平成13年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第25号、第28号、請願陳情受理番号第29号の不採択、受理番号第44号の採択について、反対の討論を行います。
 議案第25号は福祉総合センター条例であります。これは、中央児童相談所、婦人相談所、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所、精神保健センターの5公署を統合しようとするものであります。最大の問題点は、児童虐待の深刻な相談件数が今月2月までに既に90件、昨年比1.55倍に急増し、ドメスティックバイオレンスなど婦人相談所の相談件数も、電話、来所合わせて1、450件と深刻化し増大しているもとで、人員が44名から41名にリストラ統合されていることであります。児童相談の専門職員である児童福祉司は、厚生労働省の資料でも14名まで交付税措置されているにもかかわらず、兼職を除けば10名しか配置されていません。児童虐待にしても、ドメスティックバイオレンスにしても、県民の生命と安全にかかわる重大な問題であります。また、今後、この相談は一層増加が見込まれるものであります。私の本会議と予算総括質疑での質問に対し副知事と保健福祉部長は、業務量の状況を見て必要があれば関係部局と適切に調整を図ってまいりたいと答弁されました。業務量の増加は明らかであり、来年度から直ちに必要な増員を図るよう強く求めるものであります。また、統合に当たっては、これまで県民になじんできた中央児童相談所、婦人相談所などの名称もなくすことなく、何らかの形で残すよう求めるものであります。
 議案第28号は、退職手当に関する条例の一部を改正する条例ですが、その内容は、雇用保険法の改正、事実上の改悪に対応して、県職員が失業した場合、退職手当の給付日数が事実上減少するものであり、反対するものであります。
 請願陳情受理番号第29号は、米価の下落を抑えるため、自主流通米の値幅制限の復活を求める請願であります。この請願を不採択とすることは、米価の暴落に苦しむ農家の願いに背を向けるものであります。米の自由化と新食糧法のもとで自主流通米の価格は、県産米ひとめぼれで、5年前の平成7年、2万68円、1俵当たりから、平成12年、1万5、683円に文字どおり暴落したのであります。その結果、1万9、000円を超える生産費を大幅に下回り、10町歩規模の大規模農家で、助成金を含めても180万円の減収となる深刻な事態になっているのであります。重大なことは、この米価の暴落によって、日本と岩手の農業を担うべき大規模農家こそが今後の農業、稲作を続けるかどうかの岐路に立たされていることであります。今必要なことは、ミニマムアクセス米の輸入制限を実施するとともに、米価の下落に歯どめをかけて、最低価格を保証するルールを確立することであります。そのために、自主流通米の取引に当面2年前の全銘柄平均の価格1万8、504円に下限価格を設定することです。そして、値幅制限の措置を見直すことであります。これは、法改正ではなく価格形成センターの業務規定の見直しでできる問題であります。総合食料供給基地を標榜する岩手県からこそ、こういう声を国に上げていくことが必要ではないでしょうか。豊作を喜べない農政は悪政そのものであり、自民党政治の行き詰まりの象徴でもあります。
 請願陳情受理番号第44号は、岩手県における小・中学校教科書採択制度の改善を求める請願であります。さきの質疑でもただしたことですが、教科書採択制度の改善を求める請願は、今、中国、韓国などアジア諸国から厳しく批判されている、新しい歴史教科書をつくる会の歴史教科書と一体の運動として取り組まれているものであります。その背景には、日本のアジア諸国に対する侵略の事実を否定、軽視する重大な流れがあります。同時に、教科書採択制度の改善と言うなら、平成9年の文部省通知と閣議決定こそ、今、具体化と実施が求められているものであります。それは、地域の実情に応じ教科書用図書採択地区の小規模化や、採択方法の工夫、改善であり、行政改革委員会の提言のように学校単位の採択の実施の検討であり、教科書採択の調査、研究に当たる教員をふやすことであります。平成2年の文部省通知で示された教育委員会の採択にこだわる請願は、この改善方向にそぐわないものであります。国際的にも教育的にも重大な問題が絡むこの請願について強い反対意見があったにもかかわらず、1回の審査で、事実上強行採決というべきやり方は、慎重審議を求める請願にも背を向けるものであります。故小渕前首相は、日韓首脳会談での共同宣言で痛切な反省と心からのおわびを述べ、両首脳は両国民、特に若い世代が歴史への認識を深めることが重要と述べました。現在の教科書問題と教科書採択の改善を求める動きは、まさにこうした共同宣言にも歴史の流れにも逆行するものではないでしょうか。請願項目も研究員委嘱など不正確な記述もありました。こうした請願を十分な審査することなく、事実上強行採決的に採択することに強く反対をするものであります。
 以上申し述べて、議案と請願に対する反対討論といたします。
〇議長(山内隆文君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 次に、議案第25号及び議案第28号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立多数であります。よって、議案第25号及び議案第28号は委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第29号米価の下落を抑えるため、自主流通米の値幅制限の復活を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第29号米価の下落を抑えるため、自主流通米の値幅制限の復活を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第44号岩手県における小・中学校教科書採択制度の改善を求めることについて請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第44号岩手県における小・中学校教科書採択制度の改善を求めることについて請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第22号から議案第24号まで、議案第26号、議案第27号、議案第29号、議案第30号、議案第39号、議案第41号、議案第43号から議案第45号まで、議案第47号、議案第49号、議案第52号から議案第54号まで、議案第95号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立全員であります。よって、議案第22号から議案第24号まで、議案第26号、議案第27号、議案第29号、議案第30号、議案第39号、議案第41号、議案第43号から議案第45号まで、議案第47号、議案第49号、議案第52号から議案第54号まで、議案第95号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
日程第22 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第22、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
   
〔参照〕
総務委員会 
 職員の職務に係る倫理の保持について
環境福祉委員会
受理
番号
件           名
35学童保育制度の充実を求める請願
46乳幼児医療費助成制度の拡充について請願

商工文教委員会
受理
番号
件           名
3830人以下学級実現を中心とする、ゆきとどいた教
育をすすめる請願
39増田知事の私学振興公約の早期実現を要望する請
4330人以下学級実現・教育予算の増額を求めること
について請願

農林水産委員会
受理
番号
件           名
48閉伊川水源山地の公益的機能を高める措置を講ず
ることについて請願

土木委員会 
受理
番号
件           名
49閉伊川水源山地の公益的機能を高める措置を講ず
ることについて請願

   
〇議長(山内隆文君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、先ほど各委員長から報告のとおり申し出がありましたけれども、委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(山内隆文君) 御異議なしと認めます。よって、本件は、委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
   
日程第23 議案第1号平成13年度岩手県一般会計予算から日程第57 議案第51号野外活動センター条例の一部を改正する条例まで
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第23、議案第1号から、日程第57、議案第51号までを一括議題といたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。中屋敷予算特別委員長。
   〔予算特別委員長中屋敷十君登壇〕

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