平成14年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第6号2002年度岩手県一般会計に反対の討論を行います。
 反対する第1の理由は、大型開発、大規模プロジェクト優先の従来型の予算であり、その結果、県の財政危機を一層深刻にさせるものとなっているからであります。実際、当初予算では公共事業費を16.5%、362億円マイナスとしたものの、小泉内閣のごまかし補正予算、いわゆる15カ月予算で見ると、わずか31億円の減としかならないものであります。結局従来型の公共事業優先、大規模プロジェクト優先の予算となったのであります。その結果、来年度末の県債残高は、1兆3、318億円となり、県民1人当たり94万円、4人家族なら376万円の借金を押しつける財政危機を一層深刻なものとしたのであります。増田県政の8年間で、予算ベースで見れば7、328億円の借金をふやしたことは重大であります。私は、深刻な県財政危機のもとで、大規模プロジェクト、大型開発の見直し、凍結を求めました。220億円の盛岡駅西口複合施設の建設、278億円の花巻空港滑走路延長整備事業、58億円のすこやか子どもランドの建設、これらの事業には、本会議、予算審議において与党議員からも見直しを求める声が出たことは重要であります。福島県では、空港、港湾整備事業の見直しを既に行っています。港湾整備事業、県営ダム事業、大規模林道事業など不要不急の大型開発を含め抜本的に見直すよう求めるものであります。
 反対する第2の理由は、深刻な雇用危機と不況打開の対策が不十分なことであります。県内の失業者は昨年3万5、000人、失業率4.6%と発表されました。求職をあきらめている人を含めると実際はこの倍以上のものとなります。1月の県内有効求人倍率は最悪の0.37であり、全国下から4番目であります。2月末の新規高卒者の就職内定率は82.6%で724人がいまだに未定となっていることは重大であります。雇用対策で今一番大事なことは、新たな失業者を出さないことであります。アルプス電気は、3月18日発表の3月末業績予想で30億円の赤字から10億円の黒字に修正しました。これは、早期退職優遇制度による人員削減分61億円と、盛岡工場閉鎖に伴う固定資産償却の15億円、合計82億円の特別損失を含めてであります。盛岡工場閉鎖に何らの理由がないことを示すものであります。アルプス電気の一方的なリストラ計画、盛岡工場閉鎖によって、570人の従業員のうち6割の330人が退職に追い込まれたことは重大であります。アイワ岩手の工場閉鎖では531人中153人、約3割しか再就職が決まっていません。NTTの11万人を対象にした50歳で退職を強要し、賃金を3割カットする脱法的リストラも許されるものではありません。こうした大企業、誘致企業の一方的リストラ、人減らし、工場閉鎖に対して、大企業の雇用と地域経済を守る社会的責任を強く求めていくことが今必要であります。不況対策では、事業所数の99.5%、従業員数の86.5%を占める中小企業対策が重要であります。ところが県予算の中小企業対策費は金融支援を含めて687億円余で、一般会計歳出に占める比率はわずか7.9%にとどまっています。抜本的に拡充すべきであります。大型店の無秩序な出店のもとで、県内商店街は停滞している39.8%、衰退している58.3%、合わせて98.1%という状況であります。こうした状況で盛岡市前潟地区への5万平米規模のイオンモールの出店は、商店街の振興とまちづくりに重大な打撃を与えるものであり、あらゆる対策、手だてを講じて対応することが必要であります。
 反対する第3の理由は、BSE対策が極めて不十分なことであります。農水、厚労相の私的諮問機関であるBSE問題調査検討委員会は22日、報告要旨案を明らかにしましたが、肉骨粉使用禁止を行政指導で済ませた政府の対応を、重大な失政であった。BSE問題のあらゆる局面で農水省が打ち出した政策に対し、農水族議員が陰に陽に影響を及ぼしていると政官癒着の弊害も指摘しています。BSE対策で一番大事なことは、国の責任で被害農家、関連業者に被害補償を行うことであります。同時に、国待ちにならないで、県が、今農家が求めている切実な課題、廃用牛の処理対策などに今すぐ取り組むことであります。特定危険部位の処理費用を、被害を受けている農家に絶対に押しつけてはなりません。こうした点で、国に追随するのではなく、畜産県岩手にふさわしい対策を積極的に講じるよう求めるものであります。
 反対する第4の理由は、福祉、介護、医療の問題であります。乳幼児医療費助成の対象年齢を入院だけですが就学前までに拡大し、児童虐待対策で増員を図ったことは当然評価するものであります。しかし、乳幼児医療費助成も通院は今後の課題となりました。児童虐待、DV急増のもとで、体制の強化はまだ全国的には最低クラスにとどまっています。介護保険も、今年度の介護給付費は、計画に対し86%にとどまり、不用額、使い残しは88億円となっています。3年間の試算では保険料は2、500円程度となります。一方で、特養ホームへの在宅入所待機者は1、303人に急増しています。高い保険料、利用料を独自に軽減する市町村は、来年度、保険料では23市町村、利用料では22市町村に広がっていますが、県としても軽減の対策が必要であります。計画に対して不足している特養ホームの緊急増設を、待機者を解消する規模で実施すべきであります。
 反対する第5の理由は、教育の問題であります。
 全国19道府県で、来年度から独自に30人学級など少人数学級に踏み出します。ところが、岩手県では2億5、000万円余の一般財源を投入するものの、少人数学級には背を向けて少人数指導を進めようとしています。極めて残念なことであります。
 一方で、体罰事件が続いています。体罰事件に抗議した生徒に対し、死ね、学校をやめろとファックスしたとされる県立高校教諭が、22日、盛岡地検によって起訴されました。体罰、セクハラなど、教師に甘い県教委の体質が厳しく問われています。
 反対する第6の理由は、市町村合併を上から進めようとする県のあり方の問題であります。
 増田知事は、盛岡市の合併論議に関して、滝沢村が消極的なら矢巾町、紫波町と話し合ったらどうかと発言し、関係自治体から反発とひんしゅくを買いました。こうした干渉的、押しつけ的発言をすべきではありません。地方分権の最大の問題は、地方税財源を確保することであり、地方交付税の削減、減額補正の見直しに反対することであります。その上で、合併論議はあくまでも市町村と住民の間で自主的に検討されるべきものであります。
 以上が、2002年度岩手県一般会計予算に反対する理由であります。
 議案第9号、第16号、第17号は、県有林、港湾整備、県民ゴルフ場に関する特別会計予算ですが、不要不急、財政的見通しのない赤字体質を一層深めるものであり、反対するものであります。
 議案第18号は、県立病院等事業会計であります。
 県立病院は、県民の生命と健康を守る上で重要な役割を果たしていますが、医師、看護師の増員が抑えられ、補助員による食事介助の中で死亡事故も発生しました。必要な看護師等の増員、2人夜勤の解消、救急医療体制の強化・拡充は急務であります。こうした改善を求め、反対するものであります。
 議案第21号から第26号は、建設事業費の一部を関係市町村に負担させるものであり、反対であります。
 議案第45号、県税条例の一部を改正する条例は、上場株式等に係る申告分離課税の税率引き下げであり、反対であります。
 議案第47号、第55号、第60号は、県立大学、産業技術短期大学等の入学料、授業料を引き上げ、県民会館の使用料の引き上げを行い、年間1億3、543万円余の負担増を県民に押しつけるものであり、反対であります。
 以上を申し上げ、私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(谷藤裕明君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第6号、議案第9号、議案第16号から議案第18号まで、議案第21号から議案第26号まで、議案第45号、議案第47号、議案第55号及び議案第60号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立多数であります。よって、議案第6号、議案第9号、議案第16号から議案第18号まで、議案第21号から議案第26号まで、議案第45号、議案第47号、議案第55号及び議案第60号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第7号、議案第8号、議案第10号から議案第15号まで、議案第19号、議案第20号、議案第28号、議案第40号から議案第44号まで、議案第46号、議案第48号から議案第51号まで、議案第54号及び議案第58号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、議案第7号、議案第8号、議案第10号から議案第15号まで、議案第19号、議案第20号、議案第28号、議案第40号から議案第44号まで、議案第46号、議案第48号から議案第51号まで、議案第54号及び議案第58号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
日程第67 議案第89号監査委員の選任に関し同意を求めることについて

〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第67、議案第89号監査委員の選任に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。高橋副知事。
   〔副知事高橋洋介君登壇〕

〇副知事(高橋洋介君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議題第89号は、監査委員のうち、識見を有する者のうちから選任されている常勤監査委員一戸克夫氏及び非常勤監査委員及川桂子氏の任期が3月31日で満了となりますことから、常勤監査委員に一戸克夫氏を再任するとともに、非常勤監査委員に新たに谷地信子氏を選任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。

〇議長(谷藤裕明君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事議案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第89号監査委員の選任に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第89号監査委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、議案第89号監査委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
日程第68 発議案第1号県議会議員の定数等に関する条例から日程第82 発議案第15号捕鯨の早期再開についてまで

〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第68、発議案第1号から日程第82、発議案第15号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各会派共同提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第1号から発議案第15号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、発議案第1号から発議案第15号までは、原案のとおり可決されました。
日程第83 発議案第16号有事法制の整備反対について

〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第83、発議案第16号有事法制の整備反対についてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。小原宣良君。
   〔36番小原宣良君登壇〕(拍手)

〇36番(小原宣良君) 社会民主党の小原宣良でございます。
 ただいま議題に供されました発議案第16号につきまして、提案理由の説明を申し述べます。
 現在開会中の第154通常国会開会冒頭、小泉首相は施政方針演説において、今国会での有事法制の制定を明言いたしました。今、なぜ有事法制を必要としているのでしょうか。
 我が国はこれまで、外国から攻め込まれない平和な環境をつくることに努力し、その上に多くの原子力発電所なども存在してきたのではないでしょうか。
 この有事法制の研究は、1977年福田内閣の当時、研究することにとどめるとし、法制化しないことを前提に始まったものであります。
 1981年には、防衛庁所管にかかわる自衛隊の行動に関する法制、いわゆる第1分類が公表されました。1984年には、他官庁所管の第2分類の検討内容が公表されているものであります。
 この第1分類で検討課題となったのは、主に自衛隊法第103条であります。この条項は、自衛隊が防衛出動を命じられた場合、物資の収容と、一定の業者や労働者を徴用できるとされているものであります。しかし、必要な手続と医療、土木建築工事または輸送に従事する者の範囲は政令で定めるとされていることから、この政令をどう定めるかが検討の対象となってきました。この点に関する防衛庁の検討内容は、自衛隊が軍事行動を行っている地域では、防衛庁長官または現場の自衛隊責任者の要請に基づいて都道府県知事が病院などの施設の管理、土地の使用、物資の収容ができるとしておりますが、緊急の場合は、防衛庁長官または現場の自衛隊責任者がその措置を行うことができるとしているものであります。
 第2分類では、道路法、海岸法、河川法、森林法、自然公園法、建築基準法、医療法、墓地埋葬等に関する法律などが検討対象として挙げられております。これらは、部隊の移動、輸送に当たって、管理者の承認なしの通行の確保、海岸等における管理者の承認なしの部隊用建築物の構築、野戦病院の設置、戦死者を部隊が埋葬等を行うための措置などであり、いずれも超法規的特例措置を講じようとしているものであります。
 第3分類は、ことし1月に概要が明らかにされたものでありますが、その内容は、有事における住民の保護、避難または誘導を適切に行う措置、有事における民間船舶及び民間航空機の航行の安全を確保するための措置、有事における電波の効果的な使用に関する措置などであります。特に、住民の保護、避難または誘導などは、まさに市町村に直接関係する事項であります。
 こうしたことから、発議案にもあるとおり、今、法案提出に向けて小泉内閣が検討している武力攻撃事態への対処に関する法整備、いわゆる有事法制の整備は、日本国内が戦場になることを想定したものであることは明らかであります。まさしく、この有事法制の整備は、知事や市町村長の権限を超法規的に侵害または無視するものであり、到底認めることはできません。しかも、地方自治体の意見を全く聞かないまま、準備が進んでいることも強く指摘をしなければなりません。
 今、求められているのは、日本国内が戦場となることを前提とした有事法制の整備ではなく、日本が再び軍事大国の道を歩まない、平和国家であることのあかしを明確に示すことであります。そのための平和外交や友好親善を基本とした諸政策の推進こそが、まさに今求められているものであります。地方自治体においても、地域福祉にとって絶対的前提条件である平和を限りなく求めていくべきであります。よって、武力攻撃への対処に関する法制整備を直ちにやめ、有事の発生を未然に防止するための平和外交など、平和政策の推進に努めるよう、国に対し強く求めるものであります。
 以上で、提案理由の説明を終わります。議員各位の御賛同を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。御清聴ありがどうございました。(拍手)

〇議長(谷藤裕明君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております発議案第16号有事法制の整備反対については、会議規則第34条第2項の規定により、委員会の付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、発議案第16号有事法制の整備反対については、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
 これより討論に入るのでありますが、通告がありませんので、討論なしと認め、討論を終結いたします。
 これより、発議案第16号有事法制の整備反対についてを採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立少数であります。よって、発議案第16号有事法制の整備反対については、否決されました。
日程第84 発議案第17号乳用等廃用牛対策の強化に関する決議

〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第84、発議案第17号乳用等廃用牛対策の強化に関する決議を議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております案件は、各会派共同提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第17号乳用等廃用牛対策の強化に関する決議を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、発議案第17号乳用等廃用牛対策の強化に関する決議は、原案のとおり可決されました。
   閉 会

〇議長(谷藤裕明君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第13回県議会定例会を閉会いたします。
   午後3時21分 閉 会

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