平成13年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(阿部富雄君) 無所属の阿部富雄です。通告に従い質問いたします。
 自然が無限の許容力を持つものではなく、資源は有限であり、また、人類の営みによって排出されたものが環境を破壊し、人類の生活を脅かすものになりつつあることを、多くの人が気づき始めています。しかし、県民一人一人が自分の生活の中で環境について考え、地球温暖化防止や資源循環型社会への自発的取り組みまで至っていないのも現実です。
 県は昨年11月、環境ミレニアムフォーラムを開催し、この中で環境首都創造いわて県民宣言を行いました。その内容は、環境について学び実践活動に参加しますなど10項目からなり、各地で取り組まれている事柄が盛り込まれています。地球温暖化対策の推進に関する法律では、普及活動を効果的に行うため、県は地球温暖化防止活動推進センターを指定するとともに、地球温暖化防止活動推進委員を委嘱できることとしています。環境首都宣言実現に向けた広範な県民運動の機運の醸成を図るため、活動推進委員を通じるなどして、市町村の各地域での実践母体となる推進協議会等の組織化を支援し、市町村に推進会議をつくり、県民が相互に啓発し、取り組みを進め、全国に発信することが、文字どおり環境首都いわてを実現することになると思います。知事の所感があればお伺いします。
 次に、今回提案されているNPOの活動支援事業のあり方についてお伺いします。
 開会日、冒頭での知事演述において、知事が生活者主権、地域主権を明確に打ち出し、多くの関係事業を盛り込んだ当初予算案を提案されたことについては評価すべきものと考えます。当初予算に関する先日の記者会見において、活動費助成制度の運用については全く民間に任せて、県は一切口を出さないという形での運用を考えているという知事の発言がありました。その発言の趣旨は理解するところでありますが、その原資としているのは、県民の税金で賄われているわけであり、以前、地域活性化事業調整費についても同様の議論があったと記憶しています。行政活動をチェックすべき議員の立場として、県行政の最高責任者である知事が適正な運用をどのように担保していくのかお伺いします。
 次に、県際連携についてお伺いします。
 北東北3県の連携は、福岡へのみちのく夢プラザの開設など成果を上げています。同じ隣接県である宮城県とも、今日まで行われてきた地域の主体的取り組みを発展させ連携を強化し、具体的成果を積み重ねていくべきです。
 平成11年の私の宮城県との県際連携の質問に知事は、県際連携が大事なのは広域交流、連携を進めていく内容、どういうレベルで、どういうものを進めていくことが地域の皆さん方の生活なりに有益で有意義なのかということであり、私もそういう活動に参加しながら、地域の人たちの意見を聞いていく。宮城県知事とも腹を割って話をし、行政として支援するところを十分明らかにし、交流が活発になるようにしていきたいと答弁をしています。
 県際連携のあり方は、私もこれに尽きると思います。宮城県知事との話し合いの状況や宮城県との県際連携の進め方についての考え方をお伺いします。
 次に、工業振興についてお伺いします。
 北上川流域の全県に占める割合は、工業出荷額で約80%、事業所数も3分の2と圧倒的な規模を誇っており、文字どおり県政の屋台骨、牽引力としての役割を担っており、県全域にその効果を波及させることが重要です。県では、平成8年に北上川流域高度技術産業集積圏構想の具体化や、北上川流域テクノポリス計画及び盛岡地域集積促進計画の第2期の策定に当たっての主要な施策を明らかにするため、北上川流域高度技術産業集積計画を策定し施策を展開してきました。この計画における範囲は、安代町、盛岡市から一関に至る北上川流域沿いの盛岡、岩手中部、胆江、両磐の4広域生活圏とされたところです。平成10年、国においては、新事業創出促進法が制定されたことから、県では、平成11年に岩手県新事業創出促進基本構想を定め、これをもとに、盛岡地域高度技術産業集積活性化計画と北上川流域高度技術産業集積活性化計画を策定し、国の同意を得ています。
 そこで、知事にお伺いします。
 こうした計画の展開による新事業の創出の促進や地域産業の高度化を、どのように図ろうとするのかお伺いします。
 北上川流域高度産業集積活性化計画は、花巻市、北上市、水沢市、江刺市及び金ケ崎町の4市1町の区域と設定しています。この活性化計画で、両磐地域が除外されたのはどのような理由によるものでしょうか。北上川流域は一体であり、編入されなかった両磐地域の取り組み状況は、どう考えておられるのかお伺いします。
 研究開発型工業団地の造成については、昨年の決算特別委員会でも対応をただしているところです。県は、工業団地プラス、ゼロエミッションに対応できるものと考えているが、地元一関市と十分話し合いを進めていく旨の答弁をされています。研究開発型工業団地については、平成6年3月の予算特別委員会で副知事が、第三次岩手県総合発展計画の中間年次である平成7年度までに、県南地域に研究開発型工業団地を1カ所整備することとしており、候補地については既存工業団地の分譲状況や各工業団地の拡張計画、さらに県の地域開発計画などを総合的に勘案してみると両磐地域が適当であると考えており、平成6年度から地元市町村等関係機関と連携を図りながら、開発可能性を含めた各種調査を実施してまいりたいと答弁しています。今日まで放置してきた県の責任は大きいものと思います。一関市とはどのような協議を行っているのか、どういう手順で進めようとされているのかお伺いします。
 岩手県南技術研究センターは、一関高専の持つマンパワーの全面的な協力を得て、両磐地域を含む岩手県南における各企業の技術力の向上を図り、地域社会の活性化を図ることを目的に、平成7年6月に設立されました。用地は一関市が取得し、建物、機器等は県が設置し、地元の自治体、産業界が中心となり、財団法人を設立し運営に当たっています。研究開発、人材育成、地域関連情報提供などの事業を行っていますが、現況をどう評価されているのかお伺いします。
 財団法人の運営なるがゆえに、設置された機器のメンテナンスや更新が行き届かず、画像処理リモートセンシング解析システムなどは活用されない状況にあると聞いています。
 企業の活用状況についても、親会社からの技術指導や企業独自の技術開発志向が強く、共同研究や委託研究が少ないのも現実です。圏域の工業構造が、電気、機械、金属が約7割を占めていること、高専に電気工学科、制御情報工学科があるにもかかわらず、生産、応用技術などのセンター事業が整備されておらず、実態とかけ離れていることも指摘されているところです。
 また、共同研究に携わる高専の教授が、学生のクラブ活動から生活指導にまで及び、大学と違って研究に専念できる状況にないことから、これらを補佐する技官の配置も検討すべき課題です。これまでの企業誘致による量産体制の産業構造から脱皮して、内発的で新しい研究開発の産業を育成していく上で、県南技術センターと高専への期待が大きいものがあります。こうした現状への対応と県の支援は、どのように進めていくのかお伺いします。
 次に、農業問題についてお伺いします。
 県経済連のまとめによれば、昨年の本県野菜出荷は、県経済連の取扱量はほぼ前年並みであったが、販売額は12月末現在、前年同期比8.2%減の170億円にとどまり、12年度末の販売見込みは179億円と、ここ5年間では最も低い金額になるものと見込まれています。輸入品の影響で、ピーマン、ネギ、キャベツの価格低下が著しくなっています。政府が緊急輸入制限措置、いわゆるセーフガードの調査品目に指定したネギは、商社などが日本向けに栽培委託している中国産などと競合し、5キログラム当たりの単価は前年比24.1%の減、919円に落ち込み、取扱数量は伸びたものの、販売高は前年比12.6%減の7億3、800万円となっています。
 一方、国内産と中国産シェアが半々と言われている生シイタケ、これもセーフガードの政府調査品目に入っていますが、県産シイタケの3キログラム1ケースの単価は前年比2.2%の増、3、078円、取扱数量もふえ、販売高は前年同期比で16%伸びています。これはまさに、本県産生シイタケの評価が消費者に根づいているあかしであります。
 そこで、野菜について、輸入野菜に対峙しつつ外国へ展開することを視野に入れ、生産者を元気づける産地づくりが急務と考えますが、今後、どう対応されていくのかお伺いします。
 農産物の輸入増を受けて、一般セーフガードに関する政府調査が昨年末から始まっています。今回の調査は、生シイタケ、ネギ、畳表としており、農林水産省は1月23日、ほかの心配な品目についてもあらかじめ独自に証拠を集めておく体制を整えました。特に心配な品目はレベル2とされ、トマト、ピーマン、タマネギ、木材が入っています。本県における影響はどういう状況にあるのか、その影響に県はどう対応しているのかお聞きします。
 一般セーフガードの発動については、輸入の急増により国内産業に重大な損害またはそのおそれがあり、国民経済上、緊急に必要が認められるときとされています。農林水産省は、セーフガードの政府調査を要請するに当たっての暫定的な基準を策定し、公表しています。これによれば、最近5年間の輸入量が増加傾向にある。輸入増加率や輸入品の占拠率が一定以上、粗収入減少や国内の作付面積減などが一定以上、輸入増と国内産業の損害因果関係を証明できる客観的資料があるなどとしています。こうした暫定基準に基づいて、迅速に対応できるよう政府に求めるべきですが、対応についてお伺いします。
 次に、林業についてお伺いします。
 県有林は約6万ヘクタールに及ぶ森林を造成してきましたし、県北地域の久慈市を中心とする市町村、関係森林組合及び林業関係団体で昭和39年に設立された社団法人岩手県林業公社により、約2万5、000ヘクタールの造成が行われてきました。森林の果たす役割は木材生産機能ばかりではなく、県土の保全、水資源の涵養など公益的機能の発揮を通じ、県民生活環境の維持、向上に重要な役割を担ってきました。
 林野庁の森林の公益的機能計量化調査の手法に基づき試算すれば、県全体の森林が持つ公益的機能評価額は2兆9、400億円、機関造林地の評価額は2、089億円とされています。県有林の分収林の中には、契約期限が到来し主伐を実施している場所もあり、13年度以降、本格的な契約期限が到来します。木材価格の長期低迷で、伐採してもそれが収益に結びつかない、再造林の経費も見込めないという深刻な事態に直面しています。
 林業水産部では、公益保全森林整備検討委員会に、県有林、林業公社等公的機関のあり方と今後の方向について検討を依頼し、この報告をもとに公的機関による森林整備の新たな展開と経営の方向を取りまとめました。長年の努力により整備されてきた県有林、林業公社有林を未来へどう引き継ぎ、将来のあるべき姿をどのように描こうとしているのかお伺いします。
 経営改善の推進では、契約期間を延長し、高価格取引が期待できる長伐期施業による優良大径材の生産を図るとしていますし、森林整備の新たな展開では、主伐時に大面積皆伐を回避し、小面積伐採や択伐に移行する。皆伐による交付金分収から所有者による立ち木買収や立ち木分収など、多様な分収方法に転換するとしています。こうした施策は、土地所有者の理解が得られず、生産意欲を減退させることにつながることになるのではないでしょうか。どう理解を得ていくのか、収入確保とあわせお伺いします。
 県有林事業の財源は伐採収入、県債及び一般会計繰入金で賄われています。平成11年度までの県債残高は497億円となっていますが、木材価格がこれまで同様の傾向で推移した場合、予定している伐採収入の確保ができず、一般会計からの繰り入れに頼らざるを得ないことになります。林業公社の財源は、補助金、農林漁業金融公庫及び県、市町村からの借り入れで賄われており、債務残高は416億円となっています。公社の森林は36年生以下であり、当面、主伐収入が見込めないことから、借入金の償還は県、市町村の貸付金に依存しています。木材価格低迷が続けば、自己収入による償還財源の確保が極めて困難になるものと思われます。既存債務の償還について、具体的な対応はどうされるのかお伺いします。
 次に、平泉文化遺産の世界遺産登録についてお伺いします。
 昨年11月の文化財保護審議会で、平泉の文化遺産の世界遺産登録に向けて、国が作成する世界遺産暫定リストに登録されることになりました。国では、関係省庁会議を経て、年度内にユネスコへ暫定リストを提出する運びとなっております。
 平泉町の文化遺産は、中尊寺、毛越寺、無量光院跡、柳之御所遺跡を中心とした周辺一帯が対象とされています。先が見える計画であり、きちんと目標を立てて取り組むことが必要です。
 その第1は、指定を受ける範囲、柳之御所遺跡、無量光院跡などの公有化、公有化後の整備計画と着実な遂行です。あわせて、周辺部の環境保全であり、どこを保全するのか、その核心部や周辺部を明確にすることが必要です。こうした整備のあり方については、県が担うべきものは何であり、どういう年次で取り組んでいくのか。地元平泉が対応しなければならないのは何と何であり、どういう年次を期待しているか。県と平泉が一緒に取り組む課題は何であるのか、お伺いします。特に、無量光院跡の公有化については、財政力の弱い平泉町には大きな負担であり、県の財政支援が強く望まれるところです。
 二つ目は、平泉文化の学術的解明、その保護と活用です。県は平泉町と連携し、平泉文化の共同研究を充実させていくとしていますが、どのような内容をどう進めていくのかお伺いします。
 また、平泉文化研究機関の設置も計画されているところですが、その対応についてもお伺いします。
 三つ目は、県民、平泉町民の意識と理解です。平泉町では、去る1月24日、町内56機関、団体、賛同する個人の参加を得て、平泉町世界文化遺産登録推進協議会を発足させています。文化遺産に対する町民の理解と意識の高揚を図ることにしており、全県、全国、ひいては世界へ情報発信が期待されるところです。協議会の活動への期待をどう考えているのか、お伺いします。
 次に、県立磐井・南光病院移転についてお伺いします。
 県立磐井・南光病院移転については、一関市が提出していた資料、医療局で調査した資料をもとに、医療局がまとめた県立磐井・南光病院移転候補地調べをもとに検討が行われ、狐禅寺大平地区に内定を見たところです。内定地には、かつて亜炭坑があり、少なくとも2カ所の坑道入り口があったこと、同地は北上川遊水地事業の築堤の土取り場ですが、粘度と砂質で築堤に適さない土質であり、粘度層に亜炭があったことから、建設省は、標高55メートルで終了していることなどが指摘されてきたところですが、これら調査はどのようになされるのかお伺いします。
 また、県道一関大東線は標高30メートルであり、取付道路が急勾配になることも指摘されており、一関市では当初、取付道路工事費5億5、300万円を見込んでいたものを、立体交差で勾配を緩くすることとし、7億4、000万円を投ずることとしています。両病院の用地交渉は、昨年4月から一関市を通じて行われており、平成13年1月末現在、地権者37名中35名の確約書を徴収していると聞いております。医療局としても、一関市と密接な連携のもと、早期契約を目指すべきですが、年度内取得は見込まれるのかお伺いします。
 磐井・南光病院の併設メリットを最大限に生かすために、エネルギー部門等の共用化を図り、建物は別々に建てて渡し廊下でつなぐとしています。磐井病院から南光病院へ診療応援されている内科、外科などの診療体制の充実を初め、薬剤師、診療放射線、臨床検査、給食などの重複部門や施設の維持管理などについて、文字どおり併設のメリットを最大限発揮させるべきであり、一つの病院も視野に入れ同一建物にすべきであります。精神障害に対して正しい理解を得るためにも必要と思いますが、どう対応されていくのかお伺いします。
 新しい磐井病院は、救命救急機能の充実や神経内科、放射線科、病理科を新設するとしていますが、小児科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科などの特定診療科の充実を図り、自己完結型の機能を備えた病院にすることが必要です。地元医師会からは、患者数の推移から県立病院のひとり勝ちが指摘されており、県立病院が目指す地域支援型へ踏み込む努力も必要です。開業医からの紹介診療のあり方をルール化するなど、共存体制が望まれるところですが、これらについてどう対応されていくのかお伺いします。
 病院建設について、障害者団体から、私たちの考えは反映されるのでしょうかという声が寄せられています。障害者や障害者団体のみならず、利用者圏域住民の要望を広く取り入れ、市民参加型の病院建設を望むものですが、どう対応されていくのかお伺いします。
 次に、警察行政についてお伺いします。
 日本世論調査会は、警察改革について去る2月3日、4日、無作為抽出により全国250地点、20歳以上の男女3、000人を調査対象に選び、64.4%から回答を得たとしています。それによれば、警察や警察官が地域住民に親切かとの問いに、そう思う34.7%、そう思わない21.0%、どちらとも言えない42.7%。信頼できるかとの問いに、そう思う31.1%、そう思わない26.5%、どちらとも言えない41.1%。警察に強く望むことはとの問いに、住民の小さな相談にも対応する親切さ31.4%、非行や少年犯罪の未然防止23.1%、重大事件を解決する捜査力16.3%などの結果が出ており、総じて警察に対し国民は厳しい見方をしています。こうした調査結果について、どう受けとめていらっしゃるのでしょうか。岩手県はどうでしょうか、お伺いします。
 警察行政を進める上で、県民世論を的確に把握し進めることが必要ですが、どのような形で世論を把握され、生かしていくのかお伺いします。また、住民の困りごと、心配相談はどういう状況になるのか、対応はどのようになされ、解決が図られているのかお伺いします。
 次に、重要犯罪等の検挙状況と捜査力の向上についてお伺いします。
 昨年の県内の全刑法犯は1万3、865件、検挙率が低下していると聞いております。検挙率の低下については限られた人員のもと、犯罪の広域化、悪質巧妙化、スピード化が顕著になっているためと思われますが、検挙の状況と捜査力向上を図るため、どのような対策を講じられているのかお伺いします。
 本議会に、情報公開条例の一部を改正する条例が提案されています。公安委員会、警察本部長は、公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧または捜査、公訴の維持、刑の執行、その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると公安委員会または警察本部長が認めることにつき相当の理由がある情報、公にすることにより、人の生命、身体、財産等の保護に支障を及ぼすおそれがある情報は非開示とすることができることとされています。非開示情報でも一定期間を経たものは公開すべきであり、それが開かれた警察行政であり県民の信頼を得るものと思いますが、どう考えておられるのかお伺いします。
 以上、私の質問を終わります。(拍手)
   
〇副議長(吉田洋治君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 阿部富雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、環境首都の実現に向けた取り組みについてでございますが、廃棄物の増大や地球温暖化などの環境問題は、その多くが日常生活や通常の事業活動に起因しておりますので、議員御指摘のとおり、私たち一人一人が環境について高い意識を持ち、自発的に行動していくことが極めて重要でございます。このため、昨年11月に、愛ランドいわて県民運動協議会がこの環境首都いわての実現を目指して、県民一人一人が取り組むべき行動目標を県民宣言として決議をしたところでございます。同協議会は、県内150の主要な団体で構成されておりまして、公衆衛生組合連合会や地域婦人団体協議会、生活学校連絡協議会など、市町村での活動実績のある団体が数多く参加をしているところでございます。したがいまして、今後とも同協議会との連携を一層強化して、こうした参加している団体を中心として県民宣言に基づく活動が県内各市町村で自主的に展開されるよう、環境アドバイザーや来年度新たに委嘱する地球温暖化防止活動推進員の活用なども図りながら、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、NPOの活動支援事業のあり方についてでございますが、これまでの行政や企業が提供するサービスに加えまして、地域社会における諸課題の解決や新しい多様な社会サービスの提供に当たって、行政や企業のパートナーとしてNPOがその一翼を担うことが期待されております。しかしながら、県内のNPOの多くは、活動資金などの調達に苦慮している現状にございます。今後のNPO活動の拡充のためには、行政と民間が協力した資金調達システムの構築が必要であると判断をして、今般、公益信託方式によるNPO助成基金を創設しようとするものでございます。この基金の運営に当たりましては、NPO活動の自主性・自立性を最大限尊重して、助成の募集から審査、助成配分、活動実績報告までの業務を受託者にゆだねる一方で、より透明性、公平性を確保していくことが重要でございます。このため、公益信託に第三者機関として設置される運営委員会におきまして助成基準等を定めますとともに、審査公開や情報公開などを完全に行うということによりまして、県民による評価がより適切に行われる仕組みをつくってまいりたいと考えております。
 また、公益信託は、県と信託銀行等との契約に基づき、法的には受託者である信託銀行等の義務と責任の規定が設けられておりますほか、必要に応じ、県の包括的な指導監督もございまして、適正な管理運営が行われるものと考えております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、宮城県との県際連携でございますが、宮城県の浅野知事とはたびたび意見交換を行っております。その際には、連携が21世紀の一つのキーワードであり、今後、岩手県と宮城県においては、地域の特色ある資源を生かした広域観光の展開など、さらなる連携を進めていくことを改めて確認しているところでございます。地域連携においては、地域の方々の主体的な取り組みが基本でございますが、県では、平成11年度から一関地方振興局と宮城県の築館地方県事務所との人事交流を行うとともに、北上川流域において毎年実施される活発な連携交流事業がございます──北上川流域連携交流会が中心になって行います事業がございますが──そうしたものや、地域づくりに取り組む方々の県境を越えたネットワークづくり、さらには、昨年の7月の岩手・宮城県際市町村災害時相互協定の締結や、昨年11月の両磐地域と宮城県の築館・迫地域が合同で開催をした初の物産展への支援を行うなど、県域を越えた連携は着実に進んでいるものと考えております。
 また、本年の4月から10月にかけて東磐井郡を舞台に実施される東磐井体感フェスタというものがございますが、この中では、宮城県北地域とも連携しながら多彩なイベントを実施するほか、本年の9月に陸前高田市で開催予定の総合防災訓練において、宮城県北を含めた広域的な応援訓練を実施するなど、新たな県際交流の展開が期待をされております。今後におきましても、宮城県との連携、さらには東北各県との連携について幅広く意見を交換しながら、具体的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、工業振興についてでございますが、地域産業の自立的発展を図っていくためには、これまでのテクノポリス計画などの推進により蓄積をされてまいりました地域産業資源を最大限に生かしながら、新事業創出や技術開発を活発に展開していくことが重要であると考えております。こうした観点から、今後、高度技術産業集積活性化計画などの着実な推進により、新事業創出を加速していくため、その中核的な支援機関でございます、いわて産業振興センターと公設試験研究機関やいわてマルチメディアセンターなどを情報ハイウェイを使って結んで産業支援機関のネットワークを充実強化するとともに、インキュベート施設の新設などによりまして、ベンチャー企業等に対し、立ち上がり期から事業化までの一貫した支援を行ってまいります。
 また、岩手大学や岩手県立大学、一関工業高等専門学校などと地域企業との産学官共同研究を推進して、大学などの知的資源を生かした独自技術の開発や、すぐれた研究成果の県内企業への技術移転を促進してまいります。さらには、江刺フロンティアパークや水沢鋳物技術交流センター──これは、今のところ仮称でございますが──この水沢の鋳物技術交流センターの整備を促進するなど、基盤的技術産業の集積を高めてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので御了承お願いいたします。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、高度技術産業集積活性化計画の区域設定についてですが、この計画の策定の根拠となります新事業創出促進法は、いわゆるテクノポリス法と頭脳立地法を発展的に継承したものでありますことから、地域の指定に当たりましては、旧法で示す圏域を踏襲せざるを得なかったものであります。また、両磐地域における取り組みにつきましては、県南技術研究センターを地域の中心的な産業支援機関、いわゆるサブプラットフォームとして位置づけておりまして、コーディネーターによる地域産業資源の発掘や、企業ニーズと一関工業高等専門学校等の研究シーズとのマッチング、さらには、産学官交流セミナーの開催などにより、新分野に取り組む企業を支援しているところであります。今後とも、県南技術研究センターと中核的な支援機関であるいわて産業振興センターとの定期的な連絡会やインターネットなどによる産業支援情報の共有化を図るなど連携を強化し、地域産業の高度化を促進してまいりたいと考えております。
 次に、一関研究開発工業団地の整備についてですが、これまで産学官で構成する調査委員会により、研究開発型工業団地のあり方などについて検討してきたところであります。今日、資源循環型社会の構築が求められている中で、今年度県におきましては、可能な限り自然の地形を生かした造成や研究開発から製造業、リサイクル産業をバランスよく配置し、いわゆるゼロエミッションによる環境と共生した21世紀型の工業団地のあり方を検討してきたところでありまして、一関研究開発工業団地についても、こうした新たな視点から取り組んでいくことが望ましいと考えているところであります。その手順としては、現在、適地の選定を一関市にお願いしているところであり、今後は地元一関市の考えを踏まえ、広く地域住民の方々や地元産業界などの意見を聞きながら、新しい工業団地の整備計画の策定に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、岩手県南技術研究センターについてでありますが、同センターは、石材廃水のリサイクル技術など16テーマに及ぶ産学官共同研究を行うとともに、技術講習会や依頼試験分析、技術相談などを実施しておりまして、同センターの利用者は増加しているなど、地域の産業支援機関として大きな役割を果たしているものと考えております。県では、これまで地元産業界や一関高専などの要望を踏まえながら、今後成長が見込まれます環境、情報、新素材関連分野を中心とした試験研究機器類の整備を行うなど、その強化を図ってきたところであります。
 今後、北上川流域基盤的技術産業集積活性化計画に基づきまして、一関工業高等専門学校の知識・技術を活用したセラミックスなどの新素材の研究開発に対する助成、また、産学官共同研究の研究テーマの事業化への支援など、県南技術研究センターへの支援を通じまして地域産業の高度化を進めてまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) まず、野菜の産地づくりについてでありますが、全国的に野菜の面積が減少している中にあって、本県は増加に転じるなど産地づくりが着実が進んでおります。しかし、近年、輸入野菜が急増している情勢にありますので、今後こうした産地の基盤を一層強固にしていくためには、消費者ニーズや需給動向を見きわめ、国内外の競争に打ち勝てるよう産地力を高めていくことが重要であります。このため、産地づくりの核となる野菜主業型農家の規模拡大と経営の安定化を図ることをねらいに、グリーンヘルパーなど労働力支援対策や共同利用施設の整備、機械化一貫体制の導入等生産体制の整備を支援してまいります。
 また、技術実証展示として、いわて純情産地リーディングファームを県下38カ所に新たに設置いたしまして、これを誘導拠点として、本県の気象条件等に合った優良品種や革新技術などを迅速に生産現場に普及指導し、単収の向上等による生産コストの低減と作柄の安定化を図るとともに、予約相対取引等の拡大や規格・包装の簡素化、それから通い容器の利用等により流通コストの低減に努めてまいります。
 さらに、消費者の関心が高く、輸入品との差別化の決め手となる品質につきましては、全国トップクラスにある予冷出荷率の向上によりまして、鮮度保持の一層の徹底を図るとともに、いわゆるJAS法に基づく原産地表示の義務化と相まって、本県のすぐれた生産環境を生かした安全・安心な野菜の供給拡大とその産地情報の発信を強化し、いわて純情野菜ブランドの確立による競争力の向上に一層努めてまいる考えであります。
 次に、輸入野菜増加の影響についてでありますが、国では昨年12月に、ネギ等3品目について輸入増加の事実及びこれによる国内産業における重大な損害等の事実の有無の認定を行うため、セーフガードに係る政府調査を開始したところであります。今回の政府調査では、本県のネギも対象となっており、生産状況や経営状況、そして流通動向、輸入業者等の取扱状況、消費者意識などについて、3月22日まで調査が行われることとなっております。なお、県経済連の平成12年産──1月から12月まででございますが、ネギの販売額は、出荷量が増大したにもかかわらず、販売単価が大幅に下落したため、平成11年産より約1億円減少し、7億4、900万円となっております。さらに、ピーマンにおきましても、販売額は前年より約4億4、000万円減少し、17億4、000万円となっておりますことから、ピーマンについても政府調査を実施するよう、本年1月に農林水産省に要請してきたところであります。
 また、セーフガードの発動に係る政府調査は、農林水産省が行う事前調査において暫定基準を満たした場合に、財務省、経済産業省との3省協議を経て実施することとなっておりますが、農産物には季節性があり、腐敗しやすい等の特性がありますことから、こうした点を十分踏まえて政府調査が迅速に実施され、輸入急増等の事態に機動的、効果的に対応できるよう要請してまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) まず、県有林及び林業公社営林のあるべき姿についてでありますが、土地所有者の理解のもとで、機関造林により育成されてきた分収林は、公的な資金や技術力に裏打ちされたいわば県民共有の財産とも言えるべきものであり、今後、公益的機能の発揮と木材供給の両面から調和し得る形で次世代に引き継いでいくことが大切になるものと考えられます。このため、分収契約の期限を延長して抜き切りを繰り返す長期育成循環型の森林としての整備や、将来の小面積伐採を想定した保護樹帯の育成等により、契約の解除後も森林所有者により適切な施業が継続的に行われるよう対処していくことが重要となっております。このような中で、林業公社についてはその蓄積した技術力や公的な信頼性を生かして、森林所有者に対するこれら施業の展示・普及とともに、真に公的な関与が必要とされる森林の整備等の面でも、その果たす役割が大きく期待されることになるものと考えております。
 次に、森林所有者の理解と収入の確保についてでありますが、現在、県行造林契約者の約7割が伐期の延長を希望しているとの調査結果もあり、今後厳しい状況化にはありますが、長期間の優良大径材生産による材価の上昇や造林費の節減が期待されるとともに、国の平成13年度予算で予定されている新たな助成制度の活用も見込まれるなどの利点について、森林所有者の十分な理解を醸成しつつ、何らかの形で必要な森林について残置し得る分収方法を実現するよう努めていくこととしております。
 次に、既存債務の償還対策についてでありますが、県有林においては、当面は県有林造成基金の取り崩しや一般会計からの繰り入れにより償還を行いつつ、平成13年度に県有林基本計画を抜本的に見直し、厳に経費の削減を進めるとともに、樹種、材種に応じたきめ細かな販売方法を通じて収入の確保を図り、今後本格的な主伐期を迎え、採算のとれる県有林となるよう努力してまいりたいと考えております。
 また、自主財源を持たない林業公社においては、平成13年度に公社営林基本計画を全面的に改訂し、県有林と同様に徹底した経営改善と一般管理費の節減など可能な限りの自助努力を前提に、県といたしましては支払い利息の増加を抑え、償還総額の縮減を図るため、既往分を含め、県貸付金を平成13年4月以降無利子化するなど、適切に対処してまいりたいと考えております。
   〔医療局長佐藤文昭君登壇〕
〇医療局長(佐藤文昭君) まず、磐井・南光病院移転予定地であります大平地区の地質調査についてでありますが、現在進めております用地交渉がまとまり次第、ボーリングなどを含めた地質調査を行うこととしておりまして、この結果を設計内容に反映し、病院建設に支障のないように万全を期してまいりたいというふうに考えております。
 次に、一関市に委託をしております用地交渉の状況についてでありますが、現時点で用地地権者37名中35名から個別に用地の譲渡の確約書をいただいていると一関市の方から報告を受けているところであります。医療局といたしましても、用地取得計画や測量調査などの、その都度現地に赴きまして、一関市とともに直接地権者に説明し協力を得るなどしておりますが、年度内に残された時間は非常に少なく厳しい状況にございますけれども、さらに、年度内取得に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、磐井病院と南光病院を同一建物とすることについてでございますが、病床数は磐井病院が305床、それから南光病院が408床と両病院とも非常に大規模でありますので、それぞれに病院の管理者、つまり病院長を置きまして、そのもとに併設の上、両磐保健医療圏の広域中核病院としての機能、また、県南全域をカバーする精神専門病院としての機能を発揮することが県民ニーズにもかなうものと考えておりまして、両磐地域の県議会議員、首長さんあるいは医師会長さん初め、各界各層からなる両病院の運営協議会というのがございますが、その中においてもこの旨を説明したところであり、御理解をいただいているものと考えております。
 なお、精神病院の建設に当たりましては、その特性に十分配慮しまして、患者さんのプライバシーや、それから園芸療法など生活のためのさまざまな治療がありまして、外に出る機会も多いというふうなこと、それから、有事の場合の避難誘導のことなどもありまして、一般病院とは別棟で運営することが望ましいと考えているところでありますが、一般の方々との交流の場につきましては十分に配慮してまいりたい、このように考えております。こうした上で、一般医療と精神医療の有機的な連携、このほか例えばエネルギー部門や給食部門の共用など、可能な限り併設のメリットを生かしてまいりたいと考えております。
 次に、地元医療機関との連携についてでありますが、これまでも紹介患者の受け入れ、また、いわゆる逆紹介を行うなど機能分担や連携に努めてきておりますけれども、今後とも地域連携の拠点施設としての機能をさらに発揮できるよう、地元医師会とも協議を進めてまいりたいと考えております。
 次に、建設に当たっての要望に対する対応についてでありますが、これまでも地元一関市や両磐広域市町村圏協議会、各種団体などから広く要望いただいているところでありますが、今後ともさまざまの御意見を参考にさせていただき、広域中核病院にふさわしい病院建設を進めてまいりたいと考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) 平泉の文化遺産の世界遺産登録に向けた取り組みについてでありますが、まず、柳之御所遺跡や無量光院跡の公有化及び整備計画につきましては、県では、柳之御所遺跡の復元整備を目的として平成10年度から発掘調査を実施しており、平成13年度からは新たに遺跡内に残る民有地の公有化に取り組むこととしており、これらを進めつつ、平成15年ころを目途に整備の基本計画を策定し、史跡公園としての整備を進めてまいりたいと考えております。
 また、平泉町におきましては、平成5年度から国及び県の補助事業を導入し、無量光院跡の民有地の公有化を進めているところであり、将来的には公園としての整備を検討していくものと承知しており、県としてもこうした取り組みを引き続き支援してまいりたいと考えております。今後とも平泉町と連携・協力しながら、平泉の文化財の保存・整備や史跡周辺の景観の保全などに努めてまいる所存であります。
 次に、平泉文化の共同研究についてでありますが、平泉文化は国際性に富み、その研究領域は多岐にわたっているため、本年度から開始いたしました共同研究では、12世紀東アジアにおける平泉文化の意義をメインテーマといたしまして、複数分野の研究者による共同研究を推進しているところであり、平泉文化フォーラムの開催などを通じ、その研究成果を広く内外に発信してまいりたいと考えております。
 また、平泉文化研究機関の設置につきましては、県では、現在、条件整備を図るため柳之御所遺跡の発掘調査を進めるとともに、研究者の育成や共同研究等の事業を進めているところであり、平成15年ころを目途に策定する、柳之御所遺跡の整備基本計画の検討の中で、その整備についても検討してまいりたいと考えております。
 次に、平泉町世界文化遺産登録推進協議会についてでありますが、世界遺産の登録に当たっては、地元町民の理解と熱意が必要であることから、町民の理解を促進するための活動や、町民の合意形成に向けた取り組みがなされることを大いに期待しております。
   〔警察本部長出原健三君登壇〕
〇警察本部長(出原健三君) 初めに、世論調査の調査結果に対する対応と世論の把握方法等についてお答えいたします。
 議員御案内のとおり、いろいろな機関等が世論調査を実施しているところでありますが、このような調査の結果等につきましては、県警察といたしましても真摯に受けとめ警察業務に反映させているところであり、今後とも、適正に対応してまいりたいと考えております。また、県警察におきましても、県民の皆様の警察活動に対する意見、要望等を幅広く把握するため、これまでもいろいろな機会、方法を通じ、意見、要望の把握に努めてきたところであります。
 最近の具体的なケースとしましては、昨年から本年にかけまして、県内を4ブロックに分けて、各分野の方々にお集まりいただいた警察と安全なまちづくりを語る会を開催し、私が直接地域の方々の意見や要望をお聞きするとともに、県警察の現状、課題等についても説明を申し上げたところであります。このほか、各警察署では、住民の方々と警察との懇談の場であります民警懇談会の開催や交番、駐在所単位の交番・駐在所連絡協議会、その他各種会合を通じ、地元の方々の身近な声をお聞きして、警察業務に反映させているところであります。
 新年度におきましては、今回警察署協議会条例の審議をお願いしておりますが、すべての警察署に警察署協議会を設置し、警察署の運営に地域の皆様の声を反映させることとしているほか、警察本部に広聴広報や情報公開、警察安全相談など、県民の皆様の日常生活に接する業務を統括するいわゆる市民ないしは県民課構想に基づき、県民の皆様の意見、要望などを広く把握するとともに、的確に対応していくこととしております。
 次に、困りごと等の相談の受理状況と対応についてであります。
 昨年の困りごと相談等の受理件数は1万109件で、前年に比較しまして約70%増と大幅に増加いたしました。そのうち、事件や事故、悪質商法やつきまといなど、警察業務に直接かかわるものは約60%でありました。相談の中には、主として他の行政機関や地域社会、家庭などで対応することが、より妥当な解決に結びつくものと思われるものもありましたが、相談者が1人で悩み、自分で解決を見出せない結果として警察に持ち込まれるものも少なくないことから、内容を問わず相談に応じ、相談内容を把握した上で関係機関や団体と緊密な連携を図り、解決に努めているところであります。
 なお、今後の相談業務につきましては、先ほども申し上げました新たに設置を予定しておりますいわゆる市民ないしは県民課を中心に、住民の皆様の立場に立って、さらに積極的かつ適正な対応に努めてまいりたいと考えております。
 次に、重要犯罪等の検挙状況と捜査力向上についてお答えいたします。
 平成12年中の全刑法犯の認知件数は、議員御指摘のとおり1万3、865件でありますが、このうちの43.1%に当たる5、982件は自転車盗と万引きであります。殺人、強盗、放火等の重要犯罪は123件、これは前年に比べまして38件の増でありますが、123件の認知に対して検挙が63件で検挙率は51.2%、住宅や事務所等に侵入する窃盗、あるいは自動車盗といった重要窃盗犯は認知が1、392件で、検挙が705件、検挙率が50.6%となっております。
 なお、人質立てこもりや企業恐喝といったいわゆる社会的に関心の高い事件や、暴力団犯罪や県民の体感治安にかかわる粗暴犯であります傷害、恐喝等につきましては、その大部分を検挙しているところであります。ちなみに、これらの検挙率は88.1%となっております。
 捜査力の向上方策につきましては、犯罪の量的増大とともに、質的変化が著しくなるなど、捜査環境が年々厳しくなる中、捜査体制の強化を図るため、警察本部のデスク部門の削減を図り現場部門にシフトするとともに、捜査員に対する研修等を積極的に行い、個々の捜査員のレベルアップを図っているところであります。あわせて、各種捜査支援システムの活用による科学捜査を推進するなどにより、県民の皆様の期待する良好な治安の確保に努力してまいりたいと考えております。
 次に、情報公開についてお答えいたします。
 警察の情報公開につきましては、警察行政の透明性の確保と警察活動に対する県民の皆様の信頼と協力を得る上で、必要な制度であると認識しているところであります。
 条例上の情報の開示請求を受けた際には、犯罪の予防、鎮圧、捜査等に支障を及ぼすおそれのある情報等の非開示情報に該当する部分を除きまして開示していくこととしており、その際、情報の開示、非開示につきましては、情報の内容を個別に精査して判断することとしております。
 また、一定期間経過しました非開示情報につきましても、期間経過という理由だけで開示するのではなく、個別に内容等を精査して判断することが、条例の趣旨に沿うものであると考えているところであります。
 なお、県警察といたしましては、これまでも申し上げてきましたとおり、非開示情報を含まない警察の施策につきましては、開示請求を待たずに積極的に公表してまいりたいと考えているところであります。
〇13番(阿部富雄君) 大分時間がたっていますので、1点についてのみお伺いをしたいと思います。
 それは、先ほど知事から、宮城県との県際連携といいますか、県間連携について御答弁をいただいたわけでありますが、今議会では、道州制を初めとして東北各県との連携問題もいろいろ議論をされたところであります。総じて言えるのは、いろいろな連携の仕方があるのだろうと。知事が最終的に言われたように、実態論から進むのが広域連携のあり方だというふうにお話しされていますから、私もそうだと思っています。なぜ私が宮城県との県際連携を言っているかというのは、日常生活そのもので、緊急に連携しなければならない課題がいっぱいあるということなんです。
 まず、その前提に立てば、県境地域の実態というものを、これはもちろん知事も御承知のことかと思いますけれども、県内に12の地方振興局がそれぞれ配置をされているわけです。この12の地方振興局の統計上のものをずっと見ていきますと、まず人口の高齢化率、これは一番高いのが千厩振興局管内、28.9%です。それから人口の増減率、これが一番人口が減っている、東磐井郡といいますか千厩振興局は、2番目に人口減少率が激しいところ。去年まではずっと一番減少が激しい、そういう振興局管内だったんですね。それから県民所得、これを見ても、千厩振興局管内の1人当たりの分配所得というのは204万7、000円。県平均で見ると79.4%になるわけですが、これは久慈がこれより1万円少なくて、東磐井は2番目に県民所得も低いという、こういう数字が出ています。それから、市町村道の改良舗装率、これを見ても東磐井、千厩振興局管内というのが38%台で、これまた県内で一番整備が立ちおくれている。もちろん、県道の舗装率も決して高いものではありませんし、国道の舗装率あるいは改良率も決して高いという、そういう状況にはないわけです。
 このように、県際地域というのはまさに停滞、縮小の局面に私は入っているのだろうというふうに思っているわけです。ですから、やっぱりここに焦点を当てて、地域連携、特に地域連携というよりは、県際との連携をやっていくということが非常に私は大事だと思っています。
 今まで知事もお話しされているように、県内の一関・千厩・大船渡振興局とそれから築館、迫、気仙沼の宮城県の地方事務所で県際連携会議などを開いているわけでありますが、こうした日常生活にかかわるものについてはなかなか取り組みができない。それは、それぞれの県が県境を越えて財政や権限が及ばないという、こういう実態にあるからだろうというふうに思うんです。私が前からお願いをしているのは、やっぱりそこを宮城県知事と話をして、相応の権限なり財源を与えるからそれぞれの地方振興局、地方事務所で話をして、こうした日常にかかわる連携をしなければならない課題に取り組んでくれという、こういうことを知事同士で合意をしてもらうということが私は県際振興につながるのだという、このことをずっと言い続けているわけでありますが、その点について、もう一度知事の考え方をお伺いしたいと思います。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 今、阿部議員の方から県際交流についてお話がございましたが、日常の生活圏がもう既に行政の壁を越えて現実にお互いでもうでき上がっているというその実態を一番きちんととらえて、その生活実態にむしろ行政の仕組みを合わせていくということがこれから特に必要だと思います。今議会といいますか、宮城県の方の県議会の、今のこの時期の県議会の中でも、向こうは向こうで宮手市構想──宮城県の宮と岩手の手を書いて、宮手市構想ということが何か議論に挙がっているということがございまして、やはり同じような問題意識を、向こうに住んでおられる方もやはり持っておられるのだろうと思います。私も広域連携を申し上げておりますのは、やはりそうした行政のラインが、実際の生活の姿を不自由にしているというその障害を取り除くという、そこを非常に大事にしていきたいというふうに思っておりますので、できるものから一つ一つ進めていくということが必要だろうと思います。やるべきことはまだ多々あると思っておりますが、よく宮城県知事ともまたあるいは秋田県知事、青森県知事、それぞれの県際問題をそれぞれの地域で抱えておりますので、そうした知事同士との話をよく深めて、そういう連携、交流を一層確実なものに進めていきたいというふうに考えております。
〇議長(山内隆文君) 以上をもって、一般質問を終結いたします。
   
日程第2 議案第1号平成13年度岩手県一般会計予算から日程第92 議案第91号北上川水系に係る一級河川の指定を変更することについての意見に関して議決を求めることについてまで
〇議長(山内隆文君) この際、日程第2、議案第1号から日程第92、議案第91号までを一括議題といたします。
 議案第55号から議案第91号まで、以上37件について提出者の説明を求めます。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 本日提案いたしました各案件について御説明いたします。
 議案第55号は、平成12年度岩手県一般会計補正予算(第3号)であります。これは、経済対策である日本新生のための新発展政策対応分など、国庫支出金の決定及び事業費の確定に伴う整理並びに事業執行上、今回計上を要するものなどについて、総額48億7、800余万円を減額補正しようとするものであります。
 補正の主なものは、財政調整基金積立金7億1、600余万円、地方バス路線運行維持費補助3億8、000余万円、老人福祉施設整備費10億3、400余万円、介護予防拠点施設整備事業費補助5億500余万円、老人保健対策費6億2、400余万円、除雪費14億5、900余万円、直轄道路事業費負担金38億7、200余万円、直轄河川事業費負担金14億2、100余万円等であります。
 また、減額補正の主なものは、介護給付費等負担金5億2、900余万円、いわて純情米生産体制強化総合推進対策事業費6億3、000余万円、ほ場整備事業費9億2、200余万円、工業立地促進資金貸付金8億5、300余万円、団体営農地等災害復旧事業費11億7、600余万円、河川等災害復旧事業費39億3、100余万円等であります。
 次に、繰越明許費は、東北新幹線建設事業費負担金など、167事業に係る予算を翌年度に繰り越して使用しようとするものであります。
 債務負担行為の補正は、交通安全施設整備事業など13件を追加し、地域優良分譲住宅制度による資金の融通に伴う利子補給補助など、8件を変更しようとするものであります。
 地方債の補正は、共同利用型研究開発施設整備を追加し、東北新幹線建設事業など、20件を変更しようとするものであります。
 議案第56号から議案第69号までは、平成12年度の岩手県母子寡婦福祉資金特別会計等11特別会計及び3企業会計の各補正予算でありますが、これは、それぞれの事業計画等に基づいて所要額を補正しようとするものであります。
 議案第70号から議案第75号までは、建設事業等に要する経費の一部負担及びその変更に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第76号は、県議会議員及び知事の選挙における選挙運動用自動車の使用及びポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例でありますが、これは、公職選挙法の一部改正に伴い、所要の整理をしようとするものであります。
 議案第77号は、学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例でありますが、これは、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償の基準を定める政令の一部改正に伴い、休業補償等に係る補償基礎額の扶養加算額を引き上げようとするものであります。
 議案第78号は、岩手県土地改良事業分担金徴収条例の一部を改正する条例でありますが、これは、担い手支援型の土地改良総合整備事業に係る分担金を徴収するとともに、あわせて所要の整備をしようとするものであります。
 議案第79号は、看護職員修学資金貸付条例の一部を改正する条例でありますが、これは、医療法の一部改正に伴い、所要の整備をしようとするものであります。
 議案第80号は、電気事業及び工業用水道事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例でありますが、これは、岩洞第2発電所の最大出力を増加しようとするものであります。
 議案第81号及び議案第82号は、工事の請負契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第83号は、財産の取得に関し議決を求めることについてでありますが、これは、行政情報の処理及び提供の用に供するため、パーソナル・コンピューター639台及びネットワーク周辺機器一式を取得しようとするものであります。
 議案第84号は、県営住宅の明け渡し及び滞納家賃等支払い請求事件の訴えを提起するため、議決を求めようとするものであります。
 議案第85号から議案第90号までの6件は、損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めようとするものであります。
 議案第91号は、北上川水系に係る一級河川の指定を変更することについて、国土交通大臣に意見を述べることに関し議決を求めようとするものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
〇議長(山内隆文君) これより質疑に入るわけでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 次に、お諮りいたします。議案第1号から議案第21号まで、議案第31号から議案第38号まで、議案第40号、議案第42号、議案第46号、議案第48号、議案第50号及び議案第51号、以上35件については、49人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(山内隆文君) 御異議なしと認めます。よって、議案第1号から議案第21号まで、議案第31号から議案第38号まで、議案第40号、議案第42号、議案第46号、議案第48号、議案第50号及び議案第51号、以上35件については、49人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することに決定いたしました。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
 (第9回県議会定例会平成13年3月7日)
予算特別委員会
1 議案第1号
2 議案第2号
3 議案第3号
4 議案第4号
5 議案第5号
6 議案第6号
7 議案第7号
8 議案第8号
9 議案第9号
10 議案第10号
11 議案第11号
12 議案第12号
13 議案第13号
14 議案第14号
15 議案第15号
16 議案第16号
17 議案第17号
18 議案第18号
19 議案第19号
20 議案第20号
21 議案第21号
22 議案第31号
23 議案第32号
24 議案第33号
25 議案第34号
26 議案第35号
27 議案第36号
28 議案第37号
29 議案第38号
30 議案第40号
31 議案第42号
32 議案第46号
33 議案第48号
34 議案第50号
35 議案第51号
   
〇議長(山内隆文君) お諮りいたします。ただいま設置されました予算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長を除く全議員を指名いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(山内隆文君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、議長を除く全議員を予算特別委員に選任することに決定いたしました。
 予算特別委員会は委員長互選のため、3月12日午前10時に特別委員会室にこれを招集いたします。改めて招集通知を差し上げませんので、御了承願います。
 次に、ただいま議題となっております議案第22号から議案第30号まで、議案第39号、議案第41号、議案第43号から議案第45号まで、議案第47号、議案第49号及び議案第52号から議案第91号まで、以上56件は、お手元に配付してあります委員会付託区分表のとおり、それぞれの所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
 (第9回県議会定例会平成13年3月7日)
総務委員会
1 議案第22号
2 議案第23号
3 議案第26号
4 議案第27号
5 議案第28号
6 議案第29号
7 議案第52号
8 議案第53号
9 議案第54号
10 議案第55号中
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第1款、第2款、第9款、第12款、第13款
   第2条第2表中
    第2款
   第4条
11 議案第63号
12 議案第76号
13 議案第77号
14 議案第83号
15 議案第85号
16 議案第90号
環境福祉委員会
1 議案第24号
2 議案第25号
3 議案第39号
4 議案第41号
5 議案第55号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款、第4款
   第2条第2表中
    第3款、第4款
6 議案第56号
7 議案第67号
8 議案第79号
商工文教委員会
1 議案第55号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第5款、第7款、第10款、第11款第3項
   第2条第2表中
    第7款、第10款
2 議案第61号
3 議案第82号
4 議案第88号
5 議案第89号
農林水産委員会
1 議案第43号
2 議案第44号
3 議案第45号
4 議案第47号
5 議案第55号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款、第11款第1項
   第2条第2表中
    第6款、第11款第1項
6 議案第57号
7 議案第58号
8 議案第59号
9 議案第60号
10 議案第70号
11 議案第71号
12 議案第72号
13 議案第73号
14 議案第78号
土木委員会
1 議案第30号
2 議案第49号
3 議案第55号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第8款、第11款第2項
   第2条第2表中
    第8款、第11款第2項
   第3条
4 議案第62号
5 議案第64号
6 議案第65号
7 議案第66号
8 議案第68号
9 議案第69号
10 議案第74号
11 議案第75号
12 議案第80号
13 議案第81号
14 議案第84号
15 議案第86号
16 議案第87号
17 議案第91号
   
〇議長(山内隆文君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時40分 散 会

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