平成13年9月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

平成13年10月2日(火曜日)

開会   午前10時6分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長     照 井   崇
議事課長     熊 谷 素 紀
議事課長補佐   浅 田 和 夫
主任議事管理主査 八重樫 典 彦
議事管理主査   浅 沼   聡
議事管理主査   熊 谷 正 則
議事管理主査   田 丸 裕佳子

1説明員
企業局長     石 川   戡
企業局次長    齊 藤 静 夫
企業局技師長   武 蔵 繁 明
総務課長     渡 邊 主 喜
風力発電開発室長 池 内   達
財務管理課長   昆 野 三千信
業務課長     壽   忠 彌
監査委員     一 戸 克 夫
監査委員     及 川 桂 子
監査委員事務局長 藤 沢 政 則
総務課長     水 本 紘 一
監査課長     三 上 佑 子
財政課長     菊 池 秀 一
   

〇高橋賢輔委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成12年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第3号平成12年度岩手県工業用水道事業会計決算までの3件を一括議題といたします。
 認定第2号平成12年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成12年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件について、企業局長から説明を求めます。

〇石川企業局長 企業局が所管しております認定第2号平成12年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成12年度岩手県工業用水道事業会計決算について御説明申し上げます。
 決算書の説明に入ります前に、電気事業と工業用水道事業の平成12年における経営の概況について御説明を申し上げます。
 まず、最初に電気事業についてでありますが、昭和32年に胆沢第二発電所の運転を開始して以来、県内の適地に発電施設の整備を進めてきておりまして、昨年6月に運転を開始した早池峰発電所を含め、現在、12カ所の発電所を運転しているところであり、その最大出力はあわせて14万450キロワットと、公営電気事業としては全国でも4番目の規模となっているところでございます。この水力発電につきましては、環境に負荷をかけない、クリーンで循環可能な自然エネルギーとして重要な役割を担っており、また、国におきましても、その開発を促進する方向にありますことから、企業局といたしましては、引き続き、本県が有する水力資源を活用する開発を計画的に進めることとしております。また、風力発電事業にも取り組んでいるところでございます。
 平成12年度におきましては、早池峰発電所の建設工事を取り進め、昨年6月から運転を開始する一方、柏台発電所につきましては、各工区の導水路工事や発電所基礎工事等を継続実施し、14年度の運転開始を目指して事業を進めているところであります。さらに、新規開発に向けまして、水力発電の電源開発地点の調査として地質調査や基本設計を実施するとともに、風力発電地点の調査として環境影響調査や風況観測などを実施しております。
 次に、発電状況でありますが、平成12年度における県営12発電所の総供給電力量は5億6、700万キロワットアワー余となり、目標に対する達成率は101.1%となっております。
 事業収支では、供給電力量が前年度を上回ったものの、電力料金収入は、2年ごとに実施をしております東北電力との間の電力受給契約の改定に伴いまして、売電単価が下がったため減少するとともに、水利使用料の増額などにより事業費用が増加したことから、当期純利益は前年度を下回る7億8、100万円余となっております。
 次に、工業用水道事業の経営の概況についてでありますが、昭和53年度に北上中部工業用水道の給水を開始して以来、その後、第二及び第三の北上中部工業用水道並びに2カ所のろ過施設を整備し、平成12年度は誘致企業19社に給水をしたところでございます。また、平成12年度における年間総給水量は、一般水では増量契約などがあったことなどから1、546万立方メートル余と、前年度を0.5%上回ったところであります。
 事業収支では、給水料金等の増加により営業収益は増加したものの、事業外収益の減少や委託費、企業債に係る支払い利息の増加などによりまして費用も増加しておりますので、当期純利益は前年度を下回る1億2、400万円余となったところであります。
 なお、この工業用水道事業につきましては、国の経営健全化対策等に基づく一般会計からの支援を得て、高利率の企業債の繰り上げ償還を行ったことなどによりまして平成9年度から収益収支で黒字となっており、平成12年度におきましても引き続き黒字となって、4年連続の黒字となったところでございます。しかしながら、累積欠損額が平成12年度末におきましても8億6、700万円余あることなどから、今後におきましても、一層、関係部局との連携を密にしながら水需要の拡大を図るとともに、経費の節減などに努め、安定した経営の確立に努力してまいる考えであります。
 以上、電気事業及び工業用水道事業の経営概況について御説明いたしましたが、企業局といたしましては、今後とも、引き続き地方公営企業の運営の原則であります公共性あるいは経済性を確保しながら、事業の効率的、合理的な運営に取り組んでまいりたいと考えておりますので、県議会並びに関係の皆様の一層の御指導をお願い申し上げます。
 それでは、お手元の決算書に基づきまして、その概要を御説明申し上げます。
 決算書のうち決算報告書は、予算に対する決算という性格上、消費税及び地方消費税を含めた金額で作成しておりますが、損益計算書及びその他の財務諸表は、消費税及び地方消費税抜きの金額で作成することとなっておりまして、金額に相違がございますのであらかじめ御承知をいただきたいと思います。
 まず、認定第2号平成12年度岩手県電気事業会計決算でありますが、電気事業会計決算書の1ページをお開き願います。
 1ページの収益的収入及び支出でありますが、収入の決算総額は52億9、900万円余、支出の決算総額は44億1、500万円余であります。
 その収入の内訳でありますが、第1項営業収益49億3、500万円余は電力料がその主なものであり、第2項財務収益1億7、300万円余は、株式配当金、貸付金利息及び預金利息であります。また、第3項事業外収益1億1、300万円余は、主に松川及び早池峰発電所の建設に係る利子補給金でありまして、第4項特別利益7、600万円余は、岩手県林業公社に対する長期貸付金が一括繰上償還されたことに伴う利息収入でございます。
 次に、支出の内訳でありますが、第1項営業費用37億5、400万円余は、発電所12カ所の運転及び管理運営に要した費用で、第2項財務費用4億9、600万円余は企業債の支払利息で、第3項事業外費用1億6、300万円余は、消費税及び地方消費税納付額等であります。
 次に、2ページをお開き願います。2ページの資本的収入及び支出でありますが、収入の決算総額は10億2、500万円余で、支出の決算総額は27億5、500万円余であります。
 その収入の内訳でありますが、第1項企業債3億2、800万円は、早池峰及び柏台発電所の建設事業に係る起債であり、第2項補助金5億4、400万円余は、柏台発電所及び稲庭高原風力発電所の建設事業等に係る国庫補助金で、第3項負担金300万円余は、仙人発電所の共有施設に係る改良工事負担金であります。また、第4項長期貸付金償還金1億4、800万円余は、工業用水道事業会計及び岩手県林業公社に対する長期貸付金の償還金であります。
 次に、支出の内訳でありますが、第1項建設費16億6、500万円余は、早池峰、柏台発電所及び稲庭高原風力発電所の建設費であり、第2項改良費4億9、500万円余は、各発電所の施設の改良や更新に要した経費であります。また、第3項電源開発費6、100万円余は、新規の水力発電開発のための調査等に要した経費であり、第4項企業債償還金4億6、600万円余は、発電所の建設のために借り入れした企業債の償還金で、第5項長期貸付金6、600万円余は、工業用水道事業会計に対し、企業債の償還元金の原資として貸し付けをしたものであります。
 なお、資本的収入額が資本的支出額に不足する額17億3、000万円余は、2ページの下段欄外に記載してありますとおり、当年度消費税及び地方消費税資本的収支調整額、減債積立金などをもって補てんをしております。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は9億9、900万円余となっており、この営業利益から財務収支及び事業外収支の合計の損失2億9、300万円余を差し引くとともに、特別利益7、600万円余を加えた7億8、100万円余が当年度の純利益となっております。
 次に、4ページをお開き願います。4ページの剰余金計算書の利益剰余金の部についてでありますが、減債積立金から5ページの中小水力発電開発改良積立金までの年度末の積立金合計額は56億7、900万円余となっており、また、当年度の未処分利益剰余金は7億8、200万円余となっております。
 次に、6ページをお開き願います。6ページの資本剰余金の部でありますが、国庫補助金以下3科目の合計額は12億1、000万円余となっております。
 次に、7ページの剰余金処分計算書(案)でありますが、当年度の未処分利益剰余金7億8、200万円余のうち、翌年度の企業債償還金に充てるための減債積立金として4億5、700万円、中小水力発電開発改良積立金として3億2、500万円をそれぞれ積み立て、残額の6万円余を翌年度に繰り越ししようとするものであります。
 次に、8ページをお開き願います。8ページから11ページまでの貸借対照表でありますが、資産合計と負債・資本合計はそれぞれ375億6、000万円余となっております。
 以上で、電気事業会計の説明を終わらせていただきます。
 次に、認定第3号平成12年度岩手県工業用水道事業会計決算について御説明をいたします。
 工業用水道事業会計決算書の1ページをお開き願います。1ページの収益的収入及び支出についてでありますが、収入の決算総額は12億500万円余、支出の決算総額は10億6、100万円余であります。
 その収入の内訳でありますが、第1項営業収益12億400万円余は、一般水及びろ過水の給水料金が主なものであり、第2項の財務収益80万円余は預金利息であります。
 次に、支出の内訳でありますが、第1項営業費用7億6、700万円余は、各工業用水の給水業務及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用2億7、300万円余は、企業債と電気事業会計からの借入金に係る支払利息で、第3項事業外費用1、900万円余は、消費税及び地方消費税納付額等であります。
 次に、2ページをお開き願います。2ページの資本的収入及び支出でありますが、収入の決算総額は5億2、700万円余、支出の決算総額は10億3、700万円余であります。
 その収入の内訳でありますが、第1項企業債3億4、400万円は、第三北上中部工業用水道建設事業及び北上中部工業用水道施設の改良工事に係る起債であり、第2項出資金6、400万円余は、経営健全化支援等に係る一般会計からの出資金であります。また、第3項補助金5、200万円余は、第三北上中部工業用水道建設事業に対する国庫補助金であり、第4項他会計からの長期借入金6、600万円余は、電気事業会計から企業債償還元金の原資として借り入れたものであります。
 次に、支出の内訳でありますが、第1項建設費2億4、400万円余は、早池峰ダムの工事に係る負担金などの第三北上中部工業用水道の建設事業等に要した経費であり、第2項改良費2億3、400万円余は、工業用水道施設の設備の改良や更新に要した経費であります。また、第3項企業債償還金3億600万円余は、工業用水道施設の建設のために借り入れした企業債の償還金で、第4項他会計からの長期借入金償還金2億5、200万円余は、一般会計及び電気事業会計からの借入金の償還金であります。
 なお、資本的収入額が資本的支出額に不足する額5億1、600万円余につきましては、2ページの下段欄外に記載してありますとおり、当年度消費税及び地方消費税資本的収支調整額、繰越工事資金並びに損益勘定留保資金で補てんをしております。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は3億9、700万円余となっており、この営業利益から財務収支及び事業外収支の合計の損失2億7、200万円余を差し引いた1億2、400万円余が、当年度純利益となっております。
 次に、4ページをお開き願います。4ページの剰余金計算書でありますが、当年度の未処理欠損金は、前年度の未処理欠損金9億9、100万円余から当年度純利益1億2、400万円余を差し引いた8億6、700万円余となっております。また、資本剰余金41億800万円余は、国庫補助金が主たるものであります。
 次に、5ページの欠損金処理計算書でありますが、当年度の未処理欠損金8億6、700万円余は、翌年度へ繰り越しをするものであります。
 次に、6ページをお開き願います。6ページから8ページまで貸借対照表でありますが、資産合計と負債・資本合計はそれぞれ147億8、200万円余となっております。
 以上で、企業局関係2会計の平成12年度決算の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

〇高橋賢輔委員長 これより質疑に入るわけでありますが、世話人会の申し合わせにより、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、また、質疑に当たっては、項目が複数ある場合は、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑を行うよう、議事進行に御協力をお願いします。
 また、関連質疑につきましては、質疑冒頭に質疑を表明している委員よりも優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性のあるもののみ、短時間、簡潔に発言されるよう、御協力をお願いいたします。
 なお、過去の特別委員会において、関連質疑ということで発言し、要望のみで終わる例があったので、そういうことがないよう、御協力をお願いします。
 ただいまの石川企業局長の説明に対し、質疑はありませんか。

〇吉田昭彦委員 自由党の吉田昭彦でございます。何点かお伺いしますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず初めに、電気事業会計についてお尋ねいたします。
 平成12年度の経営収支は企業局長より御説明いただきましたが、収支は7億8、199万円余の純利益を計上いたしましたが、これは前年より1億4、541万円余、15.7%減少しており、主な経営指標である総収益対総費用比率及び営業収益対営業費用比率で見ましても、平成9年度はそれぞれ133.9%、145.7%であったわけでありますが、それをピークに年々低下してきております。
 そこでお伺いしますが、企業局として平成12年度決算をどう評価しておられますか。あわせて、人件費の構成比率はどうなっておりますか、お伺いいたします。
 また、今後の経営を見通した場合、平成14年度、平成15年度の東北電力との電気料金の改定、いわゆる売電単価の改定に当たり、新たに制定された卸供給料金算定規則が適用されることになると思いますが、これまでと比較してどのような影響が出てくるのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、企業局の経営も、今後は自由化の影響を受けて経営の一層の効率化が求められていくものと考えられますが、現在、12ある発電所を管理運営していくに当たり、より一層のコスト削減や経営改善が求められることとなります。
 そこでお伺いしますが、これまで行ってきた発電所の集中監視制御システムをどのように評価されておられるか、効果の度合いはどうだったのかお伺いいたします。
 また、今後、発電所の経営、維持管理に当たり、コスト削減や経営改善に向けてどのように取り組んでいかれるのか、具体策をお示しいただきたいと思います。
 次に、風力発電と新エネルギーへの取り組みについてお伺いいたします。
 電力の自給率向上のためにも、人と環境にやさしいクリーンなエネルギーとして、風力発電や新エネルギーへの取り組みが、ここ数年、脚光を浴びてきております。
 まず、風力発電につきましては、民間企業の参入が顕著なようでございますが、企業局といたしましても、第1号となります稲庭高原風力発電所が今年9月11日から稼働しております。
 そこでお伺いいたしますが、企業局のこれまでの風力発電の開発調査はどのようになっておられるのか。また、その結果を踏まえまして、今後の新規の開発、事業化の見通しはどうなのかお尋ねいたします。
 また、バイオマス発電やごみ固形燃料を利用するRDF発電などの新エネルギーにつきましては、さまざまな取り組みが各地で行われておりますが、採算ベースまで持っていくのは大変なようでありますけれども、企業局としては、これまでどのような取り組みをされてきたのかお伺いいたします。
 まずもって、以上のことについて御答弁をいただきたいと思います。

〇石川企業局長 電気事業会計決算の評価について、それから卸供給料金算定規則の適用について、それと新エネルギーについてのこれまでの取り組みについては私の方から、その他のお尋ねにつきましては関係課長からお答えを申し上げます。
 まず、平成12年度の電気事業会計決算の評価についてでございますが、平成12年度決算は、収益では早池峰発電所を初めとしまして各発電所の適切な管理に努めました結果、供給電力量では前年度を上回っておりますが、東北電力との間の電力受給契約の改定に伴いまして売電単価が下がったことなどから、電力料金は減少したところでございます。
 一方、費用につきましては、水利使用料の増加、それから早池峰発電所の運転開始に伴う減価償却費の増加などから、この増加をしているところでございます。この結果、純利益は前年度を1億4、500万円余下回っておりますが、7億8、100万円余の利益を計上することができたところでございます。
 新規開発につきましては、平成14年度の運転開始に向けて建設を進めております柏台発電所の工事は、順調に進展しております。また、浄法寺町において建設を進めておりました稲庭高原の風力発電所につきましては、この9月から運転を開始したところであります。さらに、新規の電源開発調査地点の調査等も実施しているところでございまして、電気事業における経営内容、それから各事業の進捗状況などを総合的に評価しますと、順調に運営されていると考えております。
 なお、委員から御指摘のありました総収益対総費用比率、それから営業収益対営業費用比率が減少しているところでありますが、収益におきましては先ほど申し上げましたようなことで、収入の伸びが低かったということ、あるいは収益の点では金利の低下等もございまして、預金金利が減少してきているということがございます。
 一方、費用におきましては、節減には努めているところでございますが、費用が年々微増ではございますが増加傾向にあるということから、これらの指標の比率が減少しているというところでございます。
 次に、卸供給料金算定規則の適用による影響ということでございますが、新しく制定されました卸供給料金の算定規則におきましても、必要なコストに適正な事業報酬を加えるいわゆる総括原価主義に基づいて電気料金を算定するということは従前と同様でございまして、その点では変わりはないわけであります。しかし、この規則では、企業活動の利益に相当する事業報酬の算定方法が大幅に見直され、さらに財務収益であります受取利息の相当額については、これを原価から控除するということになっております。
 平成14年それから平成15年度の2年分の電気料金の改定におきましては、事業運営上必要な人件費、委託費、修繕費等は原価に織り込むことになりますが、事業報酬の見直しの影響が大きいために、前回の料金水準を維持することは困難な状況にあると認識をしているところでございます。
 次に、新エネルギーの開発についてでございますが、企業局では、県が平成9年度に新エネルギービジョンを策定しておりますけれども、この以前から新エネルギーに着目をいたしまして、調査検討を行ってきたところでございます。その結果、風力発電につきましては先ほども申し上げましたが、先月、事業開始をしたというところでございます。また、太陽光発電につきましても、平成10年度に現在の県南施設管理所に30キロワットの発電設備を設置いたしまして、実証実験を行っているところであります。また、新エネルギーということでは、平成6年度にいち早く電気自動車を購入いたしまして、施設総合管理所で使用したということでございます。その他の新エネルギーにつきましては、スーパーごみ発電、ごみ固形燃料、いわゆるRDF発電ですが、さらに木質バイオマス発電などの事業化の可能性調査等を行ってきたところでありますが、現在の時点におきましては、風力発電を除きまして主として採算性がネックになっておりまして、事業化には至っていないところでございます。
 なお、新エネルギーの導入につきましては、今後とも技術的な進歩や新エネルギーに対する国の諸施策等も考慮に入れながら、引き続き関心を持って積極的に調査研究をしてまいりたいと考えております。

〇昆野財務管理課長 費用構成比率についてでございますが、人件費の構成比率は各年度ごとに上下しております。これは、各年度の職員数、退職者数等の変動によるもので、平成12年度は30.4%であります。前年度に比較しましては、職員、退職者が少なくなったことから、2.7ポイント減少しているところでございます。

〇壽業務課長 集中監視制御システムについてのお伺いでございますが、昭和63年、発電所の無人化を進めるために、盛岡市の施設総合管理所に集中監視制御システムを設置いたしました。そうしまして、県北部の6発電所の集中監視制御を行ってきたところでございます。その後、設備の拡充並びに老朽化に伴う更新を図りながら、現在では、全県下の12発電所の運転を一括して集中管理しているところでございます。
 なお、来年度運転開始予定の柏台発電所についても、本システムにより監視制御をすることとしております。
 それから、評価及び効果についてでございますが、集中監視制御システムにより、運転管理業務が集約されましたために省力化が図られたこと、それから、夜間宿直業務の廃止や通勤の利便性により、職員の勤務条件が改善されたと考えております。さらに、仙人発電所においては運転管理業務を委託しておりましたが、集中化に伴い委託費を削減することができました。
 また、運用面においては、集中監視制御システムに集約された各発電所の情報を、ネットワークを通しまして伝送することができるようになりまして、本庁並びに県南施設管理所においても、発電情報の共有化が可能になったということでございます。
 次に、コスト縮減の取り組みについてでございますが、平成12年度から効率的な事業経営を展開するため、企業局独自に策定いたしました工事等コスト縮減対策マニュアルを活用するとともに、委託になじむ業務につきましては委託を促進するとともに、一層のコスト縮減に努めております。
 なお、コスト縮減効果を年度ごとに検証いたしまして、コストに対する意識の高揚に努めていくとともに、継続してコスト縮減には取り組んでいきたいと考えております。
 経営改善の取り組みについてでございますが、先ほどのシステムによる経営改善のほか、修繕・改良工事につきましては10カ年計画の長期計画を立てまして、計画的かつ効率的に進めるとともに、新技術の導入、設計方法の改善などを的確に実施し、経営改善に取り組んでいくこととしております。

〇池内風力発電開発室長 風力発電の開発調査と今後の新規開発の見通しについてでございます。
 企業局では、平成6年から本年度まで、風力開発の基礎調査として現在調査中の箇所を含め、県内で12カ所の風況調査を実施してきております。これらのうち、8カ所については事業化の採算ラインと言われております年間平均風速の毎秒6メートルを下回っておりまして、採算の面で事業化は非常に困難であると考えております。
 浄法寺町の稲庭高原、大東町の室根高原、一戸町の高森高原、宮守村の寺沢高原の4カ所については6メートル以上の風況が得られ、最も風況のよかった浄法寺町の稲庭高原につきましては建設工事を完了し、先月11日から営業運転を開始しております。
 大東町の室根高原については、本年4月に南三陸ワシタカ研究会から、計画段階で慎重な調査と検討を行うように要望がありました。この要望や専門家及び自然保護課の意見を踏まえまして、昨年10月から本年3月まで実施した猛禽類調査を6カ月間延長して実施し、今後、専門家の意見を聞き慎重に検討することとしております。また、配電線への連系や売電単価などの課題がありまして、関係機関と協議することとしております。
 一戸町の高森高原につきましては、9カ月間の風況観測でよい風況が得られており、引き続き11月まで観測を実施することとしており、1年分のデータが得られた段階で事業化の可能性の検討を行うこととしております。
 宮守村の寺沢高原につきましては、昨年10月から猛禽類調査を実施中であり、近隣にイヌワシの営巣あるいは繁殖が確認されておりまして、高い頻度でイヌワシの飛来が確認されておりますので、今後、専門家の意見を聞くこととしております。

〇吉田昭彦委員 関連しましてちょっとお伺いしますが、総括原価主義の枠組みは変えられないということでありますが、しかし、その事業報酬の考え方からして減収が心配されるというお話に受けとめましたが、どのくらいの減収になるのかお伺いしたいと思います。
 それから発電所の集中監視制御システム、これをやることによって省力化がされたというお答えがありましたが、どのくらいの省力化がなされたのかお伺いしたいと、そのように思います。
 それからクリーンエネルギー、風力発電を初めとするクリーンエネルギーにつきましては、風力発電については先ほどのお答えで、室根を初めとして4カ所については風速からして可能性が大であると受けとめましたが、それらのクリーンエネルギーへの取り組みについて積極的に取り組んでおられることに、まずもって敬意を表したいと思いますが、関連しましてお伺いしたいと思います。
 公営企業が担っている公益性と独立採算性という基本原則は、当然、踏まえなければならないわけですが、御案内のように、地球温暖化防止それから環境保全という時代の要請のもとで、クリーンエネルギーへの先導的な取り組みは大いに期待をするところでございますので、政策担当部局との調整はもちろんあるかと思いますけれども、それらとの役割分担は当然考えていただきながら、独立採算性の原則を乗り越えて、政策提案も含めて積極的に取り組む必要があるかと思いますが、このことにつきまして局長のお考えを改めてお伺いしたいと思います。

〇石川企業局長 クリーンエネルギーの関係について私の方からお答えをいたします。それから、その他につきましては関係課長、管轄室長から御答弁をいたします。
 まず、クリーンエネルギーの推進についてでありますが、風力発電については、現在、事業化に成功しているわけでございますが、その他これまでもいろいろ検討した経緯はございますが、事業化が難しいということで、それ以上の具体化は進展していないところであります。しかしながら、クリーンエネルギーの導入というのは、地球環境の保全あるいは日本におけるエネルギー問題も含めまして非常に重要な課題でありますので、単に採算上の問題だけではなくて、エネルギーの精度あるいは政策的な支援、そういったようなものにつきましても検討していく必要があるのではないかと考えております。もちろん、企業局は実施を主体とする部局でありますので、政策的な検討を担っている部局ではございませんが、やはり関連性もございますので、そのような検討、研究、調査等も行いながら、関係部局と連携を図って進めていきたいと考えているところでございます。

〇壽業務課長 今回の料金改定規則の関係でございますが、事業報酬でどのくらい減るかというお話でございますが、ただいま計算中でございまして、はっきりした数値は申し上げることができないんですが、大体億単位で減収するのではないかと考えております。
 それから、システム化による人員の削減はどうかというお話でございますが、局全体で考えますと3名ほど減になっております。

〇吉田昭彦委員 クリーンエネルギーについては局長から積極的な御意見を承りましたので、どうぞこれからも環境保全、そういう観点でも政策担当部局との連携を図りながら、積極的に意見を具申していただくとか、そういうことも含めてよろしくお願い申し上げたいと、そのように思います。
 次に、平成12年度の工業用水道事業会計についてお尋ねいたします。
 平成12年度の経営収支は、事業収益で前期比1.0%の減、事業費用は2.2%の増であり、差し引き純利益は前期比で21.2%の減でありますが、1億2、426万円余の利益計上をされたようでございます。給水量増加がその主な要因とは思いますが、この決算状況をどのように評価されているのかお伺いしたいと思います。
 また、1億2、426万円余の利益計上により、累積欠損金がこの金額分減少し8億6、706万円余となりますが、経営改善化に向けての今後の見通しについてお伺いしたいと、そのように思います。
 あわせて、経営健全化に向けた対策の一環として、用水管の増設や埋設管の老朽化にも対応していく必要があるかと思いますが、いかがでございましょうか。
 さらに、平成4年度以来、改定しておらない1立方メートル当たり45円の料金を改定する予定があるのかどうか、お伺いいたします。
 次に、現下の大変厳しい経済情勢を踏まえれば、企業業績の急激な回復は極めて困難な状況にあるかと思います。現在、企業局では、北上市と金ケ崎町にある工業団地に入居している企業のうち19社に工業用水を供給しておりますが、今後の工業用水の需要についてどのような見通しをされているのかお伺いいたしたいと、そのように思います。
 また、工業用水道の計画給水量に対して多量の未売水を抱えておられますが、それに対する対策をお聞かせ願いたいと思います。
 以上について御答弁いただきたいと思います。

〇石川企業局長 平成12年度の工業用水道事業会計決算の評価につきましては私の方から、それから、その他累積欠損金の回収見通し等のお尋ねにつきましては業務課長の方から答弁をさせます。
 まず、平成12年度工業用水道事業会計決算の評価についてでありますが、企業を取り巻く経営環境が非常に厳しい状況の中で、19社のユーザーに対しまして工業用水を安定的に供給できたということから、前年度に引き続き4年連続の黒字を計上しておりまして、事業運営は順調であったと考えております。
 特徴的な事項としましては、収益の面では、若干ではありますが、契約水量の増加によりまして営業収益が増加しております。また、費用の面では、早池峰ダムの完成に伴いまして、企業債の償還利息がふえております。それから、委託費も増加しております。一方、人件費は減少しているということなどが挙げられますが、全体として収益が減少し費用が増加したことなどから、利益は前年度より3、300万円余減少しております。ただ、差し引き損益では1億2、000万円余の黒字を計上することができたところでございます。このことによりまして、工業用水道事業の累積欠損金は若干圧縮されておりますが、まだ多額の累積欠損金と企業債、借入金を有しておりますことから、経営環境は依然として厳しい状況にあると認識をしております。
 今後、既存企業の水需要の拡大や関係機関との連携を密にしての用水型──水を使う企業ですが──用水型企業の誘致活動を展開するとともに、施設の維持管理に十分注意を払いながら、工業用水の安定的な供給に努めて事業の運営を推進してまいりたいと考えております。

〇壽業務課長 累積欠損金の今後の見通しについてでございますが、平成3年度から平成10年度までの国の経営健全化対策によりまして、単年度収益的収支で、現時点では平成13年度も黒字を確保できる見込みでございますが、早池峰ダムの完成に伴う企業債利息、市町村交付金などの増加によりまして、また、平成14年度から欠損金が発生し、累積欠損金が増加する見込みでございます。現在、経営の改善に努め、累積欠損金の解消を図るために水需要の拡大や料金改定などの前提をもとに、長期的な見通しについて幾つかのシミュレーションを行っているところでございます。しかし、景気の低迷、特にことしに入ってからの半導体不況の深刻化により、その経営改善のための前提条件を特定することが難しく、累積欠損金の解消の時期などの見通しが立てにくい状況になっております。
 次に、用水管の増設や埋設管の老朽化対策についてでございますが、本県の工業用水道施設は3施設から給水を行っております。給水開始以来20数年を経過した施設もございまして、これらの施設では老朽化が進んでいるために計画的な更新が必要になってきております。このため、本年度中に老朽化対策を含む10カ年の改良計画を立てまして改良更新に取り組んでいきたいと考えております。特に、延長約6.8キロメートルに及ぶ第二北上中部工業用水道の送水管につきましては、埋設管の腐食を防止するために防蝕電流を埋設管に流し、腐食の進行を抑制するというやり方があるわけでございますが、これを電気防食装置と申しますが、これを早期に導入することを検討しております。
 それから、用水管の増設についてでございますが、ただいまのところ計画はございません。
 それから、料金の改定についてでございますが、長期の経営見通しによれば、平成14年度から再び欠損金が生ずることや、老朽施設の改修による費用の増加等、経営を取り巻く環境も厳しくなってきている現状もあることから、今後、水需要や景気の動向を見きわめながら料金の改定を検討してまいりたいと考えております。

〇吉田昭彦委員 それでは、関連しまして2点ほど伺いますが、平成13年度は黒字が見込まれるが平成14年度になるとまた赤字にというお話でございますが、いろいろ今お話がございましたように、景気の低迷とか半導体不況とかいろいろ外部的要因があって、大変御苦労をなさっておるんだと思いますが、しかしながら、健全な経営ということからいくと、やはり企業局自体の積極的な、水を売ることを積極的に展開をしていただかなければと思いますので、もちろん、企業立地担当部局との連携を図りながら、積極的に相手に売り込むということが必要かと思いますが、これまで以上に御努力をお願い申し上げたいと思うわけでございます。
 最後になりますが、現在、企業局で行っている事業の今後の取り組みについてお伺いいたしたいと思います。
 県では、2年度目になりますが政策評価を実施しておりますが、企業局事業に対してどのような評価がなされたのか、今後の事業の進め方にそのことをどのように反映されようとしているのかお伺いしたいと思います。
 また、電気事業会計においては、90億円以上の内部留保資金がありますが、それらは将来への借入金への返済や維持修繕等のために使途が限定されているものもあると思いますが、それらの一部を地域還元する方策はないのでございましょうか。既に実施しているものがあれば、その内容と今後の予定についてお伺いしたいと思います。

〇渡邊総務課長 政策評価についてでありますけれども、企業局の事業につきましては、中小水力発電所建設事業、それから風力発電所建設事業、工業用水道建設事業及び地域新エネルギー発電化事業の4事業が政策評価の対象となっております。
 評価の結果でありますが、いずれも採算性に配慮しながら取り組むこととされております。したがいまして、事業の進め方に特段の変更が生じるものではありませんが、特に経済の動向に影響を受けやすい工業用水道事業につきましては、今後とも、長期的に経営を見通し、採算性に配慮しながら取り組んでまいりたいと存じております。
 それから、内部留保資金の関係でございますけれども、内部留保資金は、積立金等の利益剰余金それから各種引当金の固定負債、それから損益勘定留保資金というものから構成されておるわけでございますが、内部留保資金のうち、積立金それから引当金はそれぞれの目的のために内部に留保された資金でございまして、ほかの目的に使用することはできないということになっております。
 損益勘定留保資金でございますが、これは主に減価償却費ということでございまして、基本的には設備の資本再投下のための資金でございまして、電気事業の外部に流出して費消することはできないというようなことにされておりまして、ただ、資金運用の形で、電気事業の遂行に支障がない範囲で他会計に貸し付けることは可能ですよという形になってございます。現在は、一般会計に対しまして自治振興基金、それから環境保全基金等の原資として28億円の貸し付けを行っております。この貸し付けを通しまして、市町村の公共施設の整備とかそれから環境保全にかかりますさまざまな事業の支援など、地域振興に寄与していると考えておるところでございます。
 今後におきましても、可能な範囲で貸し付けという形での活用範囲で対応させていただきたいと考えておるところでございます。

〇吉田昭彦委員 企業局の事業の取り組みに関連しまして、東北6県の状況を見ますと、電気、工業用水道以外にも用地造成とか観光施策事業、各種開発調査事業等に取り組んでおられると伺っておりますが、企業局におかれても将来を見据えた場合、特定地域の振興策並びに特定施策として他の事業に取り組む必要が出てくるのではないかなとも考えられますが、新規の事業に取り組むためのお考え等について改めて局長のお考えをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

〇石川企業局長 新規の事業に対する取り組みについての考え方ということでございますが、これまで、新規事業につきましては平成9年度に新規事業検討委員会というのを設けまして、かなりの数の事業について検討した経緯がございます。ただ、その中で採算性等の問題が主として大きな問題でございますが、それらのことがネックになりまして、実現化したのは新エネルギーの分野での風力発電ですが、これも検討の結果として実現しているわけでございます。その他の事業の多くは採算性等の面で課題がありまして、新たな事業を見出すということは必ずしも容易ではない状況でございます。
 それから、また、これは先ほど来申し上げておりますが、特に現在やっております電気事業と工業用水道事業につきましても、電気事業につきましては電力自由化等ということで、非常に環境が変わってきつつあります。あるいは工業用水道事業につきましても、景気の低迷が深刻化する中で、水需要がなかなか伸びないという状況もございますので、これらの現在の事業を円滑に運営するということも、また非常に大切な課題あるいは第一義的な使命となっているのではないかと考えているところでございます。しかしながら、今後とも、時々の県政課題を踏まえまして、地域の振興にも配慮しながら、公営企業による展開がふさわしいと思われる事業につきましては、できるだけ前向きに検討していきたいと考えております。

〇照井昭二委員 自由民主クラブの照井でございます。
 ただいま電気事業それから工業用水道事業ともに黒字を計上しておられるといたしまして、常に経営の効率化、健全化に努力しておられるその姿を評価いたしたいと思います。特にも、この経済環境の厳しい中で、電気事業においては売上金を上回る積立金、利益の内部留保をなされていることに対しまして高い評価をいたします。そして、その高い企業局の経営ノウハウを岩手県政全般に生かしていただきまして、県債残高の減少さらに県財政の健全化にも、企業局内部の経営ノウハウを生かしていただきたいものと思っております。
 吉田昭彦委員より今、クリーンエネルギーについて御質問がございましたが、私の方からは特に木質バイオマス発電についてお伺いいたします。
 地球環境問題への意識の高まりに伴い、最近、クリーンエネルギーである木質バイオマスへの関心が高まり、その利活用に取り組もうとする自治体や企業などが全国的にふえております。その利用形態については、ペレットやチップを利用したストーブやボイラーによる暖房などが主なものでありますが、中には発電に取り組もうとする動きもあります。他県における木質バイオマス活用のネックの一つは、木質燃料の供給面であると聞いております。本県は全国有数の林業県であり、豊富な資源と生産のシステムを有しております。木質バイオマス資源の利用は、林業の振興と環境問題への貢献を目指し、本県が全国をリードして進めるべき重要な施策であり、かつ本県に最もふさわしい新エネルギーの利用であると考えられます。企業局としても、新エネルギーの調査、研究に当たっては、県の組織として地域に貢献すべく、木質バイオマス発電に積極的に取り組むべきではないかと思います。過去に、採算性の面で問題があって事業化は難しいという答弁があったことは伺っておりますが、将来的にも難しいと考えておられるのか、また、事業化が難しければ全く取り組まないつもりなのか、まずお伺いいたします。

〇石川企業局長 木質バイオマス発電についてでございますが、平成10年度に間伐材の燃焼特性の調査とあわせまして、事業化の可能性調査を行った経緯がございます。その調査によりますと、仮に間伐材の価格が無償であったとしても、伐採と搬出、輸送にかかる経費を織り込んだ場合に売電の価格が相当高くなるということで、電力会社の購入価格が太陽光や風力による発電と異なりまして、それらの場合は極めて安い単価に設定されているわけですが、木質バイオマスの場合は設備に補助金を導入しても明らかに採算が合わないという調査結果になっているところでございます。そのため、木質バイオマス発電による事業は、当面は難しいというふうに考えてはおりますが、しかしながら御指摘のとおり、間伐材などの木質バイオマス資源の利用を進めることは、本県にとっては極めて重要な課題であると考えております。
 今後、自然エネルギーに対する各種の助成制度の整備や技術面での進歩もあり得るのではないかということで、そういうことも想定されますので、今後とも事業化の可能性を視野に入れながら調査、研究については取り組んでまいりたいと考えております。具体的には、間伐材を燃料とする木質バイオマス発電の事業化が可能になるためには、補助金等の助成を含めたどのような制度が必要なのかということについても、シンクタンクの協力なども得て、今年度、基礎的な調査を行いたいと思っているところでございます。
 さらに、農林水産部と連携をいたしまして、将来の事業化に向けたステップとするために、自家発電等を主とした小規模な木質バイオマス発電の実証、これは直ちに事業化に結びつくというものではございませんが、小規模なそういう実証試験も行いまして、今年度から具体的な調査に着手をしたいと考えているところでございます。

〇照井昭二委員 ありがとうございます。あきらめずにぜひ岩手のためにも、林業振興のためにも研究をさらに進めていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 次に、三つほどお伺いいたします。12年度の供給電力量の達成度は、101.1%ということで目標を上回っており大変喜ばしいことでありますが、ただし各発電所の達成度を見ますと大変ばらつきが見受けられまして、特に仙人発電所と北ノ又発電所においてそれぞれ90%以下となっており、他の発電所と比べましてちょっと低いのが目立っております。これは、もちろん自然相手の発電でございますから、天候に左右されるということもあると思いますが、そのほかにも何か理由があるのでしょうか、お知らせ願いたいと思います。
 次に、湯田ダムでございますけれども、この湯田ダムは建設省直轄で建設されておりまして、治水、農業用水の供給、そしてこの発電所の発電等に効果を上げておりますが、ただ、ダムが完成されてから30数年ももう経過しているということで、土砂の堆積等の増大に備えて、国土交通省では貯水池保全事業として貯砂ダムを建設しております。共同事業者としての企業局は、この事業によりどのような影響を受けておられるのか、お伺いいたします。
 最後にもう一つ、現在、水路式発電所としての柏台発電所、先ほど順調に工事が進んでおられるとの答弁でございましたが、このような中小水力の水路式発電所の建設は全国的にも少ないと聞いております。そこで、この柏台発電所の水路式発電所はどのような特徴があるのか、そしてまた、今現在順調に進んでおる工事はどの程度まで進捗しておられるのか、そしてまた、予定どおり14年秋に運転開始できるのか、お伺いしたいと思います。

〇壽業務課長 まず最初に、仙人発電所と北ノ又発電所の供給電力量の達成率についてでございますが、上期におきましてはどちらも100%を超えておりました。しかしながら、下期の達成率が思わしくなく、それぞれ仙人では69.6%、北ノ又が43%という状況になったわけでございます。この理由といたしましては、水の出水状況が例年に比べて少なかったというのはあるわけでございますが、そのほかに次のような理由がございますので申し述べたいと思います。
 まず、仙人発電所についてでございますが、取水口設備の補修工事並びに先ほどお話にありました貯砂ダムの建設工事に伴いまして、ダムの水位を下げながら運用しなければならないということでございまして、ダムの水位が下がっての発電でございましたので、発電量が当然減ったということでございます。
 それから、北ノ又発電所についてでございますが、現在建設省の柏台発電所の工事に関連いたしまして、11月から1月までの3カ月間、発電停止したことによるのが大きな原因となっております。この工事は、申し上げますと柏台発電所において北ノ又発電所で発電した水をそのまま直結いたしまして、北ノ又発電所の出口と柏台発電所の取水口を直結するという工事でございますので、結局とめざるを得なかったということでございます。
 それから、湯田ダム貯水池保全事業についてでございますが、この貯砂ダムは、ダムへの流入土砂を抑制し、ダムの機能を確保するとともに、水辺の環境や河川環境の保全を目的とした施設でございます。この事業は、総事業費18億円であり、平成11年度に着工いたしまして、今年度完成の予定で進められております。企業局は、共同事業負担金といたしまして、平成12年度までに5、282万8、000円ほど支出しております。
 この事業の発電へ及ぼす影響についてでございますが、工事期間中においては、貯砂ダムの工事のため湯田ダムの水位を低く抑える必要があることから、先ほど申し上げましたとおり低落差となりまして仙人発電所の発電量が減少することとなるわけでございます。しかしながら、貯砂ダム完成後は、湯田ダムへの流入土砂を抑制し、ダムの機能を確保することにより、結果的には発電事業にも寄与するものと考えております。また、水辺の景観や河川環境の保全にも貢献するものだと考えております。
 柏台発電所についてでございますが、柏台発電所は水路式発電所でございまして、電力の小売一部自由化の影響によりまして電力事情の厳しい状況を反映して、全国でも今2カ所だけが建設中でございます。これは宮崎県でございますが建設しております。柏台発電所の特徴といたしましては、取水に当たって、松川からは既設砂防ダムを利用し、北ノ又川からは北ノ又発電所の放水口との直結によりまして、どちらも新たに取水堰堤を河川につくらずに施工するということで工事費の低減を図ったものでございます。また、周囲の自然景観につきまして、樹木の伐採を最小限とし、工事完成後の伐採跡地には近隣で採取しました樹木を植栽することなどで、環境に与える影響を少なくする工夫を図っております。さらに、水管橋でございますが、この架設工法に新技術開発に係る国の実証試験を採用しておりまして、この実証試験は、新技術開発の目的である建設コストの低減、熟練工不足への対応、作業安全性の確保、自然環境への配慮、この四つについて実証しようとするものでございます。なお、当実証試験は、通常の30%補助ではなくて高率の50%補助が適用されております。平成13年度事業費は約11億6、000万円でございまして、事業内容は、水圧鉄管据付工事、水車発電機製作工事、ほか土木工事等を実施しておりまして、平成13年度末の事業の進捗率は約80%となる予定でございます。工事は順調に今のところ推移しておりまして、平成14年10月の運転開始はできるものとの見通しでおります。

〇照井昭二委員 大変詳しい御説明ありがとうございます。本当に自然エネルギーの活用は、日本国内のエネルギーの自給率の貢献ということでも大変重要なことでございます。日本国内に対して岩手の顔が見えますように、企業局、頑張っていただきたいと思います。要望いたしまして終わります。

〇佐々木大和委員 照井委員の質問に関連をさせていただきます。前段の木質バイオマス発電に関係しててございますけれども、自然エネルギー、先ほど来、今、委員からの励ましもあったとおり新しい取り組みとして大いに期待されておりますが、その中で木質バイオマスについて先ほどの答弁をお伺いしますと、経済性、採算性が問題ということで、これは可能性が低いという話でございましたが、実際的にここの一番最初の課題は、この木質バイオマスは廃棄物発電と同じように熱供給というのがここに附帯して出てくると、そのような熱需要が生まれたところに初めて可能性を持つというのは最初の課題だったように思うわけですけれども、その点が答弁の中に全然ないし、課題としてのとらえ方がちょっと違っているのではないかと、そんな感じがいたしました。本来、化石燃料である発電の場合でも、今、石油の値段が安定しているところから出てきて、本来オイルショックのときからの課題になったわけですけれども、そういう時代で、この石油が安定していることを前提に考えれば今の値段では全然合わないと、ところが石油の値段に近づける可能性というのは、ボイラーの開発によって可能性はあるということは前にいろいろ研究されたので聞いているわけでございますけれども、そういう意味でこの風力に近いところまでは可能性あるんですが、熱需要の開発研究というのは逆に企業局ではどのように進めてこられていたのか、その部分の答弁をお願いしたいと思います。
 それから、さっきちょっと小規模発電の話が出たんですけれども、この同じ木質バイオマスの小規模発電というのは、これは現実的にはなかなか大変だと思うんですが、実際にエネルギーとしてというか、木材を供給するときに仮に年間100立方ぐらいでいって、30年で回っても30ヘクタール必要だと、間伐でいくと20%だとその5倍必要だと、それが10年に1回の間伐だとさらにその10倍必要だと、そういうことを考えれば、企業的にやるときは岩手県で一つか二つしかできないだろうと、そういう想定のもとに考えなければならない事業だと思って見ているわけですけれども、その前段の熱供給、地熱もそうなんですけれども、地熱だと場所が特定されていますが、木質バイオマスを考えるときには自由に考えられる要素が一つの中にあります。そういうことで研究課題の中に単純に燃焼だけではなくて、熱供給に伴う熱需要の岩手県での可能性、あるいはそのことが企業局がこの事業に取り組むときの一番の前段になるんだろうと思うわけですけれども、その辺の課題についての取り組み状況を御説明いただきたいと思いますし、あわせてボイラーの開発が前提でございますけれども、ボイラーの開発の状況は他部局とのどんな調整になっているのか、そこと2点について御答弁をいただきたいと思います。

〇武蔵企業局技師長 木質バイオマスの関係でございますが、確かに熱供給を同時にやりますと非常に熱効率がいいというようなことでございますが、私どもの検討としましては、どうしても専門的な発電に使いたいということを中心にやってまいりました。熱供給をどういう形でやればいいものかというものがなかなか出てきませんで、専らその売電料金が他の風力あるいはその他太陽光、そういうものに比べて非常に低いというところから、採算性が悪いというようなことで、今、事業化が進まないというような状況でございます。
 それから、小規模の木質バイオマスを使った研究ということですが、これも今までのガソリンとか軽油を使ったような内燃機関とは別に、何か外燃機関という、外から暖めてガスを膨張させてシリンダーを動かすというような方式もあるようでございますので、そういったものを活用して幾らかでもそういう木質バイオマスの活用ができないかということで、これから研究をしてまいりたいと思っておるところでございます。そちらの方は出力が非常に小さくて、まず1キロワット程度が一つの標準というようなことで、非常に小さいものですから事業化は難しいわけですが、各家庭に導入すればトータルの量としてはかなりの木質バイオマスを活用できるのではないかということで、まず実証試験を考えてみたいという状況でございます。

〇佐々木大和委員 やはりこの木質バイオマスの場合は、今の答弁でもあるように電気に偏ってのことを言っていますけれども、この課題に取り組むときにそこを外すと最初から無理にこれは決まっているんです。だから、その辺を、先ほどの局長の答弁のようにこれを考えるのであれば、熱需要というのが実際にどの程度この今の産業界の中にあるのか、そういうところに取り組んでいかなければこの事業は最初から考えられないというように思うわけですけれども、その点をもう一度局長から答弁をいただきたいと思います。

〇石川企業局長 木質バイオマスの関係ですが、今、技師長が申し上げましたように小型のエンジンといいますか、燃焼エンジンを使いまして、今実用化されておりますのはガスを使ったエンジンが実用化されておりまして、これは熱と電気と両方供給するものなわけですけれども、それをその木質バイオマスを使ってできないかと、こういう形での研究をしたいと、こういうふうに考えているわけでございます。これは非常に小規模ですので事業化は難しい、直ちに事業化というわけにはいかないわけですけれども、一つの木質バイオマスの調査、研究という形で取り組んでいきたいと考えているものでございます。(佐々木大和委員「他部局との関係、答弁がない。」と呼ぶ)

〇石川企業局長 これは農林水産部の方と連携をとりながら進めたいと考えております。

〇吉田洋治委員 政和会の吉田洋治でございます。
 質問に入る前に石川新企業局長の所感をお伺いしておきたいと思うわけでございますが、それは企業局のこれからの21世紀の展望についてなわけでございますけれども、昭和27年1月1日、県の土木部内に発電事務局が誕生したと、いよいよ県営発電の幕あけだと、これが昭和27年1月1日と、このように聞いておりますが、これは県企業局の30年史の発電事務局発足の書き出しにございました。以来50年を迎えておるわけでございますけれども、本県の重要課題であった北上川の治水を目的といたしまして、北上特定地域総合開発計画、これによって建設された五大ダムに関連する発電事業、これを県営で行うんだと、これが始まりだったと、このようにされておるわけです。先ほど局長の報告にもありましたが昭和32年、県営第1号が胆沢第二発電所でございました。出力が6、200キロワット、これから始まりまして今日では水力発電所が12カ所、出力で14万450キロワットと県内の電気事業発電の43.3%を占めるに発展をしてきておるわけでございます。事業収益も50億円を超えたと、純利益は平成12年度は減少したものの、それでも7億8、000万円余の剰余金を出しておりまして、合計額で76億7、000万円余の実績を示しているところでございます。県営発電事業が幕をあけて50年目と、この際、これまでの県営発電事業を振り返って石川局長の所感をお伺いしておきたいと思います。また、時の中村知事はその30年史の序の中で、創立時の不屈の精神と、その後の事業の発展を後世に伝えるんだと、躍進する21世紀の岩手を目指す新しい企業局の発展の指針にしていくんだと、こういう決意を寄せているところでございます。今、新しい世紀に入ったわけでございますが、電気事業を初めとする今後の企業局の展望につきまして、局内でも深く論議をしていると聞いておるところでございますけれども、所感をお伺いしたいなと思います。
 質問の第1に入らせていただきますが、ただいまも活発な議論が展開されておりますこの新エネルギーの開発に対しまして、市町村が非常に活発に動いておることでございますが、過日、実は特別委員会で金ケ崎町の方に行ってまいりました。家畜ふん尿から発生するメタンを利用した発電、これを新エネルギービジョンとして掲げておられるようでございます。また、衣川村の話題も出たのでございますが、木質バイオマスによる発電を推進していると聞いております。さらに、釜石市、葛巻町、その他風力発電開発に今、取り組んでいると、こういう状況だと思います。
 同時に、県内における電力自給率も、新日鐡釜石の火電が稼働しまして若干上がって25.2%の自給率でございますけれども、極めて低いわけで依然として他県依存の電力輸入県ということであると思うわけでございまして、新規のエネルギー開発は本県にとってまさに重要なテーマであると思います。そこで、企業局では、国有資産等所在市町村交付金法に基づきまして、対象となる県営発電所用に供している固定資産額、これを交付していらっしゃいます。平成12年度で北ノ又あるいは松川発電所、これを有する松尾村に対しましては1億800万円、岩洞を抱える玉山村には3、200万円など、9市町村に1億9、000万余円、毎年度ほぼこの同額の交付がなされているところでございます。先ほどお話がありました県内初めての風力発電の浄法寺町の稲庭風力にも約700万円ぐらいが交付されると、このように聞いているわけでございますが、こうした交付金、市町村における新しいエネルギー開発、こういうものに調査、研究費として活用していただくと、そして新エネルギーの二次開発に結びつけた展開をしていくと、これは県や企業局で積極的な提携を図りながら支援措置を講じていくと、こういうことで地域エネルギー開発を進めるべきでないかと、このように私は思っているんですが、その御見解をまずお伺いしたいと思います。

〇石川企業局長 企業局の50年近い電気事業を振り返っての感想と、それから21世紀の展望についてということでございますが、私も就任して間もない話ですから余り偉そうなことは申し上げられませんが、感想ということで一言お話をさせていただきたいと思います。
 企業局の電気事業は、昭和23年9月に当時の県議会から、北上川五大ダムの発電事業を県営により実現するという意見書が、当時の国分知事に提出されておりまして、それがその後の50年近い県営事業の歴史の始まりとなっているものでございます。
 発電事業の黎明期、その後の建設充実期を経まして、今日、本県は全国公営電気事業者の中でも屈指の規模となっております。全国で第4位でありますが、そのような規模となり、さらに本県の産業経済の発展、あるいは民生の安定に貢献し、順調な発展を続けてくることができましたのは、数多くの先人の献身的な御努力のたまものであると認識をしているところでございます。
 この50年近い歴史の中では、我が国経済の発展とともに、かつて水力発電が主であった時代から、火力、原子力等大規模電源の時代に変わってきております。しかし、一方で、昨今の環境問題への関心の高まりなどから、新エネルギーや再生可能エネルギーとしての水力発電には、新たな視点が当てられ、新たな役割も期待されていると考えております。また、近年は、規制緩和の一環として、卸発電部門の自由化、さらに電力小売の一部自由化が実施されておりまして、卸電気事業者としての公営電気事業をめぐる情勢は大きな変革の中にあります。
 21世紀を迎えまして、このような環境の変化の中にあって、企業局は、電気事業、工業用水道事業の両事業の安定的な推進を通じまして、本県の産業経済の発展を支援し、県民福祉の向上に寄与することが、その変わることのない使命であると考えております。今後におきましても、企業局が担う役割の重大さを認識し、それぞれの時代の諸課題に常に的確に対応するとともに、新規事業への展開も視野に入れながら、特に新エネルギーの導入促進など電気事業を通じた環境問題への貢献や、良質な工業用水の安定供給のための取り組みを積極的に行いまして、県勢の発展に寄与するように努めなければならないと考えているところでございます。
 次に、新エネルギーの開発に対する県、市町村の取り組みについてでございますが、国有資産等所在市町村交付金についてのお尋ねでございました。この交付金は固定資産税の相当額として交付されているものでありまして、使途制限のない一般財源として活用されているものでございます。近年、環境問題への関心の高まりから、交付を受けている市町村の中には新エネビジョンを策定し、新エネルギーの導入に取り組むところも出てきております。私どもとしましては、このような新エネルギーの二次開発に結びつけた扱われ方というのは非常に歓迎をするところではありますが、ただ、この交付金の使途につきましては、あくまでも市町村の自主的な判断にゆだねられていると考えております。
 次に、県、企業局、市町村の連携強化ということでありますが、企業局におきましては、水力発電、それから風力発電の事業を行っている立場として、これまで培ってきましたノウハウを生かし、市町村からのアドバイスなどの要請には積極的に応じているほか、市町村の新エネルギー導入検討委員会等の検討組織の委員として検討に加わるなど、市町村とも密接な連携を図ってきているところでございます。今後とも、企業局として可能なものについては、県の関係部局や市町村と積極的に密接な連携を図って事業を進めてまいりたいと考えております。

〇吉田洋治委員 所感についても大変ありがとうございました。私、先ほどの市町村に対する新規のエネルギー開発の指導等についても、県あるいは企業局、そうした連携をさらに密にして進めていただきたいなと常に考えているわけでございまして、電源三法に基づく交付金等もこれまでも長い年月にわたりまして各市町村に、これはそれぞれの事業に付した予算措置ではありますけれども、この電源開発に絡んだ市町村交付というものがそれぞれなされているわけでございまして、こうした活用というものが非常に重要になってくるのではないかと、総合的な新規のエネルギー開発ということを進めていくべきだと思いまして、ぜひそうした指導もさらに強化をしていただければと思います。
 2点目の質問ですが、水力発電開発でございます。今までも出されてきたわけでございますけれども、これは本県の主流をなしてまいりました。国におきましては現在、自然エネルギー発電促進法、これの国会への上程が検討されていると、このように聞いておりますが、CO問題など環境対応の観点から、クリーンエネルギー開発、導入は今後さらに重要な課題となってくると、このように思います。本県では、恵まれた自然の中に多くの水力発電に有力な水系を有しております。水力は他電源と比較しまして開発コストが大変割高になるというものの、長期的に見ますと豊富な水源が電力供給の安定性を含めまして有力な武器となってきておりまして、私はこれも積極的に推進すべきと思っております。そこで、お伺いするわけでございますが、今現在、調査地点となっている幾つかの地点の現況、あるいはまた今後の見通し、対応につきましてお伺いをしたいと思うわけでございます。
 まず、1点目ですが、簗川地点でございますが、これは最大出力が2、000キロワット、簗川ダムに参画したダム式発電所の計画でございます。簗川ダム事業費が大幅にふえたということで、同ダムにつきまして県公共事業評価委員会は、事業継続が妥当とする意見が先般出されたわけでございまして、知事に具申がなされました。附帯条件がありまして、事業内容に大幅な変更がある場合、再評価を実施するという意見もあったわけでございますけれども、簗川流域、特に下流は都市化が進みまして非常に災害に対する安全度が低いと、利水と同時に住民の安全や財産を守るために私はこのダムが必要と、このように考えているところでございます。簗川地点は、明治38年に盛岡電気宇津野発電所が出力わずかの300キロワットの小水力で、岩手県で初めての発電を開始したという歴史があると聞いておりますけれども、この簗川地点の見通しをひとつお伺いをしておきたいと思います。
 2点目は、北本内地点、これは先ほども話題になりました水路式、最大出力7、000キロワットについてでございます。これは北本内ダムが平成12年度中止決定を受けた後、地点の継続推進を図ってきたと、このように聞いておりますが、その見通しはどのようになっているのかということについてお伺いしておきたいと思います。
 3点目は、槻木平地点がございます。これも水路式、最大出力3、500キロワットということでありますが、平成11年度及び12年度におきまして、国の未開発地点調査によって、地質調査、概略設計を実施したと、このように承知しているわけでございますが、この経過と今後の対応につきましてお伺いをします。あわせて、向井沢地点についても状況説明をお願いしておきたいと思います。
 最後、第3点目になりますけれども、企業局におきまして電気技術の保存とか安全衛生とか、あるいは採算面での生産性向上につきましてのお伺いをしておきたいと思います。企業局の役割といたしまして、安全かつ効率的な事業運営とともに、電力及び工業用水を安定的に供給し、県民の福祉の向上及び地域経済の発展に寄与すると、これは先ほど局長から話がありましたように大きなテーマだと、このように思っております。これにつきましても高く評価するところでございます。そこで、職員定数について現行164名と、このように聞いております。現行配員が149名とも聞いておるところでございますが、こうした現状について評価をするものの、さらなる努力が必要ではないかと、このように考えております。例えば、平成元年に設立しました財団法人岩手県電気技術振興協会、これがございますけれども、これは企業局が発足して30年を経過して、特に電気技術の蓄積を何らかの形で奉仕する方法はないかと、県議会と執行部と企業局との論議の中からこれを設立したと、このように聞いているところでございます。
 そこで、質問に入るわけでございますが、私はこの協会の積極的な活用を図るべきだと、このように考えておりますがいかがでしょうか。その理由の一つに、やはり外部委託を積極的に図っていくと、そして要員、配員の整合を図るべきではないかと、このように思います。
 それから、二つ目ですが、これまで大先輩が長い年月をかけて貴重な経験に裏打ちされた技術が蓄積されておりまして、これを後輩に正しく継承していくと、こういうことが大切ではないかと思います。さきに県土整備常任委員会で御所発電所を視察させていただきましたけれども、そのときもお話を聞きながら痛感をした次第でございますけれども、技術の保存や継承についてやはり私は同協会の活用というのも非常に重要ではないかなと、このように思うんですがいかがでしょうか。
 それと、電気は生き物だと、このように言われておるわけでございますけれども、電気工作物の点検あるいは発電所のパトロール、そうしたことも定期点検等も推進をしていると、このように聞いておりますけれども、常に安全衛生を最優先ということで事を進めていく必要があると思います。安全対策についても、あるいはまた職員の研修等についてどのようにこの推進を図っているか、技術保存等々含めてお伺いをしたいと思います。

〇武蔵企業局技師長 水力発電調査地点の現況と今後の見通し、対応についてでございますが、簗川地点は平成4年度から簗川ダムに参画している発電所でございます。簗川発電所の建設はダムの工事と一体となって行うこととなっておりますので、今後、簗川ダムの工事工程に合わせて建設に着手することとなっているものでございます。
 その次に、北本内地点についてでございますが、今お話しありましたとおり水路式で行っておりまして、現在基本設計まで完了しております。現在電力会社と開発同意について折衝中でございまして、最近の電力小売部分自由化というようなことから非常に厳しい面もございますが、早期に理解が得られるよう努力しているところでございます。
 それから、3番目の槻木平地点につきましても、これも水路式でございますが、本年度は国の補助事業であります中小水力開発促進指導事業を活用しておりまして、基本設計を行い導水路トンネルの施工法を含めた各施設の設計検討を行っております。今後は、河川の流量観測の資料の整理あるいは経済性について検討を行いまして、開発に向けて努力していきたいと考えております。
 それから、向井沢地点につきましては、これは玉山村の向井沢地区を新しく可能性調査地点としまして、国の補助事業であります未開発地点開発促進対策調査を活用しまして調査を行っているものでございます。本年度は概略設計により発電の経済性について検討しているところでございます。

〇渡邊総務課長 職員定数等についての御質問に対しましてですが、企業局の条例定数は先ほどお話しありましたように164人でございます。これに対しまして現員も149人ということでそのとおりでございます。それで、ずっと以前というか、昭和56年ごろは発電所が6発電所だったんですけれども、今は12発電所で倍になりまして、それから稲庭風力発電所ができているということで施設が大分増加しております。こういった中で業務の集中化、それから効率化を行いまして定数減を図ってまいったところでございます。平成11年度の職員1人当たりの経常経費でちょっと比較してみたんですが、公営電気事業を経営している34団体の中で、そういう形ですと岩手県は6位という形になります。そういうことで職員定数としては私どもは妥当ではないかなというふうに考えております。今後も随時見直しを行いまして適正な定数管理に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、業務の外部委託の件でございますけれども、発電施設の巡回点検、堰堤の保守管理等の業務を財団法人岩手県電気技術振興協会に委託するなど、業務の省力化と効率化を進めてまいりました。今後とも、発電施設の維持管理業務等、委託に適する業務については外部委託を推進してまいりたいと考えているところでございます。
 それから、財団法人岩手県電気技術振興協会を活用した技術保存、継承ということについてでございますが、これまでも発電設備の部品交換とか、その際の指導とか、あと各事業所で行う安全講習会とか何かあるわけですが、これの講師として招聘するなど、協会の有する経験や長年蓄積された技術を活用してきているところでございます。今後も同様に技術の活用、保存、それから継承、これを図ってまいりたいと考えております。
 それから、安全対策等を含めまして職員の研修の件でございますが、企業局では、平成12年度に全国に先駆けて企業局独自の専門研修体系を策定いたしまして、今年度から計画的に研修を実施いたしております。他県からも高い評価を受けているのではないかと考えております。研修の実施に当たりましては、4種別、56カリキュラムに体系化しまして、労働安全衛生法に基づく安全教育や技能講習はもとより、企業局が独自に実施する基礎、中堅、監督者等のレベルに応じた技術研修や事務、技術共通の研修、外部研修機会への派遣、さらには職場におけるOJTの実施によりまして、企業局職員として必要な知識、それから技術等の効率的かつ着実な習得を図っておるところでございます。今後も適宜、研修内容の評価を行いながら一層の充実を図ってまいりたいと考えております。

〇吉田洋治委員 簗川地点については推進をするというお話ですし、また北本内ダム、これも前向きな御答弁がございましたが、これはダムの12年度中止決定を受けまして、あるいはまた、電力自由化などの環境変化も相まってなかなか難しい面もあるのではないかと思うんです。しかし、最大出力7、000キロワットの事業計画でもありますから、ぜひひとつ頑張っていただきまして、これが実現に向けて努力を願いたいなというふうに御要望を申し上げて終わります。

〇高橋賢輔委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時56分 休 憩
   午後1時6分 再 開

〇高橋賢輔委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 企業局関係の説明に対する質疑を続行いたします。

〇村上惠三委員 吉田洋治委員とも関連してダブるかもわかりませんが、局長の御見解をいただきたいと、こう思います。
 企業局の会計で、電気事業それから工業用水道のいずれの会計においても収益が出たようでありまして、単年度の収益ということでありまして、その努力に対しまして感謝を申し上げます。
 かつては、企業局ではこの二つの事業以外に観光施設あるいは有料道路の経営等もやっておったわけでありますが、そのころは赤字でありましていろいろ議会で問題になったわけでありますが、そういうようなことで過去を思い出すわけでありますが、そうした関係から見ますと、当時は、本県の観光産業ということで基盤の整備に大きな役割を果たしたであろうと、赤字であったわけでありますけれども、そう思います。いわば、当時は当時で、その時代の要請にこたえて企業局が積極的に投資をしたということであろうと、こう思いまして、私はよかったのではないかと、こう思っております。ところが、現在は二つの事業を経営するだけであって、何かいささか物足りないというか寂しいような感じがするわけであります。県民の皆さんはどう思っているかわかりませんけれども、私はそういう感じをするわけであります。
 電気事業会計では大変多額の剰余金が出まして、累積で大変大きな金額を保有しているということでありまして、これらの剰余金の活用をどのように図っていけばいいのかなということでいろいろな議論があると思います。そうしたことで、例えば県内の電気通信関連企業といいますか、そうした関連事業に研究開発ということで思い切った開発投資をするとか、あるいは県内の企業を育成するという趣旨で投資をすると。または、地域に貢献していくんだというもとで事業展開をするというようなことに、この剰余金を思い切って投資していってはいかがなものかと思うわけでありますが、局長の今後の剰余金の活用について、新しい事業に対する構想といいますか考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。

〇石川企業局長 新規事業の展開と剰余金の活用についてのお尋ねでございますが、新規事業の展開につきましては、これまでも企業局内の委員会でいろいろ検討した経緯がございますが、水源涵養林の造成をやるとかRDFの発電をやる、あるいは風力発電をやるとか、いろいろな幾つかの項目が候補として挙げられまして、それでいろいろ検討した経緯がございます。ただ、いずれも採算性という点で課題がありまして、風力発電は実現しているわけでございますが、それ以外につきましてはなかなか難しいという結論になっているものでございます。しかし、その時々の県政の課題を踏まえまして、今、委員御指摘がありましたように、かつての観光事業でありますとか有料道路事業がそうでありましたように、その時々の課題というものがございますので、そういう課題も踏まえて関係部局との連携を図りながら、今後ともいろいろ検討は進めていきたいと考えております。特に、新エネルギーの調査といいますか新エネルギーに関する事業につきましては、木質バイオマス発電などについて、さらに調査研究を続けていきたいと考えているところでございます。
 それから、電気事業会計の剰余金の活用についてでございますが、これにつきましては資金の外部流出が認められていないと。これは国の方の指導がございまして、外部流出が認められていないということでありまして、その使途が電気事業の展開や維持の発展に限られているという制約がございます。さらにまた、今後、電力料金がこれまでの料金水準を維持することが困難な、売電単価でございますが困難な見通しだということもございまして、剰余金の活用につきましても慎重な対応が必要ではないかと考えております。
 それから、県内企業への研究開発投資についての御提言でございますが、これは法令、地方公営企業法の施行令の中に、公営企業の資金運用の方法についての定めといいますか一つの制約がございまして、その中で、預金その他最も確実かつ有利な方法で運用しなければならないという定めがございます。したがいまして、投資的な活用ということについては難しいという面があると考えております。ただ、電気事業の遂行に支障のない範囲での貸し付けといたしましては、これまでも地域振興策の一環といたしまして自治振興基金、──これは知事部局の方の基金でございますが自治振興基金、──それから環境保全基金、あるいは江刺のクリーンセンターに係る産業廃棄物処理事業への貸し付けなどを行っているところでございまして、地域社会への貢献ということにつきましては、今後とも可能な範囲で考えていきたいと思っておるところでございます。

〇村上惠三委員 局長のただいまの見解を聞いていますと、なかなか柔軟に剰余金を使えないというようなことでありますが、もし企業局が例えば既存の今までの事業の管理運営といいますか、そういう殻にこもっているということであれば、何も企業局として独立して局がなくたっていいんじゃないかという、乱暴な考えでありますけれども、そうも思うわけであります。知事部局でもできるんじゃないかと私は思うのでありますが、そうなると思い切って民営化して離した方がいいんじゃないかと、民間に、とも思うわけであります。
 この際でありますから、乱暴な意見で申しわけありませんが、もしそうでないというのであれば、存続の組織の意義について御見解をいただきたいと思います。

〇石川企業局長 企業局の組織のあり方についてでございますが、企業局の組織は地方公営企業法に基づいて組織されているわけですが、これは地方公営企業として機動的、能率的な経営を図るためには、その経営組織を地方公共団体の一般行政組織から分離するということで、条例で必要な組織を設けると法律上定められているところでございまして、そういう意味では、制度的に知事部局の課として設置して今の運営を行うということは、適当ではないのではないかと考えているところでございます。
 それから、民営化についてでございますが、まず電気事業につきましては、電力自由化が進展する中で、電気事業のあり方が大きく変わろうとしてきております。その中で、公営電気が果たすべき役割も変わってくる可能性はあるという認識は持っております。しかし、中小水力を主体とした電気事業の経営ということにつきましては、中小水力については公営電気事業者に期待されているというか、公営電気事業者に頑張ってもらいたいという、そういうことで期待をされて、これは国の方とか関係者の考え方でございますが、そういう分野でありますので、直ちに民営化ということについてはやっぱり困難ではないかと考えております。今後、時代の変化の中で考えていくべき問題かと思っております。
 それから工業用水道事業につきましては、これは現行制度の上では民間企業で実施することも可能であります。ただ、これは全国で140事業体がありますが、そのうち民間で行っているのは一つだけでございます。これも事業を推進する上で工業用水道事業といいますのは、公共的、公益的な性格を持っているということ、あるいは採算性の確保などの点で、やはり民営化して運営するのは難しい面があるのではないかと考えております。
 なお、企業局といたしましては、地方公営企業法に定めております公共の福祉と経済性の確保という使命を有する組織として存置されているものでありますので、国がこのほど策定しました構造改革に関する基本方針、いわゆる骨太の方針でありますが、この中で触れておりますが、公営企業への民間的経営手法の導入を促進することということが求められておりますが、そのような要請もございますので、企業局としては今後とも効率的な運営に努めて、その使命を果たすように努力したいと考えております。

〇阿部富雄委員 ただいまの電気事業の民営化について……。(「まだだ。」と呼ぶ者あり)まだですか。

〇村上惠三委員 指名したんだもの、仕方ないんだ。

〇阿部富雄委員 済みません。手を挙げるのが早くて大変失礼申し上げました。
 ただいまの電気事業の民営化にかかわって、私も電気事業が地方公営企業法の規制を受けない、そういう形での経営形態に移行していくということは、非常にこれからの電気事業を考えた場合に必要不可欠なものではないかなと考えているわけであります。
 それは、先ほど来議論がありますように、12年度の会計決算では7億8、000万円を上回る利益が出ています。剰余金も76億円という、これだけの内部留保をしているわけであります。もちろん、この内部留保は起債償還であるとかあるいはこれからの中小発電所の建設に振り向けられるということになろうかと思うわけでありますけれども、何度か質疑が出ているように、しからばこの設立されている趣旨、県民の福祉の増進に寄与するんだという、こういう地方公営企業法の趣旨があるわけでありますけれども、果たしてどこまで県民の公共福祉に寄与しているかという、こういうことを考えてみますと、毎年企業局が出している利益についてはお話がありましたようにほとんど地域還元がされない、こういう状況にあるわけでありますから、私はこれを容易にできるようにするには、既存の発電所の経営を第三セクターあるいは民営化をする、そういうことによって利益が出た場合には直ちに一般会計に還元できるという、そういう形での経営形態に改めるべきだと感じているわけであります。このことについてもう一度、局長のお考えをいただきたいと思います。

〇石川企業局長 発電所の経営を第三セクターなり民間企業に移管してはどうかというお尋ねでありますが、これは現在経営している部分、それから中小水力発電施設の開発の部分と分けて考えなければならない面があるかと思うんですが、中小水力発電の場合は、開発を始めてから投下資本を回収するまでには40年近くかかるということもございまして、民間企業で行うのはちょっと難しい面があるのではないかと考えております。
 それからあと、経営の部分を分離するという考え方もあるわけですが、これは現在、公営企業としてやりながら経営を分離するという形になりますと、それはやはり地方公営企業法で定める経済性の発揮あるいは独立採算などの点から見て、制度的に困難な面があるのではないかと考えているところでございます。

〇阿部富雄委員 今の地方公営企業法の中で考えれば、難しいということですね。(石川企業局長「はい。」と呼ぶ)そのとおりわかっているわけです。それをわかっていて自由な、いわゆる規制を受けない形での経営形態にやったらいいのではないかと。ですから、このことをまず最初議論する前に、民営化するなりあるいは電気事業を廃止するということは可能なわけですか。

〇石川企業局長 具体的な検討をしたわけではございませんのでちょっと抽象的なお答えになるかと思いますが、これは事業として中止することは、それはかつて有料道路事業なり観光事業なりを廃止しておりますので、そういう形の廃止は可能ではないかと思います。

〇阿部富雄委員 そこで、そういう前提がないと議論になりませんから今のことを聞いたわけですけれども、先ほど来から言っているように、要するに、利益が出た場合の還元方法については本当に限られているわけですね。この電気事業をやって何が岩手県としていいことがあったかというと、まず県内に賦存するエネルギーを開発できるということがありますね。それから、企業局の職員は149人いらっしゃるそうでありますけれども、言うなれば雇用の場を確保できたと。それから、先ほど来お話しあるように交付金、いわゆる固定資産税に相当する金額1億9、000万円を所在市町村に交付しているということがあります。それから、長期貸付をやっているということですけれども、これは利子を取って貸し付けをしているわけですから、そういう意味で本来の県民の福祉に寄与しているかというと、決してそういうことではないだろうと思うんです。ですから、本当の意味で県民の福祉の向上に寄与するという、そういう考え方に立つのであれば、もっと自由な経済活動ができる、企業活動ができるというような経営形態に私は改めるべきだと思うわけでありますが、もう一度その辺も含めてお尋ねしたいと思います。

〇石川企業局長 公共の福祉への貢献ということでございますが、現在、企業局の発電しております量は県内の発電電力量の4分の1を占めておりまして、これはかなりの規模であると思います。そういう電力の供給を通じて民生の安定に貢献していると、あるいは公共の福祉に貢献してという役割はあるかと思います。現に50年近い形でそうやってきておるわけですが、現在の電力を取り巻く状況としては、これは先ほど来何度も申し上げておりますが、平成22年4月に電力自由化等の動き、電気事業法の改正等の予定がございますが、その中でみなし卸電気事業から卸供給事業へ移行することになりまして、その後、また10年間の受給契約を新たに取り交わすということになっておるわけですが、そういう過程の中で、電気事業のあり方がどうあるべきかという形の議論がまた出てくるのではないかと考えております。
 それから、自治体といいますか、公共の福祉への貢献という点でちょっと申し上げさせていただければ、水力発電は温暖化防止の上で大きく貢献しているということのほか、火力発電に比較しますと物価変動の影響が少なく、長期的に価格が安定したエネルギーだということもありますし、また、大規模な電源がない岩手県におきましては、電力の系統運用上も重要な位置を占めていると言われておりまして、そういう意味では良質な電力を安定的に供給しているという点で、公共の福祉に貢献しているんだということが言えるのではないかと思います。
 そういう電力供給を行っている企業局のあり方がどうあるべきかということにつきましては、ちょっとこれは繰り返しになりますが、電気事業の今後のあり方が大きく変貌する中で、改めて具体的に検討されていくべき問題だろうと考えます。

〇高橋賢輔委員長 阿部富雄委員に申し上げます。
 関連質問は、冒頭に質疑を表明している委員よりも優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性の強いもののみ、短時間、簡潔に発言されるよう御協力願います。

〇阿部富雄委員 わかりました。私は民営化ということで触れたわけでありますので、多く申し上げません。今、局長が言われた答弁の中身については、公営でなければそのことができないのかというと、決してそうではない。民営だって、今言われた答弁の部分は十分対応できるというお答えでありますし、それから、いずれ電力については22年まで電力さんと契約をしているということがありますから、当面は、先立って議論ができるかどうかという議論はあると思いますけれども、いずれまた機会を見て議論をしたいと思いますが、以上で終わります。

〇佐藤正春委員 電気事業は高い収益率を、利益を上げているわけでございまして、今まで各委員の皆さんからお褒めの言葉があったわけでございます。私もまた褒めておきたいと思います。褒めるときは褒めておきますから。
 問題は、風力発電事業に対してどのような建設計画、長期経営計画を立てておられるのか。これは先ほど来新エネルギー事業ということでいろいろ議論になりました。風力発電についての長期経営計画。これ長くなるから、骨子だけでいいですからひとつお尋ねします。

〇石川企業局長 風力発電の建設計画とそれから長期の運営計画でありますが、まず建設計画につきましては、これは現在、浄法寺町で建設を進めてきました稲庭の発電所が先月の11日に営業開始をいたしました。それに続くものといたしましては、これまで11カ所で風況の観測を行ってきたところであります。その結果、大東町の室根高原につきましては、風況がいいということで猛禽類の調査を実施中でありますが、売電単価それから系統連系などの面で、今後、検討すべき課題がまだ残されております。それから一戸町の高森高原は、9カ月間の風況観測の結果がいい結果といいますか、好風況が出ておりますが、ここも引き続き観測を実施することとしております。現時点では、この2地点が立地上の条件では恵まれているということでありまして、引き続き今電力会社との折衝なども含めまして、事業化の可能性について検討しているということでございます。
 それから、経営計画の方でございますが、これは今後の開発に係る風力発電はまだ売電単価等が示されておりませんので、ちょっと未定といいますか不確定の部分がいろいろございます。それで、個々の風力発電所ごとに長期経営計画といいますか、長期の収支見通しを策定することとしております。既に運転を開始いたしました稲庭高原の風力発電所の場合には、総事業費は約7億円でありまして、その資金内訳は、補助金が2億6、000万円、自己資金が約4億4、000万円であります。東北電力への売電単価が1キロワットアワー当たり11円50銭をもとにした長期の収支見通しで計算をいたしますと、17年間の耐用年数となっておりますが、この間に自己資金の4億4、000万円を回収することができますし、さらに6、700万円ほどの利益を確保できる見込みとなっているところでございます。

〇佐藤正春委員 大変意欲的で自然エネルギーの取り組みというのは大事なわけでございますが、さて、どうでしょうか、自然エネルギーの優等生としてこの事業が期待され脚光を浴びてきたわけでございますが、ここへ来て待ったをかけられているわけですね。それは、自然保護や景観保全が大きな理由でございます。だとすると、本県の増田知事は、県政の柱に環境を看板にしているので、環境破壊の心配のある風力発電は今後無理なのではないかと、こういう心配をするんです。局長は大変意欲的なんだけれども、知事は環境保全を言っているわけですから、この知事の言う環境保全と矛盾しないのかどうかということです。
 事実、三陸町ではことし1月、町おこしの決めごととしてきた住友商事との大規模な風力発電所建設を断念しております。理由は、県から1年半の環境調査を命じられ、とても調査費も高く建設時期がいつになるかわからないということで、他県に行くということを言明しているわけでございます。そう私ども伺っている。どうも本県では、口では企業誘致、観光開発、雇用、所得向上を唱えながら、せっかく来る企業への親切な支援、フォローというものがないんですね。これが一番問題になる。これでは、いつまでたっても貧乏県から脱却できないわけでございまして、なぜこういう問題について事前に県で環境調査の仕組みをつくり、企業も入りやすく、参画しやすく、県民も安心して受け入れられるようなシステムをつくらないのかどうか、私は心配をしているわけでございます。そうしますと、知事の言う環境の看板が迷惑なんじゃないでしょうか。この点についてひとつ局長からの御所見を伺いたい。
 それから、これは事前に通告はしていないんですが、先ほど吉田洋治委員から安全対策について質問がございました。その中で課長は、全国に先駆けて職員講習をして十分にやっていると、こういう御答弁でございました。大変心強いわけでございます。
 さて、そこで、私はこの際新しい安全対策というのが必要になってくるんじゃないかと思う。それは、いわゆるテロ対策です。いわゆる発電所とかダムというのはねらわれるわけです。そうしますと、原子力発電所とか東京周辺、関西周辺のダムとか発電所というのがねらわれるから、十分に警護対策がなされているわけです、もう既に。ですから、警護の薄いところとなると、我が純朴な岩手県などはそういうところがまだまだ手が回っていない。でありますから、やはり本県でもこのように電力を供給し、また、水資源も豊富なわけでございますから、この点について、やはり安全対策としてこれからこういうマニュアルもつくっていかなければならないんじゃないかと。新しいこれは21世紀のダムとか電力の発電所の対策ではなかろうかと思うので、この点についてどうかということです。
 それからもう一点、平成12年度の工業用水道事業は、岩手中部工業団地等の誘致企業が19社に給水し、1億2、426万円の黒字となっている。ここ4年間は黒字計上という結果であり、営業収益は増加しております。例えば、工業用水を給水している企業の撤退等の事態が発生しない限りは経営上の問題は発生しないと、こう思います。給水している19社の経営状況、撤退する企業もぼつぼつ見えているわけでございますが、将来の見込みはどうでしょうか。累積赤字8億6、706万円の解消の見込みはいつごろになるでしょうか。
 以上についてお伺いいたします。

〇石川企業局長 まず、風力発電と環境の関係についてでございますが、風力発電は、二酸化炭素を発生させないというすぐれた環境特性を有しておりまして、地球温暖化などの環境問題やエネルギー問題に対応するという観点から取り組んでいるものであります。風力発電が猛禽類や周辺の環境へ及ぼす影響につきましては、環境省が作成しました報告書で猛禽類保護の進め方というものがございます。また、同じく環境省が作成しました風力発電の導入マニュアルというものがございますが、これらに沿って計画段階で調査を行うことが一般的となっているところでございます。これらのマニュアルに定める基準をクリアしているか否かが、開発の可否の一つの判断基準となっているというところでございます。
 企業局が風力開発を進める場合におきましても、これは環境省の報告書などに基づきまして、猛禽類調査を初め環境への影響に関する基礎的な調査を実施するほか、さらに学識経験者や関係者等の意見を踏まえまして、立地が可能かどうかを判断するという手順を踏んで行っているものであります。
 風力発電は、環境にやさしいクリーンなエネルギーということで開発するものでありますので、企業局といたしましては、その立地に当たりましては、環境保全との調和を図っていく必要があると考えているものでございます。
 それから、安全対策に関連しての危機管理ということでございます。
 御指摘のように、私どもの企業局で管理しております水力発電の設備としましては、ダム、これは共同管理の部分がございますが、ダムもございますし、あとは水圧管といいますか送水管もございます。それらが破壊された場合の被害ということは、やはりかなり大規模な広がりを持ってくるということが想定されますので、それに対する安全対策というものは十分考えなければならないと思います。
 現時点で、具体的にテロ対策としての安全対策というところまではちょっとまだ検討が進んでおりませんけれども、御指摘のとおり、今後それも含めて検討していきたいと考えております。
 それから、工業用水道事業についてのお尋ねでございます。
 まず、工業用水道事業の将来の見込みについてでありますが、平成3年度から平成10年度までは国の健全化対策というものがございまして、それによって諸対策を講じてまいりました。単年度の収益収支で見ますと、平成9年度から黒字転換いたしまして、現時点の見込みでは今年度、平成13年度も引き続き黒字を確保できるのではないかと見込んでおります。ただし、平成14年度からは水源であります早池峰ダムの完成に伴いまして企業債の支払いが生じておりますが、この支払利息とかそれから市町村交付金の増加などによりまして再び欠損金が生じて、したがって、累積欠損金もふえるという見込みでございます。
 なお、工業用水を給水している19社を対象にいたしまして、ことしの8月に水需要調査というのを行っておりますが、それによりますと、来年度以降の契約水量の見込みにつきましては、おおむね今年度並みという調査結果になっております。したがいまして、ここ当分の間は、現在の給水量を引き続き確保できるという見込みでありますが、長引く景気の低迷の中で、当面は水需要を拡大するということはなかなか期待できにくい状況だということでございます。
 それから、累積欠損金の解消の見込みということですけれども、これまで水需要が拡大するとかあるいは料金をある程度改定して値上げをするなどとか、そういった幾つかの前提を設定してシミュレーションを行って検討した経緯はございますが、最近の半導体市況の急速な悪化など非常に厳しい経済情勢のもとでは、今後の水需要の拡大でありますとか料金改定の見通しでありますとか、その時期でありますとか、そういうことの見通しを立てるのが非常に難しい状況にありまして、累積欠損金をいつ解消できるかということを予測するのは今の時点では難しい状況にあります。しかしながら、景気の早期回復ということを期待しながら、さらに北上南部工業団地、これがまだあいておりますので、この団地への用水型の企業の誘致活動に努めるとともに、今後さまざまな経営改善の方策について検討し、さらに事務運営の効率化等、効率的な運営に心がけまして、累積欠損金の早期解消に取り組んでいきたいと考えているところでございます。

〇伊沢昌弘委員 企業局関係の12年度決算につきまして御質問させていただきたいと思います。
 まず、電気事業会計についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 平成12年度、先ほど御報告ありましたように、早池峰ダムの完成によりまして早池峰発電所が稼働し、12の水力発電所で目標電力供給量の101.1%の実績を上げたと、こうなっているわけであります。しかし、電力受給契約の改定に伴いまして売電価格が下がったことによりまして、平成11年度より電力料金収入が減少したこと、これらから前年度に比較して黒字額が1億4、000万円減少したとの決算が報告をされているわけであります。売電価格の決定については相手のある話であり、いろんな施設の減価償却に伴う発電経費の減少を緩和しての契約であることから、これからもいろいろな意味でこういったことが出てくると、やむを得ないものではないかなと思っています。ただ、12年度の雑損失の額が8、000万円ほど計上されているわけであります。ここ数年、この雑損失についての計上がなかったわけでありますけれども、これがどのような状況で計上されているのかお伺いをしたいなと思っております。
 資料等を見ますと、建設準備勘定償却費が多く計上されると、それに伴って雑損失ができたとお伺いしているわけでありますけれども、これらの内容についてお示しをいただきたいものだと思っております。
 また、あわせて、これまでもお話がありましたけれども、電源開発に当たっての調査というのはこれからも重要なものだと思います。これまでもやってきている部分等々があって、水力発電の可能地点というのはまだまだ残されていると、こう思うわけでありますけれども、現時点の部分、先ほどお話がありました。これらを今後も継続をしていかれるとすれば、どのような調査の内容といいますかそういうものになるのか。また、新たにまだまだ電源可能な水力発電にかかわっての調査地点というのはあるのではないかと思われます。そういった意味での調査実施計画について、あわせてお示しをいただきたいと思います。

〇壽業務課長 まず最初に、建設準備勘定の償却費についてでございますが、沢内村の沢内地点及び一関市の矢櫃地点の発電所建設計画に係る調査設計費に要した経費でございます。
 沢内地点につきましては、既設送電線までの距離が遠いため、送電線のコストが非常に高いということを考慮するとともに、経済的に不利であるということから開発は極めて困難であると、そう判断して償却したものでございます。しかしながら、将来、水力開発の必要性が高まったときには、有効に活用できるだけの調査資料は整備されております。
 それから次に、一関市の矢櫃地点の発電計画でございますが、この地点は一関市の磐井川上流に設置されたアーチ式の砂防ダムの落差を利用した発電計画でございます。当地点の計画後、付近に温泉等が営業を始めまして、砂防ダムから流れ落ちる流水の美しい景観が失われると、そういう地元及び市等からの要望がございまして中止した経緯がございます。その後、槻木平地点と連携したシリーズ開発ができないのかということで計画したわけでございますが、経済性が得られないということで矢櫃地点の開発は極めて困難と、そういうことでこれもまた償却したものでございます。
 次に、これからの電源開発についてでございますが、今まで一関市の槻木平地点、北上市の北本内地点ほか4カ所について、流量観測等の基本的な事項について調査をやっておるところでございます。これらにつきましては、いずれ、今、北本内地点と槻木平地点につきましてはかなりの精度で基本的な設計が進んでおります。それから、残りの雫石町の有根沢地点、それから簗川地点、それから湯田町の南本内地点、胆沢町の下嵐江地点等につきましては、順次基本的な調査を進めてまいりたいと考えております。
 また、新しい地点についてどうだというお話でございますが、今年度新たに新規の可能性調査といたしまして、玉山村の向井沢地点を国の費用で未開発地点開発促進対策調査という事業を活用して調査をやっている状況でございます。

〇伊沢昌弘委員 私もこの水力の可能調査の部分が中止になった際に、建設準備勘定のところから償却をされるというのは実は初めてわかった部分でありまして、これからも今お話しのあるようなところで、実施設計を含めて基本設計を含めてやっていくという中で、今後も出てくるとすれば大変になるのかなという思いもしながら、あわせてこの新しい地点の開発に向けた基本の考えということでお伺いしたわけであります。
 一部おやめになった部分で、たしか6、500万円ほどだったと思うんですけれども、何年ぐらいかけてどのような調査をやってきて、どの程度のお金がかかったのかということをちょっと明らかにしてもらいたいのと、今後、今のお話しの中で送電線を引っ張っていく、言ってみればコストが高くなると。これから先開発をしようというのは、一定程度の水量を確保するためには山の上というのはあり得ないわけですけれども、沢の下とかということじゃなくて、若干ではあるけれども、今までよりは遠方の部分で調査もやらざるを得ないのかなとなると、送電線のコストの問題を含めて、そういうところは言ってみれば外していかないとしようがないんじゃないかなという部分もあるわけであります。そういった意味で、改めてここに至る経過の部分でもしお話ができる内容があるとすれば、その中止に至る経緯も含めてもう少し詳細な御説明をお願いしたいなと思いますけれども。

〇壽業務課長 沢内地点でございますが、沢内地点は第5次水力調査等によりまして、全国で水力開発が可能な地点について調査を始めたわけでございますが、それを県が引き継ぐ形で調査をずっと継続してやってきておったわけでございます。かなり前までは、水力開発をした場合には、一般電気事業者がそこまで電気を迎えに来るというやり方が一般的に行われておったわけでございますが、御案内のとおり、最近の電気事業を取り巻く環境というのが非常に厳しくなりまして、そういうことも見直される現状にありまして、なかなか新たに開発するということが困難になったという状況にございます。

〇伊沢昌弘委員 苦労しながらやってきたけれども、事情がそうだということで了解いたしました。
 そこで、先ほど来いろんな議論も出てきた部分で重複するんですけれども、私もクリーンエネルギーの新たな開発に向けた取り組みの強化が、今後、絶対必要であると考えているわけであります。これまでも何度か発言をしてきたわけでありますけれども、それで新エネルギーの開発に向けて企業局内で研究を進めるセクションを組織して、関係する機関との連携を強化すべきではないかなと、こう思うわけであります。これまでも局長、関係機関・部局といろんな意味で調査をしながら前向きにやると、バイオの問題も含めて、風力もそうですけれども、そういったものをやると、こういうお話をしてきております。この間、企業局では、風力発電に向けて風力発電開発室を設置しながらここ数年来、費用の中の調査、研究費の項目の中に12年度1、300万円ほど盛り込んでおられる。これ何年か前には100万円単位のものが1、300万円までの研究費ということで盛り込んでいるわけでありますけれども、これらの使い方を含めて、本当であれば知事部局の方に資源エネルギーに関する課もあるわけですけれども、実行部隊として発電をするという意味での企業局だと思うんですが、やっぱり実施に向けた本当の意味での基礎研究も含めた連携をするためのセクションが、風力発電開発室をつくったような形で、新たな課の設置なりそういったグループなりというものを設置していくような、そういうことがなければ、先ほど来局長がおっしゃっている意欲というのが見えないような気がするわけでありますけれども、これまでの検討されている部分があるとすればお示しいただきたいと思います。

〇石川企業局長 新エネルギー開発に向けての企業局内での専担組織をというお尋ねでございますが、新エネルギーに関する調査研究のための組織といたしましては、これまで総務課に組織を置いておりますが、企画担当部門の企画主査が担当しておりまして、知事部局の関連部局であります環境生活部あるいは農林水産部などど連携を図って進めてきたものであります。また、これは御指摘もございましたが、風力発電につきましては風力発電開発室という専担の組織をつくって対応をしてきたところであります。この組織も全国に先駆けて設置した組織でございます。新しい専担の組織をつくるというのはちょっとなかなか難しいところもあるわけですが、今後とも庁内の関係部局のみに限らず、外部の関係機関との連携を強めて、積極的に調査研究を進めたいと思っております。
 それから、先ほどちょっと御指摘のありました研究調査費でありますが、あれは先ほど来申し上げておりますが、木質バイオの調査研究、その他の調査のために使おうとするものでございます。

〇伊沢昌弘委員 改めてつくれということではなくて、私はせっかく組織の中に組み入れられている風力発電開発室というのがあって、その分野で風力発電に関してはいろいろ風況調査も含めた専門になっている。そういうものがあるとすれば、そこに一定程度の職員を配置するというか、それをやって新たな組織の中で各部局とのやりとりができるような、総務課の中で主査の方がおられるというのであればそれはそうですけれども、やっぱり組織としてのあり方があっていいのかなと思いますので、ぜひ御検討をお願いしておきたいと思います。
 次に、工業用水道の関係についてお伺いをしたいと思います。
 昨年の決算の際に、企業誘致に向けて関係部局と連携を図ってもらいたいということで企業局の、生意気なようだったわけでありますけれども、ホームページのリンクの方法を御提言をさせていただきました。直ちにやっていただいてリンクができていると、こういうことで私も確認をしておりますので、執行されたことに敬意を表したいと思うところであります。
 そういった中で、企業誘致に懸命の努力をされてきている。しかし、これまでお話がありましたように、厳しい経済状況のもとで給水契約事業所が19事業所ということで、新規事業者がふえない。しかし、その中でも1億2、400万円余の利益を計上し、4年間連続の黒字を計上したということに対して、関係職員の皆さんの努力の成果であると思っているところでございます。この中で、給水可能水量に対する料金対象給水量の割合を見せていただきましたが、これも年々増加をしていると、契約がふえたということで御報告をいただいているわけでありますが、12年度は72.6%にとどまっていると見受けたところであります。さらに、今後の経済状況の中で、お話がありましたように誘致企業の皆さんが大変苦しい中で、水量そのものもふえていくということがないのではないかと、大変懸念をされるところでございます。
 そこでまずお伺いをしたいわけでありますけれども、12年度の決算の監査委員の意見書に出ている財務分析表を見せていただきました。東北各県と比較をいたしまして、それぞれ大変厳しいのかなと思うわけでありますけれども、特にも自己資本構成比率が東北各県で最低でありますが33.8%。それから、流動比率も11年度に比べて減少し、各県に比べて大変厳しい状況ではないのかなと、こういう不安材料を抱えているのではないかと思うわけであります。厳しい見通しというのは先ほど来示されているわけでありますけれども、全体の財務分析の状況も踏まえた経営見通しについて改めてお示しをいただきたいと思います。

〇昆野財務管理課長 工業用水道事業会計の決算のただいまの件ですけれども、自己資本構成比率の件でございますが、御案内のとおり、自己資本構成比率は総資本に占める自己資本の割合を示すもので、事業の財政健全性をあらわすものでございます。この比率が高ければ借入金が少ないため金利負担も少なく、企業経営が安定しているということを示すものでございます。
 平成12年度決算における自己資本構成比率は御指摘のとおり33.8%であり、東北各県と比較して最も低い数値になっております。この自己資本構成比率の低い要因といたしましては、建設投資に係る財源に占める企業債、この割合が多いことや、累積欠損金を抱えていることが挙げられます。平成12年度決算における流動比率は144.4%でありまして、前年度に比較いたしましても低下しておりますが、この原因は業務委託費等の未払い資金が増加していることによるものでありまして、特にこの比率が低くなったということで問題はないと思っております。
 この分析をもとに今後の経営見通しでございますが、財務分析を踏まえた結果としては、総収益対総費用比率で見ますと平成12年度は112.1%でありますが、平成14年度になりますと、水源であります早池峰ダムの完成に伴う企業債の支払いや同じく市町村交付金ですが、これが増加するということになりまして、当該比率が100%を下回る見込みでございます。その結果としては、欠損金が発生する見通しとなっております。

〇伊沢昌弘委員 他県に比べて大変低い部分が目立ったものですからお伺いをして、厳しさを改めて確認をするというわけでもないんですけれども、ぜひ御努力をお願いしたいなと思っています。
 そこで、先ほども御質問が出て料金改定の話が今後の検討課題だと言われているわけでありますけれども、私もいろんな資料を見る中で、この平成4年以来、料金改定が行われていないということで目が行ったわけであります。ただ、他県の工業用水の料金に比べて、本県の場合、一般水もろ過水も高い水準にあるということで、企業の皆さんには負担があるということで大変厳しいものだと思います。また、工業用水の料金設定の制約といいますか国の補助事業を受けてやっている部分だとか、相手がある話も含めて、現行の料金が決められている根拠についてお伺いをしたいなと思っているわけであります。なぜこの45円、44円という数字が出ているのか、そこをお知らせいただきたいと思っています。
 次、2点ほどありますので連続いたします。
 ろ過水の供給をしているわけでありますけれども、用水を浄化する際に生ずる廃棄物、汚泥が多分、多量に出ているのではないかと思っております。できればこの量がどのくらいなのかお示しをいただきたいのと、この処分先が、業者に委託をして搬入していただいて最終的な処分をお願いしていると思うんですけれども、それらの方法についてお知らせをいただきたいと思っております。
 最後になりますが、企業局全体の組織改正についてお伺いをしたいと思います。
 知事部局では、入札事務等に関して組織を改正して今年度を迎えてきているわけでありますけれども、昨年度の決算の際にも、企業局内でどのような形かということもお伺いをしてきた経緯があるわけですけれども、企業局も発注とか契約の事務があって、組織の改善について検討を行ってきたと承知をしているところであります。具体的に、12年度なり今年度にわたって改正した点があればお知らせをいただきたいと思います。それによって、言ってみれば適正な契約なり、透明性なり、公正性が保たれたという特徴点があれば、あわせてお示しをいただきたと思います。

〇石川企業局長 工業用水道の料金につきましては私の方から、それから汚泥の処理につきましては業務課長から、それから組織の見直しにつきましては総務課長から答弁をさせます。
 工業用水道の料金について、その料金改定の場合の根拠ということでございますが、工業用水の料金につきましては、経済産業省が工業用水道料金算定要領というものを示しておりまして、これに基づきまして能率的な経営のもとにおける適正な原価に照らし、公平、妥当なものとなるよう算定するということにされております。現在の料金単価は基本料金が1立方メートル当たりで45円でありますが、この単価は平成4年に国の示す基準の45円ということで、それに基づきまして決めたものでありまして、それまでは36円であったのを45円に改定したということでございます。
 それから、料金は平成4年度に定めてから、それ以降は据え置きのままになっているわけでありますが、これは、かつて平成9年度に料金単価の改正を検討したことがございますが、当時もやはり経済状況が非常に悪くて、企業誘致の政策との関連等から改定を見送ったという経緯があるものでございます。ただ、長期の経営見通しによりますと、遠からず欠損金が生じる、あるいは老朽施設の改修による費用の増加とか、その他工業用水道事業の経営を取り巻く環境も厳しくなってきているという状況もございますので、今後、水需要あるいは景気の動向なども見きわめながら、料金改定を検討していく必要があるだろうと考えているところでございます。

〇壽業務課長 工業用水で発生します汚泥の処理についてでございますが、工業用水道の各浄水場から発生する汚泥は年間約760トンでございます。そのうちの500トンにつきましては、県内にあるセメント工場──これは2カ所でございますが──に対しまして原材料として処理しております。残る260トン程度につきましては、花卉栽培等の用土や造成地の覆土として売却して再利用される形になっております。セメント工場の原材料といたしましては、平成11年度の途中からでありますが、これまで埋立処理を行ってきたわけでございますが、産業廃棄物の最終処理場が満杯になったため処理できなくなったことや、資材の有効利用の観点から、処理方法を変更したものでございます。また、セメント工場で処理されることによって、若干ではございますが、経費の節減になるということでございます。

〇渡邊総務課長 入札事務等に関してでございますが、平成13年4月から業務執行体制の一部を見直したところでございます。その内容でございますが、工事等の実施に当たりまして、従来は財務管理課におきまして指名業者の選定、それから契約事務、そして一連の中でその支払い事務まで、これをずっと財務管理課ですべて行ってきたところでございます。これを牽制機能を強化するためにということで、4月からでございますが契約事務の分を各課、それから各管理所ということで事業所ございますが、その各課、各管理所において行うようにしました。契約事務はそういうところでやるというふうに、二重にいろいろチェック体制ができるような形にいたしましたので、そういうことで透明性、公正性に従って適正に事務が行われている形になっていると考えております。

〇伊沢昌弘委員 ありがとうございました。料金改定というのは大変難しいと思うんですね。現下の経済状況を含めて、本当に企業誘致との表裏一体なものですから、ただ、供給水量がふえない、しかし将来的には赤字に転落をしていくと、そういったときには、今、局長おっしゃったように適正な原価に基づく運営が可能なものというのがこの原価計算の基本になっていくと思うので、それを一定程度原価を下げていきながらも上げないような形で赤字にならない、そういう経営をぜひ見越していただきたいと思っております。
 また、今、汚泥の処理についてお伺いをいたしました。今までの処理体系を変えて環境に優しいというか、そういった分野に変わったということで大変評価をしたいと思いますし、今後もこういった形で続くことを御祈念をしたいと思っております。
 契約についてお伺いをさせていただきました。それぞれやっぱり今、県全体で信用回復ということが喫緊の課題だと思うわけでありますので、企業局でも少なからずの大きな契約があるということですので、改めて職員の皆さんの知恵も喚起をしながら、適正な事務運営をされることを要望いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。

〇斉藤信委員 日本共産党の斉藤信でございます。
 最初に、風力発電にかかわって幾つかお聞きをします。
 この間の議論の中で風力発電の風況調査、稲庭を除いて11カ所で行われたと。それで、先ほどの答弁を聞きますと、開発可能性があるのは室根と高森だと、こういう答弁だったと思いますが、そこでお聞きしますけれども、宮守村の寺沢高原は平均風速6.5メートル毎秒でしたが、これは開発不可能という判断なのか、はっきり示していただきたい。
 それと室根地区の場合はイヌワシが数回飛来をして、猛禽類の調査実施中と、こういうふうに聞いていますが、どういう調査をしているのか、調査の現段階について示していただきたい。どこに委託して、今どういう調査の段階か、環境省のマニュアルによると2シーズン、1年半は調査しなければなりませんが、この調査はいつまで続くのか。
 それと高森高原については、これは猛禽類などのそういうことはないようですけれども、これは調査していなかったのか、気象のそういう報告がなかったのか、このことも示していただきたいと思います。
 次に、二つ目に北本内ダムの中止に関連してお聞きします。
 企業局のこれまでの負担額、そして今後の対応はどうなるのか、示していただきたい。北本内ダムの中止にかかわって予定されていた上水の利用計画がありました。8、000トンでしたか。去年は入畑ダムの工業用水の転用ということが話題になりましたけれども、これは平成32年から必要になるという話でした。そうしますと、今、水の需要計画を見直しておりますから、実質これは必要なくなるのではないかと思うんですけれども、入畑ダムの工業用水への上水の転用、この検討状況、このことを示していただきたいと思います。

〇池内風力発電開発室長 風力発電についての御質問です。寺沢高原が毎秒6.5メートルの風速で開発可能かどうかというお尋ねですけれども、6.5メートルというところで採算性はある程度見込めるというふうには考えておりますけれども、寺沢高原につきましては平成12年10月から猛禽類調査を実施中でありまして、ことしの3月までで、近くでイヌワシの営巣地がある、それから繁殖も確認されているということで、専門家等の意見もありまして、さらに4月以降も猛禽類調査を実施しているところです。実際30数回のうち20何回という高い頻度でイヌワシの飛来が確認されておりまして、今後、専門家の意見を聞きながら慎重に検討してまいりたいと考えております。
 次に、大東町の室根高原の猛禽類調査についてのお尋ねですけれども、この猛禽類調査につきましては日本野鳥の会北上支部に委託しておりまして、これは昨年平成12年10月から本年3月まで実施し、ここで12回の観測のうち3回イヌワシが確認されております。この4月に南三陸ワシタカ研究会から、計画段階でもっと慎重な検討と調査をするように要望がありまして、この要望とか専門家、自然保護家の意見を踏まえまして、さらに4月から9月にかけて6カ月間の調査を行っております。9月までの6カ月間の調査では、12回のうちイヌワシが4回観測されているということで、これにつきましても今後、専門家の意見を聞いていくことにしております。
 高森高原につきましては、9カ月間の風況観測しか行っておりませんで、あともう3カ月風況観測を実施して、1年間の風況データが得られた段階で、ある程度事業化が見込まれるという段階になりましたならば猛禽類調査を実施しなければならない、このように考えております。

〇壽業務課長 北本内ダムの中止に関連いたしまして、企業局の負担額と、それからその対応はどうなっているかというお話でございますが、北本内ダムにつきましては、これまで支払った負担額は2、036万円でございます。北本内ダムの中止に伴いまして、平成13年3月31日、県土整備部との間に北本内ダム建設事業に関する基本協定書を解除する協定の締結を行いまして、その協定書の中で、過年度の清算方法等については別途協議して定めることとしております。さらに、同協定書に基づき、同日付で北本内ダム建設事業中止に伴う清算に関する覚書を締結しておりまして、今後精算額が確定した際は、清算に係る協定を再び結ぶということになると考えております。
 次に、北本内ダム休止に関連しての水源転用のお話でございますが、北本内ダムの事業休止に関連して、利水計画の調整について検討が進められてまいりました。その後、平成12年4月の利水調整委員会で、岩手中部広域水道企業団の長期水需要予測では、平成32年度に1日当たり8、000立方メートルが不足する見込みであるとされ、この分を工業用水の一部から転用することといたしました。その後、県では、平成13年3月に北本内ダムの建設の中止が決定されまして、岩手中部広域水道企業団と転用時期等について協議を行うということにしてあるわけですが、現時点におきまして、上水の不足が生ずるのは平成24年ころとかなり先でありますことから、現在、水道企業団と詳しい協議にはまだ入っておりません。

〇斉藤信委員 風力発電で私は去年の質問でも稲庭岳の開発も積極的にこれは評価をしたわけですが、これからやるところについて今、室根高原、イヌワシの調査実施中と、実はそのイヌワシというのは今、全国で400羽から500羽の生息と、この中で岩手県内が30数ペア、大体2割近くを占めるんですね。これは豊かな岩手の自然環境のまさに生態系の頂点に立つものでありますので、私は厳正な調査と慎重な対応をぜひしていただきたいと思います。
 北本内ダムの経費なんですけれども、今はダムの建設にかかわった2、036万円が出ましたけれども、ダム建設にかかわるいわゆる発電のための設計地質調査で3、677万円かかっていますね。そうすると合わせると5、713万円、これが結局ダムにかかわって支出したということになるんでしょう。そのことをちょっと確認をして、結局ダム建設にかかわる損失と私なると思うんですよ。だから、これを清算すれば、かけた分、全くこれは企業局の責任で損失処理ということになるのではないかと思うけれども、そういうことになるのかどうか、改めてこれは確認をします。
 続いて、簗川ダムのことが先ほど質問出ましたので私も聞きますが、簗川流域はここ20年来水害がないんですね。そういう点では私は巨大なダムというよりは、適切な河川改修の可能性というのがあるのではないかと、私は持論なんですけれども、きょうは簗川ダムの水力発電の負担金が670億円という総事業費にほぼ倍加になったときにどれだけの負担金になるのか、そして発電施設の設計、さまざまな調査、建設費用、これがどのぐらい見込まれるのか、総計で幾らなのか示していただきたい。
 あわせて工業用水道についてお聞きをします。計画給水量に対して需給給水量はどうなっているでしょうか。大きな乖離がありますが、その原因、理由は何でしょうか。私は過大投資だと思いますけれども、いかがでしょうか。平成12年度決算では1億2、400万円の黒字となっていますけれども、今後の見通しについていろいろ議論がありました。口に出てくるのは早池峰ダムの負担金、交付金、そして利子だと。私、その早池峰ダムに利水参加したその理由は何なのか、このことを聞きたい。第三北上中部はいまだ35%ぐらいしか実際には水が利用されていないんですね。だから、早池峰ダムに工業用水が利水参加する本当に必要性があったのかどうか。それが今後の累積赤字、これをふやす理由だとすればこれは本当に妥当性が今、問われると思うけれども、いかがでしょうか。昨年の私の質問に対して、1年間かけて今後累積欠損金をどういうふうに解決していくかというシミュレーションをしてやりたいと、1年間やったけれどもそういう見通しが出なかったということなのか、そのことも示していただきたいと思います。

〇石川企業局長 工業用水道事業の経営の見通しについては私の方からお答えします。それから、その他のお尋ねにつきましては業務課長の方からお答えいたします。
 まず、工業用水道事業の12年度決算でございますが、今年度は1億2、400万円の純利益を出しておりますが、今後の見通しとしては欠損金が生じる見込みだということでございまして、その理由は今、委員御指摘されたことのとおりでございます。それで、1年間のシミュレーションはどうなったのかということでございますが、これにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、工業用水の上水への転用でありますとか、あるいは料金の改定の時期、額の問題とか、そういったことをもとに幾つかのシミュレーションを行いながら検討を行ってまいりました。あと今後、維持補修費がどの程度かかるかといったことも含めて。ただ、これも先ほど来申し上げていることですが、景況が非常に悪く経済的な立ち直りの見通しが見えないという状況でございますので、それで長期的な経営見通しを非常に立てにくいという状況にあります。昨年来、検討すると申し上げておりますが、そういう検討は今現在しているわけですけれども、そういった諸前提をどのように立てるかということが難しいために、はっきりした見通しを今は立てられないでいるという状況でございます。

〇壽業務課長 工業用水道の計画水量に対する契約給水量との乖離等についてでございますが、工業用水道全体の計画給水量は、1日当たり8万6、960立方メートルに対しまして、現在の契約給水量は4万1、722立方メートルであり、4万5、238立方メートルの未売水が生じております。その理由といたしましては、工業用水道の施設は、企業誘致の前に先行投資的に計画設備されるわけですが、実態といたしましては、現在分譲中の北上南部工業団地等に、当初予測しておりました用水型の企業が立地していないことや、既に立地している企業の工場の増設が景気の低迷により計画どおりに進んでいないことなどにより、計画給水量と契約給水量の乖離が生じております。(斉藤信委員「北本内は……、私が指摘したとおりなの。」と呼ぶ)先ほどの北本内のお話でございますが、約5、700万円ということでございます。

〇石川企業局長 申しわけありません。先ほど早池峰ダムに利水参加する理由はどうだというお尋ねに答えておりませんでしたので、お答えいたします。
 これは第三北上中部工業用水道事業の水源としての早池峰でございますが、そんなに難しい理屈があるわけではございませんが、要するにここに水源を求めるしか北上川には水がなかったということで、早池峰ダムに水源を確保したということでございます。

〇斉藤信委員 これで終わりますけれども、いずれ今聞いたように未売水が可能給水量と比べて半分以上未売水なわけです。私は結果的にはこれは過大投資だったと、工業用水そのものが事業の性格としては先行投資という性格を持つにしても、半分も使われないというのはこれは完全な見通しの甘さ。それともう一つは、今の早池峰、ここにしかなかったという答弁は、そうかもしれないけれども、ここは計画に対して35.4%ですよね。そして、今度の決算書にもあるように早池峰ダムの建設事業費負担金が1億7、400万円でしょう。市町村交付金というのは幾らになるのか。この間の負担増を具体的にちょっと最後示してくださいよ。それでこの開発が妥当だったと、これしかないと、その規模も含めて局長、利水参加はそこしかなかったかもしれないけれども、その計画は妥当だったのかと、今後のことも含めて示していただきたい。

〇石川企業局長 これは先ほど来答弁しておりますように、計画段階とそれから実施段階とにタイムラグがあるということでございまして、計画段階ではこういう見通しがそれなりの根拠があって計画を立てたものでございます。ただ、計画を立ててから実際に給水を開始するまでには時間もたちますし、さらに企業が張りつくまでには時間もかかります。その間に、例えば水につきましても節水型になってくるとか、当初、水を使うだろうと見込んでいた企業が、いや、水を使わないとか、あるいは所内でリサイクルをするとか、あるいはさらに、大きな工場を建てる予定であったのが景気が思わしくないためにその工場の増設が思うように進まないとか、そういったさまざまな要因があるものでございまして、計画がいいかげんだったというものでは決してないと思っております。

〇高橋賢輔委員長 ほかに質疑ありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇高橋賢輔委員長 質疑がないようでありますので、企業局関係の質疑はこれで終わります。
 お諮りいたします。認定第1号平成12年度岩手県立病院等事業会計決算から、認定第3号平成12年度岩手県工業用水道事業会計決算まで、以上3件についての意見の取りまとめの方法でありますが、午後2時35分から議会運営委員会室において各会派の代表の方々で御協議を願い、その結果を待って午後3時15分をめどに委員会を開き結論を出すことにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇高橋賢輔委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 この際、意見の取りまとめのため暫時休憩いたします。
   午後2時31分 休 憩
   午後3時3分 再 開

〇高橋賢輔委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 決算3件に対する各会派の意見の取りまとめについて、協議した結果について御報告申し上げます。
 認定第1号平成12年度岩手県立病院等事業会計決算については、厳しい医療環境にありながらも、医療の近代化、高度化を積極的に推進し、公的病院及び地域医療の中核医療機関として、その使命を果たしてきた努力は評価するところである。しかしながら、県立病院の経営は、施設の整備充実などによる諸経費の増加が見込まれるとともに、急速な少子・高齢化や低迷する経済状況など、医療を取り巻く大きな環境変化に対応するための医療制度の抜本改革が予定されていることから、さらに厳しい経営環境に置かれることが予測される。
 今後の経営に当たっては、引き続き国に対し、財政措置の強化などを積極的に要望するほか、効率化・合理化により経営の健全化に努めるとともに、医師の確保を初め高度医療設備の整備充実等、県立病院等長期経営計画の着実な推進を図り、もって県民医療サービスの充実、向上に努力せられたい。
 認定第2号平成12年度岩手県電気事業会計決算については、今後とも引き続き健全な経営の推進に努めるとともに、新規電源の開発についても、なお一層努力をせられたい。
 認定第3号平成12年度岩手県工業用水道事業会計決算については、関係機関と密接な連携をとり、積極的に需要の拡大に努めるとともに、経営の健全化にさらに一層の努力をせられたいとの意見を付し、それぞれ認定することにいたした次第であります。
 これより採決いたします。
 認定第1号平成12年度岩手県立病院等事業会計決算について、ただいまの意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇高橋賢輔委員長 起立多数であります。よって、認定第1号平成12年度岩手県立病院等事業会計決算については、ただいまの意見を付し、認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号平成12年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成12年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件については、ただいまの意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇高橋賢輔委員長 起立全員であります。よって、認定第2号平成12年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成12年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件については、ただいまの意見を付し、認定することに決定いたしました。
 以上をもって、当特別委員会に付託されました案件の審査は全部終了いたしました。委員各位の御協力に対し深く感謝を申し上げます。
 これをもって決算特別委員会を閉会いたします。
   午後3時7分 閉 会


前へ 次へ