平成14年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇14番(田村誠君) 本日最後の登壇者となりました政和会の田村誠でございます。
 今年度、2度目の一般質問の機会を与えていただいた先輩・同僚議員の皆様に感謝申し上げます。
 さて、私の地元の盛川の土手にもネコヤナギの芽が息吹き、確実に春の訪れが感じられる中、増田知事は今議会の冒頭で、地域の自立性を高めていくことなど、平成14年度の岩手の方向を県民に明らかにいたしました。
 知事はこれまで、広い県土の各地域にみずから出向き、数多く県民と触れ合い、対話を通じて県民の考え方や要望を把握しながら県政を推進してまいりました。今日のように、先行き不透明な、そして不安の渦巻く中で、県民に約束した夢県土いわての着実な実現に向け、鋭意努力されていることに対し、まずもって感謝を申し上げます。
 過日発表された平成14年度当初予算は、限られた財源について、歳出規模の抑制や公共事業の削減などあらゆる角度から検討を加えた結果、昨年度の当初予算を3.9%マイナスの8、680億円余となりましたが、私は、厳しい予算編成ではあっても、文言にあらわされた数値だけが県民に希望を与えるものではないと思います。それは、知事の姿勢や行動、発言が県民の意識を奮い立たせ、苦しいときこそ、ともに悩み、事に立ち向かおうとする前向きの意識を引き出させることが大切であろうと思いますし、もちろん、職員の方々にも強く求められるものだと思います。国全体が苦しいとき、岩手だけがよいとはなりがたいと思いますが、岩手県民は逆境に立ち向かう底力を持っております。そのためには、知事の強力な指導力のもと、官民挙げてこの難局に積極果敢に立ち向かうことこそが必要であろうと思います。当局に、なお一層の御奮闘を期待申し上げなから、通告に従い順次質問をさせていただきます。
 まず最初に、水産振興についてお伺いをいたします。
 本県の水産業は、三陸の豊かできれいな海に支えられ、世界3大漁場を目の前に持ち、リアス式海岸の特徴を生かしたつくり育てる漁業の推進によって、我が国における水産物供給基地としての役割を果たしてまいりました。さらに、水産業は沿岸地域経済の発展にとって、なくてはならない存在であります。
 平成12年の国勢調査結果をもとに計算をいたしますと、本県の沿岸市町村の第1次産業就業者数は約1万8、000人となっており、このうち漁業就業者が約9、900人であり、第1次産業の半分以上が漁業者で占められております。そして、沿岸地域は魚市場や水産加工場のほか、製氷業、運送業、包装業等が水産業を中核にして支えられております。私は、県議会で質問の機会があるたびに指摘をするように、浜がよければおかもよい、浜が悪いとおかもだめであり、浜に活気がないと元気が出ません。水産業が沿岸地域全体の経済を支えているといっても過言ではありません。
 県は、21世紀初頭における本県水産業振興のための基本方向を示した第4次岩手県水産業基本計画を平成11年度に策定し、各種施策を実施しております。しかしながら、平成10年から12年までの3年間の水産業の状況を見ますと、経営体数は6、080経営体から5、847経営体へと減少し、また、生産金額にしても518億円から481億円へと大きく減少しており、この金額は過去25年間の最低水準という非常に厳しいものであります。このような水産業の厳しい状況がこのまま推移すれば、沿岸の地域経済全体に大きな影響を与えることを心配しております。県土の均衡ある発展には、水産業の振興によって、沿岸の地域経済を維持発展させることが重要であると私は確信をしております。つきましては、水産業の現状をどのようにとらえ、その振興にどのような対策を講じようとしているか、知事の基本姿勢をお示しをお願いいたします。
 続きまして、水産振興の中で特に重要と考える課題について質問いたします。
 まず、本県の最重要魚種である秋サケについてであります。今漁期の秋サケの漁獲量は、昨年10月までは前年を大きく上回る水準で推移し、浜もにぎわい、関係者は平成11年、12年の2年続きの不漁を脱するのではと大きく期待いたしました。しかしながら、11月以降は漁獲が伸び悩み、最終的には3年間連続で3万トンを下回る不漁となりました。不漁の原因については、海の環境との関係、例えばサケが放流後、本県の沿岸で回遊する時期のえさの量、日本沿岸から北太平洋へ回遊する経路の海洋条件、北太平洋全体の気候変動の可能性など指摘されているようであります。このような海の環境と不漁との関係については、今後の調査研究によって明らかになることを期待しておりますが、人間が北太平洋の環境を大きく変えることは難しいと思います。人間がサケに直接かかわることができるのは、約4年間のサケの一生のうち、最初の数カ月間を育てる放流事業に限られており、まず、放流事業について問題点を洗い出し、その改善を図ることが最も重要と考えます。
 そこでお伺いをいたしますが、サケの不漁から脱却するため、今後、放流事業についてどのような対策を講じていくか、県の考え方をお尋ねいたします。
 第2は、養殖ワカメについてであります。
 質・量とも全国一を誇る本県の養殖ワカメでありますが、2年連続の価格の低迷、さらには病害虫や冷水、低気圧等の影響により生産量が減少しております。私は、昨年の9月定例議会でワカメの振興策について質問し、当局からは、関係者と一体となって構造改革を進めていくとの御答弁がありました。今、浜ではワカメの収穫の最盛期を迎え、漁業関係者は期待と不安を持って価格の動向を見守っております。
 国内のワカメ市場の現状を見ますと、外国からの安価なワカメが国内生産量をはるかに上回って輸入されております。安価な輸入ワカメに対抗し、岩手産ワカメの価格を維持するためには、品質のすぐれた岩手ワカメのブランド化や輸入ワカメとの差別化が特に重要と考えます。
 そこで、県は、岩手ワカメのブランド化、差別化に対してどのような対策を講じる考えなのか、お伺いをいたします。
 第3は、漁協合併についてであります。
 本県の漁協経営は秋サケに大きく依存しております。平成3年から平成7年までの漁協の事業総利益の平均は約85億円であり、そのうち47億円は秋サケ定置漁業を主体とする漁協自営事業で占められております。ところが、ここ数年、秋サケの不漁で平成12年度には事業総利益が53億円、うち、漁協自営事業が25億円と大きく減少しております。秋サケの漁獲金額については、平成12年度までは不漁とはいえ100億円台を維持しておりましたが、平成13年度は不漁に加え、価格の低迷により大きく減少し、80億円に達しないのではと言われております。今漁期の秋サケの不振は、今までにない深刻な打撃を漁協経営に与えるのではないでしょうか。また、ワカメの生産金額の減少も、共販手数料の減少という形で漁協経営を圧迫するのではないでしょうか。漁協は、アワビやウニ等の放流や漁獲物の販売、製氷、冷凍など、水産業にとってなくてはならない組織であります。さらに、サケやワカメ振興対策の実働部隊でもあります。漁協経営の弱体化は水産業の弱体化へとつながり、各種振興策を講じる上で大きな障害となるため、各漁協は経営基盤の強化を緊急に図っていく必要があります。県は、この間、漁協系統や市町村と一体となって漁協の経営基盤強化のために漁協合併を進めてきましたが、必ずしも計画どおりに進んでいないように思います。漁協合併の推進に当たっては、県の支援など積極的な関与が必要と考えます。
 そこでお伺いをいたしますが、漁協合併に際し県はどのような支援を行い、今後、どのように取り組んでいくお考えなのかお伺いをいたします。
 第4は、鯨資源についてであります。
 新聞報道によりますと、本年1月に鹿児島県大浦町の海岸に全長10メートルから15メートル、重さ20トンから40トンものマッコウクジラが14頭打ち上げられ、町もその処理に大変苦労したとのことであります。また、最近では、先月、茨城県波崎町の海岸にも85頭の小型鯨が上げられたとの報道がありました。全国で見ても、昨年の7月から12月の半年間で52頭ものミンククジラが定置網に迷い込んでおり、本県では気仙地域で定置網に4頭が迷い込んでおります。定置網は沿岸の岸近くに設置される待ちの漁法であり、これだけの量が迷い込むということは、日本周辺には相当数の鯨がいるのではないかと思われます。昨年はサケだけでなく、イカ、サバ等、本県で漁獲される主要な魚種が軒並み不漁であったわけですが、これも鯨の食害の影響ではないかという声が浜ではささやかれております。
 そこでお伺いをいたしますが、我が国周辺でどのくらいの鯨の資源がおり、鯨によってどれくらいの魚介類が食べられているのでしょうか。さらに、国際問題も関係する非常に難しい問題でありますが、鯨の利用について県としてどのように対処していく考えなのか、あわせてお伺いをいたします。
 水産関係の最後は、密漁対策についてであります。
 本県では、関係者が一体となってつくり育てる漁業を推進し、サケ、アワビ、ウニなどの放流事業に取り組み、さらに昨年からは魚類栽培を本格的に開始し、ヒラメ、マツカワで約120万尾の放流を行っております。特に、アワビについては、漁業者の絶え間ざる放流と資源管理の努力によって、漁獲量を平成2年の172トンという低水準から500トン前後まで回復させ、近年は4年連続して全国一の生産量を誇っております。
 本県では、過去に暴力団関係者による悪質なアワビの密漁が多発しておりました。幸い、近年は沈静化傾向にありましたが、昨年、宮城県の北部で暴力団関係者による密漁事件が発生をしております。私が心配するのは、関係者が努力して大切に育てたアワビなどの資源をターゲットに、本県でも悪質な密漁が再発するのではないかということであります。このような密漁が多発するようでは、今までの関係者の努力が台なしになってしまいます。暴力団などの組織グループによる密漁に対処するためには、取り締まりの強化が重要と考えますが、県は、アワビなどの密漁に対してどのような対策を講じていく考えなのか、お伺いをいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、密漁防止対策には、より一層取締体制が強化され、大きな効果が期待される警察官の役割が大変重要であると考えます。岩手県漁業取締事務所への警察官の派遣復活につきましては、昨年12月定例会の決算特別委員会におきまして、我が会派の飯沢委員から積極的な対応を提言したところであります。
 そこでお伺いをいたしますが、漁業取締事務所への警察官の派遣につきまして、今後どのように対処されるお考えなのか、警察本部長の御所見をお示し願います。
 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 全国の雇用実態は、本年1月末の完全失業率が5.3%、失業者数で344万人と、依然として厳しい状況が続いております。一方、県内の雇用実態を見ますと、有効求人倍率は月を追うごとに悪化の一途をたどり、1月末において0.37倍となっており、雇用不安に一層拍車をかけており、生活の先行きに不安を募らせ、悲惨な実情を訴える声が数多く届いております。また、この3月、卒業式を迎え、地域社会発展の原動力になろうと希望に胸膨らませている新規高卒者の就職内定率は、1月末現在70.8%で、前年度を11.1ポイントも下回っており、このままでは就職浪人を生む状況にあります。このような雇用状況に対処するため、知事は去る2月19日に新たな岩手県総合雇用対策をまとめ、14年度予算においては雇用の確保、複合産業や新産業の創出に向けた取り組みを重点施策として定めております。特に、県総合雇用対策では各般にわたる施策を展開し、3年間で2万1、000名の雇用創出を目指すとしており、県民は大きく評価し期待するところであります。関係者のこれまでの御努力に感謝を申し上げながら、以下、具体的な質問をさせていただきます。
 近年、景気の低迷や海外への企業進出による空洞化が進み、農林水産物や衣料品等の輸入の拡大など、雇用環境のますますの悪化が予想される中で、私は雇用対策の基本には、現在働いている職場を守り離職者を1人も出さないということを最優先して検討すべきであると常々思っております。
 そこで、県民が安心して働くことができ、離職者を出さないための雇用対策について、基本的な考え方をお聞かせ願います。
 次に、岩手県総合雇用対策についてお伺いをいたします。
 緊急地域雇用創出特別基金事業は、厳しい雇用情勢の中で、臨時応急の措置として、平成14年度から17年3月までを対象期間とするなどの内容が先般明らかにされました。
 そこでまず、この基金の活用についてどのような方針で臨もうとしているのか、基本的な考え方をお聞かせ願います。
 また、県はこの事業を取りまとめるに当たり、各市町村に計画書の提出を求めたようですが、その結果、申請された581件のうち、採択されたものが202件とのことであります。申請の半数以上が不採択となった理由と、その内容及び今後の対応についてお示し願います。あわせて、委託事業が多いと聞いておりますが、その場合、失業中の実態把握並びに募集はどのように行う考えなのかお尋ねをいたします。
 さらに、この事業はあくまでも臨時応急の措置とされておりますが、私は、できるものであれば将来の雇用対策に結びつくことが望ましいものと考えます。県は、将来の雇用対策に結びつくものとして検討されたのでしょうか、検討経過とその内容についてお尋ねをいたします。
 次に、未組織労働者の実態と対策並びに労働問題相談窓口の充実についてお伺いをいたします。
 昨年の進出企業などの相次ぐ撤退やリストラを初め、県内雇用の実情はさきに述べたとおり、大変厳しい状況に置かれております。労働組合のある労働者については、幸いまだ一方的な解雇には至っておりませんが、現状に満足しているわけではなく、現在の劣悪な雇用状況のもとで、パートを含む未組織労働者の労働相談は確実にふえ続けております。連合岩手が相談窓口を設置したところ、2月12日からの1週間で64件もの相談があり、その内容は、突然の解雇通告や賃金不払いがほとんどで、解決に至らず泣き寝入りの状況にあると聞いております。
 そこでお伺いをいたしますが、中小企業の多い当県にとって、このような未組織労働者の実態をどのように把握し対処されているかお示し願います。
 あわせて、雇用の確保と同時に大事なことは、今日の大変厳しい雇用状況に悩み苦しんでいる方々へ、迅速、的確に対応できる相談窓口のさらなる充実を図ることであり、相談員の教育や専属スタッフ体制の確立など積極的な対応が必要であると考えますが、労働問題相談対策について県の取り組みの現状をお示し願います。
 さらに、北海道、福島県などで既に実施されている個別の労働者、使用者の紛争問題解決への取り組みについてでありますが、本県では、地方労働委員会で調査検討委員会を設置し検討中と聞いております。私は、労働関係調整法にかかわらない問題であることから知事の英断で条例化をし、一定の拘束力を持たせ、悩み、苦しんでいる方々に救いの手を差し伸べることがぜひ早急に必要と考えますが、条例化の時期を含め、今後の見通しをお聞かせ願います。
 次に、新たな雇用創出のための支援策についてお伺いをいたします。
 現在の経済、社会情勢のもとでは、今後も企業誘致は大変厳しいものと予想され、地場産業の振興や新産業の掘り起こしなど、地元企業により多くの期待がかかるものと思われます。しかしながら、地元商店街や中小企業の現状もこれまた大変厳しく、従来の制度では立ち直れないのが現実であろうかと思います。
 そこで、県はこのような状況を踏まえ、新たな雇用創出を図るため、地元企業に対して今後どのような支援策を講じようとしているのかお伺いをいたします。
 雇用対策の最後に、行政、労働者、経営者の連携強化について伺います。
 私は、雇用対策に当たっては、労働者の代表もぜひ参加させるべきであると考えますが、県はこれまで、市町村に対してどのように指導をされてきたのでしょか。また、その参加の実態はどのようになっているのでしょうか。さらに、今後は行政、労働者、経営者の連携を強化して、三者同一の認識で今日の難局を乗り切らなければならないと考えますが、連携強化の取り組みについてあわせて御所見を賜りたいと思います。
 次に、医療問題についてお伺いをいたします。
 県民が生涯にわたって心身ともに健康であることは、安心して豊かな生活を送るための基本であります。県民の生命を守るとともに、高齢化や生活環境の変化などによる保健医療サービスに対する県民のニーズの増大に対応するため、本県においては、これまで県立病院を初めとする医療機関の整備充実や医師等の医療従事者の確保を積極的に進めながら、県民の医療の確保に努めてきたところであります。しかしながら、医療環境が十分でないとか、診療のために長時間待たされるといった県民の声や、県民の健康への関心や自分に合った、より質の高い多様な医療サービスを求める県民のニーズが多様化してきているなど、県民の医療を取り巻く環境は大きく変化をしてきており、県民が安心して医療を受けることができるような、一層の体制の整備が求められております。
 そこでまず、医療従事者の確保対策についてお伺いをいたします。
 病院での看護婦さんの仕事ぶりを拝見いたしますと、夜間においても、一たん重症患者が発生しますと、他の患者の呼び出しベルにも対応できないような大変な状態での勤務であり、最近多発をしている医療事故や医療ミスの一因には、こうした看護婦さんの多忙な労働環境があるとも言われております。本県の看護婦などの看護職員の養成の現状と今後の需給の見通しはどのようになっているか、お伺いをいたします。
 また、県立病院においては、医師の確保に大変な御苦労をいただいているところでありますが、県民への保健医療サービスが安定的に供給されるためには、医師等の医療従事者の確保が重要であることは申すまでもありません。
 県立病院の医師の現状を見ますと、地域の中核病院として機能を果たすだけの環境整備が整わず、中央病院や岩手医大からの派遣でどうにか賄っている実態で、早朝にタクシーで移動する姿や重症患者への対応で、寝不足のまま次の日の診療に当たる姿を見るとき、みずからの命を削って診察に当たる先生に、ただただ頭の下がる思いであります。一方、国レベルでは、将来的には医師過剰時期が来るとの推測もあり、大都市部においては既に医師過剰という話も聞きます。
 そこで、医師不足に悩む県立病院の医師確保を進めるためには、大学の系列にとらわれず、医師過剰と言われている都市部や近県の大学の医学部と連携を図るなど、医師不足解消に向けた対策が必要と考えますが、県立病院における医師確保対策について取り組みの現状をお示し願います。
 次に、県立病院と地域との連携のあり方についてお伺いをいたします。
 県立中央病院では、一般の外来機能は地域の開業医などかかりつけ医の先生方にお願いをし、共存を図るという医療連携の取り組みを行っていると聞いております。まことに結構な取り組みと高く評価をするものでありますが、こうした取り組みを他の県立病院に広めることはできないものでしょうか。県立病院への患者の集中や大型志向がこのまま続けば、県立病院のみが混雑し設備や医療の拡充が求められ、これに対応するため、財政面でも大変なことになると思われますし、いずれ、地域の一般開業医の経営は成り立たなくなってしまいます。これからの県立病院は、民間の病院、診療所との役割や機能分担をはっきりとさせ、中央病院方式を医師会の理解を得て早急に進めるべきであると考えますが、これまでの対応状況と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 あわせて、例えば人工透析など、民間の病院や診療所に任せられるものについては民間に移行させていくという方向に進むことが必要と思いますが、地域における県立病院の役割をどのように認識しているのか、御所見をお伺いいたします。
 以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 田村誠議員の御質問にお答えいたします。
 まず、本県水産業の現状とそれから振興対策についてでございますが、本県水産業は沿岸地域経済の基盤をなしておりまして、県政推進上、その振興を図ることは極めて重要なことと認識をいたしております。しかしながら、本県水産業の現状は、輸入水産物の増加による価格の低迷や漁業就業者の減少と高齢化の進行など、大変厳しい状況にございます。また、200海里体制の定着に伴いまして、沿岸漁業、特にも、つくり育てる漁業がますます重要となってきております。さらに、消費者の食の安全性に対する関心の高まりに伴いまして、厳格な衛生管理への対応など、生産、加工から流通販売までを視野に入れた総合的な対策が必要となっています。このため、生産面では、漁業の担い手が意欲を持って就業できるように、ワカメを初めとする養殖業の省力化、協業化などの構造改革に着手をいたしますとともに、サケ、アワビなどの増殖体制を強化するほか、ヒラメ、イワガキといった新たな増養殖対象種の開発推進を図って、つくり育てる漁業の一層の展開に努めてまいります。
 また、流通面では、消費者の視点に立った安全・安心な水産物を提供するために、魚市場や水産加工場のハセップへの対応を進めますとともに、漁業者と加工業者の連携による生産から加工・流通まで一貫した取り組みなどによりまして、岩手ブランドの形成を進めて、本県水産物の競争力を高めてまいりたいと考えております。
 今後、国におきましては、新たに制定された水産基本法に基づいて、具体的な政策指針として水産基本計画を策定することとしておりまして、県でもこの基本計画をも踏まえながら、岩手県水産業基本計画に基づく各種の施策の着実な推進を図って、新しい岩手の水産業づくりに努めてまいります。
 次に、雇用対策についてでございますが、離職者を出さないようにしていくためには、基本的にはそれぞれの企業が変動する社会情勢や市場動向を見きわめながら、商品開発や人材育成、販路拡大などの経営革新に積極的に取り組み、みずからの経営体質を強化していくことが重要であると考えております。県でもそのような企業体の強化に向けて、産学官共同による新しい分野の研究開発の推進や付加価値の高い産業の育成のほか、新たに商工会、商工会議所が県内全域で実施をする経営革新講座の開設や経営上・技術上の課題に対応するアドバイザーの派遣などによりまして、経営革新に取り組む企業を強力に支援してまいりたいと考えております。さらに、近年の技術革新の進展、産業構造の変化に対応して雇用の安定化を図るためには、これまで以上に労働者一人一人の能力や資質の向上が必要でありまして、意欲ある労働者が必要とする技術・技能や知識を習得できる環境の整備に一層努めていかなければならないものと考えております。
 また、最近、厳しい雇用情勢の中にありまして、企業経営の安定と雇用維持のために、1人当たりの労働時間を短縮して仕事を分かち合うワークシェアリングへの関心が高まっておりまして、県でも労使双方で構成する岩手労働問題協議会の中におきまして、相互の理解のもとに、雇用の維持を基本とする多様な働き方の実現方法や新しい雇用のあり方について調査研究を進め、その啓発に努めてまいりたいと考えております。
 次に、国の緊急地域雇用創出特別基金事業の活用方針についてのお尋ねでございますが、この基金事業創設のねらいは、現下の厳しい雇用情勢の中にあって、構造改革の集中調整期間中の臨時応急の措置として、公的部門における緊急かつ臨時的な雇用・就業機会の創出を図るものでございます。この事業の実施に当たりましては、地域の求人・求職の実態を考慮しながら、失業者をできるだけ多く雇用し、地域にとって必要な事業を実施していきたいと、このように考えております。また、住民にとって身近な行政主体でございます市町村は、失業者の実態をよく把握できる状況にございますので、今後、この基金事業は市町村が計画する事業にシフトをするとともに、工場閉鎖などにより雇用環境が悪化している地域に重点的に配分をするなど、個々の実情に配慮した事業展開に努めてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐藤勝君) まず、秋サケの放流事業についてでありますが、本県栽培漁業の重要魚種であります秋サケ資源の維持増大のため、本県では昭和63年度以降、毎年約4億4、000万尾の稚魚を放流してきたところであります。近年、漁獲量が低迷してきておりまして、この原因は放流尾数に対する回帰尾数の割合、すなわち回帰率の低下にあるものと思われます。このため昨年12月、関係団体と岩手県サケ増殖懇談会を設置いたしまして、この中でサケ増殖事業の改善、とりわけ回帰率の向上に向けた取り組みを開始いたしております。まず、各ふ化場の技術の向上を図るため、旧国立ふ化場、サケマス資源管理センターでございますが、このセンターの指導を得ながら、親魚の捕獲から稚魚の放流まで、放流事業の各段階ごとに技術の点検と改善を行っております。また、今まで県は早い時期に漁獲されるサケ、いわゆる早期群のサケ、このサケをふやすことを主眼といたしまして稚魚の放流に取り組んできたところでありますが、この結果、放流適期以前に放流される稚魚の割合が年々増加していたことも否定できないという状況にあります。
 今後はこれを見直すことといたしまして、回帰率の向上を最優先に置き、高い回帰率が期待できる適期に放流を行うことを基本とした放流計画を作成し、平成14年度からこれに基づいた放流を実施することといたしております。
 次に、岩手ワカメのブランド化・差別化についてでありますが、直面する課題といたしまして養殖業の省力化や協業化に加えまして、ブランド化・差別化が大変重要と考えております。この観点から明年度におきましては、ワカメブランド推進事業を創設し、これらの対策に取り組むことにいたしております。まず、岩手沿岸に自生するワカメは、葉が厚く、風味があり、熱に強いというすぐれた特性があります。しかしながら、一方では、生育が遅いために刈り取りが適期後にずれ込むものがあるということから、岩手ワカメへの特性を十分に維持しながらより生育が早い種苗を開発し、品質のより一層の向上と安定生産に努めてまいりたいと考えております。
 また、このような岩手ワカメのすぐれた特性を客観的な分析値で消費者にわかりやすく伝え、他産地との差別化を図りますとともに、本年、宮古地域で進めている早取り生ワカメのような旬限定の商品の開発を促進していきたいと考えております。さらには、季節感のある料理集の作成や岩手ならではのワカメを強調するネーミング、キャッチフレーズの設定など、これらの対策を通じまして消費者に対して産地が見え、安心感を与える岩手のワカメをアピールし、ブランド化を進めてまいりたいと考えております。
 次に、漁協合併についてでありますが、現下の厳しい漁業を取り巻く環境の中で、漁協本来の役割を十分に果たしていくためには、漁協合併などによる経営基盤の強化を図っていくことが喫緊の課題であると考えております。このため、県といたしましては、これまでに信用事業部門の統合や不振漁協の財務改善などに対して支援するとともに、漁業協同組合合併促進法に基づき漁協系統が組織強化するために取り組む岩手県漁協合併の促進に関する基本計画の策定に際しまして助言・指導するなど、漁協経営の強化に向け種々取り組んできたところであります。
 現在におきましては、この合併基本計画において目標とする平成19年度1郡1漁協の前段階として、大船渡地区を初めとする4地区の合併について、関係者と一体となって鋭意取り組んでいるところであります。このうち、種市南地区におきましては、他に先駆けて本年7月の合併を目指して関係組合間の協議を進めているほか、釜石、陸前高田、大船渡の3地区におきましても、合併推進協議会を設置し、その中で合併推進上の諸課題や合併及び事業経営計画の策定に向けて協議するなど、その実現に向けて今努力しているところであります。
 県といたしましては、当面これら4地区の合併推進に当たり、合併後の組合が健全で安定した運営がなされ、その効果が発揮されるよう欠損金の解消のための利子補給や事務効率化機器の整備などに対して助成するなど、円滑かつ早期に合併が図られるよう支援してまいりたいと考えております。
 次に、鯨資源についてでありますが、平成6年から水産庁が実施している調査によりますと、日本が面している北西太平洋の鯨資源は、ミンククジラが2万5、000頭、ニタリクジラが2万2、000頭、マッコウクジラが10万2、000頭と推定されております。また、これらの鯨は、サンマ、イワシ類など1年間に7、000トンから1億トンも食べていると推定されております。この数量は、日本全体の漁獲量がおおよそ500万トンでありますから、その約20倍近くとなっております。鯨の捕獲につきましては、国際捕鯨委員会の決議が必要であり、現在国が積極的に取り組んでいるということから、今この推移を見守っていく必要があろうかと考えております。
 一方で、昨年の農林水産省令の改正によりまして、定置網で混獲された鯨につきましては、DNA分析と国への報告の義務化などを条件に、販売などの利用が認められたところであります。この処置により、本県における定置網への鯨の混獲に伴う利用頭数は、平成13年には4頭ありました。ことしに入ってからもさらに3頭が利用されたところであります。県としては、今後とも定置網で混獲された鯨については、その販売などの利用について、これはDNA分析と報告の遵守など適正な対応を行うよう、定置漁業者、流通業者等関係者に対し指導を徹底してまいりたいと考えております。
 次に、密漁対策についてでありますが、県におきましては、アワビ等の密漁を防止するため、岩手、宮城、青森3県の関係機関で構成するあわび等密漁撲滅連絡協議会や県内各機関との合同取締訓練などにより、隣県あるいは県内関係機関との連携を密にいたしまして実効ある対策に取り組んできたところであります。また、県では、高速の漁業取締船2隻を漁業取締事務所に配備するとともに、沿岸全域に251名の漁業監視員を配置するほか、漁業協同組合においても26隻の監視船、29カ所の陸上監視施設を保有し、県と漁協が連携をとりながら密漁監視に努めてきたところであります。さらに、昨今の宮城県の北部海域における暴力団関係者による大規模な密漁事件の発生や、本県でも密漁被疑船の出現件数が増加している状況にあることから、平成12年の3月をもって中断しておりました漁業取締事務所への警察官の派遣につきまして、密漁対策を一層強化するため、改めて警察官の明年度からの派遣を警察本部に対し要請しているところであります。
 県といたしましては、今後ともこれらの諸施策を継続実施するとともに、関係機関との連携を一層強化して、なお厳重な警戒に努め、密漁対策を積極的に推進してまいる所存であります。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕

〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、平成14年度当初予算に計上した緊急地域雇用創出特別基金事業の市町村実施事業についてでありますが、各市町村から提出された計画段階での事業は581事業、事業費合計24億7、000万円余でありました。この基金事業の運用については、年度間及び県・市町村間の配分割合等の一定の目安を設定することにより、偏りのない運用が求められますことから、このたびの当初予算の市町村配分に当たりましては、国の採択基準に加えまして1事業当たり1、000万円以内、配分額の上限を委託・直接実施とも2、000万円以内、1事業当たりの新規雇用失業者が3人以上の雇用という基準を設けて再度審査した結果、202事業、事業費8億円を計上したものであります。今後は、地域の雇用情勢や雇用創出効果などを考慮しながら市町村のヒアリングを行いまして、補正予算対応を含め事業の重点的追加を行ってまいりたいと考えております。
 また、失業者の実態把握と募集につきましては、管内の公共職業安定所からの求人・求職者情報を得て、地域の失業者数を見込みながら基金事業を計画していただくとともに、委託事業の場合は、事業の受託者に対しまして管内の公共職業安定所に求人申し込みを行うよう指導しているところであります。この基金事業は、失業を余儀なくされた方々を1人でも多く雇用して、地域に密着した事業を実施するという即効性のある雇用をねらいとしたものでありますが、今後、これら失業者の方々が技能や能力を生かしながら、総体として常用雇用につながっていくような内発型産業の育成・振興に努めていかなければならないものと考えております。
 次に、未組織労働者についてでありますが、平成13年度の労働組合基礎調査によりますと、県内の労働組合員は約10万5、000人であり、平成13年12月の勤労統計調査では、県内5人以上規模事業所の推計労働者数は42万8、000人となっておりますことから、およそ32万3、000人が未組織労働者と推計しております。また、この未組織労働者を含むすべての労働者に対する労働相談につきましては、県庁に特別労働相談窓口を開設いたしまして、弁護士による労働相談を実施しておりますし、昨年4月には、全地方振興局に地域雇用相談員を配置いたしまして、個々の労働者が抱える各種の労働相談に応じているところであります。
 さらに、新年度におきましては、岩手労働局との連携業務として、国、県、雇用関係団体がそれぞれ設置している相談窓口を体系づけ、ネットワーク化を図り、労働者にとってわかりやすく、相談に訪れやすいように仕組みづくりに努めてまいりたいと考えております。
 次に、個別的労使紛争処理につきましては、昨年10月1日に個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律が施行されたことに伴いまして、岩手県地方労働委員会との間で本県におけるこの紛争解決処理システム導入にあり方について、情報交換を行ってきているところであります。現在、地方労働委員会におきまして、昨年7月に設置した個別的労使紛争調査検討委員会におきまして、この処理への対応のあり方について種々議論がなされているところであります。そして、本年度として最後の第5回調査検討委員会がこの3月中に開催されると聞いております。県としては、その検討経過を踏まえまして、個別的紛争処理制度の制定の方式及び地方労働委員会に委任する内容等について速やかに対応してまいりたいと考えております。
 次に、新たな雇用創出のための支援策についてでありますが、地元中小企業が地域の雇用創出の担い手としての役割を果たしていくためには、これらの企業が創意工夫を凝らしながら、活発な事業活動を展開することが重要と考えております。このため、このような意欲的な中小企業者、小売商業者に対しまして、商工団体、金融機関等のネットワークを強化しながらきめ細かな相談支援を行いますとともに、中小企業経営革新支援法などに基づきまして、新しい生産方式の導入、新サービス・新商品の開発、販売システムの改善、IT化などの取り組みを支援してまいります。さらに、技術の開発に取り組む中小企業者に対する支援としては、中小企業創造活動促進法などに基づきまして、技術開発に対する助成を行いますとともに、財団法人いわて産業振興センターなどの産業支援機関のネットワークによる事業化に向けたフォローアップとかマーケティング支援を強化してまいりたいと考えております。
 次に、雇用を進めるに当たっての労働者代表の参加についてでありますが、現在県内の25市町村におきまして、雇用の安定・確保等を図るための雇用対策会議を設置しているところでありますが、大半の市町村は庁内メンバーの構成員となっているところであります。その会議の構成メンバーの選定等につきましては、取り組むべき雇用対策の内容により基本的には市町村が判断すべきものと考えますが、実効性ある雇用対策を講じていくためには、状況に応じて労働者や経営者の意見を幅広く聞く機会を設け、雇用対策に反映させる必要があると考えておりまして、市町村にもその趣旨を伝えてまいりたいと思います。
 また、行政、労働者、経営者との連携強化の取り組みにつきましては、今後も雇用情勢の悪化が懸念されますことから、雇用の安定確保に向けた雇用対策の推進につきましては、国を初めとする関係機関・団体、市町村、経済団体、労働団体等が相互に機能と役割を分担しながら十分に連携・協調し、取り組んでいかなければならないものと考えております。

〇議長(谷藤裕明君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) 看護職員の養成の現状と今後の需給の見通しについてでありますが、現在、本県においては、県立及び私立あわせて21施設22課程において看護師、准看護師の養成が行われており、本年度の入学定員の総数は804名となっております。これら看護師学校養成所の昨年度の卒業生のうち、就業した554名中、約7割に当たる380名が県内医療機関等に就業しており、県が毎年度実施しております立入検査の結果によりますと、病院についてはすべて医療法に定める標準数を上回って看護職員が配置されております。県におきましては、看護職員の計画的かつ安定的な養成確保を図るため、平成13年から17年までの5年間における岩手県看護職員需給見通しを昨年度策定したところであります。今回の需給見通しにおいては、夜間における勤務体制、労働時間、産休・育休等各種休暇など労働環境についても考慮したほか、新たに一定規模以上の病院には、医療事故や院内感染対策などを専門とする業務に携わる職員もその必要数に見込んで策定したものであり、この見通しにおいては、平成17年以降に供給数が需要数を若干上回ると見込んでいるところであります。今後とも需給見通しを踏まえて、必要な看護職員の確保に努めてまいりたいと考えております。
   〔医療局長長山洋君登壇〕

〇医療局長(長山洋君) まず、県立病院の医師確保対策についてでありますが、これまでもさまざまな取り組みをされてきたところであり、その結果、ここ10年間で常勤医師は150人ほど増加をしております。しかし、全体としてはいまだ90%の充足率にとどまっており、また地域格差の是正に至っていない状況にございます。御提言がありましたが、首都圏などの大学と連携し、医師の派遣を得るためには、大学や医師にとって症例数が多く指導医がいるなどの条件整備やこれまでの関連大学との調整を得なければ、継続的、安定的に派遣をしていただくことは難しい現状にあります。したがって、今後は、中央病院のほか、他の中核病院も臨床研修病院として条件整備するなど、医師にとって魅力のある病院づくりを進めるとともに、何よりもまず本県の出身者を地元岩手医科大学において養成する事業の継続など、市町村等関係者ともども医師確保対策に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地域との連携についてでありますが、県立中央病院におきましては、高度医療や地域医療の支援などセンター病院としての機能を高めるため、昨年11月から病院、診療所との連携に取り組んできたところであり、これまで紹介率が35%を超えるなど受診患者数の適正化の傾向が見られ、ゆとりを持った診療や患者の待ち時間の短縮などにつながってきているものと認識しております。一方、開業医や民間病院が少なく、一次医療から二次あるいは三次医療まで担っている地域の病院もあり、圏域の医療資源の事情からすべての病院で同様に取り組むことは困難でありますが、患者さんや地元医師会の理解が得られ、条件が整ったところから、順次、取り組んでまいりたいと考えております。
 また、地域における県立病院の役割についてでありますが、これまでも岩手県保健福祉計画を踏まえ、地域の医療資源の実情に応じ、民間医療機関等との機能分担を進めてきたところでありますが、今後においても、可能な限りその配慮に努めてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長熊崎義純君登壇〕

〇警察本部長(熊崎義純君) 岩手県漁業取締事務所への警察官の派遣についてお答えをいたします。
 この件につきましては、昨年、宮城県北部沿岸において発生した暴力団による大規模なアワビ密漁事件など悪質な密漁事件に適切に対応するため、県警察といたしましても、平成14年度から岩手県漁業取締事務所への警察官の派遣を予定しているところであります。

〇14番(田村誠君) 最後の密漁防止船派遣の件につきまして、大変感謝申し上げたいと思います。そしてまた、それぞれ関係する皆さんから答弁をいただいたわけでございますけれども、ありがとうございます。
 私も議員になりましてちょうど3年を過ぎようとしているわけでありますが、この3年間、水産関係の質問を私のライフワークとしてやってまいりましたが、3年間の実績を見てみますと下がってきているんですね、毎年。それぞれ関係者の方々に御努力をいただいて、少しでも上げようということで御尽力をいただいている、あるいは今度の取り組みなどを聞いてみますと、それが何とか上向きになるのかなという期待を持ちながら、また、別な機会に改めてお伺いをしたいと思いますが、どうぞひとつ、いま一度、水産関係で頑張っていただきたいというふうに思う次第でございます。
 それでは、私から改めて知事にお願いをいたしたいと思います。
 雇用対策について、地方労働委員会で現在、調査検討をいただいております内容が3月ごろ、中間として話が出て来、それによって県は対応したいというお話のようでございますが、実は私も、ここに現状をかなり詳しく調べて書いてみました。それは知事もおわかりのことだろうと思います。今の未組織労働者、30数万人と言われる、先ほど数字が出ておりましたが、こうした方々が突然解雇ということで、あしたから食うこと自体が大変な実態にあること。そうした方々がどこに相談に行けばいいのか、あるいは相談をしようにも弁護士の費用がないということで、ほとんど泣き寝入りの状況でございます。それを国も県知事にそうした権限を付与いたしまして、新しくそうした問題をぜひ県でも積極的に取り組めということだろうと思います。本当はもっと詳しくお話をすればもっと御理解をいただけるかと思いますが、人一倍人情の厚い増田知事でありますから、そうした本当に困っている人たちを今すぐ、即救える、そうした取り組みを条例化して、きちっと位置づけてやるべきだというふうに思いますが、知事の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

〇知事(増田寛也君) ただいまの個別的な労使紛争処理制度についてのお尋ねでございますが、実は私もこの問題の所在を最近知ったところでございまして、現在26の道県で、地方労働委員会にその処理を委任しているということになっているわけですが、条例化が広島県そしてほかの25道県が要綱のような形でこれをやっているということのようでございます。そこで、先ほど部長の方からも答弁があったわけでございますが、地労委の方で検討委員会をつくって、この関係について継続して検討してきた経緯もあるようでございますので、私もこの検討経過をよく見て、そして先ほど部長の方は早急に対応したいというような話をしておりましたが、きょう3月なので、ちょっと今年度中は無理かと思いますけれども、そうした検討経過、そして問題の所在をよく踏まえて、先ほどの議員のお話しの趣旨もございましたので、その上で新年度のできるだけ早い時期にこの問題についての判断をしていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。

〇議長(谷藤裕明君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時6分 散 会


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