平成13年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成13年12月3日(月)

1開会 午前10時5分

1出席委員 別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長     照 井   崇
議事課長     熊 谷 素 紀
議事課長補佐   浅 田 和 夫
主任議事管理主査 八重樫 典 彦
議事管理主査   浅 沼   聡
議事管理主査   熊 谷 正 則
議事管理主査   田 丸 裕佳子

1説明員
副知事      高 橋 洋 介
出納長      橋 田 純 一
総務部長     小 原 富 彦
総務部次長兼総務室長 千 葉   弘
総合防災室長兼危機管理監事務取扱 長 葭 常 紀
人事課長     宮 舘 壽 喜
財政課長     菊 池 秀 一
税務課長     菅 原 晴 輝
 
総合政策室長   佐 藤 徳兵衛
首席政策監    法 貴   敬
政策推進監    久 保 協 一
 
地域振興部長   飛 澤 重 嘉
地域振興部次長兼地域企画室長 相 原 正 明
企画振興部次長  千 田   勉
地域企画監    山 口 和 彦
地域振興課長   酒 井 俊 巳
市町村課長    福 田   毅
 
副出納長兼出納局長 仙 石 隆 夫
出納課長     山 口 喜 弘
 
監査委員     一 戸 克 夫
監査委員     及 川 桂 子
監査委員事務局長 藤 沢 政 則
総務課長     水 本 紘 一
監査課長     三 上 佑 子

〇照井議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。出席委員中、千葉浩委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 千葉浩委員、どうぞ委員長席に御着席を願います。
   〔年長委員千葉浩君委員長席に着く〕

〇千葉浩年長委員 ただいま紹介をされました千葉浩であります。何とぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉浩年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は、指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉浩年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に千葉伝君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました千葉伝君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉浩年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました千葉伝君が決算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました千葉伝君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 千葉委員長、特別委員長席にお着きをお願いいたします。
   〔決算特別委員長千葉伝君委員長席に着く〕
   (拍手)

〇千葉伝委員長 ただいま委員各位の御推挙によりまして、特別委員長を仰せつかりました千葉伝でございます。
 大変光栄に存じておりますが、一方、身の引き締まる思いをいたしております。委員各位の御協力によりまして責務を全うしたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉伝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉伝委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は、指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉伝委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に及川幸子さんを指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した及川幸子さんを決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉伝委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました及川幸子さんが決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました及川幸子さんが委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 及川副委員長、ごあいさつを願います。

〇及川幸子副委員長 ただいまは委員各位の御推挙によりまして、決算特別委員会副委員長を仰せつかりました。大変ありがとうございます。
 委員長を補佐するほど力はありませんが、誠心誠意、一生懸命務めてまいりたいと思っております。この決算特別委員会が円滑に進むように皆様方の大きな御協力をお願い申し上げます。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。(拍手)

〇千葉伝委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算12件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から12月7日までの5日間は、出納長及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算12件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、12月7日の警察本部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉伝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。認定第1号平成12年度岩手県一般会計歳入歳出決算から認定第12号平成12年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計決算までの12件を一括議題といたします。
 これより出納長に決算の総括説明を求めます。

〇橋田出納長 平成12年度歳入歳出の概要につきまして御説明を申し上げます。
 岩手県総合計画の実質的初年度に当たる平成12年度一般会計歳入歳出予算は、当初予算が8、963億3、485万円余で、義務的経費を中心とした骨格的予算であった前年度の当初予算に比べまして、266億2、327万円余、3.1%の増となり、この当初予算に、国の経済対策に対応した公共事業及び県単独事業など362億5、854万円余の追加補正が行われ、さらに、前年度からの繰越額1、090億6、644万円余を加えた結果、予算現額は1兆416億5、984万円余となりまして、前年度に比べますと22億2、428万円余、0.2%の増となったものであります。
 それでは、お手元に配付をいたしております歳入歳出決算事項別明細書・実質収支に関する調書の373ページをお開き願います。
 ただいま申し上げました予算現額に対する決算額は、お手元の調書に記載のとおり、一般会計の歳入総額は9、723億7、507万円、歳出総額は9、411億9、362万円余であり、歳入歳出差し引き額は311億8、144万円余となったものであります。また、歳入歳出差し引き額から翌年度へ繰り越されるべき財源295億4、130万円を差し引いた実質収支額は16億4、014万円余の黒字となりました。
 次に、歳入歳出決算書の2ページ及び3ページをごらんいただきたいと存じます。
 まず、歳入についてでありますが、収入済額は9、723億7、506万円余で、前年度と比べますと217億6、640万円余、2.3%増加し、収入済額の割合は、予算現額に対して93.3%、調定額に対して99.7%となりました。
 なお、収入未済額は25億8、793万円余で、前年度に比べまして2億457万円余増加いたしましたが、この収入未済額の主なものは県税であります。
 次に、4ページと5ページの歳出についてでありますが、支出済額は9、411億9、362万円余で、前年度に比べますと121億9、164万円余、1.3%増加し、予算現額に対する支出済額の割合は90.4%となりました。
 また、翌年度繰越額は989億4、866万円余で、前年度に比べまして101億1、778万円余減少いたしましたが、この繰越額の主なものは、土木費及び農林水産業費であります。
 なお、不用額は15億1、755万円余で、前年度に比べまして1億5、041万円余増加いたしました。
 次に、歳入歳出決算説明書の1ページをごらんいただきたいと存じます。
 一般会計の決算の特色といたしましては、第1には、決算規模の伸び率が上昇したことでございます。決算規模の伸び率は、歳入におきましては、地方交付税、県債、県税等の伸びにより2.3%、歳出におきましては、公債費、総務費、諸支出金等の伸びにより1.3%、それぞれ前年度を上回ったものであります。
 第2には、実質収支、単年度収支とも引き続き黒字となったことであります。依然として厳しい財政環境下のもと、歳入の確保、歳出の効率的な執行に努めました結果、実質収支では16億4、014万円余、単年度収支では2億2、526万円余と、前年度に引き続き、ともに黒字となったものであります。
 第3には、一般財源が、その額、構成割合とも高まったことであります。介護保険制度の実施に伴う県負担分が新たに基準財政需要額に算入されたことなどによる地方交付税の増、県民税利子割の大幅な伸びによる県税の増が主な要因となりまして、一般財源が前年度に比べ173億3、989万円余、3.7%増加し、歳入に占める構成割合は50.3%となりまして、前年度を0.7ポイント上回ったものであります。
 第4には、公債費が増加したことであります。公債費は、国の経済対策に取り組むために発行した県債等の元利償還金の増加により、前年度に比べ104億1、497万円余、10.6%増加して1、084億5、773万円余となり、過去最高となったものであります。
 第5には、繰越額が多額となったことであります。計画調整等に不測の日数を要したほか、国の経済対策に対応して公共事業の追加などが行われたことによりまして、翌年度に繰り越した金額は、989億4、866万円余となり前年度に比べ減少したものの引き続き多額となったものであります。
 以上、一般会計決算の特色を申し上げましたが、次に、母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の決算内容について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、歳入歳出決算書の20ページ以下をごらんいただきたいと思います。特別会計歳入歳出決算総括表により御説明を申し上げます。
 母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の歳入合計額は、25ページに記載されておりますとおり443億5、958万円余であり、収入未済額は15億1、524万円余となりましたが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計における中小企業高度化資金の償還金などであります。
 また、歳出合計額は、28ページに記載されておるとおり387億9、645万円余であり、各会計とも実質的な黒字となりました。
 以上で決算の概要説明を終わらせていただきますが、お手元に歳入歳出決算書、歳入歳出事項別明細書・実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、説明資料として歳入歳出決算説明書をお配りいたしておりますので、御参照を賜りたいと存じます。
 なお、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から説明申し上げることとなっております。
 また、監査委員から御意見のございました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じたところでありますが、会計事務の適正な執行につきましては、今後とも、各部局への指導、適切な出納審査等を行うなど、その万全を期してまいりたいと存じております。
 よろしく御審議の上、御認定くださいますようお願いを申し上げまして、説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

〇千葉伝委員長 これより総括質疑に入ります。
 最初に代表質疑を行います。発言時間は、答弁を除き1人30分以内となっておりますが、発言時間に残時間があるときは、その範囲内で、当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっております。
 なお、世話人会の申し合わせにより、平成12年度決算の審査であるので、当該年度に関する質疑とされたいこと、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力されるようお願いします。
 これより代表質疑に入ります。

〇折居明広委員 自由党の折居明広でございます。
 会派を代表いたしまして、平成12年度決算について、総括的に質問させていただきます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、平成12年度における主要な事業への取組状況についてお伺いいたします。
 自立・参画・創造を理念とする県の総合計画において、夢県土いわての創造に向けた五つの社会の実現を目指しており、実施計画の中で、平成11年度から平成17年度までの前期7カ年に実施すべき343の主要な事業を明らかにしております。平成12年度はこの総合計画の2年目であったわけでありますが、これら主要な事業に対する県の取組状況について、まずお聞かせ願います。

〇高橋副知事 主要な事業への取組状況のお尋ねでございましたが、答弁に入ります前に一言申し上げたいと思います。
 昨年は、大船渡地方振興局におきます入札事務に係る不正事件など、県民の信頼を大きく損なう事件が発生したところでございまして、県民の皆様に改めておわびを申し上げますとともに、再発防止に向けて全力を尽くしてまいる考えであることを申し述べておきたいと存じます。
 それでは、取組状況について御答弁を申し上げたいと思いますが、平成12年度におきます主要事業への取組状況は、343の主要な事業のうち319事業を実施いたしまして、その実施割合は約93%となっておるところでございまして、実績額の合計は決算ベースでは3、764億円となっておるところでございます。
 総合計画の五つの社会ごとの主な取組状況について、主な事業を申し上げたいと存じますが、まず、自然と共生し、循環を基調とする社会につきましては、エコライフ活動の推進など地球温暖化防止に対する意識の啓発を図るとともに、ごみの減量化や、再利用、再資源化、また不適正処理への監視強化、さらには新エネルギーの利用促進を図るなど、循環型社会の形成に努めたところでございます。
 次に、快適に安心して暮らせる社会につきましては、下水道を初めとした汚水処理施設の整備を進めるとともに、少子化対策を総合的に推進するいわて子どもプランを策定したほか、救急医療対策の推進、さらには遠隔医療支援など、患者の立場に立った良質な医療供給体制の整備に努めたところでございます。
 次に、創造性あふれ、活力みなぎる産業が展開する社会につきましては、農林水産業については、中山間地域等直接支払交付金制度を創設いたしまして、中山間地域の多面的機能の維持、増進を図ったほか、意欲ある担い手の育成、確保に努めたところでございますし、商工業につきましては、商店街の活性化を図るとともに、中小企業の情報化支援なり新事業創出の促進、さらにはベンチャー企業の支援体制の強化を図ったところでございます。
 次に、ネットワークが広がり、交流・連携が活発に行われる社会につきましては、岩手県広域行政推進指針の策定、またシンポジウムの開催等を通じまして、市町村合併を含めた広域行政推進の機運の醸成を図るとともに、いわて情報ハイウェイを開通させて、情報通信ネットワークの基盤整備を図ったところでございます。
 次に、個性が生かされ、共に歩む社会でございますが、児童生徒のたくましく生きる力をはぐくむために、一人一人の能力、適性に応じた教育を進めるとともに、男女共同参画フェスティバルを開催するなど、男女共同参画社会の実現に努めたところでございます。
 以上、平成12年度におきます主要な事業への取組状況は、総じて所期の成果を上げたものと考えておりますが、今後におきましても、計画的、効率的な事業展開に努めまして、総合計画の着実な推進を図ってまいりたいと考えております。

〇折居明広委員 次に、平成12年度の財政運営についてお伺いします。
 平成12年度の当初予算は、経済情勢が依然として厳しい状況の中にあって、歳入面では、県税収入が伸び悩み、国庫支出金等の伸びにも多くを期待できず、一方歳出面では、公債費等の義務的経費が増加するなど、一段と厳しい財政環境のもとでの予算編成であり、加えて、年度途中には、国の公共事業等予備費の配分や日本新生のための新発展政策に対応した補正予算の編成など、限られた財源の中で、さまざまな課題への積極的な対応を求められたわけでありますが、平成12年度は年間を通じてどのようなスタンスで財政運営に当たられたのでしょうか、その基本姿勢についてお伺いします。
 また、その結果、岩手県行政システム改革大綱に基づく財政健全化目標として掲げられている、歳出規模の抑制、県債依存度の縮減、財政調整基金等主要3基金の残高確保の3点については達成できたのかどうか、あわせてお伺いいたします。

〇小原総務部長 平成12年度の財政運営に当たっての基本姿勢についてのお尋ねでありますが、12年度に当たりましては、当初予算編成に当たって財政の健全化を確保するため、中期財政見通しを踏まえ、全体として歳出規模の抑制に努めたところではありますが、その中で、特に岩手県総合計画に掲げる施策の着実な推進を図ることを基本に据えまして、環境、ひと、情報の三つの視点に留意したプロジェクトを予算編成上の重点的な課題として、各分野にわたり重点的な配分を行ったところであります。
 また、社会資本投資や中小企業金融対策などの景気対策につきましても積極的に取り組むとともに、実行段階を迎えました地方分権の推進や介護保険制度の円滑な試行などの諸課題にも積極的に対応したところであります。
 これらの結果、平成12年度の当初予算は、知事選後の肉づけ予算であります平成11年度6月現計予算に対しまして0.7%の増という抑制型の予算として編成したものでございます。その後、国におきまして景気の下支えに万全を期すということのために、公共事業等予備費の使用を決定したこと、あるいは日本新生のための新たな経済対策が打ち出されたことなどに呼応いたしまして、公共事業を中心とする補正予算を編成したところでございます。公共事業予備費につきましては、9月補正で115億5、400万円、それから日本新生関係は12月補正で223億600万円という形の補正を行ったところであります。
 なお、公共事業につきましては、事業効果の早期発現のため、新規の着工は極力抑制し、事業完了を促進することといたしまして、継続事業の大幅な進捗を図るとともに費用対効果分析等による優先度を踏まえた実施地区の厳選によりまして、重点的、効果的な実施に努めたところでございます。
 以上のとおり、平成12年度の財政運営に当たりましては、歳出規模の抑制を基調としながらも、限られた財源の効果的な活用を図って、緊急度と優先度の高い施策を精選いたしまして、施策の一層の重点化、効率化に努めたところでございます。
 次に、財政健全目標の達成状況についてでございますが、財政健全化の目標は、行財政全般の見直しを計画的に進めるということで、平成9年10月に策定いたしました行政システム改革指針におきまして、平成12年度までの目標として掲げたものでございます。目標はお話しのとおり、一つとして歳出規模の抑制、二つとして県債依存度を10%未満に縮減するということ、三つ目が主要3基金の残高を700億円以上確保するという3点でございます。
 まず、第1点の歳出規模の抑制につきましては、平成12年度の最終予算は9、326億円で、11年度に比べまして231億円、2.4%の減であり、これに前年度からの繰越額を加えたいわゆる予算現額で見ましても、平成12年度は1兆417億円ということで11年度に比べまして22億円、0.2%の増にとどまっております。
 第2点、県債依存度の縮減につきましては、平成12年度の決算ベースで、歳入総額9、724億円のうち財源対策債等を除いた県債発行額が962億円となっておりまして、この県債依存度は9.9%ということで、目標の10%を下回っているものであります。
 第3点の主要3基金の残高確保についてでありますが、平成12年度末の残高は、財政調整基金が65億円、それから県債管理基金が807億円、公共施設等整備基金が267億円の計1、139億円余となっておりまして、目標の700億円を上回る額を確保したところでございます。
 以上、申し上げましたとおり、12年度の財政健全化目標は目標どおり達成したところと考えております。

〇折居明広委員 次に、県税の決算についてお伺いいたします。
 平成12年度の県税収入額は、約1、295億円と本県史上最高となっており、最終予算額に対しても2億円余上回る結果となっております。しかしながら、税目ごとに見ますと、事業税は平成8年度には345億円だったものが、毎年減少し、昨年度は266億円と、4年間で2割ほど減となっており、必ずしも順調に伸びている状況にはないと思います。
 そこで、お伺いしますが、主な税目ごとの決算額は、前年度あるいは最近の推移から見てどのような状況になっているのか、増減の要因もあわせて説明願います。
 また、平成12年度の調定額に対する収入済額の割合、いわゆる収入歩合はどうなっているのでしょうか。自主財源の確保に当たっては、収入未済額の縮減も大切であると考えますが、収入未済額は前年度と比べてどのようになっているのか。未済額の縮減にどのように取り組んでおられるのかもあわせてお尋ねいたします。

〇小原総務部長 県税の決算についてでございますが、まず主な税目の決算額の増減理由について申し上げますと、県税収入の26.5%を占めます県民税の収入額は、342億2、875万円余で前年度に対しまして26.1%増となりました。これは、個人県民税が課税所得の減少によりまして前年度より2.5%落ちているものの、県民税利子割が高金利時に預けられた──10年物なんですが──定額郵便貯金の満期が集中的に到来したということで、前年度の約4倍、金額にして73億9、992万円の増となったことが主な要因でございます。それから、事業税の収入額は、265億6、862万円余で前年度比0.4%の減となっているところであります。過去の推移を見ますと平成8年度から毎年減少している状況にありまして、これは法人の所得の減少のほかに、企業活力あるいは国際競争力の観点から法人事業税の税率が下げられたということが要因として挙げられるかと思います。また、地方消費税は、県内の消費の低迷から前年度より4.9%減の135億8、657万円余となっております。それから、自動車税につきましては207億7、683万円余、軽油引取税は224億417万円余と、ほぼ前年並みに推移したところであります。
 次に、収入歩合についてのお尋ねでございますが、本県の収入歩合は、98.23%で前年度より0.05ポイント減となり、これは全国の平均96.20%より2.03ポイント、東北6県の平均97.74%よりも0.49ポイントいずれも上回っております。
 次に、収入未済額の縮減の取り組みについてでありますが、平成12年度の収入未済額は、22億4、653万円余ということで前年度より1億6、893万円余増加しております。その増加した主な税目は、個人県民税、これが前年度比7、267万円余増になりまして9億9、000万円余になっております。それから、自動車税が前年度より6、800万円ほど増加いたしまして2億6、500万円程度になっております。
 こうした収入未済額の縮減対策についてでありますけれども、毎年、県税滞納整理特別対策要綱を策定して、その年度の特徴をとらまえながら、長期・大口滞納に対する財産調査、あるいは差し押さえなどの滞納整理を強化するほか、特に自動車税につきましては、納付期限後、早期かつ集中的に滞納整理を実施してその縮減に努めているところであります。
 なお、滞納の特殊な事例として、軽油引取税において平成11年度に発生した輸入軽油に係る大口滞納問題がございますけれども、これは御案内のとおり、ペーパーカンパニーを利用した悪質な脱税事案だったわけですけれども、現在、各都道府県と連携をとって歩を一にして解消に向けて取り組んでいるところでございます。

〇折居明広委員 わかりました。例の軽油の件はやはりもう少し厳しくやるべきだと私は思います。
 次に、県内市町村の決算状況等についてお尋ねいたします。
 現在、市町村財政は、県財政と同様、長引く不況と景気低迷による税収減や、数次にわたる景気対策などによって、地方債現在高が年々増嵩するなど、極めて厳しい状況にあります。一方、国においては、いわゆる骨太の方針に沿って、個性ある地域の自立した発展と活性化をねらいに、市町村の速やかな再編を促進するとともに、地方財政に係る制度の抜本改革についても、具体的検討が行われているところであります。このような状況の中で、その規模等により財政状況は異なると思いますが、県内市町村における平成12年度決算の状況はどのようなものであったかお聞かせ願います。
 また、その決算状況などから見て、県内市町村における財政運営上の課題をどのようにとらえているのか。さらに、今後、県としてどのように対応していくおつもりなのかもあわせてお伺いいたします。

〇飛澤地域振興部長 市町村の12年度決算状況というお尋ねでございました。平成12年度の県内市町村におきます普通会計決算の見込みについてでございますけれども、平成11年度と比較いたしますと、まず財政構造の弾力性を示す経常収支比率、これが前年度より0.6ポイント上回っておりまして80.8%という高い数値を示しております。また、公債費の負担状況を示す公債費負担比率でございますが、これが18.9%、前年度より0.4ポイント上昇しております。また、地方債残高も合わせて0.4%増と年々増加する傾向にございます。
 これは参考までに、平成11年度の財政指標につきまして全国との比較を申し上げますと、経常収支比率が、全国の81.1%に対し本県が80.2%、若干いい状況ということでございますし、公債費負担比率、これが全国の16.9%に対しまして本県が18.5%、こちらの方はちょっと高く悪い状況になってございます。また、財政力指数でございますが、全国の市が0.69ということに対しまして、本県の市が0.46とかなり低くなっておりますし、全国の町村が0.34というのに対しまして、本県の町村が0.23となっておりまして、本県の市町村の財政構造は、依然として厳しい状況にあると思っております。
 こういう状況におきまして、国におきましては、委員お話しございましたけれども、いわゆる骨太の方針を受けまして、地方税財政制度の抜本的な改革を行うということにしておりまして、各市町村におきましては、なお一層徹底した行財政改革に取り組むとともに、将来の財政負担も十分見通しながら、財源の計画的、重点的な配分などによりまして機能的、効率的な財政運営が強く求められるようになると思っております。
 県といたしましては、今後とも国の制度見直しの動向に注目いたしまして、引き続き情報収集あるいは市町村への周知に努めまして、各市町村に対しまして、税収の確保あるいは受益者負担の適正化などの財源確保に努める一方で、事務事業の評価などに基づきまして、事務事業を厳選し、歳出の効率化、重点化を図るとともに、財政構造の十分な分析と的確な把握を行いまして、財政状況を住民の方々の理解をいただきながら、中長期的な見通しのもとで健全な財政運営を進めていくことができるよう、必要な助言をしてまいりたいと考えております。

〇折居明広委員 次に、市町村総合補助金についてお伺いいたします。
 市町村総合補助金は、地方分権時代に対応した市町村の自主的な地域づくりを支援するために、市町村の裁量的な活用を可能とする新たな補助制度として平成12年度に創設されましたが、県の総合計画に掲げる環境、ひと、情報の三つの視点を踏まえた事業であれば、市町村等の創意工夫により、いろいろな事業に活用できるとのことであります。
 そこで、お伺いしますが、実施初年度である平成12年度における本補助金の活用実績はどのようになっているのでしょうか。また、その活用実績を踏まえて、県ではこの制度をどのように評価しておられるのかお聞かせ願います。
 また、地域振興、地域づくりに係る自主的、主体的な取り組みに対する支援策としては、従来から地域活性化事業調整費があり、既に制度として定着しておりますが、この市町村総合補助金と地域活性化事業調整費とのすみ分けについてはどのように行っているのか、この点もお伺いいたします。

〇飛澤地域振興部長 市町村総合補助金についてのお尋ねでございます。
 まず、平成12年度の活用実績ということでございますが、創設初年度の12年度、環境、ひと、情報の3分野で延べ225の事業に活用されております。この225の事業の内訳といたしましては、ハード事業が102件、ソフト事業が123件ということで、これを補助金額ベースで見ますと、環境の分野が2億8、800万円、約29%、ひとの分野で3億1、800万円余、32%、情報の分野が3億8、600万円余ということで39%、おおむねバランスのとれた活用実績になっていると思っておりますし、これを市町村総合補助金制度の評価ということでございますが、この制度の市町村の意見等を調査いたしましたところ、地域づくりに対する支援効果が高い、あるいは地域活性化に寄与しているというような回答が寄せられておりまして、また、事業全体を見渡しますと、各地域において創意と工夫を凝らした事業が実施されておりまして、おおむねこの制度が創設の趣旨に沿って活用されていると評価をいたしております。
 それから、市町村総合補助金と地域活性化事業調整費のすみ分けをどうしているかというお尋ねがございました。このすみ分けの問題でございますが、まず対象事業に絞ってみますと、市町村総合補助金は、総合計画に掲げます環境、ひと、情報、この三つの視点からとらえた事業を対象にしておりますし、地域活性化事業調整費、これは幅広く対象事業をとらえておりまして、産業や観光物産、地域文化の振興など、いわゆる地域の活性化に向けた取組一般というものを対象にした事業でございます。それから、この補助対象の実施主体に着目いたしますと、総合補助金が市町村あるいは広域連合ということになっておりますし、調整費の方は県、市町村あるいは民間団体という場合もございます。ということで調整費には制限がないということでございます。この規模について申し上げますと、市町村総合補助金には、ハード事業の補助金とかが5、000万円と、これは3カ年の幅でございますけれども、そういう大きい制度もございますし、また、財政力の弱い市町村に対するソフト事業の補助率が4分の3ということで、補助率でもちょっと違いがあるというようなこともございます。
 こういった特徴を踏まえまして、市町村が行う起債と併用した規模の大きなハード事業あるいは地域密着のソフト事業、これには市町村総合補助金が使われまして、あるいは地域づくりを進める上で効果的な先導的なモデル事業、こういった事業には地域活性化事業調整費を活用するといったような傾向が見えておりまして、市町村が進めております施策に応じて、いわばこれら両制度が車の両輪といたしまして、特徴を生かした活用がなされているととらえてございます。

〇折居明広委員 次に、下水道の整備促進についてお伺いいたします。
 下水道の整備は、河川や海域の良好な水環境を確保するとともに、水洗化による快適で衛生的な暮らしを支え、さらには活力ある地域づくりや若者の定住促進を進める上でもその役割は重要であり、その整備に対する県民の要請はますます強くなってきております。このため、県の総合計画の中でも、下水道を初めとする汚水処理施設の平成22年度末における整備率を80%に高めることとしており、市町村においては、その目標達成に向けて施設整備に大変な努力をして取り組んでおられますし、県もまた、過疎地域公共下水道整備代行事業費や下水道整備促進対策費など、所要の予算措置を講じて頑張ってはおりますが、来年度の予算編成に関する国の動向を見ますと、公共投資への極めて厳しい財政縮減策が打ち出されており、特にも下水道事業は一律20%減の方向で検討がなされていると報じられております。
 このような状況の中で、先般、県内市町村から知事に対して、下水道予算の確保を国へ働きかけるよう提言されておりますし、12月4日には本県など全国の13県知事が下水道に関する緊急アピールを財務省と国土交通省に対して行うというような報道もされております。下水道整備がおくれることへの危機感が非常に高まっているのでありますが、県土整備部の猪股土木技官兼次長もその陳情要請に参加するというふうな報道がありますが、これはこの際、大いに働いてもらわなければだめだと、腕を振るう場面が来ているのだということを、あえて次長に伝えていただきたいし、何とかこの難局を打開するように働いてもらいたい、このように思うわけであります。
 そこで、お伺いいたします。これまでの下水道の整備状況と、仮に下水道事業費が20%削減された場合、本県の汚水処理施設整備計画にどのような影響をもたらすのか御説明願いたいと思います。

〇高橋副知事 下水道の整備促進についてでございますが、まず整備状況でございますが、平成12年度末の汚水処理施設整備率は49.3%、また、下水道の普及率は35%ということで、いずれも全国下位に位置しているわけでございます。公共下水道の整備を予定しております54市町村のうち、47市町村が事業に着手しておりますが、7町村は事業未着手ということでございまして、また、事業に着手しております市町村のうち32市町村が供用を開始しているというような状況でございます。
 次に、20%削減の影響でございますが、平成13年度当初予算に対して20%削減されるといたしますと、市町村が事業主体である公共下水道に影響が生じるわけでございますが、従来、年間2.5%の下水道普及率の伸びを見込んでおりましたものが0.6ポイント抑制をされまして、1.9%ほどの伸びにとどまるのではないのかと見ております。この結果、平成17年度末の汚水処理施設整備率の目標であります70%というその目標の達成は不可能となりまして、せいぜい63%程度にとどまるのではないかと予想をしているわけでございます。あす緊急アピールを行って猪股技官には働いていただかなければならないわけでございますが、下水道事業費の確保については、今後とも強く国に働きかけてまいりたいと思っております。

〇折居明広委員 次に、盛岡南新都市開発整備事業、いわゆる盛南開発の整備状況についてお伺いします。
 北東北の拠点都市を目指す県都盛岡市の中核事業として平成6年に着手されました盛南開発でありますが、本年3月の盛南大橋4車線の供用は、盛岡南地区の交通体系に大きな変化をもたらしました。また、明治橋猪去線や国道46号盛岡西バイパスの沿線には、一部商業機能の集積が進むとともに、県の環境保健研究センターや県立美術館が本年相次いでオープンするなど、街区形成も進み、まちの骨格が見え始めてきております。しかしながら、昨今の社会経済情勢を見ると、公共事業削減論議、さらには道路特定財源の一般財源化をめぐる議論や聖域なき構造改革による特殊法人の民営化など、混沌とした状態が続いており、盛南開発についても、既に平成17年度の事業完了は難しいなどと報道されておりますが、これに加えて、今回の不透明で逼迫する社会経済情勢がなお一層本事業の進捗に大きな影響を与えるおそれがないかと懸念されるところであります。整備事業計画のおくれは、地区住民の生活設計や商業地区の形成に欠くことができない民間企業の事業計画に影響を与えるなど、盛岡のまちづくりに大きくかかわる問題でもあります。
 そこで、お伺いしますが、盛岡南新都市開発整備事業の現時点における整備状況、それはどのようになっているのか説明願います。

〇高橋副知事 盛南開発は、平成8年度に本格的な工事に着手したわけでございますが、地区内の幹線道路の整備は、国道46号盛岡西バイパス、また明治橋猪去線、向中野東仙北線を進めておりまして、一部区間で供用がなされて、まちの形があらわれ始めているというようなところでございます。本年度は、事業費66億6、900万円で90戸の移転補償、また幹線道路の整備を継続して進めまして、沿線の宅地整備を進めるということになっておりますが、特に明治橋猪去線につきましては、約700メートルの区間の4車線化とあわせまして、電線類地中化を実施しているところでございます。平成13年度末までの進捗率を申し上げますと、事業費ベースで約38%、家屋移転で見ますと約32%というような状況になっております。現時点におきます残事業費では481億円ほどあるわけでございますが、この残事業の執行につきましては、残る620戸の家屋移転、また埋蔵文化財調査等の事業工程上の制約がございます。これに加えまして、御指摘のような公共事業をめぐる厳しい環境もございますことから、残された事業計画期間の4カ年での整備というものは、困難な状況になっているのではないかと認識をしているところでございます。そういうことで、今後とも国、地振公団、盛岡市等と密接に連携をとりながら、所要の事業費の確保とあわせまして、国の直轄事業等の関連事業が促進されるように、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

〇折居明広委員 次に、花巻空港の整備状況についてお伺いいたします。
 花巻空港は、昭和39年2月の供用開始以来、県民生活の利便性の向上はもとより、観光客や企業の誘致など、本県経済の発展に大きく寄与しており、ことしの2月23日には乗降客数が777万人に達したとも報じられております。本格的な国際化の時代を迎えて、国内はもとより、海外との間で経済、文化など広範な分野にわたる交流がますます活発化することが予想される中で、21世紀の本県の発展を考えるとき、花巻空港の一日も早い拡張整備と機能の充実強化が必要であります。県では、平成16年度末の供用開始を目指して、滑走路延長整備等の工事を行っておりますが、整備状況は今どのようになっているのかお伺いいたします。

〇高橋副知事 空港の整備状況でございますが、平成11年11月の飛行場施設変更許可以来、これまで用地買収、またターミナル地域の造成盛土工事、地下道の新設・補強工事等を行ってきたわけでございますが、今年度末時点での進捗率は、事業費ベースで約49%となる見込みでございまして、平成14年度には71%を見込んで今進めているわけでございます。来年度は引き続きターミナル地域、滑走路などの盛土工事、既設地下道の補強・延伸工事を進めまして、供用開始目標に向けて整備促進に全力を尽くしてまいるという考えでございまして、71%を見込んでおるわけでございますが、懸念されました地権者の用地の問題も、いずれこれは平成16年度末の供用開始までには影響を及ぼさない範囲でおさまるのではないのか、そのような見通しをしておるところでございます。

〇折居明広委員 次に、花巻空港の機能を活用した地域づくりについてお伺いいたします。
 空の玄関口である花巻空港の一連の拡張整備事業は、本県の企業活動や観光振興にとってまことに重要な意義を持ちますが、もう一つ重要なことは、拡張整備後の空港の機能を最大限に活用して、地域振興に結びつけていくとともに、その効果を全県的に波及させていくことであると思います。県では、花巻空港の機能を活用した地域づくりについて、どのように考え、どのように取り組んでいくおつもりなのか、御説明いただきたいと思います。

〇飛澤地域振興部長 空港機能を活用した地域づくりについてというお尋ねでございます。
 まず、高速交通体系の整備につきましては、空港ターミナルと国道4号花巻東バイパスとのアクセスの改善を初め、東北新幹線盛岡-八戸間の整備、東北横断道釜石秋田線や三陸縦貫自動車道等の高規格幹線道路の整備などに鋭意取り組んでいるところでございます。
 また、産業振興の面につきましては、花巻流通業務団地あるいは江刺フロンティアパークなどの整備が行われておりますし、先端技術産業等の誘致活動、産学官の連携交流による地域産業の育成などに取り組んでいるところでございます。
 また、さらに観光振興の面を申しますと、岩手4王国のいろいろな地域での活動の展開、あるいは三陸夢紀行など新しい旅の開発、インターネットなど情報媒体を活用した情報発信等に取り組んでおりますほか、交流ネットワークの形成あるいは快適な生活の実現のための種々の事業ということで、各地域でそれぞれの取り組みが進められております。
 今後とも、これらのハード、ソフト両面にわたる事業を積極的に展開いたしまして、空港機能の効果を全県的に波及させてまいりたいと思っております。

〇折居明広委員 もう一つ空港関係でお伺いしますが、新規路線の開拓についてお尋ねいたします。
 この件に関しましては、さきの一般質問で照井議員が取り上げております。そして、知事の答弁によれば、今後、国内国際航空ネットワークを持つ羽田、成田との路線開設を目指して努力するというようなこと、それから既存路線を活用した日帰り圏拡大のためのダイヤ改正の実現、使いにくい札幌便の改善など、便数はそのままでも、ダイヤ改正により便利になるよう働きかけていくということのほかに、国際チャーター便の拡充に向けた取り組みにも努めるというような答弁があったわけでありますが、あえて私からも若干質問させていただきます。
 花巻空港の路線の状況につきましては、本年3月に新潟線が廃止されました。沖縄線も平成14年度から運休となりますので、残念ながら、札幌、名古屋、大阪及び福岡の4路線を残すのみとなります。航空分野における規制緩和により、新規参入や撤退が自由化されたことから、地方空港を取り巻く環境は非常に厳しくなってきておりますが、空港の利便性向上のためには、路線の充実はどうしても必要であり、重要な課題であります。花巻空港は、滑走路拡張整備といったハード面では充実されていくものの、路線の拡大といったソフトの面が不十分ではないかと思うわけであります。
 振り返ってみますと、かつて花巻東京線、東京花巻八戸線、あるいは花巻関西線などもありましたし、また、昭和58年には花巻シンガポールのチャーター便が就航し、63年にはヘリ・コミューターが花巻、盛岡、宮古という地域を結んでおりましたが、今、それらは全部なくなっております。県は今、花巻空港の魅力を高める新規路線の開拓についていろいろ協議を重ねているようでありますが、今、どのように考え、どのように進めようとしているのか。航空関連会社等々との話し合いの中身もあろうかと思いますが、許せる範囲内でお聞かせいただきたいと思います。

〇飛澤地域振興部長 新規路線の開設にどう取り組んでいるかという御質問でございました。
 花巻空港の新規路線の開設についてでございますけれども、現在、航空各社は、委員御指摘のとおり、航空分野におきます規制緩和あるいは9月に発生いたしました米国での同時多発テロの影響によりまして、大変厳しい経営環境にあると思っておりまして、こういう状況にはございますけれども、本県といたしましては、内外との交流の活発化に対応する観点から、国内あるいは国際航空ネットワークを持つ羽田や成田等の拠点空港などとの路線開設を目指して努力する必要があると考えておりまして、これまで、岩手県空港利用促進協議会と連携いたしまして、航空会社に対して羽田線や沖縄線の復活、成田線の開設などを要望してまいりました。航空会社の方からは、空港発着枠の不足あるいは機材の不足、採算性の問題等から、現在のところ積極的な回答が得られないという状況にございます。そういった経緯がございまして、現在、庁内に花巻空港の対策研究会を設置いたしまして、航空大手3社などの協力をいただきながら、今後の路線展開の方向等について研究をしているところでございます。こうした検討を重ねまして、航空業界の情報をいち早く把握すると。
 これと同時に、全県的にこれまで以上の利用促進活動を強力に展開いたしまして、利用実績を積み重ねて、花巻空港の航空需要を航空会社に示すような実績づくりを行いたいと、そう思っておりまして、そのためのダイヤ改善等につきましても航空会社の方に要請をしてまいりたいと、そう思っておりますし、今後、小型機の活用でありますとか、複数航空会社の乗り入れ、そういったことも視野に入れまして、新規路線の開設に向けまして積極的に取り組んでまいりたいと、そう思っております。

〇折居明広委員 先日の一般質問の際の知事の答弁の範囲内と私は受けとめましたが、例えば秋田空港は韓国のある空港と結んでおりますし、お伺いしますと、仙台は台湾の空港と結んでいるということでありますが、積極的にそういうような先取りの取り組みをしていただきたいということをあえて申し上げたいと思います。
 次に、環境保健研究センターについてお伺いします。
 増大、かつ、複雑多様化する環境問題や保健衛生上の課題に的確に対応していくことは、県政の重要な柱の一つであります。これらに総合的に取り組むために、衛生研究所と公害センターを統合し、新たに環境保健行政推進の科学的、技術的中核機関として、本年7月に開所した環境保健研究センターは、県民が抱いている環境と健康に関する諸問題の解決に大いに寄与するものと思います。また同時に、隣接する県工業技術センターともども、新たな課題に先駆的に取り組む本県試験研究機関の拠点の一つとして、大きく成長していくよう期待しているものであります。この研究センターは、研究の高度化、わかりやすい情報の提供、県民サービスの向上支援、開かれた人づくりの拠点と、この四つをコンセプトとして運営していくとのことでありますが、そこでお尋ねいたします。
 まだ開所して5カ月という短期間ではありますが、環境保健研究センターのこれまでの主な取り組みについて、その方向と概要をお聞かせ願います。また、旧衛生研究所、公害センターの統合の成果として、従前よりも強化された機能について具体的に説明願います。

〇高橋副知事 まず、環境保健研究センターの開所以来の主な取り組みでございますが、開所に当たりましては、世界的海洋学者であります鳥羽良明さんを所長に迎えまして、研究の高度化を図るために、本年6月に策定をいたしました研究推進構想に定める重点目標に基づいて、環境分野、保健分野それぞれで研究に着手をしたところでございますし、また、国立環境研究所などの他の研究機関との共同研究も進めているところでございます。また、ことしの6月に策定をいたしました健康いわて21プラン、これの推進を科学的に支援するため、政策部門と一体となりまして生活習慣病などに関する情報の集約、分析に向けて、その基盤づくりに着手しておりますし、さらに、開かれた人づくりの拠点といたしまして、9月には隣接する県工業技術センターと一体となりまして、施設の一般公開を実施いたしました。そのほかに、県民の要望にこたえまして、随時、施設見学会や研修会を実施するなどして取り組んでおりまして、来館者は開所以来、もう既に1、000名を超えていると、このような状況でございます。
 また、環境・保健に関する学習の場といたしまして、ホームページによる情報提供もやっております。そのほかに、夏休み子ども科学講座の開催、これなども通じまして、次世代を担う子供たちが環境科学に親しむ機会をふやすように、当センターとしても努めているところでございます。
 次に、旧衛生研究所、公害センターと比べまして強化した機能ということでございますが、まず保健分野におきましては、健康づくりなどの県民生活向上に関する研究を行う職員を配置いたしまして、従来から行ってきた感染症などの微生物学的研究に加えまして、総合的に研究問題に取り組むことが可能となったことでございます。また、環境分野では、地球科学部、これを新設いたしまして、野生動物を研究する専門職員を配置いたしましたほか、気象に関する研究員も招聘をいたしまして、そういう研究に向けての新たな体制を整備しているところでございます。
 今後とも、開かれた施設を目指しまして、外部評価を取り入れるなど研究レベルの向上を図りまして、本県の環境・保健分野の新たな課題に先駆的に取り組んでまいりたいと、そのように考えております。

〇折居明広委員 次に、現在、一戸町に整備を進めておりますすこやか子どもランド(仮称)についてお伺いします。
 10月に公表されましたすこやか子どもランド(仮称)運営基本計画によると、この施設は岩手の将来を担う創造性豊かな岩手っ子を育成するため、障害児を初めとしたすべての子供たちが自然の中で伸び伸びと自由に遊び、触れ合い体験ができ、遊びを通して創造性や想像力の育成などを図る拠点として、また、遊びの指導者を育成するなど、県下の児童の健全育成活動を支援するための県立の児童館として整備しているということであります。近年の少子化や都市化の進展により、子供たちの成長に欠かせない遊びのための空間や時間、そして遊び仲間が極めて少なくなり、遊びを通じて健やかに成長できる環境が著しく悪化している現状においては、この施設の果たすべき役割、これはまことに大きいと思います。
 平成15年度のオープンを目指しているとのことでありますが、現地は自然条件の厳しいところでもあり工事は大変だと思いますが、施設の整備についてどのように進んでおられるのかお伺いします。
 また、県では、平成13年2月にひとにやさしいまちづくり推進指針を策定しておりますが、すこやか子どもランドは障害のある子供もない子供たちも、伸び伸びと自由に遊びができることを施設の特徴の一つとして掲げておりますが、施設整備に当たって、ユニバーサルデザインをどのように取り入れているのかも説明願います。
 なお、運営主体が岩手県社会福祉事業団と報じられておりましたが、この施設の管理運営のあり方について、県はどのように考えているのかお伺いいたします。

〇高橋副知事 すこやか子どもランド、厳しい条件下でございますが、工事はおおむね計画どおり進んでおりまして、11月末現在の出来高で申し上げますと、工事費ベースで約44%、こういうような状況でございます。本年度末には50.3%まで行くのではないかと、このように順調に進んでいるところでございます。
 次に、ユニバーサルデザインの取り入れ状況でございますが、この施設の特徴は、障害のある子供たちの利用のために配慮している施設というようなことでございまして、すべての子供たちが分け隔てなく、お互いを理解しともに遊べるように、施設全体にユニバーサルデザインの考え方を、いろんな各界の方々の声を聞きながら導入しているところでございます。
 例えば、段差の解消ということで4%以下の園路勾配のあるところ、急勾配の園路へのスロープカーを設置するとか、車いすで利用できる大型遊具を設置するとか、また、主要施設へ音声点字付案内板、点字付施設配置図、これらを設置する、こういうようなことでいろいろ配慮をしているわけでございますが、ソフト面につきましても、自分で考え行動できる自立の心を持って、たくましさ、思いやり、想像力、創造性、郷土愛を身につけた岩手っ子を育成するために、特に障害のある子供にもざまざまな遊びにチャレンジできるように配慮しながら、運営することとしているところでございます。
 また、管理運営のあり方については、本施設の基本機能でございます遊び体験機能、また、遊び環境の支援、先導機能のこれらの基本機能の高度な発揮と効率的な運営を基本にいたしまして、岩手県社会福祉事業団に委託することに決定をしているわけでございますが、社会福祉事業団と定期的に連絡会議を現在開催いたしまして、事業の効率性、弾力的な事業運営、民間活力の導入、人材育成などの観点に立った運営上の諸問題について、目下、具体的に協議を進めているところでございます。

〇折居明広委員 次に、中山間地域等直接支払制度についてお伺いいたします。
 本県の中山間地域は、農家戸数、経営耕地面積、農業就業人口、農業粗生産額とも県全体の約6割を占めており、本県農業の生産振興にとって極めて重要な役割を担っております。また、流域の上流部に位置することから、水源涵養、それから洪水防止等多面的な機能を発揮しており、多くの県民の生命、財産と豊かな暮らしを守る役目も果たしております。しかしながら、これらの中山間地域には傾斜地が多く、農地も狭小で分散しているなど自然条件が不利であり、最近においては農業担い手の減少や農業従事者の高齢化の進行によって、耕作放棄地の増加や農業生産活動への影響が懸念されております。
 平成12年度に創設された中山間地域等直接支払制度は、このような中山間地域等の農業活性化につながる実効性のある施策であると、大いに期待されております。我が国農政史上初めてという本制度も、発足2年目を迎えており、そろそろ本格的に定着し、各地で熱心な取り組みが開始されていることと思いますが、直接支払制度の実績や具体的な取り組みなど、その実施状況についてお聞かせ願います。

〇高橋副知事 平成12年度におきます直接支払制度の実施状況でございますが、平成12年度は55市町村におきまして制度の導入が行われたところでございますが、交付金交付のために締結されました協定は、集落協定が1、197件、個別協定が91件、合計で1、288件になるわけでございますが、交付金交付の対象となった農用地面積は1万6、386ヘクタール、これは総対象農用地面積に対する実施率といたしましては82%になるものでございます。さらに、交付額は28億円余となっておりまして、この実施面積、交付額とも全国第3位と、こういうようなことでございます。
 また、協定集落におきます具体的な取り組みでございますが、集落協定締結を契機といたしまして、対象農用地の耕作放棄の防止、これは当然のことでございますが、周辺の既存耕作放棄地につきましても、共同で草刈りをやるというようなことなど、適正な管理が行われるようになってきております。また、集落内の話し合いが活発になってきていまして、地域コミュニティの醸成が図られたことによりまして、交付金を有効に活用したさまざまな取り組みが各地域で始まっております。
 例えば二、三例を申し上げますと、盛岡市簗川集落、ここでは都市部の子供たちの情操教育の場といたしまして酪農などの農作業体験を提供するというような、そういう都市農村交流を推進しております。また、宮守村の宮守川上流集落では、集落協定の締結を契機にいたしまして1集落1農場構想、これを打ち立てまして、この実現に向けた取り組みを今行っているところでございます。陸前高田市の佐野上集落では、認定農業者育成のための営農研修への後継者派遣などを行っているような、そういう事例も見られるようになってきております。これらの事例につきましては、過般開催いたしました集落代表者等の意見交換会におきまして詳細に情報交換をいたしまして、各集落におきます今後の取り組みの参考とすることにいたしておるところでございます。

〇折居明広委員 次に、コミュニティ・ビジネスについてお尋ねいたします。
 コミュニティ・ビジネスについては、全国的にまだまだなじみが薄く、その定義もいろいろでありますが、一般的には、地域の生活者の利便性の向上や社会的なニーズに対して、民間企業では採算性などから参入しがたく、行政では手の行き届かないさまざまなサービス分野について、地域の方々が協働でアイデアと資金を出し合って行う地域貢献型の事業活動のことと聞いております。
 コミュニティ・ビジネスの発祥の地は、英国のスコットランド地方とされ、欧米では1980年代から盛んに取り組まれており、地域で働きたい人たちの雇用の受け皿や地域経済の再生に大いに貢献していると言われております。
 我が国でも、1990年代に入りまして環境問題の意識の高まりや少子・高齢化の進行、高度情報化の進展などに伴い、地域においてさまざまな社会的問題が顕在化してきており、これらの問題を住民みずからが解決する活動として、コミュニティ・ビジネスが広く注目を集めているところであります。
 そこでお伺いいたしますが、昨年度、県は中小企業団体中央会と連携し、県内のコミュニティ・ビジネスの実態調査を行ったとのことでありますが、県としてその調査結果をどのようにとらえ、今後どのように育成しようとしているのか、御所見をお伺いいたします。

〇高橋副知事 コミュニティ・ビジネスの実態調査は、県内におきますコミュニティ・ビジネスの実態を把握するために、地域の環境問題、まちづくり、福祉など、さまざまな課題に取り組んでおりますNPOや任意グループなどを対象といたしまして、アンケート方式によって実施したものでございます。調査対象数は701団体、有効回答数が214団体ということで、有効回答率は30.5%でございました。
 調査結果では、回答のあった団体の4割強がコミュニティ・ビジネスに取り組んでいると、こういうようなことでございまして、その活動内容は、産直センター、製造業、福祉関連などのこれらが多いというようなことでございます。また、形態といたしましては、20人未満規模の団体が半数、売上高では年間500万円未満という団体が4割弱と、こういうような状況でございます。
 また、特徴といたしまして、平均年齢50歳代以上の団体が6割弱ということでございますし、また、今後、事業の成長を見込んでおる団体が6割というようなことでございます。特に、課題として挙げられましたのは構成員の高齢化、活動内容の競合、資金の調達、経営ノウハウの欠如、これらなどが挙げられております一方で、必要とする支援といたしましては、財政的な援助、情報の提供、事業所施設の提供などとなっておるところでございます。
 この調査結果から、本県のコミュニティ・ビジネスを行う団体等は、総じてビジネスに対する意欲は高いといった地域の活性化にも貢献しておると。その活動は、今後、一層活発化するのではないのかと、そのように考えておるところでございますが、その反面、経営基盤が脆弱であるとか、経営ノウハウの不足など多くの課題も抱えておるわけでございまして、これらに適切に対応していく必要があるのではないかと、そのように思っておるわけでございます。そのために、創業・経営支援体制の強化なり団体活動の自立化を支援する中間支援組織の構築、また、情報提供機能の整備などに重点的に取り組むことといたしまして、今年度はモデルとなる団体への活動費助成や実践団体等で組織する岩手コミュニティ・ビジネス協議会の設立、団体間の情報ネットワークの整備などを進めているところでございます。

〇折居明広委員 次に、アンテナショップの成果と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 本県では、これまで、豊富で良質な県産農林水産物を用いた加工食品や、各地域に伝承するすぐれた芸術を生かした工芸品等を広く県内外の消費者に提供し、高い評価を得ており、また、平成10年に東京銀座に開設したいわて銀河プラザは、県産品の情報発信の場として大いに活用されていると伺っております。しかしながら、昨今の厳しい経済環境のもとで、こうした県産品を扱う地場産業界は、売り上げの伸び悩みに加え、グローバル化の進展による海外からの競合品の輸入拡大などで苦しい状況にさらされております。
 そこでお尋ねしますが、県内外に設置した岩手県のアンテナショップの最近の利用実績はどのようになっているのか、具体的にお示し願います。また、アンテナショップ機能の充実強化に関して、今後どのような施策を講じられようとしているのかお伺いいたします。

〇高橋副知事 県が平成10年度に県内外に設置をいたしました3カ所のアンテナショップでございますが、本年度で3年目を迎えるわけでございますが、販売額、購買客数ともに前年を上回るなど順調に運営をされておりまして、情報発信拠点としての役割を果たしていると、そのように考えております。これは、特色のあるイベントの実施、また、ポイントカードの導入、自動販売機の設置など、各店舗がそれぞれ工夫を凝らした取り組みを行っていることが要因であると、そのように考えておるところでございます。特にも、首都圏のアンテナショップであります東京銀座のいわて銀河プラザ、これの平成13年4月から10月末までの利用実績は、販売額が2億2、200万円、前年同期を10%上回る、そういうようなことでございまして、また、購買客数も14万6、000人と、これは前年同期を6%上回るというようなことで、順調な運営がなされておるわけでございまして、福岡、盛岡のそれぞれのアンテナショップも、当然、販売額、購買客数もともに高い伸びを示しておるわけでございます。
 今後におきましては、本県物産と観光の季節に応じた新鮮な情報を県内外に随時発信いたしますとともに、顧客ニーズに対応した品ぞろえなり売り場構成の充実等を図るなどいたしまして、魅力ある店舗の運営を進めるようにしていきたいと、そのように思っております。
 また、顧客ニーズ、それと売れ筋等の情報のアンケート調査、売り上げ動向によって把握をいたしまして、専門家による分析を加えまして、これを県内の地場産業者に還元をすると。これは年1回、報告会というような形で還元をしておりますが、そして商品開発等に生かしていただくと、これが非常に大事でございますので、これを重点的に取り組みまして、アンテナ機能の充実強化に努めてまいりたいと、そのように思っております。

〇折居明広委員 次に、観光客の受け入れ態勢の整備についてお伺いします。
 東北新幹線が盛岡まで延びてきてから、来年で20年を迎えます。また、東北自動車道八戸線さらには秋田線と高速道路が完成し、本県の北東北の交通拠点としての機能はますます高まってきております。こうした交通の利便性の高まりと相まって、小岩井農場や盛岡手づくり村、スキー場などの観光施設やホテル等、宿泊施設の整備も着々と進んできたのであります。しかしながら、北海道に次ぐ広い面積を持つ本県でありますから、新幹線や高速道路を利用して県内に入ってから、その先の観光地への交通手段として鉄道利用もありますが、バスやレンタカーといった自動車を利用する人が大変多くなってきております。他県から本県を訪れた観光客にとっては、主な観光地までの道路の誘導標識が整備されているのといないのとでは、印象が大分違ってくるはずであります。来年は東北新幹線が盛岡以北に延伸し、新たに沼宮内と二戸に新幹線駅が開設されますが、それらの新駅を起点として、自動車で県内を旅行される方々も相当ふえてくるはずであります。団体型から個人型、グループ型へと旅行形態も変化してきており、自動車で移動される方々を温かく迎えるための効果的な誘導標識等の工夫と整備が強く求められております。これまで県は、観光客の受け入れの観点から、観光案内板や誘導標識をどのように整備してきているのか、その整備状況についてお伺いいたします。また、今後の計画についてもお聞かせ願います。

〇高橋副知事 観光案内板や誘導標識等の整備についてでございますが、平成12年度までに道の駅それから高速道のサービスエリアを中心といたしまして、全県観光案内板を75基、それから主要道路に観光歓迎塔、これを28基、広域観光ルート案内標識を773基、さらに誘導標識などを140基、計1、016基設置をしてきたところでございます。現在、自動車で訪れます観光客にとりまして、見やすく容易に目的地に到達できるような誘導標識や、国内観光客及び外国人観光客を温かく迎えるための4カ国語併記の地域観光案内板の整備に取り組んでおるところでございまして、この4カ国語、英語・中国語・韓国語──台湾語ですが、それと日本語と、こういうことになるわけでございますが、これにつきましては、もう既に岩手山ろく周辺地域などでは整備を終えているところでございます。
 今後の計画でございますが、本年度は来年の東北新幹線盛岡以北開業に対応いたしまして、二戸・久慈地域の整備に重点的に当たっておりまして、これらの地域も含めまして、平成16年度までには122基の誘導標識等の設置を予定しているところでございます。

〇折居明広委員 最後になりますが、次に、情報通信技術講習推進基金事業、いわゆるIT基金事業についてお伺いします。
 インターネットに代表される情報通信技術は、県民の生活、経済活動等あらゆる分野で今や欠くことのできないものとなってきております。国が本年1月に策定したe-Japan戦略においては、自宅や職場からインターネットで、実質的にすべての行政手続が24時間可能となり、国民や企業の利便性が飛躍的に向上する電子政府が平成15年度には実現することとなっており、これに呼応した形で、国はもとより、県や市町村も電子化を急いでおります。しかしながら、本県のインターネット普及率は全国的に見て低い水準にあり、間近に迫った本格的な高度情報化社会の到来を考えれば、県民の情報リテラシーの向上に積極的に取り組む必要があると思います。
 今、情報通信技術講習推進基金を活用したIT講習会が県内各地で開催されておりますが、私は、多くの県民がインターネット技術を身につける絶好の機会であり、この際、ぜひ1人でも多くの県民にIT講習を受講していただくべきだと思います。私も、つい最近申し込んでおります。
 そこでお伺いしますが、この講習のこれまでの実施状況はどうであったのか、また、受講者の感想、評判はどのようなものだったのでしょうか。IT基金は本年度限りとなっておりますが、受講者の目標人数とその達成の見通し等についてお伺いいたします。

〇飛澤地域振興部長 情報通信技術講習会推進基金事業についてのお尋ねでございます。
 本県では、本年1月からいわゆるIT講習会が開催されておりまして、本年10月末現在で約3万1、200人の県民の方々が受講いたしております。この講習会の状況でございますが、中高年者の情報化支援をするボランティア団体のいわてシニアネット等の協力による高齢者向けの講習会、あるいはNPOやボランティア団体との連携による講習会、それから受講時間や会場の工夫、親子パソコン教室の開催、あるいは託児所サービスつきの講習会の開催など、各地でさまざまな工夫を凝らした講習会が開催されております。
 それで、受講者の感想、評判ということでございますけれども、アンケート調査の結果によりますと、時間が短かったあるいは再受講を希望というような要望が寄せられておりますけれども、総合的な満足度ということでは、回答者の52%の方が、十分に満足、ほぼ満足と回答いたしておりますし、非常に不満、やや不満と回答されている方の13%を大きく上回っております。そういったことから、おおむね好評をいただいているのではないかと理解をいたしております。
 それから、次に、受講者の目標人数とその達成の見通しということでございますが、目標人数につきましては約7万人と設定をしたところでございまして、現在、各市町村あるいは関係団体の協力のもとに、この達成に向けて鋭意取り組んでいるところでございますが、今年度末までにはおおむね目標の7万人の受講を受け入れるための講座数、これは確保できる見通しとなっております。しかし、一方では、受講の状況でございますけれども、講習会開始当初は定員を大きく上回る受講希望者があったわけでございますけれども、8月以降になりまして、募集定員に対する実際の受講割合が8割を切るような状況が出てきておりまして、目標達成が危ぶまれるということで、我々市町村と連携をとりながら、講習会の開催方法をさらに工夫を凝らしたいと思っておりますし、また、より一層、IT講習会の県民への周知徹底を図ってまいりたいと、こういったようなことに取り組みまして、1人でも多くの県民の方々がIT講習を受講できますように、積極的に取り組んでまいりたいと、そう思っております。

〇折居明広委員 以上、18項目の質問を終わりました。簡潔明瞭かつ適切な御答弁を感謝いたします。

〇佐々木大和委員 自由民主クラブの佐々木大和でございます。
 私は、自由民主クラブを代表いたしまして、平成12年度決算につきまして総括的に質問をさせていただきます。よろしく御答弁をお願い申し上げます。
 まず、平成12年度の県政についてお伺いいたします。
 平成12年度は、新しい21世紀を迎えた記念すべき年であると同時に、新たな世紀にふさわしい岩手の姿である夢県土いわてを実現するシナリオとして、平成11年8月に策定した岩手県総合計画の実質的な初年度に当たる年でありました。増田知事は、平成12年度の県政運営の方針として、この夢県土いわてを実現していくためには、生活者主権、地域主権の社会を見据えた新しい行政システムを確立していく必要を唱え、具体的には、情報公開と県民参加の徹底、県民の満足度の高い行政体の構築、現場重視の地域経営の一層の推進を掲げました。また、これからの新しい時代の岩手づくりには、県民一人一人が今まで以上にその主役であるという意識を持って行動することこそが、一層、重要になってくるとしています。
 そこでお伺いしますが、夢県土いわての実現に向けてスタートした平成12年度の県政全般を顧みて、どのように評価されているのでしょうか。とりわけ、現場重視の地域経営の観点からどうであったか、このことを含めてお聞かせ願います。

〇高橋副知事 平成12年度は景気の足踏み状態が続く中で、雪印乳業大阪工場での食中毒事件や青森県境での大規模な産業廃棄物の不法投棄事件、さらには県職員による不正事件などが発生をいたしまして、総じて暗い話題が多かったわけでございますが、平成12年度は、御指摘のように総合計画の実質的な初年度でございまして、計画に掲げる主要な事業を中心に、施策の積極的な展開に努めたところでございます。
 総合計画におきまして、21世紀の岩手を切り開くキーワードとして掲げております環境、ひと、情報の三つの視点から、県政全般にわたります施策の実施状況についてかいつまんで申し上げますと、まず、環境につきましては、北東北三県子ども環境サミットを開催するなど、環境首都を目指した取り組みを積極的に展開をいたしましたほか、世界地熱会議の開催を契機とした地熱ヒートポンプの導入や稲庭高原風力発電所の建設に着手するなど、新エネルギーの利活用の推進を図ったところでございます。
 ひとにつきましては、ふるさと体験学習を実施するなど、青少年の豊かな感性や思いやりの心をはぐくむとともに、いわて地元学センター整備の検討に着手したほか、岩手県立大学に大学院を設置するなど、教育研究機能の一層の強化を図ったところでございます。
 情報につきましては、平成10年12月にいわて情報ハイウェイを開通するなど、高度情報化に向けたネットワークの基盤整備を促進いたしますとともに、携帯電話等の利用可能エリアの拡大に努めたところでございます。
 現場重視の地域経営の観点からの施策の展開状況でございますが、特に平成12年度におきましては、そのような観点から、市町村と県との対等・協力を基本としたパートナーシップのもとで、地方分権時代に対応した市町村の自主的な地域づくりを支援いたしますために、市町村総合補助金制度を創設いたしまして、225事業、約10億円の助成を行ったところでございます。
 以上のように、平成12年度における成果の一端について申し上げましたが、各分野におきまして積極的な施策の展開を図ったところでございまして、県勢は着実に進展しているものと、そのように考えておるところでございます。

〇佐々木大和委員 次に、平成12年度決算の分析についてお伺いいたします。
 平成12年度の地方財政対策は、前年度に引き続き多額の財源不足を生じながらも、地方税の恒久的な減税の実施に伴う影響については地方特例交付金の交付などで補てんするとともに、介護保険制度の実施に向けた支援対策、教育情報化対策などの経費に対する財源措置が充実されるなど、所要の地方財源の確保が図られています。しかし、地方財源の確保に当たっては、交付税特別会計からの借り入れを初め、財源対策債の発行に依存するなど、依然として厳しい財政状況にあったものと思われます。
 本県におきましても、決算を見ますと、監査委員の監査意見にもありますように、主要な財源である県税、地方交付税については前年度を上回る収入になっておりますが、国の経済対策に対応した公共事業費の追加等、増大する行政需要に対応するため多額の県債発行を余儀なくされるなど、厳しい財政状況が続いております。
 そこでお尋ねしますが、県当局は平成12年度決算についてどのように分析しておられるか、お伺いいたします。

〇小原総務部長 平成12年度の決算の分析についてのお尋ねでございますが、まず歳入は、厳しい財政環境の中で、前年度に比べまして261億2、200万円、2.8%増加ということになっています。増加した主なものを申しますと、県税は5.0%、67億円増ですが、これは県民利子割税が増加したということ。それから、地方交付税は12年度から施行されました介護保険制度、これに伴う需要増、それから公債費の増により4.9%、136億円増ということでございます。県債は、景気対策としての臨時経済対策債等の増加により5.0%、73億円増加しております。これらによりまして、一般財源比率は前年度を0.9ポイント上回って45.3%ということでございます。
 また、歳出の方では、前年度に比べまして160億2、200万円、1.7%の増加となりました。義務的経費につきましては、公債費が151億円ふえたということで、4.8%の増加でございます。また、投資的経費は1.5%減少いたしました。中でも、久慈地区の合同庁舎の整備が終了したことなどによりまして、普通建設事業が2.2%減少したところが特徴でございます。このほか、平成12年度の特徴といたしましては、除雪経費あるいは道路補修などの維持補修費が大幅に18.7%増加したということが挙げられるかと思います。
 こういったことで、財政構造を主な指標によりまして前年度と比較してみますと、東北新幹線の整備などの県単事業やこれまでの経済対策、あるいは地方財源不足に対処するために発行した補正予算債、財源対策債等の償還額の増加によりまして公債費が大幅に増加いたしまして、経常収支は0.4ポイント増加して85.5%となったところであります。
 また、公債費比率につきましては、算定方法が経済対策対応の補正予算債等の元利償還金を控除する、そういった算定方式に改められましたことから、数字的には逆に0.4ポイント減少して18.6%となりました。
 これらの指標につきまして東北各県と比較いたしますと、経常収支比率につきましては前年度と同様、東北第3位ということでございます。また、公債費比率は前年度よりも順位を一つ下げまして5位となっており、相対的に順位は低下傾向にあると考えております。
 以上のように、もろもろの指標はやや低下の傾向にございますけれども、平成12年度決算につきましては、全体としておおむね良好な財政運営を維持し得たのではないかと考えております。
 今後におきましては、県財政を取り巻く環境が非常に厳しいというわけでありますが、中期的な財政見通しのもとで自主財源の確保に努めるとともに、行財政運営の簡素効率化、限られた財源の重点的、効果的な活用に努めまして、健全な財政運営に努めてまいりたいと考えます。

〇佐々木大和委員 次に、公債費の状況についてお伺いいたします。
 平成12年度末の県債残高は1兆2、000億円を超え、公債費は前年度に比較して15.1%と、非常に高い伸びとなっております。東北6県平均の10.1%と比較すると、5%も上回っております。本県の公債費がこのように大幅にふえているのはなぜでしょうか。また、公債費比率は18.6%となっており、東北各県の状況を調べてみると、秋田県22.2%、山形県17.9%、青森県17.6%、山形県17.0%、福島県15.3%と、すべて15%を超えています。この公債費比率は、財政構造の健全化の観点から10%程度が一応の目安とされ、15%を超えると財政運営に注意が必要と言われており、東北各県すべてが危険ゾーンにあるわけであり、全国の状況を見ても、11年度末で既に20%を超えている県が12県あり、岡山県の24.9%を最高に、長野県、山梨県という状況で、全国平均は17.3%という状況になっています。
 本県の公債費比率の見通しについて、中期財政見通しによれば、平成17年度には24.7%と大幅に上昇する見込みとなっており、今後の財政運営に当たって、県債の発行の抑制が急務となってくるものと思われます。
 まず、現時点での公債費比率の今後の見通しは、中期財政見通しと比較して乖離があるのかどうかお伺いします。あわせて、今後の県債導入の基本的な考え方についてお示しを願います。

〇小原総務部長 公債費の状況についてでありますが、平成12年度の公債費は1、150億4、600万円、前年度に比較いたしまして151億2、400万円、15.1%の増ということになっております。公債費が大幅に増加した理由は、一つとして、県単独の大規模事業であります東北新幹線、県立大学、農業研究センターの整備等に充てた県債の償還額が増加していること、それから二つ目として、地方財源不足対策として平成6年度から発行されております財源対策債等の償還額が増加していること、それから、平成4年度以降の国の経済対策に呼応して実施した公共事業等の財源として発行された補正予算債、これらの償還額の増加、これらのことが挙げられるかと思います。
 また、中期財政見通しとの比較における今後の見通しについてでありますが、平成12年度の公債費比率は18.6%になっておりまして、中期財政見通しにおける12年度の公債費比率20.8%の間に計数上は乖離が生じております。公債費の算定方法の改正や新たな起債の制度化などの増減要因がございまして、そういったことがあるため現時点、いわゆる12月現計での試算によれば、17年度の推計値は24.4%ということになりまして、中期財政見通しにおける17年度の公債費比率24.7%と乖離はないと見込んでいるところでございます。
 それから、県債導入の基本的な考え方でございますが、公債費は今後とも増嵩することが見込まれる中にありまして、国におきましては、財政構造改革あるいは地方交付税制度の見直しというのが検討されているわけでございます。
 今後の県債導入に当たりましては、国の新しい制度を見きわめながら、対象となる事業を精選して適切に対応していくということが必要だと考えております。また、将来の公債費の動向を見据えながら、発行額の抑制を図ることといたしまして、世代間の負担の公平化、それから適正な発行規模をその都度見きわめながら、健全財政の維持に努めてまいりたいと考えております。

〇千葉伝委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時57分 休 憩
   午後1時4分 再 開

〇千葉伝委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

〇佐々木大和委員 先ほど公債費についてお伺いしたところでありますけれども、中期財政見通しに大きくは乖離しないと、むしろそれより詰まっていくという報告でございました。今、公債費増がなぜ問題なのか、問題視されるのか、やはり考えるときではないか、そう思う次第であります。日本の国債の評価が下がったという報道がありますけれども、今の状況からいきますと本当に円の状態が貿易収支によってはもっと下がっていくと、たしか、大分昔でありますけれども、私も北欧の方の視察をした際に、自国の通貨ではなくてドルでほとんど買い物をする国が幾つかありました。日本の製造業が海外移転する中で、いろんな状況が絡まっていきますと、やはり公債費については国債についての問題が出るんだろう。地方における公債費はそこの関係が深いわけでございますので、ひとつ豊富な経験を持っております行政の皆さん方の先見性、そしてまた、高い見識を持つ副知事初め、皆さん方がぜひこの公債費の問題等をこの時期にしっかりと県民に示していっていただきたいとお願いしておきたいと思います。
 次に、総合計画の進捗状況についてお伺いいたします。
 本県では、自立・参画・創造を新しい岩手づくりの理念とし、みんなで創る夢県土いわてを基本目標とする総合計画を平成11年8月に策定いたしました。この計画には、岩手の将来像として五つの社会の実現に向け、平成17年度までの前期7カ年の実施計画の中で、施策の方向に沿った343の主要な事業や社会づくりを進めていく上での目標を掲げ、毎年度、その進捗状況を的確に把握していくこととしたところであり、計画の着実な推進を図るため、本年度から政策評価を本格的に導入したと理解しております。地方がみずからの選択と責任による地域づくりを強く求められている現下の情勢において、県民の視点に立った住民サービスが的確に提供されているのか、行政が自己評価した結果は何よりも多くの県民が注目するところであります。
 そこで、伺いますが、評価の結果、総合計画の全体的な進捗状況はいかがであったでしょうか。

〇佐藤総合政策室長 お手元におありと存じますけれども、主要施策の成果に関する説明書という冊子がございます。これをごらんいただきますと、総合計画に掲げる五つの社会それぞれにおいて、まず施策の目的は何だったのか、それから施策はどう実施しているか、実施状況、それから施策の評価と課題といったことで、政策評価結果あるいは今後の課題といったようなことについて取りまとめてお配りをいたしているところでございますが、今、全体的な状況ということなのでお答え申し上げたいと存じます。
 本年度から政策評価システムを本格導入いたしたわけですけれども、12年度の実績をもとにいたしました評価を行ったわけであります。計画では195の主要な指標がございますけれども、これについて計画の中間年次である平成17年度の目標値に対し、それまでの7カ年で達成しようとする場合の標準的な進みぐあい、つまり単年度で平均して割り返してどういう程度の進捗であろうかという見方でありますけれども、そういったことで達成状況を分析いたしました。195のうち未測定、測定できなかったものが27指標ございますが、残る168指標を見てみますと、61%が標準どおり、またはそれ以上に推移いたしております。中でも、青少年環境保全活動団体数とか乳児死亡率とか、こういった13指標については目標値を上回っております。全体の61%なりそういったような13指標が上回っているというような観点から見て、総合計画はおおむね順調に推進されているものと見ております。
 そうは申し上げましても、その一方で、前々申し上げておりますけれども、1人1日当たりのごみの排出量がふえているとか、それから農産物粗生産額など38の指標が平成10年度の基準値を下回っております。特にも地域産業に関連する分野での指標の進捗には、最近の経済社会情勢の急激な変化ということもあろうかと思いますけれども、深刻な伸び悩みが見られるところであります。さらには、県民の生活実感と照らし合わせてみましても、これらの分野について、農林水産業は活気があるかとか、あるいは魅力ある商店街が近くにあるか、自分の能力を生かし、安心して働けるかといった県民意識調査結果におきましては、いずれも厳しい評価ということになっておりまして、目標達成に向けて、まさに迅速かつ効果的な施策の推進が緊急の課題であると考えているところであります。

〇佐々木大和委員 次に、総合計画の進捗状況と道路の整備計画の整合性についてお伺いいたします。
 県では現在、平成11年度に公表した道路の整備に関するプログラムを基本に、主な箇所の整備を進めておりますが、政府の来年度予算編成に向けた方針や国での道路整備に係る議論の方向性から、まだまだ整備の必要な道路の多い本県にとっては、必要な道路整備予算の確保を図っていくことは、非常に厳しい状況となっていると認識しているところであります。
 そこで、このような見通しを踏まえながら、総合計画の実現を支える最も基本的な社会基盤施設である道路整備について、総合計画に位置づけた主要な指標のこれまでの進捗状況と、平成17年度に設定されている中間目標の達成見込みについて、県の御見解を承りたいと思います。

〇高橋副知事 道路関係の主要な指標は二つございますが、まず高速交通拠点へ90分以内到達市町村数、この指標でございますが、中間年次では目標を48市町村ということで六つふやしております。ただ、これにつきましては新幹線関連道路整備事業等による整備が進んでおりますことから、中間年次目標を達成する見込みでございます。それから、もう一つの指標は、主要な広域生活圏中心都市から盛岡市への到達時間ということで、これは久慈市と宮古市、釜石市、大船渡市、この4市を基準に指標を設定しておるわけでございますが、現在、計画に沿って関係する事業箇所の整備促進を図っておりまして、久慈市につきましては、県道戸呂町軽米線の宮沢工区、これが完了いたします。また、釜石市、大船渡市につきましては、来年度予定されております東北横断自動車道の釜石秋田線東和-花巻間が供用開始されるというようなことで、それぞれ中間年次目標は達成される見込みでございますし、宮古市につきましては、国道106号の根市地区、これが平成16年度で完了するという予定でございますので、これも中間年次目標を達成する見込みでございます。

〇佐々木大和委員 次に、大規模林業圏開発林道とこれに接続する道路整備の状況についてお伺いします。
 北上山地大規模林道林業圏開発林道は、北上山地の豊富な森林資源を活用し、林業を基軸とした産業の振興や地域の定住環境の整備を図り、また、一般林道と連結し、林道網の骨格をなす林道として、八戸市から大東町まで、北上山地を南北に縦走する計画で進められてきております。この林道は、緑資源公団が開設、改良する区間と既設の国県道や市町村道を利用する公道利用区間から成り立っておりますが、緑資源公団が開設、改良する区間については、平成12年度末で、八戸川内線と川井住田線とを合わせた計画総延長145.5キロメートルのうち130.8キロメートルが完成し、進捗率がほぼ90%と、全線開通も目前となってきており、一日も早い完成が待たれております。つきましては、今後の整備の見通しについてお示しを願います。
 ところで、幾年もの歳月を費やし、巨費を投じてきた大規模林道の有効活用を図る必要があるものと考えますが、この大規模林業圏開発林道と接続する国県道や市町村道の整備状況はどうなっているでしょうか。また、今後の整備の見通しについてお伺いをいたします。

〇高橋副知事 大規模林業圏開発林道でございますが、御指摘のようにこれは両路線ともそれぞれ進捗状況が、八戸川内線で89%、川井住田線では91%ということでございますし、また、両路線の4区間のうち3区間が既に完成されているということで、あと1区間残すのみというようなことで、おおむね順調に推移しているということは御案内のとおりでございます。いずれ県といたしましては、今後も早期完成に向けて関係市町村等と一丸になって取り組んでいきたいと考えておりますが、なお、この平成13年度の大規模林道事業の再評価の問題がございまして、本県分では、川井住田線横沢-荒川区間を含めた3区間が対象となっているわけでございますが、これまでのところ11月29日に開催されました第5回の再評価委員会で、本県分の3区間はすべて継続が適当というような結論が取りまとめられたことは御案内のとおりでございます。この再評価結果の最終決定につきましては、今後、平成14年度予算の概算決定までに国においてなされることになっておりまして、その結果を踏まえまして、緑資源公団とも連絡調整を図りながら、適切な整備が図られるように努めていかなければならぬと考えております。
 それから、大規模林道と連携した道路整備でございますが、国県道及び市町村道の整備状況につきましては、両路線に接続する道路の改良率では、国道が100%、県道では63%、市町村道では78%、全体で80%というようなことになっております。国県道の整備につきましては、一般県道遠野住田線の住田町地内におきまして改良工事を実施中でございますし、一般県道普代小屋瀬線の岩泉町地内におきまして、地域振興支援道路ネットワーク整備事業、これによりまして待避所などの部分改良を計画してございます。また、市町村道につきましては、川井村の村道鈴久名横沢線におきまして改良工事を実施中でございます。今のところその他の区間につきましては整備計画がないわけでございますが、今後整備に向けて検討してまいらなければならぬと思っております。

〇佐々木大和委員 地域振興の大きなかなめとなる道路ですので、ぜひ積極的な取り組みをお願い申し上げたいと思います。
 次に、地域経済問題についてお伺いします。
 米国同時多発テロから2カ月半余り、我が国経済は、米国経済の失速の影響も加わって、景気の後退が鮮明になってきております。先般発表されました11月の月例経済報告によりますと、これまで比較的堅調だった個人消費が弱含むとともに、完全失業率が過去最悪の水準となるなど、雇用情勢が厳しさを増してきていることなどから、景気に対する基調判断を一段と悪化していると、3カ月ぶりに下方修正しております。また、政府は、先ごろ平成13年度の実質国内総生産──GDPの成長率の見通しを、当初のプラス1.7%から、戦後最低のマイナス0.9%へと大幅に下方修正したところであり、国際的にIT不況が広がる中で、我が国においても、経済の牽引役として期待されていたIT関連企業が大幅に生産を減らし、大規模なリストラ策を相次いで打ち出しているほか、企業倒産も高水準で推移しているなど、厳しい経済状況となっております。
 一方、本県経済の動向に目を転じますと、地域経済との密接なかかわりを保ってきた誘致企業の撤退が相次ぐ中で、県内における有効求人倍率の急速な低下が続くとともに、来春の就職を目指す高校生等に対する県内求人も低水準で推移するなど、停滞が続き厳しい状況となっております。こうした中で、本県経済の大宗を占める中小企業、さらには、大きな影響力を持つ誘致企業に対し、時期を逸することなく迅速かつ的確な施策を打ち出し、一刻も早い景気の改善、回復につなげていくことが、企業関係者を初め、県民のひとしく待ち望んでいることであろうと思うのであります。このように経済活動が冷え込む中、県内企業に活力を与えるためには、今こそ官民が一体となって景気対策に取り組むことが必要ではないでしょうか。国や県が率先して、官公需により、県内企業の99.8%を占める中小企業者の物品や公共工事、役務等の受注機会を増大するような措置を講ずることが重要であると考えます。
 そこで、お伺いしますが、平成12年度における国及び県の中小企業向け官公需の発注状況はどのようになっておりますでしょうか。
 また、国においては、中小企業向け官公需契約目標を設定していると聞いておりますが、平成13年度の目標値は何%だったのでしょうか。
 あわせて、県では中小企業向け発注率を高めるためにどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

〇高橋副知事 平成12年度の国及び県の中小企業向け官公需発注状況でございますが、国の関係で官公需の総実績額は8兆9、040億円、そのうち中小企業向け契約実績が4兆960億円ということで、中小企業向けの発注率は46.0%ということでございます。これに対しまして県の官公需の総実績額は2、322億円ということで、そのうち中小企業向け契約実績が1、841億円ということになりますから、中小企業向けの発注率は79.2%ということで国を大幅に上回っているということになります。
 それから、国の13年度の官公需契約目標値でございますが、中小企業向け契約目標金額を国では約3兆5、510億円としておりまして、官公需総予算7兆6、220億円に占めます割合は46.6%ということになるものでございます。
 それから、中小企業向けの発注率を高めるための県の取り組みでございますが、中小企業向け発注率を高めるために公共工事等の契約締結に当たりまして、可能な限り分離分割発注を推進するということでございますし、また、官公需適格組合制度の周知徹底とその活用を図っているところでございます。また、中小企業者が受注機会を逸することがないように県のホームページで工事入札情報を公表いたしますとともに、中小企業団体中央会のホームページや情報誌に物品、役務等の発注情報も掲載しております。さらに、市町村に対しましても中小企業向け受注機会の増大に努めるように要請をしているところでございまして、今後におきましても、中小企業向けの発注率を一層高めるように努力してまいりたいと思っております。

〇佐々木大和委員 次に、企業誘致の状況についてお伺いいたします。
 我が国の経済は、IT不況に追い打ちをかけるような米国同時多発テロの発生などにより、先行きの見通しが立たない状況となっております。県内の誘致企業においても、本年4月のアイワ岩手や、北上市のタムステクノロジーなど電機機械や半導体関連を中心に工場閉鎖を余儀なくされるケースが出てきております。多くの離職者が発生するなど、地域経済に及ぼす影響も大きく憂慮にたえない状況になっております。このような中、県においては今年度、企業立地推進課を新設するなど、企業誘致体制を強化し、積極的に誘致活動を推進されているわけですが、私は、撤退する誘致企業があっても、企業誘致は雇用創出や税収の面を考慮するならば、本県において地域振興を図る上で、依然として重要な施策の一つであると考えるものであります。企業誘致の置かれている状況が厳しいことは承知しておりますが、私はこういうときこそ戦略を持って臨む必要があるものと考えますが、現況下における企業誘致の戦略についてお示しをいただきたいと思います。
 また、あわせて企業側のニーズがどのように変化しているのかについても、わかる範囲でお示しをいただきたいと思います。

〇高橋副知事 企業誘致戦略につきましては、今年度、企業立地推進課が新設されたわけでございますが、そのときに新たな戦略を立てて目下取り組んでいるところでございますが、その内容といたしましては、一つは、誘致企業に対するフォローアップを充実強化するというようなことでございまして、知事が先頭に立ちまして企業訪問なり、企業からの要望に対する迅速な対応などを、市町村と連携をいたしまして確実に実行することによりまして、誘致企業との信頼関係の構築を図るというようなことでございます。それから、二つ目は、従来型の製造業中心の誘致活動を基本としながらも、もっと地域の特性に応じまして、例えば環境関連産業とか情報通信関連産業などの幅広い分野を対象にした取り組みを行うと、これが二つ目でございまして、三つ目は、企業誘致の人材育成でございまして、人材育成を図るために、県なり市町村の企業誘致担当職員を対象にいたしまして、民間企業の研修ノウハウを取り入れたセールスマン研修を継続して実施することとしております。また、これらのほかに、企業情報のデジタル化など全国に先駆けた情報化に取り組んでおりますが、そういうようなものを使った情報の共有化、さらには、民間感覚を意識した工業団地の販売促進を戦略に掲げて取り組んでいるところでございます。工業団地を一つの商品としてとらえて、その品質管理等の考えも入れながら大いに売っていこうというようなことでございます。
 企業ニーズの変化でございますが、平成13年度上期分として発表されております経済産業省の工場立地動向調査、これをもとに分析してみますと、企業の進出理由は、平成6年、9年が用地面積の確保が立地場所選定理由のトップでございました。これが平成13年度の調査になって、関連企業への近接性がトップというように変わっておりまして、最近は関連企業への近接性とか市場への近接性が大きく増加しておりまして、また逆に用地面積の確保とか地価などは横ばいの状況にあるというようなことでございますし、それと本年度はこの立地企業の中で、工業団地に土を買って、底地を買って立地をする企業が減少しておりまして、逆に空き工場へ立地するような企業が大変ふえておると、これはホームページで紹介していることも一因かとは思いますが、そういうようなことが昨今の特徴でございます。

〇佐々木大和委員 次に、地場企業の支援策についてお伺いいたします。
 先ほど御答弁をいただきましたように、申すまでもなく、本県産業のこれまでの飛躍的な発展を支えてきました施策の一つは企業誘致であります。その誘導策といたしましては、低金利の県単融資制度である工業立地促進資金など、さまざまな優遇策が講じられてきたところであり、また、県当局を初め関係者の御努力により、この厳しい経済環境の中でも、昨年度は13企業、本年度もこれまで9企業が誘致されたと聞いております。企業誘致は、これからも雇用の確保、地域活性化の視点から積極的な対応が望まれるのでありますが、一方、長年にわたって地域で活動してきた地場企業の振興も不可欠であり、誘致企業に対する支援策と同等、あるいはそれ以上の支援が必要ではないかと考えるものであります。地場企業が現下の厳しい経済環境のもとで、事業活動を維持、発展させていくためには、産業構造の変化に対応した経営や競争力の向上が必要と考えられますが、県の支援策についてお伺いいたします。
 また、昨年度までは中小企業金融安定化特別保証制度により、年末資金調達を図ってきた地場企業も多かったのでありますが、その借りかえなど、本年末の金融対策について、県としてどのような措置を講じていくのかあわせてお伺いいたします。

〇高橋副知事 地場企業への県の支援策でございますが、地場企業が国際競争の激化、またIT革命の進展などの経済環境の変化に対応できるように、県では中小企業経営革新法に基づきまして、新たな生産方式の導入、また情報化への対応など経営革新計画に取り組む企業に対しまして助成を行っておるところでございます。補助、低利融資というようなことがございますが、承認件数は平成13年10月現在38件ということでございます。また、企業の競争力を高めるためには、新しい技術の開発、新商品開発などの取り組みが大切でございますから、工業技術センターにおきまして技術相談、指導に取り組んでおりますほか、中小企業創造活動促進法に基づきまして、新技術開発等に取り組む企業に対しまして支援をしているところでございます。これの認定は106件、また補助は272件というような実績がございます。
 それから、年末の金融対策でございますが、これにつきましては各金融機関、県信用保証協会に資金供給について協力も要請をしております。また、金融機関や保証協会、さらには商工指導団体によりまして、来る6日に岩手県中小企業金融連絡会議を開催することといたしておりまして、これを通じまして年末における資金供給に支障が生じないように各関係機関に要請をいたしますほか、金融相談窓口案内の広報に努めていく考えでございます。
 なお、中小企業金融安定化特別保証などの信用保証制度を利用している融資におきましては、契約当事者の合意の上で、それぞれの契約に応じ可能な範囲で借りかえ等の条件変更に応じているところでございますし、特別保証終了後の資金需要対応策といたしまして貸付限度額の引き上げ措置等も講じているところでございます。

〇佐々木大和委員 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 11月30日、政府から労働力調査結果等の発表がありました。これによりますと、今年10月の完全失業率は5.4%、失業者数は7カ月連続の増加で352万人にも達し、最悪の記録を更新するとともに、今後、雇用情勢は一層厳しさを増していくものと見解を示しております。本県におきましても、同日、岩手労働局から10月の有効求人倍率が公表されましたが、前年よりもさらに0.01ポイント下がって0.39倍となり、とうとう0.4を切ってしまうという大変厳しい状況に至ったのであります。地域における就労の場の確保は、何にも増して優先して解決すべき課題ではないかと思っております。県におきましては、12月補正予算に緊急地域雇用特別基金積立金10億円を計上し、さらに国の補正予算に呼応して、新たに53億円余の特別交付金を受け入れることとしておりますが、これら国の交付金事業などを活用して、当面、緊急に対応すべき短期的な雇用対策としてどのような対策を考えているのでしょうか。
 また、短期的な対策とあわせて、その両輪となる中長期的視点に立った雇用開発、並びに雇用維持対策も必要であります。中長期的な雇用維持対策についても、今後どのように取り組んでいこうとしているのかお尋ねをいたします。

〇高橋副知事 短期的な雇用対策といたしましては、現在、森林の間伐、海岸、河川、湖沼、観光地等の美化を進める環境保全を図る事業とか、子育て経験者や教職経験者を活用いたしました子育て支援サービス、また文化芸術活動などの福祉・教育事業など、豊かな地域を実現するような事業に取り組むこととしております。ただ、国からの通知が本当は先週来ると答弁いたしておりましたが、これがおくれておりまして、今週中には来るというようなことになっておりますので、それを受けまして、これら交付金事業などに関する説明会を開催いたしまして、事業の趣旨、内容等を市町村に周知徹底をいたしまして、離職を余儀なくされている方々を一人でも多く雇用できるように指導してまいりたいと思っております。
 中長期的な雇用対策に当たりましては、やはり県民が安心して働くことのできる場としての雇用環境を整備する必要がありますし、また、新たな雇用の受け皿となる産業の創出なり、これまでの産業基盤をさらに強化することが不可欠でございますので、地域の産業活性化に向けた支援を行う必要があると考えております。また、離職者の新たな就業への円滑な移動なりセーフティーネットの充実、これらもやっていかなければならぬと思っております。
 県といたしましては、去る10月30日に取りまとめました岩手県総合雇用対策の中で、いろいろ産業の支援策といたしまして、中小企業の経営革新への支援や開業、創業あるいはベンチャーへの支援、環境産業や情報産業への支援等を行うこととしているわけでございますが、さらにセーフティーネットとしての融資制度の見直しや、離転職者等に対する職業訓練の実施を行うこととしたところでございます。今後におきましても、このような厳しい雇用情勢に臨時応急的に行う雇用対策と、これら中長期的な視点に立った雇用対策をあわせまして、さきに策定した雇用対策をさらに検討を進めて、内容の充実を図りながら、総合的に雇用対策に取り組んでいかなければならぬと思っております。

〇佐々木大和委員 国の方にもハッパをかけて、早急に対応していただくようにお願いしたいと思います。
 次に、酪農の振興策についてお伺いいたします。
 先日の一般質問においては、狂牛病対策に関する質問が多かったことから、ここでは酪農振興に質問を絞ってまいりたいと思います。本県の畜産は広大な県土を背景に、県農政の積極的な推進等により農業の基幹部門として発展し、全国でも屈指の畜産県として地位を築き上げてきております。中でも豊富な草資源を活用した酪農につきましては、飼養戸数で全国第2位、飼養頭数においては全国第3位の地位を占め、中山間地域の農業を支える基幹作目に発展したところであります。しかしながら、近年、国際化の進展に伴う乳価の低迷や経営者の高齢化などによって、飼養戸数、頭数、そして生乳生産量も減少傾向にあり、なかなか歯どめがかからない状況にあります。このままの状態が続くならば、本県の酪農は衰退の一途をたどり、中山間地域の活力低下の一因になるものと危惧しているところでありますが、県は、本県の酪農の現状をどうとらえ、今後どのように振興を図っていくお考えなのかお尋ねをいたします。

〇高橋副知事 酪農の現状でございますが、御指摘のように、経営者の高齢化なり後継者の確保難から、戸数、飼養頭数とも年々減少しておるわけでございますが、その反面、飼養規模は1戸当たり平均30頭と着実に拡大してございます。ただ、これも全国平均から比べますとかなり低いということでございますが、それから産乳能力を牛群検定の成績で見ますと、搾乳牛1頭当たり8、599キログラムというようなことで随分と向上しておりますし、また資質のそろった牛群が整備されつつありますので、所得も増加傾向にございます。ただ、いずれ全国と比較いたしますと、依然として飼養規模、また産乳能力も落ちているような状況にあるわけでございまして、今後の酪農振興策といたしましては、まず生乳につきまして、生乳はいまだ計画生産の中にありますが、ただ、全国的には飼養頭数が減っております。そういう関係で実質的には増産が求められている時代となっておりまして、酪農主産地といたしましては、豊富な草資源を積極的に活用した生産性の高い酪農経営を展開できる絶好の機会だととらえておるわけでございます。
 このため、牛群検定への加入率向上などに加えまして、一部の地域では既に取り組み始めておりますが、牛の快適性を高める改善、牛舎内の換気をやるとか、床のクッションをよくするとか、いわゆるカウコンフォートというように言われておりますが、これを行うなど、乳牛の持つ能力を最大限に引き出すような技術の導入を促進してまいりたい。さらに、酪農ヘルパー制度の充実なり、労働時間短縮のための完全混合飼料供給センターの整備促進などを図りまして、酪農経営に魅力を感じるようなそういうゆとりのある経営体の育成を推進していきたいと思っております。
 さらに、今回のBSEの問題がございまして、本来、牛は草食動物であるという原点に立ち返りまして、放牧や積極的な自給飼料の利用など豊富な草資源の活用と、資源循環を基本としながら、牛群改良、飼養管理技術及び労働環境の改善を図りながら、足腰の強い酪農経営の推進を図ることが重要だと考えております。

〇佐々木大和委員 次に、畜産環境問題についてお伺いいたします。
 平成11年11月に施行された家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律により、一定規模以上の畜産農家においては、野積み、素掘りといった不適正な処理の解消が求められているところであります。この法律に基づく岩手県計画平成12年9月では、法律の猶予期間である平成16年10月末日までに不適切な処理を解消するとしております。
 そこで、お伺いしますが、本県における最近の畜産公害の発生状況はどうなっているでしょうか。
 また、県計画を実施するため、堆肥化処理施設等の整備に向けた取組状況はどうなっているのかお伺いいたします。

〇高橋副知事 畜産公害の発生件数は、これまでは横ばい傾向にあったわけでございますが、平成12年度におきましては、98件とやや増加をしております。畜種別では、乳用牛が全体の37%、それから養豚が23%ということでございまして、この二つで60%というようなことでございますし、発生の内容は水質汚濁と悪臭関連、これが最も多くてこの二つでやっぱり63%というようなことでございます。最近はこの水質と悪臭が同時に発生するケースが多くなってきているということでございますし、なお最近の例といたしましては、長雨によって汚水がしみ出して水道水源となっている河川に流れ込んだと、そのために取水を停止するというような県北での事例が発生しているところでございます。
 堆肥化処理施設の整備がそれについては重要でございますが、県計画では、平成16年度までに広域の堆肥センターや個人施設など、合わせまして669カ所の整備目標を掲げているわけでございますが、13年度までに388カ所の整備が見込まれておりまして、これは計画を上回って整備が進んでおるという状況でございます。目標に対しましては58%の進捗率でございます。法律の猶予期間でございます平成16年10月まで、残すところ3年というようなことになったわけでございますが、経営環境整備事業を中心といたしまして、県単事業でございます地域有機物資源活用促進事業や二分の一補助付きリースというものもございますので、これらの事業を組み合わせながら、さらに事業を促進してまいりたいと考えております。

〇佐々木大和委員 地方環境税についてお伺いいたします。
 地域が抱える環境問題について、税という経済的手法を用いてその改善を図るとともに、そのための財源を確保することを目的として、全国の地方公共団体において、地方環境税への取り組みが進められております。本年6月には三重県において都道府県では初の産業廃棄物税が創設されました。本県においても、9月14日に開催された第5回北海道・北東北知事サミットにおいて、青森、秋田両県と産業廃棄物税の創設に関して共同歩調による取り組みを進めることが合意されましたが、本県が産業廃棄物税に取り組もうとした背景についてお示しを願います。
 去る11月28日新聞報道によれば、本県の取り組みは、三重県が単独で産業廃棄物税を実施することと異なり、北東北3県が連携し、広域で実施しようとすることに特色があるとのことですが、私は、全国的にも先駆的な試みであると高く評価しているところであります。現在、鋭意検討が進められていると存じますが、産業廃棄物税について広域で取り組もうとした理由と、検討状況についてお伺いいたします。

〇高橋副知事 地方環境税でございますが、まず背景でございますが、本県では、青森県境とか一関市で発生したような不適正処理事件の未然防止を図る。それから、ことしの3月に策定をいたしました、いわて資源循環型廃棄物処理構想を実現するための制度的な側面からの支えが必要であるというようなことで、産業廃棄物に関する施策を、不法投棄対策、優良業者育成、さらには廃棄物の発生抑制、リサイクルの促進などの側面から総合的、体系的に検討しているわけでございますが、その過程におきまして、産業廃棄物税制が、廃棄物の発生抑制なりリサイクル促進対策を進めるための、経済的手法としては有効な手段となり得るものだというように考えたことが背景として挙げられるわけでございます。
 さらに、広域的に取り組む理由といたしましては、これまで北東北3県では、環境を初めといたしまして、観光、情報など幅広い分野で連携を深めてきたわけでございますし、また、産業廃棄物につきましては、都道府県の枠を超えて広域移動することがございますので、一部の県だけで規制をするというようなことでは、隣接県から産廃が流入するということになりまして、やはり広域的に対応した方が効果的であるというように考えておりまして、そういうことから首都圏からの産廃の不適正処理につきまして、同じ課題を抱える北東北3県でスクラムを組んで検討していこうと考えたものでございます。
 その検討状況でございますが、本県独自で10月に設置をいたしました条例整備懇談会で目下検討を進めておりますが、今は県のホームページ上で意見募集、さらに県内で9広域圏での地域公聴会の開催、さらには市町村や関係団体への意見照会を今行っている段階でございまして、年度内には懇談会の答申をいただこうというような予定でございます。そして、この懇談会の答申を得た上で、秋田、青森両県とまた具体的に調整を図りながら制度化に取り組んでまいるという考えで進めておるところでございます。

〇佐々木大和委員 次に、県北・沿岸地域に大きなかかわりのある二つのプロジェクトについてお伺いいたします。
 まず、緑資源公団が実施する下閉伊北区域農用地総合整備事業についてであります。本事業は、岩泉町、田野畑村、普代村の中山間地域における農業振興を図るため、基幹農道の実施と一体的に農業生産基盤を整備しようとするものであり、現在、事業着手に向けた全体計画が進められているところであります。本事業は、当地域の農業振興はもちろんのこと、生活環境の向上にも寄与するなど、地域活性化対策として大きな効果を果たすものと期待して、関係町村の住民の多くが事業の早期着手を望むものでありますが、事業の進捗状況と今後の見通しはどうなっているのかお伺いいたします。

〇高橋副知事 下閉伊北区域農用地総合整備事業でございますが、平成11年度から緑資源公団が全体実施設計を実施しておりまして、現在、事業の実施計画や事業効果等を取りまとめ中でございます。事業の見通しにつきましては、13年度に新規着工で要望いたしましたが残念ながら採択にならなかったということでございますが、平成14年度の新規着工箇所に農水省の方では入っておりまして、今、財務省に対しまして要求されていると、そして新規着工地区が1地区のみだというようなことでございますから、多分14年度はいくんじゃないのかと期待をしておるわけでございまして、県といたしましても本事業がこの地域の農業振興のみならず、県北・沿岸地域の振興を図る観点からも重要な事業であると考えておりますので、今後とも関係町村と連携しながら早期着工に向けて努力してまいりたいと思っております。

〇佐々木大和委員 次に、並行在来線対策についてお伺いいたします。
 去る6月1日に、並行在来線の本県運営会社であるIGRいわて銀河鉄道株式会社が発足し、来年12月に予定されている開業に向け、いよいよその準備が本格化しているものと存じます。鉄道事業を開始するためには、多様な施設、設備の整備、要員の確保、関係者間の調整、事業許可申請事務などさまざまな準備や手続が必要と伺っており、開業まで1年ほどとなった現在、諸準備にも熱が入っているものと存じます。
 そこで、まずお伺いしますが、いわて銀河鉄道が発足して以来、今日までのこうした諸準備の状況並びにその評価について、県当局の御見解をお示し願います。
 次に、並行在来線の赤字対策についてお伺いいたします。
 本年3月に策定された運営計画概要によると、いわて銀河鉄道の経営は非常に厳しいものが予想され、運賃を三陸鉄道並みに値上げしても、やっと開業16年目で累積債務が解消できる見込みとなっております。三陸鉄道は、開業当初は順調な経営でありましたが、現在は赤字で苦しんでいる状況であります。
 そこで、お伺いしますが、いわて銀河鉄道が将来赤字になった場合、その負担はだれが負うことになるのでしょうか。県が負うことになるのか、あるいは市町村にも負担を求めることになるのか、御見解をお示し願いたいと思います。

〇飛澤地域振興部長 並行在来線についてのお尋ねでございまして、まず開業に向けた諸準備というお尋ねでございました。施設・設備の整備につきましては、ただいま運輸管理所、設備管理所等の整備に着手いたしておりまして、このほかに新造車両3ユニットの発注を行ったところでございます。要員につきましては、22名の社員で発足して以来、所要の充実を図ってまいりまして、現在、社員27名体制で開業に向けた準備を進めております。今後も必要な要員の確保を図っていくということにしております。
 それから、国土交通省との事前協議あるいは関係者間の調整についてでございますが、12月の鉄道事業許可申請を目標といたしまして、会社発足後、国土交通省あるいはJR東日本等と30回弱の協議を行っているところでございます。県といたしましては、施設整備が着実に進んでいること、あるいは関係方面との協議が進んでおりまして、鉄道事業許可申請の準備がほぼ整いつつあると思っておりまして、総じて開業に向けた準備はおおむね順調に進められていると思っております。
 それから、赤字が生じた場合の問題というお尋ねでございました。現在策定しております経営計画では、運賃を三陸鉄道並みと想定して、単年度で7年目に黒字転換するというふうに想定しておりますが、これはこの経営計画が着実に実行された場合ということを前提にしておりまして、これが着実に実行された場合には、いわて銀河鉄道は将来赤字になるということを避けることができるのではないかと考えております。その方策でございますが、このいわて銀河鉄道の経営安定化のための方策といたしまして、利用者の増加に大きな効果を期待できます新駅の設置が一つでございます。それから、将来の大規模な設備更新等に備えるための基金の設置、これが二つ目の方策でございまして、これらを現在検討を進めておりまして、このほか会社におきましても、さらなる経費の節減を図るとともに、運賃以外の収入を確保する各種方策を検討しているところでございます。
 将来、仮に赤字になった場合というお尋ねでございましたけれども、原則的には経営主体の自助努力による対応が大前提ということでございますが、万一自助努力のみで対応し切れないという状況が生じた場合には、受益と負担という点から申しますと、県と並行在来線の沿線市町村が主体となって対応するのが妥当な考え方ではないかと考えております。

〇佐々木大和委員 そういう方向でいいのかな。
 次に、地方分権の推進についてお伺いします。
 いわゆる地方分権一括法が昨年4月に施行され、従来の中央集権型の行政システムを改め、国、地方を対等、協力の関係とし、かねてから問題とされてきた機関委任事務を廃止するとともに、国の関与等についても抜本的な見直しが図られたところであります。特にも、国及び地方公共団体が分担すべき役割について明確化し、国は国際社会における国家としての存立にかかわる事務等、国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることとされた意義は大きいものであると考えております。
 この改革により、地方公共団体の自主性、自立性が高まり、住民の意向を踏まえた行政の展開が可能になるとともに、住民もより一層責任を持って行政に参加することが期待されたのであります。一括法の施行を受けて、地方公共団体の中には、環境保全やまちづくりなど独自の施策実現のための条例の検討や課税自主権の拡充を背景に、産業廃棄物税、環境税等といった新たな税の創設を検討するなど、創意と工夫を凝らした取り組みを始めたところも出てきております。しかし一方では、今回の地方分権改革については期待外れであった、地方にとって何も変わっていないなどといった消極的な評価も聞かれないわけではありません。
 そこで、お伺いしますが、地方分権一括法が施行されて1年半が経過しましたが、県におかれては今般の地方分権改革により県内の市町村にはどのような成果があったと見ているのでしょうか。また、今後の課題としてはどのようなものがあるとお考えでしょうか。

〇飛澤地域振興部長 地方分権に関するお尋ねでございまして、地方分権改革による県内市町村における成果ということでございますが、今回の分権改革は、国及び地方公共団体が負担すべき役割の明確化、あるいは機関委任事務制度の廃止及び国または都道府県の関与の縮減といったようなことで、地方分権の取り組みを具体的な実行の段階へ移行させる制度的な改革という側面において大きな意義があるものと、その一方では、地方分権推進委員会最終報告にも指摘されておりますけれども、具体的な成果については、今後の改革とともに、市町村を含め我々地方自治体が改革をどのように受けとめ、行動していくかにかかっているということも、あわせて言われております。
 こうした中で、今回の改革による権限移譲あるいは条例制定権の拡充等を受けまして、県内市町村においても、例えば地方分権一括法の施行により、いわゆる昔から青線、赤線と呼ばれているところもありました廃線敷あるいは廃道敷が国から市町村へ譲与されまして、その管理が市町村にゆだねられることとなったということのほかに、例えば二戸市宝を生かしたまちづくり条例、あるいは紫波町循環型まちづくり条例、委員からも御指摘ございましたさまざまな条例制定の取り組み、こういったようなことが新たなまちづくり、あるいは地域性豊かな独自の施策を展開するための取り組みが芽生え始めてきているのではないかと感じております。
 今後の課題ということでございますが、今回の分権改革を実効性あるものとしていくためには、まずもって市町村、県、国それぞれの立場において意識の改革を図り、対等、協力という関係のもとに、これまで以上に自己決定、自己責任という原則に立ち返って行政を展開していくということが大切なことではないかと考えておりまして、県といたしましても、地方分権時代における行政の中心的な役割を担うべき市町村が、その役割を果たしていくにふさわしい行財政体制の基盤強化を図るための組織体制の強化、あるいは職員の能力開発、あるいは広域行政の推進、こういったものに向けて市町村が自主的、主体的に取り組むのを積極的に支援してまいりたいと考えております。

〇佐々木大和委員 次に、県における地方分権についてお伺いします。
 自己決定、自己責任という地方分権を推進していくためには、現場重視の地域経営を目指していくことが重要であり、県においても行政システム改革の大きな柱に位置づけられております。私は、本来政治はチープガバメントが基本であると考えており、地域の現場においても限られた行財政資源を活用し最大の効果を上げていくよう、より総合的な行政を推進していく必要があるものと考えています。そのためには、地方振興局が中2階と呼ばれないよう自己完結性を強める必要があるとともに、専門性のある事務など自己完結性のないものについては見直すなど、地方振興局の権限についても随時見直していく必要があると考えます。
 また、例えば、工場一つを建設するために多くの手続が必要とされ、一向に簡素化されないなど、縦割り行政の弊害が依然として残されており、本年度たらい回しの問題が大きく取り上げられました。一つの申請書類で複数の許可が行われるワンストップサービスや苦情への適切な対応など、県民にとって具体的な成果が示されて初めて現場重視の地域経営という意義が見出され、そうした成果が積み上がって、真の地方自治の姿へとつながっていくものと考えます。昨年4月、地方分権一括法が施行され、地方分権の推進に一歩を踏み出したと言われておりますが、私には目に見えた大きな変化が見られていないのではないかと思われます。
 そこで、お伺いしますが、県における地方分権における残された課題は何か、そしてどのような取り組みが必要と考えておられるのかお示しを願いたいと思います。

〇小原総務部長 県における地方分権の課題への取り組みについてでありますが、なかなか分権改革の姿が目に見えないという御指摘もございました。今回の一括法による地方分権改革において、やはり国から地方公共団体、さらに県から市町村へという権限移譲が十分とは言いがたい状況ではないかと考えています。地方分権改革が十分に行われ、国から県や市町村へ大幅な権限移譲がなされれば、許可等の基準の設定あるいは事務手続の方法など、地方公共団体の裁量にゆだねられる部分が広がりまして、実際県民の皆さんにも行政の変化が見えてくるものと考えます。
 したがいまして、県といたしましては、国から地方公共団体への権限移譲について、新しい分権改革推進会議の議論を注視しながら、私ども地方の立場を積極的に主張していくとともに、県といたしましても改めて権限の見直し等を進め、地方振興局の機能強化などを一層進めるとともに、市町村への一括事務委譲の試行など、私ども独自の取り組みを積み重ねまして、そういった取り組みの成果を国にも提言していくといったことが必要ではないかと考えております。また、地方の自主性、自立性を高めるたるには、やはり地方税財源の充実強化など、地方公共団体の行財政基盤強化が不可欠でございます。したがいまして、地方の立場から適切な税財源の移譲、これを国の方に積極的に主張していくこととしております。いずれ今後におきましても、改めて分権改革の趣旨、目的を市町村と共有しながら、分権社会の構築を目指して住民の皆さんに目に見える改革に取り組んでまいりたいと考えております。

〇佐々木大和委員 最後に、県の行革についてお伺いいたします。
 小泉内閣は、聖域なき構造改革を標榜し、精力的に新施策を打ち出しています。いわゆる骨太の方針に始まり、最近はついに日本道路公団など七つの特殊法人の民営化を打ち出しました。元来、民間でやれるものは民間でやるという強い意志と哲学を感じさせるものがあります。これを裏返すと、私は、官でやるべきものはそもそも何かとの問いかけを発しているように思えてなりません。まさに行革の精神の発源、源ではないでしょうか。ある識者によりますと、わずかな事例を取り上げて全体のように言ってきたことを反省しなければならない。1、000万ヘクタールの人工林を社会貢献や税金のみに頼ってやろうとしても無理です。面積的にカバーしていくには事業方法が必要です。みんなが欲しがっているものを継続的に供給することで社会的責任を果たしていくのが企業のあり方であり、消費者の要求にこたえていくために事業の継続コストとしていただくのが利潤であります。自由経済の原点を改めて示されたことが強く印象に残っております。90年代は民から官へ移動の時代であったと言われております。21世紀を迎えた今、私は、我が岩手にも岩手版の行革があってしかるべきと思うのでありますが、そこで最後に高橋副知事にお伺いいたします。
 岩手版の行革に対し、副知事なりの御所見があればぜひ御披瀝いただければと思います。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。

〇高橋副知事 本県では、昭和59年2月と平成8年1月に行政改革大綱を策定いたしました。また、平成11年2月には、岩手県行政システム改革大綱を策定いたしまして、全国的にも早い段階から行政改革を強力に推進してきたところでございます。
 私は、自治体経営というのは、地域の課題やニーズに対応いたしまして、住民の満足度を高めるために、組織を通じて職員それから税金、施設、情報、これらの諸資源をいかに有効に活用し実行していくかと、これが一番だろうと。これを経営理念にいたしまして、この経営理念に近づける行動、それが行政改革なのだろうと、そのように思っております。この考え方は、民間企業におきまして、人、物、金、情報という経営資源をいかに経営目標に効率的に使うかという、そういうような民間の考え方。目的のために経営資源をいかに活用するかという、そういう民間の考え方と全く違うところがないわけでございますので、そのような民間の考え方というものを行政も積極的に取り入れながら、民間企業のさらに経営管理手法の導入を行うとか、また、行政と民間のもっとすみ分けの問題、これも見直しを図ってやっていくというようなことをどんどん進めて岩手県版行革につなげていかなければならないと、そのように思っておりますが、ただ、その前提といたしましては、どうしても職員の理解と協力、これが不可欠でございます。それらを得ながら、いわゆる職員の持つ能力なりエネルギーというものを最大限に引き出していくような、そういうような体制も講じていかなければならない、仕組みもつくっていかなければならない、そのような思いで今いるところでございます。

〇佐々木大和委員 誠意ある御答弁をいただきまして、ありがとうございました。ひとつ県勢発展のために、さらなる御努力、御尽力を賜りますようにお願いいたします。
 御清聴ありがとうございました。

〇飯沢匡委員 政和会の飯沢匡でございます。
 政和会を代表して総括的に質問するわけでございますが、このような大役を任されたことはまことに光栄と思っているところであります。
 今まで質問が出されまして重複している部分があること、御容赦願いたいと思いますし、当局には、簡潔明瞭な御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 最初に、平成12年度重点化施策への取組状況についてお伺いいたします。
 平成12年度における岩手県総合計画の主要な事業への取組状況については、先ほど質疑、答弁のあったところでございますが、さらに焦点を絞ってお伺いいたします。
 平成12年度の予算編成方針では、総合計画の目標実現のため、重点課題として、環境、ひと、情報の三つを柱とした具体的取り組みとともに、地方分権、地域の自立性を大いに意識し、地方振興局に係る重点事業、広域的に連携して取り組む事業については、総合的、横断的な取り組みを行うということとして、地域からの積極的取り組みを掲げました。こうした地域からの地域課題解決に向けた取り組みの状況についてお伺いをしたいと思います。

〇飛澤地域振興部長 地方振興局の重点事業あるいは広域連携事業についてのお尋ねでございます。
 平成12年度に各地方振興局が地域課題解決などに取り組んだ重点事業、盛岡地方振興局の岩手山防災対策推進事業など、40事業が進められております。
 例を引いて申し上げますと、盛岡地方振興局では、先ほど申し上げた岩手山防災対策推進事業という事業が推進されまして、情報連絡施設の設置、避難農道、治山ダム、砂防ダム等の整備が行われておりますし、大船渡地方振興局では、気仙広域HACCP対策推進事業といたしまして、ハセップ方式を導入したカキ共同作業施設等の整備が行われております。また、二戸地方振興局におきましては、新幹線対応地域連携ネットワーク整備事業という事業名で新幹線関連道路の整備、あるいは広域観光アクションプランの策定などが行われております。それから、広域連携事業でございますが、一関あるいは千厩地方振興局が連携したいわてゼロ・エミッション推進事業など6事業となっておりまして、このうち一関、千厩におきましては、いわてゼロ・エミッション推進事業といたしまして、オフィス古紙のリサイクルシステムの構築、農業分野における再生製品の実証実験、それからもう一つは大船渡、釜石、宮古、久慈の4地方振興局で、三陸沿岸フィールドネットワーク事業といたしまして、地域住民やボランティアの参加によります花や木の植樹活動や陸中海岸移動観光大学の開催などを行っております。
 これら主な事業をただいま申し上げましたけれども、各地域振興局とも、地域課題の解決あるいは広域的な地域づくりを目指して組織横断的な取り組みが各地で行われている、そう考えております。

〇飯沢匡委員 これからも広域連携、また、市町村合併をにらんださまざまな形で組み合わせが必要となってまいります。そのために、地方振興局の役割、つまり情報の提供でありますとか市町村などの行政官のコーディネートはもちろんのこと、民間組織からの声の受け皿というものが振興局にこれからさらに重要になってくると思われます。また、民間の活用をいかに生かしていくかと、これも大事なことだと思っております。振興局の置かれる位置はますます高まると思っておりますので、14年度の予算措置においても十分そういう配慮がなされるよう、御期待をしております。
 次に、財政問題についてお伺いいたします。
 県財政一般については質疑、答弁がなされましたので、少し細かく入ってまいります。
 歳入についてお聞きいたします。
 平成12年度の予算編成方針によれば、県税、使用料、手数料等の自主財源の確保に一層努力するとともに、国庫支出金の導入にも努めるものとする。また、各種基金の活用や地方交付税措置のある優良な県債の活用を図るものとするとあります。特に、自主財源の確保については、今期決算では自主財源の歳入総額に占める割合が32.7%で、前年の33.3%より0.6ポイント下回っております。また、御案内のとおり、本県の歳入構造は多くを国庫支出金や地方交付税、県債に依存しており、国の施策に左右されざるを得ないのが現状であります。今、国の構造改革により、地方への交付税配分は、今後、現状のままということはあり得ない状況下であります。
 そこでお伺いいたしますが、平成12年度決算歳入達成度についてどのように評価をなさっておるのか。また、自主財源の確保に向け、県はどのように取り組みをなされているのかお聞きしたいと思います。
 さらに、自主財源確保について、県は行政システム改革大綱推進事項に、税源の涵養を図るため地場産業の振興、幅広い企業誘致の展開、ベンチャー企業育成等を積極的に推進するとしてありますが、その成果と今後の取組状況についてあわせてお聞きしたいと思います。

〇小原総務部長 歳入確保の達成度、自主財源の取り組みについてのお尋ねでございますが、歳入の確保について、自主財源の確保については、平成12年度決算における自主財源は3、178億3、600万円、前年度に比べて10億3、300万円、0.3%の増となっております。県税につきましては98.2%の徴収率を確保して、前年度に比べまして53億4、700万円ふえております。使用料、手数料は改定後2年以上経過したものなど、62件について見直しを行った結果、3億400万円の増となっております。
 また、県有未利用地の売却によりまして、3億円余の財源を確保しております。それから国庫支出金につきましては、地方財政計画の伸び率がマイナス1.5%でございましたが、2、000億9、300万円と前年並みを確保したところであります。
 次に、基金の活用についてであります。当初予算では財源確保のために、主要3基金から200億円を活用することにしておりましたところですが、交付税の増加などにより、結果として、決算ベースでは公共施設整備基金14億5、700万円を活用したところでございまして、残額は1、139億円余ということで、平成12年度の財政健全化目標である700億円を上回っているところでございます。
 それから、地方交付税措置のある優良な起債の活用についてでございますが、後年度の財政負担を可能な限り軽減するということで、地域総合整備事業債あるいは12年度に新たに創設されました発展基盤緊急整備事業債などの導入に努めたところであります。これらのことから、歳入確保につきましては、平成12年度の予算編成方針に掲げた目標について、何とか達成されたのではないかと考えています。
 今後におきましても、非常に厳しい財政環境でございます。引き続き使用料、手数料の適時適切な見直しあるいは県有財産の処分等、自主財源の確保に努力してまいりたいと思います。
 なお、現在、国の方では最も優良とされる地方債の廃止を初めといたしまして、地方交付税制度の改正が検討されています。これらによる影響も懸念されますので、国の動向を注視しながら、今後とも優良な財源の確保に努めていきたいと考えております。

〇高橋副知事 税源の涵養を図るための企業誘致等の成果と今後の取り組みということでございますが、まず、地場産業の振興につきましては、豊かな地域資源を活用した岩手ブランドの創造に努めますとともに、地場産業の競争力、体質強化を図るために、中小企業の経営革新等の取り組みを支援してきたわけでございまして、この結果、非常に産業界にとっては厳しい状況が続いていた中でございましたが、県産オリジナル清酒の開発等、新たな岩手ブランドの商品開発が行われたところでございます。
 今後におきましても、本県ブランドの育成と定着に向けた商品開発、デザイン開発の支援を促進いたしまして、需要開拓から流通支援に至る総合的かつ戦略的なマーケティング支援を行うとともに、情報通信技術を活用した企業経営の高度化を図ってまいる考えでございます。
 企業誘致につきましては、平成12年度は13件の新規立地があったわけでございますが、12年度はさらに関東自動車工業、三菱製紙、SMC釜石工場などの既存立地企業におきまして、事業拡大に伴う大規模な工場増設がございました。また、日本ピストンリングが当初計画を大幅に上回る規模での工場建設を予定するなど、新規立地以外にも大変雇用の拡大につながる事業展開が見られたところでございます。
 今後におきましても、成長分野として期待される企業を積極的に誘致いたしますとともに、誘致企業のフォローアップに努めてまいる考えでございます。
 それから、ベンチャー企業の育成につきましては、いわて産業振興センターを核といたします産業支援ネットワークによりまして、創業から研究開発、また、事業化に至る総合的な支援を行ってきたところでございます。さらに、いわて起業家大学の開催によりまして、これまで52名の創業者を輩出しております。
 今後とも、成長を目指す意欲的なベンチャー企業に対しまして、マーケティングや経営支援を行いますとともに、地元資本によるベンチャーファンドの組成の検討も進めていく考えでございます。

〇飯沢匡委員 先ほど総務部長から、国の地方財政改革の動きについても発言がありましたが、一般質問でも論議されましたように、財政確保努力のインセンティブ強化のために留保財源率を引き上げる方向で検討され、そのかわり、基金財政需要額を圧縮されるというような動きがあるようでございまして、すなわち、税収確保努力が、これからさらに自治体に求められるということになっておりますので、相当な厳しさを持って今後とも取り組まれるようお願いを申し上げます。
 次に、中期財政見通しに示された12年度末の見通しと実際の決算の達成度を具体的に確認したいと思います。
 中期財政見通しは、平成11年8月、将来の新しい岩手づくりを進める上での指針となる岩手県総合計画を策定されたのを受けて、そのプロジェクトの円滑な推進や最新の経済指標等の動向を踏まえて見直しを行っているところであり、期間年度は平成12年度から17年度、岩手県総合計画の前期実施計画の終了年度までの6年間を定めております。いわば、環境、ひと、情報に連動した今期当該決算が初年度になるわけでありまして、新岩手県総合発展計画が順調に滑り出したかどうかの財政的な重要な指標となると思うわけであります。
 平成12年度末の見通しによれば、年度末基金残高は700億円程度を確保、県債依存度は9.9%、年度末残高見込みは1兆1、600億円となっておりますが、その取組状況はどうであったかお示しを願いたいと思います。
 また、この結果により、今後平成17年度までの見通しはどうなのか、中期財政見通しに修正を加えるのか、さらに平成12年度から17年度までの歳入歳出のギャップの総和は約2、500億円と見積もり、それは財源調整と財政健全化努力によって埋めるものとしておりますが、その総額の推移見込みとあわせてお知らせ願いたいと思います。
 続けてまいります。
 財政構造の分析でありますが、財政力指数が近年において指数低下が顕著傾向であります。12年度は0.27467と、前年の0.29534からさらに低下しております。この指数低下の要因もあわせてお知らせ願いたいと思います。

〇小原総務部長 12年度決算と中期財政見通しとの比較についてでございますが、12年度末の主要3基金残高は、先ほども申し上げましたとおり、中期財政見通しでは700億円程度と見込んでおりましたが、決算では交付税の増加などにより1、139億円、財政見通しを439億円上回ったというところでございます。県債依存度は中期財政見通しの9.9%に対して、決算でも9.9%になっております。県債残高、これにつきましては、中期財政見通しの1兆1、600億円程度に対して、決算では1兆2、024億円ということになっておりまして、見通しを424億円と若干上回ったところでございます。これは、地方財源不足に伴う財源対策債や国の経済対策に伴う補正予算債の発行によるものでございます。
 以上のことから、中期財政見通しと財政運営ということで、達成度という点では大体見通しと同様になったということが言えると考えております。
 次に、歳入歳出のギャップの問題でございますが、歳入歳出のギャップについて、中期財政見通しでは、平成12年度当初において411億円が不足すると見込んでいたところでございます。これに対して、実際の予算編成時には374億円と、ギャップがいわば縮小したところでございますが、いずれにしても、この374億円を解消するために、当初予算では事業の見直し等の歳出の抑制によりまして162億円、基金の活用等により200億円等の財源確保を行ったところでございます。その後の財政運営等を通じまして、決算時においては、実質収支16億円の黒字を達成したというものでございます。
 それから、同じように13年度当初予算編成時においては、中期財政見通しによる不足額355億円に対して実際の予算では417億円の不足が生じましたけれども、歳出抑制による158億円あるいは基金の活用による250億円等によって財源を確保したところでございます。14年度以降におきましても、引き続き中期財政見通しをもとに、事務事業の見直しによる歳出抑制、あるいは自主財源の確保、各種基金の活用など、ギャップの解消に努めてまいります。
 先ほども委員の方から御指摘があったとおり、いろいろ国の方で交付税改革等の改正に伴う影響も予想されるものですから、心を引き締めて十分注意しながら対応していきたいと。
 引き続き財政力指数低下の要因についてお話し申し上げますが、御案内のとおり、地方公共団体の財政力を示す尺度として用いられる指数であります財政力指数ですが、1に近く1を超えるほど財源に余裕があるとされております。この指数は、普通交付税の算定に用います基準財政収入額、これを基準財政需要額で割った数値の過去3年間分の平均値により算定されるというものでございますが、本県の指数は、平成12年度では0.27程度ということで、全国平均の0.43あるいは東北6県平均の0.33に比較しても低く、全国的に見ても低いということになっております。
 本県の財政力指数の低下要因でございますが、近年の国の経済対策によりまして増発した起債等、こういった償還経費が、分母であります基準財政需要額、この方に算定されます。一方、恒久減税あるいは税収の減により、分子であります基準財政収入額が減少するということで数値が低下していくと考えられまして、これはいわば本県のみならず、東北6県あるいは全国とも近年、同様の傾向を示しているものでございます。

〇飯沢匡委員 財政力指数については、総務省が自治体各種の財政援助をする際の有力な指標としてとらえられていることから、国の動向もかなり影響度は大きいかと思いますが、今後さらなる努力をしていただきたいと思います。
 次に、企業会計方式についてお伺いいたします。
 経済の成熟化、国際競争の激化の中、日本経済は低成長化を余儀なくされ、不況の長期化が続いております。その影響で、自治体の税収は逼迫しております。経済の成長が鈍化し、将来展望も描けない状況では、行政サービスの大盤振る舞いはできず、施策の選択という問題に直面することとなりました。選択結果を住民に受け入れられてもらうには、施策の経済性、効率性、有効性を高めることが必要となってきております。それらの施策の展開を促すためにも、企業会計手法の導入は必須となっている状況であります。また、厳しい経済環境が続く中で、PFIなど民間企業が行政サービスの代替を始めていくというケースも増加していくことが予想され、官と民との代替関係が構築されていくと考えた場合、効果やコストの比較などのためにも、その活用の必要性が出てくることが大いに考えられます。
 岩手県においては、平成10年度分及び平成11年度分が作成されております。12年度分はこれからの作業ということで今期決算と比較検討はできませんが、まず、11年度分で実際の決算とバランスシート等の比較の中で何がわかるのか。また、それを施策展開にどのように活用するのかお聞きしたいと思います。
 また、過去における総務部長の答弁の中で、企業会計方式への取り組みの課題を挙げ、台帳方式のバランスシート等を作成することで個々のデータが共有化され、それぞれの部局の施策にシステムとして反映されることが重要であると答弁がございましたが、その課題を踏まえた経過と本格導入に向けての進捗具合もお聞きしたいと思います。

〇小原総務部長 企業会計方式の導入についてのお尋ねでございます。
 まず、御案内のとおり、現行の地方自治法上の歳入歳出予算書あるいは決算書は、一会計年度の現金、収入支出の流れ、いわゆるフローの情報をあらわしておりますが、企業会計方式の導入は、資産や負債等の状態、いわゆるストック情報をあらわすバランスシートやあるいは行政目的別に現行の予算における慣行などを参考にして、セグメントといいますか、区分を設けてそれごとにコストと県民負担を対比する、そしてフロー情報として作成するコスト計算書、この両面からの資料で財務分析の水準を上げて、行政運営の改善あるいは行政の説明責任の明確化に役立てようと、そういうものでございます。したがいまして、現行の歳入歳出予算書といろんな点で異なるわけですけれども、例えばバランスシートにおいては、長期的な効果の発現が期待されます施設整備などの投資的経費、これについては現行のあれでは事務費、いわゆる人件費や雑費等が含まれているわけですが、バランスシートの資産計上に当たりましては、これらを除いた取得に直接的に支出された経費のみを計上するとか、あるいはコスト計算書では、県の方の現在の予算、決算では現金主義ですので計上されておりません退職手当などの引当金、あるいは土地は除きますけれども、建物や構造物などいわゆる社会資本の減価償却費など、これも発生主義に基づきましてコスト等を計上するということになります。したがいまして、かなり原理というか方式が違うわけですが、このような企業会計方式による決算を、例えば平成10年度についての本県の普通会計の歳入歳出決算と比較しますと、決算書の方では260億円の黒字ですけれども、企業会計方式で施行した決算では当該年度の正味資産、これは民間で言う資本ということで資産と負債の差でございますが、これが前年度よりも332億円減という形で計上されるということになります。これは大まかに申し上げますと、減価償却などのコストが当該年度に資産形成した部分を上回ったという結果になると言えるかと思います。数字的な意味合いでいきますと、現行の官庁会計と企業会計方式による原理が全く異なりますので、単純な比較、数自体での比較は難しいと考えます。
 それから、施策の展開についてのお尋ねでございましたが、やはりそういう企業会計方式ですので、コスト計算あるいは厳密な財産評価によりまして将来の財政負担、いわば負債の合計といいますか、それと債務償還の財源、これが通常であると資産という形で有形の社会資本が全部載るわけですけれども、行政の場合これは資金化ができませんので、本当の意味での債務償還の財源というのは流動資産になるわけですけれども、それとの対比で、現在の県民が共有している社会資本に対する将来必要となる財政負担等が明確にすることができるわけで、長期的な財政運営に活用できるのかなと思います。
 それから、公社等財政支援団体等と会計で連結することによって、これらの団体も含めた県全体の財政状況について施策的な調整が可能になろうかと。
 それから、これがコスト計算書をつくるという意味合いでは一番大きい問題だと思うんですが、福祉だとか土木、教育、こういった分野別の施策ごとに、先ほど申しました県民の負担分を除いたいわば純粋なコストを出すことによりまして、それぞれの分野にどれだけのウエートをかけて行政を展開しているかということが明らかになります。したがいまして、今後の施策の重点化、そういった判断材料として活用できるということが考えられるかと思います。
 それから、次のお尋ねがバランスシート等の導入の経過、それから進捗状況というお話です。
 バランスシートに計上する資産の範囲がどこまでにするかとか、いわゆるそういった資産の把握を、いわゆる決算で出てきた数字をそのまま使うか、それとも台帳方式にするかとかいろいろ課題がございました。さらには取得価格にするかとか時価にするかとか、細かいところでいろいろありまして、減価償却の方法、算定方法も使途の一つでございますが、いずれそういった作成基準づくりの課題があったわけですけれども、本県では大部分の資産について、厳密に積み上げする台帳方式で表示することにいたしました。そういった基準を明確にして10年度、11年度の財務諸表を試作したわけでございます。この台帳方式を採用した場合に、台帳の整備をどうするかという課題が全国共通にあるわけですけれども、本県では12年度は県土整備部分、道路だとか橋梁だとかダム、港湾について、それから13年度は農林水産部所管分、治山、漁港、土地改良など、これはいわば社会資本につきまして、減価償却等の計上の仕方を情報機器等による処理システムを導入いたしまして台帳整備を行ったところであります。これらについてデータベースを図ったということでございます。
 したがいまして、今後の導入に向けましては、ただいま申し上げました各資産といいますか、社会資本の台帳のデータベース化はほぼ完成しておりますので、今後は退職給与引当金あるいは行政財産の方の減価償却のシステム、それから県債を充当した事業ごとに県債管理のシステムができないかといったようなことについて、パソコン等情報機器の活用によりまして、現在のシステムの機能拡充とか新たなシステム化とかというのを進めることが、これからの必要なことだと考えております。

〇飯沢匡委員 御丁寧な御答弁ありがとうございました。
 課題としてよく指摘されるんですが、情報公開という側面が大きく、今の時点ではバランスシートにも有用性にとどまっているという指摘があります。ですから、この活用方法についてよくこれからも検討されていただきたいと思いますし、ちょっとお聞きしたいんですが、三重県、高知県、秋田県、宮城県、岐阜県、これらと共同して恐らく台帳方式の項目について検討をなされたと思いますが、その研究の結果、それからその成果といいますか、それらを総務部長にお聞きしたいと思います。

〇小原総務部長 先ほど全国的に簡単な決算資料から使う方法ときちんと厳密にやるという方法と二つ申し上げましたが、今、委員御指摘の各県とは台帳方式の方を中心に、より厳密な発生主義会計をやろうということで張り切って研究会をやりまして、したがいまして、そういうことで具体で、それぞれ離れていますのでなかなか集まれないということもございますけれども、情報交換しながらやってきたわけですけれども、最終的にはそれぞれやや考え方といいますか具体の積み上げには差異が出てきまして、ある意味ではそういう違いを明確にしながらまた議論していくということは必要だと思いますが、現在、それぞれ独自のものをつくってやっているという、若干違うところが出てきますけれども、それらをまた今後も違いをぶつけ合いながら、より精緻な方式に変えていきたいということで、連携をとりながら今後もやっていきたいと思います。
 いずれ、先ほども申し上げましたけれども、これらまだまだ検討する事項がたくさんございます。したがって、堅実かつ着実に取り組みを続けて、分権時代の行政運営に役立つシステムをつくるように努めていきたいと思いますので、よろしく御支援をお願いします。

〇飯沢匡委員 大変よくわかりました。よろしくお願いいたします。
 さらにちょっと細かく入ってきて恐縮なんですが、自動車税と軽油引取税についてお伺いをいたします。
 この両税は、県税収入の伸び悩む中、近年、比較的安定的に県税収入の根幹をなしてきたものと認識しております。バブル崩壊後とされる平成7年度から12年度まで、両税の県税総額に占める割合の平均値をとってみますと、自動車税は15.7%、軽油引取税は18.2%でありまして、この二つを足せば優に県税の収入済額の3分の1を超える額であります。この経済不況の中においてもこの両税は大きな落ち込みはなく、将来においても県にとっては良好な税財源と言えると思います。
 そこでお伺いいたします。1点目は、現況の経済不況において滞納者がふえていると聞いておりますが、自動車税の滞納者対策はどのような方策を具体的にとられているのかお聞きしたいと思います。
 2点目は、軽油の脱税行為の監視体制であります。先ほどこれも議論になったんですが、またちょっと細かく改めて聞いてまいります。
 ディーゼルエンジンは、軽油だけを燃料とせずに菜種油でも燃焼できる特性上、軽油に灯油等を故意に混入させて、燃料費の節減を図るなどの目的を持って使用している行為を聞き及んでおります。このような行為は、正当な納税義務を果たしていないばかりか、大気を汚染し環境破壊につながっておりまして、決して許されない行為でございますが、その監視体制はどのようになっているのか。また、関連して、県内でも事例のあった国外から大量輸入された不正軽油の監視体制もあわせてお伺いいたします。

〇小原総務部長 まず、自動車税の滞納者対策についてでございますが、県税の滞納整理につきましては、大口滞納者対策あるいは自動車税対策、個人県民税の徴収支援を柱といたします県税滞納整理特別対策要綱というのを定めまして、これを地方振興局で共有して滞納整理に当たっているところでございますが、自動車税につきましては、早期かつ集中的に滞納整理を行うということで、滞納者の個別情報の収集に努めまして、文書催告、臨戸催告などにより自主納税をまず促しておりますけれども、滞納者個々の実態に即しまして、一括納付が困難な者に対しては分納納付に応ずるとともに、納税に誠意のない者に対しては、差し押さえ等の行為も含めて滞納整理に当たっているところです。いずれ、滞納者対策は、地方振興局の現場における地道な徴収努力の積み重ねが基本でございます。したがいまして、滞納の縮減、税負担の公平性の確保ということで、本当に地方振興局を中心に、より一層努めていきたいと考えています。
 それから、軽油引取税に係る脱税行為、これの監視体制についてのお尋ねでございますが、まず、混和軽油の監視についてでありますが、軽油引取税調査要領を策定いたしまして、これに基づいて混和軽油や燃料炭化水素油の製造、販売あるいは自動車保有者の混和等の確認調査を随時実施いたしまして、軽油引取税の脱税防止に努めて課税の公平を図っているということでございます。
 それから、ディーゼルエンジンの使用のトラック等を対象に、これは路上における自動車燃料油の抜き取り調査、これを実施しております。また、工事現場などにおきまして、随時、同様の抜き取り調査を実施して軽油等の使用による脱税の防止に努めているところでございます。
 さらに、本年10月9日、10日に、本県も含めまして全国27道県が連携いたしまして、路上における一斉抜き取り調査を実施いたしまして、うちは4カ所で参加したところであります。
 次に、不正な輸入軽油の監視体制についてでありますが、本年6月1日から、輸入軽油に係る軽油引取税の納期限が、輸入した軽油の譲渡の翌月末日から輸入許可時に改正されたということで、軽油の輸入があった場合はその都度、税関の方から関係都道府県に連絡されるというシステムというか体制になりました。このことによりまして、不正な輸入軽油に対する早期対応が可能になったということで、税関あるいは関係都道府県と常時情報交換をしながら、不正な輸入軽油の迅速な把握に努めているところでございます。
 なお、この6月の制度改正以降、本県では不正な軽油の輸入事案は発生していないというところでございます。

〇飯沢匡委員 過去においても、岩手県からスーパーディラーが他県に軽油引取税を持っていったというような例もありますし、また、埼玉県では不正軽油の摘発がありますなど、経済がこのように不況下でございますので、この監視体制の強化には努めていただきたいと思いますし、軽油はこれからも産業活動には必要な資源でありますので、あらゆる形態を模索して取り漏れのないよう、他県との連携をとるなど、アンテナをめぐらせていただきたいと思います。
 次に、本県情報化の取り組みについてお伺いいたします。
 最初に、いわて情報ハイウェイの運用についてであります。
 平成12年10月から試験運用を開始し、13年度は無線によるシステムの有線システムへの切りかえや、公立高等学校のインターネット整備を取り組まれており、当初の目的である行政、県と市町村、防災、教育、医療の情報ネットワークの構築は、順次整備を進めながら利用度を高め、拡大しているものと認識しております。また、注目すべきは、いわて情報ハイウェイ回線の民間活用を実施するためのモデル事業の実施を開始しております。もともと、情報インフラは豊かなコンテンツを行政、県民、企業が共有するための手段であり、私は一昨年と昨年の一般質問でも、コンテンツに関する先進事例やADSLを利用した地域イントラネットの例を取り上げましたが、いわて情報ハイウェイの最終目標は、具体的なアプリケーションの質を高めること、また、双方向性を含んだ地域イントラネットに接続し、汎用性を高めることと考えております。その意味からも、モデル事業の着手には評価をするものでございます。
 そこでお尋ねいたしますが、民活実施のモデル事業の経過実績と導入に向けたスケジュールはどうなっておるのか。また、接続施設の拡充、地域ネットワークの接続の検討状況をお聞きしたいと思います。
 続いて、ランニングコストについてお伺いいたします。
 いわて情報ハイウェイは、他県より先発で着手したこと、岩手県が広大な面積を有することから、イニシャルコストが後発の同様の情報ネットワークと比べて高いのは仕方のないところと思っておりますが、ランニングコストについて具体的に検証してみますと、同じATM伝送方式採用のもので比較いたしますと、延長距離当たりのランニングコストは、広島メイプルネットが1キロメートル当たり約32万5、000円、秋田情報ハイウェイが約45万円、本県の情報ハイウェイは55万7、000円となっております。特に、広島メイプルネットは、岩手と同じ系列の管理会社となっていることから、岩手のそれは単純にかかり過ぎやしないかと思うのであります。この点いかがでしょうか。その他、他県の事例から管理会社に対し、コスト縮減の対応措置を求める余地が十分にあると思うのですが、あわせてお伺いをいたします。

〇飛澤地域振興部長 まず初めに、情報ハイウェイの運用というお尋ねでございました。
 いわて情報ハイウェイの民間活用モデル事業の経過実績、あるいは導入に向けたスケジュールについてでございますが、この事業は、情報ハイウェイを活用した新たな民間事業展開について検討することを目的に、今年度から新たに実施しているものでございます。このモデル事業のテーマの選定につきましては、本年の7月から公募いたしまして、学識経験者等で構成するいわて情報ハイウェイ活用検討委員会の審査を経まして、本年10月に、テーマといたしまして、市町村役場の情報機器の遠隔監視と保守と、あるいは県内ケーブルテレビとの接続による行政情報の提供と、そういったような4件のテーマを選定したところでございまして、現在、モデル事業の実施主体との間で最終調整を行っているところでございます。12月から順次事業を実施いたしまして、来年の3月までに事業実施結果を取りまとめたレポートを提出していただきまして、今後の情報ハイウェイの運用に役立てたいと考えています。
 それから、情報ハイウェイの接続施設の拡充あるいは地域ネットワークとの接続の検討ということでございました。
 いわて情報ハイウェイ、現在、各地方振興局、県内の全市町村、大学、中核的な県立病院など、75カ所を接続した情報ネットワークを構築しておりまして、本年4月から本格的な運用を開始しております。また、本年度末にはさらに13の広域の消防本部、県立学校67校が接続されまして、計169カ所が情報ハイウェイに接続される予定となってございます。来年度は、今年度接続した県立学校の残り33校の接続を計画しておりまして、このほかに今後とも情報ハイウェイの利用ニーズに対応いたしまして、接続先の拡充を検討してまいりたいと思っております。
 また、さらに地域の情報通信ネットワークの接続についてのお尋ねがございました。この件につきましては、情報ハイウェイと県内ケーブルテレビとの接続のモデル事業、今年度新たに先ほど申し上げましたとおり実施いたしておりまして、この結果を踏まえまして、ケーブルテレビとの接続について検討いたしますほか、市町村等が構築を済ませております地域ネットワークとの接続についても、あわせて検討をしてまいりたいと考えております。
 それから、あわせて情報ハイウェイの管理運営費のコスト縮減というお尋ねがございました。
 このいわて情報ハイウェイのランニングコストについてでございますが、先ほど委員の御紹介がございました各県の情報ハイウェイの管理運営費、確かにそのとおりでございますが、この管理運営費は回線容量によって異なるということがございますし、情報ハイウェイの幹線部分の管理運営費だけでなくて、幹線から接続施設までの管理運営費を含んでおりまして、各県の接続施設の数でありますとか各施設から幹線までの距離によっても大きく異なってまいりますので一概には比較できないと考えておりますが、いずれ委員から御指摘がございましたとおり、管理運営費の縮減については常々私どもも注意してまいらなければならないという事項でございまして、県といたしましても、ことし9月でございますけれども、通信事業者に対しまして情報通信回線使用料の低廉化につきまして要望をいたしております。
 今後とも、こうした経費の低廉化の要望でありますとか、通信回線利用の効率化を図りまして管理運営費の縮減に努めてまいりたいと、そう考えております。

〇飯沢匡委員 情報ハイウェイについても国庫支出金が入っておりまして、これは国の補助金の使途が厳格に決められているわけでございます。なかなか民間活用については難しい場面があると思いますが、行政内の情報提供と情報交換という枠におさめるというだけではなく、コストパフォーマンスを最大限生かした弾力的な運用がなされるよう、期待するものであります。
 次に、市町村への情報化推進施策の支援についてお伺いいたします。
 国は本年3月にe-Japan重点計画を発表し、行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進を図るとしております。市町村が独力で情報化施策を推進できるよう、情報の収集、提言、研修、啓発の推進等へのサポート機能の充実を図るとされておりますが、これまで市町村への情報化推進支援はどうであったか。また、前述した国の方針を受けて、県の取り組みはどのように考えているのかお尋ねをいたします。
  また、現時点において、本県の市町村の情報基盤整備は市町村によってかなりの格差があると思いますが、それらに対する対応策もお知らせ願います。

〇飛澤地域振興部長 市町村の情報化推進施策に対する施設支援ということでございますが、委員からお話しございましたとおり、現在、国におきましてはe-Japan重点計画を策定いたしまして、平成15年度までに電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現するということを目指しておりまして、県、市町村ともに情報化への取り組みがまさに喫緊の課題と思っております。
 市町村への情報化推進の支援ということでございますが、市町村の財政負担を考慮いたしまして、インターネットの導入あるいは地域イントラネットの構築を行う市町村に対しまして、国庫補助事業の導入あるいは市町村総合補助金の活用によりましてこれまで支援をしてきたところでございまして、その結果、平成11年度から13年度にかけて、58市町村のうち31市町村が国庫補助事業等を導入いたしまして、情報基盤の整備をしているところでございます。
 この事業導入とあわせまして、市町村長への情報化施策の説明あるいは市町村職員を対象とした地域情報化セミナーの開催、そういったことで意識の高揚あるいは人材の育成にも努めているところでございます。
 それから、市町村の情報基盤の現状ということでございますが、市町村の情報基盤の現状は本年の4月1日現在、県内市町村の約7割、39市町村でございますが、行政内部の情報基盤である庁内LANが整備されておりますが、職員1人1台パソコンの環境を整備し、かつ、インターネットの利用が可能な市町村ということになりますと、6市町村にとどまっているという状況でございます。また、市町村の公共施設間をネットワーク化するいわゆる地域イントラネットが整備済みの市町村が3という状況でございまして、委員ただいま御指摘がございますとおり、市町村によって情報基盤にかなりの格差が生じてきております。我々、今後、平成15年度までの電子自治体の構築に向けまして、市町村の情報基盤の整備、まさに喫緊の課題ということでございまして、これに一生懸命取り組んでまいりたいと。
 市町村の情報基盤の格差への対応策ということでございますが、こういった情報基盤の整備がおくれております市町村に対しましては、情報基盤整備の必要性の説明を十分にいたしまして、国庫補助事業あるいは市町村総合補助金の活用の助言を行いまして、先ほど申し上げましたような事業導入を促進してまいりたいと思っておりますし、今後、情報基盤の整備がおくれております市町村に対して、ハード、ソフト両面にわたって積極的に支援をしてまいりたいと、そう思っております。

〇千葉伝委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時57分 休 憩
   午後3時14分 再 開

〇千葉伝委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

〇飯沢匡委員 次に、福祉分野のIT活用についてお伺いをいたします。
 本定例会において同僚の及川敦議員が鋭く切り込んだ問題と関連するわけであります。私は、障害者福祉の基本は自立にあると思うのであります。障害者の社会参加を促進し、生活の質の向上、ノーマライゼーション実現のかぎの一つがITだと思うのであります。障害者の利用を考慮しないとITの振興で逆に情報のバリアが高くなるという指摘もございます。視覚、聴覚、肢体障害者へのIT講習会の取り組み、関係団体への連携はどうなっているか、本県の状況とその就業への効果を示していただきたいと思います。
 あわせて、重度障害者へのパソコン利用の支援と、それを支えるボランティア等の団体育成はどのような状況にあるか示していただきたいと思います。

〇高橋副知事 IT講習会の取組状況でございますが、平成12年度は12回、104名でございましたが、13年度は25回の開催を予定して、430名の参加を見込んでいるところでございます。また、平成13年度は、この各地域で行う講習会に加えまして、障害別講習会、それと社会福祉施設等出張IT講習、これを実施しているところでございます。これらの講習が直ちに就業に結びつくというわけではございませんが、四肢麻痺の重度の障害を持った方が情報技術を活用してソフト設計の仕事で頑張っている例があるなど、障害を持った方の就業には情報技術の習得も有効な方法であると考えております。これらの講習会は岩手県身体障害者福祉協会に委託をして実施しているわけでございますが、他の障害者団体からは、講師、手話通訳者、要約筆記奉仕員を派遣していただいているほかに、いわてシニアネットなどの関係団体とも連携、協力の上、実施をしているものでございます。
 また、重度身体障害者のパソコン利用支援につきましては、平成13年度からパソコンを利用するために必要となる周辺機器を購入するための経費の一部を助成して、その利用の促進を図っているところでございまして、現在のところ12件の助成の実績が既にございます。この障害者のパソコンの利用促進には、パソコンボランティアによる支援も大切でありますので、平成12年9月にいわてシニアネットが設立されたわけでございますが、この会の主要事業に障害者の情報機器利用の支援がございまして、操作講習会やパソコンボランティア活動に取り組んでいるわけでございまして、この活動については長寿社会振興財団の方からの助成をして促進を支援しているところでございます。

〇飯沢匡委員 次に、産学官連携についてお伺いいたします。
 長引く景気低迷や、急速な雇用情勢の悪化を受け、各方面で産学官連携に対する期待が高まっております。本県では14年度の施策重点化方針の中に、雇用の確保、複合産業や新産業の創出に向けた取り組みを挙げ、その具体的内容の一つに産学官連携、重点投資による地域の特性を最大限生かした内発産業の育成を掲げ、産学官連携による新産業の育成を図る姿勢を示したところであります。既に本県では岩手ネットワークシステム──INSや、岩手農林研究協議会──AFR、アッフルなど全国のモデルケースと言われる産学官連携が既に実践され、活動の成果を上げております。改めてそれらの成果についてお聞きするとともに、1、国の構造改革による大学制度の民営化を含めた改革はこれからの産学官の連携への影響はどう考えるか。
 2、大学と産業界を結ぶコーディネート機能の充実策はどのように考えているか。
 3、産学官連携をさらに発展させ、県立大学と連携した地域連携研究開発センター整備の進捗状況はどうか。
 以上、3点お知らせ願います。

〇飛澤地域振興部長 産学官連携について4点ほどの御質問がございました。
 まず、岩手ネットワークシステム、通称INSと呼んでおりますし、また岩手農林研究協議会──AFR、アッフルと通称しておりますが、この活動成果についてであります。
 まず、INSは、本県の産学官連携を推進する大きな原動力となっておりまして、これを母体とした産学官共同研究の成果の事例といたしましては、一つはトリアジンチオールのスーパーファイン化に関する研究という成果によりまして、県内企業におきまして、自動車ミラーの撥水性を高める技術あるいは金属と樹脂を接着する技術などが実用化をされております。2つ目といたしまして、次世代高機能鋳鉄に関する基礎的研究というものの成果によりまして、県内企業によって、トンネル用の掘削工具あるいはオートバイ用のピストンリングなどが製品化されております。このほか3次元の自然コンピューターグラフィック技術、金型製造技術等につきましても、製品化や実用化に向けた共同研究が展開されているところでございます。
 それから、アッフルの方でございますが、これは農林分野における産学官の共同研究を活発に展開しているところでございまして、この研究成果の事例といたしましては、一つは雑穀を収穫するための稲作バインダーの改良技術の開発、あるいは雑穀の持つ善玉コレステロールに着目した機能性食品の開発などが挙げられるところでございます。
 次に、大学の構造改革が大学制度の民営化を含めた改革のこれからの産学官の連携への影響というお話でございました。現在、文部科学省が本年6月に発表いたしましたいわゆる遠山プランにおきましては、企業との共同研究を実施した場合の大学への資金手当ての強化、これは企業からの資金の提供を前提とする共同研究に対して、大学等の公的研究機関の分担と責任に応じまして大学側も経費を提供するという制度でございますし、またもう一つは、発明補償金制度の上限撤廃等による研究者に対する産学官連携への動機づけの強化、これは現在、限度額が年間600万円となっております研究者に対する発明補償金でございますが、これを撤廃しようという動きがございまして、こういった大学の研究成果による新しい産業の創出を、こういった措置が講じられることによりまして加速をさせることになるのではないか。したがって、産学官連携の強化に向けた環境が徐々に整備されていくんだろうと思っておりまして、かなり好影響を与えるのではないかと思っております。
 それから、大学と産業界を結ぶコーディネート機能の充実というお話がございました。大学と産業界を結ぶコーディネート機能の充実策ということでございますが、大学の研究開発ポテンシャルを生かした産学官連携の活性化のためには、大学研究者と企業との共同研究あるいは技術相談などをコーディネートする機能が重要と認識しているところでございます。県といたしましては、平成12年度からいわて産業振興センターに4名のコーディネーターを配置いたしまして、大学の研究成果の掘り起こしあるいは産学官共同研究計画の立案など、総合的なコーディネート活動に取り組んでおります。加えて、岩手大学地域共同研究センターにおきましては、県から派遣している職員に加えまして、本年9月からリエゾン担当、意味はコーディネートと同じでございますが、大学側から見た呼び名でございます。リエゾン担当の教官を増員いたしまして、コーディネート機能を強化いたしておりますし、花巻市起業化支援センターあるいは一関市の岩手県南技術研究センター等の県内各地の産業支援機関を含めた岩手県産学官連携連絡会、こういったものを岩手大学の地域共同センターが中心になりまして、情報交換や共同事業の検討を行っておりまして、相互のネットワーク化が進んでいるところでございます。県といたしましては、こうしたネットワークを活用いたしまして、県内のコーディネートに携わる人材の育成などに取り組みまして、本県のコーディネート機能の総合的な充実を図ってまいりたいと考えております。
 それから、4点目でございますが、産学官連携研究施設でございます岩手県地域連携研究開発センター、これは仮称でございますけれども、この整備の進捗状況についてでございます。本センターにつきましては、県立大学の研究ポテンシャルを最大限に活用しようということで、産学官連携の拠点といたしまして、現在、県立大学の正門前に整備を進めているところでございます。この施設の建設につきましては、本年10月に着手いたしまして、今月下旬には基礎工事を終えまして鉄骨工事に入りまして、本年度内の完成を見込んでおります。産学官連携のためのコーディネート機能を含めまして、本センターのソフト面につきましては、来年度のオープンに向けて所要の準備を進めているところでございます。おおむね工事建設は順調に推移していると思っております。

〇飯沢匡委員 今、産学官で産の方が元気がないと言われております。ベンチャービジネスへの助成を含め、総合的な支援をよろしくお願いしたいと思います。
 また、県立大学との連携でございますが、県としては運営に55億円も投入しておりますので、その連携策について、さらに強化なさるよう御要望を申し上げます。
 次に、農業問題について2点お伺いいたします。
 最初に、担い手対策についてお聞きします。農業人口の減少は、農業の生産性の向上と結果としてもあらわれますが、全国で学校を卒業して新たに農業に就業する人は年に2、000人ほどしかいないというデータもあり、若い人が農業に未来の産業として魅力を感じないということは農業が産業として衰退していくばかりか、農村社会に大きな影響を及ぼすことが考えられます。担い手対策の広範な施策展開が求められると考えます。
 そこで、お伺いしますが、県は担い手対策として新いわて農業再編総合事業を施策実行したわけでございますが、その実績と効果を具体的に示していただきたいと思います。
 また、農業後継者の確保や新規参入の促進という、単に人の数を確保するという対策だけでは農業の構造的、根本的な危機に対処し切れないと思われ、このため、地域の人的な資源を有効に結びつけ、農業生産力を高め、企業として成り立つ農業を確立するには農業経営の法人化により地域農業のシステム化を早急に推進する必要があると考えます。県においては岩手県農業会議、岩手県農協中央会との連携をとりながら農業経営の法人化推進を図っていると過去の委員会において答弁がありましたが、その実績と将来の担い手育成支援につなぐ具体的方法を示していただきたいと思います。

〇高橋副知事 まず、新いわて農業再編総合対策事業の実績と効果についてでございますが、この事業は平成8年度から12年度までの5カ年間で実施されまして、この期間内に総事業費117億2、000万円、うち県費が37億3、000万円の事業実績でございます。効果といたしましては、土地利用型農業の省力化、施設園芸への転換、認定農業者の増加、農地の利用集積の促進が図られまして、担い手育成に大きな役割を果たしてきたものと考えておりますが、認定農業者数につきましては、この期間内に1、836人の増加となっておりますし、農地の利用集積も1万1、000ヘクタール増加しておりますし、あと8年度と11年度比較では、農業労働時間も男子で200時間、女子で125時間も短縮されておりますし、さらに花卉の栽培面積、また県北部におけるホウレンソウを中心とした野菜の作付面積がふえるというような生産面の成果も見られ、担い手の受け皿としての生産基盤の充実も図られたところでございます。
 次に、農業経営の法人化推進の実績等でございます。農業法人育成支援事業によりまして平成5年以降で、これまでに64法人育成をしてまいりました。近年は、年平均で10法人ほどに増加しております。これらの法人含めまして、現在、認定農業者として活発に活動しております農業法人は177ございまして、これは東北でトップと、全国でも8位の法人数というようなことでございます。また、集落の過半の農地を集積して集落の農業・農地を担う、本県では初めての特定農業法人が昨年8月に江刺市の小田代地区に設立されまして、県内各地域でもこの特定農業法人設立への取り組みが強まってきているところでございます。
 これらの法人の担い手育成、支援の具体的方策につきましては、生産組織や家族経営協定の締結農家を主要な対象にいたしまして、法人の設立、経営指導を実施すると。それから、設立後におきましては、市町村経営改善支援センターや農業改良普及センターによります技術、経営改善指導、さらに税理士、中小企業診断士等によります経営分析、診断指導の実施、また経営改善支援活動事業、農業法人育成支援事業等を実施することとしておりますし、さらにまた、平成13年度に創設をいたしました、いわて農業担い手支援総合対策事業などによります低コスト、省力化を図る機械・施設の導入及び経営の多角化を図るための加工・産直施設等の導入も図りまして、これらの面での支援も講じていくというようなことで進めているところでございます。

〇飯沢匡委員 先ほど御説明ありました新いわて農業再編総合事業は、UR関係の総合事業でありまして広範な事業でありました。それらの効果については今御答弁あったわけですが、これからの農業政策というものは、そのタイミングとその的確な効果というものが求められると思います。特に担い手事業に関してはきちっとその県としての方向を定めたものが必要と考えております。今までの県単事業というのは国庫補助、国庫事業から漏れていたものを細かく手広くやってきたという実績があるんですが、これから県単事業のその効果と、それからそのタイミングを図っていくということが必要と考えますけれども、きょうはいい機会ですので、その県単事業の考え方について副知事にお考えをお聞きしたいと思います。

〇高橋副知事 県単事業の考え方がございましたが、特にこの新いわて農業再編総合対策事業につきまして、これは県単で従来やっておりましたものを全部その個々の事業を集めまして一本にして、広範なメニューでいろんな生産から流通に至る条件を整備いたしまして、収益性が高く地域ごとに個性のある農業を確立するために、いろんなものに柔軟に使えるような形で組み立てたものでございまして、国庫補助事業のすき間を埋めるというような考え方よりは、もっともっと柔軟に各地域地域の農業者が創意工夫を凝らしてやっていただきたいというようなことでつくったものでございます。これは13年度からはいわて農業担い手支援総合対策事業という形に切り替わっておりますが、そういう意味では非常に地域からも要望の強いものでございますが、そういう考えで私どもは進めているということでございます。

〇飯沢匡委員 よくわかりました。
 次に移ります。環境保全型農業の取り組みについてお伺いいたします。
 新農業基本法の施行に伴い、持続型農業の実践が21世紀型の農業の進む道とされました。いわゆる有機農業を究極の目的として結果的に環境保全型の農業を実践することにあると、端的に申せばそうなると私は解釈いたしますが、確かにコンビニエンスストアのローソンが中国において有機野菜の契約を結ぶなど、有機農業は注目をされ始めております。また、産地間競争は今後ますます激しくなることが予想される一方、安心な食べ物志向の消費者動向を見ますと、この分野への着目は可能性が高いと考えます。実際に付加価値コスト吸収のアンバランス等課題は多いのでございますが、この分野にチャレンジするのはやる気のある若い農業人であることも見逃してはならないと思います。そこで、お伺いいたします。
 1、県はこのような環境保全型農業にどのような考えを持っているか、どんな支援をしているのか。
 2、有機農産物は契約栽培が主であるが、最大の課題となっている販路の安定的確保に対する支援をどのように考えているか。
 3、土をつくるという意から、今後の畜産と耕種農家との連携強化策はどのように考えているか。
 以上、3点お知らせ願います。
 また、環境保全という意から関連して畜産バイオマスについて若干お伺いいたします。
 環境保全型畜産エネルギー利用推進事業費で2億9、700万円余が支出されております。これは社団法人岩手県農地管理開発公社が事業主体として試験的に取り組むバイオガスプラントのことだと思うのでありますが、既にことしの秋に試験運行が始まっております。その経過実績と、今後この種の畜産バイオマスについて県の考え方をお知らせ願います。

〇高橋副知事 環境保全型農業に対する県の考え方でございますが、本県が持つすぐれた自然環境、本来農業の持つ循環機能を最大限に発揮させながら、消費者ニーズに対応して、安全、安心な農産物の供給や、環境に配慮した農業の推進が重要であると考えておりますし、このため、県では、豊富な家畜排せつ物を有効に使った土づくりを基本に据えながら、農薬や化学肥料の使用量をできるだけ減らした環境保全型農業技術の開発、普及を積極的に進めていかなければならぬというような考え方でございます。平成11年7月に、いわゆる持続農業法に基づきまして、環境に優しい栽培技術を導入する農業者をエコファーマー、こういうような呼称で知事が認定する制度が創設されたわけでございまして、現在、本県におきましては、25名がエコファーマーとして認定されておるところでございます。県では、このエコファーマー制度を推進するために、地域ごとにエコファーマー育成協議会を設置いたしまして、実践展示による技術支援や生産された農産物のPRを行うなど、認定の拡大を図ることといたしておりまして、既に盛岡、花巻など7地域で協議会が設立されております。エコファーマーが導入する天敵や性フェロモンなどの利用技術の開発につきましては、農業研究センターにおいて鋭意取り組まれているところでございます。
 それから、有機農産物の販路の安定的な確保についてでございますが、御案内のように有機農産物の生産は、化学肥料、農薬が使用できないということでございますので、収量、品質ともに不安定となりがちでございます。また、圃場や施設におきましても、一般の農産物との混合を厳格に防止するための管理、また作業が求められておりまして、どうしても効率的な生産が行われにくい側面があるわけでございます。このことがロットのまとまりとか品質の確保を難しくしておりまして、販路の安定的な確保や有利販売を図る上でネックになっているわけでございます。この有機農産物の現状を申し上げますと、現在取り組んでおりますのは47人、面積は21.9ヘクタール、生産は52.38トンというようなことでございまして、やはりそういうような状況がこの数字からもうかがえ知れるわけでございます。県では、有機農産物の生産をふやすために、こうした取り組みを志向する生産者のグループに対しまして、有機農産物の栽培管理方式に精通する方々を有機農産物等アドバイザーとして派遣をいたしまして、現地のさまざまな課題に対して指導を行っているところでございますし、また、産地情報の発信なり実需者のニーズ情報の提供による支援も行っているところでございます。
 それから、畜産と耕種農家との連携でございますが、農産物の連作障害なり地力低下を防止いたしまして、安定的生産を確保していくためには、耕種と畜産の連携強化によりまして、その基本となる土づくりに取り組んでいくことが重要であることは申すまでもないわけでございます。このために、地方振興局単位に地域たい肥生産利用推進協議会を設置いたしまして、処理施設の計画的な整備を進めますとともに、耕種農家と畜産農家の堆肥活用に対する共通の認識が高まるように、土づくり交流会の開催なり、たい肥マップの作成に取り組んでおるところでございます。また、二戸地域など県下6地域にモデル地区を設置いたしまして、堆肥生産組合等と耕種農家とが堆肥流通協定というものを締結いたしまして、堆肥の生産から運搬、散布などの実証に取り組んでいるところでございます。今後は、こうした取り組みの結果を踏まえまして、各地域の協議会を中心に、堆肥の需給や運搬、散布作業の受委託の調整を行うなど、地域ぐるみで家畜排せつ物を活用した土づくりを促進し、安全、安心な農作物の供給に努めていきたいと考えております。
 それから、4点目の藤沢町のバイオガスプラントのお尋ねがございました。これは本県初の施設として整備されたものでございますが、これまではプラント全体の点検調査、それからメタン種菌の増殖後、発酵槽に排せつ物が投入されたのは8月下旬でございまして、その後に若干のトラブルが発生しておりまして、これはちょっと種菌の関係でありましたが、10月下旬以降はバイオガス発生は順調に行われているというように聞いております。11月中旬からは、デンマークからの技術者が来日いたしましてプラント運転の最終調整段階に入っているわけでございますが、発電は12月上旬から開始される予定でございまして、現在のところ、フル運転可能な時期は来年の3月上旬と、当初の予定よりは4カ月ほどおくれるというようなことでございます。これはやはりやってみますとバイオガスで水分がまじっているなどという、これをどう取るかとかという技術的な問題もございまして、そういう仲立ちになっておるわけでございます。県では新エネルギービジョンに基づきまして、こういうようなバイオガスプラントの導入を積極的に図るということにしておりますが、いずれこれらの装置は国内でも稼働実績が少ないわけでございますから、まず藤沢町のこういうような稼働実績というものをデータを収集いたしまして、それを分析し、寒冷地に適したこの手の施設整備を推進していかなければならぬと思っておるところでございます。

〇飯沢匡委員 次に、密漁対策についてお伺いをいたします。
 近年、取り締まり機関が摘発した密漁の実態から見ますと、暴力団が関与した組織的密漁グループの犯行が依然として後を絶たない状況にあります。高速船、潜水器具などを駆使しその手口も年々巧妙、悪質、広域化しております。しかし、密漁事犯により逮捕されても、現行の漁業法及び県漁業調整規則による罰則が軽微なため、密漁未然防止及び再発防止のための効果ある抑止策となっていないと指摘されております。また、平成4年4月、県警本部から岩手県漁業取締事務所に現職警察官が派遣され、密漁取り締まり体制の強化とその抑止効果が高く評価されてきましたが、平成12年3月末をもってその派遣が中止され、密漁取り締まり体制の後退が危惧されております。
 そこで、お伺いいたしますが、密漁の現状をお示しいただき、これまでの対策と、本県漁業調整規則の罰則強化、並びに警察官の派遣復活など今後の対策についてお示しをいただきたいと思います。

〇高橋副知事 密漁対策でございますが、本県におきますアワビ密漁の検挙件数は、平成6年の19件をピークといたしまして減少に転じまして、平成12年は12件となっております。暴力団関係者による密漁は、平成6年から8年までは各1件ということで、平成9年以降は皆無ということでございまして、近年は比較的沈静化しているというような状況でございます。これは、平成4年7月に、岩手、宮城、青森の3県の海上保安部とか県警、県水産主務部、漁連等からなりますあわび等密漁撲滅連絡協議会を設立いたしまして、隣県関係者、関係機関との連携を密にして取り締まりに努めてきたということなり、また、県内では合同取り締まり訓練というものを実施いたしまして漁業取締事務所、漁業監視員、漁協が一体となって監視に努めてきた成果であろうと認識しているわけでございますが、しかしながら、昨年から宮城県北部の海域では、暴力団関係者による大規模なアワビ密漁事件が発生したということでございますし、本県でも検挙には至らなかったものの、暴力団によるものと思われる密漁被疑事件が発生するなど密漁の活発化が懸念されているところでございます。そのため、県といたしましては、今後とも、ただいま申し上げましたような諸対策を実施いたしますとともに、本年6月に設置をいたしました県警等との取り締まり実務者による連絡会議を有効に活用いたしまして漁業取り締まりの強化を図り、さらに厳重な警戒に努めてまいる所存でございます。
 なお、漁業取締事務所に対する警察官の派遣につきましては、今後の暴力団関係者等による密漁の推移を見きわめながら検討してまいりたいと思っております。
 また、県漁業調整規則の罰則強化につきましては、県漁業調整規則の罰則が漁業法に規定されておりまして、漁業法の改正が必要となるということになっておりまして、罰則強化が実現するように漁業法の改正につきまして国に働きかけてまいる考えでございます。

〇飯沢匡委員 県警本部からの派遣が中止されたという件につきまして地元の漁業関係者は、それにかわって県の方からその権限も付与された、県も派遣していると聞いておりますが、やはり県警の職員がその取り締まりの船に乗っているということだけでも、その風評だけでもかなりの効果が期待されると思うわけであります。先ほど御答弁がありましたけれども、この県警本部の派遣についてはさらに積極的に推し進めていただきたいと思うのですが、もう一度御答弁をよろしくお願いします。

〇高橋副知事 警察職員の派遣の引き揚げにつきましては、私も沿岸部に行ったときにはいろいろと関係者からその状況等もお聞きし、また要望等も受けているわけでございまして、それらも踏まえながら検討していきたいと考えております。

〇飯沢匡委員 あえてこの問題を総括に出したのはそぐわないと思ったわけですが、やはりこれは人事とか、やっぱり県警だけにはとどまらない問題だと思いまして取り上げたわけであります。まず積極的な対応を即時お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、医師確保問題についてお伺いいたします。
 第四次医療法改正に関連して、平成16年4月から診療に従事しようとするすべての医師は、卒後2年間の臨床研修を義務づけられることになりました。その臨床研修の受け入れ先は、指定を受けた臨床研修病院において研修を行うこととなっております。したがって、臨床研修病院を本県において整備することは、2年間研修で培われたさまざまな人的交流などにより本県卒医学生の県外流出を抑えることができるのみならず、隣県の医学生をも本県で研修を受け入れる窓口が広くなることにより、医師の確保に大きく貢献することが期待できるものと考えます。臨床研修病院に指定されるには、一般病床300床以上または年間の入院患者数が3、000人以上、また診療科を相当数設置されていなければならないなど厳しい指定要件をクリアしなければならないと聞いておりますが、整備するには広範な診療科の医師を確保するなど、かなりの投資も必要になってまいります。
 そこで、お伺いいたしますが、本県は医師確保対策の面からこの臨床研修病院の整備についてどのように考え、今後どのように対応するか、課題等があるとすれば何があるのかお知らせ願いたいと思います。

〇高橋副知事 ただいまお話しございましたように、県内の医療機関におきまして臨床研修を行うことは、県における医師確保対策上も、また、県及び市町村の養成した医師の卒後研修の受け皿としても極めて重要であるわけでございまして、卒後臨床研修の必修化に向けて臨床研修体制の整備を図る必要があるわけでございます。臨床研修病院の指定を受けるためには、3年以上の経験年数を有する医師で医療法上の必要数を満たすほかに、指導医の確保とか、診療科及び診療機能の確保、剖検率などの厳しい条件がございまして、特にもこの医師数と剖検率は大変きつい条件になっておりまして、県立の広域中核病院におきましても、指定を受けるためには非常に高いハードルがあるというような状況にあるわけでございます。したがって、県といたしましては、平成16年度の4月からの臨床研修の必修化に向けまして、現在の指定病院の受け入れ枠をふやすと、拡充をすると、これとともに新たな指定病院が確保されるように関係機関との打合会等を設けながら、臨床研修体制の確保を図ってまいりたい。特にも県立病院の大きなところを中心に指定を受けられるように努力をしてまいりたいと考えております。

〇飯沢匡委員 積極的に対応なさるという御答弁でありました。特に宮城県の東北大学などは非常に積極的にその準備を進めていると伺っておりますし、関東の病院、特に私立でやっている病院などについても、ホームページを検索いたしますと非常にこの手の応募要綱などが出ております。岩手県におきましてはそういう医師確保対策の面から非常に厳しい面があると思いますので、ぜひその推進についてお願いをいたしたいと思います。
 次に、仙人峠の道路の整備についてお伺いをいたします。
 道路公団民営化、道路財源の一般財源化の動き、公共事業10%カットなど国の構造改革により道路建設をめぐる状況は御案内のとおり厳しい状況であります。県では、平成4年度から仙人峠の抜本的改良に着手、県の認識の中でも最も優先すべき道路として位置づけられておりますが、前述した国の動向により完成時期のおくれが懸念されているところであります。仙人峠に係る事業は国と県が進めており、その完成は18年度、19年度とも言われておりますが、その見通しについてお知らせ願いたいと思います。

〇高橋副知事 国道283号仙人峠道路は平成4年から整備を進め、御案内のように県と国でやっておるわけでございまして、現在はいずれの工事も計画どおり進んでいるわけでございますが、今後の見通しが問題でございまして、現段階では直轄事業につきましては大きな影響はないというようなことで、今のままでいけばおくれても若干おくれる程度かなと、このように見込んでおりますが、何せ小泉さんでございますから、これがどうなるかということがよくわからぬところがございますので、国に対しまして早期完成と財源確保を積極的に要望してまいりたいと思っておるところでございます。

〇飯沢匡委員 最後の質問になります。国際交流についてお伺いいたします。
 自治体の行う国際交流は、価値創造型でなければならない。交流によって新しい文化が創造されるとか、新しい技術が開発されるとか、子供の教育のためのホームステイが高齢者の相互訪問の際に通訳養成につながるとかの公金の支出を正当化するものが必要であると、高崎経済大学の阿部教授はこう指摘しております。私も同感であります。相手方と自分たちの共通の目標を掲げ、それを共同で実現していくような国際交流が21世紀に求められると思うのでありますが、そこで伺いますが、21世紀の岩手型国際交流の理念と、本県で平成8年3月に策定計画期間平成12年度までのいわて21国際化推進計画施策推進の成果をお聞きするとともに、県で運営管理している国際交流プラザの目的と実績をお知らせ願います。

〇飛澤地域振興部長 国際交流のお尋ねでございます。まず、21世紀の岩手型国際交流の理念ということでございますが、21世紀を迎えて、外国の地域や人々との交流や連携を行う中で、夢県土いわてづくりを進めるため、本年3月に平成22年度を目標年度とする新しい国際交流・協力計画を策定したところでございまして、4点、国際交流・協力による地域の活性化、地球市民としての自覚と行動、草の根の国際交流・協力、多様多彩な交流と連携、この4点を基本理念といたしまして国際交流・協力に取り組むこととしているところでございます。
 次に、いわて21国際化推進計画の推進の成果でございますが、平成8年度から12年度までの計画期間中、国際感覚あふれる青少年の育成を目指した高校生世界のかけ橋推進事業、これを推進してまいりましたが、計460人の海外派遣を行ったところでございますし、ペルー共和国からの鋳物技術の研修員を初めとした海外研修員201人を受け入れておりまして、本県の技術を生かした人づくりの国際協力を行っているところでございます。また、このほか民間におきます国際交流活動のリーダーとなる県国際交流協会の登録ボランティアが、平成7年度384人でございましたが、平成12年度には593人と、209人増加いたしまして、さらに外国人観光客、これは平成7年、2万7、000人余ございましたが、平成12年には6万1、000人余ということで、約2.3倍に増加しているということで、県民の国際理解の促進と、国際交流活動の活発化が着実に進展しつつあるのではないかと受けとめております。
 次に、国際交流プラザの目的と実績ということでございました。プラザは県民の国際交流活動の支援や国際交流に関する情報の提供を行い、本県の国際交流の推進を図るということを目的として設置されておりまして、実績といたしまして、プラザ利用者、平成12年度でございますが2万2、000人と、平成8年度の約2倍となってございます。このほか英語、中国語による情報誌の隔月発行、あるいは国際交流フェスティバル、国際理解講座の開催、在留外国人の相談事業などを行っておりまして、本県における国際交流の中核的な拠点としての機能を果たしていると思っております。いずれ今後ともボランティアの方々等の御協力をいただきまして、国際理解と国際交流の促進に努めてまいると、このように考えております。

〇千葉伝委員長 次に、自由質疑を行います。自由質疑は議会運営委員会の申し合わせにより、発言時間は答弁を除き1人10分を限度とし、交渉団体会派以外の委員を優先することになっております。質疑はありませんか。

〇伊沢昌弘委員 社会民主党の伊沢昌弘でございます。
 平成12年度岩手県歳入歳出決算の審査に当たりまして、総括的に質問していきたいと思います。
 厳しい経済状況の中、一般会計及び11の特別会計において、単年度黒字決算を計上された財政運営に敬意を表するものでございますが、12年度末の県債残高が1兆2、640億円余、債務負担行為限度額も3、630億円余となっており、県債償還とあわせた後年度における財政負担額は1兆2、894億円と、東北6県の比較でも宮城県に次いで2番目に多く、標準財政規模から見れば本県が最も厳しい状況と言えるのではないでしょうか。加えて、自主財源比率も32.7%と東北平均の36.3%を下回っており、後年度に大きな負担を強いるものとなっていることを大変心配するものであります。政府が進める構造改革のもと、地方交付税の縮小も懸念される中で、12年度決算を踏まえた財政状況をどのようにとらえ、今後の財政運営をどのように進めようとしているのかお伺いをしたいと思います。
 あわせて債務負担行為についてお伺いします。議会資料ナンバー6、決算審議資料の35ページによりますと、債務負担行為限度額のうち、債務保証または損失補償に係るものが614億円余となっています。大変大きな額であると思いますけれども、その具体的な内容はどのようなものでしょうか。
 あわせて、知事はこの間、右肩上がりの経済成長は望めないとの見解を示しながら県政運営を進めることを明言しています。しかし、平成11年10月に公表している平成17年度までの岩手県中期財政見通しは、県債発行額、元金償還額、そして年度末残高もふえ続けるものとなっており、見直しを行う必要があると考えますがいかがでしょうか。
 前の委員とのダブりもありますけれども御答弁をお願い申し上げたいと思います。

〇小原総務部長 12年度決算を踏まえました財政状況の認識、今後の財政運営の進め方というお尋ねでございますが、12年度の決算につきましては、委員ただいまもお話しがあったとおり、東北各県の比較でもう少し申し上げてみますと、本県の財政構造の弾力性を示す指標ということで、経常収支比率、これは85.5%ということで、東北平均85.6%と大体同じ数字になっております。それから、義務的経費比率は38.3%、平均よりも2.7ポイント下回っております。投資的経費は36.7%で3.8ポイント上回っております。一方、財政構造の硬直化を示す指標となります公債費比率は18.6%ということで、東北平均よりも0.5ポイント上回っております。このように、本県の財政状況は、東北各県と比較して平均的と考えておりますけれども、公債費につきましては、東北新幹線、県立大学などの大規模県単事業、国の景気対策に呼応した補正予算債の発行など、それから地方財源不足対策のための財源対策債等の影響によるものと考えております。
 今後の財政運営についてでありますが、県の総合計画に掲げる主要事業の着実な推進を図っていくため、特にも県債の導入に当たって、その発行総額の抑制を図るということで、事業の精選に努めるとともに、県債管理基金、これの適切な運用によりまして、償還財源の確保に努めるなど、工夫を凝らしながら適切に財政運営を行っていくよう努めたいと考えております。さらに、今後、国における財政制度の改正の方向につきまして情報収集に努めまして、私ども地方の立場をあらゆる機会をとらえて国の方に要望してまいりたいと考えております。
 次に、債務負担行為についてでありますが、債務負担行為のうち債務保証または損失補償に係るものの具体的内容について、これは大きく分けて二つの類型がございます。一つは、県が出資している各法人が金融機関から資金融資を受ける場合に、県が債務保証や損失補償を行うことによって借り入れの円滑化を図るもの、それからもう一つの形は、中小企業者に対する資金の融通に係る信用保証事業や設備の貸与事業に対して、県が損失補償を行うことによって中小企業の資金調達の円滑化を図る、この二つの種類であって、この二つを合わせて614億円の債務負担行為限度額となっているものであります。
 なお、平成12年度の支出額1、535万円余についてでございますが、これは申し上げた二つ目の類型に属するものでございまして、資金繰りに支障を生じている中小企業者の経営の安定化を図るために平成10年度に実施したいわて緊急経済対策資金の借入企業の倒産等に伴い、県の信用保証協会が信用保証契約に基づきまして代位弁済をした経費の一部について、県が損失補償を行ったものであり、12年度において初めて支出が発生したものでございます。前者の出資法人等に関するものについては、当該法人が借入金の償還ができなくなるような事態に陥ったという場合に、県の損失補償が生じることになりますけれども、これまでそのような事態は発生していないものであります。

〇伊沢昌弘委員 ありがとうございます。債務負担行為について御答弁をいただいたわけでありまして、県の出資する法人、やっぱり健全な経営も含めてやっていかないと、保証しているわけですから言って見れば保証人の責務として、出たらやるよという意味だと思いますけれども、ぜひ指導監督も含めてお願い申し上げたいと思っています。
 また、中小企業に関してはこの現下の厳しい中で、やっぱり倒産を含めて大変な状況が出てくるのではないかなと思うわけでありますので、ぜひともそういった部分に目を光らせていただきたいと思うわけであります。
 次に、パブリックコメントの実施状況と成果についてお伺いをしたいと思います。
 県は、パブリックコメント制度の指針や要綱を定めまして、細かな配慮のもとに県民に資料を提供して広く意見等を求める制度として平成12年4月1日に導入しましたが、住民参加の行政運営を行う上で大変望ましい方法であると考えています。しかし、県のホームページに掲載されている実施の状況を見ますと、平成12年度中は22件、13年度は10月までに9件、合計31件の実績があるようでありますけれども、各対象案件に対しての意見提出件数が少なく、100件を超えているものが七つの案件にとどまっているということが少々気になりました。スタートして間もないとはいえ、県民の声を広く聞くための制度が真に活用されることを望むものでありますけれども、そこでお伺いをしたいと思います。
 寄せられた県民の意見の状況、及び計画や施策等にどのように反映をしてきているのかお示しをいただきたいと思います。
 また、これまでに実施したパブリックコメントについてどのような評価をしておられるのか、県民の意見を広く求めるための改善策等についてもあわせてお伺いをしたいと思います。

〇小原総務部長 大変失礼しました。先ほど中期財政見通しについて答弁漏れがありましたので、お話しさせていただきます。
 中期財政見通しにつきましては、国、地方を通じて多額の公債費残高を抱える厳しい財政状況ということで、本県の財政の現状を認識するとともに今後の推移を見据えて、本県の予算編成あるいは財政運営の指針にするということを目的といたしまして、平成11年10月に策定したものであります。この策定後において、地方財源不足対策としての臨時財政対策債の制度化などの推計のもととなった要因に動きがありますけれども、中期財政見通しの時点と現在の県の財政状況の間に大きな乖離は生じていないところであります。現在、国における構造改革あるいは地方交付税の改正等について検討されているわけですけれども、現時点では具体的に影響を把握することが難しいというような状況にありますので、しかしながら、この改正の内容によっては、かなり大きく本県の財政運営に影響を及ぼすということで危惧されるわけでございます。したがいまして、中期財政見通しの見直しにつきましても、今後の国の動向等を見きわめながら検討し、判断していく必要があると考えております。
 それから、パブリックコメントの実施状況と成果についてのお話でございますが、制度を導入した昨年4月から本年10月末までに実施された案件における意見の件数は、保健福祉部が実施した健康いわて21プランに対する1、199件の意見を筆頭に、希少野生動植物の保護関係877件、いわて子どもプラン687件といったものがある一方で、計画案に対して意見の提出がなかったものも5件あったということでございます。これら意見の多いものはやはり御案内のとおり、県民の生活に直結し、あるいは身近なテーマにかかわる計画に関心が多いというふうに見受けられるところでございます。
 提出された意見は計画案に組み入れるなどの形で、できる限り施策に反映してきているところであります。例えば、ひとにやさしいまちづくり推進指針では、視覚障害者が公共施設を利用しやすいように、赤外線補聴器システムの導入の促進を図るとか、いわて子どもプランでは、いわゆる児童館の施設整備運営に中・高生の年長児童と生徒まで使えるようにするとか、そういったものが生かされております。また、趣旨が既に計画案に盛り込まれているなど、案の修正に及ばないと判断されたものにつきましても、意見に対する県の考え方あるいは対応をきちんと公表するとともに、その後の施策の参考に役立てているところでございます。本年2月に県民アンケートを行ったわけですが、実施していることは知らなかった、あるいは計画案の内容が難しいといったようなお話がございまして、周知方法あるいは計画案の公表方法などの問題点が数多く挙げられています。したがいまして、よりわかりやすい公表の仕方、あるいは特に専門性の高い計画については関係団体に説明会を開催するといったような形できめ細かい対応を図ることとして、制度運用の改善に努めておりますが、なおやはり改善の余地があるものと考えております。
 今後は、画一的なパブリックコメントにならないように、計画の目的、背景あるいは県民の役割など、それぞれ計画の持つ特徴といいますか、そういったものを大切にして、対処、意見聴取の方法、それから計画案の時期のどの段階で実施するかといったようなことについて、きめ細かく配慮するよう一層工夫して、制度の目的である県民の意見、意思が政策決定に反映されるよう各部局とともに制度の定着に努めてまいりたいと考えております。

〇伊沢昌弘委員 答弁のないまま続けて大変恐縮でありました。ありがとうございます。
 パブリックコメントをやっぱり進めてきていろんな意味での改善点もあると思うのですが、私が一番心配するのは、いわゆる県のアリバイつくりではないかと言われるような形がとられるのが一番大変だと思います。インターネットを含めてすべては載っているけれども、それ以外のものについては説明会とか、それから新聞に載せるとか、すべて載せているわけではない。そういうものも含めてやはり、せっかく意見を聞くのであれば多くの方々の意見がとれるような、そういった意味での政策展開をぜひお願い申し上げたいと思います。
 次に移ります。資源循環型社会構築に向けた施策についてお伺いをしたいと思います。
 環境首都を標榜する岩手県は、昨年度、先ほど質問いたしましたパブリックコメントを実施した上で、いわて資源循環型廃棄物処理構想を策定いたしました。構想の基本的な考えとして、自県(圏)内処理の原則、二つ目に排出者責任を明確にしつつ、一般廃棄物と産業廃棄物の共同処理を進める、三つ目としていわてクリーンセンターの成果を県内に広める、4点として産業廃棄物業者の育成と機能分担を進める。この4項目に整理をしながら、廃棄物の資源化や適正処理を進めることとしており、私は大きな期待を持っているものであります。これらの基本目標を達成するためには、県の組織である各部が共同で計画し実行に移すことが不可欠であると考えるものであります。一般家庭や事業所から排出される一般廃棄物に加えて、農林水産部局における第1次産業から排出される家畜ふん尿、水産業に起因するカキ・ホタテの貝殻、さらには県土整備部所管の流木や土木・建築工事に伴う廃棄物など、多岐にわたる廃棄物の適正処理に向けた連携が必要と思われますが、これまでの県における取り組みの状況と今後の計画についてお示しをいただきたいと思います。
 また、現在でも多くの民間や市町村が関係をする廃棄物処理施設が県内において稼働しておりますが、優良な事業者の育成も目標に定めていることから、県内から排出される廃棄物の有効活用に向けた、これらの民間事業者並びに公的な施設の適正運営に向けた指導方策についてお示しをいただきたいと思います。

〇高橋副知事 まず、廃棄物適正処理の取組状況でございますが、廃棄物の適正処理を進めるためには、関係部局の連携が重要だ、これは申すまでもないことでございまして、これまでも全庁的には岩手県環境施策推進会議、それから関係部局間といたしましては岩手県農業用廃プラスチック適正処理協議会、それと岩手県漁業系廃プラスチック適正処理促進協議会などにおきまして、それぞれの関係部局が連携をいたしまして適正処理の推進に努めているところでございます。特にも、岩手資源循環型廃棄物処理構想の具体化を図るために、有機性廃棄物の処理とリサイクルを目的といたしました盛岡以北の公共関与によるモデル施設につきましては、本年4月に庁内関係課で構成いたします資源循環型モデル施設整備推進プロジェクトチームを設置いたしまして、関係部局が一体となって検討を進めているところでございまして、今年度内には整備基本方針を策定することになっております。
 今後とも、関係部局間の連携を一層強化いたしまして、廃棄物の適正処理に取り組んでいかなければならないと、そのように思っております。
 それから、民間事業者と公的な施設の適正運営に向けた指導方策ということでございます。
 岩手資源循環型廃棄物処理構想では、これまでの焼却、埋め立て中心の処理を見直しまして、できるだけ資源として有効に活用するようにリサイクル、廃棄物発電などのエネルギー利用の機能を強化する方向を示したところでございます。この考え方を、いわてクリーンセンターを初め、民間事業者や公的な施設などに対し事前協議等を通じて広く波及させるとともに、リサイクルコンクール──これは去年まで行われたわけでございますが──などを実施して意識啓発にこれまで努めてきたわけでございますし、また、リサイクル優良事業者の認証制度を、現在14年度に立ち上げようと検討中でございます。
 今後とも、廃棄物の資源化適正処理を進めるように指導をしてまいりたいと、そのように考えております。

〇伊沢昌弘委員 言うまでもなく、やっていますよということになろうかと思うんですが、これはスパンの長い計画でありますので、ぜひ今のような形で、できるだけ言ってみれば自県内、岩手県内の中でいろんなものが活用されるような、そういう方途を、模索をお願い申し上げたいと思います。
 最後になります。雇用対策についてお伺いをいたします。
 現下の厳しい経済状況の中で、雇用対策は重要な課題となっており、一般質問を通じても多くの議論が交わされたところですが、私は障害者の雇用対策についてお伺いをいたします。
 障害者の雇用については、障害者の雇用の促進に関する法律に基づきまして、民間企業、国、地方公共団体はそれぞれ一定の割合の障害者、チャレンジドと言うんだそうですけれども、チャレンジドを雇用することが義務づけられておりますけれども、平成12年度の主要施策の成果に関する説明書、これ55ページに表がありまして掲載をされているんですが、県内の民間企業における障害者雇用率は1.64%と、法定雇用率1.8%に届いていない状況となっています。全国平均の雇用率1.49%に比べて本県の雇用率は高いものになっていますが、最近の厳しい経済状況の中で、企業活動の縮小や閉鎖に伴う非意図的失業者がふえていることを考えれば、障害を持つ方々の雇用環境は大変厳しさを増しているのではないかと心配をされるところでございます。
 そこでお伺いをいたしますが、本県における雇用率の現状はどのようになっているのでしょうか。県及び市町村の雇用率を含めてお示しをいただきたいと思います。
 また、障害者の雇用促進を進めるに当たって、例えばクリーントピアいわてのように、第三セクター方式で地域の障害者が働ける場を提供していくことも必要であり、県として各地区にそのような就労の場を拡大していくべきものと考えているものでありますけれども、クリーントピアいわてにおける障害者の就労状況とあわせて御所見をお伺いしたいと思います。

〇高橋副知事 最初に障害者の雇用率の現状でございますが、岩手労働局の調査によりますと、平成12年6月1日現在で、法定雇用率が適用される一般民間企業の障害者雇用率は1.64%となっております。また、法定雇用率が適用される県の機関の障害者雇用率は1.61%、市町村の機関の障害者雇用率は2.05%となっております。
 次に、株式会社クリーントピアいわてのような第三セクター方式による事業は、全国でも34企業しか設立されておりません。これは、民間セクターの出資割合が50%以上となることを要件としているほかに、障害者雇用に対する企業側の理解不足がやはり要因ではないかと、そのように思われるわけでございまして、今後、このような企業を育成するに当たりましては、出資企業の理解が不可欠となるわけでございます。
 このように、第三セクター企業の設立に当たりましては、県などの自治体のみならず、民間企業が主体的に設立に参画することが必要となるわけでございますので、県としては障害者の雇用が一層促進されますように、民間企業の十分な理解と積極的な対応を得るための機会をとらえまして、事業内容等の周知を図っていかなければならないと、そのように考えております。
 なお、株式会社クリーントピアいわての就労状況でございますが、平成2年3月の創業以来、重度の知的障害者が中心となっておりまして、現在、従業員総数34人のうち、20人の障害者の方が常用労働者として働いているところでございます。

〇伊沢昌弘委員 法定雇用率、民間の場合は1.8%で1.64%。これは足りない場合は言ってみればペナルティーといいますか、納付制度があるという形になっています。それから、市町村も多分市長部局は2.1%だと思います。教育委員会は2.0%、こうなって平均が2.05%で大変高いわけでありますけれども、自治体の場合はペナルティー制度がないという形で聞いているわけであります。したがって、できればその市町村に対しての指導状況はどのようになっているのかお伺いをしたいわけでありますけれども、部局審査もありますのでそちらの方に譲ることといたしまして、いずれ、厳しい中での障害者の皆さんの働く場、社会参加の場を確保するための御努力をぜひお願い申し上げまして、終わらせていただきます。

〇斉藤信委員 日本共産党の斉藤信でございます。
 最初に、雇用対策についてお聞きします。
 この3年間の緊急雇用交付金事業の雇用実績、新規の雇用、常用雇用への継続はどうなっているでしょうか。雇用効果の高い事業はどういうものでしょうか。平均雇用日数を含めて示していただきたい。
 今回、県独自の雇用対策、これは1歩前進でありますけれども、この間の取り組みを踏まえて雇用条件、期間についてはどう改善したんでしょうか。

〇高橋副知事 平成11年度から平成13年度まで実施いたしました緊急地域雇用特別交付金事業につきましては、9月現計で、雇用実績は実人員約7、600人、延べ人数約17万4、000人・日、うち、新規雇用は実人員約4、900人、延べ人員約12万6、000人・日となっております。
 現行の国の交付金事業は、失業者に対する臨時応急の措置でございまして、常用雇用を想定したものではないわけでございます。また、この事業による雇用者につきましては、必ずしも公共職業安定所を経由することとはされていないことから、雇用期間満了後に常用雇用に結びついた雇用者数の把握は事実上困難となっております。
 雇用効果の高い事業につきましては、公園等の美化や不法廃棄物の撤去作業等の環境・リサイクル事業、さらに公有林の間伐等の事業などが新規雇用者の割合が高い分野でございまして、この2分野で55.6%というような状況でございます。3年間の平均雇用日数につきましては、雇用・就業者全体で約27日となっております。
 次に、今回の県の雇用対策の改善点でございますが、雇用条件では、事業費に占める人件費比率を8割以上といたしましたほか、対象事業に除雪や道路等の維持管理及び建物等の補修などを加えたところでございます。また、公的部門の直接事業としても、除雪作業や森林作業なども対象としたところでございます。
 それから、雇用期間につきましては、国の交付金事業においては6カ月未満としていたところを1年以内とするなど、より雇用の創出効果が生じやすい内容に要件緩和を図ったところでございます。

〇斉藤信委員 雇用日数が27日ということになりますと、これはつなぎの就労にならないんですね、短過ぎて。だから、雇用人員をふやすということも大事だけれども、雇用期間がつなぎにふさわしいくらいに延長できるように、雇用条件、今回改善されていますけれども、そういう改善をぜひ図っていただきたい。
 次に、10月の失業率はついに5.4%で、県内の有効求人倍率0.39、最悪の状況にまで下がりました。10月の月間有効求職者数は3万3、637人、有効求人数は1万1、968人、就職件数はわずか3、471人で、求職者の1割弱であります。この最大の原因は不良債権処理、大企業のリストラ推進、医療・社会保障の改悪を進める内閣による私は大不況にあると思いますけれども、大不況、深刻な雇用危機の原因をどうとらえているでしょうか。
 県内にかかわる企業のリストラ、人減らし計画をどう把握しているでしょうか。大企業の社会的な責任、地域経済と雇用に対する責任を強く求めていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

〇高橋副知事 大不況の原因でございますが、これにはいろいろと諸説があるわけでございまして、資産デフレと言われるバブル崩壊後に、一たん景気がやや回復したわけでございますが、企業の過剰な国内投資の処理、さらに金融機関の債権処理のおくれ、個人消費の低迷が不況を長引かせている、また、中国などアジア諸国との賃金格差が大きい上に、これら諸外国の生産技術の向上も進んできたことから、我が国産業の競争力が相対的に低下していることも一つの要因になっているというのが一般的な見方ではないのかと、そのように考えております。
 それから、県内企業にかかわる企業のリストラ、人減らし計画でございますが、御案内のように、半導体及び電気機械産業を中心に大規模なリストラ計画が発表されているわけでございまして、これら企業の中には、本県に工場あるいは関連企業を持つところもありまして、その影響を懸念しているわけでございます。これまで、主要な企業には直接訪問いたしまして、役員等から方針等を聞くとともに、本県工場への影響を最小限にとどめるように強く要請してきているところでありまして、現時点におきましては、本県の工場や関連企業が直接の統廃合の対象となっているものはないと聞いております。しかしながら、企業によりましては、社会的・全社的レベルで人員削減の方針を打ち出しているところもございまして、地域の雇用確保という観点から、企業訪問や労働局等を通じて、注意深く情報収集に努めているところでございます。
 企業活動は、申すまでもなく、社会経済の変動に大きく左右されるものでございますが、企業は地域経済や雇用の面で重要な役割を担っておるところでございまして、雇用調整等に当たりましては、基本的には労使の十分な話し合いによって解決していくべきものと、そのように考えております。

〇斉藤信委員 労使の話し合いなしに一方的な人減らし、リストラ計画を出されているところに今深刻な問題があるんです。例えば富士通の1万6、000人の人減らし計画は、今3万人に引き上げられました。私は富士通の金ケ崎の工場長に会って聞きましたけれども、工場長も知らない、労働者も知らない、本社の一方的発表ですよ。この富士通は、内部留保1兆439億円。内部留保というのは、1年の間に従業員の4割が退職するということを前提に積み上げているんですよ。だったら、このお金を使ってやったらいいじゃないですか。内部留保には全然手をつけないで、少々赤字になればすぐ人減らしをやる。労働者の話し合いなし。地方自治体にも説明がない。こういうやり方で県内の関係、例えば東芝エレクトロニクスも約300人の早期退職。早期退職というのは労働者は自由なんだけれども、早期退職を迫るやり方。これも労働基準法違反なんです。そういう点で、県や市町村、地域から声を上げて、こういう一方的なリストラは許せないんだと、そうしないと規制がかかりませんよ。
 イギリスには、大企業の社会的責任を担当する大臣がいるんですよ。EUには、企業の社会貢献度、これを発表してその評価がその企業の社会的評価になっているわけですね。そういう点で、大企業は一方的に、もうけるときはもうけて内部留保を詰め込む。しかし、少し危なくなると、内部留保にはほとんど手をつけないで人減らし、労働者に犠牲を転嫁する、地域経済に転嫁する。こういうやり方、これは本当に今声を上げていかなくちゃならないと思うけれども、いかがですか、副知事。

〇高橋副知事 御案内のように、今、国の総合規制改革会議におきまして、解雇の基準やルールを立法で明示することを検討すべきだという基本方針が打ち出されて、現在、厚生労働大臣の諮問機関である労働対策審議会において、解雇ルールのあり方について検討が始まっているわけでございますが、これらも委員が今おっしゃいましたような、そういうような思いも踏まえて今検討がなされているのではないのか、そのように理解しているところでございます。

〇斉藤信委員 私、先日、厚生労働副大臣に会ってきました。この解雇ルールというのが大問題で、非難ごうごうだというんですよ。今、必要なのは解雇ルールではなくて、解雇規制ルールなんです。そういう点で……。

〇千葉伝委員長 斉藤信委員に申し上げます。

〇斉藤信委員(続) そういう声がたくさん寄せられているということを……。

〇千葉伝委員長 本委員会は、平成12年度決算を審議するということでありますので……。

〇斉藤信委員(続) いやいや、委員長、去年もリストラされているんですよ。ことしもリストラされているんですよ。

〇千葉伝委員長 そのことを踏まえて質疑をお願いいたします。

〇斉藤信委員(続) 踏まえて言っているわけじゃないですか。ことしだけではないんですよ、リストラは。そういうことで私取り上げているので、本当は時計もとめてほしい、これは。
 それで、次にもっと深刻な問題が不良債権処理の問題であります。県内の金融機関の平成12年度の公表されたリスク管理債権の総額はどうなっているでしょうか。それは貸出残高の何割を占めているでしょうか。リスク管理債権が不良債権処理の対象となった場合に、どれだけの中小企業の倒産、失業が予想されるでしょうか。

〇高橋副知事 銀行法施行規則第19条の2に規定する不良債権開示基準に基づきます県内金融機関、これは地元3行と信用金庫、岩手信用組合も含んでおりますが、これのリスク管理債権総額は1、764億円余となっておりまして、貸出残高に占める割合は6.4%ということでございます。
 また、予想される中小企業の倒産や失業数ということでございますが、これにつきましては、法的整理手続によるのか債権放棄によるのかといったような最終処理の方法なり、また、同じ処理の方法をとった場合でも、どの程度まで雇用調整を行うかといったような各企業ごとの状況に左右されることがございますので、これは予想を定量的に申し上げるということは困難であると、そのように考えております。

〇斉藤信委員 大ざっぱに、この1、764億円の不良債権がすべて不良債権として処理された場合、中小企業はその8割を占めています。そして中小企業のいわば貸出残高の平均、従業員の平均で試算しますと7、095社倒産をして、5万3、922人が失業するという、これが試算としては出てきます。私は、もちろん全部不良債権処理をしたら大変ですから、そういうことは許せないと思うけれども、今、不良債権処理の危険というのがそういう問題なんですよ。それで、実はこの一番の対象になったのが岩手信用組合だったと。
 それで、私は岩手信用組合の問題について次にお聞きしますけれども、岩手信用組合の破綻への対応について、県はリスク債権を除いた運転資金への対応を考えているとしていますが、それでは、これまで期日どおりに返済してきた企業まで締め出されてしまうのではないでしょうか。県が考えているリスク債権とはどういうものでしょうか。融資があれば事業を継続できるすべての業者を対象に、セーフティネットの特別保証、県の債務保証と融資を実施すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

〇高橋副知事 この岩手信用組合への損失補償の制度設計に当たりましては、岩手信用組合のディスクロージャー資料、企業内容開示資料でございますが、これによって開示されております貸出金総額、これを135億円余、それから貸出条件緩和債権を除いたリスク管理債権総額。したがって、これらの中には破綻先債権と延滞債権、それから3カ月以上の延滞債権のみと、こういうことになるわけですが、これが10億円余と。それから貸出金における運転資金比率を80.5%、これに基づいてこういうようなデータを参考に、この債務保証限度額等を設定しておるわけでございまして、したがいまして、今お話しのございました期日どおりに返済してきた企業というようなことも含めまして、多くの取引企業はこのセーフティネット保証で救済されることになるわけでございます。ただ、取引企業の中には個々の事情もあるかと思いますので、最終的には事業を健全に継続できるかどうかという事業継続可能性というようなものを信用保証協会と金融機関が個々に判断をして融資されるべきものと、そのように考えております。

〇斉藤信委員 岩手信用組合の債務保証融資については、ぜひ今まで期日どおりに返済をしてきた、健全なこういう業者は必ず救済をすると。そして100億円の融資枠。私は大船渡商工会議所に行ったら、もっと必要なのではないかという声を聞いたけれども、ぜひ100億円の融資保証が残るようなことがないように金融機関に徹底していただきたい。そして大船渡市も1億円、信用保証協会に預託して独自の融資もやるということを頑張っていますので、ぜひそれは末端まで徹底していただきたい。
 それでは続きます。
 乳幼児の医療費助成について。
 全国都道府県でかなり就学前までの医療費助成が進んでいますが、どう把握されているでしょうか。岩手県でも、県議会で就学前までの乳幼児医療費助成の請願が採択されました。私はぜひこれは来年度から具体化して実施していただきたいと思うけれども、いかがでしょうか。
 児童虐待への対応と児童福祉司の増員について。
 平成12年度は相談件数111件で、前年比1.9倍、今年度は10月までに既に120件。千葉前副知事は3月の予算特別委員会で、要保護児童に係る業務量の状況で対応するとしていましたけれども、これだけ深刻な状況になっているのになぜ増員しないんでしょうか。東北各県はどうなっているでしょうか。

〇高橋副知事 乳幼児医療費助成についてでございますが、この事業につきましては9月定例会で請願が採択されたところでもございまして、本県といたしましては事業効果や事業内容、また、さらには財源問題等も勘案しながら、今、検討をしている段階でございます。
 それから、児童虐待への対応と児童福祉司の増員の話でございますが、平成12年度の児童福祉司1人当たりの虐待相談件数につきましては本県は10件でございまして、全国平均は14件というようなことで、これを下回っておるところでございます。児童虐待相談件数は、平成12年度が111件、平成13年度10月末現在で120件と、これは増加の傾向がはっきりと認められるわけでございます。したがいまして、市町村在宅支援体制の構築も含めた児童虐待防止体制の見直しとあわせて、現在、人員配置等についても検討をすることとしておるわけでございます。
 東北各県の児童福祉司の配置人員につきましては、平成13年5月1日現在で、前年度より各県とも増員しているわけでございますが、増員数につきましては秋田県が1人、青森県は23人というようにまちまちでございます。そのような状況でございます。

〇斉藤信委員 乳幼児医療費助成について、全国で最初にやった秋田県を視察しました。そうしましたら、若い夫婦の負担が軽減をされて診療が拡大をして、1県当たりの医療費は減っていると、大変効果があると、こういうことでしたので、ぜひこれはやっていただきたいし、児童福祉司は地方交付税措置で14人まで措置されているんですよ。岩手県は10人しか配置されていない。この児童虐待件数は10年前の10倍以上ですよ。私はそういう点で真剣にこれは対応していただきたい。
 次に、介護保険の平成12年度決算と問題点、改善点についてお聞きをします。
 平成12年度の介護給付費は、計画予算に対して82.4%にとどまり、額として95億4、600万円余が不用額となりました。国、県、市町村分の減額分はそれぞれどうなっているでしょうか。居宅サービスの利用状況は限度額に対して32.4%にとどまりました。介護サービスの利用が低くとどまっている原因をどう見ているでしょうか。保険料、利用料が高過ぎることが理由の一つと考えますが、どうでしょうか。県内の軽減状況、今後の見通しを含めて示していただきたい。
 一方で、特養ホームの入所待機者が急増しています。この2年余でどう推移しているか。平成12年、平成13年の計画と実績はどうなるか。計画を前倒しで整備して進めることが必要だと思いますけれども、どうでしょうか。療養型は特養に振りかえて整備すべきではないでしょうか。

〇高橋副知事 平成12年度実績はまだ確定しておりませんが、国庫負担金の減額分は約24億円、県負担金及び市町村負担金の減額分は、それぞれ約12億円と見込まれております。
 平成13年1月の調査によりますと、約9割の方が現在のサービス量でよいとしておりまして、サービス利用の低い原因は定かではございませんが、一部の方、約4%の方に利用料負担が重いとおっしゃっておる方もおりまして、本年1月から低所得者に対します利用料の軽減措置が拡充されたことを踏まえまして、市町村や社会福祉法人等に対して、引き続きこの措置の実施を強く働きかけますとともに、今後とも、それぞれの高齢者が必要なサービスを適切に利用できるように、ケアプランを策定する介護支援専門員の資質の向上を図るほか、居宅サービスの利用について、市町村とともに住民にさらに周知を図ってまいりたいと考えております。
 それから、保険料の単独減免は平成12年度は2町で81人、本年度は新たに4市町村が制度の趣旨に即して10月から実施しておりまして、現在6市町村でございます。利用料の減免はすべての市町村において実施されておりまして、社会福祉法人等による利用料軽減は、平成12年度は申し出があった91法人のうち、54法人で1、144人でございます。本年度の見込みは2、285人となっております。利用料の単独減免は、平成12年度は14市町村で1、402人、本年度は新たに8市町村が実施しておりまして、現在22市町村となっております。
 それから、特養ホームの関係でございますが、在宅の要介護者の介護老人福祉施設への入所希望者は、平成12年5月末現在で448人でございましたが、平成13年10月末現在では1、163人と、約2.6倍に増加しております。この施設の整備の状況は、平成12年度が5、267床の入所定員目標数に対しまして4、798床、整備率で言いますと91.1%が整備されました。平成13年度におきましては、5、359床の入所定員目標数に対しまして年度末までには5、078床が整備される予定で、整備率は94.8%に向上する予定でございます。
 国の2次補正におきまして、前倒し整備につきましては、介護老人福祉施設等の整備も予算措置される見込みでありますことから、市町村等と連携をとりながら、積極的に前倒し整備を進めてまいりたいと思っております。
 また、介護療養型医療施設の整備枠の介護老人福祉施設への振りかえにつきましては、これまでも必要に応じて進めてきたところでございますが、今後においても必要に応じて検討してまいりたいと、そのように考えております。

〇斉藤信委員 82.4%の介護給付費というのは、岩手県の保険料平均が2、868円ですが、この給付費で計算すると2、085円になるんです。いわば、保険料はバッチリ取られたけれども、実際のサービスはそこまで行かなかったと。国、県、市町村だけ減額したんですね。私はこういうやり方は問題だと思うんですよ。それで、今、特養も大変な整備残、これ本当に真剣になって取り組んでいただきたい。
 それで最後になりますけれども、介護保険事業計画の見直しがことし、来年にかけて行われます。その際私は、低い居宅サービスのこの現状をそのまま追認するものではだめだと。居宅サービスの利用率を高めて、特養はさらに必要な分を整備すると、そういうものに改善をすべきだと思います。
 最後の最後ですが、国保の滞納者対策について。
 滞納者に対して、一方的に保険証を未交付するとか資格証明書を発行するというやり方は、私は絶対やってはならないし、それぞれの実態を見てきちんと対応すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

〇高橋副知事 介護保険の保険事業計画の見直しでございますが、平成14年度の見直し時期におきまして、再度、市町村介護保険事業計画の見直しを行うこととしておりまして、これにつきましては既に国に予算要望をしておりますが、引き続き介護保険施設の適切な確保を図ってまいりたいと、このように思っておるところでございます。
 それから、国保滞納者のペナルティーの話でございますが、11月1日現在で、被保険者証の未交付は1、425件となっておりまして、また、短期被保険者証は1万878件、資格証明書は75件がそれぞれ交付されております。
 資格証明書の交付に当たりましては、特別の事情の有無など、個々の実情を十分に把握した上で、各市町村において定めた基準要綱に沿って適正に判断するよう、市町村に対し指導を行っているところでございます。

〇小野寺好委員 公明党の小野寺好であります。
 平成12年度は2010年を目標年次とする岩手県総合計画の実質的なスタートの年でありましたが、財政について、現在を10年前と比較することによって、10年後を推測できるのではないかという観点からお伺いいたします。
 平成12年度公債費1、086億2、000万円でありますが、このうち利子が338億8、000万円、31.2%であります。予算の附帯意見でも決算の附帯意見でも、常に財政の健全性の確保と、こういうことが言われておりますが、こういった点、どのようにお考えでしょうか。
 次に、県の総人口はおおむね横ばいでありますが、高齢化率は年ごとに高くなってきております。皆が元気であればいいのですが、自分の身の回りのことができなくなったり、体力はあっても痴呆が進んだりという状態の高齢者が増加しています。平成12年度に介護保険制度がスタートしたことによって、むしろ施設に依存する傾向にありますが順番待ちというのが実態であります。県の想定していた数値目標は現実と離れているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇小原総務部長 最初の県財政の10年前と比較、それから10年後の推計についてでございますが、まず10年前との比較ですが、県債収入あるいは公債費比率と比較しますと、県債収入は2.8倍、それから公債費支出は2.2倍、地方債残高2.8倍、それから主要3基金残高は1.3倍ということで10年前よりアップしております。
 以上のことからも言えることは、歳入全体の伸びが1.5倍ですので、それに比較して県債収入、先ほど申しました2.8倍が伸びている。その中で税収は1.3倍、微増ということが言えると。それから、歳出の伸び1.4倍に比較して公債費2.2倍ですので、公債費の伸びが大きい。それから主要3基金の伸びは1.3倍ということで、歳出の伸びとほぼ同様ということが言えるかと思います。この要因は、平成2年度当時は、いわば好調な景気に支えられまして税収が順調に増加して、公債に依存しない財政運営が可能であったということだと思いますけれども、その後のバブル崩壊等によりまして公債に依存した景気対策を行った結果、国、地方を通じて、現在のような財政構造に至ったものと考えております。
 10年後の推計でございますが、委員御指摘のとおり、今後の社会経済情勢が大きく左右されるということから、これを現時点で的確に予測することが困難でございます。したがって、10年後を推計することはなかなかに難しいところがあるのではないかと考えております。御了承をお願いいたします。

〇高橋副知事 高齢化についてお答えをしたいと思います。
 県では、岩手県介護保険事業支援計画と岩手県高齢者保健福祉計画を一体化したいわていきいきプラン2005を昨年3月に策定をいたしまして、この計画におきまして九つの高齢者保健福祉圏域ごとに、平成12年度から平成16年度までの介護老人福祉施設、介護老人保健施設、それと介護療養型医療施設の施設種別ごとの今後整備すべき目標値について定められたところでございます。
 介護保険制度施行後に入所希望者は増加傾向にございまして、介護老人福祉施設への入所を希望している在宅の要介護者は、本年10月末現在1、163人でございますが、これは措置制度から契約制度へ移行し個人の施設選択が可能となったこと、また、要介護1の状態から入所可能であること、さらには、施設入所時の介護費用の負担が、在宅に比べて割安感があること等の要因が考えられるところでございます。
 今後におきましては、介護老人福祉施設及び介護老人保健施設の平成14年度整備目標値の前倒し整備を図るなど、介護保険施設の整備目標値を達成できるように、また、圏域における施設利用の需要の動向を適切に把握しながら、平成14年度の見直し時期におきまして、再度、市町村介護保険事業計画の見直しを行うこととしております。
 このようなことなどによりまして、介護保険施設の適切な確保を図ってまいる考えてございます。

〇小野寺好委員 平成11年の国民医療費は約31兆円で、このうち70歳以上の高齢者医療費は11兆8、000億円余で、38.2%を占めたと報告されております。現在、国においては、財源難から医療制度改革が検討されておりますが、県民医療費の実態はどうであったか、及び市町村の国民健康保険の運営状況をお伺いいたします。医療費の抑制に関し、県及び市町村として効果を上げている取り組みがあれば、御紹介いただきたいと思います。
 次に、乳幼児医療費助成についてでありますが、かつて市町村によって生じている格差を、県はどう考えているのかとお聞きしたことがありますが、その後この格差はどうなっているのかお伺いいたします。
 現在、県は4歳未満児を対象にしており、これを拡充すべきであると思いますが、以前、少子化対策の質問の際、乳幼児医療費助成を拡充しても直ちには子育て支援にはならないと答弁されたことがありましたが、請願採択もありましたけれども、今も同じ考えであるかどうかお伺いいたします。

〇高橋副知事 県民医療費の実態でございますが、平成11年度の県民医療費は3、649億円でございまして、このうち老人医療費は1、493億円、全体の40.9%を占めておるところでございます。
 なお、県民1人当たりの医療費は25万8、000円でございまして、これは国民1人当たりの医療費24万4、200円を上回っているところでございます。
 次に、平成12年度における市町村国保事業会計の決算状況でございますが、国庫補助金の精算により返還が生じたために4保険者が赤字となったほか、国保財政基盤の安定、強化のための基金積み立て額が極めて少額となるなど、厳しい状況にある保険者も一部見られるものの、おおむね健全に運営されているものと見ております。
 それから、医療費の適正化を図るための効果的な取り組みということでございますが、これはなかなかいい例を申し上げられませんで、県はいろいろとやっておりますが、例えばレセプト点検の巡回指導等もやっておりますが、盛岡市など高医療費市町村にありましては、対策本部を設置したり安定化計画を策定したりいろいろと訪問指導をするとか、それからさらに生活習慣病予防のための健康づくり教室等を各市町村の実情に応じたそういうような事業等を行って、適正化の充実、強化に努めている事例がございます。
 それから、乳幼児医療費助成でございますが、県の助成対象年齢を拡大実施しているのは33市町村、うち、就学前を対象としているのは27市町村でございます。乳幼児医療費助成につきましては、乳幼児等の適正な医療を受ける機会の確保と経済的負担の軽減を図る観点から、平成10年8月に4歳未満児まで引き上げて拡充に努めてきたわけでございますが、9月の定例会で請願採択をなされたわけでございまして、事業効果や事業内容等も勘案しながら、現在、検討している状況でございます。
 なお、2月定例会での知事答弁の趣旨でございますが、これは出生数の増加や死亡率の改善に直接結びついている、いわゆる直接効果があったとは必ずしも認められないということを申し上げたもので、施策が有効かどうかと、そういう施策の有効性に言及したものではないと、このように私は理解をしておるところでございます。

〇小野寺好委員 次に、平成11年に国の少子化対策臨時特例交付金がありましたが、このとき県内の22市町村では、とりあえず基金として積み立てたとの報告がありましたが、その後12年度にはどう活用されたのでしょうか。単発で終わったかどうか、その効果をお伺いいたします。
 次に、ひきこもりについてでありますが、不登校の児童生徒がそのままの状態で成人した場合とか、大学生あるいは勤労者が社会から逃避する状態をひきこもりと言うようであります。支援団体としては、東京都福生市のNPOが有名であるとされているようで、この団体では経費負担に悩みながらも、これまで300人以上のお世話をしてきているとのことであります。このようなひきこもりは大都市だけの現象なのか、あるいは本県でも起きているのかどうかお伺いいたします。

〇高橋副知事 少子化対策臨時特例交付金でございますが、これは少子化対策の呼び水といたしまして、地域における少子化対策の一層の普及促進を図るとともに、雇用・就業機会の創出に資することを目的として、平成11年度におきまして20億2、600万円余が県内市町村に交付されたところでございます。そして平成11年度におきましては、22市町村が5億2、700万円余を基金として積み立てました。
 この基金を活用した平成12年度の事業の実施状況を見ますと、保育所等の施設整備や職員研修などの保育関連の事業が19市町村で2億4、700万円、それから市町村版子どもプランの計画策定の事業が10町村、2、400万円、児童館の整備などの事業が9市町村、1億2、700万円、幼稚園の施設整備などの教育関連の事業が5市町、9、600万円で実施されておるところでございます。このことによりまして、少子化に対する住民の意識啓発、また、保育環境の改善などに一定の効果があったものと、そのように考えております。
 なお、13市町村においては、13年度においても事業を実施する計画となってございます。
 それから、ひきこもりでございますが、ひきこもりの現状につきましては、平成11年11月から平成12年10月までの1年間に、本県の福祉総合相談センター、保健所におきますひきこもりの相談件数は79件でございました。その後、平成12年11月から13年の10月までの相談件数は、226件と大変ふえておる傾向にございます。
 ひきこもりの全国調査の結果によりますと、ひきこもりの継続期間は、本県では3年以上が39.3%、全国と同程度ということでございますが、年齢構成では、本県では10歳から20歳の者が54.4%ということで、全国の28.2%に比較しますと大変多い、若年層が多い。これと関連いたしまして、本県では、小・中・高の学校で不登校経験のある者が64.6%ということでございまして、これが全国では40.7%、比較すると多くなっていると。これはいずれも関連するのではないかと思いますが、そういうような特徴があるわけでございます。
 このひきこもりに関しましては、県独自にリーフレット、家族だけで悩まないでを作成いたしまして、これを配布するなり、また、福祉総合相談センターのホームページにも掲載する、そういうようなこともやっておるところでございます。

〇小野寺好委員 新エネルギーの導入に関し、産学官一体となって技術開発に取り組んでおりますが、ザルで水をくむようなことにならないようにとの思いから、本県における省エネ運動はどうなっているかお伺いいたします。
 例えば、遊戯場やコンビニにおける必要以上の照明器具とか、こんな場所にも自動販売機かというほど、さほど必要でないと思われるところでも電力をかなり消費しております。果たして電力は供給過剰なのでしょうか。また、今後の原子力発電所の寿命時期を考えた場合、本県においても省エネの習慣と新たな電源開発は急務であります。県企業局の風力発電がスタートし、市町村においても新エネ活用に力が入っております。本県の省エネ運動及び新エネ導入政策の成果をお伺いいたします。
 次に、ビル火災の件ですけれども、その恐ろしさはかねてから指摘されておりましたが、最近、東京でいわゆる雑居ビル火災の惨事が続きました。よそごとではなく、本県においても迷路のような通路を通される飲食店や、非常口がわからないようなビルが散見されます。大衆の集まる建物における点検、災害対策をお伺いいたします。

〇高橋副知事 省エネルギー対策についてお答えをしたいと思いますが、省エネにつきましては、県といたしましてもISO14001の認証取得によりまして率先して取り組んでいるほか、環境家計簿の全戸配布とか、地球温暖化防止活動推進員の設置など、地球温暖化防止の観点からの対策も含めて普及啓発に努めているところでございます。また、市町村におきましてもISO14001の認証取得、さらに省エネビジョンの策定など、省エネ対策に積極的に取り組んでいるところでございます。さらに愛ランドいわて県民運動の中で、資源の循環利用や省資源、省エネルギーを推進して、環境にやさしいライフスタイルの定着を目指した運動を継続的に展開をしておるところでございます。
 民間事業者への働きかけにつきましては、地球温暖化防止対策県民行動計画、アクションプランを年度内に策定することとしておりますし、来年度の策定に向けて検討を進めております岩手県省エネルギービジョンにおきまして、民間事業者への働きかけを検討しておる段階でございます。
 次に、新エネルギーの導入につきましては、平成10年3月に岩手県新エネルギービジョン策定をいたしまして、新エネルギーの種別ごとに、平成22年を目標年次とする導入目標を定めて、その実現に向けて今行動計画を策定して、全庁的かつ全県的に導入促進を図っていくこととしております。
 これまでの成果でございますが、風力発電につきましては3、680キロワットが稼働しておりますし、さらに葛巻町では2万1、000キロワットの大規模発電所が着工しております。県内各地でそのほかにも開発計画が進行しておりまして、5万キロの導入目標は確実に上回る見込みと、こういうことになっております。
 太陽光発電でございますが、これも導入コストの低減などもございまして、平成10年度末の累計では625キロワットであったものが、12年度末では1、915キロワットということで、3倍を超える実績になっております。今後も、屋根材などの建材一体型や太陽熱システムとの複合型の普及などによりまして、さらに導入に弾みがつくものと考えております。
 また、県立美術館、農業研究センター、県立学校などへの太陽光発電の導入、環境保健センターへの地中熱ヒートポンプシステムの導入等、県有施設への率先導入を初め、バイオマス資源や雪氷のエネルギー活用の取り組みが各地で行われておりまして、目標達成に向け、おおむね順調に推移しているものと考えております。

〇小原総務部長 雑居ビルの防災対策についてのお尋ねでございますが、本年9月1日、土曜日でしたけれども、東京都新宿区で発生したいわゆる小規模雑居ビル火災によりまして、消防庁では週明けに消防庁長官通知を発出して同種火災の再発防止のため、消防機関による小規模雑居ビルの一斉立入検査を指示したところでございます。
 県内の各消防署では、この消防庁通知を待つことなく、週明けの9月3日から自主的に対象範囲を拡大して、類似の雑居ビル503棟を含む810棟の防火対象物を対象に、緊急の一斉立入検査を実施したところであります。その結果、対象810棟の約60%に相当する491棟で、あわせて1、653件の消防法または当該市町村の火災予防条例の関係規定に違反する事例が指摘されたところであります。違反の主なものは、消防訓練が未実施であったり、消防用具設備の整備不良、あるいは消防計画の未策定や避難路確保が不十分であったなどの点でございます。違反のあった防火対象物につきましては、その所有者や管理者に対して管轄する消防署が、違反内容の是正を早期に行うよう指示したところであります。
 県といたしましては、各消防本部に対しまして、違反内容の是正措置の状況につきまして確認を行い、是正を徹底するよう指導したところであります。
 なお、各消防本部における是正措置の確認状況につきましては、施設の改善等是正に時間を要するというものもあることから、一定の期間をとりまして年内に全県分を取りまとめ、確認徹底を行うこととしております。
 今後におきましても、消防機関、警察等と連携をしながら、同種の防火対象物における安全対策に万全を期してまいりたいと考えております。

〇小野寺好委員 平成12年度の途中から国のいわゆるIT講習が始まり、県では7万人に受講してもらいたいとしております。いわゆるIT基本法が言うように、すべての国民が容易かつ主体的に利用できるようになろうということですが、ほかの家電製品とはわけが違います。受講者が利便性の刺激を受け、機材を用意し、ITの世界に飛び込んだ場合、県として注意を促したい点があればどのようなことかお伺いいたします。
 また、県のホームぺージの書きかえあるいは県職員のメールアドレスにウイルス、ワームを送り込もうとかの害を持って接してくるものに対し、どのような備えをしているのかお伺いいたします。
 県民へのIT技術の普及によって、古くからの行政システムが改革され、さらにオープンな行政が期待されます。当面、改革できたと自認するものがあればお伺いいたします。
 もう一点ですけれども、県は障害者の雇用促進に積極姿勢を示してまいりましたが、今こそ、障害を持つ方の職業能力開発にITを活用すべきであります。しかし、単に基本的理解、操作ができるだけでは職人にはなり得ませんので、きちんとした訓練施設において長期の宿泊研修が必要になるかと思います。そういった面で、例えば宮城県とか埼玉の国立リハビリセンターとか、こういったところで障害者の方が訓練を受ける場合の助成等について、もしお考えがあればお伺いしたいと思います。

〇飛澤地域振興部長 3点ほどITに関連いたしまして質問がございました。
 まず、IT講習者がITの世界に飛び込んだ場合、多分初心者のことを指しているのだろうと思いますけれども、IT講習会におきましては、市町村等地域の創意工夫によってさまざまな講習会を実施されておりますけれども、各講習会におきまして、受講者に対しましては三つのことを中心に注意を促しているところでございます。
 一つは、インターネット利用の際のマナーといった点でございまして、例えば件名やメッセージは簡単にわかりやすくということを言っておりますし、2点目としては、インターネットのセキュリティーやコンピューターウイルス対策、3点目が、オンラインショッピングや有料会員制ホームページの利用の際の留意点等について、説明を行っているところでございます。
 それから、2点目の県のネットワークシステムの危機管理というお尋ねでございました。
 県のネットワークの危機管理についてでございますが、本県の行政ネットワークにつきましては、各情報端末及びネットワークの管理設備のウイルス防止用ソフトウエアの導入、それから不正侵入防止装置、一般的にファイアウオールと言われているものでございますが、この設置によりまして外部からの不正アクセス防止対策を講じているところでございまして、そのほか情報ネットワークの異常時の緊急時にはコンピューターの西暦2000年問題がございましたけれども、その際の危機管理計画、これに準じまして関係部局や関係機関との連絡体制を整備いたしまして、迅速な対応を図ることとしているところでございます。
 今後の対応についてでございますけれども、最近、感染力が強い新種のコンピューターウイルスが次々に発生し、コンピューターネットワークの不正侵入の被害も相次いでおりますことから、本県におきましても、コンピューターネットワークの安全対策の強化が重要と思っておりまして、したがって、年度内にコンピューターウイルス監視設備を強化いたしまして、外部からの侵入する全データのウイルス感染を検知し、自動的にウイルスを除去するシステム、ウイルス監視サーバーでございますけれども、これを導入することとしておりますほか、県が保有する情報システムや電子的に記録された情報資源などのセキュリティー対策を取りまとめて、コンピューターネットワークの危機管理に万全を期してまいりたいと、そう考えております。
 それからもう一点、ITによる行政システム改革の実績ということでお尋ねがございました。
 ITを活用した行政情報システムの高度化を進めることによりまして、県民サービスの向上と県行政の業務革新を図るということが大事でございますが、県といたしましてもさまざまな取り組みを進めているところでございまして、まず、県民サービス向上の面での主なものを御紹介いたしますと、一つは、インターネットを通じて県民の方々からさまざまな提言、意見を受け付けいたしまして、迅速に回答するための県政提言等の処理検索システム、これは12年の11月から稼働をいたしているものでございます。
 それから二つ目が、各課のホームページの作成やメールマガジンの発行ということでございまして、広報機能の充実といったようなことでございます。
 それから三つ目が、県の条例規則や統計情報などのデータベースの県民への公開ということでございまして、県の保有する各種統計情報のデータベースを提供しているところでございます。今年度内には各種の行政手続の申請届に係る申請様式を県民や企業がインターネットから入手できるようなシステムの整備を予定しているところでございます。また、県内部での業務革新という点から申しますと、庁内の集会や通知に係る業務手続の簡素化を進めて、電子掲示板や電子メールの活用による業務の効率化、ペーパーレス化を推進しているところでございます。大体以上でございます。

〇高橋副知事 障害者の職業能力開発についてでございますが、就職が困難なチャレンジドと言われる障害者の方々の職業生活の自立を図るためには、そのチャレンジドの特性に応じまして、就業前の準備訓練から就業後の職業定着に至るまでの一環した職業リハビリテーションを実施していくことが必要だと考えております。そのためには、行政のほかに県立職業能力開発施設、民間の職業訓練法人や社会福祉法人などと連携をいたしまして障害者を支えていく仕組みづくりが必要でございます。そのモデルといたしまして、県と宮古市とで宮古地区での取り組みを現在検討しているところでございます。また、障害者の職業能力開発につきましても、バリアフリー施設のある民間訓練法人に、IT技術の職業能力開発の委託実施を検討しているところでございますし、さらに、お話しのございました全国レベルの社会福祉法人プロップステーションが構築しております障害者職業訓練ネットの活用方法につきましては、現在その法人との協議に入っている段階でございます。

〇小野寺好委員 次に、上水道の水源であり動植物の生活の場である河川、湖沼、また地下水の水質についてでありますが、不安のないものとして保全されているかどうかお伺いいたします。
 大都市との比較では、水質はすぐれているものの、最近のダム湖水の富栄養化、地下水汚染対策として、県内の水道事業者は浄化能力の向上に努めていると報道されております。盛岡市の場合、みたけ・上堂地域を流れる木賊川でありますが、この水が北上川に合流した後、下流で水道水になるのかと思うと、不安を感じるものであります。公共下水道の普及や河川整備等、総合的対策になろうかと思いますが、県内の河川、湖沼、地下水の水質の状況と浄化のための対策をお伺いいたします。
 最後、県は県立大学の開設と運営に全力を挙げてきたところでありますが、間もなく1期生が巣立ち行く時期となりました。少子化時代に突入し、年少人口が減少していく中での開学、そして景気低迷、就職難時代の初の卒業生ということになり、皆が心配しながら見守っております。開学後も施設整備や大学院の繰り上げ開設等を行ってまいりましたが、今後の整備計画と卒業予定者の進路についてお伺いいたします。
 卒業生が誇りを持ち後輩に入学を進め、さらに将来は卒業生自身が大学の運営費、後輩の奨学基金の造成等に貢献するようになることを期待いたしますが、当面、学生が本学にどのような所感を抱いているのか、学生自身の評価を聞いたことがあればお示しいただきたいと思います。
 また、県立大学が県の科学技術振興指針の推進にどのようなかかわりを持ってきたか、その貢献度をお伺いいたします。

〇高橋副知事 私からは水質に関して御答弁申し上げますし、県立大学につきましては総務部長と地域振興部長の方から答弁をさせたいと思います。
 まず、県内の公共用水域、河川、湖沼の水質でございますが、平成12年度の監視結果によりますと、環境基準を当てはめている97水域のうちで、89水域が環境基準を達成しておりまして、環境基準達成率は91.8%ということで、これは全国的に見ても良好な水準というようなことでございます。それから、地下水の水質でございますが、水道水源として利用されております地下水229カ所につきましては、最近5年間で唯一1カ所で耐塩素性病原性原虫による汚染が確認された事例がございますが、全体としてはおおむね良好な水質を維持している状況でございます。
 この浄化対策でございますが、本県の河川、湖沼等の良好な水質を維持、保全していくためには、下水道等の汚水処理施設整備の推進が重要でございまして、県では、平成10年度に新・全県域汚水適正処理構想を作成いたしまして、22年度の汚水処理施設整備率80%を目標として取り組んでいるところでございます。この構想は御案内のように、県内各地の状況に応じて効率的な汚水処理が行われるように、各地域ごとに適切な施設整備のあり方を定めたものでございまして、市町村と連携をしながら、下水道、農業集落排水、漁業集落排水、それから合併処理浄化槽の設置等を積極的に推進してまいりたいと考えております。

〇小原総務部長 県立大学の今後の整備計画のお尋ねでございますが、平成12年4月に設置いたしましたソフトウェア情報学研究科、それから総合政策研究科、これに加えまして14年4月の開設を目指しまして、現在、看護学研究科、それから社会福祉学研究科、それぞれ修士課程15名ずつの設置認可の申請を現在、文部科学省に対して行っているところでございます。それから、平成17年に盛岡駅西口の県複合施設内に設置予定の県民リフレッシュ教育センター、仮称でございますが、これをサテライトカレッジとして県立大学の公開講座や社会人のリフレッシュ教育などに活用することとしております。それから、平成14年度に県が開所いたします地域連携研究開発センター、これは大学の隣接地に設置されるわけですが、ここでも大学全体としての協力あるいは推進体制を整備して、県立大学の研究開発機能を企業活動の支援に役立てて本県の産業振興、地域振興に結びつける、そして企業との共同研究を通じて大学の教育研究水準の向上にもつなげていくということを考えております。
 それから、卒業予定者の進路についてでございます。県立大学、来年春の卒業予定者は、11月27日現在で4学部あわせて449人となっておりまして、そのうち就職を希望している者が374人、大学院等への進学を希望している者が50人、その他、決めかねているという形になりますが25人となっております。11月27日現在の就職内定状況でございますが、4学部全体で内定者237人、就職希望者に対する内定率は63.4%で、このうち県内企業、施設等への内定者が120人ということで、内定者の50.6%となっております。進路は看護学部の医療保健などをサービス業に含めますので、サービス業が151名ということで最も多くて、そのほか卸売・小売業あるいは金融・保険業、公務員という、各業種に満遍なく内定しているという状況でございます。
 それから、学生が県立大学にどのような所感を抱いているかというお尋ねでございますが、学生自身の大学に対する評価としては、学生生活の満足度という形のアンケートで、平成10年度、第1回目の入学者に対して実施したものがございます。このときには県立大学の学生生活について6割以上が満足しているという結果になっております。それ以降、全学を対象とした調査は実施されておりませんけれども、平成12年9月に社会福祉学部で学部の学生を対象にアンケート調査を実施したものがございます。そのときの学生の所感ということで二、三申し上げますと、全体的に見て雰囲気がよいとか、大学生活については思った以上に満足している、生活についてはちょっと不便なところもあるが、自然を感じながらの生活はいいとか、恵まれた環境の中で先生方も努力されているとか、そういった回答が寄せられております。
 開学4年ということで、道半ばにある本県立大学におきましては、今後一つ一つ実績を積み重ねて高い評価を得ていく必要があると思いますが、現在においても県内外から多くの注目をされている部分がございます。例えば、公表されております朝日新聞社発行の全国大学の評価を示す大学ランキング2002年版、こうしたランキングの是非は別といたしまして、その中で高校からの評価なんですが、高校からの総合評価では、全国682校中20位、それから新設大学──これは1991年から2000年まで開設した大学ですが──の評価では、高校の方の進路指導の教諭の評価が全国1位にランキングされております。これは、本学に対する大きな期待が寄せられていることの証左ではありますが、これらのことも誇りとして多くの学生が感じ取っている、そしてまた学生のサークル活動を中心とした自治会の活動が年々活発化しているなど、最近における学生の動向などから判断して、充実感を持ちながら学生生活を送ってくれているのではないかと考えております。

〇飛澤地域振興部長 県立大学が県の科学技術振興指針の推進にどのようなかかわりを持ってきたのかと、貢献度というお尋ねでございました。
 まず、昨年11月に策定をいたしました新岩手科学技術振興指針でございますが、この振興指針の策定に当たりましては、この策定検討委員会に委員長を含めまして2名の県立大学の教授に参加をいただいておりまして、まず本県における科学技術の振興の方向づけに大きな役割を一つ果たしていたということでございますし、また平成12年度には、委員お話しがございましたとおり、ソフトウェア情報学部から4学部あるわけでございますが、卒業生が出るということ等を含めまして、ソフトウェア情報学部の博士課程を初めといたしまして大学院が開設されまして、専門的知識のみならず国際的な視野をあわせ持った人材など、本県の科学技術の振興にとりまして有用な人材の育成が進んでいくという、人材の育成面での貢献があろうかと思います。
 それから、社会人向けに開放いたしましたネットワーク技術に関する研修会でありますとか、県民向けに多様な公開講座を開設いたしておりまして、県民の科学技術に対する普及啓発等といった面で大きな役割をまた担っているのではないかと思いますし、あわせて、現在、県内の自治体から地域情報化に関する研究などの受託研究でありますとか、あるいは防災対応の遠隔地データの導入保存技術の研究といったようなことで、地域のそれぞれのニーズに応じた研究などが進められておりまして、県立大学は本県の科学技術の振興、とりわけ情報通信技術分野での大きな役割を担っていくのではないか、またそういうことが期待されているのではないかと考えております。

〇小野寺好委員 学生の卒業後の活躍と卒業した後の大学へのバックアップを期待して質問を終わります。ありがとうございました。

〇阿部富雄委員 盛岡駅西口複合施設については、企業局会館の建設構想が頓挫し、その後、土地利用をどうするかという観点で検討が重ねられてきました。平成12年1月に盛岡駅西口地区県有地活用基本計画が策定され、本年度実施設計、14年度から建設工事に着手することとしています。事業費は200億円から220億円が見込まれており、厳しい財政下で県財政や県事業に少なからず影響を及ぼすものと思います。分散している各施設を1カ所に整備することにより、利便性が図られることはそのとおりですが、緊急性があるのか十分な説明がなされていません。緊急に整備すべき要件があるのであれば明らかにしてください。
 施設内容を見ると、情報展示施設、会議室、研修室、ホールなど既存の類似施設との競合も懸念されるところですが、これら施設への影響をどう想定しているのかお聞きします。
 厳しい財政のもと、それぞれの事業が厳しく査定され、県民サービスも抑制されていること、計画されている西口複合施設は、当面、既存の施設で対応が十分可能であることを考えれば、財政が好転するまで建設を凍結することも一つの選択肢ですが、考え方をお聞きします。

〇飛澤地域振興部長 盛岡駅西口の複合施設について3点ほど御質問ございました。
 まず、第1点の、緊急に整備すべき要件ということでございましたけれども、盛岡駅西口の複合施設、これの緊急に整備すべき要件についてでありますけれども、盛岡駅西口地区は、委員御指摘のとおり交通の結節点ということがございまして、北東北の拠点性の向上でありますとか、各県内外の各地域間との連携、交流を図る上で極めて重要な位置を占めております。平成14年度には東北新幹線盛岡以北の開業、あるいは平成10年代後半には中央大橋の開通が予定されておりまして、これら周辺全体の整備状況でありますとか、そういった周辺の都市機能、拠点性を高める必要があると。こういう東北新幹線でありますとか道路交通網の整備と、そういった時期を失することなく整備を進めていきたいと考えておりますし、またあわせて、この複合施設に導入いたします施設のうち、図書情報総合センター、国際交流センター、これらは既存施設を移転しようというものでございますけれども、現在、県立図書館等は、老朽化、狭隘化が顕著でございまして、緊急な整備が求められているということもございます。そしてさらに、基本計画策定時に県民アンケートを実施しておりますけれども、その結果を見ましても早期整備が望まれているところでございまして、このような点等から、基本計画で予定した整備スケジュールに沿って、着実に事業を推進してまいりたいと考えてございます。
 それから、既存施設との競合はないかというお尋ねでございました。既存の類似施設の問題でございますけれども、本施設の基本計画の策定に当たりましては、県内の既存の公共施設や民間施設の利用状況等を平成11年度に調査、検討をいたしておりまして、本施設の機能が競合しないように配慮した上で、その内容、規模等を決定したところでございます。例えば、隣接するマリオスとの関係におきましては、当施設に整備することとしております多機能型ホールや会議室等が、マリオスの市民文化ホール等と一体的に活用されることによりまして、全国的な大会や学会、イベント等に利用されることを想定いたしておりまして、相互に機能分担し、連携、補完するような配慮をいたしているところでございます。
 それから、委員お話しございましたとおり大変財政状況は厳しいと、そのとおりでございますけれども、財政が好転するまで建設を凍結することは考えていないかということでございますけれども、この西口の複合施設は、21世紀の新しい岩手づくりを進めるための拠点でございまして、前期実施計画にも位置づけているところでございます。前段で申し上げましたとおり、周辺全体の整備状況あるいは県民のニーズ、それから既存施設の老朽化、狭隘化といった点等を考慮いたしますと、早急な整備が必要と考えているところでございまして、基本計画で予定したスケジュールに沿いまして、着実に事業を推進してまいりたいと考えております。

〇阿部富雄委員 緊急に整備すべき要件についてはいろいろ理由を挙げられましたけれども、ただ、皆さんがおつくりになっている事務事業評価、これがございますね。それぞれの課で担当課がやるということになっていますけれども、これに照らし合わせてみても、私は果たしてその複合施設が緊急性があるのかということを考えた場合に、必ずしもそうは言えないだろうと思っているわけであります。ですから、もう一度、皆さんが示している事務事業評価基準でありますから、それに照らし合わせて検証してみていただきたいと思います。これ以上質問を重ねても、ここではいい答弁が出てこないだろうと思いますから、もう一度検証していただきたい、このことをお願いして次に進みます。
 昨年4月に地方分権一括法が施行され、住民に身近な行政はできる限り地方自治体にゆだねられることが基本とされました。自治体は自己決定、自己責任のもと、制度の改革だけでなく、これを動かす人間自身の意識改革をしなければなりません。自治体の事務、事業は福祉を初め、専門的な知識を要求される仕事がふえています。それだけの人材を確保し、維持していくだけの対応力も必要です。現在の市町村の実情は、実務に追われ、政策立案機能や企画力が発揮できないでいます。例えば、市町村での地球温暖化防止計画の策定が平成12年度で10市町村にとどまっている例を見ても明らかです。市町村には、包括的、一体的、自己完結的に事務を処理する基礎的なことが求められています。市町村の政策立案、企画機能の強化は、基本的には市町村の努力によるべきでありますが、市町村の体制が整わない以上、県としても連携を図り支援すべきですが、市町村の分権機能強化に向けての県の対応をお聞きいたします。

〇飛澤地域振興部長 市町村の分権機能の強化に向けての県の取り組みということでございました。
 地方分権の一層の推進に向けまして、住民に最も身近な市町村におきましては、その中心的な役割を担って、自主的、自立的に総合的な施策を展開していくということが期待されておるわけでございまして、その担い手となります政策立案、企画能力を備えた職員の育成というものは、特にも重要な課題であると認識してございます。このような観点から、市町村の研修協議会におきましては、研修内容を見直しいたしまして、一般職員の研修につきまして政策形成に係る科目を大幅にふやしておりますし、また、県の職員と市町村の職員が対等な立場で交流を深めながら、相互に研さんすることが重要であるということも含めまして、新たに県と市町村合同の課長研修を実施しておりまして、積極的に市町村における人材育成の支援を行ってまいりたいと思っております。
 また、平成11年度からでございますけれども、これまでの市町村実務研修職員の受け入れに加えまして、県と市町村の相互理解と連携を深めるという観点から、職員の資質向上を図るために、県と地方振興局と市町村との人事交流を実施いたしまして、これまで18市町村26件の人事交流を行っているところでございます。
 また、市町村におきましても、みずからの責任と判断で、少子・高齢化の進展や環境問題、あるいは国際化など新たな施策課題に的確に対応し得る専門性を備え、なおかつ効率的な行政体制を整備していくことが求められておりまして、そのためには、職員の能力開発に加え、組織体制の整備、あるいは市町村合併を含む広域行政の推進といったようなことで、自主的、主体的に取り組んでいくことが必要になると考えております。
 県といたしましては、今後ともこのような市町村の取り組みを積極的に支援いたしまして、市町村の機能強化に向けまして、適切に対応してまいりたいと考えております。

〇阿部富雄委員 市町村の人材育成に力を注いでいるということはわかりましたけれども、ただ、連携する立場の県の対応部分についても私は疑義を感じている部分があるわけでありますが、例えば先ほど申し上げましたように、法律に基づいて市町村でそれぞれの事務、事業の計画を定めなければならないと求められているものについて、県自体がそれぞれの関係する部なり、あるいは市町村の窓口である市町村課が十分に把握できていないということすらあるわけですね。ですから、この辺をきちっと連携する県の側としての体制もやっていくということは私は大事だと思いますので、ぜひそれらについても取り組みを強めていただきたいと思います。
 次に、平成12年11月に盛岡北部研究学園都市形成ビジョンが策定されています。このビジョンでは、産学官による共同研究開発を進め、その成果を企業等に技術移転しながら、企業の先端研究開発施設の集積を促すことにより高度情報通信技術を核とした研究開発の拠点づくりを目指すこととしております。そのビジョンの実現のための施策の一つとして、岩手県地域連携研究開発センターを整備する構想が明らかにされています。センターは、県立大学や大学院の研究成果を地域産業や地域社会へ還元することを目的に産学官連携による研究開発を行うこととしています。岩手大学地域共同研究センターなど既存の産学官共同研究施設やインキュベート機能など類似施設も多くありますが、役割分担や有機的な連携をどう図っていくのかお聞きします。
 産学官共同研究や連携については、類似施設が多いことから、利用しやすい体制をつくることが必要です。新事業創出支援体制、いわゆる地域プラットフォームでは、新事業を加速的に促進するため、中核的支援機関のみならず、新事業支援機関においてもベンチャー企業や中小企業等に対する総合窓口機能、いわゆるワンストップ機能を整備しています。産学官研究についても、地域産業や地域社会への総合窓口機能を整備し、研究や連携を効果的に推進すべきですが、その対応についてお聞きします。

〇飛澤地域振興部長 産学官連携につきまして2点御質問ございました。
 岩手大学地域共同研究センターなど既存の産学官研究施設、あるいはインキュベート機能などとの類似施設の役割分担、あるいは有機的な連携ということでございますが、まず岩手県地域連携研究開発センターの類似施設との役割分担、連携についてでございますけれども、このセンターは、県立大学のソフトウェア情報学部などの研究ポテンシャルを活用した産業振興とあわせ、本県の情報・通信分野の中核的な研究開発施設としての役割を担うことになっております。
 また一方、岩手大学地域共同研究センターは、岩手大学工学部の応用化学や金属材料分野での研究ポテンシャルを活用した産学官交流を推進しているということでございまして、またさらに、この地域連携研究開発センターは、主として県立大学の研究シーズを活用するベンチャー企業のためのインキュベート機能ということを目指しておりますけれども、研究開発型企業を広く対象として、窓口になっております新産業創造センターなどのインキュベート機能とは役割分担をしていくということでございます。
 こういったことで、研究開発分野の側面などから役割分担が図られていくのでありますけれども、産学官の連携による共同研究あるいは技術移転ということ、あるいは新産業の創出を支援するといった点では、いずれも共通項を持っているということもございまして、本県産業の振興のためには、これら機関が相互に機能補完や連携をしていくということが大事だと思っております。このような観点から、地域連携研究開発センターにおきましては、産業界の幅広いニーズにこたえていくため、岩手大学等の県内外の大学や研究機関のほか、市場開拓や資金調達などを支援しておりますいわて産業振興センターなど幅広い産業支援機関と密接な連携を進めてまいりたいと考えております。
 それから、産学官研究の総合窓口機能についてのお尋ねでございます。委員御指摘ございましたとおり、この総合窓口機能、大変大切であろうと私どもも考えておりまして、あわせて本県の場合コーディネート機能も重要と考えてございます。本県の現状を申し上げますと、本県における産学官連携は、岩手大学と開学4年目を迎えた県立大学等を中心に進められておりまして、県内の産業界は、それぞれの大学等と直接相談しながら、研究開発の支援や技術指導を受けているというケースが多い実情にございます。しかし、新規立ち上げの企業にとりましては、大学等の相談担当部門、あるいは大学研究者などに関するさまざまな情報が必要であるということで、県といたしましては、いわて産業振興センターを産学官連携の総合相談窓口と位置づけているところでございます。また、県内におきます産学官連携の状況は、コーディネート機能を重視する傾向にありますことから、平成12年度からいわて産業振興センターの研究開発センターに4名のコーディネーターを配置しておりますし、岩手大学におきましては、地域共同研究センターにおいて、工学系を中心にした共同研究や融資相談のためのコーディネート活動に取り組んでおりまして、また一方、県立大学については、新たに整備する──仮称でございますけれども──地域連携研究開発センターにおいて、情報・通信分野を中心としたコーディネート活動に取り組んでいくこととしているところでございます。
 今後でございますけれども、今後、県といたしましては、いわて産業振興センターを中心に、岩手大学共同研究センター、地域連携研究開発センターの三者が一体となりまして、財団法人岩手県南技術センターでありますとか県内各地の産業支援機関との連携を深めながら、本県の産学官連携のための総合相談窓口やコーディネート機能の充実に取り組むよう支援してまいりたいと考えております。

〇千葉伝委員長 執行部に申し上げます。簡潔にできない部分もあろうかとは思いますが、できるだけ簡潔に答弁されるよう御協力をお願いします。

〇阿部富雄委員 家畜排せつ物法では素掘り、野積みなどの不適切な管理の改善が求められ、ふん尿処理に多くの経費を要することから、廃業する畜産、酪農家も出ておりますが、県内の廃業状況はどうなっているのかお聞きします。
 県は、家畜排せつ物法に対応すべく、各地区で進めている堆肥センターの整備を支援しているところであります。堆肥センターの必要性が叫ばれているものの、全国的には赤字運営が多い現状にありますが、稼働している県内の堆肥センターの収支状況はどうなっているのかお聞きします。
 家畜ふん尿処理については、地下水汚染が懸念されること、環境に対する住民意識が高まっていることから、整備後の修繕費及び管理運営費の赤字が見込まれることを前提に建設に踏み込んでいる地区もあります。建設に当たって、どのような連携支援を行っているのかお聞きします。
 センター建設に当たっては、優良な完熟堆肥を供給することを目的の一つにしていますが、稼働しているセンターの状況を見ると、処理方式により予定した期間で発酵が進まないなど処理量にも影響しているところも少なからずあります。これは、寒冷地に加え、財政事情等により簡略化処理方式を採用したことによるものと思いますが、建設に当たっては、既存施設の例を参考にするなど的確な処理方法を導入すべきです。その対応についてお聞きします。
 畜産、酪農家では、搬入事情から自家処理を望む声も大きいところですが、それに対応する助成措置を手厚く行い、本県畜産の振興に寄与すべきですが、これが対応についてお聞きします。

〇高橋副知事 まず、県内の廃業状況でございますが、過去5年間におきます1年当たりの平均減少戸数は、肉用牛では1、320戸、それから酪農は180戸ということで、肉用牛及び酪農で飼養農家の大幅な減少傾向が見られるわけでございますが、畜産基本調査によりますと、肉用牛、酪農とも1から9頭規模、この階層での減少率が高くて、これは経営者の高齢化または後継者不足、畜産物価格の低迷がその主たる理由だ、そのように見られるわけでございますが、なお家畜排せつ物法に基づく施設整備が求められている10頭規模以上の農家の減少も見られますことから、この層ではこの法制定が経営中止に踏み切る理由の一つになっていることも否定できないのではないのかと思っております。
 それから、堆肥センターの収支状況でございますが、年間処理量1、000トン以上の県内11カ所の堆肥センターにおきます平成12年度の経営収支状況は、赤字が8カ所、黒字が3カ所ということでございまして、11施設の平均では、収入8、100万円に対しまして、支出が9、700万円ということで、1、600万円の赤字額となっているところでございます。黒字経営になっているのは、すべて畜産農家で組合を設置して運営している施設でございますが、赤字経営の堆肥センターにおきましては、赤字分を農協等の設置者が負担している状況にございます。これは家畜ふん尿処理料や堆肥の販売単価を、組合員の利益のために低目に設定せざるを得ないというような事情があって、赤字が発生しやすい状況にあるものと考えられるところでございます。
 それから、堆肥センター建設に当たっての連携支援策ということでございますが、処理施設の整備に当たりましては、畜産農家個々が施設を整備するのか、あるいは広域的な処理体制として堆肥センターを設置するのか、それぞれの地域の畜産事情なり個別農家の経営の実情等を踏まえまして、地域における関係者の話し合いによって方向づけがなされるべきものと考えております。仮に堆肥センターの設置を計画する際には、その運営方法なり経営収支の見通し等、あらかじめ十分検討する必要があるわけでございまして、県といたしましては、施設整備の計画段階から設置者等の関係者による検討協議の場に積極的に参画するとともに、有利な事業選択なり施設整備計画の作成など、財政面、技術面でのできる限りの支援、協力に努めているところでございます。
 それから、堆肥センターの建設に当たりまして、的確な処理方法を導入すべきだということでございますが、堆肥センターの整備に際しましては、その設置者が先進地の事例調査なり各施設メーカーの機械性能等を十分に検討した上で、処理方式を選択しているところでございまして、施設整備後の堆肥生産においては必ずしも当初計画どおりの製品になっていない事例もございますが、これはその堆積方式とか撹拌方式など処理方式にはさまざまなタイプがございますが、こういう処理方式よりも、多くの場合には堆肥生産における技術的な問題ではないのかというように考えておりまして、堆肥化過程におきます水分、温度などの適切な発酵条件が整わなくて、結果として発酵期間が長期化したり、望ましい品質になっていないものではないかと考えられるところでございます。
 それから、自家処理への対応でございますが、特に農家それぞれの個別事情に応じた整備に対応すべく、自己完結型での処理を志向している農家を対象とする対策といたしましては、国の制度でもあります二分の一補助付きリース事業の活用を推進しておりまして、これにつきましては年々需要が増加しているところでございます。そのほかに県単でも地域有機物資源活用促進事業の予算枠を拡充する、それから低利の融資制度としての畜産環境保全特別支援資金を設けるなどいたしまして、小規模で簡易な施設整備に取り組むことができるように措置を講じているところでございます。

〇阿部富雄委員 最後になりますけれども、乗馬が障害者のリハビリテーションに役立つという乗馬療法の考えで、県は平成9年度から2カ年、滝沢村のポニースクール岩手、県身体障害者福祉協会の協力を得て障害者乗馬推進モデル事業を行いました。乗馬療法の効果は、乗馬で平衡感覚を養うことで、自立歩行が困難な脳性麻痺患者が伝い歩きできるようになったり、馬との触れ合いで、知的障害者の情緒が安定し生活が明るくなる効果が挙げられていますが、2カ年にわたる事業の成果はどうであったのかお聞きします。
 ポニースクール岩手は、平成12年度末で事業を廃止し、13年4月からは財団法人岩手県競馬振興公社に事業委託されています。障害者乗馬については、競馬振興公社の自主事業として行われていますが、その実施状況は一部の知的障害者・障害児に限られています。県内の福祉関係機関や乗馬関係団体等では、障害者乗馬ネットワークをつくり、障害者乗馬の確立を目指し、岩手県障害者・障害児乗馬ネットワーク協議会の設立を進めてきましたが、ポニースクール岩手の廃止に伴い中座しています。計画当時、県障害福祉課では、岩手の乗馬療法は障害者全般が対象、馬産県ならではの特徴を生かし、岩手方式の障害者乗馬を確立したいと意気込んでいました。競馬振興公社の自主事業に依存するだけでなく、県の事業として委託事業に追加する、さらには、乗馬団体と連携をとるなど、文字どおり岩手方式を確立すべきと思いますが、対応についてお聞きします。

〇高橋副知事 障害者乗馬推進モデル事業の成果でございますが、このモデル事業は、障害者が乗馬をする場合の効果的な指導方法等についての検討を行うことを主な目的として実施したものであります。障害児施設入所中の児童、それから養護学校在学中の児童計20人を対象といたしまして、ポニーへの体験乗馬を実施いたしました結果、療法としての、障害児にとって特異的な効果は十分には検証できなかったわけでございますが、引き馬のスピードとか麻痺者を乗せる場合の留意点等、障害児が乗馬を利用する場合の配慮事項等については確認がなされたところでございます。この配慮事項につきましては、乗馬体験等の施設であるポニースクール岩手の実施事業に現在生かされているところでございます。
 それから、障害者乗馬の乗馬団体との連携等の岩手方式というようなお話ございましたが、現在のところ乗馬団体からの話は私はアプローチはないと聞いておりますし、またポニースクール岩手でも、1回当たり200円から800円というような安い低料金で現在も振興公社が委託を受けて実施しておりますし、ことしはこれまで約300人の障害者が体験しておりまして、結構ポニースクール岩手の自主事業の中で今もそれが生かされて、ポニースクール岩手の運営としてはまず委託をした所期の成果どおりの運営がなされているのではないのかと私は思っております。

〇千葉伝委員長 ほかに質疑はありませんか。

〇菊池勲委員 1点だけ質問をさせていただきます。実は1週間ほど前に県議会事務局政務調査課を通じて資料の提供をお願いしておったのだけれども、本日まで出てきておりません。ですから、質問にはちょっと足りないかもしれないけれども副知事に御答弁願いたい。
 私がお世話になったのが平成3年4月の選挙でありました。11年目に今、入って政治家をさせていただいていますけれども、ずっと前から疑問に思っていたことが1点。岩手県が発注する事業に対しては大変多くの数があると思う。各地方振興局ともさまざまな事業があると思いますけれども、私は北上であります。これは一般の業者からしょっちゅう御要望があるわけでありますけれども、いつかはどうかなるだろうという話の中からずっと見逃してきました。何年たっても依然として変わらない方式が一つある。これは農業土木関係でありますから一部でありますけれども、私が調べた資料の中では、平成10年度、業者が32社あって、事業名が21事業あったわけですね。当然全部一つずつ分けてもまだ11が余ることの計算になるわけだけれども、残念ながら20業者は入札に参加しても全然とれない。これは分捕るわけにいかないから、競争でありますからなかなかとれないという理由は私はわかりません。だけれども、今言ったように32業者に21の事業があるわけだから、まず一つずつ分けたとするならば、それでも11が当たらないけれども、どういうわけか1人の業者が四つもとっているのがあるということだ。ずっと前からこれは見ておった。いつ直るだろう、これではバランスが悪いねと言われました。平成13年度、先月までの入札の結果をこれも調べてもらった。27業者で22の事業があったんだ。これまた景気の悪いときでもよくやってくれた。県にこれは感謝をしたい。残念ながらこれも16業者は何もとらずだ。計算上から言えば五つだけはただだけれども、16になる計算にはならぬと思うのだけれども、これもある大きな業者か知らぬけれども一つは四つもとっておるということだ。ずっとこれを私は11年間見てきたんだけれども、これでは何ぼ頑張ってもつぶれる業者もあるわけだよ。ましてまともにいってもこれは当たらないのもあるわけだから、この仕組みがどうなっているか副知事に聞きたい。

〇高橋副知事 北上のそのような事情については承知しておりませんが、いずれこの仕組みといたしましては、指名の基本方針がございまして、それに基づいて指名をされ適正に入札執行された結果であろうと思うわけでございます。具体的な事項につきましては所管部局の審査でお尋ねになっていただければと、そのようにお願い申し上げます。

〇菊池勲委員 所管部局で審査のときにやりたいと思ってずっと我慢しておったんだ。ところが、ちょっと大きな問題だからね。これは委員長の許可を得なければだめですけれども、今平成12年度審査でありますから、12年度だけでも結構なんだけれども、それでは比較になりませんので、実は副知事に、部局審査のときにもちろん質問しますけれども、11年度と12年度、もちろん12年度審査でありますから、それから委員長にお願いいたしますけれども13年度の現況までの実績を知らせてほしい。私がお願いしたのは1週間前でありますからね。我々議会では、予算、決算の審査のときは各職員に全部パソコンを提供しながら作業させていると聞いておったんだ。私はパソコンには全く興味がないし力もないものだから使っておりませんけれども、みんな使っていると10分で物が出てくると聞いているんだ。1週間で出ないのはどういうことか、これもひとつ質問したい。

〇高橋副知事 委員御指摘の、これは県営建設工事に係る指名状況の調査ということで、総務室の入札管理監が各地方振興局の企画総務部に調査依頼している事項だと思いますが、これにつきましては入力期限、いわゆる提出期限が12月7日ということになっておりますので、これはまさに期限厳守というように書いておりますから、このときにはまとまると思いますので、この調査がまとまれば、まとまり次第また資料を提供させていただきたいと思います。

〇菊池勲委員 ちょっと副知事、12月7日期限というのは私が12月7日と出している、期限としたということの意味ですか。(高橋副知事「いやいや、その書類が、調査が」と呼ぶ)きょう総括でうちの代表も出たし、すべての時間かなりずれるからこれは無理だと思っておったんだけれども、どうしても聞きたいと思ってまた再度要求したけれども出てこなかったんだ。私が頼んだのがちょうど3時の休憩の時間ですからね。1時間あったら出るだろう。あれからもう3時間たっているんだよね。それでも各地方振興局に平成11年度と12年度、そしてから13年度の今までの経過が出てこないということは副知事、どういう作業のシステムにそれはなっているんですか。それならばこれも知らせてください。私は1週間前に頼んでおったんだ。きょう代表で質問したいから出してくれと3時の休憩に頼んだの。1時間ならできるだろうと言ったならば、事務局は困る困ると言ったけれども、それから3時間たっていても出てこないというのだから、これをひとつ、では事務手続上、それはどうなんですか。

〇小原総務部長 文書の通知で先ほど副知事が述べたようにやったんですけれども、先ほど委員お話しのとおり3時の休憩で出れないかというお話、想像ですけれども、御指摘のパソコンという形の中では多分処理していなかったと思うので改めて、確かに様式等をいずれ決めれば10分とか20分で12地方振興局から全部集まるということもありますけれども、したがいまして、いずれ私もちょっと詳細あれなので、あすの部局審査までは御希望の資料を提出できるように努力させていただきますので、御了解をいただきたいと思います。

〇菊池勲委員 さすが担当部長だね。副知事はそこまで行かなかった。私は副知事から本当は聞きたかった。そういうことでありまして、私が今申し上げたのはこれは農業土木だけの一部だけの話だからね。ですから、できれば教育委員会とか医療局も含めて全県の中であるわけですね。県土整備部もあるようですから、そういうものも含めて資料を提供してほしいということでお願いできますかね。
 それから、委員長にお願いしたいんだけれども、平成11年度の資料と、12年度はもちろん審査の対象にするわけですから、それから13年度の今までの資料と重ねてお願いしたい。それ出してもらえるんですかね。

〇千葉伝委員長 世話人会のため、暫時休憩します。
   午後6時6分 休 憩
   午後6時12分 再 開

〇千葉伝委員長 再開します。
 世話人会の結果を報告申し上げます。
 菊池委員からの御質問に対しまして、執行部では北上分の農業関係のA級分についてはあす確実に出せるということであります。したがって、そこの分のその資料については当委員会として資料を求めるということで、今、世話人会を終了しましたので御了承願いたいと思います。

〇菊池勲委員 その農業土木の資料なら私は持っている。平成12年度、13年度の持っているの。だからさっきの数字を言っているわけだ。持っていなければ数字出せないでしょう。だってこっちの要求に一歩も出てこないんだもの。その農業土木関係の資料はこれは僕は持っているの。平成12年度、さっきしゃべった数字も、13年度、先月まで入札した結果もこれは持っているの。これをマスコミに公表するか、いいよ、したって構わぬよ。だけれども県職員に頼んで出てこない、どういうことなの、これ。一般県民が出せるのに何で県の職員出せないの。一生懸命頼んだのにさ。それをさっきから副知事に申し上げているんじゃないか。そんなごまかしでは審査になりませんよ、あなた、決算審査にならぬ。使った金はどうにもならない、審査通らなくたってそれは通るんだ。私はこれではだめなの。ちゃんと12年度の予算をこれは持っているの。だけどそれでは対照にならないから、11年度もくれと委員長を通して今頼んだわけだ。それは出せないの。それを私は聞いている。

〇千葉伝委員長 ちょっと執行部から答弁。

〇高橋副知事 ただいま地方振興局へ確認したところ、委員から提出を求められた資料、平成11年度、12年度、13年度の10月現在の花巻、北上、水沢、一関、千厩の各地方振興局管内の業者に係る受注件数、受注金額、指名回数、これはA級であれば全部整うそうでございます。なお、念のため申し上げますが、これはまだ調査中でございまして、調査の締め切りが7日ということになっていますので、私どもでは今の時点でどれだけすぐに取り寄せられるかどうかというのがわからなかったということでございますので、念のため申し上げておきたいと思います。

〇千葉伝委員長 菊池委員に申し上げます。今、高橋副知事の答弁が、出せる分の資料については、あすまで当委員会に提出をいただきます。委員長のところに届けていただいて、各委員にその資料をお届けするということで処理したいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉伝委員長 質疑がないようでありますので、総括質疑はこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。あす以降は毎日午前10時に開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時16分 散 会


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