平成14年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(佐々木順一君) 自由党の佐々木順一でございます。
 質問に入るに先立ち、元県議会副議長・故吉田秀先生の御遺徳をしのび、心から御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。
 それでは、住民を代表し、自由党の立場から一般質問をさせていただきます。
 初めに、知事の政治判断と行政判断のあり方を中心にお伺いいたします。
 知事におかれましては、当選以来今日まで、行政官として9割、政治家として1割の意識の配分で職務に臨まれていると記憶いたしております。この方針は、思うに、わかりやすい県政の実効性を確保するための具体策の一つと理解するものであります。その結果、今日、ほとんどの県民の皆様から驚異的な評価が寄せられているところでありますが、一部には県民党的立場の堅持を強く求めようとする方々もおります。このことは、行政執行、予算執行は公正、公平でなければならないという期待のあらわれと拝察するものでありますけれども、直接選挙によって選ばれたいわゆる首長には、殊のほか政治家と行政職としての二面性を持つことが宿命づけられていることは論をまたないところであります。
 したがいまして、論理的には政治姿勢と行政姿勢は、それぞれ分離されてしかるべきでありますが、実際的には、一つの人格が二つの顔を使い分けることは困難でありますし、これが行き過ぎると、政治と行政の不信を招来するおそれもなきにしもあらずであります。首長には、公平、公正な行政執行が求められながらも、行政判断では対処不能なときには、県民の利益を確保するため政治判断を行使し、さまざまな危機や混乱を回避する固有の責務がありますけれども、一部県民の中には、首長の全般にわたる政治的動きに対し、必要以上に神経質になり抑制を求めようとする動きもあります。このような発想は選良の上に行政職を置くという奇妙な認識に基づくものと一方的に解釈するものでありますが、加えて、以前、知事が控え目に、また内部的に唱えた9対1原則が正しく理解されていないことに起因していると推察するものであります。私は、直接選挙によって県民の負託を受けられた知事が発揮する政治のリーダーシップとは、ある意味では県民主導と同義語であると思っております。したがって、知事が述べる言葉は県民の声でもあります。知事演述では、県政運営の心構えを前回のリスクを恐れずから、今回は失敗を恐れずのフレーズに転換され、グレードを高められておりますが、これは、不退転の決意で当たることを殊のほかにじませたものと拝察申し上げております。
 ついては、知事におかれましては、みずから課された9対1原則にこだわることなく、フリーハンドを一層確保され、今まで以上に政治のリーダーシップを発揮されるべきものと考えるものであります。なお、最近、政官の関係が注目されてきておりますので、政治と行政の良好なあり方を含めて御所見を承りたいと思います。
 さらに、私は、政治家にとっての本質的な政治行動とは、政治信念貫徹のためのマジョリティーを形成する行為であると思っております。特にも選挙に関するすべての行為は、その根本を占めるものでありますが、過般の新聞報道によりますと、同一選挙区の複数の候補予定者の政治活動用資料に知事の写真が使用されていたと伝えられておりました。このことは、政治信念貫徹に向けての御意思であるならば、それは一つの見識であるとは思います。しかしながら、私は、県の影響力が直接及ぶ市町村長の選挙の場合、知事の立場がみずからの意思とかけ離れて使用され、しかも仮に、これを黙認することになれば、県政の運営に少なからず支障を及ぼすものと心配するものであります。統一地方選挙を明年に控え、このような現象はさらに多くなってくるものと思いますが、知事の意思が伴うものであるならば、それは政治活動の自由であることから、侵すことのできない領域でありますけれども、意思が働かない場合、正当な選挙の確保の点からも、また、分権推進上の点からも決して有益ではないと思っております。政治判断は、高度であればあるほど予告なし、ある日突然瞬時にして行うべきものでもあることから、御答弁は求めませんが、何か御所見があればお伺いをいたします。
 また、最近、電子政府、電子県庁、電子自治体などなどの言葉に象徴されるように、行政事務の電子化が極めて顕著になってきておりますが、選挙のあり方にもこの波が押し寄せてきており、昨年、国会において電磁記録投票法が成立したところであります。これに伴い、他県の一部自治体では、既に電子投票の早期導入を目指す動きがあります。また、総務省では、国政選挙への導入も近い将来は不可避になると思うと述べているとお聞きしております。しかしながら、国会議員の間には自書式投票への必要以上のこだわりが想像以上に多いことから、国政選挙への導入は現段階では不透明でありますが、行政のスリム化の中で即日開票を確保するためには、電子投票への移行は避けて通れない状況になってくるものと思います。ついては、機密の保持や初期投資費用の問題、あるいは簡易に操作可能な末端やソフト開発の問題など乗り越えるべき課題は多いとは思うものの、先発自治体の取り組みなども参考にされながら、本県でも電子投票の導入について検討すべきものと考えますが、御見解をいただきたいと思います。
 次に、明年度予算案に関連してお伺いします。
 知事は、超緊縮型、抑制型を強いられた明年度予算案を小泉改革影響予算と命名されたとお聞きしておりますが、いわゆる聖域なき構造改革には、一般的に痛みに耐えることが定説となっております。ついては、明年度予算案における痛みをどうとらえているのでしょうか。一方、現下の社会情勢は、デフレのやみの中、まさに暗夜行路まっしぐらの感がありますが、知事の目には聖域なき構造改革による県民の痛みの向こうにある景色が夜明け前のような鮮やかな光景として、すなわち持続可能な社会として映っているのでしょうか。また、本県にとってこの痛みは受忍の範囲にとどまっているものなのか、あるいは限界点に達しているものなのか、率直な感覚を御披瀝願います。
 引き続きまして、財政問題に関連して総務部長にお伺いいたしますが、国は財政構造改革の一環として、歳出削減を図るため地方交付税の見直しなどに着手しておりますけれども、不況下における緊縮財政政策が、ことごとく失敗していることは歴史の知らしめるところであり、また、増税なき財政再建もなし遂げた例はないわけであります。税が政治の基本であるとするならば、これを預かる行政の役割は、市場原理のルールに基づいて財政の余剰を最大化することではなく、財政をコントロールしながら公共サービスを供給することにあります。したがいまして、巨額の債務に恐れをなして歳出を抑制することは、公共サービスの削減につながり、これが行き過ぎると社会は破綻に向かうことになります。ついては、今日の厳しい財政環境下にあって、財政健全化の手法は、行政のスリム化を筆頭に国からの税財源の移譲、新税の導入、あるいは債務管理型財政の強化などさまざまあるとは思いますが、財政力の確保と公共サービスの供給を両立させるため、今後、県財政はどの領域に力点を置いてコントロールされるのでしょうか。地方交付税制度と自治の目を摘み取っているとも言える国庫補助金のあり方も含めて御見解を賜りたいと思います。
 関連し、総務部長にお伺いいたします。
 最近の社会経済情勢にかんがみ、各県では、主体的に特別職の給与削減などに取り組む傾向にありますが、本県においても、過般、知事は、特別職の給与の削減に言及されたと伝えられております。一般的に給与の削減の範囲、期間を拡大することは、財政の余剰化に貢献することになります。したがいまして、他県では管理職の給料や諸手当の削減、職員の定期昇給の延伸などについても検討、もしくは内定されているところもあるやに仄聞しております。県民感情に配慮すると、すべての県民の皆様と痛みを共有することは当然のことでありますが、一方において、規模が拡大することに伴い、勤労意欲の低下を招くことは否めず、このたぐいは必ず市町村にも波及、結果として消費の低迷が一層進み、いわゆるデフレスパイラルの懸念に拍車をかけることにもなります。ついては、総合的判断に立った今後の方針について御確認させていただきます。
 次に、昨年、各知事会議等で決議されました二つの緊急要望、すなわちBSE対策と道路整備の推進について、知事にお伺いをいたします。
 初めに、BSE問題についてお伺いいたします。
 昨年の10月26日、全国知事会議では、6項目の緊急要望が、また、これに先立つ10月24日開催の北海道東北知事会では、本県から緊急提案された12項目にわたる当面の具体的関連対策がそれぞれ決議され、11月1日には、北海道東北知事会を代表し知事みずから、農林水産省、厚生労働省に対し緊急提言を行ったとお聞きいたしております。また、関連対策につきましては、初期段階から国の施策を上回る本県独自の対策を打ち出すなど、知事の危機管理に基づく迅速な御対応に心から敬意を表するものであります。しかしながら、消費の不振や価格の低迷、出荷の停滞など、経営、流通、加工、販売、飼料、消費全般にわたり、畜産酪農経営者及び関連事業者を取り巻く情勢は、ますます深刻な状況に置かれており、このことは今日の不況の大きな要因にもなっております。また、最近では、関係者の心情を逆なでするような偽装事件が追い打ちをかけ、今や畜産酪農関連産業は崩壊の危機に直面していると言っても過言ではないと思います。
 一方、BSE問題については、国がいわゆるEUのリスク評価調査報告書の再三の警告を無視したこと、また、肉骨粉の給与禁止を法的措置に求めるべきとの国際機関からの指摘を黙殺し行政指導にとどめたことなどに象徴されるように、当初から、BSEの侵入を許した国の危機管理の甘さが指摘されております。同時に、9月11日以降の国の対応のまずさを初め、対策も兵力の逐次投入的手法であることなども加わり、関係者の怒りは、農相の不信任や国家賠償請求などの動きに見られるように、極限に達しているとの感を抱くものであります。もはや、これは人災と言っても過言ではないと思っておりますが、今なお国は責任を認めておらず、対策も通達に基づく行政の裁量の範囲にとどまっております。したがいまして、私は、エイズ問題やハンセン病問題のときのように、事柄の性格と経緯にかんがみ、国が正面からその責任を認め、立法措置を伴う強力な対策を講じることこそ、国民の納得と信頼が得られる唯一、最善の道であると考えるものであります。ついては、昨年、本県議会でも国の責任を明確にされたい旨の意見書を提出しておりますけれども、一連のこれまでの国の対応と農相などの発言、さらには国会をめぐる動きなどを踏まえ、国の結果責任もしくは不作為の責任的なものは、排除することはできないと受けとめておられるのか、御認識をお伺いいたします。
 また、北海道東北知事会に提出した12の緊急項目は、どの程度国の責任を意識されてまとめられたものなのか、これまで国が打ち出した一連の対策の評価も含めて御見解をいただきたいと思います。
 次に、もう一つの緊急要望、すなわち、昨年12月20日に決議されました道路整備の推進についてお伺いいたします。
 全国知事会による道路整備の推進に関する緊急要望の提出などの結果、公共事業の抑制、道路特定財源の一部一般財源化など厳しい環境下にありながらも、高規格幹線道路、地域高規格道路などにつきましては、全国枠ではありますが、ほぼ前年規模の事業費が確保されるなど、一定の成果を上げられたところであり、御努力に敬意を表するものであります。
 一方、今通常国会に日本道路公団など道路関係公団の民営化後の経営形態や費用対効果の基準づくりなどを検討する第三者機関、すなわち道路関係公団民営化推進委員会設置法案が提出されておりますが、第三者機関での審議の結果によっては、本県のみならず地方の道路政策や地域振興策に著しい影響を及ぼすことが懸念されております。全国知事会の緊急要望では、高速自動車国道の整備については国の責任において推進されることを明記されるとともに、特に第三者機関での検討に際しては、地方公共団体の代表をメンバーとするなど、地方の意見が十分反映されるよう国に配慮を求めておりましたが、このほど国では、この趣旨を酌み取り、地方自治体の意見を代表できる委員の必要性を打ち出したとお聞きしております。そもそも国の一般政策の一つとも言える国土開発幹線道路につきましては、国土交通省を中心に政府の責任において処理されるべき性質のものであります。したがいまして、私は、議員の選挙区画や定数問題ならともかく、一般政策上の問題を第三者機関にゆだねるということは、適当ではないと思いますが、国土交通省にゆかりのある知事としては、どのような御見解をお持ちでしょうか。
 さはさりながら、第三者機関の設置は避けられない情勢下にあります。一方、全国の知事の中で、旧建設省出身の知事は、増田知事を含め、岐阜、岡山の3県のみであります。ついては、建設行政に精通され、地方の実態を把握されている知事御自身が意欲を持って第三者機関への参加を目指すべきと考えるものでありますが、いかがでしょうか。
 また、国の一方的な道路政策の取り組みに批判を強めてこられたように理解しておりますが、望ましい道路政策はどうあるべきか、率直な御見解を御披瀝願います。
 次に、政策評価の今後のあり方について総合政策室長にお伺いします。
 政策評価システムがスタートしほぼ1年が過ぎようとしておりますが、説明責任、成果重視、効率性、客観性などの目標を掲げ、相当の努力を傾けてこられていることは評価するものでありますけれども、一部、評価調書の作成に想像以上のエネルギーが割かれていることや、わかりづらいとの指摘もそこはかとなく耳にしております。ついては、丸1年作業に当たられ、どのような教訓が得られたのか、県民への公表方法の簡素化を中心に改善すべき点を含め御所見をいただきたいと思います。
 同時に、盛岡駅西口総合施設整備事業など、いわゆる大型プロジェクトについては、通常の政策評価のプロセスとは一部異なった流れで評価がなされているとお聞きしております。ついては、分離しなければならない理由など、その考え方をお聞かせ願います。
 また、国の行政機関が行う政策評価に関する法律では、評価の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況を国会へ報告する義務が明記されております。ついては、本県の政策評価の結果についても、必要に応じ議会への報告をルール化される必要があると思いますが、御見解をいただきます。
 さらに、例えば、ある一つの事業について、政策評価の結果と地域住民の声が相半ばした場合、だれが、どのような方法で結論を出すことになるのか、また、その責任はだれが担うことになるのか、御説明を賜りたいと思います。
 次に、県民の健康で快適な生活を確保するための環境の保全に関する条例に関し、環境生活部長にお伺いいたします。
 さきの定例会において可決されました、いわゆる生活環境保全条例の審議の詳細につきましては、十分御承知のことと思います。つきましては、質疑全体を踏まえて集約・可決された附帯意見に対する、これまでの取り組みと今後の対応策について御見解をお願い申し上げます。
 次に、雇用政策のあり方について、商工労働観光部長にお伺いいたします。
 地方事務官制度の廃止により、今日、職業紹介業務は国の直接執行事務になっておりますが、そもそも職業紹介事務は、高度成長時代を背景に全国的な観点からの労働力の流動、確保という役割を担ってきたものであります。したがいまして、どちらかというと現在でも全国一律的発想によって政策展開が図られていることは否めない事実であります。しかしながら、U、I、Jターンの相談所の設置などに見られるように、多くの自治体では、地域内での雇用の吸収、創出に懸命の努力を払ってきており、いわば地域特性の上に立ったきめ細かな対策を講じてきております。このようなことから、職業紹介の規制緩和を初め労働行政の一部を地方に移すことを求める声は、全国的にも多いと思います。このことは、地方分権一括法の審議の中でも、国と地方公共団体との密接な連絡協調体制を整備することなどの附帯決議が行われたところであり、また、全国知事会においても、知事を初め複数の方々が、労働行政の役割分担の見直しなどを求めたとお聞きしておりますが、一連の動向を踏まえ、現在どのような問題点があるのか、そして今後、労働行政はどうあるべきかを含めその実現方について御所見をお伺いいたします。
 次に、米の生産調整のあり方などにつきまして、農林水産部長にお伺いします。
 国の米政策の抜本改革については、昨年、稲作経営安定対策からの副業的農家の除外などが猛反発を受けたことから先送りされましたが、食糧庁では、昨年の反省に立ち、体制を一新した生産調整に関する研究会をスタートさせましたけれども、東北地方については、本県と青森県を除く各県が生産者、あるいは行政の立場など何らかの形で研究会に参画されていると伺っております。
 一方、食糧庁の研究会で取り扱う主なテーマは、生産調整参加者と非協力者の公平性の確保策、計画流通制度の抜本見直しなどであり、議論の結果を食糧法改正案に反映させる意向とお聞きしております。特にも大きな焦点は、15年度から実施予定の生産調整のあり方、いわゆるポジ配分の円滑な移行であると伝えられております。すなわち、これまでの面積配分方式から数量管理方式への変更でありますが、豊作により生産がオーバーしたときの処理対策や確実な生産調整実施の確認方法、さらには新しい助成体系のあり方などの問題点も指摘されており、論点、課題の整理段階から相当濃い議論が展開されるものと予想されます。ついては、米政策の転換期を迎えている中にあって、主産地として高い評価を得ている本県としては、米生産者の心情や生産現場の限界感を踏まえた本県の実情をどのような手段で、国の抜本見直しに反映されようとしているのかお伺いいたします。
 同時に、米をめぐる諸課題を正確に把握しながら、新政策の円滑な移行、定着を図るための体制構築も急ぐ必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 また、農林水産省がまとめた昨年度の都道府県別食料自給率によりますと、北海道、東北など、いわゆる農業主産県で前年度を下回ったところが相次いでおり、本県でも106から103に低下しております。ついては、この原因の分析結果をどのようにとらえ、県として食料自給率の向上にどのように貢献するお考えなのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、着任を御歓迎申し上げながら、警察本部長にお伺いいたします。
 まず、本県の治安の現況について、率直な御見解を賜りたいと思います。
 また、県内外を問わず、犯罪発生件数は増加の一途をたどっておりますが、検挙数は減少傾向にあります。また、不況や失業率の増加などから、社会の乱れが心配されているところでもありますので、今後の治安の維持強化策についてお伺いいたします。
 最後に、故・吉田秀先生のありし日のお姿をしのびながら、みたまの安らかならんことを念じつつ、岩手県競馬組合が抱える諸問題についてお伺いします。
 新競馬場整備に伴う起債の重さと長引く不況の影響もあって、組合は、平成12年度決算で初めて15億円余の赤字を余儀なくされ、また、今後も長期にわたって起債の償還が続くことから、厳しい財政運営を強いられる状況にあります。しかも、地方競馬の経営不振は全国共通の問題にもなっており、財政競馬の限界が指摘されてきております。ついては、組合では経営改善計画を策定され、鋭意取り組まれていると承知しておりますが、今後、組合の構成団体に対し赤字負担を求めるような事態が発生する可能性があるのでしょうか。
 また、福岡ドームに開設予定の3組合共同による場外勝馬投票券発売所は、経営改善の有力な戦力になると思いますが、一部、当該市民の理解不足が生じているともお聞きしております。一方、国が設置した研究会での議論を初め地方競馬関係者の中には、民営移管を将来の有力な選択肢として検討されていると承知しております。ついては、それぞれの状況についてお伺いいたします。
 同時に、これまでの地方競馬の基本は、財政競馬が主力でありましたが、これからは、その基本を馬事振興にシフトすべきであるとの識者の貴重な指摘もあります。ついては、競馬事業の全国興業の推進とともに、本県特有の馬事文化の振興に重心を移しつつ、これを県内外に積極的に発信する取り組みが必要と感じておりますが、あわせてお考えをお示し願います。
 以上、お伺いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 佐々木順一議員の御質問にお答えいたします。
 まず、政治と、そして行政のあり方についてのお尋ねでございますが、新世紀を迎え多くの課題を抱える中にありまして、この地方行政も発想の大転換が求められております。こうした中で、私は、県政の主役は県民であると、このような認識に立ちまして、県民の視点を重視した発想のもとに職員一丸となって、県民に開かれた県政を進めることが何よりも大切であると、このように考えております。
 特にも、価値観や意識が多様化している県民お一人一人の幸せを実現していくためには、私は、行政官として培ってまいりましたこれまでの経験、そしてその長所の部分を生かしながら、一方で、直接選挙で選ばれ県民の負託を受けた県政執行の最高責任者としての自覚を持って、私の所信に基づく県政の基本的方向などにつきまして、強力なリーダーシップのもとに実現を図るべきものと考えておりまして、今後ともこのような決意を持って県政を推進していく考えでございます。
 また、政治活動資料への写真の使用ということでございます。
 市町村長選挙への立候補を予定しておられる方が、みずからの後援会活動の中で、私の了解を得る形でリーフレットなどに写真を使用したことは、議員のお話しになった例──恐らく最近新聞に出たもののことだと思うんですが──も含めて、実はこれまで数回ございました。いずれも私の了解を得るという形で使ったものでございます。
 何か所感をということでございましたけれども、問題は、使われる写真、それから使用方法でございまして、やはりいろいろ仕事をしておりまして、たまたま候補者の方が私のところに御要望等で来た場面の写真などは、それまで使うなというのはなかなか実は申し上げにくいところもあるのは事実でございます。ですから、どういう写真が使われるのかというようなこと、あるいは使用方法などにかかわってくる部分もございますが、やはりお話はしていただくことは基本だと思いますし、選挙ということになりますので、極力お断りすることが基本だろうとは思っておりますが、こうしたお話がありました際には、それぞれ適宜判断して対応するということしかないと思っております。
 次に、電子投票の導入についてでございますが、電磁記録投票法では、県における電子投票の導入は、あくまでも市町村における導入が前提とされているものでございます。現在のところ、県内の市町村において電子投票を導入したいという意欲を示しているところはないと聞いてございますが、私としては、近年の情報化の流れの中で、有権者の意思の正確な反映、利便性の向上や選挙事務の効率化を図るという観点から、推進すべき課題であると、このように認識しております。
 もちろん選挙事務の所管は選挙管理委員会でございますので、今後、選挙管理委員会におきまして、国政選挙への導入などの検討状況、費用対効果の観点、さらには電子投票に対する県民の広いコンセンサス、県内市町村の動向などを総合的に勘案しながら必要な検討がなされるものと考えております。
 次に、国の構造改革に伴います痛みについてでございますが、国では、主要先進国中最悪と言われる危機的な財政状況にございまして、平成14年度予算を財政構造改革の第一歩として改革断行予算と位置づけ、さまざまな改革に取り組むこととしたところでございます。
 このような国の予算編成は、国の財源に多くを依存する財政構造にございます本県にとりまして大きな影響を受けることとなるわけでございますが、この痛みというものを、むしろ見直しや改革を進める好機としてとらえるべきと考えておりまして、平成14年度当初予算の編成に当たりましては、財源の確保が極めて厳しい中にございまして、政策評価主導という新たな視点に立った予算編成を行うことによりまして、予算規模を大幅に抑制して、県債発行額を縮減するなど財政の健全化に努力したところでございます。
 国の構造改革は、基本的には、我が国が持続可能な社会を存続していく上で避けて通れない課題であると認識してはおりますが、医療制度改革や財政再建、不良債権処理、特殊法人等の整理合理化、さらには税制改革などいずれの課題をとりましても、その手法いかんによりましては、地域経済や雇用、地方財政などに大きな痛みを生ずるおそれがございます。今後、引き続き国において検討が重ねられていくものと考えておりますけれども、その影響ができる限り最小限にとどまるよう、私どもとしてもあらゆる対策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、BSE問題についてでございますが、この問題については、昨年9月に我が国で初めてのBSEの発生が確認されまして、その後、国におきましては、おくればせながらではありますが、さまざまな対策を講じてきているところではございます。しかしながら、こうした対策はもとより、今強く国に求められておりますことは、なぜ我が国でBSEが発生したのか、その早期解明と、その原因に対応した対策だと、このように考えているところでございます。
 私は、1996年のWHOの専門家会議の勧告を初めとしてBSEに関する海外からの情報や警告が寄せられたわけでございますが、国は、より細心の注意を払ってそうしたもろもろの情報あるいは警告などに対処すべきではなかったのかと、このように考えているところでございます。
 また、国に対する緊急提言についてでございますが、このBSEの発生は、牛肉の安全性に対する消費者の不安を引き起こしますとともに、畜産農家や関連業界に大きな影響を与えたところでございまして、事の重大性から、国に対し、国の責任において緊急にとるべき対策について提言を行ったところでございます。
 もちろん一方で、県でもこれまで牛肉のトレーサビリティシステムの導入など、県としてとり得る対策を積極的に講じてきたところでございまして、今後とも、生産者の実情や消費の動向などを見きわめながら、県としてとるべき必要な対策もしっかりと講じて万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、道路整備の推進についてでございますが、日本道路公団の民営化に伴いまして、その経営形態などを検討する第三者機関の設置につきましては、政府におきましてもこれまでさまざまな議論が行われてきていると、このように承知しております。地方においては、高速道路の整備計画に沿って多くのプロジェクトがもう既に展開されておりまして、その整備は、既存の企業活動も含めて地域経済に大きな活力を与えてまいりました。
 こうしたことから、私は、全国の志を同じくする多くの知事の皆さんと連携して、国が整備計画を定め、国民にやると約束した高速道路の整備は、国が責任を持って約束を守るべきこと、それから、第三者機関の委員は、公正な人選を行うべきことなどを各方面に訴えてきたところでございます。幸いにして、個別路線の検討については、この第三者機関ではなくて政府の手にゆだねられることになったと承知しております。
 しかしながら、日本道路公団にかわる新たな組織とその採算性に関することについては第三者機関において検討されることとなっておりまして、この検討結果によりましては、地方の高速道路網の形成に大きな影響を及ぼすことが考えられます。したがいまして、その設置に当たっては、広い視野や見識を持つということのみならず、地方の実情をも十分理解している人が公正な手続で選ばれるように、引き続き幅広く働きかけていく考えでございます。
 次に、望ましい道路政策はどうあるべきかというお尋ねでございますが、道路は、県民の日常生活に欠くことのできないツールでございます。私は、分権時代にあって、国土の骨格をなしております根幹的な道路ネットワーク以外の地方の道路整備は、財源の配分も含めて地方にゆだねられるべきものと、このように考えております。
 この道路整備に大きく貢献をしてきたのが揮発油税や自動車重量税などのいわゆる道路特定財源でございますが、昨今、政府の一部においてこれを一般財源化すべきという意見がございます。しかし、この道路特定財源は、道路利用者、すなわち自動車ユーザーが受益者負担の原則にのっとりまして、道路の整備を目的に特別に高い税率を負担しているものでございまして、国の道路整備事業費はすべてこの自動車関係諸税で賄われているところでございます。一方で、地方の県や市町村の道路整備というのは、場所にもいろいろよるとは思いますが、総体的にはまだまだ不十分なところがありまして、現実には自動車重量税などの道路特定財源だけでは賄い切れなくて、厳しい財政事情の中で、さらにそれに加えて相当額の一般財源を投入しているのが現在の実情でございます。したがって、これを一般財源化するということについては、もちろん道路に起因する環境対策など、その使途の拡大ももっと考える必要があると思っておりますが、それ以前の問題として、やはり自動車重量税などについては──これは国が4分の3、地方が4分の1ということで、その4分の3のうちの8割を慣習的に道路特定財源に充てると、こうなっているわけですが──、国と地方の配分割合を変えて、特にも市町村に厚くこれを配分していくべきではないかと、まずそこに手をつけるべきではないかと考えております。
 私は、今後ともこのような考え方を国や関係方面へ申し述べてまいりますとともに、率先して厳正な公共事業評価を行いまして、県土の地域デザインに沿って、より重点的、効果的な道路整備に努めていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) まず、財政健全化の手法についてでありますが、本県の財政構造は、地方交付税や国庫支出金などの国への依存財源の割合が65%と多くを占める状況にありますことから、国の経済情勢や構造改革の動向を考えますと、財源の確保は今後一層難しさを増していくことが懸念される一方、歳出面では、公債費が今後とも大幅に増加するなど、極めて厳しい状況にあります。したがいまして、今後の財政運営に当たりましては、将来の財政状況を見据えて、歳入に見合った規模となるよう、歳入の的確な見積もりと歳出の抑制を図っていくことが重要であると考えております。
 このため、歳入については、北東北3県共同で検討している産業廃棄物税のような自主課税への取り組みや中長期の財政の見通しに立った県債の抑制、さらには財源調整のために積み立ててきた財政調整基金等の主要3基金について、適切な残高確保を前提としながらその活用を図っていくことなどが必要であります。
 また、国に対しては、真の地方分権を支える財政基盤づくりに向けて地方に税源を移譲するとともに、国庫支出金は真に必要なものに限定し、一般財源化や包括交付金化を促すほか、地方交付税の持つ財政調整と財源保障機能は引き続き重要であることから、これらの機能の拡充を求めるなど、他の地方公共団体と一体となって、全国知事会等を通じて要望を行っていく考えであります。
 一方、歳出については、総合計画に掲げる主要事業や新たな行政課題などにも機動的に対応していくことが求められておりますことから、歳出全体の抑制を図りながらも、政策評価システムを通じて、重要度と緊急度の高い施策・事業について優先的に実施するなど、限られた財源の重点的、効率的な活用によるめり張りのある予算の執行に努めていく必要があるものと考えております。
 次に、職員給与の削減に係る方針についてでありますが、昨今の厳しい社会情勢等を受けて、各都道府県においてさまざまな給与抑制のための対応がなされていると承知しております。現在、本県におきましても、厳しい雇用情勢等を踏まえ、どのような形で県民と痛みをともにすべきか、職員の士気に及ぼす影響、人事委員会勧告による給与決定の原則との兼ね合い、さらには、議員御指摘の市町村や関係団体等に波及することによる県内経済の影響などを考慮しながら、県としての対応のあり方について慎重に検討を進めているところでございます。
   〔総合政策室長佐藤徳兵衛君登壇〕

〇総合政策室長(佐藤徳兵衛君) 政策評価の今後のあり方についてでありますが、政策評価システムについてはこれまでにさまざまな御意見をいただいているところでありますけれども、施策の達成状況や事業の有効性、効率性等の分析・評価の精度を高めることはもちろんのこと、成果重視の行政運営に向けた職員の意識改革を進め、県民の皆さんからも十分な御理解をいただけるように、公表のあり方も含めて、よりよい仕組みに改善を重ねていくことが重要であると考えております。
 大型プロジェクトにつきましては、事業着手前に外部からの御意見も含めて多面的な検討が行われ、その上で整備に着手しているものであり、また、この大型プロジェクトの中でも、公共事業である場合には、別に公共事業評価において費用便益比分析等を基本とした箇所ごとの評価を行っているところであります。
 政策評価結果の議会への報告についてでありますが、今年度は、政策評価結果を取りまとめた後、直ちに常任委員会等を通じて全体的な評価結果を御報告するとともに、さきの12月県議会にも提出いたしましたけれども、主要施策の成果に関する説明書に政策評価結果をあわせて記載いたしたところでありまして、今後ともこうした形で適切に議会への報告を行ってまいりたいと考えております。
 それから、政策評価結果と地域住民の意見についてでありますけれども、評価結果は、自治体としての意思決定に当たっての判断材料の一つであると考えているところであり、地域の皆様のさまざまな御意見も十分お聞きしながら政策立案に反映されるべきものと考えております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕

〇環境生活部長(時澤忠君) いわゆる生活環境保全条例に対する県議会の附帯意見への対応についてでありますが、御意見を踏まえ、条例の円滑な施行に向けて、県民への周知、啓発と市町村との協力連携体制の構築に取り組んできたところでありまして、今後におきましてもさらに努力してまいる所存でございます。
 具体的には、まず県民に対しましては、テレビの広報番組や全世帯配布のいわてグラフ等を活用した周知活動や食生活改善推進員団体連絡協議会等への説明を実施したところであり、来年度は、新たに作成しますリーフレット等の配布や、地域を巡回する職員によります訪問活動を通じまして一層のきめ細かな周知、啓発を図る予定であります。
 市町村に対しましては改めて協力を要請したほか、担当課長との意見交換により今後の課題に対する認識を共有したところでありまして、引き続き密接な連携が図られるよう努めてまいります。
 事業者に対しましては県内6カ所で説明会を開催したところでありまして、今後は、新たに作成する詳細なリーフレットの配布、担当職員による個別説明などを通じまして周知、指導を図る予定であります。
 罰則を伴う規定の適用につきましては、解釈、運用の違いにより地域に混乱が生じないよう、マニュアルを作成し、関係職員に対する研修を実施する予定であります。
 また、ごみの減量化、リサイクルの促進につきましては、リサイクル製品の推奨制度を設けるほか、マイバッグの奨励などを盛り込んだ地球温暖化防止対策県民行動計画を現在策定中でありますので、そうした関連施策と相まって取り組みを一層推進してまいる考えでございます。
   〔商工観光労働部長鈴木清紀君登壇〕

〇商工観光労働部長(鈴木清紀君) 雇用政策のあり方についてでありますが、労働行政の大半は、地方労働局やその関係団体が、直接、事務事業を行う国直轄型の行政システムとなっておりまして、県は、部分的、補完的な役割を担っているのが現状であります。
 課題としては、基本的に雇用業務は国の事務であるため、例えば、障害者の就業支援や職業能力開発など障害者雇用業務につきましては、そもそも制度上地方自治体に対する財源措置や助成制度がないこと、それから、東京いわて銀河プラザにUターンセンターがあって、そこではUターン希望者に対して県は職業紹介はできず、県内職業安定所の求人情報を提供するだけであります。また、各種雇用関係助成金については、それぞれの実施主体の情報提供力が弱く、助成金の内容や申請手続が事業主に周知徹底されておらないこと、さらには、職業能力開発におきまして公設民営方式を導入しようとしても、その場合は国の運営交付金が受けられない仕組みとなっていることなどであります。
 こうした状況下において、県としては、県民の皆さんから地域密着型の雇用対策が求められておりますことから、県単独の財源で、民間職業訓練法人に対する障害者の委託訓練などを内容とするチャレンジド就業支援事業を創設したところでありますし、また、新たに公共職業安定所と県とが共同で求人開拓を行うことや、各種雇用関係助成金の共同説明会の開催など、できるところから取り組んでいくこととしております。
 今後におきましては、地方公共団体が主体となった雇用対策が推進されるよう、必要な権限委譲や財源措置につきまして、全国知事会などを通じて国に要望してまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐藤勝君) まず、米の生産調整のあり方についてでありますが、本県は、国の示す米政策の方向に即し、生産者の深い理解と協力により過去25年間にわたって生産調整目標を達成する一方、米生産においても高品質、良食味米の生産に努めるなど、需要に応じた計画的生産に大きく貢献してきたものと考えているところであります。
 今回、国で検討されている生産調整の仕組みが米の生産数量管理へ移行した場合は、その県別配分の方法によっては本県の水田農業も少なからぬ影響を受けるものと懸念しているところであります。このため、県別配分に当たりましては、需給均衡に向けた本県のこれまでの努力を十分に酌み取っていただくよう、国に強く訴えてまいりたいと考えているところであります。
 同時に、今後におきましては、米政策の見直しの影響を見きわめながら、生産者、消費者を含め関係者が一体となって本県独自の対応策を検討し、生産現場における前向きな取り組みを促進してまいることといたしております。
 具体的には、まず、県内の生産者、消費者、農業団体及び行政などで構成する研究会を今月中にも開催し、水田農業全般にわたって幅広く議論していただくとともに、農業団体等と連携をとりながら、現地に赴き、直接生産者の方々の声を聞く機会を設けることといたしております。また、この研究会や意見交換会には、国からもできれば参加を求めまして、生産者の思いを直接聞いていただくことにしたいと考えております。さらに、ここで論議された内容を踏まえて、東北各県と連携しながら、共通の課題等につきまして政策提言を行う一方、県独自の提言をも積極的に行ってまいりたいと、こう考えております。
 こうしたこととあわせて、客観的な産地評価などによって、地域ごとの米の生産・販売体制の見直しを早急に行い、国が実施しようとしている新たな米政策に的確かつ円滑に対応できる産地基盤の構築に向け、農業団体と一体となって鋭意取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 次に、食料自給率向上への貢献についてでありますが、国が試算した都道府県別の自給率は、米、魚介類など食料の種類ごとに国全体の供給カロリーを県別の生産量の比率により案分し、これを県別の消費カロリーで除したものであり、自県産の食料が実際にどの程度その県で消費されたかを示すものではないものであります。したがいまして、本県の自給率は11年度から12年度にかけまして低下したように見受けられますが、これは、本県供給カロリーの7割以上を占める米の生産量が増加したものの、全国の作柄の変動によりまして本県の全国シェアが低下したことによるものであります。
 いずれにいたしましても、本県といたしましては、今後とも食料自給率の向上に向けまして、需要に応じた米の安定生産や供給力が低い麦、大豆等の高品質生産、園芸作物の作付拡大の推進などに努めてまいりたいと考えております。
 次に、岩手県競馬組合についてでありますが、まず、構成団体への赤字負担について、競馬組合の規約では、組合の経費に不足があるときは構成団体に分賦すると定めてあります。平成12年度会計の不足額15億6、000万円につきましては、構成団体にその負担、いわゆる分賦を求めることなく、不足額を翌13年度の予算で充てる繰上充用の措置がとられたところであります。平成13年度会計におきましても不足額が生じると見込まれておりますが、競馬組合におきましては、この事態を厳しく受けとめまして、一層の経費の縮減と実効性のある増収策の展開を図る考えと伺っております。
 次に、福岡ドームの共同場外発売施設についてでありますが、既に国からの設置承認もおりておりますものの、一部住民の理解が得られていないということから、共同設置者である佐賀県競馬組合、熊本県の荒尾競馬組合とともに、引き続き住民や関係者に対する説明を重ねるなど、早期開設に向けまして粘り強く努力していると伺っております。
 次に、地方競馬事業の民営化についてでありますが、国が諮問機関として設置いたしております地方競馬研究会においては、民営化の議論もあったと聞いておりますけれども、12月の中間報告書には、民間からの人材登用や企業会計の導入、馬券販売事務の民間委託などが盛り込まれておりますものの、競馬事業の民営化につきましては、そうした意見もあったとの記述にとどめられているところと承知いたしております。
 次に、競馬事業の全国展開の推進と馬事文化の振興についてでありますが、岩手競馬が多くの人々の支持のもとに維持・発展していくためには、岩手競馬みずからが、岩手に伝えられてきた馬事文化とのつながりを大切にしながら、自営はもとより、他県の地方競馬との交流・連携をも深めた事業を展開することが重要であると考えております。こうした取り組みが岩手競馬に対する理解を醸成し、これまで培われてきた岩手の馬事文化の掘り起こしと継承へと結びついていくものと期待しているものであります。
   〔警察本部長熊崎義純君登壇〕

〇警察本部長(熊崎義純君) 本県の治安の現況と今後の治安維持強化策についてお答えいたします。
 まず、治安情勢全般といたしましては、全国で年々刑法犯認知件数が増加し、平成13年中は、戦後最悪となる270万件を数えたところであります。このような全国的に悪化する治安情勢の中で、本県におきましては、この10年間、増減を繰り返しながらも1万5、000件前後で推移しているところでありまして、これは社会情勢の変化とともに、全国的に希薄化していると言われる地域の連帯感や犯罪抑止機能というものが、本県においてはいまだ失われていないということを示していると考えられ、県民の皆様の安全に対する真摯な取り組みの成果であろうと感じているところであります。しかし、一方で、社会情勢の変化に伴い、来日外国人による組織的な犯罪やハイテク犯罪など、新たな形態の犯罪の発生や凶悪化、粗暴化する少年犯罪など、犯罪は質的に大きな変化を見せており、予断を許さない状況となっております。
 また、交通死亡事故につきましては、2年連続して増加し、本年においても多発傾向にあるなど、憂慮される状況となっております。
 県警察といたしましては、これらの治安情勢に対応し、県民の安全・安心を確保するため、地域におけるパトロールを強化するとともに、県民からの相談等に的確に対応する体制を確保するなど、県民の視点に立った警察活動を推進することとしております。
 また、全国的に犯罪の検挙率が低下する中で、発生した犯罪の徹底した検挙や新たな形態の犯罪に適切に対応するため、捜査を支援する装備資機材の整備や専門的な知識や技能を有する捜査官の育成に努めることとしております。
 さらに、交通死亡事故を抑止するため、関係機関・団体と連携し、交通安全教育や安全で円滑な交通環境の確保、効果的な交通指導取り締まりによる交通秩序の維持に取り組むこととしております。
 これらの諸対策を効果的に推進していくため、今後とも業務や組織の抜本的な見直しと合理化を進め、警察力の重点的な運用を図るとともに、悪質化、凶悪化する犯罪に敢然と立ち向かう使命感の旺盛な警察職員の育成に努めてまいりたいと考えております。

〇10番(佐々木順一君) 御答弁ありがとうございました。一連の答弁を踏まえまして、BSE問題1点に関し、知事に今後の対応という点につきまして再質問させていただきます。
 今、農家サイドは塗炭の苦しみを味わっていると思います。例えば、すなわち極めて安い価格での牛の放出を強いられていること、あるいは乳牛の廃用牛は約──本会議でも御答弁ありましたが──1、500頭に達するなど滞留し続けている、したがって更新もできない、まさに行き詰まりであると思います。また、肉骨粉は県内で約1万2、000トン、そして焼却処分も遅々として進んでいないと。一方、国の対策は、未検査牛肉の隔離や、あるいは廃用牛の買い上げも当初は否定的であったわけであります。また、食肉トレーサビリティーも屠畜場まででありまして不完全であると、したがって早急な全国規模のシステムの構築が当然望まれているわけであります。
 さらに、マル緊対策、2月28日やっと継続を表明されたやに聞いておりますが、事ほどさように国は、依然、問題発生の対応型であって、流れを変えるような破壊力に乏しいと、こういう印象を持っております。まさにデフレスパイラルならぬBSEスパイラルと言ってもいいのではないかなと思いますが、この負の連鎖を断ち切るためには、強制力のある体系的、総合的な対策を集中的に、しかも一定の期間内に講じる以外、立て直しは容易ではないのではないかなと、こう思います。
 畜産県岩手の政策展開の方向と食の安全性に深刻な障害が横たわっているわけでありまして、あらゆる手段を駆使してこれを除去することは、まさに政治の役割であります。BSEの被害者は、消費者であって、生産者であって、加工産業、また販売産業の従事者でありますし、当然対策に追われている岩手県農林水産部を初めとする行政の関係者といえども例外ではないわけであります。いわば全県民が被害者と言っても過言ではないと思います。ついては、去る2月12日、農林水産部長は、農林水産事務次官などに6項目の緊急提言を行ったようでありますけれども、まず事務方は事務方として、知事は過般の演述でも、雇用対策とともに、BSE問題についても、別枠で対応を強調されていたわけであります。この際、東北6県はもとより、畜産県を標榜する、例えば北海道や熊本や宮崎、鹿児島など各県の知事と連携をとりながら、まさに志を同じくすると思いますので、国に根本的な対策を一層強力に要請されるべきものと思うものであります。我々も政治の立場から取り組んでおりますが、知事の今後の対応について1点御見解をお伺いいたします。

〇知事(増田寛也君) BSE問題について今お話がございましたんですが、北海道東北知事会でお話ございましたとおり提言をまとめて、そして国にそれをぶつけてきているわけでございます。そうした対応ですとか、あるいは県独自としての対応といったようなことも行っておりまして、ちょうど今それに対して国の取り組みですとか、先ほど言いましたように大変遅々として進まぬ部分もございますんですが、取り組みが始まっている部分もいろいろございます。一方で、生産者、消費者、大変全般に不信感、フラストレーションも大変たまっているわけでございまして、そういう状況でございますので、国がまたさらに取り組みを必ずや進めてくれるとは思っておりますけれども、そうした状況、これは今の国会の中でもこれからも大変大きな議論が進められていくと思いますから、そうした中で明らかになってくる国の取り組み、それから生産や消費の状況などを十分に私どもも見きわめをして、そして必要に応じて一番いいタイミングで国が責任を持って取り組むべき対策について、国に対して強く要請をしていきたいと、こんなふうに考えております。ちょうど国の方でも厚生労働省や農林水産省両大臣が共管の何か私的諮問委員会というものを設置して、これは内部調査ではあるようですけれども、この間の行政対応上の問題についての検証が今なされているやにも聞いておりますので、そういった動向にも注目しながら、必要なことは国に対して強く要請をしていきたいと、このように考えております。


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