平成14年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成14年3月11日(月)
1開会  午前10時22分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長     照 井   崇
議事課長     熊 谷 素 紀
議事課長補佐   浅 田 和 夫
主任議事管理主査 八重樫 典 彦
議事管理主査   浅 沼   聡
議事管理主査   多 田   繁
議事管理主査   熊 谷 正 則
議事管理主査   下 山 義 彦
1説明員
副知事      高 橋 洋 介
総合政策室長   佐 藤 徳兵衛
首席政策監    法 貴   敬
政策推進監    久 保 協 一
 
地域振興部長   飛 澤 重 嘉
地域振興部次長兼地域企画室長兼地域企画監事務取扱  相 原 正 明
地域振興部次長  千 田   勉
地域振興課長   酒 井 俊 巳
市町村課長    福 田   毅
 
総務部長     小 原 富 彦
総務部次長兼総務室長  千 葉   弘
総合防災室長兼危機管理監事務取扱  長 葭 常 紀
人事課長     宮 舘 壽 喜
財政課長     菊 池 秀 一
税務課長     菅 原 晴 輝
〇照井議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。
 出席委員中、千葉浩委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 千葉浩委員、どうぞ委員長席に御着席願います。
   〔年長委員千葉浩君委員長席に着く〕
〇千葉浩年長委員 ただいま紹介ありました千葉浩であります。よろしく御協力をお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉浩年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することといたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉浩年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に藤原泰次郎君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました藤原泰次郎君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉浩年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました藤原泰次郎君が予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました藤原泰次郎君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 藤原委員長、委員長席にお着き願います。
〔予算特別委員長藤原泰次郎君委員長席に着く〕(拍手)
〇藤原泰次郎委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました藤原泰次郎でございます。
 委員会の運営につきましては、大変ふなれなものではございますが、各委員の御協力によりましてスムーズな運営をいたしたいと思いますので、ひとつ御協力のほどお願い申し上げまして、まことに簡単ではございますが、ごあいさつといたします。(拍手)
 通例であれば、この後直ちに副委員長の互選を行うことになっておるわけでございますが、諸般の事情によりまして、副委員長の互選は後刻行いたいと思いますので、御了承願います。
 審査の方法についてお諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案38件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から15日まで、及び18日から20日までの8日間は、関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、議案38件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、20日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。議案第6号から議案第26号まで、議案第28号、議案第40号から議案第51号まで、議案第54号、議案第55号、議案第58号及び議案第60号の以上38件を一括議題といたします。
 これより平成14年度予算の総括説明を求めます。
〇小原総務部長 総括について御説明申し上げます。
 本県の財政を取り巻く環境は、経済情勢が引き続き厳しい状況にあり、歳入においては、県税収入が大きく減少するとともに、地方交付税や国庫支出金についても国の構造改革の影響等により大幅な減収が見込まれる一方、歳出面においては、公債費の増嵩に加え、大規模プロジェクトの事業費が増大するなど極めて厳しい状況にあります。このような中にあって、平成14年度予算は、岩手県総合計画に基づく各般にわたる施策の着実な推進を図るとともに、財政の健全化の推進を基本とし、中期財政見通しや平成14年度地方財政計画等に留意しつつ、歳出規模の抑制に努め、政策評価結果に基づく緊急度の高い施策の厳選を図り、限られた財源の効果的な活用を行いながら編成したところであります。
 予算の概要について申し上げますと、歳入においては、県債の発行を極力抑制するとともに、各種基金の有効活用を図り、使用料、手数料の見直しや未利用県有地等の処分などの財源確保策を講じたところであります。
 一方、歳出面では、政策評価システムに基づき実施した政策評価及び事業評価の結果を踏まえ、施策や事業の見直しについて積極的に取り組み、緊急度と優先度に応じた重点的、効率的な事務事業の実施に努めたところであります。
 この結果、当初予算の規模は8、680億2、100万円余で、前年度当初予算対比で3.9%の減となるものであります。
 次に、歳入歳出予算の概要について申し上げます。
 便宜、お手元の予算に関する資料で説明させていただきます。1ページをお開き願います。
 平成14年度一般会計歳入歳出予算総括表の第1表歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から13諸収入まででありまして、その総額は3、033億8、000万円余で、前年度当初予算に比べると4.3%の減で、歳入に占める割合は35.0%と前年度よりも0.1ポイント減少しておりますが、ほぼ前年度と同程度となっております。
 また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、14県債であり、その総額は5、646億4、100万円余で、前年度当初予算に比べると3.6%の減となっておりますが、歳入に占める割合は65.0%と、これもほぼ前年度並みの水準となっております。
 次に、歳出でありますが、主要な事業につきましては、それぞれの所管部局の審議の際に担当部局長から詳細に御説明いたしますので、款別歳出については説明を省略し、私からは性質別の主なものについて申し上げます。
 続いて3ページをお開き願います。
 平成14年度一般会計歳出性質別内訳表のうち、まず、人件費は、表の右端の増減率欄をごらんいただきますとマイナス0.0%となっておりますが、これは、人事委員会勧告に沿った給与改定による減額などによるものであります。物件費は、オンライン運営経費等の減に伴い5.8%の減、また、維持修繕費は、道路維持修繕費の増等により5.1%の増となっております。4ページの扶助費は2.4%の減となっております。補助費等は3.4%の減でありますが、これは、利子割交付金、地方消費税交付金が減少したことによるものであります。普通建設事業費は13.1%の減となっており、そのうち単独は12.6%の減となっておりますが、これは、東北新幹線建設事業費負担金の減や盛岡第三高校、千厩東高校の校舎整備などの終了によるものであります。
 次に、5ページの災害復旧事業費は0.3%の増となっております。公債費は9.9%の増となっておりますが、これは、地方財源不足としての財源対策債や東北新幹線建設に係る県債等についての償還額が増加していることによるものであります。積立金は、新たに森林整備地域活動支援交付金基金への積立金を計上したこと等により20.6%の増となっております。出資金は、農業信用基金に対する出資金の増加に伴い5.0%の増となっております。貸付金は、中心市街地活性化推進基金への貸付額が減少したことなどから7.4%の減となっております。繰出金は、中小企業振興資金特別会計への繰出額の増に伴い4.2%の増となっております。
 一般会計歳入歳出予算の概要は以上のとおりであります。
 特別会計につきましては、所管部局において御説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。
 なお、歳入、その他につきましては、後ほど千葉総務部次長の方から説明させますので、御了承願います。
 以上で総括説明を終わります。
〇千葉総務部次長 それでは、私から歳入、その他について御説明申し上げます。
 お手元の議案その2の1ページをお開き願います。
 議案第6号平成14年度岩手県一般会計予算についてでありますが、第1条は、歳入歳出の総額を8、680億2、181万円余とそれぞれ定めるものであります。第2条は債務負担行為の限度額などを、第3条は地方債の限度額などをそれぞれ定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員の給与について、歳出予算の流用を定めたものでございます。
 次に、歳入について御説明いたします。
 厚い冊子の予算に関する説明書の3ページをお開き願います。
 まず、第1款県税1項県民税でございますが、258億1、900万円余で21.4%の減となっておりますが、これは、1目個人県民税及び2目法人県民税が景気の低迷等により減となったものでございます。3目の利子割は、高金利の定額貯金満期のピークが過ぎたことなどによりまして、それぞれ減収が見込まれるものでございます。
 次に、4ページの2項事業税でございますが、220億4、300万円余で14.6%の減となっておりますが、これも、やはり景気の動向等あるいは企業の業績見通しから前年度を下回るものと見込んだものでございます。
 3項地方消費税は、地方財政計画などをもとに124億1、200万円余、6.6%の減と見込んだものでございます。
 6ページでございますが、4項不動産取得税は28億9、400万円余で20.0%の減でございます。
 5項県たばこ税は25億8、800万円余、8ページに参りまして、6項ゴルフ場利用税は5億4、500万円余でございます。
 9ページでございますが、7項自動車税は212億6、900万円余で1.2%の増と見込んでございます。
 10ページに参ります。8項鉱区税、11ページの9項狩猟者登録税は、最近の課税実績等からそれぞれの収入見込み額を計上したものでございます。
 12ページ、10項自動車取得税でございますが、43億2、000万円余で6.9%の減となっております。
 次に、13ページの11項軽油引取税でございますが、203億9、000万円余で7.5%の減と見込んでございます。
 14ページ、12項入猟税は、狩猟者登録税と同様、課税実績等を勘案したものでございます。
 次に、13項は旧法による税でございます。
 以上で、県税の合計額は、記載ございませんが、1、123億8、100万円余で、前年度当初予算額に比べまして142億8、600万円余、11.3%の減を見込むものでございます。
 次に、16ページに参りますが、2款地方消費税清算金は256億2、300万円余で7.4%の減となっており、3款地方譲与税は、1項地方道路譲与税が29億5、400万円余、次のページの2項石油ガス譲与税が3億800万円余、3項航空機燃料譲与税が1、700万円余と見込まれるところでございます。
 20ページに参りますが、4款地方特例交付金は9億5、600万円余で8.6%の減と見込んでございます。
 5款地方交付税でございますが、2、649億1、900万円余で1.7%の減で計上いたしております。これは、14年度地方財政対策で総額が減少したこと、及びその一部が13年度に引き続きまして臨時財政対策債に振りかえられたことなどによるものでございます。
 次に、22ページでございますが、6款交通安全対策特別交付金は6億2、200万円となってございます。
 次に、7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、農業農村整備事業等に係るものであり、24ページから26ページまでの2項負担金は、それぞれ総務、民生、衛生、農林水産、土木、教育に係る受益者負担金、市町村負担金を計上したものでございます。
 27ページに参りますが、8款使用料及び手数料であります。1項使用料の主なものを申し上げますと、2目民生使用料では、し体不自由児施設使用料、28ページの5目農林水産業使用料では、漁港施設使用料、29ページに参りまして、7目土木使用料では、空港施設使用料、道路占用料、河川占用料、そして県営住宅使用料、9目教育使用料では、高等学校の授業料などが主なものでございます。これらの使用料の総額は、30ページの一番下段でございますが、89億8、100万円余で、前年度より0.5%の減と見込まれるものでございます。
 次に、2項手数料でございますが、1目総務手数料から9目教育手数料まで、35ページになりますが、総額で29億5、200万円余で、前年比1億4、200万円余の減と見込んでおります。主な減の要因ですが、運転免許更新に係る手数料の減などによるものでございます。
 次に、36ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では、9節児童扶養手当22億8、300万円余でございますし、11節の生活保護34億1、500万円余、37ページの3目農林水産業費負担金では、1節農業共済団体等事務18億7、400万円余、4目土木費負担金では、基幹河川改修事業、砂防事業などがその主なものでございます。
 次に、39ページ、国庫補助金でございますが、その総額は、57ページまで飛んでいただきますが、943億7、400万円余で12.6%の減となってございます。
 次に、58ページでございますが、3項委託金でございます。1目総務費委託金のうち参議院議員選挙に係る国庫委託金が9億7、000万円余減少いたしまして、60ページの一番下段でございますが、総額は13億3、000万円余、44.8%の減となってございます。
 次に、63ページ、11款繰入金1項特別会計繰入金は4億9、200万円余となっております。
 次のページ、2項基金繰入金でございますが、360億1、200万円余となっております。これは、県債の償還に充てるため、県債管理基金から230億円、すこやか子どもランドなど公共施設等の整備に充てるため、公共施設等整備基金から40億円を繰り入れることとしているなど、対前年度当初予算と比較しまして82億2、100万円余、29.6%の増となるものでございます。
 次に、65ページでございます。12款繰越金は整理科目でございます。
 66ページに参りまして、13款諸収入1項延滞金、加算金及び過料は2億6、700万円余を計上しており、67ページ、2項預金利子でございますが、金利の動向等から700万円余としております。
 68ページに参りまして、3項公営企業貸付金元利収入は83億8、500万円余で、県立病院等事業会計からの収入が主なものであり、次の69ページ、4項貸付金元利収入は、総務、民生、衛生などの各行政部門における貸付金元利収入であり、合計額は、72ページにありますが、793億4、800万円余となります。
 大変失礼しました。61ページに戻っていただきますが、財産収入の説明を飛ばしてしまいました。
 61ページ、10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は8億1、100万円余と見込んでございまして、次のページの2項財産売払収入は、土地の売り払いなどにより23億7、100万円余を見込むものでございます。
 次に、74ページに参りますが、5項受託事業収入の総額は、74ページにありますとおり、43億7、100万円余となってございます。
 75ページの6項収益事業収入は、宝くじ収入36億3、000万円余を見込んでおりますし、76ページに参りまして、7項利子割精算金収入は1、100万円余、77ページ、8項雑入の総額は、81ページまで進んでいただき、66億8、400万円余でございます。
 次に、82ページでございますが、14款県債でございます。その総額は、84ページの一番下段でございますが、1、333億4、200万円でありまして、19億7、400万円、1.5%の減となってございます。
 次に、大きく313ページまで進ませていただきます。県債の現在高見込みでありますが、平成13年度末では、次のページの左から2列目の下段でございますが、1兆2、959億9、100万円余で、平成14年度末の見込みは、同じく計欄の右端、下隅でございますが、1兆3、268億円余と見込まれるものでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。
〇藤原泰次郎委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、代表質疑、自由質疑の順に行うことになっております。代表質疑は、交渉団体である各会派1人ずつとし、発言時間は、答弁を除き、各会派ともそれぞれ30分となっておりますが、会派の発言時間に残時間があるときは、その範囲内で当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっております。また、自由質疑は、答弁を除き1人10分を限度とし、その指名順は、交渉団体である各会派に属していない委員を優先することになっております。
 なお、総括質疑は、明日午後2時までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いします。
 これより代表質疑に入ります。
〇中屋敷十委員 自由民主クラブの中屋敷十でございます。
 会派を代表しまして、平成14年度当初予算につきまして総括的に質問させていただきますが、これまでの一般質問、代表質問等でかなり議論が展開されましたので、一部重複する点もあろうと思いますけれども、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 平成14年度当初予算編成は、県税の大幅な減収が見込まれるとともに、県の歳入の大宗を占める国庫支出金と地方交付税が大幅に減るというまれに見る厳しい状況の中で編成されたものでございます。先ほどの説明のとおりでございます。
 このような中で、平成14年度当初予算はマイナス3.9%という過去最大の緊縮予算となりましたが、政策評価システムを駆使したこれまでにない予算編成を行われ、歳出を大幅に削減しながら施策の重点化と事業の厳選に努められる一方、多額の基金の取り崩しなどを初め、財源の確保に苦慮されたということがこれまでの代表質問、一般質問で明らかになったところでございます。
 いずれ、財政事情が厳しい中にあって、めり張りのきいた内容に練り上げられたということでは随所に当局の工夫と努力というものが見受けられまして、関係者の御労苦を本当に評価するものでございます。
 こうした厳しい財政状況の中で、事業の重点化を図るということなど、いろいろ対応に苦慮されたと思いますけれども、まず、県政のまさしく羅針盤である岩手県総合計画の積極的な推進に向けた意欲が色濃くうかがえるというものでございますけれども、しからば14年度において、岩手県総合計画はどのように進捗が図られるとお考えか、まず御所見を伺いたいと思います。
 また、総合計画に関連しまして、主要な指標について伺いたいと思います。
 県では、今年度から本格的に政策評価システムを導入しました。その精度を高めていくためには、どうしても適切な指標の設定が重要と考えております。当然、総合計画に今盛られているほかに新たに対応していかなければならない。総合計画の効果的な推進を図っていくためには、不断に指標の見直しを行っていくことが必要であると思いますけれども、平成14年度の政策評価システムの運用に向けて、主要指標についてどのように対応させるのか、まず、この2点についてお伺いしたいと思います。
〇高橋副知事 まず、岩手県総合計画の進捗状況についてでございますが、平成14年度は、御指摘のように大変厳しい財政状況下にございまして、歳入の確保を図ることが極めて厳しい状況にあったわけでございます。そういう中で、政策評価結果、また、経済社会情勢等を踏まえまして施策重点化方針を定めまして、総合計画に掲げます五つの社会の実現に向けた施策に積極的に取り組むこととしたところでございます。
 第1に、廃棄物の適正処理の推進や本県にふさわしい資源循環型モデル施設の整備に向けました調査を実施するなど循環型地域社会の形成に努めますとともに、希少な野生動植物の保護対策を強化することによりまして、自然と共生し、循環を基調とする社会の実現を図ることとしております。
 第2には、循環器疾患などの生活習慣病の発生予防など県民一人一人の健康づくりを促進するとともに、子育てと仕事の両立支援や小児救急医療の充実を図るなど安心して子供を産み育てられる環境づくりを進めるほか、新たに児童虐待対応専門チームを設置するなど、次代を担う子供たちが健やかに育つ環境づくりを推進いたしまして、快適に安心して暮らせる社会の実現を図ることとしております。
 第3に、岩手大学や県立大学を中心といたしました産学官共同による新技術開発を一層促進するとともに、ベンチャー企業の創業から育成まで一貫して支援する新たなベンチャーファンドを組成いたしまして、内発型産業の育成なり新産業の創造を図る。また、本県の基幹産業でもございます農林水産業におきましても、意欲ある担い手の育成や国際競争にも耐え得る体質の強い生産・流通体制の確立に取り組むことによりまして、創造性あふれ、活力みなぎる産業が展開する社会の実現を図ることとしております。
 第4に、本年12月に予定される東北新幹線盛岡-八戸間の開業を県北・沿岸地域のさらなる発展の契機といたしますとともに、IGRいわて銀河鉄道株式会社の健全な経営と充実したサービスの提供が図られるよう支援するとともに、東北横断自動車道釜石秋田線の釜石-花巻間や三陸縦貫自動車道などの高規格幹線道路や地域高規格道路等の整備を促進いたしますほか、いわて情報ハイウェイを活用して県立大学の公開講座を配信するなど、県民生活の利便性を高める情報化の推進に一層努めまして、ネットワークが広がり、交流・連携が活発に行われる社会の実現を図ることとしております。
 第5に、すべての県立学校におきまして特色ある学校づくりを推進いたしますとともに、小学校1年生における30人を超える学級に非常勤講師を配置いたしまして、少人数指導を徹底するなど個々の児童生徒の個性や能力に応じた指導に努めていくほか、公益信託いわてNPO基金によります支援等によりまして、ボランティアやNPOの活動が社会に定着するための環境整備を進めるとともに、男女共同参画社会の実現に向けて条例の制定に取り組むこととしておりまして、これによりまして、個性が生かされ、共に歩む社会の実現を図ることとしております。
 このように、限られた財源の効果的、効率的な活用を図りながら、五つの社会の実現に向けた施策を積極的に展開していくこととしておりまして、総合計画は着実に推進されるものと考えております。
 次に、主要な指標の見直しについてでございますが、本県の政策評価は、総合計画に掲げます主要な指標の到達度や改善度などを基本といたしまして行っているところでございますが、総合計画の着実な推進を図るためには適切な指標の設定が重要でございます。今年度から本格的に政策評価を導入したところでございますが、政策評価を通じまして指標の設定が不足している分野も明らかになってきたわけでございまして、今後、総合計画審議会の意見等もいただきながら指標の見直しを検討してまいりたいと考えております。
〇中屋敷十委員 いずれ厳しい予算の中でも、五つのそれぞれの社会の実現に向けて、積極的な展開でその進捗が図られるんだというお答えでございますので、ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、やはり主要指標の設定とか、例えば当初の総合計画の中からかなりリスクを持って指標を設定したわけでございますので、さらに精度を高めていくというためには、やはり県民にわかるためにも、主要指標の見直し等、マスコミ等にももう既にやるという話が出ておりますけれども、ぜひこれも積極果敢に取り組んでいただきたいと思います。
 絡めて、政策評価システムの14年度に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。
 これは、私、昨年の12月定例会でもいろいろ取り上げましたけれども、本県では、政策評価の本格的な導入を柱に、これまでの事務事業評価と公共事業評価をも連結させた政策評価システムを平成12年度試行、平成13年度から本格的にスタートさせたところでございます。この政策評価については、総合計画の施策や分野などの体系に沿って、事業担当部局の自己評価と総合政策室による総合的な評価とを段階的に行うと。そしてまた、外部の専門家等による政策評価委員会からの意見等も踏まえることとし、さらに、その結果については県の広報誌やホームページ等で広く公表していくという、国や他の自治体での実施状況と比較しても、やはり岩手県は先進的な取組姿勢であると思っております。
 しかし、実際に、評価調書の作成に始まって予算を編成するまでの一連の作業を通して見たところでは、改善すべき点も多々あるのではないかと推察いたします。私は、行政が行う政策評価の本来のあり方として、その結果が行政内部での意思決定に用いられるばかりではなく、信頼のある情報・データとして、この議会での検討においても有用なものであることが重要でありまして、さらに、客観性、透明性を高めていくことが必要であると考えております。
 そこで、政策評価システムを1年間運用してきたわけですけれども、その結果を踏まえまして、来年度以降の取り組みについてどのように考えられているのか、ぜひその方向をお聞かせ願いたいと思います。
〇佐藤総合政策室長 政策評価システムを1年間振り返りまして、いろいろやはり反省すべき点がございます。まず一つは、わかりづらいという御指摘がありますし、それから、昨年度は5月からこの評価作業を一斉スタートいたしました。事務事業評価と政策評価と同時作業をやってもらったものですから、大変に事務的に負担感が強かったということがございましたが、いずれ、今、副知事からお話ししましたように、評価システムをこれから維持、改善していくためには、その指標の設定にもっと工夫、改善を凝らす必要がございます。
 進め方におきましては、まず、冒頭申し上げましたわかりづらいという点については、過日、こういうパンフレットをつくりまして、遅まきながら関係の方にお配りして御理解をいただいたところであります。昨年度は、議会の先生方には6月に入ってから御説明する機会をいただいたということでありましたけれども、新年度では、年度早々早目に時間をいただいて、14年度の進め方、スケジュール等も含めまして御説明する機会をいただきたいと思っております。
 そのほかに何点か留意してやらなければいけない点は、一つは、外部評価の取り入れ方であります。外部評価委員会を1年間試行的に設置してやってもらったわけでありますけれども、どこまで委員として踏み込むべきか、お願いした委員さんにもちょっと戸惑いがあったということでございまして、新年度におきましては、評価の進め方でありますとか、それから評価基準、分析方法、こういった評価システムそのものの専門的な見地からのアドバイス、御指導をいただいて、そして具体の事務作業をもっと効率的にやれるものは内部的に努力するということをやっていきたいと思っております。
 それから、13年度も節目節目で一応公表し、ホームページなりにも公表いたしているわけですけれども、もっと的を絞るというか、五つの社会を構成する施策自体が17もあって、それを構成する事業が343事業もあると。大変な数なわけでございますので、その辺の公表、まとめの仕方も少し工夫が必要だろうと。
 委員おっしゃるように、県民の理解をいただく、議会の先生方に十分な御説明を申し上げるという点でのシステムの運営改善に努めてまいりたいと考えております。
〇中屋敷十委員 私は、12月定例会で、外部評価をもっと重視するべきではないかと。本来的には、県庁内部でやったってしようがないんだと、本当の評価システムは。外部から評価されてしかるべきではないかという議論も展開したんですけれども、その確立のためには、まだ試行錯誤、しかし、他県等の状況を見れば岩手はかなり進んでいる方だと。
 その中でも、1点だけ、通告はしていないんですけれども、2月か3月に外部評価委員会をもう一度やると、私、ホームページで見ました。外部評価委員の方々もどのような作業をやったらいいかわからないといったことで、山谷先生みたいに詳しい方もいれば、それぞれの分野で詳しい方々がいらっしゃるという形の中でやっておられたんですけれども、2月か3月にやられるということですけれども、それは開催されて、先ほどお話のあったような方向で最終的に決定したものか、確認のため1点だけ。
〇佐藤総合政策室長 2月に開催いたしまして、先ほど申し上げましたようなことを実施結果として反省点を踏まえながら来年度はこうしたいということで、1年の任期でお願いしたものですから、改めて仕切り直しで正式に外部評価委員をお願いすることにしております。
 2月の段階で、例えば13年度の政策評価がどうだったのか、それを受けて重点化方針はどう定めたのか、その重点化方針に基づいた新規事業であるとか、あるいは継続事業、主な事業はどういうものであるかということを一連の流れで御説明して、よくわかったと、こういう御理解をいただいたところであります。
〇中屋敷十委員 さらに精度を高めた、まさしく県民にわかりやすくて中身の濃い政策評価システム、まだまだいろいろな試行錯誤はあるでしょうけれども、組織もできたわけでございますので、ぜひその方向で頑張っていただきたいと思います。
 次に、平成14年度の県税収入の見込みについてお伺いしたいと思います。
 先ほど来の説明、また、私も申し上げたように、県の平成14年度当初予算は、これまでに経験したことのない厳しい財政環境下で、限られた財源の重点的、効率的な活用を図る観点から編成されたものだということでございます。しかし、自主財源の柱とも言うべき県税は1、123億8、000万円余と、平成13年度最終予算額に対して8.5%も落ち込むということになっております。
 この税収の見込みに当たっては、主な税目についてどのように見積もられたのでしょうか。また、平成13年度最終予算額に比較した場合の主な増減理由はどうなっているのかをお聞かせ願います。
〇小原総務部長 14年度の県税収入の見積もりについてでございますが、この見積もりは、全体としては13年度の県税決算見込み額をベースに、経済指標ですとか地方財政計画の税収見込み額あるいは県内の景気動向等を勘案して積算しております。
 税収の多い主な税目について見積もり方法を申し上げますと、個人に係ります個人県民税、個人事業税については前年の所得を課税対象としておりますので、賃金あるいは鉱工業生産指数の伸びなどの経済指標を中心に所得の伸びを見込んで、それによって税収額を積算しております。
 それから、地方消費税、法人2税あるいは軽油引取税は景気の動向に左右されることから、国の経済見通し、地方財政計画、民間の経済研究機関の予測等を参考にしながら、さらには、県内の主な企業の業績見通しを個別に照会──約800社になりますけれども──いたしまして、本県の実情も考慮して積算しております。
 それから、登録台数が把握できます自動車税は、その台数に今後登録が見込まれる台数を加算いたしまして、そのトータルの台数に1台当たりの税額を掛けて積算するということです。
 次に、主な税目の13年度決算見込み額と比較した場合の増減理由についてでございますが、個人県民税は、賃金指数あるいは鉱工業生産指数などの経済指標から判断しますと所得の伸びが期待できないということから、普通徴収分と特別徴収分をあわせて約11億円、6.2%の減収となる見込みでございます。
 それから、県民税利子割は、昨年度と今年度は定額郵便貯金の10年ものの満期が集中的に来たということで多額の税収があったわけですけれども、このピークが過ぎたということで、14年度は約46億円、パーセンテージにして54.7%の大幅な減ということで見積もったところでございます。
 法人2税につきましては、民間の経済研究機関の予測あるいは照会に対する企業の回答等を見ますと、IT関連など製造業を中心に収益が大幅に減収する見通しでございまして、約30億円、10.5%の減収となると見込んでおります。
 さらに、県内の消費の低迷などによりまして、地方消費税が約5億円、4.0%、物流の停滞等に伴いまして軽油需要が落ち込むということで、軽油引取税で約8億円、3.8%それぞれ減収になってしまうという見込みでございます。
 自動車税につきましては、登録台数や1台当たりの税額の微増が見込まれまして、約4億円、2.0%の増収となる見込みでございます。
 こうした見込みをもとに、県税全体では、13年度決算見込み額よりも約104億円、パーセンテージにして8.5%の減ということで1、123億8、160万円を予算に計上したものでございます。
〇中屋敷十委員 いずれ自主財源の一番の大宗でございますので、ぜひその県税収入の確保という点での御努力を願いたいと思います。
 次に、本県の公共事業についてお伺いしたいと思います。
 今議会に提案された平成14年度の一般会計当初予算は、これまでに再三申し上げているとおり、緊縮予算、抑制型予算ということでございますけれども、この予算の中でも最も影響を受けたのが公共事業だと、かように思っております。新規着工箇所350カ所について評価を行った結果、196カ所に予算措置がなされたということですけれども、これは平成13年度に比べて26カ所の減少、平成11年度との比較では実に3分の1近くにまで減少したということで、予算額についても、前年度当初予算比で国の減少率を大幅に上回って16.5%の大幅な減少ということでございます。
 また、先般公表されました平成12年国勢調査結果によりますと、本県における建設業就業者の割合というのが11.9%となっているということで、これは全国平均をはるかに上回っておりまして、都道府県別に見ても本県は全国で10番目に位置しているということで、改めて本県経済に占める建設業の割合の重み、重さということを感じさせる結果が出ておりますけれども、こういう状況の中にあって、今般の公共事業の削減は、当然小泉改革影響予算ということであるからある程度やむを得ない面もあるとはいいながらも、やはり本県経済に対してはより深刻な影響を及ぼすものではないかと強い危惧をいたしているところでございます。県土整備常任委員会でもかなりいろいろな議論が出ております。
 そこでお伺いいたしますけれども、前年度当初予算との比較を行った場合において、今般の公共事業の大幅な削減が県内経済に与える影響についてどのように把握しておられるのかということをお示し願いたいと思います。
 次に、厳しい国家財政の状況から見て、国の構造改革のもとでの14年度のような公共事業の縮減措置は今後も続くというのが大方の予想なわけですけれども、地方に住む我々にとっては、こうした状況下で、おくれています社会資本整備がますますおくれ、中央との格差が一層拡大するのではないかという大きな不安の声もあるということは事実でございます。
 県としては、こうした公共事業を取り巻く厳しい環境の中で、おくれている本県の社会資本整備を今後どのように進めていこうとするのか、それもあわせてお伺いしたいと思います。
 以上、公共事業絡みで2点お伺いします。
〇佐藤総合政策室長 公共事業の減額の影響でありますけれども、当初対比では、委員おっしゃるとおり16.5%減であります。13年度2月補正で一部前倒しをいたしましたいわゆる15カ月予算分というものがあるわけでございまして、そのほかに13年度から14年度に繰り越して事業を行うものもございます。そういったことを加味して考えますと、金額で、13年度との比較で31億5、300万円程度、1.2%の減少という状況に相なります。ほぼ13年度と同程度の水準と見ております。
 そうはいいましても、減額でありますから影響は当然出てくるだろうということで、この31億5、300万円をベースにして、これから用地費を除きますと17億9、600万円ということになります。これの波及効果を産業連関表で試算いたしますと、1次波及効果分で25億円、所得減少に伴う2次波及効果で4億円、あわせて約30億円、減少額の約1.66倍に相当する30億円程度の県内生産額の減少を誘発するものと見込んでおります。
 それから、社会資本整備の今後の展望でありますけれども、基本的な認識といたしまして、社会資本整備は、本県の発展を阻んでまいりました地形や距離の壁、こういった特性というか本県にとっての課題があったわけでありますけれども、この地形や距離の壁というものは、新幹線、高速道路あるいは高速関連道路の長年の整備などによりましてかなり大きく改善されてまいりました。しかし、下水道の普及率をとってみても、平成12年度末で本県は35%、全国平均では62%にあるわけです。相当なまだ格差、立ちおくれがあるわけでして、そういった意味で、社会資本整備はまだ道半ばであるということで、主要な交通ネットワークの整備はもとより、これから急速に整備が急がれております高度情報化時代に対応した情報基盤整備といった課題も抱えていると。
 一方、本会議でも御答弁申し上げたところですけれども、間違いなく社会資本整備が進むことによってそのストックがふえてくるということで、それの適正な維持、修繕あるいは更新といった面での財源に十分これから配意していかなければならないということで、財源が限られた中で、維持管理を適正にしながら新設、改良に振り向けていくということに相なりますので、そういった意味で、今取り組んでおります政策評価システムの精度をより高めながら、事業あるいは施行箇所の選択においてさらに重点化して効率的な事業運営に努めてまいる必要があると考えております。
〇中屋敷十委員 そのために15カ月予算、この間の補正というのは大切だったと思いますけれども、ただ、明許繰越については、前年度から引き継げばまたことしだってなるわけですから同じ理屈かなと思うんですけれども、その辺は私の考えでございますけれども、引き継いでやるわけですから、年度年度でやれば同じかなと思ってしまうんですけれども、まあ、それはいいです。
 いずれ、政策評価システムのやり方とすれば、さらには、もっと公共事業評価システム、評価委員会そのもののやり方というものもさらに検討していくということに受けとめましたので、ぜひさらに精度を高めていただきたいと思います。
 次に、本県の景気動向についてお伺いします。
 先般、内閣府が発表いたしました2月の月例経済報告を見ますと、個人消費が引き続き弱含みと。失業率がこれまでにない高さまで上昇するなど雇用情勢の厳しさが増していることから、景気の認識を示す基調判断を、3カ月連続で悪化を続けているとしております。さらに、先行きについても、厳しい雇用・所得環境や資本市場の動向などが今後の民間事業を下押しすることに強い警戒感を示しております。また、先ごろ、平成14年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度が閣議決定されたところでございますけれども、これによりますと、平成13年度の我が国経済は、年度を通じて厳しい状況が続くことから、国内総生産の実質成長率はマイナス1.0%程度になるものと見込まれるとする一方、平成14年度については、構造改革をさらに加速させることで民需主導型成長の実現を図るとし、このことによって、引き続き厳しいながらも低迷を脱し、ゼロ%程度の実質成長率になるものと見通しております。
 しかしながら、我が国経済の状況は、デフレの進行などその深刻さを増してきており、景気の先行きに対する国民の不安感というものは日に日に大きくなってきておる、これが一般的な認識であろうと思います。
 このように、我が国経済はまことに厳しい状況にありますけれども、一方、本県の景気動向に目を転じてみますと、やはり倒産やリストラ、誘致企業の撤退や工場閉鎖が相次いでいることなどから県内の有効求人倍率は急速な低下傾向を続けているほか、就職を希望する高校生の内定状況も極めて厳しく、教育現場においても雇用不安が広がるなど、本県の景気は不透明感を一層増してきております。
 そこで、県においては、県内経済の状況と今後の見通しについてどのように認識しているのかお聞かせ願いたいと思います。
〇佐藤総合政策室長 県内の経済動向につきましては、主要指標──個人消費の状況でありますとか、あるいは鉱工業生産指数の動向でありますとか、そういった指標があるわけですけれども、これらを見ますと、本県の景気は低迷状態が長引き、一段と厳しい状況にあると認識いたしております。
 委員御指摘のような、国におきます14年度の経済見通しあるいは経済財政運営の基本的態度等によりますと、年度後半から徐々にではありますが回復が期待できる、あるいは期待したいということで、アメリカの景気回復いかんによって外れるかもしれないとか、そういう前提条件でありますけれども、少なくとも弱含みでありながらも幾らかは改善してくるのではないかと。2年後には民需主導で1.5%程度の景気回復に向けたいというのが政府の考え方であります。
 岩手県の実情を考えますと、今までの有効求人倍率に有効に作用してきた動向を分析しますと、今までは建設業の有効求人倍率への影響度が大変高いという有為の姿を見せております。地域によっては、4号線沿いなどは製造業の動向が直に反映してくるというような、地域ごとの事情もあります。そういったことを考えた場合に、少なくとも知事答弁等でも申し上げていますけれども、やっぱり基幹産業である第1次産業がもっと国際競争力に耐え得るような形で再構築しながら、本県の持っている地域資源を活用して、産学官連携によって、内発型の企業を時間がかかっても創出していくといったような産業構成をなるべく早く軌道に乗せるというか、成果を出していくというような、当面の雇用不安という短期対策のほかに、中長期の経済運営というか、生産振興対策を講じながら乗り切る必要があると考えております。
〇中屋敷十委員 分析はそのとおりだと思います。ただ、第1次産業どうのこうのというのにかかわらず、そのものが厳しい状況にあるわけでございます。ただ、製造業そのものについても、もう産業構造の転換云々かんぬんと言われておりまして、私はよくわからないんですが、副知事のお考えでいいんですけれども、しからば産業構造転換と、よく俗に環境とか福祉とか云々かんぬんと言われますが、この岩手県でどのような、例えば企業誘致戦略でも、環境、福祉といった関連の中での産業というのは具体的にどのようなものがあるか、ちょっと今、副知事お考えの点でよろしいですからお聞かせ願えればと思うんです。
〇高橋副知事 突然の……。
 今、県の産業構造、特に製造業につきましては、お話ございましたように、従来型のものから、環境関連産業、情報関連、さらには高齢化対応の福祉、それらを重点に今転換を図っていこうと、これは企業誘致にも通ずる考え方でございます。そういうようなことで今盛んに取り組んでいるわけでございますが、具体的にどういう話ということになると、なかなか私も今ここでは答えられないわけでございます。
 さらに大事なのは、もう一つ、外から持ってくるだけではなく、岩手にある資源をもっと使いながら、これは当然、知識というような資源もあるわけですが、それらも有効に活用しながら、地に足のついたような強い企業を育てていこう、こういうような考え方でいかなければならないと思っております。
〇中屋敷十委員 突然で済みませんでした。
 では、次に移りたいと思います。雇用対策についてお伺いします。
 全国の完全失業率が昨年7月に5.0%に達して以来、続けてずうっと5%台を記録している。また、県内の1月の月間有効求人倍率は0.37倍、前年同月の0.60倍と比較してもう0.2~0.3ポイント低下するような雇用・失業情勢が一段と厳しさを増し、雇用に対する危機感が高まってきております。
 このような状況下において、雇用のミスマッチも拡大傾向にあり、1月の求職者数、求人数を見ますと、月間有効求職者数が3万5、269人であるのに対して月間有効求人数は9、526人となっておりまして、その差は約2万5、000人となっております。一方、求職者の希望職種を見ますと、平成14年1月では、事務職のように有効求人数が946人に対して有効求職者数が6、885人と非常に厳しい反面、保安職のように、有効求人数が454人に対して有効求職者数が275人と比較的恵まれた職種があり、職種間での求人、求職のアンバランスが顕在化してきております。
 このような雇用状況の中で、県では、岩手県雇用対策本部や岩手県緊急雇用対策推進会議を設置し、過般、平成14年度当初予算に盛り込む具体的な事業を内容とする新たな総合雇用対策を取りまとめられた、これは皆さん御承知のとおりでございます。この対策の柱の一つとなっている雇用のマッチング支援で触れられている求人開拓・求人情報の提供、離転職者に対する能力開発の推進につきましては、雇用の安定確保に向けた重要な対策であると認識しているところでありますけれども、今後、県はこの対策にどのように取り組まれていこうとしているのかお聞かせ願いたいと思います。
 また、あわせて障害者の雇用対策についてお伺いします。
 岩手労働局によりますと、各職業安定所に求職登録をしている障害者は、平成14年1月末現在で6、310人となっているようでございまして、一般就労を希望する障害者が年々増加してきているというところであります。
 一方、平成13年12月に岩手労働局が公表した平成13年の岩手県の身体障害者及び知的障害者の障害者雇用状況によりますと、1.8%の法定雇用率が適用される一般民間企業における実雇用率は、全国平均の1.49%は上回っておりますけれども、3年連続で1.64%にとどまっている。さらに、雇用されている障害者数は2年連続して減少しております。また、雇用率未達成企業の割合は1.3ポイント上昇して51.9%となっているようでございまして、半数以上の企業が法定雇用率に達していないのが現状のようでございます。働く意欲のある障害者が年々増加している一方、長引く不況により障害者の雇用環境は一段と厳しさを増している、こういう状況にあります。
 こうした中で県は、平成14年度当初予算において、チャレンジド就業支援事業に取り組もうとしておられますが、どのような内容のものなのかお示し願いたいと思います。
〇高橋副知事 まず、雇用のマッチング支援対策でございますが、総合的な雇用対策を推進していくには、岩手労働局、そして市町村との連携、また協調が非常に大事でございまして、このことにつきましては、先月開催されました関係機関・団体で構成いたします岩手県緊急雇用対策推進会議におきまして、それぞれの機関ごとの役割、また機関同士の連携について確認がなされたところでございます。
 これらを踏まえまして、今後の求人開拓、また求人情報の提供につきましては、公共職業安定所、地方振興局が共同で事務所訪問を行ったり、また新規学卒者等の就職を支援するために、公共職業安定所と振興局、県教委、これらが合同で求人開拓を行うというようなことをお互いに確認し合ったところでございます。
 また、来年度に、国から直接委託を受けまして財団法人ふるさといわて定住財団が実施いたします地域求職活動援助事業というものがございますが、これにつきましても、県の経営者協会、また商工会議所連合会等、商工団体の協力のもとに求人開拓・情報提供に取り組むというような仕組みにしたところでございます。
 さらに、各種雇用保険関係助成金の活用を促進するために、岩手労働局、外郭団体等と連携いたしまして、県内各地、これは安定所ごとに10カ所を予定しておりますが、県内10カ所で共同説明会を開催することを考えてございます。
 また、離転職者に対します能力開発につきましては、国の委託事業として県立職業能力開発施設におきまして離転職者を受け入れまして、IT技術習得のための訓練を引き続き実施する。このほかに、職業訓練法人への委託訓練につきましては、受講者も130名から170名に拡充いたしまして、急増する離転職者のニーズに対応してまいりたいと思っておりますし、この委託訓練では、訓練職種も、IT技術だけではなく、介護サービスとか、建設機械運転というようなものにも広げてやっていく考えでございます。
 それから、チャレンジド就業支援事業でございますが、このチャレンジド就業支援事業というのは、障害者の就業面、生活面の支援を一体的に行いますチャレンジド就業支援センターを設置いたしまして、身体障害者の職業能力開発を行うというような事業でございます。
 具体的には、チャレンジド就業支援センターを宮古市にまずモデル的に設置いたしましょうということでございます。この宮古市に設置するセンターに就業支援ワーカーを配置いたしまして、就職の相談にまず応じます。それから、職業準備訓練のあっせんをする、また就職先の開拓なり職場訪問、そして離職時におけます相談等、個々の特性に応じました就業支援を行うほかに、福祉部門とも連携しながら生活面の支援も一体的にやっていこうというようなものでございます。
 また、このセンター運営に当たりましては、地域におきまして、雇用・福祉・教育など関係機関のネットワークが大事でございますので、これを組織いたしまして、相互の密接な連携のもとに事業を支援していくという仕組みになっております。
 これによりまして、就業するチャレンジドも雇用する事業主も、安心して雇用、それから就業に取り組める環境が地域に整備されていくのではないのかと考えておるところでございます。
 それから、身体障害者の職業能力開発につきましては、宮古高等技術専門校を受け入れ施設といたしまして、バリアフリー設備があります県内4カ所の民間職業訓練法人に委託をして、IT技術習得のための6カ月間の職業訓練を実施するというようなものでございます。これによりまして、県内各地の身体障害者が、居住地の近くで職業訓練を受けて職域の拡大を図ることが可能になりますとともに、訓練終了後は、地元の事業主の協力を得ながら就職に結びつけていくということが期待できるのではないかと思っております。
〇中屋敷十委員 ありがとうございます。本当にその取り組みが大切で、雇用というのは、やっぱり息長く取り組んでいかなければならないことだと思いますし、また私は、やっぱり地域産業と深い結びつきがあるものですから、どうしても雇用というのは地域産業の振興そのものと思っておりますので、ぜひ取り組みをさらに強化していただきたいと思います。
 次に、あるべき地方の姿についてお伺いします。
 国と県も厳しい財政状況が今後とも続くと見込まれ、重点化による限られた資源の効果的な投資、さらには徹底した成果主義、アウトカムに努めていくことが極めて重要であります。
 そういう意味で、本県の取り組みに対して一定の評価をするものでありますが、地方分権を確立するためには、国への依存を可能な限り少なくして、みずからの財源でみずからの政策を実行できる体制をつくることが、国と地方の関係の抜本的な見直しが必要であろうと思っております。
 こうした中で、昨年11月に、県庁の有能な若手職員があるべき地方の姿というのをまとめて、地方の自立について積極的な提言を行っているわけでございます。私は詳しくは読んでいませんけれども、新聞等でも拝見しましたが、県として地方の自立はどうあるべきか、特にも、知事がまさしくやっている道州制についてどう考えているのか、大きな話になりましたが、その基本的な考えをお聞かせ願いたいと思います。
〇佐藤総合政策室長 庁内職員であるべき地方の姿の意見をまとめましたのは、やはり、分権時代という中にあって、地方の目線でどうあるべきかという意見をまとめてみようということで、有志の職員が議論をしてまとめたわけであります。
 基調になるのは、やはり構造改革が進む中で、地方からも主体的な意見を打ち出したいという意識のあらわれであるわけですけれども、何と言っても、国の構造改革の中で官から民へ、あるいは国から地方へという骨太の方針は出ているわけですが、なかなかその具体的な姿が見えてこないということで、地方から見て、国、県、市町村はどういう役割分担であるべきか、その基本的考え方としては、やはり市町村を中心にする、県なり国はそれを補完していくんだという補完制の原則をやっぱりベースに据えるべきだ。そして、具体的な仕事の分担はどうあるべきかということで、第1段階はここまでとか、そういうステップを踏んだ形で提案をしておりますし、それから、その裏づけとなる税財源についても、当面はこういう考え方がいいのではないかというようなたたき台として示したものでございます。
 これは、やっぱりこれから地方としての意見をいろいろな形で出していくという基本的な考え方の第一歩だと思っておりますけれども、そういった観点から、道州制というお話がありましたが、やはり岩手県のスタンスとしては、その関係県が、隣接県なり、県同士でお互いメリットのあるもの、あるいは得意とする分野といったことを活用しながら地域全体として力を高めていく、フルセット主義ではないという考え方のもとに、得意とする分野をそれぞれ持ち寄って力をつけていこうと、事務的に東北6県に呼びかけて、できることからということで始めているわけです。当面は、まず環境問題から入りましょうかということになっていますが、どんどんその分野を広げていきたいということで、引き続き努力してまいりたいと思っております。
 そういう成果の積み重ねの後に、最終的には、例えば国の見解は、市町村が今のままではなくて、もっと合併が進んだりすると、勢い、県はこれでいいのかという議論は避けられないのだと。今度の地方制度調査会もそういう観点から都道府県のあり方に議論が踏み込んでいくスタンスなわけですけれども、地方としては、形式論ではなくて、まず実態論として成果の上がるものの積み重ねの中に、姿としてはどうなのかということを次のステップで議論すればいいのではないかという考え方で、今進んでいるところであります。
〇中屋敷十委員 こういう取り組みは大切で、地方分権推進委員会の最終報告でも、やはり最終的にはああいう形に進めば一番いいのかなと。ちょっと12月定例会でも質問させてもらいましたけれども、かなり地方自治の本旨まで、極端に言えば、憲法そのものが変わらなければだめなんだよという事態にまでなっている。そういう中で、こういう取り組みの中で、やはりこれからは本当に積極的に、また、やっているということはわかるんですけれども、スケジュール的な問題が、具体的な中身が我々にはなかなかわからない点もありますものですから、一緒に考えるという立場の上でも、いろいろなお考えなり指標等がございましたら、ぜひ我々にも御教示願いたい。これは御要望申し上げておきます。
 次に、県事務の市町村への一括移譲についてお伺いしたいと思います。これは、本会議で我が千葉伝議員が代表質問等でも聞いていますけれども、その点に絡めて。
 県は、平成14年度から地方自治法の事務処理の特例制度、職員派遣制度など、既存の制度を組み合わせ、県職員の派遣を伴った事務の移譲を試行するという予定であります。県民にとって目に見えるものとなっていない地方分権について、県が主体的に取り組まれることについては画期的なものと思いますし、今後とも一層の移譲を進められることを希望しております。
 この制度は、今まで移譲が進まない一因となっていた人の問題を解決するためのものとのことですが、この制度の検討に当たって、どのような問題点があり、それをどう整理されているのか、現時点でわかる範囲でお伺いします。
 また、県と市町村との役割分担の再構築をリードするなど、新たな方向性を示していく必要があると考えますが、今後の取組予定などをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、時間がちょっとありませんので、市町村の財政状況についても続けてお伺いします。
 去る2月8日に地方自治体の予算編成の指針となる平成14年度地方財政計画が閣議決定され、財政構造改革に伴う歳出の見直しで、計画総額が対前年度比で初のマイナスとなったところであり、県と同様に、県内各市町村でも予算編成で歳出の絞り込みを余儀なくされているという状況にあります。
 平成14年度の地方財政計画の内容を見ると、本県市町村の基幹的な歳入である地方交付税が減額となる一方、いわゆる赤字地方債である臨時財政対策債の倍増などによって、地方債の依存度がますます高まり、本県市町村の財政運営が今後さらに厳しくなるのではないかと危惧されているところであります。
 そこでお伺いしますけれども、地方分権の時代にあっては、それぞれの市町村が創意工夫を凝らして地域の実情に応じた経営を進めていくことが極めて重要であると考えられますが、その基盤となる市町村財政の状況について、県は今どのような状況にあるととらえているのか、また、助言していこうとしているのか、基本的な考えをお示し願いたいと思います。
〇小原総務部長 県事務の市町村への一括移譲についてでありますが、この制度は、地方分権の中心が市町村という基本的な考え方に立って、権限の移譲を進めるために、財源に加えて人も派遣しようとするものであります。
 試行実施に向けた検討に当たって、どのような問題点をどう整理したかということでございますが、本年度は、9市町村から19事務の要望を受けまして、市町村あるいは関係課と協議を進めた結果、主に道路関係の事務について1市1町に実施することといたしました。この検討過程で、まず人の問題では、やはり年金、医療など、市町村共済と地方公務員共済の共済制度の違いなど、つまり公務員制度上の細かい点で相違があり、調整を要するということがわかったところであります。
 また、具体の事業では、国庫補助事業の事業実施主体が県の場合、これをそのまま市町村に移譲できるか、その細かい手続等をどうするかといったところの問題、あるいは財源として県債の起債ができるかといったような具体の問題が生じたところであります。
 これらにつきましては、人の問題は、派遣職員の身分の併任ですとか、給与支給方法の調整を図り、また、国庫補助事業については、とりあえず来年度の、初年度の試行に向けては県単事業を対象に絞るなど、初年度の対応を行うことといたしました。
 制度の拡充に向けた今後の取り組みでございますが、住民に身近な行政は基礎的自治体である市町村が担う、これを基本といたしまして、県の事務について、個別具体に県と市町村のどちらが担うべきものなのかについて改めて検証を行って、その結果をもとに、市町村と協議しながら、特に人的派遣の効果を最大限に生かすための移譲事務発掘に努めまして、市町村で完結できる事務を拡大してまいりたいと考えています。
 また、今後国から地方公共団体へという直轄事業などの移譲についても、同様の問題等が生じることも考えられますので、試行を通じて生じる諸問題、諸課題を整理いたしまして、国に対して制度改正について説得力のある提言を行っていくように努力していきたいと思っております。
〇飛澤地域振興部長 市町村の財政状況についてのお尋ねでございました。
 本県の市町村の財政状況、平成12年度の決算と11年度の決算で比較いたしてみますと、財政構造の弾力性を判断する要素でございます経常収支比率が0.6ポイント、それからまた、公債費負担比率が0.4ポイント上昇いたしておりまして、地方債現在高も0.4%の増と年々増加傾向にございます。したがいまして、全体として財政の硬直化の傾向が見られると言えるかと思っております。
 県内市町村におきましては、今後も徴税収入等の伸びが期待できない一方で、公債費などの義務的経費が増加と、一段と厳しさを増している財政状況でございますので、今後も地方分権の推進や少子・高齢化への対応など、財政需要の増大に伴います強い対応と申しますか、そういった努力が求められてくると考えておりまして、財源の計画的、重点的な配分などによる効率的な財政運営をしながら、徹底した行財政改革の推進に努めなければならないのではないかと考えております。
 県といたしましては、先ほどもるるお話がございましたけれども、地方分権を着実に推進するためには、やはり行財政基盤を強くしなければなりませんので、地方税財源の充実強化のための制度見直し等を引き続き国に働きかけていきたいと思っておりますし、市町村に対しましては、市町村が財政構造の十分な分析と的確な把握を行いまして、地域の行政需要に適切に対応しながら、健全な財政運営に努められますように、市町村の自立性を十分尊重しながら、必要な助言をしていきたいと考えております。
〇中屋敷十委員 市町村への一括移譲については、いろいろ事業があったようですけれども、結果的には県土整備部関係の2事業しかない。でも、これは試行ですから、私は必ずいい結果が出てくるだろうと思いますので、ぜひ積極的なお取り組みをお願いしたい。
 また、市町村財政についてはそのとおりだと思いますけれども、それがまた合併論の話にもつながってくる面もある一方ではあると思いますので、やはりその辺がなかなか難しい、デリケートな部分もあるんですが、やっぱり一番の核は財源だということで、ぜひ適切な御指導を賜りたいと思います。
 次に、電子自治体の取り組みという点についてお伺いします。
 国は、我が国が5年以内に世界最先端のIT国家となることを目指すとしたe-Japan戦略を昨年1月に策定し、超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策、電子商取引と新たな環境整備、電子政府の実現、そして人材育成、この四つを重点分野として掲げ、その実現に向けて内閣直属の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部、IT戦略本部を中心として各般の施策を展開しております。特に、電子政府の実現については、昨年3月に策定したe-Japan戦略の具体的な実施計画であるe-Japan重点計画において、行政情報の提供、申請、届け出等の手続の電子化、ペーパーレス化等を推進し、2003年度までに電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現することを目標に掲げ、国は、その具体的な取り組みとして、行政情報の電子的提供、申請、届け出手続の電子化、調達手続の電子化などを積極的に推進している、このように承知しております。
 こうした行政の情報化が進展すれば、だれもが、行政の提供するすべてのサービスを時間的、地理的な制約もなく活用することが可能となり、県民が24時間、自宅や職場からインターネットを経由して、最終的にはすべての行政手続の受付を行うことができる環境が整備されまして、住民や事業者の利便性が飛躍的に向上することが期待されます。
 本県におきましても、こうした国の施策と連動する形で電子県庁の構築を目指したさまざまな取り組みが開始されていると存じますけれども、現在の取組状況と今後の見通しについてお伺いします。
 また、私はこうした行政の情報化は、先ほどもありましたように、住民に最も身近な市町村において取り組んでこそ大きな効果があると思いますけれども、本県におきまして、電子自治体の構築に向けた市町村の取り組みを積極的に推進することが重要であると考えております。しかしながら、国が目標としている2003年度までに県内市町村が電子自治体を構築する場合には、パソコンや情報通信ネットワークといったインフラ整備はもとより、申請、届け出手続の電子化に対応できる汎用受付システムの構築が必要であり、財政規模が小さく、また情報化を推進する専門的な人材もそう多くはないのではないかと。本県のほとんどの市町村では、電子自治体の構築に向けて多くの課題を抱えているということも見込まれます。
 そこでお聞かせ願いたいんですけれども、県は、こうした市町村の現状をどう認識されて、電子自治体の構築に向けて、どのような取り組みをどのように支援していくつもりなのかお聞かせ願いたいと思います。
〇飛澤地域振興部長 電子自治体の取組状況ということでございますが、県におきましては、電子県庁を進めるインフラの整備といたしまして、平成8年度から取り組んでまいりました1人1台パソコンの環境整備が今年度で完了いたしておりますし、また、国、県、市町村との間で電子文書の交換等を行います総合行政ネットワークが、昨年3月に本県と接続されました。また、住民基本台帳ネットワークシステムにつきましても、ことし1月になってから、いわて情報ハイウェイを経由して全市町村と接続されたところでございます。
 電子県庁構築に向けた情報システムの整備につきましては、県民がインターネットを経由して、いつでも、どこでも申請・届出様式を入手できますように、現在、2月12日からサービスを開始したわけでございますけれども、543種類の申請・届出様式のダウンロードサービスを開始いたしております。大体、1日のアクセス件数200件をちょっとオーバーするぐらい、そういった利用状況でございます。
 今後の取り組みでございますが、総合行政ネットワークを活用した電磁的な文書交換を行う上で、発信された文書が本当に県によって発信されたものであるかどうかを確認するためのシステム(組織認証基盤)の整備でありますとか、いわて情報ハイウェイを利用した総合行政ネットワークの市町村と接続するという情報基盤の整備が必要であると思っております。また、受付システム等につきましては、平成15年度までに整備しなければならないということでございまして、この3点について取り組んでいきたいと思っております。
 それから、市町村の取り組みの現状認識ということでございますが、まず、市町村の現状を申し上げますと、1人1台パソコン環境が整備されておりますのが20市町村にとどまっておりますし、また、インターネット接続につきましては、既に全市町村が接続している状況にございますけれども、その市町村によって接続台数に大きな差が見られているところでございます。
 また、電子自治体の構築に向けた取組状況につきましては、電子自治体に向けた推進組織を設置済みとしておりますのが12市町村、申請・届け出の電子化に向けた検討作業を開始しておりますのが2市町にとどまっておりまして、市町村の取組状況には非常にばらつきが多いということで、委員御指摘のとおり、課題がたくさんございます。
 電子自治体の今後の対策ということでございますが、この構築は、まずもって市町村が主体的に取り組んでいくことが肝要でございますけれども、先ほど申し上げたような状況でございますので、県内市町村が連携を図りながら計画的・総合的に取り組むことが重要であると認識いたしております。
 県といたしましては、平成12年度から設置しております岩手県市町村情報ネットワーク運営協議会に、ことし1月からでございますけれども、県内市町村が実現を目指す電子申請・届出受付システムの内容、あるいは電子自治体の共同構築、運営の可能性といったものを検討する組織を立ち上げてございまして、この中で鋭意検討を進めまして、8月にその結果を取りまとめることを目標にしているところでございます。
 こうした検討の成果を踏まえまして、県と市町村が連携いたしまして、電子自治体の構築に向けて鋭意努力していきたいと思っております。
〇藤原泰次郎委員長 中屋敷委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時56分 休 憩
   午後1時3分 再 開
〇藤原泰次郎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 中屋敷十委員の質疑の途中でありますが、この際、副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に佐藤力男君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました佐藤力男君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました佐藤力男君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました佐藤力男君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 佐藤副委員長、ごあいさつをお願いします。
〇佐藤力男副委員長 ただいまは副委員長に御推挙を賜りましてまことにありがとうございました。
 きょうの大変大事な特別委員会の初日に、途中事故に巻き込まれましておくれて参りましたこと、そしてまた、審議を中断させましたことを心からおわび申し上げる次第でございます。
 この上は、もとより力不足ではございますが、委員長を補佐しまして、円滑な委員会運営に努力をさせていただきたいと思いますので、委員各位の一層の御指導、御鞭撻をお願い申し上げましてごあいさつにかえさせていただきます。よろしくお願いします。(拍手)
〇藤原泰次郎委員長 質疑を続行いたします。
〇中屋敷十委員 恐縮ですけれども、地域課題について伺わせてもらいます。
 まず、岩手山周辺地域振興ビジョンについてお伺いします。
 平成10年11月18日、私にとっては忘れられない日でございます。俗に言われるとまらない公共事業に歯どめをかけた知事として全国から注目を浴びることになる一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道の中止を決定した増田知事の記者会見が行われた日でございました。8割以上の地域住民が期待していた奥産道の工事中止に、私は本当に複雑な気持ちでございましたけれども、知事の中止に伴う対応を見守ってまいりましたが、県が代替の振興策として策定したのが岩手山周辺地域振興ビジョンでございます。岩手県総合計画に盛り込まれて、平成11年8月、計画と同時に策定されたものでございます。
 私個人の見解とすれば、知事の工事中止という決断により、何らかの振興策を講じなければならない、地域住民が納得しないということで、かなり御無理をなさったビジョンであると今でも思っております、と言うのは皮肉でしょうか。皮肉はこれぐらいにして、岩手山周辺地区、いずれ雫石町、松尾村両町村にとっては、観光面からも、環境学習の面からも大切な振興策の一つであると今は考えております。
 そこでまずお伺いしたいのですが、当該ビジョンの現在までの進捗状況はどのようになっているかお示し願いたいと思います。
 また、先ほどから厳しい財政状況、厳しい財政状況と言っておりますけれども、今後、この厳しい財政状況下で計画どおりに対応できるものなのかということをお知らせ願いたいと思います。
 また、このビジョンを受けて森の駅整備計画が策定されておりますが、その進捗状況はどうなっているのか、関連する緑のダイヤモンド計画の進捗状況もあわせてお示し願いたいと思います。
〇飛澤地域振興部長 岩手山周辺地域振興ビジョンについてのお尋ねでございますが、岩手山周辺地域振興ビジョンは、平成11年度からおおむね平成17年度までの間に、環境学習・教育の推進などの三つを柱といたしました16の施策、22事業を推進することにしておるわけでございますが、平成13年度までにおきまして、八幡平頂上のレストハウス等の観光施設あるいは自然公園施設、関連道路の整備など20事業に着手いたしておりまして、現在それを実施しているところでございまして、おおむね計画どおりに実施されているものと考えております。
 平成14年度におきましても、今年度に引き続きまして、自然公園施設、関連道路の整備などの事業につきまして実施することにいたしておりまして、関係部局と関係町村が一体となって進行管理を行いまして、ビジョンに掲げる施策を推進してまいる、そういうふうに考えております。
 お尋ねのありました森の駅整備計画でございますが、岩手山周辺地域振興ビジョンの主要な振興施策の一つであります森の駅整備計画につきましては、平成13年度までに松尾村の森林科学館の基本設計の着手あるいは雫石町の網張地区の自然公園施設の整備を行っておりまして、これもおおむね計画どおりの進捗状況と考えております。
 平成13年6月には、国、県、関係町村及び住民代表で構成する委員会を設置いたしまして事業の進行管理に努めておりまして、観光スタッフの養成などソフト事業の検討などもあわせて取り進めているところでございます。
 平成14年度におきましては、森林科学館あるいは自然公園施設の整備を引き続き行いますほか、松川渓谷の散策歩道の改良整備に着手する予定でございます。
 それから、緑のダイヤモンド計画でございますが、いわゆる緑のダイヤモンド計画に掲げられております雫石町網張地区、松尾村柏台地区のビジターセンターにつきましては森の駅整備計画における中核施設と位置づけられてもおりますので、国の直轄事業として行うこととなっている網張地区につきましては、13年度に基本設計を終えまして、14年度には実施設計を行う予定であると伺っております。柏台地区につきましては、13年度は実施設計を行っておりまして、14年度には建設工事に着手すると聞いております。
 県といたしましては、今後とも事業の実施に鋭意取り組んでまいりますとともに、国に対しましても、事業の着実な推進につきまして積極的な働きかけを行っていきたいと考えております。
〇中屋敷十委員 ぜひその計画のために御努力を願いたいと思いますし、本当にあべこべになっているんですよね、振興ビジョンがいつの間にか奥産道中止に伴って上位計画だという話で。
 活用計画については部局審査に回しますけれども、最後、質問いたします。
 農管公社が保有する雫石南畑地区の農地、いわゆるコテージむらの活用計画の状況についてお伺いします。
 この問題については昨年の12月定例県議会でもお伺いしましたけれども、平成12年度の包括外部監査におきましても、農管公社の財務の健全化を図るためにこの土地の早急な活用方策を検討し、売却することが提案されているところでございます。当該農地の活用については、県、農管公社、雫石町の3者で検討を進めてきたところでありますけれども、仄聞するに、今般、活用計画の素案が取りまとめられたようでありますけれども、その概要はどうなっているでしょうか。
 私は、この計画を進めるためには、県と農管公社が積極的な主体性を発揮して、地元雫石町を何とか導く、合同で進めるということが望ましいと。むしろ県に主体的な取り組みを発揮してもらいたいと思うんですけれども、その具体的な方策があればお聞かせ願って私の質問を終わります。
〇高橋副知事 南畑地区の農地、いわゆるコテージむらの活用計画の状況でございますが、この活用方策につきましては、昨年6月から南畑地区土地活用検討委員会というものを組織いたしまして、県、雫石町、そして農管公社、この3者でいろいろ協議を重ねてきたわけでございます。昨年の10月には町の方から活用計画の素案が提案されまして、それを踏まえまして、ことしの2月に緑豊かなふれあいの郷、エコビレッジの観点も加えました構想の素案を農管公社が提案したと、こういうことになってございます。
 その内容は、自然とかすばらしい景観、また、この周辺には大変多くの観光地なりスポーツ施設があるわけでございまして、そういう立地条件、また、地元の農林産物などの地域資源を活用して、ふれあい農園ゾーンとか公園ゾーン、また、グリーン・ツーリズムの体験ゾーンなど各種施設の整備を行っていく。そして、地域全体でこのグリーン・ツーリズムを推進するような基地にしたい、こういう構想でございますし、そういう雫石町側の構想に加えまして、住宅団地、これはミドル世代を初めとして、田舎暮らし──カントリーライフ──を志向する方々を中心とした定住地域としての機能を持ったコテージむらで整備したいということで、これらを加味した構想になってございます。
 今の経済情勢下では、一挙にこの52ヘクタールという大きなものを解決するのはなかなか難しいのではないかと思っておりますが、ただ、これが今までなかなか進まなかった理由の一つとしては、全体を通してまとまったたたき台となるような具体的な案がなかった、これがやっぱり大きな原因ではなかったのかと。そういう意味では、今回このような一つの全体を通した具体的なたたき台が出てきたということは大変いいことではないのかなと考えておりまして、これからその案を進めていくためのいろいろな課題等もあるわけでございます。それを一つ一つつぶしながら、全体のスケジュールをつくって進めていくことが必要ではないのかと思っております。
 そういうような進め方をするについても、これは当然県が中心にならなければならないわけでございますし、県と農管が当然表に立ちながら、そして町にも十分にそういう計画の中で協力をしていただくことが非常に大事ではないのか、そんな形で進めていかなければならないと。私も農管の理事長でございますので、そういう立場でも努力してまいりたいと思っております。
〇中屋敷十委員 副知事はまさしく農管公社の理事長でもありますから、また、行政のトップとしても、ひとつこの実現方途に向けてどんどん町を引っ張って、県の主体性をぜひ御期待申し上げまして質問を終わります。
〇佐々木一榮委員 平成14年度予算審議に当たり、自由党会派を代表いたしましてお伺いいたしますので、積極的な御答弁をお願いします。
 なお、本定例会におきましては、既に代表質問、一般質問が行われておりますので、なるべく重複しない質問にしたいと思いますが、重複の点はお許しいただきたいと存じます。
 昨年は21世紀の幕あけということもあり、多くの国民、県民が新たな希望と期待を持ってスタートした年でありましたが、過ぎてみると、一昨年暮れの全世界で華やかに行われた新世紀を迎えるカウントダウンが大分前のようにも思えるのは私だけでしょうか。米国の同時多発テロやBSE問題を初め、総じて暗い話題ばかりであったように思います。
 増田知事は、本定例会招集日の演述において、「さまざまな情報があふれる中で、選択の可能性が広がり、人々の価値観も多様化してきています。さらに、高齢化が進行し、労働力人口が減少する中で、右肩上がりの経済成長の時代は終えんし、学歴主義、終身雇用制、護送船団方式などといったこれまで日本を支えてきたさまざまな仕組みが、むしろ新たな発展を阻害するようになってきています。しかし、これまでの枠組みにかわる新たな枠組みをいまだ明確に見出しがたい状況にもあります。」と述べておられます。私も、まさに同じ思いを持つ者の一人でありますが、戦後の日本経済、教育、文化を支えてきた仕組みすべてが発展を阻害するものとは思ってはおりません。終身雇用制度の崩壊や年功序列から能力主義、大家族から核家族、学校から塾などへと大きく変わってきたことにより、日本人の他国にはない風土までがさま変わりしてしまいました。毎日のように報道される殺人事件や誘拐、強盗、虐待など、昭和34年生まれの私でさえ世の中の変わりように驚かずにいられません。
 知事は、ヨーロッパの領土解決に多大な貢献をされた新渡戸稲造の遺伝子を岩手県人は引き継いでいるとおっしゃっております。私もそう確信したいと思っております。
 そこでお尋ねしますが、平成14年度当初予算は、どのような枠組みを想定されながら編成されたのでしょうか。また、このような環境の中、今回の予算編成を自己採点されると何点に評価されますでしょうかお尋ねいたします。
〇高橋副知事 なかなか難しいお尋ねでございますが、今の時代、まさに御指摘のように、着地点の見えにくい、混沌とした答えのない時代である、そういうように感じられるわけでございます。このような時代にありましては、自己決定、自己責任、そういう考え方に基づきまして、そこに住む住民の方々自身が、みずからの判断と責任という意識のもとで個性豊かな地域をつくり上げていくことが求められている、こういうことも一つの考えられる枠組みではないのかと思っております。
 平成14年度当初予算は、そういうような考え方も踏まえまして、政策評価システムによって、緊急かつ重要な課題として定めました8項目の重点化施策・事業を優先的に実施することとしたところでございます。
 それから、自己採点ということでございますが、県が編成したものを県みずから評価するよりは、やはりこれは県議会の御審議なり県民の皆様の御意見を通じまして評価が定まっていくのではないかと考えております。
 県といたしましては、財源の確保が難しい中ではございますが、生活者と地域の視点に立ちまして、財源の重点化、効率化が図られた予算編成が一応はなされたものと考えておるところでございます。
〇佐々木一榮委員 自己責任、自己評価というお話をいただきましたので評価点をお聞きできるものかなと思ったのでありますが、ちょっと残念であります。
 昨年の企業倒産は1万9、441件で、前年に比し1.9%増加し、これは戦後2番目であり、バブル経済崩壊後では最悪を更新いたしました。上場会社の倒産も14件と過去最高の状況であり、完全失業率も連続上昇の傾向であります。県内に誘致されたアイワ、アルプス電気などの工場閉鎖に見られるように、全く先行き不透明であります。
 そこでお尋ねいたしますが、こういった実態をどう認識されているのでしょうか、県内の状況も踏まえ、お尋ねいたします。あわせて、その分析から、県が一番重要と考えられる施策はどうなっているのでしょうか。
 また、国のGDPに当たる県内総生産額の推移はどうなっているのか、産業別にお伺いしたいと思います。
〇高橋副知事 私からは最初の2点のお答えをいたしたいと思います。
 企業倒産等の実態の認識でございますが、県内の企業倒産の状況につきましては、平成13年におきまして、件数が121件、負債額が440億円強ということでございまして、過去5年間で件数が2番目、負債額では最悪の状況ということでございます。また、平成14年におきましても、この2カ月で21件の倒産ということでございまして、前年同期の13件を大幅に上回る水準になっておるところでございます。
 また、誘致企業の工場閉鎖につきましては、13年度は、1月時点で24社、これは過去最悪ということでございまして、業種別では、やはり電気、繊維、この2業種における閉鎖がそれぞれ8件と目立っておる状況でございます。
 このように、本県の産業、雇用を取り巻く環境は大変厳しい状況にあるものと受けとめておるところでございまして、長引く景気の低迷に加えまして、製造業を中心とする国内産業の空洞化がさらにこれに加えて進んでいるわけでございまして、このように、急速に進展する社会・経済のグローバル化が本県の地場産業なり誘致企業にも深刻な影響を及ぼしているものだと認識しているところでございます。
 それから、県が一番重要と考える施策は何だということでございますが、県が総合雇用対策の中で実施しようとしている施策は、やはりそれぞれがその施策の目的を異にしておりまして、どれが一番重要ということはなかなか言いがたいわけでございます。施策の中には、当面の雇用を創出する基金による即効的な雇用創出対策なり、また、職業紹介、求職者のミスマッチ解消による安定就労の拡大策とか、また一方では、中期的な観点から、新しい産業の創造なり地場産業の競争力強化など内発型の産業を育成、振興いたしまして自立した活力ある産業基盤づくりを進める。それに加えて、グリーン・ツーリズム等の独自産業の創出等によりまして農林漁村の就業機会の拡大を図っていくという中長期的な観点に立った施策もあるわけでございますが、これらはやはりいずれも重要だと。強いて言えば、私個人とすれば、3番目の、もう少し中期的な観点に立って産業構造を変えていく、これが大事ではないのかなと思っております。
〇佐藤総合政策室長 県内総生産の推移、状況でありますけれども、県内総生産をまとめましたのは一番最近では平成11年度分でして、この11年度分については昨年9月に公表いたしております。この11年度の状況で申し上げますと、平成9年度に昭和49年度以来23年ぶりにマイナス成長に転じたということでございまして、平成9年度は、前年対比マイナス0.5%、そして10年度も引き続きマイナス0.6%となって、11年度は3年ぶりにプラスに転じまして0.3%増ということでございます。
 ちなみに、この11年度は国においてはマイナス0.7%ということで、岩手の方がわずかですけれどもよかったということでございます。
 そういった特徴がございますけれども、11年度を5年前と比較して産業別に見てみますと、第1次産業は構成比で11年度4.5%ですけれども、5年前と比べますと1.7ポイント低下でございます。2次産業は構成比が31.5%ですけれども、2.0ポイントやはり低下いたしております。3次産業が51.8%でありますけれども、5年前と比べて3ポイント増ということで、1次、2次が若干低下して3次が伸びたという推移になっております。
 それから、主な業種で申し上げますと、製造業は、10年度、11年度、引き続き連続減少にあります。半導体の状況なんかで影響を受けますが、そういった状況になっております。それから建設業ですけれども、7年度、8年度は、公共事業の伸びとか、あるいは消費税の引き上げ前の駆け込み需要という特殊要素があってふえた年もありますけれども、9年度、10年度と2カ年連続減少ということでございますが、11年度は民間工事の伸びで若干伸びていると、こういう跛行性がございます。
 そういったような景気動向になっておりますけれども、12年度は──これは推計の域で確定値はまだですけれども──鉱工業生産指数が前年水準を上回っていましたので、弱いながらも改善の状況と見ておりますし、一方13年度は、御案内のとおり年明けから各指標がどんどん下がってきておりますので、相当厳しいということで、先ほども最近の状況を申し上げましたけれども、現在のところ低迷状態が長引いて一段と厳しい状況が続いておるという分析をいたしております。
〇佐々木一榮委員 先ほど副知事から御答弁いただいた産業構造の展開についてはこの後詳しくまた質問をさせていただきたいと思いますが、次に、財政問題についてお尋ねいたします。
 一般質問においても新しい総合計画への影響が懸念される質問が行われましたが、8項目の施策重点化方針に基づき、重点化施策・事業として認められた132の事業はすべて採択されたところです。今までに経験したことのないような予算編成の苦労があったかと思いますが、県財政の現状をどのように認識しておられるでしょうか。
 また、歳入計画と実績の差は財政運営に大きな影響を与えますが、今後の歳入確保と予測についてはどのような分析手法で行っていこうとしていかれるのでしょうか。新たな手法の導入等検討されているのでしょうか、現状とあわせてお尋ねいたします。
 また、県債残高も、平成9年度末9、321億円だったものが平成14年度末には1兆3、268億円と、5年間で約4、000億円の増加となります。公債費支出も平成20年までふえ続ける中、主要3基金の取り崩しによる残高は662億円となり、このペースでいくと二、三年で使い切る計算になりますが、財政健全化目標との関連はどうなっていくのでしょうか。あわせて、今後の財政運営の基本的進め方についてお伺いいたします。
〇小原総務部長 財政問題に関しまして、まず、県財政の現状認識のお尋ねでございますが、本県の財政は、国の財源に多くを依存していることから、国のさまざまな動きに大きな影響を受ける、そういった構造になっております。14年度当初予算においては、長引く景気の低迷により県税収入が約142億円減収となるほか、国の構造改革の影響により公共事業関係費の10%削減や地方交付税の約46億円の減額が見込まれるなど、財源の確保が極めて難しい状況にありましたことから歳出規模を大幅に抑制せざるを得なかったところであり、率直に、例年以上に厳しい状況での予算編成となったと考えております。
 歳入確保と見積もりの手法についてでありますが、歳入の見積もりは、国の予算の動向に大きく左右されることになりますけれども、本県においては、歳入歳出の見積もりは、地方財政計画──これは地方財政運営の標準的な指針でありますが──の指標、これは、例えば国の財政・経済政策を基調とした当該年度の収入見込額、それから、行財政制度等の改正に伴う経費の増減等、さらには、国の施策のうち地方負担を伴うもの、これの地方財政措置の状況などの指標を見ることになりますけれども、これらの指標を基本として、さらに本県の実情──本県の景気動向ですとか、地方交付税算定のための基礎数値あるいは県内企業の動向、業績見通しといった本県の実情等を加味しながら行うこととしております。
 13年度においては、県税の大幅な減収といったことで当初の見積もりとの乖離が生じたところでございますが、長引く景気低迷あるいは構造改革の今後の動向、方向等を考えますと、今後の歳入の見積もりは一層難しくなっていくものと考えております。こういったことから、より精度の高い見積もりとなるよう検討していくことも必要だと考えております。
 次に、主要3基金と財政健全化目標についてでありますが、県では、本県財政の将来を見据えた、健全化に配意した財政運営を行っていくために11年度に中期財政見通しを策定いたしまして、主要3基金については、それぞれの設置目的に沿って取り崩しあるいは積み立てを行うこととし、17年度末では300億円程度の残高を確保することとしております。14年度残高は、委員御指摘のとおり約662億円と見込まれるところでありますが、中期財政見通しで想定いたしました550億円を約100億円上回っている状況でございます。しかしながら、財源の確保は今後とも一層厳しさを増していくと見込まれますので、これらの基金については、計画的な運用によりまして残高の確保を図っていかなければならないと考えております。
 今後の財政運営の基本的進め方ということで、県債の発行抑制あるいは県債残高を縮減していくとともに、歳入の見積もりに見合った歳出の規模、そういった意味で歳出の抑制を図っていくことを基本とする必要があると考えておりまして、限られた財源の重点的、効率的な活用に一層努め、政策評価システムを通じて事務事業の徹底した見直しと縮減を図るとともに、県民の視点に立った最も重要度と優先度の高い施策を厳選することによって、最小の経費で最大の効果が上がるよう最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 厳しい状況の中でありますけれども、今の方針で御努力をお願いしたいと思います。
 次に、法定外目的税の導入の検討状況についてお伺いします。
 一般質問でもあったかと思いますが、本県は、青森県、秋田県と連携して産業廃棄物税制について検討を進めていると聞いておりますが、今月には循環型地域社会の形成に関する条例整備懇談会より取りまとめの結果が報告されるようでありますが、検討状況と今後のスケジュールはどうなっているのでしょうか。また、青森県、秋田県の議論の状況はどうなっているのでしょうか、あわせてお伺いします。
〇高橋副知事 昨年10月に条例整備懇談会を設置いたしまして、これまで3回懇談会を開催して、不法投棄対策、また、原状回復の確保、優良業者の育成策、産業廃棄物の発生抑制、リサイクル促進対策などについて検討をいただいているところでございます。
 税制につきましては、先行している三重県などの事例を参考にいたしながら、廃棄物の減量化へのインセンティブとか徴税コスト、産業振興上への影響などの面から検討をいただいておるところでございます。
 今後の予定といたしましては、今月の13日に第4回目の懇談会を開催して、今月中には意見を取りまとめる予定だと聞いております。県としては、その答申をいただいた上で制度化を検討していくことになろうかと思います。
 次に、青森県、秋田県の議論の状況でございますが、青森県では、外部の有識者による検討組織を昨年12月に設置いたしまして、産業廃棄物の税制度を含め、県外から搬入される廃棄物対策についても検討していると聞いております。秋田県では、特にそういう組織は置きませんで、内部的に検討を続けていると聞いております。
 なお、3県合同でワーキンググループを設置いたしまして、毎月1回のペースで開催して検討しているわけでございますが、このワーキンググループでは、3月中に税関係は終了しようという運びになっておりまして、税を除く環境関係については今後も引き続き検討していく、このような形で進めておるところでございます。
〇佐々木一榮委員 ただいまの御答弁ですと、そうしますと、青森県、秋田県、そして本県が同時にスタートするということを最初聞いておるのでありますが、スケジュール的なところはどの辺をめどに、今、税制のお話もありましたけれども、もう少し詳しく御答弁をいただければと思います。
〇高橋副知事 青森県、秋田県、今、御答弁申し上げましたように、それぞれ考えておるところも3県の中にはやはり微妙なずれがあるようでもございまして、それらを調整しながら具体的には制度化を実現させる、こういう運びで進めなければならないわけでございますので、本県としては、まず、この答申をいただいた上で、そして青森県、秋田県とも打ち合わせをしながらと、こういうことになるとは思いますが、ただ、その見込みについては私は余り詳しいことは聞いておりませんので、所管部局の方からもしあればさらに聞いていただければと思いますが、ただ、今のところでは、例えば制度について同じような考え方ではないようでございます。
〇佐々木一榮委員 私、常任委員長なので部局で聞けないものですからここで聞いたのでありますが、今の御答弁ですと、そうしますと、足並みがそろわない場合はばらばらになる可能性もあるというように認識してよろしいのでしょうか。
〇高橋副知事 そこまではまだ、そういうようなことで申し上げる段階ではないと思います。
〇佐々木一榮委員 次に進みます。
 ペイオフの解禁に向けた県の公金保護への取り組みと県内市町村の取組状況についてお尋ねいたします。
 岩手県資金管理運用方針によりますと、信用リスクを回避する対策として、1、安全性の高い金融機関の選択、2、預金と県債などの借入金の相殺割合を高める、3、運用の一元化を図り機動的に対応するの3項目を掲げ、運用先金融機関の選択では、1番に自己資本比率、2番に株価、3番に格付、4番に誠意ある説明や対応の4項目を挙げていますが、特にも金融機関の選択基準については、昨今の経済状況から風評被害を心配し、公表しない県もあると聞いておりますが、全国の実態はどうなっているでしょうか。
 また、本県の運用方針は、金融機関の選択の基準を含め、どのような観点で何をベースに検討されたのでしょうか。
 また、県内で今回の運用指針の基準をクリアできる金融機関というのはどの程度の金融機関になりますでしょうか。
 あわせて、県内市町村の取組状況と方針は、県の今回の方針に即したものなのでしょうか。これは、各市町村がまちまちでありますと問題があろうかと私は思いますが、どのような認識をお持ちでしょうか。
〇高橋副知事 市町村の取組状況については地域振興部長の方から答えさせます。
 まず、全国の状況でございますが、3月7日現在、具体的な数値による金融機関の選択基準を定めている都道府県は3県でございます。そのほかにも、9都府県が現在そういうような基準を策定中でございまして、そのうち、公表しないと言っているのは1県ございます。
 公表するかどうかの判断というのは、設定基準のハードルの高さ、また、基準が金融機関を含めた地域に与える影響等によるものだと考えられるわけでございますが、本県の場合は、これまで県の公金を取り扱った実績のある県内金融機関で、この基準によって対象から外れるところはございませんので、風評被害というようなものは発生することはないのではないかと考えております。
 それから、この金融機関選択基準の観点でございますが、まず、預金が全額保護されていたこれまでとは違いまして、ペイオフ解禁によりまして、預金そのものの安全性を重視する観点、預金先金融機関の経営の健全性の判断が重要となってくるわけでございまして、その基本的な判断指標といたしまして、一つには自己資本比率が8%ないし4%以上ということで、それからもう一つは、株価が4倍以上、それから3番目として、格付があればトリプルB以上というような指標を設定したところでございます。特に自己資本比率につきましては、銀行法において経営の健全性の確保がなされているという基準に基づいて設定したものでございます。
 それから、これ以外の金融機関の状況でございますが、4月1日時点の信用事業を行う農協、漁協、信用組合につきましても、すべてこれはクリアできる状況にあると聞いております。
〇飛澤地域振興部長 平成14年4月からのペイオフ解禁におきます県内市町村の対応についてということでございますが、市町村におきましては、ペイオフに備えた資金管理運用方針の策定あるいは平成15年3月まで従前どおり保護されます流動性預金──あるいは決済性預金とも言っているようでございますが──、そういったものへの預けがえなどの対応が講じられるものと聞いております。
 県におきましては、資金管理運用方針は、まずもって各市町村が地域の実情等を踏まえまして自主的に策定すべきと考えておりますけれども、方針の作成の参考といたしまして、各市町村に対し、公金預金保護に向けました総務省の対応方策研究会報告とともに県の資金管理運用方針の内容についても情報提供をいたしております。
 各市町村におきましては、このペイオフ解禁に向けての適切な対処ということが必要でございますので、資金管理に関するいろいろな情報の収集に努めまして、まず、あらかじめ資金の管理運用等に係る方針を明確にしておくことが非常に大切だと思っております。
 県といたしましても、引き続き情報提供に努めながら、必要な助言を今後も行ってまいりたいと考えているところでございます。
〇佐々木一榮委員 58市町村、私、さっき言いましたように、やはりまちまちの対応になっては問題かなと思いますので、ぜひ御指導方お願いしたいと考えております。
 次に、12月定例会で議決されました県民の健康で快適な生活を確保するための環境の保全に関する条例についてお尋ねいたします。
 この条例の附則第1項ただし書き中、第4章第1節第1款の規定は平成16年4月1日からの施行期日となっておりますが、その後、市町村とは、負担の軽減、ごみの減量化・リサイクルの促進、罰則の適用についてどのような連携をとり、周知に向け取り組んでおられるのでしょうか。今後のスケジュールもあわせてお伺いいたします。
〇高橋副知事 環境保全条例の関係でございますが、まず、市町村との連携につきましては、12月以降に改めて条例の円滑な施行に向けまして協力を要請いたしました。それから、2月には市町村担当課長との意見交換を行っておりまして、今後の課題について認識を共有しつつ、協力連携体制の構築に努めているところでございます。
 それから、ごみの減量化・リサイクルの促進につきまして、市町村の負担軽減の一助とするために、新たにリサイクル製品の推奨制度を設ける、それから、マイバッグの奨励などを盛り込んだ県民行動計画等の関連施策を展開するなど、取り組みをこれから一層強化することとしておるところでございます。
 罰則規定がある焼却規制につきましては、その運用マニュアルを整備いたしまして関係職員への徹底に努めますとともに、住民に身近な市町村との情報交換を図ることによりまして、地域に混乱が生じないよう適切に対応してまいりたいと思っております。
 大事なのは県民等への周知でございますが、これまでの周知の取り組みにつきましては、まず、テレビや全戸配布のいわてグラフ等を活用いたしまして周知、啓発に努めております。また、JAの女性部とか食生活改善推進員連絡団体協議会等関係団体に対します説明も行っておりますし、また、関係事業者に対する県内6カ所での説明会も開催してございます。
 今後のスケジュールでございますが、年度内に現場での実務を担当する地方振興局の職員等に対しまして条例の運用等に関する研修を行いますとともに、来年度には、県民に対してより一層きめ細かな周知、啓発を図るために新たにわかりやすいリーフレットを作成いたしまして、これを活用して市町村の協力を得ながら地域ごとに説明会を開催する、こういうような考え方でございます。
 また、地域を巡回する職員による訪問活動を通じた指導など地域に密着した取り組みも進めてまいりたいし、さらに来年度に、事業者に対しましては、その責務なり必要な手続など具体的な内容についてのリーフレットを作成いたしまして配布する、そのほかに、担当職員による個別説明などを通じまして周知、指導を強化してまいりたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 この条例は、12月に大分議論があったのでありますが、最近でもまだ、都市部というよりも周辺部ですけれども、この条例に対する認識が一般の県民は少ないように思います。特にも、過去に助成して家庭用の焼却炉を持ったところが多いわけでありまして、この条例さえもまだ知らない県民が周辺部では結構多いようでありますので、ぜひ今の御答弁のように、地方振興局等を通じて積極的な周知方をお願いしたいと思います。
 次に、昨年10月に行われた県内の介護保険施設に対する身体拘束のアンケート結果と今後の対応についてお尋ねいたします。
 まず、今回、施設から寄せられたアンケート結果をどう分析されているでしょうか。また、この結果を踏まえ、今後どのような指導と連携をとっていかれるお考えでしょうか。
 県は、身体拘束について、昨年秋から全面廃止に向け取り組まれているとのことでありますが、一番問題視されていることはどのような点でしょうか。
〇高橋副知事 アンケート結果でございますが、これは188施設から回答がございまして、介護保険制度施行後、何らかの身体拘束を行ったと回答したのは163施設、全体の86.7%になっております。その拘束の主な内容は、ベッドに4本さくをつける、それから、車いすに腰ベルト等で縛るというものでございまして、その主な理由は、ベッドからの転落防止とか車いすからのずり落ち防止ということでございまして、どちらかといえば利用者を事故から守るという目的で行われているものが多いわけでございます。
 調査結果を見ますと、点滴とか経管栄養等のチューブを抜かないためのミトン型手袋の使用を国では身体拘束と位置づけているんだそうですが、約3分の1の施設では身体拘束と認識していないなど、身体拘束の個々の行為によって、また、介護保険施設間によって事実認識に大きな差異が出ている現状でございます。
 今後の指導でございますが、これまでも県では、現場における取り組みを推進するために身体拘束ゼロ作戦推進会議を設置いたしますとともに、研修会の開催とか専門の相談窓口を設置するほか、介護保険施設等の実施指導におきましても重点項目として指導を行ってきたところでございます。
 今後は、介護保険施設において身体拘束を行わないケアの実践を推進するために、拘束廃止に向けた具体的取り組みをまとめた事例集を作成いたしますとともに、県民及び県内の関係機関の意識改革を促しまして、拘束廃止の取り組みを広く周知していく、そして実行していくための身体的拘束廃止に向けた宣言を行うなど一層の普及啓発に努めることとしております。
 それから、全面廃止に向けての問題点でございますが、この身体拘束を全面的に廃止するためには、介護保険施設等の介護職員、看護職員のみならず、責任者や職員全体、利用者の家族が、身体拘束が利用者の人間としての尊厳を損なうのみならず、身体機能の低下や心理状態の悪化を招いて利用者の自立なり機能の改善を妨げることになりかねないという身体拘束がもたらします数々の弊害、そして、身体拘束となる具体的行為などの正確な事実認識を持つこと、これがまず大事でございます。それから、施設等の責任者の姿勢、決断、これが最も重要である。これらがやはり全面廃止に向けての問題点ではないのかと考えております。
〇佐々木一榮委員 これは大変難しい問題かと思います。身体拘束という言葉がどういう形で影響するかでありますけれども、先ほど事故を防ぐためだというお話もありました。議論を進めていただきながら、問題が大きくなったら困ると思いますので、十分な議論をお願いしたいと思います。
 次に、デイサービスや保育事業などへの小学校、中学校の空き教室の利用についてお伺いします。
 まず、現状と平成14年度の取り組みについてお尋ねいたします。私は、財政難の中、積極的に好立地の学校空き教室の利用を図るべきと考えますが、現状は、管理上問題があることなどを理由に学校管理者である校長に断られる場合が少なくないと聞いております。空き教室があって、PTAも、また、在校生もあそこは教室が空いているよということでお話しになっても、校長先生からここは使うから空いていないというようなことを言われるとその教室は使えなくなるわけでありまして、そういう現状もお話を伺っております。県教育委員会や市町村はどう対応になっていくのでしょうか。
 小学校、中学校ですと市町村の教育委員会ということになろうかと思いますので、例えば県の地方振興局の福祉課の方が一生懸命問い合わせをしても、学校サイド──校長先生からここは空いていない、使うんだということで随分断られるということもお聞きしていますが、その対応についてお尋ねしたいと思います。
〇高橋副知事 空き教室でございますが、これは、将来とも恒久的に余裕となると見込まれる普通教室を余裕教室と言っているようでございまして、普通教室を教育活動のために他に活用している教室は余裕教室とは言わないということでございます。そういう面で、平成13年5月1日現在の空き教室、余裕教室の現状は、小学校が2校で7教室、中学校が1校で2教室、あわせて9教室となっております。
 文部科学省では、平成9年に財産処分手続の大幅な簡素化を図りまして、社会教育施設のみならず、社会福祉施設等についても承認事項を報告事項とするとか余裕教室の積極的な転用の促進を図ってきているわけでございますが、県の教育委員会といたしましても、このような国の施策を受けまして、各市町村教委に対しまして、いろいろな会議等も通じまして、機会をとらえて余裕教室の積極的な転用が図られるように指導しておるところでございます。
 また、厚生労働省の方からは、余裕教室を活用した社会福祉施設への改築整備促進についての通知が各市町村に出されておるところでございます。その結果、県内では、余裕教室を放課後児童健全育成事業に要する学童保育施設へ転用を図り、活用している市町村がございまして、これは8校ございます。
 このように、手続の面でもいろいろと簡素化され、市町村の判断で進めることができるようになっておりまして、県教委としては、今後とも、そういう意味で有効な転用が積極的に図られるように市町村を指導していく考えでございます。
〇佐々木一榮委員 次に、最近テレビですとか、また、議会でも総務委員会で議論となったようでありますが、救急体制の充実についてお尋ねします。
 本県の年間死亡者数は1万3、000人弱であり、そのうち約16%は心疾患でありますが、平成13年の救急車による搬送中の死亡率はどのような状況でしょうか、交通事故によるものも含めてお尋ねします。
 関連いたしまして、お隣の秋田県、山形県で問題となっている救急救命士による気管内挿管についてお尋ねいたします。
 救急救命士が誕生してことしで10年になりますが、医師にのみ認められている気道確保のための気管内挿管と呼ばれる酸素供給処置を患者の搬送中に恒常的に行っていたとされる問題についてであります。
 秋田県内の消防本部では、平成8年から昨年6月まで1、508件あったといいます。山形県内では三つの消防本部で行われており、酒田地区消防組合消防本部では、過去7年間に142人に実施されたとしています。
 現在は、12月3日に総務省消防庁により法令遵守を徹底するよう都道府県を通じて各消防機関に通知されたことにより行われていないとのことでありますが、本県の実態はどのようになっているでしょうか。
 これについてはさまざまな意見があるようであります。紹介してみますと、山形の尾花沢市消防本部は、県立中央病院までの搬送は時間がかかる、人命救助第一に考えればやむを得ない。酒田地区消防組合消防署長は、医療の前進のためには救急救命士でも実施できることが必要であり、近い将来、制度の改正をしてほしいとも訴えております。
 慢性的な医師不足に陥っている本県においても重要な問題と考えます。昨年12月の秋田市議会では制度見直しの意見書を採択しておりますし、寺田県知事も、この議論について1月28日の定例会見で、患者が生きるというチャンスは与えられるべきで、できるだけ速やかに取り組むべき問題であり、高度な医療ができる体制を整え、法的にひっかかっていれば改正なりに持っていくべきと述べています。
 そこで、北東北3県の連携強化を打ち出している本県の対応はどういうものでしょうか。あわせて、県医師会のこの問題に対するスタンスはどのような状況なのでしょうか、お尋ねいたします。
〇小原総務部長 救急体制の充実についてでありますが、平成13年の救急車の搬送中の死亡率はどうなっているかというお尋ねでございますが、平成13年中の県内消防機関の急病や負傷あるいは交通事故などによる救急出場件数は3万4、542回、1日平均約95回、こういった出場件数になっております。救急病院など医療機関に搬送された傷病者の数は3万4、107人となっております。このうち、交通事故による出場件数は4、539件、搬送人員は5、218人となっております。
 不幸にも医療機関に到着した時点で死亡と診断された搬送傷病者は1、125人で、死亡率──いわゆる搬送された全傷病者に対する比率になるわけですが──は3.3%となっております。なお、このうち、交通事故による死者は95人ということで、死亡率は1.8%となっております。
 救急救命士による気管内挿管に関する本県の実態と対応ということでございますが、昨年11月以降、秋田県などにおいて救急救命士が気管内挿管を行っていた事例が報道されたことに伴いまして、総務省消防庁から、救急業務の実施に当たり法令の遵守を改めて徹底するよう通知があったところでありまして、本県におきましても県内各消防機関に対して指導したところであります。
 この際、本県における搬送中の気管内挿管の実施の有無についても調査を行いましたが、その結果、本県においてはそうした事実はなかったところであります。
 次に、気管内挿管問題に対する本県の対応、さらには県医師会のスタンスについてでありますが、厚生労働省では、救急救命士による気管内挿管の是非を検討するため、現在、救急救命士による適切な気道確保に関する研究班といったものを設置いたしまして、その安全性あるいは有効性について、諸外国のデータ収集も含め、関係者からヒアリングを行う等、評価、分析を進めていると聞いております。
 広い県土を有する本県にとっては、この救急救命士による気管内挿管については大変関心を持っているわけですけれども、法令の環境整備はもとより、より安全に実施するための体制の整備が重要でございますので、国のこういった検討結果を注視しているところであります。
 また、岩手県医師会においても、この問題について国における検討状況を強い関心を持って見守っているところと伺っております。
〇佐々木一榮委員 この問題は本県のように、非常に面積の広い県でもありますし、搬送の距離も長いということですから、確かに国の議論注視かもしれませんが、いずれ県としても対応といいますか、いつそうなってもいいように前向きな検討をお願いしておきたいと思います。
 次に、漁業振興についてお伺いします。
 本県沿岸の主要魚種でありますサケは、平成8年の7万3、000トンをピークに、9年度5万3、000トン、10年度3万7、000トン、平成11、12年度、いずれも2万4、000トンと激減し、本年はやや持ち直したとはいえ2万6、000トン台ではないかと推測されております。沿岸の漁家の間では既に深刻な問題となっていることは御案内のとおりでありますが、この急激な減少の原因として、一つには、たまたま遡上してきた雄サケと雌サケを人間が取り上げて強制的に人工受精を行うことによる、種の存続に不可欠な強いものが生き残るという自然界のおきてを壊していること、また、自然界に厳然として存在する食物連鎖の中に1魚種だけを多量に放流することによるバランスの崩壊、三つ目には、北洋でのクジラの増加がサケのふ化放流事業との関連性があるのではないかと指摘されております。県として、これらの見解に対してはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
 本県では、平成11年度より3カ年計画で沿岸生態系、物質循環、海洋汚染防止をテーマに国連大学と東京大学海洋研究所と共同研究事業を進めてきたものと承知しておりますが、今後のサケの対策についてどのように進めていこうとお考えか、また、3カ年にわたる海洋研究の成果はどのような形でまとめられ、今後の本県漁業振興政策に具体的にどのように反映されていかれるのかお尋ねいたします。
〇高橋副知事 研究の成果につきましては、後で地域振興部長の方から。
 まず、不漁原因でございますが、強制的に人工受精を行うことによる影響ということでございますが、これにつきましては、本県のサケ放流におきましては、全体で約40万尾、これは大変多い親を使用しているわけでございまして、また、放流してから本県沿岸域に回帰するまでの間にかなり自然淘汰を受けまして、94%から98%が死亡しているというようなことでございまして、大きな影響はないのではないかと思っております。
 それから、1魚種だけを多量に放流することによってバランスが崩壊する、これが原因ではないかということでございますが、例えば、えさとなる生物の競合によりまして、他の種類が影響を受ける可能性等が指摘されてはいるわけでございますが、北太平洋全体の生態系の解明が必要でございまして、このことにつきましては、今のところ明確な結論は得られていないというような状況でございます。
 それから、クジラの増加による影響につきましては、水産庁の調査によりますと、日本が面している北西太平洋のクジラ資源は、ミンククジラが2万5、000頭、ニタリクジラが2万2、000頭、マッコウクジラが10万2、000頭と推定されておるわけでございまして、これらのクジラは全体では1年間に7、000万トンから1億トンものえさを食べておる。当然、この中にはサケ類も含まれているわけでございますが、このようなクジラの捕食がサケの資源についてどのような影響を与えているかについても、よくわかっていないというような状況でございます。
 この不漁原因の解明につましては、ロシア、アメリカ、カナダと共同で、サケ・マス類の回遊分布、海洋環境、えさ生物等の国際共同調査が行われる予定でございまして、また、サケの遺伝的特性やクジラの捕獲調査も行われております。このような調査によりまして、遺伝、生態系等の観点から、不漁原因の解明がなされることを期待しているわけでございます。
 また、県といたしましても、サケマス資源管理センターと共同で、本県の片岸川で、耳石温度標識という新しい標識方法による放流調査を実施することとしておりまして、不漁原因の解明に今後とも努めてまいりたいと思っております。
 今後のサケ対策につきましては、ふ化放流事業の効果を上げるために、ふ化放流技術の改善なり、適期放流等に取り組んでまいるほか、魚価の向上を図るための衛生管理と鮮度管理の強化、それから、秋サケを使った加工品の開発、また県内消費活動の拡大を図ってまいりたいと考えております。
〇飛澤地域振興部長 海洋環境国際共同研究事業の成果の取りまとめと今後の本県漁業振興政策への反映についてでございますが、この共同研究事業におきましては、沿岸生態系、海洋汚染防止、物質循環の三つの研究プログラムのもとで、14のテーマにつきまして研究を実施しているところでございます。この研究の成果につきましては、現在、本県と国連大学、東大の海洋研究所の3者が協議しながら、現在取りまとめの作業に着手するところでございまして、本年夏の国際シンポジウムの開催に向けて、今作業を進めながら、その成果を発表する準備をいたしております。
 この研究の内容を一部御紹介申し上げますと、例えば、三陸沿岸海域におけます海水温度とシロザケの行動の関係でありますとか、ホタテガイの貝毒の原因となります渦鞭毛藻というプランクトンによる毒生産メカニズムが明らかにされつつありますし、大槌湾内の養殖生産の適正規模を解明する基礎資料となる、湾内の栄養分などの物質の循環モデルが作成されることとなってございます。
 これはあくまでも基礎的な研究でございますので、直接的に、直ちに漁業振興に結びつくものではございませんけれども、今後、中長期的な観点から、地球温暖化に対応したサケ対策でありますとか、湾内の養殖業の振興など、本県の漁業振興の施策の中で生かされるように努めてまいりたいと思っております。
〇佐々木一榮委員 ありがとうございました。
 次に、本県のつくり育てる漁業についてお伺いいたします。
 先ほど、1次産業の生産量の低下というお話がありましたけれども、昨年、会派で議会研修の機会をいただき、中国の大連も訪問させていただきました。県政調査会で発表もさせていただいたところですが、まさに百聞は一見にしかずの言葉どおり、実際、現地を視察し驚かされることが多くありました。特にも、国内では盛んにセーフガードの議論がなされている真っ最中でもあり、今後の我が国の1次産業の競争力向上のためのヒントでもつかめればとの思いも強くありました。
 大連は、中国の中でも中国ワカメの一大生産地であり、1キログラム5元、1元は約15円ですので、日本円で75円で生産できているということを知らされ、三陸産ワカメの採算価格が350円と伺っておりましたので、まさに中国産ワカメの脅威を実感いたしました。あわせて、もっと驚かされましたのは、ワカメの次はアワビ、ウニ、ホタテ、昆布等の養殖も既に視野に入れ実施段階まで来ているとのことでありました。これらのほとんどの輸入国が日本であり、技術提供も日本企業であります。製造業の海外移転のみならず、すべての産業でのシフトが行われていることを痛感いたしました。
 そこでお伺いいたします。ワカメだけでもこれだけの打撃を受けている本県のつくり育てる漁業が、さらにこのような厳しい環境下に置かれることが推測されますが、県としてはどのようにこの現状をとらえ、対応すべきと現在お考えでしょうか、お尋ねいたします。
〇高橋副知事 つくり育てる漁業でございますが、中国の養殖生産の現状につきましては、中国では、漁業資源の減少の中で養殖業に大変力を入れています。それで、これは中国の漁業局資料によりますと、1999年(平成11年)の養殖生産量は983万トンということでございます。そのうち昆布が89万トン、これは日本の生産量5万トンの17.8倍、また、ホタテは71万トンで、これは日本の22万トンの3.2倍、さらにカキは299万トンで日本の20万トンの15倍と、大変大きな生産量を上げているというようなことでございます。
 これらの養殖種目は、元来は中国沿岸に生息していないものを入手いたしまして、外国の技術を活用して量産システムを開発しているというような特色がございます。そして、この一部が日本に輸入されているわけでございまして、今後、これらが本格的に輸入されることになりますと、本県のつくり育てる漁業にとりましては大変大きな影響を与えるように考えられるわけでございます。
 今後の対応でございますが、こういうような中国からの安くて、また品質がそろった養殖水産物に対抗していくためには、本県沿岸の豊かな漁場を生かした高品質で、かつ安全で、そして消費者ニーズに沿った水産物を生産し、中国との差別化とかブランド化を推進する、これしかないのではないかと考えております。
 そのために、生産面では養殖技術の普及指導、それからイワガキ等の消費者需要が高い新養殖種の開発を図りますとともに、貝毒とかSRSVの監視体制の強化によりまして、食品としての安全性を確保していかなければならない。
 それから、流通面では、まずJAS法によりまして中国産の原産地表示の徹底を図らせる、これが大事だと思っておりますし、生産場所から流通・加工までの一貫した衛生管理の強化のために、平成14年度からは、新たに水産経営活性化対策事業を創設いたしまして、各地区に海水の殺菌装置、海水冷却装置等の整備を促進することとしております。
 さらに、森と海をつなぐ環境保全事業によりまして、漁業者と地域住民の連携による植樹、河川の清掃活動を実施する等、豊かできれいな岩手の海を守る漁場環境保全活動を促進してまいりたいと思っております。この取り組みとあわせまして、岩手の海のきれいさを消費者にアピールし、岩手の水産物のイメージアップを図っていきたいと思っております。
〇佐々木一榮委員 ありがとうございます。
 次に、情報技術政策に関係いたしまして、何点かにわたり質問させていただきます。
 12月定例会の本会議での知事答弁、部長答弁に関し、再度当局の考え方、具体的な当初予算での措置状況について確認をも含めましてお尋ねいたしますので、明確な御答弁をお願いします。
 まず、情報産業の育成策についてでありますが、12月の知事答弁では、一つとして、産学官連携の推進、二つには、情報関連産業の集積促進、三つには、高度IT人材の育成を掲げていますが、その具体策は現在どうなっているのでしょうか。
 産学官連携の推進については、商工労働観光部の平成13年度予算では、産学官と表記されている事業が3件計上されておりますが、平成14年度予算には関係するものが見当たらないように思います。これはどういう理由によるものでしょうか。
 また、情報関連産業の集積促進では、インキュベート機能の充実強化とありますが、いわて産業振興センター及びいわてマルチメディアセンターのインキュベート機能の強化等については、平成14年度予算にどの程度計上され、どういう具体的施策を展開されようとお考えでしょうか。
 あわせて、民間企業によるいわて情報ハイウェイの活用についての具体的方策と予算措置はどのようになっているでしょうか。
〇高橋副知事 民間企業による情報ハイウェイの活用については、地域振興部長の方からお答えさせます。
 まず、平成13年度の予算で産学官と表記されている事業は三つございますが、これらの事業につきましては、開発技術等の実用化なり事業化が今後の課題となってきておりまして、このために、平成14年度の予算編成に当たりましては、事業化を見据えた研究開発等を推進する観点から再構築を図っております。例えば、産学官共同研究促進事業は、平成13年度の事業でございますが、これは単なる産学官連携の共同研究支援ではなく、特許等の実用化、新製品開発、商品開発を前提とする知的資源実用化促進事業費として再編成するというような形でございますし、また、地域産学官連携推進事業につきましては、所期の目的を達成したために、平成13年度で廃止しているというようなことでございます。
 産学官連携の推進につきましては、平成14年度におきましても、いわて新事業創造プラットフォーム推進事業におきまして、新たにプロジェクト推進員を設置いたしまして、大学等と企業との技術協力を支援いたしますほか、産業界、大学、行政のトップによります産学官連携サミットの開催、また、工業技術センターと企業との共同研究開発などに取り組んでいく予定としております。
 それから、インキュベート機能の充実強化でございますが、いわて産業振興センターのインキュベート施設に新たにインキュベーションマネジャーを配置いたしまして、入居企業に対します経営なり、商品化、販売促進などの支援機能を強化いたしますとともに、プロジェクト推進員によりまして、大学等との連携のもとに企業の研究開発成果の事業化を支援していく考えでございます。
 また、いわてマルチメディアセンターにおきまして、新たに起業家を目指す情報関連技術者をインストラクターとして採用いたしまして、その創業を支援していくようにしたいと思っておりますし、センター内に起業家向けのスタートアップブースを確保いたしまして、オリジナルソフトの開発なり、早期事業化を支援するなど、ベンチャー企業等の育成強化を充実していきたいと考えております。
 なお、これらの施策に要する予算が見えないわけでございまして、これは、いわて新事業創造プラットフォーム推進事業費2億2、640万3、000円といわてマルチメディアセンター管理運営費5、049万1、000円の中に一部として計上されているというようなことでございます。
〇飛澤地域振興部長 次に、民間企業による情報ハイウェイの活用に係る具体的な方策ということでございましたが、いわて情報ハイウェイは、国庫補助事業を導入して設備を整備しております関係上、公共目的に使用することとされておりまして、現時点では全面的な民間開放には一定の制約がございます。こういった中でございますが、今年度、いわて情報ハイウェイの利用方法を公募いたしまして、期間を限定して民間に開放する事業、いわて情報ハイウェイ民間活用公募事業と銘打ってございますが、予算額177万5、000円で実施しているところでございます。
 その具体的内容を申し上げますと、一つは、沿岸地域の情報システムを盛岡の民間企業が遠隔監視するという実験でございますとか、火山や河川などの国の防災情報を県内のケーブルテレビ網を経由して各家庭に提供する実験に取り組んでいるところでございます。
 平成14年度におきましては、新たにいわて情報ハイウェイと地域のインターネット・サービス・プロバイダーとの相互接続を図りまして、地域プロバイダー同士が東京などにあるデータ交換ポイントを経由せずに、直接アクセスできる環境を整備する県民情報ネットワーク形成促進事業、予算額604万6、000円でございますが、こういったものを一つ考えておりますほかに、二つ目といたしまして、いわて情報ハイウェイ等を経由いたしまして、県立大学の公開講座の映像を県民向けに配信いたします県民情報高度化推進事業、予算額748万7、000円でございますが、こういった二つの事業を実施することといたしております。
 今後におきましても、今年度実施しております、先ほど申し上げました公募事業でありますとか、平成14年度の二つの事業の状況、あるいは、現在いわて情報ハイウェイ活用検討委員会というものがございますが、こういった委員会を構成する学識経験者、あるいは民間の方々の御意見をちょうだいいたしながら、情報ハイウェイの民間活用の方策について、今後とも引き続き検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 前段ありました産業構造の変化と雇用の関係から、企業誘致についてお尋ねしたいと思います。
 本県のこれまでの企業誘致優遇策は製造業を対象にしていると認識しておりまして、情報産業の誘致についてはこれまで触れられたことがありませんでした。しかしながら、先ほど副知事からは情報産業誘致のお話をいただきましたが、もう少し深く、どのような具体策をお持ちで進めていかれようとしておられるのでしょうか。果たして、知事の言う情報関連産業の集積促進となるのでしょうか。
 お隣の宮城県を例にしながらちょっと質問させていただきます。
 宮城県では、仙台駅東口をみやぎマルチメディア・コンプレックス構想の展開エリアとしております。本県ではこういう具体をお聞きしたことはないのですが、どこに集積させようとしているのでしょうか。ないとすれば単なるスローガンに終わりはしないでしょうか。
 次に、私はこういう時代だからこそ大変重要な課題と考えます高度IT技術者育成についてであります。
 県は以前に、コンピューターのシステムエンジニアリングの研修に対して補助金を交付しておりましたが、これを3年で打ち切られました。打ち切った理由はどういう理由からだったのでしょうか。情報関連業界では強い継続要望があったと伺っておりますが、事実なのでしょうか。
 知事答弁では、高度情報処理技術者育成の必要性を認めていますが、平成14年度予算ではどのように計上され、その具体的育成策はどうなっているのでしょうか。
 先ほどの宮城では、みやぎマルチメディア・コンプレックス構想のプロジェクトの中で、高度IT技術者養成プロジェクトを掲げ、その事業主体となる東北テクノロジーセンターを設立し、情報関連企業の高度IT技術者研修に対して具体的助成措置を平成14年度予算に計上したと仄聞しておりますが、どういう内容のものでしょうか。本県の取り組みとしては、今後どのような施策の展開で具体化されていかれるお考えでしょうか、お尋ねいたします。
 あわせて、岩手県情報サービス産業協会の育成についてでありますが、当協会の顧問でもある鈴木商工労働観光部長の答弁では、当協会を本県の情報関連産業を先導する団体に育て上げるため、ITベンチャー企業の育成について、協会と連携しながら取り組んでいくと述べられておりますが、私は、今本当に必要とされているのは、まず、事業を展開している企業を構成員とする業界団体の具体的助成策であり、なぜベンチャー企業の育成が同協会の育成策になるのか理解できない部分があります。整理して、具体的方向をお示しいただければ幸いです。
 また、高度IT人材の育成について大変な苦労をしている状況下において、何らかの救いの手を差し伸べることも喫緊の取り組むべき施策と考えますが、いかがでしょうか。
〇高橋副知事 情報関連産業の誘致の関係でございますが、企業誘致に当たりましては、これまでも製造業の誘致を基本とはしておりますが、今後成長が期待される製造業以外の環境、情報、医療・福祉分野など、製造業以外も含めて、幅広く視野に入れて取り組んできたわけでございます。
 情報産業の誘致でございますが、ソフトウエア業等の情報関連産業の集積に向けましては、盛岡西リサーチパーク、それからオフィスアルカディア北上を初めといたしまして、マリオス内にいわて新産業創造センター、そしていわてマルチメディアセンターを整備するなど、ソフト関連企業の受け入れ環境の整備に努めてきたわけでございます。
 また、ソフトウエア業・情報処理提供サービス業については、従来から工業立地促進資金の対象業種としておりますほかに、特に、盛岡西リサーチパークにつきましては、頭脳立地法に基づく団地でもございまして、ソフトウエア業等の特定16業種について、平成9年度から製造業と同様に補助制度の対象としてきたわけでございます。
 これらによりまして、平成元年度以降、これまで本県に立地いたしましたソフト関係企業は、インクリメントPという会社など13社となっております。
 さらに、現在コールセンターの地方展開が活発化していることから、来年度から新たに優遇措置を講じながらその誘致に努めているところでございます。
 これら情報産業の集積でございますが、国土交通省の調査によりますと、本県におけるソフト系IT企業の集積は、近年盛岡市において急速に拡大しているような状況でございますので、このような集積の流れを一層促進していく必要があると考えております。
 また、本県では、県立大学、岩手大学など情報系の学術研究機関、そしていわて産業振興センターを初めとする産業支援機関が盛岡周辺に整備されているわけでございます。さらには、本年4月に、仮称でございますが、岩手県地域連携研究センターの開設が予定されているわけでございまして、これらの施設を核として、情報関連産業の一層の集積を図る必要があるものと考えております。
 それからSE研修、システム・エンジニアリング養成研修受講料助成事業でございますが、これは平成7年度に創設した事業でございまして、その内容は、株式会社岩手ソフトウエアセンターが実施いたしますシステムエンジニア養成研修に受講者を派遣した県内企業に対して、受講料の一部助成を行うというものでございました。
 ただ、経営環境が年々厳しくなっていく中で、この養成研修は講習期間が約50日と大変長いわけでございまして、受講料の減免だけでは受講者の確保が大変困難な状況になったということでございまして、結果として、受講者が3年連続で計画を大幅に下回って、平成9年度に事業を打ち切らざるを得なくなったというようなことでございます。
 この岩手ソフトウエアセンターが実施いたしますSE研修につきまして、資格取得を目的とした長期の研修を、技術習得を目的とした企業のニーズに即した短期の研修に切りかえて、現在は研修をしているということでございます。これについての強い存続要望があったということは、確認できないということでございます。
 それから、高度IT技術者の育成に係る平成14年度の具体的施策でございますが、14年度予算では、直接的な高度IT技術者育成のための予算は計上されておりませんが、先ほど申し上げましたソフトウエアセンターでは、システムエンジニアを対象とした短期の技術習得研修を実施しておりまして、この受講者は、おかげさまで年々増加しているというようなことでございます。これは、やはり人材育成の重要性を関連企業が認識してきたことにあわせまして、岩手ソフトウエアセンターが、その研修内容を企業ニーズに即したものに切りかえるなど、プログラムの見直しに努めてきた結果ではないのかと認識しておるところでございます。
 それから、宮城県の高度IT技術者養成プロジェクトでございますが、宮城県では、東北テクノロジーセンターに対しまして、センターが実施いたします高度IT技術者研修の運営経費の負担金として500万円を予算計上していると聞いております。仙台市も運営経費として同額の500万円の予算を計上していると聞いております。
 これによりまして、東北テクノロジーセンターでは、平成14年度に計画しておりますIT分野の言語、データベース、ネットワークの研修については、受講料をおおむね半額とする優遇措置を講ずることとしていると聞いております。
 県では、高度IT技術者の育成につきましては、先ほど申し上げました岩手ソフトウエアセンターにおいて、情報処理技術者の国家資格研修、IT資格研修を継続して行いますとともに、短期間の高度技術研修なり、業界ニーズに即した研修を取り入れていきたいと考えております。
 それから、岩手県情報サービス産業協会の育成でございます。この協会は、本県情報関連産業の振興を担う業界の自主的な団体といたしまして、平成元年に設立され、情報関連人材の育成などに努めてきたわけでございます。
 県としては、この協会が本県の情報関連産業を先導する団体として発展することを期待しているわけでございまして、そのためには、これまでの情報処理分野に加えまして、コンテンツ制作とか、インターネットビジネス分野などの企業とも幅広く連携して、IT社会の創造に向けた組織基盤の強化に努める必要があるものと考えております。
 したがいまして、協会みずからが県と連携して、将来成長が期待されるソフト系ITベンチャー企業等の育成に取り組んでいただきまして、県内情報産業全体の活性化を目指すべきものと考えております。
 また、協会、それから会員企業におけます高度IT技術者の育成につきましては、ソフトウエアセンターの方でもいろいろとこの協会のニーズにきめ細かく対応してまいりたいと思っております。
〇佐々木一榮委員 ありがとうございました。
 それでは、機構改革を含めまして、情報政策の最後の質問にしたいと思います。
 情報政策の一元化についてお尋ねいたします。
 庁内の情報関連施策は、地域振興部情報システム課、商工労働観光部産業振興課、商工労働観光部商工企画室においておのおの担当しておりますが、事務分掌によりますと、地域振興部情報システム課は地域情報化と行政情報化、商工労働観光部産業振興課は起業家育成、産学官連携等、商工企画室は情報産業の育成となっておりますが、果たして情報産業の育成策について、縦割りの組織の中でおのおの所管して効率のよい施策展開が可能なのでしょうか。問題はないとお考えでしょうか。現状認識についてお尋ねいたしたいと思います。
 宮城県では、平成14年度から情報政策室を担当してきた企画部情報政策課の部門強化のため、情報政策、基盤整備、産業集積の3課に整理し、業務の統合と職員の増員を図り、IT産業を支援する体制を構築するとのことであります。
 本県におきましても、情報産業振興のため、県の支援策範囲を広げ、有能な人材を集中させ、早期に企画立案し、実現させる体制を構築すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇小原総務部長 情報施策の推進組織についてのお尋ねでございますが、本県における情報産業の振興は、主として商工労働観光部が所管しており、本年度、商工企画室に設置した新産業推進監が、高度IT人材の育成、あるいは新技術開発などによる情報産業の振興を担い、また、産業振興課が経営支援、あるいは産学官連携による共同研究の推進を通じて、情報関連企業等の振興を担当しております。
 また、情報インフラの推進については、基幹システムとなっておりますいわて情報ハイウェイの活用などにより、産業、医療・福祉、教育などの各分野における地域情報化の推進、さらには電子県庁等の行政情報化の取り組みを所管している地域振興部──具体的には情報システム課でございますが──が、情報技術の先端組織として商工労働観光部を技術的な意味合いでサポートする仕組みになっております。
 両部においては、連携・調整を図りながら、情報関係施策の一体的・効果的な推進に努めておるところであり、現在のところ、これらの連携・調整は円滑になされているものと考えております。
 宮城県のように情報関連施策を産業振興も絡めて企画部門の方に一元化するという考え方もございますが、ITなど情報技術については、情報関連産業の振興はもちろんですけれども、福祉・医療、農林水産、土木も含め、すべての分野の施策のツールの一つとして取り組むテーマであります。したがいまして、県全体の情報基盤、インフラの整備等の促進を所管しております地域振興部を中心として、個別具体の施策展開の上で、必要によっては関係部局でプロジェクトチームを設置するなど、各部が連携して取り組むことを基本とした体制で対応してまいりたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 現在としてはそういう機構改革は考えずに、現状で連携強化をしながら持っていくというような認識にさせていただきます。
 最後に、地域課題、地元課題になりますが、平泉の文化遺産のユネスコの世界遺産登録について、県の基本的スタンスについてお尋ねいたします。
 柳之御所遺跡整備調査事業、そして史跡土地公有化事業と、厳しい県財政の中にありながらも予算化いただいていることを理解の上で質問をさせていただきます。
 今、平泉町内では、町中心部の猫間が淵周辺を史跡追加指定する計画に大きな議論が行われております。御案内のとおり、文化財保護法では、史跡区域の家屋移転に強制力がなく、該当する37世帯の移転についても、当然ながら効力がありません。しかしながら、世界遺産登録実現には、この地域の無量光院跡や柳之御所遺跡との一体的史跡公園構想がその弾みともなることから、町としては積極的なお願いを地権者に対し行っているところでありますが、どうも私には、いま一つ県のスタンスが見えないのであります。県としては、これらの問題にどう対応していかれようとしているのかお尋ねいたします。
〇高橋副知事 猫間が淵周辺の史跡追加指定計画に対する県のスタンスということでございますが、今、世界遺産登録に向けまして、文化庁から国の史跡、また名勝が中心となりますコアゾーンの範囲の拡大と新たな指定、及びそれらを保護するバッファゾーンの指定が課題であるという助言を受けているところでございます。県としては、このような世界遺産登録に向けてのさまざまな課題の解決につきまして、文化庁、そして平泉町と連絡・調整を図りながら、専門的、さらには技術的な支援等を行っていくこととしているわけでございます。
 また、世界遺産登録には、申すまでもなく住民の理解と協力・熱意は不可欠でございますから、今後ともインターネットによる情報発信なり、平泉文化フォーラムの開催等によりまして、町民の機運の醸成を図っていくこととしております。
 なお、国史跡の追加指定なり史跡の整備などは、平泉町のまちづくりと密接不可分でございますから、町が行っておりますまちづくりプランの策定等につきまして、県の関係部局で調整をしながら支援を行っており、こうした取り組みをより効率的に推進するために、来年度から国、県、町の関係機関で構成する推進協議会を設置いたしまして、横断的・総合的な調整を図ってまいる考えであります。
〇佐々木一榮委員 ありがとうございます。
 具体的にお聞きしたいと思います。移転費用についてでありますが、移転の場合、国がその10分の8、残り10分の2について県と町が2分の1ずつという理解をしていますが、平泉町の財政状況で、もし地権者の合意が得られた場合、可能とお考えでしょうか。難しいとすれば、町の負担軽減のため、県として財政支援の拡充を検討いただくことは可能なものでしょうか。
 あわせて、一昨年の一般質問の知事答弁では、国営公園の事業導入の情報収集に努めるという回答をいただきました。県土整備部から無理だと言われましたが、知事はこういう答弁をされました。今現在どういう経過になっていますでしょうか。
 最後に、私は、国に頼ることなく県立歴史公園構想を立ち上げる計画を期待するところですが、副知事の所感をお尋ねして、私の質問を終わります。
〇高橋副知事 移転費用に対する県の支援の拡充というようなことでございますが、今、平泉町では、文化庁に提出いたします本登録に向けてのスケジュールを作成している段階でございまして、これは3月中にはつくり上げて提出する予定と聞いておりますが、その中でおおよその金額が明らかになってくるのではないかというように考えております。
 もちろん、平泉町の財政状況は十分承知しておりまして、県としては、国や町と協議しながら、現在では国庫補助事業の導入等に努めてまいりたいというような答えになるわけでございます。やはり、これらの金額等も出てきて、計画全体が具体化した時点で、後でまた検討する段階になるのではないかと。今の段階では、まずそれを見てからというようなお答えしかいたしかねるということでございます。
 それから、国営公園の導入の可能性というようなことでございますが、もう、これは御案内のように、第6次都市公園等整備七箇年計画が平成14年度まででございまして、現在の公園整備はこれに基づいて進められているわけでございますが、今後は、極めて厳しい国の財政状況を踏まえまして、国営公園等を含む次期長期計画が策定されると見込まれておりまして、その中で国営公園制度の見直しが検討されるとも聞いておるわけでございます。やはり、その状況を見きわめなければならないということで、今後とも情報収集に努めてまいる考えでございます。
 それから、県立歴史公園構想というようなことでございますが、今世界遺産登録に向けまして、無量光院跡と柳之御所遺跡を一体的に整備することはやはり必要であると思うわけでございます。現在、史跡整備の前提となります民有地の公有化を町と一緒に積極的に進めているわけでございますが、まず、県で担当しております柳之御所遺跡の調査に加えまして、平泉町とともに無量光院跡の調査も実施いたしまして、一体的整備に向けて平泉町を支援していくというような考えでございます。
 その公園事業につきましては、先ほども申し上げましたように、追加指定を目指している史跡の範囲なり金額というようなこと、さらには公有化の進展状況を見ながら対応してまいりたい、このように検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 前向きの御答弁ととりたいと思います。ありがとうございました。
 それで、最後にいたしますが、例えば、一関の地方振興局内にこのユネスコの世界遺産登録に向けての専門の人員の配置なり、室を設けるなり、そういう前向きなお考えはありますでしょうか。
〇小原総務部長 ただいま副知事が申し上げたような中身を展開する上で、地方振興局の役割といったものを考えたときに、今委員お話のような形が非常に効果的だ、あるいは有効だということであれば、検討していくことも必要かと思います。
 いずれ、地方振興局の役割、あるいは県の方の役割、その辺を十分見きわめながら、展開に合わせていろいろ検討していくことになると思います。
〇佐々木一榮委員 私は、副知事の答弁を実現するためには非常に重要な役割だというように思っておりますので、前向きな御検討をお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
〇岩城明委員 政和会の岩城明でございます。平成14年度予算審議に当たりまして、政和会を代表して総括的にお伺いしますので、当局の積極的な答弁をお願いいたします。
 まず、財政問題についてお伺いします。
 平成14年度当初予算は、長引く不況や小泉構造改革の影響から、県税収入は大幅に減収し、地方交付税及び国庫支出金も大幅な減額がなされるなど、前年度当初対比3.9%減と超緊縮予算として編成されております。その構造を見るとき、公債費が増大し、義務的経費比率が43.7%とほぼ5割に近づき、財政の弾力性が年々失われていく状況に進んでいると考えます。この状況は、東北各県においても同様であり、地方の財政状況はまさに危機的な状況になっているのではないでしょうか。
 公債費増大の要因として、社会資本整備を進めるため、国の経済対策に呼応し、県債を増発してきたことが挙げられ、その際、地方交付税の公債費算入がある優良な起債の導入に努めてきたことは一応評価できるにせよ、やはり借金漬けの財政運営であったことは否めない事実であります。
 国の財政の破綻により、頼りにしてきた地方交付税が逼迫し、地方の財源不足をカバーしてきたこの仕組みは、持続可能な制度とは言えないものに変容しております。地方の財源不足を補償してきた地方交付税も不足し、平成14年度においては昨年にも増して地方の通常収支の不足を補う手段として、地方債である臨時財政対策債で肩がわりするという、いわば債務の先送り的決着がなされております。このように借金の先送り的決着を見た地方財政対策をどのように評価しておりますか、まずお伺いいたします。
 また、緊急経済対策など、社会資本整備の財源として発行された県債の償還財源の一定割合は地方交付税で措置されるとされておりますが、今後とも果たしてそのとおり保障されるのでしょうか。地方交付税そのものが伸びない中で、県債の償還に算入される財源がどのような形で保障されるのかお伺いいたします。
〇小原総務部長 財政問題について、まず、地方財政対策の評価のお尋ねでありますが、地方交付税法では、地方財源不足が生じた場合には、所得税、酒税、法人税等の地方交付税率を引き上げる旨定めているところでありますが、国のこうした極めて厳しい財政状況と景気低迷による税収不足により、この税率引き上げは難しい状況にございます。
 このため、従来は交付税特別会計が国から財源の不足分を借り入れて、その償還を国と地方で折半して負担する措置を講じてきたところでありますが、この借り入れの総額が平成14年度末見込みで46兆円に達するということで厳しい状況になってきておりますことから、平成13年度の地方財政対策では、これを見直して、国と地方の責任分担のさらなる明確化、あるいは国と地方を通ずる財政の一層の透明化ということで、財源不足のうち財源対策債の増発等を除いた残りの額については、国と地方が折半して、国負担分は一般会計からの繰り入れ、加算によりまして、また地方負担分は特例地方債として、臨時財政対策債を各地方公共団体が発行することによって負担するとされたところであります。
 評価ということでございますが、多額の公債残高を抱える国と地方の厳しい財政状況を考えますときに、現時点ではこのような地方財政措置はやむを得ない面もあろうかと思いますけれども、地方債に依存した地方財政対策は財政の硬直化につながることから、これを改善して、地方交付税総額の確保を図るべきと考えております。
 次に、県債償還に対する交付税の算入についてでございますが、地方交付税法では、地方財源不足対策として発行した財源対策債や国の経済対策に呼応して発行した補正予算債等の元利償還金を普通交付税の基準財政需要額に算入することを定めております。
 また、財源対策債の元利償還金の算入に必要とする財源について、地方交付税の附則におきまして、国の一般会計から交付税特別会計に繰り入れる額に加算する額とその年度を明示することとされておりますので、これらの規定に基づき、今後とも交付税算入されていくものと考えております。
 今後におきましては、地方交付税の総額の確保が図られるよう、従来にも増して国に要望するとともに、地方の歳出に対する国の関与の廃止や縮減、そしてまた、国から地方への税財源の移譲などを通じて、地方財源の自立性と安定性を確保するように、国の方に要望してまいりたいと考えております。
〇藤原泰次郎委員長 ただいま岩城明委員の質問の途中ではございますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分ほど休憩いたします。
   午後2時55分 休 憩
   午後3時13分 再 開
〇藤原泰次郎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇岩城明委員 いずれ、国の経済対策に呼応して打ち出されました公共事業の財源とされた県債の償還に対して交付税措置がなされるにしても、臨時財政対策債も含め、将来的に県債残高や公債費の増嵩により財政指標を悪化させる要因になるものであり、今後の財政運営にあっては十分な注意を払っていただきたいと思います。
 また、将来のことを考えますと、どのような形であれ借入金への依存は望ましいものではないことは当然であります。国への提言、要望のお話もありましたが、分権時代における自主的、自立的な行財政運営を推進していくためには、地方税財源の拡充強化を今後とも強く国に働きかけていただきたいと考えます。
 次に、公債費の今後の見通しについてお伺いいたします。
 平成14年度予算の性質別経費を見た場合、公債費は前年度に比較して120億円、9.9%の増加となっており、一般会計予算が減少する中で突出する伸び率を示しております。このような公債費の増加は、一般財源の乏しい本県にとって、財政運営の自由度を失い、少子・高齢化対策や空洞化が進む製造業の振興、人づくり等に支障を来すのではないかと危惧しております。
 今後、公債費はどのように推移していくのかお示し願います。
〇小原総務部長 公債費の今後の見通しについてでございますが、県債の今後の発行額や金利の動向、こういった未確定な要因や変動要因がありますけれども、これまでに発行した県債の償還計画に基づいて、今後の発行額をおおむね同額程度と見込みまして推計いたしますと、平成14年度以降においても毎年度上昇していくものと見込まれ、平成14年度以降の公債費の償還のピークは平成20年ころで、約1、700億円程度になるものと予想されるところでございます。
〇岩城明委員 公債費の増加により今後も歳出は厳しい抑制が求められることと思われますけれども、そうした中にも、県民が求める行政サービスが確保されるよう、施策重点化方針に掲げる8項目への取り組みなど、事業の重点化、効率化を図っていただきたいと思います。
 次に、県税収入の伸びに多くを期待できず、国の構造改革が進み地方交付税が減少する中、一般財源の確保が厳しい本県にとって公債費負担比率が低下することは予測しがたく、財政運営は今後とも厳しくなるものと思われます。
 平成12年度普通会計決算における公債費負担比率は22.3%であり、平成11年度に比較して1.6%上昇しております。公債費負担比率は全国的に上昇しているにせよ、20%を超えると要注意の団体とされております。全国的にこの20%を超える団体は何県ぐらいとなっているのでしょうか。
 私は、このような財政環境のもとでは、その健全化に向けた努力をさらに進めていく必要があると考えておりますが、財政健全化をどのように進め財政運営をしていくお考えなのかお伺いいたします。
〇小原総務部長 公債費負担比率の状況についてでありますが、公債費負担比率は、公債費に充当された一般財源の額が一般財源総額に占める割合を示すもので財政の硬直性を示す指標でありますが、委員お話しのとおり、一般的に15%が警戒ライン、20%が危険ラインとされているところであります。
 全国の公債費負担比率の状況を見ますと、20%を超えている団体は、12年度の決算状況調査の結果によりますと、47都道府県中、19団体となっております。本県の公債費負担比率は22.3%でございまして、全国では数値の高い方から10番目となっております。また、これを東北各県の状況で見ますと、秋田県が26.0%と最も高く、次いで本県、さらに山形県が22.0%、以下、青森県19.3%、福島県18.9%、宮城県が18.8%といった順序になっております。
 こうした公債費負担比率の状況などを踏まえまして、今後、財政の健全性を確保していくためには、将来的な公債費の動向に十分留意しながら県債の発行を抑制していく必要がございまして、県債の発行額を毎年度の元金償還額と同額以下に抑制する、いわゆる県版プライマリーバランスとでも言いますか、そういったものを視野に入れた財政運営を目指すことが望ましいと考えておりますけれども、県税等の自主財源に乏しい本県にとりまして、その実現は極めて難しい状況にあるというのも事実であります。
 したがいまして、今後における具体的な県債発行額の抑制策としては、県債を財源とする事業の徹底的な見直しと事業の厳選、歳出全体の抑制、借換債の適切な運用、臨時財政対策債の適切な活用などに努めていくことが必要であると考えております。特にも、県債を財源とする公共事業につきましては、評価制度を踏まえながら真に必要な事業を厳選するとともに、県単独の農林道を含む道路整備事業につきましても、事業費補正の算入率が55%から30%に引き下げられるということで、対象事業を厳選していく必要があると考えております。
 さらには、過去に発行した高金利の公債費については、その負担の軽減を図るための特別交付税措置がありますので、この財政支援措置の拡充について、国に対して強く要望してまいりたいと考えております。
 今後の財政運営につきましては、歳入に見合った規模となるよう、やはり歳出全体の抑制を図っていく必要があり、また、本県の歳入構造は、御案内のとおり依存財源の割合が65%と高いわけで、国の予算や地方財政対策に大きく影響を受けざるを得ないということから、国の構造改革の動向等を注視するとともに、地方一般財源の充実確保が図られるよう、従来にも増して国に対して強く要望してまいりたいと考えております。
〇岩城明委員 国も地方の公債費負担軽減のために高利の公的資金借入に対する特別交付税措置を引き続き講じると伺っておりますが、やはり基本となるのは自主財源の確保と歳出の効率化と考えます。ぜひ答弁のありましたような取り組みを着実に進めるようお願いいたします。
 次に、地方交付税改革と市町村の財政運営についてお伺いいたします。
 国の構造改革の柱の一つとして地方の自立・活性化プログラムがあり、団体規模等に応じて仕事や責任を変える仕組みや地方税の充実強化を行い、一方で地方交付税における段階補正や事業費補正の見直しを図るとされております。
 私は、今後の地方自治のあり方を考えるとき、国と地方の役割分担の見直し、国庫補助負担金の整理合理化、地方交付税のあり方の見直し、国と地方の税源移譲を含めた税源配分のあり方など、すべての項目をパッケージとして改革を進めていくことが真の地方自治を確立する上で必要なことであると考えております。
 しかしながら、平成14年度の国の改革を見るとき、地方税などの議論を進めることなく、地方交付税において先行して事業費補正の見直しや段階補正の見直しが行われました。特にも、段階補正の見直しは、人口規模が少なく、財政力の弱い市町村の財政を直撃していると聞き及んでおります。総務省試算によれば、段階補正の見直しによる削減額は人口4、000人規模市町村が最も大きく、5、500万円になるものとされておりますが、県内の自治体ではこの段階補正の見直しの影響額はどの程度になっているのでしょうか。市町村の類似団体別にどのようになっているかお示し願います。
 新聞報道によれば、総務省の担当者は、効率的に財政運営をしている自治体の実態をもとに見直しを行った、自治体にとって無理な削減ではないと考えているとされておりますが、県では、段階補正の見直しが今後の市町村運営にどのような影響を及ぼしていくとお考えなのかお伺いいたします。
 私は、このように部分的改革が進むことなく、市町村の財政運営が立ち行くよう改革が進められるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
〇飛澤地域振興部長 地方交付税の段階補正の見直しによる市町村への影響額というお尋ねでございましたが、平成14年度の段階補正の見直しの影響につきましては総務省から人口段階別におおむねの目安が示されたところでございますが、おおむねの目安でございまして、この具体的な算定につきましては今後の作業となりますけれども、この総務省の目安を本県市町村に単純に当てはめますと、人口4、000人規模の団体が13町村で約2億3、000万円、人口8、000人規模の団体が10町村で1億7、000万円、人口1万2、000人から2万人規模の団体が19町村で3億2、000万円、人口3万人規模の団体が7市町村で約7、000万円程度ということで、全体としては49市町村で8億円ほどの地方交付税の減少があるものと想定いたしております。
 市町村におきましては、こういったことを受けまして、今後さらに行財政運営の効率化あるいは事業の厳選、重点化などに取り組むことが求められてくると考えております。
 市町村財政と地方制度改革のあり方についてお話がございましたけれども、地方制度改革に当たりましては、分権型社会に対応いたしまして、市民に最も身近な総合的な行政サービスを提供する市町村が自主的、自立的な行財政運営を行えるような配慮をすることが必要であると考えておりまして、現在、今後の自治体のあり方につきましては第27次地方制度調査会で論議が進んでおりまして、この27次の地制調での論点というのが大体5月あるいは6月に明らかになってくるのではないかと思っておりますけれども、そういった論議の動向も見ながら、県といたしましては、市町村と連携いたしまして、引き続き地方の税財源の充実強化など、国に対して必要な提言を行ってまいりたいと思っております。
〇岩城明委員 昨年の12月決算特別委員会において、市町村の平成12年度決算状況における財政力指数など本県市町村の財政構造が厳しいとの答弁がありましたし、一連の交付税制度の改革の影響は決して小さくないと思われます。市町村が行政改革、事業の重点化を進めていくことは当然でありますけれども、地域の実情を踏まえた国への提言など、県として極力支援をお願いしたいと思います。
 次に、新幹線盛岡以北の開業に関連してお伺いいたします。
 平成14年12月に県北県民の悲願であった新幹線は八戸まで延伸し、いよいよ開業となります。今まで交通アクセスの不便さから人や物の交流も停滞し、地域の活性化が失われてきている地域において、大いなる反転への機会が訪れております。
 私は、6月議会においても質問いたしましたが、隣県青森県においては、新幹線の開業を全県的に盛り上げるため、さまざまな宣伝活動やイベントを計画しているようであります。新幹線の開通により、北東北交通の高速交通インフラは三陸縦貫道の整備を除き一応整備されると考えており、今こそ知事が提唱する北東北の時代に向けて3県が連携を密にする一方で、独自の特色を大いに伸ばす千載一遇のチャンスが訪れているのではないでしょうか。そのチャンスを逃すことなく、全県を挙げてその効果を久慈・沿岸地域に波及させ、地域の活性化につなげていくことが急務となっております。
 特に、観光面における本県の新幹線開業に向けた全県的取り組みあるいは地域と一体となった取り組みをどのように進めていくお考えなのかお伺いいたします。
 また、関東地方では、各県が連携し、韓国のスキーブームに着眼し、冬の観光として観光客の誘致に取り組んでいると報道されております。国内の冬の観光が苦戦している中で、大きな市場の開拓として希望が持てるのではないでしょうか。本年秋にはソウル事務所の開設に向けた取り組みをしていると報道されておりますが、関東地方で進む韓国の観光客やスキー客受け入れの事例を視野に入れ、同様に北東北との連携した事業を進めていくべきと考えておりますが、御所見をお伺いいたします。
〇高橋副知事 まず、新幹線の開業に向けた取り組みでございますが、県では、昨年9月に東北新幹線銀河系いわて全線開通記念事業連絡会議を設置いたしまして、県、市町村、それから観光関係団体などと連携しながら、新幹線の開業に向けて積極的に取り組んでいこうとしているわけでございます。
 まず、全県的な取り組みでございますが、第1に、東北新幹線の新駅から八幡平・十和田地域、さらには三陸沿岸などへの新しい観光ルート、本県の自然、食、生活文化等を活用した特色ある旅など、本県の売りとなる観光素材を市町村等の協力を得ながら掘り起こして、新年度から稼働することにしておりますインターネットを活用した新しい観光情報システム等によって広く情報発信をしていく考えでございます。
 第2に、ことしの6月は東北新幹線大宮-盛岡間の開業20周年の節目に当たるわけでございまして、大宮駅におきまして観光キャンペーンを実施いたしまして新幹線の開業に向けた取り組みをスタートすることとし、引き続き、首都圏での観光物産展や銀河系いわてフェスティバルなどでの観光キャンペーンを実施することとしております。
 第3に、新たな観光素材や地域の観光資源を観光素材集として取りまとめまして、大手旅行エージェントや東北各県の旅行業者を対象に情報提供とか説明会を行いまして旅行商品化の促進を図ってまいることとしております。
 第4に、2次交通の整備、また、ボランティアガイドの活用促進、おもてなしの向上に係る研修会の開催などを通じまして受け入れ態勢の整備も図っていくこととしております。
 次に、地域と一体となった取り組みといたしましては、県北沿岸地域では、市町村、民間が一体となって、東北新幹線開業地元イベントの広域連携観光物産フェアを開催することとしておりますし、首都圏での観光宣伝事業である南部展など独自の取り組みを計画してございます。このような地域の取り組みと全県的な取り組みの連携を図りながら、開業に伴う経済的な効果を最大限に引き出すように努力してまいりたいと思っております。
 それから、北東北連携による冬の観光振興でございますが、北東北3県では、外国人観光客の誘致拡大を図るために、官民が一体となって北東北国際観光テーマ地区推進協議会を組織いたしまして、密接な連携のもとに国際観光の振興に取り組んでいるところでございます。
 韓国につきましては、台湾と並ぶ主要なターゲットといたしまして、韓国国際旅行博出展、さらには、韓国マスコミ招待事業などを重点的にこれまで進めてきたところでございます。たまたま本年はサッカーのワールドカップが日韓共同で開催されますとともに、また、これとあわせまして日韓国民交流年も開幕しておるわけでございまして、訪日観光客の増加が見込まれるわけでございます。そのことから、引き続き3県で連携いたしまして韓国からの誘客に努めたいと考えております。
 特に、昨年10月には韓国-秋田間の国際定期航空路線が開設されまして、仙台・青森・秋田空港を利用した多様な広域観光ルートの設定が可能となったわけでございますので、今後、この協議会で、スキー客など冬の観光客のより効果的な誘致のあり方について検討してまいる考えでございます。
 また、ソウル事務所につきましては、ことしの秋に、北海道、それから北東北3県が共同して設置する方向で検討がなされておりまして、開設後は、この事務所なり国際観光振興会との連携を図りながら、韓国の旅行エージェントへの情報提供などを行いまして、北東北への観光客の誘致を図ってまいる考えであります。
〇岩城明委員 いずれ、県のアイデアに富んだ施策、事業の推進に大きく期待するものであります。
 次に、内発型産業の育成についてお伺いいたします。
 日本の製造業はどうなってしまうのか。生産拠点が日本から東南アジア、そして中国へ移転し、地方の製造業の空洞化は日を追うごとに進んでおり、岩手においては、2001年度、海外シフトなどで県内から24の誘致企業が撤退し、その深刻さを増しております。
 国の構造改革では、開業・創造倍増プログラムにより、大学発のベンチャー促進、産業構造改革による高コスト構造の是正などが挙げられておりますが、現状の空洞化が進む中での現状打開のいい手段があるのでしょうか。
 ベンチャー企業の育成は、将来にわたる産業振興の基盤をなすものとして重要なことは論をまたないところでありますが、その育成には相当の時間を要し、当面する雇用の確保という喫緊の課題の特効薬にはならないのではないでしょうか。
 このような状況において地域産業の振興を考えるとき、地場企業の技術力の向上はもとより、地域資源を活用した内発型の産業をより育成していくことが必要であると考えております。
 沿岸地域においては、海洋深層水を利用した水産加工業や野田村の若手グループが手がける直煮法による製塩など産業化に向けて取り組まれており、県内各地域においても、地域の食品などの資源を活用したさまざまな産業の起業化に向けた取り組みがなされていると聞いているところであります。
 今後ますます製造業の空洞化が予想される中で、規模は小さくとも、地域に根差した産業の育成を一歩一歩積み重ねていくことが景気の変動に強い産業の育成につながるものと考えております。地域資源活用型の内発型産業の育成にどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。
〇高橋副知事 地域資源を活用した内発型産業の育成についてでございますが、地域資源を活用した内発型の産業を育成するためには、本県の豊富な農林水産資源や技術資源、人的資源等を活用いたしました地域特性を生かした付加価値の高い新製品なり新技術を開発するとともに、その事業化を促進していくことが重要なことは申すまでもないわけでございます。
 具体的には、産業支援機関等において、起業から研究開発、実用化に至るまでの一貫したコーディネート機能を強化いたしまして、産学官の連携による独創的な新商品、新技術の開発並びに事業化を促進いたしますとともに、中小企業創造技術研究開発補助等によります資金面での支援、さらには、工業技術センターにおける技術、デザイン面での支援などを体系的に実施いたしまして、内発型産業を担う意欲的企業の育成を図ることとしております。
 また、豊かな農林水産資源と地場産業との連携によります複合型産業など地域特性を踏まえた将来性の高い産業を育成することといたしまして、ブランドアドバイザーの派遣制度や岩手ブランド商談会の開催などによりまして、需要開拓から流通に至る総合的なマーケティング支援を展開していくこととしております。
 さらに、住民みずからが、自分たちの地域を元気にするため主体的に取り組むコミュニティ・ビジネスについても、今後、内発型の地域産業の一翼を担うことが期待されておるわけでございまして、県としても、このコミュニティ・ビジネスグループへの助成なり団体の育成などを総合的に支援していくこととしております。
 最近の地域資源活用型の新商品開発の事例では、例えば工業技術センターでの吟ぎんが、ぎんおとめの県産オリジナル吟醸酒の開発もございますし、また、県産アカマツ等を床材に活用できる塗料の開発とか、そういう事例が出てきておりますので、おっしゃられましたように、一歩一歩着実に今後とも取り組んでいかなければならないと思っておるところでございます。
〇岩城明委員 今後、すべてを企業誘致に頼ることなく、岩手県に豊富にある資源を積極的に活用されて、地元に根差した企業を育成するようにお願いする次第であります。
 次に、森林整備についてお伺いいたします。
 経済林として生産振興を図ってきた林業は、外材のコスト安に押され国産材の価格が著しく下落し、低迷したことにより疲労し、林業経営の先行きはまことに厳しい状況となっており、先ほど報告された県の包括外部監査報告においても同様の指摘がなされているところであります。
 このような状況において、昨年、林野庁は、森林・林業基本法に沿って初めて策定する森林・林業基本計画をまとめておりますが、その計画によれば、全国に2、510万ヘクタールある森林を、水源涵養や山地災害防止に役立つ水土保全林1、300万ヘクタール、生活環境保全や保健機能を持つ森林と人との共生林550万ヘクタール、木材生産を重視する資源の循環利用林660万ヘクタールに区分し、その上で、森林整備の進め方として、育成複層林を整備し、木材供給量は2010年までに年2、500万立方メートルにふやす目標を掲げております。
 一方、包括外部監査報告によれば、林業公社の事業は、木材価格が下落する局面で、事業計画の見直しや変更を検討すれば借入金の肥大化も防げたのであろうが、実際には、山村の雇用維持、所得格差の是正あるいは森林の持つ公益的機能の発揮などさまざまな要請により事業を継続せざるを得ず、結果として借入金が431億円まで増大したと推察されるとあり、木材生産の経済性を度外視しても公社事業を継続するのであれば、返済不要の補助金形式による支援が合理的であると思われるとされております。まさしく今後の森林造成に当たっては、森林の公益性に着目し、公益林の観点からの検討が喫緊の課題であると考えられます。
 今後において、森林造成は、経済林としての機能と公益林としての機能を明確に区分し、森林整備の重点化を図っていくべきものと考えられますが、県においては、今後どのような観点から森林整備を進めていくお考えなのか具体的にお示し願います。
〇高橋副知事 森林整備の進め方でございますが、森林整備は、木材生産を通じて森林資源を循環させることによりまして、中山間地域の雇用の創出、また、地域の活性化につながるものでございまして、一方で森林は、市場原理だけでは推しはかることのできない公共財としての性格もまた有しております。そういう意味で、県としては積極的に森林整備を進めることとしているわけでございます。
 国が昨年制定いたしました森林・林業基本法に基づきまして、平成14年3月末までに、市町村森林整備計画におきまして、県内の森林を、発揮すべき機能に応じまして、水土保全林、森林と人との共生林、資源の循環利用林の3区分にゾーニングすることとしております。
 県としては、この機能区分に応じまして、従来の造林事業を森林整備事業として再編いたしまして、きめ細かで多様な森林整備を推進することにしております。特にも、水土保全林につきましては国の割合を20%も上回る70%程度を指定する考えでございまして、経済林の方は大体国と同じ30、30ぐらいの割合と考えておりますが、これまで実施してきた公益保全森林整備事業、北上高地グリーナリープロジェクトにつきましてはこの水土保全林で集中的に実施することとして、公益的機能を重視する森林整備を促進してまいりたいと考えております。
 なお、今年度から新たに地域における森林整備等の林業活動を支援するため、森林整備地域活動支援交付金制度を創設することによりまして、地域が一体となって、重視すべき森林機能に応じた多様な森林整備を計画的に推進いたしまして、森林の多面的機能の高度発揮を図ることとしております。
〇岩城明委員 今後は、人と森林がお互いに共存し、助け合うような森林整備を進めるようお願いいたします。
 次に、木質バイオマスエネルギーの活用についてお伺いいたします。
 地球温暖化が進む中、化石燃料の大量消費による環境負荷の低減を図り、循環型社会への構築が求められており、森林は、再生可能な資源を供給する場として期待されております。この再生可能なエネルギーとして木質バイオマスエネルギーが注目を浴びており、その利活用に向けた取り組みを進めていく必要があるのではないでしょうか。
 木質バイオマスエネルギーを活用したペレットストーブやチップボイラーは既に北欧では一般化され、岩手県においてはその開発の緒についたばかりと認識しております。ペレットあるいはチップの活用は、今までいろいろな対策で進められてきたもののなかなか活路を見出し得なかった間伐材あるいは製材工場に発生する端材や廃材などの活用につながるものと考えられ、環境のみならず、林業の振興にもつながるものと考えております。
 特に、岩手県においては、岩手大学の薄肉鋳鉄技術や南部鉄器で培われてきた技術の蓄積があり、低コストで堅牢な燃焼機器の開発が進むものと思われますが、木質バイオマスエネルギーの活用をどのようにとらえ、進めていくお考えなのかお伺いいたします。
〇高橋副知事 木質バイオマスエネルギーでございますが、これは、環境への負荷の少ないクリーンエネルギーでございまして、これを有効に活用することは、森林整備の促進を図り、持続可能な地球環境を維持していくためにも重要なことであると考えております。
 また、現在、利用されないまま林地に残っております間伐材や土場残材、さらに製材の過程で発生いたします端材等を活用いたしますことは、外材の輸入なり住宅着工戸数の減少で低迷している林業、木材産業の活性化にもつながることから、これを積極的に活用していくことが必要だと考えております。
 活用の具体的な進め方につきましては、関係機関や部局連携のもとに、まず3年間──14年から16年まででございますが──を目途に、実証モデル事業といたしまして、ペレットストーブやチップボイラーなどの燃焼機器の開発なり導入、燃料仕様基準の研究開発を進めますとともに、県民を対象にした普及啓発活動等を進めることとしております。
 その後、木質バイオマス発電施設の整備等も念頭に置いたエネルギー利用への支援なり木質燃料生産施設の整備等の木質バイオマス資源供給への支援を推進する、そういう考え方で岩手県の木質バイオマスエネルギーの利用促進を図ってまいりたいと考えております。
〇岩城明委員 私も昨年5月、同僚議員4名とともに木質バイオマスエネルギーの活用方法についてスウェーデン・ベクショー市において現地及びベクショー大学において研修をさせていただきました。この中で大変感じましたことは、山林の多い岩手県で積極的に推進すべき施策であり、特にも、今お話ありました低コストのペレットストーブあるいはチップボイラーの開発が極めて重要であると認識してまいりました。県の積極的な施策の展開をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、港湾振興についてお伺いいたします。
 県内港湾の平成12年度の貨物取扱量は、大船渡港の416万1、000トン、59%を最高に、次いで釜石港26.4%、宮古港9.5%、久慈港5%の順となっており、その量は減少の傾向にあります。港湾整備を考えるとき、その投資効果は無論のこと、その整備によって地域産業にどのような効果をもたらすのか、物流との関係では、岩手の港湾が他県との港湾、例えば八戸港、仙台港と競争し得るのかなど多面的な観点から検討を進めるべきであり、少なくともその港湾の性格や特色を分析しながら重点的に整備を進めていく必要があると思います。
 このように考えるとき、岩手の港湾整備は、今まで4港湾につき平板な整備を進めてきたのではないでしょうか。県においては、本年度、本県港湾のあり方を検討するため港湾ビジョンを策定中とお聞きしておりますが、4港湾の特徴をどうとらえ、どう位置づけしようとしているのかお伺いいたします。
〇高橋副知事 4港湾の特徴と位置づけということでございますが、県では、現在、21世紀に向けまして、さらに重点的、効率的な港湾の整備を進めるために、それぞれの港湾の担うべき役割などを示した岩手県港湾ビジョンの策定作業を進めているところでございます。
 ビジョンの策定に当たりましては、有識者や物流関係者を初めといたしまして、地域の港湾利用者等から成ります委員会を設置いたしまして、内陸部を中心とした県内貨物の流動につきまして現状分析を行いますとともに港湾利用貨物量の将来予測などを行ってきたところでありますが、その中で、この四つの重要港湾についても特徴なり位置づけがなされているわけでございます。
 かいつまんで申し上げますと、大船渡港は、現在、県内最大のばら積みのバルク貨物の取扱港でございまして、今後もバルク貨物の外貿拠点港としてその機能を高めるための整備を目指す。それから、釜石港は、現在、ユニットロードの定期航路が就航いたしまして、後背地である内陸部のコンテナ貨物の需要も高いこと、さらに、内陸部の貨物確保のため、地元企業が中心となってポートセールスに積極的に取り組んでいることなどから、コンテナ物流の拠点港としての整備を目指す。宮古港は、県内港湾でバース延長が最大で最も整備が進んだ港湾であると。また、三陸沿岸の観光の拠点であることから観光船用埠頭の整備を目指すとともに、後背地の盛岡広域生活圏からのコンテナ貨物の需要が期待されることから一層利用拡大に努める。そして久慈港は、湾口防波堤の整備によりまして広大な静穏域が形成される予定でございまして、当面、諏訪下地区の静穏度の確保に努めることとし、八戸港と連携して船舶を対象とした防災拠点としての機能を高める。また、地域産業へのバルク貨物の需要拡大に努めるとともに、地域振興を目指した静穏域の活用と港湾用地における地域開発を目指す、こういう形で今の委員会の中のビジョン案には示されておるところでございます。
 今後は、ビジョンの素案につきまして広く県民の御意見を聞きながら、平成14年度の早い時期をめどにいたしましてビジョンを策定し、各港湾の果たすべき役割なり必要な機能についてその方向性を示し、これに沿って重点的、効率的な施設整備と利活用の促進に努めてまいりたいと考えております。
〇岩城明委員 私も久慈市出身であります。地域開発、格差是正のために、これからも積極的かつ効率的に港湾を整備されるよう切にお願いする次第であります。
 次に、少子・高齢化対策についてお伺いいたします。
 高齢・少子化が進む中で、未来を担い、あすの岩手を支える子育て環境の整備が急務であり、県においては、平成14年度予算の重点化方針においても、結の心・子育て環境日本一に向けた取り組みを掲げ、各般にわたる事業を展開しているところであります。
 私は、昨年、子供が健やかに育っていくためには夜間や休日の診療体制の整備が重要であり、少なくとも二次医療圏域ごとに整備を進めていくべきものと提言を行いました。小児救急医療を取り巻く環境は、小児科医師の不足と子供の減少などにより厳しいことは承知しておりますが、そうであるからこそ、他県に比して岩手は子育て環境がすぐれているという特色にもつながる小児救急医療体制の整備をぜひ早急に進めるべきだと考えております。
 現場において小児救急医療体制の整備はどの程度まで進んでいるのか、また、救急体制をいつごろまでを目途として整備を進めていくお考えなのかお伺いいたします。
〇高橋副知事 小児救急医療体制の整備についてでございますが、今年度、県に小児救急医療体制整備検討会、それから、保健医療圏単位にそれぞれの医療圏ごとの検討会を設置いたしまして、各圏域の特性を踏まえ、体制整備に向けて検討を進めてきたところでございます。
 県の検討会では、実態調査の結果、小児救急では比較的軽症の患者が大部分を占めていたことから、小児科医が少なく地域的偏在があることも考慮いたしまして、小児の初期救急医療の確保については、かかりつけ医、在宅当番医、休日夜間救急センターにおける対応を基本といたしまして、地域における開業医等の協力体制が不可欠とされたところでございます。
 また、小児の二次救急医療体制につきましては、小児科医による夜間及び土日、休日の診療体制を組むことを基本といたしますが、地域の実情に応じては、オンコール──呼び出し──体制の確保により小児科医が診療できる体制を組むとともに、初期救急医療体制との連携を図る必要があるとされたところでございます。
 一方、各圏域で検討いたしました結果、いずれの地域も盛岡を除いて小児科医が少ないわけでございまして、盛岡圏域と同様の小児救急医療体制を早急に整備することは難しい状況にあると認識されたところでございます。
 これらの検討結果を踏まえまして、県は来年度、初期救急医療機能の向上を図るため、東北で初めて一般開業医等を対象といたしました小児救急医療についての研修会の実施を予定しております。また、各圏域におきましては、来年度以降も引き続き小児救急の確保に向けた連携協力体制の構築など体制整備に向けた検討を進めてまいりたいと考えておりますし、住民に対する小児救急医療体制に関する情報提供を適切に行うなどいたしまして、小児救急医療体制の整備に向けた取り組みを進めてまいる考えでございます。
〇岩城明委員 今、副知事がおっしゃったように、いずれ早急に整備されるようにお願いする次第であります。
 最後になりますが、昨年9月の決算特別委員会でも問題になりましたけれども、医療局の清掃委託についてお伺いいたします。
 我が国の失業率が過去最悪を記録する中、本県においても有効求人倍率が低迷し全国ワースト4位になるなど、雇用環境は極めて厳しく、また、地域の雇用を支えてきた建設業においても、国の構造改革に伴う公共事業費の削減などから、地域の雇用を吸収する余力もより小さなものになることが予測されております。
 このように、経済環境がますます厳しくなる中では、地域の雇用に寄与する事業を、県内産業の育成の観点からも、地元において受注する機会を確保していく必要があると考えております。この地元企業への契約機会の確保については、産業育成の観点から、あらゆる機会をとらえて要望してまいりました。確かに制度的には一般競争入札が原則であり、また、WTOの関係もあることは承知しておりますが、病院事業の場合は、院内感染予防などの特殊事情や、作業員の確保などから地域において機動的な対応が可能な業者との契約が適切であると考えられることから、制度的に可能であればその契約方法を改善し、地元雇用につながる方法を見出していくべきではないでしょうか。
 その契約方法について、今後はどのようにしていかれるおもつりなのかお考えをお伺いいたします。
〇高橋副知事 県立病院の清掃委託の契約方法についてでございますが、若干経過を申し上げますと、9年度までは各病院で契約をしていたわけでございますが、10年度からは、清掃業務の質の統一性、経済性の発揮等も勘案いたしまして、中小企業等組合法に定める組合で官公需適格組合でもございます岩手県ビル管理事業協同組合と一括・随意契約をした経緯がございます。その後、契約の透明性が強く求められるようになったことから、12年度からはWTOに基づく一括・一般競争入札による方法としたところでございます。13年度は県外業者が受託いたしまして、御案内のように、4月当初に一部の病院で清掃が行き届かないなどで混乱が見られたわけでございますが、おおむね前回業者並みの水準に達していることが確認できたことから、医療局といたしましては、今後においてもこれまでどおりの契約方法により契約業者を決定していきたいということで、14年度も同様の方法で入札をしたということでございます。
 なお、地元雇用の関係でございますが、14年度からは、清掃作業員の地元雇用を契約の条件といたしまして雇用環境にも配慮したところでございます。
〇岩城明委員 今の答弁の中で、今後も病院の清掃業務委託の入札は一括で入札するということでございますけれども、私も先ほど質問しましたけれども、地元企業の育成及び地元雇用の確保のためにも、WTOで示されている基準であります最低入札予定価格2、900万円以上、27病院のうち、この2、900万円以上の対象になる病院は7病院です。この7病院は一括入札するとしても、残った20病院については個々の病院で入札すべきだろうと思いますが、再度質問させていただきます。
〇高橋副知事 WTOは、それぞれ7病院だけは1病院でも該当でございますので、それ以外は該当しないということになるわけでございますが、分割発注の場合には、県外業者であっても、県内に営業所があって資格要件を満たしていれば入札の参加を排除できないということもございます。また、県内の地元業者で、マル適マーク、これは財団法人医療等関連サービス振興会が医療関連サービスマーク制度を設けまして、当該振興会が定める認定基準を満たした者に対して医療関連サービスマーク──いわゆるこれをマル適マークと言っていますが──を交付いたしまして適格業者としていると、こういう仕組みがございますが、県内の地元業者でマル適マークを取得している業者が少ないということもございます。また、余り小さくやりますと高値安定型になるおそれもございますし、さらに一元管理ができないことによりまして、共通した作業員の教育なり清掃の仕上がり等の業務精度の低下が懸念されるということもございまして、医療局としては県立病院一本での発注をしたいと、このような考え方で、また、ここのところの13年度、14年度の入札におきましても特段問題がないことから、今後ともそういう考え方でいきたいということでございます。
〇岩城明委員 私はまだ納得していませんが、いずれこの問題については医療局の段階でもう一度論議させていただきます。
 以上で終わります。
〇藤原泰次郎委員長 以上で総括質疑に対する代表質疑を終わります。
 これより自由質疑に入ります。質疑ありませんか。
〇阿部静子委員 社会民主党の阿部静子でございます。
 会派を代表した形で、平成14年度の予算につきまして総括的な質問をいたします。質問が一部重複する場合がございますが、よろしく御答弁をお願いいたします。
 まず、財政問題についてお伺いいたします。
 御承知のとおり、2002年度の地方財政計画は、初めて対前年度を割り込むこととなりました。その主な要因は、地方交付税の減額や地方単独事業の10%カット、国庫支出金の減額などにあろうかと思います。
 さて、この地方財政計画における地方債総額は約12兆6、500億円で、対前年度比6.2%増となり、地方債依存度は14.4%と悪化いたしました。この地方債総額の中で、臨時財政対策債などの財政対策のための地方債が44.5%を占めるなど、本来、投資的経費の財源であるべき地方債が異常な事態になっていることが特徴的であろうかと存じます。
 そこでお伺いいたしますが、地方債計画における特徴と本県への影響をどのように受けとめておいででしょうか。
 また、本県の新年度予算における県債1、333億円余のうち、投資的経費に充てる割合はいかほどでしょうか。
 いずれ、県、そして市町村も同様に公債費比率の上昇が懸念されてきておりますが、どのような認識を持たれているのか、県、市町村それぞれについてお聞かせいただきとうございます。
〇小原総務部長 国の地方債計画の特徴と本県への影響についてでありますが、平成14年度計画は、いわゆる骨太の方針に基づく重点7分野の推進を図るため、前年度に比較して241億円、0.1%の増となっておりまして、その主な特徴は、地方財源の不足に対処するため臨時財政対策債を発行したこと、一般公共事業債について、財源対策債を加えた交付税充当率を、原則これまでの95%から90%にしたこと、さらには、地方単独事業については、地域総合整備事業債を廃止し、新たに地域の活性化に向けた循環型社会の形成あるいは少子・高齢化対策などの重点7分野を推進するための地域活性化事業債を創設したことなどが挙げられるところであります。
 この地方債計画の本県への影響についてでありますが、臨時財政対策債については、本来、地方交付税として交付されるべきものが県債──臨時財政対策債ですが──に振りかわったものであり、平成14年度当初予算では287億円と、前年度に比較して151億円、111.0%の大幅な増となったことから県債発行の大幅増につながったところであります。
 また、一般公共事業債の充当率が5%引き下げられたことに伴って、平成14年度当初予算の発行予定額をもとに試算しますと、16億円程度の一般財源充当が必要になると見込まれるところであります。
 それから、地域総合整備事業債の廃止についてでありますが、この廃止によりまして振りかわるところの地域活性化事業債は地総債よりも交付税措置が低いということで、地総債の起債充当率最高90%が一律75%、あるいは事業費補正では、交付税算入率が本県は地総債の場合55%だったんですが、それが一律30%ということで、交付税措置が低くなるということから影響は否定できないところでございますが、盛岡駅西口複合施設整備事業ですとか八幡平山頂展望休憩施設整備事業など既に事業に着手しているものについては、継続事業ということで従来どおりの交付税措置が確保されることになったことから、大きな影響はないと見込んでおります。
 次に、県債に占める投資的経費の割合のお尋ねでございますが、平成14年度の一般会計に係る県債発行予定額のうち、投資的経費に充てるために発行を予定している額は991億1、400万円で全体の74.3%を占めておりまして、平成12年度96.8%、13年度86%と比べた場合、そのウエートは年々低下してきているところでございます。これは、普通交付税の振りかえとして発行されました臨時財政対策債のウエートがふえており、その影響によるものであると考えております。
 それから、公債費比率の上昇についてのお尋ねでございましたが、公債費比率は、起債の元利償還金である公債費の一般財源に占める割合でありまして財政構造の健全性を示す指標とされているところでありますが、本県の公債費比率は平成12年度18.6%となっており、東北平均の18.1%と比較して0.5ポイント上回っております。また、全国平均は16.5%となっておりまして、本県は2.1ポイント上回っている状況にあります。
 この公債費比率は、分子の公債費が増嵩すること、そして分母の県税収入及び地方交付税等の一般財源収入の増加が期待できないということから、今後とも上昇が見込まれているところであります。
 こういった公債費比率の増嵩は、先ほどの御質問でも申し上げたんですが、地方財源不足対策として発行された臨時財政対策債や国の経済対策に呼応した補正予算債、さらには東北新幹線、県立大学の県単独の償還金が増加したことが大きな要因となっております。
 このように国が地方財源不足対策や経済対策のために地方財政措置をした地方債の発行が大きな要因となっておりますので、地方債に依存する財源補てん策を回避するとともに、地方一般財源の充実確保が図られるよう、従来にも増して国に強く要望していく必要があると考えております。
 また、県としても、今後の財政運営に当たりまして、将来の財政状況を見据えて、県債発行を抑制して、県債残高を縮減していくよう努力してまいりたいと考えております。
〇飛澤地域振興部長 平成12年度の県内市町村の公債費比率の状況を申し上げますと、平成12年度普通会計決算で見ますと、本県市町村の公債費比率は15.5%となっておりまして、平成11年度と比較いたしまして0.5ポイント減少しております。依然として、財政運営上黄信号とされております15%を超えている状況にございます。
 参考までに全国との比較を申し上げますと、全国の14.1%に対しまして本県が15.5%となっておりまして、本県の市町村の財政構造はやはり厳しい状況にあると思っております。
 県の認識でございますけれども、平成12年度の地方債の発行額につきましては、対前年度比で14.1%減少を見ておりますが、これまで発行してまいりました地方債の残高が、平成12年度末で7、619億円と前年度より0.4%増加いたしまして過去最高となっております。今後ともこの地方債の償還が続くと見込まれておりますので、公債費比率はやはり高目に推移するのではないかと認識いたしております。
 県といたしましては、今後とも市町村が健全な財政運営に努めるように、市町村の自主性・自立性を十分尊重しながら、必要な助言をしてまいりたいと思っております。
〇阿部静子委員 ありがとうございました。
 県、市町村とも大変全国の平均より高いわけでございますので、一層のその辺の御努力をお願いいたします。
 次に、男女共同参画の推進について質問いたします。
 99年6月施行の男女共同参画社会基本法を受けて、各自治体では、男女平等を実行する男女共同及び平等参画推進条例づくりが進められております。本年1月末で20都道府県、25市町村が既に策定しております。全国で半分近くの都道府県で策定済みだということは、いかに関心が高いか、それゆえに歩みも早いと言えると思います。
 しかし、その作成過程や中身につきましてはいろいろありまして、ある自治体では、中間答申時点ではとてもいい内容だったのに、議会に提案された条例案は、企業の責務は努力義務程度となり、苦情処理機関の設置も消えてしまうなど、いわば骨抜きの内容となっていたという例もあるようでございます。
 本県の場合、知事が昨年の9月定例会において、来年度できるだけ早い時期に議会提案したいと述べられて以来、精力的に進められているものと思いますし、私自身、説明会に参加してみましたが、その意気込みを確認いたしました。ただ、出席した県民の方々から、地域の関心が高まってきているから、もっと県民が勉強する時間が欲しいというような意見が述べられておりました。これらの意見は、私の参加した盛岡会場のみならず、県内各地から寄せられていると聞いております。
 そこでお伺いいたします。6月提案を明言した本県として、多くの県民の声を条例に反映し、実効ある、そして岩手らしい条例策定に向け、現在どのような取り組み状況にあるのでしょうか。私といたしましては、約束の期限は期限として、できるだけ多くの県民の参加による条例づくりとするために時間をかけてほしいと思っておりますが、いかがでしょうか。
 また、条例案づくりの県民の意見や提言の状況についてお示しいただきとうございます。
〇高橋副知事 男女共同参画推進に向けた条例の制定についてでございますが、条例制定作業の現在の取組状況につきましては、昨年12月と本年2月にそれぞれ県内5地区で説明会・意見交換会を開催いたしました。また、同時に県のホームページ上でパブリックコメントを実施いたしました。それらをやったところ、御指摘のように極めて多くの御意見・御要望をいただいたわけでございます。合わせて214件というような多くの意見・要望をいただいたわけでございまして、県といたしましては、この県民の皆さんからの意見・要望につきましては、可能な限り条文に盛り込んでいきたいと考えておりますことから、現在、これらの意見・要望を集約整理した上で、条文案に具体的に反映できるよう検討を行っているところでございます。
 条例の制定時期につきましては、すべての説明会、意見交換会の席上におきまして、もっと勉強する時間が欲しいというような御意見が強いわけでございます。したがいまして、条例制定につきましては、制定過程において数多くの県民の皆さんの参加を得ることで、男女共同参画推進の機運の全県的な盛り上がりや今後の男女共同参画推進のための大きな原動力になるものと考えております。県としては、6月という時期にはこだわらずに、県民の皆さんと十分に対話を重ねながら、理解と協力を得ながら、県民総参加型の条例づくりをしてまいりたい、そのように考えております。
 なお、県民の皆さんから出された意見・提言でございますが、このうち主なものは、制定の時期はそのとおりでございますが、条例の名称といたしましては、男女平等とすべきだという意見もございますし、男女共同参画がよいという意見もございます。また、苦情処理につきまして、条例の実効性を確保するため、苦情受け付け処理・判断をする機関を設置すべきだというような意見とか、是正勧告ができるようにという意見、また、岩手らしさということで、岩手県は農林水産県でございまして、その分野で働く女性の参画を促す意味から、条文にそういう岩手らしさを盛り込めないかというような意見等もございました。
〇阿部静子委員 県民の意見を多く入れて、岩手らしさの条例をお願いいたします。
 次に、女性就業援助事業についてお伺いいたします。
 少子・高齢化社会の進展に伴って、今後、いわゆる生産年齢人口の減少が見込まれるところです。本県にとっても、就業意欲のある女性の就業促進が課題となっているところですが、これまで県立女性就業センターでは、子育てを終えて再就職を希望する主婦の方々を初め、就業を希望する多くの女性たちを対象にさまざまな相談や情報提供を行うとともに、ワープロ、パソコン、介護サービスなどの各種講習会を実施し、技術習得の機会を提供するなどの支援事業を実施してきております。
 そこでお伺いします。今議会に当センターの廃止条例が提案されてきていますが、現下の厳しい雇用環境にあって、今後とも女性に対する就業援助は重要であると考えますが、今後どのような支援事業を展開していくのかお伺いいたします。
〇高橋副知事 女性就業センターの廃止後の対応でございますが、女性等を対象といたします就業援助事業につきましては、子育てを終えた女性を中心に、職場復帰を目指す方々のニーズが大変高いわけでございます。したがって、女性就業センターの廃止、それから国庫補助事業が終了するわけでございますが、これが平成13年度に終了した後の14年度、来年度以降におきましても、引き続き県単独でこれまでと同様の支援事業を実施することとしております。
 具体的には、技術講習につきましては、産業技術短期大学校に担当職員2名を配置いたしまして、職業能力開発のセンタースクールであります短大の人的ネットワーク等も活用しながら、県内各地において会場を借り上げ、また、希望の多いパソコン、ワープロ、介護サービスなどの技術講習を企画し、実施していくこととしておりますし、就業等に関する相談、情報提供につきましては、各地方振興局に配置しております地域雇用相談員、これは平成14年度は盛岡で1名増員することとしておりますが、この相談員が産業技術短期大学校と連携を図りながら、これまでのサービス水準を維持し、引き続き全県域で実施することにしておるところでございます。
〇阿部静子委員 ありがとうございました。
 次に、少子化対策における子育て家庭への支援についてお伺いします。
 子育ては、個人の責任のみならず社会が責任を負うという考え方は、今、社会理念として定着しつつございます。しかし、ここまでたどり着くには多くの女性たちの運動と長い時の流れがあったはずでございます。
 こんなエピソードがございます。原始女性は太陽であったという巻頭文で有名な青鞜の誌上で、1918年繰り広げられた白熱の母性保護論争です。出産・育児は個人の責任とする与謝野晶子、片や、それは社会の責任でもあるとする平塚らいてうの2人でございました。今日、子育て家庭を経済的に支援する手だてとして、児童扶養手当や児童手当などがありますが、これらは児童を養育していく上で欠かせない制度であります。
 そこでお伺いいたします。国においては、平成14年8月から、母子家庭の命綱とも言われる児童扶養手当の所得制限の改定を予定していると聞いておりますが、改定案の内容はどのようなものとなっているのでしょうか。また、改定案どおりに実施された場合の本県への影響についてですが、受給者数は現在と比較しどうなるのでしょうか。
 次に、児童手当についてでありますが、平成12年度から対象児童が義務教育就学前までに拡大されたわけですが、これにより本県の支給対象児童数はどの程度増加したのでしょうか、お示しを願います。
 あわせて、平成14年度予算における支給額の状況についてお答え願います。
 これら制度は、子育て家庭の経済支援を通じて、少子化対策を実効たらしめる重要なものです。県としてその一層の充実についてどのような対策をお考えなのかお伺いいたします。
〇高橋副知事 子育て支援についてのお尋ねでございますが、まず、児童扶養手当の改正案の内容でございます。
 現行制度では、御案内のように就労等による所得がふえるに従いまして、全部支給、一部支給、支給停止の3区分となっているわけでございます。子供が1人の母子世帯では、全部支給の場合、月額4万2、370円、一部支給で月額2万8、350円となっているわけでございますが、改正案におきましては、就労による自立を促進する仕組みとするために、就労等による収入の増加によりましてきめ細かく設定される予定となっているところでございます。具体的には、支給額については、全部支給額は、現行どおり月額4万2、370円、一部支給額については、収入の額に応じまして月額4万2、360円から1万円まで設定される予定と聞いております。また、支給対象者につきましては、全部支給対象者の収入限度額を現行の204万8、000円から130万円に引き下げる一方で、一部支給の収入限度額を300万円から365万円に引き上げることにしておりまして、全部支給対象者は減少して、一部支給対象者は拡大するというようなことでございます。
 国のこの改正案どおりに実施された場合の本県の受給者数の比較でございますが、児童扶養手当受給権者、平成14年2月末現在で、全部支給6、654人、一部支給が1、535人、支給停止959人の9、148人となっております。全部支給対象者の6、654人のうち約4、100人が現行のままでございまして、そのうち2、500人が一部支給対象者へ移行するのではないか。それから、これまで収入限度額により支給停止となっていた959人のうち、新たに約70人が一部支給対象者の方に入ってくるというように見込まれております。
 それから、本県の児童手当の支給対象児童数でございますが、市町村支給分の児童手当の支給対象児童数につきましては、手当の支給対象児童が、従来3歳未満であったものから、義務教育就学前まで拡大されたことによりまして、平成11年度の2万7、470人から、平成12年度には3万5、000人余り増加いたしまして6万3、261人となっております。
 手当の平成14年度予算の支給額でございますが、予算案として計上している県負担分につきましては、第1子及び第2子分が延べ約49万8、000人で3億3、371万6、000円、また第3子以降が延べ約11万人で1億4、939万2、000円、合計で4億8、310万8、000円となっているところでございます。
 それから、児童扶養手当なり児童手当の国への拡充の要望でございますが、これにつきましては、子育て家庭の生活の安定なり、経済的負担の軽減に大きな役割を担っているわけでございますので、北海道・東北7県民生主管部長会議から、その改善については国に要望しておるところでございます。
 また、これと非常に関連いたします母子福祉対策につきましては、国が平成15年度実施を目指して検討しているというように聞いておりますが、いずれ、この母子福祉対策についても、あわせて機会をとらえて要請していかなければならん、そのように考えているところでございます。
〇阿部静子委員 まさに児童扶養手当などは改正なんていうものではないですよね。改悪ですよ。これだけの影響があるということで、県及びその対象者たちの怒りを大きくしていかなければ、子育て、あるいは少子化問題を取り上げても、産めないような政策をつくっていっているということに大変腹立たしさを感じるわけでございます。
 それで、あと38秒しかありませんが、あと一つ用意しておりますが、それは次の項目別でやらせていただきます。
 終わります。
〇藤原泰次郎委員長 お諮りいたします。
 時間もおおむね5時に近いものでございますので、続く自由質疑は明日伺うことといたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 明日以降は毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時35分 散 会

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