平成14年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇28番(水上信宏君) 議席番号28番の水上信宏でございます。
 質問に入ります前に、去る2月10日に御逝去なされました故吉田秀議員のみたまに対しまして、謹んで哀悼の意を捧げ、心より御冥福をお祈り申し上げます。
 21世紀の初頭、昨年3月2日の私の再質問で、知事は、本当に社会で一生懸命生きている皆さん方に我々としても十分報い、血の通った行政を行わなければならないと、今、議員のお話をお伺いいたしまして、改めて強くそのように思った次第でございます。これから県職員一丸となりまして、おっしゃるとおりの心の通った、そして、隅々まで目の行き届いた行政に誠心誠意努力していきたいと思います。
 大変心のこもったありがたい御答弁、私の生涯の宝物です。そのことを胸に、質問通告に従って順次お伺いいたしますので、よろしくお願いを申し上げます。
 初めに、市町村合併のあり方についてお伺いします。
 市町村合併は、地方分権の受け皿づくりとか行財政能力を大きくするためのものとか、いまや毎日のように報道されており、県民の関心も高まりつつあるようになってきております。特にも、1月3日付けの岩手日報の報道では、県内5地域の議論検証と題して具体的に報道されておるところであります。しかしながら、この報道の中でも指摘されているように、住民の関心が本当に高まりつつあるかどうかであります。
 また、さきに旧自治省が行った市町村合併に関するアンケートでは、85.1%の住民が市町村合併の必要性は感じているものの、市町村が合併しようとする場合、どのような点に不安を感じるかの問いでは、住民の一体感と個性を失うかもしれないが33.4%、民意が行政に反映されなくなるかもしれないが39.6%、市役所や町村役場が遠くなってしまうかもしれないが33.3%等々、合併の必要性は感じつつも、合併に伴う不安があるとの結果があらわれております。県内の各市町村を見ても、一部の市町村を除いては、ほとんどの市町村で人口の減少や少子・高齢化が進んでおり、また、地方財政が悪化し、年々厳しさが増してきているとされており、こうした現状が事実なことは確かですが、それをもって、私自身は即合併論は早急であると思います。さらに、現段階で合併についての住民の意向が把握されているのかとなりますと、合併ありきでの議論が先行しているように思われてならないのであります。
 さきに申しました県内5地域の議論検証を見ても、まず思うのは、その地域のリーダー的存在である市長さん方は、どちらかというと合併推進であるのに対し、ほとんどの町村長さん方の考えは、必ずしも今、即合併との論には賛成できないようであります。いずれの首長さん方も、自分の市町村の状況を一番承知しているわけですので、小さい町村長さん方からの合併推進論があってこそ、本当の意味での地域住民の理解があったとされることと思うのであります。もちろん、あらゆる面においても、その地域の市長さん方のリーダーシップは必要なこととは思うのでありますが、現状では、市長さんと町村長さん方との考えにギャップがあるように思われてなりません。
 また、去る1月24日行われたとされる県町村会主催の政調懇談会で講演した高橋副知事の合併論議、地方分権、地方交付税、都市再生優先論と、いずれも、よくぞ述べられたと私も全く同感でありますし、また、合併論議ならず今置かれている状況からすれば、ほとんどの市町村の代弁をしたような気がし、すがすがしい気持ちで拝見したところであります。もちろん、だからと言って、副知事が合併に消極的とか推進とかではなく、現状での一般論として述べられたことと理解しております。私は、合併を武器として受け皿づくりとか財政支援とかでなく、あくまでもそれぞれの地域住民が大いに議論をし納得の上での合併でなければならず、将来に遺恨を持つような合併であってはならないと思うのであります。
 知事は、合併問題で、地域住民の声を最優先、また、地域間の事情や歴史的経緯を踏まえる必要があり、全県で一律に進めるのはなじまないとも言われておりますが、避けて通れないこの合併問題について、知事の今のお考えをお伺いしたいと存じます。
 次に、地方分権一括法の施行についてお伺いします。
 地方分権、すなわち、中央政府が自治体に対して制度や運営面で、政治、行政、財政上の自治や自立性を大幅に認める仕組みとされておりました。その地方分権一括法が平成12年4月に施行され、はや2年になろうとしております。この地方分権の政策論は、細川内閣以降いずれの内閣も基本政策の一つに掲げ、ようやくにして施行されたところであります。地方分権論の当時を思えば、各地方公共団体ともども、その推進と大きな期待を持って論じてきたことは御承知のとおりであります。しかしながら、施行となった今を見たとき、果たして、当時期待した内容となっているのか私は疑問に思うのであります。例えば、地方交付税の削減、種々の補助金減少、たまたま時期が同じとなったのかと思われないでもないのであります。受けとめ方によっては、圧力的とも思われる市町村合併論等の当時期待した地方分権論とは違うように思うのであります。知事は、一括法施行後、今日までの移譲されているものも含め、県があるいは市町村が当初期待していたとおりとなっているのかと思われているのか、率直な感想をお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、完全学校週5日制の実施についてお伺いします。
 学校週5日制については、平成7年に発足した第15期中央教育審議会の中での平成8年7月の第1次答申で、21世紀初頭をめどに完全実施を目指すとした提言を受け実施されるものと言われておりますが、答申から既に五、六年を経ており、この間における教育環境も大分変わってきていることも事実であるところであります。児童虐待など少年の非行が報道されるたびに、よく教育環境とか家庭に問題ありとのことでありますが、私は現在の社会構造が多く影響しているのではないかと思うのであります。例えば、少子化や共稼ぎの世帯が多くなっていることから、よく言われる家族との対話とか子供同士での話し合いの場、遊び場の少なさもあるのではないでしょうかと思うのであります。
 そこでお伺いしたいことは、完全学校週5日制の実施に向けて、県教育委員会としてどのような対応を考えているのかお伺いしたいと存じます。
 次に牛海綿状脳症、いわゆるBSEから端を発した畜産業についてお伺いします。
 近年、家畜・畜産物の流通の国際化や粗飼料を含む輸入飼料の増大に伴い、海外悪性伝染病の国内の侵入の危険性が極めて高くなっていると言われており、現に、一昨年には、宮崎県や北海道で輸入稲わらなどが感染源と見られる牛の口蹄疫が、また、昨年9月には、全く予想もしていなかったBSEが我が国で初めて千葉県で確認されました。特にも、BSEの発生は生産者にはかり知れない影響を与え、畜産県岩手とまで自信を持ってきたはずの本県にとっては畜産業の死活問題になっており、一体いつごろになったら不安が解消されるのか見通しが立たず、畜産農家は途方に暮れている状況にあります。県、国においても、これの対策に懸命の努力をされてきておることはわかるものの、殊、食するものがゆえに、なかなか消費者はいまだ不安を持ち、信頼の回復がされていないのが現状のようであります。
 さらにまた、BSE騒動の混乱の最中、一企業とは言っても、国内トップと言われるグループ企業の偽装工作により追い打ちをかけるような、強く言わせてもらうなら、国民をばかにしたような行動があったとされる件を含め、これら一日も早い牛肉への信頼回復をと願いつつお伺いしたいのは、国の対策、対応とは別に、牛肉の消費回復へ向けて県独自としてどのような対策を立てているのか、また、畜産農家等への指導、助言、助成等を考えておられるのであれば、改めてお伺いしたいと存じます。
 この問題では、1996年に世界保健機構が農林水産省に対し、反すう動物への飼料に反すう動物由来の組織使用を禁止すべきだという勧告をしたにもかかわらず、また、農水省は、1990年2月に、BSEの感染源となるえさの肉骨粉の危険性を指摘する書簡を英国から受け取って危険性を10年以上も前に知りながら、十分な予防対策をとっていなかった等々、対応がおくれたことも厳しく指摘する必要があります。まさしく、この件に関して言えば、農林水産省の無為無策の大失態のために発生したことは明らかでありますので、農家に対して全面的に国の責任で対応することは当然と思いますが、農林水産部長のお考えをお伺いしたいと存じます。
 また、今、現場で一番問題となっているのは、廃用牛の問題であります。廃用牛の市場価格は、ほとんどただ同然のようであります。国は、ようやく買い上げ補助を開始しましたが、状況によっては制度の一層の充実強化も今後の課題になってくると考えます。国の後手に回る対応には、今後とも国に対する改善要望を県に強く要請いたします。
 日本は、いつ海外悪性伝染病が侵入しても、不思議でない状況下にもあると聞きます。人や物が国を越えて自由に出入りする今日、家畜伝染病の発生予防と蔓延防止の確固たる体制を築くことが喫緊の課題であると考えます。農家が安心して生産にいそしみ、消費者に安心して県産牛肉を食してもらうためにも、本県における家畜の防疫体制の一層の充実強化が、今、強く求められているものと考えますが、県ではどのように考えているのかお伺いいたします。
 次に、米の消費拡大の取り組みについてお伺いします。
 この問題につきましては、以前、平成9年12月議会と平成10年9月議会にも伺っていますが、当時の農政部長からは、いずれも消費拡大のためのイベントや普及啓発に取り組んでいくとの答弁をいただいております。その後、普及啓発に取り組んだ結果、どのような消費拡大の効果が出て、米の消費動向がどうなっているのかお伺いします。そして、減反政策は自分の考えとしては後ろ向きの政策と思うところから、米の消費拡大には力を入れていかなければならないと考えますが、県では、米の消費拡大に向け、普及啓発も含めてどのような対策をとっているのかお伺いします。
 次に、環境保全型農業の総合対策についてお伺いします。
 今や農薬や化学肥料を減らして農業生産を行う環境保全型農業は、生産者はもとより、消費者の方々にも受け入れられ、この考えは農業生産の主流になりつつあります。環境保全型農業と言えば、化学合成資材を減らすことに目が向かいがちですが、私はその基本は優良な有機物を使った土づくりにあると考えております。土づくりなくして、健全でおいしい農産物の生産はあり得ないと考えるものであります。しかしながら、県内においては土づくりがおろそかになり、地力に低下を招いている例も見られていると伺っております。言うまでもなく、本県は全国有数の畜産県であり、そこから出る堆肥が豊富に存在し、この堆肥を有効に活用していくことが土づくり問題の解決につながるわけです。例えば、大野村はユーキの里づくりを目指し、堆肥をホウレンソウの栽培に積極的に活用し、意欲的な取り組みを行っております。折しも、畜産は先ほどの質問と関連しますが、BSE問題で大きなダメージを受けており、仮に堆肥が有効に利用されない場合は、まさに本県畜産農家の死活問題になりかねないと考えておりますが、県は堆肥の有効利用を図るため、どのような対策を考えているのかお伺いいたします。
 また、県は、環境保全型農業経営の中に積極的に導入しようとする農家をエコファーマーとして認定し、その拡大を図っていることは石鳥谷町や遠野市などの例もあり、御案内のとおりであります。私は、エコファーマーを核として、環境保全型農業を地域に波及させることは、地域農業の取り組みを内外にPRできる格好の機会であると考えるところですが、認定の要件となる技術がまだ少なく、また、一般栽培と比較して資材などのコストが高く手間もかかることなど、その拡大に当たっては課題も多いと存じております。
 そこでお伺いしますが、県はこの問題をどう認識され、どのような育成支援対策を講じられているのかお伺いします。
 次に、小児慢性特定疾患治療研究事業についてお伺いします。
 この事業は、子供の難病と言われる小児がんや白血病、小児の慢性疾患のうち、特定の疾患についてこれを放置することは児童の健全な育成を阻害すること、また、その治療が長期にわたり医療費の負担も高額となることから、子供の医療費の自己負担分を全額助成する制度として実施されております。私は、このような制度があることに対し、大変感謝しております。
 そこでお伺いしますが、この事業の対象となる疾病、対象者数、最近の事業の推移など、本県における事業の実施はどのようになっているのでしょうか。
 また、この制度は対象年齢が18歳未満まで適用されることとなっておりますが、対象疾病のうち、大半のものは20歳未満まで延長することができるとされておりますが、20歳を過ぎた場合は、どのような制度が適用されることになるのかお伺いします。
 次に、エコパーク平庭高原整備の今後の推進方向についてお伺いします。
 平庭高原地域は県立自然公園に指定され、日本一とも言われるシラカバ林、カタクリやレンゲツツジの大群落などの自然景観に恵まれるとともに、近年では周辺施設も生かし、葛巻・山形両町村への観光入込客数も増加しつつあります。県では平成8年度に、この地域のすぐれた資源を活用しエコミュージアムの視点を取り入れながら、葛巻町と山形村の連携と地域住民の参加を中心としたエコパーク平庭高原(仮称)の基本構想を、さらに平成12年2月にはその基本計画を策定したところであります。この計画は、岩手県総合計画において、21世紀の可能性の扉を開く三つの視点の一つである環境の視点に立ち、美しいくにづくりプロジェクトを具体化するものとして進められており、地域からもその早期の実現が期待されているところであります。
 私は、県土の均衡ある発展のための一つの起爆剤として、一刻も早くその計画が実現されるよう願ってやまないものでありますが、過日の新聞報道によりますと、当初見込んでいた年間利用者数や収支等に甘さがあり、オートキャンプ場の凍結など、計画を抜本的に見直すとの報道がなされたところであります。
 そこでお伺いしますが、平成14年度当初予算案では、実施計画の策定等を行う予算を計上しておりますが、スケジュールも含めて、今後の推進方向をどのように考えているのかお示しいただきたいと思います。
 次に、新幹線八戸までの開通に伴う道路交通網の対応についてお伺いいたします。
 本年12月開通予定となっている新幹線八戸までの運行は、県北に住む私どもにとって、待ちに待った近年久々の大変うれしいことの一つとなっております。これの開通によって、人々の往来、経済、社会文化等、各般にわたる恩恵がと、大きな期待となっております。また、県都盛岡はもとより、首都圏までの日帰りも容易となり、日常生活においての利便性ははかり知れないものがあるとされております。また、本開通に向けて、青森県南広域13市町村では、観光を含めた広域的なマップを計画していると聞いております。
 そこでお伺いしたいことは、新幹線盛岡以北の延伸に伴う効果を二戸地域や久慈地区に波及させるため、平成6年度から新幹線関連道路整備事業により、四つのルートで整備を進めていますが、八戸駅から全国的にも有名となっているリアス式海岸を有する三陸海岸への誘客が期待されております。こうした中にあって、いかんせん、計画が発表されてから、大げさに言うなら、もう忘れてしまうほどの年月を経ても、いまだ基本計画路線のままである八戸-久慈間の高規格自動車道の整備であります。本路線は、八戸から県境の階上町までは整備計画路線として格上げされているのに対して、一部完成し使用されているところを除いては、本県久慈市から県境種市間は計画路線のままであるということであります。本路線が整備されることは、さらに三陸縦貫道の整備もと期待されると思われるところから、少なくともこの路線を整備計画路線へと格上げし、本路線が整備されるまでの間は、少なくとも今整備されつつある国道45号の歩道整備と路幅の拡張整備を早急に行って、激しくなるであろう大型バス等の運行が容易になるよう願うものであります。本路線の早期整備計画路線への格上げと、未整備となっている国道45号の拡幅と歩道整備についてのお考えと、さらには、県の道路整備計画の90分構想の進捗状況についてお伺いします。
 次に、災害復旧への対応についてお伺いします。
 私にとっては忘れることのできない、平成11年10月27日から28日の県北地方を襲った大雨洪水災害、河川のはんらんにより家屋等への被害の全国へのテレビの放映、山形村での集落から集落へ通じる橋の流失や、軽米町、大野村や二戸市、久慈市、九戸村、種市町での河川のはんらんによる田畑の流失等々、まだ記憶に新しい中、昨年9月の県北を襲った集中豪雨に、地元の長老の方々の話でも、恐らく種市町有史以来の集中豪雨でしょうとまで言われた自然災害の恐ろしさを、まざまざと見せつけられたところであります。
 沿岸に住む私にとりましては、津波や高潮による災害や警報、注意報は経験しておりましたが、集中豪雨とはいえ、雨によるあのすさまじい恐ろしさの経験は初めてであります。この災害に対しても、知事を先頭に、県のいち早い対応のおかげで災害対象として採択され、11年の災害箇所の復旧工事も順調に進んでおり、昨年の災害箇所も、一部を除いては復旧に向けての着工となりましたこと等、地元民の一人として、これら県の対応に対して敬意を表するものであります。
 よく、災害は忘れたころにやってくると言われておりますが、そうではないようで、去る1月27日から28日にかけての強風を伴っての大雪は、公共土木施設への被害、倒木や、県北や沿岸地方の主要農林産物とされているシイタケ、雨よけホウレンソウ用のビニールハウスの倒壊、高波による養殖のワカメやコンブ、さらに漁港施設の破損等の被害とその被害額が大きくなってきております。
 申し上げにくいところでありますが、河川のはんらんなどたび重なっての県北、沿岸地方への災害、県の強力なバックアップなくしては復旧は困難でありますことから、これらの災害に対する県の対応についてお伺いしたいと存じます。
 最後のお尋ねになりますが、昨日の代表質問で我が会派の千葉伝議員に答弁があったところでありますが、通告しておりましたので私からも再度お伺いしますので言い足りなかったこと等がありましたら、また、質問内容も若干違うと思いますのでよろしくお願いを申し上げます。
 知事は就任以来、県民の各界各層とあらゆる機会をとらえて懇談会等を重ねられ、直接県政への提言を聞き、その場で回答をするとともに、その後も聞きっぱなしでなく県の取組状況についてもホームページなどで公開してきていることは、御案内のとおりであります。まさに、知事の県民と等しく距離を保つ姿勢こそが、これまでの政治姿勢であると考えるのであります。しかしながら、昨年12月以降、知事は特定の団体との距離を縮め、関係の修復をしたとの報道がなされておりますが、私自身は従来の知事の政治姿勢と一つも変わらないと理解しております。県民には特別の関係を築いたと映る向きもあるようですが、現在の知事のお考えはどうなのかお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。静かに聞いてありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 水上信宏議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、市町村合併のあり方についてでございますが、分権型社会におきましては自立した地方がそれぞれの多様な個性と創造性を十分に発揮をして、住民福祉の向上に向けてお互いに競い合って、地域の新たな活力を引き出し、魅力を増していくことが求められておりまして、そのためには住民に最も身近な市町村、この市町村が中心となる行政に転換することが重要であると、このように考えております。最近の地方財政をめぐる厳しい環境や少子・高齢化の進行に対応して、今申し上げました市町村中心の行政を展開していくためには、その担い手となる市町村がやはり行財政基盤を強化する必要がございまして、その方策として市町村合併は有効な選択肢であると考えております。もとより市町村合併は、将来にわたる市町村のあり方や住民生活にこれは大きな影響を及ぼすことでもございますので、あくまでも住民合意を前提に議論を尽くした結果として選択されるべきものでございまして、また全県一律に進めるべきものではないと、私はこのように考えております。
 県では、今後とも、それぞれの地域の歴史的な経緯や地理的、そして地勢的状況を踏まえた住民の間での議論がなされますように、市町村に対して住民の判断材料となる情報を積極的に提供していただくよう促したいと思っておりますし、県としても県内各戸へわかりやすい資料を提供することとして今準備をしております。もう既に印刷も終わっておりますので、この問題に対しての県の考え方と、それから裏面の方には各振興局ごと、それぞれの地域ごとの状況を書いたものを間もなく県内各戸へ提供することを考えておりますし、また、民間団体などとも連携を深めながら、地方振興局を中心として地域での議論にも積極的に参画するなど、地域の実情に即した役割を的確に果たしてまいりたいと考えております。
 次に、地方分権一括法施行後の状況についての認識でございますが、この法律は国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にして、地方公共団体の自主性、自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現に向けて、その出発点となったものでございまして、明治21年に制定されました市制・町村制以来存続してきた機関委任事務、これを全面的に廃止をし、また、国の地方公共団体に対する関与を法定化して制限するなど、国と地方公共団体との関係について言いますと、明治維新、そして戦後改革に次ぐ第3の大きな改革を目指したものというふうに承知をしております。しかしながら、この改革では、事務事業の移譲よりもむしろ関与の縮小廃止に主眼が置かれておりまして、平成7年7月に施行された地方分権推進法に掲げられておりました国から地方公共団体への権限移譲が進まなかった面があることも事実でございます。例えば、国に申請しなければならない手続が県で行うようになるとか、また、県に申請しなければならない手続が市町村で行うことができるようになるなど、こういうふうになれば住民にとって目に見える形の改革となるわけですが、こうした形での改革が進まなかったというのが実態ではないかと考えております。私は、地方分権を進めるためには、国から地方へ、さらに権限の移譲を進めることが最優先されるべきものと認識をしておりまして、そのために、事務・権限や財源、そして人をセットにした県事務の市町村への一括移譲の試行や──これは試みの行いですが──そうした試行や経由事務の見直しによる地方振興局への権限の移譲などに取り組みまして、県として主体性を持って地方分権の推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、私の政治姿勢についてでございますが、県政推進上最も大切にすべきということは、やはり県民の視点に立って、県民の皆さんの多様なニーズに的確に対応しながら新しい県土づくりを進めることにあると、このように認識をしておりまして、こうした見地から、日ごろから私の所信について──これは、今議会の冒頭で知事演述という形で所信表明、私の所信について申し上げたわけですが──こうした日ごろから私の所信につきまして、県政推進に大きな役割を担っております各党、各会派の御理解をいただくことが何よりも大切なことと考えておりまして、また、そうした各党あるいは各会派の皆様方に対しまして、そのように努めているところでございます。今後もそうした県議会の皆様のさまざまな御意見があるわけでございますが、こうした皆様方のさまざまな御意見をいただきながら、県政運営に鋭意努めていくというのが私の考え方でございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承お願いいたします。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐藤勝君) まず、牛肉の消費回復等についてでありますが、県といたしましては、これまで牛肉に対する消費者の不安と戸惑いを解消するため、関係機関、団体等との連携のもとに、県産牛肉の正確な情報の提供、これを初めといたしまして、特別イベントの実施や民間団体による消費拡大活動への支援など、現段階でとり得るさまざまな取り組みを行ってきたところであります。このような取り組みの結果、徐々にではありますが県内の牛肉の消費量はやや回復の基調にあります。また、学校給食での牛肉使用もほとんどの学校で再開の方向に動いております。安全でおいしい県産牛肉を県民の皆様に食べていただくことは、地産地消の一層の推進と本県の畜産振興を図る上でも極めて重要であります。
 このため、今後は、本県独自の対策として始めたトレーサビリティの充実や県民の皆様に具体的な数値を示して消費を呼びかけるなど、さまざまな対策を講じながら積極的かつ効果的に牛肉の消費回復に取り組んでまいる考えであります。
 次に、畜産農家への助成等についてでありますが、国におきましては枝肉や子牛の価格差補てん、廃用牛処理に要する費用への助成など、さまざまなBSE関連の生産者対策が講じられているところであります。しかしながら、依然といたしまして牛肉需要が低迷し、県内の畜産農家の経営はいまだ厳しい状況に置かれております。資金繰りに苦慮しておりますそういう状況から、県といたしましては新たに市町村と協調し、融資枠10億円、償還期間5年間とする無利子の資金の創設を予定いたしているほか、肉用牛肥育経営安定対策事業や肉用子牛生産者補給金制度に係る生産者積立金に対する助成を考えているところであります。これら国、県のBSE関連対策については、畜産農家等の希望に沿って十二分に活用されるよう市町村や関係団体等と連携し、制度の周知や指導の徹底に万全を期してまいります。
 次に、BSE問題についての国の責任ある対応についてでありますが、今般のBSEの発生を受け、国においては、BSE関連対策として農家の経営維持・安定対策を初め、生産から流通に至るさまざまな措置を講じているところであります。県といたしましては、BSE関連対策の充実強化を図るよう、これまでも再三にわたり、国に働きかけてまいりました。今後におきましても状況を見きわめながら、今後さらに対策が必要と思われる場合は、時期を逸することなく強く国に対して要請をしてまいりたいと、このように考えております。
 次に、家畜防疫体制の強化についてでありますが、近年の国際化の進展に伴い、海外からの家畜伝染病の侵入機会が増加しているところであり、一たび悪性の伝染病が発生した場合には、甚大な被害をもたらすことが大いに懸念されるところであります。このような中で、昨年9月、国内で初めてBSEが確認され、発生農家はもとより地域産業・経済にまで大きな影響を及ぼしているところであります。このBSEの清浄化のためには、長期にわたる確実な防疫対策の実施が必要であります。このため、県といたしましては、当部畜産課に、現地関係機関への迅速かつ的確な指揮命令など、家畜防疫業務を専門的に担当する家畜衛生対策監、この職を新設するとともに、家畜保健衛生所の体制も強化いたしまして、新たにみずからによるBSEエライザ検査の実施、BSE感染を確実に遮断するための流通飼料の科学検査、これに取り組むほか、農家団体での飼料の適正使用を徹底指導するなど、防疫対策に万全を期してまいる考えであります。
 次に、米の消費拡大についてでありますが、県といたしましては、これまで県内の生産、流通、消費の関係団体で構成する米消費拡大推進協議会と一体となりまして、御飯のエッセー募集、料理コンクールの実施、学校給食への支援、さらには今年度から新米の時期に合わせまして、いわて米まつりの開催などを通じまして、米の消費拡大に取り組んできたところであります。このような取り組みの結果、全国的には米の消費量が減少している中で、県民1人当たりの消費量は平成5年の冷害を契機に著しく減少を続けておりましたが、10年度以降わずかながら上昇に転じております。また、米飯学校給食の実施回数も9年度の平均週3.16回、これから、12年度には3.21回となるなど、その効果があらわれたものと存じております。御飯を中心とした栄養バランスのよい日本型食生活の普及定着は、国の食生活指針においても最重点事項とされております。また、米の消費の拡大は、本県農業の基幹であります稲作の持続的な展開を図る上でも極めて重要であると考えております。
 このため、今後におきましても、県内では地産地消推進運動を強力に推進するとともに、子供たちに御飯食をより身近に感じてもらうための農業体験の充実や学校給食への支援などを行いながら、県産米の消費拡大に努めてまいりたいと考えております。
 また、県外に向けましては、県産米が生産環境に恵まれ、品質・食味ともに優れていることを前面に打ち出しまして、PR活動の強化や大消費地における重点地域販売の展開などにより、本県産米の需要拡大に取り組んでまいる考えであります。
 次に、環境保全型農業の総合対策についてでありますが、まず堆肥の有効利用につきましては、地方振興局ごとに設置いたしました地域たい肥生産利用推進協議会において、畜産農家が生産する堆肥と耕種農家が必要とする堆肥の種類、量を明らかにしたたい肥需給マップの作成や堆肥の品質向上を図る品評会、堆肥利用の優良事例等を研修内容とする土づくり交流会の開催、さらには堆肥流通モデルの実証を行うなど、各般にわたる堆肥の利用促進のための対策を講じてきたところであります。
 今後におきましても、耕種農家が求める良質の堆肥の生産とその利用をこれまで以上に促進するとともに、新たに県下14カ所に設置する実証圃において、土づくりの効果や化学肥料代替効果を広く農業者に示しまして、一層の良質堆肥の生産と有効利用の拡大を図りながら、耕畜連携による土づくり対策を総合的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、エコファーマーの認定拡大に当たりましては、議員から御指摘のありましたとおり、現在、技術面、コスト面両面での課題があることから、これからの取り組みといたしましては、環境に優しい栽培技術の開発推進とあわせ、生産された農産物の流通・販売対策の促進が重要であると認識をいたしております。このため、引き続き農業研究センターにおいて、エコファーマーが導入可能な技術開発を促進するとともに、これらの個別技術を体系化し、コスト面も考慮に入れた総合的な栽培技術として確立、提供できるように鋭意取り組んでまいる考えであります。
 また、環境に優しい栽培技術や流通・販売対策に対する適切な指導、助言を行うため、新たにこれらエコファーマーを支援する全県的な組織をできるだけ早期に立ち上げまして、その中で産直施設等における農産物の積極的なPR活動を支援するとともに、県独自のロゴマークの設定やあるいは栽培履歴の表示方法等の検討を進めるなど、エコファーマーの生産から販売までの活動を広く支援し、このことによってその認定拡大を図っていきたいと、このように考えております。
 次に、災害復旧への対応についてでありますが、本年1月末の大雪・強風による農林水産業への被害額は、雪解け後に本格調査になります山林被害を除きまして、2月末現在で総額24億4、000万円となっております。この中で、特に被害が大きいのは、種市町の種市漁港ほか13漁港の漁港関連施設11億7、000万円で、この復旧につきましては、現在国に対して災害復旧事業として採択されるよう要請いたしているところであります。
 また、ビニールハウスなどの農業施設につきましては、その倒壊が主なもので、5億3、000万円の被害となっておりまして、このうちホウレンソウやシイタケなどの栽培施設の復旧については県単独事業になりますが、これによりまして簡易ビニールハウス143棟の導入に対し助成することといたしたところであります。なお、このうち鶏舎等の被害については、損害評価による共済金が支払われることになっておりますし、また、現在収穫が始まっているワカメや、あるいは今後収穫される昆布等の水産物につきましては、5億3、000万円被害ございますが、その出荷終了後の評価額に基づきまして所要の共済金が支払われることになっております。県といたしましては、今後の事業経営に支障を来すことのないように、栽培技術指導や経営相談などきめ細かに対応してまいりたいと、このように考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) 小児慢性特定疾患治療研究事業についてでありますが、この事業は児童の健全育成を目指し、患者家庭の医療費の自己負担分を軽減するため昭和49年から実施されてきており、本県では平成12年度実績で1、248人の方に約2億7、000万円の医療給付を行っております。本事業の対象疾患約500疾患のうち、本県では233疾患への給付となっており、その主な疾患は、成長ホルモン分泌不全性低身長症、急性リンパ性白血病、先天性甲状腺機能低下症、若年型糖尿病となっております。なお、最近5年間では、給付人員が1、200人前後で推移しております。また、20歳を過ぎた場合についてでありますが、血友病は先天性血液凝固因子障害等治療研究事業により、原発性肺高血圧症など一部の疾患については、難病を対象とした特定疾患治療研究事業によって自己負担の軽減が図られており、これ以外の疾患については、各種医療保険制度の適用となるものであります。その際、高額な医療費が生じるものは高額療養費が支給され、そのうち人工腎臓を実施している慢性腎不全は、長期高額疾患としてさらに自己負担が軽減されております。
 今後とも児童の健全育成が図られるよう、本事業の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) エコパーク平庭高原整備の今後の推進方向についてでありますが、平成12年2月に策定いたしましたエコパーク平庭高原基本計画におきまして、今後事業を進める上での課題といたしまして、自然環境との調和、施設整備とソフト面の管理運営計画との整合、施設の需要動向や収支予測による詳細な検討などが残されておりますことから、これまで環境影響評価調査のほか、現況測量調査や葛巻・山形両町村が共同で策定に取り組んでおります地域資源の活用を盛り込んだエコミュージアム計画への助言を行ってきたところであります。
 平成14年度におきましては、これまで実施してきた調査結果等に加えて、計画施設に対する需要動向を踏まえた具体の施設整備のあり方、施設の管理運営に当たる第三セクターの経営計画、施設整備と一体となった環境学習プログラムなどのソフト事業計画等について、葛巻町、山形村など関係者と検討・協議を重ねまして実施計画を策定し、その後、実施計画に沿って事業を進め、おおむね平成18年度の開業を目指してまいりたいというふうに考えております。
   〔県土整備部長竹内重徳君登壇〕

〇県土整備部長(竹内重徳君) 新幹線の八戸までの開通に伴う道路交通網の対応についてでありますが、まず、八戸久慈自動車道の整備計画区間への格上げにつきましては、現在、青森県側の八戸南環状道路及び八戸南道路が整備区間として事業化されておりまして、当面、八戸市側から本県の県境に向かって重点的な整備が進められると見込まれております。本県におきましては、平成5年、久慈市の延長3.2キロメートルが供用されております。残る県内分の延長約27キロメートルにつきましては、平成9年2月に基本計画区間に定められて以来、国において概略設計や基礎的な環境調査など計画ルートの検討が進められてきたところであります。これまで県及び地元市町村は、この路線の整備計画への格上げを関係方面に働きかけてまいりましたが、去る2月14日、八戸久慈自動車道の整備促進に向けた運動として、久慈広域圏の商工会が一体となった地域交流とロードネットワーク講演会と題する大規模なフォーラムを開催したところであります。
 道路整備につきましては、高速道路の整備計画見直しや道路特定財源の一般財源化への圧力など、特に地方に関する道路事業費の確保は極めて厳しい状況にありますが、県といたしましては、今後も地元の機運の高まりを促進する運動と連携いたしますとともに、地元市町村と一体となって、極力早い時期に整備計画区間となるよう、国へ強く働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、国道45号の拡幅と歩道整備についてでありますが、現在、久慈市宇部地区、種市町角浜地区、平内地区などにおいて、情報ボックスの埋設と通学路における歩道整備が進められておりまして、これとあわせて拡幅整備が進められているところであります。県といたしましては、さらに整備の必要な箇所等について、地域の要請を十分に踏まえまして国に要望してまいりたいと考えております。
 次に、道路整備計画の90分構想の進捗状況でありますが、久慈からのルートにつきましては、昨年12月に主要地方道戸呂町軽米線の軽米町宮沢工区を供用開始いたしました結果、久慈市から盛岡市間が5分ほど短縮されまして、所要時間は100分を切る状況になっております。また、宮古市からのルートにつきましては、簗川道路、都南川目道路などの整備を進めており、釜石からのルートにつきましては仙人峠道路を、大船渡市からのルートは国道107号の長岩地区などの整備をそれぞれ進めております。今後とも、県内90分構想の実現を目指して鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、平成11年からのたび重なる公共土木施設にかかる災害復旧に対する取り組みについてでありますが、まず、平成11年の県北災害につきましては、道路・河川等あわせて1、251件、約268億円の被害を受けておりまして、大規模災害であったことから、町村に対する人的な支援体制も含めて、その対応に当たったところであります。その結果、雪谷川の改良復旧以外の1、239件につきましては、今年度末に完成の見込みとなっております。
 この雪谷川河川改良復旧事業につきましては、総延長18.3キロメートルのうち14.4キロメートル、79%の区間で工事に着手いたしております。軽米町の中心部にある昭和橋のかけかえ工事も完成し、去る2月1日に供用開始されるなど順調に復旧が進んでおりまして、平成15年度の完成に向け、全力を挙げて取り組んでいるところであります。
 また、昨年9月の台風15号に係る公共土木施設災害につきましては143件で、10億7、000万円の被害となっておりまして、緊急を要する箇所から、逐次、復旧を進めているところであります。このうち、種市町につきましては、特に被害が大きかったことから、特別の財政援助措置としての局部激甚災害の指定を現在申請中であります。さらに、本年1月27日から28日にかけての冬期風浪による公共土木施設の被害状況でありますが、被害件数と被害報告額は8件、3億8、900万円となっております。
 県といたしましては、大規模な災害が発生した場合は、市町村と地方振興局との連携を強め、相互の協力体制を整えながら、速やかな復旧に万全を尽くしてまいりたいと考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕

〇教育長(合田武君) 完全学校週5日制の実施に向けた対応についてでありますが、学校週5日制の実施に当たっては、学校、家庭、地域社会がそれぞれの役割を十分に果たしながら、相互に連携して、子供を育てる環境を整備していくことが重要であると考えております。
 このようなことから、県教育委員会におきましては、地域における子供たちの活動の機会や場の拡大、体験活動に関する情報提供体制の整備などを、市町村と一体となって計画的に進めてきたところであります。特に、家庭の教育力の充実を支援するため、県内6カ所でのフォーラム家庭教育の開催や、テレビ番組いわてっ子ばんざいの放送、さらには、親子の触れ合いやコミュニケーションの取り方等についての理解を深める学習会や親子の共同体験交流事業など、さまざまな施策を展開してきており、今後さらにその充実に努めてまいります。
 また、子供会や青少年育成団体等が行う体験活動に助成する国の子どもゆめ基金等を活用して、多様な自然体験や世代間交流等が県内各地で活発に展開されるように支援してきており、これに加えて、来年度新たに学校や社会教育施設、スポーツ施設などを拠点として、地域のスポーツ指導者や高齢者などの協力を得て、放課後や週末等における子供たちの遊びや学習活動を支援するためのモデル事業を実施してまいりたいと考えております。
 さらに、学校においては、来年度から地域との連携や体験活動の企画推進の窓口となる担当教員を明確に位置づけるとともに、地域の状況に応じて地域社会との連絡調整などを行う職員の配置を進めるなど、学校、家庭、地域が一体となって、子供をはぐくむための環境整備に一層努めてまいりたいと考えております。

〇28番(水上信宏君) いつものことでありますが、私のつたない質問にそれぞれ大変誠意ある御答弁、ありがとうございました。
 合併議論と地方分権一括法に関係があると思いますので、去る2月21日、北部議長会と県議との懇談会で話のあった部分と、私の意見も入れて再度質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 今、市町村は市町村合併を突きつけられ、それをめぐって議論が沸騰しております。言うまでもなく、地方自治の本旨は、地方政治や行政は自分たちの意思によって自主的、自立的に行っていくというのが原則であります。それにもかかわらず、町村は自分たちの意思とはかかわりなく、合併という袋小路に追い込まれてしまっています。御承知のとおり、農山漁村は、少子・高齢化の進展によって、生産性において、所得の向上において、後継者不足などにおいて多くの問題にさらされている上に、深刻かつ多様な政策が求められております。そのような状況の一方では、実行の段階に入った地方分権の成果を上げるために市町村の自立が求められています。そして反面では、厳しい財政状況の中で市町村行政の効率的な展開が求められてもいます。
 このように、二重にも三重にも責め苦を負わせられているのが現在の農山漁村であります。これまでの農山漁村は、日本の伝統文化を守り育て、よき伝統文化を継承、温存して、日本のふるさととしての役割を果たしてきました。また、食料基地として命を支え、命を守る食料生産の役割を担ってまいりました。安らぎと人々の命を守るために、勤勉に努力してきた農山漁村が何ら報われることなく、むしろ厳しい財政状況のもとでは、あたかも不要で邪魔者であるかのごとき扱いであります。それに加えて、BSEを初め農林水産物価格の低迷など、現在の政治、経済の打撃をもろに受けて農山漁村の人口は減少し、高齢化し、少子化に追い込まれています。生き延びる道は、経済社会体制の違う都市に吸収されざるを得ない合併の道しか残されていないという現在の政治状況は、農山漁村に生きる者にとっては、何とも納得しがたいことであります。それに追い打ちをかけるかのように、国では、地方交付税の段階補正を廃止し減額一律交付するという方針は、まさに我々の住む農山漁村切り捨て政策と言わざるを得ません。
 もともと、地方交付税は地方財政保障制度の主体であり、地方公共団体が合理的かつ妥当な水準で自主的に自治体行政を進めることができるように、その必要経費を国が交付する制度であるにもかかわらず、都市優先、都市重視の交付体系に変えるという今日のやり方は、弱い者切り捨てと断ぜざるを得ないやり方であります。勤勉に働いている者、命の糧をつくっている者、人々の安らぎをつくっている者、それが守られない政治は本当の政治ではないと存じます。その意味で、今日、政府が進めている町村合併論は、政治の真価の試されているきわめて深刻な問題だと言わざるを得ません。
 私たちは、バブルという恩恵もなく、おてんとうさまに感謝しながら強大な自然と戦い、また、市場の価格に左右されながら頑張ってきたのだが、この世には神も仏もないものかと村民に問われても、答える言葉がないという議長さんが1人。もう1人の議長さんの話は、どんなに厳しい冬でもまた苦しい時代でも、先が見えると何とか頑張れるのだが、明るさが見えない今の社会をどうすればよいのかと町民にも問われ、回答が出ないと悩む議長さん。最初述べたとおり、2月21日の北部議長会でのときの大半の議長さんの言葉であります。どうか、一生懸命頑張ってきた県民が報われる県政をお願いして、私の再質問を終わります。
 突然で大変申しわけありませんが、知事の所感をお願いいたします。

〇知事(増田寛也君) ただいまの合併についての再質問にお答えを申し上げたいと思いますが、今、出席をされました議長さんの声というものをお聞かせいただきました。聞いておりまして、必ずしも合併を結婚と同じようにとらえることはできないかとは思いますが、相似たところがあると思うので、あえて結婚生活ということに例えさせていただきますと、結婚に至る前にもう破談するものも当然あるわけですし、それから、結婚しても当然うまくいかない場合もあると思いますが、しかし、それぞれ一人の人間としていろいろな苦難に遭いながらも、しかし結婚生活によってお互いに力をあわせて、新しい、すばらしい生活を築き上げていくことができる、また、そういうことを望んでそういう結婚生活を多くの人たちが描いているわけでございます。
 私は、選択肢としてはいろいろな道があると思うんですけれども、しかし、何か追い詰められてその上で選択肢が極めてもう少なくなった中でそういうことに向かうのではなくて、いろいろなそれぞれの可能性というものを考えながら、やはり主体的に自分たちの地域をどのようにしていくのかということを考えていくべきであって、今、国の方では平成17年の3月という期限を区切っております。これは当然のことながら一つの国の考え方で出てきているわけですが、私自身はそういう国の考えとは別に、やはり地域にいる者として自分たちの地域をどのように切り開いていくのかということを考える場があってしかるべきだと思いますし、先ほどのお話、議論の詳細は承知をしておりませんけれども、しかし、そういう場があって県北の議長さん方が集まっていろいろ悩みを打ち明けながらそういう議論をされた賛否両論、あるいは賛成があったのかどうかもちょっとわかりませんけれども、否定的なことも含めていろいろ議論をされたと、そのことはこれからに必ずつながっていくものではないかというふうに思います。ですから、そういう議論というものを地域で、内容はいろいろあると思いますし、これがまた次のスタートにつながっていくものなのかどうかということもあると思いますが、地域で大いに議論を活発化させていく必要があると思いまして、そのために先ほど申し上げましたように県でもこの問題に主体的にかかわりながら、お互いに本当に本心を言い合って、地域のこれからの姿を考えていければというふうに思っております。
 先ほど県内の各戸に資料を配布するというふうに、もう印刷ができ上がっているので配布すると申し上げましたが、一部まだ個別の振興局ごとでは印刷中のところもあるようでございますが、3月中には各戸にそうした資料の配布が可能なようでございますので、そうしたものも手がかりとしていただいて、議論を大いに高めていきたいというふうに考えております。
 以上、私の所感でございます。

〇28番(水上信宏君) 大変丁寧な御答弁ありがとうございました。
 ただ、結婚だったら、悪かったら別れてまた別な人と結婚もできるわけですが、この合併だけはそうでないので大変難しいと思うので、今、知事がお話しされたように、県も応援してその地域地域の議論を活発に、そして地域の皆さんの意見が反映されるように御指導をお願いしまして、私からの質問は終わります。


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