平成13年12月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇33番(佐々木一榮君) 自由党の佐々木一榮でございます。
 本定例会一般質問初日に登壇の機会をいただき、先輩・同僚議員に感謝申し上げます。
 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきますが、昨年と同様、今回も1日目最後の登壇者でもありますので、再質問などないよう誠意ある御答弁をお願い申し上げます。
 国民、いや、世界の国々の人が新たな希望と期待を持って迎えた21世紀だったはずが、その始まりの年に、世界はどうなるのか、そして我が国の将来はどうなっていくのか、恐らく多くの国民がその大きな不安と将来に日々心を悩ませ毎日を過ごしていることは、言うまでもなく一人一人が心の中に持っていることと拝察いたします。バブル経済崩壊後の失われた10年と言われる経済の低迷、そして企業倒産、過去最悪の失業率、米国における同時多発テロ事件、続いて狂牛病問題、毎日のように報道される殺人事件や誘拐、強盗、虐待など、本当に将来どうなっていくのかというはかり知れない不安が蔓延しているのではないでしょうか。
 そこで、まず冒頭に、政治家増田寛也として、知事は、この国のあり方、そして世界観についてどのような考えをお持ちでしょうかお尋ねいたします。
 国内においては聖域なき構造改革が叫ばれ、交付税や特定財源、特殊法人の見直しと、待ったなしで地方行政、自治体に大きな変革を迫っております。県においては、平成14年度の予算編成に当たって、本年度予算より経常的経費は15%、投資的経費は10%削減との方針を出しましたが、このような厳しい状況は今後も継続していくのではないかと思われます。県民の将来負担も、平成11年度末における一般会計、特別会計の財務バランスシートによれば1世帯当たり222万円と、前年より17万円の増加となっております。それでは県独自で県有地の売却など財源を捻出する手もあろうかと存じますが、現在の県内経済の状況下では県税収入も落ち込み、当然ながら交付税の伸びも期待できず、あわせて、現在、1、500億円の発行額の地域総合整備事業債の廃止は、一昨年策定した総合計画の着実な実行に大きな軌道修正を求められる可能性も高いと考えますが、県としてどのような対応と検討をなされていくのかお尋ねいたします。
 あわせて県では、本年度から厳しさを増す財政環境を踏まえ、財源や人材を重点的に配分し、より効率的で質の高い行政運営を目指すとのことから政策評価システムを導入しておりますが、県政策評価委員会の外部意見も含め、どう分析され、また、雇用、環境対策、情報などの八つの重点化方針の具体化や来年度の当初予算編成にどう反映させていくお考えかお尋ねいたします。
 政策評価を導入している市町村も県内にふえてきていると認識しておりますが、今後、県としてどのような形で市町村と連携を取り進めていかれるのかお伺いいたします。
 平成12年度に創設された市町村総合補助金についての活用状況を見ますと、ハード事業が77%となり、ソフト事業が23%となっています。この事業が市町村の裁量的な活用から喜ばれているところではありますが、この総合補助金についての政策評価あるいは事業評価はどのように行われ、また、その効果を具体的にどう分析されているのか、その状況をお示し願います。方法論としての政策評価は全国で広がっておりますが、一方で、行政みずから政策評価の手法をとらなくてもNPOなどにゆだねてはとの声もありますが、どのようにお考えでしょうかお尋ねいたします。
 次に、環境首都を標榜する本県の環境政策についてお尋ねいたします。
 さきの地球温暖化防止マラケシュ会議で京都議定書の運用規則がようやく最終合意に達し、法的文書が採択され、議定書が2002年に発効することが確実となりました。政府がその批准を直ちに表明、来年の通常国会で批准手続を進めることは当然であり、既存の地球温暖化対策推進大綱を議定書の批准、発効を前提に見直し、編成中の来年度予算案にも反映させる必要があると考えるものであります。
 地球の温暖化防止は、恐らく今後100年、21世紀を見通した長期にわたるテーマであるとも思います。議定書は、これまで大量の温暖化ガスを出してきた先進各国がまず排出抑制に取り組み、2008年から2012年までの第1約束期間に1990年比で欧州8%、米国7%、日本6%の削減を決めております。御案内のとおり、米国は、この目標設定自体が国益に反し、中国などの発展途上国に義務が課せられないことを不満とし、今春、議定書からの離脱を表明いたしました。先ごろ、私たち自由党県議団も中国を訪問いたしましたが、個人的には米国の中国に対する不満も理解できないものではないような気がいたしますが、離脱には賛成できるものではありません。もともと国民1人当たりのCO排出量の少ない省エネ大国の日本には厳しい目標であり、世界最大の排出国の米国の離脱では、温暖化対策の実効と産業競争力の両面から議定書の批准に慎重論も聞こえているからであります。
 そこでまず、知事は、この採択を受け、どのような形で本県環境政策の中でその対策、検討を進めていかれようとお考えかお尋ねいたします。
 また、時宜を得たように今12月定例会に提案されております県公害防止条例を全面改正した県民の健康で快適な生活を確保するための環境の保全に関する条例についてお伺いいたします。前段申し上げましたとおり、基本的にはこの条例に賛意を示すものでありますが、何点かにわたり、施行に当たって問題がないのかということも踏まえ質問させていただきます。
 まず、どうして9月定例県議会への提案を見送ったのでしょうか。また、小型焼却炉の原則全面禁止と罰則規定は当初案どおり条文に明記されておりますが、例えば県内市町村の一般家庭ごみの収集率はどうなっているのでしょうか。ごみ収集車が対応していない地域は県内にどの程度あり、条例施行までにその対応が可能なものでしょうかお尋ねいたします。
 焼却炉を用いずに焼却する特例に、農業、林業または漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却がありますが、一方では、日常生活から排出される家庭ごみの焼却までを規制しようとしておりますが、どういう考え方から第1次産業のみが特例扱いされ、家庭ごみは規制されたのでしょうか。第1次産業が特例扱いされない場合、どのくらいの焼却費用がかかるとお見込みでしょうかお伺いいたします。
 また、県では、各市町村に全地方振興局単位で条例の説明をし、理解を得ているとの認識のようですが、今すぐ対応は難しく待ってほしいとか、市町村議会での論議が必要だとかの要望はなかったのでしょうか。私の知り得る範囲では、この条例が今定例県議会へ提案されることさえ知らない地域住民の代表である市町村議会議員も多いと認識しておりますが、どのように把握しておられるでしょうか。県内58市町村と県との強固な連携と地域住民の理解と一体的運動を進めていきませんと絵にかいたもちにすぎないとも思うのですが、いかがでしょうか。県民のコンセンサスを得て展開していくことこそ、増田知事の基本である自立、参画、創造による持続的地域づくりと考えますが、現状で既に県民のコンセンサスが得られているとお考えでしょうか。
 また、これからの議論になるわけでありますが、提案された議案の議会での可決への意気込みを御披露いただければ幸いであります。
 次に、循環型社会を実現するための県の施策についてお尋ねいたします。
 先月、日本で初めてと言われる「リサイクル時代を支える静脈物流の構築を目指して」という副題で循環型社会を考えるシンポジウムが開かれました。本県からも多くの参加者があったように拝察いたしますが、循環型社会を実現するためには、生活様式、産業構造を変革していかなければならないということのようであります。
 常任委員会調査でも訪問いたしましたが、北九州市は、循環型社会形成の先導的な役割を果たすことを目指し、臨海部の若松区響灘地区を中心に北九州エコタウン事業を推進しております。しかしながら、採算面からは多くの課題があり、必ずしも産業として確立するには至っていないようであります。これらの課題を解決するためには、まず、リサイクル施設の集中立地によるコストダウンと施設の相互連携によるリサイクル率の向上を目指した拠点の形成、第2に、静脈物流の効率化と北九州市長は述べておられます。また、地球環境に優しい鉄道輸送や海上輸送の重要性についても言及いたしております。ただ、リサイクル事業は、基本的には民間事業者による積極的な対応が求められる分野であり、行政の役割は良好な事業環境の整備にあるとしています。
 そこでお伺いいたしますが、現在、来年度申請を検討している釜石を初めとする沿岸南部エコタウン事業の今後の計画と見通しについてお伺いいたします。第三セクター方式や民設民営などが検討されていると伺っておりますが、どのような形で具体に進めていかれるのかお考えをお尋ねいたします。
 あわせて、地元課題で恐縮でありますが、何度か特別委員会でも取り上げさせていただいております一関のゼロエミッション型工業団地構想は、市当局とどの程度その具体化に向け協議が続けられているのでしょうか。また、岩手県高度技術振興協会を中核として検討された基本整備計画では現在どのような位置づけになっているのでしょうか、具体化される時期についてもあわせてお伺いいたします。
 次に、さきの海外視察を踏まえながら、本県における情報関連産業の育成について何点かお尋ねいたします。
 近年、地球規模でのインターネットに代表される情報技術、いわゆるITの急速な進展によりIT革命が大きな時代のうねりとなって進んでおり、先ごろ訪問いたしましたインドのバンガロールのソフトウエア企業に代表されますように、世界のボーダーレス化は一層加速しており、生活、産業、経済とあらゆる分野に大きな影響を与えておりますことは皆様御承知のとおりであります。しかしながら、一方で、大都市圏と地方圏といった地域間、大企業と中小企業間、個人間の情報格差、いわゆるデジタルデバイドも、前回も質問いたしましたが、深刻な問題になりつつあるようであります。
 国においては、平成13年1月にIT基本法を制定するとともにe-Japan戦略を策定し、国の最重要施策としてIT政策が推進されているところであります。本県におきましても、新しい総合計画の柱の一つに情報を掲げ、いわて情報ハイウェイの構築など情報通信環境の整備を進めていることは、今後の成果に大いに期待したいものであります。しかしながら、東北の宮城県を除く各県のネット接続PCの所有率は、全国平均の約50%と低位にあります。私は、過疎地域を多く抱える本県ほど、遠隔医療や福祉分野、そしてネットショッピングなどでPCが威力を発揮するのではないかと考えております。そういった意味で、高度情報化という重点施策がかけ声で終わることなく、一層活性化させていくことであり、より積極的な本県独自の情報関連産業育成のための施策を展開していくことが肝要ではないでしょうか。
 本県における情報関連産業は、中小、弱小の企業がその大部分で、現下の厳しい経済環境の中で、中央大手企業との激しい受注競争にさらされて苦しい経営を続けていると伺っております。また、大変耳の痛い話かとは存じますが、県の推進している情報化施策はもっぱら行政の基盤整備が中心で、情報関連産業の育成策は見当たらないとの声も聞こえてまいります。時あたかも来春には岩手県立大学のソフトウェア情報学部の第1回生の卒業を迎えるわけでありますが、県内に就職を希望するソフトウェア情報学部の学生を受け入れるのはまさしく情報関連産業ではないかと思われます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 中小、弱小の企業が大部分のこの業界の発展伸長なくしては到底のことながら卒業生を受け入れることはかなわず、県内に就職を希望する学生であっても泣く泣く県外へ出ていかざるを得ないのではないでしょうか。
 そこで知事にお尋ねいたしますが、まず、本県のデジタルデバイドの現状をどのように認識され、今後の格差克服のための具体的手法をどのようにお考えでしょうか。私は、具体的数値目標も必要と考えますが、いかがでしょうか。
 また、本県の情報処理業やソフト開発業など情報関連産業の現状をどう認識され、本県の産業活性化に情報関連産業が今まで果たしてきた役割をどう評価し、今後の県政発展にどのような役割を期待されているのでしょうか。あわせて、今後、情報関連産業にかかわる本県独自の育成策をどのように展開していかれるのか、その基本姿勢についてお尋ねいたします。
 次に、関連いたしまして、本県の中小企業情報化支援策についてお尋ねいたします。
 社会全体の情報化が進展する今日、あふれる情報技術をどう生かすかが企業経営の必須課題となっていることは先ほど申し上げたとおりであります。経済産業省においては、多くの企業が戦略的に情報化を実行することによって企業競争力を高めることを期待して、経営戦略を情報技術の活用によって実現しようとする経営者の意思決定を支援するため、その環境を整備することを目的とした戦略的情報化投資活性化事業を平成11年度から展開してきたようであります。情報技術の生かし方が企業の命運を左右することは御承知のとおりであり、特にも、本県の中小企業にとっては、情報化投資こそが大企業や中央との格差を是正し、競争力を高め、ひいては新たな事業分野の開拓あるいは新規創業といった経営戦略の大きな推進力になるものと拝察いたしております。しかしながら、県内の中小企業の経営者にとって、情報化投資のための資金、人材の確保や投資効果の見通しなど余りにも専門的課題・問題が多いため、どこから手をつけていけばいいのか切り口が見出せないでいるのが実態のようであります。よって、県においては、本県の中小企業の情報化について、国の施策はもとより、本県独自の施策を展開し、積極的に支援すべきと考えるものであります。
 そこでお伺いいたします。県政の大きな柱の一つに情報を掲げていますが、本県の中小企業の情報化についてどのような認識を持たれているのでしょうか。あわせて、中小企業の情報化推進のための施策を今後どのように構築されていかれるのかお尋ねいたします。
 次に、情報関連産業の人材育成策、特にも高度情報技術者の育成についてお伺いいたします。
 昨今の情報産業を取り巻く諸情勢並びに急進展する技術革新の状況にかんがみ、とりわけ情報処理技術者の能力向上は喫緊の最重要課題と思われますが、本県の情報関連業界では、厳しい経営環境の中で、情報処理技術者の資質・能力向上のための再教育に涙ぐましい努力を重ねていると伺っております。また、東北経済連合会がこの7月にまとめた東北の情報化推進に向けたIT戦略では、IT関連の国家資格の取得者が新潟を含む7県をあわせても全国の4.6%にすぎないという実態を指摘し、大学や専門学校などの専門機関で集中的に専門家を育成する取り組みを求めております。
 お隣の宮城県においては、みやぎIT革命を早期に実現するため、行政、民間の強固な連携のもとにみやぎマルチメディア・コンプレックス構想を推進し、中でも、情報関連の人材育成については、高度IT技術者養成プロジェクトを官民一体となって取り組んでいるともお聞きしております。この高度IT技術者養成プロジェクトの実施主体として大きな役割を果たしているのが株式会社仙台ソフトウェアセンターとのことであります。同社は、通商産業省と労働省共管の臨時措置法に基づいて政府出資の特別法人として設立された研修機関と伺っており、本県におきましても同様の趣旨で設立された第三セクター株式会社岩手ソフトウェアセンターがあり、同社の社長は、県の副知事や商工労働観光部長が兼務してきたとのことであります。これまで株式会社岩手ソフトウェアセンターは、高度な能力を有するプログラマーの育成など高度情報処理技術者の育成のための専門研修を同社の主要事業として推進し、本県の情報処理技術の能力向上に大きな役割を果たしてきており、同社の存在は今後ますます重要視されてくると考えるものであります。
 そこで知事にお尋ねいたします。知事も過去にインドへ訪問されていると存じますが、高度情報処理技術者育成の必要性をどう認識され、いかなる施策を展開していこうとしておられるのか、その基本姿勢についてお尋ねいたします。
 また、本県の高度情報処理技術者育成を担う機関をどのようにしていかれるのか。仄聞するところによりますと、県は、公社等の整理・統廃合の一環として岩手ソフトウェアセンターを縮小するとともに、ほかの機関との統合を検討してきたようでありますが、あわせてどのような基本方向で進もうとしていかれるのかお尋ねいたします。
 情報関連の質問の最後に、鈴木商工労働観光部長にお伺いいたします。
 本県の情報関連産業の振興には業界団体の育成・強化も重要かと存じますが、県は、これまでもさまざまな制度を活用して各商工団体の指導を手厚く行ってきたところであり、その努力を多とするものであります。
 ところで、岩手県情報サービス産業協会は、情報処理サービス業やソフト開発業などの情報サービス産業に携わる企業を会員として組織されたいわゆる任意団体で、会員相互の協力により業界の健全な発展を図るとともに、地域社会の活性化に寄与することを目的として県の指導のもとに設立されたものと伺っております。昨今の情報化をめぐる諸情勢をかんがみるに、この協会に対しても、ほかの商工団体と同様の、あるいはそれ以上の積極的な育成策を講ずる必要があると考えますが、いかがでしょうか。特にも、先ほど来申し上げておりますように、情報関連産業の振興こそが本県産業全体の競争力を高めるため不可欠と考える今日においては、なおさらの感を強くするものであります。
 そこでお伺いいたしますが、歴代商工労働観光部長はこの協会の顧問に就任しておられますが、これまで協会に対しどのような指導・育成を行い、これまでの指導・育成に対する評価をどのように自負されておられるでしょうか。あわせて、今後はどのような指導・育成に取り組んでいかれるのかお尋ねいたします。
 最後に、県民生活の安全の確保の面から数点お伺いいたします。
 米国の同時多発テロ事件により、政府は、国内テロ対策等に関する関係省庁会議を開催し、国内のテロ対策等における重点推進事項として、出入国管理、国際的な情報交換等の強化、テロ資金・動向把握の強化、重要施設の警備強化、NBC──核・生物・化学テロ対策の強化、ハイジャック等防止対策の強化、海外邦人への情報提供等の強化を申し合わせておりますが、本県警察に関係する警備対策等について、現在の状況をお尋ねいたします。
 また、米国における炭疽菌テロ事件を踏まえ、秋田県においては、万が一に備え、炭疽菌汚染のおそれのある郵便物などの不審物の取り扱い、不審物に接触した人たちへの県や警察などの対処法や連携の仕方、診断や治療に当たる医療機関の指定など独自の対応策をまとめ公表いたしましたが、本県における炭疽菌などテロに関する基本的な対応はいかがでしょうかお伺いいたします。
 次に、2001年版の犯罪白書について警察本部長の見解をお尋ねいたします。
 犯罪白書によりますと、昨年の刑法犯の認知件数が初めて300万件を突破する一方で、交通事故を除いた検挙率は前年より10.2ポイント下がり23.6%と、初めて30%を割ったと報告されており、法務省の法務総合研究所は、治安の悪さが憂慮される事態になってきたと分析しております。長引く経済不況はますます犯罪の増加を促すのではないかとの懸念も強くなります。1998年以来刑法犯は急増しており、2000年も前年より12%増加しており、過去最悪を更新いたしております。特にも、凶悪犯と呼ばれる殺人が10%増加の約1、400件、強盗が22%増加の5、200件であり、傷害、暴行、脅迫などの粗暴犯も大幅に増加しております。一方で検挙率について見ますと、殺人は95%と高い検挙率を保ってはいるものの、強盗について見ますと、96年以降低下がとまらず56.9%、窃盗も前年比10.3ポイント減の19.1%と、20%を割り込んでおります。
 そこでお尋ねいたしますが、警察本部長は、このような状況をどのように認識され、本県警察として県内の犯罪傾向とその対応についてどのようにお考えでしょうか。
 関連いたしまして、今月12日から21日までの10日間発令された交通事故非常事態宣言の関係機関・団体との推進事項を県はどのように評価、分析なさっておられるのでしょうかお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 佐々木一榮議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、国のあり方、世界観についてのお尋ねでございます。
 今、経済や文化などあらゆる分野でボーダーレス化、グローバル化が進んでおりまして、海外で起きた出来事が直接瞬時に私たちの日常生活にも大きな影響を与える時代となってまいりました。環境の悪化、これは、大陸での大気汚染が我が国に酸性雨となって降り注ぐだとか、あるいは遠くの海域での海洋汚染が我が沿岸域に押し寄せてくるとか、こうしたような大きな循環がございますし、各地で起きております民族や宗教の対立、米国におきましてのあの忌まわしいテロ事件、これは日本人も犠牲者になったわけでございますし、そしてまた、欧州でのことと思っておりました狂牛病が我が国で発生をするなど、まさに地球規模の問題が相次いで発生をして、混沌とした時代を迎えているところでございます。
 こうした中にありまして、あるいは言いかえれば、こうした中にあってこそ世界の人々と共生をしていくと。民族や言葉や宗教など、それぞれ異なるものが一つの地球で共生をしていくという、地球市民の意識に立って、国際協調のもと、対話と交流により世界平和に貢献をし、そして平和と繁栄を希求していくことが最も肝要なことであると考えております。
 また、日本国として、世界から尊敬される国家たり得る努力をすべきでございまして、例えば現在のアフガンでの戦闘が毎日のように報道されているわけでございますが、平和を実現する上で、どの国にも対等な立場で発言し行動できる日本であってほしいと。本来、我が国は米やアフガン、パキスタンなどと緊密な関係をそれぞれ築いてきた国でございまして、そうした各国と対等に発言し得る立場というものを行動で示していくということが、大変大切かというふうに思うわけでございます。
 こうした日本をつくることに、私も国民の一人として努力をしたいと考えておりますし、あわせて、県民から選ばれた知事として常に県民の幸せを最優先に考えると。本県の有する豊かな人材や資源を活用して、自立の精神で県民が安全に安定した暮らしを営むことができるように、我が県において魅力ある豊かな地域づくりを進めることこそ、我が国の自立・発展にも寄与し得るものと、このように考えております。
 ちょうど、我が県ではあのヨーロッパの領土紛争の解決に多大な貢献をした新渡戸稲造を輩出した、そのような歴史を持っております。郷土のこの偉大なる先人、新渡戸の遺伝子というものを我が岩手県人は引き継いでいるわけでございますので、我々岩手県人として常に世界的な視野のもとに行動したいと、このように考えているわけでございます。
 次に、本県の環境政策についてでございますが、二酸化炭素などの温暖化ガスの排出量を削減するためには、県民、事業者、そして行政の三者によるパートナーシップのもとに、それぞれが適切な役割分担をしながら、広範な対策を早急に、しかも持続的に進めていくことが必要であると考えております。
 本県では、地球環境に対する地域からの貢献と、このような観点から、二酸化炭素排出量の削減目標を国の目標よりも高い8%、国は6%でございましたが、これを8%と設定しているところでございまして、こうしたことについて、これまで県みずからISOの14001の認証を取得するとともに、岩手県の地球温暖化防止等実行計画というものを策定して、効率的なエネルギー使用などに率先して取り組んできたところでございます。さらに、これを進めて県民や事業者の方々が、二酸化炭素を削減するための具体的な方策を盛り込んだ地球温暖化防止県民行動計画、この県民行動計画の検討を今進めているところでございます。
 このたび京都議定書の最終合意を受けて、県では持続的な発展が可能な地域社会の構築というものを目指して、二酸化炭素排出量削減のための普及啓発や一層の省エネルギーの徹底、そして新しいエネルギーの導入促進に努めていきたいと考えておりますし、地球温暖化推進大綱の見直しや新たな国内制度の整備、構築といったことについて、今国の方で、例の京都議定書の締結に向けた検討、具体化を進めております。こうした国の対策が間もなく具体的に出てくると思いますので、そうした国の対策と国の動きというものを十分に見据えて、その対策とも相まって、地球温暖化防止対策の総合的な取り組みをさらに推進していきたいと考えております。
 次に、情報関連産業の育成についてのお尋ねでございますけれども、まず初めにデジタルデバイドについてお尋ねがございました。本県でもインターネットはここ一、二年で急速に普及してきてございますけれども、依然として全国との大きな格差があると、このように認識しています。私はすべての県民や企業がITというものを活用して、その恩恵を最大限に享受できる高度情報化社会の実現に向けて、こうした地域間での格差のほか、企業規模ですとか年齢、そして身体的な条件によるIT利用機会の格差を解消していくことが重要な課題であるというふうに考えておりますし、また、このことはさらにそうしたことのみならず、実は国民一人一人にデモクラシーと、そういうものを保証していくということ、デモクラシーに一人一人が参加する機会を保証することにも究極的にはつながっていくものと、こういうふうに考えております。
 このため、まず、ハードの整備も急がなければならないと思います。家庭や事業所までの情報通信基盤や学校のインターネット環境の整備、そして県民にできるだけ身近な場所への公共情報端末の設置など、こうしたものも進めていきたいと思いますし、それから、これは毎年毎年地道に進めていかなければならないと思いますが、ソフト面では、県民7万人を目標としたIT講習会の開催などによりまして、情報リテラシーの向上に今努めているところでございます。
 県では、こうした施策の展開によりまして、本年3月に策定をしました岩手県としての高度情報化戦略に掲げております、来年度までにすべての県立学校へのインターネット接続の終了、そして平成15年度までに東北トップクラスのインターネット普及率の達成など、これは具体的な目標を掲げておりますので、この目標の実現に向けて取り組みたいと。
 それから、今もう一つ問題になっております、いわゆるラストワンマイル対策でございますが、これについても岩手県内でいろいろ地域がございます。やはり盛岡初め都市部もございますし、それから過疎地域もございますので、そうした地域の特性を踏まえながら、市町村や民間通信事業者との連携を図って、CATVで整備をしていくことが有効なところはそういったものも使う。それから、既存の電話回線を活用したADSL、こうしたいわゆるブロードバンドサービスの提供をしていくことが効果的なところから、そういったものを使うといったような組み合わせでそうしたサービスの提供を促進していきたいと、このように考えてございます。
 また、あわせまして、本県の情報関連産業の現状とそれからこれからの育成策についてお尋ねがございましたが、経済産業省の特定サービス産業実態調査によりますと、近年、年間売上高の伸びは全国平均は上回ってございますけれども、全国に占めるストックの方の事業所数、そして年間売上高の割合はそれぞれ事業所数の方は0.7%、それから売上高は0.3%でございまして、やはりこうした数字を見ますと、その情報関連産業の集積度はまだまだ低いと、このように認識してございます。
 このような中でも、ソフト系の意欲的なベンチャー企業が産学官連携やみずからの独創的な発想のもとで建築設計シミュレーションシステム、それから医療用診断支援システム、また、福祉施設管理システムなども開発して、実際に大きな市場占有率を占めている、そういう企業なども出てきてございます。企業経営、医療、福祉など多くの分野で、そして県民サービスの向上や地域産業の活性化の現実に貢献をしてきておりますので、今後はこうした企業を先導としてITベンチャー企業が数多く輩出され、本県産業の高度化につながっていくということを今期待をしているものでございます。
 こうした情報関連産業の育成策としては三つあると思っておりまして、一つは産学官連携の推進、それから二つ目は情報関連産業の集積促進、そして三つ目が高度IT人材の育成とございます。これの三つの柱に重点的に取り組んでいきたいと考えておりまして、具体的には、初めの産学官連携につきましては、岩手大学や県立大学の研究シーズを活用した競争力のある技術開発やその事業化を促進してまいりますし、また、関連産業の集積につきましては、インキュベート機能の充実強化によるベンチャー企業の育成や民間企業による情報ハイウェイの活用、これはまだ民間企業には自由に情報ハイウェイを活用するところまで開放はされていないんですが、今後の開放策を十分考えていきたいと思っております。そのほか、優良企業の誘致などを進めていきたいと、このように考えております。
 それから、3番目の高度情報処理技術者の育成ということでございますが、これは先ほど申し上げました三つの柱のうちの最終的には最も重要な柱だというふうに思っておりまして、これにつきましては研修機会をより多く設定する中で、これこそ地道にしかし確実にこの地域経済を支える高度IT技術者の養成を図っていくことが必要と考えております。このため、先ほど御質問にございました岩手ソフトウエアセンターにおきましては、これまでのシステムエンジニア養成研修などに加えて、情報処理技術者としての国家資格や県内企業が求めるIT資格研修などを幅広く行いますとともに、いわて産業振興センターや商工関係団体などを通じて広く県内産業界にその周知を図るなど、研修機能の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
 また、岩手ソフトウエアセンターの今後の運営の方向でございますが、これからさらに需要が見込まれる今申し上げました高度情報処理技術者の研修事業、これは強化をしていきたいと。これはもう充実強化をしていきたいと思っていますし、一方で、今やっております業務の中で民間企業と競合する部分、これはインターネットプロバイダー事業でございますが、これについては将来的には民間の方にゆだねると、そして研修事業の方の強化と、こちらに移行していきたいと、このようなことを考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔総合政策室長佐藤徳兵衛君登壇〕

〇総合政策室長(佐藤徳兵衛君) まず、厳しい財政状況の中での総合計画の推進についてでありますが、いわゆる骨太の方針が決定されて以降、地方財政に関する改革の方向性は依然として不明確な状況にありますものの、国、地方を通じての財政再建の推進、国と地方の役割の見直しと、また、地方の自立のための税財源の拡充・強化等の課題は、これはまさに時代の要請であります。その改革プロセスにおいて、地域からの視点を十分踏まえるように、国に対し機会をとらえて働きかけているところでございます。
 このように、地方財政をめぐる環境が大きく変化することが見込まれますものの、総合計画は、時代潮流の変化などあらゆる角度から議論を重ね、21世紀の新しい岩手の姿を示したものであり、その基本的な考え方や方向性に基づいて、引き続き推進すべきものと考えております。
 なお、県といたしましては、限られた財源の有効活用を図る観点から、成果重視の行政運営の視点に立って政策評価を徹底するとともに、優先度を見きわめながら施策や事業の重点化を行い、総合計画の着実な推進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、政策評価の重点化方針と予算編成への反映についてでありますが、今年度から、県の施策や事業の評価を行うことにより、施策の重点化や予算編成等に反映させる政策評価システムということを導入したところであります。この評価に当たって、客観性や透明性を高めるため、政策評価委員会を試行的に設置し、指標の設定や評価手法の改善等の御意見をいただきながら、総合的な評価を実施したところであります。
 政策評価の結果については、指標の達成状況において全体の約6割が順調に推移しているものの、一方で、地域産業に関連する指標の達成状況が厳しい状況にあることや、雇用の安定確保の必要性など、それぞれの分野における課題を確認したところであります。
 平成14年度施策重点化方針は、この政策評価の結果や社会経済情勢等を踏まえて策定したものでありますが、その具体化に向け、現在、重点事業の選定を行っているところであります。これらの事業につきましては、今後の予算編成において優先的に配慮されることとなっております。
 次に、政策評価の市町村との連携についてでありますが、政策評価はそれぞれの行政主体が行政活動をみずから評価し、行政運営の改善を図っていくことが基本であります。しかしながら、県と市町村の行政は密接に関連しておりますことから、県の評価手法や評価結果について積極的に情報提供を行うとともに、政策評価や事務事業評価を導入しようとする市町村に対しては、必要に応じて協力してまいりたいと考えております。
 次に、政策評価をNPOにゆだねることについてでありますが、本年度から本格導入した政策評価システムは、成果重視の行政運営の転換を図ることを目的としており、そのためには、まず職員自身が企画、実施、評価、いわゆるプラン・ドゥ・シーのマネジメントサイクルを重視し、県民の皆さんの視点に立って行政サービスの提供を目指して、みずから評価し変革していくことをねらいとして実施しているものであります。
 なお、本年度においては、評価の客観性、透明性を確保するため、政策評価委員会を試行的に設置して外部意見の反映を図ったところでありますが、今後、これらを本格化させていくとともに、NPOとの連携の可能性や、そのための具体的な方策についても研究を進めてまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) 市町村総合補助金の評価についてでありますけれども、この補助金の評価を行うに当たりまして、市町村の意見、要望等を調査したところでございますが、環境、ひと、情報の3分野でバランスよく活用されておりますほか、市町村からは地域づくり支援に対する効果が高い、あるいは地域活性化に寄与しているなどの回答が寄せられまして、おおむね市町村の創意と工夫のもとに、補助金の創設目的に沿った事業が実施されているものと評価したところでございます。
 また、こうした評価の過程におきまして、制度運用の改善などの要望も出されておりますので、制度創設3年目に当たります来年度、活用実績や市町村の要望等を勘案しながら、この補助金のあり方について検討を行うことといたしております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕

〇環境生活部長(時澤忠君) まず、県民が健康で快適な生活を確保するための環境の保全に関する条例についてでありますが、9月県議会への提案を見送った理由につきましては、当初案のうち、事業者と地域住民との相互連携に関する事項、そして焼却規制に関する事項につきましては、各方面の御意見を踏まえまして、産業界そして市町村等のさらなる理解と協力が必要であるとの判断から、改めて詳細な説明及び協議を行うこととしたためであります。
 次に、一般家庭ごみの収集率についてでありますが、平成11年度の市町村からの報告によりますと、収集率は97.8%となっております。また、ごみ収集車が対応していない区域は10市町村にありまして、その区域内の人口は3、186人、県全体の0.2%程度となっておりますが、いずれも平成15年10月を予定しております条例の施行までには対応可能との見込みであります。
 次に、第1次産業からの廃棄物の焼却規制の例外扱いについてでありますが、ことし4月に改正施行されました廃棄物の処理及び清掃に関する法律におきまして野外焼却が原則として禁止されておりますが、農業等を営むためにやむを得ないものにつきましては、風俗、慣習、宗教上の行事などと同様に禁止の例外というふうにされております。
 今回の条例改正の内容につきましては、ダイオキシン対策をより一層推進するために、法で禁止の例外とされている場合でありましても、特にダイオキシン類の排出量の多い廃プラスチック、ゴムくず、廃油、皮革といった4品目でありますが、そしてこの4品目が混在しやすい家庭ごみの焼却禁止を、明確に規定しようとするものであります。
 なお、第1次産業が特例扱いされない場合の焼却費用につきましては、その種類、量及び個々の焼却単価等の把握が難しいため積算が難しいわけでありますが、例えば、稲わらにつきましては発生量等が把握されておりますので、1年間に県内で野外焼却されております総量を、焼却施設に委託して処理する場合に要する費用というのが算定できます。仮にいわてクリーンセンターの破砕済み木くずの焼却料金を当てはめて試算をいたしますと、運搬料金を除きましてでございますが、年間約4、000万円程度というふうになります。
 次に、焼却規制に係る市町村からの要望、市町村等の条例案に対する認識の把握、市町村と県との連携についてでありますが、7月に説明会、意見照会を行いまして、また、10月から11月にかけまして再度の説明会等を行いまして、規制案の具体的な中身につきまして誠心誠意説明を尽くしてまいりました。この間、特に市町村議会での議論についての要望というのはございませんでしたが、処理量が増加した場合の広域的な対応の調整でありますとか、住民に対する規制内容の十分な説明の必要性等につきまして、各方面から御意見をいただきました。こうした貴重な御意見等を踏まえまして、今後、一層、市町村との連携を図ってまいりたいというふうに考えております。
 次に、条例案に対する県民のコンセンサスについての認識及び今議会での可決へ向けた意気込みということについてでありますが、特に焼却規制の導入につきましては、一部にごみの収集体制への不安、日常生活での不便等についての御意見もありましたが、ダイオキシン類の発生を極力削減いたしまして、よりよい生活環境を確保するためには、県民、事業者、行政の連携協力体制のもとに、それぞれの役割を果たしていく必要があるという点で、一致していることは間違いないというふうに存じております。ぜひ、今議会で本条例の成立をいただきまして、今日の環境課題に適切に対応できるよう、新しい仕組みのもと、引き続き県民、市町村等の理解と協力を得ながら、環境首都いわての創造を目指しまして、鋭意、努力してまいりたいと考えております。
 次に、交通事故非常事態宣言についてであります。
 この宣言におきましては、広報啓発活動、街頭指導、高齢者世帯の訪問指導、家庭内での対話の場を設ける活動などを推進事項として取り組んできたところでございます。
 広報啓発活動につきましては、立て看板や横断幕の掲出、巡回広報、チラシ、広報紙などによります広報のほか、警察そして道路管理者の道路情報板を活用して、県民への周知徹底を図ってきたところでございます。
 街頭指導につきましては、警察官のほか交通指導員、交通安全協会、交通安全母の会、地域交通安全活動推進指導員も積極的に街頭指導等を実施しております。
 高齢者の事故防止対策につきましては、国道等主要幹線道路沿線に居住する高齢者世帯の訪問指導を行っておりますし、小学生から親に交通安全メッセージを送るということで、家庭内での対話を通じての事故防止活動を実施してきたところでございます。しかしながら、これらの取り組みにもかかわらず、非常事態宣言発令期間中に7件、8名の死亡事故が発生するなど、事故の増勢傾向がとまらないことにありますので、高齢者の訪問指導と家庭内での対話の活動につきましては、年内も継続することといたしております。
 さらに、12月11日からは、高齢者の交通事故防止を重点といたしました冬の交通事故防止県民運動が展開されますので、この県民運動と連動いたしまして、死亡事故の増加に歯どめをかけるよう努めてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕

〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) 沿岸南部エコタウン事業についてでありますが、釜石市におきましては、昨年度、釜石市エコタウン事業基本計画を策定いたしまして、使用済み自動車リサイクル産業や一般廃棄物と産業廃棄物の混合処理事業からなります4本のプロジェクトを進めることとしたところでありまして、今年度はさらに国のエコタウンソフト補助金を導入いたしまして、具体的にそれぞれのプロジェクトの運営方法等を調査しているところであります。また、大船渡市におきましては、今年度、地域活性化事業調整費を活用いたしましてFRP廃船──強化プラスチック廃船、それからカキ殻などのリサイクル事業の可能性について調査を実施しているところであります。
 国のエコタウンプランの地域承認の見通しにつきましては、申請時には事業主体である民間企業等が確定していること、それから技術、規模、流通などの社会システムのいずれかに際立った独創性や先駆性を有することが重要な要件とされておりますことから、これら課題を解決していかなければならないものと認識しております。
 県といたしましては、沿岸南部地区におけるエコタウンプランの地域申請に向けまして、今後、さらに関係企業それから地元自治体と協議を続けてまいりたいと考えております。
 次に、ゼロエミッション型工業団地構想についてでありますが、一関地区の新たな工業団地構想につきましては、従来の研究開発型工業団地構想を継承、発展させながら、環境との共生という視点をも加味したこれからの自然循環型にふさわしい工業団地となるよう、検討を進めているところであります。現在、一関市において適地の選定と工業団地に係る基本コンセプトの策定を行っているところでございまして、県としても工業団地に対する企業ニーズ等を踏まえながら、一関市と種々協議を重ねているところであります。
 また、お尋ねの岩手県高度技術振興協会、これは現在いわて産業振興センターとなっておりますが、このいわて産業振興センターを中心とする企業支援体制につきましては、旧テクノポリス法、旧頭脳立地法などを発展的に統合した新事業創出促進法という、こういう法律に基づきまして、研究開発から事業化までの事業展開に応じた適切な支援を行う地域プラットホーム体制などを構築したところでありまして、一関市への立地誘導につきましても、この新しい仕組みの中での支援を考えていくことになるものと思います。
 また、計画の具体化の時期につきましては、一関市における適地の選定のもとに、地域住民の皆さんの理解を得ながら、具体的な整備計画を策定してまいりたいと考えております。
 次に、中小企業の情報化支援策についてでありますが、財団法人いわて産業振興センターが実施いたしましたコンピューター利用実態調査によりますと、本年5月時点における本県中小企業のコンピューター導入率は83.5%に達しておりまして、昨年調査よりも8ポイントほど増加してございます。
 このように、本県の中小企業におけるコンピューターの導入はおおむね順調な伸びを示しているところではありますが、今後はネットワークを活用した電子商取引への対応や受発注システムなど、高度情報化への対応が課題になってくるものと認識しております。このため、財団法人いわて産業振興センターにおきましては、情報化プラザ事業、この事業によりまして生産管理やインターネット通販、ホームページの作成などをテーマにいたしました研修を実施するとともに、窓口相談事業や専門家派遣事業によりまして、個々の企業の課題解決を支援しているところであり、さらに、ITの活用による経営の革新を図る企業に対しましては、中小企業経営革新支援法に基づく助成や低利融資の活用の支援を行っているところであります。
 また、国の直営事業として──これは中小企業総合事業団が行っているわけですけれども──、戦略的情報化投資活性化事業、ITアドバイザー派遣事業、商工団体との連携によるIT研修、こういった事業を実施しておりますことから、県といたしましても、国の施策と相まって、財団法人いわて産業振興センターを核として、今後もこれらの施策を有効に活用しながら本県中小企業の情報化を支援してまいりたいと考えております。
 次に、岩手県情報サービス産業協会の育成指導についてでありますが、当協会は、本県情報関連産業の振興を担う業界の自主的な団体といたしまして平成元年に設立し、これまで株式会社岩手ソフトウェアセンターやいわてマルチメディアセンターの設立、そして、その後の運営について県と連携して取り組んできておりまして、その組織化に当たりましては県も積極的にかかわってきたところであります。
 当協会は、県内情報関連企業を代表として年々組織力を高めてきているところでありますが、今後は、ソフト開発やコンテンツ制作分野の企業などと幅広く連携するとともに、会員企業の加入促進を図るなど組織基盤の一層の強化に努めることが必要であると考えております。
 県といたしましては、当協会を本県の情報関連産業を先導する団体に育て上げていくことが重要と考えておりまして、そのためには、将来成長が期待されるITベンチャー企業などの育成についても、協会と連携しながら今後積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) 本県におけるテロに関する基本的な対応についてでありますが、予測しがたいさまざまな事故、事件等に対応するため、県では、平成12年2月に危機管理対応方針を策定しておりますが、本年度設置した総合防災室危機管理監を中心に、各部局が連携しながら危機管理を行ってまいりました。10月には、米国同時多発テロの発生を受け、テロに焦点を絞ったテロ対処に関する基本方針を策定し、万が一テロが発生した場合には、知事を本部長とする災害対策本部を設置して、被害情報の収集や応急対策等に万全を期すこととしております。
 この基本方針に基づきまして、個別事案に対してはそれぞれ対応マニュアルを作成し、対応することとしているところでありますが、今回の炭疽菌については、不審郵便物等対応マニュアルを作成し、11月に開催した市町村消防主管課長・消防長合同会議を通じて周知を図るとともに、市町村を含めた関係機関の緊急時の連絡あるいは連携体制を確立したところであります。
 さらに、炭疽菌等による感染症の事案については、感染症対策マニュアルを定め、保健所、環境保健研究センター、消防、警察等の各機関が原因の究明や医療救護体制の確保等に即時的確に対応できる体制を構築しているところであります。
 今後におきましても、国においてテロ発生時の消防等関係機関の連携モデルを作成中と聞いておりますことから、これも参考にしながら、県民の安全で安心な生活に大きな影響を及ぼすテロなど不測の事態の発生に対し、迅速かつ的確に対応できる体制の強化を引き続き図ってまいりたいと考えております。
   〔警察本部長出原健三君登壇〕

〇警察本部長(出原健三君) まず、米国における同時多発テロに伴う県警察の警備対策についてお答えいたします。
 今回の米国における事件のように、一たんテロ行為が敢行されますと、人的被害はもとより、市民生活のあらゆる面で甚大な被害をこうむることになりますので、こうした行為は未然に防止しなければならないものと考えております。このため、県警察としましては、国内テロ対策等に関する関係省庁会議における重点推進事項等を踏まえ、警察本部に各部横断的な警備対策室を設置して情報収集を強化するとともに、テロリストを入れない、拠点をつくらせない、また、テロを起こさせないとの観点から、関係当局との連携の強化、不審者の動向把握、ハイジャックの防止や重要施設の警備等総合的なテロ対策を実施しているところであります。
 なお、炭疽菌等の生物化学テロへの対応につきましては、県の関係部局と連携をとりながら、県警察としての措置要領を定め、この要領に従い措置しているところであります。
 次に、全国的な治安状況に対する認識並びに県内の犯罪傾向とその対応についてお答えいたします。
 全国の刑法犯認知件数は平成8年以降増加を続け、一方で検挙件数がこれに伴わず、検挙率も低下しております。このような数値的なことはもとより、体感治安の悪化は国民、県民の方に大きな不安を与えていることから、警察といたしましては、犯罪情勢等に対応した重点的、効率的な捜査を実施し、国民、県民の安心、安全を確保することが喫緊の課題と認識しております。
 次に、本県におきます刑法犯の発生傾向でありますが、ここ数年横ばいで推移してきていたものが、昨年来増加に転じ、検挙率も低下しております。
 ちなみに、本年1月から10月までの発生状況は、刑法犯の認知件数1万2、417件に対し検挙件数が2、904件、検挙率23.4%であり、認知件数が前年同期比874件、7.6%増加したのに対し検挙件数は39件、1.3%減少となっており、検挙率も約2ポイント低下しております。なお、認知件数の増加の大半は窃盗犯の増加であります。
 次に、刑法犯について主な罪種別で説明いたしますと、殺人、強盗等の重要犯罪は、認知件数102件に対し検挙件数は68件、検挙率66.7%で、認知件数が増加しているものの、検挙件数はさらにこれを上回っており、したがって検挙率も向上しております。
 また、窃盗犯のうち、住宅等に侵入する窃盗や自動車盗などを重要窃盗犯と言っておりますが、この重要窃盗犯は、認知件数1、191件に対し検挙件数が556件、検挙率46.7%で、認知件数の増加に対し検挙件数が減少し、検挙率も低下という状況にあります。
 このように、本県の治安情勢につきましても、首都圏を初めとする全国的な傾向と同様、犯罪の量的増加と質的変化が著しく、加えて国際組織犯罪の多発などにより年々厳しくなってきております。
 県警察といたしましては、このような情勢に対処するため、組織の合理化等により現場部門の増強を図り捜査力を強化するとともに、各種研修や訓練を積極的に行い、個々の捜査員のレベルアップに努めているところであり、さらには、各種捜査支援システムの活用などによる効率的かつ科学的な捜査の推進にも努めているところであります。また、国際・組織犯罪に対処するため、平成11年3月から捜査第一課に国際・組織犯罪対策室を設け、対策の強化を図っているところであります。
 今後とも、捜査員の能力向上や捜査体制の充実・強化、資器材の整備などを図り、県民の期待と信頼にこたえる捜査を推進してまいる考えであります。
   

〇議長(谷藤裕明君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時59分 散 会


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