平成14年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇5番(柳村岩見君) 議席番号5番、自由民主クラブ、柳村岩見でございます。
 先輩、同僚議員の皆様の御配慮によりまして、一般質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。
 それでは、通告に従い順次お尋ねいたします。
 岩手県の平成14年度一般会計当初予算規模は8、680億2、200万円と編成され、今定例会に提案されているところであります。この予算案は、前年度当初比347億円減であり、下げ幅3.9%は、過去最大でありました平成10年度予算のマイナス3.8%をも上回る大幅減であります。大きな要因は、歳入で前年度に比べ県税収入が約142億円、11.3%減、国庫支出金が約142億円、8.1%減、地方交付税約46億円、1.7%減であり、このため、財政調整基金、県債管理基金、公共施設等整備基金の主要3基金から約280億円取り崩し資金を調達する一方、県債発行額を対前年度比1.5%に減じ県債残高を抑制いたしております。
 歳出では、公共事業を除く1、961事業を事務事業評価し、229事業を休止、廃止、縮小し、公共事業を新規着工前年度比26カ所を減らすなどして財源不足に対応しております。
 そこで知事に伺いますが、平成14年度一般会計当初予算が岩手県民にとってどういう予算となったかについて、その御認識をまずお尋ねいたします。
 次に、地方交付税等の見直しによる市町村財政への影響についてお尋ねいたします。
 地方公共団体の財源を調整する地方交付税は、長引く景気の低迷により、その原資となる国税5税の税収が伸び悩む中、景気対策などに伴う歳出の増加により地方財源の不足額は膨張の一途をたどってまいりました。平成8年度以降、連続して普通交付税の額が地方公共団体について算定した額の合計額と著しく異なる状況となり、地方交付税特別会計による資金運用部等からの借り入れや、その制度の継続措置がとられてきたところであります。
 ここに来て、地方交付税の見直し論議の高まりが顕著になってまいりました。2月8日には、平成14年度の地方財政計画に地方交付税の見直しや地域総合整備事業債の廃止が盛り込まれたほか、小規模自治体に傾斜配分される交付税の割り増し措置、段階補正を見直す内容で閣議決定がされております。具体的に総務省は、段階補正の見直しで人口4、000人では交付税5、500万円の削減等を内容とする方針を示しており、制度改正を今国会に提出する地方交付税法改正案に盛り込むとしております。このことが県内市町村財政を直撃し、各市町村の平成14年度予算編成に大きな影響を与えたものと考えます。
 そこで、交付税の段階補正の見直しや地域総合整備事業債の廃止等が市町村財政に与える影響についてお尋ねいたします。
 次に、県の当初予算における主要3基金の今後の見通しについてお尋ねいたします。
 県には、数多くの積立基金がありますが、法に定められたものを初め、それぞれの積立目的があります。ここでは、いわゆる予算編成上最も関係深い財政調整基金、県債管理基金、公共施設等整備基金の主要3基金についてお尋ねいたします。
 平成14年度一般会計当初予算編成では、主要3基金から合計280億円を取り崩しております。これは平成13年度に213億1、500万円を取り崩しており、2年間で493億円の取り崩しであります。この主要3基金は、現在のような歳入不足の場合に使われるものと承知はいたしておりますが、平成12年度末残高が1、139億5、900万円であったものが、平成14年度末残高661億8、700万円となる見込みであります。
 一方、平成14年度の積み立てでは、財政調整基金は法で定められている剰余金の2分の1の積み立てを含め4億300万円の積み立て、県債管理基金、公共施設等整備資金は基金利息積み立てのみの合計5億3、700万円程度となっております。仮に、今後2カ年の予算編成で今回同額の取り崩しをしたとしたら、この主要3基金の積立額は100億円程度となってしまいます。
 かかる状況から、主要3基金の取り崩し、積み立ての考え方と今後の見通しについて御見解をお尋ねいたします。
 次に、雇用対策についてお尋ねいたします。
 県はこのほど、平成14年度から3カ年を見通した岩手県総合雇用対策を発表いたしました。それによりますと、国、県が創設した緊急地域雇用創出特別基金事業、県の産業支援事業、国の雇用創出関係助成金制度の活用により、臨時の雇用を含め3年間で2万1、000人の雇用創出を目指すとしております。
 県は、平成14年度一般会計当初予算編成で雇用対策に重点を置いているとしており、その内容は事業数35と予算で最も手厚く措置されております。県と市町村の緊急雇用創出特別基金事業でありますが、県と市町村合計で233事業、19億2、100万円と発表されております。内訳は、県分が31事業、11億2、100万円、767人の雇用、市町村分は202事業、8億円、931人の雇用事業が採択されました。この過程で市町村から要望された事業は合計581件、24億7、800万円でありました。要件に該当しないとして不採択となった事業は291事業、10億8、800万円となっております。
 配分が不均衡とならないよう、1市町村当たりの事業費等調整を図ったとされ、現在失業給付を受けて職を探している方々が、そのまま給付期間が満了に至ることを懸念し、今後のこともあると考えておられるようであります。もともと市町村枠は設定しないとして、市町村に期待感を持たせた上のことであり、県と市町村の信頼関係を心配するところであります。市町村への要望が急であったことや、要件の厳しさがあったこと等考えられますが、どのように受けとめておられるか、今後の事業展開とその考え方についてお尋ねいたします。
 次に、起業化支援策についてお尋ねいたします。
 平成12年度に岩手県内から撤退、工場閉鎖をした誘致企業は13社、今年度は既に24社となり、大半が縫製業、電子機器製造、精密機械などの労働集約型の企業となっております。岩手郡内の状況では、佐田巣子サテライト、アルプス電気システム機器事業部盛岡工場が撤退するほか、盛岡セイコー工業は希望退職者を募集するとしております。失業による従業員の生活苦はもちろんのこと、地域経済に及ぼす影響は甚大なものがあります。
 盛岡セイコー工業は、時計部門では世界一の製造ラインを自負している工場でありますし、アルプス電気盛岡工場は、研究開発部門を有し、アルプス出身というのが岩手県内の中小ベンチャー経営者の間によく使われるまくら言葉となっております。現に、元アルプス電気盛岡工場従業員が、盛岡、西根町内において起業して、多くの新産業や雇用を生み出してきております。
 県では平成14年度にベンチャー企業に資金提供し、株式公開に向けて支援するベンチャーファンドの設立を目指すとしております。地元企業や投資会社から100社を上限として出資を募るとのことでありますが、その事業化への取り組み状況、起業化支援策の全容についてお尋ねいたします。
 アルプス電気システム機器事業部盛岡工場は、約570人の従業員を福島県と新潟県の工場に配置転換し、本年5月中に工場を閉鎖・撤退すると本年1月8日に正式発表いたしました。以来、玉山村を初め、関係市町村、議会等による工場存続要請が行われてまいりましたが、2月18日、当初の計画どおりの実施に労使間の最終合意を見るに至りましたと回答があり、工場存続の一縷の望みが消えたのであります。今後、3月15日をめどに個々の従業員との意向調査のための面談が行われる予定と聞いておりますが、全員が配置転換できるとは考えにくく、再就職先の確保等の対策が求められるところであります。
 関係5市町村並びに関係機関は、1月28日にアルプス電気株式会社システム機器事業部盛岡工場閉鎖問題対策委員会を設置して、問題点への対策を講じることとしておりますが、従業員の意向に係る情報収集など、県、同委員会の今後の対応についてお尋ねいたします。
 次に、市町村合併についてでありますが、県は平成12年5月、住民の日常生活の動向や市町村を取り巻く厳しい財政環境を踏まえ、それぞれの地域で望ましいと考えられる広域行政の方向性についての情報を提供し、市町村の行政体制のあり方について広く県民の皆さんが議論するためのたたき台として、岩手県広域行政推進指針を策定いたしましたが、以来約2年になろうとしております。この間、大船渡市と三陸町が合併。今日では多くの地域において議論が活発に行われております。
 民間情報機関の最近の調査によりますと、県内58市町村のうち、合併を具体的に検討している自治体は19市町村に上っており、公表はしていないが、首長が個人的に考えているとした17市町村と合わせますと36市町村、全体の62.1%が合併を検討しているという結果が出ております。これは、広域行政推進指針が示されたことにとどまらず、平成17年3月の時限立法となっている合併特例法の存在や、今般の地方交付税制度の見直しが地方にとって厳しい内容になっていること等が背景になっていると考えますが、いずれにしても、住民・自治体がみずからの進むべき方向と手段を考えることは大事なことであり、歓迎される状況と思います。
 一方で、平成12年の国勢調査で5万人を超えた全国の7町村の動向を見ますと、滋賀県栗東町と千葉県白井町が昨年度市制を施行いたしました。茨城県守谷町が本年2月市制施行、沖縄県豊見城村、千葉県富里町の両町村は4月1日より市制施行することになっております。ほかに、広島県の広島市と隣接する府中町では、町長が単独市制を目指すと表明し、住民アンケートを踏まえ、3月中をめどに合併か単独市かの結論を出す方向ということであります。
 人口5万人を超える全国七つの町村の中では、滝沢村が取り残された形でもあり、踏みとどまっている状況でもあります。
 市制施行条件の公共機関数についてはしばしばマスコミに報道されるところではありますが、自治法に定められている市制施行条件と、このことに関する各県の条例はそのとおりでありますが、市制施行した町村は、公共機関数のカウントで駅二つをプラスして一公共機関とする計算方式の存在等を含め、まともに公共機関数をクリアして市制施行したわけではありません。総務省の見解も含め、取材の深みが望まれるところであります。
 増田知事は、岩手県町村会主催の知事を囲む懇談会で、国は地方交付税の見直しなど兵糧攻めで、あの手この手で進めようとしていると批判。地域間の事情や歴史的経緯を踏まえる必要がある、全県で一律に進めるのではなじまないと述べ、地元判断を尊重する姿勢を示されております。また、定例記者会見では、盛岡、滝沢、矢巾の3市町村の合併問題について、盛岡市を初め周辺町村の首長、議会、地域住民はもっと議論を前向きにするよう関係をつくっていただきたいと述べる一方、そのために地方振興局も協力するにやぶさかでないと語っております。最終的に知事は、平成14年度が合併議論を進める上で大事な年ですとして、合併機運を醸成するよう県のかかわりをもっとはっきりしたいと、これまでの地域の自主性を尊重するとしてきた方針を積極方針に転換されました。
 いろいろ市町村合併の背景を申し上げてまいりましたが、高まってまいりました合併議論に対する考え方として、もともと合併は何人のために行うものであるとお考えでしょうか。また、先ほどから申しておりますように、5万人以上の町村はおおむね市制施行していることと、さらに、自治法や県条例の市制施行要件と現実とのギャップ感があると思いますが、御所見をお尋ねいたします。
 また、この8月と言われる盛岡市が策定する盛岡広域6市町村ビジョンの進捗状況、国が新しい合併指針を出すことや合併推進月間の設定、各都道府県でのシンポジウムの開催などの推進施策を展開すること等を踏まえ、岩手県の推進策についてどのように考えておられますか、お尋ねいたします。
 次に、国際交流の推進についてお尋ねいたします。
 現代社会における人、物、資金、情報の交流は、冷戦構造の終結、開発途上国の経済発展、貿易投資の自由化、交通の発達、情報通信手段の発達によって、その規模を地球規模に拡大し、加速化しております。この結果、昨年9月の米国における同時多発テロ事件やBSE問題に見られるように、世界は協力してこれを乗り越えていかなければならない問題が多くなってまいりました。
 また、身近なところに目を向けますと、県内の外国人の数も年々増加しており、最近は、語学指導のため多くの学校に外国人教師が配置されたり、外国人留学生、研修員も増加し、国際化の進展を肌で感ずるようになってまいりました。このように、岩手県に住んでいる私たちにとっても、世界は仕事においても、生活においても密接に結びつく時代となりました。岩手県としては、積極的に地域から世界と交流し、世界とともに歩んでいくことが必要となっているものと考えるものであります。
 このようなグローバル社会の到来を迎えて、知事は、国際交流を展開していくためにどのような基本的考え方で、どう取り組まれようとしておられるかお尋ねいたします。
 次に、並行在来線対策についてお尋ねいたします。
 東北新幹線盛岡-八戸間が開通する時点でJRより分離される並行在来線は、第三セクター・IGRいわて銀河鉄道株式会社によって経営されます。いわて銀河鉄道は経営計画の中で、新駅設置が効果的として、開業3年以内に特に需要が見込まれる地点に二つの新駅を、開業10年以内にはさらに二つの新駅設置が望ましいとしております。滝沢村では、以前より巣子地区への駅設置要望が高く、村長の選挙公約でもあったことから、平成9年度に駅設置の技術上の調査、平成10年度に総合的な調査を実施し、その可能性を検討してきた経緯があります。
 平成13年12月、滝沢村議会定例会において、仮称巣子駅について平成14年度から具体的に事業着手する考えが示されました。今年1月27日には、仮称巣子駅の3候補地を示し、住民説明会を開催、周辺3自治会のおのおの10名ずつの30名による住民の視点で新駅を検討する巣子新駅設置検討委員会を設置することを決め、委員会において候補地の絞り込みや駅のあり方を検討していくこととされました。その委員会の初会合が2月23日開催され、3月までに新駅候補地を絞り込んで、早ければ4月に村長に設置場所を提言すると聞いております。
 村では、平成17年度開設を目指しており、駅設置は国土交通省の認可が必要なこと等を考えますと、どういう事業スケジュールが望まれるかについてお尋ねいたします。新駅設置場所の条件には、利便性や収益性のほかに安全性の面も重要と考えられますが、鉄道会社として上げられる条件等があればお尋ねいたします。
 新駅設置は地元負担によって建設されるわけですが、今日の自治体財政を考えますと、駅機能のみならず、まちづくりの観点を含め広い意味で県や国の支援策が求められるところであります。その支援策と御決意についてお尋ねいたします。
 IGRいわて銀河鉄道は、厳しい経営状況が予想され、開業後30年間に約60億円の設備更新に備えるとともに、適正な運賃水準を維持しながら経営の安定化を図るための積立貯金として、基金の設置・造成が必要とされております。その基本的な方針と作業がどういう段階になっておられるかお尋ねいたします。
 鉄道事業許可申請がおくれていると思いますが、その原因と申請の見通しについてお尋ねいたします。
 次に、国道4号茨島以北の道路整備についてお尋ねいたします。
 国道4号茨島跨線橋以北の拡幅改良整備、いわゆる4車線化につきましては、盛岡以北住民の悲願であるばかりではなく、県としても重要課題であるとしております。現在、茨島跨線橋の4車線化工事が新幹線開業に合わせて平成14年度完成を目指して鋭意工事が進められているところであります。この工区に接続する茨島から分レまでの区間の整備のあり方については、整備主体である国が、国道4号盛岡滝沢道路懇話会を設置するとともに、地元のまちづくりの視点から意見・提言をいただくため、地域住民と滝沢村・議会等を構成メンバーとする巣子地域まちづくり協議会との協議を重ねるなど、計画策定に向けて岩手県内初のPI方式による地域との合意形成を図ってきたところであります。
 つきましては、その後の計画策定の状況と今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 次に、木賊川遊水地建設の見通しについてお尋ねいたします。
 滝沢より盛岡市の市街地を流れる木賊川は、川幅が狭く深さも浅いため、大雨によりたびたび洪水被害を起こしてきております。また、上流で合流する普通河川巣子川周辺の宅地化が進んだことにより、短い時間に一気に流れ込む雨量が多くなっていることから、河川南に位置するみたけ、月が丘、青山地区に大きな洪水被害が予想されております。
 このことから県は、木賊川基幹河川改修事業として、昭和61年度から河道改修と遊水地を組み合わせた改修事業を進めてまいりました。河道改修の面では、近年、当該地域、とりわけ下流河道隣接の開発等により住家の連担が見られ、改修が難しくなってきているほか、開発計画があることから、これらの調整を図る必要など、計画の見直しが求められていると考えます。
 そこで、平成7年度に地域住民に工事説明をし、用地測量を実施した以降から今日までの木賊川基幹河川改修事業の経過と、見直しが必要であればそのポイント、見直しのスケジュール、遊水地第二池の工事着手の見通しについてお尋ねいたします。
 申し上げるまでもなく、この事業は住民の利便性を向上させるための事業というよりは、住民を危険から守るという事業であります。取り組みの決意につきましてもお尋ねいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 柳村岩見議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、平成14年度当初予算に対する認識についてでございます。
 当初予算編成を取り巻く環境は、景気低迷による税収の不足に加えまして、国の構造改革の推進に伴います地方交付税の見直しや公共事業の削減など、財源の確保が極めて厳しい状況にございました。このため、歳出全体は大幅に抑制せざるを得ませんでしたが、限られた財源の重点的、効率的活用を図る観点から、予算編成を行うことといたしまして、政策評価システムによりまして、緊急かつ重要な課題として定めた8項目の重点化施策、事業を優先的に実施をすることとしたところでございます。
 主なものとしては、喫緊の課題でございます雇用対策やBSE対策はもとより、木質バイオマス資源などの新エネルギーの利活用推進、健康いわて21プランを基本とする県民の健康づくり促進やいわて子どもプランに基づく少子化対策、国内外との医療情報ネットワークの構築、義務教育入門期を支援するすこやかサポートの推進、さらには、港湾などの物流拠点と高規格幹線道路を結ぶ物流支援道路の整備などが挙げられるところでございます。また、公共事業につきましては、地域経済への影響に配慮し、今議会に提案してございます、国の補正予算に呼応した2月補正予算とあわせて、いわゆる15カ月予算として一定の事業費を確保することとしたところでございます。平成14年度当初予算は、財源の確保が難しい中にございまして、こうした予算編成により、生活者と地域の視点に立ち、新しい岩手づくりを進めるための施策に重点的に対応できたものと考えております。
 次に、市町村合併についてでございますが、まず合併は何人のために行われるかと、こういうお尋ねでございますが、市町村合併につきましては、住民の皆さんが地域において徹底的に議論を尽くした結果として、これは自主的に選択されるべきものと考えておりますけれども、市町村合併によりまして、市町村の行財政基盤を強化して自立性を高めていくことは、地域住民の皆さんにとって、多様化、高度化する行政ニーズへの的確な対応、より質の高い行政サービスの提供につながりまして、さらには地域の新たな活力を引き出し、魅力を増していくことが期待できるものでございまして、大きな意義があるものと考えております。
 また、5万人以上の町村の市制施行に関するお尋ねにつきましては、地方自治法におきましては、市は、経済的、社会的にその周辺を含む地域の中心地としての機能を有すること、また、町村と区別して、特に重要な事務を処理しなければならない責任に対応し得る規模と能力を備えることが必要であるという基本的な考え方から、人口要件に加えて中心市街地形成要件などが設けられておりまして、県条例におきましてもこうした地方自治法の趣旨を踏まえて、都市的施設などの要件を定めているものでございます。一方で、合併特例法におきましては、今申し上げました市制施行要件についてもさまざまな特例が設けられているところでございますが、本県では地方分権の一層の推進や自主的、主体的な市町村合併の推進などの時代の要請、社会経済的な状況などを踏まえて、法律、そして条例の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
 次に、国際交流の推進でございますけれども、さまざまな分野でグローバル化が急速に進展をしております現在、それぞれの国や地域、さらには一人一人が地球的視野に立って、お互いの多様性や文化的な差異を認め、世界の人々と共生していくという考え方に基づいて、個人や地域を基礎とした参画と連携が地球規模で広がっていくことが重要であると考えております。このような理念を踏まえて、昨年の3月、世界に広がり、世界から集い、地球社会と共生する岩手と、これを目標とする国際交流・協力計画を策定して、地域からの国際交流を推進することとしたところでございます。こうした地域からの国際交流は、さまざまな国の地域と直接に触れ合うことによりまして、自分たちの地域の文化が持つ長所や特性をしっかりと認識し、新たな発見や魅力ある地域づくりにつながるものでございまして、また、国同士の外交では実現できないきめの細かい交流を可能とし、人間同士の強いきずなをつくり、ひいては、平和で豊かな地球社会の形成にも貢献する重要な意義を持っているものと考えております。
 また、このような地域からの国際交流を進めるに当たりましては、長期的、継続的に多様で多彩な交流を積み重ねていくことが大切であると考えております。このため、これまでも国際理解教育の実施などによる地球市民の育成や、外国人が暮らしやすい地域づくり、世界の諸地域との交流によるネットワークづくりなどを行ってまいりました。平成14年度におきましては、新たに、世界の結いづくり事業として中国、韓国との結びつきを深めるための交流行事の開催や、県内の学校で外国語指導に従事している外国青年が地域の国際交流活動へ積極的に参加しやすくするための紹介事業のほか、本県で研修した海外研修員OBが母国で結成するいわて同窓会の設立支援などを行うこととしておりまして、このような取り組みを通じて、今後とも本県と世界の諸地域とのネットワークの形成に努め、県民主体の草の根の国際交流を推進してまいりたいと考えております。
 次に、並行在来線の新駅設置についてでございますが、現在、滝沢村におきましては地域住民の皆さんも参加をして巣子地区への新駅設置に向けた検討を進めていると伺っておりまして、また、一昨日、盛岡市も青山地区への新駅設置を表明いたしました。こうした新駅設置の実現に向けた取り組みは、住民の利便性の向上とともに、地域の視点に立ったまちづくりにつながるものでございまして、あわせて、いわて銀河鉄道の利用者の増加にも大きく寄与するものであると評価をいたしております。県におきましても、地域が主体となった新駅設置の取り組みを促進するために、新駅の整備に係る技術的な支援や国庫補助制度の導入に対する支援など、できる限りの支援策を講じることによりまして、経営計画概要に盛り込まれた開業から3年以内の2駅設置の実現に努めてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) まず、地方交付税等の見直しによる市町村財政への影響についてでありますが、まず、平成14年度の段階補正見直しの影響につきましては、具体的な算定は今後の作業となりますけれども、総務省の目安を本県市町村に単純に当てはめますと、平成14年度の段階補正見直しによる地方交付税の減少影響額は49市町村で8億円程度と想定されるところでございます。
 また、地域総合整備事業債につきましては、平成13年度をもって廃止されることとされておりますけれども、今年度中に基本設計の実施など事業に着手しているものにつきましては、従前どおりの財政措置が講じられることとされておりまして、県において各市町村に対する情報提供に努めました結果、市町村によっては事業計画の前倒しなどで対応していることから、当面、県内市町村におきましては特段の影響は受けないものと見込んでおります。
 各市町村においては、これらの制度の見直しを受けまして、今後さらに行財政運営の効率化や事業の厳選、重点化などに取り組むことが求められることになるものと考えられますが、県といたしましては、引き続き見直し内容等についての情報収集に努めまして、各市町村の行財政運営の実情等に応じた助言を行うなど、必要な対応に努めていきたいというふうに考えております。
 次に、県の合併推進策についてでございますが、盛岡市の策定する盛岡広域6市町村ビジョンにつきましては、今年度中に圏域の自然条件や社会条件等の現況の把握と課題の分析を行い、それらをもとに本年8月ころにはビジョンを策定いたしまして、住民に公表するというスケジュールで作業を進めていると伺っております。
 また、国におきましては、先月21日に開催されました政府の市町村合併支援本部会議での議論を踏まえまして、3月中には総務省から県に対し新たな指針を通知する予定と聞いておりますけれども、県といたしましては、平成17年3月の合併特例法の期限を見据え、ことし1年はこれからの市町村行政のあり方を決める重要な年となるものと考えておりまして、それぞれの地域における議論が、住民の皆さんの参加によって、より一層の広がりとなるよう、市町村に対しまして、住民の判断材料となる情報を積極的に提供していただくよう促すとともに、県といたしましても、住民の皆さんができるだけ身近な問題としてとらえられますように、具体的かつ客観的な情報を提供するほか、地域での取り組みの状況に応じまして、地方振興局を中心に、より積極的に議論に参画していくなど、県としての役割を適切に果たしてまいりたいと、このように考えております。
 次に、並行在来線対策についてでございますが、まず、新駅設置に向けた作業スケジュールにつきましては、駅の設置に必要な用地の取得、施設の詳細設計及び建設工事等を行うための期間を勘案いたしますと、開設目標時期のおおむね2年前には、国から新駅の設置認可を受けておくことが望ましいというふうに考えております。したがいまして、平成17年中の新駅設置を目標とした場合には、本年5月ころまでには村当局が設置場所の選定を行いまして、秋ごろまでには駅施設の基本計画を策定し、その後基本設計を行った上で、いわて銀河鉄道が平成15年の早い時期に国の認可を受けるための手続に入ることが望ましいというふうに考えております。
 また、新駅設置場所につきましては、列車運行の安全性の確保の面から、線路の勾配やカーブの程度が鉄道関係法令に定める基準内であることや、設置場所の高低差が少なく、周囲からの見通しがよいことなどが挙げられておりまして、さらに加えて利便性の面からは、駅までの円滑なアクセスと駅前広場、駐輪場等のスペースが確保できることが望ましいというふうにされております。
 また、並行在来線に係る基金につきましては、経営計画概要に盛り込まれました将来の車両や大規模な施設・設備更新と運賃水準の激変緩和に充てるため、県と沿線市町村が出資する基金の設置、造成が必要なことから、昨年7月以降、沿線市町村との協議を進めてまいりましたが、基金の必要性については共通認識が得られたところでございまして、現在、基金造成の規模や負担のあり方について検討を進めている段階となってございます。今後とも、開業後の安定的な経営を確保するため、沿線市町村との緊密な連携を図りながら、できるだけ早期に基金の方向性を取りまとめたいと、このように考えております。
 また、鉄道事業認可許可申請につきましては、いわて銀河鉄道では、昨年10月以来、国土交通省との間で許可申請に向けての事前調整を行ってきたところでありますが、申請に当たっては、JR貨物との線路使用条件に関する調整や、青い森鉄道及び青森県との列車のプール運行に伴う調整等、多くの関係者との協議が必要でございまして、これらの協議に相当の時間を要したというふうに聞いております。現在、許可申請に必要な書類の作成は終了しておりまして、申請書の受理に必要な国土交通省による申請内容の確認を待って許可申請を行う予定と、そういうふうに聞いております。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) 財政調整基金など主要3基金についてでありますが、県におきましては、国、地方を通ずる厳しい財政状況にあって、本県財政の将来を見据え、健全化に配慮した財政運営を行っていくため、平成11年度に中期財政見通しを策定し、歳出規模の抑制や県債依存度の縮減、主要3基金の残高の確保などの目標を定めたところであります。この中で、これらの3基金につきましては、それぞれの設置目的に沿って取り崩しや積み立てを行うこととし、平成17年度末では300億円程度の残高を確保することとしております。御案内のとおり、平成14年度当初予算におきましては、280億円を取り崩すことといたしましたが、平成14年度末残高は約662億円と見込まれ、中期財政見通しで想定した550億円を約100億円上回る見込みであります。しかしながら、現下の経済情勢や国の構造改革の動向等も考えますと、財源の確保は一層厳しさを増していくものと見込まれておりますことから、今後の財政運営に当たりましては、的確な歳入の見積もりに基づき、それに見合う規模となるよう歳出を抑制し、歳入と歳出のギャップを可能な限り縮小していくとともに、これら3基金についても計画的な運用によって、残高の確保を図っていく必要があるというふうに考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕

〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、緊急地域雇用創出特別基金事業についてでありますが、平成14年度当初予算に計上した市町村事業は、202事業、8億円であります。このたびの市町村配分に当たりましては、市町村間に大きな偏りが生じないよう、国の採択基準に加え、1事業当たり1、000万円以内、各市町村への配分額の上限を委託事業、直接実施事業それぞれ2、000万円以内、1事業当たりの新規雇用失業者が3人以上という基準を設定したところであります。今後、厳しい雇用情勢が続くことが予想される中にあって、この事業は、地域の失業者の状況を把握しながら実施していくことが求められますので、住民に身近な行政を担う市町村に今後シフトしていくこととしております。したがいまして、今後の補正予算対応を視野に入れながら、市町村に対するヒアリングを実施し、工場閉鎖等により雇用環境が悪化している地域に重点的に配分するなど、地域の実情に配慮した事業展開に努めてまいります。このような県の考え方につきましては、さきの市町村雇用担当課長会議におきまして、各市町村にお伝えし、地域の実情に即した基金事業の実施をお願いしたところであります。
 次に、起業化支援策についてでありますが、創業者が事業を立ち上げていくためには、経営能力の習得や事業の立ち上げに対する継続的な支援が求められております。このため、県といたしましては、起業家精神やビジネスプランの作成方法を学ぶいわて起業家大学や、創業準備を専門家がマン・ツー・マンで指導するいわて起業家大学院を開設するとともに、インキュベート施設において、創業から技術開発、販路開拓までの一貫した支援を行い、円滑な創業と早期の自立を促進してまいりたいと考えております。
 また、ベンチャー企業を支援するいわてインキュベーションファンドにつきましては、投資後の経営支援に重点を置いた地域密着型のファンドとして運用していくことが必要であり、運営のかなめとなるベンチャーキャピタルの確保につきましては、目下、経験とノウハウ、実績を有するベンチャーキャピタルと交渉中であります。さらに、ファンドへの出資者につきましては、県内の経済界、産業界から広く募ってまいりたいと考えておりまして、現在、地元金融機関や主要企業に対しましてファンド設立の趣旨の説明と出資の要請を進めているところであり、平成14年度の早い時期の設立を目指してまいりたいと考えております。
 次に、アルプス電気盛岡工場の閉鎖に伴います今後の対応についてでありますが、盛岡工場の閉鎖につきましては、去る2月15日に労使間で合意に至った旨、会社側から報告を受けたところであります。しかしながら、工場の閉鎖は、従業員の配置転換を前提としてはいるものの、配置転換に応ずることができず退職せざるを得ない従業員も見込まれますことから、県としても企業に対して、配置転換に当たっては従業員一人一人の家庭の事情等を十分考慮するとともに、やむなく退職する従業員に対しては、企業みずからの責任として再就職支援に当たるよう強く要請しているところであります。
 また、工場跡地への代替企業の導入や、現在行われている個別面談の結果等を踏まえながら、地元に残ってみずからの技術を生かしていきたいという技術者に対する支援についても、地元の対策委員会と連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長竹内重徳君登壇〕

〇県土整備部長(竹内重徳君) まず、国道4号茨島以北の道路整備についてでありますが、盛岡市茨島から滝沢村分レまでの区間約3.6キロメートルの4車線化につきましては、計画に対する意見提言機関として設置されておりました盛岡滝沢道路懇話会から、昨年3月、国に対して、その整備のあり方に関する提言がなされております。この提言の主な内容は、松並木の続く区間につきましては西側に2車線をセパレートする案、それを基本とすること、そして巣子地区の現道拡幅区間につきましては、地元の巣子地域まちづくり協議会からの提言を尊重した道路計画とすること、こういったことが骨子となっております。現在、国土交通省は、これらの提言を受けまして、周辺の自然環境と調和を図りながら、事業化に向けて具体的な改良計画の策定を進めているところでございます。県といたしましては、できるだけ早い時期に都市計画決定に関する手続を進められるよう、また、早期に事業に着手できるよう国に強く要請をしてまいります。
 次に、木賊川遊水地建設の見通しについてでありますが、木賊川の河川改修は、遊水地と河道改修の組み合わせによって治水対策を行うものでありまして、現在の計画では遊水地の面積が37.7ヘクタール、河道改修の延長は遊水地から北上川合流点までの4.5キロメートルとなっております。平成7年度に地元の皆様方に工事計画の説明会を行って以来、用地測量や環境調査及び遊水地の概略設計などを進めてきておりまして、平成10年度から遊水地内の一部の土地の買収を行ってきたところでございます。一方、遊水地予定地での環境調査を継続する中で、計画区域において貴重な動植物が確認されましたことから、遊水地の縮小など環境に与える影響を最小限にする配慮が必要となっております。また、遊水地下流の木賊川の沿川におきましては、市街化が相当進展しておりますことから、河道計画の見直しが必要となっておりますので、この環境関係調査がまとまり次第、極力早い時期に、この遊水地を含めた木賊川の河川整備計画の見直しにつきまして、地域の皆様方に参加をいただいて河川懇談会を開催いたしまして、その御意見を伺いながら、変更計画を取りまとめる予定としておりまして、これからも地元、市・村の御理解と御協力をいただきながら、鋭意事業の推進に取り組んでまいる考えでございます。

〇議長(谷藤裕明君) 次に、小野寺好君。
   〔22番小野寺好君登壇〕(拍手)


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