緊急間伐団地の設定につきましては12年度の新規事業でありまして、また、年度途中からの取り組みであったため、適地の選定に十分時間がとれなかったことや、地域によっては間伐材の販売収入が見込まれず、森林所有者の理解が得られにくいことなどから、必ずしも円滑に進んでいない面がございます。このため、本年度末では、県内59市町村のうち30市町村で39団地の設定見込みとなったところでございます。平成12年度の間伐計画面積は1万5、000ヘクタールでございますけれども、これらの状況から、本年度の間伐実績面積はおよそ1万2、900ヘクタール程度の見込みとなるものでございます。これは、前年対比では900ヘクタール、およそ7%の増となるわけでございますが、本年度の計画に対しては86%でございます。
 間伐を推進するためには、地域関係者が一体となって間伐材の搬出、利用を促進することが重要でございます。このため、今後、県、市町村、森林組合などで組織しております各地区の間伐推進協議会が中心となりまして、新たに地図上に間伐対象森林が表示できる市町村森林資源管理システムなどを活用いたしまして、円滑な間伐団地の設定を進めるとともに、間伐材の利用が図られるよう、作業道の路網の整備や間伐対象地の集団化、高性能林業機械の活用による間伐コストの低減をより一層進めまして、間伐が計画どおり推進されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、間伐材利用の実用化についてお伺いします。
 間伐の推進は、本県林業の重要課題であると認識しておりますが、木材価格の低迷、伐出経費の高騰等により、間伐がなかなか進まない状況にあることは先ほども申し上げたとおりであります。また、せっかく間伐しても、採算性等の問題から間伐材を林内に放置するなどの例も相当あり、間伐材積の40数%が未利用のままとなっていることは、資源の有効利用の観点からも憂慮されるところであります。
 このような状況のもと、杉、アカマツ、カラマツなどの本県の多様な資源の特性を生かし、間伐材の利用を促進するためには、利用技術の開発や付加価値の高い木製品の開発が重要であります。従来から、林業技術センターでは木材のよさを一層引き出すため、あるいは木材の欠点を補うための試験研究がなされていると伺っており、大変心強く感じているところであります。
 そこでお伺いしますが、林業技術センターにおける間伐材利用に係る研究成果はどのようになっているのか、また、その成果をどのように普及しようとしているのかお伺いします。

〇千葉副知事 間伐材利用に係る研究成果でございますけれども、間伐材利用に関する研究開発は、民間企業との共同研究等によりまして、平成9年度から本格的に取り組んできたところでございます。これまでの主な成果といたしまして、道路の側溝ぶた、金網フェンス等の支柱、スノーポールや道路横断防止さくのほかに、本県の主要樹種でありますアカマツの表面にかたい塗装を施した表面硬化材などが開発され、順次実用化されてきております。特に、平成11年度に森林組合と共同開発いたしました道路の側溝ぶたは、主に林道の側溝に使用されております。平成12年度の使用見込み量は、昨年度の3倍に当たる310立方メートルとなっているところでございます。
 また、平成11年度に工業技術センターと民間企業との三者によりまして共同開発されましたアカマツ表面硬化材は、外務省の会議場のメモ用天板、公共施設の会議用テーブル天板、教育施設の情報処理用フロア材として実用化されているところでございます。
 研究成果につきましては、林業技術センターの成果報告書あるいは技術解説書等によりまして公表するほかに、民間企業等との研究成果に基づく新商品開発や技術指導によりまして普及を図っているところでございます。さらに、県庁内のもっと・WOOD・県産材推進連絡会議等で関係部局に開発された間伐材製品や間伐材利用事例等の情報を提供いたしまして、普及、定着に努めております。
 今後も引き続き、住宅部材の開発等に取り組むことといたしておりまして、その研究成果についてもホームページに掲載するなど、迅速かつ広範に情報を提供いたしまして、研究成果の普及に努めてまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 最後になりますが、次に汚水処理連携モデル調査についてお伺いします。
 下水道や農業集落排水、合併処理浄化槽などの汚水処理施設の整備は、水洗化による生活環境の改善や河川、海域の公共用水域の水質保全、さらには活力ある地域づくりや若者の定住促進などを進める上で、その役割は重要になってきているところであり、施設整備に対する県民の要請はますます強くなってきていると感じているところであります。幸い、県においては、汚水処理施設の整備を県政の重点施策の一つに掲げ、積極的に取り組んでいるところであり、その姿勢に敬意を表するものでありますが、施設整備に当たっては、市街地や農山漁村を含めたすべての地域において効率的に進める必要があると考えるものであります。
 そこでお伺いしますが、県では、今後の汚水処理施設整備に反映すべく平成13年度当初予算において、新たに汚水処理連携モデル調査を実施するとのことですが、本調査の目的とどのような効果を期待しておられるのか、また、調査結果をどのように活用されようとしているのかお尋ねいたします。
 以上で、私の総括質問を終わらさせていただきます。

〇千葉副知事 平成13年度に実施しようとします汚水処理連携モデル調査は、異なる汚水処理施設──公共下水道と農業集落排水施設──の管渠あるいは処理場を連携して整備した場合のコストの縮減、効果などについて調査をするものであり、今後の整備の推進を図ろうとするものでございます。この調査によりまして、次のような効果が期待されるものでございます。
 一つは、農業集落排水施設を公共下水道へ接続いたしまして、農業集落排水処理場の数を削減することなどによりまして、建設費と維持管理費、特に人件費でございますけれども、これが軽減されます。また、二つ目といたしまして、公共下水道事業単独では、供用開始がおくれる区域であっても、整備の進んでいる農業集落廃水施設に接続することによりまして、早期の供用が図られることなどがございます。この逆の場合もあるわけでございますけれども、それから調査結果の活用でございますけれども、各種の汚水処理施設の連携を図りまして、その整備率をさらに向上させるため、この事業の成果を積極的に市町村へ提供してまいりたいと考えております。

〇中屋敷十委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時53分 休 憩
   午後1時4分 再 開

〇佐々木一榮副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇高橋賢輔委員 執行部の皆さん、御苦労さまです。
 自由党の高橋賢輔であります。
 予算審議に当たり、会派を代表し、総括的に質問いたしますので、これまでの質問と一部重複する部分もあろうかと思いますが、よろしく御答弁をお願い申し上げます。
 さて、県議会冒頭の知事演述で、増田知事は、今世紀の県政運営の視点として、経済効率一辺倒の価値観からの脱却、個人としての自立を掲げ、創造力を発揮し、生きる喜び、生きる価値を見出す社会の構築を強調されました。戦後50余年、欧米先進国に追いつけ追い越せの経済最優先の施策、姿勢は、今、環境破壊に象徴されるように、さまざまなひずみをもたらしてきたのも確かであります。それは国、地方とも同様であり、これからの施策、計画は、基本的にはそうしたひずみの是正あるいは反省に立って推進されなければなりません。
 個人としての自立も、突き詰めますと、地方のことは地方で決め、当然結果責任を負うという地方分権推進のいわゆるキーワードにもつながるものであります。その意味で、増田知事の基本姿勢は、そうした状況を的確に読み取り、新世紀の岩手県政のスタートにふさわしい時代の認識であります。もちろん、ふえ続ける県債残高など厳しい財政運営を余儀なくされているのも確かですが、その方向性を具体的な施策展開に移すことで、生きる喜び、生きる価値を見出す社会の構築、言いかえれば総合計画が掲げるみんなで創る夢県土いわてへの第一歩を踏み出すものと確信いたします。
 そこでお伺いしますが、県財政の現状と今後の見通しについてどのように認識しておられるのでしょうかお聞かせ願います。

〇千葉副知事 本県の財政状況でございますけれども、歳入面では、県が自主的に収入し得る県税等の自主財源の割合が依然として低い状況にございます。したがいまして、財源の多くを地方交付税、国庫支出金あるいは県債に依存せざるを得ないような状況にございます。
 一方で、立ちおくれている社会資本の整備を図るため、東北新幹線盛岡以北や道路網の整備などに取り組んできたところでございますし、また、平成4年度以降の数次にわたる国の経済対策に呼応した取り組みや、地方財源不足の補てんの措置といたしましての財源対策債等の発行によりまして公債費が増嵩し、極めて厳しい状況にございます。
 こういった情勢を背景といたしまして、平成13年度の予算編成でございますけれども、県税収入等が伸び悩む一方で、公債費等の義務的経費が増嵩するなど厳しい環境が続く中にあって、21世紀の新たな発展基盤を構築するため、総合計画の着実な推進に向け、中期的な財政見通しのもとに、政策評価結果による施策重点化方針に配意しながら、限られた財源を重点的かつ効果的に配分することを基本として編成したところでございます。
 今後の見通しでございますけれども、今後とも、国、地方を通じまして厳しい財政状況が見込まれるところでございます。中期財政見通しにおきましては、県税等の自主財源の伸びに期待し得ず、公債費等の義務的経費が増嵩しまして、このまま推移すれば、近い将来、経常収支比率は87%、公債費比率は25%程度まで上昇するものと見込んでおります。しかし、公債費比率につきましては、交付税等によりまして財源が保証されている部分もあるところでございまして、起債制限の基準として実質的な意味のある起債制限比率で見た場合は、起債を制限される20%を超えることはないと見込んでいるところでございますが、いずれ、財政運営が圧迫されることが強く懸念されるところでございます。
 したがいまして、行政システム改革大綱に基づきまして徹底した行政改革に取り組み、歳出の見直し等による施策の重点化、効率化に努めてまいりたいとしております。また、国に対しまして、地方財源不足の補てんの措置といたしましての地方債はできるだけ避けていただきまして、地方一般財源の充実確保が図られるよう強く要請してまいりたいと考えております。

〇高橋賢輔委員 次に、予算編成についてお伺いいたします。
 平成13年度当初予算につきましては、前年度当初予算に比べ、伸び率わずか0.7%の緊縮型の財政となっております。増田知事は、生活者、地域の視点を掲げていますが、一方では県債残高が平成13年度末見込みで約1兆2、700億円まで膨らむようでありますが、公債費も年々増加していることから、ますます厳しい財政運営を強いられるようです。このままでは県民サービスの低下を招くことになるのではと危惧するものであります。もう少し厳しい実態をわかりやすく県民に説明することこそが県民の理解と認識を深めることになるのではないでしょうか。
 そこでお伺いしますが、予算編成に当たり、どのような配慮と苦労をされたのでしょうか。
 関連いたしまして、公共事業の絞り込みによる歳出抑制など財政健全化にも取り組んだようですが、その評価についてもお聞かせ願います。

〇武居総務部長 平成13年度の予算編成において配慮した点でございますけれども、大きく3点ございます。
 第1点は、21世紀の新たな発展基盤を構築するため総合計画の着実な推進を図ったことで、この中には、計画に盛り込まれた主要施策、主要事業を中心に予算配分をしたとか、環境、ひと、情報の三つの重点課題への取り組みでございますとか、その他いろいろございました。第2点目は、政策評価結果等に基づき施策の重点化を図った点でございまして、評価結果に基づきまして重点化方針を定め、それに基づきまして重点配分を行ったと。それから、公共事業につきまして、費用対効果分析等によりまして重点的、効率的な実施を図ったと。第3点目は、中期財政見通しを踏まえまして、中長期的な財政運営や健全性の確保を図ったこと、こういった点がございますが、このほかにも、部局横断的課題でございますとか、4月から新しい組織再編後の組織がスタートするわけでございますが、こういったものへの対応でございますとか、あるいは各部局、地方振興局の自律性、主体性の一層の充実、こういった点に配慮したところでございます。
 そういった予算編成を行ったわけでございますけれども、まず何よりも財源の重点的かつ効率的な配分ということが最も重要になってまいりますので、歳入面では、県債発行の抑制の問題でございますとか、財源確保の問題でございますとか、あるいは基金をどのように将来の活用のために確保していくのか、こういった問題がございましたし、歳出面では、歳出の徹底した合理化、効率化といったことも当然必要になってまいりますが、優先度と緊急度の高い施策にいかに重点化していくのか、あるいは先ほどの公共事業の問題でございますとか、そういったものもございます。さらに、地方振興局予算について、予算要求をどうしていくか、こういったことも課題になってまいりまして、要求枠を超えた要求を認めたような事例もございます。さらに、各部局において、職員の自主性とかコスト意識を引き出すため、執行面からの経費節減、計画的執行あるいは年度間調整を可能とする新しい仕組みも導入したところでございますが、いずれ、先ほど御質問にもございましたように、県財政への県民の理解も大変重要になってまいりますので、新たに査定経過の一部をホームページで公表するなど、公表内容についても改善を加えております。そういったことでございまして、緊縮型ではございますが、生活者重視、地域重視の予算としたところでございます。
 それから、財政健全化への取り組みでございますが、これは、中期財政見通しを踏まえてやっているわけでございます。この中期財政見通しに沿った形での財政健全化への取り組み状況でございますが、まず、歳出の抑制につきましては、当初予算の伸び率0.7%と抑制型にしました。それから、中期財政見通しの計画期間内における徹底した財政健全化努力ということで総額167億4、500万円見込んだわけでございますが、歳出の抑制で157億6、100万円ということで、事務事業評価による見直しでございますとか、公共事業の重点化でございますとか、人件費の抑制でございますとか、こういったもので先ほど申し上げたような額を確保したところでございます。それから、財源の確保としまして9億8、400万円、これは使用料、手数料等の見直しなどによりました。それから、県債残高の抑制という目標もあったわけでございますけれども、これにつきましては、県債依存度、財源対策債除きで8.8%ということで、前年度よりも0.6ポイント下げております。それから、健全化に係る指標の評価と公表についても、各種広報媒体を使い公表しているところでございます。主要3基金につきましても、平成13年度末で3基金合計残高見込みで843億円ということでございまして、今後の総合計画の円滑な推進を図るために必要額を確保したところでございます。
 このように、平成13年度におきましては、限られた財源を効果的に活用するためにさまざまな努力を重ねたところでございますが、いずれ中期財政見通しを踏まえながら、総合計画の着実な推進を図るため、今後とも健全な財政運営に配慮してまいりたいと考えております。

〇高橋賢輔委員 次に、政策評価制度についてお伺いいたします。
 全国都道府県の平成13年度当初予算を見ていきますと、全国的な傾向といたしましても前年度を下回る逼迫した財政状況にあるようで、緊縮型の予算編成が目立っているようです。いずれも国内の経済の動向が左右してのことと思われますが、県によっては地方単独事業を削減し、健全な路線を歩んでいく姿が見られます。これらは、過去の経済対策などで増発した地方債の償還に迫られるといった現実があると思われますが、借金返済の圧力が財政を苦境に追い込んでいるというのが実情であります。
 本県におきましても、伸び率わずか0.7%という緊縮予算は、事業の見直しなどで歳出抑制に努めるとともに、各種基金の取り崩しと県債で財源を確保したということになろうかと思いますが、依然として厳しい財政運営であると思われます。このため、当初予算は、昨年試行されました政策評価制度の結果に基づいて重点化が図られたとのことでありますが、政策評価の試行をどう評価され、本格実施に向けどのような取り組みをしようとしているのかお伺いします。

〇武居総務部長 政策評価の試行による成果でございますけれども、本年度、試行したわけでございますけれども、その結果につきまして大きく3点ほどございます。
 1点目は、施策の重点化方針を定めまして、13年度の施策展開に向けた重点化が図られたということ。2点目は、各部局間にこれまで以上に分野横断的な取り組みに向けた施策形成の機運が醸成されてきたということ。3点目は、これが一番政策評価の眼目とするところでもあったわけでございますけれども、職員にとっては、ともすれば企画立案、実施のみに気をとられてきた、いわゆるプラン・ドゥー・シーのシーの部分なんですけれども、こういったところの成果重視、結果重視の意識が根づいてきた、こういったことがございます。そういった意味で、総じて一定の成果が得られたものと考えております。
 平成13年度の当初予算におきましては、施策重点化方針を踏まえまして、全7重点化施策で合計110施策・事業、646億円余りの措置をしたところでございます。
 来年度の本格実施に向けた取り組みについては、御案内のように、平成13年度は、専担組織として政策評価課が設置されるものですから、ここで十分に検討を深めてまいりたいと考えておりますが、大きく3点ほど課題がございまして、1つは、政策評価、事務事業評価あるいは公共事業評価、こういったいろいろの評価体系があるんですけれども、これを一体的に取り扱い、一連の評価体系となるよう取り組みを進めてまいりたいと考えてございますし、2点目は、評価結果の予算への連結というんでしょうか、反映というんでしょうか、そういったものを強化し、より実効性の高い政策評価システムを目指していきたいと考えてございます。3点目は、本会議等の質問でも出されたんですけれども、より評価の客観性を確保するために、政策評価の過程で外部からの意見を取り入れる、こういったことも検討してまいりたいと考えております。
 さらに、来年度以降継続した課題になりますけれども、成果をあらわす指標につきまして、県民生活に身近な指標を検討していく必要があるのではないか、そういったものに向けて指標の改善とか充実を図る、こういったものも課題になってこようかと考えております。
 いずれ、こうした取り組みによりまして、成果重視の行政運営への転換、効率的で質の高い行政の実現に努めてまいる考えであります。

〇高橋賢輔委員 次に、県内企業への発注状況についてお伺いいたします。
 冷え込む県内企業に活力を与える方策として、県が行っております公共事業や物品購入などには地元企業を優先すべきと思うのであります。これが、意外にも県外業者への発注が多いと聞きました。業種によっては、国際認証資格などが必要であれば、その資格取得を推進しながら企業の意識革命を図ることも重要だと思いますし、県内企業が活発化されれば法人税の伸びにもつながり、自主財源の確保にも一役買うことになると思うのであります。ぜひ地元企業を優先的に選定されるよう期待するものであります。
 そこでお伺いしますが、県営建設工事の県内業者への発注状況及び官公需の中小企業発注状況はどのようになっており、それぞれ発注率を高めるためにどのような取り組みを行っているのかお示し願います。

〇千葉副知事 県営建設工事の県内業者への発注状況でございますけれども、平成11年度において件数で3、586件、金額で1、367億6、200万円となっておりまして、県内業者への発注率は83.5%で、前年度74.1%と比較いたしまして9.4ポイント増加しております。
 また、工事の発注に当たりましては、これまでも県内業者への優先発注に努めてきたところでございまして、現在の指名基準の中で、県内業者で施工可能な工事は極力県内業者を指名することといたしております。また、条件付一般競争入札におきましては、参加資格の中で、県内に主たる営業所を有する者として要件を定める場合があり、これらも県内業者の育成に当たるものと考えているところでございます。また、県内業者が主体の施工が困難と判断される特殊工事や大規模な工事についても、県内業者を含む特定共同企業体への発注とし、できる限り県内業者の参入が可能となる機会を確保するなど、今後とも引き続き県内業者への受注機会の確保に努めてまいりたいと考えております。
 それから、官公需の中小企業発注の状況でございますけれども、県の官公需の平成11年度の中小企業向け発注額は約1、968億円で、発注比率は79.7%となっております。
 発注率を高めるための取り組みでございますけれども、各部局におきまして、価格面、数量面、工程面等から適切であるかどうかを十分に検討の上、可能な限り分離・分割発注に取り組んできているところでございます。また、岩手県中小企業団体中央会の情報誌やホームページを通じまして、中小企業向けの発注情報を提供しているところでございます。また、市町村に対しましても、中小企業向け発注比率を高めるよう文書で要請しております。
 今後におきましても、分離・分割発注の推進や官公需適格組合の活用のほか、中小企業への発注情報の提供の強化などに努めまして、中小企業向け発注比率が高まるよう努めてまいりたいと考えております。

〇高橋賢輔委員 次に、情報立県についてお伺いします。
 新しい岩手づくりのシナリオであります岩手県総合計画の柱とした環境、ひと、情報のうち、情報につきましては62の事業、57億8、700万円が計上されているとのことでありますが、これまでの情報インフラ整備については行政主導で実施されてきた傾向にありますが、今後は、民間企業や一般県民が参画できるような体制をとることが急務であると思います。
 こうした中で、県が予算編成で力を入れたのがモバイル端末──移動携帯端末装置──を使った情報活用推進事業のようであります。とりわけ、大野村での実証試験や次世代携帯電話の本格利用に向けた研究費として約1、000万円を盛り込んでいるようですが、今後の計画に沿って進められる事業の行方に注目が集まるところであります。ここでは、広大な県土に住む住民に早く同じ量と質の情報を提供するには移動体通信が最善と考え、活用方法を探るというのが魅力ともなってくると思います。これからの時代への対応として半年間の実験結果が楽しみでもありますが、情報立県に向けての課題はないものかお伺いいたします。

〇佐藤企画振興部長 モバイル立県に向けての課題でございますけれども、御案内のように、人口集積が大きい都市部では、民間企業ベースでこのモバイルサービスというのがどんどん普及してくることは目に見えております。一方、本県の観光でありますとか、地場産業でありますとか、行政が一体となって連携してこれにどう取り組み、対応していけばメリットが出てくるのか、こうした視点から産学官民が知恵を出し合って取り組み、民間ビジネスと行政サービスの役割分担というのは当然ありますけれども、そういう分担を考慮しながら、県民、地元主体のモバイルの活用のノウハウあるいはシステムを早く確立することが大事だと考えております。
 13年度は大野村で実証実験を行いますけれども、こうしたモバイル立県に向けた具体的な課題を探ってまいりたいと考えております。
 もとより、携帯電話の不感地帯の解消、これは全県的に最も大きな課題であると認識いたしております。
 それからまた、IT革命に対応した高度情報化万般にわたる本県の課題という観点からお答えしたいと思うんですけれども、IT対応の基本的な視点といたしましては、まず、やはり本県産業の振興、新たな雇用機会の創出にいかに役立たせるかということではないかと思っております。こういう見地から考えた場合に、いずれ来るべきギガビットあるいはテラビットの時代というのが予測されているわけですけれども、そういったこれからの動向を視野に入れた最先端の研究開発というものにこの岩手で取り組むことが非常に望ましいと考えておりましたが、過般、通信・放送機構──TAO──の産学共同研究センターが県立大学の周辺で立ち上がるということは大変心強い限りであります。それからまた、産学官連携による新製品あるいはニュービジネスの創出も、岩手大学を中心としたINSいわてネットワークシステム、こういったところを中心に活発な展開が望まれているところであります。総じて、情報と知識が付加価値の源泉となる、いわゆる知識創発型社会に転換する戦略手段となるように取り組んでまいりたいと考えております。
 また、ITを有効活用した県民生活の利便性あるいは災害、県民の医療、こういった命にかかわる分野での有効活用の問題でありますとか、地域間格差、いわゆるデジタルディバイドの解消、こういったことも大変大きな課題になっているわけでございます。特にもこういう見地からは、情報インフラの県内のさらなる整備、あるいはITを指導していく人材の育成といったことが大きな課題であるわけであります。
 それから、電子政府に並んだ電子県庁の構築も急がれておりまして、そういった意味では、これは全国的な問題ですが、セキュリティーをどう確保するかとか、電子認証基盤の早期確立だとかが望まれているところでありますし、私どもとしては、県民に役立つ情報システム、プログラムの開発でありますとか、情報内容の充実とか、そういったことも急がれております。そしてまた、私ども県庁職員一人一人がITを使いこなせるようなレベルアップということも大事な課題であります。
 こうしたことを念頭に置きながら、本県におきます平成15年度までの高度情報化戦略といたしましては、本県におけるインターネットの利用状況などの情報化の現状を踏まえまして、できるだけ多くの県民がインターネットに触れ、利活用できる環境づくり、2点目としては、学校にインターネットを接続し、授業等に活用できる環境づくり、3点目として、県民が地域の基幹病院で遠隔医療の支援を受けながら適切な医療を受けられる環境づくり、そして最後の4点目に、県土全域に災害に強い確実な情報共有、連絡体制の整備、この4点を重点的に進めてまいりたいと考えております。

〇高橋賢輔委員 次に、市町村合併についてお伺いします。
 地方財政が恒常的に抱える諸課題を解決する突破口として、このところ市町村合併の問題がにわかに議論されるようになりました。昨年の5月に県が広域行政推進指針の成案を県内各地域に提示して説明会を開催するなど、市町村合併を含む広域行政推進に向けた方向性を明らかにしたところであります。本格的な地方分権の幕あけとともに、より強く、自立した市町村をつくり上げていく必要はもとより、過疎化、高齢化、財源不足、生活圏域の拡大に伴う新たな地域づくりなどの時代の変化に的確に対応していくためにも、市町村の合併は避けて通れない重要な課題であると考えております。
 ちょうど10年前に3市町村の合併を果たした北上市の場合は、行政サービスは一番高い水準に合わせる一方で、住民負担は一番低いところに合わせることにしたところに特徴がありました。その中で、いち早く取り組んだのが職員の削減であります。つまり、サービス水準を維持する財源は組織のスリム化でひねり出したというわけであります。
 現在、市町村合併に向けての協議が進められているところがあるようですが、どうも県全体の議論が低調に思えてなりません。もっと市町村や住民に合併の意義や効果に関する情報を提供するなどしてはいかがなものでしょうか。行政の壁を越えた生活圏の諸問題を克服する戦略をどう描くか、今後の市町村合併の推進に向けてどう取り組んでいかれようとしているのかお伺いいたします。

〇佐藤企画振興部長 住民の日常生活圏が市町村の行政区域を越えていること、国、地方を通ずる厳しい財政状況のもとで、ますます多様化、高度化する住民ニーズに対応して、地域生活者、住民の視点に立って、これからの望ましい行政のあり方をどう考えたらいいのか、合併が望ましいとすれば、地域の将来ビジョンとして、市町村、住民はどういう新たな姿を描き、参画できるのか、そうした視点からの論議が不可欠でありますし、出発点でもあると思っております。戦略というお尋ねがありましたが、やはりそうした土俵に上がってもらうということが何よりも大事ではないかと考えております。
 こうした見地から、13年度におきましては、住民の判断材料となるさらなる情報の提供に努めるほか、合併の意義や効果についての資料を折り込み、住民に対する啓発効果をあわせ持った、全県を対象とする住民アンケート調査の実施やシンポジウムを開催するなど、県全体としてより一層の機運の醸成に努めるとともに、市町村合併への取り組みが具体化した場合には、本会議でも申し上げましたけれども、本庁、地方振興局挙げて合併推進本部を設置して支援してまいりたいと考えております。

〇高橋賢輔委員 次に、市町村が設立した第三セクターについてお伺いいたします。
 今、官民が共同出資して設立した第三セクターの経営破綻が相次いでおります。最近のニュースでは、宮崎市の大型リゾートを運営する第三セクターフェニックスとグループ2社の会社更生法適用で地元に動揺が広がっています。出資者の県は、事業の受け皿になるスポンサー企業に支援を要請し、施設の維持に懸命のようですが、最終的に県は身を引く考えを見せているようです。
 国内で昨年1年間に破綻、解散した第三セクター33社のうち、3分の1が観光リゾートを手がけていたということであります。経営難に陥っている会社の赤字補てんも地方公共団体が財政難では限界があり、また、出資企業側では、連結決算の導入によって撤退を促されております。本県においても、事実、第三セクターが破綻しております。自治体による損失補償など小手先の延命には市民の批判が強く、第三セクターリゾートは曲がり角を迎えています。
 そこで伺いますが、県内市町村が出資している第三セクターの経営状況はどのようになっているのかお示し願います。

〇佐藤企画振興部長 昨年の8月に実施した調査によりますと、市町村が25%以上を出資し、監査委員の監査が及ぶこととなる第三セクターは、平成12年3月31日現在で129法人あり、そのうち約46%に当たる59法人が平成11年度決算で累積収支が赤字となっております。また、平成11年度の単年度収支について見ますと、全体の約41%に当たる53法人が赤字を計上いたしております。これを平成10年度決算の状況と比較いたしますと、累積収支が赤字の法人数は5法人増加しており、全体の累積赤字額も、平成10年度決算の34億1、300万円から平成11年度決算においては38億7、100万円と、4億5、800万円増加いたしております。
 そういうことで、県といたしましては、第三セクターの経営状況の適否が市町村の財政運営に重大な支障を及ぼす可能性が高いことから、まず、市町村が第三セクターを新たに設立するに当たっては、事業の内容や新たな事業主体の必要性、第三セクター方式の適否等について事前に十分検討を行うとともに、既に設立した第三セクターについては、そのあり方について常に総点検を行い、業務内容の見直し等により経営健全化、効率化を推進し、出資団体である市町村の財政運営に支障を及ぼすことのないよう、今後とも行財政事務調査や市町村財政担当課長会議等の機会を通じて市町村に対し助言してまいりたいと考えております。

〇高橋賢輔委員 次に、中山間地域直接支払制度についてお伺いいたします。
 中山間地域等直接支払交付金の交付が今月実施される運びになっております。東北6県では365市町村の集落が対象のようですが、実際に取り組んだのは67%の245市町村で、全国平均に比べても低調のようでした。しかし、本県においては、さまざまな課題を持ちながらも、交付要件に当てはまる集落への市町村等の働きかけが行われた結果、初年度の取り組みは順調だったとお聞きしております。
 直接支払制度は、耕作放棄を防止し、中山間地域が果たしている水源涵養機能、洪水防止機能等の多面的機能を確保する観点から行われるものであります。本県のように山間地が多く、平地に比べて生産条件の劣る中山間地域の生産者に本年度から5年間にわたって交付するというものですが、私は、この制度を推進していくためには、中山間地域の持つ多面的な機能に対する住民の理解を得ることも必要ではないかと思います。特に、国土の保全、水源の涵養、景観形成や文化の伝承など、中山間地域の田園・自然空間が農村住民だけでなく都市住民にとっても財産であるという点を再認識し、中山間地域住民の生産意欲を県民全体が支援する雰囲気が伝わってくれば幸いと考えますが、県の考えはいかがなものでしょうか。

〇千葉副知事 本県の平成12年度の中山間地域等直接支払制度への取り組みの実績でございますけれども、対象面積で、昨年度実施した実態調査結果の82%に当たる1万6、395ヘクタールとなっておりまして、全国平均の71%に比べても高い数値となっているところでございます。この制度を円滑に推進していくためには、委員から御指摘のありましたとおり、中山間地域等が持つ多面的機能に対する県民の理解が不可欠であると考えているところでございます。
 この理解の醸成に向けた具体的対応でございますけれども、この制度におきましては、集落協定による農業生産活動等の実施状況を翌年度の6月末までに公表することとされております。この中で、のり面点検や簡易な基盤整備等農用地の維持管理活動や周辺林地の環境整備、景観作物の作付、魚類、昆虫類の保護等、多面的機能の増進に向けた活動の実績を県民へ積極的に周知していく予定になっております。また、グリーン・ツーリズムの推進等を通じまして、都市住民に対して良好な自然環境や景観、歴史文化等、中山間地域の多彩な資源を提供いたしまして、中山間地域に対する理解と関心を一層深めてまいりたいと考えているところでございます。こうした取り組みを通じまして、広く県民の理解を得ながら、制度の円滑な推進を図ってまいりたいと考えております。

〇高橋賢輔委員 次に、環境基本計画についてお伺いいたします。
 県は、環境首都いわてを目指すとした環境基本計画を策定いたしました。この基本計画は、すべての県民の参加、連携と協力による環境との共生、環境への負荷の少ない循環型地域社会の形成、そして、地球環境の保全に貢献する地域からの行動を施策の基本として策定したとしております。まさに21世紀は環境の世紀と言われており、先見性に富んだ基本計画であり、高く評価いたします。
 さて、問題は、具体的な行動計画に基づく実践であります。まず、この基本計画推進に当たっての部局間の連携についてでありますが、この計画は、県行政のすべての分野にかかわりますので、各部局の一体的な取り組みなしにはその効果を期待できないものであります。実行に移す段階での連携はとれているのかお伺いいたします。また、市町村との連携は十分とれているのかあわせてお聞かせ願います。

〇千葉副知事 環境基本計画につきましては、全庁的に協議しながら策定を行ったところでございまして、各部門別計画にも環境基本計画の理念や視点が反映されているところでございます。
 また、計画の推進に当たりましては、部局間の連携を図るため、関係する58の課室で構成する岩手県環境施策推進会議を設置いたしまして、部局横断的な施策や新規事業の創出等について協議を行うなど、環境施策の総合的な推進を図っているところでございます。
 平成13年度には、エコタウン構想の推進、自然循環機能を活用した持続的農業の取り組み、木質バイオマス利用の調査検討など、各部局の合計131事業、約342億円の環境関連予算を当初予算案に計上したところでございます。今後におきましても、一体的な取り組みに一層努めてまいりたいと考えております。
 また、市町村との連携でございますけれども、環境基本計画の推進に当たりましては、住民に最も身近な行政主体であります市町村とのパートナーシップを築き、相互に連携、協力して施策を進めることが極めて重要でございます。したがって、市町村における環境基本計画の策定、地球温暖化防止に係る実行計画の策定、ISO14001の認証取得等に対しまして積極的に支援するとともに、あらゆる機会を通じまして意見交換に努めているところでございます。今後とも、市町村とのより一層の密接な連携を図りながら、環境施策の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

〇高橋賢輔委員 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 かつてない厳しい雇用情勢の中で、国は、平成11年度の第1次補正予算などにおいて緊急雇用対策を実施してきました。その内容は、民間企業による雇用の創出と敏速な再雇用の促進、国、地方公共団体による臨時応急の雇用・就業機会の創出、人材資源の活性化、雇用保険の改革となっているようです。県といたしましても、これまで経済団体や個別企業に対して求人要請をしてきたことと思われますが、県内の中小企業の相次ぐ倒産などに見られるように、新規高卒者の就職状況は厳しく、中途離職者の再就職も相当の数になっていることと思います。
 そこでお伺いいたしますが、本県の雇用対策の現状と今後の対応をどうお考えかお示し願います。
 また、緊急地域雇用特別基金の設置による地方公共団体における臨時応急の雇用・就業機会の創出について、県内市町村の取り組み状況を含めてお知らせ願います。

〇千葉副知事 雇用対策の現状でございますけれども、厳しい就職環境にある新規学卒者につきましては、岩手労働局とともに、経済団体や約1万2、000社の企業に対する求人要請を行ったところでございます。また、盛岡を初めといたしまして、東京、仙台、札幌において計6回のいわて就職面接会を開催いたしまして県内就職の促進に努めてきたところでございます。また、県単独で、県内の公共職業安定所などに15名の職業アドバイザーを配置いたしまして、中高年齢者や女性を対象に求人開拓や職業相談を行ってきたところでございます。また、離転職者の職業能力開発につきましても、大船渡、宮古、久慈地域の県立職業能力開発施設における短期の職業訓練や職業訓練法人への委託訓練を実施しているところでございます。さらに、平成11年度から緊急地域雇用特別基金事業を実施しておりまして、地域の実情に応じた雇用・就業機会の創出が図られているところでございます。
 12年度における緊急地域雇用特別基金事業の取り組み状況でございますけれども、主な県事業といたしましては、ホームヘルパー養成、中学校の運動部への指導者派遣、県立博物館資料のデータベース作成等が挙げられます。また、市町村事業の主なものといたしましては、美化・清掃業務、公有林の除間伐、小・中学校への生活指導員の配置などが挙げられます。この結果、県事業では28事業で約800人、市町村事業では146事業で約1、500人、あわせて174事業、約2、300人の実雇用を見込んでいるところでございます。
 今後の対応につきましては、これらの施策に加えまして、公共職業安定所に配置しております職業アドバイザーを見直しまして、新たに各地方振興局に地域雇用相談員を配置いたしまして、国等の関係機関との連携を図りながら、地域住民からの労働相談や求人、求職の情報提供など、地域の実情に応じた雇用対策に取り組むこととしております。
 また、今後とも積極的な企業誘致を推進するとともに、県内企業の経営力の強化や新たなニーズに対応した産業の創出や新分野への事業展開を支援するなど、地域産業の自立的発展を促進いたしまして雇用の拡大を図ってまいりたいと考えております。

〇高橋賢輔委員 次に、八幡平リゾートスキー場関係についてお伺いいたします。
 御存じのように、JR東日本が八幡平リゾートスキー場とホテル経営から撤退するということで、各方面へ大きな反響を呼んでいます。特に、八幡平リゾートスキー場とホテルは松尾村などとの第三セクター方式で運営しておりますが、今後の存続をめぐって心配する向きが少なくありません。今回の撤退の理由としては、不況の影響による利用客の減少や施設の老朽化を挙げていますが、県としては、これから地元の自治体とよく相談するなど、雇用の問題を含めてじっくり話し合っていただきたいと思うのであります。
 今後におきましては、施設運営の継続性の確保をどのように図っていくかが大きな課題であると考えますが、副知事の所感と、県としてのこれからの対応をお聞きしたいと思います。

〇千葉副知事 JR東日本の八幡平リゾートスキー場やホテルからの撤退によりまして、ペンションや民宿、観光関連施設などの地元関係者はもとより、本県の観光や地域経済にとっても大きな影響が懸念されるところであり、まことに残念に思っております。
 今後の対応としましては、これらの施設の運営の継続が何よりも重要な課題であるととらえているところでございます。施設の存続につきましては、JR東日本が責任を持って経営の譲渡先を探すとの説明を受けているわけでございまして、現在、コンサルティング会社等の協力も得ながら検討を進めていると伺っているところでございます。
 このように、JR東日本が責任を持って対策を講じることが基本ではございますけれども、地元におきましても、一体となって、みずからの努力で地域を盛り上げていこうとする取り組みが大切ではないかと考えているところでございます。地元では、この3月2日に松尾村や商工会、観光協会を中心に、盛岡地方振興局や県観光開発公社等も参画いたしまして、東北リゾートシステム{竕c業関連問題対策委員会を設置いたしまして、施設の存続や雇用、今後の振興策に取り組んでいるところでございます。
 県といたしましても、松尾村や対策委員会と連携を図りながら、JR東日本がみずからの責任において確実な経営の譲渡先をできるだけ早期に確保できるよう強く働きかけていきたいと考えております。
 また、雇用につきましては、東北リゾートシステムが中心となりまして、従業員と個別面談を行うとともに、JR東日本のグループ会社を中心に採用をお願いするなど、グループが一体となって取り組んでいると聞いておりまして、その万全の対策を望むものでございます。

〇高橋賢輔委員 次に、生活排水処理対策についてお伺いいたします。
 県内の下水道を初めとする汚水処理施設の整備状況を見てまいりますと、都市部に比べ、一歩農村部に入りますと、その出おくれは歴然としています。言うまでもなく、下水道や基幹的な交通インフラなど、県民生活を直接支える基盤整備は県の重要施策の一つと思われますが、今回、県が打ち出しました汚水処理施設の中で注目したいのは、市町村が設置する合併処理浄化槽への補助制度の創設であります。これは、過疎地域などで20世帯以上を1区域と見て、特定地域生活排水処理事業を適用して実施されるとのことですが、大いに期待したいところであります。特に、県内の汚水処理施設整備率は平成11年度末で約47%、前年度より3ポイントアップしたといいますが、全国平均約69%から見ましても大きく下回っているのが実情であります。したがいまして、今後の費用対効果を考えましても、地域によっては合併処理浄化槽の導入を進めていくことが効率的なように思いますが、この補助制度の概要と今後の取り組みについてお伺いいたします。

〇千葉副知事 御質問のありました補助制度は、13年度から新たに市町村が実施主体となって合併処理浄化槽を設置する特定地域生活排水処理国庫事業を導入する場合に、市町村が借り入れた下水道事業債のうち、地方交付税措置額を除いた市町村の実質負担の2分の1に相当する額を下水道事業償還基金費補助として実施市町村に補助するものでございます。
 この制度によりまして、従来の個人設置型の補助に比べまして個人負担額が大幅に軽減されまして、維持管理の面でも利用者が利用料を支払い、法定検査、清掃等を市町村が責任を持って行うこととなるなど、費用対効果の点で集合処理の困難な中山間地などでの生活排水処理施設の面的な整備促進に役立つものと考えております。
 この事業を導入するためには、合併処理浄化槽の設置者が市町村となるため、浄化槽の設置、維持管理等に係る条例制定、使用料徴収、整備区域の設定など、各市町村が取り組むべき課題もあるところでございます。県といたしましても、新年度早々に整備予定市町村や岩手県合併処理浄化槽普及促進協議会等による検討会を設置いたしまして、その成果を県内市町村に普及するなど、事業導入を促進するための環境整備を図ってまいりたいと考えているところでございます。

〇高橋賢輔委員 次に、ALS──筋萎縮性側索硬化症──についてお伺いいたします。
 県民に余りなじみのない病気にALSと言われる難病があります。現在、県内には70人から80人の患者がいると言われており、病気の症状としては、運動神経が侵されて筋肉が萎縮していく進行性の病気であります。手足を動かせないばかりか、進行すると1年から3年で全身が麻痺し、声も出せず、呼吸困難に陥る一方、頭脳の働きや目や耳の動きは正常に保たれるという特徴があります。しかし、まだ原因がわからないため治療法も確立されておらず、人工呼吸器による延命に頼らざるを得ません。
 こうした現実から、昨年6月には、県内の患者を励まそうと、盛岡の市民が中心となり、日本ALS協会岩手県支部が設立されたところであります。ALS患者等全身障害者の地域社会での自立と社会参加を目的とした取り組みについては動き出したばかりのようですが、全国的にも進められておりますし、東北では宮城県仙台市が介護人指名制による全身性障害者指名介護人派遣事業として取り組みを始めているところです。
 そこでお伺いいたしますが、本県におけるALS患者の状況と、宮城県と同様の事業への取り組みはどのようになっているのでしょうかお示し願います。

〇千葉副知事 本県における特定疾患治療研究事業の対象となっております筋萎縮性側索硬化症、いわゆるALS患者は、平成12年12月現在で74人でございまして、そのうち在宅者は41人でございます。在宅患者の中には、コミュニケーションが全くできず、あるいは人工呼吸器を使用しなければならないなど常時濃密な看護の必要な方がおられます。
 ALS患者につきましては、介護保険法による特定疾病に該当するところから、40歳以上の方につきましては介護保険法により、その他の方につきましては障害者施策から在宅サービスを提供することとなっておりまして、県内におきましては、平成13年1月に6人が介護保険による介護サービスを利用いたしております。
 御質問のありました仙台市の全身性障害者指名介護人派遣事業につきましては、単身または家族による介護を受けることができない全身性障害者に対しまして、障害者が指名した介護人を派遣する事業と承知しているところでございます。
 このような取り組みにつきましては、一定条件のもと現行制度においても対応可能であるというところから、今後、実施主体である市町村の意向等を十分に聞きながら、支援してまいりたいと考えております。

〇高橋賢輔委員 次に、少子化対策についてお伺いいたします。
 全国的に少子化対策が叫ばれる中で、本県としても全国と同様に少子化が進んでいるのが実情のようですが、県としては、出産から思春期などにわたる総合的な少子化対策を掲げた県の子どもプランが今年の1月に策定されました。まさに実質的なスタートの年となったところであります。その中で、重点化施策の一つになったのが、結の心・子育て環境日本一を目指した取り組みでありますが、特に先導役となります県や市町村の役割が大きいかと存じます。つきましては、具体的にどのような方策により進められるのか、お示しいただきたいと思います。

〇千葉副知事 いわて子どもプランでは、男女がともに家庭や子育てに夢を持ち、次代を担う子供たちが健やかに育つ環境づくりを基本方針に掲げているところでございますけれども、この実現のため、住民に身近な市町村において結と呼ばれる共助の精神を生かしながら、地域住民が一体となって子育てを支援する取り組みとして、結の心・子育て支援コミュニティーの形成を推進することといたしております。これは、地域で生じた問題はできるだけ地域で解決できるよう、各市町村が住民の参加も得て構成いたします子育て支援の推進組織を設置いたしまして、子育てに支援を必要としている住民が、その人にふさわしいサービスを適切に利用することができるよう、相談体制の構築やサービス提供者間相互のネットワークづくりを進めるものでございます。
 なお、市町村の創意工夫などによって、市町村総合補助金や地域活性化事業調整費等を活用できるものと考えているところでございます。このため、県におきましては、中央児童相談所や婦人相談所等を再編、統合いたしまして、福祉総合相談センターを設置するほか、地方振興局単位に市町村等の関係機関で構成する虐待防止のための児童養育支援ネットワークを形成するなど、広域的かつ高度、専門的な支援体制を構築いたしまして、部局横断的な取り組みを通じまして、市町村の支援に努めてまいりたいと考えております。
 また、いわて子どもプランでは、子育て支援の環境づくりに必要となる主要な事業の目標値を市町村ごとに示しておりまして、今後、これらを核といたしまして、地域特性に応じたそれぞれの市町村にふさわしい計画が策定されまして、子育て支援の環境整備が図られるよう、市町村支援に努めてまいりたいと考えております。

〇高橋賢輔委員 次に、交通安全対策のうち歩道整備についてお伺いいたします。
 このところ、交通死亡事故のニュースが頻繁に報道されており、今年度は2月末で亡くなられた方は既に14名となっています。今年の冬は雪が多く路面が凍る日も多かったことから、凍った道でスリップする事故が相次ぎました。特に、二戸市と金ケ崎町で起きた事故は、車が雪でスリップして集団登校中の児童の列に突っ込むという、一瞬のうちに発生した余りにも痛ましい事故でありました。交通安全対策について、県民の要望の強いのは、歩道の整備や信号機の設置であります。しかし、当初予算の公共事業の新規地区説明資料を見ますと、歩道整備の不採択箇所が多いように思われます。一方、道路歩行環境整備事業や歩行空間バリアフリー化推進モデル街路事業などを創設しているようでありますが、当初予算においては、歩道の整備についてどのように取り組んだのかお示し願います。

〇千葉副知事 歩道の整備についてでございますけれども、新規事業箇所につきましては、費用対効果分析手法の一つでございます費用便益比を基本に事業箇所ごとに、その必要性、緊急性、熟度などを加味しながら、総合評価を行って事業採択を行っているところでございます。
 歩道の整備につきましては、交通事故が多発している道路や幼稚園、小学校で交通量が多く、緊急に交通の安全を確保する必要がある箇所につきまして、重点的に事業の推進を図っているところでございます。平成13年度の交通安全事業の取り組みは、特定交通安全施設整備事業など5事業で、当初予算は46億2、300万円、新規4カ所、継続100カ所で、前年に対しまして1.11倍の伸びとなる予算となっているものでございます。交通安全事業以外では、道路敷の路肩や側溝を活用して歩行空間を確保する道路歩行環境整備事業、これは65カ所でございますが、そのほかに既存歩道の切り下げなどの改良を行う歩行空間バリアフリー化推進モデル街路事業3路線を、平成13年度に創設を予定しているところでございます。
 今後とも、積極的に歩道の整備の推進に努めてまいる考えであります。

〇高橋賢輔委員 次に、除雪についてお伺いいたします。
 今シーズンの雪は記録的な大雪となっており、強い冬型の気圧配置によって厳しい真冬日が続いてきております。特に、1月から2月上旬にかけて、内陸部を中心に大雪と寒波に見舞われたところであり、その間、県内各地で交通の混乱やスリップ事故の多発、さらに先ほど申し上げました痛ましい事故も連続発生しております。
 県の総合計画においても、雪と寒さは乗り越える壁の一つとして、活力ある冬、やませを生かす夏の形成プロジェクトにより、積極的に取り組むこととされているところであります。中でも、良好な道路交通は県民一人一人の日常生活を直接支えるとともに、産業や経済の振興にとって欠くことのできない、今日の社会の根幹をなす基盤として本県の発展に寄与しておりますが、特にも冬期間でも安心して出かけることができるよう、道路交通を確保することが地域の振興にとっても重要な課題であると考えております。
 そこでお伺いいたしますが、冬期交通の確保のため、本県が実施している除雪について、どのように取り組んでいるのかお示し願います。
 以上で、私の総括質疑を終わりにさせていただきます。

〇千葉副知事 県管理道路の延長は4、230キロメートルでございます。冬期交通どめ区間を除く3、870キロメートルについて、冬期の車道除雪を行うとともに、歩道の除雪を実施しております。また、凍結路面や急勾配、急カーブ箇所の交通渋滞や事故防止対策といたしまして、凍結抑制剤の散布を行っているところでございます。除雪機械は、県保有機械305台と民間借り上げ機械410台の合計715台を常時確保いたしております。また、非常時には民間借り上げ機械424台を加え、合計1、139台の体制で交通の確保を図ることといたしております。今年度の除雪機械の累計稼働台数は3月5日時点で、過去3カ年平均の約1.3倍でございます。そのうち、歩道除雪機械の累計稼働台数は1.5倍となっております。2月初めの内陸を中心とした大雪に伴いまして、花巻、北上、水沢の各地方振興局におきまして、迅速かつ適切な除雪活動ができるよう地区警戒体制をとり、道路パトロールや雪量監視による情報収集と連絡体制の強化を図ってきたところでございます。
 今後とも、冬期の安全な交通の確保のため、地域の協力を得ながら鋭意努力してまいりたいと考えております。

〇及川敦委員 政和会の及川敦でございます。
 予算審議に当たりまして、軽量級の登場で非常に申しわけございませんが、会派を代表しまして総括的に質問をいたします。
 まず、予算編成についてでありますが、前段、自由民主クラブの藤原委員の質問で、景気動向については企画振興部長から御答弁があったとおり、最近は弱いながらの改善、足踏み状況というような状況であろうと私も思っておりますが、一時よりも大分悪化、減速傾向が強まってきているなということで懸念をいたしております。この一連の経済不況については、デフレという深い原因の中で、非常に困難な対策が求められているわけでありますけれども、その対策の一つには、需給ギャップを埋める手段である公共投資がやはり期待されているわけでありまして、一般には景気対策の公共投資はもう終わりにした方がいいのではないかという議論もあるようでございますが、私はやはりこれまでの景気対策があったからこそ、まだここで歩留まりしているのではないかという認識も必要であろうと思っております。その上で、今回の予算編成では、景気対策とまた健全経営の確立ということで、非常にある種のジレンマの中で予算編成があったものと認識をしておりますが、そこで伺うわけでありますけれども、先ほど企画振興部長が示されました景気動向を踏まえて、今回の予算編成においてはどのように配慮されておりますでしょうか。また、その予算編成の中で示された予算案で、公共投資の波及効果については産業連関表等で試算されていると思います。波及効果についてどの程度見込まれておりますのか、まずお伺いをしたいと思います。

〇千葉副知事 まず、公共事業についてでございますけれども、前年度の補正予算におきまして経済対策や公共事業等、予備費に対応して前倒しを行ったところでございますが、平成13年度当初予算においても、災害など特殊要因を除けば、ほぼ同規模で予算計上したところでございまして、また、現下の経済情勢を踏まえまして、先日議決をいただいた2月補正予算におきましてはゼロ県債の活用を行うこととしておりまして、切れ目のない公共事業の展開を図っているところでございます。また、公共事業以外の県単独普通建設事業のうち、県立福祉施設や県立高等学校の整備、改修等につきましては、今後の事業量の平準化を図るため一部前倒しで実施することといたしておりまして、当初予算で措置したところでございます。
 また、中小企業対策につきましては、新規融資枠をおおむね前年度並みに確保するとともに、貸し付け限度額の一部引き上げなどに配慮したところでございます。
 また、雇用対策につきましても、厳しい雇用情勢に対処するため、離転職者を対象とした再就職促進訓練を引き続き実施するほか、緊急地域雇用特別基金を活用いたしまして雇用機会を創出するなど、各般にわたる景気対策に配慮したところでございます。
 次に、波及効果でございますけれども、平成13年度一般会計当初予算における公共事業費は2、323億200万円でございます。これから用地費を除いた2、129億400万円について、本県経済に与える波及効果を岩手県産業連関表を用いて試算いたしますと、建設業に対する直接効果と、これに伴って他産業の生産を誘発する間接効果をあわせた第1次波及効果が3、011億円程度、また、雇用の新たな創出や所得の増加に伴う生産誘発効果である第2次波及効果が457億円程度となっております。これを合計いたしますと、当初金額の1.63倍に相当する3、468億円程度の経済波及効果があるものと推計しているところでございます。

〇及川敦委員 今、御答弁で、それぞれ景気対策としてそれなりの配慮はされたということで評価をさせていただきたいと思いますが、特にも上期の息切れについて非常に今懸念されているというようなことでありますので、今副知事から御答弁があったように、前倒し、切れ目のない発注につきましては、格段の配慮をあわせてお願いしたいと思います。
 次に、法定外地方税の導入について、その基本姿勢についてお伺いをしたいと思います。
 昨年、この件につきましてはいろいろ議会で議論がございまして、副知事もこの予算特別委員会での導入の可能性に触れておりますし、知事も昨年の6月の定例会等での答弁でも、この導入について触れております。一連の答弁、改めて私の方でも拝見をし精査をさせていただきましたけれども、答弁から判断できますものは、法定外普通税については当面導入する予定はないと。法定外目的税については、環境施策推進のために検討を進めるということであろうかと思いますが、再度この法定外地方税導入の基本認識と、その予定についてこの場でお示しをいただきたいと思います。
 なお、私見でありますけれども、このような法定外地方税導入に当たりましては、東京都や北海道では導入を議論する過程で、学識経験者等専門家からなる税制調査会のようなものを設置しまして、新たに負担を求める際にはしかるべきプロセスを踏んでいるようでありますけれども、非常にこういった手続も今後導入となれば必要なものだと思いますが、この点につきましてもあわせて御所見をお伺いいたします。

〇武居総務部長 法定外地方税についての御質問でございますが、御案内のように、法定外地方税の中には普通税と目的税とあるわけなんですけれども、まず、法定外普通税につきましては、これは使途を特定せずに一般経費に充てることができるというものになりまして、これは税源が県内に広く存在するものがその趣旨に最もかなうものと考えておりますけれども、本県ではその税源を見出すことが難しい状況にございまして、全国的に見ますと、一番典型的なのが核燃料関係税というものが法定外普通税になっているんですけれども、そういったもの以外にはちょっと見当たらない状況でございます。
 それから、法定外目的税でございますけれども、これは条例で定める特定の費用に充てるために課税することができるということでございまして、特に地方分権推進ということが現在非常に重要な時代になっているわけなんですけれども、受益と負担の間に明確性がある法定外目的税というものは、これは県民の理解をいただきやすいと考えておりますし、また、政策推進にも資すると考えておりまして、導入の可能性ついてはより高いものと考えております。この場合、先ほどの御質問の中にもございましたけれども、初めに独自税制導入ありきということではなくて、政策目的達成のために独自税制が必要と判断される場合に導入を検討すべきではないかと考えておりまして、具体例は先ほどもございましたが、北東北環境フォーラム、これは関係県の環境担当部長で構成するものですけれども、このもとにワーキンググループを設けまして、さまざまな産業廃棄物対策の選択肢の一つとして廃棄物税制を研究項目としているところでございます。
 それで、先ほど税制調査会のお話がございましたけれども、実は導入という段階になりますと、県民理解のためにそういったプロセスを経るということが大事になってくるんですけれども、まずはその前段として対象になる税源というんでしょうか、種を探すということが大事になってくるわけでございますけれども、これにつきましては今、税務課内に自主課税研究会というものを設けまして研究しているところでございまして、他県の研究会の成果なり東京都なりの税制調査会の報告なりもその中で検討させていただきながら、今現在、内部的に研究しているところでございますけれども、現時点ですぐに取り入れることができるような対象は現在のところ見出せない状況にございます。
 それで、他県の状況を見ましても、なかなかこれ形だけつくっても、その後の実現までの手続というのが一番重要になってまいりますので、いずれ、県の施策と独自税制との整合性とか適合性とか、効果も含めまして引き続き庁内で事務レベルの研究を進めてまいりたいと考えてございますし、また、本県において導入の可能性があるものが具体的に上がってきた場合は、御指摘ございましたけれども、専門的立場の有識者でございますとか学識経験者の参加、アドバイスをいただきながらさらに検討を深めていく、こういうことも必要になってこようかと考えております。

〇及川敦委員 今、武居総務部長の御答弁のとおり、また、しかるべき時期が来ましたらそのようなプロセスを経て、導入の際には導入の方向でやっていただきたいと思います。
 次に進みます。次は、特種用途車に係る自動車税の税率見直しに関しましてお伺いします。
 まず、納期の変更についてでありますが、本県の県税収入の全体におきます自動車税の収入は、平成11年で16.5%と貴重な税財源になっております。しかし、この収入未済額は、11年度で1億9、000万円余と増加する傾向でございます。この滞納原因は、長引く景気低迷、給与の減少、経営難、倒産等に遭うことで、納税資金を捻出できないものが多いと伺っておりますけれども、本県の自動車税の納期は5月末でありますけれども、隣県の青森県、秋田県は納期を6月といたしております。この隣県の対応は、納税者の賞与等の支給時期を加味した対応と思われ、その結果、滞納防止にもつながるものと考えております。当然、納期をもし本県でおくらせることになれば、一時借り入れなど資金繰りにまた対応を迫られるわけでありますけれども、今、滞納者がふえているこの状況で、再び督促等いろいろな手続が必要なわけでありますので、トータルで見た徴税コストと納期の変更した場合のトータルのコストをもう一度計算し直せば、納期の変更についても可能なのではないかという考えもありますが、この検討すべき課題について御所見を伺いたいと思います。
 続けて伺います。次に、税率の変更でございますけれども、今回の自動車税の一部改正に関しましては、環境首都を標榜する増田県政とこの自動車税の整合性について伺うものであります。
 今回の改正は、キャンピングカーの自動車税の是正を求めたものでありまして、その点につきましては了とするものであります。それと同時に、積載量に準じた特種自動車の改正も今回盛り込まれているわけでありますが、御案内のとおり、本県の目指すべき姿としてCO2等の温室効果ガス削減について、全国でも高い数値を設定しているのは御案内のとおりであります。積載量を有する車両を持つ業界、建設業、トラック業界においても、今般では全国的な展開による環境に配慮するという社会的潮流から、業界の自助努力により車両の大型化を実行し、CO2やNOxの削減に努めており、社会との共生を図っていると伺っております。しかし、今回の改正案のキャンピングカーを除く部分の自動車税改正の実行につきましては、いわば車両の大型化を阻害して、結果としてCO2やNOxの増加を促すものであり、県政の目指す姿とは違うのではないかということを思いますが、この点につきましてもあわせて御見解を伺うものであります。

〇武居総務部長 まず、自動車税の納期限の関連の御質問でございますけれども、御質問にもございましたように自動車税の納期は5月とされておりまして、この規定の根拠になっている地方税法では、国税及び地方税の徴収時期の競合をできるだけ避け、また、財政経理を円滑にする趣旨から納期を定めているところでございます。例えば、仮に自動車税の納期を6月にしますと、この月は住民税の第1期分の納期ともなっておりまして、サラリーマン以外で普通徴収されている方は5月には納税が全くなく、6月には自動車税と住民税の納期が同時に到来するという結果にもなるところでございます。
 それから、先ほど資金繰りという話もございましたけれども、資金繰りの関係では、年度当初の4月から6月が非常に資金の逼迫する時期で多額の借り入れをしている状況でございまして、本県で見ましても、5月に収納されている自動車税約100億円が6月にずれるとすると、資金管理上もこの金額の分、一応手当をしなければいけないということで大きな影響を受けることになります。
 それから、他県の状況で青森県と秋田県ということで、たまたま隣接県が二つあったんですが、全国的に見ましてもこの2県だけなんですけれども、6月納期となっております。私どももどういう事情でこうなったのかというのを調べさせてみたんですけれども、青森県では、現在の制度というの49年からやっているんですけれども、それ以前も30年代以降、歴史的経緯があるようなんですけれども、一応49年当時の理由は、積雪により運行が困難なため収入が伴わないことということで、昔は、冬の時期の収入云々というようなことを理由に挙げていたようでございますけれども、現在においては本県も含めこのような、御案内のような状況にはございませんし、また、税収の確保の観点から見ましても、本県とこれらの県の収入状況はさほど差がなく、納期限を6月にすることにより、税収が著しく改善することは期待できないのではないかと考えているところでございます。
 なお、税収の確保及び納税困難者に対する救済措置につきましては、税収の確保、収入の未済額の縮減ということは、当然、徴税側の徴収努力とそれから納税者に対する御理解、御協力をいただくということが当然重要になってくるわけですけれども、納税が困難な方に対しましては、徴収猶予などの措置によりまして納税者個々の実情に十分配慮してまいりたいと考えております。
 それから、先ほど、今回の自動車税の税率改正に関しましてお尋ねがございました。大きくは税率改正の趣旨と、それから環境施策との関連のお尋ねがございましたけれども、まず、1点目の税率改正の趣旨につきましては、これは地方分権一括法が施行されまして、実は平成11年度、12年度と使用料、手数料の全庁的な見直しを行ってきております。これは、条例でこういった額を決めなくてはいけないということがございまして、すべてのそういった使用料、手数料等につきまして見直しを行ってきておりました。その際の県税についても見直しを行い、特に税ということでございまして、作業が2カ年間にわたったわけなんですけれども、県税についての税負担の公平性の確保を図るということも含め、見直しを行ってきたわけですけれども、その結果、県税のうち特種用途車に係る自動車税について税率の不均衡があり、早急の改正が必要になったわけでございます。これは、昭和51年度の地方税法の改正で、特種用途車につきましては、一般の自動車と均衡を失しないように各都道府県の条例で定めることとされたわけでございます。実際、その後、本県を除く東北各県では既に抜本改正が相当前に行われまして、それで来ているわけですけれども、本県の特種用途車の税率区分は霊柩車、四輪の普通自動車、四輪の小型自動車及び三輪の小型自動車という4区分で極めて大くくりな税率区分のままとなっておりまして、それで周辺県なり営業用、自家用いろいろ見た場合に、例えば一般の自動車の税率との均衡を、同じトン数の車でも均衡を失してしまっているのではないかという点、それから、特種用途車間でも税率の均衡が失してしまっていると。それから、特に東北各県の特種用途車と比べても同じ車なのに税率が違ってしまっているということで、昭和51年に地方税法改正でこういった趣旨が定められたわけですけれども、そういったことが課題として浮かび上がってきたわけでございまして、こういった点で今回の改正を行おうとするものでございます。
 それから、自動車税の税率改正につきましての環境施策との関連の、特に車両の大型化の関係でお尋ねがございましたけれども、租税の原則というのは、1点は公平の原則、それから2点目は経済的効率の原則、それから3点目は税務行政上の原則、こういった原則が幾つかあるわけですけれども、特に納税者の視点から見ますと、公平の原則というのが最大限尊重されなければならないと考えているところでございます。
 それで、自動車税について見ますと、自動車の所有という事実に担税力を見出して課税をするものでございまして、この場合に自動車税というのは、一つは道路損傷負担金的性格を持ってございますし、さらに財産課税的性格も持ってございます。かつては奢侈品課税みたいな性格もありまして、これも現在まであるんですけれども、これはどちらかというと小さな性格になるかもしれませんけれども、前二者についての性格というのが特に大きくございます。それで、自動車税は今述べたような、そういったことに着目して課税しているものですから、自家用であるかあるいは営業用であるか、あるいは一般車であるか特種用途車であるかにかかわらず、税の公平性の観点から税率を区分すべきものと考えているところでございまして、こういったことから総排気量とか最大積載量とか、乗車定員が同じであれば同じ税率を採用すべきものとして、今回の改正を行っているところでございます。
 いずれ、先ほど冒頭申し上げましたように、今回の改正はこれまで長年残されてきた課題を見直したものでございまして、これと環境施策との課題というのは本来的には切り離して考えるべきものと考えているところでございます。

〇及川敦委員 御丁寧な御答弁、ありがとうございました。この点につきましては、部局別審査で、納期の変更については岩城委員が、また、税率の問題については飯沢委員が質問するやもしれませんが、その際に詳細に議論をしていただければと思います。
 次に進みます。次に、県出資法人の見直しについて伺います。
 今、この出資法人につきましては、全国的に外郭団体の見直しが大きな課題となっておりまして、地方公共団体が第三セクターの運営改善や統廃合に積極的に取り組むことが求められております。本県も平成11年から3年間を集中推進期間として整理合理化を進めてきていると承知しておりますけれども、過日、アイシーエスの出資一部引き揚げについての報道がございました。出資法人の見直しについては、現段階でどこまで進んでいるのでしょうか、現在の状況についてお知らせを願います。

〇武居総務部長 現在の見直しの状況でございますが、御案内のように、昨年の5月の県出資等法人の整理合理化基本方針に基づいて現在見直しを進めておりまして、具体的には統廃合の実施状況でございますが、平成12年の3月に三陸振興株式会社が解散しました。それから、同じく昨年の4月でございますが、財団法人岩手県中小企業公社と財団法人岩手県高度技術振興協会の統合が行われました。それから、平成13年の4月に向けてでございますけれども、岩手県青果物価格安定基金協会と同じく岩手県畜産物価格安定基金協会の統合を目指して、今現在鋭意作業を進めておりますし、あと岩手県観光開発公社とそれから岩手県観光連盟の統合、こういったものも予定されております。そのほか、方針の中に盛り込まれていたものとして、土地開発公社と住宅供給公社の事務局を統合したりとか、そのほか幾つかの統合の予定もございますので、こういったものも鋭意取り組んでいるところでございます。
 それから、出資の引き揚げの実施状況につきましては、昨年の6月に安比総合開発から出資の引き揚げを行っております。それから、先ほど御質問にもございましたこの3月にアイシーエスからの出資の一部引き揚げということで、25.1%の出資率を10%にするということで今回予定しております。それから、13年度までに幾つかの法人について出資の引き揚げを行う予定をしてございます。
 それから、これに合わせまして経営改善の指導を行う法人というものを方針の中で定めておったわけでございますけれども、これに基づきまして現在ポニースクール岩手につきましては、見直しの結果、県が直接業務委託を行う先を探しまして、法人自体は解散する方向でございます。
 それから、累積債務の問題がいろいろ課題になっておりました岩手県肉牛生産公社、それから別途貸付金等の課題がございました岩手県林業公社などの法人につきましては、平成12年度から13年度にかけて経営改善計画を策定する予定でございます。
 こういったことで、押しなべて見直しにつきましては方針どおり進んでいるものと認識しているところでございますけれども、13年度が集中推進期間の最終年度ということでございますので、整理合理化の基本方針に沿った実施が図られるよう、法人所管部局と連携を図りながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

〇及川敦委員 出資法人の見直しにつきましては、今、方針どおりおおむね進んでいるということでありますので、心強く思った次第でありますが、報道等によれば、突然伺ったというようなことで、なかなか県の出資の引き揚げについて理解を示さないような部分もあるようでありますけれども、なかなか難しいようでありますが、やはり時には思い切って改革を断行していただきたいと思います。
 では、次に進みます。次は、法的根拠のない国委託の事務処理について伺います。
 県の行政システム改革室の調べで、法的根拠がないままに、国が本県に対して資料提出や調査表の取りまとめを要求した例が、昨年4月から12月の9カ月間で76件に上ったとのことであります。しかし、地方分権一括法の施行で機関委任事務は廃止され、地方自治法245条の4では、個別の法的根拠がなくても国が地方へ事務要求をすることを認めておりますが、助言や勧告、情報提供を行う場合と限定しているはずであります。この法的根拠のない国の委託事務処理につきまして、県の基本姿勢と今後の対応についてお伺いをします。

〇武居総務部長 お尋ねの法的根拠がない国の委託事務の関係につきましては調査を昨年実施しまして、それであの段階では76の事務につきまして大別して三つになるわけですけれども、実態調査ということで必要な資料提出を求めるようなものが36件ございましたし、国から送付された調査表を市町村に送付し、取りまとめて国に返送するなどの補助的な事務を行わせるものが28件ございました。それから、3点目は委託契約を締結し、県に事務処理を依頼するようなものが11件、こういった形であったわけですけれども、これらの事務の中には、国からの地方自治法の規定により資料の提出を求められたものとか、あるいは担当課が事務を推進する上で有効性があるとして引き受けたものもありまして、一概にその事務を処理していることに問題があるとは言えないものも中にはございましたけれども、近年、事務量が増嵩する中で担当職員の負担も大きくなることから、県と国との関係を対等・協力であるという観点に立ちまして、安易に事務処理を引き受けるのではなくて、県として個別にその必要性を十分吟味した上で対応を判断していくことが必要ではないかと考えております。
 それで、実はこの調査結果が報道されましたら、各県から大変多くの反響がございまして、それで資料等送ったわけですけれども、結局どこの県でも同じような問題認識を持っているということが改めてわかりました。また、去る1月31日には岩手で一日地方分権委員会が開会されたわけですけれども、諸井委員長も非常に関心を持たれて問題提起を行ってみたいと、東京に戻りまして問題提起を行ってみたいという話もあったわけですけれども、ここは多分に国の立場からすると非常にグレーゾーンの部分でして、厳密に違法性が指摘できるかと言ったら、立場立場でそれなりにそこのところはどっちとも言えないという部分があるので、やっぱりこれは単独の県のみで改善を求めてもなかなか難しいのではないかということもございます。そういったことで、各県、あるいは東北の各県と情報交換を行いながら、国に対して要望していく形が一番よろしいのではないかと考えておりまして、そういったことを引き続き行っていきたいと考えております。
 それから、この調査を契機として改めて思いましたのは、実は県と市町村の関係でも同じようなことをしているのではないかということを、若干反省の部分もあるんですけれども思いまして、国と県の間でそういうことを言うなら、やはり県と市町村の間においてもきっちりそういうことがあれば、なるたけそういうものは改善していかなくてはいけないのではないかということで、今、実態調査を行っているところでございまして、こういった点につきましても改善できる部分は改善していきたいと考えております。

〇及川敦委員 今御答弁で、県と市町村の件の言及がありましたが、今お尋ねを実はしようと思っていたところで、御答弁いただきましたのでそのようにぜひ進めていただいて、改善点があれば改善をしていただきたいと思います。
 次に、専門知識を有する民間人の登用について伺います。
 国では、一般職の国家公務員に任期付任用制度を導入いたしました。期間を限定することで、民間人の一時的な転職を容易にし、既に国はこの同法に基づいて市場や企業経営に精通した人材を配置いたしております。地方公務員に関しましては、総務省で昨年11月、民間の専門家を、期間を限定し登用する任期付任用制度を地方公務員に本格導入をする方針を決めたと伺っております。
 さて、本県の対応については、これまで私も情報施策の件でその推進に当たって、コンピューターシステムに関する専門知識を持つ人材の登用の必要性を申し上げた経緯がございます。また、来年予定されておりますペイオフの解禁に伴いまして、公金保護と基金の適切な運用を図るため、金融に明るい人材の登用も課題になってくるものと理解しておりますが、この国の動向を踏まえた本県のこの任期付任用制度への対応をお示し願います。

〇武居総務部長 お尋ねの専門知識を持つ方々の民間人の登用の関係ですけれども、専門知識を持った民間経験者の任用につきましては、現行の任期を定めない採用においても、工学研究分野などで、具体的には工業技術センターでございますけれども、ここで選考採用を行っておるところでございますけれども、結局これは人事の、その後の人事配置なりローテーションの問題とも関係してくるんですけれども、特に専門性の高い分野の場合には、配置先が固定されるなどの課題もありまして、それで結局、採用する際に我々期待してそういうふうに採用するわけなんですが、採用された後、必ずしも本人がずっとそこにいることを望まない場合も出てくるということもございまして、今後、長期的な人事管理の観点から見て、どのような専門分野が適当であるのか検討の上、対応していくこととしております。
 いずれ、来年度は多様な人材を確保する観点から、専門を問わずに社会人経験者を対象としまして、これまでとは別枠で選考採用を新たに実施したいと、そういうことを検討しているところでございます。
 それから、御指摘のございました任期付きの任用制度も効率的な行財政運営や施策の推進、新たな行政課題の対応等に機動的に活用できるということ、それから、専門的知識を持った人材確保の選択の幅を広げるということ、それから特に任期付きの任用ですので先ほどとの関連でいきますと、人事管理なりの面でいくと、こちらは、よりやりやすいというんでしょうか、人事の我々の立場からするとやりやすいという面もあるわけなんですけれども、国の法制化の動向も見きわめながら検討していきたいと考えておりまして、いずれ、地方公務員法の部分でもそういった検討の動きがありますので、ぜひそういったものを見きわめながら、いいものであれば取り入れていきたいと考えております。
 なお、こういったものとは別ですけれども、御指摘のありました情報、金融に関する専門的知識の習得に関連しましては、これは関連の企業なりに派遣研修を行っておりまして、これは別途こういった任用とは別に専門的知識を持った職員の養成というものも、これも努力して図っていかなければならないということで現在しているところでございます。

〇及川敦委員 今、御答弁で、社会人経験者の採用も検討するというようなことでありましたが、ぜひ新しい行政課題に的確にこたえるためにも、また、活性化のためにも、このような趣旨のもとに推進していただきたいと思います。
 次に、環境施策全般に関しまして何点かお尋ねをします。
 まず、資源循環型社会の構築に関してでありますが、今議会で知事は御答弁で、今年度中に策定予定になっておりましたいわて資源循環型処理構想について一部言及しております。自県(圏)内処理原則や一般廃棄物と産業廃棄物の共同処理などについて言及がございました。この場でそのいわて資源循環型処理構想について、その概要についてまずお知らせを願います。
 また、産業廃棄物対策については報道で拝見しましたが、13年度から担当課に県警察官を配置する方針であると伺っておりますが、その具体についてもお知らせを願います。

〇千葉副知事 いわて資源循環型廃棄物処理構想は、今後、廃棄物の資源化や適正処理を進めて資源循環型の地域社会を構築していくための指針となるものでございます。この構想の目標年は平成13年度を初年度といたしまして、平成22年度までを前期、平成29年度までを後期としているものでございます。
 構想の特徴は2点ございます。まず1点目でございますけれども、廃棄物の資源化や適正処理を進めていくための基本的な考え方を次の4項目に整理いたしまして、今後、施設の整備やシステムの構築に取り組む方向を示したものでございます。
 一つは、原則として自県(圏)内処理とすると、それから排出者の処理責任を明確にしつつ、一般廃棄物と産業廃棄物の共同処理を進める。三つ目といたしまして、いわてクリーンセンターの成果を県内に波及させる。四つ目といたしまして、廃棄物処理業者の育成と機能分担を進めると、こういったものでございます。
 大きな特徴の二つ目といたしましては、廃棄物の排出状況等地域の特性を踏まえ、岩手県ごみ処理広域化計画で設定いたしました6ブロックに沿った資源化、適正処理の方向を提案したところでございます。
 また、本県の特性でございます農林水産系廃棄物、生ごみ、有機汚泥などの有機性廃棄物の共同処理を提案しているものでございます。
 次に、警察官配置でございますけれども、昨年来大規模な産業廃棄物の不法投棄事件等の発生に対応して警察本部と協議の上、警察官としての身分を持ったまま、知事部局との併任職員として、来年度から廃棄物監視指導主査1名を新設の資源循環推進課に配置する予定としております。この主査は、各保健所の産業廃棄物適正処理指導員──産廃Gメンでございますけれども、このGメンと連携した悪質事例の監視指導などを主に行う予定となっております。これによりまして、廃棄物の不適正処理の抑止、環境事犯への迅速な摘発などが進むものと考えているところでございます。

〇佐々木一榮副委員長 及川敦委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際10分ほど休憩いたします。
   午後2時56分 休 憩
   午後3時13分 再 開

〇中屋敷十委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇及川敦委員 続けて質問させていただきます。
 次は、地球温暖化防止対策についてであります。
 地球温暖化防止対策につきましては、地球温暖化対策の推進に関する法律でその対策の概要が示されております。同法11条では、都道府県知事は、地球温暖化対策に関する普及啓発を行うこと等により、地球温暖化の防止に寄与することを目的として設立された民法法人を都道府県地球温暖化防止活動推進センターとして指定することができるとされており、2月現在で全国では8道県で指定を行い、活動を展開しております。この目的のために設立された民法第34条の法人が本県には存在しておりませんが、この趣旨を今後どのように実現していく方針であるのかお伺いします。
 同じく、この温暖化防止対策の市町村の実行計画についてでありますが、同法8条によれば、都道府県及び市町村は、基本方針に即して、当該都道府県及び市町村の事務及び事業に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に関する計画を策定するものとしておりますが、本県は、御案内のように、昨年率先してこの計画を策定いたしました。しかし、一方で、県内の市町村の策定状況を見ますと、現段階では盛岡市と湯田町のみであります。本県の温室効果ガスの削減目標は90年レベルの8%減と高い目標を設定しておりますが、現在の市町村の取り組み状況ではその実現にいささか不安を覚えるわけでありますが、この市町村の状況についての御認識をお示し願います。

〇千葉副知事 地球温暖化を防止するためには、一人一人が環境に配慮した行動をとることが極めて重要でございますけれども、地球温暖化対策の推進に関する法律では、地球温暖化防止活動センターがその普及啓発を担うこととされております。
 本県では、これまで環境アドバイザーの派遣、エコスクールいわての開催、環境副読本の配布、こどもエコクラブの支援など、地球温暖化防止に向けたさまざまな普及啓発に取り組んできているところでございます。
 平成13年度は、新たに、地球温暖化防止活動推進員約20名の委嘱、環境家計簿の全世帯配布、広く県民の皆さんの環境に対する意識を高める環境展の開催などを行うことといたしております。また、本年7月に開所いたします環境保健研究センターにおきまして地球環境に関する研究を進めるとともに、最新の情報を県内各地で容易に得ることができるよう、環境情報の中核的な機能を整備いたしまして、各地方振興局の環境情報センターとネットワーク化を図ることとしているところでございます。さらに、県内での環境学習を進める上で中心的な役割を担う施設といたしまして、盛岡駅西口複合施設に環境コミュニティプラザを整備することといたしております。
 今後は、環境団体やNPO等との連携を一層強化しながら、地球温暖化防止対策の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、市町村の関係でございますけれども、地球温暖化防止対策を進めていくためには、国、地方公共団体、事業者、県民などすべての主体の積極的な取り組みが重要でございます。特に市町村は、地域での取り組みを進めていく上で極めて重要な役割を担っているところから、全市町村において早急に温暖化防止実行計画が策定されることを期待しているところでございます。
 御指摘がありましたとおり、現在、本県で計画を策定しているのは2市町のみでございますが、今年度中に策定予定が11市町村、策定に取り組んでいるところが8市町村となっております。県といたしましては、これまで説明会の開催やホームページでわかりやすい事例を紹介するなど計画策定の支援に努めてきたところでございますが、今後も引き続き県内の全市町村での策定に向けまして積極的に支援を行ってまいりたいと考えております。

〇及川敦委員 今、副知事の御答弁にありましたように、市町村の計画、今、二つ、今年度中11、予定が8ということで、全部足しても21ということであります。環境首都の名にふさわしい目標を達成するためにはやはり全市町村の策定が望ましいと考えますので、ぜひ積極的に市町村の方とも御相談の上、進めていただきたいと思います。
 次に、新エネルギーの導入についてでありますけれども、三陸町の夏虫山の計画につきましては事実上の断念ということで非常に残念に思っております。これは、県からの指導でイヌワシの生息最終調査をした結果、生息が確認されたためと言われておりまして、まことに残念なことだと思っておりますが、風力発電等のクリーンエネルギーの導入を推進してきた本県として、今後どのように推進を図っていかれるのか、今後のクリーンエネルギーの導入の課題とあわせてお示し願います。

〇佐藤企画振興部長 新エネルギーの推進方向と課題でございますが、今、委員から御指摘のありました三陸町夏虫山の風力発電、私どもも大変残念だと受けとめてございますが、環境調査の結果、計画地域がイヌワシの夏場のえさ取り場等として高利用域であることから開発を見合わせることとなったと承知いたしております。
 そのほかの県内の風力発電の適地につきましては、平成13年中に竣工見込みのものが3カ所。ちなみに、13年中の竣工予定は、浄法寺町の稲庭、葛巻町の上外川、釜石市の和山地区の3カ所であります。(後刻訂正)それから、具体的な建設計画により準備中のものが2カ所。ちなみに、これは、江刺市の阿原山、大東町の小室根山地区の二つであります。それから、風況の調査中のもの4カ所となっておりますけれども、今後とも、自然環境との調和を図りながら開発の促進に努めてまいりたいと考えております。
 それから、風力に続く新エネルギーにつきましても、太陽光発電、太陽熱利用が設置コストの低下に伴い住宅用として普及が軌道に乗りつつありますことから、今後は、利用コストのさらに高い地中熱利用ヒートポンプあるいは木質バイオマスの熱利用、生ごみや畜産廃棄物からメタンを取り出し、電気や熱として利用する廃棄物資源の有効活用など利用範囲の拡大に努めてまいりたいと考えておりますが、問題は、やはりいかにしてコストを下げるかということが大きな課題かと思っております。

〇及川敦委員 自然環境との調和ということで非常に難しい課題もあろうかと思いますが、ぜひ前向きにまた進めていただきたいと思いますし、今、部長から御言及ありました木質バイオマスの燃料について次は伺いたいと思います。
 本予算案では1、400万円の調査費が計上されておりまして、その活用を調査すると伺っております。本県では岩手・木質系バイオマス研究会が発足し、その実用化を推進するため、調査・提言活動等を活発に展開しております。また、住田町、葛巻町、沢内村などでは、庁舎などの公共施設の暖房への利用を検討しているようであります。
 そこで伺いますが、県産木材の有効利用と環境対策として積極的取り組みが期待されるこの木質系バイオマスの事業に関しまして、県は、今後どのように進めていく方針であるのか、また、県内市町村で計画しているように、県の公共施設への利用の検討についてはどうなのかあわせてお伺いいたします。

〇千葉副知事 木質バイオマス資源普及促進対策事業の進め方でございますけれども、この事業の趣旨は、利用されずに放置されております間伐材、林地残材、さらには製材加工工程で発生します樹皮や端材等の有効活用を促進するため、そのエネルギー利用技術の導入に向けた調査検討を行うものでございます。
 調査検討内容は、平成13年度は、林地残材等木質バイオマス資源の供給可能量や、これらを効率よく燃焼するための加工形状、含水率などの仕様基準を開発する基礎調査を行うとともに、学識経験者、林業開発者、エネルギー関係者等で構成します検討委員会を設置いたしまして、地域の特性に応じた木質バイオマスの供給システムや木質バイオマス利用施設の整備等について調査検討し、木質バイオマス資源活用計画を策定するものでございます。また、次年度以降は、この活用計画に基づきまして、ペレット等の加工施設の整備、公共施設や木材加工工場等へのペレットボイラー等の導入を促進するとともに、一般家庭での利用につながるような普及啓発活動を展開したいと考えております。
 県の公共施設への利用の関係でございますけれども、平成13年度に予定しております木質バイオマス資源活用計画の策定の中で具体的に検討していくこととしておりますけれども、現時点では、林業関連施設での利用が想定されるものでございます。

〇及川敦委員 木質バイオマスにつきましても、先ほど企画振興部長からは新エネルギーの導入についてはコストの問題があるというお話がありましたけれども、このバイオマスの利用についてもやっぱりコストと使い勝手だと思いますが、民需から出発していくのは非常に厳しいという面もありますので、ぜひ公共施設、例えば、私も調べましたけれども、学校などでは重油が熱源になっている部分が非常に多いようでありまして、これは、前段申し上げたCO2の削減対策の面からも非常に問題があろうと思いますので、一石二鳥ということではありませんけれども、今年度の実験の内容を踏まえて、県の公共施設への利用拡大についても格段に努めていただきたいと思います。
 次に、情報化政策のモバイル立県構想に関して伺います。
 先ほど自由党の高橋委員からも一部御質問がありましたけれども、角度を変えて伺います。
 このモバイル立県につきましては、増田知事が昨年のヨーロッパ視察の帰国後からたびたび言及され、その体制構築を強調してきておりますが、本予算案で大野村でのモバイル端末を使った地域情報化の実証実験として1、000万円計上されております。私は、その認識と、その施策の実現に向けた取り組みに対して大いに賛意を表するものでありますが、今回のこの事業目的と内容、そして、今後のモバイル立県の体制構築に向けての取り組み姿勢について、先ほど御答弁でもありましたが、次世代携帯電話の活用策も踏まえて御所見をお伺いします。
 他県の先進事例を見ると、京都府では携帯電話のiモードを使って幅広い府政情報を提供するサービスを開始したと伺っておりますが、本県では県情報のモバイルによる提供についてはどのようにお考えなのかあわせてお伺いします。

〇佐藤企画振興部長 まず、モバイル立県構想ですけれども、このねらいとするところは、県民がいつでも、どこでも、だれでもがモバイルの端末を利用することにより情報化の恩恵を受けることができますように、地域の情報化を進めたいとするものでございます。
 13年度に大野村をモデル地区として実証しようとするその発信情報につきましては、これから具体的に村と相談しながら詰めていくことになりますが、例えば、住民に身近な情報として、健康診断日がいつであるとか、あるいは学校の行事、地域の行事がいつどういうふうにあるのかとか、そういった地域視点に立った情報でありますとか、それから、大野村に一人一芸の村おおのキャンパス等があるわけですが、地域の特色のある産直情報、こういったものを提供して、モニターを委嘱したいと思いますが、その辺でどういう使い勝手がいいかということを研究してまいりたいと考えているところであります。
 それから、もっと大きくこのモバイル立県に向けてのこれからの取り組みなわけですが、大野村の成果につきましては、今後の全県下での普及に役立たせていくことは当然でありますけれども、次世代の携帯電話の特徴であります高速で大容量の通信、現在の携帯電話は委員御案内のとおり9.6キロビットパーセコンドなわけですけれども、次世代では高速移動中で64キロビットパーセコンド、室内の停止時では2メガビットあたりまで送信が可能ではないか、こういうふうに言われているわけです。こうした技術的特徴を生かしたモバイルの活用方法としては、医療、防災、交通情報など、現在は光ファイバーでしか利用できない分野も視野に入ってくると。あるいはエコミュージアムなど野外で活用する分野、それから、e-コマースと言われております電子商取引の分野などが考えられまして、県内で提供できるサービスについて民間とともに検討してまいりたいと考えております。
 なお、実現に向けましては、先ほども御答弁で使わせていただきましたが、やはり民間のビジネスと行政サービスとの役割分担ということをきっちりと振り分けしながら、また、今後の技術動向を注視しながら、可能な分野から取り組みたいと考えております。
 それから、モバイルを使った県情報の提供でありますけれども、現在、iモード向けに県政提言や各種行政相談に対応した岩手県電話サービス一覧という名称のもの、それから、企業立地ガイドBe IWATEなどを提供しておりますし、先般はモバイルいわて県議会が新たに創設されたところであります。
 今後におきましては、iモード用のトップページを構築するなど、モバイル対応の情報提供をいかに充実していくかについて一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。

〇及川敦委員 今、御答弁あった最終的には官と民の振り分けということが難しいと思っておりますが、その観点からもう一つ問題がございますので、御質問申し上げます。
 それは、いわゆる携帯電話の利用可能エリアをいかに拡大していくかということであろうかと思います。これまでの整備状況を見ますと、北上川流域の人口密集地の平地、主要道路網沿いの市町村を中心に整備が進められてまいりました。平地や主要道路網を有していない市町村では役場周辺の中心集落のみが通話エリアとなっているケースが多く、過疎地域に着目しますと、高速道路が域内を通過している町村では、通話エリアが隣接町村から連続する形で整備されております。一方、中山間部の過疎市町村では役場周辺の中心集落のみでサービスが行われている場合が多く、PHSは大半の過疎市町村では通話エリアの整備が行われておらず、一部市町村を除き、移動体端末の利便性を十分に生かせるほど整備が行われておりません。特に、急峻な地形が多い田老町、田野畑村、川井村などでの整備が進んでおりません。
 県立大学の元田教授の研究によれば、交通事故の発生場所を市街地と山間部に分けると、発生から負傷者が医療機関に収容されるまでの時間は山間地の方が平均2.5倍以上も長く、一刻を争う救命救急で大きな格差があることが指摘されております。県警の98年交通統計では、交通事故に占める死亡事故率は過疎地での発生の方が非過疎地より1.5倍も高いことなどから、教授は、生命に直結する救急サービスの格差を解消するためには、道路と通信網の整備がさらに必要だと指摘しております。
 この状況を見ますと、やはり中山間部の過疎市町村などの携帯電話利用可能エリアの拡大を早急に図ることが何よりもまずモバイル立県の体制構築に向けて急務と考えられます。本県では、電気通信格差是正事業の拡充を国に要望し、また、市町村及び県でも、国庫補助事業を導入しなくても、事業者側で採算がとれると判断される場合は独自に鉄塔を建設するので積極的に事業者に要望活動を行っていると承知しておりますが、なかなかその整備が進んでいないのが現状ではないでしょうか。早期の携帯電話利用可能エリアの拡大策についてお示しください。

〇佐藤企画振興部長 おっしゃるとおりでございまして、手法といたしましては、やはり国庫事業枠の拡大を引き続き要請してまいりたいと思っておりますし、独自にできる取り組みとしましては、通信事業者に対しまして、単に居住人口だけではなくて、観光客数でありますとか、あるいは道路、交通量といった具体的データを示しながら事業者に対してその整備促進の働きかけを、既に一部始めましたけれども、引き続きやっていく必要があろうかと思っております。
 それからまた、国家レベルの話では、e-Japanにおきましても、やはりそういう格差解消が極めて大事な課題だと言われておりますので、国の動向も考えながら、公共的関与のあり方について研究してまいりたいと思っております。

〇及川敦委員 非常に心強い御答弁でありました。今、質問で申し上げた元田教授のデータは国道106号のデータでありまして、宮古から盛岡に来る途中で事故を起こすと、携帯電話の不通地域があるためにその搬送に非常に時間がかかると。新しい研究の角度でありまして、そういったデータも積極的に使いながら、事業者及び国に要望していただきたいと思います。
 次は、並行在来線に関して、民間出資に関しましてお伺いします。
 この点も今定例会一般質問において質問がありましたが、今後は出資の要請先を拡大して対応していくとの答弁を踏まえまして、以下、民間企業の出資について、また、新駅設置についてお伺いします。
 まず、民間企業の出資についてでありますが、これは、資本金20億円の予定に対して県が50%、沿線市町村が35%、民間が15%の計画であると伺っておりますが、本県は、民間出資の相当額を金融機関に非公式に割り当てましたが、岩手銀行などは採算が厳しいと判断、出資を寄附金の形に切りかえ、県に協力する意向であると伺っております。また、報道によりますと、民間出資の3億円のうち、その2億円を盛岡に本店を置く金融機関に出資を打診したとされますが、金融機関からは、金融機関の負担が多過ぎる、負担額を減らしてもらうとともに、出資でなく寄附金での協力を選択肢に入れて検討、他行と協議しているとの声もあるとされております。全銀協──全国地方銀行協会──の内部には第三セクターへの参画は慎重にすべきとの共通認識があるとされておりますが、金融機関に対し、そのような共通認識があるにもかかわらず、何ゆえに民間出資の3分の2もの額を要請したのでありましょうか。他の三セクの例から見て少し多くはないでしょうか。県北の企業や住民等に広く浄財を募るやり方もあるのではないかとの声もあります。これまでの経緯と今後の対応についてお伺いするものであります。
 また、隣県青森の設立予定の第三セクターには、中堅・ベンチャー企業を支援する東京中小企業投資育成が出資することが明らかになっており、5、000万円、出資比率80%前後ということで、長期赤字が予想される三セクの鉄道会社に投資育成が資本参加するのは異例で、青森県から強い要請があったと見られているようであります。同投資育成は将来性のある企業を対象に投資活動をしておりますが、出資について、同投資育成は、青森県の三セクは株式公開はないでしょうが、長い目で見ると事業規模が拡大して配当が期待できると説明しております。青森の三セクは、本県の三セクとほぼ同様の関連事業の展開の方向を示しておるようでありますが、本県の対応と青森県の対応の中で、青森の対応が非常に参考になる点もあると存じますが、その点について御所見をお伺いします。

〇佐藤企画振興部長 民間企業の出資のお尋ねでございますけれども、青森と岩手の違いは、青森は、上下分離という言い方をしておりますけれども、鉄路とか駅舎とか、そういう基本財産部分は県が持つということで、その上を走る旅客の運送経費だけを新しい会社が持つというやり方でありますし、岩手県は、一体として資産も持つし、すべて経営責任を持つというやり方で、したがって、出資に当たっての民間の企業の考え方、受けとめ方も違ってくる面があろうかと思っております。
 私どもといたしましては、やはり県民鉄道という性格の会社であることから、民間からの出資については、金融機関を初めとした公益的機能を担う企業、団体に経営に参画していただきたいと考えて協力をお願いしてきたところでございます。そういう公益的な機能を担う以外の企業、団体は、当面、差し控えたいと。寄附金等で御協賛いただければありがたくお受けしたいと思っておりますけれども、出資という形では考えておらないものであります。
 それから、金額のお話がございましたけれども、これは、交渉の途中でいろいろな数字が行き交うわけでございまして、そのコメントは差し控えさせていただきたいと思っております。

〇及川敦委員 1点伺いますけれども、これからお話しします新駅設置にも関係しますけれども、マイレール意識を高揚するため、手間はかかるかもしれませんけれども、広く一般県民に出資を仰ぐという手段もあるのかなと。例えば、青山地区に関して、寄附金で出してもいいと言っている方もちらほら耳にしたことがありまして、そういった点は今後考えられるかどうか、その点についてお聞かせください。

〇佐藤企画振興部長 民間の支援をいただくということについては、これから新会社が立ち上がってまず急ぐべきは、乗降客の多い地域、盛岡、滝沢において早く、開業後3年以内に2駅つくりたいと。その事業主体としては、それぞれの所在市町村、盛岡市であり滝沢村にお願いしたいと思っていますが、その整備手法としてはさまざまあろうかと思っております。また、公益性の観点に立って、県からの支援のあり方もどうすべきかと。すべて検討課題でありますけれども、恐らく委員にはPFI手法ということも念頭にあろうかと思いますけれども、私どもの新しい経営計画の案におきましても、このPFIをさまざまな面で取り入れていくことも検討課題の一つになっているところでございます。

〇及川敦委員 今の御答弁に関連して伺いますが、新駅の設置でございます。
 10年以内に4カ所、そのうち3年以内に2カ所が黒字転換の前提でありますが、最初の2カ所の工事は盛岡市と滝沢村と伺っております。滝沢村も13年度は体制整備、盛岡市も昨年から庁内で検討委員会を設置しております。
 経営計画では、新駅設置については地元請願方式としておりますが、新駅設置の候補自治体は県の支援策の拡充を求めております。県は、この支援策について検討中としておりますが、今後の内容とスケジュールについてお伺いいたします。

〇佐藤企画振興部長 新駅を設置する場合の、それを許可いたします国の関係機関がどういう投資を求めてくるのか、あるいは、その周辺の利用者の利便性を図るためにどういうものを持つべきか、そういうさまざまな観点から全体投資額がどの規模になるかということが固まってくると思っております。そういう前提のもとで、それぞれ市なり村なり、あるいは民間の支援協力なり、そういった形で一番ベストな効率的な形というものはどうなるのか、その辺を検討しながらやる必要がありますけれども、気持ちとしては、やはり3年以内に二つは何とか実現に持っていきたいというスケジュール感覚でございます。

〇及川敦委員 設置市町村も県同様財政が厳しいのみならず、いろいろ御相談に乗っていただきたいという意向であろうと思いますし、3年以内ということであれば、早目にその支援策についても提示する必要性があると思いますので、また御苦労をおかけすると思いますが、作業の方を進めていただければと思います。
 次に、少子化対策について伺います。
 少子化対策につきましては、今回の質問では、私は、特別保育事業の周知徹底についての観点から伺うものであります。
 県は、各保育園を通じてアンケートをとられたようであります。そのアンケート結果をある保育園から私ちょうだいしました。そして、その現場の実態を調査いたしました。その結果からわかるものは、延長保育や一時的保育については、周知がされていれば相応の利用者があるということ、休日保育や病児保育に関しては、その保育自体が周知されていないという状況から利用がほとんど見られませんでした。子育ての相談に関しては、認知はされておりますが、その利用がほとんど見られませんでした。多くの親は、先ほども御答弁ありましたが、子育てに関して多くの悩みや不安を抱いておりますが、その相談相手の8割以上が配偶者や父母、または知人、友人となっておりまして、専門的な知識を持つカウンセリングを受けておりません。これは、子育てに関しての相談機関の窓口がそれぞれありますが、周知徹底が少し足りないのではないかと思われております。親の実際のニーズと現状の対策にギャップが生じないように積極的に現状の把握が必要でありますし、子育て支援のための事業を推し進めることが肝要であります。
 今申し上げた点から、この広報の充実に関して拡充が必要と思いますが、その認識と本予算案での措置状況についてお示しください。

〇千葉副知事 平成10年度に児童福祉法が改正されまして、入所方式が措置から利用契約に変わったところでございます。これに伴いまして、保育所に関する情報の提供義務が市町村に対して課せられたところでございます。また、保育所に対しては、より具体的な保育内容などを住民に対して情報提供を行う努力義務が課せられるなど、基本的には市町村が中心となって子育てに関する情報提供等に取り組むことが必要でございます。
 このため、今般策定しましたいわて子どもプランでは、子育てに関する相談指導や情報提供を行う地域子育て支援センターの拡充や地域における相談体制の充実を図るため、各市町村ごとに子育てサービス等のネットワークの形成とともに、総合的相談窓口の設置を提案しているところでございます。
 また、県におきましては、昨年度は、各地方振興局ごとに子育てマップを作成いたしまして子育てに関する各種の情報提供等に努めてきたところでございますが、今後は、今年度開設いたしました県のホームページすくすくネットやテレビ、ラジオ等の県政広報番組、さらには、本年2月に厚生労働省が開設したi-子育てネットの活用等を通じまして一層の保育所情報の周知に努めてまいりたいと思います。また、現在実施中の子育て支援等に関するアンケートによる調査結果を踏まえまして、特別保育等の取り組みや制度の普及啓発を図ってまいりたいと考えております。
 平成13年度予算におきましては、保育所等を含めた保健、医療、福祉に係る情報提供を行うため、夢県土いわてマップ作成事業の実施を予定しているところでございます。このほか、地域子育て支援センターの拡充──これは29カ所から40カ所でございますが──、それから、各地方振興局単位での子育てにやさしい環境づくり協議会やいわて子どもプラン出前講座開催事業などの少子化対策推進事業の中で積極的に情報の提供を行いまして、県民への周知を図ってまいりたいと考えております。

〇及川敦委員 サケ・マスの漁獲高減少への対策についてであります。
 この点は、我が会派の長谷川議員が代表質問で多角的海洋の研究についてその必要性を訴えましたが、当局は、このサケ・マスの不漁の主原因を現段階でどのように把握され、また、今後どのように対応されていくのか、具体的に改めてこの場でお示し願います。

〇千葉副知事 本県の秋サケの不漁要因につきましては、国、県、大学において多くの研究者が解明に取り組んでいるところでございます。放流時期の沿岸域の環境や回遊ルートである北太平洋の環境の変化による影響等が議論されているところでございますが、広大な海洋を対象として、多数の生物種から構成される生態系の生産構造を解明するためには多面的分野から長期にわたる国際的な研究が必要なところから、決定的な要因は明らかにされておりません。
 一方、水産技術センターでは、サケふ化場における稚魚生産段階及び放流後の沿岸滞泳時の環境等から不漁要因の解明に努めておりますが、放流稚魚の小型化、ふ化場の水量低下、放流適期前の放流、沿岸滞泳時の飼料──動物プランクトン──の多寡等が不漁に影響を及ぼしているのではないかと推察しているところでございます。
 このようなところから、当面、本県のサケ資源の安定化には、健康な稚魚を適期に放流していくことが重要と考えております。岩手県さけ・ます増殖協会を初めとする関係者の自助努力を一層期待しながら、県としてもその取り組みに対しまして支援してまいりたいと考えております。

〇及川敦委員 予定しておりました次の障害のある子供の育成については、部局審査で長谷川委員が行うと思いますので、飛ばします。
 最後に、ボランティアとNPO活動の推進についてでありますが、今予算案でもNPOのための活動支援策がそれぞれ措置されておりますが、県では、このNPOについて社会的にどのように位置づけをして今後促していくのか、その基本姿勢を伺います。
 岡山では税制の優遇制度もとっておりますが、この点の導入についてもお示しください。

〇千葉副知事 少子・高齢社会の進展や住民の価値観の多様化などを背景といたしまして、企業、行政だけでは担い切れない社会的ニーズ等が発生してきております。今後の地域社会が直面する諸課題の解決や多様なサービスの提供に当たりましては、自主的、自立的な活動を行うNPOを行政や企業の対等なパートナーとして期待しているところでございます。
 NPO活動の促進に当たりましては、社会貢献活動の支援に関する条例等に基づきまして、環境活動の整備やNPOのネットワークづくりなど、引き続き総合的な施策を展開することにいたしております。
 今後、盛岡駅西口複合施設の県民活動支援総合センター──これは仮称でございますけれども──をボランティア・NPO活動支援拠点として整備することといたしておりまして、施設内容、運営方法等の検討を進めることにいたしております。
 本県におきましては、収益事業を行わないNPO法人の県民税均等割の免除を実施しているところでございます。新たな税制の優遇措置の導入などの施策の拡充につきましては、当面、公益信託によるNPO助成基金により活動の立ち上げを支援することとしておりまして、今後、NPO助成基金の運用状況やNPO法人の活動実態等の推移を見ながら、岡山県等の状況等も参考といたしまして、税制を含めた諸施策について検討していきたいと考えております。

〇中屋敷十委員長 以上で総括説明に対する代表質疑を終わります。
 これより自由質疑に入ります。質疑はありませんか。

〇小原宣良委員 社会民主党の小原宣良でございます。
 予算審議に当たり、総括的にお伺いします。
 初めに、財政問題についてお伺いいたします。
 県は、平成13年度予算編成に当たって、県総合計画の着実な推進、政策評価結果に基づく施策の重点化や中期財政見通しによる財政運営の健全化を基本に編成したとしております。国、地方公共団体ともに厳しい財政状況のもとで、効率性と将来の財政見通しをどう持つかはこれまで以上に厳しく問われる局面にあると思います。
 こうした状況の中にあって、国は、地方財政対策において、地方財源不足に対応する新たな措置、すなわち臨時財政対策債を持ち出してきました。これは、昭和51年以来の一般財源債であり、言うところの赤字地方債であります。その元利償還金の全額を交付税で補てんするというものでありますが、同時にこの措置は、地方交付税制度を根幹から揺るがしかねない重大な要素を持っているものと私は思います。
 質問の第1は、ただいま述べました臨時財政対策債でありますが、交付税特別会計からの借り入れより、個別の自治体ごとに借入額が明確になってよいのではないかと評価する意見も多くありますが、一方で、この措置は、地方交付税制度からすれば、国の地方に対する義務違反と制度改変につながる危険性を内包しているものとの受けとめ方があります。この際、県の見解を賜っておきたいと思います。
 質問の第2は、平成13年度補正予算額の見通しについてであります。
 平成7年度から平成11年度までの過去5年間の本県の補正予算額は、国の経済対策に呼応して打ち出された分が約2、517億円であり、その他を含めますと約3、593億円となっており、勢い公債費比率を押し上げてきたのでありますが、新年度における補正規模をどう見通しておられるのかお伺いいたします。
 あわせて、平成7年度からの5年間、国の経済対策に呼応して行われた諸事業が県内経済に及ぼした波及効果と県内社会資本整備にどのような効果があったとお考えかお伺いいたします。

〇武居総務部長 財政問題のうち、まず、臨時財政対策債についての評価でございます。
 この臨時財政対策債の創設は、交付税特別会計の借入金残高が平成12年度末見込みで約38兆円で大変多額になっている状況の中で、さらにこういった形で借り入れを行っていくのかどうかということが昨年の地方財政対策でも極めて大きな論点になったと承知しているところでございますけれども、国と地方の責任分担のさらなる明確化でございますとか、国と地方を通ずる財政の一層の透明化等を図るという観点からすると、さらに従来と同じような方式で借り入れを続けるよりも、今回のような措置がより適切ではないかということでこういった制度ができたと私どもも承知しているところであり、そういった面ではやむを得ないものではないかと考えているところでございます。
 御案内のように、今回の制度は、地方交付税法第6条の3第2項に基づくところの制度改正としての位置づけでございまして、単なる新しい財源対策債というものよりも、もう一歩進んだ制度改正としての位置づけにおける財源補てん策でございますので、当然のことながら、これは大前提として、地方団体の財政運営に支障が生ずることのないように、その元利償還金の全額を地方交付税の基準財政需要額に算入することとされているわけでございますけれども、委員御懸念のようなお話にならないように、将来にわたりまして確実にその所要額が確保されるべきものと考えてございます。
 いずれ、将来的なことを考えますと、臨時財政対策債を含めまして、こういった形で県債残高や公債費が一層増嵩することが見込まれますことから、財政指標を悪化させる要因になる、こういったことで、今後も十分な注意を払っていく必要があるものと考えておりますし、将来のことを考えますと、どのような形であれ、こういった形で借入金に依存する財源補てん策をとることは望ましいものではないということは当然でございまして、これにつきましては、全国知事会などを通じて国に要望しているところの、分権時代における自主的、自立的な行財政運営を推進していくための地方税財源の拡充強化策の早期実現の中で解決されていくべきものだと考えているところでございます。
 それから、2点目の平成13年度の補正予算額の見通しでございますけれども、平成13年度の当初予算は年間予算として編成しているところでございまして、そういった意味では、補正予算につきましては、法令または制度の改正等、当初予算編成後に生じた特別の事情に基づくもので、既往の経費内で執行することが困難なものに限定して措置することとしているところでございます。
 補正の規模につきましては、経済動向により税収等の増減があり得るほか、また、地方交付税、国庫支出金等の決定、県債の導入状況、さらには災害の発生動向によりまして変動することから、現時点でその規模を予想することは困難ではございますが、当初予算編成時におきまして、今後の補正に備えまして一般財源を約50億円ほど留保しているところでございますので、こういった額の中で今後の補正に対応してまいりたいと考えているところでございます。

〇佐藤企画振興部長 5年間の経済対策予算の中での公共事業費総額は2、008億5、400万円になっております。この2、008億5、400万円から用地費を除いた1、877億3、000万円につきまして岩手県産業連関表を用いて試算いたしますと、建設業に対する直接効果と、これに伴って他産業の生産を誘発する間接効果をあわせた第1次波及効果が2、655億円程度、雇用の新たな創出や所得の増加に伴う生産誘発効果でございます第2次波及効果が403億円程度、あわせまして、当初の金額の1.63倍に相当する3、058億円程度の経済波及効果があったものと推計いたしております。
 また、これらの事業によってもたらされた県内社会資本整備への効果についてでありますが、東北新幹線を初めとする交通基盤の整備、公共下水道や農・漁業集落排水施設の整備など、それぞれの地域が発展するための基礎的・社会的条件である社会資本を整備する上で極めて重要な役割を果たしてきたと認識しております。

〇小原宣良委員 今後も議論をしたいと思います。
 次に、本県の人口の見通しと、さらに、年齢区分別人口構成の変化への対応についてお伺いいたします。
 この点は、新しい県総合計画策定に当たっても主要なテーマに据えられている課題であります。
 これからの10年における本県人口の推移は、確実に少子・高齢社会を形成し、総人口は緩やかに減少していくことが予測されております。目標年次である平成22年──2010年──には、最高で5万人の減、最低でも2万人の減少との見通しであります。これを年齢区分別で見ますと、1995年──平成7年──に比べ、2010年のゼロ歳から14歳までの年少人口が5万9、000人から3万9、000人の幅で減少、同じく15歳から64歳までの生産年齢人口は8万5、000人から7万5、000人の幅で減、65歳以上の老年人口は8万5、000人から9万5、000人の幅で増加、そのうち75歳以上の人口は8万2、000人の増になるとの見通しであります。このことに関し、県総合計画は、今後、人口増加を前提としてきた従来の社会システムを早急に転換し、高齢社会を明るく活力あるものにしていくための仕組みづくりを進めていく必要があると述べているとおり、今後の施策展開上、極めて重要なポイントであると思います。
 そこでお伺いいたします。このような本県の総人口の見通し、さらに、年齢区分別人口構成の変化の見通しのもとで、それぞれ部門別に策定されている個別計画は、こうした人口動態の変化にどう対応しようとしているでしょうか。また、人口の自然増、社会増を呼び起こすための計画になっているのか、基本的認識をお伺いしたいと思います。

〇佐藤企画振興部長 部門別計画の策定に際しましては、総合計画における人口の見通しを基本として、各部門別計画に係る将来動向などを展望しながら、その動向に的確に対応するための各種の施策や取り組みを織り込んでいるところでございます。例えば、保健福祉計画においては、高齢化に対応し、バリアフリーの環境づくりや介護保険事業の円滑な運営などを進めることとしており、農業・農村基本計画におきましては、農業就業人口の減少や高齢化に対応し、それぞれの地域において中心的役割を担う主業型農家の育成などを推進することとしております。
 また、部門別計画においては、人口の自然増や社会増を呼び起こすための各種施策も盛り込まれております。例えば保健福祉計画では、若者が結婚や子育てに夢を持てる環境づくりや子育てと就労の両立支援などの少子化対策を盛り込んでいるほか、農林水産業や商工労働観光などの各種産業振興の計画では、後継者の育成や雇用の場の確保、さらには、生活環境の整備など、県内への人口定着化のための施策を盛り込んでおります。
 こうした取り組みを通じまして、総合計画の人口は、委員御案内のとおり、幅を持たせております。上位、下位という形の幅を持たせておりますが、こうした施策効果により、できるだけ高いレベルの方に人口が推移できるように頑張っていきたいと思っております。

〇小原宣良委員 次に、農業問題についてお伺いいたします。
 質問の第1は、第1次産業の就業構造の変化に対する本県農業の対応についてであります。
 先ほどの質問と関連いたしますが、就業者数の見通しで見ますと、目標年次である2010年には、第1次産業について10万1、000人で6万2、000人減少すると予測しております。確かに第2次産業、第3次産業は増加する予測となっているのでありますが、第1次産業自体が大きな困難に直面するのではないかと思われてなりませんが、これら予測される第1次産業の就業構造の変化にどう対応していかれるのかお伺いいたします。
 質問の第2は、中山間地域農業の役割と支援策についてであります。
 本県の農用地面積を見ますと、県全体の耕地面積16万5、000ヘクタールに対し中山間地域の耕地面積は約11万1、000ヘクタールと、約67%を占めております。さらに、農業粗生産額は約2、038億円で、約70%となっております。これらの数字が示すとおり、本県農業の中にあって中山間地域が担っている役割は極めて大きいものがございます。特に川上に位置いたしておりますことから、多様で公益的な役割もあわせて期待される位置にあるのが中山間地域であります。
 県は、中山間地域が担っている役割をどう認識し、具体的支援に当たろうとしているのでしょうか。新年度予算における特徴的施策とあわせてお伺いいたします。また、中山間地域農業の形態は、家族農業が中心であります。今後においても家族農業、集落ぐるみ農業への支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。

〇千葉副知事 農業就業人口が減少し、高齢化が進行しております本県農業の現状に対処するために、まず、地域農業の中心的役割を担う意欲ある担い手を育成確保するとともに、これら担い手を中心として、効率的な地域ぐるみ農業を展開することが重要であると考えているところでございます。
 このため、担い手対策といたしまして、今後、育成すべき主業型農家のデータベースを整備し、技術・経営指導や補助事業など各種施策を集中的かつ重点的に講ずることとしているところでございます。また、担い手農家への農地の利用集積や地域ぐるみ農業を推進するため、農地流動化ステップアップ運動を展開しているところでございます。
 こうした取り組みを支援するため、平成13年度に新たにいわて農業担い手支援総合対策事業を県単事業として創設し、省力化、低コスト化を促進する機械、施設の整備や転作の団地化などに対する支援を行うことといたしております。
 また、御指摘がありましたとおり、本県の中山間地域の農業は、農業粗生産額等において県全体の約7割を占めております。食料の供給を初め、農業生産活動を通じまして、水源の涵養や国土の保全、余暇、保養の場の提供など多面的な機能を果たしておりまして、その機能を今後においても維持、増進していく必要があると考えております。
 このため、中山間地域活性化対策推進方針に基づきまして、それぞれの立地条件に応じた野菜、果樹、花卉などの園芸作物や葉たばこ、畜産等の収益性の高い多彩な農業生産を促進しているところでございます。
 平成13年度におきましては、農業生産と環境基盤を総合的に整備いたします中山間地域総合整備事業や交流施設等を整備いたします山村等振興対策事業、担い手育成等のソフト活動を実施する中山間地域夢づくり総合支援事業などによりまして中山間地域の振興を図ることといたしております。
 中山間地域では、農業従事者の高齢化が平場地域よりも進んでおりまして、地域ぐるみでの農業生産活動が重要になってくるものと受けとめております。本年度に創設されました中山間地域等直接支払交付金制度の導入に当たり、集落協定の締結のため集落での話し合いが活発化していますので、こうした機会をとらえまして、核となるリーダーの育成を図りながら、集落ぐるみでの農業生産活動を支援してまいりたいと考えているところでございます。

〇小原宣良委員 いずれ、岩手型の特徴ある農業、これをぜひ示していただきたいと思います。
 次に、並行在来線問題についてお伺いいたします。
 この問題は、最初から困難な経営見通しの中で準備され、開業しようとするものであります。特徴的なことは、三陸鉄道や全国の第三セクター方式による鉄道経営と異なり、日本列島を縦断する基幹鉄道、まさに本線にかかわる鉄道経営であるという点にあります。貨物列車や寝台列車が乗り入れるのも当然と言えることであります。特にも貨物輸送については、国が責任を持って支援してしかるべき輸送手段であります。陸送については、トラック輸送には限界があるからであります。この点に関して申し上げれば、並行在来線上の貨物列車運行に伴う国との協議が今後とも重要なポイントをなすものと考えます。いずれ県は、経営に当たって、安全、サービス、利便性を低下させない観点から、県民、利用者に対してしっかりとした経営見通しと交通政策を示す立場にあるものと思われます。
 そこでお伺いいたします。質問の第1は、JRと第三セクター会社との相互援助関係についてであります。
 例えば、盛岡以南と盛岡以北との相互直通乗り入れ列車の場合、乗務員の運用形態はどうか、本数はどれくらいか、貨物を含むJR車両が三セク路線を通行中の指揮命令系統はどうなるか、雪害などによって列車におくれが出た場合の接続はどうするか、災害対応はどうするか、これらJRとの相互援助関係は極めて重要であり明確にしておくべきですが、どうなっているでしょうか。第三セクターの運行にとって、安全性に対する信頼確保は何物にもかえがたい最重要課題と考え、お伺いする次第であります。
 質問の第2は、経営健全化の見通しについてであります。
 当初から厳しい経営見通しを余儀なくされるこの第三セクター会社の経営は、東北本線上の1区間の経営であることから、国とのかかわりなしには成り立ち得ないと私は思います。これまでのJR貨物や国との折衝についてはその労を多といたしますが、今後とも国に対し強力に支援策を求めてしかるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、第三セクターの会社の社員の体制について伺います。
 JRからの出向などによる要員確保を含め、どれくらいの要員を見込んでいるのかお伺いをいたします。

〇佐藤企画振興部長 たくさんの項目をお尋ねいただきましたが、まず、盛岡以南と盛岡以北との相互直通乗り入れにおきます乗務員の関係でございますけれども、原則としては境界駅となる盛岡駅で乗務員が交代して、自社線は自社の社員が乗務する方向で検討をいたしております。
 なお、青森県会社との間においては、車両、乗務員ともプール運用する計画になっております。
 それから、直通乗り入れの列車の本数につきましては、現時点ではまだ確定しておりませんけれども、朝夕の通勤、通学など、利用者のニーズを考慮しながら決めていきたいと思っております。
 それから、指揮命令の関係でございますけれども、乗り入れするすべての列車について、第三セクター会社が一元的に運行管理したいと考えております。
 それから、列車のおくれが出た場合の接続でありますけれども、第三セクター会社の輸送指令とJR東日本の指令室が相互に調整を図り、利用者の利便性を確保することを基本に、これは従来のやり方と基本的に変わらないわけですが、その乗り継ぎの接続対策は講じてまいりたいと。
 それから、災害対応でありますけれども、第三セクター会社が自力で早期に復旧することが困難と見込まれる大規模な災害が発生した場合においては、JR東日本から人員や機材等の支援を受け、早期復旧に努めることを基本とした体制をつくりたいと考えております。
 それから、JRとの相互援助関係ですけれども、並行在来線は、盛岡以南と以北の相互直通乗り入れのほか、花輪線からの乗り入れや寝台特急列車の乗り入れが見込まれておりますことから、運行管理上の基本的な取り扱いについては、JR東日本との取り扱い規定の共通化を図ることとしているほか、事故や災害の異常時におけるJRからの支援のあり方についても、JR東日本との間であらかじめ協定等を締結し、運行管理に万全を期してまいりたいと考えております。
 それから、今後とも国に対し強力に支援を求めるべきではないかということでございますが、御指摘のとおりだと認識しておりまして、開業までに貨物とか東日本とか、その辺の取り扱いをきちっと事前に協定できるところはしておくというようなことでありますし、また、そういう新しいルールで思わぬ予測外の状況が出た場合には、改めてまた国に支援を要請してまいりたいとも考えております。
 それから最後に、要員体制の関係でありますけれども、本社と駅や運輸管理所など、現業の機関をあわせまして今のところ全体で170人程度を想定しております。このうち、開業当初においては、並行在来線を開業前日まで現在のJR東日本が運行しているということでございますので、第三セクター会社への円滑な移行を行うために、140人から150人程度をJR東日本からの出向社員で対応する必要があろうと見込んでおります。

〇小原宣良委員 今、説明がございましたように、私は輸送の安全確保という観点から、詳細にわたって可能な限りの詰めを現時点でしておかなければならないという観点からの質問でございました。まだ詰められない部分もあったようでありますので、これは早急に詰める必要があると思います。
 それから、施設の取得であります。この三セク会社がJRから施設を取得するというわけでありますけれども、現状の資産をどう評価、点検をして引き受けるのかという点があります。三セク会社が取得してすぐに更新するという事態は避けるべきでありますが、どうですか。

〇佐藤企画振興部長 基本的な考え方として、大変経営が厳しい新会社を当然予測しておりますので、現状の中でできるだけ長持ちするような資産をして引き継いで譲渡してもらいたいとお願いしております。

〇中屋敷十委員長 時間は若干あるわけでございますけれども、続く自由質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇中屋敷十委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時22分 散 会


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