平成13年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇46番(藤原良信君) 自由党の藤原良信でございます。
 私は、県政全体の推進と、三陸大船渡の選挙区の代表といたしまして、地域課題の解決のため、県議会を通じて県政に参画し、邁進していきたいと思っております。この趣旨で御質問いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず、平成13年度当初予算編成についてお尋ね申し上げます。
 厳しい行財政環境の中で、限られた財源の重点的かつ効果的な活用により総合計画の着実な推進を図るため、徹底した政策評価を行い、その結果を予算編成に反映させ、施策の重点化を図ったとされております。今回どのように政策評価が行われ、それが予算編成を通じて平成13年度当初予算にどのように反映されたのか、その具体的な内容をお示し願いたいと存じます。
 次に、国の新しい予算編成システムへの対応についてお伺いいたします。
 平成12年は、明治以来続いた内閣を初め、行政府の組織を一新するすべての法的な手続が完了したまさに歴史的な年でありました。中央省庁等改革基本法が成立し、それを具体化する関連法案も国会を通過し、本年1月、中央省庁の大規模な再編が実施され、これまでの1府22省庁体制から1府12省庁体制へと再編されたのであります。
 こうした省庁再編の特徴の一つに、経済運営や予算編成システムの改革がございました。すなわち、経済運営や予算編成を、これまでのいわゆる官僚主導から政治主導に転換することを目的に、国は、新たに財務大臣や経済財政政策担当大臣などの関係閣僚や民間有識者で構成する経済財政諮問会議を内閣府に設置したのであります。新しい中央省庁体制下では、政治主導の原則のもと、これまでの各省のボトムアップ方式による予算編成からトップダウン方式に変わり、内閣府の経済財政諮問会議が次年度の経済見通しや予算規模、重点分野などについて基本的な考え方を決定すると言われており、平成14年度の国の予算編成は大きくさま変わりすると見込まれております。
 私は、国の危機的な財政事情の中で、本県の政策要望を国の施策に的確に反映させるためには、国の施策運営の基本方針や施策の重点化等に関する先見的な重要情報を迅速に入手し、適時適切な政策要望を行うといった取り組みがますます重要になると考えておるものであり、この対応いかんによっては、各自治体間に格差が生じてくることも懸念されます。特に、国が21世紀の新たな発展基盤の構築を目指して強力に推進しておりますミレニアムプロジェクトに盛り込まれている環境、ITなどの分野につきましては、地域のニーズや時代の要請を的確に把握し、迅速に事業の受け入れ態勢を整えた自治体に予算が重点配分されるといった傾向がますます強まってくるものと見込まれておるのであります。
 そこでお伺いいたしますが、県は、昨年から夏の統一要望におきましては提案型要望をさらに重視するなどの工夫がなされていると承知しておりますが、こうした政府の予算編成の仕組みの変更も踏まえ、平成14年度の予算要望についてどのように対応するお考えかお示し願いたいと存じます。
 次に、21世紀の岩手の可能性を開くキーワードであります環境、ひと、情報につきまして順次お伺いいたしますので、よろしくお願いいたします。
 まず、初めに、環境についてお尋ねいたします。
 知事はかねて、21世紀の経済社会が持続可能な発展を続けるためには、これまでの資源多消費型社会から環境への負荷の少ない循環型の社会を構築する必要があると述べられております。今まさに廃棄物の抑制やリサイクルの促進、省エネルギーの定着や新エネルギーの開発など、環境首都の実現に向けて循環型社会の構築に向けた取り組みが求められていると存じますが、こうした循環型社会の構築に向けて、今後、具体的にどのように取り組まれていこうとしているのか、その基本的な考え方をお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、エコタウン構想についてお伺いいたします。
 県の総合計画におきましては、環境首都の実現のために、環境研究分野において世界をリードするような取り組みを進めるほか、環境関連産業を岩手のリーディング産業として育成するとしておられます。また、昨年、県内のシンクタンクからも、リサイクル法の施行を踏まえ、三陸地域にリサイクル関連産業や研究施設などを集積させ、環境産業拠点の形成を目指す三陸リサイクルベルト構想が提唱されております。
 私は、地域振興とのかかわりの中で環境関連産業の育成を考えるとき、企業が共同して行う廃棄物の再利用、再資源化を図るなど、いわゆるゼロエミッション化を進め、先進的な環境調和型の産業集積を進めるいわゆるエコタウン構想を推進することが重要な施策課題になっていると存じております。
 このエコタウン構想につきましては、現在、釜石市と釜石地方振興局が共同で自動車リサイクル事業を中心に検討していると伺っておりますが、現在の検討状況はいかがでありましょうか、お伺いいたします。
 また、沿岸地域には新日鉄釜石の1、800度の溶融炉のほか、大船渡市には太平洋セメントの1、700度のキルンがございます。私は、こうした技術や設備の集積を生かし、広域的な連携を図ることにより、より大きな事業効果が発揮され、広域的かつダイナミックなエコタウン事業の実施が可能となるとともに、エコタウンの基盤となる港湾、道路等の社会インフラの整備に対する国の積極的な支援も期待できるものと考えておる次第であります。
 そこでお伺いいたしますが、エコタウン構想の実現に向けまして、釜石のみならず広域的な連携による取り組みが重要と思われますが、県の基本的な考え方につきましてお示しいただきたいと存じます。
 第2に、ひとについてお伺いいたします。
 21世紀の幕あけとなる今年は、教育の年となると言われております。昨年12月、首相の私的諮問機関でございます教育改革国民会議におきまして最終報告が取りまとめられました。この報告におきましては、教育基本法を見直す必要性を指摘した上で、21世紀の学校教育の役割など、新しい時代を生きる日本人の育成をどうするかといった未来志向の観点から、新しい時代の日本人の育成、伝統、文化の尊重や宗教的情操教育の必要性、体験学習や教育分野の国際交流などの実施目標を示す教育振興基本計画策定に関する規定の整備といった見直しの視点が明示されております。国はこれを受けまして、中央教育審議会などでさらに幅広く国民的論議を深めるとともに、教育基本法の改正を除く教育改革関連法案を通常国会に提出する方向と言われており、現在開会中の通常国会は教育改革国会として位置づけられ、各党間での教育の基本思想、学制の体系、教師の育成など、教育全体の論議がなされようとしておるのであります。
 日本は、今まさに大きな変革期を迎えております。私は、改めて日本人としての道徳教育の重要性と、学生及び青年層の理想主義の向上に向けての対策が必要であり、そのためには、歴史を振り返って日本の由来を探り、日本人が積み重ねてきた歴史と心の本質を見きわめることが重要であると考えるものであります。
 私は、人と人とが生きていく原点は家族、社会のきずなにあることを確かめ、その上で人に対する思いやりを大切にする日本の伝統的道徳を再確立する必要があり、自分勝手で責任をとらない間違った自由の意識を改め、責任を持つ自由を確立し、国際社会におきましても尊敬される国家を目指す必要があると考えるものであります。
 そこでお伺いいたしますが、しつけを通して人間形成の基本を学ばせ、文化と伝統を次世代に伝えるはずの家庭の教育力が機能不全に陥り、近隣社会のきずなも弱まっている今日、岩手の風土、歴史、自然、環境、人情などを大切にしながら、岩手の次代を担う人材をどう育てていくのか、最近の教育改革の動向を踏まえまして、本県の基本的な方向についての御所見をお示しいただきたいと存じます。
 また、これと関連いたしまして、21世紀の本県の教育を考える上で、教員の資質向上対策が重要であることは論をまたないと存ずるものであります。特に、教員の採用試験につきましては、いわゆる知識偏重の筆記試験のみを重視した採用ではなく、子供たちを指導、教育する能力にすぐれ、意欲、責任感、向上心など、人物面の評価を重視した有為な人材を採用するよう採用試験の改善を検討すべきと考えますが、いかがでありましょうか。教員採用試験のあり方を含め、今後、教員の資質向上に具体的にどのように取り組もうとしておられるのかお伺いいたします。
 第3に、情報についてお尋ねいたします。
 情報通信技術の進歩や情報に対する価値の高まりなどを背景に、情報や知識が社会の豊かさと発展の源となる潮流にあり、私は、21世紀は、情報を生かすことなくして本県の飛躍はあり得ないと言っても過言ではないと考えるものであります。
 本県では、こうした状況を踏まえまして、県内どこでも格差なく公共サービスが受けられるよう、その基盤となる情報通信ネットワークとして平成11年度からいわて情報ハイウェイの構築が進められており、昨年11月からは地方振興局をつなぐ基幹ネットワークの運用が開始され、また、今年度中には地域の中核的病院や大学等とのネットワークも整備されると伺ってございます。
 これらのネットワークは、当面、行政、教育、災害対策、そして医療などの分野で本格的な運用が開始されると聞いておりますが、今後は、整備された情報通信基盤をさらに有効かつ高度に活用することが求められております。このような観点から、私は、地域や身近な県民生活の情報化、さらには新規産業の創出につながる利用を促進する必要があると考えておりますが、いわて情報ハイウェイにつきましては、今後どのような利用を考えておられるのか、今後の具体的な利用構想をお示し願いたいと存じます。
 次に、情報化に対応した職員の情報リテラシーの向上対策についてお伺いいたします。
 いわて情報ハイウェイの整備と並行いたしまして、県では平成8年度から計画的にパソコンの導入を進め、今年度中には本庁及び地方振興局で職員1人1台のパソコンが整備され、電子県庁を推進する基盤が整備されると伺ってございます。私は、こうしたハードの整備と並んで重要なのは、職員の情報リテラシーの向上であると考えております。整備された高度な情報通信基盤を十二分に使いこなすための対策なくしては、電子県庁の構築もありません。
 そこでお伺いいたしますが、県は、職員の情報リテラシー向上にどのように取り組まれようとしているのかお示し願いたいと存じます。
 次に、学校の情報化につきましてお尋ねいたします。
 今後の本県の高度情報化を考えますとき、私は、やはり次代を担う子供たちの情報教育が極めて重要な意味を有すると考えてございます。こうした観点から学校の情報化を積極的に進める必要があると考えますが、本県の学校の情報通信ネットワーク及び情報機器の整備状況と見通しにつきましてお示しいただきたいと存じます。
 また、こうした学校の情報化推進のための基盤整備とあわせて、特に子供たちへの情報教育を担当いたします教員の情報リテラシーの向上が喫緊の課題と考えますが、今後、教員の情報リテラシー向上に向けてどのように取り組まれようとしているのかあわせてお伺いいたします。
 次に、県内の市町村合併についてお尋ねいたします。
 財政の硬直化や高齢化による行政需要が増大する中で、今、市町村にとりましては、本格的な地方分権時代の到来を前に、市町村合併は避けて通れない重要な検討課題となってございます。昨年5月に県が策定いたしました広域行政推進指針を踏まえ、県内でも徐々にさまざまな動きが見られつつありますが、私の地元大船渡市と三陸町におきましても合併に向けての本格的な議論が開始され、両市町共同で合併に関する住民向けのパンフレットを作成する方針が示されるなど、広域行政の推進に向けた胎動が見られます。
 もとより、地域のあり方は地域で決めることが地方自治の基本でございます。自治の担い手であります住民みずからが、地域の現状や課題を踏まえて合併後の地域のビジョンを策定し、主体的に取り組むことが原則であることは言うまでもございません。私は、こうした合併に向けた動きをより確実にし、県内各地域での広域行政の推進機運を高めるためのモデルケースとするためにも、県の具体的かつ強力な支援が必要であると考えております。
 そこでお伺いいたしますが、県は、大船渡市と三陸町の合併に向けた動きをどのように認識しておられるのでありましょうか。また、今後、こうした地域の取り組みを具体的にどう支援されようとしているのか御所見をお伺いしたいと存じます。
 次に、産学官連携研究所の整備についてお伺いいたします。
 平成10年4月に開学いたしました県立大学は、その建学理念の柱の一つに地域社会への貢献が掲げられており、県の総合計画におきましても、ソフトウエア分野を中心とする岩手県立大学の研究開発機能を企業活動の支援に役立て、本県の産業振興に結びつける産学官連携研究所の整備検討が盛り込まれてございます。また、昨年11月に公表されました盛岡北部研究学園都市形成ビジョンにおきましても、教育、研究、開発機能の集積のための施策の柱として産学官連携研究所の設置が位置づけられており、この産学官連携研究所を核として、知的資源を活用する企業を誘致し、その集積により研究学園都市を形成し、高度情報化社会に対応した産業の拠点づくりを推進するとしておるのであります。
 こうした産学官が密接に連携した産業振興の先進事例としては、本県とゆかりのあるアメリカのノースカロライナ州のリサーチ・トライアングルがございます。この地域には、本県との間で、先進的なIT技術を活用した遠隔医療あるいは遠隔授業の交流が進められておりますデューク大学やノースカロライナ州立大学があり、これらの大学に囲まれた三角地帯に国立環境保健科学研究所などの試験研究機関や情報通信、医薬等の研究開発企業が高密度で立地し、産学官の共同研究開発や新産業の創造が図られていると伺っておるのであります。
 私は、県立大学の人的資源を活用した産業の振興や地域の活性化、さらには県立大学の有為な人材の活躍のフィールドの確保といった観点からも、その核となります産学官連携研究所の整備を急ぐべきと考えますが、県の基本的な考え方と見通しをお示し願いたいと存じます。
 次に、痴呆性高齢者のケアについてお尋ねいたします。
 高齢化の進展により、痴呆性高齢者も増加の傾向にあると承知いたしております。一口に痴呆性高齢者と申しましても、医師から病気と診断された高齢者以外にも、痴呆状態が不安定で診断に至らない境界型の患者も多いと聞いており、痴呆性高齢者は意外に身近な存在であろうと考えております。今後、高齢者の増加に伴い、ますます切実かつ深刻な社会問題となっていくことが予想されるのであります。
 県民の多くの方は、もし不幸にして痴呆の状態となった場合におきましても、人としての尊厳を保ち、穏やかな生活を送ることを望まれると思います。このような観点から、痴呆性高齢者への対応として、相談、治療、ケアなどの体制を整備していくことが必要であると考えますが、県は、痴呆性高齢者対策としてどのような基本的な考え方を持っておられるのか、まずもってお伺いいたします。
 次に、県におきましては、その対策として、比較的症状の軽い高齢者につきましては、地域で家庭的な雰囲気のもとに穏やかな生活が送られるようグループホームの整備等が進められており、一方、症状の重い痴呆性高齢者につきましては、特別養護老人ホームや介護老人保健施設のほか、精神病院でも専門的ケアが行われている現状にあると伺っております。
 そこでお伺いいたしますが、現在、県では痴呆性高齢者の現状をどのように把握し、今後どのように推移していくと見通しておられるのでしょうか。また、精神病院に入院されている痴呆性高齢者はどの程度おられるのかお伺いいたします。加えて、これらの痴呆性高齢者に対し、今後どのように対処されようとしておられるのかお示し願いたいと存じます。
 次に、県警機動隊の施設整備の基本的考え方と見通しについてお尋ねいたします。
 県警機動隊は、危機管理の中核部隊として、機動性、広域性、専門性及び多角性を有する部隊であり、昨年の出動状況を見ますと、3月には広域緊急援助隊として北海道有珠山の火山災害警備、7月には九州沖縄サミットの警備、また、10月には制圧部隊として、盛岡市内で発生いたしましたけん銃発砲・立てこもり事件捜査などの突発事件や事故に機動的に対応いたしまして、県民生活の安全確保に重要な役割を担ってきております。
 先般、私は、総務常任委員会の調査で県警機動隊を訪問いたしましたが、現在の施設は、昭和44年の建築で建築後32年を経過し、施設は非常に狭く、かつ老朽化してございました。周辺の住宅化も著しく、迅速な出動や十分な訓練が困難な環境にございました。また、現在の機動隊が設置されている地域はいわゆる第1種低層住宅専用地域であり、現在地での庁舎の建てかえは困難であると伺いました。今後、県警機動隊に期待される役割はますます大きくなるものと考えておりますことから、早急に移転先を確保し、時代のニーズにこたえられる施設の整備を図るべきと思いますが、今後の基本的な取り組みの方針とお見通しをお示しいただきたいと存じます。
 また、特に効果的な訓練施設をあわせて整備することも検討すべきと考えますが、いかがでありましょうか、お伺いいたすわけであります。
 次に、中国産ワカメの輸入増加による県産ワカメ価格の暴落についてお尋ねいたします。
 近年、我が国の漁業を取り巻く諸情勢は、周辺水域におきます水産資源の悪化による漁獲量の減少、漁業者の高齢化の進行に伴う担い手の減少などに加えまして、長期にわたる魚価の低迷などにより、大変厳しい状況に直面しております。特に、サケ・マス、イカ、サバ、ワカメなど単価の安い輸入水産物の増大は、関税の引き下げなどと相まって魚価低迷の大きな要因となっており、本県の漁業及び地域経済への悪影響が懸念されるところでございます。とりわけ中国産を初めとする輸入ワカメの増加は、価格の暴落とともに、本県における沿岸漁業の基幹であるワカメ養殖漁家の生産意欲を著しく減退させ、ワカメ養殖業の存続基盤に大きな影響を与えるものと危惧しているところでございます。このような背景から、ワカメ養殖漁家が今後も意欲を持って生産に取り組み、消費者に新鮮で安全な三陸ワカメを安定して供給できるようにするため、先般、県議会から国に対しまして、一般セーフガードの発動を要請する、いわゆる輸入ワカメの増加への対処措置の実施についての意見書を提出したところでございます。
 ちなみに、岩手県は我が国で一級の水産県でございます。そして、ワカメ生産は日本一でございます。岩手県と宮城県で日本のワカメの75%を生産しております。岩手県は、その宮城県の倍、生産をしているのであります。そして、岩手県のワカメ生産の中で、私の地元気仙地域は40%もの率を占めているのであります。まさしく全体の水産業の岩手県の課題でもあり、私の地域の地域課題でもあるわけであります。
 そこでお伺いいたしますが、中国産ワカメの本県での流通の実態をどのように把握されておりますか。また、県は、中国産ワカメの輸入増加による県産ワカメ価格の暴落につきまして、その現状をどのように把握し、今後、それに対しましてどのように対応されていこうとしているのか、その考え方をお示しいただきたいと存じます。
 次に、本県の港湾整備の基本方向についてお尋ねいたします。
 国は、昨年12月に21世紀における港湾政策展開の第一歩として新世紀港湾ビジョンを取りまとめ、公表いたしております。その中で、21世紀における我が国の港湾の役割を、海の活用と海外のつながりの確保により、産業の安定的発展と国民の暮らしの充実に貢献していくことであるとの認識に立って、暮らしを海と世界に結ぶみなとの実現を港湾政策の基本目標に掲げ、その達成に向けた取り組み方策を示したところであります。このような国の動向を踏まえまして、県は、今後の港湾整備の基本方向につきましてどのようにお考えになっているのか、まずもってお伺いいたします。
 次に、港湾整備と関連いたしまして、今後の大船渡港とアクセス道路の整備の見通しについてお伺いいたします。
 国の省庁再編により運輸省も建設省等と統合され、国土交通省として新たなスタートを切ったところでございますが、私は、これによって、港湾と関連道路の整備が有機的な連携のもとに計画的に推進されることを期待しているところでございます。私の地元大船渡市は、国際港湾都市を旗印に地域振興を図ることとしており、大船渡港の整備促進に大きな期待を寄せているところでございます。現在、大船渡港では、企業が集積しております内陸部との連携を強化するため、交通ネットワークの整備を図りながら、直轄事業による水深13メートル岸壁を初めとする永浜・山口地区の公共埠頭の整備が進められておりますが、今後の大船渡港の整備の見通しについてお伺いいたします。
 また、内陸部に集積いたしております企業から港湾へのアクセス道路として、国道397号の役割はますます重要になってきております。本路線につきましては種山峠の抜本改良が行われたところでございますが、北上山地の急峻な地形を縫うように走るため、走行速度の低下を余儀なくされている区間がいまだに残っており、今後、増加が見込まれる大型車の通行を勘案しますと一層の整備が必要と考えておりますが、この路線の整備の見通しについてもお示し願いたいと存じます。
 最後に、三陸町と大船渡市とを結びます主要地方道大船渡綾里三陸線、いわゆる小石浜峠の道路整備についてお伺いいたします。
 気仙広域生活圏の2市2町は、平成9年度に県内最初の広域連合を発足させるなど、分権型地域社会の到来に向け、地域、住民が一体となり個性ある地域づくりに取り組んでいるところであり、この地域連携を支える基盤といたしまして道路の整備が重要な課題となっております。特に三陸町と大船渡市を結ぶ主要地方道大船渡綾里三陸線の小石浜峠を含む綾里白浜-小石浜間は幅員が狭く、急カーブ、急勾配が連続し、車両のすれ違いも厳しい交通の難所となっておるのであります。地域住民が熱望する小石浜峠の抜本改良は、地域間の交流を飛躍的に向上させるとともに、広域圏の一体的な発展に資するなど、地域に与える整備効果は極めて大きいものと考えられますが、その整備計画の進捗状況と今後の見通しについてお示し願いたいと存じます。
 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 藤原良信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、政策評価結果の平成13年度当初予算への反映についてでございますが、今年度導入をいたしました政策評価でございますけれども、これは総合計画に掲げております主要な指標の動向などを基本といたしまして、まず各部局がそれぞれ評価を行いまして、その上でこれらの評価について政策評価担当組織におきまして、県民意識調査なども活用しながら県民の視点や総合性の観点から評価を加えたものでございます。これをもとに、私や副知事、そして出納長、それから各部局長などを構成メンバーとする政策評価・推進会議におきまして審議、検討を重ね、昨年10月に政策評価結果の取りまとめをいたしますとともに、環境首都実現に向けた取り組みなど七つの重点化施策を決定したところでございます。
 これら重点化施策につきましては、予算編成作業を通じて平成13年度当初予算へ反映をさせたところでございますが、幾つかの事例を具体的に申し上げますと、例えば、環境首都実現に向けた取り組みというものがございますが、このものにつきましては、県民意識調査ではごみの減量化や再利用に関し満足度が低くて、施策の優先度が高いという結果が示されました反面、主要な指標でございます県民1人1日当たりのごみ排出量の目標値に対する到達度は極めて低い数値となっておりますので、関連施策として廃棄物処理計画の策定に係る事業や、農業用、そして漁業用の廃プラスチックの適正処理に関する事業などを予算に盛り込んだところでございます。
 また、快適な暮らしを目指す生活基盤整備の推進というものがございますが、これにつきましては水洗化人口普及率は到達度がおおむね堅調に推移はしているわけでございますが、全国と比較していまだかなり低い水準にとどまっておりますので、引き続き公共下水道や農業・漁業集落排水施設の整備を促進いたしますとともに、公共下水道と農業集落排水施設を一体的に整備するための調査事業や、集落単位での合併処理浄化槽の整備を促進する事業などを予算に盛り込んだところでございます。
 このように、今議会に提案しております平成13年度当初予算におきましては、七つの重点化施策に係る関係施策・事業として、計110施策・事業、646億円余を計上することとしたところでございまして、政策評価結果の新年度当初予算への反映について一定の成果が得られたものと、このように考えております。
 次に、循環型社会の構築に向けた取り組みについてのお尋ねでございますが、持続可能な社会を実現するためには、廃棄物の発生抑制や再利用、資源・エネルギーの効率的な利用など、環境への負荷の少ない循環を基調とする経済社会システムを構築していく必要がございます。このため、本県における循環型社会の形成を目指して、資源循環型廃棄物処理構想の策定を進めているところでございます。この構想では、これまでの焼却や埋め立て中心の廃棄物処理を改めまして、廃棄物のうち有用なものを循環資源としてとらえて、可能な限り再利用、再資源化、エネルギー回収を進め、その上で適正に処分することを原則としながら、県内を六つのブロックに分けて、そして環境保全型産業の振興も念頭に置き、それぞれの地域の実情に即した処理システムの構築を具体的に提案をすることとしております。特に循環型のモデルとして、資源リサイクルや廃棄物発電などの機能を備えた公共関与方式の廃棄物処理施設の整備につきましては、来年度から具体的に検討を進めてまいります。
 また、既存の施設をも活用した建設系の廃棄物の資源化や家畜ふん尿の堆肥化を進めることとしております。特に建設系の廃棄物については、建設廃材の再利用が今非常に数字も低くなっておりますので、こうしたものの資源化を図る必要がございますし、家畜ふん尿は法律での規制も新たに始まりますので、こうしたものの堆肥化を進めるほか、リサイクル産業の拠点形成に向けたエコタウン構想の検討を進めるなど、県民、事業者、市町村など関係の皆さん方と連携を図りながら、循環型社会の構築に向け、積極的に取り組む考えでございます。
 次に、本県の港湾整備の基本方向についてでございますが、海運や鉄道、道路などの連携による効率的な交通体系、いわゆるマルチモーダルシステムの構築でございますが、これは物流コストの削減による産業競争力の強化、そして地球環境への負荷軽減などに資する重要な施策と認識をしております。このため、県では昨年12月、国が示しました新世紀港湾ビジョンというものがございますが、このビジョンを踏まえ平成13年度には、本県港湾の背後企業の特性や地域の持つポテンシャルなどを勘案しながら、各港湾の担うべき機能を明確にした上で、今後の港湾整備の基本的な方向を示すビジョンを策定する予定としております。そして、この新しいビジョンに沿って、港湾整備の一層の重点化を進めるとともに、本年1月の省庁再編のメリットを生かしながら、港湾と道路との一体的な整備を図るなど、マルチモーダルシステムの構築に向け、より効果的な事業の推進に努めてまいります。
 また、私は、港湾の利用増進にもさらに力を入れる必要があるというふうに考えておりまして、昨年の11月に、初めての試みでございましたが、私も東京の方に出向きまして、本県港湾のPRのため、誘致企業や船会社などの経営陣に対するセミナーを実施したところでございますが、今後ともこのようなポートセールス活動にも積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) まず、平成14年度政府予算に対する要望についてでありますが、国の経済財政諮問会議においては、本年5月から6月にかけて、経済の活性化、それから社会資本整備、社会保障制度、国・地方の役割分担、この四つの分野について、平成14年度以降の予算編成を方向づける指針を順次打ち出すこととしており、それを受けて各省庁は、平成14年度予算案に向けた重点施策や概算要求を取りまとめる予定と聞いております。
 本県の今年度の統一要望においては、要望案づくりの段階から県議会と一体となって取り組むことを基本としながら、提案型要望を重視するなど、大幅な見直しを行ったところでありますが、来年度におきましては、地方分権時代に対応した地方税財源制度のあり方や、本県の実情に照らした優先度、緊急度の高い施策を選定するなど、より一層効果的な要望、提案となるように県議会と十分協議しながら取り組んでまいりたいと考えております。また、その際には、経済財政諮問会議の検討状況などの情報収集を迅速に行うとともに、適時適切に要望活動を行い、県としての要望事項の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、いわて情報ハイウェイの今後の利用構想についてでありますが、まず県民生活の情報化につきましては、県民の皆様が情報ハイウェイに接続し、日常生活に関する行政サービス情報を容易に入手できるよう、段階的に整備を進めてまいりたいと考えております。
 また、新産業の創出につながる利用につきましては、情報ハイウェイにより県工業技術センター等の研究機関やいわて新産業創造センターとを連携させ、ベンチャー企業等への研究支援機能を強化してまいります。さらには、提案公募方式により、情報ハイウェイを直接利用して新しい生活スタイルを提案したり、新たなネットワークを構築することなどを目的とするモデル事業を実施してまいりたいと考えております。
 次に、情報化に対応した職員の情報リテラシーの向上対策についてでありますが、職員の情報化への適応能力、いわゆる情報リテラシーの向上は極めて重要な課題であると認識しております。これまでの行政情報化の対応としては、例えば、県庁内における文書作成のソフトは、オアシス、一太郎、ワードなどが混在しておりましたが、情報の共有化を効率的に進めるために、今後はワードに統一するなど、電子県庁の構築に向けて職員の1人1台パソコン配備を最大限に活用するための操作研修を重点的に実施しているところであります。来年度以降においては、より上級者向けの研修を行うとともに、外部の研修機関に派遣する専門家養成研修の職員を拡大するなど、職員の情報リテラシーのさらなる向上に努めてまいる考えであります。
 次に、県内の市町村合併についてでありますが、大船渡市と三陸町の合併につきましては、昨年5月に策定、公表いたしました岩手県広域行政推進指針におきましても、その組み合わせをお示ししているところであり、両市町におきましては、これまでの地域的な結びつきや少子・高齢化の進展、厳しい地方財政の現状などを踏まえた真摯な検討を行い、合併に向けた自主的な取り組みを進めているものと認識しているところでございます。申し上げるまでもなく、市町村合併の選択は、それぞれの地域で決定されるべきものであり、今後、両市町は地域の将来ビジョン等について住民に説明し、さらに議論を深め、合意形成を図っていく必要があるものと認識しております。
 県といたしましては、大船渡市と三陸町の取り組みを含め、こうした地域での取り組みに対し、引き続き地方振興局を中心として、必要な情報の提供や助言等に努めるほか、市町村の合併協議会が設置されるなど、合併に向けた取り組みが具体化するに至った場合においては、本庁と地方振興局に合併推進本部を設置し、部局横断的な支援体制を整えるとともに、地域からの要請がある場合には、合併協議会への参画や市町村建設計画に県事業を効果的に位置づけるなど、市町村の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、産学官連携研究所の整備についてでありますが、県立大学などの独創的な研究成果を地元に還元し、県内全域への普及を図るためには、地域社会、地元企業などと連携した自由で開放的な研究活動の場が不可欠であります。このため、県といたしましては、こうした機能を有する産学官連携研究所を早期に整備したいと考えております。現在、総務省の認可法人である通信放送機構に対し、同機構が設置する情報通信研究開発支援センター、これを本県に誘致できるよう要請中であります。これが採択された場合には、同センターを産学官連携研究所の一環として位置づけ、研究開発が活発に展開できるよう整備を推進してまいりたいと考えております。 
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) エコタウン構想についてでありますが、釜石市におきましては、釜石地域における環境関連産業の創出や環境調和型のまちづくりを推進するため、現在、環境産業の立地可能性につきまして、専門機関に委託して調査を実施するとともに、産学官で構成する釜石市資源循環型産業推進委員会、この委員会には県の工業振興課や釜石地方振興局など、民間では新日鐡も参画しておりますが、この委員会におきましてエコタウン構想の取りまとめを進めているところであります。
 今後は、リサイクル施設整備の助成等を行う国のエコタウン事業の導入に向けまして、自動車リサイクル産業や一般廃棄物と産業廃棄物の混合処理事業などについて、事業化の可能性を調査検証するとともに、これらリサイクル関係施設の整備や運営方法等に関する具体的な事業計画を策定し、国に対しこの計画の承認申請を行うこととしております。このエコタウン構想の実現に向けましては、現在、策定を進めているいわて資源循環型廃棄物処理構想を踏まえまして、今後、気仙地域を含めた広域的な観点、すなわちこの処理構想で示している六つのブロックのうちの沿岸南部地区として一般廃棄物、産業廃棄物の適正処理、さらには、地域の産業蓄積等を生かしたリサイクル施設の整備などの取り組みについて、関係市町村や地域住民の方々、地元産業界など関係者と十分議論を進めていく必要があるものと考えております。県といたしましても、関係部局、地元地方振興局が緊密に連携し、こうした議論に参画しながら、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 痴呆性高齢者対策の基本的な考え方についてでありますが、県といたしましては、まず痴呆性疾患の発症予防が肝要であり、発症後においては痴呆性高齢者個人としての尊厳を保ち、できる限り住みなれた地域でその人にふさわしい生活ができるよう支援するとともに、一たん重度化した場合においても、施設利用が必要な方には適切な医療と介護の提供ができるよう、入院・入所体制の整備が重要であると考えております。
 次に、痴呆性高齢者の現状と今後の見通しについてでありますが、平成10年に県が行った調査では、在宅で痴呆の状態にある方が約6、000人、介護老人福祉施設などの施設に入所されている方は約7、000人であり、後期高齢者の増加とともに今後もふえ続けるものと認識しております。また、県内の精神病院等に痴呆性疾患を主たる病名として入院されている高齢者は、平成12年6月末日現在300人余りで、当該病院等における入院患者全体の約7%となっております。
 これらの痴呆性高齢者に対する今後の対処についてでありますが、痴呆性高齢者にとってふさわしい生活が送れるよう相談・診断・治療体制の充実を図るため、市町村や保健所などの身近に利用できる相談・支援体制の強化を図るとともに、老人性痴呆疾患センターの指定拡大や老人性痴呆疾患治療病棟等の整備を促進していくこととしております。また、ケア体制の充実を図るため、痴呆性高齢者グループホームの整備を促進するとともに、介護老人福祉施設、介護老人保健施設の整備を促進していくこととしております。さらに、ケアの質の維持向上を図るため、痴呆介護実務者研修等によりマンパワーの養成、確保に努めるとともに、地域福祉権利擁護センターにより痴呆性高齢者の権利擁護を支援する体制を充実するなど、昨年策定いたしましたいわていきいきプラン2005に基づき、市町村と一体となって、総合的に痴呆性高齢者対策を講じてまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) 中国産ワカメの県内流通の実態及び輸入増加による県産ワカメ価格への影響と対応についてでありますが、まず中国産ワカメの流通実態につきましては、県内の漁業生産者が生産し出荷するものは岩手県漁連において把握されておりますけれども、ワカメ商品は個々の企業において商品としての流通がなされるため、中国産を含めその把握は極めて困難な状況にあることを御理解いただきたいと存じます。なお、ワカメ購入量を総務庁家計調査で見ますと、平成11年に盛岡市では年間1人当たり676グラムで、これは全国県庁所在地平均の1.7倍と最も多くなっております。
 次に、中国産ワカメの影響及び対応についてでありますが、県産ワカメの主力である塩蔵品の平均価格は県漁連によれば、平成11年に1キロ当たり933円であったものが、平成12年には600円に下落し、この動向を私どもも憂慮しているところであり、これには安価な中国産ワカメの輸入が大きく影響しているものと考えられ、現在、国においてセーフガードの調査開始に必要な検討が行われており、県としてもこれに積極的に協力しているところであります。なお、このセーフガードの検討とは別に、漁業団体においては、ワカメの秩序ある輸入の実現に向けて中国側と協議を始める旨伝えられており、その動向も注視しているところであります。さらに、これらの対応と並行して、県産ワカメの市場競争力を高めていくことが重要であることから、県におきましては、生産コストの低減を図るため、養殖の協業化や省力化、さらには加工業者との連携による生産体制の効率化とともに、販路の拡大のため、原材料の原産地表示制度を活用し、インターネット等を利用したPR活動を一層強化するなどの対策を引き続き推進してまいりたいと考えております。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) 大船渡港とアクセス道路の整備の見通しについてでありますが、まず大船渡港の整備につきましては、現在、永浜・山口地区において、国の直轄事業として水深13メートル岸壁を、また県におきましても、水深7.5メートル岸壁などの整備を進めているところであります。このうち、水深13メートル岸壁につきましては、平成18年度の完成を目指しておりまして、これに関連する埠頭用地や工業用地、臨港道路などにつきましても、国の直轄事業と整合を図りながら、鋭意整備を進めているところでございます。
 次に、大船渡港への主要なアクセス道路となります国道397号の整備の見通しについてでありますが、この397号の住田町小股の国道107号分岐点から、水沢市の国道4号までの延長約41キロメートルのうち、既に完成、供用している種山峠区間及び住田町大股小学校付近を除いた、江刺市田原地区から東側の延長約25キロメートルにつきましては、現在、全線にわたってその整備に取り組んでいるところであります。この延長25キロメートルのうち、住田町小股から栗木間の約10キロメートルにつきましては、現在進めている小股-大股間の工事の進捗を図りますとともに、津付ダムに関連する区間は、ダム計画と調整を図りながら道路計画の策定を進めているところであります。また、残りの延長15キロメートルにつきましても江刺市伊手地区に着手しておりますほか、赤金地区、分限城地区などの整備に努めており、今後とも港湾事業と連携をしながら、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、主要地方道大船渡綾里三陸線小石浜峠の道路整備についてでありますが、白浜-小石浜間の道路状況は、御指摘をいただきましたとおり、早期整備が必要な区間であるというふうに認識をいたしております。
 このため、平成9年度から地形図の作成や計画の概略検討を進めてきておりまして、今年度はトンネルを含めた全体計画の検討に必要な地質調査や予備設計を行っているところであります。今後はこれらの調査を踏まえまして、改良が必要な区間のうち、当面1期工事として、トンネル部分を除く小石浜側の区間について、早期に事業着手ができるよう、現地測量や設計などを進めてまいりたいというふうに考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) まず、次代を担う人づくりの基本的方向についてでありますが、本県では、教育を取り巻く環境の変化に対応するとともに、心の教育等に重点を置く国の教育改革の動向を踏まえ、平成11年に第8次岩手県教育振興基本計画を策定し、21世紀初頭の本県教育の進むべき方向を明らかにしたところであります。この中で、次代を担う子供の育成については、ゆとりある教育活動の中で、基礎、基本の習得を徹底し、子供たち一人一人の多様な個性を伸ばしながら、みずから考えみずから行動する生きる力をはぐくむとともに、生命を尊重する心や他者への思いやり、社会性、倫理観、正義感等の豊かな人間性をはぐくむ心の教育の充実に努めることとしております。
 このことから、新たに導入された総合的な学習の時間などにおいて、豊かな自然、先人が築いてきたすぐれた歴史や文化など本県の特性を生かした体験的な学習や課題解決的な学習を積極的に取り入れ、感動する心や協調性、公共性、郷土を愛する心をはぐくむとともに、海外研修など他国の文化にも触れ、広い視野を持って国際社会を生きる共生の心の育成にも努め、みずから学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる心豊かでたくましい人づくりに取り組んでいるところであります。また、豊かな人間性は、学校のみならず地域社会全体の温かい人間関係で培われるものであることから、学校、家庭、地域社会がそれぞれの役割を果たしつつ、密接な連携を図り、地域一体となって豊かな心をはぐくむ取り組みの推進に努めているところであります。
 なお、先般、教育改革国民会議からの提言を受け、文部科学省では、今後の教育改革の全体像を示す21世紀教育新生プランを作成したところでありますが、県教育委員会といたしましては、こうした国の動向を十分注視し、次代を担う人間性豊かで強い実行力を持った人づくりに努めてまいりたいと考えております。
 次に、教員の資質向上についてでありますが、教員には、教育に対する情熱と使命感や豊かな人間性と思いやりなどを基盤とした実践的な指導力が求められております。このため、教員の採用に当たっては、議員御指摘のとおり、人物評価重視の観点から、これまでも二次試験における模擬授業、集団討論等の実施や学科試験を課さない特別選考試験の実施など工夫・改善に努めてきたところであります。
 今後におきましても、さまざまな資格を有する社会人特別選考の導入を図るなど、多面的な人物評価に基づく選考に努めてまいりたいと考えております。
 また、採用後の教員の資質向上についてでありますが、より一層の指導力向上のため、初任者研修を初めとして、教職経験や職能に応じた研修を実施しているところであります。
 研修の内容につきましては、教員として必要な知識・技能の修得や意欲の高揚に関するものを基本としながらも、採用5年・10年経過後などの節目に行う教職経験者研修において、社会人講師による講話を取り入れるほか、単に座学的なものではなく、福祉施設や一般企業における社会体験的な研修も実施しております。
 今後におきましても、研修体系や研修内容の工夫・改善を図りながら、意欲・向上心・責任感にあふれる教員の育成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、学校の情報通信ネットワークの整備状況等についてでありますが、県内公立学校の平成11年度までの国の計画におけるコンピューターの整備率は、平成12年3月末で小・中学校64.6%、高等学校83.9%であり、インターネットへの接続については、小・中学校39.2%、高等学校98.8%となっております。
 また、現在、新たに国の教育の情報化プロジェクトに呼応して、県立学校の各普通教室や特別教室へコンピューターを配備するとともに、校内LANの整備やいわて情報ハイウェイを活用して県立学校を結ぶいわて教育情報ネットワークの構築を進めているところであり、平成13年度までに県立学校67校を、平成14年度までには残りの学校の整備を完了する予定であります。
 なお、小・中学校の情報機器の整備についても、国の補助事業を導入することなどにより、整備を促進してまいりたいと考えております。
 次に、教員の情報リテラシーにつきましては、情報基盤の整備と同様に重要な課題であり、すべての教員が平成13年度までにコンピューターの操作を、平成17年度までにコンピューターを用いて指導できるよう、総合教育センターや県内3カ所の県立学校におけるコンピューターの基本操作に関する研修や教科指導でのコンピューター活用に関する研修等を計画的に実施し、教員の情報リテラシー向上に努めてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長出原健三君登壇〕
〇警察本部長(出原健三君) 県警機動隊の施設整備についてお答えいたします。
 現在の青山町の機動隊庁舎は、昭和44年に建築されて32年が経過しており、議員御指摘のとおり、老朽、狭隘が著しくなっております。また、近年、周辺に住宅が密集してきたため、訓練についても周辺住民に迷惑を及ぼさないよう配慮しながら実施している状態で、十分な訓練ができないところであります。このため、別地への移転新築を検討しているところであります。移転先につきましては確定しておりませんが、機動隊の特殊性を考慮し、それにふさわしい場所を選定すべく、現在、関係部局と折衝中であり、早期に決定したいと考えております。
 また、訓練施設につきましても、機動隊の機能アップを図るため、従来の施設に加え、水難救助訓練を行うための潜水訓練槽の整備などについても検討しているところであります。
 なお、機動隊庁舎や隊員待機寮など建物の建築につきましては、県警といたしましては、関係当局の御理解をいただきながら、15年度着工、16年度完成を目標に国の方にも働きかけをし、国費からの必要予算の獲得に努めてまいりたいと考えております。
〇46番(藤原良信君) 再質問いたします。
 最初に、林業水産部長、ちょっと申し添えさせていただきたいと存じますけれども、御存じのように、岩手県は日本の食料供給基地を標榜しておりまして、その施策を展開してこられました。食料といたしましては、農畜産物と水産物というのは双璧であります。これは当然のことであります。その中で、先ほど質問の中でもお話しさせていただきましたけれども、水産につきましては、岩手県は我が国の中では一級の県でございまして、重立った品目では1位から3位までの上位に入ってくるという県でございます。その中でも、ワカメにつきましては第1位でございます。断トツなんです。岩手県と宮城県とでの生産量が日本全国のワカメの生産量の75%を有している。しかも、岩手県は宮城県の倍、生産しているということでございます。それが近年、一気に輸入品が多くなりました。よって、価格が暴落してきたんです。おととしあたりでキロ当たり700円から900円なんです。中国、韓国産のワカメはキロ当たり100円でございます。7分の1から9分の1で入ってくる。それが岩手県にも流通して製品として入ってきているという状況下にございます。
 そしてまた、ワカメ漁業者というのは、おわかりだと思いますけれども、漁場環境は外海に面しているところが多いんです。したがって、ほかの魚種に転換するということは極めて難しい環境の漁業者たちでございます。
 こういう急激な変化になりますと、当然生産していく状況下ではなくなっていく可能性が出てきている。我が県は一級の水産県、しかも第一の生産量を誇っておりましたワカメ産業がまさしく危機的な状況にあるということは御認識いただいているものと思います。改めて私は質問いたしませんが、申し添えさせていただき、そして予算特別委員会で十二分にその対策については具体的なお話し合いをしたいものだと思っております。お含みいただきたいと思っております。
 港湾について再質問いたします。
 港湾の中でも利活用についてお伺いいたします。申し上げるまでもなく、港湾は古くから交通の要衝として地域経済の発展に大きく寄与してきたのでございます。昔は、まさしく港から情報や文化が入ってまいりました。異国情緒あふれる、そういう港が昔はあったわけでございます。異人さんが入ってきて、「赤い靴履いてた女の子」という歌の文句じゃございませんけれども、横浜や神戸に代表される、いわゆる異国情緒あふれる港風情があったわけでございます。それは客船が主体だったからだと思います。今は貨物主体の、そういう環境の世の中となりました。殺風景な港が多くなったんですが、全国の中で、町と一体となった港ができる環境条件のところはそう多くないんです。私がただいま題材として挙げました大船渡は、埠頭、港湾あるいは港湾関連用地と隣接して町が存在しております。いわゆる長崎港とか神戸港とか横浜港のような、そんな地理的環境が大船渡港にございます。
 本県には、久慈港、宮古港、釜石港、そして大船渡港と四つの重要港湾があるわけでございますが、岩手県ではこれまで数次の港湾計画に基づきまして整備が進められてきたところでございますが、現在、これらの港湾について、より高度な港湾機能を持たせるための整備計画が進行中でございます。特に、大船渡港につきましては、永浜地区の埋め立てによる工業用地を含みますマイナス13メートル岸壁2バースなどが内陸部などのアクセス道路の整備と密接なかかわりのもとに進められており、その早期完成に大きな期待が寄せられているところでございます。
 しかしながら、これら整備計画の第1次の完成予定時期とされております平成18年に大船渡港の姿がどのようになっているのか、どのような企業が、どのような貨物が、そしてどのような定期航路が平成18年に実現もしくは実現直前までいっているのか、その姿がなかなか見えてこないのでございます。もうあと5年しかないのであります。
 県は、昭和62年に港湾課にポートセールスの担当職員を配置し、港湾の利用促進に取り組んできているわけでありますが、整備の後の大船渡港がどのように利活用されようとしているのか、用途の明確化を図ってポートセールスに積極的に取り組むことが必要であると私は思うものであります。大船渡港の場合は、港湾から内陸部の工業団地へのアクセス道路が放射線状に延び、内陸部の企業からの物流ルートとしての条件にすぐれているほか、湾内の静穏水域や本県最南端に位置する港湾として、首都圏、中京あるいは関西方面への海上輸送距離の面でも有利な条件を持ち合わせておるのであります。これらの優位性を積極的にアピールしながら、将来の大船渡港におきます核となる取扱貨物の関連企業に対しまして強力に働きかけていくことが今早急にやるべきことではなかろうかと考えておるものでありますけれども、いかがでございましょうか。
 例えば、内陸部の金ケ崎町に立地いたしております関東自動車工業について見ますなら、昨年秋から新型マークz{の生産が始まりました。実に1分24秒で1台、ゼロから新車が出て完成してまいります。年間15万台が生産されてございます。その完成車の大半は、工場を出て高速道に乗り──これは有料道路です──、仙台港から専用船で名古屋港へ輸送されているのであります。また、同社で使用される自動車関連部品につきましても、エンジンなど主要部品につきましては名古屋港から仙台港まで海上輸送され、金ケ崎まで高速道路、すなわち有料道路を使って運び込まれているのであります。
 私は、やはり岩手県で組み立てられた完成品は岩手県の港湾から積み出してもらいたいものだと思いますし、その自動車部品につきましても地元の港湾を活用してもらいたいと思うものであります。県民感情といたしましても、このように考えますことは極めて自然なことだと思ってございます。
 さらには、我が国から北米向けに輸出される自動車の大半が名古屋港を中心に積み出しされ、そして三陸沖付近から航路を北米に向けるそうであります。一たん仙台港から名古屋港に持っていき、そこで積みかえをして、地球が丸いものですから、また方向とすれば三陸沖に来まして、そこから北米に向かっていくそうであります。
 私は、全国各地からのさまざまな輸出用自動車が、そういう状況ではなく、岩手県で生産されたものは県内の港、ここで言いますなら大船渡港へ内航線で運ばれ、ここで大型の自動車輸送船に積みかえられて北米に向けて出港するという形がとれないものかと思うものであります。そうなってこそ大船渡港が多目的国際ターミナルとしての拠点港湾として位置づけられた意義も生きてくるのではないでしょうか。平成18年の港湾整備が進んだ時点での仙台港との諸条件を比較しても決して遜色のない港湾機能を備えることになるわけであります。
 ちなみに、関東自動車を例にとりましたけれども、自動車を生産しております金ケ崎工場から仙台港まで118キロでございます。例に出して大変恐縮なんですけれども、釜石港までは114キロ、大船渡港までは実に77.5キロでございます。そういう状況下でございます。
 今こそ港湾の利活用を明確にいたしまして、こちら側から、例えば、ただいま例に挙げました関東自動車、これは輸送はトヨタ自動車のようでございますので、トヨタ自動車などの自動車メーカーに提案していくような戦略が必要だと思いますが、いかがでございましょうか。岩手から諸外国に日本の自動車が輸出されるような状況になりますと、本当に岩手のイメージアップにも大きくつながるし、それから、御案内のように、輸出、輸入になりますと、取り扱いによってトン税が出てまいります。トン税は国税でありますけれども、譲与税で地元の自治体、すなわち大船渡港を使いますならば大船渡市に財源が入ってくるということになりまして、二重にも三重にも大きなよさが出てくるだろうと思います。
 そういうこと等を踏まえながら、新年度の取り組みについて、その意気込みをお聞かせ願いたいと思います。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) 港湾の利活用に関する新年度の取り組みについてのお尋ねでございましたが、これまでも県及び地元自治体が連携をいたしまして、各港の特徴を生かしたポートセールスに取り組んできたところでございます。また、現在、釜石港からCGC船で月に1、700台ないし2、000台程度の完成車が取り扱われていることは御案内のとおりでございます。
 今、多目的国際ターミナルとして整備を進めております永浜・山口地区の埠頭用地の主な用途は現在のところ茶屋前地区の機能の移転などといたしておりますが、県といたしましては、議員御指摘のとおり、県内陸部に放射状に延びるアクセス道路や水深13メートルの大型岸壁を有する大船渡港の特性を県内陸部の有力企業などに対してPRするとともに、今後の港湾施設の整備状況を視野に置いた新たな港湾貨物の掘り起こしに努めるなど、さらに有効活用できるよう、地元と連携しながら、官民一体となってより積極的なポートセールスを展開してまいりたいと、そのように考えております。
〇議長(山内隆文君) 次に、水上信宏君。
   〔28番水上信宏君登壇〕(拍手)

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