平成13年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 本日提案されました議案第29号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部改正について質問いたします。
 この議案は、大船渡地方振興局の県道工事の談合事件、公文書である虚偽契約書の行使について、有罪判決が確定したことから、増田知事がみずから責任をとって給料の1割を3カ月減額しようとするものであります。知事みずからが責任をとることは当然のことでありますが、重要なことは、今回の県職員がかかわった談合事件の全貌を知事自身が正確に把握して、今後の県政運営、とりわけ公共事業の執行に生かすことであります。
 そこで、増田知事に伺います。判決では、被告県職員の供述として、80件くらいの入札を扱ってきた経験上、1回の入札で決まる一落のケースがやたらと多く、決まらない場合でも、1回目に最低価格を入札してきた業者であるというのが多かったので、談合が行われているのではないかと思っていたとして、日常的、一般的に談合が行われていたとの認識があったことを明らかにしたとしています。別の被告県職員も、大船渡地方振興局土木部総務課に配属されて以来、同僚から談合のうわさを聞いたことがあったこと、継続工事の場合、前の工事を受注した業者が受注することが多く見受けられたことから、談合があることは感じ取っていたと供述しています。
 検察の冒頭陳述でも、談合した業者等は慣例に従い、建設業協会大船渡支部に集まって、右入札では株式会社佐々忠に落札させる旨談合したと指摘し、自社の入札金額を算出し、協力札をほかの指名入札参加者に回したとしています。今回の判決は、少なくとも大船渡地方振興局内の県営建設工事については、慣例的に従来から業者間で談合がなされていたことを明らかにするものであります。知事は、今回の判決の内容、指摘されている従来からの慣例的談合の実態について、どう認識されているでしょうか。また、どう今後改善しようとしているでしょうか、示していただきたい。
 また、大船渡地方振興局の場合は例外的な事件ととらえているのか、県内全体にかかわる問題として受けとめているのか、示していただきたい。
 知事は7月3日の有罪判決に当たって、私自身が先頭に立ち、県職員と一丸となって、県政に対する信頼の回復に全力を尽くしたいと述べました。しかし、知事就任以来、県職員の不祥事は、明らかになったものだけでも8件と、最近の事件を含め、とどまるところを知らない感じがします。知事として何が問題か、どう抜本的に改善していくのか、示していただきたい。
 私は、問題の一つに知事と県職員の意思疎通が不足していることがあると考えます。現場の県職員と車座の集会など、現場の仕事の実態、県職員の要望をもっとよく聞くべきと思いますが、いかがでしょうか。
 談合問題について具体的にお聞きします。
 一つ、大船渡地方振興局において、談合事件前とそれ以後で、予定価格に対する落札金額の比率に変化はあるのでしょうか、具体的に示していただきたい。
 二つ、平成11年度に3件あったとされる入札辞退届の内容、実態はどういうものだったでしょうか。
 三つ、この間、入札改善に取り組まれているが、その内容と全県的にその効果、成果はどう具体的にあらわれているか、示していただきたい。昨年度と今年度の予定価格に対する落札金額の比率も示していただきたい。県内業者への発注額、発注比率も示していただきたい。
 四つ、この議会中にも、簗川ダムの国道106号つけかえ工事の入札4件に関し、談合情報が寄せられ、1件が入札中止、3件が延期となっていますけれども、県はどう調査、対応しているのでしょうか。
 五つ、昨日定礎式が行われた鷹生ダム堤体工事について、最近、我が党のしんぶん赤旗が、全国のダム工事について、ゼネコン業界の談合を示す内部文書を入手し明らかにしました。これは情報提供いたしました。この文書は1995年12月、山崎建設によって作成されたものでありますが、鷹生ダムについても本命企業として清水建設が明記されていました。実際、1998年5月28日の入札の結果、清水建設、熊谷組、佐賀組JVが169億円で落札しています。落札額は予定価格に対して97.15%の高率でした。この事実、証言について県はどう受けとめているでしょうか。今後どういう対応が考えられるでしょうか。入札条件ではどうなっているでしょうか。
 六つ、入札の改善を図る上で、地域別、ランク別に厳格に条件付一般競争入札を行い、公正な入札で地元業者に仕事がしっかりと回るようにすべきと思いますが、いかがでしょうか。談合情報どおりの落札となった場合は入札を取り消すなどの実効ある対策をとるべきではないでしょうか。
 七つ、また、談合防止では、建設業界等の対応、対策も重要であります。業界の対応、対策はどうなっているか示していただきたい。
 最後に、県警本部長に質問いたします。
 大船渡地方振興局の県道工事にかかわる談合事件について、鋭意捜査が行われたことを評価したいと思います。そこで、判決が確定したので、捜査、供述等で明らかになった談合の実態、仕組み、問題点について具体的に示していただきたい。
 県職員がかかわった背景には、これまでの業界、業者との癒着、なれ合いがあったと思われますが、それはどういうものであったでしょうか。
 また、検察側の証拠書類では自由競争がなされた場合、今回の工事は2、000万円から2、108万円と積算されるとの指摘がありました。そうしますと談合落札金額との差額は417万円となりますけれども、これはどういう根拠、試算に基づくものでありましょうか、示していただきたい。
 以上であります。
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) まず、大船渡の入札妨害事件の判決については、厳粛に受けとめております。県営建設工事の発注については、真の発注者は県民であるとの認識に立って、従来、厳正な事務の執行に努めてきたところでございますが、談合などの違法、不正な行為を行う不良不適格業者について、これを排除していくということが必要であるというふうに思っております。
 大船渡のこの今回の事件を契機として、県営建設工事の入札制度の公正性、透明性及び競争性をより高める方向での改善を進めるため、昨年の8月に、県の副知事を委員長とする入札制度改善等検討委員会を設置して、入札監視委員会の設置や、担当職員の資質を高めるための研修の充実、不正行為に対するペナルティーの強化など19項目の改善策を決定して、順次実施をしてきたところでございますが、今後も、公正な入札の確保に向けて、きちんとした対応をしてまいりたいと考えております。
 次に、職員の不祥事発生の問題点と改善策についてでございますが、このいずれの不祥事につきましても、職員が全体の奉仕者として、公正かつ厳正な職務遂行が求められる公務員としての基本的な職責に対する意識が欠けていたこと、また、過去の不祥事の反省が生かされず、職員一人一人が事件をみずからの問題として受けとめずに、当事者意識が不十分だったことといったような要因があると考えております。
 今後、原点に立ち返りまして、私も含めて公務員としての自覚や業務への取り組み姿勢のあり方を職員一人一人がみずからに問い直すよう、改めて各職場での話し合いを徹底させるほか、行われております研修の内容を工夫、改善するなど、こうした職員の公務意識の高揚に努めていく考えでございます。
 次に、私と職員との意思疎通についてでございますが、可能な限り現場の方に足を運んで、職員の生の声を聞きながら業務の実態を把握して仕事をしていくと、これは基本でございます。新任課長などを初め、各部局や地方振興局で業務運営の中心となっている中堅職員などとも十分な意見交換を行うなど、職員各層と直接懇談する機会をこれからも十分に確保して、そしてそうした意思を十分に通わせた上で仕事に専念してまいりたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、総務部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) まず、大船渡地方振興局における落札率についてでありますが、業者が逮捕された平成12年9月以前の4月から8月までに執行された48件の平均落札率は98.94%となっており、また平成13年度の同じ時期に執行された79件の平均落札率は96.71%となっております。
 次に、入札辞退届の内容等についてでありますが、11年度について入札調書により3件の辞退があったことを確認しております。入札辞退届は、辞退の理由を記入する形にはなっておりませんので、内容までは確認できないものであります。
 次に、入札改善の取り扱いについてでありますが、先ほど知事が申し上げました入札制度改善等検討委員会においては、事前の相談を防止するための指名業者名の事前公表の廃止や、競争性を高めるための条件付一般競争入札の範囲の拡大、具体的には2億円以上を1億円以上に拡大したことでありますが、こうした入札方法の改善、それから入札に精通した職員の育成や実務者レベルのワーキンググループの設置など担当職員のレベルアップ、さらには、県が執行した入札事務をチェックする機関としての入札監視委員会の設置や、損害賠償請求の予約、契約の解除権について契約書への明記等、不正行為に対するペナルティーの強化などを改善項目として設定し、これらに順次取り組んできたところであります。
 次に、落札率でありますが、本庁執行分の平成12年度の平均落札率96.05%に対して、本年度4月から8月末までの平均落札率は92.92%となっております。県内業者への発注額及び発注比率でありますが、昨年度と前年の11年度の比較になりますけれども、平成11年度は1、358億円、82.3%、平成12年度は1、385億円、73.1%となっております。
 次に、簗川ダムに係るつけかえ道路工事の談合情報の対応についてでありますが、現在、本工事を所管する盛岡地方振興局におきまして、振興局長を委員長とし、関係部長等で構成する盛岡地方公正入札調査委員会で調査中であります。
 次に、鷹生ダム堤体工事についてでありますが、入札は一般競争入札により適正に執行されたものと認識しております。入札条件については、従前は、入札参加の通知の際、談合の事実が確認された場合には、入札は無効となる旨記載された入札心得を配付することにより注意を喚起しておりましたが、本年1月からは談合等があった場合の契約解除を明確にし、その旨を契約書に明記したところであります。
 次に、条件付一般競争入札の方法についてでありますが、1億円以上2億円未満の工事については、当該及び隣接地方振興局管内の地域を要件とし、また、2億円以上の工事については県内全域を要件として、県内の地元業者に優先的に発注することとしております。
 談合情報があった場合の対応についてでありますが、必要に応じて調査を行い、談合の事実が確認された場合には、契約前であれば落札決定を取り消し、契約後であれば契約を解除することとなるものであります。
 次に、業界等の対応についてでありますが、発注者側の対応だけでは限界があり、受注者側のモラルの向上が強く求められるところであり、業界では、大船渡の事件後、独自に独占禁止法等に関する研修会を開催したと聞いておりますが、業界側の談合防止に対するさらなる取り組みが必要と考えております。
   〔警察本部長出原健三君登壇〕

〇警察本部長(出原健三君) まず、捜査の概要等についてお答えいたします。
 本件につきましては、関係業者間で、あらかじめ申し合わせていた業者と異なる別の業者が落札したということを受けて、関係者が共謀し、あらかじめ申し合わせていた業者が予定どおり落札したかのように装って虚偽公文書を作成、行使するとともに、偽計を用い公の入札の公正を害すべき行為をしたというもので、警察におきましては、この事実について、法と証拠に基づき捜査を推進した結果、虚偽公文書作成、同行使、競売入札妨害により、送致したものであります。
 次に、業界、業者との癒着、なれ合いがあったかどうかという問題についてでありますが、一連の捜査において、一部の事件関係者から、入札前には指名業者が集まり、話し合いを行ったことがあったとの供述等がなされたことは事実でありますが、日常的に談合が行われ、業者間で受注業者を決める体質があったか否か、また、業界、業者との癒着、なれ合いの問題については、警察としましては本件捜査のみをもって判断することはできないことを御理解いただきたいと思います。
 次に、積算工事価格に関しての質問でありますが、この種事案の捜査におきましては、捜査上の必要性から、工事価格を関係者等に別途積算させることがあります。その結果、本件においては、御質問の積算価格になったものと承知しております。

〇議長(谷藤裕明君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第29号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例は、総務委員会に付託いたします。
 この際、暫時休憩いたします。
   午後1時25分 休 憩
   

出席議員(49名)
1  番  及 川   敦 君
2  番  飯 沢   匡 君
3  番  樋 下 正 信 君
4  番  照 井 昭 二 君
5  番  柳 村 岩 見 君
6  番  小野寺 研 一 君
7  番  吉 田 昭 彦 君
8  番  工 藤 大 輔 君
9  番  川 村 農 夫 君
10  番  佐々木 順 一 君
11  番  佐 藤 力 男 君
12  番  阿 部 静 子 君
13  番  阿 部 富 雄 君
14  番  水 上 信 宏 君
15  番  田 村   誠 君
16  番  岩 城   明 君
17  番  中屋敷   十 君
18  番  千 葉   伝 君
19  番  及 川 幸 子 君
20  番  阿 部 敏 雄 君
21  番  川 口 民 一 君
22  番  小野寺   好 君
23  番  斉 藤   信 君
24  番  伊 沢 昌 弘 君
25  番  田 村 正 彦 君
26  番  上 澤 義 主 君
27  番  瀬 川   滋 君
28  番  佐々木 大 和 君
29  番  藤 原 泰次郎 君
31  番  谷 藤 裕 明 君
32  番  菊 池   勲 君
33  番  佐々木 一 榮 君
34  番  伊 藤 勢 至 君
35  番  高 橋 賢 輔 君
36  番  小 原 宣 良 君
37  番  長谷川 忠 久 君
38  番  千 葉   浩 君
39  番  吉 田 洋 治 君
40  番  工 藤   篤 君
41  番  菅 原 温 士 君
42  番  佐 藤 正 春 君
43  番  山 内 隆 文 君
44  番  折 居 明 広 君
45  番  村 上 惠 三 君
46  番  藤 原 良 信 君
47  番  及 川 幸 郎 君
48  番  菊 池 雄 光 君
49  番  佐々木 俊 夫 君
51  番  吉 田   秀 君

欠席議員(1名)
30  番  船 越 賢太郎 君
   

説明のため出席した者
休憩前に同じ
   

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   

午後1時58分 再 開

〇議長(谷藤裕明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
   
   報 告

〇議長(谷藤裕明君) 総務委員長から、総務委員会報告書が提出されておりますが、後刻詳細に報告を求めますので、朗読を省略いたします。
   〔「議長、議事進行。」と呼ぶ者あり〕


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