平成13年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 商工文教委員長報告に関し、商工文教委員長に質問いたします。
 請願受理番号第38号30人学級実現を中心とする、ゆき届いた教育をすすめる請願と受理番号第43号30人以下学級実現・教育予算の増額を求めることについて請願及び受理番号第52号は、それぞれ一部採択、一部不採択との報告であります。今回、すべての小中高で30人以下学級を実現し、教職員を大幅に増やすよう、再度、国に強く働きかけることの請願項目が不採択とされた理由と議論についてお聞きしたいと思います。
 小・中学校、高校で30人以下学級の実現を求める請願は、これまで3年間、この県議会で3回にわたって採択をされ、県議会として意見書も採択をして、政府、文部省に送付をしてきたものであります。不登校や校内暴力、高校中退などの子供たちと教育をめぐる状況が一層深刻になる中で、一人一人に行き届いた教育を進める30人以下学級の実現を求める声は、文字どおり、子供たち、父母、教師、学校の切実な願いであります。文部省は、本年度から第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画を実施していますが、これは、これまでの40人学級編制をそのままにして、若干の非常勤講師の加配によって一部の学校で少人数学級を実施しようとするもので極めて不十分なものであります。欧米諸国の少人数学級と比べてもその立ちおくれは異常なものでありますが、なぜ、これまで採択をされ、意見書まで上げられた30人学級実現の請願項目が不採択となったのでしょうか。
 次に、受理番号第43号の請願では、30人以下学級の実現に向けて、当面、速やかに、全ての小学校で、低学年(1・2年生)の35人学級を実現するよう、市町村とともに努力することの請願項目が不採択とされたのはなぜでしょうか。県の教育委員会は今年度から、県内40校の小学校で30人を超える1年生の学級に40人の非常勤講師を1学期のみ配置をしました。今議会の教育長答弁でも、児童が落ちついて授業を受けることができるようになり、学習意欲が向上するなど大きな効果があったと述べています。一方、2学期以降の継続配置、午前中のみでなく午後までの勤務、指導の継続の要望も明らかになっています。県教委の不十分な一時的、部分的取り組みでも小学校低学年1・2年生の少人数学級の実現は、急務と言うべきではないでしょうか。
 全国的には、隣の秋田県が小学校1・2年生の30人学級編制に取り組んでいます。新潟県でも同様の少人数学級に取り組んでいます。広島県、愛媛県、鹿児島県でも小学校1年生などで35人以下学級編制に取り組んでいます。山形県では小・中学校の全体で30人学級の実現を目指すことを明らかにしました。青森県でも、30人学級の実現が知事のイニシアチブで検討されています。今や、東北から30人学級、少人数学級の大きな画期的うねりがつくられているのではないでしょうか。商工文教委員会では、こうした最近の新しい動向について議論されたのでしょうか。そのことを含めて不採択とした理由を示していただきたい。

〇商工文教委員長(上澤義主君) 多くを語ることはありませんが、慎重審査の結果、委員各位の、時としての苦汁の選択でもありました。委員長報告のとおり決定したところであります。
 以上であります。

〇議長(谷藤裕明君) 以上で通告による質疑は終わりました。これをもって質疑を終結いたします。
 これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。
   〔23番斉藤信君登壇〕

〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 請願陳情受理番号第38号、第43号、第52号の一部不採択に反対、並びに議案第9号から第14号について反対の討論を行います。
 請願受理番号第38号、第43号、第52号で一部不採択とされた項目は、小中高での30人以下学級の実現を国に求める項目と、小学校1・2年生に35人以下学級の実現を県に求める項目であります。
 不採択に反対する第1の理由は、小中高で30人以下学級の実現を国に求める請願は、県議会でこれまで3回にわたって採択をされ、意見書を国と文部省に送付してきたものであります。いまだに県民、父母、子供、教師と学校が強く求めている30人以下学級が実現していない中で、これまでの県議会の経過と対応に背を向けて不採択としたことは、県民の願いに背を向けるものと言わなければなりません。
 第2の理由は、今まさに30人以下学級、少人数学級を求める取り組みは、東北各県で、全国で大きな新しいうねりとなって進められようとしているからであります。既に秋田県では小学校1・2年生を対象に、30人程度の学級編制ができるよう教諭等を配置する取り組みが実施されています。新潟県でも同様の対策が実施されています。広島県、愛媛県、鹿児島県などでは小学校1年、中学校1年を対象に35人以下学級編制に取り組んでいます。重要なことは、山形県では、知事が小・中学校での30人学級実現を二、三年の間で進めたいと言明したことであります。青森県でも知事が県教委に対し、30人学級の検討を指示しています。
 不登校やいじめ、校内暴力など、子供たちと教育、学校をめぐる状況は本当に深刻であります。だからこそ今、一人一人に行き届いた教育を進める30人以下学級、少人数学級を目指す取り組みが東北各県を中心に全国で広がっているのではないでしょうか。岩手県議会がこうした新しい流れに背を向けていいのでしょうか。
 不採択に反対する第3の理由は、少人数学級の有効性が明らかになっているからであります。国立教育政策研究所がことし6月、学級規模と学力の関連を調べた調査結果を発表しましたが、その内容は五つに分けた学級規模のうち最も小さい20人以下のクラスは、小学校の算数と理科、中学校の数学と理科のいずれも平均得点が最も高いというものであります。また、20人以下の学級では、級友や教師との関係を肯定的にとらえる傾向が目立ち、明らかな有意差があった。小規模クラスは生活指導上も効果があることを示していることであります。この調査結果について、読売新聞は社説で取り上げ、証明された少人数のメリットと論評し、小規模学級実現の必要性を指摘しています。岩手県もことし、県内40校の小学1年の30人を超えるクラスに1学期の午前中のみ非常勤講師を配置しました。これは極めて不十分な一時的、部分的措置でありますが、児童が落ちついて授業を受けることができるようになり、学習意欲が向上するなどの効果があり、さらに2学期以降も継続的な取り組みを求める声、要望も出ているとしています。
 21世紀の日本と岩手の未来を担う子供たちに対し、欧米並みの少人数学級で行き届いた教育を進めることは、国と県、市町村に求められている最優先で最重要な課題と言うべきではないでしょうか。
 第4の理由は、小・中・高で30人学級を実現すれば、県内で新たに2、548人の教員をふやすことができ、教育系大学生の就職難打開と雇用拡大にも結びつく大きな課題だということであります。そして、青年教師の採用は学校にも新しい活力となり、学校と教育の活性化に結びつくことは明らかであります。現在、小・中学校の20代の教師は全体で12.1%にとどまっており、20代の教師のいない小学校は34.6%、中学校は17.6%となっています。この解決は急務であります。30人以下学級の実現、小学校低学年での少人数学級の実現に県議会が背を向けることになるなら、これは県議会の汚点と言うべきものではないでしょうか。
 議案第9号から第14号は県営建設事業について関係市町村の負担を求めるものであり、従来どおり反対するものであります。
 以上を述べて反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(谷藤裕明君) 以上で通告による討論は終わりました。これをもって討論を終結いたします。
 これより議案第9号から議案第14号まで、請願陳情中、受理番号第38号、受理番号第43号及び受理番号第52号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕 

〇議長(谷藤裕明君) 起立多数であります。よって、議案第9号から議案第14号まで、請願陳情中、受理番号第38号、受理番号第43号及び受理番号第52号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号から議案第8号まで、議案第15号、議案第16号、議案第18号から議案第29号まで、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、議案第1号から議案第8号まで、議案第15号、議案第16号、議案第18号から議案第29号まで、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
   日程第30 委員会の閉会中の継続調査の件

〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第30、委員会の閉会中の継続調査の件を議題といたします。
   
〔参照〕
総務委員会
 NPO活動支援事業について
環境福祉委員会
産業廃棄物の不法投棄・不正搬入の状況について及び県立病院における医療廃棄物の処分状況について
商工文教委員会
 地域における雇用・能力開発対策の現状について
農林水産委員会
岩手県オリジナル水稲品種いわてっこの育成経過と生産販売方針について及び本県における系統豚造成と供給体制について
県土整備委員会
 発電所集中監視制御システムについて
   

〇議長(谷藤裕明君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続調査の件につきましては、先ほど各委員長から報告のとおり申し出がありましたが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長から申し出のとおり、閉会中の継続調査に付することに決定いたしました。
   
日程第31 認定第1号平成12年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第33 認定第3号平成12年度岩手県工業用水道事業会計決算まで

〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第31、認定第1号から日程第33、認定第3号までを一括議題といたします。
 各案件に関し委員長の報告を求めます。高橋決算特別委員長。
   〔決算特別委員長高橋賢輔君登壇〕


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