平成14年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇7番(吉田昭彦君) 平成14年2月県議会定例会において、自由党会派の一員として一般質問を行うに当たり、去る2月10日に御逝去されました自由党岩手県連並びに岩手県議会の重鎮であられました元副議長故吉田秀先生のみたまに謹んで哀悼のまことをささげ、心より御冥福をお祈り申し上げます。
 さて私は、県政全般にわたり、運営の基本方針並びに当面する課題への取り組み等について、通告に従い質問させていただきます。
 まず初めに、増田県政の2期目の諸施策の推進に関連してお伺いいたします。
 増田知事は、知事就任以来その行動力を遺憾なく発揮し、東奔西走県内各地に足を運ばれ、そして老若男女を問わず、ひざを交えて多くの県民の話に耳を傾け、また、対話を重ねてきたところであります。知事がこれまで進めてきた県民とともにつくる開かれた県政や生活者の視点に立った県政、さらには市町村との連携や地方振興局の機能強化など、住民に近い現場をより重視する姿勢は多くの県民の方々の支持を得ており、私も大いに評価いたしておるところであります。
 四国4県にも匹敵するほどの広大な県土を有する本県は、各地域がそれぞれの地理的、歴史的、経済的条件等を背景として固有の地域特性を持っているところであります。県内各地域の実情や県民の声を現地に赴いて直接把握してこられた知事は、県土の均衡ある発展を図る上で、沿岸及び県北地域の振興についてどのような認識をされているのか、また、どのような取り組みをしていかれるのかお伺いいたします。
 次に、市町村合併についてお伺いいたします。
 昨年6月に出された国の地方分権推進委員会の最終報告においては、地方公共団体の財政状況は、これからさらに年を追うごとにその厳しさを増すことから、地方公共団体は、自己責任、自己決定の時代にふさわしい自治の道を真剣に模索してほしいと訴えていたのであります。また、厳しい財政状況とさらなる地方分権の推進のため、地方交付税制度を含めた地方財政制度の見直しにも着手するなどの動きも出てきたところであります。こうした国の動向も踏まえ、最近、県内でもさまざまな動きが見られるようになってきたところであり、知事も、平成17年3月の合併特例法の期限をもにらみ、平成14年は合併論議を進める上で重要な1年と位置づけ、これまでの自主的な合併を促してきた立場から積極的な合併推進に転換すると報じられたところであります。
 そこでお伺いいたします。合併により市町村の人口や財政力などを適正な規模にするという考え方がありますが、県といたしましては、広域行政の推進と地方分権時代の受け皿として、基礎自治体である市町村の理想的な規模についてどのように考えておられるかお伺いいたします。
 また、地方分権時代に対応する県全体の市町村の再編整備と広域行政の推進についてどういうお考えをお持ちでしょうかお伺いいたします。
 次に、知事が提唱しておられる広域連携の推進についてお伺いいたします。
 知事は、市町村合併が進めば都道府県のあり方が問われてくると、道州制など広域連携についてさまざまな場面で発言されておりますが、現在の国の動きも踏まえながら、中央と地方、市町村との関係は今後どうあるべきものと考えておられるのでしょうか。
 また、現在積極的に進めておられる県境を越えた広域連携とはどういう関係があるのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 知事は、新年度予算をみずから小泉改革影響予算と称しておられますが、国の行財政改革のもと、国庫補助金、地方交付税が大きく削減されております。構造改革なくして景気回復なし、地方行財政の効率化の名のもと、地方交付税の算定基準の見直し、道路特定財源の見直しなど、大都市中心、地方たたきとも言える厳しい政策が示されておりますが、地方の現状はまだまだ生活環境基盤が未整備の地域も多く、首都圏との生活環境格差もあることから、今後とも幹線道路や下水道を初めとする生活環境水準の向上のための基盤整備が必要であり、国の施策を傍観していくことはできないものと考えるものであります。
 また、首都圏への食料供給や人材供給、公益機能を持った森林などの地球環境の保全などの面において地方の果たしている役割、貢献度については国や首都圏にも強く訴え、地方の整備の必要性について強く求めていくべきであります。それと同時に、これまでの統一要望や地方交付税制度の改正要望などにとどまらない、地方分権の時代にふさわしい新たな財源保障制度、税財源制度の創設などを提唱し、地方からの変革を求めていくべきものと考えるものであります。
 本県では、問題意識を共有する他団体といろいろな共同研究を行っていると聞いており、また、昨年末には若手職員から成るワーキンググループによる提言もまとめられています。さらに、民間の視点の導入を目的とした県行政経営推進会議も発足したようでありますが、今後、地方分権を推進し、地方からの変革を図るため、県はどのような提言を行い、また、どのような方向でその実現を目指していくおつもりであるのかお尋ねいたします。
 次に、政策評価制度の今後のあり方についてお伺いいたします。
 今年度、本県が導入した政策評価制度は、総合計画に掲げる施策等について総合的、客観的に評価しようとするものであり、効率的な行政運営を行っていく上で重要なものと考えられます。政策評価の実施に当たっては、総合計画の主要な指標の動向などの客観的な判断基準に社会経済情勢等を加味するなど総合的な評価を行い、その後の施策等に反映させていく取り組みを行ったほか、これまでの公共事業評価等を政策評価に統合し、成果重視の考え方のもと、政策評価システムをスタートさせたものと理解しております。特にも、県民の意見を反映させる観点から、県民意識調査に加えて政策評価委員会を試行的に設置し、外部の意見を評価に反映させるよう努力したものであり、今後はさらに評価の客観性を高めていくことが必要であると考えております。広く県民の声を聞くことは非常に重要でありますが、広い県土を有する本県においては、地域ごとに施策や事業に対する要望が変わってくることもまた事実であります。
 そこでお伺いしますが、政策評価の実施に当たっては、県民の意見とあわせて市町村や地域ごとの住民の声を聞き、それを評価に反映させる必要があると考えますが、いかがでしょうか。また、地域の特徴づけを図ることとあわせて、異なる分野間での緊急性、優先度をどのように評価しているのか、さらに、政策評価の今後の課題はどのようなことと認識されておられるかお伺いいたします。
 次に、環境首都実現に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 環境の世紀と言われる21世紀に入り、環境への関心が世界的に非常に高まっております。本県では、知事の強いリーダーシップのもと、環境首都いわてを標榜し、すべての県民の参加、連携と協力による環境との共生の確保、環境への負荷の少ない循環型地域社会の形成、地球環境の保全に貢献する地域からの行動を基本理念に掲げ、2010年の二酸化炭素排出量を、1990年レベルから2010年までに国の6%を上回る8%削減を目標とする一方、県民1人当たりの一般廃棄物排出量を1日800グラムとするなど、その達成に向けさまざまな取り組みを展開してこられました。
 そこでお伺いいたしますが、平成14年度施策重点化方針に位置づけている環境首都実現に向けた取り組みに関する諸施策について、今後、具体的にどのように取り組んでいこうとしているのかお尋ねいたします。
 次に、シカ・カモシカ対策についてお伺いいたします。
 シカ、カモシカによる農林業被害は、関係市町村はもちろん、農業・林業関係者にとって大変切実な問題であります。農林業被害は、統計上は平成5年をピークに減少傾向にありますが、農業被害については増加の兆しも見えており、被害防止対策については一層の充実強化が必要と考えますが、どのように認識され、対処される考えかお伺いいたします。
 特にもカモシカ対策につきましては、国による保護区の設定がいまだ具体化していないのは大変遺憾であり、この際、県が保護管理計画を策定し、保護区の設定により適正頭数の保護に向けて個体調整をするなど対策を講じるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、本県医療・福祉関連施策についてお伺いいたします。
 まずは、放課後児童クラブに関する取り組みについてお伺いいたします。昨年策定されたいわて子どもプランの基本的施策である子育てと就労や社会参加の両立支援の具体的な推進策として、就労等により昼間保護者が不在となる児童のニーズに適切に対応できるよう、放課後児童クラブの設置の促進等を図ることとしております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 本県の放課後児童クラブの数は、平成11年度が76クラブであったものが、12年度が87クラブ、13年度が109クラブと、年々増加していると伺っております。就学前の乳幼児については、保育所等の整備や特別保育事業の実施により保育サービスが充実してきておりますが、本年4月から完全学校週5日制が実施されることもあり、就学後の児童の健全育成対策は、より一層の充実を図る必要があるものと考えるものであります。
 そこで、放課後児童クラブを利用したいという保護者の意向を県はどのように把握し、どのように対応していく考えであるのかお尋ねいたします。
 次に、円滑な医療供給体制づくりの手だてについてお伺いいたします。
 国は、近年の急速な少子・高齢化など、医療を取り巻く環境の変化に対応するため、昨年11月、医療制度改革の青写真となる医療制度改革大綱を取りまとめ、保健医療システムを初めとする各分野の改革方向を示しましたが、とりわけ入院医療を提供する体制の整備については、平成13年3月の第4次医療法改正により、一般医療機関の病床を、長期にわたり療養を必要とする患者を入院させる療養病床とそれ以外の病床に区分することとしたほか、本年4月に予定されている診療報酬改正においては入院医療の機能分化に応じた評価が導入されるなど、高齢化や住民の病態の変化に応じた医療供給体制への再編を求めるものとなっていると聞いております。
 私は、このような医療環境の変化に対応しつつ、県民に適切な医療を提供する体制を整備するためには、地域の医療機関や施設との機能分担と、いわゆる地域の中核病院と各種診療施設との連携が不可欠であり、あわせて患者の病状に応じた適切な医療機関が選択できるような方途について、組織的に普及、啓発することが必要であると考えるものでありますが、県立病院はどのように取り組み、円滑な医療供給体制を構築しようとしているのかお示し願います。
 あわせて、医師確保については、養成事業や病院間の応援など種々対策を講じておられることは承知いたしておりますが、病院の機能分担とともに、医師についても、従前の広く薄く配置する方法から、地域住民の理解を得つつ、より戦略性を持った確保策や配置の検討が必要ではないかと考えるものですが、医療局長の御所見をお伺いいたします。
 次に、観光振興についてお伺いいたします。
 県内の産直施設や道の駅などで、近在で収穫された新鮮な農産物、海産物を買い求める県内客や県外からの観光客でにぎわっている光景を近年よく目にすることがあります。こうした飲食や物産販売なども含めて、観光関連産業は幅広い産業分野を包含しているため、さまざまな分野で新しい雇用を創出しながら、ますます発展していくことが期待される産業であると考えるものであります。
 昨今の観光は、団体型から小グループ型へ移行するとともに、体験、保養、いやしなどに対する志向が強まっており、自然環境との触れ合いや農山漁村の魅力を満喫できる滞在型・体験型観光など、グリーンツーリズムやブルーツーリズムを推進することが期待されていると伺っております。今こそ、本県の特徴である農林水産業、そして農林水産業従事者のマンパワーを観光に大いに生かしていくべきであると考えるものであります。
 そこで、農山漁村の魅力を満喫できる滞在型や体験型の観光を推進するため、本県では具体的にどのような観光振興策を推進しようとしておられるのか、お伺いいたします。
 また、本県の魅力を若い方に経験してもらい、将来のリピーターとなってもらうためには、積極的に修学旅行を誘致することが重要かと考えます。野外活動センターを初めとした公営の野外宿泊活動施設や民間の宿泊施設などを利用し、農林漁業体験を行う修学旅行の誘致促進を進めるべきであると考えますが、いかがでありましょうか。
 次に、本県の基幹産業である農林水産業の振興策と課題についてお伺いいたします。
 今日の農業・農村は、日本経済の停滞の中で、農業従事者の減少、高齢化、新たな担い手の不足に輸入農産物による価格の低迷など一層厳しさを増しており、これに対処し、地域農業を維持発展させるためには、認定農業者の育成のみならず、集落営農組織などの農業経営組織を育成し、モデル経営類型の実証と経営者、経営体の養成により、効率的な生産体制の方途を確立することが急務であると考えております。このためには、市町村、農協など、関係機関・団体が連携して指導体制を確立し、生産の組織化や団地化による集落農業など、地域単位のモデル経営体を育成・支援する具体的な施策が必要と思いますが、その取組状況と今後の対応についてお伺いいたします。
 次に、いわてブランドの確立の手だてについてお伺いいたします。
 近年、各方面で国際化が進展する中で、我が国と比較してけた違いに安い人件費等を背景に、中国を初め海外から安価な農林水産物が大量に輸入されてきております。この結果、農林水産物の市場価格は長期にわたって低迷し、1次産業に従事する方々の生産意欲の低下が進むものと危惧いたしております。本県では、我が国の総合食料供給基地を宣言し、1次産業の振興に強力に取り組んでおりますが、国内外の産地間競争に打ち勝っていくためには、よいものを安く生産することはもとより、いわてブランドの確立が大切であると考えるものであります。
 そこでお伺いいたしますが、県では農林水産物の岩手ブランド確立の手だてをどのように考え、今後どう展開していこうとされているのでしょうか。
 また、県は昨年6月、皆で食べよういわての恵みをキャッチフレーズとして、いわて地産地消推進運動を開始したところであります。この運動は、県産農林水産物の消費機運の拡大のほか、消費者の方々に対して、改めて県産品のよさを理解していただく機会になっていると考えておりますが、これまでの取組状況と今後の推進策についてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
 次に、本県と宮城県との漁業問題についてお伺いいたします。
 隣の宮城県との関係で、一部の知事許可漁業の操業区域を、陸上の県境から本県の広田半島を横切る真東のラインとしているものがございます。これは、明らかに不合理なラインでありますことから、県においては、合理的な操業区域の設定を目指して宮城県と長年の間協議しており、特に平成5年には両県の部の次長間において、両県間の漁業問題について5項目の意見の一致を見たところであります。この合意事項の中で、操業区域についてはラインにこだわらず、幅による解決を検討すること及び従前の入会漁業を尊重し、入会漁業の再開を検討することとされており、引き続き協議が進められていると聞いております。また、宮城県のサケ固定式刺し網漁業によって、本県のかご漁業等の操業が妨げられるなどのいろいろな問題が生じていると聞いております。このように、異なった漁業種類同士が円滑・円満に操業するためには、相互の調整を図っていくことが必要と考えます。
 そこで伺いますが、漁業操業区域並びにサケ固定式刺し網漁業に関し、宮城県との調整はどのようになっているかお伺いいたします。
 次に、防災対策についてお伺いいたします。
 平成12年11月の国の地震調査委員会の発表では、宮城県沖を震源とするマグニチュード7.5から8.0前後の地震が、今後20年以内に80%の確率で発生するとされており、もし、現実のものとなった場合には、県内でも地震や津波による大規模な災害が発生すると心配されているところであります。このような中、昨年9月1日に実施されました県の総合防災訓練は、津波被害を想定した訓練をメーンに陸前高田市で開催されましたが、隣接県や近隣市町村とも連携して、自衛隊、警察を初め63機関、約1万人が参加した実践的で実り多い訓練であったと評価するものであります。
 さて、毎年沿岸市町村で実施されている津波避難訓練の参加者が年々減少するなど、住民の津波に対する防災意識の風化が懸念されていることから、一昨年12月の定例議会一般質問で私も提起したところでありますが、県当局は昨年9月、津波避難対策検討委員会を発足させ、沿岸市町村に設置されている津波監視システムのネットワーク化や住民の避難対策について検討を進めていると聞いておりますが、現在までの進捗状況と今後の対応はどうなっているのかお伺いをいたします。
 また、気仙・両磐の12市町村と宮城県北24市町村とが岩手・宮城県際市町村災害時相互応援協定を締結し、迅速な支援体制の構築を図っておりますが、これは、県境を越えた隣接する市町村間においての人的な応援にとどまらず、災害発生時には1市町村のみでは不足するであろう食料や、救助用資材等の迅速な提供も想定していると伺っております。市町村相互に応援体制がとられているとはいえ、それぞれの市町村において最低限の備蓄が必要であろうと考えますが、県内の状況はどうなっているのでしょうか。さらに、県は市町村の備蓄の促進にどう取り組んでおられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、治水対策にかかわって、津付ダムの進捗状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
 津付ダムの建設は、気仙川総合開発事業として、住田町と陸前高田市の町中を貫流する気仙川の抜本的な治水対策を行うものであり、これとあわせて工業用水の確保等を目的とする多目的ダムであります。昭和56年から実施計画のための調査を行って、平成12年度に新規建設ダムとして採択されたところであります。平成元年に地権者会が設立され、以来、関係機関の御努力にあわせて、町当局はもちろんのこと、地権者会長が国に事業促進を直接要望するなど地元の熱意が反映された結果であると認識しており、現在も地元はこの事業の促進を強く望んでいるところであります。現在、国においては環境影響評価の手続を進めており、さらには、地権者の生活再建対策を検討していると伺っておりますが、津付ダムの事業の進捗と環境影響評価の手続の取組状況について、また、今後どのように推進されていかれるのか御見解をお示しいただきたいと、そのように思います。
 次に、治安対策についてお伺いいたします。
 県内の治安情勢は、来日外国人等による犯罪やハイテク犯罪の発生等、質的な変化が見られるほか、昨年から引き続き交通死亡事故の増加等、極めて厳しい現状であります。特にも、通信技術や交通網の発達により、犯罪はますます広域化の様相を呈しており、県境に位置する地域の治安対策については、密度の濃い警察体制が必要と考えております。県境の治安維持と密漁防止対策の観点から、人員増等の体制を強化するなどの対策を講ずる必要があると考えますが、この点についてどのようにお考えでありましょうか。
 また、県境に位置する地域の治安対策については隣接県との連携協力体制が重要であると考えますが、この体制がどうなっておりますでしょうか。あわせて、宮城県境に位置する陸前高田市の警察体制の強化についてのお考えをお伺いいたします。
 最後に、教育関係諸施策にかかわって、少人数教育についてお伺いいたします。
 本県の未来を託す子供たちの教育、特に学校教育を取り巻く状況は、保護者のみならず県民共通の強い関心事でありますが、不登校など学校教育をめぐるさまざまな問題が顕在化してきている中で、子供たちにきめ細かく指導の手を差し伸べるとともに、学力水準の向上と社会規範の指導の徹底が求められております。また、社会奉仕体験活動の義務化については種々の意見があり、法規定は見送られたところでありますが、奉仕の精神はそれぞれの心の中ではぐくまれるものであり、そのような精神を養成するためにも完全学校週5日制の実施とともに、学校、家庭、地域の連携による役割分担が必要であり、あすの岩手を担う子供たち一人一人の成長段階に応じ、とりわけ、小中学校の段階からボランティア活動などの社会奉仕体験活動を行って、ボランティアの必要性と喜びを教えることが大切と考えるものであります。こうした中で、国においては、昨年1月に21世紀教育新生プランを打ち出し、本年度からは定数改善計画により、きめ細かな指導を可能にする教職員配置が進められております。まさに、21世紀を担う子供たちが豊かな人間性を持って心身ともに健全に育成されるべく、具体的な取り組みが始まったと考えているところであります。
 そこでお伺いいたしますが、東北各県においてもそれぞれが独自に工夫を凝らし、少人数による学級編制や学習指導など、少人数教育を一層充実させる計画が進められているとの報道がなされておりますが、本県においては、少人数教育をどのように推進していこうと考えておられるのか、教育長のお考えをお示しいただきたいと、そのように思います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 吉田昭彦議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、沿岸そして県北地域の振興についてでございますが、これらの地域はすぐれた観光資源や豊富な山海の幸など、多彩な地域資源に恵まれるとともに、やませを生かした雨よけホウレンソウの栽培、全国的にも評価の高い久慈市の山根六郷地区や陸前高田市の全国太鼓フェスティバルの取り組みなど、地域の個性と特色を生かした多様な地域づくり活動が展開をされております。こうした活動を地域全体に広げて、この地域のより一層の振興を図るためには、地理的・自然的特性による距離や地形などの壁を克服しながら、その発展可能性を最大限に引き出す創意と工夫が肝要であると、このように考えております。このため、内陸部との物流の円滑化や地域間の交流を図るための交通基盤の整備や港湾の整備を促進するとともに、地域資源を活用した観光の振興やグリーンツーリズムの推進、農林水産物のブランド化など産業の振興を図るほか、地元学の実践など、魅力ある地域づくりに向けた自主的な活動を総合的に支援をしてまいりたいと考えております。
 このような取り組みを通じて、沿岸そして県北地域が産業活動や地域づくり活動など、さまざまな分野において新たな役割を担うことにより、活力を高めることが総体として県土全体の発展につながっていくものと考えております。
 次に、広域連携の推進についてでございますが、国では昨年の11月に、第27次の地方制度調査会が地方分権推進委員会最終報告を引き継ぐ形で内閣府に設置をされまして、第2次の分権改革に向けて具体的に動き出したところでございます。こうした中で、地方の側も受け身ではなくて、主体的にみずからの意見を発言していく必要があると、私はこのように考えております。地方分権は、住民に最も身近な市町村が行政の中心となって行われるべきものでございまして、可能な限り県の権限は市町村の方に移管をして、市町村を越えた広域的な業務や市町村間の調整機能を県が補完をする一方で、国の権限や関与を最小限にとどめて、多くの権能を地方へ移譲するという、新しい関係を構築していくことが重要であると考えております。
 こうした中で、現在取り組んでおります県境を越えた広域連携というのは、産業廃棄物の不法投棄といった県をまたがる広域的な課題への対応や、観光など共同して実施することによって、より効率的、効果的な成果が期待される事業などでございます。私は、道州制や連邦制などの議論というのは、地方の自立のあり方についての考え方と、こういうふうに承知をしておりますけれども、重要な点は、形にこだわるのではなくて、広域連携などの成果を一つ一つ積み重ねることによって、実体論としての地方のあり方を北東北から全国に発信していくということ、このことと考えております。
 次に、地方分権を推進し変革を図るための提言とその方向についてでございますが、国では去る1月25日、構造改革と経済財政の中期展望を閣議決定をして、税源移譲を初め国と地方の税源配分についての根本からの見直し、そして地方交付税のあり方の見直しなどを検討することとしております。しかしながら、地方の現状というのは、道路や下水道など生活環境基盤の整備がおくれておりまして、ナショナル・ミニマムの達成という見地から、これらにつきましては国の責任において保障されるべきものでございます。
 また、地方は、食糧の供給や水、空気など、環境の面、さらには人材の供給などで都市生活のために果たす役割は大きいものがございまして、国にはこうした点についても十分に理解してもらう必要がございます。このため、私は、地方公共団体が独自の施策を展開していけるよう、地方税財源の充実強化や財政調整と税源保障の機能を担う交付税のようなシステムがぜひとも必要であると、このように考えておりまして、こうした問題について庁内の若手職員にあるべき地方の姿をまとめてもらって、国などに対して提言したところでございます。
 さらに、市町村への一括事務移譲の試行を積み重ねて、公務員の身分の取り扱いなど制度的な検証を行うことによりまして、国の直轄事業の地方への移管を提言していくこととしております。
 私は、地方行政は全国一律である必要はなくて、地域の実情を反映し、独自性を発揮できる多様な制度の導入や試行を行って地方制度の確立を目指していくべきではないかと。一国二制度とか多制度ということは言われておりますが、こういう形で地方制度の確立を目指していくべきではないかと考えておりまして、考え方を同じくする北東北3県を初め北海道などと連携をして、産業廃棄物税や森や川などの環境保全のための新税の研究など、広域的な取り組みを強めて、地方分権のあるべき方向性を地方から示していきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) 市町村合併についてでありますが、市町村の理想的な規模につきましては、これまでさまざまな議論がなされてきているところでありますが、それぞれの市町村の置かれている地理的、地勢的な条件や経済社会状況などが異なっておりますので、一律に論ずることはできないものと考えております。
 市町村合併につきましては、市町村の行財政基盤の強化という観点とともに、地域の将来を考え、どのようなまちづくりを目指すのかといった視点を持って、住民の皆さんに主体的に議論していただくことが重要であると考えております。
 また、市町村の再編整備と広域行政の推進についてでありますが、住民の日常生活が現在の市町村の区域を越えて拡大している中で、国・地方を通ずる厳しい財政状況を踏まえ、多様化、高度化する住民ニーズにこたえ、質の高いサービスを提供していくためには、広域的な視点に立った行政の推進が求められております。
 県といたしましては、今後とも市町村合併を含む広域行政の推進に向けて、県としての役割を的確に果たしてまいりたいと、そのように考えております。
   〔総合政策室長佐藤徳兵衛君登壇〕

〇総合政策室長(佐藤徳兵衛君) 政策評価制度の今後のあり方についてでありますが、今年度より本格実施した政策評価においては、県民の意見を反映させるため、県民意識調査の満足度、優先度を政策評価に取り入れているものでありますが、その中で、広域生活圏ごとの地域別の意識の分析結果も活用し、地域の状況を勘案した総合的な評価を行っているところであります。
 また、事務事業評価においては、事業の必要性の評価において、地域格差の項目を設け、事業の地域振興への貢献について評価しているほか、事務事業の事前評価や公共事業評価において、地域の方々の要望や市町村の支援体制等を加味した評価を行っているところであります。
 一方、本県の政策評価においては、主要な指標の到達度、改善度など、その動向を基本とし、総合計画の施策、分野及び事業の各階層を対象とした総合的な評価を実施しているものでありますが、御指摘のありました異なる分野間での優先度等の評価については、今後、さらに研究を進めるべき課題であると考えております。
 また、今年度の実施を通じて、評価手法の向上や主要な指標の見直しなど、幾つかの改善すべき点が明らかになったことから、今後においては、指標が設定されていない分野への主要な指標の補充等を進めていくほか、施策や分野の達成状況などの分析・評価の精度を高めるとともに、県民にわかりやすい評価となるよう、政策評価委員会の意見をいただきながら検討を行ってまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕

〇環境生活部長(時澤忠君) まず、今後の環境首都実現に向けた取り組みについてでありますが、平成14年度は、特に資源循環型地域社会の形成に向けた施策と地球温暖化防止に向けた施策を進めてまいることとしております。
 資源循環型地域社会の形成につきましては、北東北3県の連携により、産業廃棄物に関する新たな条例の制定に取り組むとともに、資源循環型のモデル施設の整備に向けて調査を実施するほか、リサイクルを促進するための商品認定制度の創設などに取り組んでまいりたいと考えております。
 また、地球温暖化対策につきましては、今年度策定いたします地球温暖化防止県民行動計画を広く普及させるとともに、地球温暖化防止のためのセミナーや新エネルギーなどの機器導入促進フェアの開催などにより普及啓発を図っていくこととしております。このほか、今議会に提案しております希少野生動植物の保護に関する条例に基づきまして、希少野生動植物の保護対策の強化を図るとともに、昨年開催いたしましたいわて大環境祭21の成果を踏まえまして、県民、事業者、行政等のネットワーク組織を設立するなど、パートナーシップによる環境づくりを促進していくこととしております。
 また、これらの施策の実施に当たりましては、その効率性と透明性を向上するため、今年度、骨格的に試算を行い現在取りまとめを行っておりますが、都道府県の一般行政部門では全国初となります環境会計でございますが、この環境会計を引き続き作成をいたしまして、事業コストとその活動により、得られた効果を可能な限り定量的に把握・分析いたしまして公表してまいりたいと考えているところであります。このような取り組みを総合的に推進することにより、環境首都いわての実現を目指してまいりたいと考えております。
 次に、シカ、カモシカ対策についてでありますが、シカ対策につきましては、適正生息数の2、000頭を目指して個体数管理を実施しているところでありますが、生息域の拡大が見られることなどから、平成14年度に新たに特定鳥獣保護管理計画を策定し、個体数調整の実施や防除ネットの設置、忌避剤の散布などの農林業被害防止の対策について、関係部局と連携を図りながら実施してまいることといたしております。
 また、カモシカにつきましては、保護地域の早期実現について国に強く働きかけているところでありますが、地域指定が進展していないという事情も踏まえまして、県において、個体数調整のための特定鳥獣保護管理計画の策定を早急に検討する必要があると考えております。
 このため、生息状況調査等、現在その実態把握に努めているところでありまして、関係部局と連携いたしまして被害防止等の対策を一層進めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) 放課後児童クラブに関する取り組みについてでありますが、保護者の意向につきましては、平成10年度から毎年、県内の保育所に入所している来春小学校入学予定の児童の保護者を対象に、市町村別に小学校区単位で放課後児童クラブ利用の意向調査を全県で実施してきたところであります。この意向調査を踏まえ、市町村に対して個別・具体的に同クラブの整備を働きかけるとともに、運営費の障害児加算制度や国庫補助対象とならない登録児童が5人以上20人未満のクラブに対する助成制度を県独自に設けクラブの拡大に努めてきたところであり、来年度の整備見込みを含めますと135カ所と、意向調査開始時点と比べ約2倍となっております。また、これら県単独事業については、国にその制度化を提言し、これらの制度化の実現に努めてきたところであります。
 今後とも、岩手にふさわしい子育て環境づくりが形成できるよう、各市町村に対し、本事業の推進に当たって、完全学校週5日制に留意しつつ、意向調査を踏まえ、個別・具体的に助言、支援を行ってまいります。
   〔医療局長長山洋君登壇〕

〇医療局長(長山洋君) 県立病院における医療供給体制のあり方と医師確保についてでありますが、医療技術の進歩による入院日数の短縮や病床利用率の低下、公的介護保険制度や老人保健施設等の拡充など、病院運営の環境が大きく変わってきております。また、国の医療制度改革が進められる中にあって、限りある医療資源を効率的に活用し、良質な医療を安定的に供給していくためには、圏域内の医療機関が相互に補完し合う、より効率的な連携システムの構築が不可欠となっております。
 県立病院におきましては、これまでも広域中核病院を中心とする圏域内の県立病院間のネットワーク化や民間病院等との患者の紹介などに取り組んでまいりましたが、今後とも地元の医師会等と診療情報の相互交換を深めるなど、より一層連携に努めてまいりたいと考えております。
 また、御提言がありましたが、医師確保が困難な状況の中で、当面、ネットワークの中心となる広域中核病院に対して重点的に配置し、これを核として診療応援体制を強化していくことも一つの方法と考えております。
 こうしたことから、平成14年中には、それぞれの県立病院が地域において果たすべき具体的な役割、機能について改めて見直しの作業を行う予定としております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕

〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、農山漁村の魅力を満喫できる滞在型や体験型の観光振興策についてでありますが、本県は、豊富で新鮮な食材や郷土料理などの食、それから、県内各地に残る農村風景などの自然景観、そして、農林水産業や伝統的な行事などに根差した生活文化に恵まれておりまして、こうした岩手の売りとなる観光資源を明確にし、グリーン・ツーリズムなどを生かした観光メニューを効果的に提案していくことが重要であると考えております。
 これまで、いわて四王国事業や三陸夢紀行創造事業におきまして、こうした農山漁村の産業や生活と結びついた各地の体験・滞在型観光メニューを開発し、旅行商品として提案してきているところでありますが、現在、ことし12月の東北新幹線盛岡以北の開業をにらんで、全県的な体験型の観光メニューの掘り起こしを進めているところであります。
 さらに、ホスピタリティー、すなわちおもてなしの心の醸成など、地元の受け入れ態勢の充実にも努めながら、こうした観光メニューを、新年度から稼働する新しい観光情報システムによりまして全国に向けて広く情報発信してまいりたいと考えております。
 次に、農林漁業体験を行う修学旅行の誘致促進についてでありますが、最近の修学旅行は、体験型の旅行が増加の傾向にありまして、特に来年度からは総合的な学習の時間が本格実施されますことから、今後このような傾向が強まるものと考えております。
 こうしたことから、本県の農山漁村の産業や生活文化、また、いわて地元学の取り組みの成果を生かしながら、炭焼き体験や水産物の加工体験、野外活動施設等を利用した体験など、人々との触れ合いを通じた本県ならではの体験型メニューの充実を図りますとともに、首都圏や北海道などにおきまして、旅行会社や教員を対象とした誘致説明会などを行いまして、農林漁業体験を行う修学旅行の誘致拡大に努めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐藤勝君) まず、集落農場など地域単位のモデル経営体に対する育成支援についてでありますが、現下の一層厳しさを増す農業情勢の中で、本県農業の基盤を確固たるものとするためには、効率の高い地域ぐるみ農業を確立することが重要でありますことから、農地の利用集積による担い手の育成と、その担い手を中心とした生産の組織化や団地化を一層推進する必要があると考えております。
 このため、本県におきましては、平成11年度から農地流動化ステップアップ運動を展開し、市町村が設定した65のモデル地域において、県、市町村、農協などで組織する支援チームが、農地の利用集積、営農組織の育成、営農モデル実証試験の実施、いわて農業担い手支援総合対策事業による機械、施設の導入など、さまざまな施策を通じて重点的かつ総合的に支援しているところであります。
 このような取り組みの結果、例えば北上市二子地区の大豆・さといも団地や陸前高田市浜田川地区の園芸ハウス団地など、地域特性を生かした新たな営農が展開され始めております。また、法人設立へ向けた関心も高まってきております。
 今後とも、このようなモデル地域を一層拡大するとともに、関係機関・団体が一体となりまして、地域の発展段階に応じたきめの細かい生産技術、経営管理の指導に努め、その営農が早期に確立されるよう支援してまいることにいたしております。
 さらには、地域経営の高度化を目指す農業法人や集落の農業・農地を総合的に担う特定農業法人の設立に対しては、専門のコンサルタントを派遣するなど、その支援体制を充実強化してまいりたいと考えております。
 次に、農林水産物のブランド化と地産地消運動の推進についてでありますが、本県においては、広大な大地と豊かな三陸の海などの恵まれた環境のもとで、全国に誇れるすぐれた農林水産物を多彩に生産、供給いたしておりますが、さらに評価向上を図り、ブランド化を進めていくためには、生産者の顔が見えるPRを展開しながら、県産品のよさを消費者に訴えていくことが重要であると考えております。
 このため、全国の1、200名を超えるいわて純情ファンクラブのファンの方々を介した情報の受発信や、さらには、関係団体と連携して、首都圏などに開設いたしておりますいわて純情米取扱店やサラダ特約店などを拠点として、本県農林水産品を強調した宣伝販売活動を行っているところであります。
 今後におきましても、消費地と産地の連携を一層強め、消費者の評価を的確に生産に反映させながら、いわてブランドを確立していく考えであります。
 次に、地産地消運動についてでありますが、毎月のいわて食財の日には、県内各地で量販店での県産品コーナーの設置やレストランでの県産食材メニューの提供のほか、地域特産品を取り入れた学校給食なども数多く実施されてきております。地産地消運動の輪が着実に広がってきているものと考えております。
 今後におきましても、この運動に協賛する店舗の拡大や、生産、流通、消費それぞれの立場で運動を実践する地産地消サポーターのネットワーク化などを図り、県民の皆様が豊かな恵みを享受し、岩手に暮らすことのすばらしさを実感できるような運動に発展させてまいりたいと考えております。
 次に、本県と宮城県との漁業問題についてでありますが、まず、操業区域の調整に係る平成5年度の両県次長間合意につきましては、これまでの協議において、双方の共同漁業権漁場に入らないこと、宮城県船のサケ固定式刺し網漁業の操業区域の北限を設けたことなど解決されているものはありますが、幅による解決、すなわち、両県が共同で利用する海域を設定すること、それから、入会の再開につきましては現在も引き続き協議を続けているところであります。
 一方で、従来、入会していたイカ釣り漁業などにつきましては、漁業者から、本県が設定している境界線でも操業に大きな支障はないとの意見が最近強くなってきておりますので、今後は、本県漁業者の意向を踏まえながら、秩序のある操業が確保できるよう、宮城県と引き続き協議を重ねてまいりたいと考えております。
 また、宮城県のサケ固定式刺し網漁業につきましては、宮城海区漁業調整委員会指示により操業の北限が宮城県唐桑半島先端より真東の線と決まっておりますが、近年はこれを守らない宮城県船が見受けられますことから、宮城県に強く抗議するとともに、本県漁業取締船の監視を強化いたしております。さらに、本県の提案によりまして、今後、本県と宮城県の海区漁業調整委員同士でこの問題について話し合いが持たれることとなっておりますので、県といたしましても、海区漁業調整委員会と連携をとりながら、宮城県船の適正な操業が行われるように引き続き協議をしてまいりたいと考えております。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) まず、津波避難対策検討委員会の検討状況についてでありますが、津波防災に係る学識経験者、国、県、沿岸市町村、さらには沿岸市町村の自主防災組織で構成するこの委員会は、昨年9月以来これまで3回開催し、津波監視装置の効果的なネットワーク化や新たな津波浸水予測システム等について検討したほか、沿岸住民5、000人を対象としたアンケートを実施したところであります。アンケートでは、高齢者などの災害弱者対策の充実や避難場所の整備充実等を望む声が多く出されましたが、現在、この結果をもとに、県や市町村が取り組むべき今後の津波避難対策の課題を抽出しているところであります。検討委員会は、今後さらに2回程度開催し、対策の基本的方向について本年9月をめどに取りまとめることとしておりますので、これに基づいて具体的な対策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、災害用備蓄の充実についてでありますが、県内の47市町村では、発生が想定される災害に対応して、それぞれ乾パン、缶詰、毛布、可搬式動力ポンプ、投光機等の備蓄や配備を行っているところであります。県におきましても、津波などの広域的災害を想定し、市町村の備蓄を補完する観点から、県立総合防災センターにろ水器、炊飯装置等を備蓄しているところであり、今後におきましても、市町村と連携しながら公的備蓄に努めてまいります。
 また、大規模災害発生時には、市町村や県の備蓄のみでは十分な対応ができないことが想定されますので、今後とも、業界団体、県外の地方公共団体等との災害時応援協定の締結による流通備蓄の促進、広域的な応援体制の充実を図ってまいります。
   〔県土整備部長竹内重徳君登壇〕

〇県土整備部長(竹内重徳君) 津付ダムの進捗状況と今後の見通しについてでありますが、平成12年度の建設事業採択以来、これまで各種の調査を進めてきておりまして、今年度は、水没のため移転される方々の代替地を準備するための調査や環境関係調査、国道397号及び町道の付替道路の概略設計などを行っております。
 また、ダム事業に伴う環境影響評価の手続についてでありますが、平成12年度末に公告・縦覧を行った上で決定しておりました環境影響評価方法書に基づいて、現在、現地調査を実施しております。今年度中にはこの現地調査を終了する予定となっております。
 今後は、これらの調査結果を踏まえまして、14年度には環境影響評価準備書の公告・縦覧や評価書の策定などの手続を進める予定となっておりまして、その後、国道397号の付替ルートの決定を行い、現地測量や事業用地の確定に向けた取り組みを進めることといたしております。
 ダム事業の推進に当たりましては、移転者の方々の生活再建対策を最重要課題と認識いたしておりますことから、地元住田町と連携を図りながら、代替地のあっせんや移転先の造成、生活相談窓口の充実など、地権者の方々とのお話し合いを十分に行いながら、その対策に万全を期してまいりたいと考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕

〇教育長(合田武君) 少人数教育についてでありますが、県教育委員会といたしましては、学校における学級編制は国の基準どおり1学級40人とし、子供同士の切磋琢磨などから社会性の育成を図り、また、学習内容や児童生徒の状況に応じて、複数の教員が協力して一斉指導に当たったり、学級を分割した学習形態の授業を実施するなどの工夫により、きめ細かな指導を展開してまいりたいと考えております。
 具体的には、今議会に審査をお願いしているところでありますが、特に義務教育の入門期である小学校1年生に対して、基本的生活習慣の確立と基礎学力の定着のため、30人を超える学級を有するすべての学校88校に対し、118名の非常勤講師を配置したいと考えております。このことにより、小学校1年では実質20人程度の少人数授業が可能となりますし、また、チーム・ティーチングによって効果的な教科指導がなされたり、特に配慮の必要な児童にもきめ細かな指導が行われるなどさまざまな活用が可能となりますので、このような指導により、一人一人の児童の精神的な安定や学習意欲の向上を図ってまいりたいと考えております。
 次に、小学校2年生以上及び中学校につきましては、国の少人数指導加配を活用し、30人を超える学級数を有する学校280校程度のうち、200数校には310名程度の常勤教員を配置し少人数指導に当たらせるとともに、このほかの学校約70校には、緊急地域雇用創出特別基金を活用して、教員の支援、補助のための非常勤職員を配置したいと考えております。この結果、30人を超える学級を有するすべての学校では、国語、算数数学、理科、英語などの基本教科において複数の教員による多面的な指導や支援が行われるほか、教員間の情報交換も活発になされることになり、教員の資質向上にもつながるところから、少人数指導の充実に一層努めてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長熊崎義純君登壇〕

〇警察本部長(熊崎義純君) 県境地域における治安対策についてでありますが、県警察といたしましては、犯罪実態に応じた必要な体制の構築に努めているところであり、広域化する犯罪に適切に対応していくためには、県境地域等における犯罪発生時の初動体制の確立や県警察の垣根を越えた連携、協力体制の強化が重要であると考えております。
 隣接県との連携協力体制につきましては、県境地域を管轄する警察署において、隣接県の関係警察署と毎年定期的に連絡会議等を開催し、緊急事件発生時の対応や事件、事故等に関する情報交換を実施するなど連携体制を構築しているほか、広域的な犯罪への対応として、隣接県及び東北6県規模での広域事件捜査訓練を実施するなど、広域的な治安対策を推進しているところであります。
 また、陸前高田市の警察体制についてでありますが、現在、陸前高田市には高田幹部交番及び5カ所の駐在所が設置されており、平成12年度からは高田幹部交番所長に警視の階級の警察官を配置するなど、その体制を強化したところであります。
 今後とも、幹部交番としての機能を最大限に発揮させ、密漁対策を含め、県境に位置する当該地域の治安維持に万全を期してまいりたいと考えております。

〇7番(吉田昭彦君) 知事以下関係部局長の答弁、ありがとうございました。
 時間が大分経過しておりますが、幾つか再質問させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 第1点は、広域連携についてでございますが、知事は、青森、秋田との北東北3県、それに北海道を含めて観光・環境分野等で連携を深めておられることに対しましては私も大変高く評価をさせていただくわけでございますが、問題は、先ほど来申し上げておりますように、県際──いわゆる隣接県との県際ですけれども──の治安対策、防災対策、それから漁業操業区域の県境問題、それに近年の松くい虫の防除対策、それに三陸沿岸部の悲願でもあります三陸縦貫自動車道の整備のためには、宮城県との連携を深めることが極めて大切ではないかと、そのように思うわけでございますが、この点につきまして知事の御所見をお伺いしたい、そのように思います。
 二つ目は、地産地消運動の推進と学校給食とのかかわりについてでございます。
 総合食料基地を目指して、基幹産業である農林水産業の振興のための諸施策に取り組んでおられるわけですが、先般来先輩議員の皆様方が取り上げられておりますように、BSE対策につきましては、国の責任のもと、畜産農家への手厚い支援策と消費者の信頼を得られる諸施策を講じることを私も強く提起するものでございます。
 そこでお伺いいたしますが、安全・安心な地場産の農林水産物の消費拡大による地産地消運動の推進のためにも、学校給食の食材を地場産で対処することを提案するものでありますが、地場の農林水産物を学校給食に安定的に供給する体制について農林水産部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 あわせて、本県の基幹産業である農林水産業への関心を子供たちに深めてもらうため、また、安心・安全な食品という観点で、地場産の食材を学校給食に導入することは極めて意義があるわけでございますが、教育長の御所見もお伺いしたいと思います。
 三つ目は、先ほど総務部長から津波避難対策検討委員会の検討経過については御答弁いただきましたが、その中で、津波浸水予測図、いわゆるハザードマップの作成についても検討されているのではと思いますが、その前提となります沿岸部に整備されておる津波防潮堤、この防潮堤が建設から30年以上経過していると思いますが、耐震度、耐力度についてはどうなっておられるのかお伺いしたい、そのように思います。県土整備部長にお答えをいただきたい、そのように思います。
 それから、カモシカの対策については、これは沿岸南部を中心に、農家の方、林家の方、大変な心配をする種になっておるわけでございますが、保護と適正な管理という観点で、カモシカの保護管理計画の策定については大変重要な意味合いを持つものではないか。これは、国の方で主体的に取り組むべきなのが、九州、四国の関係でなかなか国が取り組んでおらないという実態があるわけですが、それを受けて、県で積極的に今度取り組むお考えを環境生活部長からいただきましたので、その部長のお気持ちを体しまして答弁は求めませんけれども、ぜひ沿岸南部の方々の強い要望を酌み取っていただきまして、保護管理計画を策定し、保護と規制の解除、これについてぜひ積極的に取り組んでいただくようにお願いを申し上げまして、このことについては答弁を特に求めませんのでよろしくお願い申し上げたい、そのように思います。
 以上、お願い申し上げます。

〇知事(増田寛也君) 広域連携の関係について私の方から答弁をさせていただきますが、今、北東北3県でいろいろの事業を進めておりますけれども、当然、宮城県との連携ということも大変重要でございまして、ただいま議員の方からお話がございましたような問題も含めて、これからさらに宮城県ともよく相談をしながら進めていかなければならないというふうに思っております。
 地方振興局の方でも、宮城県の県北の方の事務所などと共同でイベントを開催したり、それから民間レベルでのそうした動きなどもございまして、そういった広域連携の考え方というのは宮城県側の方でもかなり理解が進んでいると、こういうふうに思っております。先月も宮城の知事も盛岡の方に来まして、いろいろな課題についてまた話し合いをして共通認識を深めたこともございましたし、それから、昨年の暮れでございますが、三陸縦貫道の整備の促進については、これは宮城の方の議長さんの方から呼びかけがありまして、本県と共同で関係のところを回ったといったものもございますし、できるだけこれからさらに議論をお互いに進めて、それで広域的な連携を図るべきもの、そしてそのことによって課題が解決されるものについては、そういう両者ともに共同でさまざまな事業を行っていったり、あるいは運動を行っていったりということで進めていきたいというふうに思っております。

〇農林水産部長(佐藤勝君) 地場の農林水産物を学校給食に安定的に供給する体制についての考え方についてということでございますが、御指摘ありましたとおり、学校給食に県産の食材を用いますことは、現在、県内で繰り広げております地産地消運動の一環の中でその運動の大きな柱といたしておりまして、こういう観点から、昨年の11月に学校給食への県産農林水産物の利用拡大を図るための基本的な方向を定めまして、この中で県産食材の供給から配送、納入、そして支払いなどのサービス業務の一元的なコーディネート機能を持つその組織を育成しまして、供給利用の安定化を促進するということにいたしております。この考え方のもとに、北上市におきましては流通関係者による供給組織の設立が見られまして、具体的な取り組みが徐々ながら県内で見られてきております。
 今後は、そういう動きを全県的に広げていきたいと、こう考えております。

〇県土整備部長(竹内重徳君) 津波防潮堤の耐力度についてでございますが、防潮堤にかかる外力として一番大きな力は、当然、津波が一番大きいわけでございまして、通常の三面張りの防潮堤につきましては、津波に対する力を対象につくっているという状況になっております。この三面張りに対しまして、重力式のコンクリートの防潮堤がありますが、これにつきましては、昭和47年度以降に建設した防潮堤については、津波の力で検討いたしておりますのに加えまして、地震に対するチェックもあわせて行っております。それから軟弱地盤に設置する場合には、地震による液状化現象等の検討もいたしております。
 こういった施設の管理につきましては定期点検を行っておりまして、構造物の老朽化の度合いや施設のずれなどによりまして、その耐力に関する点検を行っております。また、地震時等につきましては、緊急パトロールを実施するなどいたしまして、修繕の必要な箇所につきましては速やかに対策を講じているところでございます。
 現在、国におきまして、海岸保全施設の維持管理マニュアルを策定するために専門家を交えた検討委員会を立ち上げまして、海岸関係省庁合同で施設の老朽度判定、それから補修の必要性の評価などに関する検討を進めているところでございまして、県におきましても、この動向を踏まえまして、その適正な維持管理に努めてまいりたいと考えております。

〇教育長(合田武君) 学校給食への地場産業の食材の導入と、こういうことでございますけれども、学校給食というのは、食事を通じて生きた生の教材でございまして、そこの食事の方法とかあるいは人間関係を体得するための有効な教育活動の一つであります。その中で、学校給食に地場産の食材を使用するということは、児童生徒に対して、地域の食文化とか食料の生産及び消費についての望ましい理解を得させることでもありますので、大変有意義なものだと考えております。このことから、従前からですけれども、学校栄養職員の研修会等を通じまして、地場産の食材を利用した献立の開発あるいは郷土食の取り入れ方の研修を深めるとともに、関係部局との連携を図りながら、地場産業の活用に取り組んできたところであります。
 今後におきましても、学校給食の食材は、安全、新鮮、良質なものが安価で安定的に供給されることが必要でありますので、関係部局との連携を密にしながら、可能な限り地場産業の利用推進に努めるよう、市町村教育委員会を指導してまいりたいと考えておりますが、端的に申しまして、我々学校給食の方の供給される側は、安心、安全、安価、安定供給、これに尽きるわけでございますので、今、担当部長の方から話がございましたので、こちらの方も利用促進に努めてまいりたいと思っております。

〇副議長(瀬川滋君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時47分 休 憩

出席議員(46名)
1  番  及川 敦 君
2  番  飯沢 匡 君
3  番  樋下正信 君
4  番  照井昭二 君
5  番  柳村岩見 君
6  番  小野寺 研 一 君
7  番  吉田昭彦 君
8  番  工藤大輔 君
9  番  川村農夫 君
10  番  佐々木 順 一 君
11  番  佐藤力男 君
12  番  阿部静子 君
13  番  阿部富雄 君
14  番  田村 誠 君
15  番  岩城 明 君
16  番  中 屋 敷十 君
17  番  千葉 伝 君
18  番  佐々木 大 和 君
19  番  及川幸子 君
20  番  阿部敏雄 君
21  番  川口民一 君
22  番  小 野 寺好 君
23  番  斉藤 信 君
24  番  伊沢昌弘 君
26  番  上澤義主 君
27  番  瀬川 滋 君
28  番  水上信宏 君
29  番  藤 原 泰次郎 君
31  番  谷藤裕明 君
32  番  菊池 勲 君
33  番  佐々木 一 榮 君
34  番  伊藤勢至 君
35  番  高橋賢輔 君
36  番  小原宣良 君
37  番  長谷川 忠 久 君
38  番  千葉 浩 君
39  番  吉田洋治 君
40  番  工藤 篤 君
41  番  菅原温士 君
43  番  山内隆文 君
44  番  折居明広 君
45  番  村上惠三 君
46  番  藤原良信 君
47  番  及川幸郎 君
48  番  菊池雄光 君
49  番  佐々木 俊 夫 君

欠席議員(3名)
25  番  田村正彦 君
30  番  船 越 賢太郎 君
42  番  佐藤正春 君

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ

午後4時6分 再 開

〇副議長(瀬川滋君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。斉藤信君。
   〔23番斉藤信君登壇〕(拍手)

〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 去る2月10日御逝去されました吉田秀議員の御冥福を祈ります。
 私は、1期目のときに商工文教委員会で吉田秀議員と御一緒になりました。30人学級の実現を求める請願の審査の際、熱心な議論が展開される中で、吉田議員の発言が大きな転機となって、全国に先駆けて30人学級の実現を求める請願と意見書が採択されたことを思い起こしました。これまでの功績に心から敬意を表明するものであります。
 質問に入ります。
 今、日本経済は、所得、消費、生産が連鎖的に落ち込み、景気悪化と物価下落が同時に進むデフレの悪循環と呼ばれる、戦後、日本でも他の主要国でも経験したことのない未曾有の危機に陥っています。
 小泉内閣が発足してから10カ月となりますが、失業、倒産の激増、消費の後退など、あらゆる経済指標が悪化しました。今日の経済危機は、小泉大不況とも言われていますが、小泉内閣が進める構造改革、いわゆる不良債権の早期処理、大企業のリストラ推進、医療費の大幅な負担増など、社会保障の改悪こそ、デフレの悪循環を加速させている原因ではないでしょうか。増田知事の見解を求めます。
 こうした深刻な経済危機と県民の生活と経営が脅かされているときだからこそ、岩手県政が、自民党政治の悪政から県民の生命と健康、生活と雇用を守る防波堤の役割を発揮することが強く求められています。
 第1の問題は、大企業の一方的リストラを許さず、県民の雇用を守る課題であります。既に今年度、工場閉鎖を決定したのはアイワ岩手、アルプス電気など24社、従業員数は2、168人に及んでいます。富士通や東芝など、大企業のリストラ計画は既に報道されているものだけでも197社、国内の削減数が約55万人であります。この3月までが24万6、000人に対して、ことしの4月以降に新たに29万9、000人をリストラ、人減らしする計画であります。県内の誘致企業のリストラ、人減らし計画は、具体的に何社、何人の計画となっているでしょうか。一時帰休なども含めて示していただきたい。
 雇用対策で一番重要なことは、最悪の失業率、全国下から4番目の有効求人倍率のもとで、新たな失業者をつくらせないということであります。大企業などの一方的なリストラ、人減らし計画を容認していては、県や市町村の雇用対策はその後始末となってしまいます。
 増田知事に伺います。
 労働者の雇用と地域経済に対する大企業の社会的責任を果たすよう、強力に働きかけるべきと思いますが、どうでしょうか。
 アルプス電気のリストラ、盛岡工場閉鎖計画について具体的にお聞きします。
 アルプス電気の盛岡工場閉鎖を含むリストラ計画は、1月8日突然発表されました。2月15日まで、労働委員会と協議した上で、3月15日までに配転に応じるか退職するかを迫る異常なものであります。労働者の中には、新婚旅行から帰ってきたら盛岡工場閉鎖の決定だった。天国から地獄だという声も聞かれます。受験生や新入学を控えている家族も少なくありません。こうした労働者と家族の生活を全く顧みないリストラ計画を容認していいのでしょうか。アルプス電気の社員といえども岩手県民であり、県民の雇用と生活にかかわる問題としてとらえて対応しているでしょうか。
 アルプス電気では315人が現地採用、地元採用となっています。これらの方々は、多くが家族の事情などでは配転に応じられず、事実上、退職に追い込まれかねません。一方的退職ではなく、アルプス電気の責任で仕事と雇用を確保する責任を求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 アルプス電気は、事実上労働者に持ち家政策を推進してきました。そのため多くの労働者が、玉山村や滝沢村、盛岡市などにマイホームを建設しています。最近新築したばかりという人も少なくありません。住宅ローンも抱えていますが、配転にしても何の保障もなく、退職した場合は住宅ローンの返済を求められかねません。この点でも無慈悲なリストラと言うべきですが、どう受けとめているでしょうか。改善策を求めるべきではないでしょうか。
 アルプス電気は、昨年3月期決算では1、000億円以上の内部留保をため込んでいます。IT不況で経営が悪化したとはいうものの、その原因はITバブルに便乗した過剰設備投資だったことを会社側は認めています。こうしたときこそ、1、000億円の内部留保を活用して、労働者の雇用と盛岡工場を守り、地域経済への責任を果たすべきではないでしょうか。すべての犠牲を配転、退職の強要という形で労働者に転嫁させるべきではありません。
 こうした点を踏まえるなら、私は知事として、アルプス電気のリストラ計画の見直し、盛岡工場の閉鎖撤回、すべての労働者の雇用確保、地域経済への責任を強く求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、アイワ岩手のリストラ、工場閉鎖への対応についてお聞きします。
 この間の離職者と再就職の状況はどうなっているでしょうか。会社側は、労働者の雇用確保、再就職についてどう努力してきたかを示していただきたい。また、工場跡地を活用した企業誘致などの見通しはどうなっているでしょうか。最後まで労働者の雇用確保と地域経済への責任を強く求めていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
 雇用確保の問題では、岩手県がみずから若年者就職支援事業に取り組み、80人から90人の非常勤職員の採用を行うことは、一歩前進であり評価するものであります。この財源は1億3、600万円余で、県職員の超過勤務を縮減して捻出したいとのことであります。超過勤務の縮減は当然のことですが、サービス残業の拡大とならないよう強く求めるものであります。今年度のサービス残業の実態とそのサービス残業根絶にどう取り組むのか示していただきたい。
 第2に、不良債権処理の岩手県版となった岩手信用組合の破綻問題の経過と対応について質問いたします。
 私は、この間2度にわたって調査に入り、大船渡商工会議所、金融整理管財人、融資関係者などから話を聞いてまいりました。一番痛感させられたことは、県や市町村、金融機関、地元業者が力をあわせて再建に取り組み、再建の成果が見えてきたところで、金融庁が大銀行と同じ金融検査マニュアルで乗り込んできて破綻に追い込んでしまったということであります。昨年から今まで、全国で53の信金、信組が破綻に追いやられましたが、不良債権処理の名のもとに、地域の実情、中小業者の実情を無視して債務者区分を行い、不良債権をふやし、そのリスクに応じた新たな引当金を積ませる、それができなければ破綻させるというやり方であります。
 そこでお聞きします。
 県が指導監督をしていた時期に、どう再建に取り組み、どういう成果が上がっていたのか、これまでの支援の総額は幾らになるか。
 岩手信用組合が金融庁の指導で破綻に追い込まれたときに、その対応策について知事や商工労働観光部長などに相談があったと思いますが、どう対応したでしょうか。
 金融庁が再建策の柱であった社団法人岩手県信用組合協会への5億円債務譲渡をとばしとして不良債権としたことが破綻の決定打となったと思いますが、これでは再建を否定し、金融庁が破綻に追い込んだということにならないでしょうか。
 今後も県内の信金、地元銀行への影響も考えられます。信金、信組は都市銀行と同じ金融検査マニュアルではなく、信金、信組の本来の役割が十分発揮されるよう地域への貢献と中小業者育成の観点から、地域金融機関にふさわしい独自の検査基準をつくるよう、県として求めるべきではないでしょうか。
 こうして破綻に追い込まれた岩手信組だけに、私は正常債権のみならず、赤字であっても期日までに返済している業者など、健全で善意のすべての債務が受け皿金融機関である気仙沼信金に譲渡されるよう求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、譲渡される気仙沼信金が今後とも地域と密着して活動、経営するためにも、店舗の確保と実態を把握している従業員の雇用を最大限確保するよう求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 県として重要なことは、中小業者に対する融資の問題であります。セーフティネット特別保証に5、000万円の債務負担を行い100億円の融資枠を確保しましたが、実際はほとんど活用されていないのではないでしょうか。活用の実態と活用されていない問題点は何でしょうか。
 関係中小業者は、必要な融資を求めています。せっかくのセーフティネットの特別保証が活用されるよう、宣伝・普及と金融機関での窓口の対応を改善すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 第3に、大型店の出店問題とまちづくりについて質問いたします。
 報道によれば、盛岡市の前潟地区に売り場面積5万平米以上のイオンモールの出店計画が明らかになっています。日本共産党は2月23日、商工会議所、商店街関係者、消費者団体、県や市の行政などに呼びかけて、大型店問題と盛岡市のまちづくりを考えるフォーラムを開催しました。それぞれから率直で切実な意見が寄せられました。
 そこで具体的に質問します。
 報道では、市農協とイオンモールは、既に県幹部に出店計画を説明した──日経2月6日付け──、県と協議に入った──河北新報の2月8日付け──とありますが、本当でしょうか。この間、どういう接触、対応があったかはっきりと示していただきたい。事実がないのであれば、報道の真意を確かめ、訂正を求めるべきではないでしょうか。
 イオンモールの計画は、売り場面積が5万平米以上、これは盛岡市全体の売り場面積の13%に匹敵するものであります。盛岡市商連の影響調査によれば、青山商店街では18.2%、材木町商店街で15.7%、既存大型店でもダイエーシティ青山が21.2%、川徳百貨店でも12%など重大な影響が予測されています。滝沢、雫石、矢巾など、近隣町村にも大きな影響が出ます。こうした無秩序な大型店の出店を認めるなら、県や市が、今実際取り組んでいる中心市街地の活性化も商店街の振興策も、盛南開発や駅西口開発も重大な影響を受けると思いますが、県としてどう受けとめているでしょうか。
 既に盛岡市長と盛岡商工会議所会頭、都南商工会会長は1月31日、イオンモール本社の社長に対し、適正規模での出店を強く要請しました。これは大変勇気のある、積極的な行動だったと思いますが、知事はどう受けとめているでしょうか。
 盛岡市の前潟地区を流通業務地区として指定した際の県都市計画審議会では、大型店出店の影響を踏まえ、盛岡市長に対し、適切に調整に当たるように附帯意見がつきましたが、私は、県はこの立場で対応することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
   〔副議長退席、議長着席〕
 大型店出店計画については、1カ月前の出店計画概要の提出、5万平米以上10万平米以内であれば、県条例に基づく環境アセス実施の可否が問われます。出店予定地は、国道46号のインターチェンジ付近で、交通渋滞、交通対策が求められるところであります。盛岡市長が強く要請するなら、私は環境アセスが必要と考えますがどうでしょうか。どのような審査システムか、その期間も含めて示していただきたい。また、これまで5万平米以上の対象事業の環境アセスの実施状況はどうなっているでしょうか。
 第4に、医療、福祉の充実についてお聞きします。
 小泉内閣は3月1日、サラリーマンの医療費負担を3割に引き上げ、70歳以上の高齢者には1割負担を徹底するという、国民にかつてない負担増を押しつける健康保険法改悪案を国会に提出しました。厚生労働省の試算では、3割負担の導入による医療費の負担増が年間4、000億円、改悪による受診抑制が4、500億円に及び、保険から給付される医療費が8、500億円削減されると見込んでいますが、岩手県分への影響はどう見込まれるでしょうか。深刻な不況・不景気と所得の減少の中で、こうした医療費の負担増は耐えがたい苦痛と受診抑制を引き起こすと思いますが、いかがでしょうか。
 診療報酬の改悪では、6カ月以上の入院患者は、一律に社会的入院として入院基本料の15%、1カ月当たり四、五万円を新たに自己負担として病院から締め出す方向が示されています。県内の病院、県立病院では、6カ月以上の入院患者の実態はどうなっているでしょうか。特養ホームなど、介護施設も不足しているもとで、一方的追い出しはしてはならないし、できないことと考えますが、いかがでしょうか。
 医療費のむだという点では、諸外国と比べて不当に高い薬価を引き下げるだけで2兆円程度の節約、削減が可能だと言われています。県立病院の場合、後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品の活用はどうなっているでしょうか。高い新薬だけではなく、効能も確かめられている後発医薬品の活用を積極的に進めるべきではないでしょうか。
 介護保険の改善についてお聞きいたします。
 昨年度の介護保険の給付額は計画に対して82.4%にとどまり、95億円余が不用額となりました。今年度の計画に対する給付額の見通しはどうなっているでしょうか。計画に対して大幅に達しない要因をどう見ているでしょうか。
 居宅介護サービスの利用割合も、限度額に対して35.5%にとどまっています。要介護度が4、5の重度の方も、限度額の25%未満が42%から43%となっています。これでは、在宅介護は成り立たず、家族介護の負担が大きくなっているのではないでしょうか。その要因と解決策をどう検討されているか、示していただきたい。
 介護保険の矛盾の集中点が、特養ホームの入所待機者の急増であります。昨年12月末では、在宅での入所待機者は1、303人、介護保険開始時と比べ2.9倍に急増しています。介護保険施設でも370人、介護療養型施設では7人が待機になり、全体で1、680人の待機者となっています。最大の問題は、介護保険施設の整備のおくれであります。整備計画の目標に対して、特養、老健、介護療養型はそれぞれどれだけ不足しているかを示していただきたい。また、介護療養型施設の計画不足分は、需要の大きい特養ホームの建設に転換して整備すべきと考えますが、いかがでしょうか。今回の補正予算分、来年度建設分を含めると、どこまで整備されるか示していただきたい。また、待機者解消のためにどう取り組むかも示していただきたい。
 全室個室でユニットケア方式の新型特養ホームが来年度建設されますが、ホテルコストの負担が利用者にかかり、月四、五万円の負担増が予想されます。これは倍増であります。低所得者対策も不明です。これでは、低所得者は特養ホームにも入れないということになるのではないでしょうか。また、現在入所している低所得者も、経過措置があって入所できている人も少なくありません。この経過措置がなくなったら、入所費用も払えない高齢者の実態をどう把握しているでしょうか。経過措置の継続と抜本的な低所得者対策を講ずるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 児童虐待とドメスティックバイオレンス、いわゆる夫婦間暴力の急増に対する対応についてお聞きいたします。
 2月末までの児童虐待件数とDVの相談件数はどうなっているでしょうか。この間の急増に対し、県は来年度、児童福祉司をやっと2名増員、心理判定員も1名増員するなど対策をとる方向であります。1歩前進と評価するものですが、この間の急増している状況から見るなら、まだまだ不十分ではないでしょうか。これは、児童と女性の生命にかかわる問題であり、対応も長期にわたるものが少なくありません。必要なところには思い切って体制を強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 乳幼児の医療費助成は、入院が就学前まで拡大し、通院は歯科のみ4歳まで拡大となりました。これは、県民の要望にこたえるものであります。これによる対象者はどれだけ拡大になるのか。それに要する経費は幾らでしょうか。通院も就学前までとしたらどれだけの経費増となったのでしょうか、これを示していただきたい。
 次に、BSE対策についてお聞きします。
 政府の失政によって今、畜産・酪農家、関連業者は存亡の危機に立たされています。
 まず、第1に知事に伺います。
 BSE問題による畜産・酪農家の損害補償を国に求めるべきと考えますが、いかがですか。農水省は、BSEによる被害額を2、200億円と発表していますが、岩手県の場合の被害額の試算はどうなるでしょうか。
 県は今回、BSE関連つなぎ資金について、一括償還ができない農家に対する借換対策資金を導入するとしています。遅きに失した感があります。5年の償還期間は農家の要望にこたえたものであります。ところが、2月末の利用状況はわずか182件、13億6、100万円余にとどまっています。必要とする農家が使えるように対象農家に徹底するとともに、貸付期間を延長すべきではないでしょうか。
 廃用牛の処理は急務中の急務であります。年間1万6、000頭と試算しているようですが、これまで出荷調整されているのはどれぐらいでしょうか。新たな屠畜場の確保を含め、全国一斉に屠畜処理し、BSE検査も実施するよう国に緊急に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 消費拡大が最大で最後のかぎとなります。この時期こそ、安全でおいしい県産牛肉の普及活用の時期として特別の対策を講ずるべきであります。そのために、私は全小・中学校の学校給食で毎月県産牛肉の給食を実施すること、県立病院や県内のホテル、旅館での県産牛肉の利用対策など、必要な財源も確保して進めるべきではないでしょうか。BSE発生後のこの間の取組状況も含めて、今後の具体的な対策を示していただきたい。
 次に、地方交付税の削減と市町村合併についてお聞きします。
 小泉内閣が打ち出した地方交付税の1兆円規模の削減は、地方交付税法の上からも、全国町村会の会長の繰り返しの反対決議からもできるものではないと思いますが、どうだったでしょうか。地方交付税の人口5万人以下の市町村に対する段階補正の見直しも、地方自治と地方交付税の趣旨に反するものと考えますが、いかがでしょうか。来年度の段階補正見直しの影響は、何市町村で総額幾らになるでしょうか。
 知事に伺います。
 政府のこうした不当な地方交付税の削減の圧力と攻撃を強め、期日を区切って上から合併を押しつけるやり方は、とても市町村の自主的な取り組みとは言えないと思いますが、どうでしょうか。
 今、知事としてやるべきことは、地方分権の地方自治の強化のかぎとなっている地方財源の確保であり、地方交付税の不当な削減に反対することではないでしょうか。また、合併をしないという選択も市町村の自主的な選択であり、そうした立場も尊重すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 人口が2万人台でも3万人台でも立派に住民の要求にこたえ、福祉や医療、環境を大切にした町村も県内には見られますが、知事はこうした自治体も合併を検討すべきと考えているのでしょうか。
 教育問題について教育委員長にお聞きします。
 今、全国で少人数学級を独自に実施する大きな流れがつくられつつあります。既に今年度は、秋田県、新潟県、愛媛県など10府県で小学校1年生、2年生、中学校1年生で少人数学級の取り組みが実施されました。さらに来年度は、青森県、山形県、福島県、北海道、宮城県の仙台市などで新たに実施され、毎日新聞の報道によれば、来年度は19道府県に広がろうとしています。山形県は、3年間で全小学校での少人数学級を実施するとしています。全国各地で少人数学級が広がっているのは、国の教育行政のおくれに業を煮やした自治体が、財源をすべて負担してでも子供と教育の危機を打開したいと考えたからではないでしょうか。教育委員長として、こうした各道府県独自の取り組みをどう受けとめておられるでしょうか。
 岩手県は、来年度県単独で2億5、800万円余の予算を計上し、小学校1年生で30人以上の学級を対象に少人数指導を実施するとしています。岩手県だけがなぜ、少人数学級ではなく少人数指導として進めるのでしょうか。その具体的理由、根拠を示していただきたい。
 県教委が進める少人数指導は、学校長の裁量で少人数学級として実施できないものでしょうか。少人数学級を絶対にやらないというなら、その理由も示していただきたい。少人数指導を習熟度別指導にしてはならないと考えますが、いかがでしょうか。少人数指導の具体的内容はどういうものでしょうか。
 教育委員長に改めてお聞きします。
 文部科学省と文部科学大臣は、新学習指導要領は最低限の基準だとして学びのすすめのアピールを出し、放課後の補習や宿題をふやすことなど、異例の提案を行いました。これは、これまでの文部科学省の方針を180度転換させるものであります。まさに、文部科学省の混迷のあらわれと思われますが、この方針転換をどう受けとめているでしょうか。また、大学内での議論を無視、軽視した国立大学の統廃合、教育学部の統廃合は、岩手の教育と教師の養成、各分野の後継者の養成にかかわる重大問題でありますが、見解と対応についてお聞きをいたします。
 最後に、公安委員長に質問いたします。
 公安委員会に今年度提訴や苦情など、寄せられた件数と処理はどうなっているでしょうか。
 公安委員会に提訴された案件で、私が昨年の決算特別委員会で取り上げた県警本部内での10数年間にわたる人権侵害、いじめ、差別ともいうべき訴えについて、公安委員会ではなぜ取り上げられなかったのでしょうか。昨年の私の質問に対して熊谷公安委員長は、必要によって監察にかかわる諸問題等について個別・具体的な指示を行うと答弁をしていますが、今回の案件は公安委員会の責任において対応すべきではないでしょうか。
 もう一つ伺います。この訴えにかかわって幾つかの不祥事疑惑が指摘されています。私は、決算特別委員会では、山岳遭難救助訓練において、同乗者の停止の声を振り切って、酒とミカンの入った段ボールを県警ヘリから違法に落下させたことを指摘いたしました。県警の答弁は、無線通信用のバッテリーを緊急に届けたということでしたけれども、その根拠を確かめていただきたい。少なくとも、当事者からの調査を実施していただきたい。また、その後監督官庁に報告し、了解を得ていると答弁がありましたが、これは始末書、てんまつ書の提出ではないでしょうか。この点で、公安委員会として確認をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 県警本部長にお聞きします。
 飲酒運転、酒気帯び運転による悲惨な事故が繰り返されました。この1年間の状況とその解決策、打開策について示していただきたい。また、この中で、公務員、県警の職員がかかわる事件はどのくらいでしょうか。
 以上で私の質問を終わりますが、答弁を聞いた上で再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 斉藤信議員の御質問にお答えいたします。
 まず、小泉内閣の構造改革についてでございますが、政府の構造改革と経済財政の中期展望というものを政府の方で発表したものがございますが、これによりますと、不良債権処理のおくれ、厳しい雇用情勢、財政赤字の拡大、社会保障制度の持続可能性への不安などが消費や投資を抑制して民間需要を低迷させており、こうしたことがデフレ状況を継続させてきたと、このようにしているわけでございます。
 私は、我が国がデフレ経済から脱却し、持続可能な社会を存続していく上で、規制緩和による民間活力の発揮、不良債権問題の解決、財政再建などの構造改革は避けて通れない課題であると認識しておりますが、短期的には不良債権処理などに伴ってデフレ圧力が強まることも想定されるところでございまして、量的緩和のための金融政策を講じるなど、政府、日銀が一体となった適切な政策発動が求められているところでございます。地方としても、これら構造改革による地域経済や雇用、そして地方財政などへの影響ができる限り最小限にとどまるよう、あらゆる対策を講じていかなければならないと考えております。
 次に、企業の社会的責任についてでございますが、企業は、株主や取引先に対する経済的な責任とともに、従業員や消費者あるいは地域に対する責任があるものと認識しております。したがいまして、私はこれまでも、企業の合理化計画が明らかにされ、それによる地域経済への影響が懸念される場合には、その企業がみずからの責任として従業員の雇用確保や下請企業の取引確保に当たるなど、合理化による影響を最小限にとめるよう強く要請をしてきたところでございます。
 次に、アルプス電気盛岡工場の閉鎖への対応につきましては、同社に対して、工場閉鎖の発表直後から地元玉山村などと協議を重ねまして、県、関係市町村などで構成する対策委員会として、また、県としても独自に工場の存続について再考を促してきたところでございます。しかし、去る2月18日に同社から、最終的に当初の計画どおり盛岡工場の閉鎖を進める旨の回答があったものでございます。
 県では、この回答がありました後も本社役員と接触を持ちまして、従業員の配置転換に当たっての最大限の配慮を初め、やむなく退職する従業員の再就職支援、さらには地元関連企業との取引の継続など、企業としての責任を果たしてもらうよう強く要請をしてきているところでございます。
 次に、大型店の出店問題についてでございますが、このたびの盛岡市長等のイオンモール株式会社に対する要請は、前潟地区への適正規模の出店を要請したものと聞いてございます。
 県では、大型店の立地に際しまして、大規模小売店舗立地法に基づき、周辺地域における交通渋滞や騒音などの生活環境を保持する観点から、設置者に対して、市町村や住民等の意見に配意し、国の指針を勘案しながら意見を述べることとなっております。現時点ではイオンモール株式会社から大型店の立地の届け出はなされておりませんが、届け出がありました場合は、盛岡市や住民の皆さんの意見を聞きながら、この法の趣旨に沿って適正な審査を行っていきたいと考えております。
 次に、BSEの損害補償と被害額についてでございますが、県では、畜産農家の経営維持・安定対策、金融対策などの充実強化について、これまで国に対して提言を行ってきたところでございまして、今後、それに対する国の取り組みや生産者の実情、消費の動向などを十分に見きわめながら、必要に応じて、国が責任を持ってとるべき対策を国に対して強く要請していく考えでございます。
 BSEの発生による本県の被害額につきましては、関係する事業者が、生産者はもとより、流通段階、小売、外食産業など最終消費に仕向けられるまで多種多様となっており、それぞれの段階での被害額を把握することは容易ではないことなどから、本県分の被害額を試算することは極めて困難であると考えております。農水省の国全体の被害額というのも大変大ざっぱなもので、どういうふうな推計をしているかよくわかりませんけれども、いずれにしても、被害額の試算というのは現在では極めて困難と、このように考えております。
 次に、地方交付税の削減と市町村合併についてでございますが、今日の合併論議は、少子・高齢化の進行や、国、地方を通ずる厳しい財政状況など、市町村を取り巻く環境の変化を踏まえて、多様化、高度化する行政課題に的確に対応するため、行財政基盤を強化して自立性を高めていく方策として、市町村みずからが住民とともに地域の実情に即した議論を尽くし、その判断と責任で主体的に取り組んでいくものであると、こういう基本的な考え方に立って行われるべきものと考えております。
 このような考え方のもと、それぞれの市町村において、ことし1年は抽象論ではなく具体論に踏み込んだ議論を行っていただきたいと考えておりまして、住民の皆さんともども議論を尽くした結果として導き出される今後の市町村のあるべき姿は、全県一律のものとなる必要はないものと、このように考えております。
 また、国では、地方交付税制度の見直しによって市町村の行政改革に向けた取り組みを促そうとしているところでございますが、今後とも、地方交付税制度が財政力の格差を是正して、地方公共団体が実施の責務を負う事務事業について適切に財源を確保するという機能は極めて重要でございますので、県でも、その機能を適切に果たすことができるよう、所要額の確保や税源移譲を含む国と地方の税源配分の見直しなど、引き続き地方税財源の充実強化に向けて提言してまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕

〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、県内の誘致企業の合理化計画についてですが、御案内のとおり、本年度の誘致企業工場閉鎖は24件でして、これに伴う離職や配置転換者は2、168人となっております。
 なお、岩手労働局では、雇用対策法に基づきまして離職者数の調査を行っておりますが、この調査によると、本年度1月末現在で倒産、整理、閉鎖などにより5人以上の離職者を出した事業所は219事業所で、その離職者数は5、915人となっております。
 次に、アルプス電気盛岡工場の閉鎖計画についてでありますが、工場の閉鎖について労使が合意し、現在、配置転換に係る意向確認のための個別面談が行われているところでありますが、アルプス電気に対しましては、従業員一人一人の事情や要望を十分考慮するとともに、やむなく退職することとなる場合の再就職についても、公共職業安定所などの協力を得ながら、会社として万全を期するよう要請しているところであります。
 また、アルプス電気の責任で仕事と雇用を確保する責任を求めることにつきましては、もとより企業は地域に対する責任を求められておりますことから、従業員の雇用確保については第一義的に企業が責任を持って解決するよう要請しております。
 次に、このリストラについて改善を求めるべきではないかということにつきましては、従業員にとっては配置転換を余儀なくされるなど切実な問題でありまして、アルプス電気に対して個々の従業員の事情を十分考慮するよう責任のある対応を求めているところであります。
 また、企業の内部留保を活用して雇用と工場を守るべきとのお尋ねにつきましては、アルプス電気からの説明では、前期に比較いたしまして、今期は売上高、営業利益、経常利益とも大きく減少し、当期純利益は、対前年度実績比で116%減の欠損となる見込みと伺っております。内部留保につきましては詳細は承知しておらないところでありますが、いずれにしても、企業として雇用や地域への責任を果たすよう要請しているところであります。
 次に、アイワ岩手の工場閉鎖への対応についてでありますが、まず、退職者と再就職の状況につきましては、2月28日現在におけるアイワ岩手及び関連子会社のポローニアの退職者合計531人中、再就職が決定した者が153人、率にして約29%となっております。
 また、会社側の雇用確保と再就職の努力につきましては、会社としてこれまで再就職支援のためのスタッフを配置して従業員の相談に応じてきたほか、岩手労働局の協力を得まして、アシストハローワークを工場内に設置するなど再就職のための取り組みを行ってきているほか、対策委員会と連携して県内企業への受け入れ要請を行ってきたところであります。
 次に、工場跡地を活用した企業誘致の見通しについてですが、退職者の雇用に結びつくような企業の導入を前提として、アイワ本社と継続して協議を重ねているところであります。
 雇用の確保と地域経済への責任につきましては、退職者の再就職について、企業として最大限の配慮をするよう継続して要請してまいりたいと考えております。
 次に、岩手信用組合についてでありますが、県が指導監督した時期の同組合の再建への取り組み、その成果、支援総額につきましては、平成6年当時の不良債権7億3、000万円余を償却するため、県、全国信用協同組合連合会、県内金融機関が協調し支援したところであり、12年度末まで計画どおり4億6、500万円を支援し、63%程度の不良債権を償却してきたところであります。
 また、破綻時の対応についてでありますが、預金保険法に基づく岩手信用組合からの破綻申請に対しましては、金融庁がその権限に基づいて対応したところであり、国及び岩手信用組合から県に対して特に相談はなかったところであります。
 今回の破綻の原因につきましては、地域経済の低迷による業況の悪化、株価の下落により保有有価証券等に生じた多額の含み損を時価会計に対応して償却したため平成12年度は2億円弱の赤字決算となり、同組合では、経営改善計画の見直し検討など努力はしましたが、自主再建を断念するに至ったものと認識しております。
 次に、金融検査マニュアルによる基準の適用については、同マニュアルでは、金融機関の自己責任原則によりまして、業務の健全性及び適切性の確保を求めており、その適用に当たっては、金融機関の規模、特性を十分踏まえまして、画一的な運用とならないよう配慮されていると聞いております。
 それから、受け皿金融機関である気仙沼信用金庫への債権譲渡につきましては、国が選任した金融整理管財人のもとで債権の分類作業が行われているところでありまして、債権譲渡や店舗、従業員の雇用については、気仙沼信用金庫が地域との取引関係や将来性などを勘案しながら総合的に判断するものと考えております。
 損失補償のセーフティーネット保証の利用状況については、2月末時点で1件2、000万円となっておりますが、これは、現在のところ、岩手信用組合が既存の取引の範囲内で、借り入れの継続、期間の延長等に応じているためと同組合から聞いておりますが、今後、気仙沼信用金庫への債権譲渡が具体化してきますと、その需要が生じてくることが予想されますので、その時点で改めて各金融機関に対しまして、地元中小企業者への円滑な資金供給とこの制度の活用を要請してまいりたいと考えております。
 次に、大型店の出店問題とまちづくりについてでありますが、まず、前潟地区へのイオンの出店に関する報道については、現時点では、所轄の盛岡地方振興局において、大規模小売店舗立地法上の届け出や、その届け出の1カ月前の事前協議を受けておらず、出店計画については承知しておりません。お尋ねのマスコミの報道の件につきましては、マスコミからお話を伺ってみたいと思います。
 また、大型店の出店に係る影響については、盛岡市商店街連合会の影響調査は、一つの試算として商店街に与える影響を分析したものと承知しております。
 なお、現時点におきましては、立地法に基づく届け出は出されておらず、売り場面積を含む出店計画の詳細については不明でありますことから、商店街への影響の度合いについては把握しがたいところであります。
 また、県都市計画審議会における附帯意見への対応につきましては、盛岡市において、まちづくりの観点から総合的な判断のもとに対応していくものと考えております。
 県としては、周辺地域の生活環境の保持の観点から、盛岡市や住民等の意見を聞きながら、立地法で定める指針に沿って対応していく考えであります。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) 超過勤務の縮減についてでありますが、行政に対する需要が複雑多様化する中にあって、職員の超過勤務を縮減していくためには、各職場において、業務目標の明確化、執行計画に対する進捗状況の的確な把握や事務配分の変更などに組織的に取り組むとともに、管理監督者が率先して従来の仕事の進め方を根本から見直して、計画的、効率的な事務処理体制の確保に努めることなどが重要であります。
 今後とも、このような取り組みを進め、超過勤務の縮減に一層努めてまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕

〇環境生活部長(時澤忠君) イオンモールの出店計画に係る環境アセスについてでありますが、具体的な届け出は出されておりません。お尋ねの件につきましてお答え申し上げますと、環境影響評価条例に基づく対象事業のうち建築物の新築に関する事業に該当いたしまして、その延べ面積が10万平方メートル以上の場合には必ずアセス手続を行わなければならず、5万平方メートル以上10万平方メートル未満の場合には、自主的にアセス手続を行うか、または知事に届け出の上、手続が必要かどうか判定を受けることとなっております。その判定に当たりましては、事業実施区域を管轄する市町村長の意見を求めることとなっているほか、さまざまな分野の専門家で構成されます環境影響評価技術審査会の意見を聞いた上で、当該事業の技術、工法などが同種の一般的な事業の内容と比べて環境影響の程度が著しいものとなるかどうかなどの第2種事業の判定の基準がありますので、その基準に照らしまして、届け出の日から60日以内に知事が判断することとなります。その結果、アセス手続が必要と判定された場合には、条例に基づき事務を進めるシステムとなっております。
 なお、本県におきましては、これまで延べ面積5万平方メートル以上のものについて環境アセスを行った例はございません。

〇議長(谷藤裕明君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、健康保険法改正に伴う医療費の岩手県分への影響についてでありますが、サラリーマン本人の負担が3割に引き上げられることによる影響については、国の試算をもとに、被保険者本人の県内数と全国との比率を用いた極めて粗いものですが、あえて試算すれば、患者負担で55億円程度の負担増、受診抑制による減が61億円程度、保険給付額では116億円程度減になります。
 また、医療費の負担増等につきましては、国において今通常国会に医療制度改革関連法案を提出しているところであり、国会審議の推移等を見守ってまいりたいと考えております。
 次に、6カ月以上の入院患者の実態については、直近のデータとしては、介護保険法施行前の平成9年の患者実態調査によれば、精神科を除いた県内の病院全体で約3、200名となっております。県立病院については、平成13年6月末現在で150名となっております。これらの入院患者の退院については、医師の入院医療の必要性の判断に基づいて患者が適切に対応していくものと考えております。
 次に、介護保険についてでありますが、本年度の介護給付費は、計画対比で86%と見込まれております。計画を下回っている要因は、介護療養型医療施設の指定が計画対比で60%弱にとどまっていること、在宅サービスの利用の低調等によるものであると考えております。また、居宅サービスについて、県の調査では9割近くの方が量及び質ともおおむね満足しておりますが、利用が低調な要因については、今回の計画の見直しの中で市町村とともに詳しく分析を行い、その評価結果に基づいて対応することとしております。
 次に、介護保険施設の整備についてでありますが、平成14年度末の定員目標と整備見込みとの差は、介護老人福祉施設91床、介護老人保健施設104床、介護療養型医療施設が719床となっております。また、2月補正と来年度予算をあわせまして介護老人福祉施設は305床の増床を見込んでおりますが、平成15年度以降については、次期計画の見直しの中で各施設の利用希望者のニーズを的確に把握し、施設サービスと在宅サービスのバランスのとれた基盤整備を進めてまいりたいと考えております。
 なお、新型特養のホテルコストについては、国で低所得者の負担軽減を検討すると伺っており、これを注視しているところであります。
 また、利用料または食費の標準負担に係る利用者負担額の経過措置の適用者は平成14年1月末現在で3、300人余でありますが、経過措置経過以降においては、被保険者との公平性等を保ちながら、必要な処遇が確保されるよう、経過措置期間内に実情の把握に努めてまいりたいと考えております。
 次に、児童虐待及びDV──配偶者暴力でありますが──に関する相談件数についてでありますが、平成13年度の2月末までの相談件数は、児童虐待が154件、福祉総合相談センターに寄せられたDV相談が307件であります。
 次に、児童虐待やDVに係る相談体制の強化についてでありますが、本年4月から同センターにおいて虐待相談の初期対応を担当する児童虐待対応専門チームを設置するほか、虐待を受けた児童等及びDV被害者の心理療法等を担当する職員や虐待防止の地域システム構築を進める職員を増員するとともに、適切かつ効率的なセンター業務体制となるよう、その見直しを図ることとしております。
 今後は、児童虐待防止を地域ぐるみで対応していくことが重要であることから、本年2月に策定した児童虐待防止対策指針に基づいて、市町村等関係機関・団体などとの効率的かつ効果的なネットワークの構築を図ることとしております。
 次に、乳幼児医療費助成についてでありますが、今回の事業の拡充により、助成対象となり得る乳幼児は約2万1、000人増加し、拡充に伴う経費は通年で約9、400万円と見込んでおります。また、通院を就学前まで実施した場合は、通年で約2億2、000万円、入院とあわせますと約3億円の経費増になるものと見込まれております。
   〔医療局長長山洋君登壇〕

〇医療局長(長山洋君) 後発医薬品の活用についてでありますが、現在、それぞれの病院ごとの薬事委員会で採否を審議し、使用医薬品を決定しておりますが、後発医薬品の使用は176品目となっております。
 後発医薬品の採用に当たりましては、品質保証や安定供給に不安があるなどの問題点がありますが、今後においては、国が公表している品質情報に基づき、安定的供給が保証される薬品について引き続き使用してまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐藤勝君) まず、BSE関連つなぎ資金についてでありますが、今議会で御審議いただいております借換資金も含めまして、農家の借り受け希望に十分にこたえることが肝要でありますことから、地方振興局等を通じまして周知徹底を図っているほか、市町村、関係団体に対しましても周知方、協力をお願いしているところであります。
 また、BSE関連つなぎ資金の貸付期間の延長につきましては、生産農家の経営維持・安定を図る観点から、先般も国に対しまして強く要請してきたところであります。
 次に、廃用牛の処理についてでありますが、県内で出荷調整されている2月末現在の頭数は、乳用牛、肉用牛あわせまして約1、700頭と見込んでおります。さきに国は、廃用牛の計画的な出荷や農協等による買い上げ、流通不可能な牛肉の焼却などを内容とする廃用牛流通緊急推進事業を示しました。それを受けまして、各県ともそれぞれの実情に即した事業実施を検討しているところでありますが、県といたしましては、現在、計画的な屠畜の処理、それから厳格なBSE検査をできるだけ早く実施に移せるよう、鋭意、具体的な詰めを急いでいるところであります。
 次に、県産牛肉の消費拡大についてでありますが、県といたしましては、これまでも関係機関・団体との連携のもとに、正確な情報の提供を初め、特別イベントの実施や学校給食での使用への支援などを行ってきたところであります。このような取り組みの結果、県民の牛肉消費量は昨年の水準には至っていないものの、徐々にではあるものの回復基調にあるというふうに感じております。また、ほとんどの学校で牛肉使用が再開されておりますし、県立病院での利用の回数も回復の傾向にあります。さらに、民間レベルでの消費拡大に向けての活動も活発に行われるようになってきております。
 今後におきましても、トレーサビリティの充実や、県民の皆様に具体的な数値を示して消費を呼びかけるなど、関係者と一体となって、積極的に牛肉の消費回復に取り組んでまいる考えであります。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) 地方交付税の削減についてでありますが、地方交付税制度は、地方団体が法令で義務づけられた事務等を行うことに支障がないよう財源保障を行うものでございまして、各団体の合理的な財政需要と関係なく地方交付税を削減することは、現行制度の趣旨に沿うものではないと考えております。
 なお、今回の段階補正につきましては、経済財政諮問会議のいわゆる骨太の方針を受けまして、合理的、効率的に行財政運営を行っております団体の実態を反映した見直しが行われているところでございます。
 平成14年度の各市町村の段階補正見直しの影響についてでございますが、具体的な算定につきましては今後の作業となりますけれども、総務省の目安を本県市町村に単純に当てはめますと、平成14年度の段階補正見直しによる地方交付税の減少影響額は、49市町村におきまして8億円程度と想定されるところでございます。
   〔教育委員会委員長船越昭治君登壇〕

〇教育委員会委員長(船越昭治君) まず、各道府県の少人数学級への取り組みをどう考えるかというお話でございますが、平成13年度から、国におきましては40人学級を学級編制の基準とはするけれども、都道府県教育委員会の判断によって児童生徒の実態を考慮し、特に必要と認められる場合は弾力的な処置ができるとしたことから、各道府県におきましては、それぞれの地域の教育課題や施策の効果等を踏まえて、さまざまな取り組みとして対応しているものだというふうに受けとめております。
 次に、学びのすすめでありますが、今回文部科学省から出されました学びのすすめ、いわゆる2002年アピールでございますが、子供たちの確かな学力の向上のために、指導に当たって考えるべき重点あるいは具体的な方策を示したものだと受けとめております。したがいまして、このアピールは、子供たちに基礎的・基本的な内容を確実に身につけさせ、それをもとにみずから学び、みずから考える、いわゆる生きる力をはぐくむということを基本的ねらいとしております新学習指導要領と軸を一にするものと認識しております。したがいまして、県教育委員会としては、これまで同様、すべての子供たちに基礎・基本を確実に定着させ、生きる力をはぐくんでいくことができるよう、学校教育の充実に向けて諸施策を推進してまいりたいと考えております。
 次に、国立大学及び教育学部の統廃合についてでありますけれども、これにつきましては、既に大学審議会の答申を受けまして基本的に日本の大学の改革、つまり教育研究及び管理運営でありますが、それを高度化それから活性化、個性化という線で改革を進めるべきであるという答申を受けまして、御承知のとおり、昨年6月に大学の構造改革の指針についてというのが発表されたわけであります。これにつきましては、国立大学の再編・統合、それから民間的な発想の経営手法の導入でありますとか、あるいはまた第三者評価による競争原理の導入というような方針が示されたわけでありまして、国立99大学すべて、今その改革に取り組んでいるところでありますが、教員養成系学部におきましても、この大学改革の一環として進められているというふうに承知しております。したがいまして、岩手大学教育学部も、岩手大学全体の改革の中で今論議されておりますので、国の動向及び岩手大学の改革の方向等を見守りながら注視してまいりたいと、このように考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕

〇教育長(合田武君) 小学校1年生で少人数指導を進める理由等についてでありますが、県教育委員会といたしましては、国の教職員配置のあり方等に関する調査研究協力者会議の報告や、多様な学習集団で学級を弾力的に運用していくことなどを内容とする第7次定数改善計画の趣旨を踏まえ、子供たちが集団の中で切磋琢磨しながら社会性を身につけるという教育効果を期待し、学級編制基準は40人としつつ、教科等の特性に応じたり特に配慮が必要な子供への対応をしたりするなど、指導目的に合わせて、少人数での授業や複数の教員によるチームティーチングなど、適切に集団を使い分けながらさまざまな活用が可能となることから、少人数指導を進めてまいりたいと考えているところであります。
 また、お尋ねの学校長の裁量による少人数学級の実施については制度的に困難でありますが、学級編制の弾力化については、今年度から特に必要と認められる場合には、市町村教育委員会からの申請を受けて対応しているところであります。
 次に、習熟度別学習についてでありますが、一般的には理解や習熟の程度に応じて学習集団を編成し、一人一人にきめ細かな指導を行い、子供たちにわかる喜びを実感させることは、学習内容を確実に身につけさせる上で、一つの効果的な取り組みであると考えております。
 なお、来年度実施する少人数指導支援事業の内容についてでありますが、小学校1年生に対してすこやかサポートとして88校に118名の非常勤講師を配置し、小学校2年生から中学3年生までには、国からの310名程度の加配常勤教員の活用と学校いきいきプランによる70名程度の非常勤職員の配置を予定し、基本教科のきめ細かな指導の充実に努めてまいりたいと考えております。
   〔公安委員会委員長昆司君登壇〕

〇公安委員会委員長(昆司君) 公安委員会に寄せられた苦情などの件数及び処理についてでありますが、昨年6月1日から施行されている警察官の職務執行に対する公安委員会あての苦情件数は、電話によるものを含めて3件であり、また、今年度に受理したその他の意見、要望等の投書は7件となっております。これらの処理については、3件の苦情についてはいずれも警察本部長に内容等の調査を指示し、この調査結果に基づく公安委員会の判断を文書等で申立者に回答しておりますし、その他の投書につきましても報告を受け、回答を要するものについては文書等で回答をしているところであります。
 本件投書につきましては昨年8月20日に受理しておりますが、この内容は、主に人事上の処遇に関する問題であることから、警察組織内で処理、対応されるべきものと判断し、警察本部に対し適正な対応をするよう指示し、警察本部において所要の対応をしているところであります。また、本件投書には航空隊の業務運営に関することが含まれており、警察本部に十分調査し、対応するよう指導したところであります。
 航空隊の活動状況につきましては、平成13年中、警ら活動、緊急配備などの特別勤務など252回出動し、人命救助、犯人の検挙など所要の成果を上げており、昭和60年の発隊以来事故もなく、全般的に適正に運用されているところであります。
 また、県警ヘリコプターから物品を投下した件につきましては、冬山遭難救助訓練中の部隊から緊急の要請を受けて警察無線機用バッテリーを投下したものであり、これを事後に監督官庁に報告し、了解を得たものと承知しているところであります。
   〔警察本部長熊崎義純君登壇〕

〇警察本部長(熊崎義純君) 飲酒運転による交通事故の状況と防止対策についてお答えいたします。
 昨年、県内におきまして、飲酒運転による交通事故は、人身事故が127件、物件事故216件のあわせて343件でございます。死亡事故は15件でございます。飲酒運転により16名の方が亡くなったほか、177名の方がけがをされております。
 また、公務員の飲酒運転事故でございますが、人身事故が2件、物件事故7件の計9件でございます。
 なお、この数値における飲酒運転でございますけれども、呼気1リットルにつきアルコール0.25ミリグラム以上のいわゆる酒気帯び運転による飲酒運転でございまして、それ以外のものにつきましては統計がございません。
 それから、県警職員にかかわる飲酒しての事故でございますけれども、大変申しわけないことでございますけれども、物件事故が1件ございます。これにつきましては、0.25ミリグラム未満ということで、先ほど申し上げた7件の中には含まれません。
 それから、次に飲酒運転事故防止対策でございますが、これにつきましては、飲酒運転取締強化期間を設定するなどして取り締まりを強化するとともに、昨年12月に刑法の一部改正による危険運転致死傷罪が施行になったこと、また、さらには本年6月からは、道路交通法の一部改正により、飲酒運転の罰則が大幅に強化されるところでありまして、こうしたことを含め、飲酒運転の悪質、危険性を県警察のホームページや各種広報紙等の広報媒体を通じまして、積極的に広報を推進してまいる所存でございます。


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