平成13年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 県政の重要課題、県民の切実な要求実現について質問いたします。
 21世紀の新しい時代を迎えましたが、政治の現状は、KSD汚職、機密費疑惑など、底知れない汚職・腐敗、戦後最悪の失業と生活難、将来不安という自民党政治、森自公保政権の深刻な行き詰まりがだれの目にも明らかとなっています。既に森政権の支持率はどの世論調査でも1けた台となっています。国民から完全に見放された森首相をなぜ自公保は支え続けるのでしょうか。この事態を増田知事はどう認識されているでしょうか。
 自民党政治の行き詰まりは政策の分野でも明らかであります。国と地方をあわせ、年間50兆円に及ぶ公共事業、大型開発の大盤振る舞いで、ついに国と地方の借金は来年度末666兆円、国民1人当たり555万円、4人家族なら2、220万円の借金となります。一方で、失業率は昨年の平均で4.7%、320万人と最悪の状況であります。1月には4.9%の過去最悪となりました。
 県政の最大の問題は、こうした破綻が明白な自民党政治に追随した従来型の県政を続けるのか、それとも県民の暮らしと福祉を守るという地方自治の精神に立ち返って、新しい県政の流れを21世紀に築いていくのか、このことであります。
 増田知事が提案している来年度岩手県予算案は、残念ながら自民党政治に追随した従来型の予算案であります。港湾整備事業やダム建設、子どもランドの建設、花巻空港の拡張や大規模林道など、むだと浪費と言うべき大型開発・公共事業にはほとんど手をつけず、普通建設事業費は2、679億円余の高水準、土木費は減るどころか増額され1、429億円余となっています。その結果、予算総額は緊縮したどころか史上最高の9、027億円余と初めて9、000億円台となり、県債残高は1兆2、733億円余、県民1人当たり90万円、4人家族なら360万円の借金を押しつける借金財政を一層深刻にさせるものとなっています。
 歳入に占める県債の比率は15%、公債費は1、221億円余で歳出の13.5%を占めています。これは毎日3億3、452万円余の借金払いを強いられた県政ということであります。
 公債費負担比率は、平成11年度決算で既に危機ラインと言われる20%を超え20.7%となっているのであります。当てにしていた地方交付税も133億円も減少し、赤字地方債を136億円も発行せざるを得なくなりました。
 増田知事、自民党政治に追随した破綻済みの公共事業優先の県政をいつまで続けるつもりですか、反省はないのですか、明確にお答えいただきたいと思います。
 今、全国では、長野県や栃木県などのように、従来型の公共事業優先のやり方を見直す動きがつくられています。特に、田中長野県政は最近脱ダム宣言を行い、公共事業費を約14%削減し、福祉、教育、環境など、県民生活重視への転換を図っています。脱ダム宣言では、数百億円を投じて建設されるコンクリートのダムは、看過し得ぬ負荷を地球環境へと与えてしまう。さらに、いずれつくりかえねばならず、その間に著しい分量の堆砂をこれまた数十億円を用いて処理する事態も生じる。国からの手厚い金銭的補助が保証されているからとの安易な理由でダム建設を選択すべきではないと述べています。
 環境首都を標榜する増田知事は、この脱ダム宣言をどう受けとめているでしょうか。公共事業優先の県政を抜本的に見直し、福祉、暮らし、教育、環境を最優先に県政の流れを転換すべきと思いますがいかがでしょうか。
 県は昨年5月、岩手県広域行政推進指針を発表し、上からの市町村合併を進めようとしています。国、県が進めようとしている上からの市町村合併は、国の財政破綻を市町村に押しつけようとするものであります。また、市町村合併の名のもとに、新たな開発・公共事業をさらなる借金財政によって推し進めようとするものであります。全国町村会、全国町村議長会は、こうした上からの強制的な合併推進に対し反対の態度を繰り返し表明しています。地方分権と言うなら、こうした押しつけはすべきではないと思いますが、どうでしょうか。
 政府は行革大綱の中で、市町村合併で1、000自治体を目標とするとしていますが、その根拠は何でしょうか。県はこれに追随するのでしょうか。
 また、政府は合併重点支援地域を知事に設定させようとしていますが、これは市町村合併の上からの強制につながりかねません。やるべきではないと思いますが、どうでしょうか。
 大船渡市と三陸町について、首長間で合併の話が進められようとしていますが、肝心の住民には説明も議論も不十分で、住民不在と言わなければならないと思いますが、みずからの自治体のあり方は、そこの住民自身がよく論議し決めるべきものと考えます。いかがでしょうか。
 知事は、広域行政の推進にかかわって、道州制について言及しています。2月25日付の新聞インタビューでは、2月定例県議会が終わってから道州制を含む地方分権のあり方について……東北のほかの知事と話し合いたい、都道府県の合併も議論していいと述べています。関西経済連や財界、国等が主張してきた道州制論と同じ意味でしょうか。道州制発言の意味、目的は何ですか。
 高橋出納長にお聞きします。
 出納長は2月13日開かれた盛岡市議会の市政調査会主催の研修会で講演し、国は市町村合併を強力に推進することで逆に中央集権化をねらっている。今のやり方というものは、本当に我々が目指している地方分権に合致したものなのかどうか、だまされないように見きわめていかなければならない。これは一番言いたいことだと述べたと報じられています。私もテープを聞かせていただきました。鋭い分析と同感するところでありますが、改めてその意味するところをお尋ねいたします。
 次に、地域経済と雇用の確保の問題について質問いたします。
 この間、誘致企業、県内大手企業の撤退、閉鎖、倒産が相次いでいます。この1年間の動向、さらにこの5年間ではどうなっているでしょうか。この1年間の非自発的離職者と有効求職者数の状況はどうでしょうか。
 最近の撤退問題で重大なことは、JR東日本による八幡平リゾートスキー場とホテルからの一方的撤退問題であります。子会社とはいえ、松尾村や県観光開発公社も出資する第三セクター・東北リゾートシステムの関係者には、一言も協議も相談もなく撤退を宣言したことは、地元無視の横暴と言わなければなりません。特に、地元のホテル、ペンション、民宿や関係地元業者は、深刻な不況と岩手山の火山活動による入山規制のもとで、この3年間必死に歯を食いしばって頑張ってきたのであります。ことし7月には岩手山の入山規制も一部緩和される見通しで、盛岡以北の来年の新幹線開通にあわせて新たな取り組みを進めているさなかであります。
 撤退を発表した2月21日は、地元の方々が、24、25日の土、日にスノーフェスティバルを開催する準備の真っ最中でした。シーズンさなかのこうした時期に、地域の関係者の努力に水をかけるような撤退宣言について、知事はどう認識されているか伺います。
 日本共産党は菅原則勝当県書記長を先頭に、この間2度にわたって調査に入り、松尾村役場、商工会、ペンション関係者、東北リゾートシステム社長等から、率直で切実な声・要望を聞いてまいりました。その上に立って具体的にお聞きします。
 第1に、JR東日本の地域経済に果たす社会的責任を追及すべきだということであります。
 JR東日本は今年度も経常利益950億円、当期純利益520億円の見通しであります。昨年度は経常利益で1、082億円、当期純利益は603億円の実績となっています。
 さらに、盛岡以北の整備新幹線八戸までの開業に当たっては、赤字ローカル線として在来線を県、市町村などの第三セクターに引き渡そうとしているのであります。利益だけは吸い上げるが赤字はすべて地方に押しつける、こんなやり方は絶対に許すことはできません。
 第2に、地元の共通の声は、スキー場はもとよりホテルもセットで存続させてほしいということであります。八幡平リゾートスキー場とホテルは、東八幡平の文字通りの中核施設であります。この存続をJR東日本に強く求めるべきと思います。
 第3に、八幡平温泉郷は八幡平観光のキーステーションの役割を持ち、県と県観光開発公社が開発してきたものでありますが、それだけに県が、松尾村や地元関係者と一致協力して、JR東日本に対し強力に存続と社会的責任を求め交渉すべきということであります。私は、県が対策委員会を設置し、JR東日本と交渉すべきと思いますが、県の体制、責任者はどうなっているでしょうか。
 第4に、県は森の駅整備計画を進めようとしていますが、今回の事態に対応して抜本的に見直し、文字通り八幡平観光と地元の振興に結びつくものに、地元関係者の声を聞き、拡充を図るべきではないでしょうか。
 以上の点について明確な答弁を求めるものであります。
 次に、有力な誘致企業であるソニー千廐について、最近400人を超える外国人労働者が働きに来ているとのことですが、この雇用形態、雇用条件、外国人労働者への関係自治体の対応はどうなっているでしょうか。
 私は、県としてソニー千廐に対して、正規の職員を地元地域から相当数雇用するよう強く求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 今、県、地方自治体にとっても可能な雇用拡大策を推進することは緊急重要な課題であります。私は、以下の具体化と実現を強く求めて質問いたします。
 一つは、子供たちも教師も父母も強く求めている30人学級を県独自にも実現することであります。30人学級を実現すれば、小中学校で1、376人、高校では1、172人の教員、合計2、548人の教員をふやすことができます。当面、小中学校の1年生から実施するとしても、336人の教員をふやし、一人一人に行き届いた教育を進めることが可能となります。
 二つ目に、特養ホームなどの在宅入所待機者618人を解消する特養ホームの増設、12カ所で300人の雇用を確保できます。保育園の待機児童123人の解消のための保育士の増員、2人夜勤解消の県立病院看護婦の増員など、福祉・医療の分野での雇用拡大。
 三つ目は、防災では、法律で決めている消防力の基準から見て、消防士は県内では64.3%であり、1、062人が不足しています。この増員を緊急に図るべきであります。
 四つ目に、県庁のサービス残業、1人当たり平均8時間のサービス残業となっています。これを解消するだけで数百人の雇用拡大に結びつくと考えます。また、市町村や民間のサービス残業もなくして増員を働きかけることが必要であります。
 五つ目に、緊急地域雇用特別交付金事業の拡充を図ることです。これらの対策を講じるなら数千人規模の雇用、特に青年の雇用を確保することが可能であります。
 県がみずから雇用対策に本格的に取り組むよう、以上の提案を検討・具体化するように求めますが、いかがでしょうか。
 次に、福祉の充実についてお聞きします。
 昨年の4月から実施された介護保険も1年が経過しようとしています。大きな混乱もなく、制度としてはおおむね順調に実施されていると増田知事の答弁がありましたが、とんでもありません。厚生省の担当者自身が、問題が噴出していることは認識していると述べているとともに、高齢者、介護保険事業者、ホームヘルパーなど関係者から、介護保険になってよくなったことは何もないという声が強く寄せられているのが実態であり、介護保険の改善は緊急の課題となっています。
 以下お尋ねいたします。
 第1に、保険料・利用料が高過ぎて払えない、介護サービスの利用を制限せざるを得ない、この実態の改善であります。保険料・利用料の軽減・免除の対策をとっている市町村はどうなっているでしょうか。社会福祉法人による生活困難者への利用料の減免の実績はどうなっているでしょうか。1月前と1月以後も含めて示していただきたいと思います。
 第1号保険料普通徴収の第1期分の未納者はどうなっているでしょうか。保険料・利用料について、市町村からどのような問題点、改善点が出されているか示していただきたい。
   〔副議長退席、議長着席〕
 第2に、居宅介護サービスの利用状況は、県の第2回運営状況調査によると、平均して支給限度額の31.7%にとどまっています。50%未満のサービス利用が8割を占めています。3割程度にとどまっている理由をどう受けとめているでしょうか。また、この程度の介護サービスでは、家族介護者の負担は軽減されるどころか、家族介護なしには成り立たないと考えられますが、どうでしょうか。
 第3に、介護報酬の改善の問題であります。県社会保障推進協議会の介護事業所調査によると、47%の事業者が赤字と回答しています。介護サービスの中心となっているホームヘルパーの待遇は大幅に後退し、とても専門職としては成り立たない状況であります。介護保険に対する国の負担を4分の1から2分の1に戻し、介護報酬の改善を国に求めるべきと思いますが、実態をどう把握し対応しようとしているかお聞きいたします。
 次に、少子化対策の重要課題として、乳幼児医療費助成の拡充についてお聞きいたします。
 既に隣の秋田県が、今年度から就学前までの医療費助成を実現し、来年度は山形県、福島県、さらには東京都も実施しようとしています。県内では既に21市町村が就学前までの助成を実施しています。子育て環境日本一を標榜する岩手県こそ実施に踏み切るべきではないでしょうか。就学前までの医療費助成を実施した場合の必要額、対象人員はどう見込まれるか示していただきたい。
 児童虐待防止の対策についてお聞きいたします。
 昨年、児童虐待防止法が制定され、12月20日から施行されました。これは、言うまでもなく児童虐待の防止等に関する施策を促進することを目的としたものであります。実際、今年度の児童虐待の相談件数は1月末までで82件に達し、昨年の58件の1.4倍と、これまでで最高の相談件数となっています。これでも氷山の一角と言われています。ところが県の対応は、法制定にもかかわらず、肝心の児童福祉司は県民を除けばわずかに10人で増員なし。10万人から13万人に1人という配置基準から、可能な14人から4名も少ない体制にとどまっているのであります。
 さらに県は、中央児童相談所など五つの相談所・センターを統合し福祉総合相談センターとしようとしていますが、その結果3名の人員削減となっているのであります。
 全国的には、対応の弱さから子供の尊い命が奪われる事態も引き起こされています。隣の青森県では今年度、児童福祉司を16名から32名へと倍増させています。激増している児童虐待への対策を強化するためにも、人員削減ではなく、児童福祉司の大幅な増員こそ必要と考えますがいかがでしょうか。
 児童虐待の実態と相談件数の増加をどう受けとめているでしょうか。中央児童相談所の名称・看板をなくすのではなく、私は残すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 児童虐待の相談が増加していることと相まって、児童養護施設への入所も満杯、パンク状態であります。3月1日現在で定員330人に対し320人入所、入所率97%であります。このうち被虐待児は65名、20%を占めています。深く心の傷を負った子供たちが、すし詰め状態で入所しているというのが実態であります。児童養護施設の増設、拡充に直ちに取り組むべきではないでしょうか。
 老朽化した県立和光学園などの改築・改修の見通しはどうなっているでしょうか。子供の命と成長にかかわるこうした問題への対応を進めてこそ、子育て環境日本一のスローガンを掲げることができるのではないでしょうか。
 農林漁業の問題で深刻なことは、米とともに野菜、ワカメ、木材価格の暴落であります。どれも中国などからの輸入の急増によるもので、緊急にセーフガードの発動が必要ですが、県はこの間具体的にどうセーフガードの発動のために取り組んできたか、また政府の対応の状況はどうなっているか、示していただきたいと思います。
 次に、子供と教育の問題について、まず教育委員長に質問いたします。
 首相の私的諮問機関である教育改革国民会議が教育基本法の見直し論議を提起していますが、教育基本法についてどう認識されているでしょうか。この間、教育基本法に基づく適切な教育行政が行われてきたと考えておられるでしょうか。
 学力の危機の問題についてお聞きします。
 学校は本来、子供たちが友達と楽しく学び成長するところであります。ところが今日、授業がわからないとの声が広がっています。文部省の調査でも、授業がよくわかると答えたのは小学生で4人に1人、中学生で21人に1人、高校生では30人に1人という状況であります。
 昨年12月、第3回国際数学・理科教育調査の結果が発表されました。数学が大好き、好きと答えた生徒は、日本が48%で43カ国中42位です。理科は55%で23カ国中22位という状況でした。これは、勉強すればするほど数学、理科が嫌いになってしまうという深刻な状況であります。私は、学力の危機と言うべき状況と考えますが、教育委員長の認識と、こうなっている原因についてお聞きしたいと思います。
 日本共産党は2月24日、子どもと教育を考える講演とシンポジウムを開催いたしました。その中で一番議論されたことは、子供たちがわかりたい、知りたいと強く思っていることであります。学校や先生に要望したいことのアンケート調査では、小学生も中学生も、もっとゆっくりわかるまで教えてほしい、こういうふうに答えています。どの子も基礎・基本をわかるまで教える教育改革こそ、今必要ではないでしょうか。
 教育長にお聞きします。そのためにも教育行政の責任として、行き届いた教育を進める30人学級の実現が急務であります。学級編制の基準は、今後都道府県教育委員会の裁量で決められることになりますが、少人数学級に踏み出そうとしている各県の状況をどう把握しているでしょうか。教育長は30人学級実現の必要性、緊急性をどのように認識されているかお聞きいたします。
 高校入試制度の改善試案について質問いたします。
 今、子供たちと父母が求めていることは、受験競争の緩和であり解消であります。ところが、県教委が示した改善試案で提起されているのは、全受験生に対する面接の強化と点数化、調査書、いわゆる内申書の強化であり、総合的学習の時間から生徒会活動など、特別活動の評価と点数化まで行うという、選別を一層強化する内容となっています。これでは受験生、子供たちを一層苦しめるものとなるのではないでしょうか。
 第2に、面接を点数化して評価する客観的基準とその必要性はどこにあるのでしょうか。総合的学習の時間をも点数化して評価する意味は何でしょうか。
 第3に、本年度の県立高校入試の倍率は1.05倍と過去最低であり、応募が定員を割っている高校も少なくありません。これからも生徒の減少は続きます。すべての進学希望者が進学できる客観的条件があるにもかかわらず、なぜ選抜方式に固執するのでしょうか。中学校校長会が求めている選考方式こそ、21世紀の新しい時代にふさわしいあり方ではないでしょうか。
 第4に、国連、子供の権利委員会は日本政府に対し、極度に競争的な教育制度によるストレスのため、子供が発達のゆがみにさらされていると厳しい是正の勧告を行っています。県教委と入学者選抜方策検討委員会、調査研究委員会は、この国連、子供の権利委員会の勧告について、承知し、検討したのでしょうか、お聞きいたします。
 KSD汚職事件に関連して質問いたします。
 KSD汚職事件は、中小業者の掛金を政界工作資金として流用し、幽霊党員の党費ややみ献金、わいろ、パーティー券の購入などで、自民党政治家と自民党そのものを買収・汚染した、かつてない悪質な事件であります。残念ながら県内の政治家も150万円のパーティー券を購入してもらっていました。この原資はKSD資金そのものであり、違法・脱法的な献金と言うべきものではないでしょうか。
 また、この政治家が口ききしたとして5億3、000万円もの県内産カットワカメと削り昆布の贈答品がKSDによって購入されたとの報道がありました。KSDの平成11年度決算書によると、県内業者に前払い金として5億2、213万円余が支払われています。調査によるとこの業者は平成11年10月、買い付け金としてKSDから2億円受け取り、県内のある漁協に買い付けしたとしています。平成12年3月末日までに、さらにKSDから3億4、000万円受け取り、漁協に完納したとしています。カットワカメと削り昆布のセットの贈答品は、平成11年4月から翌年1月まで4回にわたって60万セット納入したとしています。ところが、この県内業者にしても、漁協にしても、5億4、000万円のKSDからの支払い金、前払い金が決算書には見えないのであります。反映されていない心配があります。KSDの資金にかかわる問題で、県内漁協の信用にもかかわる問題なので、実態はどうなっているか担当部長にお聞きいたします。
 また県は、このことが報道された昨年12月以降、漁協に確認の電話をしていると思いますが、その内容はどうだったのでしょうか。
 KSD事件では、県内金融機関の役割も重大であります。県内7、000事業所、1万2、000人の会員があったとのことですが、この勧誘のほとんどは信金や県内の銀行によるものであります。これは他業を禁止されている違法な勧誘であります。県内金融機関の責任も厳しく問われるべきと思いますがいかがでしょうか。
 最後に、公安委員長にお聞きいたします。
 この間、全国各地で警察による腐敗事件、不祥事が相次ぎました。公安委員会と警察の改革が求められ、昨年の7月には警察刷新会議による緊急提言が出されました。県公安委員会としてこの提言をどう受けとめ、公安委員会の活性化をどう図ったのか、体制の強化を含め具体的に示していただきたい。
 公安委員会は警察を民主的に管理する、こういう目的を持っています。そのためには、公安委員会の独立性を強化し、独自の事務局を確立して警察行政にかかわる諸問題、予算配分などについても必要な調査・検討を行えるようにすべきと考えますが、どのようになっているでしょうか。
 以上で壇上からの質問を終わりますが、答弁によっては再質問を行います。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、政治の現状に対する認識についてでございますが、御指摘の森内閣の支持率につきましては、さまざまな問題が複合的に重なった結果と思われますが、いずれにしましても、現在我が国は21世紀の新たな発展基盤を構築しながら、景気を自律的な回復軌道に乗せるなどの課題に対処すべき極めて重要な時期にございますので、できる限り早期に政治の安定を図り、国を挙げてこれらの諸課題に一丸となって対応されるよう強く願っているところでございます。
 次に、平成13年度当初予算についてでございますが、本県財政は、県税収入等が伸び悩む一方で、公債費等の義務的経費が増高するなど厳しい環境が続く中にございまして、13年度は、21世紀の新たな発展基盤を構築するため、総合計画の着実な推進に向け、中期的な財政見通しのもとに、政策評価結果による施策重点化方針に留意しながら、限られた財源を重点的かつ効果的に配分し、予算編成を行ったところでございます。
 具体的には、全体として予算規模の抑制、これは対前年度伸び率で0.7%、そして、公債費を除くいわゆる一般歳出伸び率はマイナス0.9%、こうした予算規模の抑制に努めながら、財源対策債などを除いた県債依存度の縮減を図ったわけでございまして、12年度当初、財対債除きで9.4%でございましたが、それを13年度当初予算では8.8%まで縮減してございます。こうしたことを行います一方で、事務事業評価の実施などによりまして財源の確保を図ったところでございます。特に御指摘ございました公共事業につきましては、効果の早期発現を目指して継続事業を大幅に進捗させることとして、新規の着工箇所につきましては、費用対効果分析による優先度を踏まえて特に厳選をするなど、重点化、効率化を図ったところでございます。
 次に、長野県の脱ダム宣言に対しての受けとめ方ということでございますが、洪水などから県民の生命や財産を守るとともに、県土の保全を図ることは、県行政としての根幹的な責務と、このように考えております。そのためには、方法論として、ダム建設を行うもの、あるいは河川改修、流域の治水で対応していくといったものなどさまざまな方法がございますが、その選択に当たっては、自然環境への影響や地域の土地利用状況、事業に要する経費など社会的、経済的な要因を慎重に検討するとともに、地元の意向をしっかりととらえていくことが肝要と考えております。流域治水などの場合には当然のことながら家屋の移転などを多く伴いますので、やはり地元の意向ということもしっかりととらえておくということが大変重要かと思います。また、ダムは、治水面だけでなく水資源の確保という重要な機能も有しておりますので、私は、そのような観点から、やはり個別地区ごとに総合的な検討を行って、県民、そして地域にとって最良の方法を選択してまいりたい、このように考えております。
 次に、公共事業優先の県政の転換ということについての話でございますが、21世紀を迎えて地方分権が進展する中にあって、それぞれの地域が自立的に発展していくためには、その基礎的条件として、やはり下水道などの整備を初め、基幹的な交通インフラの整備など、生活基盤、生産基盤両面にわたる社会資本の整備が必要であると認識しております。しかしながら、厳しい財政環境下にありますので、先ほど申し上げましたとおり、政策評価や費用対効果分析による新規事業の抑制を行うなど、公共事業の重点化、厳選化を図って、早期にその効果が発揮できるよう努めているところでございます。また、そういったことについての理由などをできるだけ公開する、説明責任も果たすということも大変重要であると思っておりまして、そのように、今、努力をしているところでございます。
 福祉、暮らし、教育、そして環境につきましても、総合計画の快適に安心して暮らせる社会、あるいは個性が生かされ、共に歩む社会など五つの社会の実現に向けて、環境、ひと、情報という三つの視点や七つの施策重点化方針に基づいて重点的に取り組むこととしてございますので、公共事業優先の県政運営を行っているとは認識していないものでございます。
 次に、道州制についてでございますが、これからの地方自治のあり方について、これを、これまでの国の地方制度調査会や関西経済連合会などの場においてなされてまいりました制度論としてではなく、どのように歩むべきかという道筋として考えましたときに、地方分権の進展と連動して、県というその行政の枠を越えたさまざまな広域連携が一層活発に展開されて、その成果が一つ一つ積み重ねられていくことによって国と地方の役割分担が明確になり、現在の都道府県の枠組みとは異なる道州制も含めた新しい地方自治の形が見えてくるのではないかと、このように考えておりまして、今後、北海道・東北知事会の場などで、地方分権の一層の推進とともに広域連携についての呼びかけを行い、具体的な成果を一つ一つ広げていく取り組みを進めていく考えでございます。
 次に、JR東日本の八幡平リゾートスキー場と、そしてホテル経営からの撤退ということについてですが、スキー場とホテルを経営する東北リゾートシステム株式会社は、16億円の累積損失を抱えて、今期も含め3期連続で損失を計上する見込みでございまして、また、ホテルの老朽化とスキー客が減少傾向にあることから、その親会社に当たりますJR東日本では、将来に向けた経営の維持が困難と、このように判断をして撤退に至ったと、このように聞いてございます。そのような説明を受けているわけでございます。
 このホテルとスキー場は、東八幡平地域の中心的な観光施設として、周辺のペンション、そして民宿などと一体となって、八幡平地域はもとより、本県全体の観光振興に大きく寄与してきたものでございまして、今回の撤退はまことに残念に思っております。
 地元の松尾村では、去る3月2日に、村を中心に盛岡地方振興局や県観光開発公社などを構成員とした東北リゾートシステム株式会社営業関連問題対策委員会を設置して、ホテル、そしてスキー場の存続要望を含め、今後の振興策に取り組むこととしてございます。県でも、商工労働観光部が中心となって、松尾村やこの委員会と十分連携をとりながら、JR東日本に対し、みずからの責任において確実な経営の譲渡先を確保し、県民に親しまれてきたスキー場やホテルが存続されるよう強く働きかけているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、出納長及び関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔出納長高橋洋介君登壇〕
〇出納長(高橋洋介君) 講演内容についてのお尋ねでございますが、かいつまんで申し上げますと、私は、地方分権は、現下の混迷する日本を救う大変重要な手だてであると、そのように考えております。しかしながら、分権化は時代の大きな流れではあるとはいうものの、過去の歴史の中で幾たびか中央集権化の動きも見られたところでございます。また、合併につきましては、地方分権を推進する上で大変重要な方策ではございますが、合併というものはあくまで一つの手段にすぎないわけでございまして、このようなことを忘れないで、ただ待っているのではなくて、勝ち取るぐらいの気概を持って地方分権の確立のために大いに努力をしてほしいと。また、合併を含めて大いに議論を深めてほしいというようなことを、何せ対象が市町村議員でございましたので、私見として特に強調したものでございまして、報道にあるような、国が中央集権化をねらっているというようなことは決して申し上げたわけではございません。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) 市町村合併についてでありますが、市町村合併は地域の将来や住民の生活に大きな影響を及ぼす事項でありますことから、地域のあり方は地域で決めるとの地方自治の基本的な考え方を踏まえ、それぞれの地域において十分な議論が行われることが望ましいと考えており、こうした議論のたたき台とされることを期待して広域行政推進指針を策定したところであります。
 また、全国で1、000市町村を目標とすることにした根拠のお尋ねでございましたが、この根拠については承知いたしておりません。昨年12月に閣議決定された行政改革大綱にはこう書いてあります。与党行財政改革推進協議会における市町村合併後の自治体数を1、000を目標とするという方針を踏まえて、自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化するという行革大綱の趣旨でございます。そういうことで、県としては、初めからあるべき市町村数を示すことは困難であると考えておりますが、自主的な市町村合併の取り組みを積極的に支援し、行財政基盤の強化につなげてまいりたいと考えております。
 さらに、合併重点支援地域の指定につきましては、総務省から今後示される新たな指針を踏まえ、指定の要件や効果などの全体像を見た上で検討してまいりたいと考えております。
 それから、大船渡市と三陸町につきましては、これまでも繰り返し述べてまいりましたとおり、市町村合併は、最終的にはそれぞれの地域で決定されるべきことであり、今後、両市町においては、地域の将来ビジョン等について住民に説明し、さらに議論を深め、合意形成を図っていく必要があるものと認識しております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、地域経済と雇用問題についてでありますが、民間信用調査機関によりますと、平成12年の県内企業の倒産は全体で118件、うち負債総額10億円以上の大型倒産は7件となっており、最近5カ年の倒産件数では522件、うち大型倒産は21件となっております。また、誘致企業の工場閉鎖等は、平成12年4月から現在までに10件となっており、最近5カ年の累計では31件となっております。
 次に、この1年間の非自発的離職者と有効求職者数の状況についてですが、岩手労働局の統計によりますと、平成12年の非自発的離職者数の合計は1万8、533人、また、平成12年12月末の有効求職者数は2万3、608人となっており、有効求人倍率は0.63倍であります。
 次に、ソニー千廐における外国人労働者の雇用形態、雇用の条件についてでありますが、これらの雇用条件等に関しては岩手労働局の所管業務であり、当局においては労働関係法令に基づきまして適切に指導や説明を行っているものと考えております。
 次に、ソニー千廐に対する地元雇用の要請についてですが、本県に立地する企業に対しては、常々地元からの雇用を要請しているところでありまして、ソニー千廐につきましても、この1月に私も同社を訪問して、できる限り地元雇用をしていただきたい旨要請したところでございます。
 次に、外国人労働者への関係自治体の対応についてでありますが、一関市ではソニー千廐関連の連絡会議を設置いたしまして行政各分野における情報交換を行うとともに、転入した外国人労働者に対しまして生活上の相談や情報を提供するなどの対応を行っており、今のところ大きな混乱はないと聞いております。
 次に、民間のサービス残業問題でありますが、これも岩手労働局の所管業務でございまして、同労働局では、労働者からの時間外労働についての相談があった場合には、随時その内容を個別に判断し、必要に応じ事業主に対する指導などを行っているところでございます。
 次に、緊急地域雇用特別交付金事業についてですが、この事業は、厳しい雇用情勢下で臨時応急の措置といたしまして、雇用・就業機会の創出を目的に平成11年度から3カ年にわたって行われるものでございます。この事業により新たに創出された雇用は、平成12年度は県、市町村あわせて1、400人余と見込まれておりまして、平成13年度につきましてもこの事業の趣旨に沿って新規雇用の創出に努めてまいります。
 次に、KSD会員の勧誘に関する県内金融機関の問題についてですが、金融機関に対する指導監督権限を有する金融庁におきましては、全国の金融機関を対象といたしまして、財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団の会費収納や口座振替の実態等の幅広い調査を行っていると聞いております。したがいまして、お尋ねの県内金融機関の責任につきましては、国の事務の所管に関することであり、また、国において調査中の事項でもありますことから、今後、所管する金融庁におきまして、銀行法や信用金庫法等に基づきまして適切に対応していくものと考えております。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) まず、八幡平森の駅整備計画の見直しについてでありますが、本計画は、昨年12月に関係の地域の方々や町村等の意見を踏まえて策定し、平成13年度から施設整備等に着手することとしており、その着実な達成を図っていくことがまずもって重要と考えております。また、この計画では八幡平リゾートスキー場及びホテルが直接位置づけられていないことから、今般の撤退がこの計画に直ちに影響することはないと思っておりますが、なお今後、東北リゾートシステム株式会社営業関連問題対策委員会における地域振興策の関係等により、見直しの必要が生ずれば、所要の対応について検討してまいりたいと考えております。
 次に、木材及びワカメのセーフガードに関する取り組みについてでありますが、国においては、モニタリング調査の体制を整え、木材のうち、製材品及び集成材については原則として毎月モニタリングを行う緊急監視対象品目に、ワカメ及び木材のうち合板については、つくる時期──作期──または四半期ごとにモニタリングを行う監視対象品目にそれぞれ選定し、セーフガードの検討に必要な情報を収集しているところであります。
 県といたしましても、国の要請に応じ、これら調査に対する資料を提供するなど積極的に協力しているところであります。今後とも、関連業界・団体の動向等も踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、カットワカメ等の贈答品に係る漁協の取引の実態についてでありますが、県では、水産業協同組合法に基づき漁協に対する常例検査を行っており、当該漁協については平成12年10月に平成10年度及び11年度の業務及び会計の状況について検査した結果、加工販売に関して適正を欠く事例は認められなかったところであります。
 また、昨年12月に本県に関する新聞報道がなされたことから、県では、当該漁協に対して、記事の内容にある商品の販売先や販売数量について電話で確認したところ、記事とのそごはないとの回答でございました。
    〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、福祉・医療分野における雇用拡大策についてでありますが、今後、計画的な施設整備の促進などによって個々の基準に沿った職員の配置がなされることから、一定の職員の雇用確保が図られるものと考えております。
 次に、介護保険についてでありますが、保険料の独自減免は、第1期分について2町で81人、利用料の軽減はすべての市町村において実施されております。社会福祉法人等による利用料軽減は、昨年の10月末で申し出が70法人で353人、本年2月では90法人で、本年度の見込みは1、221人であります。保険料の未納者は、42保険者の1月末現在で2、725人であります。市町村からは、天引きされる対象年金の拡大、低所得者の保険料、利用料の減免措置拡充等の要望があります。
 居宅介護サービスについては約9割の方が現在のサービス量でよいとしておりますが、県としては、社会福祉法人等による利用料軽減措置の実施の促進、サービス利用についての住民への周知徹底、介護支援専門員の質の向上等を図り、適切かつ必要な介護サービスが提供されるように努めてまいりたいと考えております。
 なお、介護報酬については、まず、事業者による経営努力が必要でありますが、事業者や市町村等の意見を聞きながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、少子化対策としての乳幼児医療費助成についてでありますが、乳幼児医療費助成に関して、今以上の拡充については他県の事業の実施状況等も含め検証すると、合計特殊出生率や乳幼児死亡率等において政策効果があったとは十分に確認できなかったことなどから、少子化対策としての事業効果や施策の優先度、さらには財源問題等を見きわめながら慎重に検討すべきものと考えております。
 なお、就学前まで拡充した場合の必要額と対象人員についてでありますが、現行の制度基準の中での県予算ベースにおける粗い試算では、現状より必要額が3億2、000万円程度増の8億7、000万円程度、対象人員が2万8、000人増の6万2、000人程度と見込まれるところであります。
 次に、児童福祉司の配置についてでありますが、本県においては、保護を要する児童の数等を考慮し、人口おおむね10万人から13万人までを標準として定める児童福祉法施行令に基づき11名の児童福祉司を配置しているところであり、今後、業務の効率化を図りつつ、要保護児童に係る業務量の状況等を見て、必要があれば関係部局と適切に調整を図ってまいりたいと考えております。
 次に、児童虐待の実態と相談件数の増加についてでありますが、虐待の早期発見、早期対応が肝要であることから、今後、関係機関から成る児童虐待防止協議会の設置など、より住民に身近な市町村の取り組みを支援して、児童虐待防止のための地域ネットワークの形成を促進させてまいりたいと考えております。
 次に、中央児童相談所の名称についてでありますが、児童や女性、障害者等に対して総合的な相談支援体制を確保するため、従来の縦割りの相談組織体制を再編し、岩手県福祉総合相談センターとしたものであります。なお、厚生省児童家庭局長通知において、弾力的な名称の使用も可能とされているところであります。今後、当該センターの県民の方々への周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
 次に、児童養護施設の増設、拡充と県立和光学園などの改築、改修についてでありますが、新たな施設整備については、少子化の状況や要保護児童の動向等を考慮した上で検討し、適切に講じていくべきものと考えており、和光学園については、県総合計画及びいわて子どもプランにおいて前期計画に位置づけ、整備することとしております。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 雇用拡大策に関連して2点のお尋ねがございましたので、これに関しまして答弁させていただきます。
 まず、1点目で消防士の増員についてのお尋ねがございましたが、消防力の基準につきましては、昨年、地方分権の動きに対応しまして、市町村の判断要素を大幅に導入しまして、地域の実態に即して定めることができることとされるなど、大幅に改正が行われたところでございます。本来的に、消防力の整備につきましては、市町村の責任と負担におきまして行われるものでございますので、今後におきましても、地域の実情に即した適正な人員配置に向け努力がなされるよう期待しているところであります。
 2点目でございますが、超過勤務の解消と職員の増員についてでございますが、職員数につきましては、厳しい行財政環境のもと、最小の経費で最大の効果を上げるべく、不断に事務事業の見直しを行い、事務の簡素化、効率化を図り、また、超過勤務の縮減にも努めながら極力その増加を抑制しているところでございまして、職員の超過勤務の問題と増員は直ちに結びつくものではない、そのように考えているところでございます。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) セーフガードの発動のための取り組みについてでありますけれども、昨年12月から価格低落の著しいネギなど3品目を対象とした政府調査が実施されておりますが、これに加えまして、本県の重要な野菜でありますピーマンについても調査対象とするよう、本年1月に農林水産省に要請をしてまいりました。その後、ピーマンは、農林水産省がセーフガードの検討に必要な情報を常時収集する体制の中で、緊急に監視を強化する対象品目とされたところでございます。
 今後とも、政府調査が迅速に行われ、セーフガードが早期に発動されるよう国に対して要請してまいりたいと考えております。
   〔教育委員会委員長船越昭治君登壇〕
〇教育委員会委員長(船越昭治君) 私の方から、教育の問題のうち、教育基本法と学力の問題についてお答えいたしたいと思います。
 まず、教育基本法でございますけれども、戦後の我が国の教育は、この基本法のもとに進められてまいりまして、教育の機会均等を実現し、国民の教育水準の向上に資するとともに、経済社会の発展の原動力になったと理解しております。
 しかし、現在、教育基本法の見直し論議が盛んでございます。その見直し論議の中心にある問題点というものが幾つかございますけれども、最も私ども気になりますことは、同基本法が個人の価値を重視して、公民としての成熟が期待できなかったということにあると私はとらえております。そうではありますが、同基本法第1条の教育の目的の中に、人格の完成を目指し、あるいは個人の価値を尊びということがございますけれども、その前にございます平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛しという方向を受けた、そういう脈絡の中で、実はこの個人の価値を尊びということが出てきているというふうに理解してまいったと思いますし、そのようなよき社会の形成者、構成者となるような教育に努力してきたと思っております。
 しかし、御承知のとおり、教育の画一化や過度の知識の詰め込み、あるいは家庭や地域社会の教育力の低下などが進んでまいりまして、いじめや不登校、少年非行等の問題が頻発していることは御承知のとおりでございまして、反省すべきところも少なくないと承知しております。未来の担い手であります子供たちが、心豊かでたくましく成長できますよう、新しい教育のあるべき姿について、もう一度原点に立ち返って問い直してみる必要があるというふうに理解しております。
 こうした中で先般、教育改革国民会議の方から、教育基本法を新しい時代にふさわしいものに見直す必要があるという提言がなされまして、文部科学省の方では、同基本法の見直しについて中央教育審議会に諮問して取り組みを進めると伺っております。私どもは、広く国民、県民の議論がわき上がることを期待いたしますとともに、今後これらの動向を注視してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、学力について申し上げます。
 21世紀を迎えまして、変化の激しい流動的な社会に一層移行してまいっておりますが、子供たちに求められる知識というのは、知識の量や技能だけではなくて、それらを支えるべきみずから学ぼうとする意欲や思考力、判断力、表現力などを含む全体的な学ぶ資質、能力ととらえております。
 今求められるものは、そうであるというふうに整理をしておりますが、議員御披瀝のように、国際教育到達度評価学会によりますと、教育の到達度で見る限り、これは数学と理科でございますが、我が国は依然として世界のトップクラスに位置していることは事実であります。しかし、数学や理科が好きという生徒の割合は半数程度にとどまっているなど、問題を残しているものと感じております。
 この調査結果自身は、各国それぞれの地域の文化や民族性、教育の仕組み等が複雑に絡んでおりまして、単純に比較できないものも含んでおりますけれども、知識を一方的に教え込むことになりがちではなかったか、あるいはゆとりを持って学習できず、教育内容が十分理解できない子供たちが少なくなかったのではないか、それらを反省材料として対処してまいるべきであると理解しております。
 このようなことから、新学習指導要領におきましては、自分で課題を見つけ、みずから学び・考え、主体的に判断・行動し、よりよく問題を解決する能力や豊かな人間性を培っていくと、そうした生きる力を土台にした教育内容を厳選して、わかりやすい授業を展開いたしますとともに、学ぶことの楽しさや成就感と申しますか、そういうものを味わうことができるような教育の質の改善を目指すことが必要であるというふうに理解しております。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) まず、少人数学級への各県の対応の状況についてでありますが、全国的な状況については調査しておりませんので、東北各県での状況をお話ししますと、学級編制基準の一律引き下げはないと承知しているところでありますが、少人数指導につきましては、各県によりそれぞれの取り組みがなされているものと把握しております。
 また、30人学級についてでありますが、国は40人学級編制を標準とし、児童生徒の実態を考慮し、特に必要があると認める場合にのみ標準を下回る学級編制が可能であるとされております。心豊かでたくましい子供を育てるためには、小集団を初めとする多様な学習集団による学習が大切であると考えていることから、本県におきましても、小中学校で多人数の児童生徒を有する学級において、チームティーチングや少人数指導を行う学校に対して積極的に加配を進め、一人一人の子供たちに確かな学力をつけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、高等学校入学者選抜制度の改善についてでありますが、今回の改善は、近年の高等学校進学率の上昇、子供たちの多様化等に伴い、生徒一人一人の個性を尊重するために行おうとするものであり、現在、方策検討委員会で検討を進めているところであります。まず、面接や総合的な学習時間の評価は、学力検査にあらわれにくい子供たちの興味・関心、学習意欲、向上心、思いやりなどのすぐれた面を丁寧に見ようとするものであり、具体的なことにつきましては、今後、方策検討委員会で引き続き検討することとしております。
 次に、改善試案等において高等学校入学者選抜としておりますことは、学校教育施行規則において、高等学校の入学は、入学者の選抜に基づいて校長がこれを許可するとあることから、選抜という名称にしているところであります。今回の試案では、基礎学力の確認や生徒の個性を重視し、子供たちのすぐれた面を多面的に評価するなど、改善しようとするものであります。
 また、児童の権利に関する委員会の勧告は、国に対して行われたものでありますが、本県においても、勧告の趣旨を十分尊重して対応しているところであります。
   〔公安委員会委員長熊谷昭三君登壇〕
〇公安委員会委員長(熊谷昭三君) 初めに、私 の公安委員としての基本理念について申し上げます。
 私は公安委員に就任以来、県警察の民主的運営や政治的中立性を維持し、県民の皆様の安全を確保するため、これまでの自己の経済人としての経験等を踏まえ、県警察の管理に全力で取り組んできたところであり、今後も社会情勢の変化等に対応しつつ、県警察の指導・管理に尽力してまいりたいと考えております。
 このような基本理念に立ち、御質問にお答えいたします。
 まず、警察刷新会議から出された緊急提案につきましては、県公安委員会といたしましても、その内容を真摯に受けとめ、県警察から本県の問題点等を聴取しながら、提言内容の具現化に全力で取り組んでいるところであります。
 また、公安委員会の活性化につきましては、昨年春から公安委員会専任の調査官の配置を求め、県警察に対する管理を強化してきたところであり、さらに今春の機構改革で、公安委員会補佐室を新設することなどにより、体制を強化し、一層の活性化を図ることとしております。
 次に、公安委員会の独自性につきましては、今後とも常に市民感覚と主体性を持ち、県警察の運営に民意を反映すべく、第三者機関的な立場から管理を徹底していきたいと考えております。
 公安委員会の役割は、基本的には第三者機関的な立場から警察業務の大綱方針を定め、それの運営状況等を管理することにあり、さらに、必要によって監察にかかわる諸問題等について個別・具体的な指示を行うことにあると考えております。
 この基本的な姿勢に立ち、警察行政について、県民の皆様の要望・意見を把握しながら、今後とも県警察を管理する公安委員会の任務を遂行してまいりたいと考えております。
〇23番(斉藤信君) それでは、限られた時間で再質問させていただきたいと思います。
 私は、深刻な財政破綻に陥った県政の転換を求めたわけであります。それで、岩手県は今回、政策評価に基づいて事業の重点化、厳選化を図ったと、このようにされていますけれども、その政策評価結果を見ると、県民意識調査で一番優先度が高かったのは、必要に応じた保健・医療・福祉サービスが受けられ、健康で暮らせるようにする、これ、福祉・医療の充実というのが77.8%でありました。2番目は、家庭や地域社会と連携して一人一人の個性や努力を大切にする学校教育を進めるというのが61.6%。福祉、教育、これが県民の県政に求める文字通りの要望だということが、政策評価では明らかになったと思います。
 岩手日報の県民世論調査を見ても、これは12月31日付でありますが、県政に望む政策の第1位は医療・福祉の充実。私はこうした県民のいわゆる声が、要望がどのように県政に具体化されたのか、重点化されたのか、そのことを示していただきたいと思います。
 県財政の危機的状況について私は指摘しましたけれども、もう少し具体的に指摘したいと思います。
 増田県政のこの7年間の実績は、県債の発行額で1兆386億円、県債残高は増田知事一代で5、704億円ふやし1兆2、733億円になりました。借金全体の45%を増田知事ひとりでふやしたという結果であります。さらに、主要3基金は1、479億円あったものが来年度では853億円に626億円も取り崩したのであります。結局、基金は取り崩し、借金はひとりで45%もふやした、こういう県政であります。
 その理由は、自民党の経済対策に追随した公共事業優先、大型開発優先、その県政でありました。その結果、景気がよくなったのか、雇用が改善したのか。するどころか悪化したというのが県政の実態ではなかったでしょうか。だから私は今、本当に今までの従来型の県政の転換が必要だと求めたのであります。このことを改めて知事にお尋ねしたい。
 二つ目に、今度は公共事業の具体的な問題についてお聞きします。
 たとえば、建設に着手した津付ダムは、治水、利水ともダムなしでも可能ではないでしょうか。ダムに固執する理由は何でしょうか。それにかわる河川改修などの代替策は具体的にどのように検討され、その結果はどうだったのでしょうか。
 港湾整備事業については、貨物取扱量が年々後退しています。こうした中で、知事は経済同友会の提言に賛意を表し、重要港湾の機能分担を検討すると述べていますが、どういう検討をするのでしょうか、知事の真意について示していただきたい。
 花巻空港の滑走路延長についてでありますが、実は平成11年度会計検査報告書で、需要予測を下回っている地方空港の費用と事業効果の評価をすべきと指摘がありました。花巻空港は平成11年度、予測で71万6、400人が実績52万9、600人、18万6、800人減少で、実績は73.9%。11年度はついに赤字に転換して7、900万円の赤字でありました。こうして利用客が50万人台に停滞しているときに、278億円投じて滑走路延長を今進めることが本当に緊急の課題なのか。知事は、空港についても他県の空港との機能分担を主張していますが、私はこういう立場からいったら、今急ぐべきではないのではないかと思いますけれどもいかがでしょうか。
 大規模林道川井・住田線、横沢-荒川区間は、ルートの見直し、トンネル化が検討されています。そうでなくても費用対効果がマイナスで、実際には林業振興と結びつかないと指摘されています。このルート見直し、トンネル化となれば、さらに費用も拡大されるでしょう。奥産道の場合は、このトンネル化を一つのきっかけにして工事が中止されましたが、知事、ここもあなたが決断するところに来ているのではないでしょうか。事業費が拡大してもこういう大規模林道をしゃにむに続けるつもりなのかどうか。
 すこやか子どもランドについては、費用対効果分析は本当に行われたのか、改めてお聞きします。
 道州制の問題についてお聞きいたします。
 先ほど知事は、各県の連携を強めるのだと言いましたが、私が質問で言ったように、知事の発言は都道府県の合併も含めて論議する、そこまで踏み込んでいるわけです。いわば都道府県の行政の連携と合併というのは異質なものであります。市町村の広域行政と合併とは異質のものであります。私はそういう点で、財界が一貫して主張してきた府県の廃止を伴う都道府県合併論、道州制論、これとあなたの意見とはどう違うのか、改めて明確にお答え願いたい。
 出納長に聞いたのは、私が出納長の講演で大変大事だと思って共感したのは、市町村合併が進められるときには、必ず中央集権化がやられたということであります。50年代の昭和の大合併のときには、このときに初めて地方制、いわゆる今の道州制が出されたのであります。一貫してそうでありました。だから高橋出納長はこれに警告を発して、今は合併、合併ということではなくて、地方分権が先なんだと、私はこのように理解いたしました。
 高橋出納長の講演では大変資料も出されておりまして、私はその資料も見たのでありますけれども、例えば、日本の市町村の人口規模というのは決して小さくない。ヨーロッパと比べれば小さくない。公務員も人口1、000人当たりの公務員の数は決して多くない。多くないどころか少ない。こういうときになぜ合併なのか。原点に立ち返って地方分権の確立が大事だと指摘したのが出納長さんの講演ではなかったでしょうか。私はそういう点で、こういうときに先走って道州制を唱えた知事の真意というのが問われたと思うのであります。そことのかかわりも含めて、私は、今道州制を唱えることが、逆に中央集権化に大変重要な口実を与えることになるのではないか、このことについてお聞きします。
 総務部長、私がお聞きしたサービス残業の解消、これに答えませんでした。平成11年度1人当たり8時間のサービス残業があった。これは総務部長、職員1人当たり年間幾らの賃金に相当するでしょうか。そして、この県職員のサービス残業をやめたら、人員増に換算すれば何人に相当するか、事務的に答えていただきたい。
 中央労働基準審議会は、12年11月30日に建議を出しました。サービス残業を解消するという建議です。そのために厚生労働省は近々通達を出すと言っています。サービス残業解消の通達であります。私は、このサービス残業は県がみずから率先して解消すべきだ、そして市町村や民間の企業に対してもサービス残業を根絶する。全国的にはそれで90万人の雇用に匹敵すると財界系の研究所が言っているわけです。岩手県でもこれの雇用効果は絶大だと思いますけれども、そのことをお聞きしたいと思います。
 次に、教育委員長に改めてお聞きします。
 学力の危機の問題について私聞きましたけれども、今、勉強すればするほど算数嫌い、勉強嫌いになってしまうという深刻な事態、これは、実は数学学会もこのことを指摘しています。例えば、日本数学教育学会、小学校1年生で算数が好きだというのが55%、小学校6年生になると31%になる。算数が嫌いというのが小学校1年生で9%だが、小学校6年生になると31%になる、大変深刻な事態です。今文部省は、意欲、関心、態度などと言っております。しかし、学校で学べば学ぶほど授業嫌いになってしまう、勉強嫌いになってしまう、私はここに深刻な問題があると思います。
 それで私はその原因を聞いたのでありますけれども、二つの理由があると思います。一つは、授業がわからない大もとに、学習指導要領による子供の発達を無視した超過密、超スピードの教育内容の押しつけ、これがある。二つ目は、競争教育による子供たちのふるい分けであります。このふるい分けによって学ぶ喜びを奪われているのではないか。私は、この学力の危機というのは単純な学力低下の問題ではないと思います。子供たちは、学びたい、わかりたい、知りたい、この気持ちを大変強く持っています。これにこたえる教育改革、私はこのことが大切だと。改めてこの背景にある問題について教育委員長の見解をお聞きしたいと思います。
 もう一つ、教育基本法について私お聞きしましたけれども、最近重要な国際的な問題に発展しています。新しい歴史教科書をつくる会の歴史教科書、この問題が、例えば韓国の国会では決議まで採択している。歴史の事実を否定する、こういう動向に警告が発せられています。この歴史教科書は、1910年の朝鮮併合を合法的に行われたと正当化し、東南アジアへの侵略を自存自衛、アジアを欧米の支配から解放することが目的だったと美化しているものだと言われています。中国や韓国やアジアから厳しい批判が展開されている、この新しい歴史教科書をつくる会のこの教科書問題について、どう受けとめておられるかお聞きしたいと思います。
 教育長、30人学級の問題についてお聞きします。
 一人一人の子供たちの状況・到達に応じた教育を保障する、また、学校にとっても緊急・切実な課題になっているというのが、私はこの30人学級の問題だと思います。この10年間で新規の教員採用者数は、小学校で290人から28人、10分の1以下に減少しました。中学校でも159人から28人、17%に激減をしています。高校では143人から54人、3分の1に減少しています。その結果、20代の教員は小中学校では12.1%、高校では13%となりました。そのためにクラブ活動の顧問のなり手がいない、子供と一緒に遊ぶ先生がいなくなったなど深刻な実態であります。20代の教員のいない学校は小中高でどれだけあるでしょうか、こうした事態を教育長はどう受けとめているでしょうか。
 一方で、教員志望の学生の就職難も深刻であります。昨年全国の国立大学の教員養成系大学・学部を卒業して、小中高の教員に正式に採用されたのは12%、8人に1人だけでありました。岩手大学の場合は、卒業生330人のうち、正式採用はわずか19人、 5.7%であります。臨時採用を含めて73人、22%。8割近くの学生が教員免許を取ったものの先生にならなかった。これはまさに政治の貧困、教育行政の貧困とも言うべき事態ではないでしょうか。
 今、現場は、子供たちは行き届いた教育、30人学級を求めている。そして先生になりたい学生もたくさんいる。こういう深刻な事態を放置している教育行政でいいのか。私は、今本当に子供たちに思いを寄せて、21世紀を担う、こういう子育ての、そういう30人学級、少人数学級に今こそ踏み出すべきだと思いますがいかがでしょうか。
   
〇議長(山内隆文君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 斉藤議員の御質問にお答えいたします。いろいろございましたので、順次お答えいたしたいと思います。
 まず、私どもが行いました県民意識調査、その結果の来年度の重点化施策への反映についてお尋ねございましたが、御指摘の県民意識調査における保健・福祉・医療サービスの向上という点につきましては、県の総合計画の快適に安心して暮らせる社会にという、この社会に係る主要な指標を見ますと、おおむね堅調に推移しておりますので、引き続き関連する施策を講じていくこととしてございまして、全体として緊縮型とした平成13年度当初予算におきましても、民生費については、前年度当初予算と比較して5.5%増という極めて高い伸びをこの予算の中でも確保してございます。
 また、教育についても、新しい時代に本県がその可能性を生かして未来を切り開いて行くためには、やはり人づくりの観点が極めて重要であるというふうに思っておりますので、いわて型教育の推進に向けた取り組みというものをこの七つの重点化施策の中に位置づけて、これを今進めております。
 申し上げるまでもなく、総合計画に掲げております五つの社会を実現するには、それぞれの分野において着実に成果を上げていくことが極めて重要でございまして、これらの来年度特に行うべき七つの重点化施策と合わせて、真に施策の効果が発揮されるよう積極的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 それから、県財政の状況についてお尋ね、御意見の開陳がございましたが、いわゆる主要3基金につきましては、平成13年度末残高で約853億円となる見込みでございまして、これは、中期財政見通しに指標として掲げております同年度末の基金残高では600億円程度というものを書いているんですが、この600億円程度を達成してございますし、12年度末残高では、東北各県の中で、この基金残高としては第1位になる見込みでございます。
 また、県債残高につきましては、今、お話ございましたとおり、13年度末見込みで1兆2、733億円と、こういうことになるわけですが、これは中期財政見通しの指標と比較すると約633億円ほどふえています。残高がふえているんですが、これは、見通しを策定したときに予定しておりませんでしたその後の経済対策呼応分として、後年度やろうと思っていたものを前倒しで実施した普通建設事業に充当した県債などによるものでございまして、財源対策債を除いた県債依存度については先ほど申し上げましたが、平成13年度の11.6%に対して、当初予算では8.8%と、それぞれ指標をクリアしているわけでございます。
 さらに、経常収支比率も大事な指標でございますが、前の年の10年度は87.0%でございましたが、11年度は85.1%ということで改善されてございまして、この間、一方で、今、お話ございました景気、雇用に配慮した施策を積極的に取り上げてきたところでございますが、県財政に関しては、こちらの方でも財政のやり繰りについてはいろいろ気を使ってございまして、お尋ねのような状況には至っていないと考えております。
 それから、大規模林道の川井住田線の横沢-荒川間についてでございますが、この大規模林道は、改めて申すまでもなく、木材生産だけでなくて森林環境の整備、森林の総合的利用を図るための交通手段、災害時などにはライフラインとしての役割など山村生活全体を維持していく上で重要な役割を果たしている、そういう大規模林道でございます。
 現在行われている路線検討委員会というのがございまして、このような、今、申し上げました目的を達成する上で、自然環境に及ぼす影響を最小限とするため、技術的な見地から、今、検討が行われております。この検討をもって直ちに工事中止につながるものではないと、こういうふうに認識しているところでございます。
 なお、事業実施中のそこだけの区間についての費用対効果分析は技術的に難しい面がございまして、やっぱり路線ですから、ある程度つながった区間でないとB/Cを出せないということがあるんですが、林野庁では、その区間のその手法等について検討中であると、こういうことを聞いております。
 今後、この区間の事業のあり方については、林野庁が13年度に再評価を行う予定でございます。路線検討委員会の方でも結論が出ると思いますので、その結論を踏まえ、総合的な見地から判断されるものと、このように考えているところでございます。
 それから、先ほど申し上げました道州制の関係でお尋ねがございましたが、私自身は、やっぱり地方分権をとにかく少しでも前に進めていくということで、今、自治体が一番そのことに意を用いなければならないと思っていますし、この地方分権というのを議論するということは、結局はこの国の形を議論するということでございます。今、地方分権の議論というのは、実際には一人一人の国民の中でそれほど真剣に議論される状況には残念ながらまだ至っていないと私は思っておりますが、本当に大事なこの国の形の議論でありますから、ぜひ一人一人の皆さんに関心を呼び起こすようなことを私としても率先してやっていかなければなりませんし、この国の形の議論をするということは、国と地方の役割を議論するということでもございます。当然その中には都道府県レベルも含めた合併の問題ですとか、道州制とか、そういう制度論のことも含めた、そういう議論が含まれると思います。ただ、私は、そういった制度論を議論するということに重きを置くということは、この際、国民あるいは県民の関心を呼び起こすには、そういったことは余り必要ではない。むしろ実績、成果をきちっと一つ一つ出して、やはり一人一人が真剣にこの国のあり方を議論していくということが大事だろうと思っていまして、最終的なその形を決めるのは私でもありませんし、国民一人一人であります。したがいまして、私の今やるべきことは、そういった一人一人の関心を呼び起こすこと、そのためにいろいろな問題提起をしていきたいと思っております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) ダム、港湾などの公共事業のあり方に関するお尋ねのうち、まず、津付ダムについてでありますが、気仙川流域は、大雨の都度沿川地域に甚大な洪水被害を及ぼしております。また、この流域の水は農業用水にも利用されておりまして、流量が不安定なためたびたび水不足に悩まされておりまして、一定量の水流の確保などの抜本的な治水・利水対策が必要となっておりました。このため、河川改修とダム建設の経済比較、さらには、家屋移転や大規模な土地利用の改変等による自然的・社会的影響、地元住田町や陸前高田市などの意向などを踏まえまして、さらにさまざまな代替案も含めて総合的に検討した結果、ダム建設と一部河川改修を組み合わせた計画が最も望ましいと判断したものでございます。
 次に、港湾整備についてでありますが、本県の各港湾につきましては、その特性やそれぞれの地域が持つポテンシャルあるいは道路ネットワークなどの状況などを総合的に勘案しながら各港湾の担うべき機能を明確にしていくことが必要でありまして、その上で効率的、効果的な整備を進めることが肝要であると考えております。
 そのため、昨年12月、国が示した新世紀港湾ビジョンを踏まえまして、平成13年度には、有識者の意見を聞くなどしながら、本県の港湾整備の基本方向を示すビジョンを策定する予定としております。今後は、このビジョンに沿った適切な港湾整備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、花巻空港の整備についてでありますが、現在進めております空港整備は、航空機の離着陸時の安全性の向上、冬季就航率の改善、国際チャーター便の運航拡大、大型機による修学旅行や団体観光の利用の増大を図るなど、本県観光振興や国際化の進展に対応するため、滑走路の延長を初めとする整備を行うものであります。こうした中で、国際チャーター便につきましては、平成10年が11便、11年は10便であったものが、平成12年度には29便と一気に3倍近い伸びを示しておりまして、国際化への要請は今後も高まってくるものと期待しているところであります。
 また、仙台空港などの他県の空港との機能分担についてでありますが、国際定期便が就航するなどの広域拠点機能を持ち、かつ国が管理するような空港と、花巻空港のように国際チャーター便や国内の一定の地域との間の航空需要に対応する空港とはおのずとその機能に違いがございまして、今後とも一層適切な機能分担が図られていくものと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) すこやか子どもランドの費用対効果についてでありますが、すこやか子どもランド──仮称でございますが──は、障害児を初めとした児童の健全育成、遊びの指導者の育成など、県内の児童の健全育成活動を支援する中核的な施設として整備するものであります。このような性格を有する施設であることから、利用者からの収益をもって運営する施設でないため、粗い運営試算で、その収支の推計では、収入は1、000万円程度、支出分については、人件費や各種管理業務経費で約1億7、000万円程度となることから、約1億6、000万円程度の持ち出しになるものと見込んでおります。このため、運営経費及び施設整備費といったコストに見合うように、県内における児童健全育成施設の中核機関としてその機能が効果的に発揮されるよう、また、多くの県民の方々に利用されるよう、その適切かつ効率的な運営に努めてまいりたいと考えているところであります。
 このようなことから、現在、すこやか子どもランド──仮称でございますが──運営検討委員会において、児童健全育成施設として、より効果的な運営等について御検討をいただいているところであります。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) サービス残業についてのお尋ねがございましたけれども、どのような定義になるのかちょっと定かでない面もございまして、必ずしもそういった形での把握を行っていないわけなんですけれども、仮に超過勤務がある場合には、事前に命令を発しまして、事後にしっかりと確認を行うという手続になっているわけでございまして、これに関しては、例えば、これまで管理監督者が業務の遂行に当たりまして指示とか進行管理を的確に行っていなかったりとか、また、職員個々においても計画性を持たずに効率性を考えないでやっていると、こういった実態が仮にあるとしますならば、そういったものにつきましての勤務時間の管理の徹底を図っていくことがこれから必要になってこようかと考えております。
 いずれ、ここ一、二年、私どもの方でも全庁挙げて超勤の縮減に取り組んでいるところでございますし、そういった勤務時間の管理の徹底を図る中で、一方では超過勤務手当につきましても適切に支給していこうということで考えているところでございますので、御理解賜りたいと思います。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) まず、歴史教科書についてでありますが、お尋ねの教科書については公表されておりませんので内容を把握しておりませんが、現在、文部科学省に検定の申請がなされており、種々論議を呼んでいることについて新聞報道等で若干承知している程度でございます。教科書の検定は、御案内のとおり、教科用図書検定基準により行われるものでありまして、その検定結果が今月下旬ごろに出されるものと聞き及んでおります。
 次に、20代の教員が配置されていない学校数についてでありますが、平成12年4月現在におきまして、小学校468校中162校、中学校210校中37校、高等学校80校中1校となっております。子供たちと一緒に活動することはすべての教員に求められていることから、教員の人事異動に際しては、各学校の教育活動が日々生き生きと展開されるよう、年齢構成も配慮しながら適材適所の人事配置に意を用いているところでありますが、今後の採用計画は、生徒減少の状況にありますが、ここ数年は退職者の増加も見込まれることから、採用数は若干上向くと考えておりまして、ちょうどその最低が10年と11年で、13年、14年は約40名から50名、加配もありますので、分母が減っていきますが、加配の分子が逆に若干ふえる要素があるので、それほど人事管理上の構成としては、ことしは若干問題ですが、問題ではないのかなと考えているところであります。
 なお、30人学級につきましてさらに御質問がございましたけれども、30人学級については、現在の編制基準を一律に下げることはしないで、国庫負担法の制度内の中で少人数指導の教育をして、一律30人学級に負けないような教育効果を今後上げていきたいと考えております。
〇23番(斉藤信君) 最後ですけれども、30人学級について、全国でどういう動向があるのかということについて教育長の回答がありませんでした。大変残念であります。
 私の調査ですと、秋田県は、小学校1、2年生で30人学級を目指して4億2、000万円、新潟県も小学校1、2年生30人程度の学級の実施2億8、000万円、栃木県、兵庫県、広島県、香川県、山口県、山形県、群馬県、こういう各県で少人数学級に踏み出すと、こういう新しい流れがつくられているんですね。特に知事のイニシアチブでこういう決断がされているのも特徴であります。といいますのは、県単ですから財政がかかりますから、やっぱり今の深刻な状況、いわて型教育の推進という点では知事のイニシアチブが大事だと。私は、増田知事に最後に、子供たちが、父母が、そして学生が求めている30人学級の緊急性、重要性をどう考えているかお聞きしたい。
 林業水産部長、KSDの問題を私は聞きました。5億4、000万円の取引だったというんですね。それきっちりですか。決算書に示されているんですか。私決算書を見たけれども、2億円の買い付け金も見えないし、ましてや5億4、000万円の姿は見えなかったですよ。私は不正はないと思うけれども、言われているそういう5億4、000万円の取引があったのかどうか、そのことを示していただきたい。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 今、30人学級についてお話ございましたが、私も子供たちの教育というのは大変重要な問題だと思います。学級編制で一律に30人学級まで引き下げているという例を私は聞いていないんですけれども、今、教育長の方から話がございましたが、教育委員会で少人数の指導をこれからもしっかりと行っていきたいという話をしておりましたので、そういった教育委員会の方針をこれからも見守っていきたいと思います。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) 先ほど申し上げました常例検査は10年度、11年度の決算に係る検査でございまして、12年度に係る取引が反映されているかということについては……(斉藤信委員「11年度決算だ、私が聞いているのは。」と呼ぶ)
 新聞で言われております5億数千万円の金額というのはKSDから贈答品会社に支払われた額でございまして、私どもとしては、この額がどうかということについて直接関与するものではないと思っております。
   
〇議長(山内隆文君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時20分 散 会

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